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☆問い合わせ☆

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開催10日前に緊急決定! 福岡の雄と韓国料理の重鎮が挑む即席ポップアップレストラン。[La Maison de la Nature Goh/福岡県福岡市]

イベント後の店の軒先での一枚。福山氏は、次回はガガン氏を連れてソウルへ足を運ぶことを約束していた。

ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ韓国料理の重鎮が初めて福岡に降り立ち、挑んだコラボイベント。

「自分もいろんなシェフと多くのコラボイベントを開催させていただきましたが、こういうスタイルは始めてですね。今日は、先生の料理を食べてもらうことが目的になりそうです」

そう話すのは、福岡市中央区の西中洲の路地裏に店を構えるLa Maison de la Nature Gohのシェフ・福山剛氏。そう、今年の春に発表された2018年「アジアのベストレストラン50」において48位を獲得、2年ぶりにベスト50内に返り咲いたことでも話題となったシェフです。その福山氏といえば、これまでにも「アジアのベストレストラン50」において4年連続トップに輝いたタイ・バンコクの『Gaggan』と幾度となくイベントを行ってきたことでも知られ、その『Gaggan』のガガン・アナンド氏がバンコクの店を閉め、2020年に福岡に開店する予定の新店でタッグを組むことになる張本人でもあるのです。

そんな福山氏をして、先生と呼ばせるシェフとは一体誰か? そして、「こういうスタイルは始めてです」と言わしめるイベントとはどんなものなのか。

去る925日にLa Maison de la Nature Gohで開催された1日限りのポップアップランチ「EAT! SEOUL」を、ONESTORYが取材してきました。

福山氏は2020年までにLa Maison de la Nature Goh』をたたみ、Gaggan』のガガン・アナンド氏とともに福岡で新店をオープン予定。

「アジアのベストレストラン50」で31位を獲得した2016年以来、2年ぶりの返り咲きとなった。

韓国では「シェフの先生」と呼ばれるチョ・ヒスク氏。今をときめくソウルのシェフたちがチョ氏へ教えを請いにやってくる。

ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウコラボ慣れした福山氏が「これは初めて」と目を丸くした理由とは?

今回、福山氏とタッグを組んだのは、これまでにさまざまなコラボイベントを行ってきた福山氏も初となる韓国人シェフでした。その方こそ、韓国では「シェフの先生」とも呼ばれるチョ・ヒスク氏です。

チョ氏は、ソウルの『韓食工房』という11組限定のゲストをもてなすコリアンレストランのオーナーシェフであり、ソウルきってのファインダイニング『韓食空間』の総括シェフを務める韓国料理の重鎮。それだけでなく、先の平昌オリンピックでは、公式シェフとして海外からの数多のVIPをもてなし、「アジアのベストレストラン50」において韓国勢トップの11位を獲得した『Mingles』のカン・ミングー氏をして、「わたしの師」と言わしめるシェフなのですから、その実力は推して知るべし、といったところでしょう。

そして、福山氏にとってはじめてのこととなったのは、韓国人シェフとのコラボレーションだけではありませんでした。というのは、このイベントの話が福山氏のもとへ届いたのが、実は開催日の10
日ほど前のことだったのです。この手のイベントとしては異例中の異例ともいえる超短期間での開催となったのです。

「なにせ10日ほどしかありませんでしたからね(笑)。普通ならシェフ同士が互いの意見を交えてひとつのお皿を完成させたり、その組み合わせを考えたりするもんなんですけど、10日ではとてもではないけど時間が足りませんでした」

そのため、今回のコラボでは互いの料理を交互に出すことで、ひとつのコースとして完成させるというスタイルを取ることに。このことが、福山氏の冒頭の「初めて」という言葉に繋がった所以だったのです。

「けれども、やるからには中途半端なことはできない。一昨日に先生がいらして、そのまま福岡の市場を案内して、食材探しに奔走。昨日はイベントに備え、1日中仕込みとなりました」

ソウル市が協賛となり、イベントは急遽決定。当日は韓国のグルメ誌『Bar & Dining』も取材に訪れていた。

イベント名も実にシンプルで、テーマはスバリ「ソウルを食べる」。韓国料理と福山氏の料理に酔いしれるランチとなった。

ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ手を取り合い、そしてせめぎ合う二人の料理がひとつのコースとなって…。

今回のポップアップランチで供された品は、デザートの2皿を含めた全8品。まずはその内容を掻い摘んでご紹介していきます。

コースの先陣を切り、先付けとして挨拶代わりに登場したのは、海苔とじゃがいものチップス。次に、「チョンビョン」と「テハチム」という韓国の宮廷料理を端にする料理が供されました。控えめに言っても、この料理からしてチョ氏の韓国ワールドは全開でした。

海苔のチップスは、溶かしたもち米を海苔にまぶし揚げたもので、じゃがいものチップスはスライスを塩漬けにした後、乾燥させてからフライに。蒸しエビを松の実のソースで和えるテハチムも食べやすいようにアレンジし、一口サイズの串刺しで供するなど、シンプルでありながら、隠れた手間と仕事が垣間見えました。

そして、ゲストの期待を十分に高めてからの1皿目は、さらに韓国色を加速させた「牛足餅」。牛すじとスネ肉をじっくりと煮込み、溶け出したコラーゲンで冷やし固めたテリーヌのような料理は、まろやかな塩味が印象的。チョ氏は、「今回はほとんどの食材を日本のものでまかないましたが、一番難しかったのが塩。味の決め方がいつもと異なり、すごく悩みました」としながらも、その上品な塩加減は、日本人の舌にしっかりと寄り添う味わいでした。

2皿目は、福山氏の「鯖 大根 カボス」。皮目を炙った鯖を葱で巻き、その上にシャーベット状の大根おろし、カボス、さらにキャビアをのせた一品です。味わい、香り、食感が重層的に溶け合う料理からは本気度を実感。コラボコースという位置づけながら、美味しさを競い合っているという、印象を受けたのでした。

先付のひと皿。串スタイルで供された「テハチム」というエビの松の実ソース和えと、「チョンビョン」というそば粉のクレープ包み。

「牛足餅」。添えられたサラダは、辛子の種を発酵させて作った、さわやかな辛みのあるソースを和えたもの。

「鯖 大根 カボス」。シャーベットの辛み、カボスの香り、キャビアの塩みが、鯖の旨みに絡み、口の中で悶えるように重なり合う。

ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウコースが進み、気づいていく韓国の伝統料理の素晴らしさ。

3皿目は「オマンドゥ」という韓国式の魚の餃子。本来、日本でいうニベ(イシモチ)が使われますが、この日はアコウダイを代用。松茸、ズッキーニ、たまねぎで仕立てた餡を、餃子の皮のかわりとして魚の身で包んで蒸し上げた一品です。こちらも韓国の宮廷料理のひとつで、玉ねぎの醤油漬けを合わせるなど、食材の持ち味を生かした料理でした。

続く福山氏は、スペシャリテである「鮑、椎茸、リゾット」で、重厚な味わいで緩急をつけてきました。鮑の肝とほうれん草のリゾットに、大ぶりにカットした鮑と椎茸。鮑と椎茸という、どこか親和性のある食感が、焦がしバターソースと合わさり、その対比を楽しませてくれます。

メインの肉料理はチョ氏が担当。「カルビチム」は本来であれば、アバラを使うところを「食材がいいと聞いたので」と、タンを使って煮込んだといいます。

そして、締めの一品の「冷麺」が供された頃に、ハッと気づくのです。チョ氏の作る料理は、キムチやチャンジャなど、ふだん日本人が慣れ親しむヤンニョムによる味付けの韓国料理とは全く異なることに。しかし、それこそが、チョ氏の目指すべき料理でもあったのです。

「海外でも韓国の伝統料理が味わえますが、それだけが韓国料理の全てではありません。まだ知られていない韓国料理の伝統をいかに広めていくか。自分なりの解釈やモダンなアレンジを加えて、韓国の伝統料理を表現し、より多くの方に本当の韓国料理を知っていただけたらうれしい」

EAT! SEOUL」というイベント名からも分かるように、まさに、それこそが今回のイベントの趣旨だったのです。

こちらは韓国の宮中料理「オマンドゥ」。ふっくらと蒸し上げられた魚の旨みが際立つ一品。味付けは韓国料理の概念を覆す優しい味わい。

「鮑、椎茸、リゾット」。ムチムチ、プルン。肉厚の鮑と椎茸に焦がしバターソースの濃厚な味が合わさりリゾットは幸せにまみれる。

共同でなにかの料理を作り上げるということはなかったふたりだが、それでもわずか3時間ほどの宴のために全力を尽くした。

ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ10日で決したイベントが、確かな手応えと少しの無念とともに幕を下ろす。

チョ氏の料理を味わい、韓国の伝統料理を知る。狙いが明確だからこそ、コラボレーションしながらも福山氏は一歩引いた形で当日に挑んだ今回のイベント。振り返れば、福山氏の料理も、チョ氏の料理の上品さや豊かな滋味を、あえて力強い味わいの料理と組み合わせることで引き立てていたのかもしれません。

「いつもとちょっと違って、主役が先生ですから、少し客観的に見られたことが新たな発見にも繋がりましたし、何より先生のその仕事ぶりに大きな感銘を受けたんです。だって、昨日なんて『どれだけ働くの?』って思うくらい、仕込みをしていましたからね。今日出たオマンドゥの魚だって深夜の2時くらいから捌いていました(笑)。先生は何より仕事が細かく丁寧で、妥協をしない方。正直、こういうイベントでは、付け合わせの数を減らすなど、どうしても妥協しないといけないことがあるんです。けれど、先生はそういう細かいところの妥協すら許しません。『そういえば、フレンチの古典もこうだったよな』って若かりし頃の修業時代を思い出し、何か料理の原点を思い知らされた感じですね」

ただ、そんな思いと同時に少しの心残りもあった様子で、「もう少し時間があって、先生ともっと打ち合わせを重ねてイベントに挑めたら、もっと楽しいことができたはず」とも。

イベント後、店の外でゲストを見送った福山氏はチョ氏に歩み寄り、「今度はカガンを連れて、ソウルの先生のもとへ勉強しに行きますね」と言って、笑顔でガッチリと握手。

そこには、即興イベントだったからこそ短い時間で得た確かな手応えと、少しの口惜しさが垣間見えました。

二人にとって多忙を極めた10日間も、今日の3時間でその苦労が報われたかたちとなった。何よりイベント後のふたりの笑顔がそれを物語っていた。

1971年生まれ。福岡県出身。高校在学中、フレンチレストランの調理の研修を受け、料理人の道へ。1989年、フランス料理店『イル・ド・フランス』で研鑽を重ね、その後、1995年からワインレストラン『マーキュリーカフェ』でシェフを務めた。2002年10月、福岡市西中洲に『La Maison de la Nature Goh』を開店。2016年には、九州で初めて「アジアのベストレストラン50」に選出された。西部ガスクッキングクラブ講師などを務める。