@adidasfun

選手が退場を命じられた(レッドカードを提示された)ことによりピッチ上の選手数が減ったチームは、その退場から2分経過後、あるいは相手チームよりも人数が少ない状態で失点した場合に選手を一人補充できる。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

統括編集長・倉持裕一が振り返る、2018年の『ONESTORY』。

「災」に苦しんだ一年。それでも前を向いて生きてゆく。

毎年恒例、京都の『清水寺』が発表する今年の漢字は「災」。近年、これほどまでにこの「災」に苦しまされた一年はなかったのではないでしょうか。2018年の『ONESTORY』はどんな年だったか振り返ると、その「災」に影響を受けたことが少なくなかったと思います。その最たるものが、『DINING OUT』でした。鳥取では豪雨。沖縄でも急な冷え込みやにわか雨。自然を舞台にすることの本質と対峙する年になりました。しかし、改めて感じたことは、我々が表現したいことや伝えたいその本質の全ては「外=OUT」にあるということでした。

沖縄県の知念城跡で開催された『DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS』。満月に照らされた石造りのグスクが、幻想的な雰囲気を創り上げた。

14回目の『DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS』は、降りしきる雨の中で幕を開けた。

古刹・清徳寺の境内で行われた『DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS』。雨の会場においてもなお、シンプルな徳吉シェフの料理の存在感が際立った。

DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』でシェフを務めた川田氏。地域の素材だけでなく、歴史や文化、人の思いまでを、料理に落とし込んだ。

改めて感じたこと。本質の全ては「OUT=外」から生まれている。

春夏秋冬に訪れる旬。肉、魚、野菜、米、酒、水…。海、山、川、畑、森、林…。ゼロから生まれるそれらは、全て自然からの恵みであり、「外」から生まれています。ある世界的に有名な日本人シェフは、『ONESTORY』で取材したレストランの記事を見てこう言いました。「これをやられたら敵わない」。その記事は、自ら畑を耕し、野菜を収穫し、料理をする『ヴィラ・アイーダ』でした。東京には数々の名レストラン、名シェフがいますが、料理を作るだけでなく、素材までを自ら作るところは、ほぼないでしょう。料理の本質は素材にあり、その素材は常に「外」から生まれているのです。自然相手のため、予測不能。時には前出のようなこともありますが、「外」で行うことに意味があるのが『DINING OUT』なのです。そして、「外」を通すからこそ繋がることができるのが、その土地や風土、文化や伝統、歴史です。これが『DINING OUT』が伝えたい、本当の意味での地域体験です。知識であれば「頭」で繋がれますが、「体」で繋がることが大切だと思うのです。

『ヴィラ・アイーダ』シェフの小林氏。キッチンに立ち、料理をしている最中、何かを思いついたかのように畑に走ることも少なくないとか。

店から歩いて2分ほどの畑にて。秋に植えた大根を越冬させ、その種を摘み取る。

レタスにイカとそら豆を包んだ前菜。即席リコッタチーズにハーブやベゴニアの葉、黒キャベツのバウダーなどを散らして。

視野は広く持ちたい。常に世界を意識したい。

世界的に注目される『ASIA’S 50 BEST RESTAURANTS』。中でも邁進を見せたのは、2位の『傳』の長谷川在祐氏と3位の『フロリレージュ』の川手寛康氏です。両人は共に『DINING OUT』のシェフを務めた人物です。ふたりに共通していることは、ただ美味しい料理を作るだけではないこと。素材のルーツや伝統、文化、歴史など学び、それをどうしたらひと皿のストーリーとして落とし込めるのかを創造するシェフです。ゆえに、シェフでありクリエイター、表現者と言っていいでしょう。アジアNo.1まであと一歩。『ONESTORY』が掲げる「ジャパン クリエティブを世界へ」を体現しているふたりです。それ以外にも、2017年にオープンし、わずか9ヶ月でミシュラン二つ星を獲得した『茶禅華』の川田智也氏や地元の鳥取凱旋『DINING OUT』を果したミラノで活躍する『リストランテ・トクヨシ』の徳吉洋二氏など、シェフのトップランナーたちとのクリエイションは、お客様だけでなく、我々も大いに刺激をもらう出会いとなりました。鳥取に限っては、これから記事になる『かに吉』。大将の山田達也氏と出会い、取材直前に舞い込んだ吉報は、ミシュラン二つ星獲得の快挙でした。本物であれば場所は関係ない。世界も認める。勝負できる。そんな時代に突入していると実感した瞬間でした。どんなにSNSやテクノロジーが進化しても、体験に勝るものはありません。その土地に足を運び、人と出会い、感じ得る。『ONESTORY』が伝えたい大切なことは、その体験の豊かさなのです。

『ASIA’S 50 BEST RESTAURANTS』授賞式の直後に行われたシェフたちの記念撮影。会場は熱気に包まれた。

「2位」の快挙が発表された直後、ガッツポーズで応える『傅』長谷川氏。

表彰後のパーティ会場にて、柔和な笑顔を見せる『フロリレージュ』川手氏。

世界と戦う人々の想いを学び、世界に足を運ぶことで未来を見る。

世界で戦う人々との出会いは大きな学びをもたらします。フラワーアーティストの東 信氏と『日本デザインセンター 原デザイン研究所』の原 研哉氏の両名はその好例でした。両者が認める日本のものはそれぞれの記事をご覧いただきたいと思いますが、審美眼として共通していたことは歴史と伝統、文化のあるものだということ。それはなぜか。原氏の言葉を借りるならば、「敵わないもの」だから。今を生きる我々がどんなに良いものを生み出しても、先人たちが歩んだ時代に追いつくことはできません。進化するには、「敵わないもの」を受け入れる許容も大切なのです。そして、記事にはしませんでしたが、原氏がディレクターを務める『ジャパン・ハウス』のオープニングにも参加しました。この『ジャパン・ハウス』は、戦略的対外発信の強化に向けた取組の一環として、外務省がサンパウロ、ロサンゼルス、ロンドンの世界3都市に設置した対外発信拠点です。これまで日本に興味のなかった人々も含め、幅広い層に向けて日本の多様な魅力、政策や取組を伝え、親日派・知日派の裾野を拡大していくことを目的としています。サンパウロでは、以前、『ONESTORY』にご出演いただいた片山正通氏がインテリアデザインを担当し、東氏もフラワーアートを創作。私が参加したロサンゼルスの会場にも、世界中のクリエイターが集い、日本の文化や伝統、歴史を食い入るように興味を示していました。世界が日本に関心を持ち、注目されている国だということも肌で感じる機会となりました。

「花を扱う仕事は命を扱う仕事」と語るフラワーアーティストの東氏。日々花と向き合い、挑戦し続ける。

東氏の愛用品は『金高刃物老舗』の「ハサミ」。「使い始めて約20年。歴史があるものは長く付き合わないとわからないと思います」。

日本を代表するグラフィックデザイナーの原氏が用意してくれた愛用品は「蒔絵硯箱」。「長く付き合うことによって、古いモノのエッセンスが自分に染み込んでいく」と話す。

言葉の一つひとつをじっくりと丁寧に紡ぎ出しているのが印象的だった原氏。「もの」のデザインと同様に「こと」のデザインも重視する。

若き力に感動。長期間にわたり、地域と向き合った一年。

2018年は、地域と長きにわたり取り組むプロジェクトに恵まれた年でもありました。全て現在進行系ですが、南会津下関津軽、『ONESTORY TIMES』がそれです。東京と違い、地域に足を運ぶと四季の移り変わりをしっかりと感じます。変化に富んだ風景、旬の食材。これこそが本来の日本の姿のような気がします。そして、どの地域に訪れても必ず若い力が芽生えています。彼らの規模は決して大きくはありませんが、ゆえに個人個人の表現したいことや想い、愛情が具現化された場所になっています。それがオリジナリティを育ませ、独自の世界を形成しているのです。100歳時代と言われる昨今、未来の距離感に変化が生まれていると思います。100年後を見ることができる時代になってきているのです。その若い力がどうなっていくのか。この街がどう変化し、進化していくのか。そんなことを想像することが、もう夢ではないのです。歴史や伝統の一片を誰もが刻むことができる時代なのです。

Fisherman’s Wharf SHIMONOSEKI」で取材した『第三海竜丸』漁師の藤本氏。持続可能な漁を目指して熱き挑戦は続く。

どこにもない下関料理を追求する『レストラン高津』のシェフ、高津氏。繊細な料理を紡ぐ真剣な眼差しとは裏腹に、調理後は非常に気さくな一面も。

クエから取った出汁を使い、クエを蒸す「ヴァプール」。旨みの相乗効果が生み出した滋味深いクエに、たっぷりの海苔とアサツキをあしらって提供。

弘前シードル工房 kimori』の高橋氏。訪れたのは、たわわに実ったりんごが色づき始めた季節。店の運営元である「百姓堂本舗」の自社畑で作業を進める。

南会津のカフェ『CAFE JI*MAMA』。肩の力が抜けた五十嵐氏のお人柄と笑顔も、このカフェの魅力。

作家・写真家の小林紀晴氏が南会津の四季を巡る「写真紀行」の連載も開始。春の紀行「人知れず、花」より、満開の桜。

夏の紀行「濃厚で濃密な季節」では、力強い南会津の自然と、そこに生きる人々の姿が描かれた。

秋の紀行「追憶の螺旋」に登場する『氷玉峠』。色彩豊かな峠道で出逢う錦秋の頂点、その美しさに目を奪われる。

いくつかの茅葺き集落が残る南会津。重厚な茅葺屋根は南会津の歴史や地域性を体現している。小林紀晴氏、アレックス・カー氏の連載にも度々登場する。

カタチを持たないカタチを表現するということ。

『ONESTORY』は、ご存知の通り『DINING OUT』を行い、メディアとしても表現しています。しかし、我々は、イベントやWebに執われることはありません。2018年、新たに表現の場を広げた事例としては、『カルティエ』が手がけたコンビニエンスストア『カルチエ』に並ぶフードのサポート。そのラインナップは、『タカザワ』の高澤義明氏が作る巻物やおにぎらず、キャビアアイスクリーム、『ティルプス』の元シェフの田村浩二氏が作る抹茶のアイスクリームやバラのアイスクリーム、『フルール・ド・エテ』の庄司夏子氏が手がけるマンゴタルトなど、そのどれもがスペシャルなコラボレーションアイテム。こういったカタチも『ONESTORY』の表現なのです。我々は、活動体でありたいと思っています。それぞれに適材適所の手法を凝らし、カタチを持たないカタチを表現していきます。

白とゴールドを基調にしたインテリアがラグジュアリー。統一感を持たせたパッケージやショウケースに並んだ時の見え方なども計算しつくされている。

赤坂の『タカザワ』で出している一品を製品化した「キャビアアイスクリーム」。

代々木『フルール・ド・エテ』の庄司夏子氏による「マンゴータルト」。

予約がとれない人気店、目黒『kabi』と赤坂の会員制レストラン『sanmi』が開発した限定のカップラーメンのパッケージを開けるとレストランの招待チケットが入っているという仕掛けも。

2019年もまた、『ONESTORY』は、まだ見ぬ日本の感動を探し続けます。

『ONESTORY』のメディアは、少しずつ常にアップデートしています。今年のテーマは、「アーカイブ」でした。各コンテンツを全て整理し、入口も多様化。それぞれが蓄積できる環境を整えました。雑誌などであれば、週刊、月刊など、都度1冊を作り上げますが、『ONESTORY』の場合は永遠に完成しない1冊を作り続け、その想いに夢をはせています。そんなことも感じながら、ぜひ、お楽しみいただければと思います。そして、2018年も多くの読者様、地域の方々にお世話になりました。この場を借りて、深く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。2019年もまた、『ONESTORY』は、まだ見ぬ日本の感動を探し続けます。それでは、日本のどこかでお会いしましょう。

統括編集長・倉持裕一が振り返る、2018年の『ONESTORY』。

「災」に苦しんだ一年。それでも前を向いて生きてゆく。

毎年恒例、京都の『清水寺』が発表する今年の漢字は「災」。近年、これほどまでにこの「災」に苦しまされた一年はなかったのではないでしょうか。2018年の『ONESTORY』はどんな年だったか振り返ると、その「災」に影響を受けたことが少なくなかったと思います。その最たるものが、『DINING OUT』でした。鳥取では豪雨。沖縄でも急な冷え込みやにわか雨。自然を舞台にすることの本質と対峙する年になりました。しかし、改めて感じたことは、我々が表現したいことや伝えたいその本質の全ては「外=OUT」にあるということでした。

沖縄県の知念城跡で開催された『DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS』。満月に照らされた石造りのグスクが、幻想的な雰囲気を創り上げた。

14回目の『DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS』は、降りしきる雨の中で幕を開けた。

古刹・清徳寺の境内で行われた『DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS』。雨の会場においてもなお、シンプルな徳吉シェフの料理の存在感が際立った。

DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』でシェフを務めた川田氏。地域の素材だけでなく、歴史や文化、人の思いまでを、料理に落とし込んだ。

改めて感じたこと。本質の全ては「OUT=外」から生まれている。

春夏秋冬に訪れる旬。肉、魚、野菜、米、酒、水…。海、山、川、畑、森、林…。ゼロから生まれるそれらは、全て自然からの恵みであり、「外」から生まれています。ある世界的に有名な日本人シェフは、『ONESTORY』で取材したレストランの記事を見てこう言いました。「これをやられたら敵わない」。その記事は、自ら畑を耕し、野菜を収穫し、料理をする『ヴィラ・アイーダ』でした。東京には数々の名レストラン、名シェフがいますが、料理を作るだけでなく、素材までを自ら作るところは、ほぼないでしょう。料理の本質は素材にあり、その素材は常に「外」から生まれているのです。自然相手のため、予測不能。時には前出のようなこともありますが、「外」で行うことに意味があるのが『DINING OUT』なのです。そして、「外」を通すからこそ繋がることができるのが、その土地や風土、文化や伝統、歴史です。これが『DINING OUT』が伝えたい、本当の意味での地域体験です。知識であれば「頭」で繋がれますが、「体」で繋がることが大切だと思うのです。

『ヴィラ・アイーダ』シェフの小林氏。キッチンに立ち、料理をしている最中、何かを思いついたかのように畑に走ることも少なくないとか。

店から歩いて2分ほどの畑にて。秋に植えた大根を越冬させ、その種を摘み取る。

レタスにイカとそら豆を包んだ前菜。即席リコッタチーズにハーブやベゴニアの葉、黒キャベツのバウダーなどを散らして。

視野は広く持ちたい。常に世界を意識したい。

世界的に注目される『ASIA’S 50 BEST RESTAURANTS』。中でも邁進を見せたのは、2位の『傳』の長谷川在祐氏と3位の『フロリレージュ』の川手寛康氏です。両人は共に『DINING OUT』のシェフを務めた人物です。ふたりに共通していることは、ただ美味しい料理を作るだけではないこと。素材のルーツや伝統、文化、歴史など学び、それをどうしたらひと皿のストーリーとして落とし込めるのかを創造するシェフです。ゆえに、シェフでありクリエイター、表現者と言っていいでしょう。アジアNo.1まであと一歩。『ONESTORY』が掲げる「ジャパン クリエティブを世界へ」を体現しているふたりです。それ以外にも、2017年にオープンし、わずか9ヶ月でミシュラン二つ星を獲得した『茶禅華』の川田智也氏や地元の鳥取凱旋『DINING OUT』を果したミラノで活躍する『リストランテ・トクヨシ』の徳吉洋二氏など、シェフのトップランナーたちとのクリエイションは、お客様だけでなく、我々も大いに刺激をもらう出会いとなりました。鳥取に限っては、これから記事になる『かに吉』。大将の山田達也氏と出会い、取材直前に舞い込んだ吉報は、ミシュラン二つ星獲得の快挙でした。本物であれば場所は関係ない。世界も認める。勝負できる。そんな時代に突入していると実感した瞬間でした。どんなにSNSやテクノロジーが進化しても、体験に勝るものはありません。その土地に足を運び、人と出会い、感じ得る。『ONESTORY』が伝えたい大切なことは、その体験の豊かさなのです。

『ASIA’S 50 BEST RESTAURANTS』授賞式の直後に行われたシェフたちの記念撮影。会場は熱気に包まれた。

「2位」の快挙が発表された直後、ガッツポーズで応える『傅』長谷川氏。

表彰後のパーティ会場にて、柔和な笑顔を見せる『フロリレージュ』川手氏。

世界と戦う人々の想いを学び、世界に足を運ぶことで未来を見る。

世界で戦う人々との出会いは大きな学びをもたらします。フラワーアーティストの東 信氏と『日本デザインセンター 原デザイン研究所』の原 研哉氏の両名はその好例でした。両者が認める日本のものはそれぞれの記事をご覧いただきたいと思いますが、審美眼として共通していたことは歴史と伝統、文化のあるものだということ。それはなぜか。原氏の言葉を借りるならば、「敵わないもの」だから。今を生きる我々がどんなに良いものを生み出しても、先人たちが歩んだ時代に追いつくことはできません。進化するには、「敵わないもの」を受け入れる許容も大切なのです。そして、記事にはしませんでしたが、原氏がディレクターを務める『ジャパン・ハウス』のオープニングにも参加しました。この『ジャパン・ハウス』は、戦略的対外発信の強化に向けた取組の一環として、外務省がサンパウロ、ロサンゼルス、ロンドンの世界3都市に設置した対外発信拠点です。これまで日本に興味のなかった人々も含め、幅広い層に向けて日本の多様な魅力、政策や取組を伝え、親日派・知日派の裾野を拡大していくことを目的としています。サンパウロでは、以前、『ONESTORY』にご出演いただいた片山正通氏がインテリアデザインを担当し、東氏もフラワーアートを創作。私が参加したロサンゼルスの会場にも、世界中のクリエイターが集い、日本の文化や伝統、歴史を食い入るように興味を示していました。世界が日本に関心を持ち、注目されている国だということも肌で感じる機会となりました。

「花を扱う仕事は命を扱う仕事」と語るフラワーアーティストの東氏。日々花と向き合い、挑戦し続ける。

東氏の愛用品は『金高刃物老舗』の「ハサミ」。「使い始めて約20年。歴史があるものは長く付き合わないとわからないと思います」。

日本を代表するグラフィックデザイナーの原氏が用意してくれた愛用品は「蒔絵硯箱」。「長く付き合うことによって、古いモノのエッセンスが自分に染み込んでいく」と話す。

言葉の一つひとつをじっくりと丁寧に紡ぎ出しているのが印象的だった原氏。「もの」のデザインと同様に「こと」のデザインも重視する。

若き力に感動。長期間にわたり、地域と向き合った一年。

2018年は、地域と長きにわたり取り組むプロジェクトに恵まれた年でもありました。全て現在進行系ですが、南会津下関津軽、『ONESTORY TIMES』がそれです。東京と違い、地域に足を運ぶと四季の移り変わりをしっかりと感じます。変化に富んだ風景、旬の食材。これこそが本来の日本の姿のような気がします。そして、どの地域に訪れても必ず若い力が芽生えています。彼らの規模は決して大きくはありませんが、ゆえに個人個人の表現したいことや想い、愛情が具現化された場所になっています。それがオリジナリティを育ませ、独自の世界を形成しているのです。100歳時代と言われる昨今、未来の距離感に変化が生まれていると思います。100年後を見ることができる時代になってきているのです。その若い力がどうなっていくのか。この街がどう変化し、進化していくのか。そんなことを想像することが、もう夢ではないのです。歴史や伝統の一片を誰もが刻むことができる時代なのです。

Fisherman’s Wharf SHIMONOSEKI」で取材した『第三海竜丸』漁師の藤本氏。持続可能な漁を目指して熱き挑戦は続く。

どこにもない下関料理を追求する『レストラン高津』のシェフ、高津氏。繊細な料理を紡ぐ真剣な眼差しとは裏腹に、調理後は非常に気さくな一面も。

クエから取った出汁を使い、クエを蒸す「ヴァプール」。旨みの相乗効果が生み出した滋味深いクエに、たっぷりの海苔とアサツキをあしらって提供。

弘前シードル工房 kimori』の高橋氏。訪れたのは、たわわに実ったりんごが色づき始めた季節。店の運営元である「百姓堂本舗」の自社畑で作業を進める。

南会津のカフェ『CAFE JI*MAMA』。肩の力が抜けた五十嵐氏のお人柄と笑顔も、このカフェの魅力。

作家・写真家の小林紀晴氏が南会津の四季を巡る「写真紀行」の連載も開始。春の紀行「人知れず、花」より、満開の桜。

夏の紀行「濃厚で濃密な季節」では、力強い南会津の自然と、そこに生きる人々の姿が描かれた。

秋の紀行「追憶の螺旋」に登場する『氷玉峠』。色彩豊かな峠道で出逢う錦秋の頂点、その美しさに目を奪われる。

いくつかの茅葺き集落が残る南会津。重厚な茅葺屋根は南会津の歴史や地域性を体現している。小林紀晴氏、アレックス・カー氏の連載にも度々登場する。

カタチを持たないカタチを表現するということ。

『ONESTORY』は、ご存知の通り『DINING OUT』を行い、メディアとしても表現しています。しかし、我々は、イベントやWebに執われることはありません。2018年、新たに表現の場を広げた事例としては、『カルティエ』が手がけたコンビニエンスストア『カルチエ』に並ぶフードのサポート。そのラインナップは、『タカザワ』の高澤義明氏が作る巻物やおにぎらず、キャビアアイスクリーム、『ティルプス』の元シェフの田村浩二氏が作る抹茶のアイスクリームやバラのアイスクリーム、『フルール・ド・エテ』の庄司夏子氏が手がけるマンゴタルトなど、そのどれもがスペシャルなコラボレーションアイテム。こういったカタチも『ONESTORY』の表現なのです。我々は、活動体でありたいと思っています。それぞれに適材適所の手法を凝らし、カタチを持たないカタチを表現していきます。

白とゴールドを基調にしたインテリアがラグジュアリー。統一感を持たせたパッケージやショウケースに並んだ時の見え方なども計算しつくされている。

赤坂の『タカザワ』で出している一品を製品化した「キャビアアイスクリーム」。

代々木『フルール・ド・エテ』の庄司夏子氏による「マンゴータルト」。

予約がとれない人気店、目黒『kabi』と赤坂の会員制レストラン『sanmi』が開発した限定のカップラーメンのパッケージを開けるとレストランの招待チケットが入っているという仕掛けも。

2019年もまた、『ONESTORY』は、まだ見ぬ日本の感動を探し続けます。

『ONESTORY』のメディアは、少しずつ常にアップデートしています。今年のテーマは、「アーカイブ」でした。各コンテンツを全て整理し、入口も多様化。それぞれが蓄積できる環境を整えました。雑誌などであれば、週刊、月刊など、都度1冊を作り上げますが、『ONESTORY』の場合は永遠に完成しない1冊を作り続け、その想いに夢をはせています。そんなことも感じながら、ぜひ、お楽しみいただければと思います。そして、2018年も多くの読者様、地域の方々にお世話になりました。この場を借りて、深く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。2019年もまた、『ONESTORY』は、まだ見ぬ日本の感動を探し続けます。それでは、日本のどこかでお会いしましょう。