日: 2020年4月27日
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町工場の魅力で経営課題を解決。 製造業の広報PRとは
テクノポートの菊地です。社内では、未経験ですが広報業務を担当しています。今後、モノカクの記事として、日々学びながら実践している広報活動にまつわるアレコレを共有していきたいと思います。
広報とは
そもそも「広報」とは何か。聞いたことはあるし、なんとなくイメージはあるけど正直よくわからないという方が多いのではないでしょうか。人や時代によって異なる用いられ方をすることもあり、一言では説明しがたく、正解はひとつではないと言えるのが正直なところです。
広報の定義
広報」という言葉が日本で使われるようになったのは、戦後GHQが日本へ民主主義を根付かせる目的で行政に「PR=Public Relations(企業や団体が社会や消費者とより良い関係を築くための活動全般のこと)」を伝えたことが始まりとされています。「広報PR」と表記されるのはこのためです。(ちなみにPRの発祥はアメリカの独立戦争と言われており、面白いのですが、今回は割愛します。)広報PRは、Promotion(販売促進)やPress Release(自社の新しい情報をメディアに届ける手段の一つのこと)ではなく、「組織や個人が社会とより良い関係を築いていくために、自らの事業についての活動や方針を広く伝え、共感・理解を得るための活動」と言えるでしょう。
具体的には、主に「社内外の情報収集」→「集めた情報をもとに企画・情報発信」→「企画や情報を活かした取材獲得」を行っていきます。(下表参照)
企業によってはWebサイトの運営やお客様対応なども広報担当者が受け持っていたり、情報の発信先によって部署が細分化していたり、インターネットの発達による変化も含め、その姿は日々多様化しています。また、社内のリソースによって対応できる業務の取捨選択も必要です。
広報の目的
書籍「戦略PR 著:本田哲也」によると、広報の究極の目的は「人々の行動を変えること」とされています。昨今の広報には、社会的な視点や文脈が強く求められるようになってきました。「その商品やサービス、事業は、社会にどんな効果を与えますか?」と。これを踏まえて、次の図をご覧ください。
上記の図は、「PRのピラミッド」と呼ばれるPRの目的構造を図式化したものです。
- パブリシティ:情報の露出→取材獲得、新聞や雑誌などメディアでの情報露出
- パーセプションチェンジ:認識の変化→パブリシティによるモノの見方・価値観の変化
- ビヘイビアチェンジ:行動の変化→認識の変化による行動の変化
例えば、製造業者が採用難の対策として広報活動を導入するとしましょう。この場合に考えられるパブリシティは、
- 会社について(企業風土や福利厚生など他社と差別化が図れるネタ)
- 人について(代表や名物社員、若手、女性など募集したい層に合わせたり、こんな人と働きたいと感じさせたりする切り口)
- 権威について(受賞や官公庁、大手企業との連携など)
などが挙げられます。パブリシティによって、「この会社面白いな」「こんな会社があるのか」「思っていたより、製造業って面白そう」などと思うようになったら、それがパーセプションチェンジです。そして、実際に求人に対して応募されたり、業界での就職希望者が増加したりするとビヘイビアチェンジの達成です。その年に限らず、継続して効果が現れれば大成功と言えるでしょう。
PRのピラミッドの事例としては、サントリーのウイスキーの再興やP&Gがインドで行った「洗濯」への問題提議が有名です。興味のある方は検索していただけたらと思います。
広報と広告の違い
メディアを用いた企業の情報発信というと、広報に限らず広告が挙げられます。似て非なるものですが、混在されがちなので違いを比較しながら紹介します。
広報の特徴
低コストでありながら信頼性が高い反面、情報のコントロールができず(報道の自由・編集権)、必ずメディア露出ができるものではないので、中長期的な視点と時流に合わせた提案をする戦略が必要です。費用対効果の換算が難しいことへの理解も欠かせません。
広告の特徴
費用はかかるが、企業の意向のままの情報発信が確実に行えます。一方、広告やCMは読み飛ばしやスキップされる傾向も高くなっています。
広報で解決できる(かもしれない)製造業の経営課題
まだまだ中小規模の製造業では「広報活動」に取り組んでいる企業は少なく、平成25年の東京都産業労働局の調査ではわずか6.0%とのデータも出ています。(東京都産業労働局 中小企業の宣伝・広報活動に関する実態調査 プレスリリース活動の状況)広報活動でできることは、「選ばれる雰囲気を作る」ことだと思います。
どんな情報を使って目的を達成するかの道のりは、解決したい課題によってまちまちですが、考えられるものをPRのピラミッドの3段階ごとに考えていきましょう。
パブリシティ
→取材が取材を呼び、情報の露出が増えるほど幅広い層の目に触れる機会が増える。Google検索などで自社メディア以外にもヒットするようになるので、企業としての信頼性が高まりブランディングの効果や市場におけるマウントの獲得ができる。
パーセプションチェンジ
→自社を知らなかった人に認知されたり、製造業に興味を持ったりする人が増える。取材を通じて自社や業界の魅力を伝えてもらうことができる。
- 自社のブランディング、製造業のイメージアップ、関心の向上
ビヘイビアチェンジ
→あの会社に頼もうと選ばれる:新規顧客の開拓 事業提携
- ここで働きたいと選ばれる:人材難の解消
- 製造業に関わる人が増えるなど:オープンイノベーション、業界の活性化、事業継承、地域の活性化
見出しで(かもしれない)としたのは、前述したとおり広報活動に確実性がないためです。ただ、町工場を舞台とした小説やドラマがヒットしているように、中小規模の製造業は社会の関心も高く、メディアの方の関心も非常に高いように感じています。私の体験としても、メディアの方に当社の説明をした際、「中小規模の製造業のWebマーケティング支援を…」と伝えても興味を持ってもらえませんでしたが「〇〇の町工場に行って、」と話したときは非常に興味を持って頂いたことが記憶に新しいです。
パブリシティの多い製造業
最後に、より具体的なイメージを持って貰えるように報道実績が多く、ホームページから内容が確認できる製造業の会社をいくつかご紹介します。
- 株式会社由紀精密(https://www.yukiseimitsu.co.jp/)
- HILL TOP株式会社(https://hilltop21.co.jp/)
- 株式会社浜野製作所(https://hamano-products.co.jp/)
自社の技術についてや、代表取材、社員インタビューなど様々な記事が掲載されていますが、最新のパブリシティ情報だけでなく、掲載されている過去の古い記事から数年分も目を通していただくことをお勧めします。いきなりビジネス誌やテレビに出演しているわけでなく、専門誌や業界誌などから少しずつコツコツと露出が増えていると気づくのではないでしょうか。また、どんな内容や切り口で書かれているかを見ると、広報の切り口のヒントが見つかります。最近のメディアの関心や時流を紐解くには最近の記事の研究がおすすめです。
競合となる会社や、似ている会社のホームページにパブリシティ情報(メディア掲載、ニュースなど)があれば併せて研究するとより具体的な広報の切り口が見つかります。
今回は、広報の概要について説明をしました。次回以降は、より具体的に焦点を絞って製造業のための広報活動を伝えていく予定です。今後、実際に製造業の広報に取り組んでいる方からお話を伺う機会も設けたいと考えています。興味を持った方は、広報活動の導入を検討してみてはいかがでしょうか。