
日: 2020年12月11日
オープンイノベーションの潮流に乗り、技術をマーケティングする
テクノポートの徳山です。外部組織の技術を自社の製品開発に積極的に取り入れる「オープンイノベーション」に取り組むメーカーが増えています。自社の技術を異分野のメーカーに採用してもらい、新市場へ事業拡大したいと考えている技術系企業も多いのではないでしょうか。
それを実現するためには、自社の技術をオープンイノベーションに取り組むメーカーへうまく伝えていかなければなりません。自社の技術をうまく伝えるためには、技術マーケティングの理解が必要です。しかし、一般的なマーケティング手法とは進め方が大きく異なるために、実践できていない企業が多いのが実情ではないでしょうか。
今回は、技術系企業がオープンイノベーションの潮流に乗り、技術マーケティングをどのように進めていけばよいかを解説します。
オープンイノベーションとは
オープンイノベーションとは、自社のリソースと外部組織が持つ技術、アイデア、サービス、ノウハウ、データ、知識などを組み合わせ、今まで取り組むことのできなかったビジネスモデルの開発、新しい技術や製品の開発、組織開発や活性化などにつなげるためのイノベーション手法です。
もともとは、製造業が外部の技術を取り入れ、自社の製品開発に活かすために広まった手法でした。しかし、現在では製造業だけでなくサービス業も含めたさまざまな業界で取り入れられている手法となっています。
最近では、新規事業のローンチや意思決定までの時間を要する大企業が、オープンイノベーションを積極的に活用するようになりました。ベンチャー企業からアイディアや人的リソースを活用し、スピーディに新規事業を立ち上げるシーンも多く見られるようになったでしょう。
ここ数年で、オープンイノベーションを目指す大企業とベンチャー企業のマッチングを目的としたプラットフォームや、オープンイノベーションを仲介する企業も急増しましました。
技術系企業におけるオープンイノベーション
前述したように、オープンイノベーションに取り組む企業が製造業に限らず、多岐に渡るようになりました。定義が広範になってしまっているので、製造業を中心とした技術系企業におけるオープンイノベーションの形態を整理します。メーカーが取り組むオープンイノベーションは、以下の2パターンです。
- 不足技術補完型・・・メーカーが自社製品の開発などを行うにあたり、足りない技術を自社で開発するのではなく、技術を保有する外部組織から取り入れること
- 休眠技術活用型・・・メーカーが過去に開発した技術や所有する特許のうち、自社内で活用が十分にされておらず休眠してしまっているものを積極的に活用してもらうために、活用手法を外部から公募し、事業化していくこと
2の休眠技術活用型は、オープンイノベーションがトレンドワードとなった数年前にメディアでも多く取り上げられていました。そのため、オープンイノベーションと聞くと休眠技術活用型を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際は、不足技術補完型の取り組みのほうが以前から盛んです。海外を中心に多くのマッチング事例があります。
不足技術補完型のオープンイノベーションが行われるようになった背景としては、市場環境が変化するスピードが早まり、製品のライフサイクルが短くなる中で、製品開発に伴う技術開発を全て自社だけで行うのが限界となったことが挙げられます。
そこでメーカーは、自社のコア技術を守りながら、急速に変化する市場に合わせた製品開発を行うようになりました。周辺技術を外部から調達することで、製品開発コストを抑えることも可能としています。そのような背景から、技術提供者としては外部から技術調達を行うメーカーと取引ができる機会が増えました。
オープンイノベーションの推進方法
ここからは、不足技術補完型のオープンイノベーションに取り組むメーカーに対して、技術系企業がどのように技術を伝えていけばよいのか、推進方法をいくつかご紹介します。
メーカーのWebサイトの公募案件に挑戦する
オープンイノベーションに積極的に取り組むメーカーの中には、自社Webサイト内で具体的に補完したいと考えている技術を明記した上で技術の公募を行っている場合があります。自社技術を売り込めそうな公募案件を見つけ出し、メーカーへ直接コンタクトを取りましょう。
村田製作所では、常時Webサイトに公募している技術情報を掲載しています。
https://solution.murata.com/ja-jp/collaboration/theme/
終了してしまっていますが、GEジャパンでは「技術公募2016」と題し、選考期間を設けて技術の公募を行っています。
https://www.ge.com/jp/about-us/jti/partnership2016
プラットフォームを活用する
オープンイノベーションに取り組みたいメーカーが登録するプラットフォームを活用する手法です。この分野では、CrewwやAUBAといったプラットフォームが有名です。オープンイノベーションプラットフォームについて、下記の記事で具体的にどのようなものがあるのか解説していますのでご参照ください。
日本の企業が進めるオープンイノベーションのプラットフォーム5選

仲介業者を利用する
メーカーから技術ニーズをヒアリングし、適切な企業とマッチングを図る仲介業者を利用する手法です。この分野では、リンカーズやナインシグマといった会社が有名です。
自社のWebサイトを使い技術情報を積極的に発信する
自社のWebサイトに技術情報を掲載し、技術探索を行っているメーカーからのアプローチを待つ手法です。具体的な進め方については以下の記事をご参照ください。
自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する

それぞれの推進方法のメリット・デメリット
推進方法について4つご紹介しましたが、それぞれの手法にはメリットとデメリットがあります。以下にメリットとデメリットをまとめましたので、自社が置かれている状況に合わせた推進方法を検討してみてください。
推進方法 | メリット | デメリット |
公募案件への応募 | ・情報を外部に漏らすことなく、技術マーケティングを推進できる | ・情報を見つけ出すのに労力がかかる
・用途は自社内で思いつくものに限定されてしまう |
プラットフォームや仲介業者の活用 | ・情報が外部に漏れにくい
・仲介業者の目利きによって精度の高いマッチングが期待できる |
・仲介業者に利用料金を払わなければならない場合がある
・同業他社との競争率が激しくなる傾向がある |
自社Webサイトでの情報発信 | ・自社技術の思いも寄らない用途開発につながることがある
・制作したコンテンツがデジタルマーケティングにも活用できる |
・情報を競合他社にも知られてしまい、模倣されるリスクがある
・Webサイトに掲載するコンテンツの制作に労力がかかる |
私は、技術マーケティングにおける成功の定義を「保有技術をすでに使用されている領域ではなく、新しい領域へ用途展開することで、競合企業を出し抜き、技術探索者であるメーカーに技術を高く買ってもらうこと」だと考えています。その観点から、どの手法が自社に適しているのかを見定めてみてはいかがでしょうか。
以上、オープンイノベーションの潮流に乗り、技術をマーケティングする手法についてご紹介させていただきました。Web検索すれば、マーケティングに関する情報は山のように出てきます。しかし、どれもBtoCやBtoBの中でもIT分野に情報が偏っており、技術マーケティングに関する情報を探し出すのは難しい状況です。モノカクでは、積極的に技術マーケティングに関する情報発信を行っていきますので、ぜひご期待ください。
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2020年10月にGA4にアップデートされたgoogleアナリティクスの設定方法
こんにちは、テクノポートの渡部です。少し前のことになりますが2020年10月にGoogleアナリティクスが大幅にアップデートされ、試用版が続けられていたGA4が正式にリリースとなりました。管理→プロパティ→GA4 へのアップグレードと自分からアップデートしないといけないため、手間がかかりますので、現状のまま使っている人も多いかと思いますが、今回は、今後移行が進んでいくと思われるGA4についてと設定の仕方について解説します。
GA4のアップデートの内容
GA4アップデートにおける機能の変更点は大きく分けて3点。AIによる機械学習の機能やプライバシー問題に対応するなど、より現代のマーケティングに特化した機能が特徴です。
アプリとWebのクロスプラットフォーム分析
昨今、自社の情報を発信するプラットフォームとして、Webサイトだけでなく専用のアプリを開発するケースが多くなってきました。GA4ではアプリとWebにおけるユーザー行動データを統合し、デバイスやチャネルをまたいで複雑化するカスタマージャーニーを一元的に分析できます。
機械学習による成果改善のための予測とアクション
膨大なアクセスデータを元にAIが機械学習し、アクセスに大きな変動があった場合には、より効果的な広告を出稿できるような提案がGoogleからお知らせとして届くようになりました。
プライバシーファースト
プライバシー規制の強化で、必要となるユーザーデータの保護に対応しています。「Google シグナル」の活用により、ユーザーのインサイトを把握するための信頼性の高い環境が実現しました。
実際に変更してアクセスデータを見ると、管理画面が以前のバージョンと異なるものになっています。これまでのアクセス解析の見方に慣れていた人には、必要な情報を探すのにはかなり戸惑うかもしれません。
追加の仕方、戻し方
すでにGoogleアナリティクスを導入している方は、アップデートを実行することでGA4を使用できます。以前使用していたプロパティを選択することで、従来のアナリティクスに戻すことが可能です。
追加の仕方
まずはプロパティ画面からGA4へアップデートを選択します。
- タグマネージャーを利用の場合は、Googleタグマネージャーのタグ追加から、タグタイプ「Googleアナリティクス:GA4設定」を選択し、「測定ID」にGA4のIDを追加すると計測が開始されます。
- グローバルサイトタグの場合は、タグをコピーしてヘッダーの中に埋め込みます。
戻し方
プロパティの選択画面から、元のアナリティクスのプロパティを選択すれば、以前使用していたデータを閲覧できます。GA4追加後、すべてが切り替わったように見えますが、現状のアナリティクスに加えて新たにGA4のプロパティを追加しただけなので、戻すのも比較的容易です。
新規追加の方法
これから新たにGoogleアナリティクスを導入する場合には注意が必要です。新規に追加する場合、自動的にGA4が選択されるようになっています。そのまま設定を進めてしまうと従来のアナリティクスが設定されず、GA4のみが設定されてしまいます。最初は従来のGoogleアナリティクスを使用するのがおすすめです。下記の手順から設定してみてください。
1、プロパティ名、国、通貨を選び、「詳細オプションを非表示」をクリックして詳細オプションを表示させます。
2、「ユニバーサルアナリティクスプロパティの作成」の右側のバーをONにし、ウェブサイトのURLを入力します。GA4のプロパティも作成する場合は、両方作成するにチェックを入れましょう。
GA4に変えるべきか?
新しくなったGA4は「Webとアプリとの双方向のアクセス」や、「Google広告との連携による効率アップ」が主なアップデートの目的です。主にBtoBで、Webサイト運営だけで、広告運用も考えていないという方は従来のアナリティクスで問題ないかもしれません。
ただ、今後はGA4が主流になる可能性があるので、備えあれば憂いなしです。アクセスに関しては、設定後にデータがたまるようになっています。従来のアナリティクスを使用しながら、データの取得を徐々に始めていくのがおすすめです。GA4に関しては運用が始まったばかりなので、有用なデータの使い方がわかりましたらまたお知らせします。