日: 2023年1月13日
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メーカーのWebマーケティング戦略(素材・部品・完成品)
テクノポートの廣常です。今回は、メーカーがWebサイトを経由して顧客を獲得するために重要な、集客の切り口や他社と差別化する上でのポイントをご紹介します。こうしたWebマーケティング戦略は、各メーカーの取り扱う商材(素材・部品・完成品)によって傾向が異なるため、商材の種類別に分けて解説します。
※本記事では「メーカー」=部材や製品を自社で販売している会社として定義しています。
メーカーのWebマーケティングの流れ
メーカーは、取り扱っている商材別に以下の3つに分類することができます。
- 素材メーカー
- 部品メーカー
- 最終製品メーカー
どのメーカーにおいても、大元となるWebマーケティングの手順自体は共通しています。その手順は以下の通りです。
<Webマーケティングの手順>
集客活動で集めた見込み顧客の母数に対し、最終的に商談、受注にたどり着く顧客の数は減ってくるため、上記のような形状で表現しています。
問い合わせ獲得後、受注に至るかどうかは各会社の営業活動や問い合わせの条件による部分が大きいため、Webサイト上で対策できる範囲としては「集客 → 訴求 → 問合せ獲得」までとなります。
今回の記事では、この範囲の中で要となる「集客」と「訴求」の2ステップを掘り下げて紹介します。
集客:検索キーワードの選定が重要
ここでの集客とは「自社のWebサイトへアクセスを集めること」としますが、この集客工程において重要なのは検索キーワードの選定です。その理由を以下に説明します。
まず、製造業系企業が自社のWebサイトへアクセスを集めるために、よく行われる施策は以下の2点です。
- SEO対策:特定のキーワードで検索された際、自然検索のエリアに自社サイトを上位に表示させる(無料)
- リスティング広告:特定のキーワードで検索された際、広告欄のエリアに自社サイトの広告を表示させる(有料)
どちらの手段にも共通しているのは「検索キーワード」の存在です。
皆さんもWeb上で何か情報を探す場合、必ずと言っていいほどGoogleやYahoo!等の検索エンジンを使用するかと思います。これは企業や個人がメーカーを検索する場合も同様です。
情報を探す際には自社で抱える課題や製品に関する検索キーワードを打ち込むため、いったい自社製品がどのような切り口で検索されるのかを考え、顧客がそれを求めて検索した際に自社の情報を露出させる必要があります。
そのため、適切な検索キーワードを選定し、それらに対して施策を行わなければなりません。ここが重要かつ、難しいところでもあります。
今回の記事では、自社に当てはまる検索キーワードを具体的にイメージいただけるよう、メーカー種別に想定されるキーワードを列挙していきます。ですが、より漏れなく検討していくには顧客の購買フローに基づいて整理することをおすすめします。
情報収集から発注にいたるまでの顧客の状況、意図などを想像し、そこから検索キーワードを考えていくという流れです。
購買フローに基づくキーワードの探し方は以下に詳しく記載していますのでこちらもご覧ください。
「そもそもSEO対策・リスティング広告について詳細を知りたい」という方は、こちらをご覧ください。
■ SEO対策

■ リスティング広告

訴求:自社の差別化ポイントを明示する
集客活動によって獲得できたサイト訪問者に対して、次に必要なのが「訴求」です。
せっかく自社サイトを見に来てもらっても、内容に惹かれずにそのまま離脱されてしまうようでは意味がありません。この訴求工程でしっかりと自社の特長を伝え、問い合わせ獲得へとつなげていきます。
この時点で訪問者は複数の競合他社サイトを見て比較している可能性も考えられるため、自社製品を選んでもらえるよう、訴求内容では自社の差別化ポイントを明示する必要があります。
こうした自社の差別化ポイントをいきなり挙げるのは難しいかもしれません。弊社でWebマーケティングのお手伝いをさせていただく際も、「自社製品独自の強みはすぐに思い浮かばない」とおっしゃる方もよくいらっしゃいます。
たとえ製品自体が秀でた特長を持っていなかったとしても、顧客に提供できるサービスなど、製品以外の要素を掛け合わせることで自社独自の強みが必ず出てきます。自社製品のスペック以外にも、顧客・競合などの他の観点から製品を見直すことをおすすめします。
顧客
- 顧客にとって自社の製品にはどういったメリットが考えられるか
- よくいただく問い合わせ内容(顧客の課題)はどんな傾向のものが多いか
- (顧客が)他社で断られたが、自社に依頼が来て対応できた案件はないか
競合
- 競合製品と比べて優位な点は無いか
- 製品以外に、QCD面、デモ機提供等サービス面で他社に勝てる点はないか
また、製品の詳細を社内の設計者に改めて確認することも効果的です。どういった意図で製品を設計・開発したのかを確認することで、顧客の課題や言及すべき訴求内容が見えてきます。
※メーカーのWebマーケティングは、マーケティング担当者だけではなく社内の技術者を巻き込むことでより成果を出すことができます。以下の記事もご覧ください。

Webマーケティングにおける検索キーワードの選定、・自社の差別化ポイントを明示することの重要性をおさえた上で、次は取り扱う商材の種類別に詳細の集客・訴求方法を見ていきます。
素材メーカー
ゴムやガラス、化学素材、紙などといった素材を製造する素材メーカー。素材は製品を形成するための大元であるため、汎用性が高く、想定されるターゲットも様々です。自社で想定しきれていない用途もあるかもしれません。
集客キーワード
素材が持つ広い可能性を活かし、あらゆる切り口から集客できるようにキーワードを検討していきます。
ターゲットが使うと想定されるキーワードの種類
- 素材名
- 基礎知識系
- 機能性
- 用途
- 他素材との比較
- メーカー探索
例:PEEK樹脂のメーカーを探している場合
- 素材名:PEEK
- 基礎知識系:樹脂 種類、PEEKとは
- 機能性:高耐熱性 素材
- 用途:ギヤ 樹脂 材料
- 他素材との比較:PEEK PEKK 違い
- メーカー探索:エンプラ メーカー、PEEK樹脂 メーカー
自社の製品名を認知していない方にも情報が届くよう、上記のように様々な観点のキーワードで自社サイトを露出させることが大切です。
訴求内容(特異な素材の場合)
独自の機能性を有している、特許を取得しているなど、既に素材として大きな強みがある場合は差別化が容易です。その強みを軸に、サイトに訪れた技術者に対して伝わりやすい訴求をしていきましょう。
訴求のためにサイトに掲載したい内容
<素材関連>
- 素材の特長
- グレード、提供可能な形状の種類
- 類似素材との比較実験データ
- 想定用途、採用事例
<素材以外>
- サンプル品の提供(特異な素材を扱うことへのハードルを下げるため)
- 研究体制
訴求内容(一般的な素材の場合)
一方、他社でも多く取り扱いがあるような、一般的な素材の場合は差別化が難しい場合があります。その際には自社のサービスや取引実績など他の面を訴求し、強みを補強します。
訴求のためにサイトに掲載したい内容
<素材関連>
- グレード、提供可能な形状の種類
- 異素材との比較実験データ(同素材と戦うのは厳しいため、異素材を例に挙げて代替提案をする)
- 想定用途、採用事例
<素材以外>
- 取引実績
- 品質管理体制(検査体制、トレーサビリティなど)
- 納品形態(追加工、組み立てなど)
部品メーカー
電子部品・樹脂部品など、製品を形づくる部品を製造する部品メーカー。素材よりも用途が限られてくるため、自社のターゲットを想定しやすいという特徴があります。
集客キーワード
部品となると材質や機能性のほか、製品としての精度も問われるようになります。顧客がどういった課題を抱えているか想像しながら、キーワードを検討していきます。
ターゲットが使うと想定されるキーワードの種類
- 部品名
- 材質
- 機能性
- 精度
- 形状
- 用途
- メーカー探索
例:ギヤメーカーを探している場合
- 部品名:ギヤ
- 材質:ギヤ 樹脂
- 機能性:ギヤ 耐久性
- 精度:ギヤ m0.2
- 形状:ギヤ インボリュート
- 用途:自動車用 ギヤ
- メーカー探索:ギヤ メーカー
訴求内容(特注製造がメインの場合)
特注製造がメインの場合、「どんな製品を製造できるか」といった生産能力に関する訴求が必要となります。
訴求のためにサイトに掲載したい内容
<部品関連>
- 対応可能な加工精度、材質、サイズ、ロット数
- 加工技術
- 製造事例
<部品以外>
- 納期、コストメリット
- VAVE提案事例
- 取引実績
- 品質管理体制(検査体制、トレーサビリティなど)
訴求内容(規格品製造がメインの場合)
規格品製造がメインの場合、同じ部品を扱っている会社と機能性や仕様で差を付けられず、差別化が難しい場合があります。この場合には部品スペック以外の自社の特徴を掲載し、強みを補強します。
訴求のためにサイトに掲載したい内容
<部品関連>
- 取り扱い製品のラインナップ
- 対応可能なロット数
- 製造事例
<部品以外>
- 納期、コストメリット
- VAVE提案事例
- 取引実績
- 品質管理体制(検査体制、トレーサビリティなど)
また、訴求内容とは違った観点になりますが、自社の取り扱い部品が多岐にわたる場合は、Webサイトの利便性を向上させることも効果的です。分かりやすい導線設計や、検索機能などを実装し製品を探しやすくすることでユーザーの目に付きやすくなり、雑然と情報が並んでいる競合サイトより優位に立てる可能性があります。
最終製品メーカー
自動車、電子機器、工作機械など完成品を製造する最終製品メーカー。素材や部品と比べて、最も用途が明確でターゲットが定まっているため、そのターゲットに向けて適切に内容を伝えることが重要です。
集客キーワード
最終製品に対し、ユーザーが抱える課題や要望は多岐に渡ります。想定されるキーワードの種類も様々です。
ターゲットが使うと想定されるキーワードの種類
- 製品名
- 用途
- 機能性
- 形状
- 比較
- メーカー探索
例:ディスプレイメーカーを探している場合
- 製品名:ディスプレイ
- 用途:車載用 ディスプレイ
- 機能性:ディスプレイ
- 形状:ディスプレイ 薄型
- 比較:ディスプレイ TN VA 違い
- メーカー探索:ディスプレイ メーカー
訴求内容
最終製品となると、問い合わせが来るのは以下の2タイプが考えられます。
- 実際にその製品を使用したいユーザー
- その製品を活かし、協業や新製品の開発を考えているパートナー企業
製品を使うことでユーザーが得られる価値や、購入前の懸念を払拭するような内容、あるいは自社の製品企画・開発能力などを押し出していき、訴求していきましょう。
<製品関連>
- 製品スペック
- 課題解決事例
<製品以外>
- 生産体制(設備、拠点数等)
- アフターフォロー(定期メンテナンス等)
- 品質管理体制(検査体制、トレーサビリティなど)
- デモ機等貸出サービス(購入へのハードルを下げるため)
- 企画、開発能力
まとめ
商材別(素材・部品・完成品)に、メーカーのWebマーケティングにおいて重要な「集客」と「訴求」の工程を掘り下げて紹介いたしました。Webサイトを通じた顧客獲得を狙う際の参考となれば幸いです。
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