製造業|技術をわかりやすく説明する方法

テクノポートの永井です。テクノポートでは、技術を発信したい製造業のWebマーケティングを支援しています。

今回は技術をわかりやすく説明する方法について紹介します。

技術の説明に使える4種類の方法

1:テキスト

テキストは最も基本的な情報伝達手段です。簡潔にポイントを伝え、要点を押さえた文章を心がけることはもちろんのこと、コンテンツ全体の構成にも気を配らなければなりません。例えば、「起承転結」「序破急」といった一般的な構成にしてみたり、相手の興味を引くために「起転承結」と順番を変えてみたりしてもいいでしょう。

しかし、テキストだけでは伝わりにくい情報もあるため、他の伝達方法と併用することをおすすめします。

参考書籍

取材・執筆・推敲 書く人の教科書:https://amzn.to/3RYwPz2

2:グラフ、表

数字や比較が必要な場面でグラフや表を使用すると、情報が一目で分かりやすくなります。特に、複数のデータを比較する際やプロセスを視覚的に示す場合に有効です。

グラフを描くポイントは、横軸と縦軸に必ず単位をつけることです。また、差異を強調したい場合は縦軸のメモリ幅も調整しましょう。プロットは比較的大きめに設定し、必要であればプロットの上に数値も記入しましょう。識別のポイントはプロットの形と色になりますので、一つのコンテンツ内では同一ラベルには同一のプロットを使うことをおすすめします。また、データがリニアで上下している場合は、近似直線を書くと相手に伝わりやすくなります。また、プロット以外にも棒グラフや円グラフがあります。データをどのように受け取ってもらいたいかによってグラフの種類が変わってきますので、さまざまな方法でグラフを書いてみて、最も伝わりやすいと思うものを採用しましょう

表は具体的な数値を比較したり、スペックを伝えたりするときに有効な方法です。表の項目は背景を色付けしたり、文字を太くしたりするなど、内容と差別化すると見やすくなります。

3:図解・イラスト

複雑な仕組みや流れを理解させる際に、図解やイラストは非常に役立ちます。ビジュアルを取り入れることで、読者の興味を引き、記憶に残りやすくなります。

技術者の場合、絵を描くことが苦手だったり、描くための時間が取れなかったりすることも多いと思います。そのような場合はデザイナーに依頼することも検討してみてください。たとえ費用がかかったとしても、イラストがあったほうが情報は伝わりやすくなります。情報が正確に伝わらなかった場合のリスクと合わせて、外注も検討してみてください。

4:動画

動画は実際の動作やプロセスを示すことができるため、説明が難しい内容の説明や実際の使い方を示したい場合に適しています。また、音声と映像の組み合わせが、理解を深める要因となります。

1分間の動画の情報量は、一般的なWebページの3600ページ分と言われており、有効に使うことで情報を効率的に伝達できます。

ただし、質の悪い動画はすぐに再生を止められてしまうため、動画のクオリティにも注意が必要です。質の高い動画を作るのに時間やコストはかかりますが、効果が得られるのであれば動画を作る価値は高いと言えるでしょう。

技術を説明するための準備

技術について理解する

技術を他者に伝えるためには、まず自身がその技術を深く、正確に理解していることが何よりも重要です。半端な理解や不明確な点が残っていると、伝える際に誤解や混乱を招くリスクが高まります。疑問点や不明点がある場合、待ち構えることなく積極的にそれを解消することが大切です。技術に関する書籍やオンラインリソースを参考にするのはもちろん、経験豊富な人に直接アドバイスを求めることも非常に有効です。

そして、学び取った知識を定着させるためには、単に情報を受け取るだけでは不十分です。ノートにまとめる、自分なりの言葉で説明する、実際に手を動かして試すなどのアクションを取ることで、より深く知識を身につけることができます。

最終的な目標は、その技術に関するあらゆる質問に対して、自信を持って回答できるレベルに到達することです。ここまでの深い理解があれば、他者に技術を効果的に伝えることができるでしょう

技術の使用用途をまとめる

技術を伝える際、それがどのような場面や状況で活躍するのかを具体的に示すことで、相手の理解が深まります。ただ「この技術は役立つ」と伝えるのではなく、「この技術を使用することで、〇〇のタスクが効率的になる」といった具体的なシチュエーションを示すことが重要です。また、その技術の持つ独特のメリットや、他の方法と比較した際の優位点を明確にすることで、相手がその技術を採用すべき理由を明瞭に捉えられます。

例えば、あるプログラミング言語やツールの利点を説明する場合、その速度、安定性、使いやすさなどの特性を具体的な数値や事例とともに伝えることで、聞き手の納得感を高められるでしょう。

要は、技術を紹介する際には、その「なぜ」「どのように」という背景や具体的な使用例をしっかりと説明することで、相手に技術の価値を効果的に伝えることが可能となります

技術を説明するための資料作り

ターゲットを決める

技術を伝える際の最も重要な要素の一つは、聞き手や読者、つまり「伝える相手」を明確に定義することです。技術の深さや広さは人それぞれ異なり、一つの説明方法が全ての人に合うわけではありません。初心者向けに説明する場合、基礎から丁寧に、用語の定義や基本的なコンセプトを中心に資料を作成する必要があります。一方、基本的な知識を既に持つ専門家向けには、より高度な内容や細かい技術的詳細を強調して資料をまとめるべきです。

資料作成の前段階でターゲットを正確に特定することで、その後の構成や内容の選択、表現方法などがより明確になります。これにより、伝えるべき技術の魅力や重要性を、最も効果的に相手に伝えることが可能となります。

ターゲットの課題を洗い出す

技術やサービスを伝える際、単にその機能やメリットを紹介するだけではなく、ターゲットが抱える潜在的な課題や疑問を正確に把握することが欠かせません。これにより、技術の有用性や必要性が具体的に伝わるようになります。例えば、新しいソフトウェアツールを導入する際、そのツールが解決できる具体的な業務の煩雑さや時間の無駄を洗い出すことで、導入の必要性が際立ちます。

ターゲットの課題と自社の提供価値を結びつける

ターゲットの課題を洗い出したら、次はその課題を解決するための自社の技術やサービスの価値を明確にし、両者を結びつけるプレゼンテーションや資料を作成することが求められます。

これにより、ただの技術紹介ではなく、具体的な「解決策」としての位置づけができるのです。例えば、上記のソフトウェアツールの場合、具体的にどのような操作が簡略化されるのか、どれだけの時間短縮やコスト削減が期待できるのかを示すことで、その技術がもたらす実際の価値を明確に伝えることができます。このアプローチにより、ターゲットは自身の課題が具体的にどのように解決されるのかをイメージしやすくなり、技術の採用意欲も高まるでしょう。

ターゲットが疑問を持たないようなストーリーを作る

分かりやすいストーリー展開で疑問を未然に防ぐ

ターゲットに技術やサービスを伝える際、情報の断片的な伝達ではなく、一貫性を持ったストーリーとして情報を提示することが重要です。ストーリーを組み立てることで、読者や聞き手は情報を順序立てて消化でき、疑問や不明点を持ちにくくなります。
ストーリーを作る際のポイントは以下の通りです:

  • 導入部:ターゲットの抱える課題や疑問、背景を明確に伝えることで、読者の関心を引きつけます。
  • 本論:ここでは、提供する技術やサービスの具体的な機能や特徴を紹介します。この際、課題とどのように関連しているのか、どのようにその課題を解決するのかを中心に説明します。
  • 結論:最後に、技術やサービスの提供する総体的な価値や、今後の展望などをまとめて伝えることで、ストーリーを締めくくります。
    このように一貫性のあるストーリーを構築することで、読者は複雑な技術やサービスに関する情報をスムーズに理解し、疑問を持つことなく内容を追っていけるでしょう。

ストーリーを補足するための素材を集める

テキストだけでなく、視覚的な要素は情報の理解を大きく助ける要素となります。

図表やイラストは、複雑な情報を簡潔に伝える効果があります。動画は、手順や流れをリアルタイムで示すことができるため、特にプロセスや動作を伝える際に非常に効果的です。

これらの素材は、ストーリーの中で自然に組み込まれ、情報の理解を深める役割を果たします。選定する際には、ターゲットのニーズや理解度を考慮し、最も効果的な素材を選びましょう

情報と素材を一体化させた資料の完成

すべての情報と素材を集めた後、それらを効果的に組み合わせることで、一つの完結した資料を作成します。この際、資料の構造や流れ、ページのレイアウトなどに気を付けることで、より伝わりやすく見やすい資料となります。

特に、情報の量や密度、ページのデザインや色使い、文字の大きさやフォントなど、細部にわたる要素も考慮に入れることで、高品質な資料が完成します。完成した資料は、ターゲットとのコミュニケーションツールとして大きな役割を果たすでしょう。

徹底的な推敲で資料の品質を高める

資料を作成した後の推敲は、その資料の質を大きく左右する重要なプロセスです。テキストの流れ、情報の整合性、文法や表現の誤りなど、さまざまな角度から資料をチェックし、最適化します。

  1. 内容の整合性:情報が一貫しているか、またストーリーが自然に進行しているかを確認します。
  2. わかりやすさ:専門用語の使用や文の構造、情報の提示方法など、読者が内容を理解しやすいかどうかを再評価します。
  3. 文法・表現の確認:誤字脱字、不自然な文構造、矛盾した表現などがないかを厳しくチェックします。

さらに、資料作成者自身が気づかない盲点や誤解を避けるため、第三者の目線でのフィードバックを取り入れることは非常に有効です。異なる背景や知識を持つ人からの意見や感想は、資料の普遍性やアクセシビリティを高めるための貴重な指針となるでしょう。

資料を作る際の注意点

ターゲットを絞り込み過ぎない

あまりにも特定のグループに絞り込むと、他の人々には伝わりにくくなる恐れがあります。適度な幅を持たせることを心がけましょう。

ターゲットが何で閲覧するのかも決めておく

スマートフォンでの閲覧を主に考えるのか、パソコンでの閲覧を主に考えるのか、その違いによってデザインやレイアウトを調整する必要があります。

専門用語は必ず説明を入れる

技術的な専門用語は避けられない場面もあるでしょう。しかし、それらの用語を使用する際は、必ずその意味や背景を説明しましょう。

色使いや配置、フォントサイズなどにも気を配る

視覚的にもわかりやすく、読みやすい資料を作るために、デザインの細部にも注意が必要です。特に、色の選び方や文字の大きさは、情報の伝わりやすさに直結します。
これらのポイントを意識して、技術の説明を行えば、より多くの人に正確でわかりやすい情報を伝えることができるでしょう。

まとめ

技術をわかりやすく説明するためには、受け手の立場に立ち、どのような情報が求められているのかを常に意識することが重要です。また、複数の手段や方法を組み合わせることで、より効果的な伝達が可能となります。最後に、常に改善の余地を追求し、新しい方法や技術にもアンテナを張り続けていれば、技術伝達のスキルを磨いていくことができます。

The post 製造業|技術をわかりやすく説明する方法 first appeared on モノカク.

自社技術の存在をターゲットに伝える方法

テクノポートの永井です。新しい取引先を獲得するためには、競合他社との比較を通じて、コスト、技術、品質など幅広い要素で優位に立つ必要があります。ただし、競合との比較段階に進むためには、お客様が自社の技術について事前に知っていなければなりません

お客様に自社技術について知ってもらうには、自社技術の情報を積極的に伝える必要があります。今回は、自社技術の存在をターゲットに伝える方法について紹介します。

比較検討段階までの基本的な流れ

まずは比較検討段階までの基本的な流れを紹介します。

ターゲットは毎日情報を収集しながら、関連する情報を詳しく調査し、最終的にいくつかの企業を選び比較検討します。つまり、競合との比較段階に進むためには、この調査段階のいずれかで、ターゲットの目にとまるように情報を発信する必要があります

技術情報を発信するための戦略

技術情報はやみくもに発信しても届きません。ターゲットに届くようにするためには、戦略と忍耐が必要です。戦略を立てた上で、情報を発信し続ければ、必ずターゲットに届くので根気よく頑張ってみてください。

ステップ1 ターゲットを想定する

戦略の最初のステップは、ターゲットの設定です。ターゲットを明確にすることで、技術情報をターゲットに合わせてカスタマイズし、それによってターゲットの関心を引きやすくなります。特に、応用が効く技術の場合、ターゲットを設定しなければ曖昧な情報になるため、必ずターゲットを設定するようにしましょう。ターゲットは1種類だけではなく、複数あっても大丈夫です。

ターゲットの設定方法はいろいろとありますが、業種、職種、役職、年齢などで分けるといいでしょう。

ステップ2 ターゲットの抱える課題を整理する

次に、ターゲットが抱えている課題と自社の技術内容をマッチングさせます。そのために、まずはターゲットがどのような課題を抱えているのかを具体的に整理してください。課題は一つではないと思いますので、エクセルを使って表にまとめていくときれいにまとまります。

課題が思い浮かばない場合は、社内で相談したり、Googleで検索、GhatGPTやBardのようなAIで調べてみたりしてもいいかもしれません。

課題はできる限り多く出して、その後に自社技術とその課題がどれくらいマッチングするかを検討していき、マッチするものをピックアップしていきます。

この作業は思った以上に時間がかかるため、作りきれずに断念する方も多くいらっしゃいます。社内リソースが確保出来ない場合は外注するのも一つの手段です。

ステップ3 自社の提供できる価値を想定(どう伝わってほしいか)

ターゲットが決まり、ターゲットの抱えている課題と自社技術のマッチングができたら、次は情報のコア部分を検討します。具体的には、ターゲットが自社技術に関心をよせるのは「何ができるから」なのかを考えます。例えば、精度が高いとターゲットにとってどんな価値があるのか?摩擦係数を減らせることでターゲットは何を得ることができるのか?小さく作れることでターゲットにどのようなメリットを提案できるのか?などについてです。

ここでは先ほど作った表にある課題を解決するために、自社が提供できる具体的な方法を挙げていきます。できれば競合調査も行い、競合に勝てる内容も検討しておくといいでしょう。

ステップ4 ターゲットが閲覧する媒体を考える(伝える手段)

最終はターゲットが閲覧する媒体を検討し、その媒体に合わせてコンテンツを作って行きます。媒体というのは、TVCM、自社Webサイト、雑誌、Webニュース、新聞、展示会など情報を掲載する物です。媒体によってできること・できないことがありますので、それに合わせて伝えたい内容が正確に伝わるようにコンテンツを作っていきいます。

媒体はできるだけ多く出したほうがターゲットに届く確率は上がりますが、媒体によっては大きな費用が発生することもありますので、予算感を見ながら媒体を選んでください。

有用な媒体 5選

それでは有用な媒体のメリット・デメリットについて紹介していきます。

プレスリリース

プレスリリースは報道関係者向けに出す情報です。プレスリリースを出すことによって、ネットニュースや新聞に取り上げられたりします。そのため、特に日常から情報収集をしている人を対象とする場合に有効です。

新聞やネットニュースには「ニュース性」が求められます。「世界初」「日本初」「業界初」などは取り上げられやすいため、新技術ができたときは必ずプレスリリースを出すようにしてください。

また、既存技術でも「こんなものを作ってみました」というものはネットニュースに取り上げられる可能性がありますので、プレスリリースを積極的に使ってみるのもよいと思います。

参考|プレスリリースを使って、自社情報を広く届ける方法とは

Webサイト(SEO、リスティング広告など)

ターゲットが情報を調べる際に、必ずと言っていいほど使うのがGoogleやYahoo!などの検索エンジンです。ターゲットは検索窓に単語を入力し、検索結果に出てくるWebサイトの情報を調べながら情報を集めています。

そのため、検索結果の一番上に自社のWebサイトが表示されれば、ターゲットに自社技術を見てもらえる確率が上がります。検索エンジンで自社サイトを上位表示させるための方法は大きく2つあります。

  • SEO:無料で上位表示させるためのテクニック
  • リスティング広告:有料で上位表示させるための方法

SEOはクリックごとの費用はかからず、上位表示させるためのテクニックです。ただし、有益な情報を掲載しないといけないため、コンテンツづくりが大変になります。また、上位表示されるかどうかは保証されず、すぐに効果が出るものでもありません。

リスティング広告は1クリックごとに費用が発生しますが、予算次第で必ず上位表示されます。キーワードの選定をうまくしないと、ターゲット以外からのクリックが増えてしまい、予算が無駄に消化されることもありますので注意が必要です。

ターゲットによって検索キーワードが変わるため、常に上位表示させるためには少し工夫が必要になります。

例えば、リスティング広告の場合は設定キーワードに複数のキーワードを設定します。SEOの場合、1キーワード1ページ必要になりますので、ターゲットが検索するキーワードを上げた上で、キーワードに対して1ページ作っていく必要があります。

SEOは労力はかかりますし、効果が得られるのも遅いですが、一度上位表示させることができれば、長期間高い効果を得ることができます。逆にリスティング広告はすぐに効果はでますが、広告をやめたら効果は消えるため、費用をかけ続けなければならないというデメリットもあります。

参考

製造業のためのSEO対策・完全ガイド
BtoB製造業におけるリスティング広告

雑誌

雑誌はターゲットを極端に絞る場合に有効です。例えば、型技術やプラスチックスなどはその業界に特化しているため、業界へのアプローチはしやすくなります。自社の情報を掲載してもらうためには「寄稿」か「広告」になります。効果が単発で終わるため、継続しなければなりませんがターゲットを絞りたいというときには有効な手段になります。

展示会

展示会の最大のメリットは、製品やサービスを潜在的なビジネスパートナーに直接紹介できる点です。これにより、自社技術の特徴や利点を強調し、デモンストレーションやサンプルを通じて、製品の品質や性能を実感してもらうことができます。

デメリットはコストです。ブースの設置、製品の運搬、スタッフの手配、宿泊費など、参加費用は高くなることが多いです。また、展示会の準備と運営には多くの時間と労力がかかります。さらに、展示会は競合他社も参加する場であるため、自社の製品やサービスが他社と比較されやすく、目立たない場合は効果が薄れる可能性があります。

YouTube(実験動画)

YouTubeを利用することで、製造業の製品や技術を広く一般の人々や潜在的な顧客に向けて紹介できます。また、動画の内容を実験系にすることで、製品の性能や使い方、革新的な特徴などを視覚的に伝えることができ、視聴者の関心や理解を深めることにつながります

また、YouTubeは世界中で視聴されているため、グローバルな市場に製品をアピールする機会も広がります。さらに、YouTubeのコメント欄などを通じて、直接的なフィードバックや意見を受け取ることができ、市場のニーズを把握する上で役立ちます。

デメリットとしては、品質の低い動画や不適切な内容が公開されると、企業のブランドイメージに悪影響を及ぼす恐れがあることです。動画の制作と編集には時間とコストがかかり、これが結果として期待した効果を生まない場合もリスクとして検討する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。自社技術の存在をターゲットに伝えるにはさまざまな情報発信をする必要がありますが、ターゲットを絞り、ターゲットの課題と自社技術のマッチングをうまくできれば、最適な情報発信方法が見つかります。

テクノポートでは技術情報の発信のサポートなども行っておりますので、技術の伝え方や情報の発信方法でお困りでしたら、お気軽にお問い合わせください。事例とともに参考情報をお送りいたします。

The post 自社技術の存在をターゲットに伝える方法 first appeared on モノカク.

技術の魅力を伝える!効果的なWebコンテンツの作り方

テクノポートの永井です。今回は、自社技術を相手に伝える方法を紹介します。

技術を伝えるとは?

「技術を伝える」という言葉にはさまざまな意味があります。例えば、技術継承などの教育的な意味や自社技術の魅力を伝えるというマーケティング的な意味がありますが、ここではマーケティングの意味で技術を伝えるという言葉を使っていきます。

技術は相手が理解して初めて伝わったことになります。相手が技術の背後にある原理や概念を理解し、その意味や応用方法を把握することで、初めて技術が伝わったと言えます。しかし、技術を伝えることは想像以上に難しく、特にWebサイトだけで技術を伝えるには相当の努力が必要になります。

技術を伝える際の難しさは、主に技術の複雑性と不確定要素に起因します。

技術の複雑性

多くの技術は高度な知識や専門用語を必要とし、複雑な仕組みや手順を含んでいます。技術の複雑性は、非専門家や初心者にとって特に理解しにくくなります。

技術の概念や原理を明確に伝えるためには、それをよりシンプルで具体的な形で説明する必要があります。また、技術の異なる側面や関連する要素を統合的に理解することも重要です。

技術の不確定要素

技術を受け入れる人々や組織は、それぞれ異なる目的や要件、制約を持っています。そのため、技術を適切に活用するには、相手のニーズや状況を理解し、それに合わせた使い方やカスタマイズを行う必要があり、相手によって技術の意味が変わってきます。

技術を伝える際には、以下の点に留意することが重要です。

  • 相手の背景や知識レベルに合わせた説明を行う
  • 専門用語や複雑な概念をできるだけシンプルに解説する
  • 具体的な例やイメージを挙げて理解を助ける

技術を伝えるときに想定すべきこと

ターゲットを明確にする

Webサイトの目的として、「どのような人々に向けて技術情報を提供するのか」を明確にしましょう。ターゲットが決まれば、ターゲットの一般的な背景や知識レベルについて予測し、それに基づいて技術の説明や表現方法を工夫できます。

シンプルな言葉と明快な表現を使用する

Webサイトのコンテンツは短く簡潔にまとめ、シンプルな言葉を使って説明しましょう。専門用語や複雑な概念はできるだけ避け、一般の人々でも理解しやすいように工夫します。また、技術の効果や利点を明快に伝えるために、短い文や箇条書きを活用することも効果的です。

視覚的な要素を活用する

技術の説明には、視覚的な要素を取り入れることで相手にわかりやすく伝えることができます。図やグラフ、イラスト、スクリーンショットなどを使用して、技術の概念や手順を視覚的に補完しましょう。また、動画やデモンストレーションを提供することで、技術の使い方や応用の具体例を示すことができます。

初心者向けと上級者向けの情報を提供する

技術の理解度には個人差がありますので、初心者向けと上級者向けの情報を両方提供すると有効です。基本的な概念や用語を解説する初心者向けのセクションと、より詳細な情報や実践的な応用例を提供する上級者向けのセクションを設けることで、幅広い層のユーザーに対応できます。

技術を伝えるための手順

1.誰に何を伝えたいのかを決める

はじめにターゲットは誰で、ターゲットがこのコンテンツを読んだときにどう思ってほしいのかを決めます。技術の良さを伝えるためには、自社の技術的価値と相手にとっての価値を一致させる必要があります。そのため、コンテンツを作る前に誰に何を伝えるのかしっかりと決める必要があります。

2.コンテンツの目次を考える

コンテンツの概要を把握し、主要なセクションやトピックをリストアップします。目次を作成することで、コンテンツの全体像を整理し、論理的な流れを確保できます。このときコンテンツの流れや論理的な順序を考慮し、見出しやサブ見出しを作成します。出だしで矛盾が生じると相手は読むのをやめてしまいます。矛盾が生じないような目次を検討してください。

3.見出しの情報を伝えやすくするための視覚的情報を準備する

目次が決まったら、伝えづらそうな部分をピックアップし、それを補足するための視覚的情報を用意します。例えば、実験データ、比較データ、原理のイラスト、画像、動画などになります。文章だけでは技術は伝わりづらいので、視覚的情報は必ず入れましょう。

4.コンテンツのワイヤーフレームを作る

ワイヤーフレームは、コンテンツのレイアウトや要素の配置を示す簡単なスケッチやデザインのことです。ワイヤーフレームを作成することで、コンテンツの配置や視覚的なバランスを確認し、相手目線で情報を整理できます。ワイヤーフレームを何度も確認し、矛盾点、補足資料の不足などがないか確認してください。

5.第三者にチェックしてもらい修正する

他の人にワイヤーフレームを見てもらい、フィードバックや修正の提案を受けてください。第三者の目からの意見や新たな視点を得ることで、コンテンツの質や理解しやすさを向上させることができます。特に、ターゲットと同じ立場の人や技術をあまり知らない人に見てもらうと、自身では気づけなかったポイントに気づくことがあります。資料作成者は技術について深く理解しているため、単純なことを見落としがちです。第三者にチェックしてもらうことで、不足部分を補えます。

6.コンテンツを完成させる

フィードバックや修正を反映させ、コンテンツを最終的な形に仕上げます。文章を校正し、視覚要素や画像、グラフィックスなどを適切に配置します。また、リンクや参照先などの正確性も確認しましょう。

変化を数値で確認する

技術情報を公開したら、相手に伝わったかどうかを確認する必要があります。

Webサイトの場合、一方通行の情報であるため、実際の相手の反応を見ることはできません。しかし、問い合わせ数や問い合わせの質の変化またアクセスデータの滞在時間などを見れば、技術が伝わったかどうか確認できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。Webサイトで技術を伝えることは非常に難しいのですが、工夫次第で伝えることは可能です。
テクノポートでは自社技術を伝えるためのサポートなども行っておりますので、技術の伝え方でお困りでしたらお気軽にお問い合わせください。事例とともに参考情報をお送りいたします。

The post 技術の魅力を伝える!効果的なWebコンテンツの作り方 first appeared on モノカク.

技術の見せ方を工夫している中小製造業7選

こんにちは、テクノポートの永井です。今回は弊社が関わったことのある中小製造業の中で、技術の見せ方を工夫している企業を紹介します。

「技術」と一言でいっても、高精度な加工をする技術、短時間で大量に物を作る技術、品質を安定させる技術、納期を短くする技術など、分野は様々で、伝え方も異なってきます。例えば、高精度技術を伝える場合は測定値を出しますが、品質技術を伝える場合は統計的なデータを求められます。今回ご紹介する企業は数値以外の手法を使って、自社の技術をうまくPRしています。ぜひ技術を伝える際の参考にしてみてください。

1.大鉄精工株式会社|動画による高精度技術の紹介

埼玉県三郷市にある大鉄精工株式会社は、金属の切削加工を得意としています。加工精度を伝えるために、真円度(10μm以下)や同軸度(5μm以下)の計測データを掲載していることに加えて、測定の動画も掲載しています。実際に動画で測定器のフレを見ると加工精度の高さに驚きます。

例えば、下の動画は、SUS316 φ20~φ50mm 全長530mmの製品を両端と中央で測定しています。製品は5,000rpmで使用するため、誤差を最大でも20μm以下にする必要があるそうですが、見事にその範囲内に収まっていることがわかります。
同社のFacebookで実際に10,000rpmまで回転させた動画もあり、技術の高さがひと目でわかります。

大鉄精工株式会社はホームページの制作から運用までトータルでお手伝いしています。代表の木下社長は加工技術に非常に詳しく昔ながらの職人のような雰囲気はありすが、FacebookやYoutubeを取り入れた広報活動などにも挑戦され、この動画も木下社長のアイディアで生まれました。

ホームページ:https://www.daitetsuseikou.com/

2.株式会社イワタツール|製品を比較して、技術力をPR

愛知県名古屋市にある株式会社イワタツールは、小径ドリルの製造を得意としたツールメーカーです。製品の一つであるGPドリルを動画を使って効果的にPRしています。GPドリルのメリットは「超高速加工が可能なる」ことですが、言葉だけ見てもピンときませんし、他社も同じような広告を行っています。そのため、株式会社イワタツールは動画を使って他社製品と自社製品の違いを表現しています。

他社ドリルが10個程度穴をあけた時点で折れていたにも関わらず、イワタツール製ドリルは400個の穴をきれいにあけています。この動画を見ただけでイワタツール製ドリルの質の高さがわかります。


高速で加工するためには刃の切れ味はもちろん、ドリルの真円度、同軸度、円筒度などの精度も求められます。これらの精度が悪いとドリルが座屈していまし、動画中の他社ドリルのように使い物にならなくなってしまいます。この動画一つで、製品だけではなく、技術の高さも伝えることができています!素晴らしい見せ方ですね。

ホームページ:https://www.iwatatool.co.jp/

3.株式会社パルメソ|新技術をイラストを使ってわかりやすく説明

次にご紹介するのは、新潟県長岡市の株式会社パルメソが保有している材料表面の測定技術です。ビッカース、ブルネル、ロックウェルなど、材料の硬さを評価する方法はありましたが、表面から深さ方向への強度変化を数値で表す試験はありませんでした。それを解決したのが株式会社パルメソのMSE(Micro Slurry-jet Erosion)試験です。MSE試験を使うことで、めっきなど薄膜の硬さやセラミックやゴムなどこれまで測定が難しかった材料も測定することができるようになります。MSE試験は画期的な試験方法ですが、説明が難しく価値を理解されないという問題を抱えていました。

そこで利用したのが、イラストを使った試験方法の解説です。言葉だけではなく、装置全体がわかるイラストを使うことで、短時間で測定方法を理解してもらえるよう工夫しています。

人はあまり文章を読んでくれませんし、言葉だけでは個人によって想像する内容が異なる場合もあります。株式会社パルメソのようにイラストを使い情報を見える化することで、技術を正確に伝えることができます。

株式会社パルメソはホームページの制作と運用をサポートしています。お客様の声はこちら

ホームページ:https://palmeso.co.jp/mse/

4.株式会社リソー技研|超音はんだの接合力を動画を使ってPR

長野県諏訪郡の株式会社リソー技研は、産業用機器装置を設計から設置まで一貫して対応できる企業で、特に超音波はんだを得意としています。超音波はんだはセラミックス、難はんだ付け性金属(アルミニウム、モリブテン、 ステンレス等)にも、直接高品質なはんだ付けができる画期的な技術です。原理としては、超音波によりキャビテーションを発生させて、母材表面の酸化膜を除去・活性化させることで、母材表面とはんだが拡散結合されることを利用しています。

はんだに求められるのは「簡単に強く接合する」ことです。一般的なはんだは簡単に外れることが多いですが、超音波はんだの接合力はかなり強く、工業製品の接合として十分に使えるレベルにあります。ただ、接合力を数値化することはむずかしく、言葉だけでは伝わりません。そこで、株式会社リソー技研は動画を使用して接合力を伝えています。

動画では接合したアルミをねじり、アルミが接合したまま変形していることがわかります。この接合力は通常のはんだでは考えられないため、超音波はんだ技術のすごさを伝えるには十分なパフォーマンです。(私も見たとき驚きました!)


超音波はんだは試作だけではなく、量産設備に組み込むことも可能なので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

ホームページ:http://www.velbond.com/

5.株式会社外山製作所|お客様からの評価事例で品質の高さをPR

株式会社外山製作所は自動旋盤を使ったΦ30mm以下の量産を得意としている企業で、不良率の低さに定評があります。一般的に不良率はCpとppmで表すことが多く、Cpは公差T(上側規格値と下側規格値の差)を工程能力(標準偏差を6倍した値)で割った値です。数値は高い方がよく、1.33以上(1万個に7個の不良)で工程能力は十分と判断できます。

ppmはparts per millionの略で、100万個中に何個不良品が合ったかを表す値です。Cp値やppmを数値で伝えるのは簡単ですが、信憑性を伝えるは難しく、品質の良さはなかなか理解してもらえません。そこで株式会社外山製作所は数値以外に、お客様からの評価を掲載することで信憑性を高める工夫をしています。評価表の中には不良率(ppm)が書かれており、値は3ppm。この評価結果と実績で株式会社外山製作所の実力がわかります。

ホームページでは品質を高めるための具体的な方法についても紹介されています。ぜひご覧ください。

ホームページ:https://toyama-ss.co.jp/

6.有限会社三井刻印|拡大画像で微細工具の製造技術をPR

東京都東久留米市にある有限会社三井刻印は、先にご紹介した株式会社イワタツールと同じ工具メーカーです。特に、微細工具製造に特化した技術をお持ちで、お客様の加工に合わせたオリジナルの工具を製造販売しています。Φ1mm以下の工具の先端を肉眼で見るのは難しいため、倍率を上げた画像を掲載して、特殊な先端形状がはっきりと伝わるように工夫しています。

工具は細くなればなるほど、折れやすく、形状を整えるのは難しくなります。有限会社三井刻印は工具を拡大し目視で削ることで、機械ではできない加工を実現しています。例えば、下記は外径50μmのドリル画像です。外径50μmはおよそ人の髪の毛の太さなのですが、それをドリルとして加工しているところに微細加工技術のレベルの高さを感じます。

ホームページにはその他の製品も掲載されています。ぜひご覧ください。

ホームページ:http://www.kokuin.co.jp/

7.高木特殊工業株式会社|グラフを使ってめっき技術をPR

愛知県豊田市の高木特殊工業株式会社は、めっきを行っている企業です。実施しているめっきは4種類。無電解ニッケルめっき(カニゼンめっき)、セラミックめっき、クロムめっき、そしてPTFEめっき(テフロンめっき)になります。めっき液にこだわりを持ち、通常よりもグレードの高いめっきや特殊めっきを得意としています。

高木特殊工業株式会社が最も得意としているPTFEめっきはテフロンめっきとも言われて、滑りが良くなるめっきです。高速回転など潤滑油が吹き飛ぶような環境にも対応できる技術として注目されていますが、「摩擦係数が改善」「すべりが良くなる」という言葉だけでは技術者に伝わりません。そこで、めっき後の物性を数値化することで、技術を正確に伝える工夫をしました。グラフ中の

  • Ni:ニッケルめっき
  • Fe:めっきなしの鉄
  • PTFE:PTFEめっき

をそれぞれ表していて、縦軸が摩擦係数になります。ニッケルめっき(Ni)は摩擦係数が0.2前後であり、かつ乱れも多いのに対して、PTFEめっきは摩擦係数0.1程度、かつ乱れはほとんどありません。このグラフの比較でPTFEめっきの実力をひと目で伝えることが可能になりました。


ホームページでは、他にも様々な評価結果を掲載しています。ぜひご覧ください!

ホームページ:https://takagitokusyu.com/

まとめ

いかがでしたでしょうか。ご紹介した企業は、技術力の高さを伝えるために、数値以外にも様々な方法を取り入れていました。
技術を相手に伝えるためには、相手に興味を持ってもらわなければなりません。そのためには、画像や動画、イラストを使ってインパクトを出したし、グラフを使ってわかりやすく比較することが大切です。

テクノポートは製造業に特化したマーケティングを得意としています。技術をわかりやすく伝えるための方法もアドバイスできますので、技術の見せ方でお困りでしたら、ぜひご相談ください。

製造業のエンジニアがライターを副業にする3つのメリット

元メカエンジニアの工業製造業系ライターの馬場です。製造業に関連する気になるニュース、製品、技術などの他、技術ライティングについて取り上げていきます。

今回は「製造業のエンジニアがライターを副業にする3つのメリット」です。

製造業のエンジニアはライターを副業にするといい

在宅勤務が推奨され、製造業においても対応が求められています。実際、加工を行う現場では、機械を動かさなければ製造はできないので、在宅勤務はほぼ不可能と言わざるを得ない状況です。しかし、設計などのデジタル化が進んだ部署では、在宅、リモートワークは徐々に進みつつあります。

それに伴い、技術部門の副業解禁もニュースを賑わせています。日本の企業は、明確には禁止としていませんでしたが、長年副業を認めていませんでした。近年、働き方の多様化や、様々な事情により、それが大きく変わりました。製造業においても、事務系の仕事から、最近では技術系の仕事を行う人まで、副業として別の仕事を持つことが珍しいことではなくなりました。

製造業系のエンジニアにオススメできる副業として、ライター業があります。ライターとして自分の持てる知識や、技術、経験を文書化するということには、様々なメリットがあります。

製造業のエンジニアがライターを副業にする3つのメリット

製造業のエンジニアがライターを副業とする3つのメリットを挙げます。

副業として収入が得られる

当たり前ですが、副業としてのライターなので、個人ブログで情報発信するのとは異なり、原稿料が発生して収入が得られます。自らの知識や技術、経験は、製品として世に出す以外にも、文書として目に見えるものにすることで価値が生まれます。ブログでは価値を利益に換えることは難しいですが、ライターとして依頼を受けて書くものには対価が発生します。もちろん、依頼されて書く文書なので、掲載されるメディアの求める内容や、その文章を利用する会社の希望に合った文書でなければいけません。クオリティも相応のものを求められます。そもそも、ライティングを依頼してくれる顧客を探す必要があります。簡単に即収入になるというわけにはいきません。

しかし、ライター業は場所を選びません。外に出ての取材を行うようなライターは別ですが、書くこと自体は在宅でもできます。ライティングを行う時間もある程度融通が利きます。最近はインタビュー取材でもリモートで行うものが増えました。

昨今の状況もあり、製造業もデジタルマーケティングの活用が急速に進んでいます。そのため、製造業からのライティングの依頼は増加傾向にあります。増加はしていますが、対応できる製造業の知見のあるライターはあまり多くありません。また、製造業の経験者でライターという人はまだ非常に少なく、その知識、技術、経験を文書化する技術は大変貴重です。非常に有望な市場といえます。

自分の技術に対する理解が深まる、知識の幅が広がる

人に勉強を教えたら、自分の頭の中にある内容がより明確になり理解が深まった。誰かに勉強を教えたことがある人は、こんなことを経験したことがないでしょうか? 読んで理解しやすい文書を書くことは、自分の頭の中で綺麗に整理できていなければできません。理解していると思っていたが、いざ書き始めると何が言いたいのかわからない文章になる。それは、整理が出来ていない状態で外に出しているので、繋がり、流れがなくバラバラになっているからです。それを文字としてもう一度頭にとりこみ、繋げていくことで整理されていきます。書くことを重ねることで、感覚的に身についていたものが整理され、自分の技術に対する理解が深まっていきます。

また、自分の技術範囲以外の分野のことを書いていけば、色々調べながら書くことになるので、その技術に対しての知識が増えます。全く部門外でも、製造業のエンジニアであれば、物理、化学、力学などの基本的な知識は持っているものです。ベースがあるので、新しい技術的知識に関しても比較的早く理解できます。

文書化の技術を身に着けることで顧客からの信頼が高まる

自分の知識や技術を文書化することは通常の業務でも行う機会はあります。仕様書や説明書を書く。製品説明用の資料を作成する。論文や学会発表資料を作成するというのもあるかもしれません。エンジニアでも文書を書く機会はそれなりにあります。

それらの業務で書く文書は、顧客や社外に向けてのものがかなりあります。それが読みづらく、難解で理解できないような文書だったら、あなたはその会社と取引したいと思うでしょうか?エンジニアは図面だけ書いていればいいなんてことはありません。文書作成も重要な業務です。そのスキルアップの為にも、文書を書く技術を持ち、ライターを副業としていくことは多くのメリットがあります。

技術系ライティングサービスをはじめました

モノカクを運営するテクノポート株式会社では、デジタルマーケティングを推進する技術系企業に特化した「技術系ライティングサービス」を開始しました。デジタルマーケティングの成果はコンテンツのクオリティによって大きく変わります。

テクノポートでは製造業を中心とした技術系企業専門のコンテンツ制作により、技術の可能性を無限に広げます。

【量産設計者編】新規取引のときに協力企業に求めること

こんにちは、テクノポートの永井です。

前回、基礎研究者や先行開発者をターゲットとした技術情報の書き方について紹介しました。今回は量産設計者が新規協力企業に求める情報、そして量産設計者に伝わる技術情報の書き方について紹介します。

製品開発の大まかな流れは基礎研究→先行開発→量産設計となり、各フェーズによって内容は異なります。基礎研究は製品のコア技術の探索、先行開発は製品の仕様の決定、そして量産設計は製造するために必要なすべてのものを準備します。私(※1)の経験から大手メーカーの量産設計がどのような仕事を行い、どのような情報を求めているのかを紹介し、それを伝えるための技術情報の書き方について説明します。

※1 この記事の執筆者である永井は以前にボッシュでディーゼルエンジンの燃料ポンプの量産設計をしていた技術者です。(あくまで私自身の経験やインタビューを基にしているので、全てが正しいわけではございません。)

量産設計者の仕事内容

まずは量産設計者の仕事内容について説明します。設計と聞くと「ゼロベースの新製品設計」を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際には

  • 既存製品のマイナーチェンジのための設計
  • 既存製品の不具合対応(緊急性が高い)
  • 製造工程の改善
  • 原価の改善

がメインの仕事になります。もちろんフルモデルチェンジと呼ばれる新規製品の設計もありますが、私の経験では1割以下だと思います。

量産設計者の仕事は

  • フルモデルチェンジ:先行開発からの依頼
  • マイナーチェンジ(BtoC):先行開発からの依頼
  • マイナーチェンジ(BtoB):お客様からの依頼
  • 不具合対応:品質保証からの依頼orお客様からの依頼
  • 製造工程の改善:製造からの依頼
  • 原価の改善:購買からの依頼

から始まる事が多く、他部署との連携も求められます。

具体的な仕事は「図面値を決めること」です。機械設計の場合は、図面値を1mmの変えるために、最悪値の算出、強度計算、組み立て工程への影響、耐久性の確認、製造の可否、検査体制など既存工程に置いて起こる変化を全て確認し、設計変更の可否を判断します。変更が大きい場合は検討漏れが起きないように、DRBFMを行います。必要であれば耐久試験のやり直すなど、変更が危険事象につながらないように最新の注意を払っています。また、不具合対応の場合は、不具合の原因の調査、原因を解決するための手段の立案、その手段が製造やコストに与える影響について、あらゆる角度で検討し、解決策を導き出します。設計と聞くと華やかなイメージもありますが、実際の仕事は結構泥臭いことをやっています。

量産設計者の置かれている立場

製品に対する全ての責任を背負っていると言っていいほど、量産設計者は責任の重い立場です。例えば、

  • 設計が遅れるとすべての後工程に影響を与える
  • 設計ミスがあるとリコールや会社の信用が落ちる
  • 不具合対応が遅くなると会社に大きな損失を与える
  • 製造方法の変更が遅れると無駄な工数が出たり、歩留まりが悪い状態が続く
    (製造方法の変更には図面の修正が必要な場合があり、その変更の許可を出すのは設計)
  • 開発スケジュールの管理し、遅延が起きないようにする
  • 開発遅延時の他部署への協力依頼(特に製造)を行う

など、製品に対する責任の多くは設計にあります。一つのミスが多大な損失につながるため、十分に検討しなければなりませんが、設計が遅れると開発スケジュールに影響がでるため、時間に追われて仕事をしています。さらに、不具合対応など突発の仕事も入ってくるため、常に締め切りに追われながら仕事をコントロールしています。例えば、不具合対応のときは、不具合の製品の確認、測定、原因の調査を行い、解決策の提案、解決策の実施、解決品の測定、検証など、PDCAを回しながら、いち早く改善策を見つける努力をしていますが、その間で、不具合品が出て続けていれば、お客様や品質保証からは責められます。また、製造工程の変更の場合も同様に、図面値を本当に変更して良いのかを検討している間は製造から「早くしてほしい」と詰められたり、意外と厳しい立場にいます。

一方で、協力企業の選定は「購買」が決定権を持っているため、設計が協力企業を探すことはほとんどありません。しかし、設計が必要と判断すれば、購買を動かすことも可能です。特に、既存企業の技術で不具合の改善が行うことができない場合は、他の企業を探します。

量産設計者が協力企業に求める技術情報

本題の量産設計が協力企業に求める技術情報について説明します。前提は「量産性が確保できる」こと。いかに良い技術でも量産性がなければ、意味がありません。求める技術情報としては

  • 量産性の高い技術(個数、品質の安定性なども含めて)
  • 新しい技術というよりも不具合を改善する技術
  • 実績がある技術
  • PDCAを回す体制

が多く、既存の依頼先、購買、Web、展示会などで情報を集めています。

技術とは少し違いますが、開発体制が整っていることもチェックします。新規取引先で製造した製品は測定や評価、検討など行うため、測定機があることはもちろん、評価レポートを作ることができるなど、PDCAを回す体制があるかどうかも判断基準になります。

量産設計者は多数のプロジェクトに参加するため、全ての評価を自社で行っていたのではプロジェクトが回りません。そのため、協力企業に任せられるところは任せたいというスタンスで企業を探しています。

Webでわかりやすく伝えるためにできること

量産設計者は不具合を解決できる技術を探しています。技術を調査するときも、不具合内容や原因、またそれらを改善できる技術などを軸として協力企業を探し、生産設備から探すことはほとんどありません。そのため、Webへの掲載には不具合事象や解決技術を意識した書き方が重要になります。

例えば、不具合事象としては腐食、焼付、疲労、剥離、摩耗、詰まり、振動、蓄熱、ガタ、緩み、コンタミ、耐久、鋳巣、ボイド、割れ、音、共振などのキーワード。解決技術としては真円度、円筒度、摩擦係数、周波数、材質、めっき、弾性係数、熱膨張係数、硬度、塗装などキーワードを含めると目につきやすくなります。

センターレス加工の例

  • 悪い例:センターレス研磨加工ができます
  • 良い例:加工時の振動を抑えることで、真円度、円筒度の精度のを高めたセンターレス加工が可能

センターレス研磨加工は量産性が高い技術ですが、加工の振動の影響で真円度や円筒度が大きくなることがあります。ピストン運動においては、真円度や円筒度の精度が重要になってくるため、センターレス加工で高精度が出せることは魅力的な技術になります。実際、切削加工のような真円度を作ることは難しいのですが、センターレス加工でもある程度調整することができるため、そこを「技術」としてアピールすることができます。掲載するときは下記のような仕組みや測定結果も一緒にあると良いでしょう。


引用元:ミクロン精密株式会社

引用元:大石測器 株式会社

ニッケルメッキの例

  • 悪い例:無電解ニッケルめっきができます。
  • 良い例:最高グレードの無電解ニッケルめっきを行うことで、非常に高い耐食性を実現可能

耐食性の改善としてニッケルっめきを施す場合に、ニッケルめっきの溶液の質によって耐食性能が変わります。例えば、SK100というグレードの高いニッケルめっき液を使うと通常の2〜3倍程度腐食性能が上がるというデータもあります。高木特殊工業様は実験結果と共に画像も掲載することで、SK100の実力を数値以外に目でも見えるように工夫されています。

引用元:高木特殊工業株式会社

品質の例

  • 悪い例:高品質での製造が可能
  • 良い例:5ヵ月間で2110550品納品し、返却品は4品、不良率は2ppmの実績があります。

品質についても量産目線で実績を報告すると良いでしょう。外山製作所様は実績に加えて、お客様からの評価を掲載しています。内容についても、個数、返品数、返品率、不良率(ppm)と具体的な数値も掲載しています。

引用元:株式会社外山製作所

生産能力の伝え方について

最後に生産能力の掲載事例としてミツワ精機製作所様を紹介します。ミツワ精機製作所様は技術情報として、プレス加工可能厚さやロット数、実績業界、材質など生産能力について細かく情報を掲載しています。

一般的な設備一覧だけではどのような加工がどれくらいできるのか把握しづらいため、ミツワ精機製作所様のように生産能力がひと目でわかるように工夫されていると設計者の目に止まりやすいと思います。

引用元: 株式会ミツワ精機製作所

まとめ

量産設計者は量産性があり、かつ抱えている不具合を改善できる技術を求めています。量産設計者をターゲットとする場合は、この2点に注意して情報を掲載すると良いでしょう。また、技術や生産能力を伝えるためには、具体的な数値や実績を掲載し、かつそれらが製品にどのような改善を与えられるのかを具体例を含めて伝えると良いでしょう。

テクノポートは技術に特化したマーケティングを得意としています。技術をもっと広めたいとお考えでしたらぜひ弊社にご相談ください。

伝えたいことを理解し、知りたいことを考えて書く重要性

元メカエンジニアの工業製造業系ライターの馬場です。製造業に関連する気になるニュース、製品、技術などの他、技術ライティングについて取り上げていきます。

今回は伝えたいことを理解し、知りたいことを考えて書く重要性についてです。

伝えたいことを理解する

何かについて文章を書こうと思ったとき、忘れられやすい2つの点があります。それが、伝えたいとしていることをよく理解すること。そして、伝えたい相手が知りたいことをよく考えて書くことです。自分の日々を記録する日記のようなものであれば、この点はあまり考えず好きに書けば済みます。しかし、何かを伝えるためであって、それを伝えたい誰かが明確にいるのであれば、この2つは非常に重要になります。

まず、伝えたいことを理解するという点。例えば、自社のホームページに載せる製品紹介の文章を書くとします。その製品は新発売のもので、以前よりも様々な性能がアップしています。そうなると、どの性能が、どのぐらいアップしたのか伝えたいと考えるかもしれません。また、性能アップにより、今まで使えなかった別の分野にも使えるようになったことが、伝えたいことになっているかもしれません。

伝えたい点が何であるのか明確にして、その点をしっかり、明確にわかるように文章内に盛り込みます。伝えたいことが明確になっていないと、その製品の全体的な説明だけに終わり、何がよくなったかわからない文章になってしまいます。遠足の感想文で、何が楽しかったのか書くべきところを、電車に乗ってどこにいって何をした、おしまい。そんな文章になってしまう感じです。伝えたいことを、箇条書きでもいいので書き出すなど、明確にしておくことが必要です。

特に、技術系ライティングサービスといった、クライアントがいるライティングではこの点が重要になります。クライアントとのヒアリングや、提供された資料から、クライアントがどの点を特に伝えたいのか理解しなければなりません。クライアントから更に深く伝えたい点を引き出すことも必要です。

伝えたい相手が知りたいことを考えて書く

伝えたいことを理解したら、次は伝えたい相手が何を知りたいのか考えます。こちらが一方的に伝えたいことを書き並べても、伝えたい相手が知りたいことでなければ最初の数行で読み飛ばされます。伝えたい相手はどのような人で、そういう人は何を知りたがっているかを考え、必要な情報を過不足ない量で、伝えたいことを元に書いていきます。

例えば、伝えたい相手が機械のエンジニアであれば、「輝くステンレス筐体が・・」とか「高速に移動する力強いアームが・・」と言われても、だからどうしたという話になります。それよりも、「ステンレス製の筐体により耐塩性、耐酸性が高まり・・」とか「従来のXXより、20%剛性を上げたアームにより、移動速度がおよそ10%向上し・・」のように、エンジニアの知りたい情報が、具体的に数値も使って書かれている。このように、伝えたい相手に合わせて、伝えたいことを表現して書くことが何よりも重要です。製造業向けの技術ライティングでは、クライアントがいて、売りたい相手が明確に決まっている場合がほとんどなので、この点は特に強くなります。

広く一般に向け、誰でもわかる文章を書くのは非常に難しい作業です。人それぞれ考えることも、感じ方も違い、経験や知識の量も違います。それらすべてに当てはまる文章を書くのは至難の業です。伝えたい相手を明確にすることで、その人が何を知りたいのか考えやすくなり、文章は書きやすくなります。文章を書くことは、設計やプログラミングのような、論理的な作業に似ています。伝えたいことを理解し、伝えたい相手が知りたい内容に合わせ、論理的な流れを考えて組み立てていけば、相手に届きやすい文章になります。

開発設計者に興味をもってもらえるコンテンツの作り方

こんにちは、テクノポートの永井です。

技術を採用してもらう場合、「技術の提供側」が「技術を必要としている人」に自社の技術の良さを納得してもらわなければなりません。

多くの企業では新製品開発、製品の改善、不具合対応など、様々な技術的課題を抱えています。それを解決するために、新しい技術の導入を行うのは開発設計者の役目です。つまり、自社の技術を導入してもらいたい場合は、彼らの目に止まり、納得してもらう必要があります。今回はそんな開発設計者に興味をもってもらえるコンテンツの作り方について紹介します。

開発設計者は何を考えているのか

開発フェーズによって抱えている技術課題が異なる

開発設計者へ技術を伝えるためには、まずは開発設計者がどういう状況で、何を考えているのかを知る必要があります。製品の開発には様々なフェーズがあり、各フェーズで求められる技術が異なります。

例えば、新製品開発フェーズは開発期間が長く、開発設計者はまだ世の中で使われたことのないような新しい技術を入れてみるなど、様々なチャレンジが許されます。一方で、不具合対応では、今の課題をすぐに解決できる確実性の高い技術を求めています。

このように開発フェーズによって求められる技術レベルが異なるため、各フェーズにおける開発設計者の気持ちを理解し、情報の提供方法を工夫する必要があります。

開発フェーズと求められる技術のまとめ

開発フェーズ 開発期間 求められる技術レベル 技術者の気持ち
新製品開発 長期開発
(1年〜5年)
研究段階の新技術も歓迎 失敗してもOK
既存製品の改善 中期開発
(半年〜2年)
量産を前提とした技術 何回か失敗してもOK
不具合対応 短期対応
(数ヶ月)
実績もある確実な量産技術 失敗は許されない

新製品開発のときの開発設計者の置かれている状況

新製品の開発の場合、製品の構想が事前にあることもあれば、ものになるかわからない製品の開発など様々です。そのため、開発設計者はできる限りいろいろ試してみようという気持ちで開発を行っています。

新製品開発には魔の川、死の谷、ダーウィンの海と言われる大きな3つ壁があると言われ、その壁を乗り越えるために新しい技術を求めています。

魔の川は自社の技術を使えばどのような製品が実現かを試行錯誤している段階を指し、自社の技術と組み合わさることで真価を発揮してくれる技術を求めています。このときは製品化を具体的に考慮していないため、求める技術も研究段階のもので問題ありません。それよりも「製品を作ることができるかどうか」が重要になります。

死の谷は製品を量産化するための課題を解決する段階を指し、安全性、品質、コスト、量産性、製造方法、供給体制など、あるゆることを検討します。そのため、求める技術は量産が可能な製造技術がメインになってきます。このときは技術のみならず企業の品質管理体制など、技術とは別の部分の情報も求めています。

ダーウィンの海は競合製品に勝ち、シェアを奪うための期間で、技術者にとっては待ちの状態になるか、コストダウンや品質などの改善技術が求められます。

このときの技術者の気持ちはリチウムイオン電池を開発し、ノーベル賞を受賞した吉野氏の著書「科学と人間 電池が起こすエネルギー革命」に詳しく載っているので、ぜひ読んでみてください。

3つの壁についてのまとめ

  • 魔の川:研究→開発に移る際の壁。研究段階の技術が何の役に立つかを探索する段階
  • 死の谷:開発→製品化に移る際の壁。安全性、品質、生産体制など製品化に必要となる課題を解決する段階
  • ダーウィンの海:新製品がお客様に受け入れられるかどうかの判定期間

既存製品を改善するときの開発設計者の置かれている状況

既存製品を改善するときは、競合調査や自社技術の応用などで既存製品の「機能の向上」や「追加したい機能」など、ある程度開発の方向性は見えている状況です。自社に足りない技術についてもある程度明確になっているため、闇雲に技術を探すことはありませんが、基本的には「量産時にも採用できる技術」を探しています。

既存製品が量産体制に入ってる中で、あえて量産技術になっていない技術を取り入れるような冒険はしません。ただ、量産時にも採用できる見込があれば、量産の実績は問われないケースもあります。また、この段階では技術を試すために積極的に試作品の製作も行うため、技術の提供側としては絶好の機会になります。

不具合対応をするときの開発設計者の置かれている状況

不具合のレベルにもよりますが、短期で確実な対応が求められます。また、製品の変更が大きい場合は耐久試験など、検査項目が増えるため変更点はできるだけ少なくしたいというのが設計者の想いです。そのため、不具合対応をするときの開発設計者に求められる技術としては

  • 精度のバラツキをなくす加工技術
  • 表面の物性値を変える表面加工技術
  • 不具合品を流出させない品質検査技術

など、製造技術に近い技術を求めています。この段階は技術導入の決定が早く行われる場合が多いため、技術の提供側にとっては入り込みやすい状況です。

開発設計者に興味をもってもらえる技術コンテンツの作り方

各フェーズにおける開発設計者の置かれている状況を踏まえて、本題であるコンテンツの作り方を紹介します。

新製品開発をしている開発設計者にささるコンテンツの作り方

新製品開発のときには、開発設計者は新製品づくりの「きっかけとなる技術」を求めています。そのため、具体的な技術だけではなく、役に立ちそうな技術であれば、研究段階の技術にも興味を持ってもらえます。「技術の提供側」は自社の技術がどのように役に立つかどうかを相手に想像してもらうために、技術の説明だけではなく、具体的にどのようなことができるかも併せて書くことが大切です。

新製品開発をしている開発設計者にささるコンテンツの作り方

  1. 自社技術のコア部分の説明(何ができるようになったか)
  2. この技術を使えば、なにが → どうなる という事例をできる限り洗い出し、掲載。事例は仮説でも大丈夫です。ただし、イラスト、写真、動画など、用途がイメージできるように工夫してください。
  3. 共同開発体制や技術の提供方法について掲載

例えば、精度の高い画像処理技術を持っていた場合

  1. 自社技術のコア部分の説明
    独自理論により、数ミクロン単位の精度で測定が可能
  2. この技術を使えば、なにが → どうなるという事例
    ・高精度の非接触測定機への応用が可能
    ・ミクロン単位でのロボット制御が可能
    ・超小型製品の自動ピッキングへの応用が可能
    ・顔の識別精度の向上
    ・コピーブランドの識別が可能
  3. 共同開発体制や技術の提供方法について
    弊社の技術を貴社の製品に応用するための共同開発も行います。画像認識技術者の他に、ロボットや製造、流体力学など様々な専門知識をもった開発体制を整えています。

このように、「この技術があれば何かできそう!」と興味を持ってもらい、さらに「この会社だったなら一緒にやっていけそう!」と背中を押せるるようなコンテンツの作り方をすることが大切です。

既存製品の改善をしている開発設計者に刺さる技術コンテンツの作り方

既製品の改善(自動車でいうところのマイナーチェンジ)のときは、向上させたい機能のレベルや追加したい機能がある程度固まっているため、求められる技術の概要は決まっています。そのため、技術の提供側は既存の競合技術との違いがどれくらいあるのか、スペックや数値によって具体的に見せることが有効です。また、改善のときは下記のような製造項目の見直しも行われるため、それを実現する技術も求められます。

  • コストダウン
  • 軽量化
  • 小型化
  • 品質の改善(歩留まりの向上)

最後に、技術とは少し違いますが量産性もある程度考慮して探している場合が多いため、量産体制についても記載しておくほうが良いでしょう。

既存製品の改善をしている開発設計者に刺さる技術コンテンツの作り方

  1. 自社技術を生かした提案
  2. 既存技術や競合との比較をグラフや数値を使って明確に差別化
  3. 実績の掲載
  4. 量産体制について説明

例えば、樹脂成形が得意な場合

  1. 自社技術を生かした提案
    金属材料から樹脂に変換することで、コストダウンと軽量化を提案
  2. 既存技術や競合との差別化を、グラフや数値で明確に
    ・鉄からPPSに変更の場合、コスト30%、重量50%削減可能
    ・アルミからPPSに変更の場合、コスト20%、重量20%削減可能
  3. 実績の掲載
    ・水道の配管設備への実績あり(年間3万個)
    ・センサー・ハウジングへの応用実績あり(年間5万個)
  4. 量産体制について説明
    射出成形機を多数保有しているため、年間10万個以上の量産にも対応できます。

不具合対応をしている開発設計者に刺さる技術コンテンツの作り方

不具合対応のときは、なるべく早く解決できる具体的な技術を求めていますが、図面を大幅に変えるような大きな変更はしたくないとも思っています。技術の提供側としては「製品の故障」の原因と紐付けて技術を説明すると伝わりやすくなります。不具合の原因として下記のようなものが多くあります。

  • 焼付き
  • 錆び
  • 腐食
  • 摩耗
  • 熱ダレ
  • 加工精度のバラツキ
  • 光による劣化

また、量産を前提としているため、ワークサイズ、量産実績、品質管理など、製造するための具体的な情報も求めています。

不具合対応をしている開発設計者にささる技術コンテンツの作り方

  1. 自社の技術を使えば、どのような不具合の改善に役立つか説明
  2. 自社の技術の説明
    物性値の変化がわかるように説明
  3. 製造方法に関する情報を掲載
    対応可能ワークサイズや品質管理方法など
  4. 実績の掲載
  5. お客様の声の掲載(できれば)
    実際に自社の技術が使われてどうなったかというお客様の声が有効

例えば、摩擦係数を小さくできるめっき技術を持っていた場合

  1. 自社の技術を使えば、どのような不具合の改善に役立つか説明
    弊社のめっき技術により、油を使えない高回転領域による焼付きの改善と耐食性の両方を実現できます。
  2. 自社の技術の説明
    ○○めっきには○○が含まれているため、摩擦係数は従来の○○めっきと比較して10%程度低くなります。そのため、これまで難しいとされた高回転領域においても熱が発生しづらく、焼き付きを改善できます。また、耐食性も高いため特殊なオイルにも適用可能です。
  3. 製造方法に関する情報を掲載
    ○○○○×○○○○のめっき層を保有しているため、ワークサイズは最大○○○○×○○○○まで可能です。ただし、量産を考慮すると○○○×○○○でおよその○○○個/月の生産が可能になります。
    品質管理はISOの取得はもちろん、初品のめっき厚、硬度などの検査を行っています。
  4. 実績の紹介
    ・自動車の高回転領域のワッシャー
    ・自転車の軸受
    ・ロボットの可動部品
  5. お客様の声の掲載
    焼付きで困っているところにこのめっきについて知りました。従来のめっきでは最大10,000rpm以上にすると焼付きが発生したのですが、このめっきを使うことで最大15,000rpmまで性能を上げられるようになりました。

まとめ

開発設計者に興味をもってもらうためには、開発設計者の状況に合わせた情報を発信することが大切です。自社の技術の見せ方を一工夫するだけで、興味を持ってもらいやすくなります。

テクノポートでは技術系コンテンツマーケティングのライティングサービスもはじめましたので、技術系コンテンツの制作でお困りでしたらぜひご相談ください。

顧客に届く「自社技術の凄さ」

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。ホームページやパンフレット製作のため、製造業を中心とした様々な企業で取材を行ってきました。それらの経験を元に、顧客に「自社技術の凄さ」を伝えるための、より効果的なアピール方法をお伝えします。

効率的なアピールとは、顧客が知りたい情報を提供すること

どれだけ素晴らしい技術があっても、ニーズのあるところに響かなければ効果的なアピールにはなりません。たとえば素晴らしい曲芸を目にしても、拍手を送って終わりになってしまうことがほとんどです。もちろんアーティストの路上ライブのように、知名度を上げてることで素晴らしさに気づいてもらう方法もあります。しかし製造業の場合、この方法で成功できるのはBtoCが主流であるなど、限られた条件がそろっているときだけです。興味や関心がない層よりは、すでにニーズのある層をターゲットにアピールしていくほうが効果的といえるでしょう。すでにニーズがある層が目にするものとして考えられるのが、ホームページやパンフレットです。自社技術の凄さを伝えるためには、それらを見ている顧客が知りたい情報を確実に提供することが大切です。

そして顧客が知りたいことは大きく分けて次の2つになります。

  1. どんな問題が解決できるのか
  2. 他社との差

それぞれの場合について詳しく解説していきましょう。

 

「どんな問題が解決できるのか」を伝える

「ドリルを買う人が欲しいのは穴である」という有名な言葉があります。この考え方が適用されるのが顧客が1の「どんな問題が解決できるのか」を知りたがっている場合です。例えば顧客がライン上で不良品を正確に見つける方法や、騒音、衝撃などの問題に直面し、それを解決できる製品を欲しがっているとき、欲しいのは「製品」ではなく、「問題が解決されたという結果」であるということです。

つまりこのとき顧客が欲しがっているものは、その製品を使えば問題が解決できるだろうという確信です。ですから、どんな問題が、どのように解決できるのかという情報を提供することが大切になります。具体的には、活用事例や実績、導入ストーリーなどを分かりやすく伝えるといいでしょう。

 

「他社との差」を伝える

上記の「ドリルを買う人が欲しいのは穴である」の反論として「ドリルを買う人が欲しいのはかっこいいドリルだ」という冗談があります。あくまで冗談として扱われる言葉ではありますが、実は意外と的を射ている言葉でもあります。穴が欲しいのは確かだが、様々な手段の中からドリルを使うのが適していると既に知っており、ドリルを扱うことに難しさを感じないのであれば「かっこいいドリルが欲しい」と考えることもできます。つまり、問題解決の手段をすでに熟知しており、その中から最良の手段を選びたいと考えている場合です。

このときに顧客が欲しがっている情報は、他社との差や他の類似商品との差です。どんな部分がどのように違うのか、図や数など値を交えて、具体的に伝えるといいでしょう。このときに大切なのは、自社をアピールしたいという部分だけに注目しすぎないことです。視点を広く持ち、他社や他の類似品に比べてどうであるかを、客観的に見つめなおしてみてください。

まとめ

情報を発信する場合に大切なのは「情報の受け手から見てどう見えるか」ということです。ここに書いたことは決してむずかしいことではなく、当然だと思われるかもしれません。しかし「凄さを伝えよう」と前のめりになればなるほど、忘れがちになってしまう部分でもあります。自分が伝えたいことを少しわきによけ、顧客がどんな情報を求めているかに目を向けてみることが、効果的なアピールの第一歩になるでしょう。

求職者に響く「自社の良さ」のアピール方法

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。大手の求人サイトや、各企業の採用ページの制作のため製造業を中心に様々な企業で取材を行っています。今回はその経験を元に、求職者に響く「自社の良さ」のアピール方法をご紹介します。

1.求職者が本当に知りたいこと

求職者が知りたいことは、その仕事に就いた後の生活です。求職者へのアピールというと、まず最初に仕事のやりがいを思い浮かべる人も多いと思います。確かにやりがいのある仕事は、労働へのモチベーションにつながりますので、やりがいは大切です。ですが、やりがいや情熱だけで働き続けるのはとても難しいことです。さらに昨今では「ブラック企業」や「やりがい搾取」などの言葉もあります。精神論ばかりを先行させ、過酷な労働を強いる企業が少なからず存在するため、求職者は安心して働ける企業を求めているのです。働くことは生きることですから、これも当然といえば当然です。

このような事情から、求職者が知りたい大事なポイントは、応募しようとしている企業で働いている人がどのように生活しているのかになっているのです。

2.仕事に就いた後の生活とは

では求職者が知りたがる、その仕事に就いた後の生活とは一体どういうものなのでしょうか。簡単に言うとキャリアプランです。キャリアプランには大きく分けて次の3つのフェーズが存在します。

  • 仕事を覚える過程
  • 自力で仕事を進めていく過程
  • 昇進プラン

このフェーズを意識しながら伝えることで、仕事に就いた後の生活を求職者が年単位で想像することができるようになります。

続いて各フェーズで伝えるといい内容を紹介していきましょう。

仕事を覚える過程では、研修の有無や期間、業務を進めながら覚えていくのであれば指導係の有無などを具体的に伝えることが必要です。例えば「人事部での3日間の座学研修のあと、配属先で先輩と一緒に業務を進めながら必要な知識を覚えていきます」や「詳細なマニュアルが用意されているので、それに従って仕事をしながら覚えていきます」などのように表現するといいでしょう。

自力で仕事を進めていく過程では、仕事の流れや数年先の先輩の生活の様子を伝えます。例えば仕事の受注から完了までの流れや一日の仕事の流れ、先輩の仕事の内容や一日のタイムスケジュールを紹介するといいでしょう。

昇進プランも重要です。リーダーなどへの昇格や出張、赴任などの有無、給与などの具体的な数値は、就業後の生活をイメージする大切なポイントになります。業種によっては独立開業への道の有無なども明記するといいでしょう。

3.仕事のやりがいをアピールする方法

求職者が知りたいのポイントとして仕事に就いた後の生活を挙げましたが、仕事のやりがいをアピールすることも、もちろん大切です。仕事に興味を持ってもらったり、熱意のある人に来てもらうためには、やりがいのアピールを欠かすことができません。しかし仕事のやりがいは、他社との差別化がとても難しいという特徴があります。なぜなら、どの会社も力を入れてアピールしてくるからです。また、例えば「有名自動車メーカーにおさめる部品を作っている」や「お客様に感謝される」など、似たような業種が数多くあるケースもあります。そのような中で、自社の仕事のやりがいをアピールするために必要なのは、マクロとミクロの2つの視点です。

マクロの視点とは、その仕事を通じて社会にどのように貢献するかです。「人々の安全を守る」とか「世界中に部品が届く」など、目を引くフレーズが出やすい部分でもあります。例えば自社製品の使われ方やシェア率などを示し、なぜそう言えるのか具体的な根拠を伝えることで、より明確な強みになります。

続いてミクロの視点です。ミクロの視点を一言で表現するのであれば自己効力感という言葉になります。会社としてではなく、その会社に属する個人として何ができるのかを伝えます。残念なことにミクロ視点でのやりがいをアピールできている企業はあまり多くありません。つまりミクロ視点でのやりがいアピールは、他社との差別化が図れる部分であるともいえます。例えば「機材の運搬方法をこのように工夫して予算を何万円から何万円に抑えた」や「こんな機械を扱えることでお客様からこんな感謝をされた」など、具体的な体験を交えてアピールしてみてください。

まとめ

近年は「個の時代」が到来しているといわれています。かつてのように「お国のために」「社会のために」という滅私奉公的な意識は薄れ「社会の中の個人として、いかに生きるか」が注目されている時代です。新卒をはじめとする若い層にも、このような個人としての意識が浸透しつつあります。ですから自社の良さをアピールする際にも、会社としてどうであるかに加え、そこに所属する個人はどうであるかにフォーカスすることが大切になります。社内のメンバーをよく観察し、個人としてどうであるかを見ていくことで、求職者の心にひびく言葉を見つけることができるでしょう。

伝わる「自社の強み」「自社技術のすごさ」

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業を中心に企業のHP制作や、採用ページ制作に携わっていると自社の魅力をアピールする方法に悩む声をよく聞きます。そこで今回は、実際の取材の経験などを元に「自社の強み」や「自社技術のすごさ」を伝える方法をご紹介します。

ステップ1【ターゲットは誰か?】

当たり前のように思われるかもしれません。しかし「誰に伝えたいか?」によって、強みの切り口や表現方法は大きく変わります。伝えたい相手がぼやけてしまうと、伝えたいことが伝わらなくなってしまう恐れがあります。ですので、伝えたい相手を、目的・ターゲットの属性、ターゲットの知識などでおよそ8通りに分類します。

まず最初の分類は目的です。自社の強みや技術をアピールする場合、顧客の獲得か人材の獲得が目的であることがほとんどです。しかし、どちらが目的かでアピールの方法が大きく変わります。目的がはっきりしたら、次はターゲットの属性で分類していきます。そして最後がターゲットに専門知識があるかどうかです。これを図にすると次のようになります。

①には製品開発のために部品を探しているようなエンジニアなどが該当します。②は製造業向けの製品を購入する購買担当者などです。③と④は、実際に製品を使用する人が該当します。⑤は機械科や電気科などの特定の学科を卒業した学生の採用を行う場合が該当します。

ステップ2【ターゲットごとの切り口】

ターゲットが決まったら、より強く訴えかける切り口を探します。ステップ1での分類に従って、どのような切り口から自社の魅力にアプローチするかを考えます。

①顧客獲得→BtoB→専門家の場合

十分に知識を持っている人がターゲットですから、具体的な根拠を示すことがアピールになります。販売実績や対応事例、製品のスペックなど、具体的で分かりやすい数値を交えてアピールしましょう。

②顧客獲得→BtoB→非専門家の場合

基本的なアピールは①のときと同様になりますが、サポート充実や品質保証制度など、ソフト面の強みもアピールしていくことで、より効果的なアピールになるでしょう。

③顧客獲得→BtoC→リピーターの場合

既に自社製品を知っている人がターゲットですので、他社の類似商品との差異や、便利なサポート、併用して使うと便利な商品の紹介などに重点をおくといいでしょう。

④顧客獲得→BtoC→新規顧客の場合

自社の製品やサービスによって、どんな問題が解決できるか、何ができるかを具体的に表現するといいでしょう。原理などの難しい部分よりも、成果や事例を分かりやすくアピールすると、より効果的です。

⑤人材採用→新卒採用→特定の学科卒の場合

新卒採用の場合、働くことに対するイメージがまだ薄いこともあります。自社では何をしているのか、どうやってやっているのかを具体的に表現することが大切です。その仕事を通してどのように社会に貢献しているかや、将来的な展望などもぜひ伝えておきたいポイントです。

⑥人材採用→新卒採用→卒業学科は問わないの場合

基本的には⑤と同様になりますが、どのようにして業務の知識を身につけていくかなど、キャリアプランを具体的に提示することで、安心して働ける環境をアピールすることができるでしょう。

⑦人材採用→中途採用→同業種からの転職の場合

同業他社と比較して自社の優れている点などをアピールすると効果的です。特に待遇面やキャリアプランなどの面で、具体例を示しながらアピールすることで説得力が増すでしょう。

⑧人材採用→中途採用→異業種からの転職の場合

⑦の場合と似ていますが、⑥のときと同様、業務の知識を身につけていくための教育プランなどを具体的に説明するといいでしょう。

ステップ3【強みの伝え方】

自社の強みをアピールするためには、自社の技術や自社のサービスを第三者目線から見直すことが大切です。その際に最も重要になるのは、その優れた技術によって何ができるようになるかを具体的に伝えることです。すばらしい技術があっても、数値的なスペックのみを並べただけで伝わる相手は、多くはいません。ほとんどの場合、相手が求めているのは「優れた技術・強みによって何が可能になるか」という情報です。「ドリルを買う人が欲しいのは穴である」という有名な言葉が示す通り、情報を求めている人が欲しているのは「どう優れているか」の情報ではなく「それによって何ができるか」であることを意識してみると、第三者目線をイメージしやすくなると思います。

ターゲットごとに分類したアピール方法を参考に、何を提供できるのかを具体的に考えてみることで「自社の強み」や「自社技術のすごさ」がターゲットに刺さるものになるでしょう。