今すぐやれる製造業の小さなデジタル化

元メカエンジニアの工業製造業系ライターの馬場です。製造業に関連する気になるニュース、製品、技術などを取り上げていきます。今回は製造業のデジタル化についてです。

製造業のデジタル化への動き

人手不足、働き方改革といった問題の解決策として、各業界でデジタル技術の活用が注目されています。もちろん製造業においても、デジタル改革というのは近年大きな話題となっています。

  • IoTで見えていなかったものを見える化する。
  • AIを使ってより最適な加工条件を導き出したり、熟練技術者の技術を学習させたりする。
  • 3D CADと3Dプリンターで試作や解析まで容易におこなえるようになり、製品の質をあげていく。
  • PLMを導入して、各個人が持つ技術情報が部門を超えて一元管理される。
  • 協働ロボットを導入して作業効率のアップする。

など。人手不足、働き方改革にとどまらず、技術継承やコストダウン、安全対策など、製造業ではデジタル化により解決できる問題が数多くあります。

製造業のデジタル化に関しては、国も様々な取り組みを行っています。経済産業省が毎年発行している「ものづくり白書」では、第4次産業革命がここ数年の大きなテーマです。2019年度版では、我が国の製造業が世界に対して競争力を強化する4つの方策を上げています。

  1. データの活用による新たなビジネスモデルの構築
  2. 強みを活かした世界市場の開拓
  3. 製造×AI・IoTスキル人材の育成と活躍できる現場作り
  4. 技能のデジタル化と徹底的な省力化

2011年にドイツから始まった、製造業のデジタル技術を中心とした革新、「インダストリー4.0(第4次産業革命)」の波は、確実に日本にも影響を与えています。革新が進みつつあるものの、それを進めていく人材不足も問題となっていることが白書からわかります。

2019年版ものづくり白書

もう少し具体的な例として、国と民間が協力して行っているこんな研究もあります。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と産業技術総合研究所、大阪大学、中部大学が共同して、製造現場で自律的な作業を実現するロボットのAI技術の開発です。

製造現場でのロボットの自律的な作業を実現するAI技術を開発

製造、組み立てラインでのロボットの使用は以前から行われていました。単一作業を行うには、人間より高速かつ正確。長時間の作業でも問題ない点は、今まで製造業で大いに役に立ってきました。しかし、多品種少量生産となると、変更の度に動作を新たに教えるか、ロボットそのものを変えないといけません。このロボットAI技術によって多品種少量生産でもロボットが使えるようになります。こういう形でも製造業のデジタル化は進みつつあるのです。

小さな町工場でもできるデジタル化

製造業のデジタル化は、今後もさらに加速して進んでいくのは確実と思われます。避けて通れない事案であり、やらなければ取り残されて、やがて消えていくことになるかもしれません。

とはいえ、総務省・経済産業省の経済センサス―活動調査によれば、日本には約22万もの工場があり、その99%以上が従業員数300人以下の中小企業。IoT、AIだなどと言われても、費用もなければ、それをやれる人もいない。納期の管理なんて、今どきのAIなんかより遥かに優秀な社長の頭で、柔軟にサバをよみつつ管理ができるよ。機械の不調なんて音を聞いていればわかるさ。情報共有なんてパソコンでしなくても、話していれば勝手に共有できている。別にデジタル化なんて必要ない。なんて思うところも多いのではないでしょうか。確かに、人数が10人もいないような小さな工場で、これからはデジタル化だ!と言われても、何のことだかわからないというのも当然あると思います。

IoTでスマートファクトリーとか、設計情報をシステムで一元管理とか、協働ロボット入れて省力化とか。何もそんな大がかりなところからデジタル化をしなくても、現状の製造業ではかなり効果があると思われる、ほんのわずかなデジタル化があります。その1つが、受発注でFAXをやめることです。

私が以前、ある小さな工場の社長から聞いた話です。その工場は、何台もの機械を社長一人で操作して部品をつくる加工工場。材料の調達も、加工も、発送も全て社長1人でおこなっています。以前はFAXを使って図面、発注書などを受け、見積もり書の送付も行っていました。パソコンで作った書類をプリンターで打ち出し、それをまた送る。送られてきた書類が山積みになっていく。事務作業が増えるばかりで、一番重要な加工作業にあてられる時間を圧迫していました。

では、事務作業を減らすにはどうしたらいいか。その結果おこなったのがFAXの廃止です。

注文などは全てメールで行うようにしました。その結果、事務作業は大幅に減り、管理も楽になる。作業効率が大幅に上がったそうです。最初は、それでは注文ができないと苦情を言う業者もあったそうですが、廃止は特に問題はありませんでした。今ではインターネット経由の注文も増えているそうです。

今もFAXでやり取りしている製造業の方は結構いるのではないでしょうか?電話しか連絡手段のない時代には大変便利なものでした。しかし、今はもっと便利なメールがあります。導入には、それほど手間も時間もお金もかかりません。そのぐらいのところからまず、デジタル化してはどうでしょうか。今ではメールも煩わしいということで、ビジネス向けのチャットツールも活躍するようになりました。それも比較的簡単に導入ができます。日本の製造業のデジタル化は、全体で見るとまだかなり遅れているといえます。変えられるところから小さくデジタル化していく。小さなところからコツコツと。日本の製造業が得意とするところです。

IoT導入事例ファイル2: データ活用が工場や人、品質に効果をもたらした6社の事例

こんにちは、製造業のデジタル化を応援するライターの宮田文机です。

近年のデジタル化のキーワードの一つとして挙げられるのが「データ活用」。プロセス改善やトレーサビリティ(追跡可能性)の確保に生かすべく、ものづくりの現場におけるデータ活用推進は年々進められています。

IoT導入事例ファイル第二回では、データ活用を実地した企業6社の例をご紹介。

一口にデータ活用といってもその内容は生産性向上、品質向上、在庫状況の把握など多種多様です。

温度データを品質管理に活用する東京鋳造所

群馬県高崎市でアルミの金型鋳造に従事する30~40名規模の東京鋳造所。1929年創業と長い歴史を誇る同社は2020年の東京オリンピックを目標に工場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める「VISION2020」を掲げ、その一環としてデータ計測による品質管理を開始しました。

まずは鋳造に用いる金型に8本の熱電対を設置して温度をリアルタイムで測定。最も安定して高品質な製品を生産できる温度バランスを探ったそうです。そうして導き出したベストな管理データを活用することでロボットに自動で品質管理を行わせることが可能に。さらに、同社の海外進出の際、日本で得られたデータを共有することで、スムーズに同品質の製品を生み出せる環境が整ったといいます。

データを生産管理の効率化とコスト削減につなげた長島鋳物

長島鋳物は埼玉県川口市にてマンホール蓋枠製造に携わるものづくり企業です。近年特に多様化が進んでいるマンホール。必然的に多品種少量生産となり、管理コストが高まっていました。そこで同社が着手したのが鋳造工程のIoT化。

製品ごとに異なる材料の量や冷却に必要な時間、鋳造の進み具合などのデータを電気炉と注湯機に新設したセンサーから取得し、タブレットなどでリアルタイム把握できる環境を構築。さらに適切な炉内温度を測定することで10%の電気代削減にもつなげることができたそうです。

なお、同社工場のIoT化にかかったコストは一般社団法人環境共創イニシアチブが運営する「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」によって賄われました。こうした公的補助は中小企業のIoT化の大きな味方です。

「人」のデータを生かして適材適所を実現する今橋製作所

茨城県日立市で発電機部品、自動車部品、医療機器部品、宇宙機器部品、半導体製造装置部品などの切削加工に取り組んでいる今橋製作所。緻密かつ高度な加工が求められる部品の製造を行うものづくり企業であり、その分工員の熟練や適性が重視されます。

そんな同社が実施しているのは“データ活用で従業員を適切に配置し活躍を後押しすること”。工員の思考力やストレス耐性、機器の使いこなしといった個人特性をコンサルティング会社と協力してデータ化。適切な配置やメンタルケア、離職防止に生かしています。

採用市場における人手不足は今後も続くことが予測されます。機器や設備だけでなく「人」のデータも生かすことで生産性向上や働き方改革といった大目標につなげられるでしょう。

クラウド経由で在庫データを把握する山田木管工業所

続いての先進企業は、岐阜県山県市の山田木管工業所。

手ぬぐい額などのオリジナル額縁やモダン神棚、四方框扉(しほうかまちとびら)といった木造りの温かみのある製品を生み出す企業です。同社では、在庫状況の把握をデータによって効率化しました。

具体的には、商品バーコードをスマホで読み取ることで、クラウドサービスを通して在庫数や最低在庫切れ、製造の優先順位などを把握できるシステムを構築。それまで完成品置き場まで移動して在庫状況を確認していた手間がなくなり、業務効率が非常に高まったといいます。

同社の取り組みは経済産業省が後押しする「スマートものづくり応援隊」の協力を受けて実施されました。

情報管理の手間を減らし短納期で他社に差をつける山口製作所

自動車関連部品やPCヒンジ関連部品のプレス加工・組立を行う新潟県小千谷市の山口製作所。同社は工場のIT化にいち早く取り組み、他社と比較して7~8割の短納期生産を可能にしています。そのスピードを支えているのはマイクロソフト社のAccessをベースに独自開発した生産管理システムと、中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」を利用して導入したデータ収集型機械制御システム。

製品データを一つのシステムに統合することで情報を呼び出す手間を削減でき、さらに工場の稼働状況を顧客に開示することでトレーサビリティにも寄与しました。同工場のデジタル化は生産性を約3倍向上させたというデータも出ているそうです。

データの共有で「人」をつなげる今野製作所

最後はIoTで設備と人をつないだ工場の事例をみてみましょう。東京都足立区に本社を構え、油圧機器・板金加工・エンジニアリング&サービス・福祉機器の4事業を展開する今野製作所です。

同社はリーマンショックによる業績低下を契機に、業務フローの改善に着手。引き合い・受注・生産・在庫状況にまつわるデータをほぼリアルタイムで全社的に共有できるシステムを構築し、従業員全員が一丸となって目標達成に取り組める環境を整えました。結果としてある製品の受注売り上げは約5倍になるといった成果が得られたそうです。

今野製作所はこの成功体験を生かし、自社内だけでなく他社との協業もIoTで実現することに取り組みました。西川精機製作所とエー・アイ・エスの2社と共同で運営する「東京町工場 ものづくりのワ」での情報共有やノウハウ蓄積にも同社が構築したシステムが生かされています。

まとめ

品質管理、コスト削減、人材配置、情報管理、トレーサビリティ確保、情報共有……、ものづくりに「データ活用」の考え方を取り入れることで生かされるポイントは枚挙にいとまがありません。

実際近年データ活用に対する意識は製造業全体で高まっており、2015年から2016年で「生産プロセスにおいて何らかのデータ収集を行っている」と経済産業省に回答した企業は大企業で20%、中小企業で26%増加しました。

多くの企業が次に進むべきは、データ収集からデータ活用のフェーズです。そのために本記事の事例をぜひ参考にしてください。

IoT導入事例ファイル1: 中小企業5社のスマホを使ったIoT

初めまして、製造業のデジタル化を応援するライターの宮田文机です。IT・HR・ビジネス戦略などを専門に、盛岡と東京の二拠点で活動しています。

政府の後押しや技術の普及を背景に工場へのIoT 導入が進んでいます。しかし社内にIT人材がいない、古い設備を交換する余裕がないなどの理由で着手できていないという経営者・担当者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?そこでこの連載ではIoT化を職場改善につなげた企業の例を紹介、明日から役立つIoT化知識をお届けします。

第一回のテーマは、今や生活必需品ともいえる「スマホを使ったIoT化」です。

炉の遠隔監視・操作を可能にした岡谷熱処理工業株式会社

金型や工具の熱処理事業を行う岡谷熱処理工業株式会社。深夜無人状態で「焼き入れ」「焼き戻し」の作業を行っており、落雷などトラブル要因が発生するたびに社員が現場に駆け付けなければならないという問題がありました。

そこで熱処理炉・コーティング炉の炉内温度や使用電力量、冷却水温度などのデータをスマホで監視し、遠隔操作できるシステムを構築。働き方改革につながっただけでなく早急な問題の把握と立て直しに役立ったそうです。さらに製品の受注表の作成といった事務作業もスマホで登録できるようにすることで効率化・迅速化、さらにスムーズなデータ集積にもつながりました。

データの取得が容易になるIoTにおいて“いつでもどこでも状況把握ができる”という効果は代表的なものです。

独自開発のシンプルなシステムを活用する久野金属工業株式会社

愛知県の金属加工メーカー、久野金属工業株式会社はプレス加工を行うライン自体にセンサーを装着。社員がスマホで、1日の機械の稼働時間やサイクルタイム(一つの製品を生み出すまでに費やされる時間)などを把握できる環境を整えました。このIoTシステムは久野金属工業株式会社が関連企業と共同開発したもので「IoT GO」と名付けられています。

このようにIoTシステムを独自に開発、それ自体をビジネスとする製造会社も存在します。実は同システムが計測する対象は機械のオン/オフだけ。それだけで稼働時間や停止時間、サイクルタイムなどの重要指標は計測することができます。

そのようなシンプルなシステムから導入することが工場のIoT化で失敗しないコツのひとつです。ぜひ参考にしてください。

問題の原因特定を一目で可能にした株式会社土屋合成

文房具、自動車部品、時計など幅広い製品のプラスチック射出成型業を営む株式会社土屋合成。同社が実現したのはスマホとネットワークカメラを掛け合わせた生産状況監視システムです。

まず同社はメーカーの混在する成型機49台の稼働状況を取得し、正常稼働は青色で表示、停止中は赤色で警告など、一目で把握できるシステムを構築しました。そのうえで工場・事務所の全体にネットワークでつながったカメラを設置し、映像で問題発生時の様子を確認できるようにしました。

そうすることで原因特定が速やかに行えるようになりかつ問題解決に割かれる人員を減らすことで生産性向上にもつながったということです。

タブレット

クラウドサービスを上手に活用する株式会社幸田商店

食品製造業の現場でもIoTとスマホの活用による改革が始まっています。株式会社幸田商店は茨城県ひたちなか市に位置し、ほしいも、きな粉などの製造販売を行う企業。以前は生産管理なども手書きで行われていた幸田商店ですが、効率化を狙ってIoTを導入。原料と商品の出入庫情報をバーコード読み取りで入力できる体制を整え、リアルタイムでの在庫管理を可能にしました。

文章だけでなく画像や動画でも記録できるため情報量やわかりやすさが高まるという、データの質に対する成果もあったそうです。同社のシステムはkintoneやOneDriveといったクラウドサービスを用いることでコストが抑えられています。

導入スピードや運用の容易さにおいてもクラウドサービスには利点があります。

ノウハウ継承にIoTを生かす大鉄精工株式会社

医療機器や潜水艦など高い精度の求められる精密機械の切削加工を行うのが大鉄精工株式会社。同社はその貴重なノウハウの蓄積に「Teachme Biz」というクラウドベースのマニュアル作成ツールを導入。実際の作業現場で写真を撮影しその場でマニュアルの作成ができる環境を整えました。

紙の場合難しかったマニュアルの更新や差し替えも容易になり、指導の幅も広がったということです。

実はマニュアル作成もデジタル化によって得られるメリットの大きい作業です。

まとめ

スマホとIoTを掛け合わせ社員の負担軽減や生産性向上、ノウハウ継承につなげた中小企業5社の事例をご紹介しました。スマホは、最も普及したIoT機器ともいえます。うまく活用すれば安価かつ高速の導入・定着化も望めるでしょう。自社に重なる事例はないかぜひ振り返ってみてください。

120kg運送可能、IoTでネットに接続。ハードもソフトも進化する自転車事情

元メカエンジニアの工業製造業系ライターの馬場です。製造業に関連する気になるニュース、製品、技術などを取り上げていきます。

今回は進化する最近の自転車事情についてです。

120kgの荷物が運べて小回りも効く電動アシストサイクル

佐川急便が、3輪電動アシスト自転車の開発製造販売を行う豊田TRIKEと、業務用電動アシスト自転車「TRIKE CARGO」を共同開発しました。

豊田TRIKEと佐川急便が共同で業務用電動アシスト自転車「TRIKE CARGO」を開発

TRIKE CARGOは荷台を牽引する構造になっていて、最大で従来の4倍となる120kgまで荷物を搭載することが可能です。2つの前輪が傾きに合わせて上下に連動して動く「シンクロシステム」は、11か国で特許取得済み。このシステムにより、段差や傾斜でも車体が垂直に保たれ、安定した走行ができます。ペダルは電動アシスト式で、サドルよりもペダルがやや前方に取り付けられたセミリカンベント型。快適な走行が可能です。荷台部分に荷物を載せた台車を直接積載し、ワンタッチでロックおよび解除が可能で積み替え作業の軽減もされているそうです。

2006年の道交法改正で、民間委託による駐車違反取り締まりが開始されて以降、一時駐車する宅配業者の車両の取り締まりが厳しくなりました。そのころから、リヤカーを付けた自転車で荷物を運ぶ宅配業者をよく見かけるようになった気がします。初めてリヤカー付き自転車で配送しているのを見たときは、電動アシストではない自転車で配送していたと思います。荷物も相当重いだろうし、配達員の人はかなりの脚力と持久力のある人じゃないと務まらないなと見ていた記憶があります。近年では業務用のリヤカー付電動アシスト自転車が各種販売されています。2017年には荷物運搬用のリヤカーをつけた専用の三輪電動アシスト自転車は、補助比率が通常の電動アシスト自転車より大きくすることが可能になり、いわゆる物流のラストマイルといわれる部分は自転車の比率が上がってくると予想されています。

豊田TRIKEのホームページを見ると、荷物の運搬や配送に限らず、病院や介護施設の送迎用車両として、ゴルフ場のカート、観光地でのサイクリング、災害時の物資の運搬など様々な利用シーンを想定しています。

豊田TRIKE

最近、高齢者の運転する自動車による事故が問題となっていますが、生活インフラとして自動車がなくてはならない地域もあり、簡単には解決できないところがあります。それほど遠くない未来には自動運転が実用化され、問題が解決されるかもしれません。しかし、それまでの間は、こういった自転車が、多少なりとも問題解決の助けになると思います。電動アシストで坂の上り下りも楽。三輪なので乗り降りの際も安定しています。かなりの量の荷物の運搬もできるので、短い距離での買い物や移動手段としては最適ではないでしょうか。あとは、屋根がついているとありがたい。傘を持って片手で自転車に乗ってはいけないし、雨合羽は暑がりの私にはサウナスーツ着ているようなもの。着ていても着ていなくても服がビショビショになります。暑がりは、自転車に乗ったら風を感じたい生き物なのです。

自転車もIoT、シェアの時代

自転車は電動アシストや車輪の運動機構などの機械的な性能向上だけでなく、デジタル技術を活用したソフト面での発展も進んでいます。パナソニックでは、スマートロックを搭載したIoT電動アシスト自転車を開発しています。

IoT電動アシスト自転車を開発、実証実験開始

開発された自転車は、通信機能を備え、インターネットに接続することでスマートフォンから電子錠を開錠したり、利用料の決済ができます。GPSにより距離やルートなどの走行データを取得。追尾もできるので防犯性も高まります。電池残量などの自転車のメンテナンスにかかわる情報も取得可能です。

最近は、都内だとコンビニ前や駐車場、ちょっとした空きスペースにシェア自転車置き場があって、スマホで簡単に利用できます。中国ではシェアサイクル事業が爆発的に普及し、放置や廃棄された自転車が問題になっているなんてニュースが少し前に出ていました。日本もようやくシェア自転車が普及してきた感じがします。都内で利用している人を見かけることも多くなりました。観光地でレンタルサイクル屋があれば利用するので、都内だけでなく全国的に普及してくれるとありがたいです。

ところで、自転車の性能向上の話とは違うのですが、自転車というと、同じく都内でUber Eatsの配達をしている人を見かける機会が増えました。蛍光の緑や黒い四角い専用のザックを背負って自転車で走っています。配達先までのルートはスマホで確認できるので、道に不慣れな人でも配達員ができます。

1999年に公開された草彅剛、飯島直子などが出演する「メッセンジャー」という映画の中で、こんなシーンがありました。草彅剛が演じる鈴木宏法が経営する自転車便の会社が、色々あって今までにない大量の配達を請け負うことになります。社員総動員で何度も行き来して配達を行うが手が回らない。そこで、加山雄三が演じる元警察官の島野真が司令塔となり、無線で各自の現在位置を確認しながら最適ルートや、仕事の配分を指示。最高の業績を叩き出します。20年の時を経て、それがスマホとAIで誰でも簡単に利用できるようになりました。便利な時代になったものです。

技術系企業におけるデジタルマーケティング実施の注意点

令和になってから初投稿のテクノポート徳山です。以前のブログでも書いたとおり、デジタルマーケティングは徐々に世の中で活用を求める声が多くなってきました。BtoBの分野でもメーカーを中心に多くの企業が取り組んでいるデジタルマーケティングですが、製品販売を行うメーカーと比べ、要素技術などを扱う技術系企業ではデジタルマーケティングの取り組み方が変わってくるのではないかと考えています。

今回は技術系企業にフォーカスを当てて、デジタルマーケティングに取り組む際の注意点について書いていきます。

デジタルマーケティングで行うこと

そもそもデジタルマーケティングとは具体的に何を行うことなのか?改めて解説していきたいと思います。

リード(見込み顧客)の獲得

デジタルマーケティングはリードを獲得するところから始まります。BtoB企業の場合は、自社のWebサイト(SEO対策やリスティング広告を活用)からリードを獲得したり、展示会での名刺交換によりリードを獲得することがほとんどです。

リードの育成(リードナーチャリング)

獲得したリードに対し、定期的なEメール配信、コンテンツマーケティングによる情報提供などを行うことにより、関係性を深めていきます。関係性が深まることにより将来顧客化する可能性が高まるので「リードを育成する」という表現を使います。ここでは、カスタマージャーニーを作成するなどして、リードの育成フェーズを考えた上で、フェーズごとにどのようなコンテンツを提供すべきか考えると良いでしょう。

※カスタマージャーニーとは「顧客が購入に至るプロセス」を道筋に例え、顧客の行動や心理を時系列的に可視化したものです。詳しくは別の機会にご紹介したいと思います。

リードの顧客化

Webサイトに「技術相談窓口」や「サンプルテスト」といったクロージングコンテンツを設けたり、セミナーを開催するなどして顧客とリアルの接点をつくり、顧客化していきます。育成が十分になされたリードであれば、接点を作ることができる可能性が高くなります。

顧客とのエンゲージメント強化(リピート受注の獲得)

定期的なEメール配信、顧客専用サイトによる交流、SNSの活用などを行うことにより、営業担当者の属人的なコミュニケーションに頼らず、顧客とエンゲージメントを強化しリピート受注へ発展させていきます。

技術系企業がデジタルマーケティングに取り組む際の注意点

次に本題である技術系企業がデジタルマーケティングに取り組む際の注意点について考えていきます。

ブランディングの確立が重要

技術系企業がデジタルマーケティングを行うことで達成したい最終的な目的は何でしょうか?私は「お客様の社内で技術的な課題が持ち上がった時に、まず最初に頭に浮かぶ会社になること」だと考えています。数ある企業の中から最初に相談を受けることは、発注企業の選定において強いアドバンテージとなるからです。

そのためにはリードに対し、デジタルマーケティングにおける各施策を行う中で、その分野におけるスペシャリストであることや、定期的にコンテンツを受け取っている馴染のある企業であること、といったイメージを定着させることなどが重要となってきます。

発信するコンテンツが重要

技術系企業がデジタルマーケティングに取り組む上で最も難しいことは何でしょうか?私はユーザにとって役立つコンテンツを、継続的に発信し続けることだと思います。

デジタルマーケティングではやみくもにコンテンツを発信するのではなく、リードの育成状況に応じたコンテンツを提供し続ける必要があり、そのようなコンテンツが発信し続けられるのか、といった点が大きな課題となります。技術系企業が発信すべきコンテンツの種類としては大きく分けて下記のものが挙げられます。

①用途開発に繋がるコンテンツ

顧客が技術の活用法を見出さないと顧客化に繋がらないので、用途開発に繋がるような技術の用途例や、顧客事例などのコンテンツを発信します。

②教育(知識)コンテンツ

リードに定期的に自身の業務に役立つような知識コンテンツに触れてもらうことで「◯◯の分野において最も専門性が高く頼れる企業」というイメージを持ってもらい、ブランディングを確立するのに役立てます。

③技術に関する一般的な情報

自身が関わる分野において、様々なお役立ち情報を提供してくれる会社であることをアピールできます。新規性の高い技術の場合は、そもそもの技術を布教する目的も含みます。

マーケティングオートメーションといった仕組みは必要?

デジタルマーケティングを推進する上で役立つマーケティングオートメーションですが、技術系企業の場合は必要でないケースが多いと思われます。

※マーケティングオートメーションとは、デジタルマーケティングと共に普及したツールです。マーケティングオートメーションを使うことで「見込顧客との接点から顧客化するまでの活動を、自動化・効率化すること」ができるようになります。

マーケティングオートメーションが必要な状況としては下記のようなものが考えられます。

①リード情報が様々な部署に散乱してしまっている

マーケティング部門、営業部門、技術開発部門などがそれぞれ個別にリードの管理を行っており、営業の機会損失が発生しているケースです。技術系企業の場合、ずっと既存顧客相手に営業活動を行っており、リード獲得の活動を積極的に始めたばかりといった企業も少なくないので、そもそも散乱するほどのリードが社内に存在しない場合も多いのではないでしょうか。

②スコアリングの基準が明確である

マーケティングオートメーションの最大の特徴として、リードに独自のスコアを付けて、スコアの高いリードから順に営業をかけていくことで効率化を図ることができる、といったものがあります。このスコアの付け方によって営業効率が良くも悪くもなってしまうため、リードの育成ノウハウが不十分な会社だと適切なスコアリング基準を設けるのが難しいと考えられます。

技術系企業のデジタルマーケティングは仕組みよりコンテンツが重要

技術系企業がデジタルマーケティングに取り組む際は、仕組みを整備する以前に、そもそも発信できるコンテンツが十分に準備できるのか、といった点をクリアしていることが最重要ではないでしょうか。製品販売のマーケティングを行うメーカーなどと違って、技術系企業の場合、機密や知的財産の関係で発信できる情報が制限されてしまうことも多くあります。

デジタルマーケティングはリードを獲得・育成するために魅力的なコンテンツを発信し続けることが必要不可欠となります。デジタルマーケティングに取り組む際は、コンテンツを生み出し続けるためにコンテンツマーケティングを同時に行うことなど、コンテンツを確保するための仕組みを社内で構築する必要があるのではないでしょうか。

実際に動くガンダムを作ろうという注目のプロジェクト

元メカエンジニアの工業製造業系ライターの馬場です。製造業に関連する気になるニュース、製品、技術などを取り上げていきます。今回は実際に動くガンダムを作ろうという注目のプロジェクトと、ロボット技術の発展についてです。

こいつ、動くぞ!子供の頃の夢が実現に近づく。

TVアニメ「機動戦士ガンダム」の最初のシリーズが放送されたのが1979年。40周年を迎える今年は、コラボ企画など、様々な記念イベントが行われています。その様な中、気になるプロジェクトがありました。実物大のガンダムを作って動かしてみようというものです。

ガンダム GLOBAL CHALLENGE。究極の夢、18mの実物大ガンダムを、動かすことに挑戦!

今さら説明するまでもないとは思いますが、機動戦士ガンダムは宇宙を舞台にしたロボットアニメ。モビルスーツと呼ばれるロボット兵器に人が乗り込み、宇宙や地球を舞台に戦います。それまでのロボットアニメでは、正義のヒーローロボットが、悪の侵略者のロボットや怪獣と戦い倒していくというのが当たり前でした。ガンダムでは、どちらが悪とも言えない戦争が軸になっています。兵器であって、量産の消耗品として扱われるロボットや、巻き込まれて戦争に参加しなくてはならなくなった少年、少女の心の葛藤や成長も描き、後に「リアルロボットもの」と呼ばれるようになった作品です。

最初の放送ではあまり人気が出なかったものの、放送終了後に発売されたプラモデルが爆発的に人気となり、何度も再放送され、映画化もされています。1972年生まれの私は正にそのブームに乗っかった世代。子供の頃、模型屋に並んで「ガンプラ」を買い、専用の塗料で色を塗って遊んだものです。10年前の2009年、お台場に実物大の高さ18mの立像が出来た時は、アニメ第1話のタイトル「ガンダム大地に立つ!」が実現したかと感慨深いものがありました。それがいよいよ実際に動く形になるとは。

現在は、夢を実現させるためにプロジェクトチームを結成し、世界中から幅広くアイデアやプランを募集しています。2020年夏には横浜で実際に動く実物大のガンダムが披露される予定だそうです。実現が楽しみです。恐らく、動いた姿を見たガンダムファンは、「こいつ、動くぞ!」と第1話で主人公のアムロ・レイが初めてガンダムのコクピットに入った時に言ったセリフを言うのでしょう。多分、私も言います。

当時のスーパーコンピューターも、今やスマートフォンサイズ

さて、私の年代ぐらいだと、子供の頃に見たガンダムに憧れ、「あんなロボットを自分で作りたい!」なんて思って工学部に進んだ学生はそれなりにいました。そして学んでいくにつれ、あのサイズのロボットは、90年代前半頃の技術では、人のように歩くことは無理。自分で立ち上がる事さえ困難。今は実現不可能ということを知ることになります。

しかし、ホンダが人の形をした自立型の二足歩行ロボットP2を1996年に発表します。歩行速度は時速2km程度でしたが、人のように足を動かして歩く姿に驚愕しました。その後、2000年代に入りASIMOが出てくると、中に人が入っているのかと言われるほど滑らかに歩くようになります。最近では、アメリカのBoston Dynamics社のロボット「Atlas」が歩くだけに留まらず、走ったり、バク転をしたり、障害物を軽々と飛び越えていく映像が公開されています。

Boston Dynamics「Atlas」

蓄電池、関節を動かすサーボ、物を立体的に撮影するステレオカメラ、画像解析、軽く強固な新しい素材、高精度のセンサー。様々な技術が90年と比べ飛躍的に向上しました。なによりも、ロボット全体を制御するコンピューターの性能は当時とは比べ物になりません。スマートフォンの計算能力は、部屋を埋め尽くすような大きさの、当時のスーパーコンピューターの計算能力と同じぐらいあります。リアルなガンダムは、まだかなり遠い先の話かとは思いますが、災害救助や危険な場所での作業を行う2足、4足歩行のロボットというのは、実用化が進みつつあります。

人手不足、技術継承が問題となっている製造業でも、ロボットは救世主になるでしょう。製造業においては、組み立てや溶接、ピッキングを行うアーム型ロボットが数多く導入されています。もう何年かしたら、AIにより自律的に動く2足歩行ロボットが、人間と同じように工場内を歩きまわり、作業をするようになっているかもしれません。そのうち、メモリーに図面を入れておけば、加工機を自分で操作して削り、組み立て、検査までやってくれる。しかも、IoT技術などを使ってデジタル化された熟練工の技術がそのロボットに入力されていて、全く同じように加工が行えるなんてことも、できるようになるかもしれません。

そうなれば、人手不足から人要らずになることも考えられます。ロボットやAIの技術が進歩すれば、消えていく仕事というのは当然出てくると思います。産業革命、IT革命など、テクノロジーが進化すると必ず何らかの仕事が消えます。逆に新しい仕事も発生します。人間もテクノロジーに合わせて仕事の内容や、やり方など、進化・改革していかないといけないでしょう。ガンダムの最初のアニメで、次回予告の最後に言われていたセリフです。君は生き延びることができるか?

中小製造業のための「今さら聞けないIoTって何?」

テクノポートの徳山です。IoTという言葉が世の中に浸透しつつありますが、中には実はあまり理解できていない、、という方もいらっしゃると思います。そんな方のために、IoTについての基礎的な説明から具体事例までご紹介していきます。

IoT(Internet of Things)とは

そもそも言葉の意味が分からないという方もいらっしゃると思うので、概要だけ触れてみたいと思います。

IoTは「モノのインターネット化」と表現され、今まではパソコンやスマートフォンといった機器がインターネットに繋がっていましたが、これからは様々な「モノ」がインターネットに繋がっていくことを意味します。

家電、自動車、工作機械など様々な「モノ」がインターネットと繋がっていくことによって、多くの「便利なこと」が生まれてきます。外から遠隔でエアコンを操作したり、自動車に乗っている時にオススメのレストランをカーナビが教えてくれたり、建設機械が自動的に燃料の残量を教えてくれたり…といった具体です。

しかし、世間で流れているIoT関連のニュースを聞いていても、一般消費者が利用するIoT製品やサービスの話ばかりで、製造業が自社の業務効率改善にどのように結びつければよいかのか分かりづらいと思います。製造業がIoTを活用するためには、まずIoTの基本的な流れを知る必要がありますので、まずはそちらをご説明します。

IoT活用の基本的な流れ

IoTを活用する際の基本的な流れは、下記の通りとなります。

  1. データを取得する(主にセンサ技術)
  2. 収集したデータをクラウドサーバにデータを蓄積する
  3. 蓄積したデータを分析する
  4. 分析したデータをフィードバックする
  5. フィードバックしたデータをもとに次のアクションを起こす

大切なのは問題解決意識を持った上でIoT活用に取り組むことです。データ収集を優先させ意味のないデータを集めたところで問題解決にはつながりません。あくまで、解決したい問題に対し、どのようなデータを収集すればよいかを考えるべきです。

そして、いちばん大事なのは最終的に次のアクションを起こすことです。逆に次のアクションにつながらなければ、データだけ取得しての自己満足となってしまいます(もっと言えば、アクションを起こせても何らかの効果がなければ意味がありません)。

目的と手段を履き違えないように注意しながらIoT活用の構想を練ってみてください。

なぜ近年騒がれるようになってきたのか

少し話は脱線しますが、なぜ近年IoTが騒がれるようになったかというと、上述した「IoT活用の基本的な流れ」を補完する技術が出揃い、普及段階に入ったためです。具体的には下記のような技術が進歩したからと言われています。

  • データを収集するツール(センサ技術など)の発展
  • インターネットやクラウド技術の発展
  • AIなどデータを分析するツールの進化
  • データを収集したり受け取ったりするデバイスが普及(スマホ、タブレットなど)

一昔前だと、IoTを活用するためには莫大なコストが掛かりましたが、技術発展のおかげで安価に導入できるようになりました。そんな背景もあり、最近では行政が中小製造業への支援を積極的に行っており、具体的な活用事例が増えてきました。

中小製造業での活用例

中小製造業への支援が加速

製造業界で大きな問題となっている人材不足問題。その問題解決の一手となるということで、数年前からIoT活用を行政が強く推しています。下記に経済産業省の支援策がまとまっているのでご参照ください。

第四次産業革命に挑戦する中堅・中小製造企業への支援施策

支援施策によると、全国29箇所にスマートものづくり応援隊というものを設置しているので(2018年10月時点)、IoT導入を検討している方は相談してみてはいかがでしょうか。また、IoT活用に関して使える補助金も幅広く「ものづくり補助金」「省エネ補助金」「IT導入補助金」などがあります。

具体的な活用事例

内田染工場 色のデータを蓄積し技術継承へ

職人が暗黙知で行っていた染色作業をデータ化し、社内共有できるようにすることで、作業効率アップにつなげた事例です。

ものづくり補助金を活用し、コンピューターで色を識別して色を自動生成するコンピューターカラーマッチングシステムという機械を導入することで、収集したデータを分析、フィードバック、次のアクションへとつなげることに成功しています。職人でなくても染色作業ができるようになるとういことで、技術伝承にもつながった事例です。職人技をデジタル化するためにIoTを活用するのは非常に意義深い取り組みですね。

オムロン草津事業所 IoTで工具寿命の改善

大手メーカーであるオムロンの事例ですが、中小製造業でも活用できる事例だと思ったの取り上げました。

マシニングセンタでワークを固定する加工用治具に振動センサーを取り付け、そこから取得できる振動データの特徴量を分析し、工具摩耗の予兆をや最適な加工条件を導き出すことに成功した事例です。これにより、工具の摩耗量は20%減で寿命は2倍に、加工時間は40%削減したそうです。データの特徴量を分析することろが難易度が高いところですが、振動センサーなど手に入る道具を組み合わせることで、社内から取得できる情報は色々とありそうです。

日進精機 機械のトラブルを事前に検知

プレス機に音センサーを取り付けて、センサーにプレス音を集音させることで、過去の音とクラウド上で比較することで異常予兆を検知できるという事例です。

約1年間に渡り音を聞き分けるためのデータを取得し続けて、集音の精度を高めたそうです。これにより概ねプレス金型の使用回数を5~10%上げることにつながったとのことです。ちなみにこちらの事例では、制御コンピュータとしてラズベリーパイというツールを使っています。ラズベリーパイは安価で、公開されているソースコードや電子部品などを利用することで簡単にIoTツールを作り出すことができる便利な製品です。詳しくは下記をご覧ください。

Raspberry Pi(ラズベリーパイ)とは?IoT開発ができるラズパイの使い方

自社での活用ノウハウを販売する企業も

自社での活用ノウハウをサービス化し、新規事業として提供を始める中小製造業も増えています。IoT市場は製造業界とIT業界からの新規参入、または両者の共同参入が相次いでおり、その境界がなくなり始めています。

武州工業 自社で開発したシステムを他社へ販売

東京都青梅市でパイプ加工を行っている武州工業は、2016年の早い段階からIoTへの対応を開始しました。受発注や在庫管理のほか、市販の電子機器などを使って工作機械の動作情報などを収集する統合情報管理システムを自社開発し、生産性を約20%向上させました。

2018年5月から、このシステムを「生産性見え太くん」という名称で販売をはじめました。製造業がIT業へ転身した面白い事例として各地のセミナーで紹介されています。

旭鉄工 培ったノウハウを活かし新会社を設立

愛知県碧南市で熱間鍛造などを行っている旭鉄工では、部品生産にかかる時間などをリアルタイムで把握するための新たな仕組みを、光センサーを活用することで構築しました。部品の生産にかかる時間やラインの停止時間といった情報がスマホで分かるようにし、どこに課題があるのかを“見える化”したことで平均でおよそ30%も生産性を向上させ、残業時間も減少しました。

ついには、そのノウハウを活かし「i Smart Technologies株式会社」というIoT製品の販売やコンサルティングを行う会社を立ち上げました。

IT導入補助金でIoT導入を検討してみては

様々な事例をご紹介しましたが、自社での活用法は見出せましたでしょうか?IoT活用のためのツール導入には、IT導入補助金の利用がおすすめです。もうすぐ2019年の受付が開始されますので、挑戦してみてはいかがでしょうか。

昨年より予算は減ってしまいましたが、2019年は補助金の上限額が最大450万円までアップし(補助率1/2)、前回よりも規模感のある投資が可能となりました。当補助金の特長は「申請作業が簡単である」ことです。他の補助金と違い、オンライン上で申請が完了しますし、IT導入支援事業者が手続きを支援してくれます。

IT導入補助金2019に関する詳細は下記Webサイトをご覧ください。情報は随時アップデートされますのでお見逃しなく。

IT導入補助金 2019

行政が推している分野ということもあり、補助金が通る可能性は高いと思います。IT導入支援事業者に認定されている弊社でも相談に乗ることができますので、お気軽にご連絡ください。

見積業務から開放される?!時代は自動見積もりサービス黎明期へ突入

テクノポートの徳山です。製造業の方とお話をしていると「見積り業務は社長の仕事」という方が多いようですが、営業活動に力を入れれば入れるほどその業務量が増え、社長業に割く時間が侵食されているケースをよく見受けます。そのような話を聞くたびに、ITの力により状況が改善されないものかと考えてしまいます。

そこで今回は、最新のIT技術により見積り業務が自動化される可能性について考察していきます。

見積り業務に翻弄される日本の中小製造業

見積り無料という悪しき文化の中で苦しむ製造業者

製造業の方とお話していると見積り業務がかなりの負担になっているという話をよく伺います。詳しく話を聞くと、メーカーや商社などを中心に、挨拶代わりに見積りをお願いされるようで、違う会社から同じ図面が回ってくるようなこともよくあるそうです。

発注者であるメーカーの購買部は常にコストダウンという目標を抱えているため、何とかしてその目標を達成しようと奮闘する訳ですが、中には取り敢えず相見積もりを行い(図面をばら撒き)、安くできる業者を掘り当てる、といった手法を採っている方もいるようです。しかし、そのような行為は発注者が努力せずコストダウンを行うための悪しき習慣だと思います。見積りは無料という文化が根づいてしまった中で、それに受注企業が犠牲になっている縮図は気持ちがいいものではありません。

調達業務にイノベーションが起きていない

製造業には様々な業務がありますが、設計業務はCAD/CAMの普及や3Dデータ化、製造業務は3Dプリンタの登場など、大きなイノベーションが起きています。しかし、上述したような現状を目の当たりにすると、購買・調達業務にはずっとイノベーションが起こっておらず、非効率な状態が続いているように感じます。

調達業務が非効率なために、製造業者は受注できるのかわからない図面に対し、多大な労力と時間を費やして見積りを作成しているのが現状です。

解決するためのアプローチ

解決するアプローチとしては、発注者側が調達業務のやり方を変えるか、製造業者側が見積り業務を極限まで効率化するか、が考えられます。しかし、一企業が努力しても業界の慣習を変えることは難しいでしょう。

そんな中、上記どちらかのアプローチにより、この悪しき慣習を変えるきっかけとなるサービスがいくつか現れてきているのでいくつかご紹介します。

発注者の調達業務を支援する自動見積りサービス

CADDi

キャディ株式会社というベンチャー企業が運営している自動見積りサービスです。Web上で3Dデータをアップするとすぐに見積り金額が算出され、そのまま発注までできてしまうサービスです。

現状は板金加工品だけですが、機械加工品(切削、旋盤、フライス、マシニング等)へのテスト対応をはじめているそうで、既に3,000社を超える企業が利用(同社HPより)しています。昨年12月には10.2億円の資金調達を行い、今年2月に行われた機械要素技術展では巨大な展示ブースを構えサービスのPRを行っていました。いま最も勢いのあるモノづくり系ベンチャー企業といっても過言ではありません。

弊社でも過去に同社を取材しておりますので、詳細はこちらをご覧ください。

meviy(メヴィー)

まだ聞き慣れないこちらのサービスですが、製造業であれば知らない人はいない、あのミスミが運営しています。CADDiと同様、3DデータのアップをWebサイト上で行うことで自動で見積りが算出され、そのまま発注ができるサービスです。こちらも現状は板金加工品や金型部品だけですが、今後切削加工品全般に対応していく予定だそうです。

製造業者の見積り業務を効率化する自動見積りサービス

Kabuku MMS

3Dプリント業界で有名な株式会社カブクという企業が運営するサービスです。

3Dプリント事業におけるワークフロー全体を効率化できるサービスなのですが、その中に見積りの自動化機能がついています。

秀逸なのは、見積り自動化機能を自社のホームページに埋め込むことが可能というところです。これにより、自社ホームページに自動見積りの窓口を設置でき、見積りを行う業務と顧客とのコミュニケーションが一切不要になります。

TerminalQ

株式会社NVTというベンチャー企業が開発したクラウド見積りサービスです。

切削業者向けのサービスで、見積り業務から請求業務までクラウドでの一元管理による効率化を行うことができます。自社工程を初期設定することで、その設定にもとづいた見積りがほぼ自動的に出来上がります。

こちらの会社は、八王子市にある月井精密株式会社という切削加工業者が自社のノウハウを活かし作り上げたサービスです。以前に当メディアの外部ライター・栗原さん(株式会社栗原精機 代表取締役)が記事として取り上げています。

まとめ:今後の展望

自動見積りサービスが普及するためのポイント

AI(人工知能)の発達

今回ご紹介したサービスのほとんどにAIが使われています。現段階では、アップできるデータや使用できる業態に制限があったりしますが、AIが発達することによりその制限が取り払われる可能性があります。

3Dデータの普及

自動見積りで使用できるデータは3Dデータが主流となっていますが、これはAIが金額を自動算出するのに適しているからです。3Dデータが扱える製造業者はまだまだ少ないですが、これが普及すれば自動見積りが使える案件が一気に増えます。

受注側と発注側のITリテラシーの向上

どのような素晴らしいサービスや仕組みが出来上がっても、それを使うユーザのリテラシーが追いつかないとどうしようもありません。ITが苦手と敬遠される方も多いですが、そのようなことを言っていられない時代はすぐそこに来ています。

自動化できない業務に勝機あり?

今後、自動見積りサービスが普及すると、見積りから製造までのプロセスがすべて自動化される可能性が出てきます。そうすると設備さえ揃えれば一連のプロセスを自動化できるようになり、このプロセスにおける付加価値は徐々に失われていきます。最終的には価格だけの競争になってくるでしょう。

価格勝負になるような相見積もりはできるだけ自動化を図り、これからは自動化できない業務に勝機が出てくると思われます。自動化できるような簡単な加工は自動化させてしまい、自動化で対応できないような高い技術力を要する加工や、機械では出来ないVA・VE提案に注力することで付加価値をつける必要が出てきます。

まだまだ未来のことだと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、技術革新のスピードは想像以上に早いものです。来るべき未来に備えて、自社の経営戦略を見直してみてはいかがでしょうか。

中小製造業が抑えるべきデジタルマーケティングの活用手法

ものづくり経革広場の徳山です。今回は最近よく耳にするようになった「デジタルマーケティング」を題材に取り上げます。「Webマーケティングと何が違うのか?」と質問を受けることの多いデジタルマーケティングですが、両者の違いと中小製造業が取組む際の心得を解説させていただきます。

「デジタルマーケティング」と「Webマーケティング」の違い

デジタルマーケティングとは、その名の通りマーケティング活動の一つで、Webマーケティングよりも広い概念です。

Webマーケティングが自社のWebサイトを用いて新規顧客との接点を作ることを目的としたマーケティング活動であるのに対し、デジタルマーケティングはWebサイトも含めたあらゆるデジタルツールを使って顧客と接点を持ち、持続的な関係を築いていく活動です。

Webマーケティングですること

Webマーケティングですることは、Webサイトの戦略を設計する→Webサイトを制作する→アクセス流入を設計する(SEO、リスティング広告、他メディア掲載など)→アクセス分析をし、改善する、といった一連の活動を通じ、新規顧客を獲得することが中心的な活動となります。

デジタルマーケティングですること

上述したWebマーケティングでするような施策に加え、SNSマーケティング、メールマーケティング、展示会や商談会といったリアルマーケティングなども含まれ、デジタル領域とリアル領域ともに顧客と接点を持つための方法が増え、様々な情報を取得することができます。それらの顧客情報をまとめて活用していきましょう、という考えから生まれた概念がデジタルマーケティングです。また、初期段階の接点だけを重要視するのでなく、ITツールを使って持続的な関係を築いていく、ということも重要視しています。両者の違いを図にすると下記のようなイメージになるかと思います。

マーケティングオートメーションとは

デジタルマーケティングと共に普及した言葉として「マーケティングオートメーション」という言葉があります。マーケティングオートメーションの目的は「見込顧客との接点から顧客化するまでの活動を、顧客管理システムなどのツールを使うことで自動化・効率化すること」です。

マーケティングオートメーションは、興味・関心や行動が異なる個別な顧客との個別なコミュニケーションを行うデジタルマーケティングにおいて、その煩雑な業務を自動化するために開発されたツールや仕組みを指しています。

大手企業の場合、リード(見込顧客の情報)を獲得するのはマーケティング部門、獲得した見込顧客を育成するのはインサイドセールス部門、クロージングを行うのは営業部門といった感じで、部門の役割が細かく別れていることがあります。そうすると、情報の共有化や部門間の連携が課題になることが多く、それら煩雑な業務を自動化する手段としてマーケティングオートメーションツールが注目されています。

中小企業にとってみれば、リードの獲得からクロージングまで一部門で担っていることが多いので、言葉の意味だけ抑えていただければ十分かと思います。

BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの実情と活用方法

デジタルマーケティングという言葉の概念が先行していますが、実際に各社が取組んでいる内容を見てみるとWebマーケティングの領域に含まれるものがほとんどのようです。

そんな中で、中小製造業が取組めそうな内容としてどのようなものが考えられるのか、いくつかピックアップしてみました。

活用法① コンテンツマーケティング

Webマーケティングの領域内で語られることの多い「コンテンツマーケティング」ですが、顧客獲得だけを目的としないWebサイトの運用法として敢えてこちらでご紹介したいと思います。アクセス分析や利害関係のないユーザとのコミュニケーションを行うことで、顧客の潜在ニーズの調査・把握を目的に実施します。Webマーケティングでは獲得が難しい潜在顧客と初期段階から関係性を結ぶことで中長期的な顧客へ育てることを目的とします。

活用法② 展示会でのリード獲得からのメールマーケティング

展示会で獲得した名刺に対し、会期後に御礼メールを送って終わってしまっている企業が多いのではないでしょうか。展示会で獲得する名刺のほとんどが見込レベルの低い顧客がほとんどなので、営業マンとしては優先順位がどうしても下がってしまいがちです。見込みレベルの低い顧客でも、会期後に定期的なコミュニケーションを取ることで中長期的に顧客化することが可能です。そのためにメルマガを定期的に送るなど関係性を繋いでおく活動が大切となります。

活用法③ 顧客管理システムの導入

②を実施しようとして営業マンに任せたところで属人的な活動となってしまい、営業マンごとに成果がばらついてしまうのが実情かと思います。②の活動を効率化させていくには顧客管理システムなどのツールを導入し、いかに自動化していくかが重要となります。マーケティングオートメーションという言葉を思い出し、いかに効率化させるかを考えることが活動を永続させるためにも必要かと思います。

個人的にオススメのシステムは、弊社でも利用している 「kintone(キントーン)」です。安価な料金なので中小企業でも導入しやすいですし、簡単な操作設計なので素人でもすぐに使い始めることができます。

デジタルマーケティングには、その他にも色々な施策が含まれます。上記活用法①〜③も含め、中小製造業で取り組めそうな施策を下図にまとめてみましたので、参考にしてみてください。

こうしてみると、まだまだ充分に取り組めていない企業は多いのではないでしょうか。展示会やリスティング広告などを活用していてリードを多く獲得できている企業はいち早く取り組まれたほうが良いと思います。

まとめ

今後IoTの普及とともに、Web以外で顧客接点を持つことができる手段が増えていき、同時にデジタルマーケティング活用の領域も広がっていくと考えられます。また取得できるデータの量や質も変化していき、それらをどう活用するかが企業の競争力に直結するでしょう。

「デジタルマーケティング」が流行り言葉から一般的な言葉になりつつあるのは、今後ますますその重要性が増していくからだと思います。言葉の意味を正確に捉え、今後のマーケティング活動に役立てていきましょう。

弊社ではデジタルマーケティング導入の支援も積極的に行っておりますので、興味のある方は気軽にご相談いただければ幸いです。

製造業の調達分野にイノベーションを起こすキャディ株式会社

ものづくり経革広場の徳山です。先日、製造業の調達分野においてイノベーションを起こそうとしている「キャディ株式会社」という会社様とお話をする機会がありました。

AIやIoTの活用によって、製造業のバリューチェーンの様々な分野でイノベーションが起こっています。しかし、調達という分野においては昔ながらの商習慣が根強く、発注者と加工業者の中継ぎを商社が行っているケースが多いことなど、非効率な状況が続いています。商社が間に入ることで調達業務の負担減に繋がるという利点はありますが、発注者にとっては調達コストが高くなりすぎたり、相見積もりが習慣化することで加工業者は受注できるかどうか分からない仕事に対する見積もり業務が増大したり、という弊害が生じてしまっています。

※同社Webサイトより引用

その効率化することができていない調達分野にAIの技術を持ち込むことによりイノベーションを起こそうとしているキャディ株式会社。今回はそんな興味深い取組みを行っている同社のサービス「CADDi(キャディ)」をご紹介します。

発注者と加工会社を自動見積のテクロノジーでつなげる「CADDi」

「CADDi」は、製作したい製品の3DCADデータさえあれば、人手を介さずWeb上で見積額を算出できる画期的なシステムです。現状は板金加工に特化していますが、2019年以降は機械加工品などにも対応していく予定だそうです。

特注板金加工品の3DCADデータを「CADDi」にアップロードすると、瞬時に見積・納期が表示され、そのまま発注することが可能です。

実際に製品を加工するのは、同社が独自に開拓した板金加工業者ネットワークの中から選び出された最適な一社(もしくは複数社)です。従来の商習慣を変えてしまう取組に対し保守的な会社が多い中で、このような先進的なサービスに賛同してもらえる多くの板金加工業者の協力を得ることができているのも、当サービスの大きな強みと言えるのではないでしょうか。

なお、3DCADデータがない場合でも、2D図面データ(dxf、dwg、pdfなど)があれば、同社スタッフがアナログ対応していただけるそうです。外注先をお探しの方は利用してみてください。

※データのアップロード画面(サービスサイトより引用)

加工業者にとって「CADDi」が一つの選択肢になるように

どうしても発注者側の力が強くなってしまう当業界において、同社は加工業者への配慮も忘れていません。「CADDi」では1社当たりに発注する仕事量を会社全体の売上の最大30%程度に抑えるよう調整しているそうです。もちろん一社当たりの仕事量を増やせば、加工業者への影響力が増大し仕事のコントロールがしやすくなりますが、それは発注者側の論理です。加工業者側にとってキャディの仕事へ依存してしまってはリスクが高いし、力関係が対等でなくなってしまうため、敢えて一社当たりの仕事量の調整を行っているそうです。

発注者だけでなく、加工業者の繁栄も考慮しなくてはビジネスモデルが成り立たなくなる、同社のビジネスモデルは絶妙なバランス感覚が求められるのだと感じました。

見積もり業務から開放され本業に専念できる

加工業者にとって「CADDi」を利用する一番のメリットは、煩雑な見積もり業務から開放されることです。山積みになった図面の見積もりを夜遅くまで行ったことのある社長(営業担当の方)はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。当システムが普及すれば加工業者は見積もり業務から開放され本業に専念できるようになるかも知れません。

現状多くの発注者が「CADDi」を利用し発注量は右肩で上がっていて、協力してくれる加工会社を積極的に探しているそうです。工場のキャパにまだ余裕がある板金加工を行っている方は一度コンタクトを取ってみてはいかがでしょうか(弊社にご連絡いただければ担当者の方をご紹介することも可能です^ ^)。

取材先企業情報

社名:キャディ株式会社
代表者:代表取締役 加藤 勇志郎
資本金:7,500万円(資本準備金含む)
従業員:20名

ビジネスチャットの導入で社内コミュニケーションを高速化する

社内コミュニケーションのスピードUPの重要性

ものづくり経革広場の徳山です。AIやIoTの普及により様々な業界のビジネス環境が激変していくことが考えられる中、以前のブログでも触れたように、社内コミュニケーションのスピードUPがとても重要になってくると考えています。特に新規顧客獲得において、顧客とのレスポンスをスピーディに行うことに直結する社内コミュニケーションの高速化については、最も重要な要素と言っても過言ではないと思います。

スピードUPするために何をするか

社内コミュニケーションのスピードをUPするためにどのような方法が考えられるでしょうか。真っ先に思いつくのが組織の変革かと思います。情報伝達のしやすい組織体制に変えることや、現場へ権限を委譲することなどが挙げられますが、いずれも根付くのに時間がかかりそうです。

そこで、今回オススメしたいのは「ビジネスチャット」の導入です。上述した組織の変革に比べ、お手軽に導入できるし何よりも即効性があると考えているからです。私は普段から様々な中小企業の社長と会話をしていますが、ほとんどの会社がメールを社内コミュニケーションのツールとして使用していると認識しています。しかし、チャットのほうが確実にコミュニケーションのスピードが早くなるので、古い慣習のないIT系の会社やベンチャー企業ではコミュニケーションの方法はメールからチャットへと移行しています。

ビジネスチャットとは

チャットといえばLINEやFacebookのメッセージ機能を思い浮かべればイメージは湧くと思いますが、これらのサービスだとプライベートで利用している方も多いのでビジネスには活用しづらく、社内で使うツールとして取り入れるのは難しいと思われるでしょう。今回オススメしているビジネスチャットは、仕事におけるコミュニケーションに特化したチャットのことで、社員間でメッセージを送ることはもちろん、部門内やプロジェクトチーム内で情報を共有したり、タスクやプロジェクトの管理ができるものまであります。

メールと違い、会話の流れを掴みやすい画面設計になっていたり、過去のメッセージやアップしたファイルなどを検索して見つけやすい、などのメリットがあります。

チャットの方が社内コミュニケーションが早くなる理由

メールに比べ、チャットの方がコミュニケーションが早くなる理由は下記のようなものが挙げられます。

  • メールだと「お世話になっております」などの前置きや、「よろしくお願いいたします」などの後書きを書かなければならない文化が定着しており、送信に時間がかかってしまう。
  • メールだと送信後のメッセージの削除や編集が効かなかったり、宛先を間違うリスクがあるので、送信に慎重になってしまう。
  • チャットだとPCだけでなく、タブレットやモバイルなどからも操作がしやすく、場所を選ばずレスが可能。
  • プライベートでLINEをはじめとしたチャットツールが普及しており、社員の多くが既に操作に慣れていることが多い。

ビジネスチャット導入の流れ

次に、ビジネスチャットをどのような流れで導入していけばよいのかを考えていきます。中途半端に終わってしまわないように自社に合った手順で導入していく必要があります。ここではオススメの手順をご紹介します。

STEP1 社内、部門別に導入

まずは社内にビジネスチャットを定着させるために、小規模な会社であれば社内全体、中〜大規模の会社は部門ごとに使ってみましょう。個人間のメッセージのやり取りと部門内での情報共有を目的に使ってみるとよいでしょう。

ここでのポイントは、中途半端にならないよう強制的に使用させることです。最初のうちはメールの方が慣れているので、使いづらいのは当たり前です。ルールとして、社内でのコミュニケーションにはチャットを使うことを徹底してください。

STEP2 プロジェクトごとに導入

次にプロジェクトごとにグループを作り、本格的に業務でのコミュニケーションをチャットベースで進めていきましょう。STEP1で社員全員がチャットの使い方に慣れていればすんなりと受け入れられることでしょう。

弊社では主要顧客ごとにグループを作ることで、その顧客とのやり取りを社内で共有したり、何か新しいことを始める際にグループを作り、その進捗を共有したり、アイディアをブレストしたり、といった使い方をしています。

STEP3 顧客や取引先を巻き込む

ビジネスチャットでは社外ユーザとのメッセージ送受信や、グループ内に社外ユーザを加えることもできます。顧客や取引先を巻き込んだグループを作成することで、社内と顧客(取引先)間でのコミュニケーションスピードを飛躍的にUPすることができます。

弊社でもご理解いただけるお客様に限りこの方法を行っており、お客様のほとんどがビジネスチャットを使うのは初めてにも関わらず、すぐに慣れてしまいメールは全く使わなくなってしまいます。

ビジネスチャットツールの紹介

ビジネスチャットと一言で言っても様々な会社がサービスを提供しています。具体的にどのようなサービスがあるのか、主要なものを取り上げてご紹介いたします。

弊社で利用しているサービスです。シンプルな操作画面で初心者でもすぐに使いこなせるのが特徴です。タスク機能が便利で、自身が抱えるタスクの忘備録にすることはもちろん、他メンバーにタスクを振ることもできます。無料アカウントで利用できますので、まずはアカウント登録して使い始めてみることをオススメします。

最近TVCMでも宣伝を始めたサービスです。プロジェクト管理機能に優れているので、システム開発を行っているようなIT系の会社を中心に利用者が多いサービスです。聞いた話ではコマ大戦の実行委員の皆さまがSlackを使って会を運営しているそうです。

皆様ご存知「LINE」のビジネス版です。LINEでお馴染みの未読・既読がひと目で分かるので、開封したか(目を通したかどうか)がすぐに分かります。社員の方が操作に慣れている可能性が高く社内に浸透しやすい、というメリットがあるかと思います。

補足:スピードUP以外のメリットも

弊社ではビジネスチャットを導入して7年近くになりますが、導入成果として社内でのコミュニケーションが早くなり、仕事の進行スピードが上がったことはもちろんのこと、会議よりも個々の意見が出やすくなったり、タスク管理で仕事の効率が上がったり、など様々なメリットを享受することができました。

ご紹介したサービスごとに料金体系は異なるものの、いずれも投資金額としては大したものではありません。費用対効果は間違いなく得られるツールだと思いますので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

コンテンツマーケティングを始める時に気をつけたいこと

こんにちは。ものづくり経革広場の渡部です。このメディアでも何回か取り上げていますが、近年コンテンツマーケティングという言葉と手法がよく使われるようになってきました。ただ、言葉が独り歩きして、誤解している人も多いのではないかと思いますので、再度背景や、定義について確認したいと思います。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングに関しては、Content Marketing Instituteサイトに下記の様に定義されています。

Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.

コンテンツマーケティングは価値があり、目的との関連性が高く、一貫性を持ったコンテンツの作成と配信に重点を置いたマーケティング手法であり、明確に定義された視聴者を引き付けて保持し、最終的には収益性の高い顧客行動を促します。

※引用 https://contentmarketinginstitute.com/what-is-content-marketing/

わかったようなわからないような文面ですが、要するに「ターゲットユーザーにとって価値のあるコンテンツを作成、配信して、自社へ引き付けるマーケティング手法」という風に捉えて頂けたらと思います。

コンテンツマーケティング≠オウンドメディア

実は意外と勘違いされている方も多いのではないでしょうか?実は私も最近まで混同していました。コンテンツマーケティングをする上で、自社サイトとは別のオウンドメディアを作ることが多いだけで、必ずしもイコールの関係ではありません。コンテンツマーケティングがマーケティングの「手法」であるのに対し、その「手段」としてオウンドメディアがあるという関係です。

上記の定義から言えば、目的もよくわからずただ情報を垂れ流すオウンドメディアや、アクセスを集めて広告収入を得るようなまとめサイトはコンテンツマーケティングとは言いません。

広告の時代からコンテンツマーケティングの時代へ

ユーザーにコンテンツを配信して、自社に引き付けるのであれば、TVCMや新聞、雑誌などの広告とも混同しそうですが、最も違う点は「ユーザーにとって価値がある」という点です。企業側から発信される広告がユーザーにとって価値がないという訳ではありませんが、広告の効果がこの10年で効果は大幅に低下しているのは事実です。

理由は主に下記の3つです。

1、デジタルメディア(PCやスマホ)の普及

特に若年層では顕著で、TVや新聞よりもPCやスマホで情報収集をする事が増えています。同じような広告を出したとしても以前よりも多くの人の目に触れなくなりました。

2、マスコミの信用力の低下

これはここ数年の話で、あまり多くは語りませんが、メディアそのものの信用力の低下も要因の一つと思います。

3、SNSの浸透

皆さんも少なくとも一つはSNSのアカウントを持っているのではないでしょうか?SNSが広く一般に普及したことで、生活者同士の情報の共有する様になり、作られた情報は価値を失いました。企業がわでいわゆる「作られた情報」にはリアルさがないと消費者が気づき始めているからです。

コンテンツマーケティングによって実現できる効果

ではコンテンツマーケティングで実現できる効果とは何でしょうか?いろいろな波及効果も期待できますが、具体的には下記の様な効果が考えられます。

  • 新しい気持ち、欲求を芽生えさせる
  • ブランドや商品の価値、メッセージに気づいてもらう
  • ブランドや商品への興味、期待を高める
  • 購買欲求の喚起/購入前の納得感を高める
  • 購入後の満足感を高める
  • ファンとの関係を深める

目的によって、戦略の立て方がガラッと変わりますが、単に広告を出して知名度や購入を促すといった効果以外にも効果を期待できることがポイントです。

コンテンツマーケティングを始める前に

そのような効果が期待できるのであれば自社でも始めてみようと思ったそこのあなた。ちょっとストップです。まずは始める前に下記4つの質問を自問してみてください。

1、実現したい目的は何なのか??

コンテンツマーケティングを始める上で果たしたい目的は何ですか?ここがぶれてしまうと、発信していくコンテンツのネタが切れてしまうだけではなく、運営がただただ重荷になっていくだけです。

2、今やっていることだけでは実現できないのか(代替ではなく)??

現状やっている他のマーケティング手法だけでは実現できないことなのか考えてみてください。重要なのは単純に既存施策と比較するのではなく、プラスオンする気持ちで考えてください。

3、続けていけるだけの規模、可能性はあるか??

始めたとして、継続していくだけ機会規模が充分かどうかやターゲットのニーズがあるかどうか、時間や資金を投じるだけの価値があるのかどうかです。

4、自社で想定されるリスクはクリアできるか??

具体的には、継続していくだけの人員や、費用の面で確保できる資源はありますでしょうか?また、社内規定などで実際は発信できなかったとはならないでしょうか?

スモールスタートといって「とりあえず」始める事はしない

スモールスタートだからといって「何となく」「とりあえず」始めるのは危険なので避けてください。労力の無駄になる可能性が高いです。どんなに小さくスタートするとしても上記を一旦戦略に落とし込んだ上で、戦略のゴールに向かってPDCAを回していくことが大前提となります。戦略の立て方や評価の仕方についてはまた別の機会にお話できたらと思います。

まだ間に合う!! IT導入補助金を活用したITツールの導入(3次募集中!!)

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツール(ソフトウェア、クラウド利用費、導入関連経費等)を導入する経費の一部を補助するものです。導入企業の中小企業・小規模事業者等の生産性の向上を図ることを目的としています。IT導入補助金は昨年から始まりましたが、今年は昨年の100億円から予算が大幅に増え、500億円の予算となっています。現在3次募集がスタートしたところですが、まだまだ予算も多く残っているようで、補助金の獲得は十分に期待できます。弊社でも9割を超えるお客様が採択されました。

3次募集要項

  • 補助額 : 1/2以内(上限50万円)
  • 対象 : 従業員数300名以下の中小製造業者
  • 募集期間:2018年9月12日(水) 〜 2018年11月19日(月)

※3次公募は、2週間毎に審査を行い、複数回採択となっております。

補助金対象

  • 社内外HP作成費、1年間のWebサーバー利用料(既存HP更新、改修は対象外)
  • 契約記載の運用開始日から1年分の問合せ&サポート保守費用
  • パッケージソフトの本体価格
  • クラウドサービスの導入・初期費用
  • クラウドサービスにおける契約記載の運用開始(導入)から1年分のサービス利用料・ライセンス・アカウント料金 パッケージソフトのインストールに関する費用
  • ミドルウェアのインストール費用
  • 動作確認費用、ITツール導入に伴う教育・操作指導・事業計画に関わるコンサル費(※関連会社、取引会社への説明会費用などは対象外)

補助金の対象になるかどうかは、導入を検討しているサービスを取り扱う業者がIT導入補助事業社であり、そのサービスがIT導入支援ツールに登録されていることが条件になります。

よく頂くご質問

申請の手間は?

できる限り申請を簡略化する方向性のようです。理由としては50万円の補助金をとるために手間がかかるなら申請をする方が減ってしまいます。また、一社あたりの補助最大額50万円で予算500億円を消費するとなると、10万社に行き渡る計算です。審査する側も大変な労力がかかります。そのために補助支援事業者を立て、申請代行を行う形式とし、さらに書類は郵送ではなくWeb上で申請まで完結する仕組みを採っています。弊社でも申請代行を行っていますが、慣れてしまえば非常に簡単に申請代行できました。

採択される確率は?

相当高い確率での採択が期待できます。弊社でも9割以上で採択されており、ほぼ通ると考えていただいても良いぐらいです。ちなみに、3次募集の期限は11/19までとなっています。1次2次は全体の締め切りを待って採択結果を出していました。しかし、3次は2週間毎に審査を行います。全体を見てその中から採択するというやり方ではなく、条件さえ満たしていれば通るということではないでしょうか?(※あくまで個人的な推測ですが)

採択されなかったらどうなるの?

この質問の意図は通らなくても契約しなければいけないのか?ということだと思いますが、規約上、採択されてから契約したものでないと補助金は出ず、採択前に契約したものは無効です。そのため、通らなくても契約しなければいけないわけではありません。通ればやるという心構えで大丈夫です。また、採択されなかった際に、補助金無しでも導入したいのか、来年度に再度チャレンジを検討すればよいかと思います。

何からスタートすれば

前述の通り、自社で申請スタートすることができません。サービス提供することができるIT導入補助事業者を選定し、補助事業者から招待メールを受け取るところからスタートします。

準備が必要なもの

直近3期前までの下記の赤丸部分の数値が必要となります。2期とありますが正確には3期分必要でした。その他、履歴事項全部証明書は場合によって必要になることがあります。それさえご準備いただければ、特に印鑑等も必要なくWeb上で申請まで進めることができます。

申請の手間がそこまでかからず、非常に採択率の高い補助金ですので、ITツールの利用(HPのリニューアルなど)を検討の際はぜひ活用していただければと思います。

シェアリングエコノミーが自動車業界に与える影響

シェアリングエコノミーの影響を大きく受ける自動車業界

シェアリングエコノミーの普及により、最も大きな影響を受けるのが自動車業界と言われています。このブログを読んでいる方の中で自動車業界の仕事に携わっている方も多くいらっしゃると思います。

そこで、今回のブログでは自動車業界におけるシェアリングエコノミーの一般知識から、現状どのような動きが起こっていて、将来的にどのような変化が起こり得るのかについて書いていきます。

自動車業界におけるシェアリングエコノミーの一般知識

自動車業界のシェアリングサービスと言えば、Uberなどの相乗りサービスや、タイムズなどの車を借りることのできるサービスが代表的かと思います。これらのサービスは総称してモビリティサービスと呼ばれ、カーシェアとライドシェアの2種類に分けられます。

市場がどれくらい成長しているかというと、カーシェアで言えば2010年に1万人強だった会員数は2017年に初めて100万人を突破(公益財団法人交通エコロジーモビリティ財団)するなど、成長性は非常に高いです。

※公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団調べ

具体的にどのようなサービスがあるか

タイムズカーシェア

法人対個人におけるカーシェアの分野ではタイムズカーシェアがダントツで利用者数が高いサービスです。法人版サービスでは運転者の利用状況だけでなく従業員の運転傾向なども分かりとても便利です。弊社でも数年前に社有車をすべて売却し、カーシェアに切替えたことで大きなコストダウンを図ることができました。

Anyca

個人対個人におけるカーシェアの分野ではDeNAが運営するAnycaが、特に都心部で伸びています。弊社社員もオーナー側で利用していますが、外車でMT車という特殊な車種にもかかわらず、月の駐車場代ぐらいはペイできるそうです。

Uber

ライドシェアは世界的にはUberが有名ですが、日本での利用者は少ない状況です。日本では、自家用車を用いるライドシェアは「白タク行為」として禁止されており、交通不便な過疎地域等でしか認められていません。海外では都心部での利用が中心となるため、この規制が緩和されない限り日本での利用促進はないでしょう。しかし、日本の都心部では流しのタクシーがそこらじゅうを走っていますから、規制が緩和されても利用者は海外ほど伸びないのでは、とも言われています。

自動車メーカーの取組み

このような流れに最も影響を受ける自動車メーカー各社も黙っているわけではありません。国内外のメーカーの動向、更には新規参入企業がどのような動きを行っているかを紹介していきます。

国内外メーカー カーシェア事業の取組み

日本や欧米の自動車メーカー各社もカーシェアおよびライドシェアの分野へ参入を行っています。下記のように欧米のメーカーは積極的に取り組んでおり、関連サービスも手掛けている企業が少なくありません。

※出典:三井住友銀行レポート「自動車シェアリングの動向」

日本では、トヨタ、ホンダ、日産がカーシェア事業に取り組んでいますが、市場のほとんどはレンタカー事業を行っていたタイムズやオリックスといった会社に席巻されている状況です。

ライドシェアは新規参入企業が増加

ライドシェアに関しては自動車メーカーだけでなくIT企業を中心に様々な企業が出資や参入を行っています。ライドシェアの分野では、サービス事業者が自動車を保有する必要がありませんから参入障壁が低く、激戦市場になることが考えられます。既に自動車メーカーだけでなく、下記のような様々な企業が参入しています。

※出典:三井住友銀行レポート「自動車シェアリングの動向」

自動車業界への影響

上述したようにシェアリングサービスの成長率は高く、徐々に自動車業界に与える影響は大きくなると考えられます。具体的に自動車業界にどのような影響があるのかを考えます。

普及のポイントは「乗り捨て」が出来るようになるか

日本ではまだレンタカーと同じように、借りる場所と返す場所が同じ「ラウンドトリップ方式」が主流ですが、乗り捨て(ワンウェイ方式と呼びます)が出来るようになれば爆発的普及となるのではないかと考えています。

ワンウェイ方式が可能になれば、通勤や営業時の移動などでちょい乗りする、という需要を拾えるようになりますし、帰省時に使えるようになったりと、利用用途が一気に広がります。

GMが乗捨サービスを開始(Maven(メイブン))

GMが運営しているカーシェアサービス「Maven」は、世界でも珍しい乗り捨ても可能なサービスです。
参考:スマホで解錠・返却可能なGMのスマートカーシェアリングサービス「Maven」が目指す未来とは?(by Gigazine)

Times Car PLUS × Ha:mo

日本では都内でワンウェイ方式のカーシェアができないか、カーシェア業界最大手のタイムズが実験的にスタートしています。ワンウェイ方式では通勤や営業時の移動などが中心となるため、「Ha:mo(ハーモ)」という一人乗りの自動車を開発し普及を目指しているようです。

自動車業界にどのような影響があるのか

カーシェアの利用者が増えると、自動車の生産台数が減るのではないかと思われるかもしれませんが、地方での自動車保有者は減らないと予想されるのと、都心部でも自動車未保有者の自動車利用率が向上することから全体の生産台数は減らないのではないかと言われています。

ただ、自動車業界にとって新規参入業者が増え業界全体の再編が行われることは避けられないと思われ、下記のような変化が起こるのではないかと思います。

  • 自動車メーカーの中心顧客が個人ではなくカーシェア事業者へ変化
  • 乗り捨て専用の自動車、電気小型自動車が多く登場する
  • 自動車を製造するのが自動車メーカーだけとは限らない(IT業者の参入)
  • 電気自動車(=家電に近い)製造における異業種サプライヤーとの競争
  • 異業種からの新規参入者に対しては、自動車製造のノウハウを持っているサプライヤー側が主導権を握れる可能性が高まる

変化に対する準備と心構え

ものづくり経革広場の読者の中には自動車業界に携わるサプライヤー企業の方が多くいらっしゃると思います。サプライヤー企業はこの変化に対し、どのような準備を行い、どのような心構えを持つべきなのでしょうか。

個人的な考えとしては、様々なプレイヤーが参入し業界のルールが大きく崩れる中で大きな強みとなるのが「スピード」だと思います。変化の激しい業界の中で常に勝者となるのはスピードの早い企業です。そういった企業との取引にいかについていけるかが鍵になるのではないでしょうか。

日本のサプライヤー企業は中国に比べスピード感に劣ると言われています。しかし、これからの時代でそれは命取りになるかも知れません。下記は以前にもご紹介した4コマ漫画ですが、これが笑い事にならない時代になるかも知れませんので、今から心して準備する必要があるかも知れません。

※出典:カデーニャファクトリー

製造業×シェアリングエコノミーの可能性

製造業におけるシェアリングエコノミー普及の可能性

UberやAirbnbなど、シェアリングサービスが爆発的に普及しています。現状では消費者間をマッチングするサービスがほとんどですが、今後は会社間のマッチングを支援するプラットフォームが増えていきそうです。これまでの動向を見ていると、資産価値が高く使用頻度が少ないものがシェアリングエコノミーに巻き込まれる傾向が見受けられます。その傾向から考えると、今後は製造業の設備なども当てはまるかも知れません。

今回のブログでは、今後の製造業におけるシェアリングエコノミーの可能性について探っていきます。

可能性① 製造業でもエンドユーザ同士が結びつく

1つ目の可能性は、製造業でもUberやAirbnbのようにエンドユーザ同士が結びつくサービスが普及する可能性です。具体的には自社の設備や人員を会社間でシェアできるようになる、といったイメージです。

しかし、普及における大きな課題として、各工場が抱える機密情報により工場内に外部の人間が入ることが許されない場合が多いことが挙げられます。シェア用に設備スペースを設けるなどすればよいかも知れませんが、そこまで設備投資を行うほど市場が出来上がっていないのでリスクが大きいのが実情かと思います。

この分野に関しては、新サービスが少しずつ増えていますで後ほどご紹介いたします。

可能性② 工作機械メーカーがシェアリングサービスを始める

カーシェアの分野では、Anycaのようにエンドユーザ同士のカーシェアを支援するプラットフォームもあれば、タイムズのように事業者が所有する車をエンドユーザにシェアする形のサービスもあります。

可能性①で記載した普及のための課題をクリアできない場合、タイムズのように事業者がエンドユーザへサービスを提供する形のほうが製造業では普及しやすいのかも知れません。例えば、工作機械メーカーがシェアリングサービスを始め、各地にシェア工場を開設し時間貸しで機械を利用できるようにする、といった感じです。

これは工作機械メーカーのビジネスモデルが大きく変わるので、業績が堅調なうちは動きがないかも知れません。しかし、あらゆる産業におけるビジネスがストックモデルを目指し始めている背景からも、工作機械メーカーや新規参入者が当サービスを始める可能性は十分に考えられます。

可能性③ オンライン完結でものづくりができるサービス

3Dプリントの分野に特化し、世界各地の工場設備の生産力をシェアしてもらえるサービスを提供しているカブクといった企業がいます。ものづくりを仲介するという意味では従来の商社とやっていることは似ていますが、オンラインでものづくりの発注業務を完結できるように仕組化していることが全く違うところです。

オンライン化により受注業務に人が介在しないことで圧倒的に安くできます。また、オンラインで工場をつなぐことで、空いている工場を探す時間が不要になり圧倒的に早くサービスを提供することが可能になります。IoTやロボティクスが普及する中で、空いている工場の生産力をまとめ(シェアしてもらい)、生産工程の一部をオンライン化することで付加価値を見出すようなサービスは今後増えていきそうです。

製造業向けシェアリングサービスが増え始めている

ここ最近、最もハードルが高いと考えられている可能性①の分野において新規参入業者が増え始めています。どのプラットフォームもまだ参加ユーザは少ないですが、今後の動向に注視していきたいものばかりです。

シェアリングファクトリー(日本特殊陶業株式会社)

工場間で加工設備などをシェアリングできるサービスです。四輪・二輪車向けエンジン点火プラグと排ガスセンサーを扱う日本特殊陶業が新規事業として始めました。

ものづくり補助金などで設備投資を行う機会は増えたが、高機能すぎて使う機会がなかったり、操作できる人員がいなかったり、稼働率がなかなか上がらないという悩みはよく聞くので、そういった悩みを抱える企業の参加者が増えるかも知れません。

エクイップ(Anyble株式会社)

計測器・測定器に特化したシェアリングサービスです。計測器・測定器などを地方自治体が運営する施設でレンタルすることは多いと思いますが、そのような貸し借りを誰でも活用できるようにするプラットフォームです。

製造業では普及に時間がかかる?

様々な可能性について言及してきましたが、製造業のシェアリングエコノミー普及については、各工場が抱える機密情報がクリアできるかどうかが最大の課題となり、数年での普及は難しいと考えられます。

エンドユーザ同士が直接取引できるプラットフォームができたとしても、課題がクリアできない場合は、メルカリのように設備の売買をエンドユーザ同士で直接行うサービスが限界なのかも知れません。

いずれにせよ、製造業においてこの分野は大きな変化をもたらす可能性は非常に高いので、引き続き動向を追っていきたいと思います。

ホームページを使って量産品製造の問い合わせを増やす方法

こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。

かつては国内にあった多くの量産品は中国に流れてしまい、国内での受注は特に難しくなってきています。しかし、最近では品質などの問題で中国からの出戻りがあったり、工場が近い国内で作る流れが戻りつつあります。もちろん、量産品に求められるものはコストダウンがメインで薄利多売な仕事となりますが、それでも量産品は安定した受注を見込めるため、魅力的な仕事です。今回はホームページを使って「どのようにして量産品を受注できるか?」について、大手メーカーをターゲットとした場合の一例をまとめました。

1.発注者が製造先を探す理由は何か?

まずは、発注者がどのような理由で製造先を探しているのかについて知る必要があります。 メーカーは既存の製造先を持っているため、新たに量産品の製造先を探す場合は何かしらの理由(ニーズ)が必ずあります。

  • コストダウン:最も大きな理由です。
  • 生産キャパオーバー:既存工場で対応できる量を超えたため、一時的もしくは長期的に助けてくれるとこを求めています。
  • 天災による製造停止:地震や大雨などで、既存工場が可動できなくなったため、一時的な協力を要請したいと考えている。納期優先。
  • 技術的に製造できない:新規部品のため、既存工場の技術力で対応ができない場合です。
  • 品質不良:既存工場の品質が明らかに低く、改善の余地がない場合の転注先を探している場合です。
  • 複数社購買によるリスクヘッジ:これまで1社供給だったものをリスクヘッジのために供給先を増やしておこうという場合です。

ホームページで量産品の受注を狙うには、これらのニーズを満たすための情報を提供することが大切になります。

2.製造先の選定条件

次に、製造先を探す際の選定条件です。先程の理由に追加して、メーカーごとに独自基準を設けているケースがあります。大手メーカーになればなるほど基準は厳しくなりますが、下記に該当する項目があればすべてホームページに掲載してください。

製造技術

当たり前ですが、最も大切なことは図面通りに作れることです。これは試作品ではなく、量産品の製造ラインで作れることが求められます。量産品になると寸法のバラツキが発生するため、如何にバラツキの少ない方法で製造できるかが求められます。

→製品事例(製品写真、寸法、寸法公差、幾何公差など)

生産能力

所定のロットを製造できることは当たり前ですが、今後の生産増加の可能性も含めて、キャパに余裕のあるところを探しています。また、長期的(年単位)に見たときに、生産能力を維持できるのかどうかも注意しています。

→製品事例+月産対応可能個数、生産設備

品質管理

不具合品があると大本の生産ラインが止まる可能性があるため、製造側の製品バラツキの管理方法がきちんとしていることが第一条件になります。また、不具合品が市場に流れた場合、製造工程まで追えることが求められるケースもあります。

そのため、製造側はある製品が「いつ、どのラインで、どのようにして」加工されたかを管理する必要があります。

→品質管理の取り組み、測定設備

生産拠点

東日本大震災で東日本の製造ラインが止まったことから、「複数の拠点を持っていること」を新規取引条件として加えたところもあります。

→拠点ごとの生産体制

コスト

コストは安いことが求められますし、年々値下げ要求が必ず入ります。コストダウンはそのまま利益ダウンに直結しますが、VA・VE提案をしてくことでコストを抑える努力をしていく必要があります。

→VA・VE提案の実績

実績

生産設備、品質管理、製造技術を聞いても新規取引に不安のあるところは「実績」を重視します。

3.メーカーの担当者のメリットとなる情報を掲載

ホームページには、できる限りの情報を出して「量産品を作る能力がある」ことをアピールしてください。2の内容について、該当する部分をそのままアピールしていただいても大丈夫です。量産品の場合、製造先の選定はメーカーの購買が調べるケースがほとんどです。そのため、その購買が最も気にしている内容(自分の評価が上がるポイント)である、コストと安定供給について詳しく記載しておくと、購買の心を掴めます。

また、製造の可否の判定については、設計、生産管理、品質管理部門がメインになってきます。それぞれが気にするポイントは、

  • 設計:期日までに試作品を完成させることとコスト。
  • 生産管理:安定供給とコスト。
  • 品質管理:安定供給とコスト。

となります。量産品の場合、どうしても「コスト」が優先事項にあがりますので、コストを抑える提案や初期の段階で少し高めにもらえる交渉などは必須になります。

まとめ

量産品の新規受注は難しい状況ではありますが、ホームページを使って問い合わせを増やすことは可能です。具体的には、「量産品を作る能力がある」ことをアピールした上で

  • コストが安い
  • 品質管理が徹底している
  • 製造技術力が高い
  • 製品バラツキが少ない
  • 生産能力が高い

など特徴を出すことが求められます。

今回は大手メーカーの考えを中心にしましたが、生産個数が少なくなるとまた別の必要条件が出てきます。ホームページでは貴社がほしい仕事内容に対して、適切な情報掲載が求められます。テクノポートでは製造業のマーケティングのお手伝いもしていますので、いつでもご相談ください。

自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する

テクノポートの徳山です。ここ数年、比較的規模の大きいメーカーさんから「自社技術の用途をもっと多方面へ展開していきたいのだがWebマーケティングの力で何かできないか」といったご相談をいただくようになりました。

多くの分野で市場が飽和し、長年使われてきた技術も今までとは違う活用法を見出して行かなければ更なる成長が見込めなくなってきているようです。今回はWebマーケティングの活用によって自社技術の用途開発を行う際の考え方について解説します。

新しいマーケットを切り拓く手段となる「自社技術の用途開発」

用途開発に対する要望が高まっている背景としては、主力としている市場が成熟化し、競合企業が溢れかえるようになったことで、利益の稼ぎにくい市場になってしまっている、ということが挙げられます。

メーカーの戦略としては、既存のマーケット向けに新技術を開発し競合企業との差別化を図る方法もありますが、新技術の開発にコストがかかったり、そもそもマーケット自体が縮小している場合、顧客サイドのニーズがコストダウンに偏ってしまっている場合などもあり、マーケット自体の将来性に見切りをつけることが必要な場合もあります。

そこで自社の技術を別業界(分野)へ積極的に展開し別の用途として使ってもらう「用途開発」を行うことで、新しいマーケットを切り拓いていくことが必要になってきています。

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そして、その「用途開発」を行う手法としてWebマーケティングが大いに活用できるのです。

技術の用途開発とオープンイノベーション

「オープンイノベーション」という言葉をよく耳にするようになりましたが、技術の用途開発を行うための手段の一つとして考えていただいて良いかと思います。今までは技術の用途開発を行う場合は、自社技術だけでは不足してしまう一欠片の技術を外部から調達するといった「インバウンド型」が中心で、その活動は情報をオープンにせず、自社もしくは技術仲介業者などを使って水面下で行われることがほとんどでした。

インバウンド型の場合、課題と解決手段が明確な場合が多く、製品開発に必要な技術を見つけるという目的を達成できる可能性が高いものの、大きなイノベーションには繋がらないことが多いのが特徴でした。しかし、アウトバウンド型の場合は、不特定多数に問いかけることで思いもよらぬ分野の人や企業からの提案を集めることができ、結果として大きなイノベーションに繋がる可能性を秘めているのが特徴です。

Webマーケティングで用途開発を行うということは、不特定多数に自社技術の新たな使い道を問う方法であり、アウトバウンド型となります。よって、Webマーケティングによる技術の用途開発はオープンイノベーションの一手法といっても過言ではないかと思います。

Webマーケティングで用途開発するために考えるべきポイント

Webマーケティングで用途開発を行う場合、ターゲットが不明確な場合が多いので、戦略的に進めないと情報を外部へ公開しただけで何の結果をもたらさない、という最悪な状況を招く場合があります。そうならないために下記のポイントを考慮しながら進める必要があります。

どのような情報を掲載すれば相手に見つけてもらえるか

Webサイトなので当然まずは見てもらえないと何の意味もありません。見てもらうためには検索エンジンでどのようなキーワードで検索した時にWebサイトが上位表示されるかを考えなければなりません。技術に詳しい人、詳しくない人関らず様々な技術者に技術を知ってもらうためには、その技術を様々な切り口から検索されるようにする必要があります。

技術に詳しい人であれば具体的な技術名や、その技術が使われている業界や製品(部材)名でキーワード検索するでしょうし、技術に詳しくない人であれば自身が抱えている技術課題や解決するための機能といったキーワードで検索するでしょう。

自社の技術を様々な分野の技術者に見つけてもらうためにはどのようなキーワードが考えられるのか、社内でブレストしてキーワード候補を広げてみてください。

どのような情報を与えればユーザに思いついてもらえるか

Webサイトを見てもらってもユーザに技術の内容を理解してもらえなかったり、理解したとしてもユーザに活用法を見出してもらえないと意味がありません。

よく小学生にも分かるように説明できているコンテンツが優れている、と言われますが、理解するのが難しい技術を説明する場合は、尚更分かりやすく伝わるようにすることを意識する必要があるでしょう。

ここでは噛み砕いて技術を分かりやすく伝える、という特別なスキルが必要になります。テキストだけでなく動画やイラストなどを使うことも一手です。

どのような方法で用途開発アイディアを取得するか

最後のポイントとしては、どのような方法で用途開発アイディアを得るのかです。具体的な活用法を見出したユーザからの問合せを待っても良いのですが、それには少し時間がかかる場合もあるので、ここではWebの特色を活かすことが必要です。

アクセスデータを分析することで用途仮説を導き出したり、技術資料のダウンロード時に簡易的なアンケートを取得するなど、情報を取得するためのハードルを下げる工夫が必要となります。

Webマーケティングで用途開発を実現するための手順

最後に、用途開発をWebマーケティングという手段で進めるためには何をすればよいか手順をご説明します。

1、技術の棚卸しを行う

自社が持つ技術を棚卸し、どの業界で使われているか、機能はどのようなものか、どのような技術課題を解決できるかといったことを洗い出します。

2、技術を翻訳(分かりやすいコンテンツに変える)する

その技術がどのように呼ばれているか(業界によって違う場合があるので)、どのような機能を持ち、どのような技術課題を解決できるのかを分かりやすく文章、イラスト、動画などのコンテンツを活用し解説します。

3、Webサイトにて情報発信する

2で作成したものを含め、下記のようなコンテンツとしてWebサイト上に公開します。

  • 技術説明資料(公開しづらい情報はダウンロード資料にする)
  • 活用事例
  • 技術コラム
  • 技術用語解説

4、効果検証する

アクセスデータ、問合せの内容、アンケートなどから用途仮説を立て技術を用途展開します。

  • 問い合わせフォームの設置
  • アクセスデータの分析
  • 資料ダウンロードをネタにアンケートを取得

以上、技術の用途開発にお困りの方に少しでも役に立つ情報が提供できていれば幸いです。ぜひWebマーケティングの活用によって貴社技術の可能性を拡げてみてください。

ECサイト構築の方法とそのメリット・デメリット

こんにちは。ものづくり経革広場の渡部です。ホームページ制作の相談を受ける際、

「自社の製品を販売していきたいからECサイトができないか?」

と相談を受けることがあります。皆さんも自社製品を作ると同時にそのようなことを考えたこともあるのではないでしょうか?本日はECサイト構築の方法とそのメリット、デメリットについて考えてみたいと思います。

ECサイト構築の方法

まず構築の方法ですが、大きく分けて下記の3つがあります。

  1. 自社サイトにEC機能を付ける
  2. ECサイトを別途制作する
  3. EC機能のついたショッピングモールに出店する

それぞれのついてメリットとデメリットを見てきましょう。

自社サイトにEC機能を付ける

自社のサイトにそのままECの機能を追加する方法です。弊社でお手伝いをさせて頂いた例だと下記のサイトになります。

株式会社デジタルファクトリー(https://dfc-3d.com/

この構築の方法の最大のメリットは、SEO対策から集客したユーザーを、そのまま購入というアクションまでスムーズに誘導出来る事です。それも併せ下記の様なメリットとデメリットがあります。

【メリット】

  • 自社のサイトに訪問してきた人をスムーズにECに誘導できる
  • 運用コストが安い

【デメリット】

  • EC機能の構築や自社サイトのSSL化などで初期コスト、工数がかかる
  • 自社のサーバーの状況次第では対応できず、サーバーを引っ越す必要がある

ECサイトを別途制作する

自社サイトとは別に、別ドメイン、サブドメイン等でECサイトを丸ごと制作する方法です。やり方としては、

  1. 全く新しくゼロからECサイトをオリジナルで作る
  2. ECサイト制作サービスを活用してECサイトを制作する

の2つがあります。1の方法に関して、自社サイトに付ければいいという考え方もありますが、自社の事業内容と全く違うものを販売する場合、別サイトを作った方が良いこともあります。

ECサイト制作サービスは今では多数ありますが、「BASE」というサービスが無料でECサイトを制作できるサービスとして台頭してきています。(https://thebase.in/

BASEはサイト構築費や月額利用料がすべて無料で、商品が売れた時や、お金を引き出す段階で料金が発生するシステムなので、気軽に始めてみてはいかがでしょうか?以前に取材させて頂いた株式会社日翔工業さんのグラスや、有限会社相和シボリ工業さんの漆タンブラーなどはこちらのBASEで販売サイトが制作されています。

株式会社日翔工業(PROGRESS)http://sunfly.shopselect.net/

有限会社相和シボリ工業(漆タンブラー)https://kintai.thebase.in/

【メリット】

  • 自社の事業と関係のない製品でも問題なく販売できる
  • ECサイト構築のサービスを活用する場合、テンプレが豊富に用意されているものもあり、素人でも制作が可能

【デメリット】

  • あくまでも自社サイトとは別になるので管理が大変
  • サービスを活用しない場合、通常のサイトを作るよりも工数、コストがかかる

EC機能のついたネットのショッピングモールに出店する

有名なところでいうと「Amazon」や「楽天市場」に出展する方法。最近では個人でも出品可能な「メルカリ」もあります。

【メリット】

  • 出店先サイトのEC機能を利用するので、自前で用意する必要がなく、そのサイトに登録していれば、ユーザーが決済に必要な情報を入力する手間を省く事が出来る
  • サイトの構築をしなくて済むので手軽に始められる

【デメリット】

  • 月額の費用や、商品が売れるごとの手数料が他の方法に比べると高い

で、結局何がいいのか?

いろいろECサイトについて構築方法を紹介しましたが、結局自社にとってどれが一番いいのか?について。まずは自社製品の販売をしていることを自社サイトにて掲載し、お問い合わせフォームの個別対応から始めることをおススメします。

その際には注文専用のお問い合わせフォームの別途作成や、お問い合わせ内容にそのままコピペできる、注文用テンプレートを用意するなど、「注文しやすい」仕組み作りは心がけましょう。

その後、販売がある程度見込める規格品の販売に関して、自社での手間が大変と感じるようになってきた段階で、ショッピングモールへの出店や自社サイトのEC機能追加を検討するぐらいでいいと思います。その際にはかかるコストと削減できるコストや手間を比較計算してそれに見合う方法を見つけてみて下さい。

リスティング広告の費用対効果を高めるための3つの施策

広告運用だけでなくWebコンテンツの見直しもセットで行う
リスティング広告の費用対効果を高めるために、広告キーワードや広告文の見直しを行うことが多いかと思いますが、広告運用の範疇で対策できることは限られていますし、それだけでは不十分です。SEO対策を行う時と同じように、分析ツールを使いながらWebコンテンツを定期的に改修していくことを広告運用とセットで行うことで費用対効果は最大化します。具体的には下記3つの施策を行っていくことをオススメします。
費用対効果を最大化するための3つの施策
①広告品質スコアを高める
広告品質のスコアとは、広告の内容や広告のリンク先のページの内容などがキーワードに適したものかを検索エンジンが点数付けしたものです。このスコアにより広告の公平性や検索サービスの信頼性が確保されています。リスティング広告の掲載順位は、入札単価だけで決まるのではなく、入札単価×広告品質で決まってきます。なので、広告品質を高めれば必然的にクリック単価が下がり、少ない広告料金で広告運用できるようになります。
品質スコアを決める要素として、広告をクリックした後に表示されるWebページの品質が大きく関わってきます。ユーザが検索したキーワードとの関連性が高く、ユーザが求めている情報を適切に提供しているか、といったことで評価されるので、Webコンテンツの見直しが必須となります。広告の費用対効果を上げたいなら、広告運用のテクニックでどうにかするよりも品質スコアを高める方が効率的なのです。
②サイトマップとランディングページの見直し
リスティング広告を運用する上で下記のような指標を計測しながら改善を行っていきますが、これらの指標の中で最も大事なものが「直帰率」だと考えています。
表示回数
検索ユーザが設定したキーワードで検索した際に広告が表示された回数。
アクセス数
ユーザが広告をクリックし、Webサイト内にアクセスした回数。この時点で広告費用が発生します。
直帰率
アクセスしたユーザが次のページへ遷移したり、問合せなどのアクションを起こすことなく離脱してしまった割合。
コンバージョン数
問合せや資料請求など、ユーザがGOALとなるアクションを行った回数。
直帰率が最も重要である理由
リスティング広告の料金は広告をクリック(=アクセス)した時点から広告料金が発生するので、アクセスしたユーザをいかにコンバージョンまで誘導するかが課題です。その中で「直帰率」は広告料金をかけて獲得したユーザを取り逃したしまった割合という極めて重要な指標であり、直帰率が高いということは広告料金をドブに捨てていることと同じになってしまいます。
直帰率を下げるための対策
直帰率を改善するには、ユーザがアクセスした際に瞬時に「このページには自分が求めている情報が掲載されている」と思わせることです。直帰率を下げるための対策として最も効果的なのが、選定した広告キーワードに合わせた「サイトマップ策定」とユーザへ情報を効率的に伝えるための「ランディングページ作成」です。ユーザが持っているニーズをカテゴリ分けし、ニーズに沿ったランディングページをそれぞれ作成することでユーザの離脱を低下させることができます。
③クロージング方法を工夫する
広告主が最も期待しているユーザの行動(=コンバージョン)は、商品の購入、もしくは購入につながる問合せの獲得だと思います。しかし、アクセスしたユーザの大半はその行動を起こすことなく離脱していきます。そのため、どのような方法でユーザをコンバージョンさせるか(=クロージング方法)を考えることは、広告の費用対効果を高める上で重要なポイントです。
クロージング方法を見直す上で考えるべきポイント
売上増加のための新規顧客獲得なのか、技術の用途開発のためのテストマーケティングなのか、Webサイト運用の目的を明確にして、クロージング方法を考える。
とにかく問合せ件数を増やすことを優先するのであれば、技術資料ダウンロードなど、問合せハードルの低いものをコンテンツとして用意する。
他部門と連携する場合は、実際に問い合わせ対応行う部門とよく相談の上、クロージングコンテンツを検討する。
特に広告を運用する部署と営業部署とが異なる場合、両者でよく話し合って最善策を考えていきましょう。
以上、リスティング広告の費用対効果を高めるためのいくつかの施策をご紹介させていただきました。考え方が中心で具体的な改善手法までご紹介できなかったので、お困りごとがある際は是非一度お問い合わせください。

BtoB製造業におけるオウンドメディアの在り方

ものづくり経革広場の徳山です。今回は「BtoB製造業におけるオウンドメディアの在り方」について、「オウンドメディア」という言葉を聞いたことがあっても、その意味や役割について詳しく知らないという方も多いと思いますので、具体的な事例と共に解説します。

時代と共に変わりゆくWebサイトの役割

時代の流れと共にWebサイトの役割や在り方も変わってきています。昔は会社名で検索した時に確実に検索エンジンにHITし、会社紹介の役割を果たすことができれば良かったのですが、徐々に「新規顧客獲得」や「採用活動(人材獲得)」など、その役割は変化していきました。最近では、1企業が複数のWebサイトを持つことは当たり前で、その役割も増え、複雑になってきています。

オウンドメディアという言葉の誕生

ホームページという言葉は、もともと会社紹介を行うためのWebサイトという意味合いがあったと思います。最近では、その言葉の代わりにコーポレートサイトという言葉が使われることが増えてきました。その他にも、サービス紹介を行うWebサイトはサービスサイト、採用情報に特化したWebサイトはリクルートサイト、といった感じでその目的に応じて呼び名が変化していっています。

その中で、ユーザにとって有益な情報を提供することでユーザとの関係性を創造するWebサイトは「オウンドメディア」と呼ばれ、その活用がBtoBでもトレンドになってきています。

※オウンドメディアの定義は各社によって異なることをご了承ください。狭義な表現にはなりますが弊メディアでは上述したものを定義とします。

様々な役割を担うオウンドメディア

オウンドメディアへ課す役割や期待する効果は多様化しています。オウンドメディアの役割が単純だった頃は、新規顧客獲得による売上向上だったり、人材の獲得、などといったように、その効果を容易に数値化することができましたが、最近では容易に数値化できないような役割をオウンドメディアに課すことが増えているようです。

具体的には自社のブランディング、顧客との新たな関係性の創出、用途開発、などが挙げられます。また、ソーシャルメディアの普及により、企業が活用できるメディアの種類が増え、その活用法は更に多様化しています。オウンドメディアの活用法について、具体的な事例をいくつかご紹介します。

事例:オムロンの「Edge-Link

こちらのサイトは同社が手掛けているオウンドメディアの一つです。各メディアを運営する目的は「コーポレートブランディングを高め、パートナー企業の発掘と人財の獲得」です。その結果、「キャリア応募の数」とオウンドメディアなどを経由した「企業からのオープンイノベーションの問い合わせ数」を多く獲得できているそうです。

事例:ロームの「TechWeb


「TechWeb」には、電源やパワーデバイスにおける基礎知識や設計マニュアルなどの技術資料が無料で見られるようになっています。技術資料を無料で配布することで顧客(将来的に顧客化する見込顧客を含む)との関係性を深め、グリップを強くし、顧客生涯価値の最大化を目指しています。

事例:メトロールの「Facebookページ(海外版)


位置決めセンサーの開発・製造を行っているメトロール社が運営するFacebookページです。このページでは、自社の顧客へメトロール社センサーの利用シーンを自由に投稿することを促しています。それをきっかけに顧客同士のつながりを生み出し、顧客間交流というBtoBでは珍しい新たな価値を創出しています。

事例:蒲田工業の「表面処理ガイド.com


「表面処理ガイド.com」には、表面処理技術の種類、機能、事例について細かくまとめられています。社内で蓄積した技術を惜しみなく披露して技術データベース化することで、新規顧客獲得に役立てています。これは私の想像ですが、社内の技術情報をこのサイトに集結することでナレッジマネジメント(※)にも活用しているのではないかと考えています。

※ナレッジマネジメント:個人のもつ暗黙知を形式知に変換することにより、知識の共有化、明確化を図り、作業の効率化や新発見を容易にしようとする企業マネジメント上の手法(wikipediaより)

事例:パナックの「plasticfilm-labo.com


プラスチックフィルムに関する様々な情報が掲載されている「plasticfilm-labo.com」のユニークなポイントは、ユーザから「あったらいいな」を募集して新たな用途開発に繋げていることです。過去に無印良品が顧客から商品開発アイディアを募集し、商品開発へ繋げていましたが、同社の取組はそのBtoB版と言えます。

事例:東海バネ工業の「ばね探訪

「ばね探訪」では、ばねに関する技術情報を事例という形式ではなく取材という形式で読み物として一般の人にも分かりやすく自社技術を紹介しています。一見地味に思われがちなバネ業界を少し違った切り口から垣間見ることで、業界に対する魅力を感じることができます。このメディアはバネ業界全体のブランディング向上に役立っているのではないでしょうか。

BtoB製造業におけるオウンドメディア運営の注意点

上述したように、BtoB製造業でもオウンドメディアは顧客満足度の向上、従業員満足度の向上、CSR的な活動など、様々な目的を果たすことができます。しかし、いずれも直接的に売上向上に繋がる施策ではないので、運営の意義を常に会社全体で共有する必要があります。

また、大手ではこれまでメディアを運営する部門は広報部などが中心でしたが、目的の多様化によりその他部門で運用する機会も増えるので、運用体制を考慮する必要が今まで以上に大きくなりそうです。いずれにせよ、短期的な視点ではなく中長期的な視点で辛抱強く続ける姿勢が大事ではないでしょうか。

3つの切り口から中小製造業のIoTの活用を考える

今回は、中小製造業の間でも、当たり前のように話題に出る「IoT」についてです。弊社でも「IoTを導入した何かをしたい」という相談を受けたりします。ただ、「我が社でもIoTを使った何かをしよう」となったとしても、漠然としすぎてそこで思考が止まってしまう方も多いのではないでしょうか?そこで、経済産業省が去年の3月に出した「IoTに関する製造業の取り組み」を見て、こんな切り口からテーマを決めていけば良いんじゃないかと思ったことを3つご紹介します。IoTがどのようなものかは、以前掲載した記事をご確認頂けたらと思います。

「IoTの波が中小製造業に与える影響とは」

①⽣産性向上

こちらは一番考えやすいものですが、解決したい課題を決めて取り掛からないとただのデータ集めになってしまいます。細分化すると下記のようなテーマにあたります。

現場改善

人の動き・設備の稼働状況からムダの改善や、人による作業時間のばらつきをなくすような取り組み

工程管理

膨大な製品点数の管理、紙媒体での管理、製造拠点の分散による管理など、管理の難しさが課題となるものを解決する取り組み

品質確保

トレーサビリティの強化や、品質検査のミス予防の取り組み

事務作業効率化

見積もり作業の負荷軽減、現場情報の入力時間の短縮

経営改善

適切な材料在庫の確保、リアルタイムの生産状況の把握 、計画的な設備投資の指標、より精度の高い需要予測をするなどの取り組み

生産性向上という切り口は、工場にある様々な情報をデジタル化し、その情報をもとに業務支援につなげる流れです。ある程度の規模の工場になると管理業務が複雑化していくため、IoTを活用することで生産性向上に繋げられる可能性があります。逆に小規模だとそこまで課題となっていない場合があります。また、この分野に関しては様々なIoT商品が提供されていますので、末尾に掲載する経済産業省の資料を参考にしていただけたらと思います。

②新サービス(新しい価値)の創出

今いちピンと来ませんが、アメリカのあるビジネスレビュー調査によると、欧米では「IoTは何に寄与するか」という問いに対して「新たな収益源」と答えた経営者が約6割に対して、日本では「オペレーションの向上」と答えた経営者が6割だったそうです。IoTを活用する一つの切り口として考えてみる価値はありそうです。ただ、こうすれば良いという正解が見つけづらく、何をすればよいか模索中なところです。

民タク(民泊のタクシー版のようなもの)事業の「Uber」はGPSを活用したIoTによってリアルタイムで需要と供給をマッチングさせることにより、機会損失を減らし利用者のニーズを満たすことに成功しています。製造業に置き換えると、工場すべての設備の稼働状況や、今後の稼働予定をリアルタイムで監視します。そうすることで、顧客の発注を捉えやすくする取り組みです。

他にはハーレーダビットソンがIoTを駆使し、カスタム改造部品を提供するためにスマート工場化した取り組みがあります。顧客のカスタム品の要望と、それに対しどの工程が必要になるかの紐づけをリアルタイムで行い、最短で提供できる仕組みを作りあげました。

もしかしたら、自社は量産ラインを組んでいる会社だから、小ロットものは対応できないと考えている会社の中には、IoTを活用することで、試作・少ロット対応が可能な新しい事業ができる可能性が眠っているかも知れません。

ちなみに新しいサービス自体を作った事例としては旭鉄工という自動車部品を製造するメーカーがあります。自社工場でのIoT化により3億円以上の設備投資削減と、1億円以上の労務費低減を実現し、そのノウハウをサービス化して外部に展開するために「i Smart Technologies株式会社」という会社を作り、サービスを提供しています。

他にも自社内のIoT化ではなく、顧客側のニーズを探るためのIoTの仕組みを作ることができれば、顧客のニーズ調査、需要などリアルタイムでわかったりするかも知れないですね。今後はそのようなサービスも出てくるのではないでしょうか?

③技術継承・人材教育

昨今の人手不足や後継者不足を解決するという目的です。失われていく技術をいかに形として残すか、暗黙知から形式知化する取り組みは今後一層重要度が増すと思います。また、人手不足を解消するためにデジタル化したデータを活用しそれをロボットが代用できるようにする流れも必要になってきています。以前であれば、「技術は見て盗むものだ」という概念のもと、口で教わることなく、見るだけで覚えるという流れがありました。ただ、今はそれでは伝わらず、「動画を見せる」「口で説明」「マニュアルを作る」など様々な手法が存在しています。技術を伝えるというのは非常に難しく、一つ一つの動作にその動作を行う理由が存在します。本質的には、ただ見て同じようにすれば良いというわけではなく、その動作の理由まで理解した上で真似る必要があります。そのためにマニュアルが存在するわけですが、マニュアルを作るのも非常に労力がかかり、やっとの思いで作っても、いつの間にか見なくなっているケースは多いと思います。解決する手段としてはIoTというよりクラウドサービスなどが課題解決には適しているようです。

クラウド型のサービスを二つ紹介いたします。

動画で簡単マニュアル作成 ティーチミー (熟練者のノウハウを形式化)

クラウド見積ソフト TerminalQ  (経営・営業のノウハウを形式化)

まとめ

いかがでしたでしょうか?再度、自社の今後の課題や取り組みたいテーマをしっかり見定め、解決もしくは達成するために何をすればよいか?その手段が結果としてIoTだったという流れが本来の流れだと思います。IoT活用といっても、正確にはIoTではなくクラウドサービスだったり、システムだったりする場合も非常に多いと思います。目的が達成できるならばばIoTでなくても良いと思いますので、まずは今後の課題や自社の取り組むべきテーマから考えてみるのはいかがでしょうか?

具体的な事例は経済産業省が発行している「中小ものづくり企業IoT等活用事例集」を参照して下さい。

また、来週4月18日(水)~20日(金)の予定で「TECHNO-FRONTIER 2018」が幕張メッセで開催されます。話題のAI・IoTをはじめとした次世代技術から、ものづくりの要となる要素技術、開発設計支援技術まで、最新の情報に触れることができる展示会です。詳細はこちらから

ドメインの基礎知識「com」?「co.jp」?

ホームページのURLの核となるドメイン。このサイトでは「keikakuhiroba-mfi.com」というのがドメインになります。皆様の会社でも独自ドメインはすでに持っているかと思いますが、これから取得する方がいらっしゃっれば参考にして頂ければと思います。

独自ドメイン

自由に決められる部分

このサイトでいうと「keikakuhiroba-mfi」のところです。自社の名前に関する文字列を自由に組み合わせることができます。ただ、「&」「#」「%」などの記号や、全角の英数字は使えません。また、文字数に関しては「3文字以上63文字以内」となっています。

選ぶ箇所

「.co.jp」「.com」「.net」など、ここを何にするかで料金が変わってきます。またそれぞれにちゃんと意味があります。意味については下記の表を参照してください。

com commercialの頭文字3つをからなるドメイン。商業的なものに限定されるのかと思われるが別にそんなことはない。
net networkの頭文字3つからなるドメイン。ネットワークを意識しているが、用途は何でもいい。
org organizationの頭文字3つからなるドメイン。主に非営利団体に使われることが多いが、営利団体でも使用できる。
biz bussinessの略語からなるドメイン。ビジネス目的限定かと思いきや、特に制限はない。
info informationの頭文字4つからなるドメイン。情報提供向けのサイトなどに使われることが多いが、誰が使っても良い。

これらのドメインに関しては世界中どこでも取れるようにできていて、各ドメインに関しての「大枠の」仕様イメージやシーンは設定されていますが、特に制限や、縛りはありません。ただ、最も一般的なものが「com」だと思われますので、会社のドメインとして使用するのであれば、「com」を利用しておくのが無難です。

下記については末尾が「.jp」になっているもので、「日本」の団体しか取得できないドメインです。団体の属性によって「.jp」の前の2文字が変わります。

co.jp company。なので日本に登記されている会社のみが登録可能。申請には登記簿の情報が必要になります。
or.jp organization。特定の団体のみ登録可能。財団法人や、社団法人などです。
ne.jp network。特に縛りはなく、ネットワークのサービスごとに利用が可能です。
ac.jp academy。大学、専門学校、学校法人などが利用できます。
go.jp government。政府の機関や、各省庁。特殊法人などが利用できます。

一番よく見かけるのは、「co.jp」ですね。このドメインを使っているホームページやメールアドレスは「日本に登記されている法人」ということが保証されていることになりますので、信用の意味でも使われることが多いです。

取得するメリット

ドメインそのものが与える印象というものもありますが、独自ドメインを取得することによって下記の様なメリットがあります。

  • SEO的に評価が上がる
  • Webサイトとしての信頼が上がる
  • 自社専用のメールアドレスが自由に利用できる

独自ドメインを取ることで、1つのドメインとしてのホームページが評価されるのでそれだけでSEOの対策になります。上記にも書いた通り、「co.jp」は日本に登記されている法人しか取得できないので、会社としての信頼が上がります。また、独自ドメインを取得すれば自分だけのメールアドレスの作成が自由にできるようになります。

取得できないドメイン

ドメインの取得は早い者勝ちになり、すでに取得されているドメインは申請、取得ができません。ドメインを取得している人から買い取るか、期限が切れるのを待つしかありません。取得したいドメインがある場合はこちらでチェックができますので、一度チェックしてみてください。

もし使われていたら、「-」を入れてみたり、「co.jp」ではなく「com」にしてみたりするなどしてみてください。

取得の仕方

お名前.com」、「スタードメイン」、「ムームードメイン」など、ドメイン管理会社によって価格やサポート体制が違います。大まかではありますが、「com」だと年間1,000円~1,500円、「co.jp」だと年間3,000円前後です。ただ、ホームページの制作を考えた場合、サーバーとドメイン取得はほぼセットになりますので、契約しようとしているサーバー会社に付属している会社から取得するのが最も手間が省けます。

ホームページ制作会社がドメイン取得を代行しているケースもあり、弊社でもサーバーと一緒に契約することができますので気軽にご相談ください。

シェアリングエコノミー時代の新たなマーケティング手法

シェアリングエコノミーの広がりと社会の変化

ものづくり経革広場の徳山です。最近「シェアリングエコノミー」という言葉をよく耳にするようになりました。個人の力を新たな経営リソースとして取り込んでいくことのできる新たな仕組みとして、弊社でも数年前から活用を始めています。

シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーの定義は下記のとおりです。

「物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み。自動車を個人や会社で共有するカーシェアリングをはじめ、ソーシャルメディアを活用して、個人間の貸し借りを仲介するさまざまなシェアリングサービスが登場している。(By コトバンク)」

ここに記載されている通り、ここ数年で本当に様々なサービスが登場しています。有名なところで言うと「Airbnb」や「Uber」が挙げられます。しかし、個人間での利用が大半であり、冒頭に記載した「企業が経営リソースとして活用する」といった取り組みはこれから本格化すると考えています。

なぜシェアリングエコノミーが広がっているのか

定義の中には「物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み」とありますが、このような仕組みは昔から存在しました。物々交換やご近所さん同士の物の共有など、むしろ現代より一昔前の方が頻繁に行われていたのではないでしょうか。

しかし、最近言われているシェアリングエコノミーでは、インターネットを介して知らない人同士で不特定多数と繋がる仕組みとなっている点が大きな違いです。それでは、なぜ最近になってこの仕組みが広がり始めているのか?下記2つの要因によりシェアリングエコノミーが拡大する仕組みが整い、急速に広がり始めていると言われています。

  1. スマートフォンの普及
  2. ソーシャルメディアの普及

スマホの普及により、場所を問わずインターネットに繋がる環境ができたので双方感のコミュニケーションが格段に取りやすくなったのと、ソーシャルメディアが普及したため、知らない人と繋がるという心理的ハードルが大きく下がりました。

上記に加え、消費者のニーズの変化(所有欲の減少、シェアリングエコノミーを通じた人とのつながり)も大きなポイントかと思います。

シェアリングエコノミーが起こす様々な変化

シェアリングエコノミーが普及することによって、様々な社会的変化が予測されています。

  • 新たな資本主義の在り方

所有や消費ありきではない新しい生き方や、既存の社会システムからの脱却を目指す人が増えると言われています。エコロジーという観点からは良い変化だと言えるでしょう。従来の資本主義経済とは異なる点が多いので、様々な軋轢を生むことは必至かと思います。

  • マイクロアントレプレナーの増加

スマホと遊休資産さえあれば空き時間で稼げるようになります。中にはクラウドソーシングで1,000万円以上稼ぐ人も登場しているようです。特に仕事のない地方では地域活性化の手段として注目されています。人口が都心へ一極集中する中、地方へ人材を流動させる上で必要な仕組みと言えます。

  • 既存産業との対立

従来の資本主義と考え方が異なるがために、シェアリングエコノミーに関連するサービスは既存ビジネスの問題解決につながりますが、競合するモデルでもあります。そのため、シェアリングエコノミーにより生まれるサービスは、常に既存産業保護のための規制との戦いに発展します。

企業の新しいマーケティング手法としてシェアリングエコノミーを活用する

新たなマーケティング手法として、企業がシェアリングエコノミーを活用するケースが増え始めています。活用する上で抑えておきたい社会的変化とともに、具体的な活用法をご紹介します。

大きな社会構造の変化

シェアリングエコノミーの普及により、これからの時代は政府・企業が中心ではなく個人の時代へと変わっていきます。マーケティングの分野においても、今まではマーケティング活動を行うのに、行政や企業のサービスを活用する機会がほとんどでしたが、これからは個人の力を活用する方法も大きな一手とななってくるでしょう。

一例として、顧客開拓の手段として活用できる「リファラル営業」の仕組みをご紹介します。

最近浸透し始めた「リファラル営業」という言葉

「リファラル(referral)」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。「リファラル(referral)」とは英語では紹介・推薦という意味です。この言葉を使った新たなサービスが生まれ始めています。

この領域では一足早く「リファラル採用」という言葉が広まっています。「リファラル採用」とは、人材募集の際、社員を通して知人・友人の紹介・推薦を受け、採用選考を行う手法です。日本ではまだまだですが、欧米などではそれなりに普及している手法です。

さらに最近では「リファラル営業」という言葉をよく聞くようになりました。「リファラル営業」とは個人からの紹介・推薦により見込み顧客との接点を作り、顧客獲得を行うという新たな営業手法のことです。

個人の力を活用したマーケティング手法とは

「リファラル営業」を説明するためには具体的なサービスを紹介した方が早いでしょう。最近弊社でもよく使っているのが「SalesHub」というサービスです。このサービスには「商材を販売したいと考えている企業ユーザ」と「顧客とコネクションを持っている個人ユーザ」が登録しています。個人ユーザは自身のコネクションを活かし、企業へ顧客を紹介することで紹介料をもらうことができる、という仕組みです。

自身の人脈をお金に変えることを、知人を売っているようで気持ち悪いと感じる人もいるかも知れませんが、企業が効率よく顧客を開拓する手段として大きく注目されています。利用者も急増しており、マッチング数もかなり増えてきているようです。色々と課題はあると思いますが、皆さんも活用してみてはいかがでしょうか。

これから更に話題となっていくであろう「シェアリングエコノミー」についてご紹介させていただきました。企業としてどう活用していくか、引き続き皆さんと考えていければと思います。

御社は大丈夫?Webサーバーとメールサーバーについて

こんにちは、ものづくり経革広場の渡部です。

現状のホームページからリニューアルをしようと制作を進めて、完成したホームページをアップロードしようと思った矢先、

「サーバーの仕様が古すぎてメールフォームが使えない!」

ということがたまーにあります。サーバーの仕様変更にそこから1か月なんてことはあり得る話ですので、ホームページのリニューアルをお考えでしたら、先にサーバーの事も確認をしておきましょう。

Webサーバーとメールサーバーとは

そもそもよく聞くこの2つですが、何のことかわからないという方へ。難しい話は抜きにして、ホームページをひとつの「家」だと考えるとわかりやすいです。

Webサーバー

ホームページが家だとすると、Webサーバーは「土地」の事。最近はあまりありませんが、この土地が狭い(Webサーバーの容量が少ない)と家の大きさも限界があります。(ホームページの容量も限界があります)。また最新鋭の耐震強度の高いデザイン性に凝った家を建てようと思ったら(最新のプログラムを組み込んだホームページを作ろうと思ったら)、それに耐えうる地盤(サーバーの仕様)が必要になります。

メールサーバー

対してメールサーバーは「郵便受け」になります。多くの場合、Webサーバーとメールサーバーは共有になりますので、さっきの「土地」の中に「通便受け」があると思ってもらったらいいです。この「郵便受け」の中には仕切りがあり、大きな手紙(容量の大きいメール)だと受け取り出来ないということが以前にはあったと思います。

土地代はどれくらい?どのくらいの広さ?

一般的なネットの不動産屋さん(レンタルサーバー会社)を例に挙げると「ロリポップ」と「スターサーバー」があります。最新鋭の家を1件立てるのに必要な推奨の土地の月額はおおよそ下記のとおりです。

ロリポップ

スタンダードプラン 月額500円 容量 120GB

スターサーバー

スタンダードプラン 月額500円 容量 100GB

もう1つ下のプラン(月額250円)でも構わないのですが、昨今の家の建て方(WordPress)で建てることを考えるとこのプランの方が無難です。ロリポップだとこのプランから上の方にのみ電話サポートが付きます。月額250円のプランは容量も半分です。(スターサーバーは両方とも電話サポートはありませんが、メールサポートは丁寧に受け付けてくれます。)

これがどれくらいの大きさかについて、説明します。「MB(メガバイト)」を都合よく「㎡」に変換して考えると100GBというのは100,000㎡。東京ドーム約2個分、サッカーのコート14~15個分の大きさです。ホームページの制作に必要な土地の大きさは、サザエさん家の大きさ(土地80~90坪、家35坪程度)ぐらいあれば十分余裕があります。そう考えるとかなりの有り余るぐらいの広さがあるとわかると思います。

(※サザエさん家の間取りについてはここに載せてしまうと著作権にひっかかるので「サザエさん家 間取り」等で検索してみてください。)

ただ、土地の強度もこのプランによって左右されるので、今回は強度に合わせて推奨しています。

自社のサーバーは大丈夫?

ホームページを制作する上で必須になるこのサーバー、かなり以前に契約をしてそのままにしていると、上記よりもかなり狭い上に、高い金額であることもあります。土地に関しては昔からの土地の方が価値が高くなる!なんてこともありますが、Webに関してはそんなことはありませんので、一度ご確認をしてみてはいかがでしょうか?

ただ、上記の様なWeb上のレンタルサーバーはメールアドレスの設定や、トラブル時には自分で対応しなければなりませんので、人的なサポートが必要な場合は、そちらを優先してください。

弊社ではホームページをはじめて制作させて頂く場合にはサーバーの契約も承っておりますので、気軽にご相談ください。

製造業が忙しさから開放されるために取り組めること

こんにちは、ものづくり経革広場の井上です。

最近どこの企業も忙しそうですね。訪問先の9割以上が忙しいと仰っているぐらいの印象があります。そのため、採用を強化したいというお話をよく聞きます。しかし、数年前から採用難ということもあり、人材採用も簡単ではありません。そこで、今回は採用以外でこの忙しさから脱却するためにできることについて、切削加工系が主になってしまいますが、参考になりそうな事例やシステムを紹介します。

忙しさを解消するために出来ること

利益率を上げる

忙しいけれども思っているより利益が上がっていなかった、ということはよくあると思います。逆に考えると利益さえしっかり出せるならば必要以上に仕事を受け、稼働率を上げ、残業をする必要もないはずです。仕事の中には手間がかかったり材料費が高かったりと利益の薄い仕事もあれば、高利益の仕事もあります。需要過多になりつつある現状ならば、今後付き合っていくべき会社がどこなのかを見直すチャンスがあるのかも知れません。

利益率を高めた取り組みとして、選択と集中を行うことで利益率を向上させた吉原精工様の事例が挙げられます。外注を一切使わずに、自社の設備でできる仕事だけに集中することで余計な業務を減らし、徹底して無駄を省くことで利益を上げています。

詳細はこちら

 

生産効率を上げる

例えば切削加工の仕事を行う場合、同じ時間でも切削の条件や、段取りのスピードなど様々な要因で、一つの製品に対して完成するスピードは異なります。いかに早く正確にものづくりをするにはどうしたらよいか?どの会社でも常にこのテーマを掲げ取り組んでいることと思います。加工効率をアップさせる具体的な手法として、最適な切削条件を理論的に導きだすシミュレーションソフト「切削キャッチャー」を紹介します。

切削加工時の切削条件はメーカーの提示する切削条件と自社の切削ノウハウからある程度のあたりを付けて条件設定をすることがほとんどです。しかし、最初に割り出した条件で加工が問題なくできた場合に、それが本当に最適な条件なのか、より良い条件があるのかを判断する方法がありません。そのため切削条件を割り出す方法は大手メーカーでも中小企業でも同じく経験と勘に頼る暗黙知の領域です。

また、削れた実績ができればあえて新しい条件で挑戦しようとしないのは「サンプルロスをしたくない」という現場の心情があります。その最適な切削条件を理論的に算出し、最大限の加工効率を実現させようとするソフトが「切削キャッチャー」です。もちろん微調整は必要になりますが、根拠あるアタリをつけるところからスタートしますので、最適な条件をいち早く導き出すことができます。テストしたほとんどの企業様で切削条件の見直しと大幅な効率アップに成功しています。

切削キャッチャーの詳細はこちら 

営業効率を上げる

「提案から受注までのスピードを上げる」「見積もりスピードを上げる」「受注率を上げる」など、今まで営業をしてこなかったという企業様も多いため、営業活動の効率化は改善の余地は多分にある領域だと思います。

その際におすすめしたいのが今回ご紹介するクラウド見積もりソフト「TERMINAL-Q」です。会社ごとに独自の敷居値を設定することでクラウド上で簡易見積りの依頼ができるサービスです。

多くの中小製造業では経営者が見積もりを行っています。何十何百という図面の見積もり依頼が来て、辟易している社長さんも多いのではないでしょうか。「TERMINAL-Q」では、その見積もりを外部委託することで出てきた見積もりを微調整、承認、見積もり作成まで一気に仕上げることができるようになります。

このシステムを開発制作した会社は切削加工業を営む会社で、自社の見積もり業務をすべてそのシステムを利用することで、一切ご自身で見積もりを行わなくても済むようになったそうです。また、見積もりの基準ができれば社内の他の人に任せることも出来るようになり経営者の負担を軽減することができるメリットもあります。他にも今までの受注履歴を蓄積することで、前述の利益率を上げるための指標としても活用できるなど様々なメリットが出てきているようです。

TEMINAL-Qの詳細はこちら

今後の業界予測から忙しさからの脱却を考える

  • IoTやロボットを活用する流れ(効率化の追求)
  • 生産人口減少による人手不足
  • 今後の国内生産の減少(特にオリンピック以降の生産需要の減少)

今後の製造業の大きな課題として上記の3つが挙げられると思います。ここからはあくまで個人的な意見ですが、現状のように仕事が多くある状態がずっと続く見込みは少ないため、採用により売上の上限を伸ばすのではなく、内部強化を行うことで利益率の高さを追求することが重要だと考えています。もちろん必要最低限の採用は必要だと思いますし、事業承継も考えなければなりませんので、採用自体が悪いわけではありません。ただ、メーカーに要望され設備や人を拡充したとしても、仕事がなくなった場合の保障をメーカーはしてくれません。仕事が減った時でも耐えられる経営体質を今のうちに作り、起こり得るであろうリスクに備えることが必要な時期だと思っています。そのためには、IoTやロボットを自社でも取り入れ、共存できる形を作ることが必要だと考えています。

どうやって自動化するか?少量生産では不向きでは?といったご意見もあるかと思いますが、どの会社でも考える必要が出てきているのではないでしょうか。先日訪問した会社は1個でも溶接をロボットにて行っていました。手の方が早い気もしましたが、あえて自動化に取り組んでいました。単純作業に落とせるようなものはロボットに移行させ、それを操る管理職的な立場に人材を引き上げていくことが必要です。ロボットが人の仕事を奪うと世間では噂されていますが、うまくロボットを教育・管理する立場を新しく作ることができれば一気に作業効率は上がり、人もロボットも活躍できる職場になるはずです。そのうち作業は人ではなくロボットに教えるのが主業務の仕事が生まれるかも知れません。

今後の予測を元にあくまで理想的なあり方を述べさせていただきました。しかし、記述したような対策を行なっていかなければ「忙しさからの脱却」はなかなかできない時期にきているのではないでしょうか。

パナソニックはBtoB事業へ大きく舵取り

年始からパナソニックがBtoB向けのCMを放送していました。最近BtoB向けが増えてきていますね。DMG森精機のCMなど業界のCMが見れて個人的には嬉しいですが、一般の人から見たらクエスチョンが多いかも知れません。パナソニックが年初から始めたCMは社外への意思表示だけではなく、社内向けにもパナソニックがソリューション企業に大きく舵をきる方向性を示す狙いもあるようです。

白物家電の売上比率は3分の1程度

パナソニックは白物家電などのエレクトロニクス分野をはじめ、住宅分野や車載分野など幅広く手がけています。一般消費者の認識は大手家電メーカーですが、本質は以前から家電メーカーではなくBtoBを軸としたソリューションカンパニーでした。実際にBtoBの事業が占める売上の方が大きく上回っています。2018年に関して言えばアプライアンス事業(白物家電テレビなど)が33%ほどになると言われていますので、事業の中では一番の稼ぎ頭になるようです。下記は2016年度の売上構成比率です。アライアンス事業が白物やテレビを取り扱う事業です。

2017年 アニュアルレポート 財務報告を参照

https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/anuual/83j.pdf

ちなみに事業のセグメントは以下の5つです。

  1. アプライアンス
    エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、美・理容器具、電子レンジ、オーディオ機器、ビデオ機器、掃除機、炊飯器、自転車、ショーケースなど
  2. エコソリューションズ
    照明器具、ランプ、配線器具、太陽光発電システム、空気清浄機、介護関連など
  3. AVCネットワークス
    航空機内AVシステム、パソコン・タブレット、プロジェクター、デジタルカメラ、監視・防犯カメラ、固定電話、携帯電話など
  4. オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
    車載マルチメディア関連機器、電装品、リチウムイオン電池、乾電池、電子部品、半導体、電子材料、液晶パネル、モーターなど
  5. その他
    戸建住宅、集合住宅、分譲用住宅、リフォームなど。パナホームで展開。

なぜBtoBへ転換

価格競争に陥りやすい消費者向け(BtoC)事業から、長期にわたり安定した取引が見込める企業向け(BtoB)事業に注力するのが狙いだと言われています。そうは言っても白物家電も今は好調な様子です。プレミアム商品の提案を通じて限界利益を向上させることに成功しているのが大きな要因だと思います。どうやら日本で成功している理由は、競合不振、技術、コスト競争力だけでなくマーケティング力によるものが大きいようです。その国内BtoCでの「勝ちパターン」を海外、そしてBtoBに展開することが狙いのようです。

今後の取組みについて

実際にBtoBへの転換ということで、テレビCMは始まりに過ぎず、見込み客を獲得するためのデジタルマーケティングにも力を入れるそうです。そのために新たに構築するウェブサイトでは、導入事例を中心としたコンテンツを充実させることで、訪問者を具体的な検討へとつなげていくそうです。
こちらのサイトのことでしょうか?

イメージ重視の大手家電メーカーのサイトとは異なり、具体的な事例が社名付きで掲載されています。この辺は大企業だからこそですね。中小企業の場合、事例に社名を載せることがなかなかできないと仰る方がほとんどです。
ページ数を数えようとしましたが、多すぎて数えられませんでした。恐らく100ページ以上はあると思います。この規模でデジタルマーケティングを行うには相当な労力がかかると思いますが、収集できる情報も膨大なため、うまく活用すればそれ以上の成果が見込めるサイトになると思います。

去年はBtoBソリューション事業強化に向け組織再編

パナソニックはグループ全体のBtoBソリューション事業成長の中核を担う顧客密着型事業体制の構築を狙いとして、組織再編を行い、2017年4月1日付で新しい社内分社「コネクティッドソリューションズ社」を設立しています。
そう言えば、去年はパナソニック ベンチャーズ合同会社も立ち上げていましたね。既存の事業領域にとらわれない、非連続の成長につながる可能性を秘めた事業の目利きが目的です。

まとめ

どちらにも総じて言えることは自社製品にこだわらない自前主義からの脱却を掲げ、外部企業との連携を強化していくことが今後の成長のカギになる考えているのだと思います。旧来のモノづくりを中心にした提案は難しくなってきたため、1社でなんでも揃えるのではなく、様々な会社の製品を組み合わせながら、ソリューションで利益をあげることにシフトしていくようです。

松下幸之助氏の「衆知を集める経営」の「衆知を集める」は、社内だけでなく社外も含めて言えることと考えられます。自前に固執することなく衆知を集め、それをうまく組み合わせることで価値を提供することは、パナソニックの原点回帰にもつながるのではないでしょうか?
これからのパナソニックの動向に注目したいと思います。