コロナ

デザイナーがコロナ禍にサンフランシスコに行って感じたこと

筆者は普段、btraxの日本オフィスで働くUI/UXデザイナーだ。本社がサンフランシスコにあるにもかかわらず、自分はアメリカに足を踏み入れたことがなかったのだが、今回コロナ禍でのサンフランシスコへの出張をすることになった。 初渡米ということもあり、サンフランシスコの街の中にあるサービスの便利さに驚かされることが多かった。また、コロナに対する対応も素晴らしく、あまり不安を感じずに生活することができた。 しかし、中には日本と比べると劣っている部分もあった。そこを補おうとしているためにサンフランシスコ発のサービスはUXのクオリティが高いのではないかと思わせるポイントもいくつかあった。 この記事ではそんな筆者がアメリカで3ヶ月ほど生活してみて気づいたことや、学びを書いていく。 安心感と気軽さがあるワクチン接種 筆者はワクチンを打たずにPCR検査のみでアメリカに入国したため、ワクチンはアメリカで接種しようと考えていたが、ここで驚きがあった。 まず、筆者のような外国人であってもワクチン接種のための病院の予約は必要ない。そもそもTargetというアメリカのスーパーの中に併設されているCVS(薬局)のレジの横がワクチンの接種会場であり、とてもカジュアルな感じだった。   そこに出向き、ワクチン接種をしたい旨を伝えるだけで、すぐにワクチンを用意してくれる。また、日本外でのワクチン接種ということで不安もあったが、打つ前に確認するべき事項が書かれた書類が様々な言語に対応したものが用意されており、とてもスピーディーに安心して受けることができた。 こういった、アメリカ人だけにではなく、アメリカにいる人全てに対してコロナを収束させるための施策を平等に行うことは、アメリカ国民にとっても良いことだと思った。また、そのためにワクチン接種を気軽で誰にでも安心してできるような環境づくりの方法は、さまざまな人種が住まうアメリカならではの合理的な施策だと感じた。 PCR検査の気軽さ PCR検査もとてもスムーズであった。筆者が利用したのはcarbon healthという企業のものだ。空き地のような場所にテントを張っただけの最低限の施設ではあるが、検査会場がいくつかあり、最寄りの検査会場を探すのもホームページからすぐなので会場選びには困らなかったし、すぐに行くことができた。 検査自体も無料で、予約も不必要。必要な情報も住所と名前、生年月日、結果を受け取るためのメールアドレスだけ。特別な準備も必要なかった。 日本で検査をしようとした際にはまず検査ができる病院の情報が1つにまとまっていないので、検査を実施している病院探しから始まり、予約が必須で予約時間に行ってもそこそこ時間が取られるということがあったがそんなストレスがここでは感じなかった。 そのため、検査へ行くために予定を立てる必要が無くフラッと行って検査ができるのはとてもユーザーにとってストレスフリーと感じ検査へ行くことの積極性に大きく貢献していると思った。 ヘルスケアのDX – Carbon Healthを試してみた【UX分析】 移動手段の選択肢が多い サンフランシスコは坂が多く徒歩での移動は大変不便である。かといって電車やバスは遅れることが当たり前なので基本移動はUberか自転車、電動スクーターなどのマイクロモビリティに限られていた(自家用車は持っていなかった)。 電動スクーターは日本では道路交通法などが厳しく、乗ることを躊躇っていたがサンフランシスコではそこのルールが日本に比べて規制が少ないこともあり、大変重宝した。 そもそもアメリカの道には、自転車と電動スクーター用の道路が、自動車道路とは別にほぼ必ずある。そのため、歩行者や車を気にすることなくスムーズかつ安全に移動ができた。 また、筆者はUberの電動スクーターのサービスを利用していた。返却場所は自由なため、返却場所を探す手間がなく、借りるときのハードルが低いと感じた。また、借りる際は近くに置かれているスクーターがマップ上に表示されるため、一番近くのものを選ぶだけだった。 ちなみに、これらシェアサイクルサービスの始まりとも言える「Bird」について調べると、サービスをサンフランシスコ市の許可を待たずして展開したらしい。サンフランシスコ市はそのサービスの便利さから、法律に影響があることに関しても柔軟になおかつ迅速に対応していったとのこと。 シェアサイクル事業問題から見るサンフランシスコ市の意思決定の速さ 市の許可を待たずしてサービスをローンチさせることは、日本で生まれ育った筆者からすれば、考えられないことであると思ったが、生活をする上で便利であるため、結果的に市も協力したというエピソードがとてもスタートアップの聖地らしいと思った。 逆にわかった日本のすごいところ ここまでで、サンフランシスコの便利だった点を書いてきたが、逆に、生活に慣れていくにつれ、日本の方が優れている点も見えてきた。 宅配がちゃんと届く 筆者は出張中にUSのメルカリを利用して商品を出品していた。実際に商品が売れたため、バーコードを印刷して商品に貼り付けUPS(配達業者)経由で発送した。 すると後日、商品が届かないと購入者からクレームの連絡が来た。アプリを確認すると、発送完了のお知らせは受け取っているが、肝心の商品がUPSの倉庫から動いていないと出るのだ。 そこでUPSに問い合わせたが、そもそも商品が倉庫にないとのこと。後にネットで調べるとアメリカでは宅配業者や倉庫の労働者がお金になる商品を盗んだりすることがあるらしく、今回の場合もこの可能性が高いということで話は終わった。 この件で思ったのが日本での商品が予定日にしっかり届く(しかも配達日の指定もできる)というのは、とてもすごいことである、ということだ。 接客サービスの質の平均が高い 日本における飲食店などのサービスは、クオリティが高く、なおかつ店員によってばらつきがあることも比較的少なく、一定の高水準であると感じた。一方、サンフランシスコでは、どんな人に接客してもらうかでサービスの品質が大きく変わると思った。 特にファーストフード店では顕著で、日本の場合はどんな人でも丁寧に接客してくれる。個人的には日本のマックの接客は丁寧すぎると感じるほどに。 しかし、サンフランシスコでは店員がぶっきらぼうなことがある。筆者がマクドナルドに行った際は、どうやら店員の機嫌が悪かったらしく、あからさまにめんどくさそうに対応されたことが記憶に強く残っている。 また、Uber eatsを使った際にもなかなか商品を届けてくれない人もいた。 そういった経験から、サンフランシスコではどんな人に配達や接客がされるのかが結構気になったゆえにUber eatsなどの配達員へのレビューはサンフランシスコでは比較的重要な要素だということに気づいた。 アメリカ生活から学んだこと 特に筆者はサンフランシスコでの生活で、現地で暮らしている人がサービスに合わせるというよりは、サービスが暮らしている人のライフスタイルに合わせていると感じる場面が多いと感じた。 これは一見当たり前のことをいっているようだが日本では逆に個人の都合を後回しに頑張ってサービスを使いこなそうとしている、もしくはサービスのやり方に従おうとしていることが多いのではないだろうか。 ユーザー中心設計 コロナのワクチン接種では、アメリカの人種が多いという特性に合わせ、ワクチン接種時に不安を与えないような施策があるだけではなく、摂取会場にいったら必要なものは身分証明書くらいですぐにワクチンを打ってくれる。 日本でのワクチン摂取までのフローを見るとまず摂取券が必要だったり、会場も住んでる地域によって異なる。 これを見るとどちらかというとワクチンを提供する側の都合をユーザーの都合より優先しているように見える(日本はワクチンをアメリカから買っているため仕方ないことなのかもしれないが)。 お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い 人に頼らずサービスで体験の質をあげる 他にも改めて日本人は真面目であるとサンフランシスコで宅配や接客サービスを受けて感じた。反対に日本に比べて「不真面目」な人が多いサンフランシスコで良いUXを提供しようとすると、誰にでも完全に同じ機能を提供できるアプリなどの機械に頼るべきであるため、UXのクオリティを上げることは日本以上に重要視しているのではないだろうかとも考えた。 UXデザインとCXデザインの違いとそれぞれの役割 バイアスを捨てることがデザイナーには重要と考える これまで自分が日本国内に留まっていた時は「ユーザーは皆真面目である」という暗黙の了解があった上でサービスのデザインを行っていたため、デザイナーの理想をユーザーに押し付けていた面があったのではないかとこの出張を通じ強く反省と共に感じた。 また、優れたUXデザインや人間中心設計をすることとはユーザーの歩く道をデザイナーが決めるのでなく、ユーザーが歩いた道をデザイナーが後から整えるくらいのほうがいいのかもしれないとも思った。

さて、流通業とりわけ飲食店やファッション系の店は都内の中心部でもガンガン空き店舗増加中だが、同時にコロナ前の論理でやってたマーケティング会社やコンサル会社や研修会社も閉店ガラガラてなことになりかねない状況だ。まあ、まともな会社なら、コロナ禍やコロナ後は前とは全く違うかもなんてわかってるわけで、それに対応できなさそうなところとは「つき合うのはちょっとなあ」なんて思ってるんじゃないかな。

そうなんです。新しい理論や方法論が必要なんですね。全くわかってないんですな。マーケティング会社やコンサル会社や研修会社もビジネスモデル変革が必須なんですが意外にわかってないのが現実。えええ、マーケティング会社とかコンサル […]

極端な話、テレワークとSNSの通常化で今までの社員の動き方考え方評価の仕方が大きく変わったということに気が付いていないところは、完全に取り残される。まあ、レガシーな組織とこれからの組織との差が出てくるだろうね。

これからの組織というのは、SNSを駆使して自分だけの顧客やコミュニティを作り出せる人が集まっているということだ。自分だけの顧客やコミュニティを作り出せる人は、極端な話、そのコミュニティの質なので評価するべきだと思うし、下 […]

いよいよ始まるコロナワクチン職域接種!~SAPが自社経験からご支援できること~

コロナワクチンの企業向け接種が始まる中で、企業はどのように対応するのか、SAPのソリューションを踏まえてご説明します。
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2020年に消滅した18のスタートアップとその理由

毎年恒例のその年に消滅したスタートアップシリーズ。毎年多くのスタートアップがその姿を消している中で、2020年はとびきり厳しい一年となった。 パンデミックにより人々の生活は一変し、旅行やリテールに代表されるサービスへのニーズが極端に下がった。それに伴い、ニューノーマル下で必要頻度の下がったサービスは停止を余儀なくされている。 難易度Maxの2020年を生き残れなかったスタートアップ 10社中9社が消滅すると言われるスタートアップゲームの中でも、おそらく2020年はこれまでと比較にならないレベルの難易度の高さ。パンデミックによるロックダウンにより業務を停止したり、サービスを縮小せざるをえない状況に追い込まれた。 また、VCからの投資の縮小も加わり、難易度はMaxレベル。実際に多くのスタートアップはスタッフのレイオフを進め、必死に生き残りにかけている。 それでは2020年に生き残れなかったスタートアップを紹介する。 Atrium 資金調達額: 7,550万ドル 概要: Twitchのファウンダーであるジャスティン・カンが立ち上げたリーガルテック系スタートアップ。機械学習を活用して法的文書のデジタル化を自動化し、資金調達、商業契約、株式の分配と雇用問題、買収取引などのプロセス改善を実現する。アプリケーションを提供していた。 Andreessen Horowitzなどの著名VCからの資金調達に成功し、100人ほどのスタッフを雇っていたが、スタートアから約3年経った2020年3月にオペレーションの停止をジャスティンが自身のツイートで発表。 Thank you to all the clients, investors, and Atrium team members who took a swing. Things didn’t work out as planned and that is my responsibility. We took a swing at something big and you all have my admiration and gratitude. — Justin Kan (@justinkan) March 5, 2020 失敗理由: 法務というアナログな業界に対しての破壊的イノベーションを目指していたが、法律事務所における既存のプロセスのDXに対してのハードルの高さに直面した。 Brandless 資金調達額: 2.9億ドル 概要: ノンブランドの家庭用品、パーソナルケア、ベビー用品、ペット用品を定価3ドルで販売していたeコマースのスタートアップ、Brandlessは、2月上旬にD2C分野での過密と激しい競争を理由に、事業の停止を発表した。 シリーズCにおけるメインの投資家はSoft Bank Vision Fundで、2.2億ドルを調達したと報じられたが、Axiosの報道よると、実際に受け取った金額は1億ドルのみで、残りの1.2億ドルはゴール達成の際に支払われる形となっていたとのこと。 失敗理由: SoftBankからの猛烈なプレッシャーと、誤ったビジネスモデルが相まって、厳しい戦いを強いられていた。具体的には、高い配送料と品質の問題に悩まされ、SoftBankの設定した高い目標を達成するために一部の製品を9ドルに値上げしようとしたこともあったが、無駄だったと報道されている。 厳しい資金繰りに直面したBrandlessは、昨年3月にスタッフの13%をレイオフすることを余儀なくされ、共同創業者兼CEOのティナ・シャーキーは同月に辞任を余儀なくされた。その後、元ウォールマートのCOOをCEOに就任し、方向転換を目指したが、求める結果が出せずに終了した。 Essential 資金調達額: 3.3億ドル 概要: 元Googleの幹部でAndroidの生みの親であるアンディー・ルービン氏が設立したモバイルデバイス スタートアップのEssentialは、製品を発売前からユニコーンの地位に達していた。しかし、同社初のスマートフォンであるEssential Phoneは2017年8月に発売されたが、評価は散々なものとなってしまった。 一時期、シリコンバレーで最も有望なスタートアップの一つとされていたが、著名な投資家陣による多くの資金調達を行なったにもかかわらず、目立った成果を挙げることができず、失敗に終わってしまった。 失敗理由: ルービンが在職中にGoogleの従業員から性的不正行為で告発されていたことがニューヨークタイムズの報道で明らかになった後、Essentialの評判は2018年に下降線を辿り始めた。 さらに、約束していた、Amazon Echoに似たインテリジェントアシスタントと、Ambient OSという名前のオペレーティングシステム(OS)は、決して届けられなかった。 HubHaus 資金調達額: 1,140万ドル 概要: HubHausは、大人向けの寮が流行るだろうというニーズを狙った、長期賃貸住宅プラットフォーム。都市部で働く社会人をターゲットにした。WeWorkに代表されるコワーキングスペースのニーズの拡大に合わせ、居住に対するシェアリングニーズが高まると予測していた。 失敗理由: WeWorkのIPOの失敗により、投資家からの資金調達に難航し、約1100万ドルしか調達できなかった。また、コロナ禍により働き方に大きな変化が起きたと同時に、サンフランシスコなどに代表される都心部の家賃が軒並み定価。長期レンタル型のサービスニーズの低下に苦しみ、サービス停止を余儀なくされた。 Hipmunk 資金調達額: 5,500万ドル 概要: 2010年より旅行系価格比較サービスを展開してたHipmunkは、フライト、ホテル、レンタカーなどの情報を一括表示し、消費者に最もお得な価格を提示提示。その後、SAPの関連会社であるConcurに買収されたが、今年サービスを終了した。 失敗理由: 驚くべきことに、サービス終了の理由はコロナによるものではない。というのも、Hipmunkはパンデミックが世界的に広がる前の、1月23日に運用をストップしたからだ。コロナが旅行業界にインパクトを与えるまでもなく、Hipmunkはすでにユーザーを失っていた。 その原因とされるのが、買収されたことによるサービスアップデートの鈍化と、ユーザーが必ずしも安い情報の表示だけでは便利と感じなくなってきたからというもの。サービス終了直前にファウンダーが買い戻しを試みるものの、その望みは叶わなかった。 IfOnly 資金調達額: 5,140万ドル 概要: IfOnlyはプライベートヨガなどの少数参加イベントのマーケットプレイスを提供していた。しかし、パンデミックによりビジネスモデルが大きな課題にさらされた。最終的には、投資元の一社であるMasterCardによって買収されたが、IfOnlyが夏に閉鎖することを明らかにするまで、買収は発表されなかった。 失敗理由: イベント系のプラットフォームが総じてそうであるように、パンデミックにより、複数の人が一つの場所に集まるタイプの活動は自粛され、そのニーズが極端に低下することになった。 […]

どこの企業でもこれからは大きな経費に今までとはレベルの違うメスを入れなければならない時代に来た。その項目はまず人件費・事務所などの不動産経費やリアル企業運営でかかる経費を何割落とせるかが目安だ。それも1-2割ではなく3-5割レベル。その変わりシステム投資は今までの倍に。

我々がよく提案しているのは、再来年からの新入社員募集は基本中止、社員研修など基本的系なことも全中止、すでに相当なスキルのある人材にいれ変えていく。他の企業でもある一般的な仕事は、外部委託か、なくす方向にビジネスモデルを変 […]

ハイドロ・タスマニア: リモートワーク環境下での SAP S/4HANA プロジェクトの実施と稼働

ハイドロ・タスマニアが今年6月にSAP ERP から SAP S/4HANA 及び SAP Fiori への移行プロジェクトを完了したニュースをお届けします。従来の計画でも10ヶ月というタイトなスケジュールの中、移行プロジェクトは進んで行きましたが、3月からはパンデミックの影響を受け、全てのプロジェクト活動はリモートで行なわれることになりました。 本番稼働までの最後の 3 ヶ月間には最終テストや本番稼働に向けた様々な準備がありましたが、リモートの環境下でも計画通りに稼働することができました。…

ハイドロ・タスマニア: リモートワーク環境下での SAP S/4HANA プロジェクトの実施と稼働

ハイドロ・タスマニアが今年6月にSAP ERP から SAP S/4HANA 及び SAP Fiori への移行プロジェクトを完了したニュースをお届けします。従来の計画でも10ヶ月というタイトなスケジュールの中、移行プロジェクトは進んで行きましたが、3月からはパンデミックの影響を受け、全てのプロジェクト活動はリモートで行なわれることになりました。 本番稼働までの最後の 3 ヶ月間には最終テストや本番稼働に向けた様々な準備がありましたが、リモートの環境下でも計画通りに稼働することができました。…

ニューノーマル時代に注目の海外スタートアップサービス25選

新型コロナウィルス の拡大が世界的に叫ばれ始めてから半年以上たった今、新しい生活スタイル = ニューノーマルの浸透がどんどん進んでいる。 パンデミックが収束しても、それまでの生活スタイルには戻らないという専門家もいる。そうなってくると、これまでとは大幅に異なるニーズが世の中に溢れ、それに対するソリューションサービスが多く求められてくるだろう。 具体的には下記のような領域でのサービスが注目されている。(詳細は後半部に記載) DX系サービス 非接触系サービス 心と体のケア系サービス リモート教育系サービス リモートワーク系サービス シリコンバレーを中心に、海外ではすでに多くのスタートアップが新規課題を解決するべくサービスをリリースしている。そんなニューノーマルに対応しているサービスの中でもbtraxが特に注目しているスタートアップを25選んでみた。 ニューノーマル時代にbtraxが注目する25のスタートアップ それでは具体的なスタートアップを見ていこう。 Lattice: 人材管理プラットフォーム Lemonade: P2P型デジタル保険 Alto Pharmacy: オンライン薬局 Mindstrong: メンタルウェルネス Outreach: 営業系SaaS Curastive: 医療テクノロジー MasterClass: オンライン習い事 Loom: 遠隔コミュニケーション Capsule: 処方箋薬のデリバリー Upkey: 企業と大学をつなぐプラットフォーム Zipline: ドローンによる宅配サービス Verkada: 企業向けセキュリティシステム Drift: 営業/マーケティングプラットフォーム Modern Health: 従業員のメンタルケア Tula Skincare: クリーンビューティー系スキンケア Cameo: 動画マーケットプラットフォーム Wealthfront: ロボアドバイザー型投資サービス Spatial: AR/VR型オンラインコミュニケーションツール Bungalow: シェアハウスプラットフォーム Guild Education: 教育福利厚生オンラインプラットフォーム P.volve: 家庭用フィットネスプラットフォーム Samsara: テレマティックソリューション Nuro: 非接触型マイクロデリバリー Chief: 女性向けコーチングプラットフォーム Carbon Health: 医療プラットフォーム スタートアップ名: Lattice 領域: 人材管理プラットフォーム 概要: 組織マネージメントツールであるLatticeは、企業が目標を設定し、従業員のゴール達成度合いをトラックし、その達成状況に合わせリワードを提供する。それにより、スタッフのパフォーマンスを効率的に管理することを可能にする。 多くの企業がリモートワークへのシフトが進む中で需要が高まっており、今年10月から今年の7月の間に約500社の新規顧客を獲得している。また、4500万ドルの追加資金調達を行い、その評価額は約4億ドルに達している。 注目の理由: 実際に顔を合わせる頻度が減った業務スタイルにおける新しいニーズに対応しているため。 https://lattice.com/ スタートアップ名: Lemonade 領域: P2P型デジタル保険 概要: Lemonadeは月額5ドルからの手頃な保険を提供するスタートアップ。 世界初のP2P保険サービスとして2015年にローンチた。 P2P型保険というコンセプトは、ユーザーとユーザーをつなげることで、それまで中間に存在していた保険会社の概念を廃止することで、よりユーザーにとって魅力の高い保険を提供することをゴールとしている。 スマホ一つあれば、面倒な手続きをしなくても簡単に保険に入会、利用することが可能。保険金の申請、支払いも数分間で行われる。そして費用の支払いも月々のサプスクリプションなので、若者を中心に手軽に利用できるようになっている。 注目の理由: そのスムーズな体験を通じて保険のDXを実現しているため、新しい顧客層の獲得が期待できるため。 https://www.lemonade.com/ スタートアップ名: Alto Pharmacy 領域: オンライン薬局 概要: 元Facebookの従業員によって始められたオンライン薬局であるAlto Pharmacyは、薬剤師へのリモートアクセス、薬の無料配達、価格の透明性の実現をゴールとしている。 パンデミックが発生してからは、医師やクリニックのスタッフの遠隔医療への移行を支援し、サプライチェーンを潜在的な不足から守るための新しい仕組みの提供と、非接触型デリバリーシステムを導入している。 1月に2億5000万ドルを調達し、全米での事業拡大を進めている。 注目の理由: 遠隔医療へのニーズが急激に高まっているため。 https://alto.com/ スタートアップ名: Mindstrong 領域: メンタルウェルネス 概要: Mindstrongは、重度の精神疾患(統合失調症、大うつ病性障害、強迫性障害)を持つ患者とセラピストを結び、ビデオや電話、テキストでコミュニケーションを取ることができるメンタルヘルスケアプラットフォームを提供してる。 […]

コロナで判明したリアル業態の今後の是非

黒船来週で今後のビジネスモデルの変更が余儀なくされているリアル業態。多くのところで抜本的な改革を進めるかそのまま縮小していくのかの際が迫っている。まあその中でどういった業態が迫られているのか考えてみたというかちょっとメモ […]

2020年が日本のデザイナー達に与える12のインパクト

2020年もすでに下半期に入っているが、すでにあまりにも多くの事柄が起きており、人々の生活、働き方、価値観もが大きく変化している。そこには新しい課題が生まれ、それを解決するためのソリューションが速いスピードで求められる。 デザインが問題解決に対する最適な方法を見つけるための手段であるならば、この時代がデザイナーに与える影響も少なくはない。これからの時代にデザイナーやデザイン会社、そして社会全体に求められるデザインに関するインパクトを考えてみた。 企業価値にデザイン力が大きく影響する 経営層にもデザイナーが参加し始める より広い視野でデザインを行わなければならない 他のスタッフの視点からものづくりを考えなければならない 行動心理学の理解が重要なデザインスキルになる ユーザー視点はお客様第一ではないことを理解する 人工知能 (AI) と仲良くデザイン作業を行う時代が近づいている デザイナーはデータを理解し活用しなければならない スクリーン以外のユーザーインターフェースをデザインする時代 よりコミュニケーションスキルが重要になってくる キャリアアップにはスキルアップとスキルチェンジの両方が必要になる グローバルに活躍できないデザイナーは頭打ちになる 一つの時代の節目ともなる2020年。これからデザイナーの役割とそれを取り巻く環境の変化に関して、我々ビートラックスが信じているデザイナーの未来をご紹介したい。 1. 企業価値にデザイン力が大きく影響する 2020年に入ってからもシリコンバレーを中心としたテクノロジー企業であるGAFAやTeslaの株価が大幅に上がり続けている。世界的に見ても企業価値が高い企業には一つの共通点がある。 それは、デザインをとても重要視している点。特にUXやCXデザインと言ったユーザーの直接のタッチポイントになるエリアに対する投資が非常に大きい。 スタートアップ企業の将来的価値を計る際にもデザインに関する知識やスタッフの能力、設備等の要素が評価の基準となるだろう。 一部のシリコンバレーのVCではいち早くデザイン業界経験のある人材獲得を進めている。また、Google Venturesも、スタートアップの価値を判断するときや成長ステージにおいてもデザイン力を非常に重要視していることで知られている。 ということは、世界的な視野で見ると、今後デザイナーの需要はどんどん高まると考えられる。 統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ 2. 経営層にもデザイナーが参加し始める デザインがビジネスに与える影響が大きくなるにつれてエクゼクティブチームにデザイナーを参加させている企業が増えてきている。 物事の捉え方や解釈の仕方、また判断を下すときなどにもデザイン的考察を入れることで結果に大きな差が生まれる。これは、変化のスピードがどんどん加速していく中でロジックだけでは説明のつかない状況がどんどん増えていくのが理由だ。 企業のトップも、言葉や数字だけでは説明しきれないけれど“どこか良いと思わせる”何かに気づくが一つの重要なスキルとなる。 これまでは、“センス”や“直感”などの言葉で認識されていたが、それこそがもしかしたらデザイン的な感覚ではないかと思う。判断に迷ったらデザイン理論的に優れた方を選べば間違いはない。 アメリカでは既にCDO (Chief Design Officer)や、CCO (Chief Creative Officer)などの役職のポジションも存在する。そう考えると、現在はデザイナーとして働いている人でもキャリアパスとして企業の役員や、場合によっては社長を目指すことも間違っていない選択なのかもしれない。 【デザイン × 経営】ビジネスにおけるデザインの価値を追求する7人の起業家 3. より広い視野でデザインを行わなければならない 最近は日本でも知名度が高まってきている「ダイバーシティー」という単語。「多様性」を意味するが、具体的にはどのような要素が含まれているのだろうか?LGBTなどに代表される性別的な要素や人種はわかりやすい例であるが、それ以外にも複数のファクターが存在している。 世界中には様々なバックグラウンドを持つ人々がいるが、一つの場所で生活しているとどうしてもそれを忘れがちになる。特に日本国内に住む98%が「日本人」であることを考えると日本が相当ダイバーシティの低い国であるということになる。 日本と比べても実に多種多様な人種が集まっているアメリカでもまだまだ多くのデザインが画一的なデモグラフィーを中心に考えられており、マイノリティーと言われるユーザーを考慮していないケースが少なくない。 それを象徴するのがターゲットを性別と年齢だけで区切ってしまう手法。おそらくこの手法は日本国外へ出た瞬間に一瞬で通用しなくなる。 加えて、今後は日本にも海外からの移住者がどんどん増えていくことを考えると、日本企業も早い段階からダイバーシティーへの理解とインクルーシブデザインの採用を進めていく必要があるだろう。 インクルーシブデザインとは?現代の多様性に寄り添う7つの実例 4. 他のスタッフの視点からものづくりを考えなければならない デザイン思考の基本はユーザー視点でものづくりを進めることであるが、デザイナー職の人たちはどうしてもデザイナー的視点に終始しがちなところがある。 デザインの役割が広がってきている現代においては仕事上で関わる人の幅も広がる。これまではデザインチーム内で仕事をしてきた人も、エンジニアやビジネス、場合によっては人事系の役割の人たちとのコラボレーションも増えてくるだろう。 そうなった際に相手の気持ちを理解するために、相手の仕事内容に加え、技術面も多少は身につけておくとコミュニケーションが非常にスムーズに進む。 例えば、デザイナーとエンジニアは2つの異なる職業とされて来た。しかし、テクノロジーが進むにつれエンジニアの経験やバックグラウンドを持つデザイナーは非常に重要な人材となるだろう。 逆にデザイナーからエンジニアに転身することも珍しくはない。この2つの職業の境界線はどんどんなくなり始めている。今後は、僕はエンジニアだから…, 私はデザイナーだから… などの言い訳は出来なくなる。 【これからのスキル】デザイナーとエンジニアの境界線がどんどん無くなる 5. 行動心理学の理解が重要なデザインスキルになる User Centered Design (ユーザー中心のデザイン) を行う歳には、利用する人の目的を最も正しい方法で達成するためのデザインが必要とされる。その目的を果たすために利用時のユーザーの心理を捉え、理解し、それに対して最適な施策を打ち出す必要がある。 例えばUXデザイナーでデザイン科卒ではなく心理学や人間工学、人類学を学んだ人も意外と多い。 逆に考えると、これまではデザインだけを学んで来た人も今後は上記のようなその他の幅広い学問の知識も必要とされるということだ。人間という生き物をより理解することでより最適なデザインを作り出せるようになる。 そういった意味では、脳科学を学ぶことで人間の脳がどのようなデザインにどう反応するかを理解することが出来たりもする。 人々の行動を変える行動心理学の力【ビヘイビアデザイン】 6. ユーザー視点はお客様第一ではないことを理解する 日本で古くから商習慣として根付いている「お客様第一主義」は素晴らしい。しかし、そこからはなぜか世の中を驚かせるようなソリューションが生まれにくい。おそらくその理由は、お客様第一主義とユーザー中心デザイン (UCD) が似て非なるものだからだろう。 ビジネスやプロダクトデザインにおいて、お客様の声を最優先することは一見当たり前のように感じる。しかし、お客様の声をそのまま商品に反映するのと、その潜在ニーズをより深く理解し、顧客の想像を超えるレベルのプロダクト作り出すのとでは、結果に大きな差が生まれる。 少し前に話題になった「ここがちゃうねんデザイン思考」にも紹介されている通り、ユーザー視点で物事を考えることは、顧客の言うことをすべてやることではない。 お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い 7. 人工知能 (AI) と仲良くデザイン作業を行う時代が近づいている ユーザーにとって最適な見た目のデザインや体験を、システムが自動的に生成することも理論的に不可能ではない。そうなってくるとデザイナーの仕事は無くなってしまうのか?いや、むしろ、そのAIを最大限活用することこそがデザイナーの仕事になってくる。 人工知能や機械学習などのシステムが得意とするところと、人間が得意な部分を掛け合わせシステムにもより良いクリエイティブ作成を教えることによって、最も効率的で効果的なデザインを行うのがデザイナーの仕事だ。まさに人と機械のハーモニーがゴールの仕事である。 機械に仕事が奪われるのではないか?と危惧する声もあるが、0から1を作り出すこと、これは機械には出来ない。AIは過去のデータを元に未来を予測することは出来るが、全く新しいものを作り出すのは人間にしか出来ない。デザイナーやエンジニア等のクリエイティブな仕事はこれからもどんどん必要とされていく一方であろう。 人工知能 (AI)や機械に絶対奪われない3つのスキル 8. デザイナーはデータを理解し活用しなければならない デザイナーが感覚やデザイン理論だけをベースに仕事を行う時代は終わるだろう。何が本当に正しいデザインかの判断をある程度データから読み取る必要がある。そして、常にデータを分析しながらデザインの改善を行う。 それぞれの目的に沿った正しいデザインを行うためにはデータありきで仕事をしなければならない。特に、ユーザビリティやユーザーエクスペリエンスなど、利用するユーザーありきのデザインの結果はデータが全てである。 ユーザーとテクノロジーをつなぐのがデザイナーの仕事だとしたら、データをビジュアル化する役割としてのでデザイナーの存在価値がどんどん高まっていくだろう。 では、急激なスピードで増え続けている膨大なデータを今後どのように活用していけば良いのか。この課題を抱えていない企業は恐らくないだろう。 得られた数字を元にデザインを柔軟に変更し改善を進めて行くことが重要になっていく。これからはデザイナーとデータサイエンティストという、一見関係の薄そうな2つの職業が密接に関連してくるだろう。 デザインには直感とデータどちらを採用すべき? 9. スクリーン以外のユーザーインターフェースをデザインする時代 デザインが必要とされるデバイスの種類がどんどん広がっている。これまでは“紙かスクリーンか?”の2択だったアウトプット媒体も、AR/VR、ジェスチャー、ボイスコマンド、そして脳波まで様々なインターフェースを通じてユーザーとの対話が行われ始めている。 そんな中で、全く新しいジャンルのデザイナーの必要性が高まってきている。例えば、例えばリアルタイムで生成される3Dオブジェクトの表示方法や、人工知能 (AI) をベースとしたシステムを活用してVR環境内を動き回るアバターキャラクターのデザインなど、これまでには存在していなかったタイプのスキルが必要とされる。 また、感染を減らすための非接触インターフェイスのデザインや、リアルな画像/動画とバーチャルオブジェクトを組み合わせた形のいわゆるAR型インターフェースのデザインの出現も予想される。そこにはPCやスマホなどの既存のデバイスとは別次元の操作性とユーザー体験の設計が求められる。 目に見えない動きやインタラクションをデザインするには、新たな表現方法が必要とされてくる。 今さら聞けないユーザーインターフェイス (UI) の基本 10. よりコミュニケーションスキルが重要になってくる デザイナーと言うと、絵を描いて形だけを決める仕事だと勘違いしている人が多いのだが、実はそれらは最終アウトプットのごく一部。本来デザイナーの仕事というのは、与えられた制限の中で求められる最大限の結果を生み出すプロセスのその全てに関わる職業である。 […]

ワークショップはオンラインでも上手くいく?押さえておきたいポイント5つ

ワークショップもオンラインで実施する機会が増加
オンラインワークショップをより上手に実践するためのポイント
オンラインの利点① 参加における場所の制約を受けない
オンラインの利点② 保存・複製が簡単にできる
オンラインの利点③ 具体的な2次元のプロトタイプを素早く作りやすい
より質を高めるために① 参加者側の安定したインターネット環境、社内ルール等を確認する
より質を高めるために② インタラクションの機会を意識的に増やす
今後はオンラインとオフライン、双方の強みを意識した上で、使い分けていくことが…

ワークショップはオンラインでも上手くいく?押さえておきたいポイント5つ

ワークショップもオンラインで実施する機会が増加
オンラインワークショップをより上手に実践するためのポイント
オンラインの利点① 参加における場所の制約を受けない
オンラインの利点② 保存・複製が簡単にできる
オンラインの利点③ 具体的な2次元のプロトタイプを素早く作りやすい
より質を高めるために① 参加者側の安定したインターネット環境、社内ルール等を確認する
より質を高めるために② インタラクションの機会を意識的に増やす
今後はオンラインとオフライン、双方の強みを意識した上で、使い分けていくことが…

ワークショップはオンラインでも上手くいく?押さえておきたいポイント5つ

ワークショップもオンラインで実施する機会が増加
オンラインワークショップをより上手に実践するためのポイント
オンラインの利点① 参加における場所の制約を受けない
オンラインの利点② 保存・複製が簡単にできる
オンラインの利点③ 具体的な2次元のプロトタイプを素早く作りやすい
より質を高めるために① 参加者側の安定したインターネット環境、社内ルール等を確認する
より質を高めるために② インタラクションの機会を意識的に増やす
今後はオンラインとオフライン、双方の強みを意識した上で、使い分けていくことが…

ワークショップはオンラインでも上手くいく?押さえておきたいポイント5つ

ワークショップもオンラインで実施する機会が増加
オンラインワークショップをより上手に実践するためのポイント
オンラインの利点① 参加における場所の制約を受けない
オンラインの利点② 保存・複製が簡単にできる
オンラインの利点③ 具体的な2次元のプロトタイプを素早く作りやすい
より質を高めるために① 参加者側の安定したインターネット環境、社内ルール等を確認する
より質を高めるために② インタラクションの機会を意識的に増やす
今後はオンラインとオフライン、双方の強みを意識した上で、使い分けていくことが…

ニューノーマルで注目度アップ! アメリカの非接触サービス12事例

接触をいかに減らすか。ニューノーマル時代、Contactless (非接触) サービスに注目
小売: 「目新しい」から一転。Amazon Goのようなレジレスサービスが大きく普及。
宅配: ロボットにドローンまで!無人宅配サービスの実用化が進行。
医療: 感染リスク軽減。アプリやロボットで医療にも「非接触」というアップデートを。

残念なことだが、コロナウイルスの流行は収まる気配が見えない。そんな中で「After コロナ」でなく「With コロナ」として、コロナウイルスと付き合いながらニューノーマ…

【考察】アフターコロナ時代に備えて企業が今考えるべきこと

アフターコロナの消費行動、購買行動を4軸で分析 ①リアル X 生活必需品: 個人スペースを保つ移動ニーズ。サービス利用からモノ所有への揺り戻しか? ②リアル X 嗜好品: 五感を刺激するリッチな非日常空間の体験への注目。 ③オンライン X 生活必需品: シニア層もオンライン移行。新たなユーザー獲得のチャンス。 ④ オンライン X 嗜好品: “おうち時間”充実のためのサービス需要アップ。“お店が家に来る”という価値の転換。 コロナ前後の違和感や違いを好奇心を持って考えるマインドセットが重要 コロナウィルスが収束し、経済が再開したあとの消費者ニーズや購買行動はどう変わっていくのだろうか。 日経クロストレンドが発表したアンケート調査で、51.7%の人がコロナ収束後はお金の消費を減らすと回答しているが、そういった人たちに対して今後どのようにアプローチしていけばよいのだろうか。多くのビジネスマンがこうした課題について考え始めている。 徐々にお店や企業がオープンされつつある今日だが、With/Afterコロナと題されるように、今後もウィルスへの懸念は完全に消えることはなく、ユーザーの生活の一部であり続ける。 それに伴い、ユーザーの価値観や消費行動は劇的に変化を遂げ、それはコロナ以前に戻る可能性は限りなく低く、企業はユーザーが抱える課題・ニーズを再定義し、アプローチ方法を見直す必要がある。 例えば外食産業は、オンライン注文やデリバリーで対策し始めている。この迅速なピボットはコロナ禍により発生した自宅待機という短期的な課題とニーズにはマッチするが、ユーザーの価値観の変化を掴まず進められたソリューションは、長期的な意味での展開はなかなか望めなく、諸刃の剣になりかねない。 そこで今回は、コロナ収束後に人々の価値観や思考法にどのような変化が起こりうるのかを分析する。 また、これらを考察していくとともに、それを見据えて企業はどう対応していけば良いのか、アメリカ企業の具体例を中心に紹介していきたい。 With/Afterコロナによる社会変革はピンチではなく、新たに生まれた課題を解決するチャンスというマインドで取り組み、コロナ禍前以上のさらなるビジネス展開のきっかけに繋げてもらえると幸いだ。 ユーザーの視点別に分解する ユーザーを分析する視点は、彼らがどこにいるのか(リアル/オフラインなのかオンラインなのか)、何を求めているのか(必需品なのか嗜好品なのか)を2つの軸、4つのパターンに分ける。 軸1: リアルとオンライン 今回のパンデミックはまさにリアルでの接触が脅威になっており、ユーザーは自宅、もしくはオンラインに避難した。このこともあり空間の違いによって心配事・感心事が異なるので、空間別に分ける。 軸2: 必需品と嗜好品 パンデミック発生直後、人々の嗜好品に対する購買意欲は下がり、まずは生活必需品を揃えることに重きが置かれた。一方で、感染拡大が収まってきている中、嗜好品を求める余裕も出てきた。この2つのバランスの移り変わりも絡め、それぞれを見ていく。 ① 個人スペースを確保し安全に移動することに重視 (リアル X 生活必需品) 日本に比べると車通勤がはるかに多いアメリカだが、サンフランシスコやニューヨークなどの大都市では電車やバスを利用して移動している人も多く、ラッシュ時はかなりの乗車率だった。 通勤や通院など移動は生活において必要となる。この移動におけるユーザーのニーズにも変化が現れ始めている。 経済が活気を取り戻しつつある現在、公共交通機関の利用も徐々に増えてきているが、三密の代表格として認知されていることから、安全に利用することがままならない状況にあり、利用者の多くは不安を抱えながら移動している現状にある。 そのため、コロナ収束後の移動においては、密を避けることが求められる。つまり一番良いとされるのは個人スペースを保った移動なのだ。そのため、通勤、旅行、買い物時の移動シーンではできる限り個人スペースを確保したいとの考えが広がった結果、個人車所有の価値が見直されるのではないかと考える。 実際に、今まではタクシーの代替品として毎日のように使われていた、UberやLyftに代表されるライドシェアリングサービスは、経営的にダメージを大きく受けたビジネスモデルだ。 彼らのビジネスモデルは、他人と相席をするという、言わば三密を避けられない状態になるので不衛生、不摂生というイメージがあり、安心して利用することを躊躇っている人が多い。 そのため「コロナ危機でシェアリングエコノミーはどうなってしまうのか」でも紹介されているように、UberやLyftなどは主要事業のライドシェアリングから生活必需品をデリバリーするビジネスモデルの可能性を模索している。 またレンタカーに関しても同様に、誰がいつ何をしているか、本当に消毒されているのかなどの不安から利用者が激減し、先日、米国最大手のレンタルカー会社のHertzが倒産する事態にまで発展した。 他人とモノやスペースを共有し、リーズナブルかつ効率化を求めるトレンドは今後、個人のスペースを確保し、安全に移動することに移っていくのではないかと思う。 実際にアメリカの中古車市場は既に上昇傾向にあり、サービスの利用からモノの所有への揺り戻し需要が期待されている。 ② 非日常空間で五感を刺激しストレス解消することに重視 (リアル X 嗜好品) コロナ前は、当たり前のように、映画館で大スクリーン上に映し出される映画を観たり、ライブ会場で生演奏を聞いたり、お洒落なレストランで美味しいものを食べたりと、人は好きな時に五感を刺激し、ストレスを発散することができた。 それがコロナにより、容易にストレスを発散できなくなった現在、人々が抱えている課題は、その失われた五感をコロナ収束後にどのようにして回復させるかだ。 もちろん経済が再建すれば、映画館やレストランをストレス発散の場として利用することはできるが、コロナの懸念は完全には消えず、常に不安を抱えながら生活する必要がある。 せっかく遠出をし買い物をしに行ったとしても、現地で多くの人がいればそちらが気になって楽しめなかったり、映画館に行ってもコロナのことばかりが気になり、集中できずに体験として物足りないと思うかもしれない。 それは、再開していくレジャー系アクティビティも同様で、特にこれから真夏に向けて、例年の、夏祭りや子供連れでプールに行くなどの機会をいかに安全に体験することができるかに需要が向くと考えられる。安全にソーシャルディスタンスを取りながら、レジャーを体験することに期待が寄せられる。 現在、アメリカを中心に新たなシェアリングビジネスとして人気を集めているのが、プライベートでプールの貸し借りができるSwimplyというスタートアップ企業だ。 Swimplyレンタル画面 同社のビジネスモデルは、シェアリングハウスでお馴染みのAirbnbと類似している。しかし差別化ポイントとしては、家の貸し出しではなく、高級住宅に併設されているプールの貸し出しを行うという、あくまでもレジャーアクティビティ体験にフォーカスされているところにある。 プライベートで借りることができ、料金は場所により異なるが、安いところだと、$35/hourと良心的な価格設定になっている。時間は1時間からとホスト側も利用者の回転率を上げることができるという点でメリットが多い。コロナ後の売上は3月に比べて1,200%を達成したという。 長い自宅待機や外出先でもコロナの不安からくるストレス解消のために、高級住宅のプールを使うという非日常感を味わいながら、安全にソーシャルディスタンスも取れるという体験に今後も需要の期待が寄せられる。 ③ シニア層も生活必需品の買い物はオンラインに重視 (オンライン X 生活必需品) コロナ禍をきっかけにオンラインビジネスの成長がさらに顕著だ。TechCrunchの記事によると、食料品のオンライン注文が前月の3月に比べ、49%上昇したとある。 もちろん、コロナ前も小売分野を中心に、オンラインショッピングやデリバリーを利用していた人は多くいただろうが、コロナをきっかけにその加速がさらに進むと考えられる。 コロナにより様々な飲食店や食料品店はオンラインでの注文・デリバリーを強化し、サービスを展開を始めている。サンフランシスコ発祥の食料品即日配達で有名なInstacartは、コロナをきっかけに食料品のデリバリーによる売上が昨年同期比400%を達成しさらに勢いを増している。 また、同社は全米200店舗のCostcoと提携し、食料品だけでなく処方薬の配達を開始すると発表し、注目を集めている。 InstacartのアプリUI このような取り組みは、単にオンラインサービスを利用する人が増えるだけではなく、ターゲット層にも変化を与えると考えている。 今までオンラインサービスの利用者層は主に、インターネットにアレルギー反応がない若者をメインターゲットとしてサービス展開されていたケースが多いが、これからはシニア層のオンラインでの購入需要が高まると考えられる。 シニア層は若年層に比べ、オンラインよりも実店舗に出向き生活必需品を購入するケースは何かと多い印象だ。実店舗は彼らにとってただ単に買い物をする場ではなく、憩いの場だったり、ソーシャルな場だったりもする。 しかし、それは同時にコロナ感染リスクの上昇に繋がり、若者に比べ重症化するリスクが高いとされている不安から、外出を避けてオンラインでの買い物に移行するケースが増えると考えている。 Instacartの処方薬デリバリーの例は、こうした不安や懸念を抱えるシニア層を中心に利用ケースが増えると考えられる。 コロナによって引き起こされたユーザーの価値観や考え方の変化を捉え、ニーズの再定義をもとに作られたソリューションは、新たなターゲットへのリーチにも繋がり、さらなるサービス展開の起爆剤になり、そうしたマインドセットを持つことがコロナ収束以降も必要となる。 関連記事:ニュートンのイノベーションは隔離体験から生まれた ④ 趣味で自宅時間を充実させることに重視 (オンライン X 嗜好品) コロナ前は仕事や外出で忙しく、なかなかインドア系の趣味に対して重要性を見出せていなかった人も、パンデミックをきっかけにインドア系趣味を取り入れ、自宅時間を充実させるケースが増えたのではないだろうか。 人気なのは、料理やガーデニング、家具作りなどのDIYといったところだろうか。もしくは今まではわざわざ外出をして行っていた運動はジムではなく、自宅でできるように新たに器具を揃えたり、オンラインクラスを受講したりで対応していったケースもあるかもしれない。 今回のパンデミックで人々の購買意欲・行動意欲が下がったため、アウトドアの趣味で時間を充実させるよりは、自宅でできる趣味を取り入れることで時間を充実させたい欲が続いていくと考えられる。こうした需要に共感し、新たなサービスを始めた飲食店がある。 サンフランシスコやロサンゼルス 、ニューヨークで人気のタピオカ店Boba Guysは休業期間を利用して、ただ単にデリバリーやオンライン注文を受けるだけでなく、新たに半調理品の商品を開発し専用キットとしてオンライン販売する仕法で新規顧客を取り込んでいる。 Boba Guysメニューキット 専用キットの中には材料や調理器具の他、レシピも同封されており、自宅でもお店さながらの味が再現できる。 これはただ単にドリンクをデリバリー注文して飲むだけでは体験できない付加価値がプラスされていると同時に、今まではなかなかお店に足を運べなかった新たな層にもリーチでき、それが競合との差別化にも繋がり新規顧客の取り込みにも成功している。 飲食店の生命線ともいえるレシピを公開してしまうことは、競合にヒントを与えることになり、リスクにもなりかねないが、なぜ実行に至ったのか。 それはユーザー視点で、彼らが自宅時間で求めていることは何なのかをしっかりと考え、持てるリソースでそのニーズに答えるというマインドセットがあったからだと言える。 ③のポイントとも繋がるが、“お店に足を運ぶ”という従来の思考法から“お店が自宅に来る”という新たな発想の転換と“レシピ公開はリスク”という固定概念を払拭したことで生まれた、新しい可能性なのである。 おわりに コロナウイルスによって、人の価値観や思考法に変化がもたらされた現在、企業はユーザーのニーズや行動、欲求を再度見直し、サービスの改善や対策を行っていく必要がある。 上記で紹介したような事例はそのようなニーズをいち早く捉え、実行している例であるが、コロナによって引き起こされたユーザーが抱える不安や懸念は何なのかを考え、どのように安心感を与えるかを考えることが今後のカギとなりそうである。 そのためには、ユーザーへの共感と実体験から感じたコロナ前とコロナ後の違和感や違いを好奇心を持って考えるマインドセットを持つことが第一ステップになる。 コロナによるパンデミックはピンチではなく、新たな課題を解決するための源と捉えてさらなるビジネス展開に繋げて頂きたい。 btraxではユーザー中心視点からグローバルに通用するためのマインドセットを醸成するためのデザイン思考ワークショップを提供している。少しでも興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせを。 参考記事: Hertz files for bankruptcy Uber lays off […]

コロナ疲れを克服!心身共にケアするウェルビーイング系サービス5選

コロナの影響で心身ともに疲れが。今こそ「ウェルビーイング」について考える必要あり!注目のウェルビーイング系サービス5選 Moon Juice: 美容だけでなくストレス軽減等にも効く、植物由来のクリーンビューティープロダクト WellSet: WellTechの先駆者。ウェルビーイング系サービスの総合プラットフォーム hims/hers: 驚異の成長でユニコーン企業入り。男女のデリケートな悩みに寄り添うD2Cブランド Oura: 睡眠時のコンディショニングもサポート。指輪型の超スマートIoTデバイス Blueboard: リワードの送り合いで体験を提供。従業員体験の向上を図るToB向けプラットフォーム 長期的に見て、心身両者に対してポジティブに働くウェルビーイングサービスであるかがポイントに サービス提供者が向き合うべきは、サービスを通じたユーザーの課題解決 リモートワークが新たな働き方として普及し、ニューノーマルが浸透し始めている段階にある。その一方で、「ニューノーマルが生み出す4つの意外な社会課題」にあるように、思いがけない課題も出てきている。 上述の記事で挙げられている課題のひとつに「働きすぎてしまう」というものがある。リモートワークで、家にいる時間が長く、通勤時間も仕事に充てられる状況になったことが原因だ。 実際、Human Resources Exectiveによると、7割の人がこれまでのキャリア全体を通じても、最も大きなストレスを感じているとの調査結果が出ているほか、抗うつ剤や抗不安剤などの処方も増えているという。また、6割以上の人が、このコロナ禍で仕事における生産性の低下を感じているとのデータも出ている。 朝起きて、仕事をして、寝るという淡々としたタイムラインで毎日が進んでいく。ほとんどの時間を仕事に費やしていて、気がつくともうこんな時間。あっという間に一日が終わると感じている方も多いことだろう。 いつ収束するのかも見通しも立っておらず、家にいることを余儀なくされ、自由がない。ただでさえ塞ぎ込みそうな、あるいは、爆発しそうな精神状態になりかねないのに、なんだかんだで仕事をしすぎてしまうという不本意さ。心身共に疲弊していないだろうか。 こういった、身体の不具合を治すだけでなく、心も整え、改善していくためには、「ウェルビーイング」という言葉が重要になる。ここ数年でよく聞かれるようになった言葉だが、その一般的な意味は、身体的、精神的、社会的に満たされている状態のこと。 特に、身体的な充足以上に、精神的にも満たされていることがウェルビーイングの定義の中核にある。健康よりも、ウェルビーイングなのか。たとえ健康的に役立つサービスだとしても、長期的に見て精神的、社会的に自分が満たされているのか、といった点に着目しているのがポイントだ。 今回は、ウェルビーイングやウェルネスをテーマにしたサービスや取り組みについてご紹介していきたい。新たな環境に順応せざるを得ない状況において、これまでの生活との摩擦やギャップで精神的にも疲弊してきていると感じるという方の一助になったら幸いだ。 Moon Juice Moon Juiceは、LA発のウェルビーイングブランドだ。アダプトゲンという成分に着目したサプリメントや、スキンケアグッズを扱う。アダプトゲンは、ハーブや漢方由来の成分で、ストレスの軽減や美肌効果などが期待できる。 View this post on Instagram BUILD RESILIENCE//⁣⁣ Cortisol out of balance can weaken your immune system. SuperYou contains four potent adaptogens that work to regulate cortisol and address the effects of stress on the mind and body. ⁣ ⁣ Get it @sephora.⁣ ⁣⁣ #SuperYou #moonjuice #sephora⁣ A post shared by MOON JUICE (@moonjuice) on Apr 12, 2020 at 8:26am PDT 脳の活性化を助けるもの、肌の調子を整えるもの、コラーゲンを補給できるものなど、効能も様々。また、サプリメントといっても、錠剤のものだけでなく、ドリンクに溶かして摂取できる『Moon Dust』という粉末状のものもある。 Moon Juiceは元々、創業者であるアマンダ自身のが患っていた慢性的な免疫疾患を、アーユルヴェーダ療法(インド古来の伝統医学)で寛解した経験に基づいている。この経験から自身でも学びを深め、植物の力を活かしたクリーンなプロダクトを作ることに至ったという。 Moon Juiceのプロダクトは、その成分の純度や効力、微生物含有量、農薬の量などを専門家と共に検証した、高品質さを徹底したもの。自分たちが摂りたいと思う、高品質なものしか作らないという強い信念に基づいている。 また、カリフォルニアを中心にオフラインの店舗も持っており、そこでは、プロダクトの販売はもちろん、ジュースやミルク、スナック類などの提供も行っている。 WellSet WellTech(Well-being/Wellness × Technology)という言葉や、WaaS(Well-being/Wellness as a Service)という言葉も出てきている。数兆円の市場規模というポテンシャルを秘めたウェルビーイング業界において、WellSetは先駆的なサービスだ。 WellSetは、ウェルビーイングやウェルネスにまつわるサービスの予約ができるプラットフォームだ。セラピストや鍼灸師、アーユルヴェーダのインストラクターなど、様々なカテゴリーのプロを検索で見つけ、施術の予約までを一気通貫で行うことができる。 また、『Virtual Wellness Studio』という、メディテーションやエクササイズを対面で行うイベントにも参加することができる。コロナ禍ではオンラインで行われているが、オフラインのイベントも含め、お試し感覚で、より気軽にサービスを利用することができる仕組みも設けている。 WellSetの強みは、網羅性の高さにあると筆者は考えている。ただでさえ類似した言葉が多く、混乱するウェルビーイングやウェルネスの概念。それを逆手に取ったかのようなサービスに思える。 症状や希望するインストラクターカテゴリー、価格など細かく条件を絞って検索が可能(公式HPより) サービスの検索画面では、症状やどどのようなカテゴリーの施術を希望しているかによって細かく条件検索が可能。詳細なニーズも汲むことができるようになっている。 多岐にわたるカテゴリーを網羅しているということは、当然対応できるニーズも広い。「こんなものもあるだろうか?ひとまずWellSetを見てみよう」とサービスを利用する人が多いのではないかと予想できる。 […]

パンデミックによる肉不足も解消!プラントベース食品最前線

コロナで肉品切れ&プラントベース肉は価格を落としての拡大中 プラントベース(乳製品・肉代替)市場は約5,000億円拡大。チェーン店でも買えるまでに浸透中! 拡大の理由はアメリカの消費者の食スタイルの変化、植物性への移行の重要性、そして味! 注目ブランド紹介:gardein、Forager Project、Miyoko’s Creamery トイレットペーパーの次は肉が無い!? コロナウイルス感染拡大を受け、アメリカでは牛肉、豚肉の供給にも影響が出始めた。 屠殺場や食肉パッキング工場でも従業員の集団感染が発生し、4月末までに、カナダおよび国内有数の工場が閉鎖に追い込まれた。 これにより、大手ハンバーガーチェーンのWendy’sでは原料の精肉が手に入らず、全体の約20%の店舗(1,043店舗)でハンバーガーが品切れとなった他、コストコなどでは、一家庭当たりの精肉の購入制限が設けられた。 今後もウイルスの拡大が続けば、洗浄作業のために工場の閉鎖は長引き、冷凍肉の貯蔵も底を尽きて、さらに肉不足が深刻化することが懸念されている。 この肉不足の問題を受けてクローズアップされているのがプラントベース(植物由来)食品だ。嗜好の変化やその健康面から度々注目されてきたが、新型コロナウイルスの影響を受け、さらなる広がりを見せている。 そこで本記事では、最新のプラントベース食品市場について紹介する。ポイントとしては以下。 新型コロナウイルス感染拡大によるアメリカでのプラントベース食品市場の急成長 アメリカのプラントベース市場規模とその浸透度 そもそもなぜプラントベース食品が消費者に受け入れられているのか 注目されているプラントベース食品ブランド紹介 Twitterで拡散されたビーフ切れを訴える貼紙 Big Rapid Newsより 新型コロナウイルス感染拡大によるプラントベース食品市場の急成長 前述の通り、パンデミックにより肉不足となり、食肉の流通価格は上昇した。一方で、プラントベース食品への需要は高まり、各社がそれに応え供給を強化していることで、プラントベース食品市場は盛り上がりを見せている。 代替肉の製造を行うImpossible Foodsは、小売店での販売を拡張した他、レストランへの卸値を15%下げることも発表した。 同じく代替肉スタートアップのBeyond Meatも、2020年第一四半期の売上が前期比141%増の100億円越えと堅調に推移しており、夏には価格を下げることを発表して株価も上昇している。 家族4人分のハンバーガーを作ろうとした場合、精肉を使うとパテの価格は全員分で5ドル程度で済む。一方、Beyond Meatのハンバーガー用パテは1枚が約3ドルで12ドルと、2倍以上の価格差があった。 Impossible FoodsもBeyond Meatも、精肉が不足・高値となっている今が、精肉との価格差を縮め、新規顧客を得るチャンスと見ていることが分かる。 乳由来に限らず、多くの種類が並ぶアメリカの日配品売り場 Dine Magazineより アメリカのプラントベース食品市場の規模とその浸透度 ではプラントベース食品の市場規模はどのくらいなのか。また、一般消費者にとってどのくらい身近なものになっているのだろうか。 2020年3月に発表された最新のSPINS小売売上データを元に、The Good Food InstituteがまとめたPlant-based Food Market Overview(プラントベース食品市場概要)によると、プラントベース食品の売上は過去2年間で29%増加し、2019年に50億ドルに達した。 その主な内訳は、植物性ミルクが20億ドル、次いでヨーグルトやバター、アイスクリームなどの代替となる植物性乳製品が14億ドル、そしてプラントベースミートが10億ドルとなっている。 日本では、フードテック発の代替肉に関するニュースを目にすることが多いと思うが、実際には植物性乳製品も市場を大きく占めていることが分かる。 また食材としてスーパーでプラントベース食品が購入できるだけでなく、カフェ、レストランでもプラントベース食品をオーダーできる機会も多い。 日本でもスターバックスで豆乳・アーモンドミルクに加え、オーツ麦由来のオートミルクが期間限定で選択できたようだが、カリフォルニア州発祥のブルーボトルコーヒーでも、アーモンドミルク、またはオートミルクが選択でき、ナッツアレルギーを持つ人でも植物性ミルクが選択できる。 さらにファストフードチェーンでもプランドベース食品が食べられるようになっている。Impossible Foodsのパテを使用したハンバーガーは、バーガーキングをはじめとする多くのハンバーガーチェーンで食べられるということはかなり浸透してきた。 これに加え、Impossible Foodsの代替肉は、アメリカ全土に200店舗以上を展開するCheesecake Factoryというレストランのボロネーゼにも使用されている。 筆者も実際に食べてみたが、トマトソースの味もあり、見た目、食感ともにひき肉との差は全く感じなかった。 Veg Newsより このように、プラントベース食品はかなり身近なものになってきている。スーパーや馴染みのレストランで見つけることことができるため、日本と比べてもプラントベース食品に挑戦するハードルが低いのだ。 関連記事:ビヨンドミートだけじゃない。食品産業に革命を起こす次世代フードを実食。 人々の意識:アメリカでなぜプラントベース食品が求められているのか 冒頭で述べたように、昨今の肉不足もあり、プラントベース食品の需要は高まっている。一方で、アメリカのユーザーの食の嗜好の変化にも需要拡大の理由があるという点も理解しておく必要がある。それが『フレキシタリアン』という食スタイルの台頭だ。 フレキシタリアンという言葉は「基本的にはベジタリアンだが、たまに肉を含めた動物食性食品を食べる人」と定義されている。2003年のワード・オブ・ザイヤー(アメリカ版新語・流行語大賞のような賞)で『最も便利な言葉部門』に選出されるなど、知名度もさらに高まっている。 プラントベース食品の認証組織であるPlant Based Foods Associationがまとめた2017年のレポートによると、アメリカ人の約3分の1がフレキシタリアンとのこと。  Plant Based Food Associationより 厳格なベジタリアンまたはヴィーガンがいまだ少数派であるのに対し、こうした「ゆるく楽しむ層」が徐々にメインストリームになりつつあるのだ。 なぜフレキシタリアンが増えてるのか 以下2つの理由がある。 もともとは、自分の健康や地球環境のため(コロナ拡大でこの意識は加速) 今では、プラントベース食品の味も進化していて、味も選ばれる理由になっているため 中高年を中心に、動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸のさらなる摂取を控え、より繊維質の多いプラントベース食品を取り入れる人が増えている。また、ミレニアル世代(25-39歳)やGenZ世代(8-24歳)では、社会的問題への危機意識から、ライフスタイルを選択する人も多い。 関連記事:ミレニアル世代のマインドセットを捉えて成功したスタートアップ事例 地球全体の人口増加に対して、動物性たんぱく質の供給が追い付かなくなると予想されていることや、食品の生産過程について描いた「Food Inc.」というドキュメンタリー映画が議論を巻き起こしたように、あらゆる情報にアクセスしやすくなった現代において、動物性食品の生産過程に対する消費者の嫌悪感は一層高まっている。 こうした中、生きた動物を販売する中国の市場で人間に感染したのが最初と言われている新型コロナウイルスが蔓延したことで、人間が食物として動物に依存することを問題視する風潮は強まっている。 動物愛護的な観点だけではなく、その加工過程で働く人々の健康リスクの管理といった公衆衛生的な問題意識の高まりも、人々がプラントベース食品を選ぶことの追い風となっているのだ。 プラントベース食品は「味」でも選ばれている こうした理由に加え、今では52%もの人が、プラントベース食品を選ぶ理由に「味」も挙げたと報告されている。 筆者もそうであったが、「代替食品って確かに動物性原料を使っていないが、その分味は動物性食品より劣るのでは?」というイメージを持ってしまう方も多いだろう。しかし、最新の プラントベース食品の味は、ここまで進化しているのだ。 注目のプラントベース食品ブランド3選 現在、Plant Based Foods Associationには、170社のプラントベース食品関連企業が登録されており、「むしろ動物性食品よりこのプラントベース食品が食べたい!」と思う魅力的な商品が日々開発されている。その中でも特に注目なのが以下の通りだ。 gardein: ミートレス・ミートシリーズ 公式Instagramより こうした新しいタイプの商品はスタートアップ企業発のイメージが強いかもしれないが、こちらは米大手食品メーカーのコナグラ・ブランズ傘下にあるgardeinが作るプラントベース食品だ。肉に限らず、魚の代替食品もラインナップしている。 食品や日配品を注文できるAmazonフレッシュでもその知名度や人気は高く、Beyondブランドにも引けを取らない商品だ。 こちらのシリーズの売り上げは、2020年3月13日から4月19日に前年同期比で65%増加したと報告されており、その需要が高まっていることが分かる。 ところで皆さんは『ミートレス・マンデー』という言葉をご存じだろうか?自分自身と地球の健康のために、読んで字の如く、月曜日は肉を食べないようにしよう、というプロジェクトである。 2003年にジョンズ・ホプキンス大学などが主導して発足したプロジェクトであるが、gardeinのホームページでも詳しく発信されている。 gardein公式HPより 例えば、肉を食べないことで制限できるエネルギーをインフォグラフィックで見せている。(真偽は置いておくとしても、)「1週間に食べるハンバーガーを1つ減らすと、車の使用を500km強(320マイル)控えたことになる」など、生じるインパクトは思った以上に大きく、それならもっと肉を控えようかな、という前向きな気持ちにならないだろうか。 このように、味や食感を動物性の食品に近づける努力だけではなく、一個人の行動にも大きな意味がある、ということをしっかりと啓蒙していることも、この商品が選ばれている理由なのかもしれない。 2. Forager Project : カシューナッツのミルク由来の乳製品代替食品 2013年創業のカリフォルニア発ブランド、Forger Projectが手掛ける、カシューナッツ由来のミルクから作られる商品だ。 Forager Project公式HPより 主力商品である『カシューグルト』は、ヨーグルトに代わり最近の筆者の定番にもなっているのだが、味種も6種類以上と豊富で、購入頻度が高くてもマンネリ化しない。 カシューナッツ由来のクリーミーで滑らかな口当たりが特徴であり、酸味は控えめでヨーグルトとムースの中間のような印象を受ける。ヨーグルトとはまた違った風味であるが、むしろこの味が気に入った。 […]

ニューノーマルが生み出す4つの意外な社会課題

外出自粛が少しずつ解除され、徐々に日常生活に戻り始めている。それはアメリカでも同じで、サンフランシスコでも規制解除の段階的なフェーズが提示された。今週から街に出てくる人の数や、道を走る車の量が増えてきた。
しかし、決して今までの生活に戻ったわけではなく「ニューノーマル」と呼ばれる、新しい生活スタイルへの順応が求められている。具体的には、ソーシャルディスタンスの実践、外出時のマスクを着用義務、バーやレストランのキャパ制限など。
それらに対して、新しい仕組みやデザインを活用して、より良い生活を実現させて…

コロナ危機でシェアリングエコノミーはどうなってしまうのか?

シェアリングエコノミーの歴史とコロナショックが巻き起こす強制的なゲームチェンジ
スマホの普及との相乗効果で、「シェアリング」は本流に (2010 – 2020年)
所有の減少はサービスの消費を促すと踏んだ矢先の…コロナ流行
原点回帰の時。シェアリング本来の「人間と人間のつながりや助け合い」に価値を感じるように
数字や評価だけに踊らされるな。重要なのは、問題の本質を解決すること

今から12年ほど前、スマホの普及が少しずつ始まってきた頃、AirbnbやUber、Lyft、We…

デザインの力で、新しい生活様式に安心と喜びを作るコツ:3事例

「新しい生活様式」の「身体的距離の確保」に関する制約は、特に我々の心を窮屈にするもの
人と人の間にそっと介在することで、心の穴を埋めてくれる体験のデザインがある
① 口の見えるマスク:口の動きや顔の表情はコミュニケーションの重要な情報である
② C’entro:物理サークルがマスクの代わりとなり、公共の場での心理的・身体的安心感をくれる
③ タイのレストラン:レストランと客、双方に嬉しい空間を作り出すのは、店内に居座るパンダ!?
我々の新しい生活を解決してくれるのは、ハイテクではなく、…

スタートアップのレイオフ – 明暗を分けたAirbnbとBirdの事例

新型コロナウィルスの影響で、多くのスタートアップにてレイオフ (一時解雇) が進んでる。具体的な状況は「コロナの影響でアメリカのスタートアップではどのくらいレイオフが進んでいるのか」にて説明されているが、現在まで400社以上がレイオフを行っている。
中でも最も多くのスタッフをレイオフした1社がAirbnbであるが、その進め方やCEOからのメッセージ内容の素晴らしさは注目を集めた。プロセス・内容共に、企業として、リーダーとして模範となるだろう。その一方で、同じくレイオフを行ったシェアリングスクーターの…

Withコロナの体験デザイン。世界の企業がとったアクションとは?

Withコロナ時代に対応するため、米国企業から新たな体験デザインが提供されている ①コミュニティとして支え合い、共存を目指すスモールビジネス応援募金系デザイン(MealPal、ClassPass ②StayHomeのためにできることを優先する、家にいようと啓発系デザイン(Netflix、Uber/UberEats) ③家にいてもひとりじゃない、コミュニティビルディング系デザイン(Instagram、Coffee Meets Bagel) ④インフォデミックを防止する情報共有系デザイン (Medium、Note、Google、Facebook など) Withコロナにおいて、企業がどういうスタンスをとり、人々の価値観に対してどう体験デザインを提供していくか、考え抜き、実行する必要がある   全く未知のウイルスの登場により、経済が停滞、数年先どころか、数ヶ月、数週間先の状況まで全く予測することができず、まさに世界中の人々が足踏み状態である。このことから、欧米では現在の状況を「Great Pause(大いなる停止)」と呼ぶようになってきた。 前例のない状況に困惑し、今後の仕事や生活に不安を抱える人の方が多いことだろう。一方で、環境問題の改善や交通渋滞や事故の減少が顕著に見られるなど、人々が経済活動を一時休止したことによるポジティブな側面も注目されている。それはまさに、この停止期間を我々がどう考え乗り越えていくかによって、この後の世界が大きく変わっていくことを示唆しているようだ。 そして、世界を新しく形作っていく上で大きな力を持つのが「企業」である。今、企業はどのようなアクションを取り、メッセージを社会に発信していくべきなのか。世界中が立ち止まっているこの状況こそ、社会に新たな価値や考え方を提案することができるチャンスと捉え、真剣に向き合っていくべきではないだろうか。 すでに米国では、各企業が自分たちが社会に提供できることを考え、迅速な動きを見せている。消費者を巻き込んだそれらの動きは、体験デザインの視点から見ても、非常に参考になるものが多い。この記事では、コロナ危機発生直後の状況に対応する米国企業の体験デザインを考察しながら、この歴史的な転換期に、企業としてどのような行動をしていくべきなのかを考えていく。 コロナ危機に対する企業の迅速な対応が活発に アメリカではこの世界的危機に対し、企業としてどのように貢献できるかを考えて、即時に行動する流れがとても顕著である。これらの動きは英語で『COVID-19 Corporate Responses』と呼ばれている。 その中でも目立っているのは、資金や物資の支援だ。例えば、Mastercardや、Wellcome、Bill&Mellida Foundationは、3月10日という大変早い段階でCOVID-19事態収束のためのスタートアップを支援するアクセラレーターを共同設立。 CocaColaはフェイスシールドを作る非営利団体の支援のためにリソースとロジスティクスを提供した。各国のマスクの不足に対しては、AlibabaやTrip.comのような企業が日本、アメリカ、ヨーロッパ等に大量寄贈したニュースを目にした読者も多いのではないだろうか。 また、PepsicoやChipotleをはじめとする食品企業やレストラン業が、ウイルスと最前線で戦う医療従事者や経済的に困窮する層に対して、無料で食事を提供する動きもアメリカでは目立った。 ZoomやWorkplaceなどのオフィスツールを提供する企業も、急な自宅勤務が導入された企業をサポートするために、期間限定でサービスの無料提供を行っている。 消費者を巻き込む企業のコロナ対応デザイン 上記のように、直接的に企業の資金や物資を無料提供するような企業活動が目立つ一方で、別の形でコロナ危機に対する企業活動を実践している企業が存在している。 彼らは、この前代未聞の危機の中で私たち消費者側が、お互い助け合い、賢く判断して生活できるようなデザインを提供している。 パンデミックの世の中で新たな社会生活の在り方の創造が求められる中、これらの企業は、他者と自分とのつながりの中で社会が存在することを消費者に再認識させ、新しい社会での行動の仕方をポジティブに提案してくれている。 1. スモールビジネス応援募金系(MealPal、ClassPass) コロナウイルスの感染拡大防止の自宅退避令により、多くの都市で必要最低限のビジネスが禁止される措置が取られている。サンフランシスコでも、レストランやカフェは宅配とお持ち帰りのみが許され、イートインスペースは閉鎖されてしまっている。 スポーツジムやヨガスタジオといった施設も未だ全て閉鎖されている状況だ(5/1現在)。2ヶ月以上もこのような状況が続くため、多くが従業員の解雇や廃業にまで追い込まれている。 このような状況に対して、MealPalやClassPassは、消費者たちが支援を必要とするスモールビジネスをサポートできるような仕組みを提供し始めた。 MealPal MealPalは街中のレストランと提携し、オフィス街で働く人向けに格安でランチを提供するサブスクリプションサービスだ。ユーザーはアプリから翌日のランチとピックアップ時間を選択し、その時間になったらレストランまでランチを受け取りに行く。 参加するレストラン側のメリットはMealPalプラットフォームに参加することでレストランを周知してもらえる点だ。また、MealPal用のランチメニューは数種類に限定することができるのと、事前にオーダー数がわかるのでロスも少なく効率的であるというのもメリットだ。ユーザーは通常より安価にランチを手に入れられるほか、お店で待たずに受け取れるのが嬉しい。     しかし、コロナウイルスの感染拡大が懸念される今、ほぼ全てのオフィスワーカーが自宅勤務になった。ここサンフランシスコでも、MealPalを利用できるユーザーが激減してしまった。またレストラン自体が一時休業というケースも少なくない。 自分たちの経営すらも危ういであろうこの状況の中、MealPalが始めたのは、加盟店への募金のシステムだ。 今現在、ユーザーがアプリを起動すると、いまだにランチ提供を続けるお店にランチを予約するだけでなく、今日ランチを注文する代わりにその金額を提携レストランへの募金に回すというオプションも存在する。 また、このような状況の中、多くのユーザーがサービス利用の一時停止を考えるだろうが、お金に余裕のあるユーザーに向けて、1ヶ月分のサブスクリプション費用を全額募金に回すという選択肢も提案している。 関連記事:【UX分析】ランチの格安サブスクサービス MealPal ClassPass MealPalと似たビジネスモデルを持つClassPassは、MealPalのジム版とでも言うことができる。ClassPassのサブスクリプション(回数券)を使うと、ダンスやヨガ、ボクササイズなど、複数の異なるエクササイズジムを横断的に使うことができる。 ユーザーはオンデマンドで様々なクラスを予約、ドロップイン参加できるのだ。ユーザーは特定のジムに会費を払う必要はなく、様々なジムで異なったエクササイズを気軽に楽しめるのが魅力だ。 ClassPassのコロナウイルス対応は、とてもスピーディーだった。サンフランシスコでは自宅退避令が3月14日に発令されたが、ClassPassはその翌日15日には、該当地域に居住するユーザーのサブスクリプションを全て自動で一時停止した。現在ClassPassは、加盟するジムのオンラインストリーミングクラスをプラットフォーム上で提供している。 また、各エクササイズジムのClassPassプロフィールページには「サポート機能」を追加している。この機能を通じて、ユーザーはお気に入りのジムに対して、$5-$500の範囲で金額を設定して簡単に献金することができる。 さらに、エクササイズジムで働く人々に補助金を出すことを求めるオンライン署名活動を促す特設ページも一時期設けていた。   寄付文化が日本より浸透するアメリカであっても、先行きの不透明なこの状況で誰かに募金をしてサポートするというのは決して誰もができることではないはずだ。 しかし、いつも使うアプリからの募金の呼びかけは、普段ランチを手渡してくれる飲食店従業員や、エクササイズをサポートしてくれるジムのスタッフの笑顔がユーザーの頭をよぎらせるだろう。 そうしてユーザーは、コロナウイルスの影響で窮地に追いやられているコミュニティが、実は自分の属すコミュニティであることを実感し、募金という行動を選ぶ。そんな体験のデザインが、MealPalとClassPassの「サポート機能」には隠されているように筆者は考える。 このようにして、この2社は、自分の生活すらも不安な今、スモールビジネスを応援する意味を人々に考えさせ、コミュニティとして支え合い、共存してくという価値観を社会に醸成しているのである。 2. 家にいようと啓発系(Netflix、 Uber/UberEats) 次に紹介するのは、コロナウイルス感染のピークを抑え医療崩壊を防ごうとする「Stay Home」の動きを啓発する形で社会に貢献しようとする企業だ。 Netflix 動画配信サービスを提供するNetflixはもう日本でもお馴染み。彼らは街頭に、今一番人気のあるリアリティショーのネタバレ広告を出した。外出する消費者に「家に帰ってNetflixを観たい」という気持ちにさせることで、コロナウイルス感染拡大防止に貢献させるという秀逸な対応である。 このリアリティショーのファンであるbtraxスタッフも「ネタバレし過ぎない程度の絶妙なネタバレ具合で普段から視聴している人にとっては続きが気になって仕方ない」と絶賛していた。 ちなみにNetflixはサブスクリプションベースなので、新規ユーザー獲得でなく、既存ユーザー1人あたりの視聴時間が増えたからといって単純に利益が増えるわけではない。 Uber また、配車マッチングプラットフォームのUberは「A company that moves people is asking you not to move(人々の移動を生業にする会社が、動かないでとお願いしています)」と広告を出した。 現在、Uberをオーダーしようとアプリを開くと「それは本当に必要な外出ですか?」と確認メッセージが表示され、不要不急の外出を避けるように促される。 また、ドライバーたちにも社内のクリーニングキットを提供してたり、万が一ウイルスに感染してしまった場合には14日間の休業支援金を支払ったりしているようだ。 Thank you for not ridingというメッセージも動画広告で発信されている UberEats さらに、レストランのデリバリーに対応するUberEatsでは、現在デリバリー手数料を無料化し、金銭的な面で普段より利用ハードルを下げることで「Stay Home」を後押ししている。 ソーシャルディスタンスの実践をサポートするために、受け取り方法にも「Leave at the door(ドアの外に置く)」というオプションを素早く導入して対応した。 これらの企業は、自社のサービスがどのようにコロナの渦中にある社会で位置付けられるのか、その中で自分たちが取るべき行動はなんなのか考えて即座に行動している。 たとえその動きが自分たちの利益に直接繋がらなかったり、むしろ利益を下げてしまう場合であったとしても、潔く社会のためにその活動を決断している点に注目したい。 3. 家にいてもひとりじゃないーコミュニティビルディング系(Instagram、Coffee Meets Bagel) ソーシャルディスタンスの実施により、自宅退避を強いられ、多くの人々が友人知人と直接顔を合わることがほぼなくなってしまった。そのことから、強い孤独やストレスを感じている人も多いだろう。 そんな中、自宅にいながらも、人と人との繋がりや新たなコミュニケーションのきっかけをデザインしてくれている企業も存在する。 Instagram 日本を含め世界中にユーザーがいるInstagramもその1つだと筆者は考える。彼らは「Stay Home(おうち時間)」スタンプを作ることで、コロナ時代の孤独になりがちな「おうち時間」をサポートしている。 「Stayhome(おうち時間)」スタンプは、日本語、英語のみならず、ドイツ語やスペイン語など世界中の言葉に対応されているようだ。Instagramは、このスタンプを作ることで、ユーザーそれぞれが自宅での過ごし方を共有しあうことを促した。 自宅でも有意義な時間の使い方が可能であることを互いに共有しあったり、逆に「家で寂しい思いをしているのは自分だけじゃない」という同胞感を感じさせる体験デザインしているように見える。   この状況で実は大きな打撃を受けている業界は数えきれないが、オンラインデーティング業界も実はそのうちの1つだ。「オンラインデート」とは言うものの、ユーザーの多くがオンラインで「マッチ」した後に直接顔を合わせることを前提にサービスを利用している。 自宅退避令により、実際に顔を合わせるのがいつになるかわからないため、一旦活動を停止してしまうユーザーも多いようだ。 CoffeeMeetsBagel この状況に対し、Coffee Meets Bagel(以下CMB)は自宅退避令中も(バーチャルで)人々の出会いを支援するデザインを行っている。まずCMBの特徴の1つと言えばマッチした人とのメッセージ機能が7日間でクローズすること(それによって、実際に顔をあわせることを促す仕組み)だが、彼らはその機能を真っ先に「無制限」にした。 […]

ロックダウン直前にオープンしたインスタ映えレストランの現状

満を辞してサンフランシスコにインスタ映え確実なレストランが開店!ただ、タイミングが悪かった… 外出自粛令による売上の大幅縮小とレイオフの実施、起死回生の策を探る ソーシャルメディアの活用とユーザーの嗜好に合わせたメニュー改編でピンチを乗り越える 店舗でのハイレベルな顧客体験をデリバリーでどう再現するか、重要なのはモノより体験 街中が封鎖される直前に体験重視のめっちゃオシャレなレストランがオープンしたらどうなってしまうのか? シェフでオーナーのカセム・セーンサワンと妻のイング・チャタージーは、3月初旬にサンフランシスコ市内に新しいレストランをソフトオープンした。 このレストラン、Son & Gardenはインスタ映えを求めるキラキラ系の熱狂的な夢をイメージしてデザインされた。 インスタ映えバッチリのたSon & Gardenのインテリア インスタ映えを狙った体験型レストラン in サンフランシスコ 室内の壁や天井には花が散りばめられ、全体にブルーの花柄の壁紙が貼られている。店内には「シークレットバー」と呼ばれるエリアもあり、テーブルと座り心地の良いベルベットのラウンジチェアが用意されている。 メニューとしては、アフタヌーンティーセットに加え、バニラソースとブルーベリーのコンポートを使ったリコッタパンケーキ、ポテトウェッジとマッシュルームソースのフライドチキンドーナツ、自家製ベーコンとエンドウ豆、卵、ペコリーノ・ロマーノを使ったパスタカルボナーラなどがある。 その内装、盛り付け、雰囲気、サービス、全てがソーシャルメディアでシェアされることに特化してデザインを施されたレストランだ。 提供するメニューや食器もかなりオシャレ キラキラ系女子垂涎の演出満載 リコッタのパンケーキとブルーベリーのコンポートが芸術的に盛り付けられ、「クラウド9」と呼ばれるスパークリングワインのカクテルの上には、青い蝶々をあしらった綿菓子がトッピング。 すべてがインスタグラムで話題になるように仕立てられたもので、招待されたインフルエンサーたちは、Son & Gardenがグランドオープンする前から、三脚やリングライトを持ってきて、このマジカルな空間を撮影していた。 インフルエンサーを通じて話題沸騰になる…予定だった しかし、3月16日にはサンフランシスベイエリアでは、外出自粛が施行され、レストランやバーの営業に大きな制限が設けられた。それにより、この体験型の新しいレストランがテイクアウトのみに追い込まれた。 オープンまでに2年間という年月と、かなりのコストを掛けオープンに漕ぎ着けた。しかしそのわずか2週間後に市によりシェルターインプレイスの要請が発動された。それにより、忙しい日には2万ドル近くあった売り上げが、4,000ドルにまで落ち込んだとオーナーは語る。 View this post on Instagram Who’s ready to par-tea? ☕️❤️ Tag your pals who needs to experience the Son & Garden High Tea Set! ⤵️⤵️⤵️ A post shared by Son & Garden (@sonandgarden) on Feb 23, 2020 at 6:38pm PST スタッフをレイオフし家賃支払いの猶予要請も これにより、スタッフの60%をレイオフせざるを得なくなり、2ヶ月分の家賃支払いの延期を物件の大家にリクエストした。彼らは州政府に中小企業向け支援を申請しているが、いまだ返事は来ていないという。 現在、全国のレストランの多くが苦戦している中、Son & Gardenのような新しいレストランは特に厳しい状況にある。老舗レストランではある程度テイクアウトを求める常連客を期待できるが、新規オープンの所はまだ忠実なファンを確保できていない。 そのため、インスタ映えするブランチのためにデザインされたSon & Gardenも、シェルターインプレイスの下では、テイクアウトとデリバリーのみにピボットしなければならなくなった。 View this post on Instagram We have exciting news! Our beautiful Cloud 9 boozy drink is available to go 🦋☁️ You can now enjoy this fun drink at home. Available for pick up in store […]

トイレットペーパー買い溜めをデザイナーとして分析してみた

トイレットペーパーが売り切れの論理的理解:1人当たりが使うトイレットペーパの量に変動はなくても、「家庭用の」トイレットペーパーが自宅隔離で必要になっている
一方で、論理的に解釈できない理由こそ、人間の心理・価値観を表している
①ガラガラになった商品棚。抱きかかえられたトイレットペーパー。見た目のインパクトによる購買掻き立て
②他人の行動を見て自分の行動を決める
③非常事態下で自宅隔離という「手持ち無沙汰感」
解決策のポイントは、人の心理・価値観を理解した自由と制限、信頼のバランスにあり

はじめに…

コロナの影響でアメリカのスタートアップではどのくらいレイオフが進んでいるのか

前回の「コロナショックがこれからスタートアップに与える影響」でも触れたが、新型コロナウィルス の経済に与える影響が少しずつ具体化される中で、スタートアップも少なからず影響を受け始めている。 アメリカでは、企業の業績が下がる際に人件費を抑制するために一時的に従業員を解雇する「レイオフ」という仕組みがある。これは、経済や会社の都合で行われるため、一般的な「解雇」とは異なり、対象となる従業員には失業保険が一定期間支払われる。 スタートアップで進むレイオフ Layoffs.fyiによると、この仕組みを利用して、多くのスタートアップでレイオフが進んでいる。3月11日から現在までの統計では、290社が約3万人をレイオフしている。業界として目立つのは、リテール、フード、フィットネス、モビリティ、不動産など、人が動くことで生まれるリアルサービスを提供する企業だ。 著名なスタートアップの例としては: Groupon: 2,800人 – 全体の44% Magic Leap: 1,000人 – 全体の50% Yelp: 1,000人 – 全体の17% Eventbrite: 500人 – 全体の45% Lending Club: 460人 – 全体の30% B8ta: 250人 – 全体の50% Everlane: 227人 WeWork: 250人 Thumbtack: 250人 – 全体の30% GoPro: 200人 – 全体の20% Getaround: 100人 – 全体の25% Casper: 78人 – 全体の21% ユニコーンの”ツノ”が折れ始めている 上記の中には評価額が10億ドル以上のユニコーン企業も6社含まれており、全体の46%である8,416人をレイオフしている。これは、一社につき平均で26%の従業員をレイオフしていることになる。その中でも、85%をレイオフし破産したOneWeb、67%をレイオフしたZume、50%をレイオフしたToastなどもある。 実は仕事を失っても生活できる制度 これだけを見ると、かなり多くの人々が露頭に迷うことになりそうな気がするが、アメリカではレイオフが頻繁に行われるため、それに対する失業保険の制度がある。 加えて、今回の米政府の緊急特別予算で、通常の金額 (カリフォルニア州だと最大$450/週) プラス、週$600の失業保険がもらえるようになった。これにより、万が一無職になっても週$1,000以上、月で$4,000以上受け取ることができるので、しばらくは生活に困窮することはなさそうだ。 また、下手に無給休暇を出すよりも、レイオフになった方がありがたい。企業としても、レイオフを進めることでコスト削減になるので、Win-Winの結果になることもある。 そして、また事態が収束したら採用し直すこともあると考えられる。そういった意味では、日本的なリストラとは少しニュアンスが異なる。 Twitter上で再就職活動 レイオフされたスタッフが、Twitterを活用して、自身及び同僚の再就職を進めているケースもある。本日1,000人のレイオフを行ったMagic LeapのスタッフであるAlexandria Hestonもその一人で、彼女のツイートに対して採用に関するレスも見られる。 Hi All! In terms of #magicleap layoffs – please feel free to thread below of open positions you feel would help individuals who were let go and I can share in groups. These are people looking into AR/VR industry, but also general engineering, design, games […]