起業家

日本とシリコンバレーのスタートアップを取り巻く環境の違い

先日、うちのサンフランシスコオフィスに日本から起業家が二人訪問した。
普段はそのような訪問は無闇に受けないようにしているのだが、今回は信頼する投資家の知人による紹介で、会ってみることに。
一人はエクジット寸前。もう一人もかなりの規模の資金を調達した、いわゆる “成功者” だ。日本的な感覚だと。
その二人が初めてサンフランシスコに来て感じたこと。それは、成功の成功の規模と定義の違い。そして、日本とは大きく異なる起業家を取り巻く環境だ。
成功できるかどうかは、環境に大きく左右される
具体的な環境の違いを…

【会社の資金を全額カジノにぶっ込む!】存続の危機を乗り越えた5つのトンデモストーリー

企業の歴史において、危機的な状況に直面することは珍しいことではない。むしろ、倒産の危機に瀕したことのない企業を探すことの方が難しいだろう。
実際、アメリカでは、Fortune 500と呼ばれるトップ500社の実に52%が15年以内に無くなっている。ということは、世界的に有名な企業であっても、一歩間違えばいつ消滅してもおかしくない。
現代における大企業の平均寿命は15年 – 生き残り戦略としてのイノベーション

著名企業5社の驚異の倒産回避体験
今回は、Apple、Tesla、FedEx、…

「欲しい」の言葉を信じるな!行動でニーズを検証するプロトタイピング手法

「欲しいです」「いいですね」― 新商品や新規事業開発の現場は、顧客のこうした声を聞きながら、市場で求められる価値を提供しようと努力している。 多くの企業では顧客のニーズを最優先に考え、リサーチやヒアリングでユーザーの意見を聞きながら、優秀なチームを組み、きちんと商品を作り上げているはずだ。しかし、残念ながらそれでも失敗する新商品や新規事業があとを絶たない。 これらのほとんどが実は、「そもそもニーズがなかった」ことで失敗している。スタートアップにおいても、事業が失敗した理由の1位(42%)は「市場のニーズと合っていない」というものだ。 スーパーカブとコンコルドに学ぶイノベーションの本質とは 顧客が欲しいものになっているのかというのは商品を作るときに肝となるポイントだ。 そもそものニーズの捉え方が間違っていれば、どれだけ優秀なスタッフを結集させ、完全無欠の商品を作り、卓越したマーケティングをしても失敗する可能性が高くなる。 それどころか、しっかり作り上げることに時間やお金を費やしてしまうと、むしろ失敗したときの損失が大きくなってしまう。 ゆえに、成功させるためには「あとはこのまま作りさえすれば市場が欲しがるモノ」に早い段階で仕上げることが大切だ。 「自分たちはしっかり調査をして、ユーザーからも欲しいという意見を聞いているから大丈夫だ。」そんな声もあるだろう。しかし、実は従来の調査はニーズがあることを裏付ける証拠としては不十分なのだ。 では、一体どのようにニーズを検証していけばいいのだろうか。ニーズ検証には、プロトタイプを使って「行動」を試す方法が効果的だ。筆者も過去に大企業の中で新規事業開発を行い、こうしたプロトタイピングを行ってきた。 今回の記事では、私たちが陥りがちなニーズ検証の罠と、それを克服するためのプロトタイピング手法に焦点を当てて書き記していく。 アンケートやインタビューでニーズが検証しきれない理由 アンケートやインタビューによる綿密な市場調査でさえも、「本当に商品を買ってもらえる」という十分な証拠にならない。こうした従来の市場調査には、落とし穴がある。 1つ目の落とし穴は、ユーザーとの認識のズレだ。考えたアイディアを言葉にして説明するとき、細かな意味合いまで表現することは難しく、お互いの解釈に食い違いが起こる。 特に画期的で新しいアイディアでは、解釈がユーザーの想像力任せになり、時には主観や偏見を混ぜて受け取られてしまう。 2つ目は、「顧客は嘘をつく」という点だ。仮に本音が言いやすい環境が作れていたとしても、ユーザーは実際の行動とは異なる回答を答えてしまうことがある。これにはいくつかの原因がある。 まず、実はユーザー自身も本当に欲しいのかわかっていない。特に、まだ試したことがないアイディアは体験をイメージできず、判断がつかない。 また、ユーザーは何のリスクも負わない立場なので、つい他人事目線で意見を口にしてしまいがちだ。 調査の場面では、ユーザーは本当に購入するときほど熟考してくれない。 ここがちゃうねんデザイン思考。5つの誤解とは これを象徴する有名な逸話がある。ある食器会社の商品開発チームはユーザーをオフィスに集めて、どんなお皿が欲しいかインタビューした。すると「黒い四角いお皿が欲しい」との意見が得られた。 しかしその後チームが「お礼に好きなお皿を選んで持ち帰ってください」と参加者に見せると、なんと全員が「白い丸いお皿」を選んだのだ。 理由を聞くと「一枚だけ黒い皿があっても使いづらい」「四角いと棚に入らない」という答えが返ってきた。欲しいかどうか想像するときと、実際に手に入れるときの思考には大きな差があるのだ。 このように、市場調査ではしばしばユーザーは主観や偏見を含めながら商品を想像して、深く考えられていない思いつきを悪気なく口にしてしまう。こうした言葉だけでは、本当に商品を買うのかの根拠としては弱い。 だから、本当に身銭を切ってでも買ってくれるのか、現実の世界で「行動をテスト」することが大切なのだ。 顧客のニーズを検証するために、まずは明確で検証可能な仮説を立てよう では、どのように行動をテストすればいいのだろうか。検証の前にまず、曖昧さを排除して検証可能な仮説を立てることが必要だ。 新しいサービスをつくるときには、「こんな顧客がいるはず」「こんな課題がありそうだ」という曖昧な想像、つまり仮説を一つずつ検証していく必要がある。仮説を分解して検証する考え方については、リーンスタートアップの記事を参考にしてほしい。 今さら聞けないリーンスタートアップとは こうした仮説の中でも肝になるのが「本当にお金を払ってでも欲しがるのか」という仮説だ。検証に使える仮説を立てるためには「こんな顧客の少なくとも◯%は、◯◯円のこんな商品を購入する」というテンプレートを使うとよい。使い方の事例を見てみよう。 曖昧な仮説の例: 家事をする人々の一部は、自動で洗濯をたたんでくれる手頃な値段の機器に興味を示すはずだ。 家事をする人とはどこまでを範囲に含むのか、一部の人々とは何人なのか、手頃な値段とはいくらで、興味を示すとはどういうことかなど具体的な基準がわからず、これでは検証ができない。 今すぐ検証可能な仮説の例: “レニーズ・コインランドリー”の利用者の少なくとも50%は、自動たたみ機に洗濯物をたたんでもらうために2ドル払う。 こちらは、ターゲット層を「洗濯物をコインランドリーで洗う人」と定義し、さらに対象範囲を代表的な特定グループに狭めることですぐにテストできる仮説となっている。 検証可能な仮説にするために購入者の割合や価格を具体的に置いているが、最初に当てはめる数字は単なる出発点だ。まずはビジネスが成り立つ最小限の市場規模から逆算して、妥当と思われる数字を入れるとよい。 パーセンテージの部分を最初に置くのが難しい場合は、初回とその後の購入者の増加率を仮説に置くこともできる。 例えば、シリコンバレーのアクセラレータープログラムY Combinatorでは、新規顧客数の週間成長率が5〜7%だと好調な事業とみなされる(出典元)。何週かテストしてこの基準を超えるかを指標としてもよいだろう。 「本物のサービスに見せかける」プロトタイプを作る 「この仮説を検証するには、結局は本物の製品が必要じゃないか」と思われるかもしれない。でも、完成した製品がなくても、顧客から見れば本物に見えるものを作ることで簡単に検証ができるのだ。 これがどういうものか、事例を用いて説明しよう。 例えば昔のコントで「自動改札機の最新技術を紹介するデモ」と見せかけて、実際には中に人が隠れて手で操作していた、というものがある。切符が入れられると、ハリボテの改札機の中に入った人が受け取り、手で切符に穴を開けた後、取り出し口から切符を渡す仕掛けだ。 ユーザーから見れば「切符を機械に入れたら穴が空けられて取り出し口から出てくる」という体験は、中身が本物の機械でも人間でも変わらない。まさにこのコントのように、本物のサービスに“見せかける”(=Pretend)プロトタイピング手法が有効だ。 こうしたプロトタイピング手法はプレトタイピングとも呼ばれる。 プレトタイピングとは、広義のプロトタイピングという言葉に機能テストのためのデモ版製品など、あまりに多くの意味が含まれていることに対抗してできた造語で、本物に見せかけた最小限の体験を提供することで、そもそもニーズがあるかを検証することに特化したプロトタイプだといえる。 「本物に見せかける」プロトタイプは、以下の要素の掛け合わせで作ることができる。 どこで: まず顧客がどこで「本物に見える商品」に出会うかを設計する。デジタルであればWebページやWeb広告、リアル空間であればチラシやポスター、実際の店舗の間借りなどがあるだろう。 また、実際に店を構えるのではなく「店舗の入り口に見せかけた場所」でも、どれだけの人がそこに入ろうとするか検証ができるので十分だ。 どうやって本物に見せかけて: ニーズを検証したい商品を、本物に見せるための手段を考えよう。 Web購入ページ、プロモーション動画、機械に見えるハリボテの箱、店舗の入り口案内ポスター、ラベルを貼り替えただけの既存商品など、さまざまな手段が使える。 どうやって購入の行動を確認して: 実際に「身銭」を切ってもらえるのか、確認できる仕組みを盛り込むことが重要だ。身銭とは、有効なメールアドレス、電話番号などの個人情報や、時間、お金を使ってもらうことを指す。 この身銭には様々な種類があり、それぞれ重みが異なるので、下の表のように点数に換算して評価するとよい。 どんな結果を顧客に与える: 購入の行動を見せた人に、最終的にサービスを本当に提供するのか、実際には提供せず終了するのか二通りのやり方がある。提供しなくても行動を確認できればクイックに検証はできるが、実際に提供ができれば顧客から得られる情報は多くなる。 「本物に見せかけた」プロトタイピング事例 通販サイトでニーズを検証した、Zapposの事例 靴通販の先駆者だったZapposというサービスは「そもそも人はオンラインで靴を購入するのか」をプロトタイプで検証した。 創業者のニック・スインマーンは、まず近所の靴屋に頼んで店にある靴の写真を撮らせてもらった。そして簡易的な注文サイトを作って、商品として写真を掲載した。サイトから注文が入ったらその靴屋へ行って購入して、お客さんへ発送した。 この方法で実際に「靴をオンラインで買う顧客がいる」とニーズを検証してから本格的に靴のオンライン販売を始め、2009年にはAmazonに約9億ドルで買収されるほどのビジネスへと成長した。 動画でニーズを検証した、Dropboxの事例 今や世界中で使われるクラウドストレージサービスのDropboxは立ち上げ当時、ニーズを検証するためにDropboxの使い方を紹介する3分間のデモ動画を公開した。 実はこのとき商品を全く開発していない段階だったが「サイトからサインアップして試せます」とサイトへ誘導した。 すると一晩で75,000人もの人がサイトからメールアドレスを登録し、強いニーズがあることを確信して開発に踏み切ることができた。 上の例はいずれも、本物のサービスやシステムがなくとも、本当にあるように見せかけて「顧客が本当に身銭を切るのか」を短期間かつ低コストで検証した好事例だ。 リアル空間やハードウェアに応用した例 オンラインストアやソフトウェア以外でも、本物に見せかけてテストする手法を適用できる。今回は、仮説の例として挙げた「洗濯物自動たたみ機」の検証方法を考えてみよう。 『Google×スタンフォード NO FLOP! 失敗できない人の失敗しない技術』という書籍では、自動たたみ機のプレトタイピングとして「ハリボテのたたみ機を動かして実験する」方法が記されている。 ある起業家は、洗濯物自動たたみ機を本当に人々が欲しがるのか確かめるために、まず近所のレニーズ・コインランドリーに行き、200ドル払って間借りさせてもらった。そして自動たたみ機に見えるボックスをコインランドリーに設置し、中に人が入れるようにした。 人々が洗濯物を扉から入れると、手作業でたたまれて、取り出し口から出てくる仕組みだ。人々は本当に機械によって洗濯物がたたまれているのだと信じ込んでいた。 実際にやってみると、2ドルの料金を払った人の割合は元々の50%という仮説を下回りわずか12%という結果に終わった。このアイディアは見直すことになったが、実物の機械を作る費用と期間を大幅に節約して検証することができた。 このように、ハードウェアや店舗に関する検証でも、実際の店舗を間借りしたり、裏で人力で動かしたりすることで初期投資を抑えてクイックに顧客のニーズを確かめることができる。 騙しているのでは?という罪悪感なく検証するために しかし、いくら検証で必要だとしても、存在しないサービスや不完全な商品を売るのは、騙しているようで信頼を失いかねないと感じる人もいるだろう。 これについては確かにリスクはあるが、丁寧な対応をすることでむしろ信頼感を高め、ファンになってもらうチャンスになることを強調したい。今回はテストだという事実をきちんと伝えて謝罪する、返金する、購入意志を示してくれたことにお礼をする、後から謝礼を渡すなど、誠意を表した対応を行えばよい。 注意が必要なのは、「実際にサービスを提供しない」場合の検証だ。 例えば実際にはできないのに、「病気が治る」と謳って医療サービスを売るのは不適切だといえる。商品によってはテストで販売することが適切なのか、倫理上の問題を真剣に認識した上で活用しよう。 とはいえ、こうしたリスクを恐れて「何も検証しない」ことこそが、最もリスクだということを覚えておいてほしい。 多くの場合、最初に購入するユーザーは、多少の不備や手間を乗り越えてでも使ってくれる尖った層の人々だ。誰も欲しがらない商品を作り、大きな損失やユーザーの評判低下を生むよりは、多少の粗い部分があっても、それを乗り越えて買ってくれるのかを検証することが重要だ。 実際の新規事業でのプロトタイピング事例 最後に、筆者が実際に過去に取り組んだプロトタイピングの実例をお見せしよう。 これは企業内の新規事業として活動していたときの事例であるため、具体的な情報は記載を差し控えるが、公開可能な事例を紹介する。 筆者が取り組んだ事業は、外出時に嫌な声掛けをされる、身体を触られるなどの性被害に対して、被害にあったことを証明する権利を守るための歩行者用ドライブレコーダーだ。 カバンにつけられる小型のカメラで、出かけるときに録画し、必要なときはスマホアプリに接続して動画を閲覧する。 このプロダクトを本格的に開発する前に、「フェムテック展示会でブースに立ち寄った人のうち少なくとも10%は、歩行者用ドライブレコーダーの最新の製品情報が配信されるLINE公式アカウントを友だち追加するはずだ」という仮説を、プロトタイプを用いて検証した。 「歩行者用ドライブレコーダー」は新しい概念のため、本物のように見える製品モックアップを展示し、実際に来場者に触ってもらった。そして、展示ブースに置いたボードや、配布したチラシからLINEに登録してもらえるようにした結果、目標となる10%以上の人々が登録し、ニーズがあることを検証できた。 この検証をする際には、社内ルールによる「個人情報の壁」を乗り越えるための工夫をしている。 社内では、メールアドレスや氏名、支払い情報を取得することがルール上困難だった。しかし、LINEアカウントは社内で「個人情報」として扱われていないと分かったため、有効なメールアドレスと同等の身銭といえるLINEを使って、検証の質を落とさないように実施した。 この他にも、ノーコードで作ったWebサイトからユーザーが実際に予約購入ボタンを押してくれるかを「後払い形式」という設定で検証したり(=実際に注文するかを、お金を取らずに検証)、無償で何週間かプロダクトを持ち歩いてもらう実験に参加してくれるか(=時間という身銭を切るか)をテストしたり、複数の方法でニーズの検証を行った。 こうした「実際に身銭を切ってくれた人がいる」という事実は、チームで方向性に確信を持つためにも、意思決定者を説得するためにも非常に役立つデータとなった。 まとめ このように、実際の商品やサービスがなくとも「本物に見せかけた」プロトタイプを用いて「本当に顧客が欲しがるものなのか」を顧客の行動から検証できる。 リスクを恐れて検証しないまま突っ切り、誰にも刺さらないものを作り込んでしまう前に、小さく試してみることが大切だ。本物に見える仕掛けの作り方や「身銭を切る」ことを確認する方法はいくらでもある。 適切な仮説を立て、検証できるプロトタイプを作って、想像の世界の「意見」ではなく、現実の世界で「事実」を集めに行こう。 btraxではこうしたユーザーリサーチやプロトタイピングの手法を用いながら、大企業内イノベーションや新規事業・新サービス創出に伴走している。 btraxのサービスや過去のプロジェクト事例にご興味をお持ちの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

シリコンバレーの起業家が失敗した後はどうなるの?

皆さんもご存知の通り、シリコンバレーには多くのスタートアップがひしめき合っている。実際のこちらの統計を見てみても分かる通り、社会人の実に68%がスタートアップに所属している。 ということは、自ずと起業家の数も多い。 そこでふと気になることがある。そう、失敗率が95%といわれるスタートアップの起業家は “失敗” したその後、どのような道を歩んでいくのだろうか? シリコンバレーにいる周りの起業家たちを見てみると、大体これから紹介する3つのキャリアパスになっていく事が多い。 初心者でもわかるスタートアップ起業の基本 失敗後の起業家のキャリア では、シリコンバレー地域で失敗したスタートアップ起業家がその後どのような人生を歩んでいるのかを紹介する。 1. もう一回チャレンジ カリスマ投資家のロン・コンウェイによる「起業家になる人間は生まれつき起業家の遺伝子が組み込まれている」(エンジェル投資家の裏側教えます) の発言からも分かる通り、そもそも起業家になる人のその多くは起業家にしかなれない人たちである。 なので一度起業家として失敗した後も、次のスタートアップを始める人が多い。むしろ失敗したというよりも、その経験から多くを学んだということで、次に繋げるというロジックだ。 実際、ジャック・ドーシーやショーン・パーカー、トラビス・カラニックなどなど、現在では成功している起業家の多くもそこにたどり着くまで何度か失敗をしている。 投資する側もそれは織り込み済みで、同じ起業家に複数回投資するケースも少なくない。むしろ一度失敗したからといってあっさり諦めるのは起業家としての資質が欠けているのかもしれない。 そして、シリコンバレーには複数の会社を「起業した」人たちの事を指す表現として「連続起業家」という便利な言葉がある。お気づきだろうか?そう、別に全ての会社を成功させていなくても、何社も起業さえしていれば連続起業家と名乗って良いのだ。 まるで複数のビジネスを成功させているようにカッコよく聞こえるが、多くの場合、何社も失敗させているだけだったりする。 Uber創業者 トラビス・カラニックの驚異の失敗歴 2. VCに就職 次はスタートアップに投資する側に回るキャリアパス。 ある程度成功していれば自分の資産で投資するエンジェル投資家になるケースが多いのだが、そうじゃない場合は外部の資金を使って投資運用を行うベンチャーキャピタル (VC) になる方法がある。 成功もしていないのになぜVCになれるのか?と思うかもしれないが、それには幾つか理由がある。 まずは、一度でも起業していればスタートアップに関してのある程度の知識と経験を持ち合わせている。プロダクト作りからピッチ、ユーザー獲得、そして資金調達まで、一通りの知見があるため、教育コストが低い。 また、元々起業家だったということで投資先のファウンダーたちからの信頼が得やすくなる。多くの起業家は若く社会人経験も少ないため、 “大人” 達への警戒心が強い。特に投資家などの金融系の人々に対しては警戒しがちである。 その点「いや、最近まで起業家だったから気持ち分かるよ。僕は他の投資家とは違って君達の味方だよ」的なキャラ設定が可能になるため、投資へのハードルが下げられるというメリットもある。 そして、元起業家の人はシリコンバレー特有のネットワーク = インナーサークルに入っている事も多く、投資会社として有益な内部情報を人づてで得られることがアドバンテージになる。 それらのメリットがあるため、スタートアップ起業家として失敗した人を積極的にリクルーティングしたがるVCも少なくはない。 もっと早く知っておきたかったVCのリアルな実態 3. ビッグテックに就職 そしてこれが最もシリコンバレーらしいキャリアパス。 GoogleやAppleに代表されるようないわゆるビッグテック企業は起業経験のある人材を積極的に探している。例えそれが失敗した起業家であったとしてもだ。 なぜ起業家を求めているのか?ビッグテック企業は既存のサービス運営と同時に常に新しいサービス作りも行っている。そこで重要になってくるのが起業家精神である。しかし、1でも紹介した通り、起業家的マインドセットを持つ人間はあまり多くなく、見つけるのが難しい。 それも大企業に就職を希望する人たちはどうしてもサラリーマン気質になりがちで、リスクを取りたがらない。実際にGoogleの新規事業を生み出すGoogle Xでは「どれだけ失敗したか」を人事評価基準に入れ、失敗した数が多いほど評価が高まる仕組みになっている。そこまでしないとなかなか斬新なアイディアを形にできる人が少ないのだ。 そんな時に目をつけたのが元起業家達。彼ら彼女らは新しいことを始めるのが大好きで、リスクを恐れない。そして大きな野望を持っている。 よく日本から来た方々に「なぜシリコンバレーのビッグテックはこんなにもイケてるサービスを次から次へとリリースできるのですか?」と聞かれる事があるが、その理由の一つが元起業家の採用にあったりするのではないかと思う。 この仕組みは日本の大企業も取り入れると良いと思うが、なかなか採用の仕組みを変えるのは難しそうだ。 なぜアメリカのエリート大学生は起業を選ぶのか スタートアップの失敗理由 Top10 その95%が失敗すると言われているスタートアップでは、その失敗に関するデータはかなり多い。数ある理由の中でダントツなのは、作り出したプロダクトが市場のニーズに合っていないケース。 このデータを見てもわかる通り、自分たちが作り出したものが本当にユーザーに求められているのかを繰り返し検証するのがとても大切だ。 僕は君が起業家になることをオススメしない 日本の起業家達の末路は? ここまでシリコンバレーでの事情を紹介してきたが、日本だとどうなのだろうか? 日本では起業家が失敗した場合、その後どうなるのか。興味があったので、会社の経営をしている友人に聞いてみた。答えは「悲惨だよ」の一言。あまり表には出ていないが、日本では起業して失敗するとその後の人生がかなり厳しくなるというのだ それを教えてくれた友人が、一つの例として紹介してくれた記事には下記のように示されている。 “信用力の弱い経営者は、融資の担保として、複数の生命保険に加入することをなかば強制されていたことである。みずから死を選ぶことで会社への融資が返される” 引用元: 地方で自殺が急増した「意外な理由」〜日本社会の隠れたタブー 自分の友人の中でも起業経験のある数名はその後他のスタートアップに就職したり、メルカリなどのビッグテックに参画したケースは聞いた事がある。しかしいわゆるレガシー的な大企業に採用されたというケースはあまり無いのではないか?その辺も気になるところだ。 あ、うちの会社は元起業家の方々大歓迎です! 筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.

起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 2)

前回の「起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 1)」に引き続き、こちらの記事を参考に、31個にビジネスモデルを類型化し、それぞれについて解説していく、「起業家が知っておくべき31のビジネスモデル」シリーズ。今回はその第2回目だ。今回も10個のビジネスモデルを見ていく。 ビジネスモデルをブラッシュアップしたい起業家にとって参考になれば幸いだ。 それでは11から20までのビジネスモデルを見ていこう。 データ提供型ビジネスモデル ブロックチェーンビジネスモデル フリータープライズビジネスモデル レーザー&ブレードビジネスモデル D2Cビジネスモデル ホワイトラベルビジネスモデル フランチャイズビジネスモデル 広告ビジネスモデル タコビジネスモデル トランザクション型ビジネスモデル 11. データ提供型ビジネスモデル アプリを通してユーザーからデータを集め、システムの精度を上げたり、そのデータを欲している他の会社にデータを提供することでマネタイズするビジネスモデル。 例:OpenAI。ユーザーがデータを打ち込めば打ち込むほど、システムの精度が高まる。 有名なチェックインアプリである、Foursquareはユーザーの位置情報とチェックイン情報を集めている。Foursquareに貯まった膨大なユーザーデータは新規店開拓の際に利用される。 12. ブロックチェーンビジネスモデル ブロックチェーンは、AWS などの中央機関を必要とせずに、企業がスマートコントラクトを展開できるようにする分散型台帳テクノロジーだ。 例:Ethereum, Solana ブロックチェーンのビジネスモデルの種類 トークンエコノミービジネスモデル 企業がトークンマイナーまたはトークン保有者に報酬を与えるメカニズムの1つとしてトークンを発行するモデル。 例: Ethereum, Solana P2Pブロックチェーンビジネスモデル ピアツーピア (P2P) ブロックチェーンにより、エンドユーザーは相互に直接対話できるモデル。不特定多数の端末がサーバを介さずに、端末同士で直接データファイルを共有することができる通信技術、またはソフトウェアのことを指す。 例: IPFS Blockchain as a Service (BaaS)ビジネスモデル ブロックチェーン技術を基盤にアプリケーションを開発することを指す。 例: Bitcoin, Ethereum ブロックチェーンベースのアグリゲータービジネスモデル ブロックチェーンの API 呼び出しを実行し、ソフトウェア同士の連携を可能にする。 例: Alchemy 13. フリータープライズビジネスモデル フリータープライズ(無料+エンタープライズ)ビジネスモデルは、最初は無料で導入可能だが、ある一定数人数が増えると課金するモデルである。 無料であることで、従来の営業主体のトップダウンのモデルより、ボトムアップ的に導入が進むことが多い。 例:Slack, Zoom ここで、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のGo-to-market(市場戦略)のトップダウンとボトムアップアプローチの違いをご説明する。 トップダウンは、CXOレベルでの導入意識決定が必要なケースが多く、ピンポイントでのマーケティング戦略や、フィールドセールスによる長いサイクルの対面営業プロセスを要する。 カスタマーサクセスの面でも、導入時の訪問支援サポートや個別のアドバイスをするようなハイタッチな手法になる。このトップダウン戦略を採用している企業例としては、Veeva、Workday、Zuoraなどが挙げられる。 ボトムアップは、対象者が広範囲なため、マスに近いマーケティング戦略が適用できる。 いち従業員が一人、または数名で使い始められるプロダクトやサービスで、セルフサーブ型でユーザーのオンボーディングが完結できる。また、バイラル要素があり、営業サイクルも短い。Zoom、Slack、Twilioなどが例として挙げられる。 14. レーザー&ブレードビジネスモデル 1つのアイテムを低価格または赤字で販売し、詰め替えや追加で利益を生み出すビジネスモデル。ハードウェアビジネスで広く使用されている。 例:Gilletの剃刀と刀、コーヒーマシンとコーヒー豆 レーザー&ブレードビジネスモデルのメリット 製品を試す顧客のリスクを軽減する。 顧客は、多額の初期費用をかけずに製品やサービスを試すことができる。 製品からの継続的な収益源により、初期費用の何倍もの売上が得られる可能性がある。 15. D2Cビジネスモデル D2Cビジネスモデルでは、ブランドは中間業者を排除し、サードパーティの物流パートナーを使用して自社の Webサイトから最終消費者に製品を直接販売する。 例:GymShark、Kylie Cosmetics D2Cビジネスモデルを使用するブランドは、ウェブサイト、マーケットプレイス (Amazon、eBay ) などのオンラインチャネルを主に使用するが、実店舗を構える事例が増えている。 D2Cビジネスモデルのメリット 中間業者がいないことで中間搾取が発生しないため、利益が大きくなる。 オンラインファーストモデルで自社にデータを多数保有するため、年齢や地理など、よりターゲットを絞った顧客データにアクセスできるようになる。 16. ホワイトラベルビジネスモデル ホワイトラベルビジネスモデルとは、製品を契約メーカーまたはサードパーティメーカーに委託製造してもらい、自社のブランド名で販売するものだ。 例:Amazonの電子製品 Amazonで売られている電子製品のほとんどは中国で製造されており、何らかのブランド名でホワイトラベルが貼られている。 ホワイトラベルビジネスモデルのメリット 開発コストの削減 商品を自社で製造する必要がなくなるため、製造設備を持つことなく自社ブランド商品の販売が可能になる。製造設備への投資が不要になれば、開発コストの削減にもつながる。 開発ノウハウがなくても自社ブランド商品を製造できる 開発ノウハウについてもある程度OEMメーカーに頼れるため、開発ノウハウを持たない企業も自社ブランド商品の製造が可能だ。 商品企画や販売に専念できる 製造工程を他社に委託することで自社のリソースを割く必要がなくなり、商品企画や販売に専念することができる。 17. フランチャイズビジネスモデル フランチャイズビジネスモデルは、本部(フランチャイジー)の有する商標や販売・経営ノウハウなどを加盟店(フランチャイザー)に与えるかわりに、ロイヤリティを対価として、加盟店が本部に支払うモデルだ。 例:Domino’s Pizza, McDonald’s このビジネスモデルは、Subway、Domino’s Pizza、 McDonald’sなどのクイックサービスレストランで広く使用されている。 フランチャイズビジネスモデルのメリット 本部から経営サポートを受けられる フランチャイズに加盟すると、仕入、接客、広告宣伝など、経営にまつわることをすべてサポートしてもらえる。フランチャイズ本部には、新しい加盟者が店舗を立ち上げるまでのサポートや、経営を軌道に乗せるためのノウハウが確立されており、サポートを受けながらスピーディに開業準備を進められる。また、開業時のサポートだけでなく、継続的なサポートも受けられる。 本部のブランド力やノウハウを活用できる フランチャイズに加盟して得られる最大のメリットは、すでに確立されたブランド力(ブランドイメージ)がある状態で、経営を始められることだ。知名度や認知度が高いフランチャイズチェーンであれば、看板を見ただけでも商品やサービスが想起される。また、どの店舗でも同じサービスを受けられるのがチェーン店の魅力とも言えるため、そのチェーンのファンさえいれば、開業してすぐでも集客に困ることは少ないだろう。 […]

起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 1)

多様化する世界の中で、特にデジタル領域のビジネスにおいては多数のビジネスモデルが存在する。そのため全てのビジネスモデルを把握しきることは困難だ。 今回はこちらの記事を参考に31個にビジネスモデルを類型化し、全3回のシリーズにわたってそれぞれを解説していく。 ビジネスモデルをブラッシュアップしたい起業家や、ビジネスモデルを学びたいビジネスマンにとって参考になれば幸いだ。 まずは1から10。それでは早速見ていこう。 フリーミアムビジネスモデル サブスクリプションビジネスモデル マーケットプレイスビジネスモデル アグリゲータービジネスモデル 従量課金ビジネスモデル FFS(フィー・フォー・サービス)ビジネスモデル Edtechのビジネスモデル ロックインビジネスモデル APIライセンスビジネスモデル オープンソースビジネスモデル 1. フリーミアムビジネスモデル 例:Google Drive, iCloud, Slack フリーミアムのビジネスモデルは、ユーザーがソフトウェアやゲーム、サービスの基本機能を「無料」で利用でき、ユーザー側がアップグレードする際に始めて課金されるものだ。 Google DriveやDropboxは、それぞれ15GBと2GBの無料スペースを提供するが、追加スペースを購入する場合は追加料金を請求する。フリーミアムビジネスの典型と言える。 フリーミアムビジネスモデルのメリットは、基本機能が無料で利用できるため、ユーザーの最初の利用障壁を低く保てること、そして、すでに一部の基本機能を使用しそれに満足しているユーザーが課金するため、ユーザーの定着度が高いことだ。 2. サブスクリプションビジネスモデル 例:Tinder, Netflix, Shopify サブスクリプションビジネスモデルは、サービス提供側がプロダクトやサービスを販売し、ユーザーの定期的な支払いによって利益を得るものだ。 ユーザーがプロダクトを使用するため、もしくはプロダクトの中のプレミアム機能を継続して使用する意思がある場合に課金される。 サービス提供側は、フリーミアムビジネスモデルの次の段階としてサブスクリプションのビジネスモデルの適用も検討できるだろう。 3. マーケットプレイスビジネスモデル 例:Amazon, Fiverr マーケットプレイスとは、プロダクトやサービスを第三者の販売者がユーザーに販売するプラットフォーム(eコマースサイトやモバイルアプリ)だ。 Amazonにはプロダクトを販売するサードパーティーの販売者や中小企業のオーナーがいる。Fiverrには、グラフィックデザインやソフトウェア開発のような特定のサービスを他の個人や企業に提供するフリーランサーがいる。 扱っている領域は違えど、両者共にビジネスモデルはマーケットプレイスだ。 4. アグリゲータービジネスモデル 例:Uber、Airbnb アグリゲータービジネスモデルは、ベンダーのプロダクトやサービスを自社のブランド名で提供することが特徴だ。 例えばAirbnbでは、”Airbnb”というブランドのもとにいろいろなベンダーを出店させ、ブランド価値の担保を試みる。 マーケットプレイスとアグリゲーターのビジネスモデルは見ているように思われるが、大きな違いがある。 AmazonやFiverrのようなマーケットプレイスは、ベンダーとユーザーを結びつける役割を果たすが、ベンダー自身のブランド名で商品を販売する。 一方UberやAirbnbのようなアグリゲーターは、ベンダーを取り込み、彼ら(UberやAirbnb)のブランド名でサービスを提供することが特徴だ。 5. 従量課金ビジネスモデル 例:Stripe、AWS、Gumlet 従量課金ビジネスモデルは、ユーザーがプロダクトやサービスを使用した量(時間、人数、など)に応じて支払うモデルである。 個人利用、少数のチーム利用、大規模のチームでの利用で料金プランが異なる、ユーザー数による従量課金が想像しやすいだろう。 従量課金ビジネスモデルはクラウド・コンピューティングサービスで特に広く使われている。例えば、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)はアマゾンの子会社で、200以上のクラウドサービスを提供しており、各サービスには独自の従量課金制がある。 他にも代表的な例として、Canvaのようなデザイン・ソフトウェアプロダクトが挙げられる。使用したい機能と一つのアカウントを共有する人数によって異なる料金設定となっている。 6. FFS(フィー・フォー・サービス)ビジネスモデル 例:Stripe, Paypal, PayU FFSビジネスモデルでは、ユーザーが決済を行うたびにサービス提供側は固定手数料と変動手数料を得る。Fintechスタートアップに適応されることが多いビジネスモデルだ。 例えばStripeでは、ユーザーが決済を完了するごとに、2.9%+30セントが課金される。FFSのビジネスモデルを採用するプラットフォームは、ユーザーからの支払いを受け入れ、支払い先の事業者に決済を行う、支払いゲートウェイの役割を担うのだ。 7. Edtechのビジネスモデル Edtechのサービスのビジネスモデルにもいくつか特徴がある。典型的なのは、サービス提供側が教育コンテンツを販売することか、エンドユーザーに教育サービスを提供することで収益を上げることだ。 ビジネスモデルには、本記事の1-6で見てきたようなビジネスモデルや広告収入のビジネスモデルが使用されることが多い。以下にEdTechの代表的なビジネスモデルを列挙する。 Edtechサービスに採用される代表的なビジネスモデルの種類 フリーミアムやサブスクリプション – コースのコンテンツは無料だが、コース修了証の発行に費用が必要 例:Coursera 無料トライアル – 無料トライアルを提供し、その後月額または年額のサブスクリプションを提供するモデル 例:SkillShare マーケットプレイス – オープンマーケットプレイスから学びたいものを選択する自己提供型モデル 例:Udemy 広告収入 – 主要なプロダクトは無料であり、膨大なユーザーベースに広告を表示することで収益を得る 例:Duolingo 8.ロックインビジネスモデル 例:Apple, SAP ロックインビジネスモデルは、ユーザーの競合商品へのスイッチング・コストを感じさせることが特徴だ。 優れたブランド体験や利便性などのインセンティブを提供することで、新たなプロダクトが必要となった時にも、自社ブランドをユーザーに最初に想起させることができるようにしている。 AppleはiPhoneを販売し、他のハードウェア(Apple Watch、Airpods)やApple Store、Apple Music、iCloudなどのプラットフォームサービスによって、ユーザーをAppleサービスのエコシステムに囲い込む。 自社のサービスやプロダクトで買い揃えてもらうことで、利用者や売り上げを伸ばすことができるのだ。これにより、一貫性のある優れたブランド体験のみならず、Appleのサービス間の連携の利便性も向上させている。まさにロックインビジネスモデルの好例とも言えるだろう。 9. APIライセンスビジネスモデル アプリケーション・プログラミング・インターフェース、略称APIは、サードパーティのアプリケーションがユーザーのサービスと通信するためのツールだ。 例えば、UberとAirbnbは、ナビゲーションを簡単にするために、モバイルアプリでグーグルマップAPIを使用している。 APIのビジネスモデルには以下のような種類がある。 無料:最もシンプルなAPI主導のビジネスモデルで、アプリ開発者は自由にAPIにアクセスできる。 例:Facebook、Google翻訳 Developer Pays(開発者負担):このモデルは、アプリケーション開発者が提供されるサービスに対して対価を支払う形で運営される。 例:AWS、Twilio、Github、Stripe 開発者が報酬を得る: APIを配布する開発者やコンテンツの提供者が支払う。 例:アドセンス、アマゾンアフィリエイト 10. オープンソースビジネスモデル 例:Android, Firefox, MongoDB オープンソースソフトウェアとは、誰もが個人利用のために調査、修正、拡張できるソースコードを持つソフトウェアのことである。 オープンソースソフトウェアが利益を得るためのビジネスモデルとして、以下のような種類が挙げられる。 有償サポート – ユーザーがコードベースについて多くの知識を持っている場合必要な部分のみパーソナライズして課金する形式。必要な分のみ支払いが発生し、サービスを利用することができる […]

ガイ・カワサキから学ぶ、スタートアップ定番 10の間違い

現在のシリコンバレーにおけるスタートアップエコシステムの源流を作ったのは間違いなくAppleだろう。 そのAppleの黎明期だった1984年にエヴァンジェリスト (伝道師) として参画したのが日系アメリカ人のガイ・カワサキだ。彼はAppleの魅力を世界に広げることで、マッキントッシュの成功に大きく寄与した。 現在は起業家 / ベンチャーキャピタリストとして活躍している彼は、これまでに多くの起業家に対して投資家、アドバイザーとしての立場から多大なる影響を与え、成功に導いてきた。また、複数の関連著書を通じてスタートアップ成功のための「法則」を伝えている。 起業家にありがちな10の定番ミス 今回はそのガイ・カワサキが以前にUCバークレーで行った講演「スタートアップ起業家にありがちな10の間違い」を動画共に紹介したい。 どれもかなり “あるある” な感じで、すでに体験したことのある人も多いと思うが、ぜひ参考になれば嬉しい。 1. 市場の1%を獲得するのは意外と難しい 全市場の1%獲得すればかなりの売り上げが見込める。それもあり、スタートアップで商品やサービスを展開する際に、既存の市場の1%程度であればなんとか獲得できそうだと思いがち。 しかしそれは大きな間違いで、一見簡単に儲かりそうだけどそんな簡単じゃない。ドッグフードの実例をもとにわかりやすく説明している。 2. スケールアップを急ぎすぎる 多くのスタートアップが最初から急成長を見込んでオペレーション拡充を急ぎがち。でも実際にはスケールが遅れて倒産する企業はない。 そもそも、そんなに急いで体制を整えたところで、ユーザーやオーダーが集まらない限りは無駄なコストになるだけだ。 3. パートナーシップに期待するな スタートアップを始めた直後はユーザーも売り上げも少ないため、大企業などとのパートナーシップを結んだりするだろう。しかし、パートナーシップは全く意味がない。 そんなの売り上げが無い時の言い訳にすぎないのだ。起業家に必要なのは数字を達成すること。余計なことに気を取られずにとりあえず業績を上げることに集中するべき。 4.ピッチよりもプロトタイプを作ろう スタートアップにとってピッチはとても大切だが、現代では可能な限りプロトタイプを作成して投資家に見せた方が何かと有利だ。ピッチではいくらでも誤魔化すことができるが、プロトタイプでは無理だ。 そして、プロトタイプがあるということはある程度プロダクトがあることを意味するので、投資家からのバリュエーションを挙げてもらいやすくなる。 5.ピッチの際には10/20/30ルールを採用せよ 多くの場合、スタートアップのピッチを行う際にプレゼンに色々盛り込もうとしすぎる。そんな時はガイ・カワサキ流、ピッチの10/20/30ルールを活用するのがおすすめ。 スライドを利用したピッチを行う場合の目安は10ページ, 時間は20分, フォントのサイズは30ポイントだ。そうすることで本当に重要な情報だけがピッチに凝縮されることになる。 6. 全て同時進行で行え 一般的な企業では一つずつタスクをこなすことが一般的だ。しかし、スタートアップの世界では複数の事柄が一気に動き出す。 順番で行うことはできない。「資金調達が出来たらプロダクト作り始めます」は絶対にダメ。チーム作りも、資金調達も、プロダクト作りも、採用も、仕組み作りも全て同時に行わなければならない。 7. 株式の51%を保有すれば会社のコントロールが出来るは幻想 創業者達が株式の過半数を所有していればコントロールを奪われない。と思うのは完全に間違い。外部資本が入った瞬間からコントロールを失う。 株式会社だから全ては取締役会の決議で決まる。51%以上のシェアがあれば大丈夫。それはスタートアップの世界では通用しない。現実では決議で決まることはほとんどないのだ。 8. 特許はあまり意味がない 特許さえ取れば競合に真似されないと思ったら大間違い。スタートアップはあまり特許を過信しない方が良い。その理由として、特許を取っているだけでは真似されることを防御できないし、一旦訴訟になるとお金も時間もたくさん掛かるからだ。 なので、もし投資家とのミーティングで特許の話をするのは一回だけにした方が良い。それ以上言うと相手の興味がなくなる可能性がある。 9. バランスの取れたメンバーの採用を スタートアップの初期メンバーを探す際には自分が持っていないスキルの人間を優先して採用すべし。初期の頃などは、ついつい自分に似た人に興味を持ちがちなので要注意。 自分がエンジニアだったらビジネス担当を。ビジネス担当だったらエンジニアを採用することで、バランスの取れた強いチームを作ることが可能になる。 10. 投資家とは友達になるな スタートアップの多くはどこかの段階でVCから投資を受ける時がある。そこで勘違いしがちなのが「VCは友達」と思ってしまうこと。もちろんできるだけ支援はしてくれると思うが、業績が出ないままでいると冷酷な判断をされることも少なくはない。 そもそも彼らの仕事は起業家と友達になることではない。リアルな現実がそこにある。VCからの投資を受ける際にはそこを理解しておこう。 11. VCに過度な期待をするな VCはスタートアップのプロだから投資してくれたらさぞかし手厚いサポートも受けられると思ってる人が多い。しかし現実はそんなに甘くない。一ヶ月に数時間もらえれば良い方だ。 彼らは非常に忙しいし、投資からのリターンを出すことが最優先になるため、特に業績の良くないスタートアップにはなかなか時間を割いてくれない。 One ore thing的なエピソード。 終わりに シリコンバレー地域でも、ガイ・カワサキ以上にスタートアップや起業家が持つべき心得をここまで明確に理解し、表現できる人はかなり少ない。それもユーモアを交え、わかりやすい英語で話してくれる。 今後紹介したセッションはかなり昔のものにはなるが、その内容はタイムレスで現代の起業家にもかなり貴重な示唆に富んでいると思う。 以前に対談させていただいたこともあるが、彼は知識が豊富なだけでなく視点の鋭さや、時流理解のセンスも飛び抜けている。対談の最後に彼の本にサインと “Change the World!” と書いてくれたのが嬉しかった。 筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.

サイモン・シネックから学ぶリーダーシップ 12の極意

TEDで大人気になったトークや、著書『WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う』で有名なサイモン・シネック。成功する会社とそうでない会社の違いや、ビジョンやパーパスの重要性を説く彼は、アメリカをはじめ世界中でリーダーシップを学ぶ多くの人々から支持を得ている。
彼の提唱するスタイルは「サーバントリーダーシップ」と呼ばれるもので、21世紀のリーダー手法として取り入れている企業も多い。
今回は冒頭のトーク以外にも数多くの素晴らしいスピーチを行っているサイモン・シネックから、リーダーシップに関…

【統計】海外スタートアップの創業者達はいくら給料をもらっているのか

メディアやイベントで毎日のようにもてはやされ、外側から見るとかなりキラキラで儲かっていそう、お金持っていそう、セレブ、などと思われる起業家たち。 特に主要メディアに取り上げられたり、イベントで登壇している人達を見るとどうしても「かなり儲かってんだろうなー」と思ってしまう。 特に大きな額の投資を受けたニュースなどを見ると、一瞬で多くのお金を手にしたように見えてしまう。 しかし、巨額の投資を受けたからといって個人的に大きなお金が入って来ているわけではない。 むしろ、スタッフには多めの報酬を払っていてもファウンダー達はかなり節約しているケースも少なくはない。 そろそろ資金調達の際に”おめでとう”と言うのをやめないか? 創業者の給料は誰が決めるのか? 以前にシリコンバレーでVC (ベンチャーキャピタル) の友人に聞いたことがある。「ところで投資した先のスタートアップ創業者の給料に関しては口出しするんですか?」と。 答えは「いや、常識的な範囲で決めてくれれば特に口出ししないよ」だった。では、常識的な範囲とは幾らなのだろうか? 彼によるとシリコンバレー地域だったら年収25万ドル (3000万円) くらいだそうだ。 結構オイシイなーと感じた。 250社のスタートアップ創業者からの統計データ これからご紹介するのはKruze Consulting社が行ったアメリカを中心とした海外のスタートアップ250社の創業者の報酬に関する調査である。 この調査に参加したスタートアップは、バイオテクノロジー、eコマース、EdTech、FinTech、ヘルステック、ハードウェア、SaaSなど、さまざまな業界に渡る。 その結果を見てみると、そのステージにによってかなり開きはあるが、かなり興味深い結果だと感じる。 2023年度版スタートアップ創業者の給与事情 この調査では資金を調達したスタートアップの創業者の平均年収は約15万ドル(約2, 000万円)で、創業者の中央値は14万ドル(約1,800万円)近くになる。 CEOの年収は毎年増加傾向 2022年のスタートアップCEOの平均給与は、2021年の水準から2.7%増加して15万ドルとなり、中央値は14万ドルに増加した。 この平均値は、パンデミックの影響でCEOの報酬が落ち込んだ2020年から7.9%上昇したことになる。2022年のCEO報酬の増加により、2018年以降のCEO(および創業者)の平均報酬に見られるような、全体的に「右肩上がり」の傾向が復活している。 下表は、2018年以降の平均給与と中央値を示してる。 調達額が創業者の報酬に影響を与える なお、創業者の報酬は、スタートアップが調達した資本金の額によって異なる。以下は、資金調達額別の創業者給与の内訳だ。 <200万ドル未満の資金調達:創業者の平均給与は10万ドル 200万ドル以上500万ドル未満:創業者の平均給与13.5万ドル 500万ドル以上1000万ドル未満:創業者の平均給与17.1万ドル このデータによると、VCからの資金調達を行ったスタートアップはCEOとそれ以外の役職の創業者はほぼ同じ収入を得る傾向が見られた。 これは、その後の追加での資金調達の状況次第で変わっていく可能性があり、CEOが他の創業者よりも報酬が増える可能性が高い。 さらに、後期段階の企業では、創業者兼CEOの代わりに「雇われCEO」が就任することが多く、こうした外部の人間は創業者よりもかなり多くの収入を得る傾向がある。 ステージ別スタートアップ創業者の報酬水準 スタートアップの創業者は、資金調達が後期になるにつれて、より高い給与を得る傾向にある。 これは当然で、会社が後期になるにつれリスクが軽減され、投資家からの現金と利益が確保しやすい。 その結果、創業者の報酬を上げる余裕ができる。 シード:~13万ドル シリーズA:18万ドル〜19万ドル シリーズB:25万ドル26万ドル 役職別スタートアップ創業者の平均年収 では、創業者の中でも異なる役割の人は報酬も異なるのだろうか?結果的にはそこまで大きな開きはない。 初期の段階では技術系の創業者 (CTOの役割) は、CEOの役割の人よりも報酬が高い傾向がある。これは、経験豊富なエンジニアは採用が難しいのに対し、誰でも自分が始めたスタートアップの最高経営責任者 (CEO) になれるからだろう。 収益を上げるスタートアップでは、最も高い報酬を得ているのはセールスリーダーであることが多い。 性別によっても報酬が異なる傾向 スタートアップの給与面でも男女格差が生じている。 モーニングスター社による2022年度の調査によると、2015年から2019年にかけてCEOの男女の給与格差は縮小していた しかし、2020年のパンデミックの際にアメリカの企業全体で再び給与格差が拡大し、スタートアップ企業に関する調査でもその傾向が見られた。 女性CEOはパンデミックのピーク時に給与が30%減少し(2019年の13万8000ドルに対し10万1000ドル)、男性CEOの給与は増加している(2019年の14万3千ドルに対し14万6千ドル)。 この拡大した差が、2022年のデータで縮小することを期待されたが、残念ながらそうはならなかった。 世界で活躍する女性起業家たちと、取り巻く環境への課題 日本のスタートアップはどんな感じなんだろう? このような感じで海外、主にアメリカのスタートアップ創業者やCEOの給与データを紹介した。もちろん、そのステージや調達資金額で随分と差があり、個々のケースで異なると思うが、一つの参考にはなると思う。 この辺、日本の場合は現在どのような感じになっているのだろうか?かなり興味がある。 ベンチャー企業とスタートアップ その定義と違いとは?

面白アイディアが日本企業によって殺される12のステップ

今年も経産省によるイノベーター創出のためのプログラム「始動 Next Innovator」の選抜グループがシリコンバレーに訪問している。彼らはこの地のスタートアップカルチャーを吸収し、自分たちの新たなビジネス作りに繋げる。
このプログラムの第一期から僕はメンターとして協力させていだだき、メンタリングを通じて、これまでに100名以上の起業家たちに対してビジネス、マーケティング、デザイン面を中心にアドバイスを提供してきた。
イノベーションを生み出すために -空想者から行動者に変革する5つの方法- 始動プ…

グローバル起業家輩出の登竜門 Global Challenge! STARTUP TEAM FUKUOKAに参加すべき3つの理由

福岡市は、2016年からグローバルスタートアップ育成事業『Global Challenge! STARTUP TEAM FUKUOKA』を実施している。 これは、日本におけるスタートアップシーンを牽引する福岡市から、世界に通用するスタートアップやそのマインドを持った人材を輩出することを目的としている研修プログラムだ。 われわれbtraxは、2016年の開始からこれまで毎年、その運営を支援してきた経緯がある。7年目となる今年も運営を行っており、今はまさに参加者を募る最終段階にある。 この記事では、改めて『Global Challenge! STARTUP TEAM FUKUOKA』のポイントや実績、そして今年度参加のメリットをまとめていく。これを読むみなさまにプログラムの魅力が伝わり、そして応募を検討いただけたら幸いだ。 『Global Challenge! STARTUP TEAM FUKUOKA』のポイント 1. のべ1,000人以上を輩出 確かな実績のあるプログラム 本プログラムは過去6年の開催で、1,000名以上の卒業生を輩出してきた。毎年の参加者には、年齢も性別も問わず、本当にさまざまな方にご参加いただいてきた。 その中からは本プログラムをきっかけに起業に至り、ビジネスを大きく成長させているスタートアップも続々と生まれてきている。 一方で、ここで一つ覚えておいていただきたいのが、今すぐに起業をしたい人だけのためのプログラムではないということだ。 つまり、「今は特にビジネスアイディアがない」「起業できたらいいなとは思っているがまだ曖昧だ」といった方にこそ受講をおすすめしたい。 というのも、研修は「起業家候補者」向け対しても、広くさまざまな知識やスキルが網羅できるように設計されているからだ。詳しくは次章にて。 2. ビジネスを広く網羅する国内研修 少数精鋭で「本場」に挑む海外研修 では早速、みなさんが最も気になるであろう研修に関してご紹介する。 今年度は、「国内研修」と「海外研修」の2部構成で実施予定だ。コロナ禍の状況も少しずつ落ち着きを見せてきたこともあり、3年ぶりに海外研修が組み込まれている。 国内研修は全5回で構成されている。各回のテーマは下記だ。 コロナ禍が変えたスタートアップの潮流 ~メタバース, Web3.0, NFT, DAO いま何を理解しておけば乗り遅れない!? ますます重要になった生活者視点からのビジネスアイディア発想 ~ユーザー視点でビジネスを考え、人にうまく伝える方法 グローバル・コミュニケーションへの心構えの習得 資金がないとビジネスは始まらない 投資家を唸らせるビジネスプレゼンとは! ピッチバトル 〜世界の扉を開け! スタートアップの基本知識に始まり、デザイン思考、グローバルコミュニケーション、投資関連、そしてピッチまで、スタートアップに関する「必須科目」を各回で網羅していく予定だ。スタートアップについて学ぶ最初のステップとして、十分に活用いただける内容だと思う。 研修のイメージとして、コロナ禍以前最後のオフライン開催となった2019年度の研修の様子をご紹介する。 第1回国内研修にて、スタートアップ起業家同士の対談の様子 第2回国内研修 デザイン思考に基づくアイディア発想ワークショップの様子 第5回 海外研修でのイベント登壇をかけた英語でのピッチバトル また、今年度も、毎回の研修には各分野で第一線でご活躍されている講師の皆さんにご登壇いただく。 現役のスタートアップ起業家や、デザインリサーチャー、さらに英語を用いたグローバルコミュニケーションのプロや、投資家、弁護士まで。普段はなかなか話を聞くことのできないことも含めて直々にレクチャーいただける時間になる。 一方海外研修は、主に国内研修内のピッチバトルにて選考を勝ち抜いた少数精鋭のメンバーに対して研修を実施する。 場所は、われわれbtraxが本社を構えるスタートアップの本場、サンフランシスコ・シリコンバレーエリアだ。 ここでの大きな目的は、この研修期間内に実施されるピッチイベント『SF Pitch Night』に参加をすることだ。現地のスタートアップと凌ぎを削り、現地の投資家向けに英語でピッチをする、という経験ができる。 日本でもピッチイベントは多く開催されているが、海外のピッチイベントに登壇するというある意味「度胸試し」のような体験ができる機会はそう多くないのではないだろうか。ぜひ挑戦していただきたい。 ピッチイベントの前後では、btraxオフィスにて、メンバーがメンターとなる形でアイディアのブラッシュアップを行う。それも、ほとんどマンツーマンに近い形で徹底的に。 デザインスプリントやイマージョンキャンプのように、短期間で一気にアイディアを磨くことで、飛躍的な改善やブレイクスルーを目指す。 また、ピッチ特有の構成や英語での言葉選びなど、ピッチに最適化したアイディアの見せ方まで一緒に考え、磨き上げていくサポートも行う。 研修詳細はこちら: https://www.fukuokastartup.com/program 3. 単年度で終わらない 強力な運営のサポートとアルムナイグループの存在 また、研修そのものからは少し離れるが、過去6年の蓄積があるということは、それだけ多くの卒業生とのつながりがあることを意味する。 本プログラムでは、Facebookでの公式グループを始め、過去の卒業生とのコミュニティを展開しているため、その期のプログラムが終了しても、研修生間の関係性が長く続いている。 実際、期を跨いで交流のある方や、同期で協力してアイディアの検証やテストを行っているケースもよく耳にする。 また、われわれ運営事務局についても、プログラム期間のみならず、終了後も、あるいは年度をまたいででも、研修生のみなさまのサポートをさせていただいている。ある相談ごとに関して適任者を紹介するなど、相談役として気軽に相談いただける関係性を心がけている。 起業をはじめとして、何か新たなことを始める上で、ネットワークは不可欠。従来のネットワーク外に飛び出し、新たな出会いを得るチャンスとしても、このプログラムへの参加は絶好の機会と言えると思う。 終わりに 本プログラムは、福岡市にゆかりのある方であればどなたでも無料で受講いただける。 国内研修から海外研修まで全回の研修を通じて、グローバルな視野やマインドを持った起業家および起業家候補生を輩出できるよう運営としても最大限サポートをさせていただく次第だ。 この研修をきっかけに新たな一歩を踏み出すきっかけになった方を過去何名も目の当たりにしている。 少しでもご興味をお持ちの方はチャレンジしてみることをおすすめする。詳細や応募は、公式Webページをご覧ください。研修にてお会いできることを楽しみにしています!

起業家を目指すなら日本の大学には行かない方が良いかもしれない3つの理由

アメリカで成功している起業家の多くが大学を出ていない。もしくは大学院をドロップアウトしてる。例えば:

スティーブ・ジョブス: リード大学中退
マーク・ザッカーバーグ: ハーバード大学中退
ビル・ゲイツ: ハーバード大学中退
ジャック・ドーシー: ニューヨーク大学中退
イーロン・マスク: スタンフォード大学院を2日で中退

そしてこれは必ずしも上記のようなシリコンバレー系起業家に限ったことではない。
成功者の多くがかつては劣等生
アメリカでは成功者の多くが学生の頃は劣等生。Fortune誌によるトッ…

起業家達よ、注目されることが目的になっていないか?

メンタリングなどを通じたスタートアップの起業家を見ていて、ふとした違和感を感じることがある。それは、何の為にスタートアップをやっているのか?という点。 起業する目的は主に、社会の解題解決、自己実現、お金儲けなど、いくつかあると思うが、それとは別に「キラキラ」に引き寄せられているケースもあるんじゃないか?と感じる。 自分が目立つこと。最新トレンドに乗っかること。資金をたくさん集めること。ありえないレベルの夢を掲げて注目されること。それ自体には全く問題はないが、手段が目的になってしまう状態には違和感を感じる。 実はこの状態はアメリカでも定期的に話題になる、俗に “Shiny Object Syndrome” と呼ばれる状態。日本語にすると「キラキラ症候群」といった感じだろうか? スタートアップの落とし穴 – キラキラ症候群とは スタートアップの起業家の多くは、一般的な人々よりぶっ飛んだ感覚を持っている人が多い。それゆえにかなり謎な思想や行動をとりがちなのだが、それが必ずしも適切ではないこともある。 その中の一つが “光りモノ” に目が眩むキラキラ症候群。地味なことより派手なこと。古臭いやり方より最新のテクノロジー。地道な手法よりも一発ででっかく儲けたい。 下記で紹介するのは起業家がはまりがちな4つのキラキラタイプ。一度軽く目を通しておくだけでも、いざとなった時の自己抑制につながると思う。 キラキラタイプ1: 自己承認欲求最優先 「目立つことが大好き」「自己顕示欲が強く、常に注目を浴びていないと気がすまない」は、起業家にありがちな気質。しかし、それがエスカレートしすぎると、プロダクトやユーザーの前に、自分のエゴを満たすことを目的にしてしまう。それが一つめのキラキラタイプ。 例えば、イベントに登壇する。ピッチ大会で賞を取りまくる。著名人と対談をする。メディア取材を片っ端から受ける。そしてそれをSNSにドヤ顔でアップする。など。 もちろんアーリーステージのスタートアップにとっては、優れたPRは世の中にサービスの存在を知ってもらったり、投資家の注目を集めたり、ユーザー獲得の面でも大きなメリットもある。 でも、もしそれが起業家の自己満足のためにやっているのであれば、脚光を浴びるに必死になるのを一旦やめて、まずプロダクトの作り込みに集中するべきだろう。 本気で取り組んでいる創業者たちは、24時間365日プロダクト作りに取り組み、友人や親戚からお金を借りてユーザーを探し、人材獲得のために奔走する。 そんな日々を送ってれば、自ずと複数のメディアインタビューや頻繁にイベントに登壇したり、パネルディスカッションに参加する時間はない。 参考: Youはなぜ面倒な起業家なんかに? 例えば、ピッチイベントに出場する目的はあくまでユーザーを集める。フィードバックをもらってプロダクトを改善する。投資家に知ってもらう。そして、仲間を集めるための手段であって、それ自体が目的になるべきではない。 メディアに露出するのも同様で、まわりからもてはやされたり、承認欲求を満たすための目的とするべきではない。 ヴァージングループ創設者のリチャード・ブロンソンはいくら大きなお金を積まれても、自分のビジネスに役立たない講演依頼は受けないと答えている。 起業家が目立つに越したことはないが、それはあくまで手段であって目的になるべきではない。 くれぐれも、自己承認欲求に取り憑かれたスポットライト症候群にならないように気をつけたい。 参考: モテない起業家は成功しにくいと思わせる7つの理由 キラキラタイプ2: 最新バズワード大好き 多くのスタートアップは、最新のテクノロジーを活用してユーザーの課題解決をおこなったり、楽しみを与えたりして成功している。 自ずとその起業家たちも最新トレンドへの感度が高い。その一方で、常にバズワードだけを追いかけ、次から次への事業内容を変える起業家も少なくはない。 これからVRの時代と豪語してた人のサービスがあっさりとWeb3系に変わっていたり、IoTに飛びついた起業家がいつの間にかNFTに興味が移ってしまって元々のプロジェクトが途中で頓挫したりなど。 これ系のキラキラ症候群は、非常に開きっぽく、プロダクトがやっと形になり始めたなと思ったら、急にモチベーションが下がったりする。 参考: “イノベーション“や”DX”をバズワードで終わらせないために大切な2つのこと もちろん、まだ誰もやっていないタイプの事業を真っ先にやることで、ある程度の優位性を獲得することはできる。しかし、本質的にそのサービス自体への情熱があまり強くなく、単純にキラキラしたバズワードを追っかけてるだけだったとしたら、価値を生み出すのは難しい。 最新テクノロジーや、話題になっているバズワードなどは、あくまで手段であって、目的にするべきではないし、次から次にトレンドを追っかけてる暇があったら、なんでも良いから一つのサービスをさっさとリリースしてしまった方が良い。 そして、何かに強烈な情熱が湧くまで安易にスタートアップを始めない方が良いと思う。 参考: 僕は君が起業家になることをオススメしない キラキラタイプ3: 資金調達至上主義 「スタートアップ = まずは資金調達」と思っている人が結構いる。おそらくこれはテック系メディアを中心に、スタートアップの資金調達のニュースが日々飛び交ってるからだろう。 でも、実はVCなどの外部からの資金調達をしなくて済むのであれば、それに越したことはない。むしろ、できるだけ自己資金で進めた方が良いとアドバイスする投資家もいるぐらいだ。シリコンバレーのカリスマ投資家、ロン・コンウェイもその一人。 参考: エンジェル投資家の裏側教えます【インタビュー】シリコンバレーのスーパーエンジェル投資家: ロン・コンウェイ それなのに、プロダクト作りよりもなるべく多くの資金を調達することに注力したり、プロダクトの内容自体を資金調達しやすいかどうかだけで決めたりするケースがある。 一言で言うと、資金調達が成功と勘違いしているキラキラパターン。 以前にメンタリングしているの起業家から「投資を受けやすいから、プロダクトの説明文に “AI Powered” と入れたい」と相談された。 僕は「君のプロダクトは本当にAI Poweredなの?」って普通の質問をしたら「いや、そうじゃないけど…」との答え。単に “AI” と入れておいた方が投資家からの “引き” が強いからだという。 これはかなり不誠実だなと感じた。でも、シリコンバレー界隈でも、セラノスやWeWorkなど、巨額の資金調達を達成するために、ある程度の “ハッタリ” をかますケースも珍しくない。 資金調達は良いプロダクトを作り、ユーザーの課題解決を進めるためのプロセスの一つでしかない。それが目的になってしまったり、安易に資金調達のニュースに踊らされない方が良いだろう。 参考: そろそろ資金調達の際に”おめでとう”と言うのをやめないか? キラキラタイプ4: 誇大妄想 but ノーアクション 以前に、始める前から「デカコーンを目指します!」と豪語した人がいた。デカコーンとは、ユニコーンよりも大きな評価額を得たスタートアップのこと。 スタートアップの評価額は、そのプロダクトの将来的な可能性や、市場トレンドとのタイミングなどでざっくりと決まっていく。 ユニコーンになる企業は、その将来性やサービスの希少性、マーケットの規模で高い評価額を獲得する。でもそれはあくまで一つの指標でしかない。 なので、そもそもユニコーンを目指すこと自体が微妙な感じがする。それよりも大きな価値の デカコーンを目指すとは、なかなか大きな野望である。 参考: ユニコーンの次はデカコーン しかしその一方で、大きなことを言っている割には、いつまで経っても小さな一歩が踏み出せていないことも多い。しばらくしてから話を聞いてみると、もっとすごいアイディアが思いついたと言う。でも、それを達成するためのアクションは取れていない。 そんな人に限って、スモールビジネスをスタートアップの格下にとらえたりしている。 どれだけ大きな夢があったとしても、行動に起こしていなければ、世の中へのインパクトはゼロである。それより、小さくても、泥臭くても良いから、何かしら始めた方が良い。どんなに大きな夢を持っていても、小さな一歩を踏み出さないと何も始まらない。 10 x 0 = 0 0+1 = 1 そうでもしないと、いつまで経っても「なんちゃって起業家 = ワナビー」のままである。”やってる感” だけのワナビー起業家は、なかなかカッコ悪い。 参考: 起業家ワナビーとリアル起業家との違い 起業家≠ロックスター こんな感じで、キラキラしたイメージの強い起業家の中には、本人自身がキラキラ症候群になってしまってるケースもある。これは、手段と目的が逆転してしまってる状態で、本人は無邪気であったとしても、結構周りに迷惑をかけてしまうこともある。 また、起業家をヒーロー化するのは必ずしも良いわけではない。投資家もメディアも “本物” の起業家を見定めにくくなるから。 参考: ロックバンドとスタートアップ、15の共通点と成功法則 起業家にはキラキラよりも大切なことがある 親身になって相談してくれた人や、本物を見極めようと真剣に取り組んでる投資家、そしてリリースを心待ちにしている初期ユーザーなど、キラキラ起業家に巻き込まれてがっかりする経験は少なくない。 キラキラなイメージに引き寄せられた人々は、しばらくすると中身の空っぽさに失望して去っていく。最悪の場合、キラキラ感だけを追いかける起業家は、スタートアップ的なノリを楽しみながら、投資家のお金をじゃぶじゃぶ使ってるだけという印象を与えてしまう。 […]

地方創生 × グローバル起業家育成 Japan Rising City Acceleratorとは?

btraxではこれまでに福岡県福岡市、石川県加賀市といった様々な自治体に向けてグローバル起業家育成を目的としたプログラムの企画運営・支援を行ってきました。 一つは、日本を代表するスタートアップ支援の先進都市である「福岡市」(人口約1,550,000人)と、もう一つは、「消滅可能性都市」に指定されたことをきっかけに高齢化や人口減少に歯止めをかけるべく、DXを活用した「スマートシティ加賀」を実現させようと尽力している「石川県加賀市」(人口約62,000人)です。 両都市では、スタートアップ起業家支援における自治体側の課題も異なっており、大変興味深く感じました。 福岡市、加賀市へプログラム支援を通して得た気づき 各自治体の持っている共通の課題感 自治体の規模は違えど両自治体の課題感としては共通しており、起業に関心がある人々が集うことで新しいアイデアが生まれ地元から会社が起きていくことです。 そして、時代の変化に対応したイノベーティブなスタートアップ企業が創業されること、そして、起業により雇用が生まれることを期待しています。 そのために、各自治体では様々な分野でチャレンジしようとしている起業家・起業家候補を地元内外から発掘し、多くの雇用を創出して若者など様々な人材の地元での就労機会を増やしていきたいと考えているのが現状です。 プログラム参加者(起業家/起業家候補)が求めていること 一方で、プログラム参加者が求めていることは、最初からグローバル視点を持ったスタートアップの起業について体系的に学べビジネスアイデアを具現化できるきっかけです。小規模自治体でも地元もしくは移住して事業を立ち上げようとする方は一定数いることがわかりました。 Japan Rising City Acceleratorについて btraxは、上記のような課題やニーズを受け、「Japan Rising City Accelerator」というプログラムの提供を開始しました。本プログラムは、地方自治体や地方の創業支援団体を対象としています。 グローバル起業家育成を通じて、地方から世界に挑戦する人材やスタートアップ企業の輩出を目指し、地域の活性化に繋げることが目的です。 Japan Rising City Acceleratorにおける3つの軸 Japan Rising City Acceleratorには3つの軸があります。 知識:スタートアップはグローバル展開に必要な知識を習得します。 実践:デザイン思考の体得やピッチを通じた実践的なスキルを習得します。 架け橋:サンフランシスコ/シリコンバレーとの関係構築を支援します。 また、オンラインで行う国内研修と、現地に赴くサンフランシスコ・シリコンバレー研修の2部構成となっています。 国内研修プログラムでは、海外等への事業展開を目指す自治体の方を 対象に、最低限必要となるグローバルビジネスへの知識、 シリコンバレー流のデザイン思考から発想するスタートアップビジネスアイデア、スタートアップマインドセットを形成します。 主なポイントは以下の4つです。 スタートアップに関する基礎知識 グローバルコミュニケーションのコツ 投資家たちの視点 デザイン思考を用いた生活者視点からのアイディア発想 初心者でもわかるスタートアップの基本 一方、サンフランシスコ・シリコンバレー研修プログラムは、グローバルな視点や考え方を養い、 現地でのフィールドワークやワークショップを通じ、新しい気づきを習得するプログラムです。 主なポイントは以下の4つです。 フィールドワークを通じたグローバルなビジネス環境の理解 スタートアップ訪問や現地でのネットワークの構築 現地のデモイベントやピッチコンテストへの参加 フィードバックをもとにしたサービスモデルの改善 実施することによる自治体へのメリット 昨今、地方自治体が起業家支援事業を実施することは、珍しいことではなくなりつつありますが、中小規模の自治体では、興味はあるが実施できていないという自治体もあるのではないでしょうか。 本プログラムを地方自治体が実施した際のメリットとしては以下の3つが挙げられます。 地方からグローバルに活躍できる起業家人材の育成 シリコンバレーとのコネクション確立 ビジネス創業の地としての対外的なPR効果 1. 地方からグローバルに活躍できる起業家人材の育成 スタートアップにおいて、同じプロダクトを作る場合でも対象が国内市場だけか、グローバル化でその後の展開の可能性が大きく異なります。 その一例として、スタートアップの中でも特にユニコーン企業に共通している点としては、最初からグローバル市場を念頭においてビジネスを展開しています。 プログラム参加者は、グローバルを視野に入れたスタートアップでビジネス展開するためのマインドセット変革、基本的な知識を得ることができるようになります。 どんなに頑張ってもお前がカバーできるのは世界の2% 2. シリコンバレーとのコネクション確立 サンフランシスコ・シリコンバレーエリアは、言わずと知れたスタートアップの聖地です。コロナ禍を経てもその事実は変わることなく、今でも水面化で着々とスタートアップが育っています。 サンフランシスコ・シリコンバレーでは、起業家以外にもVC、エンジニア・デザイナーなど優秀な人材が多数生活しています。そして、オープンマインドな文化を持つサンフランシスコでは人とコラボレーションしやすい環境が整っています。 弊社btraxを起点として、自治体及びプログラム参加者は、ベイエリアへのネットワークへコネクションが確立できることで、グローバル展開に向けたハブを得ることができます。 btraxは、2004年にサンフランシスコで創業以来、現地でのネットワーク・コネクションを数多く持っています。また、スタッフが実際に生活していることで、現地の最新トレンドをキャッチアップして還元することが可能です。 3. ビジネス創業の地としての対外的なPR効果 昨今は、関連人口という言葉が話題になっていますが、まさに関係人口を増やしていくこともこのプログラムの目標であり、期待できる効果です。地元で実際にスタートアップを起こす人が増えていくことで、メディア露出や人材交流が促進されます。 そして、その都市がスタートアップ支援に力を入れているという対外的な認知度が高まることで、スタートアップ支援に積極的な都市だという広報PR効果が期待できると考えています。 まとめ これまで培ってきたプログラム運営経験からJapan Rising City Acceleratorは誕生しました。 地方創生事業の一環として、何かアクションを起こす必要性を感じている一方で、予算や実施するための運営力が不足している。このような課題感を感じてる地方自治体のサポートをしていきたいと考えています。 btraxでは3月8日に、Japan Rising City Acceleratorのリリースに際して、日本におけるスタートアップ先進都市である福岡市からゲストをお招きし、イベントを実施します! 詳細は以下をご覧ください。

なぜ「まずは日本でヒットしてから海外へ」がダメなのか

とある起業家は言った。 「成功のスケールが小さすぎるし、どうせアメリカの真似事のようなサービスばっかりなんで」 彼は日本の大学を出た後にサンフランシスコに来て、起業した。世界トップレベルの才能が集まるこの街は、スタートアップの中心地でもある。それゆえにとてつもなく競争は激しく、コストも高い。 だったら、日本で起業して上場を目指す方がより高い確率で成功できるのではないか?それも、比較的コストを下げながら品質の高いチームを構成して。 でもその選択肢を選ばなかった。最初から世界に勝負して、グローバルに通用するサービスを生み出したい。その気持ちが現在の彼を動かしている。 まずは国内で成功してから海外進出はNG その一方で、多くの企業がまずは日本国内でサービスを展開し、その後でグローバル展開を進めようとするケースが多い。これは一見ロジカルで、理に適っているように思われる。 国内でしっかりとした顧客と経営基盤を整え、黒字化し、そこから得られる資金をもとに次のステップとして海外進出を行う。 でも実はこのやり方、変化のスピードが速い現代においては、かなり難しい。これまでにも実際にそうしようとして失敗したり、いつまで経っても国外への進出ができずにいるケースをたくさん見てきた。 では、それが良くないと思われる理由をいくつか説明する。 日本向けのガラパゴスなプロダクトが生まれる まず日本市場向けに展開していくデメリットがこれ。世界的に見ても日本のユーザーはかなりユニークな特性を持っており、そのニーズに対応するプロダクトのその多くが、海外ユーザーには使ってもらいにくい。 例えば、B2C系のサービスであれば、日本だとある程度複雑な利用体験でも教育レベルの高いユーザーがちゃんと理解して使ってくれたり、B2Bであれば、それぞれの企業に対してカスタマイズした機能が求められたりなど。 総じて、日本国内のユーザー向けプロダクトのその多くが海外ユーザーからすると、かなり使いにくいものになりがち。楽天市場やLINEが良い例だろう。 LINEはガラパゴス?世界のSNSデータからみる日本依存のリスク 営業ヘビーな集客方法 日本国内向けの商品やサービスを展開する際には多くの場合、営業手法が重要になってくる。販路開拓やユーザー獲得を営業と広告をメインに行うのがまだまだ一般的だ。 その一方で、海外向けに展開する際には、そのエリアの広さとチャンネルの多さが理由で、地道な営業をするのとマスでの広告を打つのが難しい。そのため、プロダクト自体のクオリティーをあげたり、ブランドをしっかりと構築したり、デジタルマーケティングを上手に活用したり、イベント出店で派手に目立ったりする必要がある。 しかし、一回国内での顧客獲得手法に慣れてしまうと、その武器を使わずに顧客を獲得する手法がわからなくなってしまう。特にプロダクト自体の品質を高めることに意識が行かなくなり、世界的に見ても商品の競争力が低くなりがちになる。 なぜ日本にはデザイナー出身の経営者が少ないのか チームメンバーが日本人だけになる 日本の企業なんだから、スタッフが日本人であることに違和感はないだろう。まずは日本国内市場向けの商品を作るのだから、日本人のニーズをしっかりと把握しているスタッフである必要がある。 そして、同じバックグラウンドを持つスタッフ同士は共通点も多く、意思疎通が取りやすいし、仕事の効率も上げやすい。でもこれが実は海外展開をしようとした際の日本企業にとっては大きなハンデとなる。 現代の世界市場において、異なる地域の異なるユーザーの気持ちを理解し、それに適したプロダクトを作り出すには、チームメンバーも多種多様である方が有利になる。逆に異なる文化や考え方を持たない人たちだけで構成させたチームは、創造力やアイディアの面で限界値が低くなりがち。 カルチャーの違いを考慮したデザインのポイント 日本語のサービスができてしまう これは本当に当たり前すぎる話なのだが、日本国内向けの商品やサービスは自ずとそこに記載される言語は日本語である。でもこれ、日本国外のユーザーにはほぼほぼ理解してもらえない言語。 世界の人口が70-80億人、日本の人口が1.2億人程度と考えれば、単純計算で、世界中で日本語を理解する人たちの数は全体の1.7%ほどだろう。 もしこれを最初から英語にしていたとすれば、おそらく世界の半分以上の人たちが、どうにか利用することが出来る。それを考えてみても、日本国内向けに日本語だけが記載されているプロダクトを一回作っちゃうと、英語化させるのはあまり効率が良くないと感じる。 【対談】孫泰蔵氏 x Brandon Hill -スタートアップがグローバルに展開するための5つの秘訣- いずれは黒船にやられる その昔、Mixiというサービスが存在していた。日本国内でトップのユーザー数を誇るSNSだった。しかし、時間が経つにつれ後発のFacebookにユーザーが移行。最終的に「マイミク登録して良いですか?」と聞く人はほぼほぼいなくなった。 そう。サービスの内容によっては、最初のうちは日本でヒットしていても、しばらくすると海外、特にシリコンバレー系のスタートアップが進出してきて駆逐される可能性もある。 メルカリは創業当初からアメリカ市場も同時に展開をスタートしていたが、その一番の理由が、最初からMixiのように類似の海外サービスと同じタイムラインで、互角に勝負できるようになっているためだった。 日本の企業が海外進出するべき3つの理由 最適なタイミングを逃してしまう 変化のスピードが飛躍的に上がっているここ数年において、プロダクトがヒットするかどうかは、市場への参入タイミングによることが多い。一旦日本マーケットヒットしてから海外に出すのは、既にタイミングがずれている可能性が高い。 また、もし日本国内で大ヒットしている製品があったとする。しかし、後発だったとしても先に世界マーケットをつかんだ方が成功しやすい。 例えば、オロナミンCやリポビタンDはレッドブルよりも、よっぽど前から国内で発売された。しかし、レッドブルは、世界市場向けのブランディングとマーケティングで、後発ながら一気にエナジードリンクの代名詞になった。 日本からユニコーン企業を生み出すために必要な5つのポイント “本場” の下手なこだわりが出てきてしまう 海外でヒットしやすいプロダクトの一つとして「日本っぽさ」を売りにしたものがある。以前からあるのが寿司、マンガ、ゲーム。最近だとラーメンとかだろうか。 その多くが、海外市場に合わせて結構ローカライズされており、生粋の日本人からすると少し「邪道」な感じのものもある。例えばカリフォルニアロールなどが挙げられる。 でも、それは決して邪道ではなく、海外の消費者が求める内容を追求し、臨機応変に対応した結果である。これが日本国内でじっくりと成長させすぎて、オーセンティックすぎる状態だと、海外で融通が効かない商品になってしまうかもしれない。 日本文化から学ぶ海外進出のポイント 〜アメリカで寿司が人気を博し、アイドルが拒絶されるのはなぜか?〜 国内の株主/投資家からのプレッシャーが続く これは日本でスタートアップをやっている友人から聞いた話なのだが、国内の投資家向けに、資金調達の際に海外市場を視野に入れているという説明をすると、投資家から良い顔をされないという。場合によっては、そのスライドを削除するように依頼されたことも。 そう。経営を安定させるためにはなるべくリスク要因を減らしたい。となってくると、ある程度やり方が見えている国内市場でしっかりと売上と利益を上げて欲しいと思うのは当然で、投資家としてもそれを望むだろう。 最初から海外市場を狙うとなれば、そこにそれなりのコストと不確定要素が発生し、リスク要因が高まる。確実にリターンを出したいと思う投資家からすると、夢を語るのは良いが、その前にしっかりと結果を求めるのは理解できる。 でも、ここには落とし穴がある。一回国内向けにビジネス展開すると投資家にコミットしてしまったら、その後は、ほぼ半永久的に海外展開はしにくくなる。彼らが求めるのは着実なリターンであって、世界制覇ではない。 スタートアップが資金調達を行わない方が良い7つの理由 まずは国内上場を目指してしまうことのハンデ もし会社が未上場のベンチャー企業だったとすると、まず直近の目標は国内での上場だろう。そうなってくると多くの場合、なるべくコストを下げて黒字化を目指すことになる。 以前にシリコンバレーに進出し、海外展開をおこなっている数々の日本のベンチャー企業の方々にお会いしたことがあるが、その中で結構な数の人たちが予定より早めに日本に戻っていた。 その理由が、日本国内での業績が高まっていて、上場準備をするため。よりコストを下げ、利益率をアップし、IPOの価格を上げるために海外拠点をクローズするという。 まあ、上場したらまたチャレンジするとは言っていたが、その後も音沙汰がない。おそらく、上場してからはそれ以前よりももっとやりにくくなっているはず。やっぱ株価が重要だし、短期間で利益の出ない活動に株主からのメスが入りがちだから。 そして何より上場したあとは、完全に国内市場にオプティマイズされた経営戦略に集中せざるを得なくなる。 日本でイノベーションが生まれにくいと思った3つのポイント 安易な逃げ場ができてしまう やっぱり海外で勝負するのはかなりしんどい。時間もコストも国内とは比べ物にならないほどかかるし、何より誰も知らない土地で、一からスタートしないければならないことも多い。 そんな時に居心地の良い日本で安定した経営をおこなっているなら、どうしても戻りたくなってしまう。それが人間の本能だと思う。 でももし最初から海外向けに展開していて、戻る場所がなければどうだろうか?おそらく背水の陣で頑張れるはず。 一体何組の大物アーティストが海外展開を試みたものの、うまくいかずにこっそり日本に戻ってきていることだろうか…。 日本からグローバルなプロダクトが生まれにくい5つの理由 まとめ: 君が狙うのは世界の2%以下で良いのか? 国内にそれなりの市場と需要がある日本の場合、無理に海外進出をする必要はないと感じるかもしれない。今のところは。でも今後の変化を考えると、国内にとどまっているのは必ずしも正しい判断とは言えない気もする。 消費が萎み、物価は上がらず、労働力も減る。その上、海外からの類似商品がどんどんやってくる。そんな中で、ユニクロやTreasure Dataのような企業はグローバルで消費者を獲得し、世界のブランドとしての展開を着実に進めている。 これからは最初から世界を目指す企業が増えることを切に願う。 我々も微力ながら少しでも多くの日本企業が世界で活躍できるためのサポートができればと思っている。世界人口の98%を逃さないために。 筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax どんなに頑張ってもお前がカバーできるのは世界の2%

日本で起業家が生まれにくい3つの理由

以前読んだ日経新聞の記事にて、日本では起業家が生まれにくいという統計が発表されていた。それが掲載された記事には下記のように記載されている。 グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)の調査によると、18~64歳で「起業の機会がある」と答えた人は10.6%にとどまった。中国人の74.9%、米国人の67.2%を大きく下回るばかりか、調査対象の50カ国で最下位だった。 日本は世界的に見ても起業家精神が低いらしい 上記の統計からもわかる通り、どうやら世界的にみると日本で起業意識を持つ人の割合は全体の10.6%と、かなり低いらしい。これは結構意外。というのも、日本ではここ数年でスタートアップが盛り上がり、我々が提供している起業家プログラムにもそれなりの人数の方々が参加している。 でもやはり世界全体的には起業家になりたい人たちの割合はかなり低いことが伺われる。これがアメリカだと優秀な人ほど起業する事が多い。 米中では有名大学の最優秀の卒業生は自ら起業するか、スタートアップで働くことを志す。中国では「国も若者の起業を奨励しており、若くして巨万の富を得る起業家は社会から尊敬される。失敗しても大企業に就職してやり直せる」(アジア経済研究所の丁可氏)。 関連: なぜアメリカの優秀な若者は大企業で働かないのか なぜ日本の人たちは起業家になりたがらないのか? 実はこれ「なぜ日本では起業家が少ないんでしょうか?」は btrax がこれまで提供してきた起業家育成プログラム内でも何度か聞かれた質問でもある。 おそらくロジカルな説明としては、南場智子さんが提出された資料にも記載されている下記の状況に起因する部分が大きいと考えられる。 まあ、みんながみんな起業家になるべきとは思わないが、夢を叶えるために起業家になるのも選択肢の一つとして感じられる状態もあっても良いのかなと感じる。 関連: 僕は君が起業家になることをオススメしない 日本で起業家になりたいと思う人が少ない3つの理由 さて、ここからは個人的な見解&本題。日本に行って感じたり、日本の方々とお話して気づいた下記の「3つの事柄」も起業をすることが選択肢になりにくい理由なのかなと思っている。 1. 解決するべき社会課題が少ない これは日本以外に行ったことのない人にはなかなか気づきにくい点なのであるが、日本はかなりさまざまな部分で恵まれていて、日常生活で不便を感じることが少ない。 例えば、日本で「普通」だと思われている、電気・水道が来る、コンビニがある、バス・電車が時間通り、携帯電波が入る、銀行がある、などなどの社会的インフラは他の国に行くと全く状況が異なる。 こちらアメリカでは99%のエリアで公共交通機関がないし、結構停電になるし、都心から1時間もドライブすれば携帯電波が途切れてしまう。これが東南アジアとかになってくると解決するべき社会的課題は山ほど出てくる。 最近では発展途上国を中心に、それらの改題を解決すべく。リープフロッグ型のサービスを作るべく起業する人も増えてきている。 関連: サンフランシスコのUXデザイナーが体験した日本から学ぶべきUXとは これが日本だとどうだろうか?あまりにも全てが整いすぎていて、起業する際のアイディアを考える時も “わざわざ” SDGs をテーマに、半ば無理やり頭を捻らなければならない。それも自分自身が体験したことのないような課題を。 そして、国内にはそんな課題はないもんだから、ポテンシャル顧客も少ない。グローバルに展開しない限りは金銭的に大きな結果は望めない。しかし、スタートアップをする際には投資家への還元としてエクジットを見据える必要が出てくるため、自ずと人材紹介系、デジタルマーケティング系、業務系SaaS系、ゲーム系などの「確実に利益が出せる系」のサービスに絞られてくる。 もちろんグローバル展開はしにくくなるし、まだ存在していないタイプのサービスを作る際の独特の興奮も得られない。だから起業するモチベーションも上がりにくくなる。VCからのプレッシャーもあり、結果的に収益重視のつまらないサービスが増えがちになる。 関連: アジアの中心から見た日本の危うさ 2. 憧れのロールモデルの欠如 先日、グローバル起業家育成プログラムにて、サンフランシスコの日本人起業家の方にゲスト出演をいただいた。そもそも彼がアメリカに来た理由が「憧れの起業家が住んでいる街だから。」だった。 これは一見アホらしいと思われるが、意外と重要なポイント。 そう、サンフランシスコとかシリコンバレーで起業家が多い一番の理由がこれだと思う。それはまるで十代の少年がロックスターに憧れてギターを手に取るように、ここではジョブスに憧れ、ザッカーバーグに憧れ、イーロン・マスクに憧れ、ジャック・ドーシーに憧れて起業家を目指す若者が後を絶たない。 この街には、憧れのかっこ良い存在がいる。それも自分の近くに。同じ街で同じ生活をして、Tシャツ&ジーンズで地元のカフェに行っている彼らが高卒で成り上がり、世界を大きく変えている。そんな思いが少年の心を揺さぶる。 起業家のスタートはそんなシンプルな勘違いから始まることも少なくはない。 そう、起業家にとって「もしかしたら、自分もできるかも?」って思わせてくれる憧れロールモデルの存在はとても重要。 それが日本だとどうなるのか?成功した起業家は雲の上の人となり、ビジネス系のメディアやイベントの高い壇上を下から「俺には無理だなー」って思いながら眺めるしかない。 成功した起業家も、一時的にメディアにてはやされるが、妬まれることも多い。それゆえ、少しでも綻びが見えると、失敗者として徹底的に叩かれたり、偉いおじさまたちに目をつけられる。最悪の場合、イチャモンを付けられ、懲役を食らったりする。そんな報道がされると、親からも「起業家?あんたもあんなんになっちゃうよ」と言われて、やっぱやめとこ、ってなってしまう。 関連: 日本でイノベーションが生まれにくいと思った3つのポイント 3. 学校教育の問題 最後は最も真面目かつ、根深い教育の問題。一般的に日本の学校教育では、模範解答があることしか教えない。発言するのは答えに自信がある時のみ。テストの多くは選択式。そして成績の良し悪しは周りとの相対的な偏差値で決められる。少なくとも自分の場合はそうだった。 この教え方が起業家マインドとは真逆なのである。 特にスタートアップは、まだ誰もやったことのない内容を通じて世の中の社会課題に取り組むことが多い。それも結構な未来軸で。そうなってくると誰も答えを知らないし、模範解答なんて存在するわけない。もはやマークシートで回答できる内容なんて一つもない。お利口さんでは全く歯が立たない世界である。 一方、日本教育における減点方式、副教科軽視、偏差値、エリート大学至上主義は、オペレーション業務を主軸とした、これまでの大企業にはかなり最適化された人材を生み出す。でも、起業家には最も適していない価値観を植え付けている。 起業家に求められるのは、人と違う視点で、間違いを恐れずに、今までに存在していないようなサービスを作り出し、かなりしょぼい状態でも人々の前に立ちプレゼンする。そして、失敗しても何度もチャレンジするマインドセットだ。これは日本の学校教育で評価される真逆の価値観。 何も、人類を火星に移住させるような壮大な野望を持たせる必要はないが、現在の日本式学校教育が誰も答えを知らない未知の課題に対して、クリエイティブな視点から何かを生み出す起業家を育ててあげることはかなり難しいんじゃないかな、と感じている。 関連: 文系, 理系, オレ何系? – 日本教育の限界とそのリスク 人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える。- 大前研一 ps. 僕も日本にもっと起業家が増えれば良いと思っているので、反論、解決案はWelcomeです。@BrandonKHill

2021~2022年スタートアップトレンド徹底解剖!【対談】Skylight America 大山哲生氏×btrax Brandon K. Hill

世界的パンデミックの影響で、社会、政治、経済に急激な変化があったことは言うまでもない。そんな時代の動きをいち早く反映するのがスタートアップトレンドだろう。変化は世界有数のスタートアップの祭典、TC DISRUPTのピッチでも顕著に見られた。
【スタートアップイベント】TC DISRUPT 2021 – 10の感想

TC DISRUPTは、これまでにも数多くの著名人や起業家が出演している世界最大規模のスタートアップイベントだ。今年は新型コロナウイルスの影響で完全オンラインで開催された。

ディープイシューに出会う5つの方法

近年「ディープテック」という言葉を目にすることが多くなってきた。「ディープテック」は、「科学的な発見や革新的あるいは既存しているが眠っている技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み」である。その領域は、人工知能、宇宙工学、クリーンエネルギー、ニューラルネットワーク、量子コンピューティング、合成生物学など、すべてを書ききれないほど多岐にわたる。ちなみに、FinTechやMedTech、BioTechなど、「分野x技術」を意味するX-Techとされ、厳密にはディープテックとは異なる。 もう一つのディープである「ディープイシュー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。ディープイシューとは「地球環境を守りつつ、命の危険を避け、水や栄養を確保し、病気にならず、快適に生活し子孫を残す。これらを満たす上での人類の重大課題」と定義されている内容。 SDGsとディープイシュー 似た概念として、「SDGs」という言葉を耳にすることが多いかと思う。「SDGs」は「誰ひとり取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべき17の目標」と定義されている。朝日新聞社が2020年12月に実施した調査では、東京都と神奈川県では52.7%が「聞いたことがある」という結果になった。 SDGsは、2020年2月の調査結果の32.9%から大幅に認知度がアップした。世界中の人が苦しんでいるコロナ禍によって、SDGsの大きな目標である「誰ひとり取り残さない」というコンセプトが、より他人事ではないと感じさせている。 ニューノーマルが生み出す4つの意外な社会課題 この「ディープシュー」と「SDGs」の課題解決は、今後の地球と地球上に住む我々にとって重要な言葉であり、世界中の人々が協力して解決していかなければならない課題という意味で、非常に似通っている。 これからの地球のため人類のために、どんなサービスや商品が必要になるかを考えたとき、この2つの言葉がキーポイントになる。実際に、ここ数年でシリコンバレーを中心としたテクノロジー企業や、スタートアップのその多くも、ディープイシューに正面から取り組み、社会課題の解決につながるサービスを提供している会社が増えてきている。 【スタートアップイベント】TC DISRUPT 2021 – 10の感想 でもどのようにしたらそのような地球全体の社会課題に出会うことができるのだろうか? 今回はそのポイントを探っていくきっかけ紹介してみようと思う。 ディープシューってどこにあるの? ディープイシューは目の前に転がっているわけではない。普段から、「どのような人々がどのようなことに困っているのか」や「世界中の人々が快適に生活するために必要なものは何だろう」、「こんなサービスを作ればこんな人々が幸せになるんじゃないか」といった考え方を常に持つことが必要だ。 まずは「ディープイシュー」の定義に戻ってみよう。解決するべき社会課題を踏まえると、おのずと以下のようなサービスに分解される。 「地球環境を守るためのサービス」 「命の危険を避けるためのサービス」 「不足して困っている人々に水や栄養を与えるサービス」 「病気にならないためのサービス 「人々が快適に生活できるサービス」 こういったフレーズを頭の片隅に置いておくだけで、それぞれに関連した新しいサービスやビジネスのアイデアが生まれてくるのではないだろうか。 上述した5つのサービスは、簡単に誕生するものではない。実現するための計画も作成しなければならないし、実現するためのテクノロジーも必要だ。そして何より、ビジネスは決して一人で実現できるものではない。目標に賛同してくれる仲間を作ることや、目標実現のためのテクノロジーの専門家も必要だ。要は「このビジネスやサービスを必ず実現してやる!」というパッションが必要だ。 ここで、皆さんもよくご存知であろう、テスラの創業者/CEOのイーロン・マスク氏の例を挙げておく。彼はテスラを創業する以前から、このままガソリンで排気ガスを垂れ流している自動車が増えていったら、地球は大丈夫なのだろうかと課題感を抱いていた。これこそが「ディープイシュー」だ。 おそらく彼は、世界中の自動車を電気駆動にすれば、少しは地球を守れるかもしれないと思ったのだろう。 また、人類全体の問題である人口増加も「ディープイシュー」と言ってもよい。マスク氏が宇宙へ人間を運ぶロケット技術開発に注力しているのも、地球外天体に人が住めるようになれば、人口問題が解決するかもしれないというパッションがあるから。 マスク氏の例はやや極端かも知れないが、「ディープイシュー」は常に、何か世界に貢献できる問題解決はないだろうか、あるいは社会に貢献できる問題解決はないだろうかと自問自答することが大切だ。 イーロンマスクから若者に捧げる成功への5つの秘訣 ディープイシューに出会う5つの方法 筆者は、2021年7月21日に、リバネス株式会社のCEOである丸幸弘氏とディープイシューについて対談させていただく機会を得た。リバネスは、日本の代表的なディープイシューの解決に取り組まれている企業だ。また、丸幸弘氏は、ミドリムシが59種類の栄養素を持つことを生かした食品を世の中に出し、最近ではミドリムシ由来のバイオ燃料の開発も進めている株式会社ユーグレナの創業者でもある。 対談では、「ディープシューに出会うための5つの方法」についても語られた。これらは、ディープイシューを解決に向けて世界中の人々に貢献できるサービスやビジネスを始めてみたいと思っている皆さんにはとても参考になる5つの方法だと思う。 自分たちの持っている常識を捨てる 企業や組織で新規事業に関わる人や起業したいと思う人は、「この技術をどうにか使いたい」という概念からスタートしてしまいがちで、結果的に非常に狭い範囲しか見えなくなることが多い。技術はあくまでも手段であることを忘れてはならない。そして、自分たちの持っている「常識」を一旦捨てることからスタートしていくのだ。 “固定概念をぶっ壊す” グローバルなサービスを考案する際に必要なこと 目の前の売上や利益の概念を捨てる 目先の利益を追いかける人には「ディープイシュー」はマネタイズが難しく、なおかつビジネスの実現に時間がかかるものと考えてしまう。しかし、その時点でその人は「ディープイシュー」から目を背けていることなのだ。世界中の人々のためになるという純粋な気持ちを持って、利益のことはとりあえず後回しにして課題は何かに注力する。 ユニコーンの次はゼブラ – シマウマ系スタートアップとは? – 長期的な視点と短期 (1年先) の具体的なイメージを持つ 定義からも察せるように、ディープイシューは、非常にスケールの大きな課題感から始まっていることも多い。したがって、ディープイシューの解決には時間がかかるため、長期的な視点が必要だ。しかし、長期的な視点は1年1年のコツコツとした積み上げがあってこその達成だ。長期的に考えつつ、3か月後のことを決めるなどして、まずは行動することが大切だ。 デザインの力で、新しい生活様式に安心と喜びを作るコツ:3事例 「初めて」を連続してやる 実は、ディープイシューは一般的に「初めて」であることが、ビジネスとして価値を持つために重要な要素の一つになると言われている。例えば、リバネス株式会社は創業以来約20年間、「初めて」をやり続けてきた。 例えば、タイの新しい技術に投資したり、東南アジアのベンチャーを大田区の町工場へ連れていき実際にプロダクトを創るなど、「初めて」を続けている。この「初めて」を繋げていくと、「初めて」の人が集まってきて、「これ誰も解決していないんです」と「初めて」の課題を提示してくれる連鎖が起こる。 プロダクトの未来対応を実現するフューチャー・プルーフという概念 現場の若いベンチャーやスタートアップと話す 常識を捨て、目先の利益を考えず、長期的視点と短期的視点を同時に持ち、「初めて」を連続してやってみた上で、現場の人たちと話す。そうすると、「このディープイシューは、あの技術とこの技術が結びつくことで解決できる」という確信が出てくる。有用な技術を学ぶことはもちろんのこと、ビジョンを現場と共有することもまた重要なことである。 企業の中で新しいビジネスやサービスの創出に携わっている方々や世界を変えようと起業を考えている方々にはとても参考になるだろう。 初心者でもわかるスタートアップの基本 進むESG投資 冒頭で「ディープイシューは目の前に転がっているわけではない」と述べたが、世の中にディープイシューのリストが存在するわけではない。自身で気がついて考えて、そして探しにいく課題である。コロナ禍で世界中の人々が依然として苦しんでいる中、自身の考えているビジネスやサービスは果たしてディープイシューを解決できるものかを一度見つめ直すチャンスかも知れない。 ここ数年、ESG投資 (環境 – Environment、社会 – Social、ガバナンス – Governance関連企業への投資) も増加しており、機関投資家やベンチャーキャピタルも、ディープシューを解決するビジネスに注目している。これらの動きは、ディープイシューがビジネスとして成立するための基盤がより整い始めている兆しと考えて良い。 VCに関してもっと早く知っておきたかったリアルな実態 おわりに 弊社btraxでは、本年11月から石川県加賀市で開始される「STARTUP 加賀〜加賀発、世界行き〜」、また12月から福岡市で開始される「GLOBAL CHALLENGE! STARTUP TEAM FUKUOKA 2021」の2つの地方自治体主催のスタートアップ支援事業の企画・運営をさせていただいている。地元のスタートアップ起業ムーブメントに興味を持つ方々うや新しいビジネスやサービスの創出の助けになると運営者としてとても楽しみにしている。 昨年からのコロナ禍による様々なオンライン化で、日本中、世界中が簡単に繋がるというポジティブな影響も多くあったのではないだろうか。実際、多くの技術分野や学術分野の世界会議がほとんどオンラインになったことで、開発途上国を含めた世界中の新しい技術や学術がこれまでより知られることになったと聞いている。 起業を考える方々には、コロナ禍が我々にもたらしてくれた「世界と繋がる」ことを有効に続けていくということが大切だろう。この記事が、起業を考えている方々に「ディープシューの解決」を頭の片隅にでも思い浮かべていただく一助になったとしたら、これほど嬉しいことはない。 日本を代表するエンジェル投資家、孫泰蔵氏が投資したくなるスタートアップとは? <参考> 書籍:丸幸弘氏・尾原和敬氏共著 ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」 【SDGs認知土調査 第7回報告】SDGs「聞いたことがある」約5割 https://miraimedia.asahi.com/sdgs_survey07/ いま、ディープテックが注目される理由は?社会問題の解決に役立ちうるか? https://frontier-eyes.online/deep-tech/

君のプロダクトはビタミン剤か?鎮痛剤か?それとも治療薬か?

プロダクトやサービスのアイディアを考える際に最も重要とされているのが「ユーザーの課題解決に繋がるか」という点。これは、どう考えても正しい考え方な気がする。だって、そもそも課題を解決してくれないサービスなんていらないし、お金も払う気にもならない。 と、思いがち。でも現実は大きく異なる。 意外と課題を解決していないヒットサービスが多い 現在大ヒットしているプロダクトのその多くが、実は元々あった課題の解決をしていないのだ。まさかと思うが、下記のようなサービスは、ユーザーのどんな課題を解決したのだろうか? Facebook YouTube TikTok そう。どうしても解決してほしい課題があったわけではない。でも、使い始めたらなぜか使い続けてしまう。これらのサービスは、課題を解決していないのに、新たな習慣を通じ、ユーザーに大きな価値を生み出した。 これこそがプロダクトやサービスを考える際の大きな盲点。 特にデザイン思考のプロセスでは「まずはユーザーのペイン (課題) を見つけよ」とされるので、ついつい課題解決型一択でサービスを考えようとしてしまう。でもそうじゃ無くて良いことも多々ある。 誰にでもわかるデザイン思考の基本 スタートアップ界隈ではビタミン剤、鎮痛剤、治療薬と呼ばれることも この、具体的な課題を解決しないタイプのプロダクトの種類を「ビタミン剤」と呼ぶことがある。特にスタートアップ系の人たちには馴染みのある表現。 それに対してユーザーの具体的な課題解決に繋がるサービスを「鎮痛剤」。問題自体を無くしてしまうようなプロダクトの種類を「治療薬」と表現されたりする。 では、それぞれの特徴を見ていこう。 Vitamin – ビタミン剤 これといった課題は解決してくれないけど、あれば嬉しい。でも無くても困らない (はず) のサービスの種類。 スマホに代表されるように、電話さえできれば事足りたと思われていた携帯に対して、今までに無かった習慣を生み出すことで大きな価値が生まれる。 その特性上、利用初期にはあまり大きな対価は払いたくはないと思うが、長期で使っていると手放せなくなることもある。 ビタミン剤型プロダクト例: YouTube Facebook Instagram TikTok Netflix Painkiller – 鎮痛剤 ユーザーが感じている具体的な課題 (ペイン) を解決してくれるプロダクト。多くの場合、提供側が普段から感じている不都合や不便を解決するために始めることも多い。 以前より感じていた課題が比較的短期間で解決されやすいので、プロダクトスの具体的な価値が伝わりやすく、ユーザーの獲得もしやすい。そして、解決する課題の大きさに比例した対価が見込める。 その一方で、同じ課題を解決しようとするサービスが乱立しやすく、競争が激化したり、すでに類似サービスが存在してたりしがち。 鎮痛剤型プロダクト例: Slack Uber Eats Zoom Salesforce Cure – 治療薬 問題の存在自体を無くすようなプロダクトは治療薬型と呼ばれる。痛みを和らげたり、感じなくさせるわけではなく、痛みの原因を消し去ってくれる素晴らしいタイプ。 根本的な解決になるので、かなり説得力が高いプロダクト。その一方で、そんなに凄いことはなかなか作れない。また、特殊なニーズを解決することも多く、ニッチになりがちでもある。 そして、一回解決してしまうと必要がなくなるので、継続的なビジネスモデルとしてスケールしづらい事もある。 治療薬型プロダクト例: レーシック手術 結婚相談所 どこでもドア 「鎮痛剤はビタミン剤よりもヒットしやすい」は大きな間違い 冒頭でも触れたが、感覚的にどう考えても鎮痛剤型の方がビタミン剤型よりもわかりやすく、ヒットしやすいと感じる。 健康状態を少し改善してくれそうなビタミン剤やサプリよりも、現在感じている大きな痛みを消し去ってくれる鎮痛剤の方がニーズが大きい、という理論だ。 実際に、“Sell painkillers, not vitamins” (ビタミン剤ではなく鎮痛剤を売れ) という表現があるぐらい、ビジネスにおいては、顧客の課題解決を行うのがセオリー。 しかし、実はこの理論と現実には、大きなギャップがある。 ヒットサービスに重要なのは “革新的アイディア” ではない!? 鎮痛剤からビタミン剤に移行したNetflixの事例 むしろ、鎮痛剤から始まって現在はビタミン剤的な存在になり、ユーザーを夢中にしているようなサービスすら存在する。例えばNetflix. 創業当初は郵送によるDVDレンタルを提供するサービスだった Netflix. 既存のレンタル店によるレンタル期間と延滞料に不満 (ペイン) を持つユーザーのために、レンタル期間と延滞料なしのサービスを提供。一回に借りられるDVDの枚数を制限することで実現したモデル。 まさにユーザーの課題を和らげるペインキラーだった。 その後ストリーミング型のサービスを追加し、少しずつオリジナルコンテンツを増やし、現在のモデルに進化した。そして、元々あったビデオレンタル店のほとんどが倒産してしまったため、当初のユーザーの課題自体が消滅。 現在のNetflix は完全にビタミン剤的存在になっている。 人々の心を掴むブランドストーリー 5つのポイント ちなみにゲーム系は? では、ヒット作品が多く存在しているゲーム系のサービスはどのタイプなのだろうか?実は、上記のどれでもなく「キャンディー」と呼ばれたりする。 そう、体に良い効果はないが、甘くて美味しい。ついつい食べちゃう感じ。 意外と多いアイディア出しの落とし穴 このように、一見ロジカルだと思われる「課題解決型」サービスであるが、必ずしもそれだけに固執する必要はない。たとえそれが既存の課題を解決していなかったとしても、ユーザーに新しい習慣を提案し、夢中になる内容であれば、大ヒットも十分に見込むことが可能である。 また、似たようなサービスであっても、後発で成功している例もあることからもわかる通り、サービス作りにおけるアイディア出しは実に奥が深い。 後発サービスが勝つための5つのポイント 無料起業家育成プログラムを提供中! btraxでは、今回紹介したスタートアップ型のプロダクト作りを含む起業家育成プログラムを福岡市と共に提供しています。 参加は完全無料。参加資格は、福岡市に住んでる、働いている、もしくは今後福岡市に移住する可能性のある人たち。プログラム自体はオンラインで行うので、どこからでも参加可能です。 こんな素敵なプログラム – Global Challenge Startup Team Fukuoka – の詳細はこちらから。

ブランドストーリーが日本企業にとって重要な理由

先日、総務省のキャリア官僚を辞してAmazonのシアトル本社で働いている竹崎孝二さんのインタビュー記事「日本は技術があっても、ビジネスで負けてしまう」元官僚が米Amazon社員になった理由 を読んだ。 そこで最も印象的だったのが下記の内容: “日本の大企業の大量生産技術などはすごく良いという評価を得ていても、意思決定のスピードが遅いことや「何を考えているのか分からない」ところ、言葉の問題など、技術の価値とは違うところで負けてしまうんです。” 引用元:「日本は技術があっても、ビジネスで負けてしまう」元官僚が米Amazon社員になった理由 – ITmediaビジネスOnline 日本企業は意思決定スピードが恐ろしく遅い そう。これまで何度も指摘されているが、日本の大企業は意思決定のスピードの遅さが現代においてはかなり致命的になっている。 一説には、実にそのスピードはシリコンバレーの企業の1/100. 日本がシリコンバレーに100倍の差を付けられている1つの事 もう一つとても重要な指摘 そしてもう一つの大きな弱点が「何を考えているのか分からない」という部分。 これはコミュニケーションが苦手という部分と、恐らく「良い物さえ作っていれば売れる」という20世紀な考えで、ブランドやプロダクトの後ろにあるビジョンやストーリーを伝えるのが苦手であるということだろうと思う。 ストーリーが無いと誰も興味を持たない これだけネットやソーシャルメディアが普及した現代においては、企業が圧倒的な存在になるためには、プロダクトの魅力だけでは限界がある。 というか、むしろプロダクトの品質はビジネスを成功させるために最低限の要因でしかなく、ブランドの存在意義や、なぜそのプロダクトを作り出したかなどのビジョンをユーザーに理解しやすいストーリーで伝えていく必要がある。 さもなければ、他の企業が作っているプロダクトとの差別化は難しく、一気に価格競争に巻き込まれてしまう。 【日本からグローバルブランドを Part 2.】ストーリーこそがブランド価値の源泉である 正確さよりもわかりやすさを重視する時代 現代の戦略に求められるのは、正確さよりも、わかりやすさとスピード。スタッフや関係者がちゃんと理解し、速いスピードで実戦に対応しなければならないためである。 そのためには、複雑なエクセルや、コンテンツ満載のパワポよりも、ストーリーを重視した動画やピッチの方が伝わりやすい。スタートアップでデモ動画が重宝されているのもこれが理由。 シリコンバレーのテクノロジー企業では、プレゼンの際にスライドを禁止しているところも増えてきている。(もちろんエクセルは厳禁!) AppleやGoogleなどのカンファレンスでは物語を重視したプレゼンが主軸になってきている。 今さら聞けないスタートアップピッチの基本 「カタログスペック」の終焉 これがひと昔前であれば、カタログスペックの魅力である程度の人気を担保できたかもしれない。 カタログスペックとは、主に数字で表現できる商品の性能のこと。例えば、車であれば馬力とか燃費。スマホならCPUのスピードやHDのサイズ。カメラなら画素数など。 商品やサービスの魅力を語るときに、そのスペックを誇っていた時代があった。 しかし、多くのプロダクトが必要十分なスペックを実装した現代では、それらの数字の重要性が下がり、それよりも「で、結局ユーザーに何を提供してくれるの?」という部分の方が購入する際の重要なファクターになっている。 でも、日本企業が販売しているプロダクト、特にハードウェア系になってくるとスペック、ソフトウェアだと機能の多さを全面に打ち出しているケースが少なくない。 コンコルドの失敗から学ぶスペック至上主義の危険性 むしろ機能は少ない方が良い場合も 少し余談になるが、そもそも機能が多いことやスペックが高いことイコール、良いプロダクトなのだろうか? 利用するユーザーが使いこなせないレベルのスペックや、利用できる機能が多くなってくると、脳が処理しなければならない情報が増えてしまう。そうなるとハイスペックなのに使いにくいプロダクトが生まれてしまう危険性がある。 実際、ここ数年でヒットしているプロダクトやサービスのその多くが機能を “削る” 事を大きな魅力の一つとしている。 これからのプロダクトは足すことよりも削ることが価値になる ブランドにとってブランドストーリーが重要な理由 企業にとってこれまでに無いほどにブランドストーリーが重要になってきている主な理由は 広告の衰退 SNSの発展 オンライン動画の普及 スペックのピークアウト などが挙げられる。プロダクトの性能で差別化が難しくなった時代に、ブランドに残された数少ない武器の一つがストーリーだろう。 その状態を逆手にとり、優れたストーリーを通じてブランドの本質を世界に発信することができれば、後発であってもユーザーの心を掴むことが可能になる。 ストーリーの重要さが理解できる統計 Origin and Hill Holidayによる研究 によると、商品や宣伝がストーリーとセットになっている場合、消費者ははホテルの部屋から絵画まで、あらゆるタイプの商品にに多くのお金を費やすことがわかった。 同様に、ニューロエコノミストのPaul Zak氏による2014年の研究では、キャラクターを中心としたストーリーがあると、消費者は56%も多くのお金をチャリティに寄付するというデータがある。 ストーリーはブランドと消費者をつなげる架け橋 人々の “つながり” がどんどん曖昧に広がっていく現代において、ブランド消費者の関係性もどんどん変化している。 そんな時代に企業が消費者と真に繋がるためには、ブランドストーリーを語るのが効果的。 ストーリーを通じて、ブランドを効果的に人間味溢れるものとし、どんな目的で世の中に貢献するのか、どのような方法でユーザーを助けるのかを伝えることができる。 ブランドストーリーを上手に伝えることができれば、市場での優位な地位を確立することができる。 ストーリーを最重要視するApple ストーリーテリング力で世界を制したのが、Apple。時価総額2兆ドルを超えて、世界トップ企業になったAppleは、そのブランド作りにおいてストーリーテリングを最大の武器としている。 生前スティーブ・ジョブスは下記のように語っている: “世界で最も偉大な存在はストーリーテラーだろう。 ストーリーテラーはこれからの世代の人たち全体のビジョン、価値観、そして進むべき方向を示す存在である。” 確かに、ジョブスのプレゼンを前にすると10万円以上するiPhoneもなぜか安いな、と感じるし、Appleというブランド、ひいては企業の価値を何十倍にも魅力的に伝える威力があった。 一方、現在の日本企業でストーリーを世界に発することができるトップ経営者はかなり限られている気がする。 Appleを2兆ドル企業に成長させた6つのデザイン哲学 ストーリーだけで魅力を伝えるアップルウォッチのPV このストーリーを重視するジョブスのスタイルはその後のAppleにも踏襲され、先日のイベントで公開された新型アップルウォッチの動画にも体現されている。 この動画では、アップルウォッチがさまざまなライフスタイルに寄り添い、ユーザーをサポートする役割を、シーンごとにストーリーで表現。 宇宙のモチーフから始まり、心の中の小宇宙で完結する。最後のAppleのロゴとWATCHを表示することで、プロダクトとユーザーを繋げている。そこにはスペックの話は一切出てきていない。 でも、観終わる頃には防水であること、音声認識ができること、衝撃に強いことなどの機能的な魅力も自然と理解されている。 グローバル市場ではブランドストーリーが必須 我々はこれまで15年以上、数百社にグローバル市場向けのブランディングサービスを提供してきた。 その経験からすると、日本市場はもとより、海外市場においては、製品や業界にかかわらず、優れたブランドストーリーを伝えることが成功の重要な鍵であると自信を持って言える。 もし、コンテンツがうまくいっていない、あるいは、もっとうまくいくはずだと思っているなら、ストーリーを面白くするものは何か、そしてなぜそれが効果的なのかを考えてみる。 日本からグローバルなプロダクトが生まれにくい5つの理由 何故ストーリーは理解しやすいのか? そもそも、なぜストーリーにすると伝わりやすいのか? その秘密を探っていこう。 我々は小さい頃から、昔話や童話など、何かしらの物語を聞いて育ってきた。大人になっても映画やドラマ、アニメなどを通じて情報を獲得し続けている。 それにより人間の脳は無味簡素な数字やデータよりも、物語の方が理解しやすいし、記憶に残りやすい。 人間の脳は良いストーリーに物理的に反応するという研究結果もある。 優れた物語は、脳を刺激してコルチゾール(ストレス化学物質)やオキシトシン(快感化学物質)を放出させる。ホラー映画を見ているときに不安になったり、本の最後に恋人たちがやっと結ばれたときに嬉しくなったりするのはこのため。 脳にとってストーリーは大好物なのだ。 SNS系のサービスがここまで大ヒットした理由もそこにあるだろう。文章でも、画像でも、動画でも、世界中の人たちが自分たちのストーリーをアップし、閲覧している。実際、インスタの人気機能は”ストーリー”と名付けられている。 みんな大好きディズニーにも「アイディアをストーリーにせよ」という社内戒律があるらしい。 ディズニーランドから学ぶ究極のUXデザインとは 大切なのはブランドのコアストーリー まず重要になってくるのは、動画や画像といったコンテンツを作る前に、一度ブランドのコアストーリーをしっかりと押さえておくこと。 自分たちがなぜ存在しているのか?その役割は?どんな存在でいたいのか?どんなキャラなのか?などなど、ブランドコアを作り出すために、さまざまな角度からコアストーリーを紡ぎ出していく。 優れたブランドストーリー事例 それでは具体的にストーリーを上手に活用し、ブランド構築を行った事例をいくつかみてみよう。 The Northface: 過酷なチャレンジへのサポート ノースフェイスは、カリフォルニア州サンフランシスコ発のアウトドアブランドである。日本でも人気の高いこのブランドの名前は、ヨセミテ国立公園にあるハーフドームの “北側” を意味し、ロゴもその形をモチーフにしている。 ブランドコンセプトの裏には、ハーフドームを登る際に最も過酷とされる北側ルートにちなみ、どんな過酷な状況でも果敢にチャレンジする人たちをサポートする存在である。というストーリーが存在する。 そしてブランドコピーは “Never Stop Exploring (冒険をやめるな)” […]

初心者でもわかるスタートアップの基本

「スタートアップ」という言葉が日本でも随分と浸透してきた。スタートアップ企業のテレビCMや起業家のメディア露出も広がったことで、一般的な認知度も高まっているだろう。ただ、そこが問題だ。よくわからないのに知ったかで語る人が増えてるから。 意外と知られていないスタートアップの現状 特に日本では、“ベンチャー企業”と混合されたり、その成長モデルに関しての誤解、投資と融資の違い、起業家に対しての誤ったイメージなど、基本的な内容が理解されていないことも多い。 今回は、スタートアップに関する基本的な内容を一気にまとめてみた。これを読めば今日からスタートアップに関しての話にドヤ顔で参加することができるだろう。 スタートアップとは? そもそもスタートアップってどんな企業?という基本中の基本のような問いから始めてみよう。何かカッコ良い響きがあって、テクノロジーっぽい雰囲気もあるが、実際の定義は? スタートアップを一言で表現すると、 新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを狙う事で一獲千金を狙う人々の一時的な集合体 である。 参考: ベンチャー企業とスタートアップの違い スタートアップとベンチャーは同じ? そもそも、日本で長らく利用されてきた “ベンチャー企業” の定義と、上記のスタートアップの定義を照らし合わせてみると、スタートアップ型のベンチャー企業もあれば、そうでないタイプのベンチャー企業があることがわかる。 無理に急成長を目指さずに、しっかりと利益を出しながら成長する企業はベンチャー企業の中でもスタートアップの定義には該当しない。 参考: スタートアップと中小企業 (スモールビジネス) との違い スタートアップ 成功への主なプロセス スタートアップの定義がはっきりしたところで、どのようにスタートアップが始まり、最終的な成功 = エクジットに辿り着くのかのプロセスをみてみよう。 1. 現在の状況への課題感と未来への構想を立てる 現状の課題を解決し、より良い未来を生み出すサービスを思いつくためには、まずは課題の発見と、未来への構想をすることから始める。 参考: 未来のビジネスを創出するための「未来予測」のすすめ 2. 現状と未来へのギャップが何かを明確にする 次にするべきは、構想したより良い未来と現在の状況にどのようなギャップがあるかを明確にすること。言い換えると、未来予想と現状課題の明確化。 参考: なぜアメリカの優秀な若者は大企業で働かないのか 3. ギャップを埋める商品・サービスを言語化する そのギャップを埋めるために必要とされる商品やサービスを構想し始める。大切なのは、その商品やサービスが課題解決と未来実現にしっかりと繋がっていること。 参考: プロダクトのサービス化を実現するための3つの方法 4. プロトタイプを作成する 机上の空論で終わらないように、できるだけ早い段階でプロトタイプを作り始める。ビジネスプランはいらないから、とりあえずユーザー向けに利用感がわかるプロトタイプを作成する。 参考: デザイン思考を学ぶ Part 5 – Prototype 今さら人に聞けないプロトタイプの作り方 5. プロトタイプを合計100人にプレゼンする どんな商品・サービスかが伝わるプロトタイプができたら、可能な限り多くの人たちに見せ、フィードバックをもらう。具体的な目標値としては100人ぐらいが妥当だろう。 参考: 今さら聞けないスタートアップピッチの基本 6. フィードバックを元に納得するまで改善する 最も重要なステップの一つがこれ。自分が愛情を込めまくったプロダクトであっても、ユーザーが愛してくれるかどうかは別問題。プレゼンやテストユーザーからのフィードバックを素直に受け止め、改善を繰り返すことでプロダクトの質が上がっていく。 参考: デザイン思考を学ぶ Part 6 – Test 効果的なフィードバックを出す秘訣 7. 共同創業者を探す ここまで来たらそろそろ一緒に夢を追いかけてくれるパートナーを探し始めよう。その際に大切なのは、同じビジョンを持っていながらも、自分には無い強みを持っているということ。Airbnbの創業者3人も、それぞれ全く異なる性格だったそう。 参考: シリコンバレーのキーパーソン3人が語る、次世代イノベーションとは 8. 法人登記を行う 実はスタートアップのプロセスにおいては、最初から法人登記をする必要はない。まずはプロダクトを作り、ユーザーからの反応を見て、ビジネスになりそうだと実感を得てから初めて行うことが多い。Appleも法人登記を行ったのは最初のプロダクトを作ってから一年以上も先のことである。 参考: Apple, Google, ディズニーも最初はこんな小さなガレージからスタートした 9. エンジェル投資家から資金調達を試みる 法人登録を行う理由の一つが外部からの投資を受けるため。しかし、通常はユーザーや顧客がいない状態では投資・融資を実現するのはかなり難易度が高い。そんな時は、ビジョンとアイディア、情熱に対して個人投資をしてくれるエンジェル投資家を狙うのが良いとされる。 参考: エンジェル投資家の裏側教えます【インタビュー】シリコンバレーのスーパーエンジェル投資家: ロン・コンウェイ 10. サービスを一般公開する ユーザーフィードバック→改善を繰り返し、プロダクトの品質がある程度高まった時点で世の中へのリリースを行う。その際には、フィードバックをくれたユーザーに対してお礼のメッセージを添えた告知を行う。 参考: 後発サービスが勝つための5つのポイント 11. 初期ユーザーに感想を聞きまくる リリースしたら、やはりユーザーからの感想を集め、プロダクトの改善につなげる。ただし、その全てを実現するのは不可能なので、自分たちのビジョンにより貢献する内容を精査しながら改善を進める。 参考: お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い <継続して使ってくれない場合> 12a. ユーザーに納得してもらえるまで改善を繰り返す 多くの場合、初期リリース直後は少し注目されたとしても、しばらくするとユーザーの伸びが鈍化する。でも焦ってはいけない。少なくても使ってくれるユーザーに連絡して、どうしたらより良いプロダクトになるかを聞きまくる。 参考: ヒットサービスに重要なのは “革新的アイディア” ではない!? <継続して使ってくれる場合> 12b. 初期ユーザーを1,000人集める プロダクトを継続的に使ってくれるユーザーが増えてきたなら、その人数が1,000になるまで頑張って増やす。1,000までユーザーが増えればネットワーク効果やクチコミを通じてよりユーザーが増えるフェーズに入ることができる。 参考: 〜企業の成長を最大化させる〜 最近話題のグロースハッカー(Growth Hacker)とは 13. […]

世界で活躍する女性起業家たちと、取り巻く環境への課題

さまざまな業界における男女格差が叫ばれる中で、スタートアップ起業家における女性の比率と、彼女たちを取り巻く環境にも。いまだに大きなギャップが存在する。 完全に男性社会のスタートアップ界隈 例えば、2020年におけるアメリカのスタートアップ投資の実に96%が男性CEOの会社に対して行われている*。 スタートアップ投資は圧倒的な男性優位の業界 この男女不均等は投資する側にも見られ、VCの中で決定権のある女性の割合はわずか12%*。投資会社の65%が女性パートナー (責任者) 数がゼロ* であり、また、創業パートナーが女性のVCはわずか2.4%* だ。 関連: VCに関してもっと早く知っておきたかったリアルな実態 女性も利用するサービスをおじさんだけで作る気持ち悪さ 最も重要なポイントとして、世の中の商品やサービスのその多くが男性にも、女性にも利用されるということ。もちろん女性用下着やコスメ製品のメインターゲットは女性であるが…。 なのに、デジタルサービスを中心に、多くの企業の経営陣やスタッフの大部分が男性で構成される。女性にも利用されるサービスを、男の人たちだけで考えて作り出そうとしているのは、単純に考えて非効率である。そして、多少の気持ち悪さも感じる。 ビジネスにおける女性のパフォーマンスの高さ その一方で、実はあまり知られていない事実として、経営陣に女性が30%以上いる企業は、そうではない企業よりも業績が良い*。 また、創業チームに女性がいるスタートアップはエクジットが平均1年早い。女性創業者の会社は業績が倍になる* というデータもある。 関連: シリコンバレーが注力する女性活用施策の中身とは ー時代は徹底的能力主義へ 世界的に大活躍する女性起業家を紹介 このように、シリコンバレーを中心に、起業家も投資家もスタートアップに関わる人たちは圧倒的に男性が多いと言わざるを得ないだろう。そんな状況の中でも、世界的に活躍し、ヒットサービスを生み出している女性起業家も少しずつ増えてきているので紹介したい。 Brynn Jinnett Putnam: Founder & CEO at MIRROR 学歴: Harvard University 純資産: $130m ロケーション: New York 創業年: 2016 バレリーナ出身。ジムオーナーをしている際に出産を経験し、自身が自宅でエクササイズを可能にするために考案したサービスがMIRROR。 MIRRORは、レスポンシブ・ディスプレイを活用し、ライブおよびオンデマンドのレッスンを家庭内のユーザーにストリーミングする、世界初のコネクテッド・フィットネス・システムを提供している。$1,495の導入費用プラス月々$39のサブスクリプション費用。2020年7月にルルレモンによって$500mで買収された。 関連: 米国最新フィットネススタートアップ3選。キーワードは「自宅」 Jennifer Hyman: CEO at Rent the Runway 学歴:  Harvard Business School 純資産: $300m ロケーション: New York 創業年: 2008 お姉さんが結婚式で高価なドレスを購入しなければいけないことに腹を立てていたのを見て、ハーバードビジネススクールで、当時の同級生だったJennifer Fleissと共に、Rent the Runwayのアイディアを思いつく。 同サービスでは、ユーザーが小売価格の10%でデザイナーアパレルを4-8日間レンタルをすることができる。それに加え、月々のサブスクリプションで、最大4着のアイテムをレンタルすることが可能。直近の年間売り上げは1億ドル。 関連: ヒットサービスを生み出すための3つの秘訣とそれぞれの実例 Yunha Kim: CEO & Founder of Simple Habit 学歴:  Stanford University Graduate School of Business ロケーション: San Francisco 創業年: 2016 スタンフォード在学中に国連やマッキンゼーでインターン。その後2013年に就職していた投資銀行を辞め、スマートフォンのロック画面用のアプリサービスのLocketを立ち上げ、2015年にEコマースサービスのWishに売却。その後2016年に、忙しい人のために5分間の瞑想セッションを提供するウェルネスアプリ Simple Habit をスタート。 睡眠、朝の不安、集中力の欠如などの状況に基づいた1,500以上のセッションを提供するSimple Habitは、現代のライフスタイルに合った実用的なソリューションを提供。日々のストレスを軽減するために、世界的な専門家による短い瞑想やオーディオセラピーセッションを活用している。 関連: コロナ疲れを克服!心身共にケアするウェルビーイング系サービス5選 Mariya Nurislamova: CEO & Co-Founder at Scentbird 学歴:  City University of New York-Baruch College – Zicklin School of Business ロケーション: […]

僕は君が起業家になることをオススメしない

最近の日本は以前にも増して、行政レベルでスタートアップを育成する動きが多く見られる。実際自分も、いくつかのプログラムでメンターをさせていただいている。 専門はデザインであるが、もともと起業家とスタートアップが多いサンフランシスコ地域で経営していることもあり、スタートアップサービスの作り方や育て方もそれなりに理解しているつもり。 そんなこともあって、以前より学生向けのピッチコンテストからグローバル起業家育成プログラムまで、多くのスタートアップ育成に関わる事業に関わってきた。 メンタリングの際には、自分自身の経験をもとに、日本の起業家志望の方々に対して、まず伝えるようにするのは、 僕は君が起業家になることをオススメしない である。 何言っちゃてんの?と感じるかもしれないが、これにはいくつか理由がある。 心が壊れてしまった十代の子達 複数のスタートアップ系イベントの中でも、高校生や大学生を対象とした起業家育成プログラム的なものも幾つかかある。このようなプログラムでは、起業家になることが素晴らしいという雰囲気が作られ、参加者に起業家を目指すことを期待する。 そんなプログラムに参加した十代の何名かが実際にサービスを作り起業をした。そして周りからは賞賛され、いくつかのイベントでも表彰され、メディアでも派手に祭り立てられた。 その後ビジネスを進めていく上で、お金の事やチーム作り、人間関係での困難に直面し、悩み、苦しみ、そして続けられなくなっていった姿を何度か目の当たりにもした。 これらの試練は起業家としては誰もが通るが、感受性が高い十代の若者にはかなり酷な状況だっただろうと想像ができる。 最初は周りの大人におだてられ、サービスが評価され、起業したことで注目を浴び、自己肯定感はMaxになる。 しかし、いざ上手くいかなくなった場合は、聞かされていたキラキラ世界とのギャップと、チームメンバーを含めた周りの人たちの態度の変化に当惑するだろう。そして、起業家という特性上、一人孤独に悩み苦しみ、諦めることになる。 失敗した際のサポートが提供されていない状態で十代の若者がこのような状態に陥ると、最悪の場合、心が壊れてしまう危険性がある。 起業 or 就職? いくつかの日本の学生向けのプログラムに支援側として協力したことがあるが、その内容が色々な意味で、結構ガチなのである。参加者が自己紹介する時に、今後の進路として起業するか就職するかを宣言させるものもあった。 「僕は起業します。」「私は就職します。」と、まるで「ビーフ or チキン?」の勢いで宣言してるのは少し違和感を感じる。 まだまだ将来何をしたいかが決まっていない段階で進路を決めるのは、はっきり言って難しい。その段階で起業家になるというプレッシャーをかけ、選択肢を狭め、自分を追い込む必要はない。 やりたいことが見えてきて、それを達成するための手段としてスタートアップを始めるのがよければそうすれば良いだけで、そのタイミングはいつ来るかもわからない。 いたずらに起業家をヒーロー扱いする危険性 起業家を増やそうとする取り組み自体は非常にすらばらしいと思うし、国の将来にとってもポジティブな影響があるだろう。 しかし、場合によっては、少し起業家を美化しすぎているきらいもある。これは、起業家が少なかった日本における”よりもどし”なのかもしれないが、スタートアップや起業家にきらびやかなイメージを与え、誰でも起業しろ、などとあおるのは危険だと思う。 最近流行りの「誰でも起業しろ」はかなり無責任に感じる。若くて起業しただけで注目が集まる。しかしその後、祭り上げるだけ祭り上げて、上手くいかなかったらストンと落とす文化においては、起業家の精神的リスクもかなり高いだろう。 多くのスタートアップは、外から見えるグラマラスなイメージとは裏腹に、その中身はかなりドロドロとしている。成功率が10%以下と言われるかなり厳しい世界では、上手くいく方が珍しい。 それだけ覚悟と理解が必要だろう。もしくは、多少失敗してもあまり気にしないお気楽さを持ち合わせているとか。だから、誰でも起業するべきではないし、起業しただけで安易に持ち上げるのも良くない。 起業家には向き不向きがある そもそも起業家はとても特殊な仕事内容で、誰にでも向いているわけではない。実際、全人口の起業家率はわずか8%である。 起業家に向いている人は、やはり少し変わったところがあるし、一般的な価値観を持ち合わせていない人も多いように感じる。言い換えると、それほど珍しい存在。なので、周りとは感覚が合わず、自ずと孤独になる可能性が高い。 イノベーターと呼ばれる人たちは物事を違う角度から見る。スティーブ・ジョブスの言葉を借りると、クレイジー、反逆者、変わり者なのである。 シリコンバレーの著名投資家であるロン・コンウェイも下記のように語っている。 起業家には生まれつきの向き不向きがあると思っている。僕が思うに起業家に向いている人は起業家の遺伝子を持っており、一生起業家として生きていくだろう。一度起業してその後大企業に普通に勤められるケースはとても少ない。 エンジェル投資家の裏側教えます【インタビュー】シリコンバレーのスーパーエンジェル投資家: ロン・コンウェイ 起業家はメンタル的にもかなりタフな仕事 実際のリサーチ結果を見てみても、起業家がどれだけメンタルにキツい仕事かがわかる。 米国国立精神衛生研究所の調査によると、起業家の72%がメンタルヘルスの問題から直接的または間接的な影響を受けている。これは、非起業家の48%と比べると非常に高い数字である。 また、カリフォルニア大学が行った調査によると、起業家の49%がADD、ADHD、双極性障害、依存症、うつ病、不安症のどれか一つを患っており、約1/3がこの2つ以上を患っているとの結果が出ている。これは、アメリカにおける全体の割合から見ても高い数字だ。 また、同大学バークレー校のマイケル・フリーマン教授によると「エネルギッシュでモチベーションが高く、クリエイティブな面を持つ人は、起業家になる可能性が高いと同時に、強い感情を持つ可能性も高い」とのこと。その結果、メンタルがやられる人も少なくない。 起業家はその立場上、誰にも相談できないことも多く、一人で乗り越えなければならないことばかりである。スタッフには常にポジティブな態度でいなければならないし、日々の仕事ぶりをこまめに褒めてくれる存在も少ない。なのに、上手くいかない場合は、全て自分が責任を負わなければならない。 経営者が孤独と言われるのも理解できるだろう。 リーダーは本当に孤独なのか? 日本での起業家の扱いに疑問を感じる 10数年前と比べると、日本もスタートアップを取り巻く環境がかなり改善されてきている。投資家やサポーターも増えたし、上場する会社の数も右肩上がりだ。起業家のイメージも爆上がりだろう。 その一方で、上手くいかなかった場合のセーフティーネットはまだまだ足りない気がする。場合によるが、敗者としてレッテルを貼られたり、借金を背負わされたり、就職先がなかったり、社会的に葬られたりすることもまだある。 東京でスタートアップイベントに参加して感じた事 日本とシリコンバレーにおけるスタートアップを取り巻く状況 もう一つ考えなければいけないのは、スタートアップを取り巻く状況だ。特に日本だと、まだまだその状況は良いとは言えない。もちろん以前よりは改善されているが、決して恵まれているとは言い難い。 下記は、経団連副会長の南場智子氏による資料の抜粋になる。 これを見てもわかる通り、サポートは少なく、リスクとリターンの割りが良くないことから、依然として負の循環が起こっている。 一方でこれがシリコンバレーの場合は、下記のようなポジティブサイクルが生まれていると考えられる。 起業家に対する3つの勘違いと、たった1つの真実 そもそも、ここで基本的なポイントとして、”なぜ”起業するかを考えてみよう。というのも、実は多くの人が誤った目的で起業しているからだ。 起業目的として、よく聞くのが 1. お金を儲けたい、2. 決定権が欲しい、3. 自由な時間に仕事をしたい。である。しかし、これはらすべて間違っている。 勘違い1: お金を儲けたい 起業する目的の中でも最も多い理由の1つ。特に最近だと、ユニコーン企業や大型IPOでファウンダーが大金持ちになるニュースを見る事もあり「自分も一発当ててやろう」という思いで会社を興すケースもある。 しかし、もしそれが目的なのであれば、やめた方が良い。そもそも自分で会社を始めるのはワリに合わない。新しいビジネスの実に、95%から99%が失敗すると言われる中で、金儲けを目的に起業するのは、単純にROIとしての計算が合わない。 そもそも、計算が苦手なら起業するのにはあまり向いていないし、もっとお金が欲しいという理由なのであれば、待遇の良い仕事に就いたの方がよっぽど目的が達成されやすい。 勘違い2: 決定権が欲しい 企業のいち従業員として働いていると、上司の指示に従わなければならないことも多く、自分で決められることにも限界あると感じる事も多いかもしれない。 これがもし自分の会社であれば、最高責任者として自分で決断ができる。そう感じて自分の会社を始めたいと思っている人もいるかもしれない。 しかし、CEOになればあらゆる決定権が持てるのであろうか? もちろん、会社のトップになるわけだから、そう思うかもしれない。 でも現実は全く違う。上司を持ちたくないという理由で起業しても、実はスタッフや、お客様、そして投資家、株主の方々が上司になってしまう。常に自分の周りの人々に根気よく説明をし、理解を獲得することに相当のエネルギーを費やす。起業家は、周りの人たちのサーバントとして仕事をすることになるだろう。 勘違い3: 自由な時間に仕事をしたい 自分の会社なのだから、自分のスケジュールは自分で決められる。これも起業家の醍醐味のように感じるかもしれない。まあ、間違っていない。誰からも指示を受ける事なく、自由に働くことが可能になる。 そう、一日20時間、自分の好きな時にね。 起業家になるたった1つの正しい目的 では、どんな目的があれば起業家になるべきなのか。実はその理由は1つしかいない。その答えは” – 世界を変えたい – そう。起業家という身体的にも精神的にも大きな負担がかかり、その割にはリスクが非常に高く、リターンもかなり少ない。 そんなワリに合わない立場になる唯一の目的は、素晴らしいチームを作り、優れたプロダクトやサービスを通じて世の中を変えたい。実はそれしか無い。逆に、そうでなければ起業する意味なんてない。 Youはなぜ面倒な起業家なんかに? だったら君もやる方に入ったら? ここまで説明して、僕が本当に伝えたいのは、“僕は君が起業家になることをオススメしない”と言われても、それでもやる人でないと続けられない世界であるということ。 これは、どの世界でもそうだと思うが、トップレベルで成功した人のその多くが、最低でも一度や二度は「そんなの無理だ、やめとけ」と言われた経験を持っている。 でも、それでもどうしてもやりたいぐらいの強い熱意がある人だけが一流として生き残れる。特にビジネスの世界は、孤独で、厳しく、理不尽である。それでも、どうしても起業家になりたい人だけがなったほうが良い。と僕は思う。    

テスラの成功確率は10%だった – イーロン・マスクが語る無謀なビジネスを成功に導く5つの秘訣

ここ一年で最も躍進した企業の一つがTeslaだろう。2021年1月25日の時点で同社の株価は一年前の800%超を達成し、時価総額も8,000億ドル超えた。世界の企業全体でもFacebookの時価総額を抜き、現在世界7位の企業にまで成長している。それに伴い、同社CEOのイーロン・マスクは世界一の富豪となった。
1年間で急進したテスラの株価

Teslaの時価総額はTOYOTAの約3倍で自動車メーカーとしては世界一位。TOYOTA, VW, ダイムラー、GM, BMW, Volvo, Honda, Hy…

これから失われる仕事と求められ続ける3つの能力

2020年が百年に一回あるかないかの時代の変還期であったことは間違い無いだろう。それまでのテクノロジーの進化で生活スタイルに少しずつ変化は訪れていたが、今回のパンデミックの影響はそれまでの10年以上の大きなシフトを世の中に生み出した。 1年間で10年分成長したEC市場 例えば、eコマースひとつとってみても、Stay homeでオンラインでオーダーする機会が増えたことにより、全体の買い物におけるECの占める率が格段に増大した。 アメリカ国内に関する統計を見てみると、新型コロナウィルスが広がり、人々の生活に影響が出始めた2020年4月までの統計だけでも、実にその成長率は10%を超えている。それまでの年間成長率が2%以下であったことを考えると、驚異的な伸びである。 2020年だけでeコマースは10年分の成長を成し遂げた コロナの影響で時代の変化が加速 今年に入って、おそらく多くの方々がリモートワークを経験したと思われる。また、感染予防のために、ミーティングをオンラインで行ったり、出張を控えたりするのが一般的になってきている。 また、これまでの業務形態に対して何らかの変化を強いられたケースや、業務そのものが消滅したケース、場合によっては会社ごと無くなってしまうこともあっただろう。 仕事内容にも大きなシフトが これまでもネットやAIの発達などでさまざまな職業に変化が生まれていた。それに加えDXの普及もあり、今年1年間だけでも相当な種類の仕事に影響が生まれた。また、今後の影響も考えて、コロナの影響、時代の変化、テクノロジーの進化のキラーコンボによって多くの仕事に影響が出ると考えられる。 米国労働省による失業保険に関する統計によると、下記の業界に大きな影響が出ている。 コロナの影響で失われた仕事の割合 宿泊業: 42.3%↓ スポーツ・芸能: 45.5%↓ 家具屋: 46.3%↓ レストラン・バー: 48.1%↓ 映画撮影・サウンド収録: 48.3%↓ 歯科医院: 53.3%↓ ランドリー・クリーニング: 53.5%↓ アパレル店舗: 58.9%↓ 遊園地・カジノ: 59.9%↓ 観光に関する搬送業: 62.1%↓ おそらく下記のような仕事はしばらくの間必要とされないか、ニーズが格段に低下する。もしくは、今後存在しなくなっているかもしれない。 レジ係 銀行の窓口 飛び込み営業 旅行エージェント イベントプランナー アパレルショップ店員 ウェイトレス・ウェイター 15年後にあなたの職業が存在している可能性 ここで紹介した調査データがある。アメリカの調査期間が、既存の職業の20年後における生存率を割り出した。その結果による職業と15年後のに機械に奪われる可能性に関する調査結果を幾つか紹介する。 現在の職業が15年後に機械に奪われる可能性: プログラマー: 48.1% ソフトウェアエンジニア: 4.2% 家政婦: 68.8% ウェイター/ウェイトレス: 93.7% バーテン: 76.8% 調理師: 96.3% シェフ: 10.1% 経理: 97.6% 経理部長: 6.9% 単純作業の仕事内容は消える可能性が高い これをみてもわかる通り、その仕事内容によって20年後もその職業が存在するかどうかが大きく異なる。例えば、機械化率96.3%の調理師と93.7%のウェイターが示すのは、15年後の世の中の多くのレストランが全自動になっていると言う事である。その一方で、メニューを考案したり、調理方法を決めるシェフは自動化される可能性が低い。 同じく単純作業が仕事の経理の仕事は97.6%の確率で機械に奪われると予想されているのに対し、経理部長という人とのコミュニケーションを必要とされるマネージャー職を機械が行える可能性は7%も無い。これは、人間だからこそ出来るタイプの仕事だからであろう。 ユーザーの立場に立って設計や仕様決めを行うソフトウェアエンジニアの仕事はほぼ機械に奪われる可能性が無い (4.2%)に対して,ある程度単純作業となるプログラマーの仕事は50%弱の可能性で今後自動化が進む。 新しく生み出される仕事も 自動化に関するテクノロジーが進む事で無くなる仕事があると同時に、新しい仕事も生み出されると予測される。 マッキンゼーの調査によると、新たに創出される仕事の7割は「人間的な仕事」が占めている。直感的な意思決定、創造的な成果、芸術的なデザイン、顧客や取引先との複雑な交渉。企業にとって多くの価値創造は人間にしかできない仕事によって支えられている。 時代の変化でこれから生まれる8のデザイナー職 今後も普遍的に必要とされる3つの能力 では、どのようなスキルを身につければこれからも人工知能等の機械に仕事を奪われないのであろうか。現在の企業内での仕事内容は、管理された組織の中で正しい答えに辿り着く為の正確な単純作業や、精密な作業が求められて来たタスクが多く存在する。 しかし、そのような仕事は上記のデータを見ても分かる通り、近い将来ほぼ確実に賃金の安い地域にアウトソースされるか、機械にとってかわられることで消滅してしまう可能性が非常に高い。 その一方で、これから紹介する3つのスキルはどれだけテクノロジーが進化し、時代が変化してても人間にしか出来ない内容であると思う。 1. クリエイティブ 0から1を作り出すこと。これは機械には出来ない。AIは過去のデータを元に未来を予測することは出来るが、全く新しいものを作り出すのは人間にしか出来ない。デザイナーやエンジニア等のクリエイティブな仕事はこれからもどんどん必要とされていく一方であろう。特に今回のコロナに代表されるようなVUCAの時代においてはクリエイティブは最も重要なスキルの一つになってくる。 0から1を生み出すクリエイティブな能力の構成要素は Curiosity(探求心) Empathy(共感) Imagine(発想) Create(創作) Play(遊び) Share(共有) Reflect(内省) 関連記事: 2020年から最大の企業資産はクリエイティブ人材になる 2. リーダーシップ 優れたビジョンを掲げ、卓越したコミニュケーション能力で人々を導いて行く存在。相手の気持ちに共感し、人間との心の通じたやりとりができるそのスキルは自動化が進む現代こそ一層求められている。人間がロボットのリーダーに従って心が一つになる時代は恐らくしばらくは来ないだろう。 人々を正しい方向に進めるリーダーの存在価値としては: 相手に共感する 何よりもまず方向性を決める ビジョンを共有する 相手のために尽くす 周りをインスパイアする 心の支えとなる 関連記事: 偉大なリーダーによる100の名言から読み取った5つの「コミュニケーションの秘訣」 3. 起業家精神 機械は基本的には起業しない。むしろ絶対にしないだろう。交渉力、ビジネスセンス、問題解決能力が求められるのが起業的スキルである。その点においてはテクノロジーがどんなに進化しても、新しいプロダクトやビジネスを通じ社会を変えて行く起業家は世の中にとって今後もより一層必要とされるだろう。 挑戦を恐れない ユーザー視点で物事を考える 長期的なスパンと大きなスケールで考える すぐに諦めないしぶとさ 暖かいハートと冷酷な判断 壮大な夢と現実的な実行プラン 関連記事: Youはなぜ面倒な起業家なんかに? […]

スタートアップの聖地福岡市に学ぶ、本物の起業家になるための5つのマインドセット

先日の11月25日~27日の3日間、福岡では「STARTUP FUKUOKA 3DAYS」として、ビジネスマッチングイベント「X-Tech Match up」、ピッチイベント「Startup Go!Go!」、国際交流イベント「ASCENSION 2020」という3部構成のイベントが開催された。
「Beyond Coronavirus(=コロナを乗り越える)」をテーマに、福岡の地場産業、ベンチャー企業、スタートアップ、多くの海外の提携都市からの登壇者と参加者が集い、スタートアップ拠点都市福岡からグロー…

なぜ日本にはデザイナー出身の経営者が少ないのか

先週、日本デザイン学会主宰の「2020年度 日本デザイン学会 秋季企画大会」というイベントに登壇させていただいた。 セッションテーマは「チーム・クリエイション」。デザイナーを取り巻くチームとビジネスに関するトピックだったため、自分が感じている「海外から見た日本の状況」について触れさせていただいた。 というのも、最近ではビジネスにおけるデザインの重要さが叫ばれている。 マッキンゼーの調査でも、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出た。 その割には、日本企業におけるデザイナーの役割と立場がまだまだ地味で、ビジネスの根幹に入り込めていないように感じていたから。 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン責任者を配置している海外企業 一方で、海外、特にアメリカのスタートアップでは多くのデザイナー出身者が起業し、成功している。 また、大企業でも経営陣にCDO (Chief Design Officer) や CCO (Chief Creative Officer) を配置し、経営にデザインを積極的に取り入れている会社が増えている。 CDOやCCOのいる主な企業・団体 3M ピクサー ペプシコ DBS銀行 ロジテック フィリップス ヘルシンキ市 キアモーターズ ロスアンゼルス市 ウォルトデズニースタジオ * https://en.wikipedia.org/wiki/Chief_design_officer デザインドリブンな世界一の企業: Apple デザインバックグラウンドを持つ経営陣が多いことで知られる最も著名な企業がAppleだろう。 そもそもファウンダーのスティーブ・ジョブスは熱狂的なデザインオタクだったし、後期にAppleを復活させた彼の右腕、ジョナサン・アイブも世界最高峰のデザイナーである。 技術力が重要視されていた20世紀では倒産寸前までになっていたAppleは、デザイン力が重要になった21世紀になって強烈に成長し、名実ともに世界一の企業に君臨している。 Appleを1兆ドル企業に成長させた6つのデザイン哲学 デザイナー出身の起業家たち: ジョブスチルドレンの功績 そして現代の起業家のその多くがデザイナー出身だったり、デザインバックグラウンドを持っている。そして、そのような人たちが経営陣にいる企業の成長率の高さは統計的にも実証されている。 デジタルプロダクトを通じたユーザー体験が重要になってきている現代においては、商品の差別化要因はどんどん少なくなり、最後に残されたのがデザイン性とブランド力になってきているのが理由だろう。 デザインバックグラウンドを持つ起業家のその多くがジョブスに憧れ、優れたプロダクトを武器に会社を成長させている、いわゆるジョブスチルドレンである。 この流れはアメリカだけではなく、取締役の多くがデザイン経験を持つサムスンや、海外から多くのデザイナーを採用しているアリババなど、韓国や中国の会社の多くもその流れを踏襲してる。 デザインバックグラウンドを持つ主な起業家: Jack Dorsey – Twitter, Square Brian Chesky – Airbnb Evan Sharp – Pinterest Chad Hurley – YouTube Stewart Butterfield – Slack David Karp – Tumblr Charles Adler – Kickstarter Dave Morin – Path 参照:【デザイン × 経営】ビジネスにおけるデザインの価値を追求する7人の起業家 日本企業におけるデザイナーの役割って何? ここからが本題。そんな世界の潮流の中で、ではなぜ日本の企業の経営陣にデザイナー出身者があまりいないのか? そもそも日本企業の従業員で「デザイナー」という肩書を持つスタッフ自体が驚くほど少ない気がする。では、日本企業におけるデザイナーの役割とは、一体何なのだろうか? おそらくその仕事は、プロダクト制作における最終工程の装飾や、ブランディングにおけるビジュアルデザインの一部にとどまっているケースが少なくない。 とある日本の会社では、企画会議に出席したデザイナーに対して「なぜあなたが参加してるのですか?」と言われたという。 そうなってくると、どうしてもプロダクトが提供するユーザー体験の質は下がるし、ブランド資産も積み上がりにくくなってくるだろう。 なぜ日本ではデザイナー出身の経営者が少ないのか? 従業員にデザイナーが少なく、その役割も限定的なのであれば、経営陣にデザインがわかる人が少ないのもうなずける。しかし、デザインがビジネスにとても重要な時代に日本企業の経営陣にデザイナー出身者が極端に少ない場合、企業としての競争力は極端に下がってしまう。 それなのに、日本企業の経営陣にデザインバックグラウンドを持っている人はかなり少ない。 それはなぜなのか? この答えは、日本は経営において営業がとても重要であるから。 言い換えると、日本では営業力が企業にとってとても重要な役割を果たす。下手するとプロダクトの質以上に。自ずと営業畑出身の人間が経営者や取締役などに出世しやすい。 特に経営者が創業者ではない企業はこの傾向が顕著だ。 この理由は、以前に一緒に登壇したTakramの田川さんも、Goodpatchの土屋くんも、今回登壇したNOSIGNERの太刀川さんも、AIR Designの中平さんも一様に同意していただいた。 めっちゃ使いにくいプロダクトのなのに何故か売れている。その理由は営業力にあったりする。 最近ではメルカリのようにエンジニア出身の人が経営をしている会社も増えているが、デザイナー出身者はまだまだ少ないだろう。 結果として日本の多くの優秀なデザイナー達は、自分たちのフィールドだけにとどまり、ウンチクを語る日々を過ごしている。 日本と海外でなぜこんなにも違うのか? では逆に、アメリカをはじめとした海外ではデザイナー出身の経営者が多いのか?おそらくその秘密は、国土の広さにあると思われる。アメリカと日本の国土の違いをおさらいしてみよう。 ざっとこんな感じである。 アメリカの国土は日本の約26倍。 ニューヨークからサンフランシスコまでは飛行機で片道6時間。3時間の時差がある。近そうに思えるロサンゼルスからサンフランシスコまでも飛行機で1時間以上かかる。サンフランシスコ – シリコンバレー間だって、車で1時間以上かかる。 これはどういうことかというと、簡単に足で稼ぐ営業ができないということ。では、どのようにして顧客やユーザーを集めれば良いのか? そう。プロダクトの質、ブランド力、マーケティングにフォーカスするしかない。 足を使った営業力に頼れない分、他の方法でユーザーを集めてくるしかないのだ。 […]

リーダーシップにワビサビはいらない – コロナ対応に見る日米5つの違い

今こそ問われるリーダーシップの本質を5つに分けて日米比較

スピード感は「命」
人々のメンタルは規制強度と緩急で変わってしまう
リーダーの最大の役割は、決断に責任を持つこと
曖昧な指示出しこそ、緊急事態を招く
平時のリーダーと有事のリーダー像は異なる

困難な状況下でこそリーダーシップの真価が最も問われる。
アメリカに住み、会社を経営していると、国家に何かしらの危機が訪れた際に、国や州の対応次第で国民の生活も、会社の存続も大きく左右されるということをダイレクトに感じる。これは、大統領や州知事のリーダ…

コロナショックがこれからスタートアップに与える影響

レイオフ、バリュエーション低下、コロナショックがスタートアップに与える多大な影響
VC側も投資を減少せざるを得ない状況、スタートアップの死活問題
人材獲得の易化と本質的な課題の露呈、コロナショックはコロナチャンスになりうる

コロナショックが世界を震撼させてから、1ヶ月ほどになる。生活やビジネスなど、様々な事柄に影響が出始めているが、スタートアップに対してはどうだろうか?2019年までは、ユニコーンやデカコーンブームや大型IPOなど、華々しいトピックが踊ったスタートアップ 界隈も、今回の状況で受け…

VCに関してもっと早く知っておきたかったリアルな実態

スターツアップエコシステムを語る上で、絶対に外すことにできない存在。それがVCだろう。VCとは、ベンチャーキャピタリストの略で、資金を集め、ファンドを作り、スタートアップに投資を行い、そこからリターンを獲得するのが主な仕事。どうしても、このVCという人たちの本来の役割が意外と知られていないことが多い。 起業家や起業家に憧れる人たちがVCに対して抱くキラキラなイメージと、実際の現場には大きなギャップがあると感じられる。 参考: なぜVCはいつも偉そうなのか 下記は、アメリカで連続起業家として活動しているAaron Dininによるポスト”What I Wish Someone Had Told Me About Venture Capitalists”を日本語にしたもの。彼の起業家としての学びの一つとして、VCとは、投資のゴール、そして彼らとの関わり方などがわかりやすく説明されている。 アメリカの起業家が学んだVCの実態 私はシリアルアントレプレナーであることもあり、起業してから最初の10年ぐらいはVCに対して大きな憧れを持っていた。まるで有名人に対してのように彼らのTwitterをフォローし、著名なVCが登壇するイベントに出席し、Andreesen、Sequoia、Benchmarkなどの著名VCとのミーティングを他の起業家に自慢したりした。 もちろん投資はしてくれなかったが、上記のようなVCとのミーティングに漕ぎ着けられただけで、自分の会社の存在価値が証明された気になっていた。 しかし、後に私はVCの目的を完全に勘違いしていたことに気づく。そしてそれが、長い間資金調達がうまくいかなかった原因ともなっていた。 VCはロックスターだと思っていたという勘違い おそらくスタートアップとVCとの関係性について誤解している人は私だけではないと思う。ある意味、若い起業家は取り巻く環境で、VCをちゃんと理解するよりも、崇拝するように仕掛けられている。 テクノロジー系のメディアには資金調達に関する見出しが踊り、成功者として称える。そして、スタートアップの価値を、世の中に対するインパクト (例: 1万人の子供の命を救った) よりも、評価額 (例: 巨大なユニコーン誕生) で測る。カンファレンスやイベントでは、VCや資金調達に成功した起業家達がステージを飾る。 そんな環境の中で、スタートアップの創業者達は、いつの間にかユーザーの課題解決よりも、投資家が求めることを中心に戦略を立てるようになっていく。 VCをもっとちゃんと理解してほしい この記事を通じて私は、自分がVCから投資を受ける側であるスタートアップの起業家になりたての頃に教えて欲しかった、VCの真の目的とその実態について説明できればと思っている。 それにより、これから起業家になる人たちに対して、1. VCとの正しい関わり方、2. そもそもVCから投資を受けるべきか、を理解してもらえればと思う。 なぜVCが存在しているのか? 起業家目線からは、どうしてもVCは「スタートアップを支援する存在」だと思いがちである。究極的には、VCはスタートアップに投資し、その成長を助ける。それにより、彼らは「創業者達の成功を支援するのが最終目的」のように見えてしまう。 しかし、VCの最終目的がスタートアップの成功と考えること自体が、VCの本当の目的を理解しにくくさせているのも事実だ。 VCは投資機関として、投資家や組織のお金をより幅広く投資することを担っている。したがって、VCの最終ゴールは起業家の夢を実現することではない。彼らの最終目標は投資家に対してより多くのリターンを還元することだ。 上記のポイントはは、起業家がVCに対して持つイメージと、VCの実態とのギャップを埋めるためにも、しっかりと理解しておくの事がかなり重要。 VCが成功するために、投資ターゲットとなるスタートアップは、下記に対して大きなポテンシャルを持っている必要がある。 投資額よりも何倍も大きな評価額を生み出す 他の会社に買収されるか上場するといったエクジットを通じて、投資ファンドに対してリターンを提供する ベンチャーファンドの仕組み これから紹介するのは、VCのビジネスモデルの基本を理解してもらうために、自分の生徒に説明する際にも利用する、極端にシンプル化にしたアナロジーである。完璧ではないが、基本的な理解を得るためには十分だと思う。 例えば10億円のベンチャーファンド (投資向けのお金) があったとする。そのお金を株式市場に投資すると、おそらく10%ぐらいのリターンは得られる。VCはそれよりも多いリターンを目指すのが仕事。 VCはその10億円のファンドを活用し、スタートアップに投資することで、”市場に勝つ”ことを目指す。今回の例では、シンプルにその10億円を10分割し、一口1億円で10社への投資を行うことにする。 一般的にアメリカのVC界では、投資した会社の50%からはリターンを期待できない。投資したお金は紙切れになってしまう。残りの5社のうち4社からは投資した額と同等のリターンを期待する。今回の例だと、この時点でリターンは4億となる。 ということは、現時点で9社からのリターンは4億で、全体投資額の40%しか戻ってきていない。全然ダメだ。しかし、まだ1社残っている。その10番目の会社が”ホームラン”を打つ。大成功したことで、投資額に対して10倍のリターンを出す。すなわち1億が10億に化ける。 これらを合算すると、当初の10億の投資は、合計14億のリターンを生み出した。40%のリターンをファンドにお金を入れてくれた人たちに分配することが可能になる。なかなかおいしい仕組みと思うだろうか?でも、現実はもうちょい複雑である。 持ち株率、希薄化、追加出資 上記の例では、投資した1億の資金がいとも簡単に10億のリターンを出したと仮定している。文字で書くと簡単そうに思えるかもしれないが、実際のにそれを実現しようとすると、なかなか難しい。どうやったら1,000円が10,000円に化けるかを想像してみると、その難しさが実感できるかもしれない。「ユニコーン」と呼ばれるスタートアップが、実存しない動物に例えられる理由も理解できる。 では、どのようなプロセスで1億が10億のリターンを出すに至るかをもう少し説明してみたい。 話を単純にするために、最初に投資した時点で、他にそのスタートアップには投資家がいないと仮定する。そして、1億を投資する代わりに会社の25%の株式を取得したとする。(念のために説明すると、この投資を受けた場合、その会社は、プレで3億、ポストで4億の評価額となる。) この時点で10倍のリターンを生み出すためには、その会社が40億で買収される必要がある。(40億で買収されれば、その25%が10億になるので。) 残念ながら、現実はのVCやスタートアップの世界では、ほぼそうならない。当初4億の評価額を受けた会社が40億で売却されるまで、全く追加出資を受けずに済むことは、まれであるからだ。 多くの場合は、それまでに何度か追加出資を受けることになる。おそらく12ヶ月以内に (願わくば) 当初よりも高い評価額で。追加で出資を受ける場合、既存の株主は、新規の投資家のために自身の持ち株を目減りさせる必要がある。これを希薄化と呼ぶ。 今回のケースでは、当初投資側が4億の評価額の会社の25%を所有していたが、その会社に追加出資を獲得する新規投資家の取り分を与えるために、その25%の持ち株率が下がってしまう。 例えば、この会社が評価額8億 (プレ) で2億の追加出資を受けた場合は、ポストの評価額が10億になる。その場合の創業者、既存投資家、新規投資家の持ち株率は下記のように変化する。 創業者: 60% (75%からダウン) 既存投資家: 20% (25%からダウン) 新規投資家: 20% 追加出資をした新規投資家に20%を渡すために、創業者と既存投資家の持ち株率が下がってしまった。しかし、評価額が10億になったため、その20%の価値は2億になり、当初の4億の25%である、1億の倍の価値になったことになる。これをわかりやすくリスト化すると: 創業時: 評価額4億 創業者: 75%: 3億 投資家: 25%: 1億 追加出資獲得時: 評価額10億 創業者: 60%: 6億 既存投資家: 20%: 2億 新規投資家: 20%: 2億 なかなかイケてるだろう? VCが元々3億の評価額の会社に1億を出資したことで、追加出資を受けた時点で、その評価額は10億にまで膨れ上がった。実に6億も増えたことになる。VCの投資分も1億から2億へと、倍になった。 ここで、当初のゴールである1億の投資を10億にまで増やすことを考えてみよう。持ち株率が20%になったので、そも目標を達成するには、当初の40億より10億多い、50億で会社が買収される必要が出てきた。 念のため、この追加出資の概念について補足する。今回の仮想VCのモデルでは、10億のファンドを10社に投資しただけであったが、現実のVCは、投資した会社の中で優良だと思われるところに、その後も追加で出資することが珍しくない。そうすることで、持ち株比率の希薄化を避けるのだ。 ややこしい追加出資やリターンの細かな説明や計算ロジックはここまでにする。基本的な計算式は変わらない。追加出資が行われた場合は、売却額を上げる必要があるということ。 VCが投資したくなる会社の特徴 ここまでじっくり読んでくれたか、軽く飛ばし読みしたかはわからないが、その仕組みがわかれば、おそらくVCが投資するスタートアップには一定の特徴があることに気づいただろう。VCが投資対象として評価するのは、おのずと急激に大幅成長が見込める会社になってくる。 一方で、そのような急成長を期待できる会社は限られてくる。起業家としてVCからの投資を求める前に、そもそも彼らが求めるタイプの会社であるかどうか、そして創業者としてそれを達成する能力があるかをを自問して欲しい。 1億円は大きなお金のように感じるかもしれないが、VCにおけるリターンのロジックは変わらない。受け取る金額に限らず、スタートアップは何倍ものリターンを出すことが求められる。 今回の例では、1億を投資し、その会社に対してプラス6億の”価値”を生み出した。言い換えると、600%のROIを達成したことになる。株式市場への投資が平均10%程度のROIである事と、それ世界のトップ企業からのリターンの平均である事を理解していただきたい。 それを踏まえると、VCがスタートアップに求めるリターンの大きさが理解できると思う。トップクラスの大企業でも毎年10%の成長を達成する程度であるのに対し、スタートアップは何百倍ものリターンを求められるのだ。まさにハイリスクハイリターン。多くのスタートアップが失敗に終わるのも理解できる。同時にスタートアップを成功させる難易度の高さもわかっただろう。 VC自身も起業家である 投資を受けたスタートアップに求められるリターンの高さはハンパないが、VCが背負うプレッシャーも尋常ではない。なんせ、預かったお金を使って株式投資よりも大きなリターンを生み出す事を期待されているのだから。 そのゴールを実現するために、VCの人たちはリスクの高いスタートアップ投資を通じて、最終的にポジティブなROIを生み出さなければならない。ほぼ不可能に近いぐらいの難易度である。VCの約半数は失敗し、45%はトントンのリターンで終わるのもうなずける。 自分もスタートアップを始めた頃は、VCの仕事がこんなにも大変だとは全く知らなかった。てっきり、VCは業界におけるロックスターであり、気に入ったスタートアップにさくっと何億も投資する。まるで、アッシャーがジャステ・ビーバーを”発掘”したように、起業家を一晩にして成功に導いてくれる存在だと思っていた。 そんな夢を見てた頃の自分は、起業家と言うよりも、VCの前でピッチをしまくるパフォーマーだった。彼らの投資対象になるようなビジネスモデルを理解してもらうよりも、自分のピッチスキルとプロダクトがクールであることばかりをアピールしていた。 今から考えると、VCに対してピッチのスキルを認めてもらったり、プロダクトを好きになってもらう事は、投資をしてもらう事とは全く別の軸であった。彼らは、ピッチの素晴らしさを期待しているわけではなく、自分たちの投資モデルに最も適した会社を探していたのだ。なぜなら、彼らも自分たちのプロダクトをピッチをしなければならないから。 VCもピッチをする責任がある […]

澤円x越川慎司激論!日本企業がイノベーションを生み出す組織になるには【DFI2019】

イノベーターとは要素の組み合わせができる人や、足し引き掛け算ができる人。イノベーターになる可能性は十分にある
芽を育てるマインドセットと前進がみられる失敗には評価する制度を
イノベーションできないことの言い訳をするのではなく、「当たり前を疑う」こと。お互いに不得意なことを補い合える人を見つける

「イノベーション」や「グローバルマインドセット」。口で言うことは簡単だが、依然として横並び意識が色濃い日本の企業で実行に移すハードルは高い。
なかなか躍動できない若手や、そんな若手たちをどう扱うべきかわか…

こんまりから学ぶグローバル進出3つのポイント

今週サンフランシスコの中心部に位置する大規模なイベント会場で、楽天が毎年主宰しているカンファレンス、Rakuten Optimismが開催された。代表の三木谷さんに加え、目玉ゲストとして、こんまりこと、近藤 麻理恵さんが出演した。
アメリカにおけるこんまりの人気は異常で、CBSの人気番組、The Late Show with Stephen Colbertをはじめとして、全国ネットのテレビ番組に複数出演したり、自身のNetflixチャンネルを提供したりもしている。そして、このイベントで最もオーディエ…

日本発・完全栄養麺のベースフードがアメリカに進出!グローバル展開について【COOマイケル氏インタビュー】

健康をあたりまえにする   2016年に日本から始まったベースフードが、その思いをアメリカへと広げようとしている。 ベースフードは1食で1日に必要な栄養素の3分の1が全て取れるという、”完全栄養食”ヌードルとパンを開発、販売している日本のスタートアップだ。元DeNA出身のCEO橋下舜氏が、会社員時代に「忙しくでも栄養バランスを満たせる美味しい食事が欲しい」と言う実体験からベースフードが誕生した。 創業以来、Amazonの食品人気度ランキングでも1位を獲得し、すでに累計50万食以上売り上げてきた。さらに2019年5月にはシリーズAラウンドで、総額約4億円を調達するなど、超注目のフードテックスタートアップなのだ。 そんな彼らが、創業当初から視野に入れていたグローバル展開が、ここサンフランシスコ・シリコンバレーからついに始まる。オンラインをベースとした販売をするD2Cモデルを採用する彼らは、まずはウェブサイトからの販売がメインとなるようだ。 (パロアルトにあるラーメン凪にて関係者向けにプレオープンパーティーを開催。ベースフードとのコラボラーメン、The Base Veggie King Bowlは店頭で期間限定販売中) 今回は、ベースフードUSのCOOである、Michael Rosenzweig氏(以下マイケル氏)にアメリカ進出における戦略や思いをインタビューする機会をいただいた。なぜアメリカなのか、どのような展望をお持ちか、ローカライズした点などを聞いた。 マイケル・ロセンズワグ (Michael Rosenzweig) – COO of BASE FOOD U.S., Inc. 日本で6年間コンサルタントとして働いた後、University of Pennsylvania、Wharton校でMBAを取得。卒業後にベースフードCEOや社員と知り合い、BASE FOOD USに入社。日本に関係のあることや起業家精神のある環境を求めていたので、ベースフードとの出会いはパーフェクトマッチだったと言う。 決して夢物語ではない初海外となるアメリカ進出 ベースフードのアメリカ(グローバル)進出は、創業当時から代表の橋本氏が構想していたことだ。 最初の海外進出国をアメリカにした理由を伺うと、その市場規模の大きさや、健康について改善を求める消費者が多いことも理由の一つだという。 さらに、2019年2月に行われたイベントでは、橋本氏が、アメリカ市場においては追い風を期待することを言及していた。というのも、Soylentといった「完全栄養食」や、「D2C(Direct to Consumer)」に対する親和性の高さ、空前のラーメンブームなど、日本にはないニーズがすでに存在しているからだ。 イノベーションxフードのハブ、サンフランシスコから拡大を狙う また、アメリカの中でもサンフランシスコにオフィスを構えたのは、ここがイノベーションのハブスポットであるからだとマイケル氏はいう。まさに、「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」をミッションにしているベースフードには欠かせない要素がここ、サンフランシスコにありそうである。 サンフランシスコの食に関する考え方が多様であることもベースフードにとっては勝機となりそうだ。ここでは、動物性食材を一切食べないビーガンや完全菜食主義のベジタリアンに加え、フレキシタリアン(基本的には菜食主義だが、たまに肉や魚も食べる人のこと)と呼ばれる、普段はお肉・お魚を食べないけど、たまには食べるというスタンスの人も多い。 ビーガンの人はもちろん、フレキシタリアンたちは、実際の動物の肉を食べなくても肉を楽しめる代用肉など新しいものを積極的に探している人たちでもある。このような人たちにもベースフードは受け入れられるのでは、とマイケル氏はいう。 「ラーメンブーム」については、人は美味しくて、遊び心があって、楽しいと思える食べ物と触れ合う傾向があるとみる。例えばベースフードがコラボレーションしているラーメン凪にもそのようなカスタマーが多い。そしてベースフードもまた、美味しくて、楽しい食事体験を提供することを目指している。 そして、サンフランシスコには様々なスキルや知識を持った優秀な人材が多く、採用面でも有利な点があるとマイケル氏はいう。 アメリカにおいても「主食のイノベーション」を目指しているベースフード。まずはここカリフォルニアを中心とした認知、人気を狙い、ベースヌードルという麺の商品で勝負する意気込みだ。 美味しい、ヘルシー、手軽なベースフードを全ての人に アメリカではドリンクタイプの完全栄養食が広がりつつあるが、ベースフードはあくまでも食事(飲み物ではなく、食べるもの)であり、調理によってアレンジができるため、よりサステイナブルな方法で健康に貢献できるのだ。また、素材には自然のものを使っている。 また、一流のシェフからお墨付きをもらっているというのもベースフードの特徴だ。シェフに認められるくらい良いものをカスタマーに届けたいという想いがあるそう。 今回のアメリカ展開でも、日本で以前からパートナーとしてコラボをしているラーメン凪のパロアルト、サンタクララ店にて、プレローンチパーティやベースヌードルの期間限定販売をしている。 シェフによって品質を保ちながらも、D2Cの「ブランドがカスタマーと直接話せる」というメリットを活かし、フィードバックを商品開発に役立てていく方向性のようだ。 (Ramen Nagiは地元でも大人気。待つこと45分、筆者もパロアルトにあるラーメン凪にてThe Base Veggie King Bowlを実食。) あくまで全ての人に届けるという想いが商品に込められている 日本ではベースヌードルに加え、ベースブレッドという完全栄養食のパンも販売しているが、アメリカではまずベースヌードルの展開となる。 (左:ベースブレッド、中心:ベースヌードル。ベースフードのウェブサイトより転載 麺商品は創業当時からベースフードが開発をしてきた商品だ。アメリカでも麺は色々な食べ方で人気のある食べ物であり、麺好きの人たちも多く、ベースフードも受け入れてもらいやすいのではとマイケル氏は期待。 ゆえに、届けたいカスタマーは全ての人となる。日本のマーケットをみたときも、アスリートから、IT系のワーカー、料理好きの食通の人など様々だ。 (特にサンフランシスコ、ベイエリアではラーメンだけでなく、アジア系の麺料理やイタリアンパスタなどが点在し、受け入れられている) アメリカも同様で、全ての人に届けたい、美味しさと栄養は両立しないと考えている人に届けたいという思いから、カスタマーを絞ることで潜在的なターゲットを排除してしまうことがないようにしているようだ。 国が違っても、美味しい食べ物が好きであるという根本はどの国の人でも変わらないと考える。 グローバルメンバーで、ローカライズを目指す もちろん、日本での成果をそのままアメリカで再現できることもあろうが、考慮しなくてはいけない日米間の違いに関しては、ローカライズなしで成功はないとマイケル氏はいう。 言わずもがな、アメリカは市場規模も文化も日本とは大きく異なる。ベースフードUSのメンバーは、アメリカ出身であっても、全員日英バイリンガルで、日本に住んだ経験があることなどからも文化的違いを理解しているため、表面的な情報からだけではわからない背景や人の特徴、文化、トレンドを考慮してビジネス展開に取り組んでいく必要があると話す。 もちろん会社全体でみても、男女比もほぼ均等、グローバルな経験が豊富で、お互いの文化や違いをリスペクトする社内カルチャーがある。 さらに、日米オフィス間で密にコミュニケーションを図ることで、それぞれの知識・スキルを共有をする。これが会社全体の拡大にテコ入れしており、ベースフードがグローバルスタートアップとして成長していく重要な鍵を握っているようだ。 コミュニティーとカスタマーと一緒にベースフードを作っていく ベースフードはラーメン凪やハンバーガーレストランとコラボレーションしてきた。アメリカでもラーメン凪から始まり、今後も積極的にコラボレーションをしていきたいと、マイケル氏は述べる。 また、上記でも述べたとおり、D2Cモデルの利点を活かし、カスタマーから直接フィードバックをもらい、コミュニケーションし、もっとカスタマーについて理解を深めてプロダクト・サービスの質を高めていく予定だ。 最後にマイケル氏より、メッセージをいただいた。 「アメリカ進出を非常に楽しみにしていました。ベースフードは品質の高い、栄養バランスの取れた自信作ですので、ぜひお試しください」。 ※英語版インタビュー記事も近日公開予定! ユーザー中心のサービスは全世界へ広まるべき 代表である橋本氏の好奇心や健康への探究心から始まり、開発が進められたベースフード。この度、創業当時意識していたというグローバルへの挑戦が始まる。 最近では3ヶ月に1回は、カスタマーのフィードバックに基づく商品改善や新商品が出ているという超・ユーザー中心のサービスだ。世界に目を向け、直向きにカスタマーと向き合う。そんなスタイルが根付いている彼らなら、アメリカでの今後の活躍にも期待大である。 btraxも、このようにグローバルを視野に、サービス開発、ビジネス展開をしてきたいというみなさんの支援をしていきたい。デザイン思考をベースとしたマインドセットの研修や、サービスを生み出す・育てるためのワークショップ、さらにサービスを展開するためのマーケティングコンサルティングを行っている。疑問、ご興味をお持ちの方はぜひお問い合わせください。

世界一競争が激しいシリコンバレーで15年生き残れた最大の秘訣とは

2019年8月9日、btraxは創立15周年を迎えた。 アメリカでは新しい企業が10年以上生き残れる確率は5%に満たないと言われる。おそらく、これが15年ともなるとその生存率は数パーセントに満たないだろう。 例えそれがトップの大企業でも、その半分以上が15年以内にその姿を消す。そもそも、アメリカの企業全体の平均寿命が15年なのである。そして、その場所がシリコンバレーになってくると、スタートアップ企業をはじめ、短いスパンで結果を求められるので、よりその生存率は下がる。 参考: 現代における大企業の平均寿命は15年 – 生き残り戦略としてのイノベーション 難易度Maxの状態からの船出 そして、もしそれが世界有数の激戦区にて、ビジネスを全く勉強した事のない人が、僅かな資本金で始めたとしたらどうなるだろうか? この会社の創設者にはビジネスのバックグラウンドがほとんど無く、サンフランシスコという強烈な街で大学卒業直後に$5,000の資金だけを頼りに会社をスタートした。 そう、これが僕がこの会社、btraxを始めた時の状況である。その後、外部からの投資を受けた事はない。ちなみに、The Ultimate Startup Failure Rate Reportによると、毎日123,300のビジネスがその姿を消しているという。 海が荒れているのに出航するのは単なるアホと言われたのに… 会社を始めようと思っていた頃にシリコンバレーで投資家をしている友人に相談した事があった。彼からのアドバイスは ”最高のコンディションだと思って船を出しても途中で遭難するのがビジネス。まして、海が荒れている状態なのに出航するのは単なるアホだよ” と。 至極当然なアドバイスだろう。シリコンバレーという地域では、世界有数の天才たちが多くの資金を元にしのぎを削っている。そんな場所で経営の事を全く知らず、僅かな資金だけでビジネスを始めれば99.9%の確率で秒殺される。 それでも初めて、続けてしまった。今振り返ってみても、なぜそんな事が出来たのか。大きな謎である。良いタイミングなので、その秘訣を自問自答してみたところ、生き残るために重要な1つのポイントが見えてきた。 自分たちにしかできない”ズルい”アドバンテージに着目 それは、会社を初めて数年後に、他の会社が簡単真似のしにくいユニークさ、言い換えると、ズルいアドベンテージに焦点を当てた事だと思っている。 恐らく日本の社会で生活していると意外と気付きにくい事なのであるが、実はビジネスの世界においては、どれだけユニークな存在になれるか、もっと言うと、”ズルい” やり方ができるかが、その会社の大きな武器となる。 ちなみに、英語ではこの武器の事を”アンフェア・アドバンテージ (Unfair Advantage) “と呼ぶ。 では、どのようなきっかけでそのズルさにたどり着いたかを振り返ってみたい。 当初はデザイン力だけで勝ち残るつもりだった 元々大学でデザインしか勉強してこなかった自分としては、せっかくデザイン会社を始めるのだから、デザイン力だけで世界と勝負したかった。 言い換えると、それ以外の部分を”売り”にするのは、いささか邪道な気がしていて、デザイン以外のバックグラウンドを活用する気は全くなかった。振り返ってみると、実はこの”こだわり”は非常に危険で、恐らくそのまま進んでいたら今頃会社は存在していないと思う。 参考: アメリカでWeb制作会社が存在出来ない5つの理由 先輩起業家の一言が視野を広げた 会社を始めてからしばらくした頃、漠然とした行き詰まりを感じ始めていた。優秀なデザイナーも揃い、ちゃんとしたオフィスも構えた。しかし、なかなか大きな規模の仕事を見つける事が出来ない。 その一方で、サンフランシスコにはIDEO、frogをはじめとした世界有数のデザイン会社がいくつかあり、彼らの存在がロールモデルとなっていた。 自分たちもどうにか一流のデザイン会社の仲間入りが出来ないか。そんな想いを先輩に話した。 それに対して彼は一言、”自分だったら競合が上がれない土俵で戦うけどな” と答えた。 そう、同じデザインという漠然としたフィールドで戦うと競争が激しすぎて、経営者としては賢くない。自分が最も優位に立てるフィールドを見つけるべきという事である。 デザイナーとしてのこだわりがデザイン会社を潰してしまう 世界最高のデザイン力でトップを目指す こんなビジョンを掲げるデザイン会社は少なくない。しかし、これは多くのデザイナーやデザイン会社が陥りやすいトラップでもある事に気付く事は難しい。 何を言いたいかというと、デザイン会社を経営するにあたり、デザインのクオリティー “だけ” で生き残るのは、無駄に難易度が高くなり、生存率が急激に下がってしまうという事。 自分たちのユニークさを見つける大切さ 質の高いデザインをする事に加えて、果たしてどんな事がbtraxにとってユニークな価値となるのだろうか?この問いを始めた時から「他にマネのしにくい事をする」という経営における1つの重要な指針が決まった。 ビジネスにおいて競合は少なければ少ないほど良いし、そもそも、ほぼいない状態を見つける事が出来れば、他と争う必要もなくなる。 結果的に、サンフランシスコという場所、日本のバックグラウンド、スタートアップのカルチャーや手法をデザインに掛け合わせる事で、現在のbtraxのユニークな遺伝子が定まっていった。そしてそれがのちに自分たちが持つズルさ=アンフェアアドバンテージになっていった。 ビジネスではズルさが最大の武器になる ズルいという言葉自体は、ネガティブな響きがあるかもしれない。しかし、それをビジネスで上手に活用すればユニークな長所にもなり得る。 もちろん法を犯したりすることや、人を傷つける事は許されないが、それ以外の部分では、自分たちが持つユニークなアドバンテージを最大限活用する事で、競合にはマネができにくい価値が提供できるようになる。 アメリカでは美徳とされるアンフェア・アドバンテージ こちらアメリカでは、通常何かを決める際にはそれが”フェア”であるかが重要視される。一方で、これが経営のフィールドになると、逆の論理が良しとされる事が多い。 例えばスタートアップのピッチにおける質疑の際に「君たちのアンフェア・アドバンテージは?」と聞かれているシーンをよく見かける。これは、そのチームが、自分たちにしか出来ないような”ずるい優位性”や”裏技”を持っているのか?という意味。 どれだけ素晴らしいサービスを作ったとしても、簡単に真似されたりする場合、その会社の競争優位性が下がってしまうため、何かしらマネのできないようなズルいアドバンテージを持ち合わせている必要がある。 シリコンバレーが評価するのは優秀よりユニークな人 なぜシリコンバレーの地域がここまで長い期間で世界から注目されているのか?恐らくその1つの理由は、この地域にしかいないようなユニークな人材が世界中から集まってくるからだろう。 世の中には、いわゆる優秀な人はいくらでもいるが、ユニークな人は少ない。そもそも少ないからユニークと定義されている。こと、会社の経営者となると、ジョブス然り、ザッカーバーグ然り、イーロン・マスク然り、彼らの武器はそのユニークさにある。 彼らは、他の人には持ち合わせていない視点や、強烈なファンベース、PayPalマフィアに代表される独自のネットワークを上手に活用する事で、マネのしづらいユニーク性を確保した。 そして、そのユニークさを活用して優秀なスタッフを束ねる事で、自分たちにしか持てないアンフェア・アドバンテージを作り出している。 ズルい作戦でのし上がった織田信長 実は日本でもこのズルい戦略で運命を切り開いた人がいる。織田信長はまだ弱小大名だった頃、拡大勢力の今川義元を奇襲攻撃で討ち取った。総勢2万5千の今川軍に対して織田軍は数千の規模。誰の目から見てもどちらが勝つかは明白だった。そんな完全状況でも織田信長が勝った。 どのようにして?今川の兵を散らせて、義元を横から奇襲するという、ズルい作戦を取ったらからである。でも、戦いの場ではそれもアリな戦略。その後信長は一気にその勢力を全国へと広げていった。これはビジネスという戦場でも同じ事が言える。 意外なところに転がっているアンフェア・アドバンテージ ちなみにこのアンフェア・アドバンテージは、決して難しい事である必要はなかったりもする。例えば、重要な人物へのコネを持っていたり、すでに多くのファンを抱えていたり、父親が大統領だったり、ルックスの良い社員を入れて営業成績を上げたり、などの方法がある。 また、シリコンバレーの多くのスタートアップはかなりの赤字を出しながらも成長を続ける。Uberだって、WeWorkだって、年間数千億円規模の赤字だったりする。これは、大規模な投資を受けているので、無理に日銭稼ぎに走る必要がない。そうなってくると、赤字でもなんでも、思いっきりユーザー獲得にぶっこむ事が可能になる。これもかなりのズルいアドバンテージである。 重要なのは、コネでも家柄でも、バックグラウンドでも、資金力でも、特殊能力でも、戦わなくてもすむこと。もしくは、”こいつにとは戦ってもしかたがない”と思わせる事。言い換えると、どれだけ”不戦勝”で勝っていけるかが生き残りのポイントとなってくる。 ズルいと言われる回数がバロメーターになる もしかしたら、このアンフェア = “ズルい”アドバンテージをどれだけ持てるかが、その会社の寿命や成長に深く関わってくるのではないかと思う。特に差別化が難しくなってきている現代においては、常にユニークであり続ける事が大きなアドバンテージになってくる。 そのためには、定期的に “これを他の人がやったらどうなるか?” や、 ”今やっていることは他の会社でも出来てしまうだろうか?” を考える。そして、もし少しでも戦いになりそうであれば、やり方やサービス自体をアップデートしていく。それも、自身が持つアンフェア・アドバンテージを最大活用して。 ビジネスや仕事ではどれだけ”アンフェア”なアドバンテージを見つけ、それを活用出来るかが勝負になる。そのバロメーターの1つが、周りの人たちにどれだけ「それ、ズルいよ」と言われるかだと思っている。 横並び主義の日本だと気付きづらい自分のアドバンテージ ここアメリカでは当たり前のズルさの活用が、日本の社会だと意外と気づきづらい。もしくはあまり良いとされてない事が多い。 人と違う事をする人をあまり評価しない風潮の日本の中では、無意識のうちに”フェア”な戦い方をしようとし、なぜか同じ領域でビジネスを展開しようとする会社が後を絶たない。 例えば、ガラケーが一般的だった時代は、日本の各メーカー、キャリアが似たり寄ったりの商品とサービスを提供していた。そんな頃、Appleは全く異なるタイプの携帯電話の開発に注力していた。自分たちのアンフェア・アドバンテージである、iTunesのインフラを最大活用して。 これもまた優れたものを作る前に、まずユニークな視点を重要視するシリコンバレー的な発想だと感じる。 逆にアンフェア・アドバンテージを見つけるないと、企業は競合他社との激しい競争に巻き込まれる。その結果として、長時間重労働を強いられる事になってしまう。 日本のバックグラウンドをアンフェア・アドバンテージにしたショー・コスギ 「君もPerfect Body」でお馴染みのケイン・コスギの父親であり、ハリウッドスターのショー・コスギは、生まれ育った日本で会得した空手の経験を活かした事で、他の俳優にはマネのできない忍者という役柄で大人気を集めた。 これが日本国内であれば、空手ができる人は多くいるし、忍者の役もそこまで特別ではない。しかし、その当時、ハリウッドで空手の動きを使って忍者役ができる人はわずかで、ショー・コスギは自身のアンフェア・アドバンテージを最大限活用したと言えるだろう。 それまでの彼は他の俳優と同じオーディションを受け、英語のハンデもあり、ことごとく落ちていたという。一時は生活にも困窮していたが、自分しかできない忍者というキャラクターを確立した事で大成功を収めた。 優秀である必要は無いが、ユニークである必要はある ダーウィンの進化論によると、最も強いものが生き残るのではなく、最も環境に順応した種族が生き残る。言い換えると「強い者」が残るのではなく、「適した者」が残るという事。 これは、ビジネスの世界でも同じで、モノが溢れ、テクノロジーが発達した現代においては、よりユニークな価値が出せる企業や人材が生き残るのではないかと感じてる。 そういった意味だと、平均値の中にいるよりも、アウトライヤー=ハズレ値である方が、よりサバイバル能力が高いのかもしれない。この概念は、以前の「世界を変えているのは頭の良い不良たちだ」で紹介されている概念にも通じるところがある気がする。 信頼できるスタッフを揃えてユニークなビジョンを語れ こうなってくると、起業家にとって重要な役割は、自分たちのアンフェア・アドバンテージを定め、優秀なスタッフを集め、ビジョンを語ることになってくる。 以前、長年経営コンサルティングを提供している、とあるメンターの方から下記のようなアドバイスを頂いた。 “私には君の会社の社長はできない。なぜなら私は優秀かもしれないが、君は唯一無二の存在であり、ビジョナリーであるからだ。お金儲けの事は信頼出来るスタッフに任せて、自分自身はひたすら自分たちが実現したいビジョンを叫び続けろ。” ちなみに、自分はまだまだこれが出来ていないので、今後の大きな課題でもある。 自己分析: btraxのアンフェア・アドバンテージ では、サンフランシスコという、世界でトップレベルにコストと競争が激しい街で生き残るためのbtraxのアンフェア・アドバンテージは何であるのか? これを機会に少し冷静に自己分析してみた。 1. ロケーション まずは、ロケーション的なアドバンテージ。もともとサンフランシスコでスタートした会社であり、その当時は現在ほど地価が高騰していなかったこともあり、2006年の時点より現在のオフィスビルに入居している。 ここはSOMAと呼ばれるスタートアップの中心地であり、これ以上ないぐらいの立地。もし今から借りようとしてもなかなか物件が見つかりにくいのではないかと思う。 […]

Youはなぜ面倒な起業家なんかに?

とある時にオフィスで学生バイトのエンジニアの男の子から聞かれた質問。
なぜわざわざ面倒な起業家になったんですか?
そう、今の時代、就職や起業なんてしなくても、フリーランスや、副業、パラレルキャリア、アフィリエイト、インフルエンサー、YouTuber、そしてUberドライバーまで、生きてく方法はいくらでもある。
主に個人で複数のプロジェクトを請け負っている彼からしてみると、毎日のように人やお金をはじめ、多くの課題に直面し、対応していかなければならない経営者という仕事は割りに合わないように感じたらしい。…

日本からグローバルなプロダクトが生まれにくい5つの理由

Webやモバイルアプリを中心に、現在世界で利用されてるサービスの中に”日本製”のものはほとんどない。GAFAを中心とした、アメリカ西海岸発のものや、BeautyPlusやTikTokなどの中国系のプロダクトが多い。
そして実は日本国内で多く使われているプロダクトも、世界的に見るとほとんど使われていないケースも少なくはないのである。
SNSを例にとってみよう。下記の表は、人気のSNSのリストであるが、日本国内シェア60%を超えているLINEでも、実は世界的に見るとそのシェアは2.8%にしか及ばず、他の…

現代のスタートアップチーム構成における6つの役割とは

現代のスタートアップにおいて、どのようなチーム編成を行うのが良いのだろうか?組織と業務プロセスがしっかりと形成されている大企業と比べて、スタートアップのチームはかなり特殊である。
全員が攻めに徹する完全ぶっこみ型カミカゼチーム
そもそも、スタートアップとは「新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを狙う事で一獲千金を狙う人々の一時的な集合体」である。急成長を達成するには、じっくりと組織を醸成する余裕はない。
特に立ち上げ時からしばらくは、いわゆる「仕組み」というものはほ…

紙のコーヒーカップが教えてくれる大切なこと

もしコーヒーを飲むのなら、紙コップが良いか?それとも陶器のカップの方が良いか?
最近であれば、スタバのようなお持ち帰り型のカフェが増えた事もあり、紙コップで飲む事に抵抗はあまりないだろう。
しかしこれが、これがVIPや重要な取引先などの、大切な相手をおもてなしする場合、やっぱり素敵なコーヒーカップでいただきたいと感じる。
とあるカンファレンスでのエピソード
以前にアメリカで開催されたとあるカンファレンスで、元国防副長官がゲストスピーカーとして呼ばれた。壇上に立った彼は、紙コップに入った小さなコーヒー…

2019年 注目の海外テック系イベント17選

2019年が始まり早くも1ヶ月が過ぎようとしている。例年、ビジネスやテクノロジーに関するカンファレンスイベントが世界各地で開催されるが、参加するイベントの計画を年始のこの時期に立てる読者も多いのではないだろうか。 各種イベントに参加することは、最新テクノロジーや各業界の動向に関する情報を得られるだけではなく、新たなネットワーク構築のきっかけ作りとしても非常に有効だ。 昨今、アメリカを中心に、ヨーロッパ、アジアでも見逃せないテック系の大型カンファレンスが数多く開催されることが決まっているので、今回はbtrax一押しのイベントをご紹介したい。(上から日付順に紹介) 1. SaaStr 日程: 2/5-7 ロケーション San Jose, California (Silicon Valley) 最も直近に開催が予定されているのが、SaaS (Software-as-a-Service) に焦点を当てたカンファレンスのSaaStrだ。このカンファレンスは例年1万人以上が参加し、今年はStripeやDropbox、Invisionなどの世界的に有名なSaaS企業のリーダー達が登壇を予定。SaaSの分野に限らずソフトウェア開発や組織経営に関わる人であれば、有益な情報、ネットワークを得られる機会なので、ぜひ参加をお勧めしたいカンファレンスだ。 2. Startup Grind Global Conference 日程: 2/12-13 ロケーション: Redwood City, California (Silicon Valley) 比較的見落とされがちだが見逃してほしくないのが世界の起業家コミュニティ形成を目的に開催されているStartup Grind Global Conferenceだ。2日間に亘り、投資家やテックコミュニティのリーダーと呼ばれる人々によるトークセッションやネットワーキングパーティが行われる。シリコンバレーや世界で成功するスタートアップやVC、投資家達との関係構築が期待できる場だ。 3. Funnel Hacking Live 日程: 2/19-23 ロケーション: Nashville, Tennessee オンラインマーケティングへの注目は年々高まっているが、より良いファネルを持つことは効果的なEコマース戦略を行う上で極めて重要だ。Funnel Hacking Live はその名の通り、良いファネルの作り方とその効果的な活用方法について焦点を当てたカンファレンス。オンラインマーケティングのエキスパート達による実践的なセミナーセッションが行われる。最新のオンラインマーケティング事情をグローバルな視点で学びたいマーケッターにとってはかなり有益なイベントとなるだろう。 4. Mobile World Congress 日程: 2/25-28 ロケーション: Barcelona, Spain スペイン・バルセロナで毎年開催されるMobile World Congressは、モバイルテクノロジーを中心に破壊的イノベーション、AI、コネクティビティ、デジタルウェルネス、デジタルトラストなどのテーマで各種トークセッションや製品体験会などが行われる。例年Cレベルの参加者が多く、昨年は7700人以上のCEOがイベントに参加した。今年はMicrosoftやVimeoのCEOをはじめ、世界でイノベーション創出に挑むリーダー達が登壇を予定。スペイン語圏での開催のため、参加企業やスピーカーも北米とは少し異なる傾向にある。これまで北米のカンファレンスにばかり参加してきた人にとっては新たな気づきを期待できるだろう。 5. Wisdom 2.0 日程: 3/1-3 ロケーション: San Francisco, California Wisdom 2.0はここまで紹介してきたような一般的なテック系カンファレンスでは忘れられがちな、人々の繋がりやウェルネスの分野に着目している。ビジネスにおける利益や成功を追求することに伴い、“人々の精神的な充足感や生活の質をどのように向上していくか”をテーマに置く。マインドフルネス講師やTwitterとMediumの創設者Ev WilliamsやGoogleのバイスプレシデントKaren Mayといったビジネス界のリーダーたちが一緒に議論する、世界的にもユニークなカンファレンスだ。 6. SXSW (South by Southwest) 日程: 3/8-17 ロケーション Texas 以前【SXSW2017レポート】キーワードは「社会問題解決型」注目の最新テクノロジー5選でも紹介しているが、SXSW (South by Southwest)は、例年アメリカのテキサス州オースティンで行われるテクノロジー、音楽、映像、ヒューマニティをテーマにした大規模イベントだ。80年代に音楽の祭典として始まった同イベントだが、VR/AR、ブロックチェーン、フードテック、医療テック、AIといったテクノロジーによるあらゆる分野での未来のあり方を探索するような内容になっている。 ビジネスやテクノロジー業界のみならず、政治やエンターテインメントなど各界の著名人たちもスピーカーとして参加するSXSWは新たなインスピレーションの習得やネットワークの構築に最適な場となるだろう。 7. Social Media Marketing World 日程: 3/20-22 ロケーション: San Diego, California Social Media Marketing Worldは、ソーシャルメディア戦略を実際に行う担当者にとってはまたとないネットワーキングと学びの場だ。Instagram、Youtube、Facebookなど、各プラットフォームに特化したエキスパートが詳細な活用方法を語るトークセッションや彼らと1対1で対話できる機会も用意されている。数あるマーケティング施策の中で特にソーシャルメディアに注力したいと考えている人にとっては見逃せないカンファレンスだ。 8. Crypto Invest Summit 日程: 4/9-10 ロケーション: Los Angeles, California […]

2019年 注目の海外テック系イベント17選

2019年が始まり早くも1ヶ月が過ぎようとしている。例年、ビジネスやテクノロジーに関するカンファレンスイベントが世界各地で開催されるが、参加するイベントの計画を年始のこの時期に立てる読者も多いのではないだろうか。 各種イベントに参加することは、最新テクノロジーや各業界の動向に関する情報を得られるだけではなく、新たなネットワーク構築のきっかけ作りとしても非常に有効だ。 昨今、アメリカを中心に、ヨーロッパ、アジアでも見逃せないテック系の大型カンファレンスが数多く開催されることが決まっているので、今回はbtrax一押しのイベントをご紹介したい。(上から日付順に紹介) 1. SaaStr 日程: 2/5-7 ロケーション San Jose, California (Silicon Valley) 最も直近に開催が予定されているのが、SaaS (Software-as-a-Service) に焦点を当てたカンファレンスのSaaStrだ。このカンファレンスは例年1万人以上が参加し、今年はStripeやDropbox、Invisionなどの世界的に有名なSaaS企業のリーダー達が登壇を予定。SaaSの分野に限らずソフトウェア開発や組織経営に関わる人であれば、有益な情報、ネットワークを得られる機会なので、ぜひ参加をお勧めしたいカンファレンスだ。 2. Startup Grind Global Conference 日程: 2/12-13 ロケーション: Redwood City, California (Silicon Valley) 比較的見落とされがちだが見逃してほしくないのが世界の起業家コミュニティ形成を目的に開催されているStartup Grind Global Conferenceだ。2日間に亘り、投資家やテックコミュニティのリーダーと呼ばれる人々によるトークセッションやネットワーキングパーティが行われる。シリコンバレーや世界で成功するスタートアップやVC、投資家達との関係構築が期待できる場だ。 3. Funnel Hacking Live 日程: 2/19-23 ロケーション: Nashville, Tennessee オンラインマーケティングへの注目は年々高まっているが、より良いファネルを持つことは効果的なEコマース戦略を行う上で極めて重要だ。Funnel Hacking Live はその名の通り、良いファネルの作り方とその効果的な活用方法について焦点を当てたカンファレンス。オンラインマーケティングのエキスパート達による実践的なセミナーセッションが行われる。最新のオンラインマーケティング事情をグローバルな視点で学びたいマーケッターにとってはかなり有益なイベントとなるだろう。 4. Mobile World Congress 日程: 2/25-28 ロケーション: Barcelona, Spain スペイン・バルセロナで毎年開催されるMobile World Congressは、モバイルテクノロジーを中心に破壊的イノベーション、AI、コネクティビティ、デジタルウェルネス、デジタルトラストなどのテーマで各種トークセッションや製品体験会などが行われる。例年Cレベルの参加者が多く、昨年は7700人以上のCEOがイベントに参加した。今年はMicrosoftやVimeoのCEOをはじめ、世界でイノベーション創出に挑むリーダー達が登壇を予定。スペイン語圏での開催のため、参加企業やスピーカーも北米とは少し異なる傾向にある。これまで北米のカンファレンスにばかり参加してきた人にとっては新たな気づきを期待できるだろう。 5. Wisdom 2.0 日程: 3/1-3 ロケーション: San Francisco, California Wisdom 2.0はここまで紹介してきたような一般的なテック系カンファレンスでは忘れられがちな、人々の繋がりやウェルネスの分野に着目している。ビジネスにおける利益や成功を追求することに伴い、“人々の精神的な充足感や生活の質をどのように向上していくか”をテーマに置く。マインドフルネス講師やTwitterとMediumの創設者Ev WilliamsやGoogleのバイスプレシデントKaren Mayといったビジネス界のリーダーたちが一緒に議論する、世界的にもユニークなカンファレンスだ。 6. SXSW (South by Southwest) 日程: 3/8-17 ロケーション Texas 以前【SXSW2017レポート】キーワードは「社会問題解決型」注目の最新テクノロジー5選でも紹介しているが、SXSW (South by Southwest)は、例年アメリカのテキサス州オースティンで行われるテクノロジー、音楽、映像、ヒューマニティをテーマにした大規模イベントだ。80年代に音楽の祭典として始まった同イベントだが、VR/AR、ブロックチェーン、フードテック、医療テック、AIといったテクノロジーによるあらゆる分野での未来のあり方を探索するような内容になっている。 ビジネスやテクノロジー業界のみならず、政治やエンターテインメントなど各界の著名人たちもスピーカーとして参加するSXSWは新たなインスピレーションの習得やネットワークの構築に最適な場となるだろう。 7. Social Media Marketing World 日程: 3/20-22 ロケーション: San Diego, California Social Media Marketing Worldは、ソーシャルメディア戦略を実際に行う担当者にとってはまたとないネットワーキングと学びの場だ。Instagram、Youtube、Facebookなど、各プラットフォームに特化したエキスパートが詳細な活用方法を語るトークセッションや彼らと1対1で対話できる機会も用意されている。数あるマーケティング施策の中で特にソーシャルメディアに注力したいと考えている人にとっては見逃せないカンファレンスだ。 8. Crypto Invest Summit 日程: 4/9-10 ロケーション: Los Angeles, California […]

2018年はイーロン・マスクにとって地獄のような一年だった

今から一年ほど前の2017年中頃にイーロン・マスクは下記のようなツイートをしていた。 If you buy a ticket to hell, it isn’t fair to blame hell … — Elon Musk (@elonmusk) July 30, 2017 日本語にするのであれば、 「みずから地獄行きのチケットを買ったのであれば、それに対して文句を言うべきではない」 と言う感じ。起業家になるって決めたのであれば、地獄をくぐり抜ける覚悟をしろ、といったところだろうか。 そして、翌年の2018年は、彼にとってまさに地獄とも言える一年になった。数々の困難が降りかかり、それをくぐり抜けていく様子は、下手なハリウッド映画よりもエキサイティング。 しかし、恐らく本人にとってはとても辛く苦しい道のりであった道のりであっただろう。もしくは、こんな困難も冷静に乗り越えられるぐらいに、稀代のアイアンマン起業家はタフなのかもしれない。 同じ起業家として、そしてシリコンバレーのイノベーターとして、最も尊敬する一人でもある彼の2018年の出来事を振り返ってみたい。 数々の困難に直面したイーロン・マスクの2018年 では、2018年だけで彼はどれほどのチャレンジを経験しているのかを紹介する。壮絶に見えるが、これらはたった1年間だけでの出来事である。 2月: バッテリー関係の問題が生じ、Model 3のリリースが (再度) 遅れる 2017年の7月に発表したTeslaの最新モデルであるModel 3は、当初年内のデリバリーを予定していた。しかし、何度となく生産が遅れ、今年の2月には、バッテリーモジュールの開発に関する致命的な問題が見つかり、またも遅れが生じた。 それに対して、事前に予約していたユーザーからは「また遅れてるのかよ!」といった辛辣なツイートを受けている。 Holy cow! Pushed back again, @Tesla?!? pic.twitter.com/g7yN8OViHe — Zach Honig (@ZachHonig) February 8, 2018 4月: Model 3が生産目標に追いつかず工場で寝泊りをする日々が続く Model 3の生産に関しての遅れを取り戻し、生産目標に追いつくために一時は元Appleで働いていたスタッフを主任に抜擢するが、状況は改善されなかった。事態を深刻に見たイーロン・マスクは、その原因を過剰な自動化と説明。 About a year ago, I asked Doug to manage both engineering & production. He agreed that Tesla needed eng & prod better aligned, so we don’t design cars that are crazy hard to build. Right now, tho, better to divide & conquer, so I’m back to sleeping at factory. Car biz is hell […]

アメリカ西海岸のCEO達に学ぶ4つのワークスタイル

社内コミュニケーションツールやタスク管理ツール等テクノロジーの発達で「いつでも、どこでも、誰とでも働ける時代」になっている。一方、今まで以上に仕事とうまく向き合わないと四六時中仕事のプレッシャーやストレスに晒されてしまう時代でもある。自己管理をどのように行うか、その能力は今まで以上に求められていると言えるだろう。
今回はそんなテクノロジー化が進む社会の中で、自分流で仕事と向き合う方法を紹介する。アメリカ西海岸のCEO達の事例を中心に彼らがどのようなルールを持って自身の仕事と私生活を保っているか見てい…

人生を何に捧げるべきかを見つける方法

日常生活の中でどのように自分が好きなこと、やりたいことを見つけることができるのか?「やりたい事が見つからない本当の理由 – そして見つけるための4つの方法」ではそんな多くの人々が感じる疑問に対して、下記の4つの方法で情熱とモチベーションを見つける方法を説明している。
やりたい事を見つける4つの方法

やっていて楽しいことをやる (What)
なぜやるかにフォーカスする (Why)
どうやるかにこだわる (How)
誰のためにやるかを考えてみる (Who)

では、これが「人生…

イノベーションが生まれ続けるサンフランシスコの生活とは

皆さんはサンフランシスコに住む人々の生活を明確に描けるだろうか?どのように生活し、どのように仕事しているか、想像できるだろうか。今回は、我々サンフランシスコで働く人の生活の中に浸透しているテクノロジーを、衣食住(仕事)という切り口で紹介し、サンフランシスコがイノベーションを生み出し続ける街である所以をお伝えしたいと思う。

衣:便利なだけではないオンラインファッションブランドの魅力
食:オンラインサービスを使った方がより便利でお得という価値が確実に広まりつつある
住(働く):サンフラン…

やりたい事が見つからない本当の理由 – そして見つけるための4つの方法

どうしたら好きなことが見つかりますか?
これまでの経験上、起業を目指している人や、これからの進路を考えている学生に聞かれる質問で一番多いのがおそらくこれだろう。自分自身の場合、子供の頃からの物作りに対する興味と、大学生時代に強烈に好きになった「デザイン」という世界を知ることができたため、そこまで悩む必要がなかった。

それもそのはずで、高校生になる頃には自分が興味のない事を学ぶことに対してエネルギーを注ぐ事を諦めてしまったから。それ故日本の大学に入ることは出来なかったが…。

関連: 文系…

スタートアップのアイディアを考える際の意外な落とし穴

ここサンフランシスコでは、常に新たなスタートアップやユニコーン企業が生み出されているのは今や言わずと知れた事実になってきている。日本でも耳にすることの多い、UberやAirbnb、Pinterest、Slackなどは、まさにサンフランシスコを代表するユニコーン企業である。最近でも世界の常識を覆すようなサービスがスタートアップ企業から次から次に生まれている。

参考: サンフランシスコの主なユニコーン企と評価額 (2018年現在)

Uber: $68b (約7兆円)
Airbnb: $…

福岡スタートアッププログラムに学ぶ起業家に必要な4つの基本事項

素晴らしいビジネスアイデアがあっても、「起業など自分にできるのか」と自信が持てなかったり、「そもそも何をしたらいいのかわからない」とそのエネルギーを持て余したりしている人は多いのではないだろうか。リスクを恐れる風潮が根強い日本ではその傾向が尚更強いように感じる。

しかし日本にもスタートアップが次々と生まれている地がある。福岡だ。外国人のためのスタートアップビザの発行や、東アジアや欧州のスタートアップ支援機関との提携など、日本のなかでもスタートアップ誘致を積極的に進めている代表的な都市である。

やりたいことが見つからない人にセルフ鎖国のススメ

「自分の本当にやりたいことが見つからない」おそらく今まで相談された中で最も多い質問。相手が起業家であれば、「このビジネスモデル、グローバルで通用すると思いますか?」というのも多い。

実はこの二つの質問に共通する第一のアドバイスとしては「とことん自分と向き合うこと」

結構意外かもしれないが、何をするべきかに迷ったときは、外からの情報を遮断して自分との対話をする必要がある。あまりにも多くの情報が縦横無尽に手に入ってしまう現代においては、自分の人生にとって価値よりもノイズになるものの方が多いよ…