世界のプロが注目するジョージア発ブランド4選 最高評価は「シチュエーショニスト」

 10月31〜11月4日にジョージアの首都トビリシで「メルセデス・ベンツ・ファッション・ウイーク・トビリシ(MERCEDES-BENZ FASHION WEEK TBILISI)」が開催された。今季は2015年にスタートしてから10シーズン目の節目を迎えた。資源が少ないことや国自体の経済的な問題から生地や縫製の質にはやや難はあるが、独自の美意識から生まれる創造性は多くの人を魅了していた。世界中から来場した約100人の招待者の中から、複数のバイヤーとプレスに注目ブランドについて聞いた。

SITUATIONIST
「抜きん出た独自性」と絶賛

 数シーズン前にショールームのトゥモロー(TOMORROW)と契約した「シチュエーショニスト(SITUATIONIST)」と「マテリアル(MATERIAL)」は、世界中にアカウント数を一気に増やして消化率も好調のようだ。特に「シチュエーショニスト」は、今季インターナショナルゲストから最も高い評価を得た。イタリア版「ヴォーグ(VOGUE)」の編集者リカルド・テルツォ(Riccardo Terzo)は「トビリシで最も良質なブランド」と称した。「ジョージアの歴史と遺産を、完璧にウエアラブルな衣服に転換できる唯一のブランドだ。1990年代の『ヘルムート ラング(HELMUT LANG)』っぽいミニマルなアプローチと、くすんだカーキやサンドといった色彩も毎シーズン非常に効果的である。アクセサリーやスタイリングが十分ではないが、今季も一番クールなコレクションだった」とコメントした。

 柴田麻衣子リステア(RESTIR)クリエイティブ・ディレクターも同ブランドに高評価をつけた。「デザインから生産までを全てジョージアで行っていることが本当にすごいと感心したし、第三国の商品には見えないほど品質も高い。(資源が少なく選択肢が限られていることから)ジョージア発ブランドの世界観は似通ってしまうものだが、『シチュエーショニスト』は抜きん出て独自性が明確だ」と説明した。日本ではカシヤマ ダイカンヤマ(KASHIYAMA DAIKANYAMA)で販売するほか、伊勢丹での取り扱いも決まっているという。

TAMRA
高いセンスは評価されるも品質が課題

 スケートカルチャーがベースのストリートウエア「タムラ(TAMRA)」は2シーズンぶりにショーを行った。ホテル「スタンバ(Stamba)」のインダストリアルな雰囲気の地下スペースを会場に、回転する丸いボードの上に順にモデルが乗るといった突飛な演出だ。解体した古着の布を使った衣服と、ワークウエアやジャケット、スキーウエアなどを無作為に組み合わせたルックがコレクションを飾った。筆者にとっては今季最も印象に残ったショーで、中国版「エル(ELLE)」やポーランド版「ヴォーグ」などプレスからは注目を集めた。柴田氏に感想を求めると「演出や音楽、キャスティングがほかと違うアプローチでセンスが良い。『タムラ』に限らずほかのブランドも、トビリシという独特の雰囲気の中で見ると、まるで魔法がかかったのように素敵に映ることがある。しかし、商品を店頭に並べただけだと高円寺っぽい古着感も否めない。冷静になって考えると、買い付けにまでは至れないケースが多々ある」とバイヤーらしい視点を述べた。

BABUKHADIA
時代感を捉えた品の良いモノ作り

 「タムラ」とは全く異なる毛色ながら、筆者の印象に残っているのは「バブカディア(BABUKHADIA)」だ。ショーで見たルックからは、新生「ボッテガ ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」をほうふつとさせる、エレガントで程よく肩の力が抜けた都会的な女性像が浮かんだ。凝ったディテールや洗練された雰囲気、レザーと刺しゅうの上質さは格別。パリのコンセプトストア、トム グレイハウンド(TOM GREYHOUND)のバイヤーを務めるエカテリーナ・グラズノヴァ(Ekaterina Glazunova)も気に入った様子で、実際にショールームでサンプルを試着しながら細部をチェックしていた。「イタリア産の上質なレザーと絶妙なニュアンスカラーが美しい。ボタンやベルトの付け替えによって、シェイプやデザインを何通りにも変えることが出来るディテールも気に入った」とかなりの高評価だったが、オーダーまでには至らなかったという。「価格帯が高過ぎた。コートで約20万円だと、『ジル サンダー(JIL SANDER)』『ロエベ(LOEWE)』『マルニ(MARNI)』と同じフロアに陳列することになる。たとえ品質が高くても、顧客は知名度の高いブランドと比較して『バブカディア』に手を伸ばすことは少ないだろう。トビリシを過去数シーズン訪れて素敵なブランドをいくつか見つけたが、高い価格帯が買い付けへのネックになっている。マーケティングを強化し、税金や配送料も考慮した上で価格帯を見直すべき」と語った。

INGROKVA
メンズ誌編集長が目をつけた注目株

 世界中から訪れた招待客はウィメンズ担当のプレスやバイヤーが多い中で、メンズ雑誌「ファッキン ヤング(Fucking Young)」の編集長アドリアーノ・バティスタ(Adoriano Batista)はメンズブランドに注目。彼が評価したのは「シチュエーショニスト」と「インゴロヴァ(INGROKVA)」だ。ウィメンズブランドとしてスタートした「インゴロヴァ」は、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)やレディ・ガガ(Lady Gaga)といった著名人が着用したことでメディアでの露出が増え、19-20年秋冬からはドーバー ストリート マーケット ロンドン(DOVER STREET MARKET LONDON)で取り扱いが始まった勢いのあるブランドである。今季のショーではメンズモデルを起用し、ユニセックスとしてのイメージを打ち出した。バティスタは「将来的にメンズラインを展開していく場合、今季提示したルックはとても良い出発点となるだろう。潜在的な可能性を感じた」と述べた。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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ジェネレーションギャップさく裂! “SNS世代”特集を担当した若手と先輩の座談会

 「WWDジャパン」12月2日号は“SNS世代”特集と題し、好きなデザイナーから服に使う金額、環境問題の意識まで、服飾専門学校生のファッション観に迫った。では、SNS世代の実情を知った編集部はどんな感想を抱いたのか?意識のギャップはあったのか?リアルな反応を記録するため、若手記者2人と先輩記者による座談会を実施した。

【座談会参加者】
大塚千践:「WWDジャパン」ニュースデスク。37歳男性。特集全体を統括した。中高生時代の勝負服は「20471120」のピタピタジーンズや「コージ クガ(KOJI KUGA)」のシューズなどで初デートの女性にドン引きされた経験あり。雑誌「ゲット オン(GET ON!)」(学研)や「スマート(SMART)」(宝島社)でファッションを学んだ。

美濃島匡:入社2年目の「WWDジャパン」記者。24歳男性。特集で動画クリエイター、ケミオの取材とアンケート調査を担当した。学生時代は「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」に傾倒。今気になるブランドは「ピーター ドゥ(PETOR DO)」とモード系に憧れる反面、ケミオに真っ先に2ショットを依頼するなどミーハーな一面も。

等々力稜:入社2年目、編集制作部所属。25歳男性。今号の表紙撮影を担当し、写真家の新田桂一氏やスタッフを仕切るという大役をやりとげた。好きなデザイナーは阿部千登勢、好きなブランドも「サカイ(SACAI)」。

座談会スタート!

大塚:アンケートを担当した美濃島くんは、調査結果を見てどう思った?

美濃島:1カ月に服に使う金額が意外と低いと感じました。「3万円以上」が2~3割にのぼると予想していましたが、実際は1割のみ。代わりに「5000〜1万5000円」が約半数でした。服飾専門学校生でもあまりお金は使わないんですね。

等々力:専門学校生はバイトの時間が限られているから妥当じゃない?僕は学生時代に毎月3万~5万円くらい使っていたけど、かなり少数派でした。大塚さんはどれくらい使っていましたか?

大塚:僕が20歳前後だったときはエディ・スリマン(Hedi Slimane)による「ディオール オム(DIOR HOMME)」が全盛期。ランチを我慢して服代10万円近く使っていました。自己表現のツールがファッションしかなかったから、投資が集中していたんだよね。

美濃島:僕らはカッコつけるとき、インスタグラムで旅行の写真を上げたり、 自分の部屋をおしゃれに彩って投稿したりと、服以外でもアピールしますよ。

等々力:実際に会う時間よりSNSでやりとりする時間の方が長いから、“SNSを制するものがモテを制する”といっても過言じゃないよね。僕は食べ物を頻繁に投稿するから、イケてるレストランを必死になって探してる。毎日食べログとにらめっこです(笑)。

大塚:僕は学生時代にカップ麺しか食べてなかったから、今じゃ絶対モテないね(笑)。特集で取り上げた「フーフー(FOU FOU)」の高坂マール・デザイナーも話していたけど、「SNSが浸透したことで衣食住全てが自己表現の対象になり、お金の使い道が増えた」。その結果、相対的に服に使う金額が減ったんだね。

美濃島:でも広い意味でのファッション熱は、決して冷めていません。むしろSNSによって服に気を使う人はずっと増えたと思います。

SPA人気の立役者は「ポパイ」?
 D2Cブランドは
作り手自身の“強烈な個性”が必須

大塚:インスタグラムが「好きなメディア・雑誌」部門1位にランクインしているけど、2人もよく使う?

等々力:めちゃくちゃ見ます。新しいブランドは基本インスタで発見するし、コレクションもチェックします。でも中高生のころは「メンズノンノ(MEN’S NON-NO)」(集英社)がおしゃれの教科書でした。

美濃島:僕が服にハマったきっかけも「メンズノンノ」だった。服に無頓着な僕を見かねた母親が、「コレを読んで少しは勉強しなさい!」と買って来たんです(笑)。あとはリニューアル後の「ポパイ(POPEYE)」にも影響を受けたかな。オックスフォードのシャツに太いチノパンから白ソックスのチラ見せ。何の変哲もないアメトラなのかもしれないけど、デザイナーズばかり見ていた僕たちにとってはすごく衝撃でした。

大塚:僕は少し上の世代がアメトラを着ていたから、それほど新鮮味はなかったな。でも、そのスタイルがもっと若い世代で大流行するんだから、ファッションってやっぱり面白いね。SPAブランドの人気が拡大したのは、ベーシックアイテムをおしゃれに着る「ポパイ」発のシティボーイ像が支持されたのが一因かも。アンケートではD2Cブランドについても質問したけど、2人は利用してる?

等々力:よく使っています。作り手のこだわりが詰まっているのに、とにかく買いやすい。ECがメイン販路なのも便利ですね。少量しか受注していないので人気ブランドは売り切ればかりですが、その特別感が購買意欲を高めるのかもしれません。

大塚:僕らの世代はECに抵抗を覚える人が未だにいる。D2Cのビジネスが成り立つのは、SNS世代のおかげだよね。ベーシックなD2Cブランドってどこも同じように見えてしまいがちだけど、SNS世代はどうやって区別してるの?

等々力:ブランドそのものより、作り手の姿勢に共感できるかどうかで選んでいます。デザイナーの個性が強く、好きな世界観が確立されているから、細かなクリエイションに差が出るんです。

美濃島:「フーフー」の高坂デザイナーもすごくキャラが立っていました。普通を売りにするD2Cブランドが生き残るには、作り手の強い個性がにじみ出るもの作りが必要かもしれません。

実はそこまで高くない? 
SNS世代の環境意識

大塚:僕の学生時代はモノに溢れていて、環境問題には全く関心がなかった。でも今回のアンケートの結果は「関心がある」と答えた人が4割以上。時代の変化を強く感じました。

美濃島:サステナビリティへの意識があるのは当然です。小学生のときから「地球がヤバイ」と口すっぱく言われて来ましたからね。でも、環境のために自分の欲しいものを我慢するかと言われるとそうではない。優先順位は意外とまだ低いかも。

等々力:同感です。サステナビリティがある種のムーブメントのように見えるから、表面的に感じてしまうんですよね。アンケートで「関心がある」と答えた人も同じで、あくまで“関心がある”レベルなんじゃないかな。

大塚:メディアの取り上げ方がそれを助長しているかも。古着のリメイクや自然由来の染料などは昔から存在したのに、最近になって「サステナブルだ!」と言いたいがために誘導するような質問をする取材現場も何度か見ました。これではサステナビリティの取り組みが表面的に見えてしまうのも無理はないよね。自戒も込めて。SNS世代が環境問題を自分ゴト化するきっかけはなんだと思う?

等々力:SNS世代はどんな情報でも簡単にアクセスできる環境が当たり前で育ってきたから、信念のない表面的なものは意外と冷静に見てると思いますよ。逆に言えば、本物は全力で応援する。

美濃島:サステナビリティを真剣に考える同世代のデザイナーが現れたら、意識が変わるかもしれません。上から言われるよりもずっと説得力があるし、「自分もやらなきゃ」という気持ちになりそうです。

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「リステア」創業者の高下氏が語る、創業から辞任までの舞台裏

 「平成に最も輝いたラグジュアリー・セレクトショップ」といえば「リステア(RESTIR)」、ということに当時を知る業界関係者なら誰もが異論はないだろう。そのリステアを率いた高下浩明氏が4月28日付で社長を辞め、会社にも別れを告げた。2015年4月28日にトゥモローランドが筆頭株主になってからちょうど4年の月日がたっていた。来年の再始動を前に、当時のリステアが輝いていた理由や目指していたビジネスモデル、今後の展望などを聞いた。

―なぜ創業したリステアを辞めたのか?

高下浩明(以下、高下):平成に入る直前に始めたビジネスだったので、31年経ち、平成が終わるタイミングで辞めることを決めた。

高下氏は1987年に婦人服専門店「ルシェルブルー」を神戸でスタート。1990年代にセレクトショップにオリジナル商品をミックスしたセレクトSPA型にシフトすることで一気に業容を拡大した。そうした中、2000年にスタートした、大型セレクトショップ事業が「リステア」だった。第1号店は神戸だった。

―当時なぜ大型のセレクトショップを?

高下:ファッションを中心に世界中から新しいものを集めてお客さまを感動させたい!という思いがあった。

翌年の01年に銀座に路面店を出店すると、欧米のラグジュアリーブランドとの取引きが本格化。05年には社名をリステアに変更した。グッチ(GUCCI)グループ(現ケリング)とバレンシアガ・ジャパン(BALENCIAGA JAPAN)を設立したり、ゴールドマンサックスと合弁会社も設立するなど、ラグジュアリーを起点に事業の多角化を推し進めた。

07年3月、東京ミッドタウンに2フロア1000平方メートルの旗艦店をオープン。立ち上げ時に「シャネル(CHANEL)」のポップアップストアを仕掛け、一大センセーションを巻き起こした。今は「イセタンサローネ」になっている場所だ。

―「シャネル」との取り組みの背景は?

高下:「シャネル」との取り組みは1本のメールから始まった。注目を浴びる商業施設のオープニングなので、一緒に面白いことを仕掛けませんかと、自分からメールを送った。そこからジャパン社のリシャール・コラス(Richard Collasse)社長(当時)と意気投合し、パリ本国も大いに乗り気になってくれた。

 当時、銀座や表参道にはラグジュアリーブランドの旗艦店がたくさんあったが、六本木には六本木ヒルズにいくつか出店している他はほぼ空白地だった。しかも、渋谷・新宿・東京・品川といった東京の大ターミナル駅のどこからも同じくらいの距離感で、いわゆる東京の真ん中にあるのが六本木だった。そこに「リステア」はラグジュアリーブランドを集積し、いわゆるセレブが買い物できる空間を創った。こうした鋭い嗅覚は高下氏ならではのものだ。

ー「リステア」は黒を基調とした内装で、VIPルームでは女優やスポーツ選手、アーティストなどのセレブがくつろいだり、盛り上がっていたりしたのが懐かしいですね。

高下:お客さまが目立ないよう暗い店にして、あえて普通の人が入りづらくした。そのビジョンが時代のニーズと合致した。当時のお客さまは、入店してわずか10分で「ここからここまで」みたいなラック買いをされたり、一度に1000万円以上買われるお客さまもいらっしゃって。店やイベントに相当お金をかけたのだけど、お客さまも喜ばれて。「シャネル」の後も、フェラーリやランボルギーニ、アウディのローンチパーティなど、一緒にプロモーションを手伝った。その度にセレブもメディアも集まってくれて。リステアの顧客に価値があった。そしてブランドの方々は、そのお客さまとつながりたいという思いがあった。そこをうまくつなげるのがリステアでありわれわれのビジネスの重要なポイントだった。

―「お客さまを選ぶ」というのは、アンディ・ウォーホルやセレブが集った、ニューヨークの伝説的クラブ「スタジオ54」のようだ。

高下:そう、「リステア」はまさに「スタジオ54」がコンセプトだった。「シャネル」との取り組みは米国の「WWD-NY」にも取り上げられたことで、海外のラグジュアリーブランドの見方も変わっていった。バブルだったのかもしれないが、店も事業も本当に好調だった。ピーク時はミッドタウンの1店舗だけで20億円ぐらい売り上げがあった。ただ僕の考えではセレクトショップの究極的なゴールは、バレンシアガジャパンのように、海外ブランドの日本法人を設立して、日本ビジネス、さらにはアジアの窓口となることだった。だから「リステア」は儲けることよりも、その窓口的なショールームであり、楽しんで興奮してもらう場所であることが大切だった。当時はひたすら、「赤字を出せ」「売れるものを仕入れるな」「エッジの利いたものを買え」「タグの値段は見るな」「ブランドのジャパン社になろう」と言い続けていた。バイヤーは本当に楽しかったと思う。あのままうまくいけばよかったが、すべて08年のリーマン・ショックで計画がストップしてしまった。ちょうどリステアをホールディング会社化し、これから子会社が伸びていくというタイミングで、とんでもなく大きな事件だった。

―リーマン・ショックによって高額品を含めて消費が一気に冷え込んでしまった?

高下:それ以上に、ゴールドマンサックスとのジョイントベンチャーが痛かった。設立したリステアインベストメントを通じて不動産ビジネスに参入しようと資金も調達していた。初めて話すが、実はミッドタウンのリステアを芝浦に移転させようと計画していた。お客さまの多くは車かタクシーで来られるので、都心のど真ん中の家賃が高い場所にお店がある必然性がなかった。土地が安い場所に店を移し、人を呼び、“平成のゴールド(昭和に人気だったディスコ)”にしようと考えていた。ゴールドマンサックスからはトータルで18億円出資してもらい、金融機関からも数百億円調達して、土地を買い、開発したり、余った土地は売却して利益を再投資しようとプランニングしていた。けれども、6人いたゴールドマンサックスのリステア担当者が1週間でみんな解雇され、担当者もいなくなってしまって。合弁会社をどう解消するのか、弁護士を交えて相当揉めた。その後2年間ぐらいは本当に大変だった。契約書に地雷が埋め込まれていたり、個人宛にも内容証明が来たり。ゴールドマンサックス関連の借金は30億円に膨らんでいて、8つの銀行から借りてなんとか返済できた。バレンシアガジャパンはグッチグループが好意的に収めてくれて提携を解消した。けれども、その最中の11年の東日本大震災で今度は銀行から返済の督促が始まった。

―ミッドタウンからの移転は?

高下:違約金や原状復帰で3億円ぐらいかかるため、出ていくことも新たに攻めることもできなかった。結局、13年に婦人服専門店のスタニングルアー社を瀧定大阪に売却、その資金で借金を返済するとともに、14年にはミッドタウンを出て、篠山紀信さんのスタジオ跡地に店を移転することができた。

―トゥモローランドに傘下入りした理由は?

高下:借金は返せたが、売上高25億円、営業利益率25%という稼ぎ頭のスタニングルアーを失い、翌年には収益が真っ赤っかになってしまった。自力では間に合わないと、佐々木啓之会長率いるトゥモローランドに第三者割当増資をしてもらった上、自分の株も買い取ってもらった。同じセレクト業態で、欧米ブランドと提携してブランドビジネスもしていたし、ニューヨークに出店するなど、グローバル企業になろうとしていたタイミングだった。われわれが持っている海外ブランドのネットワークが生かせる点や、カルチャーが大きく異なる点などを評価してもらえてのことだった。

―なぜ、辞任することに?

高下:残念ながら1年ほどで方針が変わってしまった。提携していたブランドと次々と契約を終了したり、デザイナーズブランドの取り扱いを大幅に減らしてオリジナルに集中したり。対話もできなくなってしまった。ちょうどロックアップ期間が終わり、平成も終わるタイミングで、辞任することを決めた。でも、佐々木さんには感謝しています。

―リーマン・ショックの影響がこんなにも大きかったとは…。リステアをこれからも担っていくスタッフたちへのメッセージは?

高下:株式公開を目指していたので、リーマン・ショックがなかったら、リステアもまったく違う形になっていたと思う。銀行出身で投資会社を手がけていた吉川(稔・現東邦レオ社長)さんに副社長を務めてもらったのも上場を見越してのことだった。好きな子たちに好きなことをさせ、それをどうディレクションするかが自分の腕の見せ所で。けったいな人間ばかりで、本当に面白い店だった。残ったスタッフたちには、「長いものに巻かれず、がんばれ!」と伝えたい。

―では、次のビジネスの構想は?

高下:今は完全に“空中戦”の時代。スタンスはいままでと変わらず、けれども、従来型のビジネスを全否定しながら、今の時代に合わせた、どことも敵対しないECとリアル店舗を手がけたい。ECは移動中や、くつろいでいるとき、寝る前など、気楽にスマホを見ながら簡単に買い物ができるものにしたい。最近、「卸したい店がない」と困っているブランドも多いと聞く。アパレルの比率は10%に満たないかもしれないが、“ファッション”を軸にしながら、メディア型のストアを創りたい。リアル店舗にはそもそもレジがあってはダメ。「その場で販売しない」カッコイイ店にしたい。退店ラッシュで都心にも空き物件が増えているし、東京オリンピック後にはさらに賃料も下がりそう。商業施設もネタ不足で新しいコンテンツには興味を持ってもらいやすい。良い場所に良い物件を探すにはチャンスだ。青山あたりに話題性の高い旗艦店が作れれば。面白い仲間やブランドやクリエイターと令和の時代に新しい挑戦をしたい。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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渋谷パルコに蜷川実花やテセウス・チャンら全10組が共演するグループ展 「AKIRA」のアートウォールに続く第2弾

 先日オープンした渋谷パルコは、「AKIRA」のアートウォールに続く第2弾として国内外のアーティストが共演するグループ展「ワンダーラスト(WANDERLUST)」を4階のパルコ ミュージアム トウキョウ(PARCO MUSEUM TOKYO)で12月20日から1月6日まで開催する。

 同展は、“旅行熱・旅立ちへの衝動・放浪癖”などの意味を持つ「ワンダーラスト」をタイトルに、“未来を恐れずに新たなスタートを切る”というメッセージが込められている。

 参加アーティストは、写真家・映画監督の蜷川実花、アートディレクターのテセウス・チャン(Theseus Chan)、アートディレクターの井上嗣也、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナー、「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)」の山縣良和デザイナー、さまざまなデザインを行うデザイン集団の「グルービジョンズ(GROOVISIONS)」、写真家のヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)、アーティストの田名網敬一、アーティストの日比野克彦、イラストレーターの山口はるみの10組となる。今後、さらに追加される予定だ。

 パルコ ミュージアム トウキョウは、今後も旬のアーティストの展示を定期的に行う予定だ。現在開催中の第1弾、漫画家・映画監督の大友克洋とコラージュアーティストの河村康輔による共同作品「AKIRA ART OF WALL Katsuhiro Otomo × Kosuke Kawamura AKIRA ART EXHIBITION」は12月16日まで開催している。

■パルコ ミュージアム トウキョウvol.2「WANDERLUST」
日程:12月20〜1月6日まで
会場:パルコ ミュージアム トウキョウ(渋谷パルコ 4階)
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1
時間:10:00〜21:00
料金:一般 500円、学生 300円(小学生以下無料)

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Tシャツを1枚購入すると「ディーゼル」のマンションが無料に 史上最高額のTシャツを販売

 「ディーゼル(DIESEL)」は、不動産グループのベル インベストと協業して、米・マイアミのウィンウッドにブランド初のインテリア付きマンションを設立した。

 マンション設立を記念して、“マンションTシャツ-史上最高額のTシャツ(The Condo T-shirts The Most Expensive T-Shirts Ever)”を製作した。ウィンウッドのマンション143戸のいずれかを正面から描いたグラフィックがそれぞれのTシャツにプリントされている(全143型)。例えば、Tシャツ“D6-L7”の価格は104万ドル(約1億1400万円)、Tシャツ“F2-L7”の価格は550万ドル(約5億9800万円)となり、「ディーゼル」史上最高額のTシャツとなる。また、これらのTシャツを1枚購入すると、「ディーゼル」のマンションを無料で手に入れることができる。

 マンションは、2014年に米で開発されたWELL認証を取得しており、プール、ジム、瞑想室、会議室、アートギャラリーゾーンを備えるほか、開放的なオープンスペースのロビーや「ディーゼル」が手掛けた中庭などを用意した。

 インテリアデザインのプロジェクトは、「ディーゼル リビング(DIESEL LIVING)」の世界観を反映して製作した。設計はジスコビッチ アーキテクツ(Zyschovich Architects)、開発はベル インベストが手掛けた。

 「ディーゼル リビング」は、アンドレア・ロッソ(Andrea Rosso)=「ディーゼル」ライセンシング・クリエイティブ・ディレクター率いるクリエイティブチームが手掛けているホームコレクションラインだ。アートや音楽からインスピレーションを受けた遊び心あふれるデザインで、個性的なアイテムをそろえる。

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美のミシュラン?! 都内82人の美容師を選出しランク付け「カミカリスマ ヘアサロンガイド」誕生

 レストランなどの評価を星の数で表すフランスの「ミシュランガイド」をまねた「カミカリスマ ヘアサロンガイド(KAMI CHARISMA Hair Salon Guide)」が12月11日に発売される。都内の美容師をカット部門とメンズ部門で星1つから3つで評価し、さらにパーマ、カラー、トリートメント&スパ部門でサロンを選出して紹介するというもの。紙面では星をはさみマークで表現する。発売を前に3日にはガイドブックに登場する美容師と美容室を表彰する「カミカリスマ(KAMI CHARISMA) 2020 東京 アワード」が開催された。

 インバウンドの訪日理由として「日本の美容室体験」が上位に挙がるほど日本の美容は注目度が高く、日本が誇るコンテンツとして、世界一の技術を有すると言っても過言ではない美容文化を発信するため、観光コンサルティングを手掛けるCB(シービー)が中心となってカミカリスマ実行委員会を立ち上げ同アワードを設立、ガイドブックを制作した。厚生労働省、国土交通省観光庁、日本政府観光局(JNTO)が後援し、実行委員会会長は麻生太郎副総理兼財務大臣、第92代内閣総理大臣が務める。

 第1回は両部門で82人の美容師が選出され、カット部門は朝日光輝(SUNVALLEY)、岡村享央(MINX 銀座店)、川島文夫(PEEK-A-BOO 青山)、川畑タケル(BEAUTRIUM 七里ヶ浜)、中村章浩(ABBEY2)、宮村浩紀(AFLOAT/XELHA)、メンズ部門は高木琢也(OCEAN TOKYO)の7人が3つ星を獲得した。

 ほかにもパーマ部門、カラー部門、トリートメント&スパ部門には店舗単位で33のヘアサロンが選出された。

 審査は国内外の文化人・美容関係者などの専門家チームによる覆面調査・専門調査によって、①技術力、②デザイン性、③世界への発信力、④スター性、⑤今をつかむ表現力、⑥店舗・接客力、⑦売り上げ力の7項目で審査を行い選出した。店舗ごとではなくあえて美容師個人を選出することにより、さらなる技術力の向上と競争強化を狙い、海外への発信力を高める。

 ガイドブックはニューヨークやロサンゼルス、台北、プノンペンなど9つの国と地域でも販売する。さらに2020年2月には、同ガイドブックに掲載された美容師を予約できるサイトも開設予定だ。

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スノーピークが京都・嵐山に体験型複合施設を20年春にオープン

 スノーピークは2020年春に新たな体験型複合施設「スノーピーク京都嵐山」を京都・嵐山にオープンする(京都府京都市右京区嵯峨天龍寺今堀町)。デザインは、空間デザイナーの森井良幸が手掛けた。

 コンセプトは“自然とともに呼吸する家”。広々とした庭園を持つ古民家をリノベーションし、日本の色彩感や素材感を生かした空間に仕上げた。敷地面積は1166平方メートル。ストアやカフェ、宿泊施設をそろえ、庭園ではキャンプイベントなどを開催する。カフェでは、地域の素材を生かしたメニューを検討している。また、嵐山の豊かな自然資源や、地域に根付いた製品の企画開発を通じてインバウンド需要だけでなく、日本人にとっても新たな体験価値を提案していく。

 同社は「観光客のみならず、地域の住人にとっても日本の豊かな文化や自然を感じられる憩いの場所を目指す」としている。

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産んだタマゴを温める エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月31日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

産んだタマゴを温める

 前回の「エディターズ レター」でご紹介した松坂屋静岡店からは配信当日、メールを頂戴しました。また、その前に募集した「『WWDジャパン』のコンテンツをコンテクスト化してくれる男性ビジネスパーソン」という“緩募”にも当日、ITのプロから連絡を頂戴し、本日から連載がスタートします(わ〜い)!!手掛けるメディアに格納したコンテンツを広めるという、「コミュニケーション・デザイン」が少しずつ機能しているようでウキウキしちゃう今日この頃です。

 ECを特集した「WWDジャパン」の7月29日号も、コンテンツについてはな〜んにも力になれませんでしたが(苦笑)、「コミュニケーション・デザイン」には思いを馳せました。日進月歩の業界はニュースだらけ。ゆえに業界自体はマニアックにもなりつつあり、僕のような門外漢には、その世界をチラリと覗くことさえ腰が重くなりがちです。業界同様、EC特集自体の敷居も高くなっており、2年ほど前からは「さぁ、読むぞ!気合いだ×3〜!!」とアニマル浜口並みの決意でページを開いておりました。「有益な情報ばかりなのに、読まれないなんてモッタイナイ!!」。そう思って、特集担当チームには「『お悩み解決』みたいな体裁なら読めそう」「事前に読者が知りたいことを募ってほしい。案外、みんなが“当たり前”と思っている最初の一歩でつまずいている」「イベントは、紙面でお悩みを解決してくれた人に直接会える機会がいい」と勝手にリクエスト(笑)。結果、有益なコンテンツを、極力ハードルを感じさせず、SNSから紙面、オフラインにいたるまで一気通貫で届けられている気がします。社内に刷り上がりが届いた当日、担当記者以外の多くが「あ、ちょっと話題になってたEC特集だ。今回の紙面は、読みやすそう」と興味を持ってくれたのが、担当記者の努力の証だと思います。

 取材してアウトプットする。この仕事は、大昔から変わっていません。けれど、それをどう発信・拡散すべきか?については、新たな挑戦が求められる時代になりました。もはや発信・拡散力なきコンテンツは、埋もれるだけ。結果、無価値です。産んだタマゴを温める力が、タマゴを産む行為同様、重要です。

 ただ社内でそれに気づき、アクションできている記者が多いかと言われれば、正直、そんなことはありません。読者からのリアクションが薄いと、むしろ問題は発信・拡散なのにコンテンツに不備があると反省してしまい、以降前進が止まってしまう人もいます。彼らの背中を押すには、何をすれば良いのでしょう?マネージャーとしての悩みは最近、「良い記事を書いてもらう」から「良いコンテンツを広める」にシフトし始めました。

 同じ悩み、業界人の多くが抱えている気がします。モノは悪くないのに、売り方がマズい。伝え方においては、努力さえできていない。なのにモノを疑い、結果ますますこじれていく。そんな状況を避けるには、今、どこで何につまずいているのか、客観的に振り返る作業が必要ですね。

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産んだタマゴを温める エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月31日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

産んだタマゴを温める

 前回の「エディターズ レター」でご紹介した松坂屋静岡店からは配信当日、メールを頂戴しました。また、その前に募集した「『WWDジャパン』のコンテンツをコンテクスト化してくれる男性ビジネスパーソン」という“緩募”にも当日、ITのプロから連絡を頂戴し、本日から連載がスタートします(わ〜い)!!手掛けるメディアに格納したコンテンツを広めるという、「コミュニケーション・デザイン」が少しずつ機能しているようでウキウキしちゃう今日この頃です。

 ECを特集した「WWDジャパン」の7月29日号も、コンテンツについてはな〜んにも力になれませんでしたが(苦笑)、「コミュニケーション・デザイン」には思いを馳せました。日進月歩の業界はニュースだらけ。ゆえに業界自体はマニアックにもなりつつあり、僕のような門外漢には、その世界をチラリと覗くことさえ腰が重くなりがちです。業界同様、EC特集自体の敷居も高くなっており、2年ほど前からは「さぁ、読むぞ!気合いだ×3〜!!」とアニマル浜口並みの決意でページを開いておりました。「有益な情報ばかりなのに、読まれないなんてモッタイナイ!!」。そう思って、特集担当チームには「『お悩み解決』みたいな体裁なら読めそう」「事前に読者が知りたいことを募ってほしい。案外、みんなが“当たり前”と思っている最初の一歩でつまずいている」「イベントは、紙面でお悩みを解決してくれた人に直接会える機会がいい」と勝手にリクエスト(笑)。結果、有益なコンテンツを、極力ハードルを感じさせず、SNSから紙面、オフラインにいたるまで一気通貫で届けられている気がします。社内に刷り上がりが届いた当日、担当記者以外の多くが「あ、ちょっと話題になってたEC特集だ。今回の紙面は、読みやすそう」と興味を持ってくれたのが、担当記者の努力の証だと思います。

 取材してアウトプットする。この仕事は、大昔から変わっていません。けれど、それをどう発信・拡散すべきか?については、新たな挑戦が求められる時代になりました。もはや発信・拡散力なきコンテンツは、埋もれるだけ。結果、無価値です。産んだタマゴを温める力が、タマゴを産む行為同様、重要です。

 ただ社内でそれに気づき、アクションできている記者が多いかと言われれば、正直、そんなことはありません。読者からのリアクションが薄いと、むしろ問題は発信・拡散なのにコンテンツに不備があると反省してしまい、以降前進が止まってしまう人もいます。彼らの背中を押すには、何をすれば良いのでしょう?マネージャーとしての悩みは最近、「良い記事を書いてもらう」から「良いコンテンツを広める」にシフトし始めました。

 同じ悩み、業界人の多くが抱えている気がします。モノは悪くないのに、売り方がマズい。伝え方においては、努力さえできていない。なのにモノを疑い、結果ますますこじれていく。そんな状況を避けるには、今、どこで何につまずいているのか、客観的に振り返る作業が必要ですね。

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@tokyoart_event 展示会&アートイベントbot

【4月9日まで|スヌーピーミュージアム】 第2回展覧会 史上最大のスヌーピー展「もういちど、はじめましてスヌーピー。」 誕生秘話から、約50年間大きな変遷を遂げていく様子を、原画約80点と映像で紹介 詳しくはこちら→

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みんなの疑問に弁護士がスッキリ回答 ファッション業界にまつわる法律相談~番外編~

 「WWDジャパン」12月9日号ではみんなの疑問・不安に4人の弁護士がスッキリ回答 業界にまつわる18の法律相談」と題したファッションロー特集です。ファッション業界から集めた50以上の疑問やお悩みを、ファッションビジネスに精通した弁護士4人が分かりやすく回答しました。

 本記事では、“よくある質問”と、紙面で紹介しきれなかったそのほかの質問を一挙に公開します。

【“よくある質問”編】

Q:トレンドを追うと、どうしても他ブランドと類似してしまうことがあります。模倣品と呼ばれないためには何ヵ所変えればセーフ?

海老澤美幸・弁護士(以下、海老澤):「〇カ所変えればセーフ」が都市伝説です!

ちまたでは「〇カ所変えればセーフ」というルールが出回っているようですが、都市伝説です!海外でも「5カ所」とか「7カ所」とか言われているという話を聞きますが、何の根拠もありません。模倣品かどうかの判断は、「その服の最も特徴のある部分がどの程度似ているか」ということがポイントなので、それ以外の部分を3カ所変えても5カ所変えても意味がない可能性もあります。

Q:SNSが炎上してしまったらどうしたらいい?

小松隼也・弁護士(以下、小松):PRと法務がタッグを組んで対応にあたるべし。

内容にもよりますが、最近は法的に問題がなくても炎上してしまうケースの方が多い印象です。法務担当者としては、なるべく自社に法的な責任がないなら認めたり謝罪したりしたくないものですが、「法律違反ではないからうちは悪くありません」というリリースを発表しても消費者を納得させられないどころか火に油を注ぐ事態に発展しかねません。たとえ裁判になって企業側が勝ったとしても、それまでに消費者に与えたマイナスイメージを回復するのは難しいので、結果としてブランドがダメージを負います。

だからこそPRや法律家、法務が一丸となってリリースの文言を一言一句検討するなどPR戦略を考えることで企業がダメージを負わないように事態を収束させることが重要です。このように専門家同士が協力してチームを組む方法は海外では浸透していますが、日本で実践できているところはわずかなのでもっと広がってほしいですね。法律論だけを企業に伝えても、担当者がそれをうまく咀嚼して成果物を作成できないと意味がないので、一緒に対応方法を検討することが大事だなと感じています。

【紙面で紹介できなかったその他の質問】

Q:ウェブサイトのキャプチャーや、セレブのSNSをキャプチャーして使用するのはNG?

池村聡・弁護士(以下、池村):トリミングには要注意!

“引用”という整理で使用できる場合もあるでしょう。その場合は出典の明記が必須です。SNSの場合は最低でもアカウント名は明記しましょう。
また、キャプチャーの問題で最近気を付けた方がよいのはトリミングの問題です。2018年に、画像付きのツイートをツイッターのリツイート機能を使用してリツイートしたところ、画像の上下がトリミングされて表示されたことに対して、その画像を撮影したフォトグラファーが無断で画像を改変されたから著作権侵害だと主張し、裁判所がその主張を認めるという衝撃的な判決がありました(リツイート事件)。この判決に対しては、本当にそれでいいのかという議論が起きていて著作権業界はざわついているんですよね。

これは極端な例ですが、写真を“引用”する際に、中心だけ切り取るとか、特定の人物だけを切り取るとか、そういうのはアウト(著作権侵害)ですので、改変をしないよう注意が必要ですね。

Q:転売禁止のファミリーセールで買った商品が転売されていた。防止策はある?

関真也・弁護士(以下、関):チケット転売事件を参考に転売防止策を検討しましょう。

この場合は真正品なので、B品や端材のように商標権侵害で対応するのは難しいです。なぜなら真正品をいったん売ると、その物に対する知的財産権は“消尽した”ため、これ以上行使できないという原則があるためです。

ここで参考になるのは、チケット転売が詐欺事件になったケースです。この場合は、チケットを購入する際に「転売の意思はありません」という項目に了承しないと購入手続きに進めないようになっていましたが、転売するつもりだったのにそれを隠して了承し、いわば騙して自分に販売させたため詐欺事件として立件されました。どこまで真剣に対応するか次第ですが、ファミリーセールなども転売防止のために同じ対策をとることは可能です。

Q:知り合いのタレントにイベント来場を直接依頼した。お車代を渡したり衣装提供したりする場合、闇営業に該当する?

海老澤:マネジメントを介すことでトラブル回避につながります。

最終的にはそのタレントさんと事務所が交わしている契約の内容によります。もし契約的に問題がある場合、タレントさんと事務所の間で無用なトラブルが発生するリスクがあるため、必ずマネジメントを通してやり取りすることをオススメします。

Q:ギフティングの法的注意点は?

小松:賃金は現物支給できないことに注意しましょう。

ギャラとして金銭を支払った上でギフティングするのは問題ありません。ですが、ギフティングのみでインフルエンサーに仕事をさせることは注意が必要です。ニューヨークでは15年ごろからギフティングだけでインフルエンサーに仕事をさせてはいけないという業界ルールができました。ギフティングが欲しいからという理由だけで仕事を受けてしまう若いインフルエンサーが続出して、最低賃金や労務環境の観点から問題となりました。

インターンの問題と近いものがありますね。ファッションブランドがインターンと称して若者に倉庫管理やタグ付け、PRの仕事を無償でやらせていたことが大問題になって、ブランド側が裁判で負けるケースが続きました。

日本ではインターンの問題はそれほどないですが、ギフティングをボーナスとするのはありか、という質問は多いですね。現物支給のみはダメです。

Q:「数量限定アイテム」と謳う場合、実際の数量は公開義務がある?

関:あります。悪質な場合は企業名を公表される場合も。

景品表示法の5条3号で「おとり広告に関する表示」というのが指定されていて、供給量が著しく限定されているにもかかわらずその限定の内容が明瞭に記載されていない広告は景表法違反です。悪質な場合は、企業名を公表されたり、措置命令を受けたりすることがあります。

実際には多くの人が購入できない数量しか用意していないのに魅力的な文言を使って消費者を呼び寄せようとするのがいけないことなので、その文言につられて来店するであろう消費者全員に対応できる購買数量の半数にも満たない数量に絞っている場合は、具体的な数量の明示が必要です。

Q:歴史上の人物をデザインとして使っても問題ない?

池村:海外では死者のパブリシティー権が認められているのでトラブルになる恐れも。

①第三者が描いた歴史上の人物の写真やイラストを使う場合と、②歴史上の人物を新たにイラスト化して使用する場合で考え方が異なります。前者の場合、既存の写真なりイラストなりを使うので、歴史上の人物自体の権利の問題以前に、写真等の著作権者の許可が通常必要です。

他方、例えば、「聖徳太子のイラストを自分で描いてTシャツにプリントをする」ということであれば、聖徳太子のことだけ考えればいいですよね。有名芸能人やスポーツ選手の肖像にはパブリシティー権という権利がありますので、無断でTシャツにプリントしたらNGですが、聖徳太子ほど昔の人になるとパブリシティー権はなく、TシャツにプリントしてもOKという結論になります。

“歴史上の人物”の法的な定義はないので線引きが難しいですが、没後、まだそんなに年月が経過していない著名人の場合は、無断で肖像をデザインとして使うと遺族や財団からクレームが来るケースもあるので注意が必要ですし、特に、アメリカの一部の州などでは死者のパブリシティー権が認められているので、著名外国人の場合、きちんと権利処理をして使用しないとトラブルになりがちです。

なお、日本では死者のパブリシティー権が認められるかどうかは見解が分かれていますが、芸能プロダクションなどは、権利が認められるんだという前提の下で主張をしてくる場合があり、最終的に裁判でどう判断されるかは別として、クレームリスクはついて回ります。

Q:デッドコピー商品のタグを見ると製造は中国で行われているようだ。どう追求していくべき?

関:国内から対応するなら警察や税関と連携を!

中国製と書いてはあるけど具体的にどこが製造しているか分からないという状況ですね。その場合は、中国の弁護士や知り合いの流通経路を使って情報収集するというのが一つ目の手段です。それ以外で日本国内から取れる法的な手段は2つあります。一つは刑事事件にして警察に調べてもらい、流通経路を割り出してもらう方法です。もう一つは、税関に協力してもらう方法です。

知的財産権侵害の物品が海外から日本に入ってくると、必ず税関が内容を確認します。その際に侵害品の場合は「こういう物が出てきたんですけど、御社のニセモノじゃないですか」と連絡してくれますし、通関書類などから流通経路や生産者が分かる場合は情報を提供してくれます。そういった情報を蓄積しておくと、中国での流通経路の解明に役立つと思います。そのために、積極的に輸入差止申立てをするなどして、税関との良好な協力関係を築くことが大切です。

 

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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スカパラメンバーが「ジンズ」を掛けて新曲MVに登場 「ローリングストーン ジャパン」が企画

 アイウエアの「ジンズ(JINS)」は、“ジンズ クラシック(JINS CLASSIC)”シリーズと、今年デビュー30周年を迎えた東京スカパラダイスオーケストラの新曲「ハンマーヘッド(HAMMERHEAD)」とのコラボレーションを雑誌「ローリングストーン ジャパン」との企画で行った。メンバー全員が“ジンズ クラシック”を掛けて登場する同曲のスペシャルミュージックビデオが制作され、“ジンズ クラシック”の特設サイトで公開中だ。

 「ハンマーヘッド」は11月20日に発売された新作アルバム「ツギハギカラフル」に収録されている曲。モノトーンのスーツに合う“ジンズ クラシック”を、メンバーがそれぞれセレクトして撮影した。迫力のある演奏シーンに加え、楽曲のタイトルでもある、目が特徴的なハンマーヘッド(シュモクザメ)のアニメーションから三輪車で必死に逃げるシーンや、メンバーが何かにおびえるシーンなどがコミカルに描かれている。撮影後、「ローリングストーン ジャパン」のインタビューで、NARGOは「顔の全てにストレスがかからないので、ずっと掛けていられて、とても気に入りました」と語っている。

「ハンマーヘッド」のミュージックビデオ

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私のサステナビリティ ドーメル・ジャポン会長「サステナブルであることこそがエレガント」

 サステナビリティとは“持続可能性”と日本語に置き換えられていますが、難しく考え、背伸びしてハードルの高いことをしようとすると、表層的なものになってしまうと思います。日々の生活の中で、私たちの住んでいるこの地球に感謝する気持ちを忘れずに、そして次の世代に良い環境でバトンタッチすることが、サステナビリティを個人的に実践する上で大事なことだと私は考えています。

 私が日々心掛けていることは、極めて単純なことです。食事をする時に「いただきます」の精神を忘れずに残さず食べる。食べきれない時には可能な限りお店の人に頼んで持ち帰るようにしています。買い物をする時には、本当に必要なものかを購入前によく考える。プラスチックの使用を避け、紙パックとペットボトルがあったら、紙パックを選びます。お味噌も量り売りの浅草の味噌屋「万久」で購入しています。自ら意識して選択したことで、ブレンドして自分好みの味噌を作る、という新しい発見にもつながりました。買ったものはエコバッグにいれて持ち帰ります。サステナビリティを個人的に実践する中で楽しみを見つけていくことで、“特別なこと”ではなくなり、自分のライフスタイルの中に自然に入り込んでいきました。

 ドーメル本社のオフィスではペットボトルでの飲料を禁止し、食事用ナプキンとハンドタオルの支給をしています。ドーメル・ジャポンも本社にならう予定です。また、ドーメルでは毎シーズンの生地サンプルをショールームに展示していますが、シーズンが終わったら保管されるだけだったので、生地でエコバッグを作り、11月に開催した展示会にいらっしゃったお客さまとスタッフに配りました。

 ドーメル青山店では、ダウンジャケットのドゥミ・メジュール(カスタムオーダー)を開始しました。オーダーなので無駄がなく、ダウンにリサイクルの「グリーンダウン」を採用しています。リサイクルダウンを製品に使用するだけでなく、プロジェクトに協力するために羽毛布団の回収もお店で受けたまわっています。

 ファッションの世界では毎日サステナビリティという言葉が目から耳から入ってきます。ファッションは環境を汚染している大きな産業の一つであることを認識しなければいけないと思いますし、単なるトレンドであってはいけないと思います。現代のファッションでは、サステナブルであることこそがエレガントなのです。そのマインド無くしてエレガントではありえないと思っています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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ロードサイドの新勢力!年間20店舗を出店する「韓丼」とは?

 郊外やロードサイドを中心に、今や40店舗(2019年11月末現在)。「カルビ丼」550 円、「スン豆腐」650円の2大看板で人気の京都発「カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼」。経営母体は1987年創業、「焼肉やる気」など、焼肉業態を軸に店舗展開する株式会社やる気(京都市伏見区)。2018年は13店舗、2019年は一気に20店舗(11月末現在)と、破竹の勢いで出店を続けている。
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西武池袋本店に30メートルのグラフィティーアートが出現 4人のアーティストがクリスマスをテーマに

 そごう・西武はクリスマスプロモーションの一環として、西武池袋本店の外壁に4人のアーティストによるグラフィティーアートを出現させた。期間は12月25日まで。

 明治通り沿いの30メートルの外壁は、日本のグラフィティーシーンのパイオニアとして知られるsnipe1が手掛けた。そのほかヨーロッパを拠点に活動するアーティストユニットのソーセン&ミナ ハマダ(ZOSEN & Mina Hamada)、KOMESENNIN9、FATEがそれぞれの個性を生かしたアートワークを施した。

 店内の階段や入り口にもアーティストらのアイコンをちりばめたほか、地下1階のスペースではグラフィティーアートを連想させるスプレー缶を用いたオブジェを設置した。さらに、西武池袋駅地下コンコースには、各アーティストが描いたクリスマスポスターを飾っている。

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