「WWD JAPAN.com」読者が注目した2019年スニーカーベスト30

 「WWD JAPAN.com」読者のアクセス数が多かった2019年のスニーカーをランキング形式でお届け。昨年のランキングでは「ナイキ(NIKE)」が圧倒的勝利を収めたが、今年はその牙城を崩すべく「プラダ(PRADA)」と「アディダス(ADIDAS)」の“スーパースター”が第1位に輝いた。しかし、総合結果ではやはり「ナイキ」がダントツで、まだまだその勢いは止まらないようだ。そのほか「ナイキ」と「サカイ(SACAI)」のコラボや、「オーラリー(AURALEE)」と「ニューバランス(NEW BALANCE)」をはじめとしたコラボスニーカーがランキングの大半を占めた。今年の上位30位にランクインしたスニーカーはこれだ!

【1〜10位】

【11〜20位】

【21〜30位】

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「ハミルトン」が“キャリバー 11” 誕生50周年アニバーサリーモデル発売 世界限定1972本

 「ハミルトン(HAMILTON)」は、世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントでブームを巻き起こした“キャリバー 11”の誕生50周年を記念して、アニバーサリーモデル“クロノマチック 50”を世界限定1972本で発売した。1972本は、“クロノマチック 50”のベースに採用した1960〜70年代の「ハミルトン」の名作モデル“クロノマチック E”を発売した72年にちなんだもの。現在、「ハミルトン」公式サイトで予約注文が可能だ。価格は30万1000円。

 “クロノマチック 50”は、48mm径のビンテージ風のステンレススチールケースを採用して製作。6時位置にデイト表示、3時と9時位置にはクロノグラフカウンター、レッドカラーのクロノグラフプッシュボタンを右側に配したほか、標準持続時間は60時間に伸長した。

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バーニーズには恩がある エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

バーニーズには恩がある

 少しセンチメンタルなコラムになりますが20年前、「WWDジャパン」編集部に入った私が最初に連載を担当させていただいたのが、伊勢丹を退社したばかりの故・藤巻幸大氏でした。右も左も分からぬ小娘が6年間、毎月原稿を“取り立て”させていただいた過去にただただ恐縮するばかりですが、元祖カリスマバイヤーたる藤巻氏がカリスマバイヤーとして活躍できた所以は、伊勢丹からバーニーズ ジャパンに出向していたとき、本国のバーニーズチームと協業する中でファッションビジネスの真髄を体得した経験があるからに間違いありません。

 その藤巻氏と同じタイミング、バーニーズ ジャパン立ち上げ時に伊勢丹から出向して社長を務めたのが、元グッチ ジャパン社長でマイケル・コース ジャパンの社長も務めた田代俊明氏ですし、有賀昌男エルメスジャポン社長や小田切賢太郎バーバリー・ジャパン社長も当時のメンバーです。このほかにも現在ファーストリテイリングでデザイナーとの協業を取り仕切る勝田幸宏グループ執行役員もバーニーズ ジャパン出身者です。1号店である新宿店のストアデザインはピーター・マリノ(Peter Marino)でした!

 本国バーニーズのメンバーは本気で日本のメンバーを“教育”していたと思いますし、日本のメンバーもそれを受け止め、自らの糧にするだけの若く柔軟な強者ぞろいでした。 上に挙げたのは私が知る限りでもごく一部であり、まだまだ直接的/間接的にバーニーズの恩恵を受けたと感じている人はこの業界内に多数といるはずです。

 藤巻氏が伊勢丹に戻って立ち上げた自主編集売り場「リ・スタイル」をはじめ、今はなくなっていますが、新人デザイナーのインキュベーション企画「解放区」やオリジナルブランド「BPQC」も“ファッションの伊勢丹”をイメージ付けるのに一役買っただけでなく、優秀な人材が輩出するのに大いに貢献しました。また、「(日本またはアメリカの)バーニーズが最初に買い付けてくれた」ことで世に出ることができたブランドも世界中に多々あることでしょう。それだけ影響力が大きかったのです、バーニーズ ニューヨーク。

 かく言う私も藤巻氏とその後田代氏の連載を担当し、さまざまなエピソードをうかがったことでファッションビジネスの奥深さを知ることができたと思っています。

 その源泉たる米バーニーズ ニューヨークが存続の危機というのは、たとえジャパン社に直接影響がないにしてもやはりなんとも言えず残念です。本当に。

 時代を超えて輝き続けるのは至難の業。しかもすでに1度破たんしているし。それでもやはりバーニーズの再起を願わずにはいられません。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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自然とのつながりや伝統的な手仕事を感じる 「ステラ マッカートニー」2020年春夏バッグ&シューズ

 ブランド史上最高にサステナブルなコレクションになったという「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」の2020年春夏コレクションは、「循環性」という意味合いもある「サーキュラー(Circular)」がキーワード。それにちなみ、円形モチーフをウエアだけでなく、バッグやシューズにも多く取り入れた。

 バッグは、太鼓のような形や半円型、植木鉢型など、丸みを生かしたデザインが印象的。ストラップには、ロゴや柄を織り込んだ太いテープベルトのようなパーツを合わせた。また、新作のクロシェ編みのバッグなど編みを駆使したアイテムは、昔ながらの手仕事を生かした工芸的なディテールがカギとなった春夏トレンドにもマッチしている。素材は、黒や茶、オフホワイト、オレンジ、柔らかなピンク、ニュアンスのあるブルーといった色合いの人工レザーに加え、これまではクオリティーを担保するのが困難なため生産が難しかったというラフィアを積極的に採用。新型モデルに用いたほか、アイコンの“ファラベラ”も大胆にフリンジを配した編み込みデザインでアップデートした。ラフィアのバッグは、マダガスカルの女性職人たちが現地で調達された素材を使い製作している。

 シューズは、フラットソールやローヒール、もしくは厚底で提案。中でも目を引くのは、丸いアイレットとロープのような太いシューレースを配したローヒールの編み上げブーツサンダルだ。スポーティーなサンダルやエスパドリーユサンダルは、バッグのストラップ同様のロゴ入りテープがポイントに。スニーカーは、スケルトンのアッパーやボリュームのあるソールなどを用いたモデルから、クラシックなバスケットボールシューズまでをラインアップ。ウエアにも見られたステラ自身が撮影したという花畑の写真プリントは、スニーカーやサンダルにも落とし込んだ。さらに、木製のミッドソールとシャークソールを合わせた定番の厚底シューズ“エリス”には、アッパーにラフィアの編み込みを生かしたスタイルが登場した。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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@tokyoart_event 展示会&アートイベントbot

【1月15日まで|国立西洋美術館】 クラーナハ展―500年後の誘惑 画家の芸術の全貌を、当時のドイツの思想や文化、社会や政治の状況などと併せて読み解き、さらには彼の死後、近現代におけるその影響まで。 詳細はこちら→

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時代を映し出す口紅、2019年は多様性に合わせバリエーション豊かなカラー

 2019年もまもなく終わります。春には「シャネル(CHANEL)」が、秋には「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」や「ジバンシイ(GIVENCHY)」から新作の口紅が登場し、「ナーズ(NARS)と「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」は既存アイテムが進化するなど、今年もメイクアップの主役は口紅で、多くの注目を集めました。カラーは、赤茶色、バーガンディーが中心ながらもバラエティー豊かなカラーバリエーションが特徴でした。多様性が取り上げられる時代の潮流をも感じる、今年の口紅。各ブランドが今年発売した口紅の人気カラーとともに今年を振り返ります。

「シャネル」はブランドの
アイコン、口紅にCOCOを冠した
新作

 今年は2つの新ルージュを発表した「シャネル」。とりわけ印象深いのは、春のパワフルなビジュアルとともにデビューした「ルージュ ココ フラッシュ」。「自由に色遊びを楽しむことができ、私に似合う!と思えるカラーを絶対に見つけて頂けるよう、カラーバリエーション豊富なラインアップとなっています」と関菜美子シャネル デジタルPR & ソーシャルメディア コーディネーターが述べる通り、ヌード、オレンジ、ローズウッド、ピンク、インテンス ピンク、レッド、プラム、ダークトーンなど魅力溢れるカラーがそろった。「ルージュはブランドにとってのアイコンです。アイコニックなケース、全ての女性のニーズを満たす豊富なテクスチャーとシェード。女性一人一人の個性と魅力を最大限に引き出します」という。

「ジバンシイ」からメークアップのキーと考える口紅に、
3つの“絶対口紅”が誕生

 唇のpHによって変化する口紅など、これまで革新的なアイテムを発表し続ける「ジバンシイ」。今年8月発売の“ルージュ·ジバンシイ”シリーズは、“絶対口紅”をうたい文句に絶対的な美を宿す力を口紅に担わせ、「ルージュ·ジバンシイ」「ルージュ·ジバンシイ·ベルベット」「ルージュ·ジバンシイ·ノワール」の3種、それぞれ6色を展開した。「服を着替えて自分のイメージを変えるように、口紅の仕上がり、ケースにも、バリエーションをそろえました。また、色についてはむやみに多く展開せず、ブランドにリンクする色――3種類のリップから厳選した各6色をラインアップしました」と佐藤香恵パルファム·ジバンシイ PRマネージャー。加えて、「永遠のテーマ、エレガンス・強さ・大胆・官能。そのDNAを継承しながら現代的に昇華させたメイクアップためのキーとなるのが口紅です」と語った。

「イヴ・サンローラン」は
ソフトでシアー、
12色のシースルーマットがかなえるモード唇

 「イヴ・サンローラン(以下、YSL)」は、9月に新ルージュを発表した。12のカラーバリエーションについて、トム・ぺシュー(Tom Pecheux)=イヴ・サンローラン・ボーテ グローバルビューティ ディレクターは、「僕はあらゆる⼥性、お客さまが満⾜できるようなカラーレンジにしたかった。いつもとはちょっと違う⾊を試したくなったり、似合う⾊との新しい出合いのきっかけになったりするようにね」と述べ、つけやすいヌードカラーも加えられています。マットフィニッシュの概念を刷新する未体験の“シースルーマット”が誕生した背景には「洗練されたマットリップをメイクアップに取り入れたい、という声がありました」と話す、井上愛イヴ· サンローラン·ボーテPRコーディネーター。滑らかで軽いつけ心地の新作は、ソフトな“シースルー”で透けるように発色するのが最大の特徴。これまでも口紅のトレンドを力強く支えてきた「YSL」は来春について「シックなムードで、グリッターがワンストロークできらめき、トレンド顔に仕立てるカカオブラウン系の色である、2020年2月に発売する新ルージュに期待してください」。

発色と心地よさを追求した
新テクスチャーで
バリエーション豊かに展開する
「シュウ ウエムラ」

 アーティストブランドとして個性美の創造と感動を伝えたい。その思いを具現化する、2つの“ルージュ アンリミテッド シリーズ”を9月に発表。シリーズで155色をラインアップしました。田村未央ロレアル リュクス事業部 シュウ ウエムラ事業部 シニア プロダクトマネージャーは、「アジア人の肌になじみ美しく魅せることを追求した結果、6タイプの異なるテクスチャーの全155色です。特に、ブランドのDNAカラーである赤は、鮮やかさから深み、ウオームからクール、タイムレスからエッジの効いたものまでさまざまな色調をそろえる。33色もの赤を生み出していて、心地よく自分に似合うカラーに出合っていただけるのはもちろん、遊び心のあるカラーなどリップメイクの無限の可能性を楽しめます」と話す。来シーズンのトレンド、レッド系やオレンジ系については、「赤は情熱的なイメージで、感情や行動力をポジティブに促すような高揚感を誘うカラー。オレンジは、明るくフレッシュなイメージで期待を感じることができます。変化が激しい時代のなかで自分らしく大胆に一歩踏み出すエネルギーを表したカラーと思うのです」。

ブランド創設25周年の原点回帰、
シグネチャーのリップスティックを刷新

 クリエイティブディレクターの重責を担うフランソワ・ナーズにとってリップカラーとは、タイムレスなアイテム。NARS誕生25周年を迎えた今年、デビューを支えたアイテムでもある口紅が刷新されました。福島まどかNARS JAPAN PRマネージャーは「赤、ヌード、ソフトピンク、ペールピンクなど、どんなときも女性は魅力的な色を愛していると信じています。それは、ファッションと同様にリップスティックはその日の気分に合わせて選ぶ楽しく気軽なもの、そして気分を高揚させるものでもあるからです」といいます。今秋発表されたリップスティックは、中でも絶妙な光沢感を放つ赤茶色に人気が集まったそう。来年は「限りなくシアーでライトな仕上がりのリップ。2020年は“シアー”がムードになる予感で、唇だけでなく肌もシアーで透明感あふれるみずみずしさが目立つことが予想されます」

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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よく観られたパリコレ動画 Part2  ロエベ、ステラ、ドリス、サンローラン

 2020年春夏パリコレ中に自分で撮影・掲載した55本の動画の中からアクセス数が良かった14本を2回に分けて発表します。Part2は王道パリブランドが並びます。最近、ランウェイ取材でノートとボールペンはほぼ使いません。iPhoneにメモをとり、写真を撮りつつ気になるシーンが来たら動画へスイッチ。音楽にピンと来たらShazam。デバイスを複数持っていても使えるのは結局何かひとつなので「その時、iPhoneをどこに向けるのか」を瞬時に判断するのが短いショーから多くの情報を得る秘訣です。

「ロエベ」が
“オールド「セリーヌ」”の
ポジションへ

 「ロエベ(LOEWE)」がじんわりよいショーを見せてくれました。「ロエベ」のショーはいつもじんわりよいのですが、今回はじんわり~~~とより滋味深い。ミラノサローネなどで発表したクラフトワークからデザインを発展させるのが、最近のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のストーリーの作り方。レザー使いはもちろんのこと、売れているカゴバッグも原点は、工芸品としてのカゴでした。今回は布のクラフトであるレースにフォーカス。スイスなどのレースから広げモダナイズしています。服の向こうに世界中の名もなき人たちの知恵と生活が透けて見えるようで素敵です。オートクチュールを持たないラグジュアリーメゾンの生きる道を切り開いていますね。

ちょっとエッチな
「ステラ マッカートニー」

 「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、“これまでで一番サステイナブルなコレクション”だそう。であれば素材手配・開発の背景などには多くの研究、議論、投資などがあるはずですが、ショーからはストイックさや生真面目さは微塵も感じさせず。サークルモチーフのカラフルなドレスは単純にカワイイ。それこそが「ステラ」ですね。

 で、さらにそこを盛り上げたのが、ウィットの効いた演出です。350年の歴史を持つオペラ座の壁一面に交尾をする動物たちの動画を投影しました。私の席の前ではアルマジロの雄が雌が……、来場していたヴィヴィアン・ウエストウッド(Dame Vivienne Westwood)の背後ではクマやシマウマが……。自宅で飼っているカメの雄と雌も夏になるといつもこうだったな、と思い出したりして。そう、これは自然界でごく普通の風景。動物愛護や自然保護を訴えるステラ流のウィットの効いた演出にニヤニヤしてしまいます。ぜひ上の動画で見てください。

「ドリス ヴァン ノッテン」の
コラボ相手は……

 ランウェイの作り方にもトレンドがあり、最近はフラット&自然光が主流です。だから「ドリス ヴァン ノッテン」が今回採用した、客席からモデルを仰ぎ見る高いランウェイは、ザ・ファッションショー&90年代的であり、久しぶりです。

 そしてドリスが協業のために迎えたのはなんと、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)でした。フィナーレに2人が登場した時には、意外な組み合わせに思わず「え!」と声を上げましたが、10秒後には「なるほど!」と納得。プリントや刺しゅうを得意とするドリスの感性に、同じく色彩使いが巧みなラクロワの感性が重なるという、いわば職人と職人の協業は、見事なハーモニーを奏でていまいた。いわば、井上陽水と玉置浩二の「夏の終わりのハーモニー」的な?デヴィッド・ボウイ(David Bowie)とビング・クロスビー(Bing Crosby)のクリスマスソング的な?というのは冗談ですが、王道なファッションショーを通じて美しい服をきちんと見せようというドリスの意思が伝わってきます。ジャカードやプリントで色柄を大胆に合わせた美しい服をぜひ動画でどうぞ。

エッフェル塔と「サンローラン」は
2つでひとつ

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」にとってエッフェル塔は、いなくてはならないパートナーみたいなものではないでしょうか。エッフェル塔は毎時0分になるとダイヤモンドのごとくキラキラと光るのですが、最近の「サンローラン」は20時のキラキラとともにショーをスタートします。加えて今回は約400個の照明が夜空に向かって光を放ち、その間をモデルがウォーキングする豪快な演出で、マラケシュとLAの2つのカルチャーを感じるコレクションを盛り上げました。会場は、オープンな作りのため、観光客が周囲に集まりフェス的な様相に。。

「アンリアレイジ」が世界共通の
知的な(笑)を引き出す

 「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は、先シーズンに引き続き今季も“言葉での説明はほぼ不要”な、わかりやすい演出のショーを行いました。3人が同時に歩いてくるモデルの服は、同じアイテムだけど、微妙に形が違います。そこから“最近は写真の影響力が大きいよね、でも写真に納まる服ってカメラのアングルによって形の見え方異なるよね(笑)”というデザイナーの視点を伝えています。そして観客はショーを見て“確かに(笑)”と思います。ポイントは最後の(笑)の存在であり、風刺が効いているから、その場にいるいろいろな国から来た人たちに共通の(笑)が生まれています。

「ノワール」で魂がプルプル震える

 「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の二宮啓さんは底知れない。会えばひょうひょうとしているけれど、作り出す服はこれですよ!穏やかな人柄と作り出す服のコントラストが鮮やかすぎて底知れない。テーマとかストーリーとか戦略とか、そんなものは〇〇くらえ。手を動かし、美しいと思う形を作り出すだけ。なんて、本人は言わないけれど、そこを歩いているモノが二宮さんのソウルであることはわかります。東信さんによるヘッドピースに今回は苔を使っていることは、バックステージで確認しました。

女性デザイナーらしいリアルな
「シャネル」

 「シャネル(CHANEL)」は、ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)による初のレディ・トゥ・ウエアのコレクションでした。大掛かりなセットはカンボン通りの「シャネル」のアトリエから見える屋根の上の風景だそう。ヴィルジニーになり、路線ががらりと変わった訳ではなく「シャネル」はどこまでも「シャネル」ですが、これまでより少しリラックスしていてリアル。だからか、モデル自身の個性が見えてきます。ポケットに手を突っ込んで歩くウォーキングが象徴的です。

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よく観られたパリコレ動画 Part2  ロエベ、ステラ、ドリス、サンローラン

 2020年春夏パリコレ中に自分で撮影・掲載した55本の動画の中からアクセス数が良かった14本を2回に分けて発表します。Part2は王道パリブランドが並びます。最近、ランウェイ取材でノートとボールペンはほぼ使いません。iPhoneにメモをとり、写真を撮りつつ気になるシーンが来たら動画へスイッチ。音楽にピンと来たらShazam。デバイスを複数持っていても使えるのは結局何かひとつなので「その時、iPhoneをどこに向けるのか」を瞬時に判断するのが短いショーから多くの情報を得る秘訣です。

「ロエベ」が
“オールド「セリーヌ」”の
ポジションへ

 「ロエベ(LOEWE)」がじんわりよいショーを見せてくれました。「ロエベ」のショーはいつもじんわりよいのですが、今回はじんわり~~~とより滋味深い。ミラノサローネなどで発表したクラフトワークからデザインを発展させるのが、最近のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のストーリーの作り方。レザー使いはもちろんのこと、売れているカゴバッグも原点は、工芸品としてのカゴでした。今回は布のクラフトであるレースにフォーカス。スイスなどのレースから広げモダナイズしています。服の向こうに世界中の名もなき人たちの知恵と生活が透けて見えるようで素敵です。オートクチュールを持たないラグジュアリーメゾンの生きる道を切り開いていますね。

ちょっとエッチな
「ステラ マッカートニー」

 「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、“これまでで一番サステイナブルなコレクション”だそう。であれば素材手配・開発の背景などには多くの研究、議論、投資などがあるはずですが、ショーからはストイックさや生真面目さは微塵も感じさせず。サークルモチーフのカラフルなドレスは単純にカワイイ。それこそが「ステラ」ですね。

 で、さらにそこを盛り上げたのが、ウィットの効いた演出です。350年の歴史を持つオペラ座の壁一面に交尾をする動物たちの動画を投影しました。私の席の前ではアルマジロの雄が雌が……、来場していたヴィヴィアン・ウエストウッド(Dame Vivienne Westwood)の背後ではクマやシマウマが……。自宅で飼っているカメの雄と雌も夏になるといつもこうだったな、と思い出したりして。そう、これは自然界でごく普通の風景。動物愛護や自然保護を訴えるステラ流のウィットの効いた演出にニヤニヤしてしまいます。ぜひ上の動画で見てください。

「ドリス ヴァン ノッテン」の
コラボ相手は……

 ランウェイの作り方にもトレンドがあり、最近はフラット&自然光が主流です。だから「ドリス ヴァン ノッテン」が今回採用した、客席からモデルを仰ぎ見る高いランウェイは、ザ・ファッションショー&90年代的であり、久しぶりです。

 そしてドリスが協業のために迎えたのはなんと、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)でした。フィナーレに2人が登場した時には、意外な組み合わせに思わず「え!」と声を上げましたが、10秒後には「なるほど!」と納得。プリントや刺しゅうを得意とするドリスの感性に、同じく色彩使いが巧みなラクロワの感性が重なるという、いわば職人と職人の協業は、見事なハーモニーを奏でていまいた。いわば、井上陽水と玉置浩二の「夏の終わりのハーモニー」的な?デヴィッド・ボウイ(David Bowie)とビング・クロスビー(Bing Crosby)のクリスマスソング的な?というのは冗談ですが、王道なファッションショーを通じて美しい服をきちんと見せようというドリスの意思が伝わってきます。ジャカードやプリントで色柄を大胆に合わせた美しい服をぜひ動画でどうぞ。

エッフェル塔と「サンローラン」は
2つでひとつ

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」にとってエッフェル塔は、いなくてはならないパートナーみたいなものではないでしょうか。エッフェル塔は毎時0分になるとダイヤモンドのごとくキラキラと光るのですが、最近の「サンローラン」は20時のキラキラとともにショーをスタートします。加えて今回は約400個の照明が夜空に向かって光を放ち、その間をモデルがウォーキングする豪快な演出で、マラケシュとLAの2つのカルチャーを感じるコレクションを盛り上げました。会場は、オープンな作りのため、観光客が周囲に集まりフェス的な様相に。。

「アンリアレイジ」が世界共通の
知的な(笑)を引き出す

 「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は、先シーズンに引き続き今季も“言葉での説明はほぼ不要”な、わかりやすい演出のショーを行いました。3人が同時に歩いてくるモデルの服は、同じアイテムだけど、微妙に形が違います。そこから“最近は写真の影響力が大きいよね、でも写真に納まる服ってカメラのアングルによって形の見え方異なるよね(笑)”というデザイナーの視点を伝えています。そして観客はショーを見て“確かに(笑)”と思います。ポイントは最後の(笑)の存在であり、風刺が効いているから、その場にいるいろいろな国から来た人たちに共通の(笑)が生まれています。

「ノワール」で魂がプルプル震える

 「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の二宮啓さんは底知れない。会えばひょうひょうとしているけれど、作り出す服はこれですよ!穏やかな人柄と作り出す服のコントラストが鮮やかすぎて底知れない。テーマとかストーリーとか戦略とか、そんなものは〇〇くらえ。手を動かし、美しいと思う形を作り出すだけ。なんて、本人は言わないけれど、そこを歩いているモノが二宮さんのソウルであることはわかります。東信さんによるヘッドピースに今回は苔を使っていることは、バックステージで確認しました。

女性デザイナーらしいリアルな
「シャネル」

 「シャネル(CHANEL)」は、ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)による初のレディ・トゥ・ウエアのコレクションでした。大掛かりなセットはカンボン通りの「シャネル」のアトリエから見える屋根の上の風景だそう。ヴィルジニーになり、路線ががらりと変わった訳ではなく「シャネル」はどこまでも「シャネル」ですが、これまでより少しリラックスしていてリアル。だからか、モデル自身の個性が見えてきます。ポケットに手を突っ込んで歩くウォーキングが象徴的です。

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アイシャドウ男子、始めました エディターズレターバックナンバー

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アイシャドウ男子、始めました

 この夏、アイシャドウ始めました(笑)。日常のスキンケアから、時々ネイルを。昨年デビューした「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」でベースメイクとコントゥアリングを覚え、社内ビューティチームには「カーダシアン・カナメと呼んでちょうだい!」と豪語してから1年。ついにメンズ界、そしてコスメ界における高い壁を極めてパーソナルなレベルではありますが突破しました。

 きっかけは、ドラッグストアでたまたま見かけた「コフレドール(COFFRET D’OR)」の、マルチユースな「プレイフルアイカラー」でした。「あぁ、コレが最近話題の、どこに塗ってもいいヤツか。やっぱスフレっぽいテクスチャーなのかな?」とゴールドの製品に手を出したら、その色は「カミナリ」という名前でした。

 「カッコえ~」。

 マジでそう思いました。「カミナリ」ですよ、皆さん。素直に「コレ、男子も使えるな」と思い、その場で「スイカ(赤)」「ヒマワリ(黄)」そして「ビキニ(ピンクラメ)」を含む計4色を大人買いです(笑)。さすがに「ビキニ」は着ないけれど、「スイカ」と「ヒマワリ」は男子的にも良き名前です。

 で「カミナリ」を塗ったら、なんだか楽しくなりました。そのまま出社したら、もともと派手なせいか、アイシャドウ男子はフツーに受け入れられ(多分w)、今はブランドとカラバリが増えています。最近のスマッシュヒットは「RMK」。硬質的でミニマルなパッケージゆえ男子が持っていてもおかしくない、「ストーンブロッサム グロージェル」の「プラチナ」カラーを愛用しています。質感バッチリ、ラメも細かい。それを「コフレドール」と、あんまり気にせず重ねちゃうのが男子っぽいと思っています。「シャネル(CHANEL)」の白黒コスメもカッコいいですね。銀座三越の先行販売、人が多すぎて覗き見できませんでしたが、無くなる前に買ってしまう気がするのです。

 そう考えると、男子が持っていてもおかしくないコスメって、案外たくさんありますね。「ジルスチュアート(JILLSTUART)」は女子の特権だと思うので譲りますが(笑)、「アナ スイ(ANNA SUI)」とかさえ、「別にヘンじゃないぞ」と思うワケです。再上陸の「スティラ(STILA)」も、昔と違って男子もイケそうです(笑)。

 とは言え、赤リップはまだまだ遠い存在ですし、アイシャドウだって(僕の場合)グリーンやブルー、アースカラーになると一気に「メイク男子」感が強くなるので「難しいなぁ」と思っており、現在はラメとイエロー&ゴールド中心とする一部カラーにとどまっていますが、世界はまだ広がりそうです。次は、マスカラかアイライナーに挑戦しようと思っています。やっぱり黄色とかオレンジでしょうが、ここにグリーンはアリですか(笑)?ドラッグストアに行くたび、「ウズ(UZU)」のパッケージで立ち止まってしまう今日この頃です。あのパッケージも男子的に「良き」です。

 と、右手はイエロー、左手はグレーのネイルを塗った手で連打したスマートフォンからお届けしました。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

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上質でモダンなカシミヤニットブランド 「ポステレガント」中田優也をディレクターに起用

 「ピセア(PICEA)」は、カシミヤ専業のニット工場がスタートしたユニセックスのカシミヤニットブランド。ラグジュアリーブランドも使用するという内モンゴルのカシミヤ糸を使ったアイテムを、比較的買いやすい価格で販売する。2020-21年秋冬からディレクターに「ポステレガント(POSTELEGANT)」の中田優也を起用し、ブランドとして本格的にデビューする。

 「内モンゴルで育った、生後8カ月以内のカシミヤヤギのファーストカットの毛のみを使用」(広報担当者)している。内モンゴル以外でもカシミヤヤギを生育している地域は多数あるが、「モヘアと自然交配してしまっているケースなどもあり、糸の質が純粋なカシミヤとは違うというケースも多い」という。

 やや厚手のタートルネックのセーター(4万3000円)や丸首のハイゲージのセーター(3万6000円)など、ベーシックなアイテムが中心。そこに、ロングコート(18万円)やショーツなども差してポイントにする。どのアイテムも全て同じ糸を使用し、ゲージや編み方、糸を撚る際に何本取りにするかといったことで、それぞれのアイテムに合った質感を追求した。

 ビジュアル制作も中田が担当し、クリーンでモダンな世界観を表現した。百貨店やセレクトショップなど、卸先拡大を目指す。

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ファッション好きに愛用される香水ブランド「バイレード」 最初の香りは“父親”をイメージ 

 スウェーデン・ストックホルム発のフレグランスブランド「バイレード(BYREDO)」はミニマリスティックなパッケージとシンプルながらもユニークな香りが人気で、ファッショニスタの愛用者も多い。創業者のベン・ゴーラム(Ben Gorham)はもともとプロのバスケットボール選手で、27歳のときに著名調香師のピエール・ウルフ(Pierre Wulff)と出会ったことをきっかけに香水の道に進む。全く調香の経験がなかったゴーラム創業者はウルフにアドバイスをもらいながら、2006年に「バイレード」を設立した。

 香りと記憶の関係に関心があったという彼は自身の人生や経験にまつわるエピソードを香りに落とし込み、「ジプシー ウォーター」「モハヴェ ゴースト」「ブランシュ」など数々のヒット作を生み出してきた。ファッションブランドとのコラボも積極的に行い、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」や「オリバー ピープルズ(OLIVER PEOPLES)」などとも協業している。日本ではエストネーション(ESTNATION)やビオトープ(BIOTOP)などのセレクトショップで取り扱われ、11月にリニューアルオープンした伊勢丹新宿本店には日本初の旗艦店をオープンした。
 
 そんなゴーラム創業者に、一つの香りを作るまでのプロセスや、新しいプロジェクトなどについて聞いた。

WWD:香水を作ろうと思ったきっかけは?

ベン・ゴーラム「バイレード」創業者(以下、ゴーラム):美術学校に通っていたとき、自分のメモリー(思い出)を香りにしてほしいとある調香師に頼んだことが始まり。そのとき、パーソナルな思い出だったこともあって感動したんだ。目に見えないもの(=香り)がここまで感情をかき立てることができるのかと。それがきっかけで香りを作ろうと思った。特に、自分はそれまで美術を学びとても視覚的な世界にいたから、見えないものにここまでのパワーがあることに感心したんだと思う。

WWD:一番最初に作った香りは?

ゴーラム:今まで25種類ほどの香水を手掛けてきたが、一番最初は(記憶の中の)父親の香りをイメージした。とてもパーソナルな香りだけど、父親(もしくは父親像)の香りって誰もが共感できるものだろう?香りを作るとき、そういったパーソナルな記憶や人をイメージして作ることが多い。記憶と香りはとても密接なつながりがあるから。そしてそれを香ることによって人が共感しあい、つながってほしい。

WWD:香りはどのように作っているのか。

ゴーラム:まず、どの香りでも一つのストーリーを描くようにしている。それがパッと思い浮かぶときもあれば、そうでないときもある。でも13年も香水を作っていると自然に鼻が敏感になるから、考えなくとも毎日の生活の中にある香り全てが刺激になる。例えば先ほど(ホテルで)シャワーを使ったときに、アメニティーの小さな石鹸が強い印象として残った。新しい土地を訪れる際、普通は景色(視覚)や気温(触覚)などが記憶になると思うけど、私はそれらと同じくらい香り(嗅覚)が記憶になっている。印象的な香りはノートに書きためて、ノートを見返したときに何度も似た香りが出てきたり、思いが強かったりすると、そこからその思いを調香師に伝えるためにアイデアソースを集める。それは詩だったり、写真だったり、オブジェクトだったり……。そこから調香師と会って、実際の香料の製作作業に入るんだ。香水作りにはだいぶ慣れたが、いまだに難しいと思うのは、誰もが共感できるような”客観的”な香りを生み出すこと。でもその難しさが楽しいんだよね。チャレンジングだからこそクリエイティブなものが生まれるだろうね。

WWD:今まで一番作るのが難しかった香りは?

ゴーラム:エムエムパリス(M/M PARIS)とコラボした「M/MINK」という香りはチャレンジングだったかな。特殊なカリグラフィー(書道)のインクをイメージした香りなのだが、インクの香りを表現するのって意外と難しくて。インセンスやアンバー、パチュリリーフ、ハニーなどをブレンドして作ったけど、かなりの自信作だよ。

WWD:元プロバスケットボール選手と全く異なる業界からの転職となったが、それは香水作りに生かされている?

ゴーラム:香水を作る経験も知識もなかったし、最初はほぼ独学で香りを作っていたので大変なこともあったけど、かえってユニークなものを作れていると思う。トレーニングや学校などで「これが正解」というようなことを教えられていないので、自由に香りを作ることができるし、真にユニークでパーソナルなものばかりを生み出していると思うよ。

WWD:「バイレード」といえばシンプルなパッケージが魅力だ。
ゴーラム:もともとは香りに集中してもらいたいという思いがあり、香りが主役でパッケージはある意味脇役と考えていた。つまり、外見よりも中身に注目してほしかったんだ。でもそんなパッケージも時間をかけてデザインをしているし、ディテールにもこだわっている。ガラスの工場にも足を運んで、シンプルながら高いクオリティーのパッケージを作っているよ。

WWD:なぜ世界中でヒットするまでに成長したのか?

ゴーラム:いい質問だね。タイミングかな?ちょうど「バイレード」がデビューしたとき、ニッチなパフュームメゾンの市場が伸び始めていたから、それは大きい。特に若い世代は香りで自己表現をする人が増えているし、ユニークな香りにもどんどん挑戦している。あとは幅広い層に支持を得ているから。18歳の顧客もいれば、85歳の愛用者だっている。それはシンプルな香りだからなのか、センスなのか、どちらか言い難いけど。

WWD:ファッション好きにも愛用者が多い印象だ。伊勢丹やセレクトショップに出店しているのもそういう狙いがあるから?

ゴーラム:もちろん百貨店でも売っているけれど、アート畑出身の私はファッションも好き。ファッションやアートを意識して香りを作っているから、ファッション感度が高い人が買い物するような場所に置くことも大事だと思った。そういう人たちが一番共感してくれると思ったからね。

WWD:多くのファッションブランドとコラボしている。

ゴーラム:「オフ-ホワイト ヴァージル c/oアブロー」のヴァージル ・アブロー(Virgil Abloh)とは昔からの友人。前から「いつかは一緒に何か作りたいね」と話していたから、自然にコラボレーションが生まれた。ファッション業界に友人がたくさんいるから、自然とコネクションもできやすい。でもこういった異業種のコラボレーションは新たな視点から香りを見つめるきっかけになるし、面白いよね。

WWD:今は香水だけでなくサングラスやバッグ、レザーグッズも手掛けるようになった。そのきっかけは?

ゴーラム:もともとアートを学んでいたので、視覚的なものにももちろん興味があったんだ。香りは見えないがアーティスティックな表現ができるものとしてずっと作ってきたけど、久しぶりに見られる・触れるものを作りたいと思ったのがきっかけかな。ファッションショーに招待されることも多いし、ファッションデザイナーの友人も多くいるから、インスピレーション源は常に周りにあるしね。中でもレザーグッズはタイムレスだし、ブランドを上手に表現をできるものだと思って選んだ。

WWD:他に挑戦してみたいものは?

ゴーラム:実は20年春夏にメイクアイテムを出す予定なんだ。まだ詳細は言えないが、カラーコスメをスタートするから期待していてほしい。

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