「ステューシー & ナイキ」最新コレクション発売 “エア ズーム スピリドン ケージド 2から新カラー

 「ステューシー(STUSSY)」は5月15日、「ナイキ(NIKE)」とのコラボコレクションを「ステューシー」の公式オンラインストアで発売する。同日の11時からはドーバー ストリート マーケット ギンザの公式オンラインストア、「ドーバー ストリート マーケット ギンザ イーフラッシュ(DOVER STREET MARKET GINZA E-FLASH)」で販売する。両ブランドの実店舗では取り扱わない。

 同コレクションは、1997年に発売されたスニーカー“エア ズーム スピリドン(AIR ZOOM SPIRIDON)”をベースとした“エア ズーム スピリドン ケージド 2(AIR ZOOM SPIRIDON CAGED 2)”、「ナイキ」を代表するグラフィックと「ステューシー」のアイコニックな文字“Increace The Peace”をあしらったTシャツの全2型をそろえた。今回の“エア ズーム スピリドン ケージド 2”では、アッパーをオールブラックに、アウトソールをグレーのカラーリングで仕上げた。

 今年3月に発売したコラボコレクションでは、アメリカンスポーツウエアのシルエットにカジュアルな要素を加えたスエットのセットアップ、ジャガードのロングスリーブTシャツ、トートバッグ、2色の“エア ズーム スピリドン ケージド 2”の全5型を販売した。

The post 「ステューシー & ナイキ」最新コレクション発売 “エア ズーム スピリドン ケージド 2から新カラー appeared first on WWD JAPAN.com.

次代のファッションを考えるために、これまでとこれからの都市を考える

 ファッションの変化は常に都市の変化とともにあった。都市はあらゆる人々の交流を生み、さまざまな文化を育んできたが、ファッションはその象徴といえるだろう。ところが外出自粛要請により、人と人との都市での交流は大きく減少している。都市のあり方が変わるいま、その変化は必ず人々の生き方やファッションにも影響を及ぼすだろう。

 これからのファッションを考えるため、あるいはこれからのライフスタイルや他者とのコミュニケーションのあり方を考えるため、あらためてこれまでとこれからの都市について考えてみたい。そこで都市論を専門とする南後由和・明治大学情報コミュニケーション学部准教授に、これからの都市における他者との関わり方や都市が本来持つ価値について聞いた。

これからの都市に起こり得る二極化の動き

WWD:現在の都市はどのように見ることができる?

南後由和・明治大学情報コミュニケーション学部准教授(以下、南後):かつてアメリカのルイス・ワース(Louis Wirth)という都市社会学者はアーバニズム、つまり都市的生活様式の構成要素として、人口規模、密度、異質性の3つを挙げました。これら3つの要素が成立するうえでは、モビリティ(人やモノの移動可能性)が欠かせません。ですが、新型コロナウイルス感染症拡大に際しては、モビリティが制限されました。都市的生活様式の構成要素として、さまざまな創造的交配の恩恵をもたらしてきた人口規模や密度がマイナス要因に反転するという事態に直面しています。

WWD:日本の都市にはどのような特徴がある?

南後:日本の都市には、カプセルホテルや漫画喫茶など、何らかの仕切りによってひとりである状態が確保された空間の種類や数が、諸外国と比べて多いという特徴があります。何らかの仕切りには、目に見える物理的なものもあれば、モバイル・メディアを使用することによって立ち上がる、目に見えない仕切りも存在します。自著「ひとり空間の都市論」(ちくま新書、2018)では、それらの仕切りによって匿名性が確保され、家族や会社などの帰属集団から一時的に離脱した空間を「ひとり空間」と呼んで、住まい、飲食店・宿泊施設、モバイル・メディアに分けて考察しました。「ひとり空間」の多くは、都市に立地する諸施設を移動しながらネットワーク的に活用することを前提として機能してきました。例えば、狭小のワンルームマンションにおける生活は、さまざまな住宅機能を外部の諸施設に依存してきました。自宅からの移動が制限される現在の「ひとり空間」は、そのような移動に基づく都市の前提が成立し得なくなったという点で、「非都市のひとり空間」と言わざるを得ない状況下に置かれています。

WWD:どのように変化している?

南後:新書を書いた後、「ひとり空間」は、大きくは4つの型に分類できると考えるようになりました。1つ目は占有型です。住宅やホテルの個室など、ひとりで占有できるものです。病院の個室のような隔離の対象となる空間も含まれます。2つ目は半占有型です。これは漫画喫茶やカプセルホテルのような、「ひとり空間」ではあるけれども完全には仕切られていないものです。3つ目は共有型です。「ブックアンドベッドトウキョウ(BOOK AND BED TOKYO)」のような、趣味や好みを共有する人同士が同じ時間と空間に身を置き、みんなでひとりでいる状態を楽しむものです。新型コロナウイルスをめぐっては、半占有型と共有型が、密集・密閉・密接の「3密」というキーワードから連想されやすい空間になっています。

そして、4つ目は離接型です。スマートフォンやソーシャルメディアを介して、互いに離れている「ひとり空間」同士を遠隔で接続するあり方です。最近の身近な例はオンライン飲み会です。今後は仕事などの場においても、離接型の「ひとり空間」において、いかに創発を生む「濃密」さを持ったコミュニケーションが図れるか、いかに手作業や対面でのすり合わせに近い「緻密」さを実現するのかといった、技術的な試行錯誤が繰り広げられると思います。またZoomなどの画面越しに、これまで遠くて裏舞台だったプライベートな空間が近くの表舞台となり、お互いにのぞき見する・のぞき見されるような状況が生じるようにもなりました。プライバシーはもちろん、画面のフレームの中に何を入れ、何を外すか、すなわち「秘密」をいかに保持するかも問われています。さしあたり、離接型の「ひとり空間」では、創発を生む「濃密」さ、対面コミュニケーションに近い「緻密」さ、プライベートに関する「秘密」の保持という、先ほどの「3密」とは別の密が課題になると思います。

WWD:新型コロナウイルス終息後、現在の離散的なあり方に慣れた人々の行動はどのように変化する?

南後:新型コロナウイルスがいつ終息するかについては見通しが立っていませんし、安易に「ポスト・コロナ」などの言葉を用いて線引きすることには慎重になる必要があるでしょう(2020年4月17日時点)。とはいえ、相反するベクトルの動きが生じるのではないでしょうか。一方は、反都市に向かう動きです。リモートワークなどが定着すると、大都市の過密に対する反動として地方や農村に移動する人が増えるかもしれません。新型コロナウイルスが問題になる以前から多拠点居住型のライフスタイルは台頭していたし、都市部と比較して生活・運営コストは低いでしょう。人口密度に加え、地価や物価の高い都市部を敬遠する人も出てくるでしょう。東京一極集中に対する分散論も再び起きるでしょう。

WWD:もう一方はどのような動きがある?

南後:もう一方は、都市の実空間における対面コミュニケーションの価値の再評価に向かう動きです。これだけ移動が制限されて実空間における対面コミュニケーションができない期間が長く続くと、それらに対する欲求は相当蓄積されているはずです。オンラインでは代替できない都市の実空間の豊かさや対面コミュニケーションの固有性が再発見されるでしょう。これまでのシェアやコレクティブといった潮流もあらためて考える必要があるでしょうが、それらの可能性を完全に手放すという方向には向かわないと思います。

WWD:そのような変化が起こると、どのような課題が浮かび上がってくる?

南後:実空間における対面コミュニケーションの価値に関しては、1990年代にインターネットが普及した頃にも指摘されていたことです。東京一極集中の問題も、これまでも繰り返し言及されてきました。変化する、変化しなければと考えがちですが、それ以前から潜在していた兆しや問題をより丹念に見つめ直すことも重要です。変わるものと変わらないもの、変えることができるものと変えてはならないものを見極めることです。

あえて課題を挙げるとすれば、反都市の動きとして、都市部から地方や農村に移住する人が増えると、例えばこれまでは主に都市部に見られたジェントリフィケーション(ある地域の再開発などによって地価が高騰し、住民の階層が上昇する現象)が、地方でも起きる可能性があります。地域活性化というポジティブな側面もあるでしょうが、地価・物価が高騰し、もともとの地域の文化や生活の維持が難しくなるなどのネガティブな現象が生じることもあるでしょう。反都市に向かう動きも、かつての郊外やニュータウンがそうであったように、あくまで都市化の延長線上や都市化のプロセスに組み込まれたものとして批判的に捉える必要があります。

都市部に関しても、今はファッションのお店もそうだと思いますが、美術館や劇場、ライブハウスなどの文化施設は臨時休業を余儀なくされています。これらの文化施設は、ひとりでいる状態にも、みんなでいる状態にもなれる空間として重要です。ただ今後再開が許されても、その頃には施設の維持ができなくなっているかもしれません。すでに零細・中小企業の廃業や雑居ビルのテナントの撤退が始まっています。そうなると、それらの地域でも再開発によるジェントリフィケーションが起きて、これまでの街並みが変貌することにつながりかねません。

あらゆる境界の向こう側にいる人たちへの想像力

WWD:生活環境において、物との関わり方はどう変わるのか?

南後:新型コロナウイルスの問題が落ち着いても、人々の中に接触恐怖症のようなものが潜在的に残り続けるかもしれません。ペーパーレスやキャッシュレスなど、「○○レス」という手続きの簡略化が進んでいますが、タッチレスという非接触型の技術が発達するのではないでしょうか。日本には、もともと新品崇拝や新築主義のような清潔志向が見られますが、その傾向が強まるような気がします。一方で、ここまで物に触れることを抑制されると、逆に人々の触覚をめぐる感覚が研ぎ澄まされていくとも思います。そうすると、情報テクノロジーやメディアアートなどの分野で蓄積されてきたタンジブルなデザイン、すなわち触知可能なインタフェースに対する関心も高まるでしょう。人々の行動の変化と同様に、タッチレスとタンジブルという二極化した動きが表裏一体で進むのではないでしょうか。

WWD:では、人と人の関係性はどのように変化する?

南後:いま直面しているのは、「線引きすること」の難しさだと思います。補償の対象となる仕事とそうでない仕事、自粛要請の対象となる職種とそうでない職種、給付対象となる世帯とそうでない世帯など、このような線引きが政治レベルで行われているわけですが、それらの線引きによって人々の間で、さまざまな境界への意識が過敏になっています。例えば新型コロナウイルス感染症には、震災とは異なり、被災地とそれ以外という境界がありません。境界がないがゆえに、これまで漠然とやり過ごして意識してこなかった、社会に内在するさまざまな境界が顕在化しつつあるように思います。そこで危惧すべきは、分断です。国境封鎖や入国制限という措置は、一部では人種差別や排外主義を生み出しています。自国第一主義的なナショナリズムが活発化している国も見られます。さまざまな線引きによる分断に対して、自覚的あるいは批判的になる態度が求められています。

WWD:その分断に対して、どのような態度をとるべきか?

南後:例えば、移動せずに在宅勤務できる人がいる一方で、職場へ行かざるを得ない人たちがいます。世界的に活躍するファッションデザイナーもそうですが、これまではグローバルエリートとも呼べる、海外旅行などで国際間を移動できる人が強者とされてきました。ですが現在は、移動しなくてよい人が強者。構図が反転しています。移動しなくてよい人と移動せざるを得ない人の間で、移動をめぐる新たな格差が生じています。現在のところ、水・電気・ガスのライフラインは通っていますし、政府による緊急事態宣言や自治体の会見でも、交通や物流は動き、生活必需品は手に入るから安心するようにと伝えられました。ただしそれらは、医療関係者はもとより、献身的に働いてくれている人たちによって可能になっていることを忘れてはなりません。当たり前のものとされがちな日常生活のインフラを支えてくれている人たちへの想像力を失ってはいけません。感染症拡大防止のため、他者との物理的距離を保つことが重要とされていますが、社会的な諸関係の向こう側にいる人たちとの心理的距離を近づける態度が求められています。

都市は人々による「集合的作品」

WWD:ファッションを含むあらゆる文化活動にとって都市は苗床のような役割を持つ必要不可欠な場だ。あらためて見直すべき都市の価値とは?

南後:都市は人々による「集合的作品」として、時代ごとに姿かたちを変えてきました。親密なコミュニケーションや偶然の出会い、異質な他者との交わりや衝突によって、刺激や創発が生まれ、創造性に富んださまざまな芸術や文化を育んできました。それが都市という集住の形態の大きな特性であり、人々を惹きつけてきた魅力の源泉のひとつです。「もしわれわれが都市生活のための新しい基礎を築こうとするなら、都市の歴史的性格を理解し、そして、都市の原初の機能や都市から生じた機能、さらにまだ呼び起こせるかもしれない機能を識別しなければならない。長い助走を歴史のなかに得なければ、未来にむかって十分に大胆に跳躍するために必要なはずみを、われわれ自身の意識のなかにもつことはできないだろう」。これは、アメリカの都市研究家ルイス・マンフォード(Lewis Mumford)の「歴史の都市 明日の都市」(生田勉訳、1969、p.79)という本の一節です。新型コロナウイルスをめぐる一連の経験は、どこにどのように集まるかを含めた、都市の原初的なあり方について再考する契機といえます。マンフォードは都市を、これまで何百年と培われてきた「人類の文化の器(容器)」と呼びましたが、その器自体がこれまでいかに造られてきたのかについての認識を深めたうえで、これからいかに手を施し、次世代へと継ぐことができるのか。近代という枠組みを超えた文明史的な時間軸をもとに考え直す必要があります。

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

The post 次代のファッションを考えるために、これまでとこれからの都市を考える appeared first on WWD JAPAN.com.

「スチュアート・ワイツマン」がセリーナ・ウィリアムズを新グローバルスポークスウーマンに起用

 「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」は、新グローバルスポークスウーマンに女子プロテニスプレイヤーのセリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)を起用した。

 テニス界のトッププレイヤーであり、活動家や母親としての顔も持つセリーナのキャリアにインスパイアされた新キャンペーンでは、“輝かしい未来への希望とオプティミズム”がテーマ。キャンペーンビジュアルは、フォトグラファーのイーサン・ジェームズ・グリーン(Ethan James Green)が手がけた。セリーナは白で統一した衣装に、ハイヒールの“アニー”やスクエアトウの“アリーナ”、ローファーの“マニラ”を着用して台座の上でポーズを取り、彼女の持つパワフルなエネルギーを表現した。セリーナは「今こそ希望と前進にフォーカスする時。すべての世代の女性たちの心に訴え、一歩ずつ確実に前進して欲しい」とコメントした。

 なお同キャンペーンは「スチュアート・ワイツマン」と、世界の女性リーダーのエンパワーメントを目的に活動する非営利団体バイタル・ボイス(Vital Voices)との慈善活動のパートナーシップの一部である。

The post 「スチュアート・ワイツマン」がセリーナ・ウィリアムズを新グローバルスポークスウーマンに起用 appeared first on WWD JAPAN.com.

「WWDジャパン」&「WWDビューティ」が月&木曜日に最新号を紹介 ライブ番組「Read More」スタート

 ファッション週刊紙「WWDジャパン」とビューティ週刊紙「WWDビューティ」は5月14日から、最新号の紙面を紹介するライブ配信番組「もっと深くをもっと知る!『Read More』」を開始します。毎週月曜日(年末年始やお盆休み、ゴールデンウイークは除く)の18時からは「WWDジャパン」の最新コンテンツを紹介。毎月第1〜第4木曜日(同)の18時からは「WWDビューティ」の最新コンテンツを紹介します。初回は同日発売の「WWDビューティ」の最新号「クリーンビューティ特集」についてお送りします。

 番組では担当記者が特集に至るまでの思いや、取材の裏話、紙面制作の苦労や作り終わっての感想などをお話。例えば初回放送では「クリーンビューティって何?」や「オーガニック・ナチュラルコスメとは違うの?」など、特集をもっと深く、もっと楽しく読むための情報をお届けします。配信中は、視聴者からの質問も随時受け付け。配信後は、「WWDジャパン」のYouTubeチャンネルに格納しますので、以降はオンデマンドでお楽しみいただけます。

 さらに特集のほか、最新のニュース解説、連載、ファッション&ビューティパトロールなどの読みどころも紹介。連載陣や取材相手などのゲストも不定期で登場予定です。

 さらに初回も含め随時、番組中に発表するキーワードと一緒にアンケートに答えると抽選で豪華なプレゼントが当たるキャンペーンも実施。初回は「クリーンビューティ特集」で取り上げた「ベアミネラル(BAREMINERALS)」にご協力いただきました。

The post 「WWDジャパン」&「WWDビューティ」が月&木曜日に最新号を紹介 ライブ番組「Read More」スタート appeared first on WWD JAPAN.com.

「WWDジャパン」&「WWDビューティ」が月&木曜日に最新号を紹介 ライブ番組「Read More」スタート

 ファッション週刊紙「WWDジャパン」とビューティ週刊紙「WWDビューティ」は5月14日から、最新号の紙面を紹介するライブ配信番組「もっと深くをもっと知る!『Read More』」を開始します。毎週月曜日(年末年始やお盆休み、ゴールデンウイークは除く)の18時からは「WWDジャパン」の最新コンテンツを紹介。毎月第1〜第4木曜日(同)の18時からは「WWDビューティ」の最新コンテンツを紹介します。初回は同日発売の「WWDビューティ」の最新号「クリーンビューティ特集」についてお送りします。

 番組では担当記者が特集に至るまでの思いや、取材の裏話、紙面制作の苦労や作り終わっての感想などをお話。例えば初回放送では「クリーンビューティって何?」や「オーガニック・ナチュラルコスメとは違うの?」など、特集をもっと深く、もっと楽しく読むための情報をお届けします。配信中は、視聴者からの質問も随時受け付け。配信後は、「WWDジャパン」のYouTubeチャンネルに格納しますので、以降はオンデマンドでお楽しみいただけます。

 さらに特集のほか、最新のニュース解説、連載、ファッション&ビューティパトロールなどの読みどころも紹介。連載陣や取材相手などのゲストも不定期で登場予定です。

 さらに初回も含め随時、番組中に発表するキーワードと一緒にアンケートに答えると抽選で豪華なプレゼントが当たるキャンペーンも実施。初回は「クリーンビューティ特集」で取り上げた「ベアミネラル(BAREMINERALS)」にご協力いただきました。

The post 「WWDジャパン」&「WWDビューティ」が月&木曜日に最新号を紹介 ライブ番組「Read More」スタート appeared first on WWD JAPAN.com.

島精機が純損失84億円、過去最大の赤字 20年3月期

 横編機大手の島精機製作所の2020年3月期決算は、売上高が前期比35.3%減の332億円、営業損益が56億円の赤字(前期は46億円の黒字)、経常損益が55億円の赤字(同49億円の黒字)、純損益が84億円の赤字(同38億円の黒字)になった。赤字転落は12年3月期以来の8年ぶりで、赤字幅は過去最大。同社は売上高の大半を海外で稼ぎ、大手スポーツブランドと組み、ニットスニーカーの開発をリードした横編機の世界的なリーディングカンパニーだが、数年続く暖冬により主力のセーター向け汎用機が苦戦した上、今年1−3月には最大の売り先である中国で新型コロナウイルスが直撃した。島三博社長は13日の会見で、「中国、欧州、中東、アジア、日本の全地域で売り上げが減少した。コロナ以前から全世界的にアパレル生産は落ち込んでいたが、世界中でコロナにより設備投資は全面的にストップしている。現時点ではどう動くかは見通せない」と語った。21年3月期の業績見通しは非公表になる。

 営業損益ベースでは19年1〜3月から赤字に転落、20年3月期に入ってからも世界的な衣料品市況の悪化で、2度の下方修正に追い込まれるなど、全四半期で赤字になった。「年明けの1月に欧州を中心にようやく上向く兆しが見えたものの、新型コロナで吹き飛んだ。中国では現地法人や営業所は一部で再開し、中国国内向けの需要は上向いているものの、欧米向けが依然としてストップしており、現時点では先の見通しはまるで立たない」

 20年3月期の編み機全体の販売台数は5117台、そのうち最新鋭の「ホールガーメント(WHOLE GARMENT、以下WG)」機は1026台だった。売上高は2年連続で大幅な減収になっており、ピーク時の18年3月期と比べると売上高は半分以下、編み機の販売台数では3分の1に落ち込んでいる。島社長は「いわゆるファストファッションのような低価格のセーターに関しては、中国企業製のニット機に競り負けた。今後はWG機のような新鋭機の販売と開発に注力していく」と語り、現在全体の2割を占める「WG」機の割合をさらに高めていく。

 設備投資は20年3月期が38億円、研究開発費が36億円だったが、21年3月期は設備投資を20億円程度に抑えるものの、研究開発費は前年並みと高水準を維持する。「非アパレル分野向けの開発の進捗はコロナ下でもほとんど止まっておらず、むしろリソースを集中投下できたことでスピードはアップした。アパレルを含めた全体的な研究開発でも、『WG』機のようなハードウエアとデザインシステムなどのソフトウエア、さらにはその周辺も含めたネットワーク化などの開発は加速し、21年3月期のうちに新製品を発表したい」という。

The post 島精機が純損失84億円、過去最大の赤字 20年3月期 appeared first on WWD JAPAN.com.

バングラデシュで縫製工場が再稼働

 新型コロナウイルスのパンデミックにより稼働を停止していたバングラデシュの縫製工場が、混乱した状況下で稼働を再開した。しかし、非常時の労働環境や大手ファッションブランドによる未払金の発生、そして「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(The Accord on Fire and Building Safety in Bangladesh)」の活動停止時期の期限も差し迫るなど、現状はバングラデシュ人労働者の生命と彼らの生計が天秤にかけられているような危うい状況にある。

 アパレル輸出産業で世界トップの中国に次ぐ規模のバングラデシュでは、現在国内にある3500の工場のうち約1000の工場が新たな規則を設けた上で稼働を再開している。しかしバングラデシュのロックダウン措置は継続中で、公共交通機関は現在も停止している。

 同国内の1150以上の工場では、輸出が予定されていた10億着にも及ぶ注文がキャンセルされた。通常、注文に対する代金が工場側に支払われるのは商品が出荷された後のことで、工場側は材料費を立て替えて生産を行っている。労働者の賃金に加えて原材料の供給業者への支払いもあるため、工場の資金繰りはひっ迫している。

 また、ロックダウン措置により工場への原材料の供給も滞っている。インディテックス(INDITEX)やプライマーク(PRIMARK)など、すでに発注した分の支払いを約束している企業もあるが、小規模小売業者を相手にしている中小の工場の状況は特に厳しい。

 バングラデシュの縫製工場で働く人の多くは地方からの出稼ぎ労働者たちだ。彼らは失業の恐怖や感染リスク、そして雇い主からはっきりとした情報が得られないことに対する不安を抱えている。労働者たちの多くは工場の閉鎖を受けて帰郷していたが、再開の知らせを聞きつけ、ロックダウンによる困難な状況の下でダッカ郊外の工場へと戻ってきた。中には長い道のりを歩いて戻った者もいたが、結局工場は閉鎖されたままであったりと、労働者たちは非常に混乱した状況の中にいる。

 バングラデシュ政府がロックダウンの延長を繰り返したこともあり工場再開の日時は不透明だったが、一部の工場で4月26日に通常の30%の人手で稼働の再開が許可された。なお、工場に呼び戻されたのは近郊に住む労働者のみで、地方からの出稼ぎ労働者はその対象となっていない。

 しかし地方からダッカ郊外に戻ってくる労働者は途切れず、フェリーなどの公共交通機関は非常に混み合っている。労働者に書面での通達は行われておらず、彼らの多くは新型コロナの感染よりも職を失うことへの恐怖を感じているという。また彼らの多くが共同生活を送っていることを考慮すると、まずは労働者の安全と健康を維持することが急務だといえる。人件費の安いバングラデシュでは労働者の立場が弱い。こうした貧困の上に最大限の利益を得ようとしている現状は非常に危険だともいえる。

 また同国の大手工場では、政府が賃金の6割を支払うよう命じたことを受けて、全額の支払いを求める労働者たちが工場外でデモを行った事例も複数ある。

 まずは職場での安全と健康に関する基準を雇い主と労働者の双方で徹底すること、そして新型コロナのリスクに対する認識を深めることが急務だ。さらに、三蜜を避けるための交代制勤務やワークシェアリングも検討するべきだろう。

 しかし労働組合の国際組織であるユニ・グローバル・ユニオン(UNI Global Union)によると、バングラデシュの現状では安全を保証するのは不可能に近いという。工場内でマスク着用や除菌を行ったとしても、中国やインドを上回る人口密度のバングラデシュでは通勤経路が非常に混雑していることが背景にある。

 実際にはルールの徹底やしっかりとした検査は実施されておらず、根拠のない安全基準を設けていてはウイルスの感染拡大が止まらないのではないかと危惧する声もある。

 先週稼働を再開したガジプールの工場では、手指消毒液の使用や時差出勤、床面に立ち位置の印を付けることでソーシャル・ディスタンスを徹底するなどの対策を実施している。工場主によると「感染のリスクは理解しているが、業務に対応しなければならない。バングラデシュの工場は、しっかりとした形をとって業務を再開させるか倒産するかの瀬戸際にある」とコメントした。

 バングラデシュ政府は同国の主要産業でもある縫製業界を守るため、工場労働者の賃金補助として5億8000万ドル(約614億円)相当の支援策を講じた。また、工場に対して賃金を現金払いからテレフォンバンキングに移行するよう命じた。しかしこの政策は補助金制度ではなくローンのような形態となっているため、厳しい状況に変わりはない。

 注文のキャンセルや支払い遅延などの問題は残っているが、世界の小売業界では労働者やサプライヤーを支援する動きも見られる。

 H&Mは全ての国の衣類製造業者に対して、すでに完成した衣服や生産に着手している衣服に関しては、期日に間に合う場合は発注をキャンセルしないとした。また期日内に対応できない場合でも、柔軟な対応で解決策を見出したいとしている。

 世界の大手アパレルブランドは、工場の現状や感染拡大防止策についても十分考慮する必要がある。工場は再開されつつあるが、課題は山積みだ。

The post バングラデシュで縫製工場が再稼働 appeared first on WWD JAPAN.com.

@AlibabaJapanPR アリババグループ Alibaba Group – Japan

リモートワークの新相棒に DingTalk 「IM・ビデオ会議・スケジュール管理などテレワークを行う上で必要な機能を全て提供しているDingTalk Liteの導入を決定しました。」ーーDX HUB株式会社 他にももっと知りたい方は👇

Posted in 未分類

高島屋が首都圏3店舗で営業再開 14日から玉川、立川、柏で

 高島屋は14日から、一部の首都圏店舗の営業を再開する。対象となるのは、玉川高島屋S・C(東京都)、立川高島屋S.C.(同)、柏高島屋ステーションモール(千葉県)の3店。首都圏を含む「特定警戒都道府県」の百貨店が食品売り場以外の営業を再開するのは初めて。

 4月7日の新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」以降、それぞれ食品フロアに限って営業してきたが、「利用客の要望が高まってきたこと、また従業員の雇用を守るという観点からも営業再開を決めた」(高島屋広報)。

 3店ともに、婦人服・雑貨、紳士服・雑貨、子供服、リビング雑貨などを取り扱うフロアの営業を再開する。ただし14日時点で再開する売り場は、館全体の5~6割に限られる。また、特選、宝飾、呉服・美術などは営業再開の対象から除く。化粧品も取引先が営業再開に慎重な姿勢を示していることなどから、一部を除いてほぼ全面的に休業を継続する。

 営業時間は玉川高島屋S・Cが10時半~18時、立川高島屋S.C.が11~18時、柏高島屋ステーションモールが10時半~18時(専門店は19時まで)の短縮営業となる。館内の定期的なアルコール消毒や飛沫感染防止シートの設置、混雑時の入店制限などの対策を講じる。

 同社の店舗では、そのほか高崎高島屋(群馬県)、岡山高島屋(岡山県)が11日からすでに営業を再開している。

 政府は14日に専門家会議と諮問委員会を開き、緊急事態宣言の一部緩和を検討する。重点的に対応する特定警戒都道府県についても一部解除される見通しだが、東京都や大阪府などは引き続き指定されるといわれている。

The post 高島屋が首都圏3店舗で営業再開 14日から玉川、立川、柏で appeared first on WWD JAPAN.com.

高島屋が首都圏3店舗で営業再開 14日から玉川、立川、柏で

 高島屋は14日から、一部の首都圏店舗の営業を再開する。対象となるのは、玉川高島屋S・C(東京都)、立川高島屋S.C.(同)、柏高島屋ステーションモール(千葉県)の3店。首都圏を含む「特定警戒都道府県」の百貨店が食品売り場以外の営業を再開するのは初めて。

 4月7日の新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」以降、それぞれ食品フロアに限って営業してきたが、「利用客の要望が高まってきたこと、また従業員の雇用を守るという観点からも営業再開を決めた」(高島屋広報)。

 3店ともに、婦人服・雑貨、紳士服・雑貨、子供服、リビング雑貨などを取り扱うフロアの営業を再開する。ただし14日時点で再開する売り場は、館全体の5~6割に限られる。また、特選、宝飾、呉服・美術などは営業再開の対象から除く。化粧品も取引先が営業再開に慎重な姿勢を示していることなどから、一部を除いてほぼ全面的に休業を継続する。

 営業時間は玉川高島屋S・Cが10時半~18時、立川高島屋S.C.が11~18時、柏高島屋ステーションモールが10時半~18時(専門店は19時まで)の短縮営業となる。館内の定期的なアルコール消毒や飛沫感染防止シートの設置、混雑時の入店制限などの対策を講じる。

 同社の店舗では、そのほか高崎高島屋(群馬県)、岡山高島屋(岡山県)が11日からすでに営業を再開している。

 政府は14日に専門家会議と諮問委員会を開き、緊急事態宣言の一部緩和を検討する。重点的に対応する特定警戒都道府県についても一部解除される見通しだが、東京都や大阪府などは引き続き指定されるといわれている。

The post 高島屋が首都圏3店舗で営業再開 14日から玉川、立川、柏で appeared first on WWD JAPAN.com.

丸山敬太×軍地彩弓対談 服を売らないファッションビジネスを考える(後編)

 丸山敬太「ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)」デザイナーは、ココネが運営する着せ替えアプリ「ポケコロ」とコラボレーションし、キャラクターの着せ替えアイテムをデザイン・監修した。現在「ポケコロ」は累計1500万ダウンロード、1日あたりのアクティブユーザーは約20万人を超える。ユーザーは9割以上が女性で10代から60代まで幅広く、中でも10代が多くを占める。「服を作って売るだけがデザイナーではない」と語る丸山デザイナーと、今回のプロジェクトに丸山敬太を招へいした軍地彩弓gumi-gumiCEO 兼「ヌメロ トウキョウ」エディトリアル・アドバイザーの2人が、これからの“服を売らないファッションビジネス”について語った。今回はその後編。

WWD:「ポケコロ」で丸山さんが監修したアイテムを見たが、完成度が高かった。

軍地:「ポケコロ」のスタッフも私たちもお互いに新しい経験だった。社内デザイナーの方たちは、さまざまなテイストのアイテムを描ける力を持っている。そこに敬太さんが入ることでトータルコーディネートやディテールのバランスが変わってくる。たとえば色調をちょっと変えるだけでぐっと大人化する。敬太さんの服はただかわいいだけでなく、大人の洗練があって、そのニュアンスをスタッフの皆さんにも学んでもらえるきっかけにもなって、とても勉強になったと思う。

洋服を作っているからファッションデザイナーではない

丸山:「ポケコロ」のスタッフの方は、パーツごとにどういったものが人気なのかを熟知しているから、僕がやる新しさはそこしかなくて。服を作っているからファッションデザイナーではなくて、世界観を作れることが大事でそれがファッションデザイナーの仕事だと思っている。逆に言えば、ただ服を作っている人はファッションデザイナーだとは思っていない。

お客さまがデジタルの世界で何を求めているのかということを、スタッフの方からうかがいながら、どこまで過剰にして、どこをそぎ落とし、どこまで省略してどこまで追い込むかみたいなところをすごく考えたので、僕もとても勉強になった。本来12頭身みたいなモデルに着せているようなものを、3頭身の「ポケコロ」のキャラクターに合わせていくことって、やっぱりものすごく技術がいることだと思う。最初から3頭身の子にデザインする方が早い。でもそれって勉強になるし面白かった。それでちゃんとかわいくできるし、かわいくなるし、「ケイタ マルヤマ」らしさも出ている。

WWD:提案されたヘアに対してイメージが合わず、実際に丸山さんがヘアをデッサンしたこともあった。

軍地:たとえば、服とヘアスタイルとのバランスでも「この服にこのボリュームのヘアはないよね」とか、「このヘッドドレスはこのボリューム感ではないよね」とか。みんな各パーツを作ってきた人たちだから、まだまだそこが弱かったところを、敬太さんが入ることによってトータルコーディネートの考え方を学ぶきっかけになった。それって“ファッションとは何か”という究極の話になってくる。

デジタルに触れることでデザイナーの本質が浮き彫りに

WWD:ショーを通してモデルと服、ヘアメイクのバランス、演出といったトータルな世界観を考えてきたからこそかもしれない。

軍地:ファッションデザイナーならばやってきた工程をデジタルに置き換えるだけで、なるほどこういうことができるんだと。でもそれを、今の日本人のデザイナーの中で実際にできる人って数えるほどしかいない。正直、今の時点では敬太さんしかいない。だからこそ今回のキャスティングはすごくよかったんだと思う。「デザイナーとは何ぞや」といったときに、本質的なところがゲームやデジタル世界に触れることで、むしろはっきりとした。世界観を持つ人、オリジナリティーを構築できる人――デザイナーの定義が逆に浮き彫りになった。

丸山:最近、若いデザイナーたちのデザインを見ていると、すごく面白い世界観を持つ人たちもいっぱい出てきているんだけれど、それを形にしていくことが今の時代だとある意味で難しくなっていることもある。そのようなデザイナーたちが2次元の世界に挑戦して、それなりにちゃんと対価を払ってもらい、稼げるようなすべを見つけ、それをまた自分のリアルな世界に結び付けていくようなことができたら、面白いことが生まれるような気がする。

軍地:これまでのデザイナーのビジネスモデルというのは、ショーをやった後に展示会を行い、注文を受け、それを商品化してエンドユーザーに届けるという、モノ(服)を中心としたサプライチェーンで動いていた。敬太さんは最近では「GU」ともコラボして、完売するアイテムが続出するほど人気で、いろんな販売チャネルを持っている。これはいろんな人に応用した方がよいと思う。今の時代においてパタッと販売ルートが途絶えたときに、何か別のルートでちゃんとモノを回していけるのはすごく必要なこと。たとえば斬新な家具をデザインしてみてもいい。いろんなビジネスモデルを構築し、現金化できるチャネルを多く持つというのは大事なことだと思う。

新しい扉が開くことはすごく楽しい

WWD:今回の「ポケコロ」のようにデジタルの世界の人たちがファッション業界に興味を持ち、話を持ちかけたように、異業種同士のつながりや接点が増えたりすることで、デザイナーやヘアメイクなどを含めてこれまでと違う働き方ができるし、仕事の幅も広がるかもしれない。

丸山:そもそも“ファッション業界”っていう言葉自体ももういらないと思っていて、業界って何?って思ってしまう。よくファッション業界って言われるけど、どこまでをファッション業界とカテゴライズするのかをよく軍地さんとも話していた。そこに何かあるの?って(笑)。“業界”って言葉がナンセンスで、今どれだけみんながフラットに溶け合えるのかがすごく重要。僕は「ポケコロ」のことを知らなかったけれど、実際に一緒に仕事をするとみんな素晴らしい。「こんな人たちと今までやってこなかったんだ、つまんないな」って思っていて。新しい扉が開くということはすごく楽しいことで、その先に楽しみに待ってくれる人がいるっていうことが大事なこと。へんなこだわりみたないものを持ち続けるのってつまらない。これだけ時代が変わっていて、いろんなことが変化しているんだから、アフターコロナはいろんなみんな交じり合って、社会に望まれることをもっとかたちにしていくんだなということがクリアになった。

軍地:“ファッション業界”って自分たちで言っている瞬間にどこかで壁を作っていたり。

丸山:マウンティングっぽい、ちょっとそういうところもあったりするじゃない。実際あったと思う、自分も(笑)。比較的いろんな業種の方たちと仕事をしているから、それについて何か言うような人たちも中にはいるんだけど。

軍地:私がテレビでコメンテーターをやるとかに対して中には「ん?」て思う人もいると思うけれど、私にとってファッションは世界の一つだから、そこで“村化”していることの方がダサいと思っていた。「ネットフリックス(NETFLIX)」の「フォロワーズ(FOLLOWERS)」でも、あれだけのファッションブランドの服を借りるのはほぼ難しいとみんながあきらめたことだけど、私たちからすれば素直にできること。「ファッションの人って、もっと敷居が高いと思っていました」と必ず言われるけれど、そういう風に利用してもらえばいいと思う。ファッションビジネスのことを「ニューズピックス(NEWSPICKS)」で話したり、映画にファッション業界の強みを持っていったり、ファッションをよく知っている人間がいろんなところで重宝がられることはあると思う。

丸山:確かに村は村でそのよさを持っていることが大事。ほかにも村があって街もあって都市もあって世界もあることを忘れてはいけない。隣の村や世界とどうコネクトしていくのかがこれからもっと重要になっていくから、そういう意味でお互いを専門職のような個々の魅力を持っている同士と考えればいい。でも根底にある人間の喜びみたいなものはみんな同じで、それに対して何かをクリエイトするのも、根本はみんな同じ。それぞれの強いところをうまくシェアし合って、よりよいものを提供していくことが今回の仕事の意義だと思った。

WWD:「ポケコロ」内でも今後、そのような仕事の広がりがあったらよいと思うか。

丸山:今度は人気スタイリストにも入ってもらってコーディネートを提案してもらったり、レクチャーとかがあったりしても楽しい。イベントとかもその中でやって、誰かがその中でトークショーをやるとか(笑)。

軍地:デジタルでもみんながつながる場所を持てて、敬太さんのような普段気軽に会えないような人の話を聴けるような場所を作ってもいい。「ポケコロ」っていろんなコロニーや部屋に遊びに行って、挨拶したりほかの人の木に水やりとかをしたりもする。文字によるコミュニケーションで元気?大丈夫?とか声を掛け合える。人とのつながりのライフラインが意外とデジタルの中にある。

丸山:このコロナ禍のときに、こういうこと(ポケコロ)をやっている人とやっていない人では豊かさが違う。もうすでにコミュニティーができているから、自分のキャラクターにオシャレさせてデジタル上で出掛けることができる。その欲求を満たすことができるからそれだけでも救いだと思う。

軍地:コネクトし、つながりを持つということ。

丸山:SNSもそうだし、いろんなデジタルの力がこのような災いの中にあっても、人間らしくいられる支えになっている。

軍地:ZOOMにしてもライン電話にしても、デジタルのツールがあったらから私たちは孤独にならずにすんだ。

丸山:リアルに街にも出られなくなり、表参道のラグジュアリーブランドが一斉に閉店し、自分の店も閉めなくてはならなくなったときに、終わりなんだなと思っていたけれど、そうなってもこんな風にちゃんとファッションを楽しむ場所があるというのは、僕にとっても今回救いというか、ありがたいなと思えた。このコロナ禍に備えて「ポケコロ」をやっていたわけではないし、プロジェクトはだいぶ前から進んでいたけど、いいタイミングでこのお仕事をさせてもらっていると感じている。

軍地:このプロジェクトの副産物として「ポケコロ」のスタッフの方たちの目がキラキラしていたのは私の想像を超えていた。一度打ち合わせで「丸山邸」に来てもらったときも、みんなこの場所に来たことで気持ちが上がっていた。実際に店舗にあるリアルな服やバッグ、インテリアなどに触れ、その後、実際にアイテムに落とす作業をした。副産物ではあったけど、ファッションの力をこうやって伝えていけるんだと思った。スタッフの方たちの仕事はいつもより何工程も増えたと思うけれど、キラキラしたみんなの目がよかった。一方でお互いに“闘った感”もあって、最終的に異なる2つの業界が交じり合うってそういうことなんだなと感じた。

丸山:最終的にはそういうものが生き残っていける時代になるし、ユーザーにも伝わるんだなと。

軍地:敬太さんはこのプロジェクトに時間をかけていて、敬太さんが加わったことで修正するポイントも明らかに変わってくる。私が見ていて、服を作っている工程と何ら変わらないと感じた。デザインを起こして、トワルチェックして、サンプルでこれは違うなど、普段やっているのと同じに見えた。そういうことも含めてモノを作るという根源は同じ。その情熱をリアルでもデジタルでも同等にやっていかないといけない。デジタルだから、ゲームだからラクでいいでしょう、ということでは全然ない。その熱量を同じように同価値で保っていけるというのは今回の体験で得たこと。

ファストファッションでも雑誌の付録でもかける熱量は同じ

丸山:今回のプロジェクトや「GU」でのコラボを含めて、ずっと思っていたことだけど、ファストファッションだろうが、雑誌の付録だろうが、かける情熱はちゃんとかけないとダメということ。「単価が安いからこのくらいでいいや」とか、諦めみたいなものや、たかをくくった感じとか。計算で物事やっていく時代は本当に終わるので、もっと僕らモノを作っている人間は、そこに情熱を傾けていく。だからある意味いい時代に戻っていく、というか、変わっていく。

軍地:常に敬太さんと話している中で、服を作ることだけにこだわっていないのを感じる。そしてすごく本質的なことをやっている。最終的にモノを作るという本質的なことは何らブレていないし、最終的にユーザーに届けることも、私が雑誌を作っているときと変わらない。そういうところに立ち返っていくんだということを、今回このタイミングでより強く感じるというか。そして敬太さんは日本のデザイナーで一番多角的にやられている方だと思っている。

丸山:もうかってないんだけどね。誰かー!(笑)。

軍地:ドリカムの衣裳や企業の制服もデザインしているし、「GU」もそうだし。隅々まで「ケイタ マルヤマ」になっている。それは商品がかわいいから。結局モノを作る人はいいものを作り続けなきゃいけないという宿命があるから、それは大変だと思うけど、ある程度ビジネスでそれをサポートしていかなくてはいけない。

丸山:そこは大事(笑)!サポートしないとクリエイションがこの国からなくなり、クリエイションが死んじゃう。でも逆にクリエイターの人たちもそれに応えるための努力はしないといけなくて、自分がやりたいことのためだけにサポートしてもらう訳ではないから。その仕事に対して自分が何をどう返せるかということを真剣に考えないといけないんだけど、みんな勘違いしちゃう。自分のやりたいことをやるだけになってしまう。

軍地:私も東京のデザイナーに対しても「ショーをやっても売れてなくてはダメでしょう」とずっと言っている。

丸山:やりたいことをやるなら自分のお金、財力でやるべきだし、仕事ならば何でもその先にお客さまがいる。そのお客さまに、どれだけどう自分の世界観で喜んでもらえることを提供できるかっていうことが重要なことだから。

軍地:敬太さんのインスタグラムを見ていると、ファンとのつながりがしっかりしていると感じる。「GU」もしかり、今アップサイクルで作っているかごバッグもすぐ売り切れる。確実に広くファンを持っていて、すごく真摯にやりとりしている。

丸山:だから洋服を買わないファンも逆に増えていて。じゃあ何をしてあげたらいいのかと考えると、言葉を望んでいる人がいたりとか、いろんな人たちがいる。でもファッションという流れの中から僕を知ってくれて、そういうことを望んでくれる人が多いならばそれは一つの形になるだろうなとは常に思っている。ファッションデザイナーでやってきているから、それは生業としてやっていくわけだけど、興味を持ってくれて、投げかけてくれることに応えていくのが楽しい。

WWD:今回のプロジェクトや服を売らないビジネスの話は、これから出てくるデザイナーやクリエイターにも生かせる話だ。

丸山:あまりカテゴライズされず、わりといろんな仕事をしている僕がやると、若いデザイナーも含め、みんなやりやすくなるんじゃないかなと思っている。ブランドが毀損するのではないかという心配のハードルが少し下がるんじゃないかな。そんな風にどんどんやっていくのが自分の役割かなとも思う。

軍地:みんな「こうじゃなきゃファッションデザイナーじゃない」と縛られてしまっている。そして今、日本人デザイナーはリアルクローズに寄りすぎてしまって、ファンタジーが少なくなっている。

丸山:視野が狭くなってしまうのは僕も分かる。

軍地:日本のファッションの中にファッションドリームが絶えてしまった。日本からヨーロッパやアメリカに行ってファッションデザイナーを目指す人がいなくなってしまって、ファッション系の学生の目標がファッションブランドではないことも増えた。

丸山:トモ君(小泉智貴)とか、村上亮太君のこの間のショーは映像で見てすごく感動したんだけど、やっぱりああいう人たちが真面目に闘ってきているから、またよくなる気がする。

軍地:私たちよりもフラットな人たちがたくさん出てきているし。敬太さんみたいなデザイナーがたくさん出てきてほしい。

丸山:いっぱいいる。才能がある人はいっぱいいるんだと思う。

軍地:このプロジェクトが好評で第2弾があったときには、リアルとデジタル上で同じバッグを買えたり、デジタルの中からリアルに送客することもできたりしたらよいと思う。いかに、これからどうファンをつなぎとめるか。敬太さんも「ポケコロ」もファンを持っている。相互送客によってケミストリーが起きて、デジタルにはまっていた人にファッションを知ってもらったり、リアルしか知らない人が自分のアバターに敬太さんの服を着せて楽しんだりとか。お互いにとってウィンウィンだと思う。最後はユーザーがかわいい服にテンションを上げくれるのが、私たちの最終的な目標。それがこれからできるかなと思う。

The post 丸山敬太×軍地彩弓対談 服を売らないファッションビジネスを考える(後編) appeared first on WWD JAPAN.com.

@BFrance_Japan フランス貿易投資庁-ビジネスフランス

コロナウイルス感染拡大の影響で、お菓子作り人気に火がつき小麦粉が入手困難に。子供達のストレス軽減に考案されたというクッキー生地の販売、素敵なアイディアですね😊お近くの方ぜひ❣️ 阪神間の人気店「ビゴの店」子ども用にクッキー生地 | by

Posted in 未分類

連載「今、デザイナーができること」Vol.10 尾花大輔「目先の結果だけを追わず本質を見失わないこと」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で不透明な状況が続いている。そんなときに、ファッションは何ができるのか。生産者から販売員まで業界全体が不安を抱えている状況に、ファッションデザイナーたちは何を思うのか。日々変化する状況に対応しながら、それでもファッションの力を信じ続けるデザイナーたちの声を連載で紹介する。今回は、自身の愛称を冠した古着店のミスターハリウッド立ち上げから20周年を迎えた、尾花大輔「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」デザイナーが登場。

N.HOOLYWOOD
尾花大輔デザイナー

Q.今、デザイナーができることは?

A.ビジネス的にも大打撃だし、不安な状況は僕たちも同じ。なのでファッションデザイナーだからといって無理に動くよりも、一人の人間としてできることをしたい。自宅で過ごす時間も増えたので、ブランドのこともアホなことも含めて考え、出口が見えるまでひたすら思考を巡らせている。物作りについても、今後は自分自身が好きで得意なことにシンプルに向き合って大きく方向転換していきたいと考えている。それが正しいのかどうかはまだわからない。でも、今は業界を問わず緊急措置しかできない状況だからこそ目先の結果だけを追わず、本質を見失わないように心掛けたい。

The post 連載「今、デザイナーができること」Vol.10 尾花大輔「目先の結果だけを追わず本質を見失わないこと」 appeared first on WWD JAPAN.com.

ニュウマン横浜が開業を延期

 ルミネは5月30日に予定していた横浜駅前の商業施設「ニュウマン横浜」の開業を延期する。新型コロナウイルスの感染予防と拡散防止のため。「ニュウマン横浜」は、「グッチ(GUCCI)」「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などの高級ブランドが出店する駅ビルとして話題を集めていた。新たな開業日は現時点では未定という。

 「ニュウマン横浜」は横浜駅前に位置し、10フロア・1万3000平方メートルに、高級ブランドや高感度のセレクトショップ、飲食店など115店舗が出店予定だった。

 都心では2020年に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックを見越して、渋谷駅周辺の宮下公園とホテル、ラグジュアリーブランドなどの複合型の商業施設で6月18日開業予定の「ミヤシタパーク」など、新しい大型商業施設の開業が予定されている。

The post ニュウマン横浜が開業を延期 appeared first on WWD JAPAN.com.

美容室「アッシュ」がほぼ全店で営業再開 写真と動画で徹底した“衛生オペレーション”を公開

 「アッシュ(ASH)」など300店舗超の多様な美容サロンを国内外に展開するアルテ サロン ホールディングスは5月7日、全店(一部商業施設内の店舗を除く)で営業を再開した。依然として油断できない状況の中、通常通りのオペレーションではなく、“徹底した衛生管理”にもとづいた独自のオペレーションを構築している。営業を再開したサロンはどこも対策を行っているが、皆手探り状態で「本当にこれでいいのだろうか……」と不安に感じているサロン関係者も多いはず。そこで、ここでは見本の一例として、多くの写真とともに「アッシュ」のオペレーションを紹介する。

 まず、衛生管理についてスタッフ向けの教育動画を制作し、自粛期間中にスタッフに共有。営業の再開に際しては、徹底した感染防止策を施し、顧客とスタッフの健康を守ることを目的とした“3Sオペレーション”を掲げた。

 特徴的なのは“Shorter Stay(短時間の滞在)”。1メニューに絞ったサービスの提供や、店内の待ち時間の極小化により、1時間程度の施術サービスを基本とすること、感染リスクとスタッフの負担を最小化する効率的な運営を目指すことなどを規定している。

 2つ目は“Sanitary Condition(衛生的な状態)”で、スタッフの手洗いや手指の消毒、マスクとフェイスガードの着用を義務づけ。定期的な店内換気(2時間に1回10分)、店内消毒(ドアノブ、椅子、各種電子端末など)、施術道具の消毒(ハサミ、ブラシ、カット&シャンプークロスなど)についても規定。

 3つ目は“Social Distance(社会的距離)”で、一定間隔を空けての施術サービス(セット面1台空けての使用。待ち合いスペースも同様)や、店内滞在人数を限定するための予約の制限、透明シートによる間仕切りなどを規定している。以上のようなオペレーションを、各店舗の状況に応じて実践し感染防止に努めていく。

「アッシュ」安全対策

The post 美容室「アッシュ」がほぼ全店で営業再開 写真と動画で徹底した“衛生オペレーション”を公開 appeared first on WWD JAPAN.com.

@BFrance_Japan フランス貿易投資庁-ビジネスフランス

仏リヨン発のパティスリー、セバスチャン・ブイエ Sébastien Bouillet 千鳥の工房で、人気のプチガトー5種のテイクアウト販売を本日よりスタート🇫🇷🍰🧁😋 セバスチャン・ブイエの東京・千鳥ファクトリーがプチガトーのテイクアウト販売を開始|Gourmet Biz by

Posted in 未分類

@tokyoart_event 展示会&アートイベントbot

【1月15日まで|国立西洋美術館】 クラーナハ展―500年後の誘惑 画家の芸術の全貌を、当時のドイツの思想や文化、社会や政治の状況などと併せて読み解き、さらには彼の死後、近現代におけるその影響まで。 詳細はこちら→

Posted in 未分類

自民党2議員にコロナに苦しむファッション小売業の現状を直接訴え 「ユナイテッド ヌード」青田社長ら

 シューズブランド「ユナイテッド ヌード(UNITED NUDE)」日本法人の青田行社長と、人気ブランドを抱えるセールスレップのイーストランド島田昌彦社長は5月11日、自民党の福田達夫、山田美樹の両衆議院議員と面会し、コロナショックによるファッション小売業への影響や、その支援策について要望を伝えた。青田社長らは8日に、ファッション小売業支援のためのオンライン署名活動をスタートしており、賛同の輪を広げている。「ファッション業界には小さくもないが大きくもないという規模感の企業が多いため、現状の支援策から漏れている」「業種を限らない経済活性化策が必要」(青田社長)などの考えを伝えた。

 青田社長らは署名活動と並行し、安倍晋三首相や小池百合子東京都知事へのメールでの陳情も行っていたが、「同様のメールは恐らくあらゆる業種から山のように届いている。僕らは会員規模の大きな業界団体などではない以上、(それだけでは埋もれてしまうと考え)もっと直接的にアプローチする術はないかと探った」。そこで、「自民党の中でも中小企業の支援活動にもともと注力されていた議員を探して、福田議員にたどりついた。また、山田議員は自民党経済産業部会長代理でもあり、議員になる前はエルメスジャポン勤務経歴もあって、業界の話を分かっていただきやすいと考えた」。

 両議員には、まずファッション小売業が置かれた現状を伝えたという。その場には、実際に政策立案に携わる経済産業省のクールジャパン政策課や生活製品課などの職員6人も同席。「他業界からの陳情は多いが、ファッション業界からはほとんど陳情はきていないと言われた」と青田社長。それゆえ、ファッション業界特有の問題が議論の俎上に上がりづらくなっていると危惧する。たとえば、家賃補助については国会で大きな焦点となっているが、自民党の補助案では最大で月50万円の支給。「それを批判するつもりはないが、現実問題として、われわれの業種は月坪単価8万~10万円といった物件で商売していることもある。家賃は1店でも数百万円規模となり、上限50万円の補助では厳しい」。

 家賃補助だけでなく、貸付支援などに関しても同様だという。ファッションビジネスは他業種とは異なり、半年分の在庫を一気に仕入れる仕組み。それゆえ、「セールスレップなどでは一度に数十億円の支払いが必要になるケースもある。しかし、今既にある貸付支援策は、最大で2億8000万円や、制度によっては上限5000万円といったことが多く、われわれのビジネスモデルや規模には合っていない。中小事業者向けの支援はわれわれよりももっと小さな企業を対象としており、それ以外では大企業向けしかない。しかし、ファッション業界には社員5~10人前後で売上高が数十億円という、そのどちらにも当てはまらないような規模感の企業が非常に多い」と話す。

 青田社長らが要望の軸として両議員に伝えたのは、「業種を限らない経済活性化策」だ。農業や漁業支援のための“お肉券”“お魚券”構想が大批判を浴びて頓挫したのは記憶に新しい。「活性化策がどこかの業界だけに偏り過ぎてはバランスを欠くし、根本的な消費マインドの底上げにはならない」。それよりも、消費者がファッションを楽しみたいと思えるような世の中全体のムード作りに迅速に取り組んでほしい、と伝えたという。「自分たちの業界に特化した活性化策を提案しないことを最初は(両議員も)不思議に思われたようだが、われわれの商売は店が営業再開したらそれでゴールではない。再開しても恐らく当分お客さまは来ない。消費をしようというムードが醸成されて、最後にお客さまが帰ってきてそこからスタートとなる。東日本大震災後を振り返っても、『(お金を)使える人は使っていこう』という強いメッセージを出していただくことが必要。そうでないと、いくら家賃補助をもらってもお客さまが来なくて意味がない。少なくとも今年中にそういったムードにしないと」と主張する。

 青田社長は政府や国だけでなく、同業者にも伝えたいことがある。ファッション業界の特に中小の事業者は、これまでどちらかというと群れを作らず、政治に寄っていくこともよしとしないムードがあった。「今回のように、声をあげて署名活動をすれば賛同してくださる人がいて、そうなると声が政治家にも届くんだということを業界全体が知ることが大事。『誰かがやってくれる』『国がやってくれる』『会社がつぶれたらファッション以外の業種に転職すればいいや』といった気持ちでは、変わるものも変わらない。文句を言うのではなく、自分ごととして状況を変えようとしないとダメ。企業規模の大小を問わず、ファッション業界が連帯して声を上げていくことが今は大事」と強調する。

Editor’s Voice
「WWDジャパン」では青田社長をはじめ、コロナショックに立ち向かうためにこれまでのファッション業界の常識や当たり前を取り払い、未来ある産業を作っていこうと動いているビジネスパーソンやクリエイターの取材を行っています。知恵を結集して新しいファッションビジネスを作っていくため、ご意見を press@infaspub.co.jp までお寄せください。取材希望の自推他推も受け付けております(取材を確約するものではありません)。

The post 自民党2議員にコロナに苦しむファッション小売業の現状を直接訴え 「ユナイテッド ヌード」青田社長ら appeared first on WWD JAPAN.com.

ビューティ国内大手企業は中国でオンライン・オフラインとも復調の兆し

 新型コロナウイルス感染拡大で最初に経済打撃を受けた中国の化粧品市場が3月くらいから復調の兆しをみせている。国内大手化粧品企業の直近の決算を見てもその傾向が見受けられた。各社に3月~5月6日までの中国の商況を聞くと大勢が前年を上回る実績を上げた。(この記事は「WWDビューティ」5月14日号からの抜粋に加筆しています。)


 コーセーは、オンライン・オフラインともに売上高が前年を上回り順調に推移した。「現在は休業していた店舗の多くが再開し、オンライン・オフラインともに実績はもとのトレンドに戻りつつある」(同社広報)という。好調な製品はコロナ禍前と変わらず「コスメデコルテ」の化粧液「モイスチュア リポソーム」や乳液「プリムラテ」、化粧水「ヴィタ ドレーブ」など。今後も「中国市場および免税市場においては、引き続きオフライン・オンラインともに強化する。高成長が続く『コスメデコルテ』に加え、『雪肌精みやび』などハイプレステージブランドを中心に育成するとともに、免税店やeコマースをはじめとする新販路の開拓を強化し、グローバルかつボーダレスなお客さまづくりを図る。オフラインにおいては、売り上げ比率が急速に高まっているTモールを有するアリババグループとの協業によるEC事業売り上げの加速と、OMO(オンラインとオフラインの融合)戦略へのトライを検討していく」と述べた。そのほか、免税店や機内、宿泊施設での訪日観光客への立体的なアプローチも行う。


 花王とカネボウ化粧品は、リアル流通はまだ回復していないもののECが好調。花王中国は3月に入り回復し始め、売り上げは伸長している。カテゴリー別では、メイクの売り上げが下がっている一方でスキンケアの売り上げがけん引し、トータルで前年同期比2ケタ伸長だ。「投資をECにシフトしたことが奏功している。3月初旬にTモールの旗艦店で著名なKOLを起用した生放送配信を実施するなどECでの販促強化を行ったことにより、『フリープラス』のクリーム状洗顔料『マイルドソープa』、ミスト状化粧水『マイルドシャワー』、『アリィー』の日焼け止めが好調」(同社広報)とコメント。引き続き、生放送などEC施策を強化していく予定だ。


 ポーラ・オルビスホールディングスは、主力ブランドの「ポーラ」の売上高が前年を越え6億8000万円となった。好調の背景を「中国ではコロナが収束傾向にあるため、それに伴い復調している」(同社広報)と分析する。好調な製品は以前と変わらず「B.A」シリーズだという。そのほかの取り組みとしては、KOLを使ったPRだけでなく、販売員も直接ライブ配信を行うことによって既存の顧客のフォローを実施し始めた。「中国市場では、KOLだけではなくユーザーの使用動画のシェアなど、動画配信の共有アプリなども多い。ターゲットが情報収集によく使っているアプリやプラットフォーム内でのライブ配信機能を活用し、各商品の正しい使用方法や効果、そしてブランドの背景や思想に関する発信についても合わせて拡充していく予定」。さらに、eコマースで商品を購入した人に関してもリアル店舗のワークショップイベントへの参加招待などO2Oの施策も視野に入れている。

 資生堂は決算発表前(5月11日時点)であったことから、具体的な数値は非公表となったが、2月24日から中国オフィスの業務を再開。店頭も通常営業(一部店舗を除く)を開始し、工場での生産も再開したという。


 「WWD JAPAN.com」はファッション&ビューティ業界を応援すべく、週刊紙の「WWDジャパン」と「WWDビューティ」に掲載した新型コロナウイルス関連ニュースを無料開放します。記事やコラムから未曾有のピンチを克服するヒントや勇気を感じ取ってくだされば幸いです。

 なお、他のニュースはこれまで通り、有料会員限定記事とさせていただきます。購読は、こちらからお申し込みください。


The post ビューティ国内大手企業は中国でオンライン・オフラインとも復調の兆し appeared first on WWD JAPAN.com.

男性もおうち時間でこっそりエイジングケア 使いやすい美顔器3選

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家にいる時間が増えた。ステイホームという言葉が世界の共通言語になり、おうち時間に重宝する商品に注目が集まっている。このような状況で美容家電の需要も拡大中だ。

 今回紹介したいのは自宅で手軽に使える美顔器。女性が使うものというイメージが強いアイテムだが、メンズ美容が盛り上がりを見せつつある今、美顔器に手を出す男性も増えてきている。お金のかかるエステに行かずとも、また誰かに見られるのが恥ずかしいと思う男性も、自宅でエステ並のケアができるとなれば納得といった印象だ。

 ビジネス&プライベートにしろ、肌の良しあしは第一印象を左右し、その後の付き合いにも影響してくる大事な要因。新型コロナの影響で時間を持て余しているのなら、そんな重要ファクターにお金や時間を費やすのも悪くない。自分を変えるチャンスだと思って、美顔器を駆使してケアしてみてはどうだろう。

本格ボディーエステを自宅で手軽に

 外に出る機会が少なくなった今、家でこっそり美顔器を使ってエイジングケア、なんてのもいい。女性だけでなく男性たちにも需要が高まっており、アップグレードされた機器は男性でも使いやすい。進化の止まらない最新機器を3つほど紹介する。

パナソニック“イオンエフェクター EH-ST98”

 男性もキリッとした肌を手にする時代。であれば、パナソニックの“イオンエファクターEH-ST98”で極上のエステ体験をしてみてほしい。いつも使っているスキンケア化粧品の上に「イオンエフェクター」を当てていくだけ。そうすることで化粧品がより肌に浸透し、手塗りでは到達できなかった使用感を得られる。

 肌が乾燥しやすい人、シミやシワ、目の下のくま、たるみが気になる人などに効果を感じさせてくれる。それは2つのヘッドと6つのモードが搭載されており、肌悩みにあったアプローチが簡単だから。パナソニックが開発した技術で肌の奥深く角質層まで行き届き、みずみずしい潤いとハリ感を実感できるだろう。うっすらとゴールドがかった見た目もスタイリッシュな印象で男性が使っても違和感なし。女性へのプレゼントにも人気のようなので、パートナーとシェア使いにもオススメだ。

ヤーマン“フォトプラス プレステージS”

 毎回のケア方法を5つのモードからカスタマイズできるオールインワン美顔器、“フォトプラス プレステージS”。目立つ毛穴を薄くしたい、皮脂を抑えたいなど、男性の肌トラブルにも対応できる懐の深さがある。その理由は、肌を深部まで温めて美しさを引き出すRF(ラジオ波)をより効率的に肌へ届けるために独自開発された「RFリフトテクノロジー」を搭載しているから。独自技術「DYHP」を用いて肌を一時的に緩めて高分子の美容成分も浸透しやすくなった。

 ヤーマンの従来の既存の商品に比べて肌に触れるトリートメント面積が1.5倍も広範囲になっている。これによりエイジングケアにかける時間も大幅にカットできるため、忙しい人にもオススメだ。また10種類もの機能があり、美しい肌に欠かせない水分量・弾力・バリア機能が向上することが同社の実験で実証されている。顔がシュッとしてモチっとした肌が手に入ると、いいことだらけ。

MTG“リファモーションカラット”

 こちらは話題のフェイスケアを進化させる美容ローラー、MTGの“リファモーションカラット”。前後に動く可能式のローラー構造になっており、肌のあらゆる起伏にフィットするのが特徴だ。お酒を飲んだ次の日はとくに顔がむくみやすいが、そんなときにも活躍すること必至。広くやさしく肌をとらえ、深くつまみ流して筋肉までアプローチしてくれる。

 またハンドルに付けられたソーラーパネルが光を取り込んで、微弱電流「マイクロカレント」を発生させている。これが低刺激で肌や筋肉に優しく働きかける。また防水構造のため、バスタブ内でも使えるからありがたい。顔以外にもフェイスラインや肩まわり、二の腕やふくらはぎなど幅広い部分などに使用できる。リモートワーク中だったら一日中コロコロしていても大丈夫だ。

 ヤーマンの従来の既存の商品に比べて肌に触れるトリートメント面積が1.5倍も広範囲になっている。これによりエイジングケアにかける時間も大幅にカットできるため、忙しい人にもオススメだ。また10種類もの機能があり、美しい肌に欠かせない水分量・弾力・バリア機能が向上することが同社の実験で実証されている。顔がシュッとしてモチっとした肌が手に入ると、いいことだらけ。

辻野祐馬/エディター、ライター、動画ディレクター:女性メディアで活動する編集・ライター。ファッション、美容、ヘアアレンジ、恋愛などのジャンルを中心に執筆。色彩検定1級の資格を有し、カネボウメイクアップインスティチュート・スタンダードコースを卒業。特技はパーソナルカラー分析

The post 男性もおうち時間でこっそりエイジングケア 使いやすい美顔器3選 appeared first on WWD JAPAN.com.

コティが「ウエラ」や「OPI」などを米投資会社に売却

 コンシューマープロダクト部門が苦戦し、新型コロナウイルスの影響でさらなる打撃を受けているコティ(COTY)は米投資会社のKKRと戦略的契約を締結した。KKRは今後、コティの転換優先株を7億5000万ドル(約795億円)分買い取る。また、コティはヘアケアブランド「ウエラ(WELLA)」や「クレオール(CLAIROL)」、ネイルブランド「OPI」、ヘアツールブランド「GHD」など、コティのプロフェッショナルビューティおよびヘアケア事業の大半を43億ドル(約4558億円)でKKRに売却する。なお、コティは売却する事業の株式40%を保有し続け、対象ブランドは今後KKRとコティとのジョイントベンチャー事業で展開する。取引が成立すれば、コティは30億ドル(約3180億円)の現金収入を得るとされる。また取引完了後、KKRはさらに2億5000万ドル(約265億円)分の転換株式を買い取る計画だ。

 同社は3月31日時点で94億ドル(約9964億円)の負債を抱えており、今回の取引で業績の基盤を築き直す狙いだ。ピエール・アンドレ・テリス(Pierre-Andre Terisse)最高執行責任者兼最高財務責任者は「(KKRとのパートナーシップで)バランスシートはすぐにでも改善されるだろう。また、新型コロナウイルスによる影響を受け、固定費を7億ドル(約742億円)削減する計画を発表した。この計画により2023年度までに営業利益率15%前後を達成することができると考える。今回の提携およびそのほかの戦略は全て、業績回復の重要なカギになる」と語る。

 なお、同社の20年1〜3月期決算は売上高が前年同期比23%減の15億2800万ドル(約1619億円)、営業損失が2億5880万ドル(約274億円)、純損失が2億7160万ドル(約287億円)だった。

The post コティが「ウエラ」や「OPI」などを米投資会社に売却 appeared first on WWD JAPAN.com.

ヴァレンティノ新CEOはグッチから 「ファッションにおける初恋を象徴する」メゾンへの3度目の復帰

 ヴァレンティノ(VALENTINO)の新たな最高経営責任者(CEO)に、6月1日付でヤコポ・ヴェンチュリーニ(Jacopo Venturini)=グッチ(GUCCI)前マーチャンダイジング&グローバルマーケット担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントが就任する。2006年から15年にわたりメゾンを率いてきたステファノ・サッシ(Stefano Sassi)CEOの後任だ。

 イタリア出身のヴェンチュリーニ新CEOは、1995年に百貨店リナシェンテ(RINASCENTE)のバイヤーとしてキャリアをスタート。99年まで経験を積んだ後、2000年から04年までヴァレンティノでウィメンズウエアとメンズウエアのブランドマネジャーを務める。その後、05年にプラダ(PRADA)に入社。ウィメンズウエア・コレクションのマーチャンダイジング・コーディネーターを務めた後、08年にヴァレンティノに戻り、レディ・トゥ・ウエア・コレクション・ディレクター兼リテール・イメージ・ディレクターに就任。15年にグッチに移り、マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)社長兼CEOとアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターによる新体制を支えたたが、19年10月に退任。その後、ヴァレンティノのCEO就任がウワサされていた。

 ヴェンチュリーニ新CEOは、「ファッションにおける私の初恋を象徴するヴァレンティノへの3度目の復帰をとてもうれしく思う。ヴァレンティノは私にとって伝統と未来であり、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)(=クリエイティブ・ディレクター)とタッグを組んで働くことを楽しみにしている」とコメント。一方、同メゾンを去るサッシCEOは「15年間にわたってヴァレンティノで働いたことは、個人的にも仕事としても信じられないような経験だった。取締役会と株主との全面的な合意の下、私が下したこの決断はブランドの野心的な成長を目指したもの。緊急事態が一度収まった後のヴァレンティノの将来については楽観視している。仲間の健闘を祈る」と話す。

 同メゾンでは、今年に入ってから経営陣の入れ替わりが続いている。1月にはセバスチャン・スール(Sebastian Suhl)=グローバルマーケット担当マネジングディレクターが退任。3月にはプラダやグッチ出身のアレッシオ・ヴァネッティ(Alessio Vannetti)=チーフ・ブランド・オフィサーが、4月にはフェンディ(FENDI)やトッズ(TOD'S)で要職を務めたマルコ・ジャコメッティ(Marco Giacometti)=チーフ・コマーシャル・オフィサーが加わった。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

The post ヴァレンティノ新CEOはグッチから 「ファッションにおける初恋を象徴する」メゾンへの3度目の復帰 appeared first on WWD JAPAN.com.

福井の「ファクトリーキュウヒャク」がゴーグル型眼鏡発売 目からの飛沫感染予防に期待

 福井県のアイウエア企業、青山眼鏡はハウスブランド「ファクトリーキュウヒャク(FACTORY900)」から、新型コロナウイルス感染症対策として目からの飛沫感染予防を目的としたゴーグル型眼鏡を5月15日に発売する。

 ブランド創設当初に発表したバイカーズゴーグルの進化系として2018年に発売した“FA-361”モデルがベースで、顔を包み込むようなフィット感や長時間着用しても疲れない機能性にこだわった。1型2色(ブルーとクリアグレー)で、価格は2万5000円。東京・表参道と大阪・北堀江の直営店で販売する。青山嘉道チーフデザイナーは「新型コロナ禍で当社ができることは何かを考えたとき、眼鏡を作ることで貢献するしかないと思った。眼鏡を通して人の心を豊かにすることが創業以来の使命だ」と話した。

 青山眼鏡は1937年の創業で、福井市に自社工場を構え、2000年に「ファクトリーキュウヒャク」を立ち上げた。独自の立体的なデザインが特徴で、パリの国際眼鏡展「シルモ(SILMO)」で優秀なアイウエアに贈られる「シルモドール(SILMO D’OR)」賞を2度受賞するなど海外での評価も高い。

The post 福井の「ファクトリーキュウヒャク」がゴーグル型眼鏡発売 目からの飛沫感染予防に期待 appeared first on WWD JAPAN.com.

【アフターコロナをどう見る?】「原価率20%で25%の利益が出るモデルを作る」福岡の大繁盛店「フィッシュマン」森オーナー

 福岡で26坪1000万円クラスの繁盛店「魚男(フィッシュマン)」を経営する森智範氏。常識はずれの商品や提供方法を考案した森氏は近年、大手居酒屋のリブランディング事業も多く手がける。食の先行きを見据える森氏は、コロナでお客はどう変わり、ビジネスモデルはどう変化すると考えるのか? 好評企画の第5回。
Posted in 未分類

コロナ禍でアパレル業界は蚊帳の外? ファッションに政治は関係ない、はもう通用しない

 新型コロナウイルス感染症に関するニュースに触れる中で、「ファッション業界はなんだか蚊帳の外だ」と感じることがある。直近だと、東京都がゴールデンウイーク中に休業し、感染拡大防止に協力する理美容事業者に対して最大30万円給付するというニュースを耳にした際にそう思った。誤解しないでほしいのだが、「理美容事業者が給付金を得るのはおかしい」と言いたいわけでは決してない。理容室も美容室も、長時間にわたる近距離での接客が必須であり、ECで代替もできない。補償は当然だと思う。だが一方で、「それならファッションの小売りにもなんらかの補償があっていいんじゃないか」とも思うのだ。(この記事はWWDジャパン2020年5月11日号からの抜粋です)

 ファッション小売業は理美容事業者と同様、休業要請対象業種に入っていない。だが、多くの店は感染拡大防止のために補償なき自主休業状態にある。もちろん、苦しい状況に置かれているのはこの業界だけではないし、中小企業一般を対象にした雇用調整助成金や持続化給付金などはあるわけだから、「ファッション小売りは補償や助成の蚊帳の外」と騒ぐのはおかしいのかもしれない。しかし、どうもモヤモヤしてしまう。

 そんなことを考えていた矢先にニュースが飛び込んできた。それは、シューズブランド「ユナイテッド ヌード」日本法人の青田行社長や有力ブランドを抱えるセールスレップのイーストランド島田昌彦社長らが、業界内で有志を募り、東京都や国に対して一丸となって陳情を行っていくというもの。5月7日に明けるはずだった緊急事態宣言は月末まで延長され、補償なき休業は3週間強延びた。中小企業はいよいよ資金繰りがひっ迫してくる。「追加の補償や出口戦略についてはおいおい示す」といった政府の悠長な姿勢を待ってはいられない。そこで青田社長らは、「1.ファッション小売りを休業要請対象業種に加えること、2.資金繰り支援の速やかな審査や支給、3.雇用調整助成金の速やかな支給や上限額のアップ、4.賃料の一部負担」を要望として、国や自治体に陳情を進めている。
※特定警戒都道府県を除いて、緊急事態解除の動きが広がってきたことを受け、青田社長らは当初要望の1つとして掲げていた「ファッション小売りの休業要請対象業種への追加」を5月10日時点で取り下げ、代わりに店を開けてからの「ファッション業界も含めたさらなる経済活性化策」を要望に加えている。

 陳情の裏付けとしているのが、ファッション小売業のコロナ関連倒産件数の多さだ。帝国データバンクが発表した4月末までのコロナ関連倒産企業数109件を業種別内訳で見ると、1位が旅館・ホテル27件、2位が飲食店11件、3位がアパレル・雑貨小売り9件だと青田社長は指摘する。「観光業や飲食業への打撃が非常に大きいことは重々理解している。ただ、両業種にはコロナ収束後の需要喚起を目指した経産省の補正予算が、1兆7000億円規模で組まれている。一般的な家賃相場で言っても飲食業よりファッション小売りの方が賃料負担は大きい。また、数日分ではなく、半年分の在庫を抱えてしまっている点でも、ファッション小売りは厳しい」と続ける。

 今後はウェブ上で署名活動を行い、賛同者を募っていく。そんな話を聞きながら思ったのは、こうした業界一丸となっての働きかけは、本来は業界団体などが主導していくものではないのか?ということ。ファッション業界にも、日本アパレル・ファッション産業協会(以下、アパ産)などの業界団体がある。理容業などは、業界団体が自民党議員に近しいがゆえに補償対応などの動きが早いといった報道もある。アパ産も日本百貨店協会などと協議しながら、「事後でもいいので都と経産省に休業要請業種への指定などを申し入れていく」(事務局)というが、調整に手間取り、現時点では具体的な動きはない。東京都とアパ産は“ファッション都市、東京”のアピールを共に行ってきた経緯もあるのだから、もっと素早く何らかのイニシアチブを発揮する術もあったんじゃないか?大手企業中心の組織ゆえ危機感が薄いし、残念ながらかつてのような求心力はないと感じてしまう。とはいえ、業界団体ばかりにロビー活動を委ねるというのも違うだろう。

 弊紙3月30日号で、業界関係者にコロナショックに対するメッセージを求めた。その中で、DJのLicaxxxがクラブカルチャーへの打撃が大きいことに触れ、「カルチャーを失わないために、政治に関心を持ち声をあげよう」とコメントを寄せている。私が冒頭から述べている「ファッション業界は蚊帳の外」というモヤモヤも、結局はこれでしか解決できないように感じている。誰かに任せるのではなく、一人一人が世の中に意識を広げ、自分が置かれた状況を変えようとすること。青田社長らが行う署名活動もそうした動きの一つだ。「署名なんてかっこ悪い、客商売なのに補償を求めるなんてイメージが悪い」と感じる人もいるだろう。でも、考えていることは声に出さないと世間に伝わらないし、世間を説得していくためには、世の中を広く知り、自身も関わってく姿勢を見せることが必要だ。ファッションの販売に政治なんて関係ない、自分は関係ない。そんなふうにこれまで思っていた人も多いと思う。でも、私たち一人一人が意識を持って、投票や陳情などの活動で声をあげていかないと、今後もいつまで経ってもわれわれは蚊帳の外のまま。未曽有の不況がやってくるのはこれからといわれているが、そんな状況下で自身や自身の事業を守っていくためには、こういった意識が欠かせない。


 「WWD JAPAN.com」はファッション&ビューティ業界を応援すべく、週刊紙の「WWDジャパン」と「WWDビューティ」に掲載した新型コロナウイルス関連ニュースを無料開放します。記事やコラムから未曾有のピンチを克服するヒントや勇気を感じ取ってくだされば幸いです。

 なお、他のニュースはこれまで通り、有料会員限定記事とさせていただきます。購読は、こちらからお申し込みください。


The post コロナ禍でアパレル業界は蚊帳の外? ファッションに政治は関係ない、はもう通用しない appeared first on WWD JAPAN.com.

【中小のコロナ生き残り策】オンライン飲み会をフックに通販で週40万円。配達も社員が担当し、地域とのつながり深める

 東京・三軒茶屋にドミナントで、焼き鳥店や割烹など、7店舗展開している株式会社和音人(わいんびと、本社/東京都世田谷区、代表/狩野高光)という飲食企業がある。コロナ禍の中、休業を余儀なくされたが、ユニークなアイデアで新しい手を次々打っている。
Posted in 未分類