「エスター(ESTH.)」が2021年春夏コレクションを発表した。
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バイヤー向けにトピックスを拾います。
「エスター(ESTH.)」が2021年春夏コレクションを発表した。
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「プーマ(PUMA)」は今年誕生35周年を迎える任天堂「スーパーマリオブラザーズ(SUPER MARIO BROTHERS)」とコラボレーションしたアイテムを11月27日に発売する。「プーマ」店舗、公式オンラインストアと一部の取り扱い店舗で販売する。
ニンテンドースイッチ(NINTENDO SWITCH)用ゲームの「スーパーマリオ 3D コレクション」に収録されている3作「スーパーマリオ 64 」「スーパーマリオ サンシャイン」「スーパーマリオ ギャラクシー」からインスパイアされたコレクションだ。
「スーパーマリオ 64 」のゲームの景色をイメージし、レンガブロックをデザインした“FUTURE RIDER SUPER MARIO 64”(9900円税込)。「スーパーマリオ サンシャイン」に登場する“ドルピック島”の冒険にインスパイアされ、“水”をテーマにした“RS-DREAMER SUPER MARIO SUNSHINE”(1万5400円税込)。「スーパーマリオ ギャラクシー」の宇宙の世界観をイメージした“RS-FAST SUPER MARIO GALAXY”(1万4300円税込)と“RS-DREAMER SUPER MARIO GALAXY”(1万5400円税込)。以上、スニーカーは全4モデルを用意した。
アパレルアイテムはTシャツ(5390円税込)、ロングTシャツ(6490円税込)、フーディー(2色、9790円税込)を用意した。
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消しゴムの「MONO」を販売するトンボ鉛筆はこのほど、安藤大春が手掛ける「ミドラ(MIDDLA)」とコラボしたユニセックスブランド「モノ × ミドラ(MONO×MIDDLA)」をスタートした。「ミドラ」公式オンラインショップとクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー(CAMPFIRE)」などで受注販売中だ。
今回のコラボは安藤デザイナーがデザイン画を描くときに使っていた「MONO」からインスピレーションを受け、トンボ鉛筆にアプローチし実現した。コンセプトは“MAKE NEW HERITAGE=新たな遺産を作っていく”とし、多くの人に馴染みのある「MONO」の3色ストライプを“遺産”と捉えてウエアラブルなアイテムに落とし込んでいく。
第一弾は“MONOストライプ”と「ミドラ」のリンゴのアイコンをドット状に刺繍したものと、“MONOストライプ”を細くデザインした2種類の生地を用いたシャツとシャツドレスが登場した。価格は2万2000~3万1900円。
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「フェンディ(FENDI)」は、アニヴェルセルカフェ 表参道(ANNIVERSAIRE CAFÉ OMOTESANDO)とコラボレーションし、日本初となるカフェ「フェンディ カフェ バイ アニヴェルセル(FENDI CAFFE by ANNIVERSAIRE)」を11月28日から12月27日までの期間限定で東京・表参道にオープンする。2020年ホリデーコレクション“フェンディ ローマ”の発売を記念しての開催となる。
店内は“フェンディ ローマ”のキーカラーとなるペールピンクと、ブランドカラーのイエローが基調。テーブルウエアやおしぼり、カトラリーケースなど、細部にまで世界観を演出している。オリジナルメニューは、シルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)=クリエイティブ・ディレクターのこだわりのゆで時間などを忠実に再現し、フェンディ家秘伝のレシピをベースにして作られた“FF”ロゴ型パスタなどフード5種、イタリアを代表するスイーツを組み合わせたケーキセットなどスイーツ6種、ドリンク13種、ディナーコース1種をそろえる。
オープンに先立ち行われた内覧会で広報担当者は、「カフェという身近な体験を通して、これまで接点がなかったお客さまにもブランドを知ってもらう機会になればうれしい」とコメントした。
■フェンディ カフェ バイ アニヴェルセル
日程:2020年11月28日~12月27日
時間:11:00〜20:00(ただし、12月19・20・24〜26日は22:00まで)
場所:アニヴェルセルカフェ 表参道
住所:東京都港区北青山3丁目5-30
TEL:03-5411-5988
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「ケンゾー(KENZO)」は故山本寛斎氏とのコラボカプセルコレクションを30日、同ブランドの店舗とオンラインで発売する(日本では12月16日発売)。動物モチーフやアニマルプリントを得意とする両者のコラボで、山本氏のアーカイブからモチーフやアートワークを再考し、「ケンゾー」のデザインと組み合わせたコレクションだ。30着のウィメンズアイテムと25着のメンズアイテム、22のアクセサリーをそろえ、価格は125〜1270ドル(約1万3000〜13万2000円)だ。
「ケンゾー」のフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)=クリエイティブ・ディレクターは2019年7月の現職就任時にコラボのアイデアを持っていたといい、当時「ケンゾー」の創業者、高田賢三氏と山本氏にプロジェクトの賛同を得ていた。
バティスタ=クリエイティブ・ディレクターは、「両者はカラフルで奇抜なデザインを通してファッションに革命をもたらした人物。そして、他にはない方法で東洋と西洋の文化を融合させたパイオニアだ。伝説の2人の新たな物語を始めるのはとてもワクワクする。私のお気に入りは虎が前面と背面にある黒いTシャツで、山本寛斎氏が手書きした書体で『KENZO』『カンサイ』『フェリペ』と書かれている」とコメントした。
山本氏は70年代初頭に日本人として初めてロンドンでファッションショーを開催して以来、音楽やダンス、アクロバットなど日本の伝統的なお祭りの要素を組み合わせた“元氣”なショーの数々で世界を魅了した。急性骨髄性白血病により20年7月21日、76歳で死去した。
高田氏は60年代後半にパリデビューを果たし、モデルが踊っていたり動物までもが登場する熱烈なファッションショーを通じてファッションを開拓していった。新型コロナウイルスの合併症により10月4日、パリ郊外のヌイイ=シュル=セーヌにあるアメリカン・ホスピタルで死去した。81歳だった。
バティスタ=クリエイティブ・ディレクターはコレクションを通じて、彼らの才能と功績を称えるオマージュを捧げたという。「おそらくだが、このように賢三氏と寛斎氏の名が残されていくことは2人とも望んでいると思う。仕事を通じて世界に喜びをもたらすことに人生を尽くした2人に捧げる」と語った。
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環境に配慮したモノ作りを目指すストリートウエアブランド「サイクル(CYCLE BY M.Y.O.B.)」は、“アースエナジー(Earth Energy)”をコンセプトに2021年春夏コレクションを発表した。2シーズン目を迎えた今回のコレクションでは、アースカラーのリラックスしたムードのアイテムをそろえ、全体の約50%をリサイクルポリエステルやオーガニックコットンなどのサステナブル素材で構成した。
「サイクル」のデザイナー、COMI(コミ)がこだわったのは、自身が表現したいストリートスタイルはそのままに、少しでも環境負荷を軽減する生地を用いること。日本のテキスタイルメーカーのサンプルを繰り返し試す中、アースカラーのジャケットには、帝人フロンティアが手掛けるリサイクルポリエステル“エコペット”を使用し、ハリのあるビッグシルエットを実現した。“エコペット”は回収された使用済みペットボトルを原料にしており、新たな石油を使わず資源を有効活用できる。そのほか鮮やかなグラフィックプリントのハットにはオーガニックコットンを、フューチャリスティックな雰囲気のオーバーサイズシャツには、リサイクル繊維を使用したポリエステル生地で、田村駒が提供する“C2C(シートゥーシーサーキュレーションポリエステル)”を選んだ。価格はジャケットが5万9000円、ハットが1万6000円、オーバーサイズシャツが1万8000円。
さらに前シーズン好評だったというLEDランプ「ソネングラス」とのコラボアイテムも継続する。メイソンジャーのふた部分がソーラーパネルになっており、日中はジャケットやバッグのポケットに装着して充電することができる。ランプは防水仕様のため、フェス、キャンプなどのアウトドアシーンやバスタイムも楽しめる。「ソネングラス」が南アフリカ産のフェアトレード製品であることに共感したCOMIが、直々にコラボレーションを依頼したことで実現した。
プラスチックごみや汚水問題などさまざまな情報に触れる中で、環境への関心が高まったというCOMIだが、ブランドの信念にあるのは「環境問題をカジュアル、かつユニークに表現したい」という思いだ。「私ができることはデザイン」と語り、一見“エコ”とは無関係なストリート色の強いアイテムをきっかけに、「ブランドを知って選んでくれたみんなが環境問題について考えたり、洋服を選ぶ選択肢の一つになったりしたらうれしい」という。
素材や制作工程について、「まだ全てのアイテムに環境に配慮した素材を採用できているわけではない。リサイクル素材を使用しても染める際に水を使用するなど課題はある。ただ100%にこだわりすぎると自分もみんなも楽しくなくなってしまう。前シーズンでは30%程度だった環境配慮型素材の割合も今回は50%まで増やした。私ができることを少しずつストリートウエアで表現し、それを『サイクル』というブランドに乗せて発信していきたい」と語る。今後はさらに素材を見直すほか、パイナップルの葉の繊維から作られるレザー風テキスタイル“ピニャテックス”にも挑戦したいという。
「サイクル」は、ニューヨーク発のブランド「エムワイオービー ニューヨークシティ(M.Y.O.B NYC、以下エムワイオービー)」を立ち上げたデザイナーのCOMIが2020-21年秋冬シーズンにスタートしたブランド。「エムワイオービー」の特徴であるエッジの効いたストリートスタイルはそのままに、よりリアルクローズなデザインへとアップデートし、環境に配慮したモノ作りを目指す。現在は公式オンラインストアを主軸に、中国、韓国などアジア圏のほか、ミラノ、ロンドンでも取り扱う。日本では9月に伊勢丹新宿本店で、11月には渋谷パルコでポップアップストアを開催した。
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「サイクル(CYCLE BY M.Y.O.B.)」が2021年春夏コレクションを発表した。
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世界最大の毛皮オークションであるコペンハーゲン・ファー(Kopenhagen Fur)が、新型コロナウイルスによるデンマークでのミンクの大量処分を受けて、2023年までにビジネスを終了すると発表した。21年にすでに予定されているオークションを開催後、規模を徐々に小さくしていくという。また、約300人の従業員が人員整理の対象となる。
デンマーク政府は4日、新型コロナの変異種がミンク農場で見つかり人への感染も確認されたことから、国内の養殖ミンク1700万匹の殺処分の強制を命じた。その後法的措置が十分でなかったとの指摘を受けて、メッテ・フレデリクセン(Mette Frederiksen)首相は全頭の殺処分には「新しい法律が必要だった」と謝罪した。
また将来のワクチンの効果を危惧して殺処分に至ったとデンマーク政府は説明しているが、科学的見解を疑問視する声もあり、モーンス・イエンセン(Mogens Jensen)農業担当相は18日、ミンク殺処分を巡る混乱の責任を取って辞任した。なおデンマーク政府は2021年までにペット以外のミンクの飼育を禁止する法案を新たに提出している。
コペンハーゲン・ファーのヤスパー・ラウゲ(Jasper Lauge)最高経営責任者(CEO)は、「残念なことにわれわれのような大きな企業でも、生き残ってはいけない。インターナショナルなクライアント企業もまたデンマーク政府の決断への理解に苦しんでいるだろう。多くの顧客はビジネスモデルそのものをデンマーク産のミンクに頼っていた。それだけわれわれのクオリティーは認められている」と述べた。
一方、動物の権利保護活動を行うヒューマン・ソサエティ(Humane Society)のジョアナ・スウェーブ(Dr. Joanna Swabe)広報担当シニア・ディレクターは、「コペンハーゲン・ファーの閉鎖の発表は、毛皮の生産が転換点を迎えたことを示している。毛皮取引全体が今後衰退していく可能性が高い。毛皮農場は、大規模で不要に動物を苦しめているだけでなく、死に至るウイルスの根元にいつなってもおかしくない」と述べた。
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スウェーデン発「イケア(IKEA)」は11月30日、都心2店舗目を東京・渋谷に出店する。地上7階約4800平方メートルの同店舗は、日本撤退した「フォーエバー21(FOREVER21)」の跡地で駅近だ。同店舗には19種類の売り場があり、3100点を展示、オンラインの商品を合わせると約9500点を販売する。そのうち1800点は当日持ち帰りが可能だ。
渋谷店では、世界初のベジドッグ専門スウェーデンビストロがオープン。10種類のメニューのうち6種類がプラントベースで、各メニューには“ストックホルム”などスウェーデンの都市名が付けられている。また、都市型店舗では初のスウェーデンフードマーケットもあり、人気のミートボールなどの食品を販売する。来年には7階にレストランがオープン予定だ。渋谷店限定品として、おなじみのショッピングバッグ“フラクタ”素材で作られた帽子を販売する。開業日前日の29日、21時からオンライン順番受付サイトで整理券を発行する。
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イギリス発のアウトドアブランド「カリマー(KARRIMOR)」は、環境に配慮したアパレルコレクションを発売した。新素材“ポーラーテックパワーエア”を用いた“PAパーカ”(1万7600円)と“PAパンツ”(1万3200円)、“リプリーブ”を封入した“インディーフーディー”(2万2000円)と“インディーカーディガン”(1万9800円)の全4型をそろえる。直営店と公式ウェブサイトで扱う。
“ポーラーテック パワー エア”は、再生ポリエステルをメインに繊維の抜け落ちを最小限におさえる構造で糸を長持ちさせる素材。アウトドアウエアに用いられる合成繊維は洗濯で抜け落ちたマイクロプラスチックが海洋汚染につながっており、この問題解決に向けてアメリカの生地製造会社のポーラーテックが開発した。フリースのような保温性と高いストレッチ性を備え、トレーニングウエアとしても活用できる。
中綿“リプリーブ”は、アメリカのユニファイがペットボトルを再利用した繊維。用途広く、多くのアパレルメーカーに採用されている。
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文化服装学院や文化学園大学などを運営する文化学園の大沼淳・前理事長が11月21日に死去した。92歳だった。葬儀は親族で行い、文化学園はお別れの会を開く予定で、日程は後日発表される。
大沼氏は1928年、長野県生まれ。45年、海軍兵学校を修了後、人事院を経て、60年、並木学園(現文化学園)理事長に就任。文化女子大学(現文化学園大学)学長(69年)、文化服装学院学院長(76年)、文化ファッション学院大学学長(2006年)などを歴任し、世界的に活躍するファッション業界人を数多く育成した。昨年、文化学園理事長を退任した。日本私立大学協会会長など数多くの公職を務め、藍綬褒章(84年)、勲二等瑞寶章(03年)などを受章した。
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クッションファンデーションやコンシーラーといったベースメイク、アイシャドウ、チーク、リップティントなどのポイントメイク、さらに美容成分配合のフェイスマスクやハンドクリームなどスキンケアアイテムまでをそろえる。価格は350〜1500円。
「服を“きがえる”ように、季節に合わせてメイクも毎日楽しくきがえたい。HAPPYな気持ちになれるわたしサイズの“きがえる”コスメ。」をコンセプトに、アクセサリーを選ぶように服に合わせてコスメも気軽に試せるように、手のひらに収まるミニサイズで展開。衛生的に使い切ることができる。ポイントメイクアイテムは、蓋にチップやブラシが付属したパウチタイプで軽く持ち運びにも便利な仕様だ。
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※この記事は2020年8月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
プリントからデジタルメディアに軸足を移して、最大の変化は「データから想像するようになった」ことです。
「分析」ではなく、「想像」だと思っています。私たちメディアが読み解くデータは、PV、UU、SS、PV/SS、SS/UU、TET(Total Engagement Time. 全読者の該当記事の滞在時間の総和を指します)などですが、指標ごとに並べ替えたり、ABテストで比較したりは、正直苦手(笑)。それは、隣にいる頼もしきデジタル・マーケティング部に依存しています。「想像」とは例えば、ロイヤルユーザーの滞在時間が長い記事を見つけては、「この記事はなぜ、ロイヤルユーザーに刺さっているの?」からスタートし、「彼らは、どこからサイトに来たの?Facebook?Twitter?」「今は、彼らにとってどんな時間?」なんて想像を膨らませること。最終的には往々にして、ユーザーのライフスタイルに思いを馳せることになります。下のリンクにある通り、私の記事が働き方や組織論などに傾倒しがちなのは、まぁまぁ大きな集団と予想される特定のロイヤルユーザー(乱暴に言えば、業界人です)のニーズと期待されるネタの中から、同僚が応えきれていないリクエストに対応したものです。想像する業界人と私自身は大差ないので、正直、“打率”は結構良いんですよ(笑)。PVは「中の上」くらいかもしれませんが、TETは「上の中」くらいだと思っています(笑)。
こんな風に「記事そのもの」を考えることに加え、「記事を読んでくれそうなユーザー」を考え出したら、いろんなことがやりやすくなりました。「どんな記事がバズるか?」とは考えないようになっているので、他媒体を常時チェックして、バズっている記事をマネることはありません。自分らしくない記事を無理やり吐き出すこともありません。そして私の記事やメルマガはお気に召さない方もいるでしょうが(笑)、一方で興味を持ってくださる皆さんとのエンゲージメントは日に日に強くなっている実感があります。上述の“打率”も、よほどの新機軸以外は向上している実感もあります。「プロダクト・セントリック」から「カスタマー・セントリック」に移行できているのかなぁ?なんて考えるワケです。
こんな経験を重ねると、「データから想像すること」「カスタマー・セントリックに進化すること」には、現場力が必要だと痛感します。私の場合は、データと、実際のコミュニケーションを掛け合わせることで「データから想像」できるようになったからです。実際のコミュニケーションがなければ、私は「データから想像」なんてできなかったでしょう。「データを分析する」では、導き出される答えは、おそらく1つに収斂します。差別化ができません。一方で「データから想像」ができなければ、書く記事は「当たればラッキー」くらいの散弾銃になってしまい、費用対効果が良くありません。
そう考えると、個人においても組織においても、机上と現場の融合は不可避ですね。データ・ドリブンなチームと顧客ファーストのチーム、本部のEC担当とショップスタッフはイーブンな立場で交わらないと、「データから想像し、カスタマー・セントリックに移行する」は難しい気がします。
と同時にリアル店舗は減少しているけれど、そこでキャリアを築いてきたスタッフには、まだまだ輝ける場所がいっぱいあると思っています。データを、現場を知るスタッフが想像して戦略が導き出せたら、それは強そうな予感です。
FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。
エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。
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「サステナビリティなしに未来はない」といわれているが、具体的な問題や取り組みについてはまだまだ知らないことは多い。「今知りたいサステナビリティQ&A」は、SNSで読者に募った「サステナビリティに関する気になるトピックス」に対して、「WWDジャパン」の先輩&若手記者の対談と過去記事を引用して回答していくインタラクティブな新連載だ。第1回目は、廃棄物から生まれたファッションアイテムを取り上げる。
【対談参加者】
廣田悠子:サステナビリティ担当記者
皆合友紀子:ファッション担当記者
皆合友紀子(以下、皆合):読者が気になるサステナビリティのトピックスについて話し合う連載が始まりました!インスタの読者アンケートで最も関心が高かったのが、廃棄問題や循環型ファッションでした。今はゴミからいろいろなものが作られていますよね。最近だと、9月に発売されたリサイクルナイロン「エコニール(ECONYL)」を使った「プラダ(PRADA)」のリナイロン(Re-Nylon)コレクションがかわいかった!
廣田悠子(以下、廣田):ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)による「プラダ」2021年春夏コレクションでも「エコニール」を使ったアイテムがあったよね。サーキュラースカートが欲しい!
皆合:「プラダ」は21年までに全てのナイロンを「エコニール」に切り替えると発表していますよね。ナイロン製品が主力の一つである「プラダ」の決断に、環境への意識の高まりを感じました。廣田さんも取材していましたが、「プラダ」をはじめ「グッチ(GUCCI)」や「バーバリー(BURBERRY)」「H&M」などサステナビリティ推進企業が注目する「エコニール」のすごさって何ですか?
廣田:不純物が混ざった廃棄物から作られているところ。これまでのリサイクルナイロンは、製造工程で出た歯切れなど不純物が比較的混じっていないものから作られていたの。でも回収されたゴミから作るにはさらに高い技術が必要とされる。しかも「エコニール」は製造工程もクリーンで危険な化学物質を使っていない。「危険な化学物質を使わずに作る」「新たな資源を使わずに作る」というテキスタイル業界の2大課題を実現したといえるんじゃないかな。
皆合:「エコニール」は50%が漁網と使い古したカーペットなどの廃棄物から作られているんですよね。漁網は海洋汚染としても問題視されています。
廣田:「科学者は、65万以上の海洋生物が漁網に捕らえられて命を奪われるか、怪我をしていて、生態に重大な悪影響を及ぼしていると推定している」と「パタゴニア(PATAGONIA)」の方が教えてくれましたが改めて「海はゴミ箱じゃないんです!」と言いたいね。
皆合:本当ですね。他に気になるのが食糧廃棄物のリサイクル。過去にパイナップルの葉の繊維やオレンジの皮から作られたスニーカーや服が「H&M」や「シャネル(CHANEL)」「ボス(BOSS)」から商品化されて話題になっていましたよね。もはやゴミは資源になりうるのだなと。
廣田:“パイナップルレザー”を作るロンドンのスタートアップ企業の創業者は、もともとラグジュアリーブランド向けの革製ハンドバッグのデザインやコンサルをしていた方。サプライチェーンの理解のために原料を調達していた南米やフィリピンを訪れたときに、現場の劣悪な環境にショックを受けたそう。「レザーはサステナブルではない。こんな生産方法でいいのか」と自問して大学へ入り直し、一からテキスタイルを学びなんと博士号まで取って、パイナップルの葉から作るレザー風のテキスタイルを開発。パイナップルの葉は硬くて土に埋めても分解に時間がかかるらしいから、再利用するのはいい取り組みだよね。
皆合:他に気になっている食糧廃棄物からのリサイクルはありますか?
廣田:ブドウの搾りかすの皮を原料にしたビーガンレザーかな。ワイン、そしてグラッパのために使われたへとへとなブドウの搾りかすだから、とても有効活用しているよね。12月1日発売の「H&M」コンシャス・エクスクルーシブ・コレクションのブーツにも使用されていましたよ。
■イタリアのアクアフィルが開発
■原料は使い古しの漁網やカーペット
■「『エコニール』はマジカルな商品」
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■ラインアップを拡張
■ロゴでタイムレスを表現
■青山店でインスタレーションも
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■開発者はレザーグッズのデザイナーから転身
■開発に10年
■「日々の選択を全力で行って」
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■パイナップルの葉からレザーに似た不織布ができる
■染色も植物を用いる
■ソールはリサイクルTPU
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■建築家と化学者が設立
■英国の高級車「ベントレー」とコラボ
■2019年9月から量産へ
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「クールビズ」からスタートした夏の通勤着改革の勢いは年々増しており、「ノーネクタイデー」「カジュアルフライデー」など新たな通勤スタイルの提案も相次ぐ。多くの企業でも服装規定が緩まり、スーツ需要は減少している。今年は追い打ちをかけるように、コロナ禍をきっかけに在宅ワークが広まり、ますますスーツ需要の減少に拍車をかけた。スーツ大手のAOKIの店頭販売員は、そうした現実にどう立ち向かっているのか。平和台店の高橋哲平店長に話を聞いた。
―今年の4~5月にかけて首都圏の大型商業施設は休業しました。路面店はどうしていました?
高橋哲平さん(以下、高橋):路面店は感染防止対策を行った上で、時短営業をしておりました。確かにコロナ禍でテレワークになった方は増えましたが、それでも一部の方は出社していましたし、急用でビジネスウェアやフォーマルウェアをお買い求めになるお客さまから、「開いてて良かった!」という声もいただきました。そうした時は営業していて良かったな、と思いましたし、自社の強みや存在意義を改めて感じることができました。
―とはいえ、近年「ノーネクタイデー」「カジュアルフライデー」と脱スーツの傾向が高まっています。どう感じている?
高橋:それは、自社だけでなく、紳士服業界全体の課題だと感じています。当社でも、これからはかっちりとしたスーツだけを提案するのではなく、いろんなコーディネートに対してのアプローチをしていこうと動いていて、ビジネスシーンにもカジュアルにも着られる商品が店頭には並んいます。
ただ、AOKIに対するお客さまのイメージはまだ「ビジネススーツ専門店」だと思います。そんなこともあって販売員スナップツール「スタッフスタート」を導入し、SNSや自社ECサイトで自分のコーディネートを発信して、多様な服装対応のできる「ビジネスウェア」のAOKIというイメージに変えていきたいと考えています。
―AOKIでもスタッフスタートを導入したのですね。
高橋:2019年夏からスタートしたのですが、スーツ業界では初の試みでした。その初期メンバーとしてコーディネートを発信しています。今は30名程度のスタッフが発信をしており、11月からはメンバーがさらに増える予定です。
―導入前からインスタとかSNSは積極的に発信していたんですか?
高橋:私個人は以前からSNSを情報収集ツールとして、かなり使っていました。元々、洋服が好きで、最近は特に雑誌よりもインスタでコーディネートをチェックすることが多いですね。自分が発信するようになってからは、写真の撮り方を気にして見ています。
―投稿するときに心がけていることは?
高橋:現実味のあるスタイル、親しみやすいスタイルを追求しています。私は身長186cmと大柄のため、写真に納まった時のサイズ感やコーディネートが現実的に見えるように心がけています。あと、写真と一緒に投稿するコメントは接客に置き換わる部分になるので、とても重視しており、時間も非常に掛けています。商品の詳細など必要最低限のことも書きますが、写真では伝わらない商品の良いところ、このコーディネートであればこういうシーンに使える、こんなシーンに着れば仕事とマッチする!など対面接客のシーンでも伝えるであろう言葉を書くようにしています。
―元々、洋服がお好きだそうですか、なぜAOKIに?
高橋:就活のためにスーツを買いに行ったのがきっかけです。大学は経営学部だったので、学生時代からスーツを着ることが度々あったのですが、実はそれまでAOKIでスーツを買ったことがありませんでした。学生のころは「ナノ・ユニバース」さんなど、セレクトショップで買ってましたね。AOKIは敷居が高いイメージがあったので、就活スーツを買いに行くときは緊張しました。でも大学近くのAOKIに行ったら、その接客に感動しました。スーツの相談に加え、自然と社会人の先輩としての体験談まで話してくれて、就活の不安も少し解消できました。本当に気持ちよく買い物ができたんです。
―そうなんですね!ちなみにどんな相談をしたんですか?
高橋:当時はどの業界がいいのか、どの企業がいいのかすら定まっておらず、まずは就活そのものに慣れようと色んな企業を受けようとしていたところだったんです。良い接客を受けた縁もあったのでAOKIも受けたのですが、その面接の対応も印象が良く、ここで働きたいと思いました。
―就活スーツを買いに行ったことがターニングポイントになったのですね。社員として、販売員として働き始めて以降は、どうでしたか?
高橋:元々、人と話すことが好きだったので、そのまま仕事に生かすことができていると思います。いろんなお客さまが来店されるのですが、商品のことはもちろん、それ以外のことも話をします。その結果、お客さまから「次もお願いしたい」と思っていただけることに、やりがいを感じています。
―経営学部出身で人と話をすることが好きなら、ほかの業界は考えなかった?
高橋:実は旅行も好きで、旅行会社も視野に入れていましたが、旅行は趣味として楽しむことにしました(笑)。それにしても旅行好きの人間としては、コロナ禍の広がったこの数カ月間はとてもしんどかったですね(苦笑)。自分の目標は全都道府県制覇で、大学時代からコツコツと旅行してきたのです。全国制覇まであと5~6県で、今年中に達成できると思っていたんですよ!
―それは残念でしたね……。
高橋:でも、この趣味の良いところは、お客さまと共通点が持てることです。ほとんどの都道府県に行っているので、お客さまの出身地の話で盛り上がったりしています。
―確かに!自分と同郷だったり、出身地を知っている人と話すと盛り上がりますね(笑)
高橋:印象的な会話ができるとお客さまも私のことを覚えてくださいますし、私もお客さまのことをより深く覚えることができるのです。しっかりお話しすることが、他の店舗との差別化につながるのではないかと考えています。
―取材をしていると、お客さまとの会話が苦手という販売員さんが意外と多いのですが、お客さまとの会話で気を付けていることは?
高橋:接客は会話が重要な要素ですが、もっとも大切なのは「聞き上手になること」だと思います。話をするのが好きと言いましたが、以前は話を聞くより自分の話を一方的にしているだけでした(苦笑)。本来、会話は言葉のキャッチボールなので、相手の話をしっかり聞いた上でのこちらの発信がすごく大切なのですが…。
―たまに接客を受けると、商品説明ばかりで一方通行な販売員さんに出会います。会話の訓練はどうされてきたのですか?
高橋:例えば、相手の話したことをもう一回自分の言葉に置き換えて伝えるということから始めました。それをお客さまとの会話だけでなく、友人や同僚、スタッフなど仕事以外の会話でも心がけました。最近、その「傾聴」が店長としてのマネジメントにも役立っていることを実感しています。もちろん、商品知識を身につけることなども大切なのですが、まずは「傾聴」と「会話力」を高めることに注力してみるのは良いかもしれません。
―接客業にとって、“傾聴力”は大事ですよね。それを日頃の会話から気を付けているんですね。特にAOKIの場合、夫の服を奥さんが買いに来るというパターンが多いと以前に伺いました。
高橋:確かに、その場にいない方の洋服を提案するためにはたくさんの質問が必要になります。この仕事を始めた頃は質問することが失礼にならないかと心配しましたが、今は色んな質問をさせていただきます。特にサイズ感や体形によって、お勧めする色・柄も変わるので……。
―体型によってお勧めする柄も違うんですか?
高橋:ファッションの良い点は、コンプレックスを解消できることです。例えば、体が小さいことが悩みでしたら、体を大きく見せる明るめの膨張色、ライトグレーやベージュをお勧めしますし、柄もストライプを着るよりもチェックを着たり、身につける色や柄によってコンプレックスを緩和することができます。こういったことを店頭での接客だけでなく、スタッフスタートでも発信しています。
―とても勉強になりました!それでは最後に今後の目標は?
高橋:インターネットで見たと言って来店される方を増やしていきたいです。今までのように気軽に来店していただければいいのですが、テレワークが増え、スーツも需要が減り、店や接客の概念が大きく変化してきています。つい最近、私が投稿したナノ・ユニバースさんプロデュースの商品が見たいといって、来店されたお客さまがいらっしゃいました。自分も好きなブランドなので、お客さまと意気投合して、当初は試着だけだったところを、最終的にはお買い上げしていただきました。とてもうれしかったのと同時に、お客さまに足を運んでいただけるきっかけになる可能性を秘めているのだと感じました。時代の変化に対応するために、どんどん新しいことにチャレンジして、その中で身をもって体験したことを周囲に共有して、やりがいをもって働けるスタッフを増やしていければいいなと思います。
苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”
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オンワード樫山の「オンワード・グリーン・キャンペーン」は、今年で12年目に入った。全国の店舗で春と秋の年2回、消費者から着なくなった同社の衣料品を回収して、毛布や軍手にリサイクルして国内外の被災地や発展途上国に送り、状態のよいものはリユース販売してその収益を環境・社会貢献活動に寄付する。累計90万7207人の消費者から487万7951点の衣料品を回収した。今年秋からは一部の百貨店と直営店での常時引き取りを始めている。
「オンワード・グリーン・キャンペーン」は09年に当時、同社の執行役員だった保元道宣・現オンワードホールディングス(HD)社長の発案で始まった。売りっぱなしにするのではなく、責任を持って回収し、次に役立てる。今ではアパレルによる循環型の取り組みは珍しくないが、当時はまだ少なかった。服を捨てることに抵抗のある消費者の気持ちを軽くし、来店機会を作ることで新しい服の購入にもつなげる。長年続けたことがブランドロイヤリティを高め、定期的に利用する顧客も少なくない。
回収した衣料品は77%が固形燃料、毛布、軍手などへのリサイクル、23%がリユースとして東京・吉祥寺の直営店「オンワード・リユースパーク」での販売に回る。毛布にリサイクルされる場合は、選別された衣料品の付属品(ボタンやファスナーなど)を外して機械で裁断し、綿状にほぐした反毛綿を紡績した糸で毛布を編む。できあがった毛布は、バングラデシュ、カザフスタンの難民キャンプ、モンゴル、ベトナム、ミャンマー、インドネシアなどの生活困窮者、日本の東日本大震災、中国の四川大地震、ネパール大地震の被災者などに累計3万7500枚が寄付された。
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2020年1〜9月のデジタル事業での売上高が48億ユーロ(約5904億円)を記録したロレアル(L’OREAL)は、今後売り上げの50%、売り上げをけん引するグロースドライバー(成長推進力)の50%、さらに消費者とのコミュニケーションの80%をデジタルに移行する方針を明らかにした。現在グループ全体の売上高の24%を占めるEC事業だが、さらなる成長を促進するため、D2Cから従来のオンライン販売まで、さまざまな形態のデジタルリテールを活用する。
なお、同社は米国でビデオチャットを用いた個人向けのカスタマイズ・ヘアカラーサービス「カラー アンド コー(COLOR & CO)」を通じて、サブスクリプション(定額制)を基本としたEC事業モデルを展開している。また、SNSを活用したソーシャルショッピングは中国ではすでに約1300億ドル(13兆5200億円)を生み出す巨大市場となりつつあり、同市場のEC売り上げの10%ほどを占めている。このように、すでにさまざまなデジタル戦略を施行している同社だが、ルボミラ・ロシェ(Lubomira Rochet)=チーフ・デジタル・オフィサーは11月5日に行われたデジタル記者会見で、今後のDXのためにさらに強化するデジタル戦略について説明した。中でも注力するのは、最近台頭しているリテールテインメント(リテール+エンターテインメント)やソーシャルコマース、ビューティテックなどだ。
ゲームやeスポーツなどのリテールテインメントは、さらなるデジタル化に一役買うと期待を寄せる。「今の消費者にとって、エンターテインメント要素があることも重要だ。特にZ世代を中心とした若者の間では美容製品の消費の仕方が変わりつつある。ビューティ市場の未来には、ライブ配信、ゲーム、ビューティテック、リテールエンターテインメントが大きな要となるだろう」と話す。このことから、「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」はツイッチ(TWITCH)でライブ配信を行い、中国のテンセントQQ(TENCENT QQ)でユーザーがゲーム内のアバターにメイクを施せるサービスを開始した。
また最近は皮膚科医や化粧品研究員、美容部員、メイクアップアーティストをはじめとするプロのコンシューマー (通称プロシューマー)やマイクロインフルエンサーによる情報発信も、消費者の購入に影響を与えている。このようにメーカーからの発信だけでなく消費者同士のコミュニケーションが活発になる中で、ソーシャルメディアを活用したソーシャルセリングも盛り上がりを見せている。この動きは、110年以上もの間にわたり世界中のヘアスタイリストや皮膚科医、メイクアップアーティストと関係を保ってきた同社にとっては強みなると続ける。「彼らがオンライン上で発信し、インフルエンサー化すると、われわれのブランドや製品をSNS上で宣伝・販促するソーシャルセラーになる」。そのため、「ランコム」は3月8日の国際女性デーに向けて、中国で2300人のビューティーアドバイザーをソーシャルセラーおよびインフルエンサーにするためのトレーニング行った。
また、消費者同士のコミュニケーションは、消費者とメーカーの関係性にも影響を与えたという。これまではメーカーが消費者に対して一方的に訴えかけるマーケティング手法が主流であったが、消費者がメーカーに対して声を上げることも増え、特に新型コロナウイルスでその動きはさらに活発になっている。その証に、全ての販売チャネルで消費者からの(製品やサービスに対する)リクエストが40%増加しているという。それら全てのリクエストに対応することが顧客満足度やブランドに対する信頼、支持につながると話す。
ビューティテックも、同社が以前から投資を続けてきた分野だ。Tモール(TMALL)やアマゾン(AMAZON)、ウィーチャット(WECHAT)、ピンタレスト(PINTEREST)といったプラットフォームにモディフェイス(MODIFACE)のAR技術を導入しており、バーチャルのタッチアップを提供している。その結果、消費者はバーチャルのタッチアップを7分以上も行い、購入率は(通常に比べ)3倍となっているという。
今後はモディフェイス(MODIFACE)の技術をグーグル(GOOGLE)傘下のユーチューブ(YOUTUBE)や検索エンジンに組み込む計画だ。例えば、アイライナーやリップスティックをグーグル検索すると、検索結果のページから直接タッチアップのバーチャル体験に進むことができたり、インフルエンサーの動画で紹介されている製品のバーチャルタッチアップを体験したりすることも可能となる。なお、グーグルが自社のソフトウエア・システムに外部の技術を適用するのは初めての試みだ。
これらDXにより「美容は今後ますますパーソナライズ化されるとともに、よりプライベートなものになるだろう。プライバシーや個人情報の保護はますます重要になる」とロシェ氏。美容サービスをパーソナライズ化するためには、データの集積やアルゴリズムの構築が必要だが、ロレアルはそうしたデータの保護に慎重な姿勢だ。同社が運営するウェブサイトでは、データの収集方法や利用目的を説明したプライバシーポリシーを表示している。「それだけでは十分で、消費者から個人のデータを収集する代わりに、それに値する付加価値を提供しなければならない」と話す。例えば肌診断器で消費者の肌データを集積する代わりに、消費者に対してこれまで以上に精密で信頼できる肌分析結果を届けないと、信頼につながらないと指摘する。これを「バリュー(価値)のエクスチェンジ(交換)」と言い、デジタル化が加速するにつれ、ますます重要になると予測する。
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世界最大級デザインの祭典「ミラノサローネ(MILANO SALONE)」が、2021年の開催予定を4月から9月へ延期する。「ミラノサローネ」は、毎年4月にイタリア・ミラノで開催され、世界中からインテリア企業やクリエイターが集結するイベント。年間で最もミラノの人口が増えるといわれるイベントだ。今年の開催は4月から6月に一旦延期されたが、新型コロナウイルス感染拡大で中止を余儀なくされた。
イベントがスタートして60周年を迎える21年は、4月13〜18日の開催を予定していたが、パンデミックの収束の目処が立たず、9月5~10日開催へ延期になった。クラウディオ・ルーティ(Claudio Luti)ミラノサローネ代表は、「9月に延期することでパンデミックの収束に十分な時間を稼ぐことができる。長期にわたる物理的、社会的距離を強いられている今、来年9月開催時にリアルに会えて議論できる機会、そして新たなアイデアで賑わうミラノの町で高揚感を共有できれば」と述べている。
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小泉進次郎環境大臣が就任後、環境省とファッション業界の対話が増えている。8月には任意団体ファッション レボリューション ジャパンの提言を受け、伊藤忠商事や豊島、ファーストリテイリング、H&Mジャパン、アダストリア、帝人フロンティアなど9社との意見交換会を行い、日本の企業が国際的な枠組みへ参加することへの期待などを語った。環境大臣はファッション産業をどう見て、どのようなアクションを考えているのか。単独インタビューを行った。(この記事はWWDジャパン2020年11月23日号からの抜粋です)
WWDジャパン(以下WWD):8月にファッション関連企業と意見交換会を実施したが、率直にどのようなことを感じたか?
小泉進次郎環境大臣(以下小泉):意見交換会でも伝えたのは、今のままじゃいけない、変えたいということ。日本のファッションの評価は世界で高いのに、サステナビリティの文脈でいうとその評価が追い付いてこない。出席した企業の皆さんからは、そのギャップを何とか埋めたい、日本のファッションブランドをサステナビリティの観点でもワールドクラスに持っていきたいという熱意を受け取った。課題はたくさんあるだろう。国内生産が激減し、流通している服の9割以上が海外生産であることもその一つだ。だけどこのままじゃいけない。それを何とかしようという前向きな思いを感じることができた。
WWD:ファッション業界のサプライチェーンは細分化されて長く、全体の意思疎通が難しい。
小泉:同じような状況の産業は他にもあるが、ファッションの分野は前向きな方だと思う。実は今回、環境省の音頭で川上から川下までの企業が集まってくれるのか?という懸念があった。結果、繊維メーカーからグローバルSPA、商社などあれだけのプレーヤーがそろったことはまずよかった。いいスタートが切れたと思う。
WWD:印象に残ったやりとりは?
小泉:フランスのブリュヌ・ポワルソン環境連帯移行大臣付副大臣が2019年のG7サミットで提案した「ファッション協定」に日本の企業が賛同していないなど、国際社会へのメッセージが不十分なのでは?と思った。どれだけいい取り組みをしていてもファッション協定に日本企業の参加がゼロの時点で日本のファッション企業はサステナビリティに関心がないと見られても仕方ないだろう。協定の指標が日本と合わないという懸念もあるようだが、国際社会にメッセージを届けるという大局から考えると参加せずに外で発言していても始まらない。まず土俵に上がり、日本の意見や立場を伝え始めないと非常にもったいない。これは実は安倍内閣での第1期の環境大臣時に石炭政策について国際社会から受けた日本に対する強い批判と共通する問題意識だ。
WWD:決定に従うのではなく、枠組みを議論する土俵に上がらねば。
小泉:気候変動の世界では、菅内閣が2050年カーボンニュートラル宣言をし、米国ではバイデン大統領候補(11月11日時点)が積極的だ。EUはすでに宣言しており、クリーンな産業とダーティな産業の2分類でルールを作ろうという動きがある。これに対して日本の産業界には「そんなこと、たまったもんじゃない」という思いがあり、EUに対して外から文句を言ってきたが、日本も2050年カーボンニュートラルを宣言したのでこれからは違う。菅総理の脱炭素宣言はいわば日本固有のコミュニケーションからの脱却だ。減点方式ではなく、まず高い目標を掲げてどこまでできるかやってみよう、という発想の転換だ。「ファッション協定」の話はそれに近い。ファッションというライフスタイルにかかわるサステナビリティについて日本の政治家が国際社会で語るときに「日本の企業はファッション協定にこれだけ入っています」と言えれば、一言で語れる。逆に「参加企業はゼロですが実はこういうことをやっています」では説明にものすごく時間がかかる。
WWD:日本の中でまず枠組みを作る、という考え方もあるが。
小泉:「日本版〇〇を作る」はよくある手法だが、その取り組みはたいていグローバルな取り組みほどは飛躍しない。日本固有のファッションのカルチャーがあるという思いや、サプライチェーンの構造が違うからグローバルスタンダードの指標で評価をされても損をするだけだとの思いは分かるが、併せて考えたいのが世界に対するメッセージだ。高い技術やクリエイティビティを伝えることができるのはどちらなのか?「日本版〇〇」の中での高得点をアピールしてもそれは一つのマーケットの話にすぎない。
WWD: 2013年、バングラデシュで縫製工場が入ったビル、ラナ・プラザの崩落事故などをきっかけにここ数年、「ファッション業界は大量生産・大量廃棄を当然と思っている、環境意識の低い産業」というイメージが世の中に広がっている。率直にこの業界にどんな印象を抱いているか。
小泉:映画「ザ・トゥルー・コスト」を見たが、あれを見ると自分のクローゼットあらためて見直す。罪悪感なく着られるものを当たり前に選べる社会にしなければ。僕も身の回りからライフスタイルを変えており、再エネ100%で作られたネクタイや、オーガニックコットンのマスクのレパートリーなどは持っている。今はまだそれが当たり前の選択肢として世の中にラインアップされてはいない。一方で、私自身も環境大臣になってから初めて知ったことはたくさんある。無知であることで、気付かないうちに世の中に負の影響を与えている。どこで、どういう環境で作られているかを知るだけで消費者の行動は変わると思う。環境省でもファッションチームを立ち上げて具体的な施策に取り組んでいく。
WWD:ファッション業界は中小企業の割合が高い業界。中小企業ではサステナビリティ促進に向けてできることは限られるという嘆きも業界内にはある。
小泉:評価の可視化、評価される指標作りも大切。そしてそこでは大きなプレーヤーだけではなく、小さなプレーヤーも評価されるべき。先日、ファッションの会社を立ち上げたばかりの方に会った。彼は認証Bコーポレーションに申請しようとしており、評価されれば一気に日本の中でトップに躍り出る可能性がある仕事をしている。ビッグプレーヤーでなくても世界の指標の中に躍り出ることができる。それが可能になった世界に希望を見る。こういった人がこれから次々に出てくるのだろう。社会全体が脱炭素に向かう中でその思いに応えられる正当なマーケット、サステナブルな活動をしているところが報われるマーケットを作ることはとても大切だ。例えばアップルは再生可能エネルギー100%(RE100)を宣言した。それはアップルの部品を作っている日本の中小企業を含む全てのプレーヤーに再エネを求めるということ。できなければサプライチェーンから外される。
WWD:認証取得を政府がサポートするという形での支援はあり得るか?
小泉:実はすでに一部補助をしている。例えばTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やSBT(サイエンス・ベースド・ターゲット)などがそうだ。
WWD:ファッション関係者はインディペンデント気質が強い傾向にあることも関係してか、政治との関わり方、距離の取り方がうまいとは言えない業界。政治と産業が協業するために必要なこととは?また、企業や団体、業界を超えた協業において政治の役割とは?
小泉:ファッション業界の人は誇りを持って責任と使命感を持ってやられている方が多いと思う。ただそれが新しい国際社会の評価に耐えうるのか、時代変化に合っているのかは常に見直す必要がある。日本の中の情報格差もあるだろう。霞が関、永田町で仕事をしているとグローバルな情報も比較的入ってきやすいが、自分の出身地である神奈川県の横須賀、三浦という東京から車で1時間半の場所でさえ、情報格差はある。これを全国規模で考えたら?ファッション関係者は全国にいるわけで、情報をどう共有するかも重要なことだと思う。環境省は集まる場、プラットフォームを提供することが可能だ。2050年カーボンニュートラルはエネルギーだけではなく衣、食、住、移動などあらゆるところを変えないと実現できない。ファッションは政治と同じで無関心でいられても無関係ではいられない産業だからとても重要だ。
WWD:「無駄なものを作らない、捨てない、循環させる」サステナビリティは、新しい物を生み出す産業と時に矛盾するが。
小泉:そこはサーキュラーエコノミーが鍵になる。実は11月10日に環境省は経団連と意見交換をして、史上初の脱炭素社会に向けた合意書を結んだ。次の意見交換会のテーマはサーキュラーエコノミー。日本最大の経済団体がとうとうサーキュラーエコノミーに取り組むのだから日本は変わりつつある。サーキュラーエコノミーとは新たな資源を投入せずに廃棄をできるだけ減らし、経済を回す仕組み作りだ。この循環経済は国際的な潮流として大きくなってきており、オランダは2050年サーキュラーエコノミー化を国家の目標としている。日本でもサーキュラーエコノミーのビジネスモデルは始まりつつある。ブリヂストンはタイヤを売るだけでなく、メンテナンスを含めたサービスを提供し[A1] [向2] 、パナソニックは電球を売るのではなくどれだけ使ったかで課金をする。私も子どもがゼロ歳なので分かるが、服は子どもの成長に追いつかないから成長に合わせてリースするのもよいだろう。環境省としてはそうしたサーキュラーエコノミーのビジネスを支援し経済と環境の好循環を起こし、二つの両立を実現したい。
WWD:再任されて、あらためてどんな目標を抱いているか?理想とする社会像とは。
小泉:安倍内閣での環境大臣1期目から、環境先進国日本の復権をしたいと取り組んできた。1期目に力を入れたのは石炭政策。国内では石炭に対する意識が薄いが、海外では日本=石炭が批判の対象になっている。これを何とかしないと本来評価されるべきことが埋もれてしまう。京都議定書までまとめた国なのに今はリーダーシップをとれていない。石炭政策の見直しにようやく風穴が開いたのが1期目。同時に政府の長期目標を引き上げることに取り組んできた。2期目に入り、2050年カーボンニュートラルは菅総理の発信によってすぐに宣言が実現した。実現した以上今後は具体的な道筋を描き、国民運動につなげていかないといけない。国、行政、企業だけではできない。CO2を出さない社会を作ることで環境と経済が好循環する新たな社会に向かって、一人一人が前向きに参加できる環境を作りたい。ファッションでいえば、サステナブルなファッションが当たり前の選択肢となり意識もしなくなることだ。
WWD:リーダーたるもの、そのファッションはどうあるべきだと考えるか?
小泉:僕にとってファッションは自分に自信を与えてくれるもの。サイズが合っていない服を着ているときは人前に出たくなかったり、ネクタイとスーツがしっくりきていないと力が出なかったり。お気に入りの靴を履いているときは歩く度にエネルギーが湧く気がする。だけど、今のファッションに関する課題を知ってからはサイズ感やコーディネートだけでは誇りが持てなくなっている。このスーツはどこから来ていて、原材料を生産をしている農家はここ、などとまだ言えないことが自分でももどかしい。それを当たり前に言えるような社会を、ファッション業界を変えたいと思っている人たちと作りたい。
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食品ロスや衣料品の大量廃棄問題への関心が高まり、削減に向けた動きが活発になっている。化粧品業界でも環境問題への取り組みがさまざまな角度から行われているが、具体的な数字とともに廃棄ロスが語られることは少ない。大手化粧品メーカーやアパレルメーカーで化粧品の商品企画や営業として勤めてきた4人に集まってもらい、化粧品の廃棄ロスの裏側について聞いた。
WWD:アパレル業界では大量廃棄が大きな問題になっています。衣料品の国内の年間供給数量約29億点に対して、消費数量は約14億点。約15億点が売れ残り、100万トンを超える衣料品が廃棄されているという推計もあります。化粧品業界ではどうですか?
Aさん:私が勤めていたメーカーの主力スキンケアブランドは、定番品が売り上げの主体になっていたため欠品しないことが何より重視され、常に商品が回転し続けている状態。なので、アパレルのように消化率が指標になることはあまりなく、生産量に対してどのくらいが売れ残っているかを追うのが難しいですね。限定品はヒットしなかった商品が店頭に長く置いておけないため戻ってくることがありますが、使用期限が近いという理由で返品されることはほとんどないです。定番品、限定品を含めてどれくらいの商品が廃棄処分にまわっているかは正直なところ把握できていなかったです。
WWD:限定品は使用期限前に返品されることもあるということですが、商品全体の中で定番品と限定品の割合はどのくらいですか?
Aさん:売り上げでは全体の20%程度が限定品で、SKU数では30%程度でしょうか。
Bさん:ブランドによりますが、スキンケアブランドは定番品がほとんどを占めていて、たまに大容量サイズなど限定品を発売するイメージ。メイクアップブランドだったら毎月限定品を発売しているようなブランドもあります。
Aさん:メイクアップブランドを担当していたときは、限定品や色数も多かったので、人気がなく売れなかった色は社販にまわしていました。全ての商品が9~10割売り切ることを目指して生産数を設定していますが、売れないものは5割程度しかいかないものもあります。限定品に関しては、百貨店で発売から2カ月たっても「まだある」というのはよくないので、使用期限がまだ先でも店頭から下げるということもありました。
WWD:店頭から引いた商品を社販で販売する際、何割引きくらいで販売しますか?
Aさん:3~5割引きくらいが通常で、何回か社販を繰り返して使用期限が近づいてくると、最終的には何百円など、原価を割ったとしてもとにかく価格を下げて売り切ることを目指していました。
Bさん:社販では利益を出すことは考えず、廃棄にかかるコストよりは安く済むという考え方ではけさせます。現場の美容部員さんが優先的に購入できる決まりになっていたと思います。
Cさん:私がいた会社では、社販専用のカタログやウェブサイトがあって、ブランドリニューアルなどで発生する旧品や、得意先から返品された商品を、社員やOB・OGとその家族を対象に販売していました。申し込むと半永久的に、カタログ冊子が定期的に届きます。
Dさん:使用上の問題がない商品ですから、安く買えるのは福利厚生としてもいいですよね。
Aさん:社員はその会社の化粧品のコアな愛用者であることが多いので、社販は非常によく売れます。それでも全ての商品を売り切るのは難しいですが。
WWD:使用期限までどのくらい近くなった商品が店頭から引かれますか?
Aさん:百貨店や専門店など商業施設によってルールが異なりますが、化粧品は一般的に未開封の場合、製造から約3年間が使用期限となっています。2年たったらNGというところが多いと思います。
Cさん:卸売りは3分の2が残っていないとダメですよね。私は営業として専門店を担当していましたが、当時は返品が得意先との商談において重要なカードの一つになっていました。専門店も買取や委託、取引形態はさまざまですが、例えば決算月などに、仕入れてもらいたい商品を仕入れてもらう代わりに、売れていない商品の返品を受けるということです。こちらとしては現金を返すことになるので返品はとりたくないですけど、それを上回る商談を成功させたいときに交渉材料として承ることはありました。
Aさん:売れなくて返品されたり、リニューアで戻ってきたりすることはありますが、需給をコントロールする専門の部署があってなるべく商品が残らないように調整するので、使用期限が近いという理由で商品が戻ってくることはほとんどなかったとように思います。
Bさん:使用期限が来るよりも前に「棚落ち」「売れない商品」の烙印が押されてしまうので、使用期限いっぱいまで店頭に残すというスタンスがないですよね。ロスを減らすにはMD担当の努力が大きいです。生産数のコントロールと消化案をひたすら考えていると思います。以前は“捨て色”だから返品がきてもしょうがないよねという暗黙の了解がありましたが、今は全色売ろうというふうに年々変わってきていると思います。
WWD:廃棄処分される製品量を、メーカー社員は把握している?
Aさん:どのぐらいの量が廃棄処分になっているか、具体的な数字や処分法について社内で共有されておらず、不透明だったと思います。社員の中にも廃棄量を減らそうという意識はなかったですね。
Cさん:私がいた会社ではPL(損益計算書)の問題の一つとして、廃棄にコストがこれだけかかるから店頭売り上げを上げようという伝え方でした。今は環境保護の観点から廃棄処分を減らそうという伝え方になっていますよね。
WWD:化粧品の廃棄問題があまり表に出てこない理由は?
Cさん:人をきれいにするという化粧品の特性上、返品や廃棄処分の情報はイメージが悪いので公表したくないのでは?具体的な改善事例と共に出せればいいのですが、そこまで行き着いていないんじゃないでしょうか。現時点では開示するメリットがないですよね。昨今のサステナビリティへの関心の高まりを考えると、今後は負の情報も開示している企業から商品を買おうという流れになっていくかもしれませんが。
Aさん:化粧品は洋服ほど技術面でも仕組み面でまだリサイクルと結びついていないからかもしれないですね。中身は捨てるしかないし、容器も洗浄が必要ですし、ガラスやアルミ、プラスチックなどさまざまな素材のパーツを組み合わせたものが多くリサイクルを難しくしています。ポジティブな話として消費者に伝えるところにまだ来ていないですよね。
Bさん:洋服のようにきれいな繊維にして安全に使えますとはならない難しさがあると思います。外箱にリサイクル再生紙を使うことはできますが、容器は衛生上の問題やコスト面からリサイクル資源を積極的に使うのはまだまだ難しいのが現状です。
Dさん:化粧品は広告に人気女優を起用したりしてきらきらとしたイメージで訴求しているのに、真逆ともいえる廃棄問題や環境負荷を表に出すというのは、あまりにギャップがあり過ぎて社内外を問わず耐えられないんじゃないですかね。せっかく掲げているブランドイメージを揺るがしてしまいかねないですから。
WWD:化粧品業界の環境配慮への取り組みで足りないところは?
Aさん:アウトレットやディスカウント販売はもう少し増えてもいいのかなと思います。外資系の大手メーカーが期間限定で、ときどき公式サイト上でアウトレットコーナーを設けて販売していますよね。国内メーカーではまだあまりないですが、公式サイトであれば信頼感もありますし、リピートしている商品などは使用期限が近いものであっても需要がありますよね。郊外のアウトレットモールなどでは化粧品のアウトレットショップがよく出店していますが、もっと街中でも気軽に買えるようになったらいいと思います。
Bさん:中身にはまったく問題がなくて外箱や容器にちょっとした傷がついている訳あり品などは商品として売るのにまったく問題がないので、アウトレットなどでもっと販売されてもいいのでは。箱がちょっとつぶれているだけで不良品とみなす消費者の感覚も変えていかなければいけないと思います。大手メーカーが一斉に呼び掛けたら一気に変わるような気がしますけどね。
Aさん:あと包装についてはかなり改善の余地があると思います。高級品ならではの過剰包装は、「消費者は夢を一緒に買っているのですてきな包装であるべき」という考え方もありますが、振り返ると必要なのかなという包装は結構あります。バージンの商品である証拠にフィルム状のシュリンク包装を施す慣習がありますが、メーカー側も本当に必要なのか考えてもいいのではないでしょうか。
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サステナビリティ先進企業のパタゴニアの担当者にその取り組みを聞く連載第2回。環境への負荷が高いと指摘されているファッション産業は、どのようにして環境負荷を軽減すればいいのでしょうか。ファッション産業のCO2排出量は世界全体の8~10%、水質汚染は約20%を占めるともいわれています。アパレルやフットウエアの製品ができるまでの水やエネルギーの使用量、CO2排出量や水質汚染といった環境負荷を数値化した場合、約6~8割が原材料生産から素材になるまでの工程に由来します。つまり、素材選びが大切だといえます。では環境にやさしい素材とはどういう素材なのでしょうか。細野雅子マーチャンダイジング部ライフスタイル・スポーツウェア担当に聞きます。
WWD:環境に配慮した素材とはどんな素材だと思いますか?
細野雅子マーチャンダイジング部ライフスタイル・スポーツウェア担当(以下、細野):パタゴニアが取り組む環境に配慮した素材とは、「可能な限り環境への負荷を抑えた素材」と「地球環境を再生することが可能な素材」です。
WWD:「環境への負荷を抑えた素材」とはどんなものですか?
細野:例えば、リサイクル素材やオーガニック栽培された原料を用いることです。私たちは1993年にペットボトルを再生したポリエステルを採用したフリースを発表し、1996年にはオーガニック・コットンへの切り替えを完了しました。
WWD:90年代から行っていたのは早いですよね。リサイクルポリエステルだけではなく、今はほかにもリサイクル繊維の開発・利用を行っていますよね。
細野:はい。海洋に流れ出したプラスチックごみや漁網などを再生して新素材として利用することで、環境への負荷を抑えるだけではなく、地球温暖化の緩和やダメージを受けた「地球環境を再生する」ことが可能だと考えます。
WWD:確かにごみを回収して素材にすることは「地球環境を再生する」といえますね。
細野:ポストコンシューマー(使用した後に回収された材料)からのリサイクルや、すでに地球上にごみとして捨てられた物を回収して再生することは、地球環境の再生に貢献する方法だと考えています。
WWD;具体例を教えてください。
細野:2019年から、使用ができなくなり海中に廃棄された漁網を回収してナイロン素材として再生したブレオ社の“ネットプラス(NetPlus)”という素材を用いています。ほとんどの使い古された漁網はそのまま海に廃棄されていて、科学者は65万以上の海洋生物が漁網に捕らえられて生命を奪われるか、あるいはケガをしており、生態系に重大な悪影響を及ぼしていると推定しています。私たちはこの素材を特に売り上げの大きいカテゴリーや製品に採用することによって多くの漁網を海中から回収し、有害な廃棄物が海に流出することを防ぎます。またこのプロジェクトを通してブレオ社は放棄された漁網が海に捨てられることを防ぎ、地元の漁業従事者に補足的収入を提供しています。
WWD:「地球環境を再生する」という意味では環境再生型農業にも力を入れていますね。パタゴニアは“リジェネラティブ・オーガニック(RO)”農法と呼んでいますが、あらためてRO農法について教えてください。
細野:土壌の健康、動物福祉、社会的公平性の3本の柱を軸にしています。多種多様な作物を同時に生産し、耕さない、あるいは耕す回数を減らす農法によって、土壌微生物の増加やCO2の土壌への吸収に加え、農家の皆さんの持続可能な経営につながります。現在RO農法に移行中のコットンを用いた商品を販売しています。もちろん、従来のオーガニック・コットン栽培でも、大量の農薬を削減することで、限りなく環境負荷を軽減できます。
WWD:健康な土壌は炭素を多く吸収するといわれているので、環境再生型農業の導入が進めば気候変動対策にもなると注目を集めています。
細野:はい、そのとおりです。また私たちは「産業用ヘンプ(大麻)」にも注目しています。日本のような高温多湿な環境でも快適に過ごせ、天然繊維の中でも抜群な強度があるという機能面はもちろん、環境再生要素が大きいからです。ヘンプはかんがいをほとんど必要とせず、他の作物に比べて肥料の使用量も少なくて済みます。栽培に合成肥料を必要とせず、重要な栄養素を供給して浸食を防ぎます。ヘンプもまた地球環境再生のために最も必要な健康な土壌の維持を支えることができます。
WWD:最後に理想とする環境に配慮した素材はどういうものだと思いますか?
細野:今最も理想とする素材は環境再生型プロセスを経て生産された素材で、強度があり出来上がった製品を購入者が捨てることなく長く使用し続けることができる素材だと考えます。天然繊維ならばRO農法のコットンや産業用ヘンプ、化学繊維ならば、使用した後に回収された廃棄物で再生した素材ではないでしょうか。また、それらの素材を育て生産を担ってくれている生産者の生活も、環境を守るフェアトレード認証の取り組みも同じく重要です。
答えてくれた人:細野雅子/マーチャンダイジング部ライフスタイル・スポーツウェア担当:栃木県出身。2016年入社。パタゴニア入社前は米国で約2000店を展開する大手ディスカウントチェーン本社に製品開発担当として約10年勤める。大量生産・大量消費の現場、大量生産品でもちゃんと人の手で作られている製品がすぐに捨てられてしまうビジネスに心を痛め、帰国後ベターなビジネスモデルを探しているときにパタゴニア日本支社に出合う。「入社当初はフェアトレード認証を積極的に進めるところに引かれていましたが、環境面での取り組みが革新的であることに驚きました」。US開発チームと深くかかわり、日本市場のニーズ(デザイン、カラー、素材の良し悪しなど)に合う製品のリクエストやフィードバックを行う。日本のニーズが反映された製品としては、US本国よりも高温多湿な日本のリクエストを受けた“メンズ・シティ・ストーム・レイン・パーカ”や“クラウドリッジ・ジャケット”(2019秋冬まで展開)などがある。好きなアウトドアは山や海で遊ぶこと。日常生活ではゼロウェイスト(廃棄ゼロ)を目標にゴミを減らすことに取り組む
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