「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」が2021-22年秋冬メンズ・コレクションをピッティ・イマージネ・ウオモで発表した。
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バイヤー向けにトピックスを拾います。
「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」が2021-22年秋冬メンズ・コレクションをピッティ・イマージネ・ウオモで発表した。
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「マリメッコ(MARIMEKKO)」が展開するストリートウエアライン“マリメッコ キオスキ(MARIMEKKO KIOSKI)”は2月26日、世界初の直営店をルクア大阪にオープンする。
直営店ではバッグやアクセサリー、ウエアなどをラインアップ。またオープンを記念して、「マリメッコ」のアイコニックな“ウニッコ”を胸元に配した限定Tシャツ(1万5000円)を用意し、購入者100人にはブランド創立70周年を記念したトートバッグをプレゼントする。
■“マリメッコ キオスキ”大阪店
オープン日:2月26日
営業時間:10:30〜20:30(新型コロナウイルスの感染拡大状況により、ルクア大阪の営業日・営業時間に変更が生ずる可能性あり)
住所:大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクア大阪1階
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イタリア・ファッション協会(Camera Nazionale della Moda Italiana)は、1月15〜18日に開催する2021-22年秋冬ミラノ・メンズ・ファッション・ウイーク(MMFW)のスケジュールを発表した。
「プラダ(PRADA)」は、ラフ・シモンズ(Raf Simons)加入後初のメンズ・コレクションを日本時間17日の22時にデジタルで披露する。当初はリアルでのショーを予定していた「フェンディ(FENDI)」や「エトロ(ETRO)」もデジタルに切り替えたため、ほぼ全てのブランドが映像を用いた発表となる。
参加ブランドは前シーズンから10増えて40ブランドになったものの、世界的に知名度がまだまだなデザイナーも多く並んでいる。MMFWが世界中の視聴者をいかにデジタルのプラットフォームに誘導し、ビジネスの場として機能させるのかに注目だ。
【ショースケジュール】(日時はすべて現地時間。変更の場合あり)
1月15日(金)
15:00 「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」
16:00 「ラゴス スペース プログラム(LAGOS SPACE PROGRAMME)」
17:00 「ニック フーケ-フェデリコ クラーディ(NICK FOUQUET-FEDERICO CURRADI)」
1月16日(土)
10:00 「フェデリコ チーナ(FEDERICO CINA)」
10:30 「イレブンティ(ELEVENTY)」
11:00 「デヴィッド カタラン(DAVID CATALAN)」
11:30 「スパイダー(SPYDER)」
12:00 「チャーチ(CHURCH’S)」
13:00 「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」
14:00 「フェンディ(FENDI)」
15:00 「ミゲル ヴィエイラ(MIGUEL VIEIRA)」
15:30 「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」
16:00 「キートン(KITON)」
17:00 「セルダー(SERDAR)」
18:00 「アイスバーグ(ICEBERG)」
1月17日(日)
10:00 「MTLスタジオ(MTL STUDIO)」
10:30 「ドリュフ カプール(DHRUV KAPOOR)」
11:00 「APN73」
11:30 「トウキョウ ジェームス(TOKYO JAMES)」
12:00 「エトロ(ETRO)」
13:00 「MSGM」
14:00 「プラダ(PRADA)」
15:00 「トッズ(TOD'S)」
15:30 「ハン コペンハーゲン(HAN KJOBENHAVN)」
16:00 「ブローク(BLOKE)」
17:00 「スンネイ(SUNNEI)」
18:00 「ケーウェイ(K-WAY)」
1月18日(月)
10:00 「パウラ ディ ダニーロ パウラ(PAURA DI DANILO PAURA)」
11:00 「KB ホン(KB HONG)」
12:00 「ゴール(GALL)」
13:00 「ソリッド オム(SOLID HOMME)」
14:00 「ヴァーデレトロ(VADERETRO)」
15:00 「ウールリッチ(WOOLRICH)」
16:00 「ダルパオス(DALPAOS)」
17:00 「ヌメロ 00(NUMERO 00)」
1月19日(火)
10:00 「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」
11:00 「マリアーノ(MAGLIANO)」
11:30 「ジエダ(JIEDA)」
12:00 「レゾム(LES HOMMES)」
13:00 「ディマ レウ(DIMA LEU)」
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MY FIRST STORYのボーカルを務めるHiroはこのほど、自身がディレクションするファッションブランド「ルール ザ フェイト(RULE THE FATE)」をスタートした。公式オンラインストアで扱い、現在一部商品は品切れ中だ。
アイテムは全10型。武骨な印象を受けるレザーと女性のイメージ色の強いレースをドッキングしたライダースジャケットやTシャツ、アノラックパーカ、ロングシャツなどを用意した。価格は7800〜7万9800円(税込)。また昨年12月に東京・渋谷で開催したポップアップストアにはファンを中心に約1000人が来場したという。今後は既存のファンのみならず、さまざまな人々に商品を提供していく。
MY FIRST STORYは2011年夏に東京・渋谷で結成。12年4月に1stアルバム「MY FIRST STORY」でデビュー以降、全国の大型フェス出演や海外アーティストとの共演を務めた。16年リリースの4thアルバム「ANTITHESE」では自身最高位であるオリコンウィークリー初登場4位を記録。同年6月からは日本全国47都道府県を回るワンマンツアー「WE’RE JUST WAITING 4 YOU TOUR 2016」を開催し、ツアーファイナルは日本武道館で行った。その後、幕張メッセ、横浜アリーナ、埼玉スーパーアリーナと続き、着実にキャリアを伸ばしている。
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※この記事は2020年11月25日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
先日、月経カップ「エヴァカップ」や「スーパージェニー」、サニタリーショーツ「ステインフリー」などを扱うインテグロがオンラインで行なった「はじめての月経カップワークショップ」に、小学3年の娘と参加しました。今、ナプキン、タンポンに続く第3の生理用品と注目を集めている月経カップですが、興味はあっても使い方がイマイチ分からず……。これから主流になってくるかもしれない月経カップの使い方を親が分かっていないと子どもにも教えられないなあと思い、だったらまだちょっと早いけど娘も聞いていて損はないかなと。
実際、女性の身体についてもまだよく分かっていない娘は終始、きょとんとした顔をしていましたが、「へー、そうやって使うんだね」とか「色がかわいいね」とか素直に“向き合って”いる様子。月経が始まって大人になっていろいろ分かった後からだとなかなか踏み出せないことも、なんにも知らない時に普通に教えられたら、与えられたら、すんなり取り入れられそうです。そう思うと、それって何にでも言えることですよね。知らないことを知ることができるなら、素直に聞けるものですよね。そういう風に子どもにも、そして会社の後輩にも与えられたらいいなと感じつつ、娘のその時が来たら、吸水ショーツも含め与えたいと思います。一通りアイテムと使い方を知っておけば、自分なりに快適に過ごせるアイテムを見つけていくのではないでしょうか。自分なりに見つけていくことも大事ですよね。
そして今回もう一つ、同じように新しく知ることですんなり受け入れられそうだなと思ったのが、毎回捨てるナプキンと違って、月経カップが洗って何度でも使えるということです。ナプキンで慣れている大人世代にとっては、繰り返し使うことに少なからず抵抗を感じそうですが、最初から月経カップを使用していれば、きちんと洗って使うが普通になる、当たり前。それってすごくコスト面でもお得と思っていたら娘が一言、「サステナだね!」。びっくりして娘を見る私(笑)。1年ぐらい前から、自動販売機で飲み物を買いたがるたびに「ペットボトルは地球の環境に良くない。すぐに捨てちゃうのもサステナじゃない」って話をしていたら、最近外で「飲み物を買って」と言わなくなったなあ、と思っていたのですが、ちゃんと理解していた娘。まずは私自身が新しいことを受け入れ、そして新しいことをきちんと伝えていくことの大事さを感じた瞬間でした。
HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。
エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。
The post 「月経カップはサステナブル」初めて聞く娘が素直に感じたこと エディターズレター(2020年11月25日配信分) appeared first on WWDJAPAN.com.
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先日、月経カップ「エヴァカップ」や「スーパージェニー」、サニタリーショーツ「ステインフリー」などを扱うインテグロがオンラインで行なった「はじめての月経カップワークショップ」に、小学3年の娘と参加しました。今、ナプキン、タンポンに続く第3の生理用品と注目を集めている月経カップですが、興味はあっても使い方がイマイチ分からず……。これから主流になってくるかもしれない月経カップの使い方を親が分かっていないと子どもにも教えられないなあと思い、だったらまだちょっと早いけど娘も聞いていて損はないかなと。
実際、女性の身体についてもまだよく分かっていない娘は終始、きょとんとした顔をしていましたが、「へー、そうやって使うんだね」とか「色がかわいいね」とか素直に“向き合って”いる様子。月経が始まって大人になっていろいろ分かった後からだとなかなか踏み出せないことも、なんにも知らない時に普通に教えられたら、与えられたら、すんなり取り入れられそうです。そう思うと、それって何にでも言えることですよね。知らないことを知ることができるなら、素直に聞けるものですよね。そういう風に子どもにも、そして会社の後輩にも与えられたらいいなと感じつつ、娘のその時が来たら、吸水ショーツも含め与えたいと思います。一通りアイテムと使い方を知っておけば、自分なりに快適に過ごせるアイテムを見つけていくのではないでしょうか。自分なりに見つけていくことも大事ですよね。
そして今回もう一つ、同じように新しく知ることですんなり受け入れられそうだなと思ったのが、毎回捨てるナプキンと違って、月経カップが洗って何度でも使えるということです。ナプキンで慣れている大人世代にとっては、繰り返し使うことに少なからず抵抗を感じそうですが、最初から月経カップを使用していれば、きちんと洗って使うが普通になる、当たり前。それってすごくコスト面でもお得と思っていたら娘が一言、「サステナだね!」。びっくりして娘を見る私(笑)。1年ぐらい前から、自動販売機で飲み物を買いたがるたびに「ペットボトルは地球の環境に良くない。すぐに捨てちゃうのもサステナじゃない」って話をしていたら、最近外で「飲み物を買って」と言わなくなったなあ、と思っていたのですが、ちゃんと理解していた娘。まずは私自身が新しいことを受け入れ、そして新しいことをきちんと伝えていくことの大事さを感じた瞬間でした。
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「ディオール(DIOR)」は1月15日に、95%自然由来の成分を配合したリップケアアイテム“ルージュ ディオール バーム”(全1色、4500円)を発売する。
“ルージュ ディオール バーム”はレッドピオニーやザクロフラワーなどの花々のエキス、シアバターを配合し、潤いのある艶やかな唇に導く。男性でも使いやすい無色タイプで、口紅の下地としても使用できる。
同製品のビジュアルには俳優の吉沢亮を起用。吉沢は「乾燥するこの季節、今年はマスクでさらに唇が乾きやすい。軽い付け心地なのにしっかり保湿してくれるので、毎日続けられるケアです」とコメントした。
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伊藤忠商事は4月1日付で、新社長COOに石井敬太専務執行役員エネルギー・化学品カンパニープレジデントを昇格する。6月の株主総会後に代表取締役社長COOに就任予定。現社長の鈴木善久氏は代表権のない取締役副会長になり、岡藤正広会長兼CEOは留任する。また、ジョイックスコーポレーション前社長で、現ブランドマーケティング第一部門長の武内秀人氏が執行役員に昇格し、ブランドマーケティング第二部門長に就任する。後任のブランドマーケティング第二部門長には、北島義典ブランドマーケティング第二部長が就任する。また、子会社レリアンの西口知邦・常務取締役が秘書部長に転じる。
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TSIホールディングスは13日、同社営業本部長の下地毅氏(56)が3月1日付で新社長に就任するトップ人事を発表した。現社長の上田谷真一氏(49)、現会長の三宅正彦氏(85)は代表権のない取締役に退く。
下地氏は1997年上野商会に入社。2004年同社取締役商品部長、16年専務執行役員商品本部長を経て、TSIホールディングス傘下入り後(18年10月)の同年11月に上野商会の社長に就任。20年5月からはTSIホールディングスの営業本部長兼第4事業カンパニー長として同社の店舗開発や新事業開発、海外事業戦略などを統括してきた。
TSIホールディングスはこれまで、日本ロレアルなどで要職を歴任した齋藤匡司氏(15年5月〜18年5月)、バーニーズ ジャパンやクリスピークリームドーナツの日本法人の社長を務めた上田谷氏(18年5月〜)と、プロ経営者を外部から招聘してトップに据えてきたが、久々にグループ内からの抜てきとなる。同社は下地氏について「コミュニケーション能力に長け、物事をフラットな目線で見ることができる人物」(広報・IR担当)とし、新社長抜てきについては「これまでの実績、知見などを総合的に勘案した結果」としている。
同社は21年3月1日、22年3月1日の2回に分け、14のファッション事業子会社を吸収・統合する事業再編を実施する。これは持ち株会社と事業会社の一体化によって組織をスリム化するとともに、意思伝達と施策実行のスピードアップを図るもの。下地氏は、新たな組織体制での経営を軌道に乗せることが最初のミッションとなる。
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繊維商社のタキヒヨーの2020年3~11月期(連結)の売上高は、前年同期比19.8%減の376億円、営業損益は5億4300万円の赤字(前期は4億1000万円の黒字)となり、新型コロナウイルス感染拡大の影響による受注・販売の不振で苦戦が続いている。
同社は業績回復を目的に、1月1日付で全社的な組織改編を行った。従来の部門制を廃止したほか、ブランディング強化等を目的としたガーメントディレクショングループやジョイントビジネスグループ、生活関連全般への事業展開を強化するためのライフスタイルグループ、主要得意先向け販売の強化を目的とした首都圏販売グループを新設するなど新体制を整備した。また固定費削減のため、名古屋本社の執務室の1フロア(約2000平方メートル)を返還、大阪支店のシェアオフィスへの移転、中国・上海の子会社の執務室の縮小を今年度中に実施する。
コロナの影響で未定としていた21年2月期通期(連結)の業績予想は、売上高が主力のアパレル・テキスタイル関連事業の減収により同16.5%減の503億円、営業損益は11億4000万円の赤字(前期は1億円の赤字)とし、併せて役員の1月と2月の月額報酬を10~20%減額すると発表した。
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カマラ・ハリス(Kamala Harris)次期副大統領が、米「ヴォーグ(VOGUE)」2月号の表紙に登場した。表紙でハリス次期副大統領は、「コンバース(CONVERSE)」のスニーカーと「ドナルド・ディール(DONALD DEAL)」のジャケットを着用。ハワード大学在学中に所属していた黒人女性の社交クラブ「アルファ・カッパ・アルファ(ALPHA KAPPA ALPHA)」のテーマカラーを背景にポーズを決める姿を、フォトグラファーのタイラー・ミッチェル(Tyler Mitchell)が撮り下ろした。
しかしソーシャルメディアでは、その写真の選択やクオリティーについて物議を醸している。ハリス次期副大統領は選挙活動期間中を含め日常的にスニーカーを愛用しているものの、中にはジャマイカ系とインド系のルーツを持ち、アメリカ初となる有色人種の女性の副大統領誕生を取り上げるにはスニーカーは相応しくないのではないかとの疑問視する声もあった。そしてハリス次期副大統領に対して「無礼だ」とする意見や、「クオリティーが低い」「ホワイト・ウォッシュされている」といった批判が上がっている。
また写真の選択についても、インタビューと一緒に掲載されている「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」のパウダーブルーのスーツを着用した写真を表紙にした方が良かったという意見も多く見られた。さらにこの写真こそ、「ヴォーグ」とハリス次期副大統領陣営の双方が合意した表紙写真だという主張もあり、議論を呼んでいる。なお同写真はプリント版の表紙は選ばれなかったものの、デジタル版の表紙として採用された。「ヴォーグ」とハリス次期副大統領陣営は、ハリス次期副大統領と協力して衣装などを慎重に選んだという。
表紙の公開前に収録したポッドキャスト「スウェイ(SWAY)」でアナ・ウィンター(Anna Wintour)米「ヴォーグ」編集長兼コンデナスト(CONDENAST) アーティスティック・ディレクターは、「2月号の表紙はとても前向きで明るい。誰もがポジティブな印象を抱き、私たちが今本当に必要としているリーダーシップをジョー・バイデン(Joe Biden)次期大統領と共にもたらしてくれるであろう自立した女性のイメージを受け取ると思う」と語っていた。その後ネット上での議論を受けてポッドキャストの公開と合わせて「ニューヨーク・タイムズ(NEWYORK TIMES)」に、「プリント版の表紙に対する反応は認識している。ハリス次期副大統領の偉業を軽視する意図は全くなかったことは繰り返し伝えたい」と語った。アナ編集長が物議を醸している表紙について公にコメントしたのはこれが初めてだ。
また写真の選択については、「表紙写真の正式な合意はなかった。2枚の写真を受け取ったときに、よりカジュアルな装いの方が今の新型コロナ時代を反映していると私たちは強く感じた。世界の歴史に刻まれるこの瞬間に、型式ばったものではなく親しみやすく、現実的な写真を選択した。それはバイデン次期大統領とハリス次期副大統領のキャンペーンの特徴や、今後成し遂げていくであろう数々の取り組みを映すものだ」と述べた。一方、ミッチェルや「マイケル・コース」の幹部、ディールはコメントを控えている。
誌面ではジャーナリストのアレクシス・オケオウォ(Alexis Okeowo)によるハリス次期副大統領のプロフィールについての記事を掲載し、彼女の経歴や今後の政治的展望に焦点を当てている。その中で、前ファースト・レディーのミシェル・オバマ(Michelle Obama)もハリス次期副大統領について、「彼女は抜かりのない女性だ。それは周りの顔色を伺ったり、特定の誰かに対して自身の能力を証明したりするということではない。そういうことを気にしていたら、ハリス次期副大統領は今の地位にはいないだろう」と称賛した。
なお、ミッチェルは同誌で表紙を撮影した初の黒人のフォトグラファーで、今回が3回目となる。初回は18年9月号ではビヨンセ(Beyonce)を、2回目は20年12月号で「グッチ(GUCCI)」のドレスをまとったハリー・スタイルズ(Harry Styles)を撮り下ろした。
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伊藤忠商事は3月1日付で、子会社のファミリーマートの新社長に細見研介・執行役員第8カンパニープレジデントが就任すると発表した。現職の澤田貴司社長は代表取締役副会長に就任する。細見氏は繊維カンパニー出身で、ブランドマーケティング畑が長く、2006 年に全世界の商標権と販売権を取得した「レスポートサック」躍進の立役者の一人。2017年からは繊維カンパニーから出て食品流通部門長に転じ、19年7月からは部門横断型を掲げた新部門の第8カンパニーのプレジデントに就任していた。20年11月に完全子会社化したファミリーマートの舵取りを担うことになる。
細見研介(ほそみ・けんすけ):1962年12月31日生まれ、58歳。神戸大学経営学部を卒業後、1986年4月に伊藤忠入社。ハンティングワールド、ブランドマーケティング第三部長、ブランドマーケティング第二部門長を経て、17年4月に執行役員食品流通部門長、19年7月に執行役員第8カンパニープレジデントに就任。3月1日付でファミリーマート社長に就任予定。
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1月19〜24日に予定されている2021-22年秋冬パリ・メンズ・ファッションウイーク(以下、パリメンズ)と同25〜28日に行われる2021年春夏オートクチュール・ファッション・ウイーク(以下、クチュール)は、デジタルと無観客での開催になる。パリ警察当局からの指示を受け、フランスオートクチュール・プレタポルテ連合会(Federation de la Haute Couture et de la Mode以下、サンディカ)がショーやイベントに観客を招待することは許されない旨を参加ブランドに伝えた。
フランスでは現在、新型コロナウイルスの感染抑制が難航しているため、物理的な集会は禁止され、夜間外出禁止令が敷かれている。20年12月15日にロックダウン(都市封鎖)は解除されたものの、レストランやバー、映画館、劇場、美術館は閉鎖されたままだ。
パリメンズに参加する「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」を含むいくつかのブランドは当初、状況が許すならば少人数の観客を招いてのリアルショーを望んでいたとみられる。なお撮影は許可されているため、ショーの事前に撮影したり、ライブ配信したりすることは可能。また、厳重な衛生ガイドラインを遵守すれば、ショールームでのアポイントメントも認められているという。
1月12日にサンディカが発表した公式スケジュールによると、大半は映像を通じてデジタルのみでの発表となっているが、メンズでは「ルイ・ヴィトン」「ディオール」「エルメス(HERMES)」「リック・オウエンス(RICK OWENS)」「アンガス チャン(ANGUS CHIANG)」の5ブランドがショーのライブ配信を予定。一方、クチュールではキム・ジョーンズ(Kim Jones)加入後初のコレクションを披露する「フェンディ(FENDI)」がパリ旧証券取引所からライブ配信を行う予定だ。また「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVE)」もミラノで行う無観客ショーの模様を配信する。
JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員
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LVMH ジャパンは、女性の再就職とキャリアアップをサポートする「IME LVMH JAPAN クライアント・アドバイザー・プログラム」を始動する。結婚や出産、育児、介護などの理由で離職した女性(性自認が女性の人を含む)を対象に、ファッション、コスメ、ウオッチ、ジュエリーの販売における専門知識と実務経験を得るためのトレーニングを実施し、再就職を支援する。ファッション業界経験者以外も受講できる。
同プログラムは学校法人 日本教育財団の国際ファッション専門職大学および専門学校 モード学園とのパートナーシップのもとに実施。両校で1年間に渡る特別カリキュラムを受講するほか、LVMH傘下ブランドまたは部門のスペシャリストをメンターとして店舗の実務実習を行う。特別カリキュラムの授業料は免除され、実習期間には生活支援手当が支給される。プログラム終了後には卒業証明書が送られ、LVMH傘下ブランドでクライアント・アドバイザーとしての就職チャンスも得られる。
「IME(Institut des Metlers d’Excellence)」はLVMHが2014年に創設した独自の職業訓練プログラムで、若い世代のクラフツマンシップや販売技能の習得などを図り、雇用開発することを目的としている。これまでにヨーロッパ各国で28のプログラムを実施し、800人以上が受講してきた。
応募資格
主に結婚・出産・育児・介護・病気療養・その他の理由で離職し、ファッション、コスメ、ウオッチ、ジュエリーの販売分野に再就職を希望する女性および性自認が女性の方
国籍:日本国籍および日本での就労ビザを持つ外国籍
言語:日本語(日本語での授業の受講および接客・販売に支障がないこと)
学歴:不問
年齢:2021年4月1日時点で20歳以上~40歳以下
経験:過去にアルバイトを含め、仕事をした経験のある方。ファッション業界での経験や接客・販売の経験がない方も応募いただけます
募集人数
13名(参加ブランドにつき各1名)
プログラム参加ブランド
「ブルガリ」「セリーヌ」「クリスチャン・ディオール・クチュール」「フェンディ」「フレッド」「ゲラン」「ロエベ」「ロロ・ピアーナ」「ルイ・ヴィトン」「マーク ジェイコブス」「パルファン・クリスチャン・ディオール」「パルファム ジバンシー」「タグ・ホイヤー」
プログラム概要
実施期間:
2021年4月~1年間
週3日 国際ファッション専門職大学とモード学園で授業を受講
週2日 店舗での実習 ※手当あり
※実習は土日・祝祭日も含むことがあります。シフト制での実習が可能な方
実施場所:パートナースクール
・国際ファッション専門職大学 東京キャンパス(東京・新宿区)
・東京モード学園(東京・新宿区)
実務トレーニング勤務地
・本プログラムに参加しているブランドの都内店舗
スケジュール
2021年1月:オンライン説明会へのエントリー(履歴書を送信)
1月末:オンライン説明会
2月上:正式な応募(志望動機・キャリア展望を送信)
2月末:人事との面接(対面またはZOOM)
2月末~3月上旬:合格者発表
4月上旬:プログラムオリエンテーション・開始~
2022年3月:卒業式
ZOOMによるオンライン説明会エントリー方法
参加希望の方は、2021年1月26日(火)までに下部リンクからお申込みください。
お申込み受付後、ご登録メールアドレスへ説明会にアクセスするためのZOOMリンクをお送りいたします。オンライン説明会では、LVMHやIMEの詳細や正式な応募へのステップと面接の流れについてご説明いたします。また、皆様からのご質問にも回答いたします。
オンライン説明会の日程:
2021年1月28日(木)10:00-11:00 / 18:00-19:00
1月31日(日)10:00-11:00
2月1日(月)14:00-15:00
約60分/各回
応募期限
2021年1月26日まで
本プログラムに関する問い合わせ先
Recruiting LVMH Japan:recruiting@lvmh.jp
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ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)は、「サカイ(SACAI)」の阿部千登勢デザイナーをゲストデザイナーに迎えたオートクチュール・コレクションのお披露目を7月に再延期する。同コレクションは、2020年1月にゴルチエ自身がランウエイを引退した後に立ち上げた新プロジェクトの第1弾で、毎シーズン、ゲストクリエイターを迎えてオートクチュールを制作するというもの。当初は20年7月で披露される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてオートクチュール・ファッション・ウイーク(以下、クチュール)自体がデジタル開催となったため、1月27日に延期されていた。しかし、1月25〜28日に開催される21年春夏クチュールもパリ警察からショーに観客を招待することを禁じられており、再び延期を決めたようだ。
ただ、この延期により、7月のクチュールは話題性の高いものになるだろう。目玉の一つは、創業者のクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)の引退後、53年ぶりに「バレンシアガ(BALENCIAGA)」がクチュールを再開すること。同ブランドも当初は20年7月に発表を予定していたが延期しており、同9月にはデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)=アーティスティック・ディレクターがシーズンレスなクチュールを年1回のみに絞って披露することを発表。「クチュールはじかに見る必要があるもので、スクリーン上で見せることはできない」という考えから、リアルなランウエイショーを予定している。
それと同じくらいエキサイティングなのは、阿部デザイナーのようなエッジの効いた才能がゴルチエの膨大で折衷的な作品を解釈し、彼のアトリエの素晴らしいノウハウを活用することだ。ゴルチエは阿部デザイナーの服作りを称賛しており、同プロジェクトの発表時には「私たちはクリエイティビティーにおいて多くの共通点を持ち、ファッションに対して同様のビジョンを持っている。完全なる自由をもって彼女にデザインしてもらいたいと思っている」とコメントしている。
JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員
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英投資会社ペルミラ(PERMIRA)は、2014年に傘下に収めたシューズブランド「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」のロンドン証券取引所への新規上場(IPO)を計画していることを明らかにした。同社の持ち株のうち少なくとも25%を売り出す予定で、需要によってはこれを40%程度まで増やすという。
ドクターマーチンのケニー・ウィルソン(Kenny Wilson)最高経営責任者は、「新規上場の計画は、当社がペルミラの傘下となってから大きく成長したことを反映している。ECと店舗の両方で顧客に最高の買い物体験を提供するべく投資しており、今後もグローバルで大幅に成長できると確信している」と語った。
「ドクターマーチン」は20年に誕生60周年を迎えた人気ブランドで、ここ数年はグローバルなサプライチェーンを統合してコスト削減を実現しつつ、持続可能な成長を目指している。その一環としてECの拡充に注力すると同時に、消費者とのタッチポイントとして重視しているという130以上の直営店のほか、卸やフランチャイズを展開。拠点である英国に加えて、フランス、イタリア、ドイツ、米国、日本、中国などで強い顧客ベースを抱えており、20年3月通期決算の売上高は6億7220万ポンド(約941億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は1億8450万ポンド(約258億円)だった。また20年4〜9月期で見ると、売上高は前年同期比18%増の3億1820万ポンド(約445億円)、EBITDAは同30%増の8630万ポンド(約120億円)だった。
ペルミラは主にIT、消費財、金融、ヘルスケア関連企業に投資をしており、アパレル業界では20年6月にゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)を買収している。また、「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」および同ブランドの日本・東アジアにおける総販売代理店であるスタイラ(STYLA)の過半数株式を保有していたが、20年4月にこれをスタイラに売却している。
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ネイチャーラボのホームケアブランド「ランドリン(LAUNDRIN)」このほど、人気の春季限定桜シリーズ「SAKURA チェリーブロッサム 2021」を発売した。柔軟剤(本体600mL、665円)やルームディフューザー(80mL、830円)に加えて、ハンドクリーム(17g、450円)と部屋用フレグランス(220mL、460円)がラインアップに加わった。
同シリーズは、世界中の人々に愛されている桜の香りを日本から世界に発信したいという思いから誕生した。香りは国内のみならず、海外でも好まれるようアレンジを加え、トップノートはフレッシュなピーチ、ミドルノートはサクラとチェリーが混ざり合い上品で甘酸っぱい香りを演出し、同ブランドを代表するクラシックフローラルの香りを思わせるムスクが全体に広がる。
今回新発売となるハンドクリームは、持ち運びに便利なサイズで、シアバターや3種の植物由来オイルなどを配合し、つけた後にもベタつかないテクスチャーにこだわった。部屋用フレグランスは、部屋のインテリアになじむデザインで約1〜1.5カ月桜の上質な香りが続く。
2月10日までの期間中に公式ツイッターアカウントのフォローもしくはインスタグラムに該当商品の写真を投稿すると、「ランドリン」とヘアケアブランド「ダイアン パーフェクトビューティー(DIANE PERFECT BEAUTY)」の桜シリーズの商品がセットになった「ランドリン&ダイアン サクラ満開セット」などが当たるSNSキャンペーンを実施中だ。
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※この記事は2020年10月15日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
「またですか!?」と思うのは、「新型コロナの影響で」というフレーズです。なんだか常套句になってきちゃった印象ですね。
それが決定打だったのは、わかります。観光や飲食のように、コロナがなかったら全然違う未来が待っていたケースもあるでしょう。リンク2本目の「鎌倉シャツ」の場合は、ニューヨークという立地の影響があまりに大きく、これは本当に「新型コロナ(とBLM)の影響」です。でもアパレルの場合、多くは「破たんや終了の理由」ではなく、「破たんや終了が早まった理由」なのでは?と考えます。なのに「理由はコロナ」と、自分たちの力ではどうしようもなかった事態に責任転嫁するのは、破たんや事業終了という再スタートでもあるニュースの第一歩として常套手段とすべきではないと思うのです。
破たんの中で最も重い「破産」だって、事業主さえ数年たてば再スタートを切るワケです。「事業終了」だったら、数週間・数カ月後には新たな仕事に取り組むケースも多いでしょう。その時、前の仕事の終了の理由を不可抗力の「新型コロナ」と捉えている場合と、もっと別のどうにかできたかもしれないモノと捉えている場合では、本人の心構えは大きく変わります。前者なら「仕方ないこと」で終わってしまうかもしれません。でも後者の場合は、「同じ失敗は繰り返さない」「あの時、何をしていれば?」「今度は、一体どうやれば?」という思考回路に変わるはず。破たんや事業終了はツラいことだからこそ、そこから何かを掴み、次につなげるべきだと思うんです。だから「理由は、新型コロナ」だけはダメ。業界の活性化を願う私たちも、それ以上を伝え、業界の将来の糧にしようという覚悟が必要ですね。
私たちは、残念なニュースにフタをしがちです。でも最近は、それで良いのかしら?と思っています。そういうニュースにフタをして業界を美しく装うのは、未来を託す後輩のためにならないのではないか?今は、そんな気持ちです。
社会部の事件記者だった頃、「亡くなった●●さん」という説明文をつけて紙面に掲載したい写真(業界では「顔首」と言います)を探し続けたものの、どうしても見つけられず、最後の手段として遺族の家を訪ねて塩を撒かれたことがあります。泣きながら記者クラブに戻った私を先輩は、「事件・事故を掲載するのは、再発を防止するため。その意義がわかれば、乗り越えられる」と慰めてくれました。正直私は「その意義」を“自分ごと”化できず、前職はあっという間に辞めてしまいましたが、今は、先輩の言葉がチョットわかります。「再発防止」のためには、残念なニュースもちゃんと伝えなくちゃならない。だから願わくば「再発防止」のため、残念なニュースの当事者にもちゃんと伝えて欲しいと思うのです。
メディアの都合、でしょうか?そうかもしれません。そもそも「新型コロナの影響で」なんて“聞こえ”の良い言葉を安直に選んでいる面も否めません。でも少なくとも我々の多くは、「未来のために、今の残念なニュースに向き合っている」つもりです。
「未来を託す若手のために」。一事が万事、こう考えると変えるべき、変わるべきことってたくさんありそうですね。
SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。
エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。
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ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載も第16回。“You’d Better Be Handsome”では、トレンドに敏感なレイチェル(Rachel)も加わって、ニューヨークのトレンドや新常識について毎回トーク。今回は、新型コロナの影響により、国を越えての移動が厳しい中での海外出張を終えてきたメイが体験談をシェア。12月に東京、パリを回ってニューヨークへ移動する中で見たこと感じたこと、各都市の実情と、海外出張のニューノーマルとは?
スティービー:今日の話題はなんと言っても、メイの海外出張だね。ホリデー直前、ちょっと心配だったけど、実際のところどうだった?
メイ:正直、今の時期に海外出張って後ろめたいというか、大きな声では言わないようにしていたんだけど、実際3都市回ってみていろいろ見えた。これも感染せずに無事に戻ってこられたから言えることだけど。
レイチェル:それにしてもメイが出発した直後に、それまでは「Go To トラベルキャンペーン」を実施していた東京での感染者も徐々に増えていき、パリに到着したときはまだロックダウン中だったし、ニューヨークに戻ってくる直前にはイギリスで感染力が強いという変異種コロナが発表されて、ヨーロッパからアメリカに入ってくるのがさらに厳しくなったり。いろんな意味で、ギリギリセーフで戻ってきた感じよね。
メイ:今回は数年前から準備してきたビューティブランドのデビューキャンペーン撮影がパリであるというのと、東京でも新事業のプレゼンテーションがあったので、ギリギリまで悩んだけど行くことに決めた。いくらZoomでシェアしてくれると言われても、6日間分のスチールとビデオをZoomで確認するって想像ができなかったし。
レイチェル:時差もあるしね。パリ時間に合わすのは難しい。
メイ:いまだにアメリカからヨーロッパには直接飛べないから、日本を経由したことで行けたというわけ。日本にとってアメリカは、「上陸拒否の対象地域」に指定されているから、受け入れる企業から「誓約書」と「本邦活動計画書」を書いてもらい、出国・出域前72時間以内に、出発国・地域でテストを受けて「陰性」であることを証明する「検査証明」を取得することを条件に、入国の許可が出たので行けたの。
スティービー:どちらにしても成田空港では、新型コロナの検査を全員受けさせられるんだよね?
メイ:そうそう。ジョン・F・ケネディ国際空港(以下、JFK)からANAの成田行きに乗ったら、全部で10人ちょっとくらいしか客がいなかったという印象。スタッフの方が多かったかも?私も昨年の3月以降飛行機に乗っていなかったから、機内でうつったらどうしよう?という心配はあったけれど、搭乗してすぐに映し出された映像で、3分に1回空気が全部入れ替わるという説明があって、ガラガラの機内でその頻度で空気が入れ替わるなら地上にいるより安全?と一安心。
レイチェル:JFKはどんな感じだった?
メイ:ガラガラ。店はダンキン・ドーナツと雑誌屋、あとは一部の免税店しか営業してないし、航空会社のラウンジも閉まっていて。
スティービー:機内は、ほぼ貸し切りだったってこと?
メイ:周りに人の気配もないし、ある意味ぜいたくなフライトだった。ただ最近ニューヨークから東京に飛んだ友人に、一刻も早く飛行機から降りてテストを受けないと、空港を出るのに時間がかかると言われていたので、降りる準備を早々にしていたら、乗り換えのお客さまからとアナウンスがあって。結局、成田で降りる私は機内で30分近く待つことに。
レイチェル:そんなに少ない人数なのに、細かく分けるんだね。
メイ:そこまではすごく気をつけているんだな、という印象だった。飛行機を降りたら、一列に並んでテスト会場みたいな所まで連れていかれ、そこに並ぶ折り畳み椅子に座って順番を待つという仕組み。ただ、その折り畳み椅子の間隔が50cmくらいで、とっても近い気がした。
スティービー:昨年3月から他人とは6フィート(約180cm)の間隔を空けるように、徹底的にたたき込まれたからね、ニューヨークでは。
レイチェル:テストは唾液って聞いているけどどうやるの?ニューヨークでは、鼻の中に綿棒を突っ込まれる形式しかないから。
メイ:私も最初心配だったけど、渡された容器の目盛りに沿ってブースみたいなところで唾液を入れ、それを担当者に渡して次のコーナーに移動。
レイチェル:全部でどれくらい時間がかかった?
メイ:時差のせいか、飛行場という不思議な空間のせいか、あまり時間の記憶がないんだけど、2時間弱くらいかな?最初の折り畳み椅子で30分くらい。そこで機内で配られた書類にきちんと記入しているかを数人のスタッフに確認され、その後受付でその書類を渡し、同時にテスト容器を受け取り、移動して唾液を入れた容器を違うスタッフに渡してさらに移動、今度は列に並び、パスポートやら飛行場からの交通手段を聞かれて席番を渡される。それを持って、その席に座って約30分、自分の席番が呼ばれたら次の受付に進み、そこでちょっと待つと結果を教えてくれる。陰性だったらそのまま出ていいというプロセス。
スティービー:チェックポイントが多いね。ちなみに陽性だったらしばらく隔離されるんだよね?
メイ:指定されるホテルとかで、2週間の隔離。大丈夫だとは思っていたけどドキドキした。
スティービー:とにかく第一関門をパスできてよかった。久々の東京はどうだった?
メイ:用事のあるとき以外は、ホテルにこもっていた。人が全体的に少ない印象ではあったけれど、それでもニューヨークに比べたら今までと大きく変わらないというか。もちろんみんなマスクはしているし、ホテルに入るときも自動検温器があったりするんだけど、ホテルのバーもプラスチックシールドが貼られているとはいえ、屋内で営業していて、人数制限もないのか結構混んでいたりするし。
レイチェル:バーなんて、ニューヨークでは春からほぼずっと屋外でしか営業していないからどうだったか思い出せないくらい。
メイ:東京は細かくはいろいろと変わったと思うけど、短期滞在者の私の目にはコロナの前と同じで、ただいろんな所にプラスチックが貼られていて、これまで以上に清潔にしている、ってことくらいかな?そういえばホテルのスタッフもなんだか距離が近くて、ちょっと怖くなった。マスクしているから聞こえづらいのかもしれないし、みんな親切心だとは思うけど、もう少し離れていようよと思った。日本で距離感が近いと感じたのは初めてのこと。
スティービー:日本は「Go To トラベル」という制度を政府が設けて、日本人の国内旅行を推奨してるんだよね?
メイ:さすがに感染者がどんどん増えて、現在は停止しているけど。だから東京のホテルもギリギリだったとはいえ、こんなご時世に満室の所が多くてびっくり。高い所の方がポイントを多くもらえると聞いたよ。
レイチェル:世界中でみんなが移動を制限している中で大胆な政策よね?感染者の数がアメリカやフランスとはケタ違いっていうのはもちろんあると思うけど。
メイ:今回日本に滞在していたのは数日だけだったけど、その間に友人の感染が発覚。でもそれは彼が進んでテストを受けたから分かったこと。症状も軽かったみたいだし、ちょっと発熱したくらいでは日本ではテストを受けに行かない人もいるのかも、という印象を受けた。ただ1人感染者が出ると、保健所がフォローして、濃厚接触者はみんなテストを受けないといけないらしい。結局、彼の家族は全員感染していたので、ホテルに隔離されなくて済んだんだけどね。
レイチェル:ってことは、本当はもっともっと感染者がいるってことよね?
スティービー:話を聞いているとそういうふうに聞こえた。隔離っていうのは、アメリカにはないよね?個人的にホテルで隔離している人はいたとしても。ただ周りの友人知人も、症状がなくても、複数の人に会ったとか、室内での食事会に行く前には、マナーとしてテストを受けている。友人のスタイリストも、父親に会いに行く前には、必ずテストを受けているから、月1、2のペースで受けている人も少なくない。
レイチェル:ただ日本ではコロナのテストを受ける料金が高いって聞いている。ニューヨークは基本的には、無料で受けられるからそこは大きいかも。
メイ:私が調べたときは、安い所で2万5000円くらい。ただ安い所はアポがいっぱいで飛び込みは無理。あとは3万5000円くらいが相場で、英語での翻訳料が1万円追加でかかる。
メイ:パリへは、羽田から出発。羽田も店がほとんど閉まっていて、シーンとしていた。シャルル・ド・ゴール国際空港行きのJALはJFK-成田間よりも人がたくさん乗っていたという印象。日本人は、フランスに特に何の書類やテスト証明もなく入れるからかな。さすがに観光客風の人たちは見かけなかったけど。
スティービー:で、シャルル・ド・ゴールはどうだった?すんなり入れた?
メイ:ここでも滞在先などを記入した紙をパスポートと提出したけれど、すっと入れてほっとした。空港は結構混んでいてびっくり。パリはそのころロックダウンだったのに。
レイチェル:パリのロックダウンって、そもそもどの程度の規制があるの?
メイ:去年の3、4月のころのロックダウンとは違って、みんな基本的に仕事にも学校にも行っていた。ただ飲食店は全てテイクアウトのみ。店先でワインやチーズとか、ストックを売っているようなレストランもあったし、完全に閉めているレストランもたくさんあった。
スティーブン:ホテルもけっこう閉まっていると聞いたけど?
メイ:大型ホテルもブティックホテルも閉まっている所がたくさんあったのは事実。なんといっても、観光客は基本的にゼロなので。私が泊まっていたホテルも、一階にバーレストランがあるのだけれど、バーでは飲み物を飲むことも禁止で、テイクアウト用に入れてもらった紅茶をその場で飲もうとしたら、すごい勢いで断られた。結構厳しく罰金が取られるんだろうなと思いながら、部屋に持って上がって飲んだよ。
レイチェル:でもビストロやカフェが開いていないパリって想像できないんだけど。
メイ:私も今回は最初から食には期待していなかったけど、さすがパリ、そこそこのレベルのテイクアウトがいろいろあって困りはしなかった。
スティービー:で、パリジャンはちゃんとマスクとか着けているの?それも想像できないけど。
メイ:パリではマスクをしていないと罰金らしい。子どもでも罰金を取られるらしく、たまにマスクがズレてる人はいたけど、みんなちゃんとしていた。撮影現場でもみんなちゃんと着用してくれていたし。
レイチェル:ケータリングとかは?
メイ:ニューヨークと同様、ランチボックスみたいな感じで、最初から取り分けられていた。前菜の小さなボックス、メインコースのボックス、それにデザートのボックス、みたいな感じで。寂しいけれど、マスクを外さないと食べられないので、私はチームからは離れてご飯はいただいていたけど。
スティービー:ブティックとかデパートとかは?
メイ:サントノーレ辺りのブティック、デパートは普通に営業していた。サントノーレはほとんど人がいなかったけど、「エルメス(HERMES)」の本店はいつもほどではないものの、そこそこ混んでいた。観光客はいないはずなのに、この人たちは一体どこから来たのかなって。でも店の人も私のニューヨークのアドレスを見て驚いていたし。やっぱりアメリカ人は最近いないらしい。
レイチェル:ロックダウンとはいえ、出掛けてもいいってことなのね?
メイ:毎回3時間まで出掛けられるんだけど、そのたびにアプリかウェブで基本的な情報を記入して送信し、その受領書みたいなのを持ち歩くというルール。ただ12月15日からは、ロックダウンは解除され、その代わり20時以降は許可証がないと出歩けないという外出禁止令に変わった。
スティービー:12月の半ばからヨーロッパ、特にイギリスはどんどん悪化していったし、アメリカも死者が1日3000人台とかどんどん増えるし、日本でもまた緊急事態宣言と言っているし、ワクチンができたとはいえ、コロナに関して一寸先は闇だね。
メイ:パリでは仕事をしたり、ホテルで食事をしたりする分には、特に不便な感じはしなかった。むしろクリスマス前だったからか、活気さえ感じられた。ただ今回泊まっていたエリアは、スタジオに徒歩で行けることを条件に選んだこともあって、もっと庶民的なエリアだったからかも。
レイチェル:それにしても感染せずにニューヨークに帰ってこられて何より。
スティービー:ニューヨークに戻ってきてからも、ホテルで隔離されていたんだもんね?
メイ:自主隔離だけどね。もし感染していて、家族にうつしたら大変だからね。クリスマスイブの朝に前々から予約を入れていたラピッド検査を受け、15分後に陰性の結果をもらって、自宅に帰ったというわけ。無事にクリスマスを迎えられたことが何よりのギフトだった。
スティービー:実際に感染するのも怖いけど、テストを何回も受けないといけないっていうのがやっぱり面倒だよね。
メイ:いろいろ細かく考えなくても、2021年はもっと気軽に旅に出られるようになるといいね。
メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす
スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住
レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課
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ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。パンデミックは日本に進出している外資系アパレルチェーンの戦略にも変更を迫ることになる。日本における外資系の課題を点検してみた。
コロナ前の2019年にはアメリカンイーグル、フォーエバー21(米国本社が破綻)が撤退して外資アパレルチェーンは総崩れかと商業施設デベロッパー業界は身構えたが、20年はコロナ禍が吹き荒れる中、外資アパレルチェーンの撤退は表面化しなかった。欧米本社の経営も非常事態でコロナ対策に注力するしかなかったが、一息ついた21年は各社が抜本的構造改革に乗り出すから、各国事業の採算性と将来性を見極めて大量閉店や撤退が断行されるのは間違いない。
商業施設デベロッパーにとってアパレル大型店のデファクト・スタンダード(事実上の基準)は「ユニクロ」であり、その集客力と販売効率、家賃貢献度を基準として外資アパレルも評価される。
コロナ前の19年8月期で「ユニクロ」は平均955平方メートルの店舗を正社員換算31.0人で運営して9億6627万円、坪あたり336.9万円(月平均28.1万円)を売り上げ、コロナに直撃された20年8月期でも平均982平方メートルの店舗を正社員換算29.1人で運営して8億7875万円、坪あたり298.7万円(月平均24.9万円)を売り上げた。コロナで平均店舗売り上げは9.1%、坪あたり売り上げは11.3%減少したが、ショッピングモールの他アパレルチェーン、とりわけ外資アパレルチェーンに比べれば落ち込みは格段に浅かった。
19年8月期を基準とすれば、「ユニクロ」は郊外ショッピングモールの平均的な店舗でも坪あたり280万円前後(月平均23万〜24万円)を売り上げ、その8%程度と推定される総合賃料でモールの経営に貢献していた。モールの準核を担う大型専門店でそこまで多額の賃料を払えるテナントは他になく、とりわけ外資アパレルチェーンは販売効率が「ユニクロ」の3〜6掛けに留まるのに家賃レートは似たようなものだから、売上貢献も賃料貢献も格段に落ちる。
日本上陸からしばらくは集客の目玉になったかもしれないが、全国の主要立地に一巡してしまえば販売効率も落ちて家賃貢献も水準を大きく割り込み、あるいは人気が出ずに多店化もできないままでは、モールの一等地に大きな面積を割き続けるわけにはいかなくなる。ゆえに定借賃貸契約の更新時には家賃レートや最低保障売り上げを切り上げるという話が必ず出てくるから、日本法人の損益をこれ以上悪化させるわけにはいかず、大量閉店や撤退という本社判断となりかねない。コロナ禍で本社のダメージも大きい以上、各国事業の損益にもシビアになるから、21年は再び外資アパレルチェーンの大量閉店や撤退が表面化すると危惧される。
ふり返ってみれば外資アパレルチェーンの進出が盛んだったのは規制緩和の1990年代から2000年代、リーマンショック後の13年までで、少子高齢化で異次元資金供給と増税・社会負担増のアベノミクスが進み若年層の消費が冷え込んだ15年以降、一転して撤退ラッシュに転じている。大手5社(ギャップ、インデイテックス、H&M、イーグルリテイリング、フォーエバー21)合計売り上げのピークは15年の2626億円で、以降は既存店売り上げの減少や閉店、撤退でしぼみ続け、19年は2090億円まで減少したと推計される。フォーエバー21とアメリカンイーグルが脱落して3社になった20年は、コロナ禍もあって1500億円前後まで落ち込んだのではないか。
グローバル化の中で一時は海外ブランドへの期待感みたいなものがあったのだろうが、ローカル回帰に転じた15年以降、若年層とりわけ非正規雇用が広がった女性の実収入の低迷はそんな余裕も押し潰し、コロナ禍では減収や雇い止め、失業が広がってお洒落どころではなくなった。
外資アパレルチェーンが売れない理由は「ローカル対応に本気じゃない」に尽きる。アパレルは各国市場の人種的・民族的特性に左右されるローカル・ライフスタイル商品だから、異なる人種・民族のモードやフィットを押し付けても顧客は広がらない。
世界のメジャーなアパレル市場はアングロサクソン系、ユーロラテン系、ヒスパニック系、ネグロイド系、アラブ系、華南系モンゴロイド、華北系モンゴロイドの7界からなり、ライフスタイルや服装規範、モード観やトレンド、体形やサイズはもちろん、スタイリングとフィットの文化が根本から異なる。華南系と華北系に分かれる中国や韓国とは異なり、日本市場はほぼ華南系(日本海側の一部には華北系の残滓が見られる)にまとまっている。「H&M」はアングロサクソン系、「ザラ」はユーロラテン系、「ユニクロ」はかつて華南系だったが近年は華北系へ移行しており、主力市場の移動を反映している。
華南系は小柄な前かがみのずんぐり体形でフィットの好みが緩く、華北系は背が高くスラッとした体型でフィットの好みがタイトだ。欧米的なモード観では華南系のスタイルは冴えないが、ローカルなスタイリング価値からは“かわいい”“なごむ”と好まれ、華北系のスタイルを“イタい”“エロい”と敬遠する見方もある。ちなみにボディコンなチャイナドレスは華北系(満州族)の近代モードであって色味も鮮やかで、華南系(漢民族)の民族服はフィットの緩い「漢服」で色味も淡い。
グローバルチェーンといっても商品開発には民族文化圏の特性が色濃く反映されるから、よほど本気でローカル対応しないと異なる市場には定着できない。人種のつるぼといわれる米国市場では地域どころかコミュニティーレベルでエスニック・ミックスが大きく異なるから、複数のエスニック企画やエスニック・フィットを用意するか、特定のエスニックに重点を置いた商品企画に割り切って出店立地を選ぶか、の選択になる。そこまではともかく、ローカル対応のポイントは(1)ローカルフィット&サイジング、(2)ローカルライフスタイル、(3)ローカルトレンド、(4)ローカルプライス、(5)ローカルMD&デリバリー、(6)ローカルマネジメント――以上の6点に他ならない。
インディテックスはドレスアイテムのモノ作りやビジネスモデルは優れていてもローカル対応には消極的で、「ザラ」もローカルフィット&サイジングになっているわけではないから顧客の体形を選んでしまうし、「ストラディバリウス」はラテン系のローカルテイストが強く日本市場の嗜好とは乖離している。インテリアの「ザラホーム」も単品MDで日本式のトータルコーディネイトMD(同じ色柄でアイテムがそろう)になっていないし、フィットシーツは存在せず、コンフォーターカバーの内紐も付いていない。ホームデコレーションの文化が違うとはいえ、これでは顧客の広がりが限られるのもやむを得まい。
日本市場でおおむね5000万ユーロ以上の市場を確保している欧州のモードブランドはジャパン(華南)フィット対応しているが、そこまで広がらないブランドはアングロサクソン系(またはユーロラテン系)フィットのままだから顧客は広がりようがない。ファクトリーブランドでも正規代理店契約のブランドはジャパンフィット別注しているが、百貨店やセレクトショップの直買付け品はユーロフィットのままが多く、顧客を選んでしまう。欧州のデッドストックを買い付けても、丈詰めなどをしないで我が国で販売するには無理があるアイテムが多い。
欧州のモードブランドやファクトリーブランドが割高な値段になるのはロットの限られるジャパンフィット別注を要することも原因のひとつで、代理店が輸入している欧州ブランドを現地で試着すればフィットとサイジングの違いを痛感させられる。日本価格より割安でも、お直しの費用と期間に目を剥いて現地購入をあきらめる人が大半ではないか。逆にいえば日本のブランドが海外展開する場合も同じローカルフィットが求められるわけで、欧米でアングロサクソン系フィットやユーロラテン系フィットが求められるのはもちろん、中国市場や韓国市場を華南系一本と見るべきではない。ブランドのキャラクターで華南系か華北系に割り切り、出店地域を選択するべきだろう。
アングロサクソン系やユーロラテン系のモード観で企画されるスタイリングは、華北系はともかく華南系のウエアリング感覚とは乖離しがちで、そのままではタイトに過ぎて緩さや崩しがなく好まれないことも多い。欧州モードに親しんだ百貨店客の中高年齢層はともかく、ローカルなストリートウエアリングが身に付いた若年層には不要にエロくてなごまないスタイリングに見えがちだ。
華南系でも日本市場のウエアリングは独特の緩い崩しがあり、地域や客層によってかなりのローカルバリエーションがある。その背景は高校生時の制服と制服崩しにあり、私服通学で制服も制服崩しも経験しないままハイスクール時代を過ごす欧州の若者が着崩しセンスを身に付けないまま大人のモードに取り込まれて行くのに対し、制服に憧れ、あるいは強いられて自分なりのTPOで着崩す3年間を過ごす日本の若者は独特の着崩しセンスを身に付ける。コギャル風俗が台頭してJKが若者文化の主役となった95年頃を転機として、それ以降にJK期を体験した世代は独特の着崩しセンスを身に付け、欧州モードとは一線を画したローカルスタイルを形成するに至ったのではないか。その点は韓国市場と共通しており、若者が欧州モードより韓流トレンドに流れる要因の一つと考えられる。
モードスタイリングをローカル対応させるには、華南系のややずんぐり前屈み姿勢のマネキンに、アウターは大きめサイズを衣紋抜き気味に緩く着せ付け、ボトムも大きめサイズを落とし気味にはかせ、レイヤードさせるのが基本だ。色柄の合わせも欧州ブランドの本部指示ではハーモニックになりがちで華南系の若年層には老けて見られるから、色相とトーンのコントラストを付け、柄のアイテムか小物をアクセントして立体感を盛る。南関東圏なら多少ハーモニックにまとめても違和感はないが、関西圏とりわけ南関西圏ではゴテゴテするほど柄物を盛る方がウケる。
欧州の本部から指導に来るビジュアルマーチャンダイザーは目をむくだろうが、それがローカル対応だ。上陸直後の導入期なら上から目線で欧州モードを押し付けても通るかもしれないが、全国に数10店舗も布陣する段階に至ってはローカル対応が不可欠ではないか。
各国ローカル市場でのMD展開とデリバリーにしても、グローバル統一のMDと生産のままデリバリーだけ微調整しても対応には限界がある。ローカルの各店が品番と色・サイズを選択し数量発注する「ザラ」にしても、MDはグローバル統一でデリバリーも北半球一斉だし(南半球対応は不明)、期中の店間移動は行われていない。
比較的ローカル対応しているのが「ユニクロ」で、地域によってはローカル企画があるし、生産は一括でも生産地倉庫に備蓄してデリバリーのタイミングはローカル対応しているようだ。国内チェーンでも北から南までデリバリーのタイミングは異なるし、シーズン末期には大規模な店間移動が必要だから、グローバルチェーンの中途半端なローカル対応では需給ギャップが広がってしまう。
ローカル市場では単品毎の需給状況でプライスポイントが週サイクルで動くが、国内チェーンでも売価変更のタイミングは難しいのに、POSデータに基づいての遠隔判断では自社在庫の消化状況に偏り、市場価格の変化に適切に対応するのは難しい。シーズン中の市場価格変化もともかく、何年かのうちにはローカル市場の経済状況や消費マインド、競合関係の変化でプライスポジションがズレてしまうこともある。進出時のマーケティングに基づくポジションのままでは「正価」販売が困難になり、値引き販売が常態化することもある。
アウェイの海外マーケットでコストを積み上げると本国プライスより何割も高くなるから売り上げが伸びず、定着できずに撤退するケースも多い。ローカルプライスは中長期視点で戦略的に設定するべきだ。
そんなさまざまなローカル対応のズレを最小化するのがローカルマネジメントだ。出店戦略やマーケティングはもちろんシーズンのMD展開や営業対応まで、現地事情にうとい本社が仕切っては上手くいかないから、現地執行経営陣への権限委譲が必要だ。最終的には独資直営体制に移行するにしても、ローカル市場に定着するまでは現地企業へのライセンシングか合弁運営が合理的な選択となる。インディテックスも97年の日本進出時にはビギと合弁(インディテックス49%)でザラ・ジャパンを設立し、05年末に独資に切り替えている。
ライセンスブランドを低く評価する見方もあるが、ローカル対応で市場規模を広げやすく、旧カネボウの「ディオール」は売り上げ500億円、三陽商会の「バーバリー」は600億円(小売規模1000億円)まで広がった。「ディオール」はライセンス契約を解消した後、その市場規模を回復するのに15年を要したし、「バーバリー」はもっと要するかも知れない。ライセンス展開の成否はライセンシーの選択次第で、三陽商会も旧カネボウもブランド側が当初に求めた水準を満たしていたが、グローバルなブランディングと流通政策の変化が蜜月を終わらせた。
テクニカルなローカル対応もともかく、ローカルマネジメントで肝となるのは価格政策と出店政策だ。両者は表裏一体だから、価格政策と出店立地が噛み合わないとローカル展開は挫折してしまうし、本国価格とローカル価格が乖離すると通販サイトなどに転売ヤー商品があふれて正価販売が困難になる。
ギャップ日本法人は、ローカルフィットやローカルデリバリーに注力してピークの16年1月期の売り上げは「ギャップ」「バナナリパブリック」「オールドネイビー」の3業態計1060億円まで到達したが、17年1月末の「オールドネイビー」撤退以降は急ピッチの売り上げ減少が続き、20年1月期はピークの半分まで落ち込んだと推計される。「ギャップ」の米国価格と乖離した割高な価格が値引き販売の常態化を招いたばかりか、実勢価格が「オールドネイビー」に接近してその存在意義を失わせ、短期での撤退に追いやったことが悔やまれる。
アウエイの海外展開はそれほど難しく、本国展開よりコストがかさみ、割高な価格設定になって定着できず、短期で撤退するケースが絶えない。それはスーパーマーケットや量販店も同様で、外資でまともに定着できたのは会員制ディスカウントストアのコストコくらいだ。ましてやアパレルチェーンの定着がどれほど困難か想像に難くない。
国内市場が衰退するわが国アパレルも海外進出が盛んだが、ローカル市場に定着して投下資本を回収できたケースは極めてまれで、膨大な損失が本体の経営を揺るがすケースさえある。夢を見るのは自由だが、現実に目を背けては悲惨な結末を招く。財務的な余裕とリスクへの覚悟、現地運営体制がない限り、海外進出は安易に行うべきものではない。そんな余裕があるならOMO※1とデジタルトランスフォーメーション(DX)※2に投資を集中するべきだ。
※1.OMO(Online Merges with Offline)…オンライン(EC)とオフライン(店舗販売)を融合するリテール戦略
※2.デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)…「デジタル技術による業務効率の革新」と定義され、デジタルで繋いで業務効率や事業モデルを革新する
小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)
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ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。パンデミックは日本に進出している外資系アパレルチェーンの戦略にも変更を迫ることになる。日本における外資系の課題を点検してみた。
コロナ前の2019年にはアメリカンイーグル、フォーエバー21(米国本社が破綻)が撤退して外資アパレルチェーンは総崩れかと商業施設デベロッパー業界は身構えたが、20年はコロナ禍が吹き荒れる中、外資アパレルチェーンの撤退は表面化しなかった。欧米本社の経営も非常事態でコロナ対策に注力するしかなかったが、一息ついた21年は各社が抜本的構造改革に乗り出すから、各国事業の採算性と将来性を見極めて大量閉店や撤退が断行されるのは間違いない。
商業施設デベロッパーにとってアパレル大型店のデファクト・スタンダード(事実上の基準)は「ユニクロ」であり、その集客力と販売効率、家賃貢献度を基準として外資アパレルも評価される。
コロナ前の19年8月期で「ユニクロ」は平均955平方メートルの店舗を正社員換算31.0人で運営して9億6627万円、坪あたり336.9万円(月平均28.1万円)を売り上げ、コロナに直撃された20年8月期でも平均982平方メートルの店舗を正社員換算29.1人で運営して8億7875万円、坪あたり298.7万円(月平均24.9万円)を売り上げた。コロナで平均店舗売り上げは9.1%、坪あたり売り上げは11.3%減少したが、ショッピングモールの他アパレルチェーン、とりわけ外資アパレルチェーンに比べれば落ち込みは格段に浅かった。
19年8月期を基準とすれば、「ユニクロ」は郊外ショッピングモールの平均的な店舗でも坪あたり280万円前後(月平均23万〜24万円)を売り上げ、その8%程度と推定される総合賃料でモールの経営に貢献していた。モールの準核を担う大型専門店でそこまで多額の賃料を払えるテナントは他になく、とりわけ外資アパレルチェーンは販売効率が「ユニクロ」の3〜6掛けに留まるのに家賃レートは似たようなものだから、売上貢献も賃料貢献も格段に落ちる。
日本上陸からしばらくは集客の目玉になったかもしれないが、全国の主要立地に一巡してしまえば販売効率も落ちて家賃貢献も水準を大きく割り込み、あるいは人気が出ずに多店化もできないままでは、モールの一等地に大きな面積を割き続けるわけにはいかなくなる。ゆえに定借賃貸契約の更新時には家賃レートや最低保障売り上げを切り上げるという話が必ず出てくるから、日本法人の損益をこれ以上悪化させるわけにはいかず、大量閉店や撤退という本社判断となりかねない。コロナ禍で本社のダメージも大きい以上、各国事業の損益にもシビアになるから、21年は再び外資アパレルチェーンの大量閉店や撤退が表面化すると危惧される。
ふり返ってみれば外資アパレルチェーンの進出が盛んだったのは規制緩和の1990年代から2000年代、リーマンショック後の13年までで、少子高齢化で異次元資金供給と増税・社会負担増のアベノミクスが進み若年層の消費が冷え込んだ15年以降、一転して撤退ラッシュに転じている。大手5社(ギャップ、インデイテックス、H&M、イーグルリテイリング、フォーエバー21)合計売り上げのピークは15年の2626億円で、以降は既存店売り上げの減少や閉店、撤退でしぼみ続け、19年は2090億円まで減少したと推計される。フォーエバー21とアメリカンイーグルが脱落して3社になった20年は、コロナ禍もあって1500億円前後まで落ち込んだのではないか。
グローバル化の中で一時は海外ブランドへの期待感みたいなものがあったのだろうが、ローカル回帰に転じた15年以降、若年層とりわけ非正規雇用が広がった女性の実収入の低迷はそんな余裕も押し潰し、コロナ禍では減収や雇い止め、失業が広がってお洒落どころではなくなった。
外資アパレルチェーンが売れない理由は「ローカル対応に本気じゃない」に尽きる。アパレルは各国市場の人種的・民族的特性に左右されるローカル・ライフスタイル商品だから、異なる人種・民族のモードやフィットを押し付けても顧客は広がらない。
世界のメジャーなアパレル市場はアングロサクソン系、ユーロラテン系、ヒスパニック系、ネグロイド系、アラブ系、華南系モンゴロイド、華北系モンゴロイドの7界からなり、ライフスタイルや服装規範、モード観やトレンド、体形やサイズはもちろん、スタイリングとフィットの文化が根本から異なる。華南系と華北系に分かれる中国や韓国とは異なり、日本市場はほぼ華南系(日本海側の一部には華北系の残滓が見られる)にまとまっている。「H&M」はアングロサクソン系、「ザラ」はユーロラテン系、「ユニクロ」はかつて華南系だったが近年は華北系へ移行しており、主力市場の移動を反映している。
華南系は小柄な前かがみのずんぐり体形でフィットの好みが緩く、華北系は背が高くスラッとした体型でフィットの好みがタイトだ。欧米的なモード観では華南系のスタイルは冴えないが、ローカルなスタイリング価値からは“かわいい”“なごむ”と好まれ、華北系のスタイルを“イタい”“エロい”と敬遠する見方もある。ちなみにボディコンなチャイナドレスは華北系(満州族)の近代モードであって色味も鮮やかで、華南系(漢民族)の民族服はフィットの緩い「漢服」で色味も淡い。
グローバルチェーンといっても商品開発には民族文化圏の特性が色濃く反映されるから、よほど本気でローカル対応しないと異なる市場には定着できない。人種のつるぼといわれる米国市場では地域どころかコミュニティーレベルでエスニック・ミックスが大きく異なるから、複数のエスニック企画やエスニック・フィットを用意するか、特定のエスニックに重点を置いた商品企画に割り切って出店立地を選ぶか、の選択になる。そこまではともかく、ローカル対応のポイントは(1)ローカルフィット&サイジング、(2)ローカルライフスタイル、(3)ローカルトレンド、(4)ローカルプライス、(5)ローカルMD&デリバリー、(6)ローカルマネジメント――以上の6点に他ならない。
インディテックスはドレスアイテムのモノ作りやビジネスモデルは優れていてもローカル対応には消極的で、「ザラ」もローカルフィット&サイジングになっているわけではないから顧客の体形を選んでしまうし、「ストラディバリウス」はラテン系のローカルテイストが強く日本市場の嗜好とは乖離している。インテリアの「ザラホーム」も単品MDで日本式のトータルコーディネイトMD(同じ色柄でアイテムがそろう)になっていないし、フィットシーツは存在せず、コンフォーターカバーの内紐も付いていない。ホームデコレーションの文化が違うとはいえ、これでは顧客の広がりが限られるのもやむを得まい。
日本市場でおおむね5000万ユーロ以上の市場を確保している欧州のモードブランドはジャパン(華南)フィット対応しているが、そこまで広がらないブランドはアングロサクソン系(またはユーロラテン系)フィットのままだから顧客は広がりようがない。ファクトリーブランドでも正規代理店契約のブランドはジャパンフィット別注しているが、百貨店やセレクトショップの直買付け品はユーロフィットのままが多く、顧客を選んでしまう。欧州のデッドストックを買い付けても、丈詰めなどをしないで我が国で販売するには無理があるアイテムが多い。
欧州のモードブランドやファクトリーブランドが割高な値段になるのはロットの限られるジャパンフィット別注を要することも原因のひとつで、代理店が輸入している欧州ブランドを現地で試着すればフィットとサイジングの違いを痛感させられる。日本価格より割安でも、お直しの費用と期間に目を剥いて現地購入をあきらめる人が大半ではないか。逆にいえば日本のブランドが海外展開する場合も同じローカルフィットが求められるわけで、欧米でアングロサクソン系フィットやユーロラテン系フィットが求められるのはもちろん、中国市場や韓国市場を華南系一本と見るべきではない。ブランドのキャラクターで華南系か華北系に割り切り、出店地域を選択するべきだろう。
アングロサクソン系やユーロラテン系のモード観で企画されるスタイリングは、華北系はともかく華南系のウエアリング感覚とは乖離しがちで、そのままではタイトに過ぎて緩さや崩しがなく好まれないことも多い。欧州モードに親しんだ百貨店客の中高年齢層はともかく、ローカルなストリートウエアリングが身に付いた若年層には不要にエロくてなごまないスタイリングに見えがちだ。
華南系でも日本市場のウエアリングは独特の緩い崩しがあり、地域や客層によってかなりのローカルバリエーションがある。その背景は高校生時の制服と制服崩しにあり、私服通学で制服も制服崩しも経験しないままハイスクール時代を過ごす欧州の若者が着崩しセンスを身に付けないまま大人のモードに取り込まれて行くのに対し、制服に憧れ、あるいは強いられて自分なりのTPOで着崩す3年間を過ごす日本の若者は独特の着崩しセンスを身に付ける。コギャル風俗が台頭してJKが若者文化の主役となった95年頃を転機として、それ以降にJK期を体験した世代は独特の着崩しセンスを身に付け、欧州モードとは一線を画したローカルスタイルを形成するに至ったのではないか。その点は韓国市場と共通しており、若者が欧州モードより韓流トレンドに流れる要因の一つと考えられる。
モードスタイリングをローカル対応させるには、華南系のややずんぐり前屈み姿勢のマネキンに、アウターは大きめサイズを衣紋抜き気味に緩く着せ付け、ボトムも大きめサイズを落とし気味にはかせ、レイヤードさせるのが基本だ。色柄の合わせも欧州ブランドの本部指示ではハーモニックになりがちで華南系の若年層には老けて見られるから、色相とトーンのコントラストを付け、柄のアイテムか小物をアクセントして立体感を盛る。南関東圏なら多少ハーモニックにまとめても違和感はないが、関西圏とりわけ南関西圏ではゴテゴテするほど柄物を盛る方がウケる。
欧州の本部から指導に来るビジュアルマーチャンダイザーは目をむくだろうが、それがローカル対応だ。上陸直後の導入期なら上から目線で欧州モードを押し付けても通るかもしれないが、全国に数10店舗も布陣する段階に至ってはローカル対応が不可欠ではないか。
各国ローカル市場でのMD展開とデリバリーにしても、グローバル統一のMDと生産のままデリバリーだけ微調整しても対応には限界がある。ローカルの各店が品番と色・サイズを選択し数量発注する「ザラ」にしても、MDはグローバル統一でデリバリーも北半球一斉だし(南半球対応は不明)、期中の店間移動は行われていない。
比較的ローカル対応しているのが「ユニクロ」で、地域によってはローカル企画があるし、生産は一括でも生産地倉庫に備蓄してデリバリーのタイミングはローカル対応しているようだ。国内チェーンでも北から南までデリバリーのタイミングは異なるし、シーズン末期には大規模な店間移動が必要だから、グローバルチェーンの中途半端なローカル対応では需給ギャップが広がってしまう。
ローカル市場では単品毎の需給状況でプライスポイントが週サイクルで動くが、国内チェーンでも売価変更のタイミングは難しいのに、POSデータに基づいての遠隔判断では自社在庫の消化状況に偏り、市場価格の変化に適切に対応するのは難しい。シーズン中の市場価格変化もともかく、何年かのうちにはローカル市場の経済状況や消費マインド、競合関係の変化でプライスポジションがズレてしまうこともある。進出時のマーケティングに基づくポジションのままでは「正価」販売が困難になり、値引き販売が常態化することもある。
アウェイの海外マーケットでコストを積み上げると本国プライスより何割も高くなるから売り上げが伸びず、定着できずに撤退するケースも多い。ローカルプライスは中長期視点で戦略的に設定するべきだ。
そんなさまざまなローカル対応のズレを最小化するのがローカルマネジメントだ。出店戦略やマーケティングはもちろんシーズンのMD展開や営業対応まで、現地事情にうとい本社が仕切っては上手くいかないから、現地執行経営陣への権限委譲が必要だ。最終的には独資直営体制に移行するにしても、ローカル市場に定着するまでは現地企業へのライセンシングか合弁運営が合理的な選択となる。インディテックスも97年の日本進出時にはビギと合弁(インディテックス49%)でザラ・ジャパンを設立し、05年末に独資に切り替えている。
ライセンスブランドを低く評価する見方もあるが、ローカル対応で市場規模を広げやすく、旧カネボウの「ディオール」は売り上げ500億円、三陽商会の「バーバリー」は600億円(小売規模1000億円)まで広がった。「ディオール」はライセンス契約を解消した後、その市場規模を回復するのに15年を要したし、「バーバリー」はもっと要するかも知れない。ライセンス展開の成否はライセンシーの選択次第で、三陽商会も旧カネボウもブランド側が当初に求めた水準を満たしていたが、グローバルなブランディングと流通政策の変化が蜜月を終わらせた。
テクニカルなローカル対応もともかく、ローカルマネジメントで肝となるのは価格政策と出店政策だ。両者は表裏一体だから、価格政策と出店立地が噛み合わないとローカル展開は挫折してしまうし、本国価格とローカル価格が乖離すると通販サイトなどに転売ヤー商品があふれて正価販売が困難になる。
ギャップ日本法人は、ローカルフィットやローカルデリバリーに注力してピークの16年1月期の売り上げは「ギャップ」「バナナリパブリック」「オールドネイビー」の3業態計1060億円まで到達したが、17年1月末の「オールドネイビー」撤退以降は急ピッチの売り上げ減少が続き、20年1月期はピークの半分まで落ち込んだと推計される。「ギャップ」の米国価格と乖離した割高な価格が値引き販売の常態化を招いたばかりか、実勢価格が「オールドネイビー」に接近してその存在意義を失わせ、短期での撤退に追いやったことが悔やまれる。
アウエイの海外展開はそれほど難しく、本国展開よりコストがかさみ、割高な価格設定になって定着できず、短期で撤退するケースが絶えない。それはスーパーマーケットや量販店も同様で、外資でまともに定着できたのは会員制ディスカウントストアのコストコくらいだ。ましてやアパレルチェーンの定着がどれほど困難か想像に難くない。
国内市場が衰退するわが国アパレルも海外進出が盛んだが、ローカル市場に定着して投下資本を回収できたケースは極めてまれで、膨大な損失が本体の経営を揺るがすケースさえある。夢を見るのは自由だが、現実に目を背けては悲惨な結末を招く。財務的な余裕とリスクへの覚悟、現地運営体制がない限り、海外進出は安易に行うべきものではない。そんな余裕があるならOMO※1とデジタルトランスフォーメーション(DX)※2に投資を集中するべきだ。
※1.OMO(Online Merges with Offline)…オンライン(EC)とオフライン(店舗販売)を融合するリテール戦略
※2.デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)…「デジタル技術による業務効率の革新」と定義され、デジタルで繋いで業務効率や事業モデルを革新する
小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)
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