「LV」や「オム プリッセ」、国内ショー初開催の「カラー」まで常連ブランドに感動 編集長&若手記者2人のパリメンズ10選

川井康平「WWDJAPAN.com」記者(以下、川井):ミラノ・メンズ・ファッション・ウィークに続き、パリメンズがスタートしました。70以上のブランドが新作を発表します。今回は、2、3日目の厳選10ブランドを振り返ります。僕は、初めての対談です。お手柔らかにお願い致します。

村上要「WWDJAPAN.com」編集長(以下、村上):川井さん、ようこそ!!リアルにパリメンズを取材していた時は、旅費などの都合もあって2人体制でした。それがデジタルシフトして前回は4人、そして今回は川井さんも加わって5人。着実に広がっていますね。みんなが参加できるのは、改めてデジタルの魅力なんだと感じます。

式典のような豪華な演出

川井:台湾人デザイナーのアンガス・チャンが2015年に開始したブランド「アンガス チャン(ANGUS CHIANG)」は、映画祭のようにファンやメディアが取り囲むレッドカーペットを舞台にショーを開催。それをデジタル配信しましたね。モデルは台湾の俳優やアーティストで、イベント感満載でした。中国語は分かりませんが、インタビュアーはセレブにルックの感想を聞いていたのでしょうか。計30分は、ちょっと長かったですね(笑)。

村上:確かに言葉の壁は大きかったけれど、アイデア賞!ってカンジ。もちろん英語の字幕があればベターでしたが、僕は案外、楽しく見続けることができました。映画祭の華やかさはファッションにも通じるし、「台湾では、こんな芸能人が活躍しているんだ」っていう発見も面白かった。とはいえ、舞台をレッドカーペットに設定しちゃうと、メンズはスーツ、ウィメンズはドレスばかりになっちゃうね。いつもはパーカやショートパンツ、スニーカーとかいっぱい出てくるのに(笑)。ネオンカラーのピカピカスーツにパールを加えたアクセサリー一辺倒になっちゃったのは、勿体無い。フィナーレに登場したデザイナーはGジャンにデニムだったけど、レッドカーペットの上でも違和感ありませんでした。音楽関係のセレブには、カジュアルウエアを着せちゃえばよかったのに。

デザイナー本人によるコレクション解説

川井:ジョナサン・アンダーソン本人がコレクションを手に取り、解説してくれました。デザイナー本人がインスピレーション源やディテール、新型コロナウイルスが世界的に蔓延している中での制作過程など、なかなか知る機会がないことを話してくれるのは嬉しいですね。ファッションフォトグラファーのユルゲン・テラー(Juergen Teller )が撮影した写真をポスターにしているのも印象的でした。

村上:ジェンダーの境界はほとんど消滅、タイムレスなジャケットやコートも増え、ジョナサンが目指す「普遍的なアイテムを、いろんな人間が着ることで、個性を表現する」というゴールに近づいている印象です。大昔、ロンドンメンズで“ちょうちんブルマー”のメンズを見た時は、衝撃的すぎて記憶に深く深く刻み込んだけれど、21-22年秋冬でパフスリーブのコットンジャージードレスを着たメンズモデルを見ても驚かなくなっている(笑)。自分の感覚も大きく変化しているんだな、って思いました。気になったキーワードは、「Reinforce Wardrobe」。直訳すれば「ワードローブを豊かにする」って意味かな?「自分の手持ちに最新コレクションを加えて、少しずつ自分らしいワードローブを作る」という感覚は、サステナブルという価値観が台頭する今、すごく共感できます。「ちょっとだけイマドキ」な洋服をプラスし続ける消費、は、今シーズンのキーワードになりそうです。

世界を目指す意気込みとエネルギーを体現

川井:「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」は、日本文化の美的理念の1つ“幽玄”がテーマでした。ショー会場は、国会議事堂など、日本を象徴する建築物の家具や室内装飾を手掛ける三越製作所。ファーストルックを飾ったモデルはTikTokで人気に火が付いた19歳の大平修蔵さんですね。ちなみに現在、フォロワーは300万人を超えています。音楽はDJのリカックス(Licaxxx)が手掛けていて、日本のブランドが世界を目指す意気込みやエネルギーを感じました。

村上:着物風なパターンで侘び寂びさえ感じさせるウエアと、リカックスさんの打ち込み系テクノ、モノづくりの現場という融合が「ヨシオ クボ」っぽいですね。トレンチコートの後ろに「MODERNITYSTIC&BLENDING YUGEN」っていうメッセージがありました。「幽玄にこだわりつつ、融合するのがモダニティ」って意味でしょうか?作務衣風のアウターをナイロンポケットや止水ファスナーなどでアップデートするなど、言葉通り、良さを活かしつつ少しだけ手を加えて今の時代に馴染むものに仕上げるというのは、三越製作所などが行ってきたモノづくりの理想形ですね。

「強さ」が滲み出るプリーツウエア

川井:個人的に「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」は大好きなブランドですが、ルックはもちろん、映像も素晴らしかったです。冒頭に登場するプリーツ加工マシンの機械音をBGMにモノトーンのルックが交錯しながら歩いたり、躍動感たっぷりに踊りだったり、空気を含ませるとアイテムが映えますね。「Never Change, Ever Change(変わらないもの、変わるもの)」のテーマ通り、クラシックな装いの中に、プリーツ加工の短めのベストやジャケットなどひねりのあるアイテムを加えており、めちゃくちゃタイプでした。

村上:側から見る限り「この子のワードローブは、4割くらい『オム プリッセ』なんじゃないか?」と思わずにはいられない川井さんとしては、随分あっさりまとめましたね(笑)。もっと愛を語れば良いのに。簡潔にまとめるのが「オム プリッセ」らしいとも言えるけれど(笑)。「Never Change, Ever Change」というテーマは、プリーツそのもののハナシなんじゃないか?って思いました。あらゆる意味で機能的だからプリーツを探求する姿勢は「Never Change」だけれど、プリーツの入れ方とかは「Ever Change」みたいな。最近は全面プリーツ、じゃないアイテムも増えているしね。パリでのリアルの頃から、「オム プリッセ」の得意技と言えばカラフルなプリーツウエアをまとったモデルが表現する躍動感でしたが、今シーズンは見せ方を大きく変えてきましたね。「ポップ」な印象は薄れたけれど、「強さ」が滲みます。正直、洋服自体はそんなに大変身したワケじゃないのにね。改めて「オム プリッセ」やプリーツウエアの多面性を感じました。この服、本当に誰もが、自分らしく着られますよね。余談ですが、月刊誌「WWDビューティ」の2020年10月号の表紙を飾ってくれた「レコ」の内田聡一郎さんが、撮影の時「オム プリッセ」を着ていたんです。ご本人のほんわかした雰囲気とすごくマッチしていたのが印象的でした。なんとなく若い世代は、川井さんのように「オム プリッセ」のミニマルな感じを引き出すコーディネートが多い印象だったので、さすが内田さんって思ったのです。川井さんもたまには、モノトーン以外の「オム プリッセ」に挑戦すれば良いのに。

「コンバース」とのコラボスニーカー登場

川井:「リック・オウエンス(RICK OWENS)」は、ゴシックな会場と時折映る湖畔がダークかつリアルさを演出、さらにBGMのGOHSTMANE(ゴーストメイン)の“HELLRAP”が雰囲気を盛り上げていましたね。ルックの足元は「リック・オウエンス」のセカンドライン「ダークシャドウ(DRKSHDW)」と「コンバース(CONVERSE)」のコラボスニーカーが登場。「ダークシャドウ」だとキャンバススニーカーの“ラモーンズ (RAMONES)”が有名ですが、厚底にスクエアトーとトレンドの要素も取り入れた今作は、ブランドのファンではない僕も「欲しい!」と思いました。

村上:意地悪なくらい、横向きと背面しか見せてくれませんね(笑)。他のブランドは“ド正面”からクローズアップしてくれるのに、リック様のど正面ルックはまぁまぁ「引き」の画面で、何度か別のモデルに遮られてしまいます。でも、良きコレクションでした。いつも通りの迫力は損ねず、川井さんの欲しいモノリストに食い込んだスニーカーやサーマル風のニットタンク、リアルなレザー&ムートンと、ボリュームあるダウンは、みんなが「カッコいい」って感じそう。

民族衣装を取り入れて世界の文化を表現

川井:雪山でシンガーソングライターのソール・ウィリアムズ(Saul Williams)がまるで語り掛けるように、詩を朗読しながら歩いてくるシーンから始まった「ルイ・ヴィトン」。語勢は徐々に熱を帯び、それと同時に次々ルックが登場する演出でした。後半にはラッパーのヤシーンベイ(YASIIN BEY)が踊りながらラップを熱唱。音楽的視点で見てもただただ格好良くて、ドゥーラグを巻いたダンサーなどヒップホップの要素も強かったです。メゾンブランドのアプローチの手数や規模が顕著に表れますね。食い入るように見てしまいました。

村上:結構ギリギリまで「リアルショーを検討していた」と伝えられていますが、「構想数カ月」レベルの壮大な映像作品に仕上げましたね。規模感にも関わらずの、スピード感。さすがは「仕事が早い」、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)です。ここ数年、ヴァージルはフォーマルウエアを極めようとシフトチェンジしている印象ですが、今シーズンが一番スキかも。ドゥーラグを思わせるストール風リボンのハットやシンプルなスニーカーとのコーディネート、ちょっぴりキャッチーなストライプのシャツ&タイ、時折加えるプリーツスカートなど、王道のフォーマルにストリートの遊び心をちょっぴり加えた感じ。革命的な新しさではないけれど、誰もが頑張り過ぎずに楽しめる感じがします。2021年秋冬プレのテーマ、「ニューノーマル時代の適合性」を今シーズンも大切にしています。映像の主役が、クリアチェーン付きのモノグラムのトランクケースなのは、ヴァージルとメゾンの良好な関係を物語っているようでした。ショーピースでしょうがエンパイヤステートビルや凱旋門が“そのまんま”洋服になっていましたね(笑)。今シーズンの招待状は木製の飛行機で、それを収めた箱には「COCKPIT VOICE RECORDER」の言葉が記されていたのですが、納得です(笑)。こういうご時世だから着陸はできなかったかもしれないけれど、空から世界を一周して目に飛び込んでくる風景、湧き上がる感情をコレクションに詰め込んだのかな?チルデンニット風のファーのプルオーバーからデニムのセットアップ、カウボーイ風のゴツいベルトとウエスタンブーツ、サリーのように体に巻きつけたロングストールまで、今シーズンは世界の民族衣装的なスタイルも見え隠れしていました。個人的には、“モノグラム”の飛行機バッグに目が釘付けでした(笑)。

日常の中に感じる希望

川井:「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」はスマートフォンで視聴することを想定してか、縦長で動画を制作。動画自体はルックを見せるための動画内容はいたってシンプルでしたが、足元に溜まるワイドパンツやサックスブルーのオーバーサイズシャツ、ジャケットと同素材のニットのショート丈のパンツなど、アイテムの色味やレイヤードのバランス感がとても美しかったです。

村上:カメラがモデルを下からあおる場所に置かれていたせいか、全体のプロポーションバランスがちょっぴり分かりづらくて損している気がするね。その分、上半身のボリューム感と、ハイウエストパンツのスラッとした感じは印象に残ります。特に気に入ったのは、シャツかな。スエットを重ね着したシャツドレスや、スカーフをトロンプルイユしたオーバーサイズは、気負わずに楽しめそう。ドリスでは比較的珍しいパステルカラーのプルオーバーは、可愛らしい。背景は、朝から昼、夜に変わって、また朝を迎えてエンディング。こんな時代でも、新しい一日はやってくるのは変わらない。日常を感じさせつつ、希望も抱かせる、壮大ではないものの心地よいドリスらしい演出でした。

海洋問題をコレクションを通して発信

川井:「ボッター(BOTTER)」は今回、海洋問題に対する主張とカリブ海のサンゴ礁の保全活動からショーを始めました。ルアーを全体にあしらったコートや、フィッシングベストの要素を取り入れたジャケット、サンゴを模したネックレス、ブイ(浮き輪)のバッグなど随所に海に関するアイテムを盛り込んでいます。ファッション業界においてもサステナビリティは最重要課題の一つですが、コレクションを通じて社会問題を提起するのは、素晴らしい姿勢で姿勢ですよね。

村上:ルアー付きのジャケットは、なんだか“釣られちゃってる”感じで居心地が悪そうな気がします(苦笑)。それ以外を除くと、今シーズンは標榜していたクチュール的プレタポルテ感が薄れたかな?立ち位置の模索は続く、っていう感じかな?

初の国内ショーは持ち味を十二分に発揮

川井:「カラー(KOLOR)」がランウエイショーを行うのは、パリで開催した2017-18年秋冬コレクション以来、約4年振りです。今回のショーは日本国内での発表、しかも「カラー」にとって国内でのランウエイショーは初の試みです。僕はライブ配信を見ていましたが、かなりのルック数でした。要さんは現地でご覧になったんですよね?いかがでしたか?

村上:いやぁ〜、サイコー。今シーズンも欲しいものいっぱい(笑)。メンズは、生来の渋さと心地よさ、モード感が今シーズンもちょうど良いバランス。パリメンズでの発表会を展示会形式に改めた頃に“吹っ切れて、手に入れた”印象の迷いなきパッチワーク&ハイブリッドは今シーズンも潔く、ランウエイショーの迫力という意味ではパリメンズ時代より何倍もパワーアップしている印象です。ウィメンズなんか、ほとんど工作。DIYですよ(笑)。「阿部さんの頭の中は、こんな風にいろんなことが渦巻いているんだろうなぁ」なんて感じてしまいます。潔く、大胆な感じは、ここ数年の継続路線。だから去年や半年前の洋服も自然に加えることができそうです。ジョナサンが話していた「Reinforce Wardrobe」という言葉を思い出しました。来週の「カラー」の展示会で、僕も自分の「Reinforce Wardrobe」を考えたいと思います!

音楽的要素を感じるスタッズやベルト使い

川井:「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)は前回同様、モデルがランウエイを歩く様子をメインに、所々に商品説明の画像を差し込んだ映像でした。スタッズをあしらったレザージャケットやピタッとしたパンツ、たくさんのベルトを施したコートなど、どこか音楽的なムードを感じました。

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ネトフリの新リアリティーショー「きらめく帝国」 リッチなアジア人にスポット

 ネットフリックス(NETFLIX)は、新リアリティーシリーズ「きらめく帝国〜超リッチなアジア系セレブたち〜(Bling Empire)」の配信を1月15日にスタートした。同番組はシンガポールを舞台にリッチなアジア人の様子を描いた映画「クレイジー・リッチ!(Crazy Rich Asians)」と、ビバリーヒルズを舞台にしたリアリティー番組「ザ リアル ハウスワイブス(The Real Housewives)」を掛け合わせたような作品で、撮影は新型コロナウイルスのパンデミック以前に行われた。

 同番組ではロサンゼルス在住の超富裕層のアジア系アメリカ人にスポットを当て、伝統的な家柄ゆえの価値観や重圧に対する葛藤、恋愛、アイデンティティー、そして不妊症に至るまで、出演者たちが心の内をさらけ出し、時にはディナーパーティーで「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のネックレスがほかの出席者と被ってしまう恐怖に怯えたりもする様子が映し出されている。

 公式な提携はしていないが、同作には「ピアジェ(PIAGET)」「ブシュロン(BOUCHERON)」
「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「シャネル(CHANEL)」「バカラ(BACCARAT)」といった多くの有名ブランドのアイテムも登場する。また、パリでのプライベートショッピングやクチュールショー、LAのビバリー・ウィルシャー・ア・フォーシーズンズ・ホテル(Beverly Wilshire A Four Seasons Hotel)での優雅なシーンや出演者の豪華な家の様子なども垣間見ることができる。

 現在「ルイ・ヴィトン」「ディオール(DIOR)」「モンクレール(MONCLER)」といったラグジュアリーブランドは、パンデミックによる市場の低迷からいち早く回復して成長を続けている中国を中心としたアジア市場にターゲットをシフトしているが、時を同じくして番組の配信がスタートすることとなった。

 主な出演者には、台北生まれの慈善活動家でクチュールのコレクターでもあるクリスティン・チュウ(Christine Chiu)や、ビバリーヒルズで整形外科医として働くクリスティンの夫、ガブリエル・チュウ(Gabriel Chiu)がおり、2人の息子のベイビーG(Baby G)は初めての誕生日パーティーに100万ドル(約1億円)を費やされるという甘やかされっぷりだ。

 ほかにも、シンガポールの海運業の後継者ケイン・リム(Kane Lim)は30万ドル(約3000万円)のスニーカーコレクションが自慢であったり、レインボーヘアを専門に活躍するスタイリストのガイ・タン(Guy Tang)や、北京のテクノロジー業界で億万長者になった父を持つ馬術師のジェイミー・シェ(Jaime Xie)は「シャネル」が大好きであったりと、全ての出演者がインパクトに事欠かない。ちなみにジェイミーの馬はエミレーツ航空(Emirates Airlines)を利用しているが、豪華な厩舎に関してはスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)の娘で馬術にも長けているイブ・ジョブス(Eve Jobs)に奪われてしまったという。

 ブランドン・パナリガン(Brandon Panaligan)と共同で同番組の製作総指揮を取ったジェフ・ジェンキンス(Jeff Jenkins)は、「ケビン・クワン(Kevin Kwan)原作の映画『クレイジー・リッチ!』が大ヒットしたこともあり、キャスト全員がアジア人、またはアジア系アメリカ人の作品には需要があると考えた。映画だけでなくテレビ番組も必要だし、成功すると思った。それに、女性だけでなく男性のファッションリーダーにも焦点を当てているリアリティー番組は珍しい」とコメントした。

 ジェンキンスはこれまでに、リアリティー番組の「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ(Keeping Up With the Kardashians)」「シャーズ オブ サンセット(Shahs of Sunset)」「シンプル ライフ(The Simple Life)」なども手掛けている。

 パリ、ミラノ、LAのファッション界の上顧客で、エピソード1では旧正月のチャリティーイベントのためにロデオドライブを閉鎖してしまうほどの影響力を見せつけたクリスティンにとっては、今回の番組出演がハリウッド進出のチャンスとなることも魅力的であったという。

 番組のプロデューサーも務めたクリスティンは、「ディオール」と「シャネル」のファインジュエリーを輝かせながら、「番組はアジア文化のほんの一片を映し出したに過ぎないけど、アジア人にスポットを当てているだけでなく、キャストのバックグラウンドが中国、台湾、日本、韓国、ベトナムなど多様性に富んでいるのも刺激的だわ。アジア人は普通はあまり人前に出たがらないから、この番組はある意味ユニークでもある。アジアではセラピーは推奨されていないし、他人に弱さを見せることもない」とコメントした。

 出演者の1人で筋金入りの中国的価値観の下で育てられたLA出身のシェリー・チャン(Cherie Chan)は2人の子どもを持つ母親で、番組では妊娠、出産後の苦労、そして伝統的な中国の健康療法について語っている。シェリーは「ミュウミュウ(MIU MIU)」を着用した姿でラスベガスからのビデオ通話に応じ、「感情をあまり表に出さないように育てられたこともあり、番組で気持ちを吐露するのがとても難しかった。でも、外に出て誰かに助けを求めることを学んだわ」と話した。

 クリスティンは「今は私たちアジア人にとって素晴らしい時よ。『ティファニー(TIFFANY & CO.)』は私が支持する6つのチャリティー団体に寄付している。アジアは長年にわたってラグジュアリーブランドを支えてきた。そうしたブランドがアジア市場に重きを置いて投資してくれることに感謝している。番組ではラグジュアリーブランドとアジア人顧客との互恵関係やリスペクト、サポートにも触れている。私は26歳の時にクチュールを集め始めた。以前はただ可愛いものを購入していたけど、今は『ディオール』2019-20秋冬オートクチュール・コレクションのラストを飾った“ゴールドハウスのドレス”といった意味のあるものを選ぶようにしている」とコメントした。
 
 もちろん同番組はファッションだけでなく個性、人間ドラマ、敵対心といったリアリティー番組に求められる要素も満載だ。クリスティンはアンナ・シャイ(Anna Shay)と敵対する一方で、ランウエイショーで知り合ったシェリーとは本物の友情を育んでもいる。

 また、リアリティー番組への出演はキャリアの出発点になりうることでも知られている。整形外科医の夫と20年に渡って医院を営んできたクリスティンには、すでに夫と専門家チームの協力を得た美容関連の事業計画があるという。クリスティンにローンチの時期を尋ねると、「未定だけど、おそらくセカンドシーズンの頃かしら」との答えが返ってきた。

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Whatからhowへのシフト エディターズレター(2020年11月12日配信分)

※この記事は2020年11月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

Whatからhowへのシフト

 今週発売の「WWDジャパン」に伴う、MUJI特集担当記者の座談会を面白く拝読しました。一番「そうだねぇ」と思ったのは、ビューティを担当する中村記者の「普段、化粧品の取材をする際は『商品開発にあたってどのようにマーケティングしたか』『どうトレンドを取り入れたか』『それをどう宣伝するか』といったことを聞きますが、今回の取材では『本当に生活に必要なものだから化粧水を開発しました』といった話で、取材がいつものように進まなかったんですよ」の箇所。コレMUJIに限らず、最近のブランドやクリエイターに下手な質問をすると返ってきてしまう「ありがちな答え」な気がしています。決してMUJIが特別ではありません。

 「必要だから、作った」。当たり前の話で、それ以上でも、それ以下でもありません。だから「なぜ、作ったんですか?」って聞いちゃうと、中村記者が戸惑うような答えになっちゃう。そこで私は最近、「なぜ、作ったんですか?」ではなく、「なぜ、必要だと思ったのですか?」「その意思は、モノづくりの中でどう反映を?」とか「その想いに共感してくれるのは、どんな人?」、そして「共感してもらうため、どう伝えている?」などを聞くようにしています。結果返ってくるのは、「なぜ作る?」や「どのようにマーケティング?」「どう宣伝?」と投げかけがちな我々が期待する回答に近づき、記事として、ちゃんと成立するんです。

 こんな時に大事なのは、「what(何を?)からhow(どうやって?)にシフトしているのかな?」と思います。そして、もし、このシフトが本当に進んでいるのだとしたら、「what」の事ばかり考えてきたファッション&ビューティ業界にとって大きなチャレンジです。もちろん「what」は大事。いや「what」が完璧だからこそ「how」の議論ができるとか、「how」を積み重ねたからこそ完璧な「what」が誕生するというワケですが、「how」ありきの「what」、もしくは「what」の背景にある「how」のコミュニケーションが大事です(この1文、難易度高いですねw)。「how」で共感してくれた消費者は、「what」を盲目的に信じる気もします。

 「how」へのシフトは、大変です。「what」なら伝え方はある程度画一的でOKかもしれませんが、「how」の伝え方はさまざま。相手によって、タイミングによって、メディアやチャネルによって、伝える人によって変わるでしょう。めんどくさいですねぇ(苦笑)。でも、楽しそうでもありますねぇ(笑)。1人で「how」の伝え方を数多く考えるのは、大変かもしれません。そう考えると、「how」の伝え方をたくさん考えるには、大勢が薄~く参画するチーム作りが望ましいのか?思考は、そんな組織論にさえ及んでいます。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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高橋悠介の「CFCL」が初のポップアップイベント開催 「イセタンサローネ」で

 高橋悠介が手掛ける「CFCL」は、初のインスタレーションと先行ポップアップイベントを伊勢丹新宿本店、「イセタンサローネ」で開催する。会期は伊勢丹新宿本店が1月27日から2月9日まで、「イセタンサローネ」は2月17日から23日まで行う。

 「イセタンサローネ」では、「CFCL」ファーストコレクションの全アイテムをそろえたほか、ベルリンを拠点とするアーティストのエルムグリーン&ドラッグセットの作品を1階のアートウォールで展示する。同アーティストが手掛けた西洋近代抽象彫刻とポップで漫画的な形状を融合した立体作品“SUPERMODELS, FIG. 22”は、高橋悠介がコンピューター・プログラミング・ニットでデザインした洋服を身に纏い展示されるようだ。

 高橋は2010年に株式会社三宅デザイン事務所に入社し、「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」を約6年にわたって率いた後、2021年春夏シーズンから新ブランド「CFCL」を立ち上げた。

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「ウカ」の人気ネイルから“ピンク”の新シリーズが登場 スモーキートーンからビビットカラーまで

 トータルビューティサロンの「ウカ(UKA)」は2月22日に、人気ネイルカラーから新シリーズ “ピンクスタディ スリー”(全6色、各2200円)を数量限定で発売する。

 “ピンクスタディ スリー”は「ピンクが好きだけどピンクを塗れない大人へ」をテーマに、トーンの異なる6色のピンクを提案する。スモーキートーンから華やかなビビットカラーをそろえ、“Lun Lun”や“Uki Uki”など、カラーネームで色に込めたイメージを表現した。また、同日発売の“トップコート スモーキー シャイン”(2000円)は、ピンクを研究して制作。カラーをトーンダウンするクリアなグレーで、重ね塗りすることでさまざまなニュアンスを楽しめる。

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実はポリポリ食べてもおいしい! リモートワークのお供として“サン・クロレラ A”が話題

 サン・クロレラが半世紀近くにわたって販売している“サン・クロレラ A”は、体作りに欠かせないタンパク質やビタミン、ミネラルなど59種類以上の自然由来の栄養素をバランス良く含むプラントベースのホールフードだ。

 粒やパウダーなどの形状があり、どちらも水で飲むのが一般的だが、粒タイプの“サン・クロレラ A”に関して「ポリポリ食べてもおいしい」と話題になっている。「薬やサプリメントのような見た目だが、実はそのまま食べても味がしておいしい。低カロリーで栄養があるので、当社のスタッフはよくオフィスワークやリモートワークのお供としてポリポリ食べている」とPR会社の担当者は話す。

 「ただ、乾燥粉末を固めたものであるため、体の水分を吸収してしまうこともあり、コップ1杯程度の水またはお湯、お茶などを摂取するようにしてほしい」とのこと。

 化学的に精製されたサプリメントとは異なり、緑藻類の一種であるクロレラを安心・安全に飲みやすくした健康食品なので、不足する栄養素を手軽に補える補助食品として生活習慣に取り入れやすいことも特徴だ。

 また、スティック状の個包装にした“サン・クロレラAパウダー for Cooking”は、すぐに混ざるため料理に取り入れやすく、シチューやパスタソースのほか、ホットケーキやドーナツなどのおやつにプラスする人も増えている。

 「一般的な抹茶などと比べて緑色が深く鮮やかなので、料理好きな人の間では“インスタ映えするグリーン”としても認知されつつある」という。実際、クロレラをうどんに取り入れた“クロレラうどん”なども販売している。

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おこもり美容で人気の“ボディーケア” 「アットコスメ」の口コミランキングTOP5から読み解くヒットの法則

 自宅で過ごす時間が増え、おこもり美容で“ボディーケア”にも力を入れる人が増えている。乾燥が厳しくなるこの季節、人気を集めたアイテムとは?今回、「アットコスメ(@COSME)の12月の口コミランキングから「ボディーケア」TOP5をお届け。さらに「アットコスメ」に寄せられたクチコミを篠田慶子アットコスメ編集長が解説。ボディーケアのヒットの法則を紹介する(集計期間:2020年12月1日~31日)。

-12月、「ボディーケア」に関連するキーワードで頻出したものは?

篠田慶子@cosme編集長(以下、篠田編集長):12月のボディーケアのクチコミで最も出現したのは「香り」。なかでも「香り-癒す」という表現が2019年より増加している。2020年は特にボディーケアに対して「香りで癒されること」が求められた。また、「手洗いとアルコール消毒が欠かせない生活で、例年よりも乾燥がひどい」というクチコミからも推察できるように、前年よりも「ハンドクリーム」の出現も増加傾向にある。ハンドクリーム塗布後にPCやスマホに触ったときのべたつきが気になる人も多く、「たっぷり塗ってもサッと溶け込むので、その後スマホやPCを触っても気になりません」といったクチコミが前年よりも増加した。
キーワード:【香り、香り-癒す、ハンドクリーム、アルコール、手洗い、スマホ-触る、PC-触る】

-「ボディーケア」以外で好調なアイテムは?

篠田編集長:「クチコミ総合ランキングでは、12月以降もスキンケアが好調。「@cosmeベストコスメアワード2020」で総合大賞を受賞した「ランコム」“ジェニフィック アドバンスト N”(30mL、10000円/50mL、1万4000円/115mL、2万5000円)をはじめ、TOP10のうち5~6アイテムはスキンケアが占めている。対して、リップやアイシャドウなどの色物は少ない印象だ。マスク生活が続くなか、スキンケアが重視される傾向が続いている。

2020年12月ボディーケア
「クチコミ」ランキング

1位「アユーラ(AYURA)」“メディテーションバスt”

 2020年10月にリニューアル発売され、「@cosmeベストコスメアワード2020 下半期入浴剤新人賞」を受賞したアイテム。「香りに癒される」「リラックスできる」と好評。デイリー用というよりも「自分へのご褒美に」といった声が目立ち、プレゼントとして贈ったり、受け取ったりというクチコミも多くみられる。

 12月は肌寒い季節であったことに加えて、コロナ禍で「おうち時間」が増えたこと、癒しを求める人が多くなったことが、ランキング1位の要因と考えられる。

2位「キュレル(CUREL)」“ディープモイスチャースプレー”

 2020年4月発売で、「@cosmeベストコスメアワード2020 上半期新作ベスト化粧水」第2位を受賞。「お風呂上りに全身にシューっとしている」というクチコミが多数寄せられた。逆さにしても使えるスプレーで、手が届きにくい背中まで手軽に保湿できる点が支持された。「しっかりケアをする前の、取り急ぎの保湿として重宝する」という声も多く見られた。発売以来ランキング上位をキープしている。

3位「ハウス オブ ローゼ(HOUSE OF ROSE)」“Oh! Baby ボディ スムーザー N”

 「@cosmeベストコスメアワード2015」で殿堂入りを果たした、ランキング常連の定番人気アイテム。「肌がすべすべになる」、「大容量でコスパがよい」といった意見も。ロングセラーで、リピート買いしている人が多いのも特徴。12月に開催された@cosme Beauty Dayではスパチュラ付きの限定キットが販売され、そのキットを購入した方のクチコミも多く見られた。

4位「ニベア(NIVEA)」“ニベアクリーム”

 「@cosmeベストコスメアワード2015」で殿堂入りを果たした、ランキング常連のアイテム。全身の保湿に惜しみなく使えるコスパの良さはもちろん、「昔からなじみがあり安心感がある」「他のブランドのアイテムを使ってみても最終的に戻ってきてしまう」といった声も目立つ。家族で愛用している、というクチコミも多数。

5位「バース(BIRTH)」“薬用BARTH中性重炭酸入浴剤”

 「@cosmeベストコスメアワード2020 ベスト入浴剤」第1位を受賞。「冷え性でも足先まで温まる」「お風呂上りもポカポカ感が続く」「入浴後はぐっすり眠れる」といった声が寄せられている。冷えが気になる季節になり、ランキング順位が上がっている。

 なお、「WWDジャパン」1月25日号の付録「WWDビューティ」1月号では、「アットコスメ ショッピング」の「ボディーケア」売り上げランキングを掲載している。ドラッグストア「トモズ」やバラエティーショップ「プラザ」の売り上げトップ5も必見だ。

小竹美沙:1984年生まれ。女性誌やウェブマガジンで、ナチュラル&オーガニック&サステナブルなコト、モノ、人びとについて取材&発信中。2009年から恵比寿のファッションスクールのオフィシャルライターとして広報資料のライティングにも携わる

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ヘパリン類似物質に最適な基剤を徹底研究 たどり着いたバーム状クリームのテクスチャーに注目

 肌細胞に着目したスキンケアを展開する「セルエフ」は、肌の保水力を高めるヘパリン類似物質配合の薬用クリーム“セルエフ ドライケア メディカライザー”(30g、5273円)を2月1日に発売する。

 ヘパリン類似物質とは、人の肝臓で生成される糖類の一種“ヘパリン”に似た成分で、親水性と保水性に優れていることから、乾燥肌の対策として注目されている保湿有効成分。

 これまで細胞研究に注力してきた「セルエフ」は、ヘパリン類似物質の効果を最大限に発揮できる基剤を徹底研究し、独特の質感を持つバーム状クリームを開発。バームの密着感とクリームの伸び広がりやすさという“いいとこどり”をしたテクスチャーで、肌の隅々まで潤いを届け、まるでラップのように隙間なくピタッと肌に密着する。

 肌の水分保持機能や損なわれがちなバリア機能を高め、乾燥や外的刺激から肌を守るとともに、炎症を抑えて肌を潤いで満たす。柔らかな基剤でベタつかず、使用後の肌は見えないベールで覆われたようにつるんとするため、乾燥しがちな夜につけるナイトシーリングマスクとしても使用できる。

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