ほぼ日からトータルビューティブランド「シンクー」がデビュー 第1弾は鏡・ブラシ・お香

 コピーライターの糸井重里が代表を務めるほぼ日は2月24日、岡田いずみヘアメイクアップアーティストがディレクションするトータルビューティブランド「シンクー(SHIN;KUU)」を立ち上げる。デビューコレクションは、鏡やブラシセット、マッチ型お香スティックブランド「ヒビ(HIBI)」とコラボしたお香セットの3製品をラインアップする。同日11時に「ほぼ日ストア」内で販売を開始し、ほぼ日が運営するギャラリー兼ショップのTOBICHI(とびち)東京では25日から取り扱う。

 ブランド名の「シンクー」は、“美しさやすこやかさの根源”である「真紅(しんく)」に由来し、深く呼吸をするような響きやイメージが込められている。五感を満たす“スキンケア”、“メイク”、“道具”の3カテゴリーをメーンとした商品開発に加え、ウェブコンテンツなどを用意する。

 デビューコレクションは、肌やメイクに向き合う環境を気持ちよく整えてくれる“道具”に着目した3アイテムをそろえる。高さや角度を調整できる鏡の“しぐさミラー”(2万1000円)は、台座から取り外して手鏡としても使用可能だ。楕円形のフォルムと、真ちゅうと国産のブナ材を組み合わせたデザインが特徴的。熊野筆を採用した“ゆびブラシセット”(1万3500円)は、中指・薬指・小指を模した3サイズのブラシをそろえる。「ヒビ」とコラボしたお香セット“10MINUTES AROMA CANISTER”(5000円)は、ひのきとティートゥリーの2種の香りのスティックを各30本セットする。パッケージデザインは、日本デザインセンター三澤デザイン研究室の三澤遥アートディレクターと、佐々木耕平デザイナーが手掛けた。

 今春以降、スキンケアを順次展開する予定だ。

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「フミエ タナカ」がMIKIKO&ライゾマティクスと協業 ロンドンコレに挑む

 田中文江によるファッションブランド「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、デジタル上で開催中のロンドン・ファッション・ウイーク(以下、LFW)に初参加し、2021-22年秋冬コレクションを発表した。東京都と繊維ファッション産学協議会が主催する「東京ファッションアワード 2020(TOKYO FASHION AWARD 2020)」の受賞特典としてLFWへの参加が決まり、他の5ブランドとともにオンライン上で映像を公開した。

重なり合いで生まれる美しさを表現

 田中デザイナーはLFWヘの参加を大きなチャンスと捉えており、「このコロナ禍でも記憶に残り、“ワクワク”が伝わるような映像を、妥協をしないメンバーで作り上げ、もう1段階上のレベルに上がりたかった」と話す。前シーズンに引き続き、演出振付家のMIKIKO率いるダンスカンパニー、イレブンプレイ(elevenplay)とタッグを組み、メディアアート集団のライゾマティクス(RHIZOMATIKS)の真鍋大度と初めて協業した。

 今季は“ミルフィーユ(millefeuille)”をテーマに、ベージュのレイヤードスタイルで統一。6つのキールックはジャケットとシャツを一体化させたトップスや、スカートとパンツをドッキングしたボトムスをはじめ、段々に連なった襟のニットトップス、アシンメトリーのフリルを大胆に施したドレスなど、アイテムや素材が重なってできる美しさを表現している。「たくさんの人と関わって、多くの経験の積み重ねて今があり、モノ作りができている。軽やかにレイヤーしながら、心を豊かにするファッションを生み出したかった」と田中デザイナー。

 舞台は、築100年の赤レンガ造りが特徴的な早稲田奉仕園のスコットホール(講堂)。映像の監督はMIKIKOが務め、モデルとカメラマンをイレブンプレイのダンサーたちが担当した。MIKIKOは「休館または廃館した誰もいない劇場に、ダンサーの魂だけがやってきたというのが裏テーマ。コロナ禍の自粛でなかなかライブができず、ファッションショーもオンライン上で発表されるような、今のもどかしい心境とリンクさせている。振り付けはゴーストやアンドロイドのようなイメージで、気持ちのいい違和感のある映像を目指した」と説明する。体を揺さぶって“もやもや”を表現する動きや、宙を舞うように滑らかなカメラワークが特徴的だ。MIKIKOと15年以上協業を続けているライゾマティクスの真鍋は「ダンサーでなければ撮れない映像になった。これまではダンサーが動ける手持ちのカメラの選択肢は少なかったが、今はiPhone 12 Proを使って、撮影やスキャニングまですることができる」という。真鍋は今回のために製作したソフトウエアを活用して、デジタル上で会場外に飛び出すような視覚効果を加えている。BGMにはニューヨークのバンド、ブロンド・レッドヘッド(Blonde Redhead)のリードボーカルで、海外を拠点にする日本人女性アーティストのKAZUの楽曲「Salty」を採用した。

 メイクやネイルの細部にまでこだわりが詰まっている。ヘア&メイクは「フミエ タナカ」の前身ブランド「ザ・ダラス(THE DALLAS)」から担当する資生堂のトップヘアメイクアップアーティスト進藤郁子によるもの。モデル全員が日本人女性だったため、漆黒の前髪ウィッグを制作してモード感を演出した。前髪は、踊っても割れて見えないよう額の上にチュールを合わせているほか、ブラックアイシャドーでのスモーキーなアイメイクを施した。ネイルは気鋭ネイルアーティストのディスコ(DISCO)の金子渚が担当し、コレクションの生地を用いてベージュのレイヤードスタイルを爪先まで表現した。

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マックイーンに影響を受けた「ファイナルファンタジー」の衣装デザイナー ゲームカルチャー解体新書Vol.5

 ファッションに軸足を置きながら、セールスやPR、企画立案の立場で約15年もの間、国内外のブランドビジネスに関わらせていただいています。ファッション業界に携わる私が、ゲーム業界で活躍している方々、ゲーム好きのゲストとの対談を交えながら、「ファッション × ゲーム」の可能性や新しい価値を提供することができたら。そんな想いで新連載をスタートさせていただきました。第5回は「ファイナルファンタジー14(FINAL FANTASY 14以下、FF 14)」のキャラクターコンセプトアーティスト、生江亜由美氏に迫ります。生江氏は、キャラクターの容姿や装備の2Dデザインを担当しているほか、「FF 11・12」の2Dアートも手掛けてきました。

学生時代は「『ヴォーグ』のフォトグラフを制作しました」

戸簾俊広(以下、戸簾):なぜゲームの衣装をデザインする職に就いたのですか?

生江亜由美(以下、生江):元々「ゲーム業界に入りたい」と思っていたわけではなく、学生時代は西洋服装史を専攻しました。美術大学に行くほど本気でデザインがやりたかったわけではありませんが、自分でそういう世界を創りたかった。在学中にiMacが普及したことで、デジタルペイントにハマり、独学に近い形でイラストを描き始めました。卒業作品ではイラストから写真に変わった時代の「ヴォーグ(VOGUE)」のフォトグラフを制作しました。

戸簾:趣味としてやっていた?

生江:趣味で約4年続けました。学校に「ヴォーグ」のイラストを描いていた先生が学校に特別講師でいらっしゃり、その人にギャラリーを紹介してもらい、3カ月に1回のペースで個展を開催しました。作品がある程度溜まったところで、現スクエアエニックスに応募しました。当時のスクエアエニックスは、「グラフィック技術はナンバーワン」と言われるくらいすごかった。私自身、代表作「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト(DRAGON QUEST)」はプレーしていましたが、会社については何も知らない状態で入社しました。「帽子や靴のデザイナーになれるし、そのモデルすら自分で創れる」と考えていたら、いつの間にかのめり込んでいきましたね。

戸簾:創作に対するストレスは?

生江:全くないですね。発注を受けてからの仕事なので、ファッションデザイナーというよりは舞台や映画衣装の方に近いと思いますが、元々得意ではなかったり興味がなかったりジャンルに対しても、調べてアプローチできるのが面白いです。「世の中にこんなものがあったのか」という喜びを感じながら、それを材料として組み上げる過程が楽しい。

戸簾:現在デザイナーは何人くらい?

生江:私が所属する「FF 14」のチームは、服と装備品をデザインする人で10人くらいかな。多分、社内では一番大きいチームだと思います。

戸簾:男女比はどのくらい?

生江:私が入った時は男性が大半、女性は1、2人でした。今は全体の4割くらいが女性になりましたね。

過去には「ヴィヴィアン」をイメージした装備も

戸簾:当時、マックイーンに多大な影響を受けたとか。

生江:はい。アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)とジョン・ガリアーノ(John Galliano)が大好きでした。深夜放送の「ファッション通信」などで情報を集めるのは、本当に苦労しました。当時は「ショーの中に夢の世界が詰まっている」と感動していました。本当に美しいものだけを集めた“人工美の極み”みたいな(笑)。それなのに10分ほどで終わってしまうという儚さも含め、凄い衝撃を受けました。 

戸簾:実際に購入されていたんですか?

生江:はい。半年に一回くらい購入していました。今でもヤフオクやメルカリのフリマサイトでアーカイブを探しています。

戸簾:ゲーム開発者は「イラストを描き続けている人」というイメージだったので、「マックイーンという人物が出てくる」こと自体が衝撃的でした。

生江:最近装苑賞を取った男性が入社したんですよ。10年ほどアパレルに携わり、そこからCGを学ぶため専門学校に入ったそうです。実際メーキング動画を作ると、パターンを引くスピードがめちゃくちゃ早いんですよね。周りは「息をするようにパターンを引いている」って騒いでいました(笑)。彼からは“マーヴェラスデザイナー”というアパレルが使っているツールについてレクチャーしてもらっています。現場のデザイナーも新しいことを学ばないと。今の技術だと、現状はどうしても布の表現が弱く、硬いものを重ねるような表現に頼っています。ここから技術がもう一段上がったときには、よりリアリティーのある質感をお届けできるかもしれません。

戸簾:そういう形でファッションとリンクするパターンもあるんですね。

生江:とても珍しいケースですけどね。

戸簾:コラボしてみたいファッションブランドはありますか?

生江:親和性が高いのは「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」ですかね。「FF」のセクシースチュワーデスのような装備“コーティ”は、「ヴィヴィアン」をイメージしています。「グッチ(GUCCI)」との相性も良さそうです。

戸簾: ファッション業界に対して、近寄りがたいイメージを持つ人は多いですか?

生江:そういう声は社内でも聞きますね。私の友人も伊勢丹に連れていくと嫌がるんですよ(笑)。店員さんと話すことに尻込みしている人もいます。でも私が入社したときに思ったのは、ファッション業界の人もオタクなだけだと思うんです。ジャンルは違いますが、好きな人が好きなことをやっていることに変わりはないんですよね。話すと勉強になることが沢山あります。

戸簾:そうなんですよね。何かに没入している人たちは一つのオタクだし、何かしらのスキルを身に付けています。でもゲームをきっかけにファッションに交わってくれた人に、まだ僕は出会ったことがありません。このコラムをきっかけに色々な結びつきが生まれ、「面白いことができたらいいな」「業界の発展につながれば」と強く思っています。

戸簾俊広: ジェムプロジェクター代表:2009年に国内外のファッション・ライフスタイルブランドのブランディング、PR、セールス、コンサルティングを手掛けるブランディングカンパニーGEM PROJECTORを設立。現在は、地方創生プロジェクトや会員予約制のテンポラリーレストランの立ち上げに向け奮闘する一方、「受信者から発信者へ」をテーマにしたオンラインサロンを運営

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「ウカ」が取り組むサステナブル 主力ヘアケアシリーズの容器をバイオマス素材に刷新

 トータルビューティサロンの「ウカ」は3月19日に、主力のヘアケア商品である“ヘッドセラピーシリーズ”の容器をリニューアルする。こだわりの成分とシンプルでスタイリッシュなデザインはそのままに、持続可能な植物由来のバイオマスパッケージを採用。石油由来樹脂の使用量削減に取り組む。

 容器はボトル式からポンプ式に変更し、新たにリフィルも発売することで詰め替えて繰り返し使用できる仕様に仕上げた。植物由来の素材を使用することは二酸化炭素の排出量削減にもつながり、リフィルは一般的なプラスティック素材を使用する場合と比較して、二酸化炭素の排出量を約53%軽減するという。

 同社は「“ウカは、サスティナブルへ”であるために、わくわくする仕組みをデザインしていく。作る責任を持つ一企業としてまずは “ヘッドセラピーシリーズ“の容器を変更した」とコメント。少しずつ形に変えていくことで地球環境の改善に貢献する。

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「ウカ」が取り組むサステナブル 主力ヘアケアシリーズの容器をバイオマス素材に刷新

 トータルビューティサロンの「ウカ」は3月19日に、主力のヘアケア商品である“ヘッドセラピーシリーズ”の容器をリニューアルする。こだわりの成分とシンプルでスタイリッシュなデザインはそのままに、持続可能な植物由来のバイオマスパッケージを採用。石油由来樹脂の使用量削減に取り組む。

 容器はボトル式からポンプ式に変更し、新たにリフィルも発売することで詰め替えて繰り返し使用できる仕様に仕上げた。植物由来の素材を使用することは二酸化炭素の排出量削減にもつながり、リフィルは一般的なプラスティック素材を使用する場合と比較して、二酸化炭素の排出量を約53%軽減するという。

 同社は「“ウカは、サスティナブルへ”であるために、わくわくする仕組みをデザインしていく。作る責任を持つ一企業としてまずは “ヘッドセラピーシリーズ“の容器を変更した」とコメント。少しずつ形に変えていくことで地球環境の改善に貢献する。

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「モリー ゴダード」「ユウキハシモト」など日英若手デザイナーが競演 ロンドンコレ前半を本音で対談

 2021-22年秋冬シーズンのロンドン・ファッション・ウイーク(LONDON FASHION WEEK 以下、LFW)が2月19〜23日に開催されました。ここでは19〜20日に発表された中から注目度が高いブランドを紹介。ロンドン・メンズコレクションを取材している大塚千践「WWDジャパン」デスクと「WWDジャパン」のSNSの運営も行っている丸山瑠璃ソーシャル エディターが対談形式でお届けします。

東京6ブランドがロンドンコレに!

丸山:ロンドン・ファッション・ウイークはオンライン開催であることを活かして、より多くのブランドを短時間で見せる方針のよう。10〜15分間隔で発表やプログラムがあってなかなか忙しいですね(笑)。ここでは中でも注目度が高いブランドをピックアップしていきたいと思います。まずは、「東京ファッションアワード 2020(TOKYO FASHION AWARD 2020)」の受賞特典として今回ロンドンコレに参加した6ブランド「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」「イン(IHNN)」「ミーンズワイル(MEANSWHILE)」「リコール(RE:QUAL≡)」「シュープ(SHOOP)」「ユウキハシモト(YUKI HASHIMOTO)」にフォーカス。「イン」「ミーンズワイル」「リコール」はティーザー映像を公開。東コレでも発表予定なのでそちらで本格的に公開するのかもしれません。「フミエ タナカ」は追って詳しいコレクション・リポートを公開予定ですが、21年春夏に続いて演出振付家のMIKIKOと協業した映像を公開。

 
 個人的には「シュープ」の映像が特に印象に残りました。ピンクに光る妖精に導かれてビルに入れば、そこはまるで宇宙船の中。マドリードに実在するホテル プエルタ アメリカ(Hotel Puerta America)で撮影したそうです。ザハ・ハディド(Zaha Hadid)、ジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)、ノーマン・フォスター(Norman Foster)ら著名建築家が手掛けた曲線が美しい空間も一助しSF映画のような仕上がりになっていました。映像を手掛けたのはマドリードのクリエイティブスタジオ、バンディス(BANDIZ)。東京で発表していたのでその印象がなかったのですがデザイナー2人はマドリード拠点なんですね。ブランドの新しい側面が見えて興味深かったです。大塚さん、「ユウキハシモト」はいかがでしたか?

大塚:「ユウキハシモト」は秋冬の方が得意だね。コレクションは、ミッドセンチュリーのプロダクトや時代背景をヒントにしたクリエイションなのだとか。映像でも空っぽの部屋に家具を運んで、部屋が徐々に出来上がっていく様子が表現されていました。直線的にストンと縦に落ちるボクシーなコートやジャケットは建築を思わせるフォームで、色やパンツのシルエットで変化を加えて、モチーフでカルチャー感をプラスするという得意技を盛り込んだ感じ。ボタンの留める位置を微妙にズラして、空間をつくる微妙なバランスに挑んでます。前シーズンまではモチーフやディテールがややトゥーマッチかなと感じていたのだけど、今シーズンは大分そぎ落とされた分、服自体の強みが増した印象。ただ、ロンドンには似たようなアプローチのブランドが多いので、ブランドならではの武器を映像でもっとアピールしてもよかったかな。スタイリング次第で化けそうとも思った。

テキスタイルの知見の広さを見せつけた「エドワード クラッチリー」

丸山:「エドワード クラッチリー(EDWARD CRUTCHLEY)」は制作過程と完成した服の映像に乗せてエドワード・クラッチリーが制作の裏側を語るムービーでした。レオパードのジャカードは「ジョンストンズ オブ エルガン(JOHNSTONS OF ELGIN)」が作ってくれたなど、生産者や生産地を細かに教えてくれて、「そんなことまで教えちゃって大丈夫?」と心配になるくらいトレーサビリティー(透明性)に秀でていました。そしてどの人に何を作ってもらうかというアサインが的確。トレーサビリティーを含む素材の質の良さこそがラグジュアリーという価値を生むのだなと実感しました。クラッチリーはグラフィックとテキスタイルの面で長年キム・ジョーンズ(Kim Jones)を助けていますが、なぜ2人がタッグを組むのか分かる映像になっています。

大塚:さすが、「ディオール(DIOR)」メンズのテキスタイルとグラフィック部門のディレクターを務めるだけあり、素材や服へのアプローチは完全にラグジュアリーだね。リアルのショーをやっていたころは、パーソナリティーの表現としてグロい系のアートや和装を取り入れた奇抜なスタイルだったのだけど、発表がデジタルになったことでかなりベーシックになった。カシミア100%のコートやリサイクルポリエステル、主張の強いマーブルやレオパード柄、エレガントなモアレなど、クラシックな服に徹することで素材の表情を引き立たせていた。ただ価格帯も絶対高いので、このブランドで買う意味を消費者にアピールするにはちょっと弱いのかな。アイコンをモチーフにしたジュエリーはきれいでした。

メッセージの表現力がピカイチの「サウル ナッシュ」

丸山:「サウル ナッシュ(SAUL NASH)」はロンドンコレの若手支援の合同ショー「ファッションイースト(FASHION EAST)」から独立して発表。デザイナーのナッシュはプロの振付師で、ストリングスやファスナーでねじりを生んだスポーツ&ストリートウエアが特徴。モデルのウォーキングもクールなんだそう。今回の“ツイスト(TWIST)”と題したムービーを手掛けたのはパートナーのFX コーディ(FX Cody)。映像ではメンズモデル2人が口論をし始め、周りで見ていた人たちもその口論に加わります。危うく殴り合いでも始まるんじゃないかというところで、始めに口論した2人がキスするという“ツイスト(予想外の展開)”が入ります。周りにいた人たちは最初は驚きの表情を見せるのですが、最終的には2人を支えるように取り囲み、受け入れます。ロンドン北東部で育ったナッシュは、「2人の男性がキスすることは、自分が生まれ育ったところではタブーだった」「『見た目で物事を判断してはいけない』ことを伝えたかった」と語ります。2分程度の動画でそのメッセージを明確に伝える表現力が素晴らしいと思いました。デザイナーが振付師だと、映像での表現の幅が広がりますね。

大塚:なるほど!そんなストーリーだったとは。僕はごめん、ダチョウ倶楽部の竜ちゃんのギャグを思い出しちゃった。「何だよオラ」とか言い争いながら接近してチュッてやつ。好きなんですよ。映像にストーリー性がありすぎて、服が全く分かんなかった。ルックを見たら一見よくあるスポーティーなストリートウエアなのだけど、鮮やかな色使いや“ツイスト”したファスナーを開閉すると変化するシルエットとかディテールに細かいアレンジを効かせているね。ロンドン発のストリートウエアは最近やや元気がないから、頑張ってほしい。

シスターフッドを表現した「ユハン ワン」

丸山:2020年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE以下、LVMHプライズ)」のセミファイナリストにもなった「ユハン ワン(YUHAN WANG)」は、出身地中国のエッセンスを残しつつイギリス摂政時代のようなシルエットをアップデート。ワンは母親になるという経験を通して、「自身も生命の循環の大切な一部であると思った」そうで、女性の内に宿るマザーフッドやシスターフッドの美しさを表現。それはキャスティングの多様さにも表れていますね。ロンドンのガーリー枠ですが、レースにドレープを加えたドレスよりも花柄ジャケットとスカートのバリエーションが増えて知的になった気がします。

大塚:全編を通して優しい映像と服だったね。いかにもガーリーなフワフワもあれば結構ピタピタの服も登場するのだけど、装うことの心地よさが伝わってくるムードでした。ルックでは柄物同士を合わせているから派手だけど、手持ちのベーシックなアイテムと合わせると単品の魅力がより引き立ちそう。同柄で合わせたソックスとパンプスが可愛かった。

ルーツに立ち返る「カシミ」

大塚:「カシミ(QASIMI)」は、クリエイティブ・ディレクターのフール・アル・カシミ(Hoor Al Qasimi)がルーツを大事にしているのだなという気持ちが伝わった。一昨年に亡くなった創業デザイナーはパリコレを意識した王道のテーラリング&スポーティーに寄せ始めていたのだけど、今回は生まれ故郷のアラブ首長国連邦(UAE)を思わせる日に焼けたような暖色カラーや独特なモチーフがいつもより色濃くて、中東のビジネスが順調なのかなと思ったよ。あとはウィメンズの型数を増やして本格的に打ち出してきたね。地域によって好みが分かれるテイストだからこの路線で日本でも成功するかは未知数だけど、素材や技術のクオリティーは高いので、今後の動向にも注目だね。

丸山:夕焼けのような深いオレンジの光が挿す空間とそれを反映したようなカラーパレットの服が印象的でしたね。素材の良さとテーラードだけでなく、動画のタイトルにもなっていた「WE ALL LIVE UNDER THE SKY」とプリントされたグラフィックもあれば、アラビア建築に用いられるマシュラビヤ(mashrabiya)という木格子の柄に着想を得たセットアップもあり、より顧客層を広げようと意識しているのかなと思いました。ところで「イン」のティーザーでも夕焼けに由来するオレンジ色の服が登場していましたが、今季オレンジはキーカラーになるかもしれないですね。

リアルにグッと近づいた「モリー ゴダード」

丸山:ボリュームたっぷりなチュールドレスが代名詞の「モリー ゴダード(MOLLY GODDARD)」ですが、今季チュールドレスのバリエーションは少なくめ。代わりにメンズも含めリアルクローズが増えました。ボリュームが抑えめになったチュールアイテムに合わせるのはVネックニットやカラフルなベスト。タータンチェックのコートに合わせるのはブライトカラーのストライプマフラー。既存顧客はどう反応をしたのかなと思い、ブランドのインスタグラムとユーチューブのコメント欄をチェックしましたが歓迎ムードでした。ゴダードは米「WWD」とのZoomインタビューで「顧客を直接知る機会が増えた」と語っていましたが、パンデミックで外に出られない状況の中で顧客との繋がりをオンライン上で深めたのでしょう。

大塚:メンズいい感じだった!まだまだウィメンズの延長線上という感じはするけれど、リアルクローズにほどよくエッセンスが注入されていた。例えばジョッパーズのファスナー部分がフリルで縁取られてたり、ジーンズの折り返した裾がフリルになっていたり、芸が細かいから嫌味がなくて好感でした。ウィメンズもチュールアイテムとリアルクローズをミックスすることでより親近感が湧いたし、いい意味で脱力していて好きなコレクションでした。

ファッションでもバズってほしい「アート スクール」

大塚:僕、「アート スクール(ART SCHOOL)」は初期からリアルでのショーを見てきたので厳しく見てしまうんだけど、今シーズンもやっぱり飛躍しなかったな。モノトーンのフォーマルで一瞬「お!ちゃんとした服くる?」って期待したんだけど、やっぱりクオリティーの荒さが映像を通しても伝わってきた。今どき、ズタズタに引き裂かれたドレスやジャケットなんて誰が着たいの?と思っちゃってさ。あと個性的なキャスティングも、初期は多様性を祝福するムードでハッピーだったのが、何だかそれをやり続けることに引っ張られすぎて損している感じがする。「アート スクール」が伸び悩んでいるうちにダイバーシティーやインクルージョン、サステナビリティを自然体で表現する若手がどんどん出てきているから、もはや飛び道具枠として定着してしまっているのが本当にもったいない。服をちゃんと作れないなら正統派のショー映像を13分間も見せるのではなく、もっとアイデアをもって立体的に表現しないと飽きられちゃうよ。来シーズンは頑張れ!

丸山:「アート スクール」はSNSでバズを生むのは上手なんですけどね。これまでもデザイナーが怖い歩き方で登場したり、胸毛でメッセージを書いたりといったパフォーマンスが話題になりました。今回は「ル・ポールのドラァグ・レース: UK (RuPaul's Drag Race UK)」にも出演したドラァグ・クイーンのホーラ(A'Whora)とビミーニ・ボン・ブーラッシュ(Bimini Bon Boulash)が登場。また、トランスジェンダーモデルのフィン・ブキャナン(Finn Buchanan)が性別適合手術後初めて、そして手術跡を堂々と見せてランウエイに登場したのもニュースでした。ですがやっぱりファッションでバズってほしい!その日を首を長くして待ってます。

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「マメ クロゴウチ」10周年の展覧会が長野県立美術館で開催 新スタッフユニホームも披露

 長野県立美術館(旧長野県信濃美術館)は、ファッションブランド「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI、以下マメ)」の黒河内真衣子が手掛けた新たなスタッフユニホームを発表した。4月1日から新築オープンする本館と東山魁夷館のスタッフが着用する。

 新ユニホームは美術館を取り囲む雄大な自然と、この地を愛した日本画家の東山魁夷が描いた深いブルーが着想源になった。「マメ」が得意とするアールカッティングのドレスと、ダブルブレストのノーカラージャケットのセットアップで、スカーフには長野県の県花であるリンドウを刺しゅうした。

 6月19日〜8月15日には「マメ」設立10周年を記念した展覧会「10 マメ クロゴウチ(10 Mame Kurogouchi)」が長野県立美術館で開かれる。同ブランドが美術館で単独の展覧会を開催するのは今回が初。黒河内デザイナーは長野県出身で、自身のルーツとなる場所で10年間の創作の旅路を紹介する。展示ではデザイナーの日記をはじめ、着想源となったモノや写真、テキスト、テキスタイル、コレクションアーカイブなどを並べる。また展覧会に合わせた作品集を刊行予定で、“読む展覧会”としてテキストと写真を中心に構成する予定だ。

■10 Mame Kurogouchi
会期:6月19日〜8月15日
会場:長野県立美術館 展示室 3
住所:長野県長野市箱清水1-4-4
観覧料:一般500円、高校生以下無料

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ドイツの高級筆記用具「モンブラン」新デザイナーは、レザーグッズのベテラン

 ドイツのラグジュアリーアクセサリーブランド「モンブラン(MONTBLANC)」は、新クリエイティブ・ディレクターにマルコ・トマセッタ(Marco Tomasetta)を3月1日付で任命した。2013年に就任したザイム・カマル(Zaim Kamal)=クリエイティブ・ディレクターの後任だ。トマセッタ新クリエイティブ・ディレクターが手掛ける初めてのアイテムは、21年末に登場予定だ。

 トマセッタ新クリエイティブ・ディレクターは、ミラノのヨーロッパ・デザイン学院を卒業。直近では「ジバンシィ(GIVENCHY)」のメンズ・ウィメンズのレザーグッズのデザインを手掛け、それまでも「プラダ(PRADA)」「クロエ(CHLOE)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」で経験を積んだレザーグッズのベテランだ。今後パリを拠点にドイツ・ハンブルグの筆記用具、スイス・ヴィレルとル・ロックルの時計、イタリア・フィレンツェのレザーグッズのデザインチームを統括する。

 就任に際して、「豊かなヘリテージと製品デザインを持つ『モンブラン』のチームに加わることにワクワクしている。書くことと“描くこと”は、あらゆるデザインプロセスの出発点だ。伝統と最新のデザインを融合する『モンブラン』に惹かれた」とコメントした。

 モンブラン インターナショナルのニコラ・バレツキー(Nicolas Baretzki)最高経営責任者(CEO)は「マルコ新クリエイティブ・ディレクターのリーダーシップとビジョンで、ブランドが提案する“ラグジュアリービジネス”ライフスタイルを牽引していくことに期待している。彼は繊細かつダイナミックなイノベーターで、『モンブラン』のアイデンティティの中心にあるクラフツマンシップと、時代を超越したデザインを手掛ける人物だ。われわれのブランドテーマを活かし、チームを統括していくことを楽しみにしている」と述べた。

 バレツキーCEOはまた、これからはレザーグッズがブランドの要となってブランドを牽引していくと分析する。「現在、われわれの顧客層は大半が女性で構成されている。自分のためだけでなく、プレゼントとして購入する人も多い」と言い、トマセッタ新クリエイティブ・ディレクターのウィメンズとメンズにおける多彩な経験に期待を寄せている。

 「モンブラン」は1906年創業。「カルティエ(CARTIER)」や「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」を擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下。高級筆記用具に加えて、サングラスやフレグランス、ジュエリー、ベルトなどを手掛け、ヨーロッパやアジア、アメリカにわたって300店舗を構える。

 20年には新型コロナのパンデミックが小売業界全体への打撃となったが、中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)が運営するECサイト「Tモール(T MALL)」へ出店するなど、ブランドの業績はECを強みに回復傾向にあるという。

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花王の「トワニー」が生理日予測アプリ「ルナルナ」と協働 フェムテック領域の取り組み第1弾として

 花王は、カウンセリングブランド「トワニー(TWANIY)」でフェムテック分野の取り組みを開始する。第1弾として3月4日~5月4日に、エムティーアイが展開する生理日予測アプリ「ルナルナ」内に美容アドバイスを提供するコンテンツ「トワルナキレイ相談室」を設置し、肌状態や肌悩みに応じて32通りの中から最も適したスキンケアアドバイスを提供する。

 「トワニー」は1996年の誕生以来、体の“リズム”を核とする製品を展開。化粧品専門店や総合スーパー(GMS)で販売し、親身なカウンセリングを通じて顧客を獲得してきた。昨年春にはリブランディングを実施し、“生体のリズム”に基づく考えはそのままに、若年層も含めてターゲット設定を拡大して製品体系、世界観を刷新した。

 同社によると、フェムテック領域は美しさのリズムに基づく美容提案を行ってきた「トワニー」との親和性が高く、協働を通してブランドへの理解・共感を促すのが狙いだ。今回を手始めに、美しさのリズムをテーマとしたトークセッションや、製品やカウンセリングを体験できるイベント、啓発活動なども予定する。今後はESG視点で女性に寄り添う取り組みを積極的に展開する。

 花王は、2018年にグループの化粧品事業の新たな成長戦略の柱として「新グローバルポートフォリオ」を策定。「トワニー」は、国内を中心に注力するブランド「R8」の1つに選定され、25年には18年度比で1.5倍の売り上げを目指している。

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「イソップ」×「レイバーン」のハンドケア入りポーチが発売 ポーチの作り方も無料で公開

 「イソップ(AESOP)」はイギリスのサステナブルファッションブランド「クリストファー レイバーン(CHRISTOPHER RAEBURN)」とコラボレーションし、外出先でも簡単にハンドケアができる携帯ポーチを3月8日に発売する。全て手作業で作られている“アドベンチャラー ロールアップ”(6350円)はリサイクルコットンを80%使用。アルコール成分配合のハンドジェル“リンスフリー ハンドウォッシュ”、ハンドバーム “レスレクション ハンドバーム”、新製品のアルコール成分配合のミスト“レスレクション エクスペディエント ハンドミスト”のハンドケア製品3種類を収納できるようになっている。

 ロンドンを拠点にする「クリストファー レイバーン」は軍服やパラシュートなどを素材を再利用したモノづくりで知られており、サステナビリティやエシカルな取り組みに注力している。今回のコラボも、「イソップ」がそんなモノづくりに共感したから生まれたものだという。デザイナーのクリストファー・レイバーン(Christopher Raeburn)は「われわれはリメイク、リサイクル、リデュースを軸に、クラフト、クリエイティビティー、コミュニティーを大切にしている」と説明する。その一例に、消費者を巻き込んだ有料ワークショップを挙げた。スタジオで余った布を使ってぬいぐるみを作るワークショップで、収益の一部を世界自然保護基金に寄付していた。しかしロックダウンでワークショップが開催できなくなると「少しでもコミュニティーに還元できることをしたいと思い、自宅でも簡単にぬいぐるみを作れるように、パターンや作り方を無料で提供した。そうしたら、世界中からいろんな人が各々の生地で作ったぬいぐるみの投稿が集まった」と振り返る。

 今回のコラボにおいても、“アドベンチャラー ロールアップ”のポーチ作り方を無料で消費者に提供する。パターンをダウンロードできるほか、ハウツー動画で作り方も学ぶことができる。「誰もが参加できるようなプロジェクトも一緒に立ち上げたい、ということを話していたんだ。サステナビリティはインクルーシブでもあるべきだからね」。簡単に作れるように、“アドベンチャラー ロールアップ”はあえてシンプルな作りにしているという。「ボタンやチャックなど金具を一切使っていない。リサイクルのしやすさも考慮しているんだ」。

 また、通常盤のネイビーのポーチに加え、3月1日には1960年代の地図を再利用したデザインも300個限定で販売する(日本は香港の「ハイプビースト(HYPEBEAST)」ECストアから購入が可能)。「素材は、1960年代に実際に使われていた航海用海図なんだ。濡れても丈夫な素材なので、リメイクにぴったりだと思ったよ。(パンデミックで)旅になかなか行けない中、“アドベンチャー”をほうふつさせるアイテムにしたかった」。地図はボルネオやアラル海にフォーカスしており、それも一つのこだわりだという。「ボルネオは森林破壊が問題視されており、アラル海は過剰農業で縮小している。環境破壊へのアウェアネス(問題意識)を高めたいという思いも込めているんだ」とクリストファー。「われわれは従来だったら捨てられるような素材やアイテムをリメイクし、“第2の人生”を与えているんだ。“アドベンチャラー ロールアップ”もハンドケアアイテムを使い終わったら、自由に使えるように設計している。いろんな楽しみ方をして欲しい」。

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