「スノーピーク」山井梨沙社長 社員700人を率いる若きリーダーの求心力【ネクストリーダー2021】

 2017年にスタートした「WWDJAPAN ネクストリーダー」第3回の受賞者であるスノーピークの山井梨沙社長。当時の山井社長は副社長で、昨年3月に創業家3代目として、社長に就任した。32歳での抜てきだ。山井社長1年目の20年12月期(2月12日発表)は、売上高が前年同期比17.6%増の167億6400万円、営業利益が61.6%増の14億9300万円、純利益は約2.5倍の10億4800万円と増収増益だった。密を避けたキャンプブームの追い風もあったが、積極的にメディアの前で語る山井社長の存在が、ブランド知名度をますます高めていると言っても過言ではない。その山井社長が今年の「WWDJAPAN ネクストリーダー2021」で審査アドバイザーを務めた。若きリーダーは何を語るか。

WWD:2020年3月に社長に就き約1年、気持ちの変化は?

山井梨沙スノーピーク社長(以下、山井):社長に就任したタイミングで、コロナで状況が悪化してしまい、自分にとっては試練の多い年でした。振り返れば、それを乗り越えて自分自身も成長できた年ではあったけれど、倒産リスクを考えて資金繰りを考え直さなければならなかったり、経営面でも周りの助けがなければ乗り越えられなかった。一方で、30年後にどうなっていたいか、会社の可能性を今一度見直せる年になったので、そういう意味では非常に良い1年でした。

WWD:社長就任時は32歳だったが、年齢的な部分でネックに感じたことは?

山井:仕事をする上で「女性だから」「年齢が若いから」ということを周りに感じさせないように努力してきました。社長に就任した時点での世間的なネガティブな意見はかなりの数を目にしましたが、それには結果で示すしかない。自分が32歳でも、女性でもやれるということを示さないといけないと思いました。

WWD:結果を出すために、どういったことを心掛けている?

山井:自分一人で達成できることではないというのは前提にあります。その上で、自分が社長に就任できた一番の要素は信念がめちゃくちゃ強いこと。周りからやるなと言われても絶対にやり抜く強さは、自分のリーダーシップだと思っています。こうしたら絶対によくなるという勘所と、絶対に実行して成し遂げる、前に進む強さは大事にしています。

WWD:国内外でおよそ700人の社員を抱えている。社員に伝えている言葉は?

山井:スノーピークは、モノを売るだけの会社ではありません。それは創業から変わらない価値ですが、それを今一度、言語化して伝えることを経営側になった時から続けています。その先に、体験を通じてライフバリューを創出するブランドになろうということを再定義しました。最近はスノーピークがお客さまにライフバリューを提供するだけではなく、一緒に働いているスノーピークの従業員全員がライフバリューを高められる会社になろう、と伝えています。

WWD:社長に就任して初めて伝えた言葉を覚えていますか?

山井:社長に就任したときに0からのスタートだなという感覚が自分の中で芽生えて、「とにかく20年30年先の未来を会社と社会に対して作っていく」。そして、新潟に本社があるアウトドアブランドの会社として、「地方初の世界で一番クリエイティブな会社にしていきたい」とお伝えしました。

WWD:これからのファッション業界、アウトドア業界をどう見ますか?

山井:アウトドア事業はグローバルでプレゼンスが上がっています。資本主義経済、文明社会の中で失われているものは自然の力じゃないと取り戻せません。スノーピークは企業の社会的な使命として「人間性の回復」を掲げています。アウトドアは、文明の進歩に比例して増えていく――その自負はありましたが、コロナをきっかけにそのタイミングがかなり早まったと感じています。一過性のブームではなく、自然との関わりが重要であると再認識されて、日常的に楽しむ人はどんどん増えていく。昨年は当社も在庫のやりくりだったり、年間の販売数量を計画し直したり、販売タームも大きく変えたりしました。今年もそれを反映している部分はあります。ファッション業界にとっては当たり前だったことが当たり前ではなくなったので、商売構造を変えていくきっかけになったのではないかと思います。

WWD:10年後のスノーピークをどう描く?

山井:もともとはキャンプの事業を軸としてきたましたが、改めて、キャンプの要素は人間が自然の中で生活する営みそのものだと気づきました。インフラの整っている東京に住んでいれば、あまり人と協力しなくても生活が成り立ちますが、自然の中ではそうはいかず、衣食住を営むことで人とのつながりが強くなると考えます。私が14年に新規事業として始めたアパレルを含めて、今は、「衣・食・住・働・遊」、人が生きる全てのライフステージに価値提供できるブランドになりました。まだまだキャンプのコアビジネスの割合が大きくはありますが、キャンプの価値観をもっと変えて、自然思考に生きるためのブランドに成長させたいと思います。

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「ケンゾー」2021-22年秋冬コレクション

 「ケンゾー(KENZO)」が2021-22年秋冬コレクションを発表した。

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ゴールドウイン渡辺貴生社長はこれからも遊び続ける 音声座談会「蓉子の部屋」Vol.10

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界は“未来”について考えなければならない現実に直面しています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントやカケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。

 第10回は、ゴールドウインの渡辺貴生社長に迫りました。渡辺社長はこれまで、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の事業発展に大きく貢献。20年には、スパイバー(SPIBER)と協業した人工構造タンパク質素材の「ブリュード・プロテイン」を使った“ムーンパーカ”を発表しました。音声座談会では、若者が持つ可能性やコラボレーションの価値、「仕事には遊びの感覚が必要だし、辛いと思ったことがない。私はこれからも遊び続ける。社員にゴールドウインが一番楽しい会社だと言ってほしいから」と話す理由を聞きました。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている

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ゴールドウイン渡辺貴生社長はこれからも遊び続ける 音声座談会「蓉子の部屋」Vol.10

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界は“未来”について考えなければならない現実に直面しています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントやカケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。

 第10回は、ゴールドウインの渡辺貴生社長に迫りました。渡辺社長はこれまで、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の事業発展に大きく貢献。20年には、スパイバー(SPIBER)と協業した人工構造タンパク質素材の「ブリュード・プロテイン」を使った“ムーンパーカ”を発表しました。音声座談会では、若者が持つ可能性やコラボレーションの価値、「仕事には遊びの感覚が必要だし、辛いと思ったことがない。私はこれからも遊び続ける。社員にゴールドウインが一番楽しい会社だと言ってほしいから」と話す理由を聞きました。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている

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サマンサタバサが“風の時代”のオンライン入社式 Vチューバーを含む106人の新入社員がリモート参加

 サマンサタバサジャパンリミテッド(以下、サマンサタバサ)は1日、2021年度の入社式をオンラインで実施した。新型コロナウイルスの感染対策の昨年に続く2度目のオンラインでの開催となり、テレビ会議ツールの「ズーム(Zoom)」で本社と全国の新入社員をつないだ。今年は動画配信を行うCGキャラクターのVチューバー、織女ひかりも新入社員として参加し、女性104人、男性1人、そしてVチューバー1人の計106人が同社へ入社した。織女ひかりは今後、「サマンサベガ(SAMANTHA VEGA)」のバーチャルプレスとして活動していく。

 式典では、門田剛社長や先輩社員からのあいさつに加えて、今年は歌手や女優として知られる鈴木愛理と、フォーチュンアドバイザーのイヴルルド遙華がサプライズゲストとしてビデオメッセージを寄せた。イヴルルド遙華は「去年の12月に200年ぶりに星のムードが変わりました。土の時代から風の時代へ。風は激しくなったり、穏やかになったりと風向きはコロコロ変わります。どんな風を起こすことができるか、どんな風に乗ることができるかは全てあなた次第です。だから怖がらずに風を楽しんでください。人生は一度きりです。思う存分に楽しんでください」とエールを送った。

 各新入社員の自宅にはギフトを送付し、同時に開封する時間も設けられた。新入社員たちは先輩社員からのメッセージカードと共に、ベージュのナイロンミニショルダーバッグと、イヴルルド遙華がオススメする今年のラッキカラーであるネイビーの巾着バッグを受け取った。

 また最後には東京・表参道のサマンサタバサ 表参道GATES ポップアップ デジタルストアと中継し、LEDスクリーンに「入社おめでとう」のメッセージと桜の木の絵を点灯。これに合わせて同社は東日本大震災の大津波の到達地に桜の木を植える「さくら並木プロジェクト」へ参加したことも発表した。

 参加した新入社員は「社員の皆さんが温かく迎えてくれているのが分かり、働くのがとても楽しみになりました。鈴木愛理さんやイヴルルド遙華さんからのメッセージや本社の皆さんが作成してくださった紹介動画も印象的でした。温かく、働きやすい、まさに日本一楽しい会社だなと思いました」と入社式の感想を述べた。

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「ノーズショップ」に“香りを言語化する”AIシステムが登場

 ビオトープ(BIOTOPE)が手掛けるニッチパフュームショップ「ノーズショップ(NOSE SHOP)」は4月1日〜5月5日、香りのデジタライゼーションによって新たな顧客体験を提供するセントマティック(SCENTMATIC)と協業し、香りを言語化するAIシステム「カオリウム」を導入する。ノーズショップ銀座店およびノーズショップ銀座店で展開中だ。

 「カオリウム」は香りと言葉を相互に変換するAIシステム。ノーズショップではフレグランス20本から好きな香りを選ぶと、画面に「透明感」や「ロマンチック」といったその香りのイメージに近い言葉が複数表示される。その中から自分が(その香りに)抱くイメージに最も近い言葉を選ぶと、さらに複数の香りが提案される。このプロセスを重ねることで、選んだ言葉を表現する香りを導き出すというものだ。ノーズショップの顧客から抽出した5000件以上の主観データをAIが解析して言語化しており、これまで言葉で表現しづらかった“香りの言語化”を実現した。

 中森友喜ビオトープ取締役は「ビオトープでは、これまで“不毛地帯”と呼ばれてきた日本の香水市場を盛り上げるべく、香水をより身近な物として感じてもらえるように取り組んできた。ノーズショップは、『難しい』『分かりにくい』『どれを選んだらいいのか分からない』といったフレグランスのネガティブなイメージを払拭するための空間だ。香りは言葉にすることがとても難しく、そこでハードルが一気に上がってしまう。セントマティックの『カオリウム』を通して、少しでも多くの人に香りの世界を自由に楽しんでもらいたい」とコメントした。

 セントマティックは香りの超感覚体験を作る共創型の香りのビジネスデザイン集団として2019年に設立。「カオリウム」は、栗栖俊治社長兼最高経営責任者がドイツ・フランクフルト空港の免税店で閃いたプロジェクトだという。「乗り継ぎの間に、免税店で香水を選ぶお客さんを観察していた。すると来店する人全員が首を傾げながらあらゆる香りを試し、結局誰も香水を買わかった。香水文化が日本より浸透している海外さえ、香水選びが難しいのだと実感した。そこで香水を言語化することができたら、香り選びをはじめ、さまざまなソリューションに応用できると思い『カオリウム』プロジェクトを立ち上げた」。「カリウム」は東京大学と共同で開発している。現在日本酒にも応用しており、横浜高島屋などでサービスを展開中だ。

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「ユニクロ」×「JW アンダーソン」2021年春夏は心温まる花の刺しゅうで春らしく

 「ユニクロ(UNIQLO)」は、「JW アンダーソン(JW ANDERSON)」とのコラボライン“ユニクロ アンド JW アンダーソン(UNIQLO AND JW ANDERSON)”の2021年春夏コレクションを4月23日に発売する。「ユニクロ」221店舗と公式ECで全商品を取り扱い、一部商品を全国の店舗でも発売する。

 アイテムはウィメンズ15型とメンズ12型、グッズを4型を用意する。“春を紡ぐ”をテーマに、春らしい花の刺しゅうをメンズ、ウィメンズともに使用した。カーキやブラウンなどの落ち着いた色とリネンなど涼しげな素材が特徴のコレクションだ。

 ウィメンズはブランケットステッチを施したジーンズやボヘミアンなワンピース、メンズはワークシャツや花の刺しゅうのTシャツなどをラインアップ。グッズはトートバッグやソックス、帽子を用意した。

 デザイナーのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)は、「外出が制限される中で制作するにあたり、春やリニューアルというアイデアがずっと心にあった。そして私にとって大切なクラフトのエッセンスを、いかにコレクションに反映させるかについても考えた。このコレクションを着ることで、皆さまが温かく、そしてポジティブな気持ちになることを祈っている」とコメントした。

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伊藤忠の仕掛ける次世代セルロース繊維の大本命 世界最速で日本で初お披露目

 伊藤忠商事は、フィンランド発の革新レーヨン繊維をいよいよ本格的に始動する。伊藤忠がフィンランドの木材パルプ世界最大手のメッツァグループ(METSA GROUP)と共同で展開するもので、これまで製造工程で有機溶剤などを使用し、環境負荷の高かった従来のレーヨン素材とは異なり、有機溶剤を使わず、環境負荷も小さく、しかもコストも従来とほぼ変わらない画期的な製法で製造するため、次世代セルロース繊維の大本命と言われている。ブランド名を「クーラ(KUURA)」と定め、3月16日には「楽天ファッションウィーク東京」の「ザ・リラクス(THE RERACS)」のショーで、世界で初めて服になった「クーラ」を披露した。

 伊藤忠はメッツァグループとともに2018年10月に、約4000万ユーロ(約51億円)を投じて、メッツァグループの中核会社メッツァ・ファイバーの工場内に年産350トンの生産能力を持つパイロットプラントを建設。メッツァ・ファイバーは主に紙やレーヨンの原料になるパルプの世界最大手企業で、「クーラ」は粗原料になる木材からパルプ、繊維の原料になる原綿まで一貫生産になる。

 レーヨンなどのパルプを原料とする一般的なセルロース系の繊維は、ポリエステルやナイロンのような合成繊維と異なり、石油を原料とせず、土に埋めれば分解する生分解性などの特徴を持つため、サステナビリティを打ち出す企業もある。ただ実際には生産工程で有機溶剤を使用するなど、環境負荷の高い部分もある。

 また、欧米のスタートアップ企業が相次いで革新的なセルロース繊維の開発を発表しているが、いずれも数トン〜数十トンクラス。「クーラ」はパイロットプラントでも年産350トンと、スケールは圧倒的で、かつ量産プラントになればレギュラーレーヨンとほぼ同等のコストパフォーマンスを発揮できる。

 「クーラ」は粗原料となる木材からパルプを生産する際にも、これまでは一般的だった有機溶剤を使う方法ではなく、安全性が高く、一本の木材から採取できるパルプの量も多い製法を使うなど、メッツァグループの有する先進的なサステナビリティ技術が盛り込まれており、工場自体が多数の認証も取得している。

 「クーラ」工場は、メッツァ・グループと伊藤忠が折半出資する合弁会社で運営しており、糸の原料となる原綿(げんめん)の開発と生産をメッツァが、紡績工程以降の糸や生地の生産・販売などを伊藤忠が独占的にコントロールする。「クーラ」事業を担当する下田祥郎・繊維原料課長は、「物性なども従来のレーヨンやセルロース素材とは異なるため、紡績糸の開発と生産は世界的にも技術力の高いクラボウと行っている。水面下で国内外の有力企業・ブランドとの商品化を進めているが、非常に大きな手応えを感じている」という。『クーラ』工場の立ち上がりは、コロナ禍で当初計画より遅れているものの、「来年度の後半にはパイロット工場をフル稼働にもっていく」(同)考え。

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百貨店3月度は前年同月比3割増 高額品の好調、「年末商戦に迫る勢い」

 百貨店主要5社の2021年3月度業績は、おしなべて前年同月比3割増だった。大幅な増収は、前年の新型コロナウイルスによる客数減の反動によるところが大きい。

 各社の前年同月と比較した売上高は、三越伊勢丹が31.1%増、高島屋が29.5%増、大丸松坂屋百貨店が33.3増、そごう・西武が25.7%増、阪急阪神百貨店が32.7%増。特に首都圏・関西圏では特に「緊急事態宣言」の解除(23日)以降、人出の増加とともに客足が回復した都心店が業績をけん引した。「日を追うごとに来店客が増えた。ファミリー層や年配客、春休みにはキャリーケースを携えた客も見られた」(阪急阪神百貨店広報)。

 店頭で売れたのは、特選衣料・雑貨や美術・宝飾・貴金属などの高額品。三越伊勢丹は、伊勢丹新宿本店が同35.5%増、三越日本橋本店が同29.7%増、三越銀座店が同33.9%増。両本店では美術・宝飾・貴金属カテゴリーが同72.5%増で、前々年の実績も上回った。「高額品の売れ方には年末商戦に迫る勢いがある」(同社広報)。ラグジュアリーを重視した改装(19年9月)を行った大丸松坂屋百貨店の大丸心斎橋店も、同60.0%増と成果が出ている。同社全体で時計・美術・宝飾は同84.9%増。高島屋も特選衣料雑貨が前年比約70%増と伸ばしており、「(富裕層が)海外旅行に行けなくなった分、その恩恵を受けている」(同社広報)と捉える。

 一方でボリュームゾーンの衣料品に関しては不振が続く。高島屋は19年3月と比較した衣料品カテゴリーは4割減で、「(他のフロアと比較しても)お客さまの戻りが鈍い」。コロナ禍を経て、客離れがより鮮明になっている。

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渦中のH&M、「中国での信頼回復に尽力」と声明 ウイグル問題で

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)は3月31日、「中国は非常に重要な市場であり、その顧客や取引先からの信頼回復に尽力する」との声明を発表した。

 同社は中国による少数民族ウイグル人への強制労働問題などが報じられたことから、新疆ウイグル自治区に工場を持つ中国企業との取引停止や、同自治区で生産された綿花の調達の中止を2020年9月に発表している。しかし3月24日に、中国共産党の青年組織である中国共産主義青年団が、中国版ツイッターのウェイボー(Weibo)に「新疆綿について虚偽のうわさを流してボイコットしておきながら、中国で儲けようだって?それは甘い考えだ」とH&Mの声明とともに投稿したことがきっかけとなり、中国側からの批判が激化。中国の大手ECサイトなどから「H&M」の商品が消え、モバイルアプリも中国の大手アプリストアから削除されている。H&Mは中国でおよそ500の店舗を運営しているが、3月31日の時点で20店ほどが休業しているという。

 こうした動きを受けて同社は、「中国は非常に重要な市場であり、当社の中国に対する長期的なコミットメントは強固なままである。当社は中国および世界のどの国においても責任あるバイヤーでありたいと考えており、原料の調達について将来を見据えた戦略を策定中だ。関係する全てのステークホルダーと協力しあい、よりサステナブルなファッション業界を実現するためのソリューションを開発していきたい。当社はグローバルな企業として各市場の法律や規制に準拠しており、信頼、尊重、誠実さ、そして対話を大切にしている。中国の顧客、同僚、取引先の信頼回復に尽力する」と表明した。

 新疆綿の使用中止を発表しているほかのブランドとしては、「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」「ユニクロ(UNIQLO)」「バーバリー(BURBERRY)」などが挙げられる。中国ではこれらのブランドに対しても批判が高まっているものの、「H&M」ほどの猛反発は受けていない。

 観測筋によれば、その理由の一つとして、H&Mがスウェーデンという中国にとって政治的な脅威が比較的低い国の企業だということがある。ナイキは米国、アディダスはドイツ、バーバリーは英国、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは日本の企業であり、中国としてもこれらの国と外交問題になるのは避けたい思惑があると見られている。

 また中国の消費者からすると、「H&M」はいわば“替えのきく”存在であることも大きいようだ。専門家らによれば、「H&M」と似たような商品を同じ価格帯もしくはより安く提供する中国産ファストファッションはいくつもあるが、ブランド力の高い「ナイキ」や「アディダス」、そして世界的なラグジュアリーブランドである「バーバリー」は代替できないため、不買運動に発展しにくいという。

 外国企業の中国進出を支援するマーケティング会社、チャイナスキニー(CHINA SKINNY)のマーク・タンナー(Mark Tanner)=マネジング・ディレクターは、「中国での重要な販売チャネルであるECを元に戻すには、繊細な舵取りが求められる。中国当局の意向に沿った対応をしない限り、かなりの時間がかかるだろう」とコメントした。

 カナダロイヤル銀行(ROYAL BANK OF CANADA)は顧客向けのリポートで、「中国では過去にも『H&M』や『ナイキ』のようなブランドが同様の問題に巻き込まれているが、その後は業績が回復しているので、今回の件も慎重ながら楽観視している。しかし中国市場はH&Mの売り上げ全体の6%程度を占めているため、短期的にはマイナスの影響があるだろう」と分析している。

 H&Mは3月31日に20年12月~21年2月期(第1四半期)決算を発表しているが、売上高は前年同期比27.0%減の400億6000万スウェーデンクローナ(約4807億円)、純利益は前年同期の19億2800万スウェーデンクローナ(約231億円)の黒字から10億7000万スウェーデンクローナ(約128億円)の赤字となった。

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スーパーモデルのナタリア・ヴォディアノヴァによるマスクが登場 環境への配慮と高い性能を両立

 ロシア出身のスーパーモデルのナタリア・ヴォディアノヴァ(Natalia Vodianova)は31日、循環型のアイテムを手掛けるテック企業ペンタトニック(PENTATONIC)と共同で手掛けたマスクライン「マスク(MASUKU)」を発売した。第1弾の“マスク ワン(Masuku One)”は、リサイクルされた素材とリサイクル可能な素材を使用して、洗えて繰り返し使用できる。フィルター効果は約94%で、米国医師会が報告する一般的なサージカルマスクのフィルター効果の40〜70%を上回り、医療用のN95マスクが持つ90〜99%に近い性能を持つ。価格は49ポンド(約7300円)。

 ナタリアとペンタトニックは、日本語のローマ字読みから取った合同企業マスク(MASUKU)を設立。都市部で特に問題となっている大気汚染への対策として、2018年にスタートした。開始当初は中国を拠点にしていたが、パンデミックによって生産に影響が出たことでヨーロッパに移動。パンデミック以降増加した使い捨てマスクの廃棄問題に目をつけ、循環性に重きを置くサステナブルなマスク開発を行う。制作には多様な材料を細かく紡糸するエレクトロスピニング法を採用し、人間の髪の毛より1000倍細い素材の使用を実現した。

 ナタリアは20年9月、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の創業者ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)の息子で実業家のアントワン・アルノー(Antoine Arnault)と結婚した。モデルとして活躍する傍ら、慈善家・投資家としても活動する。ナタリアは「“マスク ワン”は環境負担を軽減して作られている。マスクの機能性がどれほど高くても、サステナブルでないと意味がない。今後マスクを使用しないで済むことを願うが、最も機能的でサステナブルな選択肢を用意したい。一方でポストコロナの世界でも健康やウエルネスのためのマスク着用に期待する。私たちは日常的に紫外線から肌や目を守り、浄水された水を飲んでいる。汚染された空気の中で過ごすことの健康への害をもっと考慮するべきだ」と語った。

 ヨハン・ボーデッカー(Johann Boedecker)=ペンタトニック最高経営責任者は、「多大な時間と労力をかけてマスクを開発した。高いフィルター性能や通気性、快適さ、さらにスタイルにも妥協していない」とコメント。今後、“マスク ワン”同様にエレクトロスピニング法で作られた素材を使用した多様なマスクの開発に取り組むという。

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眼鏡ブランド「ゾフ」の社長が交代 創業者の次男が新体制をリードする

 眼鏡ブランド「ゾフ(ZOFF)」を手掛けるインターメスティックは、上野博史・副社長が4月1日付で社長に昇格した。

 上野新社長は、創業者の上野照博・代表取締役会長の次男。1973年、東京都渋谷区生まれ。イギリス国立ウォーリック大学大学院修了後、テレビやCMなどの映像制作会社に入社。2001年「ゾフ」ブランドの立ち上げに伴い、インターメスティックに入社。PR、マーケティング、商品開発、店舗設計等、あらゆるサービス設計のクリエイティブを担当し、17年にクリエイティブデザイン室を立ち上げてクリエイティブ・デザイン・オフィサーとしてブランディング全体に携わった。昨年3月に副社長に就任。兄の上野剛史・前社長の就任から約1年で交代となった。今年、創業20周年を迎えた同社の“アイ パフォーマンス(EYE PERFORMANCE)”をコンセプトとしたリブランディングが大きな役割となる。

 なお、剛史氏は退社し、新事業の立ち上げを準備中だという。

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海外初の「ららぽーと」 上海に4月28日開業

 三井不動産は、海外で初めての「ららぽーと」となる「ららぽーと上海金橋」を4月28日、中国・上海に開業する。

 浦東新区の副都心に位置し、秋までに約180店舗が順次オープンする予定だ。店舗面積は5万5000平方メートルで、上層部には同事業外のオフィスが入る。

 EC化が進んだ中国に合わせ、スポーツ施設など体験を軸にしたエンターテインメントを充実させる。海外初となるアニメ「機動戦士ガンダム」の実物大の立像を展示し、公式のショップも併設する。

 日本食を中心にしたレストランゾーンや電気自動車のショールームなど中国のトレンドを意識した店舗がそろう。「UNIQLO(ユニクロ)」や「ニトリ」「JINS(ジンズ)」なども出店する。

 三井不動産の海外での大型ショッピングセンター事業は、アウトレットモールを中国・寧波、台湾で計3施設運営しているが、ららぽーとの屋号での出店は今回が初めてとなる。

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K-POPガールズグループのITZYが「メイベリン ニューヨーク」のグローバル・スポークス・モデルに就任

 「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」は、K-POPガールズグループのITZY(イッジ)をグローバル・スポークス・モデルに起用した。ブランドムービーへの出演など日本を含む世界に向けて情報発信を行う。同ブランドがグローバル・スポークス・モデルに音楽グループを起用するのは初めて。

 ITZYは、TWICEなどが所属するJYPエンターテインメントから2019年にデビューしたガールズグループだ。グループ名には、“あなたが望むものは、すべて私たちのなかにある”という意味が込められており、楽曲を通して“自信”と“自分を愛する”というメッセージを発信する。同グループのコンセプトと「メイベリン ニューヨーク」が掲げる“メイクの力で女性を輝かせる”という理念が合致し起用した。今後はメイクを通して次世代に自信と勇気を与える多角的な取り組みを行なっていく。メンバーのYEJIは「『メイベリン ニューヨーク』のグローバル・スポークス・モデルになれることをとてもうれしく思います。さまざまなクリエイティブな方法で、一緒に相乗効果を生み出すことができることをワクワクしています」とコメントした。

 同ブランドは昨年7月に歌手・俳優として活躍する錦戸亮をジャパン・ブランドサポーターに起用するなど、幅広い層へ訴求を強めている。

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コーセーが温室効果ガス削減目標を上方改定 国際承認機関から「SBT」認定取得

 コーセーは、温室効果ガス(GHG)削減目標設定を求める国際的団体のSBTI(SCIENCE BASED TARGETS INISIATIVE)から、パリ協定が掲げるGHG排出量削減目標に適合した企業を認定する「SBT(SCIENCE BASED TARGETS)」を取得した。

 同社は2030年をゴールとするサステナビリティ戦略と目標をまとめた「コーセー サステナビリティ プラン」のテーマの一つに「事業活動全体での環境負荷低減」を掲げ、気候変動問題に取り組んでいる。今回の「SBT」認定は、同プランで定めた自社が使用するエネルギーや電力を由来とするGHG排出量の削減目標を従来の28%から35%へ改定し、バリューチェーン全体での削減目標を新たに30%と設定したことが認められた。

 同社はGHG排出量削減活動として20年度に主力生産拠点である群馬工場の全ての購入電力を再生可能エネルギーに切り替えたほか、プラスチック廃棄量を削減することで廃棄処理によるGHG排出量を低減するという観点から、主力のスキンケアブランド「雪肌精(SEKKISEI)」でプラスチック容器の回収プログラム「セッキセイ アースビューティプログラム」などを実施している。

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「恥じない環境で働きたいだけ」 名物記者サラ・モーアの提言

 サステナビリティの取り組みを報じる記者、伝える企業にとって大切なこととは何か。環境、人、社会、企業統治など幅広い領域で用いられるが、私はなるべくサステナビリティという言葉を使わず、かつ具体的に表現したいと取材に取り組んでいるが、なかなか難しい。どうすれば的確に伝えることができるのだろうか。

 今、改めて心に刻んでいる言葉がある。昨年5月の取材で聞いた、最も影響力のあるジャーナリストの一人であるサラ・モーア(Sarah Mower)米「VOGUE.COM」チーフクリティック(当時)の言葉だ。「抱えている問題に気づき、正しい問いを投げ掛け、明確に説明することは全ジャーナリストの義務だと感じている。それが世の中に対する私たちの存在価値なのではないだろうか」。

 サラ・ムーアと言えば、ウェブメディア「STYLE.COM」(2017年に閉鎖)の名物記者でファッションショーではフロントローの常連。「STYLE.COM」記者時代はものすごいスピードでショーのレビューを投稿していて、ファッションウイークの分刻みのスケジュールをこなしながら「いつ原稿を書いているんだ」と疑問を持つほどで、ファッションウイーク七不思議のひとつだった。ショー会場で見かける彼女は常に余裕があり“ナイス”な印象で、偉ぶった様子もない。食事を共にしたことがある先輩記者も、“柔らかく気さくですばらしい人格者”と教えてくれた。彼女の魅力はコレクションレビューだけではなく、卓越したインタビュー術にある。踏み込んだ質問と対話でデザイナーの新たな側面を引き出していて、彼女の記事から知ることも多い。
 
 インタビューを行ったのは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界各地で1回目のロックダウン(都市封鎖)が行われていた5月末。彼女は「私たちはサステナビリティとエシカル(倫理)についてもっと真剣に考える必要がある」と話し、業界の次のステップを「環境と人に優しい方法を見つけること」と言及していた。当時、サラは読書に没頭していて、循環型経済を推進するエレン・マッカーサー財団のエレン・マッカーサー(Ellen McArthur)、ファッション産業の透明性を目指すNPO「ファッションレボリューション」の設立者オルソラ・デ・カストロ(Orsola de Castro )、サステナブルファッションを研究するスロー・ファクトリー(The Slow Factory)創設者でアクティビストのセリーヌ・セマン(Celine Semaan )を、「この分野で尊敬する3人の女性」として挙げている。加えて、ファッションに関する記事の在り方そのものを考え直す必要があり、それは「興味深い挑戦だ」とも語っている。その根底には「恥じない環境で働きたいだけ」という彼女の強い思いがある。
 
 8月に「HOPE」と題して「ヴォーグ」に寄稿したコラムには、彼女の思いや覚悟がさらに明確になって記されていた。その後、気づけばサラは「VOGUE」のサステナビリティ・ディレクターに就任している(2021年1月時点)。

 私たち記者は、ファッションの見た目だけではなく、地球環境に配慮しているか、人権侵害をしていないかなど生産工程を含めて語る必要が出てきた。科学の知識も必要になっている。サステナビリティと経営戦略は切り離せないため、複雑になってきているし、難しくなりがちだ。正直難しいと感じることも多い。10年前にはなかったアプローチだ。でも諦めてはいけない、とも思う。企業と対話を重ねて、的確かつ分かりやすく伝えていくことが必要だと思う。そして、新しいことだらけだからこそ、これまでなかった“魔法”のような技術とも出合うことができる。そのワクワク感は、ファッションショーで新しいものを目撃したときのそれと近い。というかそれ以上だ。

 サラは「ウイルスの脅威と共に生きることと環境保護の双方の観点を考慮した新しい生き方をデザインすることで新しいビジネスが生まれると思う。この状況下では循環型システムについて真剣に考えている」とも語っている。ファッション産業をどのようによりよい形にシフトしていくのか。私たちみんなで知恵を持ち寄り、取り組む中で答えを探していきたい。
最後にサラはこう締めくくっている。「“恥ずかしくない”から“誇りに思う”ようにできるのか。それが私のモチベーションです」。

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破産とパンデミックを経た「フォーエバー21」の今 事業再生なるか

 米ファストファッションチェーン「フォーエバー21(FOREVER 21)」は、破綻後初めての店舗をニューヨーク州ヨンカーズ市のモール内にオープンした。同社は2019年9月、日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用を申請。10月末には日本国内の全14店舗とオンラインサイトを閉鎖し、日本事業も撤退した。アメリカでのビジネスを中心に破綻からの再生を計っていたところに新型コロナのパンデミックとなった。しかし現在、新たなビジネスモデルとともに、業績は以前より回復傾向にあるという。

 「フォーエバー21」は破産申請して以来、5カ月の間にオフィススタッフの数を900人から450人に、店舗は550店から410店にそれぞれ減らした。20年2月には事業再建に向けてバーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)の親会社、オーセンティックブランズグループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP)などによる3社連合への売却が決定。同時にECプラットフォームの開発を主導するなどしてH&Mの北米事業を大きく成長に導いたダニエル・クレ(Daniel Kulle)前H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)北米事業プレジデントを最高経営責任者(CEO)に任命して新体制を整えた。

 クレCEOは前職任期中に600店のオープンを指揮したほか、米国、カナダ、メキシコをカバーする統合されたECプラットフォームの開発を主導し、北米事業の売上高を10億ドル(約1000億円)から40億ドル(約4300億円)規模へと成長させた経営手腕を持つ。その業績に目をつけ、3社連合のうちの一社である、モール家主の米不動産投資信託会社のサイモン・プロパティー・グループ(SIMON PROPERTY GROUP)のデイビット・サイモン(David Simon)CEOが同氏にアプローチをかけた。

 「22日、金曜日に退任してすぐ翌週の月曜日にはロサンゼルスに引っ越し、火曜日にCEOとしてのスタートをきった。私が『フォーエバー21』に加わった時、創業者であり経営を担っていたドン・チャン(Do Won Chang)とジン・チャン(Jin Sook Chang)夫妻が去ったので、経営幹部が誰もいない状態だった。そして就任して4週間後の3月末には、ロックダウンでほぼ全ての店舗が閉店していた」とクレCEO。

 ロックダウンによる店舗休業は小売業界全体に大きな打撃となり、「フォーエバー21」も新たに150人の従業員の解雇をした。商品調達先や不安を抱えるスタッフにはブランドの再建計画を示しながら、「われわれを信じてほしい。今は堪えて、みんなで手を取り合うときだ」と説いた。すでに大きな負債を抱えていたJ.Cペニー(J.C.PENNY)やニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)は破綻を免れなかったが、フォーエバー21はすでに破綻して負債を整理し、ビジネスを大幅に縮小していたこともあって危機を乗り越えられたと言う。

 コロナ禍で強制的に変化を強いられる事態でもあったが、クレCEOはこの機会に「フォーエバー21」のビジネスをアップデートし、新しい時代に向けて刷新することを決意した。クレCEOによる再建計画では、商品調達先との関係をリセットし、不動産から店舗運営、新しい倉庫の設置までを見直すことに焦点を当てた。「そうするほかなかった」と言うが、同ブランドは今もビジネスの支えとなっている大規模な店舗を複数持ち、モールなどの商業施設の一角を担う。「そこにおくべき適切な製品を見つけて、ワクワクするファッションを提供する。サプライヤーに寄り添って不安を解消する。会社の方針を見直してみる、といった手順を踏んだ。多くの人はわれわれが破産して業界からいなくなったと思っているので、オープンして前を向いていることを伝えなくてはならない」と述べ、消費者を再び夢中にさせることを目指していると言う。

 「フォーエバー21」の特徴である手頃な価格での店頭販売は変わらず、ベーシックなアイテムは3.99ドル(約430円)からそろえる。しかし新体制のもとでは、新たに99.99ドル(約1万700円)のフーディなど、これまでよりも高額な商品も発売。メンズウエアやスポーツ・ラウンジウエアにも焦点を当て、価格やデザインを見直すという。20年のホリデーシーズン中には、アイテムの購入が寄付につながるキャンペーンも実施した。ほかにも、アメリカの黒人歴史月間(2月1日〜3月1日)や、女性史月間(3月1日〜4月1日)に関連するキャンペーンも登場。社会貢献に結びつけたキャンペーンは小売業界ではたびたび見られるアプローチだが、「フォーエバー21」にとっては全く新しい視点だ。同様にサステナビリティへの強い関心を表明し、今3月末にはベーシックアイテムにオーガニックコットンを使うプログラムを導入する。

 デジタルの分野でも改革を推し進めており、ファッション業界の中でもいち早く旬のトレンドを捉え、商品開発につなげてきた「フォーエバー21」の強みを生かす。「ECを通じて消費者にリーチし、店頭かECでの購買につなげる。統合された“オムニ体験”を構築しなければいけない」と語った。

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YKKがSBT「1.5℃目標」の認定取得

 YKKはこのほど、同社の2030年度に向けた温室効果ガス排出量削減目標が「SBT(SCIENCE BASED TARGETS)イニシアチブ」に地球の平均気温上昇を産業革命前と比べ1.5 度未満に抑えるという「1.5 度目標」に認定されたと発表した。

 「SBTイニシアチブ」は、気候変動による地球の気温上昇を産業革命前に比べ2℃未満に抑え、1.5℃未満を目標にする「パリ協定」に向け、企業が提出する温室効果ガスの削減目標に科学的根拠があると認定するもの。14年9月にWWF、CDP、UNGC(国連グローバル・コンパクト)、WRI(世界資源研究所)によって、共同で設立された。

 YKKは20年10月に策定した「YKK サステナビリティビジョン2050」の中で、自社およびサプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量を30年までに18年比でスコープ1、2(スコープ1 は、自社の燃料の燃焼等による温室効果ガスの直接排出。スコープ2 は、自社が購入した電力・熱の使用による温室効果ガスの間接排出)で50%削減、スコープ3(サプライチェーン全体の温室効果ガスの間接排出)を18年比で30%削減すると掲げている。

 「SBTイニシアチブ」は、日本ではソニーが15年10月に認定されたのを皮切りに、18年3月に丸井グループが、同年8月にアシックスが認定されている。

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「NO SHUMAI、NO LIFE!」日本シュウマイ協会×フードリンクニュース コラボセミナー開催

 業界初?シュウマイに特化したセミナー「シュウマイ潤に学ぶ!焼売酒場の勝ちパターンとは?」が、3月26日(金)、「焼売のジョー」立川店にて開催。シュウマイ研究家であり、日本シュウマイ協会発起人のシュウマイ潤氏(本名:種藤 潤)を講師に招き、活性化している昨今の焼売市場についての実例や、焼売の魅力を存分に語ってもらった。
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「カフェレストラン&ホテルレストランの2本柱が今後の戦略です」創業15年を迎えたRYコーポレーション

 RYコーポレーションが今年、創業から15年目を迎えた。会社設立は2006年、「土間土間」のFCからスタート、その後、自社ブランドの出店や「ステーキのけん」のFCで一気に店舗を拡大。2011年3月には、基幹ブランドである「LA COCORICO」1号店を東京・上野にオープン。新しいブランドを創造し、着実に成長を続けるRYコーポレーションの魅力に迫った。
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「ジンズ」が山下智久を起用してサングラスの民主化にチャレンジ 「ジンズ アンド サン」デビュー

 ジンズ(JINS)は、新しいサングラスブランド「ジンズ アンド サン(JINS&SUN)」を4月1日に発売、俳優で歌手の山下智久を起用したウェブCMを公開した。

 クリエイティブ・ディレクターのNIGOがデザインを監修したコレクションはテーマごとに7カテゴリーあり、全41型129種類というバリエーション豊かなラインアップが特徴だ。眼鏡の民主化を目指してきたジンズが、“いつもアイウエアを(EVERYDAY EYEWEAR)”をコンセプトに掲げ、年代や指向を超えて全ての人に向けた本格的なサングラスプロジェクトをスタートさせた。

 山下智久を起用したウェブCMは、シーンによってサングラスを掛け替える山下の1週間を切り取ったようなストーリー仕立てで、太陽の光と影を象徴的に表現した演出。メイキング映像もユーチューブで公開予定だ。

 山下は「ジンズ アンド サン」について、「とてもコレクション心をくすぐられます。これだけ豊富なデザインがあるのも珍しいですし、絶対にそれぞれの人にフィットするデザインや形や色があるので、選ぶのが楽しいと思います。買いやすい価格設定で、毎日のファッションに合わせて変えられる、最高なプロジェクトだと思います」とコメントした。

 価格は8800円、5500円、3300円で、海外でも販売する。

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