百貨店4月度は19年比2〜3割減 店舗休業も富裕層へのアプローチに活路

 主要百貨店5社の2021年4月度業績は、19年4月と比較して、おしなべて2〜3割減だった。20年4月との比較では2〜7倍の水準。これは「緊急事態宣言」の発出(20年4月8日〜)で全国的な店舗休業となった反動。

 19年4月と比較した売上高は、三越伊勢丹が約30%減、高島屋が27.4%減、大丸松坂屋百貨店が34%減、そごう・西武が約20%減、阪急阪神百貨店が36%減だった。インバウンドの穴に加え、売り上げボリュームの多くを占める衣料品が各社とも半減程度と足を引っ張った。「暖かい気候になっても、自粛ムードでおしゃれをして外出するというモチベーションが感じられない」(高島屋広報)「『ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)』といった部屋着などを除けば全体的に低調」(大丸松坂屋百貨店広報)。

 25日以降は緊急事態宣言の発令で、4都府県の店舗が休業。三越伊勢丹は25日以降、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店の売上高が19年4月比で約6割減。「営業フロア(食品、化粧品)に加えてリモートショッピングの押し上げもあり、なんとか踏みとどまっている状況」(三越伊勢丹広報)。

 これまで旺盛な消費が見られた国内富裕層には、デジタル施策でアプローチする。大丸松坂屋百貨店は4〜5月にリアル店舗での実施を計画していた外商顧客向け催事を、ビデオ通話形式に切り替えて行った。「(ライブショッピングでは)アートやラグジュアリーがよく売れた。どれだけたくさん売るかではなく、一点単価が高い商品で勝負できるという感覚も芽生えている」(大丸松坂屋広報)。高島屋は20年秋に自社ECにラグジュアリーカテゴリーを新設。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)「ロエベ(LOEVE)」など9ブランドの商品を取り扱っている。

 5月6日、菅義偉首相が「緊急事態宣言」発令地域での5月末までの効力延長を表明したが、各社の受け止めはさまざま。高島屋は「(延長されれば)仕方がない、やむを得ない」との受け止め。一方、「昨年の店舗休業から1年が経ち、徐々にではあるがライブショッピングのノウハウが溜まってきていた。(リアル店の休業で)失った売り上げを全てすくい取れるわけではないが、知恵を使おうという前向きなムードが出てきた」(大丸松坂屋百貨店広報)「インフルエンサーを起用した化粧品のライブコマースなど、今できること、今あるリソースで戦う」(そごう・西武広報)といった前向きな声も上がる。

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アダストリア「レプシィム」初のコスメライン“センアム”誕生 天然繊維に着目した成分配合

 アダストリアのファッションブランド「レプシィム(LEPSIM)」は5月5日、天然繊維に着目したコスメライン「センアム(SEN AMU)」を立ち上げた。デビュー製品は、リップ、マルチカラー、ネイルポリッシュ、化粧下地、フェイスパウダー、クレンジング、トリートメントマスクの7アイテムをラインアップし、価格帯は税込550~1980円。全国の「レプシィム」店舗と公式ECサイト「ドットエスティ(.st)」で販売する。

 「レプシィム」は40代以上の女性をコアターゲットとし、「ファッションを通じて大人の女性を笑顔にする」をコンセプトに清潔感のあるシンプルなアイテムを中心に展開する。今回、「洋服だけでなく大人の女性の日常に寄り添いながら彼女たちの『笑顔になる瞬間』をより多く作りたい」という思いから、初のオリジナルコスメライン「センアム」を立ち上げた。

 「センアム」は天然繊維にこだわり、シルクや麻、藍、羊毛などの天然繊維由来の保湿成分を配合したアイテムをそろえる。6月下旬にはハンドクリーム、今秋には化粧水や美容液などのスキンケア製品を発売する予定だ。

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ワールド最終赤字171億円 21年3月期、2度の構造改革で

 ワールドの2021年3月期連結業績(国際会計基準)は、純損益が171億円の赤字(前期は80億円の黒字)になった。最終赤字としては過去最大になる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の臨時休業やその後の消費低迷を受けて、昨年8月と今年2月に公表した2度の構造改革によって巨額の特別損失を計上した。

 売上高に相当する売上収益は前期比23.7%減の1803億円。EC(ネット通販)売上高は同15.4%増、売上高に占めるEC化率は7.7ポイント増の21.8%に上昇したものの、リアル店舗の既存店売上高の31.9%減のダメージが大きかった。本業のもうけを示すコア営業損益は64億円の赤字(前期は135億円の黒字)だったが、下期(9〜3月)は黒字を確保した。計12ブランドの事業終了もあって、期末店舗数は純減309の2194店舗になった。希望退職の実施によって434人が退職した。

 22年3月期の業績予想は、売上収益で前期比8.9%増の1964億円、コア営業利益で63億円、純利益で35億円を見込む。

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NBAスター選手が“プレステ5”と異色コラボ PSロゴや“○×△□”がバッシュデザインに

 「ナイキ(NIKE)」は、NBAのロサンゼルス・クリッパーズに所属するポール・ジョージ(Paul Gerge)選手と、ソニーの人気ゲーム機器“プレイステーション5(以下、プレステ5)”とのコラボレーションシューズ“PG 5 PS EP”を5月14日に発売する。価格は1万4300円(税込)で、ナイキのECアプリ「NIKE SNKRS」と一部店舗で扱う。

 白と青を基調とする“プレイステ5”のカラーリングで既存モデル“PG 5”をアレンジ。右足のシュータンには“プレステ”のロゴを配し、ヒールなど一部のパーツにはコントローラーに着想した“○×△□”の図形をエンボス加工している。伸縮性のあるメッシュアッパーや、アッパーに直接縫い付けられた“ナイキ エア”、高いグリップ力など同モデルの機能性も継続する。

 「長年にわたって“プレステ”の大ファン」というジョージ選手は、「コラボシューズはこれまでのシグネチャーの中でもお気に入り。(プレステへの)情熱を共有してくれるコミュニティーにとても感謝している」とコメントする。

 ジョージは1990年アメリカ合衆国生まれ。大学2年の終わりにNBAへのアーリーエントリー(大学卒業を待たずドラフトに参加すること)を行い、1巡目10位でインディアナ・ペイサーズから指名されNBA入りを果たす。当初の注目度は高くなかったが入団後に急成長を遂げ、リーグ屈指のオールラウンダーとして活躍。2017〜19年にオクラホマシティ・サンダーでプレーし、19年から現チームに所属する。

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「ステラ マッカートニー」「シャネル」「アディダス」も続々導入 ビーガン素材のレザーってどんなもの?

 動物の権利や環境問題への関心の高まりに合わせて、動物に由来する成分を使用しないビーガン素材の人工レザーが増えている。

 一般的にビーガンとは動物性のものや、動物に害のある生産過程を経たものを可能な限り搾取せずに暮らすライフスタイルを指す。肉から魚、卵、乳製品、はちみつまで、動物由来のものを一切口にしないことに加えて、食だけに限定するのではなく、身の回りの製品から動物由来のものをできるだけ避ける考えとして浸透している。そんな考えをもとにしたビーガンレザーは、パイナップルの葉やサボテン、キノコなどを使用する。

 中には動物由来の成分への代わりとして、石油に由来する合成繊維が使用されるケースも多い。これらは生分解(微生物の働きによって無機物まで分解されること)もできないので環境問題へのアプローチとして疑問視されることもある。植物由来のビーガンレザーはその点、動物に害を及ぼさないだけでなく、プラスチックの使用量も抑えられる。これら次世代の皮革は、より人道的で、資源を大量消費せず、環境汚染に加担しない新たな素材として急成長している。

 アメリカに住む成人を対象としたマテリアル・イノベーション・イニシアチブ(Material Innovation Initiative)とノースマウンテン・コンサルティンググループ(North Mountain Consulting Group)による調査では、回答者の55%が動物性レザーより“ビーガンレザー”を好むと述べ、興味のある事柄には動物福祉(アニマルウェルフェア)やサステナビリティをあげた。動物性のレザーを好む人の80%も植物ベースの代替品を購入することに抵抗はなく、25%は前向きと答えている。

より良い植物由来のレザー開発に励む企業の取り組み

 21年2月には、100%植物由来の“プラントレザー”の開発に成功した注目のスタートアップ企業ナチュラル・ファイバー・ウェールディング(NATURAL FIBER WELDING、以下NFW)とサンフランシスコ発のスニーカーブランド「オールバーズ(ALLBIRDS)」が提携を結んだ。同ブランドはサステナブルなレザー開発のために、NFWが持つ技術「Mirumテクノロジー」に200万ドル(約2億1000万円)を投資すると発表した。「Mirum」はコルクパウダーやもみ殻、ココナッツの繊維など、植物ベースの廃棄物を活用する新素材だ。見た目や手触り感にこだわり、さまざまなアレンジが可能だという。

 ほかにもサンフランシスコのスタートアップ企業ボルトスレッズ(BOLT THREADS)は、キノコの菌から作った人工レザー「マイロ(MYLO)」を開発。牛皮では数年かかる皮の成長が、「マイロ」は2週間で完成する。生産時の温室効果ガスや、工程にかかる水とエネルギーを削減した。同社は実際の商品開発に向けて、「アディダス(ADIDAS)」やケリング(KERING)、「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」、ルルレモン(LULULEMON)とパートナーシップを結んでいる。

 スー・レビン(Sue Levin)=ボルトスレッズ チーフマーケティング・オフィサーは、「牛皮は食肉産業の副産物であり、本来なら廃棄するものを使っているという見方もあるが、ファッション業界の抱える問題の一つであることは間違いない。工業的な畜産は倫理及び環境的観点から衰退傾向にある。明らかに大きな変革の流れが起こっている」と述べた。牛皮メーカーはよりクリーンな生産環境に改善を試みているが、依然として有害ななめし工程や動物虐待の可能性、労働者の健康と安全への懸念があり、アマゾンの森林破壊に影響を与えていると指摘する。

 「ブランドが植物由来のレザーを長期的に定着させるためにできることは、毎年一定量の材料の買い付けを約束することだ」と、英国ロンドン発のアナナス・アナム(ANANAS ANAM)、メラニー・ブロワイエ・エンゲルケ(Melanie Broye-Engelkes)最高経営責任者(CEO)。買い付けを確約することで、材料メーカーはより正確に需要を把握でき、コストの削減につながる“好循環”を生むと説明する。アナナス・アナムは環境負荷が極めて低い天然由来素材“ピニャテックス(Pinatex)”の開発で脚光を浴び、以来「H&M」「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」「シャネル(CHANEL)」といったブランドが同素材を採用している。

 価格設定は、材料や調達を語る上で重要だ。牛皮とは異なり、“ピニャテックス”や他のビーガンレザーは単一のシートで販売されている。従来のレザーに多い穴や断片的な部分が少ないので廃棄物が削減でき、その結果コストの削減につながるという。エンゲルケCEOは「安価な合成レザーのポリウレタンやポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride、PVC)と価格で競うことは難しい。しかしこれらビニール製の素材は、環境負担を考慮していないということに注意を払うべきだ。これらの材料はエンドユーザーやブランド、もしくは気候変動に対して規制を実施できる立場にある政府などの意識の変化に伴い段階的に衰退していくだろうから、われわれの使命は価格帯で争うことではない。より少なく、より賢い消費を訴えている」と語った。

“本当”のビーガンレザーの定着に向けて

 一方でアシュリー・ホールディング(Ashley Holding)循環イノベーション・コンサルタントは、“ビーガン”素材の多くは宣伝されるほどクリーンではなく、石油化学製品の使用量も高いのではないかと考えている。例えばブランドは特定の素材の使用をプロモートしても、実際の製品にはごく一部しか使用されていないケースや、強度と耐久性のために植物由来の成分をプラスチックポリマーと結合する場合もあると言う。これらはプラスチックとしてリサイクルも、自然成分として堆肥化もできないという最悪のケースで、“フランケンシュタイン”な物質になってしまっている。

 「“本当”の植物由来のレザーを見分けるには、成分を細かく調べることが大切だ。素材の一部か全体が生分解性かどうかで環境への影響は大きく変わる。一般的に、皮をなめす際に動物のレザーほど化学物質を使った処理はしないが、植物由来のレザーでもさまざまな結合剤や添加剤を使うことがあるため、注意が必要だ」という。柔らかさで評判の高い人工レザーの「マイロ」は、それでも仕上げにある程度の石油化学製品を使用しているため、ドイツのDIN-ゲプリューフト(DIN-Gepruft)規格に基づいて60〜85%がバイオベースと認定されている。

 完全に植物ベースでありながら、製品のクオリティーを維持することは非常に難しい。レビン=ボルトスレッズ チーフマーケティング・オフィサーは、「100%がバイオベースになることが目標であるべきだと信じている。しかしこれらの素材がどれほど進化できるかは、新素材を取り入れるブランドや消費者の数による。消費者の多くは、サステナビリティのために品質に妥協しないこともわかっている。柔らかさや耐久性、しなやかさでブランドや消費者が満足するバイオベースのレザーはまだ出会ったことがない。しかし努力は続けていく」と言う。

 アナナス・アナムは、欧州連合(EU)による化学物質を管理する規則「リーチ(REACH)」に準拠した水性ポリウレタンコーティングを使用しており、“ピニャテックス“の成分の10%を占める。同社は21年、ポリウレタンの使用量を半分にするバイオベースの樹脂の使用を開始。これにより、製品の95%がバイオベースになる。エンゲルケCEOは「今後100%植物由来となる見通しはついている。近いうちに、より正しい“レシピ”で作られた製品が出るだろう」と述べた。

 素材の成分の表記や宣伝方法は時に混乱を招くケースも多いが、それでも動物性のものの代わりとして発展するビーガン素材への関心は高まり続けている。レビン=ボルトスレッズ チーフマーケティング・オフィサーは、生物学に目を向けて政府を巻き込んだ規模の施策などが必要となると言う。NFWのルーク・ハヴェラール(Luke Haverhals)創業者兼CEOも「技術的な解決策を講じるには、まず問題を定義・認識することが大事」とし、業界全体でバイオテクノロジーの分野の透明性と、誇張表現を注視すべきだと語った。

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スモールビジネスで奈良を元気に 中川政七商店がけん引するプロジェクト ウィズコロナで進化する幸せ産業

 奈良が好きだ。平城京にしても、東大寺にしても、春日神社にしても、規格外のどーんとしたサイズ感やおおらかさはほかの地にはない。ふと歩くと古墳にあたり、そんな悠久の歴史も、そこにただ存るもの、と捉えている包容力が奈良にはある。古都・奈良は、洗練されたカフェやグルマンが通うレストランが多い街でもある。モノづくりを極めるような工房や店舗も点在し、若草山のキッシュ専門カフェ「レ・カーセ(LE CASE)」や、紙帳織りのブックカバーなどで知られる奈良蚊帳専門店「ならっぷ」は、私のお気に入りだ。道を極めるスペシャリストを尊ぶ土壌がこの地にはあるように感じる。

体感して学べる商業施設「鹿猿狐ビルヂング」 注目は「ジリン」

 奈良晒(さらし)の問屋から始まり、300年以上の歴史を紡いできた中川政七商店が、4月14日にオープンした奈良の拠点「鹿猿狐ビルヂング」には心をつかまれた。中川政七商店の奈良本店、歴史を辿る展示、機織りや茶道の体験など、体感し、学べる商業施設だ。「猿田彦珈琲」やミシュランのスターシェフによるすき焼き店「きつね(きは七が三つの文字)」など、魅力的な飲食店も出店している。注目は、中川政七商店が運営する3階のコワーキングスペース「ジリン(JIRIN)」だ。

 工芸をベースにしたモノづくりに取り組み、全国のつくり手と協業してきた中川政七商店。工芸メーカーの経営コンサルティングや合同展示会の開催など、あらゆる方面から工芸の活性化に携わってきた。「ジリン」では、これまで 同社が積み重ねてきた事業のノウハウを提供する場となる。

 設計を手掛けたのは、建築家・内藤廣氏。古い街並みになじむ空間は、窓際の席につくと近隣の瓦屋根が連なる先に興福寺の五重の塔が望めて心地いい。壁一面にはBACH幅允孝氏がセレクトしたライブラリーも設置。奈良の工芸文化に関する書籍や、経営に関する実用書などが並び、発想のヒントになりそうだ。

 月額会員だけでなく、ドロップインでの利用も歓迎している。Wi-Fi・電源はもちろん、シュレッダー、ミニキッチン、コピーやスキャナーなどの複合機などもあり、有料でミーティングルームを使用することも可能。登記や郵便も受け付けている。

 会員の月定額は、税込1万1000円から1万6500円。法人会員でも2万2000円だ。ドロップインにいたっては3時間1100円、1日でも1650円と非常にリーズナブル。学生割引も設定している。この価格設定からも、「ジリン」は営利目的ではなく、奈良のまちづくりを担う「エヌパーク プロジェクト(N.PARK PROJECT)」の拠点として機能していることがうかがえる。

奈良のまちづくりを担う「エヌパーク プロジェクト」 ヘップサンダル、カレーなどのスモールビジネスも誕生

 「エヌパーク プロジェクト」の掲げるビジョンは、「スモールビジネスで奈良を元気にする!」。開店時のサポートやコンサルティング、セミナーやワークショップなどの学ぶ機会を提供するなど、10人未満の小規模事業の立ち上げから、発展するための必要な要素を学び、実践するまでを総合的にサポートしている。

 「ジリン」では、中川政七商店による経営講座も開催され、その受講をきっかけにしてデビューしたスモールビジネスもある。川東履物商店が2020年に立ち上げたヘップサンダル「ヘップ(HEP)」は、講座がきっかけでデビューしたブランドだ。現在では、全国セレクトショップで販売し、「ズッカ(ZUCCA)」とコラボレーションも行うなど、地場産業のPVCサンダルをファッションアイテムに進化させた。また果実園によるフルーツブランド&カフェ「堀内果実園」は、中川政七商店のコンサルティングを経て、今では全国的に人気のブランドに成長している。

 奈良出身の店主が2020年にオープンした「菩薩咖喱」もその一例だ。もともとイベント出店や間借りでカレーを販売していたが「エヌパーク プロジェクト」による支援で事業計画書の作成や管理会計を学び、広報のサポートを受け、実店舗開業に踏み切った。「奈良をカレーの総本山にする!」がコンセプトだ。感覚ではなく、計画して進めることで、3年で目指した売上目標を2カ月で達成した。2号店、3号店の出店も視野に入れているという。

 奈良では、今、魅力的なスモールビジネスが次々と誕生している。「これらをより加速させ、奈良を魅力ある都市に導くことは、日本の工芸を元気にすることにつながる」と中川政七商店は信じている。 

 次回、関西出張があるときは、奈良まで足を延ばし、「ジリン」で仕事をしたい。心地のいいコワーキングスペースは多々あるが、わざわざそのために回り道をしたいと思う場所は初めてだ。何かが起こりそうなエネルギーを感じ、刺激を受け、ふわっと包まれるように身をゆだねたい。

 作業に疲れたら中川政七商店 奈良本店内のライブラリーでまったりするもよし、茶論で一服するもよし、ちょっと菩薩咖喱まで足を延ばしてスパイスチャージをしてもいい。仕事が終わったら猿田彦珈琲で乾杯しよう。
すでに「エヌパーク プロジェクト」の狙い通り、奈良のまちを元気にする歯車の一環になっているのかも……!? でもそんな巻き込まれ方なら大歓迎だ。朝から晩までこのエリアでゆったり過ごすことが、まちの経済を動かし、スモールビジネスの成功がまちの活性源となるのだ。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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気候危機への平和的な訴えに600人が“共鳴” デプトのエリと小野りりあんがハンガーストライキに挑んだ理由

 デプトカンパニー代表のエリ(eri)とモデルで気候アクティビストの小野りりあんはこのほど、気候危機への対応を求める「ピースフル クライメイト ストライキ(Peaceful Climate Strike以下、PCS)」をオンラインで実施した。

「PCS」は日本政府に対して、温室効果ガス削減目標(NDC)を60%以上に引き上げることや、脱原発・脱炭素社会に向けた対策を求める活動だ。4月17日からの1週間、著名人やアーティスト、専門家を招いた気候危機に関するトークショーや音楽ライブなどのコンテンツをオンラインで発信し、20日からの4日間は水と塩のみを口にするハンガーストライキに挑んだ。最終日には約600人が彼女たちに“共鳴”し、24時間のハンガーストライキを実施した。大きなムーブメントを起こした2人に「PCS」にかけた思いを聞いた。

WWD:「PCS」を終えて約1週間が経ちました。体調は?

エリ:ハンスト中は吐き気や筋肉痛などの低血糖の症状が出ましたが、精神的には元気でした。現在体調は問題ないですが、食欲がまだ戻っていません。

小野:私はだいぶ回復しています。ハンスト中は本当に辛くて、体力的にもギリギリの状態でしたが、とても良い時間でした。

WWD:前回りりあんさんを取材したのは2年前、飛行機を使わずに世界の活動家に会う旅をしていた時でした。帰国後はアクティビストとしての注目度がかなり高まった印象です。

小野:2020年の2月に帰国してからはとにかく目の前のことに精一杯でしたが、これまでの活動の積み重ねでエリと「PCS」を実行できました。やっと今、大きな変化を生み出せている実感があります。

2人の女性が平和的に強く訴えることに意味がある

WWD:そもそも2人の出会いは?

エリ:りりあんとは15年程ほど前に一緒に仕事をしたことがありました。私もIPCC(気候変動変動に関する政府間パネル)の「1.5℃特別報告書」を読んだことがきっかけで声を挙げる活動に取り組むようになり、彼女のアクションに賛同したり、参加したりするようになって再会したんです。

WWD:2人はこれまでもSNSやイベントなどさまざまな発信を積極的に続けていました。今回なぜ、体に負担がかかるハンガーストライキを選択したのですか?

小野:NGO団体の350.orgが気候変動解決に向けた運動をまとめた「クライメート・レジスタンス・ハンドブック」を参考にしました。そこには社会を動かすためには、ハッシュタグや署名などと同時に、みんなが真似できないような切実さが伝わるものも実践することでパワーが大きくなると書かれていました。これまで気候ムーブメントの中でハンガーストライキを実践した人はいませんでしたが、日本が意思決定をする大事なタイミングの今だからこそ挑戦する価値があると思ったんです。

エリ:気候危機の問題は本当に時間がありません。現実と社会が取り組むスピードの遅さに、今の発信だけでは足りない、ほかに何ができるだろうかと悩んでいました。そんな時にりりあんからの誘いがあり、挑戦したいと思えました。ハンガーストライキは男性が実践する印象があるので、女性2人が平和的に、かつ強く抗議することにも意味があるんです。

WWD:どんな反響がありましたか?

エリ:企画してから約3週間で、40人近いサポートメンバーがボランティアで集まってくれたことに驚き、これこそ市民運動だと感じました。最終日には24時間限定の「共鳴のハンガーストライキ」を実施し、約600人が参加してくれました。これだけの人々が苦痛を伴うアクションに参加し、共に意思を表明してくれたことは大きな収穫でした。前半は、水原希子さんや二階堂ふみさん、コムアイさんらに出演してもらい、普段リーチできないような多くの人にこの問題を知ってもらうことができました。

WWD:出演者もコンテンツも、従来の気候ムーブメントとは違ったクリエイティビティーを感じました。

エリ:私たちはそれぞれアプローチの仕方が違うので、今回はそれがパズルのようにうまくマッチしたと思います。ファッションがベースの私のスキルを使って、従来の気候アクションとは違う見せ方をする手伝いができました。今後も変化を加速させるためには、さまざまなアクションが同時多発的に起こることが理想です。

小野:私はこれまで活動家の子たちと一緒に動いてきましたが、コロナで一体感がなくなってしまったと感じていました。でも今回をきっかけに再び点と点が強くつながれたのではないでしょうか。自宅で24時間行うハンガーストライキというアプローチによって、気候危機に対して強い思いを持つ多くの人たちを巻き込むことができました。本来は国会の前で実施して、大きな渦を起こすことが理想でしたが、期間中は毎日たくさんのリポストやハッシュタグの投稿があり、人々のつながりを可視化できたことはオンラインならではのメリットでした。

WWD:一方で、日本政府は22日の気候サミットでNDCを2030年比で46%減とし、「PCS」が目指していた60%以上の引き上げには至りませんでした。

小野:若い子たちが命がけで戦ってきて、たくさん泣いているのも見てきました。私自身この子たちの未来を守るのに不十分だったなと悔しい思いでいっぱいでした。一方で、今回の「PCS」を通して多くの人が声を挙げるスタートラインに立ってくれました。NDCは何度でも再提出できるので、ここからだという気持ちです。

エリ:気候危機を語るには科学的根拠が大切です。私たちは国際環境シンクタンクNGO「クライメート・アクション・トラッカー」のデータに基づいて、「産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑えるためにはNDCを60%以上に引き上げることが必要」と訴えてきました。46%減は、国民の生活を守れる数値だとは到底思えない。もちろん決定権のある層に訴えることは大切ですが、小泉環境大臣と話をしたときに「国民からのプレッシャーが足りない」という意見も聞きました。国民がNDCを理解し、話題にしていくこと、未来を作っていく意思をちゃんと持つことが今後の課題です。

ファッション業界に求められる変化 何を作るかではなく、どう作るか

WWD:「PCS」が18日にユーチューブで配信していた「ファッションと気候変動」の回は衝撃でした。世界の温室効果ガス排出量に占めるファッション業界からの排出は、飛行機や船などの移動手動の排出量よりも多く、30年までに30%増えるという推計などの数値に驚きました。

小野:ぜひ業界の人に見てほしい。そして知るプロセスを、仲間と一緒に共有してほしいです。誰かと一緒に知ることで対話が生まれ、アイデアが実現できると思うから。

エリ:人間は創造することを許された動物で、創造をやめるべきではありません。ただ、ゼロからイチを生み出すだけがモノ作りではなく、既存の物を新しく生まれ変わらせたり、循環させることもモノ作りなのです。今まではどんなものにニーズがあるのか、どうしたら安くたくさん売れるのかといった目標のためにプロセスを構築していました。しかしこれからは、何を作るかではなく、どう作るかを先に考えることが大切です。むしろそうではないともうファッションは成り立ちません。ファッションに携わる人たちは、環境問題に興味があるないに関わらず、きちんと学ぶことが必須です。

WWD:「PCS」で起こったムーブメントを次にどうつなげますか?

エリ:6月には主要7カ国首脳会議(G7サミット)、11月には「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」(COP26)が予定されています。都度「PCS」のみんなでアクションを起こしていくつもりです。

小野:今回一歩踏み出してくれた人たちとさらに学なびを深める場を設けるなど、このパワーを継続させるための方法を考えています。政府の人たちとの意見交換会や海外の活動家らとの協働方法も模索していきたいです。

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気候危機への平和的な訴えに600人が“共鳴” デプトのエリと小野りりあんがハンガーストライキに挑んだ理由

 デプトカンパニー代表のエリ(eri)とモデルで気候アクティビストの小野りりあんはこのほど、気候危機への対応を求める「ピースフル クライメイト ストライキ(Peaceful Climate Strike以下、PCS)」をオンラインで実施した。

「PCS」は日本政府に対して、温室効果ガス削減目標(NDC)を60%以上に引き上げることや、脱原発・脱炭素社会に向けた対策を求める活動だ。4月17日からの1週間、著名人やアーティスト、専門家を招いた気候危機に関するトークショーや音楽ライブなどのコンテンツをオンラインで発信し、20日からの4日間は水と塩のみを口にするハンガーストライキに挑んだ。最終日には約600人が彼女たちに“共鳴”し、24時間のハンガーストライキを実施した。大きなムーブメントを起こした2人に「PCS」にかけた思いを聞いた。

WWD:「PCS」を終えて約1週間が経ちました。体調は?

エリ:ハンスト中は吐き気や筋肉痛などの低血糖の症状が出ましたが、精神的には元気でした。現在体調は問題ないですが、食欲がまだ戻っていません。

小野:私はだいぶ回復しています。ハンスト中は本当に辛くて、体力的にもギリギリの状態でしたが、とても良い時間でした。

WWD:前回りりあんさんを取材したのは2年前、飛行機を使わずに世界の活動家に会う旅をしていた時でした。帰国後はアクティビストとしての注目度がかなり高まった印象です。

小野:2020年の2月に帰国してからはとにかく目の前のことに精一杯でしたが、これまでの活動の積み重ねでエリと「PCS」を実行できました。やっと今、大きな変化を生み出せている実感があります。

2人の女性が平和的に強く訴えることに意味がある

WWD:そもそも2人の出会いは?

エリ:りりあんとは15年程ほど前に一緒に仕事をしたことがありました。私もIPCC(気候変動変動に関する政府間パネル)の「1.5℃特別報告書」を読んだことがきっかけで声を挙げる活動に取り組むようになり、彼女のアクションに賛同したり、参加したりするようになって再会したんです。

WWD:2人はこれまでもSNSやイベントなどさまざまな発信を積極的に続けていました。今回なぜ、体に負担がかかるハンガーストライキを選択したのですか?

小野:NGO団体の350.orgが気候変動解決に向けた運動をまとめた「クライメート・レジスタンス・ハンドブック」を参考にしました。そこには社会を動かすためには、ハッシュタグや署名などと同時に、みんなが真似できないような切実さが伝わるものも実践することでパワーが大きくなると書かれていました。これまで気候ムーブメントの中でハンガーストライキを実践した人はいませんでしたが、日本が意思決定をする大事なタイミングの今だからこそ挑戦する価値があると思ったんです。

エリ:気候危機の問題は本当に時間がありません。現実と社会が取り組むスピードの遅さに、今の発信だけでは足りない、ほかに何ができるだろうかと悩んでいました。そんな時にりりあんからの誘いがあり、挑戦したいと思えました。ハンガーストライキは男性が実践する印象があるので、女性2人が平和的に、かつ強く抗議することにも意味があるんです。

WWD:どんな反響がありましたか?

エリ:企画してから約3週間で、40人近いサポートメンバーがボランティアで集まってくれたことに驚き、これこそ市民運動だと感じました。最終日には24時間限定の「共鳴のハンガーストライキ」を実施し、約600人が参加してくれました。これだけの人々が苦痛を伴うアクションに参加し、共に意思を表明してくれたことは大きな収穫でした。前半は、水原希子さんや二階堂ふみさん、コムアイさんらに出演してもらい、普段リーチできないような多くの人にこの問題を知ってもらうことができました。

WWD:出演者もコンテンツも、従来の気候ムーブメントとは違ったクリエイティビティーを感じました。

エリ:私たちはそれぞれアプローチの仕方が違うので、今回はそれがパズルのようにうまくマッチしたと思います。ファッションがベースの私のスキルを使って、従来の気候アクションとは違う見せ方をする手伝いができました。今後も変化を加速させるためには、さまざまなアクションが同時多発的に起こることが理想です。

小野:私はこれまで活動家の子たちと一緒に動いてきましたが、コロナで一体感がなくなってしまったと感じていました。でも今回をきっかけに再び点と点が強くつながれたのではないでしょうか。自宅で24時間行うハンガーストライキというアプローチによって、気候危機に対して強い思いを持つ多くの人たちを巻き込むことができました。本来は国会の前で実施して、大きな渦を起こすことが理想でしたが、期間中は毎日たくさんのリポストやハッシュタグの投稿があり、人々のつながりを可視化できたことはオンラインならではのメリットでした。

WWD:一方で、日本政府は22日の気候サミットでNDCを2030年比で46%減とし、「PCS」が目指していた60%以上の引き上げには至りませんでした。

小野:若い子たちが命がけで戦ってきて、たくさん泣いているのも見てきました。私自身この子たちの未来を守るのに不十分だったなと悔しい思いでいっぱいでした。一方で、今回の「PCS」を通して多くの人が声を挙げるスタートラインに立ってくれました。NDCは何度でも再提出できるので、ここからだという気持ちです。

エリ:気候危機を語るには科学的根拠が大切です。私たちは国際環境シンクタンクNGO「クライメート・アクション・トラッカー」のデータに基づいて、「産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑えるためにはNDCを60%以上に引き上げることが必要」と訴えてきました。46%減は、国民の生活を守れる数値だとは到底思えない。もちろん決定権のある層に訴えることは大切ですが、小泉環境大臣と話をしたときに「国民からのプレッシャーが足りない」という意見も聞きました。国民がNDCを理解し、話題にしていくこと、未来を作っていく意思をちゃんと持つことが今後の課題です。

ファッション業界に求められる変化 何を作るかではなく、どう作るか

WWD:「PCS」が18日にユーチューブで配信していた「ファッションと気候変動」の回は衝撃でした。世界の温室効果ガス排出量に占めるファッション業界からの排出は、飛行機や船などの移動手動の排出量よりも多く、30年までに30%増えるという推計などの数値に驚きました。

小野:ぜひ業界の人に見てほしい。そして知るプロセスを、仲間と一緒に共有してほしいです。誰かと一緒に知ることで対話が生まれ、アイデアが実現できると思うから。

エリ:人間は創造することを許された動物で、創造をやめるべきではありません。ただ、ゼロからイチを生み出すだけがモノ作りではなく、既存の物を新しく生まれ変わらせたり、循環させることもモノ作りなのです。今まではどんなものにニーズがあるのか、どうしたら安くたくさん売れるのかといった目標のためにプロセスを構築していました。しかしこれからは、何を作るかではなく、どう作るかを先に考えることが大切です。むしろそうではないともうファッションは成り立ちません。ファッションに携わる人たちは、環境問題に興味があるないに関わらず、きちんと学ぶことが必須です。

WWD:「PCS」で起こったムーブメントを次にどうつなげますか?

エリ:6月には主要7カ国首脳会議(G7サミット)、11月には「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」(COP26)が予定されています。都度「PCS」のみんなでアクションを起こしていくつもりです。

小野:今回一歩踏み出してくれた人たちとさらに学なびを深める場を設けるなど、このパワーを継続させるための方法を考えています。政府の人たちとの意見交換会や海外の活動家らとの協働方法も模索していきたいです。

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オールバーズがカーボンフットプリントの計測ツールをオープンソース化

 サンフランシスコ発のスタートアップのオールバーズ(ALLBIRDS)はこのほど、専門家と共同開発したカーボンフットプリント(CO2e・温室効果ガス)を算出できるライフサイクルアセスメント(LCA)ツール(英語版)を自社ウェブサイトで公開した。LCAは、商品やサービスの原料調達から廃棄、リサイクルまでのライフサイクル全体を通しての環境負荷を定量的に算定する手法で、近年、非常に重視されるようになっている。
 
 同社は気候変動を最重要課題ととらえ、“カーボンニュートラル”を目指すと宣言。2020年4月から、製造過程から廃棄までに排出されるカーボンフットプリントを全てのアイテムに表示している。「測ることは減らすことにつながり、気候変動を逆転させる大きな一歩になる」という信念がある。

 また、4月27日に開いたオンラインミーティングで、2025年までにウールの調達を環境再生型の農場から行うと発表した。環境再生型農業は土壌を修復・改善しながら自然環境の回復を目指す農法。土壌が健全化することで、温暖化の原因である炭素を土壌に閉じ込めることができるため、気候変動や生物多様性の損失に対しての有効的な方法の一つとして注目を集めている。ウールに着目した理由をハナ・カジムラ(Hana Kajimura)=サステナビリティ・マネジャーは「『オールバーズで調達する素材の20%がウールで、CO2排出量は全体の80%を占める。ウールの調達は優先事項だと考えた』と話した。

 オールバーズがすでにオープンソース化した“100%植物由来のレザー”は、「ティンバーランド(TIMBERLAND)」や「アグ(UGG)」が用いており、今回のLCAツールが業界にどれだけ浸透するかも注目だ。

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「シャネル」の日本製フレームが海外へ? 世界最大の伊眼鏡企業が福井県に一大製造拠点オープン

 世界最大の眼鏡企業であるイタリアのルックスオティカ グループ(LUXOTTICA GROUP SPA以下、ルックスオティカ)は先ごろ、日本製眼鏡フレームの約95%を生産する福井県の鯖江市に製造拠点をオープンした。2018年に買収した福井めがね工業との新しい施設だ。「レイバン(RAY-BAN)」など傘下ブランドの一部で日本生産を進めていたが、新拠点誕生で本格化する。

 自動車学校跡地を利用した約1万1000平方メートルの敷地には、1日に約1000本を生産する工場のほか、製品&研究開発センター、ショールームなどが設置され、200人以上が勤務する。「伝統的な価値や文化に由来する製品が誕生する場所、デジタル技術と職人の手仕事のスキルが出合う場所、伝統と革新的なアイデアが融合する場所、技術的ノウハウとマルチメディアコンテンツが混ざり合う場所」をコンセプトとするルックスオティカの新たな理念を示す場所という位置付けだ。社屋の前に禅の要素を取り入れた庭園を作るなど、日本的要素も取り入れた。

 福井県の眼鏡業界関係者は、「100年以上の歴史がある伝統的な鯖江とは違うヨーロッパの先進的なモノ作りとの相乗効果で、新しい文化が生まれるきっかけになる。“サバエ”が、世界でさらに有名になるだろう。海外からの受注増につながればいい」と期待を示した。

 ルックスオティカの20年12月期の売上高は144億ユーロ(約1兆8000億円)。「シャネル(CHANEL)」「ブルガリ(BVLGARI)」「プラダ(PRADA)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」などのラグジュアリーブランドのほか、「レイバン」「オリバーピープルズ(OLIVER PEOPLES)」「アラン ミクリ(ALAIN MIKLI)」という有力な眼鏡ブランドなどを数多く手掛けており、圧倒的なブランド力を持つ。チタン素材を中心とする日本製の品質は世界で評価が高く、ルックスオティカが展開する150カ国以上の販売先で存在感をさらに強めそうだ。

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「社会問題をファッションで解決」を目指すD2C「ココ」 規格外の真珠でアクセサリー製作

 「社会問題を解決する」をコンセプトとし、工場に眠っているサンプル生地やB反を活用した服作りを進めているファッションブランドの「ココ(COXCO)」は、商品化されにくい真円以外のアコヤ真珠を使ったアクセサリーを企画し、自社ECサイトなどで販売を始めた。「真円の真珠ネックレスを1本作るにはバケツ一杯分の真珠が必要とも言われる。真珠の国内生産量が減少している中で、これまではじかれてしまった規格外の真珠に光を当てることで、今ある資源を大切にできる」とココの西側愛弓社長は話す。

 国内でのアコヤ真珠の養殖は、バブル景気の終わりや1990年代半ばに問題になった母貝の感染症などを経て、年々減少してきた。2010年代以降の年間生産量は約20トン(1995年は63トン)と、横ばいで推移。「消費者の方に、そういった真珠養殖の背景と共に、『規格に沿った真円だけが美しいわけではない』という価値観を伝え、ファッションを通して世の中に多様性を広げていきたい」と西側社長。こうした思いから、真珠の生産量日本一である愛媛県にある宇和海真珠に自らアプローチし、企画にこぎつけたという。

※農林水産統計より

 商品は、リング1型2サイズ(各1万8480円=税込)と、ピアス1型(2万350円)。購入者には、商品の生産過程や似顔絵付きの生産者紹介などを盛り込んだ小冊子を同封する。

 併せて、今春夏も使われずに眠っていたサンプル生地やB反を使ったワンピースとシャツの製作を継続。同じ生地がそろうわけではないため、1点1点色合いやシルエットが微妙に異なるのが特徴。首元でクロスしたドローコードがポイントのワンピースは2万5300円、ユニセックスで着られるカラーレスシャツは2万900円。生地調達は、繊維商社のヤギと、ヤギのグループ会社のイチメンと組んで行っている。

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「酒なし」でもお客が入る「韓国夜市酒場」。ビル1棟が”映える”梅田韓国ビルは20代女子ばかりだった

 ビル1棟すべてが韓国旅行気分を満喫できるフォトジェニックな韓国グルメ業態の「梅田韓国ビルディング」が2021年4月、大阪・梅田にオープンした。共に大阪市内で多業態を展開する、株式会社ミートアート(本社:大阪府大阪市、代表取締役:松浦晃男氏)と、株式会社イニシエート(本社:大阪府大阪市、代表取締役:古川雄三氏)が同じコンセプトのもとに出店。日本初上陸のメニューから本格的な韓国料理までを楽しめるという。宣言下、酒類提供なしでも20代女子がかなり入っていた。
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関西発「古着屋ジャム」が東京初進出 原宿にエリア最大規模の店

 大阪、京都で「古着屋ジャム(JAM)」などを14店舗運営するJAM TRADING(大阪市、福嶋政憲社長)は、同社にとって東京初の店舗となる原宿店を5月29日にオープンする。場所は明治神宮前(原宿)駅から徒歩2分の明治通り沿いで、売り場面積は約600平方メートル。古着店としては同エリア最大規模となる。古着屋ジャムの客単価は夏場が6500円、冬場が1万円ほどで、原宿店の初年度売り上げ目標は3億円。

 原宿店のラインアップはメンズが7割、ウィメンズが3割で、東京の平均価格に比べて2割ほど安いレギュラー古着を中心に、40歳前後のマニアに人気のビンテージアイテムなど1万2000点以上をそろえる。福嶋社長は、「東京進出は3年ほど前から考えていたが、コロナショックを受けて原宿エリアの物件候補が増えたことに後押しされた。EC売り上げの約4割を関東のお客さまが占めることにも勝機を感じている。まずは原宿店を軌道に乗せることが優先だが、近い将来“古着の街”下北沢にも出店したい」と述べた。

 JAM TRADINGの売上高は約12億5000万円(2020年11月期)で、そのうち約6億円をECが占める。古着屋ジャムのほか、ウィメンズ古着のエルル・バイ・ジャム、低価格でエコを切り口とするロエコ・バイ・ジャムなどを展開する。同社は24年度の売上高目標として30億円を掲げる。

■古着屋ジャム原宿店
オープン日:5月29日
時間:12:00〜20:00
定休日:不定休
住所:東京都渋谷区神宮前6-28-5 宮崎ビル地下1階

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