「エルメス」に感動し息を飲み「カサブランカ」の着想源“マサオさん”に癒される 2022年春夏メンズコレ現地突撃リポートVol.6

 2022年春夏シーズンのコレクションサーキットが本格開幕した。ほぼデジタル発表だった前シーズンから世界の状況は少しずつ好転し始めており、リアルでのショーやプレゼンテーションを開催するブランドも増えた。パンデミックを経て街はどう変化し、ファッション・ウイークはどう進化しているのか。現地からリポートする。

 ボンジュ〜ル!雨のち曇り、最高気温24度。2022年春夏メンズ・コレクションの最後の日記となるパリメンズ5&6日目をお届けします。終盤には私が好きなブランドのコレクション発表&展示会が盛りだくさんで、最後の最後までたくさんの胸キュンとサプライズが…!どうかこの感動を記事を通して多くの人と共有できますようにと願いつつ、今シーズンラストの“現突リポ(現地突撃リポート)”スタート!

6月26日 12:00 ロエベ

 “夜遊び”をテーマにした今季の「ロエベ(LOEWE)」の映像は、ディスコが舞台。コレクションは、ニューヨークを拠点に活動するドイツ人芸術家フローリアン・クラマー(Florian Krewer)から着想を得たそうです。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)はいつものセクシーボイスで「今季のムードは“不器用な美しさ”」だと語り、弾けるような鮮やかなカラーで楽観主義を表現しています。密集する人だかりの中で踊る解放感と快楽、そこに生まれる一体感――パンデミックによって1年以上禁じられファンタジーを呼び起こすような映像でした。ロゴを模様にしたネオンカラーのトレンチコート、スパンコールで施されたアニマルプリントや背面に金属の飾り板を配したコートなど、きらびやかなルックが心を躍らせます。昨シーズンのウィメンズコレクションでは「カラーセラピー」という言葉を使って、色が人間心理に与える影響に興味を持っていたジョナサンの意図が、今回のメンズにもよく表れていると思います。ドレープが利いたチュニック、透け感のあるトップスやカットアウトの隙間から覗く素肌がさり気なくセクシー。服の形や性差、抑制、色彩などさまざまな固定観念から解き放たれたような、超快楽主義なコレクションでした。そして、イギリス人写真家のデイヴィッド・シムズ(David Sims)が撮影したルック写真が最高!ジョナサンが自身のブランドと「ロエベ」で常に掲げる“ユース(青春)”と今季のナイトライフ、短い夏といった全てに共通するキラキラした瞬間を捉えながらも、どこか儚さも漂います。

 ジョナサンが優れたデザイナーであり表現者だと感じるのは、自身のブランドと「ロエベ」がしっかり棲み分けできているところ。また、コレクションピースでは各シーズンのテーマを芸術的に表現しながら、その要素を取り入れつつウエアラブルに落とし込んだコマーシャルピースのバランスの良さにもあります。クリエーションが強すぎて「これいつ着るの?」的なルックに見えても、店頭に行けばちゃんと日常で着られる服が並んでいるんです!!ジョナサンのクリエーションが大好きなので、ついつい愛がダダ漏れで熱を込めて書いちゃいました(笑)。

6月26日 14:00 エルメス

 人って感動した時、本当に息を飲むんです。「エルメス(HERMES)」の展示会場でルックに触れて、何度息を飲んだか分かりません。リアルなショーには参加できませんでしたが、ショー映像を見ただけで、今シーズンのテーマである軽やかさやリラックス、自由の感覚といった要素が上質な生地と仕立ての良さで十分に伝わってきました。今季は屋外での活動が再開することを想像し、アウトドアのアクティビティや旅に適したルックとアクセサリーが展示会場に並んでいました。撥水加工が施されたナイロンのように見えるテクニカル素材をはじめ、コットンリネンやシルク混のコットンキャンバスなどは、軽量なうえにシワになりにくい機能を備えています。ファーストルックで登場したリバーシブルのコートや、やわらかいワニ革の淡いエメラルドグリーンのブルゾンでさえ、信じられないぐらいの軽さ!多くのルックの足元を飾ったハイカットのスニーカーも、ナイロン風のテクニカル素材を使用して軽快。息をさんざん飲みまくった中でもナンバーワンに息を飲んだのは、ショーでも際立っていたオレンジとピンクが美しいカシミアのカーディガン。袖を通すと、まるで綿菓子みたいに軽く、着ているというより包まれているような感覚を覚えました。「上質さの極み!さすが『エルメス』のなせるワザ」と感動しまくっていたら、私のリアクションがオーバーすぎて、担当してくれた現地プレスの方が若干引き気味でした(笑)。すみません。ショーに登場しなかったアクセサリーとしては、トラベルポーチやペイントが描かれたパスポートケース、初めて制作したというキャリーケースなど旅のお供となるアイテムが豊富でした。

6月26日 15:00 ポップアップショップめぐり

 パリメンズ時期に合わせて開かれた、ポップアップに2つ行ってきました。まずは、ベルリンを拠点にするストリートウェブメディア「ハイスノバイエティ(​HIGHSNOBIETY)」が1週間だけ開催した”Not In Paris”というショップ。ディレクションを務めたのは、パリの伝説的セレクトショップ「コレット(Colette)」でクリエイティブ・ディレクターを務めていたサラ・アンデルマン(Sarah Andelman)。20平米ほどのコンパクトなスペースは、観光名所であるカフェ・ド・フロール(Café de Flore)の店内を模した内装です。ECサイトでも販売している「ベイプ(BAPE)」「ロンシャン(LONGCHAMP)」「スケートルーム(THE SKATEROOM)」など、多くのブランドとのコラボアイテムが並んでいました。

 続いて、2021年春夏デビューの日本のブランド「イコーランド トラスト アンド インティメイト(EQUALAND TRUST AND INTIMATE)」のポップアップへ。日本古来の素材や染色方法を取り入れ、環境へ配慮した生産法を用いています。北マレのポップアップには地元客やドイツ人観光客が通りすがりにフラッと入店し、エシカルなコンセプトと素材感が気に入って購入していったそうです。植物からの原料で染色した黄色のドレス(248ユーロ、約3万3000円)と、日本産のリネンを使ったリラックスパンツ(198ユーロ、約2万6000円)が売れているとのこと。洗濯機で洗えるカシミアジャージーのカットソー(110ユーロ、約1万4000円)で男女問わず、肌触りの良さが好評で数枚購入する方も。販売担当者は「天然素材や植物を使った染色という、ナチュラル志向なコンセプトを気に入る人が多い」と教えてくれました。

 16年に及ぶ長期リノベーションを経て営業を再開した百貨店「サマリテーヌ(LA SAMARITAINE)」についてもリポートしたかったのですが、長蛇の列で入店を断念……。3日続けて行ってみましたが、どの日も30分以上の待ち時間。人々が「買い物したい!」と消費活動に意欲的な証拠なので、小売業にとっては明るい兆しかもしれませんね。外にいた店員のユニフォームがかわいかったのでパチリ。

6月26日 16:00 トラノイ

例年なら約150ブランドが出店する合同展示会「トラノイ(TRANOI)」は今季、若手デザイナーの支援を目的とした小規模な展示会を開催。パレ・ド・トーキョー内のスペースには20ほどの新進ブランドが並んでいたものの、かなり閑散としていて寂しい様子でした。私のお目当ては、昨年の「イエール国際モードフェスティバル(34e Festival International de Mode, d'Accessoires et de Photographie à Hyeres)」で会ったセリーヌ・シェン(Celine Shen)に話を聞くことでした。中国系フランス人の彼女は、パリ国立工芸学校でファッションデザインを学んだ後、「メゾン アライア(MAISON ALAIA)」でのインターンシップを経験。ペイントや墨を使ったアート制作にも取り組んでいて、今年3月には初の個展も開催しました。現在はブランドを本格的にデビューさせるためにコレクションピースの制作に挑戦中。「ベストだと思えるコレクションを、ベストなタイミングで出したい。今はまだ時期尚早なので、焦らずに進めているの」とのこと。フランスの文化放送局アルテ(Arte)から取材を受けるなど、少しずつ注目されているので、今後が楽しみです。

6月26日 18:00 カサブランカ

 今シーズンの「カサブランカ(CASABLANCA)」のテーマは"マサオさん”!もう1回言いますよ。“マサオさん”です。「え?サザエさんの夫?マスオですよ?」とか考えていたら、展示会場でデザイナーのシャラフ・タジェル(Charaf Tajer)が「マサオさんは僕の日本人の友人さ」と教えてくれました。"マサオさん"は東京でレストランに勤める男性で、タジェルとは10年以上親交があり、彼のスタイルにインスパイアされてコレクションを制作したとのこと。「日本は大好きな国で、これまで26回も行った。マサオさんは日本の文化や社会、ローカルしか知らないディープなスポットまで色んなことを教えてくれる大切な友人なんだ。でもパンデミックの影響で日本には1年半も行けていない。だから第2の祖国と呼べるぐらい愛している日本とマサオさんを思ってデザインしたんだ」とタジェル。1980〜90年代の日本の卓球文化から着想を得て、シルクのシャツに富士山や沖縄の海の風景、卓球の玉が飛ぶアニメ風のロゴを配したプリントが描かれています。コラボレーション以外で初めて展開するシューズは、バンブーの装飾が施されたローファーです。デジタル発表の映像で卓球をしていたのはフランスの卓球選手で、ラケットとボールは卓球用品メーカー「バタフライ(BUTTURFLY)」とのコラボレーション。映像でチラッと出てきた「フジフィルム(FUJIFILM)」とのコラボカメラの詳細は、近日中に発表されるそう。

 全体的にパステルカラーで彩られているのは、「昨年生まれた赤ちゃんのベビー用品を見ているうちに影響を受けたから」だと言います。原宿やカワイイスタイルも意識したのかを聞くと、「確かに、多くの外国人が日本といえばパステルカラーのカワイイスタイルをイメージするよね。でも日本の魅力ってそんな表層的なところじゃないし、むしろそことは切り離して見て欲しいって思ってる」と、話せば話すほど溢れる日本愛。何だかうれしくて癒されます。2年前の「WWDJAPAN」の取材でも日本愛を語り、日本をテーマにしたコレクションを作りたいと話していたので、今回はその念願が叶いました。「日本をテーマにしたコレクションなら10シーズンぐらい余裕で作れちゃうよ!だって、知れば知るほど魅力的な国で、決して僕の興味が失せることはないからさ」。

6月26日 20:00 フィップス

 ジェンダーフルイド(性的流動性)が声高々に主張される現代において、”男らしい”という表現を使うには注意が必要ですが、「フィップス(PHIPPS)」のコレクションは疑う余地なく“男らしい”ものでした。デザイナーのスペンサー・フィップス(Spencer Phipps)は展示会場で「パンクやミリタリー、スポーツ、バイカー、部族のそれぞれのコミュニティーで着る服が与える視覚的表現を調べ、現代にも精通する”男らしさ”を探った」と教えてくれました。レザーのパッチワークやスポーツユニフォームのアップサイクリング、バイカージャケットとテーラードをドッキングするなど、今季もDIY精神を貫いています。要素の盛り盛り感は否めませんが、創意工夫はピカイチでした!

6月27日 14:00「ジル サンダー」

 パリメンズ最終日にデジタル発表でコレクションを披露した「ジル サンダー(JIL SANDER)」。今季もクローズアップや暗がりシーンが多く、“雰囲気系”の映像ではルックがよく見えませんでした。画像で見ると、日本のウールを使ったハリのあるコートやシャープなラインのシャツジャケット、首に巻いたふわふわのシルクのようなスカーフなど、生地に焦点を当てているルーシー&ルーク・メイヤー(Lucie & Luke Meier)の美学が伺えました。直線的なオーバーサイズのコートや、ボリュームを持たせた丸みのあるフォーム、ダボつかせたボトムの裾のシルエットも遊びがあって美しい!カラーブロックや広告を模したグラフィックはニューヨークの90年代のポップアートのようで、小物使いによってストリートウエアの要素がいつもより強めでした。

 「ジル サンダー」は今年3月に、オンワードホールディングスからOTBグループへ株式譲渡されたため、現在はOTB傘下として新たなディレクションや戦略への移行期間といったところ。またコレクション発表の数週間前に、ルーシーが第一子を出産したそう。会社とクリエイティブ・ディレクターの私生活の環境の変化が、今後どのようにデザインに現れてくるのか楽しみです!

6月27日 17:00 ルメール

 今シーズンのパリメンズを締めくくるのは、「ルメール(LEMAIRE)」の展示会です。コレクションは20世紀初頭に活動したアフリカ系アメリカ人画家、ジョゼフ・ヨアキム(Joseph Yoakum)の作品からインスピレーションを得たそうです。「ルメール」の魅力の一つであるニュアンスカラーの色彩は、風景画を描いたヨアキムの作品を反映させ、砂やレンガ、ダークな曇り空の色に染まっています。コレクションはほぼ全てユニセックスでの提案で、今季からXXSサイズが登場するとのこと。そういえば現ブランド名になる前の「クリストフ ルメール」時代にも、XXSサイズがありました。肌を“プロテクション”することをテーマにしていた前シーズンとは対照的に、シースルーや軽やかな素材使いで解放的な印象に。ナチュラルダイ(天然色素を使った染色)によって一つずつ色ムラの異なるアイテムや、洗うごとにやわらかく肌になじむ麻を通じて、時間をかけて”服を愛でる”楽しさを教えてくれます。ここ数シーズンは登場の少なかった、デニムを使ったアイテムも豊富でした。私のお気に入りは、撥水加工が施されたふわふわにふくらむレインコートです。「ルメール」の服は、着てみると意外なシルエットが生まれたり、ちょうどいいところにポケットがあったりと、機能性と美しさが緻密に計算されているのだと分かり、たくさんのうれしいサプライズを与えてくれます。

 クリエイティブ・ディレクターのクリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)は、かつてDJをしていた経験もあるほど音楽好き。今季は過去にショーの音楽を担当したミュージシャンのトマガ(Tomaga)が描いたプリントのTシャツや、ドイツの楽器メーカー「ホーナー(HOHNER)」が制作した小さな笛とハーモニカのネックレスなど、コラボレーション作品にも音楽要素を発見。この笛は小さいのにかなりの音量だそうで、防災用としても機能しそう。移転したオフィス兼展示会場は、木のぬくもりとたくさんの観葉植物が飾られていて、なんだか癒されました〜。

本日のパン

 パリメンズ最後は、フランスで一番ベタなパン、フランスパン!ユネスコ世界遺産の無形文化遺産の候補となっているほどの伝統的なパン。小麦粉、イースト、塩、水のみで作られていますが、シンプルなものほど複雑で、作るには巧みな技術を要するそうです。フランスパンに欠かせないバターは、フランスではエシレ(Echire)派とボルディエ(Le Beurre Bordier)派に二分。私のお気に入りはボルディエの海藻入りバター。この海藻が何の種類のなのか分かりませんが、ほのかな磯の香りと塩気がバターの美味しさを引き立てて、大人な味でおいしいんです〜。唐辛子、にんにく&ハーブ、レモン&オリーブオイル、柚子などのバリエーションがあって、三ツ星レストランでも提供されています。お餅に海藻入りバターと少しのカラスミを乗せて海苔で巻いた、”カラスミ餅”は私の友人から好評なおつまみなので、ぜひお試しあれ。磯の香りを口いっぱいに楽しみながら、今季のビーチや旅をテーマにした各ブランドの映像を見返しつつ、来たる夏に胸が騒ぎます!多くのデザイナーが口にした「抑制から解放された自由な感覚」がそう遠くない未来で私たちを待っているはず。明るい未来に期待できる、2022年春夏シーズンでした!

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 2022年春夏シーズンのコレクションサーキットが本格開幕した。ほぼデジタル発表だった前シーズンから世界の状況は少しずつ好転し始めており、リアルでのショーやプレゼンテーションを開催するブランドも増えた。パンデミックを経て街はどう変化し、ファッション・ウイークはどう進化しているのか。現地からリポートする。

 ボンジュ〜ル!雨のち曇り、最高気温24度。2022年春夏メンズ・コレクションの最後の日記となるパリメンズ5&6日目をお届けします。終盤には私が好きなブランドのコレクション発表&展示会が盛りだくさんで、最後の最後までたくさんの胸キュンとサプライズが…!どうかこの感動を記事を通して多くの人と共有できますようにと願いつつ、今シーズンラストの“現突リポ(現地突撃リポート)”スタート!

6月26日 12:00 ロエベ

 “夜遊び”をテーマにした今季の「ロエベ(LOEWE)」の映像は、ディスコが舞台。コレクションは、ニューヨークを拠点に活動するドイツ人芸術家フローリアン・クラマー(Florian Krewer)から着想を得たそうです。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)はいつものセクシーボイスで「今季のムードは“不器用な美しさ”」だと語り、弾けるような鮮やかなカラーで楽観主義を表現しています。密集する人だかりの中で踊る解放感と快楽、そこに生まれる一体感――パンデミックによって1年以上禁じられファンタジーを呼び起こすような映像でした。ロゴを模様にしたネオンカラーのトレンチコート、スパンコールで施されたアニマルプリントや背面に金属の飾り板を配したコートなど、きらびやかなルックが心を躍らせます。昨シーズンのウィメンズコレクションでは「カラーセラピー」という言葉を使って、色が人間心理に与える影響に興味を持っていたジョナサンの意図が、今回のメンズにもよく表れていると思います。ドレープが利いたチュニック、透け感のあるトップスやカットアウトの隙間から覗く素肌がさり気なくセクシー。服の形や性差、抑制、色彩などさまざまな固定観念から解き放たれたような、超快楽主義なコレクションでした。そして、イギリス人写真家のデイヴィッド・シムズ(David Sims)が撮影したルック写真が最高!ジョナサンが自身のブランドと「ロエベ」で常に掲げる“ユース(青春)”と今季のナイトライフ、短い夏といった全てに共通するキラキラした瞬間を捉えながらも、どこか儚さも漂います。

 ジョナサンが優れたデザイナーであり表現者だと感じるのは、自身のブランドと「ロエベ」がしっかり棲み分けできているところ。また、コレクションピースでは各シーズンのテーマを芸術的に表現しながら、その要素を取り入れつつウエアラブルに落とし込んだコマーシャルピースのバランスの良さにもあります。クリエーションが強すぎて「これいつ着るの?」的なルックに見えても、店頭に行けばちゃんと日常で着られる服が並んでいるんです!!ジョナサンのクリエーションが大好きなので、ついつい愛がダダ漏れで熱を込めて書いちゃいました(笑)。

6月26日 14:00 エルメス

 人って感動した時、本当に息を飲むんです。「エルメス(HERMES)」の展示会場でルックに触れて、何度息を飲んだか分かりません。リアルなショーには参加できませんでしたが、ショー映像を見ただけで、今シーズンのテーマである軽やかさやリラックス、自由の感覚といった要素が上質な生地と仕立ての良さで十分に伝わってきました。今季は屋外での活動が再開することを想像し、アウトドアのアクティビティや旅に適したルックとアクセサリーが展示会場に並んでいました。撥水加工が施されたナイロンのように見えるテクニカル素材をはじめ、コットンリネンやシルク混のコットンキャンバスなどは、軽量なうえにシワになりにくい機能を備えています。ファーストルックで登場したリバーシブルのコートや、やわらかいワニ革の淡いエメラルドグリーンのブルゾンでさえ、信じられないぐらいの軽さ!多くのルックの足元を飾ったハイカットのスニーカーも、ナイロン風のテクニカル素材を使用して軽快。息をさんざん飲みまくった中でもナンバーワンに息を飲んだのは、ショーでも際立っていたオレンジとピンクが美しいカシミアのカーディガン。袖を通すと、まるで綿菓子みたいに軽く、着ているというより包まれているような感覚を覚えました。「上質さの極み!さすが『エルメス』のなせるワザ」と感動しまくっていたら、私のリアクションがオーバーすぎて、担当してくれた現地プレスの方が若干引き気味でした(笑)。すみません。ショーに登場しなかったアクセサリーとしては、トラベルポーチやペイントが描かれたパスポートケース、初めて制作したというキャリーケースなど旅のお供となるアイテムが豊富でした。

6月26日 15:00 ポップアップショップめぐり

 パリメンズ時期に合わせて開かれた、ポップアップに2つ行ってきました。まずは、ベルリンを拠点にするストリートウェブメディア「ハイスノバイエティ(​HIGHSNOBIETY)」が1週間だけ開催した”Not In Paris”というショップ。ディレクションを務めたのは、パリの伝説的セレクトショップ「コレット(Colette)」でクリエイティブ・ディレクターを務めていたサラ・アンデルマン(Sarah Andelman)。20平米ほどのコンパクトなスペースは、観光名所であるカフェ・ド・フロール(Café de Flore)の店内を模した内装です。ECサイトでも販売している「ベイプ(BAPE)」「ロンシャン(LONGCHAMP)」「スケートルーム(THE SKATEROOM)」など、多くのブランドとのコラボアイテムが並んでいました。

 続いて、2021年春夏デビューの日本のブランド「イコーランド トラスト アンド インティメイト(EQUALAND TRUST AND INTIMATE)」のポップアップへ。日本古来の素材や染色方法を取り入れ、環境へ配慮した生産法を用いています。北マレのポップアップには地元客やドイツ人観光客が通りすがりにフラッと入店し、エシカルなコンセプトと素材感が気に入って購入していったそうです。植物からの原料で染色した黄色のドレス(248ユーロ、約3万3000円)と、日本産のリネンを使ったリラックスパンツ(198ユーロ、約2万6000円)が売れているとのこと。洗濯機で洗えるカシミアジャージーのカットソー(110ユーロ、約1万4000円)で男女問わず、肌触りの良さが好評で数枚購入する方も。販売担当者は「天然素材や植物を使った染色という、ナチュラル志向なコンセプトを気に入る人が多い」と教えてくれました。

 16年に及ぶ長期リノベーションを経て営業を再開した百貨店「サマリテーヌ(LA SAMARITAINE)」についてもリポートしたかったのですが、長蛇の列で入店を断念……。3日続けて行ってみましたが、どの日も30分以上の待ち時間。人々が「買い物したい!」と消費活動に意欲的な証拠なので、小売業にとっては明るい兆しかもしれませんね。外にいた店員のユニフォームがかわいかったのでパチリ。

6月26日 16:00 トラノイ

例年なら約150ブランドが出店する合同展示会「トラノイ(TRANOI)」は今季、若手デザイナーの支援を目的とした小規模な展示会を開催。パレ・ド・トーキョー内のスペースには20ほどの新進ブランドが並んでいたものの、かなり閑散としていて寂しい様子でした。私のお目当ては、昨年の「イエール国際モードフェスティバル(34e Festival International de Mode, d'Accessoires et de Photographie à Hyeres)」で会ったセリーヌ・シェン(Celine Shen)に話を聞くことでした。中国系フランス人の彼女は、パリ国立工芸学校でファッションデザインを学んだ後、「メゾン アライア(MAISON ALAIA)」でのインターンシップを経験。ペイントや墨を使ったアート制作にも取り組んでいて、今年3月には初の個展も開催しました。現在はブランドを本格的にデビューさせるためにコレクションピースの制作に挑戦中。「ベストだと思えるコレクションを、ベストなタイミングで出したい。今はまだ時期尚早なので、焦らずに進めているの」とのこと。フランスの文化放送局アルテ(Arte)から取材を受けるなど、少しずつ注目されているので、今後が楽しみです。

6月26日 18:00 カサブランカ

 今シーズンの「カサブランカ(CASABLANCA)」のテーマは"マサオさん”!もう1回言いますよ。“マサオさん”です。「え?サザエさんの夫?マスオですよ?」とか考えていたら、展示会場でデザイナーのシャラフ・タジェル(Charaf Tajer)が「マサオさんは僕の日本人の友人さ」と教えてくれました。"マサオさん"は東京でレストランに勤める男性で、タジェルとは10年以上親交があり、彼のスタイルにインスパイアされてコレクションを制作したとのこと。「日本は大好きな国で、これまで26回も行った。マサオさんは日本の文化や社会、ローカルしか知らないディープなスポットまで色んなことを教えてくれる大切な友人なんだ。でもパンデミックの影響で日本には1年半も行けていない。だから第2の祖国と呼べるぐらい愛している日本とマサオさんを思ってデザインしたんだ」とタジェル。1980〜90年代の日本の卓球文化から着想を得て、シルクのシャツに富士山や沖縄の海の風景、卓球の玉が飛ぶアニメ風のロゴを配したプリントが描かれています。コラボレーション以外で初めて展開するシューズは、バンブーの装飾が施されたローファーです。デジタル発表の映像で卓球をしていたのはフランスの卓球選手で、ラケットとボールは卓球用品メーカー「バタフライ(BUTTURFLY)」とのコラボレーション。映像でチラッと出てきた「フジフィルム(FUJIFILM)」とのコラボカメラの詳細は、近日中に発表されるそう。

 全体的にパステルカラーで彩られているのは、「昨年生まれた赤ちゃんのベビー用品を見ているうちに影響を受けたから」だと言います。原宿やカワイイスタイルも意識したのかを聞くと、「確かに、多くの外国人が日本といえばパステルカラーのカワイイスタイルをイメージするよね。でも日本の魅力ってそんな表層的なところじゃないし、むしろそことは切り離して見て欲しいって思ってる」と、話せば話すほど溢れる日本愛。何だかうれしくて癒されます。2年前の「WWDJAPAN」の取材でも日本愛を語り、日本をテーマにしたコレクションを作りたいと話していたので、今回はその念願が叶いました。「日本をテーマにしたコレクションなら10シーズンぐらい余裕で作れちゃうよ!だって、知れば知るほど魅力的な国で、決して僕の興味が失せることはないからさ」。

6月26日 20:00 フィップス

 ジェンダーフルイド(性的流動性)が声高々に主張される現代において、”男らしい”という表現を使うには注意が必要ですが、「フィップス(PHIPPS)」のコレクションは疑う余地なく“男らしい”ものでした。デザイナーのスペンサー・フィップス(Spencer Phipps)は展示会場で「パンクやミリタリー、スポーツ、バイカー、部族のそれぞれのコミュニティーで着る服が与える視覚的表現を調べ、現代にも精通する”男らしさ”を探った」と教えてくれました。レザーのパッチワークやスポーツユニフォームのアップサイクリング、バイカージャケットとテーラードをドッキングするなど、今季もDIY精神を貫いています。要素の盛り盛り感は否めませんが、創意工夫はピカイチでした!

6月27日 14:00「ジル サンダー」

 パリメンズ最終日にデジタル発表でコレクションを披露した「ジル サンダー(JIL SANDER)」。今季もクローズアップや暗がりシーンが多く、“雰囲気系”の映像ではルックがよく見えませんでした。画像で見ると、日本のウールを使ったハリのあるコートやシャープなラインのシャツジャケット、首に巻いたふわふわのシルクのようなスカーフなど、生地に焦点を当てているルーシー&ルーク・メイヤー(Lucie & Luke Meier)の美学が伺えました。直線的なオーバーサイズのコートや、ボリュームを持たせた丸みのあるフォーム、ダボつかせたボトムの裾のシルエットも遊びがあって美しい!カラーブロックや広告を模したグラフィックはニューヨークの90年代のポップアートのようで、小物使いによってストリートウエアの要素がいつもより強めでした。

 「ジル サンダー」は今年3月に、オンワードホールディングスからOTBグループへ株式譲渡されたため、現在はOTB傘下として新たなディレクションや戦略への移行期間といったところ。またコレクション発表の数週間前に、ルーシーが第一子を出産したそう。会社とクリエイティブ・ディレクターの私生活の環境の変化が、今後どのようにデザインに現れてくるのか楽しみです!

6月27日 17:00 ルメール

 今シーズンのパリメンズを締めくくるのは、「ルメール(LEMAIRE)」の展示会です。コレクションは20世紀初頭に活動したアフリカ系アメリカ人画家、ジョゼフ・ヨアキム(Joseph Yoakum)の作品からインスピレーションを得たそうです。「ルメール」の魅力の一つであるニュアンスカラーの色彩は、風景画を描いたヨアキムの作品を反映させ、砂やレンガ、ダークな曇り空の色に染まっています。コレクションはほぼ全てユニセックスでの提案で、今季からXXSサイズが登場するとのこと。そういえば現ブランド名になる前の「クリストフ ルメール」時代にも、XXSサイズがありました。肌を“プロテクション”することをテーマにしていた前シーズンとは対照的に、シースルーや軽やかな素材使いで解放的な印象に。ナチュラルダイ(天然色素を使った染色)によって一つずつ色ムラの異なるアイテムや、洗うごとにやわらかく肌になじむ麻を通じて、時間をかけて”服を愛でる”楽しさを教えてくれます。ここ数シーズンは登場の少なかった、デニムを使ったアイテムも豊富でした。私のお気に入りは、撥水加工が施されたふわふわにふくらむレインコートです。「ルメール」の服は、着てみると意外なシルエットが生まれたり、ちょうどいいところにポケットがあったりと、機能性と美しさが緻密に計算されているのだと分かり、たくさんのうれしいサプライズを与えてくれます。

 クリエイティブ・ディレクターのクリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)は、かつてDJをしていた経験もあるほど音楽好き。今季は過去にショーの音楽を担当したミュージシャンのトマガ(Tomaga)が描いたプリントのTシャツや、ドイツの楽器メーカー「ホーナー(HOHNER)」が制作した小さな笛とハーモニカのネックレスなど、コラボレーション作品にも音楽要素を発見。この笛は小さいのにかなりの音量だそうで、防災用としても機能しそう。移転したオフィス兼展示会場は、木のぬくもりとたくさんの観葉植物が飾られていて、なんだか癒されました〜。

本日のパン

 パリメンズ最後は、フランスで一番ベタなパン、フランスパン!ユネスコ世界遺産の無形文化遺産の候補となっているほどの伝統的なパン。小麦粉、イースト、塩、水のみで作られていますが、シンプルなものほど複雑で、作るには巧みな技術を要するそうです。フランスパンに欠かせないバターは、フランスではエシレ(Echire)派とボルディエ(Le Beurre Bordier)派に二分。私のお気に入りはボルディエの海藻入りバター。この海藻が何の種類のなのか分かりませんが、ほのかな磯の香りと塩気がバターの美味しさを引き立てて、大人な味でおいしいんです〜。唐辛子、にんにく&ハーブ、レモン&オリーブオイル、柚子などのバリエーションがあって、三ツ星レストランでも提供されています。お餅に海藻入りバターと少しのカラスミを乗せて海苔で巻いた、”カラスミ餅”は私の友人から好評なおつまみなので、ぜひお試しあれ。磯の香りを口いっぱいに楽しみながら、今季のビーチや旅をテーマにした各ブランドの映像を見返しつつ、来たる夏に胸が騒ぎます!多くのデザイナーが口にした「抑制から解放された自由な感覚」がそう遠くない未来で私たちを待っているはず。明るい未来に期待できる、2022年春夏シーズンでした!

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「ミズノ」が東京五輪体操・トランポリン日本代表のユニホーム発表 コシノヒロコがデザイン

 「ミズノ(MIZUNO)」は、体操競技・トランポリン日本代表の新ユニホームを発表した。コシノヒロコ=デザイナーが“日本らしさ”をテーマに、男女2種類ずつデザインした。7月23日に開幕する東京オリンピックをはじめ、国際大会で着用する。

 男子は、「ハネ柄」と「書画」の2種類。“ハネ”は漫画でスピード感を表現する際に用いる技法で、書画は勢いのいい筆使いが特徴の絵画ジャンルだ。いずれもトランポリン競技の跳躍感を表現した。

 女子は、「一筆書き」と「蝶」の2種類。一筆書きでは、かすれた筆跡部分にスワロフスキーのクリスタルガラスを添えた。蝶では羽のパターンを忠実に再現し、自然が持つ力強さと美しさを表した。

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オンワードのEC専業「アンクレイヴ」 好調支える若手企画チームの躍動

 オンワード樫山の20代後半〜30代向けEC専業ウィメンズブランド「アンクレイヴ(UNCRAVE)」が順調にファンを広げている。2020年春夏のスタートから1年余りでインスタグラムの公式アカウントのフォロワーは3万を超え、初年度(21年2月期)はコロナ禍以前に組んだブランドの売り上げ予算も達成した。価格と品質のバランスに加え、若手企画チームによる等身大目線の商品企画が、女性のリアルなニーズを捉えている。

 ブランド名は“無駄なものを求めない”の意で、過度な装飾性を排したミニマルなセットアップ提案を主軸として打ち出す。「自社の百貨店ブランドと同等の生産背景」(国府美咲MD)による品質と、実店舗を持たないなどコスト抑えて実現する、リーズナブルな価格のバランスが武器だ。秋冬物のトップス、パンツ、スカートなどは1万〜2万円台が中心で、ウールコートでも4万円を切る。

 プロモーション面では、広告戦略に頼らず、SNSを中心に口コミでじわじわと広める方針を取ってきた。国府MDは「新作やスタイリングの投稿をするたびに、熱心なリアクションが多数ある。純粋に服のよさが伝わり、エンゲージメントの高いファンを増やすことができる」と手応えを話す。

 ストロングポイントは、お値打ち感だけではない。大事にしているのは、「ターゲット(20代後半〜30代の女性)と同じ目線に立つこと」。20-21年秋冬では、厚手のウールメルトン素材を使用したコート類がヒットした。メルトン素材特有のごわごわした着心地を排除し、撥水・撥油性も備えるなど、顧客の声を元に機能面を重視した。ダッフルコート(税込3万9600円)は6000件以上、ピーコート(同3万7400円)は1700件以上の再入荷待ちが出た。21-22年秋冬も継続販売する。

 「厚手のコートが市場で売れないと言われる中でも、他にないものが作れれば、お客さまに必ず響く」と自信を深める。国府MDは29歳ながら、ディレクターを除けば企画チームの最年長として中心的な役割を担う。「若いチームだからこそフランクに、のびのびと仕事ができている。今までのアパレルブランドのように、シーズンテーマはこれ、トレンドはこれ、と頭でっかちに考えず、私たちが本当に欲しいと思う服を突き詰めていきたい」。

 21-22年秋冬は、従来の黒、ブルーグレーなどのシックなカラーリングに、ピンクやイエローなどのニュアンスカラーを取り入れる。一部のブルゾンなどはユニセックスで着用できるようにするなど、新しい試みで新客の獲得を目指す。

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「オサジ」ホームフレグランス調香専門店を蔵前にオープン 自分好みの香りを調香できる体験型ストア

 日東電化工業の「オサジ(OSAJI)」は7月3日、ブランド初のオリジナルホームフレグランス調香専門店「kako -家香-」を東京・蔵前にオープンする。場所は蔵前の国際通りに面した文具店カキモリの跡地。調香体験ができる常設のワークショップスペースを設けるほか、「オサジ」のアイテムをフルラインアップでそろえる。

 同店は、家紋のように代々受け継がれるような自分たちだけの“家の香り(ホームフレグランス)”を作ることにフォーカスした店舗。「オサジ」の遠藤洋介ジェネラル・マネジャーは「肌のお手入れはスキンケアに加え、インナーケアや睡眠、心をリラックスさせることも大切だ。『オサジ』では、香りは日々の暮らしにエッセンスを与える重要な役割だと考えており、(コロナ禍で)家で過ごす時間が長くなったいま、気持ちの切り替えや心地よさを感じられる“家の香り”に着目した」と話す。

 ワークショップでは、同店オリジナルのブレンドエッセンシャルオイル12種類を使い、自分好みの香りを調香できる2種のコースを用意。エッセンシャルオイル10mLを作るプラン(税込4000円)と、エッセンシャルオイル10mL・ルームフレグランススプレー100mLをセットで作るプラン(税込6000円)で、それぞれ所要時間は約60分。調香後、30分ほどでその場で製作したアイテムの引き渡しが可能だ。ワークショップは予約制で、公式サイトで受け付けている。なお、一度調香したレシピはシリアルナンバーが付与され、リピート購入ができる(エッセンシャルオイルは税込2750円、ルームフレグランススプレーは税込2200円)。今後、洗剤や柔軟剤の展開も検討するという。

 「オサジ」は2017年に誕生し、東京・谷中に第1号店となる路面店を構えている。「もともと谷中、清澄白河、蔵前エリアに出店したく場所を探していた。今回『カキモリ』と縁があり、念願であった蔵前に出店ができた」という。今年に入ってからは百貨店への出店も加速しており、京都の藤井大丸、松坂屋上野店、東武百貨店池袋店、そごう大宮店に直営店をオープンした。「デビュー時はスキンケアと雑貨を展開していたが、19年にメイク製品をラインアップに加え、今では立ち上げから3倍以上のアイテムを揃えている。昨年はSNSでネイルが話題になり20代後半~30代のお客さまが増えたが、ブランドの知名度をさらに高めるべく、出店を通じてタッチポイントを増やしていきたい」と話す。

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SNSで上半期注目の美容トレンドをリアル調査 「WWDJAPAN 2021上半期ベストコスメ」の結果とともに紹介

 「WWDJAPAN」6月28日号と「WWDJAPAN.com」は、「上半期ベストコスメ」全21部門の結果を発表した。全国の百貨店とセミセルフショップ、バラエティーストア、ドラッグストアのバイヤーに21年1〜4月に“売れた”アイテムをヒアリング。各部門1〜4月の間に発売されたニュープロダクト(新製品)と、これまでに発売された既存品を含めた全製品からヒーロープロダクト(総合)のベスト3を選出した。結果からは、昨年来のコロナ禍が、支持されるスキンケア&メイクアップにも大きく影響していることがわかった。

 リアルな消費動向を探るため、「WWDJAPAN」は公式インスタグラムとツイッター(ともに@wwd_jp)で上半期の美容トレンドについてユーザー調査を行った。その結果とともに「WWDJAPAN 上半期ベストコスメ」を振り返る。

注目のメイクトレンドは
“落ちないリップ”と“ノーファンデメイク”

 上半期に注目したメイクトレンドを聞いたところ、44%が「落ちないリップ」、34%が「ノーファンデメイク」と回答した。ともにマスク着用の常態化が支持の大きな理由だ。バラエティー・ドラッグストアでは、色持ちの良いティントタイプの「セザンヌ」や「フジコ」「オペラ」「リカフロッシュ」のリップがランキングの上位を占めた。
 ベースメイクも「マスクに色がつかないか」「崩れにくいか」が購入の決め手になっている。百貨店・セミセルフ ベースメイクの新製品1位には、「マスクにつかないストレスフリーな使い心地が人気」とバイヤーがコメントする「RMK」のカラーファンデーションが輝いた。
 そもそもファンデーションを塗らないという人も増え、下地やコンシーラー、パウダーで肌を仕上げるノーファンデメイクが支持を集めた。百貨店・セミセルフショップのベースメイク総合1位は「クレ・ド・ポー ボーテ」のくすみを補正してワントーン明るい肌に仕上げる化粧下地「ヴォワール コレクチュールn」が獲得。ベージュではないファンデーションや、下地やパウダー、日焼け止めが人気を集めている。

ベースメイクは艶肌支持が圧倒的

 ここ数年艶肌ブームはずっと続いているが、コロナ禍でも変わらず人気だ。在宅勤務によるリモート会議中にPCの画面に写った自分の顔のくすみや暗さに気づく人も多い。艶肌はトーンアップして生き生きとした印象に見せてくれるのがポイントだ。スキンケア成分配合でツヤのある仕上がりをかなえる「シャネル」の“サブリマージュ レサンス ドゥ タン”や、肌を保湿しながら透明感をアップする「ディオール」の“ディオールスキン フォーエヴァー クッション パウダー”がランクインした。

アイメイクはナチュラル派が大半

 マスクをすることで、顔の印象を作る際の目元の重要度が増している。昨年からカラーアイライナーやカラーマスカラを打ち出すブランドも多く、リップメイクが楽しめない中で目元のカラーメイクを楽しむ人が増えた。一方で今回行ったユーザー調査では64%がナチュラル派。百貨店・セミセルフショップでは4色アイシャドウパレットがアイメイクの上位を占めたが、ドラッグ・バラエティでは「ウズ」の「まつ毛美容液」や「水橋保寿堂製薬」の「エマーキット」がランクイン。まつ毛美容液がアイメイク部門でランクインするという、例年とは大きく異なる特徴が現れた。

毛穴ケアが注目度NO.1
マスク荒れケアと美白への関心も高い

 スキンケアに関しては毛穴ケアが34%、マスク荒れケアが26%、美白ケアが25%、敏感肌ケアが15%という結果だった。皮脂量が増える春から夏にかけては、毛穴ケアへの注目が高まるのは例年の傾向だ。クレンジング・洗顔では「シュウ ウエムラ」や「ファンケル」「デュオ」といった毛穴やくすみ対策もできる美容効果の高いアイテムが人気だった。また、「スック」の“ポア クレンジング セラム”や「タカミ」の“スキンピール”といったプラスαのポイントケアも支持された。

 加えてマスク着用による摩擦やムレ、乾燥から、肌荒れに悩む人が増加。マスク荒れケアへの意識が高まっている。乾燥による肌に潤いを補給してバリア機能をサポートする「VT」の”シカデイリースージングマスク”や、「dプログラム」の“アレルバリア ミストN”が人気だった。百貨店・セミセルフショップの乳液・クリームで新製品1位に輝いた「ディオール」の“カプチュール トータル セル ENGY リッチ クリーム”には「マスク着用により保湿力の高いクリームの需要が高まった」とバイヤーからのコメントが寄せられた。

韓国コスメの人気は続く

 これまで韓国コスメへの支持が圧倒的だったが、今回の調査では約3割が中国コスメを支持。昨年はドラッグストアやバラエティーショップで中国コスメの取り扱いが増え、最近では宮脇咲良が「フラワーノーズ」のアジアブランド大使に就任するなどニュースもある。中国コスメはさらに躍進するだろう。

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「バルクオム」が美容室市場で好調 秘訣はスキンケアメニューの提案にあった

 メンズスキンケアブランド「バルクオム(BULK HOMME)」は、2020年10月からヘアサロン市場での展開を強化、売り上げ・取り扱いサロン数を伸ばしている。「バルクオム」といえばメンズスキンケアを代表するブランドの1つで、ECでの展開が中心。そうしたブランドがサロン市場に注力する理由と、サロンでの提案内容について担当者に聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):ヘアサロン市場を強化し始めた経緯は?

木下達哉「バルクオム」スペシャルリテールディビジョン ディビジョンマネージャー(以下、木下):コロナ禍でリアルショップのテスターやサンプルが試しにくい状況となり、お客さまに「バルクオム」製品を手に取ってもらう機会が減っていました。その一方でブランド認知は高まっており、「ユーチューブやツイッターで見たことあるけど、どんな使用感なんだろう」「いい香りって聞くけど、どんな香りなんだろう」などと、“興味はあるのにタッチポイントがない”という状況の男性が多かったんです。そうした状況下で「製品とお客さまとの接点を作るには……」と考えたとき、男性が定期的に赴く場所としてヘアサロンに着目しました。

WWD:それ以前もヘアサロンでの取り扱いはあった?

木下:ありましたね。取り扱いサロンは拡大中でした。ただサポート体制が整っていなかったため、昨年10月を機に体制を強化しました。具体的には、「バルクオム」の公式の体験メニューを設けたり、メニューの宣伝に使う画像を提供したりと、細かなサポートを始めました。メニュー名に「バルクオム」とつける提案も行いました。

WWD:どんなメニューを設けた?

木下:お店単位でアレンジしてもらっているのですが、ヘアカット+ヘアケア+スキン(頭皮)ケアといったメニューが一般的です。例えば、ヘアカットと「バルクオム」製品を使用したシャンプー&トリートメントの後、タオルドライをし、“頭皮用美容液”を使ったヘッドマッサージを施す“簡易ヘッドスパ”メニューは人気ですね。メンズカットのオプションメニューはあまり多くないので、「オプションによって差別化することで、男性客の顧客化をサポートできれば」という思いから提案を始めました。タオルドライ後にイスを倒し、スチームを当てながら“美容液マスク”をし、“乳液”をつけ、フェイシャルマッサージを施すというメニューも人気です。普段からフェイシャルマスクを使っている男性は少ないので、新鮮な体験になっていると思います。

WWD:乳液も使わない人が多い。

木下:そうなんです。男性には“化粧水が先か乳液が先か”分からない人も多い。信頼を得ている美容師がケア方法を伝えることで、ヘアサロンに“正しいスキンケアを体験できる場”という付加価値が生まれれば、という思いもあります。

WWD:こうしたメニューの料金は?

木下:サロンによって違いますが、通常のメニュー料金+ワンコイン(500円)というお店が多いですね。お手軽な金額ですが、シナジー効果もあるようで、「メニューを設定したら『バルクオム』の店販売り上げが4倍に伸びた」というサロンもあります。体験してもらって良さが伝わると、店販品購入のハードルは下がりますね。

WWD:サロン店販で人気のアイテムは?

木下:売り上げ1位は“洗顔料”(100g、2200円)、2位が“化粧水”(200mL、3300円)、それから“乳液”(100g、3300円)“シャンプー”(200g、3300円)“トリートメント”(180g、3300円※価格は全て税込)と続きます。サロンではヘアケアよりもスキンケアの方が売れていますね。“洗顔料”がエントリーとなり、ヘアケアに手を伸ばしていただくケースも多いです。

WWD:現在の取り扱いサロン数は?

木下:関東圏を中心に、全国で500店舗くらいです。昨年5月に放送を開始した、木村拓哉さんを起用したテレビCMの影響が大きく、一気にブランド認知と信頼度が上がりました。6月と7月は、取り扱い店舗数が前月の約2倍になり、それ以降も増えています。昨年の5月は、ちょうど緊急事態宣言が解除された頃。家でテレビを見ている美容師が多かったことも、影響力が高かった要因の1つだと分析しています。

WWD:一般的にサロン専売品は、“サロンでしか買えない製品”が好まれる。ECで売れている「バルクオム」が、サロンでも人気の理由をどのように分析している?

木下:まず「バルクオム」の認知が高まった分、「試してみたい」というニーズも高く、サロンユーザーに「あの『バルクオム』が行きつけの美容室で体験できる」と好意的に思ってもらえたことが大きいと考えています。また、使うのに専門的な技術を必要としないハードルの低さから、ホームケアの提案につなげやすい、という理由もあると思います。

WWD :サロン市場での現在の売り上げと、今後の目標は?

木下:ブランド全体の売り上げから見ると、サロン市場での売り上げはまだまだ少ないですが、伸び率は高いです。昨年10月から今年3月までの前年同期比は約130 %増で、緊急事態宣言下も、導入サロンの多くが客数を落とさなかったと聞いています。しかし、導入店舗におけるメニューの導入率はまだ10~15%程度。30%くらいにまで伸ばすのが当面の目標ですね。

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有楽町マルイ、売り場内に「撮影スタジオ」 入居テナントがSNSやECで活用

 丸井は、有楽町マルイ内にテナントなどが利用できる撮影スタジオを7月1日に開く。ファッションブランドなどを中心に店頭の販売員がSNSやネット通販(EC)で情報発信するケースが増えていることに対応する。撮影だけでなく、会議やセミナーなどにも使用できる。

 婦人服ブランドが軒を連ねる3階にシェアスタジオ「スタジオゼロワン」を開設する。用途によってレイアウト変更が可能な60平方メートルのスペースに、撮影用の照明や音響機材を完備し、高速通信の環境も整えた。有楽町マルイに入居するテナントだけでなく、出店していないD2Cブランド、インフルエンサー、個人なども利用可能。利用時間は11:00から20:00まで。使用料金は1時間6600円(税込)だが、オープニング価格として当面は1時間5500円(税込)で貸し出す。

 近年、アパレルや化粧品、食品などの分野では店頭からの情報発信が盛んになっている。その場合の課題だった撮影設備や通信環境を完備することで、よりクオリティー高いコンテンツ制作が可能になる。SNSやオウンドメディア、ユーチューブ、ライブコマースなど多岐に利用できる。またやスタジオは売り場に隣接しているので、買い物客にライブ感をアピールする場としても機能する。

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接客術を音声公開 25歳女性記者が都内最大級の時計専門店でコンシェルジュ体験

 地上5階・地下1階からなる都内最大級の時計専門店「イシダ新宿」が、6月19日にリニューアルオープンした。目玉の一つが、新設されたコンシェルジュ制度だ。「WWDJAPAN」編集部で最も若く、「経営層への取材機会も増え、身だしなみや礼儀として、そろそろちゃんとした時計が欲しい……」と思っていた高級時計ビギナーの木村和花記者(25歳)に、この新サービスを体験してもらった。

 事前に小林信介コンシェルジュに渡したのは、木村記者の好みのデザインや色、予算感など。このパーソナルデータをもとに小林コンシェルジュが選んだのは、1830年創業のスイスブランド「ボーム&メルシエ(BAUME & MERCIER)」、アイコンモデルの“レベルソ”がキャリア女性にも人気の「ジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)」、“3大時計ブランド”である世界最古(1755年創業)のマニュファクチュール(時計の心臓部であるムーブメントから自社一貫製造する時計メーカー)「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」の3本。

 時に時計の奥深さに圧倒され、時に直径数十ミリメートルに宇宙を詰め込むクラフツマンシップに感動した木村記者は、最後に何を選ぶのか!?小林コンシェルジュの話術にも注目しながらお聞きいただきたい。

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「ブルガリ」がミラノでハイジュエリーイベントを開催 新作コレクション“マニフィカ”を発表(前編)

 イタリア・ローマ発ジュエラー「ブルガリ(BVLGARI)」は6月4日、「ブルガリ ホテル ミラノ(BVLGARI HOTEL MILANO)」で新作ハイエンドコレクション“マニフィカ(MAGNIFICA)”の発表イベントを開催した。昨年はデジタル形式で発表。今年は、経済再開へと向かいつつあるミラノを選んだ。イベントの前夜には、スカラ座でプライベートコンサートと晩餐会が行われ、翌日、花々で埋め尽くしたホテルの庭で新作ハイジュエリーとハイエンドウオッチを発表した。“マニフィカ”コレクションは世界各国で披露される予定。最初の目的地は日本で、6月末に発表する。

ローマへの壮麗な
美への賛辞

 「ブルガリ」は1884年にローマで創業。“マニフィカ”とは、イタリア語で“荘厳”という意味で、約120点のハイジュエリーのうち半数以上は1億円超えだ。コロナ禍でブランドの真髄に立ち帰り、永遠のインスピレーション源であるローマへの賛辞、最高級の宝石、創業以来磨かれてきたクラフツマンシップを融合させた究極のハイジュエリーコレクション。使用した宝石は、世界で4番目に大きい約131カラットのスピネルや約62カラットのエメラルド、5石計約473カラットのパライバトルマリンなど、目を見張る物ばかりで、「ブルガリ」の石のバイイング力は驚くほど。これら宝石の魅力を最大限に引き出すのは、ジュエリー部門のクリエイティブ・ディレクターであるルチア・シルヴェストリ(Lucia Silvestri)の役割。ローマのバロック建築様式や芸術を着想源に、大胆かつ緻密なデザインで見る者を魅了するジュエリーに仕上げている。

日常への第一歩、
ミラノをたたえるイベント

 ミラノで開催された“マニフィカ”の発表イベントは、長いロックダウン明けを祝うかのような華やかさだ。ジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)=ブルガリ グループ最高経営責任者は、「今回のイベントは、イタリアのクラフツマンシップをたたえるものだ。ミラノはビジネスの中心地という印象が強いが、デザインの中心地でもある。新型コロナに打ち勝ったミラノへの敬意を示すと共に、このイベントが、ミラノが日常に戻る第一歩になれば」とコメントしている。

ミラノのアイコニックな観光名所で
初のジュエリーショー
ガッレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世でのショー

 「ブルガリ」は、ラグジュアリーブティックやレストランが軒を連ねるガッレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世で、“マニフィカ”コレクションのランウエイショーを行った。ショーに先駆け、世界的なテノール歌手であるアンドレア・ボッチェッリ(Andrea Bocelli)と指揮者兼ピアニストでのベアトリーチェ・ヴェネツィ(Beatrice Venezi)が演奏を披露。アーチ形のガラス天井とモザイクの床が美しくエレガントなアーケードに荘厳なジュエリーを着用したモデルが登場し、幻想的な夢の世界に誘うショーが繰り広げられた。

リリー・オルドリッジや
キアラ・フェラーニが来場

 “マニフィカ”の発表イベントには、「ブルガリ」のアンバサダーであるリリー・オルドリッジ(Lily Aldridge)をはじめ、同じくアンバサダーを務めるキアラ・フェラーニ(Chiara Ferragni)やエステル・エスポシト(Ester Exposito)などのセレブリティーや顧客、プレス関係者が来場した。ゲストは、花々で彩られた「ブルガリ ホテル」の緑豊かな庭園で“マニフィカ”コレクションを見た後に、屋外でミシュラン3つ星スターシェフであるニコ・ロミート(Niko Romito)の特別メニューを楽しんだ。

問い合わせ先
ブルガリ ジャパン 
03-6362-0100

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「ブルガリ」がミラノでハイジュエリーイベントを開催 新作コレクション“マニフィカ”を発表(前編)

 イタリア・ローマ発ジュエラー「ブルガリ(BVLGARI)」は6月4日、「ブルガリ ホテル ミラノ(BVLGARI HOTEL MILANO)」で新作ハイエンドコレクション“マニフィカ(MAGNIFICA)”の発表イベントを開催した。昨年はデジタル形式で発表。今年は、経済再開へと向かいつつあるミラノを選んだ。イベントの前夜には、スカラ座でプライベートコンサートと晩餐会が行われ、翌日、花々で埋め尽くしたホテルの庭で新作ハイジュエリーとハイエンドウオッチを発表した。“マニフィカ”コレクションは世界各国で披露される予定。最初の目的地は日本で、6月末に発表する。

ローマへの壮麗な
美への賛辞

 「ブルガリ」は1884年にローマで創業。“マニフィカ”とは、イタリア語で“荘厳”という意味で、約120点のハイジュエリーのうち半数以上は1億円超えだ。コロナ禍でブランドの真髄に立ち帰り、永遠のインスピレーション源であるローマへの賛辞、最高級の宝石、創業以来磨かれてきたクラフツマンシップを融合させた究極のハイジュエリーコレクション。使用した宝石は、世界で4番目に大きい約131カラットのスピネルや約62カラットのエメラルド、5石計約473カラットのパライバトルマリンなど、目を見張る物ばかりで、「ブルガリ」の石のバイイング力は驚くほど。これら宝石の魅力を最大限に引き出すのは、ジュエリー部門のクリエイティブ・ディレクターであるルチア・シルヴェストリ(Lucia Silvestri)の役割。ローマのバロック建築様式や芸術を着想源に、大胆かつ緻密なデザインで見る者を魅了するジュエリーに仕上げている。

日常への第一歩、
ミラノをたたえるイベント

 ミラノで開催された“マニフィカ”の発表イベントは、長いロックダウン明けを祝うかのような華やかさだ。ジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)=ブルガリ グループ最高経営責任者は、「今回のイベントは、イタリアのクラフツマンシップをたたえるものだ。ミラノはビジネスの中心地という印象が強いが、デザインの中心地でもある。新型コロナに打ち勝ったミラノへの敬意を示すと共に、このイベントが、ミラノが日常に戻る第一歩になれば」とコメントしている。

ミラノのアイコニックな観光名所で
初のジュエリーショー
ガッレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世でのショー

 「ブルガリ」は、ラグジュアリーブティックやレストランが軒を連ねるガッレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世で、“マニフィカ”コレクションのランウエイショーを行った。ショーに先駆け、世界的なテノール歌手であるアンドレア・ボッチェッリ(Andrea Bocelli)と指揮者兼ピアニストでのベアトリーチェ・ヴェネツィ(Beatrice Venezi)が演奏を披露。アーチ形のガラス天井とモザイクの床が美しくエレガントなアーケードに荘厳なジュエリーを着用したモデルが登場し、幻想的な夢の世界に誘うショーが繰り広げられた。

リリー・オルドリッジや
キアラ・フェラーニが来場

 “マニフィカ”の発表イベントには、「ブルガリ」のアンバサダーであるリリー・オルドリッジ(Lily Aldridge)をはじめ、同じくアンバサダーを務めるキアラ・フェラーニ(Chiara Ferragni)やエステル・エスポシト(Ester Exposito)などのセレブリティーや顧客、プレス関係者が来場した。ゲストは、花々で彩られた「ブルガリ ホテル」の緑豊かな庭園で“マニフィカ”コレクションを見た後に、屋外でミシュラン3つ星スターシェフであるニコ・ロミート(Niko Romito)の特別メニューを楽しんだ。

問い合わせ先
ブルガリ ジャパン 
03-6362-0100

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超大作の「トム ブラウン」、やさしさにあふれた「ポール・スミス」などパリメンズ後半を先輩後輩がプレイバック 「アリックス」「ワイプロ」は変化の兆し

 2022年春夏メンズコレクションは、ロンドンとミラノが終了し、舞台はパリへ。海外からの現地リポートも随時更新中ですが、ここでは日本でリモート取材中の先輩&後輩コンビがダイジェスト対談をお届けします。ここでは、後半(6月26〜28日)に登場した11ブランドをプレイバック!ヤギがいたり、目からビームが出たり、30分の超大作があったりと、後半も情報量多めでお伝えします。

【対談メンバー】
先輩・大塚:海外コレクション取材歴5年目。「WWDJAPAN」副編集長。昨年からランニングにハマって2ケタ減量に成功。サイズダウンによりファッション欲がさらに上昇。

後輩・美濃島:昨年から海外コレクション取材をスタート。「WWDJAPAN」記者としてデザイナーズやスポーツを取材するも、最近みるみる巨大化。サイズアウトする服が続出。

実験的映像でブランドの武器をアピール

大塚:「カラー(KOLOR)」はまたすごい見せ方だったねー。トレッドミルのようなマシンをモデルがウオーキングして服の動きを見せつつつ、無人カメラがディテールをクローズアップするという手法。

美濃島:360度カメラを使った2021年春夏に似てると思ったら、今回も映像作家・田中裕介さんのディレクションでした。サカナクション山口一郎さんが担当した音楽は、静かなテクノで映像に集中できるし、盛り上げるとこは盛り上げてくれて飽きず見られました。

大塚:見た目は何だか近未来っぽくてすごいんだけど、“静”と“動”を両立させて服の魅力を分かりやすく伝えられる。とっても理にかなっている手法だと思った。特に「カラー」のような大胆さと緻密さを併せ持つブランドにはピッタリ。今回も異素材ミックスやパーツのコラージュがすごかったね。

美濃島:ワンピースに襟を4つ重ねたニットポロを組み合わせたり、ロングシャツの見頃に左右異なるシャツをくっつけたり、ピークドラペルのジャケットの襟の上にショールカラーのニットを合わせたり。ぱっと見どうなってるかわからないほど複雑な組み合わせなのに、素材や色合いが計算し尽くされていて全く破綻していません。少女漫画のプリントなど、攻めのモチーフもあってその振り幅も面白かったです。

まかさの“お寺ンウエイ” モデルが本堂に集結

大塚:「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」の日本シリーズがいよいよ極まってきた。今回の舞台はお寺で、まさかの寺ンウエイ。「幽玄」をテーマに、ブランドらしいエッジを効かせたストリートウエアのディテールを盛り込んでました。僧衣を思わせるトップスのシルエットや、着たときにドレープが生まれるバイアスのカッティング、ややくすんだカラーパレットは、時間の経過によって朽ちていく物の美しさを表現しているのだとか。今シーズンは「カサブランカ(CASABLANCA)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」も日本をテーマにしていたけれど、本家の表現はやっぱりひと味違うわ。どちらが大衆に受け入れられるかどうかはさておき、ギリギリの表現に挑んだ姿勢は素晴らしい。

美濃島:最後、本堂にモデルが集結するシーンはなかなかシュールでしたが(笑)、日本ブランドというイメージ作りは文句なしで1位です。はかまのようなワイドショーツや頭から顔を袈裟で包む“裏頭(かず)”に着想したフードブルゾンなど、自衛のために武装した僧侶“Warrior Monk”をスポーツウエアをベースに表現していました。日本の伝統を感じさせるパキっとした赤に、未来的なリフレクター素材を織り交ぜるなど、時代を超越する組み合わせも面白かった。

スナック、空港、ダイバーシティ
映像という“おもちゃ”を存分に楽しむ

大塚:「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」は空港での撮影だったのかな?前シーズンの映像でも登場した場末っぽいスナックから始まり、しかもカラオケのムービーにまたプレスの佐藤さんが出演していて笑っちゃった。美濃島さんは現場も取材したんだよね?

美濃島:はい、羽田空港第2ターミナルでの撮影でした。某アーティストのMVにインスパイアされてこのロケーションを選んだのですが、通常なら絶対に使用許可は降りない場所。今した実現しない映像なので、作り手も受け手も「ああ、あの時撮ったんだな」とメモリアルなシーズンになったと思います。

大塚:前回のコマ送り映像もすごい労力だったそうだけど、今回は意外とさらっとしてなね。

美濃島:映像はシンプルですが、実は演出にすごく凝ってるんです。多様性を表現するため50人以上のモデルが登場し、モデル1人1人に「虫取り網」「ダンス」「テニス」「マジック」などの演技テーマを設定。演技を嘘くさいものにしないため、オーディション時に趣味や特技をヒアリングしたそうです。当日も「動かされてるんじゃなく、自分から動く感じで」と自ら指導する姿があり、三原康弘デザイナーの妥協なき姿勢にシビれました。「次はリアルだから、映像はこれが最後。映像という“おもちゃ“を思う存分楽しみたい」という三原康弘デザイナーの思いが詰まっています。

大塚:前回は三原デザイナーも映像に登場してたけど、今回はどうだったのかな?

美濃島:警備員を模して、オレンジのつなぎ姿でちらっと登場しています。スナックを舞台とした冒頭など、クスっと笑える要素を盛り込むのは、「普通にショーを見せても早送りしたくなる。飽きずに見てもらうには、コメディが大事だ」と考えているから。三原デザイナーは毎シーズン、各ブランドの映像をくまなくチェックするそうで、長年業界をけん引し続けているのは、この姿勢があるからんだなと感服しました。

大塚:うわー、本当にすごいね。発表形式が変わって一番大変なのはブランドのはずなのに。常に前を向いてる姿勢にこちらが元気づけられるよ。

美濃島:バチバチの演奏を披露していたのは、インストバンドLITE。「ショーの演奏は初めて。しかも『ミハラ ヤスヒロ』で、こんな場所できるなんて、事件です」と語っていましたが、緊張した様子はなく、毎回最高の演奏でした。ライブシーンではモデルたちも自然と体が揺れ、本当のライブのよう。映像にBGMを後乗せするだけでもいいですが、ここでもリアルの強さが出たと思います。

大塚:服はいつもよりも少し大人の印象を受けたのだけど、実際もそんな感じ?

美濃島:黒やカーキ、ベージュなど落ち着いた色味がベースですが、ジャケットやコートの肩が思い切りはみ出ていたり、いたるところに切り込みがあったり、パンツが超ワイド&ねじれのパターンワークだったりと、ルックでは伝わらない存在感がありました。マルコム・マクラーレン(Malcolm McLaren)を彷彿させるマウンテンハットは「カシラ(CA4LA)」との、サングラスは「ブラン(BLANC)」とのコラボモデル。GUとの協業も記憶に新しいですが、こんな時だからこそ、いろんなものづくりに挑戦しようという三原デザイナーの気概が伺えました。

目にもやさしいアウトドアワールド

大塚:「ポール・スミス(PAUL SMITH)」の映像がビックリするぐらい進化していてきれいだったわ!まず空間ですよ。天井は水面のように優雅に波打ち、地面はパステルイエローでもはやヘヴン。:同様に、キーカラーの一つがイエローだったり、ヒマワリのモチーフを多用したり、レジャーへの欲求を優しく盛り込んでいたのかな。

美濃島:緑ではなく、イエローや赤などで自然を表現する感覚は、カラッとした気候を持つヨーロッパならではかも。水平線や地平線を思わせるボーダーも差し込み、自然の壮大さと優雅さ届けます。映像は徐々に照明が暗くなり、最後は夕日のような優しいオレンジに。音楽もゆったりしていて、とても癒されました。

大塚:アウトドア仕様のユーティリティージャケットや軽快なショーツを、テーラリングと自然に融合させるバランス感も素敵。何より、カラーリングのセンスで勝利です。マルチストライプのバッグもかわいかった。

美濃島:ペイントが途中で切れるクリエイションが可愛かったですね!僕は「ポーター(PORTER)」とのコラボバッグが気になりました。

超フリーダム&ジェンダーレス

大塚:最近の「ロエベ(LOEWE)」、めっちゃ好き。今シーズンはナイトクラブがインスピレーション源だから色使いがまあまあサイケだし、デヴィッド・シムズ(David Sims)撮影のルック写真も素人モデルを起用したフリーダムなムード。でも服の細部をよく見るとディテールが凝りまくっていて、「着てみたい」欲に駆られるんです

美濃島:ルックではサッカーしてたり、バイクに乗ってたり、目からビーム出しちゃったりと本当に自由。ロープを無数に垂らしたパンツやビーチでたむろする人々のイラスト、丸いくり抜きディテール、突如現れるサテンのリボンドレス、スパンコールでギラギラのワンピースなど、クリエイションの軸は正直よくわかりませんが、“洋服を通して楽しさを伝えたい”という思いはビシビシ伝わってきます。

大塚:クラフツマンシップを大切にするブランドは“服”というより“作品”になってしまうことも珍しくないのだけど、今シーズンの「ロエベ」はパワーみなぎるスタイルが先行しているからワクワクしたし、純粋に楽しかったよ。

美濃島:緑と黒のアナグラムの総柄は過去のシーズンからのキャリーオーバーで、サボテン由来のレザーなど、サステナブルな要素も盛り込みます。アイコンバッグ“パズル”はソフトな質感とビッグサイズにアレンジ。象のバスケットバッグはこれでもかと装飾され、持ち歩くだけで小さな悩みが吹き飛びそうでした。

冒頭のCGに一瞬ヒヤリ

大塚:「サルバム(SULVAM)」の映像は、まさかのゲームのようなCGからスタート!「え、こっちの方向性でいくの!?」と驚いていたら、キャラクターが手にするスマートフォンの中で人間が登場。正直、安心した(笑)。

美濃島:冒頭が意外すぎて、別ブランドの動画見てるのかと焦っちゃいました。モデルが登場しても背景がCGキャラの接写になり、終始集中力を削がれました。

大塚:テーラードやジェンダーフリュイドのフォームは変わらず、今回はものすごくテキスタイルを頑張ったのだなと伝わってきた。ピッチも太さもランダムなボーダー柄や編み地が多彩に変化するニット、アニマル柄のような複数のパターンなど、表面がめまぐるしく変化して面白かったな。ただ、個人的にやっぱり気になったのは真骨頂のテーラリング。序盤のネイビーパートのパイピングシリーズがかっこよかった。

美濃島:裏地を伸ばして揺らめかせたり、襟のパターンを左右で変化させたり、肩や裾をくりぬいたりとクラフト感あるテーラードも健在でしたね。水墨画のような和風な総柄は、軽やかだけど「ラルバム」らしい“悪さ”もあって個人的にドンピシャでした。

“超えられない山はない”

大塚:「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」の映像はロケーションがすごすぎ。「ファッションを通じて“超えられない山はない”」というたくましいメッセージを込めていたみたいなんだけど、壮大すぎて「っひゃー」って声出たわ。

美濃島:いやー、「ロードオブザリング」のワンシーンのみたいな映像でしたね。山のてっぺんでの撮影でしたが、あそこまでどうやって移動したんだろう。

大塚:今シーズンは都市生活とアウトドアの境界線の超越を目指したのだとか。ブランドとしてはずっと向き合ってきたテーマだとは思うけれど、あくまでファッションからのアプローチ。カラーパレットは必要最小限に、デザインとしても主張する機能的ディテールや花のモチーフがいっそう映えます。世間は自粛の反動でアウトドアへの欲求が高まっているし、ブランドにとっても追い風になるかもね。

美濃島:アウトドア市場は絶好調ですし、ファッション×アウトドアに参入するブランドは多いですが、ここまで高次元で融合させる技術とセンスはさすが。「バブアー(BARBOUR)」と協業したハンティングジャケットや「ダナー(DANNER)」とコラボしたモカシンブーツなど、人気のコラボも継続していました。

“いい子ちゃん”では終わらせない

大塚:「ダブレット(DOUBLET)」は前シーズンのほっこりムードから一転。パンク一直線のぶっ飛ばし系クリエイションで大笑いしました。会場は三鷹のオーガニック農園で、ティーザー画像もそこで飼っているヤギを前面に押し出すもんだから、てっきり地球に優しい系のほっこりクリエイションなんだろうなと思っていたのに、まんまとやられた。これ、絶対チームぐるみでの確信犯だよね(笑)。

美濃島:案内から完全に騙しにかかってました(笑)。会場でもディズニーみたいな平和なBGMが流れていたのに、ショーがスタートすると一転。ネオンが光りゴリゴリのパンクミュージックが鳴り響き、ヤンキーのようなスタイルが連発されます。マッシュルームレザーをはじめ、実はサステナブルな素材がふんだんに盛り込まれているそうで、スタイルとのギャップに驚かされました。ザ・真面目な優等生キャラは性に合わないのでしょうね。

大塚:モデルは実はオマージュキャラがいて、冒頭のナンシー・スパンゲン(Nancy Spungen)をはじめ、ジョン・ライドン(John Lydon)やスー・キャットウーマン(Sue Catwoman)、シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)や映画「タクシードライバー」のトラヴィスとか、もはやパンクとか関係なくてんこ盛り。そういうキャラ探しも楽しいね。

美濃島:だ、誰1人気付きませんでした(汗)。そういうネタがあると何度も映像で確認したくなりますね。視聴者を飽きさせないコメディ要素が、デジタルコレクションには必要かもしれません。

若者路線は吉と出る?

大塚:「ダンヒル(DUNHILL)」は前シーズンから方向性を大胆チェンジ。Z世代を意識したクリエイションにガラリと変わったね。

美濃島:テーマは“アイデンティティー“。上質なジャケットをオーバーサイズで、そこにフーディーやシェル、キャップを合わせて着崩すスタイルです。若干既視感もありますが、今っぽいです。

大塚:今シーズンは春夏だからか、よりスポーティーでキャップやマーブル柄のアクセをぐいっと主張してくる感じ。もともとクラシックをモダンに進化させてきたブランドなだけに、とてもきれいにまとめているスタイルもあれば、ちょっと強引かもねーというルックがあるのも正直なところ。

美濃島:超かっこいいマーブル模様は、アメリカ人アーティストのエレン・キャリー(Ellen Carey)によるもの。トップスからハット、アイコン“ロックバッグ“にまで採用して、キャッチーさを添えていました。コートは下身頃を取り外してブルゾンとしても着られるギミック。いろんな挑戦が見られますが、消費者がどんな反応をするのか気になりますね。

大塚:センスがあるのは間違いないので、今後はZ世代に“「ダンヒル」である必要性”をどこで感じさせるのかに注目していきたいです。

超大作に込めたメッセージを勘ぐる

大塚:さあ、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」様がすごいの投下してきましたよ。パリメンズ最終日に30分の映像という超大作。ゆるみそうな気分がビシッと引き締まるわ(笑)。

美濃島:今シーズン最長じゃないですか?めちゃくちゃ構えてPCに向かうと、美しい原っぱを走る男子が映し出されました。

大塚:この男性がスポーツの祭典に出場するためにトレーニングを積む日常を過ごし、いよいよ本番の日を迎える。この時点ですでに16分。そして準備万端で競技場に足を踏み入れると……パーンとアニメーションに切り替わるという意外な展開に。シュールなアニメが約7分間続き、男の帰路を追いかけて映像が終了。音楽もいいし、映像もきれい。でもトム様、僕たちはこの映像で何を語ればよいのでしょうか(涙)。

美濃島:大塚さん、僕らは何も語らなくていいんです。朝日とともに目覚め、一日中草原を走り周り、心地よい疲労とともに家に帰り、夕日を眺めてから就寝する。途中までただそれだけの繰り返しですが、1日ごとの景色が違って見えて、人生は毎日の繰り返しなんだなと感動すら覚えました。コレクションビデオというより完全に映画。洋服はルックで見せればいい。全ブランドそれだと困りますが、これくらい作り込んでくれるなら大歓迎です。スーツスタイルに身を包んだときの高揚感は、ドレスアップとハレの場の大切さを物語っていました。すごい映像体験だったな。

コーマシャルも意識する大人な「ワイプロ」

大塚:はい、いよいよ終盤戦だよ!お次は「ディーゼル」のクリエイティブ・ディレクター就任でノリに乗ってるグレン・マーティンス(Glenn Martens)の「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」。今シーズンの映像は“Y”の字のランウエイを複数人のモデルたちがランダムに歩く演出。つまんだりねじったりするヒネリエイションは変わらずなのだけど、なんかこうコマーシャルを意識する余裕が出てきたというか。数年前までは足し算だらけで奇抜だったのか、いい意味できれいにまとめるセンスがついてきたのはやはり資金力からくるソレなのか。

美濃島:Yを模したピアスや布をねじったようなバッグなど、売れ線アイテムがちゃんと用意されてましたね。ネックがいくつもあったり、ウエストが二重になったりといつものグレン節のクリエイションですが、落ち着いたカラーパレットのためか落ち着いた印象も受けました。

大塚:途中から「フィラ(FILA)」とのがっつりコラボが出てきたね。

美濃島:「フィラ」とのコラボはロゴテープをぐるぐる巻いたり、前身頃が取り外せるスナップ式だったりと、実験的なアプローチが爆発していました。デジタルとフィジカルを組み合わせて“フィジタルショー“と冠していたのには笑いました。

「アリックス」からハードウエアがなくなった!

大塚:2022年春夏メンズの最後は、こちらも勢いに乗るマシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)の「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」。映像のロケーションは広大な海がバックで、(まさか、トム様路線!?)と一瞬レッドブルを買いに行きかけたのだけど、こちらはリック様路線で、シンプルなランウエイショー形式の演出でした。

美濃島:リック様路線ですが、爽やかさは皆無。ざらついた質感とダイナミックな音楽で、おどろおどろしささえありました。

大塚:同じ海辺だけど、こっちは夕暮れ時だったしね。映像を手掛けたのは、アーティストのジョーダン・ヘミングウェイ(Jordan Hemingway)。ここのブランドは常に都会的なイメージを発信してきたから、自然の中で見るのは新鮮だったわ。海辺ランウエイから山ランウエイ、崖ランウエイなどシーンが多彩に切り替わるので飽きずに見られたし。

美濃島:人工的なクリエイションと自然のコントラストが際立った映像でしたね。モノトーンのカラーパレットやテック感のある素材感、直線的なパターンワークなどマシューらしさはうっすら続いていますが、代名詞のハードウエアが皆無。ぱっと見だと「1017 アリックス 9SM」だと気づかないかも。

大塚:スポーティーかつインダストリアルな一時期のウリを意図的に削ぎ落としているのかなと。よく見ると名残はあるのだけど、ストリートキッズたちが夢中になったバックルの“バ”の字もないからね。着やすくなっているのかもしれないけど、シグネチャーでしかできない冒険心も忘れないでほしいとは思うかな。

美濃島:かつてのやり方に飽きているならよいですが、意識的に削ぎ落としてるなら、むしろガンガンせめていって欲しいです。アクセサリーはけっこう頑張ってて、流線形のプラットホームサンダルはヒットしそうですね。

<後半戦を終えて>

美濃島:後半戦は予算のあるブランド多めで、どれも見応えがありました。個人的には「ポール・スミス」と「トム ブラウン」がヒット。各国でワクチン接種が進んでいるし、次はいよいよリアルショー復活かも。でも、映像は作り手のメッセージを込めやすいし、表現の幅が無限大なので、シーズンごとに最適な方法を選ぶのが当たり前になるといいですね。

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超大作の「トム ブラウン」、やさしさにあふれた「ポール・スミス」などパリメンズ後半を先輩後輩がプレイバック 「アリックス」「ワイプロ」は変化の兆し

 2022年春夏メンズコレクションは、ロンドンとミラノが終了し、舞台はパリへ。海外からの現地リポートも随時更新中ですが、ここでは日本でリモート取材中の先輩&後輩コンビがダイジェスト対談をお届けします。ここでは、後半(6月26〜28日)に登場した11ブランドをプレイバック!ヤギがいたり、目からビームが出たり、30分の超大作があったりと、後半も情報量多めでお伝えします。

【対談メンバー】
先輩・大塚:海外コレクション取材歴5年目。「WWDJAPAN」副編集長。昨年からランニングにハマって2ケタ減量に成功。サイズダウンによりファッション欲がさらに上昇。

後輩・美濃島:昨年から海外コレクション取材をスタート。「WWDJAPAN」記者としてデザイナーズやスポーツを取材するも、最近みるみる巨大化。サイズアウトする服が続出。

実験的映像でブランドの武器をアピール

大塚:「カラー(KOLOR)」はまたすごい見せ方だったねー。トレッドミルのようなマシンをモデルがウオーキングして服の動きを見せつつつ、無人カメラがディテールをクローズアップするという手法。

美濃島:360度カメラを使った2021年春夏に似てると思ったら、今回も映像作家・田中裕介さんのディレクションでした。サカナクション山口一郎さんが担当した音楽は、静かなテクノで映像に集中できるし、盛り上げるとこは盛り上げてくれて飽きず見られました。

大塚:見た目は何だか近未来っぽくてすごいんだけど、“静”と“動”を両立させて服の魅力を分かりやすく伝えられる。とっても理にかなっている手法だと思った。特に「カラー」のような大胆さと緻密さを併せ持つブランドにはピッタリ。今回も異素材ミックスやパーツのコラージュがすごかったね。

美濃島:ワンピースに襟を4つ重ねたニットポロを組み合わせたり、ロングシャツの見頃に左右異なるシャツをくっつけたり、ピークドラペルのジャケットの襟の上にショールカラーのニットを合わせたり。ぱっと見どうなってるかわからないほど複雑な組み合わせなのに、素材や色合いが計算し尽くされていて全く破綻していません。少女漫画のプリントなど、攻めのモチーフもあってその振り幅も面白かったです。

まかさの“お寺ンウエイ” モデルが本堂に集結

大塚:「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」の日本シリーズがいよいよ極まってきた。今回の舞台はお寺で、まさかの寺ンウエイ。「幽玄」をテーマに、ブランドらしいエッジを効かせたストリートウエアのディテールを盛り込んでました。僧衣を思わせるトップスのシルエットや、着たときにドレープが生まれるバイアスのカッティング、ややくすんだカラーパレットは、時間の経過によって朽ちていく物の美しさを表現しているのだとか。今シーズンは「カサブランカ(CASABLANCA)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」も日本をテーマにしていたけれど、本家の表現はやっぱりひと味違うわ。どちらが大衆に受け入れられるかどうかはさておき、ギリギリの表現に挑んだ姿勢は素晴らしい。

美濃島:最後、本堂にモデルが集結するシーンはなかなかシュールでしたが(笑)、日本ブランドというイメージ作りは文句なしで1位です。はかまのようなワイドショーツや頭から顔を袈裟で包む“裏頭(かず)”に着想したフードブルゾンなど、自衛のために武装した僧侶“Warrior Monk”をスポーツウエアをベースに表現していました。日本の伝統を感じさせるパキっとした赤に、未来的なリフレクター素材を織り交ぜるなど、時代を超越する組み合わせも面白かった。

スナック、空港、ダイバーシティ
映像という“おもちゃ”を存分に楽しむ

大塚:「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」は空港での撮影だったのかな?前シーズンの映像でも登場した場末っぽいスナックから始まり、しかもカラオケのムービーにまたプレスの佐藤さんが出演していて笑っちゃった。美濃島さんは現場も取材したんだよね?

美濃島:はい、羽田空港第2ターミナルでの撮影でした。某アーティストのMVにインスパイアされてこのロケーションを選んだのですが、通常なら絶対に使用許可は降りない場所。今した実現しない映像なので、作り手も受け手も「ああ、あの時撮ったんだな」とメモリアルなシーズンになったと思います。

大塚:前回のコマ送り映像もすごい労力だったそうだけど、今回は意外とさらっとしてなね。

美濃島:映像はシンプルですが、実は演出にすごく凝ってるんです。多様性を表現するため50人以上のモデルが登場し、モデル1人1人に「虫取り網」「ダンス」「テニス」「マジック」などの演技テーマを設定。演技を嘘くさいものにしないため、オーディション時に趣味や特技をヒアリングしたそうです。当日も「動かされてるんじゃなく、自分から動く感じで」と自ら指導する姿があり、三原康弘デザイナーの妥協なき姿勢にシビれました。「次はリアルだから、映像はこれが最後。映像という“おもちゃ“を思う存分楽しみたい」という三原康弘デザイナーの思いが詰まっています。

大塚:前回は三原デザイナーも映像に登場してたけど、今回はどうだったのかな?

美濃島:警備員を模して、オレンジのつなぎ姿でちらっと登場しています。スナックを舞台とした冒頭など、クスっと笑える要素を盛り込むのは、「普通にショーを見せても早送りしたくなる。飽きずに見てもらうには、コメディが大事だ」と考えているから。三原デザイナーは毎シーズン、各ブランドの映像をくまなくチェックするそうで、長年業界をけん引し続けているのは、この姿勢があるからんだなと感服しました。

大塚:うわー、本当にすごいね。発表形式が変わって一番大変なのはブランドのはずなのに。常に前を向いてる姿勢にこちらが元気づけられるよ。

美濃島:バチバチの演奏を披露していたのは、インストバンドLITE。「ショーの演奏は初めて。しかも『ミハラ ヤスヒロ』で、こんな場所できるなんて、事件です」と語っていましたが、緊張した様子はなく、毎回最高の演奏でした。ライブシーンではモデルたちも自然と体が揺れ、本当のライブのよう。映像にBGMを後乗せするだけでもいいですが、ここでもリアルの強さが出たと思います。

大塚:服はいつもよりも少し大人の印象を受けたのだけど、実際もそんな感じ?

美濃島:黒やカーキ、ベージュなど落ち着いた色味がベースですが、ジャケットやコートの肩が思い切りはみ出ていたり、いたるところに切り込みがあったり、パンツが超ワイド&ねじれのパターンワークだったりと、ルックでは伝わらない存在感がありました。マルコム・マクラーレン(Malcolm McLaren)を彷彿させるマウンテンハットは「カシラ(CA4LA)」との、サングラスは「ブラン(BLANC)」とのコラボモデル。GUとの協業も記憶に新しいですが、こんな時だからこそ、いろんなものづくりに挑戦しようという三原デザイナーの気概が伺えました。

目にもやさしいアウトドアワールド

大塚:「ポール・スミス(PAUL SMITH)」の映像がビックリするぐらい進化していてきれいだったわ!まず空間ですよ。天井は水面のように優雅に波打ち、地面はパステルイエローでもはやヘヴン。:同様に、キーカラーの一つがイエローだったり、ヒマワリのモチーフを多用したり、レジャーへの欲求を優しく盛り込んでいたのかな。

美濃島:緑ではなく、イエローや赤などで自然を表現する感覚は、カラッとした気候を持つヨーロッパならではかも。水平線や地平線を思わせるボーダーも差し込み、自然の壮大さと優雅さ届けます。映像は徐々に照明が暗くなり、最後は夕日のような優しいオレンジに。音楽もゆったりしていて、とても癒されました。

大塚:アウトドア仕様のユーティリティージャケットや軽快なショーツを、テーラリングと自然に融合させるバランス感も素敵。何より、カラーリングのセンスで勝利です。マルチストライプのバッグもかわいかった。

美濃島:ペイントが途中で切れるクリエイションが可愛かったですね!僕は「ポーター(PORTER)」とのコラボバッグが気になりました。

超フリーダム&ジェンダーレス

大塚:最近の「ロエベ(LOEWE)」、めっちゃ好き。今シーズンはナイトクラブがインスピレーション源だから色使いがまあまあサイケだし、デヴィッド・シムズ(David Sims)撮影のルック写真も素人モデルを起用したフリーダムなムード。でも服の細部をよく見るとディテールが凝りまくっていて、「着てみたい」欲に駆られるんです

美濃島:ルックではサッカーしてたり、バイクに乗ってたり、目からビーム出しちゃったりと本当に自由。ロープを無数に垂らしたパンツやビーチでたむろする人々のイラスト、丸いくり抜きディテール、突如現れるサテンのリボンドレス、スパンコールでギラギラのワンピースなど、クリエイションの軸は正直よくわかりませんが、“洋服を通して楽しさを伝えたい”という思いはビシビシ伝わってきます。

大塚:クラフツマンシップを大切にするブランドは“服”というより“作品”になってしまうことも珍しくないのだけど、今シーズンの「ロエベ」はパワーみなぎるスタイルが先行しているからワクワクしたし、純粋に楽しかったよ。

美濃島:緑と黒のアナグラムの総柄は過去のシーズンからのキャリーオーバーで、サボテン由来のレザーなど、サステナブルな要素も盛り込みます。アイコンバッグ“パズル”はソフトな質感とビッグサイズにアレンジ。象のバスケットバッグはこれでもかと装飾され、持ち歩くだけで小さな悩みが吹き飛びそうでした。

冒頭のCGに一瞬ヒヤリ

大塚:「サルバム(SULVAM)」の映像は、まさかのゲームのようなCGからスタート!「え、こっちの方向性でいくの!?」と驚いていたら、キャラクターが手にするスマートフォンの中で人間が登場。正直、安心した(笑)。

美濃島:冒頭が意外すぎて、別ブランドの動画見てるのかと焦っちゃいました。モデルが登場しても背景がCGキャラの接写になり、終始集中力を削がれました。

大塚:テーラードやジェンダーフリュイドのフォームは変わらず、今回はものすごくテキスタイルを頑張ったのだなと伝わってきた。ピッチも太さもランダムなボーダー柄や編み地が多彩に変化するニット、アニマル柄のような複数のパターンなど、表面がめまぐるしく変化して面白かったな。ただ、個人的にやっぱり気になったのは真骨頂のテーラリング。序盤のネイビーパートのパイピングシリーズがかっこよかった。

美濃島:裏地を伸ばして揺らめかせたり、襟のパターンを左右で変化させたり、肩や裾をくりぬいたりとクラフト感あるテーラードも健在でしたね。水墨画のような和風な総柄は、軽やかだけど「ラルバム」らしい“悪さ”もあって個人的にドンピシャでした。

“超えられない山はない”

大塚:「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」の映像はロケーションがすごすぎ。「ファッションを通じて“超えられない山はない”」というたくましいメッセージを込めていたみたいなんだけど、壮大すぎて「っひゃー」って声出たわ。

美濃島:いやー、「ロードオブザリング」のワンシーンのみたいな映像でしたね。山のてっぺんでの撮影でしたが、あそこまでどうやって移動したんだろう。

大塚:今シーズンは都市生活とアウトドアの境界線の超越を目指したのだとか。ブランドとしてはずっと向き合ってきたテーマだとは思うけれど、あくまでファッションからのアプローチ。カラーパレットは必要最小限に、デザインとしても主張する機能的ディテールや花のモチーフがいっそう映えます。世間は自粛の反動でアウトドアへの欲求が高まっているし、ブランドにとっても追い風になるかもね。

美濃島:アウトドア市場は絶好調ですし、ファッション×アウトドアに参入するブランドは多いですが、ここまで高次元で融合させる技術とセンスはさすが。「バブアー(BARBOUR)」と協業したハンティングジャケットや「ダナー(DANNER)」とコラボしたモカシンブーツなど、人気のコラボも継続していました。

“いい子ちゃん”では終わらせない

大塚:「ダブレット(DOUBLET)」は前シーズンのほっこりムードから一転。パンク一直線のぶっ飛ばし系クリエイションで大笑いしました。会場は三鷹のオーガニック農園で、ティーザー画像もそこで飼っているヤギを前面に押し出すもんだから、てっきり地球に優しい系のほっこりクリエイションなんだろうなと思っていたのに、まんまとやられた。これ、絶対チームぐるみでの確信犯だよね(笑)。

美濃島:案内から完全に騙しにかかってました(笑)。会場でもディズニーみたいな平和なBGMが流れていたのに、ショーがスタートすると一転。ネオンが光りゴリゴリのパンクミュージックが鳴り響き、ヤンキーのようなスタイルが連発されます。マッシュルームレザーをはじめ、実はサステナブルな素材がふんだんに盛り込まれているそうで、スタイルとのギャップに驚かされました。ザ・真面目な優等生キャラは性に合わないのでしょうね。

大塚:モデルは実はオマージュキャラがいて、冒頭のナンシー・スパンゲン(Nancy Spungen)をはじめ、ジョン・ライドン(John Lydon)やスー・キャットウーマン(Sue Catwoman)、シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)や映画「タクシードライバー」のトラヴィスとか、もはやパンクとか関係なくてんこ盛り。そういうキャラ探しも楽しいね。

美濃島:だ、誰1人気付きませんでした(汗)。そういうネタがあると何度も映像で確認したくなりますね。視聴者を飽きさせないコメディ要素が、デジタルコレクションには必要かもしれません。

若者路線は吉と出る?

大塚:「ダンヒル(DUNHILL)」は前シーズンから方向性を大胆チェンジ。Z世代を意識したクリエイションにガラリと変わったね。

美濃島:テーマは“アイデンティティー“。上質なジャケットをオーバーサイズで、そこにフーディーやシェル、キャップを合わせて着崩すスタイルです。若干既視感もありますが、今っぽいです。

大塚:今シーズンは春夏だからか、よりスポーティーでキャップやマーブル柄のアクセをぐいっと主張してくる感じ。もともとクラシックをモダンに進化させてきたブランドなだけに、とてもきれいにまとめているスタイルもあれば、ちょっと強引かもねーというルックがあるのも正直なところ。

美濃島:超かっこいいマーブル模様は、アメリカ人アーティストのエレン・キャリー(Ellen Carey)によるもの。トップスからハット、アイコン“ロックバッグ“にまで採用して、キャッチーさを添えていました。コートは下身頃を取り外してブルゾンとしても着られるギミック。いろんな挑戦が見られますが、消費者がどんな反応をするのか気になりますね。

大塚:センスがあるのは間違いないので、今後はZ世代に“「ダンヒル」である必要性”をどこで感じさせるのかに注目していきたいです。

超大作に込めたメッセージを勘ぐる

大塚:さあ、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」様がすごいの投下してきましたよ。パリメンズ最終日に30分の映像という超大作。ゆるみそうな気分がビシッと引き締まるわ(笑)。

美濃島:今シーズン最長じゃないですか?めちゃくちゃ構えてPCに向かうと、美しい原っぱを走る男子が映し出されました。

大塚:この男性がスポーツの祭典に出場するためにトレーニングを積む日常を過ごし、いよいよ本番の日を迎える。この時点ですでに16分。そして準備万端で競技場に足を踏み入れると……パーンとアニメーションに切り替わるという意外な展開に。シュールなアニメが約7分間続き、男の帰路を追いかけて映像が終了。音楽もいいし、映像もきれい。でもトム様、僕たちはこの映像で何を語ればよいのでしょうか(涙)。

美濃島:大塚さん、僕らは何も語らなくていいんです。朝日とともに目覚め、一日中草原を走り周り、心地よい疲労とともに家に帰り、夕日を眺めてから就寝する。途中までただそれだけの繰り返しですが、1日ごとの景色が違って見えて、人生は毎日の繰り返しなんだなと感動すら覚えました。コレクションビデオというより完全に映画。洋服はルックで見せればいい。全ブランドそれだと困りますが、これくらい作り込んでくれるなら大歓迎です。スーツスタイルに身を包んだときの高揚感は、ドレスアップとハレの場の大切さを物語っていました。すごい映像体験だったな。

コーマシャルも意識する大人な「ワイプロ」

大塚:はい、いよいよ終盤戦だよ!お次は「ディーゼル」のクリエイティブ・ディレクター就任でノリに乗ってるグレン・マーティンス(Glenn Martens)の「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」。今シーズンの映像は“Y”の字のランウエイを複数人のモデルたちがランダムに歩く演出。つまんだりねじったりするヒネリエイションは変わらずなのだけど、なんかこうコマーシャルを意識する余裕が出てきたというか。数年前までは足し算だらけで奇抜だったのか、いい意味できれいにまとめるセンスがついてきたのはやはり資金力からくるソレなのか。

美濃島:Yを模したピアスや布をねじったようなバッグなど、売れ線アイテムがちゃんと用意されてましたね。ネックがいくつもあったり、ウエストが二重になったりといつものグレン節のクリエイションですが、落ち着いたカラーパレットのためか落ち着いた印象も受けました。

大塚:途中から「フィラ(FILA)」とのがっつりコラボが出てきたね。

美濃島:「フィラ」とのコラボはロゴテープをぐるぐる巻いたり、前身頃が取り外せるスナップ式だったりと、実験的なアプローチが爆発していました。デジタルとフィジカルを組み合わせて“フィジタルショー“と冠していたのには笑いました。

「アリックス」からハードウエアがなくなった!

大塚:2022年春夏メンズの最後は、こちらも勢いに乗るマシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)の「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」。映像のロケーションは広大な海がバックで、(まさか、トム様路線!?)と一瞬レッドブルを買いに行きかけたのだけど、こちらはリック様路線で、シンプルなランウエイショー形式の演出でした。

美濃島:リック様路線ですが、爽やかさは皆無。ざらついた質感とダイナミックな音楽で、おどろおどろしささえありました。

大塚:同じ海辺だけど、こっちは夕暮れ時だったしね。映像を手掛けたのは、アーティストのジョーダン・ヘミングウェイ(Jordan Hemingway)。ここのブランドは常に都会的なイメージを発信してきたから、自然の中で見るのは新鮮だったわ。海辺ランウエイから山ランウエイ、崖ランウエイなどシーンが多彩に切り替わるので飽きずに見られたし。

美濃島:人工的なクリエイションと自然のコントラストが際立った映像でしたね。モノトーンのカラーパレットやテック感のある素材感、直線的なパターンワークなどマシューらしさはうっすら続いていますが、代名詞のハードウエアが皆無。ぱっと見だと「1017 アリックス 9SM」だと気づかないかも。

大塚:スポーティーかつインダストリアルな一時期のウリを意図的に削ぎ落としているのかなと。よく見ると名残はあるのだけど、ストリートキッズたちが夢中になったバックルの“バ”の字もないからね。着やすくなっているのかもしれないけど、シグネチャーでしかできない冒険心も忘れないでほしいとは思うかな。

美濃島:かつてのやり方に飽きているならよいですが、意識的に削ぎ落としてるなら、むしろガンガンせめていって欲しいです。アクセサリーはけっこう頑張ってて、流線形のプラットホームサンダルはヒットしそうですね。

<後半戦を終えて>

美濃島:後半戦は予算のあるブランド多めで、どれも見応えがありました。個人的には「ポール・スミス」と「トム ブラウン」がヒット。各国でワクチン接種が進んでいるし、次はいよいよリアルショー復活かも。でも、映像は作り手のメッセージを込めやすいし、表現の幅が無限大なので、シーズンごとに最適な方法を選ぶのが当たり前になるといいですね。

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「ファイントゥデイ資生堂」始動 資生堂の日用品事業を引き継ぎグローバル化加速

 資生堂のパーソナルケア事業(日用品事業)を引き継いだ新会社、ファイントゥデイ資生堂が7月1日から始動する。舵取りを任された小森哲郎ファイントゥデイ資生堂社長兼CEOや魚谷雅彦資生堂社長兼CEOらが6月30日に会見し、「日本発のアジアにおけるグローカル企業のロールモデルへの発展」(小森社長)に向けた取り組みを述べた。

 ファイントゥデイ資生堂は、資生堂や投資ファンドのCVCキャピタルパートナーズが出資。ヘアケアブランド「ツバキ(TSUBAKI)」やスキンケアブランド「専科(SENKA)」などのヘアケアやスキンケアなどのパーソナルケア製品のマーケティング・販売を行う。事業を舵取りする小森社長は「1000億円の事業規模を持つ資生堂のパーソナルケア事業は、中国はじめアジア諸国に進出も果たしている。成長ポテンシャルを感じる」と日用品事業への期待を語った。

 しかし、資生堂は高級化粧品を強化する中で、日用品事業への投資が十分にできない環境にあった。また、日本中心の組織構造だったが海外売り上げ比率が50%と急伸し、組織再編が急務だった。そこで「1、ブランドのポートフォリオを明確化し、成長ブランドに投資を行う 2、高回転型のオペレーション作りで、高収益体質にする 3、アジア市場に向けたきめ細かいニーズ対応やオペレーションを構築。eコマースやDXも推進 4、製品という横軸と人という縦軸のマトリックスを可視化して、課題解決のガバナンスを進める」(小森社長)ことで成長基盤を固めることを明言した。

 主軸となるブランドは「専科」と「ツバキ」で、両ブランドともすでに100億円規模の売り上げを達成する。期待ブランドに掲げるメンズスキンケア「ウーノ(UNO)」「フィーノ(FINO)」、中国市場で支持が高い「クユラ(KUYURA)」にも積極投資を進め、100億円規模のブランド作りを推進する。

 「フェーズ1は、日本発のブランドであり、資生堂のきめ細やかなモノ作りの強みを生かし、アジアでの存在価値をさらに高めること。フェーズ2は日本でのモノ作りの仕方を海外でも同様に進める。資生堂で培った美的感覚を踏襲しながらも効率よく進めていく」(小森社長)。2026年には1500億円の事業規模まで拡大し、従業員数も現在の倍の1000人を目指す。

 資生堂の魚谷社長は「パーソナルケア事業は60年以上を持つ。今回、分離独立することでパーソナルケア専業の会社として大きく発展していく。これまで同事業に携わったスタッフがこれからの展開やビジョンに夢を持って取り組んでほしい」とエールを送った。

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山田優が「イノアカラー」でツヤ&透明感あるベージュアッシュに変身

  ロレアル プロフェッショナルの「イノアカラー」は、スタイリストによる施術でプレミアムなヘアカラー体験を叶える。長年通うヘアサロンでベージュアッシュのヘアカラーに挑んだ山田優が、「イノアカラー」の魅力やスタイリストに寄せる信頼を語った。

ツヤのあるヘアカラーと
モノトーンファッションの共演

  今回の撮影は、山田が長年通い続けるヘアサロンSUNVALLEYのみち子がヘアカラーを担当。みち子は、用いた「イノアカラー」について「艶やかな質感を手に入れながら、日本人がヘアカラーをすると出やすい赤みや黄みをコントロールしてくれるのが魅力」と話す。ロレアル独自の先進テクノロジー、オイルデリバリーシステムがプレミアムなベージュアッシュを叶えた。ツヤのあるヘアカラー&スタイルを活かすべく、ファッションはモノトーンに。上の写真は、ヘアサロン同様、お客様とスタイリストのリラックスした関係性を表現している。

山田はサロンに
「絶対の信頼感と安心感」

WWDJAPAN(以下、WWD):お二人は出会って以来、毎月のように、家族ぐるみで付き合うくらいだと聞いた。

山田優(以下、山田):私が16歳の時からのお付き合いで、絶大な信頼を寄せ、絶対的な安心感を抱いています(笑)。無茶なお願いも叶えてくれる存在で、「こんなカンジに」を全部形にしてくれるんです。

渋谷謙太郎SUNVALLEY代表(以下、渋谷):「こんなカンジに」と頼まれると、自分の引き出しが次々と開き始めるんです。昔からなんでも似合うけれど、「カワイイ」より「カッコいい」の方が似合うよね。ヘアカラーなら、ハイライトは細かく入れるより大胆に入れたり、アッシュカラーも濃い目にしたり。昔は水色とか鮮やかなブルーにしたこともあったけれど、良く似合ってた。

山田:ヘアカラー、大好きだから(笑)。飽き性なところもあるし、人とカブるのが嫌い。気分もアガるので、私にとっては、なくてはならない存在です。とは言え仕事もあるので、カラーをするか・しないか、どんな色にするか?は、いつも悩みどころ。信頼しているので、いろんな画像を一緒に見ながら、「コレはどう?」って相談しながら色を決めるんです。ずっと一緒だったから、カラーリングもリラックスしながら受けています。

「こんなカンジに」が
「イノアカラー」は表現しやすい

WWD:今回挑戦したベージュアッシュカラーは、どんな風に話し合って決めた?

渋谷:リクエストを聞きながら、みち子がカラーを選びました。透明感のあるベージュは、彩度が高いので明るいカンジ。落ち着いているけれど、物足りなくはならない。ちょっと遊びたい気持ちも叶えてくれるカラーです。

WWD:この色は、「イノアカラー」だから実現した?

渋谷:表現しやすいのは、間違い無いですね。「イノアカラー」は、ツヤも出る。ヘアカラーを続けているとどうしても髪に負担がかかるけれど、「イノアカラー」はハイトーンを続けている髪でも負担が少ない印象です。

山田:ツヤは、私も感じました。昔からブリーチしたりヘアカラーをしたりすると、スタイリングするまで髪に元気がない感じでした。でも今回は、最初からツヤのあるスタイルに仕上がった印象です。

WWD:頼れるスタイリストと「イノアカラー」だと、ヘアカラーはもっと楽しくなる?

山田:この色だったら、仕事にも支障を来さずに楽しめそう。

渋谷:お客様からネタをもらい、そこからスタイリストが考えられる関係性があると、新しいヘアカラーやヘアスタイルは、もっと楽しくなると思います。

山田:私の周りにいる人は、みんなSUNVALLEYに通っているんです(笑)。そのくらい腕も、人柄も良い人が揃っている心地よいヘアサロン。本当にありがたい存在です。

渋谷:こちらこそ、山田さんみたいなお客様こそ、本当にありがたい存在です(笑)。

SNSでも影響力を持つ
iNOA GANG & ANGELって?

  オイルだからこそ実現するサロンでしかできないプレミアムなカラー体験を叶えるべく、「変わりたい」と願うお客様とコミュニケーションして、「イノアカラー」で「なりたい自分」を実現するのが、全国のトップサロンで活躍するiNOA GANG & ANGELだ。

問い合わせ先
ロレアル プロフェッショナル
03-6911-8321

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山田優が「イノアカラー」でツヤ&透明感あるベージュアッシュに変身

  ロレアル プロフェッショナルの「イノアカラー」は、スタイリストによる施術でプレミアムなヘアカラー体験を叶える。長年通うヘアサロンでベージュアッシュのヘアカラーに挑んだ山田優が、「イノアカラー」の魅力やスタイリストに寄せる信頼を語った。

ツヤのあるヘアカラーと
モノトーンファッションの共演

  今回の撮影は、山田が長年通い続けるヘアサロンSUNVALLEYのみち子がヘアカラーを担当。みち子は、用いた「イノアカラー」について「艶やかな質感を手に入れながら、日本人がヘアカラーをすると出やすい赤みや黄みをコントロールしてくれるのが魅力」と話す。ロレアル独自の先進テクノロジー、オイルデリバリーシステムがプレミアムなベージュアッシュを叶えた。ツヤのあるヘアカラー&スタイルを活かすべく、ファッションはモノトーンに。上の写真は、ヘアサロン同様、お客様とスタイリストのリラックスした関係性を表現している。

山田はサロンに
「絶対の信頼感と安心感」

WWDJAPAN(以下、WWD):お二人は出会って以来、毎月のように、家族ぐるみで付き合うくらいだと聞いた。

山田優(以下、山田):私が16歳の時からのお付き合いで、絶大な信頼を寄せ、絶対的な安心感を抱いています(笑)。無茶なお願いも叶えてくれる存在で、「こんなカンジに」を全部形にしてくれるんです。

渋谷謙太郎SUNVALLEY代表(以下、渋谷):「こんなカンジに」と頼まれると、自分の引き出しが次々と開き始めるんです。昔からなんでも似合うけれど、「カワイイ」より「カッコいい」の方が似合うよね。ヘアカラーなら、ハイライトは細かく入れるより大胆に入れたり、アッシュカラーも濃い目にしたり。昔は水色とか鮮やかなブルーにしたこともあったけれど、良く似合ってた。

山田:ヘアカラー、大好きだから(笑)。飽き性なところもあるし、人とカブるのが嫌い。気分もアガるので、私にとっては、なくてはならない存在です。とは言え仕事もあるので、カラーをするか・しないか、どんな色にするか?は、いつも悩みどころ。信頼しているので、いろんな画像を一緒に見ながら、「コレはどう?」って相談しながら色を決めるんです。ずっと一緒だったから、カラーリングもリラックスしながら受けています。

「こんなカンジに」が
「イノアカラー」は表現しやすい

WWD:今回挑戦したベージュアッシュカラーは、どんな風に話し合って決めた?

渋谷:リクエストを聞きながら、みち子がカラーを選びました。透明感のあるベージュは、彩度が高いので明るいカンジ。落ち着いているけれど、物足りなくはならない。ちょっと遊びたい気持ちも叶えてくれるカラーです。

WWD:この色は、「イノアカラー」だから実現した?

渋谷:表現しやすいのは、間違い無いですね。「イノアカラー」は、ツヤも出る。ヘアカラーを続けているとどうしても髪に負担がかかるけれど、「イノアカラー」はハイトーンを続けている髪でも負担が少ない印象です。

山田:ツヤは、私も感じました。昔からブリーチしたりヘアカラーをしたりすると、スタイリングするまで髪に元気がない感じでした。でも今回は、最初からツヤのあるスタイルに仕上がった印象です。

WWD:頼れるスタイリストと「イノアカラー」だと、ヘアカラーはもっと楽しくなる?

山田:この色だったら、仕事にも支障を来さずに楽しめそう。

渋谷:お客様からネタをもらい、そこからスタイリストが考えられる関係性があると、新しいヘアカラーやヘアスタイルは、もっと楽しくなると思います。

山田:私の周りにいる人は、みんなSUNVALLEYに通っているんです(笑)。そのくらい腕も、人柄も良い人が揃っている心地よいヘアサロン。本当にありがたい存在です。

渋谷:こちらこそ、山田さんみたいなお客様こそ、本当にありがたい存在です(笑)。

SNSでも影響力を持つ
iNOA GANG & ANGELって?

  オイルだからこそ実現するサロンでしかできないプレミアムなカラー体験を叶えるべく、「変わりたい」と願うお客様とコミュニケーションして、「イノアカラー」で「なりたい自分」を実現するのが、全国のトップサロンで活躍するiNOA GANG & ANGELだ。

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03-6911-8321

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野菜と果物で美しい髪へ 新ブランド「ヘアキッチン」 確かな使用感とクリーンビューティを両立

 資生堂プロフェッショナルの新ヘアケアブランド「ヘアキッチン(HAIR KITCHEN)」が7月にデビューする。髪のパサつきや艶の低下、頭皮のニオイなど、さまざまな悩みの根源となる“酸化”に着目し、野菜や果物が持つ、自然環境を生き抜くパワフルな力を用いたオリジナル処方が特長だ。シャンプーは乾燥や脂性などの頭皮悩みに合わせて、トリートメントはまとまりやボリュームといった髪悩みに合わせて複数のラインアップを用意。ユーザーはシャンプー、トリートメント、フィニッシングミストなどのステップごとに最適なアイテムを選び、よりパーソナルな組み合わせで楽しめる。

 成分だけではなく、髪や頭皮、地球環境に負荷の少ない設計など、随所に透明性や倫理的観点の要素を取り入れた。サステナビリティにまつわる情報やアイテム選びのポイントなどを伝えるデジタルプラットホームも用意し、社会問題への意識が高い次世代のニーズに応える。

実力があって、しかもサステナブル
モデルにもおすすめしたくなる
ブランド

 今やサステナブルやエシカルに興味のある人は多いけれども、その要素だけで選べないのがヘアケア。“自分が好きで使っているブランドが、気付いたらサステナだった”くらいの方が続けられるし、今の空気感に合っていると思う。「ヘアキッチン」のシャンプー&トリートメントは、悩みや仕上がり別にそれぞれ3つの種類があるが、その違いがはっきり出ることに驚いた。アウトバスも優秀で、“テクスチャライジング リッチオイル”は、髪はしっとりしながら表面はツルツル、しかも軽いという今夏のトレンドの髪質を簡単に作れる。また、私は最近(明るかった髪を)黒髪にしたが、黒髪は本当に艶が大事。“フィニッシングミスト”は自然な艶感を与えてくれるので助かっている。まさに「使っていて楽しく、しかもサステナ」というブランドで、モデルさんからおすすめのヘアケアを聞かれたときに提案しやすい。

「ヘアキッチン」5つの特長

目的・用途に合わせた
豊富なラインアップ

問い合わせ先
資生堂プロフェッショナル ヘア技術センター
0120-785-466/企画・制作:WWDJAPAN

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TSIの「キュレーション型ECメディア」本格始動 テレビCMで訴求

 TSIは、デジタルキュレーションECメディアと銘打って3月に立ち上げた「ヒューエルミュージアム(HUELE MUSEUM)」の事業を本格化する。29日からはテレビCMの放映を開始した。8月20日から来年1月下旬までルミネ新宿1でポップアップストア(売り場面積76平方メートル)を営業し、サイトの世界観をリアル店舗でも伝える。

 「ヒューエルミュージアム」は、“ファッション×フラワー×アート”をコンセプトに、30〜40代の女性をターゲットにしたECメディア。TSIの婦人服「エレ ストリオフ(ELE STOLYOF)」「フロム(FLOML)」「ル フィル(LE PHIL)」「スタンブリー(STUMBLY)」「ハーヴェルスタジオ(HAVEL STUDIO)」の5ブランドを販売する。また、これらの服とクリエーターが協業したコンテンツを発信することで、通常のECサイトとは一線を画したカルチャーを提案する。雑誌「バァフアウト!(BARFOUT!)」が女優・佐久間由衣を取り下ろした作品や、フラワーアーティストとフォトグラファーとの協業によって生まれたコンセプトビジュアル、ブランドのデザイナーやクリエーターのインタビューなど、メディアとして楽しめる要素を充実させた。

 テレビCMも服とクリエーターとの協業の一つで、ポップピアニストのハラミちゃんの演奏に合わせてバレエダンサーの飯島望未が踊りを披露している。メイキング動画も同サイトと公式ユーチューブチャンネルで公開中だ。

 5ブランドは百貨店でのショップインショップやセレクトショップでの卸売りで展開されており、TSIの婦人服の中でもハイエンドに属する。ECでも独自の世界観の表現が欠かせないと判断した。また5ブランドの組み合わせによる相乗効果も狙う。

 来年には売り場面積198〜231平方メートルの常設店の出店も視野に入れる。“ファッション×フラワー×アート”というコンセプトをしっかり表現できる空間を設けて、消費者が「ヒューエルミュージアム」のオンライン(EC)とオフライン(リアル店舗)を行き来できるようにする。中期的な構想としては5大都市に常設店を出したい考えだ。

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細胞ケアが新たなエイジングケアの潮流に 注目の成分・ウロリチンで細胞再活性化

  生物の種類によって個数や機能の差はあるが、私たちは細胞からできている。人間の場合、受精卵が分裂を繰り返して目や皮膚、肝臓などを形作りながら、なんと37兆個まで細胞が増加。細胞はいわば“人間の基本”なのだ。そんな体の源である細胞をケアする“細胞活性化”が今、新たな潮流として注目を浴びている。細胞の機能を高めることで体も肌も元気になるというが、その“細胞活性化”に欠かせないのが、ベリーなどに含まれる成分・ウロリチンだと世界的最新研究で解明。市場の期待も高まる中、大学発ベンチャーとして設立されたオートファジーGO(AutoPhagyGO)では、創薬や食品などの実用化を目指して企業との共同開発も進めているなど、細胞再活性化は最先端のエイジングケアとして関心を集めている。

“人間の基本”とも言われる
細胞の働きとは

  細胞はエネルギーやホルモンを作ったりウイルスと戦ったりとさまざまな役割を果たしているが、実は新陳代謝を行い、細胞そのものも日々生まれ変わっている。しかし、中には細胞内の組織が古くなって壊れたり、傷ついても回復力がうまく働かなかったりなど細胞の機能が低下してしまうことも。これらは、細胞内の新陳代謝が速やかに行われないことと、紫外線やストレス、汚染物質、食生活の乱れ、不規則な生活などが要因で発生した活性酸素が細胞のDNAを傷つけていることが原因だ。また、加齢とともに「細胞内の新陳代謝」「傷を修復する力」が下がってしまうために、細胞の機能低下も起こってしまう。だからこそ、体の根本から健康になるためには、機能が低下した細胞を再活性化して元気な細胞に戻す必要がある。

機能低下した細胞に必要な
「細胞再活性化」

細胞を活性化させる
注目の“ウロリチン”

  機能低下した細胞を回復させる働きを持つオートファジーとサーチュイン遺伝子。この2つの相乗効果を発揮する食品素材として、ブドウや赤ワインに多く含まれるレスベラトロールのほか、細胞再活性化素材として近年注目されているのがウロリチンだ。ウロリチンはポリフェノールの一種で、オートファジーの重要な働きである、壊れたミトコンドリアの除去を促進する作用が確認された食品素材。ウロリチンはザクロやベリー、ナッツ由来のポリフェノールを腸内細菌の働きで代謝されてできる成分であるが、産生能力には個人差があるため、これらの食品を摂取するだけでなくウロリチンそのものを摂取することが好ましい。

吉森保大阪大学栄誉教授も
実用化に期待の成分

  年齢と共にオートファジーの働きが弱くなるため、細胞の機能が低下します。つまり、細胞の機能を回復させていつまでも若々しく健康で長生きするためには、オートファジーの力を高めていくことが大切。一方、サーチュインも健康長寿に重要です。オートファジーとサーチュインの両方に働きかけ、細胞を再活性化させる素材の研究が進み実用化されていくことで、細胞から全身が元気になり、心も体も元気に過ごす毎日につながるのではないかと期待しています。また、細胞再活性化を促す“ウロリチン”や“レスベラトロール”といった食品成分を摂り入れることで健康長寿に寄与するのはもちろん、肌への効果も期待できます。そのほか、高脂肪食を控えたりカロリーを制限するといった食事法の変更や、ジョギングなどの運動を継続することも細胞再活性化につながります。

問い合わせ先
一般社団法人ウェルネス総合研究所
info@wellness-lab.org

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売り場発「ベスコス」だから面白い!編集後記 「今週の特集お届け隊」2021年6月28日号

 毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2021年6月28日号からの抜粋です)

米山:百貨店・セミセルフショップとドラッグストア&バラエティーショップの集計によるランキングにして今回で2回目の「ベスコス」でしたね。

中村:以前は他の美容雑誌と同じく美容家やインフルエンサーの意見を元にランキングを決めていたけれど、僕らのはシンプルに売れ行きでランキング。売り場からの情報なので、ブランドやクライアントへの忖度は一切ナシというのが、うちらしいよね。

米山:私は個人的にすごく好きな「スック(SUQQU)」の4色のアイシャドーパレットが百貨店の新製品でも総合でもトップにランクインして、うれしかったです!売れたものベースはやはり予想を裏切らない感じがありました。

中村:全体的に順当だよね。今回はメンズコスメ部門を新設したけど、新製品も総合も1位から3位まで「シセイドウ メン(SHISEIDO MEN)」が独占。なんでかなとコメントを見たら資生堂顧客の女性が夫の分も買うパターンがあるようで。コロナ下で一緒にいる時間が多いからか、妻は夫の肌が気になったりするらしい(笑)。あと、メンズのエントリー商材としても機能しているみたい。誰もが知っているブランドだから、安心感があるのかなと思った。

米山:メンズブランドも増えているし、アイテムももっといろいろ入ってくるかと思っていたら、全然そんなことなかったですね。メンズコスメの需要ってずっと横ばいだそうで、ブームは今か今かと思っているのですが、やっぱりまだなんだなというのが分かりました。ドラバラのメンズコスメは除毛剤とデオドラントがランクインしていて、まだまだ身だしなみ系アイテムなんだなというのも興味深かったです。

中村:インフルエンサーなどに聞いてしまうとファンデーションとかが挙がるんだろうけど、実際売れたものとなるともっと定番的なものになるんだろうね。「ベスコス」はどこの媒体でも鉄板企画だけれど、僕たちは売り場からの情報だということをもっとアピールしたい。

米山:毎回ビューティチーム全員、ウェブに紙面に本当に大変ですが、盛り上がりますよね。7月5日20時からのIKKOさんをお招きしてのライブ配信もすごく楽しみです!

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