マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)本人を題材にしたドキュメンタリー映画「マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”」(原題:Martin Margiela: In His Own Words)が9月17日から渋谷ホワイトシネクイントやヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国の劇場で順次公開される。上映時間は90分。
監督を務めるのは、映画「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」(原題:Dries、2016年)など30本以上のドキュメンタリー映画を制作してきたドイツ出身のライナー・ホルツェマー(Reiner Holzemer)。マルジェラはこれまで公の場に姿を見せることもなく取材や撮影を断り続け匿名性を貫いてきたが、ホルツェマーはマルジェラの信頼を勝ち取り、ドキュメンタリーを完成させた。同作では、「このドキュメンタリーのためだけ」という条件のもと、初公表となるドローイングや膨大なメモから、7歳で作ったというバービー人形の服などプライベートの記録を見せ、ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)のアシスタント時代やヒット作となった足袋ブーツの誕生、突然の引退まで、これまで一切語ることのなかったキャリアやクリエイティビティについてカメラの前でマルジェラ自身が語る。
コロナ禍の昨年9月に行われた「ルイ・ヴィトン」2021年春夏コレクションのショー PHOTO BY LOUIS VUITTONコロナ禍の昨年9月に行われた「シャネル」2021年春夏コレクションのショー PHOTO BY OLIVIER SAILLANTコロナ禍の昨年9月に行われた「ヨウジヤマモト」2021年春夏コレクションのショー PHOTO BY ELISE TOIDE
フランスオートクチュール・プレタポルテ連合会(Federation de la Haute Couture et de la Mode以下、サンディカ)は9月14日、2022年春夏パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)の最終スケジュールを発表した。9月27から10月5日までの9日間に、97ブランドがコレクションを披露する。そのうち、37ブランドがリアルショーを計画。39ブランドは、デジタル発表に加え、現地でのプレゼンテーションを行う。
「ANREALAGE:A&Z」は、創設時からブランドを支えてきた写真家の奥山由之をはじめ、藤原新也、レスリー・キー(Leslie Kee)らの写真を掲載する。さらに長谷川祐子・金沢21世紀美術館館長や、アレクサンドレ・サムソン(Alexandre Samson)=パリ市立パレ・ガリエラ服飾美術館キュレーターが寄稿するほか、森永邦彦デザイナーがコレクションに対する思いを綴っている。パリ・コレクション史上初のオンライン参加で、ブランドの原点回帰となったコレクション「HOME(回帰)」を中心に、「LIGHT/SHADOW(光陰)」「GOD IS IN THE DETAILS(細部)」「SHAPE(形)」「COLOR(色)」「INTANGIBLE(無形)」「PERSPECTIVE(視点)」「HISTORY(軌跡)」 の8章立てで構成する。
1970年生まれのNIGO®(本名は長尾智明)氏は高田賢三「ケンゾー」創業デザイナーと同じ、文化服装学院を卒業。「ケンゾー」がLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下になった1993年にファッションのキャリアをスタートし、同年に「ベイプ」を立ち上げた。フルジップ仕様の“シャーク”フーディーをはじめとするヒットアイテムを生み出し、ストリートウエア界をけん引してきた存在だ。そのほかファレル・ウィリアムス(Pharrel Williams)とストリートウエアブランド「ビリオネア ボーイズ クラブ(BILLIONAIRE BOYS CLUB)」を立ち上げたり、ユニクロの「UT」シリーズのクリエイティブ・ディレクターを務めるなど、幅広く活躍。2010年には「ヒューマン メイド(HUMAN MADE)」を立ち上げ、11年には「ベイプ」をI.Tに売却後、13年に同ブランドを去った。
エトロは、1968年にジェローラモ・エトロ(Gerolamo Etro)がテキスタイル会社として創業。80年代にはウエアやライフスタイル分野にも手を広げ、香水やスーツケースも手掛けるようになった。長らく一族経営の企業として知られ、身売りはしないと公言していたが、2021年7月にLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)系の投資会社、Lキャタルトン(L CATTERTON)に株式の60%を5億ユーロ(約645億円)で売却した。今回の人事に伴い、エトロ創業者は会長に就任する。
9月18日から同美術館でスタートする展示会のテーマ“イン・アメリカ:ア・レキシコン・オブ・ファッション(In America: A Lexicon of Fashion)”にちなみ、「メットガラ」のドレスコードは「アメリカの独立(American Independence)」だ。多くのセレブリティーが華やかなレッドカーペットファッションを披露することで“ファッションの祭典”とも称される同イベントの来場者のファッションを着用ブランドとともに紹介する。
共同ホストのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)は、「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」のペールピンクのチュールドレスに、13個の「カルティエ(CARTIER)」のジュエリーを合わせた。ビリーが「ヴォーグ(VOGUE)」5月号表紙で披露して以来継続しているオールドハリウッド的スタイルだ。
ラッパーのリル・ナズ・X(Lil Nas X)は、レッドカーペットの上で3回も衣装チェンジ。登場時に着用していたゴールドのマントを脱ぎ、騎士のような黄金の甲冑を披露。さらに、クリスタルが輝く全身ボディースーツにチェンジした。3つのルックは全て「ヴェルサーチェ(VERSACE)」が手掛けた。
アマンダ・ゴーマンや大坂なおみ選手といったさまざまな業界から集まったメンバーが共同ホストを務めた今回の「メットガラ」は、より多様な業界の有力人物を招待した。AOCことアレクサンドリア・オカシオ・コルテス(Alexandria Ocasio Cortez)下院議員は“Eat the Rich”ならぬ“Tax the Rich(金持ちに税を負担させよ)”というメッセージがのったドレスを着用。ドレスはファッションデザイナーでアクティビストでもあるオーロラ・ジェームズ(Aurora James)が手掛けた。そのほか体操のシモーネ・バイルズ(Simone Biles)選手や陸上のアリソン・フェリックス(Allyson Felix)選手も来場した。
美濃島匡/記者:東コレ取材2年目。今回はデジタル取材に専念した。自宅でも臨場感を出すため、コレクションムービーはテレビの大画面で鑑賞。今から来シーズンの現場取材が楽しみ (中)大澤錬/ソーシャルエディター:東コレ取材2シーズン目。若手随一の“ファッションバカ”として、リアルショー取材に初参戦。学生のころからコレクション期間中にスナップされるのも楽しみの一つ (右)大杉真心/リポーター:東コレ取材歴は9年。「WWDJAPAN」記者を経て、2021年8月にフリーランスとして独立し、執筆、編集、企画に携わる。今季は現場担当として20ブランドのリアルショーを取材ILLUSTRATION : UCA