バロック村井社長が考える 「売上高」よりも大事にすべきこと

 バロックジャパンリミテッドの2021年3〜8月期は営業利益5億2000万円、純利益2億9000万円で、前年同期(営業利益9億7000万円、純利益12億円)に続き上半期を黒字で折り返した。コロナ前の水準には至らないものの、売上高(前年同期比26.9%増)、売上総利益(30.9%増)ともに大きく回復している。主力の「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」などSC販路のブランド(前年同期比27.9%増)、「マウジー(MOUSSY)「 スライ(SLY)」などファッションビル販路のブランド(同16.7%増)がけん引した。だが、村井博之社長は状況を楽観していない。「コロナ禍を経て、お客さまに求められる商品はより本質的なものとなる。市場にないものを作るという『マーケットアウト』の発想を常に持ち続けなければ生き残れない」と気を引き締める。

WWD:上半期を振り返ると?

村井博之社長(以下、村井):黒字着地はできたものの、課題の残る上半期だった。8月に急激に感染状況が深刻化し、ある程度の需要を見込んで準備していた夏物在庫の在庫消化に追われ、値引き販売が増えてしまった。昨年は4月の緊急事態宣言を受けて、急きょ夏物企画の仕入れを大きく減らしたため、セールもほとんどせず売り切ることができた。結果論で言えば、こちらの方が健全であり、理想に近かった。

WWD:売上高、売上総利益ともに順調に回復している。

村井:売上高を右肩上がりで伸ばすことを正義と考えるのは、もうやめにしたい。日本では消費者のボリューム自体が減る中、既存店売上高を上げ続けることにとらわれていては、いつまでたってもセールはなくならない。すぐになくせるものではないが、これ(コロナ禍)を契機にすることはできる。30年前のクリアランスセールは、7月と1月にそれぞれ2週間ずつ開催する程度だった。これがじわじわと拡大し、いまや6月から前倒し開催しているところもあれば、8月までダラダラ続けているところもある。我々のような規模の大きい上場アパレルがそれをしていては、業界全体がそれに引っ張られてしまう。今回のコロナ禍で従来の商習慣に疑問を持つ経営者が、一気に増えていると感じる。これを実行に移すことが重要だ。

WWD:値引き販売を減らすために、仕入れコントロール以外ではどんな努力が必要か。

村井:商品企画を見直すことも重要だ。世の中に本当に必要とされる商品ならば、値引きをしなくても売り切れる。期初の企画段階でしっかりお客さまの方を向き、意思のある商品を作らなくてはならない。最近ではQR(クイックレスポンス)生産が流行り言葉のように言われているが、これに頼ってばかりではいけない。周到に練った商品企画がヒットし、在庫が追いつかなくなって追加発注を掛けるのであれば素晴らしいことだ。しかし、コロナ禍という状況になって増えているのが“悪い”QR。自分たちでよくものを考えず、他社で売れているものを横目に見て、似たり寄ったりの服を急いで生産すること。本質的でない商品は同質化を生み、いずれは廃棄の温床にもなる。このようなことを繰り返しているプレーヤーは、消費者から「必要ない」という烙印を押されるのは時間の問題だ。これは自戒を込めて言うことでもある。

 当社はこれまで、ITバブルが崩壊した2000年代前後には「マウジー(MOUSSY)」「スライ(SLY)」が、リーマンショック(09年)のころには「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」がそれぞれ業績を伸ばした。消費マインドが停滞する中、逆にそれを好機と捉え、値ごろな価格で独自性のあるファッションを打ち出たことが消費者の心をとらえたのだと自負している。今回のコロナ禍も大きなピンチではあるものの、そこには必ずビジネスチャンスが眠っているはずだ。

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「タトラス」がアーティストのフィル・アメリカとコラボ 3Dメガネでデザインが変わるロンTも

 「タトラス(TATRAS)」は、コンテンポラリーアーティストとして活躍するフィル・アメリカ(Phil America)とのコラボコレクションを発売した。

 同氏は、ロサンゼルスのアーティスト兼デザイナー、活動家。アメリカやヨーロッパ、アジア、アフリカなどの各地を飛び回り作品を制作する傍ら、ブランドのコレクションデザインや大規模なアートプロジェクトのディレクション、国連への協力、移民へのフリースクールの開校支援、さらにTEDのスピーカーとして3度の登壇経験も持つなど、その活動内容は多岐にわたる。

 コラボコレクションでは、“City Solitude(都市での孤高)”をテーマに、過去と未来の2つの視点から見た世界を具現化。赤青のフィルムが付いた3Dメガネの視覚効果から着想を得て、物事の多面性や急速に変化する人々の多様な価値観をグラフィックで表現した。

 ラインアップはジップアップパーカやカットソー、キャップなど。3Dメガネをかけて見ると、実際に右目と左目で見えるメッセージが変わるコンセプチュアルなデザインのアイテムもある。取り扱い店舗は、タトラス直営の⻘⼭店と⽇⽐⾕店、⼤阪店、 渋⾕店、名古屋店、公式オンラインストア。

 また、11月30日までの期間中、⻘⼭店では「タトラス」のダウンジャケットをワッペンでカスタマイズできる人気のオーダーイベントを開催中。フィル・アメリカのデザインによるオリジナルワッペン5種類も新たに追加し、メンズとウィメンズ各6型のモデルをベースに自由なアレンジを楽しめる。ブランド初となるダウンマフラーも数量限定で販売中だ。

問い合わせ先
タトラス コンセプトストア 青山店
03-3407-2700

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“金継ぎ”の魅力を世界に発信するジュエリー「ミラモア」の稲城ジョージが目指すのは業界の千利休

 米ニューヨーク発メード・イン・ジャパンのジュエリー「ミラモア(MILAMORE)」の新作は“点字”がモチーフだ。“金継ぎ”モチーフのジュエリーを打ち出し、世界中に日本の美意識を発信しているミラモアの稲城ジョージ最高経営責任者(CEO)兼ブランドビジョニアに新作ジュエリーやブランドに込める思いについて聞いた。

WWD:“点字”を新作ジュエリーのモチーフに採用した理由は?

稲城ジョージCEO(以下、稲城):既存の“パズル”コレクションに点字を使用していて、それから派生したのが新コレクションだ。大学生のとき、ひらがなでレタージュエリーを作ったりしていたけど、それが恥ずかしいと思った。ユニバーサルデザインとかバリアフリーについて学んで、触れることで読める点字はクールでポエティックだと思った。盲目の人のコミュニケーションツールをポジティブに変換できないかと思ったんだ。自分がインクルーシブな人間なので、“点字”をモチーフにしたのもそこからだ。

WWD:点字の意味するものは?このコレクションに込めた思いは?

稲城:これらの点字の意味は、有言実行の“マニフェスト”や自己愛の“セルフラブ”、そして“ビジョン”、感謝を表す“グラチチュード”や“ホープ”、愛を意味する“アモーレ”など。“マニフェスト”は私の座右の銘、また、ビジネスを成長させるには“ビジョン”が大切。ほかの言葉は、コロナ禍のロックダウン中に大切なことは何かを考えて思いついたものだ。もちろんカスタマイズすることも可能だ。点字は、ローズカットのダイヤモンドをアンティークジュエリーのセッティングで施していて星のように見える。インスタグラムで“点字”のリングをアップしたら、「盲目の父に見せたかった」というようなメッセージが送られてきた。一見、わからないけど、人の心に触れたり、「このモチーフは何か」というような会話のきっかけになるようなジュエリーであってほしいと思う。

WWD:“金継ぎ”という言葉が世界中で一般的に使われるようになったが?

稲城:“金継ぎ”は「ミラモア」のDNAだ。“金継ぎ”は日本特有の壊れたものを直した痕だが、なかなかその美しさを理解するのは難しい。それをジュエリーで表現することで、ジュエリー業界の千利休になりたいと思った。“金継ぎ”の意味や美しさが世界で理解されて大切にされるようになってうれしい。“金継ぎ”コレクションをアレンジした“インフィニティー”コレクションも新作として登場した。

WWD:今後の予定は?

稲城:来年にサングラスを発売する予定だ。メガネといえばにほんの鯖江が有名だから、そこの職人と一緒に制作する。「ミラモア」はメード・イン・ジャパンのクオリティーで成熟できた。だから、同じ世代の職人を育成したり、日本の職人を世界に紹介していく活動もしていきたい。

WWD:「ミラモア」をどのように発展させていきたいか?

稲城:「ミラモア」は小さなブランド。アメリカでは、最近、ローカルビジネスをサポートする動きがある。そして、自分もそれを意識するようになった。例えば、大企業が運営するスーパーマーケットで買い物するのと家族経営のコーナーショップで同じ金額買い物するのでは、意味が違う。大企業にとっての1000円とコーナーショップにとっての1000円は、重みが違う。だから、私自身も小さなブランドが好きでサポートしたいと思うし、「ミラモア」が目指すのもニッチなラグジュアリーブランド。細部まで目が届くブランドでありたい。企業の規模=商品の価値とは思わない。それは、インスタグラムのフォロワー数も同じこと。「ミラモア」は宣伝や広告はせず、口コミで広がってきた。ジュエリーやファッション業界には夢があると思っているので、「ミラモア」をヘリテージブランドとして長年愛されるブランドに大切に育てていきたいと思う。

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ナクシスがプライベート展示会開催 アパレル業界の未来を描くセミナーも

 アパレル副資材の製造からブランドサポート事業までを行うナクシス(NAXIS)が、12月1〜3日、渋谷ストリームホールでプライベート展示会を行う。“既成概念を超える・変える・突き抜ける・突破する”をテーマに「GO!ON」と銘打った今回の展示会では、サステナビリティを意識した新商品、EC・物流関連アイテム、RFIDソリューションの紹介ブースなど、変化を続けるマーケットに応えるためのさまざまなコンテンツを用意している。

 展示会では、講師を招いてのスペシャルセミナーも開催。12月1日にはAIやロボットの導入で物流に革新をもたらすRFルーカスの上島哲執行役員最高収益責任者を迎え、RFIDの最新テクノロジーやRFID活用の未来について紹介するほか、2日にはターンアラウンドマネジャー(再生請負人)として数多くのアパレル・小売企業の再生を手掛けたコンサルタント、河合拓氏を迎え、アパレル業界におけるデジタル化の課題、日本企業が生き残るための戦略について語る。

■2021年 NAXIS BS展「GO! ON」
開催日時:2021年12月1日(水)10:00~18:00、2日(木)10:00~18:00、3日(金)10:00~13:00
会場:渋谷ストリームホール

■セミナー
「RFIDテクノロジーの進化とサプライチェーンに与えるインパクト」
開催日時:2021年12月1日(水)第一部:14:00〜、第二部:16:00〜
講師:上島哲 RFルーカス執行役員最高収益責任者

「DX、ファイナンスを駆使し産業界をスクラップアンドビルド」
開催日時:2021年12月2日(木)第一部:14:00〜、第二部:16:00〜
講師:河合拓 河合拓コンサルティング代表取締役

※来場・セミナーともに完全予約制

問い合わせ先
ナクシス
https://naxis.net/contact/

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