ヘアだけでなく、メイクアップもこなす美容師を“二刀流美容師”としてピックアップする連載企画。インスタグラムによる集客が主流となった今、ヘアスタイル投稿だけでなく、メイク投稿もできるとサロンユーザーの関心をより引き付けられるため、注目度が増している。第4回は「SHIMA SEVEN GINZA(シマ セブン ギンザ)」ディレクター&トップスタイリストの原涼香に、美容師がメイクもやることのメリットや、今夏に行いたいメイク提案などを聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):メイクにはどのように取り組んでいる?
「SHIMA SEVEN GINZA」原涼香ディレクター(以下、原):雑誌などの撮影の際には、自分でメイクもするようにしている。日常的に行っているSNSでのヘアの打ち出しの際も、モデルさんを呼んだら自分でメイクをしている。撮影のときにはテーマを決め、それに基づいたイメージソースを集め、そこからインスピレーションを得てモデルに落とし込む。ヘア、メイク、ファッションのトータルで、テーマに沿った世界観を引き出すようにプロデュースしている。
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WWD:メイクはいつから取り組み始めた?
原:以前からメイクが好きだった。美容学生の頃から、雑誌やSNSを見て新しいアイテムや流行りのメイクを探るのは日常で、デパートに行ったら1~2時間くらいは化粧品フロアを見て回っていた。「SHIMA」に入るためにブック(自分が手掛けたヘアメイク写真を集めた作品集)を作ったときも、ヘアだけでなくメイクも自分で施した。「SHIMA」に入社してからも、SNSやピンタレストでメイク関連をサーフィンしたり、海外の女の子、特に韓国の女の子が今どういうメイクをしているかを、常にチェックしたりしている。眉毛の太さ、アイシャドウやリップをどうしているかなど、ヘアと同じくらいの熱量でリサーチしている。
WWD:顧客へのアドバイスは?
原:お客さまへのメイクアドバイスに関しては、これから注力していきたい。以前から普段のサロンワークでは、お客さまのメイクやファッションを見て、そのテイストに合ったヘアを提案している。最近は仕上げたヘアカラーから、眉やリップの提案をすることを始めており、今後もさらに取り組んでいき、いずれはメニューにも取り入れていきたいと考えている。お客さまからも、「ヘアカラーを変えたらメイクはどうすればいい?」と聞かれるケースはすごく多い。そのときには、お客さまの顔色や髪型、レングスも考慮して提案するほか、「チークだったら今はこのブランドがおすすめ」「この色はこのブランドがいい」などと、普段からいろいろなブランドをリサーチしている中で得た引き出しから、会話を広げている。ブランドを横断しての提案は、美容師だからこそできることの1つだと思う。
WWD:今気になっているメイクは?
原:新型コロナによる行動制限が解除され、今夏はフェスやライブなどのイベントが増えている。そうしたイベントに行く前に来店してくれる人も多いので、非日常的なイベントメイク、特にストーンやパールを乗せるビジューメイクなどで“いつもとは違う自分”を提案させてほしい。日本でも流行りつつあるビジューシールなども活用できそう。
WWD:「ヘアカラーに合わせたメイクを提案する」とのことだが、今夏に提案したいヘアカラーは?
原:「イルミナカラー(ILLUMINA COLOR)」から4月に登場した新色3シェード(“マリーン”“ビーチ”“サンセット”)が人気で、最近ではほぼ毎日使っている。夏に向けてハイライトを入れて奥行きを楽しむ人が多いが、ハイライトが入ったベースに対しても、新色3シェードは1本できれいに仕上がるのでお客さまの満足度は高い。新色3シェードのベージュ系はトレンドの中心で、中でも肌の透明感が上がって顔色がきれいに見える“ビーチ”は、「くすみ過ぎていない感じがかわいい」として特に人気が高い。
WWD:新色3シェードにはどんなメイクを合わせる?
原:これからの季節、“ビーチ”にはオレンジ系やコーラル系、ヌーディ系のリップなどでヘルシーな印象に仕上げるのが似合うと思う。“サンセット”は大人っぽいきれいなピンクなので、ピンク系で合わせてもかわいいし、ブラウン系とかもマッチする。“マリーン”にもコーラル系のチークやアイシャドウが合う。日本人にはコーラル系が似合うので、日常的に使っている人も多く、メイクをあれこれ変えなくても新色3シェードはいけると思う。
WWD:顧客が求めているテイストは?
原:お客さまによってさまざまだが、カットとカラーリングを合わせて「海外っぽくしたい」とか「外国人の地毛風にしたい」といったオーダーは多い。最近ではインバウンドのお客さまも多く、先日はL.A.(ロサンゼルス)在住で一時帰国している日本人のお客さまが来店したが、L.A. からインスパイアされた“ビーチ”でカラーリングしたら喜んでくれた。
WWD:ネクストシーズンの、秋に向けての提案は?
原:ヘアカラーではややこっくりした感じのブラウン系や、ブラウンベースで気持ちボルドー寄りとか、ちょっとカーキ寄りとかのオーダーが増えると思う。「イルミナカラー」の新色3シェードは色味がしっかり入るので、秋も引き続き提案していくつもりだ。“トワイライト”や“ブロッサム”との組み合わせや、“アンバー”と組み合わせてマロンぽい感じに仕上げるのもかわいい。組み合わせることで、新色3シェードの引き出しも増える。特に“サンセット”に“アンバー”や“トワイライト”を組み合わせ、ちょっと重めにシャドウを演出して艶感を出す提案などをしてみたい。夏に行ったハイライトが褪色してキラキラしてしまった部分を、艶っぽく落ち着いた感じの印象にするオーダーも増えそうだ。それに合わせたメイクも提案していきたい。
WWD:今後の目標は?
原:ほかのスタッフも含めて、SNSにアップしたセルフメイクの動画がバズり、そこから新規のお客さまを集客できる、といった形が増えている。お客さまをモデルにしたポイントメイク動画、リールなども含めて、さまざまな発信をしていきたい。
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