江戸の古民家再生「シラコノイエ」に見る衣食住の古くて新しい視点 隈研吾、高橋悠介も参加


ライフスタイリストとしてファッションや食の世界で活躍している大田由香梨は、コロナ下の2021年に東京とのデュアルライフを考え各地の古民家を訪れた。そして出会ったのが、千葉県長生郡白子町の古い民家だ。江戸末期に建てられた国登録有形文化財の大きな家屋と広い庭に少しずつ手を入れて再生し、「シラコノイエ」と名付けた。修繕設計を担当したのは建築家の隈研吾。隈の事務所スタッフや古民家好きの人たち、そして白子の住民たちを巻き込みワークショップ形式で修繕を少しずつ進めてきた。4月27~29日にはここで「白子藝術祭」と題した体験型イベントを開催している。江戸の佇まいを残しながらもモダンな「シラコノイエ」に見るのは、衣食住にまつわる古くて新しい視点だ。

千葉県誕生150周年記念の一環「白子藝術祭」

千葉県は県誕生150周年記念事業の一環として今年、自然、文化、資源豊かな千葉を舞台に、百年後を考える「百年後芸術祭」を各地で開催している。「シラコノイエ」では、衣食住のトップクリエイターが参加し、白子の暮らしに見る景観や人、食や芸術を生かし「共に百年後を創っていく共創の場」を創出する。具体的には、隈研吾が修繕設計した「シラコノイエ」の 建築ツアーや、「CFCL」を着用した白子の人々を写真家・蓮井幹生が撮り下ろした写真展、白子町の旬の食のワークショップが行われる。「CFCL」はこのイベントのためのカプセルコレクションも発表した。(「白子藝術祭」のチケットは完売)。

谷崎潤一郎「陰翳礼讃」に見る日本家屋の光の奥行き

4月21日に開かれたプレスプレビューでは、隈研吾建築都市設計事務所の堀木俊設計室長による建築ガイドツアーの後、3人のクリエイターによる会見が行われた。以下は、そこでの一問一答など。

大田由香梨:日本文化の技術と精神の集大成とも言える江戸末期、約190年前の暮らしを舞台に、百年後に想いを馳せる三日間を世界で活躍される皆さんと丁寧に時間をかけて準備してきた。100年後をどんな風に暮らすのか、豊さって何だろう?一人一人の生き方がアートとして、皆さんの心に種が植えられたらうれしい。私の担当の「食」は、九十九海岸の蛤や白子産の玉ねぎ、たけのこなどを使用して、参加者と一緒に料理をする。「衣」を担当した高橋さんがこのイベントに寄せた思いとは?

高橋悠介「CFCL」代表兼クリエイティブ・ディレクター:パリにはパリの生活様式があり、パリコレではオケージョン用の華やかな服も作っている。同じように日本にも日本の暮らしがあり、どの生活にもなじむ、普遍的なベーシックになりえる服を作りたいと思っている。「CFCL」は普段は再生ポリエステルの発色の良さを生かした服を作っているが、今回は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」にあるように、日本家屋の光の奥行きの深さを表現したく、シャドーグレーとブラックをミックスして竹炭色を、白とライトグレーを混ぜて暗闇に光る白磁色を採用した。展示は空間に馴染むかが重要で、マネキンに着せてもハンガーにかけても何かが違った。結果、壁に掛けたり床に平置きをしたりしたことで馴染むことが認識できた。

もう一つの取り組みである写真展は「CFCL」が写真家・蓮井幹生と継続してきたポートレートプロジェクト「シルエット」の一環で、昔ながらの大判フィルムで白子の人たちとその表情を、彼らの思い入れのあるランドスケープと合わせて切り撮っている。蓮井さんにお願いしているのは「服ではなくポートレートを撮ってほしい」ということ。「CFCL」は着る人の生活をサポートする“道具”として服を作りたいという気持ちが大きく、ここでそれを改めて伝えたい。

価値ある文化を後世にバトンを繋ぐことは私たちの大事な役目であることは間違いない。しかし変化を恐れず、過去から脈々と続く文化の本質と向き合う気概を持って、同じ時代を生きる人々と共に時代を作り続けることが、もっと大切なのだと思う。次の世代の人々が、時にはそれを否定し、時には活用して、この世界は続くと思うから。

これはある種、民芸の新しい考え方

大田:隈さんに「美しいとは?」と問うたら、「懐かしいけど新しいことだと思う、それを僕は美しいと思う」との答えでグッときた。私自身、古民家とは言え、毎日着物を着て昔ながらの暮らをしたいと思ったわけではない。現代的な「CFCL」を着て作業をする時間がとても豊かで、こういう美しい暮らしが続いたらいいな、と思う。

隈研吾:大田さんに声をかけてもらってこの場に来て、昭和的な増改築を繰り返した建物の状態を見て最初はどうしたものかと思ったが、荒れた庭で大田さんによる地元の食材を使った料理を食べて腑に落ちた。彼女は今までの役割を超えたことをあえてやろうとしている、新しい人間の生き方を提案しようとしている、と。

これはある種、新しい民芸の考え方だと思う。自著「日本の建築」にも書いたが、民芸運動は結局、マッチョな世界。男の美学で見て“素敵”な器などが重んじられてきた。大田さんや高橋さんの視点は新しく、生活者の立場で今までの民芸運動を解体するような部分があり、自分が考えていたこととピタッとあった。最近の地域の芸術祭は、投機の対象となる現代アートの有名作家を主役にした形が多いが、白子芸術祭は従来とは違う地域とのつながりを持とうとしているところが面白い。

ヨーロッパのルネッサンス以降の建築は“偉い”建築家が図面を書いてその通りに形にしてきた。一方、近世以前の日本の大工の棟梁は図面を書く発想はなく、施主と茶飲み話をしながらカタチにするようなところがある。今回は予算がなかったこともあるが、設計図面を書いてそれをもとに改修をするのではなく、職人さんたちと一緒になってその方法を考えた。そういう方が、これからのモノづくりだと思う。

大田:それは食も同じ。レシピ通りに作るためにスーパーマーケットで食材を買おうとするから四季もなくなる。白子にはスーパーマーケットがないので道の駅で農家さんから買ってそれで何を作ろうと考える。大工さんがその場で“いい塩梅”で造るように。道の駅では先週まで豊富だったゆずが今週はなくなり、「次は一年後なんだ」と寂しさを覚えたりする。それもクリエイティブの一部だと思う。

生活と仕事の場が一体となった江戸の住居

参加者:隈氏から見て江戸時代の建物の魅力とは?

隈:ヨーロッパから入ってきた「住宅」の概念は、「住む」だけの場所だけど、近代以前の日本の家は全体がワーキングスペースだった。土間で農作業をして、味噌や醤油も作る。今はリモートワークなんて言い方をするけれど、日本人はとっくの昔から住む所で仕事もしていた。その総合性はこれからの時代の人間の住まい方のモデルでもあると思う。

参加者:デザイン的な特徴は?

隈:梁や柱に曲がった丸太が随所に使われているところ。日本の家は、縄文の竪穴式の大地に立脚した住まいと、床をあげた弥生式の2つの系列があり、この家には縄文の流れがはっきりと見られる。近代以前の民家がもっていた特徴がふんだんに見られて面白い。

参加者:逆に江戸時代の建物や欠点、それを補った技法とは?

隈:透明性は増した。中と外を仕切る壁を大きなガラスに張り替えたり、間仕切りの壁を取っ払ったりすることで、中にいても外の自然が感じられる。昔の人も自然は大好きだったろうけど、大きなガラスはなかった。縄文の遺伝子に透明性が突然加わった、というところか。

長嶋りかこによる公式図録も発売

このプロジェクトに合わせて、グラフィックデザイナーの長嶋りかこがデザインをした白子藝術祭公式図録を制作、販売をする(3800円)。写真家の高野ユリカが「シラコノイエ」撮り下ろした写真と、隈、高橋、大田がそれぞれの視点で建築、ファッション、食の未来と暮らしを語る寄稿文で構成する。一冊ずつ、白子町の住民が棕櫚縄で束ねた装丁が美しい。

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江戸の古民家再生「シラコノイエ」に見る衣食住の古くて新しい視点 隈研吾、高橋悠介も参加


ライフスタイリストとしてファッションや食の世界で活躍している大田由香梨は、コロナ下の2021年に東京とのデュアルライフを考え各地の古民家を訪れた。そして出会ったのが、千葉県長生郡白子町の古い民家だ。江戸末期に建てられた国登録有形文化財の大きな家屋と広い庭に少しずつ手を入れて再生し、「シラコノイエ」と名付けた。修繕設計を担当したのは建築家の隈研吾。隈の事務所スタッフや古民家好きの人たち、そして白子の住民たちを巻き込みワークショップ形式で修繕を少しずつ進めてきた。4月27~29日にはここで「白子藝術祭」と題した体験型イベントを開催している。江戸の佇まいを残しながらもモダンな「シラコノイエ」に見るのは、衣食住にまつわる古くて新しい視点だ。

千葉県誕生150周年記念の一環「白子藝術祭」

千葉県は県誕生150周年記念事業の一環として今年、自然、文化、資源豊かな千葉を舞台に、百年後を考える「百年後芸術祭」を各地で開催している。「シラコノイエ」では、衣食住のトップクリエイターが参加し、白子の暮らしに見る景観や人、食や芸術を生かし「共に百年後を創っていく共創の場」を創出する。具体的には、隈研吾が修繕設計した「シラコノイエ」の 建築ツアーや、「CFCL」を着用した白子の人々を写真家・蓮井幹生が撮り下ろした写真展、白子町の旬の食のワークショップが行われる。「CFCL」はこのイベントのためのカプセルコレクションも発表した。(「白子藝術祭」のチケットは完売)。

谷崎潤一郎「陰翳礼讃」に見る日本家屋の光の奥行き

4月21日に開かれたプレスプレビューでは、隈研吾建築都市設計事務所の堀木俊設計室長による建築ガイドツアーの後、3人のクリエイターによる会見が行われた。以下は、そこでの一問一答など。

大田由香梨:日本文化の技術と精神の集大成とも言える江戸末期、約190年前の暮らしを舞台に、百年後に想いを馳せる三日間を世界で活躍される皆さんと丁寧に時間をかけて準備してきた。100年後をどんな風に暮らすのか、豊さって何だろう?一人一人の生き方がアートとして、皆さんの心に種が植えられたらうれしい。私の担当の「食」は、九十九海岸の蛤や白子産の玉ねぎ、たけのこなどを使用して、参加者と一緒に料理をする。「衣」を担当した高橋さんがこのイベントに寄せた思いとは?

高橋悠介「CFCL」代表兼クリエイティブ・ディレクター:パリにはパリの生活様式があり、パリコレではオケージョン用の華やかな服も作っている。同じように日本にも日本の暮らしがあり、どの生活にもなじむ、普遍的なベーシックになりえる服を作りたいと思っている。「CFCL」は普段は再生ポリエステルの発色の良さを生かした服を作っているが、今回は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」にあるように、日本家屋の光の奥行きの深さを表現したく、シャドーグレーとブラックをミックスして竹炭色を、白とライトグレーを混ぜて暗闇に光る白磁色を採用した。展示は空間に馴染むかが重要で、マネキンに着せてもハンガーにかけても何かが違った。結果、壁に掛けたり床に平置きをしたりしたことで馴染むことが認識できた。

もう一つの取り組みである写真展は「CFCL」が写真家・蓮井幹生と継続してきたポートレートプロジェクト「シルエット」の一環で、昔ながらの大判フィルムで白子の人たちとその表情を、彼らの思い入れのあるランドスケープと合わせて切り撮っている。蓮井さんにお願いしているのは「服ではなくポートレートを撮ってほしい」ということ。「CFCL」は着る人の生活をサポートする“道具”として服を作りたいという気持ちが大きく、ここでそれを改めて伝えたい。

価値ある文化を後世にバトンを繋ぐことは私たちの大事な役目であることは間違いない。しかし変化を恐れず、過去から脈々と続く文化の本質と向き合う気概を持って、同じ時代を生きる人々と共に時代を作り続けることが、もっと大切なのだと思う。次の世代の人々が、時にはそれを否定し、時には活用して、この世界は続くと思うから。

これはある種、民芸の新しい考え方

大田:隈さんに「美しいとは?」と問うたら、「懐かしいけど新しいことだと思う、それを僕は美しいと思う」との答えでグッときた。私自身、古民家とは言え、毎日着物を着て昔ながらの暮らをしたいと思ったわけではない。現代的な「CFCL」を着て作業をする時間がとても豊かで、こういう美しい暮らしが続いたらいいな、と思う。

隈研吾:大田さんに声をかけてもらってこの場に来て、昭和的な増改築を繰り返した建物の状態を見て最初はどうしたものかと思ったが、荒れた庭で大田さんによる地元の食材を使った料理を食べて腑に落ちた。彼女は今までの役割を超えたことをあえてやろうとしている、新しい人間の生き方を提案しようとしている、と。

これはある種、新しい民芸の考え方だと思う。自著「日本の建築」にも書いたが、民芸運動は結局、マッチョな世界。男の美学で見て“素敵”な器などが重んじられてきた。大田さんや高橋さんの視点は新しく、生活者の立場で今までの民芸運動を解体するような部分があり、自分が考えていたこととピタッとあった。最近の地域の芸術祭は、投機の対象となる現代アートの有名作家を主役にした形が多いが、白子芸術祭は従来とは違う地域とのつながりを持とうとしているところが面白い。

ヨーロッパのルネッサンス以降の建築は“偉い”建築家が図面を書いてその通りに形にしてきた。一方、近世以前の日本の大工の棟梁は図面を書く発想はなく、施主と茶飲み話をしながらカタチにするようなところがある。今回は予算がなかったこともあるが、設計図面を書いてそれをもとに改修をするのではなく、職人さんたちと一緒になってその方法を考えた。そういう方が、これからのモノづくりだと思う。

大田:それは食も同じ。レシピ通りに作るためにスーパーマーケットで食材を買おうとするから四季もなくなる。白子にはスーパーマーケットがないので道の駅で農家さんから買ってそれで何を作ろうと考える。大工さんがその場で“いい塩梅”で造るように。道の駅では先週まで豊富だったゆずが今週はなくなり、「次は一年後なんだ」と寂しさを覚えたりする。それもクリエイティブの一部だと思う。

生活と仕事の場が一体となった江戸の住居

参加者:隈氏から見て江戸時代の建物の魅力とは?

隈:ヨーロッパから入ってきた「住宅」の概念は、「住む」だけの場所だけど、近代以前の日本の家は全体がワーキングスペースだった。土間で農作業をして、味噌や醤油も作る。今はリモートワークなんて言い方をするけれど、日本人はとっくの昔から住む所で仕事もしていた。その総合性はこれからの時代の人間の住まい方のモデルでもあると思う。

参加者:デザイン的な特徴は?

隈:梁や柱に曲がった丸太が随所に使われているところ。日本の家は、縄文の竪穴式の大地に立脚した住まいと、床をあげた弥生式の2つの系列があり、この家には縄文の流れがはっきりと見られる。近代以前の民家がもっていた特徴がふんだんに見られて面白い。

参加者:逆に江戸時代の建物や欠点、それを補った技法とは?

隈:透明性は増した。中と外を仕切る壁を大きなガラスに張り替えたり、間仕切りの壁を取っ払ったりすることで、中にいても外の自然が感じられる。昔の人も自然は大好きだったろうけど、大きなガラスはなかった。縄文の遺伝子に透明性が突然加わった、というところか。

長嶋りかこによる公式図録も発売

このプロジェクトに合わせて、グラフィックデザイナーの長嶋りかこがデザインをした白子藝術祭公式図録を制作、販売をする(3800円)。写真家の高野ユリカが「シラコノイエ」撮り下ろした写真と、隈、高橋、大田がそれぞれの視点で建築、ファッション、食の未来と暮らしを語る寄稿文で構成する。一冊ずつ、白子町の住民が棕櫚縄で束ねた装丁が美しい。

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KNOWER(ノウワー)のルイス・コール&ジェネヴィーヴ・アルターディが語る「ジャズ」と「ポップ・ソング」の関係——「ジャズは古い音楽である必要はない」 

PROFILE: KNOWER(ノウワー)

KNOWER(ノウワー)
PROFILE: ドラマー/プロデューサーとして活躍するルイス・コール(Louis Cole)とボーカリストのジェネヴィーヴ・アルターディ(Genevieve Artadi)の2人からなるLA発超絶ポップ・ユニット。メンバーのルイス・コールは、現代のLAビート・ミュージック・シーンにおける最重要アーティストの1人。ノウワーとしては、2016年にグラミー賞受賞アーティスト、スナーキー・パピーの「ファミリー・ディナー Vol.2」に参加。さらに2017年には、レゴ映画「Ninjago」に楽曲提供を行うだけでなく、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのヨーロッパ公演のオープニング・アクトに抜擢。最新アルバム「KNOWER FOREVER」は23年12月8日に国内盤CDと、輸入盤LPでリリース。アルバムには、サックス奏者のサム・ゲンデル、ベーシストのサム・ウィルクスとモノネオンなど、超絶技巧と個性を持ち合わせたさまざまなミュージシャンが参加している。 ノウワーのルイス・コール(左)とジェネヴィーヴ・アルターディ(右)

ドラマー/プロデューサーのルイス・コール(Louis Cole)とボーカルのジェネヴィーヴ・アルターディ(Genevieve Artadi)によるLA発のポップ・ユニット、ノウワー(KNOWER)が6年ぶりの来日公演を行った。昨年の新作アルバム「KNOWER FOREVER」リリース後、初めてのツアーでもある。首を長くして待っていたリスナーも多かったようで、東京公演のチケットは即ソールドアウト、追加公演が決定するほどの盛況ぶりだった。

その追加公演として開催されたのが3月27日、神田スクエアホールでのライブ。これがツアーの初日となった。会場はホールの足元が見えないほど満員で、オープニングアクトを西口明宏、馬場智章、陸悠ら日本の気鋭サックス奏者3人をフロントに擁したテナーズ・イン・カオス(Tenors In Chaos)が務めると、続いてノウワーがルイスとジェネヴィーヴの他、ポール・コーニッシュ(key)、チキータ・マジック(イシス・ヒラルド/key)、サム・ウィルクス(b)、トム・ギル(g)を従えた計6人のバンド編成で登場した。オーディエンスを圧倒するエキサイティングな音楽は、ジャズ・ミュージシャンならではの超絶技巧に裏打ちされながらも、同時に、並外れたポップとも呼びたくなる強毒性のキャッチーさを備えたパフォーマンスでもあった。数曲で日本の気鋭ジャズ・ミュージシャンからなるホーンセクションとコラボレートしたことも来日公演だからこそ味わえる楽しみの1つだっただろう。

そんなノウワーの音楽をどう形容したらいいだろうかと考えていた時に頭をよぎったのが、2024年にグラミー賞で新設されたベスト・オルタナティブ・ジャズ・アルバム賞だった。映えある最優秀賞に選ばれたのはミシェル・ンデゲオチェロの「The Omnichord Real Book」(23)だったが、グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーによれば、オルタナティブ・ジャズとは「ジャズ(即興、相互作用、ハーモニー、リズム、アレンジメント、作曲、スタイル)と、R&B、ヒップホップ、クラシック、現代即興、実験、ポップ、ラップ、エレクトロ/ダンスミュージック、スポークンワードなど他のジャンルを混ぜ合わせた、ジャンルを超えたハイブリッドなもの」だと定義している*。

変化し続ける今のジャズを捉えるのにぴったりではないだろうか。そしてジャズが背景にありながら突き抜けたポップを聴かせるノウワーの音楽もまさしく、オルタナティブ・ジャズと呼ぶのがふさわしいのではないか。今回のインタビューでは、ツアー初日の公演を終えたばかりのルイス・コールとジェネヴィーヴ・アルターディに、久しぶりの来日でのライブの手応えやステージ衣装へのこだわりの他、ノウワーというユニットとジャズそしてポップのつながりを伺った。

*「2024年開催の第66回グラミー賞に3つの新カテゴリーが追加」/「uDiscovermusic」日本版、2023年6月14日公開
https://udiscovermusic.jp/news/three-new-categories-added-grammy-awards

6年ぶり来日ツアー初日を終えて

——ジャパン・ツアー初日、大盛況でしたね。ノウワーとしては2018年以来6年ぶりの来日公演でもありますが、ライブの手応えはいかがでしたか?

ジェネヴィーヴ・アルターディ(以下、ジェネヴィーヴ):今回、初日ということもあり、ツアーをしている実感がすぐにはわかなかった。けれど演奏しているうちに「今、私はライブをやっているんだ」という思いが湧いてきて。特に何度も披露してきたおなじみの曲を歌った時はそう。もちろん、新しい曲を歌うのもとてもエキサイティングだった!

ルイス・コール(以下、ルイス):確かに信じられない気持ちだったね。アルバム(「KNOWER FOREVER」)を作るのもすごく長い時間をかけていて、今回はライブ・バンドでレコーディングしたんだけど、それを本当にライブでやっているという実感はやっぱりすぐには湧かなかった。まるで夢を見ているような、現実だとは思えない気分だったよ。

——昨年リリースされた新作「KNOWER FOREVER」には「ライブ・バンドでアルバムを作る」というコンセプトがありましたよね。それは、よりスムーズにライブを行うためでもあったそうですが、実際にアルバム完成後初めてのツアーを行って、スムーズにライブができたり、何か新たな発見があったりはしましたか?

ルイス:そう、アルバムそのものをライブ・バンドでレコーディングしたから、それをライブに移行することはこれまでよりもスムーズだった。でも一概に全てがスムーズになったわけじゃない。当然、難しいところもあったし、ライブをやることは常に挑戦なんだ。ただ「KNOWER FOREVER」はライブの時に劇的に変える必要がなかったから、基本的にはレコーディングした通りにライブでも演奏することができたかな。

ジェネヴィーヴ:そうね。

——新作の収録曲を中心に、過去アルバムの曲も演奏されていましたが、セットリストはあらかじめ決めていたのでしょうか? それともその場でやることを決めた曲もありましたか?

ルイス:セットリストは決めている。紙にプリントして置いていたわけじゃないけど、スマホに入れたのを見てたんだ。

——ライブではメトロノームを鳴らしていて、ジェネヴィーヴさんはヘッドセットを装着していましたね。演奏はクリックを聴きながら合わせていたのですか?

ジェネヴィーヴ:いや、私はクリックを聴いていたんじゃなくて、ヘッドセットを通して自分の声を聴いていたの。モニターから聴くと音量が大きくなりすぎてしまうから。で、どの曲も短いので、少しでも遅れると曲自体が台無しになる。だから遅れないよう正確に歌わなければいけなくて、自分の声を耳の中でじっくり聴きながら歌ってた。クリックは聴いてなかったけど、私にとってはバンド自体がメトロノームみたいな存在だった。とてもタイトな演奏をする人たちだから、リズムを完璧に保っていてくれたと思う。

ルイス:実は僕もメトロノームは聴いていなかったんだ。それよりもバンドが正しいスピードを保つことの方が僕の中では非常に大事で。そうでないと、演奏がノッてきて少しでも違うアレンジをしたら全てがおかしなことになってしまう。もし僕が速すぎたらみんなに迷惑がかかるからね(笑)。だから正しいスピードに設定したメトロノームを鳴らしてカウントオフしてから曲を始めていたんだ。

——ライブでは音源を忠実に再現することを重視していますか? それともライブならではの変化が起きることに重きを置いているのでしょうか?

ルイス:基本的にはアルバムの曲を忠実に再現しようと努めてる。特に音源の良い部分や僕が大好きな部分はライブでもたくさん演奏したいからね。でも同時にインプロヴィゼーションの余地も残しておきたい。ちょっとした瞬間にみんなが自由に変化をつけることもできるようにしたいんだ。だからそれらを混ぜていきたいと思ってるよ。

——そうした変化はバンド・メンバーによっても変わってきますよね。今回のツアー・メンバーは6年前の来日時とも、「KNOWER FOREVER」収録曲のメンバーとも若干違います。メンバーはどのように決めたのですか?

ルイス:みんな友人でありミュージシャンでもあり、もちろんミュージシャンとしても尊敬しているし、友人としても愛している人たちなんだ。ポール(・コーニッシュ/key)とサム(・ウィルクス/b)は僕らと同じLAに住んでいる。イシス(・ヒラルド/チキータ・マジック/key)は友人を通じて知り合って、最初は音楽をやるというより遊び仲間で、そこから一緒に音楽をやるようになっていった。トム(・ギル/g)は唯一、「KNOWER FOREVER」のレコーディングには参加していないメンバーで、演奏しているところを1回観ただけだったんだけど、その時に「この人はめちゃくちゃスペシャルなミュージシャンだ」と感動して。それから友人になって、今回のツアーでもお願いしたんだ。

——ノウワーのライブではファッションにもこだわりが感じられます。6年前の来日時はルイスさんがおなじみのスケルトンスーツも着用していましたが、今回はルイスさんがタンクトップ、ジェネヴィーヴさんはミニスカートで、お2人ともキャップをかぶったスポーティーな雰囲気がありました。ステージ衣装にはどのようなこだわりがありますか?

ルイス:基本的にはスーツケースいっぱいに思いつく限りの衣装を入れて持ってきて、その日のムードや気分で選ぶようにしてる。ステージの上に立った僕を見てほしいというよりも、音楽をじっくり聴いてほしいという思いの方が強いかな。だから音楽を聴いて楽しむのを邪魔しない衣装を心がけている。

ジェネヴィーヴ:私は普段はもっとガーリーな格好をしていて、ドレスやワンピースを着たり、ハイヒールを履いたりしてる。けどステージでは、特にノウワーの音楽はアスレチックなところがあるというか、ジャンプしたりもするので、そういう激しい運動ができる衣装を選んでいるかな。

——初日の公演ではスマホでステージを撮影するオーディエンスもたくさんいましたね。パフォーマンスを撮影したり、それをSNSにアップしたりすることについては、どのようなスタンスでいるのでしょうか?

ルイス:もはや世界がそうなっているので、どうしようもないと思ってる。でも何か新しいことを試す時は、これが撮られていると意識すると怖い部分も感じるかな。だから勇気を出さなくちゃならないけど、でも、もしもオーディエンスが撮影した動画があまり良くないサウンドだったとしたら、それは僕ら自身の責任だと思ってパフォーマンスしているね。

ノウワーというオルタナティブ・ジャズ

——ノウワーとジャズのつながりについて伺いたいのですが、ルイスさんは南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校で、ジェネヴィーヴさんはカリフォルニア州立大学ノースリッジ校で、お2人ともジャズを学ばれていますよね。具体的にはどのようなことを専門的に学ばれましたか?

ルイス:僕はドラムを専攻していたから、その技術的なレッスンが中心だった。でも大学でジャズを学ぶことにした一番の理由は、実は、他の若いミュージシャンたちに出会うためだったんだ。実際、そこで多くの素晴らしいミュージシャンと面識を得ることができた。例えば、サム・ゲンデルもそうだし、ピアニストのエルダー(・ジャンギロフ)やティグラン・ハマシアンもそう。他にもたくさんの、同じような考えを持った若いミュージシャンたちに出会うことができて、それは僕の人生で素晴らしい巡り合わせだった。

ジェネヴィーヴ:私の場合は少し違って、当時はまだ音楽を始めたばかりの初心者だった。だから、まずは音楽理論とか、インプロヴィゼーションのやり方、それに歌のハーモニーの作り方をたくさん学んだ。他のシンガーと一緒にボーカル・ジャズをたくさんやってみたりね。あとはビッグバンドの編曲や、クラシックのアナリーゼの授業もあった。学校はとても好きだったわ。勉強オタクみたいな感じで、たくさんのことを学ぶことができた。

——学生時代に特に研究したジャズ・ミュージシャンはいましたか?

ルイス:たくさんいる。本当に大好きなミュージシャンたち、例えばジャック・ディジョネットやトニー・ウィリアムス、キース・カーロック、それにネイト・ウッドといったドラマーたちに入れ込んだね。

ジェネヴィーヴ:私はマイルス・デイヴィスをたくさん聴いていた。他にもいろいろなサックス・プレイヤーたち、ジョー・ヘンダーソンとかソニー・ロリンズも聴き込んだわ。シンガーでいうとビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーンがやっぱり大好き。実際にソロ・パートを書き起こして譜面にして自分で歌ったりしていたの。とにかく全てを吸収して身体の中に取り入れるという勉強の仕方をしていた。

——ノウワーはいわゆるジャズではないですが、ライブではジャズ・ミュージシャンならではのインプロヴィゼーションの魅力もありました。お2人にとって、ノウワーにおいて、ジャズを学んだからこそできることはどのようなことだと思いますか?

ルイス:一番大きいのはさまざまな種類のハーモニーを使っているところかな。もちろん、ジャズが持つワイルドなエネルギーも出ていると思う。ライブだと特にそうだね。でも、ジャズの歴史をさかのぼっていくと、1920〜40年代に爆発的に流行ったころは、ダンス・ミュージックないしポップ・ミュージックのようなものだと思われていたと思うんだ。だからそれがなくなってしまう必要はない。ジャズは古い音楽である必要はないし、年寄りのための音楽である必要もない。それどころか、エキサイティングで新鮮なものになり得るし、そういった気持ちを盛り上げるためのツールだと思ってる。つまり、ジャズそれ自体にポップ・ソングとしての構造みたいなものがあると思うんだ。

ジェネヴィーヴ:そうね。もちろん、ジャズとポップは完全にイコールというわけじゃない。「ポップ」ということはもともと「人気がある(popular)」という意味だから、ジャズが流行ればそれはポップと呼べるけど。私にとってジャズとポップの違いは、音楽的に言うと、ポップにはないハーモニーやメロディー、リズムがジャズにあるという点。だから、そのバランスはとても大事にしている。かつ、やっぱりインプロヴィゼーションというポップにはあまりない手法を使っている。私たちがノウワーでやっていることは、ジャズの要素を取り入れながら、それをあくまでもポップの構造の中でやっていくということ。

例えば歌詞を大事にしているのもそうだし、ポップならではのメロディーもたくさん使っている。ジャズの奥深さを極めていきつつ、どんどん極めることで逆にシンプルにすることをやっていると言えばいいかしら。シンプルでありながら同時に深みがある音楽。ジャズの持つ奥深さを、理解しやすくてエキサイティングなフォーマットに持ち込みたい。

——いわゆるジャズではないものの、ジャズを抜きには語ることができないような音楽は、これまで取り扱いが難しいものでしたが、今年グラミー賞に新設されたベスト・オルタナティブ・ジャズ賞が、まさにそうしたある意味でカテゴライズ困難なジャズを拾い上げることを可能にしたと思うんです。

ルイス:確かに!

——ルイスさんのソロ・アルバム「Quality Over Opinion」(22)もノミネートされましたよね。ノウワーも同様に、グラミー賞のカテゴリーでいえば「オルタナティブ・ジャズ」と呼ぶのが相応しい音楽ではないでしょうか?

ルイス:うん、そうだと思う。

ジェネヴィーヴ:私もオルタナティブ・ジャズを選ぶわ。

——もしもベスト・オルタナティブ・ジャズ賞がもっと前に創設されていたとしたら、お2人はどんな作品がノミネートしたと思いますか?

ルイス:ニーボディの「Kneebody」(05)。僕は彼らのファースト・アルバムが大好きなんだ。それと、デヴィッド・ビニーはいくつかあるんだけど、「Anacapa」(14)とか、アンビエント寄りの「Where Infinity Begins」(22)とかね。

ジェネヴィーヴ:トム・ギルやチキータ・マジックのアルバムも。

ルイス:(近くに座っていたチキータ・マジックことイシス・ヒラルドに向けて)チキータ、君のアルバムでどれがお気に入り?

イシス・ヒラルド:(照れ笑いを浮かべながら)「Mexico Sexi Time」(22)!

ルイス:それだ!

ジェネヴィーヴ:うん、私も「Mexico Sexi Time」を推すわ。

ルイス:僕も本当に大好き。トム・ギルだったら「Such Is Your Triumph」(11)かな。

ジェネヴィーヴ:あとペドロ・マルチンス。「Rádio Mistério」(23)。

——今挙げていただいたさまざまなアルバムは、どれもサウンドは一括りにできないと思いますが、ノウワーとの共通点を感じることはありますか?

ルイス:そうだね、音楽性は違っているけれど、精神的なところで共通点があると感じる。やっぱり僕たちがこの世界で生きていく上でやりたいことは、こういうことなんだという精神。どれもクリエイティブなエネルギーは同じというか。そういったクリエイティブなエネルギーを生み出すことによって、実際の音楽のクオリティーの面でも、美しさのようなものを持つことができると思うんだ。

PHOTOS:TAKUROH TOYAMA

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中森明菜×「ゾゾヴィラ」や「ジーユー」と「ワンピース」コラボなど! 来週発売のファッションアイテム7選【4/29〜5/5】

ファッションアイテムの発売情報を「WWDJAPAN」的視点でピックアップ!今回は4月29〜5月5日に発売するアイテムを紹介します。ゾゾヴィラ(ZOZOVILLA)と歌手の中森明菜デビュー42周年を記念したコラボコレクションが第1弾に続き登場します。反響が大きい今回のコラボは5月1日〜20日11時59分の期間の受注販売で、アルバムジャケットやブックレットをイメージしたデザインのTシャツ全5型を発売します。5月3日には、「ジーユー(GU)」と漫画・アニメ「ワンピース」がコラボしたアイテムを発売。グラフィックTシャツは、名シーンを手描きでアレンジした16種類です。Tシャツが活躍するシーズンに向けてこだわりの1枚を選ぶのは楽しいですね。

【4月30日発売】
アメリ
(AMERI)

「ニューエラ」と初コラボ
キャップとバケットハットの2型

「アメリ(AMERI)」は、「ニューエラ(NEW ERA)」と初のコラボアイテムを発売する。ダメージ加工を施したコットンをを用いたベースボールキャップ、つばを長めに仕上げたバケットハットを制作。ともに「アメリ」ロゴがフロント部分にあしらわれている。

■商品詳細

キャップ(7150円)
バケットハット(8250円)

【5月1日発売】
コンバース トウキョウ
(CONVERSE TOKYO)

「コトハヨコザワ」と第2弾コラボ
ユニセックスアイテム8型

「コンバース(CONVERSE)」のアパレルブランド、「コンバース トウキョウ(CONVERSE TOKYO)」は、「コトハヨコザワ(KOTOHAYOKOZAWA)」とのコラボアイテムを発売する。ユニセックスなアイテム8型をラインアップし、グラフィックや星のモチーフをあしらった。

■商品詳細

コラボアイテム(1万8150円〜※編集部調べ)

【5月1日受注販売】
ゾゾヴィラ
(ZOZOVILLA)

中森明菜のデビュー42周年記念コラボ
楽曲がテーマのTシャツ5型を受注販売

ZOZOのラグジュアリー&デザイナーズブランドを集積したゾゾヴィラ(ZOZOVILLA)は、歌手の中森明菜デビュー42周年を記念したコラボコレクションを制作。5月1日〜20日11時59分の期間、「ゾゾヴィラ」限定で受注販売する。アルバムジャケットやブックレットをイメージしたデザインのTシャツ全5型をラインアップ。環境に配慮した“エコサイクル”のボディーを用い、デザインごとに適したプリント技法を採用している。

■商品詳細

コラボTシャツ(8800円)

【5月2日発売】
マリメッコ
(MARIMEKKO)

新たにニット地のバッグ3型
“ウニッコ”と“メリロスヴォ”柄の2デザイン

「マリメッコ(MARIMEKKO)」は、2024年春夏コレクションから、新たにニットバッグを発売する。ハンドバッグと2種のショルダーバッグをラインアップ。リサイクルポリエステルを用い、軽く型崩れしにくい仕様を目指した。オレンジとピンクの “ウニッコ”柄、ブルーとグリーンの“メリロスヴォ”柄の2デザインを用意する。

■商品詳細

ハンドバッグ(2万8600円)
ショルダーバッグ(3万1900円〜)

【5月3日発売】
オン
(ON)

「ポスト アーカイブ ファクション」と初コラボ
ウエアとシューズを制作

「オン(ON)」は、「ポスト アーカイブ ファクション(POST ARCHIVE FACTION)」と初のコラボコレクション“カレント フォーム 1.0”を発売する。ウエアは、通気性があり快適な着心地を目指したブレーカージャケットや軽量のランニングパンツ、トップスなどを制作。シューズは、今シーズンの新作モデル“クラウドモンスター 2”を発売する。

■商品詳細

ブレーカージャケット
トップス
ランニングパンツ
シューズ“クラウドモンスター2”

【5月3日発売】
ビームス
(BEAMS)

“ビームス クチュール”レーベルから
ハローキティ50周年記念のコラボアイテム

ビームスのレーベル“ビームス クチュール(BEAMS COUTURE)は、ハローキティの50周年を記念したコラボアイテムを発売する。ビンテージな風合いに仕上げたぬいぐるみ、ポシェット、エナメル地に刺繍をあしらったバッグ、セーターとランニングパンツのセットアップ、薄く透ける素材感が特徴のセーターを販売する。50年の歴史をテーマに、デビュー当初のハローキティを思わせるレトロなテイストにまとめた。

■商品詳細

ぬいぐるみ(7150円)
ポシェット(8250円)
バッグ(1万4300円)
セットアップ(2万900円)
セーター(2万5300円)

【5月3日発売】
ジーユー
(GU)

アニメ「ワンピース」とコラボ
名シーンを手書きでアレンジしたTシャツなど

「ジーユー(GU)」は、漫画・アニメ「ワンピース」とコラボしたアイテムを発売する。Tシャツ、ラウンジウエア、ソックス、ボクサーパンツにキャラクターをあしらった。グラフィックTシャツは、名シーンを手描きでアレンジした16種類をそろえる。吸汗速乾機能付きのラウンジウエアは、キャラクターたちの休息を連想させるシーンをあしらった。

■商品詳細

Tシャツ(1290円)
ラウンジウエア(2990円)
ボクサーパンツ(590円)
ソックス(390円)

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一流ホテルが選ぶノンアルコール「フレンチ・ブルーム」 美食家夫妻がビンテージシャンパンの味を実現

いよいよゴールデンウイークが始まった。今年は、旅行などのレジャーが本格的に再開し、外食や行楽で飲酒の機会が増える人も多いだろう。コロナを機に飲み会などが減り、ライフスタイルを見直す人が増えた。ここ数年のウェルネスブームもあり、お酒は飲むが「量を減らしたい」「お酒の雰囲気を楽しみたい」「健康管理に気を使いたい」などという声が増えて、敢えてアルコールを飲まない“ソバー・キュリアス”という選択肢が広まりつつある。日本でも、ノンアルコールビールやワイン、モクテルなどが続々と発売され、その需要は年々高まっている。

お酒もノンアルコールも楽しむ“フレキシ・ドリンカー”が増加

私自身ワインが好きだが、「アルコールなしでワインの味わいを楽しめたら」と思うこともある。今まで、ノンアルコールワインを幾つか試したが、味はイマイチ・・・。ところが、「フレンチ・ブルーム(FRENCH BLOOM)」というノンアルコールスパークリングワインに出合い、“ノンアルコール=不味い”という概念は覆った。「フレンチ・ブルーム」の購入者は、8割がアルコールを飲む人で、残りが、妊婦や宗教や健康上の理由によりアルコールが飲めない人だという。アルコールは飲むけれど、摂取を減らす人やその日の体調や気分によりアルコールとノンアルコールを使い分ける人を “フレキシ・ドリンカー”と呼ぶらしい。

一流ホテルやファーストクラスで提供されるノンアルコール

「フレンチ ブルーム」は、マギー・フレールジャン・テタンジェ創始者とロドルフ・フレールジャン・テタンジェ最高経営責任者(CEO)が手掛けるブランド。マギーは「ミシュランガイド」出身、ロドルフCEOはシャンパン「テタンジェ(TAITTINGER)」の創設者のひ孫にあたるという美食家夫妻だ。ブランド誕生のきっかけは、マギーの妊娠。食事とペアリングするのにふさわしいノンアルコールワインがあればと思った彼女は、ヘルシーなライフスタイルを模索していたモデルで友人のコンスタンス・ヤブロンスキーと「フレンチ・ブルーム」を考案した。そして、シャンパンやコニャック造りに造形の深い夫ロドルフCEOと2019年に同ブランドを創業。現在、パリの「シュヴァル・ブラン」やニューヨークの「ザ・カーライル」などの一流ホテルや「アラン・デュカス」「ジョエル・ロブション」といったレストラン、航空会社のファーストクラスなどで提供されている。ラグジュアリーECのモーダ・オペランディ(MODA OPERANDI)の代表であるローレン・サントドミンゴは同ブランドを気に入り、同サイトで取り扱いをスタート。米セレクトショップのウェブスター(WEBSTER)でも販売されている。また、ラグジュアリー・ブランドのイベントで採用されるなど、ノンアルコール飲料の新たな選択肢として広がりつつある。日本では、公式ECで販売しているほか、「ザ・リッツカールトンホテル」「ホテル 東京 エディション」などで提供されている。

ビンテージシャンパンの味をノンアルコールで実現

テタンジェ夫妻が4月、イベントのために来日した。「ミシュランガイド」と「テタンジェ」の関係者が手がけたノンアルコールワインとはどのようなものか、興味津々でイベントに参加。「フレンチ・ブルーム」の“ル・ロゼ”は、爽やかで上品な味わいで、さまざまなオケージョンや料理と相性が良さそうだ。夏にかけてのホームパーティーやピクニックなどにぴったり。“ル・ブラン”は、ブドウのフルーティーな味わいが感じられ、デザートとのペアリングにふさわしい。中でも、6月に発売される“ラ キュヴェ ヴィンテージ200(以下、ラ キュヴェ)”は、色、香り、味わい、テクスチャーといい、まるでビンテージシャンパンのよう。ノンアルコールでも、複雑で深い香りと味わいだ。マギーは、「約40年熟成が必要なビンテージシャンパンの味を“ラ キュヴェ”では実現している」とコメント。2023年世界優秀ソムリエのライモンズ・トムスンからのお墨付きというのも納得だ。ノンアルコールなのに、思わずほろ酔い気分になる味わいと満足感がある。

美味かつヘルシー&インクルーシブな新世代のドリンク

ノンアルコールワインは、ワインからアルコールを抜けばできるものと思いきや、テロワールからブドウの品種、収穫の時期、つまりゼロからワイン造りの再構築が必要だったという。マギーは、「ノンアルコールワインを作るのはチャレンジングなことだった。100年以上のシャンパン造りのノウハウと革新が結びついたのが『フレンチ・ブルーム』だ」とコメント。使用するのは、100%オーガニックのラングドック地方のシャルドネとピノ・ノワール。オーク樽で発酵し、低温で3回に分けて脱アルコール処理する。そうすることにより、ワインが持つ複雑な香りや味わい、余韻といったものをノンアルコールでも実現している。ドサージュ(製造工程で澱引きにより目減りしたワインをリキュールなどで補う作業)を行わないため、カロリーもシャンパンの5分の1の19カロリーと低カロリーで、酸化防止剤も使用していない。オーガニック、ビーガン、ハラール認定と、誰もが高級ワインと同じように楽しめるノンアルコール飲料だ。美味しいだけでなく、ヘルシー、インクルーシブ。日本でも、イベント開催後にホテルやワインショップなどから問い合わせが急増したという。「フレンチ・ブルーム」はノンアルコールのラグジュアリーな選択肢として、広がっていくだろう。

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New Jeansやカイリー・ジェンナーなどからオファー相次ぐヘアメイクアップアーティスト松野仁美 ヘッドピースや3Dアートピースと表現方法を拡げる

PROFILE: 松野仁美

松野仁美
PROFILE: (まつの・ひとみ)兵庫県西宮市生まれ。ルトーア東亜美容専門学校卒業後、大阪でのヘアサロン勤務を経て上京し、MASAYUKI氏に師事。13年に独立し、ファッション誌や広告、ミュージックビデオ制作などに携わる。19年より本格的にヘッドピース制作を開始。21年に渡韓し、約1年間エンターテイメント業界を中心に活動する。22年に帰国し、ヘアメイクアップアーティスト、ヘッドピースクリエイターとして活躍する一方、3Dプリントを使ったアートピース制作を行う Instagram:@matsuno71 PHOTOS:RIE AMANO

美容師としてキャリアをスタートし、ヘアメイクアーティストのほかヘッドピースクリエイターとしても活動の場を広げる松野仁美さんは、最近は3Dプリンターを活用したアートピース制作にも力を入れる。先日は、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)初のフレグランス「コズミック(COSMIC)」のイメージビジュアルにヘッドピースとリングが採用され、国内外から注目を集めた。内に秘めたクリエイティブ魂を解き放つかのように活動の場を広げるその原動力は何か、どのようにしてチャンスを掴んだか、制作現場であるアトリエで聞いた。

WWD:まずは、キャリアのスタートと経歴から教えてください

松野仁美(以下、松野):中学生の時からヘアメイクアップアーティストになりたいと思っていました。もともとファッションに興味があり、その流れでヘアメイクに興味を持ちましたが、当時はまだ想像の域を出ない程度。自分は瞬発的な集中のほうが向いていると分かっていたので、ファッションデザイナーのように長時間何かに向き合うより、ヘアメイクアップアーティストの方が合っているかな、と。今も、その時の勘は間違っていなかったと思います。大阪の美容学校を卒業し、大阪で4年間のサロン勤務を経て上京。ヘアメイクのアシスタントを約3年間務めて、13年に独立しました。アーティストのあいみょんとは同郷で地元のヒーローなのですが、独立して彼女と一緒に仕事ができたのは、いい親孝行になりました(笑)。

WWD:ヘアメイクアップアーティストとして独立してから心掛けた事は?

松野:いただいた1回の仕事が次につながるように、印象に残るようにしようと心掛けました。ただ悪目立ちしてはダメだし、馴染ませ過ぎては何も残らない。何が正解かは未だに分かりませんが、当時は、自分らしいポイントを一つ以上は入れるようにしていました。尊敬する先輩方は、激しいものでなくても何かしら目に止まるものがあったので、それに憧れ、目指しました。

WWD:松野さんの自分らしさとは?

松野:よく「かわいい」と言われます。私自身はかわいいものを作りたいとは思っていませんが、ただの「かわいい」ではない、何か私らしい色や雰囲気があるのかと思います。

WWD:なぜ、ヘッドピース制作を手掛けるように?

松野:ヘアメイクアーティストを目指した高校生の時にヘアメイクアップアーティストの加茂克也(故人)さんを知り、「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」や「ジョン・ガリアーノ(JOHN GALLIANO)」のコレクションを見て、ファッションだけどテーマ性がある、インパクトのある表現に強く憧れました。アシスタント時代から作り始めてはいたのですが、その時はあまり探求できず、優先もしませんでした。独立してから再開し、表現したいものが形になり始めたのは2019年頃です。

フラストレーションからヘッドピース制作に

WWD:一度は止めたヘッドピース制作を、独立して再開したきっかけは?

松野:先ほど「自分らしいポイントを一つ以上は入れるように」と話しましたが、時代と共に、それすらかなわなくなったというか、渡された資料と同じものを作る事を求められ、自分の個性を押し殺さなきゃいけなくなり、何をしても学びを感じられなくなりました。だんだんフラストレーションが溜まり、もっと自分にしかできないものを探求したり、創造性のあるものを作ったりしたくなりました。もともとモノ作りへの憧れがあり、選択したのがヘアメイクだっただけ。仕事の延長線上にあるヘッドピースを制作する事で、自分のやりたい事が発揮でき、フラストレーションが溜まらなくなったんです。

WWD:そのヘッドピース制作が、徐々にビジネスになり始めたのは?

松野:21年に韓国のエンターテインメント業界に携わる人から声が掛かり、韓国で活動するようになったのがきっかけです。ちょうど環境も変えたかったし、海外に住みたいという気持ちもあったので、チャレンジしました。最近はファッション誌にアイドルが出るようになり、とくに韓国ではファッション業界とエンタメ業界がボーダ―レスになっていると感じます。ヘアメイクアップアーティストとしての仕事は順調でしたが、韓国では知り合いもおらず時間もあったので、ヘッドピースを制作しインスタグラムでつながった人たちと作品撮りも積極的に行いました。

WWD:韓国と日本では、作品撮りにも違いがある?

松野:日本では、作品撮りをするとしても、ナチュラルなテイストを求められる場合が多くて、自分のやりたいことを表現する場がありませんでした。逆に韓国では個性的なものやユニークなものなどインパクトがあるものを求められます。その時、いかに自分が今まで何もしてきていなかったか、技術が足りなかったかを痛感しましたね。ただ、作品をインスタにあげると気づいてくれる人がいて、フォトグラファーから声が掛かり、また新しい物を作って作品撮りして、それが仕事につながる。いい循環でした。

フォトグラファーのチョ・ギソクとの出会いが飛躍のきっかけ

WWD:自分の世界観を表現する韓国の作品撮りの方が、より松野さんに合っていた。

松野:そうですね。ある時、「イタリアンヴォーグ」の表紙やビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)などを撮影しているフォトグラファーのチョ・ギソク(Cho Giseok)さんと作品撮りする機会に恵まれました。彼がそれをインスタに載せてくれたのがきっかけとなって「ヘッドピースを使いたい」という連絡が来るようになり、K-POPガールズグループNew Jeans(ニュージーンズ)やRed Velvet(レッドベルベット)などとの仕事につながりました。

WWD:ヘアメイクアーティストとヘッドピースクリエイターの仕事のバランスは?

松野:ヘアメイクの仕事で収入を得て、自分のやりたい事はヘッドピースで表現すると分けて考えています。最近は、マネージャーがついて、広告の仕事など自分の作風の延長でできる仕事も増えました。

WWD:最近は活動の場もどんどん広がっている。

松野:韓国から帰国した当初は不安もありましたが、昨年はニュウマン新宿のウインドゥに作品が展示されたり、こうして取材して頂く機会が増えたり、順調にコツコツやっています。近々では、3月に東京クリエイティブサロン2024 K-BALLET TOKYO × TOMO KOIZUMIにヘアメイクアップアーティストとして参加しました。舞台のヘアメイクはミュージックビデオにも似ていて、プロフェッショナルなダンサーたちにも大いに刺激を受けたし、本当にやって良かったです。同じく3月にカイリー・ジェンナーが初のフレグランス「コズミック」を発売した際、イメージビジュアルにヘッドピースとリングが採用されました。

3Dでアートピースを制作

WWD:新しいチャレンジは?

松野:ニュウマン新宿の展示では、制作に3Dプリンターを取り入れました。もともとSFや近未来の世界に興味があり、それがインスピレーション源にもなっているので、これからも極力3Dでアートピースを制作したいと思っています。今後は、リサイクル素材を使った作品制作にもチャレンジしていきたいです。

WWD:ヘッドピースというより、アート作品を制作している印象だ。

松野:ヘッドピースにこだわっているわけではありません。もともとヘアメイクを仕事にしているから、顔まわりのパーツになりましたが、今はリングや首まわりに付けるものも作っていますし、今年は全身に装着できる立体物を作りたいと思っています。最終的にはっモノ(アート作品)だけで完結するのが目標です。モノを作って渡したら、それをどう使うかは渡した人の自由。クリエイティブ心はアートピースが完成した時点で消化しているので。

WWD:今後、表現したい事は?

松野:AIもこれだけ進んだ今、機械的過ぎるとテクノロジーに負けてしまうので、テクノロジーを利用するけれど、あまりに頼り過ぎないようにしたいです。人口的過ぎたり、無機質過ぎたりするものはあまり好きではないし、花も完璧な美しさでなく、朽ちかけた一瞬の美しさを表現したい。調和や共存を意識しつつ、自分のやり方で新しい表現を開拓したいですが、その開拓の仕方は今も模索中です。

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セイコーウオッチが表参道ヒルズに「グランドセイコー」店舗 ブランドメッセージを空間で表現

セイコーウオッチは4月27日、表参道に「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」をオープンする。

 表参道ヒルズの一角にオープンする同店は、メインスペースがブランドメッセージの“Alive in Time”を体現する没入空間になっており、LED壁面の映像と音楽を通して、ブランド誕生60周年を記念して2020年に生まれた “エボリューション9 コレクション”の世界観を体感できる。

また「グランドセイコー」のブティックとしては初めて、“エボリューション9 コレクション”を中心としたモデルを直接見て触れられるコーナーを設置。同ブランドが磨いてきた匠の技や精緻さを気軽に体感できる。

ショーウィンドウには、同ブランドのものづくりと親和性のあるアーティストが独自の視点で「グランドセイコー」を解釈した作品を展示する。最初のアーティストは博多人形の工房「中村人形」の4代目の中村弘峰で、グランドセイコーを象徴する獅子の紋章を再解釈し、博多人形の技法で表現した作品「刻(とき)の獅子」を制作した。

■グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ
オープン日:4月27日
場所:表参道ヒルズ西館1階
住所:〒150-0001東京都渋谷区神宮前4-12-10
時間:11:00~20:00
定休日:不定休

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