佐々木進ジュン社長(右)と、「ジュン アンド ロペ」ディレクターに就任したモデルの三枝こころ PHOTO:TAMEKI OSHIRO
ジュンは、ブランド設立15周年を迎えたゴルフウエアブランド「ジュン アンド ロペ(JUN & ROPE)」のディレクターに、モデルの三枝こころを起用した。同ブランドは2024年秋に、メンズで上質&ベーシックを打ち出す新ライン“ノワール”を立ち上げたが、改めて主軸であるウィメンズにも注力。三枝ディレクターはレギュラー77の好記録を持つアマチュアゴルファーであり、クローゼットの中は日常着よりもゴルフウエアの方が多いというほど、ウエアにもこだわりを持っている。これまでは同ブランドのトップアンバサダーを務めてきたが、今後はディレクターとして商品開発により深く携わる。ゴルフ好きとしても知られる佐々木進ジュン社長と三枝ディレクターに、話を聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):ジュンとして、「ジュン アンド ロペ」を含むゴルフブランド事業は近年どのような状況か。
佐々木進ジュン社長(以下、佐々木): コロナ禍中のゴルフブームで若いゴルファーは急激に増え、ゴルフマーケットでは新規ブランドも多数生まれた。ただ、コロナが明けてレジャーの選択肢が増えた中では、ゴルフ人気はひと段落している。しかし、中高年をはじめとしたコロナ以前からのファンの間では、ゴルフ人気は根強い。そのような、成熟したライフスタイルを送っている方たちに向き合い、ゴルフ業界をしっかり成長させていく。それが当社の役割であると再認識している。
WWD:三枝さんをディレクターに起用した理由は?
佐々木: 「ジュン アンド ロペ」では近年はメンズで“ノワール”を立ち上げるなど、メンズも拡充してきた。ただし、もともとはウィメンズから始まったブランドであり、改めてウィメンズにも注力し、再成長を図る。三枝さんはプライベートでも「ジュン アンド ロペ」のウエアを愛用し、着倒していただいている。実際に着た感想やゴルフ仲間からの反響を、良い点も悪い点も事業部にどんどんフィードバックしてくださっている。ブランドを再成長させるためにどうしたらいいか、事業部としては悩んだ部分もあったが、三枝さんから「『ジュン アンド ロペ』は上品で、おしゃれなかわいらしさとスポーツウエアとしてのバランス感が最大の魅力。そこを突き詰めるべき」というコメントをいただいて、改めて自信を持った。事業部を長くやっていると、ブランド本来の良さが分からなくなってしまうこともある。そんなときに、ブランド元来の魅力を思い出すきっかけをいただいた。事業部のメンバー以上に、ブランドの魅力を俯瞰で理解していただいている。そこが三枝さん起用の最大の決め手だ。
「攻めているけど
上品さもある」
「ジュン アンド ロペ」2025年春のビジュアルから。モデルは三枝こころ
「ジュン アンド ロペ」2025年春のビジュアルから。モデルは三枝こころ
「ジュン アンド ロペ」2025年春のビジュアルから。モデルは三枝こころ
「ジュン アンド ロペ」2025年春のビジュアルから。モデルは三枝こころ
「ジュン アンド ロペ」2025年春のビジュアルから。モデルは三枝こころ
WWD:三枝さんと「ジュン アンド ロペ」との出合いは。
三枝こころ「ジュン アンド ロペ」ディレクター(以下三枝): 9年間アンバサダーを務めてきた。展示会に初めてお邪魔したのは15年の秋のこと。当時はまだゴルフウエアというとスポーツブランドのイメージが強く、一般アパレルのようなかわいいウエアはあまりなかった。その中で「ジュン アンド ロペ」は、色使いやグラフィックもスポーティーすぎず、攻めているけれど上品さもあって、こんなブランドがあるのかと衝撃を受けた。ピンクという色1つをとっても、ただのピンクではなく絶妙なピンク。しかも機能性もしっかりしており、他にはないゴルフウエアだなと愛用してきた。
コロナ禍のゴルフブームの少し前にも、「#ゴルフ女子」としてインスタグラムでかわいいウエアを着こなす女性ゴルファーに注目が集まった時代があった。「#ゴルフ女子」ブームやコロナ禍のゴルフブームの中で、ブランドアンバサダーを務めさせていただき、ゴルフ本を出版し、ゴルフにフォーカスした自身のyoutubeチャンネルを立ち上げて何百本と動画を出し、女子向けゴルフイベントをやらせてもらった際は何度も満員御礼を出すなど、ゴルフで“魅せる”ことはやり切ってきた自負がある。この9年の間に、母親になるなどの変化もあった。今37歳になって、さてここからどうしようか、どうゴルフと向き合っていこうかと考えていたときに「ジュン アンド ロペ」のディレクター就任の話をいただき、そんな道も開けるのかと非常にありがたく感じているし、責任の大きさに緊張感も持っている。
WWD:ディレクター就任を報告しているYoutubeの中では、事業部のメンバーから、「三枝さんには『こんなんじゃゴルフできない』『なんでこんなデザインにしちゃったの?』など辛口の意見もいただく」と明かされている。
三枝: 展示会で見るだけでは分からない点も多いが、ビジュアル撮影時には毎シーズン、全アイテムを着用する。そうすると、ファッション好きのゴルファー目線で気になる点が出てくる。例えば、「ファスナーの位置がここでは邪魔だ」とか、「このトップスはスイングする時に肩周りが動かしにくい」といったことを、撮影時には必ず伝えるようにしてきた。「バックリボン付きのデザインがかわいいから、このトップスはカラーバリエーションをもっと増やすべき」といった提案もしてきた。バックリボン付きのデザインは、一般アパレルだけでなくゴルフウエアでもはやったが、ゴルフブランドの中では「ジュン アンド ロペ」の提案が比較的早かったように思う。
佐々木: 直近では、「このニットは重い」というご指摘をいただいている(笑)。
三枝: デザインや色使いはすごくすてきなニットなのに、重さだけが惜しいと強く感じたのでお伝えした。近年はゴルフ用インナーのクオリティーが上がっている。ニットを分厚くしなくても、インナーに保温性があるので不都合はない。私は夏にノースリーブのワンピースなどを着る際も、日焼けを防ぐためにロングスリーブの機能性インナーを合わせるという着こなしを自分流でよくしているが、私のスタイリングを発信源として、そうしたレイヤードが女子のプロゴルファーなどの間にも広がったとゴルフメディアの方に言っていただいたこともある。「ジュン アンド ロペ」のアイテム1つ1つがもともとすてきだからこそ、スタイリングが映える。
「アンバサダー時代とは
プレッシャーの大きさが異なる」
「ジュン アンド ロペ」の商品企画会議から。右手前がディレクターに就いた三枝
「ジュン アンド ロペ」の商品企画会議から。右がディレクターに就いた三枝
三枝を起点に女性ゴルファーに広がったという、機能性インナー×ノースリーブの着こなし
三枝を起点に女性ゴルファーに広がったという、機能性インナー×ノースリーブの着こなし
三枝を起点に女性ゴルファーに広がったという、機能性インナー×ノースリーブの着こなし
「ジュン アンド ロペ」でヒットしたバックリボントップス
WWD:近年のゴルフマーケットでは、モノトーン中心のストリートテイストのウエアが支持される傾向がある。
佐々木: そうした傾向は確かにあるし、ゴルフ市場の中でさまざまな選択肢があるのはいいこと。本来ゴルフは上品なスポーツで、ゴルフの上品なあり方に共感する人が増えて、ゴルフが発展していくのは当社としても望むところだ。ゴルフはボールを打つというスポーツとしての側面だけでなく、その周囲に旅、仲間とのコミュニケーション、精神を整えるといったさまざまな価値があり、ポテンシャルは大きい。非常にすばらしいスポーツかつ文化であることを、もっと幅広い方に知っていただきたい。
WWD:ディレクターに就任し、三枝さんはアンバサダー時代にはなかったプレッシャーも感じているか。
三枝: 出てきたものに対して意見を言うことと、どういうものがいいか、イチから意見を出すのとでは全く異なる。アンバサダー時代にもコラボとして数型の企画に携わったことがあるが、コラボは自分の好きなものだけを作ればよかった。ディレクターとしては、シーズンに数十型ものアイテムに責任を持たなければならない。好きなものだけでなく、シンプルなもの、スポーティーなものなど、全体のバランスを追求していかなければならず、そこが難しい。コラボ商品に反響があった際もすごくうれしかったが、ディレクターになってからの商品がヒットしたときの喜びは、恐らくその何倍にもなりそうだ。
「絶不調もあるのがゴルフの面白さ」
佐々木進ジュン社長(右)と三枝こころディレクターの取材から PHOTO:TAMEKI OSHIRO
PHOTO:TAMEKI OSHIRO
PHOTO:TAMEKI OSHIRO
WWD:三枝さんはいつゴルフを始めたのか。
三枝: 始めたのは21歳のとき。練習場に初めて行ってハマってしまい、その週にはラウンドに行って、空振りもしたけどパーも取れた。とにかく楽しくて、人に会えば「ゴルフ行きましょう」と声掛けし、すぐに年間100ラウンドを回るようになった。目標スコアを達成したら、次は試合に出てみたい。試合に出たら、成績を残したい。次はゴルフ番組に出たい、自分で番組を持ちたいといったように、ゴルフを通して向上心やネットワークがどんどん広がっていった。
WWD:最後に、佐々木社長と三枝さんの最近のゴルフの成績は。
佐々木: あまり良くない(笑)。でもそんな時期もあるのがゴルフの面白さ。例えばテニスやマラソン、野球は、強い人はいつも強いが、ゴルフはうまい人やプロでさえ絶不調になることがある。同じプレーができる再現性が低く、そこに歯がゆさがある。しかし、毎回変わらずできるようになってしまったらきっとつまらない。繰り返しになるが、スポーツとしてだけでなく、仲間とのコミュニティーやジェントルマンの精神など、文化として受け継がれている面も奥深い。
三枝: 私も絶不調で、ディレクターに就任したのにどうしようかと思っている(笑)。これを機に一度リセットして、新しいウエアのデザインを考えながら、技術を磨き直していく。まさかこんなに不調になるとは思っていなかった。上へ上へ頑張らなきゃという意識で、辞めたくてもゴルフは辞められない。ディレクターに就いたことで、どうしてもカジュアルになりがちなゴルフウエアを、もっと女性が楽しめるものに変えていきたい。ゴルフの経験とモデルとしての知見を生かし、他のブランドが真似したくなるようなデザインを考え、「ジュン アンド ロペ」のファンを増やしていきたい。
The post 三枝こころが導くゴルフブランド「ジュン アンド ロペ」原点回帰 着倒したから言える「これじゃ売れないよ」 appeared first on WWDJAPAN .