「ディオール」2025年プレ・フォール・コレクション

「ディオール(DIOR)」が2025年プレ・フォール・コレクションを発表した。

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「ローレン マヌーギアン」2025-26年秋冬コレクション

「ローレン マヌーギアン(LAUREN MANOOGIAN)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「プッチ」が地中海の絶景を望む庭園で25年春夏ショーを開催 柔らかさを取り入れ、日常への提案を強化

「プッチ(PUCCI)」は4月4日、イタリア・ポルトフィーノで2025年春夏ショーを開いた。同ブランドはカミーユ・ミチェリ(Camille Miceli)=アーティスティック・ディレクターの就任以降、独自のスケジュールとロケーションでのコレクション発表に移行。オンシーズンの新作を披露している。今回のショーは、22年のカプリ島とサンモリッツでのプレゼンテーション、そして23年のフィレンツェ、昨年のローマでのショーに続くものだ。舞台となったのは、かつては修道院だったという12世紀に建てられた歴史的建造物ラ・セルバラ(La Cervara)。ポルトフィーノへ向かう沿岸道路の小高い丘にあるラ・セルバラには手入れの行き届いた庭園があり、そこからは美しいリグリア海を見渡せる。夏のような陽気に恵まれた1日の終わりに、そんな絶景を背景に新作を披露した。

象徴的な“マルモ“柄の多彩な表現

“マルモ(Marmo)“と題した今季は、その名の通り、もともと創業者エミリオ・プッチ(Emilio Pucci)が海に反射する太陽からヒントを得て1968年に制作した同名の渦巻くプリントを軸に据えた。カミーユは「“マルモ“は、私が『プッチ』に加わって最初に恋に落ち、再解釈したプリント。そんな象徴的なモチーフを改めて強調するために、さまざまな表現に取り組んだ」と説明。鮮やかでコントラストの効いた色使いを思い浮かべがちな「プッチ」だが、今季のプリントは淡いピンクやベージュのグラデーションと白黒の配色で、より日常にも取り入れやすいソフトな印象に仕上げている。その一方で、ダイナミックに揺れるフリンジやシルバーのアイレット、白黒の貝殻のようなパーツの装飾で柄を描く職人の手仕事を生かした提案(一部はオーダーメードアイテム)も際立った。

昨年のショーの際にも「リゾートだけでなく、街で過ごす日常でも着られるブランドとしてのイメージを確立したい」と語っていたように、カミーユのアプローチは明確だ。今季は柔らかく軽やかな「エアリー」をキーワードに、ブランドの代名詞である柄と都会的で洗練されたスタイルの融合を推し進めた。体にぴったりと沿うセンシュアルなラインから体を優しく包むリラックスシルエットまでを用意するラインアップの中で新鮮なのは、“エアリー・ボディーコンシャス“な提案。例えば、ギャザーやシャーリングで作るふんわりボリュームのあるトップスとタイトなミニスカートを組み合わせてドレスに仕立てたり、フィット感のあるニットに大胆に広がるミニスカートをコーディネートしたり、ドローストリングを絞ることでメリハリのあるシルエットに仕上げたスポーティーなナイロンジャケットにミッドカーフ丈のタイトスカートを合わせたり。

また、日常をより意識した提案として、“マルモ“柄を控えめに表現したベージュキャンバスのワークパンツやシャツジャケット、オーバーサイズのポプリンシャツとハイウエストのタイトスカートをドッキングしたドレスなども登場。黒をベースにしたドレスには、首元や袖口にリボンのようにプリントをあしらったり、裾にプリント地で作ったフリンジを配したりすることで、落ち着いたデザインにアクセントを加えている。

仕上げは「タトゥージュエリー」と
遊び心あるアクセサリー

スタイルを仕上げるのは、「タトゥージュエリー」と呼ぶ皮膚の上にあしらったシルバーのタトゥーシールや、足に柄を描くようなグラディエーター風サンダル。そのデザインは、「かつてカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が、『プッチ』をまとう姿は体にタトゥーが施されているかのようだと話していた」ことからヒントを得たものだという。

そして、アクセサリーデザインの経験も豊富な彼女は、ブランドの裾野を広げるためにバッグやシューズ、ジュエリーの提案を引き続き強化。ロープ状のプリント地を編み上げたショルダーバッグやラフィアのバスケットバッグ、広げるとトートにもなる二つ折りのクラッチから、レインブーツから着想したキトゥンヒールのシューズ、装飾を施したヌーディーなサンダル、ウニや貝を想起させるジュエリー、モビールのように丸いパーツが揺れるピアス、ライターケースのペンダント、ロープを用いたウォレットコード、“マルモ“プリントをあしらったメタルフレームのサングラスなど、遊び心あるアイテムをそろえた。

暗い時代にこそ大切な
ポジティブさやハッピーな気持ち

今シーズンはこれまでの弾けるようにカラフルでパワフルなイメージに比べ、色使いもシルエットも柔らかな印象だった。しかし、イタリア人歌手ナーダ(Nada)のアップビートな「AMORE DISPERATO」が流れる中で行われたショーや、夜遅くまで盛り上がったアフターパーティーは、「プッチ」らしい自由で開放的なエネルギーにあふれていた。

世界中でさまざまな問題が起こる中、多くのデザイナーがこの暗く不確かな時代について口にしたり、その思いをコレクションに反映したりしている。カミーユは、そんな今に対して「私自身、世の中で起こっていることに影響されやすい」としながらも、「ショーを通して少しでもポジティブさを届けたいし、ひとときでも不安を忘れてハッピーな気持ちになってほしい。それがない人生なんて終わったようなものだし、うんざりでしょ?」と話す。そんな彼女の「どんな状況においても人生を楽しむ」という姿勢は、人々に高揚感をもたらすデザインで知られるブランドのDNAにも通じるものであり、こんな時代にこそ忘れてはいけないマインドかもしれない。

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雨が多いデンマークで生まれた「レインズ」 創業の地オーフスの新本社で見せた進化する“アーバンアウトドア“スタイル

2012年にレインジャケットからスタートしたデンマーク発のライフスタイルブランド「レインズ(RAINS)」はこのほど、創業の地オーフスに昨年11月にオープンした新たな本社で25-26年秋冬コレクションのショーを開催した。

オーフスはデンマークでコペンハーゲンに次ぐ第二の都市だが、その規模はこじんまりしていて穏やかな雰囲気が漂う。そんな街中から車で約30分の自然豊かな郊外に、「レインズ」はブルータリズム建築の新本社を構えた。ミニマルな空間に飾られたアート作品やモダンなインテリアが目を引く社内は、広さ1万1000平方メートル。オフィスとウエアハウス(倉庫)が一体化したデザインが特徴で、ガラスを多用することによりオープンな雰囲気を生み出している。また外壁の一部はリビングウォール(緑化壁)になっていて、雨水と時の経過によって緑が茂る。そんなインダストリアルなムードと自然が融合する本社は、ブランドが追求する“アーバンアウトドア“の概念を体現している。

誇張と豊かな質感で
定番を再解釈

「レインズ」にとって10回目のショーとなる今回の舞台は、スチールの棚が並ぶウエアハウスの通路を白い布で仕切った細長い空間。スティーン・ボルグホルム(Steen Borgholm)最高経営責任者(CEO)は、「ここはブランドの未来を指し示す場所。他とは異なる大胆な方法で、ブランドの未来を見せたかった」と新たな“ホーム“でショーを開いた理由を話す。

「フォーエバー(FOREVER)」と題した今季のコレクションの出発点は、定番の再解釈。ブランドを象徴するスタイルを軸に、アレンジを加えてデザイン性を打ち出した。例えば、レインジャケットやコートは、目の下までを覆う高い襟やパワフルな幅広のショルダーライン、構築的なフードで部分的に誇張。シグネチャーのPU素材に加え、光沢加工を取り入れたり、ハードシェルのコンセプトを掘り下げたり、毛足の長いファーのような防水フリースを用いたりと、質感のバリエーションやその対比もカギになった。そんなデザインや素材使いに加え、ショール状のパーツで体を包み込むようなスタイルやウエストをシェイプしたシルエットは、秋冬のトレンドにも通じる。

また、コペンハーゲンやパリで開いたこれまでのショーでは、ボリュームのあるパファーやトレーンを引くようなマキシ丈を用いたコンセプチュアルなアイテムが多い印象だった。しかし、今季はジャケットをあえて前後逆で着せたり、素材のミックスやレイヤードを駆使したりといったスタイリングを通して、ショーで“魅せる“ための遊びを効かせた。

ヨハンネ・ディンドラー(Johanne Dindler)=ヘッド・オブ・デザインが、今回のコレクションで改めて明確にしたのは「アクセシブルでありながら、先進的」というブランドのDNA。「『レインズ』の魅力は、一つのアイコニックなシルエットから全てがスタートしたこと。それを称えるとともに、いかにそのDNAを保ちながらも未来へ向けて進化させていくかを表現したかった」と話すように、マットなPU素材で作られたレインジャケットだけにとどまらないブランドの進化を示した。

3月には日本初の店舗を
ラフォーレ原宿にオープン

「レインズ」の現在の主要市場はアメリカ、フランス、イギリスなどで、欧米にはすでに約30店舗を構えている。日本ではワーキングユニット・ジャパン、ルックを経て、23年8月からはブルーベル・ジャパンが輸入代理店になり、3月には国内初の常設店をラフォーレ原宿1階にオープンしたばかりだ。

ボルグホルムCEOは、日本市場について「“機能的“や”クリーン“など日本とスカンジナビアのデザイン美学や価値観には共通する部分が多く、『レインズ』との相性はとても良いと思う。バッグやアクセサリーからウエアまで、今後の発展に大きな期待を寄せている。特に新たにローンチした“スバ(SUVA)“シリーズはこれまでのPU素材より透湿性にも優れているので、日本の気候にピッタリだろう」と説明。ブランドとしては「さらに機能性とデザイン性を併せ持つアイテムのラインアップを広げて、ブランドの世界観を補完していく」とし、26年にはシューズのローンチを予定する。

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【バックステージ】「ピリングス」2025-26年秋冬コレクション

「ピリングス(PILLINGS)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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【バックステージ】「タン」2025-26年秋冬コレクション

「タン(TAN)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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【バックステージ】「タン」2025-26年秋冬コレクション

「タン(TAN)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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「ロンシャン」2025-26年秋冬コレクション

「ロンシャン(LONGCHAMP)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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【バックステージ】「カミヤ」2025-26年秋冬コレクション

「カミヤ(KAMIYA)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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【バックステージ】「リブ ノブヒコ」2025-26年秋冬コレクション

「リブ ノブヒコ(RIV NOBUHIKO)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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「アンテプリマ」はアートの力で前進 現代アーティストの加藤泉とコラボ

「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」がミラノで発表した2025-26年秋冬コレクションは、現代アーティストの加藤泉をコラボレーターに迎えた。デフォルメした人物や生命体のモチーフを素朴なタッチで表現するモダン・プリミティブな加藤の世界観を基盤に、アートとファッションの融合で生まれる新しいクリエイションを披露した。

加藤のインスピレーションの引き出しを
自由に開けて制作

「アンテプリマ」の荻野いづみクリエイティブ・ディレクターは、これまでも現代アートから多くのインスピレーションを得てきた。アーティストの田島美加を全面的にフィーチャーした昨シーズンに続き、ブランドのクリエイションとアートの関係性はますます深まっている。「ファッションには人を呼び込む力がある。デザイナーとしてその力を最大限に生かしつつ、広い壁になったようなつもりでアーティストを世界に紹介していきたい」と荻野は語る。

2025-26年秋冬コレクションは、注目の現代アーティストの加藤泉とタッグを組んだ。「彼の作品を初めて見た時、その独特な世界観に驚いた。最初は正直、大きな違和感として印象に残ったが、実際に作品を家に飾ってみるとどこかかわいらしさがある。作品と向き合ううちに、すっかり彼の世界観のとりこになっていた」と荻野は振り返る。

「加藤氏のたくさんのインスピレーションの引き出しを自由に開けながら作り上げた」というコレクションは、加藤のプリミティブな世界観を、思わず触れたくなるようなシャギーニットやコーデュロイといった素材で表現した。そこに乗せるブルーやダークブラウン、ディープパープルなど、鮮やかでありながらダークなカラーパレットが今季を印象付ける。荻野は「秋冬の色を考え始めた時、アンリ・ルソーの色にひかれた。そこで加藤氏の絵画を見直すと、そこにはルソーがいた」と話す。オーバーサイズのニットとバミューダショーツ、太いカーゴパンツといったボーイッシュなスタイリングは、加藤の普段の着こなしに着想を得た。その結果、年齢やジェンダーを問わない普遍的なワードローブが完成している。色の重ねを楽しむ自由なレイヤードスタイルもブランドらしい。加藤のアートワークは、アルパカを混紡したニットに色彩豊かな風合いで落とし込んだり、リブニットを使用したコートにツートーンのシェニール糸を用いて透け感のあるポインテール編みで表現したり、ナイロンブルゾンの背面に繊細に刺しゅうしたりと職人技が光る。

目指したのは「ウエアラブルアート」

「コレクションをアーティストの宣伝の場にしたら面白いのではないかと思ったのがきっかけだった。アーティストの力を借りることで、私たちも新鮮な視点が得られるし、アーティスト本人も想像していないようなクリエイションが生まれる。双方にとってウィンウィンな新しい支援の形ができたのではないか」と荻野。目指すは、ファッションとアートを融合した「ウエアラブルアート」領域の開拓だ。「例えば、着終わった後には壁に掛けて鑑賞することもできる。ファッションとアート双方の側面を持つことで、モノとしての価値が高まる。そうして、長く大事に手元に置いてもらえるものを作ることが究極のサステナブルだと考える」。

「アンテプリマ」は今、シグネチャーのワイヤーバッグのリバイバルによって若年層にファンが広がっている。昨年改装した渋谷スクランブルスクエア店では、日本でのアパレルの販売を本格的に再始動。世代を問わずに感性に訴えかけるアートの力で、エイジレスな魅力が増している。

「ただのコピーで終わらない、
作品が良い意味で素材として使われていた」

WWD:荻野クリエイティブ・ディレクターとの出会いは?

加藤泉(以下、加藤):元々荻野さんとは香港のアートセンター「CHAT」を通じて知り合った。今回コラボのオファーを受けた時は安心して引き受けられた。荻野さんの、はっきりした性格を知っていたので「好きに作品を選んで作ってみてください」とお伝えし、自由なデザインで表現してもらった。

WWD:コレクションを見た感想は?

加藤:正直、最初はどんな部分に親和性があるのか分からなかったが、出来上がったサンプルを見たら「大丈夫なんだな」と安心した。実際にコレクションの中では、作品が良い意味で素材として使われていた。ただ作品をコピーして使うのではない姿勢が、自分の作品作りの姿勢とも似ていてうれしかった。グラフィックの解釈も「こういう風に感じてるんだな」と知ることができ、面白くて新鮮だった。またこの機会に、シグネチャーのワイヤーバッグは全て職人の手仕事で編まれていると知り、好感を持った。

WWD:「アンテプリマ」はアーティストの支援に積極的だ。

加藤:素晴らしい活動だと思う。ファッションとアートは共に専門職だと思うが、お互いにリスペクトある関係性が重要で、それがあれば、新しい何かが始まるはずだ。

アートプライズ立ち上げで
アーティストを支援

「アンテプリマ」は昨年、香港のアートセンターCHATとの協業でテキスタイルアートの新たなプライズを立ち上げた。さまざまなテキスタイル、技術、テクノロジーを駆使し、現代社会に共鳴するクリエイティブなコンセプトと、先見性に富んだアイデアの展開を促進することを目的とする。また、特にアジアの視点からテキスタイルアートの世界を探求し、新たな着眼点を生み出すことを目指している。

問い合わせ先
アンテプリマジャパン
0120-03-696

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「アンテプリマ」はアートの力で前進 現代アーティストの加藤泉とコラボ

「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」がミラノで発表した2025-26年秋冬コレクションは、現代アーティストの加藤泉をコラボレーターに迎えた。デフォルメした人物や生命体のモチーフを素朴なタッチで表現するモダン・プリミティブな加藤の世界観を基盤に、アートとファッションの融合で生まれる新しいクリエイションを披露した。

加藤のインスピレーションの引き出しを
自由に開けて制作

「アンテプリマ」の荻野いづみクリエイティブ・ディレクターは、これまでも現代アートから多くのインスピレーションを得てきた。アーティストの田島美加を全面的にフィーチャーした昨シーズンに続き、ブランドのクリエイションとアートの関係性はますます深まっている。「ファッションには人を呼び込む力がある。デザイナーとしてその力を最大限に生かしつつ、広い壁になったようなつもりでアーティストを世界に紹介していきたい」と荻野は語る。

2025-26年秋冬コレクションは、注目の現代アーティストの加藤泉とタッグを組んだ。「彼の作品を初めて見た時、その独特な世界観に驚いた。最初は正直、大きな違和感として印象に残ったが、実際に作品を家に飾ってみるとどこかかわいらしさがある。作品と向き合ううちに、すっかり彼の世界観のとりこになっていた」と荻野は振り返る。

「加藤氏のたくさんのインスピレーションの引き出しを自由に開けながら作り上げた」というコレクションは、加藤のプリミティブな世界観を、思わず触れたくなるようなシャギーニットやコーデュロイといった素材で表現した。そこに乗せるブルーやダークブラウン、ディープパープルなど、鮮やかでありながらダークなカラーパレットが今季を印象付ける。荻野は「秋冬の色を考え始めた時、アンリ・ルソーの色にひかれた。そこで加藤氏の絵画を見直すと、そこにはルソーがいた」と話す。オーバーサイズのニットとバミューダショーツ、太いカーゴパンツといったボーイッシュなスタイリングは、加藤の普段の着こなしに着想を得た。その結果、年齢やジェンダーを問わない普遍的なワードローブが完成している。色の重ねを楽しむ自由なレイヤードスタイルもブランドらしい。加藤のアートワークは、アルパカを混紡したニットに色彩豊かな風合いで落とし込んだり、リブニットを使用したコートにツートーンのシェニール糸を用いて透け感のあるポインテール編みで表現したり、ナイロンブルゾンの背面に繊細に刺しゅうしたりと職人技が光る。

目指したのは「ウエアラブルアート」

「コレクションをアーティストの宣伝の場にしたら面白いのではないかと思ったのがきっかけだった。アーティストの力を借りることで、私たちも新鮮な視点が得られるし、アーティスト本人も想像していないようなクリエイションが生まれる。双方にとってウィンウィンな新しい支援の形ができたのではないか」と荻野。目指すは、ファッションとアートを融合した「ウエアラブルアート」領域の開拓だ。「例えば、着終わった後には壁に掛けて鑑賞することもできる。ファッションとアート双方の側面を持つことで、モノとしての価値が高まる。そうして、長く大事に手元に置いてもらえるものを作ることが究極のサステナブルだと考える」。

「アンテプリマ」は今、シグネチャーのワイヤーバッグのリバイバルによって若年層にファンが広がっている。昨年改装した渋谷スクランブルスクエア店では、日本でのアパレルの販売を本格的に再始動。世代を問わずに感性に訴えかけるアートの力で、エイジレスな魅力が増している。

「ただのコピーで終わらない、
作品が良い意味で素材として使われていた」

WWD:荻野クリエイティブ・ディレクターとの出会いは?

加藤泉(以下、加藤):元々荻野さんとは香港のアートセンター「CHAT」を通じて知り合った。今回コラボのオファーを受けた時は安心して引き受けられた。荻野さんの、はっきりした性格を知っていたので「好きに作品を選んで作ってみてください」とお伝えし、自由なデザインで表現してもらった。

WWD:コレクションを見た感想は?

加藤:正直、最初はどんな部分に親和性があるのか分からなかったが、出来上がったサンプルを見たら「大丈夫なんだな」と安心した。実際にコレクションの中では、作品が良い意味で素材として使われていた。ただ作品をコピーして使うのではない姿勢が、自分の作品作りの姿勢とも似ていてうれしかった。グラフィックの解釈も「こういう風に感じてるんだな」と知ることができ、面白くて新鮮だった。またこの機会に、シグネチャーのワイヤーバッグは全て職人の手仕事で編まれていると知り、好感を持った。

WWD:「アンテプリマ」はアーティストの支援に積極的だ。

加藤:素晴らしい活動だと思う。ファッションとアートは共に専門職だと思うが、お互いにリスペクトある関係性が重要で、それがあれば、新しい何かが始まるはずだ。

アートプライズ立ち上げで
アーティストを支援

「アンテプリマ」は昨年、香港のアートセンターCHATとの協業でテキスタイルアートの新たなプライズを立ち上げた。さまざまなテキスタイル、技術、テクノロジーを駆使し、現代社会に共鳴するクリエイティブなコンセプトと、先見性に富んだアイデアの展開を促進することを目的とする。また、特にアジアの視点からテキスタイルアートの世界を探求し、新たな着眼点を生み出すことを目指している。

問い合わせ先
アンテプリマジャパン
0120-03-696

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“眠れる森の美女”が覚醒 サラ・バートンの「ジバンシィ」、鮮烈デビュー

ジバンシィ,GIVENCHY

サラ・バートン(Sarah Burton)=アーティスティック・ディレクターによる新生「ジバンシィ(GIVENCHY)」のデビューは、2025-26年秋冬パリ・ファッション・ウイークにおける最大のニュースだ。バートンは3月7日、自身初の「ジバンシィ」のコレクションを、1959年からのメゾンの本拠地であるジョルジュ・サンク通り3番地のサロンで発表。それは、彼女が90年代後半、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)が「ジバンシィ」のトップを務めていたとき、共に働いた思い出の場所でもある。初のコレクションは、近年のゴスやストリートへの傾倒をリセット。本懐であるシルエットに立ち返り、会心の出来栄えだった。すでにセレブリティーのレッドカーペットも手掛けており、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)らと蜜月だったユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)を彷彿とさせるメゾンへと再興しつつある。“眠れる森の美女”が覚醒した。

着想源は1952年の綿織物

ジバンシィ,GIVENCHY

「ジバンシィ」のクリエイションを託されたバートンはまず、アーカイブのリサーチに没頭。そしてユベール・ド・ジバンシィ最初のメゾン、アルフレッド・ド・ヴィニー通り8番地の邸宅にある隠し戸棚の中から改装の際に発見された、1952年のファースト・コレクションの一部を成す綿織物のパターンをインスピレーションの源にしたという。バートンはユベール・ド・ジバンシィがマネキンに生地を当てながら理想のシルエットを追求した姿を思い浮かべ、「『ジバンシィ』は、一言で言えばシルエット。理想のシルエットのために追求するパターンとカッティング、クラフツマンシップにこそ立ち戻るべき」と悟った。そして近年のゴスやストリートなどのムードを削ぎ落とし、パターンとカッティングに尽力。それぞれ計3回のモデルフィッティングというオートクチュールに匹敵する過程を経て、ジョルジュ・サンク通り3番地にある「ジバンシィ」の現在の本拠地で、シルエットへのこだわりを見せつけた。会場の椅子は、綿織物が入った茶封筒が見つかった時の様子を再現したもの。歴史を積み重ねて今日に至った「ジバンシィ」へのリスペクトなのだろう。

フィッティングへの徹底したこだわり

デビューコレクションは、メッシュで作ったボディースーツで幕を開けている。構造を詳らかにするメッシュ素材だから一切の誤魔化しが効かない。セカンドスキンのように“シンデレラ・フィット”するボディースーツでの幕開けは、パターンとカッティング、そしてフィッティングに徹底的にこだわったバートンの自信の表れに他ならない。女性の体こそ、一番美しいシルエットという思いも込めているのだろう。

「現代女性の全てを表現したい。強さや繊細さ、感情的な知性、パワフルでありながらセクシーであること、その全てを」と話す通り、バートンはテーラリングを軸に、メンズ由来の技術をウィメンズのシルエットに活用して、相反するものの融合に挑んだ。たとえばジャケットやコートは、ショルダーラインが力強いのに対して、ウエストは緩やかにくびれて優しい。覆い隠した前面に対して肌を露出する背中、レザースカートの後ろに深く刻んだスリットなどは、フォーマルのムード漂うコレクションの中で官能的な雰囲気を醸し出す。

ユベール・ド・ジバンシィへのオマージュも忘れない。オードリー・ヘプバーンも愛したリトル・ブラック・ドレスは、シャンティレースを使ったマイクロミニのベビードールドレスで提案。軍服由来のトレンチコートなどには、コクーンバックと呼ぶふんわりと広がるシンボリックなシルエットを盛り込んだ。白シャツは片方の肩でプリーツを寄せながら生地を垂らし、裾はアシンメトリーに仕上げてドレスに昇華。昨今のウィメンズに欠かせないヘルシーやアクティブ、自然体なのにエレガントな雰囲気を纏わせた。

イヴニングも圧巻だった。ユベール・ド・ジバンシィが多用したリボンやノットのアイデアで、オリエンタルなボタニカル刺しゅうを加えたダッチェスサテンを操り、ドラマチックなシルエットに仕上げていく。チュールのフリルやねじれたリボン、フェティッシュなコーンヒールのミュールやサンダル、パンプスもクチュールメゾンの品格を備えた。

“メゾンの核となるシルエットに
立ち戻ろうと考えた”

WWD:初のコレクションを制作するにあたり、どのようなことを考えたか?

サラ・バートン「ジバンシィ」アーティスティック・ディレクター(以下、バートン):私にとって、「ジバンシィ」のDNAはシルエット。それ以外の全てを削ぎ落とすことで、このメゾンの核となるものに立ち戻ろうと考えた。

WWD:アーカイブとはどのように向き合っているか?

バートン:「ジバンシィ」にはヘリテージ部門に素晴らしい女性の責任者がいて、彼女はこのメゾンでこれまでに起こったこと、例えば、手紙や写真、パターンなどのあらゆるものを集めているの。信じられない程のアーカイブで、正直まだ全てには目を通せていないけれど、まずユベールの最初のコレクションを見るところから始めた。それは、無駄を削ぎ落としてシルエットにフォーカスしたもので、かなりヒッチコック的でもあった。そこからスタートしたものの、プロポーションにひねりを加えたり、大胆に拡大したりして、現代の女性に響く服になるよう工夫した。

WWD:今回のコレクションには、化粧品のコンパクトやパウダーパフをモチーフにした装飾など、意外なユーモアも見られた。

バートン:今の世界には、ちょっとした楽しさが必要かもしれないと思ったの。私が取り組みたかったのは、私が服を手掛けたり、一緒に仕事をしたりするあらゆる女性たちに語りかけること。だから、このコレクションでは現代を生きる女性の全てを表現したかった。女性には、セクシーだと感じたい瞬間もあれば、力強さを感じたい場面もあるし、もろさや繊細さを感じたい時もある。そんな女性であることの複雑さをたたえるのは本当に素晴らしいことだと思う。

WWD:英国を代表するデザイナーズブランドからフランスの有名なクチュールメゾンへ移籍したが、心境の変化は?

バートン:どこにいても、自分自身のストーリーを語らなければならないということは同じ。そのメゾンが象徴するものを確立することは重要だけど、私たちが生きている今の世界に何を伝えたいのか、人々にどう感じてほしいのかということを、感情や信頼をもって解釈することが大切だと思う。

WWD:いずれはクチュールも手掛けたいと語っていたが、具体的な計画は?

バートン:私にとってはアトリエが全て。なので、まずは揺るぎないアトリエを確立したい。ゆくゆくは「アレキサンダー・マックイーン」時代に取り組んでいたような学生向けのパターンカッティングなどのワークショップにも取り組みたい。クチュールを手掛けたい気持ちはあるけれど、それはふさわしい時期が来たらと考えている。

レッドカーペットの世界も
バートンの「ジバンシィ」に注目

サラ・バートンによる「ジバンシィ」はパリ・ファッション・ウイークに先駆け、レッドカーペットの上で早くも注目を浴びていた。女優のエル・ファニング(Elle Fanning)は3月2日(アメリカ時間)、バートンによる「ジバンシィ」のドレス姿でアカデミー賞のレッドカーペットに登場。フランス・リヨンのレースとシルクのチュールを贅沢に用い、ブラックのグログランリボンとコルセットでウエストを緩やかにマークしたドレスは、パパラッチの注目を集めた。バートンは、ユベール・ド・ジバンシィが1952年に作ったドレスに着想源を得たという。同じ会場には、ティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)もバートンがデザインしたカスタムメードのレザースーツ姿で登場。鮮やかなバターイエローは、25-26年秋冬コレクションを彷彿とさせる。

問い合わせ先
ジバンシィ ジャパン
0120-218-025

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「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」が変わる 「ピッティ」ゲストに決定し「新たな創作の旅に出る」

「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」(以下、オム プリッセ)は、イタリア・フィレンツェで6月に開催するメンズ見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」(以下、ピッティ)第108回に“名誉招待ブランド”として参加する。6月18日に、フィレンツェ市内の会場で2026年春夏コレクションを披露する予定だ。

また、「オム プリッセ」は今後の新たなクリエイティブの方針も発表した。新作は、シーズンごとに世界のさまざまな場所を巡りながら発表し、同時に、イベントや場所に合わせた企画も開催するという。「ピッティ」への参加は、その新たな試みの皮切りとなる。26年春夏シーズンは、イタリアのさまざまな街で行ったリサーチを起点にしたコレクションになるという。「旅を通して、経験と知識を積むことは、私たちのモノ作りをさらに発展させる糧となる。さまざまな文化の中で創作活動に取り組むことが、多様性に富む普遍的な服作りにつながると信じている」と同ブランド。

「ピッティ」のラファエル・ナポレオーネ(Raffaello Napoleone)最高経営責任者は「かねてより、この偉大な日本のブランドを『ピッティ』と結びつけたいと願っており、ようやく叶った。今回の“名誉招待”とは、『オム プリッセ』の世界的成功と高いクオリティー、創造性、独創性を称えるもの。同時に、創設者である三宅一生氏の“静かで気品ある魔法”を現代的に再解釈し、現在のクリエイティブディレクションを発信する意味も込めている」とコメントする。

「オム プリッセ」は、19年にパリで初のプレゼンテーションを開き、以降はパリ・メンズ・ファッション・ウイークの公式スケジュールで発表を続けてきた。今年1月のパリメンズは、同じイッセイ ミヤケのメンズブランド「アイム メン(IM MEN)」が参加し、「オム プリッセ」は「今後の発展と進化を見据え、新しい計画を立案中」としていた。

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「ヘヴン タヌディレージャ アントワープ」2025-26年秋冬コレクション

「ヘヴン タヌディレージャ アントワープ(HEAVEN TANUDIREDJA ANTWERP)」が2018-19年秋冬コレクションを発表した。

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「ギャップ」×「ザ・マペッツ」 アイテムを着用したマペットをプリント

カジュアルファッションブランド「ギャップ(GAP)」は、世界中で愛されるディズニー作品「ザ・マペッツ」シリーズに登場するマペットたちをデザインした「The Disney Muppets Collection」を「ギャップ」公式オンラインストア限定で発売した。

本コレクションは、メンズTシャツ(6990円)5型とクルーネックスエット(9900円)2型をラインアップする。プリントされたキャラクターたちは、「ギャップ」のデニムジャケット、Tシャツ、オーガニックコットンポプリンビッグシャツを着用し、スタイリングは同ブランドのクリエイティブ・ディレクターであるザック・ポーゼン(Zac Posen)が担当した。

「ザ・マペッツ」に登場するマペットのリーダーであるカーミット、映画・テレビスターのミス・ピギー、パフォーマンスアーティストのゴンゾ、お笑いが大好きなフォジー、ドラマーのアニマルなど、マペットの人気キャラクターたちがモノクロのポートレートで登場する。

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「ギャップ」×「ザ・マペッツ」 アイテムを着用したマペットをプリント

カジュアルファッションブランド「ギャップ(GAP)」は、世界中で愛されるディズニー作品「ザ・マペッツ」シリーズに登場するマペットたちをデザインした「The Disney Muppets Collection」を「ギャップ」公式オンラインストア限定で発売した。

本コレクションは、メンズTシャツ(6990円)5型とクルーネックスエット(9900円)2型をラインアップする。プリントされたキャラクターたちは、「ギャップ」のデニムジャケット、Tシャツ、オーガニックコットンポプリンビッグシャツを着用し、スタイリングは同ブランドのクリエイティブ・ディレクターであるザック・ポーゼン(Zac Posen)が担当した。

「ザ・マペッツ」に登場するマペットのリーダーであるカーミット、映画・テレビスターのミス・ピギー、パフォーマンスアーティストのゴンゾ、お笑いが大好きなフォジー、ドラマーのアニマルなど、マペットの人気キャラクターたちがモノクロのポートレートで登場する。

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「ジュンヤ ワタナベ」のドラマチックな造形に目を奪われ、「ノワール ケイ ニノミヤ」ではハッピーなムードに 25-26年秋冬パリコレ日記vol.5

今季のパリは本当に晴天続きで、昼はアウター要らず。例年、1〜3月のコレクション取材は寒かったり、雨が続いたりすることも多いので、天気がいいだけで気分が高まります。本日は、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)」「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」がコレクションを発表する“ギャルソン“デー。「エルメス(HERMES)」や「マックイーン(McQUEEN)」などもショーを開いた5日目の模様をお届けします。

キュビズムを服で表現する
「ジュンヤ ワタナベ」

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員:朝は「ジュンヤ ワタナベ」から取材開始。今季はコム デ ギャルソン社の3ブランドとも街の中心にある同じ廃墟のようなビルが会場なので、移動しやすく助かります。トップバッターの「ジュンヤ」の会場は、V字を描くように客席を配置。ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)のロックな音楽に合わせ、V字のそれぞれの端から先端に向かってモデルが交互に歩いてきます。

「非リアルな服作りに魅了される」という渡辺淳弥さんは今季、身近な服をキュビズムの視点で再考。幾何学的な造形を服に取り入れました。序盤は、同ブランドのスタイルに欠かせない黒のライダースジャケットを連打。ただ、トゲのような形が飛び出していたり、三角のパーツを組み合わせて立体的なフォルムを作り出したり。「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」のブーツを袖にドッキングしたものまであります。続くトレンチコートやベルベットのドレスも、内側に仕込んだ立方体が出っ張っていたり、フレームが外に飛び出していたりとカクカクしたシルエットが特徴。また、MA-1は風船のようにふくらみ、ファーライクなジャケットはいくつものウィッグを組み合わせて表現しています。ラストには、三角や四角のパーツを組み合わせて作る、まさにキュビズムの概念を服に落とし込んだようなジャケットとコートを披露。ドラマチックな造形にフォーカスしたコレクションで、今季も唯一無二のクールさを追求しています。

「ノワール ケイ ニノミヤ」の
暗い時代を照らすハッピーなファンタジー

その後は、一旦「ジバンシィ(GIVENCHY)」や「リンダ ファロー(LINDA FARROW)」の展示会に行き、再び「ジュンヤ」と同じビルに戻ってきました。「ノワール ケイ ニノミヤ」の会場は、ブルーライトで照らされた薄暗い空間。ピアノの生演奏と共に、暗闇に浮かび上がるように、サンゴやイソギンチャクを想起させる立体的な装飾が幻想的に光るルックからショーはスタートしました。そんな今季のテーマは「ファンタジー」。通常は服に用いられないような素材を積極的に使う二宮さんですが、今回はレジンを用いて奥行きを生み出し、布だけではできない新しい表現を探求したといいます。

その後も、海の中を想起させるような装飾や苔玉のような飾り、カットしたレザーをリングで繋いで表現する花などが黒をベースにしたガーリーなルックにボリュームをもたらします。そして、中盤からはよりカラフルでプレイフルな世界観へ。キッチュで大きなリボンや短いしっぽを集めたような装飾から、ヘアーエクステンションで形作ったバラのような花、ベビーベッドの上に飾るモビールのようなデザインまでを取り入れたドレスが登場しました。ポップでミックス感のあるサウンドも相まって、天真爛漫な子どものように明るくハッピーなムードを感じます。

コレクションやショーについて説明するよりも自由に感じてもらうことを大切にしている二宮さんはいつも多くを語りませんが、「基本的にファッションはポジティブなもので、人が前向きになるものということは変わらない」と言います。そんな思いで作られたコレクションは、暗くなりがちなこの混沌とした時代に夢と光をもたらしてくれました。

「ヴィヴィアン ウエストウッド」の
自由でアンドロジナスなスーツスタイル

ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)の遺志を継ぐアンドレアス・クロンターラー(Andreas Kronthaler)が着目したのは、彼女から学んだというテーラリングとニットへの愛。特に「英国で発明されたテーラリングに見られるフォーマルな構築美こそ、個性を際立たせる最高のキャンバス。スーツほどセクシーなものはないだろう」と説明するように、ジェンダーを問わず、さまざまな個性を持ったキャラクターを描くスーツスタイルやセットアップがそろいます。それは、ブランドの拠点であり、オーストリア・チロル出身のアンドレアスが30年暮らしているロンドンへのオマージュでもあるそう。また、今季は、「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)」をメーンラインの「ヴィヴィアン ウエストウッド」と初めて融合。途中でスキーウエアが何体か登場したのは唐突で真意が分からずでしたが、歴史的な装いの要素とストリート感をミックスしたり、女性はマスキュリンなジャケットを着る一方で男性はパンプスを履いていたりと、ブランドの自由でアンドロジナスなアプローチを感じるコレクションでした。

そして、この日は「国際女性デー」だったのですが、そのシンボルであるミモザを携わえてアンドレアスがフィナーレに登場。歩きながら、女性ゲストに花束をプレゼントしました。ランウエイからだったので、手渡すというより結構な勢いで投げてましたけどね(笑)。

力強く前進する
「エルメス」ウーマン

藪野:「エルメス」の会場に入ると、用意されてたのはいくつものカーブした壁で区切られ、床に土が敷かれた茶色一色の迷路のような空間。土の上をブーツで力強く歩くモデルたちが、今季のイメージである振り返らずに前進する芯のある女性を体現しています。

デザインの根底にあるのは、メンズウエアや乗馬の世界。黒やチャコールグレー、チョコレートブラウンなどダークトーンをベースに、レザーとフェルトを用いたアイテムがそろいます。例えば、ブランケットコートはラムレザーとウールフェルトのリバーシブルデザイン。そのほか、レザーはジャケットやキルティングベストからくるぶし丈のパンツやショーツ、ボディーラインに沿ったフェミニンなドレスまで、フェルト地はワイドパンツやラップスカート、ボンバージャケットを引き伸ばしたようなコートなどに用いられています。そこにアクセントを加えるのは、クラシックなメンズシューズに見られるようなパーフォレーション(パンチング)やタッセルと、ピスタチオグリーンの差し色。スカートやドレスに深く入れたスリット、背中のホール、ファスナー開閉による肌見せや透け感のあるインナーのニットによって、力強さの中にフェミニニティーを加えています。またスタイリングでは、薄手のハイゲージニットやリブニットを首や腰に自由に巻く提案が目を引きました。

今季を象徴する潮流の一つに挙げられる「力強さ」ですが、多いのは1980年代風のパワーショルダーを通した表現。「エルメス」はまた異なるアプローチで、エレガンスが共存する力強さを見せてくれました。村上さんは、どう見られましたか?

村上要「WWDJAPAN」編集長:村上要「WWDJAPAN」編集長(以下、村上):ナデージュ・ヴァンヘ・シビュルスキー(Nadege Vanhee-Cybulski)クリエイティブ・ディレクターの上手さや、「エルメス」というメゾンのアティチュードに感銘を受けました。ここ数シーズン、ナデージュはバレエダンサーを思わせるボディコンシャスなシルエットを基調にエレガンスと力強さを共存させていますが、毎回少しずつ新しいんですよね。

今シーズンは、ブラックやレザー使いを増やし、ジャケットはコンパクトに。ブーツにはガラス加工したレザーのポインテッドトーをチョイスして、時々馬具のディテールを思わせるハーネスっぽいディテールを交えることで“戦闘能力高め“な感じを強調していますが、ここ数シーズンのタイトフィットなシルエットやヘルシーなミニ丈、そこに対して包み込まれるようなニットやケープ使いなどは変わらないんですよね。体に巻きつけたハイゲージのニットや何度も登場するニットタイツは、「私がずっと夢中になっているバレリーナが着想源です!」と言われても、「そうですねぇ〜」と言っちゃいそうです(笑)。一度買ったアイテムをずっと大事に楽しんでほしい、そしてブランドの普遍性を体感してほしいというデザイナーの願いやブランドの信念が、変わり続けることも必要なファッション業界の中で上手に表現できているなぁ、と毎回感心します。

さて、その後は、「コム デ ギャルソン」のコレクションで、「Don’t think. Feel. (考えるな、感じろ)」のお時間です。今回、私は下のリンクのように感じましたが、皆さんはいかがでしょうか?

「アン ドゥムルメステール」が
「エルメス」に通じるプレイフル?

村上:続いては「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」のショー会場に向かいます。ステファノ・ガリーチ(Stefano Gallici)クリエイティブ・ディレクターになって以降、「アン ドゥムルメステール」の“ポエティック時々ロック“なムードを普段使いできそうなアイテムも交えたスタイリングで表現するのが上手くなっています。

今シーズンは、アメリカの荒野を大冒険している感じでしょうか?フリンジをあしらったスエードブルゾンやコンチョ付きのベルト、カウボーイブーツに、「アン」らしいシフォンやチュール、レースのブラウスやドレス、ロング丈&フレアパンツのセットアップを合わせます。グランジムードが漂うモヘアのニットやネルシャツで作ったラップスカート、ダメージジーンズなども加え、上手にビンテージウエアを合わせているスタイリング上級者の雰囲気を醸し出しています。今の若い世代が共感するスタイリングですよね。このあたり、さすが20代のクリエイティブ・ディレクターは「若い世代のツボを押さえているな」という感じです。そして「アン ドゥムルメステール」もある意味、一度買ったアイテムはずっと楽しめるし、毎シーズン1つプラスすれば新しいスタイリングにも挑戦できるという「エルメス」的な性格を兼ね備えてきました。若い世代にはぜひ、ダメージTシャツやデニム、つけ襟、ヘッドピースあたりから、新しい「アン ドゥムルメステール」の世界を楽しんでほしいです。ステファノは、「プレイフルなスタイリングを楽しんでほしい」と話します。

美しい「マックイーン」には
期待してしまう畏怖・畏敬

村上:そして本日の最後は、ショーン・マクギアー(Sean McGirr)による「マックイーン」。前回のスマッシュヒットは越えられなかったでしょうか?超コンケープドショルダーでアワーグラスシルエットのジャケットや、ビクトリアン調なレースのブラウス、ドレープとフリルがカスケード状に流れるドレスなどはいずれも非の打ちどころがないけれど、私は「マックイーン」にそれ以上を期待してしまうんですよね。

上の記事にある通り、私たちが「マックイーン」に期待してしまうのは、強さや美しさと共に、脆さや儚さ。ダークファンタジーに着想源を得たり、命を削っているかのような渾身のクラフツマンシップを見せつけたり、「美しい」と共に「ヤバい」という感想が漏れてしまうようなクリエイションです。前回は、アイルランドの民話に登場する叫び声で人の死を予告する長い髪の精霊バンシーを着想源にしたり、オーガンジーをほどいてフリンジ状にした後で逆毛を立てて表現したボリューム感だったりで「ヤバさ」が滲み出ていたように思いますが、今回はちょっとゴージャスにヘルシーだったかな?ショーンは夜のロンドンに潜むダンディズムを着想源に、不眠症に悩む人たちの散歩などにも思いを馳せたそうですが、そういう“狂おしさ“みたいなものはもっと出ても良いかな?と思っています。マスクや蛾のモチーフなどの直接的な表現というよりは、着想源や渾身の職人技で次回も畏怖・畏敬の念を抱かせてくれることを期待しています。そのためには、厳しい気候や土地柄ゆえダークファンタジーな民話や逸話、伝統が数多く残る、ショーンの故郷のアイルランドにもっと思いを馳せても良いですよね。

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今季のパリは本当に晴天続きで、昼はアウター要らず。例年、1〜3月のコレクション取材は寒かったり、雨が続いたりすることも多いので、天気がいいだけで気分が高まります。本日は、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)」「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」がコレクションを発表する“ギャルソン“デー。「エルメス(HERMES)」や「マックイーン(McQUEEN)」などもショーを開いた5日目の模様をお届けします。

キュビズムを服で表現する
「ジュンヤ ワタナベ」

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員:朝は「ジュンヤ ワタナベ」から取材開始。今季はコム デ ギャルソン社の3ブランドとも街の中心にある同じ廃墟のようなビルが会場なので、移動しやすく助かります。トップバッターの「ジュンヤ」の会場は、V字を描くように客席を配置。ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)のロックな音楽に合わせ、V字のそれぞれの端から先端に向かってモデルが交互に歩いてきます。

「非リアルな服作りに魅了される」という渡辺淳弥さんは今季、身近な服をキュビズムの視点で再考。幾何学的な造形を服に取り入れました。序盤は、同ブランドのスタイルに欠かせない黒のライダースジャケットを連打。ただ、トゲのような形が飛び出していたり、三角のパーツを組み合わせて立体的なフォルムを作り出したり。「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」のブーツを袖にドッキングしたものまであります。続くトレンチコートやベルベットのドレスも、内側に仕込んだ立方体が出っ張っていたり、フレームが外に飛び出していたりとカクカクしたシルエットが特徴。また、MA-1は風船のようにふくらみ、ファーライクなジャケットはいくつものウィッグを組み合わせて表現しています。ラストには、三角や四角のパーツを組み合わせて作る、まさにキュビズムの概念を服に落とし込んだようなジャケットとコートを披露。ドラマチックな造形にフォーカスしたコレクションで、今季も唯一無二のクールさを追求しています。

「ノワール ケイ ニノミヤ」の
暗い時代を照らすハッピーなファンタジー

その後は、一旦「ジバンシィ(GIVENCHY)」や「リンダ ファロー(LINDA FARROW)」の展示会に行き、再び「ジュンヤ」と同じビルに戻ってきました。「ノワール ケイ ニノミヤ」の会場は、ブルーライトで照らされた薄暗い空間。ピアノの生演奏と共に、暗闇に浮かび上がるように、サンゴやイソギンチャクを想起させる立体的な装飾が幻想的に光るルックからショーはスタートしました。そんな今季のテーマは「ファンタジー」。通常は服に用いられないような素材を積極的に使う二宮さんですが、今回はレジンを用いて奥行きを生み出し、布だけではできない新しい表現を探求したといいます。

その後も、海の中を想起させるような装飾や苔玉のような飾り、カットしたレザーをリングで繋いで表現する花などが黒をベースにしたガーリーなルックにボリュームをもたらします。そして、中盤からはよりカラフルでプレイフルな世界観へ。キッチュで大きなリボンや短いしっぽを集めたような装飾から、ヘアーエクステンションで形作ったバラのような花、ベビーベッドの上に飾るモビールのようなデザインまでを取り入れたドレスが登場しました。ポップでミックス感のあるサウンドも相まって、天真爛漫な子どものように明るくハッピーなムードを感じます。

コレクションやショーについて説明するよりも自由に感じてもらうことを大切にしている二宮さんはいつも多くを語りませんが、「基本的にファッションはポジティブなもので、人が前向きになるものということは変わらない」と言います。そんな思いで作られたコレクションは、暗くなりがちなこの混沌とした時代に夢と光をもたらしてくれました。

「ヴィヴィアン ウエストウッド」の
自由でアンドロジナスなスーツスタイル

ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)の遺志を継ぐアンドレアス・クロンターラー(Andreas Kronthaler)が着目したのは、彼女から学んだというテーラリングとニットへの愛。特に「英国で発明されたテーラリングに見られるフォーマルな構築美こそ、個性を際立たせる最高のキャンバス。スーツほどセクシーなものはないだろう」と説明するように、ジェンダーを問わず、さまざまな個性を持ったキャラクターを描くスーツスタイルやセットアップがそろいます。それは、ブランドの拠点であり、オーストリア・チロル出身のアンドレアスが30年暮らしているロンドンへのオマージュでもあるそう。また、今季は、「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)」をメーンラインの「ヴィヴィアン ウエストウッド」と初めて融合。途中でスキーウエアが何体か登場したのは唐突で真意が分からずでしたが、歴史的な装いの要素とストリート感をミックスしたり、女性はマスキュリンなジャケットを着る一方で男性はパンプスを履いていたりと、ブランドの自由でアンドロジナスなアプローチを感じるコレクションでした。

そして、この日は「国際女性デー」だったのですが、そのシンボルであるミモザを携わえてアンドレアスがフィナーレに登場。歩きながら、女性ゲストに花束をプレゼントしました。ランウエイからだったので、手渡すというより結構な勢いで投げてましたけどね(笑)。

力強く前進する
「エルメス」ウーマン

藪野:「エルメス」の会場に入ると、用意されてたのはいくつものカーブした壁で区切られ、床に土が敷かれた茶色一色の迷路のような空間。土の上をブーツで力強く歩くモデルたちが、今季のイメージである振り返らずに前進する芯のある女性を体現しています。

デザインの根底にあるのは、メンズウエアや乗馬の世界。黒やチャコールグレー、チョコレートブラウンなどダークトーンをベースに、レザーとフェルトを用いたアイテムがそろいます。例えば、ブランケットコートはラムレザーとウールフェルトのリバーシブルデザイン。そのほか、レザーはジャケットやキルティングベストからくるぶし丈のパンツやショーツ、ボディーラインに沿ったフェミニンなドレスまで、フェルト地はワイドパンツやラップスカート、ボンバージャケットを引き伸ばしたようなコートなどに用いられています。そこにアクセントを加えるのは、クラシックなメンズシューズに見られるようなパーフォレーション(パンチング)やタッセルと、ピスタチオグリーンの差し色。スカートやドレスに深く入れたスリット、背中のホール、ファスナー開閉による肌見せや透け感のあるインナーのニットによって、力強さの中にフェミニニティーを加えています。またスタイリングでは、薄手のハイゲージニットやリブニットを首や腰に自由に巻く提案が目を引きました。

今季を象徴する潮流の一つに挙げられる「力強さ」ですが、多いのは1980年代風のパワーショルダーを通した表現。「エルメス」はまた異なるアプローチで、エレガンスが共存する力強さを見せてくれました。村上さんは、どう見られましたか?

村上要「WWDJAPAN」編集長:村上要「WWDJAPAN」編集長(以下、村上):ナデージュ・ヴァンヘ・シビュルスキー(Nadege Vanhee-Cybulski)クリエイティブ・ディレクターの上手さや、「エルメス」というメゾンのアティチュードに感銘を受けました。ここ数シーズン、ナデージュはバレエダンサーを思わせるボディコンシャスなシルエットを基調にエレガンスと力強さを共存させていますが、毎回少しずつ新しいんですよね。

今シーズンは、ブラックやレザー使いを増やし、ジャケットはコンパクトに。ブーツにはガラス加工したレザーのポインテッドトーをチョイスして、時々馬具のディテールを思わせるハーネスっぽいディテールを交えることで“戦闘能力高め“な感じを強調していますが、ここ数シーズンのタイトフィットなシルエットやヘルシーなミニ丈、そこに対して包み込まれるようなニットやケープ使いなどは変わらないんですよね。体に巻きつけたハイゲージのニットや何度も登場するニットタイツは、「私がずっと夢中になっているバレリーナが着想源です!」と言われても、「そうですねぇ〜」と言っちゃいそうです(笑)。一度買ったアイテムをずっと大事に楽しんでほしい、そしてブランドの普遍性を体感してほしいというデザイナーの願いやブランドの信念が、変わり続けることも必要なファッション業界の中で上手に表現できているなぁ、と毎回感心します。

さて、その後は、「コム デ ギャルソン」のコレクションで、「Don’t think. Feel. (考えるな、感じろ)」のお時間です。今回、私は下のリンクのように感じましたが、皆さんはいかがでしょうか?

「アン ドゥムルメステール」が
「エルメス」に通じるプレイフル?

村上:続いては「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」のショー会場に向かいます。ステファノ・ガリーチ(Stefano Gallici)クリエイティブ・ディレクターになって以降、「アン ドゥムルメステール」の“ポエティック時々ロック“なムードを普段使いできそうなアイテムも交えたスタイリングで表現するのが上手くなっています。

今シーズンは、アメリカの荒野を大冒険している感じでしょうか?フリンジをあしらったスエードブルゾンやコンチョ付きのベルト、カウボーイブーツに、「アン」らしいシフォンやチュール、レースのブラウスやドレス、ロング丈&フレアパンツのセットアップを合わせます。グランジムードが漂うモヘアのニットやネルシャツで作ったラップスカート、ダメージジーンズなども加え、上手にビンテージウエアを合わせているスタイリング上級者の雰囲気を醸し出しています。今の若い世代が共感するスタイリングですよね。このあたり、さすが20代のクリエイティブ・ディレクターは「若い世代のツボを押さえているな」という感じです。そして「アン ドゥムルメステール」もある意味、一度買ったアイテムはずっと楽しめるし、毎シーズン1つプラスすれば新しいスタイリングにも挑戦できるという「エルメス」的な性格を兼ね備えてきました。若い世代にはぜひ、ダメージTシャツやデニム、つけ襟、ヘッドピースあたりから、新しい「アン ドゥムルメステール」の世界を楽しんでほしいです。ステファノは、「プレイフルなスタイリングを楽しんでほしい」と話します。

美しい「マックイーン」には
期待してしまう畏怖・畏敬

村上:そして本日の最後は、ショーン・マクギアー(Sean McGirr)による「マックイーン」。前回のスマッシュヒットは越えられなかったでしょうか?超コンケープドショルダーでアワーグラスシルエットのジャケットや、ビクトリアン調なレースのブラウス、ドレープとフリルがカスケード状に流れるドレスなどはいずれも非の打ちどころがないけれど、私は「マックイーン」にそれ以上を期待してしまうんですよね。

上の記事にある通り、私たちが「マックイーン」に期待してしまうのは、強さや美しさと共に、脆さや儚さ。ダークファンタジーに着想源を得たり、命を削っているかのような渾身のクラフツマンシップを見せつけたり、「美しい」と共に「ヤバい」という感想が漏れてしまうようなクリエイションです。前回は、アイルランドの民話に登場する叫び声で人の死を予告する長い髪の精霊バンシーを着想源にしたり、オーガンジーをほどいてフリンジ状にした後で逆毛を立てて表現したボリューム感だったりで「ヤバさ」が滲み出ていたように思いますが、今回はちょっとゴージャスにヘルシーだったかな?ショーンは夜のロンドンに潜むダンディズムを着想源に、不眠症に悩む人たちの散歩などにも思いを馳せたそうですが、そういう“狂おしさ“みたいなものはもっと出ても良いかな?と思っています。マスクや蛾のモチーフなどの直接的な表現というよりは、着想源や渾身の職人技で次回も畏怖・畏敬の念を抱かせてくれることを期待しています。そのためには、厳しい気候や土地柄ゆえダークファンタジーな民話や逸話、伝統が数多く残る、ショーンの故郷のアイルランドにもっと思いを馳せても良いですよね。

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【バックステージ】「ベイシックス」2025-26年秋冬コレクション

「ベイシックス(BASICKS)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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【バックステージ】「ハトラ」2025-26年秋冬コレクション

「ハトラ(HATRA)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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【バックステージ】「ハトラ」2025-26年秋冬コレクション

「ハトラ(HATRA)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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親子のデザインが共演した「ヨウジヤマモト」、現代アートのようにう既成概念を覆す「イッセイ ミヤケ」 25-26年秋冬パリコレ日記vol.4

パリコレも中盤に突入しました。中盤からはResee(ショー後の展示)のアポも増えてくるので、スケジュール調整が難航します。ただ、今日は街の中心部で開催されるショーやプレゼンテーションが多くて一安心。サラ・バートン(Sarah Burton)が手掛ける新生「ジバンシィ(GIVENCHY)」から「ヨウジ ヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」や「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」「ケンゾー(KENZO)」のショーの模様をお届けします。

舞台は歴史あるブラッスリー
パリジャンの日常を感じる「アミ」

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員:本日は「アミ(AMI)」からスタート。メンズ・ファッション・ウイークで男女ショーを行っている「アミ」は今回、歴史あるブラッスリーのル・グラン・コルベールでプレスデーを開催しました。中は、“まさにパリ!“といった雰囲気で、日常に根差した上質なパリジャンスタイルを打ち出すブランドにぴったりです。ニュアンスのあるパステルやニュートラルカラーを軸にしたリラックス感あるシルエットが特徴のルックをまとったモデルたちは、自由で気ままな精神を体現。コーヒーやオレンジジュースを飲みながら談笑していて、和やかなムードでした。

日本では2月まで開催されていた表参道のポップアップショップが大盛況だったことも記憶に新しい「アミ」ですが、パリではマレ地区に新しい旗艦店をオープン。その広さは600平方メートルあり、幅広いアイテムがそろいます。ただ、目的を持って訪れる店ではなく「この辺りを散歩している人のリアルな日常生活の一部になる」ことが、創業者兼クリエイティブ・ディレクターであるアレクサンドル・マテュッシ(Alexandre Mattiussi)の目指す形だそう。そんな考えは、「アミ」のスタイルにも通じていて好感が持てます。

“オバさんブランド“から脱却
「レオナール」は一本足打法も改善

村上要「WWDJAPAN」編集長:「レオナール(LEONARD)」は、「シティ ノマド」がテーマ。林立するビルを砂漠と捉え、そんな空間に生命感や清らかさをもたらす花々と戯れたコレクションを発表しました。クィーン・オブ・フラワーなバラの花をキーモチーフに選び、大胆にプリント。シルクのドレスのみならず、キルティングのシャツブルゾンやジャージーにラミネート加工を施したコートなどにも加えました。20ルックあまりのコンパクトなコレクションでしたが、だんだん“オバさま“ブランドとかドレスの一本足打法から脱却しつつあり、今後が楽しみです。

成長を見せる「ロシーン ピアース」
「ポレーヌ」とのコラボバッグも

藪野:その頃、僕はドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS、DSMP)が支援する「ロシーン ピアース(ROISIN PIERCE)」のミニショーが開かれるアイルランド大使館へ。2020年に設立された同ブランドは、故郷のアイルランドで受け継がれるクロシェ、レース、スモッキングなどクラフト感のある手仕事をふんだんに取り入れた、詩的でロマンチックなスタイルが魅力。今季はその世界観やクラフトへの愛を大切にしながらも、よりリアリティーを感じるウエアラブルなアイテムも増え、DSMPによる支援の成果を感じます。「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」や「セシリー バンセン(CECILIE BAHNSEN)」に続くフェミニン&ロマンチックなブランドとして確立されるか、注目です。

また、今シーズンはパリの人気バッグブランド「ポレーヌ(POLENE)」とコラボしたバッグも登場しました。「ポレーヌ」にとっても、ファッションブランドとのコラボは初めての試み。ロシーンのビジョンを映し出すリボン風の装飾が、ボックスやボール型などクリーンなシェイプのバッグを飾ります。凝っている分、通常の「ポレーヌ」のバッグより高くなりそうで生産数も少なそうですが、「ポレーヌ」の新たな一面も垣間見えました。

ピンチを救ってくれた
「ジバンシィ」をまとう女神

藪野:さて、本日の目玉である新生「ジバンシィ」のお時間です。サラ・バートン(Sarah Burton)のこだわりが詰まったコレクションの詳細は、下記の記事をご覧ください。

ここでは、取材のこぼれ話を一つ。今回ショーが行われたのは、「ジバンシィ」が1959年からメゾンの本拠地としているジョルジュ・サンク通りのサロンでした。われわれの座席は3階、バックステージは1階だったので、ショー終了後はサラの囲み取材のためにダッシュで1階へ。しかーし、現地のPRとセキュリティーにバックステージの入口で止められ、埒があきません。もう入るのは無理かも……と思っていたら、サラに挨拶するために下りてきたアンバサダーの菜々緒さんを発見。さらっと入って行っちゃったと思ったら、中から我々のことを招き入れてくれました。まさに救いの女神!! おかげで、しっかりサラの話を聞くことをでき、コレクションへの理解も深まりました。菜々緒さん、ありがとうございました!

新作はヘビとハートをミックス

藪野:次は、「ブルガリ(BVRGARI)」の新作バッグの展示会へ。メアリー・カトランズ(Mary Katrantzou)がレザーグッズ&アクセサリーのクリエイティブ・ディレクターに就任してから、ジュエラーとしての背景や創業の地であるローマの歴史を独自の視点で解釈したバッグが提案されていますが、今季は象徴的なヘビのモチーフをハンドルに用いた“セルペンティ クオーレ1968”が新登場。ハンドルとボディで描くハートシェイプがユニークで、愛らしいアイテムに仕上がっていました。

まるでコンテンポラリーアート
「イッセイ ミヤケ」が探求する新たな美意識

藪野:「イッセイ ミヤケ」のテーマは、「 [N]either [N]or」。形態や質感、意味合いが相反する二つの物事を結びつけ、「どちらかである(either or)、どちらでもない(neither nor)」という曖昧さの表現を試みました。ショーは、オーストリア人アーティストのエルヴィン・ヴルム(Erwin Wurm)の代表作の一つである「1分間の彫刻(One Minute Sculptures)」のコンセプトを基にしたパフォーマンスからスタート。ショーが始まる前から会場にいたパフォーマーたちが、全身を“衣服“の中に入れて固まることで“彫刻“になりました。

コレクションを手掛ける近藤悟史さんは、そんなヴルムの作品から学んだ「見慣れたものを意外で独創的な方法で見せれば、見え方が変わり、見方が新しくなる」というアプローチを、服作りに反映。曖昧さや違和感の先にある新たな美意識を探りました。その表現には、多彩なアイデアが見られます。例えば、ニットの写真をプリントしたシンプルなドレスを披露した後に、その被写体となったねじれたシルエットのニットドレスを見せたり、ジャケットやシャツの下に合わせたシャツはボタンの留め方で前身頃が袖に変形したり、腕を通す位置を変えることでで中心をずらしたり。「どんなものでも体を通せば衣服になるか?」という問いから紙袋風のトップスを作り、ストライプ柄の生地はプリーツを加えることで錯覚を生み出します。また、柔らかいはずのニットはプレス加工を施すことでパリッとした硬さを表現し、構築的なシルエットを描きました。カラフルで遊び心を感じる服からなるショーは、まるで既成概念に覆すコンテンポラリーアートの展覧会のよう。今季もコンセプチュアルな表現ではありましたが、この数シーズンより自由に楽しみながらクリエイションに取り組んでいる印象を受けました。そんな「楽しい」というムードは「イッセイ ミヤケ」にとって大切な要素。今後も、素材や造形を探求しつつ楽しさを感じられるコレクションに期待です。

「イッセイ ミヤケ」の後は、DSMPが支援を始めたブランド「マティエール フィカル(MAITERES FECALES)」のショーへ!と思っていたのですが、まさかの公式バスが行き先を間違うという致命的なミスで間に合わず。次のアポがあったので、気を取り直して移動しました。

「ニナ リッチ」は大幅な進歩
次は、スタイルコードの再定義

ハリス・リード(Harris Reed)による「ニナ リッチ(NINA RICCI)」は、いくらか進歩したように見えました。ダイバーシティーと個性の表出に主眼を置いたドレスたちは「リアル」とは呼び難かったし、「で、本人が手掛ける『ハリス リード』とは何が違うの!?」という印象でしたが、そこからはだいぶ脱却したように思えます。

今シーズンは、写真家ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)のモノクロ写真にインスピレーションを得たと言います。ゆえに若干イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)やトム・フォード(Tom Ford)っぽい印象もありますが(笑)、ピンストライプのスーツにシルクサテンのランジェリードレス、ミニドレスのように着こなすベルベットのジャケット、そしてフェイクファーのストールなどで、グラマラスでリッチ、フェミニンとマスキュリンが交差する世界を作り上げました。

ただ、この「カッコいいカンジ」って、「ニナ リッチ」っぽいのかな?確かに他のメゾンに比べ、「ニナ リッチ」って確固たるスタイルやアイデンティティが存在していないので悩ましいところだし、ゆえにハリスは自由にスタイルコードを再定義できるのかもしれませんが、それでもコレが正解なのか?は懐疑的。やっぱり、もう少しフェミニンやエレガントな路線ではないでしょうか?ジャケットで言えば、今シーズンのようにロング丈のピークドラペルをミニドレス感覚で着るのではなく、ショールカラーのコンパクト丈をロングパンツやドレスと合わせるカンジなのかな?リッチなジュエルトーンよりは、ホワイトを中心とする淡い色合いな印象もあります。

ピーター・コッピング(Peter Copping)の「ランバン(LANVIN)」、そしてサラ・バートン(Sarah Burton)の「ジバンシィ(GIVENCHY)」が相次いでメゾンのスタイルコードに再度焦点を当て、現代に蘇らせました。こうしたベテランに比べると、ハリスの「ニナ リッチ」はまだ少し“独りよがり“感が強いように思えます。

「ケンゾー」はNIGO以外の視点を
“恋するウサギ“のカワイイ路線

「ケンゾー(KENZO)」は、8年ぶりにウィメンズの単独ショーを開催しました。正直ウィメンズの経験が乏しいNIGOさんを補完すべく、ブランドはデザインチームを強化。ウィメンズ担当のデザイン・ディレクターを迎え入れたそうです。「これからはウィメンズも頑張ります!」という意気込みを発表、ということなのでしょう。

コレクションは、ジャパニーズ“カワイイ“なポップの世界をベースに、高田賢三さんによる1979年のスケッチからイメージを膨らませた“恋するウサギ“を打ち出しました。NIGOさんの私物というサヴィル・ロウのジャケットには、チュールで作った楊柳パンツ。ストラップを肩から外して下に垂らしたスリップドレスやネグリジェのようなボトムスにクロップド丈の手編み風ニットを合わせるなど、確かにこれまでのウィメンズとは違うガーリーな世界観が広がります。そこに着物合わせのジャケットや、アーカイブの水着から拝借したというフローラルプリントを加えました。MA-1風のブルゾンや、キャップや「KENZO」バックルのベルト、腰履きするデニム、そしてウサギのモコモコサンダルなど、NIGOさんらしさも覗きます。

和洋折衷なスタイルや「木綿の詩人」と評された高田賢三さんの世界観と比べると、まだまだ違和感はあります。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のブランドの中では“アフォーダブル・ラグジュアリー“でしょうが、このテイストを、それなりの価格で提案して「売れるのかな?」と思ってしまうのも正直なところです。でもNIGOさんのテイストから脱却できなかった、そして拡大するにはメンズと違い脱却する必要もあったウィメンズに別の世界観を付与するというアイデア自体は賛成です。これからどんなウィメンズが出てくるのか?楽しみにしましょう。

思いやりを感じる「ヨウジヤマモト」
娘が手掛ける「リミ フゥ」のルックも登場

藪野:「ヨウジ ヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は、おなじみのパリ市庁舎でショーを開催しました。今季のクリエイションの背景にあるのは、「冬のためのコレクションだから、見ている人が寒そうに感じないようなものを着るのがいい」という考え。そのため、異なる素材を重ねたり、交差させたり、結んでだりといった手法を生かして作った温かみのあるウールやレザーのコートやドレスが充実しています。色はもちろん黒が中心ですが、アクセントカラーとして鮮やかな紫を取り入れているのが新鮮でした。

また、今季は娘の山本里美さんが手掛ける「リミ フゥ(LIMI FEU)」のルックも8体登場。耀司さんのイズムを感じさせつつも、レザーのコルセットやドレーピングを取り入れたよりシンプルなルックを提案しました。ショーの中での意外な親子共演の理由について耀司さんは「私はとても疲れたので、おそらく近い将来、彼女が私の代わりをすることになるだろう」と米「WWD」に説明。メンズ・ウィメンズ合わせてパリで年4回コレクション発表を行っているまだまだ精力的な耀司さんですが、ブランドのこれからについてもしっかり考えているようです。定年のないデザイナーにとって、いつ第一線を退くかというのは難しい判断。ですが。ちゃんと後継者がいるということは、然るべきが来た時に安心して決断を下せるために大切ですね。

そして最後には、里美さんの手がけた紫のドレスを着たモデルが2人登場した後、耀司さんによる黒のリバーシブルコートを着た6人のモデルが順にランウエイを闊歩。2人1組となって中央で立ち止まりコートを脱ぎ、裏返して鮮やかな紫で彩られたコートをお互い着せ合いました。そんな演出は1月のメンズショーでも見られたもの。思いやりの表現とも取れるフィナーレに、会場は大きな拍手と温かな空気で包まれました。

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親子のデザインが共演した「ヨウジヤマモト」、現代アートのようにう既成概念を覆す「イッセイ ミヤケ」 25-26年秋冬パリコレ日記vol.4

パリコレも中盤に突入しました。中盤からはResee(ショー後の展示)のアポも増えてくるので、スケジュール調整が難航します。ただ、今日は街の中心部で開催されるショーやプレゼンテーションが多くて一安心。サラ・バートン(Sarah Burton)が手掛ける新生「ジバンシィ(GIVENCHY)」から「ヨウジ ヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」や「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」「ケンゾー(KENZO)」のショーの模様をお届けします。

舞台は歴史あるブラッスリー
パリジャンの日常を感じる「アミ」

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員:本日は「アミ(AMI)」からスタート。メンズ・ファッション・ウイークで男女ショーを行っている「アミ」は今回、歴史あるブラッスリーのル・グラン・コルベールでプレスデーを開催しました。中は、“まさにパリ!“といった雰囲気で、日常に根差した上質なパリジャンスタイルを打ち出すブランドにぴったりです。ニュアンスのあるパステルやニュートラルカラーを軸にしたリラックス感あるシルエットが特徴のルックをまとったモデルたちは、自由で気ままな精神を体現。コーヒーやオレンジジュースを飲みながら談笑していて、和やかなムードでした。

日本では2月まで開催されていた表参道のポップアップショップが大盛況だったことも記憶に新しい「アミ」ですが、パリではマレ地区に新しい旗艦店をオープン。その広さは600平方メートルあり、幅広いアイテムがそろいます。ただ、目的を持って訪れる店ではなく「この辺りを散歩している人のリアルな日常生活の一部になる」ことが、創業者兼クリエイティブ・ディレクターであるアレクサンドル・マテュッシ(Alexandre Mattiussi)の目指す形だそう。そんな考えは、「アミ」のスタイルにも通じていて好感が持てます。

“オバさんブランド“から脱却
「レオナール」は一本足打法も改善

村上要「WWDJAPAN」編集長:「レオナール(LEONARD)」は、「シティ ノマド」がテーマ。林立するビルを砂漠と捉え、そんな空間に生命感や清らかさをもたらす花々と戯れたコレクションを発表しました。クィーン・オブ・フラワーなバラの花をキーモチーフに選び、大胆にプリント。シルクのドレスのみならず、キルティングのシャツブルゾンやジャージーにラミネート加工を施したコートなどにも加えました。20ルックあまりのコンパクトなコレクションでしたが、だんだん“オバさま“ブランドとかドレスの一本足打法から脱却しつつあり、今後が楽しみです。

成長を見せる「ロシーン ピアース」
「ポレーヌ」とのコラボバッグも

藪野:その頃、僕はドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS、DSMP)が支援する「ロシーン ピアース(ROISIN PIERCE)」のミニショーが開かれるアイルランド大使館へ。2020年に設立された同ブランドは、故郷のアイルランドで受け継がれるクロシェ、レース、スモッキングなどクラフト感のある手仕事をふんだんに取り入れた、詩的でロマンチックなスタイルが魅力。今季はその世界観やクラフトへの愛を大切にしながらも、よりリアリティーを感じるウエアラブルなアイテムも増え、DSMPによる支援の成果を感じます。「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」や「セシリー バンセン(CECILIE BAHNSEN)」に続くフェミニン&ロマンチックなブランドとして確立されるか、注目です。

また、今シーズンはパリの人気バッグブランド「ポレーヌ(POLENE)」とコラボしたバッグも登場しました。「ポレーヌ」にとっても、ファッションブランドとのコラボは初めての試み。ロシーンのビジョンを映し出すリボン風の装飾が、ボックスやボール型などクリーンなシェイプのバッグを飾ります。凝っている分、通常の「ポレーヌ」のバッグより高くなりそうで生産数も少なそうですが、「ポレーヌ」の新たな一面も垣間見えました。

ピンチを救ってくれた
「ジバンシィ」をまとう女神

藪野:さて、本日の目玉である新生「ジバンシィ」のお時間です。サラ・バートン(Sarah Burton)のこだわりが詰まったコレクションの詳細は、下記の記事をご覧ください。

ここでは、取材のこぼれ話を一つ。今回ショーが行われたのは、「ジバンシィ」が1959年からメゾンの本拠地としているジョルジュ・サンク通りのサロンでした。われわれの座席は3階、バックステージは1階だったので、ショー終了後はサラの囲み取材のためにダッシュで1階へ。しかーし、現地のPRとセキュリティーにバックステージの入口で止められ、埒があきません。もう入るのは無理かも……と思っていたら、サラに挨拶するために下りてきたアンバサダーの菜々緒さんを発見。さらっと入って行っちゃったと思ったら、中から我々のことを招き入れてくれました。まさに救いの女神!! おかげで、しっかりサラの話を聞くことをでき、コレクションへの理解も深まりました。菜々緒さん、ありがとうございました!

新作はヘビとハートをミックス

藪野:次は、「ブルガリ(BVRGARI)」の新作バッグの展示会へ。メアリー・カトランズ(Mary Katrantzou)がレザーグッズ&アクセサリーのクリエイティブ・ディレクターに就任してから、ジュエラーとしての背景や創業の地であるローマの歴史を独自の視点で解釈したバッグが提案されていますが、今季は象徴的なヘビのモチーフをハンドルに用いた“セルペンティ クオーレ1968”が新登場。ハンドルとボディで描くハートシェイプがユニークで、愛らしいアイテムに仕上がっていました。

まるでコンテンポラリーアート
「イッセイ ミヤケ」が探求する新たな美意識

藪野:「イッセイ ミヤケ」のテーマは、「 [N]either [N]or」。形態や質感、意味合いが相反する二つの物事を結びつけ、「どちらかである(either or)、どちらでもない(neither nor)」という曖昧さの表現を試みました。ショーは、オーストリア人アーティストのエルヴィン・ヴルム(Erwin Wurm)の代表作の一つである「1分間の彫刻(One Minute Sculptures)」のコンセプトを基にしたパフォーマンスからスタート。ショーが始まる前から会場にいたパフォーマーたちが、全身を“衣服“の中に入れて固まることで“彫刻“になりました。

コレクションを手掛ける近藤悟史さんは、そんなヴルムの作品から学んだ「見慣れたものを意外で独創的な方法で見せれば、見え方が変わり、見方が新しくなる」というアプローチを、服作りに反映。曖昧さや違和感の先にある新たな美意識を探りました。その表現には、多彩なアイデアが見られます。例えば、ニットの写真をプリントしたシンプルなドレスを披露した後に、その被写体となったねじれたシルエットのニットドレスを見せたり、ジャケットやシャツの下に合わせたシャツはボタンの留め方で前身頃が袖に変形したり、腕を通す位置を変えることでで中心をずらしたり。「どんなものでも体を通せば衣服になるか?」という問いから紙袋風のトップスを作り、ストライプ柄の生地はプリーツを加えることで錯覚を生み出します。また、柔らかいはずのニットはプレス加工を施すことでパリッとした硬さを表現し、構築的なシルエットを描きました。カラフルで遊び心を感じる服からなるショーは、まるで既成概念に覆すコンテンポラリーアートの展覧会のよう。今季もコンセプチュアルな表現ではありましたが、この数シーズンより自由に楽しみながらクリエイションに取り組んでいる印象を受けました。そんな「楽しい」というムードは「イッセイ ミヤケ」にとって大切な要素。今後も、素材や造形を探求しつつ楽しさを感じられるコレクションに期待です。

「イッセイ ミヤケ」の後は、DSMPが支援を始めたブランド「マティエール フィカル(MAITERES FECALES)」のショーへ!と思っていたのですが、まさかの公式バスが行き先を間違うという致命的なミスで間に合わず。次のアポがあったので、気を取り直して移動しました。

「ニナ リッチ」は大幅な進歩
次は、スタイルコードの再定義

ハリス・リード(Harris Reed)による「ニナ リッチ(NINA RICCI)」は、いくらか進歩したように見えました。ダイバーシティーと個性の表出に主眼を置いたドレスたちは「リアル」とは呼び難かったし、「で、本人が手掛ける『ハリス リード』とは何が違うの!?」という印象でしたが、そこからはだいぶ脱却したように思えます。

今シーズンは、写真家ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)のモノクロ写真にインスピレーションを得たと言います。ゆえに若干イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)やトム・フォード(Tom Ford)っぽい印象もありますが(笑)、ピンストライプのスーツにシルクサテンのランジェリードレス、ミニドレスのように着こなすベルベットのジャケット、そしてフェイクファーのストールなどで、グラマラスでリッチ、フェミニンとマスキュリンが交差する世界を作り上げました。

ただ、この「カッコいいカンジ」って、「ニナ リッチ」っぽいのかな?確かに他のメゾンに比べ、「ニナ リッチ」って確固たるスタイルやアイデンティティが存在していないので悩ましいところだし、ゆえにハリスは自由にスタイルコードを再定義できるのかもしれませんが、それでもコレが正解なのか?は懐疑的。やっぱり、もう少しフェミニンやエレガントな路線ではないでしょうか?ジャケットで言えば、今シーズンのようにロング丈のピークドラペルをミニドレス感覚で着るのではなく、ショールカラーのコンパクト丈をロングパンツやドレスと合わせるカンジなのかな?リッチなジュエルトーンよりは、ホワイトを中心とする淡い色合いな印象もあります。

ピーター・コッピング(Peter Copping)の「ランバン(LANVIN)」、そしてサラ・バートン(Sarah Burton)の「ジバンシィ(GIVENCHY)」が相次いでメゾンのスタイルコードに再度焦点を当て、現代に蘇らせました。こうしたベテランに比べると、ハリスの「ニナ リッチ」はまだ少し“独りよがり“感が強いように思えます。

「ケンゾー」はNIGO以外の視点を
“恋するウサギ“のカワイイ路線

「ケンゾー(KENZO)」は、8年ぶりにウィメンズの単独ショーを開催しました。正直ウィメンズの経験が乏しいNIGOさんを補完すべく、ブランドはデザインチームを強化。ウィメンズ担当のデザイン・ディレクターを迎え入れたそうです。「これからはウィメンズも頑張ります!」という意気込みを発表、ということなのでしょう。

コレクションは、ジャパニーズ“カワイイ“なポップの世界をベースに、高田賢三さんによる1979年のスケッチからイメージを膨らませた“恋するウサギ“を打ち出しました。NIGOさんの私物というサヴィル・ロウのジャケットには、チュールで作った楊柳パンツ。ストラップを肩から外して下に垂らしたスリップドレスやネグリジェのようなボトムスにクロップド丈の手編み風ニットを合わせるなど、確かにこれまでのウィメンズとは違うガーリーな世界観が広がります。そこに着物合わせのジャケットや、アーカイブの水着から拝借したというフローラルプリントを加えました。MA-1風のブルゾンや、キャップや「KENZO」バックルのベルト、腰履きするデニム、そしてウサギのモコモコサンダルなど、NIGOさんらしさも覗きます。

和洋折衷なスタイルや「木綿の詩人」と評された高田賢三さんの世界観と比べると、まだまだ違和感はあります。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のブランドの中では“アフォーダブル・ラグジュアリー“でしょうが、このテイストを、それなりの価格で提案して「売れるのかな?」と思ってしまうのも正直なところです。でもNIGOさんのテイストから脱却できなかった、そして拡大するにはメンズと違い脱却する必要もあったウィメンズに別の世界観を付与するというアイデア自体は賛成です。これからどんなウィメンズが出てくるのか?楽しみにしましょう。

思いやりを感じる「ヨウジヤマモト」
娘が手掛ける「リミ フゥ」のルックも登場

藪野:「ヨウジ ヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は、おなじみのパリ市庁舎でショーを開催しました。今季のクリエイションの背景にあるのは、「冬のためのコレクションだから、見ている人が寒そうに感じないようなものを着るのがいい」という考え。そのため、異なる素材を重ねたり、交差させたり、結んでだりといった手法を生かして作った温かみのあるウールやレザーのコートやドレスが充実しています。色はもちろん黒が中心ですが、アクセントカラーとして鮮やかな紫を取り入れているのが新鮮でした。

また、今季は娘の山本里美さんが手掛ける「リミ フゥ(LIMI FEU)」のルックも8体登場。耀司さんのイズムを感じさせつつも、レザーのコルセットやドレーピングを取り入れたよりシンプルなルックを提案しました。ショーの中での意外な親子共演の理由について耀司さんは「私はとても疲れたので、おそらく近い将来、彼女が私の代わりをすることになるだろう」と米「WWD」に説明。メンズ・ウィメンズ合わせてパリで年4回コレクション発表を行っているまだまだ精力的な耀司さんですが、ブランドのこれからについてもしっかり考えているようです。定年のないデザイナーにとって、いつ第一線を退くかというのは難しい判断。ですが。ちゃんと後継者がいるということは、然るべきが来た時に安心して決断を下せるために大切ですね。

そして最後には、里美さんの手がけた紫のドレスを着たモデルが2人登場した後、耀司さんによる黒のリバーシブルコートを着た6人のモデルが順にランウエイを闊歩。2人1組となって中央で立ち止まりコートを脱ぎ、裏返して鮮やかな紫で彩られたコートをお互い着せ合いました。そんな演出は1月のメンズショーでも見られたもの。思いやりの表現とも取れるフィナーレに、会場は大きな拍手と温かな空気で包まれました。

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「ポール・スミス」が東京でランウエイショー “らしい”生き方さえ滲み出ることを期待

「ポール・スミス(PAUL SMITH)」は、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」タイトルスポンサーの楽天グループによる支援プログラム「バイアール(by R)」として、2025-26年秋冬コレクションを発表した。

1月にパリで発表したコレクションをベースとして、「アート・オブ・イメージ・メイキング(イメージ創作に芸術)」をテーマとした。1950年代のニューヨークでファッション・フォトグラファーとして活躍し、後年には「カラー写真のパイオニア」と讃えられた写真家ソール・ライター(Saul Leiter)のカラー写真のように、深いトーンから着想を得たリッチなカラーパレットのブリティッシュトラッドを、同じく20世紀を代表する写真家のように少し着崩したスタイルを打ち出した。

「ポール・スミス」らしいカラフルボーダーのニットは、ところどころにケーブルニットを差し込み、イエローのシャツとコーディネート。同じ色のネクタイは少しだけ外し、自然体のムードを表現した。ウィメンズでは、同じニットをコーデュロイのセットアップと合わせた。端正なピークドラペルを、遊んだ素材で楽しんでいる。ピンストライプのウールフランネルでカーゴパンツを作ったり、ガンクラブチェックでブルゾンを提案したりと単品で遊ぶこともあれば、チェスターコートにカーゴパンツや、ジャケットにハンティングジャケットのレイヤードなどスタイリングで遊ぶルックも。英国同士のブランドとして、「バブアー(BARBOUR)」とのコラボアイテムも登場した。

細部で遊び心を表現したアイテムや、自由奔放なスタイリングは、「ポール・スミス」らしい。ただ「ルメール(LEMAIRE)」や「オーラリー(AURALEE)」など、生き方やパーソナリティーさえ滲み出る洋服やスタイルのブランドが次々現れていることを考えると、もう少し“何か”があっても良いのかもしれない。それは、もう少しコンテンポラリーなシルエットかもしれないし、もう少し大胆なスタイリングかもしれない。「機能素材で作るアノラックなどのモダンなアイテムを、過去の写真家ならどう着こなすのか?」などの想像が広がったら、さらにコレクションは面白味を増すだろう。ご本人がチャーミングなだけに、他に比べてパーソナリティーが控えめなように思えてしまう。

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「ポール・スミス」が東京でランウエイショー “らしい”生き方さえ滲み出ることを期待

「ポール・スミス(PAUL SMITH)」は、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」タイトルスポンサーの楽天グループによる支援プログラム「バイアール(by R)」として、2025-26年秋冬コレクションを発表した。

1月にパリで発表したコレクションをベースとして、「アート・オブ・イメージ・メイキング(イメージ創作に芸術)」をテーマとした。1950年代のニューヨークでファッション・フォトグラファーとして活躍し、後年には「カラー写真のパイオニア」と讃えられた写真家ソール・ライター(Saul Leiter)のカラー写真のように、深いトーンから着想を得たリッチなカラーパレットのブリティッシュトラッドを、同じく20世紀を代表する写真家のように少し着崩したスタイルを打ち出した。

「ポール・スミス」らしいカラフルボーダーのニットは、ところどころにケーブルニットを差し込み、イエローのシャツとコーディネート。同じ色のネクタイは少しだけ外し、自然体のムードを表現した。ウィメンズでは、同じニットをコーデュロイのセットアップと合わせた。端正なピークドラペルを、遊んだ素材で楽しんでいる。ピンストライプのウールフランネルでカーゴパンツを作ったり、ガンクラブチェックでブルゾンを提案したりと単品で遊ぶこともあれば、チェスターコートにカーゴパンツや、ジャケットにハンティングジャケットのレイヤードなどスタイリングで遊ぶルックも。英国同士のブランドとして、「バブアー(BARBOUR)」とのコラボアイテムも登場した。

細部で遊び心を表現したアイテムや、自由奔放なスタイリングは、「ポール・スミス」らしい。ただ「ルメール(LEMAIRE)」や「オーラリー(AURALEE)」など、生き方やパーソナリティーさえ滲み出る洋服やスタイルのブランドが次々現れていることを考えると、もう少し“何か”があっても良いのかもしれない。それは、もう少しコンテンポラリーなシルエットかもしれないし、もう少し大胆なスタイリングかもしれない。「機能素材で作るアノラックなどのモダンなアイテムを、過去の写真家ならどう着こなすのか?」などの想像が広がったら、さらにコレクションは面白味を増すだろう。ご本人がチャーミングなだけに、他に比べてパーソナリティーが控えめなように思えてしまう。

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「ルイ・ヴィトン」は昔の駅舎でショー開催 旅立ちや再会、帰郷、別離が喚起する感情をミックス

「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、2025-26年秋冬コレクションをパリ北駅に隣接する昔の駅舎で開催した。会場は30年ほど前まで、オランダ・アムステルダムなどに向かう列車の発着駅だったという。旅の必需品だったトランクを発祥とするメゾンらしい舞台だ。

ゆえに「ルイ・ヴィトン」のニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)=ウィメンズ・アーティスティック・ディレクターは、誰よりも旅について深く考えているのだろう。ニコラは今シーズン、駅のホームに渦巻くあらゆる感情、例えば旅立ちへの期待や愛する人と再会した喜び、帰郷の安らぎ、別離の悲しみなどに着目。昔から変わることのない、駅を行き交う人たちの千差万別な感情を得意のハイパーミックスなスタイルへと発展させた。ニコラは、「今は皆にストーリーを語りかけ、共感してもらうことが大事。駅舎で経験する気持ちにフォーカスしたのは、ブランドのDNAを意識しただけでなく、皆が共感できるから。コレクションの可能性を拡張できるのではないか?」と考えた。彼は、デザインチームと駅でのシーンが印象的な映画やドラマを分かち合ったという。チームが薦めた映画には、「ハリーポッター」もあった。

さまざまな感情が渦巻くよう、コレクションには異素材と相反するスタイルが同居する。ファーストルックは、リボンをあしらったベロアのシャツと、PVCのようなトレンチコートのスタイル。ベロアのシャツは60年代風のレトロな色合いでまだらに彩色。一方のトレンチコートは黒一色のモードでレトロスペクティブな未来感を漂わせる。ベロアとPVC、カラフルとオールブラック、レトロとフューチャー、そんなミックス感が楽しい。

これから気候まで異なる新天地に向かうのか?それとも、到着した目的地では天気まですっかり様変わりしていたのか?旅の必需品とも言える羽織ったり、被ったり、肩で留めたりのコートは、今シーズンのキーアイテム。雨風をしのぐ機能性素材のアノラックも欠かせないが、いずれもベロアやスパンコールのリボン付きブラウスやプリーツを施したビクトリアン調のつけ襟など真逆のテイストのアイテムと合わせる。

帽子は、ベレーからブリムの大きなバケットハット、そして北国を思わせるモヘアニットのビーニー、ヘアターバンとバリエーション豊か。世界各国のヘッドピースが大集合したかのようだ。同じく足元もサンダルからスニーカー、チャンキーヒールのパンプス、シープレザーのブーツなど、多種多様に揃えた。バッグも、注目は“ダミエ”のボディバッグだが、トランクからカメラバッグ、ボストンなど、旅行のお供が勢揃いする。

あらゆる感情が渦巻くさまざまなスタイルと、世界各国の伝統的な衣装に通じるアイテムの融合は、「ルイ・ヴィトン」というブランドが彩ってきた旅の数はもちろん、ニコラ・ジェスキエールの造詣の深さの賜物だろう。そう言えば「ルイ・ヴィトン」を擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は最近、オリエントエクスプレス(ORIENT EXPRESS)などを擁するフランスのホテルグループ大手アコー(ACCOR SA)と戦略的パートナーシップ契約を締結したばかり。今後も旅を彩り、そのスタイルを拡張してくれそうだ。と同時に、こうしたニュースをコレクションで増幅できるからこそ、デザイナー交代劇が続く中、ニコラと「ルイ・ヴィトン」は蜜月関係を維持できるのだろうと思う。

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「ルイ・ヴィトン」は昔の駅舎でショー開催 旅立ちや再会、帰郷、別離が喚起する感情をミックス

「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、2025-26年秋冬コレクションをパリ北駅に隣接する昔の駅舎で開催した。会場は30年ほど前まで、オランダ・アムステルダムなどに向かう列車の発着駅だったという。旅の必需品だったトランクを発祥とするメゾンらしい舞台だ。

ゆえに「ルイ・ヴィトン」のニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)=ウィメンズ・アーティスティック・ディレクターは、誰よりも旅について深く考えているのだろう。ニコラは今シーズン、駅のホームに渦巻くあらゆる感情、例えば旅立ちへの期待や愛する人と再会した喜び、帰郷の安らぎ、別離の悲しみなどに着目。昔から変わることのない、駅を行き交う人たちの千差万別な感情を得意のハイパーミックスなスタイルへと発展させた。ニコラは、「今は皆にストーリーを語りかけ、共感してもらうことが大事。駅舎で経験する気持ちにフォーカスしたのは、ブランドのDNAを意識しただけでなく、皆が共感できるから。コレクションの可能性を拡張できるのではないか?」と考えた。彼は、デザインチームと駅でのシーンが印象的な映画やドラマを分かち合ったという。チームが薦めた映画には、「ハリーポッター」もあった。

さまざまな感情が渦巻くよう、コレクションには異素材と相反するスタイルが同居する。ファーストルックは、リボンをあしらったベロアのシャツと、PVCのようなトレンチコートのスタイル。ベロアのシャツは60年代風のレトロな色合いでまだらに彩色。一方のトレンチコートは黒一色のモードでレトロスペクティブな未来感を漂わせる。ベロアとPVC、カラフルとオールブラック、レトロとフューチャー、そんなミックス感が楽しい。

これから気候まで異なる新天地に向かうのか?それとも、到着した目的地では天気まですっかり様変わりしていたのか?旅の必需品とも言える羽織ったり、被ったり、肩で留めたりのコートは、今シーズンのキーアイテム。雨風をしのぐ機能性素材のアノラックも欠かせないが、いずれもベロアやスパンコールのリボン付きブラウスやプリーツを施したビクトリアン調のつけ襟など真逆のテイストのアイテムと合わせる。

帽子は、ベレーからブリムの大きなバケットハット、そして北国を思わせるモヘアニットのビーニー、ヘアターバンとバリエーション豊か。世界各国のヘッドピースが大集合したかのようだ。同じく足元もサンダルからスニーカー、チャンキーヒールのパンプス、シープレザーのブーツなど、多種多様に揃えた。バッグも、注目は“ダミエ”のボディバッグだが、トランクからカメラバッグ、ボストンなど、旅行のお供が勢揃いする。

あらゆる感情が渦巻くさまざまなスタイルと、世界各国の伝統的な衣装に通じるアイテムの融合は、「ルイ・ヴィトン」というブランドが彩ってきた旅の数はもちろん、ニコラ・ジェスキエールの造詣の深さの賜物だろう。そう言えば「ルイ・ヴィトン」を擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は最近、オリエントエクスプレス(ORIENT EXPRESS)などを擁するフランスのホテルグループ大手アコー(ACCOR SA)と戦略的パートナーシップ契約を締結したばかり。今後も旅を彩り、そのスタイルを拡張してくれそうだ。と同時に、こうしたニュースをコレクションで増幅できるからこそ、デザイナー交代劇が続く中、ニコラと「ルイ・ヴィトン」は蜜月関係を維持できるのだろうと思う。

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【バックステージ】「ノントーキョー」2025-26年秋冬コレクション

「ノントーキョー(NON TOKYO)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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2025-26年秋冬はファーコートが来る!

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月17日号からの抜粋です)

木村:2025-26年秋冬ミラノコレは「フェラガモ(FERRAGAMO)」がベストでした。ランウエイ取材ではいつもいろいろなことを考えて、メモしたり写真を撮ったりと忙しいのですが、今回の「フェラガモ」は手を止めて、感じることに専念しました。すごくドキドキして、カッコいい!と思ったら、要さんが「バックステージに行こう」と言い、バックステージには同じ感覚を持った人が詰めかけていて、すごくテンションが上がりました。

村上:デザイナーシャッフルで“様子見”なシーズンなのか、トレンドが見えづらかったです。「フェラガモ」で見た構築と流動の融合は、パリの「サカイ(SACAI)」などでようやく大きな流れだと確信できたのですが、素直に「素敵!」と思えましたね。

木村:ミニマルで構築的なデザインだけれど、ジャージー素材で柔らかいというように、マクシミリアン・ディヴィス(Maximilian Davis)が新しい言語で“ミニマル”を語ろうとしていると感じて、表紙にしたいと考えました。

着る人が“安心する”服の流れ

村上:街ではテック系のシェルパーカばかりが目立っていたこともあり、起毛感や毛足の長い素材のコートをどのブランドも提案していたのが印象的でした。特に「フェンディ(FENDI)」は真面目でストイックな感じのキム・ジョーンズが去り、グラマラスでゴージャスな雰囲気のカムバックに歓迎ムードでした。

木村:アメリカのセレブの間でモブワイフ、つまりマフィアの妻のようなスタイルがはやっていたり、日本でもプードルコートやテディベアコートなどのモコモコ系のアウターが人気だったりと、着る人を包み込むようなアウターは注目ですね。

村上:思っていたより装飾主義には行かず、着る人が“安心する”服の流れがまた盛り上がりそうですね。個人的には「グッチ(GUCCI)」の新デザイナー就任のニュースが校了日に出そうな気配で、まとめたページを大きく変えなきゃいけないんじゃないか?とドキドキしています(苦笑)。

木村:ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)退任のニュースはなんとか記事に反映できましたが、デムナ (DEMNA)の「グッチ」就任は校了後でしたね。「ジル サンダー(JIL SANDER)」をシモーネ・ベロッティが引き継ぐのも意外でしたし、ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻の行く末も気になります。

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2025-26年秋冬はファーコートが来る!

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月17日号からの抜粋です)

木村:2025-26年秋冬ミラノコレは「フェラガモ(FERRAGAMO)」がベストでした。ランウエイ取材ではいつもいろいろなことを考えて、メモしたり写真を撮ったりと忙しいのですが、今回の「フェラガモ」は手を止めて、感じることに専念しました。すごくドキドキして、カッコいい!と思ったら、要さんが「バックステージに行こう」と言い、バックステージには同じ感覚を持った人が詰めかけていて、すごくテンションが上がりました。

村上:デザイナーシャッフルで“様子見”なシーズンなのか、トレンドが見えづらかったです。「フェラガモ」で見た構築と流動の融合は、パリの「サカイ(SACAI)」などでようやく大きな流れだと確信できたのですが、素直に「素敵!」と思えましたね。

木村:ミニマルで構築的なデザインだけれど、ジャージー素材で柔らかいというように、マクシミリアン・ディヴィス(Maximilian Davis)が新しい言語で“ミニマル”を語ろうとしていると感じて、表紙にしたいと考えました。

着る人が“安心する”服の流れ

村上:街ではテック系のシェルパーカばかりが目立っていたこともあり、起毛感や毛足の長い素材のコートをどのブランドも提案していたのが印象的でした。特に「フェンディ(FENDI)」は真面目でストイックな感じのキム・ジョーンズが去り、グラマラスでゴージャスな雰囲気のカムバックに歓迎ムードでした。

木村:アメリカのセレブの間でモブワイフ、つまりマフィアの妻のようなスタイルがはやっていたり、日本でもプードルコートやテディベアコートなどのモコモコ系のアウターが人気だったりと、着る人を包み込むようなアウターは注目ですね。

村上:思っていたより装飾主義には行かず、着る人が“安心する”服の流れがまた盛り上がりそうですね。個人的には「グッチ(GUCCI)」の新デザイナー就任のニュースが校了日に出そうな気配で、まとめたページを大きく変えなきゃいけないんじゃないか?とドキドキしています(苦笑)。

木村:ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)退任のニュースはなんとか記事に反映できましたが、デムナ (DEMNA)の「グッチ」就任は校了後でしたね。「ジル サンダー(JIL SANDER)」をシモーネ・ベロッティが引き継ぐのも意外でしたし、ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻の行く末も気になります。

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【バックステージ】「ハイク」2025-26年秋冬コレクション

「ハイク(HYKE)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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「ハイク(HYKE)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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「サカイ」が共有する優しい時間 包み込むことで生み出す新しいシルエット

「優しい時間をみんなで共有したかった」。ショー後のバックステージでそう語った阿部千登勢「サカイ」デザイナーが2025-26年秋冬にフォーカスしたのは、「ラッピング(包み込むこと)のジェスチャー」だ。強さと繊細さや心地よさと保護といった要素を示唆しながら、着用者に着方を委ねることで、見慣れた服の新たな形を探求している。

優しく包み込むようなシルエット

ファーストルックは、先のメンズ&プレ・フォールのショーでも見られた内側の構造をあらわにしたようなレイヤードデザインに、フリンジ付きのショールのような共地をハイブリッドしたノースリーブのテーラードジャケット。直線的なフォルムに片方の肩を覆うファブリックで柔らかな動きを加え、アシンメトリーなシルエットを描いている。その後も提案の中心は、テーラリングやレザーのライダースジャケット、トレンチコート、MA-1、ダウンジャケット、人工ファーやシアリングのアウターなど「サカイ」らしいワードローブの定番に、共地やニットパネルを組み込んだデザイン。チャンキーなニットをケープのように巻きつけたようなスタイリングもあり、優しく包み込むようなシルエットが今季の特徴になっている。そんなデザインについて、阿部デザイナーは、「(ラッピングという)ワンアクションによって、優しかったり、包まれたりするような気持ちになってほしかった。今回の服はラッピングせずに垂らしても街で着られるウエアラブルなものだけど、(布を)肩にかけると優しく包まれる」と説明。そこに合わせるスカートは、大胆なスリットを入れたり、マーメイドシルエットで仕上げたりすることで、動きを生み出している。

コレクションにアクセントを加えるのは、手作業で作ったファブリック製のフェザーや大ぶりのスパンコール、メンズ&プレ・フォールから継続するファー風トリムといった装飾と、刺しゅうで描いたマン・レイ(Man Ray)の作品。中盤から終盤にかけて登場したラッピングのディテールを風に揺れる軽やかなシフォンやペイズリー柄のシルクスカーフで取り入れたルックは、「サカイ」がこの数年ウィメンズで探求を続けているエレガンスが際立たせる。

安らぎを求める気持ちへのアンサー

今シーズンはニューヨークからパリまで都市を問わず、体を包み込むようなコクーンシルエットや肩周りを覆うブランケットやスカーフ、ケープ風のデザインが多出した。それは、この不安で混沌とした時代の中、誰もが無意識に抱いている「安らぎを感じたい」「守られたい」という思いを反映しているかのようだ。阿部デザイナーは、新鮮さとリアリティーを併せ持つ温かなコレクションで、そんな気持ちに的確に応えた。

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