「サカイ」が共有する優しい時間 包み込むことで生み出す新しいシルエット

「優しい時間をみんなで共有したかった」。ショー後のバックステージでそう語った阿部千登勢「サカイ」デザイナーが2025-26年秋冬にフォーカスしたのは、「ラッピング(包み込むこと)のジェスチャー」だ。強さと繊細さや心地よさと保護といった要素を示唆しながら、着用者に着方を委ねることで、見慣れた服の新たな形を探求している。

優しく包み込むようなシルエット

ファーストルックは、先のメンズ&プレ・フォールのショーでも見られた内側の構造をあらわにしたようなレイヤードデザインに、フリンジ付きのショールのような共地をハイブリッドしたノースリーブのテーラードジャケット。直線的なフォルムに片方の肩を覆うファブリックで柔らかな動きを加え、アシンメトリーなシルエットを描いている。その後も提案の中心は、テーラリングやレザーのライダースジャケット、トレンチコート、MA-1、ダウンジャケット、人工ファーやシアリングのアウターなど「サカイ」らしいワードローブの定番に、共地やニットパネルを組み込んだデザイン。チャンキーなニットをケープのように巻きつけたようなスタイリングもあり、優しく包み込むようなシルエットが今季の特徴になっている。そんなデザインについて、阿部デザイナーは、「(ラッピングという)ワンアクションによって、優しかったり、包まれたりするような気持ちになってほしかった。今回の服はラッピングせずに垂らしても街で着られるウエアラブルなものだけど、(布を)肩にかけると優しく包まれる」と説明。そこに合わせるスカートは、大胆なスリットを入れたり、マーメイドシルエットで仕上げたりすることで、動きを生み出している。

コレクションにアクセントを加えるのは、手作業で作ったファブリック製のフェザーや大ぶりのスパンコール、メンズ&プレ・フォールから継続するファー風トリムといった装飾と、刺しゅうで描いたマン・レイ(Man Ray)の作品。中盤から終盤にかけて登場したラッピングのディテールを風に揺れる軽やかなシフォンやペイズリー柄のシルクスカーフで取り入れたルックは、「サカイ」がこの数年ウィメンズで探求を続けているエレガンスが際立たせる。

安らぎを求める気持ちへのアンサー

今シーズンはニューヨークからパリまで都市を問わず、体を包み込むようなコクーンシルエットや肩周りを覆うブランケットやスカーフ、ケープ風のデザインが多出した。それは、この不安で混沌とした時代の中、誰もが無意識に抱いている「安らぎを感じたい」「守られたい」という思いを反映しているかのようだ。阿部デザイナーは、新鮮さとリアリティーを併せ持つ温かなコレクションで、そんな気持ちに的確に応えた。

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「サカイ」が共有する優しい時間 包み込むことで生み出す新しいシルエット

「優しい時間をみんなで共有したかった」。ショー後のバックステージでそう語った阿部千登勢「サカイ」デザイナーが2025-26年秋冬にフォーカスしたのは、「ラッピング(包み込むこと)のジェスチャー」だ。強さと繊細さや心地よさと保護といった要素を示唆しながら、着用者に着方を委ねることで、見慣れた服の新たな形を探求している。

優しく包み込むようなシルエット

ファーストルックは、先のメンズ&プレ・フォールのショーでも見られた内側の構造をあらわにしたようなレイヤードデザインに、フリンジ付きのショールのような共地をハイブリッドしたノースリーブのテーラードジャケット。直線的なフォルムに片方の肩を覆うファブリックで柔らかな動きを加え、アシンメトリーなシルエットを描いている。その後も提案の中心は、テーラリングやレザーのライダースジャケット、トレンチコート、MA-1、ダウンジャケット、人工ファーやシアリングのアウターなど「サカイ」らしいワードローブの定番に、共地やニットパネルを組み込んだデザイン。チャンキーなニットをケープのように巻きつけたようなスタイリングもあり、優しく包み込むようなシルエットが今季の特徴になっている。そんなデザインについて、阿部デザイナーは、「(ラッピングという)ワンアクションによって、優しかったり、包まれたりするような気持ちになってほしかった。今回の服はラッピングせずに垂らしても街で着られるウエアラブルなものだけど、(布を)肩にかけると優しく包まれる」と説明。そこに合わせるスカートは、大胆なスリットを入れたり、マーメイドシルエットで仕上げたりすることで、動きを生み出している。

コレクションにアクセントを加えるのは、手作業で作ったファブリック製のフェザーや大ぶりのスパンコール、メンズ&プレ・フォールから継続するファー風トリムといった装飾と、刺しゅうで描いたマン・レイ(Man Ray)の作品。中盤から終盤にかけて登場したラッピングのディテールを風に揺れる軽やかなシフォンやペイズリー柄のシルクスカーフで取り入れたルックは、「サカイ」がこの数年ウィメンズで探求を続けているエレガンスが際立たせる。

安らぎを求める気持ちへのアンサー

今シーズンはニューヨークからパリまで都市を問わず、体を包み込むようなコクーンシルエットや肩周りを覆うブランケットやスカーフ、ケープ風のデザインが多出した。それは、この不安で混沌とした時代の中、誰もが無意識に抱いている「安らぎを感じたい」「守られたい」という思いを反映しているかのようだ。阿部デザイナーは、新鮮さとリアリティーを併せ持つ温かなコレクションで、そんな気持ちに的確に応えた。

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「サカイ」が共有する優しい時間 包み込むことで生み出す新しいシルエット

「優しい時間をみんなで共有したかった」。ショー後のバックステージでそう語った阿部千登勢「サカイ」デザイナーが2025-26年秋冬にフォーカスしたのは、「ラッピング(包み込むこと)のジェスチャー」だ。強さと繊細さや心地よさと保護といった要素を示唆しながら、着用者に着方を委ねることで、見慣れた服の新たな形を探求している。

優しく包み込むようなシルエット

ファーストルックは、先のメンズ&プレ・フォールのショーでも見られた内側の構造をあらわにしたようなレイヤードデザインに、フリンジ付きのショールのような共地をハイブリッドしたノースリーブのテーラードジャケット。直線的なフォルムに片方の肩を覆うファブリックで柔らかな動きを加え、アシンメトリーなシルエットを描いている。その後も提案の中心は、テーラリングやレザーのライダースジャケット、トレンチコート、MA-1、ダウンジャケット、人工ファーやシアリングのアウターなど「サカイ」らしいワードローブの定番に、共地やニットパネルを組み込んだデザイン。チャンキーなニットをケープのように巻きつけたようなスタイリングもあり、優しく包み込むようなシルエットが今季の特徴になっている。そんなデザインについて、阿部デザイナーは、「(ラッピングという)ワンアクションによって、優しかったり、包まれたりするような気持ちになってほしかった。今回の服はラッピングせずに垂らしても街で着られるウエアラブルなものだけど、(布を)肩にかけると優しく包まれる」と説明。そこに合わせるスカートは、大胆なスリットを入れたり、マーメイドシルエットで仕上げたりすることで、動きを生み出している。

コレクションにアクセントを加えるのは、手作業で作ったファブリック製のフェザーや大ぶりのスパンコール、メンズ&プレ・フォールから継続するファー風トリムといった装飾と、刺しゅうで描いたマン・レイ(Man Ray)の作品。中盤から終盤にかけて登場したラッピングのディテールを風に揺れる軽やかなシフォンやペイズリー柄のシルクスカーフで取り入れたルックは、「サカイ」がこの数年ウィメンズで探求を続けているエレガンスが際立たせる。

安らぎを求める気持ちへのアンサー

今シーズンはニューヨークからパリまで都市を問わず、体を包み込むようなコクーンシルエットや肩周りを覆うブランケットやスカーフ、ケープ風のデザインが多出した。それは、この不安で混沌とした時代の中、誰もが無意識に抱いている「安らぎを感じたい」「守られたい」という思いを反映しているかのようだ。阿部デザイナーは、新鮮さとリアリティーを併せ持つ温かなコレクションで、そんな気持ちに的確に応えた。

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「優しい時間をみんなで共有したかった」。ショー後のバックステージでそう語った阿部千登勢「サカイ」デザイナーが2025-26年秋冬にフォーカスしたのは、「ラッピング(包み込むこと)のジェスチャー」だ。強さと繊細さや心地よさと保護といった要素を示唆しながら、着用者に着方を委ねることで、見慣れた服の新たな形を探求している。

優しく包み込むようなシルエット

ファーストルックは、先のメンズ&プレ・フォールのショーでも見られた内側の構造をあらわにしたようなレイヤードデザインに、フリンジ付きのショールのような共地をハイブリッドしたノースリーブのテーラードジャケット。直線的なフォルムに片方の肩を覆うファブリックで柔らかな動きを加え、アシンメトリーなシルエットを描いている。その後も提案の中心は、テーラリングやレザーのライダースジャケット、トレンチコート、MA-1、ダウンジャケット、人工ファーやシアリングのアウターなど「サカイ」らしいワードローブの定番に、共地やニットパネルを組み込んだデザイン。チャンキーなニットをケープのように巻きつけたようなスタイリングもあり、優しく包み込むようなシルエットが今季の特徴になっている。そんなデザインについて、阿部デザイナーは、「(ラッピングという)ワンアクションによって、優しかったり、包まれたりするような気持ちになってほしかった。今回の服はラッピングせずに垂らしても街で着られるウエアラブルなものだけど、(布を)肩にかけると優しく包まれる」と説明。そこに合わせるスカートは、大胆なスリットを入れたり、マーメイドシルエットで仕上げたりすることで、動きを生み出している。

コレクションにアクセントを加えるのは、手作業で作ったファブリック製のフェザーや大ぶりのスパンコール、メンズ&プレ・フォールから継続するファー風トリムといった装飾と、刺しゅうで描いたマン・レイ(Man Ray)の作品。中盤から終盤にかけて登場したラッピングのディテールを風に揺れる軽やかなシフォンやペイズリー柄のシルクスカーフで取り入れたルックは、「サカイ」がこの数年ウィメンズで探求を続けているエレガンスが際立たせる。

安らぎを求める気持ちへのアンサー

今シーズンはニューヨークからパリまで都市を問わず、体を包み込むようなコクーンシルエットや肩周りを覆うブランケットやスカーフ、ケープ風のデザインが多出した。それは、この不安で混沌とした時代の中、誰もが無意識に抱いている「安らぎを感じたい」「守られたい」という思いを反映しているかのようだ。阿部デザイナーは、新鮮さとリアリティーを併せ持つ温かなコレクションで、そんな気持ちに的確に応えた。

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「優しい時間をみんなで共有したかった」。ショー後のバックステージでそう語った阿部千登勢「サカイ」デザイナーが2025-26年秋冬にフォーカスしたのは、「ラッピング(包み込むこと)のジェスチャー」だ。強さと繊細さや心地よさと保護といった要素を示唆しながら、着用者に着方を委ねることで、見慣れた服の新たな形を探求している。

優しく包み込むようなシルエット

ファーストルックは、先のメンズ&プレ・フォールのショーでも見られた内側の構造をあらわにしたようなレイヤードデザインに、フリンジ付きのショールのような共地をハイブリッドしたノースリーブのテーラードジャケット。直線的なフォルムに片方の肩を覆うファブリックで柔らかな動きを加え、アシンメトリーなシルエットを描いている。その後も提案の中心は、テーラリングやレザーのライダースジャケット、トレンチコート、MA-1、ダウンジャケット、人工ファーやシアリングのアウターなど「サカイ」らしいワードローブの定番に、共地やニットパネルを組み込んだデザイン。チャンキーなニットをケープのように巻きつけたようなスタイリングもあり、優しく包み込むようなシルエットが今季の特徴になっている。そんなデザインについて、阿部デザイナーは、「(ラッピングという)ワンアクションによって、優しかったり、包まれたりするような気持ちになってほしかった。今回の服はラッピングせずに垂らしても街で着られるウエアラブルなものだけど、(布を)肩にかけると優しく包まれる」と説明。そこに合わせるスカートは、大胆なスリットを入れたり、マーメイドシルエットで仕上げたりすることで、動きを生み出している。

コレクションにアクセントを加えるのは、手作業で作ったファブリック製のフェザーや大ぶりのスパンコール、メンズ&プレ・フォールから継続するファー風トリムといった装飾と、刺しゅうで描いたマン・レイ(Man Ray)の作品。中盤から終盤にかけて登場したラッピングのディテールを風に揺れる軽やかなシフォンやペイズリー柄のシルクスカーフで取り入れたルックは、「サカイ」がこの数年ウィメンズで探求を続けているエレガンスが際立たせる。

安らぎを求める気持ちへのアンサー

今シーズンはニューヨークからパリまで都市を問わず、体を包み込むようなコクーンシルエットや肩周りを覆うブランケットやスカーフ、ケープ風のデザインが多出した。それは、この不安で混沌とした時代の中、誰もが無意識に抱いている「安らぎを感じたい」「守られたい」という思いを反映しているかのようだ。阿部デザイナーは、新鮮さとリアリティーを併せ持つ温かなコレクションで、そんな気持ちに的確に応えた。

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トレンドセッターの「クロエ」、畏怖畏敬の念高まる「リック・オウエンス」 25-26年秋冬パリコレ日記vol.3

今季のパリ・ファッション・ウイークは街中から遠い会場や近くに地下鉄の駅がない場所が多く、移動にかなり時間を取られます。どんなにスケジュール調整をしても、右岸と左岸を行ったり来たり。本日は、西の外れにあるテニスクラブでショーを開いた「クロエ」からスタート。地下鉄と徒歩で東西南北を駆け巡った4日目の模様をお届けします。

「クロエ」は今季も快調
“パディントン“バッグも復活

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員:「クロエ」の会場は、今季もパリ西部にあるテニスクラブ。車で向かった先シーズンはゴミ収集車による渋滞にハマって猛ダッシュしたので、今日は地下鉄で向かいます。ホテル最寄りの駅から1本で行けるのは良かったのですが、それにしても遠い。20駅乗って、ようやく辿り着きました。

コレクションは、「クロエ」らしいボヘミアン・ロマンチックなスタイルを継続。「いかに過去をロマンチックに表現するかについて考えた」というシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)は今季、ブランドを象徴するギャザーやフリル、レースを配したシアーなドレスやキャミソール、ワイドな肩のブラウス、フレアパンツに、コンパクトなシルエットのビクトリアンジャケットや人工ファーもしくはシアリングを用いたアウター、キルティングやレザーの光沢あるコート、シアーなロングスカートを合わせて、スタイルをアップデートしています。そしてバッグは、約20年前に一世を風靡したフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代のアイコンバッグ“パディントン“が復活。さらにさらに、ファーのしっぽも久々にランウエイに戻ってきました。バッグのチャームとしてだけでなく、ファーストールの端に何本も垂れ下がったデザインが新鮮です。

そんなスタイルは、やっぱりカワイイ。ビクトリアンスタイルのジャケットは他のブランドでも見られましたし、ビンテージムードを取り入れたクリエイションも増えています。シェミナの「クロエ」の時代を捉える感覚は、今季も冴えていますね。村上さんはどう見られましたか?

村上要「WWDJAPAN」編集長:もうシェミナの「クロエ」が良いことはわかってきたので、最近は「シフォンのフリルドレスやブラウス、楊柳パンツがどこまで鮮度を保てるのか?」という視点で注目していますが、まだしばらく行けそうですね。引き続き甘いテイストのボヘミアンなムードをプラスすることでコントラストを楽しんでいますが、今シーズンはパッチワークのレザーアウターやしっぽをプラスと前回とは違うボヘミアンのありようを模索。そこに、先シーズンのパフショルダーからドレープが垂れるジャケットなどを合わせていますが、こちらがヴィクトリアン調に進化しています。一度「クロエ」のアイコンを手に入れれば、いつでも、新しいスタイリングで楽しめる工夫を大切に進化を続けています。

今、一番のトレンドセッターだから、しっぽはきっと、いろんなブランドから登場するようになるでしょう。日本ではこれで、何回目のブームですか(4回目?)。「クロエ」のように何本も垂らしてみたいから、他のブランドに浮気しちゃうかもしれないけれど、最初の1本はリスペクトの意味を込めて「クロエ」で買おうと思います(笑)。

“パディントン“は、40万円くらいで提案したい、とのことです。無論、昔に比べれば高くなっていますが、これが50万円だったら「高い!買わない!」になってしまいますが、「頑張ってみようかな?」と思わせてくれるまで、「クロエ」も頑張ってくれた印象です。“パディントン“でもう一度広く名前が伝わったら、ウエアにもさらなる良い効果がありそうですね。

会社は売却するも「オフ-ホワイト」は
出自や人種における多様性路線を継続

村上:今日はここから西へ東へ、南へ北への大移動がスタート。まずは西から東へ、メトロでも車でも1時間コースの「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」です。こりゃ相当遅れること間違いなしですね(笑)。

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)による米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)への売却に伴い、ロゴやグラフィティを使ったカジュアルなブランドに傾倒していくと思っていましたが、イブラヒム・カマラ(Ibrahim Kamara)=アート&イメージディレクターによるコンセプチュアルなアプローチは継続する様子。今シーズンは、ヴァージル・アブローのルーツであるガーナに思いを馳せ、すっかりアメリカのシンボルだと思っていましたが、ガーナの象徴でもあるイーグルと星のモチーフを多用しました。西アフリカのカラフルな色使いで、モーターサイクルのユニホームやイギリスの制服に盛り込んでいきます。アフリカ、アメリカ、イギリスなど、世界を股にかけるのは、ブランドらしいところ。当然、アフリカン・アメリカンなモデルが多数登場し、出自や人種におけるダイバーシティを訴えます。

若干ワンパターンな印象もありますが、ここからもっと買いやすいデザインやグラフィックのアイテムを考案するのだろうことを踏まえると、このくらいわかりやすい方が良いのかもしれません。

「ラバンヌ」でもファーのしっぽを目撃!

藪野:お次は、左岸のユネスコ本部で開かれた「ラバンヌ(RABANNE)」です。今季はファーライクな素材がビッグトレンドになっていますが、ここでもファーが多出しました。特に目を引いたのは、裾に何本もファーのしっぽが垂れ下がり揺れるコートやドレス。さすがに1日にファーのしっぽを2回も見るとは思っていませんでした。そのほかにも、全体からラペルやライニングなどの部分使いまで、ボリューム満点のファーがスタイルのカギになっています。ファーだけでなく、ラペルやライニングにシルバーのスパンコール装飾をびっしりとあしらった提案もあり、前身頃が2枚仕立てになったようなかっちりとしたコートやジャケットとのコントラストを際立たせています。

一方、「ラバンヌ」を象徴する煌びやかなメタルメッシュはレースとドッキング。シアーなドレスや透明なビニールのコートなどの下に合わせ、内側から控えめに煌めきを放ちます。そして、足元はコンバットブーツや、スパンコールをびっしりとあしらったソックスとメリージェーンをスタイリング。引き続きデイウエアの中で、「ラバンヌ」らしいスタイルを探求しています。

24年「LVMH賞」グランプリ
「ホダコヴァ」は注目度満点

藪野:「ラバンヌ」の後は、一度右岸に戻って「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の展示会に行き、またまた左岸に渡って「ホダコヴァ(HODAKOVA)」のショーへ。2024年度「LVMHプライズ」でグランプリを受賞したスウェーデンの若手ブランドです。会場には有名エディターやジャーナリスト、インフルエンサーが揃っていて、注目度の高さが伺えます。

服から日用品まで日常の中にあるものをアップサイクルしてコレクションを作り上げるアプローチで知られるブランドですが、今季もこれまでのアイデアを応用しながら進化しています。チノパンツはトレンチジャケットへと姿を変え、スラックスはトップスやドレスに。レザーのベルトは長いフリンジとしてドレスやスカートを飾ったり、バッグになったり。トレンドのファーアウターも「ホダコヴァ」らしくファーハットをはぎ合わせて作っています。そして極め付けは、最後に披露した小太鼓やコントラバスといった楽器で作った服。アイデアやアプローチは面白いと思うのですが、これからの課題はいかにリアルに着たいと思わせるデザインを生み出し、再び日常に落とし込むか。アップサイクルを軸にものづくりを行う若手ブランドはどんどん増えているので、どのようにライバルと差別化してビジネスを軌道に乗せていくかにも注目です。

ちょっと大人しめ?な
「ロジェ ヴィヴィエ」

村上:「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」は、今回ちょっと大人しめでした。と言っても、前回が乙女心とクラフツマンシップ全開すぎたのですが(笑)。今回はバラにフォーカス。カラフルなサテンで作ったパンプスに、メタルやサテン、レザーで作ったバラをあしらいました。クラッチも、全面サテンのバラ飾り。あ、こうやって説明すると、全然大人しめじゃないですね(笑)。

畏怖畏敬の念が高まる
「リック・オウエンス」

お次は、またセーヌ川を渡って、「リック・オウエンス(RICK OWENS)」へ。会場にはスモークが焚かれ、「リック」様らしい神聖なムードを盛り上げます。

今シーズンは、いつも通りではありますが、それ以上にレザー使いが際立ちます。ロング丈のレザージャケットには、まるで吸血鬼のような、ある意味ヴィクトリアン調な高い襟。スリットを入れたレザーのロングスカートからは、ファインゲージのコットンなどで作ったインナーを覗かせながら、レザーのロングブーツを合わせて迫力たっぷり。と思ったら、レザーに大蛇のようなパイソン模様を加えつつ一枚一枚カットアウトしたスカートまで現れ、畏怖や畏敬の念さえ抱かせました。トップスは、細長いラバーを斜めに、カスケード状に重ねたフーディ。美しくも、消化器官の“ひだ“のようでもあり、こちらも少しグロテスクな美しさを放ちます。リック様は、これを「フリル」と呼ぶのだそう(笑)。ファーのブルゾンにスパンコールのハーネス、コットンに凹凸ができるほどペンキを塗りたくったスカート、レザーを編み込んで成形したボディコンドレスなど、今シーズンはクチュール級のテクニックが満載。余計な加工をしないことで環境に配慮しながら自然の荒々しい面影を残した素材使い、宗教的なムードを讃えるロングドレスなど、唯一無二の美意識さらに進化しています。

「トム ウッド」と秋元梢がコラボ

藪野:僕は、ドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS)のローズベーカリーで開かれた、ノルウェー発のジュエリーブランド「トム ウッド(TOM WOOD)」と秋元梢さんのコラボアイテムのお披露目パーティーへ。組み合わせると鎧のようにも見えるデザインですが、その名前は“チユ(CHIYU)“リング。それは、秋元さんが指を脱臼した時に着けていたギプスから着想を得たものだからだそうです。

そろそろ次のショーに向かわねばと思っていたら、「リック・オウエンス」のショー後、速攻で衣装チェンジした秋元さんが到着。ジュエリーを重ね付けしたスタイリングはさすがです。実際に着けてみたのですが、サイズ豊富でメンズもOK。中指の第一関節にはめたり小指の第二関節にはめたりといったふうに、気分によって違う着け方を楽しめるのがいい感じでした。

プレタポルテなのに冴えた
「スキャパレリ」のウエスタン

「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」は、現代に女性が快適かつ特別な気持ちになれる洋服ってなんだろう?と考えました。たどり着いた1つの答えは、「メンズのような洋服を作ること」。そこから、あらゆる相反するものの融合、例えばマスキュリンとフェミニン、例えば支配的なムードと従属的な雰囲気、絢爛豪華と質実剛健のコンビネーションなど、アイデアを膨らませました。

ゆえにファーストルックは、マスキュリンなダブルのスーツ。にもかかわらず襟には豪華なファーを施しました。パワーショルダーだけど、太い2連のベルトでウエストマークします。ヘルシーなタンクトップに重厚感あるレザーパンツ、テントラインで優雅なのに漆黒かつ鈍く光るコーティング素材のコート、ピンヒールのパンプスなのにミリタリー由来のリブ編みニットにレザースカート、そして幾つものカウボーイベルト、総ファーのコートの中で独特の存在感を放つガラスレザーのコルセット。いつもクチュールは真剣勝負なのに、プレタポルテは一本調子だったダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)、今回は冴えています。

散々登場したカウボーイブーツとベルトは、ダニエルが幼少期をテキサスで過ごしたことがあるからなんだって。

パンキッシュ&セクシーな
「イザベル マラン」

藪野:本日の最後は、「イザベル マラン」。会場はおなじみのパレ・ロワイヤルで、ようやく街の中心部に戻ってこれました(笑)。観光客も多いエリアなので、いつもセレブ待ちのファンと野次馬でエントランスがどこだか分からなるのですが……今回はセレブと他のゲストで入り口の場所を分けてくれていたため、なんともスムーズな会場入り。これを考えてくれた方、グッジョブ!です。

ノリノリのエレクトロニックなビートに乗って披露されたコレクションは、ブランドを象徴するコードと1970年代後半から80年代前半に人気を博したニュー・ウェーブのロックなスタイルに見られるエッジをミックス。パワーショルダーで仕上げたピンストライプのテーラードジャケットやツイードコート、タータンのシャツは、アイレットベルトや安全ピンのブローチ、網タイツ、マイクロミニ丈のスカートやパンツと合わせて、パンキッシュ&セクシーに。そこにバイカースタイルのレザーウエアや、レースのドレスにブラウス、ドレープを効かせたアシンメトリーなドレスを合わせ、「イザベル マラン」らしいエネルギッシュでボヘミアンなムードを演出しました。

そして今回のランウエイには、2025年春夏キャンペーンモデルにも起用されたATEEZのソンファ(Seonghwa)がモデルとして登場。ランウエイを歩いてくれると、走ったりモミクチャにされたりすることなく、その姿をしっかり押さえられるので取材する側としては助かります。ということで、セレブ撮影のミッションも無事クリア。日本風中華料理の来々軒でお腹を満たして、帰路につきました。

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トレンドセッターの「クロエ」、畏怖畏敬の念高まる「リック・オウエンス」 25-26年秋冬パリコレ日記vol.3

今季のパリ・ファッション・ウイークは街中から遠い会場や近くに地下鉄の駅がない場所が多く、移動にかなり時間を取られます。どんなにスケジュール調整をしても、右岸と左岸を行ったり来たり。本日は、西の外れにあるテニスクラブでショーを開いた「クロエ」からスタート。地下鉄と徒歩で東西南北を駆け巡った4日目の模様をお届けします。

「クロエ」は今季も快調
“パディントン“バッグも復活

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員:「クロエ」の会場は、今季もパリ西部にあるテニスクラブ。車で向かった先シーズンはゴミ収集車による渋滞にハマって猛ダッシュしたので、今日は地下鉄で向かいます。ホテル最寄りの駅から1本で行けるのは良かったのですが、それにしても遠い。20駅乗って、ようやく辿り着きました。

コレクションは、「クロエ」らしいボヘミアン・ロマンチックなスタイルを継続。「いかに過去をロマンチックに表現するかについて考えた」というシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)は今季、ブランドを象徴するギャザーやフリル、レースを配したシアーなドレスやキャミソール、ワイドな肩のブラウス、フレアパンツに、コンパクトなシルエットのビクトリアンジャケットや人工ファーもしくはシアリングを用いたアウター、キルティングやレザーの光沢あるコート、シアーなロングスカートを合わせて、スタイルをアップデートしています。そしてバッグは、約20年前に一世を風靡したフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代のアイコンバッグ“パディントン“が復活。さらにさらに、ファーのしっぽも久々にランウエイに戻ってきました。バッグのチャームとしてだけでなく、ファーストールの端に何本も垂れ下がったデザインが新鮮です。

そんなスタイルは、やっぱりカワイイ。ビクトリアンスタイルのジャケットは他のブランドでも見られましたし、ビンテージムードを取り入れたクリエイションも増えています。シェミナの「クロエ」の時代を捉える感覚は、今季も冴えていますね。村上さんはどう見られましたか?

村上要「WWDJAPAN」編集長:もうシェミナの「クロエ」が良いことはわかってきたので、最近は「シフォンのフリルドレスやブラウス、楊柳パンツがどこまで鮮度を保てるのか?」という視点で注目していますが、まだしばらく行けそうですね。引き続き甘いテイストのボヘミアンなムードをプラスすることでコントラストを楽しんでいますが、今シーズンはパッチワークのレザーアウターやしっぽをプラスと前回とは違うボヘミアンのありようを模索。そこに、先シーズンのパフショルダーからドレープが垂れるジャケットなどを合わせていますが、こちらがヴィクトリアン調に進化しています。一度「クロエ」のアイコンを手に入れれば、いつでも、新しいスタイリングで楽しめる工夫を大切に進化を続けています。

今、一番のトレンドセッターだから、しっぽはきっと、いろんなブランドから登場するようになるでしょう。日本ではこれで、何回目のブームですか(4回目?)。「クロエ」のように何本も垂らしてみたいから、他のブランドに浮気しちゃうかもしれないけれど、最初の1本はリスペクトの意味を込めて「クロエ」で買おうと思います(笑)。

“パディントン“は、40万円くらいで提案したい、とのことです。無論、昔に比べれば高くなっていますが、これが50万円だったら「高い!買わない!」になってしまいますが、「頑張ってみようかな?」と思わせてくれるまで、「クロエ」も頑張ってくれた印象です。“パディントン“でもう一度広く名前が伝わったら、ウエアにもさらなる良い効果がありそうですね。

会社は売却するも「オフ-ホワイト」は
出自や人種における多様性路線を継続

村上:今日はここから西へ東へ、南へ北への大移動がスタート。まずは西から東へ、メトロでも車でも1時間コースの「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」です。こりゃ相当遅れること間違いなしですね(笑)。

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)による米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)への売却に伴い、ロゴやグラフィティを使ったカジュアルなブランドに傾倒していくと思っていましたが、イブラヒム・カマラ(Ibrahim Kamara)=アート&イメージディレクターによるコンセプチュアルなアプローチは継続する様子。今シーズンは、ヴァージル・アブローのルーツであるガーナに思いを馳せ、すっかりアメリカのシンボルだと思っていましたが、ガーナの象徴でもあるイーグルと星のモチーフを多用しました。西アフリカのカラフルな色使いで、モーターサイクルのユニホームやイギリスの制服に盛り込んでいきます。アフリカ、アメリカ、イギリスなど、世界を股にかけるのは、ブランドらしいところ。当然、アフリカン・アメリカンなモデルが多数登場し、出自や人種におけるダイバーシティを訴えます。

若干ワンパターンな印象もありますが、ここからもっと買いやすいデザインやグラフィックのアイテムを考案するのだろうことを踏まえると、このくらいわかりやすい方が良いのかもしれません。

「ラバンヌ」でもファーのしっぽを目撃!

藪野:お次は、左岸のユネスコ本部で開かれた「ラバンヌ(RABANNE)」です。今季はファーライクな素材がビッグトレンドになっていますが、ここでもファーが多出しました。特に目を引いたのは、裾に何本もファーのしっぽが垂れ下がり揺れるコートやドレス。さすがに1日にファーのしっぽを2回も見るとは思っていませんでした。そのほかにも、全体からラペルやライニングなどの部分使いまで、ボリューム満点のファーがスタイルのカギになっています。ファーだけでなく、ラペルやライニングにシルバーのスパンコール装飾をびっしりとあしらった提案もあり、前身頃が2枚仕立てになったようなかっちりとしたコートやジャケットとのコントラストを際立たせています。

一方、「ラバンヌ」を象徴する煌びやかなメタルメッシュはレースとドッキング。シアーなドレスや透明なビニールのコートなどの下に合わせ、内側から控えめに煌めきを放ちます。そして、足元はコンバットブーツや、スパンコールをびっしりとあしらったソックスとメリージェーンをスタイリング。引き続きデイウエアの中で、「ラバンヌ」らしいスタイルを探求しています。

24年「LVMH賞」グランプリ
「ホダコヴァ」は注目度満点

藪野:「ラバンヌ」の後は、一度右岸に戻って「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の展示会に行き、またまた左岸に渡って「ホダコヴァ(HODAKOVA)」のショーへ。2024年度「LVMHプライズ」でグランプリを受賞したスウェーデンの若手ブランドです。会場には有名エディターやジャーナリスト、インフルエンサーが揃っていて、注目度の高さが伺えます。

服から日用品まで日常の中にあるものをアップサイクルしてコレクションを作り上げるアプローチで知られるブランドですが、今季もこれまでのアイデアを応用しながら進化しています。チノパンツはトレンチジャケットへと姿を変え、スラックスはトップスやドレスに。レザーのベルトは長いフリンジとしてドレスやスカートを飾ったり、バッグになったり。トレンドのファーアウターも「ホダコヴァ」らしくファーハットをはぎ合わせて作っています。そして極め付けは、最後に披露した小太鼓やコントラバスといった楽器で作った服。アイデアやアプローチは面白いと思うのですが、これからの課題はいかにリアルに着たいと思わせるデザインを生み出し、再び日常に落とし込むか。アップサイクルを軸にものづくりを行う若手ブランドはどんどん増えているので、どのようにライバルと差別化してビジネスを軌道に乗せていくかにも注目です。

ちょっと大人しめ?な
「ロジェ ヴィヴィエ」

村上:「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」は、今回ちょっと大人しめでした。と言っても、前回が乙女心とクラフツマンシップ全開すぎたのですが(笑)。今回はバラにフォーカス。カラフルなサテンで作ったパンプスに、メタルやサテン、レザーで作ったバラをあしらいました。クラッチも、全面サテンのバラ飾り。あ、こうやって説明すると、全然大人しめじゃないですね(笑)。

畏怖畏敬の念が高まる
「リック・オウエンス」

お次は、またセーヌ川を渡って、「リック・オウエンス(RICK OWENS)」へ。会場にはスモークが焚かれ、「リック」様らしい神聖なムードを盛り上げます。

今シーズンは、いつも通りではありますが、それ以上にレザー使いが際立ちます。ロング丈のレザージャケットには、まるで吸血鬼のような、ある意味ヴィクトリアン調な高い襟。スリットを入れたレザーのロングスカートからは、ファインゲージのコットンなどで作ったインナーを覗かせながら、レザーのロングブーツを合わせて迫力たっぷり。と思ったら、レザーに大蛇のようなパイソン模様を加えつつ一枚一枚カットアウトしたスカートまで現れ、畏怖や畏敬の念さえ抱かせました。トップスは、細長いラバーを斜めに、カスケード状に重ねたフーディ。美しくも、消化器官の“ひだ“のようでもあり、こちらも少しグロテスクな美しさを放ちます。リック様は、これを「フリル」と呼ぶのだそう(笑)。ファーのブルゾンにスパンコールのハーネス、コットンに凹凸ができるほどペンキを塗りたくったスカート、レザーを編み込んで成形したボディコンドレスなど、今シーズンはクチュール級のテクニックが満載。余計な加工をしないことで環境に配慮しながら自然の荒々しい面影を残した素材使い、宗教的なムードを讃えるロングドレスなど、唯一無二の美意識さらに進化しています。

「トム ウッド」と秋元梢がコラボ

藪野:僕は、ドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS)のローズベーカリーで開かれた、ノルウェー発のジュエリーブランド「トム ウッド(TOM WOOD)」と秋元梢さんのコラボアイテムのお披露目パーティーへ。組み合わせると鎧のようにも見えるデザインですが、その名前は“チユ(CHIYU)“リング。それは、秋元さんが指を脱臼した時に着けていたギプスから着想を得たものだからだそうです。

そろそろ次のショーに向かわねばと思っていたら、「リック・オウエンス」のショー後、速攻で衣装チェンジした秋元さんが到着。ジュエリーを重ね付けしたスタイリングはさすがです。実際に着けてみたのですが、サイズ豊富でメンズもOK。中指の第一関節にはめたり小指の第二関節にはめたりといったふうに、気分によって違う着け方を楽しめるのがいい感じでした。

プレタポルテなのに冴えた
「スキャパレリ」のウエスタン

「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」は、現代に女性が快適かつ特別な気持ちになれる洋服ってなんだろう?と考えました。たどり着いた1つの答えは、「メンズのような洋服を作ること」。そこから、あらゆる相反するものの融合、例えばマスキュリンとフェミニン、例えば支配的なムードと従属的な雰囲気、絢爛豪華と質実剛健のコンビネーションなど、アイデアを膨らませました。

ゆえにファーストルックは、マスキュリンなダブルのスーツ。にもかかわらず襟には豪華なファーを施しました。パワーショルダーだけど、太い2連のベルトでウエストマークします。ヘルシーなタンクトップに重厚感あるレザーパンツ、テントラインで優雅なのに漆黒かつ鈍く光るコーティング素材のコート、ピンヒールのパンプスなのにミリタリー由来のリブ編みニットにレザースカート、そして幾つものカウボーイベルト、総ファーのコートの中で独特の存在感を放つガラスレザーのコルセット。いつもクチュールは真剣勝負なのに、プレタポルテは一本調子だったダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)、今回は冴えています。

散々登場したカウボーイブーツとベルトは、ダニエルが幼少期をテキサスで過ごしたことがあるからなんだって。

パンキッシュ&セクシーな
「イザベル マラン」

藪野:本日の最後は、「イザベル マラン」。会場はおなじみのパレ・ロワイヤルで、ようやく街の中心部に戻ってこれました(笑)。観光客も多いエリアなので、いつもセレブ待ちのファンと野次馬でエントランスがどこだか分からなるのですが……今回はセレブと他のゲストで入り口の場所を分けてくれていたため、なんともスムーズな会場入り。これを考えてくれた方、グッジョブ!です。

ノリノリのエレクトロニックなビートに乗って披露されたコレクションは、ブランドを象徴するコードと1970年代後半から80年代前半に人気を博したニュー・ウェーブのロックなスタイルに見られるエッジをミックス。パワーショルダーで仕上げたピンストライプのテーラードジャケットやツイードコート、タータンのシャツは、アイレットベルトや安全ピンのブローチ、網タイツ、マイクロミニ丈のスカートやパンツと合わせて、パンキッシュ&セクシーに。そこにバイカースタイルのレザーウエアや、レースのドレスにブラウス、ドレープを効かせたアシンメトリーなドレスを合わせ、「イザベル マラン」らしいエネルギッシュでボヘミアンなムードを演出しました。

そして今回のランウエイには、2025年春夏キャンペーンモデルにも起用されたATEEZのソンファ(Seonghwa)がモデルとして登場。ランウエイを歩いてくれると、走ったりモミクチャにされたりすることなく、その姿をしっかり押さえられるので取材する側としては助かります。ということで、セレブ撮影のミッションも無事クリア。日本風中華料理の来々軒でお腹を満たして、帰路につきました。

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「モンクレール・グルノーブル」2025-26年秋冬コレクション

「モンクレール・グルノーブル(MONCLER GRENOBLE)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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東コレ2025-26年秋冬が開幕 「ホウガ」は 高級ドレスで新境地へ

2025-26年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が17日に開幕した。22日までの開催で、37ブランドがリアルショーとオンラインでコレクション発表を行う。

ショーの先陣を切ったのは石田萌デザイナーが手掛ける「ホウガ(HOUGA)」だ。東京・池袋の自由学園明日館で、“Spell on my boundaries(私の境界に魔法をかけて)”がテーマのコレクションを披露した。石田デザイナーは、「自分らしさが分からなくなったり、どこにもなじめないような感覚の中でも、自分自身の力を信じて、自分の努力によって魔法をかけるというイメージで、魔女からインスピレーションを受けた」という。ファーストルックは、ボルドーのシルクオーガンジーをぜいたくに使った渾身のドレス。彼女が突き詰めてきた"自由"や"開放感"という感情を、ダークロマンスな装いにのせた。

また、4回目の東コレ参加となる今シーズンは、晩餐会をイメージしたオーダーメードのドレスライン“バンケット(Banquet)”を新たに発表した。ウールやシルクのオーガンジーを使った8型で、ファンタジーの世界を表現している。価格帯は、日常に着られる通常ラインのドレスが5万円台に対して、“バンケット”は30万〜50万円に設定。「やりたいことが明確なってきた。自分が1番自分らしく、軽やかに自由に表現できるよう極めていきたい」。

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東コレ2025-26年秋冬が開幕 「ホウガ」は 高級ドレスで新境地へ

2025-26年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が17日に開幕した。22日までの開催で、37ブランドがリアルショーとオンラインでコレクション発表を行う。

ショーの先陣を切ったのは石田萌デザイナーが手掛ける「ホウガ(HOUGA)」だ。東京・池袋の自由学園明日館で、“Spell on my boundaries(私の境界に魔法をかけて)”がテーマのコレクションを披露した。石田デザイナーは、「自分らしさが分からなくなったり、どこにもなじめないような感覚の中でも、自分自身の力を信じて、自分の努力によって魔法をかけるというイメージで、魔女からインスピレーションを受けた」という。ファーストルックは、ボルドーのシルクオーガンジーをぜいたくに使った渾身のドレス。彼女が突き詰めてきた"自由"や"開放感"という感情を、ダークロマンスな装いにのせた。

また、4回目の東コレ参加となる今シーズンは、晩餐会をイメージしたオーダーメードのドレスライン“バンケット(Banquet)”を新たに発表した。ウールやシルクのオーガンジーを使った8型で、ファンタジーの世界を表現している。価格帯は、日常に着られる通常ラインのドレスが5万円台に対して、“バンケット”は30万〜50万円に設定。「やりたいことが明確なってきた。自分が1番自分らしく、軽やかに自由に表現できるよう極めていきたい」。

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若い世代の熱気と「オニツカタイガー」が見据える次代のブランディング

オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER

PHOTO:YUSUKE KINAKA

「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。今回は、「アーバンデュアリティ」をテーマに伝統と現代が交錯する東京の二面性から着想を得た。大都市のエネルギーと日本の伝統という、一見相反するようを組み合わせた。ショーの熱気はもちろん、現在はスペイン・バルセロナ店とパリ店のオープンなど、欧州での直営店戦略も進んでいる。コレクションの詳報とともに庄田良二「オニツカタイガー」カンパニー長にブランドのあり方や今後の展望について話を聞いた。

英国紳士の装いをハイパーミックス

オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER
オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER

「アーバンデュアリティ」と銘打った2025-26年秋冬コレクションは、共に東京に息づく、伝統と現代性からインスピレーションを得ている。日本古来のスタイルではなくても柔軟に取り入れて独自の進化へと導く東京の多様性を表現すべく、今季はブリティッシュ・トラッドに思いを馳せた。

ジャケットは、クロップド丈&コンパクトなシルエット。グレンチェックをのせ、ピーコートやオイルドコットン風のハンティングジャケットを合わせる。さらに加えたのは、ブラックビーズをあしらったカウボーイブルゾンや手刺しゅうを加えたノルディックセーターなど、世界中のさまざまなスタイルにおける特徴的なアイテム。

オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER
オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER

ハイパーミックスは東京とミラノを飛び越え、世界を股にかけた。光沢あるレザーのブルゾンやスタッズを打ち込んだボウリングバッグでロックなムードを掻き立てたが、スポーツウエア由来の快適性と機能性は抜群だ。ストラップを配したニーハイブーツを含め、合成皮革で軽さを追求。

シルク素材のプリーツスカートや、レースと組み合わせたブラウスやドレスもカジュアルな感覚でサラリと着こなせる。“メキシコ 66”は、ボウリングバッグ同様、スタッズで彩り80年代のムードを醸し出した。

バルセロナ&パリ旗艦店を中心に
欧州の直営店戦略を強化

「オニツカタイガー」の陣頭指揮を執る庄田良二カンパニー長は、「お客さまに満足していただくため、常に進化している。特に若い世代は、購入時だけでなく、購入後の体験においても“価値”を重視する。だからこそ、選び抜いたロケーションに、ブランドの価値を最大限に表現する店舗を展開し、『買ってよかった』と思っていただくことが大事」と、欧州で続く直営店戦略について語り、「これはファンのための取り組みだ」と強調する。

その言葉通り、3月にはスペイン・バルセロナのグラシア通りに旗艦店をオープンし、「アートの街なので、店作りでもアートを取り入れる」。さらに5月にはリージェント・ストリートに続いてコベントガーデンにもショップを構える。そして7月にはいよいよパリ・シャンゼリゼ通りの旗艦店がオープン。これでイギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、そしてフランスとヨーロッパの主要国における旗艦店戦略が新たな段階に進む予定だ。

庄田カンパニー長は、「次はEC販売をより強化したい。グローバルアプリをもう1つの旗艦店とする」と意気込む。その先には、戦略的に撤退したものの、現在はグローバルECが好調なアメリカ市場がある。同時に、商品カテゴリーの拡充にも注力する。「オニツカタイガー」は今回、ミラノのショーで香水のティザープロモーションを実施。庄田カンパニー長は、「皆さんが嬉しくなるものは何か?と常に考え続けている」と話した。

スペイン初のフラッグシップストアを
バルセロナにオープン

3月3日にバルセロナにオープンしたスペイン初のフラッグシップストアは、東京の最先端の美学とバルセロナのグラシア通りのイメージを融合させた。

3月3日にバルセロナにオープンしたスペイン初のフラッグシップストアは、東京の最先端の美学とバルセロナのグラシア通りのイメージを融合させた。

オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER
オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER
オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER

1階は、ブランドのシグネチャーカラーのイエローで統一し同店限定の“メキシコ66”のスペシャルモデルを販売しているほか、最新コレクションから“ニッポンメイド”シリーズもラインアップ。

オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER
オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER
オニツカタイガー,ONITSUKA TIGER

地下1階はギャラリースペースとなっており、オープニングを記念し「オニツカタイガー」のシューズのアーカイブコレクションが展示されている。

各国のセレブリティが会場に集結

「オニツカタイガー」オリジナルの香りに包まれた会場には、ブランドアンバサダーのTWICEのモモをはじめ、タイの俳優ガルフ・カナウットや韓国の俳優ウィ・ハジュン、中国の俳優ジジ・ワン、オーストラリアの俳優フィービー・トンキンといった世界各国のセレブリティが来場した。

問い合わせ先
オニツカタイガー
https://www.onitsukatiger.com/jp/ja-jp/contact/

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「シャッツィ・チェン」2025-26年秋冬コレクション

「シャッツィ・チェン(SHIATZY CHEN)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「デュラン ランティンク」2025-26年秋冬コレクション

「デュラン ランティンク(DURAN LANTINK)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「ザ・ロウ」の“お家仕様“スタイリングから「ステラ マッカートニー」のビジネスウーマンまで 25-26年秋冬パリコレ日記vol.2

今季のパリ・ファッション・ウイークは天候に恵まれ、昼間は汗ばむほどの暖かさ。雨で寒いよりは良いのですが、朝晩は割と冷えるので朝から晩まで取材でホテルに戻れない日は着るものに困ります。今回の日記では、家で過ごす感覚をコレクションに取り入れたコージーな「ザ・ロウ」や、オフィスを舞台に大胆なワーキングウーマンのスタイルを見せた「ステラ マッカートニー」などのショーが行われた3日目の模様をお届け!

まるでパーティーのように
紙吹雪舞う「クレージュ」

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員:朝は「クレージュ(COURREGES)」からスタートです。床が呼吸するように膨らんだり、モデルが歩くとひび割れたりと、毎回ユニークな仕掛けを用意する「クレージュ」ですが、今回はカラフルな紙吹雪。それがヒラヒラと舞う空間をモデルが歩くという演出で、ミニマルな世界観の中で祝祭感あふれるショーを見せてくれました。その背景にあるデザイナーの思いやコレクションの詳細は、下記の記事でご覧ください。

絨毯に座り込んで、「ザ・ロウ」の
お家スタイリングに感動

村上要「WWDJAPAN」編集長:「ザ・ロウ(THE ROW)」はいつも通り、スマホなどでの撮影とSNS投稿はNG。目の前の洋服に集中しながら、世界観を体感して欲しいとの願いからです。加えて今シーズンは、座席がありません(笑)。案内された部屋には、招かれた人数には足りないソファがいくつか。遅れて来た人は、窓辺に腰掛けたり、立ち見だったり。私はかなり遅かったので、絨毯の上に座りました(笑)。まるで自宅に招かれた友人の気分です(笑)。

そんな気分が、今回のコレクションの理解には役立ちました。あぁ、絨毯に座ってヨカッタ。

私、結構口を酸っぱくして主張し続けていますが(笑)、「ザ・ロウ」ってクワイエット・ラグジュアリーじゃないですからね。むしろ既成概念とかを逸脱した、自由奔放なアティチュードこそブランドの魅力。それを最高級の素材で試しちゃう大胆さに注目して欲しいと思っています。

今シーズンは、まさにそんなアティチュードが大爆発!モデルは全員、タイツを履いてはいるものの靴を履かず、時にはそのタイツをマフラー代わりに首に巻き付けています(笑)。まぁそれは小手先のテクニックかもしれないけれど、その後も最高級の素材で作った、今回は少し意表を突かれた構築的なシルエットの洋服を、ちゃんとコーディネートはしているけれど、“お家仕様“の実にリラックスしたスタイリングで見せてくれました。ニットドレスの上から袖の形をしたロングマフラーを巻いたり、ソルト&ペッパーのウールコートはバスローブのように軽く羽織ったり、Vネックのプルオーバーとして再解釈したジャケットを被ってみたり。「衝撃」ではないけれど「斬新」なスタイリングと会場の雰囲気が見事にマッチしています。

「カサブランカ」は、日本流の
「カイゼン」でブラッシュアップ

村上:「カサブランカ(CASABLANCA)」の招待状は、ナゾなキャラクターの人形と一緒に届きました。キャラの名前は、「カイゼン」。日本のことを思って生み出したオリジナルキャラだそうです。

ショー会場に入ると、そこにはカタカナで「カサブランカ」と書かれた“のれん“がありました。となるとインスピレーション源は当然、日本ですよね?

コレクションは、なんでも取り込んで自由にミックスする日本人の感覚を表現。ラペルのない着物合わせのジャケットを軸に、フォーマルなスタイルを提案します。途中、なぜかのスノーウエアが登場したのも、我々のスタイリングセンスを高く評価しているからなのかな?融合するまでの様を表現したようなマーブル模様、ドレスにワンポイントであしらった“カワイイ“リボンも、シャラフ・タジェル(Charaf Tajer)創業者兼クリエイティブ・ディレクター流の日本の解釈なのでしょう。

いつも以上に洗練されたムードなのは、「カイゼン」というアイデアの賜物。改善、つまりアップデートは、「カサブランカ」のスタイルをストリートだけじゃないものにアップデートしつつ、それぞれの完成度も高めました。特攻服を着想源にしたロングジャケットさえ結構美しい仕上がりで、そんなに驚かない自分に驚きました(笑)。ポロシャツには、小紋柄や縦縞模様など、伝統的な和柄をのせました。

エフォートレスに進化する
「デルヴォー」のアイコンバッグ

藪野:「デルヴォー(DELVAUX)」のプレゼンテーションは、ブランドを代表するバッグ“ブリヨン“誕生の歴史を振り返る展示からスタート。時は1958年、第二次世界大戦後初の万国博覧会がベルギー・ブリュッセルで開かれました。その中にあったフィリップス(PHILIPS)館のグラフィカルな建築から着想を得て、同年に生み出されたそうです。そんな象徴的なデザインに今季、新作として柔らかなレザーでクタッとしたシェイプに仕上げた“ブリヨン テンポ“が加わりました。2サイズあるのですが、大きい方はフラップを背面に倒してカジュアル&エフォートレスに持てるデザイン。一方、小さい方はフラップを背面に倒すことはできないですが、ショルダーストラップが付属しています。

そして、飼い葉桶をイメージした“パン“にも新スタイルが登場。付属する2本のチェーンストラップとレザーストラップを自由に組み合わせて、好みやシーンによって異なる持ち方を楽しめるのは特徴です。

新生「ドリス」で感じた
創業者同様の服への愛

村上:今シーズンのパリ・ファッション・ウイークにおけるニュースは、3つのブランドにおける3人の新クリエイティブ・ディレクターのコレクションです。先陣を切ったのは、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」。内部昇格したジュリアン・クロスナー(Julian Klausner)は、創業デザイナーのドリス同様、昔の衣装から現代の装いまで、あらゆる洋服に愛を持っている人であることがヒシヒシと伝わるコレクションでした。詳しくは、下記の記事をご覧ください。

期待の若手「ジュリ ケーゲル」は
遊び心を交えてビジネスルックを解釈

藪野:パリコレでは、公式スケジュールでプレゼンテーション枠となっているブランドも、実際はほとんどショー形式での発表に変えてしまうので、どうしてもスケジュールがバッティングしてしまいます。ということで、今回は「セシリー バンセン」を諦めて、1月に注目若手デザイナー連載で取材した「ジュリ ケーゲル(JULIE KEGELS)」へ。プレゼン枠ながら、古いコンサートホールを使って小規模なショーを2回開催しました。

ランウエイになった円形の舞台の真ん中には、ル・コルビジェ(Le Corbusier)のデザインを想起させるレザーのソファ。そこに無造作に置かれたシャツやセーター、ジーンズを下着姿のモデルが着るところからショーが始まりました。今季は、パワースーツなど1980年代のビジネススタイルを軸に、家の中に見られる要素をミックス。ソファに用いられるボタンタフティングのデザインを用いたクロップドトップスやドレス、舞台に飾られたソファをプリントしたドレス、本物のベニヤ板で作ったガウンに木目プリントを施したスーツやブラウス、毛布を巻き付けたようなスカート、大きなクッション風のクラッチバッグなど、ジュリらしい遊び心を感じるデザインがそろいます。

そして、ラストルックにはファーストルックと全く同じコーディネートが登場。ただ、今度は全ての服が一体になっていて、背中に走るファスナーを開ければワンタッチで脱げる仕様というサプライズを用意しました。これが何を意味するのかは正直わからずでしたが、楽しいショーでした。

ランニングベストで
花の記憶を辿る「セシリー バンセン」

村上:私は、「セシリー バンセン(CECILIE BAHNSEN)」のファッションショーへ。スーパーキュートなワンピースが魅力のブランドですが、序盤のドレスは今まで以上にラブリー。繊細なチュールを多用し、ベビーピンク一色でまとめました。常々インスピレーションの源となっている花を着想しながら、今シーズンは花の生涯や記憶まで想像。だからこそ満開のベビーピンクから始まったコレクションは、木々のブラウン、地中の奥深くを思わせるブラック、そして一筋の光のように差し込んだホワイトへと変化していきます。

そこにランニングベストに代表される、スポーツやアウトドアのムードも加えました。特にブラウンやブラックのパートでは、ランニングベストの他、ダウンやシャカシャカブルゾン、フリースなども加えて、自然と共生するアウトドアムードを高めます。グレーのパートでは、フランネル素材やリブ編みのニットなども登場。「セシリー バンセン」らしいスタイルの幅はどんどん広がっています。

力強くセンシュアルな
「ステラ」流ビジネスウーマン

藪野:バスに揺られながら遠路はるばるやってきたのは、パリ北西部の17区にある近代的なビル。ここが「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」の会場です。エントランスにはフロア案内があり、ショーはどうやら「ステラ・コープ(STELLA CORP)」のオフィスで開かれるよう。他の階には、「イノベーション・ラボ」や「ビーガン・キッチン」があり、いかにもステラらしい会社の設定になっています。

オフィスという舞台からも分かるように、今季はビジネスウーマンのためにデイタイムからイブニングまでの大胆なワードローブを提案しました。テーラリングからニットやドレスまで、デザインを特徴付けるのは幅広のパワーショルダー。そこにレースやドレープ、ブラカップ、絞ったウエストなどでセンシュアリティーやフェミニニティーを加えています。

また、「ステラ・コープ」の設定はエキゾチックスキンに代わる素材を開発するイノベーション企業ということで、パターンは爬虫類柄が中心。ビスコースサテンやジャージーにスネークプリントを施したほか、菌糸体をベースとするビーガン素材「YATAY M」でスネークスキンやオーストリッチの風合いを表現しています。そんな今季のウエアは100% クルエルティフリー素材で作られていて、96%が環境に配慮した素材を用いているそう。これは先シーズンと比べて5%高く、ステラはブレることなく自分の信じる道を突き進んでいます。

村上:以前「CFCL」から聞いたことがありますが、環境に配慮した素材の使用比率を高めるには、同じ素材を継続的に用い続けることが欠かせないそう。そうしないと、環境配慮素材の使用比率は上げられないのだそうです。そんな理由もあって、「CFCL」はニットにこだわり続けているんでしょうね。

「ステラ マッカートニー」も、事情は同じでしょう。ベースとなる素材は使い続け、一方で新たな環境配慮素材をプラスしているのではないか?と想像します。そう考えると、毎シーズン激変しないスタイルも理解できそうですよね。素材の特性を生かすデザインがあるはずなので、「ステラ マッカートニー」は、パワースーツだったり、開放的なドレスだったりを提案し続けるのではないか?って思います。そこに、どんな新しいスパイスを加えるのか?それが今回は、爬虫類のパターンだったんじゃないかな?一度、デザインプロセスを聞いてみたいですね。

「アクネ ストゥディオズ」が探求する
北欧の自然と都会のコントラスト

藪野:「ステラ マッカートニー」終了後は、南部の14区にあるパリ天文台で開かれる「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」のショーへ。今季のイメージは、北欧にルーツを持ちながらも、都会のダイナミックなエネルギーの中を生きる女性。人工的な都市のスカイラインとデザインデュオ Front(フロント)によるスウェーデンの自然に着想を得た織物のスカルプチャーが配置された空間の中で、2つの異なる世界のコントラストを探求しました。

今季は、素材感から柄までテディベアがカギ。例えば、人工ファーやシアリング、起毛感のあるニットでその柔らかな風合いを表現したり、小さなテディベアのシルエットをドットのように並べたり、シアードレスに愛らしいクマを大胆に乗せたり。マスキュリンなテーラードジャケットからファーリーなドレスやボディースーツにまでに見られる丸く盛り上がった肩のラインも、まるでテディベアの可動する腕のシルエットからヒントを得たようです。

また、デザインディテールではボウ(リボン)やスカーフを多用。ボウタイをあしらったり、前身頃にリボンをくねくねあしらったりしたドレスから、大きなボウを飾ったニットベスト、シワ加工を施したレザーのボウブラウス、ウエアと一体化したスカーフを首に巻いて背中に垂らしたドレスまでが登場しました。

ハイダー・アッカーマンが描く
「トム フォード」の官能性

村上:さぁ、2つ目の新デザイナーによるコレクションは、ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)の「トム フォード(TOM FORD)」。このニュースを聞いた時、私は「え⁉︎マジで⁉︎」と思ったものですが、蓋を開けてみると、ちゃんと官能的な「トム フォード」でした。詳細は、こちらの記事でご覧ください。

ドラマチックでありながら優しい
「バルマン」の新章

藪野:本日最後は、「バルマン(BALMAIN)」です。会場は、街の北東部19区にあるヴィレット・グランド・ホール。今季は、本当に街外れの会場が多いです。

「バルマン」と言えば、特にここ数年はパワフルなショルダーラインや豪華絢爛な装飾、アートのような大胆なモチーフ使いが目立ち、リアリティーとは少し離れていた印象でしたが、今季は着る人を優しく包み込むイメージ。大きなラペルを配したテーラードからファージャケット、ブルゾンまで包み込むような丸みのあるシルエットのオーバーサイズアウターと温かみのあるニットが目白押しです。ソフトでエフォートレスな雰囲気を醸し出しつつ、ポケットに手を突っ込みポリュームたっぷりの袖をたわませることで、ドラマチックなシルエットを描いています。

そんな今季のコレクションを、オリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)は「単なる新作ではなく、『バルマン』の新たな時代の幕開けを告げるもの」と宣言。「『バルマン』ウーマンは、自分探しの新たな旅に出る。彼女は依然として大胆で力強く魅惑的な存在だが、そのセンシュアリティーはこれまでとは異なるアプローチで表現されている」と語ります。女性たちを「ストリートからサバンナまでを旅するモダンな探求者」と表現し、ユーティリティー感のあるディテールやアニマル柄を取り入れながら、新たなスタイルを打ち出しました。

また、今回は音楽もエンヤ(Enya)の「ボーディシア」のリミックスやケイト・ブッシュ(Kate Bush)の「嵐が丘」などで、その優しい歌声は今季の雰囲気ともリンク。朝から晩まで東西南北を行ったり来たりして疲れた体が少し癒されました。

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紙吹雪舞い上がる「クレージュ」 祝祭感あふれるショーで混沌とした時代に高揚感をもたらす

「クレージュ(COURREGES)」の2025-26年秋冬コレクションの会場は、いつも通り天井から自然光が差し込む真っ白な四角い空間。毎シーズン、中央には舞台美術ディレクターのレミー・ブリエール(Remy Briere)がニコラス・デ・フェリーチェ(Nicolas Di Felice)と共に手がけたコレクションのテーマとリンクする仕掛けが用意されているが、今回は赤、ピンク、銀、水色のカラフルな紙吹雪が敷き詰められている。

コレクションの出発点となったのは、アーティストのダン・コーレン(Dan Colen)による宙に舞う紙吹雪を描いた作品集「Moments Like This」。「作品を見た時にアンドレ・クレージュ(Andre Courreges)の楽観主義を思い起こすとともに、幸せや高揚感を感じて楽観的な気分を取り戻せた」と話すニコラスは、その中に描かれたストリーマー(クラッカーやパーティー装飾などに使うリボン)からデザインの着想を得た。

ファーストルックは、そんな長いリボンのような1枚のスカーフを首や胴体に巻くようにして仕立てたミニドレス。その後も、身頃と一体化した生地で首を覆ったデザインや布を巻きつけて斜めにトレーンを垂らしたトラペーズスカートのシルエットがポイントになる。「クレージュ」らしいミニマルな世界観とスタイルの中で、毎シーズン新しい表現を生み出す視点には驚かされる。

そしてニコラスらしいアイデアを感じるのは、着方を変えられるデザイン。Tシャツ風のトップスやキャミドレスはサイドシームにファスナーやボタン開閉を設られていて、そこに腕を通し、本来腕を通す部分には首を入れ着ることで、ドレープが生まれるようになっている。また、ここ数シーズン提案しているフロントパネルのみで作られたように見えるシアートップスは、大きなオーストリッチフェザーでアップデート。ラストに登場した白い長方形の布を体に巻いたようなドレスは、1964年のアーカイブから着想を得たものだ。

ショー中、モデルたちは紙吹雪が宙に舞う中を歩いていく。今回は、そんな祝祭感あふれる演出だけでなく、服にもカラフルな色が取り入れられていた。バックステージでニコラスは「アンドレはかつてインタビューで『外の世界がグレーだから色に取り入れた』と語っていた。そんなシンプルなメッセージはとても大切で、今の世界にも当てはまること。プレイフルかつベルギー人らしいミニマルな方法で取り組んだ」とコメント。そして「パーティーは昔から多くの人にとって安心できる場所であり、社会が大きく変化している時代にパーティーは人々を一つに結びつける。これまでにないほど今、セレブレーションは重要だと思う」と語った。

ショー終了後の会場は、紙吹雪が地面に散らばり、まるでパーティーが明けた後のよう。それは儚い光景でもあるが、ショーを通してニコラスのメッセージはしっかりと伝わった。

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「ミュウミュウ」2025-26年秋冬コレクション

「ミュウミュウ(MIU MIU)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「ミュウミュウ」2025-26年秋冬コレクション

「ミュウミュウ(MIU MIU)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「シャネル」2025-26年秋冬コレクション

「シャネル(CHANEL)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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今季のベストショーは「フェラガモ」、「D&G」はセレブファンも巻き込んでパーティー 25-26年秋冬ミラノコレ日記最終回

2025-26年秋冬ミラノ・ファッション・ウイーク取材日記も今回で最終回。今季のベストショーだった「フェラガモ(FERRAGAMO)」から、ミラノの大御所「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」、お騒がせ若手ブランド「アヴァアヴァ(AVAAVA)」などが登場します。

「エルマンノ シェルヴィーノ」の
女性像は“現代的”か?

木村和花/記者(以下、木村):「エルマンノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)」のショータイトルは「テーラリング フリーダム」。リリースには、現代における「自由奔放な女性らしさを称えます」と記し、「規範からの解放」といった言葉が並びます。

コレクションは、透けるレースのペンシルスカートにコルセットやランジェリードレス、レースのブラレットと合わせるパンツスーツなど。オーバーサイズのシアリングコートやバッグに付けるチャームなどトレンド要素も盛り込まれてはいましたが、いつもの「エルマンノ シェルヴィーノ」。

今季のミラノでは、「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」や「プラダ(PRADA)」など、「女性らしさ」を真っ向から問い、新しい表現を模索するブランドが多かったように感じます。そうした流れの中でみる「エルマンノ シェルヴィーノ」は、もちろん仕立ては美しいのですが、革新的なモダニティーは正直感じられませんでした。

20代デザイナーが作る
「フェラガモ」に驚愕

村上要「WWDJAPN」編集長(以下、村上):「フェラガモ」は、今シーズンのミラノのベストでしたね。驚くべきは、コレクションを手掛けるマクシミリアン・デイヴィス(Maximilian Davis)は、まだ20代ってこと。インスピレーション源の1つとなった1920年代のムードのリサーチはもちろん、クラシックな音楽と赤いバラを敷き詰めたランウエイで表現するオーセンティックでフェティッシュなムード、そして流れるようなコートやケープで作る大人なフェミニニティーの表現まで、正直末恐ろしい20代です(今年30歳になります)。詳しくは、木村さんの記事でどうぞ!

不気味なメイクで
迷走する「バリー」

村上:米投資会社のリージェント(REGENT)が買収し、「ディースクエアード(DSQUARED2)」のジェネラル・マネージャーを務めていたエンニオ・フォンタナ(Ennio Fontana)が最高経営責任者に就任してリストラを加速させているという「バリー(BALLY)」は、招待客が100人ほどの小さなショーを開催しました。

すでに退任のウワサが浮上し、結果「ジル サンダー(JIL SANDER)」への移籍が決まったシモーネ・ベロッティ(Simone Bellotti)=クリエイティブ・ディレクターによるコレクションは、正直精細を欠いていたというか、“心すでにここにあらず”みたいでした。コンパクトなグレーのジャケットにオックスブルーのシャツを基調としながら、少し田舎っぽいというか、ダサかわいいカンジのフォーマル路線を継続していますが、今季はお腹が膨らんだシルエットをプッシュ。でも、お腹が膨らんでいるように見せたい人って、いないですよねぇ。

何より驚いたのは、メイク。ちょっとコワくないですか?これまでのスイスの朴訥とした男性や女性像を想像した、“いなたい”モデル選びは共感できたのですが、なぜに銀塗りや、超個性的なキャットアイなのか?迷走が始まってしまった印象を受けます。

クール・ガールズが集った
「ドルチェ&ガッバーナ」

木村:「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」の会場に到着すると、いつものようにセレブリティーのファンたちが大勢詰めかけていました。今回は特に韓国のアイドルグループATEEZのメンバーのサン(San)、韓国女優のキム・ソヒョン(Kim So-hyun)が最注目ゲストでしたね。いつもと違うのは、ランウエイが屋外にも設えられ、集まったファンたちもショーが見られるようになっていた点。せっかくこれだけの人が集まるのだから、みんなにちゃんとショーまで見てもらおうとするのはナイスアイデア!と思いました。

「クール・ガールズ」と題したコレクションは、世界の街角のクールな女の子たちからインスピレーションを得たそうです。ポイントは自由なコーディネート。モッズコートやオーバーサイズのMA-1といったアウターを主役に、メンズライクなローライズデニムやカーゴパンツ、センシュアルなランジェリーなどを自由にレイヤード。印象はカジュアルですが、ビジューを全面にあしらったベストやボトムスも登場し、ブランドらしくグラマラス。最後は、まさに今回のコレクションを象徴するようなクールな女性DJがフィナーレを盛り上げ、屋外フェスのようでしたね。

異なる質感を楽しむ「MSGM」

村上:「MSGM」の会場には、カラフルなチュールが天井から吊るされていました。予想通り(笑)、カラフルなチュールをニットやロンT、花柄のボディスーツなどに被せたコレクションです。

それが「スケスケ」なら、その他の質感はもう2つ。1つはフェイクファーで作る「モフモフ」、そしてパテント素材の「ピカピカ」です。「モフモフ」は、フェイクファーのショートコートやボレロタイプのトップスなど。「ピカピカ」は、パテントで作ったオーバーサイズのブルゾンやタイトスカート、パンツなど。「スケスケ」のフワッと広がるシルエットや、「モフモフ」なボリューム感との対比を試みているのかもしれませんね。

私は、カラフルなシースルー素材越しにコレクションを拝見しました。シースルーという名の通り、確かにちゃんと見えるけど、本当は素材越しじゃなく、直接拝見したかったです(苦笑)。

「ボッテガ・ヴェネタ」の新オフィスで
パティ・スミスの朗読に聞き惚れる

木村:この日の夜は「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の新オフィスで開かれた、パティ・スミス(Patti Smith)と現代音響芸術集団のサウンドウォーク・コレクティヴによる特別公演にお邪魔しました。こちらの新オフィス「パラッツォ・サン・フェデレ」は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてミラノの名高い劇場として使われていた建物だそうです。音楽と映像、詩の朗読が一体となったパフォーマンスは、圧巻でした。最後はパティ・スミスが、「実は今晩亡き夫フレッド(・スミス)との結婚記念日なの。フレッドに捧げる歌をみんなで一緒に歌ってほしい」と呼びかけ、「Because The Night」を観客みんなで合唱。心温まる美しい時間でした。

地球という原点に立ち返る
「ジョルジオ アルマーニ」

村上:さぁ、私のフィナーレは、御大による「ジョルジオ アルマーニ」です。「変わらないことにも意味がある。特に顧客ビジネスならなおさら」という考えを根底に持つ御大のコレクションは、正直大きく変わることはありません。特にシンボリックな存在の「ジョルジオ アルマーニ」はなおさらでした。

今シーズンも、「原点」と銘打ち、楊柳パンツやアンコンのジャケット、そこに東洋的な前合わせのトップスなどを加えますが、今季はカラーパレットが違います。永遠のグレーやネイビー、そして女性を引き立てるパステルカラーもありますが、例えばブラウンと深い緑、そして光沢素材とアストラカンのような起毛素材で表現したシルバーなど、自然にまつわるカラーパレットが多いのです。木々の緑やブラウン、そして氷河のシルバーという趣でしょうか?ブラックも鉱石のように鈍い光を放ちます。流線型のシルエットが多いから、とても優雅に輝きます。

きっと今シーズンの「原点」とは、ご自身の原点であると同時に、我々にとっての原点である地球の美しさを伝えるものだったのでしょう。いつも通りのスタイルだけど、いつもと少し違うだけで、思いってこんなに強く伝わるんですね。

あぁ、ミラノ・ファッション・ウイークも楽しかった!続きはパリで!と思ったら、最後にお騒がせ軍団が残ってましたね(笑)。木村さん、どうでしたか?

「アヴァヴァヴ」は
ゴスで可愛いゾンビが登場

木村:私のラストは、ミラノで発表を続けている「アヴァヴァヴ(AVAVAV)」のショーでした。デザイナーのベアテ・カールソン(Beate Karlsson)は去年来日した際、初めてインタビューできました。過激なショー演出で“お騒がせブランド”と呼ばれるこのブランドですが、カールソン本人は意外と大人しくてシャイな印象でした。演出の背景にも、「人が無意識に恐れているものや避けているものを意図的にテーマにすることで、凝り固まった考え方をほぐすセラピー」を提供したいというしっかりとした考えがあります。

今回のコレクションは“ザ・ホール”と題し、ゾンビ風のメイクのモデルたちが穴から這い上がって登場する演出。ネクタイとシャツをプリントした、ボディーが透けて見える長袖シャツや、ダメージ加工を施したジャケットとスカートのセットアップ、スエットなどをゴシックなムードにまとめています。メイクも相まってアヴァンギャルドな雰囲気ですが、一点一点は普通に売れそう。リボン付きのグローブやバッグ、ナードなメガネなど、アクセリーも可愛い。昨シーズンに続く「アディダス(ADIDAS)」とのコラボアイテムは、波状のカットアウトが骨のように見えるTシャツや、同じカットアウトのスカート、ボリューミーなスニーカーなどが登場しました。強い世界観と売れそうなアイテムのバランス、さらなるブランドの伸びを期待させるショーでした。

今シーズンも駆け抜けましたね!お疲れ様でした。

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【バックステージ】「ラコステ」2025-26年秋冬コレクション

「ラコステ(LACOSTE)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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【バックステージ】「ラコステ」2025-26年秋冬コレクション

「ラコステ(LACOSTE)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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「ルイ・ヴィトン」2025-26年秋冬コレクション

「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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【バックステージ】「ディオール」2025-26年秋冬コレクション

「ディオール(DIOR)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。ランウエイショーのバックステージに潜入!

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「クリスチャン ワイナンツ」2025-26年秋冬コレクション

「クリスチャン ワイナンツ(CHRISTIAN WIJNANTS)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「クリスチャン ワイナンツ」2025-26年秋冬コレクション

「クリスチャン ワイナンツ(CHRISTIAN WIJNANTS)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「ディオール」の壮大な「オーランドー」に魅せられ、エフォートレスに進化する「マメ クロゴウチ」に共感 25-26年秋冬パリコレ日記vol.1

ミラノに続き、パリ・ファッション・ウイークの日記をスタートします!今季も取材を担当するのは、編集長・村上と欧州通信員・藪野の蟹座コンビ。初日の3月3日は開幕記事でお届けしていますので、日記は2日目から。壮大な演出と美しい服で魅了した「ディオール(DIOR)」や、ウィメンズのパリコレに復帰した「アンダーカバー(UNDERCOVER)」、公式スケジュール初参加の「アライア(ALAIA)」などのショーをリポートします!

「ロンシャン」は、鉄道でパリから英国へ

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員:朝イチは、まず「ロンシャン(LONCHAMP)」の新作を見に本社へ向かいました。今季のコレクションで描いたのは、パリからイギリスへの鉄道の旅。コロナ禍以降、フランス国内がテーマになることが多かったですが、久々に外国への旅がテーマになっています。

まず出発地点のパリでは、アーティストのコンスタンタン・リアント(Constantin Riant)とコラボ。彼の描いた「ロンシャン」ブティックとパリを象徴するお店のイラストを並べたキュートなスカーフが登場しました。うっかりスカーフの写真は撮り忘れたのですが、お土産のポストカードも同じイラストが使われていました。

そしてパリを飛び出し、“イギリスで最も美しい村“と評されるコッツウォルズへ。茶系やモスグリーン、マスタード、柔らかなピンクなど温かみのある色合いが中心の世界観の中で打ち出されたのは、レザーなめしに用いるドラムから名付けられたという“ル フローネ“の新作トート。丸みを帯びたデザインが特徴で、ショルダーストラップのついた小さめサイズと肩にもかけられる長さ調節可能なハンドルのついた大容量サイズをラインアップしています。

その後は、最終目的地のロンドンへ。ここでは竹モチーフの留め具がアイコニック“ル ロゾ“に注目。その金具のデザインがダッフルコートのトグルボタンに由来することから、英国の老舗ブランド「グローバーオール(GLOVERALL)」とコラボ。“ル ロゾ“の留め具のデザインを用いたダッフルコートと、コートの生地を用いたトートバッグを制作しました。そのほか、赤と黒のカラーリングにスタッズやチェーンの装飾、“ル フローネ“のバックルを生かしたメリージェーンからもロンドンの雰囲気が漂います。

いきなりフィナーレ!なコレクション
洋服も、そのほとんどが“後ろ前”

村上要「WWDJAPAN」編集長:「ゾマー(ZOMER)」のコレクションは、いきなり、まさかのフィナーレのような大行進からスタート!不意をつかれた私は、思わず動画を撮り損ねました(笑)。

ファッションショーの構成がひっくり返ったように、今回はコレクションも前後、時には上下までひっくり返しちゃったようなカンジです。Gジャンもジャケットも、サテンのドレスも全部“後ろ前“。スカートの深いスリットも真正面に入っちゃうからドキドキしますが、逆に若々しさにもつながっています。ミニスカートは、シャツの襟をカスケード状に繋げたようです。最近「サカイ(SACAI)」や「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)が取り入れている、“見たことあるものを、見たことがないものへ“や”知っているけれど、持ってない“定番アイテムに仕上げているから、ほとんどのスタイルが後ろ前でも違和感がありません。

フィナーレでは、デザイナーも背中を向いてご挨拶。ユーモアに富んでいますね。

「かたち」を模索し続ける「マメ」
半年前よりエフォートレスに進化

村上:1年を通して同じテーマを掲げる「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」は、今回も「かたち」の世界を探求。結論、私は前回よりもずっと好きでした。

話を聞いてすごく納得したのは、「かたち」の探求と黒河内真衣子デザイナーの個性がすごくパーソナルに融合しているんです。例えば濃淡さまざまな赤と黒は、毎日使っているという漆器の内側と外側の色使いや、1つ1つ微妙に異なっている形状にインスピレーションを得たもの。ダブルブレストのウールコートや、裾がふんわりペプラムのように広がったベアトップのトップス、ワンショルダーのドレスなどに仕上げました。何度も試行錯誤を繰り返したハズだけど、偶発の美だったり、用の美を探求した結果として確立された美しさを再現しているようで、エフォートレスな仕上がりです。ここに、半年前からの進化を感じました。

例えば半年前の、提灯を作る際の木型にインスパイアされた、生地を蛇腹につなげたドレスは美しかったけれど“力作“感もありました。でも今回は、全てが本当にエフォートレス。だからこそ、優しく包み込まれるイメージを掻き立てます。その提灯のアイデアは、ニットドレスのバルーン袖や裾に採用。墨流しの技法などを用いることでプリーツに陰影を与え、奥行きが広がりました。終盤には、餅のようなパーツをいくつも取り付けたアウターが登場。毎日食べる時、「今日はこうやって膨らんだんだ」とか「ここに焦げ目がつくんだ」って思うんだって(笑)。ねぇ、「かたち」を自分のものにしているでしょう?

「ディオール」の着想源はメジャー級
先史時代から遡るストーリーは超ド級

村上:お次は、2日目のハイライトの「ディオール(DIOR)」です。今回は、多くのデザイナーが刺激を受けるヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)の小説「オーランド」が着想源ですが、その描き方が壮大でしたね。ビッグメゾンならではの演出はもちろん、「オーランド」が出版された1928年よりもはるか昔、文字はおろか、正直人間さえ存在していたかわからないくらいの先史時代にさえ思いを馳せる多面的な思考が、実にマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)らしく、素敵でした。

一応「オーランド」を説明すると、これは男性として生まれたけれど、ある日目覚めたら女性になっていた主人公が、最終的には女性として生をまっとうする物語。「ディオール」でのデビュー以来、フェミニズムを掲げてきたマリア・グラツィアがついに「オーランド」への扉を開けた、と思ってしまうのは私だけでしょうか?

コレクションのキーアイテムは、つけ襟としても使えるフリル。「オーランド」の世界では貴族的な服装にあしらう、ひだひだの襟から着想を得ました。男性の制服だった白シャツに自由に取り付けられるように仕立て、コンパクトなジャケットやリラックスシルエットのコートにも合わせました。正直、つけ襟は、マストではないのだろうと思います。つけたい時はつけて、そうじゃない時は外す。そうやってマスキュリンとフェミニンを自由に行き来することこそ、「オーランド」の世界であり、女性を解放しようとするマリア・グラツィアの願いではないでしょうか?マスキュリンなジャケットにビスチエなどのスタイリングも、同様のアイデアでしょう。

そこに組み合わせたのは、メゾンの4代目デザイナー、ジャンフランコ・フェレ(Gianfranco Ferre)のデザインコード。上述の白シャツはもちろん、ダイナミックなドレープ使いなどは、フェレが再定義した「ディオール」からの着想でしょう。ジョン・ガリアーノ(JohnGalliano)による、香水“ジャドール“のフレーズを刻んだTシャツも蘇りました。

先史時代を描いた演出は、こうした「ディオール」の歴史と重ね合わせたものなのでしょうか?始祖鳥が現れたかと思えば、石器時代を彷彿とさせる岩石、マグマ、そして氷河と舞台は目まぐるしく変わりました。

藪野:スペクタクルな演出でしたよね。これは、マリア・グラツィアが尊敬するアメリカ人演出家ロバート・ウィルソン(Robert Wilson)が手掛けたもの。まるで舞台作品を見ているようでした。コレクションは、歴史的な装いやミリタリーユニホーム、バイカースタイルから着想を得たジャケットにコルセットのディテールをドッキングしたり、そこにラッフルや刺しゅう、レースが特徴のドレスやシャツ、ブラウスを合わせたり。力強さとロマンチックな繊細さを巧みに融合したクリエイションは、まさにマリア・グラツィアの真骨頂で素晴らしかったですね。

不確かな時代だからこそ
「ガニー」は家の安らぎを服に

藪野:ここからは2人別行動。僕は今季も公式スケジュール外でショーを開催するコペンハーゲン発の「ガニー(GANNI)」へ。多くのデザイナーがこの不確かな時代に対するメッセージをクリエイションに込めていますが、ディッテ・レフストラップ(Ditte Reffstrup)が目を向けたのは「自分が最も安心し、幸せを感じ、本来の自分でいられる場所」である家。安らぎを感じられるようなインテリアに見られる要素をウエアに取り入れました。例えば、ドレープを効かせたドレスやブラウスについたケープ、パンツについたペプラムはカーテンのよう。素材も花柄のジャカード素材はビンテージのソファやタペストリーを想起させ、立体的に花の装飾を編みで表現したクロシェセーターはハンドメードのブランケットやクッションをイメージさせます。またアウターのシルエットは、包み込むようなコクーンシェイプが中心。ここにも自宅でくつろぐような心地よさが反映されています。

ただ、ハリのある素材やボリュームのあるシルエット、ビンテージライクなカラーを中心にした折衷的なレイヤードスタイルの中には、やや重たい印象のものも。シアースカートを組み合わせたり、ビビッドなカラーを差しこんだりしたルックもありましたが、いつもリアルに参考になりそうなスタイリングが巧みなブランドなので軽やかさとのバランス感に期待したいところです。

そして「ガニー」は、ついに日本初の直営店を3月20日に渋谷パルコ3階にオープン予定。ヨーロッパやアメリカ、中国、韓国にはすでに店舗がいくつもありますが、日本でもこれまでより気軽に「ガニー」の世界観を感じたり、アイテムを試したりできるようになります。

LEDが光る「アンリアレイジ」
21世紀のメッセージTシャツ提案

村上:私は「アンリアレイジ(ANREALAGE)」のコレクションへ。今回は、ステンドガラスが美しいパリ市内のアメリカン・カセドラル。最古の教会の1つとして知られています。現れたのは、そんなステンドガラスに負けない鮮やかな光を放つ服。LEDで光る繊維を編み込んだ洋服は、プログラミングによって、色や柄はいかようにも変化するのでしょう。音に合わせて、そして会場の風景に合わせて、千変万化します。まずは教会のステンドグラスのように、その後は、チェック・オン・チェックが次々と変化。ポンチョやリラックスシルエットのトップス&パンツは、さながら巨大なキャンバスなのでしょう。光、色と柄、その変化を最大限に見せるため、生地は贅沢に用いました。

森永さんは、今回の洋服を21世紀のメッセージTシャツに例えました。確かにプログラミング次第では、きっと言葉や、感情を込めた色柄をのせられるでしょうね。そして、テクノロジーやアイデアだけが先行するのではなく、着る人の気持ちにも思いを馳せたクリエイションになんだか嬉しくなったんです。

「アンダーカバー」は祝35周年!
新たな形でよみがえる名コレクション

藪野:「アンダーカバー(UNDERCOVER)」は今年でなんと、ブランド設立35周年!今季は、高橋さんにとってのベスト・コレクションである2004-05年秋冬コレクションを、オリジナルから20年以上が経った今、あらためて作るというユニークなアプローチ。詳細は下記のリポートをご覧ください。

今季の会場は、17区にある歴史あるホールSalle Wagram。まだ自分がパリコレ取材に来始めた頃、2014-15年秋冬の「COLD BLOOD」コレクションのショーが開かれたのも同じ会場でした。当時、ストーリーテラーである高橋さんが描くダークファンタジーな世界観に引き込まれたのを今でもはっきり覚えていて、懐かしい気持ちになりました。

成長真っ只中の「LVMH賞」セミファイナリスト

藪野:お次は、今年の「LVMHプライズ」でセミファイナルにも残っている「アランポール(ALAINPAUL)」。今回もシャトレ座のステージ上にランウエイと客席を用意し、ショーを行いました。バレエダンサーからファッションデザイナーに転身したアランは、引き続きダンサーの装いや体の動きを探求。現代人のワードローブにおけるフォーマルとカジュアルの二面性を表現しました。

そのラインアップは、ラペルや襟を取り除いたシャープなデザインのテーラリングやカスケードラッフルをあしらったドレススタイルから、中綿入りのナイロンアウター、ペイントを施したバギージーンズ、トラックパンツまで。特に今季はニットの着こなし方がポイントで、身頃と袖が分かれたカーディガンやタートルネックセーターの片袖を首にマフラーの様に巻いたり、テーラリングの上に途中まで着てアシンメトリーなアクセントを加えたりしています。また、デッドストックのタイツやストッキングを編んで作ったチャンキーなセーターやドレスなどユニークな提案もあり、デザイナーのアランは得意とする構築的なテーラリングやダンスウエアにひもづくアイテムを軸に、遊び心を加えながら徐々にスタイルを広げていっているという印象です。

そんな彼に先日インタビューもしました。デザインに対する考えや、生い立ちやファッションに目覚めたきっかけなどパーソナルな部分ついては、下記の記事でどうぞ!

「アライア」のどんな時でも、どんな場所でも美しい洋服

村上:「アライア(ALAIA)」は、新しく完成した社屋でショーを開催しました。センス抜群のピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)クリエイティブ・ディレクターが導くメゾンのオフィスには、オランダの彫刻家マーク・マンダース(Mark Manders)の作品など。これが、今シーズンの着想源です。

ちょっと調べてみると、マーク・マンダースは、自分の作品のキーワードを「時間の凍結」と語っています。おそらくピーターは、こうした彼の作品から、美の永続性について考えたのでしょう。プレスリリースの中で彼は、「場所、境界線にとらわれない美しさの規範という考え方は、『アライア』の哲学、つまり私たちのアイデンティティーに繋がるもの」と語っています。

そこでピーターは、洋服を通して異なる時代や場所の表現、言い換えれば、どんな時でも、どんな場所でも美しい洋服を考えました。こうして生まれた今シーズンのコレクションの特徴は、まずボディコンシャスなシルエット。女性の体は、いつの時代も芸術家たちを刺激してきましたからね。セカンドスキンのようにピッタリとフィットするニットは、体の輪郭を炙り出しました。そこに加えるのは、同じくセカンドスキンのようなニットで覆った大きなリング。あるリングは顔を囲みレリーフのようだし、あるリングは腰回りに配置。そこからドレープした生地を垂らし、女性の柔和な曲線に、さらなる曲線を与えます。体にピッタリとフィットするニット、もしくはもっとも自然な形に収斂する編み込みを多用する一方、縫製を最小限に抑えることで普遍性の高い有機的な形だけでシルエットを形作ろうとしました。なんとアーティー。やっぱりパリコレは、新しいアイデアが目白押し。今を生きる人を観察して洋服を生み出すのも大事ですが、一方で「こんな美しさは、どうでしょう?」や「こんな洋服もアリですか?」と自発的に問いかけてくれるパリ・ファッション・ウイークは、まだ始まったばかりです。

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「ドルチェ&ガッバーナ」2025-26年秋冬コレクション

「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「ヴァレンティノ」2025-26年秋冬コレクション

「ヴァレンティノ(VALENTINO)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「バレンシアガ」2025-26年秋冬コレクション

「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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【スナップ】“デニムの極妻“襲来 「ディーゼル」ショー会場に降り立ったデニムマスターたち

「ディーゼル(DIESEL)」はこのほど、2025-26年秋冬コレクションをミラノで発表した。ショー来場者は、グレン・マーティンス=クリエイティブ・ディレクターが昨シーズンに創造した“デニムの惑星“から地球へと降り立った、全身デニムのスタイリッシュな“異星人“たちだ。

来場者たちは、破壊されたように見えるレーザー加工や、縁をボロボロにするディストレス加工、二重織機を使って再構築されたデニムジャカードなど、同ブランドの実験的なアプローチによる多彩な質感のデニムを巧みに組み合わせた。コーディネートのイメージは、コンパクトなドレスに、ボリュームたっぷりのフェイクファーやシアリングのアウターを羽織る、マフィアの妻のような“モブワイフ“スタイル。デニム道を極めた妻たちは、ざっくり開いたネックラインやバックスタイル、マイクロ丈のボトムスで、真冬のミラノでも大胆露出で強さを主張した。

スリムなサンダルや、ポインテッドトーのスティレットパンプスで足元をフェミニンに飾り、ゲーム機のコントローラーからインスピレーションを得た、カービーなシェイプが特徴の“プレイ(Play)“シリーズのバッグで装いを完成させる。主張の強いウエアには、カラーアイシャドウとリップスティックを使った華やかなメイクを合わせる。ファッションとビューティを通して個性を表現する来場者の姿は、同ブランドが掲げる、人生を全力で楽しもうという精神性を意味する“サクセスフルリビング“を体現していた。

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「アレキサンダー・マックイーン」2025-26年秋冬コレクション

「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「アレキサンダー・マックイーン」2025-26年秋冬コレクション

「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「マリー アダム リーナールト」2025-26年秋冬コレクション

「マリー アダム リーナールト(MARIE ADAM-LEENAERDT)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド」2025-26年秋冬コレクション

「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)」が2025-26年秋冬コレクションを発表した。

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新デザイナーの「セルジオ ロッシ」に好印象、「ヴェルサーチェ」はまるで集大成 25-26年秋冬ミラノコレ日記vol.4

2025-26年秋冬ミラノ・ファッション・ウイーク後半は、「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」や「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」といったシューズブランドの展示会も目白押し。ショーは「トッズ(TOD'S)」や「モスキーノ(MOSCHINO)」、新デザイナーによる「ミッソーニ(MISSONI)」などが続き、最後は「ヴェルサーチェ(VERSACE)」で締めくくりました。

「セルジオ ロッシ」に見る
前進する老舗ブランドの好例

木村和花/記者(以下、木村):この日は「セルジオ ロッシ」の展示会から。昨年クリエイティブ・ディレクターに就任したポール・アンドリュー(Paul Andrew)によるデビューコレクションのお披露目で、本人に取材しました。彼は自身のシューズブランドに加え、「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」(現「フェラガモ」)のクリエイティブ・ディレクターなどを手掛けた実力者ですね。

展示会場は、創業者のロッシ氏が好んで使っていたことから、以降ブランドのキーカラーに据えるというアクアミント1色。フレッシュなスタートを示唆しているようで、素敵です。アンドリューは、「クラフト」「デザイン」「テクノロジー」をキーワードに挙げました。これはセルジオ氏が大切にしてきた哲学でもあります。

アンドリューは街ゆく人たちを観察し、今求められている上記の要素を具現化。世の中のカジュアルシューズへの傾倒をどう「セルジオ ロッシ」らしく解釈すべきかに思考を巡らせたそう。結果、ヒール離れの私でもコレクションは「履きたい」「素敵」と思うものが、たくさんありました。

“高まり“といった意味を持つ“サージ(SURGE)“と名付けたシリーズは、過去に登場したポインテッドトーとスクエアを合わせたようなつま先部分に、少しだけピラミッドのような形を作りシャープさを加え、新しいアイコンと位置付けます。ユニセックスで提案する分厚いソールが特徴のチェルシーブーツやワークブーツは、見た目にインパクトがありながら超軽量。きちんと「セルジオ ロッシ」の哲学が反映されています。

印象的なのは、自動車の製造などに使われるカーボンファイバーを用いた“S”の形を模るミュール。今季のコレクションのムードボードには、ランボルギーニやポルシェの写真も貼っていたそうです。デザインとしても未来的でインパクトがあり、革新性を追い求める姿勢を表明していて、これからアンドリューが作る「セルジオ ロッシ」にワクワクしました。

お祝いコレクションは光り輝き、
秋冬は毛皮使いの「サントーニ」

村上要「WWDJAPAN」編集長:続いてのシューズブランドは、「サントーニ(SANTONI)」。創業50周年のアニバーサリーイヤーを迎えています。限定コレクションは、お祝いにふさわしくゴールドやブロンズカラーで光り輝いていましたね(笑)。秋冬コレクションでは、バックストラップのパンプスの甲の部分にファーのトリミングなど、随所にハラコや毛皮を取り入れています。フェイクも含む毛皮やシアリング素材が増えている今季のムードを的確に捉えました。

シャープなジャケットが着たくなった
「スポーツマックス」

木村:「スポーツマックス(SPORTMAX)」は、ソリッドなテーラリングを軸に、袖口やマフラー、バッグなどに大胆にあしらった長いフリンジで動きを加えました。オーバーサイズのジャケットとスリムなパンツを合わせたオールブラックのセットアップに始まり、ウエストを軽くシェイプしたジャッケットとパンツ、デニムのテーラードジャケットにバンドウ、ローウエストのジーンズの合わせなど、ワントーンで潔くまとめています。形と素材だけで遊ぶミニマルなスタイルがモードでかっこいい。

今季は「日常を非凡に変えるデザイン」がテーマ。1969年にデビューして以来、大事にしてきた現代的なライフスタイルを汲み取る視線、そこに新しいビジョンを示す姿勢が反映されていました。

村上:ショー会場には、デザインチームからのメッセージがいくつか置いてありましたね。そこには「最小限のデザインが、革新的な素材の価値を引き出す」などの文言がありました。厚手のウールやハイゲージのニットはもちろん、テクニカル素材のアノラックやムートンまで、素晴らしい素材をたっぷり使い、柔らかい生地の場合はタッキングしたりツイストしたりでドレープを生み出す程度に留め、最後にフリンジでスパイスをプラスした。そんな印象のコレクションです。身頃と一体化したり、境目の区別がつかなかったりのアウター&ストール使いは、流線型のシルエットを描く今シーズンのトレンドでもあります。「マックスマーラ」が凛としているなら、こちらはもっとしなやかな感じです。

リッチなテクスチャーが際立つ
「ジミー チュウ」

木村:「ジミー チュウ」は、しなやかなナッパレザーや滑らかな手触りのベルベット、レザーのスネークエンボス加工など、豊かなテクスチャーがポイント。コニャックやゴールド、バターミルク、チョコレートといったカラーパレットも秋冬らしさを演出します。ブーツに配したステッチやパッチワークなど職人の手仕事を感じさせるディテールが「温かさ」を加えます。バッグは、ホーボーバッグをプッシュ。縫い目は人気のダイヤモンドシリーズに通ずる、ダイヤモンド型でデザインしています。

「ジャンヴィト ロッシ」はシックに

木村:「ジャンヴィト ロッシ(GIANVITO ROSSI)」は、前シーズンのジャングルのような空間で見せた蝶々やライオンモチーフのミュールやサンダルから一変、シックなムードです。カーブを描く細いゴールドラインを這わせたブラックのロングブーツやしっとりとした質感のベロア素材のプラットホームサンダル、細かなビジューで飾ったバックスリングパンプスなどを披露しました。パンプスのカラーパレットには、30色以上のスエードが使われているそうで、バリエーションが楽しめます。

「ロロ・ピアーナ」は、乗馬と
アルゼンチンの民族衣装を融合

村上:「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」は、アルゼンチンからスコットランド、そしてニュージーランドとオーストラリアという、スケールの大きな旅に出ました。いずれもメリノウールやビキューナなど、ブランドに欠かせない素材を生み出したり、糸を紡ぎ生地につなげたりという産地です。こうした地方には、羊やビキューナ同様、馬と共生する町が多いと言います。そこで今シーズンは、アルゼンチンの民族衣装とイギリスの乗馬カルチャーを融合。前者は有機的な曲線のライン、後者はそれを引き締める直線のラインをもたらします。

シャギーな表面感やネップやメランジュといった豊かな生地感が多い今シーズン、そんな素材の最高峰を贅沢に使う「ロロ・ピアーナ」がよく見えるのは必然でしょうか?ブランデーやブラウンなどの濃色からバニラなどの淡色まで、そこにネイビーやブラックなどを加えながら、マニッシュなスタイルをリラックスしたシルエットで楽しみます。

スパーニャジャケット、ラペルがないカーディガンとジャケットの中間のような存在で、エレガントとスポーティなムードが同居するアイコンは、複数の糸を絡めたツイードで提案。確かに民族衣装感の強い独特のシルエットは多いものの、アンサンブルやセットアップ提案でフォーマルにまとめました。イブニングも同様です。アルゼンチンの女性を思わせる前掛けとフレアスカート、そこにつばの広い帽子を合わせたスタイルは、細かな手刺しゅうが圧巻でした。前回もエキゾチックなムードが強かったものの、今回は乗馬のムードとセットアップ提案でリアリティも十分って感じですね。

カーラ・ブルーニが巨大なドレスで出迎えた「トッズ」

木村:「トッズ」の会場に入ると、なんとレザーの端切れをパッチワークした巨大なドレスを着たカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)の姿が。これはシカゴを拠点に活動するアーティストのネリー・アガシ(Nelly Agassi)によるパフォーマンスアートでした。カーラは手に職人技を象徴する巨大な針を持っていて神々しかったですね。

クリエイティブ・ディレクターのマッテオ・タンブリーニ(Matteo Tamburini)は昨シーズンに続き、“職人知能(アーティザナル インテリジェンス)“をテーマに掲げました。コレクションのテーマって毎シーズン異なるものを掲げるのがルールなのだと思っていたので、同じことを繰り返し伝えるタンブリーニに明確な目的意識を感じます。

シルエットもこれまで同様、シャープなロング&リーンが中心です。素材の質感を主役にするアプローチも変わりません。カシミヤよりもさらに高級なウール素材“パシュナ“に由来する高級レザーライン“パシュミー”シリーズのスエードやナッパレザーで作るトレンチコートやボマージャケットは、触るとその滑らかさと軽さに驚きます。カーキグリーンのウールのトレンチコートにレザーのトリムを施した重厚感のあるケープを重ねたルック、ツイード素材にフリンジのディテールをあしらったジャケットといったルック群は、秋冬らしさを加えていました。

村上:先ほどの「スポーツマックス」でも触れましたが、ミラノブランドの多くは素材の良さを引き出すため、特にコートやジャケットは、なるべく幅広の素材を“そのまま”使うことを考えているように思います。ドレープやペプラムさえ最小限に、美しい素材の“ありのまま”を見てもらおうというアプローチです。特に前任に比べてマスキュリンなスタイル提案が多いマッテオは、この流れの牽引役ですね。確かにパリのブランドに比べるとシンプルかもしれないけれど、着ていたら「素敵な素材ね、触っていい?」と聞かれそうなスタイル(笑)。で、触ってみたり、色々見ると「案外凝った作りなのね」と“2度おいしい”スタイル、そんな印象があります。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」出身というキャリアも影響しているのでしょう。“職人知能”をテーマに掲げ続ける点からも、職人とうまくコミュニケーションできているんだと感じます。

「ジャンニ キアリーニ」は、
定番バッグを秋冬素材に

村上:「ジャンニ キアリーニ(GIANNI CHIARINI)」は、定番のバッグを秋冬素材に。ホーボーバッグは深いブラウンのスエード、ショルダーバッグにはポニースキンを用い、トートバッグの背面はカラフルな糸を撚ったウールの編み込みで切り替えました。

ユーモアか、リアルか?
絶妙な路線が問われる「モスキーノ」

村上:ウールン商会が日本におけるディストリビューターとしての役割を終了し、今、日本には販路がない「モスキーノ」は正直、正念場です。エイドリアン・アピオラッザ(Adrian Appiolaza)は才能豊かなデザイナーだと思うけれど、「モスキーノ」らしいユーモアを追求すればリアルからかけ離れ、反対にリアリティを追い求めれば「モスキーノ」である必要性がなくなってしまう。そんな構造的問題を抱えているからこそ、絶妙なボーダーラインを探し、その上を歩き続けることが求められています。

エイドリアンは、リアル側の世界からボーダーラインを探している印象でしょうか?序盤は、サルトリアの仕立て糸を見せる、インサイドアウトのフォーマルウエアでスタート。パフスリーブのコートには、胸元に針が刺さりまくっているハートの針山を飾りました。ボタンを縫い付けたホルターやペプラム裾のドレスに続くのは、「モスキーノ」にとってアイコニックな水玉を大胆に使った脱構築ドレス。中盤はボロボロのニットをモスリンのように体に巻き付けたり、半身は生地のまんまでこれから縫製が始まるようなジャケット提案したり。制作過程がコレクションのようになった印象です。

どうして中盤、座布団を頭に被ってしまったのかはわからないけれど(笑)、終盤にはカーペンターのようなワークウエアが現れ、切ったり貼ったり結んだりとDIYするイブニングでエンディングを迎えました。

屋外で極感の会場でミニ丈連発
なんだか“お寒い”「ミッソーニ」

村上:フィリッポ・グラツィオーリ(Filippo Grazioli)の退任に伴い、ホームコレクション部門を率いてきたアルベルト・カリーリ(Alberto Caliri)がトップについた「ミッソーニ」も、「モスキーノ」同様、難しい舵取り迫られています。

フィリッポのコンセプチュアル過ぎたコレクションに比べれば幾ばくかのリアリティを取り戻しましたが、再生への道のりは当面紆余曲折がありそうでしょうか?アルベルトは、トップスではオーバーサイズのニット重ねつつ、ボトムスはミニ丈に絞ったスタイルを連打。36ルック中、28ルックがミニスカートかホットパンツ(らしきもの。トップスが大き過ぎて、ボトムスはほとんど確認不可能ですw)という偏ったラインアップを披露しました。

確かに「ミッソーニ」と言えば、ジグザグニットやカーディガンが思い浮かぶのでトップスに傾倒するのは理解できるのですが、足元が華奢なストラップサンダルなのは、なぜ?今っぽいシルエットとして、意識しすぎてしまったのかな?ブランドをだいぶ誤った方向に導いてしまった感があるフィリッポ路線からのグレートリセットではあるのでしょうが、「『ミッソーニ』らしいニットの復活」だけが先行してしまい、肝心の「どんな女性に着て欲しいか?」「今を生きる女性って、どんな人たちなのか?」に対する思考が足りず、表面的な若々しさだけしか伝えられなかった印象です。

「ロレーナ・アントニアッツィ」が日本上陸
トレーサブルなニットブランド

木村:「モスキーノ」を止めたウールン商会が25-26年秋冬シーズンに取り扱いを始める「ロレーナ アントニアッツィ(LORENA ANTONIAZZI )」の展示会へ。同ブランドは、1993年にウンブリア州ペルージャで誕生しました。デザイナーのロレーナ・アントニアッツィは、「創業当時、周りのニット製品はシンプルなものばかり。コンフォートでありながらコンテンポラリーな、市場にないものを作りたいと思った」と創業背景を語ります。以来、ウンブリア州にある自社工場では、糸から開発しオリジナルの加工技術を用いたニットウエアを作っています。

その技術革新の集大成とも言えるのが、今シーズン登場した“ノーシーズン(NO SEASON)”シリーズです。コットンシルクやコットンカシミア、ビスコースといった糸を用いて、夏でも冬でも着られるニットを完成させました。素材は全て認証を取得したものかつ製造工程はトレーサブルなのも特徴です。2013年からQRコードで商品の全ての生産工程をたどることができるというから驚きです。

デザイナーのロレーナは、毎年日本を訪れ、日本の女性たちからインスピレーションを得ていると話します。「いつか日本でビジネスをしてみたいと心待ちにしていたので、とても楽しみです」とロレーナ。3月12日から6月まで、阪急うめだ本店6階でポップアップショップを開くほか、8月以降は札幌三越や仙台の藤崎などに登場するようです。

前グッチCEOが出資する
「エリザベッタ フランキ」とは?

村上:お次は、私も初めての「エリザベッタ フランキ(ELISABETTA FRANCHI)」へ。正直これまではスルーしていましたが、上の記事にある通り、マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)前グッチ最高経営責任者が立ち上げた投資会社ネッシファッション(NESSIFASHION)が株式の23%を取得したとあれば、チェックしないわけにはいきません。聞けば創業デザイナーのエリザベッタは、動物愛護にも積極的なのだそう。世界でおよそ80の国や地域でビジネスを手掛けています。

「90年代、女性は男性同様の権利を獲得するため、マニッシュなスーツに身を包んだ。そして21世紀になると、今度はフェミニニティーという名の下でドレスをまとってきたけれど、そろそろ既成概念から解放されていいはず。だからドレスのように洗練されているけれど、スーツのようにシンプルな洋服を提案したかった」とエリザベッタは話します。ボディコンシャスなシルエットを基調に、首元や脇腹を抉って肌をのぞかせるドレス、そしてほんのりフレアするロングパンツと合わせる金ボタンのジャケットなどを提案しました。ドレスとジャケットは、共に細長いシルエット。ムードに違いはありません。ブラックやボルドーなどオンでもオフでも使える色をベースに、カジュアルならデニム、イヴニングならベロアを使い、スタイルの汎用性を示しました。

「プランC」はワークウエアに遊び心を加えて

木村:私は、「プラン C(PLAN C)」がショールームで行った展示会&カクテルパーティーにダッシュ。建物のエントランスに到着した時には、上階から降りてくる人たちばかり。脚立を担いだ会場の解体業者さんたちと一緒にエレベーターに乗り込みました。

やっぱりパーティーはもうお開きで、さすがに帰らされるかと思いましたが、そんな状況下でも「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれるのが、クリエイティブ・ディレクターのカロリナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)です。

コレクションはワークウエアがインスピレーション源。アウターはカーペンタージャケットをベースにしています。クロップド丈やネイビーや淡いピンクなどもあり、ユニセックスで提案。インナーにはボウタイブラウスを合わせて、ワークとアーバンをミックスしたコーディネートも遊び心があります。ウールのプリーツスカートなどには、取り外し可能なフェザーをあしらい華やかさを演出しました。

これがドナテラの集大成?
「ヴェルサーチェ」はどうなる?

村上:さて、本日の大トリは「ヴェルサーチェ」。ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーは、今回のコレクションを最後にクリエイティブ・ディレクターを退くのではないか?とのウワサが渦巻いています。

そんな彼女によるコレクションは、長らく創業デザイナーで兄のジャンニ(Gianni)の活躍を見てきた彼女ならでは。いち早くスタートしたホームウエアラインの柄を使った、パンクなドレスで幕を開けました。

近年は柄使いを控えた“クワイエット・ラグジュアリー“な趣でしたが、今季はいささかムードが異なります。漆黒のパートがあっという間に終わると、次はレザーにシルクスクリーンのド派手なシャツやネクタイが登場。ウィメンズではレオパード柄が加わり、オーバーサイズのジャケットの下はハイレグのリボン&フリル付きビキニです。スカートはバルーンシルエットに仕上げたり、パレオのように巻き付けたりですが、いずれも色鮮やかなシルク素材。そこにダメージジーンズやスタッズが加わり、ビートは一気に加速します。レザーやシルクサテンをグルグルと巻き付けた雰囲気のミニドレス、極彩色のブラトップ、そしてパワーショルダーのジャケットやコート。確かに少し懐古主義的ではありますが、やはり「ヴェルサーチェ」はこうでなくっちゃ、とも思えてきます。

これって、集大成ってことなのでしょうか?ドナテラの退任や後任に関するニュースは、今のところまだ発表されていません。

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新デザイナーの「セルジオ ロッシ」に好印象、「ヴェルサーチェ」はまるで集大成 25-26年秋冬ミラノコレ日記vol.4

2025-26年秋冬ミラノ・ファッション・ウイーク後半は、「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」や「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」といったシューズブランドの展示会も目白押し。ショーは「トッズ(TOD'S)」や「モスキーノ(MOSCHINO)」、新デザイナーによる「ミッソーニ(MISSONI)」などが続き、最後は「ヴェルサーチェ(VERSACE)」で締めくくりました。

「セルジオ ロッシ」に見る
前進する老舗ブランドの好例

木村和花/記者(以下、木村):この日は「セルジオ ロッシ」の展示会から。昨年クリエイティブ・ディレクターに就任したポール・アンドリュー(Paul Andrew)によるデビューコレクションのお披露目で、本人に取材しました。彼は自身のシューズブランドに加え、「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」(現「フェラガモ」)のクリエイティブ・ディレクターなどを手掛けた実力者ですね。

展示会場は、創業者のロッシ氏が好んで使っていたことから、以降ブランドのキーカラーに据えるというアクアミント1色。フレッシュなスタートを示唆しているようで、素敵です。アンドリューは、「クラフト」「デザイン」「テクノロジー」をキーワードに挙げました。これはセルジオ氏が大切にしてきた哲学でもあります。

アンドリューは街ゆく人たちを観察し、今求められている上記の要素を具現化。世の中のカジュアルシューズへの傾倒をどう「セルジオ ロッシ」らしく解釈すべきかに思考を巡らせたそう。結果、ヒール離れの私でもコレクションは「履きたい」「素敵」と思うものが、たくさんありました。

“高まり“といった意味を持つ“サージ(SURGE)“と名付けたシリーズは、過去に登場したポインテッドトーとスクエアを合わせたようなつま先部分に、少しだけピラミッドのような形を作りシャープさを加え、新しいアイコンと位置付けます。ユニセックスで提案する分厚いソールが特徴のチェルシーブーツやワークブーツは、見た目にインパクトがありながら超軽量。きちんと「セルジオ ロッシ」の哲学が反映されています。

印象的なのは、自動車の製造などに使われるカーボンファイバーを用いた“S”の形を模るミュール。今季のコレクションのムードボードには、ランボルギーニやポルシェの写真も貼っていたそうです。デザインとしても未来的でインパクトがあり、革新性を追い求める姿勢を表明していて、これからアンドリューが作る「セルジオ ロッシ」にワクワクしました。

お祝いコレクションは光り輝き、
秋冬は毛皮使いの「サントーニ」

村上要「WWDJAPAN」編集長:続いてのシューズブランドは、「サントーニ(SANTONI)」。創業50周年のアニバーサリーイヤーを迎えています。限定コレクションは、お祝いにふさわしくゴールドやブロンズカラーで光り輝いていましたね(笑)。秋冬コレクションでは、バックストラップのパンプスの甲の部分にファーのトリミングなど、随所にハラコや毛皮を取り入れています。フェイクも含む毛皮やシアリング素材が増えている今季のムードを的確に捉えました。

シャープなジャケットが着たくなった
「スポーツマックス」

木村:「スポーツマックス(SPORTMAX)」は、ソリッドなテーラリングを軸に、袖口やマフラー、バッグなどに大胆にあしらった長いフリンジで動きを加えました。オーバーサイズのジャケットとスリムなパンツを合わせたオールブラックのセットアップに始まり、ウエストを軽くシェイプしたジャッケットとパンツ、デニムのテーラードジャケットにバンドウ、ローウエストのジーンズの合わせなど、ワントーンで潔くまとめています。形と素材だけで遊ぶミニマルなスタイルがモードでかっこいい。

今季は「日常を非凡に変えるデザイン」がテーマ。1969年にデビューして以来、大事にしてきた現代的なライフスタイルを汲み取る視線、そこに新しいビジョンを示す姿勢が反映されていました。

村上:ショー会場には、デザインチームからのメッセージがいくつか置いてありましたね。そこには「最小限のデザインが、革新的な素材の価値を引き出す」などの文言がありました。厚手のウールやハイゲージのニットはもちろん、テクニカル素材のアノラックやムートンまで、素晴らしい素材をたっぷり使い、柔らかい生地の場合はタッキングしたりツイストしたりでドレープを生み出す程度に留め、最後にフリンジでスパイスをプラスした。そんな印象のコレクションです。身頃と一体化したり、境目の区別がつかなかったりのアウター&ストール使いは、流線型のシルエットを描く今シーズンのトレンドでもあります。「マックスマーラ」が凛としているなら、こちらはもっとしなやかな感じです。

リッチなテクスチャーが際立つ
「ジミー チュウ」

木村:「ジミー チュウ」は、しなやかなナッパレザーや滑らかな手触りのベルベット、レザーのスネークエンボス加工など、豊かなテクスチャーがポイント。コニャックやゴールド、バターミルク、チョコレートといったカラーパレットも秋冬らしさを演出します。ブーツに配したステッチやパッチワークなど職人の手仕事を感じさせるディテールが「温かさ」を加えます。バッグは、ホーボーバッグをプッシュ。縫い目は人気のダイヤモンドシリーズに通ずる、ダイヤモンド型でデザインしています。

「ジャンヴィト ロッシ」はシックに

木村:「ジャンヴィト ロッシ(GIANVITO ROSSI)」は、前シーズンのジャングルのような空間で見せた蝶々やライオンモチーフのミュールやサンダルから一変、シックなムードです。カーブを描く細いゴールドラインを這わせたブラックのロングブーツやしっとりとした質感のベロア素材のプラットホームサンダル、細かなビジューで飾ったバックスリングパンプスなどを披露しました。パンプスのカラーパレットには、30色以上のスエードが使われているそうで、バリエーションが楽しめます。

「ロロ・ピアーナ」は、乗馬と
アルゼンチンの民族衣装を融合

村上:「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」は、アルゼンチンからスコットランド、そしてニュージーランドとオーストラリアという、スケールの大きな旅に出ました。いずれもメリノウールやビキューナなど、ブランドに欠かせない素材を生み出したり、糸を紡ぎ生地につなげたりという産地です。こうした地方には、羊やビキューナ同様、馬と共生する町が多いと言います。そこで今シーズンは、アルゼンチンの民族衣装とイギリスの乗馬カルチャーを融合。前者は有機的な曲線のライン、後者はそれを引き締める直線のラインをもたらします。

シャギーな表面感やネップやメランジュといった豊かな生地感が多い今シーズン、そんな素材の最高峰を贅沢に使う「ロロ・ピアーナ」がよく見えるのは必然でしょうか?ブランデーやブラウンなどの濃色からバニラなどの淡色まで、そこにネイビーやブラックなどを加えながら、マニッシュなスタイルをリラックスしたシルエットで楽しみます。

スパーニャジャケット、ラペルがないカーディガンとジャケットの中間のような存在で、エレガントとスポーティなムードが同居するアイコンは、複数の糸を絡めたツイードで提案。確かに民族衣装感の強い独特のシルエットは多いものの、アンサンブルやセットアップ提案でフォーマルにまとめました。イブニングも同様です。アルゼンチンの女性を思わせる前掛けとフレアスカート、そこにつばの広い帽子を合わせたスタイルは、細かな手刺しゅうが圧巻でした。前回もエキゾチックなムードが強かったものの、今回は乗馬のムードとセットアップ提案でリアリティも十分って感じですね。

カーラ・ブルーニが巨大なドレスで出迎えた「トッズ」

木村:「トッズ」の会場に入ると、なんとレザーの端切れをパッチワークした巨大なドレスを着たカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)の姿が。これはシカゴを拠点に活動するアーティストのネリー・アガシ(Nelly Agassi)によるパフォーマンスアートでした。カーラは手に職人技を象徴する巨大な針を持っていて神々しかったですね。

クリエイティブ・ディレクターのマッテオ・タンブリーニ(Matteo Tamburini)は昨シーズンに続き、“職人知能(アーティザナル インテリジェンス)“をテーマに掲げました。コレクションのテーマって毎シーズン異なるものを掲げるのがルールなのだと思っていたので、同じことを繰り返し伝えるタンブリーニに明確な目的意識を感じます。

シルエットもこれまで同様、シャープなロング&リーンが中心です。素材の質感を主役にするアプローチも変わりません。カシミヤよりもさらに高級なウール素材“パシュナ“に由来する高級レザーライン“パシュミー”シリーズのスエードやナッパレザーで作るトレンチコートやボマージャケットは、触るとその滑らかさと軽さに驚きます。カーキグリーンのウールのトレンチコートにレザーのトリムを施した重厚感のあるケープを重ねたルック、ツイード素材にフリンジのディテールをあしらったジャケットといったルック群は、秋冬らしさを加えていました。

村上:先ほどの「スポーツマックス」でも触れましたが、ミラノブランドの多くは素材の良さを引き出すため、特にコートやジャケットは、なるべく幅広の素材を“そのまま”使うことを考えているように思います。ドレープやペプラムさえ最小限に、美しい素材の“ありのまま”を見てもらおうというアプローチです。特に前任に比べてマスキュリンなスタイル提案が多いマッテオは、この流れの牽引役ですね。確かにパリのブランドに比べるとシンプルかもしれないけれど、着ていたら「素敵な素材ね、触っていい?」と聞かれそうなスタイル(笑)。で、触ってみたり、色々見ると「案外凝った作りなのね」と“2度おいしい”スタイル、そんな印象があります。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」出身というキャリアも影響しているのでしょう。“職人知能”をテーマに掲げ続ける点からも、職人とうまくコミュニケーションできているんだと感じます。

「ジャンニ キアリーニ」は、
定番バッグを秋冬素材に

村上:「ジャンニ キアリーニ(GIANNI CHIARINI)」は、定番のバッグを秋冬素材に。ホーボーバッグは深いブラウンのスエード、ショルダーバッグにはポニースキンを用い、トートバッグの背面はカラフルな糸を撚ったウールの編み込みで切り替えました。

ユーモアか、リアルか?
絶妙な路線が問われる「モスキーノ」

村上:ウールン商会が日本におけるディストリビューターとしての役割を終了し、今、日本には販路がない「モスキーノ」は正直、正念場です。エイドリアン・アピオラッザ(Adrian Appiolaza)は才能豊かなデザイナーだと思うけれど、「モスキーノ」らしいユーモアを追求すればリアルからかけ離れ、反対にリアリティを追い求めれば「モスキーノ」である必要性がなくなってしまう。そんな構造的問題を抱えているからこそ、絶妙なボーダーラインを探し、その上を歩き続けることが求められています。

エイドリアンは、リアル側の世界からボーダーラインを探している印象でしょうか?序盤は、サルトリアの仕立て糸を見せる、インサイドアウトのフォーマルウエアでスタート。パフスリーブのコートには、胸元に針が刺さりまくっているハートの針山を飾りました。ボタンを縫い付けたホルターやペプラム裾のドレスに続くのは、「モスキーノ」にとってアイコニックな水玉を大胆に使った脱構築ドレス。中盤はボロボロのニットをモスリンのように体に巻き付けたり、半身は生地のまんまでこれから縫製が始まるようなジャケット提案したり。制作過程がコレクションのようになった印象です。

どうして中盤、座布団を頭に被ってしまったのかはわからないけれど(笑)、終盤にはカーペンターのようなワークウエアが現れ、切ったり貼ったり結んだりとDIYするイブニングでエンディングを迎えました。

屋外で極感の会場でミニ丈連発
なんだか“お寒い”「ミッソーニ」

村上:フィリッポ・グラツィオーリ(Filippo Grazioli)の退任に伴い、ホームコレクション部門を率いてきたアルベルト・カリーリ(Alberto Caliri)がトップについた「ミッソーニ」も、「モスキーノ」同様、難しい舵取り迫られています。

フィリッポのコンセプチュアル過ぎたコレクションに比べれば幾ばくかのリアリティを取り戻しましたが、再生への道のりは当面紆余曲折がありそうでしょうか?アルベルトは、トップスではオーバーサイズのニット重ねつつ、ボトムスはミニ丈に絞ったスタイルを連打。36ルック中、28ルックがミニスカートかホットパンツ(らしきもの。トップスが大き過ぎて、ボトムスはほとんど確認不可能ですw)という偏ったラインアップを披露しました。

確かに「ミッソーニ」と言えば、ジグザグニットやカーディガンが思い浮かぶのでトップスに傾倒するのは理解できるのですが、足元が華奢なストラップサンダルなのは、なぜ?今っぽいシルエットとして、意識しすぎてしまったのかな?ブランドをだいぶ誤った方向に導いてしまった感があるフィリッポ路線からのグレートリセットではあるのでしょうが、「『ミッソーニ』らしいニットの復活」だけが先行してしまい、肝心の「どんな女性に着て欲しいか?」「今を生きる女性って、どんな人たちなのか?」に対する思考が足りず、表面的な若々しさだけしか伝えられなかった印象です。

「ロレーナ・アントニアッツィ」が日本上陸
トレーサブルなニットブランド

木村:「モスキーノ」を止めたウールン商会が25-26年秋冬シーズンに取り扱いを始める「ロレーナ アントニアッツィ(LORENA ANTONIAZZI )」の展示会へ。同ブランドは、1993年にウンブリア州ペルージャで誕生しました。デザイナーのロレーナ・アントニアッツィは、「創業当時、周りのニット製品はシンプルなものばかり。コンフォートでありながらコンテンポラリーな、市場にないものを作りたいと思った」と創業背景を語ります。以来、ウンブリア州にある自社工場では、糸から開発しオリジナルの加工技術を用いたニットウエアを作っています。

その技術革新の集大成とも言えるのが、今シーズン登場した“ノーシーズン(NO SEASON)”シリーズです。コットンシルクやコットンカシミア、ビスコースといった糸を用いて、夏でも冬でも着られるニットを完成させました。素材は全て認証を取得したものかつ製造工程はトレーサブルなのも特徴です。2013年からQRコードで商品の全ての生産工程をたどることができるというから驚きです。

デザイナーのロレーナは、毎年日本を訪れ、日本の女性たちからインスピレーションを得ていると話します。「いつか日本でビジネスをしてみたいと心待ちにしていたので、とても楽しみです」とロレーナ。3月12日から6月まで、阪急うめだ本店6階でポップアップショップを開くほか、8月以降は札幌三越や仙台の藤崎などに登場するようです。

前グッチCEOが出資する
「エリザベッタ フランキ」とは?

村上:お次は、私も初めての「エリザベッタ フランキ(ELISABETTA FRANCHI)」へ。正直これまではスルーしていましたが、上の記事にある通り、マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)前グッチ最高経営責任者が立ち上げた投資会社ネッシファッション(NESSIFASHION)が株式の23%を取得したとあれば、チェックしないわけにはいきません。聞けば創業デザイナーのエリザベッタは、動物愛護にも積極的なのだそう。世界でおよそ80の国や地域でビジネスを手掛けています。

「90年代、女性は男性同様の権利を獲得するため、マニッシュなスーツに身を包んだ。そして21世紀になると、今度はフェミニニティーという名の下でドレスをまとってきたけれど、そろそろ既成概念から解放されていいはず。だからドレスのように洗練されているけれど、スーツのようにシンプルな洋服を提案したかった」とエリザベッタは話します。ボディコンシャスなシルエットを基調に、首元や脇腹を抉って肌をのぞかせるドレス、そしてほんのりフレアするロングパンツと合わせる金ボタンのジャケットなどを提案しました。ドレスとジャケットは、共に細長いシルエット。ムードに違いはありません。ブラックやボルドーなどオンでもオフでも使える色をベースに、カジュアルならデニム、イヴニングならベロアを使い、スタイルの汎用性を示しました。

「プランC」はワークウエアに遊び心を加えて

木村:私は、「プラン C(PLAN C)」がショールームで行った展示会&カクテルパーティーにダッシュ。建物のエントランスに到着した時には、上階から降りてくる人たちばかり。脚立を担いだ会場の解体業者さんたちと一緒にエレベーターに乗り込みました。

やっぱりパーティーはもうお開きで、さすがに帰らされるかと思いましたが、そんな状況下でも「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれるのが、クリエイティブ・ディレクターのカロリナ・カスティリオーニ(Carolina Castiglioni)です。

コレクションはワークウエアがインスピレーション源。アウターはカーペンタージャケットをベースにしています。クロップド丈やネイビーや淡いピンクなどもあり、ユニセックスで提案。インナーにはボウタイブラウスを合わせて、ワークとアーバンをミックスしたコーディネートも遊び心があります。ウールのプリーツスカートなどには、取り外し可能なフェザーをあしらい華やかさを演出しました。

これがドナテラの集大成?
「ヴェルサーチェ」はどうなる?

村上:さて、本日の大トリは「ヴェルサーチェ」。ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーは、今回のコレクションを最後にクリエイティブ・ディレクターを退くのではないか?とのウワサが渦巻いています。

そんな彼女によるコレクションは、長らく創業デザイナーで兄のジャンニ(Gianni)の活躍を見てきた彼女ならでは。いち早くスタートしたホームウエアラインの柄を使った、パンクなドレスで幕を開けました。

近年は柄使いを控えた“クワイエット・ラグジュアリー“な趣でしたが、今季はいささかムードが異なります。漆黒のパートがあっという間に終わると、次はレザーにシルクスクリーンのド派手なシャツやネクタイが登場。ウィメンズではレオパード柄が加わり、オーバーサイズのジャケットの下はハイレグのリボン&フリル付きビキニです。スカートはバルーンシルエットに仕上げたり、パレオのように巻き付けたりですが、いずれも色鮮やかなシルク素材。そこにダメージジーンズやスタッズが加わり、ビートは一気に加速します。レザーやシルクサテンをグルグルと巻き付けた雰囲気のミニドレス、極彩色のブラトップ、そしてパワーショルダーのジャケットやコート。確かに少し懐古主義的ではありますが、やはり「ヴェルサーチェ」はこうでなくっちゃ、とも思えてきます。

これって、集大成ってことなのでしょうか?ドナテラの退任や後任に関するニュースは、今のところまだ発表されていません。

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「ジバンシィ」覚醒 サラ・バートンによって目覚めた“眠れる森の美女”は優雅なシルエット

“眠れる森の美女”が、目を覚ました。「ジバンシィ(GIVENCHY)」のことだ。

サラ・バートン(Sarah Burton)は3月7日、パリで新生「ジバンシィ」の2025-26年秋冬コレクションを発表し、ゴスやストリートに傾倒していたメゾンのスタイルコードを再定義した。バルーンコートやベビードールドレスさえ新しい形で提案しつつも、フォーマルからイヴニング、そしてレッドカーペットまでの源流はいずれもユーベル・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)とメゾンのクラフツマンシップに存在する、エレガントなシルエットのブランドへと生まれ変わった。

会場は、ジョルジュ・サンク通りにある「ジバンシィ」の本社。ここにサラは、封筒を幾重も重ねた椅子を並べ、ショー会場とした。「ジバンシィ」のクリエイティブ・ディレクターに就任すると、サラはアーカイブのリサーチに没頭。ゴミのように堆積する資料から、当時の素材を含む、さまざまなインスピレーション源を得たという。

もっとも強い刺激を受けたのは、シルエットだった。サラは、「原点であるシルエットに立ち返った。今日のメゾンの屋台骨だと思ったから。全てはシルエットとカッティング、『ジバンシィ』には、その才に長けた驚くべき職人たちが存在するから」と語る。

その職人技を最大限に表現したかったのだろう。ファーストルックは、メッシュで作ったボディスーツ。「女性の体こそ、もっとも美しいシルエット」という思いを込めた。ボディスーツは、ブラジャーとブルマーしか身につけていないモデルの体にピッタリとフィット。総メッシュだから、誤魔化しは効かない。精緻なパターンワークとフィッティング、そして縫い代を最小限に留めるクラフツマンシップが問われるが、まさに“シンデレラフィット”していた。続くセカンドルックは、シルクで作ったレオタードスタイルという、これまた一切の誤魔化しが通用しないミニマリズムの極地。ホルターネックの周りに優雅なドレープを刻み、偉大なる手仕事を讃える。

その後は、砂時計のような曲線のシルエットで作るマスキュリンなスタイルが続く。男性的なスタイルに、女性的な曲線を加えた。ウールのヘリンボーンからスーツ地、ギャバジン、レザーに至るまで、シルエットは力強いショルダーラインと、優雅なウエストラインのコントラスト。ドラマティックとリアリティのバランスも絶妙だ。ユーベル・ド・ジバンシィが世の中に広め、「ジバンシィ」ならではのリトル・ブラック・ドレスの1つとして数えられるベビードールドレスは、レース製。マイクロミニ丈にカットした。バルーンコートの面影は、コートやジャケットの背面に現れた。白いシャツさえテントラインに広がり、肩口からプリーツを刻みながら垂らした共布がエレガンスの度合いを高める。

終盤は、イヴニングというよりレッドカーペットのムードが高まる。前任のデザイナーではなし得なかった、サラ・バートンに託された大きな役割の1つだろう。オリエンタルな刺繍と着物を思わせる前合わせ、大きなノットを刻むことでアシンメトリーに仕上げたシルエットは目を引くが、ここでも装飾には頼らず、あくまで主役はシルエットに据えた。アクセサリーは、「ジバンシィ」らしいリボンを着想源とした、大きなレザースカーフがハイライト。上述の通り、リボンはドレスのノットへも発展している。

「ジバンシィ」がエレガンス、中でもシルエットに立脚した可憐なエレガンスをこれほど美しく発信したのは、ゴスやストリートに傾倒してきた過去を考えると20年ぶりくらいだろう。“眠れる森の美女”は、ようやく長い眠りから覚めた。これからまた可憐なシルエットで人々を楽しませてくれるのだと思う。本人は「自然なステップで取り組むことができたら」としているが、すでにクチュールの再開は見据えていることだろう。

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「ジバンシィ」覚醒 サラ・バートンによって目覚めた“眠れる森の美女”は優雅なシルエット

“眠れる森の美女”が、目を覚ました。「ジバンシィ(GIVENCHY)」のことだ。

サラ・バートン(Sarah Burton)は3月7日、パリで新生「ジバンシィ」の2025-26年秋冬コレクションを発表し、ゴスやストリートに傾倒していたメゾンのスタイルコードを再定義した。バルーンコートやベビードールドレスさえ新しい形で提案しつつも、フォーマルからイヴニング、そしてレッドカーペットまでの源流はいずれもユーベル・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)とメゾンのクラフツマンシップに存在する、エレガントなシルエットのブランドへと生まれ変わった。

会場は、ジョルジュ・サンク通りにある「ジバンシィ」の本社。ここにサラは、封筒を幾重も重ねた椅子を並べ、ショー会場とした。「ジバンシィ」のクリエイティブ・ディレクターに就任すると、サラはアーカイブのリサーチに没頭。ゴミのように堆積する資料から、当時の素材を含む、さまざまなインスピレーション源を得たという。

もっとも強い刺激を受けたのは、シルエットだった。サラは、「原点であるシルエットに立ち返った。今日のメゾンの屋台骨だと思ったから。全てはシルエットとカッティング、『ジバンシィ』には、その才に長けた驚くべき職人たちが存在するから」と語る。

その職人技を最大限に表現したかったのだろう。ファーストルックは、メッシュで作ったボディスーツ。「女性の体こそ、もっとも美しいシルエット」という思いを込めた。ボディスーツは、ブラジャーとブルマーしか身につけていないモデルの体にピッタリとフィット。総メッシュだから、誤魔化しは効かない。精緻なパターンワークとフィッティング、そして縫い代を最小限に留めるクラフツマンシップが問われるが、まさに“シンデレラフィット”していた。続くセカンドルックは、シルクで作ったレオタードスタイルという、これまた一切の誤魔化しが通用しないミニマリズムの極地。ホルターネックの周りに優雅なドレープを刻み、偉大なる手仕事を讃える。

その後は、砂時計のような曲線のシルエットで作るマスキュリンなスタイルが続く。男性的なスタイルに、女性的な曲線を加えた。ウールのヘリンボーンからスーツ地、ギャバジン、レザーに至るまで、シルエットは力強いショルダーラインと、優雅なウエストラインのコントラスト。ドラマティックとリアリティのバランスも絶妙だ。ユーベル・ド・ジバンシィが世の中に広め、「ジバンシィ」ならではのリトル・ブラック・ドレスの1つとして数えられるベビードールドレスは、レース製。マイクロミニ丈にカットした。バルーンコートの面影は、コートやジャケットの背面に現れた。白いシャツさえテントラインに広がり、肩口からプリーツを刻みながら垂らした共布がエレガンスの度合いを高める。

終盤は、イヴニングというよりレッドカーペットのムードが高まる。前任のデザイナーではなし得なかった、サラ・バートンに託された大きな役割の1つだろう。オリエンタルな刺繍と着物を思わせる前合わせ、大きなノットを刻むことでアシンメトリーに仕上げたシルエットは目を引くが、ここでも装飾には頼らず、あくまで主役はシルエットに据えた。アクセサリーは、「ジバンシィ」らしいリボンを着想源とした、大きなレザースカーフがハイライト。上述の通り、リボンはドレスのノットへも発展している。

「ジバンシィ」がエレガンス、中でもシルエットに立脚した可憐なエレガンスをこれほど美しく発信したのは、ゴスやストリートに傾倒してきた過去を考えると20年ぶりくらいだろう。“眠れる森の美女”は、ようやく長い眠りから覚めた。これからまた可憐なシルエットで人々を楽しませてくれるのだと思う。本人は「自然なステップで取り組むことができたら」としているが、すでにクチュールの再開は見据えていることだろう。

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