「シーイン」、英国でのIPOに仮承認 トランプ政権の対中関税で逆風も?

英国の金融行為規則機構(Financial Conduct Authority以下、FCA)は、ロンドン証券取引所でのIPO(新規上場)を申請していたグローバルSPAの「シーイン(SHEIN)」に対し仮承認を与えたとロイター(REUTERS)が報じた。

「シーイン」は2012年に中国・南京で設立し、22年に本社をシンガポールに移転。23年11月には、米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に非公開でIPOの申請をしたものの、承認は難航。このため、24年6月にFCAへの申請を行っていた。なお、今回の仮承認はIPOの実現に向けた大きな一歩だが、同社は現在、中国証券監督委員会(China Securities Regulatory Commission以下、CSRC)など中国の関連当局の承認を待っている状態だという。本件について、「シーイン」およびCSRCからのコメントは得られなかった。

企業イメージの改善に関する取り組み

「シーイン」は、豊富な商品ラインアップを圧倒的な低価格で販売し若年層を中心に人気を集める一方で、著作権侵害などによる訴訟トラブルをいくつも抱え、サプライチェーンにおける劣悪な労働環境への懸念が絶えない。こうした企業イメージを改善する意味もあり、同社は24年7月、英国とEUにおけるアパレル事業の循環性の実現を支援する2億ユーロ(約324億円)規模の基金を設立。また、より幅広いESG(環境・社会・ガバナンスを考慮した持続的な成長)の推進に向けて5000万ユーロ(約81億円)を投資すると発表した。

なお、EC向けのメールマーケティング会社オムニセンド(OMNISEND)によれば、不安定な世界情勢や全体的な景気の減速を背景に、英国の消費者は“お得感”により敏感になっており、調査対象の60%近くが過去1年の間に「シーイン」や「ティームー(TEMU)」など中国の越境ECを利用したことがあると回答。一方で、これらのプラットフォームを信頼していると回答したのは4%程度だったという。

トランプ政権の対中関税政策が「シーイン」にも影響か

ロイターの調査によれば、米国は「シーイン」にとって最大の市場であり、売り上げの28%以上を占めているという。その理由の一つとして、米国では輸入申告額が800ドル(約11万円)以下の少額貨物に対して関税の支払いが免除される“デミニミス(非課税基準額)ルール”が設けられていることがある。ちなみに、24年に同ルールに基づいて米国に非課税で輸入された荷物数は約14億個に上り、その半数程度が中国からのものだ。しかし、中国との“関税闘争”を繰り広げているドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は4月2日、中国本土および香港からの輸入品に対し、5月2日付で同ルールを撤廃することを発表。これは「シーイン」にとって痛手となることは間違いなく、IPOを実施する際の企業価値の算定にも影響する可能性がある。

英国は中国との貿易拡大に合意など関係改善へ

米国が中国への締め付けを強化する一方、英国は関係を深めようとしているようだ。英中関係はこれまで、新疆ウイグル自治区での人権侵害や言論の自由に関する問題などにより冷え込んでいたが、経済成長を重要政策の一つに掲げるキア・スターマー(Keir Starmer)英首相は24年11月、ブラジルで開催された主要20カ国首脳会議(G20サミット)で中国の習近平国家主席と会談し、「両国の強固な関係の重要性」を確認。英首相と習主席が直接会談を行ったのは6年ぶりだった。

今年1月には、レイチェル・リーブス(Rachel Reeves)英財務大臣が訪中し、経済政策などを統括する何立峰 副首相と会談。両国間の貿易拡大や貿易障壁の撤廃、金融サービス分野での連携などに合意し、中国が今後5年にわたって英国に6億ポンド(約1122億円)を投資する約束を取り付けている。

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松屋、年間売上高が過去最高の1371億円 33年ぶりの更新

松屋の2025年2月期連結業績は、売上高に相当する総額売上高が前期比19.3%増の1371億円で、1992年以来33年ぶりに過去最高を更新した。営業利益は同50.8%増の44億円、純利益は同9.4%減の23億円だった。

旗艦店である銀座本店の総額売上高は、前期比20.3%増の1224億円。館の売り上げレコードを32年ぶりに更新した前期を、さらに上回った。業績をけん引したのは訪日客で、免税売上高は同71%増の577億円。特に中国本土客の伸長が顕著で、売上高は19年比168%増の384億円、客数は同24%増の19.9万人だった。国慶節や春節など大型連休に合わせた施策強化が功を奏した。

銀座店の国内客売上高は、前期比5%減の648億円だった。ID顧客(外商カードや松屋クレジットカードなどの会員)の売上高は268億円で横ばいだったものの、非ID顧客が同8%減の379億円と鈍化。価格高騰のあおりを受け、ラグジュアリーブランドの国内客売上高は前年比17%減まで落ち込んだ。

トランプ関税による影響は「そこまで大きくない」

26年2月期の連結業績予想は、総額売上高が前期比3.5%増の1420億円、営業利益は同10.8%減の40億円、純利益は同3.5%減の23億円。減益予想は、グループ全体で成長に向けた投資を増やすため。トランプ関税による影響については、予想するのは難しいとしながらも、「製造業と比べると影響は大きくない。あるとすれば価格が上昇するくらい。ともあれ、為替や株価、景気動向に注視する必要がある」と森田一則 取締役専務執行役員。5月には、銀座店の100周年を記念した、限定品の発売や特別なコラボ、催事の実施を予定する。

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三陽商会、10年後に「売上高1000億円」 大江社長が描くリアリスティックな成長シナリオ


三陽商会の2025年2月期連結業績は、売上高が前期比1.3%減の605億円、営業利益は同10.9%減の27億円、純利益は43.7%増の40億円だった。大幅な最終増益には、投資有価証券の売却など営業外収益が寄与した。

コロナ禍明けのリベンジ消費の反動減、冬物販売の最盛期である10月の高気温などが減収要因となったが、正価販売による粗利率の改善、販管費コントロールなどが奏功し、営業利益は計画値をクリアした。

新中期経営計画を始動

25年2月期決算発表に合わせ、新中期経営計画を発表した。3年後の28年2月期に売上高700億円、営業利益50億円を目標に掲げ、10年後となる35年には売上高1000億円、営業利益率10%の達成を目指す長期ビジョンを掲げた。

ブランド事業においては、「マッキントッシュ フィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY)」「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」などの基幹7ブランドでそれぞれ売上高100億円規模の体制を構築。アッパーミドル市場での競争優位性を高めるべく、全社横断の「商品開発委員会」を核として、三陽商会の強みである「高品位・高品質・高付加価値」をキーワードとした商品開発を押し進める。

販路戦略では直営店・ECの拡大を進める。特にECはプロパー販売強化とOMO施策による実店舗との連動を強化する。この3月には自社EC専用ブランド「ビアンカ(BIANCA)」をローンチするなど、若年層や新規客の取り込みを目指す。EC売上高は3年後に100億円超を計画する。

さらに成長投資として、M&Aに最大100億円を投入。雑貨・子供服・ペット用品などの新規カテゴリーへの進出や、越境EC・卸売・戦略パートナーとの協業を通じた海外展開にも注力する。

粗利率改善と在庫コントロール
基本を磨いた先にある“1000億円”

とはいえ成長戦略の根幹にあるのは、大江社長が2021年の就任以後一貫して実践し、黒字化への道筋をつけた「正価販売による粗利率改善」「インベントリー(在庫)コントロール」といった施策だ。派手さはない。だが大江社長は、「売上高1000億円」という目標が、これらアパレルビジネスの基本を磨き続けた先にある現実的な目標であると強調する。

「単なる“背伸び”ではない。これまでの構造改革で築いた収益基盤をベースに、ブランド価値の最大化と事業領域の拡張で、地に足のついた飛躍を目指す。オーガニックグロースのためには、単に在庫を積めばいいわけではない。徹底した在庫管理と販売力強化が両輪でなければ、持続的成長はあり得ない」。仕入れと繰越在庫の抑制や、MDサイクルの短縮による柔軟な商品投入を継続しつつ、プロパー販売比率は2028年2月期に70%(現状64%)まで高める方針だ。

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J.フロント中計2年前倒しで達成 小野社長「外的要因が大きいのも事実」

J.フロント リテイリング(JFR)の2025年2月期連結業績は、売上高に相当する総額売上高が前期比10.1%増の1兆2683億円、営業利益が同35.2%増の581億円、純利益が同38.5%増の414億円だった。全項目で過去最高を更新した。同社が重点項目とする事業利益は534億円で、中期経営計画の最終年度27年2月期の目標520億円を前倒しで達成した。

大丸と松坂屋の百貨店事業は、インバウンド(訪日客)の購買が貢献した。免税売上高は24年2月期の721億円に対し、当期は1304億円に伸びた。また国内の富裕層による外商売上高は24年2月期が2016億円で、当期が2114億円と堅調だった。

大丸松坂屋百貨店の主要店舗の売上高は、松坂屋名古屋店が同3.8%増の1316億円、大丸心斎橋店が同20.4%増の1152億円、大丸神戸店が同7.1%増の984億円だった。松坂屋名古屋店は改装工事の期間が長かったものの、手堅い外商需要に支えられた。大丸心斎橋店は売上高に占める訪日客のシェアが43.3%に高まった。

14日の決算説明会に登壇した小野圭一社長は「大丸松坂屋やパルコでのラグジュアリーブランドなどへの投資が実を結んだ」と手応えを感じながらも、「経営努力以上に外的要因(円安や株高)が大きいのも事実」と話した。トランプ関税など不透明な先行きを見越し、「変革のスピードを緩めない」と強調した。

今期(26年2月期)は免税売上高を前期に比べて34億円少ない1270億円と予想する。連結業績予想は、総額売上高が前期比3.8%増の1兆3160億円、営業利益が同14.1%減の500億円、純利益が同27.6%減の300億円とした。減益は主に前期に計上した資産売却益の反動によるもの。

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J.フロント中計2年前倒しで達成 小野社長「外的要因が大きいのも事実」

J.フロント リテイリング(JFR)の2025年2月期連結業績は、売上高に相当する総額売上高が前期比10.1%増の1兆2683億円、営業利益が同35.2%増の581億円、純利益が同38.5%増の414億円だった。全項目で過去最高を更新した。同社が重点項目とする事業利益は534億円で、中期経営計画の最終年度27年2月期の目標520億円を前倒しで達成した。

大丸と松坂屋の百貨店事業は、インバウンド(訪日客)の購買が貢献した。免税売上高は24年2月期の721億円に対し、当期は1304億円に伸びた。また国内の富裕層による外商売上高は24年2月期が2016億円で、当期が2114億円と堅調だった。

大丸松坂屋百貨店の主要店舗の売上高は、松坂屋名古屋店が同3.8%増の1316億円、大丸心斎橋店が同20.4%増の1152億円、大丸神戸店が同7.1%増の984億円だった。松坂屋名古屋店は改装工事の期間が長かったものの、手堅い外商需要に支えられた。大丸心斎橋店は売上高に占める訪日客のシェアが43.3%に高まった。

14日の決算説明会に登壇した小野圭一社長は「大丸松坂屋やパルコでのラグジュアリーブランドなどへの投資が実を結んだ」と手応えを感じながらも、「経営努力以上に外的要因(円安や株高)が大きいのも事実」と話した。トランプ関税など不透明な先行きを見越し、「変革のスピードを緩めない」と強調した。

今期(26年2月期)は免税売上高を前期に比べて34億円少ない1270億円と予想する。連結業績予想は、総額売上高が前期比3.8%増の1兆3160億円、営業利益が同14.1%減の500億円、純利益が同27.6%減の300億円とした。減益は主に前期に計上した資産売却益の反動によるもの。

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成長著しい“プレミアムスポーツ”市場 「WWDJAPAN」セミナーで知る「アシックス スポーツスタイル」「アークテリクス」の戦略

「WWDJAPAN」は3月25日、成長著しい“プレミアムスポーツ”市場にフォーカスしたセミナーを開催した。五十君花実「WWDJAPAN」編集委員の進行のもと、「アシックス スポーツスタイル(ASICS SPORTS SYLE)」を運営するアシックスの鈴木豪執行役員スポーツスタイル統括部統括部長と、アウトドアブランド「アークテリクス(ARC’TERYX)」を展開するアメアスポーツジャパンの高木賢アークテリクス ブランドヘッド2人をゲストスピーカーに迎え、ブランド哲学や戦略について語ってもらった。質問も活発に飛び交い、多くの受講者から高評価をいただいたセミナーについてリポートする。


購入には事前にOneStreamの会員登録が必要です。
視聴期限:2026年4月6日(月)23:59 まで
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オープニングセッションでは、五十君編集委員が現在のスポーツ・アウトドア市場のグローバルな消費動向を前提として説明。「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」などの老舗から新興の「オン(ON)」、中国の「Xtep」など世界16社を網羅したスポーツメーカー売上高ランキングも共有した。大多数のスポーツメーカーはコロナ禍以降好調で、2ケタ増というケースも珍しくない。コロナ禍のソーシャル・ディスタンスによるアウトドアアクティビティーへの関心の高まりが背景として大きいが、こうした市場環境が今後どのように変化していくのか、展望や分析も行った。

「アシックス スポーツスタイル」、
ファッションでも支持獲得のワケ

セッション第2部では、「アシックス スポーツスタイル」の鈴木執行役員が登壇。従来は部活や体育のイメージが強かった「アシックス」が、いかにしてファッションシューズとしても支持されるようになったのかを、組織体制やブランディング、マーケティングなど、さまざまな側面から語った。

2019年よりも前は、企画、生産、販売のように機能ごとに細切れになっていた組織を、「アシックス スポーツスタイル」としてグローバルで一気通貫体制に変更。鈴木執行役員は、「ビジョン、コアバリューを整理して誰に届けるか明確化した。また、戦略、MD共にグローバル一元体制で考え方を共有できるようになった」と近年の変化を話す。ファッション感度の高い層から「アシックス スポーツスタイル」が注目を得たのは、コラボレーションによる効果も大きい。デザイナーのキコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)をはじめ、建築家やミュージシャン、お菓子メーカーなどと組んだ多様なコラボレーションに込める狙いや、どんな相手と組むのかといった基準も語った。会場からは、「Y2Kの次のトレンドは?」や「トレンドをリサーチする場所は?」といった質問が続々と出た。

“唯一無二”目指す、
「アークテリクス」のブランディング

セッション第3部のゲストスピーカーは、カナダ発アウトドアブランド「アークテリクス(ARC'TERYX)」を運営するアメアスポーツジャパンの高木賢「アークテリクス」ブランドヘッド。ブランドムービーからスタートした同セッションでは、クライミングギアとして創業した同ブランドのアイデンティティーや戦略について、高木ブランドヘッドが公開取材形式で語った。

「『アークテリクス』にとって、“プレミアムアウトドアブランド”とは何を意味するか?」という問いに対し、「誰もが知る最高品質のアウトドアブランドであること」と、高木ブランドヘッドは回答。それを目指す一環として、「アークテリクス」は24年11月、新宿に予約制接客やコミュニティーイベントなどにも注力する大型店をオープンしたが、開業から4カ月をへての手応えを共有。ほかにも、今後の出店計画や卸先とのコミュニケーションなど、唯一無二な存在となるための考え方を、さまざまな切り口から語った。会場からは、コミュニティーマーケティングの手法やスタッフ教育などについて次々と質問が飛んだ。

セミナー後には、登壇者や聴講者による“ミートアップ”を開催。スポーツ・アウトドア業界だけでなく、ホテルやコンサル、素材メーカー等、多様な業界から集まった参加者たちが活発に情報交換を行った。

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成長著しい“プレミアムスポーツ”市場 「WWDJAPAN」セミナーで知る「アシックス スポーツスタイル」「アークテリクス」の戦略

「WWDJAPAN」は3月25日、成長著しい“プレミアムスポーツ”市場にフォーカスしたセミナーを開催した。五十君花実「WWDJAPAN」編集委員の進行のもと、「アシックス スポーツスタイル(ASICS SPORTS SYLE)」を運営するアシックスの鈴木豪執行役員スポーツスタイル統括部統括部長と、アウトドアブランド「アークテリクス(ARC’TERYX)」を展開するアメアスポーツジャパンの高木賢アークテリクス ブランドヘッド2人をゲストスピーカーに迎え、ブランド哲学や戦略について語ってもらった。質問も活発に飛び交い、多くの受講者から高評価をいただいたセミナーについてリポートする。


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「アシックス スポーツスタイル」、
ファッションでも支持獲得のワケ

セッション第2部では、「アシックス スポーツスタイル」の鈴木執行役員が登壇。従来は部活や体育のイメージが強かった「アシックス」が、いかにしてファッションシューズとしても支持されるようになったのかを、組織体制やブランディング、マーケティングなど、さまざまな側面から語った。

2019年よりも前は、企画、生産、販売のように機能ごとに細切れになっていた組織を、「アシックス スポーツスタイル」としてグローバルで一気通貫体制に変更。鈴木執行役員は、「ビジョン、コアバリューを整理して誰に届けるか明確化した。また、戦略、MD共にグローバル一元体制で考え方を共有できるようになった」と近年の変化を話す。ファッション感度の高い層から「アシックス スポーツスタイル」が注目を得たのは、コラボレーションによる効果も大きい。デザイナーのキコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)をはじめ、建築家やミュージシャン、お菓子メーカーなどと組んだ多様なコラボレーションに込める狙いや、どんな相手と組むのかといった基準も語った。会場からは、「Y2Kの次のトレンドは?」や「トレンドをリサーチする場所は?」といった質問が続々と出た。

“唯一無二”目指す、
「アークテリクス」のブランディング

セッション第3部のゲストスピーカーは、カナダ発アウトドアブランド「アークテリクス(ARC'TERYX)」を運営するアメアスポーツジャパンの高木賢「アークテリクス」ブランドヘッド。ブランドムービーからスタートした同セッションでは、クライミングギアとして創業した同ブランドのアイデンティティーや戦略について、高木ブランドヘッドが公開取材形式で語った。

「『アークテリクス』にとって、“プレミアムアウトドアブランド”とは何を意味するか?」という問いに対し、「誰もが知る最高品質のアウトドアブランドであること」と、高木ブランドヘッドは回答。それを目指す一環として、「アークテリクス」は24年11月、新宿に予約制接客やコミュニティーイベントなどにも注力する大型店をオープンしたが、開業から4カ月をへての手応えを共有。ほかにも、今後の出店計画や卸先とのコミュニケーションなど、唯一無二な存在となるための考え方を、さまざまな切り口から語った。会場からは、コミュニティーマーケティングの手法やスタッフ教育などについて次々と質問が飛んだ。

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高島屋、17年ぶり売上高1兆円超え 新宿店は初の1000億円台

高島屋の2025年2月期連結業績は、売上高に相当する総額営業収益が前期比8.5%増の1兆327億円だった。売上高が1兆円台に乗ったのは07年以来17年ぶり。引き続きインバウンド(訪日客)と富裕層の旺盛な消費がけん引した。営業利益は同25.2%増の575億円、純利益は同25.0%増の395億円で、いずれも過去最高を更新した。

国内百貨店事業の訪日客による免税売上高は、24年2月期の687億円に対して当期は1160億円へと大幅に伸びた。

主力5店舗(日本橋店、新宿店、横浜店、京都店、大阪店)の売上高は、インバウンドと富裕層の追い風を受けて同12.3%増だった。それ以外の地方郊外店は横ばいだった。主力5店舗の売上高は、大きい順に大阪店1809億円(同13.7%増)、日本橋店1605億円(同7.5%増)、横浜店1424億円(同5.8%増)、京都店1115億円(14.6%増)、新宿店1000億円(同13.5%増)。京都店と新宿店が1000億円台の大台に乗った。訪日客の増加だけでなく、京都店は23年10月に隣接地に開業した専門店ゾーン「T8」との相乗効果、新宿店は近隣の百貨店の閉店や規模縮小による受け皿効果が寄与した。

店舗の売上高に占める顧客別シェアは一般客60%、外商客25%、訪日客15%。これが一番店である大阪店では一般客45%、外商客26%、訪日客29%と免税売上高比率が高くなる。日本橋店は一般客52%、外商客37%、訪日客11%と外商に強く、横浜店は一般客73%、外商客23%、訪日客4%でフリーの客に支持される。

ただ、26年2月期については訪日客による消費は鈍化すると見る。足元の3月度も訪日客の客単価が下がり、免税売上高がひさびさに減収に転じた。14日の決算説明会に登壇した村田善郎社長は「昨年はインバンドの日商が3億円を超えていたが、(今年に入り)若干円高に振れていることもあり、足元は日商3億円を切っている」と話す。免税売上高は1100億円と予想する。連結業績予想は総額営業収益が前期比3.6%増の1兆700億円、営業利益が同0.9%増の580億円、純利益は同1.2%増の400億円とした。

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トランプ関税とファッション産業:記者談話室vol.173

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

173回目のテーマは「トランプ関税とファッション産業」です。突如として米国のトランプ大統領が発表した全世界対象の「相互関税」、いわゆるトランプ関税。発効後すぐに延期を発表するなど、二転三転し世界を揺らしています。ファッション産業に一体どのような影響を与えるのか。

「記者談話室」ではみなさまからのお便りをお待ちしております。ご感想ご意見を聞かせてください。メールアドレスは、danwashitu@infaspub.co.jp です。


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LVMHのアルノー会長兼CEO、85歳まで続投? 年齢制限の延長を株主総会で提案へ

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の取締役会は、最高経営責任者(CEO)の年齢制限を現在の80歳から85歳に延長する議案を、4月17日開催の年次株主総会に提出する。

同社のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、1949年3月5日生まれの76歳。2022年5月の株主総会では、75歳と定められていたCEOの年齢制限を80歳まで延長する議案が、81.6%の賛成多数で承認されている。

後継者として有望な5人の子どもたち

アルノー会長兼CEOには5人の子どもがいる。長女のデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEO、長男のアントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMH ヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージ、次男のアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)LVMH ワイン&スピリッツ部門副CEO、三男のフレデリック・アルノー(Frederic Arnault)=ロロ・ピアーナCEO、四男で末っ子のジャン・アルノー(Jean Arnault)=ルイ・ヴィトン ウォッチ部門 マーケティングおよびプロダクト・ディベロップメント・ディレクターといずれもグループ内の要職に就いており、有望な後継者候補だ。しかし、今回の議案を踏まえると、まだしばらくはアルノー会長兼CEOがグループを率いるものと推測される。

アルノー家による支配体制も盤石

近年、LVMHは一族支配を強化しており、ジャン以外の4人はLVMHの取締役会に所属しているほか、アントワンは一族による持株会社クリスチャン ディオールSE(CHRISTIAN DIOR SE)のCEO兼副会長を、フレデリックはやはり一族の主要な持株会社フィナンシエール・アガシュ(FINANCIERE AGACHE)のマネージング・ディレクターを兼任。クリスチャン ディオールSEはフィナンシエール・アガシュの傘下で、フィナンシエール・アガシュは22年12月の時点でクリスチャン ディオールSEの株式資本の97.5%を保有している。これらを通じ、アルノー家は25年3月の時点で、LVMHの株式資本の49.0%と議決権の64.8%を保有している。

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LVMHのアルノー会長兼CEO、85歳まで続投? 年齢制限の延長を株主総会で提案へ

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の取締役会は、最高経営責任者(CEO)の年齢制限を現在の80歳から85歳に延長する議案を、4月17日開催の年次株主総会に提出する。

同社のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、1949年3月5日生まれの76歳。2022年5月の株主総会では、75歳と定められていたCEOの年齢制限を80歳まで延長する議案が、81.6%の賛成多数で承認されている。

後継者として有望な5人の子どもたち

アルノー会長兼CEOには5人の子どもがいる。長女のデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEO、長男のアントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMH ヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージ、次男のアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)LVMH ワイン&スピリッツ部門副CEO、三男のフレデリック・アルノー(Frederic Arnault)=ロロ・ピアーナCEO、四男で末っ子のジャン・アルノー(Jean Arnault)=ルイ・ヴィトン ウォッチ部門 マーケティングおよびプロダクト・ディベロップメント・ディレクターといずれもグループ内の要職に就いており、有望な後継者候補だ。しかし、今回の議案を踏まえると、まだしばらくはアルノー会長兼CEOがグループを率いるものと推測される。

アルノー家による支配体制も盤石

近年、LVMHは一族支配を強化しており、ジャン以外の4人はLVMHの取締役会に所属しているほか、アントワンは一族による持株会社クリスチャン ディオールSE(CHRISTIAN DIOR SE)のCEO兼副会長を、フレデリックはやはり一族の主要な持株会社フィナンシエール・アガシュ(FINANCIERE AGACHE)のマネージング・ディレクターを兼任。クリスチャン ディオールSEはフィナンシエール・アガシュの傘下で、フィナンシエール・アガシュは22年12月の時点でクリスチャン ディオールSEの株式資本の97.5%を保有している。これらを通じ、アルノー家は25年3月の時点で、LVMHの株式資本の49.0%と議決権の64.8%を保有している。

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パルグループ、SNS投稿が40代女性の購買に直結 4期連続で売上高過去最高

パルグループホールディングスの2025年2月期連結決算は、売上高が前期比7.9%増の2078億円、営業利益が同27.1%増の236億円だった。売上高は4期連続、営業利益は3期連続で過去最高を塗り替えた。創業者の役員退任に伴う特別功労金31億円を特別損失として計上したため、純利益は同7.8%減の118億円だった。

事業別に見ると、売上高の約6割を占める衣料事業は1277億円(同6.7%増)。中でも百貨店や駅ビルで展開するタウン系のブランドが売上高をけん引した。「ビアズリー」「ウィム ガゼット」「コラージュ ガリャルダガランテ」「リヴドロワ」など40〜50代女性に支持されるブランドが好調だった。「いまSNSの影響をもろに受けているのが40代以上の女性。等身大のスタッフがインフルエンサーとしてSNSで情報発信することで、フォロワー数が急激に伸びている」と、中核会社パルの小路順一社長は話す。

雑貨事業の売上高は796億円(同9.8%増)で、「スリーコインズ」を中心に大きく伸長した。「スリーコインズ」は前年より78億円増えて709億円だった。5年前に比べて2.8倍の規模に拡大した。

EC売上高は531億9900万円(同9.9%増)。衣料事業のEC化率は41.6%に達し、堅調な拡大が続いている。ただ期初目標であった600億円には届かなかった。6月のサーバートラブルが影響し、在庫システムの停止で販売機会ロスが発生した。8~9月にかけて影響が残ったものの、第4四半期には回復に転じた。SNSフォロワー数は2月末時点で2000万人を突破。アプリ会員数も1145万人まで増加し、インフルエンサー活用やリアル店舗との連携施策が成果を上げている。40代以上のSNSが拡散される一方、ヤング層のSNSが以前ほど響かなくなり、主戦場が変化している点も注目される。

利益面では、雑貨事業の営業利益が前年比2.8倍の55億円超へと跳ね上がった。「スリーコインズ」では300円超の商品開発の強化と価値に見合った価格への改定が成果を上げ、粗利率の改善と営業利益率の向上につながった。店舗人員のシフト適正化による販管費の抑制も奏功した。

既存店売上高は、衣料事業で客数が減少したものの、客単価が大きく伸びた。気候変動の影響も顕著だった。「カレンダーのタームの見直しに取り組んでいるが、とくに11月の暖冬傾向、2月の異例の寒さが影響した」(同)。

期末店舗数は1078店舗で初めて1000店舗の大台を超えた。M&Aにより「ノーリーズ」「ダブルクローゼット」などのブランドが加わり、衣料事業で95店舗、雑貨事業で34店舗の純増となった。

2026年2月期は売上高2310億円、営業利益264億円を予想する。ECとM&Aによる売上高の押し上げに加え、販管費率の抑制によって営業利益、経常利益ともに2ケタ増を維持する計画だ。前期に計上した特別損失がなくなるため、純利益は前期比42.2%増の169億円を見込む。

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パルグループ、SNS投稿が40代女性の購買に直結 4期連続で売上高過去最高

パルグループホールディングスの2025年2月期連結決算は、売上高が前期比7.9%増の2078億円、営業利益が同27.1%増の236億円だった。売上高は4期連続、営業利益は3期連続で過去最高を塗り替えた。創業者の役員退任に伴う特別功労金31億円を特別損失として計上したため、純利益は同7.8%減の118億円だった。

事業別に見ると、売上高の約6割を占める衣料事業は1277億円(同6.7%増)。中でも百貨店や駅ビルで展開するタウン系のブランドが売上高をけん引した。「ビアズリー」「ウィム ガゼット」「コラージュ ガリャルダガランテ」「リヴドロワ」など40〜50代女性に支持されるブランドが好調だった。「いまSNSの影響をもろに受けているのが40代以上の女性。等身大のスタッフがインフルエンサーとしてSNSで情報発信することで、フォロワー数が急激に伸びている」と、中核会社パルの小路順一社長は話す。

雑貨事業の売上高は796億円(同9.8%増)で、「スリーコインズ」を中心に大きく伸長した。「スリーコインズ」は前年より78億円増えて709億円だった。5年前に比べて2.8倍の規模に拡大した。

EC売上高は531億9900万円(同9.9%増)。衣料事業のEC化率は41.6%に達し、堅調な拡大が続いている。ただ期初目標であった600億円には届かなかった。6月のサーバートラブルが影響し、在庫システムの停止で販売機会ロスが発生した。8~9月にかけて影響が残ったものの、第4四半期には回復に転じた。SNSフォロワー数は2月末時点で2000万人を突破。アプリ会員数も1145万人まで増加し、インフルエンサー活用やリアル店舗との連携施策が成果を上げている。40代以上のSNSが拡散される一方、ヤング層のSNSが以前ほど響かなくなり、主戦場が変化している点も注目される。

利益面では、雑貨事業の営業利益が前年比2.8倍の55億円超へと跳ね上がった。「スリーコインズ」では300円超の商品開発の強化と価値に見合った価格への改定が成果を上げ、粗利率の改善と営業利益率の向上につながった。店舗人員のシフト適正化による販管費の抑制も奏功した。

既存店売上高は、衣料事業で客数が減少したものの、客単価が大きく伸びた。気候変動の影響も顕著だった。「カレンダーのタームの見直しに取り組んでいるが、とくに11月の暖冬傾向、2月の異例の寒さが影響した」(同)。

期末店舗数は1078店舗で初めて1000店舗の大台を超えた。M&Aにより「ノーリーズ」「ダブルクローゼット」などのブランドが加わり、衣料事業で95店舗、雑貨事業で34店舗の純増となった。

2026年2月期は売上高2310億円、営業利益264億円を予想する。ECとM&Aによる売上高の押し上げに加え、販管費率の抑制によって営業利益、経常利益ともに2ケタ増を維持する計画だ。前期に計上した特別損失がなくなるため、純利益は前期比42.2%増の169億円を見込む。

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店頭が無駄な在庫を持たずに売り上げを増やすための方程式とは?

2025年1月からWWDJAPAN.comでマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」が連載中です。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか?利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版)の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説していきます。今回は、第2話を取り上げます。

在庫をどこにどれだけ置いておくかは永遠の課題

第2話の見どころは「店頭を起点に考える、物流効率と機会損失のジレンマ」です。店舗のバックヤードと中央倉庫の役割が大きなテーマとなっています。

マンガ「在庫管理の魔術」の第2話は コチラ

アパレル事業者にとって、在庫を店舗、倉庫のそれぞれにどれだけ置いておくかは永遠の課題です。多くの事業者は、売り逃しを防ぐために、できるだけ多くの在庫を店舗に置こうと考えています。中央倉庫に寝かせていては、1円の売上げにもつながらないからです。店舗側も特に売れ筋であれば、売り逃しをしたくないから、在庫をできるだけ抱え込んでおきたいと思いますよね。この物語の主人公・安堂徹も、最終ページで「こんなに在庫がないと、もっと欠品が増えて今より売上げが減ってしまうんじゃ……」と懸念しています。しかし、物語が進んでいくにつれて、実際には、そうではないことが明らかになっていきます。

5ページ目では、在庫を置くスペースが限られた環境に迫られて、安堂徹が中央倉庫のマネージャーに、商品をカートン単位ではなく単品で送ってもらうように依頼しています。このシーンから、店頭でのお客さまの実需と企業側の物流効率の都合のギャップを考えさせられます。

一般的なアパレル事業者は、中央倉庫から商品をカートン単位で店舗へ発送しています。それは物流コストを抑えるためです。しかし、お客さまはある商品の、このカラーのこのサイズという、いわゆる「単品」が欲しいのであって、商品をカートンごと購入するわけではありません。企業都合で物流効率だけを考え、少量すぎて、出荷単位にならないからと、出荷待ちになって、欲しい単品をすぐに出荷してもらえなければ、店頭で欠品が起こり、せっかくご来店いただいたお客さまをがっかりさせます。逆にカートン単位にするために、いつ売れるかわからない在庫もあわせて引き取ってしまうと、過剰在庫を抱えることになります。

このように、お客さまの期待と物流効率は相反する関係にあるのです。

最終的には中央倉庫のマネージャーの計らいで、店舗には20日分の在庫を置き、必要な商品を必要なだけ、単品で送ってもらう仕組みにしました。これは、店舗の在庫日数を20日分(約3週分)だけで回す決断をしたことを意味します。

在庫日数とは、保有している在庫が何日分の売り上げに相当するかを示す指標です。本部の人たちは在庫日数を議論していますが、店舗で働く人たちはあまり意識していません。実は、店舗のスタッフが在庫日数を意識すると、その店の利益は大きく増えるのです。

在庫日数=現在庫数÷平均販売数

もし、店舗で「現在は○日分の在庫しかないから、あと△日分欲しい」という会話ができるようになると、本部スタッフも店舗スタッフも在庫と売り上げや利益の関係をロジカルに考えられるようになるからです。それにもかかわらず、大半の事業者は店舗の人たちに、そんな在庫と売り上げの関係、つまり「商売で大切なこと」を考える機会を与えていないのが現実です。筆者が支援している事業者では、店舗でもこうしたことを考えるように、誰もができるように、わかりやすくアドバイスをしています。

店長や店舗を統括するエリアマネジャーとして働いてる読者の方であれば、自分の店が何日分の在庫を抱えているのかを調べてみると、新たな気づきが得られるでしょう。

計算式は、在庫日数=現在庫数÷平均販売数です。カラーサイズごとではなくても、まずは気になる商品を品番単位でも、シャツ・ブラウスやパンツなど品種単位でも構いません。

無駄な在庫を持たずに売り上げを増やせるようになるはずです。

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良品計画24年9月〜25年2月期、絶好調で通期予想を再上方修正 化粧水ヒットでリピーター増

「無印良品」を手がける良品計画の2024年9月〜25年2月期の業績は想定を上回る大幅な増収増益で、営業収益、各段階利益はいずれも過去最高となった。これに伴い、25年8月期の通期業績を1月に続いて再度上方修正した。「国内でスキンケアや日用消耗品を軸に客層が拡大した」と清水智社長。

2024年9月〜25年2月期の売上高に当たる営業収益は、国内外の店舗数の増加と堅調な売り上げによって、前年同期比19.4%増の3820億円、営業総利益率は生産体制内製化による原価低減や海外での値下げ率の改善、為替の影響により同1.2ポイント改善し51.1%となった。販管費率は売上伸長に伴う経費効率化により同0.7ポイント改善し、41.6%。営業利益は同49.8%増の361億円となり、営業利益率は9.5%に改善した。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の欧州事業再編に伴う税効果(20億円)も加わり、同61.6%増の254億円となった。

国内事業は営業収益が同22.2%増の2259億円、営業利益が同42.2%増の240億円。営業利益率は1.5ポイント改善し10.7%と大幅な増収増益だった。国内の既存店&EC売上高は同15.1%増。24年2月以降、毎月プラス基調を継続しており、坪当たり売上効率も改善している。客層の拡大も顕著だった。

24年9月〜25年2月期業績には入らないが、3月に開催した「無印良品週間」も大変好調で、過去最高の実績を記録したという。単なる値引きキャンペーンではなく、「新商品を試していただいたり、ファンの方々が集う機会」として「無印良品週間」を最大限に活用。「マーケティングやSNSの効果も発揮され、お客さまの近くに出店を重ねてきたことも相乗効果となって、非常に大きな盛り上がりになった」と説明する。

好調に特に寄与しているのが、スキンケアなどを扱う「ヘルス&ビューティ」カテゴリーと、日用消耗品などを扱う「ハウスウェア」カテゴリーなどの生活雑貨だ。商品力の強化を軸に、マーケティング施策、店舗や在庫管理のオペレーション力改善が進んだ。「ヘルス&ビューティ」は前年同期比で40%増、一昨年同期比で75%売り上げが伸びた。これにより売上高構成比が一昨年に比べて5ポイント上昇し 21%のシェアに高まった。「この商品群はお客さまに気に入っていただければ数カ月後にリピートしていただける。それが客数の増加に大きく寄与している」。

「ハウスウェア」カテゴリーも売上高構成比が一昨年同期に対し2ポイント上がって7%になり、売り上げも前年同期比で40%増、一昨年同期との比較では、「ヘルス&ビューティ」をしのぐ80%増と大きく伸びている。

海外事業は営業収益が前年同期比15.6%増の1560億円、営業利益は同34.5%増の283億円。営業利益率は18.1%で2.6ポイント上昇した。特に中国本土がけん引した東アジア事業は、営業収益が同15.1%増の1103億円、営業利益が同31.7%増の213億円と増収増益で着地。値引き抑制のほか為替効果による押し上げにより、営業総利益率が改善し、営業利益率は2.4ポイント改善の19.4%となった。

「大きな市場である中国本土は既存店の売り上げ好調が続いている。特に1月に発売したスキンケアの新商品が既存店売り上げを押し上げている」と清水社長。上期の営業収益は684億円(同19.3%増)で、既存店&EC売上高は6.0%増と計画を超過。特にEC販売が好調に推移し、店舗も売り上げ上位店に在庫を厚く配分したことで堅調に推移した。

中国本土は景気の減退などもあり、他社は苦戦が目立つ。「中国は大幅な市場の冷え込みが一巡したというところで、当社は数字が盛り上がってきた。数年かけて地道に現地化の商品を作り出してきたことに加え、日本からも商品を投入して品ぞろえが拡充した。また、人員が徐々にそろい、例えばマーケティングであればロイヤリティープログラムを昨年刷新したり、SNSやCI(コーポレートアイデンティティー)の強化など地道な努力が奏功している」。

期末店舗数は1368店舗だった。国内は郊外を中心に33店舗を出店し651店舗。海外は45店舗を出店し、717店舗になった。中国本土ではスクラップアンドビルドを推進、東南アジアは、ベトナム、タイ、マレーシア等に出店を強化。都心部に大型店の出店を進めることで、認知度を高める。

25年8月期通期業績は、営業収益と各段階利益の通期見通しを1月の上方修正からさらに引き上げる。修正後の営業収益としては前期比16.4%増の7700億円(修正前は7540億円)、営業利益は同19.4%増の670億円(同640億円)を見込む。営業収益および各段階利益は、過去最高を更新する見通し。

同社は世界での成長に向けた8つの成長ドライバーを従前から掲げているが、その筆頭である出店の拡大については、国内では生活圏の600坪(約1980平方メートル)店舗の出店を継続する。「600坪の店舗フォーマットは完成した。今後は台湾、韓国、フィリピンに完全移植を開始する」。数年かけて改革を進めた衣料品カテゴリーも好調で、在庫も適正水準だ。「狙い通り、機能性のある天然素材のインナーウエアなど定番品が非常に好調だった。このまま継続していくのに加え、婦人服は成長余地がある。紳士服との差が少ない品ぞろえになってしまっているため、もう少しフェミニンなデザインや素材感のある商品を追加し、お客さまを増やしたい」としている。

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良品計画24年9月〜25年2月期、絶好調で通期予想を再上方修正 化粧水ヒットでリピーター増

「無印良品」を手がける良品計画の2024年9月〜25年2月期の業績は想定を上回る大幅な増収増益で、営業収益、各段階利益はいずれも過去最高となった。これに伴い、25年8月期の通期業績を1月に続いて再度上方修正した。「国内でスキンケアや日用消耗品を軸に客層が拡大した」と清水智社長。

2024年9月〜25年2月期の売上高に当たる営業収益は、国内外の店舗数の増加と堅調な売り上げによって、前年同期比19.4%増の3820億円、営業総利益率は生産体制内製化による原価低減や海外での値下げ率の改善、為替の影響により同1.2ポイント改善し51.1%となった。販管費率は売上伸長に伴う経費効率化により同0.7ポイント改善し、41.6%。営業利益は同49.8%増の361億円となり、営業利益率は9.5%に改善した。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の欧州事業再編に伴う税効果(20億円)も加わり、同61.6%増の254億円となった。

国内事業は営業収益が同22.2%増の2259億円、営業利益が同42.2%増の240億円。営業利益率は1.5ポイント改善し10.7%と大幅な増収増益だった。国内の既存店&EC売上高は同15.1%増。24年2月以降、毎月プラス基調を継続しており、坪当たり売上効率も改善している。客層の拡大も顕著だった。

24年9月〜25年2月期業績には入らないが、3月に開催した「無印良品週間」も大変好調で、過去最高の実績を記録したという。単なる値引きキャンペーンではなく、「新商品を試していただいたり、ファンの方々が集う機会」として「無印良品週間」を最大限に活用。「マーケティングやSNSの効果も発揮され、お客さまの近くに出店を重ねてきたことも相乗効果となって、非常に大きな盛り上がりになった」と説明する。

好調に特に寄与しているのが、スキンケアなどを扱う「ヘルス&ビューティ」カテゴリーと、日用消耗品などを扱う「ハウスウェア」カテゴリーなどの生活雑貨だ。商品力の強化を軸に、マーケティング施策、店舗や在庫管理のオペレーション力改善が進んだ。「ヘルス&ビューティ」は前年同期比で40%増、一昨年同期比で75%売り上げが伸びた。これにより売上高構成比が一昨年に比べて5ポイント上昇し 21%のシェアに高まった。「この商品群はお客さまに気に入っていただければ数カ月後にリピートしていただける。それが客数の増加に大きく寄与している」。

「ハウスウェア」カテゴリーも売上高構成比が一昨年同期に対し2ポイント上がって7%になり、売り上げも前年同期比で40%増、一昨年同期との比較では、「ヘルス&ビューティ」をしのぐ80%増と大きく伸びている。

海外事業は営業収益が前年同期比15.6%増の1560億円、営業利益は同34.5%増の283億円。営業利益率は18.1%で2.6ポイント上昇した。特に中国本土がけん引した東アジア事業は、営業収益が同15.1%増の1103億円、営業利益が同31.7%増の213億円と増収増益で着地。値引き抑制のほか為替効果による押し上げにより、営業総利益率が改善し、営業利益率は2.4ポイント改善の19.4%となった。

「大きな市場である中国本土は既存店の売り上げ好調が続いている。特に1月に発売したスキンケアの新商品が既存店売り上げを押し上げている」と清水社長。上期の営業収益は684億円(同19.3%増)で、既存店&EC売上高は6.0%増と計画を超過。特にEC販売が好調に推移し、店舗も売り上げ上位店に在庫を厚く配分したことで堅調に推移した。

中国本土は景気の減退などもあり、他社は苦戦が目立つ。「中国は大幅な市場の冷え込みが一巡したというところで、当社は数字が盛り上がってきた。数年かけて地道に現地化の商品を作り出してきたことに加え、日本からも商品を投入して品ぞろえが拡充した。また、人員が徐々にそろい、例えばマーケティングであればロイヤリティープログラムを昨年刷新したり、SNSやCI(コーポレートアイデンティティー)の強化など地道な努力が奏功している」。

期末店舗数は1368店舗だった。国内は郊外を中心に33店舗を出店し651店舗。海外は45店舗を出店し、717店舗になった。中国本土ではスクラップアンドビルドを推進、東南アジアは、ベトナム、タイ、マレーシア等に出店を強化。都心部に大型店の出店を進めることで、認知度を高める。

25年8月期通期業績は、営業収益と各段階利益の通期見通しを1月の上方修正からさらに引き上げる。修正後の営業収益としては前期比16.4%増の7700億円(修正前は7540億円)、営業利益は同19.4%増の670億円(同640億円)を見込む。営業収益および各段階利益は、過去最高を更新する見通し。

同社は世界での成長に向けた8つの成長ドライバーを従前から掲げているが、その筆頭である出店の拡大については、国内では生活圏の600坪(約1980平方メートル)店舗の出店を継続する。「600坪の店舗フォーマットは完成した。今後は台湾、韓国、フィリピンに完全移植を開始する」。数年かけて改革を進めた衣料品カテゴリーも好調で、在庫も適正水準だ。「狙い通り、機能性のある天然素材のインナーウエアなど定番品が非常に好調だった。このまま継続していくのに加え、婦人服は成長余地がある。紳士服との差が少ない品ぞろえになってしまっているため、もう少しフェミニンなデザインや素材感のある商品を追加し、お客さまを増やしたい」としている。

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第14話:クロスシッピングが機能しないトラブル 解決のカギは“新しい〇〇”の設置

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

南関東倉庫が欲しがる商品は、他のエリアでも売れる——その傾向に気づいた地域倉庫は、在庫を囲い込むようになっていた。そうなるとクロスシッピングは上手く機能しない。万策尽きかけたと思われた頃、透は社長の平磨に呼び出される。対話の末に導き出したのは、「新たな〇〇が必要」という結論だった!

登場人物紹介

第十四話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第14話:クロスシッピングが機能しないトラブル 解決のカギは“新しい〇〇”の設置

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

南関東倉庫が欲しがる商品は、他のエリアでも売れる——その傾向に気づいた地域倉庫は、在庫を囲い込むようになっていた。そうなるとクロスシッピングは上手く機能しない。万策尽きかけたと思われた頃、透は社長の平磨に呼び出される。対話の末に導き出したのは、「新たな〇〇が必要」という結論だった!

登場人物紹介

第十四話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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「トランプ関税は続かない」 ファストリ柳井会長や後継候補らが決算会見で語ったこと 

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は4月10日、2024年9月〜25年2月期決算説明会に登壇し、「“解説”より“解決”」をテーマに会社の方針説明を行った。業務変革や課題解決については常々、「能書きはいいから実践してください」と語ってきた柳井会長。業務変革も構想や計画だけでなく、現場に入り込んでオペレーションにどう落とし込み、実践・実現、仕組み化するのかを重視してきた。柳井会長による方針説明を全文レポートする。

また、近年は決算会見に後継候補の経営幹部が毎回登壇するようになっているが、今回は、柳井会長、岡﨑健取締役グループ上席執行役員CFOに加えて、若林隆広グループ上席執行役員ユニクログローバルCOO、丹原崇宏グループ執行役員CIO、寺師靖之グループ執行役員が登壇し、いつにも増しての大所帯。トランプ関税についての所感など、柳井会長をはじめとした経営陣の質疑応答を記事後半でまとめた。

中国大陸は個店経営へ変革

「業績は好調です。私たちが掲げるLifeWearに対する理解と支持が一段と強まり、グローバルな規模で着実に収益を上げられる体制が非常に強固になってきました。しかし、『世界最高のブランドになる』という私たちの目標からすれば、現状はまだまだ問題だらけです。一時の好業績に浮かれてはなりません。現実の問題を直視し、口先だけの説明でなく、自ら率先し、行動し、解決すること。“解説”よりも“解決”。この姿勢が最も大切だと考えております」

「課題に直面しているのが、中国大陸のユニクロ事業です。その本質的な原因は、本当の意味での、お客さまに必要とされる、地域に愛される店になっていないことにあります。中国の社員や経営者の素質は高く、チェーンストアの強みを生かし、ここまで事業拡大ができました。しかし現状は、本部の指示で全ての店舗が一律に動く傾向が強く、各地域のお客さまに合った品ぞろえや売り場作りができていません」

「この状況を打破し、再び高い成長を実現するには、各店舗が自らの頭で考え、商売を作る、個店経営への変革が不可欠です。今後、弊社が先頭に立ち、販売員、および、社員を教育し、全ての店舗、全ての社員が自らお客さまとしっかり向き合って、真にお客さまに求められる商品構成、売り場を実現する体制にします。かつて私たち日本の国内でもチェーンストアオペレーションの限界に直面し、それを個店経営の徹底で乗り越えた経験があります。中国大陸においても必ずこの問題を克服し、次のより高いステージに進むことができると確信しております」

「ジーユーらしさ」を早急に確立

「次にジーユーですが、本来ユニクロと同じくらいの成長の可能性があります。しかし、その本質的な課題は、確固たるブランドポジションが確立ができていないということです。お客さまにとってジーユーのブランド価値はどこにあるのか。“ジーユースタイル”をより明確にする必要があります。売上げ3000億円までは経営者のリーダーシップの下、成長してきました。次のステージである1兆円への挑戦の過程では、全てイチから作り直すような覚悟で世界に通用するジーユーブランドのあるべき姿を追求していく必要があります。そのために経営体制の強化を実行しました。問題は多くありますが、問題解決のプロセスを通じ、より大きく成長できる。そのように考えております」

「企業経営にとって最も致命的なことは、問題が存在するのにも関わらず、それを認識していない。もしくは問題をあえて見ないようにする。そのような姿勢にあります。問題を直視し、個別具体的に対策を立てて、即断即決で愚直にそれをやり続ける。最もお客さまのためになることは何かとの信念に従って行動すれば、必ず解決できる道筋があります。発生する問題を一つひとつ解決し、結果を次の行動に生かす。そうすれば今よりさらに高い次元に成長できます。これはまさにピンチでなくてチャンスです。そのような姿勢で失敗を恐れずに新たな挑戦を続けていきます」

真のグローバルブランドを目指す

「いま私たちファーストリテイリングは、真のグローバルブランドを目指す全く新しいステージに入りました。ここから先、過去のやり方の延長線上ではたどりつけません。まだ誰もやったことがない斬新な発想で、世界最高水準の商品やサービスを作り出すことが必要です。そのような観点から、私は今年の年度方針を“原点、挑戦、革新”としました。創業以来私たちが大切にし実践してきた顧客の要望に応え、顧客を創造する経営。ローコスト経営。基準の高さと実行の徹底。現場・現物・現実。独立自尊の商売人の精神。即断即決即実行。こうした原点を決して忘れることなく、改めて過去のやり方を大胆に見直し、原点に返ってイチから挑戦を始めます」

「先程お話ししたように、LifeWearの支持はグローバルに広がっています。欧州、北米だけでもアパレルの市場規模は約120兆円といわれています。私たちの市場シェアはその1%にも達していません。東南アジアやインドなどでも業績が好調です。未出店の都市が多数あることに加え、既存の地域も深堀りをすればさらに拡大できます。中国もいずれ経済状況は回復に向かうでしょう。世界各地で非常に大きな成長の余地があります。世界中のあらゆる人のための究極の普段着というLifeWearのコンセプトは他のどのブランドにもないユニークなものです。私たちは世界のマーケットで最高のポジションにいます」

「現状の課題を一つひとつ着実に解決していけば、さらに飛躍的な成長ができると確信しています。そのために必要なことは、グローバル経営・全員経営の徹底です。世界中の全ての社員、および、経営者が自分たちは今どこに向かっているのか正しく理解し、常にグローバルな視点で何が最善なのかを考える。行動する。その上で地域のお客さまの求める商品やサービスを作り出す。世界中でお客さまに提供していくということが必要です。常に全員が経営者であり、世界中で全ての社員が1つのチームとなって全社にとって最も良い方法で実行する。それがグローバルワン・全員経営の目指すものです」

「意味がある店」を作る

「先程ユニクロの中国大陸事業の話をしましたが、これから世界各地で個店経営をより徹底していきます。各地の店舗は私たちの商売をお客さまに伝える強力なメディアです。私たちは何者なのか?何を目指しているのか?ブランドが価値観を発信しつつ、それぞれの地域のライフスタイルに合った商品構成で全ての店舗を地域のお客さまから必要とされる店舗にしていきます。買って良かった、また来ようと思われる店。お客さまにとって意味がある店を作る。真にお客さまの役に立つ個店経営を実現し、お客さまが本当に愛されるブランドにしていきます」

「私たちの商売の究極の目的は、自らの商売を通じて社会を良くしていくことにあります。これが全ての出発点です。私たちの商売はお客さまの生活を便利で快適にしているか?私たちの仕事は社会をよくするために貢献してるか?それらが最も重要なことです。そのために全員が力を合わせ、目の前の問題を具体的に一つひとつ解決していく。解説よりも解決。ピンチはチャンスです。目標に挑むために必要な道具立てや時代の条件は全てそろっております。あとは果敢に挑戦し続けることです。皆さまの一層のご支援・ご指導をお願い申し上げます」

【以下、質疑応答】
「トランプ関税にも生産地分業で対策可能」

ーーファーストリテイリングの業務変革は明らかにうまくいっているようだが、その理由は?

丹原崇宏グループ執行役員CIO(以下、丹原):われわれとしてはまだまだやらなきゃいけないことがあると思っていて、全てうまくいっているとは思っていません。その中でも業務変革を進めることができている一つのポイントとして私が考えるのは、やはり実行・徹底することが企業文化として強い。業務変革のために現場で一緒に仕事をしていく中で、考えて計画して終わるのではなく、実際にやってみて、失敗を重ねながらできるまでやり切ることを続けている。この実行の部分に非常に重きを置いている。だから、成功の秘訣というよりも、「できるまでやる」というスタンスでやっているのが一つのポイントだと思っています。

ーーまだ満足していないということだが、さらに業務改革を進めていく中で、どのあたりに伸びしろがあるのか。

丹原:今後を考えるうえで何かネックがあるわけではないですが、やはり海外に事業が拡大する中で、グローバルワン・全員経営で、すなわち、世界で一番いいやり方を実行していく必要がある。当然ながら海外においても一番いいやり方でないといけない。この観点でいくと、われわれ自身が日本だけでもなく、他の国、とくに成長している欧米などのこともきちんと理解したうえで、本当にいいやり方を作っていく。そのために、米国にGHQ(グローバルヘッドクオーター)を立ち上げたり、私自身も今欧州に赴任して、欧州から世界へというような挑戦をしています。

ーー今後とくに注目すべきKPIや、利益率の改善方法などについて補足してほしい。

岡﨑健取締役グループ上席執行役員CFO(以下、岡﨑):やはり在庫の効率のところ。結局SKU単位で経営するところがうまくいくと、当然在庫の回転率も良くなっていくと思います。それから、定期的に数値をお出ししていないのですが、人時生産性を向上させていくことに力を入れています。これは報酬を上げながらやっていますが、売り上げを成長させながら、人件費を抑制していくと、業績に直接好影響が出てくると思います。

ーー一番わかりやすい指標で営業利益率があるが、中長期で目指している20%は見えてきたのか?

岡﨑:20%は一つの目安で、とにかく着実に成長し続けていくということです。将来に向けて投資が先行する時もあれば、(投資が重ならず)営業利益率が高めになることもある。(15%、20%)この範囲内でやっていきたいと思っています。

ーー今一番ホットな話題である関税について教えてほしい。下期に営業利益で2~3%の影響が出ると試算している。価格は関税分を飲み込んで値上げはしない、という考え方をベースにしていると思う。トランプ関税の影響度を低く見積もっているのは、もう既に多くの商品が(米国に)入庫しているから問題ないということか。ユニクロの北米事業はかなり事業として上向いていて、テキサスなど新商圏の芽も出てきた。関税の問題もあって、今後いろいろな選択肢が考えられると思う。この局面だからこそ、まだマーケットシェアが低いからこそ取れる戦略を教えてほしい。

柳井正会長兼社長(以下、柳井):生産地の国際分業は完全に確立されています。アメリカが(良いところを)全部取るみたいなことはあり得ない。金融や情報産業はアメリカ中心なんですから、(アメリカは製造業から)そちらの産業のほうにシフトしたと考えないといけないと思いますし、われわれは生産調整もできるので(対策は取れる)。産地も「チャイナプラスワン」ではなく、「アジア、プラス、アジア内におけるチャイナ」に変わってきている。生産地はいくらでも変更できると思っています。もし分断されたとしても、関税に対してできることはやろうと思っていますが、今報道が出ているような税率に関しては、今の国際情勢から考えて無理がある。多分、こんなことは続かないと思います。

岡﨑:下期の試算は、4月2日に発表された税率がそのまま適応され、一切こちらがアクションを取らないとしたらどうなるのかという前提で行っています。おっしゃるように、今下期についてはすでに相当の在庫を(アメリカ国内に)持っているので、影響は限定的だと思っていいます。ただその後税率がどうなるかは毎日状況が変わっおり、今の時点で断定的なことは申し上げられない。あくまで仮定の数値で、どちらかというと保守的に見たものです。来年度以降は柳井の言う通り、適切にできることがたくさんあると思っているので、どうなっても対応していきます。

ーーまだ北米ではマーケットシェアが低く、伸びる余地がある中で、今のポジショニングや価格政策は、他社状況やコストを見ながら上げていくのか。関税分を、ある程度御社として吸収していく考えはあるのか。

柳井:適正ということが一番大事です。われわれのポジションに応じてプライスを付けていく。お客さまがわれわれの商品に対してこれが適正だと思うプライシングをしていく。客観的に見て、われわれのブランドが浸透していくようなプライシングにしていく。やはり今の世の中は、いい会社、いいブランド、あるいはいい販売員からいい商品を買いたいと思っているので、いい商品を確実に在庫しているということが必要だと思う。そうした状況をシステムを通じて実現していく。エンド・トゥ・エンドでやる。それが業務改革だと思っていますし、そういった会社になる。その基本はやはり人材なので、人材に投資をする、そういうことなんじゃないかなと思います。

ーー「ジーユー」は可能性が非常に大きいと思っている。どうしたら潜在力を発揮できるようになるのか、若林さん、丹原さん、寺師さん、それぞれの分野から話が聞きたい。

若林隆広グループ上席執行役員ユニクログローバルCOO(以下、若林):私はユニクロ担当なのでジーユーはライバルですが、ある意味非常にポテンシャルが高く、うまくやると脅威を感じるぐらいチャンスがあると思います。商売とか経営というものは、会社が変わっても普遍的で通用する価値観や考え方がある。それがファーストリテイリングのモットーですので、自分の視点で言えることを申し上げると、お客さまの期待にどう応えてていくのかを突き詰め、お客さまが出発点であり最終到達点であるというふうにすること。個店経営、SKU経営、あるいは、グローバルワン・全員経営、小売業の最も重要な人材・ピープルズビジネス、小さいこと・基本的なことを大事にするスモールビジネス。こういったことをユニクロ以上に、あるいはユニクロと同等の水準で磨き上げていけば、ジーユーは大きなライバルになってくるのではないかと思います。

丹原:デジタル変革の立場からお答えすると、ジーユーは成長のポテンシャルは非常に大きい。この前提は基本的に変わっていないです。核となるのは、やはりグローバルワン・全員経営というところですね。ユニクロの中でうまくやってきた部分、本当にいいことは当然ジーユーでも通用する。その本質的な部分は変わらないので、どれだけジーユーらしさというものを磨きつつ、グローバルワン・全員経営という本質の部分を同時に磨いていけるか。それができれば、ジーユーは今よりももっとよくなってくると思います。

寺師靖之グループ執行役員(以下、寺師):(自分の専門分野の)人材という意味だけでなく、本音の話をすると、ジーユーの存在意義みたいなことを確立しなければならないと思っています。お客さまから見て、ジーユーとは何なのか、ジーユーでは何が手に入るのかをしっかり分かるようにしなければいけないですし、そのためには商品、マーケティングなど全てがつながっていないといけない。人材に関して言うと、もっと経営者と社員が一緒に働いて教育していかなければならないと思います。今でもいい社員が多いですが、より成長できる余地はあると思うので、それをジーユーの経営者と一緒に進めていきたいと思います。

ーー厳しい状況にある中国について。下期から来期にかけて改善させていきたいという言葉もあったが、それをもっと早められる可能性はないのか。逆に改善が遅れてしまうリスクがあるのではないか。ユニクロのグローバルCOOである若林さんから見て、中国はもっとこうす流べき、という視点があれば教えてほしい。

若林:僕がユニクロに入社してから30年ぐらいたちますが、思い起こしてみるとずっと市況は良くなかったと思うんですね。その中でも成長する企業と成長できない企業があるということだと思いますので、常にピンチはチャンスなんだと思います。中国では日本以上に気候や客層、客数、店舗の置かれた環境が違う。そういう中で重要になるのは、やはり顧客を創造すること。出発点をお客さまに置いて、個店ごとに商品の品ぞろえ、売り場、在庫、お客さまとのコミュニケーションをしっかり行い、個店レベルでSKU管理を丁寧に行っていくことが何よりも重要と思います。今ユニクロ日本の業績がやや改善して上向いているということは、こういう基本的なことを再度徹底したから。グローバルワン・全員経営、SKU経営を突き詰めてやっていくということじゃないかと思います。これ、スポーツと一緒なので、それを最後はやり切るチーム・個人が集まって、正しい思いで努力すれば、中国も必ずまた大きく成長できるんではないかと思っています。

ーー中国のリスクについてはどう考えるか。

若林:リスクは常にある。目指す水準があり、現状とのギャップに立ち向かっていくチームと社員がいれば、リスクも乗り越えていけるのではないかと思っています。中国は店舗によって本当に置かれている環境が全く違います。われわれの個店経営やSKU経営、グローバルワン・全員経営を日本のマーケット以上に突き詰めていくことで、より得られる効果は大きいマーケットだと思っているので、そこにチャンスがあると思っています。

ーー欧州事業については、どういうところにポテンシャルを感じているのか。また、欧州の出店が計画値に少し足りていないが、これはずれ込んだだけなのか、来期以降に向けて変わる点があるのか。

岡﨑:いま欧州の店舗では、既存のお客さまがリピーター化して、評判が評判を呼び、新規のお客さまが流入している。こういう良いサイクルが起きています。ヨーロッパ全体でブランド認知が上がってきたことで、出店をすると早い段階で顧客ができ、客層の拡大が起きています。まさに顧客の創造ということだと思うのですが、これを続けていくことが大事で、われわれがしっかり商売をしていけば、そこにはすごく大きな需要がある。したがって出店も積極的に行っていきますが、出店が計画値に足りていないのは単純に期ずれの問題です。数を追うのではなく、質の高い出店を着実に進めていくことが大切だと考えています。

ーー以前は欧州では特に若年のお客さまが流入しているという話だったが、そこの傾向は変わっているのか。さらに広がっているということもあるのか。

岡﨑:若年層が新規に流入する構造は今も続いています。ただ、年齢を問わず、Made For Allなブランドとして伸ばせてきているので、特定の顧客層だけ、ということはないです。

ーー先ほど柳井会長からトランプ関税については「持続しないだろう」という主旨の話があった。貿易戦争による、世界的な景気の後退や、消費の減退などのリスクは大きくないと見ているのか。あるいはこのトランプ関税による貿易戦争というピンチが、チャンスになりえるということなのか。

柳井:いや、合理的に冷静に考えれば、ああいった関税をかけることは、歴史から見ても将来を考えてもありえない。技術が進歩し、スマートフォンがある時代で、誰でも(情報が取れるし)どこにでも行ける。発展途上国が本当に発展している。今はそういう時代ですよ。(トランプ関税は)アメリカが孤立する状況になる。そういうことは合理的に考えたらありえないというふうに思います。

ーーつまり続かないと。いずれは関税は撤廃されていくと。

柳井:いや、撤廃するかどうかは知りませんけどね。冷静に合理的に考えて、ああいうものは通用しないと思います。

ーー昨年の8月期に売上高が3兆円超えて、柳井会長はここから5兆円、10兆円へと拡大していくと話していた。上期の数字を見ると着実に進んでいると思うが、トランプ関税は5兆円、10兆円に向けたタイムスケジュールにどんな影響を与えるか。あるいは遅れることなく達成できるのであればその根拠は。

柳井:いや、将来のことは分からないですから何とも言えないですけど。でもね、今みたいな関税合戦みたいなことを続けていくと大国はいいかもしれないですよ。その周辺の国や発展途上国にとって大災害ですよね。で、そういうことは世界の世論として続かないと思いますし、あらゆるビジネス、生活にとって、やっぱりお客さまがすべてですよね。そういったひどいことは続かないと思いますし、たとえ続いたとしても、経営者はそういうことが起きないような世界を目指すことが必要なんじゃないかなと思いますけど。

ーーではこの5兆円、10兆円という成長の目標の達成のタイミングが変わったりすることはないと?

柳井:いや、先のことはわかりません。でもピンチこそがチャンスですから。だから、そういうこと(トランプ関税)を前提にしながらも、やっぱり5兆円とか10兆円は確実に行けると思います。

ーー会見では若林さんと丹原さんに業務システムの改革について説明いただいたが、国内だけではなくて世界でどのように反映されていくのか。

若林:実践により得た知識、実践知がデジタル化も含めて世界各国で再現されて、グローバルで同一の水準で業務が行われるようにすることが重要ですので、基本的には世界同時展開ですね。ただやはり物事を何か成し遂げようと思った時に判断や実行をするのはチームや個人であり、もちろんそこには差がある。海外部門に関してはより高い精度が求められるのも事実です。ただ、商品の情報を含めて、今は全ての情報がグローバルで一元化されています。全事業国のお客さまの声が可視化されており、各事業の社員もGHQの本部側の人間も常にリアルタイムで確認できます。そういう環境を、チームや個人が意思決定していくために整えています。

丹原:日本だから、アメリカだからではなく、グローバルワンとして、世界で一番いいやり方でわれわれはやっています。再現性も含め仕組み化するまでをグローバルで実施するという考え方です。世界の現場で試しながら形にしていったものは、仕組みとしてどこでも回るものになる。これが日本でも回るし、アメリカでも回る。こういう形で最終的にグローバルワンの形になるというやり方をしている。

ーー25年8月期下期の事業利益でトランプ関税の影響が2~3%見込むという話があったが、アメリカの消費減退リスクは踏まえているのか。それを踏まえて、たとえば供給網の見直しや出店計画の再検討などに入っているのか。

岡﨑:関税が上がったことを仮定した際の理論値で出しており、それに対して消費傾向がどうなるまでは考えていない数字だ。トランプ関税を受けての対応については、非常に今流動的なので、あらゆる手を尽くして対応していくということに尽きるので、何か特定的なことを今断定して申し上げることはできないです。何が来ても対応できるように準備はしているというふうに理解していただきたい。

ーー柳井会長が生産地の変更や分業に言及されていたが、今回のトランプ関税のように、税率は違うが各国に一律に関税がかけられる状況に果たして対応できるのかを教えてほしい。

柳井:生産地ですが、それぞれの生産者がかなり大きな規模になって、グローバル化しなければならないという状況に今あります。一例ですが、中国の生産者は今までベトナムやカンボジアなどで主に作ってきましたが、今は、インドネシアやバングラデシュにも工場を広げ、将来的にはインドにも行くし、アフリカのモロッコやエジプトでも作り始めると思っています。ですから、国別に関税をかけたとしても、実際、経済や金融、情報には国境がないので、それは無理だというふうに思います。

ーー自由貿易を支持し、包括的なサプライチェーンを構築してきたが、今後トランプ関税により、御社を含む多くの企業がリスクにさらされている。これに関してはどう感じているか。

柳井:関税に関しては(アメリカがどう考えようと)自由なんですけど、やはり自国だけ優先する、そういう関税のあり方はグローバルで考えてあり得ないと思います。それをすることで、かえって自国にとってまずいことになるんじゃないかなとも思います。

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創業以来毎年3倍成長を継続  LVMHが出資するノンアルコール「フレンチ・ブルーム」創業夫妻に聞くブランディング

PROFILE: 左から、ロドルフ・フレールジャン・テタンジェ、マギー・フレールジャン・テタンジェ / フレンチ・ブルームCEO、創始者

左から、ロドルフ・フレールジャン・テタンジェ、マギー・フレールジャン・テタンジェ / フレンチ・ブルームCEO、創始者
PROFILE: ロドルフは、フランス生まれ。シャンパーニュメゾン「テタンジェ」の創業者のひ孫。シャンパーニュ地方で育ち、兄弟のギョーム、リチャードと共にグランクリュとプルミエ・クリュのシャンパーニュ「フレールジャン・フレール」を手掛ける。また、1767年創業のコニャックメゾン「クタンソー・エネ」を復活させた。2019年に妻のマギーと立ち上げた「フレンチ・ブルーム」ではCEOとしてあらゆる製造技術とノウハウを注ぎ込んでいる。マギーは、ニューヨーク生まれ。「ミシュランガイド」でキャリアを積み、妊娠をきっかけに友人のスーパーモデルであるコンスタンス・ジャブロンスキーとフレンチ・ブルームを創業 PHOTO:SHUHEI SHINE

フランス発ノンアルコール・スパークリングワイン「フレンチ・ブルーム(FRENCH BLOOM)」から新作“エクストラ・ブリュット”が登場した。アルコール、糖質、亜硫酸塩はゼロで、わずか1カロリー。オーガニックのシャルドネを使用した酸味とミネラルが融合した複雑な味わいが特徴だ。新作発売を記念し、20周年を迎えた「マンダリン オリエンタル 東京(MANDARIN ORIENTAL TOKYO)」(以下、マンダリン)と協業で24日まで、同ホテルでペアリングコースやピクニックセットなどを提供。「マンダリン」の野坂昭彦ディレクターオブワインは、「ブドウの旨味が感じられ、自信を持って薦められるノンアルコールだ」とコメントしている。

「フレンチ・ブルーム」は2019年に「ミシュランガイド」出身のマギー・フレールジャン・テタンジェ創始者とシャンパン「テタンジェ(TAITTINGER)」の創設者のひ孫であるロドルフ・フレールジャン・テタンジェ最高責任者(CEO)が創業。創業のきっかけは、マギーの妊娠。市場に出回っているノンアルコールワインは糖度が高く食事には不向きだった。そこで、食事とペアリングできる「フレンチ・ブルーム」を考案し、シャンパン造りのノウハウと革新により試行錯誤を重ねて完成させた。その複雑な香りと味わいにより、一流ホテルやレストランが選ぶノンアルコールワイン。「フレンチ・ブルーム」は、昨年10月には、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が出資する初のノンアルコールのブランドになった。イベントのために来日した、テタンジェ夫妻に今後の戦略について聞いた。

フルコースにペアリングできるノンアルコール

WWD:新作“エクストラ・ブリュット(以下、ブリュット)”の特徴は?

ルドルフ・ フレールジャン・テタンジェ=フレンチ・ブルームCEO(以下、ルドルフ):脱アルコールの試行錯誤を重ね、ラングドック地方のリムーのブドウを採用している。このテロワールの土壌を感じさせる爽やかでミネラル感のある味わいだ。酸化を最小限に抑え、木樽で熟成。製造のレベルを引き上げたので、より複雑かつ余韻が感じられる。ドライで、酸味と塩味があり、食事とのペアリングにふさわしい。ホタテなどの魚介料理にぴったりで、子牛やラムなどのメインコースにも合うワインだ。

WWD:現在の商品のラインアップは?

マギー・ジャンフレール・テタンジェ フレンチ・ブルーム創始者(以下、マギー):4種類。“ル・ロゼ”ル・ブラン”“ラ・キュヴェ・ヴィンテージ2022(以下、ラ・キュヴェ)”に”ブリュット“が加わった。“ル・ブラン”は祝賀を含めた乾杯にふさわしく、“ル・ロゼ”はデザートに合う。“ブリュット”は食事に合うので、スパークリングだが、どちらかというとワイン的な存在、“ラ・キュヴェ”は、熟成した深みのある味わいが特徴。この4つのラインアップがあれば、フルコースにペアリングができる。

WWD:ターゲットと実際の購入層は?

マギー:当初、ターゲットは妊婦や健康的、宗教的理由から飲酒ができない人を想定していた。ところが実際の購入者の8割は、フレキシ・ドリンカー。全体の7割が女性で、年齢は20〜50代と幅広い。ノンアルコールであっても、ふくよかな味わいを求める層に選ばれている。“ラ・キュヴェ”は男性の割合が高く、ワインが好きなシャンパン愛飲家から支持されている。“ブリュット”はあらゆる人に好まれると思う。

ノンアルコール市場の広がりにより毎年3倍成長

WWD:現在何ヵ国で販売しているか?トップ3の市場は?

ルドルフ:50カ国以上。1位がフランス、2位がアメリカ、3位がイギリスと日本。日本はワインの愛好家が多く、大きなポテンシャルがある市場だ。

WWD:創業してからの売上高の推移は?

ルドルフ:創業以来、毎年3倍成長している。大きな要因は、飲酒に対する文化の変化が理由だ。世界中の消費者が節度ある飲酒をするようになり、味に妥協しない洗練されたノンアルコールドリンクの選択肢を求めるようになったのが大きい。また、ワイン同様の香り、味わいの深みを出すためにテロワールから製造までこだわり、高級ホテルやミシュラン星付きレストランなどで選ばれるようになった。ロンドンの「ハロッズ(HARRODS)」やパリの「ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)」など高級百貨店でも販売されている。それにより、ブランドの魅力や信頼性が高まっている。

WWD:ブランドの認知度アップのために行っていることは?

マギー:パリ・ファッション・ウィークや音楽の祭典「ブリット・アワード(BRIT AWARDS)」、音楽フェスティバル「コーチェラ(COACHELLA)」などに参加している。このような活動を通して、ファッションやスポーツ、文化、ビジネスで影響のある人々とのコミュニティーを築いてきた。「マンダリン」といった素晴らしいパートーナーとのコラボレーションもその一環だ。

LVMHのサポートでノンアルコールのプレミアムメゾンに

WWD:LVMHの出資比率は?初のノンアルコールブランドへの出資だが?

ルドルフ:30%。LVMHはノンアルコールという新しいカテゴリーに可能性を感じたのだと思う。また、「フレンチ・ブルーム」は、単なるシャンパンやワインの代替品を提供するのではなく、リムーのテロワールに根ざし、研究開発を行い独自の製造法(サヴォワフェール)を生み出した。一過性ではなく、長期的視野でメゾンとしての完璧さを求め歩んでいる点に関心を持ってもらえたのだと思う。

WWD:LVMHのパートナーシップに期待することは?

ルドルフ:新市場進出や市場拡大の大きな鍵になる。また、いかに、より良い商品を作るかというサヴォワフェールを深めるための研究開発も積極的にサポートしてもらえると思う。

WWD:今後のノンアルコール市場については?

ルドルフ:ノンアルコール市場は、もはやニッチではなくムーブメントとして捉えるべきだ。あらゆるカテゴリーにおいて、品質や経験を犠牲にしないラグジュアリーが求められる時代。「フレンチ・ブルーム」は、革新的な製造方法により、ノンアルコールでありながら高級ワインと同様に複雑なスパークリングワインを提供している。ノンアルコールのプレミアムブランドとして、味はもちろんのこと、ブランド体験両方を提供していきたい。

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創業以来毎年3倍成長を継続  LVMHが出資するノンアルコール「フレンチ・ブルーム」創業夫妻に聞くブランディング

PROFILE: 左から、ロドルフ・フレールジャン・テタンジェ、マギー・フレールジャン・テタンジェ / フレンチ・ブルームCEO、創始者

左から、ロドルフ・フレールジャン・テタンジェ、マギー・フレールジャン・テタンジェ / フレンチ・ブルームCEO、創始者
PROFILE: ロドルフは、フランス生まれ。シャンパーニュメゾン「テタンジェ」の創業者のひ孫。シャンパーニュ地方で育ち、兄弟のギョーム、リチャードと共にグランクリュとプルミエ・クリュのシャンパーニュ「フレールジャン・フレール」を手掛ける。また、1767年創業のコニャックメゾン「クタンソー・エネ」を復活させた。2019年に妻のマギーと立ち上げた「フレンチ・ブルーム」ではCEOとしてあらゆる製造技術とノウハウを注ぎ込んでいる。マギーは、ニューヨーク生まれ。「ミシュランガイド」でキャリアを積み、妊娠をきっかけに友人のスーパーモデルであるコンスタンス・ジャブロンスキーとフレンチ・ブルームを創業 PHOTO:SHUHEI SHINE

フランス発ノンアルコール・スパークリングワイン「フレンチ・ブルーム(FRENCH BLOOM)」から新作“エクストラ・ブリュット”が登場した。アルコール、糖質、亜硫酸塩はゼロで、わずか1カロリー。オーガニックのシャルドネを使用した酸味とミネラルが融合した複雑な味わいが特徴だ。新作発売を記念し、20周年を迎えた「マンダリン オリエンタル 東京(MANDARIN ORIENTAL TOKYO)」(以下、マンダリン)と協業で24日まで、同ホテルでペアリングコースやピクニックセットなどを提供。「マンダリン」の野坂昭彦ディレクターオブワインは、「ブドウの旨味が感じられ、自信を持って薦められるノンアルコールだ」とコメントしている。

「フレンチ・ブルーム」は2019年に「ミシュランガイド」出身のマギー・フレールジャン・テタンジェ創始者とシャンパン「テタンジェ(TAITTINGER)」の創設者のひ孫であるロドルフ・フレールジャン・テタンジェ最高責任者(CEO)が創業。創業のきっかけは、マギーの妊娠。市場に出回っているノンアルコールワインは糖度が高く食事には不向きだった。そこで、食事とペアリングできる「フレンチ・ブルーム」を考案し、シャンパン造りのノウハウと革新により試行錯誤を重ねて完成させた。その複雑な香りと味わいにより、一流ホテルやレストランが選ぶノンアルコールワイン。「フレンチ・ブルーム」は、昨年10月には、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が出資する初のノンアルコールのブランドになった。イベントのために来日した、テタンジェ夫妻に今後の戦略について聞いた。

フルコースにペアリングできるノンアルコール

WWD:新作“エクストラ・ブリュット(以下、ブリュット)”の特徴は?

ルドルフ・ フレールジャン・テタンジェ=フレンチ・ブルームCEO(以下、ルドルフ):脱アルコールの試行錯誤を重ね、ラングドック地方のリムーのブドウを採用している。このテロワールの土壌を感じさせる爽やかでミネラル感のある味わいだ。酸化を最小限に抑え、木樽で熟成。製造のレベルを引き上げたので、より複雑かつ余韻が感じられる。ドライで、酸味と塩味があり、食事とのペアリングにふさわしい。ホタテなどの魚介料理にぴったりで、子牛やラムなどのメインコースにも合うワインだ。

WWD:現在の商品のラインアップは?

マギー・ジャンフレール・テタンジェ フレンチ・ブルーム創始者(以下、マギー):4種類。“ル・ロゼ”ル・ブラン”“ラ・キュヴェ・ヴィンテージ2022(以下、ラ・キュヴェ)”に”ブリュット“が加わった。“ル・ブラン”は祝賀を含めた乾杯にふさわしく、“ル・ロゼ”はデザートに合う。“ブリュット”は食事に合うので、スパークリングだが、どちらかというとワイン的な存在、“ラ・キュヴェ”は、熟成した深みのある味わいが特徴。この4つのラインアップがあれば、フルコースにペアリングができる。

WWD:ターゲットと実際の購入層は?

マギー:当初、ターゲットは妊婦や健康的、宗教的理由から飲酒ができない人を想定していた。ところが実際の購入者の8割は、フレキシ・ドリンカー。全体の7割が女性で、年齢は20〜50代と幅広い。ノンアルコールであっても、ふくよかな味わいを求める層に選ばれている。“ラ・キュヴェ”は男性の割合が高く、ワインが好きなシャンパン愛飲家から支持されている。“ブリュット”はあらゆる人に好まれると思う。

ノンアルコール市場の広がりにより毎年3倍成長

WWD:現在何ヵ国で販売しているか?トップ3の市場は?

ルドルフ:50カ国以上。1位がフランス、2位がアメリカ、3位がイギリスと日本。日本はワインの愛好家が多く、大きなポテンシャルがある市場だ。

WWD:創業してからの売上高の推移は?

ルドルフ:創業以来、毎年3倍成長している。大きな要因は、飲酒に対する文化の変化が理由だ。世界中の消費者が節度ある飲酒をするようになり、味に妥協しない洗練されたノンアルコールドリンクの選択肢を求めるようになったのが大きい。また、ワイン同様の香り、味わいの深みを出すためにテロワールから製造までこだわり、高級ホテルやミシュラン星付きレストランなどで選ばれるようになった。ロンドンの「ハロッズ(HARRODS)」やパリの「ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)」など高級百貨店でも販売されている。それにより、ブランドの魅力や信頼性が高まっている。

WWD:ブランドの認知度アップのために行っていることは?

マギー:パリ・ファッション・ウィークや音楽の祭典「ブリット・アワード(BRIT AWARDS)」、音楽フェスティバル「コーチェラ(COACHELLA)」などに参加している。このような活動を通して、ファッションやスポーツ、文化、ビジネスで影響のある人々とのコミュニティーを築いてきた。「マンダリン」といった素晴らしいパートーナーとのコラボレーションもその一環だ。

LVMHのサポートでノンアルコールのプレミアムメゾンに

WWD:LVMHの出資比率は?初のノンアルコールブランドへの出資だが?

ルドルフ:30%。LVMHはノンアルコールという新しいカテゴリーに可能性を感じたのだと思う。また、「フレンチ・ブルーム」は、単なるシャンパンやワインの代替品を提供するのではなく、リムーのテロワールに根ざし、研究開発を行い独自の製造法(サヴォワフェール)を生み出した。一過性ではなく、長期的視野でメゾンとしての完璧さを求め歩んでいる点に関心を持ってもらえたのだと思う。

WWD:LVMHのパートナーシップに期待することは?

ルドルフ:新市場進出や市場拡大の大きな鍵になる。また、いかに、より良い商品を作るかというサヴォワフェールを深めるための研究開発も積極的にサポートしてもらえると思う。

WWD:今後のノンアルコール市場については?

ルドルフ:ノンアルコール市場は、もはやニッチではなくムーブメントとして捉えるべきだ。あらゆるカテゴリーにおいて、品質や経験を犠牲にしないラグジュアリーが求められる時代。「フレンチ・ブルーム」は、革新的な製造方法により、ノンアルコールでありながら高級ワインと同様に複雑なスパークリングワインを提供している。ノンアルコールのプレミアムブランドとして、味はもちろんのこと、ブランド体験両方を提供していきたい。

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南町田グランベリーパーク、売上高が過去最高 24年度390億円

東急モールズデベロップメント(東京、小山晃司社長)は、東京都町田市で運営する商業施設「グランベリーパーク」の2024年度(25年3月期)の売上高が前年比5.0%増の390億円になったと発表した。来館者数は同3.2%増の1220万人だった。ともに過去最高を更新した。

24年度は10月から11月にかけてアウトレットストア23店舗の改装を実施。ファッション感度の高いアパレルブランド、人気のアウトドアブランドなどが販売をけん引した。開業5周年を記念し、エリア内にあるスヌーピーミュージアムとの協業によって東急田園都市線にラッピングトレインを走らせたりするなど、話題づくりに取り組んできた。

売上高で好調だった店舗は「ユナイテッドアローズ アウトレット」(同13.4%増)、「ワールド アウトレット」(同14.7%増)、「ニューバランス ファクトリーストア」(同22.9%増)、「ザ・ノース・フェイス(プロパー、アウトレット)」(同25.0%増)など。

グランベリーパークは19年11月に開業。17年まで営業していたアウトレット中心の商業施設グランベリーモールを再整備し、隣接する鶴間公園と一体化した街へと刷新した。町田市とも連携した街づくりであり、駅名も南町田グランベリーパーク駅に変更した。敷地内のスヌーピーミュージアムは特に人気で、広域から人を集める。

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ファストリ24年9月〜25年2月期は過去最高業績 報酬アップでも「人時生産性が向上」

「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」を擁するファーストリテイリングは2024年9月〜25年2月期の業績が大幅増収増益となり、業績予想を上回るとともに、通期業績も上方修正した。日本、東南アジア・インド・オーストラリア地区、北米、欧州のユニクロ事業が大幅な増収増益と好調で、グループ全体で過去最高の業績を達成。「グローバルでユニクロのコア商品に対するお客さまからの支持が高まっていることに加え、戦略的にマーケティングの打ち出しを行ったことと、シーズン末まで冬物在庫を十分に持って商売したことが奏功した。北米、欧州を中心に新規出店が大成功し、店舗での販売が好調なだけでなく、店舗がメディアとなりECも大幅な増収となるなど、顧客層拡大の好循環が生まれている」と岡﨑健グループ上席執行役員CFO。一方、中国本土のユニクロ事業や、ジーユー事業は減益となった。「次のステージに進むための変革期にある。課題は明確で、解決に向けて着実に事業構造改革を実行している」という。

売上高に相当する売上収益が前年同期比12%増の1兆7901億円、営業利益が同18.3%増の3042億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同19.2%増の2335億円だった。海外ユニクロ事業が1301億円増収の売上収益1兆141億円(同14.7%増)、営業利益1685億円(同11.7%増)、国内ユニクロ事業が564億円増の売上収益5415億円(同11.6%増)、営業利益976億円(同26.4%増)となったことが寄与した。ジーユーは売上収益1658億円(同3.9%増)、営業利益139億円(同9.3%減)、「セオリー(THEORY)」「プラステ(PLST)」などグローバルブランド事業は売上収益677億円(同2.3%減)、営業利益は9億円の黒字(前年同期は17億円の赤字)だった。売上総利益率は53.3%と0.4ポイント改善。売上高比率は36.5%と0.7ポイント改善した。為替差益は319億円発生した。

とくに国内ユニクロ事業が好調。24年12月から25年2月まで気温が低く推移する中で、戦略的に防寒衣料の在庫を準備したことが奏功した。マーケティングも強化し、客のニーズにマッチした商売を展開でき、大幅な増収となった。訪日客による売り上げも好調。24年9月〜25年2月のEC売上高は824億円(同10.9%増)で、売上高構成比は15.2%となった。既存店の客数は5.3%増、客単価は4.3%増で、既存店売上高は9.8%増となった。

報酬の引き上げを行ってきたが、増収となったことで人件費比率や賃借料比率が改善。継続的な店舗作業の効率化や、繁忙期に計画的に店舗に在庫を投入してより効率的な店舗運営を行ったことなどにより、人時生産性も向上している。

2ケタの増収増益となった海外ユニクロ事業では、北米が約25%の大幅増収増益、欧州では約2割の大幅増収増益となった。グレーターチャイナは現地通貨ベースで3%の減収、9%の減益、円ベースで0.3%増収、6%の減益となった。中国本土事業が4%の減収、11%の減益で足を引っ張った。市場全体で消費意欲が低下し、過去に比べて地域間の気温差が激しく、各地のニーズに合った商品構成への対応が不十分だったという。

25年8月期末に向けては、「個店経営」「SKU管理」「グローバルワン・全員経営」を強化し、期初に設定した5つの重点課題「人材への投資の強化」「情報製造小売業の進化」「グローバル化の加速」「グループブランドの拡大」「事業拡大がサステナビリティにつながるビジネスモデルの構築」を推進。「経営者自身が課題解決によりコミットすると同時に、経営者の視点を持って実行できる人材の育成を強化する。ユニクロ事業、ジーユー事業ともに商売の基本の徹底と、情報製造小売業のさらなる進化を図ることで、『お客さまを起点とした商売』の実践と、『価値を売る商売』の強化を行う」と岡﨑CFO。

10日に行われた決算説明会には、柳井正会長兼社長と岡﨑CFOに加えて、「お客さま中心の経営を実現する業務変革」をけん引する、若林隆広グループ上席執行役員ユニクログローバルCOOと、「現場と一体になったデジタル業務変革」をけん引する丹原崇宏グループ執行役員CIO、「世界を変えていく人材を育てる」として人事を統括する寺師靖之グループ執行役員が登壇。ファーストリテイリングの業務変革のビジョンと実践について言及した。

上期の好調や世界情勢を受け、25年8月期通期業績を修正する。売上収益は前期比9.5%増の3兆4000億円と据え置くが、営業利益は同8.8%増の5450億円(修正前は5300億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は同10.2%増の4100億円(同3850億円)とし、過去最高業績を見込む。下期だけを見ると、売上収益、事業利益は増収増益ながらも、営業利益は減額修正し、若干の減益を見込む。上期に売上収益、事業利益が約200億円ずつ上振れたものの、下期には米国政府が発表した相互関税や追加関税の影響の試算を加味したため。4月2日に発表された税率がすべて適用され、下期は商品価格の値上げを行わないと仮定し、グループの下期事業利益に約2~3%マイナスの影響があるとしている。ただし、すでに相当量の商品が米国国内に入庫し、関税の影響は限定的と見込む。来年度以降については情勢を見極め、適切に対応するとしている。

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軽井沢・プリンスショッピングプラザ、24年度の売上高590億円に 3年連続過去最高

アウトレットモールの軽井沢・プリンスショッピングプラザ(長野県)の2024年度の売上高は、前年比4.4%増の590億円だった。3年連続の過去更新となった。コロナ前の19年度の533億円と比べて57億円増えた。

運営する西武不動産プロパティマネジメント(埼玉県所沢市、齊藤朝秀社長)が10日に発表した。

24年度は年間を通じて集客イベントを充実させたことや、インバウンド(訪日客)の獲得を強化したことが増収に結びついた。免税売上高は8%増の100億円で、全体の約17%を占める。ラグジュアリーブランドが増床・リニューアルした効果で、客単価が上昇した。国内客では24年3月の北陸新幹線の福井県敦賀市への延伸に伴い、プロモーションに投資したことで北陸方面からの来場が増えた。

1995年7月に開業した同施設は今年30周年を迎える。日本におけるアウトレットモールの草分け的存在で、何度かの増床を重ね、現在では店舗面積4万2000平方メートルに約240店が営業する。国内アウトレットモールの23年度の売上高では、静岡県の御殿場プレミアム・アウトレット(三菱地所・サイモン)、兵庫県の神戸三田プレミアム・アウトレット(同)、千葉県の三井アウトレットパーク木更津(三井不動産)、三重県の三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島(同)に次ぐ5位につける。

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「サロモン」が山梨・富士吉田と包括連携協定 マウンテンアクティビティー促進

アメアスポーツジャパンが運営する、フランス発マウンテンスポーツ・ライフスタイルブランド「サロモン(SALOMON)」はこの3月、富士山の北麓に位置する山梨・富士吉田と包括連携協定を締結した。これにより、「富士山を含めた同地域の豊かな自然環境などに現代的な要素を加え、新たな価値や魅力の向上を図る」(発表リリースから)。

協定を通じ、富士山をはじめとした富士吉田の自然環境や歴史・文化を再発掘・活用し、富士吉田と「サロモン」の相互的な活動活性化を図る。さらに、富士吉田の魅力発信により、さらなる地域経済・社会の発展につなげる。なお、富士吉田は「サロモン」本拠地の仏アヌシーからも近い、仏シャモニー・モンブランと1978年から姉妹都市提携を結んでいるという。

協定による取り組み第1弾として、「サロモン」は富士山の吉田口登山道の道中にある山小屋「中ノ茶屋」とコラボレーションを実施する。富士山麓の新たなアクティビティー拠点として、4月中にリニューアルオープン予定。

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ZOZOが初の大型買収、英ファッションECを231億円で完全子会社化

ZOZOは4月9日、英国の高感度ファッションEC「リスト(LYST)」を1億5400万ドル(約231億円)で買収すると発表した。「リスト」は在庫や自社倉庫を持たず、ブランドの直営ECサイトやECモールとデータ連携し、ユーザーと商品をマッチングさせるアフィリエイト型のECモデル。「ガニー(GANNI)」「ジャックムス(JACQUEMUS)」などのデザイナーズブランドに強く、ユーザーの特性に応じてマッチングする独自開発のAIレコメンドシステムを持つなど技術力も高い。ZOZOは欧州と米国に強い「リスト」を買収し、念願の海外市場への足がかりにする考え。ZOZOは、ZOZOマットやZOZOグラスなどの強みを持つAIや計測技術を「リスト」に注入する一方で、「リスト」のSEO技術やメディア機能の取り込みも図る。

「リスト」はブランドの直営ECサイトのほか、「マイテレサ(MYTHERESA)」「ファーフェッチ(FARFETCH)」などの多彩なECモールとも連携。在庫を持たず、幅広いアイテムを扱うことを可能にしており、2万7000ブランド、9700万SKUのアイテムを取り扱う。商品と消費者のマッチングだけでなく、独自の視点による記事やインデックスなどメディア機能もある。ZOZOによると、年間購入者は220万人で、AOV(平均注文単価)は6万3000円に達するという。

リスト社の大株主には、モルテン・ベンチャーズ(MOLTEN VENTURES)などのベンチャーキャピタルのほか、LVMHグループの創業家の投資会社フィナンシエール アガシュ(FINANCIERE AGACHE)も名を連ねている。リストの2024年3月期の売上高は5000万ポンド(約94億円)に対し、純損失は100万ポンド(約1億8800万円)。総資産2200万ポンド(約41億円)に対し、純資産は400万ポンド(約7億5200万円)になる。ZOZOはリスト社の全株式を買い取り、完全子会社化する。買収資金の230億円は、預金で充当する。株式譲渡の実行日は4月30日の予定で、26年3月期への業績は精査中という。

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アダストリア、小売業からプラットフォーマーへ転換加速 30年2月期に売上高4000億円、GMV1000億円へ

アダストリアは、2030年2月期を最終年度とする5カ年の新中期経営計画を発表した。「買い物はモノを得る手段ではなく、トキ、コトを楽しむエンターテインメントに広がる」(木村治社長)というビジョンのもと、従前から社内外に向けて強調してきた「アパレル小売業を超えた、プラットフォーマーへの転換」を進める。30年2月期に、連結売上高4000億円、連結営業利益率8%を掲げるとともに、自社モール「アンドエスティ」の流通総額(GMV)で1000億円を目指す。

26年2月期を最終年度としていた前中計で掲げた連結売上高2800億円を、1年前倒しで25年2月期に達成、中計の刷新に至った。前中計で掲げた営業利益率8%は、為替影響や2年連続の賃上げ実施などを背景に持ち越し(25年2月期の営業利益率は5.3%で着地)、ROE目標の15%も持ち越しとなった(24年2月期に達成するも、25年2月期は13.1%で目標割り込み)。

新中計はプラットフォーム事業、グローバル事業、ブランドリテール事業の3本柱で構成する。核心であるプラットフォーム事業では、自社モール「アンドエスティ」のGMVを、25年2月期の403億円から、5年間で1000億円にまで成長させる。「アンドエスティ」総会員数は現状の1970万人から2600万人への拡大を見込むものの、徐々に頭打ちが想定される中で、アクティブ会員数の拡大と1人あたりの年間平均購入回数の向上を重視する。

GMV1000億円達成に向けては、他社ブランドの「アンドエスティ」への出店がどこまで進むかがカギを握る。22年から他社ブランドの誘致を進めており、現状の他社ブランド比率は3%。これを40%にまで高めることでユーザーの利便性を高める。「既に出店している他社ブランドからは、ECだけでなく『アンドエスティストア』という実店舗もあること、スタッフのスタイリング投稿コンテンツと紐づいていることを評価されている」と、北村嘉輝専務。4月24日には、原宿駅前に「アンドエスティストア」旗艦店を開業することから、さらなるOMO連動やテレビCMなど大型販促を打ち出し、他社の出店を促進する。その上で、「アンドエスティ」として「中期的にメディアとしてのコンテンツを増やし、広告収入も目指す」(木村社長)。

グローバル事業では、25年2月期の海外売上高176億円(撤退を決めた米国事業は含まない)から、30年2月期に400億円を目指す。内訳は、安定成長を見込むグレーターチャイナで300億円(25年2月期実績は172億円)、今後の集中投資エリアの東南アジアで100億円(同4億円)と、東南アジアの売り上げ比率を現状の2%から25%にまで高める考え。東南アジアでは実店舗出店と共に、「アンドエスティ」開設準備も進め、OMOで成長を加速。東南アジアの経済成長を自社の成長に取り込む。

土台となる、既存のアパレル小売りや飲食を指すブランドリテール事業では、アダストリアとして30年2月期に売上高2800億円を目指す(25年2月期実績は2331億円)と共に、エレメントルールやBUZZWITなど国内子会社で600億円を掲げる(同395億円)。グループで30超のブランドを抱えるが、旗艦の「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」、「次の大型ブランドへ」(木村社長)と期待する雑貨ブランドの「ラコレ(LAKOLE)」、同じく雑貨中心でM&Aにより24年7月にグループ傘下となった「ジョージズ(GEORGE’S)」の3ブランドに集中投資。人口増が見込める都心部への出店を継続し、郊外は複合型の「アンドエスティストア」にブランド集約することで収益性を高める。

プラットフォーマーへの転換に向け、9月1日付でアンドエスティホールディングスに社名変更することも発表した。アンドエスティHDの下に、モール運営会社のアンドエスティ、アダストリア、エレメントルール、アウトドアのカリマーインターナショナルなどグループ会社がぶら下がる持ち株会社体制となる。「グループにない特色の企業のM&Aを加速し、マルチカンパニー化を進める」と木村社長。

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アダストリア、小売業からプラットフォーマーへ転換加速 30年2月期に売上高4000億円、GMV1000億円へ

アダストリアは、2030年2月期を最終年度とする5カ年の新中期経営計画を発表した。「買い物はモノを得る手段ではなく、トキ、コトを楽しむエンターテインメントに広がる」(木村治社長)というビジョンのもと、従前から社内外に向けて強調してきた「アパレル小売業を超えた、プラットフォーマーへの転換」を進める。30年2月期に、連結売上高4000億円、連結営業利益率8%を掲げるとともに、自社モール「アンドエスティ」の流通総額(GMV)で1000億円を目指す。

26年2月期を最終年度としていた前中計で掲げた連結売上高2800億円を、1年前倒しで25年2月期に達成、中計の刷新に至った。前中計で掲げた営業利益率8%は、為替影響や2年連続の賃上げ実施などを背景に持ち越し(25年2月期の営業利益率は5.3%で着地)、ROE目標の15%も持ち越しとなった(24年2月期に達成するも、25年2月期は13.1%で目標割り込み)。

新中計はプラットフォーム事業、グローバル事業、ブランドリテール事業の3本柱で構成する。核心であるプラットフォーム事業では、自社モール「アンドエスティ」のGMVを、25年2月期の403億円から、5年間で1000億円にまで成長させる。「アンドエスティ」総会員数は現状の1970万人から2600万人への拡大を見込むものの、徐々に頭打ちが想定される中で、アクティブ会員数の拡大と1人あたりの年間平均購入回数の向上を重視する。

GMV1000億円達成に向けては、他社ブランドの「アンドエスティ」への出店がどこまで進むかがカギを握る。22年から他社ブランドの誘致を進めており、現状の他社ブランド比率は3%。これを40%にまで高めることでユーザーの利便性を高める。「既に出店している他社ブランドからは、ECだけでなく『アンドエスティストア』という実店舗もあること、スタッフのスタイリング投稿コンテンツと紐づいていることを評価されている」と、北村嘉輝専務。4月24日には、原宿駅前に「アンドエスティストア」旗艦店を開業することから、さらなるOMO連動やテレビCMなど大型販促を打ち出し、他社の出店を促進する。その上で、「アンドエスティ」として「中期的にメディアとしてのコンテンツを増やし、広告収入も目指す」(木村社長)。

グローバル事業では、25年2月期の海外売上高176億円(撤退を決めた米国事業は含まない)から、30年2月期に400億円を目指す。内訳は、安定成長を見込むグレーターチャイナで300億円(25年2月期実績は172億円)、今後の集中投資エリアの東南アジアで100億円(同4億円)と、東南アジアの売り上げ比率を現状の2%から25%にまで高める考え。東南アジアでは実店舗出店と共に、「アンドエスティ」開設準備も進め、OMOで成長を加速。東南アジアの経済成長を自社の成長に取り込む。

土台となる、既存のアパレル小売りや飲食を指すブランドリテール事業では、アダストリアとして30年2月期に売上高2800億円を目指す(25年2月期実績は2331億円)と共に、エレメントルールやBUZZWITなど国内子会社で600億円を掲げる(同395億円)。グループで30超のブランドを抱えるが、旗艦の「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」、「次の大型ブランドへ」(木村社長)と期待する雑貨ブランドの「ラコレ(LAKOLE)」、同じく雑貨中心でM&Aにより24年7月にグループ傘下となった「ジョージズ(GEORGE’S)」の3ブランドに集中投資。人口増が見込める都心部への出店を継続し、郊外は複合型の「アンドエスティストア」にブランド集約することで収益性を高める。

プラットフォーマーへの転換に向け、9月1日付でアンドエスティホールディングスに社名変更することも発表した。アンドエスティHDの下に、モール運営会社のアンドエスティ、アダストリア、エレメントルール、アウトドアのカリマーインターナショナルなどグループ会社がぶら下がる持ち株会社体制となる。「グループにない特色の企業のM&Aを加速し、マルチカンパニー化を進める」と木村社長。

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グラングリーン大阪 公園が人気を集めるわけ:記者談話室vol.172

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、記者たちが分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

今回は、4月13日に開幕を控えた大阪・関西万博にちなんで大阪の「グラングリーン大阪」から話を始めます。ターミナルの目の前に甲子園球場よりも広い緑地を設けたことで、昨年9月の先行開業以来、地元の人々から絶賛の声を集める複合施設。高評価の背景には昨今の都心の再開発に対する不満も見え隠れするような気がします。どういうことでしょうか。詳しく解説します。

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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グラングリーン大阪 公園が人気を集めるわけ:記者談話室vol.172

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、記者たちが分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

今回は、4月13日に開幕を控えた大阪・関西万博にちなんで大阪の「グラングリーン大阪」から話を始めます。ターミナルの目の前に甲子園球場よりも広い緑地を設けたことで、昨年9月の先行開業以来、地元の人々から絶賛の声を集める複合施設。高評価の背景には昨今の都心の再開発に対する不満も見え隠れするような気がします。どういうことでしょうか。詳しく解説します。

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スタイレムの25年1月期は営業利益50億円 2期連続で過去最高を更新

服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場)の2025年1月期連結決算は売上高が前期比7.2%増の850億円、営業利益が同10.1%増の50億円だった。売上総利益率は前期と同じ20.3%だった。主力の国内服地事業が伸び悩んだものの、中国や欧州、香港などの海外子会社が好調で全体を押し上げた。営業利益は4期連続の増益で、昨年に引き続き2001年の分社化以来の過去最高を更新した。

商品別の売上高は、主力のテキスタイルが同3.1%増の451億円、製品が同14.9%増の329億円、タオルなどのライフスタイル製品が同6.9%増の36億円、原料が12.8%減の21億円、その他が17.5%増の11億円だった。

瀧隆太社長は「トランプ関税で、25年は海外市場の先行きはかなり不透明感が強い」とし、改めて国内市場の掘り起こしに力を入れる。9月以降に主力の服地営業部隊を東京に移し、間接部門も一部を移管するなど、大阪と東京の2本社制に移行する。顧客と近い位置に拠点を構えることでサービス力の強化と、出張を減らし、業務の効率化を急ぐ。「営業先が東京が多いにも関わらず、管理部門などの本社機能が大阪に集中していた。そうした体制を是正する」という。

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スタイレムの25年1月期は営業利益50億円 2期連続で過去最高を更新

服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場)の2025年1月期連結決算は売上高が前期比7.2%増の850億円、営業利益が同10.1%増の50億円だった。売上総利益率は前期と同じ20.3%だった。主力の国内服地事業が伸び悩んだものの、中国や欧州、香港などの海外子会社が好調で全体を押し上げた。営業利益は4期連続の増益で、昨年に引き続き2001年の分社化以来の過去最高を更新した。

商品別の売上高は、主力のテキスタイルが同3.1%増の451億円、製品が同14.9%増の329億円、タオルなどのライフスタイル製品が同6.9%増の36億円、原料が12.8%減の21億円、その他が17.5%増の11億円だった。

瀧隆太社長は「トランプ関税で、25年は海外市場の先行きはかなり不透明感が強い」とし、改めて国内市場の掘り起こしに力を入れる。9月以降に主力の服地営業部隊を東京に移し、間接部門も一部を移管するなど、大阪と東京の2本社制に移行する。顧客と近い位置に拠点を構えることでサービス力の強化と、出張を減らし、業務の効率化を急ぐ。「営業先が東京が多いにも関わらず、管理部門などの本社機能が大阪に集中していた。そうした体制を是正する」という。

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【新連載】齊藤孝浩が解説! 値下げやセールに頼らず儲けを増やす秘訣

2025年1月からWWDJAPAN.comでマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」が連載中です。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか?利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版)の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。

在庫は量よりも、その中身が大切

第1話では、多くのアパレル店舗が経験する"売れ残り在庫の値下げ処分"の現実が描かれています。特にそれを象徴しているのが、最後の方で「ハンナズ」の店長を務める主人公・安堂徹が「こんなに安くしても売れない……」と嘆くシーンです。

マンガ「在庫管理の魔術」の第1話は コチラ

アパレル店舗の多くは、在庫が過剰になると、販売価格を下げてセールを実施します。でも、失敗に終わることはよくあることです。思ったような売り上げが立たない――。こうした状況になる理由は何でしょう。

店頭の在庫が多ければ、お客さまは、欲しい商品が店内にあるのでは?と期待します。しかし、その一方で、実際に品定めを始めてみたものの、自分が欲しい商品の、お気に入り色の、自分のサイズがなければ、お客さまは買ってはくれません。シーズンの最盛期から後半にもなれば、人気色のサイズが歯抜けになっていることも珍しくありません。在庫は量よりも、その中身が大切なのです。ここがセールを実施する時の落とし穴です。

アパレルに限らず、小売りビジネスの起点は、お客さまの需要であることは言うまでもありません。お客様が何かが欲しいと思って来店した時に、店頭に在庫を揃えておくことが、小売業の使命です。

在庫が過剰だからといって安易にセールを行うと、お客さまは"欲しい商品がない"と感じ、期待を裏切られてしまいます。その結果、定価で購入してくれる本来のターゲット層が離れ、代わりに"安く買いたいだけの客"が増加。値下げを繰り返せば、価格競争に巻き込まれ、利益率はさらに低下。やがて値下げしなければ売れない状態に陥ります。
一時的に来店客は増えても、"欲しいものがないセール"では、かえって不満を生むだけです。「安いけど魅力がない店」と思われれば、リピーターが減り、ブランド価値も下がります。

在庫が過剰になれば、値下げに頼るしかない……そんな状況から脱却し、利益を最大化するにはどうすればいいのか?

第2話以降、需要予測や適正在庫の考え方について詳しく解説して行きます。

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【新連載】齊藤孝浩が解説! 値下げやセールに頼らず儲けを増やす秘訣

2025年1月からWWDJAPAN.comでマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」が連載中です。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか?利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版)の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。

在庫は量よりも、その中身が大切

第1話では、多くのアパレル店舗が経験する"売れ残り在庫の値下げ処分"の現実が描かれています。特にそれを象徴しているのが、最後の方で「ハンナズ」の店長を務める主人公・安堂徹が「こんなに安くしても売れない……」と嘆くシーンです。

マンガ「在庫管理の魔術」の第1話は コチラ

アパレル店舗の多くは、在庫が過剰になると、販売価格を下げてセールを実施します。でも、失敗に終わることはよくあることです。思ったような売り上げが立たない――。こうした状況になる理由は何でしょう。

店頭の在庫が多ければ、お客さまは、欲しい商品が店内にあるのでは?と期待します。しかし、その一方で、実際に品定めを始めてみたものの、自分が欲しい商品の、お気に入り色の、自分のサイズがなければ、お客さまは買ってはくれません。シーズンの最盛期から後半にもなれば、人気色のサイズが歯抜けになっていることも珍しくありません。在庫は量よりも、その中身が大切なのです。ここがセールを実施する時の落とし穴です。

アパレルに限らず、小売りビジネスの起点は、お客さまの需要であることは言うまでもありません。お客様が何かが欲しいと思って来店した時に、店頭に在庫を揃えておくことが、小売業の使命です。

在庫が過剰だからといって安易にセールを行うと、お客さまは"欲しい商品がない"と感じ、期待を裏切られてしまいます。その結果、定価で購入してくれる本来のターゲット層が離れ、代わりに"安く買いたいだけの客"が増加。値下げを繰り返せば、価格競争に巻き込まれ、利益率はさらに低下。やがて値下げしなければ売れない状態に陥ります。
一時的に来店客は増えても、"欲しいものがないセール"では、かえって不満を生むだけです。「安いけど魅力がない店」と思われれば、リピーターが減り、ブランド価値も下がります。

在庫が過剰になれば、値下げに頼るしかない……そんな状況から脱却し、利益を最大化するにはどうすればいいのか?

第2話以降、需要予測や適正在庫の考え方について詳しく解説して行きます。

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第13話:プレゼン成功で新システム導入へ好発進 バイヤーがすべき次なる仕事とは?

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

ついに迎えたプレゼンテーション当日。不安そうな店長の疑問を次々と解消する徹と加地は、数店舗から「ダイナミック・ターゲット・マネジメント」の導入の申し出を受けた。上々な滑り出しにホッとひと安心するも、今度は地域倉庫の欠品が目立ち始めた。順調に思えたテコ入れ策の、次なる課題とは?

登場人物紹介

第十三話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第13話:プレゼン成功で新システム導入へ好発進 バイヤーがすべき次なる仕事とは?

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

ついに迎えたプレゼンテーション当日。不安そうな店長の疑問を次々と解消する徹と加地は、数店舗から「ダイナミック・ターゲット・マネジメント」の導入の申し出を受けた。上々な滑り出しにホッとひと安心するも、今度は地域倉庫の欠品が目立ち始めた。順調に思えたテコ入れ策の、次なる課題とは?

登場人物紹介

第十三話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
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アダストリア25年2月期、純利益29%減 10月の暖冬で苦戦、冬物発注減らし失速

アダストリアの2025年2月期連結業績は、売上高が前期比6.4%増の2931億円と過去最高を達成したものの、営業利益は同13.9%減の155億円、純利益は同28.9%減の96億円と大幅な減益となった。主力ブランドの「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」をはじめ、10月の高気温で秋物販売につまずき、冬物仕入れを絞ったことで冬物商戦も失速。値引き販売が増え、利益を圧迫した。

「計画未達に終わった理由は明確で、グループ全体で巻き返しを進めている」と、福田三千男会長。「月別の予算配分を見直し、シーズンを通して在庫・発注を細かく見ていく体制に修正しており、今期中に必ず復調させる」と北村嘉輝専務。

気候変動に左右されないMD戦略として、IPコラボ商品や人気販売スタッフとの協業企画商品、雑貨など、「目的買いを誘える」商品の強化も進める。実際、「レプシィム(LEPSIM)」では「ミスタードーナツ」とのコラボ商品や販売スタッフプロデュース商品などがヒットしたことを背景に、「店舗数はほぼ同じながら、国内ブランド売り上げが前期比12.5%増と伸長した」(福田泰生専務)。

主力ブランドであり、今後の戦略エリアである東南アジアを攻める上でも重要になる「グローバルワーク」の国内売り上げは、同1.9%増の526億円だった。20%超増が続いたここ2年と比べると大幅な減速。「ブランドが成長する中で客層がマスに広がり、季節先行型から実需型の購買傾向に変わっている」(北村専務)ことも苦戦要因となった。3月には初の超都心立地である銀座に旗艦店をオープンし、ここから訪日客の取り込みにドライブをかける。「将来的な目標である売上高1000億円に向けて、従来通りアイテム1つ1つを磨いてその価値をアピールするだけでなく、コラボなどにも取り組んでいく」。

26年2月期は、売上高4.1 %増の3050億円、営業利益が同22.5%増の190億円、純利益が同29.0%増の124億円を見込む。なお、25年2月期決算発表と合わせて、9月にアンドエスティホールディングスを持ち株会社とするホールディングス体制に移行すると発表した。30年2月期を最終年度とする新中期経営計画については別記事で報道する。

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アダストリア25年2月期、純利益29%減 10月の暖冬で苦戦、冬物発注減らし失速

アダストリアの2025年2月期連結業績は、売上高が前期比6.4%増の2931億円と過去最高を達成したものの、営業利益は同13.9%減の155億円、純利益は同28.9%減の96億円と大幅な減益となった。主力ブランドの「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」をはじめ、10月の高気温で秋物販売につまずき、冬物仕入れを絞ったことで冬物商戦も失速。値引き販売が増え、利益を圧迫した。

「計画未達に終わった理由は明確で、グループ全体で巻き返しを進めている」と、福田三千男会長。「月別の予算配分を見直し、シーズンを通して在庫・発注を細かく見ていく体制に修正しており、今期中に必ず復調させる」と北村嘉輝専務。

気候変動に左右されないMD戦略として、IPコラボ商品や人気販売スタッフとの協業企画商品、雑貨など、「目的買いを誘える」商品の強化も進める。実際、「レプシィム(LEPSIM)」では「ミスタードーナツ」とのコラボ商品や販売スタッフプロデュース商品などがヒットしたことを背景に、「店舗数はほぼ同じながら、国内ブランド売り上げが前期比12.5%増と伸長した」(福田泰生専務)。

主力ブランドであり、今後の戦略エリアである東南アジアを攻める上でも重要になる「グローバルワーク」の国内売り上げは、同1.9%増の526億円だった。20%超増が続いたここ2年と比べると大幅な減速。「ブランドが成長する中で客層がマスに広がり、季節先行型から実需型の購買傾向に変わっている」(北村専務)ことも苦戦要因となった。3月には初の超都心立地である銀座に旗艦店をオープンし、ここから訪日客の取り込みにドライブをかける。「将来的な目標である売上高1000億円に向けて、従来通りアイテム1つ1つを磨いてその価値をアピールするだけでなく、コラボなどにも取り組んでいく」。

26年2月期は、売上高4.1 %増の3050億円、営業利益が同22.5%増の190億円、純利益が同29.0%増の124億円を見込む。なお、25年2月期決算発表と合わせて、9月にアンドエスティホールディングスを持ち株会社とするホールディングス体制に移行すると発表した。30年2月期を最終年度とする新中期経営計画については別記事で報道する。

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ポン・ジュノ監督が映画「ミッキー17」で描きたかったこととは? 「この映画はラブストーリーだ」

映画「パラサイト 半地下の家族」から約5年、待望の最新作「ミッキー17」を携えてポン・ジュノ監督とプロデューサーのチェ・ドゥホが来日した。エドワード・アシュトンの小説「ミッキー7」をポン・ジュノが脚色・監督した「ミッキー17」は、ヒューマンプリンティング(人体複製)により何度でも生まれ変われる“使い捨ての労働者”となった青年ミッキー(ロバート・パティンソン)が主人公。人間が宇宙船で入植した惑星を舞台に、17体目のミッキーと手違いで複製された18体目との出会いによって生じる騒動や、先住生物として登場するクリーチャーとの関係などを、VFXを駆使して描く超大作だ。ポン・ジュノと、彼の英語作品(「スノーピアサー」「オクジャ」「ミッキー17」)のプロデューサーを務めてきたチェ・ドゥホへのインタビューから、「ミッキー17」で彼らが試みたこと、そして世界が認めた天才映画作家、ポン・ジュノの現在地を探る。
※記事内にはエンディングに関する記述が含まれています。

タブーである“ヒューマンプリンティング”に惹かれた

「パラサイト 半地下の家族」(2019)がパルムドール(カンヌ国際映画祭)とオスカー(アカデミー賞)を獲得し、ポン・ジュノは名実ともに世界最高峰の映画監督となった。その成功を、ポン・ジュノはどう受け止めていたのだろうか? プレッシャーだったのか、創作の自由を手に入れた喜びなのか。2011年からポン・ジュノと仕事をしてきたチェ・ドゥホの見立てとは。

チェ・ドゥホ(以下、チェ):ポン監督は自身のフィルムメーカーとしての道筋を自分で考えながら、一歩一歩進んでここまで来ています。私から見ても、「スノーピアサー」と「オクジャ」の体験から彼はフィルムメーカーとして学び、変化しました。その結果、韓国を舞台にしながらも普遍性をもった「パラサイト」を作ることができたのだと思います。「ミッキー17」に取り組む上で、「パラサイト」の成功が生み出した大きな影は確かにありましたが、監督は「『パラサイト』の成功に見合う作品を作るにはどうしたらいいのだろう?」と考えるようなタイプではまったくありません。彼はとにかく仕事が好きなので、制作会社Plan Bを通じてワーナーから提案された原作を気に入り、それを映像化することに取りつかれていました。

そう、「ミッキー17」はポン・ジュノにとって初となる、自身のオリジナル脚本でもなければ自身で見つけてきた原作の映画化でもない、外部から与えられた題材の映画化なのだ。本作の主人公ミッキーは、借金取りから逃れるために、植民地となる惑星での過酷な「エクスペンダブルズ(使い捨て)」職に応募する。到着した惑星で、研究室のラットのように扱われるとはつゆ知らず。

ポン・ジュノ(以下、ポン):この原作のストーリーやコンセプトの中で私を最も惹きつけた要因は、絶対的なタブーである“ヒューマンプリンティング=人体複製”です。本来個人個人が尊重されるべき存在である人間が複製されるなんてことは決してあってはいけないのに、紙1枚の人間が何度もプリントされる場面を頭の中で想像していると、悲しくもあり面白おかしくもありました。原作の主人公は歴史学者、つまり知識人でしたが、映画では善良でふびんな労働者に変更しました。そんな彼が書類のように出力される職業に就くという設定そのものが、私の想像力を無限に刺激しました。

ヒューマンプリンティングにより、ミッキーは過酷な任務で命を落としても、ボタン1つで繰り返し生まれ変わる。ポン・ジュノの作品は極上のエンターテインメントでありながら、大きな括りでいうところの“人権”に関する問題提起を内包してきた。今回の主人公の属性の改変も、現代社会が抱える労働問題へのアンチテーゼだと感じた。

ポン:私の好みの問題です。無能で善良なミッキーは、1カ月の間に2回くらい同じ人に詐欺に遭って損をしてしまいそうな人物です。実際に友人のティモ(スティーブン・ユァン)に何度も利用されたことが原因で、このような状況に陥ってしまうわけですし。このように少し抜けたところのある彼がヒューマンプリントされることで、より多くのドラマが生まれるのではないかと思いましたし、私の中にミッキーをふびんに思う気持ち、同情心のようなものが生まれたのです。

「ポン監督は最初からはっきりとビジョンが見えている」

「ミッキー17」でチャレンジしたことを尋ねると、チェは「ポン監督と仕事をするときは、チャレンジという考え方をしないようにしています。彼は毎回『次はもっと(規模の)小さい映画にするから』と言いながら、いざ渡された脚本を読むと『……大きくなってるじゃないか!』の繰り返しなのです。パニックにならないように、平常心を保つようにしています」と笑う。

チェ:プロデューサーとブレストすることで自分が何をやりたいのかが見えてくる監督もいますが、ポン監督には最初からはっきりとビジョンが見えています。ただ、それをそのまま実現することが不可能だったりはします(笑)。プロデューサーとしての私の仕事は、彼がたくさんの最高のおもちゃと遊びながら映画を作れるように、ベストな状況を提供することです。とはいえ金銭的にやれることには限界があります。監督には3つやりたいことがあるけれど、どう考えても1つしか実現できないとなったときに、私はポン監督がやりたいことをちゃんと理解できているので、「3つは実現できないが、Aが一番大事だと思うのでそれをやりつつ、BとCの要素をどうストーリーの中にフィットしていくのか」という話し合いをします。

ポン・ジュノとチェ・ドゥホは2022年5月にロンドンに入り、8月から12月までロンドン北部にあるワーナーのリーブスデン・スタジオで撮影を行った。惑星の先住生物“クリーパー”を筆頭に、17体目のミッキーが死んでいないのに手違いでリプリントされてしまった18体目のミッキーと共演するシーンなど、本作ではVFXが重要な要素となっている。

チェ:私がポン監督ととても良いコラボレーションができているのは、彼が制作費の事情をおもんぱかってくれる映像作家だからだと思います。「グエムル-漢江の怪物-」で「クリーチャーを見せるために100カットしか撮れない」となったときに、彼は「であればここは音でクリーチャーを表現する」と工夫しました。監督はよく「制限や限界があるからこそよりクリエイティブなアイデアや、問題を解決するためのソリューションが出てくる」と言いますが、彼のそのプロセスには非常に興味深いものがあります。

「ミッキー7」を「ミッキー17」にした理由

労働者階級がヒエラルキーから抜け出せない過酷な現実を描いているとも読み取れる本作は、「パラサイト」までのポン・ジュノの作風にならうならば、ダークなトーンで描かれていてもおかしくない。ところが本作は過去作に比べると比較的映像が明るくカラフルで、俳優の演技もコミカルに寄せている。

ポン:クリーチャーが登場する惑星が雪原なので、映像がダークではないという印象を持たれたかもしれませんが、それ以上に全体的に、登場人物の中にある情緒がそのような印象を与えたのではないかと思います。前作までは、過酷な状況に置かれた人物たちが、最後には破滅の道に進んでしまい、暗い結末を迎えることが多かったと思います。この作品において暗くてダークで残酷なのはミッキーを取り巻く環境であって、その真っただ中にいるミッキーは最後まで破壊されることなくエンディングを迎えます。それは私の望みでもありました。彼が破壊されなかったのは、ナーシャ(ナオミ・アッキー)との愛があったからだったと思います。あえて言うと、私はこの映画をラブストーリーだと考えています。だからこの映画が少し明るく感じられるのではないでしょうか。

「監督にとって初めてのラブストーリーですね」と確認すると、日本語で「本当に初めてです」と言って我々を笑わせた。再び韓国語に戻り、ラブストーリーへの思いを少しだけ言い足した。

ポン:この映画は、小説から本当に多くの改変をしました。小説にはいない登場人物もいますし、新たに書き加えられた登場人物もいます。ディテールも多く変わっています。でも原作のチャプター18か19で、ミッキーとナーシャの胸が締めつけられるような愛の描写があったんです。このチャプターはぜひ映画に取り込みたいと思って書きました。原作者もそこの部分を見てとても喜んでくださいました。ただ、ラブストーリーはこれが最初で最後になりそうです(笑)。

改変といえば、原作の「ミッキー7」では、7体目のミッキーと8体目のミッキーが対峙する。ポンはそれを「ミッキー17」に“増殖”させた。チェは「監督が『死ぬシーンをたくさん見たい』と言って増やしました」と、とあるインタビューで冗談めかして答えていたが。

ポン:ハハハハハ!(笑)。ミッキーの職業は死ぬことです。職業というのはルーティーンなので、繰り返されることによってその職業の醍醐味が生まれます。「ミッキー37」や「ミッキー50」にすることもできましたが、いくつかの理由によって数は抑えました。ミッキー17からミッキー18へと変わっていくタイミングを描いたのは、日本でも同じかどうか分かりませんが、韓国では18歳というのは成人に切り替わる年齢でもあるからです。18という数字が持つニュアンスを生かしたいという気持ちもありました。

ポン・ジュノの作家性や独自性とは?

「ミッキー17」はポン・ジュノのフィルモグラフィーにおいて、言語、俳優、キャラクター、文化など、韓国の要素を一切含まない初めての作品となった。これは一つのミッションだったのか、それともネクストステージに進んだのか。

ポン:あえてそうしたというよりも、ストーリー上の理由でそうなりました。本作は宇宙の植民地への移住やヒューマンプリンティングが描かれた物語です。この世界では民族や国籍というものがあまり意味をもたないので、韓国だけでなく全ての人種性や国籍性というものをキャラクターから意図的に消しました。ここで使われている英語のアクセントは、アメリカ式やイギリス式などがないまぜになったものです。主人公がどこの国から来ているのかも明示はしていません。そうすることで人間の本質を描くことに集中したいと思ったのです。

チェ:ご指摘のとおり「ミッキー17」はポン監督にとって、韓国のカルチャーに一切のルーツをもたない初めての作品です。でも実は、「ミッキー17」において監督と私が絶対にやりたいこととして、「スノーピアサー」に出演したスティーブン・パクと「オクジャ」に出演したスティーブン・ユァン、つまり「2人のスティーブンを同じカットに収めること」がありました。スティーブン・パクはアメリカの映画界で韓国系アメリカ人としての道を切り開いたパイオニアであり、スティーブン・ユァンは次世代でもっとも活躍している俳優です。ですので、ガッツリ芝居をさせるというよりは、同じシーンで歩いている2人がフレームの中にさりげなく収まるというカットを撮ることが重要であり、ポン監督の夢だったのです。

作劇においては韓国文化を消しながら、アメリカで活躍する韓国系アメリカ人俳優へのリスペクトを込めたワンカットを忍ばせる。この粋な遊び心を共有するチェが思う、ポン・ジュノの作家性や独自性とは。

チェ:彼にはちょっと「変態的(perversion)」なところがあり、人生や世界の見方が普通の人とは違うのです。数日前にロサンゼルスで俳優組合のイベントがあり、我々の映画が上映されました。モデレーターのエイヴァ・デュヴァーネイ監督がポン監督に「あなたは監督として勇敢だ」と言っていました。私はそれを聞いて「なるほどな」と。彼がアーティストとして何も恐れていないのは、最初から全てがクリアに見えているからなのです。見えているものを撮影し、編集などのポストプロダクションでさらに極めていきます。彫刻を丁寧に削っていくように。恐れがないから、普通の監督だったらハリウッドの大きなスタジオの映画ではやらないようなとんでもないこともやってのけてしまう。そこがポン・ジュノ監督らしさであり、私や彼のファンは彼のそういうところを愛しているのです。

最後に、フィルムメーカーとして、今までで一番うれしかったことをポン監督に質問すると、「たくさんありますねえ〜」と数秒間考えてから、「ミッキー17」の写真集を手に取り、惑星の場面が映った写真を見せながら語り始めた。

ポン:雪原のシーンはイギリス北部のカディントンという場所に作ったセットで、塩を地面に敷き詰めて撮っています。格納庫のような場所だったので、実際にものすごく寒く、ロバート・パティンソンやマーク・ラファロの口から出ている白い息はCGではなく本物です。ある日この場所にケータリングでフードトラックが来てくれて、イギリスで有名なトーストおじさんが作るトーストを食べました。それがものすごくおいしくて、今でも忘れられません。残念ながら、あれから一度もあのトーストを食べる機会がないのです。アメリカ、韓国、日本、どこにもない。イギリスでしか食べられないものなのかもしれません。あのトーストに出会えたことがこの仕事をしていて一番うれしかったことかもしれません。(オスカーやパルムドールよりも?)もちろんそれもうれしかったですよ。もしかしたら私は今、お腹が空いているのかもしれません(笑)。

「ミッキー17」

■「ミッキー17」
⼈⽣失敗だらけの男“ミッキー”が⼿に⼊れたのは、何度でも⽣まれ変われる夢の仕事、のはずが――⁉ それは⾝勝⼿な権⼒者たちの過酷すぎる業務命令で次々と死んでは⽣き返る任務、まさに究極の“死にゲー”だった︕ ブラック企業のどん底で搾取されるミッキーの前にある⽇、⼿違いで⾃分のコピーが同時に現れ、事態は⼀変。使い捨てワーカー代表ミッキーの、予想を超える逆襲がはじまる︕

全国公開中
監督・脚本:ポン・ジュノ(「パラサイト 半地下の家族」)
出演:ロバート・パティンソン、ナオミ・アッキー、スティーブン・ユァン、トニ・コレット、マーク・ラファロ
配給:ワーナー・ブラザース映画 
© 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/index.html

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ラグジュアリーホテル「ローズウッド」が日本上陸 五感を刺激する記念イベントに菊地凛子やYOONが来場

「ローズウッド(ROSEWOOD)」は3月18日、日本上陸を記念したイベント“ローズウッド フロント ロウ 東京”を東京都内で開催した。“ローズウッド フロント ロウ”は、アートや文化、デザイン分野で活躍するクリエイターやリーダーを結びつけるプラットフォームで、香港、上海に続き3回目の開催。「ローズウッド宮古島」のオープンを祝う同イベントには、元内閣総理大臣夫人の安倍昭恵をはじめ、菊地凛子やVERBAL、YOON、アーティストの森万里子など各界の著名人が来場した。

著名なデザインエージェンシーHATOによる没入型ビジュアル・プロジェクションが施され、カフェ・カーライルの専属ミュージシャンであるルーベン・ジェームスがパフォーマンスを披露。ゲストは、レストラン「エテ(ete)」のシェフである庄司夏子が手掛けた「ローズウッド宮古島」に着想を得た特別コースに舌鼓を打った。

イベント後半のアフターパーティーでは、アントナン・クーランがD Jを担当し、日本酒バー「トゥエルヴ(twelv.)」のクリエイティブ・ディレクターの髙三瀦徳宏にるドリンクが提供された。ビジュアル・プロジェクションやライブ音楽、料理やドリンクなど五感を刺激する要素で構成された同イベントは、ローズウッドの“センス オブ プレイス”の哲学を体現し、ラグジュアリー体験やホスピタリティーの未来を切り開くコミットメントを表すものだ。

問い合わせ先
ローズウッド
0980-79-8899

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プラダの「ヴェルサーチェ」「ジミー チュウ」買収が大詰め? 取引額は2400億円規模と情報筋

カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)が擁する「ヴェルサーチェ(VERSACE)」と「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」の売却が、大詰めを迎えているようだ。情報筋によれば、買い手の最有力候補と目されるプラダ グループ(PRADA GROUP)は、両ブランドをおよそ15億ユーロ(約2415億円)で買収する交渉の最終段階にあるという。

本件に関し、カプリやプラダ グループからのコメントは得られなかった。

カプリが「ヴェルサーチェ」などを売却したい理由

「ヴェルサーチェ」と「ジミー チュウ」に加えて「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」を擁するカプリは2023年8月、「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」を傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)に85億ドル(約1兆2665億円)で事業を売却することに合意した。しかし、両社が保有するブランド間の競争がなくなることで独占状態になるとし、米連邦取引委員会(FTC)は本件を停止する仮処分を求めて4月に提訴。10月に米連邦地方裁判所がFTCの申し立てを認める判決を下したことから、11月に両社は買収契約を双方の合意の上で正式に解消している。業績が悪化しているカプリは、主力「マイケル・コース」の再建に注力するため、ほかの2ブランドを売却するのではないかと以前からいわれていた。

なお、「ヴェルサーチェ」は25年3月13日、クリエイティブ面を率いてきたドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)がチーフ・クリエイティブ・オフィサー職を離れ、4月1日付でチーフ・ブランド・アンバサダーに就任することを発表。後任には、プラダ グループが擁する「ミュウミュウ(MIU MIU)」のデザイン・ディレクターを務めていたダリオ・ヴィターレ(Dario Vitale)が同日付で着任している。

トランプ米大統領の“相互関税”で取引に暗雲?

前述の情報筋によると、最終的な調整が順調に進めば、両社は来週にも買収取引に合意するかもしれないという。しかし、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が4月2日、貿易相手国の関税率などを踏まえて関税を引き上げる“相互関税”を課すと発表したことから、世界の株式市場は大荒れ。カプリの株価は、前日終値比23.6%安の14.99ドル(約2233円)と大幅に下落した。

香港証券取引所に上場しているプラダ グループは、同4.6%安の51.50香港ドル(約927円)とやや緩やかな下げ幅だったものの、予断は許されない。関税のさらなる引き上げ、もしくは引き下げなどがいつ発動されるか予想がつかず、資金調達や事業運営に大きな影響が出るかもしれないことを考えると、事態が落ち着くまで買収取引を延期したり、場合によっては白紙としたりする可能性もあるだろう。

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三越伊勢丹、新卒採用に異変あり 「個客業」で求められる人材確保へ

三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、「マスから個へ」「館業から個客業へ」のビジネスモデルの転換に合わせた採用活動に取り込んでいる。マーケット環境の変化によって求められる人材像も変化しているという。超売り手市場と言われる中、百貨店最大手の採用の現場では何が起きているのか。

「29歳の女性」を感動させる企画を考える

「閉店後の金曜の夜、新宿伊勢丹にバーを開くことを提案します」「郷土料理フェアを通じて、人と食材と器の出合いの場を作ります」――。

2月上旬、都内で開催された三越伊勢丹の学生向けワークショップでは、参加した学生たちからユニークな企画が次々に発表された。2日間の日程で37人が参加。第一線で働く中堅社員の講演を聞いたり、数人ずつの班に分かれてのグループワークを行なったりして、それぞれの企画を煮詰めた後、最後のプレゼン大会に臨む。

学生向けのプログラムではあるが、三越伊勢丹HDの近年の経営戦略が色濃く反映される。まず企画は「高感度上質消費」の条件を満たすことが求められる。そして具体的なペルソナ(顧客像)を設定し、その顧客に「どんな新しい価値を提供できるか」をとことん議論する。

ペルソナの設定が非常に具体的だ。例えば「29歳の独身女性で、恋人はいるが、結婚願望はない。大手アパレルメーカー勤務で年収800万円。趣味は旅行と美術鑑賞」。これも三越伊勢丹HDが掲げる「個客業」を反映したものだ。漠然としたマスの消費者ではなく、一人の顧客のインサイトに迫る企画でなければいけない。

参加した学生たちからは「活躍している社員の方に、自分では気づかない点をたくさん指摘してもらえて刺激になった」「(参加した学生)みんなで企画を練り上げていく過程が楽しかった」「自分が百貨店で働く姿がイメージできた」とおおむね好評だった。

何よりも「価値観の共有」

新卒採用は空前の売り手市場。各社は初任給の賃上げや労働条件の改善など、若手人材の確保にしのぎを削っている。さまざまな業種がある中、小売業の人気は相対的に低い。三越伊勢丹のような百貨店最大手であっても例外ではない。有名企業なので、志望数は安定して多いが、業種を超えた人材争奪は激しくなっている。

では会社の将来を担う優秀な人材をどう獲得するのか。

三越伊勢丹HDで人事・キャリアを担当する藤井俊宏部長は「優秀かどうかよりも、最近は当社の価値観に共有してもらえるかの方を大切にしています」と言う。「学業が優秀だったとか、学生時代に得難い経験をしていることも大事だけど、何より価値観がマッチしていないと、採用される側もする側も互いに不幸になってしまいます」「企業ミッションで『こころ動かす、ひとの力で』とうたうように、目の前のお客さまの満足のために行動する。この価値観を大切にできる方でないと、結局は長続きしません」。

だから学生と価値観をすり合わせる時間を増やすようにしてきた。就職活動の早期化によって学生自身も進路を内省する時間が短くなった。ウェブなどでの発信だけでなく、リアルのコミュニケーションも重ねて相互理解を深める。2日間あるいは3日間のワークショップを合わせて年5回開くも、そうした考えがあるからだ。百貨店の前線で働く若手・中堅社員との交流も意識的に増やしている。

「昔はとにかくエントリーをたくさん集めて、選考を勝ち残った学生を採用するやり方でした。今はそんな時代ではなく、価値観の共有から始める必要があります」と藤本部長は採用の変化を説明する。

そうした過程を経て、最終的に内定を出すのは6月前後。価値観のすり合わせは、その後も続く。内定後に一人一人と面談し、採用理由や入社後の希望などについて会話を重ねる。「採用面接で◯◯さんのここが素晴らしいと感じたから、採用しました。だけど、こうしたところがやや気になります。そんな具合に話しながら、入社後に何をしたいのかを改めて尋ねます」。

超売り手市場のため学生は複数の内定を持っている。さらに価値観をすり合わせ、入社に対するモチベーションを高めてもらうため、内定後に2〜3回面談する場合もある。面談は主に藤本部長が担当する。「きれいごとに聞こえるかもしれませんが、価値観のマッチングなのでお互いが納得できるまで話し合います。学生さんにも選択を間違ってほしくない。結果として私たちはけっこう焦らされるわけですが(笑)、長い目でみれば必要なプロセスだと考えています」。

学生のインサイトに迫れ

23年4月に新卒入社した小林れみさんは、伊勢丹新宿本店1階の雑貨売り場シード/リーフを担当する(取材時の25年2月時点)。小林さんも大学3年生のときに三越伊勢丹のインターンシップに参加し、企画のプレゼンをした経験がある。「あった一人のお客さまのため、これだけたくさん人が知恵を絞ることが新鮮でした。誇りを持って仕事に臨む先輩たちに憧れ、三越伊勢丹に入りたいと思いました」と振り返る。

今は売り場に立ち、まさに目の前のお客さまに期待以上の価値を提供するために奮闘する毎日だ。定期的に上長と面談し、仕事の進捗や将来の希望を伝える。自身のキャリアを考える良い機会になるという。

藤井部長は密かに手応えを感じていることがある。採用において、価値観のすり合わせに舵を切り、ていねいにコミュニケーションを重ねるようになった23年度採用以降、離職者が一人もいないことだ。「こんなはずではなかった」といったようなミスマッチが減った。

三越伊勢丹HDが掲げる「個客」という考え方は、採用においても応用できるのかもしれない。志望する学生のインサイトにどれだけ迫り、価値観を共有できるかが分かれ目だ。「そうしたプロセスを踏んで入社してくれた人たちはきっと活躍してくる。手前味噌かもしれませんが、私はそう考えています」と藤井部長は話す。

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ワールド25年2月期、「アパレル事業の不調を非アパレルでカバー」 リユース「ラグタグ」好調

ワールドの2024年3月〜25年2月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が2256億円(24年2月期が決算期変更による11カ月決算だったため、比較なし。参考値として、24年2月期の11カ月に24年3月実績を加えた12カ月との比較では1%増)、本業のもうけを示すコア営業利益が170億円(同3%増)、純利益が111億円(同35%増)だった。「非アパレル事業の成長に伴い、アパレル事業のみに依存しない事業構造が進展したが、アパレル事業は不本意な結果で終わった」と、鈴木信輝社長。
※23年3月は商品評価損など期末の決算処理により正常な比較が行えないため、使用不可という

アパレル事業は「ブランドの好不調の差がますます拡大して」おり、一部の不調ブランドが足を引っ張る形で売上収益や粗利が計画未達となった。好不調を分けた端境期対策、残暑対策については、好調ブランドが実践するMDノウハウを、不調ブランドにも共有し、事業全体としてテコ入れを実施。一方、「品ぞろえ、売り方の課題については今まさに不調ブランドにノウハウ共有を行っており、ここからもう一段の改善を進める」。

アパレル事業の不調をデジタル事業、プラットフォーム事業で補う形となったが、デジタル事業では「『ラグタグ(RAGTAG)』『rt』のリユース事業が、インバウンド売り上げも含め想定以上に伸びた。積極出店や改装も進めている」。プラットフォーム事業では、ワールドストアパートナーズによる販売代行や催事などが貢献したという。

中計の最終年度となる26年2月期は、アパレル事業で不調なブランドのテコ入れを進めると共に、収益性の高いプラットフォーム事業、デジタル事業や、傘下の投資会社を通じてTOB(株式公開買付)を実施したライトオンのような再生投資事業を加速していく。プラットフォーム事業では25年2月には、アパレルOEM会社の三菱商事ファッション(現社名はエムシーファッション)をグループに収め、3月1日付でTSIから傘下の2つの縫製工場も取得した。これらにより、企画・生産背景を強化。エムシーファッションが有するBtoB事業運営の知見も生かしていく。

26年2月期の売上収益は、前期比32.9%増の3000億円、コア営業利益は同17.6%増の200億円、純利益は同0.9%増の112億円を見込む。

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ユニクロ3月度、寒暖差の中で通年商品が好調 ユナイテッドアローズは15カ月連続前年超え

専門店チェーン、セレクトショップの2025年3月度業績(既存店ベース)は、激しい寒暖差はありつつも、月後半の高温も味方し、春夏物が動き出したという声が多い。

国内ユニクロの売上高は前年同月比11.5%増と、2カ月連続の2ケタ増となった。前年3月が同1.5%減だった反動もあるが、「寒暖差が大きいことを予測し、通年商品を手厚くそろえていたことが奏功した」と広報担当者。通年商品とは、例えばスエット類や“エアリズムコットン”のロングスリーブTシャツなど。スエットでは特に、「ユニクロ:シー(UNIQLO:C)」のメンズスエットが引き続き好調。ほか、春夏物ではウィメンズは「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」コラボラインのストレートジーンズやオックスフォードシャツ、メンズでは“EZYジーンズ”やUVカットの羽織物、「UT」などが売れた。

ユナイテッドアローズは同14.6%増と、15カ月連続前年実績超えを達成。好調を維持している。高気温におされて春物が動いており、強みのジャケットやパンツなどに加え、ニットなどの軽衣料、「サロモン(SALOMON)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」などのスニーカー、バッグの動きが目立った。

良品計画の「無印良品」は同20.5%で、衣服・雑貨に限っても同17.6%増の伸び。「会員向けセール『無印良品週間』(3月21〜31日)の開催日数は昨年と同じだったが、在庫確保、SNSなどのマーケティングに注力したことで、いずれのカテゴリーでも前年実績を上回った」(発表資料から)。積極出店を続けており、3月はイオンモール橿原(奈良)に移転増床の形でオープンした世界最大店舗をはじめ、国内で計15店を出店した。

アダストリアは同4.1%増と、1、2月の前年割れから脱出。「天候不順ではあったが、平均気温は昨年より高く推移し、春物、夏物衣料が伸びた。会員向け20%ポイント還元キャンペーンも奏功した」(発表資料から)。

しまむらの「ファッションセンターしまむら」(2月21〜3月20日)は同0.2%減と微減。「各地で天候不順の影響を受けたことや、うるう年で昨年より営業日数が少なかったことで前年割れとなったが、オケージョン需要で婦人のセレモニー衣料は好調だった」(発表資料から)。

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アダストリアと伊藤忠が英アウトドアブランド「カリマー」の株式取得

アダストリアは伊藤忠商事と共同で、英国発祥のアウトドアブランド「カリマー(KARRIMOR)」を運営するカリマーインターナショナルの株式を取得した。アダストリアと伊藤忠とのジョイントベンチャーを通じて、「カリマー」を運営する。

アダストリアにとって、本格的なアウトドアブランドを展開するのは初めて。これにより、アダストリアが成長戦略として掲げるマルチカテゴリー戦略をさらに強化する。「アダストリアが持つ商品企画力、商業施設とのネットワーク、1900万人を超える自社ECモール顧客基盤を生かし、日本での『カリマー』の販路や顧客層の拡大、およびブランド認知向上を実現する。ゆくゆくは『カリマー』のみならず複数のアウトドア・ライフスタイルブランドを取り扱う」(発表資料から)ことを目指す。

「カリマー」は1946年にイギリスで創業したアウトドアブランドで、バックパックやアパレルが主に登山客に支持されている。スポーツ用品店が祖業の英の小売りフレイザーズグループの傘下に長らくあった。

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ミキハウス入社式 新入社員21人中11人が海外出身者、グローバル化すすむ

ベビー・子供服大手のミキハウス(三起商行)は1日、大阪府八尾市の本社で2025年度の入社式を開催した。新入社員21人とステップアップ社員3人、社会人日本一をめざす硬式野球部6人、柔道や競泳など五輪での活躍が期待される競技部14人のうち9人が出席した。配属先の発表と辞令の授与が行われ、ミキハウスファミリーの一員として新たな一歩を踏み出した。

木村社長「勘を磨いてほしい」

今年は創業55年の節目。木村皓一社長は「考えていたことがようやく達成しつつある」と語り、創業当時を振り返った。「3年目のとき、面識のないブティックのオーナーから長男を就職させたいと連絡があった。ミキハウスは素晴らしい商品を作っているから成長するに決まっているというのがその理由だった。良い商品を作るという信念は現在に引き継がれている」と言い、「われわれは良い商品が欲しいという人に届けたい。心を込めて作った商品を最後はメルカリで売られてまた次の人に使ってもらうのが理想」と、木村社長らしい言葉で改めてモノ作りへの思いを語った。

新入社員に対しては「自分の勘を磨いてほしい。なんでもスマホで片付けてしまうのではなく、スポーツ観戦などを通じて何かを感じることのできる人間に成長してほしい」とメッセージを送り、門出を祝った。

新入社員を代表し、池袋東武店の配属となった河俣明香(かわまた・はるか)さんと、営業事務部配属のジョアン・ペドロ・グリロさんの2人が誓いの言葉を述べた。

学生時代に陸上競技に打ち込んだ河俣さんは、恩師から「誰かの言葉や行動、想いが人を支え、人生にポジティブな影響を与える」ということを学んだという。そんな人間になりたいという思いで就職活動するなかで、ミキハウスのファッションアドバイザーの仕事に興味を持った。「家族に寄り添い、誕生や成長の喜びを分かち合えるファッションアドバイザーこそ、私の夢をかなえる仕事だと感じた。日本一のファッションアドバイザーになるのが私の新たな目標。ミキハウスを100年ブランドへと導く存在となれるよう努力し続ける」と、力強く語った。

中国、台湾、フィリピン、カンボジアなど7カ国から採用

国際色豊かな新入社員もグローバルに展開するミキハウスならではだ。今年度の新人21人のうち、日本人は10人で、中国、台湾、フィリピン、カンボジア、マレーシア、タイ、ブラジルの出身者が11人。日本は少子化で子供服市場は縮小の一途だが、同社は早くから海外出店を積極的に進めており、現在では売上高の6割以上が海外市場になっている。

ブラジル出身のジョアンさんは、ポルトガル語であいさつした後、笑いを誘いながら流暢な日本語でスピーチした。「日本に住むことは子供の頃からの夢。日本の大学院で研究生活を送ったが、一人で研究するよりももっと人と関わり、チームで働きたくなった」と振り返る。就職フェアで初めてミキハウスに出合い、温かい雰囲気や社員の心遣いが人のつながりを大切にするブラジルの文化を思い出させ、「ここで働きたいと強く思った」。今後の目標はミキハウスを真のグローバルブランドにすること。「世界中どこに行ってもその価値を感じられる存在にしたい。ミキハウスの商品と精一杯のおもてなしでラテンアメリカや世界各地の家族を笑顔にしていきたい」と、明るくにこやかな表情を見せた。

硬式野球部の新入社員と、競泳、陸上競技、フェンシング、トランポリン、テニス、レスリング、カヌーといった競技部の新入部員も一人ひとり舞台で紹介された。2012年ロンドン五輪で福原愛選手、石川佳純選手とともに日本卓球界初の女子団体銀メダルを獲得し、現在はミキハウススポーツクラブのアドバイザーを務める平野早矢香さんも登壇した。「社会人として求められるのは結果。良い結果につなげるためには最大限の準備と、挑戦し続けること、最後まであきらめないこと、この3つが目標達成と人生の成功には大切」と話し、新入社員たちを激励した。

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ミキハウス入社式 新入社員21人中11人が海外出身者、グローバル化すすむ

ベビー・子供服大手のミキハウス(三起商行)は1日、大阪府八尾市の本社で2025年度の入社式を開催した。新入社員21人とステップアップ社員3人、社会人日本一をめざす硬式野球部6人、柔道や競泳など五輪での活躍が期待される競技部14人のうち9人が出席した。配属先の発表と辞令の授与が行われ、ミキハウスファミリーの一員として新たな一歩を踏み出した。

木村社長「勘を磨いてほしい」

今年は創業55年の節目。木村皓一社長は「考えていたことがようやく達成しつつある」と語り、創業当時を振り返った。「3年目のとき、面識のないブティックのオーナーから長男を就職させたいと連絡があった。ミキハウスは素晴らしい商品を作っているから成長するに決まっているというのがその理由だった。良い商品を作るという信念は現在に引き継がれている」と言い、「われわれは良い商品が欲しいという人に届けたい。心を込めて作った商品を最後はメルカリで売られてまた次の人に使ってもらうのが理想」と、木村社長らしい言葉で改めてモノ作りへの思いを語った。

新入社員に対しては「自分の勘を磨いてほしい。なんでもスマホで片付けてしまうのではなく、スポーツ観戦などを通じて何かを感じることのできる人間に成長してほしい」とメッセージを送り、門出を祝った。

新入社員を代表し、池袋東武店の配属となった河俣明香(かわまた・はるか)さんと、営業事務部配属のジョアン・ペドロ・グリロさんの2人が誓いの言葉を述べた。

学生時代に陸上競技に打ち込んだ河俣さんは、恩師から「誰かの言葉や行動、想いが人を支え、人生にポジティブな影響を与える」ということを学んだという。そんな人間になりたいという思いで就職活動するなかで、ミキハウスのファッションアドバイザーの仕事に興味を持った。「家族に寄り添い、誕生や成長の喜びを分かち合えるファッションアドバイザーこそ、私の夢をかなえる仕事だと感じた。日本一のファッションアドバイザーになるのが私の新たな目標。ミキハウスを100年ブランドへと導く存在となれるよう努力し続ける」と、力強く語った。

中国、台湾、フィリピン、カンボジアなど7カ国から採用

国際色豊かな新入社員もグローバルに展開するミキハウスならではだ。今年度の新人21人のうち、日本人は10人で、中国、台湾、フィリピン、カンボジア、マレーシア、タイ、ブラジルの出身者が11人。日本は少子化で子供服市場は縮小の一途だが、同社は早くから海外出店を積極的に進めており、現在では売上高の6割以上が海外市場になっている。

ブラジル出身のジョアンさんは、ポルトガル語であいさつした後、笑いを誘いながら流暢な日本語でスピーチした。「日本に住むことは子供の頃からの夢。日本の大学院で研究生活を送ったが、一人で研究するよりももっと人と関わり、チームで働きたくなった」と振り返る。就職フェアで初めてミキハウスに出合い、温かい雰囲気や社員の心遣いが人のつながりを大切にするブラジルの文化を思い出させ、「ここで働きたいと強く思った」。今後の目標はミキハウスを真のグローバルブランドにすること。「世界中どこに行ってもその価値を感じられる存在にしたい。ミキハウスの商品と精一杯のおもてなしでラテンアメリカや世界各地の家族を笑顔にしていきたい」と、明るくにこやかな表情を見せた。

硬式野球部の新入社員と、競泳、陸上競技、フェンシング、トランポリン、テニス、レスリング、カヌーといった競技部の新入部員も一人ひとり舞台で紹介された。2012年ロンドン五輪で福原愛選手、石川佳純選手とともに日本卓球界初の女子団体銀メダルを獲得し、現在はミキハウススポーツクラブのアドバイザーを務める平野早矢香さんも登壇した。「社会人として求められるのは結果。良い結果につなげるためには最大限の準備と、挑戦し続けること、最後まであきらめないこと、この3つが目標達成と人生の成功には大切」と話し、新入社員たちを激励した。

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ホテルと旅館の“あわい”に立つ 「佳ら久」の新しいホスピタリティーのかたち

訪日外国人の増加に伴い、特にツーリズムの文脈において体験価値や空間演出といった「付加価値」の重要性が高まっている。ファッション&ビューティ業界においても同様に、単にモノを売るだけでなく、“心を動かす”体験をどう届けるかが以前よりも一層、問われている。「WWDJAPAN」は1月13日号で「ホスピタリティ特集」を発行し、ラグジュアリーブランドの社長から現場の販売員まで、それぞれの接客哲学を掘り下げた。

業界を超え、他業種からも学べることは多いはずだ。中でも、ホスピタリティーそのものをビジネスとして体現するのが、ホテルや旅館といった宿泊業である。空間と接客、そのすべてがおもてなしとして機能し、宿そのものが“体験”を作る。オリックス不動産が展開する「ORIX HOTELS & RESORTS」の一ブランドである「佳ら久」は、そうした宿泊業のなかでも、ホテルと旅館の良さを掛け合わせ、まったく新しいホスピタリティーを打ち出している。

豪奢でも重厚でもない
“余白”という贅沢

熱海・伊豆山の「伊豆山 佳ら久」は2024年1月に「ミシュランキー」の1つ星を獲得した。全57室に露天風呂が備わり、全宿泊者が利用できる共用ラウンジや、眺望豊かなダイニングを備えるなど、ハード面の充実ぶりは誰の目にも明らか。しかし「伊豆山 佳ら久」の本当の魅力は、外資系ラグジュアリーホテルのような完璧な洗練でも、老舗旅館のような伝統的な作法美でもない、“余白”を前提とした新しい滞在体験だ。支配人の辰巳哲一氏は、そのあり方を「あわい(間)」という言葉で表現する。

「佳ら久」は、旅館のように1泊2食付きというスタイルを保ちつつも、素泊まりや朝食のみといった柔軟な滞在も可能だ。旅館にありがちな“時間に縛られる不自由”を脱し、ゲストが自分のペースで過ごせることを重視している。また、全館共通のゲストラウンジと、宿泊者専用ラウンジを用意。あえて“限られた人のための空間”を設けず、ラグジュアリーを開かれたものとして提供している。「距離感を大事にしたい」という「佳ら久」の哲学が、空間設計にも反映されている。

「気づかれない」気づきが
最上のもてなしに

「接客の本質は、人との“あわい”にあります」と辰巳氏は語る。

マニュアルに頼るのではなく、目の前のお客の様子を見て、声をかけるべきかを察する。その気づきこそ、スタッフの技術であり、感度がなせるもの。咳き込むゲストにのど飴をそっと渡す。左利きに気づけば、箸の向きを変えておく。これ見よがしではない。客自身が本人が気づかないほど自然に、無意識の“心地よさ”を積み重ねていく。それが「佳ら久」の考えるおもてなしであるという。

情報の一元化も、“一貫した心地よさ”を提供する上で欠かせない。予約システムは全施設共通。過去のリクエストや好みは全スタッフが確認でき、異なる系列施設に泊まっても、同じクオリティーのサービスが受けられる。ぬるめの風呂を希望した履歴があれば、次回の訪問時の客室風呂の温度は40度に。苦手な食材の代替メニューもスムーズに提案できる。辰巳氏は「これをお客さまの“驚き”ではなく、“当たり前”にしたい」と語る。

ファッション&ビューティ業界にも
通じる「余白」の価値

ファッション&ビューティ業界でも現場人材の欠乏感は顕著だが、宿泊業界でもそれは同様。宿泊業界を取り巻く課題である人材不足に対しても、「佳ら久」はその解消に意欲的だ。チェックインや清掃などのルーティン業務をこなすだけでなく、「自分の接客で喜んでもらえた」という実感がスタッフの成長ややりがいにつながる職場設計を目指す。「最終的には、同業には“佳ら久のようになりたい”と思われるブランドに、業界に従事する人たちには“佳ら久で働きたい”と思われるブランドに育てていきたい。ミシュランキー受賞は、その第一歩です」と辰巳氏。

「佳ら久」のホスピタリティは、ファッション&ビューティの接客にもまさに通じる部分が多い。売るのではなく、寄り添う。マニュアル通りではない、観察と気づき。押しつけない、“間”を尊重する美学。「ちょうどいい」をどう形にするかーーそれはファッションやビューティの売り場でもずっと変わらない命題だが、「佳ら久」のホスピタリティーのあり方は大きなヒントを与えてくれる。

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ホテルと旅館の“あわい”に立つ 「佳ら久」の新しいホスピタリティーのかたち

訪日外国人の増加に伴い、特にツーリズムの文脈において体験価値や空間演出といった「付加価値」の重要性が高まっている。ファッション&ビューティ業界においても同様に、単にモノを売るだけでなく、“心を動かす”体験をどう届けるかが以前よりも一層、問われている。「WWDJAPAN」は1月13日号で「ホスピタリティ特集」を発行し、ラグジュアリーブランドの社長から現場の販売員まで、それぞれの接客哲学を掘り下げた。

業界を超え、他業種からも学べることは多いはずだ。中でも、ホスピタリティーそのものをビジネスとして体現するのが、ホテルや旅館といった宿泊業である。空間と接客、そのすべてがおもてなしとして機能し、宿そのものが“体験”を作る。オリックス不動産が展開する「ORIX HOTELS & RESORTS」の一ブランドである「佳ら久」は、そうした宿泊業のなかでも、ホテルと旅館の良さを掛け合わせ、まったく新しいホスピタリティーを打ち出している。

豪奢でも重厚でもない
“余白”という贅沢

熱海・伊豆山の「伊豆山 佳ら久」は2024年1月に「ミシュランキー」の1つ星を獲得した。全57室に露天風呂が備わり、全宿泊者が利用できる共用ラウンジや、眺望豊かなダイニングを備えるなど、ハード面の充実ぶりは誰の目にも明らか。しかし「伊豆山 佳ら久」の本当の魅力は、外資系ラグジュアリーホテルのような完璧な洗練でも、老舗旅館のような伝統的な作法美でもない、“余白”を前提とした新しい滞在体験だ。支配人の辰巳哲一氏は、そのあり方を「あわい(間)」という言葉で表現する。

「佳ら久」は、旅館のように1泊2食付きというスタイルを保ちつつも、素泊まりや朝食のみといった柔軟な滞在も可能だ。旅館にありがちな“時間に縛られる不自由”を脱し、ゲストが自分のペースで過ごせることを重視している。また、全館共通のゲストラウンジと、宿泊者専用ラウンジを用意。あえて“限られた人のための空間”を設けず、ラグジュアリーを開かれたものとして提供している。「距離感を大事にしたい」という「佳ら久」の哲学が、空間設計にも反映されている。

「気づかれない」気づきが
最上のもてなしに

「接客の本質は、人との“あわい”にあります」と辰巳氏は語る。

マニュアルに頼るのではなく、目の前のお客の様子を見て、声をかけるべきかを察する。その気づきこそ、スタッフの技術であり、感度がなせるもの。咳き込むゲストにのど飴をそっと渡す。左利きに気づけば、箸の向きを変えておく。これ見よがしではない。客自身が本人が気づかないほど自然に、無意識の“心地よさ”を積み重ねていく。それが「佳ら久」の考えるおもてなしであるという。

情報の一元化も、“一貫した心地よさ”を提供する上で欠かせない。予約システムは全施設共通。過去のリクエストや好みは全スタッフが確認でき、異なる系列施設に泊まっても、同じクオリティーのサービスが受けられる。ぬるめの風呂を希望した履歴があれば、次回の訪問時の客室風呂の温度は40度に。苦手な食材の代替メニューもスムーズに提案できる。辰巳氏は「これをお客さまの“驚き”ではなく、“当たり前”にしたい」と語る。

ファッション&ビューティ業界にも
通じる「余白」の価値

ファッション&ビューティ業界でも現場人材の欠乏感は顕著だが、宿泊業界でもそれは同様。宿泊業界を取り巻く課題である人材不足に対しても、「佳ら久」はその解消に意欲的だ。チェックインや清掃などのルーティン業務をこなすだけでなく、「自分の接客で喜んでもらえた」という実感がスタッフの成長ややりがいにつながる職場設計を目指す。「最終的には、同業には“佳ら久のようになりたい”と思われるブランドに、業界に従事する人たちには“佳ら久で働きたい”と思われるブランドに育てていきたい。ミシュランキー受賞は、その第一歩です」と辰巳氏。

「佳ら久」のホスピタリティは、ファッション&ビューティの接客にもまさに通じる部分が多い。売るのではなく、寄り添う。マニュアル通りではない、観察と気づき。押しつけない、“間”を尊重する美学。「ちょうどいい」をどう形にするかーーそれはファッションやビューティの売り場でもずっと変わらない命題だが、「佳ら久」のホスピタリティーのあり方は大きなヒントを与えてくれる。

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免税売上高が急ブレーキ 百貨店大手3月度、大手4社が減収

百貨店大手4社の2025年3月度の売上高は、全社がマイナスだった。好調をけん引してきたインバウンド(訪日客)による免税売上高が30数か月ぶりにマイナスに転じるケースが見られた。訪日客の客数は前年同月を上回っているものの、ラグジュアリーブランドなど高額品の売れ行きが鈍ったため客単価は1〜2割下がった。免税売上高の急ブレーキについては各社とも「明確な理由はつかめておらず、現在分析中」としている。

売上高の前年同月との比較は、三越伊勢丹が0.5%減、高島屋が0.8%減、大丸松坂屋百貨店が1.2%減、阪急阪神百貨店が3.3%減だった。例年に比べて気温が上がらず、春物衣料の動きが鈍かった。それ以上に、天候に左右される国内客の落ち込みをカバーしてきた訪日客の免税売上高が伸びなかった。

免税売上高は三越伊勢丹が4.0%減、高島屋が11.5%減、大丸松坂屋が4.3%減、阪急阪神百貨店が約2割減だった。免税売上高はコロナから訪日客が回復して以降、30数か月にわたって連続増収が続いていた。減収になるのは高島屋が22年3月以来、大丸松坂屋が22年1月以来だ。

大丸松坂屋は客数が29.1%増にもかかわらず、客単価が25.8%減に落ち込んだ。他社もほぼ同様で化粧品の免税売上高は伸びているものの、ラグジュアリーブランドのバッグなどの販売が失速した。阪急阪神百貨店の阪急本店では「海外VIP顧客の売り上げは前年に対して約4割増と高伸するも、一般ツーリストが約4割減になった」としている。

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三枝こころが導くゴルフブランド「ジュン アンド ロペ」原点回帰 着倒したから言える「これじゃ売れないよ」

ジュンは、ブランド設立15周年を迎えたゴルフウエアブランド「ジュン アンド ロペ(JUN & ROPE)」のディレクターに、モデルの三枝こころを起用した。同ブランドは2024年秋に、メンズで上質&ベーシックを打ち出す新ライン“ノワール”を立ち上げたが、改めて主軸であるウィメンズにも注力。三枝ディレクターはレギュラー77の好記録を持つアマチュアゴルファーであり、クローゼットの中は日常着よりもゴルフウエアの方が多いというほど、ウエアにもこだわりを持っている。これまでは同ブランドのトップアンバサダーを務めてきたが、今後はディレクターとして商品開発により深く携わる。ゴルフ好きとしても知られる佐々木進ジュン社長と三枝ディレクターに、話を聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):ジュンとして、「ジュン アンド ロペ」を含むゴルフブランド事業は近年どのような状況か。

佐々木進ジュン社長(以下、佐々木):コロナ禍中のゴルフブームで若いゴルファーは急激に増え、ゴルフマーケットでは新規ブランドも多数生まれた。ただ、コロナが明けてレジャーの選択肢が増えた中では、ゴルフ人気はひと段落している。しかし、中高年をはじめとしたコロナ以前からのファンの間では、ゴルフ人気は根強い。そのような、成熟したライフスタイルを送っている方たちに向き合い、ゴルフ業界をしっかり成長させていく。それが当社の役割であると再認識している。

WWD:三枝さんをディレクターに起用した理由は?

佐々木:「ジュン アンド ロペ」では近年はメンズで“ノワール”を立ち上げるなど、メンズも拡充してきた。ただし、もともとはウィメンズから始まったブランドであり、改めてウィメンズにも注力し、再成長を図る。三枝さんはプライベートでも「ジュン アンド ロペ」のウエアを愛用し、着倒していただいている。実際に着た感想やゴルフ仲間からの反響を、良い点も悪い点も事業部にどんどんフィードバックしてくださっている。ブランドを再成長させるためにどうしたらいいか、事業部としては悩んだ部分もあったが、三枝さんから「『ジュン アンド ロペ』は上品で、おしゃれなかわいらしさとスポーツウエアとしてのバランス感が最大の魅力。そこを突き詰めるべき」というコメントをいただいて、改めて自信を持った。事業部を長くやっていると、ブランド本来の良さが分からなくなってしまうこともある。そんなときに、ブランド元来の魅力を思い出すきっかけをいただいた。事業部のメンバー以上に、ブランドの魅力を俯瞰で理解していただいている。そこが三枝さん起用の最大の決め手だ。

「攻めているけど
上品さもある」

WWD:三枝さんと「ジュン アンド ロペ」との出合いは。

三枝こころ「ジュン アンド ロペ」ディレクター(以下三枝):9年間アンバサダーを務めてきた。展示会に初めてお邪魔したのは15年の秋のこと。当時はまだゴルフウエアというとスポーツブランドのイメージが強く、一般アパレルのようなかわいいウエアはあまりなかった。その中で「ジュン アンド ロペ」は、色使いやグラフィックもスポーティーすぎず、攻めているけれど上品さもあって、こんなブランドがあるのかと衝撃を受けた。ピンクという色1つをとっても、ただのピンクではなく絶妙なピンク。しかも機能性もしっかりしており、他にはないゴルフウエアだなと愛用してきた。

コロナ禍のゴルフブームの少し前にも、「#ゴルフ女子」としてインスタグラムでかわいいウエアを着こなす女性ゴルファーに注目が集まった時代があった。「#ゴルフ女子」ブームやコロナ禍のゴルフブームの中で、ブランドアンバサダーを務めさせていただき、ゴルフ本を出版し、ゴルフにフォーカスした自身のyoutubeチャンネルを立ち上げて何百本と動画を出し、女子向けゴルフイベントをやらせてもらった際は何度も満員御礼を出すなど、ゴルフで“魅せる”ことはやり切ってきた自負がある。この9年の間に、母親になるなどの変化もあった。今37歳になって、さてここからどうしようか、どうゴルフと向き合っていこうかと考えていたときに「ジュン アンド ロペ」のディレクター就任の話をいただき、そんな道も開けるのかと非常にありがたく感じているし、責任の大きさに緊張感も持っている。

WWD:ディレクター就任を報告しているYoutubeの中では、事業部のメンバーから、「三枝さんには『こんなんじゃゴルフできない』『なんでこんなデザインにしちゃったの?』など辛口の意見もいただく」と明かされている。

三枝:展示会で見るだけでは分からない点も多いが、ビジュアル撮影時には毎シーズン、全アイテムを着用する。そうすると、ファッション好きのゴルファー目線で気になる点が出てくる。例えば、「ファスナーの位置がここでは邪魔だ」とか、「このトップスはスイングする時に肩周りが動かしにくい」といったことを、撮影時には必ず伝えるようにしてきた。「バックリボン付きのデザインがかわいいから、このトップスはカラーバリエーションをもっと増やすべき」といった提案もしてきた。バックリボン付きのデザインは、一般アパレルだけでなくゴルフウエアでもはやったが、ゴルフブランドの中では「ジュン アンド ロペ」の提案が比較的早かったように思う。

佐々木:直近では、「このニットは重い」というご指摘をいただいている(笑)。

三枝:デザインや色使いはすごくすてきなニットなのに、重さだけが惜しいと強く感じたのでお伝えした。近年はゴルフ用インナーのクオリティーが上がっている。ニットを分厚くしなくても、インナーに保温性があるので不都合はない。私は夏にノースリーブのワンピースなどを着る際も、日焼けを防ぐためにロングスリーブの機能性インナーを合わせるという着こなしを自分流でよくしているが、私のスタイリングを発信源として、そうしたレイヤードが女子のプロゴルファーなどの間にも広がったとゴルフメディアの方に言っていただいたこともある。「ジュン アンド ロペ」のアイテム1つ1つがもともとすてきだからこそ、スタイリングが映える。

「アンバサダー時代とは
プレッシャーの大きさが異なる」

WWD:近年のゴルフマーケットでは、モノトーン中心のストリートテイストのウエアが支持される傾向がある。

佐々木:そうした傾向は確かにあるし、ゴルフ市場の中でさまざまな選択肢があるのはいいこと。本来ゴルフは上品なスポーツで、ゴルフの上品なあり方に共感する人が増えて、ゴルフが発展していくのは当社としても望むところだ。ゴルフはボールを打つというスポーツとしての側面だけでなく、その周囲に旅、仲間とのコミュニケーション、精神を整えるといったさまざまな価値があり、ポテンシャルは大きい。非常にすばらしいスポーツかつ文化であることを、もっと幅広い方に知っていただきたい。

WWD:ディレクターに就任し、三枝さんはアンバサダー時代にはなかったプレッシャーも感じているか。

三枝:出てきたものに対して意見を言うことと、どういうものがいいか、イチから意見を出すのとでは全く異なる。アンバサダー時代にもコラボとして数型の企画に携わったことがあるが、コラボは自分の好きなものだけを作ればよかった。ディレクターとしては、シーズンに数十型ものアイテムに責任を持たなければならない。好きなものだけでなく、シンプルなもの、スポーティーなものなど、全体のバランスを追求していかなければならず、そこが難しい。コラボ商品に反響があった際もすごくうれしかったが、ディレクターになってからの商品がヒットしたときの喜びは、恐らくその何倍にもなりそうだ。

「絶不調もあるのがゴルフの面白さ」

WWD:三枝さんはいつゴルフを始めたのか。

三枝:始めたのは21歳のとき。練習場に初めて行ってハマってしまい、その週にはラウンドに行って、空振りもしたけどパーも取れた。とにかく楽しくて、人に会えば「ゴルフ行きましょう」と声掛けし、すぐに年間100ラウンドを回るようになった。目標スコアを達成したら、次は試合に出てみたい。試合に出たら、成績を残したい。次はゴルフ番組に出たい、自分で番組を持ちたいといったように、ゴルフを通して向上心やネットワークがどんどん広がっていった。

WWD:最後に、佐々木社長と三枝さんの最近のゴルフの成績は。

佐々木:あまり良くない(笑)。でもそんな時期もあるのがゴルフの面白さ。例えばテニスやマラソン、野球は、強い人はいつも強いが、ゴルフはうまい人やプロでさえ絶不調になることがある。同じプレーができる再現性が低く、そこに歯がゆさがある。しかし、毎回変わらずできるようになってしまったらきっとつまらない。繰り返しになるが、スポーツとしてだけでなく、仲間とのコミュニティーやジェントルマンの精神など、文化として受け継がれている面も奥深い。

三枝:私も絶不調で、ディレクターに就任したのにどうしようかと思っている(笑)。これを機に一度リセットして、新しいウエアのデザインを考えながら、技術を磨き直していく。まさかこんなに不調になるとは思っていなかった。上へ上へ頑張らなきゃという意識で、辞めたくてもゴルフは辞められない。ディレクターに就いたことで、どうしてもカジュアルになりがちなゴルフウエアを、もっと女性が楽しめるものに変えていきたい。ゴルフの経験とモデルとしての知見を生かし、他のブランドが真似したくなるようなデザインを考え、「ジュン アンド ロペ」のファンを増やしていきたい。

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ゴールドウインが旅行会社を子会社化 訪日客向け“アドベンチャーツーリズム”に商機

ゴールドウインは、旅行会社のアルパインツアーサービス(千葉・四街道市)を子会社化する。アルパインツアーサービスの主要事業である国内外でのハイキングやトレッキングなどのアクティビティーツアーの展開を強化し、ゴールドウイン運営ブランドとの連携で、顧客の体験価値向上につなげる。「今後も拡大が見込まれる」(発表資料から)“アドベンチャーツーリズム”市場で、「リーディングポジションを目指したインバウンド事業の確立」も目指す。

ゴールドウインがアルパインツアーサービスの全株式の99.5%を持つ。4月上旬開催の株主総会の承認をへて、ゴールドウインでコンプライアンス室長などを務めてきた藤井知一氏がアルパインツアーサービス社長に就く。ゴールドウインとアルパインツアーサービスは、これまでもゴールドウインが日本の国立公園を舞台に実施するアクティビティープロジェクト、“プレイ アース アドベンチャー”などで、長らく協業を続けてきた。

“アドベンチャーツーリズム”とは、「アクティビティー体験、自然体験、文化体験の3要素のうち、2つ以上の要素で構成される旅行」という。「自然や文化を体験しながら旅行を楽しむというニーズが高まっており、(中略)日本の美しい風景や豊かな文化が注目され、訪日観光客数は着実に増加して」いることから、子会社化によってニーズに素早く対応、より良質なツアーの提供を目指す。ほか、自然体験・環境教育をコンテンツとするBtoB企業研修の受託事業などの新規事業も行っていく考えという。

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ゴールドウインが旅行会社を子会社化 訪日客向け“アドベンチャーツーリズム”に商機

ゴールドウインは、旅行会社のアルパインツアーサービス(千葉・四街道市)を子会社化する。アルパインツアーサービスの主要事業である国内外でのハイキングやトレッキングなどのアクティビティーツアーの展開を強化し、ゴールドウイン運営ブランドとの連携で、顧客の体験価値向上につなげる。「今後も拡大が見込まれる」(発表資料から)“アドベンチャーツーリズム”市場で、「リーディングポジションを目指したインバウンド事業の確立」も目指す。

ゴールドウインがアルパインツアーサービスの全株式の99.5%を持つ。4月上旬開催の株主総会の承認をへて、ゴールドウインでコンプライアンス室長などを務めてきた藤井知一氏がアルパインツアーサービス社長に就く。ゴールドウインとアルパインツアーサービスは、これまでもゴールドウインが日本の国立公園を舞台に実施するアクティビティープロジェクト、“プレイ アース アドベンチャー”などで、長らく協業を続けてきた。

“アドベンチャーツーリズム”とは、「アクティビティー体験、自然体験、文化体験の3要素のうち、2つ以上の要素で構成される旅行」という。「自然や文化を体験しながら旅行を楽しむというニーズが高まっており、(中略)日本の美しい風景や豊かな文化が注目され、訪日観光客数は着実に増加して」いることから、子会社化によってニーズに素早く対応、より良質なツアーの提供を目指す。ほか、自然体験・環境教育をコンテンツとするBtoB企業研修の受託事業などの新規事業も行っていく考えという。

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TSI、スケートボードEC販売サイトの米孫会社の株式を譲渡

TSIホールディングスは1日、傘下でスケートボードやスノーボードを扱う米ECサイト「Tactics.com」の運営会社Efuego Corp(本社オレゴン州)の全株式を譲渡すると発表した。譲渡先はEC事業の運営するInversal(本社デラウェア州)で、譲渡金額は非公表。

TSIは2020年にTSI米国法人を通じてEfuego Corpを買収していた。コロナ下ではストリートカジュアル市場が好調だったが、市場環境の変化によって業績が悪化。直近の24年12月期は売上高が1912万ドル(約28億円)、営業損益が300万ドル(4億5000万円)の赤字だった。TSIは事業ポートフォリオの見直しを図っており、成長が期待できる分野への経営資源の集中を進める。

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しまむら、中計を上方修正 25年2月期の好業績を受け

しまむらは、2027年2月期を最終年度とする連結の中期経営計画を上方修正すると31日に発表した。売上高は7250億円(当初計画は7190億円)、営業利益は665億円(同660億円)、ROE(自己資本比率)は9.0%以上(同8.0%程度)にそれぞれ目標値を上げる。売上高では特にEC売上高を180億円(同110億円)へと大幅に引き上げる。既存店の競争力を高めるため、3年間の改装店舗数も当初計画の150店舗を250店舗に増やす。

中計の初年度である25年2月期の好業績を受けて決定した。しまむらの2025年2月期連結業績は、売上高が前期比4.8%増の6653億円、営業利益が同7.1%増の592億円、純利益が同4.5%増の418億円だった。全項目で過去最高を更新した。引き続きPB(プライベートブランド)やJB(ジョイントデベロップメントブランド)などの自社開発商品、中でもキャラクターやインフルエンサーとの協業品がよく売れた。

EC売上高は129億円で、中計の目標を初年度で達成している。とはいえ、売上高に占めるEC化率は2.0%に過ぎず、伸び代は大きいと見る。

主力業態「ファッションセンターしまむら」の既存店ベースの売上高が同4.3%増だった。客数は同2.9%増、客単価は同1.4%増。PB「クロッシー」「クロッシープレミアム」やJBの付加価値の高い商品の動きがよく、値引きが抑制された。

31日にオンラインで開催された決算説明会で、3月1日に就任した高橋維一郎社長は営業畑が長い自身のキャリアを紹介し、「自分の強みは変革する力。常に変化を続けるマーケットに対し、商品や販促で変革を実践してきた。今後は組織の変革に取り掛かりたい」と抱負を述べた。

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しまむら、中計を上方修正 25年2月期の好業績を受け

しまむらは、2027年2月期を最終年度とする連結の中期経営計画を上方修正すると31日に発表した。売上高は7250億円(当初計画は7190億円)、営業利益は665億円(同660億円)、ROE(自己資本比率)は9.0%以上(同8.0%程度)にそれぞれ目標値を上げる。売上高では特にEC売上高を180億円(同110億円)へと大幅に引き上げる。既存店の競争力を高めるため、3年間の改装店舗数も当初計画の150店舗を250店舗に増やす。

中計の初年度である25年2月期の好業績を受けて決定した。しまむらの2025年2月期連結業績は、売上高が前期比4.8%増の6653億円、営業利益が同7.1%増の592億円、純利益が同4.5%増の418億円だった。全項目で過去最高を更新した。引き続きPB(プライベートブランド)やJB(ジョイントデベロップメントブランド)などの自社開発商品、中でもキャラクターやインフルエンサーとの協業品がよく売れた。

EC売上高は129億円で、中計の目標を初年度で達成している。とはいえ、売上高に占めるEC化率は2.0%に過ぎず、伸び代は大きいと見る。

主力業態「ファッションセンターしまむら」の既存店ベースの売上高が同4.3%増だった。客数は同2.9%増、客単価は同1.4%増。PB「クロッシー」「クロッシープレミアム」やJBの付加価値の高い商品の動きがよく、値引きが抑制された。

31日にオンラインで開催された決算説明会で、3月1日に就任した高橋維一郎社長は営業畑が長い自身のキャリアを紹介し、「自分の強みは変革する力。常に変化を続けるマーケットに対し、商品や販促で変革を実践してきた。今後は組織の変革に取り掛かりたい」と抱負を述べた。

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ジーユー柚木治社長が退任 在任15年、ファストリの「第二の柱」築く

ファーストリテイリング傘下ジーユーの柚木治社長が、あす4月1日付で退任する。2010年から約15年にわたって同社を率い、「ジーユー(GU)」を「ユニクロ(UNIQLO)」に続くグループの第二の柱に育て上げた。ファーストリテイリングのグループ上席執行役員職は続投し、同社のコーポレートサービス担当に就く。ジーユー社長の後任は、同社グローバルCOOの黒瀬友和氏。

柚木氏は1988年に一橋大学経済学部卒業後、伊藤忠商事、GEキャピタルコーポレーションを経て99年ファーストリテイリング入社。2000年に執行役員に就任し、飲食事業のエフアール・フーズ社長、ジーユー立ち上げの母体となるGOVリテイリング社長などを経て10年ジーユー社長就任。積極的なデジタルマーケティングで“マシュマロパンプス“バレルレッグジーンズ”といったヒット商品を生み出し、「ユニクロ」よりも鮮度の高いトレンド感と低価格を両立した若年層向けブランドとしてのポジションを確立させた。ジーユーは24年8月期に売上収益(売上高に相当)が3191億円(前期比8.1%増)となり、初めて3000億円を突破した。

新社長に就任する黒瀬氏は、95年にファーストリテイリングに入社。ユニクロ池袋東口店長や銀座店の初代店長を歴任し、ユニクロ台湾のCEOとして業績の回復にも貢献した。ジーユーのグローバルCOOとしては、24年9月に米ニューヨークにオープンした海外初の旗艦店設置を主導し、グローバル展開加速の端緒を作った。

ファーストリテイリングは社長交代の背景について、「当社は世界中でお客さまに最も愛されるブランドになるため、高い目標を掲げ、グローバルに事業拡大を進めている。その一環として、連結子会社であるジーユーのさらなる事業拡大に向け、経営体制を強化する」とし、「これまで以上にジーユー事業の経営の質を向上させ、ファーストリテイリンググループの第二の成長の柱として事業拡大を図る」としている。

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LVMHアルノー会長の次男、「モンクレール」取締役会メンバーの候補に 4月の株主総会で決議

モンクレール(MONCLER)は、4月16日に開催する株主総会に向けて、取締役会メンバーの候補者リストを発表した。その中には、同社を率いるレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)に加えて、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼CEOの次男であるアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)LVMHワイン&スピリッツ部門副CEOも含まれている。

LVMHとモンクレールの縁とは

LVMHは2024年9月、ルッフィーニ会長兼CEOの持株会社であるルッフィーニ パルテチパツィオーネ ホールディング(RUFFINI PARTECIPAZIONI HOLDING以下、RPH)と提携し、RPHが保有する投資会社ダブルR(DOUBLE R)の株式の10%を取得した。このパートナーシップ契約に基づき、ダブルRは18カ月をかけてモンクレールの株式を買い増し、保有比率を最大18.5%まで増やす。取引時点でのダブルRの持分は15.8%で、現在では16.9%となっている。

一連の取引は、モンクレールの筆頭株主であるルッフィーニ会長兼CEOの立場をさらに強化するもので、LVMHはダブルRの「安定した長期的な少数株主」として同氏を支えていくという。なお、この取引に伴い、LVMHはダブルRの取締役会のメンバー2人と、モンクレールの取締役会のメンバー1人を任命する権利を獲得していた。

ほかの候補者は?

また、同株主総会では、取締役会のメンバーを現在の12人から15人に増やす議案の決議も行う。候補者のリストには、ほかにスー・Y・ナビ(Sue Y. Nabi)=コティ(COTY)CEO、ジェフロイ・ヴァン・ラムドンク(Geoffroy van Raemdonck)前ニーマン マーカス グループ(NEIMAN MARCUS GROUP)CEO、フランソワ・アンリ・ベナミアス(Francois Henry Bennahmias)前オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)CEOらの名前が挙げられている。

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ナイキと巨人が女子のスポーツ活動を助成 ロールモデルにイモトアヤコや田中美羽選手ら 

ナイキは2025年、読売巨人軍(以下、ジャイアンツ)と協同し、「スポーツを通じて子どもたち、特に女の子を助成する」(発表資料から)プログラムとして、「KARADAKARA(カラダカラ)」をスタートする。3月28日に東京ドームで行われたジャイアンツの開幕戦(対ヤクルト)で、プログラムを発表。同プログラムの「ロールモデル」を務める、ジャイアンツ所属の田中美羽選手、タレントのイモトアヤコさん、「エテ」のオーナーシェフの庄司夏子さんが、開幕戦前のファーストピッチに登場した。

「KARADAKARA」は、体を動かすことを通じて、子どもたちの成長をサポートする活動を行っている団体に対する助成プログラム。「女の子をはじめ、すべての子どもたちがスポーツの喜びを知り、心身共に健やかに育つための機会や環境作りを応援する」ことを目的とする。3月28日から助成への応募をウェブ上で開始しており、締め切りは5月17日17時。

助成対象とするのは、東京都に主な事務所を置く、2年以上の活動実績のある民間非営利団体の活動。未就学児や保護者、小中高などに運動機会を提供するプロジェクトのほか、スポーツハラスメント防止のための指導者向けプログラムも対象とする。審査のうえ、1件につき50万〜250万円の助成を実施する。応募基準などの詳細はウェブ上で公表している。助成に関する実務は日本NPOセンターが協力している。

ファーストピッチに登場した3人は、囲み取材にも対応。田中選手は「小さなころから野球を通して、できないことができるようになる喜びを体験し、できないことにもチャレンジしようという気持ちが湧いたし、仲間とプレーすることのすばらしさを知った。中学、高校に入学すると女子だけで野球をする環境がなくなったが、それでも野球が好きで続けてきた。今回のプロジェクトを通して、私にとっての野球のようなスポーツに、みんなが出合える環境作りをしていきたい」とコメント。

陸上部やハンドボール部を経験したというイモトさんは、「仕事では過酷なこともあるが、小中高と厳しい運動部できたえられてきたから、自分を鼓舞できる。一口に運動といってもいろいろあるから、自分は運動が苦手と思い込まず、まずやってみてほしい」、テニス部出身という庄司さんは、「部活は目上の人と接する最初の機会。社会に出ると、目上の人と折衝していく機会は多い。大人になってから大切なことを、子どものころにスポーツの場で学ぶことができる」とコメントした。

同プロジェクトの「ロールモデル」は3人のほか、ブレイクダンサーでパリ五輪金メダリストのAMI(湯浅亜実)さんも務める。AMIさんは海外遠征のため欠席だった。ナイキはジャイアンツのオフィシャルパートナーであり、開幕戦はナイキの冠試合「NIKE DAY 2025」として開催した。

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ナイキと巨人が女子のスポーツ活動を助成 ロールモデルにイモトアヤコや田中美羽選手ら 

ナイキは2025年、読売巨人軍(以下、ジャイアンツ)と協同し、「スポーツを通じて子どもたち、特に女の子を助成する」(発表資料から)プログラムとして、「KARADAKARA(カラダカラ)」をスタートする。3月28日に東京ドームで行われたジャイアンツの開幕戦(対ヤクルト)で、プログラムを発表。同プログラムの「ロールモデル」を務める、ジャイアンツ所属の田中美羽選手、タレントのイモトアヤコさん、「エテ」のオーナーシェフの庄司夏子さんが、開幕戦前のファーストピッチに登場した。

「KARADAKARA」は、体を動かすことを通じて、子どもたちの成長をサポートする活動を行っている団体に対する助成プログラム。「女の子をはじめ、すべての子どもたちがスポーツの喜びを知り、心身共に健やかに育つための機会や環境作りを応援する」ことを目的とする。3月28日から助成への応募をウェブ上で開始しており、締め切りは5月17日17時。

助成対象とするのは、東京都に主な事務所を置く、2年以上の活動実績のある民間非営利団体の活動。未就学児や保護者、小中高などに運動機会を提供するプロジェクトのほか、スポーツハラスメント防止のための指導者向けプログラムも対象とする。審査のうえ、1件につき50万〜250万円の助成を実施する。応募基準などの詳細はウェブ上で公表している。助成に関する実務は日本NPOセンターが協力している。

ファーストピッチに登場した3人は、囲み取材にも対応。田中選手は「小さなころから野球を通して、できないことができるようになる喜びを体験し、できないことにもチャレンジしようという気持ちが湧いたし、仲間とプレーすることのすばらしさを知った。中学、高校に入学すると女子だけで野球をする環境がなくなったが、それでも野球が好きで続けてきた。今回のプロジェクトを通して、私にとっての野球のようなスポーツに、みんなが出合える環境作りをしていきたい」とコメント。

陸上部やハンドボール部を経験したというイモトさんは、「仕事では過酷なこともあるが、小中高と厳しい運動部できたえられてきたから、自分を鼓舞できる。一口に運動といってもいろいろあるから、自分は運動が苦手と思い込まず、まずやってみてほしい」、テニス部出身という庄司さんは、「部活は目上の人と接する最初の機会。社会に出ると、目上の人と折衝していく機会は多い。大人になってから大切なことを、子どものころにスポーツの場で学ぶことができる」とコメントした。

同プロジェクトの「ロールモデル」は3人のほか、ブレイクダンサーでパリ五輪金メダリストのAMI(湯浅亜実)さんも務める。AMIさんは海外遠征のため欠席だった。ナイキはジャイアンツのオフィシャルパートナーであり、開幕戦はナイキの冠試合「NIKE DAY 2025」として開催した。

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第12話:ついに欠品を防ぐ策が見つかる? 店長説得に向けて動き出す4人

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

欠品を防ぐ鍵は、地域倉庫に店舗在庫の多くを預けてしまうこと。倉庫から店舗への供給時間は1日であり、焦って大量の在庫を店舗に確保せずとも、必要な時に必要な分だけ取り寄せられる。そう店長に理解してもらえれば話は早いと、あい、徹、蓮也、加地の4人はプレゼンの準備をし始めた。果たして、彼らは無事に店長を説得できるのか——?

登場人物紹介

第十二話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第12話:ついに欠品を防ぐ策が見つかる? 店長説得に向けて動き出す4人

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

欠品を防ぐ鍵は、地域倉庫に店舗在庫の多くを預けてしまうこと。倉庫から店舗への供給時間は1日であり、焦って大量の在庫を店舗に確保せずとも、必要な時に必要な分だけ取り寄せられる。そう店長に理解してもらえれば話は早いと、あい、徹、蓮也、加地の4人はプレゼンの準備をし始めた。果たして、彼らは無事に店長を説得できるのか——?

登場人物紹介

第十二話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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ワコールがJ R京都駅八条口の新京都ビルを売却

ワコールホールディングス(HD)は、新京都ビルを国内法人に売却する。譲渡日は5月27日予定。同ビルはJR京都駅の八条口に程近く、2016年に竣工した。ワコールのオフィスおよび、1〜2階に“美”について学べる「ワコールスタディホール京都」の開設により、図書館や展覧会、コワーキングスペースなどを設けていた。構造改革の一環で、浅草橋ビルや旧福岡事業所跡地などの売却に続くものだ。

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石川に日本最大の「観光できる繊維工場」、カジグループが社運をかけ70億円を投じたワケ

カジグループは4月10日、石川県かほく市に70億円を投じた新工場「カジファクトリーパーク(KAJI FACTORY PARK)」を稼働させる。同社は極薄のナイロン織物で世界でトップクラスの実力を持つ企業だが、企業規模は年商で数百億円の前半と見られる。そう考えると、70億円を投じて工場を新設すること自体が、かなり異例だ。加えてクラフトツーリズム(産業観光)型の工場として位置付け、4.3万㎡の敷地に織物生産工場のほか同社が展開するトラベル雑貨ブランドの「トゥー アンド フロー(TO&FRO)」、ファクトリーブランドの「ケースリービー(K−3B)」の店舗、レストラン、北陸産の漆器や雑貨などを集めたセレクトショップを集積する。敷地内には子ども用の遊具や樹齢1000年のオリーブの木、多数のベンチなども配置する。

大手企業ですら繊維事業から撤退するなど日本の繊維産業自体が苦戦する中、同社はなぜ新工場を新設したのか。梶政隆・社長に聞いた。

繊維では異例の観光できる工場「ファクトリーパーク」
樹齢1000年のオリーブの木も

WWD:「ファクトリーパーク」と銘打って、建物の中にはセレクトショップやレストラン、敷地内には樹齢1000年のオリーブや子どもの遊具、多数のベンチも設置した。

梶政隆カジグループ社長(以下、梶):いいでしょ。とてもワクワクしている。お客用の駐車場の隣には「ウェルカムガーデン」。ここは子ども用の遊具をたくさん作った。夏になるとグルグル動き回る10数個のウォータージェットが出るようになってて、水遊びができる。そのままスロープを上がると、南イタリア産の樹齢1000年とスペイン産の樹齢500年のオリーブの木のある「オリーブガーデン」。晴れた日にはベンチに座ってコーヒーを飲みながら立山連峰を眺めると気持ちいいんだ。

WWD:斜陽と言われる繊維産業の中で、70億円を投じて工場を新設した。投資の原資は?

梶:大半が銀行からの借り入れだ。実は当社はかなり財務体質が良かったが、工場の新設でだいぶ悪化した。

WWD:なのに樹齢1000年のオリーブの木など、繊維工場としては異例づくめの作りだ。なぜこのような工場を?

梶:このオリーブの木一つで織機が3台買えてしまう。だが、工場を観光地のように常に人が集まる場所にしたかった。「なぜファクトリーパークにしたか?」ということへのアンサーは、まさに「斜陽」と言われる繊維産業のイメージを変えたかったからだ。10年先、30年先を考えると、「雇用問題」はまさに経営危機と直結する。ただでさえ人手不足なのに、「斜陽」というイメージがあればさらに人は来ない。当社は2034年で創業100年を迎えるが、このまま何もしなければ人手不足に陥るのは目に見えている。特に当社は極細のナイロンを使って1メートルで10グラム前後という極薄織物が得意で、扱う糸が細いため、目のいい若い人が定期的に入ってこないと、事業自体が立ち行かなくなる。そういった危機感が強い。

WWD:以前からテキスタイルのブランディングに力を入れてきたが。

梶:もう一つの狙いはブランディングだ。当社はグループ内に糸加工や繊維機械の企業を所有しており、細かい工夫を積み重ねて極薄のナイロン生地を製造している。ナイロンの極薄生地に関しては、今なお世界のトップクラスのポジションにいると自負している。ただ、いくら世界でトップレベルのナイロン生地を作れる、と言ってもなかなか売値には跳ね返ってこない。最終消費者へのリーチが足りなていないからだ。2012年からトラベルグッズブランドの「トゥー アンド フロ-
」、19年にはファクトリーブランドの「K−3B」を立ち上げ、20年にはテキスタイルブランド「カジフ(KAJIF)」もスタートした。全てブランドを通じて直接、消費者にテキスタイルの付加価値の高さをアピールしたかったからだ。

WWD:「ファクトリーパーク」の構想はいつから?

梶:工場の新設自体は2017年ごろから考えていたが、当初はサステナブル対応の工場にしようかな、くらいの感じだった。ただ、縁があってこのかほく市の1万坪の敷地を見た瞬間に、ぱっととひらめいた。ずっと頭を悩ませていた人手不足やテキスタイルのブランディング、工場の新設が有機的につながって「パーク構想」が見えた。

WWD:トータルディレクターにはメソッドの山田遊代表、植栽・ガーデンにはプラントハンターの西畠清順氏、内装には佛願忠洋(ぶつがん・ただひろ)ABOUT代表とクリエイターを巻き込んだ。

梶:ファクトリーパーク構想がひらめいてから、一人ひとり個別に私の方から声をかけた。ファクトリーパーク構想を実現する上で、鋳物の能作が仕掛ける富山県の高岡市、スイーツのたねやによる「ラコリーナ近江八幡」、コスメ大手のSHIROの手掛ける北海道の砂川など、日本の産業観光の主だったところにはすべて足を運んで回って、勉強しながら、クリエイターたちと一緒に中身を練った。ブルネロ・クチネリのソロメオ村も直接行ったことはないが、ネットや本など手に入る情報にはすべて目を通した。

WWD:目指すのは?

梶:工場自体は2024年12月に織機が全部入って稼働しており、年明けからはすぐにフル稼働になった。延床面積は工場や店舗、レストランなどを含め2層で1万1219㎡。165台のウォータジェット織機を新たに導入した。ここから車で10分の距離にある高松工場(織機250台)も含めると、年産の織物生産は1000万㎡になる。

梶:新工場の設立を機にDX投資もかなり行った。今は高松工場も含めて織機も1台単位で稼働率をモニタリングできるようになっている。実は生産効率の面でかなり大きく、投資の返済原資はこの部分の粗利の増加分だ。

梶:ビジネスの面で言えば、テキスタイルのブランディングに成功したら、例えば当社の生地の平均単価900円が100円上がれば、年間1000万mの当社からするとそれだけで収益は10億円アップする。借金なんてすぐに返せる(笑)。

梶:これまでずっと、当社に限らず、テキスタイル、あるいは日本の繊維業界のイメージアップのため、何をすればいいのか考え続けてきた。繊維は衣・食・住の一つを担う重要な産業で、しかも日本の繊維は世界的にも高い技術や競争力を持つ。なのに、全然アピールができていない。この新工場は、「斜陽」みたいなイメージを払拭し、重要な産業であることを日本全体にアピールするの試金石だ。ここからいろんなモノ・コトを仕掛けていく。すでにいくつかのブランドとは協業して一緒に展示会やファッションショー、フェスをやろうという話が進んでいる。繊維やファッションだけでなく、エンタメやエレクトロニクスなどこれまで当社として接点のなかった異業種コラボレーションにもぜひ取り組みたい。目指すは、多彩な人が行き交う「イノベーションのハブ」。

こうしたイベントなどを仕掛けるため、新たに10人の専任スタッフで「産業観光部」も発足した。当社は24時間操業だが、正月とお盆などの工場が休みの日には、寿司や焼き肉などのマルシェを開いたっていい。

かほく市自体が実はとても素敵なところだが、宿泊施設などが少ない。工場のすぐ裏が海辺になっていて、とても気持ちのいい場所があり、そこにレストランや小さなホテルを誘致して、かほく市自体をもっと盛り上げたいとも思っている。今回は多彩なクリエイター後からも借りた。そうしたクリエイターも含め、この工場をハブにしてかほく市を盛り上げ、いずれは市全体のGDPを上げる。本気だ。

WWD:今後は?

梶:100年先も生き残るための投資と考えれば、70億円も100で割ったら大したことではない。繊維はまだまだ可能性はある。先ほど異業種交流と言ったが、実は繊維産地同士の交流だってまだまだ少ない。他の繊維産地とも一緒にぜひコラボレーションしたい。まずはぜひ工場を見に来てほしい。当社は何も隠さないオープンファクトリーでもある。これから先、現時点では僕が想像できないことがどんどん起こる。それに本当にワクワクしている。

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ファンケル、話題の“キンミズヒキ”を配合したサプリメントを発売 

ファンケルは4月17日、疲れを感じやすい中高年の一時的な疲労感を軽減し前向きな気分を維持する機能性表示食品“ウェルエイジ プレミアム”(30粒・30日分、5870円)を発売する。加齢により増える細胞(細胞機能が低下し、増殖しなくなった細胞)の除去作用が期待できる「キンミズヒキ由来アグリモール類」を配合。同社のECと直営店舗で取り扱い、3月27日から事前予約を開始する。

同社は、「活気・活力が低く、疲労を感じている」40歳以上60歳未満の日本人男女を対象に臨床試験を実施。その結果、キンミズヒキ由来アグリモール類を含有するサプリメントを摂取することで、「前向きな気分の維持、一時的な疲労感を軽減する」機能を世界で初めて(同社調べ)確認したという。

キンミズヒキはバラ科の植物で、「龍牙草(りゅうげそう)」や「仙鶴草(せんかくそう)」といった生薬名で知られ、中国医学でも使用される食品素材。同社は10年にわたり研究を進めてきた。

“ウェルエイジ プレミアム”で使用するキンミズヒキは、契約農家によって収穫され、厳格なトレーサビリティのもとで管理されている。独立した専門部署による安全性審査を実施し、製品としての安全性を確認するための臨床試験も行っている。

発売前から高い関心
問い合わせ500件超

ファンケルがキンミズヒキの作用について発表した際、メディアやSNSで話題となり、製品発表前にもかかわらず500件以上の問い合わせが寄せられた。その反響を受け、同社のサプリメントとしては異例の事前予約販売を決定したという。

同社は1994年に「日本人の栄養状態の乱れという社会の解決」を目指し、健康食品事業を立ち上げた。向山嘉一ファンケル 健康食品事業本部 健康食品商品企画部 部長は、「“ウェルエイジ プレミアム”は、ファンケル健康食品事業30年の集大成だ。健康的な毎日をサポートし、超高齢社会における新たな可能性を広げる一助となることを期待している」とコメントを寄せた。

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【早割受付中】2025-26年秋冬ウィメンズトレンドセミナー 海外コレクションから国内リアルクローズまで来季トレンドを徹底解説!

業界の第一線で活躍するゲストと共に、最旬トレンドを解きほぐす

このような人におすすめ

・来秋冬に、売れる商品企画や買い付けのヒントを得たいデザイナーやバイヤー
・自分たちのブランドは、なぜ、このようなコレクションなのか知りたいラグジュアリー&デザイナーズブランド関係者
・競合他社は2025-26年秋冬、どんな商品を、どんなメッセージで伝えるのか知りたいラグジュアリー&デザイナーズブランド関係者
・そんなブランドとのビジネスを手掛ける百貨店や商業施設、セレクトショップ、EC、メディア関係者やクリエイター
・トップブランドによる社会の捉え方や時流の読み解き方、最新コレクションの思いを知りたい業界関係者やビジネスパーソン
・店頭で鮮度の高いスタイリングを実践し、周りと差をつけたい販売員
・コレクションを見る上での視点や考え方を学びたい学生

 

クーポンコードをご利用の方は、申し込み画面で入力してください
早割クーポンコード【HU2NHYO307】/有料会員の方はこちらからクーポンコードを取得してください

 


インフォメーション

日時

2025年4月22日(火)13:00〜15:30
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場 または オンライン受講
※受講前日と当日に、ご案内メールをお送りしますので、ご入力にお間違いがないようご注意ください。セミナー当日は受付にてメールをご提示ください。
※オンライン受講の方は、ご案内メールに視聴用URLを記載しております。また、OneStreamでの配信を予定しています。
※ご案内メールが届かない場合は迷惑メールフォルダなどもご確認ください。
※セミナー終了後、会場&オンライン受講者へのアーカイブ配信の案内はありませんのでご了承ください。後日アーカイブ動画は、単体で購入することが可能です。

会場

WOVN Studio Tokyo
東京都港区南青山2-26-1D-LIFEPLACE南青山9F

募集人数

会場:60名
オンライン:100名

募集期間

2025年3月27日(水)〜 2025年4月21日(月)12時まで
【早割10%OFFキャンペーン】
4/3(木)18時までのお申し込みで、一般価格から10%OFFで受講いただけます。
申し込み画面でクーポンコードを入力してください。
クーポンコード:HU2NHYO307

受講料金

一般価格:22,000円19,800円 早割10%OFF
スタンダードプラン:15,400円 30%OFF
ライトプラン:19,800円 10%OFF
※表示価格は全て1名様分、税込です。
※他のクーポンとの併用はできません。
※早割期間内であっても、募集人数に達し次第受け付けを締め切らせていただく場合がございます。

 

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プログラム

 

毎度、業界で活躍するプロを中心にご好評をいただいている「WWDJAPAN」主催の「トレンドセミナー」。2025-26年秋冬シーズンのコレクションサーキットを終えたばかりの「WWDJAPAN」の編集部の記者が、最旬トレンドを分かりやすく解説する内容が好評です。
デザイナーシャッフルが繰り広げられるパリとミラノ、右傾化する世界情勢の影響を強く受けるロンドンやニューヨーク。それぞれのファッション・ウイークの取材を担当した記者が、各々の視点でランウエイトレンドを分析。ゲストスピーカーとしてお招きする人気セレクトショップや百貨店のバイイング担当者、人気ブランドのディレクターの考えや意見も交えながら、国内リアルマーケットで通用する商品企画の落とし込みまで解説します。
売れる商品企画・買い付けのヒントを得たいデザイナーやバイヤー、店頭での鮮度の高いスタイリングを実践したい販売員など、ファッション業界で活躍するプロにこそ聴いていただきたい情報が満載です。

【Session#1】13:00~14:00(60分)

海外コレクションの動向からひも解く2025-26年秋冬ウィメンズトレンド

第1部では、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのファッション・ウイークを現地取材した記者が2025-26年秋冬トレンドを展望します。特に注目度の高かったブランドのコレクション詳報や「WWDJAPAN」が考えるトレンドキーワードを解説。ゲストには、リステアの柴田麻衣子クリエイティブ・ディレクターをお迎えし、バイヤー目線で捉えたトレンドのポイントをお話しいただきます。

ゲストスピーカー:柴田 麻衣子/リステア クリエイティブ・ディレクター
PROFILE:(しばた・まいこ)愛知県生まれ。愛知県立大学英文科卒業後、株式会社リステアに入社。セールススタッフやVMDをへて、リステアのバイヤーとクリエイティブディレクターに就任。また、英メディア「ビジネス・オブ・ファッション」が発表するファッション業界で影響力のある人物を選出する「BoF500」2023にリストイン。世界各地のファッションウィークを周り、バイイングのほか多岐にわたる業務に携わるほか、自社の手がける二つのブランド「アイレネ」と「ルシェルブルー」のディレクションも手がける
ゲストスピーカー:藪野 淳/WWDJAPAN欧州通信員
PROFILE:(やぶの・じゅん)大阪府出身。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション卒業後、「WWDJAPAN」の編集記者として、パリやミラノのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手がけている。20年2月から「WWDJAPAN」欧州通信員。20-21年秋冬シーズンからウィメンズ、24-25年秋冬からはメンズ・ウィメンズ両方のトレンド分析を担当している
スピーカー:村上 要/WWDJAPAN編集長
スピーカー:本橋 涼介/WWDJAPANシニアエディター
スピーカー:木村 和花/WWDJAPAN記者
【Session#2】14:10~15:10(60分)

ますます暖冬化する日本 リアルクローズは何が売れる?

ランウエイの潮流やトピックスをつかんだら、次はそれをリアルクローズにどう落とし込むか?を考えなくてはなりません。トレンドのムードをうまくとらまえたデザインはもちろん、ますます暖冬化する日本においては、気候に合わせた素材や機能、重ね着などの着こなしもカギ。日本のリアルクローズ市場で存在感を発揮するブランドディレクターを招き、売れる商品企画と着こなしのヒントを探ります。

ゲストスピーカー:近日発表
ゲストスピーカー:橋本 航平/伊勢丹新宿店 本館3階 「リ・スタイルバイヤー」
PROFILE:(はしもと・こうへい)2014年三越伊勢丹入社。本館3階 インターナショナルデザイナーズでの販売を経てアシスタントバイヤー。その後、同売り場のバイヤーを経験した後に、23年4月から現職
スピーカー:村上 要/WWDJAPAN編集長
スピーカー:本橋 涼介/WWDJAPANシニアエディター

※講義内容やタイトルは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

【Extra】15:20 ~16:30(50分)

ミートアップ

会場受講の方はセミナー終了後、登壇記者も参加するミートアップにご参加いただけます。ドリンクを用意しておりますので、さらなるコミュニケーションの場としてご活用ください。また、ミートアップ開始前に、本セミナーの会場であるWovn Technologies株式会社よりサービスをご紹介させていただく時間がございます。

 

特典

4月21日発行「2025-26年秋冬トレンドブック」

 

注意事項

・受講料は会場とオンライン同額です。
・割引価格はクーポンをご利用時に適用となります。スタンダードとライトのクーポンコードはマイページをご確認の上、申し込み画面で入力してください。
・申し込みの受け付けは先着順です。募集人数に達し次第締め切らせていただきます。
・申し込み完了後のキャンセルは受け付けておりません。
・定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちら
・本ページでのお支払いはクレジットカードのみとなります。コンビニ支払いをご希望の方はこちら
・適格請求書(領収書)の発行は、こちらから。記載のお宛名をご入力の上ご連絡ください。
弊社登録番号:T5-0110-0104-4278
・当日は会場内に撮影用のカメラが入ります。撮影した動画や写真は、「WWDJAPAN」Weeklyやウェブサイト、公式SNSなどで掲載する場合があります。ご了承いただける方のみお申し込みください。

 

講座終了後、アーカイブ受講の販売を予定しております。

 

問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
お問い合わせフォームはこちら

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フランスの老舗百貨店プランタンがニューヨークに初出店 小規模ながら“贅”を凝縮した空間をリポート

仏百貨店のプランタン(PRINTEMPS)は3月21日、ニューヨークのウォール街に「プランタン ニューヨーク(PRINTEMPS NEW YORK)」をグランドオープンした。ニューヨーク証券取引所から目と鼻の先にあるウォールストリートとブロードウェイの角に建つ、元銀行として使用されていた歴史的なビルだ。同店は2層、総売場面積4万平方フィートで集積型のファッションフロアの他にビューティー、5つの飲食店を有する。

遊び心あふれた空間に
「ジャックムス」「ナイキ」を集積

ブロードウェイに面したメインエントランスを入ると、アパレル、バッグ、雑貨などが集積された「プレイルーム」のセクションとカフェがある。「ジャックムス(JACQUEMUS)」がブランドとしての限定的にコーナーを構えるが、その他はラック毎にブランド分けをされているか、色別にディスプレイされている。同じフロアにある「スニーカールーム」はタイトル通りスニーカー専用の売り場で、限定モデルやコラボレーションモデルの販売を行っていく。オープン時は全て「ナイキ(NIKE)」でディスプレイされていた。「プレイルーム」は雑貨や小物が豊富で、フィッティングルームは中で記念撮影をする人も多くおり、遊び心にあふれた演出がユニークだ。

一転、重厚なサロンのムードに

カジュアルな“プレイルーム”とは対照的に、1階はブロードウェイ側にある入り口から、または内部の2階と繋がる階段を使用しないとアクセスできない“レッドルーム”と“レッドルームバー”があり、ヒルドレース・メイエールによってデザインされたアールデコ調のインテリアがラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。金色のモザイクタイルで飾られた天高の“レッドルーム”には、高さ4.5メートルの葉のモチーフがレースのように点在し、パーティでも映える繊細なデザインのシューズが集積されている。隣の「レッドルームバー」は、重厚な雰囲気の中でカクテルなどを味わえる。ブロードウェイの入り口からのみアクセスできるこの2つの空間は、ちょっとしたサロンのような雰囲気だ。「レッドルームバー」の隣には、ワインショップがオープン予定という。

2階には鳥籠のようにセクション分けされた「サロン」と呼ばれるセクションがあり、ウィメンズ、メンズのアパレル、バッグを集積する他、サングラスのコーナーも。奥に進むと、大きな花を思わせるガラスのシャンデリアが照らす「ギャルソニエール」があり、セレクトされたメンズウエアが並んでいる。1、2階ともにアパレルのセレクトはヨーロピアンブランドが中心で、今勢いのあるメジャーブランドとアップカミングなブランドが混在しているのも面白い。

ビューティゾーンを抜けると
ドレスの隠れ家的な売り場

キャンドルやビューティープロダクトが編集されたセクション「ビューティコリドー」もフランスを始め、ヨーロッパのブランドが多く、他の百貨店との差別化が感じられる。廊下のように細長い「ビューティコリドー」を抜けると隠れ家のようなメイクアップのセクションが現れ、シャンパンバーで寛げる空間が出現する。その奥は、「ブドワール」と呼ばれるビンテージやイブニングドレスの売り場だ。

百貨店としては2層と小規模だが、その中でカジュアルとラグジュアリーが空間を通して明確にすみ分けされている設計が見て取れる。セクション毎にインテリアがガラリと変わるため、限られたスペースでも変化が楽しめるし、ラグジュアリーなセクションはインテリアからもその贅を尽くした空間を表現する。飲食店が多くあるのも特徴的で、フランスの本場の美食に舌鼓を打ちながらのショッピング体験が楽しめる。

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ジンズが2026年新卒初任給を30万円に引き上げ グローバル人材確保狙い

ジンズ(JINS)は、2025年9月より店舗の正社員を対象に3年連続基本給のベースアップを行う。また、26年4月入社より新卒社員を「グローバル社員」と位置付け、初任給を今期に比べて3万5000円増の月額支給額30万円に改定する。同社の調べによれば、この給与は、アイウエア業界でNo.1、小売業界でも極めて高い水準だ。これにより、世界を舞台に活躍できる優秀な人材を確保し、育成することで世界規模の成長加速を狙う。

世界規模での顧客体験の向上とグローバル人材の確保を目指して

ジンズは、スローガン「Magnify Life -まだ見ぬ、ひかりを」を掲げ、アジア地域を中心にグローバル規模で事業を展開。25年2月現在で、国内509店、中国で161店、米国5店、台湾74店、香港9店、フィリピン8店に加え、ベトナムへの進出も決定している。今回の給与水準改定により、世界に通用する人材の採用・育成を強化し、顧客体験の要である店舗でのサービス向上を目指す。

その一環として、26年以降の新卒社員は、原則的にグローバル社員として採用。海外の店舗運営を経験し、世界で活躍できる人材を育目指す。それに先立ち、25年9月(10月支給分)の店舗正社員の月額基本給を1万5000円増、グローバル社員を選択した場合の手当を2万円増とし、月額支給額を30万円〜に改定。26年4月入社の新卒グローバル社員の初任給も同様とする。また留学生などの入社機会を拡充するため、26年から10月1日を入社日に加える。

一方で、日本国内で地域を限定して活躍したい社員に対しては、勤務地域を選択できる仕組みを残し、働き方の多様性を担保。グローバル社員として入社した社員も、世界でのキャリアを経験したのちに「リージョナル社員」に転向できる。なお、リージョナル社員の月額基本給も25年9月から1万5000円増とし、店舗正社員の待遇改善を進める。

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ジンズが2026年新卒初任給を30万円に引き上げ グローバル人材確保狙い

ジンズ(JINS)は、2025年9月より店舗の正社員を対象に3年連続基本給のベースアップを行う。また、26年4月入社より新卒社員を「グローバル社員」と位置付け、初任給を今期に比べて3万5000円増の月額支給額30万円に改定する。同社の調べによれば、この給与は、アイウエア業界でNo.1、小売業界でも極めて高い水準だ。これにより、世界を舞台に活躍できる優秀な人材を確保し、育成することで世界規模の成長加速を狙う。

世界規模での顧客体験の向上とグローバル人材の確保を目指して

ジンズは、スローガン「Magnify Life -まだ見ぬ、ひかりを」を掲げ、アジア地域を中心にグローバル規模で事業を展開。25年2月現在で、国内509店、中国で161店、米国5店、台湾74店、香港9店、フィリピン8店に加え、ベトナムへの進出も決定している。今回の給与水準改定により、世界に通用する人材の採用・育成を強化し、顧客体験の要である店舗でのサービス向上を目指す。

その一環として、26年以降の新卒社員は、原則的にグローバル社員として採用。海外の店舗運営を経験し、世界で活躍できる人材を育目指す。それに先立ち、25年9月(10月支給分)の店舗正社員の月額基本給を1万5000円増、グローバル社員を選択した場合の手当を2万円増とし、月額支給額を30万円〜に改定。26年4月入社の新卒グローバル社員の初任給も同様とする。また留学生などの入社機会を拡充するため、26年から10月1日を入社日に加える。

一方で、日本国内で地域を限定して活躍したい社員に対しては、勤務地域を選択できる仕組みを残し、働き方の多様性を担保。グローバル社員として入社した社員も、世界でのキャリアを経験したのちに「リージョナル社員」に転向できる。なお、リージョナル社員の月額基本給も25年9月から1万5000円増とし、店舗正社員の待遇改善を進める。

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TOYOTA 「SUPER FORMULA DIRECTORSCUT」 最優秀クリエイターに聞く作品に込めた思い

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トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、クリエイターとの共創プロジェクト「TOYOTA DIRECTORSCUT(トヨタ ディレクターズカット)」の第3弾として、「SUPER FORMULA DIRECTORSCUT(スーパーフォーミュラ ディレクターズカット)」を実施し、727作品の応募の中から受賞作品を決定した。

このプロジェクトは、国内最高峰のフォーミュラレースシリーズ「全日本スーパーフォーミュラ選手権(SUPER FORMULA)」の新たな魅力を引き出す映像作品を募集するもの。応募者は、トヨタが提供する300以上の新撮素材や、14組のアーティストが制作した20曲の楽曲を自由に使用し、作品を制作した。

近藤真彦や中臺孝樹、
WWDJAPAN編集長らが最優秀作品を選出

審査は、日本レースプロモーション取締役会長を務める歌手の近藤真彦氏をはじめ、本企画の音楽プロデュースを担当した中臺孝樹氏や「WWDJAPAN」の村上要編集長ら6人の専門家が担当。最優秀賞には、proluck_film氏の「You Can't Stop Race.」が選ばれた。

最優秀作品について村上編集長は、「レース前の不安から、直前の緊張、最中の危機、それらを乗り越えた上での栄冠や喜びまで、1分弱という時間の中で、参加者のレースに対する思いはもちろん、生き方さえドラマチックに描いた作品です。思わず漏れ出た不安を文字に起こしたり、随所でBGMと映像をシンクロさせたり、細かな工夫で見るものを飽きさせない構成も秀逸な作品だと思います。緊張感と重厚感、疾走感が幾度となく訪れ、レースの醍醐味を想起させます」と評価している。

最優秀賞に輝いたproluck_film氏にインタビューを実施した。

“どんな環境でもレースは止まらない“
そんな思いを込めた

──プロジェクトに参加された理由は?

proluck_film:自分の編集力を試したかったことが一番の理由です。また、トヨタさんが提供する映像や音楽を自由に使える点にも魅力を感じ、応募しました。

──こういったコンテストへの応募経験は?

proluck_film:今回が初めてです。インスタグラムの広告でプロジェクトを知り、面白そうだなと思いました。

──普段はどのような映像制作をされていますか?

proluck_film:本職ではなく、趣味で友人の結婚式のムービーを作ったり、旅行の映像を編集したりする程度です。今回も空き時間を見つけて、約1カ月かけて制作しました。

──タイトル「You Can't Stop Race.」に込めた意味は?

proluck_film:以前、スポーツの持つ力を象徴する映像作品「You Can't Stop Us.」を見たことがありました。 そこでは、コロナ禍でもアスリートたちが立ち止まらず挑戦を続ける姿が描かれており、そのメッセージに強く共感しました。その作品の"You"はコロナのことだと私は捉えました。今回の作品は、“You”の部分をレースを阻害するあらゆる要素に置き換えイメージし、「どんな環境でもレースは止まらない」と いう思いを込めています。

──映像の構成やこだわった点は?

proluck_film:魅力的な映像素材ばかりで、どれを使うか非常に悩みましたが、スーパーフォーミュラを知らない人にも興味を持ってもらえる作品を目指しました。何気なく映像を見た人が「なんの映像だろう?」と思うようにしたかったので、特に最初の10秒はレース映像を使わず、無線音声を使って注意を引き、知らない人でも引き込まれるよう工夫しています。レースの映像はサビの部分まで登場させず、音源のフックに合わせたストーリーの盛り上がりを意識しました。よりかっこいい映像になるよう音源選びにもこだわり、曲の展開に合わせて映像を構成しました。

──インスピレーションを受けたものはありますか?

proluck_film:ミュージックビデオをよく参考にします。音と映像のバランスや表現方法に影響を受けています。今回もミュージックビデオを作る感覚で作りました。

「提供される映像や音楽を自由に使い

楽しみながら制作できた」

──受賞の感想を教えてください。

proluck_film:ほかのクリエイターの作品もクリエイティブで迫力もあり、自分には作れないなと思うものばかりでした。そんな中でプロのクリエイターではない自分が最優秀賞をいただけたことは誇りに思います。本当に楽しみながら作品を制作できました。

──審査員コメントで印象に残ったものは?

proluck_film:中臺さんの「何度もリピートして見たくなる映像だった」というコメントが特にうれしかったです。自分でもそういう映像を目指していたので、評価してもらえてよかったです。

──スーパーフォーミュラの魅力は?

proluck_film:スーパーフォーミュラに関しては、これまでニュースで見るくらいしか知りませんでしたが、今回のプロジェクトをきっかけに興味が湧きました。全車が同じエンジン・車体で競い、ドライバーやチームの戦略が試される点が面白いです。また、オーバーテイクの戦略要素も魅力的だと感じました。

今後も新進気鋭な才能を発掘し、
新たな価値を創造し続ける

最優秀賞に次ぐ優秀賞にaki okamo氏の「終わりなきFORMULA」が、特別賞に6作品が選出された。受賞作品はレース会場の大型ビジョンで放映される予定だ。

「TOYOTA DIRECTORSCUT」は、トヨタとクリエイターがオープンにつながる共創プラットフォームであり、プロ・アマ問わず多様な才能を持つクリエイターが参加している。 映像制作における新たな才能を発掘する場となっており、多様な視点や表現を持つ作品が生まれる機会となっている。

トヨタは現在、第4弾の企画も準備中であり、今後も多くのクリエイターとの共創を通じて、新たな価値を創造していく。

INTERVIEW & TEXT:YUKI KOIKE
問い合わせ先
SUPER FORMULA DIRECTORSCUT事務局

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クラボウ、国内の紡績生産から撤退 愛知県の安城工場を閉鎖

紡績大手のクラボウは3月25日、紡績と織布を行う安城工場(愛知県安城市)の閉鎖を決定した。生産は海外の関係会社に移管し、紡績の国内生産からは撤退する。安城工場は今後、高付加価値素材の開発拠点「として活用する。2025年3月期に減損損失として15億円を計上する。

安城工場の敷地面積は13.3万㎡で、錘数は2万8168錘、織機は125台、従業員数は準社員・パートを含め166人だった。6月30日に閉鎖予定。同工場は4月に開業予定の「ららぽーと安城」に隣接しており、「ららぽーと安城」の土地もクラボウの所有になっている。

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ゴールドウインが業績予想修正 韓国持分法適用会社からの受取配当金で営業外収益増加

ゴールドウインは25年3月期の連結業績予想を修正した。売上高は下方修正で1320億円(修正前は1332億円)となるが、営業利益以下は上方修正で営業利益が210億円(同181億円)、経常利益が320億円(同259億円)、純利益が240億円(同210億円)となる。

国内売り上げを示す個別業績については、修正後の売上高が1200億円(同1219億円)、営業利益が180億円(同161億円)、経常利益が同290億円(同207億円)、純利益が220億円(同155億円)。

韓国の持分法適用会社からの「受取配当金により、個別業績における営業外収益が増加し、経常利益、純利益の予想値が増加した。また、販管費の見通しを更新した」(発表資料から)ことが修正理由。

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「グローバルワーク」銀座に旗艦店 “売上高1000億円”へ海外戦略のヘソに

アダストリアの「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」は、東京・銀座に「グローバルワーク ギンザ」を3月27日にオープンする。ブランド初の超都心型店舗であり、「グローバル旗艦店」との位置付け。売れ筋商品にフォーカスしたVMDや多言語対応のデジタルサイネージにより、銀座を行き交うインバウンドに照準を定める。初年度の売り上げ目標10億円のうち、訪日客比率は5割を見込む。「グローバルワーク」はブランド単体で「売上高1000億円」を見据えており、同店を海外本格進出の布石とする考えだ。

店舗は地下1階〜地上2階の3フロア構成で、面積は1100平方メートル。ウィメンズ、メンズ、キッズ商品をフルラインアップで展開する。特に1階ではブランドの顔ともいえる主力商品を、日本文化を意識した限定アイテムや演出とともに展開し、インバウンドへのターゲティングを明確化した。累計450万本を販売している“ウツクシルエットパンツ”(4990円〜)や高機能×イージーケアの“オテラク”シリーズ(5490円〜)、“何度着てもよれない”が謳い文句のTシャツ“ヘビロッTEE”(1980円〜)などの売れ筋商品を、デジタルPOPやトルソーを活用し、高い視認性で展開。デジタルPOPは多言語対応する。不定期で商品が入れ替わるアパレル・雑貨の自動販売機やフォトブースなど、フリー客を楽しませるコンテンツも導入した。

海外売上高を4倍に
関西でも旗艦店構想

銀座では「ユニクロ」「無印良品」といったグローバルSPAが大型店を構え、「グローバルワーク」にとっては強大なライバルとなる。彼らとどう差別化し、存在感を発揮していくのか。グローバルワーク営業本部長の太田訓・アダストリア執行役員は、「われわれの強みは、程よいファッション性と機能性を兼ね備えた、気分が上がるプロダクト。ファッション、ファンクション、フィーリングの3つの頭文字をとって、“3F”と呼んでいる。袖を通していただければ、きっと伝わるはず」と話す。一方で「現時点では、そういった(グローバルSPAの)ブランドとはまだ肩を並べるレベルにないことは自覚している」とも。「まずは、ブランドを知らない外国人のお客さまに『グローバルワーク』というブランドを覚えて帰っていただきたい」。

「グローバルワーク」は24年2月期に売上高500億円を突破。30年2月期にはこれを1000億円に引き上げる計画を掲げる。重点施策となるのが海外展開だ。現状は台湾、香港、上海に計20店舗を展開し、24年2月期の売上高は25億円だが、これを4倍の100億円に引き上げる。今後はASEANエリアへの出店に力を入れ、具体的にはタイ、マレーシア、フィリピンを有望な市場と見ている。銀座店を、海外本格展開を見据えたグローバル認知拡大の拠点とする。

期中の国内出店については「銀座店とは別に、少なくとも14店舗」を計画。銀座店を皮切りに、都心部やターミナル立地の出店も強化していく方針。またこの14店舗の中には含まれないものの、将来的には関西エリアにおいても銀座に続くグローバル旗艦店を出店する構想があるという。

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ゴールドウイン西田明男氏、名誉会長に退く

ゴールドウインは25日、創業家出身で代表取締役会長の西田明男氏(71)が6月の定時株主総会後に名誉会長へ退く人事を発表した。

西田氏は創業者・西田東作氏の長男。1977年に入社後、2000年に同社2代目社長に就き、20年から会長を務めてきた。本業だけでなく、一般社団法人日本スポーツ用品工業協会での活動、創業地の富山県では一般社団法人富山県繊維協会の会長として北陸地方の繊維産業の発展にも尽力。また寬仁親王記念杯・北陸ウェルフェアゴルフトーナメント大会の会長を務め、北陸地区における障がい者福祉への支援活動も続けてきた。それらが評価され、24年秋の叙勲では旭日小綬章を受章している。

経営の第一線からは退くものの、業界や地域の発展の活動に引き続き取り組む。

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ゴールドウイン西田明男氏、名誉会長に退く

ゴールドウインは25日、創業家出身で代表取締役会長の西田明男氏(71)が6月の定時株主総会後に名誉会長へ退く人事を発表した。

西田氏は創業者・西田東作氏の長男。1977年に入社後、2000年に同社2代目社長に就き、20年から会長を務めてきた。本業だけでなく、一般社団法人日本スポーツ用品工業協会での活動、創業地の富山県では一般社団法人富山県繊維協会の会長として北陸地方の繊維産業の発展にも尽力。また寬仁親王記念杯・北陸ウェルフェアゴルフトーナメント大会の会長を務め、北陸地区における障がい者福祉への支援活動も続けてきた。それらが評価され、24年秋の叙勲では旭日小綬章を受章している。

経営の第一線からは退くものの、業界や地域の発展の活動に引き続き取り組む。

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ファッション産業史視点で見た「シーイン」:記者談話室vol.170

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

170回目のテーマは「シーインがファッション産業史にもたらす影響」です。彗星のごとく表れ、ウルトラファストファッションと越境ECモデルを軸に急成長を遂げ、いまや世界で最も大きな衣料品専門店チェーンを凌ぐほどに成長した中国の「シーイン」。そのビジネスモデルの本質とは?ファッション産業史の中でどう位置づけられるのか。3人の記者がそれぞれの立場から熱く語りました。

「記者談話室」ではみなさまからのお便りをお待ちしております。ご感想ご意見を聞かせてください。メールアドレスは、danwashitu@infaspub.co.jp です。


この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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阪急阪神百貨店「カスタマーサクセスアワード」 人材育成と発掘にも成果

阪急阪神百貨店は、2023年度に新設した社内報奨制度「カスタマーサクセスアワード」の第2回表彰式を4日に開催した。同賞は「お客さまの喜びは、私たちの喜び」というバリューに基づく行動で成果を出した社員を称え、顧客起点で働く企業文化の醸成につなげることを目的に創設。前年度の1.5倍、全社員の6割強にあたる2493人が応募し、選考を経て受賞した12人の順位が発表された。

一人の顧客の期待に徹底的に応える

今年度は2点を変更した。一人の顧客の興味・関心事・課題を解決した取り組みを対象とした「バリューアクション大賞」と、複数の顧客に対しても再現性のある取り組みを対象とした「ビジネスインパクト大賞」に分類した。それぞれの営業部門とスタッフ部門ごとにグランプリ1人と準グランプリ2人が選出された。さらに自薦による個人応募のため、前年度は取り組みが完遂できず、最終的に応募できなかった社員もいたことから今年度は本部と一体化。年度をまたいでも取り組みをやり切ることを重視した。

全役員による最終選考と社員投票の結果、バリューアクション大賞・営業部門のグランプリは、趣味でつながるコミュニティを提案したお得意様外商部の伊藤竜彦さん、準グランプリには骨格診断イベントを実施した阪急本店婦人服飾品営業統括部の的場なるみさんと、ギフトをきっかけに次世代の新規顧客を獲得した西宮阪急子供ライフスタイル営業部の西浦麻絵さんが選ばれた。グランプリの伊藤さんは「お得意様外商部は非常に働きやすい風土があり、受賞はそのおかげ。これからも自身のアップデートと長くやっているからこそ気付くことに一つずつ答えを出していくよう心がけていきたい」と喜びを語った。

バリューアクション大賞・スタッフ部門のグランプリは、生成AI(アシスタ)を活用した事務センターの問い合わせ業務の自動化に取り組んだ業務改革運営推進室の小竹和代さん、準グランプリには新作発表会の時期に合わせてスイスウォッチツアーを開催したラグジュアリー商品統括部の村田竜一さんと、クローバースタッフの不安要素を取り除く要素を入れたレジ教習の実施とクローバースタッフとの関係性の構築に取り組んだ阪神本店婦人服飾品・リビング営業統括部の陣在京子さんが受賞した。グランプリの小竹さんは「途中諦めそうになったが、部内メンバーやシステム部門の方のサポートによって形にすることができた。これからも営業部門のお役に立てるようアシスタを育てていきたい」と、感謝と抱負を述べた。

顧客満足の新しい仕組みを作る

ビジネスインパクト大賞・営業部門のグランプリは、パフォーマンス型のリペア・メンテナンスコーナーの新設に取り組んだ阪急メンズ大阪紳士洋品雑貨営業部の岩橋和大さん、準グランプリには売り場ビジョン『未来の阪急うめだ本店の顧客を創造する』を実現させる期間限定ショップを展開した阪急本店婦人ファッション営業統括部の山藤未来さんと、富裕層ニーズの高いお酒のカテゴリーで体験型イベントを企画したお得意様外商部の半田潤一郎さんが受賞した。グランプリの岩橋さんは「競合の多いメガネ業界だが、お客さまの思いとその思いに応えたいというわれわれの思いが合致してこの環境とサービスを作ることができた。まだ認知度は低く、課題も多いが、メガネのメンテナンス・リペアが一般化していくよう取り組んでいきたい」と喜びを伝えた。

ビジネスインパクト大賞・スタッフ部門のグランプリは、ファッション好き富裕層に向け、クローゼット整理サポートサービスを提案したファッションワールドコンテンツ開発部の山田祥生さん、準グランプリには顧客と生産者の新しい関係性作り「トモniツクル」を企画した第1店舗グループフードマーケティング部の細見圭祐さんと、日本酒の新たなプレミアムカテゴリーの確立に取り組む第1店舗グループフード商品統括部の大塚秀和さんが受賞した。グランプリの山田さんは「今回の取り組みを通じて、課題解決自体がお客さまの喜びだったり、最終的には全然違うありたい姿につなげていくことができることを感じることができた。実際にご自宅に伺うなどお客さまと向き合うことで結果、新しい商品の購入にもつながった。目の前の課題の解決だけではなく、お客様のありたい姿を一緒に考えていけるよう努めていきたい」と語った。

大切なのは「感じる力」「考える力」「行動する力」

表彰式で阪急阪神百貨店の山口俊比古社長は「お客さまの価値観が変化していくなか、私たちにとって最も大切なことは、向き合うお客さまや共に働く仲間が困っていることを気づき、そこに対して全力で取り組むこと。結果としてその方たちの喜びが生み出されることが大切と思う。そのためには、向き合った方に対して感じる力と考える力、行動する力が必要。喜びの花を目いっぱい咲かせてほしい」とあいさつした。

同アワード自体については「応募者数が昨年の1.5倍に増えたことで一歩成長した」と評価。「今回の受賞者も組織のリーダーというより、自身の仕事に真摯に取り組み、結果を出せた人たちだ。アワードが人材育成と人材発掘にもつながっている」と、着実な成果をアピールした。

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伊ニットウエアブランド「アラヌイ」、親会社ニューガーズから過半数株式を買い戻して独立

ミラノ発の高級ニットウエアブランド「アラヌイ(ALANUI)」の共同創業者であるカルロッタ・オッディ(Carlotta Oddi)=クリエイティブ・ディレクターとニコロ・オッディ(Nicolo Oddi)最高経営責任者(CEO)が、親会社である伊アパレル企業ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)から、同ブランドの過半数株式を買い戻したことが明らかになった。金額は非公開。

「アラヌイ」について

「アラヌイ」は、ファッションコンサルタントやモード誌のエディターとして活躍していたカルロッタと、弟のニコロが2015年にミラノで設立。世界を飛び回る中、着心地のいい服としてニットウエアに大きな可能性を感じたことから、“旅行の経験を記録するような服”をコンセプトとしている。16年3月にファーストコレクションを発表し、17年に初めてNGGの投資を受けた。今後は独立した企業となり、26年春夏コレクションからは、商品をミラノのショールームから取引先などに送るという。なお、カルロッタ=クリエイティブ・ディレクターとニコロCEOはいずれも続投する。

今後はアジア地域での事業拡大を目指す

同ブランドは売上高などの数字は開示していないが、ニコロCEOによれば、業績は本拠地であるイタリアのほか、ドイツ、英国、米国が好調だという。今後はこれらの市場における卸先を整理しつつ、アジア地域での事業拡大を目指す。なお、24年には日本でポップアップストアを開催している。また、いずれはブランドの世界観をより直接的に伝えられる直営店を運営するべく、まずはミラノに出店したいと述べた。

ニューガーズグループについて

NGGは、15年にミラノで設立。「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」「アンブッシュ(AMBUSH)」「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」などのブランドを擁するほか、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」をライセンス生産している。 19年8月、高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)がNGGを6億7500万ドル(約1005億円)で買収。しかし、ファーフェッチは23年12月15日に経営破綻に陥っていることが明らかになり、同18日に韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)によって買収された。

また、NGGは「リーボック(REEBOK)」を保有する米ブランドマネジメント会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)と22年3月に提携し、23年5月には同ブランドの欧州における販売代理店業務などを手掛けるNGG++部門を立ち上げた。しかし、新たな契約条件で合意に至らなかったことから、ABGは24年11月初旬に同契約を終了。同時期に、NGGは日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(Composizione Negoziata della Crisi、CNC)の適用を申請したと海外メディアが報じた。CNCは破産の手続きをするものではなく、NGGは同法の下で債務を整理しつつ事業を継続し、再建を目指すとしている。

なお、NGGは保有していたラグジュアリー・ストリートウエアブランド「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」を、25年2月に米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)に売却。ブランドを設立したフランチェスコ・ラガッツィ(Francesco Ragazzi)=クリエイティブ・ディレクターは、これを機にブランドを離れている。

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伊ニットウエアブランド「アラヌイ」、親会社ニューガーズから過半数株式を買い戻して独立

ミラノ発の高級ニットウエアブランド「アラヌイ(ALANUI)」の共同創業者であるカルロッタ・オッディ(Carlotta Oddi)=クリエイティブ・ディレクターとニコロ・オッディ(Nicolo Oddi)最高経営責任者(CEO)が、親会社である伊アパレル企業ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)から、同ブランドの過半数株式を買い戻したことが明らかになった。金額は非公開。

「アラヌイ」について

「アラヌイ」は、ファッションコンサルタントやモード誌のエディターとして活躍していたカルロッタと、弟のニコロが2015年にミラノで設立。世界を飛び回る中、着心地のいい服としてニットウエアに大きな可能性を感じたことから、“旅行の経験を記録するような服”をコンセプトとしている。16年3月にファーストコレクションを発表し、17年に初めてNGGの投資を受けた。今後は独立した企業となり、26年春夏コレクションからは、商品をミラノのショールームから取引先などに送るという。なお、カルロッタ=クリエイティブ・ディレクターとニコロCEOはいずれも続投する。

今後はアジア地域での事業拡大を目指す

同ブランドは売上高などの数字は開示していないが、ニコロCEOによれば、業績は本拠地であるイタリアのほか、ドイツ、英国、米国が好調だという。今後はこれらの市場における卸先を整理しつつ、アジア地域での事業拡大を目指す。なお、24年には日本でポップアップストアを開催している。また、いずれはブランドの世界観をより直接的に伝えられる直営店を運営するべく、まずはミラノに出店したいと述べた。

ニューガーズグループについて

NGGは、15年にミラノで設立。「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」「アンブッシュ(AMBUSH)」「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」などのブランドを擁するほか、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」をライセンス生産している。 19年8月、高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)がNGGを6億7500万ドル(約1005億円)で買収。しかし、ファーフェッチは23年12月15日に経営破綻に陥っていることが明らかになり、同18日に韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)によって買収された。

また、NGGは「リーボック(REEBOK)」を保有する米ブランドマネジメント会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)と22年3月に提携し、23年5月には同ブランドの欧州における販売代理店業務などを手掛けるNGG++部門を立ち上げた。しかし、新たな契約条件で合意に至らなかったことから、ABGは24年11月初旬に同契約を終了。同時期に、NGGは日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(Composizione Negoziata della Crisi、CNC)の適用を申請したと海外メディアが報じた。CNCは破産の手続きをするものではなく、NGGは同法の下で債務を整理しつつ事業を継続し、再建を目指すとしている。

なお、NGGは保有していたラグジュアリー・ストリートウエアブランド「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」を、25年2月に米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)に売却。ブランドを設立したフランチェスコ・ラガッツィ(Francesco Ragazzi)=クリエイティブ・ディレクターは、これを機にブランドを離れている。

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名鉄百貨店、26年2月末に営業終了

名古屋鉄道(名鉄)は24日、名古屋駅の再開発計画の概要を発表した。再開発地区で営業する傘下の名鉄百貨店の本店は、2026年2月28日に営業を終了する。再開発後に建つ複合施設には2040年代前半に商業施設が開業するが、百貨店業態になる公算は薄いと見られる。

再開発地区は名鉄百貨店、近鉄パッセ、名鉄グランドホテル、名鉄バスターミナル、ヤマダ電機などが現在営業するエリア。順次、営業を終了し、26年から建物の解体を進める。

名鉄は敷地面積約3万7000平方メートルに約5400億円を投じて、延べ床面積52万平方メートルに商業、オフィス、ホテルなどが入居する複合施設を建設する。駅のプラットホームも移設する。33年度に1期本工事が竣工、40年代前半に2期本工事がそれぞれ竣工する予定だ。

リニア中央新幹線の開業を見据えて、オフィスや観光客の需要を見込む。駅の改造にも取り掛かり、中部国際空港に向かう「空港アクセスホーム」を設置して、輸送量の拡大を見込む。

名鉄百貨店の本店は1954年に開業した。本館とメンズ館を合わせて売り場面積は約5万5000平方メートル。2023年度の売上高は352億円だった。24年1月に一宮店を占めており、営業する名鉄百貨店は本店だけになっていた。外商部門など一部機能は別会社に移管する見通しだ。

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名鉄百貨店、26年2月末に営業終了

名古屋鉄道(名鉄)は24日、名古屋駅の再開発計画の概要を発表した。再開発地区で営業する傘下の名鉄百貨店の本店は、2026年2月28日に営業を終了する。再開発後に建つ複合施設には2040年代前半に商業施設が開業するが、百貨店業態になる公算は薄いと見られる。

再開発地区は名鉄百貨店、近鉄パッセ、名鉄グランドホテル、名鉄バスターミナル、ヤマダ電機などが現在営業するエリア。順次、営業を終了し、26年から建物の解体を進める。

名鉄は敷地面積約3万7000平方メートルに約5400億円を投じて、延べ床面積52万平方メートルに商業、オフィス、ホテルなどが入居する複合施設を建設する。駅のプラットホームも移設する。33年度に1期本工事が竣工、40年代前半に2期本工事がそれぞれ竣工する予定だ。

リニア中央新幹線の開業を見据えて、オフィスや観光客の需要を見込む。駅の改造にも取り掛かり、中部国際空港に向かう「空港アクセスホーム」を設置して、輸送量の拡大を見込む。

名鉄百貨店の本店は1954年に開業した。本館とメンズ館を合わせて売り場面積は約5万5000平方メートル。2023年度の売上高は352億円だった。24年1月に一宮店を占めており、営業する名鉄百貨店は本店だけになっていた。外商部門など一部機能は別会社に移管する見通しだ。

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東急が小売事業を再編 百貨店、モール、渋谷109など一体運営へ

東急が小売事業の再構築に動く。8月1日付で、東急が直接出資し、小売事業を統括する子会社として新たに東急リテールマネジメントを設立。東急リテールマネジメントの傘下に商業施設の運営子会社6社を収める新体制を敷くことで、商業施設運営の一体化によるノウハウ共有や効率化を図る。

東急リテールマネジメントの傘下に入るのは、百貨店を運営する東急百貨店、モール事業を運営する東急モールズデベロップメント、渋谷109を運営するSHIBUYA109エンタテイメント、ながの東急百貨店、渋谷地下街、東急商業發展(香港)有限公司の6社。事業再編は、東急が24年3月に発表した3カ年経営計画の一環。「外部環境の変化が継続する中で、26年までを『再起動の期間』と位置づけ、経営基盤の強化と高資本効率の経営へ転換を図る」(東急)としている。

東急は現在、東急線沿線を中心に百貨店とショッピングセンター計28施設(複合施設を除く)を運営する。百貨店に関しては近年、都心の主要店舗を相次いで閉店するなど整理を進め、複合型商業施設やライフスタイル編集型の売り場運営に舵を切っている。中核エリアの渋谷においては、20年3月に東急東横店を閉鎖し、渋谷ヒカリエに百貨店のMDを切り出して再編集した「シンクス」を設置。23年1月に閉鎖した東急渋谷本店の跡地には、複数事業者による高層複合型施設の建設を予定している。

東急は「商業施設運営事業を取り巻く環境が大きく変化する中、東急百貨店の構造改革をはじめ、各社が事業競争力の強化に努めている。お客さまが今まで以上に、楽しさや豊かさを感じられる事業へと変革を目指し、各社を跨いだ事業戦略の遂行を行うにふさわしい経営体制に深化する」としている。

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東急が小売事業を再編 百貨店、モール、渋谷109など一体運営へ

東急が小売事業の再構築に動く。8月1日付で、東急が直接出資し、小売事業を統括する子会社として新たに東急リテールマネジメントを設立。東急リテールマネジメントの傘下に商業施設の運営子会社6社を収める新体制を敷くことで、商業施設運営の一体化によるノウハウ共有や効率化を図る。

東急リテールマネジメントの傘下に入るのは、百貨店を運営する東急百貨店、モール事業を運営する東急モールズデベロップメント、渋谷109を運営するSHIBUYA109エンタテイメント、ながの東急百貨店、渋谷地下街、東急商業發展(香港)有限公司の6社。事業再編は、東急が24年3月に発表した3カ年経営計画の一環。「外部環境の変化が継続する中で、26年までを『再起動の期間』と位置づけ、経営基盤の強化と高資本効率の経営へ転換を図る」(東急)としている。

東急は現在、東急線沿線を中心に百貨店とショッピングセンター計28施設(複合施設を除く)を運営する。百貨店に関しては近年、都心の主要店舗を相次いで閉店するなど整理を進め、複合型商業施設やライフスタイル編集型の売り場運営に舵を切っている。中核エリアの渋谷においては、20年3月に東急東横店を閉鎖し、渋谷ヒカリエに百貨店のMDを切り出して再編集した「シンクス」を設置。23年1月に閉鎖した東急渋谷本店の跡地には、複数事業者による高層複合型施設の建設を予定している。

東急は「商業施設運営事業を取り巻く環境が大きく変化する中、東急百貨店の構造改革をはじめ、各社が事業競争力の強化に努めている。お客さまが今まで以上に、楽しさや豊かさを感じられる事業へと変革を目指し、各社を跨いだ事業戦略の遂行を行うにふさわしい経営体制に深化する」としている。

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伊高級時計ブランド「パネライ」に新CEO 親会社リシュモンのウオッチ部門トップ

コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)は、傘下に持つパネライ(PANERAI)の新たな最高経営責任者(CEO)として、エマニュエル・ペラン(Emmanuel Perrin)=リシュモン ウオッチ部門責任者を任命した。4月1日付で就任し、ニコラ・ボス(Nicolas Bos)=リシュモンCEOの直属となる。

なお、同ブランドを2018年から率いてきたジャンマルク・ポントルエ(Jean-Marc Pontroue)CEOは、3月17日に自身のインスタグラムで退任を発表。その際、パネライはコメントを差し控えるとしていたが、今回の人事に伴い、同氏が4月1日付で退社することを明らかにした。

ペラン新CEOとポントルエCEOについて

ペラン新CEOは、リシュモンで33年にわたる経験を有している。同社が擁するヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)で9年近くキャリアを積み、10年に同じくリシュモン傘下のカルティエ(CARTIER)に加わった。さまざまな要職を歴任し、17年から現職。また、スイスの時計展示会「ウオッチズ & ワンダーズ(WATCHES & WONDERS)」の組織団体オート・オルロジュリー財団(Fondation de la Haute Horlogerie)のプレジデントも務めていた。

ポントルエCEOは、リシュモンで25年のキャリアを持つ。ロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)のCEOを務めた後、18年に現職に就任した。同氏の今後については明らかになっていない。

パネライの歴史

パネライは、イタリア・フィレンツェで1860年に創業。時計の工房および販売店、専門学校を運営し、主にイタリアやエジプトの海軍に精密機器やテクニカルウオッチを提供していたが、1990年代から一般向け商品の製造および販売を開始した。97年にヴァンドーム・ラグジュアリー・グループ(VENDOME LUXURY GROUP、現リシュモン)が傘下に収めた。

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伊高級時計ブランド「パネライ」に新CEO 親会社リシュモンのウオッチ部門トップ

コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)は、傘下に持つパネライ(PANERAI)の新たな最高経営責任者(CEO)として、エマニュエル・ペラン(Emmanuel Perrin)=リシュモン ウオッチ部門責任者を任命した。4月1日付で就任し、ニコラ・ボス(Nicolas Bos)=リシュモンCEOの直属となる。

なお、同ブランドを2018年から率いてきたジャンマルク・ポントルエ(Jean-Marc Pontroue)CEOは、3月17日に自身のインスタグラムで退任を発表。その際、パネライはコメントを差し控えるとしていたが、今回の人事に伴い、同氏が4月1日付で退社することを明らかにした。

ペラン新CEOとポントルエCEOについて

ペラン新CEOは、リシュモンで33年にわたる経験を有している。同社が擁するヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)で9年近くキャリアを積み、10年に同じくリシュモン傘下のカルティエ(CARTIER)に加わった。さまざまな要職を歴任し、17年から現職。また、スイスの時計展示会「ウオッチズ & ワンダーズ(WATCHES & WONDERS)」の組織団体オート・オルロジュリー財団(Fondation de la Haute Horlogerie)のプレジデントも務めていた。

ポントルエCEOは、リシュモンで25年のキャリアを持つ。ロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)のCEOを務めた後、18年に現職に就任した。同氏の今後については明らかになっていない。

パネライの歴史

パネライは、イタリア・フィレンツェで1860年に創業。時計の工房および販売店、専門学校を運営し、主にイタリアやエジプトの海軍に精密機器やテクニカルウオッチを提供していたが、1990年代から一般向け商品の製造および販売を開始した。97年にヴァンドーム・ラグジュアリー・グループ(VENDOME LUXURY GROUP、現リシュモン)が傘下に収めた。

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スノーボードの「バートン」が“子どもの体験格差”に一石 教えているのは「滑り方ではなく、人生」

ジェイク・バートン(Jake Burton)が1977年に創業したバートン(BURTON)は、北京冬季五輪金メダリストの平野歩夢選手とも契約するスノーボードの大手メーカーであり、スノーボードを世に広めてきたオリジネイターだ。同社は2019年にいち早くBコープ認証を取得するなど、気候変動や持続可能な成長といった社会課題に対する意識の高さでも知られるが、より良い社会を目指し、チル(CHILL)という活動を通じて子どもたちの支援にも力を入れている。児童養護施設などの子どもたちにスノーボードをはじめとしたスポーツの機会を提供し、社会とつながるきっかけを提供するというもの。ジェイクの配偶者であり、バートンのオーナー兼会長ドナ・カーペンター(Donna Carpenter)、チルCEOのベン・クラーク(Ben Clark)、チル ジャパンの小倉一男代表理事に、チルの活動について聞いた。

WWD:1995年にジェイクとドナでチルを立ち上げた。どのような考えからだったのか。

ドナ・カーペンター バートン オーナー兼会長(以下、ドナ):1977年に「バートン」を立ち上げて、以来スノーボードのビジネスをしてきました。その中で、スノーボードに恩返しがしたいと考えるようになったんです。恩返しの方法はいろいろありますが、何より、「バートン」を支えてきてくれた若い人や子どもたちにフォーカスしたかった。スノーボードがこの世にまだ存在しなかった時代に、彼らがわれわれの製品に興味を持ってくれて、裏山に持って行って遊んでくれたことで、スノーボードが始まったわけですから。それで、(金銭面や家庭の事情などの)環境的な要因でスノーボードをすることができなかったり、人生に何か困難を抱えていたりする若い人たちに、スノーボードをする機会を提供できればと思い、チルの活動を始めたんです。

彼らにスノーボードを教える中で、私たちは滑り方を教えているだけじゃない、スノーボードを通して、人生を教えているんだと気付きました。滑っていると転ぶこともありますよね。でも、立ち上がってまた挑戦する。その繰り返しの中で、人生にたとえ何か困難があっても、それを乗り越えて、自分で自分の人生を導いていけると伝えられると感じたんです。活動を始めてすぐ、「このプログラムを是非うちの街でもやってほしい」といった声も舞い込むようになり、ニーズの高さも感じました。現在、チルではスノーボードのほか、スケートボードやサーフィンなどの体験機会も提供しています。それらを通して、彼らの健全な成長を支援するのが目的です。チルの活動は9カ国24都市に広がっています。

WWD:チルの活動もその1つとして、バートンは社会をより良くすることに対する意識が高い企業だと常々感じる。それはどういった考えからか。

ドナ:生前ジェイクとよく、“トリプルボトムライン”について話しました。企業活動を経済、社会、環境の3側面から評価する考え方です。企業の成功とは何かを考えたとき、もちろんその1つは利益率ですが、人や社会に対して良い影響を与え、スノーボードをするコミュニティーや環境を守っていくこと。これら3つがそろって、初めて成功だとわれわれは考えています。バートンは1人1人の人生をより良い方向に変えていくことをミッションの1つに掲げています。アウトドアの業界やコミュニティーをより開かれた、公平なものにしていきたい。例えば米国では、有色人種や先住民の方たちはスノーボードにアクセスしづらいという課題があります。どんな人でも、どんな環境にあってもチャレンジできる環境を整えようとしています。

チル卒業生は世界で3万人

WWD:確かにスノースポーツは欧米の、中でも白人のものというイメージは根強い。

ドナ:開かれたアウトドアコミュニティーを目指し、バートンでは有色人種の方たちを積極的に採用していますし、チルのプログラムでも彼らを支援しています。バートンとして、有色人種や先住民の方たちが、スノーボードコミュニティーに参画する際にどんなハードルを感じるか、どうすればそれを減らせるかといったことを自らディスカッションする“カルチャーシフター”というイベントも行っています。いま、スノーボードでは特に中南米の方の参加率が上がってきていますが、われわれのこうした取り組みも反映されていると思います。

ベン・クラーク チルCEO(以下、ベン):アウトドア業界をより開かれたものにしていくためには、チルに参加した人が成長して、自身のキャリアを考えるようになったときに、アウトドア業界にはどんな仕事があるのかをイメージできることも大事ですよね。それで、チルではアウトドア関連職種の職場見学や、職業体験の機会も設けています。チルの卒業生は世界で既に3万人いて、彼らを組織することも今進めています。卒業生は子どもたちにとってのロールモデルになりますから。人生で目標となるような存在ができれば、勇気がもらえます。卒業生が互いに高め合えたり、仲良くなって余暇に一緒にスノーボードに行ったりできるような環境を整えることが、長い目で見てアウトドアコミュニティーをより良いものにしていくと思っています。

WWD:チル卒業生で、バートンで働いている人もいるのか。

ドナ:店頭でも本社でも、かなりの数の卒業生が働いています。

ベン:バートンのアンバサダーを務めているチル卒業生もいます。彼は11歳でウガンダから母親とアメリカにやってきて、チルでスノーボードを体験して、スノーボードが大好きになった。現在はアンバサダーを務めながら、次の夢としてスノーボーダーを助ける医者を目指し勉強しています。彼もチルのイベントで自身のことを子どもたちに話してくれるんですが、人生にはさまざまな可能性や未来があるんだと子どもたちが気づくきっかけになっています。

WWD:チルでは、子どもたちに無料でスノーボードや各種スポーツの機会を提供しているが、財源はどのように確保しているのか。

ドナ:バートンは利益の中から毎年一定の割合をチルに寄付しています。また、事務などのバックオフィスはバートンとチルとで共有しています。子どもたちにスノーボードを体験してもらう際に使うギアやウエアは、バートンから提供しています。

ベン:補足すると、米国でも日本でも、チルは独立したNPO法人です。財源の30%はバートンから、残りは個人や企業の寄付によって成り立っています。寄付はお金だけでなく、例えば北米ならベイルスキーリゾート、日本なら富士見パノラマリゾートなどは、リフト券やゲレンデでの食事の提供といった形でもサポートしてくれています。チルに年間で集まる寄付額(上記リフト券や食事提供などは含まない金額)は米国で約400万ドル(約5億8800万円)です。スノーボードを教えている点に共感してくださる寄付者もいますし、若者の支援プログラムとして価値を見出してくださる人もいます。イベント当日にボランティアとして関わってくださる支援者もいます。寄付や支援をしてくださる方たちに支えられて、チルがあります。

小倉一男チル ジャパン代表理事(以下、小倉):バートンのスタッフの協力も大きいです。彼らはイベントごとに、参加する子どもたちのサイズに合わせてギアやウエアを準備して、スキー場に送って、イベント後にはウエアやギアをメンテナンスして、といった大変な作業を担ってくれています。

「自分はスノーボーダーだ!
と自信を持ってもらいたい」

WWD:チル ジャパンはどのようにスタートしたのか。小倉代表理事はバートン ジャパンの初代社長でもある。

小倉:日本では、1995年に起こった阪神淡路大震災で被災した子どもたちを2001年に兵庫の六甲山のスキー場に招待して、スノーボードを楽しんでもらったのが始まりでした。NPO法人としてチル ジャパンができたのは03年、これまでに活動に招待してきた子どもたちは2000〜3000人です。日本に限らず、チルの活動は“LTR(Learn To Ride)”という板ができたことで進んだ部分は大きかった。初心者でもターンのきっかけがつかみやすく、逆エッジで転ぶことが少ない板です。自分も“LTR”で滑ってみて、「これなら子どもたちが履いても大丈夫」と思ったのをよく覚えています。

ドナ:子どもたちが使うギアについては、ジェイクが特にこだわった部分でした。最高のギアで子どもたちにスノーボードを体験してもらい、ターンすることを楽しんでほしい。そして、プログラムが終わるころには「自分はスノーボーダーなんだ!」と自信を持って思ってもらいたい。その点をジェイクは非常に大切にしていました。

WWD:子どもの“体験格差”については、日本でも報道されることが増えている。家庭の経済事情や環境に関わらず、誰にとっても子どものころのさまざま体験が必要だという考え方が世の中に浸透しつつある。

小倉:チルの活動をすればするほど、体験機会のない子どもたちがたくさんいるんだと感じます。チル ジャパンでは、もともとは阪神淡路大震災や東日本大震災などで被災した子どもたちにスポーツの機会を提供していましたが、いま特に力を入れているのは、児童養護施設やフリースクールに通う子どもたちを招待することです。児童養護施設は全国に600前後あって、約3万人の子どもが親から離れて暮らしている。虐待や育児放棄を経験した子もいる。チル ジャパンではスノーボードのほか、スケートボードやスラックラインなどの体験機会も彼らに提供していますが、複数のスポーツに挑戦してみると、不得意なものもあるけど、できるものもあると気づく。それはその人の人生にとって、すごくプラスになると思います。

ベン:アメリカでは、より多くの子どもたちに体験機会を提供することを目指して活動してきたため、同じ子を継続して招待するのは長くて2年です。でも、チル ジャパンは3〜5年にわたって継続して同じ子どもたちをさまざまなアクティビティーに招待しています。継続的な関係を築くことで、子どもたちが再び大人を信頼できるようになる。それは彼らの人生にとってすばらしいことだと思います。日本のやり方をアメリカでも生かせないかと、支援者の方たちとも話しています。このように、他地域のやり方から学び合えることは、グローバルな組織の強みですね。

日本はクラウドファンディング実施中

WWD:活動を続けていく上での課題は。

ベン:アメリカはリーダーシップ(大統領)が変わって、国際的な協調も、社会を良くするための活動も、多様性も以前より難しくなっており、これが一番の問題です。公平な社会を目指す活動の多くが、活動を阻害され、気持ちをくじかれている。まるで逆流を泳ぐ魚のようです。今まで活動に賛同してきた人も賛同しづらくなるでしょうし、こうした活動に公的資金が注がれることも減っていく。しかし、今が若者にとって厳しい時代であることは変わりません。SNSの影響もあって、心を病んだり、自ら命を絶ってしまったりという子どもが増えている。自分の価値を疑ってしまいやすい世の中だからこそ、われわれのような活動は大切だと思っています。

小倉:日本の課題は明白で、資金が乏しいことです。チル ジャパンとして必要な費用は年間で約1000万円。その半分を海外からの寄付でまかなっています。欧米のような寄付文化がない日本では、今シーズン初めて(3月31日まで)、クラウドファンディングを実施しています。ただ、近年われわれの活動に賛同してくださるスキー場は増えていて、それは非常にありがたいこと。目先の利益のみを追求するのではなく、未来ある子どもたちのために尽くそうという発想が日本の企業にも広がりつつある。また、スノーボード業界としてはスノーボード人口の減少は問題ですが、業界として子どもたちに投資しない限り、スノーボード人口は増えません。スノーボード関連業界で働く皆さんに、チルの活動は未来への投資となり得ると伝えたい。24-25年シーズンは、チル ジャパンとして7スキー場で計13回のスノーボード体験プログラムを実施します。1回あたりの参加は25〜40人ほど。小さな活動ですが、非常に大きな意味があると思っています。

WWD:最後に、チルの活動の中で印象的だったエピソードを教えてほしい。

ドナ:チルを通して出会う子どもたちのことを考えると、いつも非常にエモーショナルになってしまいます。チルの活動で子どもたちの笑顔を見るのは、私にとって大変大きな喜びです。この取材の前日には富士見パノラマリゾートで行われたチル ジャパンの活動に参加しました。参加する子どもたちは、子どもらしくいられない環境に置かれているケースも多いわけですが、滑走中に彼らの笑顔を見たり、プログラム終了後に「自分はスノーボーダーになったんだ!」という彼らの表情を見たりすると、彼らが得る喜びよりも私が彼らからもらう喜びの方が大きいんじゃないかといつも感じます。

小倉:(つらい出来事があって以降、会話をすることが減り)ずっと筆談をしていた子が、チルでスノーボードをした後に「ありがとう」と話してくれたことがありました。それがわれわれの活動によるものかどうかは分かりませんが、非常に胸をうたれたし、印象に残っています。チルの活動中は子どもたちの目が輝いていて、きっと忘れられない思い出になっていると思う。サンキューレターもたくさんいただきます。卒業生たちには、いつかまたスノーボードもやってもらいたい。

ベン:メキシコ出身で、今はロサンゼルスに住んでいる30代のチル卒業生がいます。彼は児童養護施設を転々として育ったんですが、チルで体験したスノーボードが彼の人生にとって初めてのスポーツでした。そこで彼は「自分にはスノーボードがある」と感じることができ、自信を得て、コミュニティーともつながることもできた。このような活動にアメリカや日本をはじめとした国々で携われていることを、大変うれしく思っています。

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スノーボードの「バートン」が“子どもの体験格差”に一石 教えているのは「滑り方ではなく、人生」

ジェイク・バートン(Jake Burton)が1977年に創業したバートン(BURTON)は、北京冬季五輪金メダリストの平野歩夢選手とも契約するスノーボードの大手メーカーであり、スノーボードを世に広めてきたオリジネイターだ。同社は2019年にいち早くBコープ認証を取得するなど、気候変動や持続可能な成長といった社会課題に対する意識の高さでも知られるが、より良い社会を目指し、チル(CHILL)という活動を通じて子どもたちの支援にも力を入れている。児童養護施設などの子どもたちにスノーボードをはじめとしたスポーツの機会を提供し、社会とつながるきっかけを提供するというもの。ジェイクの配偶者であり、バートンのオーナー兼会長ドナ・カーペンター(Donna Carpenter)、チルCEOのベン・クラーク(Ben Clark)、チル ジャパンの小倉一男代表理事に、チルの活動について聞いた。

WWD:1995年にジェイクとドナでチルを立ち上げた。どのような考えからだったのか。

ドナ・カーペンター バートン オーナー兼会長(以下、ドナ):1977年に「バートン」を立ち上げて、以来スノーボードのビジネスをしてきました。その中で、スノーボードに恩返しがしたいと考えるようになったんです。恩返しの方法はいろいろありますが、何より、「バートン」を支えてきてくれた若い人や子どもたちにフォーカスしたかった。スノーボードがこの世にまだ存在しなかった時代に、彼らがわれわれの製品に興味を持ってくれて、裏山に持って行って遊んでくれたことで、スノーボードが始まったわけですから。それで、(金銭面や家庭の事情などの)環境的な要因でスノーボードをすることができなかったり、人生に何か困難を抱えていたりする若い人たちに、スノーボードをする機会を提供できればと思い、チルの活動を始めたんです。

彼らにスノーボードを教える中で、私たちは滑り方を教えているだけじゃない、スノーボードを通して、人生を教えているんだと気付きました。滑っていると転ぶこともありますよね。でも、立ち上がってまた挑戦する。その繰り返しの中で、人生にたとえ何か困難があっても、それを乗り越えて、自分で自分の人生を導いていけると伝えられると感じたんです。活動を始めてすぐ、「このプログラムを是非うちの街でもやってほしい」といった声も舞い込むようになり、ニーズの高さも感じました。現在、チルではスノーボードのほか、スケートボードやサーフィンなどの体験機会も提供しています。それらを通して、彼らの健全な成長を支援するのが目的です。チルの活動は9カ国24都市に広がっています。

WWD:チルの活動もその1つとして、バートンは社会をより良くすることに対する意識が高い企業だと常々感じる。それはどういった考えからか。

ドナ:生前ジェイクとよく、“トリプルボトムライン”について話しました。企業活動を経済、社会、環境の3側面から評価する考え方です。企業の成功とは何かを考えたとき、もちろんその1つは利益率ですが、人や社会に対して良い影響を与え、スノーボードをするコミュニティーや環境を守っていくこと。これら3つがそろって、初めて成功だとわれわれは考えています。バートンは1人1人の人生をより良い方向に変えていくことをミッションの1つに掲げています。アウトドアの業界やコミュニティーをより開かれた、公平なものにしていきたい。例えば米国では、有色人種や先住民の方たちはスノーボードにアクセスしづらいという課題があります。どんな人でも、どんな環境にあってもチャレンジできる環境を整えようとしています。

チル卒業生は世界で3万人

WWD:確かにスノースポーツは欧米の、中でも白人のものというイメージは根強い。

ドナ:開かれたアウトドアコミュニティーを目指し、バートンでは有色人種の方たちを積極的に採用していますし、チルのプログラムでも彼らを支援しています。バートンとして、有色人種や先住民の方たちが、スノーボードコミュニティーに参画する際にどんなハードルを感じるか、どうすればそれを減らせるかといったことを自らディスカッションする“カルチャーシフター”というイベントも行っています。いま、スノーボードでは特に中南米の方の参加率が上がってきていますが、われわれのこうした取り組みも反映されていると思います。

ベン・クラーク チルCEO(以下、ベン):アウトドア業界をより開かれたものにしていくためには、チルに参加した人が成長して、自身のキャリアを考えるようになったときに、アウトドア業界にはどんな仕事があるのかをイメージできることも大事ですよね。それで、チルではアウトドア関連職種の職場見学や、職業体験の機会も設けています。チルの卒業生は世界で既に3万人いて、彼らを組織することも今進めています。卒業生は子どもたちにとってのロールモデルになりますから。人生で目標となるような存在ができれば、勇気がもらえます。卒業生が互いに高め合えたり、仲良くなって余暇に一緒にスノーボードに行ったりできるような環境を整えることが、長い目で見てアウトドアコミュニティーをより良いものにしていくと思っています。

WWD:チル卒業生で、バートンで働いている人もいるのか。

ドナ:店頭でも本社でも、かなりの数の卒業生が働いています。

ベン:バートンのアンバサダーを務めているチル卒業生もいます。彼は11歳でウガンダから母親とアメリカにやってきて、チルでスノーボードを体験して、スノーボードが大好きになった。現在はアンバサダーを務めながら、次の夢としてスノーボーダーを助ける医者を目指し勉強しています。彼もチルのイベントで自身のことを子どもたちに話してくれるんですが、人生にはさまざまな可能性や未来があるんだと子どもたちが気づくきっかけになっています。

WWD:チルでは、子どもたちに無料でスノーボードや各種スポーツの機会を提供しているが、財源はどのように確保しているのか。

ドナ:バートンは利益の中から毎年一定の割合をチルに寄付しています。また、事務などのバックオフィスはバートンとチルとで共有しています。子どもたちにスノーボードを体験してもらう際に使うギアやウエアは、バートンから提供しています。

ベン:補足すると、米国でも日本でも、チルは独立したNPO法人です。財源の30%はバートンから、残りは個人や企業の寄付によって成り立っています。寄付はお金だけでなく、例えば北米ならベイルスキーリゾート、日本なら富士見パノラマリゾートなどは、リフト券やゲレンデでの食事の提供といった形でもサポートしてくれています。チルに年間で集まる寄付額(上記リフト券や食事提供などは含まない金額)は米国で約400万ドル(約5億8800万円)です。スノーボードを教えている点に共感してくださる寄付者もいますし、若者の支援プログラムとして価値を見出してくださる人もいます。イベント当日にボランティアとして関わってくださる支援者もいます。寄付や支援をしてくださる方たちに支えられて、チルがあります。

小倉一男チル ジャパン代表理事(以下、小倉):バートンのスタッフの協力も大きいです。彼らはイベントごとに、参加する子どもたちのサイズに合わせてギアやウエアを準備して、スキー場に送って、イベント後にはウエアやギアをメンテナンスして、といった大変な作業を担ってくれています。

「自分はスノーボーダーだ!
と自信を持ってもらいたい」

WWD:チル ジャパンはどのようにスタートしたのか。小倉代表理事はバートン ジャパンの初代社長でもある。

小倉:日本では、1995年に起こった阪神淡路大震災で被災した子どもたちを2001年に兵庫の六甲山のスキー場に招待して、スノーボードを楽しんでもらったのが始まりでした。NPO法人としてチル ジャパンができたのは03年、これまでに活動に招待してきた子どもたちは2000〜3000人です。日本に限らず、チルの活動は“LTR(Learn To Ride)”という板ができたことで進んだ部分は大きかった。初心者でもターンのきっかけがつかみやすく、逆エッジで転ぶことが少ない板です。自分も“LTR”で滑ってみて、「これなら子どもたちが履いても大丈夫」と思ったのをよく覚えています。

ドナ:子どもたちが使うギアについては、ジェイクが特にこだわった部分でした。最高のギアで子どもたちにスノーボードを体験してもらい、ターンすることを楽しんでほしい。そして、プログラムが終わるころには「自分はスノーボーダーなんだ!」と自信を持って思ってもらいたい。その点をジェイクは非常に大切にしていました。

WWD:子どもの“体験格差”については、日本でも報道されることが増えている。家庭の経済事情や環境に関わらず、誰にとっても子どものころのさまざま体験が必要だという考え方が世の中に浸透しつつある。

小倉:チルの活動をすればするほど、体験機会のない子どもたちがたくさんいるんだと感じます。チル ジャパンでは、もともとは阪神淡路大震災や東日本大震災などで被災した子どもたちにスポーツの機会を提供していましたが、いま特に力を入れているのは、児童養護施設やフリースクールに通う子どもたちを招待することです。児童養護施設は全国に600前後あって、約3万人の子どもが親から離れて暮らしている。虐待や育児放棄を経験した子もいる。チル ジャパンではスノーボードのほか、スケートボードやスラックラインなどの体験機会も彼らに提供していますが、複数のスポーツに挑戦してみると、不得意なものもあるけど、できるものもあると気づく。それはその人の人生にとって、すごくプラスになると思います。

ベン:アメリカでは、より多くの子どもたちに体験機会を提供することを目指して活動してきたため、同じ子を継続して招待するのは長くて2年です。でも、チル ジャパンは3〜5年にわたって継続して同じ子どもたちをさまざまなアクティビティーに招待しています。継続的な関係を築くことで、子どもたちが再び大人を信頼できるようになる。それは彼らの人生にとってすばらしいことだと思います。日本のやり方をアメリカでも生かせないかと、支援者の方たちとも話しています。このように、他地域のやり方から学び合えることは、グローバルな組織の強みですね。

日本はクラウドファンディング実施中

WWD:活動を続けていく上での課題は。

ベン:アメリカはリーダーシップ(大統領)が変わって、国際的な協調も、社会を良くするための活動も、多様性も以前より難しくなっており、これが一番の問題です。公平な社会を目指す活動の多くが、活動を阻害され、気持ちをくじかれている。まるで逆流を泳ぐ魚のようです。今まで活動に賛同してきた人も賛同しづらくなるでしょうし、こうした活動に公的資金が注がれることも減っていく。しかし、今が若者にとって厳しい時代であることは変わりません。SNSの影響もあって、心を病んだり、自ら命を絶ってしまったりという子どもが増えている。自分の価値を疑ってしまいやすい世の中だからこそ、われわれのような活動は大切だと思っています。

小倉:日本の課題は明白で、資金が乏しいことです。チル ジャパンとして必要な費用は年間で約1000万円。その半分を海外からの寄付でまかなっています。欧米のような寄付文化がない日本では、今シーズン初めて(3月31日まで)、クラウドファンディングを実施しています。ただ、近年われわれの活動に賛同してくださるスキー場は増えていて、それは非常にありがたいこと。目先の利益のみを追求するのではなく、未来ある子どもたちのために尽くそうという発想が日本の企業にも広がりつつある。また、スノーボード業界としてはスノーボード人口の減少は問題ですが、業界として子どもたちに投資しない限り、スノーボード人口は増えません。スノーボード関連業界で働く皆さんに、チルの活動は未来への投資となり得ると伝えたい。24-25年シーズンは、チル ジャパンとして7スキー場で計13回のスノーボード体験プログラムを実施します。1回あたりの参加は25〜40人ほど。小さな活動ですが、非常に大きな意味があると思っています。

WWD:最後に、チルの活動の中で印象的だったエピソードを教えてほしい。

ドナ:チルを通して出会う子どもたちのことを考えると、いつも非常にエモーショナルになってしまいます。チルの活動で子どもたちの笑顔を見るのは、私にとって大変大きな喜びです。この取材の前日には富士見パノラマリゾートで行われたチル ジャパンの活動に参加しました。参加する子どもたちは、子どもらしくいられない環境に置かれているケースも多いわけですが、滑走中に彼らの笑顔を見たり、プログラム終了後に「自分はスノーボーダーになったんだ!」という彼らの表情を見たりすると、彼らが得る喜びよりも私が彼らからもらう喜びの方が大きいんじゃないかといつも感じます。

小倉:(つらい出来事があって以降、会話をすることが減り)ずっと筆談をしていた子が、チルでスノーボードをした後に「ありがとう」と話してくれたことがありました。それがわれわれの活動によるものかどうかは分かりませんが、非常に胸をうたれたし、印象に残っています。チルの活動中は子どもたちの目が輝いていて、きっと忘れられない思い出になっていると思う。サンキューレターもたくさんいただきます。卒業生たちには、いつかまたスノーボードもやってもらいたい。

ベン:メキシコ出身で、今はロサンゼルスに住んでいる30代のチル卒業生がいます。彼は児童養護施設を転々として育ったんですが、チルで体験したスノーボードが彼の人生にとって初めてのスポーツでした。そこで彼は「自分にはスノーボードがある」と感じることができ、自信を得て、コミュニティーともつながることもできた。このような活動にアメリカや日本をはじめとした国々で携われていることを、大変うれしく思っています。

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大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」が全容公開 55年ぶりの“人間洗濯機”などで目指すは280万人来場

2025大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」は3月23日、4月14日の開幕に先駆けて全容を公開した。屋外も含めた敷地面積は約1万500平方メートルと180以上を超えるパビリオンの中で2番目の規模を誇り、想定する来場者数は280万人。大阪に拠点を持つ医療や飲食、ビューティ関連の企業が計441社出展し、「『人』は生まれ変われる」「新たな一歩を踏み出す」の意味を込めたテーマ「REBORN」を、各々の技術や事業を拡張した展示や体験で表現した。

5000平方メートルの規模の本部棟のメインコンテンツは、1階から2階にかけて展開する“リポーン体験ルート”だ。まず、“カラダ測定ポット”で心血管や筋骨格、髪、肌、視覚、脳、歯の健康データを測定し、体の状況を把握する。この健康データを元に生成された25年後の自身のアバターと出会い、各企業が自社の技術や事業を生かして創造するブースで測定結果を活用したコンテンツや未来のヘルスケア、都市体験ができる。

例えば、ロート製薬は“アイケアステーション”と題したブースで、目の状態をセルフチェックできるデバイスを展開。ミルボンは“自分らしく美しく生きる美容院”と題し、“カラダ測定ポット”のデータに基づいたアイテムの提案などがかなう美容室空間を表現した。タカラベルモントは計374個の多面体を組み合わせて制作したクリスタルのアート空間を展示し、多面的な美について見つめ直す空間を作った。

そのほかのヘルスケア部門の出展企業は、一般社団法人日本MA-T工業会、江崎グリコ、ファーマフーズ、椿本チエイン、SyncMOF、ニプロ、森永乳業、サイエンスなど。各出展企業の担当者は、国内外からの多くの来場客が見込める機会として、「事業や企業の認知拡大による飛躍の契機」「未来を担う学生などと接点を持つ場」となることに期待を示した。

1階の中央部にある“アトリウム”エリアは、iPS細胞の展示“iPS Cells for the Future”を据え、大阪・関西の再生医療のポテンシャルを発信する。また、入浴しながら健康状態の可視化できるサイエンスによる自動入浴機械“ミライ人間洗濯機”も展示。予約すれば体験も可能で、すでに850人を超える応募者が集まっているという。アウトソーシングが提供する“AIコンシェルジュロボット“は、万博に関する質問に対応し、バイタルチェックもできる。

“リボーンチャレンジ”は、400を超える大阪の中小企業やベンチャーの技術やサービスを1週間ごとに異なる26のテーマで展示。フードエリアには、関西の料理人や教育機関、企業による調理パフォーマンスや料理教室が開かれるデモキッチンや、エア・ウォーターが運営するロボットがドリンクを提供する「AIR WATER NEO MIX STAND」、自動ソフトクリーム盛り付け体験ができる「NISSEI Mouthful Creations」、医薬品からお土産までをそろえるドラッグストア「アカカベ 大阪ヘルスケアパビリオン店」などが軒を連ねる。

屋外には、未来のエンターテイメントを体験できる“XD HALL“を設置する。カプコンが「モンスターハンター ブリッジ」を提供。専用のARデバイスを装着し、360度シアター、立体音響、床振動を活用し、全身でゲーム「モンスターハンター」の世界を体感できる。

そのほか、“いのちの湧水(いずみ)”では水耕栽培と陸上養殖を組み合わせた循環型生産システムを展示。水盤上のイベント広場“リボーンステージ”では、協賛企業や協力機関、大阪府内の自治体などによるさまざまなイベントを開催する予定だ。

「大阪ヘルスケアパビリオン」の担当者は「今まで展示内容の説明文やパースで想像を膨らませていたが、実際にパビリオン内の展示が完成し、協賛企業が運営する様子をみて、3週間後の開幕にワクワクしてきた」とコメント。同パビリオンの役割は「大阪の優れた技術やサービス・さまざまな魅力を発信し、開催地が出展するパビリオンとして万博開催の意義の実現に貢献するほか、世界中から多くのお客さまを大阪らしいホスピタリティーでお迎えすること」とし、「“リボーン体験ルート”で未来の自分に出会い、その後のさまざまな体験を通じて、将来の自分の変化を想像し、実践するきっかけになれば」と話した。

吉村洋文大阪府知事が
“ミライ人間洗濯機”を体験

23日に開かれた内覧会では2025年日本国際博覧会大阪パリピオン推進員会の会長を務める吉村洋文大阪府知事が登場し、“アトリウム”でサイエンスが展示する“ミライ人間洗濯機”に入浴した。前回の1970年の万博でも展示した“人間洗濯機”の進化版として、当時の“人間洗濯機”を展示した三洋電機(現パナソニックホールディングス)とサイエンスが共同で開発。吉村大阪府知事は、「最初は不安半分期待半分だったが、全く苦しさなどはなく、とても気持ちよくてスッキリした。音楽や映像で心もリラックスでき、多くの人にぜひ体験してほしい」とコメントした。

■大阪ヘルスケアパビリオン
会期:4月13日〜10月13日
時間:9:00〜21:00
場所:夢洲、大阪府大阪市臨海部(会期中の1日券は大人7500円、中人4200円、小人1800円※早割や平日券、夜間券などあり、「大阪ヘルスケアパビリオン」は“リポーン体験ルート”と“XD HALL”は予約必須)

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マンガで学ぶ「在庫管理の魔術」 第11話:過剰在庫なのに欠品発生のワケ 店長とバイヤーの盲点は“倉庫の使い方”

中堅アパレルのチェーンストア「ハンナズ」は、過剰在庫が原因で経営危機に瀕している。社長の安堂平磨は、娘でバイヤーの安堂あい、あいの夫で渋谷店店長の安堂徹に再生を期待するが、2人は「売れ残るリスクを抱えながら在庫を持つべきか?」それとも「売り上げが落ちるリスクを抱えながら在庫を減らすべきか?」で迷い続ける。

ショップは在庫を可能な限り多く確保すべき——そんな店長の“思い込み”を覆すために、徹は彼らが恐れる欠品発生までのメカニズムを分析する。明らかになったのは、渋谷店売り上げアップの背景に“発注リードタイム”を実質0日にできたという時間の効率化があったこと。それを受けて加地の頭に、店長とバイヤーに共通する、とある問題点が浮かぶ。

登場人物紹介

第十一話

このマンガは、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)も経営陣で読んだとされるTOC(制約理論)の原点にして最高の入門書「ザ・ゴール」を原案としています。「ザ・ゴール」を中心としたマネジメント理論に関する書籍は、ダイヤモンド社が販売中です。

ORIGINAL WORKS:ELIYAHU GOLDRATT、JEF COX
SUPERVISION:YUJI KISHIRA
SCRIPT:TAKEO AOKI
COMICS:YAMA AOTA

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化粧品好調の伊勢丹新宿本店、新たな催事でプレミアムスキンケアの門戸を広げる 

伊勢丹新宿本店は、化粧品の新たな催事「イセタン ビューティ ウィーク」で、プレミアムスキンケアにフォーカスしたイベントを25日まで開催中だ。高機能な高級ラインを持つ26ブランドが参加し、中心価格帯は5万円前後。肌測定機などの体験サービスや自由に試せるブースなどを用意し、美容に精通した人や初心者も楽しめる内容とする。

同店は、これまでメイクアップやフレグランスの催事をいち早く展開してきたが、近年のエイジングケア需要の高まりを受け、プレミアムスキンケアに特化したイベントの開催に至った。伊勢丹新宿本店の化粧品売り場(地下2階、1~2階)ではスキンケアが売り上げの4割を占め、その中でもプレミアムスキンケアが成長をけん引。25年3月期の化粧品売り場の商況は前年比2ケタ増を見込んでいる。

毎年3月は、メイクの祭典「イセタン メイクアップパーティ」を開催しているが、今年は春夏シーズンの始まりに合わせ、2月へと前倒しした。従来の催事会場から、1、2階の各ブランドのブース形式へと変更し、ブランドとの接点を強化した。限定品目当ての来店客が増加する中、本来提供したいサービスが十分に行えない課題も浮上していたという。そのため、顧客とブランドの最適な接点を考慮し、イベントの見直しを図った。

一方プレミアムスキンケアは、3年前から売り場での動きが目立つようになり、「今回の催事の構想も長年温めていた」(入月雅子・三越伊勢丹 化粧品商品部新宿店商品担当 化粧品 バイヤー)という。「スキンケアには投資価値があると判断する顧客が増えている。プレミアムスキンケアを購入する際には、美容部員のアドバイスを受けた上で選びたいというニーズが根強く、百貨店が購買チャネルとして支持されている。総じて、プレミアムスキンケアは百貨店の顧客と親和性が高い」と分析する。

今回の催事では、プレミアムスキンケアの試用機会を提供することで、購入に対する心理的ハードルの軽減も狙う。「高価格帯のスキンケアを試してから購入したくとも、店頭では『座ったら買わなければならない』と感じる心理的障壁があるのではないか」との仮説のもと、顧客の反応を検証する意図もあるという。

山崎奈々恵・三越伊勢丹化粧品MD部新宿/ミラー/ミーコ商品担当バイヤーは、「スキンケアの使い分けや特別な日のためのスキンケア文化を発信し、お客さまが自身の肌と向き合いながら、スキンケアをランクアップしようと思うきっかけになれば」と期待を寄せる。今後「イセタン ビューティ ウィーク」では、プレミアムスキンケアに限らず、その時々の話題となる美容を発信していく方針だ。

「イセタン ビューティ ウィーク」の見どころ

26ブランドのうち約6割は、1、2階の常設売り場にないブランドで構成する。奄美大島のスキンケアブランド「アーダンシルク(ADAN SILK)」やフランスのラグジュアリーと日本のテクノロジーを融合した「エヴィドンス ドゥ ボーテ(EVIDENS DE BEAUTÉ)」などを取りそろえる。独ドクターズスキンケアブランド「アウグスティヌスバーダー(AUGUSTINUS BADER)」は、同店で2回目の展開となる。このほか、「グライセル(GLYCEL)」「クリスティーナ(CHRISTINA)」「ザ・ギンザ(THE GINZA)」「スイスパーフェクション(SWISS PERFECTION)」「セルキュア(CELL CURE)」「ビオロジックルシェルシュ(BIOLOGIQUE RECHERCHE)」「リポシー(LYPO-C)」なども出展し、各ブランドには5〜10人のスタッフが常駐する。

会場の入り口には、各ブランドの化粧水やUVケア、新製品を自由に試せるブースを設置。肌チェックブースでは、「イプサ(IPSA)」「エスト(EST)」「SK-II」「エピステーム(EPISTEME)」「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」「パナソニック ビューティ(PANASONIC BEAUTY)」の肌測定機を用いた肌チェックを無料で体験できる。三越伊勢丹アプリのクーポン画面を提示すると、最大6回まで体験可能。診断ブランドはランダムに選ばれる。

各ブランドによるセミナーやトークショーも開催する。トリートメントやカウンセリング、体験会などは、事前予約の受付を終了しているが、フリー枠での参加は引き続き可能となっている。

■「イセタン ビューティー ウィーク 2025~スキンケアで叶える、新しい私~」
日程:3月20〜25日(19日はエムアイカード会員の特別招待日)
時間:10時〜20時(最終日は18時に終了)
場所:伊勢丹新宿店本館6階 催物場

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グラングリーン大阪「南館」 梅田を一望する温泉に入って、関西の有名店が集結した巨大フードコートで舌鼓

JR大阪駅に直結し、4.5ヘクタールもの巨大な都市型公園「うめきた公園」にも隣接する複合施設「グラングリーン大阪・南館」が21日開業する。昨年9月に先行まち開きした北館とうめきた公園の一部は、都市と自然が調和した世界でも珍しい空間として国内外から注目。大阪·関西万博の開幕を控えてオープンする南館は、街にさらなる賑わいを呼ぶ施設として期待が高まっている。

南館には日本初や関西初を含む55店舗のショップ&レストランと2つのホテル、オフィス、ウェルネス施設、MICE施設などのテナントが集結。洗練されたデザインの商空間は、健康や美容、フード、カルチャーなど多彩な体験価値を提供する、大人が楽しめる施設となっている。

中でも見どころは、核テナントに位置づけられる関西最大級の健康増進施設「うめきた温泉 蓮 ウェルビーイングパーク」(3・4階)と、アジア初進出のフード&カルチャーマーケット「タイムアウトマーケット大阪」(地下1階)だ。商業施設が密集する梅田エリアにおいて両テナントとも圧倒的な規模と充実したコンテンツで展開され、来館者に驚きを与えるだろう。

「タイムアウトマーケット」は“関西の食の万博”

「タイムアウトマーケット」は、シティガイド「タイムアウト」の編集者が監修する“食と文化を体験できるフードホール“。リスボンを皮切りにニューヨーク、ドバイ、バーレーンなど世界の美食都市10カ所で展開される。阪急阪神不動産が運営する大阪店は11店舗目でアジア初となる。

「街の最高の食と文化を紹介すること」を理念に掲げ、関西トップクラスのシェフらによるこだわりの料理やお酒を提供する。総面積約3000平方メートル超、800席の広い店内には、関西の食文化を代表する名店や行列が絶えない人気店など17店のレストランと2店のバーが集結した。ミシュランガイドのビブグルマンを連続獲得した、北新地の創作串揚げ店「クシアゲ010(ゼロイチゼロ)」の姉妹店「クシアゲ 001(ゼロゼロイチ)」や、焼鳥でのミシュランの星を大阪で初めて獲得した「あやむ屋」、女性で初めて韓国調理技能士1級を取得した鶴橋「韓味一」の女将の味を受け継いだ蔘鷄湯専門店「韓国食堂 入ル」、日本のだし文化とスリランカのスパイス文化が融合したカリーが人気の大阪·堂島の「渡邊咖喱」などが軒を連ねる。共有スペースには、タイムアウトマーケットではおなじみのロングテーブルがずらり並び、ライブパフォーマンスやワークショップなどのイベントも開催される。オープン時には、大阪を拠点に活動するアーティスト、中尾舜氏による巨大アートが壁面を飾る。

出店理由とターゲットについて、タイムアウトマーケット大阪のジェネラルマネージャー、小林太郎氏は「国内外からの来訪者の交流拠点となるグラングリーン大阪の開発にあたり、食を通じた情報発信のブランドとして世界で実績のあるタイムアウトマーケットが最適だった。アジア初進出という点も目玉になる。インバウンドはもちろん地元客にも愛される施設をめざす」という。

「うめきた温泉 蓮」は健康増進のテーマパーク

都市型スパ「うめきた温泉 蓮」は、神戸で人気の天然温泉旅館「神戸みなと温泉 蓮」を展開するラスイートグループが運営する。温浴、運動、食事、メディテーション、美容の5つのテーマを掲げ、大浴場や岩盤浴だけでなく、フィットネスジムやプール、食事療法に基づくメニューを提供するレストランなど多彩なサービスで健康増進をサポートする。なかでも屋外温泉インフィニティプールはうめきた公園やグランフロント大阪を一望でき、都会にいながら非日常を感じられる環境が人気を呼びそう。屋内のアクアジムはリハビリ目的にも利用できる水中マシンを完備する。

ユニークなのは、各プログラムの予約やオンライン医療チームによる健康相談、オンライン診療が可能なオリジナルアプリでも健康をサポートしている点だ。店内の健康増進サロンでは各種計測機器とアプリを連携し、自身の健康状態の記録が可能になる。今後は厚生労働大臣認定の「温泉利用型健康増進施設」としての認可取得の予定で、医療費控除の対象となるプログラムも計画する。

「普段の生活のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げることが健康長寿社会への第一歩。うめきた温泉で利用者の行動変容を促し、QOL向上に貢献していきたい」と、うめきた温泉総支配人の藤立達哉氏は話す。年間利用者数は約50万人をめざす。

「グランレスパイア大阪」は大人のカップルにおすすめ

うめきた温泉とはホテル宿泊者専用エレベーターで直結するのが、阪急阪神ホテルズが運営する「ホテル阪急グランレスパイア大阪(以下、グランレスパイア大阪)」だ。グラングリーン大阪には3つのホテルが建ち、北館にはすでにライフスタイルホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」が営業しえいる。4月3日には、日本初となるヒルトンの最上級ラグジュアリーホテル「ウォルドーフ·アストリア大阪」も稼働する。

アップスケールホテルと位置づける「グランレスパイア大阪」は、ヨドバシ梅田タワーの「ホテル阪急レスパイア大阪」の上位ブランド。インバウンドの中でもファミリー層を主なターゲットとするレスパイアに対して、グランレスパイアはインバウンドの大人のカップルや夫婦向けにワンランク上の空間とサービスを提供する。客室数は全482室で、7~25階のスタンダードフロアと26・27階のクラブフロアで計10タイプを用意。アースカラーを基調に、天井から床までの大きな窓を採用した開放感のある空間が特徴だ。

クラブフロアには、32~48平方メートルの広さにゆったりくつろげるリビングスペースがあり、宿泊客は27階のクラブラウンジとうめきた温泉を1泊につき1回無料で利用できる。1泊の宿泊料金はスタンダードフロア5万円~、クラブフロア15万円~。総支配人の森崎陽介氏は「緑の公園に隣接するのでホテル内にも緑を配置し、自然体で過ごしてもらえる空間にした。もともとインバウンド比率は高い。うめきた温泉など周辺施設と連携しながら集客力をあげ、稼働率9割をめざす」と話す。

「ザラ」はデジタル融合の最新ストア

ファッションブランドで要注目のテナントは、1・2階に2フロアで出店する「ザラ大阪」と、ブランド初の路面店で関西の旗艦店となる「CFCL オオサカ」である。

「ザラ」は、実店舗とオンラインプラットフォームを融合した最新ストアモデルを体現する基幹店と位置付ける。店舗面積は約1700平方メートル。1階にウィメンズ、2階にメンズとキッズのコレクションを展開。ライトグレーを基調に、木やレンガ、スチールなどの異素材をアクセントに取り入れた最新のストアデザインが特徴だ。

特筆する点は、レジカウンターと顧客体験サービスを併設したエリア。カスタマーポイントと呼ぶパネルを使い、オンラインで閲覧した商品の在庫状況や店内での場所などを簡単に確認できる。さらに、オンラインで購入した商品を2時間後に店内で受け取れる専用ピックアップポイントを国内で初めて導入。アシスト付きチェックアウトシステムでは、日本の「ザラ」で初めて現金と電子マネーでの決済が可能になった。

パンデミック以降、「ザラ」ではオフラインとオンラインの融合を重視してきた。商業空間の改善戦略を加速し、最新テクノロジーを備えた店舗でより快適なショッピング体験を提供する。

「CFCL」の世界観を体感できる旗艦店

ホールガーメント機を用いた3Dコンピューター・ニッティングにより環境負荷の軽減をめざすブランド「CFCL」は、ブランド最大規模となる関⻄初の旗艦店を出店する。売り場面積は203平方メートル。

直営店は大阪では3店舗目、全国では6店舗目。グレイッシュブルーを基調にした店内にはウィメンズ、メンズ、キッズ、アクセサリー、フレグランスの全ラインナップを展開し、大阪店限定の別注アイテムも用意する。

サステナビリティを重視するブランドらしく、店舗作りでも環境に配慮した。モルタルの約7割を再生材として使用するほか、什器はすべて移動可能な設計にし、柔軟に空間を変更できるようにした。エントランスの両サイドからは、ニット編み機の音と環境音をミックスした音響が静かに聴こえてくる。開放感のある空間とゆったりしたフィッティングルームも含め、「いま最もブランドの世界観を体感できる店舗」(ストアマネージャー小門良友樹氏)に仕上がっている。

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グラングリーン大阪「南館」 梅田を一望する温泉に入って、関西の有名店が集結した巨大フードコートで舌鼓

JR大阪駅に直結し、4.5ヘクタールもの巨大な都市型公園「うめきた公園」にも隣接する複合施設「グラングリーン大阪・南館」が21日開業する。昨年9月に先行まち開きした北館とうめきた公園の一部は、都市と自然が調和した世界でも珍しい空間として国内外から注目。大阪·関西万博の開幕を控えてオープンする南館は、街にさらなる賑わいを呼ぶ施設として期待が高まっている。

南館には日本初や関西初を含む55店舗のショップ&レストランと2つのホテル、オフィス、ウェルネス施設、MICE施設などのテナントが集結。洗練されたデザインの商空間は、健康や美容、フード、カルチャーなど多彩な体験価値を提供する、大人が楽しめる施設となっている。

中でも見どころは、核テナントに位置づけられる関西最大級の健康増進施設「うめきた温泉 蓮 ウェルビーイングパーク」(3・4階)と、アジア初進出のフード&カルチャーマーケット「タイムアウトマーケット大阪」(地下1階)だ。商業施設が密集する梅田エリアにおいて両テナントとも圧倒的な規模と充実したコンテンツで展開され、来館者に驚きを与えるだろう。

「タイムアウトマーケット」は“関西の食の万博”

「タイムアウトマーケット」は、シティガイド「タイムアウト」の編集者が監修する“食と文化を体験できるフードホール“。リスボンを皮切りにニューヨーク、ドバイ、バーレーンなど世界の美食都市10カ所で展開される。阪急阪神不動産が運営する大阪店は11店舗目でアジア初となる。

「街の最高の食と文化を紹介すること」を理念に掲げ、関西トップクラスのシェフらによるこだわりの料理やお酒を提供する。総面積約3000平方メートル超、800席の広い店内には、関西の食文化を代表する名店や行列が絶えない人気店など17店のレストランと2店のバーが集結した。ミシュランガイドのビブグルマンを連続獲得した、北新地の創作串揚げ店「クシアゲ010(ゼロイチゼロ)」の姉妹店「クシアゲ 001(ゼロゼロイチ)」や、焼鳥でのミシュランの星を大阪で初めて獲得した「あやむ屋」、女性で初めて韓国調理技能士1級を取得した鶴橋「韓味一」の女将の味を受け継いだ蔘鷄湯専門店「韓国食堂 入ル」、日本のだし文化とスリランカのスパイス文化が融合したカリーが人気の大阪·堂島の「渡邊咖喱」などが軒を連ねる。共有スペースには、タイムアウトマーケットではおなじみのロングテーブルがずらり並び、ライブパフォーマンスやワークショップなどのイベントも開催される。オープン時には、大阪を拠点に活動するアーティスト、中尾舜氏による巨大アートが壁面を飾る。

出店理由とターゲットについて、タイムアウトマーケット大阪のジェネラルマネージャー、小林太郎氏は「国内外からの来訪者の交流拠点となるグラングリーン大阪の開発にあたり、食を通じた情報発信のブランドとして世界で実績のあるタイムアウトマーケットが最適だった。アジア初進出という点も目玉になる。インバウンドはもちろん地元客にも愛される施設をめざす」という。

「うめきた温泉 蓮」は健康増進のテーマパーク

都市型スパ「うめきた温泉 蓮」は、神戸で人気の天然温泉旅館「神戸みなと温泉 蓮」を展開するラスイートグループが運営する。温浴、運動、食事、メディテーション、美容の5つのテーマを掲げ、大浴場や岩盤浴だけでなく、フィットネスジムやプール、食事療法に基づくメニューを提供するレストランなど多彩なサービスで健康増進をサポートする。なかでも屋外温泉インフィニティプールはうめきた公園やグランフロント大阪を一望でき、都会にいながら非日常を感じられる環境が人気を呼びそう。屋内のアクアジムはリハビリ目的にも利用できる水中マシンを完備する。

ユニークなのは、各プログラムの予約やオンライン医療チームによる健康相談、オンライン診療が可能なオリジナルアプリでも健康をサポートしている点だ。店内の健康増進サロンでは各種計測機器とアプリを連携し、自身の健康状態の記録が可能になる。今後は厚生労働大臣認定の「温泉利用型健康増進施設」としての認可取得の予定で、医療費控除の対象となるプログラムも計画する。

「普段の生活のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げることが健康長寿社会への第一歩。うめきた温泉で利用者の行動変容を促し、QOL向上に貢献していきたい」と、うめきた温泉総支配人の藤立達哉氏は話す。年間利用者数は約50万人をめざす。

「グランレスパイア大阪」は大人のカップルにおすすめ

うめきた温泉とはホテル宿泊者専用エレベーターで直結するのが、阪急阪神ホテルズが運営する「ホテル阪急グランレスパイア大阪(以下、グランレスパイア大阪)」だ。グラングリーン大阪には3つのホテルが建ち、北館にはすでにライフスタイルホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」が営業しえいる。4月3日には、日本初となるヒルトンの最上級ラグジュアリーホテル「ウォルドーフ·アストリア大阪」も稼働する。

アップスケールホテルと位置づける「グランレスパイア大阪」は、ヨドバシ梅田タワーの「ホテル阪急レスパイア大阪」の上位ブランド。インバウンドの中でもファミリー層を主なターゲットとするレスパイアに対して、グランレスパイアはインバウンドの大人のカップルや夫婦向けにワンランク上の空間とサービスを提供する。客室数は全482室で、7~25階のスタンダードフロアと26・27階のクラブフロアで計10タイプを用意。アースカラーを基調に、天井から床までの大きな窓を採用した開放感のある空間が特徴だ。

クラブフロアには、32~48平方メートルの広さにゆったりくつろげるリビングスペースがあり、宿泊客は27階のクラブラウンジとうめきた温泉を1泊につき1回無料で利用できる。1泊の宿泊料金はスタンダードフロア5万円~、クラブフロア15万円~。総支配人の森崎陽介氏は「緑の公園に隣接するのでホテル内にも緑を配置し、自然体で過ごしてもらえる空間にした。もともとインバウンド比率は高い。うめきた温泉など周辺施設と連携しながら集客力をあげ、稼働率9割をめざす」と話す。

「ザラ」はデジタル融合の最新ストア

ファッションブランドで要注目のテナントは、1・2階に2フロアで出店する「ザラ大阪」と、ブランド初の路面店で関西の旗艦店となる「CFCL オオサカ」である。

「ザラ」は、実店舗とオンラインプラットフォームを融合した最新ストアモデルを体現する基幹店と位置付ける。店舗面積は約1700平方メートル。1階にウィメンズ、2階にメンズとキッズのコレクションを展開。ライトグレーを基調に、木やレンガ、スチールなどの異素材をアクセントに取り入れた最新のストアデザインが特徴だ。

特筆する点は、レジカウンターと顧客体験サービスを併設したエリア。カスタマーポイントと呼ぶパネルを使い、オンラインで閲覧した商品の在庫状況や店内での場所などを簡単に確認できる。さらに、オンラインで購入した商品を2時間後に店内で受け取れる専用ピックアップポイントを国内で初めて導入。アシスト付きチェックアウトシステムでは、日本の「ザラ」で初めて現金と電子マネーでの決済が可能になった。

パンデミック以降、「ザラ」ではオフラインとオンラインの融合を重視してきた。商業空間の改善戦略を加速し、最新テクノロジーを備えた店舗でより快適なショッピング体験を提供する。

「CFCL」の世界観を体感できる旗艦店

ホールガーメント機を用いた3Dコンピューター・ニッティングにより環境負荷の軽減をめざすブランド「CFCL」は、ブランド最大規模となる関⻄初の旗艦店を出店する。売り場面積は203平方メートル。

直営店は大阪では3店舗目、全国では6店舗目。グレイッシュブルーを基調にした店内にはウィメンズ、メンズ、キッズ、アクセサリー、フレグランスの全ラインナップを展開し、大阪店限定の別注アイテムも用意する。

サステナビリティを重視するブランドらしく、店舗作りでも環境に配慮した。モルタルの約7割を再生材として使用するほか、什器はすべて移動可能な設計にし、柔軟に空間を変更できるようにした。エントランスの両サイドからは、ニット編み機の音と環境音をミックスした音響が静かに聴こえてくる。開放感のある空間とゆったりしたフィッティングルームも含め、「いま最もブランドの世界観を体感できる店舗」(ストアマネージャー小門良友樹氏)に仕上がっている。

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仏アルパインブランド「ミレー」、トレイルランニング向けシリーズ“インテンス”発売

国内ではミレー・マウンテン・グループ・ジャパンが運営するフランス発アルパインブランド「ミレー(MILLET)」は2025年春、登山領域でつちかってきた技術を生かし、トレイルランニングシリーズの“インテンス(INTENSE)”を立ち上げる。3月から公式ECのほか、アートスポーツ、ストライドラボ、トリッパーズなどで順次販売する。

“インテンス”シリーズは「軽量性、耐久性、安定性」の3軸を特徴とし、フランスの契約アスリートと共に開発。“インテンス”シリーズの立ち上げに合わせ、日本人トレイルランナー3人(竹村直太、黒河輝信、左俣明香莉)とのサポート契約も発表した。

具体的なアイテムは、軽量・高透湿を追求した“インテンス プロ 2.5L ジャケット”(3万3000円)、高機能ショーツの“インテンス プロ ライト ショートパンツ”(1万5400円)、軽量コンパクトなウィンドシェル“インテンス ウィンドブレーカー ジャケット”(2万2000円)など。

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アダストリア、赤字の米国事業撤退 戦略的成長分野の東南アジアにリソース集中

アダストリアは米国子会社のAdastria USA, Inc.を精算し、米国事業から撤退すると発表した。「2024年12月期に米国事業は大幅な減益となり、さらに国際貿易の緊張の高まりなどを考慮すると早期の構造改革による業績回復が困難な状況にある」(発表資料から)ことが背景。清算に必要な全ての手続きが終了するのは26年6月ごろの予定。これによるアダストリアの25年2月期、26年2月期の連結業績に与える影響は「軽微基準内と見込んでいるものの、詳細は精査中」。

アダストリアは「米国でのブランドビジネスのノウハウを獲得するため」、17年にAdastria USA, Inc.を設立。同社を通してVelvet, LLCの持分を取得し、米国で卸事業を中心に事業を行ってきた。Velvet, LLCの持分については譲渡先を選定中という。米国事業から撤退し、「戦略的成長分野である東南アジアにリソースを集中する」。

Adastria USA, Inc.の直近の業績は、現時点で確定している24年1〜9月期で、売上高56億円、営業損失3億8900万円、純損失3億5600万円だった。

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アダストリア、赤字の米国事業撤退 戦略的成長分野の東南アジアにリソース集中

アダストリアは米国子会社のAdastria USA, Inc.を精算し、米国事業から撤退すると発表した。「2024年12月期に米国事業は大幅な減益となり、さらに国際貿易の緊張の高まりなどを考慮すると早期の構造改革による業績回復が困難な状況にある」(発表資料から)ことが背景。清算に必要な全ての手続きが終了するのは26年6月ごろの予定。これによるアダストリアの25年2月期、26年2月期の連結業績に与える影響は「軽微基準内と見込んでいるものの、詳細は精査中」。

アダストリアは「米国でのブランドビジネスのノウハウを獲得するため」、17年にAdastria USA, Inc.を設立。同社を通してVelvet, LLCの持分を取得し、米国で卸事業を中心に事業を行ってきた。Velvet, LLCの持分については譲渡先を選定中という。米国事業から撤退し、「戦略的成長分野である東南アジアにリソースを集中する」。

Adastria USA, Inc.の直近の業績は、現時点で確定している24年1〜9月期で、売上高56億円、営業損失3億8900万円、純損失3億5600万円だった。

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ファミマの「コンビニエンスウェア」 オンライン販売スタートで広がる可能性

ファミリーマートはこのほど、新EC「ファミマオンライン」をスタートした。それに伴い、衣料品のプライベートブランド「コンビニエンスウェア」の全ラインアップのオンライン販売を開始した。

「コンビニエンスウェア」は2021年3月にスタート。「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理が手掛けるデザインに加え、過去にはNetflixオリジナルドラマの「ストレンジャー・シングス」とのコラボ商品が争奪戦となるなど、これまで“生活必需品”に過ぎなかったコンビニ衣料品の枠を超えて話題を振りまいてきた。25年2月期の売上高は130億円。

タッチポイント強化
店のキャパ問題も解消

「コンビニエンスウエア」は全国約1万6200の「ファミリーマート」店舗で購入できるタッチポイントの多さが強みだが、この利便性がさらに強化されることになる。「ファミマオンライン」では宅配もしくは近隣のファミリーマート店舗への引き当て・受け取りが可能で、個々人のライフスタイルによって入手方法を柔軟に変えられる。

スタート当初はインナーや靴下など70アイテムだったが、パーカーやブルゾンなどアウター類にもバリエーションを広げ、現在は全100アイテム。一方、アイテムラインアップの拡充により、小型・標準店舗には収まりきらない商品が増えてきた。「ファミマオンライン」での取り扱いにより、店のキャパシティーによる販売機会ロスの解消にも、大きな効果が見込めるだろう。

人気IPやローカルとの
掛け算で広がる可能性

また、「ファミマオンライン」のスタート記念企画として、“ベアブリック”“ハローキティ”とファミチキのコラボ商品や、全国津々浦々のご当地グルメを目玉商品として展開する。今後、「ファミマオンライン」をハブに、「コンビニエンスウエア」にもこういった人気IPやローカルとの掛け合わせが生まれれば、可能性はさらに広がっていきそうだ

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LVMHで再び人事シャッフル 「ロロ・ピアーナ」CEOにアルノー会長の三男が就任

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、クリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)の副最高経営責任者(CEO)として、現在フェンディ(FENDI)のCEOも務めているピエール・エマニュエル・アンジェログロウ(Pierre-Emmanuel Angeloglou)LVMHファッショングループ マネージング・ディレクターを任命した。また、ルイ・ヴィトンの副CEOとして、ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)のダミアン・ベルトラン(Damien Bertrand)CEOを任命した。

これに伴い、ロロ・ピアーナのCEOには、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOの三男であるフレデリック・アルノー(Frederic Arnault)LVMHウオッチ部門CEOが就任する。

アンジェログロウ=クリスチャン ディオール クチュール新副CEOは4月15日付で、ベルトラン=ルイ・ヴィトン新副CEOは6月10日付で着任する。アルノー=ロロ・ピアーナ新CEOは、業務のスムーズな引き継ぎのため3月26日付でロロ・ピアーナに移籍し、やはり6月10日付で正式に着任する。

アルノーLVMH会長兼CEOのコメント

アルノー会長兼CEOは、「当社の傘下ブランドの魅力は、献身的かつ情熱的なリーダーによって支えられている。ダミアン、フレデリック、ピエール・エマニュエルのビジョン、起業家精神、クリエイティビティー、そして卓越性へのコミットメントは、メゾンのダイナミックな発展に大いに貢献してくれるだろう。また、今回の人事は、当社のキャリアを形成する力を反映している」と語った。

ベルトラン新副CEOとアンジェログロウ新副CEOの経歴

ベルトラン新副CEOは、フランスの名門校HECビジネススクール(HEC Business School)を卒業し、LVMHが擁するゲラン(GUERLAIN)のオーストラリア事業のマーケティング・ディレクターとしてキャリアをスタート。その後、ロレアル(L'OREAL)で18年にわたってさまざまな要職を歴任し、2016年にクリスチャン ディオール クチュールに加わった。21年11月から現職。

アンジェログロウ新副CEOは、ロレアルに20年以上在籍し、「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」のグローバル・ブランド・プレジデントを務めた後、19年にルイ・ヴィトンにファッション&レザーグッズ担当戦略ミッション・ディレクターとして入社。20年からメンズ部門を統括し、22年に戦略ミッション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントに就任。24年3月にLVMHファッショングループのマネージング・ディレクターに就任し、同年5月からフェンディのCEOを兼任している。なお、同氏の後任はいずれの役職でも明らかにされていない。

アルノー新CEOと「ロロ・ピアーナ」について

アルノー新CEOは、父と同じくフランスのエリート養成機関であるグランゼコールの1つ、エコール ポリテクニーク(Ecole Polytechnique)を卒業し、17年にLVMH傘下のタグ・ホイヤー(TAG HEUER)に入社。18年9月に戦略・デジタル担当ディレクターに、20年6月には25歳でCEOに就任。24年1月から現職となり、「ウブロ(HUBLOT)」「タグ・ホイヤー」「ゼニス(ZENITH)」の3ブランドを統括してきた。後任は近日中に発表する予定。なお、新たな役職への就任後は、アルノー会長兼CEOの相談役も務めるアントニオ・ベローニ(Antonio Belloni)LVMHイタリア社長兼CEOの直属となる。

「ロロ・ピアーナ」は、1924年に北イタリアで創業。2013年にLVMHの傘下となり、アルノー会長兼CEOの長男であるアントワン・アルノー(Antoine Arnault)=ベルルッティCEO(当時。現LVMHヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージ)が会長に就任した。同ブランドはいわゆるクリエイティブ・ディレクターを置いておらず、ランウエイでのショーも開催していないが、最高級のカシミヤブランドとして富裕層を中心に人気を博している。なお、LVMHはブランド別での業績を開示していないが、主要事業のファッション・レザーグッズ部門において、「ロロ・ピアーナ」は2大スターブランドの「ルイ・ヴィトン」と「ディオール(DIOR)」に次ぐ3番目の規模となるまでに成長したと見られており、市場関係者の推測によれば年商はおよそ25億ユーロ(約4025億円)。

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新潟・八海山発、スノーボード&スキーのガレージメーカー “世界に1つだけの板”で目指すクラフトツーリズム

PROFILE: 永井拓三/永井社長、ボルテージマニファクチャリング主宰

永井拓三/永井社長、ボルテージマニファクチャリング主宰
PROFILE: (ながい・たくみ)1977年生まれ、東京都出身。高校生のときに始めたスノーボードで東洋大学時代にプロになり、ワールドカップにも出場。その後、「一生雪の上に立てる仕事」を志して新潟大学大学院に進学、雪氷学で博士号取得。2002年、新潟・八海山を拠点にバックカントリーツアーガイドサービスのトライフォース(TRIFORCE)を立ち上げ。11年の東日本大震災や新潟豪雨を受けて地域の防災などにも興味を広げ、12年に南魚沼市議に初当選(現在3期目)。20年から、親子で楽しめる無料のキッズバックカントリーツアーも共同で実施。永井社長の後ろにあるのが、仲間たちと自作したプレス機

アウトドア分野を取材していると、個人でブランドを立ち上げて、自宅やアトリエ兼倉庫で自らミシンを踏んで製品を作っている“ガレージメーカー”に出合うケースは少なくない。大人気の登山ブランド「山と道」も立ち上げ当初はまさにそうだったし、トレイルランナーから支持が厚いザックのブランド「ブルーパーバックパックス(BLOOPER BACKPACKS)」などもその1つ。「モノは作るのではなく買う」という消費主義が浸透した時代に、「ほしいモノは自分で作る」という発想・選択に至ったガレージメーカーのことを、消費主義どっぷりの自分は純粋に尊敬する。

ただ、アパレルやザックといった布帛製品は、ある程度自作することが想像しやすくはある。布帛製品ではなくギアと呼ばれるようなカテゴリーになると、製法や素材についてのイメージが湧きづらく、相応の生産設備も必要だ。安全性の担保も考えないといけない。ゆえに、自作するという発想が生まれにくい。スキー板やスノーボードは、その最たる例の1つだろう。新興のスキー板/スノーボードのブランドはもちろんあるが、大手メーカーや彼らと契約する国内外の工場を使って、OEM形式で作っているケースがほとんどだと聞く。

しかし、そんなスキー板/スノーボードを、自社の生産設備で、イチから自分たちで作っているガレージメーカーが日本にあると聞いて驚いた。場所は豪雪で知られる新潟・八海山のふもと。元プロスノーボーダーで、現在はバックカントリーツアーガイド会社を経営する永井拓三(株)永井社長が主宰する、ボルテージマニファクチャリング(VOLTAGE MFG)がそれだ。訪日客増加の中、日本の地場のモノ作りを体験する旅“クラフトツーリズム”が注目を集めつつあるが、永井社長が打ち出す「世界でたった1つの自分だけの板作り」は、まさにクラフトツーリズム。訪日客を含むスキーヤー、スノーボーダーの間で徐々に認知を広げているという、八海山ふもとのガレージを訪ねた。

「これは地方創生ではなく、
地方反撃です」

「かつて新潟ではスキー板の生産が盛んでしたが、今では産業として廃れてしまった。失われたものを取り戻す。これは地方創生ではなく、地方反撃です。ここで作る板が欲しけりゃ、都会の人たちもこっちに遊びに来いよってね」と、永井社長。実は永井社長は、現在3期目を迎えた南魚沼市議でもある。言うまでもなく、地域の産業振興は、防災や医療、教育などと共に多くの地方都市が頭を悩ませている課題だ。

永井社長は約20年前から、OEM生産で自身のスノーボードブランド「ボルテージデザイン(VOLTAGE DESIGN)」を手掛けてきた。OEMから自社生産に切り替えるきっかけとなったのはコロナ禍。「カナダの工場でOEMで作っていたスノーボードが、コロナで作れなくなってしまいました。外出制限でガイドの仕事も減った。その分時間はたくさんあったから、地域の友人たちと、板を自作できないか夜な夜な話していたんです」。メンバーは、鉄工所や設備屋、自動車整備業、建具屋などを営む面々。それぞれの専門知識を生かし、21年から板の自社生産に向けた試行錯誤が始まった。

八海山ふもとのガレージには大型マシンがいくつも並んでいたが、中でも圧巻だったのが、仲間たちと自作したというプレス機だ。ボルテージマニファクチャリングでは、芯材となる地元産を中心とした木材と滑走面(ソール)、エッジ、布状のグラスファイバー、柄が入ったトップシートなどを重ねてスキー板/スノーボードを作っている。サンドイッチ状に重ねて樹脂で貼り合わせた後、熱と圧力をかけて固定するのがプレス機の役割だ。「大手スノーボードメーカーのブランドムービーにチラリと映り込んだ工場風景などをYouTubeで繰り返し見ながら、『こういうマシンなんじゃないか?』『こうすれば作れるんじゃないか?』と仲間と模索しました」。例えば、空気を膨らませて板に圧力をかける仕組みには、消防ホースを応用。海外の個人が、船や飛行機を自作するYouTubeなども参考としてよく見ていたという。

「気分はジェイク・バートンや
スティーブ・ジョブズ」

プレス機の他は、CADデータをもとに板に溝を彫るマシンや、廃棄予定だったものを譲り受けたという自動カンナ機、トップシートに柄をプリントするための昇華転写機など。自作したり、友人たちに都合してもらったりすることで、設備投資の大幅な削減に成功。また、金型に代えて、テンプレート(型紙)を使用しているというのもボルテージマニファクチャリングの生産上のポイントの1つ。大量生産している大手メーカーの板は金型をもとに作られるが、1つの金型を作るのに100万円以上がかかり、ガレージメーカーとしては現実的ではないのだという。そこで、テンプレートをもとに板を削って作る方式を採用した。

「コロナ前に組んでいたカナダの工場が、テンプレートでスノーボードを作っていました。日本人は精密なモノ作りを目指して金型を作りたがるけど、テンプレートだからといって、精密に作れないというわけではない」というのが、過去3年間で約300台の板を自作してきたという永井社長の持論。この仕組みだからこそ、バイオーダーで1台ずつ手作りし、カスタムにも対応しつつ、スキー板で15万4000円、スノーボードで13万2000円という価格を実現できている。今の時代は、マスプロダクションの大手メーカー品であっても、初心者用を除けば10万円前後が新作の板の相場だ。

以前はコンビニだったというガレージは、光もたくさん入って明るいムード。この場所に移ってきたのは23年の春で、それ以前はまさに古い町工場といった雰囲気の物件で試行錯誤を繰り返していた。プレス機の圧力調整に苦心し、あわや事故といった出来事もあったという。「あのころは、スノーボードの『バートン(BURTON)』をガレージで創業したジェイク・バートンや、同じくガレージでアップルを創業したスティーブ・ジョブズと同じ気分を味わっていたのかもしれません」と冗談まじりに永井社長は話すが、「夢の中にまでCADが出てきた」「考え過ぎて、食べていたアイスバーの棒がスノーボードに見えた」と、苦労のエピソードには事欠かない。

影響受けたポートランドのモノ作り

話を聞いていると、徹底したDIY精神や発明家根性に舌を巻くばかり。その源は何なのか。元々、新潟大学大学院博士課程で雪崩の研究をしていたという理系の気質も影響しているのだろうが、「実家が製本工場だったから、子どものころから工場の雰囲気が好きだったし、親父が“DIY大好きヤロー”で、その血もあるのかも」とも。

もう1つ強く影響を受けたと話すのが、小規模なモノ作りやそれによる小商いが盛んな米ポートランドの街だ。プロスノーボーダーとして「ナイキ(NIKE)」のサポートを受けていた2000年代、何度もナイキ本社があるポートランドを訪れる機会があった。そこで、「街に息づくモノ作りやDIYの精神に触れた」のだという。ガレージの本棚にはポートランドに関する書籍が複数並び、ポートランドで盛んなクラフトビール醸造にならい、どぶろく特区を目指して新潟でどぶろく作りを模索した時代もあった。「こんなことできないでしょ、作れないでしょって言われると、反骨心が湧いてやりたくなっちゃう性分なんですよね」。

取材した24年初冬の時点で、板の生産にあたっていたのは永井社長一人。材料さえそろっていれば、1日のうちにスキー板/スノーボードを1台仕上げることが可能という。自身がガイドするバックカントリーツアーに訪れた客に紹介したり、地元の観光協会にチラシを置いたりといった草の根活動で、じわじわと客は増加中。「“クラフトツーリズム”を打ち出し、23-24年のスキー/スノーボードシーズンは、越後湯沢や六日町に長期滞在している約40組の訪日客がガレージにやってきました」。ただし、永井社長はガイドや市議の仕事もあって、なかなか手が回らない。ここから目指すのは、自身以外にも職人を育てていくこと。「年間生産台数が600台になれば、売上高は1億円近くになる」とそろばんをはじく一方で、「規模の追求が第一ではない」とも強調する。「メーカーとして大きくなりたいというよりも、他のメーカーとは違うやり方で運営して、他社ができないことをやっていきたい」。

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