米コティ、プレステージとマス部門を分割売却検討か 「グッチ」「バーバリー」など展開

複数の情報筋によれば、米化粧品大手コティ(COTY)はプレステージ部門とコンシューマービューティー部門を分割して売却することを検討しているようだ。交渉は初期段階にあるとされるが、同社の広報担当者は本件について「噂や憶測にはコメントしない」としている。

コティのプレステージ部門は、「グッチ ビューティ(GUCCI BEAUTY)」「バーバリー ビューティ(BURBERRY BEAUTY)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」などを傘下に持ち、多くのブランドがフレグランスを中心に展開するが、一部のブランドでカラーコスメやスキンケアも取り扱う。コンシューマービューティー部門は、メイクアップブランドの「カバーガール(COVERGIRL)」「リンメル(RIMMEL)」「マックスファクター(MAX FACTOR)」など、マス市場向けのブランドを擁する。

香水中心のプレステージ部門
売却先にインターパルファムの名も

関係者によると、同社はプレステージ部門に関してインターパルファム(INTERPARFUMS)と交渉中だというが、インターパルファムの関心は「バーバリー ビューティ」と「ヒューゴ ボス」だけにあると推測されている。ただし、2023年にコティが発売した香水“バーバリー ゴッデス”は同社史上最大規模の新製品であり、「ヒューゴ ボス」も昨年欧州で下半期の男性用フレグランス売り上げの2位に浮上した。そのため関係者は、完全買収ではなく戦略的提携や合併の形態を取る可能性があると指摘する。インターパルファムは過去にも、1993年から2013年末まで「バーバリー ビューティ」のライセンスを保有していた。既に再契約を申し出ているともいわれているが、インターパルファムの広報担当者は「機会があれば常に検討する」と述べるに留めた。

「グッチ」はライセンス終了で
ケリングに統合の可能性

一方で、プレステージ部門の要である「グッチ ビューティ」もコティとのライセンス契約期限が迫っている。しかし、業界内では「グッチ」の親会社であるケリング(KERING)の下以外では短命に終わる可能性が高いといわれている。ケリングは近年ビューティ部門の拡大を進めており、「グッチ ビューティ」のライセンス契約終了後は、自社に統合する計画だと長年噂されてきた。「グッチ ビューティ」のライセンス契約の有効期間は50年とされ、28年にその契約が切れるといわれている。コティのスー・ナビ(Sue Nabi)最高経営責任者(CEO)は、23年に行われた記者会見で、ライセンス更新に関する議論は今後少なくとも5年は行わないと示唆していた。

マスブランド部門は減収
買い手探しが難航か

業界筋によると、コティ売却に関する最大の障壁はマス向けブランドを扱うコンシューマー ビューティー部門の買い手を探せるかどうかにあるという。同社の25年2025年1〜3月期(第3四半期)の売上高は、前年同期比6%減の12億9910万ドル(約1870億円)で、コンシューマービューティー部門の売上高は同9%減の4億6970万ドル(約676億円)の減収だった。これは、マスビューティ市場全体の需要鈍化を反映している。別の情報筋は、コティがアジアでコンシューマー ビューティー部門の買い手を見つけることを希望していたが、アジア地域の景気減速と米国との関税摩擦の影響により、この可能性はますます低くなっているとの見方を示した。

さらに、コンシューマー ビューティ部門はいくつかの課題に直面している。マスブランド市場はD2Cブランドとの競争が激化しており、投資家はマスブランドをラグジュアリーブランドほど魅力的ではないとみている傾向がある。それでも、コンシューマー ビューティー部門がプライベートエクイティの関心対象になる可能性があると指摘する情報筋もいる。しかし、全ての関係者が独占禁止法上の問題をはじめとするさまざまな要因から、コティの事業全体を単一の企業に売却するのは不可能だと考えている。ある関係者は、「コンシューマー ビューティー部門の買い手が見つかれば、フレグランス事業(プレステージ部門)は明日でにも売却されるだろう」と述べた。

ウエラの保有株売却の計画進まず
スー・ナビCEO退任の噂も

コティはまた、保有するヘアケア大手ウエラカンパニー(WELLA COMPANY以下、ウエラ)の残りの株式の売却も試みている。投資会社IGFウェルス マネジメント(IGF WEALTH MANAGEMENT)への売却提案で合意寸前まで進んだものの、23年10月に最終的に破談となった。コティは25年までにウエラの株式を完全に売却すると計画していた。

一方、コティのナビCEOの任期に関する業界の憶測も高まっている。一部の情報筋は、同氏が今夏にも退任する可能性があると推測している。ナビCEOはロレアル(L’OREAL)に20年間在籍した後、ビーガンスキンケアブランド「オルヴェーダ(ORVEDA)」を設立。20年にピーター・ハーフ(Peter Harf)前CEOの後任としてコティのCEOに就任した。

売却の可能性が高まる理由
背景に株価の急落、提携失敗も

複数の要因が重なり、コティが売却される可能性が高まっている。まず、同社の株価は大幅に下落している。年初来、コティの株価は30.7%下落しており、9.9%上昇したロレアルや、2.4%下落したエスティ ローダー カンパニーズ(ESTTEE LAUDER COMPANIES)とは対照的だ。さらに、「グッチ」のライセンス問題も懸念材料だ。このライセンス契約の終了は、コティにとって大きな打撃となる可能性がある。

また、5月には第3四半期の売上収益が減収となる中、保有していたキム・カーダシアン(Kim Kardashian)のビューティブランド「スキンバイキム(SKKN BY KIM)」の少数株式20%を手放し、7110万ドル(約102億円)の損失を計上した。 コティは22年に2億ドル(約288億円)を投じてカーダシアンのコスメブランド「KKW ビューティ(KKW BEAUTY)」の株式20%を取得し、共同でスキンケアとカラーコスメのブランド「スキンバイキム」を立ち上げた。しかし、これらの取り組みは以前ほどの成功を収めていないようだ。その後、3月にカーダシアンは自身の補正下着とアパレルの会社であるスキムス(SKIMS)を通じてコティが保有する株式を買い戻し過半数株式を保有するに至った。

もう一つの要因は、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)がプロデュースする「カイリー・コスメティクス(KYLIE COSMETICS)」も期待通りに伸びていないといわれている点だ。コティは19年11月に、約6億ドル(約864億円)で同ブランドの過半数株式を取得していた。ただし、同ブランドは昨年、香水事業への参入で好調な成績を上げている。

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世界を熱狂させる謎のキャラクター「ラブブ」 中国発の玩具メーカーが仕掛けるIPビジネス

2010年に設立した中国発の玩具メーカー・ポップマートは、現在30カ国以上の国と地域で500を超える店舗を展開している。日本でも東京を中心に9つの直営店をオープンし、連日行列が絶えない店舗も少なくない。そんな今注目の企業が生み出したキャラクター「ラブブ」が、世界で急激に人気を高めている。日本でも“ぶさカワ(ぶさいくでカワイイ)”人形として、少しずつメディアに取り上げられることが増えてきたものの、すでにグローバル規模では品薄状態が続くほどの熱狂ぶりだ。キャラクターIPビジネスに強いことで知られてきた日本にとって、「ラブブ」の出現は脅威かもしれない。

「ラブブ」の生みの親は香港出身のアーティストであるカシン・ロン(龍家昇)だ。同氏が2013年に台湾で発表した絵本作品「マイ リトル プラネット」で初めて描き、15年発売のシリーズ作「ザ・モンスターズ」を出版したことで、世間に知られるようになった。ウサギのような耳と不敵な笑みを浮かべたシニカルな表情が特徴で、中国発の玩具メーカーであるポップマートとのコラボレーションによって、19年にフィギュアとして発売されて以降、コレクターズトイとして成長。これまでに、コラボアイテムやバッグチャームを含めて300型以上を販売してきた。

起爆剤となったのはSNSで、25年に入ってからインターネット上で急激に関心が高まり、TikTokでは「#ラブブ」のタグがついた動画が160万本以上、インスタグラムでは100万本以上存在する(5月12日時点)。最近の“バッグチャームじゃら付け”のトレンドにも乗っており、ラグジュアリー市場を席巻している。BLACKPINKのリサ、リアーナ、デュア・リパ、ポスト・マローンらのセレブリティーや、タイの王族までもが「ラブブ」のファンであると公言しているほどだ。

ポップマートのアメリカ地域のIP担当者のエミリー・ブラフによれば、「『ラブブ』は単なるコレクターズアイテムの枠を超え、個人のスタイルを大胆に表現するツールになっている」という。実際、3月のパリ・ファッション・ウイークや5月のカンヌ国際映画祭でも、バッグに「ラブブ」のキーチャームを付けたスタイルが見られた。ポップマートはほかにも、パンダの着ぐるみを着た子どもがモチーフの「スカルパンダ」や、架空のガールズパンクバンドのメンバーがモチーフの「ピーチライオット」などの人気キャラクターを送り出してきたが、「それらと同様に『ラブブ』はファッション文脈にコレクターズアイテムを持ち込むのに適した存在で、セレブリティーやスタイリストの関心の高さからも可能性の広がりを感じる」とブラフIP担当者は話す。

今年3月にはイギリスの老舗百貨店ハロッズが、6週間にわたるポップアップを開催したことからも、「ラブブ」に対する世間の熱狂がうかがえる。レアな限定モデルを購入し、在廊する作者のロンを一目見るために、熱烈なファンたちが開店前から店の外に長い列を作った。また、ロンがファッション誌の「パーフェクト」と共に、同月にロンドンのドーバー ストリート マーケットでサインイベントを実施した際にも、抽選に当たった約100人のファンによる行列が見られた。彼らは自分の「ラブブ」コレクションを持参しただけでなく、中には「ラブブ」風の服を着せたペットを連れてきた人もいた。

人気の秘密は
“ブラインドボックス戦略”にアリ

「ラブブ」がこれほどまでに注目度を高めた理由の一つに、ポップマートによるブラインドボックス戦略がある。箱を開けるまでどのフィギュアが入っているか分からないというガチャガチャのような仕様で、購入者に驚きと発見を与えて気分を盛り上げる狙いだ。各シリーズには標準的なフィギュアのパターンのほかに、少なくとも一つ以上のシークレットフィギュアを入れており、入手困難さがコレクター心に火を付けてきた。ブラフIP担当者いわく、「これは単なる製品に体験価値を持ち込み、他者とその体験を共有したり、商品を交換したりする楽しさを演出する。また、ポップマートが売り出す新たなキャラクターと世間とのエンゲージメントを即座に築く効果もある」。SNS上ではインフルエンサーの多くがブラインドボックスの開封動画を投稿している。

他のキャラクターシリーズと比較すると、「ラブブ」はファッション業界での人気が非常に高く、限定スニーカーや「エルメス」の“バーキン”のような希少性を誇るアイテムもある。他のキャラクターのブラインドボックスが平均して13〜16ドル(約1872〜2304円)であるのに対し、「ラブブ」の最新シリーズは27ドル(約3888円)と高めの価格設定。とはいえ、ブラフIP担当者は「ファンが参入障壁を感じることなく収集できるように、ポップマートは手頃な価格帯を維持しようと意識している。もちろん、フィギュアの素材や作りの複雑さによって価格が多少変動することはあるが、“手に入れやすさ”を重視する姿勢に変わりはない」と強調する。「ラブブ」は転売業者の買い占め対象になっており、商品によってはオンライン市場の「ストックX」や「eBay」などで3134ドル(約45万1296円)もの高値を付けているものも存在する。

積極的なコラボレーション企画

「ラブブ」はさまざまなアーティストや企業とコラボレーションをしてきた。代表的なのは、SFイラストレーターの横山宏やコカ・コーラ、ユニクロ、中国発のデザイナーズブランド「プロナウンス」との協業だ。中でも、ファッション業界での注目企画は、6月10日に発表した「サカイ」とK-Popアイドルのセブンティーン、ファレル・ウィリアムスが運営するオークションサイト「ジュピター」とのプロジェクトだろう。セブンティーンの新曲「Bad Influence」をファレルがプロデュースしたことと、そのMVの中でメンバーが「サカイ」の衣装をまとっていることが背景にある。同グループは13人のメンバーで構成しているため、「サカイ」がデザインしたベージュのオールインワンを着用した「ラブブ」13体と、シークレットモデル1体を「ジュピター」に出品し、18日まで入札を受け付けている。

ブラフIP担当者は、「われわれのビジネスはまだ始まったばかりだ。『ラブブ』の新商品を世界規模で発表し続けるつもりだし、同時に全ての人が自分にとって親しみやすいキャラクターを見つけられるように、他のキャラクターのリーチを広げていく」という。「世界観に没入できる店舗からオンライン販売まで、クリエイティブな世界に命を吹き込める新たな方法を模索中だ。ファンダムを成長させるとともに、ポップマートの世界観も成長するだろう」。

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ケリング次期CEOにルノーのデメオCEO就任が決定 低迷続くラグジュアリーグループにもたらす「新たな視点」に期待

「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などを擁するケリング(KERING)は6月16日、次期最高経営責任者(CEO)に仏自動車メーカー、ルノー・グループ(RENAULT GROUP)のルカ・デメオ(Luca de Meo)CEOが就任することを認めた。自動車業界で約30年以上キャリアを積んできたデメオ次期CEOは、取締役会の最終承認を経て、9月15日付で着任予定。さまざまな逆風と「構造変化」に直面しているラグジュアリー業界に、新鮮なビジョンをもたらすことが期待される。

また、2005年から数々の変革に取り組み、絶頂期も困難期もファミリーが所有する同社を率いてきたフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼CEOは、会長職に専念することになる。16日夕方に行われた電話会議でピノー会長兼CEOは、「彼は新たな視点をもたらしてくれるだろう」とコメントし、CEO交代を発表。そして、「会長としてグループの戦略的方向性に全面的に関与していくが、グループの優先事項、組織、重要な人事に関するCEOの権限に介入したり、それを妨害したりすることは一切ない」と話した。

今回の人事に関する声明の中で、ケリングは「フランソワ・アンリ・ピノーが主導したこの決定は、ケリングのガバナンスの進化における決定的な一歩であり、新たな発展段階に入ったグループのリーダーシップを強化するものだ」と説明。ピノー会長兼CEOは「私たちの相性が良いことは、ものの数分もしないうちに明らかだった」とし、デメオ次期CEOを「市場と成長に関するグローバルな視点を持ち、製品面への親和性とブランドを活性化させる才能を備えた開発者」と称賛した。

そんなデメオ次期CEOに求められるのは、主力ブランド「グッチ」の急激な減速や「サンローラン」と「マックイーン(McQUEEN)」の不安定な状況により、苦境に陥っているラグジュアリーグループの立て直しを指揮することだ。声明の中で、彼は「グループのブランド力と社員の専門性に触発され、熱意と自信を持ってこの新たなプロフェッショナルとしての挑戦に臨む。皆と共にケリングをラグジュアリー業界において引き続き必要不可欠な存在にしていくことができると確信している」と述べた。

なお、ケリングの株価は経営継承への期待から16日に11.8%急騰。複数の株式アナリストが好意的な反応を示した。

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ケリング、テコ入れのため新CEOを任命か ルノーのCEOを起用と仏紙が報道

仏紙ル・フィガロ(LE FIGARO)は6月15日、「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを擁するケリング(KERING)が、次期最高経営責任者(CEO)として仏自動車メーカー、ルノー・グループ(RENAULT GROUP)のルカ・デメオ(Luca de Meo)CEOの任命を検討していると報じた。本件について、ケリングはコメントを差し控えるとしている。

デメオCEOは自動車業界で30年以上の経験を有し、ルノーを5年間にわたって率いた。同社は15日、同氏が「自動車業界以外の分野で新たな挑戦に取り組みたい」として、7月15日付で退任することを発表した。

業績不振が続くケリング

ケリングはここ数年、業績の低迷に苦しんでおり、2024年12月通期決算は売上高が前期比12.1%減の171億9400万ユーロ(約2兆8542億円)、純利益は同62.0%減の11億3300万ユーロ(約1880億円)と大幅な減収減益に。株価も下落していることから、売り上げ全体の半分程度を占める「グッチ」の立て直しが急務となっており、3月にはやはり同社が擁する「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデムナ(Demna)=アーティスティック・ディレクターが「グッチ」に移籍することを発表した。

なお、ケリングは05年から、創業者の息子であるフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼CEOが率いているが、先週には同社が会長職とCEO職の分離を検討していると複数の海外メディアが報じた。このため、新たなCEOを迎えた場合は、ピノー会長兼CEOは会長職に専念するのではないかと見られている。

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在庫を減らして最高益! 筆者が見た現場の不安と経営のリーダーシップ

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第10話を取り上げます。

店舗も倉庫も不安を抱える「在庫改革」の壁

前回までのストーリーで、主人公の徹が店長を務める渋谷店は、在庫を減らしながらも売り上げを伸ばすことに成功しました。

今回から数回にわたってのテーマは個店の成功をいかに他店に広げて行くことができるか、です。

マンガ「在庫管理の魔術」の第10話は コチラ

店舗で働く人の大半は、販売機会を逃さないために「できるだけ多くの在庫を手元に確保しておきたい」と考えています。このため、在庫を減らしても売り上げを伸ばせるという話は信じられないのです。実際にそれを体験した人でないと、そんなことができるとは考えられないでしょう。

筆者は、小売りチェーン勤務時代、全店のバックヤードに眠っている在庫から、売れ筋以外の商品をすべて回収するプロジェクトを主導したことがあります。このプロジェクトでは、会社始まって以来の過去最高の消化率と最高益を達成し、みんなが決算賞与を頂きました。独立後、クライアント先と取り組んだプロジェクトでは、店舗に過剰に在庫を置かずに、倉庫にフリー在庫を十分に持つことで定価販売率を向上させたこともあります。

多くの店舗で働く人たちは「在庫が多いほど売り上げが伸びる」という思い込みを持っているのが現実です。自分たちを評価する唯一のKPI(重要業績評価指標)が売上予算達成で、売れ残り在庫の責任が自分たちにあるわけではないことから、このような「思い込み」が生まれてくるのです。今回のストーリーでは、成績トップの常連2店の店長が反対していることが、これを象徴しています。

店舗のバックヤード在庫を減らすことで全店の販売効率を高めるプロジェクトを始めると、必ず起こることがあります。それは、店舗で働く人が、在庫が減ったことで、欠品が起こり、売り上げが落ちるのではないかないかと不安を訴えることです。

もうひとつ、店舗の在庫を減らし、倉庫に持つようにすると、倉庫の人たちも以前より在庫が増え、不安を覚えるようになります。このストーリーでは倉庫のマネジャーが理解のある方で、とても協力的でしたが、一般的には、倉庫の責任者、担当者は、いままでほど店舗に在庫が出て行かず、倉庫の在庫が増えるので、「店舗での売れ行きが悪いのでないか」「多くの売り逃しをしているのではないか」と心配になるものです。

不安を乗り越えた先に見える新たな景色

私も、数々のプロジェクトで、こうした場面に遭遇しました。店舗と倉庫の双方が不安になり、中には社長や経営幹部に訴える人たちも出てくるため、こうしたプロジェクトを推進するには、経営者の理解とリーダーシップが欠かせません。

そして、店舗の方々には、「もし、欠品して、売り逃していると感じたら、改善しますので、遠慮なく申し出て下さい」と伝えるのです。しばらくすると、当初の不安の声はなくなります。なぜならば、売れ筋は売り逃さないように、倉庫から全店にタイムリーに補充しているからです。むしろ、バックヤード在庫が減って、店舗で仕事がしやすくなった、と感謝される声が増えて行きます。

まだ体験したことのない店長たちに対して、主人公たちは、どのようにその不安を払しょくし、プロジェクトを進めて行くのか?ここからが楽しみです。

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ヤーマン、2期連続の減収 25年4月期は中国市場の低迷と広告投資抑制が影響

ヤーマンの2025年4月期連結業績は、売上高が前年比21.8%減の250億円、営業利益が同50.9%増の6億円、経常利益が同69.3%減の3億円、純利益が同77.5%増の7億円だった。中国国内の化粧品市場の低迷と利益最大化を目的とした広告投資の抑制が影響し、大幅な減収となった。24年4月期に続く、2期連続の減収だ。純利益は関係会社株式売却益の計上が寄与し、増益を確保した。

部門別では、通販部門はテレビ通販およびショッピング専門チャンネルの不振により、売上高が同21.0%減の33億円。一方で広告投資の抑制により、セグメント利益は同10.0%増の10億円となった。店販部門は23年11月にオープンした銀座の旗艦店や百貨店、家電量販店の販売が堅調に推移し、売上高が同8.0%増の80億円、広告投資の抑制効果もあり、セグメント利益は同88.9%増の18億円に伸長した。

直販部門は、コロナ禍後の外出型消費傾向の影響や広告投資の抑制により、売上高が同25.7%減の63億円、セグメント利益が同35.2%減の17億円となった。海外部門は、中国国内の化粧品市場の低迷が主要因で、売上高が同48.0%減の58億円、セグメント利益は同56.3%減の13億円と大きく落ち込んだ。

同社は25年7月開催予定の定時株主総会での承認を条件に、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行を予定している。併せて、現在の4月期決算を今期から12月期決算に変更する方針だ。これらは、独自技術の開発やグローバル展開の加速、経営意思決定のスピード向上を目的とした狙いがある。

同社は23年6月に策定した中期経営計画で、30年度末までに売上高1000億円を達成する目標を掲げている。当初は自社グループ単体で売上高500億円を達成後にM&Aや資本提携を加速すると計画していたが、これを前倒しして着手する方針に転換する。詳細は25年12月末までに新たな中長期経営計画として発表する予定だ。

25年12月期(移行期につき5〜12月の8カ月間)は、売上高180億円、営業利益4億円、経常利益4億円、純利益2億円を目指す。この期間においても、成長市場での戦略的投資、多角的な事業・販路の拡大、経営基盤の強化を通じて、持続的成長の実現を目指すとしている。

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映画「JUNK HEAD」&「JUNK WORLD」監督・堀貴秀の挑戦 映画作りの根源は「観たことがないものを観たい」

PROFILE: 堀貴秀/映画監督

PROFILE: (ほり・たかひで)1990年大分県立芸術緑丘高等学校卒。2000年にアートワーク専門の仕事で独立。09年12月に短編「JUNK HEAD1」(30分版)を自主製作として制作開始。13年10月に短編「JUNK HEAD1」(30分版)完成。14年2月クレルモンフェラン国際映画祭(フランス)アニメーション賞受賞。同年3月ゆうばりファンタスティック映画祭(北海道)短編部門グランプリ受賞。15年1月やみけん設立。長編「JUNK HEAD」制作開始。17年4月長編「JUNK HEAD」完成。海外国際映画祭で入賞入選多数。21年3月26日「JUNK HEAD」劇場公開。22年6月にシリーズ第2弾「JUNK WORLD」制作開始。

一人のクリエイターが独学で制作を始め、7年もの歳月をかけて作り上げたSFストップモーション・アニメ映画「JUNK HEAD」。その執念の一作はアカデミー賞監督ギレルモ・デル・トロから絶賛され、北米最大のジャンル映画祭と称されるファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を獲得するという偉業を達成。

2021年、逆輸入的に日本で公開されると瞬く間に話題を呼び、その唯一無二の世界観とユニークな物語に大勢が夢中になった。そして6月13日には、その待望の続編となる「JUNK WORLD」が公開された。全3部作として構成された「JUNK」シリーズの2作目であるが、位置付けは「JUNK HEAD」の前日譚。前作から1042年前の地下世界を舞台に、人類と人工生命体「マリガン」が協力して大冒険を繰り広げる。

メガホンを取るのはもちろん前作に続き堀貴秀監督。「JUNK WORLD」では脚本、照明、撮影、編集、声優なども手掛けているという。本作の特徴はその緻密で複雑な構成であるが、堀監督はどのように「JUNK HEAD」から話を膨らませ、物語として作り上げていったのか。「JUNK HEAD」公開時の体験からクリエイターとしてのこだわり、制作体制の変化から今後の構想まで、堀監督にたっぷり語ってもらった。

前作「JUNK HEAD」の反響

——40歳を目前に衝動に突き動かされ、映画制作経験もないまま作り始めた「JUNK HEAD」が世界中で大旋風を巻き起こす、というとんでもない体験をされたわけですが、今改めて「JUNK HEAD」の反響を振り返ってみていかがですか?

堀貴秀(以下、堀):何の経験もなしにいきなり作り始めた1本の映画がこんなことになるんだ……という驚きはもちろんありましたが、作っている最中は「これが完成すれば世の中が変わるぞ」という謎の自信があったんですよね。ただB級っぽい作品だし好きな人は限られているだろうなと思っていましたが、想像以上に広がって評価されたことは意外でした。

ただ、いざ公開となったときにはコロナ禍の真っ最中で、話題にはなったけど全然儲けにはならなくて……。最初から3部作を謳っていたものの、これで果たして続編は作れるのかという不安もありましたが、クラウドファンディングでも皆さんが応援してくれて、運良く作ることができました。以前は芸術家を目指しながらも日雇いのペンキ屋バイトや内装業で生活していたんですが、今は映画だけで食えるようになったので本当にうれしいし良かったなと思います。

——「JUNK HEAD」を機に、フィル・ティペット監督やギレルモ・デル・トロ監督、ヒグチユウコさんといった一流のクリエイターと関わる機会があったと思います。そのことは堀監督の制作スタイルや考え方に何かしらの影響を与えましたか?

堀:皆さんと交流する中で、それぞれが制作の苦しみを感じていると知って安心感を覚えました。「この苦悩を分かってくれる同志がいた!」というような感覚で(笑)。

「JUNK WORLD」での新たな取り組み

——「JUNK HEAD」公開時には既に「JUNK WORLD」の絵コンテができているというお話をされていたかと思います。前作とは制作環境や規模感、制作機器にも変化があったかと思いますが、想定していたストーリーや展開に変化はありましたか?

堀:基本的にはそのままですね。「時間もの」というセットを使い回せる設定を選んだのは、続編も予算は少ないということを前提としていたから。「JUNK HEAD」もそうですが、「JUNK WORLD」も予算感を見越して逆算して話を組み立てたので、そこはブレずに作っていきました。

——「JUNK HEAD」は脚本なしで、いきなり絵コンテから描き始めたと伺いました。「JUNK WORLD」は非常に複雑なストーリー展開が特徴的ですが、同じく脚本を書かずに進めていったのですか?

堀:確かに前作はいきなり絵コンテから始めたんですが、それは最初に作った30分の短編ありきで構成したからなんです。一方で今回は最初から長編として作ったので、脚本もちゃんとあります。だからこそ構成的な部分は前作より進化しているかなと思います。

——視点や時間軸を自由に行き交い、さまざまなツイストが加えられた全4部の複雑な構成となっていますが、この設定や構成のアイデアはどのように生まれたのでしょうか?

堀:「時間もの」ってSFの中でも定番のアイデアですし、セットも使い回しができるということで挑戦したいジャンルではあったんです。ただよくある単純なタイムループにしたくないなと思って、時間移動にパラドックスと並行世界という要素を組み合わせることにしました。

難解な物語ではあるんですが、流れを理解したときに「そうか!」という発見のような感覚が生まれると思うんです。ぜひ何度でも観て、その感覚を味わってほしいと思いますね。あと自主制作したパンフレットで説明を尽くしているので、ぜひそれも読んでもらえたらうれしいです(笑)。

——登場人物が日本語を話す、というのは前作との大きな違いですよね。

堀:台詞の内容量が「JUNK HEAD」の倍くらいあったので、字幕じゃ追いつかないなと思ったんです。でも声優さんを雇う予算もないので、自分を含むスタッフ3人でアフレコをやってみたらそれっぽくなりました。

——そこも自分たちで⁉︎ 日本語吹替版と同時に、前作同様のゴニョゴニョ版(日本語字幕)も公開されると聞きました。

堀:僕は日本語版のみでいいと思ったんですが、アニプレックスさんから「人気だから」とゴニョゴニョ版も作るように言われたんです。それほど面白くなるとは思えなかったのですが、完成品を観たらめちゃくちゃ面白くって(笑)。ゴニョゴニョと言ってる言葉に遊び心も盛り込まれていて思いもよらぬシーンで笑えたりするんですよ。下手したらそっちの方が面白いかもしれないので、ぜひどちらも観てほしいですね。

——ストップモーションでありながら、カメラが実写映画的なアクション性のある動きをすることも特徴的ですよね。

堀:自分の中に「実写のような画が撮りたい」ということがまず大前提としてあるんです。自分はゼロから自己流で「コマ撮りを実写のように表現するならこうかな」って試行錯誤していった結果こういう表現になりました。コマ撮りで人形を長時間動かそうと思うと歩かせるだけでも大変なんですが、それをできる限り格好良い構図からたくさんカット割りしたことも実写っぽくなった理由の一つかと思います。

——本作での新たな取り組みとして3Dプリンターを導入したことがあります。複製がいくつも作れるというメリットを語っていましたが、実際3Dプリンターを使用して制作を終えた今、表現的・制作的に変わったことを教えてください。

堀:本当に作り方がガラッと変わりました。「JUNK HEAD」のときは3Dプリンターもなく、粘土をこねて1個ずつ人形を作っていったんですが、今回は代理店が安く3Dプリンターを売ってくれたりしてかなり楽に人形を作ることができました。全部で20台くらい購入したんですが、造形における革命的なアイテムでしたね。

3Dプリンターで作った人形は細部まできれいなので、カメラがパッと寄っても画になるんです。同じ人形を作れるので、別の場所で同時に撮影もできるし、あるとないではまったく別物でした。ただ細かいところを作り込もうと思えば際限がないので、時間やストレスは逆に前より増えたかもしれません(笑)。

自動化できない
人形の色付け

——エンドロールでは撮影風景のほかに、人形の動きを決めるために監督が動きをシュミレーションする様子も映りますよね。

堀:それは「JUNK HEAD」からやっていて、基本的にコマ撮りするときはまず動画で人の動きを撮影するんです。その動画をコマ撮りソフトに入れて、同じ動きを人形で再現していくんですよね。

——今回はどれくらいのセットと人形を作成・使用したんですか?

堀:正式な数はまだ算出していないんですが、セット数は20〜30くらいで、人形は動かせるものだけで200体くらいですね。動かない小さなものなどを含めると倍以上あると思います。

——人形の制作は3Dプリンターの導入で楽になったと思うんですが、セットに関しては手作業ですよね。セットの制作風景がエンドロールに流れますが、改めてものすごく手間がかかっているなと。

堀:赤いグニュグニュに覆われた街が一番大きなセットなんですが、それをメインにしたいなと思ったのでスタジオの一部屋まるまる使って作りました。大工のような仕事ができるスタッフがほぼ1人で、4〜5カ月をかけて完成させてくれたんです。

——カット数はトータルで約2750カットと、前作よりも大幅に増えているそうですね。その分手間も増えたと思いますが、その中で特に苦労したことは何でしょうか?

堀:まず苦労したのは導入した3Dプリンターの使い方も覚えること。「JUNK HEAD」のときも映像作りの勉強から始めたんですが、初めのうちは勉強したことがなかなか結果につながらなくて。前回も今回もそういった時期は焦りがすごくて大変でしたが、その経験は3作目に活きてくると思います。

あと作業的に一番大変だったのが人形の色付けです。そこは自動化できないので、ずっと手作業でした。劇中に別の次元からたくさん出てくるキャラクターがいるんですが、実は画面上で複製しているだけで本当は1体しかいないんです。できれば人形を10体くらい作って撮りたかったんですが、色を塗る作業が大変すぎてそこは楽をさせてもらいました。

——3Dプリンター以外に制作面で大きく変わったことはありますか?

堀:今回から明確に変わったのはフル3DCGのシーンが入っているということ。実は造形物がまったくないカットも何カ所かあります。今回は6人くらいのチームだったんですが、CG経験者も特にいなかったので撮影を進めながらスタッフにCGの使い方を勉強してもらって実践していきました。なのでどアップでもリアルなCGを作れるほどの技術はなかったんですが、人形が少し歩く引きのシーンなどは自然なCGに置き換えることができたかなと。コマ撮りせずに済んだので、時間が短縮できましたし、表現の幅がかなり広がりましたね。

「あるのは妥協する苦しみばかり」

——確かにエンドロールでもグリーンバックが使われている様子が出てきますね。それにしても3、4人で作った前作に続き、今作も6人ほどの少ないチーム編成で作られたことに驚きました。

堀:少なすぎますよね(笑)。以前よりかは少し増えたとはいえ、なんとかやりくりしてギリギリ完成させた感じです。たださすがに今回までですね。身体の負担もすごいので、何とか今回稼いで次はもっと人数を増やしてできればなと。

——ただ少人数だからこそイメージが共有しやすく小回りが利くというメリットもありますよね。今回は以前より少し人数が増えたことで、監督として全体を統率する大変さは以前よりもあったのでは?

堀:その大変さはありましたが、そこはもう諦めるしかない。自分が思い描いた通りにいくことなんて絶対にないから、どこまで妥協してそれっぽく近づけるかというストレスとの戦いです。どこまでこだわるか、どこで妥協するかというせめぎ合いは自分の中ではずっとあるんですが、いずれは克服しなきゃいけないことなので。完璧にイメージ通りにしようと思うと全部自分一人でやるしかないけど、そんなことは無理ですから。だからできることは自分と似た感性のスタッフを集めて、みんなでレベルアップしながらベストを尽くすこと。それはこれからも変わらないと思います。

——本作を観ていると妥協があったとは全然感じないのですが……。

堀:基本的に本作の制作過程ですることは全て妥協なんですよ。というのも自分の頭の中には、何百億円レベルの製作費をかけて作るような「JUNK WORLD」のイメージが明確にあるんです。でもそれをいかに少ない予算の中コマ撮りで再現して、どこまでの表現であれば許容できるかと常に葛藤していて。だから映画制作中に「何かを作り出す喜び」は自分にはほとんどないんです。あるのは妥協する苦しみばかりなので(笑)。

——監督の脳内には、それこそ「スター・ウォーズ」並に壮大な“JUNK”シリーズの世界があるということですね。その壮大な世界観のイメージは初期段階から出来上がっていたのですか?

堀:3部作構成自体は頭にありましたが、「JUNK WORLD」の詳細が浮かんだのは「JUNK HEAD」が完成してからですね。完成してからもしばらく公開できなくて、このままでは3部作として作れないかもと思っていた時期がありまして。なら続編は前日譚として作って、それだけでも成り立つ物語にしようと思ったんです。

——ちなみに前作のカメラはCanonのkiss X4を使用していたかと思います。そこは変化なしですか?

堀:モデル名は忘れましたが今回はSonyのカメラを使用しました。前作は初めての映画制作ということもあり、映画の撮影としては比較的安価なカメラを使ったんです。それでも上手くできたのはコマ撮りだからこそですね。

——例えばギレルモ・デル・トロ監督は、ストップモーションについて「アニメーターと人形の絆を感じる最も美しいアニメーション。制作の過程が分かる不完全さこそ魅力」と語っていました。唯一無二の質感と動きを見せるストップモーションの魅力について、監督はどのように考えていますか?

堀:僕の場合、「どうしても映画を作りたい」と考えて手段を探した結果、コマ撮りを選んだので好きというわけではないんですよね。楽しいですけど、たまに「なんでこんな面倒くさいことを……」と思うときもありますし(笑)。ただ、置いてあるだけだとモノにしか見えない人形を、触り動かすことで命が宿る瞬間というのはやはり良いですよね。人形が感情を持ったと感じると、愛着が湧いてもうほっとけなくなっちゃいますから。実は「JUNK WORLD」で制作した人形はほぼほぼオークションで売る予定なんですよ。それも作品の売りにしようかなと思っています(笑)。

SF的な物語に惹かれる理由

——監督は前作に影響を与えた作品を質問された際に「不思議惑星キン・ザ・ザ」と答えていましたが、「JUNK WORLD」ではより色濃くその影響を感じました。それ以外にも、映画に限らずインスピレーション源となった作品はあるんですか?

堀:「不思議惑星キン・ザ・ザ」のシュールなクスッとくる笑いが好きなんですよね。その辺りはクリエイティブ面で影響を受けていると思いますし、映画だと「エイリアン」や「ヘルレイザー」などにも影響を受けたと思います。漫画であれば弐瓶勉さんの「BLAME!」とか。だけど一番大きいのは夢枕獏さんの作品をはじめとする小説だと思います。基本的にあまり文字が読めない体質なんですが、すごく読みやすいと感じる小説がたまにあって。それを読んでいるときに頭の中に浮かんでくる風景が、映画作りをする上で何よりのインスピレーション源になっていると思います。

——本作も最初から鮮明なイメージがあったと仰っていましたが、そうやって頭の中に鮮明な映像が浮かぶのは昔からなんですか?

堀:そうですね。例えば小さくなってこの机にある溝の上を飛んだり、アリ目線で自分を見上げたらどう見えるのか……といった風景をイメージすることは昔からやっています。

——監督がとりわけSF的な物語に惹かれる理由はなんなのでしょうか?

堀:映画はジャンルに限らず好きですが、SFは見たことがないものを見られる興奮があって惹かれるんですよね。ただほとんどが変わった設定やビジュアル頼りで、ヒューマンドラマなどに比べると物語的に面白いとか揺さぶられたと感じるSFはなかなかなくて。だから自分で作る映画では、登場人物に魅力がある物語的にも面白い作品にしたいと思っていますね。あと笑いを交えたSFが少ないので、あえて自分はユーモアを積極的に入れるようにしています。

——前作に続き今作もアクションシーンにこだわりを感じますが、アクション映画も好きなんですか?

堀:先ほどジャンルに限らず好き……と言いましたが、実はアクション映画は嫌いなんですよ。アクションそのものは映画の味付けとして必要だと思いますし好きなんですが、アクション映画ってひたすらアクションしているじゃないですか。それを観てると「いつ終わるんだろう……」となっちゃって(笑)。みんなアクションが好きなのは知っているので動きの参考として観ることはありますが、ジャンルとしては好きになれないんですよね。

——監督自身が面白いと感じた映画を、制作スタッフのみんなで観る会を毎週していると発信されていましたね。

堀:最初の方はやっていたんですが、やはり制作が忙しくなると同時に開催されなくなりました。映画を選ぶのにも時間がかかるしその時間で勉強した方が良いなと思いまして。でも作品のイメージや目指す面白さを共有できたし、「スカーフェイス」や「バグダッド・カフェ」など自分が昔観て影響を受けた作品をみんなで観られたのは良かったですね。

——「JUNK」シリーズ最終章の「JUNK END」の制作はどの段階なのでしょうか?

堀:あらすじはできているんですが、脚本や絵コンテはこれからですね。それを作るために九州の実家にこもってしばらく集中しようかなと思っています。ただキャラのデザインはおおよそできているので、スタジオのスタッフにはそれを基に先行して造形物を進めてもらう予定です。数年後の公開予定で進めているのでご期待ください。

——Xの投稿によれば、実写作品の構想もあるそうですね。

堀:はい。紹介文で「アニメーション監督」って書かれるのが嫌なので、実写映画はなんとしてもやりたいなと思っています。いくつかアイデアはあって、ヒグチユウコさんのキャラクターを登場させる映画や、これまでなかったゾンビ映画なんかを構想中です。あと実家が九州の山奥にあるんですが、そういう山奥で作れる映画もないかなと考えたり。

——「JUNK」シリーズのみならず、監督が作品を作る上で心掛けていることを教えてもらえますか?

堀:映画作りをする上で根源にあるのが「観たことがないものを観たい」という欲求なので、重視しているのは新しい価値観や世界観を描くことですね。さらに観た人には感動もしてほしいので、プラスで魅力的なキャラクターや展開を作っていきたいなと。あと映画は当然ビジネスなので、何回も観たくなるような映画にもしなきゃいけない。でも結局一番大事なのは、自分が観て面白い作品かどうかということですね。だから今後も自分が観て楽しめる映画を作っていきたいと思います。

PHOTOS:HIRONORI SAKUNAGA

「JUNK WORLD」

■「JUNK WORLD」
監督・脚本・撮影・照明・編集:堀貴秀
全国公開中
配給:アニプレックス
©YAMIKEN
https://junkworld-movie.com/

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映画「JUNK HEAD」&「JUNK WORLD」監督・堀貴秀の挑戦 映画作りの根源は「観たことがないものを観たい」

PROFILE: 堀貴秀/映画監督

PROFILE: (ほり・たかひで)1990年大分県立芸術緑丘高等学校卒。2000年にアートワーク専門の仕事で独立。09年12月に短編「JUNK HEAD1」(30分版)を自主製作として制作開始。13年10月に短編「JUNK HEAD1」(30分版)完成。14年2月クレルモンフェラン国際映画祭(フランス)アニメーション賞受賞。同年3月ゆうばりファンタスティック映画祭(北海道)短編部門グランプリ受賞。15年1月やみけん設立。長編「JUNK HEAD」制作開始。17年4月長編「JUNK HEAD」完成。海外国際映画祭で入賞入選多数。21年3月26日「JUNK HEAD」劇場公開。22年6月にシリーズ第2弾「JUNK WORLD」制作開始。

一人のクリエイターが独学で制作を始め、7年もの歳月をかけて作り上げたSFストップモーション・アニメ映画「JUNK HEAD」。その執念の一作はアカデミー賞監督ギレルモ・デル・トロから絶賛され、北米最大のジャンル映画祭と称されるファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を獲得するという偉業を達成。

2021年、逆輸入的に日本で公開されると瞬く間に話題を呼び、その唯一無二の世界観とユニークな物語に大勢が夢中になった。そして6月13日には、その待望の続編となる「JUNK WORLD」が公開された。全3部作として構成された「JUNK」シリーズの2作目であるが、位置付けは「JUNK HEAD」の前日譚。前作から1042年前の地下世界を舞台に、人類と人工生命体「マリガン」が協力して大冒険を繰り広げる。

メガホンを取るのはもちろん前作に続き堀貴秀監督。「JUNK WORLD」では脚本、照明、撮影、編集、声優なども手掛けているという。本作の特徴はその緻密で複雑な構成であるが、堀監督はどのように「JUNK HEAD」から話を膨らませ、物語として作り上げていったのか。「JUNK HEAD」公開時の体験からクリエイターとしてのこだわり、制作体制の変化から今後の構想まで、堀監督にたっぷり語ってもらった。

前作「JUNK HEAD」の反響

——40歳を目前に衝動に突き動かされ、映画制作経験もないまま作り始めた「JUNK HEAD」が世界中で大旋風を巻き起こす、というとんでもない体験をされたわけですが、今改めて「JUNK HEAD」の反響を振り返ってみていかがですか?

堀貴秀(以下、堀):何の経験もなしにいきなり作り始めた1本の映画がこんなことになるんだ……という驚きはもちろんありましたが、作っている最中は「これが完成すれば世の中が変わるぞ」という謎の自信があったんですよね。ただB級っぽい作品だし好きな人は限られているだろうなと思っていましたが、想像以上に広がって評価されたことは意外でした。

ただ、いざ公開となったときにはコロナ禍の真っ最中で、話題にはなったけど全然儲けにはならなくて……。最初から3部作を謳っていたものの、これで果たして続編は作れるのかという不安もありましたが、クラウドファンディングでも皆さんが応援してくれて、運良く作ることができました。以前は芸術家を目指しながらも日雇いのペンキ屋バイトや内装業で生活していたんですが、今は映画だけで食えるようになったので本当にうれしいし良かったなと思います。

——「JUNK HEAD」を機に、フィル・ティペット監督やギレルモ・デル・トロ監督、ヒグチユウコさんといった一流のクリエイターと関わる機会があったと思います。そのことは堀監督の制作スタイルや考え方に何かしらの影響を与えましたか?

堀:皆さんと交流する中で、それぞれが制作の苦しみを感じていると知って安心感を覚えました。「この苦悩を分かってくれる同志がいた!」というような感覚で(笑)。

「JUNK WORLD」での新たな取り組み

——「JUNK HEAD」公開時には既に「JUNK WORLD」の絵コンテができているというお話をされていたかと思います。前作とは制作環境や規模感、制作機器にも変化があったかと思いますが、想定していたストーリーや展開に変化はありましたか?

堀:基本的にはそのままですね。「時間もの」というセットを使い回せる設定を選んだのは、続編も予算は少ないということを前提としていたから。「JUNK HEAD」もそうですが、「JUNK WORLD」も予算感を見越して逆算して話を組み立てたので、そこはブレずに作っていきました。

——「JUNK HEAD」は脚本なしで、いきなり絵コンテから描き始めたと伺いました。「JUNK WORLD」は非常に複雑なストーリー展開が特徴的ですが、同じく脚本を書かずに進めていったのですか?

堀:確かに前作はいきなり絵コンテから始めたんですが、それは最初に作った30分の短編ありきで構成したからなんです。一方で今回は最初から長編として作ったので、脚本もちゃんとあります。だからこそ構成的な部分は前作より進化しているかなと思います。

——視点や時間軸を自由に行き交い、さまざまなツイストが加えられた全4部の複雑な構成となっていますが、この設定や構成のアイデアはどのように生まれたのでしょうか?

堀:「時間もの」ってSFの中でも定番のアイデアですし、セットも使い回しができるということで挑戦したいジャンルではあったんです。ただよくある単純なタイムループにしたくないなと思って、時間移動にパラドックスと並行世界という要素を組み合わせることにしました。

難解な物語ではあるんですが、流れを理解したときに「そうか!」という発見のような感覚が生まれると思うんです。ぜひ何度でも観て、その感覚を味わってほしいと思いますね。あと自主制作したパンフレットで説明を尽くしているので、ぜひそれも読んでもらえたらうれしいです(笑)。

——登場人物が日本語を話す、というのは前作との大きな違いですよね。

堀:台詞の内容量が「JUNK HEAD」の倍くらいあったので、字幕じゃ追いつかないなと思ったんです。でも声優さんを雇う予算もないので、自分を含むスタッフ3人でアフレコをやってみたらそれっぽくなりました。

——そこも自分たちで⁉︎ 日本語吹替版と同時に、前作同様のゴニョゴニョ版(日本語字幕)も公開されると聞きました。

堀:僕は日本語版のみでいいと思ったんですが、アニプレックスさんから「人気だから」とゴニョゴニョ版も作るように言われたんです。それほど面白くなるとは思えなかったのですが、完成品を観たらめちゃくちゃ面白くって(笑)。ゴニョゴニョと言ってる言葉に遊び心も盛り込まれていて思いもよらぬシーンで笑えたりするんですよ。下手したらそっちの方が面白いかもしれないので、ぜひどちらも観てほしいですね。

——ストップモーションでありながら、カメラが実写映画的なアクション性のある動きをすることも特徴的ですよね。

堀:自分の中に「実写のような画が撮りたい」ということがまず大前提としてあるんです。自分はゼロから自己流で「コマ撮りを実写のように表現するならこうかな」って試行錯誤していった結果こういう表現になりました。コマ撮りで人形を長時間動かそうと思うと歩かせるだけでも大変なんですが、それをできる限り格好良い構図からたくさんカット割りしたことも実写っぽくなった理由の一つかと思います。

——本作での新たな取り組みとして3Dプリンターを導入したことがあります。複製がいくつも作れるというメリットを語っていましたが、実際3Dプリンターを使用して制作を終えた今、表現的・制作的に変わったことを教えてください。

堀:本当に作り方がガラッと変わりました。「JUNK HEAD」のときは3Dプリンターもなく、粘土をこねて1個ずつ人形を作っていったんですが、今回は代理店が安く3Dプリンターを売ってくれたりしてかなり楽に人形を作ることができました。全部で20台くらい購入したんですが、造形における革命的なアイテムでしたね。

3Dプリンターで作った人形は細部まできれいなので、カメラがパッと寄っても画になるんです。同じ人形を作れるので、別の場所で同時に撮影もできるし、あるとないではまったく別物でした。ただ細かいところを作り込もうと思えば際限がないので、時間やストレスは逆に前より増えたかもしれません(笑)。

自動化できない
人形の色付け

——エンドロールでは撮影風景のほかに、人形の動きを決めるために監督が動きをシュミレーションする様子も映りますよね。

堀:それは「JUNK HEAD」からやっていて、基本的にコマ撮りするときはまず動画で人の動きを撮影するんです。その動画をコマ撮りソフトに入れて、同じ動きを人形で再現していくんですよね。

——今回はどれくらいのセットと人形を作成・使用したんですか?

堀:正式な数はまだ算出していないんですが、セット数は20〜30くらいで、人形は動かせるものだけで200体くらいですね。動かない小さなものなどを含めると倍以上あると思います。

——人形の制作は3Dプリンターの導入で楽になったと思うんですが、セットに関しては手作業ですよね。セットの制作風景がエンドロールに流れますが、改めてものすごく手間がかかっているなと。

堀:赤いグニュグニュに覆われた街が一番大きなセットなんですが、それをメインにしたいなと思ったのでスタジオの一部屋まるまる使って作りました。大工のような仕事ができるスタッフがほぼ1人で、4〜5カ月をかけて完成させてくれたんです。

——カット数はトータルで約2750カットと、前作よりも大幅に増えているそうですね。その分手間も増えたと思いますが、その中で特に苦労したことは何でしょうか?

堀:まず苦労したのは導入した3Dプリンターの使い方も覚えること。「JUNK HEAD」のときも映像作りの勉強から始めたんですが、初めのうちは勉強したことがなかなか結果につながらなくて。前回も今回もそういった時期は焦りがすごくて大変でしたが、その経験は3作目に活きてくると思います。

あと作業的に一番大変だったのが人形の色付けです。そこは自動化できないので、ずっと手作業でした。劇中に別の次元からたくさん出てくるキャラクターがいるんですが、実は画面上で複製しているだけで本当は1体しかいないんです。できれば人形を10体くらい作って撮りたかったんですが、色を塗る作業が大変すぎてそこは楽をさせてもらいました。

——3Dプリンター以外に制作面で大きく変わったことはありますか?

堀:今回から明確に変わったのはフル3DCGのシーンが入っているということ。実は造形物がまったくないカットも何カ所かあります。今回は6人くらいのチームだったんですが、CG経験者も特にいなかったので撮影を進めながらスタッフにCGの使い方を勉強してもらって実践していきました。なのでどアップでもリアルなCGを作れるほどの技術はなかったんですが、人形が少し歩く引きのシーンなどは自然なCGに置き換えることができたかなと。コマ撮りせずに済んだので、時間が短縮できましたし、表現の幅がかなり広がりましたね。

「あるのは妥協する苦しみばかり」

——確かにエンドロールでもグリーンバックが使われている様子が出てきますね。それにしても3、4人で作った前作に続き、今作も6人ほどの少ないチーム編成で作られたことに驚きました。

堀:少なすぎますよね(笑)。以前よりかは少し増えたとはいえ、なんとかやりくりしてギリギリ完成させた感じです。たださすがに今回までですね。身体の負担もすごいので、何とか今回稼いで次はもっと人数を増やしてできればなと。

——ただ少人数だからこそイメージが共有しやすく小回りが利くというメリットもありますよね。今回は以前より少し人数が増えたことで、監督として全体を統率する大変さは以前よりもあったのでは?

堀:その大変さはありましたが、そこはもう諦めるしかない。自分が思い描いた通りにいくことなんて絶対にないから、どこまで妥協してそれっぽく近づけるかというストレスとの戦いです。どこまでこだわるか、どこで妥協するかというせめぎ合いは自分の中ではずっとあるんですが、いずれは克服しなきゃいけないことなので。完璧にイメージ通りにしようと思うと全部自分一人でやるしかないけど、そんなことは無理ですから。だからできることは自分と似た感性のスタッフを集めて、みんなでレベルアップしながらベストを尽くすこと。それはこれからも変わらないと思います。

——本作を観ていると妥協があったとは全然感じないのですが……。

堀:基本的に本作の制作過程ですることは全て妥協なんですよ。というのも自分の頭の中には、何百億円レベルの製作費をかけて作るような「JUNK WORLD」のイメージが明確にあるんです。でもそれをいかに少ない予算の中コマ撮りで再現して、どこまでの表現であれば許容できるかと常に葛藤していて。だから映画制作中に「何かを作り出す喜び」は自分にはほとんどないんです。あるのは妥協する苦しみばかりなので(笑)。

——監督の脳内には、それこそ「スター・ウォーズ」並に壮大な“JUNK”シリーズの世界があるということですね。その壮大な世界観のイメージは初期段階から出来上がっていたのですか?

堀:3部作構成自体は頭にありましたが、「JUNK WORLD」の詳細が浮かんだのは「JUNK HEAD」が完成してからですね。完成してからもしばらく公開できなくて、このままでは3部作として作れないかもと思っていた時期がありまして。なら続編は前日譚として作って、それだけでも成り立つ物語にしようと思ったんです。

——ちなみに前作のカメラはCanonのkiss X4を使用していたかと思います。そこは変化なしですか?

堀:モデル名は忘れましたが今回はSonyのカメラを使用しました。前作は初めての映画制作ということもあり、映画の撮影としては比較的安価なカメラを使ったんです。それでも上手くできたのはコマ撮りだからこそですね。

——例えばギレルモ・デル・トロ監督は、ストップモーションについて「アニメーターと人形の絆を感じる最も美しいアニメーション。制作の過程が分かる不完全さこそ魅力」と語っていました。唯一無二の質感と動きを見せるストップモーションの魅力について、監督はどのように考えていますか?

堀:僕の場合、「どうしても映画を作りたい」と考えて手段を探した結果、コマ撮りを選んだので好きというわけではないんですよね。楽しいですけど、たまに「なんでこんな面倒くさいことを……」と思うときもありますし(笑)。ただ、置いてあるだけだとモノにしか見えない人形を、触り動かすことで命が宿る瞬間というのはやはり良いですよね。人形が感情を持ったと感じると、愛着が湧いてもうほっとけなくなっちゃいますから。実は「JUNK WORLD」で制作した人形はほぼほぼオークションで売る予定なんですよ。それも作品の売りにしようかなと思っています(笑)。

SF的な物語に惹かれる理由

——監督は前作に影響を与えた作品を質問された際に「不思議惑星キン・ザ・ザ」と答えていましたが、「JUNK WORLD」ではより色濃くその影響を感じました。それ以外にも、映画に限らずインスピレーション源となった作品はあるんですか?

堀:「不思議惑星キン・ザ・ザ」のシュールなクスッとくる笑いが好きなんですよね。その辺りはクリエイティブ面で影響を受けていると思いますし、映画だと「エイリアン」や「ヘルレイザー」などにも影響を受けたと思います。漫画であれば弐瓶勉さんの「BLAME!」とか。だけど一番大きいのは夢枕獏さんの作品をはじめとする小説だと思います。基本的にあまり文字が読めない体質なんですが、すごく読みやすいと感じる小説がたまにあって。それを読んでいるときに頭の中に浮かんでくる風景が、映画作りをする上で何よりのインスピレーション源になっていると思います。

——本作も最初から鮮明なイメージがあったと仰っていましたが、そうやって頭の中に鮮明な映像が浮かぶのは昔からなんですか?

堀:そうですね。例えば小さくなってこの机にある溝の上を飛んだり、アリ目線で自分を見上げたらどう見えるのか……といった風景をイメージすることは昔からやっています。

——監督がとりわけSF的な物語に惹かれる理由はなんなのでしょうか?

堀:映画はジャンルに限らず好きですが、SFは見たことがないものを見られる興奮があって惹かれるんですよね。ただほとんどが変わった設定やビジュアル頼りで、ヒューマンドラマなどに比べると物語的に面白いとか揺さぶられたと感じるSFはなかなかなくて。だから自分で作る映画では、登場人物に魅力がある物語的にも面白い作品にしたいと思っていますね。あと笑いを交えたSFが少ないので、あえて自分はユーモアを積極的に入れるようにしています。

——前作に続き今作もアクションシーンにこだわりを感じますが、アクション映画も好きなんですか?

堀:先ほどジャンルに限らず好き……と言いましたが、実はアクション映画は嫌いなんですよ。アクションそのものは映画の味付けとして必要だと思いますし好きなんですが、アクション映画ってひたすらアクションしているじゃないですか。それを観てると「いつ終わるんだろう……」となっちゃって(笑)。みんなアクションが好きなのは知っているので動きの参考として観ることはありますが、ジャンルとしては好きになれないんですよね。

——監督自身が面白いと感じた映画を、制作スタッフのみんなで観る会を毎週していると発信されていましたね。

堀:最初の方はやっていたんですが、やはり制作が忙しくなると同時に開催されなくなりました。映画を選ぶのにも時間がかかるしその時間で勉強した方が良いなと思いまして。でも作品のイメージや目指す面白さを共有できたし、「スカーフェイス」や「バグダッド・カフェ」など自分が昔観て影響を受けた作品をみんなで観られたのは良かったですね。

——「JUNK」シリーズ最終章の「JUNK END」の制作はどの段階なのでしょうか?

堀:あらすじはできているんですが、脚本や絵コンテはこれからですね。それを作るために九州の実家にこもってしばらく集中しようかなと思っています。ただキャラのデザインはおおよそできているので、スタジオのスタッフにはそれを基に先行して造形物を進めてもらう予定です。数年後の公開予定で進めているのでご期待ください。

——Xの投稿によれば、実写作品の構想もあるそうですね。

堀:はい。紹介文で「アニメーション監督」って書かれるのが嫌なので、実写映画はなんとしてもやりたいなと思っています。いくつかアイデアはあって、ヒグチユウコさんのキャラクターを登場させる映画や、これまでなかったゾンビ映画なんかを構想中です。あと実家が九州の山奥にあるんですが、そういう山奥で作れる映画もないかなと考えたり。

——「JUNK」シリーズのみならず、監督が作品を作る上で心掛けていることを教えてもらえますか?

堀:映画作りをする上で根源にあるのが「観たことがないものを観たい」という欲求なので、重視しているのは新しい価値観や世界観を描くことですね。さらに観た人には感動もしてほしいので、プラスで魅力的なキャラクターや展開を作っていきたいなと。あと映画は当然ビジネスなので、何回も観たくなるような映画にもしなきゃいけない。でも結局一番大事なのは、自分が観て面白い作品かどうかということですね。だから今後も自分が観て楽しめる映画を作っていきたいと思います。

PHOTOS:HIRONORI SAKUNAGA

「JUNK WORLD」

■「JUNK WORLD」
監督・脚本・撮影・照明・編集:堀貴秀
全国公開中
配給:アニプレックス
©YAMIKEN
https://junkworld-movie.com/

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アパレルの国産比率「1.4%」に低下 四半世紀で生産量9分の1

2024年に日本で供給された衣料品のうち国産品が占める割合は、数量ベースで1.4%だった。23年に比べて0.1ポイント下がって過去最低を更新した。生産量は前年比6.6%減の6001万点。14年は1億2049万点だったため、10年間で半分になった。00年の5億5159万点と比べると四半世紀で9分の1に激減したことになる。

日本繊維輸入組合が13日に発表した「日本のアパレル市場と輸入品概況2025年版」で明らかにした。

24年の衣料品の国内供給量は35億1204万点で、そのうち輸入品は34億6193万点(同1.0%減)だった。国内供給量の98.6%を占める輸入品のシェア1位は、中国の19億2821万点だった。

1990年には50.1%あった国産品の割合は、生産拠点が中国を中心としたアジアに移り出した90年代半ば以降、減少に拍車がかかった。2000年に14.5%、10年には4.0%、20年には2.0%まで縮んでいた。日本の縫製工場は中小・零細企業が多く、長年の経営不振や人手不足から廃業する例が相次いでいる。

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アパレルの国産比率「1.4%」に低下 四半世紀で生産量9分の1

2024年に日本で供給された衣料品のうち国産品が占める割合は、数量ベースで1.4%だった。23年に比べて0.1ポイント下がって過去最低を更新した。生産量は前年比6.6%減の6001万点。14年は1億2049万点だったため、10年間で半分になった。00年の5億5159万点と比べると四半世紀で9分の1に激減したことになる。

日本繊維輸入組合が13日に発表した「日本のアパレル市場と輸入品概況2025年版」で明らかにした。

24年の衣料品の国内供給量は35億1204万点で、そのうち輸入品は34億6193万点(同1.0%減)だった。国内供給量の98.6%を占める輸入品のシェア1位は、中国の19億2821万点だった。

1990年には50.1%あった国産品の割合は、生産拠点が中国を中心としたアジアに移り出した90年代半ば以降、減少に拍車がかかった。2000年に14.5%、10年には4.0%、20年には2.0%まで縮んでいた。日本の縫製工場は中小・零細企業が多く、長年の経営不振や人手不足から廃業する例が相次いでいる。

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ナイキ、女子初の1マイル走4分切り計画“ブレーキング4”向け製品を発表 3Dプリントのスポブラ等

ナイキは、ケニア出身の陸上中距離選手フェイス・キピエゴン(Faith Kipyegon)と組み、6月26日に仏パリで開催する女子初の1マイル(約1.6キロメートル)走4分切りを目指すプロジェクト“ブレーキング4(Breaking4)”において、キピエゴン選手が着用するスピードキットを発表した。イノベーター、ナイキスポーツ研究所の科学者、デザイナーらによる「ドリームチーム」(発表リリース)が開発に携わり、キピエゴン選手の4分切り達成を支える。

スピードキットは、「前例のないスピードスーツ、革命的な3Dプリントの機能的素材を使用したスポーツブラ、革新的な機能を最大限に高めた軽量スパイク」で構成する。スピードスーツの“ナイキ フライ スーツ”は、「身体全体にフィットする1枚構造で、スリムで伸縮性のある素材を生かし、空気の中を最大限効率的に通り抜けられるように設計されている」。空気抵抗を軽減するためのイノベーションとして、半球形の生地構造“ナイキ エアロノード”を採用した。

“ナイキ フライウェブ ブラ”はTPU素材を3Dプリントすることで作成しており、「典型的なスポーツブラにある欠点」という、水分を多く保持してしまう点や、熱源となってしまう点に挑戦した。「この3Dプリント素材のイノベーションは、視覚的にも感覚的にも全く新しいものになっている。軽く、柔らかく、驚くほどサポート力があり、同時に何も着ていないような感覚もある」と、ナイキのイノベーション担当のバイスプレジデント(VP)、ジャネット・ニコルはコメントしている。

「新たなアパレルの可能性」に言及

スパイクの“ナイキ ヴィクトリー エリート FK”は、2016年のリオ、21年の東京、24年のパリと、キピエゴンが女子1500メートルで五輪3連覇を果たした際や、23年に女子1マイル走の世界記録(4分7秒64)を出した際に着用していた“ナイキ ヴィクトリー 2”がベース。キピエゴン選手がこれまでに着用したどのスパイクより大幅に軽量化されているという。

ナイキはこれらのR&D成果を、ゆくゆくは一般消費者向けの製品にも落とし込む。特に、ブラに採用した3Dプリントの“ナイキ フライウェブ”については、「フットウエア業界やナイキにとって、3Dプリントは目新しいものではないが、アスリート向け高性能スポーツウエアに採用することは今回が初めて」と、ニコルVP。「この新素材が実現したことで、新たなアパレルの可能性が明らかになる」(リリースから)と、期待は高い。「ルルレモン(LULULEMON)」などに客を奪われていると指摘される、弱みのウィメンズカテゴリー強化につなげる狙い。

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ナイキ、女子初の1マイル走4分切り計画“ブレーキング4”向け製品を発表 3Dプリントのスポブラ等

ナイキは、ケニア出身の陸上中距離選手フェイス・キピエゴン(Faith Kipyegon)と組み、6月26日に仏パリで開催する女子初の1マイル(約1.6キロメートル)走4分切りを目指すプロジェクト“ブレーキング4(Breaking4)”において、キピエゴン選手が着用するスピードキットを発表した。イノベーター、ナイキスポーツ研究所の科学者、デザイナーらによる「ドリームチーム」(発表リリース)が開発に携わり、キピエゴン選手の4分切り達成を支える。

スピードキットは、「前例のないスピードスーツ、革命的な3Dプリントの機能的素材を使用したスポーツブラ、革新的な機能を最大限に高めた軽量スパイク」で構成する。スピードスーツの“ナイキ フライ スーツ”は、「身体全体にフィットする1枚構造で、スリムで伸縮性のある素材を生かし、空気の中を最大限効率的に通り抜けられるように設計されている」。空気抵抗を軽減するためのイノベーションとして、半球形の生地構造“ナイキ エアロノード”を採用した。

“ナイキ フライウェブ ブラ”はTPU素材を3Dプリントすることで作成しており、「典型的なスポーツブラにある欠点」という、水分を多く保持してしまう点や、熱源となってしまう点に挑戦した。「この3Dプリント素材のイノベーションは、視覚的にも感覚的にも全く新しいものになっている。軽く、柔らかく、驚くほどサポート力があり、同時に何も着ていないような感覚もある」と、ナイキのイノベーション担当のバイスプレジデント(VP)、ジャネット・ニコルはコメントしている。

「新たなアパレルの可能性」に言及

スパイクの“ナイキ ヴィクトリー エリート FK”は、2016年のリオ、21年の東京、24年のパリと、キピエゴンが女子1500メートルで五輪3連覇を果たした際や、23年に女子1マイル走の世界記録(4分7秒64)を出した際に着用していた“ナイキ ヴィクトリー 2”がベース。キピエゴン選手がこれまでに着用したどのスパイクより大幅に軽量化されているという。

ナイキはこれらのR&D成果を、ゆくゆくは一般消費者向けの製品にも落とし込む。特に、ブラに採用した3Dプリントの“ナイキ フライウェブ”については、「フットウエア業界やナイキにとって、3Dプリントは目新しいものではないが、アスリート向け高性能スポーツウエアに採用することは今回が初めて」と、ニコルVP。「この新素材が実現したことで、新たなアパレルの可能性が明らかになる」(リリースから)と、期待は高い。「ルルレモン(LULULEMON)」などに客を奪われていると指摘される、弱みのウィメンズカテゴリー強化につなげる狙い。

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ナイキ、女子初の1マイル走4分切り計画“ブレーキング4”向け製品を発表 3Dプリントのスポブラ等

ナイキは、ケニア出身の陸上中距離選手フェイス・キピエゴン(Faith Kipyegon)と組み、6月26日に仏パリで開催する女子初の1マイル(約1.6キロメートル)走4分切りを目指すプロジェクト“ブレーキング4(Breaking4)”において、キピエゴン選手が着用するスピードキットを発表した。イノベーター、ナイキスポーツ研究所の科学者、デザイナーらによる「ドリームチーム」(発表リリース)が開発に携わり、キピエゴン選手の4分切り達成を支える。

スピードキットは、「前例のないスピードスーツ、革命的な3Dプリントの機能的素材を使用したスポーツブラ、革新的な機能を最大限に高めた軽量スパイク」で構成する。スピードスーツの“ナイキ フライ スーツ”は、「身体全体にフィットする1枚構造で、スリムで伸縮性のある素材を生かし、空気の中を最大限効率的に通り抜けられるように設計されている」。空気抵抗を軽減するためのイノベーションとして、半球形の生地構造“ナイキ エアロノード”を採用した。

“ナイキ フライウェブ ブラ”はTPU素材を3Dプリントすることで作成しており、「典型的なスポーツブラにある欠点」という、水分を多く保持してしまう点や、熱源となってしまう点に挑戦した。「この3Dプリント素材のイノベーションは、視覚的にも感覚的にも全く新しいものになっている。軽く、柔らかく、驚くほどサポート力があり、同時に何も着ていないような感覚もある」と、ナイキのイノベーション担当のバイスプレジデント(VP)、ジャネット・ニコルはコメントしている。

「新たなアパレルの可能性」に言及

スパイクの“ナイキ ヴィクトリー エリート FK”は、2016年のリオ、21年の東京、24年のパリと、キピエゴンが女子1500メートルで五輪3連覇を果たした際や、23年に女子1マイル走の世界記録(4分7秒64)を出した際に着用していた“ナイキ ヴィクトリー 2”がベース。キピエゴン選手がこれまでに着用したどのスパイクより大幅に軽量化されているという。

ナイキはこれらのR&D成果を、ゆくゆくは一般消費者向けの製品にも落とし込む。特に、ブラに採用した3Dプリントの“ナイキ フライウェブ”については、「フットウエア業界やナイキにとって、3Dプリントは目新しいものではないが、アスリート向け高性能スポーツウエアに採用することは今回が初めて」と、ニコルVP。「この新素材が実現したことで、新たなアパレルの可能性が明らかになる」(リリースから)と、期待は高い。「ルルレモン(LULULEMON)」などに客を奪われていると指摘される、弱みのウィメンズカテゴリー強化につなげる狙い。

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リカバリーウエアのテンシャルが25年8月期の売上高を大幅上方修正 当初予想比1.5倍に

リカバリーウエアを手掛けるテンシャル(TENTIAL)は6月13日、2025年8月期(25年2月1日〜8月31日)の通期業績予想を大幅に上方修正した。修正後の予想値は、売上高が95億600万円(前回予想は65億1400万円)、営業利益が6億4900万円(同3億9000万円)、純利益が4億6400万円(3億1500万円)。

消費者の健康意識の高まりや認知度の拡大を背景に、主力製品のリカバリーウエア“バクネ”を中心に販売が想定を大きく上回り、第1四半期決算の業績は好調に推移した。5〜6月にかけてのギフト需要も想定以上に取り込めていることから、前回予想を上回ると判断した。

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リカバリーウエアのテンシャルが25年8月期の売上高を大幅上方修正 当初予想比1.5倍に

リカバリーウエアを手掛けるテンシャル(TENTIAL)は6月13日、2025年8月期(25年2月1日〜8月31日)の通期業績予想を大幅に上方修正した。修正後の予想値は、売上高が95億600万円(前回予想は65億1400万円)、営業利益が6億4900万円(同3億9000万円)、純利益が4億6400万円(3億1500万円)。

消費者の健康意識の高まりや認知度の拡大を背景に、主力製品のリカバリーウエア“バクネ”を中心に販売が想定を大きく上回り、第1四半期決算の業績は好調に推移した。5〜6月にかけてのギフト需要も想定以上に取り込めていることから、前回予想を上回ると判断した。

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ロレアルが米AI半導体大手エヌビディアと提携 「想像を超える」ビューティ体験を共創へ

ロレアル(L’OREAL)は12日(現地時間)、仏パリで開催されている世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー(VIVA TECHNOLOGY)」で、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)と提携することを発表した。共同声明によると、今回の提携により創造性とスケール性を高めて「これまでに想像したことのない革新的なビューティ体験」の創出を目指す。

AIで進化する3Dレンダリングと
ビューティ体験

ロレアルは声明で、「本提携により当社とパートナー企業群は、AIプラットフォーム“エヌビディア AI エンタープライズ(NVIDIA AI Enterprise)”を活用し、ロレアル製品の3Dレンダリング(3Dデータを2D画像や映像として表現する)のスケーリング(大規模展開)をはじめとするAIの迅速な開発と導入を推進する。物理的AI(ロボットなど現実の世界で動くAI)と生成AI(画像や文章などを作り出すAI)の融合により、クリエイティブの可能性をさらに広げる」と述べた。アスミタ・デュバイ(Asmita Dubey)=ロレアルグループ チーフデジタル&マーケティングオフィサーは、「生成AIやエージェンティックAI(自律的に目標を持って行動するAI)といった革新的なテクノロジーが消費者の期待を再定義する中、創造性とテクノロジーの両面で、比類ない消費者エンゲージメントを推進することに注力する」と語った。

一方、エヌビディアのアジータ・マーティン(Azita Martin)小売・消費財部門担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーは、AIが企業にデジタルインテリジェンスと俊敏性をもたらすことを強調した。「ロレアルは“エヌビディア AI エンタープライズ”を活用することで、迅速なイノベーション、スケーラビリティ、パーソナライズされたマーケティングと広告を実現し、消費者のエンゲージメントとCVR(コンバージョンレート)を向上させている。協業により、美容におけるAIの可能性を最大限に引き出し、消費者の美容体験をよりシームレスでやりがいのある楽しいものにしている」と述べた。

マーケティングや広告で活用
次世代のマーケットプレイスでも

両社はすでに2つのプロジェクトで協業している。ロレアルのAIコンテンツ開発プラットフォームである“クリエイテック(CREAITECH)”は、ロレアル製品を3Dでデジタルレンダリングし、マーケティングや広告キャンペーンの開発に活用している。「“クリエイティック”は、“エヌビディアAI エンタープライズ”を使用して3D機能を拡張し、より高い創造性と品質管理、生産スケーラビリティを実現することを目指している」とロレアルは説明する。

もう一つは、ロレアルが設立し支援するAI搭載型マルチブランド・マーケットプレイスのスタートアップ「ノリ(Noli )」だ。名前の由来は、「No one like I(私のような人はいない)」。ロレアルは同マーケットプレイスについて、「消費者を溢れる情報から遮断するAI美容マッチメーカーとしての役割を果たす。100万件以上の肌データと数千件の製品処方分析に基づく強力なAI肌診断機能を用い、ユーザーの美容プロフィールを解読して最適な製品を提案し自宅に届ける」と説明する。

さらに最新の取り組みとして、ロレアルはエヌビディアとアクセンチュア(ACCENTURE)と共同で、“エヌビディア AI エンタープライズ”を活用した“AIリファイナリー(AI Refinery)”を開発した。これはマイクロソフト アジュール(Microsoft Azure)上で利用できる。“AIリファイナリー”は、AIが個々のニーズに応じた製品を選定し、科学的な根拠に基づく製品を推奨する。ロレアルは同プラットフォームを「“ノリ”にとって急速に変化するAI環境と消費者の期待に対応しながら、迅速な実験と責任あるAIの開発や展開を可能にするもの」だとして、「消費者にとっての美容における発見や購買体験を大きく変革することを目指す」と述べた。

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ロレアルが米AI半導体大手エヌビディアと提携 「想像を超える」ビューティ体験を共創へ

ロレアル(L’OREAL)は12日(現地時間)、仏パリで開催されている世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー(VIVA TECHNOLOGY)」で、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)と提携することを発表した。共同声明によると、今回の提携により創造性とスケール性を高めて「これまでに想像したことのない革新的なビューティ体験」の創出を目指す。

AIで進化する3Dレンダリングと
ビューティ体験

ロレアルは声明で、「本提携により当社とパートナー企業群は、AIプラットフォーム“エヌビディア AI エンタープライズ(NVIDIA AI Enterprise)”を活用し、ロレアル製品の3Dレンダリング(3Dデータを2D画像や映像として表現する)のスケーリング(大規模展開)をはじめとするAIの迅速な開発と導入を推進する。物理的AI(ロボットなど現実の世界で動くAI)と生成AI(画像や文章などを作り出すAI)の融合により、クリエイティブの可能性をさらに広げる」と述べた。アスミタ・デュバイ(Asmita Dubey)=ロレアルグループ チーフデジタル&マーケティングオフィサーは、「生成AIやエージェンティックAI(自律的に目標を持って行動するAI)といった革新的なテクノロジーが消費者の期待を再定義する中、創造性とテクノロジーの両面で、比類ない消費者エンゲージメントを推進することに注力する」と語った。

一方、エヌビディアのアジータ・マーティン(Azita Martin)小売・消費財部門担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーは、AIが企業にデジタルインテリジェンスと俊敏性をもたらすことを強調した。「ロレアルは“エヌビディア AI エンタープライズ”を活用することで、迅速なイノベーション、スケーラビリティ、パーソナライズされたマーケティングと広告を実現し、消費者のエンゲージメントとCVR(コンバージョンレート)を向上させている。協業により、美容におけるAIの可能性を最大限に引き出し、消費者の美容体験をよりシームレスでやりがいのある楽しいものにしている」と述べた。

マーケティングや広告で活用
次世代のマーケットプレイスでも

両社はすでに2つのプロジェクトで協業している。ロレアルのAIコンテンツ開発プラットフォームである“クリエイテック(CREAITECH)”は、ロレアル製品を3Dでデジタルレンダリングし、マーケティングや広告キャンペーンの開発に活用している。「“クリエイティック”は、“エヌビディアAI エンタープライズ”を使用して3D機能を拡張し、より高い創造性と品質管理、生産スケーラビリティを実現することを目指している」とロレアルは説明する。

もう一つは、ロレアルが設立し支援するAI搭載型マルチブランド・マーケットプレイスのスタートアップ「ノリ(Noli )」だ。名前の由来は、「No one like I(私のような人はいない)」。ロレアルは同マーケットプレイスについて、「消費者を溢れる情報から遮断するAI美容マッチメーカーとしての役割を果たす。100万件以上の肌データと数千件の製品処方分析に基づく強力なAI肌診断機能を用い、ユーザーの美容プロフィールを解読して最適な製品を提案し自宅に届ける」と説明する。

さらに最新の取り組みとして、ロレアルはエヌビディアとアクセンチュア(ACCENTURE)と共同で、“エヌビディア AI エンタープライズ”を活用した“AIリファイナリー(AI Refinery)”を開発した。これはマイクロソフト アジュール(Microsoft Azure)上で利用できる。“AIリファイナリー”は、AIが個々のニーズに応じた製品を選定し、科学的な根拠に基づく製品を推奨する。ロレアルは同プラットフォームを「“ノリ”にとって急速に変化するAI環境と消費者の期待に対応しながら、迅速な実験と責任あるAIの開発や展開を可能にするもの」だとして、「消費者にとっての美容における発見や購買体験を大きく変革することを目指す」と述べた。

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ファーフェッチが韓国市場で事業拡大 親会社クーパン傘下のショッピングアプリと提携

韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)が保有する高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)は、クーパンが運営する高級ショッピングアプリ、アラックス(R.LUX)と提携し、韓国市場での事業拡大を目指す。

アラックスアプリで「ファッション」タブを選択すると、ファーフェッチの取り扱いブランドが表示される。海外でのフルフィルメント業務はクーパンが、韓国国内での配送はアラックスが担い、送料無料で商品を届ける。また、商品の代金に関税などをあらかじめ含めておくことで海外通販の障壁を取り除き、ユーザーの利便性を高めるという。

ファーフェッチのスティーブン・エグルストン(Stephen Eggleston)最高商務責任者は、「これはファーフェッチと提携しているブランドにとって、韓国のラグジュアリー購入層と直接アクセスできるユニークな機会だ」と話す。また、提携ブランドの1つである「ミッソーニ(MISSONI)」の広報担当者は、「ファーフェッチとのパートナーシップがさらに進化し、とてもうれしく思う。今回の提携は、当ブランドの商品を(韓国にいる)多くの熱心な消費者や顧客に迅速に届けられる素晴らしい機会だと考えている」と述べた。

ファーフェッチとクーパンについて

現在、ファーフェッチは1400のブランド、ブティック、百貨店を取り扱っており、190カ国以上の顧客にサービスを提供している。アラックスは2024年10月、ラグジュアリービューティECとして設立。現在はファッション分野の強化を図っており、韓国のデザイナーズブランドなども取り扱っている。

クーパンは、“韓国のアマゾン”とも呼ばれるeコマース企業。本社は米シアトルにあるが、韓国やアジア各地にもオフィスを構えており、韓国語サイトで家電や生活雑貨、消費財、衣類、食品などを扱っている。同社は23年12月、経営破綻の瀬戸際にあったファーフェッチを買収。24年8月には、ファーフェッチの企業向けECプラットフォーム事業、ファーフェッチ・プラットフォーム・ソリューション(Farfetch Platform Solutions)を終了することを明らかにした。これは主軸のマーケットプレイス事業に注力するためだという。

ファーフェッチが買収される前、最後に行った決算発表は23年4~6月期(第2四半期)で、通期で最後に発表した22年12月期の売上高は前期比3%増の23億ドル(約3312億円)だった。クーパンによれば、24年12月期におけるファーフェッチの売上高は16億5800万ドル(約2387億円)となっており、回復基調にあるという。

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「無印良品」が9月5日から雑貨、食品計85品目を値上げ 原材料の高騰などを受け

「無印良品」を展開する良品計画は、9月5日から生活雑貨26品目、食品59品目あわせて計85品目を値上げすることを発表した。また、食品5品目は容量を変更する。価格改定の理由については、気候変動によるコーヒー豆、米、カカオ、紙、陶土などにおける原料価格の高騰や、人件費、物流費の上昇、円安などの影響を受けてとのこと。

対象商品の“あえるだけのパスタソース たらこ”は250円から290円、“ノート・マンスリー”は100円から120円、“スチールパイプテーブル”は7990円から8990円に改定。いずれも10〜20%ほど値上げする。

価格改定を改定する一部商品

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三井不動産などが「日本橋リバーウォーク」を開発 高架を撤去し、川と空の“水都”に

日本橋川沿いの再開発構想の詳細が発表され、エリア名称を「日本橋リバーウォーク」とすることが明らかになった。この再開発は、八重洲一丁目北地区、日本橋一丁目、日本橋室町一丁目など、日本橋川流域に位置する5つの再開発区域とその周辺エリアを一体的に整備し、水辺を生かした都市空間を創出する官民連携のプロジェクト。面積は約11ヘクタール。首都高速道路(以下、首都高)や三井不動産を含む6社のデベロッパーが連携し、大規模な再整備が進行している。

「日本橋リバーウォーク」構想の背景には、「日本橋川沿いの景観の再構築」と「首都高の老朽化」という2つの課題がある。新たな街づくりとインフラ整備を同時に実現するため、「東京の新たなランドマークとなる景観形成」「環境と生態系の保全による豊かな水辺の再生」「国際都市としてのさらなる進化」「高速道路と舟運による交通利便性の向上」「地域が育んできたイノベーションの継承と発展」「多様な文化・産業の創出」といった6つのテーマに取り組み、水と緑、人が共存する新たな都市像を掲げている。

「日本橋リバーウォーク」の大部分の開発に携わる三井不動産は、日本橋室町一丁目地区にオフィスやレジデンス、商業施設が複合する高層ビルに加えて、地下歩道に面する商業店舗や川沿い街区の低層商業施設とともにプロムナードを整備。日本橋一丁目中地区には、新しい東京のランドマークとする、商業施設や大型ホール、ラグジュアリーホテルなどが入居する大型ビルを建設中だ。

今後、トンネル工事と再開発を並行して進め、2035年度には高速道路の地下化が完了し、40年度には高架が撤去される予定。これにより、幅約100メートル、長さ1200メートルにわたる新たな景観空間が誕生する見通しだ。

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【20日まで早割受付中】「CFCL」に学ぶクリエイションとビジネスを両立するブランド運営論

「何のために服をつくり、売るか?」を突き詰める2トップによる
ブランド哲学と持続可能な事業成長、市場創造の未来論

このような人におすすめ

・世界を相手に戦うブランド戦略を考えるアパレル・ビューティブランドの経営者・責任者
・「サステナビリティ」や「ステークホルダー」などの社会的キーワードを収益に繋げたいビジネスパーソン
・異業種の出身者ら多彩な人材を取り入れ組織に多様なビジネス視点を組み込みたい人事・マネージメント層
・ソーシャルグッドなブランドやファッション業界への就職を視野に入れる学生

 


インフォメーション

日時

2025年7月16日(水)13:00〜16:00
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場 または オンライン受講
※受講前日17時と当日9時を目安に、ご案内メールをお送りしますので、ご入力にお間違いがないようご注意ください。セミナー当日は受付でメールをご提示ください。
※オンライン受講の方は、ご案内メールに視聴用URLを記載しております。また、OneStreamでの配信を予定しています。
※ご案内メールが届かない場合は迷惑メールフォルダなどもご確認ください。
※セミナー終了後、会場&オンライン受講者へのアーカイブ配信の案内はありませんのでご了承ください。後日アーカイブ動画は、単体で購入することが可能です。

会場

株式会社ヤプリ
東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー 41階

募集人数

会場:先着50名
オンライン:100名

募集期間

2025年6月12日(木)〜 2025年7月15日(火)12時まで
【早割10%OFFキャンペーン】
6/20(金)18時までのお申し込みで、一般価格から10%OFFで受講いただけます。
申し込み画面でクーポンコードを入力してください。
クーポンコード:HMH4KCBSRE

受講料金

一般価格:16,500円14,850円早割10%OFF
スタンダードプラン:11,550円 30%OFF
ライトプラン:14,850円 10%OFF
※表示価格は全て1名様分、税込です。
※他のクーポンとの併用はできません。
※早割期間内であっても、募集人数に達し次第受け付けを締め切らせていただく場合がございます。


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早割クーポンコード【HMH4KCBSRE】/有料会員の方はこちらからクーポンコードを取得してください



プログラム

 

今、最も注目すべきファッションブランドの1つ「CFCL」は、2020年に高橋悠介代表兼クリエイティブディレクターが設立。次世代のリーダーは「社会貢献と事業成長の両立」や「ステークホルダーへの価値提供」などを目指し、投資ファンド・ペルミラ出身の松浦直彦代表取締役副社長兼COOとタッグを組みました。以降、毎シーズンのコレクションのみならず、実践的な組織づくりもクリエイトしています。業界ではサステナビリティのイメージが強いですが、パーパスドリブンなクリエイションと経営は、設立5年で国内外200以上の卸先をもつ“パリコレブランド”へと結実しています。
本セミナーでは、高橋・松浦の2トップが、ブランド哲学から、社会性と収益性を実現するクリエイション、組織論、実践例までを紹介。皆さんに、新たな知見や具体的なアクションに繋がるヒントを伝授します。

【Introduction】13:00~13:10(10分)

社会課題に向き合うブランドは、いかにして持続的な競争優位性を築いているのか?

オープニングは、「WWDJAPAN」編集長の村上要がサステナビリティを筆頭とする社会課題をCSR(企業の社会的責任)と捉えるのではなく、持続的な競争優位性につなげている企業・ブランドを紹介。離職率の低下やエンゲージメントの強化&コミュニティーの醸成、結果、売り上げの拡大につなげ、事業の拡大が更なるアクションを導いているポジティブなサイクルが存在し得ることをお伝えしたのち、特集の制作を踏まえ、「ファッションを社会装置と捉えてファンを生み出している『CFCL』」の概要をリポートします。

スピーカー:村上 要/WWDJAPAN編集長
PROFILE:(むらかみ・かなめ)1977年7月7日生まれ。東北大学教育学部卒業後、地元の静岡新聞社で社会部記者を務める。退職後、ニューヨーク州立ファッション工科大学(F.I.T.)でファッション・ジャーナリズムを含むファッション・コミュニケーションを専攻。2度目の大学卒業後、現地でのファッション誌アシスタントを経て帰国。タイアップ制作、「WWDビューティ」デスク、「WWDモバイル」デスク、「ファッションニュース」編集長、「WWDJAPAN.com」編集長を経て、2021年4月から現職

 

【Session#1】13:10~13:50(40分)

なぜ『CFCL』は、社会貢献と事業成長の両立を目指すのか?

第1部は、高橋悠介代表兼クリエイティブディレクターが登壇し、「公益性」と定義するソーシャルグッドをブランドの世界に持ち込んだ理由を話します。ブランド立ち上げの頃の社会に思いを馳せながら、「なぜ、世界で戦うには社会性が必要と考えたのか?」はもちろん、「その社会性を、どのようなデザイン哲学で表現するのか?」「公益性は、どのような形で独自性や優位性につながっているのか?」など、これまでファッションの世界が解決できなかった消費者のペインや業界の課題を踏まえながら、「CFCL」のブランド哲学の根幹を開陳します。また「公益性」を追求するには「多様性」が必要との考えに至った背景のほか、意思決定や組織運営に活かしている「資本経営」というビジネス理論も伺います。

ゲストスピーカー:高橋 悠介/代表兼クリエイティブディレクター
PROFILE:1985年生まれ、東京都出身。文化ファッション大学院大学修了後、2010年三宅デザイン事務所入社。13年に「イッセイミヤケ メン」のデザイナーに就任し、6年にわたりチームを率いる。20年同社を退社後、CFCLを設立。21年、第39回毎日ファッション大賞 新人賞・資生堂奨励賞及びFASHION PRIZE OF TOKYO 2022を受賞。2022年よりパリ・ファッションウィークに参加。2024年、Vogue Business 100 Innovators: Sustainability thought leaders の1人に選出された。
モデレーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

 

【Session#2】13:50~14:30(40分)

社会貢献できるブランド事業を加速する組織運営論

第2部は、松浦直彦代表取締役副社長兼COOが登壇。前職で痛感した日本ブランドが直面する“スケールの壁”を踏まえ、高橋代表兼クリエイティブディレクターが思い描くブランド哲学を経営、特にグローバルなビジネスへと拡張できる可能性の視点で解釈しながら、組織をどのように構築しているのか?などを伺います。特に異業種からの参画と、それゆえの教育システム、公平性のある報酬体系などは、ファッション好きの頑張りに依存しすぎている業界人にとって必聴の内容。さまざまな取り組みの結果のES(従業員満足度)や直面する課題などを正直に語りながら、理想のブランドを目指すための、理想の組織作りのアクションを考えます。

ゲストスピーカー:松浦 直彦/代表取締役副社長兼COO
PROFILE:1982年生まれ、東京都出身。慶応義塾大学卒業後、2005年メリルリンチ日本証券に入社、東京およびニューヨークで8年間投資銀行業務を担当。13年以降、カーライル・グループ、日本成長投資アライアンス、ペルミラ・アドバイザーズにて9年間プライベート・エクイティ業務に従事。投資先企業において取締役、監査役、執行役員を歴任。22年にCFCLに入社
モデレーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

 

【Crosstalk】14:40~15:10(30分)

100年後に“社会を変えたブランド”と語られるための、今後のビジョン

最後のパートは、高橋悠介代表兼クリエイティブディレクターと松浦直彦代表取締役副社長兼COOのクロストーク。公益性を目指した様々な取り組みは現状、ステークホルダー全般にどう捉えられているのか?を起点に、立て続けに発表したオーダーメイドや二次流通ビジネスなどのビジョン(哲学)と実践方法(ビジネス)を語っていただきます。また、最終的なビジョンの1つである分散型モデルのビジョンとメリットを語りながら、業界の永遠の課題であるクリエイションとビジネスのシナジーの生み出し方に迫ります。

ゲストスピーカー:高橋 悠介/代表兼クリエイティブディレクター
ゲストスピーカー:松浦 直彦/代表取締役副社長兼COO
モデレーター:村上 要/WWDJAPAN編集長

※講義内容やタイトルは予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
【Extra】ミートアップ:15:15~16:00(45分)

ミートアップ

会場受講の皆様はセミナー終了後、ミートアップにご参加いただきます。高橋・松浦の両トップはもちろん、「CFCL」のスタッフにもご参加いただきます。2人のビジョンを従業員がどう受けとめ、どのようにやりがいへと繋げているのかなど、お聞きください。学生の皆さんは、未来の先輩の働き方に耳を傾けてみては?

 

特典

 

注意事項

・受講料は会場とオンライン同額です。
・割引価格はクーポンをご利用時に適用となります。スタンダードとライトのクーポンコードはマイページをご確認の上、申し込み画面で入力してください。
・申し込みの受け付けは先着順です。募集人数に達し次第締め切らせていただきます。
・申し込み完了後のキャンセルは受け付けておりません。
・定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちら
・本ページでのお支払いはクレジットカードのみとなります。コンビニ支払いをご希望の方はこちら
・適格請求書(領収書)の発行は、こちらから。記載のお宛名をご入力の上ご連絡ください。
弊社登録番号:T5-0110-0104-4278
・当日は会場内に撮影用のカメラが入ります。撮影した動画や写真は、「WWDJAPAN」Weeklyやウェブサイト、公式SNSなどで掲載する場合があります。ご了承いただける方のみお申し込みください。

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問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
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スイス発スポーツブランド「オン」、25年秋に銀座・並木通りに出店

スイス発のスポーツブランド「オン(ON)」は2025年秋、東京・銀座の並木通りに、「世界2番目の規模となる旗艦店」として、「オン フラッグシップストア トーキョー ギンザ」をオープンする。国内の直営店は、東京・原宿の「オン フラッグシップストア キャットストリート」に続く2店舗目となる。

新店は、24年に仏パリのシャンゼリゼ通り沿いにオープンした店舗に次ぐ規模となる。1階、地下1階の2フロアで、ランニング、アウトドア、ライフスタイル、テニス、キッズ向けなど、「オン」が展開している全カテゴリーのシューズ、アパレル、アクセサリーをそろえる。

定期的なランコミュニティーイベントなども予定。地下1階には、コミュニティースペースも設け、「地域に根差した活動を行っていく」。

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スイス発スポーツブランド「オン」、25年秋に銀座・並木通りに出店

スイス発のスポーツブランド「オン(ON)」は2025年秋、東京・銀座の並木通りに、「世界2番目の規模となる旗艦店」として、「オン フラッグシップストア トーキョー ギンザ」をオープンする。国内の直営店は、東京・原宿の「オン フラッグシップストア キャットストリート」に続く2店舗目となる。

新店は、24年に仏パリのシャンゼリゼ通り沿いにオープンした店舗に次ぐ規模となる。1階、地下1階の2フロアで、ランニング、アウトドア、ライフスタイル、テニス、キッズ向けなど、「オン」が展開している全カテゴリーのシューズ、アパレル、アクセサリーをそろえる。

定期的なランコミュニティーイベントなども予定。地下1階には、コミュニティースペースも設け、「地域に根差した活動を行っていく」。

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映画「フロントライン」の関根光才監督が語る「演出のこだわり」と「“疑う”ことの大切さ」

PROFILE: 関根光才/映像作家・映画監督

PROFILE: (せきね・こうさい)造形アーティストの両親のもと東京で生まれる。上智大学哲学科在籍時、アメリカでの留学中に写真に興味を持ち、映像制作を志す。2005年に初監督の短編映画「RIGHT PLACE」を発表、ニューヨーク短編映画祭の最優秀外国映画賞などを受賞。14年に手掛けたHONDA「Ayrton Senna 1989」はカンヌ広告祭チタニウム部門グランプリを受賞。13年、社会的アート制作集団「NOddIN(ノディン)」で活動を始め、社会的イシューを扱った作品を発表する。18年、初の長編劇場映画作品「生きてるだけで、愛。」で、新藤兼人賞・銀賞、フランス、キノタヨ映画祭・審査員賞などを受賞。同年、長編ドキュメンタリー映画「太陽の塔」を公開。24年、「かくしごと」を公開し、ドキュメンタリー映画「燃えるドレスを紡いで」で、ファッションにおけるゴミと環境問題の関係性を見つめ、米・トライベッカ映画祭にて The Human/Nature Awardを受賞する。

2020年2月3日、横浜港の沖合に停泊していた豪華クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内で、新型コロナウイルスの感染が明らかになった。未知のウイルスに最前線で対応したDMAT(災害派遣医療チーム)の奮闘を描く映画「フロントライン」が6月13日に公開される。当時、船内で何が起きていたのかを入念にリサーチし、歴史的事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化した。この意欲的かつ挑戦的な大作に参加したのは、小栗旬、松坂桃李、窪塚洋介、池松壮亮ら主演級の俳優たちだ。監督に抜擢されたのは、映像作家・映画監督として世界的に活躍し、注目を集める関根光才。ドラマ映画とドキュメンタリー映画という2つの領域で創作してきた関根が、骨太ながらも間口の広い社会派のヒューマン作品を完成させた。その創作の視座を探る。

劇映画とドキュメンタリー映画を
自然に行き来する

——映画「フロントライン」の監督は、オファーだったそうですが、やりがいや魅力をどこに感じましたか。

関根光才(以下、関根):新型コロナウイルスについての話で、しかも端緒になった船の事件の映画化は、いずれ誰かがやらなければいけなかったと思います。それを今の日本で、オリジナルの脚本で、しかも社会的なコンテクストを持った映画をこの規模で作るというのはなかなかないことなので、ぜひやらせてもらいたいと思いました。何より増本淳さんの脚本が素晴らしかったんです。「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命」(フジテレビ)や「THE DAYS」(Netflix)などの社会派ドラマをプロデュースされた増本さんが、丹念なリサーチをして作った脚本の、事実の説得力に心を奪われました。

——関根さんがこれまで監督してきた映画は、小説が原作の劇映画(生きてるだけで、愛。」「かくしごと」)もドキュメンタリー映画(「太陽の塔」「燃えるドレスを紡いで」)も社会性をはらんでいます。「フロントライン」で2つの領域を融合したいという意識はあったのでしょうか。

関根:そこの行き来は自然にしていたので、今回も特別そういう意識はありませんでした。ただ、ドキュメンタリーはそのトピックに興味を持っている人以外、お客さんの幅が広がらないんです。みんな、そこのトピックに興味を持ってほしくてドキュメンタリーを作るんですけど、その層へのアプローチが難しい。なのでこういうエンターテインメントとしての劇映画を作って、「小栗さんが大好きなんです」という動機で映画を見に来ていただけたらむしろありがたくて、その中で当時を振り返って考える端緒があればそれでいいかなと。そういう意味で、実際に起きた事件を扱いつつ、エンターテインメントのレベルみたいなものは意識していました。

——実際に起きた事件を扱う上で、過去のドキュメンタリー映画の経験は役立ちましたか。

関根:役立ったと思います。僕は映像を撮るという行為自体がかなり攻撃的なアクションだと思っています。特に被写体が何かの被害者であったり、すごく困窮している状況にいたりする場合、その人たちに「何があったのかを教えてください」とカメラを向ける行為自体に加害性がある。しかも被写体の方は、それがどう切り取られてどういう映画になるのかが分からないわけですし。今回も事件からまだ5年しか経っていないので、当時を振り返ることがつらい人が結構いると思います。しかも背景にたくさんの人たちがいる。ダイヤモンド・プリンセス号の乗客やクルー、DMAT、引いて見れば僕たち全員の人生と地続きの事件なので、どこかに傷つく人がいるかもしれない。それを乗り越えてでも作りたいと思えるのか、それならばどういう内容をどう撮るのかを非常に考えました。

——その意識があると、実際の演出の仕方や編集は変わってくるのでしょうか。

関根:もともと僕は過剰な演出が非常に苦手なんです。自分がお客さんとして映画を見るときも、事実に基づいたお話を、派手に、ヒロイックにエンターテインメント化するタイプの映画が苦手だったので、そこはかなり抑制的にやっている意識ではいました。今回も引き算しまくったわけではなく、自然にそうなっていった感覚です。

——「未曾有のパンデミックで人命救助に命をかける人々を描くお仕事ドラマ」として、壮大な音楽をつけてエンターテインメント化する方法もありえましたよね。

関根:そうなりがちですよね。日本映画でもハリウッド映画でも映画の定型文みたいなものとして刷り込まれたものがある。それは一回脇に置いて作りたいと思いました。

——キャスティングには関根さんも関わったのでしょうか。

関根:増本さんと話し合っていく中で、まず、この巨大な、とてつもなくいろいろな人間の背景が伴う話を乗せてくれる船(主人公)は小栗旬さんだなと、すぐに合致しました。脚本を読んだ小栗さんから「やりたい」というお返事をいただいて。その後小栗さんから、「仙道役に窪塚(洋介)さんはどうか」という提案をいただいて、「最高ですね」と返しました。メインキャストの4人(小栗旬、松坂桃李、窪塚洋介、池松壮亮)に関しては全員異論なしでスパッと決まった感覚があります。キャスティングに関して、当時はいろいろあったのかもしれませんが、難儀だったことはすっかり忘れてしまっています(笑)。

——重要な才能です(笑)。それにしてもメインの4人の顔ぶれに驚きました。全員主役級で。

関根:すごいですよね。普段だったら主役を張る立場の松坂桃李さんや池松壮亮さんが、ある種のサブキャラクターとして「やりたいです」と言って参加してくれました。本当にありがたいです。

——個人的に、日本の大作映画に出てくる、メインキャラクターではない外国人キャストの芝居に眉をひそめることが多かったのですが、今回は皆さんのお芝居がとても良かったです。

関根:僕も日本映画に出てくる外国人の芝居がすごく気になっていたんです。日本の映画がインターナショナルに行かない大きな原因の一つだとも思っていました。今回のような大作だと予算が潤沢だと思われそうですが、それでも海外からの招聘はできなかったので、日本にいる方でキャスティングすることになり、探して探して探しまくりました。あまりにも僕がオーディションをするので、プロダクションの人たちからは若干「正気か?」と思われたかもしれません(苦笑)。ブラウン夫妻の奥さん役をやってくださった方は映像初出演でしたし、ノアとジャック役の兄弟はそもそも演技が初めてでした。あの兄弟があまりにも泰然としていたから、松坂さんが「この子たちは本当に初めてなんですか?」と驚いていました。

——あの少年たちはリアル兄弟なんですね! 外国人キャストへの演出は、関根さんが通訳を介さずに直接つけたのでしょうか。

関根:基本的に、ある程度は。英語指導の松崎悠希さんがいろいろな面でサポートをしてくれました。特に森七菜さんは非常に難しい英語のセリフがかなりあったので。池松壮亮さんもたくさんの時間を使い、トレーニングをしてくれました。松崎さんも日本の映画を海外に届けたい、日本の作品をインターナショナル・スタンダードに引き上げたいという思いがすごく強い方でした。

関根監督流「引き算」の演出

——関根さんの監督作の中で、今回は最も規模が大きい作品になったと思います。自分の今までのやり方を変える必要はありましたか。それとも自分のやり方を貫いたのでしょうか。

関根:自分のスタイルというものをあまり意識していないというか、自分の刻印を作品に残すことにそこまで興味がないんです。特に今回は話の内容的に、「自分のもの」という意識が全くないので、脚本や企画に対して最適なアプローチが何かを自分なりに考えるというやり方でした。それでも監督やカメラの刻印や味はどうしても出てしまうものなので、それくらいで十分だと思います。

——関根さんはCM出身ですし、過去2作のドキュメンタリー映画を拝見すると、ビジュアリストという印象を受けます。でも、監督した劇映画3本を拝見して、「演出の人」だと思いました。俳優が演じるキャラクターがちゃんとその人物としての意思を持って物語の中で動いているから、観客が違和感なく物語に乗っていける。だからどの作品もあっという間に感じるのかなと。

関根:それはとてもうれしい感想です。僕はどんな配役であっても、役者と役はどこかでクロスオーバーすると思っています。例えば連続殺人鬼の役だったとしても、全部を掘り下げてみると、「父親にこういうことをされたからこうなったのは、ちょっと分かるかもしれない」という引き出しの開け方があると思うんです。そこを引き出して自分として演じると、その人本人になるから演技に嘘がない。今回もその要素を意識しました。とてつもなく経験値がある方たちばかりなので、今みたいな細かいことを言う必要はもちろんなかったですが。

——おっしゃる通り、俳優が優れているとは思います。でも、それを潰してしまう演出家もいます。それがプラスに機能する作品もありますが。関根さんがどうやって彼らの良さを引き出しつつ、キャラクターとの一体化へと導いているのかが気になります。

関根:環境作り、場所作りはすごく大事にしています。あとは目指しているゴールが同じかどうかという確認もしているかもしれません。

——どのように?

関根:普通にたわいもない話をしていくと、お互いが好きな作品や、実際に何が大事なのかを分かり合っていくと思うんです。正直、言語を超えている部分は相当あると思います。ある芝居を見せてくれた後に、「こうだとどうですか」という返し方をすると、皆さん経験値が高いので、それがどういう意味を持っているかを深いところまで理解してくれます。唯一何かあるとすれば、やはり引き算でしょうか。現場でも、「大丈夫です、そんなやらなくても」と言うことは多いかもしれません。なぜかというと、やはりリアルが一番美しいと思うので。映画を見ていると、生活の中で出会った美しいモーメントの記憶や、人間関係がリコール(想起)されることがある。 そこが映画の面白いところだと思うので、そういうアプローチをしているのかもしれません。

——コンテは描きますか?

関根:CMからこの世界に入ったのでコンテを描く人だと思われがちですが、映画では全く描かないです。コンテは役者を制限することでもあるので。VFXが絡むシーンやアクションシーンは描いた方がいいと思いますし、ビジュアルアート的な映画を撮るのであれば、必要性を感じることもあると思います。それ以外では僕はコンテのメリットを感じません。

——役者の演技を制限しないスタンスもそうですが、関根さんは人間のエネルギーを信じているように感じました。ドキュメンタリー作品も人間を通してテーマに迫るものになっていますし。

関根:「人間のエネルギーを信じている」という表現は、非常に近いと思います。自然現象のようなものも大好きですが、でも結局撮りたいものは人間というトピックだったりするんですよね。

——撮影監督の重森豊太郎さんも「人間」を撮る名手ですよね。「生きてるだけで、愛。」以外でも一緒にやられてきている?

関根:はい。同じチームで長いので、500%の信頼をお互い置きながらやっていると僕は思っています。視点の近いところもあるので。重森さんとは「これはこうじゃない」みたいな感じが一切なく、「あ、そうだよね」と進んでいきます。それでも事前のシミュレーションは入念にします。毎回全シーン全カットをシミュレーションした上で、現場でそれを崩すというやり方です。みんなの芝居の動きを見て、「これはこうなるね」と目配せしてやる感じに近いですね。

映画だからこそできること

——いろいろなメディアで映像作品を作ってきましたが、関根さんにとって映画というメディアだからできることとは。

関根:時間軸として、映画は人間が見るに耐え得る長さなんですよね。1時間半から2時間、作品によっては3時間のパッケージの中で人に見てもらおうとしたときに、「消費してください」という作り方もできると思います。でも、せっかく時間を使って見てもらうのだから、面白さとともに、その人にとって何かいいことが起きたらいいなという願いを込めて作っているところはあると思います。「これはすごく甘い飴なんですけど、中にこんな薬を入れました。勝手にすみません」みたいなこともできるのが、映画の面白さだなと思っています。でも結局のところはシンプルで、自分や自分の仲間が映像を撮ることで、見た人たちに面白いと思ってもらえたら、少しでも世の中が面白くなればいいなと思います。

映画は社会や他の人の人生に、「面白い」「楽しい」「感動した」というポジティブな影響を及ぼすこともあり得る一方で、その反作用として、誰かをこちらにとって都合のいい思想や意識、善悪に誘導することもできてしまう諸刃の剣です。それが映画のすごく大事なところであり危ないところであることを、常々かなり意識するようにしています。

——見た人の人生にプラスの何かがあればいいという思いは崇高ですが、それを目的とした映画はプロパガンダや価値観の押し付けになりかねないということですね。

関根:紙一重ですよね。「社会が良くなったらいいな」という思いでいろいろな社会活動をしましたが、途中で「社会が良くならなければいけない」と思うのは非常に危ないことだなと感じるようになりました。映画を作るときは本気で作りますが、最終的に届けるときは「何かいい影響があったらいいな」とふわっと思うくらいのスタンスがいいかなと思っています。

日本でいいものを作って世界に届けていく

——そもそも、映画監督を目指したきっかけは?

関根:映画監督にならなければいけないという思いはあまりなかったです。どの立場でもいいから映画作りに携わってみたいと思っていました。

——そうだったんですね。観客としてはどういう映画が好きですか?

関根:やはり社会的な映画がすごく好きです。例えば、エミール・クストリッツァ監督の「アンダーグラウンド」(1995年)では、自分が持ったことのない感情を初めて感じました。ユーゴスラビアについての映画なのですが、僕がアメリカに留学していたときに、ユーゴスラビアから来たダンサーの留学生がいたんです。僕が初めて出会った、政情が不安定な国出身の人でした。この映画の、本土から小島が離れていくラストシーンを見て、泣きました。自分には日本という自分が生まれた国があるし、帰る場所がある。でも、ユーゴスラビアからの留学生のように、そうじゃない人たちの感情がこんなにも強烈だということを、映画から教えてもらった体験でした。

——日本の映画作家からの影響はありますか?

関根:昔の日本映画がはらむ「狂気」みたいなものに惹かれます。新藤兼人さん脚本の「しとやかな獣」(1962年)はすごくフィクショナルな密室劇ですが、どこかで「人間ってこういうものかもしれんな」という本質を感じさせてくれる。箱庭に閉じ込められたような表現も面白いなと感じながら見ていました。

——関根さんはユニバーサルな感覚を持っていて、日本という場所で作品を作って、世界に届けようとしている方なのかなという印象を受けていました。

関根:結局、ある種の芸術に関わって何かを表現するときに、「おしゃれ」だとか「かっこいい」だとか、そういう下衆な考えで海外にある面白いものを真似して作っても、すぐにばれるんです。自分でも昔、海外の撮り方を真似して作ったらどうなるのかなという実験をしてみた結果、これは絶対に長く続かないだろうなという実感がありました。

海外に行くと、「あなたは誰ですか」「あなたは何を思い、何を考え、何をどうしたいんですか」と聞かれるんですね。そこを見つめ続けると、最終的に残るのは自分のアイデンティティーなんです。日本人であることや、日本に生まれ育った環境や家族、自然や葉っぱの香りがすごく好きだったなとか、人間なんて結局はそういうことしかないんだなっていう(笑)。どういう環境で生まれた人も、自分のホームグラウンドに立ち返って、そこから自分のルーツを大事にして地に足のついた表現をすることが必要になってくる。僕も、日本でいいものを作って世界に届けていく人間の1人でありたいなと思っています。そのあたりは、岡本太郎の思想に非常に共感しています。

——ドキュメンタリー映画「太陽の塔」で、岡本太郎の「芸術家は世界の全てを知っていなければいけない」という言葉を引用していました。関根さんはご自身を芸術家と思いますか?

関根:自分のやっていることが芸術かどうかはあまり意識していません。というのも、自分の両親がそう(芸術家)だったので、芸術家であることへの憧れがとてつもなく低くて(笑)。中高生ぐらいで「なんで両親とも家に全くいないのか、何をしているのか」と思っていました。両親の周りのアーティストたちは金を借りて逃げるとか、そういう人たちもいる中で、自分はサラリーマンになって堅実に生きたいと思った時期もありましたが、結局は血を争えなくなってきてしまいました。

——映像作家として、関根さんは今の社会をどう見ているのでしょうか。

関根:この映画「フロントライン」がまさにそうですが、事実だけで劇映画ができてしまうぐらい現実が強烈なんです。現実がフィクションを凌駕してしまっている。その時代に、「あなただったらどうしますか」という問いに答えを出すのは非常に難しいですよね。しかも、捏造された真実がたくさんありますし、正直言うと、映像がそこに加担してしまっています。映像を取り巻く環境が非常に難しい時代に、こちらにできることがあるとしたら、いろいろなことをちゃんと疑ってみる。「疑う」という言葉はネガティブに聞こえますが、何が真実か分からない今の時代には、どうしても必要にならざるを得ないような感覚があって。それが自分にとって、みんなにとって大事なものなのかを、ちゃんと見据える目線をそれぞれが持たないといけなくなってしまった。非常に難しい時代に来ていますが、映像を作るなら、そういう本質を共有できたらいいなと思っています。

——「フロントライン」がまさに、多くの人と共有できる映像作品だと思います。これから作るものもやはり社会性のあるものですか?

関根:今、2つほど準備しています。どちらもある種の社会性はありつつ、どこかでエンターテインメントになっているのですが、今回よりもフィクションの要素がずっと強いので「どうなるのかな」と思っていて。何かしら社会的な事柄がどうしても気になってしまい、そういうモチーフを入れたくなるところはあります。たまにはそうではないやつもやりたいとは常々思っていますが、「結局はあれ? 行き着いちゃった」みたいな(笑)。

——それが「関根光才の刻印」なのかもしれませんね。

PHOTOS:MAYUMI HOSOKURA

映画「フロントライン」

■映画「フロントライン」
6⽉13⽇から全国公開
出演者:⼩栗旬
松坂桃李 池松壮亮
森七菜 桜井ユキ
美村⾥江 吹越満 光⽯研 滝藤賢⼀
窪塚洋介
企画・脚本・プロデュース:増本淳
監督:関根光才
製作:「フロントライン」製作委員会
制作プロダクション:リオネス
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2025「フロントライン」製作委員会
https://wwws.warnerbros.co.jp/frontline/

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アシックス、15分9秒の新感覚アクティビティーを大阪で開催 「テーマパークのように楽しめる仕掛け」

アシックスジャパンは6月4日、西日本最大の直営店であるアシックス グランフロント大阪に、新感覚アクティビティー「ディスカバー バイ アシックス(DISCOVER. by ASICS」をオープンした。2025年10月13日までの約5カ月間にわたって実施する。創業哲学である「健全な身体に健全な精神があれかし」を表現するブランドスローガン「Sound Mind, Sound Body」を来場者に体感してもらうことで、普段スポーツに馴染みのない層にもアプローチする。

同アクティビティーを展開する狙いについて、同社マーケティング統括部の狩野和也部長は「これから体を動かしてみようと考えているお客さまとのタッチポイントを増やしていきたい。誰もが自然と動き出したくなるような仕掛けが詰まっている」と話す。

最大の特徴は、アシックススポーツ工学研究所が、運動とメンタルヘルス研究の第一人者である英キングス・カレッジ・ロンドンのブレンドン・スタッブス教授との共同研究で導き出した、“15分9秒”という運動時間の設定だ。狩野部長は「運動と聞くと、長時間行う必要があるのではないかと思われがちだが、実際には短時間でも心身にポジティブな影響を与えることがわかっている。この15分9秒を気軽に生活に取り入れてもらうきっかけにしたい」という。

リアルタイムで映像と音が変化

施設は「5つのフィールド」で構成。最初のフィールドでは、感情や生活習慣をモニターで診断し、個々に応じたマイカラーとマイサウンドが設定される。この2つは体験の間、ガイド役として機能するもの。2つめのフィールド「ワープ」では、光と音の演出により非日常へと誘導され、3つめのフィールド「ライト」では、参加者が自身の色の光を追って身体を動かすことで没入感を楽しめる。動きに連動してイヤホンから流れるマイサウンドも変化する。4つめのフィールド「イマーシブ」では、人感センサーと連動した360度の映像プロジェクターにより、参加者の動きに応じてリアルタイムに映像と音が変化。粒子状アバターとの対話やゲーム形式の動作を経て、参加者同士で協力してデジタルアートを完成させるという構成になっている。

最後のフィールドのギャラリー・ショップにはランニング、トレーニング、スポーツスタイルなど、アシックスが展開する多彩な商品が並ぶ。リサイクル素材を活用したランニングシューズ“ニンバス ミライ(NIMBUS MIRAI)”や、GELテクノロジーを搭載したシューズ“ゲル クォンタム キネティック(GEL-QUANTUM KINETIC)”などをそろえる。

アクティビティーは1枠最大7人の事前予約制で、専用フォームから申し込みが可能。体験時間は全体で30分、参加費は無料。車イス利用者も体験できる。終了後には、自分のハイライト映像や自身の動きから生成された音楽などのコンテンツも提供される。

「あっという間に時間が過ぎた」

メディア向け発表会には、アシックスファミリーで元卓球日本代表の石川佳純さんが登壇。体験した感想について 「光を追いかけてジャンプしたり、上から落ちてくるオブジェクトを避けたり、自分と連動したアバターでゲームをしたりする体験は、まるでテーマパークのようで楽しかった。気づけば夢中になっていてあっという間に15分9秒が過ぎた」と振り返る。

石川さんは現役引退後もランニングやスピニングバイク、スキーなど多様な運動を日常的に取り入れている。「現役時代は“勝つため”の運動を意識していたが、今は心身ともに健康でいるために体を動かすことが目的になった。これまでとは違った角度でスポーツを楽しめている」と話す。最近では15分9秒の軽いトレーニングやストレッチを毎日続けており、今後はハーフマラソンへの挑戦も予定していると話した。

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アシックス、15分9秒の新感覚アクティビティーを大阪で開催 「テーマパークのように楽しめる仕掛け」

アシックスジャパンは6月4日、西日本最大の直営店であるアシックス グランフロント大阪に、新感覚アクティビティー「ディスカバー バイ アシックス(DISCOVER. by ASICS」をオープンした。2025年10月13日までの約5カ月間にわたって実施する。創業哲学である「健全な身体に健全な精神があれかし」を表現するブランドスローガン「Sound Mind, Sound Body」を来場者に体感してもらうことで、普段スポーツに馴染みのない層にもアプローチする。

同アクティビティーを展開する狙いについて、同社マーケティング統括部の狩野和也部長は「これから体を動かしてみようと考えているお客さまとのタッチポイントを増やしていきたい。誰もが自然と動き出したくなるような仕掛けが詰まっている」と話す。

最大の特徴は、アシックススポーツ工学研究所が、運動とメンタルヘルス研究の第一人者である英キングス・カレッジ・ロンドンのブレンドン・スタッブス教授との共同研究で導き出した、“15分9秒”という運動時間の設定だ。狩野部長は「運動と聞くと、長時間行う必要があるのではないかと思われがちだが、実際には短時間でも心身にポジティブな影響を与えることがわかっている。この15分9秒を気軽に生活に取り入れてもらうきっかけにしたい」という。

リアルタイムで映像と音が変化

施設は「5つのフィールド」で構成。最初のフィールドでは、感情や生活習慣をモニターで診断し、個々に応じたマイカラーとマイサウンドが設定される。この2つは体験の間、ガイド役として機能するもの。2つめのフィールド「ワープ」では、光と音の演出により非日常へと誘導され、3つめのフィールド「ライト」では、参加者が自身の色の光を追って身体を動かすことで没入感を楽しめる。動きに連動してイヤホンから流れるマイサウンドも変化する。4つめのフィールド「イマーシブ」では、人感センサーと連動した360度の映像プロジェクターにより、参加者の動きに応じてリアルタイムに映像と音が変化。粒子状アバターとの対話やゲーム形式の動作を経て、参加者同士で協力してデジタルアートを完成させるという構成になっている。

最後のフィールドのギャラリー・ショップにはランニング、トレーニング、スポーツスタイルなど、アシックスが展開する多彩な商品が並ぶ。リサイクル素材を活用したランニングシューズ“ニンバス ミライ(NIMBUS MIRAI)”や、GELテクノロジーを搭載したシューズ“ゲル クォンタム キネティック(GEL-QUANTUM KINETIC)”などをそろえる。

アクティビティーは1枠最大7人の事前予約制で、専用フォームから申し込みが可能。体験時間は全体で30分、参加費は無料。車イス利用者も体験できる。終了後には、自分のハイライト映像や自身の動きから生成された音楽などのコンテンツも提供される。

「あっという間に時間が過ぎた」

メディア向け発表会には、アシックスファミリーで元卓球日本代表の石川佳純さんが登壇。体験した感想について 「光を追いかけてジャンプしたり、上から落ちてくるオブジェクトを避けたり、自分と連動したアバターでゲームをしたりする体験は、まるでテーマパークのようで楽しかった。気づけば夢中になっていてあっという間に15分9秒が過ぎた」と振り返る。

石川さんは現役引退後もランニングやスピニングバイク、スキーなど多様な運動を日常的に取り入れている。「現役時代は“勝つため”の運動を意識していたが、今は心身ともに健康でいるために体を動かすことが目的になった。これまでとは違った角度でスポーツを楽しめている」と話す。最近では15分9秒の軽いトレーニングやストレッチを毎日続けており、今後はハーフマラソンへの挑戦も予定していると話した。

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「ウールリッチ」が新たなCEOを任命 CFOが内部昇格

「ウールリッチ(WOOLRICH)」を擁するウールリッチ インターナショナル(WOOLRICH INTERNATIONAL以下、ウールリッチ)は、新たな最高経営責任者(CEO)として、ロレンツォ・フラミニ(Lorenzo Flamini)最高財務責任者を任命した。

フラミニ新CEOは、監査法人デロイト(DELOITTE)で長年コンサルティング業務に携わった後、2017年にウールリッチに入社した。なお、19年に加わったステファノ・サッコーネ(Stefano Saccone)前CEOは、フィンランドを拠点とするアメアスポーツ(AMER SPORTS)の傘下ブランド、ピークパフォーマンス(PEAK PERFORMANCE)の社長に4月1日付で就任している。

「ウールリッチ」について

「ウールリッチ」は、1830年に米ペンシルバニアで創業。1980年代からは、伊アパレル会社WPラヴォリ・イン・コルソ(WP LAVORI IN CORSO以下、WP)が欧州とアジアにおけるライセンスを保有し、2015年にウールリッチ ヨーロッパ(WOOLRICH EUROPE)を設立。16年に米国事業と合併し、ウールリッチ インターナショナルとなった。17年、ゴールドウインが少数株式を取得し、持分法適用関連会社化。18年にはWPが持分を全て売却し、ルクセンブルクの投資会社L-GAMがその大半を取得したほか、ゴールドウインも持分を増やしている。24年12月には、中国のアパレル会社バオシーニアオ・ホールディング(BAOXINIAO HOLDING)が「ウールリッチ」の欧州以外の地域におけるIP(知的財産)を取得した。なお、欧州におけるIPは引き続きL-GAMが保有し、事業運営も継続する。

「ウールリッチ」は現在、欧州と日本で35店を構えるほか、百貨店などで販売。23年11月には、米メンズブランド「トッド スナイダー(TODD SNYDER)」創設者のトッド・スナイダー(Todd Snyder)をクリエイティブ・ディレクターに迎え、新コレクション「ウールリッチ ブラック レーベル(WOOLRICH BLACK LABEL)」を立ち上げている。

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「プーマ」が“ブランド史上最速”うたう最新シューズ発売 ランニングエコノミーが「3.15%向上」

「プーマ(PUMA)」を運営するプーマ ジャパンは5月28日、エリートランナー向けのランニングシューズ“ファスト アール ニトロ エリート 3(FAST-R NITRO ELITE 3)”(3万8500円)を本格発売した。“ブランド史上最速”をうたい、前モデルから95グラム軽量化、片足170グラム(27.0センチ)を実現した。ランニングエコノミーは前モデルから「3.15%向上した」(発表リリースから)という。

ランニングエコノミーとは、「一定のスピードで走行した際に、どれだけ少ない酸素量で走れるかを示す指標であり、効率が良いほど長距離レースにおける持久力や記録向上に直結する」。そう説明されてもなかなかイメージが湧きづらいが、「ランニングエコノミーが3.15%向上すると、フルマラソンを3時間で走る人にとって、最大4分30秒以上のタイム短縮につながる。競合ブランドのトップレーシングモデルと比べても、高いランニングエコノミーが出せるという自信がある」と、説明会に登壇したプーマ ジャパン担当者は話す。

二層構造のミッドソールに新開発したフォーム“ニトロフォーム エリート”を採用し、さらなるクッション性と反発力を実現。独自形状のカーボンプレート“パワープレート”で推進力とエネルギー効率をサポートする。アッパー素材には、「プーマ」のサッカースパイクなどでも採用している“ウルトラウィーブ”を使って、軽量化につなげた。推奨使用距離は300キロメートル。軽さを追求した結果、推奨距離はフルマラソン1回分というケースもある競合ブランドに対し、丈夫と言える作りだ。

次はファンランナーにも
ブランドを拡大

開発競争がますます激化しているランニングシューズの世界で、軽量化はいま最もホットなトピックスだ。2024年の国内外の有力マラソン大会や駅伝を席巻した「アディダス(ADIDAS)」の最新モデル(8万2500円)は138グラムで、「アシックス(ASICS)」が5月に公開したモデル(3万3000円)は129グラムとさらに軽い。ただ、軽さの追求と走行時の安定性は両立が難しく、そのバランスをどう実現するかに、ブランドそれぞれの考え方やR&Dの粋が詰まっている。

各社のシューズ開発に詳しく、ランニングシューズ選びのコンサルタントやランニングコーチなどを行っている藤原岳久FS☆ランニング代表いわく、「ナイキが17年に発売し、厚底カーボンシューズ時代到来のきっかけとなった“ズーム ヴェイパーフライ 4%”は、ナイキの当時のレーシングシューズとの比較で、ランニングエコノミーが平均4%向上するということでその名前が付いた。“ファスト アール ニトロ エリート 3”は、既にランニングエコノミーが高まっていた前モデルからの比較で3.15%の向上。これは大きな数字と率直に感じた」とコメント。

競合に比べると、「プーマ」はランニングにおいてはまだまだイメージが薄い。21年以降、グローバルでランニングカテゴリーの最強化を進めてきたことで、「トップモデルについてはアスリートやエリートランナーから支持を集め始めている。ここから、ファンランナーにも支持を広げられるポテンシャルがある」と、プーマ ジャパン担当者は話す。ファンランナー向けシューズの新モデルを今後発売すると共に、ランニング専門店などでの試着イベントにも引き続き注力し、24年に始めた横浜マラソンへの協賛も継続する。「地道にランナーにブランドを届けていくよう努める」。

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「プーマ」が“ブランド史上最速”うたう最新シューズ発売 ランニングエコノミーが「3.15%向上」

「プーマ(PUMA)」を運営するプーマ ジャパンは5月28日、エリートランナー向けのランニングシューズ“ファスト アール ニトロ エリート 3(FAST-R NITRO ELITE 3)”(3万8500円)を本格発売した。“ブランド史上最速”をうたい、前モデルから95グラム軽量化、片足170グラム(27.0センチ)を実現した。ランニングエコノミーは前モデルから「3.15%向上した」(発表リリースから)という。

ランニングエコノミーとは、「一定のスピードで走行した際に、どれだけ少ない酸素量で走れるかを示す指標であり、効率が良いほど長距離レースにおける持久力や記録向上に直結する」。そう説明されてもなかなかイメージが湧きづらいが、「ランニングエコノミーが3.15%向上すると、フルマラソンを3時間で走る人にとって、最大4分30秒以上のタイム短縮につながる。競合ブランドのトップレーシングモデルと比べても、高いランニングエコノミーが出せるという自信がある」と、説明会に登壇したプーマ ジャパン担当者は話す。

二層構造のミッドソールに新開発したフォーム“ニトロフォーム エリート”を採用し、さらなるクッション性と反発力を実現。独自形状のカーボンプレート“パワープレート”で推進力とエネルギー効率をサポートする。アッパー素材には、「プーマ」のサッカースパイクなどでも採用している“ウルトラウィーブ”を使って、軽量化につなげた。推奨使用距離は300キロメートル。軽さを追求した結果、推奨距離はフルマラソン1回分というケースもある競合ブランドに対し、丈夫と言える作りだ。

次はファンランナーにも
ブランドを拡大

開発競争がますます激化しているランニングシューズの世界で、軽量化はいま最もホットなトピックスだ。2024年の国内外の有力マラソン大会や駅伝を席巻した「アディダス(ADIDAS)」の最新モデル(8万2500円)は138グラムで、「アシックス(ASICS)」が5月に公開したモデル(3万3000円)は129グラムとさらに軽い。ただ、軽さの追求と走行時の安定性は両立が難しく、そのバランスをどう実現するかに、ブランドそれぞれの考え方やR&Dの粋が詰まっている。

各社のシューズ開発に詳しく、ランニングシューズ選びのコンサルタントやランニングコーチなどを行っている藤原岳久FS☆ランニング代表いわく、「ナイキが17年に発売し、厚底カーボンシューズ時代到来のきっかけとなった“ズーム ヴェイパーフライ 4%”は、ナイキの当時のレーシングシューズとの比較で、ランニングエコノミーが平均4%向上するということでその名前が付いた。“ファスト アール ニトロ エリート 3”は、既にランニングエコノミーが高まっていた前モデルからの比較で3.15%の向上。これは大きな数字と率直に感じた」とコメント。

競合に比べると、「プーマ」はランニングにおいてはまだまだイメージが薄い。21年以降、グローバルでランニングカテゴリーの最強化を進めてきたことで、「トップモデルについてはアスリートやエリートランナーから支持を集め始めている。ここから、ファンランナーにも支持を広げられるポテンシャルがある」と、プーマ ジャパン担当者は話す。ファンランナー向けシューズの新モデルを今後発売すると共に、ランニング専門店などでの試着イベントにも引き続き注力し、24年に始めた横浜マラソンへの協賛も継続する。「地道にランナーにブランドを届けていくよう努める」。

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アクティブウエア「クロノス」が表参道に初の旗艦店 アスレジャー市場で成長加速へ

アクティブウエアブランド「クロノス(CRONOS)」は5月31日、東京・表参道に初の旗艦店をオープンした。フィットネスを起点に、機能性とファッション性を兼ね備えたアスレジャー分野で存在感を高めている。

「クロノス」は、全国約150店舗のフィットネスジム「ビヨンド(BEYOND)」をフランチャイズ展開するワールドフィットが、2018年に立ち上げた。スタート当初は日本のトップボディビルダーをサポートしながら、筋力トレーニングに真剣に取り組む層に向けた高機能なフィットネスウエアを中心に展開していた。ブランド認知の拡大を図る中で、2年目以降には、元格闘家の魔裟斗氏や元プロ野球選手の糸井嘉男氏をアンバサダーに起用。さらに俳優やインフルエンサーを巻き込みながら、一般層や女性ユーザーへの浸透も図ってきた。

出店も並行して加速し、フィットネスジムの運営で培ってきたノウハウを生かしながら、24年には札幌、沖縄、広島、神戸などに計11店舗をフランチャイズで新規オープン。現在は全国に20店舗を構える。アスリート向けに特化したウエアにとどまらず、日常でも着用できるタウンユース仕様のアスレジャーへと展開を広げ、過去4年間でブランド規模は約4倍に成長したという。

今回オープンした表参道の旗艦店は、同エリアのメインストリートに面した約200平方メートルの2フロア構成。メンズおよびウィメンズのアクティビティウエアに加え、タレントのユージ氏がディレクターを務めるゴルフライン「クロノス・ブラック(CRONOS BLACK)」を取り扱う。高品質なストレッチ素材と丁寧な縫製に加え、速乾性や通気性といった機能性にもこだわり、Tシャツは1万円台、フーディーは1万8000〜2万円台、パンツは1万6000〜1万8000円台が中心価格帯となる。

25年中にさらに10店以上を出店

空間演出にも力を入れており、ウィンドーには錯視技術を応用した大型LEDウォールを設置。オープン前は“眠るマネキン”、オープン後はカポエラ選手やプロダンサーの動きを再現した“動くマネキン”が登場し、来店客を迎える。また、店内にはブランドのキーカラーであるイエローを随所に配し、階段や什器には近未来的な光の演出を導入。大理石の柱にスピーカーを組み込むなど、五感を刺激するような仕掛けを取り入れた空間で、ブランドの世界観を体感できる仕様となっている。今後は、プロアスリートやアンバサダーを招いたミート&グリートやフィットネスイベントも予定しており、店舗を販売拠点にとどまらないコミュニティーの場として活用していく方針だ。

ワールドフィットの林哲也・執行役員 アスレジャー事業本部本部長は「『クロノス』というブランドをより多くの方々に知ってもらうため、ファッションの発信地である表参道を選んだ。インバウンド需要の高まりもあり、国内だけでなく海外への発信力にも期待している」と語る。続けて、「海外では、ブラトップやレギンスといったアイテムを日常的に取り入れるスタイルがすでに定着しており、『クロノス』の提案するスタイリングも、グローバル市場で受け入れられる可能性が高い。今回の旗艦店をその第一歩と捉えている」と、海外展開への意欲を示す。さらに、「アウトドアやスポーツ、フィットネスといった機能性アパレルの分野は、現在のアパレル業界の中でも特に成長が期待されている。『クロノス』も、その先頭を走る存在を目指したい」と今後の展望を明かした。

国内市場においては、25年中にさらに10店舗以上の出店を計画しており、西日本での旗艦店オープンも視野に入れる。販売網の拡充と認知度の向上を通じ、全国規模でのブランド強化を進めていく方針だ。

なお、グランドオープンに先立ち、5月28日から3日間にわたり開催したオープニングイベントには、ブランドと関係の深いゴルファーや格闘家などのアスリート、セレブリティーらが来場し、ブランドの新たな門出を祝った。

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アクティブウエア「クロノス」が表参道に初の旗艦店 アスレジャー市場で成長加速へ

アクティブウエアブランド「クロノス(CRONOS)」は5月31日、東京・表参道に初の旗艦店をオープンした。フィットネスを起点に、機能性とファッション性を兼ね備えたアスレジャー分野で存在感を高めている。

「クロノス」は、全国約150店舗のフィットネスジム「ビヨンド(BEYOND)」をフランチャイズ展開するワールドフィットが、2018年に立ち上げた。スタート当初は日本のトップボディビルダーをサポートしながら、筋力トレーニングに真剣に取り組む層に向けた高機能なフィットネスウエアを中心に展開していた。ブランド認知の拡大を図る中で、2年目以降には、元格闘家の魔裟斗氏や元プロ野球選手の糸井嘉男氏をアンバサダーに起用。さらに俳優やインフルエンサーを巻き込みながら、一般層や女性ユーザーへの浸透も図ってきた。

出店も並行して加速し、フィットネスジムの運営で培ってきたノウハウを生かしながら、24年には札幌、沖縄、広島、神戸などに計11店舗をフランチャイズで新規オープン。現在は全国に20店舗を構える。アスリート向けに特化したウエアにとどまらず、日常でも着用できるタウンユース仕様のアスレジャーへと展開を広げ、過去4年間でブランド規模は約4倍に成長したという。

今回オープンした表参道の旗艦店は、同エリアのメインストリートに面した約200平方メートルの2フロア構成。メンズおよびウィメンズのアクティビティウエアに加え、タレントのユージ氏がディレクターを務めるゴルフライン「クロノス・ブラック(CRONOS BLACK)」を取り扱う。高品質なストレッチ素材と丁寧な縫製に加え、速乾性や通気性といった機能性にもこだわり、Tシャツは1万円台、フーディーは1万8000〜2万円台、パンツは1万6000〜1万8000円台が中心価格帯となる。

25年中にさらに10店以上を出店

空間演出にも力を入れており、ウィンドーには錯視技術を応用した大型LEDウォールを設置。オープン前は“眠るマネキン”、オープン後はカポエラ選手やプロダンサーの動きを再現した“動くマネキン”が登場し、来店客を迎える。また、店内にはブランドのキーカラーであるイエローを随所に配し、階段や什器には近未来的な光の演出を導入。大理石の柱にスピーカーを組み込むなど、五感を刺激するような仕掛けを取り入れた空間で、ブランドの世界観を体感できる仕様となっている。今後は、プロアスリートやアンバサダーを招いたミート&グリートやフィットネスイベントも予定しており、店舗を販売拠点にとどまらないコミュニティーの場として活用していく方針だ。

ワールドフィットの林哲也・執行役員 アスレジャー事業本部本部長は「『クロノス』というブランドをより多くの方々に知ってもらうため、ファッションの発信地である表参道を選んだ。インバウンド需要の高まりもあり、国内だけでなく海外への発信力にも期待している」と語る。続けて、「海外では、ブラトップやレギンスといったアイテムを日常的に取り入れるスタイルがすでに定着しており、『クロノス』の提案するスタイリングも、グローバル市場で受け入れられる可能性が高い。今回の旗艦店をその第一歩と捉えている」と、海外展開への意欲を示す。さらに、「アウトドアやスポーツ、フィットネスといった機能性アパレルの分野は、現在のアパレル業界の中でも特に成長が期待されている。『クロノス』も、その先頭を走る存在を目指したい」と今後の展望を明かした。

国内市場においては、25年中にさらに10店舗以上の出店を計画しており、西日本での旗艦店オープンも視野に入れる。販売網の拡充と認知度の向上を通じ、全国規模でのブランド強化を進めていく方針だ。

なお、グランドオープンに先立ち、5月28日から3日間にわたり開催したオープニングイベントには、ブランドと関係の深いゴルファーや格闘家などのアスリート、セレブリティーらが来場し、ブランドの新たな門出を祝った。

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ゴールドウイン&スノーピークが知床で今年もイベント開催 自然遺産登録20周年を記念

ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」と、スノーピークの「スノーピーク(SNOW PEAK)」は9月6、7日、北海道・知床で、大自然の中でのアウトドアアクティビティーや現地の食などを楽しむイベント「シレトコ アドベンチャー フェスティバル 2025(SHIRETOKO Adventure Festival 2025)」を開催する。知床の国立公園指定60周年を記念して、昨年9月14、15日に行なったイベントに続く2回目。今年は知床の世界自然遺産登録20周年にあたり、「次の世代へ、つなぐ」をテーマに掲げる。

ゴールドウインは知床半島の北側に位置する斜里町と、スノーピークは南側の羅臼町と、それぞれ19年に包括連携協定を締結している。自治体は異なるが“ワン知床”として、地域の魅力や自然との向き合い方を発信。イベントは両町、両ブランドのほか、環境省、知床財団との協業で行う。「自然と人の共生・調和や、人間も生態系の一部だということをイベントを通して感じてもらいたい。知床は当たり前のように自然が隣にあるが、自然と正しく付き合わないと生活がままならなくなる。地球規模でも同じことが言える」と山内浩彰 斜里町長は話す。

ゴールドウインは斜里町の知床自然センターなどを会場に、アドベンチャーレーサー田中陽希や写真家の石川直樹ら「ザ・ノース・フェイス」アスリートによるアクティビティープログラムや、不要なクマザサを刈って子ども向けの遊具を作るプログラム、アウトドア映画祭の「バンフ マウンテン フィルム フェスティバル(Banff Mountain Film Festival)」などを開催する予定。スノーピークは羅臼オートキャンプ場で、知床の特産品を生かした食や焚き火トークが楽しめるキャンプイベントを開催予定だ。

「昨年は予約制のアクティビティーに、累計で約200人の集客があった。会場周辺にはさらに多くの方が集まった。地域と包括連携協定を結ぶことがそのままビジネスに直結するとは考えていないが、自然を保護・利用し、楽しむ人が増えれば、世の中も良くなり、巡り巡ってビジネスにもなる」と、ゴールドウインで同イベントを担当する森光 取締役専務執行役員はコメント。企業と組むことで得られたことを問われた湊屋稔 羅臼町長は、「地元の食材をお客さまに振る舞うにしても、われわれはそのままドーンと出しがち。しかし、それをどう提供したらお客さまにより喜んでもらえるか、見せ方、楽しませ方という視点を昨年のイベントでも感じた。『ザ・ノース・フェイス』『スノーピーク』のギアで知床の自然を楽しみたいと思わせてくれたのは大きい」と回答した。

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ゴールドウイン&スノーピークが知床で今年もイベント開催 自然遺産登録20周年を記念

ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」と、スノーピークの「スノーピーク(SNOW PEAK)」は9月6、7日、北海道・知床で、大自然の中でのアウトドアアクティビティーや現地の食などを楽しむイベント「シレトコ アドベンチャー フェスティバル 2025(SHIRETOKO Adventure Festival 2025)」を開催する。知床の国立公園指定60周年を記念して、昨年9月14、15日に行なったイベントに続く2回目。今年は知床の世界自然遺産登録20周年にあたり、「次の世代へ、つなぐ」をテーマに掲げる。

ゴールドウインは知床半島の北側に位置する斜里町と、スノーピークは南側の羅臼町と、それぞれ19年に包括連携協定を締結している。自治体は異なるが“ワン知床”として、地域の魅力や自然との向き合い方を発信。イベントは両町、両ブランドのほか、環境省、知床財団との協業で行う。「自然と人の共生・調和や、人間も生態系の一部だということをイベントを通して感じてもらいたい。知床は当たり前のように自然が隣にあるが、自然と正しく付き合わないと生活がままならなくなる。地球規模でも同じことが言える」と山内浩彰 斜里町長は話す。

ゴールドウインは斜里町の知床自然センターなどを会場に、アドベンチャーレーサー田中陽希や写真家の石川直樹ら「ザ・ノース・フェイス」アスリートによるアクティビティープログラムや、不要なクマザサを刈って子ども向けの遊具を作るプログラム、アウトドア映画祭の「バンフ マウンテン フィルム フェスティバル(Banff Mountain Film Festival)」などを開催する予定。スノーピークは羅臼オートキャンプ場で、知床の特産品を生かした食や焚き火トークが楽しめるキャンプイベントを開催予定だ。

「昨年は予約制のアクティビティーに、累計で約200人の集客があった。会場周辺にはさらに多くの方が集まった。地域と包括連携協定を結ぶことがそのままビジネスに直結するとは考えていないが、自然を保護・利用し、楽しむ人が増えれば、世の中も良くなり、巡り巡ってビジネスにもなる」と、ゴールドウインで同イベントを担当する森光 取締役専務執行役員はコメント。企業と組むことで得られたことを問われた湊屋稔 羅臼町長は、「地元の食材をお客さまに振る舞うにしても、われわれはそのままドーンと出しがち。しかし、それをどう提供したらお客さまにより喜んでもらえるか、見せ方、楽しませ方という視点を昨年のイベントでも感じた。『ザ・ノース・フェイス』『スノーピーク』のギアで知床の自然を楽しみたいと思わせてくれたのは大きい」と回答した。

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「トム ブラウン」直営店強化で“らしさ”再発信   CEOに聞くラグジュアリー逆風下の戦略 

PROFILE: ロドリゴ・バザン/トム ブラウン CEO

ロドリゴ・バザン/トム ブラウン CEO<br />
PROFILE: エクアドル出身。マーク ジェイコブス インターナショナルでヨーロッパ、中東、インド地域のVP兼ジェネラルマネジャーを務めた後、2010年に「アレキサンダー ワン」初の社長に就任。グローバル出店や商品ラインの拡張を牽引し、ブランドの成長を支えた。2016年から「トム ブラウン」のCEOを務め、卸から直営主体への転換、D2C戦略の加速、ブランドのグローバル展開を推進 PHOTO:TAMEKI OSHIRO

中国需要の減速などラグジュアリービジネス全体に逆風が吹いている。「トム ブラウン(THOM BROWNE)」も2024年12月期の売上高は前期比16.8%減の506億円と、その影響を免れてはいない。

そうした状況下で打ち出したのは、卸売中心の体制から直営主体への大胆な転換だ。世界観を凝縮した直営ストアを軸に、フォーマルの原点とも言えるカスタムメイドを強化し、“らしさ”の再構築を図る。

このほどリニューアルオープンした銀座の旗艦店も、日本市場の今後を占う重要拠点だ。ここにどんな「トム ブラウン」らしさを凝縮し、伝えていくのか。銀座店のオープンに合わせて来日したロドリゴ・バザン(Rodrigo Bazan)CEOに話を聞いた。

WWD:現在の「トム ブラウン」の状況をどう捉えている?

ロドリゴ・バザン トム ブラウンCEO(以下、ロドリゴ):私たちは今、大きな変革の真っ只中にいる。売り上げも一旦は落ち込んでいるものの、必要な痛みだったと捉えている。卸売り主体のビジネスから、直営主体のビジネスにシフトするためだ。北米ではマイアミ・ビーチ、ニューヨーク、ロサンゼルスなどに直営店をオープンしたが、これらはすべて、D2C(直営店)ビジネス戦略の一環。(現職に就任した)2016年当時、私たちの直営店はわずか9店だったが、今や120店を超えるまでに拡大している。

WWD:D2Cへの移行を進めている理由は?

ロドリゴ:ブランドの世界観を理想的な形で伝えられるからだ。商品の見せ方からメッセージまで、完全にコントロールできるのが直営店の強み。しっかりとした教育を受けた販売スタッフによる、お客さまのライフスタイルに合った提案とサービスで、「なぜこの商品が必要か」を明確に伝えられる。

すべての店舗が大規模である必要はない。青山店や伊勢丹新宿本店のように、規模は小さくても、深くブランドを体感できる店舗は作ることができる。日本市場はこの5年間で、私たちの直営戦略における重要なモデルケースになった。

WWD:「トム ブラウン」に限らず、ラグジュアリーブランド全体が直営店志向。日本でも、代理店を介さないビジネス展開が増えている。

ロドリゴ:ラグジュアリーブランドの多くが「真の直営」へ移行している。「トム ブラウン」もブランドイメージを正確に伝え、長期的にフルプライス(正価)で販売できる体制を確立したいと考えている。D2Cであれば、イメージコントロールも徹底できるし、スタッフの労働時間も最適化して、運営効率を高められる。ブランドとプロダクト、そして顧客。この三者の関係を強固にすることが何より重要だ。

D2Cの本質は「顧客中心」。お客さまにどれだけ良質な体験を提供できるか。驚きや感動を届けられるか。それを常に考え、表現し続けるから、お客さまに支持していただける。北米のパームビーチやメルローズプレイスの店舗の滑り出しには、大きな手応えを感じている。一方ニューヨークや青山など長く続いている店舗も、堅調だ。

卸売についても疎かにはしない。世界中の250のマルチブランド店やラグジュアリーショップとの関係は維持していく。そこではユニット単位で、ボリュームよりもより厳選した展開を重視していく。D2Cと卸、それぞれが異なる顧客接点としての意味と機能を持たせる。

WWD:近年は商品展開の幅も大きく広がっている。このことも関係しているのか。

ロドリゴ:この10年で、バッグ、サングラス、フレグランス、チョコレートなどが新たなカテゴリーが加わった。レディー・トゥ・ウエアではトラディショナルなシルエットだけでなく、最近ではフーディーやオーバーサイズのストリート的なアイテムも強化している。こうした多様性を伝えるには、やはりD2Cが最適なフォーマットだ。

現在のウエアの売上比率は3分の2がメンズ、残りの3分の1がウィメンズ。ウィメンズはメンズより10年後発だが、特定の地域ではメンズに匹敵するか、あるいはそれ以上に売れている。特にパームビーチでは、オープン当初から売り上げの大部分がウィメンズという、想定外の結果になった。自社店舗を構えたから得られた、大きな発見だった。阪急本店や伊勢丹新宿本店でもウィメンズの売場面積を拡大した。

MTO、MTMはブランドの中核
直営店ならではのストーリーテリング

WWD:ここ銀座店では、MTO(メイド・トゥ・オーダー)のニットウエアを提供する。

ロドリゴ:カシミヤ24色、メリノウール15色。いずれも過去6年のコレクションで使用してきたカラーパレットを用意する。お客さまは8つの定番ニットスタイルの中から好きなものを選び、色やサイズ、4本線やボタンディテールまでカスタマイズできる。私たちはそれをオーダーから約7週間で届ける。

20年前からある伝統的なニットに、新しい色を加え、新しい命を吹き込む。こうした取り組みも、直営だからこそ可能なブランドのストーリーテリングだ。

私たちにとって、「一人ひとりに向き合う特別な体験」は強い関係作りと成長を生む。そもそもトム本人がブランド創設時に手掛けていたのは、シャツやカシミヤセーターのメイド・トゥー・メジャーだった。つまり、パーソナライゼーションと顧客との特別な関係性は、ブランドの原点だ。

MTOやMTM(メイド・トゥ・メジャー、顧客の体型などに合わせて洋服を提供するサービス)は、今やメンズだけでなくウィメンズでも非常に好調だ。さらにセレブリティーの衣装やショーピースといった特注アイテムは、今やビジネスの中核となりつつある。

WWD:今年の「メットガラ」は「トム ブラウン」祭りだった。

ロドリゴ:ああいった特別な場でパーソナライズされた衣装を完璧に仕上げられるブランドであるという認知は、「このブランドなら、自分にも特別な提案をしてくれるだろう」という期待につながる。 MTOやMTMは、私たちのベストカスタマーと密につながる手段であり、エンゲージメントの起点にもなっている。

WWD:日本市場や日本の顧客については。

ロドリゴ:「トム ブラウン」と日本の関係は、20年近くにわたる。青山に2つのショップインショップを構えたのが出発点であり、そこから優秀なチームが育った。多くのメンバーが10〜15年にわたってブランドを支えてくれている。

MTM、MTOの事業は、特に日本での反応がいい。デザインや品質、クラフツマンシップへの理解が深く、制服的な美学やカスタムメイドの思想に深く共鳴していただける。私たちにとって、最も成熟したマーケットの一つだ。

WWD:今後の店舗戦略については。

ロドリゴ:現在、世界で120以上の直営店と、10~15のフランチャイズ店舗を展開している。2023年には韓国市場でもフランチャイズから直営に切り替え、現地チームがそのまま運営を担っている。 25年には、売上全体の約3分の2を直営が、残りの3分の1を卸が占める構成になる見込みだ。これが私たちにとって、最も健全で合理的なリテールネットワークだと考えている。大規模な拡大フェーズはすでに終了しており、今後は立地を厳選した出店が中心になる。

WWD:ラグジュアリーブランド全体では急成長のフェーズを終え、成長が鈍化してきている。その中で成長戦略をどう描く?

ロドリゴ:まず、カテゴリーで言えば、今後さらに伸ばせるのがアクセサリーとシューズだ。特にシューズには大きな成長余地があると見ている。アイウエアにも注力しており、日本製の最高品質のプロダクトを自社で製造している。

ブランド全体としては、適切な顧客接点さえ築ければ、今も成長の余地があると確信している。「トム ブラウン」はメンズ、ウィメンズ、キッズまでを展開し、コンセプチュアルなショーピースからポロシャツのようなクラシックアイテムまで、非常に幅広いプロダクトを網羅している。さらに、ベストカスタマープログラムやショー、MTM、MTOといった多様な顧客接点においても高い信頼と実績を築いてきた。

今の時代、「なんとなく買う」という消費は少ない。求められるのは、独自性のあるプロダクトと、深く持続的な顧客接点。その両方を備えるのが、私たちの直営ネットワークだ。

「トム ブラウン」は、ラグジュアリーライフスタイルブランドとして、あらゆる年齢・性別の顧客に応えていく。たとえばポロシャツひとつを買ってもらうにしても、MTMと同じくらい洗練された体験を提供する。それこそがこのブランドの独自性であり、ラグジュアリー市場における存在意義になりうるだろう。

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「トム ブラウン」直営店強化で“らしさ”再発信   CEOに聞くラグジュアリー逆風下の戦略 

PROFILE: ロドリゴ・バザン/トム ブラウン CEO

ロドリゴ・バザン/トム ブラウン CEO<br />
PROFILE: エクアドル出身。マーク ジェイコブス インターナショナルでヨーロッパ、中東、インド地域のVP兼ジェネラルマネジャーを務めた後、2010年に「アレキサンダー ワン」初の社長に就任。グローバル出店や商品ラインの拡張を牽引し、ブランドの成長を支えた。2016年から「トム ブラウン」のCEOを務め、卸から直営主体への転換、D2C戦略の加速、ブランドのグローバル展開を推進 PHOTO:TAMEKI OSHIRO

中国需要の減速などラグジュアリービジネス全体に逆風が吹いている。「トム ブラウン(THOM BROWNE)」も2024年12月期の売上高は前期比16.8%減の506億円と、その影響を免れてはいない。

そうした状況下で打ち出したのは、卸売中心の体制から直営主体への大胆な転換だ。世界観を凝縮した直営ストアを軸に、フォーマルの原点とも言えるカスタムメイドを強化し、“らしさ”の再構築を図る。

このほどリニューアルオープンした銀座の旗艦店も、日本市場の今後を占う重要拠点だ。ここにどんな「トム ブラウン」らしさを凝縮し、伝えていくのか。銀座店のオープンに合わせて来日したロドリゴ・バザン(Rodrigo Bazan)CEOに話を聞いた。

WWD:現在の「トム ブラウン」の状況をどう捉えている?

ロドリゴ・バザン トム ブラウンCEO(以下、ロドリゴ):私たちは今、大きな変革の真っ只中にいる。売り上げも一旦は落ち込んでいるものの、必要な痛みだったと捉えている。卸売り主体のビジネスから、直営主体のビジネスにシフトするためだ。北米ではマイアミ・ビーチ、ニューヨーク、ロサンゼルスなどに直営店をオープンしたが、これらはすべて、D2C(直営店)ビジネス戦略の一環。(現職に就任した)2016年当時、私たちの直営店はわずか9店だったが、今や120店を超えるまでに拡大している。

WWD:D2Cへの移行を進めている理由は?

ロドリゴ:ブランドの世界観を理想的な形で伝えられるからだ。商品の見せ方からメッセージまで、完全にコントロールできるのが直営店の強み。しっかりとした教育を受けた販売スタッフによる、お客さまのライフスタイルに合った提案とサービスで、「なぜこの商品が必要か」を明確に伝えられる。

すべての店舗が大規模である必要はない。青山店や伊勢丹新宿本店のように、規模は小さくても、深くブランドを体感できる店舗は作ることができる。日本市場はこの5年間で、私たちの直営戦略における重要なモデルケースになった。

WWD:「トム ブラウン」に限らず、ラグジュアリーブランド全体が直営店志向。日本でも、代理店を介さないビジネス展開が増えている。

ロドリゴ:ラグジュアリーブランドの多くが「真の直営」へ移行している。「トム ブラウン」もブランドイメージを正確に伝え、長期的にフルプライス(正価)で販売できる体制を確立したいと考えている。D2Cであれば、イメージコントロールも徹底できるし、スタッフの労働時間も最適化して、運営効率を高められる。ブランドとプロダクト、そして顧客。この三者の関係を強固にすることが何より重要だ。

D2Cの本質は「顧客中心」。お客さまにどれだけ良質な体験を提供できるか。驚きや感動を届けられるか。それを常に考え、表現し続けるから、お客さまに支持していただける。北米のパームビーチやメルローズプレイスの店舗の滑り出しには、大きな手応えを感じている。一方ニューヨークや青山など長く続いている店舗も、堅調だ。

卸売についても疎かにはしない。世界中の250のマルチブランド店やラグジュアリーショップとの関係は維持していく。そこではユニット単位で、ボリュームよりもより厳選した展開を重視していく。D2Cと卸、それぞれが異なる顧客接点としての意味と機能を持たせる。

WWD:近年は商品展開の幅も大きく広がっている。このことも関係しているのか。

ロドリゴ:この10年で、バッグ、サングラス、フレグランス、チョコレートなどが新たなカテゴリーが加わった。レディー・トゥ・ウエアではトラディショナルなシルエットだけでなく、最近ではフーディーやオーバーサイズのストリート的なアイテムも強化している。こうした多様性を伝えるには、やはりD2Cが最適なフォーマットだ。

現在のウエアの売上比率は3分の2がメンズ、残りの3分の1がウィメンズ。ウィメンズはメンズより10年後発だが、特定の地域ではメンズに匹敵するか、あるいはそれ以上に売れている。特にパームビーチでは、オープン当初から売り上げの大部分がウィメンズという、想定外の結果になった。自社店舗を構えたから得られた、大きな発見だった。阪急本店や伊勢丹新宿本店でもウィメンズの売場面積を拡大した。

MTO、MTMはブランドの中核
直営店ならではのストーリーテリング

WWD:ここ銀座店では、MTO(メイド・トゥ・オーダー)のニットウエアを提供する。

ロドリゴ:カシミヤ24色、メリノウール15色。いずれも過去6年のコレクションで使用してきたカラーパレットを用意する。お客さまは8つの定番ニットスタイルの中から好きなものを選び、色やサイズ、4本線やボタンディテールまでカスタマイズできる。私たちはそれをオーダーから約7週間で届ける。

20年前からある伝統的なニットに、新しい色を加え、新しい命を吹き込む。こうした取り組みも、直営だからこそ可能なブランドのストーリーテリングだ。

私たちにとって、「一人ひとりに向き合う特別な体験」は強い関係作りと成長を生む。そもそもトム本人がブランド創設時に手掛けていたのは、シャツやカシミヤセーターのメイド・トゥー・メジャーだった。つまり、パーソナライゼーションと顧客との特別な関係性は、ブランドの原点だ。

MTOやMTM(メイド・トゥ・メジャー、顧客の体型などに合わせて洋服を提供するサービス)は、今やメンズだけでなくウィメンズでも非常に好調だ。さらにセレブリティーの衣装やショーピースといった特注アイテムは、今やビジネスの中核となりつつある。

WWD:今年の「メットガラ」は「トム ブラウン」祭りだった。

ロドリゴ:ああいった特別な場でパーソナライズされた衣装を完璧に仕上げられるブランドであるという認知は、「このブランドなら、自分にも特別な提案をしてくれるだろう」という期待につながる。 MTOやMTMは、私たちのベストカスタマーと密につながる手段であり、エンゲージメントの起点にもなっている。

WWD:日本市場や日本の顧客については。

ロドリゴ:「トム ブラウン」と日本の関係は、20年近くにわたる。青山に2つのショップインショップを構えたのが出発点であり、そこから優秀なチームが育った。多くのメンバーが10〜15年にわたってブランドを支えてくれている。

MTM、MTOの事業は、特に日本での反応がいい。デザインや品質、クラフツマンシップへの理解が深く、制服的な美学やカスタムメイドの思想に深く共鳴していただける。私たちにとって、最も成熟したマーケットの一つだ。

WWD:今後の店舗戦略については。

ロドリゴ:現在、世界で120以上の直営店と、10~15のフランチャイズ店舗を展開している。2023年には韓国市場でもフランチャイズから直営に切り替え、現地チームがそのまま運営を担っている。 25年には、売上全体の約3分の2を直営が、残りの3分の1を卸が占める構成になる見込みだ。これが私たちにとって、最も健全で合理的なリテールネットワークだと考えている。大規模な拡大フェーズはすでに終了しており、今後は立地を厳選した出店が中心になる。

WWD:ラグジュアリーブランド全体では急成長のフェーズを終え、成長が鈍化してきている。その中で成長戦略をどう描く?

ロドリゴ:まず、カテゴリーで言えば、今後さらに伸ばせるのがアクセサリーとシューズだ。特にシューズには大きな成長余地があると見ている。アイウエアにも注力しており、日本製の最高品質のプロダクトを自社で製造している。

ブランド全体としては、適切な顧客接点さえ築ければ、今も成長の余地があると確信している。「トム ブラウン」はメンズ、ウィメンズ、キッズまでを展開し、コンセプチュアルなショーピースからポロシャツのようなクラシックアイテムまで、非常に幅広いプロダクトを網羅している。さらに、ベストカスタマープログラムやショー、MTM、MTOといった多様な顧客接点においても高い信頼と実績を築いてきた。

今の時代、「なんとなく買う」という消費は少ない。求められるのは、独自性のあるプロダクトと、深く持続的な顧客接点。その両方を備えるのが、私たちの直営ネットワークだ。

「トム ブラウン」は、ラグジュアリーライフスタイルブランドとして、あらゆる年齢・性別の顧客に応えていく。たとえばポロシャツひとつを買ってもらうにしても、MTMと同じくらい洗練された体験を提供する。それこそがこのブランドの独自性であり、ラグジュアリー市場における存在意義になりうるだろう。

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ロレアル、英スキンケア「メディケイト」の過半数株式を取得

ロレアル(L’OREAL)は9日、英国発のスキンケアブランド「メディケイト(MEDIK8)」の過半数株式を取得することで合意したと発表した。買収後も欧州の中堅PEファンドであるインフレクション(INFLEXION)が少数株主として残るほか、「メディケイト」のエリオット・アイザックス(Eliot Isaacs)創業者は取締役会に留まり、経営委員会も現体制を維持する。なお、ロレアルは将来的に少数株主の持ち分の全株を取得できる権利も保持する。金額など契約条件の詳細は非公開。

ロレアルは声明で、「当社のラグジュアリーポートフォリオに、科学的裏付けと実績のあるプレミアムスキンケアブランドを加えることで、グローバルな成長をさらに加速させる」とコメント。シリル・シャピュイ(Cyril Chapuy)=ロレアル リュクス事業本部プレジデントは、「高い効果を手に取りやすい価格で提供する『メディケイト』は、当社の既存ポートフォリオを理想的に補完する」と述べた。さらに、「『メディケイト』のグローバル市場におけるポテンシャルを確信している。世界的なブランドへと共に成長していけることを楽しみにしている」と期待を寄せた。

「メディケイト」のサイモン・コーブル(Simon Coble)最高経営責任者(CEO)は、「われわれのビジョンと価値観を共有し、科学とイノベーション、そして結果重視の理念を共にする企業と力を合わせられることに大きな意義を感じている。今後はより多くの人々に革新的な製品を届けたい」と述べた。

ペプチド美容液が急成長をけん引

『メディケイト』は2009年に設立。世界の7000以上のクリニックで製品を展開している。ブランドの主力製品である“クリスタル レチナール ”は、ビタミンCと日焼け止めを朝に、ビタミンAを夜に使うという独自の“CSAフィロソフィー”を提唱する。23年に米国市場に進出し、“リキッド ペプチド アドバンスト MP セラム”をはじめとするペプチド製品が成長の原動力となった。25年の売上高は約1億1500万ドル(約164億4500万円)に達すると推定されている。

ロレアルは声明で「メディケイト」について、「プロフェッショナルブランドの原点に忠実でありながら、欧州で最も有力なECおよび実店舗でオムニチャネル戦略を推進し進化している。米国でも存在感を高めている」と評価している。

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カナダグース、24年は増収増益 ハイダー・アッカーマンのコレクションも好発進

「カナダグース(CANADA GOOSE)」の親会社であるカナダグース ホールディングス(CANADA GOOSE HOLDINGS以下、カナダグース)の2025年3月期決算は、売上高が前期比1.1%増の13億4840万カナダドル(約1415億円)、営業利益は同31.8%増の1億6410万カナダドル(約172億円)、純利益は同78.3%増の1億360万カナダドル(約108億円)の増収増益だった。

地域別での売上高は、本拠地であるカナダが同2.3%減の2億4060万カナダドル(約252億円)、米国は同4.4%増の3億3890万カナダドル(約355億円)だった。景気停滞が続く中華圏は同1.0%増の4億2650万カナダドル(約447億円)と微増だったものの、アジア太平洋地域(中華圏を除く)は同31.4%増の1億1130万カナダドル(約116億円)と好調。EMEASA(欧州・中東・アフリカ・南米)は同9.7%減の2億3110万カナダドル(約242億円)だった。

トランプ関税の影響は?

ダニー・リース(Dani Reiss)会長兼最高経営責任者は、「プロダクト開発や小売りの強化、ブランド力のさらなる向上、効率性の改善などを軸とした戦略が奏功し、24年度も素晴らしい業績となった。25年度も引き続き製品カテゴリーを拡大し、顧客体験をいっそう充実させることで、長期的かつ持続的に成長していく」と語った。

なお、同社によれば、製品の75%はカナダ国内で、残り25%は欧州で製造しているため、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税の引き上げによる影響は「ほとんどないか、あっても最小限で済む」見込みだという。一方で、不安定な社会情勢やマクロ経済の先行き不透明感が続いていることから、25年度の業績の見通しは発表しなかった。

ハイダー・アッカーマン=クリエイティブ・ディレクターについて

「カナダグース」は24年5月、ブランド初のクリエイティブ・ディレクターとしてハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)を迎えた。同氏が初めて手掛けたカプセルコレクションは、ブランドが1990年代まで展開していた伝統的なレーベル“スノーグース(SNOW GOOSE)”の下、2024年11月下旬に発売。アウターのほか、フーディーやジョガーパンツ、Tシャツなど通年着用できるアイテムもあり、ホリデーシーズンの売り上げに大きく貢献した。なお、26年春夏シーズンからは、“スノーグース”に加えてメインコレクションにもハイダーのビジョンを拡大しているという。

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7月開業の大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」 一部施設を初公開!現地で見えた注目ポイント

沖縄県北部に7月25日に開業予定の「ジャングリア沖縄(JUNGLIA OKINAWA)」が6日、施設の一部であるパーク入り口と「スパ ジャングリア(SPA JUNGLIA)」を報道陣に公開した。

同施設は那覇空港から車で約1時間半の沖縄県今帰仁村(なきじんそん)に位置する。“興奮とぜいたくを体験するパワーバカンス”をコンセプトに掲げ、60ha(東京ドーム約13個分)の敷地内に、大自然と調和する屋外空間と開放感のある屋内空間を展開する大型テーマパークだ。

パークに入場する時、まず目の前に現れる巨大なオブジェが「ジャングル ツリー」。直径12m、高さ14.5mという圧倒的なスケールを誇る施設のシンボルだ。ガジュマルやデイゴなど沖縄を代表する約10種の樹木が植えられており、“どんな環境でも生き抜く生命力”や“内からあふれだす力強さ”を表現した。また、この樹木や草花は定期的に植樹されるという。

そして、今回初公開となった施設「スパジャングリア」は2万6000㎡の広さを誇るスパ施設。最大の注目は、“世界最大の広さ”とギネス世界記録に認定されたインフィニティ風呂。男湯、女湯あわせて82㎡から、やんばる(沖縄本島北部)の大自然を堪能できる。

また、インドアバスには地下1600mから湧き出す天然温泉「今帰仁の湯」を楽しめる温泉や“洞窟風呂”も配置。幅広いラインアップの風呂とサウナ施設を楽しめる。

スパ施設に併設されたレストラン&バー「トロピカル オアシス」では絶景を臨みながら、県産食材を用いた南国リゾートらしい色彩溢れる美食体験ができる。

内覧会では県産のマグロともずくをふんだんに使用した冷製パスタ“冷製パスタ~マグロ、もずく、シークワーサー~”(1700円)などが披露された。ちなみに、こちらのレストランはパークやスパに入園しなくても外来利用できる。

また、パーク内レストランで楽しめる看板メニューも披露。エントランスビレッジに位置する「パノラマ ダイニング」でオーダーできる県産卵を恐竜の卵に見立てたポテトサラダ“ザウルス ウッフ”(1200円)、パイナップル、マンゴー、オレンジをブレンドしたパノラマビューに映えるカクテル“PANORAMAカクテル~サンセット イン ザ ジャングル~”(2000円)

パーク中心部に位置する屋外レストラン「ワイルド バンケット」で楽しめる、手づかみでがぶりつく葉つきのトウモロコシ“THE WILD グリルコーン”(1000円)、石垣牛で育った黒毛和牛の粗びきパティを香ばしく焼き上げたハンバーガー“THE WILD ビーフバーガー~石垣産黒毛和牛~”(2000円)などが紹介された。

そのほか22のアトラクションを有すテーマパークや飲食施設については、後日、改めて披露される。なお、オープン当日7月25日のパーク入場チケットは反響を考慮し、現在発売を見合わせ中。26日以降のパークやスパの入場チケット、および25日のスパチケットはオンラインから購入できる。

■ジャングリア沖縄
住所:沖縄県国頭郡今帰仁村字呉我山553番地1
営業時間:変動制のため、公式サイトで要確認
料金:1 Dayチケット:(国内在住者)大人6930円、子ども4950円
           (一般料金)大人8800円、子ども5940円
   スパチケット(スパ施設のみ利用):(国内在住者)大人2640円、子ども1540円
(一般料金)大人3080円、子ども1870円
*大人12歳以上、子ども4歳~11歳、3歳以下は無料
*非国内在住者は一般料金、現地購入時には国内在住の証明提示が必要
*チケットは公式サイトで事前購入がおすすめ https://junglia.jp/

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直感的で成果が出せる! チームを動かす在庫情報共有の秘訣

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第9話を取り上げます。

色で“見える化”された在庫状況が、現場を動かす

今回のテーマは「直感的で成果が出せる!チームを動かす在庫情報共有の秘訣」です。

マンガ「在庫管理の魔術」の第9話は コチラ

前回の最後で、主人公の徹が店長を務める渋谷店は、商品の在庫状況を数字ではなく、色で識別できるように可視化することに取り組みました。

基準在庫である20日分の在庫に対して、現在庫が3分の1を下回ったら「赤」、3分の1から3分の2は「黄」、3分の2以上なら「緑」といった具合です。「赤」になったら、予想よりも売れ行きが良いから欠品にならないように基準在庫量を上げて多めに補充発注(積み増し)する。「黄」は予想通りに売れているから基準在庫量はそのまま。「緑」は予想よりも売れ行きが悪いので過剰在庫にならないように基準在庫量を下げて、少し売れたとしても補充発注を控えるといった在庫管理方法です。

主人公の元上司は、基準在庫を売れ行きに応じて自動的に上げ下げする、この管理方法を「ダイナミック・ターゲット・マネジメント(DTM)」と名付けました。

在庫状況を数字で見るよりも、色で示す、つまりビジュアル化することは、誰でも直感的に気づきを得ることができ、すぐに行動に移せるので、短期で成果が見込めます。

読者の皆さんも、会議で数字が羅列された資料を出されて、理解するのに苦労した経験があるでしょう。もし、それらの数字が信号機のように3色くらいで色分けされていれば、緊急度や優先順位を一目で確認できるでしょう。取り扱いSKU数が多ければなおさらです。筆者のコンサル先でも、表計算ソフトを駆使してデータを色分けし、判断基準にすることで、意思決定のスピードを高めているアパレル事業者もあります。

こうした色付けによる可視化の効果は、担当者本人だけに役立つものではありません。倉庫や取引先など、サプライチェーンの上流側の人たちと共有すれば、彼らも温度差少なく店頭の状況をすぐに理解できるようになりますし、次にどんな仕事を頼まれそうか予測ができるようになり、先回りして仕事の準備をするようなこともできるようになります。

仕事のモチベーションの向上にもつながる

併せて、サプライチェーンの上流の人たちが、自分たちがやった仕事が、店頭でどのように役に立っているのかを知ることは、仕事のモチベーションの向上にもつながります。

今回のストーリーの1ページ目で、地域倉庫のマネジャーである元上司は「(倉庫にも共有してくれれば)店頭の売り
上げが見えて現場のモチベーションも上がる」と語っていますね。

上流の人たちは自分の行動がどれだけ業績に貢献しているかが把握しにくいので、自分たちが作ったものの売れ行きが良ければモチベーションの向上につながるのです。誰だって役に立ちたいと思って仕事をしていますからね。

売り上げや売れ筋商品など業績に関する情報は競合企業に知られたくない、外に出したくないと思う企業も少なくありません。しかし、精緻な数値の開示まではしなくても、情報として共有することで、関係者全員とウィン・ウィンの関係を築けるのです。

売上情報が工場を動かす時代

日本の某大手SPAも、店頭の個々の商品の売れ行き情報を、それらを製造している工場にリアルタイムで伝え、追加生産に備えさせていることで知られています。工場もただ言われた仕事をするだけでなく、自ら優先順位を決めて取り組むことで、店頭での売り上げに貢献している実感が得られることができるというわけです。

みなさんの会社やお取引先ではどのように情報共有をされていますか?

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アッシュ・ペー・フランスの社長にプラダ日本法人出身の富高健一郎氏

アッシュ・ペー・フランス(以下、HPF)の社長が6月1日、交代した。富高健一郎新社長は早稲田大学卒業後、プラダジャパンに在籍。25年間にわたり、財務中心に管理部門で活躍したラグジュアリービジネスのプロだ。

欧米ファッションブランドのセレクトショップなどを運営するHPFは今年創業40周年。冨岡社長は、「“美意識の記憶から、新しい世界をつくる”という新しいコンセプトを掲げ、変化の時代にふさわしい企業として新しい価値を提供したい」と述べている。

佐々木貞夫前社長は、引き続きHPFの取締役を務め、親会社である企業再生企業のBrighten Japanのグループ会社であるBrighten Fashionの社長に就任した

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「演劇や批評はやりたくなかった」 かもめんたる・岩崎う大が語る「不得意な仕事をやる理由」

PROFILE: 岩崎う大/芸人、劇作家、脚本家、演出家、漫画家

PROFILE: (いわさき・うだい) 1978年9月18日生まれ。東京都出身。幼少期を湘南で過ごした後、西東京市で暮らす。中学3年生から高校までオーストラリアへ移住。高校卒業後、帰国子女として早稲田大学政治経済学部政治学科入学。大学でお笑いサークル「WAGE」に参加、在学中の2001年にプロデビュー。05年までWAGEとして活動した後、06年に槙尾ユウスケと「劇団イワサキマキヲ」を結成。10年にコンビ名を「かもめんたる」に改名。その後「キングオブコント2013」で優勝。15年には「劇団かもめんたる」を旗揚げ。20年と21年に2年連続で岸田國士戯曲賞に最終ノミネート。芸人、劇作家、脚本家、演出家、漫画家など、多岐にわたり活動中。

かもめんたるとして、「キングオブコント2013」で優勝し、20年と21年に2年連続で岸田國士戯曲賞に最終ノミネートされるなど、芸人や劇作家、脚本家、演出家、漫画家など、多岐にわたる分野でその才能を発揮する岩崎う大。5月には自身の半生を綴った初の自伝的エッセイ「かもめんたる岩崎う大のお笑いクロニクル 難しすぎる世界が僕を鬼才と呼ぶ」(扶桑社)を出版した。

同書は、幼少期からへ現在に至るまで、岩崎のお笑い・芸人に対する思いとともに、2000年代のお笑いシーンが当事者の視点で書かれており、当時を知る貴重な記録にもなっている。今回、岩崎に出版に至る経緯や相方・槙尾ユウスケ、そして芸人という仕事について語ってもらった。

「神様の采配はすごいな」と改めて感じた

——今回の本は、う大さんの半生を振り返るノンフィクションですが、編集者からの最初のオファーはどのようなものだったのでしょうか?

岩崎う大(以下、岩崎):最初は、僕の半生を振り返りながら、その時代時代のお笑い、特に売れている芸人たちを分析するような本にしようかという話でした。僕の半生と、その時のエピソードに基づいた芸人さんの話を半々で、みたいな。でも、書き進めていくうちに、どんどん自分の半生について書くことが増えていって、結果的にはほとんど自分の話になりました。芸人という、ある意味特殊な職業の体験的な面白さもあるかなと。普通の人間だと思っている自分が芸人の道に進むのは、僕の中では当たり前だったけど、他人から見れば異常なこと。それを追体験してもらえるような形になっていきましたね。

——当初の構想から変わっていったことについて、軌道修正の話はなかったのですか?

岩崎:特に言われなかったですね。言われたらどうしようかな、とは思っていましたけど(笑)。

——読んでいて、う大さんの記憶力、特に感情の移り変わりの記述の克明さに驚きました。

岩崎:昔のことは、特に印象に残っていることを書いているだけなんですけどね。芸人になってからは、自分のブログとか、ネット上にあったライブのレポートとかも参考にしました。そういうのを見ると、当時のことを思い出したりして。意外と賞レースでその時に何のネタをやったかとかは覚えてないんですよね。ネット上の情報を頼りにしながら、本当に覚えていたことも含めて、心に刻まれている部分を書いていった感じです。

——半生を振り返ってみて、新たに気づいたことはありましたか?

岩崎:この本の最後にも書いたんですけど、やっぱり「神様の采配はすごいな」と改めて感じましたね。人生のいろんな関門が、それぞれつながっているんだなと。当時は無我夢中だったけど、振り返るとそう思います。

相方・槙尾ユウスケの存在

——ご自身の創作スタンスを「人間愛」に置いていると書かれていますが、この本もまさに人間愛に溢れていると感じました。ご家族や相方の槙尾(ユウスケ)さんなど、周りの人々が非常に魅力的に描かれています。

岩崎:槙尾のことも、そう感じました? だとしたら、良かったです(笑)。

——ダメな部分も含めて魅力的でした。その槙尾さんを芸人としてどのように評価されていますか?

岩崎:(少し考えて)槙尾は、まず、かもめんたるとしては、僕がやりたいことを忠実に再現しようとしてくれる。そこに驚嘆しますね。普通、もっと自我を出したくなるんじゃないかなって。それは彼の素質なんだと思います。あとは、もしかしたら一般の人の感覚を持っているのかもしれないけど、それが芸人の中では異常なんです。普通の感性を持ったまま芸人界に乗り込んできている感じ。一番人間らしいのかもしれないですね。

——具体的にはどういうところに、それを感じますか?

岩崎:昔、楽屋に誰かがハブ酒を持ってきたことがあったんです。それを見て槙尾が「これ飲んだらもう、こっちとかこうでしょ」みたいな(股間で腕を突き上げる)ジェスチャーをしたんです。それが、ものすごく嫌で(笑)。あんまり芸人がやらない感じというか、彼自身もやりそうにないのに、普通にやる。商店街のおじさんっぽくもあり、嫌な上司っぽくもある。街にいる嫌なサラリーマンみたいなのが濃縮されているんですよね。飲み会で言ったら嫌われるようなことを平気でやっちゃう、そこが奇妙ですね(笑)。

——本書で書かれている槙尾さんがバイト代の25%を、ネタを書いているう大さんに払っていたという話に驚きました。

岩崎:あれもそうかもしれないですね、彼の中のビジネス感覚というか。優しい部分でもあると思うし、僕が一生懸命やっているのを認めてくれていたとも思います。本当にありがたかったし、それによって僕の精神衛生もすごく良くなった。お金にならない仕事に向き合うのって、しんどい時もあるけど、「槙尾も頑張ってるんだし」って思えたことで、1年でやれることが倍ぐらいになった気がします。

——練習でネタを録音するというのも、槙尾さんの提案だったとか。

岩崎:そうなんです。俺は最初、抵抗感があったんですけど、彼は今でも毎回ネタをちゃんと録音して送ってくれる。実際にネタを直す時に聞いたりしてるんで、当たり前のことだけど、芸人は意外とやらない。そういう当たり前をやるのが、槙尾なんですよね。

——コンビ仲が険悪になって一度、コンビの活動をセーブし、個人の活動をメインにされた時期があったそうですね。あの時の決断はどのような考えからだったのでしょう?

岩崎:あの時は、お互いにもう感謝できない状態でした。相手のことをリスペクトできない、大事に思えない。そうなってしまった以上、お互いの責任だから、一度別れて、それぞれに必要な試練が来るだろうと。コンビの問題を相手のせいにしている状態は意味がない。別れて、それぞれが受け取るべきものを受け取ろう、運命に委ねようという感覚でした。本当に瀕死の状態だったんです、精神的に。

——それを経て、現在のかもめんたるの関係性はいかがですか?

岩崎:結局、その終わり方もうやむやな感じだったんです。僕はいろいろと仕事があって忙しくしていたけど、槙尾は本当に何も言ってこなくて。「まだ謝らないのか」「すごい強情だな」とか思ってました(笑)。でも、2021年に「M-1」に挑戦しようってなったのが大きかったかな。結局、俺から軍門に下った形かもしれないけど(笑)。「M-1」っていう大きな目標ができたことで、2人の間のわだかまりはあまり気にならなくなった。もちろん、その過程で「こんなに話が通じないのか」って思うこともあったけど、それも必要な経過だったのかなって。分からないところはやらずに、通じるところで表現する。そうやって、あの漫才が形になったんだと思います。今は、槙尾がカレー屋さんを始めて、生活のリズムが正しくなったのか、だいぶメンタルも回復して、前より接しやすい人になりましたね。

賞レースの意義

——「M-1」への挑戦から「THE SECOND」、今年は「ダブルインパクト」にもエントリーされていますね。

岩崎:「THE SECOND」も普通に出て、やっぱり漫才も面白いなと。「M-1」が終わって、もう漫才はやらないかなと思っていたら、「THE SECOND」が始まった。6分という尺も良くて、面白いものができるなと。今年はスケジュールの都合で出られなかったんですけど、「ダブルインパクト」があると聞いて、もちろんやるっしょ、と。純粋にうれしいです。「俺たちのための大会」ぐらいの気持ちで臨んでます。

——近年、賞レースが増えていますが、この状況をどう思われますか?

岩崎:お笑いが盛り上がってるってことだから、いいことだと思います。チャンスがいっぱいあるのは良いこと。やってる方は大変だけど、それが仕事ですから。全部出る人もいれば、一つに絞る人もいる。それぞれのやり方でいいんじゃないかな。僕らは若手の頃、量産型だったので、いっぱい作れることをアピールできる場があるのは良いことだと思いますね。

——本の中で「キングオブコント」によって「漫才とコントがこの15年間でしっかりと住み分けされた」と書かれていますね。

岩崎:「キングオブコント』は、第1回から割とそこをはっきり打ち出していたんじゃないかなと、今振り返ると思いますね。歴史を歩むごとに、芸人も傾向と対策を練って、よりその方向に進んでいった。決勝に上がるメンバーのチョイスが、その方向性を決定づけていった気がします。特に、2009年に東京03さんがサンドウィッチマンさんに勝った時は、単純な面白さ以上に、「コントってこういうことだよね」っていう方向性が示されたようで、印象的でしたね。

——「キングオブコント」優勝後、バラエティー番組で苦しんだ時期があったそうですが、現在はどうですか?

岩崎:今は、前よりも楽しく臨めるようになりました。10年以上経って、少しずつ自分のキャラクターが浸透してきたし、自分も慣れてきた。優勝直後は「なんだこの若者は」っていう状態だったけど、今は「お笑いにうるさそう」「演劇とかやってるおじさん」みたいなイメージがあるから、自分のスタイルを出しやすくなった。当時は、自分でもどういうことを言う人間か分かってなくて、当たり障りのないことしか言えなかった。そりゃうまくいくわけないですよね。

——最近では「マツコ&有吉かりそめ天国」(テレビ朝日)でのファイヤーショーのように体を張ることもやられていますね。

岩崎:ああいう仕事はまさにやりたかったことですね。「お笑いにうるさそう」なおじさんが、それとは真逆なことをやっているというのが面白いんだろうなっていうのもありますし、僕の中にはやっぱり人に笑ってもらいたいっていうのがあるんですよね。

お笑い批評とコンプライアンス

——お笑いの批評や審査員の経験は、ネタ作りに影響を与えていますか?

岩崎:批評は、みんなやったらいいと思うぐらい、勉強になりますね。自分のネタ作りにも反映されます。自分ならどうするか、という頭の体操になるし、アイデアの引き出しも鍛えられる。自分の作品を添削する時も、より冷静な目で見られるようになっている気がします。じわじわと底上げされている感じですね。

——昨今、いわゆるコンプライアンスが厳しくなっている状況は、ネタ作りに影響しますか?

岩崎:細かい部分で「こんなに厳しいんだ」と驚くことはありますけど、そもそも笑いって、そういうものをくぐり抜けて表現するから面白いっていう共通認識があると思うんです。ただ、コンプライアンスの基準が、今はまだ人や媒体によってバラバラだから、「常識がなんだか分からない」状態。それが一番難しい。それをどう華麗にクリアするか、という部分で楽しめているところもあります。表現している以上、誰かを傷つけてしまうことはあると思うんですよ。例えば、交通事故を題材にすると、それで身内が亡くなった人は必ずいますから。でも、昔から悲劇や不謹慎と言われるものの周辺に物語や笑いは生まれてきたし、それはある意味しょうがない部分かなと思っています。

——ネタ作りをする上で、譲れない部分はありますか?

岩崎:かもめんたるでやるネタに関しては、「自分たちがやる意味があるのか」ということは常に考えています。面白いのは当たり前として、自分たちの最大限の面白さを出すためには、やっぱり自分たちがやるべきネタであることが重要だと思っています。

——本の中で、小島よしおさんやカンニング竹山さんの助言を素直に聞いているのも印象的でした。普段からそういうスタンスなのですか?

岩崎:僕は、自分でルールを決めるのが苦手なんです。大喜利のお題を考えるのが苦手なのと近いかもしれない。与えられたフィールドの中で笑いを作る方が性に合っている。だから、ネタの中身は自分で決めたいけど、外のことに関しては、「難しそうだけどやってみます」というスタンス。人の意見が入ってないものって、やっぱり弱いと思うし、異物が入ってきて、それを乗り越えようとするところに表現や笑いが生まれる気がするんです。

——批評や演劇も、もともとはやりたくなかったとおっしゃっています。「やりたくないことをやる意義」についてはどうお考えですか?

岩崎:やりたくないことって、結局、よく分からないことや、自分の偏見で「ダサい」と思っていることだったりする。つまり、自分の外にある価値観ですよね。そういうところに飛び込んでみると、意外とちゃんとしたルールがあったり、面白い表現があったりして、自分の本業に返ってくることがある。神様の采配は見事だと思うから、やってみたら自分が思ってもみない展開になるんじゃないか、という興味もありますね。

——よく言われる「好きなことは売れてから」というのは本当だと思いますか?

岩崎:自分はまだそこまで行けてないんだなっていう気はしますね。ただ、そこまで行ける人なんてほぼいないんですよ。だからとっととやるべき。与えられたミッションの中に好きなことを入れていくしかないんだと思いますね。

——今では脚本家や漫画家など、さまざまな肩書きをお持ちですが、やはり呼ばれたい肩書きは「芸人」ですか?

岩崎:そうですね、芸人はやっぱり「憧れ」です。ずっと憧れている人生でもいいのかな、とも思います。今やっていることを突き詰めていっても、自分が最初に憧れた「芸人」という言葉から受ける印象とは、ちょっと違うような気がするんです。みんな、どこかでそういう感覚を持っているんじゃないかな。最初に自分がなりたいと思った芸人になれている人が、どれだけいるのか興味がありますね。

——「自分で作るお笑いが好き」「自分のファンだ」 という言葉が印象的でしたが、その気持ちを持ち続けるために大事にしていることは?

岩崎:過去にやったことをなぞらない、ということですかね。毎回、新しく掘る。枯れたらおしまいだと思っているので、そこは自分を信用して、毎回ちゃんと掘る。枯れるまでやれたら最高ですね。

——今後、やってみたい新しいことはありますか?

岩崎:映画は撮りたいなと。ただ、準備しているわけではないんですが、いずれ撮るんだろうな、逆になんで今まで撮ってないんだろうな、という気もしています。構想はまだまったくないんですけどね。それも神様がいい采配をしてくれるんだろうなと思ってます。

——英語も堪能ですが、海外に向けて何かやりたいという考えは?

岩崎:それも、何か必要に駆られてやりたいですね(笑)。「お願いします、できませんか?」って言われたら、やってみたいです。

家族と芸人

——この本は、奥様へのラブレター的な部分もあると感じました。どういったところに惹かれたのですか?

岩崎:ああ、まあ、明るいところかなあ。かわいいですよ、うちの妻(笑)。楽天主義なところもあるし。あと、うちの母とうまくやってくれてるところ。母の扱いが上手なんです。

——お母さまも強烈なキャラクターのようですね。

岩崎:そうなんですよ。うちの妻じゃないと離婚されてるかもしれないですね。母は優しいんですけど、それが度が過ぎちゃうというか。今は、ドライな関係が多いじゃないですか。うちに来た以上は娘よみたいな感覚だから、それに耐えられない人は多いかもしれないですね。

——奥様は、う大さんのことを面白いと言ってくれますか?

岩崎:俺の前では言ってくれてますし、他の芸人のネタでは笑わないですからね。気を使ってるのかもしれないけど、そこは頭のいい人ですよね(笑)。

——お子さんたちは、芸人としてのお父さんをどう見ていますか?

岩崎:そこは微妙ですね。あんまり評価はしてないんじゃないかなあ。しないでしょうね、子どもですから。長男は今、千鳥さんにめっちゃハマってます。僕と割と感覚は近いと思いますけど、かもめんたるのネタを好んでは見てないですね(笑)。

——ご家族の存在は、芸人をやっていく上でどういう影響がありますか?

岩崎:家族の会話はめちゃくちゃ聞いてますね。本音の会話だから、聞いてて楽しいし、会話劇の勉強にもなる。今、子供が大きくなり始めて、すごく寂しいんですよ。妻が幼かった頃の子供たちの写真を送ってくるんですけど、100%戻れないじゃないですか。これはすごいな、人生って思いますね。家族はめちゃくちゃ大事だし、この本は、僕に何かあった時に「お父さんこういう人だったんだよ」って分かる本になったなと思っています。

PHOTOS:MASASHI URA

芸人コンビ「かもめんたる」として活動する岩崎う大が、その半生を綴った初の自伝的エッセイ。そしてそれは、2000年代のお笑いシーンを当事者の視点で捉えた貴重な記録でもある。
著者:岩崎う大
判型:四六判
定価:1760円
出版社:扶桑社
https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594100650

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「演劇や批評はやりたくなかった」 かもめんたる・岩崎う大が語る「不得意な仕事をやる理由」

PROFILE: 岩崎う大/芸人、劇作家、脚本家、演出家、漫画家

PROFILE: (いわさき・うだい) 1978年9月18日生まれ。東京都出身。幼少期を湘南で過ごした後、西東京市で暮らす。中学3年生から高校までオーストラリアへ移住。高校卒業後、帰国子女として早稲田大学政治経済学部政治学科入学。大学でお笑いサークル「WAGE」に参加、在学中の2001年にプロデビュー。05年までWAGEとして活動した後、06年に槙尾ユウスケと「劇団イワサキマキヲ」を結成。10年にコンビ名を「かもめんたる」に改名。その後「キングオブコント2013」で優勝。15年には「劇団かもめんたる」を旗揚げ。20年と21年に2年連続で岸田國士戯曲賞に最終ノミネート。芸人、劇作家、脚本家、演出家、漫画家など、多岐にわたり活動中。

かもめんたるとして、「キングオブコント2013」で優勝し、20年と21年に2年連続で岸田國士戯曲賞に最終ノミネートされるなど、芸人や劇作家、脚本家、演出家、漫画家など、多岐にわたる分野でその才能を発揮する岩崎う大。5月には自身の半生を綴った初の自伝的エッセイ「かもめんたる岩崎う大のお笑いクロニクル 難しすぎる世界が僕を鬼才と呼ぶ」(扶桑社)を出版した。

同書は、幼少期からへ現在に至るまで、岩崎のお笑い・芸人に対する思いとともに、2000年代のお笑いシーンが当事者の視点で書かれており、当時を知る貴重な記録にもなっている。今回、岩崎に出版に至る経緯や相方・槙尾ユウスケ、そして芸人という仕事について語ってもらった。

「神様の采配はすごいな」と改めて感じた

——今回の本は、う大さんの半生を振り返るノンフィクションですが、編集者からの最初のオファーはどのようなものだったのでしょうか?

岩崎う大(以下、岩崎):最初は、僕の半生を振り返りながら、その時代時代のお笑い、特に売れている芸人たちを分析するような本にしようかという話でした。僕の半生と、その時のエピソードに基づいた芸人さんの話を半々で、みたいな。でも、書き進めていくうちに、どんどん自分の半生について書くことが増えていって、結果的にはほとんど自分の話になりました。芸人という、ある意味特殊な職業の体験的な面白さもあるかなと。普通の人間だと思っている自分が芸人の道に進むのは、僕の中では当たり前だったけど、他人から見れば異常なこと。それを追体験してもらえるような形になっていきましたね。

——当初の構想から変わっていったことについて、軌道修正の話はなかったのですか?

岩崎:特に言われなかったですね。言われたらどうしようかな、とは思っていましたけど(笑)。

——読んでいて、う大さんの記憶力、特に感情の移り変わりの記述の克明さに驚きました。

岩崎:昔のことは、特に印象に残っていることを書いているだけなんですけどね。芸人になってからは、自分のブログとか、ネット上にあったライブのレポートとかも参考にしました。そういうのを見ると、当時のことを思い出したりして。意外と賞レースでその時に何のネタをやったかとかは覚えてないんですよね。ネット上の情報を頼りにしながら、本当に覚えていたことも含めて、心に刻まれている部分を書いていった感じです。

——半生を振り返ってみて、新たに気づいたことはありましたか?

岩崎:この本の最後にも書いたんですけど、やっぱり「神様の采配はすごいな」と改めて感じましたね。人生のいろんな関門が、それぞれつながっているんだなと。当時は無我夢中だったけど、振り返るとそう思います。

相方・槙尾ユウスケの存在

——ご自身の創作スタンスを「人間愛」に置いていると書かれていますが、この本もまさに人間愛に溢れていると感じました。ご家族や相方の槙尾(ユウスケ)さんなど、周りの人々が非常に魅力的に描かれています。

岩崎:槙尾のことも、そう感じました? だとしたら、良かったです(笑)。

——ダメな部分も含めて魅力的でした。その槙尾さんを芸人としてどのように評価されていますか?

岩崎:(少し考えて)槙尾は、まず、かもめんたるとしては、僕がやりたいことを忠実に再現しようとしてくれる。そこに驚嘆しますね。普通、もっと自我を出したくなるんじゃないかなって。それは彼の素質なんだと思います。あとは、もしかしたら一般の人の感覚を持っているのかもしれないけど、それが芸人の中では異常なんです。普通の感性を持ったまま芸人界に乗り込んできている感じ。一番人間らしいのかもしれないですね。

——具体的にはどういうところに、それを感じますか?

岩崎:昔、楽屋に誰かがハブ酒を持ってきたことがあったんです。それを見て槙尾が「これ飲んだらもう、こっちとかこうでしょ」みたいな(股間で腕を突き上げる)ジェスチャーをしたんです。それが、ものすごく嫌で(笑)。あんまり芸人がやらない感じというか、彼自身もやりそうにないのに、普通にやる。商店街のおじさんっぽくもあり、嫌な上司っぽくもある。街にいる嫌なサラリーマンみたいなのが濃縮されているんですよね。飲み会で言ったら嫌われるようなことを平気でやっちゃう、そこが奇妙ですね(笑)。

——本書で書かれている槙尾さんがバイト代の25%を、ネタを書いているう大さんに払っていたという話に驚きました。

岩崎:あれもそうかもしれないですね、彼の中のビジネス感覚というか。優しい部分でもあると思うし、僕が一生懸命やっているのを認めてくれていたとも思います。本当にありがたかったし、それによって僕の精神衛生もすごく良くなった。お金にならない仕事に向き合うのって、しんどい時もあるけど、「槙尾も頑張ってるんだし」って思えたことで、1年でやれることが倍ぐらいになった気がします。

——練習でネタを録音するというのも、槙尾さんの提案だったとか。

岩崎:そうなんです。俺は最初、抵抗感があったんですけど、彼は今でも毎回ネタをちゃんと録音して送ってくれる。実際にネタを直す時に聞いたりしてるんで、当たり前のことだけど、芸人は意外とやらない。そういう当たり前をやるのが、槙尾なんですよね。

——コンビ仲が険悪になって一度、コンビの活動をセーブし、個人の活動をメインにされた時期があったそうですね。あの時の決断はどのような考えからだったのでしょう?

岩崎:あの時は、お互いにもう感謝できない状態でした。相手のことをリスペクトできない、大事に思えない。そうなってしまった以上、お互いの責任だから、一度別れて、それぞれに必要な試練が来るだろうと。コンビの問題を相手のせいにしている状態は意味がない。別れて、それぞれが受け取るべきものを受け取ろう、運命に委ねようという感覚でした。本当に瀕死の状態だったんです、精神的に。

——それを経て、現在のかもめんたるの関係性はいかがですか?

岩崎:結局、その終わり方もうやむやな感じだったんです。僕はいろいろと仕事があって忙しくしていたけど、槙尾は本当に何も言ってこなくて。「まだ謝らないのか」「すごい強情だな」とか思ってました(笑)。でも、2021年に「M-1」に挑戦しようってなったのが大きかったかな。結局、俺から軍門に下った形かもしれないけど(笑)。「M-1」っていう大きな目標ができたことで、2人の間のわだかまりはあまり気にならなくなった。もちろん、その過程で「こんなに話が通じないのか」って思うこともあったけど、それも必要な経過だったのかなって。分からないところはやらずに、通じるところで表現する。そうやって、あの漫才が形になったんだと思います。今は、槙尾がカレー屋さんを始めて、生活のリズムが正しくなったのか、だいぶメンタルも回復して、前より接しやすい人になりましたね。

賞レースの意義

——「M-1」への挑戦から「THE SECOND」、今年は「ダブルインパクト」にもエントリーされていますね。

岩崎:「THE SECOND」も普通に出て、やっぱり漫才も面白いなと。「M-1」が終わって、もう漫才はやらないかなと思っていたら、「THE SECOND」が始まった。6分という尺も良くて、面白いものができるなと。今年はスケジュールの都合で出られなかったんですけど、「ダブルインパクト」があると聞いて、もちろんやるっしょ、と。純粋にうれしいです。「俺たちのための大会」ぐらいの気持ちで臨んでます。

——近年、賞レースが増えていますが、この状況をどう思われますか?

岩崎:お笑いが盛り上がってるってことだから、いいことだと思います。チャンスがいっぱいあるのは良いこと。やってる方は大変だけど、それが仕事ですから。全部出る人もいれば、一つに絞る人もいる。それぞれのやり方でいいんじゃないかな。僕らは若手の頃、量産型だったので、いっぱい作れることをアピールできる場があるのは良いことだと思いますね。

——本の中で「キングオブコント」によって「漫才とコントがこの15年間でしっかりと住み分けされた」と書かれていますね。

岩崎:「キングオブコント』は、第1回から割とそこをはっきり打ち出していたんじゃないかなと、今振り返ると思いますね。歴史を歩むごとに、芸人も傾向と対策を練って、よりその方向に進んでいった。決勝に上がるメンバーのチョイスが、その方向性を決定づけていった気がします。特に、2009年に東京03さんがサンドウィッチマンさんに勝った時は、単純な面白さ以上に、「コントってこういうことだよね」っていう方向性が示されたようで、印象的でしたね。

——「キングオブコント」優勝後、バラエティー番組で苦しんだ時期があったそうですが、現在はどうですか?

岩崎:今は、前よりも楽しく臨めるようになりました。10年以上経って、少しずつ自分のキャラクターが浸透してきたし、自分も慣れてきた。優勝直後は「なんだこの若者は」っていう状態だったけど、今は「お笑いにうるさそう」「演劇とかやってるおじさん」みたいなイメージがあるから、自分のスタイルを出しやすくなった。当時は、自分でもどういうことを言う人間か分かってなくて、当たり障りのないことしか言えなかった。そりゃうまくいくわけないですよね。

——最近では「マツコ&有吉かりそめ天国」(テレビ朝日)でのファイヤーショーのように体を張ることもやられていますね。

岩崎:ああいう仕事はまさにやりたかったことですね。「お笑いにうるさそう」なおじさんが、それとは真逆なことをやっているというのが面白いんだろうなっていうのもありますし、僕の中にはやっぱり人に笑ってもらいたいっていうのがあるんですよね。

お笑い批評とコンプライアンス

——お笑いの批評や審査員の経験は、ネタ作りに影響を与えていますか?

岩崎:批評は、みんなやったらいいと思うぐらい、勉強になりますね。自分のネタ作りにも反映されます。自分ならどうするか、という頭の体操になるし、アイデアの引き出しも鍛えられる。自分の作品を添削する時も、より冷静な目で見られるようになっている気がします。じわじわと底上げされている感じですね。

——昨今、いわゆるコンプライアンスが厳しくなっている状況は、ネタ作りに影響しますか?

岩崎:細かい部分で「こんなに厳しいんだ」と驚くことはありますけど、そもそも笑いって、そういうものをくぐり抜けて表現するから面白いっていう共通認識があると思うんです。ただ、コンプライアンスの基準が、今はまだ人や媒体によってバラバラだから、「常識がなんだか分からない」状態。それが一番難しい。それをどう華麗にクリアするか、という部分で楽しめているところもあります。表現している以上、誰かを傷つけてしまうことはあると思うんですよ。例えば、交通事故を題材にすると、それで身内が亡くなった人は必ずいますから。でも、昔から悲劇や不謹慎と言われるものの周辺に物語や笑いは生まれてきたし、それはある意味しょうがない部分かなと思っています。

——ネタ作りをする上で、譲れない部分はありますか?

岩崎:かもめんたるでやるネタに関しては、「自分たちがやる意味があるのか」ということは常に考えています。面白いのは当たり前として、自分たちの最大限の面白さを出すためには、やっぱり自分たちがやるべきネタであることが重要だと思っています。

——本の中で、小島よしおさんやカンニング竹山さんの助言を素直に聞いているのも印象的でした。普段からそういうスタンスなのですか?

岩崎:僕は、自分でルールを決めるのが苦手なんです。大喜利のお題を考えるのが苦手なのと近いかもしれない。与えられたフィールドの中で笑いを作る方が性に合っている。だから、ネタの中身は自分で決めたいけど、外のことに関しては、「難しそうだけどやってみます」というスタンス。人の意見が入ってないものって、やっぱり弱いと思うし、異物が入ってきて、それを乗り越えようとするところに表現や笑いが生まれる気がするんです。

——批評や演劇も、もともとはやりたくなかったとおっしゃっています。「やりたくないことをやる意義」についてはどうお考えですか?

岩崎:やりたくないことって、結局、よく分からないことや、自分の偏見で「ダサい」と思っていることだったりする。つまり、自分の外にある価値観ですよね。そういうところに飛び込んでみると、意外とちゃんとしたルールがあったり、面白い表現があったりして、自分の本業に返ってくることがある。神様の采配は見事だと思うから、やってみたら自分が思ってもみない展開になるんじゃないか、という興味もありますね。

——よく言われる「好きなことは売れてから」というのは本当だと思いますか?

岩崎:自分はまだそこまで行けてないんだなっていう気はしますね。ただ、そこまで行ける人なんてほぼいないんですよ。だからとっととやるべき。与えられたミッションの中に好きなことを入れていくしかないんだと思いますね。

——今では脚本家や漫画家など、さまざまな肩書きをお持ちですが、やはり呼ばれたい肩書きは「芸人」ですか?

岩崎:そうですね、芸人はやっぱり「憧れ」です。ずっと憧れている人生でもいいのかな、とも思います。今やっていることを突き詰めていっても、自分が最初に憧れた「芸人」という言葉から受ける印象とは、ちょっと違うような気がするんです。みんな、どこかでそういう感覚を持っているんじゃないかな。最初に自分がなりたいと思った芸人になれている人が、どれだけいるのか興味がありますね。

——「自分で作るお笑いが好き」「自分のファンだ」 という言葉が印象的でしたが、その気持ちを持ち続けるために大事にしていることは?

岩崎:過去にやったことをなぞらない、ということですかね。毎回、新しく掘る。枯れたらおしまいだと思っているので、そこは自分を信用して、毎回ちゃんと掘る。枯れるまでやれたら最高ですね。

——今後、やってみたい新しいことはありますか?

岩崎:映画は撮りたいなと。ただ、準備しているわけではないんですが、いずれ撮るんだろうな、逆になんで今まで撮ってないんだろうな、という気もしています。構想はまだまったくないんですけどね。それも神様がいい采配をしてくれるんだろうなと思ってます。

——英語も堪能ですが、海外に向けて何かやりたいという考えは?

岩崎:それも、何か必要に駆られてやりたいですね(笑)。「お願いします、できませんか?」って言われたら、やってみたいです。

家族と芸人

——この本は、奥様へのラブレター的な部分もあると感じました。どういったところに惹かれたのですか?

岩崎:ああ、まあ、明るいところかなあ。かわいいですよ、うちの妻(笑)。楽天主義なところもあるし。あと、うちの母とうまくやってくれてるところ。母の扱いが上手なんです。

——お母さまも強烈なキャラクターのようですね。

岩崎:そうなんですよ。うちの妻じゃないと離婚されてるかもしれないですね。母は優しいんですけど、それが度が過ぎちゃうというか。今は、ドライな関係が多いじゃないですか。うちに来た以上は娘よみたいな感覚だから、それに耐えられない人は多いかもしれないですね。

——奥様は、う大さんのことを面白いと言ってくれますか?

岩崎:俺の前では言ってくれてますし、他の芸人のネタでは笑わないですからね。気を使ってるのかもしれないけど、そこは頭のいい人ですよね(笑)。

——お子さんたちは、芸人としてのお父さんをどう見ていますか?

岩崎:そこは微妙ですね。あんまり評価はしてないんじゃないかなあ。しないでしょうね、子どもですから。長男は今、千鳥さんにめっちゃハマってます。僕と割と感覚は近いと思いますけど、かもめんたるのネタを好んでは見てないですね(笑)。

——ご家族の存在は、芸人をやっていく上でどういう影響がありますか?

岩崎:家族の会話はめちゃくちゃ聞いてますね。本音の会話だから、聞いてて楽しいし、会話劇の勉強にもなる。今、子供が大きくなり始めて、すごく寂しいんですよ。妻が幼かった頃の子供たちの写真を送ってくるんですけど、100%戻れないじゃないですか。これはすごいな、人生って思いますね。家族はめちゃくちゃ大事だし、この本は、僕に何かあった時に「お父さんこういう人だったんだよ」って分かる本になったなと思っています。

PHOTOS:MASASHI URA

芸人コンビ「かもめんたる」として活動する岩崎う大が、その半生を綴った初の自伝的エッセイ。そしてそれは、2000年代のお笑いシーンを当事者の視点で捉えた貴重な記録でもある。
著者:岩崎う大
判型:四六判
定価:1760円
出版社:扶桑社
https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594100650

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テンシャル、yutori、ハーリップトゥ……  業界の“台風の目”を生み出す石倉壱彦の投資哲学

 
 

PROFILE: 石倉壱彦/アカツキ 取締役 執行役員&CFO、Dawn Capital ジェネラルパートナー

石倉壱彦/アカツキ 取締役 執行役員&CFO、Dawn Capital ジェネラルパートナー
PROFILE: (いしくら・かずひろ)神奈川県出身。KPMGあずさ監査法人を経て、2013年にアカツキに入社し、コーポレート体制の立ち上げや株式上場準備に従事。2015年より株式会社3ミニッツのCFOとして経営管理部門を統括し、資金調達・経営戦略の立案・事業の立ち上げに従事し、同社のM&Aを牽引。2018年にアカツキの執行役員及びHeart Driven Fundのパートナーに就任。2022年4月にAkatsuki Venturesを立ち上げ、同社の代表取締役社長に就任。Dawn Capital代表パートナーとして投資事業に従事する PHOTO:REIKO KONDO
ファッション・ビューティ領域では近年、勢いのあるスタートアップ企業が次々と生まれ、業界に新しい風を吹かせている。
 
リカバリーウエア「バクネ(BAKUNE)」を引っ提げ、約183億円の時価総額で東証グロース市場に上場(6月4日時点で時価総額271億円)を果たしたテンシャル。片石貴展社長率いるアパレル企業のyutori。そんな近年の注目の企業・ブランドの成長支援を手掛けてきたのが、アカツキ傘下のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるDawn Capitalだ。 
 
石倉壱彦氏は同社の代表パートナーとして、ライフスタイル領域を中心に“人々の心を動かすサービスやプロダクト”を投資支援。個人としては「ハーリップトゥ(HER LIP TO)」を展開する小嶋陽菜のheart relationなどにおいて、コーポレートアドバイザーとしてもバックアップしている。ファッション・ビューティ業界でも台風の目となるブランドを生み出してきた立役者だ。そんな彼の投資哲学、次代を作るブランドの目利きについて聞いた。

WWD:まず、Dawn Capitalの出自と事業内容について教えてほしい。
 
石倉壱彦 Dawn Capitalジェネラルパートナー(以下、石倉):Dawn Capitalは、アカツキのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)として2022年に立ち上げた投資ファンドだ。前身は18年にスタートしたHeart Driven Fundで、当時からエンタメやライフスタイル領域を中心にスタートアップ投資を行ってきた。これまでに累計84社へ投資を行い、うちIPO5社・M&A7社のイグジットを果たしている。
 
WWD:CVCとしての特徴や強みは?
 
石倉:Dawn Capitalは、エンタメ事業を主軸とするアカツキが、ゲームなどで得た事業利益をもとに投資を行っている。我々が重視しているのは、「人の心を動かすプロダクトやサービス」への投資。単に事業計画や数値部分だけを見るだけでなく、その事業がどのような感情を喚起し、どのような新しい価値体験を創出しうるのかといった、“ワクワクするのか?という情緒的な意義”までを評価の対象としている。
 
そうしたアカツキのビジョンに一致するかを前提にしつつ、投資方針はあくまでも財務リターンを重視。CVCの多くが自社との事業シナジーを重視する方向性が強いが、我々は財務リターンを確実に出しながら、事業シナジーを創出する投資を、再現性高く行っていくことを目指している。2025年には過去の投資額を回収する“リクープ”を達成した。
 
我々のスタンスは、投資して終わりではない。投資後はブランド戦略、マーケティング、PR、資金調達、大企業との協業、プロダクト開発に至るまで、本当に手を動かしながら支援する。私自身もスタートアップの経営経験を持っており、単なる“出資者”ではなく、経営チームの一員として並走する姿勢を貫く。それがDawn Capitalのスタイルだ。

 
WWD:投資先の好事例は?
 
石倉:まず挙げたいのが、冷凍ヘルシーミールのD2Cを展開している「グリーンスプーン(GREEN SPOON)」。事業が成長している中で、ファミリーマートとの協業や著名人とのコラボレーションを支援し、メディア露出やブランドの拡張を更に加速し、速いスピードで江崎グリコとのM&Aが実現した。
 
もう一つ印象的な事例が、「ロイブ(LOIVE)」「pilates K」などの女性専用フィットネススタジオを全国で展開するライフクリエイト(LIFE CREATE)。われわれは、彼女たちが上場を目指して店舗を急拡大するタイミングで約7億円の投資を行い、同時に金融機関からの約15億円の融資を主導した。加えて、コロナ禍でスタジオ運営が困難となった時期には、金融機関からの大きな融資が受けられるまでの期間、通常の出資ではなく、約2億の融資を行った。
 
そして単なる資金提供にとどまらず、コーポレート機能、販路開拓、人材の紹介、ファイナンス設計にまで踏み込んで支援を行ってきた。

意見しない投資家に「価値なし」
テンシャルのブレイクを後押し

WWD:アパレル企業にも積極的に投資しているが、たとえば近年では、リカバリーウエア「バクネ」のテンシャルが話題の上場企業となっている。どのような点にポテンシャルを感じたのか。
 
石倉:彼らとの出会いは、もともとスポーツや健康に特化したメディアを運営していた頃にさかのぼる。月間4000万〜5000万円規模のアフィリエイト送客を実現できるほどSEOに強く、「このチームは市場のニーズを正確に捉えている。ユーザーの求めるものにも非常に敏感だ」と感じた。
 
最初に手がけたプロダクトはインソールだった。正直「なぜインソールなのだろうか」とは思ったが、それでもしっかりと売り上げを作っていた。コロナ禍が到来したときも、彼らはいち早くマスクを開発し、月商1億円を突破するまでに至った。
 
そのスピード感と柔軟性に感服した感じた半面、「この波が去った後、何を作れるか?」が真の勝負だと考えた。だから私は「今はボーナスタイムに過ぎない。この間に次の一手を準備すべきだ」と背中を押した。彼らからしたら、“叱咤”に近いトーンだったかもしれないが。
 
WWD:ときに投資先と衝突することもあるのか。
 
石倉:もちろんある。むしろ、意見を言わない投資家に価値はないと考えている。投資先の経営陣にとっては“うるさい存在”かもしれないが、そこまで踏み込むからこそ、信頼関係が構築されると信じている。
 
テンシャルとは、その後も毎週のように新規事業の壁打ちを重ねてきた。そして彼ら自身でたどり着いたのが“リカバリーウェア”という領域だった。SEOで培った知見、コロナ禍で学んだマーケティング、そしてプロダクト開発に対する執念。これらすべてが噛み合い、一気にブレイクスルーを果たした。

yutori片石社長の嗅覚
「次世代の文化を作ろうとしている」

WWD:yutoriの片石社長は、もともとアカツキの新卒社員だった。起業後は、Heart Driven Fundの支援が現在の礎となった。
 
石倉::片石君は、2年間ほど新規事業に従事した後、起業する流れになった。当時、われわれとしても“卒業生の挑戦を後押しする”という意味合いを込め、最初の資金を提供した。もちろん情に流されたわけではない。彼が「古着」という一見地味な領域に、強い嗅覚から独自のマーケティング感覚を持ち込んでいた点に、大きな可能性を感じた。
 
WWD:石倉氏の目から見て、yutoriの卓越した点とは何か。
 
石倉: yutoriは、SNS時代におけるアパレルのあり方を再定義するブランドを次々に生み出し、急成長を遂げている。ZOZOグループに入ったことで、我々の持ち株は売却したが、それ以降も片石君とは継続的に対話を重ねてきた。
 
今ではyutoriは、次の世代のブランドや文化を創出する側に回ろうとしていると感じている。片石君の強みは、「カルチャーを先につくる力」。プロダクトはあくまで手段であり、共感を得る言語、緻密に構築されたコミュニティ、SNS上での温度管理。そうしたソーシャル時代のブランド構築において、極めて高い感覚値を有していると思う。

小嶋陽菜は“先頭に立つ”経営者

 
WWD:「ハーリップトゥ」を展開する小嶋陽菜氏のHeart Relationも石倉氏個人の投資先。いわゆる“芸能人ブランド”の類に見えるが、多くの同類ブランドが短命に終わる中で、「ハーリップトゥ」は頭ひとつ抜けた。違いは何か。
 
石倉:最初に話をもらったときは、正直なところ少し「疑って」いた。芸能人がブランドを立ち上げるのはよくある話で、事務所の延長のようなプロジェクトも少なくない。しかし小嶋氏と直接話して、すぐに「この人は本物だ」と確信した。
 
彼女は、服のデザインはもちろん、ブランドのコンセプト作り、動画撮影や編集、ブランドのSNSを含めた全てのクリエイティブを自らの目で細部まで確認し、納得するまで妥協せずにやり切る。それらは義務としてではなく、ブランド表現の手段として徹底されている。とりわけ印象的だったのが、「ファンに対して自分が一番責任を持つ」という強い自覚だった。
 
そうした“先頭に立つ経営者”がいるブランドは強い。チームも彼女の本気度に引っ張られ、全員がその背中に自発的に付いていっている。これまで数多くのインフルエンサー系ブランドを見てきたが、ここまで自己表現と事業運営が一致しているケースは極めて稀だ。

WWD:こうした勢いのあるスタートアップが“台風の目”となり、既存の大手企業が支配してきた業界の構図や常識も、徐々に変わりつつあるように感じる。
 
石倉:まさにその通り。ファッションやビューティ領域においては、これまでの大手企業の競争優位性に変化が生じている。かつてはマス広告や大手流通網に載せることが成功の絶対条件であったが、今はSNSを中心にデジタル上で、強いコミュニティーが醸成され、「共感」や「体験」を軸にブランドが成立する時代になってきた。
 
その構造変化の波を的確に捉えたのが、テンシャルであり、yutoriであり、「ハーリップトゥ」だった。彼らは大企業が見落としがちな隙間や、供給過多に陥ったマーケットの温度差を見抜き、そこに情熱とストーリーを乗せていった。つまり、経済合理性では説明しきれない価値を創出する力を持っていた。そしてその価値は、確実に社会に浸透し始めている。

大手とスタートアップを橋渡し
業界が変わるうねりを生み出したい

WWD:とはいえ、大企業が保有する研究開発力、物流インフラ、グローバルネットワークといった資源は依然として圧倒的だ。
 
石倉:だからこそ、われわれが注力しているのが、スタートアップと大企業との橋渡し。たとえばテンシャルとANAとの連携、 GREEN SPOONとファミリーマートとの連携、繊維素材を開発するamphicoと繊維商社との連携など、大企業が持つアセットとスタートアップの情熱と勢いを接続することで、価値創出の幅を一気に広げることできる。
 
このとき重要になるのは、スタートアップ自身が、自らの「武器」と「弱点」を正しく理解しているかどうか。大企業と手を組むことで得られるリソースと、場合によっては失われかねない独自性。このバランスをいかに設計するかがカギだ。その設計支援こそが、われわれの重要な役割だと認識している。
 
WWD:そうした“橋渡し”が活発化すれば、ワクワク感を失いつつある業界が、より面白くなっていきそうだ。
 
石倉:まさにそうなってくれることが本望。私自身も、この仕事をしている一番の理由は、「世の中にもっとワクワクを増やしたい」から。Dawn Capitalという名前も、「夜明け」や「始まり」の象徴として名付けたもの。新しい才能や価値観が生まれ、それが波紋のように社会へと広がっていく。その瞬間に立ち会えることこそ投資家の醍醐味だ。
 
ファッションやビューティ等のライフスタイルの世界は、人の感情と強く結びついている。新しい可能性を注ぎ込める起業家がもっと増え、大企業がそれを支える、あるいは巻き込まれれば、業界もいい方向へ変わっていくだろう。そうした動的な推進力が、もっともっと生まれてほしい。
 
WWD:これから業界で事業を立ち上げようとする人々にとって、どのようなマインドセットが求められると考えるか。
 
石倉:最も重要なのは、「時代を読む力」と「自分ごと化する力」の両立。流行をなぞるだけのブランドはすぐに飽きられてしまうし、逆に自分の世界観に酔っているだけでも他者には響かない。社会がどう変化しつつあるのか、その中で何が満たされていないのかを見極める。これは言い換えるなら、市場への共感力にほかならない。先に挙げたテンシャルやyutoriのように、「自分ならこうしたい」という熱意と覚悟を持てるかどうかも、同じくらい重要だろう。
 
そして、柔軟性と粘り強さもだ。最初に描いたプランが、そのままうまくいくことなんてない。そこからどう学び、どう修正し、どう仲間を巻き込んでいくかが大事になる。私は常々、「“型”をつくるのではなく、“物語”を一緒につくっていこう」と起業家に伝えている。プロダクトや売り上げではなく、その事業がいかに人の心を動かすのか。そこに真摯に向き合える人こそが、次の時代を作る存在になるのだと思う。

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テンシャル、yutori、ハーリップトゥ……  業界の“台風の目”を生み出す石倉壱彦の投資哲学

 
 

PROFILE: 石倉壱彦/アカツキ 取締役 執行役員&CFO、Dawn Capital ジェネラルパートナー

石倉壱彦/アカツキ 取締役 執行役員&CFO、Dawn Capital ジェネラルパートナー
PROFILE: (いしくら・かずひろ)神奈川県出身。KPMGあずさ監査法人を経て、2013年にアカツキに入社し、コーポレート体制の立ち上げや株式上場準備に従事。2015年より株式会社3ミニッツのCFOとして経営管理部門を統括し、資金調達・経営戦略の立案・事業の立ち上げに従事し、同社のM&Aを牽引。2018年にアカツキの執行役員及びHeart Driven Fundのパートナーに就任。2022年4月にAkatsuki Venturesを立ち上げ、同社の代表取締役社長に就任。Dawn Capital代表パートナーとして投資事業に従事する PHOTO:REIKO KONDO
ファッション・ビューティ領域では近年、勢いのあるスタートアップ企業が次々と生まれ、業界に新しい風を吹かせている。
 
リカバリーウエア「バクネ(BAKUNE)」を引っ提げ、約183億円の時価総額で東証グロース市場に上場(6月4日時点で時価総額271億円)を果たしたテンシャル。片石貴展社長率いるアパレル企業のyutori。そんな近年の注目の企業・ブランドの成長支援を手掛けてきたのが、アカツキ傘下のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるDawn Capitalだ。 
 
石倉壱彦氏は同社の代表パートナーとして、ライフスタイル領域を中心に“人々の心を動かすサービスやプロダクト”を投資支援。個人としては「ハーリップトゥ(HER LIP TO)」を展開する小嶋陽菜のheart relationなどにおいて、コーポレートアドバイザーとしてもバックアップしている。ファッション・ビューティ業界でも台風の目となるブランドを生み出してきた立役者だ。そんな彼の投資哲学、次代を作るブランドの目利きについて聞いた。

WWD:まず、Dawn Capitalの出自と事業内容について教えてほしい。
 
石倉壱彦 Dawn Capitalジェネラルパートナー(以下、石倉):Dawn Capitalは、アカツキのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)として2022年に立ち上げた投資ファンドだ。前身は18年にスタートしたHeart Driven Fundで、当時からエンタメやライフスタイル領域を中心にスタートアップ投資を行ってきた。これまでに累計84社へ投資を行い、うちIPO5社・M&A7社のイグジットを果たしている。
 
WWD:CVCとしての特徴や強みは?
 
石倉:Dawn Capitalは、エンタメ事業を主軸とするアカツキが、ゲームなどで得た事業利益をもとに投資を行っている。我々が重視しているのは、「人の心を動かすプロダクトやサービス」への投資。単に事業計画や数値部分だけを見るだけでなく、その事業がどのような感情を喚起し、どのような新しい価値体験を創出しうるのかといった、“ワクワクするのか?という情緒的な意義”までを評価の対象としている。
 
そうしたアカツキのビジョンに一致するかを前提にしつつ、投資方針はあくまでも財務リターンを重視。CVCの多くが自社との事業シナジーを重視する方向性が強いが、我々は財務リターンを確実に出しながら、事業シナジーを創出する投資を、再現性高く行っていくことを目指している。2025年には過去の投資額を回収する“リクープ”を達成した。
 
我々のスタンスは、投資して終わりではない。投資後はブランド戦略、マーケティング、PR、資金調達、大企業との協業、プロダクト開発に至るまで、本当に手を動かしながら支援する。私自身もスタートアップの経営経験を持っており、単なる“出資者”ではなく、経営チームの一員として並走する姿勢を貫く。それがDawn Capitalのスタイルだ。

 
WWD:投資先の好事例は?
 
石倉:まず挙げたいのが、冷凍ヘルシーミールのD2Cを展開している「グリーンスプーン(GREEN SPOON)」。事業が成長している中で、ファミリーマートとの協業や著名人とのコラボレーションを支援し、メディア露出やブランドの拡張を更に加速し、速いスピードで江崎グリコとのM&Aが実現した。
 
もう一つ印象的な事例が、「ロイブ(LOIVE)」「pilates K」などの女性専用フィットネススタジオを全国で展開するライフクリエイト(LIFE CREATE)。われわれは、彼女たちが上場を目指して店舗を急拡大するタイミングで約7億円の投資を行い、同時に金融機関からの約15億円の融資を主導した。加えて、コロナ禍でスタジオ運営が困難となった時期には、金融機関からの大きな融資が受けられるまでの期間、通常の出資ではなく、約2億の融資を行った。
 
そして単なる資金提供にとどまらず、コーポレート機能、販路開拓、人材の紹介、ファイナンス設計にまで踏み込んで支援を行ってきた。

意見しない投資家に「価値なし」
テンシャルのブレイクを後押し

WWD:アパレル企業にも積極的に投資しているが、たとえば近年では、リカバリーウエア「バクネ」のテンシャルが話題の上場企業となっている。どのような点にポテンシャルを感じたのか。
 
石倉:彼らとの出会いは、もともとスポーツや健康に特化したメディアを運営していた頃にさかのぼる。月間4000万〜5000万円規模のアフィリエイト送客を実現できるほどSEOに強く、「このチームは市場のニーズを正確に捉えている。ユーザーの求めるものにも非常に敏感だ」と感じた。
 
最初に手がけたプロダクトはインソールだった。正直「なぜインソールなのだろうか」とは思ったが、それでもしっかりと売り上げを作っていた。コロナ禍が到来したときも、彼らはいち早くマスクを開発し、月商1億円を突破するまでに至った。
 
そのスピード感と柔軟性に感服した感じた半面、「この波が去った後、何を作れるか?」が真の勝負だと考えた。だから私は「今はボーナスタイムに過ぎない。この間に次の一手を準備すべきだ」と背中を押した。彼らからしたら、“叱咤”に近いトーンだったかもしれないが。
 
WWD:ときに投資先と衝突することもあるのか。
 
石倉:もちろんある。むしろ、意見を言わない投資家に価値はないと考えている。投資先の経営陣にとっては“うるさい存在”かもしれないが、そこまで踏み込むからこそ、信頼関係が構築されると信じている。
 
テンシャルとは、その後も毎週のように新規事業の壁打ちを重ねてきた。そして彼ら自身でたどり着いたのが“リカバリーウェア”という領域だった。SEOで培った知見、コロナ禍で学んだマーケティング、そしてプロダクト開発に対する執念。これらすべてが噛み合い、一気にブレイクスルーを果たした。

yutori片石社長の嗅覚
「次世代の文化を作ろうとしている」

WWD:yutoriの片石社長は、もともとアカツキの新卒社員だった。起業後は、Heart Driven Fundの支援が現在の礎となった。
 
石倉::片石君は、2年間ほど新規事業に従事した後、起業する流れになった。当時、われわれとしても“卒業生の挑戦を後押しする”という意味合いを込め、最初の資金を提供した。もちろん情に流されたわけではない。彼が「古着」という一見地味な領域に、強い嗅覚から独自のマーケティング感覚を持ち込んでいた点に、大きな可能性を感じた。
 
WWD:石倉氏の目から見て、yutoriの卓越した点とは何か。
 
石倉: yutoriは、SNS時代におけるアパレルのあり方を再定義するブランドを次々に生み出し、急成長を遂げている。ZOZOグループに入ったことで、我々の持ち株は売却したが、それ以降も片石君とは継続的に対話を重ねてきた。
 
今ではyutoriは、次の世代のブランドや文化を創出する側に回ろうとしていると感じている。片石君の強みは、「カルチャーを先につくる力」。プロダクトはあくまで手段であり、共感を得る言語、緻密に構築されたコミュニティ、SNS上での温度管理。そうしたソーシャル時代のブランド構築において、極めて高い感覚値を有していると思う。

小嶋陽菜は“先頭に立つ”経営者

 
WWD:「ハーリップトゥ」を展開する小嶋陽菜氏のHeart Relationも石倉氏個人の投資先。いわゆる“芸能人ブランド”の類に見えるが、多くの同類ブランドが短命に終わる中で、「ハーリップトゥ」は頭ひとつ抜けた。違いは何か。
 
石倉:最初に話をもらったときは、正直なところ少し「疑って」いた。芸能人がブランドを立ち上げるのはよくある話で、事務所の延長のようなプロジェクトも少なくない。しかし小嶋氏と直接話して、すぐに「この人は本物だ」と確信した。
 
彼女は、服のデザインはもちろん、ブランドのコンセプト作り、動画撮影や編集、ブランドのSNSを含めた全てのクリエイティブを自らの目で細部まで確認し、納得するまで妥協せずにやり切る。それらは義務としてではなく、ブランド表現の手段として徹底されている。とりわけ印象的だったのが、「ファンに対して自分が一番責任を持つ」という強い自覚だった。
 
そうした“先頭に立つ経営者”がいるブランドは強い。チームも彼女の本気度に引っ張られ、全員がその背中に自発的に付いていっている。これまで数多くのインフルエンサー系ブランドを見てきたが、ここまで自己表現と事業運営が一致しているケースは極めて稀だ。

WWD:こうした勢いのあるスタートアップが“台風の目”となり、既存の大手企業が支配してきた業界の構図や常識も、徐々に変わりつつあるように感じる。
 
石倉:まさにその通り。ファッションやビューティ領域においては、これまでの大手企業の競争優位性に変化が生じている。かつてはマス広告や大手流通網に載せることが成功の絶対条件であったが、今はSNSを中心にデジタル上で、強いコミュニティーが醸成され、「共感」や「体験」を軸にブランドが成立する時代になってきた。
 
その構造変化の波を的確に捉えたのが、テンシャルであり、yutoriであり、「ハーリップトゥ」だった。彼らは大企業が見落としがちな隙間や、供給過多に陥ったマーケットの温度差を見抜き、そこに情熱とストーリーを乗せていった。つまり、経済合理性では説明しきれない価値を創出する力を持っていた。そしてその価値は、確実に社会に浸透し始めている。

大手とスタートアップを橋渡し
業界が変わるうねりを生み出したい

WWD:とはいえ、大企業が保有する研究開発力、物流インフラ、グローバルネットワークといった資源は依然として圧倒的だ。
 
石倉:だからこそ、われわれが注力しているのが、スタートアップと大企業との橋渡し。たとえばテンシャルとANAとの連携、 GREEN SPOONとファミリーマートとの連携、繊維素材を開発するamphicoと繊維商社との連携など、大企業が持つアセットとスタートアップの情熱と勢いを接続することで、価値創出の幅を一気に広げることできる。
 
このとき重要になるのは、スタートアップ自身が、自らの「武器」と「弱点」を正しく理解しているかどうか。大企業と手を組むことで得られるリソースと、場合によっては失われかねない独自性。このバランスをいかに設計するかがカギだ。その設計支援こそが、われわれの重要な役割だと認識している。
 
WWD:そうした“橋渡し”が活発化すれば、ワクワク感を失いつつある業界が、より面白くなっていきそうだ。
 
石倉:まさにそうなってくれることが本望。私自身も、この仕事をしている一番の理由は、「世の中にもっとワクワクを増やしたい」から。Dawn Capitalという名前も、「夜明け」や「始まり」の象徴として名付けたもの。新しい才能や価値観が生まれ、それが波紋のように社会へと広がっていく。その瞬間に立ち会えることこそ投資家の醍醐味だ。
 
ファッションやビューティ等のライフスタイルの世界は、人の感情と強く結びついている。新しい可能性を注ぎ込める起業家がもっと増え、大企業がそれを支える、あるいは巻き込まれれば、業界もいい方向へ変わっていくだろう。そうした動的な推進力が、もっともっと生まれてほしい。
 
WWD:これから業界で事業を立ち上げようとする人々にとって、どのようなマインドセットが求められると考えるか。
 
石倉:最も重要なのは、「時代を読む力」と「自分ごと化する力」の両立。流行をなぞるだけのブランドはすぐに飽きられてしまうし、逆に自分の世界観に酔っているだけでも他者には響かない。社会がどう変化しつつあるのか、その中で何が満たされていないのかを見極める。これは言い換えるなら、市場への共感力にほかならない。先に挙げたテンシャルやyutoriのように、「自分ならこうしたい」という熱意と覚悟を持てるかどうかも、同じくらい重要だろう。
 
そして、柔軟性と粘り強さもだ。最初に描いたプランが、そのままうまくいくことなんてない。そこからどう学び、どう修正し、どう仲間を巻き込んでいくかが大事になる。私は常々、「“型”をつくるのではなく、“物語”を一緒につくっていこう」と起業家に伝えている。プロダクトや売り上げではなく、その事業がいかに人の心を動かすのか。そこに真摯に向き合える人こそが、次の時代を作る存在になるのだと思う。

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西武池袋本店、大規模リニューアル第1弾は化粧品 7月9日オープン

そごう・西武は6日、大規模改装中の西武池袋本店のリニューアルオープン第1弾として化粧品売り場を7月9日に開くと発表した。当初は25年夏のグランドオープンを予定していたが、工事が大幅に遅れていた。今後は9月以降に地下1・2階の食品(菓子、惣菜、ギフト)、11月以降に2・4・6階のインターナショナルブティック(特選)および5階ジュエリー&ウォッチ、26年1月以降に地下2階の食品(生鮮、酒)、1階インターナショナルブティック、7・8階ファッション&グッズ、ライフスタイル、イベントホール、アートギャラリーの開店を予定する。

化粧品売り場はメーンの3階と12月開店予定の1階フレグランスを合わせて1970平方メートル。改装前に比べて4割拡大し、日本最大級となる。新規導入の16ブランドを含めて取り扱いブランドは57ブランドになる。

メーンの3階(1700平方メートル)は「ブティック&ラグジュアリー」「スキンケア」「メイクアップ」「ライフスタイル」の4ゾーンで構成し、“美のテーマパーク”を志向する。各ブランドにそれぞれ個性が際立つ最新カウンターを導入し、美容のスペシャリストが常駐する。

「エスティ ローダー」「クレ・ド・ポー ボーテ」「ゲラン」「ディオール ビューティー」「ヘレナ ルビンスタイン」「ラ・メール」の6ブランドは、それぞれ専用キャビンを併設し、専門スタッフが客の悩みに合わせたパーソナルな手入れをアドバイスする。またブランドを問わずに利用できる50平方メートルの専用ルームも設ける。イベントスペース「NEWS」(63平方メートル)はラグジュアリーブランドがポップアップを定期的に開く。

1階のフレグランス売り場(270平方メートル)は「アクア ディ パルマ」「ゲラン」「ジョー マローン ロンドン」「ディオール オートパフューマリー」など10ブランドがブティック形式の店舗を構える。

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大丸東京店の「明日見世」、2つの新プラン始動でさらなる進化 増床で客数4倍の好調

大丸東京店9階の「明日見世(あすみせ)」は、新進気鋭のブランドをキュレーション展示する複合型体験ストアだ。昨年9月の移設・増床から半年が経過し、好調な滑り出しを見せている。ブランドの「認知」「購入」のきっかけだけでなく「ストーリーの深掘り」と「共感」を生み出し、来店客・出品者双方の満足につながっている。秋には、百貨店ならではのサービスに着眼した2つの新プランをスタート。ブランドの成長を多角的にバックアップする。

客数・滞在時間が大きく伸長
出品ブランドの9割が「満足」

2021年10月に発足した「明日見世」は、当初4階婦人服フロアの一角で、ショールーム機能に特化してスタートした。ファッションやビューティ、雑貨などジャンルレスにブランドを編集・展示し、店頭に立つ大丸松坂屋の「アンバサダー」が魅力をプレゼン。出品ブランドの負担は基本的に出品料のみで、常設展開やポップアップストアよりも低コストで出品が可能だ。そのため資金や人材に限りがある小規模なブランドにとっては、百貨店に出品できる貴重な選択肢として重宝されてきた。移転後は面積を4倍に拡げる一方、展開ブランド数はほぼ据え置きとすることで、動線にゆとりを持たせ、ブランドブースに十分なスペースを確保。ほとんどの商品が店頭購入も可能となり、体験とユーザビリティーの両面を強化した。

一般に百貨店は上層階ほど集客が難しくなるが、「明日見世」は移設後の客数が移設前から3 〜 4倍と、そのセオリーを覆す結果に。ポップアップカフェの併設などが集客に大きく寄与する。また、かつて売り場があった4階婦人服フロアは、オフィスワーカーの女性などが主な客層だったが、9階は「時間に余裕があり」「目的意識を持って訪れる」客が中心となり、滞在時間も伸長。成果は出品者アンケートに表れる。移設後の満足度評価は「89%」。出品料は移設前の2倍だが、費用を上回る満足が実感されている。売り場収益目標として掲げた「半期で移設前の2.5倍」という数値も達成した。

来店客との対話の気づきが
新商品開発のアイデアにも

店頭に立つアンバサダーは、実際に商品を試用し、ブランドの背景や開発者の思いにまで深く理解する。こうしたアンバサダーと来店客との密度の高いコミュニケーションは、ブランド側にも学びや気づきをもたらす。第一工業製薬が手がける消臭雑貨ブランド「NIOCAN」は、店頭での接客中に得たアンバサダーからのフィードバックをもとに、新しい容量展開が実現した。来店客からは「玄関や外出先で使いたい」「ギフトに適したサイズが欲しい」といった声が多く寄せられた。当初展開していたのは500mLの通常サイズのみだったが、100mLサイズを新たに開発して定番化。売り場での“対話”がリアルなニーズを捉える貴重なヒントとなった好例だ。

館内送客や会員180万人への訴求
百貨店の強みを活用する新プラン

「認知」「購入」「ブランド価値訴求」。これらを一つの売り場でかなえる「明日見世」ならではの課題解決力を、さらに高める新プランがこの秋スタートする。一つ目の「コネクト」プランは、百貨店の優良顧客層に向けて、よりダイレクトにアプローチできるプラン。大丸松坂屋百貨店の公式アプリを通じて、約180万人の会員から想定ターゲットに近い顧客をセグメントし、サンプリングやアンケートを実施。新規顧客の獲得から、収集したデータを次のマーケティング戦略に活かすサポートまで行う。二つ目の「ブランディング」プランでは、店頭での訴求力を高める仕掛けに加え、館内各所からの動線設計、百貨店が運営するオウンドメディアでのコンテンツ配信を組み合わせる。リアル・デジタル横断の多面的な露出によって、新商品のプロモーションからブランドの価値訴求まで、広がりのある情報発信を実現する。

百貨店の新たな可能性と価値を創造
ブランドが力強く羽ばたける場所へ

移設から半年、ようやく「明日見世」として思い描いていた環境・機能が整ってきました。ショールーミングだけではなく、商品を買える仕組み、カフェやインスタレーションなどの体験要素を取り入れ、お客さまにとっても、ブランドにとっても価値のある場所になってきたと感じています。

「NIOCAN」のように、顧客の声をもとに新商品のサイズ展開を決めるといった、気づきを得られる事例もあります。接客レポートでも、5分以上の接客が7割を超えるブランドも出てきています。

フィードバックの濃さ、顧客との対話、ストーリーテリング。こういった「明日見世」の価値を実感いただけるブランドを、これからもっと増やしていきたいと思っています。秋にスタートする「コネクト」「ブランディング」プランは、そうした出品者のニーズにより私たちらしくお応えし、ブランドの成長を力強く支援するために生まれました。百貨店の優良顧客にセグメント配信やサンプリングができる仕組み、VMDや館内誘導、オウンドメディアなど、百貨店ならではのリソースを活用し、バックアップしていきます。

百貨店はブランド様にとっても敷居が高いと思われがちですが、「明日見世」はいわば本格展開に向けた予行演習の場。ここで芽を出したブランドが将来的に百貨店のポップアップストア、常設売り場に出て、世界へと羽ばたいていく。そんな志を持ったブランドとぜひ一緒にお取り組みをしたいですし、百貨店の新たな役割、可能性を見せる場にできたら嬉しいですね。

問い合わせ先
大丸東京店「明日見世」
050-1782-8547

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プレミアム・アウトレット、日本上陸25周年を祝うイベント

三菱地所・サイモンは5日、「プレミアム・アウトレット」の日本上陸25周年を祝うイベントを東京・丸の内で開いた。同社の山岸正紀社長とともに、ゲストとしてなかやまきんに君、Nikiが登壇。アウトレットの思い出話に花を咲かせ、くす玉を割るセレモニーで25周年を祝福した。プレミアム・アウトレットは6日から記念キャンペーンを実施し、抽選でアメリカ旅行や韓国旅行をプレゼントする。

米国発祥のプレミアム・アウトレットは2000年7月に静岡県御殿場市に日本初の施設を作った。現在ではりんくう(大阪府)、佐野(栃木県)、神戸三田(兵庫県)など全国で10施設を運営する。三菱地所・サイモンのプレミアム・アウトレット10施設の売上高合計は4345億円(25年3月期)で、アウトレットモール運営で国内最大手となる。

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プレミアム・アウトレット、日本上陸25周年を祝うイベント

三菱地所・サイモンは5日、「プレミアム・アウトレット」の日本上陸25周年を祝うイベントを東京・丸の内で開いた。同社の山岸正紀社長とともに、ゲストとしてなかやまきんに君、Nikiが登壇。アウトレットの思い出話に花を咲かせ、くす玉を割るセレモニーで25周年を祝福した。プレミアム・アウトレットは6日から記念キャンペーンを実施し、抽選でアメリカ旅行や韓国旅行をプレゼントする。

米国発祥のプレミアム・アウトレットは2000年7月に静岡県御殿場市に日本初の施設を作った。現在ではりんくう(大阪府)、佐野(栃木県)、神戸三田(兵庫県)など全国で10施設を運営する。三菱地所・サイモンのプレミアム・アウトレット10施設の売上高合計は4345億円(25年3月期)で、アウトレットモール運営で国内最大手となる。

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オンワードが“二季”&“シーズンレス”戦略を強化 気象・気温軸でMDを再構築

オンワード樫山は2025年春夏から、これまで取り組んできた“シーズンレス”商品を強化し、“二季”構成によるMD改革を本格的に進める。従来は5〜6月の夏、7〜8月の盛夏、9〜11月の秋、12〜1月の冬、2〜4月の春と5シーズンを基準していたが、変動する気温と気象のデータをもとに、4月からの“長く暑い夏・短い秋”と10月からの“遅く寒い冬・寒い春”の二季化に再構成。加えて、年間を通して着用できるシーズンレスアイテムの拡充を図る。

4月初旬〜6月の“前倒しの夏”は、体温調整可能な羽織りものやトップス、機能性のあるアイテム、サングラスや日傘といった雑貨を展開。7月以降の“猛暑の長い夏”では、トレンド性の高い新作を中心に品ぞろえを強化する。9月後半からの“暑い秋”には、夏らしいデザインを加えた秋素材や色の商品に加え、シーズンレス向けの商品を追加。その後、寒暖差のある11月末までは、単品で着回せるトップスやボトムスを強化し、軽量アウターの投入もスタートする。12月以降の冬物は、ニットを短期的にそろえながら、防寒アウターは従来よりも後ろ倒しで販売をしていく計画だ。

「23区」はサマーニットを拡充、「アンフィーロ」は東レと機能素材開発

また今月から、「暑さを、味方に。」と題した全社のシーズンレスプロモーションを実施。機能素材のアイテムなどを主力ブランドごとに打ち出していく。「ニジュウサンク(23区)」は、幅広く着回ししやすいアイテムとニュアンスカラーのバリエーションを拡充し、長い夏のスタイルのマンネリ化を回避するMDを強化。主力とするのは、昨年好評だったサマーニット。アイテムのバリエーションを増やし、前年比約3倍の数を投入する。程よい透け感と光沢感を両立させた“シャイニーシアーニット”は、カーディガンと合わせられるインナー、1枚でも着映えするプルオーバー、涼しげな印象のスカートなど、セットアップ対応も意識したラインアップを強化する。

「アンフィーロ(UNFILO)」は、東レと共同開発したオリジナル素材“ブリーズムーブ(BREEZEMOVE)”を用いたブラウス2型とワンピースを展開。高い通気性と吸水・速乾性を兼ね備えた東レの“ブリーズクール”糸を使用した素材で、風通しの良さを強みに、汗をかいても肌に密着することなく、快適性を維持する。実証実験では皮膚表面温度を約1度下げる効果も確認されていて、ブランドのデザイン力と兼備した“機能美”を発信していく。

「着心地まで、デザインする。」を新たな企業メッセージに

オンワードは今回のMD改革に合わせて、新たなプロダクトメッセージ「着心地まで、デザインする。」を掲げた。これは、同社が100年継承してきた商品開発の技術力やサステナブルの考えに、快適さを考えた機能的価値、SDGsにもつながる社会的価値を“着心地まで”という言葉に、ブランドの独自性を“デザインする”にそれぞれ込めている。今後、全ブランドにおける商品開発の指針としても、お客さまに向けたメッセージとして浸透させていく考えだ。

山﨑圭子マーケティンググループ執行役員は、「今夏は二季に分け、湿度が高く不快感の強い前半は機能性、本格的な暑さが予想される後半は、ファッション性の高いものを打ち出していく。われわれは素材やパターンの技術だけでなく、機能素材の開発力やトレンド力にも自信がある。他社との差別化を図り、相乗効果を狙っていきたい」と話した。

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オンワードが“二季”&“シーズンレス”戦略を強化 気象・気温軸でMDを再構築

オンワード樫山は2025年春夏から、これまで取り組んできた“シーズンレス”商品を強化し、“二季”構成によるMD改革を本格的に進める。従来は5〜6月の夏、7〜8月の盛夏、9〜11月の秋、12〜1月の冬、2〜4月の春と5シーズンを基準していたが、変動する気温と気象のデータをもとに、4月からの“長く暑い夏・短い秋”と10月からの“遅く寒い冬・寒い春”の二季化に再構成。加えて、年間を通して着用できるシーズンレスアイテムの拡充を図る。

4月初旬〜6月の“前倒しの夏”は、体温調整可能な羽織りものやトップス、機能性のあるアイテム、サングラスや日傘といった雑貨を展開。7月以降の“猛暑の長い夏”では、トレンド性の高い新作を中心に品ぞろえを強化する。9月後半からの“暑い秋”には、夏らしいデザインを加えた秋素材や色の商品に加え、シーズンレス向けの商品を追加。その後、寒暖差のある11月末までは、単品で着回せるトップスやボトムスを強化し、軽量アウターの投入もスタートする。12月以降の冬物は、ニットを短期的にそろえながら、防寒アウターは従来よりも後ろ倒しで販売をしていく計画だ。

「23区」はサマーニットを拡充、「アンフィーロ」は東レと機能素材開発

また今月から、「暑さを、味方に。」と題した全社のシーズンレスプロモーションを実施。機能素材のアイテムなどを主力ブランドごとに打ち出していく。「ニジュウサンク(23区)」は、幅広く着回ししやすいアイテムとニュアンスカラーのバリエーションを拡充し、長い夏のスタイルのマンネリ化を回避するMDを強化。主力とするのは、昨年好評だったサマーニット。アイテムのバリエーションを増やし、前年比約3倍の数を投入する。程よい透け感と光沢感を両立させた“シャイニーシアーニット”は、カーディガンと合わせられるインナー、1枚でも着映えするプルオーバー、涼しげな印象のスカートなど、セットアップ対応も意識したラインアップを強化する。

「アンフィーロ(UNFILO)」は、東レと共同開発したオリジナル素材“ブリーズムーブ(BREEZEMOVE)”を用いたブラウス2型とワンピースを展開。高い通気性と吸水・速乾性を兼ね備えた東レの“ブリーズクール”糸を使用した素材で、風通しの良さを強みに、汗をかいても肌に密着することなく、快適性を維持する。実証実験では皮膚表面温度を約1度下げる効果も確認されていて、ブランドのデザイン力と兼備した“機能美”を発信していく。

「着心地まで、デザインする。」を新たな企業メッセージに

オンワードは今回のMD改革に合わせて、新たなプロダクトメッセージ「着心地まで、デザインする。」を掲げた。これは、同社が100年継承してきた商品開発の技術力やサステナブルの考えに、快適さを考えた機能的価値、SDGsにもつながる社会的価値を“着心地まで”という言葉に、ブランドの独自性を“デザインする”にそれぞれ込めている。今後、全ブランドにおける商品開発の指針としても、お客さまに向けたメッセージとして浸透させていく考えだ。

山﨑圭子マーケティンググループ執行役員は、「今夏は二季に分け、湿度が高く不快感の強い前半は機能性、本格的な暑さが予想される後半は、ファッション性の高いものを打ち出していく。われわれは素材やパターンの技術だけでなく、機能素材の開発力やトレンド力にも自信がある。他社との差別化を図り、相乗効果を狙っていきたい」と話した。

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アジアビューティが中東で急成長  「K」「J」「C」、グローバル展開ブランドの違いは?

アジア発のビューティブランドやトレンドは、グローバル市場ですでに強い存在感を放っている。しかしその勢いはさらに加速しているという。アジアビューティは、Kビューティ(韓国)、Cビューティ(中国)、Jビューティ(日本)の3つの地域を中心に定義される。グローバル市場におけるアジアビューティへの注目の高まりとともに、成分や処方開発のトレンドにも影響を与えている。サウジアラビア・リヤドで開催された「2025 WWD グローバル ファッション&ビューティ サミット」に、中東で高級ブランドの流通と小売りを手掛けるシャルーブ・グループ(CHALHOUB GROUP)のアンドレア・フェッツァー(Andrea Fetzer)戦略担当バイスプレジデントが登壇し、グローバル化が進むアジアビューティの未来について語った。

「アジア発のビューティブランドは、TikTok上から世界中の消費者のバスルーム、アマゾン(AMAZON)のベストセラーランキングのトップにまで進出している」とフェッツァー=バイスプレジデント。「クレンジングオイルや水光肌といった個別のトレンドはあるものの、アジアビューティの潮流は単なる一過性の流行ではない」と強調する。「以前はアジアビューティといえば流行り廃りの激しい“波”のように語られていた。しかし今では、ブランドがグローバル展開を本格化し、小売戦略やポジショニング、顧客へのアプローチが進化している」。

GCC市場で急成長
トップカテゴリーはスキンケア

サウジアラビア、バーレーン、クウェートなど中東の6カ国からなる湾岸協力会議(GCC)諸国では、アジアビューティ市場が2022年から24年にかけて年平均成長率26%を記録した。これは同期間の欧米市場の成長率15%を大きく上回る。とはいえ、GCC地域におけるアジアビューティの市場浸透率は3%にとどまり、グローバル平均の8%と比較すれば今後さらなる成長余地があることが分かる。

「現在の成長をけん引しているのはスキンケアだ」とフェッツァー=バイスプレジデントは説明する。「中でもKビューティに最も勢いがあり、Cビューティはカラーコスメで特に強く、一部ではスキンケア分野にも貢献している。Jビューティはスキンケア・メイク・ヘアケアがバランスよく成長を遂げている」という。また、国別に見るとサウジアラビアではメイクアップの売り上げがアジアビューティ市場の約3分の1を占め、GCC全体ではスキンケアが優勢な中で独自の傾向を示している。

K・J・Cビューティ
異なる戦略とターゲット

グローバル展開に成功しているブランドの特徴についてフェッツァー=バイスプレジデントは、「Kビューティは製品の革新性がカギ。ゼリー状のテクスチャーや発酵成分、Z世代向けのマーケティングが特徴だ」と指摘。「Jビューティはより洗練され、伝統と高級感の融合が魅力。消費者との信頼関係構築はオンラインではなくオフラインで行われる傾向が強く、顧客層は中高年で成熟している。価格帯も比較的高めだ」と続ける。「Cビューティはスピードとスケール重視で、eコマース発のブランドが中心。次のトレンドを常に探しており、ソーシャルコマースの影響力も非常に大きい。消費者は即効性を求める20代前半が中心」だという。

スキンケアルーティンが変化し
ハイブリッド製品がトレンドに

アジア市場で長らく主流だった10以上のステップを踏むスキンケアルーティンも変化しつつあり、現在はより多機能なハイブリッド製品へのシフトが進んでいる。これは、平均使用アイテム数が4.8個とされるサウジアラビアの消費者の実態とも一致する。

GCC諸国のZ世代の間ではKビューティの浸透が進んでおり、シャルーブ・グループの調査では「ビューティ オブ ジョソン(BEAUTY OF JOSEON)」「ミクスン(MIXSOON)」「ラネージュ(LANEIGE)」の3ブランドがZ世代の人気ブランドトップ10にランクインしているという。「これらの製品に対する認知度は非常に高く、購買意欲にもつながっている。GCCはアジアビューティにとって非常に有望な市場だ」と展望を語った。

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ファンケルが“ウェルエイジ プレミアム”を一時販売停止 想定の4倍売れ行き

ファンケルは4日、4月17日に発売した機能性表示食品“ウェルエイジ プレミアム”(30粒・30日分、5870円)の販売を一時停止すると発表した。想定を上回る注文が相次ぎ、安定供給の見通しが立つまで販売を見送り、再開は2025年秋以降を予定する。定期便登録者については5月12日までの登録者を対象に提供を継続する。

“ウェルエイジ プレミアム”は、加齢により増える細胞(細胞機能が低下し、増殖しなくなった細胞)の除去作用が期待できる「キンミズヒキ由来アグリモール類」を配合。疲れを感じやすい中高年の一時的な疲労感を軽減し、前向きな気分を維持する機能が特徴だ。

同社がキンミズヒキの有効性を発表した際には、メディアやSNSで話題となり、同社サプリメントとしては異例の事前予約販売を実施。4月の売り上げは当初計画比で約400%に達した。

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ファンケルが“ウェルエイジ プレミアム”を一時販売停止 想定の4倍売れ行き

ファンケルは4日、4月17日に発売した機能性表示食品“ウェルエイジ プレミアム”(30粒・30日分、5870円)の販売を一時停止すると発表した。想定を上回る注文が相次ぎ、安定供給の見通しが立つまで販売を見送り、再開は2025年秋以降を予定する。定期便登録者については5月12日までの登録者を対象に提供を継続する。

“ウェルエイジ プレミアム”は、加齢により増える細胞(細胞機能が低下し、増殖しなくなった細胞)の除去作用が期待できる「キンミズヒキ由来アグリモール類」を配合。疲れを感じやすい中高年の一時的な疲労感を軽減し、前向きな気分を維持する機能が特徴だ。

同社がキンミズヒキの有効性を発表した際には、メディアやSNSで話題となり、同社サプリメントとしては異例の事前予約販売を実施。4月の売り上げは当初計画比で約400%に達した。

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資生堂ジャパン次期社長に中田副社長が昇格

資生堂は4日、日本事業を担う資生堂ジャパンの社長 CEOに、中田幸治副社長が7月1日付で昇格すると発表した。中田氏は、これまで同職を兼務していた資生堂の代表執行役エグゼクティブオフィサー 社長 CEO の藤原健太郎氏の後任となる。藤原氏は引き続き資生堂の社長CEO職を務める

中田氏は1997年に新卒で資生堂に入社。営業や本部業務を約15年にわたって経験した後、16年に資生堂アジアパシフィックの経営企画本部に異動。19年に資生堂フィリピンのマネージングディレクター、22年には資生堂コスメティクス ベトナムの社長を歴任した。

24年11月からは資生堂ジャパン副社長として藤原氏を補佐し、国内事業の経営改革プラン「ミライシフト NIPPON2025」の実行を推進してきた。7月以降は、エグゼクティブオフィサー 日本地域 CEO 資生堂ジャパン 社長 CEOとして国内事業を率いる。

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長嶋茂雄さんはファッションアイコンだった 「ミスター・サンヨー」関係者の証言

6月3日に死去した長嶋茂雄さんは、三陽商会が1975年から販売していたスーツブランド「ミスター・サンヨー」のイメージキャラクターだった。ブランドの名付け親は同社創業者の吉原信之氏。長嶋さんの起用にちなんで、“ミスター“を冠したスーツは反響を呼び、「電車1車両に10人のサラリーマンが着用している」と言われるほどの大ヒット商品となった。同社商品企画の2人のOBが振り返る。

「超一流とは、こういうことなのか」(谷口実さん=仮名)

長嶋さんが選手を引退して監督に就任した1975年に、三陽商会のスーツブランド「ミスター・サンヨー」のイメージキャラクターになってもらいました。

私たちが多摩川の巨人軍のグランドに赴くと、スポーツ刈りの長嶋茂雄さんが迎えてくれました。

この頃、競合各社の紳士服の広告塔はアラン・ドロン(「ダーバン」)やピーター・フォークら海外の超一流俳優たちばかり。スポーツマン然とした長嶋さんにスーツをビシッと着こなしてもらうことができるのか――商品企画の私たちには一抹の不安がありました。

しかし全くの杞憂でした。撮影時、スーツに着替えた長嶋さんには、近寄り難いほどの美しさがありました。スーパースターにしか出せないオーラです。

当時「コート屋」と揶揄されていた三陽商会が、初めてスーツ作りに挑んだのが「ミスター・サンヨー」でした。長嶋さんの惚れ惚れするようなスーツ姿のカッコ良さが、後の「脱コート屋」、そして総合アパレルへと発展する足掛かりとなったことは間違いありません。

その後、三陽商会のパーティーやレセプションで長嶋さんに着てもらうスーツを作る際、採寸すると現役時代と全く変わらぬ寸法に驚いたものです。「超一流とは、こういうことなのか」と感心しました。

「長嶋さんの存在が今の三陽の形を作った」(鳥飼信雄さん)

ポスターやテレビCMで長嶋さんが「よろしく!」とポーズをとる姿は、世間で大きな話題となりました。週末ともなると百貨店の売り場の「ミスター・サンヨー」のスーツは飛ぶように売れました。お客さまが「あの長嶋さんのスーツ」と指名するのです。

ご本人はゆったりとしたシルエットで色気のあるフレンチモデルのスーツを好んでいたようです。でも凛々しいブリティッシュスタイルのジャストサイズのスーツが、精悍な雰囲気を一層際立てて、立ち姿は後光が差して見えるほどカッコ良かった。「よくぞ、このモデルを引き受けてくださった」と心から思いました。

他社が起用するハリウッドスターたちを凌駕する圧倒的なオーラが、長嶋さんにはありました。当時「雨合羽屋がスーツを作った」と得意先に嫌味まじりに言われていた三陽商会は、長嶋さんの起用が契機となり、総合アパレルメーカーへの道を駆け上がることになります。

忙しい合間を縫って、全国の百貨店スーツ売り場を役員と巡ってくれた長嶋さんには感謝してもしきれません。今の三陽商会があるのは、長嶋さんの存在が大きくかかわっている。決して言い過ぎではありません。

小さい売り場でスーツを1日170着売る

三陽商会元社長の杉浦昌彦氏は、1976年に入社して設置されたばかりスーツ課に配属された。当時のことを社史で回顧している。

「私は新宿伊勢丹の担当になりました。最初『ミスター・サンヨー』はパイプ8本の売り場。他社の30坪の売り場が羨ましかた。ところが半年過ぎた頃、突然、火がついたんです。指名買いのお客さまが増え、170着売った日もあります」「商品は社内でも奪い合い。商品を回してもらうために、社内営業も必要でした」

三陽商会は長嶋さんの訃報に際し、弊紙にコメントを寄せた。一部を抜粋して紹介する。

「当時を知る元社員から、その気さくで温かいお人柄について今なお語り継がれており、半世紀近く経った今でも当社の貴重な歴史の一部として大切に記憶されております。日本スポーツ界の発展に多大なる貢献をされた長嶋氏の偉大なご功績を偲び、心よりご冥福をお祈り申し上げます」

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ユニクロ5月度、“感謝祭”好調で13%増 月前半の気温上昇で各社前年超え

専門店チェーン、セレクトショップの2025年5月度売上高(既存店ベース)は、月前半の気温上昇や前年に比べて休日が1日多かったことなどで、前年実績を上回ったという声が多い。

国内ユニクロの売上高は前年同月比13.1%増。「月前半の連休のキャンペーン、後半の“感謝祭”ともにうまく稼働し、客数が増加した」と広報担当者。月後半の“感謝祭”はやや気温が下がったものの、「初日は『アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)』コラボの発売で話題性もあった」。ウィメンズの売れ筋は「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」とのコラボラインのストレートジーンズ、ウルトラストレッチボトムス、「ムーミン」のUTなど。メンズは「ユニクロ:シー(UNIQLO:C)」のスエットやエアリズムインナー、EZYジーンズ、UTなど。寒暖差で春物、夏物の両方が売れた。

良品計画の「無印良品」は同12.2%増。客数が同10.0%増と伸びている。生活雑貨、食品がけん引したが、衣服・雑貨に限っても同8.9%増だった。

しまむらの「ファッションセンターしまむら」(4月21日〜5月20日)は同2.9%増。5月前半の高気温で、「TシャツやUVカットパーカ、冷感インナーなどがよく売れた」(発表リリースから)。

アダストリアは同4.2%増と、4月の前年割れから復調した。「5月14日〜22日に実施したポイント還元キャンペーンも売り上げ伸長に寄与した」(発表リリースから)。

ユナイテッドアローズは同9.6%増。「ジャケット、スーツ、パンツなどのビジネスアイテムに加え、シャツ、カットそーなどの軽衣料、服飾雑貨が好調に推移した」(発表リリースから)。

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長嶋茂雄さんの追悼特集号を「ナンバー」が緊急刊行 6月26日に発売

文藝春秋が刊行するスポーツ総合誌「スポーツ グラフィック ナンバー」は6月26日、“ミスタープロ野球”としてファンに愛された国民的スーパースター長嶋茂雄さんのこれまでの功績を称えた追悼特集号“ナンバープラス 長嶋茂雄”を発売する。長嶋茂雄さんは6月3日午前、肺炎のため東京都内の病院で死去した。享年89。

読者に愛された歴代号をたどる

長嶋茂雄さんは、1980年の“ナンバー”創刊時から多くの読者に愛され、プロ野球界を代表するレジェンドとしてその表紙にも多く登場した。

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スタイレムが石川の撚糸メーカー・シモムラと合弁会社、合繊素材の開発・販売を強化

服地大手のスタイレム瀧定大阪はこのほど、撚糸メーカーのシモムラ(石川県小松市、西山成幸社長)と合同で糸加工のWS(ダブリューエス)を設立した。新会社WSの資本金は1000万円で、社長にはスタイレムのテキスタイル1部SCM推進室の大澤俊彦氏が就任する。

シモムラは2002年設立の撚糸メーカー。撚糸は設備が高い一方で小規模事業者も多く、後継者難などから廃業などが相次いでいる。シモムラはそうした中で積極的に業容を拡大しており、14年には鈴倉インダストリーの原工場(新潟県・栃尾)、17年には「ピン仮」と呼ばれる旧式の撚糸を展開するフクイセイシを取得。22年にはアツギのむつ事業所の一部を利用した「むつ工場」も新設している。

シモムラが拠点を置く北陸は、世界的にも高い競争力を誇る合繊織物とニットの産地になる。スタイレムは、WSの新設でボトルネックになっている撚糸工程の解消と、リードタイムの短縮に加え、合繊素材の開発力の強化にもつなげる。

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上位10店でシェア3分の1  百貨店の売上高ランキング:記者談話室vol.179

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、記者たちが分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

今回のテーマは「百貨店の売上高ランキング2024年版」です。大手百貨店の店舗別売上高が出そろいました。伊勢丹新宿本店、阪急本店、JR名古屋高島屋といった上位の順位自体に変動はないものの、強い店舗の売上高はいっそう増加しています。ランキングを振り返りつつ、コロナ後の消費の変化について語り合いました。この記事の図表と合わせてお聞きください。

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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上位10店でシェア3分の1  百貨店の売上高ランキング:記者談話室vol.179

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今回のテーマは「百貨店の売上高ランキング2024年版」です。大手百貨店の店舗別売上高が出そろいました。伊勢丹新宿本店、阪急本店、JR名古屋高島屋といった上位の順位自体に変動はないものの、強い店舗の売上高はいっそう増加しています。ランキングを振り返りつつ、コロナ後の消費の変化について語り合いました。この記事の図表と合わせてお聞きください。

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百貨店の「5月危機」 免税売上高が軒並み4割減

大手百貨店4社の2025年5月度売上速報が出そろった。国内顧客の売上は各社とも安定的に推移したが、免税売上は軒並み3〜4割のマイナスとなった。前年5月は円安が最も進行し、一時1ドル=155〜157円をつけた時期だった。訪日消費が過熱していた当時の反動が大きいとはいえ、高額消費の勢いの弱まりは明らかだ。

三越伊勢丹の免税売上は、前年同月比33.0%減と大きく落ち込んだ 。基幹3店(新宿、日本橋、銀座)合計でも同30.2%のマイナス。前年の高水準からの反動が顕著に表れている。同社広報は、「ある程度の落ち込みは織り込み済み」としたうえで、次のように説明する。「特に昨年5月は訪日客による高額品購買がピークだったが、今回はそのブームが一段落したという側面もある。ただし、買い上げ点数は落ちていないため、不安視はしていない。アプリなどを通じて訪日客の識別化を進め、秋口からの回復を見込んでいる」。国内売上は堅調に推移しており、全国既存店の日本人売上は同3.9%増だった。

大丸松坂屋百貨店も、免税売上高が前年同月比40.1%減と大幅に落ち込んだ。訪日客数自体は同2.9%増だったが、ラグジュアリーブランド、時計、宝飾品など高額商材の販売が低迷し、客単価は同41.7%減と大きく落ちた。髙島屋も、免税売上は同41.7%減とマイナス幅が大きい。スポーツ用品や子供服など一部カテゴリでは訪日購買は堅調も、ラグジュアリーを中心とする高額品の不調が全体に影響した。阪急阪急百貨店は全店、旗艦店の阪急うめだ本店ともに、免税売上高が約4割減。モードやインターナショナルブランド、バッグ類が特に影響を受けた。一方、うめだ本店の国内客売上は、底堅いブライダル需要などによって同月の過去最高を記録した。

高額品依存の揺り戻し “インバウンド偏重”から脱却なるか

百貨店の好業績をしばらく支えてきた、ラグジュアリーを中心とした訪日客の高額品消費が一巡している。その一方で、国内客の購買は底堅く、食品や化粧品といった日常性の高いカテゴリーが支える。免税売上が不安定化する今、三越伊勢丹や阪急阪神百貨店が進める「訪日客の識別化」による囲い込みに加え、高額品に頼らない売上構成への再編成、国内顧客への訴求の再強化が、中長期的な競争力の鍵となりそうだ。

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Z世代、TikTok、AIがけん引する“次世代マーケティング”の行方

ビューティ&ファッション業界では、パーソナライズされた体験とコミュニティー中心のブランド施策が消費者から支持を得るカギとなっている。クロスチャネルマーケティング・プラットフォーム企業のリストラック(LISTRAK)は、米「WWD」が主催した「ビューティCEOサミット」で「ビューティ&ファッション ベンチマーク レポート2025」を発表した。登壇したジェイミー・エルデン(Jamie Elden)=リストラック チーフ・レベニュー・オフィサーは、Z世代やAI、SNSが中心となる次世代マーケティングの潮流を語った。

「新製品告知を週に2回メールで送り、反応がなければ週4回送る」といった多くのブランドが行う量的アプローチは効果が薄く、“個人やニーズと向き合う”マーケティングが有効だとエルデン=チーフ・レベニュー・オフィサーは語る。リストラックのAI技術では、ユーザーが閲覧したが購入に至らなかった製品をトラッキングし、パーソナライズされたSMSやメールで再提案する。SMS経由の売り上げは、前年比70%増と急伸しており今や主要チャネルの一つになっているという。

注目チャネルはSMSからRCSへ
双方向型コミュニケーションが新常識に

北米では、ヨーロッパやアジアですでに普及しており進化型SMSといわれるRCS(リッチコミュニケーションサービス)の成長も注目されている。RCSは購入リンクや双方向のやり取りが可能で、ECとの連携にも優れる。「わずか5年でメールとSMSの比率は“メール70%:SMS30%”から“メール40%:SMS60%”へと逆転した」という。この変化をけん引しているのは、Z世代とミレニアル世代だ。

同社のレポートによれば、ブランドの新規客獲得数は前年比で80%増を記録。消費者はこれまで以上にSNSを検索・比較・発見の場として活用している。カスタマイズされたブランドコミュニケーションを得るため、ブランドの公式サイトでは自発的に個人データを入力しているという。また、パンデミック後に落ち込んだメイクアップカテゴリーはこの2年で回復傾向にあり、スキンケアは依然として主要カテゴリーを維持。Z世代が新規売り上げの約40%をけん引している。特筆すべきは、今年は13歳以下のα世代が勢いを増しており、月に平均140ドル(約1万9800円)を消費しているという。

TikTokライブは“10代のQVC”
ブランドとの連携も加速

エルデン=チーフ・レベニュー・オフィサーは、「最近、12歳の息子とロンドンのセルフリッジズ(SELFRIDGES)を訪れ、『パコ・ラバンヌ(PACO RABANNE)』のフレグランス“ファントム”を購入した。ロボット型のボトルの90年代に流行った製品だが、息子はTikTokでそれを見て自分で選んで購入した」と紹介。「フレグランスはZ世代やα世代の若い男性の間でブームになっている。彼らは高級ブランドのフレグランスに200〜400ドル(約2万8400〜5万6800円)を費やす」と語った。

Z世代とα世代、ソーシャルメディア、そして新興のマーケットプレイスがブランドの成長を左右する中、TikTokライブはゲームチェンジャーであり続けている。エルデン=チーフ・レベニュー・オフィサーはTikTokライブを「10代のためのQVC」と称し、「視聴者はアラームをセットしてまでライブ配信にアクセスし買い物を楽しんでいる」と指摘した。リストラックはTikTokショップとの連携を開始し、売り上げは急拡大しているという。

製品だけでなくブランドの
“人格”が問われる時代へ

ビューティ製品の消費者がこれまで以上に購買前の情報収集行動をするようになっている今、新鮮で魅力的なコンテンツがより求められている。消費者はスキンケアの効果や成分、人気製品やサステナビリティについて調べているとして、ハウツーコンテンツやソーシャルコンテンツの重要性を強調した。エルデン=チーフ・レベニュー・オフィサーは「今はただ製品を売るだけでは不十分だ。消費者はブランドの信念や社会的責任まで注目している」と締めくくった。

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「エレガンス」の“エレガンス ラズル”が販売終了

アルビオンが展開する「エレガンス(ELEGANCE)」のメイクアップシリーズ“エレガンス ラズル”が、8月31日で生産および販売を終了する。店頭在庫がなくなり次第、順次販売を終える。

“エレガンス ラズル”は、2022年4月にデビュー。“Radica(その瞬間を揺さぶる刺激)”をコンセプトに掲げ、アイカラーとネイルに特化して展開してきた。鮮やかな発色と多彩な質感で、独自の世界観を打ち出していた。

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「エレガンス」の“エレガンス ラズル”が販売終了

アルビオンが展開する「エレガンス(ELEGANCE)」のメイクアップシリーズ“エレガンス ラズル”が、8月31日で生産および販売を終了する。店頭在庫がなくなり次第、順次販売を終える。

“エレガンス ラズル”は、2022年4月にデビュー。“Radica(その瞬間を揺さぶる刺激)”をコンセプトに掲げ、アイカラーとネイルに特化して展開してきた。鮮やかな発色と多彩な質感で、独自の世界観を打ち出していた。

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「ザ・ノース・フェイス」の親会社、24年は4%減収 「ヴァンズ」が引き続き苦戦

「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヴァンズ(VANS)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」などを擁するVFコーポレーション(VF CORPORATION以下、VFC)の2025年3月期決算は、売上高が前期比4.1%減の95億469万ドル(約1兆3591億円)、営業損益は前年の1億4393万ドル(約205億円)の赤字から3億377万ドル(約434億円)の黒字に、純損失は9億6888万ドル(約1385億円)から1億8971万ドル(約271億円)に縮小した。

地域別での売上高は、南北アメリカが同6.6%減の48億3350万ドル(約6911億円)、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)は同2.7%減の32億4850万ドル(約4645億円)と減収。アジア太平洋地域は、同1.4%増の14億2270万ドル(約2034億円)だった。

ブランド別では「ヴァンズ」が苦戦

ブランド別での売上高は、南北アメリカが堅調だった「ザ・ノース・フェイス」が同0.8%増の37億340万ドル(約5295億円)、グローバルで小売りが苦戦した「ヴァンズ」は同15.7%減の23億4940万ドル(約3359億円)、小売りと卸の両方が堅調だった「ティンバーランド」は3.3%増の16億770万ドル(約2299億円)だった。

なお、VFCは24年7月、保有していた「シュプリーム(SUPREME)」を伊アイウエア企業エシロールルックスオティカ(ESSILORLUXOTTICA)に15億ドル(約2145億円)で売却し、取引は同年10月に完了した。同ブランドが属していたその他のブランド部門の売り上げは、同1.6%増の13億220万ドル(約1862億円)だった。

CEOのコメント

四半期別に見ると、25年1~3月期(第4四半期)の売上高は前年同期比4.6%減の21億4377万ドル(約3065億円)だった。アナリスト予想の21億5000万~22億3000万ドル(約3074億~3188億円)を下回ったため、決算を発表した5月21日の株価は前日比15.8%安の12.15ドル(約1737円)となった。

ブラッケン・ダレル(Bracken Darrell)社長兼最高経営責任者は、第4四半期の業績は「ほぼ見込み通り」とコメント。「マクロ環境の不安定さが増しているが、コスト削減やその他のさまざまな対策によって傘下ブランドが成長軌道に戻り、力強く持続的な価値創出ができるものと確信している」と語った。なお、25年4〜6月期(第1四半期)は前年同期比3〜5%減収の見込みだという。

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在庫が少ないほうが儲かる!?  驚きの“資金効率”改善ストーリー

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第8話を取り上げます。

今回のストーリーは、主人公の渋谷店の店長である徹が“たった20日分の在庫”で、年30回以上の回転を達成し、利益効率を劇的に改善させたという、リアルで実用的なエピソードです。

「在庫は少ない方が儲かる」──その理由を、マンガと一緒にやさしく解説していきます。

マンガ「在庫管理の魔術」の第8話は コチラ

今回のストーリーでは、在庫回転数 = 年間売上高 ÷ 平均在庫原価 という式で算出しています。

これは、「在庫を持つために使ったお金が、1年間で何倍の売り上げを生んだか」を示すもので、資金効率を測る指標です。

ここで、一般的に小売ビジネスで用いられる在庫回転数には、主に次の3つの計算方法があることを押さえておきましょう。

小売業で使われる「3つの在庫回転数」

資金回転数(資金回転率)
計算式:年間売上高 ÷ 平均在庫原価
→ 経営者や財務担当者が、資金効率やキャッシュフローの観点から注目する指標です。

在庫回転数(原価ベース)
計算式:売上原価 ÷ 平均在庫原価
→ 商品部の仕入担当者が、仕入れた在庫がどれくらいのペースで売れているかを確認する際によく使われます。会計・財務分析でも一般的です。

商品回転数(数量ベース)
計算式:販売数量 ÷ 平均在庫数量
→ 店頭で商品がどれくらいの頻度で入れ替わっているか、つまり“店頭鮮度”を測る指標で、店舗現場のスタッフが関心を寄せています。

今回のストーリーでは、店長の徹が、販売スタッフにも経営視点で考えてもらいたいと語りかけている場面が描かれています。

注目したいのは、マンガの3〜4ページにかけて登場する、以下のセリフです。

「以前の渋谷店は在庫が4カ月分で、利幅は100%くらいで、回転数は年6回転ぐらいだったけど、今は在庫が減ったのもあって年30回以上になるらしい」

一見分かりにくいですが、非常に重要なポイントですので、丁寧に読み解いてみましょう。

「在庫回転が年6回から年30回以上に」──その仕組みとは?

まず、「4カ月分の在庫」とは、120日分の在庫を常に持っていたことを意味します。これは1年(365日)を120日で割ると、年に約3回在庫が入れ替わっていた=3回転ということになります。

次に「利幅が100%」とは、仕入原価の2倍の価格で商品を販売していたという意味です。たとえば、1000円で仕入れた商品を2000円で売っていた場合、粗利率は50%になります。

つまり、3回転 × 2倍の利幅 = 年間で6倍の売り上げを生んでいた、これが徹が「年6回転ぐらいだった」という意味です。

しかし、その後、渋谷店では漏水トラブルをきっかけに、以前の6分の1の在庫量、わずか20日分の在庫で店舗運営を行うことになりました。これは、1カ月分にも満たない水準です。

では、この20日分の在庫が、年間で何回転できるかを考えてみましょう。

年間365日 ÷ 20日分の在庫 = 18.25回転

これを従来通り仕入原価の2倍で販売すれば、

18.25回転 × 2倍の利幅 = 約36.5倍の売り上げ

つまり、以前より在庫量を減らしながら、回転数を年30回以上に高めることができたのです。

これは、在庫が少なくても、「欠品を起こさない在庫構成」によって高い回転率を維持できたからこそ実現した結果です。

少ない在庫で、より多く稼ぐ

今回のストーリーが伝えているのは、在庫量が少なくても、欠品を防げば、何倍もの効率でお金を稼げるという重要な事実です。

「うちの店は在庫の回転が悪い……」「いつも在庫が多すぎる……」ーーそんな悩みを持つ方は、まず“在庫を減らしても売れる仕組み”を考えてみてください。

在庫を寝かせるのは、もっとも無駄な資金の使い方。欠品させずに回転する在庫こそが、利益体質をつくるカギなのです。

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在庫が少ないほうが儲かる!?  驚きの“資金効率”改善ストーリー

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第8話を取り上げます。

今回のストーリーは、主人公の渋谷店の店長である徹が“たった20日分の在庫”で、年30回以上の回転を達成し、利益効率を劇的に改善させたという、リアルで実用的なエピソードです。

「在庫は少ない方が儲かる」──その理由を、マンガと一緒にやさしく解説していきます。

マンガ「在庫管理の魔術」の第8話は コチラ

今回のストーリーでは、在庫回転数 = 年間売上高 ÷ 平均在庫原価 という式で算出しています。

これは、「在庫を持つために使ったお金が、1年間で何倍の売り上げを生んだか」を示すもので、資金効率を測る指標です。

ここで、一般的に小売ビジネスで用いられる在庫回転数には、主に次の3つの計算方法があることを押さえておきましょう。

小売業で使われる「3つの在庫回転数」

資金回転数(資金回転率)
計算式:年間売上高 ÷ 平均在庫原価
→ 経営者や財務担当者が、資金効率やキャッシュフローの観点から注目する指標です。

在庫回転数(原価ベース)
計算式:売上原価 ÷ 平均在庫原価
→ 商品部の仕入担当者が、仕入れた在庫がどれくらいのペースで売れているかを確認する際によく使われます。会計・財務分析でも一般的です。

商品回転数(数量ベース)
計算式:販売数量 ÷ 平均在庫数量
→ 店頭で商品がどれくらいの頻度で入れ替わっているか、つまり“店頭鮮度”を測る指標で、店舗現場のスタッフが関心を寄せています。

今回のストーリーでは、店長の徹が、販売スタッフにも経営視点で考えてもらいたいと語りかけている場面が描かれています。

注目したいのは、マンガの3〜4ページにかけて登場する、以下のセリフです。

「以前の渋谷店は在庫が4カ月分で、利幅は100%くらいで、回転数は年6回転ぐらいだったけど、今は在庫が減ったのもあって年30回以上になるらしい」

一見分かりにくいですが、非常に重要なポイントですので、丁寧に読み解いてみましょう。

「在庫回転が年6回から年30回以上に」──その仕組みとは?

まず、「4カ月分の在庫」とは、120日分の在庫を常に持っていたことを意味します。これは1年(365日)を120日で割ると、年に約3回在庫が入れ替わっていた=3回転ということになります。

次に「利幅が100%」とは、仕入原価の2倍の価格で商品を販売していたという意味です。たとえば、1000円で仕入れた商品を2000円で売っていた場合、粗利率は50%になります。

つまり、3回転 × 2倍の利幅 = 年間で6倍の売り上げを生んでいた、これが徹が「年6回転ぐらいだった」という意味です。

しかし、その後、渋谷店では漏水トラブルをきっかけに、以前の6分の1の在庫量、わずか20日分の在庫で店舗運営を行うことになりました。これは、1カ月分にも満たない水準です。

では、この20日分の在庫が、年間で何回転できるかを考えてみましょう。

年間365日 ÷ 20日分の在庫 = 18.25回転

これを従来通り仕入原価の2倍で販売すれば、

18.25回転 × 2倍の利幅 = 約36.5倍の売り上げ

つまり、以前より在庫量を減らしながら、回転数を年30回以上に高めることができたのです。

これは、在庫が少なくても、「欠品を起こさない在庫構成」によって高い回転率を維持できたからこそ実現した結果です。

少ない在庫で、より多く稼ぐ

今回のストーリーが伝えているのは、在庫量が少なくても、欠品を防げば、何倍もの効率でお金を稼げるという重要な事実です。

「うちの店は在庫の回転が悪い……」「いつも在庫が多すぎる……」ーーそんな悩みを持つ方は、まず“在庫を減らしても売れる仕組み”を考えてみてください。

在庫を寝かせるのは、もっとも無駄な資金の使い方。欠品させずに回転する在庫こそが、利益体質をつくるカギなのです。

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「リサイクルはエモーショナルな行為になった」 「無印良品」清水社長、循環型に手応え

「がまんを強いるようなリサイクルやリユースは長続きしない」と語るのは、「無印良品」を運営する良品計画の清水智社長だ。

消費者から回収した服を再販する動きは広がっているが、消費者の支持を集めて収益性を確保するのは難しいと言われる。そんな中、回収した商品をアップサイクルして再販するプロジェクト「ReMUJI(リムジ)」は、販売数量を順調に伸ばしており、衣料品では2024年8月期に前年の2倍近くの5万5746着を売った。単に環境配慮の理想を消費者に訴えるのではなく、染め直したり、異なる柄を縫い合わせたりするなど一点物の魅力を高めたことで「リサイクルはエモーショナルな行為になった」と自信を深める。

3月に開店した世界最大店舗の「無印良品イオンモール橿原」(奈良県)に「ReMUJI」の国内最大の売り場を設けたところ、「計画以上に売れている。商品が足りない心配をするほどだ」という。一点物のリサイクル品を求めて、遠方から訪れる客も少なくない。「ReMUJI」の課題だった収益性も確保できるまでになった。

良品計画は30日、メディアやアナリスト向けに「ESG説明会」を開いた。清水社長は「ESGは無印の本業」と語り、ESGという言葉が存在しない1980年の創業時から環境問題や社会性を意識した事業活動をしてきた歴史を振り返った。衣料・雑貨分野では、環境負荷の少ない木の実「カポック」の積極的な採用や、再資源化に向けて服地やボタン、縫製糸などを単一素材で作る取り組みなどが紹介された。

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ヘイリー・ビーバーのD2Cコスメ「ロード」をE.L.F.ビューティが約1420億円で買収 

米エルフ ビューティ(E.L.F. BEAUTY)は28日(現地時間)、モデルのヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)が手掛けるビューティブランド「ロード(RHODE)」を10億ドル(約1420億円)で買収することに合意したと発表した。8億ドル(約1136億円)を現金と株式で支払い、残りの2億ドル(約284億円)は今後3年間の業績に応じた条件付きの支払いとなる。買収額は、2023年に3億5500万ドル(約504億円)で「ナチュリウム(NATURIUM)」を買収した際を上回り、同社史上最大。ヘイリー・ビーバーは、今後もチーフ・クリエイティブ・オフィサー兼イノベーション責任者として製品開発やマーケティングに携わり、統合後の企業の戦略アドバイザーも務める。

「ロード」は、ヘイリーが提唱しSNSで話題を呼んだ“グレーズドドーナツスキン(健康的で艶やかな肌を表現した言葉)”を基本コンセプトに22年に設立。リップバームやセラム、モイスチャライザーなど、厳選した製品展開でファンを拡大した。その後、カラーコスメやスマホケースなど製品ラインアップを拡張し、今秋に北米セフォラ(SEPHORA)での販売も開始する。タラン・アミン(Tarang Amin)=エルフ ビューティ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「米国とカナダのセフォラ全店に加え、年内に英国市場にも展開予定だ」とし、「ロード」が同社にとって初のセフォラ進出ブランドになると明かした。

ヘイリーが語る取引の舞台裏
「コミュニティー重視の姿勢に共感」

ヘイリー・ビーバーは今回の合意について、「エルフ ビューティは、創業者のビジョンを尊重し、後押ししてくれる。ブランドがグローバル展開を含む次のステージに進むために理想的なパートナーだ」と語った。「『ロード』は私の“ベイビー”のような存在。信頼できる“家”を探すのは難しかったが、エルフ ビューティとはコミュニティーを重視する姿勢やチームビルディングの価値観で強く共鳴した」。

アミンCEOは、「3年足らずの間にわずか10種ほどの製品とD2Cだけで2億1200万ドル(約301億円)の売り上げを達成したのは驚異的。ヘイリーの持つ勢いや全てが、ビューティ業界に変革をもたらしたいというわれわれの企業理念と合致する」とコメント。

E.L.F.のM&A戦略は一段落
今後は既存ブランドに注力

エルフ ビューティは昨年上半期、ニューヨーク証券取引でトップクラスの業績を上げ、売上高が10億ドルを突破する大きな節目を迎えた。しかし最近は、関税問題の逆風に直面している。同社は製品の75%を中国で製造する。その結果、株価は1年間で約25%下落した。対応策として同社は先週、全製品で1ドル(約142円)の値上げをする価格改定を発表したばかりだ。一方、「ロード」はイタリアと韓国を主要生産拠点としている。

エルフ ビューティは「ナチュリウム」や歌手のアリシア・キーズ(Alicia Keys)による「キーズ ソウルケア(KEYS SOULCARE)」を大きくした実績がある。これ以上のM&Aを計画しているかどうかについてアミンCEOは「当社は昨年、全ブランドが前年を上回る成長を達成した。特に『ナチュリウム』と『キーズ ソウルケア』は過去最高の売り上げを記録した。今後は既存ブランドの成長に注力する」と強調した。

化粧品M&A市場で
「ロード」は異例の成功例に

M&A市場が冷え込む中、セレーナ・ゴメス(Selena Gomez)の「レア ビューティ(RARE BEAUTY)」やキム・カーダシアン(Kim Kardashian)の専属メイクアップアーティストが手掛ける「メイクアップ バイ マリオ(MAKEUP BY MARIO)」、「コーサス(KOSAS)」「メリット(MERIT)」「ジェーン・アイルデール(JANE IREDALE)」など、多くの人気ブランドが買い手を見つけられずにいる。その中で、エルフ ビューティによる「ロード」の買収劇は、業界筋から過去最速の“ビリオンダラーディール(10億ドルの取引)”として注目を集めている。

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「イプサ」主力“ME”刷新で若年層を開拓 ブランド体験の再構築も

資生堂グループの「イプサ(IPSA)」は8月5日、主力化粧液“ME”をリニューアル発売する。初代発売から38年を経て10代目となる今回は、20代からの若年層の取り込みも意識した設計に刷新。カウンセリングサービスの高度化やデジタル施策と併せて、ブランド全体で“肌と心”の両面に寄り添う価値を訴求する。

“ME”は1987年に誕生し、現在は日本におけるブランド売上高の約25%を占める基幹アイテム。リピート率は44%と高く、親子2代で使用する顧客もいる。「イプサ」が掲げる「悩みに対処するのではなく、肌本来の力を引き出す」哲学を象徴する製品として、長年支持を集めてきた。

新“ME n“【医薬部外品】は、全8種を展開し、容量175mL、価格は各7350円(別売りの専用ディスペンサーは770円)。柔らかな肌に整えるユキノシタエキスなど独自の保湿成分を新たに配合した。美白有効成分のm-トラネキサム酸と、肌荒れ防止有効成分のグリチルリチン酸ジカリウムも配合し、透明感のある肌印象へと導く。

ボトル容器は、「シセイドウ」の化粧液“オイデルミン エッセンスローション”で導入された容器技術「リキフォーム」を採用。使うたびに形を変える柔らかな感触や、使用後にはコンパクトに潰せる機能性を実現した。

“心”の状態を可視化するサービスを導入

「イプサ」は1986年に誕生。スキンケア、メイクアップ、バランスケアをそろえ、日本含むアジアの5つの国と地域で展開している。小田淳社長は「『イプサ』は現在、転換期にある」とした上で、「今は誰もが揺らぎやすい時代。1人1人の個性が輝き続ける今を共に作るというミッションのもと、肌だけでなく心にも寄り添う“Fullness of skin and mind”を実現するブランドを目指す」と、今夏からブランドマーケティングを刷新する方針を示した。

その一環として、全国の店舗カウンターを7月以降順次リニューアルする。立ち寄りやすいスペースと、質の高いカウンセリングを両立させた新設計で、五感に訴える体験コンテンツも導入し、ブランド体験を深める。

カウンセリングでは、20種類以上の分析項目を持つ独自の肌測定器「イプサライザー」をアップデート。従来の肌分析に加え、顔立ちや心の状態も測定・可視化できるように進化した。得られたデータはCRMにも活用し、より高度なパーソナライズ提案を可能にする。

リアル店舗に加え、オンラインチャネルの拡充も進める。8月には公式ECサイトにAIレシピストを導入し、ユーザーの肌状態に応じて最適な商品や手入れ方法を提案する。5月には、オンライン肌測定サービス「CO-HADA Scan」に新たに「肌・こころ・からだ『美のバランス』」機能を追加した。

小田社長は、「肌が満たされれば心も満たされ、逆もまた然り。肌と心の“良循環”こそが、これからの美の基盤になる。原点に立ち返りながら、未来へと進んでいく」と、若年層との接点を拡大しながら、ブランドの成長を目指す。

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設立20年「産地クラスター」の先駆け、産官学で技術磨く 東レ合繊クラスター

東レと産地企業が互いに有機的な連携を目指して設立した「東レ合繊クラスター」は、昨年で20周年を迎えた。直近では北陸の産地企業を中心に83社が加盟しており、「人材育成」「マーケティング」「技術・素材開発」などの部会ごとに分かれ、「ほぼ毎週のように何らかの会合が実施されている」(事務局を務める東レの石毛正幸北陸支店長)ほど精力的に活動している。年に1度の総合展の開催のほか、さまざまな展示会への会員同士による出展や「合繊クラスター」発のテキスタイル開発、さらには産地に共通した経営課題に産官学で取り組むハブのような役割を果たすようにもなりつつある。「クラスター」はもともと米国の経営学者マイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)が提唱したコンセプトだ。石川、福井、富山にまたがる北陸は歴史的に糸や織物、ニット、染色加工、およびその周辺の撚糸や縫製などの企業群が集積していた。「東レ合繊クラスター」の発足で、それまで「系列」と呼ばれ大手素材メーカーごとに連なっていた北陸の企業群を、有機的に結びつけ、産地企業の自主・自立を促すことになった。

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設立20年「産地クラスター」の先駆け、産官学で技術磨く 東レ合繊クラスター

東レと産地企業が互いに有機的な連携を目指して設立した「東レ合繊クラスター」は、昨年で20周年を迎えた。直近では北陸の産地企業を中心に83社が加盟しており、「人材育成」「マーケティング」「技術・素材開発」などの部会ごとに分かれ、「ほぼ毎週のように何らかの会合が実施されている」(事務局を務める東レの石毛正幸北陸支店長)ほど精力的に活動している。年に1度の総合展の開催のほか、さまざまな展示会への会員同士による出展や「合繊クラスター」発のテキスタイル開発、さらには産地に共通した経営課題に産官学で取り組むハブのような役割を果たすようにもなりつつある。「クラスター」はもともと米国の経営学者マイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)が提唱したコンセプトだ。石川、福井、富山にまたがる北陸は歴史的に糸や織物、ニット、染色加工、およびその周辺の撚糸や縫製などの企業群が集積していた。「東レ合繊クラスター」の発足で、それまで「系列」と呼ばれ大手素材メーカーごとに連なっていた北陸の企業群を、有機的に結びつけ、産地企業の自主・自立を促すことになった。

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他産地から事業継承、自社で「産地化」 山形・寒河江市の佐藤繊維

日本の繊維産業がこの数十年にわたり縮小を続ける中で、山形県寒河江市に本社と工場を構える紡績メーカーの佐藤繊維は、内製化と業容拡大を続けてきた。従来の主力事業である紡績に加え、最新鋭の「ホールガーメント」機を導入、アパレルブランドを立ち上げ、さらにはセレクトショップ「ギア(GEA)」をスタートした。糸から製品、販売までを本社および寒河江市で一貫して行える体制を構築してきた。2020年のコロナ禍の前後には、同業で廃業、あるいは撤退した紡績機を引き取ったり、紡績前工程の設備の導入、糸染めの設備などを拡充した。佐藤正樹社長の狙いは、かつて全国に分散していた生産機能を自社、あるいは産地内に移管し、産地内の一貫サプライチェーンを構築すること。「技術が失われることを防ぎ、コストの削減にもなる。一部の先進国のために、それ以外の地域が競ってモノを供給する、現在の構造こそ歪(いびつ)だ。ものすごく長い目で見れば、少なくとも国内で消費する分は国内で生産するという時代が来る。その時のためにも技術とモノ作りの基盤を残す」と指摘する。

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他産地から事業継承、自社で「産地化」 山形・寒河江市の佐藤繊維

日本の繊維産業がこの数十年にわたり縮小を続ける中で、山形県寒河江市に本社と工場を構える紡績メーカーの佐藤繊維は、内製化と業容拡大を続けてきた。従来の主力事業である紡績に加え、最新鋭の「ホールガーメント」機を導入、アパレルブランドを立ち上げ、さらにはセレクトショップ「ギア(GEA)」をスタートした。糸から製品、販売までを本社および寒河江市で一貫して行える体制を構築してきた。2020年のコロナ禍の前後には、同業で廃業、あるいは撤退した紡績機を引き取ったり、紡績前工程の設備の導入、糸染めの設備などを拡充した。佐藤正樹社長の狙いは、かつて全国に分散していた生産機能を自社、あるいは産地内に移管し、産地内の一貫サプライチェーンを構築すること。「技術が失われることを防ぎ、コストの削減にもなる。一部の先進国のために、それ以外の地域が競ってモノを供給する、現在の構造こそ歪(いびつ)だ。ものすごく長い目で見れば、少なくとも国内で消費する分は国内で生産するという時代が来る。その時のためにも技術とモノ作りの基盤を残す」と指摘する。

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「ららテラス川口」売上高170億円計画 そごう川口店跡地に5月31日開業

三井不動産は29日、埼玉県の「三井ショッピングパーク ららテラス川口」を31日の開業に先駆けて関係者に公開した。JR川口駅前で2021年に閉店したそごう川口店の建物を改装し、近隣住民が日常使いできるショッピングセンターに刷新した。地下1階から地上8階、屋上を含めた店舗面積2万1500平方メートルに94店舗が入る。

そごう・西武が食品のサテライトショップ

ファッション関連では「ユニクロ」「ジーユー」「オンワードクローゼット・セレクト」「アーバンリサーチストア」「ウィゴー」「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング」「シューラルー」「グローバルワーク」などが入る。そのほか「スリーコインズ」「ダイソー」「ノジマ」「ムラサキスポーツ」、地下1階には、「川口フードマーケット」と名づけた15店舗で構成する食物販ゾーンやフードコート、スーパーマーケットが営業する。

そごう・西武はデパ地下ギフトを中心に集めたサテライト型店舗「西武・そごうショップ」を出した。かつてのそごう顧客をはじめとした地元住民に、おもたせや中元・歳暮をそごうの包装紙で提供する。

屋上にはビアガーデン「ワイルドビーチ川口」を設けた。米西海岸をイメージし、白い砂を敷き詰め、椰子の木が立つ空間ではビールやバーベキューが楽しめる。これもそごう時代に営業していたビアガーデンから着想を得たもので、地元住民の期待に応える。

川口市は高層マンションの開発が進み、人口がゆるやかに伸び続けている。JR川口駅からだと、上野まで18分、新宿まで20分と近いため、ベッドタウンとして人気がある。JR川口駅の乗降客数は1日平均14.3万人で埼玉県内では5位。利便性の良い立地を背景に、年間来場者数約600万人、売上高約170億円を計画する。近隣型ショッピングセンター「ららテラス」「ららガーデン」の中では最大規を見込む。

からくり人形が17年ぶりに復活

旧そごう川口店は1990年に開業。ピーク時の96年には売上高359億円だったが、その後、低迷が続き21年2月に閉店した。コロナ禍になる前の19年度は売上高153億円に縮んでいた。閉店後も跡地の再活用がなかなか決まらず、23年9月に三井不動産に売却された。三井不動産は2000年に閉店した錦糸町そごう(東京都墨田区)の建物を引き継ぎ、ショッピングセンター「アルカキット錦糸町」として再建した実績がある。

今回のららテラス川口は、できるだけ百貨店時代の建物や内装のデザインを生かすようにした。たとえば壁や床、柱に用いられた大理石は、エレベーターホールをはじめ至る場所で修繕して使っている。エレベーターホールの階数表示には、川口の地場産業である鋳物を採用した。かつてそごうの店舗ではシンボルだったエントランスのからくり時計も17年ぶりに復活させた。新たに川口市のキャラクター「きゅぽらん」、招き猫、獅子舞など11体の人形が決まった時刻になると登場して目を楽しませる。

駅前の一等地でありながら4年以上も閉じた状態だった旧そごう川口店の建物が再びにぎわいを取り戻すことができるのか。百貨店跡地の再活用の事例としても小売関係者や不動産関係者の注目を集めている。

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アシックス、26年ミラノ・コルティナ、28年ロサンゼルスの両五輪で日本選手団パートナーに

アシックスは、2021年に開催した東京、24年のパリのオリンピック・パラリンピックに続き、26年のミラノ・コルティナ冬季、28年のロサンゼルスの両オリンピック・パラリンピックで、引き続き日本選手団のゴールドパートナー(パラリンピックではオフィシャルパートナーと呼称)を務める。スポーツアパレル、スポーツシューズ、スポーツギアの領域で、「パフォーマンスとサステナビリティの両立」を追求した製品を開発、日本選手団に提供する。

アシックスが日本オリンピック委員会、日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会とTEAM JAPANパートナーシップを契約したことによるもの。契約期間は28年12月31日まで。

アシックスは製品提供に加え、日本選手団アスリートやスタッフへの各種サポート活動などを行う。「東京2020オリンピック・パラリンピックで醸成されたTEAM JAPANへの応援文化をさらに盛り上げ、スポーツを通じて多様性にあふれる共生社会の実現を目指す」と、アシックスの発表コメントから。

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米アマゾン、ビューティ領域で存在感 月間1億人超が利用する巨大市場の次の一手

米アマゾン(AMAZON)がビューティ市場で存在感をさらに強めている。米国内だけで月間1億人超がビューティカテゴリーで買い物をしており、その影響力は拡大の一途をたどる。米「WWD」が毎年開催している「ビューティCEOサミット」に、アマゾンのメリス・デル・レイ(Melis del Rey)=ヘルス&ビューティ担当ゼネラルマネージャーが登壇。同社の構想について語った。

美容と健康を包括する
ショッピング体験を構築

デル・レイ=ゼネラルマネージャーは、「アマゾンが目指すのは、革新的かつアクセシブルな“ヘルス・デスティネーション”の実現だ。ビューティ領域とヘルスケア領域を包括的に捉えたショッピング体験の構築が進んでいる」という。その一例として、新しいスキンケアプログラム「スキンケア プラス(Skin Care Plus)」を挙げた。同プログラムは皮膚科医が推奨するスキンケア商品を迅速に、かつ必要に応じて処方や医療につなげられる設計になっているという。「『スキンケア プラス』は信頼できるワンストップ・ショッピングの場であり、今後さらに拡張していく予定だ」。

アマゾンはスキンケアだけでなくウェルネス分野にも本格的に参入する考えだ。食品やサプリメント、睡眠、フィットネス、ホルモンケアまで、扱うカテゴリーは多岐にわたる。「特に更年期は商品だけでなくショッピング体験そのものにおいても大きなイノベーションの可能性を秘めている。買う側の障壁をいかに取り除き、より包括的なショッピング体験をいかに提供できるかが重要だ」と語った。

アマゾン ビューティの強みは
「スピード」と「発見」

ビューティ市場においてアマゾンが差別化されるポイントについてデル・レイ=ゼネラルマネージャーは、「幅広い品揃えと、消費者に商品が届くまでの圧倒的なスピードが重要な成長エンジンになっている」と説明する。「われわれは顧客やブランドパートナーと関わる時、ショッピング体験を革新し、発見をもたらすようにしている。ブランドを起点に顧客体験を組み立てることで、的確に消費者の心をつかめる」と自信を見せる。

AIによるショッピング体験最適化 
消費者の価値観に変化も

アマゾンはAI投資にも注力する。その考え方は「大胆かつ大規模」だという。その一例が、生成AI搭載の対話型ショッピングアシスタント「ルーファス(Rufus)」だ。約1年前にスタートしたこの機能は、ビューティトレンドの紹介、商品のレコメンドや使い方のナビゲートまで対応する。また、新商品を見つけやすくするAIベースのショッピングガイドも展開している。

デル・レイ=ゼネラルマネージャーは、「現在の市場環境では、ブランドパートナーをサポートしながら日々新たな学びを得ている状況だ。消費者が価値に敏感な時代だからこそ、価格と得られる利点のバランスを見つけてどのように提供するかが問われている」とまとめた。

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米アマゾン、ビューティ領域で存在感 月間1億人超が利用する巨大市場の次の一手

米アマゾン(AMAZON)がビューティ市場で存在感をさらに強めている。米国内だけで月間1億人超がビューティカテゴリーで買い物をしており、その影響力は拡大の一途をたどる。米「WWD」が毎年開催している「ビューティCEOサミット」に、アマゾンのメリス・デル・レイ(Melis del Rey)=ヘルス&ビューティ担当ゼネラルマネージャーが登壇。同社の構想について語った。

美容と健康を包括する
ショッピング体験を構築

デル・レイ=ゼネラルマネージャーは、「アマゾンが目指すのは、革新的かつアクセシブルな“ヘルス・デスティネーション”の実現だ。ビューティ領域とヘルスケア領域を包括的に捉えたショッピング体験の構築が進んでいる」という。その一例として、新しいスキンケアプログラム「スキンケア プラス(Skin Care Plus)」を挙げた。同プログラムは皮膚科医が推奨するスキンケア商品を迅速に、かつ必要に応じて処方や医療につなげられる設計になっているという。「『スキンケア プラス』は信頼できるワンストップ・ショッピングの場であり、今後さらに拡張していく予定だ」。

アマゾンはスキンケアだけでなくウェルネス分野にも本格的に参入する考えだ。食品やサプリメント、睡眠、フィットネス、ホルモンケアまで、扱うカテゴリーは多岐にわたる。「特に更年期は商品だけでなくショッピング体験そのものにおいても大きなイノベーションの可能性を秘めている。買う側の障壁をいかに取り除き、より包括的なショッピング体験をいかに提供できるかが重要だ」と語った。

アマゾン ビューティの強みは
「スピード」と「発見」

ビューティ市場においてアマゾンが差別化されるポイントについてデル・レイ=ゼネラルマネージャーは、「幅広い品揃えと、消費者に商品が届くまでの圧倒的なスピードが重要な成長エンジンになっている」と説明する。「われわれは顧客やブランドパートナーと関わる時、ショッピング体験を革新し、発見をもたらすようにしている。ブランドを起点に顧客体験を組み立てることで、的確に消費者の心をつかめる」と自信を見せる。

AIによるショッピング体験最適化 
消費者の価値観に変化も

アマゾンはAI投資にも注力する。その考え方は「大胆かつ大規模」だという。その一例が、生成AI搭載の対話型ショッピングアシスタント「ルーファス(Rufus)」だ。約1年前にスタートしたこの機能は、ビューティトレンドの紹介、商品のレコメンドや使い方のナビゲートまで対応する。また、新商品を見つけやすくするAIベースのショッピングガイドも展開している。

デル・レイ=ゼネラルマネージャーは、「現在の市場環境では、ブランドパートナーをサポートしながら日々新たな学びを得ている状況だ。消費者が価値に敏感な時代だからこそ、価格と得られる利点のバランスを見つけてどのように提供するかが問われている」とまとめた。

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大蛇退治を間近で! 石見神楽を大丸松坂屋と島根県江津市がメタバース化

大丸松坂屋百貨店は、島根県江津市と連携し、同市が位置する石見地方の伝統芸能「石見神楽(いわみかぐら)」のメタバース化を実現した。完成した仮想空間は、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」上の専用ワールド「島根県江津市 石見神楽『大蛇』」で5月28日から一般公開される。23日には先行お披露目が行われた。

メタバース化されたのは、30を超える演目の中でも人気の高い「大蛇(おろち)」と「鐘馗(しょうき)」。「大蛇」では、(すさのおのみこと)と八岐大蛇(やまたのおろち)が対峙する場面を3D空間で再現。八岐大蛇の鱗の質感や、須佐之男命に巻き付く様子などが臨場感たっぷりに描かれ、仮想空間ならではの多角的な視点からの鑑賞が可能となっている。

衣装データはBOOTHで無償配布

一方「鐘馗」では、登場する「鐘馗」と「疫神」の衣装を3Dデータとして再現。大丸松坂屋のオリジナルアバターはもちろん、他社の人気アバターにも対応した汎用性の高い設計となっており、BOOTH内の公式ショップで無償配布する。

大丸松坂屋百貨店デジタル戦略推進室DX推進部の岡崎路易(るい)部長は、江津市観光大使“GOTSU CREW”として、地域の起業家の方のビジネス・マーケティングのアドバイスをするマッチング会に参加。そこに市職員として事務局を務めていたVRChatヘビーユーザーの_FUKU_と出会い、メタバースの可能性を語り合うなかで、「石見神楽をメタバース化しよう!」と意気投合したことがきっかけだという。

石見神楽を演じる団体は非公式も入れると、石見地方だけでも60以上。その中の江津市波子社中の協力を得て、メタバース化を実施した。9人の演者が江津市でモーションキャプチャーを着用してVRChat内のスタジオワールドで1人ずつ舞踏。そのデータから3D化した。メタバースと3Dモデルの制作はV、ディレクションはJONERが担当した。

大蛇の胴体は和紙と竹でできており、鮮やかな鱗を表現しながら、迫力のある動きを可能にしている。そのダイナミックな動きと質感、錦糸銀糸を織り込んだ豪華絢爛な衣装を3Dで再現。メタバースで臨場感たっぷりに楽しめるだけでなく、デジタルアーカイブとしても貴重だ。

大丸松坂屋はこれまでにもメタバース領域で、3Dアバターや衣装制作、ワールド構築などを手掛けてきた。今回はその知見を活かし、「伝統文化×地域創生×メタバース」という切り口で文化的資産のデジタル化と地域プロモーションを両立。冒頭には英語での解説も入る。「この切り口で他の石見神楽の演目や、他の地域の伝統文化(伝統芸能)もメタバース化していきたい」と岡崎部長は意欲を語る。

あわせて、5月28日から6月1日まで、2025年大阪・関西万博の会場内「地方創生SDGsフェス」にも出展。「EXPOメッセWASSE」で、メタバース内の「大蛇」を体験できるほか、実際の神楽衣装も展示される予定で、リアルと仮想の融合を体感できる貴重な機会となる。

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オルビスが中国事業から撤退

ポーラ・オルビスホールディングスは26日、「オルビス(ORBIS)」が中国事業から撤退すると発表した。連結子会社の奥蜜思商貿(北京)有限公司(以下オルビス北京)を解散・精算する。解散日は関連手続きが完了し次第とし、現時点では未定。なお、2025年12月期連結決算には、特別損失として約13億円を計上する見通し。あわせて法人税などが約16億円減少する見込み。通期の連結業績予想に変更はない。

オルビス北京は、2008年に現地法人として設立され、中国で「オルビス」の製品を販売してきた。しかし、中国経済の停滞やEC市場の競争激化を背景に、早期の収益改善が見込みづらい状況になっていた。このため、事業規模の縮小を余儀なくされ、グループ内の中国戦略として、オルビス北京の清算を決めた。今後は、リソースを他のブランドに集中させる方針だ。

ポーラ・オルビスは化粧品事業において、ブランドポートフォリオの見直しや地域別に業績を最大化できる組織体制への転換を進めている。今回のオルビス北京の解散も、こうした収益性向上に向けた取り組みの一環と位置づけている。

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I-ne、スシロー前社長の水留氏迎え経営体制強化へ

「ボタニスト(BOTANIST)」や「ヨル(YOLU)」などを展開するI-neは26日、スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIES(以下、F&LC)の取締役特別顧問である水留浩一氏を社外取締役に起用すると発表した。9月26日に開く臨時株主総会で正式に選任される見通し。

水留氏は1968年生まれの57歳。電通やアクセンチュア、ローランド・ベルガーで要職を務めた後、日本航空の取締役副社長、アパレル大手ワールドの取締役専務執行役員などを歴任。2015年にあきんどスシロー(現F&LC)の社長に就任し、海外出店の加速やコロナ禍・消費者の迷惑行為による逆風下での業績回復を主導した。24年から現職。22年からはアダストリアの社外取締役も務めている。

同社は「(水留氏は)企業経営における豊富な経験を踏まえ、既存事業の成長や海外展開を含む新領域への助言・経営監督機能が期待できる」として、中期経営計画の達成に向けて不可欠と判断した。

2030年に売上高1000億円へ
“非”ヘアケア事業を拡大

I-neは、2028年〜30年の中期経営方針で、売上高1000億円を掲げている。成長戦略の柱として、1.新規事業の育成、2.M&Aの推進、3.事業ポートフォリオの転換の3点を挙げる。

まず、主力のヘアケアや美容家電に加え、スキンケアのほか目薬や柔軟剤といった新カテゴリーへの展開を加速する。25年は新たに10ブランドを投入する計画で、第2、第3の成長の柱を育てる。

次に、M&Aを通じた事業領域の拡大を推進する。23年にはスキンケアブランドのトゥヴェールと海外D2C企業のArtemisの2社を買収。現在は統合作業(PMI)を進めている。今後も継続的にM&Aを実施し、収益基盤の多角化を図る。こうした取り組みにより、30年にはヘアケア以外のカテゴリーでの売上高が全体の6割を占める体制を目指す。製品・事業の多様化を通じ、成長の持続性を高めていく考えだ。

業績面では、24年12月期は売上高が前年比8.1%増の450億600万円、営業利益が同4.7%増の45億8300万円、経常利益が同6.6%増の46億2100万円、純利益が同25.7%減の29億3800万円だった。

2025年12月期は、売上高が同15.5%増の520億円、営業利益が同10.0%増の50億4000万円、経常利益が同8.2%増の50億円と増収増益を計画する。ただし、純利益は同8.1%減の27億円を見込む。

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I-ne、スシロー前社長の水留氏迎え経営体制強化へ

「ボタニスト(BOTANIST)」や「ヨル(YOLU)」などを展開するI-neは26日、スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIES(以下、F&LC)の取締役特別顧問である水留浩一氏を社外取締役に起用すると発表した。9月26日に開く臨時株主総会で正式に選任される見通し。

水留氏は1968年生まれの57歳。電通やアクセンチュア、ローランド・ベルガーで要職を務めた後、日本航空の取締役副社長、アパレル大手ワールドの取締役専務執行役員などを歴任。2015年にあきんどスシロー(現F&LC)の社長に就任し、海外出店の加速やコロナ禍・消費者の迷惑行為による逆風下での業績回復を主導した。24年から現職。22年からはアダストリアの社外取締役も務めている。

同社は「(水留氏は)企業経営における豊富な経験を踏まえ、既存事業の成長や海外展開を含む新領域への助言・経営監督機能が期待できる」として、中期経営計画の達成に向けて不可欠と判断した。

2030年に売上高1000億円へ
“非”ヘアケア事業を拡大

I-neは、2028年〜30年の中期経営方針で、売上高1000億円を掲げている。成長戦略の柱として、1.新規事業の育成、2.M&Aの推進、3.事業ポートフォリオの転換の3点を挙げる。

まず、主力のヘアケアや美容家電に加え、スキンケアのほか目薬や柔軟剤といった新カテゴリーへの展開を加速する。25年は新たに10ブランドを投入する計画で、第2、第3の成長の柱を育てる。

次に、M&Aを通じた事業領域の拡大を推進する。23年にはスキンケアブランドのトゥヴェールと海外D2C企業のArtemisの2社を買収。現在は統合作業(PMI)を進めている。今後も継続的にM&Aを実施し、収益基盤の多角化を図る。こうした取り組みにより、30年にはヘアケア以外のカテゴリーでの売上高が全体の6割を占める体制を目指す。製品・事業の多様化を通じ、成長の持続性を高めていく考えだ。

業績面では、24年12月期は売上高が前年比8.1%増の450億600万円、営業利益が同4.7%増の45億8300万円、経常利益が同6.6%増の46億2100万円、純利益が同25.7%減の29億3800万円だった。

2025年12月期は、売上高が同15.5%増の520億円、営業利益が同10.0%増の50億4000万円、経常利益が同8.2%増の50億円と増収増益を計画する。ただし、純利益は同8.1%減の27億円を見込む。

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“4分の1在庫で利益3倍”の衝撃 出店資金を最大化する発想法

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第7話を取り上げます。

「クロスシッピング」で在庫はもっと活かせる

第7話では、「店舗在庫の最適化」と「成長資金の最大化」という、チェーンストア経営にとって極めて重要な2つのテーマが、経営者の視点から描かれています。

※チェーンストアとは、一般的に同じブランド・屋号で11店舗以上の店舗を展開する小売業のことです。

マンガ「在庫管理の魔術」の第7話は コチラ

多数の店舗を持つチェーンストアでは在庫の偏在が必ず発生します。ある商品が、こちらの店では欠品になっているのに、あちらの店では在庫が豊富にあるという状況です。店舗数が増えれば増えるほど、この偏りが大きくなることは想像に難くないでしょう。

在庫の偏在がある状況では、仕入れ担当者は欠品した店が販売機会の損失を防ぐために、ほかの店で在庫がだぶついているにも関わらず、追加発注を検討することになります。これもチェーンストア全体において、過剰在庫が発生する原因のひとつです。

この在庫の偏在を解消する鍵となるのが「クロスシッピング」、すなわち店舗間、倉庫間で在庫を融通し合う在庫移動の仕組みです。この頻度を高めると、在庫の偏在が減り、需要にあわせた、在庫の平準化が可能になります。

もう一つのテーマである「成長資金の最大化」というのは、今回のストーリーの後半に出てきた「投資収益率」に関連するものです。投資収益率とは、「投資に対して、どれだけ営業利益を生み出せたか」を表す指標です。 

計算式は (営業利益 ÷ 投資額) × 100。

アパレル店舗の出店においては、この式の中の「投資額」に出店コストや敷金・保証金、内装費、在庫額などが含まれます。これらのうちで金額が大きく、かつ変動が大きいのが在庫額です。実際に、主人公の徹が店長を務める渋谷店では、在庫を4分の1に減らすという大胆な取り組みで、営業利益を約3倍にまで伸ばすことに成功しました。前述の式に当てはめて、ざっと計算すると、分母(在庫額)が4分の1に、分子(営業利益)が3倍になったために、在庫の投資収益率が10倍以上になったわけです。

在庫を4分の1に出来たら、残りの4分の3はフリーキャッシュフロー(余剰資金)になるわけで、これを成長のための投資に回せば、どれだけの可能性が広がるでしょうか。極論ですが、今までの4倍分の出店が可能になるのです。店舗で働く人は、販売機会を失いたくないので在庫をできるだけ多く持ちたいと考えていますが、経営者は限られた資金で会社を運営しています。在庫を減らして浮いた資金を、成長のための投資に回せたら――新規出店、システム投資、賃上げなど、未来への選択肢が一気に広がるはずです。

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“4分の1在庫で利益3倍”の衝撃 出店資金を最大化する発想法

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第7話を取り上げます。

「クロスシッピング」で在庫はもっと活かせる

第7話では、「店舗在庫の最適化」と「成長資金の最大化」という、チェーンストア経営にとって極めて重要な2つのテーマが、経営者の視点から描かれています。

※チェーンストアとは、一般的に同じブランド・屋号で11店舗以上の店舗を展開する小売業のことです。

マンガ「在庫管理の魔術」の第7話は コチラ

多数の店舗を持つチェーンストアでは在庫の偏在が必ず発生します。ある商品が、こちらの店では欠品になっているのに、あちらの店では在庫が豊富にあるという状況です。店舗数が増えれば増えるほど、この偏りが大きくなることは想像に難くないでしょう。

在庫の偏在がある状況では、仕入れ担当者は欠品した店が販売機会の損失を防ぐために、ほかの店で在庫がだぶついているにも関わらず、追加発注を検討することになります。これもチェーンストア全体において、過剰在庫が発生する原因のひとつです。

この在庫の偏在を解消する鍵となるのが「クロスシッピング」、すなわち店舗間、倉庫間で在庫を融通し合う在庫移動の仕組みです。この頻度を高めると、在庫の偏在が減り、需要にあわせた、在庫の平準化が可能になります。

もう一つのテーマである「成長資金の最大化」というのは、今回のストーリーの後半に出てきた「投資収益率」に関連するものです。投資収益率とは、「投資に対して、どれだけ営業利益を生み出せたか」を表す指標です。 

計算式は (営業利益 ÷ 投資額) × 100。

アパレル店舗の出店においては、この式の中の「投資額」に出店コストや敷金・保証金、内装費、在庫額などが含まれます。これらのうちで金額が大きく、かつ変動が大きいのが在庫額です。実際に、主人公の徹が店長を務める渋谷店では、在庫を4分の1に減らすという大胆な取り組みで、営業利益を約3倍にまで伸ばすことに成功しました。前述の式に当てはめて、ざっと計算すると、分母(在庫額)が4分の1に、分子(営業利益)が3倍になったために、在庫の投資収益率が10倍以上になったわけです。

在庫を4分の1に出来たら、残りの4分の3はフリーキャッシュフロー(余剰資金)になるわけで、これを成長のための投資に回せば、どれだけの可能性が広がるでしょうか。極論ですが、今までの4倍分の出店が可能になるのです。店舗で働く人は、販売機会を失いたくないので在庫をできるだけ多く持ちたいと考えていますが、経営者は限られた資金で会社を運営しています。在庫を減らして浮いた資金を、成長のための投資に回せたら――新規出店、システム投資、賃上げなど、未来への選択肢が一気に広がるはずです。

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米ブランド管理会社ABG、「ドッカーズ」をリーバイスから447億円で買収

米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)は、リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS以下、リーバイス)が擁するカジュアルウエアブランド「ドッカーズ(DOCKERS)」のIP(知的財産)を3億1100万ドル(約447億円)で買収した。なお、取引の完了後、「ドッカーズ」の業績が一定の基準に達した場合には、ABGがリーバイスに追加で8000万ドル(約115億円)を支払うという。

「ドッカーズ」は、リーバイスが1986年に設立。メンズのチノパンツを主力商品とし、当時米国で台頭しつつあった“カジュアルフライデー”など、オフィスウエアのカジュアル化の波に乗って成長した。しかし、他社も参入してきたことから次第に業績が低迷。リーバイスは2004年や21年にも「ドッカーズ」の売却を試みていたと見られるが、いずれも実現しなかった。

現在、「ドッカーズ」は世界50カ国で販売されており、24年度の売上高はおよそ3億1800万ドル(約457億円)。これはリーバイスの売り上げ全体の5%程度にあたる。なお、「ドッカーズ」のナタリー・マクレナン(Natalie MacLennan)社長をはじめとする経営陣の進退については、現時点では明らかになっていない。

リーバイスとABGのCEOのコメント


リーバイスのミシェル・ガス(Michelle Gass)社長兼最高経営責任者(CEO)は、「『ドッカーズ』の売却は、D2Cを優先し、グローバルでの存在感をいっそう高め、ウィメンズやライフスタイル分野に投資していくという当社の事業戦略に沿ったものだ。ABGは『ドッカーズ』の次章における成長を促す最適なパートナーであり、今回の取引では同ブランドの事業価値を最大化することができたと確信している。『ドッカーズ』のグローバルチームの、これまでの貢献に心から感謝している」と語った。なお、同社は今回の取引で得た利益のうち1億ドル(約144億円)程度を自社株買いに充て、株主に還元するという。


ABGのジェイミー・ソルター(Jamie Salter)会長兼CEOは、「『ドッカーズ』は世界的によく知られているブランドであり、オフィスウエアのカジュアル化に貢献した。そのレガシーを土台に、さまざまなカテゴリーで成長する大きな可能性があり、当社のビジネスモデルにぴったりのブランドだ」と述べた。

先に交渉していたマーキーは経済環境を懸念し撤退

今回の買収は2段階に分けて行われ、「ドッカーズ」のIPおよび米国とカナダにおける事業は7月末までに、その他の地域における事業は26年1月末までに取引が完了する予定。ABGは、「ドッカーズ」の米国とカナダにおけるライセンシーとして、長年のパートナーであるセントリック・ブランズ(CENTRIC BRANDS)と契約を締結。同社は商品デザイン、調達、卸などブランドの運営面を担う。南米、欧州、中東、東南アジアなど他市場でのライセンシーについても、ABGのパートナー企業との交渉が進んでいるという。

なお、4月には、米ブランドマネジメント会社マーキー・ブランズ(MARQUEE BRANDS)が「ドッカーズ」の買収についてリーバイスと独占交渉を進めていると複数の海外メディアが報じた。しかし、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税の引き上げなど、経済環境の先行き不透明感を懸念材料として撤退。より資金力のある競合のABGが獲得することとなった。

ABGは、10年の設立。50以上のブランドを保有しており、小売ベースでの年商は320億ドル(約4兆6080億円)に上る。主な保有ブランドは、「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」「フォーエバー21(FOREVER 21)」、米「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」「リーボック(REEBOK)」「テッドベーカー(TED BAKER)」「ハンター(HUNTER)」「チャンピオン(CHAMPION)」など。

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進化するアウトレットが面白い

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年5月19日号からの抜粋です)

伊藤:今回の特集で初めて御殿場プレミアム・アウトレットに行きました。今年25周年で、売上高日本一の商業施設ですよね。

本橋:僕は年に1回以上は訪れているヘビーユーザーです。どうでしたか?

伊藤:三菱地所とサイモン・プロパティ・グループの合弁会社が運営しているので、アメリカンな世界観で統一されているのですが、そこに富士山がなじんでいて、非日常感がすごい。もはやテーマパークです。そこでの時間を純粋に楽しんでいる姿が多かったのが印象的でした。

新規客の入り口として機能

本橋:アウトレットだからといって安さを求めて来る人ばかりではないですよね。僕は今回、軽井沢・プリンスショッピングプラザを取材しましたが、リゾートに来た富裕層も多く立ち寄るようで、「ベイクルーズアウトレットストア」には100万円のビンテージバッグが置いてあったりしました。もちろんお買い得品を求めてくる人も多数いて、「ユナイテッドアローズ アウトレット」は品ぞろえの7割くらいがアウトレット専売ブランド。そこをタッチポイントにして、普通の店舗への来店につなげようという戦略でした。新しいお客さんの入り口なんですよね。もともとゴルフ場だったこともあって、池を生かした水上アクティビティーやドッグパークなど、買い物以外のコンテンツも盛りだくさんでした。

伊藤:御殿場は遊園地の跡地にできた施設で、遊園地時代の橋を生かしたりしていました。

本橋:アウトレット店を見ると、扱っている商品のラインアップで、そのブランドの好不調が分かりますよね。コロナ禍中はすごくいい商品が置いてあってパラダイスでした。最近はハイブランドを中心に価格が高騰していますし、値引きされていても高いと感じてしまい、今回の取材では食指が動かなかったです。客単価もだいぶ上がっているようです。

伊藤:私も大きい買い物をした後だったので、買いたいものを買えず。また行きたいです!

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「三井アウトレットパーク岡崎」11月開業 名古屋広域商圏で3番目の大型アウトレット

三井不動産は、愛知県岡崎市で開発中のアウトレットモール「三井アウトレットパーク(MOP)岡崎」を11月に開業すると発表した。店舗面積3万5000平方メートルに約180店舗が入る。同社にとっては全国で14番目のアウトレットモールになる。名古屋の広域商圏では同社によるMOPジャズドリーム長島(三重県桑名市)、三菱地所・サイモンの土岐プレミアム・アウトレット(岐阜県桑名市)に続く3番目の施設となる。

幹線道路である国道1号線、東名高速道路や新東名高速道路の出口からも近く、名鉄本線・本宿駅からも徒歩圏内に立地する。約160店舗のアウトレットゾーンと、食を中心とした約20店舗の公園型施設「オカザキマーケット」で構成する。

アウトレットゾーンは海外ブランドやスポーツ・アウトドアなどを充実させた。「ポロ ラルフ ローレン」「ギャップ」「マイケルコース」「ラコステ」「リーバス」「アディダス」「ニューバランス」「プーマ」「ザ・ノース・フェイス」「アーバンリサーチ」「シップス」「ジャーナルスタンダード」などが出店する。

公園型施設「オカザキマーケット」(約4000平方メートル)は、緑豊かな屋外広場を取り囲むように飲食店と食物販店を配置する。屋外広場には子供の遊び場、ドッグランを整備するとともに、音楽やスポーツのイベントも定期的に開き、にぎわいの空間にする。

三井不動産は岡崎市の隣の安城市に「ららぽーと安城」を4月に開業したばかり。これまで広域型ショッピングセンターのららぽーと名古屋みなとアクルス(18年9月開業)、ららぽーと愛知東郷(20年9月開業)を西部の尾張エリアに出してきたが、東部の三河エリアでも存在感を強める。

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「三井アウトレットパーク岡崎」11月開業 名古屋広域商圏で3番目の大型アウトレット

三井不動産は、愛知県岡崎市で開発中のアウトレットモール「三井アウトレットパーク(MOP)岡崎」を11月に開業すると発表した。店舗面積3万5000平方メートルに約180店舗が入る。同社にとっては全国で14番目のアウトレットモールになる。名古屋の広域商圏では同社によるMOPジャズドリーム長島(三重県桑名市)、三菱地所・サイモンの土岐プレミアム・アウトレット(岐阜県桑名市)に続く3番目の施設となる。

幹線道路である国道1号線、東名高速道路や新東名高速道路の出口からも近く、名鉄本線・本宿駅からも徒歩圏内に立地する。約160店舗のアウトレットゾーンと、食を中心とした約20店舗の公園型施設「オカザキマーケット」で構成する。

アウトレットゾーンは海外ブランドやスポーツ・アウトドアなどを充実させた。「ポロ ラルフ ローレン」「ギャップ」「マイケルコース」「ラコステ」「リーバス」「アディダス」「ニューバランス」「プーマ」「ザ・ノース・フェイス」「アーバンリサーチ」「シップス」「ジャーナルスタンダード」などが出店する。

公園型施設「オカザキマーケット」(約4000平方メートル)は、緑豊かな屋外広場を取り囲むように飲食店と食物販店を配置する。屋外広場には子供の遊び場、ドッグランを整備するとともに、音楽やスポーツのイベントも定期的に開き、にぎわいの空間にする。

三井不動産は岡崎市の隣の安城市に「ららぽーと安城」を4月に開業したばかり。これまで広域型ショッピングセンターのららぽーと名古屋みなとアクルス(18年9月開業)、ららぽーと愛知東郷(20年9月開業)を西部の尾張エリアに出してきたが、東部の三河エリアでも存在感を強める。

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リカルド・ティッシが性的暴行か ティッシは「事実無根」と完全否定

デザイナーのリカルド・ティッシ(Ricardo Tisci)に薬物を使用された上で性的暴行を加えられたとして、被害を受けたとされるパトリック・クーパー(Patrick Cooper)は、ニューヨーク州最高裁判所に提訴した。クーパーは訴状の中で、ティッシとは2024年6月に米ニューヨーク州のイースト・ハーレムにあるバーで出会い、会話を交わしたが、目を離した隙にティッシが飲み物に薬物を混入したと主張。また、薬物の効果が現れた後、クーパーをニューヨーク市内にあるティッシのアパートに連れて行き、退去を妨げたうえで性的暴行を加えたと主張している。その際、クーパーは同意能力がなかったとし、ティッシによる「捕食的かつ性的で違法な暴行・傷害行為」を防ぐことも抵抗することもできなかったという。ティッシのスポークスマンは、「これらの申し立ては事実無根である。ティッシはこの虚偽かつ悪意ある告発に対して自身の潔白を証明することを望んでおり、適正な法的手続きを通じて名誉を回復する」と声明を発表した。

クーパーは、補償的および懲罰的損害賠償に加え、「訴訟費用、弁護士費用、その他裁判所が妥当と認めるあらゆる救済措置」を求めている。なお、請求額は「下級裁判所の管轄限度を超える」金額とされている。

ティッシは、過去には「バーバリー(BURBERRY)」や「ジバンシィ(GIVENCHY)」のクリエイティブ・ディレクターを務めた人物。23年に「バーバリー」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーを退任した後はデザイナーとしての表立った活動は見られなかった。近年では、アート・フォトグラファーとしてプロジェクトに携わっているとみられ、ライフスタイル系ファッションブランドとのコラボレーションも近日中に発表される見込みだ。

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Spotify が2024年の年次レポートを発表 国内アーティストのロイヤリティーは250億円超え

オーディオストリーミングサービス「Spotify(スポティファイ)」は、2024年度の音楽業界における支払い実績をまとめた年次レポート「Loud & Clear(ラウド・アンド・クリア)」を発表した。世界で6億7800万人以上のユーザーを擁する「Spotify」は、アーティストや作曲家などの権利者を支えるレーベル、ディストリビューター、音楽出版社などへのロイヤリティー支払いを毎年公開しており、日本のデータも23年から開示されている。

国内データ

24年に日本国内のアーティストが「Spotify」で生み出したロイヤリティー総額は250億円を超え、前年比25%増を記録。21年と比べて2倍以上に成長した。500万円以上を生み出したアーティスト数は前年比18%増、1000万円以上では23%増と右肩上がりだ。

同年に「トップ50 - 日本」にランクインした楽曲の約80%が国内アーティストによるもので、公式プレイリストに追加された国内アーティストは、1万1000組を超えた。「Spotify」で生み出された国内アーティストのロイヤリティーの半数以上はインディーズ勢によるものであり、海外のリスナーによる再生が収益の約半分を占めた。日本語でパフォーマンスする国内アーティストが生み出したロイヤリティーは、昨年から18%増加し、20年から2倍以上に成長。24年に国内アーティストがSpotifyで生み出したロイヤリティーの約75%が日本語の楽曲によるもので、女性アーティストの比率も17年から8ポイント上昇して25%となった。

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Spotify が2024年の年次レポートを発表 国内アーティストのロイヤリティーは250億円超え

オーディオストリーミングサービス「Spotify(スポティファイ)」は、2024年度の音楽業界における支払い実績をまとめた年次レポート「Loud & Clear(ラウド・アンド・クリア)」を発表した。世界で6億7800万人以上のユーザーを擁する「Spotify」は、アーティストや作曲家などの権利者を支えるレーベル、ディストリビューター、音楽出版社などへのロイヤリティー支払いを毎年公開しており、日本のデータも23年から開示されている。

国内データ

24年に日本国内のアーティストが「Spotify」で生み出したロイヤリティー総額は250億円を超え、前年比25%増を記録。21年と比べて2倍以上に成長した。500万円以上を生み出したアーティスト数は前年比18%増、1000万円以上では23%増と右肩上がりだ。

同年に「トップ50 - 日本」にランクインした楽曲の約80%が国内アーティストによるもので、公式プレイリストに追加された国内アーティストは、1万1000組を超えた。「Spotify」で生み出された国内アーティストのロイヤリティーの半数以上はインディーズ勢によるものであり、海外のリスナーによる再生が収益の約半分を占めた。日本語でパフォーマンスする国内アーティストが生み出したロイヤリティーは、昨年から18%増加し、20年から2倍以上に成長。24年に国内アーティストがSpotifyで生み出したロイヤリティーの約75%が日本語の楽曲によるもので、女性アーティストの比率も17年から8ポイント上昇して25%となった。

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3月期決算から見る ファッション産業の動向:記者談話室vol.177

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

177回目のテーマは「3月期決算から見るファッション産業」です。3月期決算の企業の中から、3人の記者が気になる企業をそれぞれピックアップ。東レや三越伊勢丹ホールディングスといった老舗企業から最高益を連発するスポーツ、さらには新進気鋭のyutoriまで、幅広い企業の決算の内容をフックに企業の動向やファッション産業への影響を薄口で迫ります。

「記者談話室」ではみなさまからのお便りをお待ちしております。ご感想ご意見を聞かせてください。メールアドレスは、danwashitu@infaspub.co.jp です。


この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
Apple Podcast Spotify

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現状を打開するには、まず「味方づくり」から――バックヤードと上司を巻き込む仕事術

WWDJAPAN.comは4月までマンガ版「ザ・ゴールシリーズ 在庫管理の魔術」を連載していました。在庫過剰に陥ると、つい値下げセールに頼ってしまう――。しかし、本当にそれしか方法はないのか? 利益を高め、最大化するための解決策を、アパレル在庫最適化コンサルで「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」等の著者である齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、同マンガを読みながら、解説して行きます。今回は、第6話を取り上げます。

相談することで信頼が生まれる

今回のテーマは「バックヤード業務をしている人を味方に付けることの大切さ」です。

マンガ「在庫管理の魔術」の第6話は コチラ

前回までに、主人公、徹が店長を務めている渋谷店が独自の発注方法を導入して大きな成功を収めたストーリーが描かれていました。この成功の陰には、主人公の元上司でもある地域倉庫のマネジャーの存在があります。店舗で働いている人の多くは、バックヤード部門の人たちとあまりコミュニケーションをとりたくない思っています。というのは、何かの手違いを起こして、バックヤード部門から叱られた経験があったり、同僚が起こられているのを見聞きしているからです。一方、一部の人は「売り上げをつくっているのは自分たちだぞ」と言わんばかりに、上から目線の態度でバックヤード部門と接していたりします。

でも、実はバックヤード部門の人たちは、店舗や営業部門のスタッフから、謙虚な態度で、「教えてください」とか「こんなことできませんでしょうか?」と頭を下げて、相談されることを嬉しく思っている人も少なくありません。そして、よく相談してくる人がピンチに陥ったときには、何とかしたいと考えて行動を起こしてくれるものです。相談があるということは、前向きに仕事をしている人、そんな人の苦境を放っておけず、ひと肌脱いでやろうと考えてくれるものです。

リスクを取ろうとしない上役には

話の後半には、地域倉庫のマネジャーの上司にあたるエリアマネジャーが登場します。この人は、自分のことを「慎重かつ賢明な方法を選ぶ人間」だと評しており、決してリスクを取ろうとはしません。現実の世界でも、管理職に就いている人の中にはこのようなタイプが多いでしょう。このような人に首を縦に振ってもらうための秘訣は、自分が全てのリスクをとるような提案をすることです。万が一、失敗しても、その人に責任が及ばないような提案にしなければなりません。そして、成功したら、その人の手柄にしてあげることも重要です。

どんな優秀な人でも、仕事を独りでしているわけではありません。今回は、周りの人を味方に付けることの大切さと、そのためのコミュニケーション方法を学べるストーリーでした。

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「サロモン」が富士山裾野や富士吉田の街の魅力発信 登山道の茶屋でシューズレンタルも

アメアスポーツジャパンが運営する、フランス発のマウンテンスポーツ・ライフスタイルブランド「サロモン(SALOMON)」は、3月に締結した山梨・富士吉田との包括連携協定の一環として、「マウントフジ リスタイル プロジェクト(Mt. FUJI Re-Style Project)」を開始した。富士山や富士吉田の歴史・文化に光を当て、新たな価値を発信するというもの。その第1弾として、富士山吉田口登山道にある市所有の山小屋、中ノ茶屋をリニューアルした。マウンテンスポーツの拠点として打ち出し、富士吉田や山の魅力を伝え、来街者増につなげる。

富士山の登山道はいくつかあるが、最も入山者数が多いのが、富士スバルライン5合目から登っていく吉田ルート。須走、富士宮、御殿場といったそれ以外の主要ルートも、それぞれ車で山の中腹まで行き、そこから登山を始めるようになっている。一方、中ノ茶屋のある吉田口登山道は古くから富士登山信仰の中で登られてきた道で、登山道の中で唯一、山麓から頂上まで歩いて登ることが可能。山岳レースの富士登山競争のコースとしても知られる。

「1964年に富士スバルラインが開通して以降、吉田口登山道は廃れてしまったが、(信仰の道として)歴史的な財産が多く残されており、自然もすばらしい。市として、吉田口登山道の保存と活用のための活動計画を昨年度策定した。アメアスポーツジャパンと一丸となり、また地域の事業者とも連携して吉田口登山道の付加価値を高めていきたい」と、堀内茂 富士吉田市長。目指すのは、姉妹都市であり、「サロモン」の本拠地である仏シャモニー・モンブランのような山岳文化都市だ。

「富士山は日本を象徴する山であり、私自身も家族と何度も遊びに来ている。『サロモン』が目指すのは、誰もが安心して自然や山を楽しめるような環境。5合目以上の富士登山だけでなく、山の裾野やその文化にも触れてもらいたい。魅力を発信し、多くの人に富士吉田に来てもらいたい」と、アメアスポーツジャパンのショーン・ヒリアー社長も話す。

“富士みち”のリプロデュースも

中ノ茶屋では内装リニューアルを行うと共に、シャワーブースを2つ導入し、ロッカーも設置。「サロモン」のトレイルランニングシューズやハイキングシューズのレンタルも行う。シューズレンタルやシャワー、ロッカーの使用は、「サロモン」のメンバーシッププログラム「Sプラス(S/PLUS)」会員は無料。また、茶屋内の食堂では、「Sプラス」会員には地元名物の吉田うどんを特別価格で提供する。「サロモン」は、市内の飲食店などの事業者や登山道上の山小屋などと“ライフスタイルパートナー”として連携を進め、会員向けサービスを今後増やすとともに、市の活性化にもつなげる。

「サロモン」は、2024年11月に富士吉田で「Sプラス」会員向けイベントを行ったことで、同市と縁ができたという。「富士吉田の方たちと話す中で、富士登山の文化や歴史は、5合目以下のエリアにもたくさん詰まっていると知った。市がその魅力を打ち出したいというのなら、マウンテンスポーツブランドとしてお手伝いしたいとプロジェクトを決めた」とアメアスポーツジャパンの石田道寛サロモンブランドマーケティングマネージャー。中ノ茶屋リニューアルに続き、吉田口登山道を含む古道の“富士みち”のリプロデュースや、登山ルートの保全活動、8合目富士吉田救護所の医療スタッフの支援や安全啓発活動なども「サロモン」として行っていく。

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資生堂「ドランク エレファント」国内販売を終了

資生堂は、スキンケアブランド「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」の日本市場での販売を6月30日をもって終了すると発表した。公式オンラインストアでの最終注文受付は同日23時59分。国内6店舗での取り扱いも順次終了する見通しで、終了日は各店舗により異なる。

「ドランク エレファント」は、2012年に米国で当時専業主婦だったティファニー・マスターソン(Tiffany Masterson)が立ち上げたブランド。肌への有効性を重視し、合成・天然を問わず選定した原料を使用。複数の製品を手のひらで混ぜて使用する「スムージー」方式のケア方法が特徴で、米セフォラ(SEPHORA)でも売れ筋ブランドとして急成長した。

資生堂は19年、同ブランドを8億4500万ドル(当時約1226億円)で買収。21年に日本市場へ投入したが、市場との相性や採算性などを踏まえ撤退を決めたとみられる。

同社は2025~26年を対象とする中期経営計画「SHIFT 2025 and Beyond アクションプラン」で、「ドランク エレファント」を将来の中核ブランド“ネクスト5”の1つに位置付けている。今後は主要市場でローカルニーズを取り込み、収益性の高い事業基盤の構築を優先課題とする。利益率の改善を通じて自立的な資金循環を実現し、他地域への展開を加速させる方針だ。

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資生堂「ドランク エレファント」国内販売を終了

資生堂は、スキンケアブランド「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」の日本市場での販売を6月30日をもって終了すると発表した。公式オンラインストアでの最終注文受付は同日23時59分。国内6店舗での取り扱いも順次終了する見通しで、終了日は各店舗により異なる。

「ドランク エレファント」は、2012年に米国で当時専業主婦だったティファニー・マスターソン(Tiffany Masterson)が立ち上げたブランド。肌への有効性を重視し、合成・天然を問わず選定した原料を使用。複数の製品を手のひらで混ぜて使用する「スムージー」方式のケア方法が特徴で、米セフォラ(SEPHORA)でも売れ筋ブランドとして急成長した。

資生堂は19年、同ブランドを8億4500万ドル(当時約1226億円)で買収。21年に日本市場へ投入したが、市場との相性や採算性などを踏まえ撤退を決めたとみられる。

同社は2025~26年を対象とする中期経営計画「SHIFT 2025 and Beyond アクションプラン」で、「ドランク エレファント」を将来の中核ブランド“ネクスト5”の1つに位置付けている。今後は主要市場でローカルニーズを取り込み、収益性の高い事業基盤の構築を優先課題とする。利益率の改善を通じて自立的な資金循環を実現し、他地域への展開を加速させる方針だ。

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資生堂「ドランク エレファント」国内販売を終了

資生堂は、スキンケアブランド「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」の日本市場での販売を6月30日をもって終了すると発表した。公式オンラインストアでの最終注文受付は同日23時59分。国内6店舗での取り扱いも順次終了する見通しで、終了日は各店舗により異なる。

「ドランク エレファント」は、2012年に米国で当時専業主婦だったティファニー・マスターソン(Tiffany Masterson)が立ち上げたブランド。肌への有効性を重視し、合成・天然を問わず選定した原料を使用。複数の製品を手のひらで混ぜて使用する「スムージー」方式のケア方法が特徴で、米セフォラ(SEPHORA)でも売れ筋ブランドとして急成長した。

資生堂は19年、同ブランドを8億4500万ドル(当時約1226億円)で買収。21年に日本市場へ投入したが、市場との相性や採算性などを踏まえ撤退を決めたとみられる。

同社は2025~26年を対象とする中期経営計画「SHIFT 2025 and Beyond アクションプラン」で、「ドランク エレファント」を将来の中核ブランド“ネクスト5”の1つに位置付けている。今後は主要市場でローカルニーズを取り込み、収益性の高い事業基盤の構築を優先課題とする。利益率の改善を通じて自立的な資金循環を実現し、他地域への展開を加速させる方針だ。

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バーバリー、24年度は赤字転落 1700人の解雇などコスト削減策を打ち出す

バーバリー(BURBERRY)の2025年3月期決算は、売上高が前期比17.1%減の24億6100万ポンド(約4749億円)だった。営業損益は前年の4億1800万ポンド(約806億円)の黒字から300万ポンド(約5億7900万円)の赤字に、純損益は前年の2億7100万ポンド(約523億円)の黒字から7500万ポンド(約144億円)の赤字となった。なお、営業損失には事業再建用の特別費用として2億9000万ポンド(約559億円)が含まれており、これを除いた調整後営業利益は同93.8%減の2600万ポンド(約50億円)だった。

部門別での売上高は、バッグなどのアクセサリーが同20.3%減の8億4100万ポンド(約1623億円)、ウィメンズは同16.5%減の7億1800万ポンド(約1385億円)、メンズは同13.1%減の7億3200万ポンド(約1412億円)、子ども服を含むその他の部門は同30.2%減の1億400万ポンド(約200億円)と全ての部門で2ケタ減収。

地域別で見ると、アジア太平洋地域が同18.9%減の10億4300万ポンド(約2012億円)、EMEIA(欧州・中東・インド・アフリカ)は同17.2%減の8億4200万ポンド(約1625億円)、南北アメリカは同15.4%減の5億1000万ポンド(約984億円)と、やはり全ての市場で減収となった。

なお、24年度における既存店ベースでの小売りの売上高は同12%減で、24年4~9月期(上半期)で見ると前年同期比20%減だったが、24年10月~25年3月期(下半期)は同5%減と回復基調にあるという。

1700人の人員整理などコスト削減を推進

ここ数年、バーバリーは一段階上のラグジュアリーブランドへの転身を図りつつも、マクロ経済の悪化や社会情勢の変化などもあり、24年3月期決算は減収減益となるなど苦戦。22年4月から同社を率いていたジョナサン・エイクロイド(Jonathan Akeroyd)前最高経営責任者(CEO)は24年7月に退任し、コーチ(COACH)やマイケル・コース(MICHAEL KORS)のトップを務めていたジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)CEOが同7月、現職に就任した。

同氏は11月、ブランドの魅力を再燃させ、長期的な価値創出や成長を促す事業戦略“バーバリー・フォワード(Burberry Forward)”を策定。“タイムレスな英国ラグジュアリー”への注力や、さらなるコスト削減策などが盛り込まれている。同社は24年に4000万ポンド(約77億円)のコスト削減計画を打ち出しているが、今回それをさらに拡大し、27年までに1億ポンド(約193億円)の削減を目指すことを明らかにした。その一環として、本社を中心にグローバルでおよそ1700人の人員整理を発表。これは全従業員の約20%に当たる。同社はまた、英北部のヨークシャー地方カッスルフォードにある、トレンチコートなどを製造している工場の夜勤シフトを廃止する。これは過剰生産の防止とコスト削減の両方を目的としているが、工場の従業員の約25%が影響を受けるという。

こうした事業戦略やコスト削減策などを市場は好感し、バーバリーの14日の株価は前日終値比17.0%高の9.67ポンド(約1866円)をつけた。

ダニエル・リー=チーフ・クリエイティブ・オフィサーの進退は?

さまざまな変化が起きているバーバリーだが、クリエイティブ面での変更は予定しておらず、22年10月に就任したダニエル・リー(Daniel Lee)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーは続投する。シュルマンCEOは、「ダニエルと私は、共に『バーバリー』を前進させることにコミットしている。彼は就任以来、タイムレスな英国ラグジュアリーを比類のない表現で提供し続けている」と高く評価した。

同氏はまた、アナリスト向けの説明会で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税の引き上げに関して「米国市場が当社の売り上げ全体に占める割合は約19%なので、競合と比べると影響は少ない」としながらも、「価格調整の意味もあり、1ケタ台半ば程度の値上げを行った」と説明。また、売り上げの30%程度を占めるアジア太平洋地域により依存しているとの見方を示した。

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バーバリー、24年度は赤字転落 1700人の解雇などコスト削減策を打ち出す

バーバリー(BURBERRY)の2025年3月期決算は、売上高が前期比17.1%減の24億6100万ポンド(約4749億円)だった。営業損益は前年の4億1800万ポンド(約806億円)の黒字から300万ポンド(約5億7900万円)の赤字に、純損益は前年の2億7100万ポンド(約523億円)の黒字から7500万ポンド(約144億円)の赤字となった。なお、営業損失には事業再建用の特別費用として2億9000万ポンド(約559億円)が含まれており、これを除いた調整後営業利益は同93.8%減の2600万ポンド(約50億円)だった。

部門別での売上高は、バッグなどのアクセサリーが同20.3%減の8億4100万ポンド(約1623億円)、ウィメンズは同16.5%減の7億1800万ポンド(約1385億円)、メンズは同13.1%減の7億3200万ポンド(約1412億円)、子ども服を含むその他の部門は同30.2%減の1億400万ポンド(約200億円)と全ての部門で2ケタ減収。

地域別で見ると、アジア太平洋地域が同18.9%減の10億4300万ポンド(約2012億円)、EMEIA(欧州・中東・インド・アフリカ)は同17.2%減の8億4200万ポンド(約1625億円)、南北アメリカは同15.4%減の5億1000万ポンド(約984億円)と、やはり全ての市場で減収となった。

なお、24年度における既存店ベースでの小売りの売上高は同12%減で、24年4~9月期(上半期)で見ると前年同期比20%減だったが、24年10月~25年3月期(下半期)は同5%減と回復基調にあるという。

1700人の人員整理などコスト削減を推進

ここ数年、バーバリーは一段階上のラグジュアリーブランドへの転身を図りつつも、マクロ経済の悪化や社会情勢の変化などもあり、24年3月期決算は減収減益となるなど苦戦。22年4月から同社を率いていたジョナサン・エイクロイド(Jonathan Akeroyd)前最高経営責任者(CEO)は24年7月に退任し、コーチ(COACH)やマイケル・コース(MICHAEL KORS)のトップを務めていたジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)CEOが同7月、現職に就任した。

同氏は11月、ブランドの魅力を再燃させ、長期的な価値創出や成長を促す事業戦略“バーバリー・フォワード(Burberry Forward)”を策定。“タイムレスな英国ラグジュアリー”への注力や、さらなるコスト削減策などが盛り込まれている。同社は24年に4000万ポンド(約77億円)のコスト削減計画を打ち出しているが、今回それをさらに拡大し、27年までに1億ポンド(約193億円)の削減を目指すことを明らかにした。その一環として、本社を中心にグローバルでおよそ1700人の人員整理を発表。これは全従業員の約20%に当たる。同社はまた、英北部のヨークシャー地方カッスルフォードにある、トレンチコートなどを製造している工場の夜勤シフトを廃止する。これは過剰生産の防止とコスト削減の両方を目的としているが、工場の従業員の約25%が影響を受けるという。

こうした事業戦略やコスト削減策などを市場は好感し、バーバリーの14日の株価は前日終値比17.0%高の9.67ポンド(約1866円)をつけた。

ダニエル・リー=チーフ・クリエイティブ・オフィサーの進退は?

さまざまな変化が起きているバーバリーだが、クリエイティブ面での変更は予定しておらず、22年10月に就任したダニエル・リー(Daniel Lee)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーは続投する。シュルマンCEOは、「ダニエルと私は、共に『バーバリー』を前進させることにコミットしている。彼は就任以来、タイムレスな英国ラグジュアリーを比類のない表現で提供し続けている」と高く評価した。

同氏はまた、アナリスト向けの説明会で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税の引き上げに関して「米国市場が当社の売り上げ全体に占める割合は約19%なので、競合と比べると影響は少ない」としながらも、「価格調整の意味もあり、1ケタ台半ば程度の値上げを行った」と説明。また、売り上げの30%程度を占めるアジア太平洋地域により依存しているとの見方を示した。

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三井不動産が「ECフォース」運営会社を持分法適用会社に オムニチャネル強化

三井不動産はECシステム「ECフォース(ECFORCE)」を展開するスーパースタジオ(SUPER STUDIO)の第三者割当増資を引き受け、持分法適用会社にする。三井不動産はグローバル・ブレインと共同運営するスタートアップ投資事業「31ベンチャーズ」を通じて2022年からスーパースタジオに出資していたが、出資額を引き上げる。スーパースタジオは今回の資金調達で17億円を調達し、システム開発やECだけでなくサービスやリアル店舗の開拓を強化する。三井不動産の渡辺誠・商業施設運営第一部長は「ららぽーとなどの大型商業施設で、来館者にまとめて試着&購買できるサービスなど、新しい購買体験を共同で開発していく」として、「ららぽーと」などの大型商業施設のオムニチャネル対応を強化する考え。

三井不動産は22年以降スーパースタジオと共同で、東京・渋谷のミヤシタパークのOMOストア「ザ・ストア」や大型ショッピングモール「ららぽーと」で5カ所展開している体験型ショールーミング店舗「ららぽーとクローゼット」、自社運営のECモール「アンドモール」で購入した商品を「ららぽーと」で受け取れるクリック&コレクトサービス「&モールデスク」などを展開していた。

ミヤシタパークの「ザ・ストア」は23年7月にスタート後、これまで60ブランドが利用しており、「信じられないほどの成果を上げるブランドもあった」(スーパースタジオの林紘祐CEO)という。

三井不動産とスーパースタジオ今後、「ららぽーとクローゼット」や「ザ・ストア」を「ららぽーと」など国内外の商業施設にも広げるほか、「ららぽーと」を訪れた来館者が1カ所でまとめて試着し、購入もできるようなサービスも開発する。三井不動産の渡辺部長は「スーパースタジオは、リテールDXに必要な機能や技術に加え、スタートアップならではの機動力の高さとリテールそのものに対する深い理解力もある。膨大なトラフィックのある大型商業施設のトラフィックに加え、これまでなかなか可視化が難しかった、試着や商品を手に取ったり、といった購買前、あるいは購買後の行動までも可視化、データ化するようなことにも取り組みたい」と意気込む。

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