事業別では日本事業の売上高は同9.4%増(実質10%増)の2599億円、コア営業利益は18億円の黒字(前期は130億円の赤字)だった。マーケティング投資を集中した中〜高価格帯の主力ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「シセイドウ(SHISEIDO)」「エリクシール(ELIXIR)」が後押しした。「シセイドウ」は日本限定でリニューアル販売した“アルティミューン”や美容液処方の“エッセンス スキングロウ ファンデーション”が軒並みヒット。「エリクシール」は“リンクルクリーム”や“トータル V ファーミングクリーム”が成長をけん引した。インバウンドは、旅行客の増加で回復し、年間の客購買が同20%台後半と伸長した。
2025年度を最終年度とする中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」は、市場環境変化を踏まえ目標に再設定した。コア営業利益率を2025年に9%、将来的に15%を目指す。藤原憲太郎社長COOは、「25年までに持続的な利益成長と構造改革を両輪としたビジネストランスフォーメーションを完成する」と述べる。具体的には、1.400億円超のグローバルコスト削減(日本は250億円のコスト削減)、2.日本の構造改革アクションの完遂と成長加速、3.中国トラベルリテールの質の高い成長実現、4.売り上げが好調な米州、欧州、アジアパシックの成長加速、 5.コアブランドの成長モメンタムのさらなる加速、6.グロスプロフィット(売上総利益)の拡大を目指し、「これらの内容を25年までに完成することで、レジリエントな事業構造を構築する」と力強く話す。
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2023年12月期決算は、売上高が前期比8.8%増の861億5300万ユーロ(約13兆8706億円)、営業利益は同7.4%増の225億6000万ユーロ(約3兆6321億円)、純利益は同7.7%増の151億7400万ユーロ(約2兆4430億円)だった。
同社は、「業績を損益分岐点まで戻す軌道に乗ることができた」とコメント。業務の効率化によるコスト削減や、ECの内製化による顧客サービスの向上が奏効したという。なお、同社は09年からキッズラインを発表しているが、22年春夏シーズンからはイタリアの子ども服メーカー、シモネッタ(SIMONETTA)とライセンス契約を締結。これによるロイヤリティーも業績の改善に貢献している。また、22年8月には、19年7月にパートナーシップ契約を締結したLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)と共に、99%ナチュラルでクルエルティフリー(動物実験を行わない)のスキンケアライン「ステラ バイ ステラ マッカートニー(STELLA BY STELLA McCARTNEY)」を立ち上げた。
アメアスポーツは、現在「サロモン(SALOMON)」「アークテリクス(ARC'TERYX)」「ウィルソン(WILSON)」「ピークパフォーマンス(PEAK PERFORMANCE)」など11ブランドを傘下に置いている。特に仏アウトドアブランド「サロモン」は、23年に歌手のリアーナ(Rihanna)がスーパーボウルのハーフタイムショーで、「エムエム6 メゾンマルジェラ(MM6 MAISON MALGIELA)」とのコラボスニーカーを着用したことで、さらに注目が集まっていた。同ブランドの23年9月30日終了の9カ月間の売上高は9億4930万ドル(約1378億円)だった。
日本事業は、高価格帯の「シセイドウ(SHISEIDO)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」、中価格帯の「エリクシール(ELIXIR)」などが成長を続け、全体でシェアを拡大。市場の回復やインバウンド需要の増加を捉えた戦略的な新商品の発売やマーケティング活動の強化などによって着実な伸長を果たした。
事業別では化粧品事業が「タルト」のほか、大谷選手起用で躍進した「コスメデコルテ(DECORTE)」「雪肌精」や「ワンバイコーセー(ONE BY KOSE)」が好調に推移し、同10.8%増の1170億円、コスメタリー事業が「ヴィセ(VISEE)」、シートマスクブランド「クリアターン(CLEAR TURN)」などが好調で、同8.6%増の262億円、その他が同20%増の10億円だった。
一方で、同氏はアナリスト向けの決算説明会で、米連邦準備制度理事会(U.S. Federal Reserve Board)が急激に利上げを進めていることについて「無謀だ」とコメント。米国市場は22年11月ごろから減速していると指摘し、「一般論として、期待していたよりもハードランディングとなりそうだ」と見通しを述べた。
兼ねてより憶測が流れている、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)がリシュモンや「カルティエ」の買収に関心を示しているのではないかという件については、「いずれも売るつもりはない」と一蹴した。ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者から、そうしたアプローチを直接受けたことはないと話した。
インフルエンサーEC支援のエニーマインドグループはこのほど、インドネシアのスタートアップ企業DDI(PT Digital Distribusi Indonesia)を買収する。DDIは2019年10月に設立、ITから流通、マーケティングまでECバリューチェーン全体を支援するECイネイブラーと呼ばれる事業モデルを展開しており、直近の2022年12月期の売上高は前期比3倍増の17億8300万円と急成長している上、営業利益は4600万円、純利益は4300万円とすでに黒字化している注目のスタートアップ企業だ。
売上高は同10.8%増の1206億円だった。コロナからの回復が顕著で、日本事業が同6.4%増の527億円、韓国事業が同7.7%増の578億円だった。中国事業は複数の持分法適用会社で運営しているため、売上高がそのまま連結業績には反映されないが、現地売上高は182億円増の724億円と大きく伸びた。日本では同社の区分でDTC(Direct To Consumer)と呼ぶ直営店や自社ECなどの顧客直結の売上高の割合が3ポイント増の42%に高まった。営業利益は同51.7%増の77億円になった。
同社は23年3月期まで3カ年の中期経営計画「MAKE A DREAM,1+∞」に取り組んできたが、新たに26年3月期を最終年度とする「Heritage to the future」を策定。持続的成長の基盤づくりに注力し、「事業」「グローバル」「グループ経営」「人材」「ESG」の5つを基本戦略として取り組んでいく。3年後の売上高は950億円、経常利益は32億円を計画。平均成長率3%、利益率3.3%を目標に掲げる。
同社は23年3月期まで3カ年の中期経営計画「MAKE A DREAM,1+∞」に取り組んできたが、新たに26年3月期を最終年度とする「Heritage to the future」を策定。持続的成長の基盤づくりに注力し、「事業」「グローバル」「グループ経営」「人材」「ESG」の5つを基本戦略として取り組んでいく。3年後の売上高は950億円、経常利益は32億円を計画。平均成長率3%、利益率3.3%を目標に掲げる。