ゴールドウインの2020年10〜12月期連結業績は、売上高が前年同期比8.6%増の376億円、営業利益が同15.7%増の123億円、純利益が同9.5%増の86億円だった。コロナによる小売市場の低迷、19年秋に開催されたラグビーW杯による「カンタベリー(CANTERBURY)」特需の反動など、悪条件の中でも「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」を中心にしたアウトドア関連事業の売上高が同14.2%増の339億円と下支えした。回復を勘案して21年3月期の業績予想を上方修正する。
ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。「ザラ(ZARA)」を展開するスペインのインディテックス(INDITEX)、「H&M」を運営するスウェーデンのH&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)、そしての「ユニクロ」のファーストリテイリングのグローバルSPA(製造小売業)の最新業績を読み解く。
H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)の2020年11月通期決算は、売上高が前期比19.6%減の1870億3100万スウェーデンクローナ(約2兆2443億円)、営業利益は同82.1%減の30億9900万スウェーデンクローナ(約371億円)、純利益は同90.7%減の12億4300万スウェーデンクローナ(約149億円)だった。
カナダロイヤル銀行(ROYAL BANK OF CANADA)のリポートによれば、「プライマーク」はワンピースを6~15ポンド(約840~2100円)、アウターを10~35ポンド(約1400~4900円)で提供しており、競合の「ザラ(ZARA)」や「H&M」と比べてもかなり低い価格帯であるため、英国や欧州でのロックダウンが解除されれば急速に業績が回復することが予想されるという。同行は、「『プライマーク』はECを展開していないものの、その圧倒的な価格競争力を武器に、ECに強い小売店とも十分に闘える。米国市場でもさらに成長できると思うが、これらはあくまでも中長期的な話であり、ロックダウンが続いている間は苦戦を強いられるだろう」と分析している。
カナダロイヤル銀行(ROYAL BANK OF CANADA)のリポートによれば、「プライマーク」はワンピースを6~15ポンド(約840~2100円)、アウターを10~35ポンド(約1400~4900円)で提供しており、競合の「ザラ(ZARA)」や「H&M」と比べてもかなり低い価格帯であるため、英国や欧州でのロックダウンが解除されれば急速に業績が回復することが予想されるという。同行は、「『プライマーク』はECを展開していないものの、その圧倒的な価格競争力を武器に、ECに強い小売店とも十分に闘える。米国市場でもさらに成長できると思うが、これらはあくまでも中長期的な話であり、ロックダウンが続いている間は苦戦を強いられるだろう」と分析している。
ネットフリックス(NETFLIX)のオリジナルドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界(原題:Stranger Things)」で主演女優を務め、一躍ブレイクしたミリー・ボビー・ブラウン(Millie Bobby Brown)は、自身のコスメブランド「フローレンス バイ ミルズ(FLORENCE BY MILLS)」の株式過半を取得した。
同ブランドは、ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)のオーラルケアブランド「ムーン(MOON)」や、女優のシェイ・ミッチェル(Shay Mitchell)のトラベルバッグブランド「ベイス(BEIS)」など、モデルや女優、インフルエンサーのプライベートブランドを手掛けるビーチ ハウス グループ(BEACH HOUSE GROUP)と共同で2019年8月に設立。今回の取引により、同社は少数株主となっている。
「フローレンス バイ ミルズ」は全ての製品がビーガンかつ動物実験をしない処方で、「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals、通称PETA)」の認定を受けている。スキンケアとメイクアップ製品の両方を手掛けており、価格は10~34ドル(約1030~3500円)。
EBITDAの減少について同社は、事業の戦略的再構築5カ年計画の遂行や、長年のサプライヤーだったイタリアのシューズ工場であるカルツァトゥリフィチオ・レ・マルチェッロ(CALZATURIFICIO RE MARCELLO)の買収、20年1月から開始した北米ビジネスの直営化に向けた取引準備のための「多額の投資」によるものと説明する。また、投資は「才能を育成し、将来の世代のために靴づくりの技術を育成するというグループのビジョンを強化するためのもの。そのために高度な技術を持つ77人の職人を迎えた」という。
同社は、従業員への支援を「事業における重要な優先事項」としている。これに伴い19年は同社従業員と地域社会の福利厚生およびメンタルヘルスに「多額の」投資を行い、メンタルヘルス財団(Mental Health Foundation)の研究プロジェクトにも貢献。この取り組みは20年も継続する。20年の1~9月期は新型コロナウイルス感染拡大以前の予想を下回る結果だったが、全従業員の雇用を維持し、給与も全額支払ったという。
香港のアパレル企業I.Tグループ(I.T GROUP)は11月6日、英投資会社CVCキャピタル・パートナーズ(CVC CAPITAL PARTNERS)と手を組み、株式を非公開化する計画を発表した。
これはI.Tグループの創業者であるシャム・カー・ワイ(Sham Kar Wai)会長兼最高経営責任者(CEO)やその一族に属さない発行済み株式を、1株当たり3香港ドル(約39円)と同銘柄の11月30日の終値に対して約55%のプレミアムが上乗せされた価格で買い取るもので、取引総額は1億6800万ドル(約174億円)程度になると見られている。非公開とした後は、ワイ会長兼CEOらの創業者一族が50.65%を、CVCキャピタル・パートナーズが49.35%を保有する。
1988年に香港でオープンしたリセールショップを前身とするI.Tグループは、好景気の波に乗って事業を拡大し、複数のセレクトショップを運営。「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」、ギャラリーラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)、ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)などがアジアに進出する際に提携している。また2011年に「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」を手掛けるノーウェア(NOWHERE)を買収したほか、18年には「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」の株式10.9%を取得した。
事業別では、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」を含むアウトドア関連事業が春から夏にかけてのキャンプ需要拡大を受けて順調に復調。売上高は前年同期比13.8%減の260億円で、7~9月期は同4%減とほぼ前年並みに回復した。一方、アスレチック関連ブランドは「ダンスキン(DANSKIN)」のヨガウエアが好調に推移するなどコロナ禍の新しい需要も見られたが、ラグビーユニホームなどを手掛ける「カンタベリー」が昨年のワールドカップ特需の反動で同58%減となった。
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2020年7~9月期(第3四半期)決算は、売上高が前年同期比10.2%減の119億5500万ユーロ(約1兆4704億円)だった。4~6月期(第2四半期)の売上高が同37.8%減の77億9700万ユーロ(約9590億円)だったことを考えると、順調に回復しているといえるだろう。
4〜5月の臨時休業により、既存店売上高(店舗のみ)は同57%まで落ち込んだ。6月は営業再開後、全店で前年並みまで持ち直したが、7月に感染再拡大して以降の東京と大都市部での落ち込みが大きく響いた。セグメント別売上高は衣料事業が同34.2%減の320億円、雑貨事業が同28.1%減の130億円。EC売上高は自社ECサイトで同85.5%増と大きく伸ばし、全体でも同23.6%増えた。EC化率は前年同期より6ポイント上昇し23.9%となった。普段着のおしゃれを提案する「フーズフーギャラリー(WHO’S WHO GALLERY)」「フーズフー チコ(WHO’S WHO CHICO)」「カスタネ(KASTANE)」「ミスティック(MYSTIC)」はECが好調なだけでなく、既存店売上高も前年同月比20%減以下で踏ん張った。
※1.D2C(Direct to Consumer)…ブランドメーカーが店舗やネットの小売業者を通さず、自社のサイトやショールーム、ポップアップストアで直販する販売形態
※2.C&C(Click&Collect)…ECから店舗に取り寄せて試したり受け取ったりする顧客利便サービス。一括配送の店舗物流を使うから送料無料で、店在庫を引き当てれば倉庫から出荷するより受け取りも早くなる。売り手にとっては顧客利便と在庫効率を高め物流費を抑制するOMO(ネットと店舗の融合)戦略
※3.OMO(Online Merges with Offline)…ネットと店舗の垣根を越えた融合を意味し、スマートフォンをキーツールとしてウェブルーミングとショールーミングを駆使するニューリテール戦略