
月別: 2019年10月
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コンテンツマーケティングの進め方(BtoB製造業・メーカー向け)
テクノポートの徳山です。自社のWebサイトで企業側の技術・製品の情報を一方的にPRするのではなく、ユーザに対し役立つ情報を提供することで、アクセスを獲得するとともにユーザの支持を得る手法として「コンテンツマーケティング」が注目されています。この記事では、BtoB製造業がコンテンツマーケティングに取り組む上でのポイントや注意点などをご紹介します。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、企業側の売り込みとなる情報ではなく、アクセスユーザにとって価値あるコンテンツの制作・発信や、役に立つ資料を提供することで、今まではリーチできなかった潜在顧客をWebサイトへ集客したり、集客したユーザのニーズを育成したりすることで問合せの獲得やファン化を行うことを目的とした、以前より注目を集めているマーケティング施策です。
コンテンツマーケティングを行い、様々な情報を発信することで下記のような効果を得られると考えられています。
- 今までは情報が届かなかったユーザ層へリーチ
様々な切り口から情報発信することで、今までとは違うターゲットユーザからのアクセスを獲得することができる。 - 困った時に真っ先に頭に浮かぶポジションを確立
定期的に情報発信することで、ユーザの認知度を高め、社内で技術課題が発生した際に真っ先に頭に浮かぶ会社となる。 - 競合との比較検討時に優位に選定される存在に
競合他社と相見積りになった場合、ファン化している担当者が後押しすることで、比較検討が優位に進み、選定されやすくなる。
なぜコンテンツマーケティングが注目されるのか
「コンテンツマーケティング」が注目されることとなった背景として、検索エンジン(=Google)のアルゴリズムの進化が挙げられます。検索エンジンで検索した際に、企業側がPRしたい情報だけでなく、ユーザにとって有益な情報を検索結果上位に表示される傾向が強くなっています。
例えば「金型」と検索した際に上位表示されるWebサイトはWikipediaや金型の種類などを説明した工業会のWebページです。
↑こちらは2020年9月にキーワード「金型」で検索した結果です(自然検索結果部分のみ表示)。
「金型」と検索するユーザは、金型業者を探している人だけでなく、金型という言葉の意味を調べている方や、金型の工法について学びたいと考えている人など、様々です。それらの検索意図に対し、検索エンジンはユーザの多くが求めているであろう情報を掲載しているWebサイトを検索結果ページの上位に表示させます。
逆を言えば「金型」というキーワードでアクセスを獲得したい場合は、ユーザの検索意図を想定し、それに見合う情報を自社のWebサイトに掲載する、という対策を行えば良いということになります。
コンテンツマーケティングのメリット・デメリット
様々なキーワードにおけるSEO対策により、多くのアクセスユーザを獲得することができるコンテンツマーケティングは、Web広告などとは大きく性質が異なります。BtoB製造業がコンテンツマーケティング実施する上でのメリット、デメリットには下記のようなものがあります。
コンテンツマーケティングのメリット
- 効果が出るまで続ければ、施策中止後もコンテンツが財産として残り、効果が継続する
- 中長期的に顧客化する潜在ニーズを持つリードの獲得につながる
- ブランディング確立につながる
コンテンツマーケティングのデメリット
- 効果が出るまで時間がかかる
- コンテンツを発信し続ける労力が必要となる
- 提供する情報の質が低いとブランディングの損失につながってしまう
上記の通り、メリットとデメリットは表裏一体の関係となり、広告運用などに注力している会社からすると、効果が出るまで時間がかかるという点を社内に納得させられるかどうかが導入までの大きなハードルになります。
また、いざコンテンツマーケティングをはじめてみて、すぐには効果が現れない中で労力のかかるコンテンツ制作を粘り強く続けるのは、なかなか腰の折れる取り組みです。
そんな苦労を乗り越えて一定レベルの成果を出すことができる企業は、半永久的に施策の効果が続く上に、業界におけるブランディングを確立できる、といったメリットを享受することができます。
コンテンツマーケティングの目的
製品の販売を目指すメーカーと、技術をマーケティングしたい会社とでは、コンテンツマーケティングを行う目的が異なります。前者はリードの獲得を目的としているのに対し、後者はオープンイノベーション(技術の用途開発)を目的とすることが多くようです。
製品拡販のためのコンテンツマーケティング
例えば、設計者がターゲットであれば、設計者が知識習得のために検索するキーワードに関連する情報を提供することで、定期的にWebサイトに足を運んでもらいます。技術資料やホワイトペーパーなど、ダウンロード資料を充実させることでリードを獲得していきます。定期的に情報の配信を行う中で、社内で購買が行われる際には真っ先に頭に浮かぶ存在になることができます。
コア技術を広めるためのコンテンツマーケティング
技術をマーケティングしたい会社であれば、技術情報の説明はもちろん、用途や機能など多様な切り口で紹介する記事をアップすることで、想定していないターゲットがアクセスしてくる可能性が高まります。そのような情報を見た技術者が新しい用途を思いつき、その用途を実現するために技術を使わせて欲しい、といった問合せを獲得することで、自社技術の用途開発に繋がっていきます。
技術の用途開発を目的としたWebコンテンツの情報発信については下記の記事もご参照下さい。

また、どのような成果を求めるのか、どの部署をターゲットするのか、によっても発信する情報が大きく異なります。ターゲット別の訴求方法については下記記事をご参照ください。



コンテンツマーケティング成功のポイント
技術系企業におけるコンテンツマーケティングを成功させるためのポイントは、他業界と違い、Webマーケティングのノウハウだけではなく、専門性の高いコンテンツを継続的に作成し続ける体制をいかに築くことができるかに掛かっています。
Webマーケティングのノウハウ
少しでも早く成果へ結びつけるためには、Webページの検索順位を上げることでアクセスを増やし、そこからリード獲得や新しい用途に関する問合せなどを獲得する必要があります。コンテンツマーケティングを成功させるためには、Webマーケティングのノウハウは必須となります。
Webマーケティングのノウハウについては、当メディア「Webマーケティング」の記事をご参照ください。
専門性の高いコンテンツの量産体制を作る
製造業をはじめとした技術系企業がコンテンツマーケティングを実施する際に、課題となることが多いのが、「執筆する記事の専門性が高く定期更新が難しい」ことです。専門分野の知見とライティング技術を併せ持つリソースの確保が高いハードルとなります。
ライティングの技術については、当メディア「技術ライティング」の記事をご参照下さい。
製造業のコンテンツマーケティングの成功事例
製造業でコンテンツマーケティングを活用している企業を業態別に紹介していきたいと思います。多くの企業がコンテンツマーケティング専用のWebサイトを構築し、コーポレートサイトとは別サイトとして運用されることが多いです。これらのWebサイトは一般的にはオウンドメディアを呼ばれます。
ちなみにメーカーと受託加工業ではコンテンツマーケティングを行う目的が異なることが多く見受けられます。メーカーはリードの獲得を目的としているのに対し、受託加工業者はオープンイノベーション(技術の用途開発)を目的とすることが多いようです。そんな視点も持ちながらこれから紹介する事例を見ていただければと思います。
完成品メーカーのコンテンツマーケティング事例
株式会社キーエンス
製造業のコンテンツマーケティング成功企業と言って、一番はじめに挙げられる企業といえばキーエンスではないでしょうか。キーエンスは、「ココが知りたい!形状測定」や「静電気ドクター」など、数多くのオウンドメディアを運営しており、運用するサイト数およびアップしている記事(技術解説を行っている知識系コンテンツが中心)の本数はダントツで多いです。
部材メーカーのコンテンツマーケティング事例
株式会社村田製作所
村田製作所のオウンドメディアでは、自社の製品紹介だけでなく、アプリケーション事例や技術用語の解説など、豊富な知識コンテンツを掲載しています。自社製品と技術の周知に加え、カタログダウンロードによるリードの獲得を達成しているものと見受けられます。
Tech Web(株式会社ローム)
Tech Webは株式会社ロームが運営する「電源設計技術者のための技術情報サイト」です。電源設計に関する技術情報を提供することにより、何か技術的に困ったことがあった際に閲覧するオウンドメディアとして多くの技術者に利用され、多くの信頼を集めていると思われます。
受託加工業者のコンテンツマーケティング事例
エレファンテック株式会社
エレファンテック株式会社はフレキシブル基板の開発、製造を行っている企業です。フレキシブル基板の情報については、初心者から研究者まで、幅広い情報を掲載しており、「フレキシブル基板」では、エレファンテック以上に詳しい情報を掲載している企業はいないと思われます。
そのため「フレキシブル基板」の情報を探している方は必ずエレファンテックの名前を知ることになります。なお、他の企業とは違いコーポレートサイト内にセールスコンテンツも含めすべての情報を掲載しています。
株式会社JMC
株式会社JMCの3Dプリンター出力サービスの特設サイトでは、自社のサービス紹介だけでなく、3Dプリンターの仕組みや活用法を解説するコラム記事を数多く掲載しています。JMCでは、3Dプリンターのオウンドメディアの他にも、鋳造やCTスキャンといった様々なサイトを運営しています。異なるターゲットごとにオウンドメディアを運用する、お手本のような手法を採用しています。
事例から考えるコンテンツマーケティング運用戦略
いくつかの成功事例を見ていただきましたが、ご紹介した各オウンドメディアにアクセスした方は、そのコンテンツの多さに少し気後れしてしまったのではないでしょうか。完成した姿を見てしまうと大き過ぎる山に感じてしまいますが、はじめはどのサイトも小さい規模から始まっています。しっかりと運用戦略を考えてコツコツと規模を大きくしていきましょう。
定期更新できるよう事前準備はしっかりと
製造業をはじめとした技術系企業がコンテンツマーケティングを実施する際に「執筆する記事の専門性が高く定期更新が難しい」ということがネックとなりがちです。
一般消費者向けのWebサイトなど専門性の低い分野であれば記事を社外ライターから調達するという手段が利用できますが、製造業の場合はそう簡単にはいきません。記事を社内で執筆することができれば問題ありませんが、社外のリソースを活用する場合は専門性の高いライターを探しておく必要があります。
技術ノウハウの流出を防ぎながら情報公開していく
事例で挙げた会社もそうですが、かなり踏み込んだ技術情報をコンテンツとして情報発信しています。このような情報は顧客だけでなく、競合他社にも常に見られているであろうことは念頭に置かなければなりません。
IT業界であれば技術革新のスピードが早いことから、技術ノウハウを自社内で抱え込むよりもどんどん情報発信することで顧客獲得に繋げる、といった行動はごく当たり前のことですが、製造業の場合はそうでないことも多いと思います。情報発信の方法や内容に関しては慎重に吟味した上で行う必要がありそうです。
商売に結びつくようなストーリーを描く
良質なコンテンツを増産する体制を作ることができれば、よほどテーマが悪くない限り検索エンジンにからの流入が増え、広告を使わずともたくさんのアクセスを稼ぐことができるようになります。
しかし、アクセスだけ増えて全く問合せに繋がらなかったり、問合せは増えたけど的外れなものばかりでかえって手間が増えてしまった、という事態をよく耳にします。何を成果と見なすのかを見極め、本業の利益につながるようなストーリーをきちんと描くことが大切です。
コンテンツマーケティングも含め、モノカクでは定期的に製造業のWebマーケティング成功事例を情報提供していきますので、今後も参考にしていただければと思います。Webマーケティング手法をまとめた記事もございますので、こちらもご参照下さい。
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便利なツール「進化的調整方法」
こんにちは、マスターブラックベルトの津吉です。
先週末、久しぶりに日曜大工をしました。植木鉢を載せるテーブルを作るために木材を切り揃え、組み立て、さらにニスを塗って仕上げました。使った電動工具は丸ノコ盤、卓上丸ノコ、電動ドリル、そしてサンダーの4種類。電動工具を使わなければ、とても一日では終わらなかったことでしょう。ツールの威力は生産性が劇的に高まることだけではありません。ツールを使うことで素人でもそれなりの物に仕上げることができます。それは大工仕事だけに限ったことではなく、普段の仕事でも同じことが言えます。
そこで今回は普段の仕事で気軽に使える便利なツール「最適化のための進化的調整方法」をご紹介したいと思います。
陸王の「こはぜ屋」でも使えるツール
足袋工場「こはぜ屋」が陸王というランニングシューズを作るテレビドラマを皆さんもご覧になったことと思います。
あのドラマの中で、「シルクレイ製造装置を再稼働させて最初のサンプルが作れるようになるまで数か月は必要だ」と飯山専務は言い、事実、飯山専務と一緒に仕事をしていた大地の二人は、2週間以上も深夜まで毎日働き、試行錯誤を繰り返しながら設備の再調整をしていました。
もし彼らが「最適化のための進化的調整方法」を使っていたら、恐らく3日もあれば再調整は終わっていたでしょう。
陸王 (引用 TBS)
「最適化のための進化的調整方法」ってナニ?
最適化と聞くと、数学や統計学の知識が必要な難しいものと思われがちですが、この最適化手法は数学も統計学も全く必要ありません。足し算と割り算ができれば十分です。
下の図は「最適化のための進化的調整方法」のイメージを表しています。
- 最初に3つの調整点(三角形の頂点1、頂点2、頂点3)を任意に決めて、それぞれの調整点から結果を取得します
- それぞれの結果と目標値を比較して次の調整点(頂点4)を計算し、頂点4の調整値から結果を取得します
- 新しい三角形(頂点2、頂点3、頂点4)の結果と目標値を比較して次の調整点(頂点5)を計算し、頂点5の調整値から結果を取得します
- 新しい三角形(頂点2、頂点4、頂点5)の結果と目標値を比較して次の調整点(頂点6)を計算し、頂点6の調整値から結果を取得します
- 新しい三角形(頂点4、頂点5、頂点6)の結果と目標値を比較して次の調整点(頂点7)を計算し、頂点7の調整値から結果を取得します
この手順を何度か繰り返しているうちに、結果が目標値に次第に近づいていき、最終的には最適値が得られる調整値に収束していきます。試行錯誤を繰り返しながら闇雲に調整するよりも、はるかに早く生産的で確実な調整ができます。
次の調整点(頂点)の計算方法はとても簡単ですが、ここでは十分に説明しきれないので、ご興味のある方はぜひ私のブログを参照して下さい。
最適化のための進化的調整方法
どんな仕事に使えるのか
調整パラメータの数が2つ以上であれば「最適化のための進化的調整方法」が使えます。例えば、
- 生産システムのパラメータ調整
- 在庫量の調整
- プロセスラインの調整
- 製造装置の調整
- サプライチェーンの調整
など。調整パラメータの数が4つ以上になるとグラフでは表現できなくなりますが(4次元グラフになってしまうため)、最適化のための手順はまったく同じです。
進化的調整方法の応用範囲
「最適化のための進化的調整方法」のメリット
最後に「最適化のための進化的調整方法」を使う利点をいくつか挙げておきます。
- 通常業務中に仕事(生産)を継続しながら調整ができます。
- 一般的な最適化手法のように特別な準備や環境を用意したり、通常業務を停止して試験を行う必要がありません。
- 難しい数学や統計の知識はまったく必要ありません。足し算と割り算だけで計算ができます。またエクセルを使える知識があれば十分です。
- 一般的な最適化手法に比べて調整回数が少なくて済み、その分早く調整作業が終わります。
- 完全な最適値ではないかもしれませんが、十分満足できる最適値を得ることができます。
- 通常業務を継続しながら調整(最適化)できるので、調整中に作った製品も販売することができます。
計算方法など更に詳細な内容についてご興味のある方は、ぜひ私のブログを参照してください。