テンプレートを使用してマニュアルを作成するメリットとデメリット

現役エンジニアで製造業系ライターをしている一之瀬です。

『技術は人に伝えられる形にして初めて技術と呼べる』をモットーにエンジニアの業務では、先行開発から量産開発まで幅広く関わりながらその技術を残す活動をしています。この連載では、どうすれば使われ続けるマニュアルや作業手順書を効率的に作れるのかを、私の経験を元に紹介していきます。

今回は「マニュアルのテンプレート・フォーマット」について紹介します。

マニュアル作成にテンプレートは必要か

マニュアルを作成するために、テンプレートやフォーマットは必要でしょうか?テンプレートを使用するメリット・デメリットを確認しましょう。

テンプレートを使用するメリット

まず初めに、テンプレートを使用するメリットを紹介します。

記載すべき項目の抜け漏れが発生しない

マニュアルや作業手順書には、書いておくべき項目があります。これらの項目は、マニュアルを作成する人にとっては当たり前になっていることが多いです。その場合、記載が漏れてしまうことがあります。マニュアルをテンプレートに沿って作成することで、重要だけど抜けがちな項目に関してもきちんと記載されるため、使えるマニュアルになります。

作成にかかる時間を短縮できる

テンプレートがない場合、どのようなレイアウトでどんな項目を記載すべきか検討する時間が必要です。もしレビューのタイミングでレイアウトを見直すことになると、作り直しの時間も必要です。事前にレビューを完了しているテンプレートを使用することで、レイアウトを見直さないといけない可能性を大幅に減らせます。また、記載する項目の検討にも時間をかける必要がないため、作成にかかる時間を短縮できます。
マニュアル作成時にテンプレートを利用することで、項目の抜け漏れや作成時間の観点で大きなメリットがあります。

テンプレートを使用するデメリット

一方で、テンプレートを使用してマニュアル作成をすることには、デメリットもあります。

テンプレートにマッチしない場合がある

作成したいマニュアルが、テンプレートにマッチしない場合があります。具体的には、テンプレートにある項目が不要であったり、書きにくいレイアウトになっていたりといった課題があります。すべてのマニュアルを一つのテンプレートで作成するのは難しいので、作成したいものに応じていくつかのパターンを準備しておくとよいでしょう。

  • 日報・週報などの報告書
  • 工程などの作業手順書
  • 技術解説資料
  • 報告会・発表会用資料

作成する頻度が多いものとしてこれらの項目が挙げられますが、これらはテンプレートを分けておくのが良いでしょう。

必要な項目が漏れる可能性がある

マニュアルに記載すべき項目は、常に一定ではありません。テンプレートに記載されていない項目を記載すべき場合もありますが、テンプレートを信用しすぎることで必要な項目が漏れてしまう可能性があります。マニュアルを作成する前の段階で、テンプレートを見ながら記載すべき項目の抜け漏れがないかを関係者と確認しましょう。作成後に気付いた場合、作り直すのに時間がかかってしまうため、必ず作成前に行う必要があります。

テンプレートを作成する方法

マニュアルのテンプレートは、何かのマニュアルを初めて作成する際に、あわせて作りこんでいきましょう。マニュアルを作成、使用する関係者と何度かレビューを繰り返しながら、必要な項目の抜け漏れやレイアウトを調整します。また、複数のテンプレートを作成すると、大元がどこにあるのか分からなくなってしまう場合があります。Microsoft officeを使用してテンプレートを作成する場合には、作成したファイルをテンプレート形式で保存することで、管理の手間が省けます。

テンプレートとして保存したいファイルを作成したら、「名前を付けて保存」から、テンプレート形式で保存しましょう。次回、新規作成からテンプレートを指定することで、作成したテンプレートでマニュアルの作成を開始できます。Word、Excel、PowerPointそれぞれで使用できますので、普段作成するマニュアルや作業手順書は網羅できるでしょう。

マニュアルのテンプレートは状況に応じて使い分ける

マニュアルを作成する際には、テンプレートを使用することで、作成時間短縮や必要な項目の漏れ防止といったメリットがあります。一方で、すべてのマニュアルを一つのテンプレートで作成することはできません。普段作成する機会の多い資料をいくつかのパターンに分け、それぞれに応じたテンプレートを作成するのがおすすめです。

状況に応じてテンプレートを使い分け、マニュアル作成の時間を短縮して他のことに使う時間を捻出しましょう。

技術を蓄積するマニュアル作成2.使われ続けるマニュアル作り

現役エンジニアで製造業系ライターをしている一之瀬です。『技術は人に伝えられる形にして初めて技術と呼べる』をモットーにエンジニアの業務では、先行開発から量産開発まで幅広く関わりながらその技術を残す活動をしています。

この連載では、どうすれば使われ続けるマニュアルや作業手順書を効率的に作れるのかを、私の経験を元に紹介していきます。今回は「マニュアルが使われない理由とその対策」について実例を元に紹介します。

マニュアルが使われない理由と対策

せっかく時間をかけてマニュアルを作成しても、使ってもらえなければ作った意味がありません。マニュアルが使われなくなる理由としては、次のような点が挙げられます。

  • マニュアルの情報が古い
  • 記載されている手順がやりにくい
  • マニュアルが行方不明

これらの課題に対して、私が自分の仕事を通して試した施策の中で効果的だったものを紹介します。

マニュアルの情報が古い

定期的にマニュアルが更新されていない場合、マニュアルに記載されている情報が古い場合があります。「最初はマニュアルを使っていたとしても、マニュアル通りにやっているはずなのに上手くいかないことがあり、原因を調べてみるとマニュアルが古かった」このような経験がある人も多いでしょう。

マニュアルに書いてあることは改めて確認し直さないため、マニュアル自体がミスを生み出すことになり、使われなくなっていきます。対策としては、マニュアルを更新する担当者と更新の時期を明確にすることが有効です。担当が明確になっていれば、マニュアルに関する修正情報が集約され、決められたタイミングで最新化されます。

随時更新でも良いですが、忙しくて更新されない場合もあるでしょう。マニュアルの内容によってタイミングは調整が必要ですが、更新が必要なタイミングを四半期ごと、半期ごとで設定しマニュアルを更新しましょう。

記載されている手順がやりにくい

同じ仕事であっても、人によってやり方が違うことがあります。マニュアルがあり、最初はマニュアルを見ながらやっていたはずなのに、自己流になってしまうのはなぜでしょうか?

マニュアルに記載されている手順通りにやった結果、手順を面倒に感じたり、簡単にこなせる方法を思いついたりすると、自己流のやり方で業務を進めます。

最初に作成する際にマニュアルのみでレビューするのではなく、マニュアルを見ながら実際に問題なくできるか作業をしてもらうのがおすすめです。実際に作業をする中で出た課題を作成中のマニュアルに反映しておけば、業務に支障が出るレベルで使いにくいことはないでしょう。さらにレベルアップするためには、担当者の元に情報が集まるようにマニュアル改善リストを作っておくことをおすすめします。

  • マニュアルの修正ポイント
  • 誰が記載したか(内容の詳細を確認するため)
  • マニュアルに反映したかどうか

最低限、これらの項目が管理できれば十分なため書くのが面倒にならないように、簡単なフォーマットにするのがポイントです。

マニュアルが行方不明

特に、頻度が高くない業務を行うときのために作ったマニュアルで多い課題が、マニュアルを作ったはずなのに行方不明になってしまうことです。久々にこなす業務をマニュアル無しで、時間をかけて進めることになります。対策はシンプルで、すべてのマニュアルの置く場所を決めておくことです。できれば管理No.を付けて検索性をよくしたり、業務分野別にフォルダ分けをしておくと分かりやすいでしょう。

シンプルな施策ですが、確認する頻度が高いマニュアルと同じ置き場にあれば、マニュアルを探す際にまずそこを確認する癖がつきますのでおすすめです。

すべての対策を実践するのが難しい場合

ここまでマニュアルが使われ続けるための対策を紹介しました。実際には仕事が忙しく、すぐにすべての施策を取り入れることはできないかもしれません。

優先順位をつけて取り組む必要がある場合には、最初に「マニュアル改善リスト」を作成するのがおすすめです。すべてのマニュアルに関する改善要望を集約することで、個々のマニュアルとそのリストを確認すればすべて完結します。

後の施策は時間に余裕ができたときに取り組んでいけばよいでしょう。

使い続けられるマニュアルは更新されている

マニュアルが使われなくなる理由と、その対策について紹介しました。置き場がわかって情報が更新されていれば、マニュアルは使われ続けます。マニュアル改善リストは、マニュアル自体をきれいに直すものではありませんが、現状のマニュアルに対する改善点を確認できるので、セットで使えば更新されたマニュアルと同等の効果を発揮できます。

業務を効率よく進め、時間を生み出し、レベルアップしていくためのマニュアルが逆効果にならないように取り組んでいきましょう。

次回はマニュアルのテンプレート・フォーマットについて紹介します。

技術を蓄積するマニュアル作成2.使われ続けるマニュアル作り

現役エンジニアで製造業系ライターをしている一之瀬です。『技術は人に伝えられる形にして初めて技術と呼べる』をモットーにエンジニアの業務では、先行開発から量産開発まで幅広く関わりながらその技術を残す活動をしています。

この連載では、どうすれば使われ続けるマニュアルや作業手順書を効率的に作れるのかを、私の経験を元に紹介していきます。今回は「マニュアルが使われない理由とその対策」について実例を元に紹介します。

マニュアルが使われない理由と対策

せっかく時間をかけてマニュアルを作成しても、使ってもらえなければ作った意味がありません。マニュアルが使われなくなる理由としては、次のような点が挙げられます。

  • マニュアルの情報が古い
  • 記載されている手順がやりにくい
  • マニュアルが行方不明

これらの課題に対して、私が自分の仕事を通して試した施策の中で効果的だったものを紹介します。

マニュアルの情報が古い

定期的にマニュアルが更新されていない場合、マニュアルに記載されている情報が古い場合があります。「最初はマニュアルを使っていたとしても、マニュアル通りにやっているはずなのに上手くいかないことがあり、原因を調べてみるとマニュアルが古かった」このような経験がある人も多いでしょう。

マニュアルに書いてあることは改めて確認し直さないため、マニュアル自体がミスを生み出すことになり、使われなくなっていきます。対策としては、マニュアルを更新する担当者と更新の時期を明確にすることが有効です。担当が明確になっていれば、マニュアルに関する修正情報が集約され、決められたタイミングで最新化されます。

随時更新でも良いですが、忙しくて更新されない場合もあるでしょう。マニュアルの内容によってタイミングは調整が必要ですが、更新が必要なタイミングを四半期ごと、半期ごとで設定しマニュアルを更新しましょう。

記載されている手順がやりにくい

同じ仕事であっても、人によってやり方が違うことがあります。マニュアルがあり、最初はマニュアルを見ながらやっていたはずなのに、自己流になってしまうのはなぜでしょうか?

マニュアルに記載されている手順通りにやった結果、手順を面倒に感じたり、簡単にこなせる方法を思いついたりすると、自己流のやり方で業務を進めます。

最初に作成する際にマニュアルのみでレビューするのではなく、マニュアルを見ながら実際に問題なくできるか作業をしてもらうのがおすすめです。実際に作業をする中で出た課題を作成中のマニュアルに反映しておけば、業務に支障が出るレベルで使いにくいことはないでしょう。さらにレベルアップするためには、担当者の元に情報が集まるようにマニュアル改善リストを作っておくことをおすすめします。

  • マニュアルの修正ポイント
  • 誰が記載したか(内容の詳細を確認するため)
  • マニュアルに反映したかどうか

最低限、これらの項目が管理できれば十分なため書くのが面倒にならないように、簡単なフォーマットにするのがポイントです。

マニュアルが行方不明

特に、頻度が高くない業務を行うときのために作ったマニュアルで多い課題が、マニュアルを作ったはずなのに行方不明になってしまうことです。久々にこなす業務をマニュアル無しで、時間をかけて進めることになります。対策はシンプルで、すべてのマニュアルの置く場所を決めておくことです。できれば管理No.を付けて検索性をよくしたり、業務分野別にフォルダ分けをしておくと分かりやすいでしょう。

シンプルな施策ですが、確認する頻度が高いマニュアルと同じ置き場にあれば、マニュアルを探す際にまずそこを確認する癖がつきますのでおすすめです。

すべての対策を実践するのが難しい場合

ここまでマニュアルが使われ続けるための対策を紹介しました。実際には仕事が忙しく、すぐにすべての施策を取り入れることはできないかもしれません。

優先順位をつけて取り組む必要がある場合には、最初に「マニュアル改善リスト」を作成するのがおすすめです。すべてのマニュアルに関する改善要望を集約することで、個々のマニュアルとそのリストを確認すればすべて完結します。

後の施策は時間に余裕ができたときに取り組んでいけばよいでしょう。

使い続けられるマニュアルは更新されている

マニュアルが使われなくなる理由と、その対策について紹介しました。置き場がわかって情報が更新されていれば、マニュアルは使われ続けます。マニュアル改善リストは、マニュアル自体をきれいに直すものではありませんが、現状のマニュアルに対する改善点を確認できるので、セットで使えば更新されたマニュアルと同等の効果を発揮できます。

業務を効率よく進め、時間を生み出し、レベルアップしていくためのマニュアルが逆効果にならないように取り組んでいきましょう。

次回はマニュアルのテンプレート・フォーマットについて紹介します。