デジタルコレでドタバタ対談 ロンドンは素人モデルが活躍、「トーガ」×「スピード」コラボも

 2021年春夏シーズンのロンドン・ファッション・ウイークが終了しました。ニューヨークに続き、今回も“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は9月17〜22日(現地時間)に開催されたロンドン・ファッション・ウイークから、話題のブランドや編集部が面白いと思ったデザイナーをピックアップして紹介。メンズとウィメンズのロンドン・コレクションを取材している「WWDジャパン」の大塚千践デスクと大杉真心記者がデジタルもリポートします。

ドラァグクイーンの六変幻に釘付け

大塚:初日の「バーバリー(BURBERRY)」がすごかったですが、ロンドンは若手がたくさん参加してますね。6月のメンズの際にさんざん指摘されていたロンドン・ファッション・ウイークの公式サイトの使いづらさは、結局今回も改善されなかったですね。視覚的にスケジュールと連動してないので、ラインナップが一覧で見られないのがもったいない。でもスマートフォンで見たら、パソコンよりも使いやすくてちょっと驚きました。もともとスマホ仕様だったのか。

大杉:私も今回、ちゃんとサイトを使いこなせるようになりました。動画が再生できてかつ、簡単にプレスリリースもダウンロードできて便利だと思いました。これでルック画像も一括ダウンロードできたら最強なんですが……(笑)。でも、確かにスマホのほうが操作しやすい仕様になっていますね。ロンドン・ファッション・ウイークの公式インスタグラムも活発に更新されていて、ストーリーズを毎日異なるインフルエンサーがテイクオーバーする企画も面白かったです。特に5日目のドラァグクイーンのジジ・グード(Gigi Goode)がファッション・ウイークに参加するブランドの服に着替えていく回は思わず見入ってしまいました。

エッセンシャルワーカーをモデルに起用した「ハルパーン」

大杉:「ヴェルサーチェ(VERSACE)」で経験を積んだマイケル・ハルパーン(Michael Halpern)による「ハルパーン」はイブニングドレスに強いブランドです。今回は、地下鉄の運転手や病院スタッフなど、エッセンシャルワーカーや医療従事者をモデルに起用して動画を撮影しました。皆素敵に着こなしているんですが、インタビューもとても感動的で。彼女たちが「今回のパンデミックを経て、多くの方から感謝されることが増えて、自分たちの仕事に誇りを持つことができた」と話していたのが印象的でした。

大塚:元気になる動画でしたね!色や柄にあふれた服に袖を通すことで、みんなの表情が生き生きしていた。これがファッションの醍醐味ですよ。撮影もモデルのように決めポーズさせるのではなく、それぞれが思うがままに踊ったり談笑したりする自然な姿を撮っているのがよかった。最後にデザイナーのハルパーンが頭からペンキをかぶるドリフのコントみたいなオチで、終始笑顔になる映像でした。

「べサニー ウィリアムズ」は貧困層の母子家庭を支援するコレクション

大塚:「べサニー ウィリアムズ(BETHANY WILLIAMS)」も、「ハルパーン」と同じくプロのモデルが登場しない映像でしたね。

大杉:はい。環境問題や社会問題に取り組むブランドで知られていますが、今回は「べサニー ウィリアムズ」が支援を続けている、イギリスのホームレス・貧困層の母子家庭を支援する団体マグパイ プロジェクト(Magpie Project)と協業したコレクションでした。柄は子どもたちが描いた絵をアーティストがコラージュしたものだそう。コレクションの20%の収益が寄付される仕組みになるそう。モデルとして登場したママと子どもたちが出演して、笑顔でポーズを決めているのが微笑ましかったですね。

大塚:自然体なムードに彼女の服はなじむのかとちょっと心配していたけど、みんなにんな似合っていてめちゃ素敵でした。カラフルなモチーフをアートのように組み合わせるデザインのアプローチはデビューのころからあまり変わっていないけれど、最近はクオリティーがメキメキ上がってちゃんと“売れる服”になってきた印象。僕がロンドン・メンズで初めて見た頃はちょっと荒っぽいクラフト感が出てしまっていのだけど、今は洗練されています。子供服は日本でも普通に需要ありそう。

「トーガ」はヴィヴィアン・サッセン、「スピード」とのコラボ

大塚:「トーガ(TOGA)」も「べサニー ウィリアムズ」のような鮮やかな色使いで引き込まれましたねえ。今回の映像をディレクションしたオランダの写真家、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)らしい力のある色彩でしたし、服も彼女の作品をイメージしているんでしょうか?

大杉:確かにボールドな色使いがヴィヴィアン・サッセンらしいですね。コレクションは、“WHOLESOME, CUTTING, SPLITTING(健康、切断、分裂)”がキーワードになっているそう。断ち切りの袖や裾や、石のようなアクセサリーもポイントになっていて、荒々しさがありながらも、アーティスティックです。動画も全てを見せないように、断片的にイメージを出していく編集がかっこよくて、5回も再生しちゃいました。“健康”のキーワードでは、スイムウエアブランド「スピード(SPEEDO)」とのスポーツウエアやスイムウエアが登場しましたね。

大塚:「スピード」とのコラボは意外性がありました。日本で「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」を手掛けるゴールドウインが手掛けていますが、「スピード」はライフスタイル向けの提案をここ2、3年で強化していて、「トーガ」とのタッグでそのイメージをさらに訴求していきたいのでしょうね。にしてもロゴをドンと使っていたり、機能素材だったり、インラインというよりはカプセルコレクションのような提案になるんでしょうか。ちょっと欲しい。

大杉:私も欲しいです。私は泳げないので必要ないのですが、スイムキャップのスタイリングも魅力的に感じました。他にもバッグやコート、ショーツなどもチラっと見えて、早く全貌を知りたいです!

「ボラ アクス」は看護師として働いた若い貴族の女性たちが着想源

大塚:「ボラ アクス(BORA AKSU)」は、今シーズンのロンドンでは珍しいリアルのショーのライブ配信でしたね。横長のベンチに1人だけ座るというソーシャルディスタンシングで、いい天気とロマンチックなドレスが気持ちよかった。でもこれ、モデル全員がマスクしているということですかね?今までありそうでなかったかも。招待客はほぼほぼマスクしていないけども。

大杉:モデルたちが付けていたのは、オーガンジーを使ったシースルーマスクでしたね。マスク生活が続き、外出時はすっかり口紅を塗らなくなってしまったのですが、このマスクだったら口元も見えるのでメイクも楽しめそうです。コロナの感染予防にはならないかもしれませんが……(笑)。コレクション自体は第一次世界大戦中に看護師として戦場に送り込まれた若い貴族の女性たちが着想源になっているそう。確かに白でまとめたルックがナースらしい。現在の医療従事者へのリスペクトも感じられます。

大塚:音楽もムードがあって素敵でした。でも、画面左をダッシュで行ったり来たりしているカメラマンのお兄さんのファイトも気になりました(笑)。

シュールな笑いを誘う「ヒリヤー バートリー」

大杉:かつて、「マーク バイ マーク ジェイコブス(MARC BY MARC JACOBS)」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたルエラ・バートリー(Luella Bartley)とケイティ・ヒリヤー(Katie Hillier)のデュオによる「ヒリヤー バートリー(HILLIER BARTLEY)」もファッション・ウイークに参加していましたね。コレクション発表ではなく、ショートフィルムの公開でした。今回のロンドンコレで一番ツボでした。

大塚:チープなインディーズ映画感がかわいくて最高。モデルの登場シーンは完全に「ターミネーター」のオマージュですね(笑)。T-800が未来からやってくる場面の再現だけど、モデルの演技がぎこちなくてそれもまたかわいい。ペーパークリップイヤリングにかなり焦点を当てたストーリーだったけど、ブランドのアイコンか何かなんですか?服はあまり出てこないですが、最後まで楽しんで見ちゃいました。

大杉:ペーパークリップイヤリングはブランドのアイコン的なジュエリーの一つです。タイトルが“Keep it together”でしたが、クリップで紙を「まとめる」という意味と、「落ち着いて」という意味のダブルミーニングになっていましたね。このご時世にぴったりなメッセージですし、シュールな笑いを提供してくれて後味がよかったです。

シリアスになりすぎてちょっとコワい「アートスクール」

大塚:ロンドン・メンズではよくも悪くも話題に上がる新鋭「アートスクール」は、今回は時期を遅らせてショー形式の動画を公開しました。年齢や性別、人種などあらゆる境界線を越えたクリエイションを表現するためのモデルの人選や演出というのは理解できるのですが、同じ手法を続けられるとさすがに食傷気味かも。

大杉:モデルのキャスティングはさすがだなと思って見ていました。ウエアはちょっとボロボロ感があり、メイクは血色ゼロで、モデルたちがゾンビのようになってしまっています……。これは狙っているんでしょうか?

大塚:狙ってるというより、狙いすぎですね。昔は笑い飛ばせるユーモアが込められていたのに、最近はシリアスになりすぎてちょっとコワいんです。約15分間の動画をフルで視聴するのは正直しんどかった。服はミリタリーとテーラリングベースで、肩やウエストのシェイプをアレンジして大人の服作りをしたい気概は理解したいのですけど、逆にプロダクションの荒っぽさが出てしまった印象です。ロンドン期待のデザイナーであることは間違いないので、そろそろ進化した姿が見たい。

新デザイナーの実力は?「カシミ」のウィメンズがデビュー

大塚:「カシミ(QASIMI)」は創業デザイナーのハリド・アル・カシミ(Khalid Al Qasimi)が昨年7月に急逝後、双子のフール・アル・カシミ(Hoor Al Qasimi)がクリエイティブ・ディレクターに就いて指揮する初のコレクションです。アートやデザインに造詣が深いキャリアですが、ファッションのデザインは未経験のはずなので、その手腕に注目して見ました。結果、その浅い経験が今回はプラスに作用したのではないでしょうか。ウィメンズもデビューしましたね。

大杉:フールの本格デビューコレクションなんですね。軽やかでクラフト感があり、知的さもある。ウィメンズも今まであったように自然です。

大塚:動画はライザップ(RIZAP)のCMのようにクルクル回るだけなんですけど、素材の上質さがはっきり伝わります。ハリドのころからラグジュアリーな素材にはこだわっていましたが、彼はそこにストリートウエアの要素を足すのが上手かった。一方でフールはデザインがシンプルな分、結果的にハリドの品質への思いをベストに近い形で継承したのではないでしょうか。モチーフの使い方ははもうちょっとキャッチーでもいいかなと思いましたが、ウィメンズの取り扱いがドバイの大型店で早速決まったようで、今後が楽しみです。

大きな期待を持ち過ぎてしまった「ザンダー ゾウ」

大塚:奇天烈隊長の「ザンダー ゾウ(XANDER ZHOU)」が動画で発表ときたら、絶対にフツーのことはしてこないはずだと思ってスタート前からドキドキしてました。が、いざ変なムービーから本編が始まると……普通のショー動画!意外でした。“真実的虚偽性”と題したコレクションは、いつものようにフューチャリスティック。体や服に付けたジュエルなどのパーツは、モーションキャプチャで役者が体に付ける機材のイメージでしょうか。

大杉:いつも変化球で楽しませてくれるブランドですが、特に大きなサプライズはなかったですね。私は粒々などが苦手なトライポフォビア(集合体恐怖症)なので、体にハトメを貼り付けたルックなどは直視できませんでした……。一目見ただけで、ずっと鳥肌立ちっぱなしです。

大塚:途中から仮面を付けたモデルが登場してテーマのストーリーをなぞるムードを出しつつ、終盤にかけては近未来のようなスポーツウエアにカラフルな色を用いて、ドットで龍を描いたり、マンダリンカラーを付けたりして母国中国のムードも加えました。コレクションは特に悪くなかったのですが、単調なショー動画を15分も見るのはやっぱり辛い。期待していただけに、ちょっと残念でした。

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「ユニバーサル プロダクツ」×「スタイリスト私物」 リブ長めのほっこりソックス

 セレクトショップ1LDKのオリジナルブランド「ユニバーサル プロダクツ(UNIVERSAL PRODUCTS)」は、スタイリストの山本康一郎が手掛ける「スタイリスト私物」とのコラボソックスをオンライン限定で発売する。価格は3000円。9月24〜25日まで1LDK公式サイトで抽選応募を受け付け、28日から順次配送する。

 「ユニバーサル プロダクツ」のインラインで使うホフホワイトよりもクリームがかった色味“ウォームホワイト”をベースとし、リブを長めに設定することで秋冬らしい温かみのある見た目に仕上げた。足裏から色を切り替えることで、履きこむうちに出る毛玉も目立ちにくくしている。カラーはウォームホワイト×黒、ウォームホワイト×グレーの2つで、メンズとウィメンズの2サイズを用意する。

 両者がコラボソックスを製作するのはこれで2度目で、前回はオールブラックだった。

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「ユニバーサル プロダクツ」×「スタイリスト私物」 リブ長めのほっこりソックス

 セレクトショップ1LDKのオリジナルブランド「ユニバーサル プロダクツ(UNIVERSAL PRODUCTS)」は、スタイリストの山本康一郎が手掛ける「スタイリスト私物」とのコラボソックスをオンライン限定で発売する。価格は3000円。9月24〜25日まで1LDK公式サイトで抽選応募を受け付け、28日から順次配送する。

 「ユニバーサル プロダクツ」のインラインで使うホフホワイトよりもクリームがかった色味“ウォームホワイト”をベースとし、リブを長めに設定することで秋冬らしい温かみのある見た目に仕上げた。足裏から色を切り替えることで、履きこむうちに出る毛玉も目立ちにくくしている。カラーはウォームホワイト×黒、ウォームホワイト×グレーの2つで、メンズとウィメンズの2サイズを用意する。

 両者がコラボソックスを製作するのはこれで2度目で、前回はオールブラックだった。

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「ルイ・ヴィトン」のマスコット“ヴィヴィエンヌ”が主役! 新作の財布やスマホケースが登場

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」はオリジナルマスコット“ヴィヴィエンヌ(VIVIENNE)”を主役にした新作の小物を発売する。9月18日から公式ECサイトと一部店舗で先行販売していたが、25日から全店で取り扱う。

 長財布(9万8000円)、財布(6万8000円)、コインケース(5万5000円)、ラウンドコインケース(3万9000円)の財布アイテムと、スマホケース(5万円)、パスポートカバー(4万6000円)、ポシェットアクセサリー(4万9000円)を用意した。定番のモノグラムを背景に、“ヴィヴィエンヌ”が遊園地で遊ぶ姿をデザインしている。また、フライングチェアを描いたアイテムは日本での限定発売だ。

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ヤーマンから“おうち美容”向け美容機器3アイテム連続発売

 美容機器のヤーマンは今秋、美容機器やコスメがそろう基幹ブランド「YA-MAN TOKYO JAPAN」から、“おうち美容”に向け美容機器3製品を相次いで発売する。新製品はヤーマン公式オンラインストアをはじめ、楽天市場店、PayPay モール店、全国の家電量販店(一部除く)などで発売する。

 ヤーマンは、コロナ禍においても、シェーバーなどカテゴリーによっては美容機器の需要が昨年を上回っているとし、「外出自粛によりサロンに通えなくなった人が、在宅時間が増えたことで“おうち美容”の機運が高まった結果とみている。当社は“美容機器が電動歯ブラシ並みの身近なものに”なることが理想だと考えているが、それに一歩近づいたのではないか」とブランド担当者。

 そういった状況を受け、同社は秋冬にかけて需要が増加するスチーマーに着目。「マスク着用で蒸れや擦れによる肌荒れが増加していることに加え、生活様式の変化などのストレスで肌が過敏になっている。これを“コロナ過敏”と名付け、スチーマーをはじめ肌状態を底上げするアイテムを提案する」。

 10月16日発売の毛穴ケアスチーマー「ブライトクリーン」(3万4800円)は“肌温度”に着目して開発。濃密なダブルスチームで肌の表面温度を約40〜42℃まで引き上げ、角質を和らげてその後のクレンジングやスキンケアをサポートする。また、最長7時間のロングモード機能を搭載し、仕事中や就寝中もスキンケアできるのが特徴だ。

 10月30日発売の、美肌菌(肌を健やかに保つ常在菌の一つ)に着目したスチーマー「フォトスチーマー」(7万2000円)は、4色のLED(フォト)を搭載。また、ベストコスメを38冠獲得したウェアラブルEMS美容器「メディリフト」シリーズから9月25日、第5弾となる新作「メディリフト プラス」(3万円)が登場する。第1弾と同様に印象を左右する“顔の下半分”に着目し、大小頬骨筋、咬筋それぞれに最適なEMSでアプローチ。同製品の進化ポイントとして、ワンタッチ装着(これまではツータッチ)や幅広バンドを採用してフェイスラインまでホールド、肌と電極の接地面積を約2.5倍に拡大しEMSの実感値は約30%アップしている。

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メンズウエア界の重鎮・鴨志田康人が考える「これからのスーツに必要なこと」

 三陽商会の「ポール・スチュアート(PAUL STUART)」は、高価格帯ライン「コレクションライン」の2021年春夏コレクションを発表した。

 同ブランドの日本企画のメンズラインは19年秋冬から、ユナイテッドアローズの創業者の1人で、長くメンズウエアの企画やバイイングに携わってきた鴨志田康人氏がディレクターを務めている。20年春夏にスタートした「コレクションライン」は主に直営店で展開。スーツスタイルを柱としながら、オーセンティックなデザインの通常ラインと比べて多彩なカラーリングやデザイン性を特徴とするなど、鴨志田氏のエッセンスが凝縮されたコレクションとなっている。

 今シーズンは“オールド イズ ニュー”がテーマ。ブランドのルーツであるニューヨークの1970〜80年代にオマージュを捧げながら、随所に新たな要素を散りばめて現代的に再構築した。約40型のコレクションの「顔」として展示会場のマネキンに着せたのは、ブラウンのタキシード(22万円)だ。着ていく場所や着こなしに頭を悩ませてしまうような1着だが、ここにはアフターコロナのメンズスーツのあり方についての鴨志田氏の考えが投影されている。「今後はスーツを着用する人の絶対数は減っていく一方で、19世紀に『ラウンジスーツ』と呼ばれたような、スーツ本来の社交の装いとしての機能は強まっていくだろう。(スーツは)無理強いされる物ではなくなり、各人が自分の服装に対する主義や『こう見られたい』ということを示す手段になっていくはずだ」。

 そのような考えのもと、タキシードを筆頭に、幅広いラペルが目を引くダブルジャケットのセットアップ(19万円)など着る人の個性を主張するスーツを並べた一方、ネイビーやブラックのシングルブレストのような没個性的な商品は排除した。合わせるシャツも「大人にふさわしい素材や色味をゼロから企画した」という大振りのチェック柄シャツ(2万2000円)やキャンプカラーシャツ、バンドカラーシャツなど多彩なラインアップだ。1920〜30年代のビンテージ柄をアレンジしたネクタイやスカーフなども、コーディネートに新鮮な印象をプラスする。

 これまで同ブランドは百貨店販路を中心としてきたが、今後は直営店やポップアップストアを中心に「コレクションライン」をフックに新規客の獲得にも力を入れる。今年2月には表参道の路面店を閉店したが、11月には「青山ベルコモンズ」跡地にオープンする複合商業ビル「ジ アーガイル アオヤマ(THE ARGYLE AOYAMA)」に新たな旗艦店を置き、「コレクションライン」をフルラインアップでそろえてブランドの世界観を演出。9月11日から11月3日にかけては、渋谷スクランブルスクエアで4階でポップアップストアを開催している。「もはや百貨店で他店と同じようなスーツを並べているだけでは戦えない時代になった。『ポール・スチュアート』としてのアティテュード(姿勢)を服に込め、お客さまに示していくことが一層大事になる」(鴨志田氏)。

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タイのスキンケアブランド「タン」とコラボ 貝印のクリスマスコフレは男女別にセレクト

 貝印は10月30日、タイのナチュラルスキンケアブランド「タン(THANN)」とコラボレーションしたホリデーコフレを公式サイト及び「タン」直営店で発売する。メイド・イン・ジャパンの技術で世界から注目を集める貝印のグルーミング製品と、スパブランドとしてグローバル認知のある「タン」の製品をそろえた。ネイルケアとスキンケアの製品を組み合わせた女性向けと、ヒゲ剃りやスキンケア製品などをセットにした男性用の2種類を用意している。

 女性向け「タン× カイ セレブレート ユア ライフ フォー ウーマン(THANN × KAI CELEBRATE YOUR LIFE for WOMEN)」(1万1000円)は、喜多俊之プロダクトデザイナーがネイルケアをテーマにデザインした「ミムノ(MIMUNO)」の超薄型の爪切り、滑らかな削り心地のガラス製爪やすり「ブルームネイル グラスファイル 細目」と、アルガンオイルや米ぬか油、ローズウオーター、ティアレ花エキスなどを配合した「ハンドクリームAW」、米ぬか油をベースにした「バス&マッサージオイルAW」の4品をセット。

 男性向け「タン× カイ セレブレート ユア ライフ フォー メン(THANN × KAI CELEBRATE YOUR LIFE for MEN)」(1万8000円)は、ポケットナイフからグルーミング製品まで幅広く扱うアメリカ発の高級ブランド「カーショー(KERSHAW)」の爪切り、今回のコラボのために作られた、自立ハンドルタイプの替え刃式カミソリ「フォレスティー(FORESTY)」(替え刃5個付き)、シェービング後のスキンケアにも人気のベストセラー化粧水「アストリンジェントトナーSC」、シェービングフォームとしても使える洗顔料「ピュリファイングフェイスウォッシュSC」の4品となる。

 「タン」は、米ぬか油やシソなど、アジアで古来から愛されてきた植物の恵みを活用した“ホリスティックビューティ”を提唱し2002年にデビュー。スキンケア製品やディフューザーなどを展開し、世界のラグジュアリーホテルやスパなどのメニューやアメニティーとして採用されているほか、東急プラザ渋谷店、東京ミッドタウン、伊勢丹新宿本店などに直営店を出店、オリジナルスパ「タン サンクチュアリー(THANN SANCTUARY)」の運営も行っている。

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タイのスキンケアブランド「タン」とコラボ 貝印のクリスマスコフレは男女別にセレクト

 貝印は10月30日、タイのナチュラルスキンケアブランド「タン(THANN)」とコラボレーションしたホリデーコフレを公式サイト及び「タン」直営店で発売する。メイド・イン・ジャパンの技術で世界から注目を集める貝印のグルーミング製品と、スパブランドとしてグローバル認知のある「タン」の製品をそろえた。ネイルケアとスキンケアの製品を組み合わせた女性向けと、ヒゲ剃りやスキンケア製品などをセットにした男性用の2種類を用意している。

 女性向け「タン× カイ セレブレート ユア ライフ フォー ウーマン(THANN × KAI CELEBRATE YOUR LIFE for WOMEN)」(1万1000円)は、喜多俊之プロダクトデザイナーがネイルケアをテーマにデザインした「ミムノ(MIMUNO)」の超薄型の爪切り、滑らかな削り心地のガラス製爪やすり「ブルームネイル グラスファイル 細目」と、アルガンオイルや米ぬか油、ローズウオーター、ティアレ花エキスなどを配合した「ハンドクリームAW」、米ぬか油をベースにした「バス&マッサージオイルAW」の4品をセット。

 男性向け「タン× カイ セレブレート ユア ライフ フォー メン(THANN × KAI CELEBRATE YOUR LIFE for MEN)」(1万8000円)は、ポケットナイフからグルーミング製品まで幅広く扱うアメリカ発の高級ブランド「カーショー(KERSHAW)」の爪切り、今回のコラボのために作られた、自立ハンドルタイプの替え刃式カミソリ「フォレスティー(FORESTY)」(替え刃5個付き)、シェービング後のスキンケアにも人気のベストセラー化粧水「アストリンジェントトナーSC」、シェービングフォームとしても使える洗顔料「ピュリファイングフェイスウォッシュSC」の4品となる。

 「タン」は、米ぬか油やシソなど、アジアで古来から愛されてきた植物の恵みを活用した“ホリスティックビューティ”を提唱し2002年にデビュー。スキンケア製品やディフューザーなどを展開し、世界のラグジュアリーホテルやスパなどのメニューやアメニティーとして採用されているほか、東急プラザ渋谷店、東京ミッドタウン、伊勢丹新宿本店などに直営店を出店、オリジナルスパ「タン サンクチュアリー(THANN SANCTUARY)」の運営も行っている。

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OMOアプリ「フェイシー」のスタイラーが中国のテンセントと協業 「クラウド技術を生かしコロナで苦戦する日本の小売市場に新たな可能性を」

 ファッションのオンライン接客・購買サービスのアプリ「フェイシー(FACY)」をプロデュースするスタイラー(STYLA)はこのほど、中国のIT大手、テンセント(TENCENT)と協業することを発表した。スタイラーは「フェイシー」以外にも、オンラインとオフラインを融合させて豊かな購買体験を設計するOMO事業を手掛けており、今回はテンセントのクラウド事業部門であるテンセントクラウドと業務提携を行った。

 実店舗への集客が困難になりつつあるニューノーマルの時代において、スタイラーはテンセントクラウドの技術を活用し、日本の小売業者や商業施設のデジタルトランスフォメーション(DX)を目指す。ブランドや販売員によるライブ配信・ライブコマースのほか、店舗が閉店時でも営業を継続できる仕組みを提供する。また、商業施設に入ったときにスマホで館内マップなどを見られるロケーションサービスや、消費者が買い周りを避けて効率的に買い物できるようなサービスなども届ける。すでにOMOなど“ニューリテール”が発達している中国の技術を用いることで、日本の小売業界のDXを加速させる狙いだ。

 そんなスタイラーの小関翼代表取締役CEOに、今回の協業についてや、新型コロナウイルスの影響でさまざまな壁に直面している日本の小売業界について聞いた。

WWD: テンセントとタッグを組んだ理由は?

小関翼スタイラー代表取締役CEO(以下、小関): 弊社はユーザーと店舗をデジタルでマッチングするアプリ「フェイシー」を提供している。日本だとリアルな店舗を集約するようなものは珍しく、そのためアプリも年々成長してきた。そこで国内だけでなく海外事業にも挑戦すべく、台湾にも進出していたり、今は中国や東南アジアに新たに進出することにトライしている。その中で中国現地の巨大プレイヤーであるテンセントとつながったことがはじまり。テンセントは店頭のコミュニケーションや店頭の在庫のデジタル化に長けた技術を持っている一方で、われわれは小売り業や不動産開発業の接点が非常に多いので、その2つがコラボレートしたら日本の小売業界にも大きく変化できると感じた。

WWD:今回日本で提供する主なサービスとして発表したのは、ライブ配信やオンライン接客、ロケーションサービスなど。それ以外にはどのようなことを提供するのか?

小関:主に小売業や商業施設の開発に焦点を当てたことを発表したが、実はほかにも沢山ある。ECサイトのメッセージ機能、AIを使った画像の予測サービスの導入から、在庫管理などのバックエンドのサポートまでも可能だ。

WWD:提携の理由の一つに、新型コロナウイルスの影響でメーカーや商業施設から多くの問い合わせが寄せられたことを挙げていたが、具体的にどういった相談があったのか?

小関:よくある悩みは、消費者は商業施設に入れないのに、家賃は払わなければならないということ。店舗が閉店中も販売員を生かしたいという思いもあるだろうし、ライブ配信などをはじめたものの質が良くなかったりノウハウがなくて、思ったよりうまくいっていない。そんな相談を受けることが多い。

WWD:こういった新たなサービスを日本の小売業界に提供することで、一番期待することは?

小関:前提としてユーザーにとってベストなショッピング体験を提供すること。買い物体験が向上することで、苦戦する小売業が新型コロナから復活することをサポートしたい。ECは非常に重要なチャネルのひとつだが、小売り(実店舗)全体を賄えるようなチャネルでもない。今後も店舗には人は戻るとなると、店舗のコミュニケーション、接客のデジタル化、在庫のデジタル化など、店舗とデジタルを両立させたOMO戦略はますます必須になるだろう。今回の提携によって、売り上げの大半を占める実店舗でのショッピング体験を向上させることで、小売り業のコロナ対策と、小売り業の今後の活性化を考えている。

WWD:今回は中国のテンセントと協業したが、中国と日本はだいぶ状況が違うのでは?そのうち日本も中国のようになるのか?

小関:スマホ社会の中国では、パソコンを使わずに全てスマホで完結している。そもそもパソコンは職場で使うくらいで、家に持っていない人も多い。大学生はレポートを音声入力で、スマホで行うくらいだから。そうしてみると、オフラインの場でもスマートフォンが出てくるのは当たり前で、店に行く前も、店舗の中でも商品情報を調べたり、店頭で試して、その場でスマホを使ってECで買うというのも珍しくない。例えば百貨店の化粧品フロアに行ってほしいものがなければ、高確率で店員は「ウィーチャット交換しませんか?」という。つまり店頭の人がスマートフォンを使ったコミュニケーションをするのが標準になっている。日本の若い子も今はあらかじめスマホで調べてから物を買いに行ったりするので、いずれはそうなると思う。

WWD:今は当たり前になっているが、そもそもファッションやビューティなどのライフスタイルカテゴリーが、これまでECやデジタルの発達が進まなかった、その理由は?

小関:洋服やコスメは気分やムード、センスの世界。要は答えがない市場で、選択肢が多い。選択肢が多い中で、自分で選ぶのは面倒くさいし、難しいと感じる人も。だからやっぱり店頭の販売員による接客を求める傾向にある。また日本特有の問題があるとすれば、人材の流通。日本はあまり転職しないことが普通になっていて、業界を変える人も(海外に比べて)少ない。そうすると業界をクロスさせた知見をもっていない。ひとつの業界からすれば当たり前のことを、ほかの業界では気づいていない。新しい技術とか新しいトレンドにキャッチアップするのが遅れがちになる。そもそも硬直的な労働市場で、そもそも店舗のデジタル化、ECにチャンスを見出してもおかしくないけど、そこの人材が供給されない。

WWD:最後に今の日本のファッション、ビューティ、ライフスタイルの小売りの課題は?今後どのように変化していくと思うか?

小関:おそらく、ビジネスモデルの刷新が遅れている企業が多いのではないか。優秀な人材が流れ込みにくくなっていたり、さらに言うとオーナー企業が非常に多い。それらの会社の全盛期が40年前、50年前だとすると、ビジネスモデルの刷新やユーザー向けのサービスの向上が止まっているところも少なくないだろう。コロナは悪い話だが、考える機会を与えたとも思う。今までの考えだと、在庫の8〜9割を店舗で消化しないといけない。ただ店舗が閉まっているし、ECに在庫をあててみたけど思ったほど動かない。これがコロナでみんなが抱える問題。こんな状況下で改めて、ユーザーにどのような価値を提供できるのか、考えるきっかけになったと思う。

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ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズが質問募集 初のコレクション発表に際して

 「プラダ(PRADA)」は9月24日21時(日本時間)に発表するミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)が共同で手掛ける初のコレクションに際して、公式ウェブサイトから両者への質問を募っている。テーマは「2人で初のショーについてミウッチャ・プラダとラフ・シモンズに聞きたいことは?」だ。同ブランドは2021年春夏ミラノ・ファッション・ウイークで行うデジタル発表の中で、寄せられた質問に対して回答する対談の場を設けるという。ウェブサイトやソーシャルチャンネルを通じてライブ配信も行う予定だ。

 「プラダ」は事前に、プライベートでの視聴を可能にするための試聴用セットを配る。また、ニューヨークやロサンゼルス、パリ、ロンドン、ベルリン、モスクワ、ドバイ、イスタンブール、ソウル、香港、東京などの都市でバーチャル視聴イベントを開催するという。さらに同ブランドが改装を手掛けた上海の「プラダ・ロンヅァイ(Prada Rong Zhai)」では視聴会も行う。

 ラフは20年2月に、「プラダ」の共同クリエイティブ・ディレクターに就任。ミウッチャの長年の友人であり、ファッションショーに参加したこともある。今回のコレクションはラフが加わってから初めての発表となる。

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ファンケルが2年半ぶり新ブランド “癒し”と“効率”がテーマのコンビニ向け自然派スキンケア

 ファンケルは新スキンケアブランド「MOGU(モグ)」を9月26日に発売する。販路は全国のローソン店舗が中心で、10月1日から東京・原宿のアットコスメトーキョーとECの「アットコスメショッピング」でも取り扱う。製品ラインアップはクレンジング、洗顔料、化粧水、オールインワンジェル、トーンアップクリームの5品で、価格は各900円。フルーツなど自然素材の成分を配合し、ナチュラル志向の20~30代に向けて訴求する。

 開発背景には女性の有職率の増加があり、それに伴う疲れやストレス、肌の揺らぎに着目した。「肌によいだけでなく安心して使える化粧品」「自然素材やオーガニック系化粧品」「時短コスメ」「コストパフォーマンスのいいプチプラコスメ」といったニーズと、「頑張っている自分へのご褒美感」「わくわく感」といったニーズを満たすブランド開発を目指した。

 ブランド名の「モグ」は“フレッシュなフルーツをもぐ”“肌が必要な栄養をもぐもぐ食べる”に由来する。ブランドの共通成分として2種類のビタミンBとビタミンE、ヒアルロン酸を配合。アイテムの機能に合わせて“レモネードローション”にはグレープフルーツエキスやユズエキスを、“トマトジェルクリーム”にはリコピンを配合し、自然素材と天然香料を特徴的に使いながら香りと色、質感にこだわった。

 また、ライン使いより効率を重視し必要なアイテムを選択するターゲット世代のニーズに合わせ、単品使いでも効果実感が得られるよう一品に複数機能を持たせたほか、コンビニ商材では珍しい週2~3回使用するスペシャルケア向けの“くるみスクラブクリームウォッシュ”を投入して差別化を図った。

 ファンケルの新ブランドは2018年発売の「アンドミライ(AND MIRAI)」以来の2年半ぶり。「モグ」は、気軽に購入できて気分も癒やせる新たな価値提供を目指したもの。ローソンでの販売店舗数はファンケルの主力商品“マイクレンジングオイル”と同等で、販売状況により順次販売チャネルを検討していく。

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ロクシタンとメルヴィータの日本社社長が交代 小山前フェラガモ・ジャパン社長が就任

 ロクシタンジャポンおよびメルヴィータジャポンは9月23日付で、小山順子・前フェラガモ・ジャパン社長が社長に就任した人事を発表した。同時に前任のニコラ・ガイガー(Nicolas Geiger)氏は同社の会長に就任した。

 小山新社長は1988年に津田塾大学を卒業後、外資系金融機関(ロンドン)やプロクター・アンド・ギャンブルAG(PROCTER & GAMBLE AG、ジュネーヴ)で経験を積み、98年に帰国後、カルティエ(CARTIER)やヴーヴ・クリコ(VEUVE CLICQUOT)などのフランスのラグジュアリーブランドで事業部長や社長などを務めた。2011年にELCジャパン傘下の「クリニーク (CLINIQUE)」の事業部長に就任し、19年2月からフェラガモ・ジャパンの社長を務めていた。
 一方のガイガー新会長はロクシタングループのレイノルド・ガイガー(Reinold Geiger)会長の息子で、04年にオックスフォード大学を卒業後、スイスの装飾会社に勤務。11年にロクシタンブラジルのジェネラルマネージャーとしてグループに入社した。17年1月にロクシタンジャポンの副社長に就任し、同年5月から日本におけるロクシタンおよびメルヴィータの社長として指揮をとっていた。

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「アレキサンダー・マックイーン」新コンセプト旗艦店はサラ・バートンのこだわり凝縮

 「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」は9月4日、新コンセプトを反映した国内初の旗艦店を東京・表参道にオープンした。クリエイティブ・ディレクターのサラ・バートン(Sarah Burton)と建築家のスミルハン・ラディック(Smiljan Radic)のコラボレーションによりデザインされた新店舗は、有機的で洗練された素材使いが特徴的だ。ブランドが大切にする“自然への敬意”をダイレクトに感じられる心地のよい空間が誕生した。

自然素材を不規則かつ
ダイナミックに

 表参道店は売り場面積262㎡。2フロア構成で1階はウィメンズのウエア&バッグ、2階はメンズとシューズを中心にスモールレザーグッズなどのアイテムも取り扱う。森の中にいるような外に広がる景色との一体感を感じる店内では、トーンの異なる木材をメインに自然素材を贅沢に使用。床や壁には、オークやウォルナット、さらにリサイクルコットンに石膏を混ぜたオリジナルの“コットンクリート”などを用いた。異なる素材を不規則かつダイナミックに配した内装からは、サラの曲線美や調和へのこだわりを感じることができる。

 インテリアや什器にも「全ての女性やコミュニティーを尊重したい」という、サラの理念が反映されている。天井から吊るされたマネキンは、さまざまな方向を向いていて、あらゆる角度から美しい服のシルエットを見ることが可能。まるで街行く人々が、日常で「アレキサンダー・マックイーン」の服を着ているのを眺めているような演出が意図的に施されている。

 店内にそびえ立つガラスシリンダーのフィッティングルームも目を引く。内側から吊るされた特注のタペストリーは、2018-19年秋冬コレクションに登場したバタフライや昆虫モチーフに由来するもの。中に入ると包まれているような安心感があり、ゆったりとした気持ちで試着を楽しめる。さらにアクセサリーを置くディスプレーとして「原石を探し出すのに約1年を費やした」という約1トンの巨大な大理石が店内に点在する。素材の粗さを残した加工からは、長い歳月をかけて形成された自然のエネルギーが感じられる。

クラフツマンシップに隠された
最新テクノロジー

 2階のメンズフロアへと続く螺旋状の階段は、照明をあえて少し暗くしてあり、2階に行くまでの時間も特別に感じられるような空間になっている。階段を上りきると、長いトンネルを抜けたような開放感と表参道のケヤキ並木の明るく爽やかな風景が目に飛び込む。

 表参道店のこだわりは、内外装で表現されるビジュアル部分だけではない。ブランド独自の取り組みとして、商品の動線や在庫管理ができるテクノロジーも導入。クラフツマンシップを感じる店舗とそこに隠された最先端のテクノロジーの対比からも、“コンテンポラリーと伝統”というブランドのアイデンティティーを感じることができる。一方で、ブランド全体では、19年から20年にかけて全世界で多数の店舗をオープン。その中でも、日本の高い接客レベルやストックルームの環境美化などは本国からも高い評価を受けている。2面性を併せ持ったブランドのDNAに敬意を表しながらも、サラのイメージを具現化させた「アレキサンダー・マックイーン」は、新コンセプトのストアとともにさらなる飛躍を目指す。

完売・追加入荷が続く人気アイテム

 表参道店では、ウエアからアクセサリーまでをフルラインアップで展開。中でもスニーカーとブーツがドッキングした“トレッド スリック”は、ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)、BTSのジョングク(Jungkook)が愛用し、女優のエマ・ロバーツ(Emma Roberts)などが着用したことでさらに人気が高まり、即完売・追加入荷が続いている。同店では、メタルハンドルが付いたアイコンバッグ“ザ ストーリー”やショーのキールックとなったドレスなど、最新アイテムを順次チェックすることができる。


INFORMATION
「アレキサンダー・マックイーン」表参道店

オープン日:2020年9月4日
時間:11:00〜20:00
定休日:不定休
住所:東京都港区北青山3-6-1 オーク表参道

TEXT : ANRI MURAKAMI

問い合わせ先
アレキサンダー・マックイーン
03-5778-0786

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フェイスブックとルックスオティカが「レイバン」のスマートアイウエアを来年発売 AR開発計画も

 フェイスブック(FACEBOOK)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)はオンラインで行った会見の中で、世界最大のアイウエア企業エシロールルックスオティカ(ESSILORLUXOTTICA)との協業によりスマートアイウエアを来年発売すると明かした。

 両社はこの数年間協力を続けており、ザッカーバーグCEOは商品の詳細は語らなかったものの、“プロジェクト アリア(PROJECT ARIA)”と呼ぶ「AR(拡張現実)アイウエア開発につながる次のステップ」と説明した。

 「われわれの目標は、一日中着用できる通常サイズで見栄えのよいアイウエアを開発し、みなさんを取り巻く世界中の人々とさまざまなビジュアル、デジタルオブジェクト、情報を共有できるようにすることだ」とザッカーバーグCEOはARアイウエア開発に言及した。「遠隔に住む友人がまるであなたの隣に座っているかのように話したり、ゲームを楽しむことができる。また、通りを歩いているときに正しい道順を確認したり、素晴らしいものに出合って、それを誰かと共有したいと思ったときに携帯電話を取り出すことがなくなり、携帯電話を持ち歩く必要もなくなるだろう」。同社ではすでにスマートグラスの技術開発は進んでいるものの、AR機能にはまだ対応できていないというが、イタリア・ミラノのルックスオティカ社を訪れた同CEOは、「彼らはアイウエアを作ることにおいて世界最高だ。『レイバン(RAY-BAN)』『オークリー(OAKLEY)』をはじめ、『アルマーニ(ARMANI)』『ヴェルサーチェ(VERSACE)』まで、さまざまな人たちのためのアイウエアを幅広く手掛けている。私は同社のチームと一緒に過ごし、工場を訪れた後、最高の技術と最高のアイウエアを作ることができる確かなパートナーだと分かった」と自信を深めたようだ。

 ルックスオティカもスマートアイウエアのイノベーターになることに意欲を見せている。ロッコ・バジリコ(Rocco Basilico)=ルックスオティカ チーフ・ウエアラブル・オフィサーは声明の中で、「象徴的なブランドである『レイバン』を介して、デジタル化や未来の社会を築くプロジェクトをフェイスブックとコラボレートできることを大変誇りに思う。世界中で多くの消費者に愛され、着用されているブランドと、世界を近づけるデジタル技術とを融合することで、スマートアイウエアに対する期待を喚起することができる。われわれは、世界の見方を変える新時代の製品に道を開いている」と期待感を述べた。

 来年、「レイバン」ブランドのスマートアイウエアを発表する予定だが、詳しい機能や価格、発売日は今後明らかにされる予定だ。

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「マーガレット・ハウエル」2021年春夏ロンドン・コレクション

 「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」が2021年春夏コレクションをロンドンで発表した。

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「ヴィヴィアン・ウエストウッド」2021年春夏ロンドン・コレクション

 「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」が2021年春夏コレクションをロンドンで発表した。

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サテンの艶めきを普段使い 異素材ミックスで脱フォーマル

 艶めいたサテン生地はフォーマルドレスのイメージが強い素材ですが、日常の装いに生かすスタイリングが盛り上がってきました。パンツやフリースといった雰囲気の異なる素材・アイテムと合わせて普段の着こなしにシャイニー感を取り入れると、こなれた着映えに整えられます。春夏と比べるとかさばりやすい秋からの装いに、サテンならではの落ち感や気品を添えるミックスコーディネートは魅力がいっぱいです。

 「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」は、ストライプのサテンシャツワンピースからスリップをチラ見せするコーデを披露。ゆったりしたピンクベージュのパンツを合わせて、気負わないエフォートレスな着こなしに。このようにメンズ系アイテムと合わせるとドレッシーに見えすぎないので、普段使いしやすくなります。今回は、相次いで提案されているサテンアイテムの今季流スタイリングのコツを探りました。

“脱エレガンス”なワンピースでこなれ感アップ

 艶めきを帯びたサテンワンピは見た目の印象が強いので、別のアイテムを合わせて全体のトーンを整えるコーディネートが効果的。ドレッシーになりすぎないよう加減すれば、着て行けるシーンが広がります。

 同系色のミリタリー風CPOジャケットを羽織ったスタイルを提案したのは、「アンスリード(UN3D.)」。ワンピースの上からオーバーサイズのジャケットを重ねて、のどかなたたずまいに。手まで隠れるロングスリーブとアシンメトリーな裾が動きを演出しています。

 2枚目写真の「ネーム(NAME.)」は、ワンピースの下にカジュアルなパンツをはいて、イメージを一新。ロング丈のワンピースとの相乗効果で、縦落ち感もアップ。どてっとした靴は意外性があって、クラシックなドレスにタフ感を添えました。

同系色の素材違いでムードを深く

 艶やかさが持ち味のサテンだけに、風合いの異なるアイテムとのミックスは光沢感を引き立てる効果があります。もふもふのフリースや柔和なニットは、サテンとの相性が抜群です。

 トレンドのラベンダーパープルでまとめたのは「ザ ケイジ(THE KEIJI)」。サテン地で仕立てたプリーツスカートにフリースジャケットを重ねて、異素材ミックスコーデに。ドレッシーなアイテムを適度にトーンダウンさせたい場合、フリースやブルゾンは重宝します。

 また、シャイニーな質感が特徴のサテンとマットな風合いのニットは、風合いの違いを際立たせるうえで絶好のパートナー。2枚目の「アメリ(AMERI)」は、全体の色味をワントーンで整えつつも上下で素材感をずらして、味わい深い装いに導きました。気品を漂わせるキーアイテムは、サテンが艶めきを放つワイドパンツ。あえてバルキー編みのニットセーターと合わせて量感の面でもめりはりを出しています。

ハンサムなパンツと合わせて、顔周りを“リモート映え”

 光を反射するサテンはトップスに迎えると顔周りがパッと明るくなるので、オンライン会議でも効果を発揮。“リモート映え”の切り札アイテムになってくれます。

 「セモー(SEMOH)」はシャイニーなブルーのシャツルックを提案。ダークカラーにまとまりがちな秋冬ルックにあでやかさを盛り込んでくれます。マットな質感の黒パンツと合わせれば、グラマラスとりりしさが交じり合うスタイリングの完成です。

 ドレープの陰影を深くしてくれるのもサテン生地のいいところ。2枚目の「マヌカンズジャポン(MANNEQUINS JAPON)」は、優美なシルエットのサテンブラウスでエレガンスを薫らせました。複雑に入り組んだドレープがレディーライク。ゆったり幅のワイドパンツに古風な帽子とネックウエアを添えて、レトロフューチャーな着こなしに導きました。

 サテン素材の上手な使い方は、ワンアイテムに絞ったピンポイント投入。残りのアイテムとの“ずれ感ミックス”が着こなしのムードを深くします。上品に華やぐ魅力を生かし、カジュアルなパンツやアウターと組み合わせるドレスダウンにも向いています。サテンウエアで艶めきをまとって、秋の着こなしのアップデートに役立ててみてください。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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今なぜ革靴ブランドをつくるのか? “日本発のアメリカ靴”「アーチケリー」の場合

 ビジネスウエアのカジュアル化やコロナショックによる自粛生活の長期化により、革靴の需要が減っている。そんな中にあって、今年7月にデビューした日本の革靴ブランドがある。名前は「アーチケリー(ARCH KERRY)」。既製品を作らず、全て受注生産する。価格は9万3000円~と決して安くはないが、清水川栄ディレクターは自信を見せる。今、革靴ブランドをスタートさせる意義、またその勝算について聞いた。

WWD:大逆風の中での船出となった。

清水川栄「アーチケリー」ディレクター(以下、清水川):もともと4月のデビューを目指していたが、コロナショックを受けて最初の展示受注会を7月に延期した。

WWD:「アーチケリー」は受注生産のみで、既製品の卸はしない?

清水川:ブランディング、生産力の2つの側面から現状では考えていない。前者は“一人一人に適正な靴を届けたい”という思いによるもので、東京・文京区にある事務所の階下のイベントスペースで定期的に展示受注会を開催している。次回は9月26、27日で、これが3回目となる。年内にあと3回は実施したい。後者は現状、納品が4カ月待ちになってしまっているので、これを半分の2カ月に短縮にすることが先決だと思っている。また、コロナ下で在庫を抱えることのリスクも考えた。そういった総合的な判断によるものだが、近い将来、百貨店やセレクトショップ、専門店でトランクショー(出張展示受注会)が開催できればと考えている。

WWD:世間にはあまたの革靴が存在しており、同時に市場は縮小している。そんな中でも光る「アーチケリー」の特別性とは?

清水川:約20年間、小売りの現場でたくさんの靴を見てきた。確かに市場には革靴があふれているが、ないものが一つあった。それが“1950~60年代風のアメリカンドレスシューズ”だ。アメリカ靴と聞くと武骨なイメージがあるが、一気に量産化が進む70年代以前の靴には繊細さと個性がある。「アーチケリー」の代表モデルであるパンチドキャップトウシューズは内羽根の7アイレット仕様だ。アイレットの数が増えるとレースステイが広くなり、結果としてキャップトウ(先端)部分が狭く、ドレッシーな印象になる。

目指したのは“繊細な美しさを持ち、履き心地のよいドレス靴”

WWD:実際どんな人がオーダーしている?

清水川:靴好き、ビンテージ好きの男性だ。インスタグラムを使って告知したこともあり、年代は30代が中心と若い。

WWD:オーダーの流れを教えてほしい。

清水川:まずはパンチドキャップトウ、Vチップ、Uウイング、ホールカットの4つから好みのデザインを、続いて国産カーフ、スエード、コードバンなどから革を選ぶ。そしてサイズサンプルを用いてフィッティングを行う。人間の体は左右が完全に対称ということはなく、スポーツ選手やケガをした方の場合、足のサイズが左右で異なることもある。そういった悩みにも対応できるのがオーダーメードだ。また甲高の日本人の足に合わせて、アッパーの調整も可能だ。カウンセリングを経て完成した仕様書は東京・浅草にある工房に送られる。そこで待っているのがビジネスパートナーの舘篤史マスターシューメーカーだ。舘を中心とする職人チームが一足ずつ手作業で生産し、これによって履き心地とフォームの美しさが向上する。

WWD:生産過程にも「アーチケリー」らしさがある?

清水川:特筆すべきは精緻なステッチワークだ。また革の縫い合わせ部分を薄くすいて、折り込んで縫い付ける“カールエッジ”と呼ばれる技法も用いる。靴底は全てレザーソールで、これらはいずれも50~60年代のアメリカ靴の特徴だ。こういったアイデンティティーを日本人のきめ細かな仕事で完成させる。“精緻な表情”こそ「アーチケリー」らしさと言える。

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卑弥呼の新社長はアルバイトから入社した30代 「オリエンタルトラフィック」成長の立役者

 婦人靴の卑弥呼が、新たな改革を進めている。5月1日付で婦人靴ブランド「オリエンタルトラフィック(ORIENTAL TRAFFIC)」を運営するダブルエーの子会社となり、新社長にはダブルエーの新井康代取締役(38)が就任した。

 2020-21年秋冬はこれまで展開してきた6ブランドを、「卑弥呼」「HIMIKO」「ウォーターマッサージ 卑弥呼(WATER MASSAGE HIMIKO)」の3ブランドに統合し、ロゴも一新。商品供給では型数を絞って売れ筋商品の在庫を確保し、店頭とECの在庫を連動させて欠品による買い逃しを減らす。また「オリエンタルトラフィック」でのノウハウを生かし、トレンド感を取り入れたデザインを増やすほか、ノベルティーフェアや、下取りサービスなどの顧客サービスも充実させる。

 新井新社長は「オリエンタルトラフィック」での顧客目線のモノ作りをはじめ、サービスの向上、ブランドイメージの確立に寄与してきた人物。下北沢1号店でのアルバイトを経て、新卒入社。店長やマネジャー、商品企画、取締役などを経験してきた。ファッション企業ではまれな30代の女性社長である同氏にこれまでのキャリアや今後の卑弥呼の戦略について聞いた。

WWD:簡単にこれまでの経歴を教えてほしい。

新井康代・卑弥呼社長(以下、新井):文化服装学院でシューズデザインを学んでいた2002年に、靴の勉強をしたいとアルバイトを始めたのが下北沢の「オリエンタルトラフィック」1号店でした。卒業後にはそのままダブルエーに新卒で入社し、販売員を経て、マネジャー、店舗統括、商品部部長、13年には商品部部長と兼任で取締役になりました。振り返れば、売り場から社長に意見を出すなど、とても生意気な社員だったと思うんですけど、「会社がよくなるために」と行動してきました。現状の下取りやサイズ調整、修理などの店頭サービスの導入に携わってきたほか、出店を加速したタイミングで、モデルを起用したカタログ制作などを始めるなどブランディングにも関わってきました。今もダブルエー取締役を兼任しているので、ダブルエーの恵比寿本社と卑弥呼の渋谷オフィスを半日ずつで行き来しています。

WWD:ダブルエーは女性リーダーが多い?

新井:たくさんいます。役員も社長以外は全員女性です。社長自身がやる気のある人の意見を尊重してくれるタイプなので、どんどん任せてもらってきました。社長はいつも「女性にはかなわない」と言っています(笑)。

WWD:卑弥呼社長に就いて、率直な感想は?

新井:「オリエンタルトラフィック」では合皮皮革を中心に使った海外生産のシューズを扱ってきたので、国産の革靴という新しいジャンルを勉強できるのも魅力に感じました。異なる百貨店の売り場の知識も広がると思って引き受けました(「オリエンタルトラフィック」はショッピングセンターなどが中心)。

課題は「定番頼りで、新しいデザインが少ない」

WWD:卑弥呼の印象は?

新井:強みはこだわりを持ってしっかりと商品を作っているところですね。長い歴史があるので、履き心地のいいラスト(木型)や、特許を取得している水様液を入れたインソールを使った「ウォーターマッサージ」など、戦っていけるブランドがあります。履き心地のいい定番が多く、顧客さまに人気の商品っていうのはたくさんある一方で、常に売り上げの上位が定番で、新しいデザインが少ないのが課題に感じました。

WWD:どのように改革を進める?

新井:新しいお客さまを取り込んでいくためにブランドを編成し直すことにしました。これまで6ブランド展開していたところを、分かりやすく「卑弥呼」「HIMIKO」「ウォーターマッサージ」の3ブランドに集約。漢字表記の「卑弥呼」は3年ぶりに復活させ、ロゴも少し女性らしさが出るように、線を細くしてデザインをリニューアルしました。「卑弥呼」は社を代表する定番商品を扱い、サイズ展開もしっかりそろえていき、ローマ字の「HIMIKO」では、トレンド感のある素材感、少し遊びを取り入れて新規のお客さまにもアプローチできるブランドにしていきます。「ウォーターマッサージ」はこれまでも独立したブランドでしたが、「ウォーターマッサージ卑弥呼」として、“卑弥呼”の名前を入れて打ち出していきます。

WWD:ブランドを絞ることで、在庫の持ち方も効率化する?

新井:在庫はしっかりと積んでいきたいと思っています。特に「卑弥呼」は通年で売っていく定番商品なので、型数を狭めることで1型当たりの発注数を増やすことができますし、より一点一点をヒット作につながるようにしていきたいと思っています。今後、型数は増やす可能性もありますが、吟味しながら対応していきたいです。

WWD:サービス面ではどのようなことを強化していくのか?

新井:販促面では、春夏からシューズボックスを一新しました。これまではすぐつぶれてしまうような箱だったのですが、厚みのある高級感を持たせた素材に変更し、保存袋も一緒にお付けしています。すでに好評をいただいており、秋冬も継続することに決めました。また、新たにノベルティーフェアを開催し、ティペットをプレゼントして他者と差別化を図ります。さらに、お客さまの不要になった靴を引き取って、金券に引き換える下取りサービスも取り入れたいと考えています。「オリエンタルトラフィック」でも行ってきたサービスですが、来店頻度も上がり、リピーターを増やすことができました。「卑弥呼」はすでに顧客、リピーターが多いので、買い替えの施策として取り入れたいと考えています。

他社も厳しい状況は逆にチャンス 
「私たちやる気あります!」とアピール

WWD:現在50店を出店しているが、店舗は増やしていくのか?減らしていくのか?

新井:経営状況を見て検討していく部分ですが、他社も厳しい状況にあるので逆にチャンスでもあると思っています。例えば、もっと売り場面積が広ければ売り上げを見込める店舗については、拡大を考えるなどアプローチをしたいですし、店舗開発も考えていきたいと思っています。百貨店関係者の方にも「在庫ありますよ!私たちやる気あります!」ということをお伝えして攻めているところなので、結果を出していきたいと思っています。

WWD:店頭とECとの連動を強化するオムニチャネルを進めている。

新井:店頭スタッフへのヒアリングを進めていると、「在庫がない」ということが一番の不満になっていました。サイズ欠けで売り逃すことも多く、取り寄せをしても1〜2週間先になってしまうため、せっかく接客をしてもお客さまにご提供できず、売り場のモチベーションも下がってしまう。その解決策として、ECに多く在庫を持ち、店頭で販売したい商品をECから発送できるようにしました。できるだけお客さまが“欲しい”と思ったものを購入できるような体制を作りたいと考えています。

WWD:ECの戦略については?

新井:現在のEC化率は約15%ですが、今後直近で20%くらいにしていきたいと思っています。「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」、マルイ、ロコンドなどのECモールにも出店していますが、自社ECが圧倒的に強いです。ECは成長の一つのエンジンだと思っているので、しっかりと在庫をそろえて店との連携も強化していきます。

WWD:職場のカジュアル化でのパンプス離れ、コロナ禍でリモートワークが進み通勤靴の売れ行きに変化がありそうだ。今後の提案は変わると考えている?

新井:通勤とプライベートとの併用が増えていくと思うので、「卑弥呼」では強みである履き心地は今後もアピールしていける部分だと思っています。きれいな形のパンプスやヒールシューズが定番でそろっているので、今後も履き心地には注力していきたいですね。また、ローマ字表記の「HIKIMO」では、トレンド感のあるデザインも取り入れていきます。シューズを履くときの高揚感というも大事ですので、お客さまにぴったり合う一足を提供していきたいです。

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デジタル・コレクションの賛否両論 海外ジャーナリスト6人が予想する今後のファッション・ウイーク

 6月に開催されたメンズのデジタル・ファッション・ウイークを海外のファッション業界人はどう見たのだろうか。パンデミックを機に、ファッションショーはデジタルという手法で世界中の人に開放された。ポジティブな面もある一方で、ファッションショーの目的やジャーナリストの役割にも変化が起きている今後のデジタル・コレクションの可能性や課題について、各国ジャーナリスト6人の見解を聞いた。

「犠牲はファッションに魅了されるための魔力」
アレキサンダー・フューリー/「フィナンシャル・タイムズ」「アナザー・マガジン」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

怒濤のスケジュールではあるがショーを見逃すことはなく、リンクをクリックするだけで全てがそこにある便利さは言うまでもない。しかし、直接取材できないことがこれらの長所を打ち消している。ジャーナリストとして、間接的に話すことの大変さに気付かされた。電話やZoomでの取材は対面のそれとは大きく異なり、効率的かもしれないが、妥協でもあると感じた。ファッションにはコミュニティーがあり、人々はそれを愛し、夢を見ているから。私はその感覚を恋しく感じた。 

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「ディオール(DIOR)」でのキム・ジョーンズ(Kim Jones)のフィルムとドキュメンタリーの組み合わせは、深みと豊かさをもたらせた。またオンラインとフィジカルを融合したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の能力の高さが「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」と「ロエベ(LOEWE)」の両方で際立っていたし、「プラダ(PRADA)」も、ブランドの精神を反映した5つの異なる見せ方で新たな可能性を示してくれてうれしかった。「エルメス(HERMES)」はパリのアトリエで撮影した美しい動画だった。クラフトを優先し、甘くエレガントで、服の軽やかさが画面でもはっきりと知ることができた。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

デジタル・コレクションは私にとって有益なトレーニングになったと考えている。不満を言うことは控えたい。私たちは、狂気的なスケジュールや遠方への移動、長い日中と短い夜というリアルなファッション・ウイークでは当たり前の状況に嘆き、苦しんできた。でも「その犠牲はファッションに魅了されるための魔力」なのだと伝えたい。みんなが安全な状況で集まり、素晴らしく感動的で有意義なファッションショーを見ることができるようになるのを待ちきれない。私がファッションを愛する理由はそこにあるからだ。

「ショーの価値を再考する機会に」
カティ・チトラコーン/「ヴォーグ・ビジネス」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

ブランドがショーの価値を再考する機会になるだろう。消費者もよりイベントにアクセスしやすくなり、ファッション業界の排他性が低下して民主化が進むと考えている。ただ、デジタルのショーをフィジカルのイベントの感覚と置き換えることはほぼ不可能だ。一部のブランドは実際に服を見るのが難しく、消費者に役立つかどうかも疑問だった。ほとんどの大手ブランドはこの状況が落ち着くのを待って、ファッション・ウイークは再び通常通りに戻るのではないだろうか。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」「ジェイ ダブリュー アンダーソン」「ロエベ」だ。「エルメス」はクラフト感を優先した映像で、甘くエレガント、かつ軽快で、画面で服をはっきりと見ることができた。通常は見られないアトリエの中が見られたのもよかった。「ロエベ」は、プレスやバイヤーにはエレメントを詰めたボックスを送り、消費者にはソーシャルメディアや公式サイトで24時間のストリーミングコンテンツを配信して、全方位を完璧に網羅していて感心した。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

デジタルのショーは資源や関わる全ての人の時間を節約する。しかし、オンラインに格納されて急いで見る必要がなくなる分、インターネット上の全てのコンテンツが競合関係となる難しさもある。「ファッション・ウイークは誰のために開かれるもの?」という議論が、世界で加速していくだろう。ケリング(KERING)の「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、秋のファッション・ウイーク参加を見送り、コレクションのスケジュールを再編する意向を表明しているものの、今後はほとんどのブランドが状況が落ち着くのを待ち、ファッション・ウイークは以前のように戻るのではないかと思う。

「デジタルに置き換えることはできる」
マキシム・ルテイヨ/「アンチドート」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続してほしい?

リアルのファッション・ウイークはたくさんの人に出会うきっかけになるし、感情を揺さぶる力を持っているから大好きだ。でも、それらをデジタルに置き換えることだってできると考えている。フィジカルなショーには巨額の資金が必要で、若手デザイナーにはハードルが高い。でもデジタルであれば彼らのコレクションを多くの人に見てもらうチャンスが広がる。また環境に配慮した物作りを推進するならば、参加するイベントについても同様に考えるべきだ。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は映像とショールームでのプレゼンテーションを活用した見事な対応だった。ビデオプレゼンテーションではデザイナーのグレン・マーティンスがスタイリングをいくつも披露してくれて、わかりやすかった。リアルのショーでここまでの奥行きを見せるのは不可能だと思う。

Q.従来のファッション・ウイークのあり方についてあらためて考えたことは?

まず、メンズとウィメンズは一つにまとめるべき。時代が変わっているので、別々に開催することの意味はますます薄れていくだろう。統合することで、世界のジャーナリストやバイヤー、インフルエンサーの移動も少なくなる。

「インフルエンサー頼みではなく本質を考えるきっかけに」
ロッティ・ホウ/中国版「フォーブス」「エル」「ヴォーグ」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

移動の労力と時間がかからず、ストレスが少なくてよかった。ブランドにとっても、自分たちがどこを目指すべきかを考えるきっかけになったのでは。インフルエンサーの目を引くだけではなく、新しい技術で本質をどう伝えるかを考えて取り組めたはずだ。一方で、ファッションは特権的であるともあらためて思った。全てがデジタル化し、世界中の誰もがファッション・ウイークに参加しても、大衆のマーケットがファッション業界を先導するとは思えないし、フィジカルなショーの魅力をバーチャルの便利さと置き換えることは私にはできなかった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」のショーはライブストリーミングの面白さがあった。チーム全体がどのように連係したか、スタイリストがモデルに服をどう着せたか、ディレクターがどう指揮しているのかなどを確認できた。とても興奮したし、緊張感もあった。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

ファッション・ウイークのデジテル化は、ファッション業界に必要な革命だったと思う。予算が少ないブランドもチャンスが広がっただろう。ショールームにはさらに適している。バイヤーやジャーナリストは服を見られる機会がさらに増える。しかし現状はリアルと置き換えるものではなく、デジタルはあくまでリアルを補完するものである。次の革命が起こるまで、リアルとデジタルは共存していくだろう。

「ベッドの上で体験するクチュールには違和感」
キャサリン・コリングス/「フー・ワット・ウェア」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

世界中からでも誰でも参加できることは、明白なメリットだ。デザイナーがデジタル化に挑戦しているのもよかった。大きな変化は、独創性や新たな視点をさらに磨いてくれるから。ただリアルのショーでの魔法のような経験は、デジタルに置き換えられるものではない。ソーシャルメディアでは視聴者が集中して見られる時間は短い。私の拠点はアメリカ西海岸なので、時差も辛かった。ベッドの上でクチュールの美しさを体験するのは違和感があった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「シャネル(CHANEL)」「バルマン(BALMAIN)」「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」は見事だった。「シャネル」はコレクションのムードと職人技に対する理解を深めるのに役立つ素晴らしい内容だったし、「バルマン」の映像からは強いエネルギーを感じた。セーヌ川を下るボートの上をランウエイにし、パリの人も喜んだのではないだろうか。デザイナーのオリヴィエ・ルスタンの若々しさも魅力的だった。「ジャンバティスタ ヴァリ」は催眠術のような映画仕立てで、ほかの多くのブランドよりも完成度は抜きんでていた。

「今後は服のデザインだけでは通用しない」
ユラ・オウ/韓国版「デイズド」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続すると思う?

世界が大変な状況だが、それでもフィジカルなショーは続くと考えている。韓国・ソウルだと時差があり、就寝前にスマートフォンでコレクションを見ていた。一部のブランドは事前に契約を結んだり、承認が必要だったりで、アクセスが非常に困難だったため、混乱した。でも今後は、ブランドのクリエイティブ・ディレクターはデジタルコンテンツ制作を担う必要があると感じた。服のデザインだけでは通用せず、あらゆる表現方法をビジネスにどうつなげるかを考えなければならない。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「プラダ」は何十年にもわたってショーを行ってきたが、今回発表したムービーの最後に残した“The Show That Never Happened”という字幕が強烈だった。ミウッチャ・プラダがいつものショーのように挨拶に出てきたとき、彼女にまた会いたいと強く思わされた。5人のアーティストがそれぞれの解釈で異なる「プラダ」を表現したのも興味深かった。ほかにも「ジェイ ダブリュー アンダーソン」から届けられたキットにはデザイナー自身の誠意を感じたし、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」もよかった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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デジタル・コレクションの賛否両論 海外ジャーナリスト6人が予想する今後のファッション・ウイーク

 6月に開催されたメンズのデジタル・ファッション・ウイークを海外のファッション業界人はどう見たのだろうか。パンデミックを機に、ファッションショーはデジタルという手法で世界中の人に開放された。ポジティブな面もある一方で、ファッションショーの目的やジャーナリストの役割にも変化が起きている今後のデジタル・コレクションの可能性や課題について、各国ジャーナリスト6人の見解を聞いた。

「犠牲はファッションに魅了されるための魔力」
アレキサンダー・フューリー/「フィナンシャル・タイムズ」「アナザー・マガジン」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

怒濤のスケジュールではあるがショーを見逃すことはなく、リンクをクリックするだけで全てがそこにある便利さは言うまでもない。しかし、直接取材できないことがこれらの長所を打ち消している。ジャーナリストとして、間接的に話すことの大変さに気付かされた。電話やZoomでの取材は対面のそれとは大きく異なり、効率的かもしれないが、妥協でもあると感じた。ファッションにはコミュニティーがあり、人々はそれを愛し、夢を見ているから。私はその感覚を恋しく感じた。 

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「ディオール(DIOR)」でのキム・ジョーンズ(Kim Jones)のフィルムとドキュメンタリーの組み合わせは、深みと豊かさをもたらせた。またオンラインとフィジカルを融合したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の能力の高さが「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」と「ロエベ(LOEWE)」の両方で際立っていたし、「プラダ(PRADA)」も、ブランドの精神を反映した5つの異なる見せ方で新たな可能性を示してくれてうれしかった。「エルメス(HERMES)」はパリのアトリエで撮影した美しい動画だった。クラフトを優先し、甘くエレガントで、服の軽やかさが画面でもはっきりと知ることができた。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

デジタル・コレクションは私にとって有益なトレーニングになったと考えている。不満を言うことは控えたい。私たちは、狂気的なスケジュールや遠方への移動、長い日中と短い夜というリアルなファッション・ウイークでは当たり前の状況に嘆き、苦しんできた。でも「その犠牲はファッションに魅了されるための魔力」なのだと伝えたい。みんなが安全な状況で集まり、素晴らしく感動的で有意義なファッションショーを見ることができるようになるのを待ちきれない。私がファッションを愛する理由はそこにあるからだ。

「ショーの価値を再考する機会に」
カティ・チトラコーン/「ヴォーグ・ビジネス」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

ブランドがショーの価値を再考する機会になるだろう。消費者もよりイベントにアクセスしやすくなり、ファッション業界の排他性が低下して民主化が進むと考えている。ただ、デジタルのショーをフィジカルのイベントの感覚と置き換えることはほぼ不可能だ。一部のブランドは実際に服を見るのが難しく、消費者に役立つかどうかも疑問だった。ほとんどの大手ブランドはこの状況が落ち着くのを待って、ファッション・ウイークは再び通常通りに戻るのではないだろうか。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」「ジェイ ダブリュー アンダーソン」「ロエベ」だ。「エルメス」はクラフト感を優先した映像で、甘くエレガント、かつ軽快で、画面で服をはっきりと見ることができた。通常は見られないアトリエの中が見られたのもよかった。「ロエベ」は、プレスやバイヤーにはエレメントを詰めたボックスを送り、消費者にはソーシャルメディアや公式サイトで24時間のストリーミングコンテンツを配信して、全方位を完璧に網羅していて感心した。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

デジタルのショーは資源や関わる全ての人の時間を節約する。しかし、オンラインに格納されて急いで見る必要がなくなる分、インターネット上の全てのコンテンツが競合関係となる難しさもある。「ファッション・ウイークは誰のために開かれるもの?」という議論が、世界で加速していくだろう。ケリング(KERING)の「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、秋のファッション・ウイーク参加を見送り、コレクションのスケジュールを再編する意向を表明しているものの、今後はほとんどのブランドが状況が落ち着くのを待ち、ファッション・ウイークは以前のように戻るのではないかと思う。

「デジタルに置き換えることはできる」
マキシム・ルテイヨ/「アンチドート」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続してほしい?

リアルのファッション・ウイークはたくさんの人に出会うきっかけになるし、感情を揺さぶる力を持っているから大好きだ。でも、それらをデジタルに置き換えることだってできると考えている。フィジカルなショーには巨額の資金が必要で、若手デザイナーにはハードルが高い。でもデジタルであれば彼らのコレクションを多くの人に見てもらうチャンスが広がる。また環境に配慮した物作りを推進するならば、参加するイベントについても同様に考えるべきだ。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は映像とショールームでのプレゼンテーションを活用した見事な対応だった。ビデオプレゼンテーションではデザイナーのグレン・マーティンスがスタイリングをいくつも披露してくれて、わかりやすかった。リアルのショーでここまでの奥行きを見せるのは不可能だと思う。

Q.従来のファッション・ウイークのあり方についてあらためて考えたことは?

まず、メンズとウィメンズは一つにまとめるべき。時代が変わっているので、別々に開催することの意味はますます薄れていくだろう。統合することで、世界のジャーナリストやバイヤー、インフルエンサーの移動も少なくなる。

「インフルエンサー頼みではなく本質を考えるきっかけに」
ロッティ・ホウ/中国版「フォーブス」「エル」「ヴォーグ」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

移動の労力と時間がかからず、ストレスが少なくてよかった。ブランドにとっても、自分たちがどこを目指すべきかを考えるきっかけになったのでは。インフルエンサーの目を引くだけではなく、新しい技術で本質をどう伝えるかを考えて取り組めたはずだ。一方で、ファッションは特権的であるともあらためて思った。全てがデジタル化し、世界中の誰もがファッション・ウイークに参加しても、大衆のマーケットがファッション業界を先導するとは思えないし、フィジカルなショーの魅力をバーチャルの便利さと置き換えることは私にはできなかった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」のショーはライブストリーミングの面白さがあった。チーム全体がどのように連係したか、スタイリストがモデルに服をどう着せたか、ディレクターがどう指揮しているのかなどを確認できた。とても興奮したし、緊張感もあった。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

ファッション・ウイークのデジテル化は、ファッション業界に必要な革命だったと思う。予算が少ないブランドもチャンスが広がっただろう。ショールームにはさらに適している。バイヤーやジャーナリストは服を見られる機会がさらに増える。しかし現状はリアルと置き換えるものではなく、デジタルはあくまでリアルを補完するものである。次の革命が起こるまで、リアルとデジタルは共存していくだろう。

「ベッドの上で体験するクチュールには違和感」
キャサリン・コリングス/「フー・ワット・ウェア」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

世界中からでも誰でも参加できることは、明白なメリットだ。デザイナーがデジタル化に挑戦しているのもよかった。大きな変化は、独創性や新たな視点をさらに磨いてくれるから。ただリアルのショーでの魔法のような経験は、デジタルに置き換えられるものではない。ソーシャルメディアでは視聴者が集中して見られる時間は短い。私の拠点はアメリカ西海岸なので、時差も辛かった。ベッドの上でクチュールの美しさを体験するのは違和感があった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「シャネル(CHANEL)」「バルマン(BALMAIN)」「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」は見事だった。「シャネル」はコレクションのムードと職人技に対する理解を深めるのに役立つ素晴らしい内容だったし、「バルマン」の映像からは強いエネルギーを感じた。セーヌ川を下るボートの上をランウエイにし、パリの人も喜んだのではないだろうか。デザイナーのオリヴィエ・ルスタンの若々しさも魅力的だった。「ジャンバティスタ ヴァリ」は催眠術のような映画仕立てで、ほかの多くのブランドよりも完成度は抜きんでていた。

「今後は服のデザインだけでは通用しない」
ユラ・オウ/韓国版「デイズド」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続すると思う?

世界が大変な状況だが、それでもフィジカルなショーは続くと考えている。韓国・ソウルだと時差があり、就寝前にスマートフォンでコレクションを見ていた。一部のブランドは事前に契約を結んだり、承認が必要だったりで、アクセスが非常に困難だったため、混乱した。でも今後は、ブランドのクリエイティブ・ディレクターはデジタルコンテンツ制作を担う必要があると感じた。服のデザインだけでは通用せず、あらゆる表現方法をビジネスにどうつなげるかを考えなければならない。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「プラダ」は何十年にもわたってショーを行ってきたが、今回発表したムービーの最後に残した“The Show That Never Happened”という字幕が強烈だった。ミウッチャ・プラダがいつものショーのように挨拶に出てきたとき、彼女にまた会いたいと強く思わされた。5人のアーティストがそれぞれの解釈で異なる「プラダ」を表現したのも興味深かった。ほかにも「ジェイ ダブリュー アンダーソン」から届けられたキットにはデザイナー自身の誠意を感じたし、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」もよかった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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ティファニー対LVMH訴訟 泥沼の争いは21年1月に法廷へ

 ティファニーが9月16日に発表したリリースによると、LVMHは答弁書の中でトライアルの開始時期を6~7カ月延期するよう求めたといい、これに対してティファニーのロジャー・ファーラー(Roger Farah)会長は、「合併話を時間切れにさせるための策だ。主張に自信があるのであれば、トライアルを遅らせる必要はないはずだ」と批判し、ティファニーは合併の最終期限である11月24日に間に合うように訴訟を進行するよう裁判所に求めたと発表した。これに対してLVMHは翌17日のリリースで、ティファニー社は通常よりも早い訴訟進行を求めており、都合の悪い結果について株主への説明責任を逃れるためだと主張し、通常通りのスピードでの進行を求めたと明らかにした。

 両社の主張を受けて裁判所は1月5日から4日間でトライアルを実施することを決定した。これは、すでに承認されている米国での独禁法関連の届け出の有効期間が21年2月3日で切れるため、それに間に合うよう配慮したと見られている。

 裁判所の判断を受けて両社はそれぞれリリースを発表した。ティファニーは裁判所が指定した期日を歓迎し、改めて本件訴訟における争点と自社の主張を掲載し、LVMHもティファニーが求めていた期日よりも後ろ倒しで設定されたことについて触れ、勝利への自信をのぞかせている。

米「WWD」によると、本件を担当するジョセフ・R・スライツ3世(Joseph R. Slights 3rd)裁判官は、法廷外での決着の道も探っているという。「訴訟を避けるための生産的な議論が近い将来できるかもしれない」とコメントしている。

 9月9日にLVMHがフランスの欧州・外務大臣からティファニー買収の完了日を21年1月6日まで延期するよう要請されたことを理由にLVMHが「現在の情勢では、ティファニー社の買収を完了できない」と断念する姿勢を示したことを受けて、ティファニーは同日に本件訴訟を提起した。これに対してLVMHはティファニー社と同社の経営陣に対して新型コロナウイルス禍の危機管理対応が適切でなかったとして訴訟を提起する準備を進めていると発表。その後も両社によるプレスリリースの応酬が続いていた。

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「ロクシタン」の2020年ホリデー第1弾はアールグレイが香る限定コレクション 人気のアドベントカレンダーも登場

 「ロクシタン(L’OCCITANE)」は10月28日に、ホリデーコレクション“テ・アールグレイ シア”シリーズと”アドベントカレンダー2020”を限定発売する。

 シアバターやハンドクリームなどの人気アイテムをラインアップする同ブランドの “シア”シリーズから、アールグレイが香る限定の“テ・アールグレイ シア”シリーズが登場する。シャワーフォーム、ボディクリーム、ハンドクリーム、リップバーム、ソープをそろえ、ミニポーチ付きの“テ・アールグレイ スノーシア コンプリート”(1万2000円)などをはじめとするコフレキットも用意する。

 例年好評の“ロクシタンアドベントカレンダー2020”(8500円)も登場する。今年はクリスマスマーケットをイメージしたボックスにベストセラーアイテムや限定製品のミニサイズを詰めて、クリスマスまでをカウントダウンする。

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小売業の熱気を伝える エディターズレター(2020年7月22日配信分)

※この記事は2020年7月22日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

小売業の熱気を伝える

 「セシルマクビー」の全店撤退を発表したジャパンイマジネーション・木村達央社長のインタビューを読んで、平成ギャルブームの熱気を思い出した。全盛期を振り返って次のように語っている。

 「地方に『セシル』をオープンすればかなりの行列ができ、救急車が出動するような事態もあった。セールや福袋の販売時もビックリするくらいお客さまに来ていただいて、渋谷109の福袋の販売では宮益坂まで行列が続いたこともあった」

 確かに全盛期のギャル系ブランドには凄まじい熱狂があった。渋谷109の店内は毎日がイベントのように賑わい、バックヤードから運ばれた服が奪い合いになるような場面も目撃した。人気ブランドのレジはすぐにお札でいっぱいになる。よく売れるというだけではない。10代の女子高生たちがお小遣いを握りしめて、折り畳まれた千円札を差し出すため、重ねるとかさばるのだった。

 記者としては、目の前で大きなうねりが起きている現場の取材が好きだ。マルキュー全盛期の熱狂だけでなく、日本初上陸ブランドのオープンや正月の初売りセールの行列もたくさん取材した。お客さんの興奮がこちらにも伝わる。あるいは長年親しまれた百貨店の最後の営業日には別れを惜しむ大勢の人が訪れ、インタビューすれば時には涙を流しながら思い出を話してくれる。現場で目にしたディテールを細かく描写し、読者が追体験できるような臨場感のあるリポートを心がけてきた。

 ところが、デジタルの時代になって、この消費の現場が見えづらくなった。消費の大きなうねりはリアルの売り場ではなく、スマホの中で起きている。企業が発表する数字やSNSのコメントは見ることができるが、消費者の熱狂や肉声を伝えることは難しくなった。

 スポーツ記者はアスリートにインタビュー取材するだけでなく、試合などのパフォーマンスの現場も取材しているはずだ。同じように小売業を取材する記者も、ショッピングの現場をつぶさに観察したい。インタビューはインタビューで発見が多いけれど、自分の目で出来るだけ物事が動く瞬間を見てみたい。

 コロナ禍においては、人々が集まって熱気を生むような売り場の取材は難しい。でも試行錯誤が続くデジタル上では、さまざまなドラマが起きているはずだ。売り場の取材とは違った方法で、携わる人たちの息づかいや熱気を伝える方法はないか。「セシルマクビー」の記事に時代の流れを感じつつ、そんなことを考えた。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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【ランダムトーク】新橋に有名シェフレシピの立ち飲み。アフターコロナの外食を見た

 APカンパニーの元副社長、大久保 伸隆さんの独立4店舗目「STAND BY Mi」が新橋に9月14日オープンしました。4店舗の内3店舗は新橋、それも烏森神社前でのドミナント。一家ダイニングが新宿に開店した「おでんトさかな にのや」と同じく、手前にスタンディングで奥がテーブルという構成。ランダムトークです。
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今週のスケジュール(2020年9月23日〜2020年9月27日)

FASHION

24 THU
オッジ・パーク オープニングレセプション
15:00〜16:30 日本橋三越本店 本館屋上「日本橋庭園」
(東京都中央区日本橋室町1-4-1)

BEAUTY

24 THU
ベアエッセンシャル
「ベアミネラル」新商品発表会 (25日、29日も開催)
12:30~/14:00~/15:30~/17:00~
オンライン配信

25 FRI
アイエヌイー
新規上場記者会見
16:30~17:30
オンライン配信

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