「ディオール」や「エルメス」、「ロエベ」のビッグメゾンが登場 編集長&若手記者2人のパリメンズ10選

大澤錬「WWDJAPAN.com」記者(以下、大澤):今回はパリメンズ4、5日目の厳選10ブランドを振り返ります。前シーズンのドタバタ対談に続き、デジタル・ファッション・ウイークでの要さんとの対談は3回目になります。あっという間に半年が経ち、今シーズンもラストスパートに突入してきました。本日はよろしくお願いします。

村上要「WWDJAPAN.com」編集長(以下、村上):よろしくお願いします。今シーズンは“リアタイ縛り”が無くなっただけで、40過ぎのオジさんとしては心軽やかです(笑)。

大人な「サルバム」に様変わり

大澤:最初は「サルバム(SULVAM)」からいってみましょう。今回はモデルがウォーキングし、コレクションの全てをきちんと見せようとする意気込みが伝わるムービーでした。カメラロールもさまざまだった前回とは異なり、シンプルで見やすい印象です。びっくりしたのは、冒頭からほとんどが全身黒のスタイリング。以前よりも素材やシルエット、ディテールで勝負を挑んでいるのが伺えました。

村上:黒と白、それに赤(ちょ~っとだけネイビー)という潔いカラーパレットでしたね。今シーズンはパターンワークに注目です。洋服を構成する「身ごろ」をそのままジャケットに貼り付けたり、球体のように独創的なパターンをトリミングで際立たせたり。粗っぽいカンジは随分薄れ、本質で勝負し始めた印象を受けます。シフトチェンジすると「既存のファンは?」という心配が芽生えますが、今の「サルバム」には杞憂な気がする。潔さが前面に現れた分、既存のファンが欲する「強さ」は顕著になっている印象です。

日本代表ベテラン組「メゾン ミハラヤスヒロ」

村上:お次は「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」。ものすごい早さで三原康裕さんの思いが字幕になって流れていたみたいだけど、全く読めなかったね(笑)。映像の切り替えやエフェクトも強めで全貌をしっかり理解するのは難しいけれど、今季も自由なコトはとってもよく分かった(笑)。MA-1、背中に袖は何本あったんだろう?そんなカンジ。テーマの「ベーシック・アンチノミー!」は、「二律背反なベーシック」。多分、「ベーシックなのに、ベーシックじゃない」って意味だと思うけれど、ネルシャツからパーカ、ブルゾンに至るまで、「ミハラ」流のハイブリッドが凄まじいから、もはや全然フツーの範疇に収まっていない(笑)。デザインはフツーじゃないのに、アイテム名で語ると「ネルシャツ」とか「パーカ」だからベーシックなのかもしれない。なんて考えると、「ん!?ベーシックって、なんだっけ?」。そんな風に考えちゃいますね。少なくとも、「ユニクロ(UNIQLO)」のベーシックとは全然違う。それでも「ユニクロ」も「ミハラ」も、同じ「ベーシック」という言葉で語れないワケじゃない。ムムム~って考えて3分後、「ま、いっか。ビール飲も」ってカンジになりました。知的好奇心が喚起されて楽しかった。

大澤:字幕は早すぎて僕も全然わかりませんでした。洋服メインというよりかムービーを使って、どんな面白いことを伝えるかに特化していましたね。カメラマン役で三原さんもこっそり出演していて、蜷川実花さんになりきっているそうです(笑)。アイテムは同ブランドらしい生地を切り貼りしたウエアのほか、クリーニング後のタグが付いたままのジャケット、ビリヤードの玉をヒールにしたパンプスなど面白い。100足ほどのスニーカーを一面に並べた映像は圧巻でした。靴の並べ方に三原さんのこだわりが炸裂したため、撮影が深夜まで及んだそうです。「視聴者を楽しませよう」という心意気が素晴らしく、僕自身も楽しませていただきました!

歴史に名を刻む、キム・ジョーンズ登場!

大澤:次の「ディオール(DIOR)」は、アーティストのピーター・ドイグ(Peter Doig)とのコラボレーションを発表しましたね。ドイグは今回のコレクションのために 2 つの動物をモチーフとしたエンブレムを特別に制作。クリスチャン・ディオール(Christian Dior)の愛犬のボビー、もうひとつはドイグの絵画のキャラクターと1949 年にピエール・カルダン(Pierre Cardin)がデザインした仮面舞踏会用コスチュームを彷彿とさせるライオン。フランス芸術アカデミーのコスチュームに着想を得た刺しゅうや装飾があしらわれたユニフォームは、「ディオール」のアーカイブの再解釈。くるみボタンはアイコニックな“「バー」ジャケット”から、金糸の刺しゅうは60年代のイブニングガウン“ロゼラ”から取り入れています。BGMはテクノポップの先駆者として知られるクラフトワーク(kraftwerk)やアン・クラーク(Anne Clark)の楽曲で構成。ジェンダーレスという言葉が世界に浸透しつつある今、ウィメンズのトレンドのロングブーツが男性の世界にもやってきました。「ディオール」ではクラシックな装いに、抜け感のある長靴のようなロングブーツを合わせていました。今シーズンのトレンドになりそうです。

村上:中世の貴族を思わせるスタイル、パープルやワインなどの高貴な色使い、ゴールドの装飾、そして映像でもわかる上質な生地使いと仕立ての良さ。なのに若々しい疾走感が漂う。今季もキム・ジョーンズ(Kim Jones)の「ディオール」らしさ、全開です。中盤、レモンイエローが出てくるパートに差し掛かると、ジャージーまで現れるんだけど、ちゃんと装飾付きのノーカラーコートとコーディネートして「優雅」っていうイメージに着地するんだから流石です。今シーズンは上からブルゾンやコートを羽織って、前立てだけがチラリと覗くノーカラーのジャケットやコートがキーアイテムの1つですね。そのほかはモコモコのモヘアニットと、やっぱり随所に勲章をあしらったナポレオンジャケットかな?1年前のロンググローブをワンポイントで取り入れたメンズフォーマルの時は、「ついに歴史上のフォーマルへの探求も始まるのね!」と思ったけれど、時代がさらに遡った(笑)。完全に中世のアイテムだけど、今っぽく見えるせいか、未来のバトルシップ(宇宙戦艦)の乗組員の制服みたいに見えてくる。カッコ良い。そしてフィナーレのキム!!ブロンドヘアに大変身でした。もうすぐ発表の「フェンディ(FENDI)」も楽しみだね。

レジェンドのもう一花に期待

村上:「ポール・スミス(PAUL SMITH)」もオリーブやワイン、ナスのような紺色など、秋冬らしい色使いで大人っぽかったね。そこにカラフルなボーダーやストライプ、花柄を差し込んでユーモアを忘れないのは、さすが。スタンドカラーのシャツブルゾンが、フォーマルウエアをちょっぴりカジュアルダウンさせてくれてイイカンジでしたね。今回のコレクションのようにジャストサイズのスーツとコーディネイトしてもカッコいいけれど、ちょっぴりオーバーサイズのジャケットとも合わせてみたい。タイダイなのかな?大きな花柄を描いたコートがとても素敵だった。あと、モデルがいちいちカメラ目線で微笑んでくれると、照れるね(笑)。

大澤:僕もまさにスタンドカラーのシャツブルゾンに見入ってしまいました。花柄やバンダナ柄、アロハ柄のようなもの、どれも気になりましたね。時計や財布、アクセサリー、バッグなどの小物類同様、コレクションラインも若者に浸透して欲しいです。レジェンドがもう一花咲かせるところ、見られるといいな。

スポーティになりすぎ危険⁉︎

村上:「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」は、随分スポーティになりましたね。「ラコステ(LACOSTE)」みたいだった。このブランドはやっぱり民族調のムードを出さないと、「イザベルマラン」で買う理由にならないんじゃないかな?レトロなスポーツテイストはとっても可愛らしいけれど、もっともっと手頃なブランドがたくさんあるから。もう一つリクエストすれば、モデルじゃなくて、洋服が主役のムービーにして欲しいです。

大澤:かなりスポーティにしてきましたね。明るくアクティブなムービー、モデルも含めて、若い層をターゲットにしてきているのでしょうか。もしくはおうち時間が増える中で、動きやすくて着やすい洋服をテーマにしているのでしょうか。かなりキャッチーでカジュアルなアイテムが多いけれど、ライバルもたくさんですね。

面白い!楽しい!変わらない「ヴェトモン」

村上:写真で発表の「ヴェトモン(VETEMENTS)」、カオスすぎて面白かった。映像で見たかったなぁ。でもTシャツのモチーフになっていたみたいに「R指定」なスタイルも多いから、映像は難しいかな?ヌードカラーでビミョーに透けているボディコンスーツとかね(笑)。いつも通りのストリートあり、ゴスあり、電脳系テクノあり、なぜかプロレスラーみたいなコスチュームありで、カオスな「人類大図鑑」みたいなコレクション。でもそれが「ヴェトモン」だし、多様性がますます重要視されている今っぽくもありますね。

大澤:ムービーに慣れすぎていたところだったので、僕も思わず、「えっ!」ってなりました(笑)。おもしろ楽しいルックが勢ぞろいでしたね。コレクションはいつもと変わらぬラインアップ。上から吊るし上げられたような肩パッド入りアイテムの数々、大胆なロゴ使いに、過去の名作のアップデートなど。前任のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)が去って以降も、ブランドの方針はさほど変わっていかない模様ですね。街中で着ている人はかなり減ったように思います。踏ん張りどころ、もしくは正念場といったところでしょうか。

どう着るの⁉︎教えて!ジョナサン先生

村上:「ロエベ(LOEWE)」の“着るアート”や“まとうカルチャー”感が加速しているね。「反復」というキーワードから着想した、背中にポロシャツを2、3枚重ねたポロシャツとかは「ジョナサン、マジですか!?」って思うけれど、それがウエアとして成立するのはラグジュアリーブランドのクラフツマンシップのおかげですね。巨大なパンジーモチーフのニットカーディガンや、バッグをキャンバスに見立てたアートなトートなど、素敵なアイテムはいっぱいあったけれど、一番気になったのはコラージュかな。世界が強制的に分断されている今、それでも「つながっていたい」とか「途切れるべきではない」と考えるデザイナーが積極的に挑戦しているアイデアですね。ジョナサンの場合は、ジョー・ブレイナード(Joe Brainard)のさまざまな時代のアートを1つに融合しているけれど、1枚のキャンバスと見立てて作風さえ違うアートを敷き詰めたコートは、「着る人が自由に解釈して良い洋服として素敵だな」と思いました。個々の絵画を好きになる人もいるだろうし、その集合体を好きになる人もいる。そしてもちろん、キャンバスとなった洋服の仕立てや素材で気にいる人もいるハズ。それで良いよね?

大澤:前コレクションのアートピースより日常的で着やすそうですね。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が丁寧に説明してくれて、さらに日本語の字幕付きという有難すぎる映像でした。正直、三角形のテント型のトラウザーパンツは日本の某ブランドっぽさが否めない(笑)。背中にポロシャツを2、3枚重ねたシャツは「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」が行ってきた手法に似ています。ボンテージパンツはかなりハードですが、海外のロック・アーティストに人気が出そう。本人にZoomインタビューを行った川井さんはいかがでしたか?

川井康平「WWDJAPAN.com」記者:横から失礼します(笑)。今回協業したブレイナードの作品に見出した花やアートの“脆さ”について、ジョナサンは「確かに半年周期でコレクションは発表することに“脆さ”や“儚さ”を感じる。しかし服を作るという行為は未来を想像することだと思う。今回のコレクションで発表したパンジーなどの花のグラフィックは性別の垣根の曖昧さを表現している。これからの若い世代の為にもファッションを通してより良い世界を作りたい」と語りました。画面越しではありますが、学生時代からの憧れであったジョナサンに話を伺えたのは貴重な体験でした!

おうち時間にぴったりな洋服!とは「エルメス」のこと

村上:「オンライン会議でサイコーの洋服って何?」と聞かれたら、「『エルメス(HERMES)』の2021-22年秋冬だよ!!」と答えたいと思います。表に出ている洋服は、ジャケットのポケットが二つ重なっていたり、その様子を模したステッチワークが施されていたり。ラベンダーや淡い黄緑、スカイブルーなど、春夏っぽい色使いのインナーも素敵だし、大勢のモデルが身につけていたネックレスも「もっとアップで見せて!」とリクエストしたくなっちゃいそう(笑)。マドラスチェックのブルゾンを筆頭にゆとりあるシルエットで、ストレスフリーで一日過ごせそうだね。パンツはもちろん、ドローコードやキャロットシルエット。ランチを食べ過ぎても心配ご無用です(笑)。オンライン会議ではチェックされないだろうけど、インナーと同じパステルカラーを使ったスニーカーも目を引きました。前日の「ポール・スミス」もそうだったけど、今シーズンはシャツブルゾンをチェックしたいね。「エルメス」では、ブルゾンの下に着てタートルネックとの色合わせを楽しんだり、もちろんスカーフとコーディネイトしたりとバリエーション豊かでした。

大澤:「エルメス」と言えば?と問われると、答えは人それぞれ違うと思います。「レザーの質感」、「素材の良さ」、「ジュエリー」、「バッグ」など、そのほかも多数。それが世界最高峰のビッグメゾンたる所以だと僕は思っています。若者には手の届かない代物ばかりですが、ムービーを通してコレクションを見ることができるのもデジタルならではですね。個人的には、多くのモデルが着用していたシルバーのトグルネックレスが気になりました。ギリギリ買える値段だとうれしいなあ(笑)。

ポジティブさを追求するあまりToo Muchに…。

村上:それが真骨頂なのはわかっているけれど、今季の「カサブランカ(CASABLANCA)」はちょっとToo Much レトロだったかな。極彩色のボウタイ付きシルクブラウス、全面ダイヤモンド柄のニット、70’Sなロゴモチーフのバッグなど、ちょっとコスプレ感が強かったかも。でも今の時代に必要なポジティブさをギュギュっと詰め込んだのかな?「うわぁ」と歓声を上げてしまうようなムービーに仕上がっているのは確かです。

大澤:ブランドの強みが存分に味わえるムービーでしたね。上質な素材に鮮やかな色。昔の「マルボロ」のパッケージを模したプリントなどはとても美しく、世間にも浸透しつつあると思います。今回は全体的にバブリー感が強すぎるあまり、コスプレっぽく見えてしまうのは同意です(笑)。今の時代感に、あの洋服をマッチさせるから良さが引き立つのに、「勿体ないな」と思ってしまいました。個人的に注目しているブランドなので、今後も楽しみにしています。

素敵なオジさんに、美しい雪景色

村上:「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」は素敵なオジさんが勢ぞろいでしたね。それぞれの雪山の楽しみ方がカッコいい。ムービーで、「あぁ、相澤さんはこういう人たちの、こんなライフスタイルに取り入れて欲しいんだ」っていう想いも見えたし、コロナ時代のメッセージのようにも感じました。

大澤:都内では今年、雪を見る事ができませんでしたが、またスノーボードやスキーを楽しめる日常が戻ってきてほしいです。「ミズノ(MIZUNO)」とのコラボスニーカーも発表していました。モデルは“ウエーブ プロフェシー(WAVE PROPHECY)”シリーズですね。

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バーニー・サンダース上院議員のグッズが登場 就任式での装いがSNSで大盛り上がり

 1月20日(現地時間)に行われた第46代アメリカ大統領の就任式で注目を浴びたバーニー・サンダース(Bernie Sanders)=バーモント州上院議員の姿がプリントされたスエットが発売された。“チェアマン・サンダース・クルーネック”と題されたスエットは、バーニー・キャンペーンストアで販売され、価格は45ドル(約4600円)。収益の全てはバーモント州の食事の宅配サービス団体に寄付する。

 就任式では参加者の多くが華やかにドレスアップする中、サンダース上院議員は「バートン(BURTON)」のゴアテックス・ジャケットに厚手のミトンで登場。親近感のわくスタイルが多くの人のハートを掴み、SNS上では就任式で一人座るサンダース上院議員の画像を面白おかしく加工したコラージュなどが続出した。

 サンダース上院議員は21日、アメリカのテレビ番組「レイト・ナイト・ウィズ・セス・マイヤーズ(Late Night With Seth Meyers)」に出演。就任式以来誕生し続ける“おもしろ画像”を自身のチームから見せられ続けているというサンダース上院議員は、SNSでの反応を受けて「私はただ暖かくして、就任式に注意を払って座っていただけだ」と語った。封筒を小脇に抱えた様子もいじられていたことから、その中身を司会者に尋ねられると、「教えたいのは山々だが、極秘だ」と答えた。

 当日着用していた厚手のミトンはペットボトルをリサイクルした素材で作られており、バーモント州在住の教師ジェン・エリス(Jen Ellis)が手掛けた。エリスのもとには就任式以降、注文が殺到しているという。またファッションECの検索プラットフォーム「リスト(LYST)」によると、ミトンに対する検索数が約4倍増加し、“アップサイクルミトン”への検索数も3倍強増加した。

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「Y/プロジェクト」2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクション

 

「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」が2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクションを発表した。

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「ウー ヨン ミ」2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクション

 「ウー ヨン ミ(WOOYOUNGMI)」が2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクションを発表した。

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「ウー ヨン ミ」2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクション

 「ウー ヨン ミ(WOOYOUNGMI)」が2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクションを発表した。

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「UT」×アンディ・ウォーホル コラージュアーティスト、河村康輔が再解釈したTシャツ

 ユニクロ(UNIQLO)のグラフィック T シャツブランド「UT」はポップアートで知られるアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)氏の作品を題材にしたコレクションを2月8日に発売する。

 全国のユニクロ の店舗と公式オンラインストアで取り扱う。

 “キャンベルのスープ缶(Campbell's Soup Cans)”など有名な作品を、アーティストの河村康輔がコラージュで再解釈しTシャツにデザインした。

 大人用Tシャツ(1500円)は6柄、子ども用Tシャツ(990円)は4柄を用意した。

 発売を記念し、河村とのインタビュー動画を1月25日に特設サイトで公開する。

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J&Jの日本事業統括がドクターシーラボの社長を兼任

 ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下J&J) コンシューマー カンパニーは、昨年12月から日本におけるコンシューマーヘルスビジネス全体を統括する黒木昭彦ジョンソン・エンド・ジョンソン・コンシューマーヘルス・ジャパン・プレジデントが、2月1日付けでグループ会社のドクターシーラボとシーラボ・カスタマー・マーケティングの社長に就任すると発表した。

 黒木氏は、日本IBMやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、楽天での勤務を経て2018年7月にJ&Jに入社。アジアパシフィック戦略的イニシアチブの責任者として従事した。19年1月にシーズ・ホールディングスの統合責任者に就任。20年2月には、コンシューマー カンパニー代表取締役プレジデントに就き、日用消費財とeコマース、テクノロジーの領域におけるこれまでの知見を生かし、「リステリン(LISTERINE)」「バンドエイド(BAND-AID)」など主要ブランドの統括や人材育成を通して事業成長に大きく貢献してきた。

 なお、現在ドクターシーラボとドクターシーラボ・カスタマー・マーケティングの社長であるマリオ・スタイン氏は、1月31日付けで退任する。

 J&JとシーズHDは16年に海外事業展開を中心とした資本業務提携を締結。18年10月にはJ&JがTOB(株式公開買い付け)によるシーズHDの買収を発表した。

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「カサブランカ」2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクション

 「カサブランカ(CASABLANCA)」が2021-22年秋冬メンズ・コレクションをパリで発表した。

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未来への“逆行” 「ダブレット」逆再生ショーの原点は昭和の思い出

 「ダブレット(DOUBLET)」は、2021-22年秋冬コレクションを1月23日にパリ・メンズ ・コレクションの公式スケジュールで発表した。「パリメンズ出禁になるかもしれない……」ショー終了後に井野将之デザイナーが肩を落とした理由は、奇想天外なショーに挑んだためだった。

 コレクションはデジタルでの発表がアナウンスされていたが、当日はメディア関係者を中心に約20人が発表会場に招待され、横浜・綱島駅から徒歩約40分のスクラップ工場に集まった。天候はあいにくの雨で底冷えの寒さ。ショー本番まで10分となってもなかなか開場せず、期待と不安が入り乱れる。ようやく開いたゲートの先には、車やロッカー、プレハブが並び、パワーショベルとともに真っ赤なライトに照らされていた。まるでディストピア映画のようなムードに浸る間もなく、ショーはすぐに開幕した。

冒頭から「何かおかしい」

 冒頭で井野デザイナーが一瞬登場して挨拶し、妙な動きで去っていく。その後モデルたちが一斉に現れて紙吹雪が舞うなど、序盤からフィナーレのように盛大な演出に来場客もスマートフォンを慌てて取り出す。「何かおかしい」という違和感が確信に変わったのは、1人目のモデルが登場したときだろう。19-20年秋冬の巨大なチェスターコートに21年春夏のクマキャップを手にしたモデルが後ろ向きにウオーキングする。コートを脱ぎ捨てると、あの“キラシール”を彷彿とさせるギラギラのトップスに“魔驚ピエロ”というキャラクターが現れた。ほかのモデルも後ろ向きで続々と客席の前を通過し、途中で1人目が脱ぎ捨てたコートにほかのモデルがつまずいたり、スリッパ風のシューズが後ろ歩きのため脱げたりというハプニングも起こったが、それが演出なのかも分からないままショーは終了。直後に会場が暗転してショーの映像が逆再生され、順行のランウエイショーに見えるという種明かしが行われた。本来はこの“順行風”映像をパリメンズでライブ配信する予定だったが、回線トラブルでオンタイムでの配信ができなかった。これが井野デザイナーが肩を落としていた理由だった。

ほとんどがリサイクル素材

 この逆行ショーの着想源は、クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)による映画「テネット(TNENT)」。同作品の順行と逆行が入り乱れるストーリーを今季のテーマ“タイム・アフター・タイム”に絡め、パンデミックによって沈んだ世界の“再生”を願ったポジティブなメッセージが盛り込まれている。例えばブルーのコートはペットボトルからリサイクルしたフェイクファーだし、工場の余剰生地を糸に割いてネップ感の残るジャケットにアップサイクルしたり、定番のシルクデニムの在庫をパッチワークして新たなシルエットのジーンズを仕立てたりと、生地のほとんどはリサイクル素材を使用している。食用ヒツジの毛を使ったコートや「スイコック(SUICOKE)」とのコラボレーションシューズにはヒツジのマペットを付け、サボテンの繊維を30%使ったブルゾンは全面サボテン柄に、コートのポケットに入った動物のぬいぐるみはモデル着用のソックスから作られるなど、ファンシーな見た目に反して一点一点が実は深い。またノスタルジックなクリエイションも特徴だ。ロンパースをスーツにアレンジしたウエアや、幼少期に憧れたキャラクターシューズを彷彿とさせるフリンジ付きスニーカーには“魔女っ子ダブ”や“服飾戦隊ダブレンジャー”が描かれている。悪ふざけスレスレのキャラがいつも以上に豊富な一方、刺しゅうを何重にも重ねた代名詞的なテクニックは封印した。

昭和の「もったいない」を受け継ぐ

 このリサイクルとノスタルジックという2つの“再生”は、昭和時代の井野少年の思い出が原点だという。「新しいインプットが難しい状況なのであれば、自分の原点こそほかにはないオリジナリティーなのではないかと。だから昔の写真からヒントを得て、それらを現代風に解釈しています。リサイクルも昭和の“もったいない”の考えなんですよ。大人からよく言われたましたから」。井野デザイナーが「サステナビリティ」とひと言も口にしなかったのは、ともすれば難解でシリアスになりがちな環境問題に対し、「ダブレット」らしい楽しさや笑い、見た目のクリエイションで向き合いたかったからなのかもしれない。

 井野デザイナーの“再生”への願いやリアルとデジタルの融合を目指した演出などを盛りに盛り込んだ結果、今回もファッションショーという枠組みを超えた壮大なエンターテインメントとなった。映像ではボコボコにスクラップされた車やロッカーは元の姿へと戻り、モデルはぎこちない動きながらも確かに前進している。前向きな逆行で、ミライに向けて歩みを進めているのだ。雨に降られたり、回線不良でライブ配信できなかったり、余裕だったはずのスケジュールが結局パツパツで開場が遅れたりとトラブル続きだったが、同ブランドのパタンナーの村上高士はドタバタのショー直前にこう言って笑った。「これが『ダブレット』ですから」。

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「ヴェトモン」2021-22年秋冬パリ・コレクション

 「ヴェトモン(VETEMENTS)」が2021-22年秋冬コレクションをパリで発表した。

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「ヴェトモン」2021-22年秋冬パリ・コレクション

 「ヴェトモン(VETEMENTS)」が2021-22年秋冬コレクションをパリで発表した。

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「ディオール」2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクション

 「ディオール(DIOR)」が2021-22年秋冬メンズ・コレクションをパリで発表した。

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「サカイ」が米アーティスト、ハンク・ウィリス・トーマスとの協業キャンペーン ビジュアルと映像を公開

 阿部千登勢による「サカイ(SACAI)」は米アーティストのハンク・ウィリス・トーマス(Hank Willis Thomas)と協業した2021年春夏メンズと2021年プレ・スプリング・コレクションのキャンペーンを発表した。ハンクによる作品「Love Over Rules(愛はルールを超える、ルールを超えた愛)」のメッセージから、「人種や文化、性別に関係なく、既存のルールや境界線を超えてきた人々」に着想源を得た同コレクションを多面的に発信するため、ハンク本人のキャスティングによる出演者を起用したビジュアルやインタビュー映像を制作した。

 出演者は、ホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)のアシスタント・キュレーターでハンクのパートナーでもあるルジェコ・ホックリー(Rujeko Hockley)をはじめ、ジャズミュージシャンのキーヨン・ハロルド(Keyon Harrold)やジャズピアニストのジェーソン・モラン(Jason Moran)、日本出身のダンサーのミズホ・カッパ(Mizuho Kappa)、アーティストのゾーイ・バックマン(Zoe Buckman)、アーティストでアクティビストとしても知られるチェラ・マン(Chella Man)、デザイナーやライターとして活動するセリーヌ・セマーン・ヴァーノン(Celine Semaan Vernon)らクリエイターたち。ハンク本人もキャンペーンに登場しており、ビジュアルと映像は「サカイ」の公式SNSで順次公開していく。

 米百貨店バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)では、ニューヨーク5番街店のウインドーで、同コラボレーションの展示を行っているほか、同店のEC「BG.com」ではハンクのインタビューとともに商品を紹介している。

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「イザベル マラン」2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクション

 「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」が2021-22年秋冬メンズ・コレクションをパリで発表した。

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「ミナ ペルホネン」のじゅうたんが登場 長年使うことで“人生の景色”に

 「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN以下、ミナ)」から老舗じゅうたんメーカーの山形緞通(やまがただんつう)とコラボレーションしたじゅうたんが登場する。“バーズ・イン・ザ・フォレスト”と名付けられたじゅうたんは「ミナ」のデザイナーである皆川明が描き下ろした原画をもとに、約2年かけて開発された。山形緞通は、“手刺し”と呼ばれる技術を生かして皆川が描いた空想の景色を表現。また、木々の幹にはループ織りで仕上げられている。じゅうたんから飛び出すような鳥は一羽一羽、職人によりエンボス加工が施されるなど、細部までこだわって製作された。山形緞通の工房でメンテナンスも対応するので長く使い続けられる。皆川は、「日常に自然の彩りや生命力を感じてもらえれば。そして、長く使うことで暮らしの記憶となり人生の景色になればうれしい」とコメントしている。

 じゅうたんは全4サイズで、価格は15万〜88万円。山形緞通のウェブサイトで1月29日に発売する。2月中旬には、山形緞通の東京・馬喰町のショールームで「ビュー・オブ・バーズ・イン・ザ・フォレスト」という企画展示・受注会の開催が予定されている。

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デジタル革新とオムニ推進で体をメンテするワコールに

 ワコール(WACOAL)は、2019年にスタートした3Dボディースキャナーによる身体計測とAI(人工知能)接客の「3Dスマート&トライ」サービスに続き、昨年はアバターを活用した接客「アバカウンセリング パルレ(以下、パルレ)」を導入するなど、デジタル革新を加速している。今後、デジタルデータを基にした新事業などを通してゆくゆくは下着という枠を超えて幅広い意味でのウエルネスをサポートする企業への成長を目指している。

WWDジャパン(以下、WWD):20年後のワコールの企業像とは?

伊東知康社長(以下、伊東):ワコール=下着のイメージだと思うが、20年後は“ウエルネス”のワコール“といわれるようになりたい。“女性の美をサポート”するという思いから始まった会社だが、今の時代に置き換えるなら”美”、”快適”、“健康”に加え、精神的にも生き生きといられる、広義の意味でのウエルネスをサポートする企業になるべきだと考える。また、「ワコールっていいよね」「ワコールがなければ困る」と言われるような魅力のある企業になりたい。ワコール人間科学研究所(以下、人科研)が1964年以降に蓄積してきたデータを活かしたモノ作りは継続しながら、“ボディーメイク”だけでなく”ボディーケア”という新しい価値を提供していく。商品だけでなく、研究データと「3Dスマート&トライ」のサービスによるデータなどのデジタルデータ両方を活用し、ウエルネスのためのプラットフォーム作りをしていくつもりだ。新事業や他社と協業して時代に合う新しい価値を提供したい。

リアル店舗は“商品を買う場所”
から“体をメンテする場所”に

WWD:20年後の企業像実現に必要な要素は?

伊東:消費者視点で、時代に合った商品やサービスを創造し提供できるようなクリエイティビティーのある組織であることが大切だ。「3Dスマート&トライ」などのデジタル施策で気付いたのは、リアル店舗は単に下着を買う場所ではないということ。消費者がわざわざ店舗に行く理由は、店舗でしか得られない情報や体験があるから。リアル店舗のコンセプトを、“商品を買う場所”から“体をメンテナンスする場所”へと変えて、より心地よい場所にするべきだ。下着屋のイメージを変えれば下着を買う価値も変わる。そのような価値のある店作りをしていくことが重要だ。店頭販売を担う約3500人のビューティアドバイザー(以下、BA)に求められる役割も変わり、商品紹介だけでなく、顧客一人一人に寄り添うコミュニケーション力や想像力が求められる。

垣根や既成概念を越えた価値作り

WWD:昨年10月末に「3Dスマート&トライ」表参道東急プラザ原宿店でアバター接客「パルレ」を始めたがその反響と今後の展開予定は?

伊東:「面白そう」「楽しそう」と興味を持って来店してもらっている。体の悩みはセンシティブで「アバターだから何でも気軽に相談できる」という声も多い。原宿という立地もあり来店者は20〜30代が多く、予約状況は1カ月先までほぼいっぱいだ。このサービスを他の「3Dスマート&トライ」店舗へ導入することも検討する。また、アバター接客を通じて販売員のリモートワークを可能にし、新しい働き方につなげたい。これらデジタルのサービスは人科研、BAなど部門を越えて出来上がった新しい価値。今後も新しい価値を作っていくには、部門の垣根や既成概念を越える必要がある。

WWD:ボディーケアという新しい価値を提案したが手応えは?

伊東:昼、夜、スポーツとシーン別に下着でできるバストケアを提案したところ、特に若い層からの関心が高く、睡眠時用の“ナイトアップブラ”が市場で定着しつつある。「CW-X」のスポーツブラも好調だ。ブラジャーの役割はバストの形を整えるだけでなくケアするものとして市場の開発を進めていく。

成長のためのブランド再編に着手

WWD:21年以降の具体的な戦略は?

伊東:保有する約300万人分の顧客データを見ると、約半数が1年以内に購入実績がある。今後は、顧客と“深く、広く、長く"つながることが成長の柱だと考える。前期はECの売り上げが全体の約15%を占め、25年3月期には約25%にまで伸ばす計画だが、オムニチャネル戦略の一環としてECだけでなくリアル店舗の価値作りも大きなポイントだ。一方でブランド再編も進めており、21-22年秋冬シーズンにはブランド数を56(19-20年秋冬)から約40に絞る。それにより必要なところに効率的な投資を行い、成長につなげていく。既存の仕事を80%の労力で成し遂げるにはどうすれば良いか知恵を絞り、残りの20%で新しいことに挑戦していきたい。

問い合わせ先
ワコールお客様センター
0120-307-056

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「メゾン ミハラヤスヒロ」2021-22年秋冬パリ・メンズ・コレクション

 「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」が2021-22年秋冬メンズ・コレクションをパリで発表した。

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水原希子が地球に優しい活動を続ける理由 「私たち消費者も何に投資すべきか考えるとき」

 ファッションモデルとして第一線を走り続ける水原希子は、近年環境問題に熱心に取り組んでいることでも知られる。「私にできることはまず発信すること。一人でも多くの人に環境への意識を持ってほしい」と、SNSで自身の考えや活動を発信する。水原はなぜ環境問題やサステナビリティを意識するようになったのか。その理由と、今回参加した楽天「ラクマ」のプロジェクト「ラクマ エコフリーマーケット」への思いを聞いた。

“サステナブルな取り組みは
思っていたより難しくない”

WWD:水原さんはいつ頃から環境問題やサステナブルを意識するようになりましたか?

水原希子(以下、水原):本当に最近です。環境問題については世間でも長年取り上げられていたので、私も理解はしていました。ただ現実味がなく、「誰かが取り組んでいるだろう」ぐらいの感覚で具体的な行動にまでは至っていませんでした。でも夏の異常な暑さや自然災害の急増など、地球温暖化の影響を肌で感じるようになり、行動しなければまずいと危機感を抱いたのがきっかけです。

WWD:意識したことによってご自身の中で変わったことはありますか?

水原:何かを購入する際にそのアイテムの環境への負荷を意識したり、エコバッグも常に持ち歩くようになりました。最近運転免許を取得したのですが、車は電気自動車を購入し、家の電気も再生可能エネルギーを使った“みんな電力”に切り替えました。また個人的な趣味ですが、外出自粛期間中は青森の南部裂織(なんぶさきおり)の美しさに影響を受け、着なくなったTシャツをエコ染料で染めて糸にしてラグを作り、リメイクを楽しんでいました。多くの人が自分にできることを実践している姿を見て、サステナブルな取り組みは思っていたより難しくないと感じられたことも大きいですね。一人一人のできることが積み重なっていけば、大きな何かにつながるはずです。

“新しいファッションの形を
作って改善していくしかない”

WWD:ファッション産業は世界で2番目の環境汚染産業と指摘されています。この業界で長年活動されている水原さんは問題をどう捉えていますか?

水原:ファッション産業がいかに環境に深刻な影響を与えてきたか——。私もモデルとして業界に携わってきたので、今後は新しいファッションの形を作って改善していくしかない。従来のトレンドを追うだけのファッションではなく、新しい素材作りや環境破壊を軽減するものづくりを推進することは簡単ではありません。でも挑戦しがいはあるはずです。また、消費者である私たちも自分が何に投資すべきかを考えるときなのだと思います。私もまずは発信するのが自分にできることだと信じています。SNSを活用して人々のプラスになることを発信し、自分も吸収していきたいです。

WWD:ご自身も「OK」というブランドを手掛けています。

水原:自分の目が届かないところで環境や労働者を苦しめているものを作ったり宣伝したりしたくないという思いから、より慎重になりました。「OK」のメインアイテムの素材は今後、インドの綿農家の有機農法への転換支援と農家の子どもへの就学・奨学支援を行う「PBP(PEACE BY PEACE)コットンプロジェクト」によるオーガニックコットンにシフトする予定です。また、10月には繊維リサイクルを行う企業、ナカノとのコラボレーションが実現しました。彼らは回収した古着から紡績し直したリサイクル糸を使って軍手などの作業用品を主に作っており、今回は実験的にカーディガンと帽子、バッグを数量限定で一緒に制作しました。さらに古着回収の窓口は多い方がいいと考え、彼らと連携して「OK」でも古着回収システムを始めようと計画中です。地球に優しい活動をしていきたいです。

“ファッションが人の心に
もたらす影響は大きい”

WWD:今回楽天「ラクマ」の「ラクマ エコフリーマーケット」に参加した思いを教えてください。

水原:楽天「ラクマ」などのフリマアプリはもともとよく利用していました。私自身ビンテージや古着が好きで、デッドストックやアートピースといえるような昔のメゾンの服を集めています。服の好みは年齢やそのときの自分のムードでも変わりますよね。過去に大好きだったけれど着なくなったものを、今そのムードを持っている人にバトンタッチしてリユースすることは大切なこと。衣類をごみにせず循環させようという「ラクマ エコフリーマーケット」のテーマに共感し、参加を決めました。

WWD:どんなアイテムを出品しましたか?

水原:「オープニングセレモニー」と以前コラボレーションしたニットなど、ファッション性が高いアイテムをセレクトしました。ファッションが人の心にもたらす影響は大きいですよね。かわいいものや美しいものをまとうと気分が高揚したり、元気が出たり、違う自分を発見できたりします。こんなときだからこそ、おしゃれをしてリフレッシュする感覚を楽しんでもらえたらうれしいです。

著名人の私物を販売
サステナブルな消費の輪を広げる
「ラクマ エコフリーマーケット」

 楽天「ラクマ」は近年服が大量に廃棄されている問題を受け、“不用品をごみにしない社会”の実現をテーマに、「ラクマ エコフリーマーケット」を1月25日に「ラクマ」公式サイト上に立ち上げた。プロジェクトの発端は、楽天「ラクマ」スタッフが「今は使っていないけれど、捨てられないものが多くある」という著名人の声を聞いたこと。今回は水原希子、クリス-ウェブ佳子、植野有砂、ベイカー恵利沙、ヴィオレッタ・ポルト(Violetta Polt)が参加し、私物ファッションアイテムを1月27日から販売する。使わなくなったものを次に必要とする人につないで資源の循環をつくることで、よりサステナブルな消費の輪の広がりを目指す。売り上げは環境のための活動を行うUNEPサステナビリティアクションと日本自然保護協会へ寄付される。

 「ラクマ エコフリーマーケット」の特設ページでは、5人の参加者にエコに対する思いなどを聞いたインタビュー記事の公開や、繰り返し使える梱包袋「ラクマ リユースパック」のプレゼントキャンペーンも行われる。

PHOTOS : YUTA KONO

問い合わせ先
楽天「ラクマ」PR担当
rakuma-pr-team@mail.rakuten.com

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業界の次世代を率いる「WWD JAPAN NEXT LEADERS 2021」企画をスタート 自薦他薦を募集中

 「WWDジャパン」は2017年に創刊2000号企画として、未来のファッション業界をけん引するであろう“ネクストリーダー”を発掘・紹介する企画を立ち上げました。10年後の日本のファッション&ビューティ業界を広い視野と高い志で引っ張ってくれる人たちを選び、紹介し、そして応援したいという気持ちでスタートしています。コロナでファッション&ビューティ業界全体が苦境に立たされる中、混迷の時代に私たちメディアができることは何か。これまで同様に若手を発掘し、普段表に出ない人もちゃんと引き上げ、次代を共に創造することが、業界の未来の価値創造につながるのではないか。こう信じ、21年はこれまで以上に心血を注ぎ、次世代をけん引するネクストリーダーをたたえます。

 そこで「WWDジャパン」は、未来のファッションとビューティ業界をけん引するネクストリーダーの自薦・他薦によるエントリーを受け付けます。特設ページにてご応募ください。

ヤギが50回洗っても使用できるサステナブルな医療用ガウン発売 海外販売も視野

 繊維商社のヤギは、洗って繰り返し使用できるアイソレーションガウン(感染予防用隔離ガウン)を3月に発売する。

 ヤギのアメリカ法人のヤギUSA LLCが大阪のアパレル商社やまぎんと共同開発したもので、東レグループが生産した2種類の生地を使用する。医療現場で、ウイルスが付着している可能性がある使用済みの医療用ガウンが世界規模でゴミ問題となる中、50回洗濯してもアメリカ医療機器振興協会(AAMI)の規格レベル2の基準をクリアしているサステナブルな機能性が特徴だ。

 同社は、新型コロナウイルス感染拡大が続く中で不足する医療用ガウンの安定供給に貢献し、繰り返し使用できることで医療機関のコスト削減、生産スペースが余っている国内外の縫製工場の救済にもつなげることを開発目的としている。

 今後は、原料となるポリエステル素材をリサイクルポリエステルに変更することで環境負荷も意識した医療用ガウンの開発を進めるとともに、海外での販売も目指す。

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「サンローラン」がセールスアソシエイトを募集 世界観を伝え、より愛されるブランドを目指す

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、新店オープンに伴い販売スタッフを募集する。接客・販売から在庫管理まで店舗運営業務の全般を担当。経験やスキルに応じてスタッフの指導・育成やシフト管理、店舗ディスプレーなどにも携わる。身だしなみや立ち振舞いなどに高い意識を持ち「サンローラン」の世界観を体現するほか、歴史やコンセプトを丁寧に伝えてより多くの人に愛されるブランドを目指す。

 入社後、ブランドの歴史を学ぶインダクショントレーニングを受ける。他にもセリングスキルトレーニングや商品説明会など、着実にスキルアップできる環境が整う。店舗で経験を積んだ後は本社へのキャリアアップにも挑戦できる。

 店舗の予算達成時には個人の売り上げをベースにインセンティブを毎月支給。高額商品を販売した場合は追加でインセンティブが入るため、高いモチベーションで業務に臨める。

募集職種
セールスアソシエイト

雇用形態
正社員
※試用期間3カ月あり。期間中に給与・待遇に変更なし

応募条件
高卒以上
接客または販売経験をお持ちの方
※製品や価格帯、業界、前職の雇用形態などは不問

業界未経験、第二新卒者、歓迎
ラグジュアリーブランドの接客に挑戦してみたい方、歓迎
※過去1年以内の再応募はご遠慮ください

勤務地
全国の「サンローラン」直営店(路面店・商業施設内)
※勤務地は希望を考慮して決定。U・Iターン歓迎
※転勤は本人が希望する場合のみ。店舗間の異動はあるが、基本的に転居が伴う転勤はなし

東京23区中心エリア(表参道、新宿、銀座、渋谷、六本木、二子玉川、有楽町、日本橋、池袋、横浜)
愛知県(名古屋)
大阪府(梅田、なんば、心斎橋)
京都府(四条烏丸)
兵庫県(神戸三宮)
福岡県(天神、博多)
北海道(札幌)

給与・待遇
年俸制321万円以上(※月26.75万円以上)+インセンティブ+交通費+全額残業手当
※経験や能力を考慮し決定

年収例
年収412万円(29歳・経験3年)

勤務時間
10:30~20:00(実働7.5時間/休憩1.5時間)
※配属店舗により異なる
※残業は月20時間以下

休日休暇
<年間休日120日以上>
週休2日制(シフト制、月8日以上)
年始休暇
年次有給休暇 ※チームで協力しながら有給消化を促しています
慶弔休暇
産前産後休暇

福利厚生
社会保険完備(雇用・労災・健康・厚生年金)
インセンティブ制度(店舗予算達成時に毎月支給)
交通費支給(月5万円まで)
時間外手当
制服貸与
社員割引制度
確定拠出年金
育児時短勤務制度

応募期限
2月10日まで

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「シャネル」の新メイクアップコレクションはパールの輝きを表現 人気アイシャドウやフェイスカラーの新色も

 「シャネル(CHANEL)」は3月5日に、メイクアップコレクション“ペルル エ エクラ ドゥ シャネル”を発売する。価格は3200〜8000円。

 同コレクションは日本のアコヤパールに着想を得て制作し、白やピンクのカラーをさまざまなニュアンスで表現したメイクアップアイテムをそろえる。さらに、随所にタヒチのパールを思わせるディープなバーガンディーピンクの輝きも加えた。フェイスパウダー“ペルル ドゥ ルミエール”(限定品、8000円)は、冠状のパールとダブルCのデザインを施し、「シャネル」を象徴するボタンを表現。シャンパンローズのきめ細かいパウダーが肌に輝きを与える。
スティックタイプのフェイスカラー“ボーム エサンシエル” (新2色、各5500円)の新色“プランタニエ”(限定品)は、ほのかな血色感を与えるクリアピンク、“ペルルセント”はホワイトパールのような光沢のプラチナムホワイトだ。

 さらに、人気アイシャドウパレット“レ キャトル オンブル”からは新色の“374 アリュール エ エクラ”(6900円)が登場する。プラチナムホワイトとローズパールが輝くシェルホワイトのニュアンスの異なる2色と、メタリックなピンクゴールド、バーガンディを組み合わせた。そのほか、アイアライナー“スティロ オンブル エ コントゥール”(限定2色、各3900円)や、リップスティック“ルージュ ココ”(限定2色、各4300円)、“ルージュ ココ フラッシュ” (限定2色、各4300円)、“ルージュ アリュール”(新1色、4500円)、ネイル“ヴェルニ ロング トゥニュ”(限定1色、新1色、各3200円)をラインアップする。

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「無印良品」の“われしいたけ精神” エディターズレター(2020年11月25日配信分)

※この記事は2020年11月25日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「無印良品」の“われしいたけ精神”

 WWDジャパン11月9日号の「無印良品特集」を担当しました。あらためて「無印良品」の40年の歴史を振り返ると、サステナビリティが叫ばれるようになるずっと前からさまざまな取り組みをしてきたことが分かります。特に食品にその傾向が顕著です。1980年12月の第1弾商品として発売した「われしいたけ」は、無印の思想を象徴したような商品といえます。

 当時、干し椎茸は日常使いする人が減っていました。理由の一つが高い価格でした。均一な大きさの干し椎茸をパッケージするのが当たり前だったのを、「無印良品」では形や見栄えにこだわらず、不ぞろいなものや割れたものを弾く選別工程をやめることで買いやすい価格を実現しました。欠けていようが、不ぞろいだろうが、味に変わりはない。食品ロス(廃棄)を減らして買いやすい価格を実現する。そんな合理的な考えが消費者の支持を得ます。

 このロスを減らす考えは脈々と受け継がれています。

 いま定番商品になっている「不揃いバウム」(バウムクーヘン)も、見た目がイマイチという理由で弾かれてきた焼きムラや凹凸、変形した部分も使っています。不ぞろいを採用したことでスティック状の食べ切りサイズにし、価格も150円(税込)に抑えています。

 フリーズドライにしたイチゴをチョコレートで包んだ「不揃いチョコがけイチゴ」も同様です。名前の通りイチゴの粒の大きさがバラバラ。一般的な菓子メーカーだったらやはり均一にするでしょう。

 「無印良品」を運営する良品計画は近年、農業分野へ関心を強めており、店舗の近隣で採れた野菜を販売したり、農家との協業を模索したりしています。金井政明会長は弊紙のインタビューで、農家から規格外の野菜や作りすぎてしまった野菜を買い取って加工食品や冷凍食品に使う構想を述べていました。

 食品だけでなく衣料品でも“われしいたけ精神”ともいうべき商品を出しています。「再生ウール」を使った衣料品やインテリア製品は、ウール素材の製造工程で出た余り糸や切れ端を利用したもので、資源を無駄にせず商品化しています。

 今年「無印良品」の食品の取り組みで話題になったのは、春に発売して今も品薄が続く「コオロギせんべい」でした。こちらは食品ロスではなく、近い将来に予想される食糧危機への対策です。

 世界人口の急速な増加によって、人間の重要な栄養素であるタンパク質の供給が足りなくなることが予想されます。牛、豚、鶏などの家畜を増やすことも限界がある。そこで栄養価が高くて環境への負荷が少ない昆虫食が世界的に注目を集めています。コオロギの飼育にかかるエサや水は家畜に比べて圧倒的に少なく、100グラムあたりのタンパク質の量はずっと多いからです。とはいえ、いきなり昆虫をそのまま食べるのは抵抗があるので、コオロギをパウダー状にしてせんべいに練りこんだのが「コオロギせんべい」です。私も何度か食べましたが、えびせんのような味で、酒のつまみにぴったりだと思いました。

 今では規格外の野菜や食材を用いた食品自体は珍しくありません。でも「無印良品」が先駆けの一つだったことは確かです。「コオロギせんべい」は物珍しさもあって品薄になっていますが、近い将来、昆虫食がスタンダードになるかもしれません。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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一人負け居酒屋チムニー、新業態の「大衆食堂」「焼肉」で逆転目指す。いつの間にか期末80店

 居酒屋大手のチムニーが巻き返しに奮闘している。総合居酒屋「はなの舞」を軸にフランチャイズ(FC)を含み、約600店を展開するが、他の居酒屋チェーンに比べると、長く苦しんできた。だが、ここに来て巻き返しに必死だ。鍵は、急速出店している新業態の「大衆食堂 安べゑ」だ。
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一人負け居酒屋チムニー、新業態の「大衆食堂」「焼肉」で逆転目指す。いつの間にか期末80店

 居酒屋大手のチムニーが巻き返しに奮闘している。総合居酒屋「はなの舞」を軸にフランチャイズ(FC)を含み、約600店を展開するが、他の居酒屋チェーンに比べると、長く苦しんできた。だが、ここに来て巻き返しに必死だ。鍵は、急速出店している新業態の「大衆食堂 安べゑ」だ。
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アメカジ目線の中国攻略法 「ファインクリークレザーズ」の場合

 “近くて遠い”“知ってるつもり”とは中国を形容するのに最適な言葉だろう。多くのファッション企業が挑戦し、夢破れている。一方で規模は小さくとも大きな成果を上げるブランドもある。馬革のみを使って東京で自社縫製するレザージャケット専業ブランド「ファインクリークレザーズ(FINE CREEK LEATHERS)」もその一つだ。武骨なモノ作りが中国のコアなファンに受け入れられ、現在は9都市11店舗で販売している。半期の一度、それらの都市に足を運び「現地を体感する」という山﨑佳克代表兼デザイナーに、アメカジ目線の中国攻略法について聞いた。

WWD:中国展開はブランドデビュー当初からだと聞いた。きっかけは?

山﨑佳克「ファインクリークレザーズ」代表兼デザイナー(以下、山﨑):独立前に携わっていたブランド「ハイラージレザーズ(HIGH LARGE LEATHERS)」のレザージャケットを、中国人俳優がある受賞式で着用したことを機に中国展開したことがあり、それが下地になった。僕が独立することを聞いた現地のショップから問い合わせがあった。

WWD:初めての訪中はいつ?

山崎:ブランドを立ち上げた2017年だ。

WWD:協力者は?

山崎:台湾人ディストリビューターから打診があり、彼から現在のパートナーである日本人を紹介してもらった。

WWD:パートナーと最初に行ったことは?

山崎:一緒に上海や北京などの主要卸先を周った。コロナで渡航を制限されるまで半期に一度繰り返し、オーナーに直接会って「どんな商品が欲しいのか?」などリアルな声を聞いた。「ファインクリークレザーズ」はこだわりが強く、日産はわずか3枚。多くのリクエストをいただくが生産が追い付いていない状態で、そのため馬以外の革も扱う「ファインクリーク&コー(FINE CREEK & CO)」をプロモーションするために中国を訪れた。オーナーたちと話をするうちに、「ファインクリーク&コー」の商品が彼らの要望を満たすことが分かり取り引きが成立。結果として、売り上げが前年比7倍となった。

WWD:売り上げにおける海外シェアは?

山崎:構成比は日本4、アメリカ3、中国3で、どこかの国・地域が突出しないようバランスを取っている。

WWD:コロナによる影響は?

山崎:われわれが作るレザージャケットなどは不要不急の極みだと思うが、数字は落としていない。完全なネット社会である中国では“まったく影響を受けなかった”。卸先、エンドユーザーともにネットを通じて売れ続けた。さらに現地のロックダウン解除後は、押さえ付けられた消費欲を発散させる意味合いもあるのか、中庸なものよりレザージャケットのような特化型商品を求める声が高まっていると感じる。

WWD:中国人ショップオーナーの印象について教えてほしい。

山崎:まず圧倒的に若い。平均年齢は32歳前後だろうが、学生時代や20代前半でショップを立ち上げており、すでに10年以上のキャリアを持つ。自己顕示欲が高く、敬われたいという願望も強い。日本人が誤解しがちな点だと思うが、中国人は日本人以上にスタイルが良く、服のこともきちんと理解して着こなしている印象だ。その筆頭で、インフルエンサー的なポジションも務めるのがショップオーナーたちだ。新作も、入荷したらまずはオーナーが着てSNSにアップする。ウェイボー(Weibo)やウィーチャット(WeChat)のグループ内でリーダー的存在となり、そこで情報発信することでフォロワーを店に集める図式だ。

WWD:「ファインクリークレザーズ」の中国におけるSNS戦略は?

山崎:ウェイボーのアカウントを持っていて、日本から発信している。ネット検索すれば、アカウントの作り方はすぐに分かるからトライしてほしい。一方で、現在主流となっているウィーチャットもアカウント開設は簡単だが、問い合わせが多くあるのでそれに対応しなくてはならない。かつてのミクシィ(mixi)のような雰囲気で、“勝手に応援団”的なブランド紹介記事も掲載され、“偏差値が高い”空間でのやり取りになるからディスカッションできる程度の語学力、もしくはそれに長けた協力者が必要だ。

WWD:中国はEC優位だと思うが、実店舗の意味合いは?

山崎:実店舗オーナーの多くも、まずはECからスタートする。そこで資金を得て、実店舗を作る流れだ。面白いのはECと実店舗で名前を変えていること。理由を聞いたのだが、実店舗は隠れ家サロンのような位置付けであり、“知る人ぞ知る”でいいということだと思う。そして金儲けの場ではないから、良質なコミュニティーが形成される。実店舗はステータスであり、だから店作りには惜しみなく投資する。客が来店した際に“恭しく2階から下りてくるオーナー”を演出したいという理由だけで、わざわざ2階を作るなんて例もある。もちろん雇うスタッフもルックスや語学力を重視する。

WWD:実店舗作りにおいて、彼らがほかに注意している点は?

山崎:前述の通り中国はネット社会なので、店をどのエリアに作るかは問題視していない。実際、上海の店にウイグル在住の客から注文が入ることも日常的だ。コロナの影響で、日本でもEC化が急速に進んだ。アパレルの場合“表参道なのか?”“それとも銀座か?”と出店地を気にするが、オンライン上では杞憂だ。このあたりは先行する中国に学ぶべき点も多いはず。また中国のショップからは、「うちにしかないものを作ってほしい」とリクエストを受ける。スマホ一つで無数の情報にアクセスできる中、独自性が重要になっている。

WWD:中国人は直接的にビジネスをしたがると聞いた。

山崎:確かにそういうショップオーナーもいる。自分の店だけで専売して、さらに進んで代理店化したいというタイプもいるから、直接取引をしたくないのであれば、こちらから「距離感を持って取引したい」と制すること大事。交渉次第だと思う。一方で「代理店を通したい」という店もあり、これらも現地で直接彼らと話してみるまでは分からなかったことだ。

WWD:代理店を通したい理由は?

山崎:はっきりとは答えなかったが、金額面で代理店を通す方にメリットがあるのだろう。

WWD:これから中国でビジネスしようという企業・ブランドにアドバイスがあれば聞きたい。

山崎:大前提として、現地を自分の目で確かめること。次に、自分のビジネスの規模を理解し、それをどのレベルにまで成長させたいのか目標を明確にすること。

WWD:「ファインクリークレザーズ」が実践したことを踏まえ、もう少し具体的に教えてほしい。

山崎:中国で買ってくれた客に「どこでブランドを知ったのか?」、ECの場合「どこから流入してきたのか?」と尋ねることから始めた。シンプルな質問であれば、ほとんどの人が答えてくれる。言葉が分からなければグーグル(GOOGLE)の翻訳機能を使えばいいし、一歩踏み出すことが重要だ。「直接買いたい」とアクセスしてきてくれた個人客には「ほかにどんな店で買い物するのか?」と質問し、教えてもらったショップのホームページをチェックする。取り扱いブランドや年商を調べ、次回の営業活動に役立てている。こういった地道なフィールドワークも大事だが、情報を多数持つディストリビューターと契約することも一つの手。支払い面などでも、間に入ってもらった方がスムーズになるケースも多い。ただし、ディストリビューターに任せきりにしないこと。少しきつい言い方になるが、ブランドの価値を下げられて消耗品のように扱われることもあるから、あくまでブランド側でコントロールしなくてはいけない。

WWD:コロナ収束後に訪れてみたい都市は?

山崎:広州や深圳。また20年末に重慶に1つ卸先ができたので訪れてみたい。

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【ランダムトーク】外食も政治力を持ちませんか

 「黙食(もくしょく)」。福岡市南区のカレー店「マサラキッチン」が考えたコピーが話題になっています。東京・府中市の「ホルモンなかむら」では無言で飲食できたら1000円の盛り合わせが無料。政府や政治家に翻弄されています。ランダムトークです。
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