「フェンディ」がキム・ジョーンズによる限定コレクションを発売

 「フェンディ(FENDI)」は、キム・ジョーンズ(Kim Jones)が手掛けたカプセル・コレクションを4月15日から2週間限定で販売する。世界9店舗限定で、国内では銀座店のみで取り扱う。公式オンラインストアでの取り扱いもない。

 アイテムはアイコンバッグ“バゲット(Baguette)”や“ピーカブー(Peekaboo)”の限定デザインに加え、サテンドレスやコットンシャツなどのウエア、バロックパールを使用したジュエリーなどを用意する。

 ジョーンズがウィメンズ・アーティスティック・ディレクターとしてデビューした2021年春夏オートクチュール・コレクションのテーマを継続し、ジェンダーレスで流動的なシルエットが特徴。

 現代のフェミニズムやジェンダー学に多大な影響を与えたヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)の小説「オーランドー(Orlando)」からインスピレーションを受けているという。ジェンダー的テーマに加え、ウルフが参加していた芸術サークルが保有するイギリス・サセックス州の家をモチーフにしたパターンも使用した。

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パリコレで活躍した、今注目の日系モデル4人

 2月末~3月上旬まで開催された2021-22年秋冬シーズンのミラノとパリのファッション・ウイークでは、日系モデルの活躍が見られました。海外渡航が難しい中、ヨーロッパ拠点のアジア系モデルに活躍のチャンスが多く与えられたようです。ここでは今季、さまざまなブランドに起用され躍進したモデル4人を紹介します。

「ルイ・ヴィトン」など12ブランドに出演
日系モデル勢をけん引する美佳

 日系モデル勢をけん引しているのは日本とフランスのハーフ、美佳さんです。ミラノで「アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)」「フェンディ(FENDI)」「デルコア(DEL CORE)」「エトロ(ETRO)」「トッズ(TOD’S)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」で連日見かけた後、パリでは「クレージュ(COURREGES)」「ロンシャン(LONGCHAMP)」「コペルニ(COPERNI)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「ランバン(LANVIN)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」に起用されていました。この他、パリコレ会期中に出版したアメリカ版「i-D」マガジンの最新号の表紙や、アメリカ版「ヴォーグ(VOGUE)」のエディトリアルに登場していて勢いを感じます。

「ドリス ヴァン ノッテン」など11ブランドが起用
2シーズン目の樋口可弥子

 先シーズンに海外コレクションデビューを果たした樋口可弥子さんに注目している人は多いはず。2シーズン目となった今季も、見かけない日がない大活躍ぶりでした。ミラノの「フェンディ」「ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)」「デルコア」「ブルマリン(BLUMARINE)」「スポーツマックス(SPORTMAX)」「サルヴァトーレ フェラガモ」「フィロソフィ ディ ロレンツォ セラフィニ(PHILOSOPHY DI LORENZO SERAFINI)」、パリの「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTiSTA VALLI)」「バルマン(BALMAIN)」「アミ アレクサンドル マテュッシ」と計11ブランドに出演しました。

 今季は多くのブランドがランウエイショーだけではない、さまざまな手法を凝らした映像を発表しましたが、樋口さんが最も印象に残っているのは47人のダンサーとモデルがパフォーマンスを行った「ドリス ヴァン ノッテン」だといいます。樋口さんは、東京からベルギーに入国後、2週間の自主隔離を経て撮影に参加したそう。「普段とは違う体の動きで服を表現しました。短い撮影時間でしたが、高い集中力を維持しながら世界観に入り込んだことで、泣きそうなくらい感情的になっている自分自身に驚きました。自分は服を通して表現をするのが大好きなんだなと実感した瞬間でもありました」と語ってくれました。

 また、前シーズンとは異なる学びを得たようです。「1シーズン目とは違って、大体の仕事の流れが把握できていた分、不安に感じることが多かったです。先シーズンは全てが新鮮で気づいたら終わっていたのですが、今季はずっと不安でした。でも、ファッション・ウイーク中盤にさしかかる頃には、大きいブランドの仕事と仕事をするという実績にこだわるのではなく、素晴らしいプロフェッショナルの方々と関われる喜びや新たな発見を大切にしようと切り替えられたのが学びでした」。これから樋口さんはパリを拠点に活動していくので、慣れない海外生活や新たな挑戦によって、さらに成長していく姿が見られるのではないかと期待しています!

「エルメス」や「ヴァレンティノ」に登場
台湾と日本のハーフモデルの中野悠楽

 そして今季、新たに2人の日系モデルも活躍しました。1人目は、台湾と日本のハーフで2001年長野県生まれの中野悠楽さん。海外のコレクションデビューは、2020-21年秋冬の「GCDS」です。今季は1月に開催されたメンズ・ファッション・ウイークから3月のウィメンズまで、ミラノとパリで何度も中野さんを見かけてずっと注目していました。メンズの「フェンディ」「エトロ」「エルメス(HERMES)」、メンズとウィメンズを合同で見せた「ヌメロ ヴェントゥーノ」「スンネイ(SUNNEI)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「ランバン」にも起用されていました。

 モデルを始めたきっかけは、ニューヨークでモデル活動をしていた幼なじみに勧められたことだそうです。多くのショーに出演できた理由を聞くと、「東京で行われた『ルイ・ヴィトン』2020年春夏コレクションのショーに出演した直後にヨーロッパで活動を始めたため、タイミングが良かったのかも」と分析します。現在はスーツケースだけを持って各国を点々としながら、ヨーロッパに拠点を置いています。ジェットセッターなライフスタイルで世界を飛び回り続け、コウヘイさんのようなモデルを目指しているとのこと。

「フェンディ」「ディオール」が抜擢
行動力ある次世代モデルのハナカ

 もう一人は、2000年生まれ新潟県出身で、日本、イギリス、アメリカのミックスのハナカさんです。海外のコレクションデビューを飾ったのは、2020年春夏シーズンの「ニナ リッチ(NINA RICCI)」。今季はミラノとパリに挑戦して、「フェンディ」「デルコア」「ヴァレンティノ」「ディオール(DIOR)」などビッグメゾンに起用されました。

 モデルになったきっかけは、高校3年生で進路に悩んでいたとき、大好きなファッションに携わる仕事に就きたいと思い自らモデル事務所ドンナに履歴書を送り採用されたこと。そんな彼女の行動力は今季の活躍にも繋がっているように思えます。ヨーロッパ各国の水際対策が厳しい状況下でのファッション・ウィークとあって、今季はモデルだけでなく多くの業界人が現地入りしませんでした。しかし、東京拠点のハナカさんは早々にイタリアへと入国し、2週間の隔離を経て初めてとなるミラノ・ファッション・ウィーク、2回目のパリコレに挑みました。

 そんな彼女が最も印象に残っているのは、「フェンディ」のショーだそう。「隔離後、キャスティングディレクターに会いに行き、最終決定が出るまで計5回『フェンディ』のショールームへ出向きました。本番の日は、いつもインスタで見ているヘアスタイリスト、メイクアップアーティスト、スタイリスト、モデルたちと同じ現場にいて『私、今すごいところにいる!』と感激のあまり泣きそうになりました。キム・ジョーンズ(Kim Jones)さんと日本語でお話ししたのも貴重な思い出として残っています」。自ら行動し、自らの手で夢を掴み、憧れの人たちと一緒に仕事をしたハナカさんにとって素晴らしい結果を残すシーズンとなりました。目標は「世界中で活躍しているクリエーターの方々に名指しで『ハナカと仕事がしたい』と思ってもらうこと」だと語り、今後も彼女の行動力でさまざま経験を重ねて、国内外で活躍する姿を見られそうです。

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就任初年度に黒字化を達成 婦人靴の卑弥呼社長が語る、歴史あるブランドの刷新術【ネクストリーダー2021】

 婦人靴のSPA「オリエンタルトラフィック(ORIENTAL TRAFFIC)」をファッションビル中心に出店するダブルエーが、百貨店向け婦人靴メーカーの卑弥呼を傘下に収めたのは2020年5月のこと。そのタイミングで卑弥呼社長に就任したのが新井康代氏だ。ダブルエー最古参メンバーの1人としてその成長を支えてきた新井社長は、卑弥呼社員の声にしっかり耳を傾けつつ、ダブルエーのノウハウを注入。初年度(21年1月期)で黒字化を達成し、その実績から「WWD NEXT LEADERS 2021」に選ばれた。

WWDジャパン(以下、WWD):卑弥呼の2021年1月期の売上高は20億2700万円、純利益は7200万円。就任初年度で黒字化を達成した原動力は何か。

新井康代社長(以下、新井):売れる商品を企画し、在庫の奥行きを持って仕掛けたことで売れ筋を作ることができた。そこに一番手応えを感じている。スニーカーの定着や外出自粛の中でパンプスは全般的に厳しいが、ローファーなどのトレンド商品や、バレエシューズなどソフトな履き心地の商品を増やしたことも実績につながった。とは言え、ベーシックなブラックパンプスの売り上げも悪くはない。仕事用途などでブラックパンプスを探している方には「『卑弥呼』がいい」と思っていただけている。靴はサイズがあるので、ECの在庫を厚くしてオムニチャネル強化を図ったことも奏功した。これは親会社のオリエンタルトラフィックの手法を活用したものだ。20年8月~21年1月のEC売上高は、前年同期比62%増となった。

WWD:新井社長はダブルエーの最古参メンバーの一人だ。

新井:靴デザインを学ぶ専門学校生だったころ、「オリエンタルトラフィック」1号店にアルバイトとして入社し、4~5人だった社員が500人規模に育つのを見てきた。販売、物流、生産などの部門を経験・勉強した上で商品企画全体を担当するようになり、ブランディングを固めていくことができた。その時期に売り上げも大きく伸びたという手応えがある。どんなデザインの商品が、いつ、どれだけ必要なのかが分かるようになったのは、商品企画だけでなくさまざまな部門を担当したからこそ。数字を扱うことがすごく好きだったわけではないが、「どうしてこの商品が売れるのか」「もっと売るにはどうしたらいいか」といったことを分析するのは昔から大好きだ。

大事なのは「一人一人が何を考えているか知ること」

WWD:ダブルエーの肖俊偉社長からは、どういった点を見込まれて卑弥呼社長に抜擢されたと思うか。

新井:ダブルエーでずっと働いてきたことで、会社の“イズム”を理解している点だと思う。ダブルエーは現場で実績を重ねて上がっていくリーダーが多い。店頭アルバイト出身の私もその一人だ。現場を知っているからこそ、店はチームワークによって成り立つということを知っている。自分一人の力で売れるわけではない。ただし、販売員のころから、売り上げに対する思いは人一倍強かったと思う。昨日よりも売りたい、前進したいという思いでやってきた。

WWD:自身はどんなタイプのリーダーか。

新井:あまり前に出たいとは思わないし、社長という自覚も薄い。その方が社員との距離感が縮まっていいと思っている。なるべく社員とはフラットに接したい。調整能力はある方だと思うので、自分は調整型のリーダー。ダブルエーの取締役も兼任しているので毎日卑弥呼とダブルエーの両方に出社しているが、心掛けているのはフロアを歩き回って自分から社員に話しかけること。1人1人がどんなことを考えているのか普段から知っておくことが大切だと思う。その中で業務上の問題点はつかんでいるので、トップダウンで何かを決めることはあっても、無理を通すようなことにはならない。何かやってみてダメな場合も固執はせず、「それならこっち」と切り替えるタイプだ。オフィスのメンバーだけでなく、売り場に行って販売員とも話すし、店頭のマネジャーとも毎日電話などで話している。

WWD:具体的に、社員とはどのようなやり取りをしているのか。

新井:卑弥呼は1973年の操業。歴史があるので、デザインにしろカタログの作り方にしろ、積み上げてきた成功体験や習慣がたくさんある。ただ、それが今の時代に合ってないと感じる場合も多い。「これは今お客さまが求めていることなのか」「業務として当たり前に行われているが、本当に必要なことなのか」と疑問に思うことについては、私自身が卑弥呼を理解するためにも遠慮せずに毎日のように社員に聞いている。もちろん、そこで明確な答えが返ってくるならそれで問題ない。外部から来た私だからこそ気付ける部分もあると思うし、方向性を示すのが私の役目だ。

キャリアアップを恐れず「やってみたらできる」

WWD:ファッション業界はまだまだ女性トップが少ない。

新井:私自身、ここまで上の立場になるとは思ってもいなかったし、自分は社長の器ではないと思っていた。でも、やってみると楽しいことがあって、自分が成長している実感もある。(役職の打診を受けて)もし挑戦するか迷っているなら、やってみたら自分が思っているよりもできるという人は多いと思う。これまでも経験上、女性は(役職などを提示すると)「私なんて無理です」と断るケースが非常に多かったが、実際やってみたらできたというケースがほとんどだ。

WWD:私生活では母親でもある。

新井:ダブルエー社員の中で育休取得者第2号だったと記憶している。ありがたいことに保育園もすんなり決まり、出産後あまり間を置かずに職場に復帰した。働くことを優先したわけだが、これは夫や両親など家族の協力があってこそ。なぜ私が働くのか、働きたいのかを家族にしっかり伝えた。私生活においても、大切なのはやはりみんなの意見を調整していくことだと思う。

WWD:会社と自身の10年後の理想像は。

新井:女性が活躍する時代なので、足元から女性を後押しする会社でありたい。私自身は自信の持てる経営者になれるように、日々実績を積んでいきたい。

WWD:ファッションやビューティの世界で働こうと思っている若い世代に、自身の経験からメッセージを。

新井:私が学生時代に下北沢で「オリエンタルトラフィック」1号店に出合ったときは、「この価格でこういった商品を出す業態は他にない」「絶対伸びる」と感じた。それでアルバイトを始めて今がある。自分がいいと思う業態やブランド、会社で、世の中にまだその価値が伝わっていないと感じるものがあれば、規模を問わず飛び込んでみるのがいいと思う。

【推薦理由】
ダブルエーの成長を支えてきた人なのに、「これをやった」「あれもやった」と実績をひけらかすことがない。「チームワークの成果であって、自分1人の力ではない」という考えだ。ただし、単に控えめというのではなく、心の中に非常に熱いものを持っている。「販売員時代から昨日よりも売りたい、日々前進したいと思ってやってきた」という言葉にそれが表れている。コミュニケーションを大切にし、対話の中で問題点を見付けていくしなやかで柔軟なリーダーだ。硬く尖っている人よりも、こういう人の方が実は強いんじゃないかと思う。

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ギンザ シックスに国内初の「アクア ディ パルマ」旗艦店、「ゲラン」新コンセプトがオープン

 ギンザ シックス(GINZA SIX)は2017年にオープン以来初の大型リニューアルを行い、地下1階のビューティフロアも新テナントが続々とオープンしている。中でもフレグランスブランド「アクア ディ パルマ(ACQUA DI PARMA)」は国内初の旗艦店を、「ゲラン(GUERLAIN)」は世界2店舗目となる新コンセプトストアを4月12日にオープンした。

 イタリア発ラグジュアリーライフスタイルブランド「アクア ディ パルマ」の旗艦店はミラノ、ローマ、パリ、マイアミ、ドバイ、上海、南京、杭州、広州、重慶に次ぐ旗艦店で、日本最大級の品ぞろえを特徴とする。店内はヴェネツィアンマーブル調の漆喰やヴェネツィアンガラスなどイタリアを代表する素材を用い、明るく親しみやすい空間にこだわった。また目玉はデジタル技術を駆使した“フレグランスファインダー”だ。香りや趣向に関する一連の質問を通して、自分にぴったりなフレグランスをデジタルで導く。そのほか“ブラック キューブキャンドル”(1kgサイズ)や人気の香り“マグノリア ノービレ”のヘアミストコフレ、“イタリアンモーメント”シリーズのキャンドル(全7種)など、同店限定品も多数用意すし、フレグランスのボックスの刻印サービスも提供する。

 「ゲラン」の「ラ ブティック ゲラン GINZA SIX」はブランドが掲げる「ビーコンセプト(Bee Concept)」をテーマにした店舗で、世界で大阪の阪急うめだ本店に次ぐ2店舗目だ。これまで黒を貴重にした店舗が多かったのに対し、新コンセプトの店舗はゴールドを多用した明るいデザインだ。また天然素材や環境に配慮した素材をを用い、ブランドの「美、クリエイティビティ、サステナビリティ」へのコミットメントを表現している。同店はメイクアップ、スキンケア、フレグランスのフルラインアップに加え、日本では2店舗となるキャビンも併設し(1号店は帝国ホテル店)、個室でフェイシャルトリートメントを体験できる。またフレグランスは150種類以上扱い、ボトルのカスタマイズサービスを提供する。ボトル本体の色だけでなくリボンの色までカスタマイズでき、ラベルへの刻印も可能だ。桜と富士山をあしらったラベルも同店限定で用意する。さらにフレグランススペシャリストも常駐し、マンツーマンのカウンセリングを通じて一人一人にぴったりの香りを提案する。

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「グッチ」の親会社、イタリアに新たな物流拠点 年間最大8000万個を出荷

 「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを擁するケリング(KERING)は、伊ピエモンテ州トレカーテに新たな物流拠点を設立した。

 トレカーテはミラノから車で1時間程度、ミラノ・マルペンサ国際空港からも20kmほどの距離にある。2019年4月に着工した同施設はおよそ16万2000平方メートルの広さで、ラグビー場にして20面ほど。第1期分はすでに竣工しており、20年3月から稼働している。第2期分は21年4〜6月(第2四半期)に稼働する予定。現在は約250人の従業員が働いており、22年末にはこれを1000人程度まで拡大する。運営は長年の物流パートナーであるXPOロジスティクス(XPO LOGISTICS)が行う。

 ケリングのジャン・フランソワ・パルー(Jean-Francois Palus)=副最高経営責任者は、「ラグジュアリー業界においてもECの売り上げは伸び続けており、より迅速な配送サービスが求められている。現在および将来的な業務要件を見据えて、アジア、アメリカ、欧州における当社の物流網を一から見直して再構築し、完全なオムニチャネル化に向けて改革を進めている」と語った。同氏はこの施設の建設費用などは明らかにしなかったものの、「イタリアへの投資額としてはこれまでで最大」だと述べた。

 同社の物流拠点の基幹となるこの施設は20の倉庫を備えており、取り扱い可能な出荷量は年間最大8000万個、保管量は最大2000万個。世界中の店舗や倉庫からの注文に応じて80カ国以上に出荷でき、ECの注文は3時間以内に処理される。これによってリードタイムを50%短縮できるほか、アイテムごとの配送コストは25%削減されるという。

 最新鋭の設備があるこの施設は環境にも配慮されており、欧州で最大級の屋上太陽光発電システムを導入する。建物完成時には合計12.7MWp(メガワット・ピーク)の太陽光パネルが設置され、二酸化炭素排出量を年間7500トン削減できるという。同施設はイタリアで初めて生産エネルギーが消費エネルギーを上回る複合工業施設であり、余剰電力は配電網を通じて同国内にあるケリングのオフィスや傘下ブランドの店舗に供給される。

 また同施設は、建物や都市に関する環境性能評価システムLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)のプラチナ認証を取得する予定であり、それに加えて建物利用者の健康面に配慮した室内環境評価システムWELL(WELL Building Standard)のゴールド認証を目指している。

 ケリングは米国における物流拠点をニュージャージー州に移設したほか、中東の拠点をドバイに建設した。アジア地域の拠点は現在計画中だが、シンガポールが有力な候補地として挙げられているという。

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高島屋21年2月期は339億円の最終赤字 再生への3カ年計画は「衣料品に重点投資」

 高島屋の2021年2月期連結業績は、売上高に相当する営業収益が前年同期比25.9%減の6808億円、営業損益が134億円の赤字(前期は255億円の黒字)、純損益が339億円の赤字(同160億円の黒字)だった。

 主力の百貨店事業の営業収益は前期比27.3%減の5704億円、営業損益は213億円の赤字(前年同期は69億円の黒字)だった。新型コロナウイルスの影響で、国内では20年4〜5月にかけて「緊急事態宣言」により店舗が休業し、以後も販売は低調に推移。渡航制限による免税売上高のダメージ(前期比91.3%減)も響いた。海外事業でもASEAN諸国や中国の店舗が打撃を受けた。上海高島屋は1〜3月に営業時間を短縮。ホーチミン高島屋は3〜4月、サイアム高島屋は3〜5月、シンガポール高島屋は4〜6月に臨時休業した。店舗休業関連損失を特別損失103億円として計上したため、最終赤字が拡大した。

 これを受けて24年2月期を最終年度とする3ヵ年計画を発表した。同期末に営業収益8500億円、営業利益は300億円を目指す。3年間での投資金額は計1400億円。中核事業である国内百貨店の持続的成長のため、特に大型店の再生に注力する。中でも客離れが進む衣料品カテゴリーの再構築は重要テーマだ。同社の衣料品・雑貨のカテゴリーは、約1割の取引先企業の売り上げで、全体のボリュームの6割を占める構造になっている。「今後はこれら大手アパレルとの取り引きを中心に見直しを進め、商品開発や販促などでもより密接に協業していく」。

 また、「スタイル&エディット(STYLE &EDIT)」などの自主編集フロアを中心に、デジタルを活用した体験型の販売手法やエイジレス、ボーダーレスといった新たな価値観の提案、新規デザイナーの開拓などで魅力の創出を目指す。並行して、人件費を中心としたコスト構造改革を進め、24年2月期末までに216億円の販管費削減を目指す。

 22年2月期連結業績は、営業収益8120億円、営業利益130億円、純利益100億円を予想する。営業収益はコロナ禍以前の水準には満たないものの、コスト削減効果(78億円分)で黒字転換を目指す。

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「ナチュラグラッセ」と「センスオブプレイス」がコラボ 環境に配慮したTシャツやスカートなど

 ネイチャーズウェイが展開するナチュラルメイクアップブランド「ナチュラグラッセ(NATURAGLACE)」は4月23日、アーバンリサーチが手掛ける「センスオブプレイスバイアーバンリサーチ(SENSE OF PLACE BY URBAN RESEARCH、以下センスオブプレイス)」とコラボレーションしたアイテムを発売する。環境に配慮した素材を採用したポンチョ、ベスト、スカート、Tシャツの4型をそろえ、価格帯は税込3190~6490円。センスオブプレイス全店とアーバンリサーチのオンラインストアで取り扱う。

 今回のコラボは両社とも環境に配慮した取り組みを行っており、その一環として環境負荷の低減に貢献すべく実現した。コラボアイテムは、環境配慮の観点からオーガニックコットンやリサイクルポリエステル、エコレザーを採用。「ナチュラグラッセ」の2021年春夏のテーマ“エモーショナル サンセット”からインスパイアされた、ナチュラルでくすみ感のある色合いのデザインをそろえる。

 オーガニックコットンを使用した“ナチュラグラッセポンチョトップ”(全3色、税込各4290円)は、マルチに使える“ナチュラグラッセ タッチオンカラーズ”からインスピレーションを得たラベンダーとアイボリー、パッケージカラーのグレージュを用意。

 リサイクルポリエステルを使用した“ナチュラグラッセスカシアミベスト”(全3色、税込各4290円)とエコレザーを使用した“ナチュラグラッセエコレザースカート”(全3色、税込各6490円)は、“ナチュラグラッセ アイパレット”で展開するナチュラルベージュ、サンセットマゼンタ、サンセットゴールドをイメージしたカラーをそれぞれそろえる。

 オーガニックコットンを使用した“ナチュラグラッセプリント T”(全2色、税込各3190円)は、“エモーショナル サンセット”をイメージしたプリントを施した。

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高級時計「オーデマ ピゲ」がアメコミのマーベルと提携 第一弾の“ブラックパンサー”を販売

 “3大時計ブランド”と称されるスイスの高級時計「オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)」はこのほど、マーベル・エンターテインメント(Marvel Entertainment)との長期的な提携を発表した。第一弾として、“ロイヤル オークコンセプト ブラックパンサー フライング トゥールビヨン”を250本限定で販売している。日本での展開は4月11日からで、価格は約1900万円(為替によって変動)。

 両社の提携は、フランソワ・アンリ・ベナミアス(Francois Henry Bennahmias)=オーデマ ピゲ最高経営責任者(CEO)と、「アイアンマン」などに“ウォーマシン”役で出演するハリウッド俳優のドン・チードル(Don Cheadle)の友情が発端だった。ベナミアスCEOは、「マーベルとの提携を思い付いたのはもう15年も前のことだが、2017年に長年の友人であるドンに話したところ、『それなら、すぐに実現しよう!』とその場でマーベルに電話をかけてくれた」と振り返る。

 “ロイヤル オークコンセプト ブラックパンサー フライング トゥールビヨン”は、作品中に登場する架空の超金属“ヴィブラニウム”に着想を得たチタンとセラミックの組み合わせからなり、ひと際目を引くホワイトゴールド製の立体的なブラックパンサーは手作業で掘り込み、ハンドペイント。4人のエングレービング技師と4人のペイント技師により、30時間をかけて仕上げられたものだという。その後ろに見えるチタン製の文字盤に表現された幾何学模様は、ブラックパンサーが着用する“ヴィブラニウム”製のボディーアーマーをイメージしたもので、インナーベゼルやラバーストラップに用いたパープルはその“ヴィブラニウム”が生み出すパワーを表現する。

 両社のタッグにより今後は、キャプテン・アメリカやアイアンマン、ハルクなどをモチーフにしたモデルの発表も期待される。

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「ジンズ」最大施設が創業地・群馬県前橋にオープン 初のベーカリーカフェもお目見え

 眼鏡企業ジンズ(JINS)は、創業地である群⾺県前橋市に新施設「ジンズ パーク(JINS PARK)」を4⽉29 ⽇にオープンする。

 敷地面積は「ジンズ」の施設最大となる1720平方メートで、施設名の通り、公園のように“みんなの場所”という思いを込めた。設計は、建築家の永⼭祐⼦。誰もが⾃由に使⽤できる屋外広場や、 エントランス中央の⼤階段や屋上テラスなど広々とした空間を複数設けることで地域との交流、共⽣を図る。

 さらに大きな特徴は、眼鏡ブランド「ジンズ」の販売はもちろん、飲⾷事業として新たに展開するベーカリーカフェ「エブリパン」を併設したことだ。“みんなが愛する味を、いつも出来⽴て、作り⽴てでお届けしたい”という思いをブランド名に込めた。メニューは 群⾺県産の⼩⻨や地元の新鮮な素材にこだわった総菜パンを中⼼に、定番の焼きたてパン「いつものパン」や、オーダーが⼊ってから調理を開始する「とくべつパン」など約60種類ある。価格は湯種食パン900円、パンドミ280円、かつパン960円、つなレモンサラダ630円など。なお、飲食事業の今後の展開は未定。

 田中仁ジンズCEOは2014年に個人で財団を設立し、地元の若い人材育成や老舗の白井屋旅館の再生プロジェクトに携わるなど、地域の活性化事業に積極的に取り組んでいる。「良い眼鏡とは、未来の景色を変えるものでないといけない。社内でも、社員1人1人が社会や地域のために何ができるかを考えている。今後は、サステナブルアクションを成長の力としたい」と話し、社内にサステナブル委員会を設置した。「ジンズ」の立ち上げ20周年で、故郷に錦を飾った。

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「ザ・コンランショップ」が伊勢丹新宿本店に返り咲いた理由 両社に聞くその背景

 インテリアのセレクトショップ「ザ・コンランショップ(THE CONRAN SHOP以下、コンランショップ)」が3月31日、伊勢丹新宿本店5階にオープンした。オープン直後の週末に足を運んでみたが、売り場は多くの人々で賑わいレジに列ができるほどだった。家具を選ぶ夫婦から子ども連れ、デザインに興味がありそうな若いカップルや、テーブルリネンを選ぶ女性までさまざま。私の友人も、「軽量でPC入れる仕事用バッグに便利」と「コンランショップ」オリジナルのトートを購入した。「コンランショップ」は2016年にも同フロアに出店していたが、1年経たずに閉店。再出店に至った経緯について、両社の担当者に話を聞いた

 インテリア担当の私は、伊勢丹新宿本店に行くと必ず5階のリビングフロアに行くのだが、その下のファッションフロアでのショッピングがお目当ての人が多いだろう。ところが、新型コロナウイルス感染拡大による“おうち時間”の増加により、以前は5階まで上がってこなかった新客が増えているようだ。

“生活に彩り”需要をオン・オフで取り込む

 伊勢丹新宿本店の5階リビングフロアを担当する三越伊勢丹 新宿ライフデザイン営業部の原宏史氏は、「“おうち時間”用の買い足し需要が見られたが、約1年の自粛が続いているため、今でも継続的にその需要は見られる」と話す。「コンランショップ」再出店に関しては、「『生活に新しい彩りを取り入れたい』『もっと便利に買い物がしたい』という声を反映したのが新『コンランショップ』だ」と言う。
 新「コンランショップ」は5階リビングフロアの中心にあり、花器やフォトフレーム、クッションなど雑貨が中心だった以前の店舗の約5倍の広さ。新店舗では、代表的な名作家具から、テーブルウエア、雑貨、オリジナルグッズまで約100ブランドから1000点以上もの商品をそろえる。しかも、三越伊勢丹のECや三越伊勢丹リモートショッピングアプリ(以下、リモートアプリ)を利用してのショッピングも可能だ。三越伊勢丹が持つこれらECやリモートアプリによるシームレスなサービスに関してもシナジーが期待できると両社の意向により出店が決定した。ECでは、品ぞろえを店舗以上に充実させ、店舗のないエリアの日本全国の消費者一人一人のニーズに合うショッピング体験を提供する。

新型コロナによる“おうち時間”増加で変わる消費

 ザ・コンランショップ ジャパンの塩原道マーケティング兼VMDマネージャーは、「コロナ禍で激変する新しい価値観に寄り添った暮らしのスタイルを提案する場として出店した。時代に沿った『コンランショップ』らしいモダンでインスピレーションに溢れたスタイリングを通して、優れたデザインに囲まれた豊かな暮らしや快適なリモートワークなどを提案したい」とコメントしている。暮らしが変われば、消費も変わる。冬が長く自宅で過ごす時間が長い北欧の人々が、快適な家作りに重きを置くように、新型コロナ感染拡大により世界中の人々が自宅の暮らしを見直すことにより、新たな需要が生まれ、それがインテリア業界好調につながっている。また、今まで以上に消費者の利便性が重要視される時代で、オン・オフのシームレスなショッピング体験の提供が鍵となるだろう。

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ビューティーエクスペリエンスがb-exへ6年で2度目の社名変更 佐藤可士和と語るCIの進化

 ヘアサロン専売品などを取り扱うヘアケアメーカーのビューティーエクスペリエンスは3月29日、社名をb-ex(ビーエックス)に変更した。同社は2015年、社名をモルトベーネからビューティーエクスペリエンスに改称。今回は、以降社内外に定着したビューティーエクスペリエンスの略称を社名に変更することで、CI(コーポレート・アイデンティティ)をアップデート。b-exのスピード感を物語るブランディング・プロジェクトとなった。福井敏浩・社長と共に15年以来同社のブランディングを手掛けるのは、佐藤可士和クリエイティブディレクターだ。

 前回は、「新しい美の体験をデザインする」をスローガンにビューティーエクスペリエンスへの改称に至っている。佐藤クリエイティブディレクターは、「さまざまなブランディングを手がけてきたが、普通は社名があって、ミッションやビジョン、スローガンがあって、それらを体現した製品が存在する。しかしビューティーエクスペリエンスは、コンセプトがそのまま社名。スピード感を持ってコミュニケーションできる新しいやり方だった」と振り返る。福井社長も「ミッションがそのまま社名なので、一貫性のあるビジョンを効率的に伝えやすくなった」という。

 ではなぜ、好評だったビューティーエクスペリエンスという社名を、さらにb-exに変えたのだろう?福井社長は、「『社名が長い』や『言いづらい』とのお声があった。一方社内ではb-exが浸透していたので、略称を社名にすれば、コミュニケーションのスピードがさらに上がるのでは?」と考えたという。それに対して佐藤クリエイティブディレクターは、「今回の改称は、時代に合わせて、社名をアイコン化したイメージ。b-exは社内やステークホルダーに浸透しているので、記号的にしてコミュニケーションの速度を高めるのは新しい戦略。社名変更によりCIをアップデートするのは初めてで、ワクワクした」という。

 今後は、引き続きデジタルに注力しながら、B to BとB to B to Cのビジネスに加えてB to Cのビジネスに挑む予定だ。佐藤クリエイティブディレクターは、「今回の件も含め、進化のスピードが本当に早い。6年前、最初にうかがった時とは全く別の会社になっているくらい。b-exには、常に倍速のようなスピード感で進化して欲しい」とエールを送る。福井社長は、「社会的課題に取り組みたい。SDGs、特に環境問題を解決するプロジェクトをご一緒できたら」と佐藤クリエイティブディレクターへラブコールを送った。


問い合わせ先
b-ex
03-6757-7767

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資生堂が歓送迎会シーズンに“手守り習慣”訴求で医療従事者に感謝を届ける

 歓送迎会シーズンを迎え、危惧されていた新型コロナウイルスの感染拡大が現実となった。その中で資生堂は「正しい手指の消毒による感染予防」と「手洗いや消毒による手荒れを防ぐハンドケア」を実施する“手守り習慣”の大切さを伝える「資生堂 Hand in Hand Project」を4月30日まで実施中だ。3月中旬からは人気動画クリエーターのKemioを起用し、新型コロナウイルス感染経験者と医療従事者と言葉を交わすインタビュー動画「資生堂 Hand in Hand CALL」をユーチューブやテレビCMで放映し、関心を集めている。

“手守り習慣”の第2フェーズ

 「資生堂 Hand in Hand CALL」はKemioが電話インタビューで新型コロナウイルス感染経験者から感染経路や症状だけでなく、隔離期間に感じたことや不安だったことなどを聞く様子を映し出す。医療従事者にも話を聞いて、医療現場で感じていることや感染予防の大切さを伝える。Kemioを起用した理由について、「卒業・入学など人生の節目を迎える期間は外出が多くなるので、若い層に“手守り習慣”の重要性を知ってほしかった」と石川由紀子資生堂ジャパンチーフマーケティングオフィサーは語る。Kemioも「自粛生活が1年以上も続いている中で、自粛疲れもあって日々の手洗い・うがいをおこたってしまうというか、このくらいで大丈夫なんじゃないかと思ってしまっていた。“手守り習慣”というのを今一度考えて取り組んでいけば、少しずつ前の生活に戻っていくのではないか」とコメントする。
 手指の消毒は日常化しているものの、この時期を“手守り習慣”の第2フェーズととらえ、昨年末からプロジェクトを実現するためのチーム作りが始まり、1カ月弱で小売店にも協力を得た大きな取り組みを実らせた。

プロジェクトのきっかけは魚谷社長のメール

 同プロジェクトのきっかけは、魚谷雅彦資生堂社長兼最高経営責任者(CEO)のメールだった。同社は昨年6月から消毒液を生産し医療施設や特定の地域に販売していたが、12月には全国で販売できるほどの供給体制を構築。そこで魚谷社長兼CEOから「消毒液で利益を得るのではなく、社会に役立つこと、利益を医療従事者に還元できないか」と投げかけがあったという。石川チーフマーケティングオフィサーが手を挙げ1月6日にキックオフした。営業、マーケティング、PR、リスクマネージメント、ファイナンスなど各部門からメンバーが集結。「一つのプロジェクトにこれだけのメンバーが集まるのは稀なケース。短期間でパフォーマンスを発揮するには必要な人材が集まった」(石川チーフマーケティングオフィサー)。それぞれが通常の業務と並行して週2回(通常の新規プロジェクトは週1回ペース)の定例会議を実施。メンバーは各部門の要職者だったこともあり、迅速かつ完成度高く物事が進み、2月1日に「資生堂 Hand in Hand Project」にスタートし、公式サイトもオープンした。

協力の和が広がり展開店舗は600から1500店舗に拡大

 医療従事者への感謝と敬意を届ける意味も持つ「資生堂 Hand in Hand Project」の対象商品は「S 手指消毒用エタノール液(指定医薬部外品)」や「資生堂 ハンドクリーム N」など全21アイテム。これら商品の利益を医療現場に寄付するものだが、プロジェクトの認知拡大と商品を販売するには小売店の協力が欠かせなかった。「通常半年かけて商談を行うが営業担当が奮闘し2週間で600店が参画してくれた」。その後もプロジェクトに共鳴する小売店が増え、現在では1500店舗まで拡大する。「今回のプロジェクトは社内横断、容器などのサプライヤー、小売店、お客さまがハンドインハンドで協力して成立したもの。その思いを医療現場に届けたい」。また、「不透明な時代にスピード感をもって行動することが重要。自主的に部署を横断し自主的に動き完成するプロジェクトは今後増えていくだろう」と述べた。

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ジャパンメード116年の粋を極めた4シリーズに注目 日本眼鏡のレジェンド「マスナガ」の進化

 日本の眼鏡産業の祖、増永眼鏡の強みは、創業から116年の歴史で培った技術力と普遍的なデザイン性だ。伝統とモダンを融合した独自のモノ作りをさらに進化させた今春の新作が、注目を集めている。

 主力のシリーズは4つ。デザイナーの故高田賢三氏をディレクターに迎えて8年前にスタートした「マスナガ デザインド バイ ケンゾータカダ(MASUNAGA DESIGNED BY KENZO TAKADA)」は、同社の今のクリエイションを象徴するコレクションだ。高田氏は眼鏡デザインに意欲的で、春の新作は生前に残した豊富なアイデアを増永眼鏡のデザインチームが商品化したもの。高田氏が常にこだわっていたのは、ラグジュアリーな眼鏡の表現と日本の伝統文化に対するオマージュ。パントシェイプとクラウンシェイプを合わせた新作のオールメタルフレームは、ダブルフロントリムによって空間を作ることで、日本的な“間”の美学を表現したデザインがポイントだ。

 創業年を冠した「マスナガ シンス 1905 (MASUNAGA SINCE 1905)」は、ニューヨークの代表的な建物の1つであるフラットアイアン・ビルディングからインスピレーションを得たデザイン。全てのパーツを異なるチタン素材で構成した繊細な色のコントラストと、スライド式のヨロイ(フレームとテンプルがつながる部分)にリムロックがドッキングされた新しい機構が特徴だ。

 1933年、昭和天皇が福井県を訪問した記念に献上された3本のラウンドフレームをルーツとする「ジーエムエス(G.M.S.)シリーズ」は、フロントの生地の厚みを計算しながら幅を細く設計することにより、強度を保ちつつ軽量でソフトな掛け心地を実現した。デザインと機能性のバランスが計算された仕上がりだ。

 70年に開催された大阪万博の松下館の企画で使用された“カスタム72”の後継モデルとして誕生した「光輝(KOKI)シリーズ」の新作は、クラシックとモダンを独自の解釈で融合したビッグスクエアのサングラスが代表的だ。熟練の眼鏡職人が丹念に磨き上げて繊細なシルエットを描き出したフロントは、黒の存在感が際立つ。

 増永眼鏡はスイス、アメリカ、マレーシア、香港にオフィスを構え、世界最大級の国際眼鏡展ミド(MIDO)に長年参加して、販売先は世界30カ国以上。売り上げは、海外が国内を上回っている。進化するジャパンメードのクリエイションは、グローバルに評価を高めている。

問い合わせ先
増永眼鏡
03-3403-1918

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コーセーの「ファシオ」が全面刷新 全アイテムを一挙公開

 コーセーは5月16日、メイクアップブランド「ファシオ(FASIO)」をリブランディングする。従来の“落ちない”機能性はそのままに、“なじむ、らしさ、つづく。”をコンセプトに掲げ、ロゴやパッケージ、処方など一新する。

 「ファシオ」は10~20代をターゲットに、スポーツシーン対応の機能性とファッション性を兼ね備えたブランドとして2000年に誕生。14年に初めてリブランディングを行い、“スマートカジュアル”を掲げ、機能的で日常に使いやすいカジュアルなメイクアップブランドとして幅広い年代の女性に訴求してきた。過去には、イメージキャラクターに桐谷美玲や元E-girlsの藤井萩花と藤井夏恋の姉妹を起用した。

 これまで、“キレイ、ずっと、落ちない。”をコンセプトとし、持続力の高い新素材と快適なデザインを採用した高機能コスメとしてアピールしてきたが、「近年、無理せずに続けられるものを選びたいマインドが主流になってきている」(ブランド担当者)ことから、リブランディングに着手した。

 新「ファシオ」は、肌の負担感が少なく、時間がたっても馴染む処方を採用。軽い付け心地と密着性の高さを両立し、肌から浮きにくい色設計のフェザーフィット成分と、オリーブ果実油やホホバ種子油など5種のオーガニック植物抽出成分を配合する。ロゴは、スマートフォンなどの小さい画面でも読みやすいように設計。過去のロゴに太さを加え、「ヘルシーでチャーミング」なブランドの世界観を表現する。パッケージ容器は、持ちやすさや握りやすさを追求したデザインを施した。

 主力のマスカラは、ウォータープルーフタイプとお湯オフタイプをそろえ、マスカラ下地やまつげ美容液、リムーバーなど8種をラインアップする。また、ブランド初となる、マルチカラーの“マルチフェイス スティック ”(全10色、税込各990円、編集部調べ)やコンシーラーパレット“エアリーステイ コンシーラ”(全3種、税込各1100円、同)、アイブロウパレット“アイブロウ ベース & パウダー”(全2種、税込各1430円、同)、“グラデーション アイカラー”(全5色、税込各1045円、同)、“ティント リップ UV”(SPF12、全3色、税込各990円、同)が新しく仲間入りする。そのほか、肌なじみがよく薄膜で均一性をもたせたファンデーション“エアリーステイリキッド”(全3色、税込各1760円、同)、スキンケアのような化粧下地“エアリーステイ オイルブロッカー”(30g、税込1100円、同)などを取り扱う。

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アシックスに初の女性チーム マネジャーが語る活躍の場

 アシックスは今年3月にデビューしたオリジナルブランド「ウノハ(UNOHA)」の立ち上げに伴い、20〜30代の女性社員を中心に構成するプロジェクトチーム「ウィメンズ クリエイティブ スタジオ(以下、WSJ)」を19年に発足させた。同社は23年までにグローバル全体で女性の管理職比率を約3割まで引き上げることを目指し、女性社員が積極的なキャリアビジョンを描くためのサポートなどを行う。同社にとって初の試みとなった同プロジェクトを率いる三浦亜友マネジャーに話を聞いた。

WWD:これまでのキャリアは?

三浦亜友アシックス「ウィメンズ クリエイティブ スタジオ」マネジャー(以下、三浦):もともとスポーツが好きで大学卒業後はアシックスに入社し、10年間スポーツ工学研究所で研究員として働いていました。走る動作を研究して必要な機能を製品に反映したり、生地やスパイクの研究をしたりしていました。

WWD:まさに女性がマイノリティーの分野な気がするが、キャリアを進める上で障壁を感じることはあった?

三浦:そうですね。入社当時は男性ばかりの職場でしたが、年々女性の割合も増えています。研究員時代にも積極的に自分の意見を発信したり、社内のリーダー研修などにも参加していたりしたことが、今回「WSJ」のマネジャーに抜擢された要因になったのだと思います。もちろん、重い実験器具を運べないなど体力的なハンデはありましたが、自分のできることとできないことを明確にして、コミュニケーションを取ることで肩肘張らずにさまざまなことに挑戦できています。特にアシックスは数年前からフルフレックス制を採用し、個人の裁量で時間の管理ができるのでライフプランとキャリアプランの両立に難しさを感じませんでした。

WWD:現在の女性管理職の割合は?

三浦:2020年3月末時点で、アシックスヘッドクオーターの女性管理職比率は約11%です。23年にグローバル全体でこの比率を35%まで引き上げることを目指しています。私の同期でも管理職が出始めている状況で、数値の達成は難しくないと感じています。

WWD:「ダイバーシティ&インクルージョン」の具体的な取り組みは?

三浦:ダイバーシティへの理解を浸透するための社内研修などが行われています。「WSJ」もその一環ですが、これまでスポーツの分野で注目されてこなかった多様な視点を学ぶことで、時代に沿ったモノ作りにつなげられると思います。

WWD:女性をはじめ、もっと幅広い層にスポーツを楽しんでもらうためには何が必要?

三浦:女性が社会で活躍する土壌は大前提です。あとは、スポーツの捉え方を広げていく努力が必要です。健康のためのスポーツ、自分が心地よく生活するためのスポーツなど、競うだけではないスポーツのあり方を「ウノハ」を通して伝えていきたいです。私たちのチームメンバーは「ウノハ」のターゲット世代を中心に構成しています。メンバーの共感から生まれるモノ作りが強みですが、共感ばかりでは視野が狭くなることも。そのバランスを取ることが私の役目だと思っています。どんな時でも広い視野を持ち、チームを引っ張っていきたいです。

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「テイクアウトは狙わない」。サイゼリヤの新・小型店は、「我が道を行く」が満載だった

 サイゼリヤが今後の成長戦略の一つに掲げる小型店の1号店を出店した。店舗面積を従来の4割にした店だ。初期投資や賃料を抑えた上で、小さな物件でも成り立つモデルを確立する。この店、サイゼリヤらしい新しい工夫にあふれていた。
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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド 急ピッチで広がるメンタルウエルネス

Entering the New Chapter for Mental Wellness

 ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載も第18回。“You’d Better Be Handsome”では、セレブ情報に敏感なレイチェル(Rachel)も加わって、ニューヨークのトレンドや新常識について毎回トーク。今回は、現在1210億ドル(約13兆2000億円)と言われているメンタルウエルネス市場について。コロナの影響でロックダウンが始まった昨年春から1年間の間に、アメリカでは6人に1人が新たにセラピー(心理カウンセリング)を始めたという統計も。90%以上の人々が、1つまたは2つ以上のうつ系の症状を持っていると言われている。

メイ:暗くて長〜い冬もようやく終わりそうな気配。この冬は特に長かったような。

スティービー:この1年間ずっと冬みたいなものだったから。冬ごもりする熊みたいな気分だったよ(笑)。

レイチェル:ニューヨークでは3月30日から新型コロナウィルスのワクチンを受けられる年齢制限が30歳まで下がったし、少し光が見え始めてきたかも。4月6日からは16歳以上は誰でも受けられるようになったし。

メイ:落ち込む暇もないくらい仕事が忙しかったのはありがたかったけど、友人と食事に行ったり旅行に行ったり、以前のような息抜きがうまくできなくなった。ときには「これってうつ?」という気分にもなったり。

スティービー:そういう人は多いんじゃないかな。やる気が出ないというか、体に力が入らないバーンアウトみたいな日も結構あった。以前だったら「次の旅行」とか「次の出張」を一つのゴールにして生活の張りを維持できていたんだけど。

レイチェル:うつや精神が不安定になっている人は周りでも増えているし、そういった心の問題について前よりもオープンにするようになってきたように感じる。このようなご時勢だし、メンタルが弱っても仕方ないというか、それを受け入れるムードが広がっているのかも。

メイ:雑誌や新聞でもメンタルイルネス(Mental Illness、精神疾患)とどう向き合うかだったり、メンタルウエルネスに効果的なグッズを紹介するような記事が目につく。また家にいる時間が長くなると嫌でも自分と向き合う時間も増える。

スティービー:これまで以上に、自分のメンタルウエルネスを維持し向上させることを意識している人が増えているよね。気をつけないと、知らぬ間に精神的に不安定になることもあり得る。普段から食事や運動に気を使って、大きな病気にならないように努力するのと一緒。強度のストレスや落ち込みから自分をうまく解放していかないと、心の健康はもちろん、体の健康にまで影響が出てくるってことだね。

リモートの進化で手軽に始められるセラピー

スティービー: 気が滅入ったからといって、突然セラピーに行くのはハードルが高い。そこに目をつけたシリコンバレー系のテックカンパニーが次々とメンタルヘルスビジネスに乗り出してきている。

メイ: 仕事から授業まで、この1年ですべてがリモート化されて、同時に前からあったはずのメンタルウエルネスアプリも一気に認知が高まった。

レイチェル:2020年はリモートが浸透してさまざまな事業やサービスのアプリ化が進んだ。「何もかもアプリってどうかな?」と思っていた分野でさえ、実際にアプリを使ってみると便利かも!とみんなが気づいたよね。これまでセラピーは前もってアポを入れて一対一で向き合うものが主流。アプリだと家から出なくていいしとても楽!前からメディテーションのアプリは充実していたけど、最近は心理学に基づいて症状を判断してくれ、そのときの気分はもちろん、睡眠、投薬、運動などを記録していけるようなアプリ「ムードフィット(MOODFIT)」なども人気みたい。

メイ:「ヘッドスペース(HEADSPACE)」 や「カーム(CALM)」などの瞑想アプリはテレビ広告まで打ち出し、ニーズが高いのだと感心した。私も何度かダウンロードしかけたけど、「瞑想するのにアプリって本当に必要?」ってやめてしまった。でも、シリコンバレーの人たちはみんな使ってそうな印象。

スティービー:「トークスペース(TALKSPACE)」はセラピストと直接やりとりができるという進化型アプリ。サブスクリプション型になっていて、会員になるとライブセッションに参加したり、テキストや動画、音声メッセージをいつでもセラピストに送信できるシステム。一対一のセッションは65ドル(約7000円)という設定で、いわゆる対面セラピーに比べるとかなりお得。

レイチェル:似たようなシステムだけど、 「ベターヘルプ(BETTER HELP)」も話題。1万人を超えるセラピストが登録していて、みんな資格はもちろん、最低3年・2000時間の実績が条件になっている。サービスの頻度などによって価格は変わるけど、週に35〜80ドル(約3800円~8700円)くらい。ニューヨークで実際に精神科医に診てもらうと1回200〜300ドル(2万1800〜3万2700円)はするだろうし。

スティービー:ミレニアル世代はネットやアプリでセラピストを探す人が多いから、こういったアプリは今後もっとニーズが高まるはず。にしても、この1年で新たにセラピーを始めた人が6人に1人いるってアメリカはメンタルウエルネスの先進国だね。

英国王室とメンタル問題

メイ:メンタルウエルネスといえば最近の話題は英国王室に嫁いで離脱したメーガン・マークル(Meghan Markle)。彼女はテレビ界の女王オプラ・ウィンフリー(Ophra Winfrey)のインタビューで、自身が精神的に追い込まれていた時に助けを求めても王室はセラピストを用意するなどはもってのほか、精神的な問題を抱えていることは黙らされていたと告白した。

スティービー:さらに、王室の中には2人の間に生まれてくる子供の皮膚の色を懸念する人もいたということを明かした。ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter、黒人の命は大切)の時代にテレビで激白されると、王室も逃げ場がない。

メイ:英国王室は今回のことだけではなく、故ダイアナ妃のときもメンタル問題を見ないふりして責められているよね?確か。

スティービー:ダイアナ妃はチャールズ皇太子と婚約したすぐ後から過食症に悩まされていたことを、離婚した後1995年にBBCのテレビインタビューでも告白している。王室内では周知の事実だったにも関わらず、アンドリュー・モートン(Andrew Morton)の著書「ダイアナの真実」が1992年に出版されるまで、措置も取らず黙って見過ごしていた。

レイチェル:若いときに母親を亡くしたヘンリー王子も20代で精神的に病み、セラピストにかかっていると2017年に発表。そのときウィリアム王子が彼を支援してくれたらしい。実際ウィリアム王子は、セレブリティーらと共に英国のメンタルヘルスウイークをプロモーションしたり、メンタルの問題に理解があるようには見えるけど。彼らの親、そして祖父母の世代は考えが古そうだから。

メイ:だってクイーンの夫であるフィリップ 殿下は99歳だからね。

レイチェル:そのヘンリー王子は最近ハリウッドに引っ越し、ネットフリックス(NETFLIX)とスポティファイ(SPOTIFY)と契約して企業向けにライフコーチングを提供するベターアップ(BETTERUP)に参加したというニュースが。

メイ:ヒルトンとかNASAとかをクライアントに持つ、あのベターアップ?

スティービー:そう。ベターアップは年商17億ドル(約1853億円)の企業で、ヘンリー王子はスポークスマンのような役割みたいだよ。彼はプレスリリースで、「メンタルフィットネス(Mental Fitness)」と いう言葉を使っていたけど、“心の健康の重要性”の伝道師として第二の人生を歩くということかも。

レイチェル:ヘンリー王子は、メーガンとともに「アーチウェル(ARCHEWELL)」という非営利団体を去年の春に立ち上げていて、支援を必要とする人々のチャリティのサポートや、ソーシャルおよびパーソナルケア、メンタルサービスなどのコーディネートをしていくらしい。

うつ病に悩まされるセレブリティたち

スティービー:英国王室ほどではないにしろ、人目にいつもさらされるセレブリティにはメンタルの問題を抱えている人が多いのは事実。最近はみんな声を大にして自分の問題を公にしているよね。ソーシャルメディアというプラットフォームがあるからだと思うけど。

メイ:メンタルイルネスと言ってすぐ思い浮かぶのはカニエ・ウェスト(Kanye West)かな。双極性人格障害らしいけど、突然大統領選挙に出馬したり、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)ともとうとう離婚が決まってしまったしね。

レイチェル:ヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)との結婚で落ち着いて見えるジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)もうつ病の治療を受けているらしい。元ガールフレンドのセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)もキャリアは順調に見えるけど、うつ病を抱えている。セレーナが最近始めたビューティブランド「レアビューティー(RARE BEAUTY)」の売り上げ一部を、同時に立ち上げたレアインパクトファンド(RARE IMPACT FUND)に寄付し、お金がなくてもセラピーが受けられるメンタルヘルスのサポートを支援している。

メイ:歌手のエルトン・ジョン(Elton John)も「若くて有名というのは本当に大変なプレッシャーなんだ」と語っているけれど、実際に若くて有名な人の多くは心を病んでいる。

レイチェル:シンガーのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)は現在19歳だけど、18になったばかりのときにグラミー賞を一気に5つも獲得して大快挙を成し遂げた一方で、裏ではうつ病で大変だったみたい。他にもビヨンセ(Beyonce)、ケイティ・ペリー(Katy Perry)、レディー・ガガ(Lady Gaga)、そしてマライア・キャリー(Mariah Carey)もメンタルを病んだことがあると告白している。

スティービー:歌ったり踊ったりしてストレスを発散してそうだけど、やっぱり人に見られているって大変なプレッシャーだよね。最近はそれにソーシャルメディアまで加わって、24時間監視されている気分になるのかも。セレーナは自分のソーシャルメディアからしばらく離れていたらしいよ。それもメンタルウエルネスには重要な鍵かも。

メイ:意見を発信する立場にいるセレブリティがメンタルウエルネスの話をすることで、「自分もセラピーを受けてみようかな」とか、「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」、と分かるならば素晴らしい。私もとりあえず「トークスペース」と「ベターヘルプ」を使ってみようかと、今日二人と話して思ったよ。

ヘルプが必要なファッション業界

レイチェル: メンタルを病むファッションデザイナーも多いよね。

スティービー:アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)やケイト・スペード(Kate Spade)の自殺は記憶に新しい。いま振り返ると、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)が酔っ払って、人種差別的なコメントをしてディオール(DIOR)のクリエイティブ・ディレクターを降ろされたけど、彼もあのときはメンタル的にかなり衰弱していたのだと思う。マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)もアルコールと薬物で何度か通称“リハブ”と呼ばれる更生施設に行っているし。

メイ:そういえば以前はよくケイト・モス(Kate Moss)がリハブに入っただの、そういう話が多かったけど、最近あまり聞かないね。

スティービー:ファッション業界は一見華やかに見えるかもしれないけど、デザイナーの仕事量とプレッシャーは半端じゃないし、常に新しい子たちが入ってくるモデル業界もシビア。業界別にみる自殺率は、ストレスが多いと言われる法律系と医療を抜いてファッション業界が7位らしい。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)がそういう衝撃のデータを発表している。

レイチェル:オリジナル性の高いもの、クリエイティブなものを生み続けるって大変だからね。天才たちもそれを休みなくアウトプットしないといけないとなると、どこか狂ってくるのかも。

メイ:もっといろいろなサポートシステムが必要よね。最近は健康的に見えないモデルを起用しない企業があったり、コンデナスト社も18歳以下のモデルは起用しない方針を掲げているし、ここ数年で変わってきたこともある。

スティービー:高級ブランドコングロマリットのLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)やケリング(KERING)も、ビジネスではライバルであるにも関わらず、モデルの健康を守るために、共同で基準を決めて取り組んでいるね。細すぎるモデルの起用を取りやめたり、22時から6時は労働を禁止したり。これまで当たり前のことがファッション業界では無視されがちだから。

メイ:モデルもフォトグラファーのポートフォリオ作りのために無償でサービスを提供したり、デザイナーもお金が払えないから物品をあげたり。駆け出しのときは仕方がないとしても、いつまでもきちんとサービスに対するフィーを払わないケースも多々見てきたし。まだまだ改善の余地あり、よね。

受講者300万人超え、幸せになるコツを科学的に立証する授業

スティービー:ようするに「幸せってなんだろう?」みたいなことをみんな常に考えていて、以前だったら本を読んだり、映画を観たり、教会に行ったりしていたけど、最近はみんなアプリに答えを求めているのかも?

メイ:アプリだけじゃなくて、リモートで爆発的な人気を呼んだエール大学の授業、「ウエルビーイングの科学(SCIENCE OF WELLBEING)」を知っている?有名大学のオンライン授業が受けられるコーセラ(COURSERA)上で無料で受けられるんだけど、なんと受講者数が300万人を超えたそう。しかも2020年3月だけで63万人が申し込んだのだとか。

レイチェル:私もそれ受けた。イェール大学で元々人気があったクラスがオンライン化されて、世界中から受講者が増えたという。心理学科のローリー・サントス(Laurie Santos)教授が18年にスタートした授業で、イェール大学史上最も人気のクラスになり、その後オンライン化されてさらに人気に火がついた。

メイ:通称「ハピネス・コース」ね。実際どういう内容なの?

レイチェル:例えばお金がたくさんあるとか、高級車に乗ってるとか、完璧な体型とか、一般的な思い込みでは実はハッピーになれないというところから始まる。このコースは科学とリサーチに基づいているから説得力もある。

スティービー:確かに欲しいものは全て持っていて、家を何軒も持っている人が必ずしも幸せとは限らないよね。それを大学生の時点で学べたらラッキーかもね。

レイチェル:すぐに取り入れられるようなトリックや考え方も教えてくれる。「モノよりも経験を大事に」、「たくさんのお金よりたくさんの時間を大切に」、「人に親切にすることで自分が幸せになれる」などね。そこでも瞑想、運動、快眠はやはり大事と言っていた。

日々進化するメンタルウエルネスグッズ

スティービー:実はこのメンタルウエルネス市場規模は、世界で1210億ドル(約13兆2000億円)を超えているらしい。内訳は、香りや睡眠関係グッズが495億ドル(約5兆4000億円)、脳を活性化するサプリ系が348億ドル(約3兆8000億円)、自己啓発系が336億ドル(約3兆7000億円)、瞑想とマインドフルネスが29億ドル(3200億円)なんだとか。

メイ:言われてみれば、私も快眠を目指して新しい枕やシーツ、ルームフレグランス、サプリとか日々いろいろ試している。さらに心が落ち着くようにと、毎朝「ザ ヌー コー(THE NUE CO)」の“ムード(MOOD)”というサプリを欠かさないし。

レイチェル:それってもしかしてアシュワガンダが入っている?うつにも効くと言われている?

メイ:そうそう。古くからアーユルヴェーダで使われてきたインドの“薬用植物界の女王”と言われるアシュワガンダと、ビタミンBとD。ストレスを減らしてくれるらしい。効いているかと聞かれたら自信がないんだけど、もしこれを飲んでないでストレスが2倍になったらと想像するだけでストレスになる。

スティービー:リラックスが大事だというならば、カンナビジオール(CBD)はどう?最近CBDが入ったありとあらゆるグッズが充実してきている。

レイチェル:最近は専門店もよく見かける。不安、不眠、体の痛みだけでなく、ときには中毒にも効果的らしい。私の友人は、犬が吠えてうるさいときにもCBD入りのおやつをあげているくらい。

メイ:あっという間に製品が増えていて、吸うタイプやドロップタイプから、スキンケアライン、入浴剤、インティメシーオイルまであるし。

スティービー:食べられるものもあるよね。寝る前に食べるCBD入りのグミやチョコレートとかまで。

レイチェル:そういうのは分かるけど、不思議なトレンドもあるよね。本来は仏前で手を合わせるときに使う“鈴(りん)”をヨガする前か、瞑想のときなどに使っている人も多いようで。本来の役割である邪念を祓う、ところまで理解しているとは思えないから、あの音が気持ちを落ち着かせてくれるってことかと思うけど。

スティービー:もちろんグウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)のグープ(GOOP)でも売っていた。彼女はトレンドを読むのが早いからね。ハッピーになるには、お金も時間もかかるってことなのか。

メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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「備長扇屋」のヴィア、トップ交代。外食は銀行管理の時代に入るのか?

 「備長扇屋」など400店を展開するヴィア・ホールディングスが、大幅な経営体制の再構築に踏み込んだ。銀行主体のファンドと銀行団から69億円を調達し、さらに事実上の創業者と言える横川紀夫社長が退任して、メインバンクである、りそな銀行出身の取締役が社長に就任する。コロナによる財務毀損に対し、キャッシュ確保で金融機関に頼った会社は、今後銀行管理下に置かれる可能性が高まっている。
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