7月に「WWDJAPAN Digital」に掲載した記事の中から、学生に読んでほしいものを厳選し、記者のコメント付きで紹介する。ニュースの読み方を知るとともに、面接やビジネス会話のヒントになれば幸いだ。今回はガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)の「クロエ(CHLOE)」退任や、広がるメイク市場の動向など3本の記事を掘り下げる。
【記事1】
「クロエ」のガブリエラ・ハースト退任 リシュモンが正式に認める
【記者の解説】
リシュモングループと呼ばれるコンパニー フィナンシエール リシュモンは、「カルティエ(CARTIER)」や「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF&ARPELS)」など、多数の時計・宝飾ブランドを抱えています。一方、「クロエ(CHLOE)」や「ダンヒル(DUNHILL)」などのファッションブランドは数が少なく、正直、スケールメリットを発揮しきれていない印象です。ライバルのLVMHやケリングのブランドに比べると、バッグやシューズの開発にも課題がありました。ガブリエラ起用の理由は、そんな課題の解決だったと思います。
きっと彼女に課せられた最初のチャレンジは、売れるバッグやシューズを作ること。自身の「ガブリエラ ハースト」では、“ニーナ”と呼ばれる大ヒットバッグの開発に成功し、「セレブでも買えない」とさえ言われたんです。でも「クロエ」では、“ウッディ”と呼ばれる布帛がメーンのバッグと、“ナマ”というスニーカーはそれなりにヒットしたものの、ラグジュアリー・ブランドにとって欠かせないレザーのバッグやシューズは大ヒットに至りませんでした。かつてメガヒットした“パディントン”と呼ばれるシリーズに比べれば、物足りなかったかもしれませんね。
日本市場における「クロエ」は、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)やステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)時代の、優しく、甘く、可憐で、カワイイイメージが強いんです。この時期に大々ブレイクして「クロエ」の知名度が一気に高まった香水も、甘い香りでした。一方ガブリエラが得意とするのは、自立した女性にふさわしく、大地の強さも感じさせるムード。可憐な「クロエ」のファンには、大きく変わってしまった印象もあったでしょう。とはいえ、大手ラグジュアリーグループに属するブランドを、短期間で、サステナビリティーの先駆者に押し上げた功績は大きいものがあります。後任のデザイナーが、ガブリエラが築いた土台をベースに新たなスタイルを生み出すことができたら、かつてのように日本でも再び「クロエ」が大勢の注目を集めることでしょう。(村上要/編集長)
【記事2】
資生堂がメンズメイクセミナー 企業や学校で男性の9割の「化粧してみたい」に応える
資生堂は7月1日、メンズメイクの講習プログラム「メンズビューティーアップコース アドバンス編」の提供を開始した。企業や学校、地方自治体などを対象に、化粧品の使い方などをレクチャーする「資生堂ライフクオリティー ビューティーセミナー」の新プログラムに組み込む。(全文はこちら)
【記者の解説】
男子大学生の皆さんにとって、「メイク」はもう身近な存在でしょうか?男性の化粧品市場規模は右肩上がりで伸びていますが、30代以上の大人男性にとってはまだ縁遠い存在というのが実情のよう。資生堂は、企業や自治体向けに、男性ビジネスマンをターゲットにしたメンズメイクの講座(応用編)をスタートしました。すでにスキンケア、においケアといった「身だしなみ」にフォーカスした基本講座は長く続けていた同社ですが、今回の応用編ではさらにベースメイクやアイメイクといった「個性の表現」にも踏み込みます。(本橋涼介/記者)
【記事3】
「繊維商社」アパレル産業の大動脈を読み解く5つのトピックス【特集:繊維商社】
あらゆる商材を扱う総合商社に対して、繊維・アパレルの商材を専門に扱うのが「繊維専門商社」だ。ただ、素材の原料である綿花や合繊の原綿、テキスタイル、アパレルOEM(相手先のブランド生産)・ODM(相手先ブランドの企画生産)、ブランド、小売りまで、その事業領域はかなり幅広い。特にアパレルOEM・ODMの扱いは多く、繊維商社は自社でデザイナーや生産管理を抱え、アパレルの「大動脈」となっている。繊維商社を知ることは、日本のアパレル産業の現在とこれからを考える上で、カギとなる。(全文はこちら)
【記者の解説】
扱う商材が多すぎ&事業領域が広すぎて、実際にどういった仕事か見えにくい「商社」ですが、「繊維専門商社」の場合、主力&最大の事業の一つが「アパレルOEM・ODM」です。わかりやすく言えば、衣服の企画&生産代行になります。社内にパタンナーやデザイナー、生産管理チームを抱え、ともするとアパレル企業に入るより、アパレル生産に深く広く関わることになり、例えば大手繊維商社の豊島は年1億枚以上のアイテム生産に関わっています。「服作りのプラットフォーム」化していることもあって繊維商社は、「服から始まるSDGs」や「社会貢献」にはかなり強い意欲を持っています。(横山泰明/記者)
ILLUSTRATION:UCA
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