大阪の町工場がGOTS認証取得 日本製GOTS製品の生産が可能に

大阪梅田駅近くに工房を構えるカットソー製品の三恵メリヤスは2023年5月、オーガニックテキスタイル世界基準のGOTS(Global Organic Textile Standard )認証を取得した。従業員14人の小さな工場にとって国際認証取得のハードルは高いが、小規模事業者がグループで取得する認証「管理型サプライチェーンスキーム(Controlled Supply Chain Scheme、以下CSCS )」を活用して実現した。

内部監査とグループでの認証取得が可能

WWF(世界自然保護基金)ジャパンとGOTSはこのほど、GOTS CSCSに関連する工場の視察ツアーを実施。メディアや業界関係者にCSCSの意義を伝えた。

GOTS CSCSは、GOTSを開発した4団体の一つ日本オーガニックコットン協会が起案した仕組みで、分業化が進み小さな工場が多い日本で、小規模事業者がGOTS 認証を取得する上でのハードルを下げるために開発され、22年にパイロットプロジェクトが始動した。CSCSの対象は最低8サイト、最大30サイトで構成した事業者で、各サイトの従業員が20人以下であること。現在グローバルでのCSCSの運用も検討中で評価を経て運用を開始する予定だ。CSCSのポイントは内部監査が可能になり、グループでの認証を受けることが可能になった点にある。内部監査を行うことで認証にかかるコストの負担を軽減する。認証取得、または更新の際には第三者の認証機関は内部監査の評価に加え、選定した数サイトで外部監査を行う。

 GOTS認証は綿繰りから紡績、編み・織り、染色、裁断、縫製、仕上げなどを行う全ての工場での個別監査が必要なため、分業制で工程が多い製品は認証取得のハードルが高く、認証取得が困難になっている。日本製でGOTS認証を取得している製品は、糸や生地、最終製品ではベビー服や寝具があったが、現在の認証を取得したアパレル製品の多くは、縫製まで一気通貫型で製造を行う工場が取得していた。

「日本の伝統と品質だけでは難しいと感じていた」

 三恵メリヤスはヴィンテージ調の風合いを再現することを得意とし、スウェットやTシャツといったカットソーの企画・縫製を行う。昔ながらの作り方を再現できる強みから、海外ブランドとの取引が増えている。三木健社長はGOTS CSCS参加の決め手について、「本格的に海外に出るための武器になると考えた。海外輸出が徐々に増えており、日本の古き良きモノ作りの発信はできていたが、それだけでは難しいとも感じていた」と語る。そんなとき、取引先の英国ブランドのデザイナーからの言葉が後押しした。「こだわりがとても強くその理由を聞いたときのこと。『小さいブランドこそやりたいことや必要なことを全力で行わないと戦えない。無名ブランドは最低条件(認証など)をクリアしていないと話も聞いてもらえない』と明かしてくれた。そのブランドからの発注は5年で40倍に増えており、こだわり抜いたモノ作りの姿勢がビジネスの成長を支えていた」と振り返る。さらに「整理整頓、情報整理、社内の意識改革、書類作成能力など審査を通じて世界に通じる工場にしたいとも考えた」。

取得に向けたチームメンバーへの共有

まず、チームメンバーに取得に向けて動き出すことを伝えた。「GOTS認証とは何か?取得することで三恵に何をもたらすかなどを丁寧に伝え、認証取得に重要な整理整頓や分別管理の協力を求めた。価値共有のために活用したのはビジネス本だ。『マンガでわかる!トヨタ式仕事カイゼン術』『マンガで優しくわかる5S』『まんがで身につくPDCA』『トヨタ流「5S」最強のルール』『A4一枚で成果を出す!マンガでわかる経営計画の作り方、進め方』を購入して、チームメンバーみんなで回し読み、読書後に感想を記載してもらった。ただ、PDCAなどは難しくて自社には活かせないなど、チームメンバーからの反応はテーマによって濃淡があった。その後、整理整頓を徹底することから始め、すでに管理されていた帳簿は、よりよい記録の取り方を検討した」。

社内共有の次はCSCSをともに取り組む企業へ協力を要請した。23年の1回目の監査では、生地を編み立てる和歌山の「津村メリヤス」「和田メリヤス」、染色の大阪「V-TEC」、生地の裁断を行う大阪の「白鳩メリヤス」、縫製を行う大阪の「田中メリヤス」、ボタンホールを縫う大阪の「イシカワ縫製」、仕上げの「浜崎プレス」(24年の2回目の監査で高木メリヤスを追加)に対して、三恵メリヤスは申請書などを準備して認証機関に代わり工場が規定に反していないかをチェックする必要がある。「行動指針や各工場が当てはまる部分を拡大コピーして配り、整理整頓は当社のチームメンバーと一緒に手伝いに行った」。実際に足を運び手伝うことで本気度が伝わった。

GOTS認証取得には対象製品と他の製品のラインを分ける必要があり、そのトレーサビリティがポイントになる。「皆さんの仕事の流れを理解したうえで、普段の業務の負担にならないように考えて、GOTS製品を作る際の専用の記録を取るシートを作成し、それを協力工場に配った」。認証取得に向けては人権および社会的要件も重要になる。「最低時給や残業代も確認しなければならない。協力工場で最も給料が少ないスタッフへのインタビューを行うなど、認証取得を目指さない限り、通常は聞くことがないようなことも確認しなければならなかった。先代から取引がある工場さんで、積み重ねた信頼関係があったからこそできた」と振り返る。

「過剰反応し過ぎていた」。取得して気づいたこと

終わってみて思うことは、「日本語情報がなく、全体像が全く見えず、それこそレギュレーションを全部読んで暗記しないと!と過剰反応していた」ということ。「けれど今まで行っていたことを丁寧に見直し、それを認証機関に伝えることで多くのことがクリアできた。僕的にGOTS認証を要約すると『トレーサビリティと社会性を適切に記録して、いつでも見ることができる仕組み作り』。皆が理解しやすく説明することも大切だった」と振り返る。「例えばトレーサビリティを担保するための記録作業は、各工場ですでに伝票を作っているので問題は発生しない。また、すでに各社が残業をなるべくしないように効率化しているため、残業や最低賃金の問題も発生しない。人権問題は国内事業で日本人を雇用しているケースが多いので問題になりにくい。個人経営者も多く、労務上の制限も少ないなど、クリアしやすかった」。

チーム内での変化も起きた。「若手のチームメンバーが、認証が下りたときに『やった!』と喜んでくれるなど、チーム一人ひとりが自分事化できている実感がある。メディアやインタビューに否定的だった工場も少しずつ前向きになり見学を受け入れている」。

 一方、ハードルもある。「国内でGOTS認証の製品が普及していないため、GOTS認証を取得した染料や、漂白する際の添加剤や助剤がそろっていない。そのため、GOTS認証の製品を作ろうとすると、現状は無染色・無漂白の製品しかつくることができない。先日ようやく、脱色しやすくするためにアルカリ化する助剤の認可が下りた。これで白いTシャツを作ることができる。認証を取得してから特に海外からの問い合わせが増えていたが、生成りしかできないことがネックになっていた。GOTS認証に基づく漂白が行えるようになったのは大きな一歩だ。CSCSチームのV-TECさんでの試験を得て製品化していきたい。一つ一つ調べて発信し、相談していくことで徐々にさまざまな課題がクリアできて日本でのものつくりも進化していくのでは」。

The post 大阪の町工場がGOTS認証取得 日本製GOTS製品の生産が可能に appeared first on WWDJAPAN.

経産省が「環境配慮情報開示ガイドライン」公表 大手アパレルに26年までの開示を期待

経済産業省製造産業局生活製品課は25日、「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」を公表した。同ガイドラインは、繊維・アパレル企業が主体的に情報開示などを行うことができるよう、開示の考え方、期待される環境配慮項目などについてまとめたもの。企業が自主的に取り組む際のガイドラインであり「規制」ではないが、その内容は産業の自主変革を強く促すものであり、「2026年をめどに国内の大手アパレルの情報開示を徹底、30年度には主要なアパレル企業において情報開示率100%を目指す」としている。

対象はアパレル、商社、染色・縫製など。卸・輸入業者も

同ガイドラインが想定する事業者は、アパレル、総合・繊維専門商社、卸・輸入事業者、紡糸・紡績・製織・染色・縫製を行う企業など。染色・縫製などの工程を海外で行った繊維製品が市場の大部分を占めることから、輸入事業者も対象としている。

全26ページで構成し、用語解説を添えるなど「初めて環境配慮情報の開示を行おうとする中小企業等にも取り組みやすい構成を心掛けた」と同省。ガイドラインの詳細説明の前に、情報開示をめぐる国内外の制度動向といった背景や日本における情報開示の基本的な考え方について、国内企業の事例を交えて説明している。

また行動方針の策定にあたっては、具体的な進め方も指南。①行動方針の策定→②数値目標の設定→③達成に向けた具体的な取り組みと進捗度合い、の3点を明確にすることが望ましいとし、作業を進めるにあたってのとっかかりとなるワークシートも用意した。事例としてゴールドウインとTSIホールディングスを紹介している。

情報開示が期待される8つの項目

情報開示が期待されるのは次の8つの項目だ。それぞれに国内事業者の事例を紹介している。

1. 製造工程におけるエネルギー使用量・温室効果ガス排出量 事例:CFCL
2. 製造工程における水使用量 事例:小松マテーレ
3. 環境に配慮した原料・素材の使用 事例:アシックス、蝶理、アイトス
4. 使用、廃棄にかかる環境負荷 事例:東和
5. 化学物質の使用量 事例:小松マテーレ
6. 販売製品の廃棄量 事例:ナカノアパレル、ワールド
7. 回収した衣料品の処分法 事例:オンワード樫山
8. 生物多様性に関する取り組み 事例:東洋紡
9. そのほか環境配慮に関する取り組み 事例:しまむら

これらは全てを「やらねばならないもの」ではなく、自社の特性と強みに合わせてどこから着手するのかを検討するのに役立つよう整理し一覧としたものだ。

また、例えばCO2の排出量については、「CSRD、IFRSサステナビリティ開示基準といった国際的な開示枠組では、スコープ1・2・3のすべてにおいて排出量の算出を求めている。本ガイドラインでは、経済産業省・環境省『カーボンフットプリント ガイドライン』に基づき算定を行うこととしている」と記すように、評価手法のグローバル基準と日本が採用すべき方法が具体的に書かれている。その前提にはグローバル基準に沿わない独自基準で算出・評価を進める企業も多いことへの危機がある。田上博道製造産業局生活製品課長は、「正しい情報を正しく発信し、理解しないといけない。まずはガイドラインをしっかり読み、自社社内で議論を初めて欲しい」と説明する。

このままでは産業自体がダメになる、今が瀬戸際だ

同ガイドラインは、同省と環境省が2023年に開催した「繊維製品における資源循環システム検討会」での議論をベースに、開催中の産業構造審議会製造産業分科会繊維産業小委員会での「繊維産業におけるサステナビリティ推進などに関する議論」における専門家たちとの意見交換を経てまとめられた。2つの会議では、国内需要が減少する中で繊維・ファッション産業が成長をするためには海外市場への創出が欠かせないこと、そのためにはグローバル基準でのサステナビリティ戦略を産業として、また個社単位でも進める必要性があることが繰り返し議題に上がってきた。

日本のファッション産業におけるサステナビリティ戦略に関する情報開示は、規制が進む欧州と比べると遅れている。議論とガイドライン制作の指揮を執った、田上課長はその現状に警笛を鳴らす。「これまでは価格と技術が競争力だった。これからはそこにサステナビリティという付加価値を載せていかなければ、生き残れない。国内需要が減少する中で、グローバルで戦っていかなければ産業自体がダメになる。環境・人権配慮と経済は両立できるかでなく、しないといけない。今が瀬戸際だ」。

ガイドラインはあくまで指針。規制ではない。欧州のようにサステナビリティ関連の規制を先行して産業に強制力を持つことも推進の一つのやり方だが、規制は産業にとっては当然負担ともなる。「ガイドライン作っても変わらないとなると規制を入れるしかなくなる。それはできれば避けたいから業界を一度信じよう、というのがガイドラインの背景だ。経過をフォローアップしてゆく」と語気を強める。

経済産業省「環境配慮情報開示ガイドライン」はこちらから

The post 経産省が「環境配慮情報開示ガイドライン」公表 大手アパレルに26年までの開示を期待 appeared first on WWDJAPAN.

人間の皮膚の模倣から肌・髪の分析、コンテンツ制作まで ロレアルで進む生成AIの活用術

ロレアル(L’OREAL)は、5月にパリで開催した世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー」で最新のビューティテック・イノベーションを発表した。製品テストの向上と動物実験減少のため、人間の皮膚を模倣したバイオスキンを開発。また、ブランドイメージに準拠したローカライズコンテンツ制作のため、生成AIによる美容コンテンツの研究所であるクリエイテック(CREAITECH)と協業している。

ロレアルのR&Iとテクノロジー部門で副最高経営責任者(CEO)を務めるバーバラ・ラヴェルノス(Barbara Lavernos)は、「ロレアルは美容技術のパイオニアとして、テクノロジーが美容の可能性を拡大し、世界中の人々の生活向上に寄与すると確信している」と話す。多様な人間の皮膚を模倣したスキンテクノロジーは、生物学や機械工学、電子工学を融合し、世界中の新興企業や研究機関と共に開発に取り組んでいる。

ロレアルはまた、3DやAR、AIの次世代クリエイターを奨励し、美容における新たなクリエイティビティを促進するためにメタ(META)と提携し、「ニューコード・オブ・ビューティクリエイター・プログラム」を実施している。ロレアル傘下の「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」や「ランコム(LANCOME)」「ケラスターゼ(KERASTASE)」「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」はすでに同サービスを活用してコンテンツを制作。アスミタ・デュベイ(Asmita Dubey)=ロレアル デジタルマーケティング責任者は、「テクノロジーは人間の創造性と掛け合わせることで、自己表現とブランド表現の強力なツールとなる」と話す。「生成AIに各ブランドのユニークなビジュアルコードを学習させれば、より迅速に革命的なキャンペーンが打てる。本物そっくりの画像を外部コミュニケーションに使用しないという、“責任あるAIの原則”を損なうことなくだ」と続ける。

「ロレアル パリ」の“ビューティ ジーニアス(BEAUTY GENIUS)”という生成AIを搭載したパーソナル・ビューティアシスタントは、24時間365日、パーソナライズした診断と提案をユーザーに提供。消費者は、美容知識を増やせる。「ロレアル プロフェッショナル(L'OREAL PROFESSIONNEL)」の“マイヘア ID ヘアリーダー(MY HAIR [ID] HAIR READER)”は、同グループ初のAIを搭載したヘアカラー分析ツールだ。超精密光学を用いて髪の健康状態を調べ、白髪率や毛髪の直径、密度などを測定し、それぞれのユーザーに相応しいヘアカラーを提案する。

「キールズ(KIEHL'S SINCE 1851)」の“ダーマリーダー(DERMA-READER)”は、臨床画像技術を使って顧客の肌を評価し、肌の表面だけでなく真皮まで測定して11以上の属性に分類、適切な成分やライフスタイル、毎日のスキンケア習慣を提案する。「ランコム」の“レナジー ナノ・リサーフェイサー 400 ブースター(RENERGIE NANO-RESURFACER 400 BOOSTER)”は、特許取得済みのナノチップ技術を搭載した家庭用美容機器で、化粧品の浸透を高め、商品の性能を増幅させる。

さらにロレアルは、デジタル活動から発生する二酸化炭素排出量を評価し、環境への影響を削減するため3つの企業とパートナーシップを結んでいる。仏スタートアップのインパクト(IMPACT+)とフラッガー(FRUGGR)はそれぞれ、デジタルメディアとウェブサイトのカーボンフットプリントを測定する。広告業界の二酸化炭素排出量削減を目指すイギリスのアドグリーン(ADGREEN)は、コンテンツ制作現場のカーボンフットプリントを測定。これらの数値をもとに、環境に配慮した予防策を講じている。

The post 人間の皮膚の模倣から肌・髪の分析、コンテンツ制作まで ロレアルで進む生成AIの活用術 appeared first on WWDJAPAN.

人間の皮膚の模倣から肌・髪の分析、コンテンツ制作まで ロレアルで進む生成AIの活用術

ロレアル(L’OREAL)は、5月にパリで開催した世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー」で最新のビューティテック・イノベーションを発表した。製品テストの向上と動物実験減少のため、人間の皮膚を模倣したバイオスキンを開発。また、ブランドイメージに準拠したローカライズコンテンツ制作のため、生成AIによる美容コンテンツの研究所であるクリエイテック(CREAITECH)と協業している。

ロレアルのR&Iとテクノロジー部門で副最高経営責任者(CEO)を務めるバーバラ・ラヴェルノス(Barbara Lavernos)は、「ロレアルは美容技術のパイオニアとして、テクノロジーが美容の可能性を拡大し、世界中の人々の生活向上に寄与すると確信している」と話す。多様な人間の皮膚を模倣したスキンテクノロジーは、生物学や機械工学、電子工学を融合し、世界中の新興企業や研究機関と共に開発に取り組んでいる。

ロレアルはまた、3DやAR、AIの次世代クリエイターを奨励し、美容における新たなクリエイティビティを促進するためにメタ(META)と提携し、「ニューコード・オブ・ビューティクリエイター・プログラム」を実施している。ロレアル傘下の「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」や「ランコム(LANCOME)」「ケラスターゼ(KERASTASE)」「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」はすでに同サービスを活用してコンテンツを制作。アスミタ・デュベイ(Asmita Dubey)=ロレアル デジタルマーケティング責任者は、「テクノロジーは人間の創造性と掛け合わせることで、自己表現とブランド表現の強力なツールとなる」と話す。「生成AIに各ブランドのユニークなビジュアルコードを学習させれば、より迅速に革命的なキャンペーンが打てる。本物そっくりの画像を外部コミュニケーションに使用しないという、“責任あるAIの原則”を損なうことなくだ」と続ける。

「ロレアル パリ」の“ビューティ ジーニアス(BEAUTY GENIUS)”という生成AIを搭載したパーソナル・ビューティアシスタントは、24時間365日、パーソナライズした診断と提案をユーザーに提供。消費者は、美容知識を増やせる。「ロレアル プロフェッショナル(L'OREAL PROFESSIONNEL)」の“マイヘア ID ヘアリーダー(MY HAIR [ID] HAIR READER)”は、同グループ初のAIを搭載したヘアカラー分析ツールだ。超精密光学を用いて髪の健康状態を調べ、白髪率や毛髪の直径、密度などを測定し、それぞれのユーザーに相応しいヘアカラーを提案する。

「キールズ(KIEHL'S SINCE 1851)」の“ダーマリーダー(DERMA-READER)”は、臨床画像技術を使って顧客の肌を評価し、肌の表面だけでなく真皮まで測定して11以上の属性に分類、適切な成分やライフスタイル、毎日のスキンケア習慣を提案する。「ランコム」の“レナジー ナノ・リサーフェイサー 400 ブースター(RENERGIE NANO-RESURFACER 400 BOOSTER)”は、特許取得済みのナノチップ技術を搭載した家庭用美容機器で、化粧品の浸透を高め、商品の性能を増幅させる。

さらにロレアルは、デジタル活動から発生する二酸化炭素排出量を評価し、環境への影響を削減するため3つの企業とパートナーシップを結んでいる。仏スタートアップのインパクト(IMPACT+)とフラッガー(FRUGGR)はそれぞれ、デジタルメディアとウェブサイトのカーボンフットプリントを測定する。広告業界の二酸化炭素排出量削減を目指すイギリスのアドグリーン(ADGREEN)は、コンテンツ制作現場のカーボンフットプリントを測定。これらの数値をもとに、環境に配慮した予防策を講じている。

The post 人間の皮膚の模倣から肌・髪の分析、コンテンツ制作まで ロレアルで進む生成AIの活用術 appeared first on WWDJAPAN.

ファッション業界のサステナビリティ現在地:記者談話室vol.133

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、記者たちが分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

133回目となる今回は、「WWDJAPAN」の向千鶴サステナビリティ・ディレクター(以下、向D)とサステナチームの木村和花記者をゲストに、ファッション業界のサステナビリティ現在地や「WWDJAPAN」はどんな考えでサステナビリティ報道をしているのかをご紹介します。難しくなりがちなサステナビリティ分野ですが、記者談話室の持ち味である(?)ゆるふわバイブスでお届け。「大好きなファッション業界を元気にしたい!」と語る向Dは、最近“サステナD日記”も開始したので、そちらも是非お読みくださいね!

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
Apple Podcast
Spotify

The post ファッション業界のサステナビリティ現在地:記者談話室vol.133 appeared first on WWDJAPAN.

ファッション業界のサステナビリティ現在地:記者談話室vol.133

「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、記者たちが分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

133回目となる今回は、「WWDJAPAN」の向千鶴サステナビリティ・ディレクター(以下、向D)とサステナチームの木村和花記者をゲストに、ファッション業界のサステナビリティ現在地や「WWDJAPAN」はどんな考えでサステナビリティ報道をしているのかをご紹介します。難しくなりがちなサステナビリティ分野ですが、記者談話室の持ち味である(?)ゆるふわバイブスでお届け。「大好きなファッション業界を元気にしたい!」と語る向Dは、最近“サステナD日記”も開始したので、そちらも是非お読みくださいね!

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
Apple Podcast
Spotify

The post ファッション業界のサステナビリティ現在地:記者談話室vol.133 appeared first on WWDJAPAN.

帝人フロンティアがセーブ・ザ・ダック日本法人を設立 伊本社と共同出資

繊維商社の帝人フロンティアは伊ミラノのアパレル企業であるセーブ・ザ・ダックと共同出資して、日本法人セーブ・ザ・ダック・ジャパンを5月29日に設立した。出資比率はセーブ・ザ・ダックが51%、帝人フロンティアが49%という内訳で、代表取締役は帝人フロンティア出身の治田兼一氏が務める。

帝人フロンティアは「セーブ・ザ・ダック(SAVE THE DUCK)」の日本における独占輸入販売を2020年に開始した。日本における近年のサステナブル機運の高まりが推進力となって年々販売を拡大しており、さらなる事業拡大を目的に今回の会社設立に至った。今後は、同社が有するオペレーション機能やリサイクル原料を使用した機能性素材の活用、日本市場のニーズに合った商品開発に注力していく。

「セーブ・ザ・ダック」は動物愛護と環境保護を理念としたサステナブルなビーガンウエアブランド。防寒アウターに動物由来の原材料を一切使用していない点が特色だ。商品のパディング(詰め物)に使用している特許素材「プラムテック(PLUMTECH)」は、ペットボトルをリサイクルした微粒子をポリエステル繊維と配合したダウンフェザーに代わるものだ。軽量で通気性、速乾性、保湿性などに優れており、家庭用洗濯機で丸洗いもできる。

The post 帝人フロンティアがセーブ・ザ・ダック日本法人を設立 伊本社と共同出資 appeared first on WWDJAPAN.

三陽商会がリユース品販売を開始 若年層など新規客層の開拓に期待

三陽商会は21日、東京・新宿区の「サンヨーG&B アウトレット」落合店の1階で同社ブランドのリユース品販売を開始した。店内には消費者から集めたリユース品約500点をそろえ、トップスは2000〜4000円、ボトムスは4000円、ワンピースは6000円、アウターは7000〜9000円で提供する。

同社は2019年に衣料回収活動を開始した。当初はリサイクルを目的とし、回収後の衣料は新しい服の原料や自動車内装材などに再資源化していた。今年3月28日から、再販売を前提とした回収に切り替え、「リ・サンヨー」という事業名で再スタートを切った。松尾峰秀・専務執行役員は「当社は創業当初より長期着用を前提とした服づくりをモットーにしている。13年連続で規模を拡大し続けているリユース市場と消費者のサステナビリティ意識の高まりを踏まえて、リユース事業への着手は必須と考えた」と話す。

常時、直営店全店と百貨店内のブランド売り場で衣料品と雑貨を回収しているが、5月末時点で回収点数はすでに1万点を超えた。回収した衣料品は自社倉庫に輸送し、独自基準に基づいて仕分けをする。基準をクリアした品質のアイテムが認定リユース品として店頭に並ぶ。再販売しない回収品は循環商社ECOMMITを通じてリユース、リサイクルされる。

こういった取り組みにより、資源循環型ビジネスモデルの構築とGHG排出量の実質的な削減を目指す。また、低価格帯で商品を提供できるため、プロパー品を購入する既存顧客とは異なる客層の開拓や既存顧客の来店促進も期待する。例えば、「エポカ(EPOCA)」の22年春夏に売られた定価5万600円の花柄ブラウスは、リユース品では3300円で販売する。

初年度の衣料品回収点数の目標は5万点だが、初年度から2年目まではトライアル期間として回収量や販売価格、利益の創出の具合などを分析する。下期には「サンヨーG&B アウトレット」用賀店、潮見店でも展開を開始することを決めており、3年目より本腰を入れて事業を拡大していく計画だ。

The post 三陽商会がリユース品販売を開始 若年層など新規客層の開拓に期待 appeared first on WWDJAPAN.

スニーカーブランド「ヴェジャ」が広告費をかけずに成長を続ける理由 

PROFILE: フランソワ・ギラン・モリィヨン/「ヴェジャ」共同創業者 フランス生まれ。1998~2002年、ビジネススクールの名門校HECで経営学を学ぶ。04年「ヴェジャ」を設立 PHOTO : SHUHEI SHINE
サステナビリティとデザイン性、ビジネス成長を両立してみせるのがフランス発のスニーカーブランド「ヴェジャ(VEJA)」だ。人気モデルの“V-10”はアッパーにVの字をあしらった一見シンプルなスニーカーだが、その一足には消費をポジティブな力に変えるためのさまざまな工夫が凝らされている。

創業者のフランソワ・ギラン・モリィヨン(Francois Ghislain Morillion)とセバスチャン・コップ(Sebastien Kopp)は、「自分たちの世代を象徴するアイテムであるスニーカーでオルタナティブなモノづくりを実践したい」と2004年に同ブランドを立ち上げた。ブランド名はポルトガル語で“見る”を意味する。欧米を中心にビジネスを広げ、累計の製品販売数は1400万足にのぼる。このほど来日したモリィヨン共同創業者は、今後日本での存在感をより高めていきたいと意気込む。モリィヨンに「ヴェジャ」の独自性を聞いた。

WWD:「ヴェジャ」は創業当初から広告費用をかけず、生産者の賃金と生産工程の改革に多くを投資する方法を貫いてきた。オーガニックで成長できた強みをどう分析する?

フランソワ・ギラン・モリィヨン(以下、モリィヨン):第一にスタイルだ。一般的にサステナブルだからという理由で商品を購入する人はほとんどいない。お客さんとの最初の接点はあくまでビジュアルだと強く意識している。自分たちは広告を通して消費欲求を喚起しない分、よりシビアに人々が直感的に欲しくなるデザインを追求している。もちろん、初めからそれができたわけではなく、周りのフィードバッグも得ながら何度も修正を重ねてきた。

WWD:「ヴェジャ」のスタイルはファッション業界内でもファンが多く、さまざまな有名ブランドとのコラボレーションも実現している。

モリィヨン:私たちが尊敬するアニエス・ベーが最初のコラボ先だった。今ではコラボ事例は100以上ある。以前「ヴェジャ」のECサイトで何足も商品を購入してくれる人がいて、チーム内で「毎回熱心に買ってくれるこの人は誰だろう」と話していた。そうしたらその人物がリック・オウエンスだと分かった時には驚いた。その後、彼のチームから正式なオファーをもらってコラボが実現した。

WWD:あなたは主に生産面を担っているが、「ヴェジャ」の理想のサプライチェーンとは?

モリィヨン:理想は100%オーガニック素材で製造することだ。工業型の農地ではなく、小規模なオーガニック農地から素材を調達したい。現在コットンは、ブラジルとペルーで生産されたオーガニックコットンを直接仕入れている。ラバーはアマゾンの天然ゴムで、こちらも生産者から直接仕入れるサプライチェーンができている。次の課題は、サトウキビ由来のEVAだ。ブラジルではサトウキビが育たないためまだ直接のルートができていない。まだまだやるべきことはたくさんある。

「サステナビリティとコストはトレードオフの関係にはない」

WWD:他社からは物価高や生産コストが上昇し、サステナビリティに投資できないという話も聞く。

モリィヨン:一時期は商品の値上げをせざるを得なかったのは私たちも同じだ。ただ「ヴェジャ」にとって、サステナビリティはトレードオフの関係にない。サステナブルな解を探す作業は、私たちには純粋な楽しみなんだ。サステナビリティをコンプライアンスに準ずるための制約と捉えている他社と大きく違う部分だと思う。解を見つけるためには生産者との距離感はすごく大事で、10年ほど前には私はパリからブラジルに引っ越した。現地で素敵な工房と出会って、この人たちとどうやったら一緒に仕事ができるだろうかと試行錯誤していた延長で今のチームが出来上がった。

WWD:現在70カ国以上でビジネスを展開している。ビジネス規模を拡大しながらも透明性を担保し続けられる秘訣は?

モリィヨン:確かに最初は会社の規模が大きくなるにつれ、自分たちが貫いてきた倫理とのバランスが取れなくなるのではないかと心配だった。でも実際はその逆で規模が大きくなればなるほど、理想に近づくことができる。生産者に払う賃金も増やすことができるし、革新的な素材の開発のためにプロフェッショナルな人材をチームに迎えられているのもビジネスの成長があってこそ。それから、革新的な素材を使うためにはある程度の量を扱う必要がある。「ヴェジャ」が採用しているリサイクルポリエステル糸は、生産拠点のブラジルで地元の廃棄ボトルを回収し、そこから自社工場で100%廃棄ボトル由来の糸を製造している。一般的なリサイクルペットボトル由来のポリエステル糸では、そのペットボトルがどこから来たのかわからない場合が多いし、リサイクル糸を作るためにペットボトルを生産しているという本末転倒な話も耳にした。そこでブラジルの人々と連携し2年ほどかけて今の形を実現できた。ビジネス成長と比例して、より洗練されたサプライチェーンが構築できる。

WWD:来年は創業20周年を迎える。これまでターニングポイントとなるような出来事はあった?

モリィヨン:特に大きな転換点なかったように思う。むしろ1本の木が自由に枝を広げながら成長するように、どの地域もそれぞれのペースで自然に着実と成長してきた。最初はヨーロッパが中心で、最近ではアメリカと南アメリカが特に伸びている。振り返ればもちろん、失敗もたくさんあったし一方で予想外の成功もあった。たとえば、パリに12年前にオープンしたセレクトショップ業態「センターコマーシャル」は、最初は周りから「絶対うまく行かない」と心配されたが、今もとても好調だ。「センターコマーシャル」では「パタゴニア」を筆頭に、共感するブランドを並べている。「ポーター(PORTER)」「ナナミカ(NANAMICA)」「スティル バイ ハンド(STILL BY HAND」)」など、日本のブランドもたくさんある。来年以降は韓国に支社を立ち上げる予定で、アジア市場に力を入れる。特に日本はブランドとしての存在感はまだまだ出せていない。ポップアップやローカルモデルの企画など、しっかりコミュニケーションしていきたい。

The post スニーカーブランド「ヴェジャ」が広告費をかけずに成長を続ける理由  appeared first on WWDJAPAN.

スニーカーブランド「ヴェジャ」が広告費をかけずに成長を続ける理由 

PROFILE: フランソワ・ギラン・モリィヨン/「ヴェジャ」共同創業者 フランス生まれ。1998~2002年、ビジネススクールの名門校HECで経営学を学ぶ。04年「ヴェジャ」を設立 PHOTO : SHUHEI SHINE
サステナビリティとデザイン性、ビジネス成長を両立してみせるのがフランス発のスニーカーブランド「ヴェジャ(VEJA)」だ。人気モデルの“V-10”はアッパーにVの字をあしらった一見シンプルなスニーカーだが、その一足には消費をポジティブな力に変えるためのさまざまな工夫が凝らされている。

創業者のフランソワ・ギラン・モリィヨン(Francois Ghislain Morillion)とセバスチャン・コップ(Sebastien Kopp)は、「自分たちの世代を象徴するアイテムであるスニーカーでオルタナティブなモノづくりを実践したい」と2004年に同ブランドを立ち上げた。ブランド名はポルトガル語で“見る”を意味する。欧米を中心にビジネスを広げ、累計の製品販売数は1400万足にのぼる。このほど来日したモリィヨン共同創業者は、今後日本での存在感をより高めていきたいと意気込む。モリィヨンに「ヴェジャ」の独自性を聞いた。

WWD:「ヴェジャ」は創業当初から広告費用をかけず、生産者の賃金と生産工程の改革に多くを投資する方法を貫いてきた。オーガニックで成長できた強みをどう分析する?

フランソワ・ギラン・モリィヨン(以下、モリィヨン):第一にスタイルだ。一般的にサステナブルだからという理由で商品を購入する人はほとんどいない。お客さんとの最初の接点はあくまでビジュアルだと強く意識している。自分たちは広告を通して消費欲求を喚起しない分、よりシビアに人々が直感的に欲しくなるデザインを追求している。もちろん、初めからそれができたわけではなく、周りのフィードバッグも得ながら何度も修正を重ねてきた。

WWD:「ヴェジャ」のスタイルはファッション業界内でもファンが多く、さまざまな有名ブランドとのコラボレーションも実現している。

モリィヨン:私たちが尊敬するアニエス・ベーが最初のコラボ先だった。今ではコラボ事例は100以上ある。以前「ヴェジャ」のECサイトで何足も商品を購入してくれる人がいて、チーム内で「毎回熱心に買ってくれるこの人は誰だろう」と話していた。そうしたらその人物がリック・オウエンスだと分かった時には驚いた。その後、彼のチームから正式なオファーをもらってコラボが実現した。

WWD:あなたは主に生産面を担っているが、「ヴェジャ」の理想のサプライチェーンとは?

モリィヨン:理想は100%オーガニック素材で製造することだ。工業型の農地ではなく、小規模なオーガニック農地から素材を調達したい。現在コットンは、ブラジルとペルーで生産されたオーガニックコットンを直接仕入れている。ラバーはアマゾンの天然ゴムで、こちらも生産者から直接仕入れるサプライチェーンができている。次の課題は、サトウキビ由来のEVAだ。ブラジルではサトウキビが育たないためまだ直接のルートができていない。まだまだやるべきことはたくさんある。

「サステナビリティとコストはトレードオフの関係にはない」

WWD:他社からは物価高や生産コストが上昇し、サステナビリティに投資できないという話も聞く。

モリィヨン:一時期は商品の値上げをせざるを得なかったのは私たちも同じだ。ただ「ヴェジャ」にとって、サステナビリティはトレードオフの関係にない。サステナブルな解を探す作業は、私たちには純粋な楽しみなんだ。サステナビリティをコンプライアンスに準ずるための制約と捉えている他社と大きく違う部分だと思う。解を見つけるためには生産者との距離感はすごく大事で、10年ほど前には私はパリからブラジルに引っ越した。現地で素敵な工房と出会って、この人たちとどうやったら一緒に仕事ができるだろうかと試行錯誤していた延長で今のチームが出来上がった。

WWD:現在70カ国以上でビジネスを展開している。ビジネス規模を拡大しながらも透明性を担保し続けられる秘訣は?

モリィヨン:確かに最初は会社の規模が大きくなるにつれ、自分たちが貫いてきた倫理とのバランスが取れなくなるのではないかと心配だった。でも実際はその逆で規模が大きくなればなるほど、理想に近づくことができる。生産者に払う賃金も増やすことができるし、革新的な素材の開発のためにプロフェッショナルな人材をチームに迎えられているのもビジネスの成長があってこそ。それから、革新的な素材を使うためにはある程度の量を扱う必要がある。「ヴェジャ」が採用しているリサイクルポリエステル糸は、生産拠点のブラジルで地元の廃棄ボトルを回収し、そこから自社工場で100%廃棄ボトル由来の糸を製造している。一般的なリサイクルペットボトル由来のポリエステル糸では、そのペットボトルがどこから来たのかわからない場合が多いし、リサイクル糸を作るためにペットボトルを生産しているという本末転倒な話も耳にした。そこでブラジルの人々と連携し2年ほどかけて今の形を実現できた。ビジネス成長と比例して、より洗練されたサプライチェーンが構築できる。

WWD:来年は創業20周年を迎える。これまでターニングポイントとなるような出来事はあった?

モリィヨン:特に大きな転換点なかったように思う。むしろ1本の木が自由に枝を広げながら成長するように、どの地域もそれぞれのペースで自然に着実と成長してきた。最初はヨーロッパが中心で、最近ではアメリカと南アメリカが特に伸びている。振り返ればもちろん、失敗もたくさんあったし一方で予想外の成功もあった。たとえば、パリに12年前にオープンしたセレクトショップ業態「センターコマーシャル」は、最初は周りから「絶対うまく行かない」と心配されたが、今もとても好調だ。「センターコマーシャル」では「パタゴニア」を筆頭に、共感するブランドを並べている。「ポーター(PORTER)」「ナナミカ(NANAMICA)」「スティル バイ ハンド(STILL BY HAND」)」など、日本のブランドもたくさんある。来年以降は韓国に支社を立ち上げる予定で、アジア市場に力を入れる。特に日本はブランドとしての存在感はまだまだ出せていない。ポップアップやローカルモデルの企画など、しっかりコミュニケーションしていきたい。

The post スニーカーブランド「ヴェジャ」が広告費をかけずに成長を続ける理由  appeared first on WWDJAPAN.

「生産せずに売り上げを作る」 エレン・マッカーサー財団の新たな構想

新しく「生産」をせずに「売り上げ」を作るにはどうすればよいのか?ファッション産業に関わらず、あらゆる産業のあらゆる企業が抱える壮大な問いだろう。その糸口を見つけるべく、循環型経済を推進するエレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation以下、EMF)が、新たなイニシアチブ「ファッション・リモデル(Fashion Remodel)」を始動した。そこで、ファッション・イニシアチブ・プログラムマネージャーである、ナターシャ・デイビッド(Natasha David)氏にメールインタビューを行った。

収益性のない事業モデルは拡大しない

ファッション産業からの二酸化炭素排出量は全排出量の1割に上り、生産された衣類のうち約9割は廃棄されていると言われている。そのため、資源を搾取して作られた製品を循環させ廃棄物を最小限にする循環型経済が注目されて久しい。だが現在も、レンタルやリセールといった循環型モデルを取り入れるブランドや小売りは増えつつも、事業の収益に大きく貢献するケースはほとんど存在しない。企業の存続は経済性が重要な要素の一つであり、収益に貢献しない事業はよほど財務的余裕がある企業でなければ取り入れることは難しい。こうした状況から脱却するためにEMF が取り組み始めたテストプログラムのひとつが「ファッション・リモデル」である。

レンタル・リペア・リセール・リメイクの売上比率を高める

「ファッション・リモデル」では、レンタル・リペア・リセール・リメイクの4つのビジネスモデルに焦点を当て、「今後3年間で初期参加企業8社の年間売上高に占めるそれら循環型ビジネスの比率を高めることを目指す」とデイビット氏。各ビジネスモデル自体は新しいものではないが、企業がこれらをスケールする形で導入しなければ、売り上げに対する比率を高めることはできない。実現のために立ちはだかる障壁を特定し解決する方法を見つけることで、「生産」だけに依存せず「売り上げ」をつくることを目指す。そのためにEMFではテクニカル・リファレンス・グループを立ち上げ、財務からサプライチェーン、テクノロジー、マーケティングまで幅広い分野の専門家が実現に向けてサポートする。

今回のプロジェクトの直接的な目標ではないがEMFの試算では、上記4つの循環型モデルの市場シェアが2021年現在の3.5%から30年までに23%に達することで、ファッション産業全体のCO2排出量を最大16%削減することができるという。

循環型モデルの追及で儲かる先行事例が必要

プロジェクトのローンチ時に参加している8企業は、世界的に事業を展開するブランドもしくは小売りだ。H&M傘下の「コス(COS)」「アーケット(ARKET)」「ウィークデイ(WEEKDAY)」、カナダのアウトドアブランド「アークテリクス(ARC'TERYX)」、英国のファストファッション「プライマーク(PRIMARK)」、米国のウィメンズアパレル「リフォーメーション(REFORMATION)」、ドイツのファッションEC「ザランド(ZALANDO)」といった顔ぶれだ。

参加企業には循環型モデルに欠かせないパートナー企業が含まれない。例えば、リペアサービスを提供している企業やスレッドアップ(THREAD UP)などのリセールプラットフォームなどだ。この件に関してはデイビッド氏いわく「まずはある程度のスケールで試すことができ、業界へ影響を及ぼす可能性がある企業に焦点を絞った。参加企業がサプライチェーンで鍵となるプレーヤーと協業し、課題解決のための方法を模索することを期待する」とのことだった。

EMFが介入しサポートするのは循環型モデル自体を確立するためのマッチメイキングや技術の紹介ではなく、あくまでも事業の中で収益を出すためにどうスケールできるか、という点に焦点を当てているようだ。

日本は事例主義でありファーストペンギンになってリスクを取りたがらないとよく言われるが、その状況は他国でも同様だ。先月、グローバル・ファッション・サミット(Global Fashion Summit)で話された議題の中にもデータや先行事例なしでは、まとまった投資が必要な循環型モデルへの構造変革へ踏み切ることが難しいという声が挙がっていた。ゆえにこのプロジェクトでは、誰もが知る大企業が事業の変革を起こし顧客の行動変容をうながし循環型ビジネスの収益化を実現することで、先行事例として提示することが必須だと考えているようだ。

循環型経済を実現するためのファーストステップは実証済み

ファッション産業で循環型経済を実現するには、次の3つのドライバーが重要だとEMFは提唱している。

1.プロダクトデザイン 2.循環型のビジネスモデル 3.インフラストラクチャー

ファーストステップのプロダクトデザイン自体を循環型へ移行することに関しては、19年に開始した「ジーンズ・リデザイン・プロジェクト」で実証済みである。21~23年に同プロジェクトにアパレルメーカーや小売り、テキスタイルメーカー、織物工場など25ヵ国100の企業が参加。EMFがさまざまな業界の80名以上の専門家やアカデミア、NGOからの情報を得てガイドラインを作成した。それを参考にし、150万着の循環型のジーンズが産まれている。これは21年時点で参加企業が生産していた循環型ジーンズの3倍以上の数に相当する。「ジーンズ・リデザイン・プロジェクト」のガイドラインは主に3つのポイントに焦点を当てている。

1.着用回数が増えるようデザインする

着用回数を増やすためには物理的な耐久性と情緒的な愛情が必要になる。例えば物理的耐久性に関しては、今までなかった業界共通の耐久性測定基準を設け、最低30回家庭で洗濯を行った際にも「新品同様」であるとした。そのために衣服の構造やパーツの補強などを見直す必要性を指摘。

2.再びジーンズとして生まれ変わるようデザインする

リサイクルしやすい生地の選択や作り方に取り組む。例えば繊維の総重量に対して綿や麻といったセルロース系繊維を98%以上含むことで、リサイクル後も高品質で高価値を保てることや回収分別の際に識別が容易に出来るように、RFIDやトレーサブルな繊維技術などを衣服に組み込むことを要求。

3.安全でリサイクル可能な原料を使用する

製品に使用する原料や加工のための化学物質に限らず、原料の生産工程や縫製施設内などで使用する清掃用品や機械の洗浄剤なども有害化学物質ゼロ(ZDHR)製造時制限物質リスト(MRSL)を適用し、人や生態系に安全が確認されているもののみを使用することなどを指摘。

ジーンズでプロダクトデザイン改革に成功を収めた企業は、現在その他の商品カテゴリーへも同様に循環型のプロダクトデザインを広げている。

プロダクトを循環型にリデザインした次はプロダクト自体を「生産しない」ことで事業収益を上げ、企業として継続していけるかを試す時である。

地球には最終成果を待っている時間がない

デイビッド氏は「今後5年間は特に業界全体で一度作った製品を使い続けるためのシステムチェンジを加速することが非常に緊急度が高く重要な時期となる」と指摘する。

「ファッション・リモデル」プロジェクトへの参加企業は、プロジェクト期間中に実施した施策や財務状況を随時報告しなければならない。それによって得られた示唆や変化の兆し、方向性を、結果を待たずにEMFではファッション産業を超えた企業、政策立案者や投資家へも随時共有していくという。それによって行動を喚起し、加速させることを目指す。

コペンハーゲンのサステナブルブランドである「ガニー(GANNI)」の共同創業者であるニコライ・レフストラップ(Nicolaj Reffstrup)の言葉を借りると「完璧を目指すよりも行動を起こすこと(Action over perfection)」が今最も重要であろう。地球が一度限界を超えたら戻れないティッピングポイントに到達するのが、もしかすると明日かもしれないからだ。

今のペースでファッション産業が経済活動を行っていくと、2030年までに気候変動を1.5度以内に抑えるために課せられた温室効果ガス排出量の約2倍も排出してしまうことになる。

デイビッド氏はこうも伝える。「気候変動への目標を達成し、将来も繁栄していくファッション産業を創造するために、私たちは衣服のデザイン、製造、そして楽しみ方を根本的に急速に変革する必要がある。ファッションには循環型経済が必須なのだ」。

The post 「生産せずに売り上げを作る」 エレン・マッカーサー財団の新たな構想 appeared first on WWDJAPAN.

韓国で話題の「ヒノック」日本上陸 「3年探し続けた」ヒノキへのこだわり

消臭スプレーなどを扱う韓国発のライフエチケットブランド「ヒノック(HINOK)」が6月20日に日本初上陸する。同ブランドは、韓国・チェジュ島に育つヒノキから抽出したヒノキエキスとヒノキオイルを中心に開発し、厳格なフランスのイブビーガン(EVE VEGAN)認証や、韓国初のプラスチックニュートラル認証を取得している。本国では20〜30代の男女の支持が厚く、売れ筋の消臭スプレーはリピート率も高い。初の海外展開への思いやブランド誕生の経緯、開発のこだわりについて、パク・ソヒ(Park Sohee)ヒノック ライフ(hinok life Inc.)最高経営責任者に話を聞いた。

3年探して見つけた原料
チェジュ島のヒノキ

PROFILE: パク・ソヒ/ヒノック ライフ最高経営責任者

パク・ソヒ/ヒノック ライフ最高経営責任者
PROFILE: 韓国の「キールズ」でマーケティングディレクター、「イニスフリー」商品開発チームのリーダーを務めるなど、約20年にわたり化粧品業界に携わる。妊娠をきっかけに、地球と人が共生できる社会を目指すライフエチケットブランド「ヒノック」を2021年4月にローンチし、現職 PHOTO : YUTA KATO

WWD:「ヒノック」を立ち上げた経緯について教えてほしい。

パク・ソヒ=ヒノック ライフ最高経営責任者(以下、パク):ロレアル(L’OREAL)の「キールズ(KIEHL'S SINCE 1851)」やアモーレパシフィック(AMOREPACIFIC)の「イニスフリー(INNISFREE)」など、化粧品業界でマーケティングや商品開発を約20年間担当していた。そこでいびつな形のニンジンやコーヒーかすなど廃棄物を再利用する取り組みに従事する中で、「持続可能な製品を作りたい」という思いが高まった。さらに、2017年の妊娠をきっかけに「未来を生きる子どもたちのために美しい環境を残すことが大人たちの責任である」と強く感じるようになった。そして21年4月、子どもに無害で信頼できるライフエチケットブランド「ヒノック」を立ち上げた。

WWD:“いつも緑と共に”という意味が込められた「ヒノック」は、韓国で初めて世界自然遺産に登録されたチェジュ島のヒノキにこだわり開発している。

パク:ブランドが誕生するまで、原料探しに3年、開発に1年と計4年の準備が必要だった。原料を探す中でヒノキを使った家具職人と出会い、ヒノキに含まれている揮発性物質のフィトンチッドには、アロマ効果や抗菌効果があると分かった。「ヒノック」は、3つの原則に従ってモノ作りを行っている。1つ目は透明性のある製造方法「クリーンメイド」、2つ目は証明された効果を届ける「ファクト&エフェクト」、そして3つ目は環境と共に生きる持続可能な「サステナビリティ」だ。

WWD:具体的には?

パク:自然を傷つけない方法として、済州(チェジュ)資源植物研究所と共に行う枝打ち(健康な木材育成のため余分な枝を切り落とすこと)作業の後に残ったヒノキのみを使用し、エキス抽出後に残った葉と茎は発酵した後、森の堆肥として活用している。また、チェジュ島は火山活動によってできた島のため、土壌は透水性と保水性に優れている。そこで育ったヒノキは香りが素晴らしく、夏に枝打ちしたヒノキはよりウッディーな香り、冬に枝打ちしたヒノキはシトラスの爽やかな香りなど、季節によって良さがある。

サステナビリティには
意図と美しさのバランスが大事

WWD:商品ラインアップは?

パク:衣類や寝具類、ベビー用品、ペット用品、車内などに使える消臭スプレーや、ハンドウォッシュ、ハンドバーム、1000時間熟成乾燥させて作った固形せっけんだ。韓国ではほかにも、スキンケア成分100%の低刺激弱酸性·中性洗濯洗剤やルームスプレーも販売している。

WWD:「ヒノック」はイブビーガン認証やプラスチックニュートラル認証を取得している。認証の重要性をどのように考えている?

パク:サステナビリティは、どのブランドも取り組むべき課題だ。プラスチックニュートラル認証はアメリカの認証で、韓国のブランドとして初めて取得した。脱プラスチックは重要だが、プラスチックを商品に一切使用しないのは難しく、現実的ではない。「ヒノック」では、スプレーボトルのトリガーにだけプラスチックを使用している。それ以外は再生樹脂(PCR)を使用しているほか、リフィルを用意して“詰め替えライフ”を提案するなど、過度なパッケージングの削減やプラスチックの責任ある使用に取り組んでいる。また、プラスチックを再生するための人件費はとても安く、それがリサイクルが進まない要因の1つでもある。私たちは、その課題についても向き合っているところだ。

WWD:開発でこだわった点は?

パク:最も重視しているのは、生産地であるチェジュ島の人とのコミュニケーションだ。例えば、ヒノキの枝打ちを機械で賄えば、たくさんの原料を早く得ることができる。しかし、それでは木が傷ついてしまう原因にもなる。「ヒノック」では地元住民と共に手作業で枝打ちを行うことで、新たな雇用を生み出すことにも貢献している。そして、サステナビリティを浸透させるには、製品内容と同じくらいデザインも重要だと考えており、開発では特にデザイン面にこだわった。

WWD:サステナビリティにつながるデザインとは?

パク:ブランドがどんなに素晴らしい環境への意志を持っていても、見た目が美しくないと持続できないと感じている。ブランドの意図と美しさのバランスが大事であり、「ヒノック」はどこに置いてもその空間になじみ、時間がたっても美しさが色あせない、長く愛されるビンテージ家具をイメージしてデザインした。家庭にある消臭剤は、棚の中など目立たない場所に片付けられることが多い。それだといずれ使わなくなってしまう。デザインの力を借りて、日常を清潔で衛生的なものにする商品を開発した。パッケージには、ブランドのシグニチャーとして緩やかな曲線を描いている。これは商品を使った瞬間、ヒノキの香りと共に“自然に入るドア”をイメージした。

WWD:今後の展望は?

パク:初の海外進出として日本に上陸し、ザ・コンランショップ(THE CONRAN SHOP)の各店舗で6月20日から先行販売する。また、ザ・コンランショップ東京店では7月15日までポップアップストアをオープンする。そして7月には、ソウル・北村韓屋村(プッチョンハノクマウル)エリアに初の旗艦店もオープン予定だ。開業に合わせて、鎮静効果のあるヒノキのポプリの新商品も発売する。今後ブランドがさらに成長すれば、店舗でのリフィルステーション(量り売り)も行いたい。日本は、おもてなしの精神や好きなモノ・コトに時間をかけて投資をする文化があり、トレンドに左右されない固有の色を持っている。そんな日本に「ヒノック」を紹介できてとてもうれしい。“幸せ”とは、規模に関係なく好きなことを継続すること。朝起きて「ヒノック」のアイテムを使えば、心を整えることができる。日常での小さな“幸せ”を感じてほしい。

The post 韓国で話題の「ヒノック」日本上陸 「3年探し続けた」ヒノキへのこだわり appeared first on WWDJAPAN.

ファーストリテイリング、難民支援事業の現在地「出資だけでなく事業として介入」

ファーストリテイリングは難民の日(6月20日)の前日である19日、東京の六本木ヒルズで難民支援活動に関する説明会を実施した。同社で難民問題を含むサステナビリティを担当する柳井康治取締役、国連難民高等弁務官事務所(以下、UNHCR)の伊藤礼樹・駐日代表などが登壇した。

難民の現状は年々厳しさを増しているという。ファーストリテイリングによると、避難を余儀なくされた人が12年連続で増加し、2024年5月時点で過去最多となる1億2000万人に到達した。紛争、人権侵害、気候変動などが主要因だが、強制移動の中で最も増えているのは紛争によって国内で避難を余儀なくされている国内避難民だ。彼らの大多数は近隣国で受け入れられており、低中所得国で75%が暮らしている。

一方で、23年には国内避難民500万人以上、難民100万人以上が故郷に帰還し、第三国定住を通じた新たな受け入れは16万人近くまで増加したというポジティブなニュースもある。しかしながら、今後も世界中の人々の連帯と支援が必要な問題であることは変わらないようだ。

ファーストリテイリングは01年より難民支援事業に着手してきた。06年からはUNHCR と協働で難民キャンプへの訪問や衣服支援を開始。11年にはUNHCRとパートナーシップを締結した。その後も、ユニクロ事業で難民を雇用するほか、22年からはバングラデッシュでロヒンギャ難民の自立支援プロジェクトも実施している。

ファーストリテイリングの持続的な活動が難民問題自体の認知につながることを目指し、包括的に活動を広げている。24年6月20日には、柳井正社長が社会福祉法人さぽうとにじゅういちに個人寄付を実施し、東京・品川に難民教育相談センターを開設する。日本で暮らす難民が通学や進学、日本語学習などで不安を抱いた時に相談できる場所として機能させていく。

柳井康治取締役は、民間企業でありながら難民問題に注力する理由を「世界中で商売をさせていただく中でこういった社会貢献活動は必須。お金を出資するだけでなく自分たちが実務として介入していくことで、社員も自分たちの日々の仕事が世界規模の社会貢献につながっているということを実感できる」と語る。また、伊藤代表は同社の取り組みに対して「難民の人たちの人生を変えている点はもちろんだが、民間企業がここまで難民支援にコミットする事例は世界でもまれ。他企業の手本としてこれからも走り続けてほしい」と続ける。

説明会後には「ユニクロ(UNIQLO)」LifeWearスペシャルアンバサダーの綾瀬はるかが登場し、東京・吉祥寺の成蹊小学校6年生に向けた「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」特別課外授業を実施した。ファッションが持つ力や難民の子どもたちが置かれている現状について東京大学大学院教育学研究科の北村友人教授が解説し、難民問題と「ユニクロ」の活動への理解を深めた。

The post ファーストリテイリング、難民支援事業の現在地「出資だけでなく事業として介入」 appeared first on WWDJAPAN.

東洋紡のリサイクル綿糸「さいくるこっと」 高品質と環境影響低減を実現

東洋紡せんいはこのほど、高品質リサイクル綿糸「さいくるこっと」を開発した。インドのパートナー企業と開発した独自技術で反毛とは異なる工程で生地片をわたに戻す。一般的な反毛は粗く裁断し、針の力で素材は引きちぎるため、繊維へのダメージが大きく、繊維長や太さにばらつきが出て品位が低下するが、「さいくるこっと」は、細かく裁断した後にオイリングして空気の力で開繊するため、繊維へのダメージを小さくすることができる。

「さいくるこっと」は原料には管理した良質なリサイクル原料のみを活用するため、高品質を保てるだけでなく、国際リサイクル認証である「GRS(グローバル リサイクル スタンダード)」取得も可能。

東洋紡が公開した資料によると、「さいくるこっと」を20%混にすると、一般的なコットンに比べて水使用量は19%、CO2排出量は12%削減できるという。

The post 東洋紡のリサイクル綿糸「さいくるこっと」 高品質と環境影響低減を実現 appeared first on WWDJAPAN.

死に在庫を生き生きとした「ライブ ストック」に スタイリストの挑戦、故郷の長野から全国に

故郷の長野県上田市でセレクトショップの「エディストリアル ストア(EDISTORIAL STORE)」を手掛ける、小沢宏スタイリストの「ライブ ストック」という考え方が広がっている。「エディストリアル ストア」は、アパレル企業が倉庫で寝かしている在庫を、小沢のスタイリストとしての審美眼を生かしてセレクトして販売。雑誌のシューティングページのような世界観の演出やミックスコーディネイトで思いを発信しながら、死に在庫だった「デッド ストック」に命を吹き込み、生き生きとした魅力を放つ「ライブ ストック」として販売する。業界人らしい“洋服愛”とスタイリストとして培った人脈やノウハウに基づく小沢の取り組みは、在庫問題に苦慮するアパレルメーカーやディストリビューター、商業施設などの賛同を得て、拡大中。「ライブ ストック」という考え方を発信する「エディストリアル ストア」のビジネスモデルは、上田市から長野県、そして都内へと広がっている。

オフプライスストアと一線を画す、
「逆張り」と「雑誌の3D化」

>「焦り」を感じていたスタイリスト小沢宏が、地元で審美眼を生かして在庫活用のセレクトショップ

小沢が「エディストリアル ストア」を立ち上げた経緯は、上のリンクの通り。アパレルメーカーなどから「新古品(一度は出荷されたが未使用の商品のこと)」を買い取って販売するビジネスモデルは、一般的には「オフプライス」業態と呼ばれるが、小沢は「(オフプライスとは)異なっている」と話す。

小沢がそう言い切れるのは、スタイリストやフリーの編集者として、長年ファッション誌で活躍してきたキャリアの賜物だろう。まず小沢は、「『エディストリアル ストア』では、時に(当時の)販売価格以上の値段をつけることがある」という。その理由は、「スタイリストならではの『逆張り』」と小沢。「例えばルーズフィット全盛のタイミングで、『いつ、タイトフィットを提案しようか?』と考えて実行するなど、スタイリストは常に時代の先を読んで、『逆張り』している」と続ける。通常のオフプライスストアは、「新古品」を“シーズン落ち”と捉え、価値は下がっているから当時よりも安く販売している。一方の「エディストリアル ストア」は、その「新古品」が再び、もしくは新たに価値を帯び始めるタイミングで販売しようと試みるから、時に価格は当時よりも高くなるというわけだ。

そして小沢は、新たな価値を、さまざまな手法で届ける。例えば商品には、一着一着に思いの丈を綴ったカードを下げたり、可動式の什器を活用するなどして空間を演出。ブランドの垣根を超えたミックスコーディネートも、新たな価値の表現方法の1つだ。小沢は、こうした手法を「雑誌の3D化」と呼ぶ。ミックスコーディネートや、可動式の什器を使った空間演出は、雑誌の世界では当たり前の新たな価値を伝えるための手段。二次元の雑誌での取り組みを、三次元の「エディストリアル ストア」で再現している感覚だ。思いを綴ったカードは、雑誌の文章やキャプションのような存在なのだろう。

編集長は小沢、イベントでは
ゲストエディターを招き異なる視点を発信

「エディストリアル ストア」のオープンから2年。小沢の思いや取り組みは今、少しずつ広がっている。同じ長野県の松本パルコを皮切りに、丸の内や渋谷、南青山で開催したイベントには、ビームスやユナイテッドアローズ、ディストリビューターのコロネットなどが参画した。

イベントについて小沢は、「自分は編集長。そこにゲストエディターを招いている」と、ここでもファッション誌の感覚を忘れない。例えば「リステア」の柴田麻衣子クリエイティブ・ディレクターや、シトウレイ=ストリート・スタイル・フォトグラファーをゲストエディターに招いて、彼女たちが選んだ「ライブ ストック」を集積して発信。まさに小沢が編集長を務めるファッション誌に、柴田やシトウは寄稿したり、ゲスト編集者としてページを作ったりの取り組みだ。

小沢は、在庫に新たな命を吹き込む「ライブ ストック」という考え方には、「他にも応用できる弾力性」があると捉えている。上田の「エディストリアル ストア」は、「ニューヨークのソーホーやブルックリン、パリのマレにあっても負けない存在」と小沢。引き続きさまざまなゲストエディター、ブランドや企業と共に、「ライブ ストック」という概念を上田から全国、そして世界に届ける。

The post 死に在庫を生き生きとした「ライブ ストック」に スタイリストの挑戦、故郷の長野から全国に appeared first on WWDJAPAN.

「パタゴニア」中古販売の現場へ、「ウィークエンド マックスマーラ」×川島織物で胸熱  【向千鶴サステナDが行く】

向千鶴サステナビリティ・ディレクターによる連載がスタートします。第1回は「パタゴニア(PATAGONIA)」が本格始動した中古品販売の現場や、「ウィークエンド マックスマーラ(WEEKEND MAX MARA)」がコラボした京都の織物工場の圧巻な光景、そして“持続可能”を文字通り体現している創業400年の「チャーチ(CHURCH'S)」のディナーでの気づき、などをお届けします。何をもってサステナビリティなの?そんな疑問に取材を通じて答えます。

手仕事とハイテクが両立する、生産現場の静かな迫力

「ウィークエンド マックスマーラ」が京都でグローバルイベント(5/19)

「ウィークエンド マックスマーラ」が、バッグ“パスティチーノ”の限定アイテム発売にあたり、京都でプレスツアーを開催しました。ぷっくりしたがま口型の“パスティチーノ”は各国の伝統技術を素材に採用し、年に1度発表されています。ミラノ、パリに続いて“第3の寄港地”に選ばれたのが日本の京都。バッグに採用した唐草や花模様のシルクジャカードは、1843年に京都で創業した川島織物セルコンのアーカイブから選出したもので、留め具部分は1927年の創業の中森組紐工房の職人による手仕事です。

この日、世界各国から集まったジャーナリスト一行は、観光客でごった返す京都市内を抜け出し、川島織物セルコンの工場見学へ。ビデオで同社の歴史を学んだ後、制作工程の説明を受けながら広い工場を歩きました。整理整頓が行き届いた工場はいくつかのゾーンに分かれており、織りの工程は大きく2つの「手織り」「機械織り」に分かれています。その緻密さとスケールを目の当たりにし、「あ〜これが伝統を受け継ぎながら進化をし、世界で評価される日本のものづくりの現場というものか」と圧倒されました。マニュアル化できるところを徹底的にマニュアル化し、その上で職人の技と感性を引き出す。静かな凄みがあります。このスケールがなければ「ウィークエンド マックスマーラ」のようなグローバルブランドのスケールには対応できないですよね。詳細は上の写真をキャプションと合わせてご覧ください。

「必要ないモノは買わないで」を連呼する斬新な売り場で宝探し

「パタゴニア」が中古品の買い取り・販売本格スタート(5/24)

「パタゴニア」が自社製品の中古品の買取りと再販を本格スタートするということで、ポップアップが開催中のパタゴニア東京・渋谷へ。入口ではアスリートたちのお気に入りの一着が迎えます。アウトドアで活躍している彼らがリペアをしながらも愛用し続けるのは、時に命を支えるギアとしての機能性の高さはもちろんですが、ハードな局面を共に過ごしてきた相棒としての思い入れがあるから。アスリートでなくてもそういう一着はありますよね。

足跡マークに導かれて同店の2階に上がると、中古衣類プラットフォーム「ウォーン ウエア(WORN WEAR)」の全貌がわかる展開に。商品の大半は買取り(オンラインでは常時、ポップアップ中は店舗でも実施)した中古品です。同じ製品でも状態により価格も異なり、宝探しのような楽しさがあります。

驚くのは店内随所に「必要なモノは買わないで」とか「新品よりずっといい」と言ったパネルが掲げられていること。新品も販売している店舗で何とも前衛的なメッセージです。これができるのは「パタゴニア」がサーキュラーブランドとして統合したサービスを提供しているから。

「パタゴニア」考える着る人と製品を取り巻くサキュラーの姿は端的に言えば次のようになります。①なるべく長く使用することで、CO2排出量を抑える→②壊れてしまったら修繕をして、自身で愛用を続けたり、第3者に中古品として手に渡り、さらに長い使用でインパクトを減らす→③どうにも使用できなくなったらリサイクルへ。

メッセージは日本語、英語、中国語で掲示されています。アジアで「パタゴニア」の支社があるのは日本と韓国。訪日客もグローバルで発信しているメッセージをここで体感できる、というわけです。一点ものが多いから宝探しのような感覚で買い物を楽しめます。

この場は、実験場であり対話の場だな、というのが訪れた印象です。例えば、どんなに愛着がある製品でもギアとしての機能性が担保できなければアップサイクルを断ることもあるそう。アウトドア製品ゆえ、使用者の命に関わることもあるからです。ここで思い浮かんだのが登山家であった高齢の自分の父の姿です。もう山には登れない彼にとっては、機能性がなくとも愛用の一着を散歩着として持っていたいでしょう。そういった対話がこの場では広がっていきそうです。

その頃、日本は戦国時代だった

「チャーチ」CEO来日ディナー(5/29)

英国のシューズブランド「チャーチ」のデニ・マンザットCEOが職人と来日し、製品のお披露目と合わせて東京會舘でディナーが開催されました。ブランドの創業は1873年と十分に「老舗」ですが、その始まりは1617 年(日本の関ヶ原の戦いの数年後)に靴の職人アンソニー・チャーチが靴づくり始めたことにさかのぼるそうです。受け継がれてきた技を目の当たりにし、これをサステナビリティと呼ばない理由は見当たりません。

いただいた食事は、故・エリザベス女王が来日したときとほぼ同じメニューとのことでワインとともに時間がゆっくりと流れてゆきました。

The post 「パタゴニア」中古販売の現場へ、「ウィークエンド マックスマーラ」×川島織物で胸熱  【向千鶴サステナDが行く】 appeared first on WWDJAPAN.

アスプルンドが廃棄デニム素材の家具や什器を販売 デザイン性の高さで差別化

ワールド傘下の家具製造販売会社であるアスプルンド(東京、西川信一社長)は、廃棄デニム素材を再利用したマテリアルボード「ステラポップ」の家具や什器の販売を今春から始めた。従来の再生材を使用したマテリアルボードに比べてデザイン性が高い点を強みとし、サステナビリティ意識が高い企業のオフィスなどのニーズを獲得する。

一般の顧客に向けた家具もそろえるが、ターゲットとする用途は業務用。飲食店、ホテル、オフィス、結婚式場などでの使用を想定しているが、特にオフィス用途の注文が増加している。「サステナビリティへの意識が高く、対外的にもそのイメージを強化していきたい企業から、ロビーや商談室で利用したいという声が多い。弊社が扱う他の家具より1.3倍ほど価格は高いが、姿勢に共感した企業からの支持を獲得できている」と熊代太一マネージャーは話す。

「ステラポップ」はベトナムのジーンズメーカーのサイテックスが開発した、廃棄デニムを再利用したマテリアル素材。デニムの製造過程で出るB品を使用し、水性バインダーを混ぜ合わせてプレスして製造する。取り入れる廃棄デニムを変更することで色味や風合いの調整ができ、カラフルで表面にデニムの素材感が残った柄が特徴的だ。

The post アスプルンドが廃棄デニム素材の家具や什器を販売 デザイン性の高さで差別化 appeared first on WWDJAPAN.

ビーチクリーン体験で実感する「マイクロプラスチック回収の難しさ」

5月末の週末に茅ヶ崎へビーチクリーンの体験取材に行ってきました。主催は海洋汚染・水質汚染を軽減できるプラスチック代替素材の開発や消費財の企画、製造販売を行うサキュレアクト。同社は海洋汚染を少しでも減らせるようにとチーム530を組織し、2023年からビーチクリーン活動に取り組んでいます。

8ホテルで環境について学ぶ

集合場所は茅ヶ崎の8ホテル(8HOTEL)。9回目の今回は、家族や友人同士、1人で参加する人など約20人が集まりました。ホテル内にあるサウナ後の“ととのえ部屋”で塩原祥子サキュレアクト代表取締役が環境汚染の現状を語り、その後クイズ形式で地球環境の現在地を理解していきます。例えば、「南極の氷が全部溶けたら海面上昇はどの程度か?」の質問に、1.約60m、2.約30m、3.約90mの選択肢が出ます(正解は1です)。塩原代表は回答と共に「茅ヶ崎の海岸も侵食が進んでいるため、毎年砂を撒いている」など身近で起きていることも加えて伝えていました。

講義の最後は、今日からできることとして、
・燃えるゴミを分別して資源へ(雑ゴミに出す)
・買い物は必要なものだけを購入する
・過剰包装の物は買わない
・洗濯するときマイクロプラスチックを流さない洗濯ネットを使用する
・節電した生活を
・街中でゴミを見たら拾って、ゴミ箱へ
とリデュース、リユース、リサイクルの重要性を伝えます。

30分ほどの講義の後、ランチタイムに。地域のオーガニック野菜を使ったスープとメイン(ホットドックorチリコンカーンドック)、ドリンクを楽しみます。塩原代表は各テーブルを回り、参加者に講義で感じたことなどを聞いたり、談笑したりしていました。

無限に広がるマイクロプラスチック

ランチ後は20分程度歩き茅ヶ崎の海岸へ。海岸に着くとスタッフからトングとゴミ袋、手袋が配られ、ビーチクリーンを開始します。それぞれが思い思いの場所で、海岸に寄せられたゴミを拾っていきます。鎌倉在住の女性は「幼少時から鎌倉の海を見ていますが、年々汚染されているのが分かるんです。何か行動を起こさないと思っていたところ、インスタでビーチクリーンの参加者募集を見て応募しました」。彼女は「友人に鎌倉に観光に来てと誘えますけど、ビーチクリーン活動を一緒にやろうと誘いにくいんですよね」とも。男女問わず1人で参加する人が多かった理由は、そういう心理的ハードルの高さがあるのかもしれません。

「エレミニスト(ELEMINIST)」の営業担当者は、仕事で一度体験したそうですが、今回はプライベートで参加。前回必要に感じたことから使わなくなったステンレス製のメッシュザルを持参していました。そうなんです。海洋ゴミといえば、ペットボトルや空き缶などを思い浮かべがちですが、プラスチック製の商品が紫外線で細かくなり、砂と大差ない大きさになっているものが多いのです。マイクロプラスチックと言葉では理解していましたが、実際に無限に広がるマイクロプラスチックを目にすることで回収の難しさを痛感しました。砂と同じような大きさのものを選別して取るのは難しく、なおかつ風が吹いているとせっかくとっても飛んでしまうという状況に苦戦しました。

30分ほどのクリーン活動を終えると、回収した成果を発表します。大物自慢(笑)として、木片や魚網、マスク、洗濯バサミなどが集まりました。ちなみに前回(3月開催)は、ドラム缶やスニーカーなどがあったそうです。時期や天候によりゴミの種類が変わるとのこと。成果発表を終えた際、参加者の一人であるロシア人女性が、「食用油はトイレに流しますか?」と投げかけざわつきが。もちろん、誰一人して流す人はいませんでしたが、ロシアでは約半数がトイレに流しているという驚愕の事実を知りました。

環境問題の情報発信が少なすぎる

塩原代表は「日本は環境問題の情報発信が少なすぎます。共感する人を増やさないと状況は変わりません。自分たちができることから始めたんです」とチーム530を立ち上げました。インスタグラムで情報発信やビーチクリーン活動などを定期的に行っています。また8人のアンバサダーを起用し、それぞれが環境問題について発信しています。今後は滋賀や長野、愛知、神奈川、東京にいるアンバサダーと連携し、クリーン活動などの拠点を拡大したいそう。「茅ヶ崎と琵琶湖のクリーン活動を同時間に実施し、オンラインでつなげて作業することも視野に入れています」とのこと。

海洋汚染や地球環境の悪化は加速しています。近年は、九州の日本海側に生息するブリが北海道でも多く獲れるようになるなど、地球温暖化の影響は私たちの食生活にも直結しています。今ある生活を大きく変えなくとも、まずは自分でできる範囲で行動することから始めてみませんか。レクリエーション感覚でも楽しめるビーチクリーン活動、おすすめです。

The post ビーチクリーン体験で実感する「マイクロプラスチック回収の難しさ」 appeared first on WWDJAPAN.

ビーチクリーン体験で実感する「マイクロプラスチック回収の難しさ」

5月末の週末に茅ヶ崎へビーチクリーンの体験取材に行ってきました。主催は海洋汚染・水質汚染を軽減できるプラスチック代替素材の開発や消費財の企画、製造販売を行うサキュレアクト。同社は海洋汚染を少しでも減らせるようにとチーム530を組織し、2023年からビーチクリーン活動に取り組んでいます。

8ホテルで環境について学ぶ

集合場所は茅ヶ崎の8ホテル(8HOTEL)。9回目の今回は、家族や友人同士、1人で参加する人など約20人が集まりました。ホテル内にあるサウナ後の“ととのえ部屋”で塩原祥子サキュレアクト代表取締役が環境汚染の現状を語り、その後クイズ形式で地球環境の現在地を理解していきます。例えば、「南極の氷が全部溶けたら海面上昇はどの程度か?」の質問に、1.約60m、2.約30m、3.約90mの選択肢が出ます(正解は1です)。塩原代表は回答と共に「茅ヶ崎の海岸も侵食が進んでいるため、毎年砂を撒いている」など身近で起きていることも加えて伝えていました。

講義の最後は、今日からできることとして、
・燃えるゴミを分別して資源へ(雑ゴミに出す)
・買い物は必要なものだけを購入する
・過剰包装の物は買わない
・洗濯するときマイクロプラスチックを流さない洗濯ネットを使用する
・節電した生活を
・街中でゴミを見たら拾って、ゴミ箱へ
とリデュース、リユース、リサイクルの重要性を伝えます。

30分ほどの講義の後、ランチタイムに。地域のオーガニック野菜を使ったスープとメイン(ホットドックorチリコンカーンドック)、ドリンクを楽しみます。塩原代表は各テーブルを回り、参加者に講義で感じたことなどを聞いたり、談笑したりしていました。

無限に広がるマイクロプラスチック

ランチ後は20分程度歩き茅ヶ崎の海岸へ。海岸に着くとスタッフからトングとゴミ袋、手袋が配られ、ビーチクリーンを開始します。それぞれが思い思いの場所で、海岸に寄せられたゴミを拾っていきます。鎌倉在住の女性は「幼少時から鎌倉の海を見ていますが、年々汚染されているのが分かるんです。何か行動を起こさないと思っていたところ、インスタでビーチクリーンの参加者募集を見て応募しました」。彼女は「友人に鎌倉に観光に来てと誘えますけど、ビーチクリーン活動を一緒にやろうと誘いにくいんですよね」とも。男女問わず1人で参加する人が多かった理由は、そういう心理的ハードルの高さがあるのかもしれません。

「エレミニスト(ELEMINIST)」の営業担当者は、仕事で一度体験したそうですが、今回はプライベートで参加。前回必要に感じたことから使わなくなったステンレス製のメッシュザルを持参していました。そうなんです。海洋ゴミといえば、ペットボトルや空き缶などを思い浮かべがちですが、プラスチック製の商品が紫外線で細かくなり、砂と大差ない大きさになっているものが多いのです。マイクロプラスチックと言葉では理解していましたが、実際に無限に広がるマイクロプラスチックを目にすることで回収の難しさを痛感しました。砂と同じような大きさのものを選別して取るのは難しく、なおかつ風が吹いているとせっかくとっても飛んでしまうという状況に苦戦しました。

30分ほどのクリーン活動を終えると、回収した成果を発表します。大物自慢(笑)として、木片や魚網、マスク、洗濯バサミなどが集まりました。ちなみに前回(3月開催)は、ドラム缶やスニーカーなどがあったそうです。時期や天候によりゴミの種類が変わるとのこと。成果発表を終えた際、参加者の一人であるロシア人女性が、「食用油はトイレに流しますか?」と投げかけざわつきが。もちろん、誰一人して流す人はいませんでしたが、ロシアでは約半数がトイレに流しているという驚愕の事実を知りました。

環境問題の情報発信が少なすぎる

塩原代表は「日本は環境問題の情報発信が少なすぎます。共感する人を増やさないと状況は変わりません。自分たちができることから始めたんです」とチーム530を立ち上げました。インスタグラムで情報発信やビーチクリーン活動などを定期的に行っています。また8人のアンバサダーを起用し、それぞれが環境問題について発信しています。今後は滋賀や長野、愛知、神奈川、東京にいるアンバサダーと連携し、クリーン活動などの拠点を拡大したいそう。「茅ヶ崎と琵琶湖のクリーン活動を同時間に実施し、オンラインでつなげて作業することも視野に入れています」とのこと。

海洋汚染や地球環境の悪化は加速しています。近年は、九州の日本海側に生息するブリが北海道でも多く獲れるようになるなど、地球温暖化の影響は私たちの食生活にも直結しています。今ある生活を大きく変えなくとも、まずは自分でできる範囲で行動することから始めてみませんか。レクリエーション感覚でも楽しめるビーチクリーン活動、おすすめです。

The post ビーチクリーン体験で実感する「マイクロプラスチック回収の難しさ」 appeared first on WWDJAPAN.

古代ローマ時代の市場でサステナビリティを考えるイベント開催 「ボッテガ・ヴェネタ」CEOなど100人のゲストスピーカーが登壇

伊NPOのサステイナブル・ファッション・イノベーション・ソサエティー(SUSTAINABLE FASHION INNOVATION SOCIETY、以下SFIS)は6月4日と5日の2日間、欧州議会と欧州委員会との提携によるフィジタル・サステナビリティ・エクスポ(PHYGITAL SUSTAINABILITY EXPO、以下PSE)をローマで開催した。PSEはファッション&デザインのサステナビリティに特化したイタリア初のイベントとして2019年にスタート。技術革新による“メード・イン・イタリー”の持続可能な産業への移行促進を目指している。

多彩なパネルトークからユニークなファッションショーまで

会場は、コロッセオやフォロ・ロマーノと同じエリアにある古代ローマ時代の市場跡地「トラヤヌスの市場」。世界遺産や歴史的建造物が至るところにある街ならではのロケーションと言える。そんなユニークな会場にステージや約15企業や団体の展示ブースを設けた。

5回目を迎えた今回は、ポリシーメーカーである政治家からファッションや素材、サステナビリティ関連企業のトップ、学者、NPOまで、イタリア国内を中心に17カ国から約100人のゲストスピーカーがステージに登壇。終日ひっきりなしにパネルトークやプレゼンテーション、レクチャー、公開インタビューなどが行われた。テーマやトピックは、EUやイタリアにおけるサステナビリティ関連の政策やイニシアチブをはじめ、素材や生産、小売、ESG投資、EPR(拡大生産者責任)、ダイバーシティー&インクルージョン、エネルギーまで多彩。大半はイタリア語で行われたが全て英語で同時通訳され、オンラインでも2言語でライブ配信された。

PSEがハイライトの一つに据えているのは、初日夜のナレーション付きファッションショーだ。披露したのは、出展者をはじめとする9ブランドが制作したアイテム。サステナビリティに対する意識を高めることを目的としており、モデルがランウエイに登場すると、その服の生産に用いられた技術革新やサステナブル素材の詳細、生産にかかる温室効果ガス排出量についてのナレーションが流れるという演出が特徴になっている。同イベントは一般客も無料で参加でき、ショーには若者を中心に地元の人も数多く集まった。

「ボッテガ・ヴェネタ」や「フェラガモ」など優れた“メード・イン・イタリー”を表彰

2日目の午前中には、“メード・イン・イタリー”の優れた取り組みを表彰する「サステイナブル・メード・イン・イタリー賞」の授賞式とトークセッションを開催した。クリエイティビティー&クラフツマンシップ部門は「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」、イタリアン・ヘリテージ部門は「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」、職人の知恵部門は「フェラガモ(FERRAGAMO)」が受賞。さらに、ファッションのデジタル化部門には「ユークス(YOOX)」の創業者でもあり、現在は英国のチャールズ国王が立ち上げた「ファッションタスクフォース(FASHION TASKFORCE)」の会長を務めるフェデリコ・マルケッティ(Federico Marchetti)、そして、メード・イン・イタリーの若手女性イノベーター部門にはイタリア製のオーガニックコットン繊維を手掛けるソーファイン(SOFINE)のアリアイ・ヴェントゥーリ・クアットリーニ(Aliai Venturi Quattrini)=マネジング・ディレクターが選ばれた。

ステージに登壇したバルトロメオ・ロンゴーネ(Bartolomeo Rongone)=ボッテガ・ヴェネタ最高経営責任者(CEO)は、同ブランドのモノづくりに欠かせない職人たちにフォーカスした短編映像「クラフト・イン・モーション」を流し、「まずサステナビリティなしに卓越性を実現することはできない。サステナビリティは、環境だけでなく、文化的な伝統や人においても言えることだ」とコメント。そして「『ボッテガ・ヴェネタ』は、クオリティーに対する厳格なアプローチで、丈夫かつ世代を超えて受け継げるような製品を作っている。また、常にクラフツマンシップの伝統を守ることにこだわり、責任を伴った成長にフォーカスしてきた。職人の手仕事はブランドの本質であり、従業員に適切な賃金を支払うことやベストな労働環境を保証することに取り組んでいる。企業は、自分たちが拠点とする地域そして国全体を守るために、コミュニティーに価値を還元し、良い環境を生み出していくことが必要だ」と続けた。

現在ミラノで大規模な展覧会も開催している「ドルチェ&ガッバーナ」のフェデーレ・ウザイ(Fedele Usai)=ジェネラル・ディレクターは、「展覧会でもイタリアのさまざまな地域のクラフツマンシップへの愛を感じられるだろう」とし、「イタリアには、国内にモノづくりの現場をたくさん有するという豊かさがある。(変化のためには、)自社の社員だけでなく、そのモノづくりに関わる全てのサプライチェーンを教育していくことが重要だ」と主張。「新たな世代はサプライチェーンの管理や説明責任を重視している。私たちが若かった頃と今の若者では何を信じるかという点で違う考えや視点があり、新世代を未来の消費者として捉えるだけでなく、その声に耳を傾けることも大切だと思う」と話した。

そして、ジェームス・フェラガモ(James Ferragamo)=フェラガモ グローバル・チーフ・トランスフォーメーション&サステナビリティ・オフィサーは、「ファッションブランドには今、継続的な成長と同時にサステナブルなビジネスモデルへの移行という目標に向かっていくことが求められる。このジレンマに対する解決策をサプライチェーン全体で考えていかなければならない。祖父のサルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)は戦時中、レザーやメタル、ラバーが使えない中、コルクやセロファンなどで靴を作り、クリエイティブであることを諦めずに成長を続けてきた。『フェラガモ』には、今でもそういった革新のDNAがある。私たちが目指しているのは、革新的かつサステナブルであることだ」と述べた。

主催者が語るイベントを続ける大切さ

ヴァレリア・マンガーニ(Valeria Mangani)SFISプレジデントは、PSE立ち上げのきっかけについて「イタリアの現状に危機感を覚え、ファッション業界のサステナビリティに対する認識を高める必要性を感じた。EUは2050年までに気候中立達成を目指しているが、EPRなどのさまざまな政策を打ち出すことよりも、(イタリアでは)まず生産者や消費者に自分たちが作ったり、買ったりするものについて考えてもらうことが重要だった」と振り返る。そして、「イタリアには世界的なビッグブランドもあるが、中小企業が多い。そのため、サステナビリティ実現のためのノウハウや資金、労力をもっていない企業も多く、適切な説明や支援が必要だ」と説明する。

現在抱える最も大きな課題について尋ねると、「二つあるが、一つはファッションにおけるサステナビリティ実現に向けた行政からの金銭的支援。そのため、経済発展省が設立した会合『テーブル・フォー・ファッション』の一員でもあるSFISは、ポリシーメーカーへのロビー活動を積極的に行なっている。もう一つは、人々のマインドセットを変えること。一朝一夕にはいかないが、特に中小企業における変化が急務だ」と語った。

現地で感じた意義と課題

イタリアの大手ファッション企業ではよりサステナブルなビジネスモデルへの変化や取り組みが進み、ミラノ・ファッション・ウイークを主催するイタリアファッション協会や「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」や「リネアペッレ(LINEA PELLE)」といった素材見本市でもサステナビリティへのフォーカスが見られる。しかし、国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が世界各国のSDGs達成度を評価した「サステナブル・デベロップメント・リポート」の23年版によると、イタリアは24位(ちなみに日本は21位)。北欧諸国やドイツ、フランスなどサステナビリティ先進国の多いヨーロッパでは遅れをとっているのが現状だ。そんな中、ファッション業界にとって重要な生産国、そして輸出国の一つでもあるイタリアでサステナビリティに対する意識を高めていくために、このようなイベントを継続して行う意義は大きい。

一方、実際に訪れてみて、イベントとしての課題が見えたのも事実だ。一つは、ゲストスピーカーの数は充実しているものの、各セッションや登壇者に与えられた時間が短かったこと。活発な意見交換や具体的なソリューション提案というよりも、それぞれの取り組みの紹介や意見表明というレベルにとどまり、結果的に深く掘り下げられていないことも多々ある印象を受けた。また、初日夜のファッションショーにはたくさんの来場者が見られたものの、日中はイベントの関係者やメディア以外の来場者はさほど多くなかった。ファッション業界やモノづくりに携わる人を対象にするにしても、一般消費者を対象にするにしても、「人々のマインドセットを変える」にはまずより多くの人を呼び込み、関心を持ってもらったり、考えるきっかけを与えたりすることが重要。専門用語や新たな技術が多く難しいと捉えられがちなサステナビリティのイベントにとって、当事者として身近に感じられるようなテーマや登壇者の選定、そしてより多くのワークショップのような参加型企画も大切だと感じた。ブラッシュアップの余地は大きく、今後の発展に期待したい。

The post 古代ローマ時代の市場でサステナビリティを考えるイベント開催 「ボッテガ・ヴェネタ」CEOなど100人のゲストスピーカーが登壇 appeared first on WWDJAPAN.

「プロテカ」が廃棄自動車の再生材からスーツケース

エースのスーツケースブランド「プロテカ(PROTECA)」は、再生材を採用したサステナブルなスーツケース“マックスパス RI 2(MAXPASS RI 2)”を8月中旬から販売する。

容量は38Lで、カラーはグラファイトの一色。価格は4万9500円。直営店、オンラインストア、全国の主要百貨店、専門店で、500個限定で販売する。

エースは、資源循環型社会の構築を目指してスーツケースのリサイクル活動や外装部の端材の再利用といった取り組みを続けてきた。今回は、プロテカの工場がある北海道の資源リサイクル業者から再生材を仕入れて、地産地消を実現。外装部に廃棄自動車の内装パーツや、物流パレットの再生材を使用し、内装とインナーポーチにはリサイクルポリエステルを採用した。エースが購入者を対象に実施するリサイクルプロジェクトに参加することで、使い古したスーツケースをリサイクルに回すこともできる。

The post 「プロテカ」が廃棄自動車の再生材からスーツケース appeared first on WWDJAPAN.

「プロテカ」が廃棄自動車の再生材からスーツケース

エースのスーツケースブランド「プロテカ(PROTECA)」は、再生材を採用したサステナブルなスーツケース“マックスパス RI 2(MAXPASS RI 2)”を8月中旬から販売する。

容量は38Lで、カラーはグラファイトの一色。価格は4万9500円。直営店、オンラインストア、全国の主要百貨店、専門店で、500個限定で販売する。

エースは、資源循環型社会の構築を目指してスーツケースのリサイクル活動や外装部の端材の再利用といった取り組みを続けてきた。今回は、プロテカの工場がある北海道の資源リサイクル業者から再生材を仕入れて、地産地消を実現。外装部に廃棄自動車の内装パーツや、物流パレットの再生材を使用し、内装とインナーポーチにはリサイクルポリエステルを採用した。エースが購入者を対象に実施するリサイクルプロジェクトに参加することで、使い古したスーツケースをリサイクルに回すこともできる。

The post 「プロテカ」が廃棄自動車の再生材からスーツケース appeared first on WWDJAPAN.

「ディーゼル」が低環境負荷のデニム生産に迫ったドキュメンタリー公開 グレン・マーティンスのインタビューも

「ディーゼル(DIESEL)」は、低環境負荷のデニム生産を扱ったドキュメンタリー「Behind the Denim(デニムの裏側)」を公開する。

本ドキュメンタリーは、「All Aboard(出発)」「Lifetime Jeans(ライフタイム・ジーンズ)」「Clean Dirty(クリーン・ダーティ)」「Sow the Seed(種をまこう)」「Waste to Treasure(廃棄物を宝物に)」の全5章からなる。農場から工場、クローゼットに至るまで、デニムのライフサイクル全体に迫る。監督はルーク・ケイシー(Luke Casey)、司会進行は「i-D」のレア・オグラミ(Lea Ogunlami)が務め、グレン・マーティンス(Glenn Martens)=クリエイティブ・ディレクターやアンドレア・ロッソ(Andrea Rosso)=「ディーゼル」サステナビリティー・アンバサダー、サラ・ベットゲラ(Sara Betteghella)=OTBグループ チーフ・サステナビリティー・オフィサーがインタビューに出演する。

「ディーゼル」のデニム生産現場を訪問

このドキュメンタリーは、イタリア・ミラノの「ディーゼル」店舗での顧客へのインタビューや、水と化学薬品の使用量削減に取り組む同ブランドのデニムのウオッシュ加工技術、裁断くずなどのリサイクル素材を用いた“リハブ・デニム”の製造過程なども取り上げている。

「ディーゼル」は、“Diesel For Responsible Living”の考えのもと、デニムの生産過程を見直し、オーガニックコットンやリサイクルコットン、再生コットンを用いたデニムを、3年間で3%から50%以上に増加させた。

特設サイト

The post 「ディーゼル」が低環境負荷のデニム生産に迫ったドキュメンタリー公開 グレン・マーティンスのインタビューも appeared first on WWDJAPAN.

「ディーゼル」が低環境負荷のデニム生産に迫ったドキュメンタリー公開 グレン・マーティンスのインタビューも

「ディーゼル(DIESEL)」は、低環境負荷のデニム生産を扱ったドキュメンタリー「Behind the Denim(デニムの裏側)」を公開する。

本ドキュメンタリーは、「All Aboard(出発)」「Lifetime Jeans(ライフタイム・ジーンズ)」「Clean Dirty(クリーン・ダーティ)」「Sow the Seed(種をまこう)」「Waste to Treasure(廃棄物を宝物に)」の全5章からなる。農場から工場、クローゼットに至るまで、デニムのライフサイクル全体に迫る。監督はルーク・ケイシー(Luke Casey)、司会進行は「i-D」のレア・オグラミ(Lea Ogunlami)が務め、グレン・マーティンス(Glenn Martens)=クリエイティブ・ディレクターやアンドレア・ロッソ(Andrea Rosso)=「ディーゼル」サステナビリティー・アンバサダー、サラ・ベットゲラ(Sara Betteghella)=OTBグループ チーフ・サステナビリティー・オフィサーがインタビューに出演する。

「ディーゼル」のデニム生産現場を訪問

このドキュメンタリーは、イタリア・ミラノの「ディーゼル」店舗での顧客へのインタビューや、水と化学薬品の使用量削減に取り組む同ブランドのデニムのウオッシュ加工技術、裁断くずなどのリサイクル素材を用いた“リハブ・デニム”の製造過程なども取り上げている。

「ディーゼル」は、“Diesel For Responsible Living”の考えのもと、デニムの生産過程を見直し、オーガニックコットンやリサイクルコットン、再生コットンを用いたデニムを、3年間で3%から50%以上に増加させた。

特設サイト

The post 「ディーゼル」が低環境負荷のデニム生産に迫ったドキュメンタリー公開 グレン・マーティンスのインタビューも appeared first on WWDJAPAN.

山口県宇部市の“洞窟レストラン”が2024年日本建築学会作品賞を受賞

旅の目的地となる宿をプロデュースする温故知新が運営する洞窟レストラン“ハウス&レストラン メゾン・アウル”が、2024年日本建築学会作品賞を受賞した。

“ハウス&レストラン メゾン・アウル”は、石上純也建築設計事務所が設計した、2021年開業の住宅兼レストラン。まるで洞窟のような構造と造形を体現している同建築は、「時間と共に重みを増していくような建物がほしい。ツルツルのものではなく、自然の粗々しさを含むような建物」という平田基憲オーナーシェフの強い思いを、建築家・石上氏が9年という歳月をかけて完成させた。

提供するのは、季節の素材をふんだんに使ったフレンチ。カトラリーや器は、この空間の一部になるようオリジナルで製作したほか、厳選された貴重なワインコレクションもこだわりの一つ。音の反響や香りの循環に至るまで、唯一無二の個性的なものになっている。

日本建築学会賞は、一般社団法人日本建築学会が設けている、論文、作品、技術、業績の4部門からなるアワード。日本国内における建築・建設分野で功績を上げた個人・団体を称え授与される。

The post 山口県宇部市の“洞窟レストラン”が2024年日本建築学会作品賞を受賞 appeared first on WWDJAPAN.

山口県宇部市の“洞窟レストラン”が2024年日本建築学会作品賞を受賞

旅の目的地となる宿をプロデュースする温故知新が運営する洞窟レストラン“ハウス&レストラン メゾン・アウル”が、2024年日本建築学会作品賞を受賞した。

“ハウス&レストラン メゾン・アウル”は、石上純也建築設計事務所が設計した、2021年開業の住宅兼レストラン。まるで洞窟のような構造と造形を体現している同建築は、「時間と共に重みを増していくような建物がほしい。ツルツルのものではなく、自然の粗々しさを含むような建物」という平田基憲オーナーシェフの強い思いを、建築家・石上氏が9年という歳月をかけて完成させた。

提供するのは、季節の素材をふんだんに使ったフレンチ。カトラリーや器は、この空間の一部になるようオリジナルで製作したほか、厳選された貴重なワインコレクションもこだわりの一つ。音の反響や香りの循環に至るまで、唯一無二の個性的なものになっている。

日本建築学会賞は、一般社団法人日本建築学会が設けている、論文、作品、技術、業績の4部門からなるアワード。日本国内における建築・建設分野で功績を上げた個人・団体を称え授与される。

The post 山口県宇部市の“洞窟レストラン”が2024年日本建築学会作品賞を受賞 appeared first on WWDJAPAN.

「マリメッコ」×ブルーボトルコーヒーや「ジーユー」と「サボン」の涼やかなコラボなど! 来週発売のファッションアイテム12選【6/10〜6/16】

ファッションアイテムの発売情報を「WWDJAPAN」的視点でピックアップ!今回は6月10〜16日に発売するアイテムを紹介します。ブルーボトルコーヒージャパンは、「マリメッコ(MARIMEKKO)」を代表する“ウニッコ”柄の60周年を記念したコラボアイテムを6月14日に発売します。Tシャツやキャップ、トートバッグがブルーボトルコーヒーのキーカラーの爽やかなブルーに。「マリメッコ」のフィロソフィーである“タイムレス”に共感して実現したそう。一方、「ジーユー(GU)」と「サボン(SABON)」はミント成分配合で接触冷感加工を施した涼やかなパジャマやワンピースを14日に発売します。暑い夏は、爽やかなカラーや素材でできるだけ快適に過ごしたいですね。

【6月12日発売】
ワイルドサイド ヨウジヤマモト
(WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO)

「ハリウッド ランチ マーケット」と初コラボ
黒を基調としたシャツジャケットやトラックパンツ

ヨウジヤマモトが手掛ける“ワイルドサイド ヨウジヤマモト(WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO)”は、、「ハリウッド ランチ マーケット(HOLLYWOOD RANCH MARKET)」(以下、HRM)との初コラボコレクションを発売する。”ワイルドサイド ヨウジヤマモト”のコンセプトカラーである黒を、HRMのアイコニックなアイテムと掛け合わせ、Tシャツやウエスタンシャツジャケット、トラックパンツ、キャップを制作した。

■商品詳細

Tシャツ(1万4300円)
ウエスタンシャツジャケット(4万4000円)
トラックパンツ(4万1800円)
キャップ(1万5400円)

【6月12日先行発売】
ニューバランス
(NEW BALANCE)

「ストーンアイランド」とコラボ
スニーカー“574 レガシー”の新色

「ニューバランス(NEW BALANCE)」は、「ストーンアイランド(STONE ISLAND)」とコラボした“574 レガシー”の新色を発売する。ミッドソールとアウトソールにはフレアに広がるデザインを採用し、アーカイブアイテムに着想を得たグリーン、マスタード、イエロー、グレーの色合いで仕上げた。6月12日から「ストーンアイランド」東京青山店と公式オンラインで先行販売する。

■商品詳細

コラボスニーカー(2万4200円)

【6月12日先行発売】
グラウンド ワイ
(GROUND Y)

藤子・F・不二雄生誕90周年記念コラボ
伊勢丹新宿本店でポップアップ

「グラウンド ワイ(GROUND Y)」は、漫画家、藤子・F・不二雄の生誕90周年を記念したコラボコレクションを発売する。同氏の作品“ドラえもん”“パーマン”“エスパー魔美”に登場するキャラクターをモチーフに制作。“カレイドスコープ(万華鏡)”“多重線画”“チェックシルエット”など、各テーマにそって作られたグラフィックがあしらわれている。6月12日から伊勢丹新宿本店で開催するポップアップで先行販売する。

■商品詳細

アノラックパーカー“ドラえもん”(12万9800円)
Tシャツ“ドラえもん”(1万3200円)
トラックジャケット“エスパー魔美”(11万5500円)
シャツ“エスパー魔美”(7万7000円)
シャツ“パーマン”(7万4800円)
※一部商品

【6月13日発売】
フェンディ
(FENDI)

パリのオーディオブランド「デビアレ」とコラボ
「FF」ロゴを配した高性能スピーカー

「フェンディ(FENDI)」は、オーディオブランド「デビアレ(DEVIALET)」とコラボした360°ステレオサウンドの高性能ポータブルスピーカーを発売する。最先端のサラウンドサウンド機能で純度の高い音響を目指した。サンドカラーのハンドルを配し、「FF」ロゴのモノグラムでまとめた。すでに両ブランドの公式オンラインで予約を受け付けている。

■商品詳細

コラボスピーカー(43万3400円/予定価格)

【6月14日発売】
カラー
(KOLOR)

京都初の「カラー」直営店がオープン
ドッキングデザインの店舗限定ブルゾン

「カラー(KOLOR)」は、大丸京都店内に直営店をオープンする。同店限定商品として、異素材をドッキングしたナイロンブルゾン“ヘム ドッキング ブルゾン”を発売する。全3色をラインアップする。

■商品詳細

ブルゾン(10万7800円)

【6月14日発売】
BABY-G

フタイロサンゴハゼがモチーフ
サンゴの保全を行うNPO法人とコラボ

カシオ計算機の「BABY-G」は、サンゴ礁の保全活動を行うNPO法人、アクアプラネットとのコラボモデル“BA-110AQ”を発売する。アクアプラネット管理下のサンゴ畑に生息するフタイロサンゴハゼをモチーフとした耐衝撃ウオッチで、針をサンゴに見立て、フェイスにフタイロサンゴハゼをあしらった。

■商品詳細

ウオッチ“BA-110AQ”(1万7600円)

【6月14日発売】
ブルーボトルコーヒー
(BLUE BOTTLE COFFEE)

「マリメッコ」の“ウニッコ”柄60周年記念
コラボアイテムを数量限定発売

ブルーボトルコーヒージャパンは、「マリメッコ(MARIMEKKO)」を代表する“ウニッコ”柄の60周年を記念し、同ブランドとのコラボアイテムを数量限定発売する。ブルーボトルコーヒーを思わせる水色の“ウニッコ”柄をあしらったTシャツや、キャップとエナメルピンのセット、トートバッグ、エナメルピンのセット、ドリッパー、清澄マグ、「キントー(KINTO)」とのコラボタンブラー、「エコーヒーカップ(ECOFFEE CUP)」と共同開発したエコカップなどをラインアップする。

■商品詳細

Tシャツ(1万7600円)
キャップとエナメルピンのセット(1万3794円)
トートバッグ(6600円)
ドリッパー(2851円)
清澄マグ(2494円)
※一部商品

【6月14日発売】
マウジー
(MOUSSY)

「ロキシー」とのコラボコレクション
Tシャツやワンピース、スイムウエアなど

「マウジー(MOUSSY)」は、「ロキシー(ROXY)」とのコラボコレクションを発売する。アイテムは、カラー豊富なTシャツやデニムのワンピース、キャップ、スイムウエアのセットアップなどをラインアップする。

■商品詳細

Tシャツ(6996円〜)
ワンピース(1万2980円)
スイムウエアのキャミソール(6490円)
スイムウエアのボトムス(7997円)
キャップ(4994円)

【6月14日発売】
コロンビア
(COLUMBIA)

フジロックとのコラボTシャツ
アートワークは長場雄がデザイン

「コロンビア(COLUMBIA)」は、野外音楽フェス「フジロックフェスティバル(FUJI ROCK FESTIVAL)」(以下、フジロック)とコラボしたTシャツを発売する。Tシャツは、汗を吸収し、さらりとした着心地を保つオムニウィックを採用、デザインはアーティストの長場雄が手掛けた。

■商品詳細

コラボTシャツ(5500円)

【6月14日発売】
ジーユー
(GU)

「サボン」とのコラボルームウエア
夏に向けミント成分を配合

「ジーユー(GU)」は、「サボン(SABON)」とコラボしたルームウエアを発売する。半袖トップスとロングパンツのパジャマ、ワンピース、ヘアバンドをラインアップする。ボディーケアのしやすさを考慮したデザインに仕上げ、ミント成分を配合するとともに、接触冷感加工と防菌防臭加工を施した。

■商品詳細

パジャマ(2990円)
ワンピース(2990円)
ヘアバンド(990円)

【6月15日発売】
ウィゴー
(WEGO)

「ウィゴー」×17歳の“リカちゃん”コラボ第2弾
フレンドドールの“ジェニー”も登場

「ウィゴー(WEGO)」は、タカラトミーの着せ替え人形「リカちゃん」が17才の高校2年生になった、“ハッシュタグリカ”シリーズとコラボした“#LICCA #WEGO リカ”とフレンドドール“同 ジェニー”を発売する。カーゴポケットが印象的なボトムスやクロップド丈のトップス、耳付きの帽子や厚底スニーカー、ヘッドホンなど、ウィゴープロデュースのウエアを着て登場する。

■商品詳細

“#LICCA #WEGO リカ”(5720円)
“#LICCA #WEGO ジェニー”(5720円)

【6月15日発売】
リーカ
(RIHKA)

ブランド4周年記念の第2弾限定コレクション
“光”がテーマのシアーTシャツ

ヘアメイクアップアーティストの松田未来が手掛けるコスメブランド「リーカ(RIHKA)」は、ブランド誕生4周年を記念した全5回の限定コレクション“HIKARI”の第2弾として、シアーTシャツを販売する。全3色展開で、2枚および3枚セットも限定で発売する。

■商品詳細

Tシャツ(8800円)
Tシャツ/2枚セット(1万7100円)
Tシャツ/3枚セット(2万5600円)

The post 「マリメッコ」×ブルーボトルコーヒーや「ジーユー」と「サボン」の涼やかなコラボなど! 来週発売のファッションアイテム12選【6/10〜6/16】 appeared first on WWDJAPAN.

東京エディション銀座と虎ノ門がプライド月間をドラァグクイーンと共に祝福

東京エディション銀座と東京エディション虎ノ門は、それぞれ6月のプライド月間を祝福するイベントを開催する。また、本イベントの売り上げの一部は、認定NPO法人リビット(REBIT)へ寄付する。

東京エディション銀座は、6月8日、14階の「ソフィー アット エディション(SOPHIE AT EDITION)」で東京のアイコニックなドラァグクイーン達を招いた“クイーンズ ブランチ(QUEEN’S BRUNCH)”を行う。ドリアン・ロロブリジーダによるライブパフォーマンスと、マドモアゼル・ユリアによるDJ、さらに豪華な賞品が当たる抽選会を行う予定だ。

■“クイーンズ ブランチ” 東京エディション銀座
開催日:6月8日
時間:12:00〜15:00
場所:東京エディション銀座 14階「ソフィー アット エディション」
住所:東京都中央区銀座 2-8-13
価格:7800円
乾杯ルイナール付き 1万円
ウェルカムカクテル付き 9800円
予約:「ソフィー アット エディション」オフィシャルサイト、03-6228-7400またはdiningreservation.ginza@editionhotels.com

東京エディション虎ノ門は、6月13日、31階の「ロビー バー(LOBBY BAR)」と1階の「ゴールド バー アット エディション(GOLD BAR AT EDITION)」で“ユニーク(UNIQUE)”と称したナイトパーティーを行う。「ロビー バー」では、DJが盛り上げる空間でドラァグクイーン・ヴィヴィアン佐藤によるオーラ似顔絵を、「ゴールド バー アット エディション」では、シン(SHIN)による恋占い、歌代ニーナのライブパフォーマンス、ペリ(PELI)とウノ フミ(UNO FUMI)のDJを楽しめる。

■“ユニーク” 東京エディション虎ノ門
開催日:6月13日
時間:19:00〜23:30
場所:東京エディション虎ノ門 31階「ロビー バー」1階「ゴールド バー アット エディション」
住所:東京都港区虎ノ門 4-1-1
予約:「ロビー バー」オフィシャルサイト/「ゴールド バー アット エディション」オフィシャルサイト、03-5422-1630 またはdiningreservations.tokyo@editionhotels.com

また、6月8〜30日の期間、東京エディション銀座14階の「ソフィー アット エディション」で“プライド カクテル オーバー ザ レインボー”(2500円、ノンアルは2200円)が、東京エディション虎ノ門31階の「ロビー バー」で“プライド カクテル サマー ルージュ”(2400円)が限定登場する。

さらに、プライド月間に合わせて両ホテルで、スイート ルームに宿泊のゲストにはレインボーカラーに彩られた“プライド ルームアメニティ レインボー クッキー”が提供される。期間は6月7~13日、24~30日。

The post 東京エディション銀座と虎ノ門がプライド月間をドラァグクイーンと共に祝福 appeared first on WWDJAPAN.

循環型の店舗「ザボディショップ」新宿店を大解剖

美しさを通して人や社会、地球に変革を起こすことを理念とする、イギリス発のトータルビューティブランド「ザボディショップ」。地球の全てをより正しい方向へ導くためのアクションを続ける同ブランドの象徴の一つが、旗艦店である新宿店だ。ブランド理念“チェンジメーキングビューティ”の下で、“チェンジメーカーズワークショップストア”として生まれ変わった同店をひもとく。

新宿店は、サステナブルなコンセプトを強化した循環型の店舗として2023年3月にオーブンした。店舗には、リサイクル可能な素材や再生プラスチック、古材、FSC認証を受けた木材、堆肥化可能な容器など、ほぼ100%サステナブルな素材を使用する。店舗中央には商品を試せるシンクを設置し、インタラクティブな買い物体験を提供するとともに、コミュニケーションの場を醸成。また、プラスチック削減の取り組みである詰め替え用サービス“リフィルステーション”は、ブランドのポリシーを象徴する。

新宿店では、グローバル理念に基づいて独自の取り組みを行う。天井のはりやレジカウンターなどには、長野県諏訪市で建築建材のリサイクルショップを営むリビルディングセンタージャパンから調達した木材を再利用。古材を循環させることで環境負荷を減らしていくというリビルディングセンタージャパンの思いに共感し、実現した。また、日本独自の取り組みとして、JR東海が提供する、引退した東海道新幹線の車両アルミをリサイクルしてスパチュラなどに活用。同店ではこれをレジカウンターや什器の一部にも利用する。

さらに、「ザボディショップ」はブランドの理念に共感するアーティストと協業し、共にメッセージを発信する。新宿店は、「アートは社会変革や平和的な活動のためのツールである」という信条の下に活動する京都在住のアーティスト、ニキ・ローレケを起用。「多くの人々が手をつなげば、大きな変化になる」というメッセージを込めたアートで店内を飾った。

問い合わせ先
ザボディショップ
03-3249-7136

The post 循環型の店舗「ザボディショップ」新宿店を大解剖 appeared first on WWDJAPAN.

循環型の店舗「ザボディショップ」新宿店を大解剖

美しさを通して人や社会、地球に変革を起こすことを理念とする、イギリス発のトータルビューティブランド「ザボディショップ」。地球の全てをより正しい方向へ導くためのアクションを続ける同ブランドの象徴の一つが、旗艦店である新宿店だ。ブランド理念“チェンジメーキングビューティ”の下で、“チェンジメーカーズワークショップストア”として生まれ変わった同店をひもとく。

新宿店は、サステナブルなコンセプトを強化した循環型の店舗として2023年3月にオーブンした。店舗には、リサイクル可能な素材や再生プラスチック、古材、FSC認証を受けた木材、堆肥化可能な容器など、ほぼ100%サステナブルな素材を使用する。店舗中央には商品を試せるシンクを設置し、インタラクティブな買い物体験を提供するとともに、コミュニケーションの場を醸成。また、プラスチック削減の取り組みである詰め替え用サービス“リフィルステーション”は、ブランドのポリシーを象徴する。

新宿店では、グローバル理念に基づいて独自の取り組みを行う。天井のはりやレジカウンターなどには、長野県諏訪市で建築建材のリサイクルショップを営むリビルディングセンタージャパンから調達した木材を再利用。古材を循環させることで環境負荷を減らしていくというリビルディングセンタージャパンの思いに共感し、実現した。また、日本独自の取り組みとして、JR東海が提供する、引退した東海道新幹線の車両アルミをリサイクルしてスパチュラなどに活用。同店ではこれをレジカウンターや什器の一部にも利用する。

さらに、「ザボディショップ」はブランドの理念に共感するアーティストと協業し、共にメッセージを発信する。新宿店は、「アートは社会変革や平和的な活動のためのツールである」という信条の下に活動する京都在住のアーティスト、ニキ・ローレケを起用。「多くの人々が手をつなげば、大きな変化になる」というメッセージを込めたアートで店内を飾った。

問い合わせ先
ザボディショップ
03-3249-7136

The post 循環型の店舗「ザボディショップ」新宿店を大解剖 appeared first on WWDJAPAN.

「ポーター」の“タンカー”が生まれ変わった理由 「50年、100年後も作り続けるために」

「ポーター(PORTER)」はこのほど、ブランドを代表するトラベルシリーズ“タンカー(TANKER)”を刷新した。ヘルメットバッグ(7万2600円)やダッフルバッグ(9万9000円)など全40型を販売中だ。価格帯は2万5300〜13万2000円。

旧作と大きく異なるのは素材使いで、東レが製造する「エコディアN510」を採用する。これは従来の石油由来ではなく、トウモロコシとヒマを原料とする100%植物由来のナイロン糸になる。同社と吉田が協業した結果、世界で初めて量産化に成功した。

「ポーター」を展開する吉田カバンの広報担当者は、今回のアップデートについて「1983年誕生の“タンカー”は昨年で40周年を迎えた。従来、ナイロンは石油を原料とているが、石油は資源が有限。50年、100年後も同アイテムをブランドのレガシーとして作り続けていく上で、使用素材を切り替える決意をした」とコメントしている。

これまでの“タンカー”は実店舗でポーターストアを含む500弱の店舗(コーナー含む)で購入可能だったのに対し、新作は34店舗のみの取り扱いになっており、卸先は群馬県のエスティーカンパニー(ST COMPANY)、富山県のカーネーション(CARNATION)、熊本県のアートワーク(ARTWORK)の3セレクトショップに限定している。「素材を変更した分、価格を上乗せせざるを得なかった実情がある。『ポーター』の思いも含めて、開発背景についてしっかりとお客様に伝えてくれるお店を卸先に選ばせていただいた」(同社広報)。

The post 「ポーター」の“タンカー”が生まれ変わった理由 「50年、100年後も作り続けるために」 appeared first on WWDJAPAN.

「コス」が京都の絞り染め職人とコラボ 衰退する工芸技術を広めるきっかけに


ロンドン発の「コス(COS)」はこのほど、京都の絞り染め職人の田端和樹とコラボレーションしたカプセルコレクションを発表した。6月5日から「コス」青山店、マリン アンド ウォーク ヨコハマ店、東京・台場のダイバーシティ店および公式ECサイトで販売する。発売を記念し5月30日には京都芸術大学で、国内外のプレスや学生を招いた絞り染めの体験ワークショップとトークイベントを開催した。

絞り染めは1000年以上の歴史を持つ染め技術で、水資源に恵まれた京都で大きく発展した。田端は従来絹地に限られていた「京鹿の子絞り」の技術を受け継ぎながら、綿や麻などさまざまな生地に応用し独自の「たばた絞り」を考案した人物だ。「コス」はコレクションのテーマである「自然」を表現する方法として、鮮やかな色彩や有機的な模様が特徴の絞り染めに着目。カリン・グスタフソン(Karin Gustafsson)=デザイン・ディレクターは、「絞り染めを採用するには、私たちの力だけでは本来の良さ表現しきれないと思った。そこで日本の職人と協業しこの伝統のすばらしさを世の中に伝えていくことが重要だと考えた」と話す。インスタグラムで田端の作品を見つけたことをきっかけにオファー。約1年の製作期間をかけて完成した。

「手筋絞り」や「雪花絞り」で生み出す模様を落とし込んだ14点

コレクションは田端がデザインした4つの模様を、メンズとウィメンズ、アクセサリーの14点のアイテムにプリントや織りで落とし込んだ。透けるシアサッカー素材のワイドパンツ(2万3500円)と半袖シャツ(1万8500円)のセットアップは、じゃばら状に折った布に糸を巻きつけて独特な縞模様を生み出す「手筋絞り」のデザインを施した。太陽のようなオレンジで染め上げたカフタンドレス(3万1000円)は、絞りの線がさまざまな方向を向くように配置し、不ぞろいな模様の味を際立たせた。100%シルクのスカーフ(価格未定)には、雪の結晶のような模様が特徴の「雪花絞り」で柄をデザインした。

絞り染めは糸の巻きつけ具合や染める角度などによって模様の出方が毎回異なり、細部に職人の技が問われる。田端は「コス」からのオーダーに沿って「完璧すぎず、不ぞろいすぎない絶妙なバランスを目指した」と説明。グスタフソン=デザイン・ディレクターは、「田端氏が生み出す柄は力強さがあると同時に穏やかな印象を受けた。タイムレスなデザインに重きを置く『コス』のファッションと通ずるものがあった」とコメントした。

従来絞り染めは1点1点手作業で行うため製作できる点数は限られる。加えてプリントでは絞りのかすれやにじみの表現が難しいとされる。今回両者が協力してそうした細部の味をプリントで忠実に再現することで、絞りならではの風合いを担保しながら量産することが叶った。田端は「職人が見ても本物と区別がつかないほどの仕上がりになった」と出来を語る。

74歳で若手、後継者不足の産業を広めるきっかけに

京都芸術大学で開催したイベントでは、田端による絞り染めのデモンストレーションや、実際に参加者が布を糸で縛るワークショップなどを行った。後半は田端が工房で働く4人の学生インターンと共にそれぞれの柄に込めた思いや試行錯誤を繰り返した過程について語った。

また後継者不足の現状についても言及。技術の習得に時間がかかることや、着物の需要が縮小するなかで活かせる仕事が減っていることなどが原因だと言う。田端は「私が継いだ時点では74歳だった父が若手と呼ばれるような状況で、今44歳の私の、横にも下にも人材がいない」と課題を語る。「手仕事だけでは届けられる範囲が限られている。今回のコラボが世界中の人々に絞り染めを知ってもらえるいい機会になるはずだ」と意義を語った。

グスタフソン=デザイン・ディレクターは、「私たちは工芸やモノ作りのオリジナリティーを尊重する。まだ具体的な計画はないが、今後も日本の職人との協業の可能性は探っていきたい」と話した。

The post 「コス」が京都の絞り染め職人とコラボ 衰退する工芸技術を広めるきっかけに appeared first on WWDJAPAN.

「ゴールドウイン」がバリ島のクリエイターと限定店 循環型デザインをテーマに

「ゴールドウイン(GOLDWIN)」は、インドネシア・バリ島発のクリエイティブプラットフォーム、スペース アヴェイラブル(SPACE AVAILABLE)とサーキュラーデザインをテーマにしたポップアップストア”REWORK TOKYO DESIGN CENTRE”を6月1日から丸の内エリアにオープンする。

廃棄物に始まるデザインソリューションを提案

廃プラスチックのリサイクルやテキスタイルのアップサイクルなど、廃棄物に始まるデザインソリューションを先鋭的なオブジェを通して提案し、ワークショップも企画している。 またオープンを記念したコラボレーションアイテムも発売。第一弾はリサイクルポリエステル100%のT シャツや、オーガニックコットン100%のTシャツなどをラインアップする。

スペース アヴェイラブルは英国LNCC の創設者であるダン・ミッチェルが立ち上げたインドネシア発のクリエイティブプラットフォーム。デザイナーやアーティスト、科学者、環境問題研究者から成り立つグローバルコミュニティーとして自然、デザイン、カルチャー、未来をテーマにサステナブルに結びつく創作活動を行っている。

【Goldwin×Space Available REWORK TOKYO DESIGN CENTRE】
場所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内 2 丁目 6-1 ブリックスクエア 1F
会期:6 月 1 日(土)~7 月下旬頃

The post 「ゴールドウイン」がバリ島のクリエイターと限定店 循環型デザインをテーマに appeared first on WWDJAPAN.

「ミュウミュウ」のアップサイクルプロジェクト第5弾はデニムにフォーカス

「ミュウミュウ(MIU MIU)」は、2020年から始動したサステナブルプロジェクト“ミュウミュウ アップサイクル(MIU MIU UPCYCLED)”の第5弾を発売した。同プロジェクトは世界中のヴィンテージショップなどから厳選したアイテムを「ミュウ ミュウ」らしくリメイクしたコレクション。これまでドレスやドレスやレザージャケットなどを扱ってきた。その趣旨について同ブランドは「ヴィンテージウェアを称えるとともに、循環型ファッションをうながし、歴史や時代を超えた美しさに備わる価値が現在と未来を豊かにするものとして受け継がれる」と説明する。

スナップボタンには「ミュウミュウ」のロゴ

第5弾は世界中のデニム専門店からデニムを厳選した。服は縫い目をほどいて解体し、白いステッチでスエードの縁取りを施している。リメイクしたジーンズはルーズフィット&ローライズとし、トップスやマイクロミニのショートパンツは同ブランドらしくクロップド丈にリメイクしている。丁寧に取り外し再び取り付けたスナップボタンには「ミュウミュウ」のブランドロゴを刻印されている。ブルゾンジャケットはショート丈とし、前ボタンはスエードの縁取りが施されたフロントファスナーに置き換えた。

タレク・カシム(Tarek Cassim)が撮影した同コレクションのキャンペーンにはモデルのアナ・エリサ・ブリトウェンチン、ウェンチン・リュウ、アリス・マクグラスを起用。スタイリングはロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova )が手がけている。

同コレクションは全世界の一部の「ミュウミュウ」店舗と公式オンラインストアで取り扱う。国内では青山店、銀座店、新宿伊勢丹3階店、 梅田阪急5階店、心斎橋大丸店の5店舗で販売している。

The post 「ミュウミュウ」のアップサイクルプロジェクト第5弾はデニムにフォーカス appeared first on WWDJAPAN.

サステナで知っておきたい用語を深掘り(2024年5月27日号)

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月27日号からの抜粋です)

皆合:2021年に、サステナビリティに関する知っておくべき基礎用語を集めて特集しました。それから3年たち、アップデートもあり、新しい言葉も出てきたので、再度まとめようとなりました。

木村:65のワードを紹介していますが、前回と同じ用語も入れています。でも「マッシュルームレザー」は3年前は先進でしたが、最近は「動物由来でないものはレザーと呼んではいけない」という規制も出てきています。そうした現状も踏まえて、知るべき用語を解説しました。

皆合:その中から5つの用語について深掘りしましたが、木村さんはどうして「デジタルファッション」を?

木村:普段からいろんな企業やブランドを取材していますが、ラグジュアリーと国内アパレルとファストファッションでは取り組むべき課題が違うと思うんです。エンターテインメント要素が強いファッションは、もっとデジタルな楽しみ方があるのではと考えたのと、先日ロンドン カレッジ オブ ファッションの教授のデジタルファッションについての話を聞いた際に、全然分からない用語が多くて、学びたいと思ったのがきっかけです。

皆合:確かに業態ごとに課題って違いますよね。取材してみてどうでしたか?

木村:3Dモデリングのソフトはたくさんあるのですが、アパレル業界では2Dでやってきたことをベースにしたソフトを使ってサンプル作りの工程を減らしています。一方、デジタル系の人たちは違うソフトを使って2Dのファッションではできないアイデアを実現したりしているんですよね。まだまだ距離があるのだなと感じました。皆合さんは「グリーンウォッシュ」ですよね。

「この表現で適切なのかな?」を解消したい

皆合:サステナビリティの状況は刻々と変化しているので、記事を書く際に「この表現で適切なのかな?」と不安になることが多いんです。ブランドからのリリースも、時々曖昧なところがあり、私と同じように不安を感じながら書いている人も少なくないんじゃないかと考えました。そこで、改めて現状の把握をしたいと海老澤美幸弁護士を取材したところ、リスクを避けるにはやはり「根拠に基づくエビデンスを提示することが大事」だと。また、「曖昧な表現は消費者を欺くことで、それにより本気で取り組んでいる企業が埋もれてしまうのも問題」という指摘にも納得しました。私たちも頑張りましょう!

The post サステナで知っておきたい用語を深掘り(2024年5月27日号) appeared first on WWDJAPAN.

サステナで知っておきたい用語を深掘り(2024年5月27日号)

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月27日号からの抜粋です)

皆合:2021年に、サステナビリティに関する知っておくべき基礎用語を集めて特集しました。それから3年たち、アップデートもあり、新しい言葉も出てきたので、再度まとめようとなりました。

木村:65のワードを紹介していますが、前回と同じ用語も入れています。でも「マッシュルームレザー」は3年前は先進でしたが、最近は「動物由来でないものはレザーと呼んではいけない」という規制も出てきています。そうした現状も踏まえて、知るべき用語を解説しました。

皆合:その中から5つの用語について深掘りしましたが、木村さんはどうして「デジタルファッション」を?

木村:普段からいろんな企業やブランドを取材していますが、ラグジュアリーと国内アパレルとファストファッションでは取り組むべき課題が違うと思うんです。エンターテインメント要素が強いファッションは、もっとデジタルな楽しみ方があるのではと考えたのと、先日ロンドン カレッジ オブ ファッションの教授のデジタルファッションについての話を聞いた際に、全然分からない用語が多くて、学びたいと思ったのがきっかけです。

皆合:確かに業態ごとに課題って違いますよね。取材してみてどうでしたか?

木村:3Dモデリングのソフトはたくさんあるのですが、アパレル業界では2Dでやってきたことをベースにしたソフトを使ってサンプル作りの工程を減らしています。一方、デジタル系の人たちは違うソフトを使って2Dのファッションではできないアイデアを実現したりしているんですよね。まだまだ距離があるのだなと感じました。皆合さんは「グリーンウォッシュ」ですよね。

「この表現で適切なのかな?」を解消したい

皆合:サステナビリティの状況は刻々と変化しているので、記事を書く際に「この表現で適切なのかな?」と不安になることが多いんです。ブランドからのリリースも、時々曖昧なところがあり、私と同じように不安を感じながら書いている人も少なくないんじゃないかと考えました。そこで、改めて現状の把握をしたいと海老澤美幸弁護士を取材したところ、リスクを避けるにはやはり「根拠に基づくエビデンスを提示することが大事」だと。また、「曖昧な表現は消費者を欺くことで、それにより本気で取り組んでいる企業が埋もれてしまうのも問題」という指摘にも納得しました。私たちも頑張りましょう!

The post サステナで知っておきたい用語を深掘り(2024年5月27日号) appeared first on WWDJAPAN.

「H&M」が京都の老舗染物屋と提携し黒染めサービス開始 世界環境デーに合わせ

「H&M」は京都の老舗染物屋京都紋付と協業し、6月5日の世界環境デーに合わせて手持ちの衣類の黒染めサービスを「H&M」メンバー会員向けに開始する。「H&M」メンバーサイトからの申し込みで、京都紋付が定める通常価格から10%オフの料金でサービスを受けられる。期間は12月5日まで。

汚れや色あせなどを理由に着なくなった衣類を染め替えることで、より長く着用してもらうことが狙い。黒染めの特性上、対象衣類は綿、麻、ウール、シルクなどの天然素材由来の繊維を50%以上含むものに限定する。また利用点数の制限はない。

京都紋付は伝統のある京黒紋付染めの技術を100年以上受け継いできた。「縮小の一途をたどる重要な伝統産業を未来に継承していく」ことを使命に、長年培ってきた染め技術を応用した染め替えサービスを実施する。「H&M」は、「H&Mの企業サイズと影響力を活用して京都紋付の使命をサポートする」という(同社)。

「H&M」京都店では6月5日から黒染めした衣類サンプルを期間限定で展示する。また同サービスの利用者には先着で30人に防虫効果のあるシダーリングをプレゼントする。

The post 「H&M」が京都の老舗染物屋と提携し黒染めサービス開始 世界環境デーに合わせ appeared first on WWDJAPAN.

ロンハーマンのオリジナルブランド「ロンハーマン カリフォルニア」からリサイクルナイロンを使用したアイテムが登場

ロンハーマン(RON HERMAN)は、オリジナルブランド「ロンハーマン カリフォルニア(RON HERMAN CALIFORNIA)」で展開しているアウトドアコレクションからリサイクルナイロンとして注目を浴びている“ネットプラス(NetPlus)”を採用したアイテム発売した。

同ブランドは、“シンプルなデザイン、特別な素材。ユニークなディテール”をコンセプトに15年前に誕生した。リサイクルナイロン“ネットプラス”は、アメリカ・カリフォルニア在住の3人のサーファーが立ち上げたブレオ(BUREO)社がつくる、南米の漁業コミュニティーから回収された使用済みの漁網100%から作られた素材。廃漁網を原料としながらも上質な風合いや高い機能性など、バージンナイロンと同等の品質を持っているのが特長で、大手アウトドアメーカーとのコラボレーションをきっかけに、多くの国や企業で受け入れられている。

今回、ジャンパードレス(4万7300円)、小さく畳めるジャケット(5万8300円)、カーゴスカート(3万1900円)、カーゴパンツ(3万4100)の4型で使用。アイテムのインカードにはQRコードが縫い込まれており、“ネットプラス”の背景を知ることができる。

The post ロンハーマンのオリジナルブランド「ロンハーマン カリフォルニア」からリサイクルナイロンを使用したアイテムが登場 appeared first on WWDJAPAN.

ハイケムがPLA繊維100%のフリース発表 欧州市場にも参入

化学原料商社のハイケムはこのほど、ポリ乳酸(PLA)繊維を100%使ったフリースを発表した。とうもろこしを原料とし石油を使わず、生分解性も有するPLA繊維は、ポリエステル代替のサステナブル素材の本命とも言われる一方で、ポリエステル繊維と比べ、耐熱性の弱さで普及が遅れている。ハイケムは国内の繊維メーカーや繊維加工メーカーと協力し、染色や起毛など生産工程で熱加工を多く使用するフリースの開発に成功した。同社の高裕一(たか・ゆういち)取締役は、「PLA繊維で難易度の高いフリースの加工技術を確立し、オープンプラットフォームのような形でノウハウを開放する」という。

化学原料商社のハイケムは中国のPLA原料大手の豊原(ほうげん)集団からPLA原料を調達、独自開発の改質剤などをブレンドしたPLA繊維「ハイラクト」の販売を2021年からスタート。欧州の有力ブランドを顧客に持つタキヒヨーや、カットソー生地で世界的な知名度を持つ小野メリヤス工業(東京・墨田区)などに日本の生地メーカーに糸を供給し、テキスタイル開発支援も行っている。

ハイケムの瀧本英治ファッション・アパレル部長は「3年近く、一つ一つの細かい生産工程の調整を行うなど、試行錯誤を繰り返しながらフリースの開発を進めてきた。PLA繊維にとって最も難易度の高い素材の一つであるフリース開発で、PLA繊維の普及に弾みをつけたい」という。

今回はフリースのほか、緯糸(よこいと)にPLA繊維を使ったデニム(綿60%、PLA40%)、PLA繊維の短繊維100%使いのチノカーゴ、PLA繊維とセルロース繊維「テンセル」を組み合わせたフレンチスリーブのニット(PLA55%、テンセル45%)も公開した。

昨年からは欧州のテキスタイルメーカーとのテキスタイル開発にも着手しているという。「現在、約30社との供給・開発を行っており、早ければ25年春夏物として出てくる」と瀧本部長。

PLA繊維は、素材大手のユニチカが1998年から「テラマック」を商業生産を開始するなど、早い段階から日系の素材メーカーが商業化に取り組んできたものの、耐熱性の低さなどを理由に衣料分野ではなかなか普及が進んでこなかった。ハイケムは21年以降、日本発の技術をベースにPLA繊維の普及を進めてきたが、欧州のテキスタイルメーカーへの供給も行うことで、世界のアパレル市場へのPLA繊維自体の普及を進める。

The post ハイケムがPLA繊維100%のフリース発表 欧州市場にも参入 appeared first on WWDJAPAN.

ハイケムがPLA繊維100%のフリース発表 欧州市場にも参入

化学原料商社のハイケムはこのほど、ポリ乳酸(PLA)繊維を100%使ったフリースを発表した。とうもろこしを原料とし石油を使わず、生分解性も有するPLA繊維は、ポリエステル代替のサステナブル素材の本命とも言われる一方で、ポリエステル繊維と比べ、耐熱性の弱さで普及が遅れている。ハイケムは国内の繊維メーカーや繊維加工メーカーと協力し、染色や起毛など生産工程で熱加工を多く使用するフリースの開発に成功した。同社の高裕一(たか・ゆういち)取締役は、「PLA繊維で難易度の高いフリースの加工技術を確立し、オープンプラットフォームのような形でノウハウを開放する」という。

化学原料商社のハイケムは中国のPLA原料大手の豊原(ほうげん)集団からPLA原料を調達、独自開発の改質剤などをブレンドしたPLA繊維「ハイラクト」の販売を2021年からスタート。欧州の有力ブランドを顧客に持つタキヒヨーや、カットソー生地で世界的な知名度を持つ小野メリヤス工業(東京・墨田区)などに日本の生地メーカーに糸を供給し、テキスタイル開発支援も行っている。

ハイケムの瀧本英治ファッション・アパレル部長は「3年近く、一つ一つの細かい生産工程の調整を行うなど、試行錯誤を繰り返しながらフリースの開発を進めてきた。PLA繊維にとって最も難易度の高い素材の一つであるフリース開発で、PLA繊維の普及に弾みをつけたい」という。

今回はフリースのほか、緯糸(よこいと)にPLA繊維を使ったデニム(綿60%、PLA40%)、PLA繊維の短繊維100%使いのチノカーゴ、PLA繊維とセルロース繊維「テンセル」を組み合わせたフレンチスリーブのニット(PLA55%、テンセル45%)も公開した。

昨年からは欧州のテキスタイルメーカーとのテキスタイル開発にも着手しているという。「現在、約30社との供給・開発を行っており、早ければ25年春夏物として出てくる」と瀧本部長。

PLA繊維は、素材大手のユニチカが1998年から「テラマック」を商業生産を開始するなど、早い段階から日系の素材メーカーが商業化に取り組んできたものの、耐熱性の低さなどを理由に衣料分野ではなかなか普及が進んでこなかった。ハイケムは21年以降、日本発の技術をベースにPLA繊維の普及を進めてきたが、欧州のテキスタイルメーカーへの供給も行うことで、世界のアパレル市場へのPLA繊維自体の普及を進める。

The post ハイケムがPLA繊維100%のフリース発表 欧州市場にも参入 appeared first on WWDJAPAN.

ドナータ・ヴェンダースがレッドカーペットで見せたVHSのアップサイクルドレスとクラフツマンシップ

写真家のドナータ・ヴェンダース(Donata Wenders)が制作に携わっている、ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督作品「パーフェクト・デイズ」が国際長編映画賞にノミネートされたため、夫婦揃って授賞式のレッドカーペットに登場した。その時にドナータが着用していたドレスに注目が集まっている。

レッドカーペットといえば、スターたちがビッグメゾンのオートクチュールやプレタポルテのドレスで華やかに登場するアカデミー賞のハイライト。ドナータが披露したドレスは、光沢素材で立体的に編み込まれたエレガントなイブニングドレスのように見えるが、実はヴィムが手掛けた3作品の映画のVHS(ビデオテープ)を解体し、縄のように編み上げて作られたドレスだ。

このユニークなドレスを制作したのは「クルーバ(CRUBA)」というベルリン拠点のインディペンデントブランドだ。ミラ・フォン・デア・オーステン(Mira von der Osten)「クルーバ」デザイナーは、NYとパリのパーソンズ美術大学でファッションを学んだのち、2009年に「クルーバ」を設立。ヨーロッパ国内から高品質な素材を厳選し、ベルリン近郊にある家族経営の小さな工場で生産を行い、環境に配慮したモノづくりをしており、良心的な価格帯も人気を集めている理由の一つだ。

近年、伝統的なドレスコードを覆す独創的なファッションが見られるようになったアカデミー賞授賞式だが、インディペンデントなブランドがラグジュアリーブランドと共にレッドカーペットで作品を披露することは稀だろう。そんなほんの一握りのチャンスを掴んだ経緯は何だったのだろうか?VHSテープからドレスが誕生した秘話やドナータが着用した経緯など、デザイナーのミラに尋ねた。

WWDJAPAN(以下、WWD):ドナータ・ヴェンダースのアカデミー賞の衣装を手がけることになった経緯は?

ミラ・フォン・デア・オーステン(以下、ミラ):「パーフェクト・デイズ」のストーリーにはカセットテープが登場しますが、まずそこに興味を持ちました。ヴィム・ヴェンダースがカセットテープの存在を物語に美しく織り込んでいて、素晴らしいと思いました。上映後にヴィムとドナータに会い、「クルーバ」でVHSをアップサイクリングしたプロジェクトを進めていることを軽く話しました。その時に冗談で「もし、アカデミー賞にノミネートされたら、衣装を作らせて欲しいという手紙を書くつもりだ」と伝えました。ランウエイにも登場しているヴィムは、きっと「ヨウジヤマモト」を着るだろうと思っていたので、私はドナータに尋ねました。その時、すでに彼女には「シャネル」から話が来ていたそうですが、私たちのVHSのアップサイクル作品を見に来てくれると言ってくれました。

WWD:VHSからドレスを作るというアイデアはどのようにして生まれた?

ミラ:私の名付け親がとても映画好きで、膨大な数のVHSを所有していて「廃棄するのではなく何かに再利用できないか?」とアイデアを求められたのがきっかけです。VHSのテープを「クルーバ」のスタジオに送り、解体してからマイラーテープ(アクリル系接着剤でコーティングされたポリエステル)を取り除き、編み込んだり、織り込んだりする実験を始めました。そこで、VHSテープの素材の耐久性に驚きました。洗濯機で洗っても形が崩れないんです。そこから毒性のあるPVCで作られたラインストーンの代替にできることを発見しました。最も驚いたことはVHSテープの光沢感で、これがアイデアの火付け役となりました。映画に携わるスターのドレスを映画のVHSテープから作るなんて素晴らしいことだと思いませんか?

WWD:制作過程で最も大変だった点は?

ミラ:ドレスを制作する時間に全く余裕がなかったことですね。VHSテープからドレスを作るには、7〜10日間連続で編み続ける必要がありました。その後、編み込んだVHSテープの下にシルクのガウンを縫い付けてドレスとして着れるようにしなければなりませんでした。6人の編み手が10日未満でドレスを完成させましたが、完成までにドナータは3回のフィッティングをしました。また、「パーフェクトデイズ」とのつながりを示すため、少し大きめのカセットテープの形をした3Dプリントのクラッチバッグも同時にデザインしました。これは生分解性プラスチックで作っています。

WWD:ドレスの素材となった映画作品は?

ミラ:ドナータのお気に入りの「Tokyo-Ga」「ベルリン・天使の唄(Wings of Desire)「パリ、テキサス」の3作品のVHSを提供してくれました。

WWD:実際に彼女がアカデミー賞の式典でそのドレスを着ているのを見て、どんな気持ちでしたか?

ミラ:ドナータがドレスを着用した姿を現地からビデオメッセージで送ってくれました。その時に、VHSテープを再生した時に生じるノイズ音を真似しながら「聞こえますか?今、アカデミー賞に向かっています」と言ったんです。それを聞いてとても感動し、現実に起こっていることだと信じることができませんでした。ドレスを着てレッドカーペットを歩くドナータの姿はとても優雅で、完璧に着こなしていて感激しました。ヴィムもその美しい姿に完全に魅了されていることがわかりました。

WWD:メディアからはどのような反響がありましたか?

ミラ:圧倒するほどの反響があり、自分でも驚いています。ドイツだけでなく、他のヨーロッパの国やアメリカ、日本のメディアが次々と取り上げてくれて、ベストドレッサーのリストにも掲載されました。ヴィムも「自分の映画のVHSテープを着るというアイデアに興奮している」とコメントしてくれました。アカデミー賞授賞式が終わった後にドレスをミュージアムで展示したいとオファーも受けましたので、日本やアメリカ、ベルリンでも発表したいと思っています。

WWD:サステナビリティについて思うことは?

ミラ:世界的なサステナビリティのムーブメントの中で、ファッション業界は真の目的を達成するにはまだ程遠い現状です。例えば、レッドカーペットは、著名人やセレブリティと契約している企業が権力を持っているため、革新的なアイデアを持つインディペンデントなブランドやサステナビリティを意識したブランドの作品が披露されることはめったにありません。私たちのようなブランドがセレブリティにドレスを提供する機会は極めて限られているんです。そういった現実でドナータはクラフツマンシップの重要性を信じ「クルーバ」のようなブランドを支援してくれています。今回は、アカデミー賞授賞式のレッドカーペットという貴重な場面を通してスローファッションを多くの人に知ってもらえたと思います。

WWD:ブランドを続ける上で最も重要だと思うことは?

ミラ:私たちは常にファッションを通じたコミュニケーションのために、業界の限界を広げるような新しい方法を模索しています。ファッションは文化と深く関わり、生活にも大きな影響を与えますので、責任のあるデザインを創造することが重要です。ブランドを続けていく中で、ドナータやヴィムのような人物と国境を越えてコラボレーションする機会を得たことはとても光栄なことです。

ドナータ・ヴェンダースが「クルーバ」を選んだ理由

WWD:アカデミー賞授賞式の衣装に「クルーバ」のドレスを選んだ理由は?

ドナータ・ヴェンダース(以下、ドナータ):ミラに会った時にVHSテープをアップサイクルして作るドレスのアイデアを聞きました。その後、彼女のスタジオに行き、解体されたVHSテープの素材の可能性に魅了されたのですが、その時すでに私の体型と個性に合ったドレスを作る準備ができていました。VHSはすでに時代遅れなフォーマットで、普通ならゴミになってしまうでしょう。しかし、ミラはそこからヴィム作品のVHSテープでドレスを作るという素晴らしいアイデアを生み出し提案してくれました。私はそのアイデアに夢中になって、すぐにヴィムの3作品のVHSを提供し、そこからドレスの制作がスタートしました。

WWD:衣服に用いられる生地とは異なり、VHSは硬い素材です。着用するのは大変だったのでは?

ドナータ:VHSテープは光沢があり、硬く見えるかもしれませんが、実際には柔らかくて非常に軽いんです。それに、VHSテープを編み込んだドレスには、形状を保つために重要な役割を果たしますためのアンダードレスが付いているので、着用していても快適に過ごせました。映画のイベントに常に着ていきたいくらいこのドレスが大好きで、一番のお気に入りのイベント用ドレスなりました。

WWD:「パーフェクト・デイズ」では、カセットテープが重要なアイテムとなり、「クルーバ」のドレスではVHSテープが重要な素材となりました。カセットテープのリバイバルやリサイクル、またはアップサイクルする最近のカルチャーについて思うことは?

ドナータ:カセットテープは素晴らしい媒体だと思っています。デジタル世代の若者たちがカセットテープに魅力を感じていることは理解できます。ただ、VHSテープは映画を観るには非常に不向きな素材ですので、ドレスとして使用する方が遥かに良い使い道です。

私は自分の服に手入れをすることが好きなので、デッドストックの生地を再利用したり、ブラウスやパンツ、靴下、ドレス、スカートを修理したりしています。自分たちの手でものを作る方法を知らない人が増えている今、アップサイクルの文化は消費主義社会でアナログとデジタルのバランスを保つために必要な存在です。日常生活でも手仕事は重要ですので、ごく自然に生まれた考え方だと思います。古い材料やものを再利用すれば、新しい価値とも触れ合うことができますので、私はそんな生き方にとても共感しています。

WWD:常にスタイリッシュですが、特にお気に入りのファッションブランドはありますか?また、ファッションでの自分のルールは?

ドナータ:ありがとうございます!嬉しいです。私はヴィムと一緒にいろんな場所を旅しながら仕事や生活をしています。そんな生活を何年も続けていると自分の服が家や隠れ家、そして、友人のような存在になっていることに気付きました。私にとって洋服は身近にある大切な存在です。お気に入りのデザイナーは、ヨウジヤマモトとポール・ハーデンです。そして、今回の「クルーバ」のドレスが私の愛する洋服に仲間入りしました。

インディペンデントなブランドでも世界の舞台に立てる未来に期待

<

ミラが語るように、今後も「クルーバ」のような小規模展開のブランドがレッドカーペットという晴れ舞台で日の目を浴びることに期待したい。また、各国のミュージアムで展示されることによって、VHSのアップサイクルという斬新なアイデアとクラフツマンシップの可能性が広がっていくことを願う。

「WWDJAPAN」5月27日号はサステナビリティ特集です。「アップサイクル」など、知っておくべき用語について解説しています。

The post ドナータ・ヴェンダースがレッドカーペットで見せたVHSのアップサイクルドレスとクラフツマンシップ appeared first on WWDJAPAN.

ドナータ・ヴェンダースがレッドカーペットで見せたVHSのアップサイクルドレスとクラフツマンシップ

写真家のドナータ・ヴェンダース(Donata Wenders)が制作に携わっている、ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督作品「パーフェクト・デイズ」が国際長編映画賞にノミネートされたため、夫婦揃って授賞式のレッドカーペットに登場した。その時にドナータが着用していたドレスに注目が集まっている。

レッドカーペットといえば、スターたちがビッグメゾンのオートクチュールやプレタポルテのドレスで華やかに登場するアカデミー賞のハイライト。ドナータが披露したドレスは、光沢素材で立体的に編み込まれたエレガントなイブニングドレスのように見えるが、実はヴィムが手掛けた3作品の映画のVHS(ビデオテープ)を解体し、縄のように編み上げて作られたドレスだ。

このユニークなドレスを制作したのは「クルーバ(CRUBA)」というベルリン拠点のインディペンデントブランドだ。ミラ・フォン・デア・オーステン(Mira von der Osten)「クルーバ」デザイナーは、NYとパリのパーソンズ美術大学でファッションを学んだのち、2009年に「クルーバ」を設立。ヨーロッパ国内から高品質な素材を厳選し、ベルリン近郊にある家族経営の小さな工場で生産を行い、環境に配慮したモノづくりをしており、良心的な価格帯も人気を集めている理由の一つだ。

近年、伝統的なドレスコードを覆す独創的なファッションが見られるようになったアカデミー賞授賞式だが、インディペンデントなブランドがラグジュアリーブランドと共にレッドカーペットで作品を披露することは稀だろう。そんなほんの一握りのチャンスを掴んだ経緯は何だったのだろうか?VHSテープからドレスが誕生した秘話やドナータが着用した経緯など、デザイナーのミラに尋ねた。

WWDJAPAN(以下、WWD):ドナータ・ヴェンダースのアカデミー賞の衣装を手がけることになった経緯は?

ミラ・フォン・デア・オーステン(以下、ミラ):「パーフェクト・デイズ」のストーリーにはカセットテープが登場しますが、まずそこに興味を持ちました。ヴィム・ヴェンダースがカセットテープの存在を物語に美しく織り込んでいて、素晴らしいと思いました。上映後にヴィムとドナータに会い、「クルーバ」でVHSをアップサイクリングしたプロジェクトを進めていることを軽く話しました。その時に冗談で「もし、アカデミー賞にノミネートされたら、衣装を作らせて欲しいという手紙を書くつもりだ」と伝えました。ランウエイにも登場しているヴィムは、きっと「ヨウジヤマモト」を着るだろうと思っていたので、私はドナータに尋ねました。その時、すでに彼女には「シャネル」から話が来ていたそうですが、私たちのVHSのアップサイクル作品を見に来てくれると言ってくれました。

WWD:VHSからドレスを作るというアイデアはどのようにして生まれた?

ミラ:私の名付け親がとても映画好きで、膨大な数のVHSを所有していて「廃棄するのではなく何かに再利用できないか?」とアイデアを求められたのがきっかけです。VHSのテープを「クルーバ」のスタジオに送り、解体してからマイラーテープ(アクリル系接着剤でコーティングされたポリエステル)を取り除き、編み込んだり、織り込んだりする実験を始めました。そこで、VHSテープの素材の耐久性に驚きました。洗濯機で洗っても形が崩れないんです。そこから毒性のあるPVCで作られたラインストーンの代替にできることを発見しました。最も驚いたことはVHSテープの光沢感で、これがアイデアの火付け役となりました。映画に携わるスターのドレスを映画のVHSテープから作るなんて素晴らしいことだと思いませんか?

WWD:制作過程で最も大変だった点は?

ミラ:ドレスを制作する時間に全く余裕がなかったことですね。VHSテープからドレスを作るには、7〜10日間連続で編み続ける必要がありました。その後、編み込んだVHSテープの下にシルクのガウンを縫い付けてドレスとして着れるようにしなければなりませんでした。6人の編み手が10日未満でドレスを完成させましたが、完成までにドナータは3回のフィッティングをしました。また、「パーフェクトデイズ」とのつながりを示すため、少し大きめのカセットテープの形をした3Dプリントのクラッチバッグも同時にデザインしました。これは生分解性プラスチックで作っています。

WWD:ドレスの素材となった映画作品は?

ミラ:ドナータのお気に入りの「Tokyo-Ga」「ベルリン・天使の唄(Wings of Desire)「パリ、テキサス」の3作品のVHSを提供してくれました。

WWD:実際に彼女がアカデミー賞の式典でそのドレスを着ているのを見て、どんな気持ちでしたか?

ミラ:ドナータがドレスを着用した姿を現地からビデオメッセージで送ってくれました。その時に、VHSテープを再生した時に生じるノイズ音を真似しながら「聞こえますか?今、アカデミー賞に向かっています」と言ったんです。それを聞いてとても感動し、現実に起こっていることだと信じることができませんでした。ドレスを着てレッドカーペットを歩くドナータの姿はとても優雅で、完璧に着こなしていて感激しました。ヴィムもその美しい姿に完全に魅了されていることがわかりました。

WWD:メディアからはどのような反響がありましたか?

ミラ:圧倒するほどの反響があり、自分でも驚いています。ドイツだけでなく、他のヨーロッパの国やアメリカ、日本のメディアが次々と取り上げてくれて、ベストドレッサーのリストにも掲載されました。ヴィムも「自分の映画のVHSテープを着るというアイデアに興奮している」とコメントしてくれました。アカデミー賞授賞式が終わった後にドレスをミュージアムで展示したいとオファーも受けましたので、日本やアメリカ、ベルリンでも発表したいと思っています。

WWD:サステナビリティについて思うことは?

ミラ:世界的なサステナビリティのムーブメントの中で、ファッション業界は真の目的を達成するにはまだ程遠い現状です。例えば、レッドカーペットは、著名人やセレブリティと契約している企業が権力を持っているため、革新的なアイデアを持つインディペンデントなブランドやサステナビリティを意識したブランドの作品が披露されることはめったにありません。私たちのようなブランドがセレブリティにドレスを提供する機会は極めて限られているんです。そういった現実でドナータはクラフツマンシップの重要性を信じ「クルーバ」のようなブランドを支援してくれています。今回は、アカデミー賞授賞式のレッドカーペットという貴重な場面を通してスローファッションを多くの人に知ってもらえたと思います。

WWD:ブランドを続ける上で最も重要だと思うことは?

ミラ:私たちは常にファッションを通じたコミュニケーションのために、業界の限界を広げるような新しい方法を模索しています。ファッションは文化と深く関わり、生活にも大きな影響を与えますので、責任のあるデザインを創造することが重要です。ブランドを続けていく中で、ドナータやヴィムのような人物と国境を越えてコラボレーションする機会を得たことはとても光栄なことです。

ドナータ・ヴェンダースが「クルーバ」を選んだ理由

WWD:アカデミー賞授賞式の衣装に「クルーバ」のドレスを選んだ理由は?

ドナータ・ヴェンダース(以下、ドナータ):ミラに会った時にVHSテープをアップサイクルして作るドレスのアイデアを聞きました。その後、彼女のスタジオに行き、解体されたVHSテープの素材の可能性に魅了されたのですが、その時すでに私の体型と個性に合ったドレスを作る準備ができていました。VHSはすでに時代遅れなフォーマットで、普通ならゴミになってしまうでしょう。しかし、ミラはそこからヴィム作品のVHSテープでドレスを作るという素晴らしいアイデアを生み出し提案してくれました。私はそのアイデアに夢中になって、すぐにヴィムの3作品のVHSを提供し、そこからドレスの制作がスタートしました。

WWD:衣服に用いられる生地とは異なり、VHSは硬い素材です。着用するのは大変だったのでは?

ドナータ:VHSテープは光沢があり、硬く見えるかもしれませんが、実際には柔らかくて非常に軽いんです。それに、VHSテープを編み込んだドレスには、形状を保つために重要な役割を果たしますためのアンダードレスが付いているので、着用していても快適に過ごせました。映画のイベントに常に着ていきたいくらいこのドレスが大好きで、一番のお気に入りのイベント用ドレスなりました。

WWD:「パーフェクト・デイズ」では、カセットテープが重要なアイテムとなり、「クルーバ」のドレスではVHSテープが重要な素材となりました。カセットテープのリバイバルやリサイクル、またはアップサイクルする最近のカルチャーについて思うことは?

ドナータ:カセットテープは素晴らしい媒体だと思っています。デジタル世代の若者たちがカセットテープに魅力を感じていることは理解できます。ただ、VHSテープは映画を観るには非常に不向きな素材ですので、ドレスとして使用する方が遥かに良い使い道です。

私は自分の服に手入れをすることが好きなので、デッドストックの生地を再利用したり、ブラウスやパンツ、靴下、ドレス、スカートを修理したりしています。自分たちの手でものを作る方法を知らない人が増えている今、アップサイクルの文化は消費主義社会でアナログとデジタルのバランスを保つために必要な存在です。日常生活でも手仕事は重要ですので、ごく自然に生まれた考え方だと思います。古い材料やものを再利用すれば、新しい価値とも触れ合うことができますので、私はそんな生き方にとても共感しています。

WWD:常にスタイリッシュですが、特にお気に入りのファッションブランドはありますか?また、ファッションでの自分のルールは?

ドナータ:ありがとうございます!嬉しいです。私はヴィムと一緒にいろんな場所を旅しながら仕事や生活をしています。そんな生活を何年も続けていると自分の服が家や隠れ家、そして、友人のような存在になっていることに気付きました。私にとって洋服は身近にある大切な存在です。お気に入りのデザイナーは、ヨウジヤマモトとポール・ハーデンです。そして、今回の「クルーバ」のドレスが私の愛する洋服に仲間入りしました。

インディペンデントなブランドでも世界の舞台に立てる未来に期待

<

ミラが語るように、今後も「クルーバ」のような小規模展開のブランドがレッドカーペットという晴れ舞台で日の目を浴びることに期待したい。また、各国のミュージアムで展示されることによって、VHSのアップサイクルという斬新なアイデアとクラフツマンシップの可能性が広がっていくことを願う。

「WWDJAPAN」5月27日号はサステナビリティ特集です。「アップサイクル」など、知っておくべき用語について解説しています。

The post ドナータ・ヴェンダースがレッドカーペットで見せたVHSのアップサイクルドレスとクラフツマンシップ appeared first on WWDJAPAN.

「BABY-G」×アクアプラネット ペールピンクカラーの時計でサンゴ保全活動をサポート

カシオ計算機の「BABY-G」は6月14日、サンゴ礁の保全活動を行うNPO法人のアクアプラネットとのコラボレーションモデル“BA-110AQ”(1万7600円)を発売する。

同商品は、アクアプラネット管理下のカシオサンゴ畑に生息する“フタイロサンゴハゼ”をモチーフにした耐衝撃ウオッチだ。ベースに立体的な文字盤デザインが特徴の“BA-110”を採用し、時分針をサンゴに見立て、フェイスには“フタイロサンゴハゼ”をあしらっている。バンドに「Our Ocean, Our future“の文字を印刷し、裏蓋に「Love The Sea And The Earth」のシンボルマークを刻印した。

また、ベゼルとバンドの主な樹脂パーツには再生可能な有機性資源を含むバイオマスプラスチックを、パッケージには再生紙を使用している。

The post 「BABY-G」×アクアプラネット ペールピンクカラーの時計でサンゴ保全活動をサポート appeared first on WWDJAPAN.

「BABY-G」×アクアプラネット ペールピンクカラーの時計でサンゴ保全活動をサポート

カシオ計算機の「BABY-G」は6月14日、サンゴ礁の保全活動を行うNPO法人のアクアプラネットとのコラボレーションモデル“BA-110AQ”(1万7600円)を発売する。

同商品は、アクアプラネット管理下のカシオサンゴ畑に生息する“フタイロサンゴハゼ”をモチーフにした耐衝撃ウオッチだ。ベースに立体的な文字盤デザインが特徴の“BA-110”を採用し、時分針をサンゴに見立て、フェイスには“フタイロサンゴハゼ”をあしらっている。バンドに「Our Ocean, Our future“の文字を印刷し、裏蓋に「Love The Sea And The Earth」のシンボルマークを刻印した。

また、ベゼルとバンドの主な樹脂パーツには再生可能な有機性資源を含むバイオマスプラスチックを、パッケージには再生紙を使用している。

The post 「BABY-G」×アクアプラネット ペールピンクカラーの時計でサンゴ保全活動をサポート appeared first on WWDJAPAN.

へラルボニーが日本初の快挙 「LVMHイノベーションアワード」で部門賞を獲得

ヘラルボニーが5月23日、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)主催の「LVMHイノベーションアワード 2024 (LVMH INNOVATION AWARD 2024)」を受賞した。同社が選出されたのは「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン(Employee Experience, Diversity & Inclusion)」部門で、日本企業の受賞は初めて。同アワードは今年は第8回となり、過去最多となる89カ国、1545社から応募があった。

受賞企業は、LVMHのイノベーション・インキュベーターであるメゾン・ド・スタートアップ(THE MAISON DE STARTUPS)の企業支援プログラムに参加し、同社および傘下75メゾンと連携しながら、個別メンター制度を受けることができる。

へラルボニーは2018年7月に岩手県でスタート。知的障がいのあるアーティストや福祉施設とのライセンス契約を結び、作品を商品化するブランド事業やライセンス事業を行っている。LVMHによると、アワードの受賞理由は「同社は企画から制作に至るまで、障害のあるアーティストと企業との質の高い協業を保証する。アーティストにビジネスチャンスが生まれるだけでなく、企業もDEI(ダイバーシティー・エクイティ&インクルージョン)を促進できる」という。

「LVMH イノベーションアワード」は、世界の有望なスタートアップ企業をたたえ、その成長を支援するプログラムとして2017年に設立した。応募対象は、評価額1億ドル未満、従業員数50人未満で過去5年間以内に創設された企業だ。グランプリに加え、へラルボニーが受賞した「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン」部門のほか、「オムニチャネル&リテール」「サステナビリティ&グリーンテック」などの6部門からなる。

The post へラルボニーが日本初の快挙 「LVMHイノベーションアワード」で部門賞を獲得 appeared first on WWDJAPAN.

へラルボニーが日本初の快挙 「LVMHイノベーションアワード」で部門賞を獲得

ヘラルボニーが5月23日、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)主催の「LVMHイノベーションアワード 2024 (LVMH INNOVATION AWARD 2024)」を受賞した。同社が選出されたのは「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン(Employee Experience, Diversity & Inclusion)」部門で、日本企業の受賞は初めて。同アワードは今年は第8回となり、過去最多となる89カ国、1545社から応募があった。

受賞企業は、LVMHのイノベーション・インキュベーターであるメゾン・ド・スタートアップ(THE MAISON DE STARTUPS)の企業支援プログラムに参加し、同社および傘下75メゾンと連携しながら、個別メンター制度を受けることができる。

へラルボニーは2018年7月に岩手県でスタート。知的障がいのあるアーティストや福祉施設とのライセンス契約を結び、作品を商品化するブランド事業やライセンス事業を行っている。LVMHによると、アワードの受賞理由は「同社は企画から制作に至るまで、障害のあるアーティストと企業との質の高い協業を保証する。アーティストにビジネスチャンスが生まれるだけでなく、企業もDEI(ダイバーシティー・エクイティ&インクルージョン)を促進できる」という。

「LVMH イノベーションアワード」は、世界の有望なスタートアップ企業をたたえ、その成長を支援するプログラムとして2017年に設立した。応募対象は、評価額1億ドル未満、従業員数50人未満で過去5年間以内に創設された企業だ。グランプリに加え、へラルボニーが受賞した「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン」部門のほか、「オムニチャネル&リテール」「サステナビリティ&グリーンテック」などの6部門からなる。

The post へラルボニーが日本初の快挙 「LVMHイノベーションアワード」で部門賞を獲得 appeared first on WWDJAPAN.

尖った服が売れる店、代々木上原「デルタ」の強さの秘訣 「ファッションは生きる行為そのもの」

PROFILE: 大倉綾/「デルタ」オーナー兼バイヤー

大倉綾/「デルタ」オーナー兼バイヤー
PROFILE: 文化服装学院・旧スタイリスト科卒業。ブティックでの販売員などファッション業界でさまざまな経験を積んだ後、2004年に「デルタ」をオープン。2020年に地球環境と人権をテーマにしたプロジェクト「ブレス バイ デルタ」をスタート。デザイン性の高いゼロウエイストなコラボアイテムをさまざまななデザイナーと企画している PHOTO:YOW TAKAHASHI
代々木上原に住んで十数年。この街の好きなところはたくさんありますが、「デルタ(DELTA)」という信頼の置けるセレクトショップがあることもその1つ。周りの業界関係者から「今、尖った服が売れる店」として「デルタ」の名前が挙がることも珍しくありません。商品ラインアップのセンスはさることながら、サステナビリティ分野の担当記者である自分の社会的な正義感とファッションを楽しみたい気持ちを心置きなく発散させてくれる店でもあるんです。同店は今年で20周年を迎えます。そんな節目にオーナーの大倉綾さんに「尖った服が売れる店」の強さの秘訣やフィロソフィーを聞きました。

仕入れの基準は服を通してデザイナーの哲学が見えるかどうか

「デルタ」は当時27歳だった綾さんが、夫の有記さんと一緒に東北沢に5坪の店舗をオープンしたのが始まり。綾さんは学生時代スタイリストを目指して文化服装学院を卒業しますが、実際にスタイリストの仕事で食べていくのはいばらの道。知り合いのブティックなどで販売員としてキャリアをスタートさせます。当時のお客さんから「あなたがお店を出したら通うわ」と言われたことに背中を押され、夫の有記さんと一緒に起業。2004年に東北沢に出店し、08年に現在の場所へと移転しました。

白を基調にした店内は、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)大丸京都店などを手掛けた建築家の永山祐子氏による設計です。以前はラグジュアリーブランドも扱っていましたが、今は「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」や「ワタル トミナガ(WATARU TOMINAGA)」「ハトラ(HATRA)」など国内ブランドが中心。顧客層は女性を中心に、20代〜50代までと幅広い。業界関係者以外にも、医療関係やクリエイター、SEなどさまざまな職業の人が訪れるそう。

「業界関係者にはよくカテゴライズしづらい店と言われますが、商品はあらかじめテーマを設けたり、スタイリングを想定したりすることもなく自由な感覚で仕入れています。お客さまもブランドにこだわりがなく、その自由さ楽しんでくれている方が多い。大事にしているのは、デザイナーの哲学や人柄が服を通して見えることです」と綾さん。

店作りの際に影響を受けたのは、ニューヨークのインディペンデントカルチャーだったと言います。今は閉店してしまいましたが、「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」をはじめ、ファッションと音楽、カルチャー全体が自然に交わるシーンの面白さにも心を動かされたそう。私自身も初めてニューヨークの「オープニングセレモニー」を訪れたとき、店内に並ぶ服1つ1つの強さに圧倒された記憶がありますが、現在の「デルタ」にも似た感覚を抱きます。

「地球環境と人権」をテーマにした姉妹店での挑戦

商品ラインアップはもちろんですが、国連(UNHCR)などへの寄付を目的としたチャリティーイベントや、選挙期間中には投票証明書を提示すると割引きになる「選挙割」を実施して投票を促すなど、ファッションを消費するだけで終わらせない店のアティチュードこそ私がこの店を推す理由です。

「ニューヨークに行った時にちょうど選挙期間中で、マーク・ジェイコブスがヒラリー・クリントンのTシャツを作って売っていて、これぞファッションと感じたのを覚えています。さかのぼれば、キャサリン・ハムネットやヴィヴィアン・ウエストウッドなどにも影響を受けてきました。ファッションは時代を映す鏡で、生きるという行為そのもの。そこを無視して服を売ることは、私たちには表面的に見える。店はコミュニケーションの場所で、社会とは切っても切り離せないんです」と綾さんは語ります。

20年には「地球環境と人権」をテーマにした姉妹店「ブレス バイ デルタ」をオープンしました。店内には「ベースマーク(BASE MARK)」によるアップサイクルプロジェクト「リ:マーク プロジェクト(RE:MARK PROJECT)」や、非動物性の素材にこだわる「ビーガンタイガー(VEGAN TIGER)」、社会的運動へのオマージュをテーマにしているパリ発の「カルネボレンテ(CARNE BOLLENTE)」などが並びます。

サステナビリティ担当記者として、環境問題や人権問題を伝える難しさは日々痛感していますが、「デルタ」はそれを軽やかにそしてかっこよく実践します。「私たちも最初は手探りでした。やっぱりモノが持つ力や見た瞬間に楽しさを感じることが絶対です。私たちが上手く提案しているというよりは、サステナブルな理念と両立した良いブランドが出てきたことが大きいと思います」。

コロナ禍のロックダウン中には、産業の環境問題や人権問題に関わる現状を店のスタッフと一緒に学び、「ファッションの根本を考えること」に時間を割いたと言います。「コロナ前から何を基準に仕入れるべきか分からなくなっていたんだと思います。そこである意味、視野を狭めることによってこれまでと違った角度から魅力を発見できた」。

サステナビリティとファッションを考える時について回るのが、「だったらもう服買わなければいいんじゃないですか?」という極論。あえて、というかちょっとすがるような気持ちでこの質問をぶつけてみました。すると綾さんは少し表情を変えて、「私たちはファッションの人間ですから、やめるってことはないんです」と一喝。「私はこの先もファッションが好きな人たちと一緒に未来を見たい。難しい課題があるからこそ、この場所でより良い未来に向かって一緒にクリエーションをしていきたい」と力強く答えてくれました。「デルタ」はファッションの持つ大事なパワーを感じさせてくれる店であり、持続可能な未来を一緒に試行錯誤してくれる心強いパートナーでもあると感じます。

20周年を迎える今年は、原点である音楽とファッションを交えた周年イベントも12月に企画しているそうです。ぜひ「デルタ」の世界観と、そこに集まるコミュニティーを体感してみてください。

The post 尖った服が売れる店、代々木上原「デルタ」の強さの秘訣 「ファッションは生きる行為そのもの」 appeared first on WWDJAPAN.

尖った服が売れる店、代々木上原「デルタ」の強さの秘訣 「ファッションは生きる行為そのもの」

PROFILE: 大倉綾/「デルタ」オーナー兼バイヤー

大倉綾/「デルタ」オーナー兼バイヤー
PROFILE: 文化服装学院・旧スタイリスト科卒業。ブティックでの販売員などファッション業界でさまざまな経験を積んだ後、2004年に「デルタ」をオープン。2020年に地球環境と人権をテーマにしたプロジェクト「ブレス バイ デルタ」をスタート。デザイン性の高いゼロウエイストなコラボアイテムをさまざまななデザイナーと企画している PHOTO:YOW TAKAHASHI
代々木上原に住んで十数年。この街の好きなところはたくさんありますが、「デルタ(DELTA)」という信頼の置けるセレクトショップがあることもその1つ。周りの業界関係者から「今、尖った服が売れる店」として「デルタ」の名前が挙がることも珍しくありません。商品ラインアップのセンスはさることながら、サステナビリティ分野の担当記者である自分の社会的な正義感とファッションを楽しみたい気持ちを心置きなく発散させてくれる店でもあるんです。同店は今年で20周年を迎えます。そんな節目にオーナーの大倉綾さんに「尖った服が売れる店」の強さの秘訣やフィロソフィーを聞きました。

仕入れの基準は服を通してデザイナーの哲学が見えるかどうか

「デルタ」は当時27歳だった綾さんが、夫の有記さんと一緒に東北沢に5坪の店舗をオープンしたのが始まり。綾さんは学生時代スタイリストを目指して文化服装学院を卒業しますが、実際にスタイリストの仕事で食べていくのはいばらの道。知り合いのブティックなどで販売員としてキャリアをスタートさせます。当時のお客さんから「あなたがお店を出したら通うわ」と言われたことに背中を押され、夫の有記さんと一緒に起業。2004年に東北沢に出店し、08年に現在の場所へと移転しました。

白を基調にした店内は、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)大丸京都店などを手掛けた建築家の永山祐子氏による設計です。以前はラグジュアリーブランドも扱っていましたが、今は「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」や「ワタル トミナガ(WATARU TOMINAGA)」「ハトラ(HATRA)」など国内ブランドが中心。顧客層は女性を中心に、20代〜50代までと幅広い。業界関係者以外にも、医療関係やクリエイター、SEなどさまざまな職業の人が訪れるそう。

「業界関係者にはよくカテゴライズしづらい店と言われますが、商品はあらかじめテーマを設けたり、スタイリングを想定したりすることもなく自由な感覚で仕入れています。お客さまもブランドにこだわりがなく、その自由さ楽しんでくれている方が多い。大事にしているのは、デザイナーの哲学や人柄が服を通して見えることです」と綾さん。

店作りの際に影響を受けたのは、ニューヨークのインディペンデントカルチャーだったと言います。今は閉店してしまいましたが、「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」をはじめ、ファッションと音楽、カルチャー全体が自然に交わるシーンの面白さにも心を動かされたそう。私自身も初めてニューヨークの「オープニングセレモニー」を訪れたとき、店内に並ぶ服1つ1つの強さに圧倒された記憶がありますが、現在の「デルタ」にも似た感覚を抱きます。

「地球環境と人権」をテーマにした姉妹店での挑戦

商品ラインアップはもちろんですが、国連(UNHCR)などへの寄付を目的としたチャリティーイベントや、選挙期間中には投票証明書を提示すると割引きになる「選挙割」を実施して投票を促すなど、ファッションを消費するだけで終わらせない店のアティチュードこそ私がこの店を推す理由です。

「ニューヨークに行った時にちょうど選挙期間中で、マーク・ジェイコブスがヒラリー・クリントンのTシャツを作って売っていて、これぞファッションと感じたのを覚えています。さかのぼれば、キャサリン・ハムネットやヴィヴィアン・ウエストウッドなどにも影響を受けてきました。ファッションは時代を映す鏡で、生きるという行為そのもの。そこを無視して服を売ることは、私たちには表面的に見える。店はコミュニケーションの場所で、社会とは切っても切り離せないんです」と綾さんは語ります。

20年には「地球環境と人権」をテーマにした姉妹店「ブレス バイ デルタ」をオープンしました。店内には「ベースマーク(BASE MARK)」によるアップサイクルプロジェクト「リ:マーク プロジェクト(RE:MARK PROJECT)」や、非動物性の素材にこだわる「ビーガンタイガー(VEGAN TIGER)」、社会的運動へのオマージュをテーマにしているパリ発の「カルネボレンテ(CARNE BOLLENTE)」などが並びます。

サステナビリティ担当記者として、環境問題や人権問題を伝える難しさは日々痛感していますが、「デルタ」はそれを軽やかにそしてかっこよく実践します。「私たちも最初は手探りでした。やっぱりモノが持つ力や見た瞬間に楽しさを感じることが絶対です。私たちが上手く提案しているというよりは、サステナブルな理念と両立した良いブランドが出てきたことが大きいと思います」。

コロナ禍のロックダウン中には、産業の環境問題や人権問題に関わる現状を店のスタッフと一緒に学び、「ファッションの根本を考えること」に時間を割いたと言います。「コロナ前から何を基準に仕入れるべきか分からなくなっていたんだと思います。そこである意味、視野を狭めることによってこれまでと違った角度から魅力を発見できた」。

サステナビリティとファッションを考える時について回るのが、「だったらもう服買わなければいいんじゃないですか?」という極論。あえて、というかちょっとすがるような気持ちでこの質問をぶつけてみました。すると綾さんは少し表情を変えて、「私たちはファッションの人間ですから、やめるってことはないんです」と一喝。「私はこの先もファッションが好きな人たちと一緒に未来を見たい。難しい課題があるからこそ、この場所でより良い未来に向かって一緒にクリエーションをしていきたい」と力強く答えてくれました。「デルタ」はファッションの持つ大事なパワーを感じさせてくれる店であり、持続可能な未来を一緒に試行錯誤してくれる心強いパートナーでもあると感じます。

20周年を迎える今年は、原点である音楽とファッションを交えた周年イベントも12月に企画しているそうです。ぜひ「デルタ」の世界観と、そこに集まるコミュニティーを体感してみてください。

The post 尖った服が売れる店、代々木上原「デルタ」の強さの秘訣 「ファッションは生きる行為そのもの」 appeared first on WWDJAPAN.

ベネチアの名士による香り「ザ マーチャント オブ ヴェニス」が上陸 香水のルーツを遡るイベントを開催

ベネチア発フレグランス「ザ マーチャント オブ ヴェニス(THE MERCHANT OF VENICE)」(以下、TMOV)が日本に上陸した。同ブランドは、中世から、東洋やアフリカとの交易の中心地として栄えたベネチアの歴史と文化がイメージソース。ベネチアで120年以上にわたり香水を製造しているマヴィーブ社が製造を手掛けており、日本では、ヤマノ アンド アソシエイツが輸入販売する。上陸を記念し5月に、マルコ・ヴィダル=マヴィーブ・マネジング・ディレクターが来日。「TMOV」の紹介をはじめ、ベネチアと香水の歴史について語った。

ベネチアからヨーロッパに広まった香水や化粧品

ヴィダルディレクターは、イタリア香水の歴史を刻んできたファミリー企業の4代目。自社ブランドをはじめ、ファッションブランドなどの香水を90カ国以上で販売している。ヴィダル家は“ベネチアの調香師”として知られ、2013年に、ベネチア市民博物館財団と協業でモチェニーゴ宮殿に香水博物館を設立。約3000の香水コレクションをはじめ、香水やコスメの歴史に関する資料などが展示されている。ヴィダルディレクターは、「ベネチアがヨーロッパで初めて香水が開発された街だ」と話す。中世にコンスタンティノープルから香水や化粧品がベネチアに伝わり、貴族の間で広まり製造されるようになった。中世の香水は軟膏のようなもので、短期間しか香りが持続しなかったが、ベネチアの調香師はアルコールがエッセンシャルオイルの希釈および防腐剤として効果的であることを発見。そして、モダンな香水の原形ができて、香水は交易品の一つなったという。「ベネチアは、交易ルートの中心だったので原材料を入手することができた。16世紀には、香水や石鹸、化粧品を生産する中心地になり、17〜18世紀に調香技術はベネチアからフランスやドイツに広まった」。

ベネチアの歴史や文化を香りで体現

香水博物館の公式フレグランスである「TMOV」。ベネチアの交易ルートや商人たちが輸入したスパイス、樹脂、エッセンスなどからインスパイアされた6種類の“ムラーノ”コレクションは、ローズやサフラン、マンダリンなどを使用したエキゾチックなフレグランスで、美しいムラーノガラスのボトル入り。世界でトップクラスのパフュームホールがあるロンドンの百貨店「ハロッズ(HARRODS)」と共同開発した“ムラーノ エクスクルーシヴ”は、ベネチアンブルーとゴールドのガラスボトルに収められている。メンズ向けのオードパルファム“ノビル オモ”は“高貴な男”という意味で、伝統的なベネチアのテキスタイルの柄や色をイメージさせるボトルが特徴だ。

ベネチアといえば、マルコ・ポーロ(Marco Polo)生誕の地。彼にオマージュを寄せたのが“ヴェネツィア&オリエント”シリーズ。ポーロがベネチアにもたらした東洋のお茶をベースにした香り2種類を陶器のボトルで提案している。また、往年のオペラ歌手マリア・カラス(Maria Callas)生誕100周年を記念しカラスの財団から依頼されて製作したフレグランス“グラン テアトロ ラ フェニーチェ マイ パールズ”を10月に発売する。フェニーチェ歌劇場の舞台に立つことが多くベネチアの滞在が長かったカラスの歌声を想起させるようなパウダリーな香りだ。

持続可能な香りで巡る世界各地

「TMOV」には、ジボダン社の“ソーシング・フォー・グッド”という原料産地のコミュニティーを支援するプログラムと提携した“アコルディ ディ プロフーモ”シリーズもある。ベルガモット イタリア、ネロリ モロッコ、チュベローザ インド、パチュリ インドネシアなど、古代の香水手稿(手書きの書類)に見られるような各国を象徴する原料を使用し、単品でも組み合わせても楽しめるフレグランスだ。このフレグランスの収益は、ジボダン社のプログラムに参加している生産者のコミュニティーの支援に使用される。

The post ベネチアの名士による香り「ザ マーチャント オブ ヴェニス」が上陸 香水のルーツを遡るイベントを開催 appeared first on WWDJAPAN.

ベネチアの名士による香り「ザ マーチャント オブ ヴェニス」が上陸 香水のルーツを遡るイベントを開催

ベネチア発フレグランス「ザ マーチャント オブ ヴェニス(THE MERCHANT OF VENICE)」(以下、TMOV)が日本に上陸した。同ブランドは、中世から、東洋やアフリカとの交易の中心地として栄えたベネチアの歴史と文化がイメージソース。ベネチアで120年以上にわたり香水を製造しているマヴィーブ社が製造を手掛けており、日本では、ヤマノ アンド アソシエイツが輸入販売する。上陸を記念し5月に、マルコ・ヴィダル=マヴィーブ・マネジング・ディレクターが来日。「TMOV」の紹介をはじめ、ベネチアと香水の歴史について語った。

ベネチアからヨーロッパに広まった香水や化粧品

ヴィダルディレクターは、イタリア香水の歴史を刻んできたファミリー企業の4代目。自社ブランドをはじめ、ファッションブランドなどの香水を90カ国以上で販売している。ヴィダル家は“ベネチアの調香師”として知られ、2013年に、ベネチア市民博物館財団と協業でモチェニーゴ宮殿に香水博物館を設立。約3000の香水コレクションをはじめ、香水やコスメの歴史に関する資料などが展示されている。ヴィダルディレクターは、「ベネチアがヨーロッパで初めて香水が開発された街だ」と話す。中世にコンスタンティノープルから香水や化粧品がベネチアに伝わり、貴族の間で広まり製造されるようになった。中世の香水は軟膏のようなもので、短期間しか香りが持続しなかったが、ベネチアの調香師はアルコールがエッセンシャルオイルの希釈および防腐剤として効果的であることを発見。そして、モダンな香水の原形ができて、香水は交易品の一つなったという。「ベネチアは、交易ルートの中心だったので原材料を入手することができた。16世紀には、香水や石鹸、化粧品を生産する中心地になり、17〜18世紀に調香技術はベネチアからフランスやドイツに広まった」。

ベネチアの歴史や文化を香りで体現

香水博物館の公式フレグランスである「TMOV」。ベネチアの交易ルートや商人たちが輸入したスパイス、樹脂、エッセンスなどからインスパイアされた6種類の“ムラーノ”コレクションは、ローズやサフラン、マンダリンなどを使用したエキゾチックなフレグランスで、美しいムラーノガラスのボトル入り。世界でトップクラスのパフュームホールがあるロンドンの百貨店「ハロッズ(HARRODS)」と共同開発した“ムラーノ エクスクルーシヴ”は、ベネチアンブルーとゴールドのガラスボトルに収められている。メンズ向けのオードパルファム“ノビル オモ”は“高貴な男”という意味で、伝統的なベネチアのテキスタイルの柄や色をイメージさせるボトルが特徴だ。

ベネチアといえば、マルコ・ポーロ(Marco Polo)生誕の地。彼にオマージュを寄せたのが“ヴェネツィア&オリエント”シリーズ。ポーロがベネチアにもたらした東洋のお茶をベースにした香り2種類を陶器のボトルで提案している。また、往年のオペラ歌手マリア・カラス(Maria Callas)生誕100周年を記念しカラスの財団から依頼されて製作したフレグランス“グラン テアトロ ラ フェニーチェ マイ パールズ”を10月に発売する。フェニーチェ歌劇場の舞台に立つことが多くベネチアの滞在が長かったカラスの歌声を想起させるようなパウダリーな香りだ。

持続可能な香りで巡る世界各地

「TMOV」には、ジボダン社の“ソーシング・フォー・グッド”という原料産地のコミュニティーを支援するプログラムと提携した“アコルディ ディ プロフーモ”シリーズもある。ベルガモット イタリア、ネロリ モロッコ、チュベローザ インド、パチュリ インドネシアなど、古代の香水手稿(手書きの書類)に見られるような各国を象徴する原料を使用し、単品でも組み合わせても楽しめるフレグランスだ。このフレグランスの収益は、ジボダン社のプログラムに参加している生産者のコミュニティーの支援に使用される。

The post ベネチアの名士による香り「ザ マーチャント オブ ヴェニス」が上陸 香水のルーツを遡るイベントを開催 appeared first on WWDJAPAN.

「パタゴニア」が自社製品の中古ウエアなどの買い取りを開始

パタゴニア(PATAGONIA)は、「ウォーン ウエア(WORN WEAR)」プログラムを通じて、不要になったパタゴニア製品の買り取りを開始する。買り取り対象製品は、機能に問題がないパタゴニアの中古のウェアやラゲッジ、アクセサリーと幅広い。「製品を作り販売する企業の責任として、衣類やギアの寿命を延ばし、循環性を高める」のが狙いだ。同ブランドによると「新品を買わず、すでに所有している衣類の寿命を9か月間延ばすことにより、炭素排出、廃棄される物、そして水使用のフットプリントをそれぞれ20~30パーセント削減することができる」という。

買い取りはオンラインから申し込みを受付け、検品・査定後、製品の状態に応じた見積りを連絡し、支払い金額を確定後、現金で支払う。また同プログラムで集まった中古のウェアなどは、パタゴニア 東京・渋谷ストアで期間限定で販売をするほか、その後もパタゴニアの直営店での販売を予定している。買い取り業務は委託先のティンパンアレイが行う。

ポップアップでは、パタゴニア製品の中古ウェアの販売のほか、中古ウェアを組み合わせ、修理を施しリメイクした「リクラフテッド(RECRAFTED)」製品も販売。修理して長く着続けることのストーリーの展示や、週末にはリペアイベントを開催する。

▪️「ウォーン ウエア」ポップアップストア パタゴニア東京・渋谷
期間:2024年5月24日(金)~ 8月4日(日)
営業時間:11:00~19:00
定休日:毎月第3水曜日
会場:パタゴニア 東京・渋谷 
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-16-8

The post 「パタゴニア」が自社製品の中古ウエアなどの買い取りを開始 appeared first on WWDJAPAN.

アンジェリーナ・ジョリーが来日 「ゲラン」のミツバチ保護活動と女性養蜂家育成プログラムを支援

「ゲラン(GUERLAIN)」はブランドが手掛ける女性養蜂家育成プログラム「ウーマン・フォー・ビー」のパートナーである、米女優のアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)を招き、このほど東京と大阪で2022〜23年のプログラム卒業生と交流した。そのほか、大阪のNPO法人梅田ミツバチプロジェクトの協力のもと、ゲラン ジャパン アンバサダーである女優の桐谷美玲と共に小学生向けの意識啓発プログラム「ビースクール」を開講した。

「ウーマン・フォー・ビー」は20年に南仏で始まり、その後カンボジアやメキシコ、ルワンダ、日本など世界中へと広まった女性養蜂家育成プログラム。都市部の養蜂コミュニティーで養蜂家の職業自体は成長しているが、閉鎖的で男性優位な状況が続いているという。日本では、銀座ミツバチプロジェクトと梅田ミツバチプロジェクトの支援により、女性養蜂家を増やすための対応策やアプローチを提供している。ジョリーは、女性の教育とトレーニングの力を強く信じると共に、日本の女性および養蜂業に従事する女性が直面することを理解するために来日した。「『ウーマン・フォー・ビー』を通してさまざまな女性たちと出会い、世界中の養蜂について学び、友情や姉妹関係を築くという経験は、とても記憶に残るものだわ。私や『ゲラン』が彼女たちを引き上げているのではなく、彼女たちに場所を与え、貢献できることがたくさんある思慮深いプロフェッショナルな人間として真剣に向き合っているのよ」とコメントを寄せた。

「ゲラン」の象徴であるミツバチに関する2つのプログラム

「ウーマン・フォー・ビー」は各地域の固有のミツバチ、その維持管理、再繁殖、およびミツバチに関する教育を軸に、専門知識に基づく持続可能な職業活動を通じて女性のエンパワーメントを促進する。これまでに約105人の女性がトレーニングを修了している。日本では18人が修了し、12人が24年のプログラムに参加予定。

「ビースクール」は次世代がミツバチの役割と保護について学び、意識を高めることを目的とする。18年に開始し、日本では22年に導入して以来、約700人の子どもたちが修了している。24年には東京や大阪だけでなく、札幌や名古屋、宝塚など、全国15カ所の都市に拡大し、約1000人の子どもたちがトレーニングに参加する予定だ。

2つのプログラムは、養蜂家の高齢化が進む中、養蜂業を守り、新たな養蜂方法を開発する上で重要な女性や次世代の存在に焦点を当てる。養蜂技術の教育を通して、全国各地の生物多様性の保護にも取り組む。

The post アンジェリーナ・ジョリーが来日 「ゲラン」のミツバチ保護活動と女性養蜂家育成プログラムを支援 appeared first on WWDJAPAN.

ラグジュアリーブランドが導入を急ぐ「DPP」とは? EUのサステナ新規制で義務化に

欧州では「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」が年内に施行される。EU圏内で商品の製造および販売するラグジュアリーブランドを対象に、透明性と追跡可能性を要求するものだ。規制に対応するべく、対象となるブランドは「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」の導入を急ぐ。

「DPP」は、個別の製品情報を電子的に記録したパスポートのようなもので、原料元から製造工程、流通経路、リサイクル性といったライフサイクル全体の情報を証明する機能を持つ。LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)などのラグジュアリー企業が結成したオーラ ブロックチェーン コンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)と、コンサルティング会社のデロイト(DELOITTE)はこのほど「規制要件としてのDPP:ラグジュアリーの新基準(Embracing Digital Product Passport as a regulatory requirement: Setting a new standard for luxury)」と題した報告書を発表した。

消費者、ブランド、規制当局、3社にメリット

報告書では「DPP」の機能を、製品のライフサイクルにまつわる全情報を記録した「製品と所持者、企業をつなぐデジタルリンク」と定義した上で、消費者、ラグジュアリーブランド、そして規制当局、3者それぞれのニーズを満たすことができるツールだと指摘している。「『DPP』を活用することで、ブランドと顧客間の価値創造につながると同時に、将来的に導入される規制に先手で対応するきっかけにもなる。『DPP』はまもなく義務化される。早期に導入の準備を始めることが重要だ」と続く。

透明性と追跡可能性の担保に加えブランド価値の保護にも役立つだろう。LVMHグループのフランク・ル・モアル(Franck Le Moal)最高情報責任者は報告書の中で、「私たちは多くの偽造品問題に悩まされている。製品情報を最初から最後まで追跡できる『DPP』は、顧客との信頼関係構築に寄与してくれるだろう」と述べている。

また製品の差別化に欠かせない、ストーリーテリングの役割も担うと報告書は指摘する。「コミュニケーション戦略に組み込めば、一貫したストーリーテリングを可能とし、より深い顧客体験を創出できる」という。さらに追跡可能性と持続可能性にまつわる情報は、消費者の購買動機にもつながるだろうと加える。

プラダ・グループのCSR部門責任者のロレンツォ・ベルテッリ(Lorenzo Bertelli)は報告書の中で「『DPP』を活用したストーリーテリングは、店舗の販売員にとってもすばらしい会話のきっかけを提供してくれるだろう。結果として購買率を高め、購入後も商品の所有権を確認できるようにすることで、これまでにないような信頼関係を築いてくれるだろう」とコメントした。上記のメリットに加え、より豊かな顧客データを獲得できる可能性もある。

The post ラグジュアリーブランドが導入を急ぐ「DPP」とは? EUのサステナ新規制で義務化に appeared first on WWDJAPAN.

元広報によるポップなテーブルウエア「マリナとミツコ」が登場 軽くて丈夫、パーティーからアウトドアまで“かわいい”を提案

フリーランスの広報キム・サンエと移動式ギャラリー「キアン(KIAN)」でキュレーターを務める石川佳世子は4月、環境に配慮したテーブルウエアブランド「マリナとミツコ(MARINA & MITSUKO)」を立ち上げた。同ブランドは、家族や友人とテーブルを囲むことが好きな架空の女の子2人が着想源。アジア系アメリカンテイストが好きな“マリナ”と、ヨーロピアンテイストを好む“ミツコ”、それぞれの“好き”を詰め込んだカラフルでポップなディナープレートやサイドプレート、ボウルなどを10種類ずつラインアップする。

バンブーファイバー使用で使い捨てを削減

素材には、環境への負荷が少ないバンブーファイバーを採用することで、プラスチック使用量の削減を目指している。軽くて丈夫なのでパーティーやアウトドア用としてもぴったりなオリジナルのテーブルウエアのほか、旅先や蚤の市で集めた“ふたりのお気に入り”を提案。使い捨てを減らしながら物の循環にも取り組む。価格は1430〜2750円で、自社ECやポップアップストアなどで販売する。

“環境にやさしい”にもカラフルでポップな選択肢を

キムと石川は友人で、「マリナとミツコ」を立ち上げるために2人でいちがつを設立。ブランドを立ち上げたきっかけについて石川は、「漠然と食やサステナビリティに関わる仕事をしたいと考えていて、突然、このブランドを思いついた」と語る。そして、キムに話を持ち掛け、2人でブランド設立に向けて動き始めた。「“環境にやさしい”というと、ほっこりしたものが多いが、かわいくてポップなものも選択肢としてあるということをアピールしたい」と続ける。公式インスタグラムでは、これらテーブルウエアにロブスターやタコス、中華といったさまざまな料理を乗せたインパクトたっぷりのビジュアルを公開。見ているだけで楽しくなるテーブルウエアは、食洗機にも対応しており使い勝手抜群だ。「軽くて丈夫、値段も手頃なので、食卓やピクニックなどさまざまなシーンで使える」とキム。EC販売中心にビジネス拡大を図る予定だが、今後は、卸販売やポップアップなどでの販売も視野に入れている。

The post 元広報によるポップなテーブルウエア「マリナとミツコ」が登場 軽くて丈夫、パーティーからアウトドアまで“かわいい”を提案 appeared first on WWDJAPAN.

三越伊勢丹の名物バイヤー、神谷氏がサステナビリティ推進室マネージャーに就任 新境地を語る

PROFILE: 神谷将太/三越伊勢丹ホールディングスサステナビリティ推進部マネージャー

神谷将太/三越伊勢丹ホールディングスサステナビリティ推進部マネージャー
PROFILE: 2009年に伊勢丹(現:三越伊勢丹)へ入社後、伊勢丹新宿店婦人服の店頭販売、アシスタントバイヤー、アシスタントマネージャーを経て15年よりバイヤー職を担う。15年-16年に伊勢丹新宿店インターナショナルデザイナーズバイヤー、17年-18年に伊勢丹新宿店インターナショナルクリエーターズバイヤー、19年から伊勢丹新宿店リ・スタイル バイヤーなどを経て、2024年4月より三越伊勢丹ホールディングス サステナビリティ推進部へ異動。ファッション×サステナビリティの価値創造に積極的にチャレンジし、さまざまな企画、プロジェクトを生み出した。中でも「デニム de ミライ~Denim Project~」「ピース de ミライ~Revalue Fashion Project~」の2つのプロジェクトのリーダーを務めた。趣味は地方の秘湯とサウナ巡り、特に北海道。 PHOTO:SHUHEI SHINE

伊勢丹新宿店でリ・スタイル担当などファッションのど真ん中でキャリアを積んできた名物バイヤーがこのほど、三越伊勢丹ホールディングスのサステナビリティの要職に着任した。廃棄デニムを再利用して話題になった「デニム de ミライ」企画など、バイヤー時代の型破りな仕事を経て新しい部署で何を担うのか。神谷将太三越伊勢丹ホールディングス総務統括部サステナビリティ推進部マネージャーに話を聞いた。

サステナビリティ推進部の「営業」を担う

WWD:辞令をどう受け止めましたか?

神谷将太三越伊勢丹ホールディングス総務統括部サステナビリティ推進部マネージャー(以下、神谷):サステナビリティ推進部は2022年にできた部署です。改めてそのミッションを聞くうちに“やるぞ”とモチベーションが上がりました。経営に近い立場でサステナリティのさまざまなことに関わり、知識や人脈を広げ、 また営業の現場に戻って活躍する。そういう循環も社は考えているようです。現場感覚と経験、社内外のつながりを生かして具体的な取り組みを推進したい。

WWD:具体的な業務を教えてください。

神谷:サステナビティ推進部が大きく3つのチーム、「環境」「営業」「従業員エンゲージメント」に分かれており、私は「営業」チームでマネージャーを務めます。

WWD:営業チームの役割とは。

神谷: “シンク グッド(think good)”のプロジェクトを、百貨店グループのみならず関連各社全体で推進をしていくことと、サプライチェーンマネジメントです。百貨店事業としてスタートした“シンク グッド”は、今年度からグループ会社、関連事業を含めて推進します。グループ会社はホームページに載せているだけで37あり、不動産、金融などさまざまなチームがある。本当にいろいろな事業があるので、まずは弊社のことも改めて勉強したい。彼らと伴走して、時にお取引先をつなぎ“シンク グッド”を広げていく。サステナリティの考え方に基づく戦略を勢いをもって構築したい。

WWD:サプライチェーンマネジメント業務を具体的に。

神谷:主にお取り組み先との対話です。最近は特にラグジュアリーブランドは自社の行動規範を持ち、こちらに提示されることも多い。昨年から、新宿店の商品チームを中心に現場のバイヤーが約500社のお取り組み先と対面で品質管理や法令順守、人権への配慮など双方の規範の話をしています。

WWD:1社ずつ話すのは労力ですね。行動規範を配って終わり、ではない、と。

神谷:対話を通じてお取り組み先がサプライチェーンの川上をどこまでさかのぼり、何を大切にしているかを把握できることは意味がある。小売りの立場だと川上の現実はなかなか見えないから、対話を通じてかなり勉強になっています。サステナビリティ推進部はグローバルの動きやリスクなどの情報共有をします。昨年までは学ぶ立場だったのですが今年は伝える側ですね。一方通行ではなく、現場が活かせる情報として伝えていきたい。

WWD:サステナビリティに携わると従来のファッションビジネスにはない言葉や価値観と出会うことが多いのでは?

神谷:勉強しなければ、はすごく実感しています。知らない用語、取り巻く法律もそうだし社内の行動規範や調達方針もそう。すでに明文化されたものはあるしバイヤーですからある程度は知っていたけれど、自分の言葉で言語化して人に伝えることはまた別です。

WWD:この職務で自身のどんな姿を目指していますか。

神谷:現場感覚と経験、あと社内外のつながりを生かして、具体的な取り組みを推進したい。

サステナビリティはカウンターカルチャーという意識だった


WWD:「営業」と聞くと何かを売るイメージですが、ここで言う「営業」は営業施策の横展開、という意味ですね。つなぎ、巻き込んでいく、それは神谷さんがバイヤーとして「デニム de ミライ」などで実践してきたことです。

神谷:そうですね、思い返せば、バイヤー着任1年目の2016年に工場の余剰生地をデザイナーとピックアップして多品種少量生産の提案をしたり、リ・スタイル プラス担当のときは、希少性×エシカルという設定で、「ファセッタズム(FACETASM)」や「コシェ(KOCHE)」などと環境配慮素材や余り物から1点ものを作ったりしていました。

WWD:早かったですね。

神谷:当時は「サステナビリティはメーンストリームでないからそこに新しい価値、先進性があるのではないか」と思い、取り組んでいました。リ・スタイル プラスらしいカウンターカルチャーという意識です。

WWD:“やらねば”ではなく、“新しいことをしよう”から入っているところがいいですね。

神谷:ファストファッションが急成長する中、大量生産に対するアンチテーゼであり、「価格より価値が大事だ」という感覚が強かったですね。ファッションに機能性だけでなく情緒性や社会性を加味し、新しい価値観として提供したかった。

WWD:2020年にリ・スタイルをリモデルしたときには「パワー・オブ・チョイス、私たちができること」といった切り口でした。

神谷:この時はサステナビリティという言葉を使いました。ただしサステナビリティを絶対的なものではなく、多様性のひとつ “美しい選択”としてとらえたメッセージです。

小売り・ファッションとサステナビリティを結びビジネスとして成立させる難しさ

WWD:そういった変化に敏感なのは、バイヤーとしてさまざまなクリエイションや社会を見続けてきたからこそでしょう。

神谷:そうですね。年に4回ほど海外出張をするなかでブランドから「これは再生ポリエステルで作った」「これは残反だから少量しかない」といった話を多く聞くようになったり、プライズに選ばれるデザイナーもマリーン・セル(Marine Serre)をはじめ、サステナビリティに通じる考えがある人が増えたりするのを見聞きするなかで「そういう文脈になっているのだな」と受け取りました。ただ、それをお客さんに押し付けるのも違う。1人1人を否定せずに自分なりのスタイルを発信したかった。

WWD:特に、2022年3月に実施した「デニム de ミライ」は大きな話題になりました。

神谷:自分の中でもそういうマインドが醸成していたときに、たまたまヤマサワプレスを訪れて廃棄寸前の「リーバイス(LEVI’S)」のジーンズ“501”の山を見て「なるほど、やろう」と思えた。“デニムdeミライ”での活動は、本業であるファッションコンテンツとしての魅力を高めようとしたことや、様々な人を巻き込んで規模を大きくして発信性を高めたこと、つまり本業として当たり前のことに精一杯の力を入れて活動したことで、良い結果につながりました。

WWD:それがその後の、2023年「リスタイルアーカイブ」、デニム以外の生地の残反も加えた「ピース de ミライ」へとつながりました。 一連の取り組みの中で難しいと感じたことは?

神谷:本業である小売り・ファッションとサステナビリティを組みつけてビジネスとして成立させることです。サステナビリティの活動は「今すぐ儲からないとやらない」という訳でもない。本業の戦略とサステナビリティを組みつけることで、結果として“経済的価値”と“社会的価値”の双方の向上につながります。企画の質の向上と規模の拡大を通じて、経済性と社会性の双方を追求することは難しかったです。

また、衣食住で質の高い・幅広いコンテンツとの協業や小売り他社との連携もポイントになりました。社内外の多くの人を巻き込み最終的には一人のバイヤーの企画から、会社規模の企画に引き上げたことは誇りです。

顧客のサステナビリティに対する関心度の変化

WWD:顧客のサステナビリティに対する関心度の変化をどうみていますか?

神谷:2010年から行っている顧客アンケートをホームページでも公開していますが、「当社のサステナビリティ活動を知っていますか?」の質問に対して10年は20%程度だった「イエス」が23年には50%を超えました。また「三越伊勢丹が取り組むべき課題」に関しては、21年度までは「商品の品質」がトップだったのに対して、22年度からは「食品廃棄物の削減」となり、サステナビリティにつながることに関心を持たれていることがうかがえます。

自由回答には「百貨店だからこそ、ラグジュアリーとサステナビリティを両立させてほしい」という声や「百貨店をきっかけに知ることが増えた」もあがっています。印象的なのは一時期聞かれた「サステナビリティはトレンドだよね」という言葉が最近はほとんど聞かれなくなったことです。

ファッションとサステナビリティは両立する

WWD:神谷さんが考える「ラグジュアリー」とは?

神谷:まず、ラグジュアリーは高級や豪華という意味ではないということを最初にお伝えしたいです。目新しさだけでもない。自分と仲間の未来を豊かにしてゆくもの、と考えています。豊かになる、をほかの言葉に置き換えると、感動する、笑顔になる、成長する、新しいつながりができるといったこと。それを実感できるのがラグジュアリーだと思います。

WWD:「ファッションの伊勢丹」は再先端のファッションを扱っています。その中でファッションとサステナビリティは両立すると思いますか?

神谷:両立すると思います。社会価値も含めて考えること自体がクリエイティブだと思うから。

WWD:今後の課題は?

神谷:バイヤーは幅広いスコープを持ち情報収集していますがリソースとなる要素が個人や規模の小さい事業者になることも多い。いわゆる「人と人」の関係性からキッカケが生まれ、そこに寄り添った活動となることも多いため、企画やプロジェクトが属人化しやすく、企画の規模化や発展性、継続性を目指した仕組み化が難しくなってしまうことが課題です。

「デニム de ミライ」のときは、ヤマサワプレスでオープンファクトリーを開催し、社内メンバーに実際に体験し共感いただいたことで多くの人を巻き込むことができました。共感を生みだすためのストーリーを作り、メンバーを集め、経験を共にして、組織化と仕組み化をしていくというプロセスが非常に大切だと思いました。

The post 三越伊勢丹の名物バイヤー、神谷氏がサステナビリティ推進室マネージャーに就任 新境地を語る appeared first on WWDJAPAN.

スタイレム「リフィル」が「スキンアウェア」とコラボ “服は綿花畑から続くバトンのアンカー”

PROFILE: 左:小和田哲弘/スタイレム瀧定大阪第二事業部ガーメント1部38課課長、「リフィル」ディレクター 右:可児ひろ海/AWA代表取締役、「スキンアウェア」デザイナー

左:小和田哲弘/スタイレム瀧定大阪第二事業部ガーメント1部38課課長、「リフィル」ディレクター<br />
右:可児ひろ海/AWA代表取締役、「スキンアウェア」デザイナー
PROFILE: 左:(こわだ てつひろ)1976年生まれ。2001年、瀧定(現スタイレム瀧定大阪)入社。約10年間大手アパレルからセレクトショップなどに向けてカットソー生地の企画販売を行う。11年に新設された38課で製品OEMをスタート。製品づくりのノウハウを習得し、国内での生産背景を中心に事業を拡大。15年より38課課長に就任。入社以来「編み物(カットソー)」一筋で、原料の選定から製品に仕上げるまで<編み・染め・縫製>全工程に関わるプロフェッショナルとして数多くのプロジェクトに従事。MADE IN JAPANに特化した生地づくりと縫製を掛け合わせた究極のコットン「COTTONY」を完成させ、21年にD2Cブランド「リフィル(LIFiLL)」をデビューさせ、38課を率いながらディレクションをしている。 右:(かに ひろみ)2001年レディスブランド「コクーン(COCOON))を立ち上げ07年までコレクションを展開。女性の強さと柔らかさが同居したコレクションは女優やシンガーからも支持され、海外での評価も得る。デザイナー個人としても愛知万博のユニフォームや、資生堂Zaのスタッフユニフォームの制作を行った。04年にオーガニックコットンのレディスウェア・ランジェリーブランド 「スキンウェア(Skinware)」をスタート。伊勢丹新宿店などで販売しエシカルファッションの先駆けとなる。08年に両ブランドのコレクションを休止し、グローバルファッションブランドでデザイナー、コンサルタントとして参画。13年 「スキンウェア」をリニューアル再スタートする。2017年 「スキンアウェア(SkinAware)」にブランドリニューアル。

スタイレム瀧定大阪(以下、スタイレム)のD2Cブランド「リフィル(LIFILL)」は4月26日、「スキンアウェア(SKINAWARE)」とコラボレーションし、同社の「オーガニックフィールド(ORGANIC FIELD)」のコットン生地を用いたTシャツを発売した。対象のTシャツは既存の1型で、デザイナーが行ったことは色の指定のみ。だから中身が薄いかと言えばそうでもない。むしろアパレル産業の課題解決のヒントがそこにはある。

「リフィル(LIFILL)」はカットソー専門のブランドで、同社で長年カットソー生地を営業してきた小和田哲弘スタイレム瀧定大阪第二事業部ガーメント1部38課課長が2021年9月に社内公募で立ち上げた。「とにかくカットソーという生地が好き」というオタク気質の小和田ディレクターは「原料を突き詰め、糸の選定や編み方、染めなどの加工にこだわり“たかがTシャツ”だけど着用したときテンションがあがり生活を豊かにする」一着を追求している。

「オーガニックフィールド」のコットン生地を採用

カットソーの品質を左右するのは「原料」だと言われる。今回採用した原料は、スタイレムがインドで進めている「オーガニックフィールド」のコットンだ。生産段階で異物を手作業で丁寧に取り除いていることもあり、なめらかでしなやかな落ち感を持つ。名称に“オーガニック”の文字が入るが、既存のオーガニックコットンの認証を受けているわけではない。ならば「まがい物」かと言えばそれも違う。

「オーガニックフィールド」は同社が種の選定から綿花栽培、糸の生産までをオーガニックのプロセスで管理することで、トレーサビリティを確保している。オーガニックコットンの認証は現在、3年以上無農薬・無化学肥料で栽培されたものが対象となっており、小規模農家にとってはハードルが高い。そこで同社は現地のNGO、大手紡績会社と組んで小規模な農家の綿花栽培や労働環境の向上を支援しつつ、移行期間の綿花も含めて買い取っていく仕組みとして「オーガニックフィールド」を進めている。

世界的に需要が高まるオーガニックコットンだが、生産に手間がかかるため流通量は綿花全体の1%未満と少なく、価格が割高なのが現状だ。また、2020年には、オーガニックコットンの有力生産国であるインドで認証の大規模な不正行為が発覚するなど認証に対する信頼が揺らぐ“事件”が起きている。こういった現状を踏まえ、日本の商社はトレーサビリティを担保するオーガニックコットンのプロジェクトに各社取り組んでいる。「オーガニックフィールド」もその一つだ。

“畑に赴き、生産者と対話し、活動全体を支援することが大事”

今回「リフィル」が協業をした「スキンアウェア(SKINAWARE)」はオーガニックコットン&植物染めを用いたアパレル・インナーブランドで、エシカルファッションの先駆者的存在だ。認証オーガニックコットンだけを使用してきた可児ひろ海「スキンアウェア」デザイナーが「オーガニックフィールド」を採用した、その選択は「オーガニックフィールド」にとっては大きい。オーガニックコットンに見識がある可児は、今回の協業を決めた理由について次のように説明をする。「私のブランドは、糸段階から認証・認定を受けたオーガニックコットンを使うことをブランドの姿勢としている。同時に、生産者を増やすことの大切さも痛感しているので、生産者と直接つながり支援する『オーガニックフィールド』の取り組みに共感する。結局は人間がやることだから、畑に赴き、生産者と対話し、活動全体を支援することが大事だと思う。オーガニックの背景に関心が高いお客さんも増えてきたので、一緒に知識をつけるよいタイミングだとも思う」。

可児デザイナーと小和田ディレクターの付き合いは、20年近く。可児のこだわりを、生地オタクの小和田のこだわりが支えてきた。その関係性もまた長いサプライチェーンのひとつ。「結局は人間がやることだから」の一部である。「服のデザインのために生地を選ぶとき、最終的に見るのはスワッチだけど、その向こうには人がいる。オーガニック、サステナブル、フェアトレードと、言葉は色々あるが、畑でコットンを栽培している人たちの姿を見たとき“この人たちと作っているのだ”実感し、服は畑から続くバトンをお客さんに渡すアンカーなんだと腑に落ちた」と可児。1型だけのTシャツにおいて協業したコトとは、畑までさかのぼったモノづくりのストーリーであり価値観だ。

The post スタイレム「リフィル」が「スキンアウェア」とコラボ “服は綿花畑から続くバトンのアンカー” appeared first on WWDJAPAN.

スタイレム「リフィル」が「スキンアウェア」とコラボ “服は綿花畑から続くバトンのアンカー”

PROFILE: 左:小和田哲弘/スタイレム瀧定大阪第二事業部ガーメント1部38課課長、「リフィル」ディレクター 右:可児ひろ海/AWA代表取締役、「スキンアウェア」デザイナー

左:小和田哲弘/スタイレム瀧定大阪第二事業部ガーメント1部38課課長、「リフィル」ディレクター<br />
右:可児ひろ海/AWA代表取締役、「スキンアウェア」デザイナー
PROFILE: 左:(こわだ てつひろ)1976年生まれ。2001年、瀧定(現スタイレム瀧定大阪)入社。約10年間大手アパレルからセレクトショップなどに向けてカットソー生地の企画販売を行う。11年に新設された38課で製品OEMをスタート。製品づくりのノウハウを習得し、国内での生産背景を中心に事業を拡大。15年より38課課長に就任。入社以来「編み物(カットソー)」一筋で、原料の選定から製品に仕上げるまで<編み・染め・縫製>全工程に関わるプロフェッショナルとして数多くのプロジェクトに従事。MADE IN JAPANに特化した生地づくりと縫製を掛け合わせた究極のコットン「COTTONY」を完成させ、21年にD2Cブランド「リフィル(LIFiLL)」をデビューさせ、38課を率いながらディレクションをしている。 右:(かに ひろみ)2001年レディスブランド「コクーン(COCOON))を立ち上げ07年までコレクションを展開。女性の強さと柔らかさが同居したコレクションは女優やシンガーからも支持され、海外での評価も得る。デザイナー個人としても愛知万博のユニフォームや、資生堂Zaのスタッフユニフォームの制作を行った。04年にオーガニックコットンのレディスウェア・ランジェリーブランド 「スキンウェア(Skinware)」をスタート。伊勢丹新宿店などで販売しエシカルファッションの先駆けとなる。08年に両ブランドのコレクションを休止し、グローバルファッションブランドでデザイナー、コンサルタントとして参画。13年 「スキンウェア」をリニューアル再スタートする。2017年 「スキンアウェア(SkinAware)」にブランドリニューアル。

スタイレム瀧定大阪(以下、スタイレム)のD2Cブランド「リフィル(LIFILL)」は4月26日、「スキンアウェア(SKINAWARE)」とコラボレーションし、同社の「オーガニックフィールド(ORGANIC FIELD)」のコットン生地を用いたTシャツを発売した。対象のTシャツは既存の1型で、デザイナーが行ったことは色の指定のみ。だから中身が薄いかと言えばそうでもない。むしろアパレル産業の課題解決のヒントがそこにはある。

「リフィル(LIFILL)」はカットソー専門のブランドで、同社で長年カットソー生地を営業してきた小和田哲弘スタイレム瀧定大阪第二事業部ガーメント1部38課課長が2021年9月に社内公募で立ち上げた。「とにかくカットソーという生地が好き」というオタク気質の小和田ディレクターは「原料を突き詰め、糸の選定や編み方、染めなどの加工にこだわり“たかがTシャツ”だけど着用したときテンションがあがり生活を豊かにする」一着を追求している。

「オーガニックフィールド」のコットン生地を採用

カットソーの品質を左右するのは「原料」だと言われる。今回採用した原料は、スタイレムがインドで進めている「オーガニックフィールド」のコットンだ。生産段階で異物を手作業で丁寧に取り除いていることもあり、なめらかでしなやかな落ち感を持つ。名称に“オーガニック”の文字が入るが、既存のオーガニックコットンの認証を受けているわけではない。ならば「まがい物」かと言えばそれも違う。

「オーガニックフィールド」は同社が種の選定から綿花栽培、糸の生産までをオーガニックのプロセスで管理することで、トレーサビリティを確保している。オーガニックコットンの認証は現在、3年以上無農薬・無化学肥料で栽培されたものが対象となっており、小規模農家にとってはハードルが高い。そこで同社は現地のNGO、大手紡績会社と組んで小規模な農家の綿花栽培や労働環境の向上を支援しつつ、移行期間の綿花も含めて買い取っていく仕組みとして「オーガニックフィールド」を進めている。

世界的に需要が高まるオーガニックコットンだが、生産に手間がかかるため流通量は綿花全体の1%未満と少なく、価格が割高なのが現状だ。また、2020年には、オーガニックコットンの有力生産国であるインドで認証の大規模な不正行為が発覚するなど認証に対する信頼が揺らぐ“事件”が起きている。こういった現状を踏まえ、日本の商社はトレーサビリティを担保するオーガニックコットンのプロジェクトに各社取り組んでいる。「オーガニックフィールド」もその一つだ。

“畑に赴き、生産者と対話し、活動全体を支援することが大事”

今回「リフィル」が協業をした「スキンアウェア(SKINAWARE)」はオーガニックコットン&植物染めを用いたアパレル・インナーブランドで、エシカルファッションの先駆者的存在だ。認証オーガニックコットンだけを使用してきた可児ひろ海「スキンアウェア」デザイナーが「オーガニックフィールド」を採用した、その選択は「オーガニックフィールド」にとっては大きい。オーガニックコットンに見識がある可児は、今回の協業を決めた理由について次のように説明をする。「私のブランドは、糸段階から認証・認定を受けたオーガニックコットンを使うことをブランドの姿勢としている。同時に、生産者を増やすことの大切さも痛感しているので、生産者と直接つながり支援する『オーガニックフィールド』の取り組みに共感する。結局は人間がやることだから、畑に赴き、生産者と対話し、活動全体を支援することが大事だと思う。オーガニックの背景に関心が高いお客さんも増えてきたので、一緒に知識をつけるよいタイミングだとも思う」。

可児デザイナーと小和田ディレクターの付き合いは、20年近く。可児のこだわりを、生地オタクの小和田のこだわりが支えてきた。その関係性もまた長いサプライチェーンのひとつ。「結局は人間がやることだから」の一部である。「服のデザインのために生地を選ぶとき、最終的に見るのはスワッチだけど、その向こうには人がいる。オーガニック、サステナブル、フェアトレードと、言葉は色々あるが、畑でコットンを栽培している人たちの姿を見たとき“この人たちと作っているのだ”実感し、服は畑から続くバトンをお客さんに渡すアンカーなんだと腑に落ちた」と可児。1型だけのTシャツにおいて協業したコトとは、畑までさかのぼったモノづくりのストーリーであり価値観だ。

The post スタイレム「リフィル」が「スキンアウェア」とコラボ “服は綿花畑から続くバトンのアンカー” appeared first on WWDJAPAN.

ゴールドウインとスノーピークが知床国立公園の60周年事業に協力 9月に現地でイベント開催

ゴールドウインとスノーピークは、北海道・知床の国立公園指定60周年・世界自然遺産登録20周年記念として、知床や周辺地域の価値の再認識や保全を目指し、今後2年間にわたって情報発信やイベントを行っていく。2019年に、ゴールドウインは知床半島の北側に位置する斜里町と、スノーピークは南側の羅臼町と包括連携協定を締結している。9月14、15日の週末には、現地で登山やキャンプ、アスリートによるトークショーなどが楽しめる「シレトコ アドベンチャー フェスティバル」を開催予定だ。

同記念事業は、斜里町、羅臼町、北海道、林野庁、環境省からなる実行委員会が主催し、ゴールドウイン、スノーピークが協力する形。5月7日には、東京の新宿御苑ナショナルディスカバリーセンターで渡辺貴生ゴールドウイン社長、山井太スノーピーク社長と、斜里町・羅臼町の町長が登壇するトークイベントも開催した。両社長とも大のフライフィッシング好きといい、知床には公私にわたり長らく縁があるという。

トークイベントでは、ヒグマとの遭遇といったリスクにも触れつつ、「(リスクに対しては)しっかり情報を集め、正しく恐れることが大切」(渡辺社長)、「(自然の中でのキャンプなどのアクティビティーを通し)人や自然に対する自身の傲慢さに気づくことができる」(山井社長)といった話が出た。「(コロナ禍のアウトドア市場活況を経て)よく日本のアウトドア人口はピークを過ぎたなどと言われるが、むしろまだ始まったばかり」(渡辺社長)、「AIなどが広がり、情報の波が押し寄せる時代だからこそ究極のリアル体験であるアウトドアを楽しんでほしい」(山井社長)。

9月のイベントでは、知床の食を楽しむ羅臼オートキャンプ場でのキャンプや、プロアドベンチャーレーサー田中陽希と登る羅臼岳登山、写真家石川直樹と歩くフォトハイクなどを予定している。

ゴールドウインとスノーピークは、環境省との相互協力で国立公園の魅力を幅広く発信する国立公園オフィシャルパートナーシップも締結。また、ゴールドウインは19年に、知床国立公園のビジターセンター内に「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」と「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」の複合店をオープンしている。

The post ゴールドウインとスノーピークが知床国立公園の60周年事業に協力 9月に現地でイベント開催 appeared first on WWDJAPAN.

アシックスの“ニンバス ミライ”開発秘話 単一素材化と分解可能な接着を実現

「アシックス(ASICS)」が4月12日に販売を開始した“ニンバス ミライ(NIMBUS MIRAI)”が革新的だ。アッパーを単一素材化し、自社開発した接着剤でアッパーとソールを分解可能にし、回収後に再活用するというもの。難易度の高い設計を、世界で最も売れているランニングシューズであり、「アシックス」を代表する高機能シリーズ“ゲル ニンバス(GEL NIMBUS)”で実現した。そもそもアスリート向けの靴や“ニンバス ミライ”のようなランニングシューズは、パフォーマンスの低下やケガの誘発を避けるために修理は行わないという。そうした“使い捨て”シューズをリサイクル可能にした点もポイント。日本だけでなく、米国、カナダ、英国、オランダ、フランス、オーストラリア、ニュージーランドで同時発売した。

実現に向けた7つの課題

“ニンバス ミライ”開発にあたり、7つの課題があったという。①ランニングパフォーマンスを備えていること②単一素材にできるかどうか③製造時のCO2排出量を抑えること④シューズ由来のテキスタイル作製は可能か⑤ユーザーをどのように巻き込むか⑥解体性接着技術の確立⑦各地域での回収&リサイクルパートナーとの協働、である。

「それぞれの課題をクリアすることは可能でも全てを満たすことが非常に難しかった」と開発責任者の上福元史隆フットウエア生産統括部マテリアル部部長は振り返る。「大命題はパフォーマンスを落とさないこと。単一素材ではランニングパフォーマンスを備えるには十分でないと判断した」。品質を重視し、ソールも含めた単一素材化にこだわり過ぎないという英断だった。今回はアッパーのみポリエステル単一素材とし、アウトソールは通常の“ニンバス”シリーズの合成ゴムのソールを用いた。ミッドソールのフォーム材の約24%はサトウキビ由来だ。「ゆくゆくは単一素材で実現したい」と意気込む。

補強部やハトメなどアッパー全てをリサイクルポリエステル単一素材で実現するのは容易ではなかった。現在はペット由来のリサイクルポリエステルを75%以上用いている。テキスタイルではなくペット由来だったのは、染め工程でCO2排出量が少ないリサイクル原着糸を採用したため。テキスタイル由来のリサイクル原着糸は、存在はしているが、流通量が少ない点と価格の観点から今回の採用は見送った。

リサイクルポリエステルは、リサイクルの工程で物性が劣化することが多く、ヒールカウンターや甲のニット部分など剛性を必要とする部分では用いることができず、100%実現は難しかった。そもそも、複数の異素材で構成されるアッパーを単一素材化することも難易度が高い。「シューズはポリエステルが最も多く使われていることから実現可能性が高いと考え開発を始めた。けれど、通常10種類以上の素材から成るシューズのパーツを、全てポリエステルで補完するのは容易ではなかった。例えば、着用時のホールド感とフィット感を実現する、かかと部分に用いるウレタン製のスポンジ材や、芯材の代用を見つけるのに苦労した」。スポンジはマットレスや医療用クッションに用いられる不織布を、芯は熱で固まるポリエステルを編んで代用した。アッパー素材は5社のサプライヤーと組んだ。アシックス社内で検討を行い、それをサプライヤーに依頼する形で進めた。

もう一つの大きな課題はアッパーとソールの分解可能な接着だった。開発段階では縫製でつなげるアイデアが出たというが断念。途方に暮れていたときに、「2006年に開発し、実用化に至らなかった接着剤の存在を思い出した」という。「マイクロカプセルを接着剤に混ぜたもので、温めると膨張するので接着面がはがしやすくなる。当時はウォーキングシューズの修理の際、ソール張替を容易に行えないかと検討していた」という。今回100パターン以上を試して、実現できた。その配合については「シューズによって配合が変わるので非公開だが、検討しているメーカーがあれば相談には乗る」。使い捨てが主流のスニーカーのリサイクル推進にも前向きだ。

ユーザーを巻き込む回収スキーム

回収・リサイクルはテラサイクルと協働する。テラサイクルはリサイクル・再資源化・リユースを推進するプラットフォームを構築し、世界21か国で運用する。テラサイクルをパートナーに選んだ理由は「化粧品ボトルなどですでに実績があり、米国に回収した製品の再資源化するファシリティがあったから。とはいえ、実際に運用が始まると改善するポイントが出てくると感じており、都度最適化していきたい」と奥村啓基パフォーマンスランニングフットウエア統括部カテゴリー戦略部戦略チームマネジャー。

シューズのベロと箱にQRコードを付け、箱には循環がわかるようなイラストを描いた。「ユーザーやショップスタッフ、誰もが理解できるように心掛けた。QRコードのみを付けて、プロセスをシンプルにして製品情報とテラサイクルのサイトへの情報を網羅しながら垣根を超えられるようにした。幸いデジタル化を推進していたため、お客さまとのコミュニケーションがデジタル上でできる点を生かしていきたい。できるだけサステナビリティへの取り組みはお客さまにとって義務感ではなく、ベネフィットになるような仕組みを考えた」と奥村マネジャーは語る。自宅まで宅配業者が回収に訪れ、回収後にONE ASICS2000ポイントが付与される。回収したアッパーは87.3%が新たなポリエステル素材に活用できることを確認済みで、再度アッパーとして活用していく予定だ。リサイクルには「テラサイクルの、ポリエステル生地から添加剤などを分離してポリエステルポリマーだけを抽出する手法」を採用しており、アパレルのスキームに採用することも技術的に可能だという。今後服&靴から服&靴のリサイクルも検討していく。ミッドソールとアウトソールは、粉砕処理をしてマットやパネル、建材などの素材の一部にリサイクルする。

こうしてできた“ニンバス ミライ”の製品ライフスタイル全体のCO2換算排出量は6.1kg。業界平均を約57%下回るという。回収でのCO2排出量削減に向けた最適化も行っていく。上福元開発責任者は「技術は見えた。重要なのは続けることと、規模を大きくしていくこと。26年に向けて、販売エリアやリサイクル可能なシューズのラインアップ拡充を目指す」と意欲的だ。

The post アシックスの“ニンバス ミライ”開発秘話 単一素材化と分解可能な接着を実現 appeared first on WWDJAPAN.

手持ちの服とアフリカの古着でリメイク 高島屋が購入型クラウドファンディング

高島屋は古着のリメイクに関する購入型クラウドファンディングを5月1日から開始した。購入者が持っている服とアフリカのウガンダの古着を組み合わせて新たにデザインしたリメイク品を渡す。Tシャツ(クラウドファンディング特別価格2万7610円)、ロングTシャツ(同2万9810円)、スカーフ(同4万4110円)、シャツ(同4万8510円)、パーカー(同5万4010円)の5アイテムのリターン品を扱う。

リデザインを担当するのはウガンダ共和国のファッションブランド「ブジガヒル(BUZIGAHILL)」のデザイナーであるボビー・コラド。先進国から寄付の名目で集まる大量の服を処理しきれず埋立地や廃棄ゴミになっている現状や、大量に流入する安価な古着が地元の繊維産業を圧迫しているというアフリカが抱える社会問題を起点に立ち上げられたブランドで、「ファッションを楽しむとともに、環境問題にも向き合う」という点で高島屋と共鳴した。

クラウドファンディングは6月30日まで受け付けており、リターン品は10月中旬に届く予定だ。また、リターン品以外に複数のリメイク品が発生する場合は高島屋日本橋店、新宿店、玉川店、大阪店、京都店の「CS case study」で10月に販売する。

The post 手持ちの服とアフリカの古着でリメイク 高島屋が購入型クラウドファンディング appeared first on WWDJAPAN.

手持ちの服とアフリカの古着でリメイク 高島屋が購入型クラウドファンディング

高島屋は古着のリメイクに関する購入型クラウドファンディングを5月1日から開始した。購入者が持っている服とアフリカのウガンダの古着を組み合わせて新たにデザインしたリメイク品を渡す。Tシャツ(クラウドファンディング特別価格2万7610円)、ロングTシャツ(同2万9810円)、スカーフ(同4万4110円)、シャツ(同4万8510円)、パーカー(同5万4010円)の5アイテムのリターン品を扱う。

リデザインを担当するのはウガンダ共和国のファッションブランド「ブジガヒル(BUZIGAHILL)」のデザイナーであるボビー・コラド。先進国から寄付の名目で集まる大量の服を処理しきれず埋立地や廃棄ゴミになっている現状や、大量に流入する安価な古着が地元の繊維産業を圧迫しているというアフリカが抱える社会問題を起点に立ち上げられたブランドで、「ファッションを楽しむとともに、環境問題にも向き合う」という点で高島屋と共鳴した。

クラウドファンディングは6月30日まで受け付けており、リターン品は10月中旬に届く予定だ。また、リターン品以外に複数のリメイク品が発生する場合は高島屋日本橋店、新宿店、玉川店、大阪店、京都店の「CS case study」で10月に販売する。

The post 手持ちの服とアフリカの古着でリメイク 高島屋が購入型クラウドファンディング appeared first on WWDJAPAN.

経産省「みらいのファッション人材育成プログラム」公募開始 専門家伴走や500 万円支援

経済産業省は、次世代ファッションクリエイター育成を目的にした補助事業「みらいのファッション人材育成プログラム」を実施し、26日から公募を開始した。同プログラムは、プログラムパートナーによる持続可能なサプライチェーン構築に向けた実践的な教育機会の提供、事業創出支援を通じ、未来のファッション産業を担う卓越人材育成事業を行う。

公募への参加表明の締め切りは5月10日(金)、公募の締め切りは5月17日(金)。また公募説明会を5月8日にオンラインで実施する予定だ。運営事務局はインフォバーンが担う。

同省は、2021年に有識者と「これからのファッションを考える研究会~ファッション未来研究会~」を実施し、22年には報告書を発表。その中で「持続可能なファッション産業への変革」のためには「サプライチェーンのデザインから製造、販売、使用、リセール・再生までをリアルとデジタルの両輪でアップデートすることが重要」と結論づけている。人材については、地域の伝統産業を支える職人などに加えて、アート、デジタル、ライフサイクル、ビジネスと大きく4つの分野にフォーカスしているが、本プログラムは、このうちアート・デジタル・ライフサイクル人材の育成を目指し、サプライチェーンのアップデートに向けた実践的な教育機会を提供する。

【プログラムの特徴】

▪️活動費の補助:1申請あたり上限500万円を支援
▪️専門家による伴走支援:事業計画の策定支援や計画の推進に必要なメンタリングの提供など、専門家がクリエイターごとに伴走支援。
▪️事業化へのレクチャー:クリエイターの想像性や創造性を刺激し、事業計画を推進するための専門的知見を各領域の講師が提供。
▪️ファブ施設の利用:ファブリケーション機器を備えたデザインスペース・KYOTO Design Lab[D-lab]の利用を必要に応じて提供。
▪️事業化機会の創出:事業計画の推進や成果報告会を通して、京都を中心とした研究機関や産業界との情報交換、マッチングの機会を創出。
参加表明フォームなどは公式サイトで公開している

【実施概要】

プログラム実施期間:2024年6月〜2025年2月
▪️募集数:5組
▪️応募資格:個人またはチーム
▪️対象:2024年4月1日時点で中学校を卒業していること 
▪️国籍:個人またはチーム全員が日本国籍又は外国籍で日本の永住資格を有すること
▪️参加費:無料
▪️公募期間:2024年4月26日(金)〜5月17日(金)17:00
▪️公募説明会:5月8日(水)

▪️参加表明、質問締め切り:5月10日(金)17:00
▪️審査期間:5月20日(月)〜30日(木)

【プログラムパートナー】

水野大二郎/京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構教授(講師/メンター/アドバイザー)
砂山太一/京都市立芸術大学美術学部准教授 (講師/メンター)
津田和俊/京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構准教授(講師)
奥林里子/京都工芸繊維大学 繊維科学センター長京都大学生存圏研究所 特定教授(講師)
井上裕太/KESIKI Co-founder/ Executive Director Whatever CorpDev Director(講師/メンター)
向千鶴/「WWDJAPAN」編集統括、サステナビリティ・ディレクター(メンター)
井登友一/インフォバーン取締役副社長(講師)
辻村和正/インフォバーン執行役員(メンター/アドバイザー)

※プロフィールは2024年4月時点。( )内は本プロジェクトにおける役割

The post 経産省「みらいのファッション人材育成プログラム」公募開始 専門家伴走や500 万円支援 appeared first on WWDJAPAN.

経産省「みらいのファッション人材育成プログラム」公募開始 専門家伴走や500 万円支援

経済産業省は、次世代ファッションクリエイター育成を目的にした補助事業「みらいのファッション人材育成プログラム」を実施し、26日から公募を開始した。同プログラムは、プログラムパートナーによる持続可能なサプライチェーン構築に向けた実践的な教育機会の提供、事業創出支援を通じ、未来のファッション産業を担う卓越人材育成事業を行う。

公募への参加表明の締め切りは5月10日(金)、公募の締め切りは5月17日(金)。また公募説明会を5月8日にオンラインで実施する予定だ。運営事務局はインフォバーンが担う。

同省は、2021年に有識者と「これからのファッションを考える研究会~ファッション未来研究会~」を実施し、22年には報告書を発表。その中で「持続可能なファッション産業への変革」のためには「サプライチェーンのデザインから製造、販売、使用、リセール・再生までをリアルとデジタルの両輪でアップデートすることが重要」と結論づけている。人材については、地域の伝統産業を支える職人などに加えて、アート、デジタル、ライフサイクル、ビジネスと大きく4つの分野にフォーカスしているが、本プログラムは、このうちアート・デジタル・ライフサイクル人材の育成を目指し、サプライチェーンのアップデートに向けた実践的な教育機会を提供する。

【プログラムの特徴】

▪️活動費の補助:1申請あたり上限500万円を支援
▪️専門家による伴走支援:事業計画の策定支援や計画の推進に必要なメンタリングの提供など、専門家がクリエイターごとに伴走支援。
▪️事業化へのレクチャー:クリエイターの想像性や創造性を刺激し、事業計画を推進するための専門的知見を各領域の講師が提供。
▪️ファブ施設の利用:ファブリケーション機器を備えたデザインスペース・KYOTO Design Lab[D-lab]の利用を必要に応じて提供。
▪️事業化機会の創出:事業計画の推進や成果報告会を通して、京都を中心とした研究機関や産業界との情報交換、マッチングの機会を創出。
参加表明フォームなどは公式サイトで公開している

【実施概要】

プログラム実施期間:2024年6月〜2025年2月
▪️募集数:5組
▪️応募資格:個人またはチーム
▪️対象:2024年4月1日時点で中学校を卒業していること 
▪️国籍:個人またはチーム全員が日本国籍又は外国籍で日本の永住資格を有すること
▪️参加費:無料
▪️公募期間:2024年4月26日(金)〜5月17日(金)17:00
▪️公募説明会:5月8日(水)

▪️参加表明、質問締め切り:5月10日(金)17:00
▪️審査期間:5月20日(月)〜30日(木)

【プログラムパートナー】

水野大二郎/京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構教授(講師/メンター/アドバイザー)
砂山太一/京都市立芸術大学美術学部准教授 (講師/メンター)
津田和俊/京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構准教授(講師)
奥林里子/京都工芸繊維大学 繊維科学センター長京都大学生存圏研究所 特定教授(講師)
井上裕太/KESIKI Co-founder/ Executive Director Whatever CorpDev Director(講師/メンター)
向千鶴/「WWDJAPAN」編集統括、サステナビリティ・ディレクター(メンター)
井登友一/インフォバーン取締役副社長(講師)
辻村和正/インフォバーン執行役員(メンター/アドバイザー)

※プロフィールは2024年4月時点。( )内は本プロジェクトにおける役割

The post 経産省「みらいのファッション人材育成プログラム」公募開始 専門家伴走や500 万円支援 appeared first on WWDJAPAN.

江戸の古民家再生「シラコノイエ」に見る衣食住の古くて新しい視点 隈研吾、高橋悠介も参加


ライフスタイリストとしてファッションや食の世界で活躍している大田由香梨は、コロナ下の2021年に東京とのデュアルライフを考え各地の古民家を訪れた。そして出会ったのが、千葉県長生郡白子町の古い民家だ。江戸末期に建てられた国登録有形文化財の大きな家屋と広い庭に少しずつ手を入れて再生し、「シラコノイエ」と名付けた。修繕設計を担当したのは建築家の隈研吾。隈の事務所スタッフや古民家好きの人たち、そして白子の住民たちを巻き込みワークショップ形式で修繕を少しずつ進めてきた。4月27~29日にはここで「白子藝術祭」と題した体験型イベントを開催している。江戸の佇まいを残しながらもモダンな「シラコノイエ」に見るのは、衣食住にまつわる古くて新しい視点だ。

千葉県誕生150周年記念の一環「白子藝術祭」

千葉県は県誕生150周年記念事業の一環として今年、自然、文化、資源豊かな千葉を舞台に、百年後を考える「百年後芸術祭」を各地で開催している。「シラコノイエ」では、衣食住のトップクリエイターが参加し、白子の暮らしに見る景観や人、食や芸術を生かし「共に百年後を創っていく共創の場」を創出する。具体的には、隈研吾が修繕設計した「シラコノイエ」の 建築ツアーや、「CFCL」を着用した白子の人々を写真家・蓮井幹生が撮り下ろした写真展、白子町の旬の食のワークショップが行われる。「CFCL」はこのイベントのためのカプセルコレクションも発表した。(「白子藝術祭」のチケットは完売)。

谷崎潤一郎「陰翳礼讃」に見る日本家屋の光の奥行き

4月21日に開かれたプレスプレビューでは、隈研吾建築都市設計事務所の堀木俊設計室長による建築ガイドツアーの後、3人のクリエイターによる会見が行われた。以下は、そこでの一問一答など。

大田由香梨:日本文化の技術と精神の集大成とも言える江戸末期、約190年前の暮らしを舞台に、百年後に想いを馳せる三日間を世界で活躍される皆さんと丁寧に時間をかけて準備してきた。100年後をどんな風に暮らすのか、豊さって何だろう?一人一人の生き方がアートとして、皆さんの心に種が植えられたらうれしい。私の担当の「食」は、九十九海岸の蛤や白子産の玉ねぎ、たけのこなどを使用して、参加者と一緒に料理をする。「衣」を担当した高橋さんがこのイベントに寄せた思いとは?

高橋悠介「CFCL」代表兼クリエイティブ・ディレクター:パリにはパリの生活様式があり、パリコレではオケージョン用の華やかな服も作っている。同じように日本にも日本の暮らしがあり、どの生活にもなじむ、普遍的なベーシックになりえる服を作りたいと思っている。「CFCL」は普段は再生ポリエステルの発色の良さを生かした服を作っているが、今回は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」にあるように、日本家屋の光の奥行きの深さを表現したく、シャドーグレーとブラックをミックスして竹炭色を、白とライトグレーを混ぜて暗闇に光る白磁色を採用した。展示は空間に馴染むかが重要で、マネキンに着せてもハンガーにかけても何かが違った。結果、壁に掛けたり床に平置きをしたりしたことで馴染むことが認識できた。

もう一つの取り組みである写真展は「CFCL」が写真家・蓮井幹生と継続してきたポートレートプロジェクト「シルエット」の一環で、昔ながらの大判フィルムで白子の人たちとその表情を、彼らの思い入れのあるランドスケープと合わせて切り撮っている。蓮井さんにお願いしているのは「服ではなくポートレートを撮ってほしい」ということ。「CFCL」は着る人の生活をサポートする“道具”として服を作りたいという気持ちが大きく、ここでそれを改めて伝えたい。

価値ある文化を後世にバトンを繋ぐことは私たちの大事な役目であることは間違いない。しかし変化を恐れず、過去から脈々と続く文化の本質と向き合う気概を持って、同じ時代を生きる人々と共に時代を作り続けることが、もっと大切なのだと思う。次の世代の人々が、時にはそれを否定し、時には活用して、この世界は続くと思うから。

これはある種、民芸の新しい考え方

大田:隈さんに「美しいとは?」と問うたら、「懐かしいけど新しいことだと思う、それを僕は美しいと思う」との答えでグッときた。私自身、古民家とは言え、毎日着物を着て昔ながらの暮らをしたいと思ったわけではない。現代的な「CFCL」を着て作業をする時間がとても豊かで、こういう美しい暮らしが続いたらいいな、と思う。

隈研吾:大田さんに声をかけてもらってこの場に来て、昭和的な増改築を繰り返した建物の状態を見て最初はどうしたものかと思ったが、荒れた庭で大田さんによる地元の食材を使った料理を食べて腑に落ちた。彼女は今までの役割を超えたことをあえてやろうとしている、新しい人間の生き方を提案しようとしている、と。

これはある種、新しい民芸の考え方だと思う。自著「日本の建築」にも書いたが、民芸運動は結局、マッチョな世界。男の美学で見て“素敵”な器などが重んじられてきた。大田さんや高橋さんの視点は新しく、生活者の立場で今までの民芸運動を解体するような部分があり、自分が考えていたこととピタッとあった。最近の地域の芸術祭は、投機の対象となる現代アートの有名作家を主役にした形が多いが、白子芸術祭は従来とは違う地域とのつながりを持とうとしているところが面白い。

ヨーロッパのルネッサンス以降の建築は“偉い”建築家が図面を書いてその通りに形にしてきた。一方、近世以前の日本の大工の棟梁は図面を書く発想はなく、施主と茶飲み話をしながらカタチにするようなところがある。今回は予算がなかったこともあるが、設計図面を書いてそれをもとに改修をするのではなく、職人さんたちと一緒になってその方法を考えた。そういう方が、これからのモノづくりだと思う。

大田:それは食も同じ。レシピ通りに作るためにスーパーマーケットで食材を買おうとするから四季もなくなる。白子にはスーパーマーケットがないので道の駅で農家さんから買ってそれで何を作ろうと考える。大工さんがその場で“いい塩梅”で造るように。道の駅では先週まで豊富だったゆずが今週はなくなり、「次は一年後なんだ」と寂しさを覚えたりする。それもクリエイティブの一部だと思う。

生活と仕事の場が一体となった江戸の住居

参加者:隈氏から見て江戸時代の建物の魅力とは?

隈:ヨーロッパから入ってきた「住宅」の概念は、「住む」だけの場所だけど、近代以前の日本の家は全体がワーキングスペースだった。土間で農作業をして、味噌や醤油も作る。今はリモートワークなんて言い方をするけれど、日本人はとっくの昔から住む所で仕事もしていた。その総合性はこれからの時代の人間の住まい方のモデルでもあると思う。

参加者:デザイン的な特徴は?

隈:梁や柱に曲がった丸太が随所に使われているところ。日本の家は、縄文の竪穴式の大地に立脚した住まいと、床をあげた弥生式の2つの系列があり、この家には縄文の流れがはっきりと見られる。近代以前の民家がもっていた特徴がふんだんに見られて面白い。

参加者:逆に江戸時代の建物や欠点、それを補った技法とは?

隈:透明性は増した。中と外を仕切る壁を大きなガラスに張り替えたり、間仕切りの壁を取っ払ったりすることで、中にいても外の自然が感じられる。昔の人も自然は大好きだったろうけど、大きなガラスはなかった。縄文の遺伝子に透明性が突然加わった、というところか。

長嶋りかこによる公式図録も発売

このプロジェクトに合わせて、グラフィックデザイナーの長嶋りかこがデザインをした白子藝術祭公式図録を制作、販売をする(3800円)。写真家の高野ユリカが「シラコノイエ」撮り下ろした写真と、隈、高橋、大田がそれぞれの視点で建築、ファッション、食の未来と暮らしを語る寄稿文で構成する。一冊ずつ、白子町の住民が棕櫚縄で束ねた装丁が美しい。

The post 江戸の古民家再生「シラコノイエ」に見る衣食住の古くて新しい視点 隈研吾、高橋悠介も参加 appeared first on WWDJAPAN.

江戸の古民家再生「シラコノイエ」に見る衣食住の古くて新しい視点 隈研吾、高橋悠介も参加


ライフスタイリストとしてファッションや食の世界で活躍している大田由香梨は、コロナ下の2021年に東京とのデュアルライフを考え各地の古民家を訪れた。そして出会ったのが、千葉県長生郡白子町の古い民家だ。江戸末期に建てられた国登録有形文化財の大きな家屋と広い庭に少しずつ手を入れて再生し、「シラコノイエ」と名付けた。修繕設計を担当したのは建築家の隈研吾。隈の事務所スタッフや古民家好きの人たち、そして白子の住民たちを巻き込みワークショップ形式で修繕を少しずつ進めてきた。4月27~29日にはここで「白子藝術祭」と題した体験型イベントを開催している。江戸の佇まいを残しながらもモダンな「シラコノイエ」に見るのは、衣食住にまつわる古くて新しい視点だ。

千葉県誕生150周年記念の一環「白子藝術祭」

千葉県は県誕生150周年記念事業の一環として今年、自然、文化、資源豊かな千葉を舞台に、百年後を考える「百年後芸術祭」を各地で開催している。「シラコノイエ」では、衣食住のトップクリエイターが参加し、白子の暮らしに見る景観や人、食や芸術を生かし「共に百年後を創っていく共創の場」を創出する。具体的には、隈研吾が修繕設計した「シラコノイエ」の 建築ツアーや、「CFCL」を着用した白子の人々を写真家・蓮井幹生が撮り下ろした写真展、白子町の旬の食のワークショップが行われる。「CFCL」はこのイベントのためのカプセルコレクションも発表した。(「白子藝術祭」のチケットは完売)。

谷崎潤一郎「陰翳礼讃」に見る日本家屋の光の奥行き

4月21日に開かれたプレスプレビューでは、隈研吾建築都市設計事務所の堀木俊設計室長による建築ガイドツアーの後、3人のクリエイターによる会見が行われた。以下は、そこでの一問一答など。

大田由香梨:日本文化の技術と精神の集大成とも言える江戸末期、約190年前の暮らしを舞台に、百年後に想いを馳せる三日間を世界で活躍される皆さんと丁寧に時間をかけて準備してきた。100年後をどんな風に暮らすのか、豊さって何だろう?一人一人の生き方がアートとして、皆さんの心に種が植えられたらうれしい。私の担当の「食」は、九十九海岸の蛤や白子産の玉ねぎ、たけのこなどを使用して、参加者と一緒に料理をする。「衣」を担当した高橋さんがこのイベントに寄せた思いとは?

高橋悠介「CFCL」代表兼クリエイティブ・ディレクター:パリにはパリの生活様式があり、パリコレではオケージョン用の華やかな服も作っている。同じように日本にも日本の暮らしがあり、どの生活にもなじむ、普遍的なベーシックになりえる服を作りたいと思っている。「CFCL」は普段は再生ポリエステルの発色の良さを生かした服を作っているが、今回は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」にあるように、日本家屋の光の奥行きの深さを表現したく、シャドーグレーとブラックをミックスして竹炭色を、白とライトグレーを混ぜて暗闇に光る白磁色を採用した。展示は空間に馴染むかが重要で、マネキンに着せてもハンガーにかけても何かが違った。結果、壁に掛けたり床に平置きをしたりしたことで馴染むことが認識できた。

もう一つの取り組みである写真展は「CFCL」が写真家・蓮井幹生と継続してきたポートレートプロジェクト「シルエット」の一環で、昔ながらの大判フィルムで白子の人たちとその表情を、彼らの思い入れのあるランドスケープと合わせて切り撮っている。蓮井さんにお願いしているのは「服ではなくポートレートを撮ってほしい」ということ。「CFCL」は着る人の生活をサポートする“道具”として服を作りたいという気持ちが大きく、ここでそれを改めて伝えたい。

価値ある文化を後世にバトンを繋ぐことは私たちの大事な役目であることは間違いない。しかし変化を恐れず、過去から脈々と続く文化の本質と向き合う気概を持って、同じ時代を生きる人々と共に時代を作り続けることが、もっと大切なのだと思う。次の世代の人々が、時にはそれを否定し、時には活用して、この世界は続くと思うから。

これはある種、民芸の新しい考え方

大田:隈さんに「美しいとは?」と問うたら、「懐かしいけど新しいことだと思う、それを僕は美しいと思う」との答えでグッときた。私自身、古民家とは言え、毎日着物を着て昔ながらの暮らをしたいと思ったわけではない。現代的な「CFCL」を着て作業をする時間がとても豊かで、こういう美しい暮らしが続いたらいいな、と思う。

隈研吾:大田さんに声をかけてもらってこの場に来て、昭和的な増改築を繰り返した建物の状態を見て最初はどうしたものかと思ったが、荒れた庭で大田さんによる地元の食材を使った料理を食べて腑に落ちた。彼女は今までの役割を超えたことをあえてやろうとしている、新しい人間の生き方を提案しようとしている、と。

これはある種、新しい民芸の考え方だと思う。自著「日本の建築」にも書いたが、民芸運動は結局、マッチョな世界。男の美学で見て“素敵”な器などが重んじられてきた。大田さんや高橋さんの視点は新しく、生活者の立場で今までの民芸運動を解体するような部分があり、自分が考えていたこととピタッとあった。最近の地域の芸術祭は、投機の対象となる現代アートの有名作家を主役にした形が多いが、白子芸術祭は従来とは違う地域とのつながりを持とうとしているところが面白い。

ヨーロッパのルネッサンス以降の建築は“偉い”建築家が図面を書いてその通りに形にしてきた。一方、近世以前の日本の大工の棟梁は図面を書く発想はなく、施主と茶飲み話をしながらカタチにするようなところがある。今回は予算がなかったこともあるが、設計図面を書いてそれをもとに改修をするのではなく、職人さんたちと一緒になってその方法を考えた。そういう方が、これからのモノづくりだと思う。

大田:それは食も同じ。レシピ通りに作るためにスーパーマーケットで食材を買おうとするから四季もなくなる。白子にはスーパーマーケットがないので道の駅で農家さんから買ってそれで何を作ろうと考える。大工さんがその場で“いい塩梅”で造るように。道の駅では先週まで豊富だったゆずが今週はなくなり、「次は一年後なんだ」と寂しさを覚えたりする。それもクリエイティブの一部だと思う。

生活と仕事の場が一体となった江戸の住居

参加者:隈氏から見て江戸時代の建物の魅力とは?

隈:ヨーロッパから入ってきた「住宅」の概念は、「住む」だけの場所だけど、近代以前の日本の家は全体がワーキングスペースだった。土間で農作業をして、味噌や醤油も作る。今はリモートワークなんて言い方をするけれど、日本人はとっくの昔から住む所で仕事もしていた。その総合性はこれからの時代の人間の住まい方のモデルでもあると思う。

参加者:デザイン的な特徴は?

隈:梁や柱に曲がった丸太が随所に使われているところ。日本の家は、縄文の竪穴式の大地に立脚した住まいと、床をあげた弥生式の2つの系列があり、この家には縄文の流れがはっきりと見られる。近代以前の民家がもっていた特徴がふんだんに見られて面白い。

参加者:逆に江戸時代の建物や欠点、それを補った技法とは?

隈:透明性は増した。中と外を仕切る壁を大きなガラスに張り替えたり、間仕切りの壁を取っ払ったりすることで、中にいても外の自然が感じられる。昔の人も自然は大好きだったろうけど、大きなガラスはなかった。縄文の遺伝子に透明性が突然加わった、というところか。

長嶋りかこによる公式図録も発売

このプロジェクトに合わせて、グラフィックデザイナーの長嶋りかこがデザインをした白子藝術祭公式図録を制作、販売をする(3800円)。写真家の高野ユリカが「シラコノイエ」撮り下ろした写真と、隈、高橋、大田がそれぞれの視点で建築、ファッション、食の未来と暮らしを語る寄稿文で構成する。一冊ずつ、白子町の住民が棕櫚縄で束ねた装丁が美しい。

The post 江戸の古民家再生「シラコノイエ」に見る衣食住の古くて新しい視点 隈研吾、高橋悠介も参加 appeared first on WWDJAPAN.

透明性を学べる”図書館”が表参道に 10周年を迎えたファッションレボリューションが企画

ファッションレボリューションジャパンは東京・表参道のスパイラルガーデンで、ファッション産業の透明性について考える展示「Who made my clothes?」を開催中だ。会期は28日まで。

会場内では、スウェーデン企業のトラストレースが発行したトレーサビリティーを実現するための手順を解説した資料をベースに、透明性への理解を深めるための15の要点を解説した文章を掲示した。要点ごとに関連する書籍も並べ、図書館のような空間にした。

バングラディッシュの縫製工場が入居するビルが崩壊し多くの死傷者を出した「ラナ・プラザの悲劇」を機に発足したファッションレボリューションの活動は、今年で10年目を迎える。ファッションレボリューションジャパンのプロデューサーで消費者への啓発活動に取り組む鎌田安里紗は、「これまでは間口を広げるためにサステナビリティをより簡単に取り組めるものとして発信する傾向があった。しかし、実際にトレーサビリティーを確保し透明性を実現するのは難しい。難しいことを、難しいまま真正面から伝え、消費者にもきちんと理解を深めてもらうことで、結果的に取り組んでいる企業の応援につながることを期待したい」と話した。

初日にトークショー開催
トレーサビリティーに取り組むヘラルボニーが課題とやりがいを語る

初日の24日には、トラストレースのサルバナン・パリスタン共同創業者やヘラルボニーで商品開発を担当する福井隆史をゲストに迎えたトークショーを開催した。サルバナン共同創業者はアシックスなど日本での協業事例を踏まえ、特にアメリカで法規制が厳しくなっている綿花のバリューチェーンの追跡の重要性が高まっていることなど最新の動向について語った。またトレーサビリティーを実現する必要性として、サプライチェーンの強靭性を高め、リスクマネージメントができること、生産背景の情報を求めている消費者とのエンゲージメントが高められること、すでにトレーサビリティー情報がないと商品の販売ができない地域も出てきていることなどを挙げた。

ヘラルボニーは、約半年前から自社商品のサプライチェーンの見直しをはじめ、完全に追跡可能なモノづくりの体制作りを目指して取り組んでいる。福井担当は、「小ロットの生産しかできないなか、メーカーに協力を仰ぎきれないことが難しさの1つ。実際に工場に足を運んで信頼関係を築くことがスタートだと学んだ。課題はたくさんあるが、結果的に背景を知ることで、誇りを持って提案できる自信につながると実感している」と話した。5月末には、新たなサプライチェーンで製造した商品の販売を目指すという。

■「Who made my clothes?」

会期:4月23〜28日
時間:11:00〜20:00
※最終日のみ18:00まで
場所:スパイラルガーデン
住所:東京都港区南青山5-6−23 1階
入場料:無料

The post 透明性を学べる”図書館”が表参道に 10周年を迎えたファッションレボリューションが企画 appeared first on WWDJAPAN.

透明性を学べる”図書館”が表参道に 10周年を迎えたファッションレボリューションが企画

ファッションレボリューションジャパンは東京・表参道のスパイラルガーデンで、ファッション産業の透明性について考える展示「Who made my clothes?」を開催中だ。会期は28日まで。

会場内では、スウェーデン企業のトラストレースが発行したトレーサビリティーを実現するための手順を解説した資料をベースに、透明性への理解を深めるための15の要点を解説した文章を掲示した。要点ごとに関連する書籍も並べ、図書館のような空間にした。

バングラディッシュの縫製工場が入居するビルが崩壊し多くの死傷者を出した「ラナ・プラザの悲劇」を機に発足したファッションレボリューションの活動は、今年で10年目を迎える。ファッションレボリューションジャパンのプロデューサーで消費者への啓発活動に取り組む鎌田安里紗は、「これまでは間口を広げるためにサステナビリティをより簡単に取り組めるものとして発信する傾向があった。しかし、実際にトレーサビリティーを確保し透明性を実現するのは難しい。難しいことを、難しいまま真正面から伝え、消費者にもきちんと理解を深めてもらうことで、結果的に取り組んでいる企業の応援につながることを期待したい」と話した。

初日にトークショー開催
トレーサビリティーに取り組むヘラルボニーが課題とやりがいを語る

初日の24日には、トラストレースのサルバナン・パリスタン共同創業者やヘラルボニーで商品開発を担当する福井隆史をゲストに迎えたトークショーを開催した。サルバナン共同創業者はアシックスなど日本での協業事例を踏まえ、特にアメリカで法規制が厳しくなっている綿花のバリューチェーンの追跡の重要性が高まっていることなど最新の動向について語った。またトレーサビリティーを実現する必要性として、サプライチェーンの強靭性を高め、リスクマネージメントができること、生産背景の情報を求めている消費者とのエンゲージメントが高められること、すでにトレーサビリティー情報がないと商品の販売ができない地域も出てきていることなどを挙げた。

ヘラルボニーは、約半年前から自社商品のサプライチェーンの見直しをはじめ、完全に追跡可能なモノづくりの体制作りを目指して取り組んでいる。福井担当は、「小ロットの生産しかできないなか、メーカーに協力を仰ぎきれないことが難しさの1つ。実際に工場に足を運んで信頼関係を築くことがスタートだと学んだ。課題はたくさんあるが、結果的に背景を知ることで、誇りを持って提案できる自信につながると実感している」と話した。5月末には、新たなサプライチェーンで製造した商品の販売を目指すという。

■「Who made my clothes?」

会期:4月23〜28日
時間:11:00〜20:00
※最終日のみ18:00まで
場所:スパイラルガーデン
住所:東京都港区南青山5-6−23 1階
入場料:無料

The post 透明性を学べる”図書館”が表参道に 10周年を迎えたファッションレボリューションが企画 appeared first on WWDJAPAN.

マッシュがJCB、JR 東日本、ルミネ、ArborとCO2 排出量可視化による行動変容の実証実験

マッシュスタイルラボは、ジェーシービー (JCB)、東日本旅客鉄道株式会社 (JR東日本)、ルミネ、カナダのYour Arborと共同で、商品別および決済手段別の CO2 排出量可視化による消費者の行動変容を検証する実証実験を開始する。Arborは、事業者のプロダクトやサプライチェーンなどで発生するカーボン・インパクトの算定技術を提供するカナダの事業者。

対象ブランドの店頭商品に CO2 排出量情報を確認できる QR タグをつけ、その情報を閲覧した消費者によるアンケート結果や売上データなどを基に、購買行動への変容を検証する。対象は、ルミネ新宿館内にある「スナイデル(SNIDEL)」「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」「フレイ アイディー(FRAY I.D)」「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」の店舗で、4月26日から5月31日まで実施する。

本企画のファシリテーションを担当するJCBは実施の背景について「日本国内でもさまざまなサステナビリティ関連の取り組みが広がりつつある一方で、企業の取り組みを消費者に知ってもらうことで、企業に対するイメージや購買行動にどのような影響を及ぼすのかが可視化されているケースはまだ少ない。消費者へどのような行動変容を与えることができるのかを検証する実証実験とする」と説明する。

The post マッシュがJCB、JR 東日本、ルミネ、ArborとCO2 排出量可視化による行動変容の実証実験 appeared first on WWDJAPAN.

「ヘレンカミンスキー」がアボリジニの芸術保存センターとコラボ、春夏コレクションに登場


オーストラリア発のヘッドウェアブランド「ヘレンカミンスキー(HELEN KAMINSKI)」が、先住民の芸術保存に取り組むバッバラ女性センター(Bábbarra Women's Centre)と提携したハンドプリントコレクションを発表した。

オーストラリア、ノーザンテリトリー州の州都ダーウィンから東に500キロ、アーネムランドの北海岸に、マニングリーダという先住民族のコミュニティがある。そこに拠点を構えるバッバラ女性センターは、女性のための安全なスペースとして1983年に設立された。知識やアイディアを共有する施設としても機能しつつ、現在では、1989年に設立したバッバラ・デザインズと呼ばれるテキスタイルビジネスが同センターの主要な社会事業となっている。バッバラ・デザインズでは、100名を超えるアーティストのデザインと手捺染のテキスタイルで、地元女性たちとコミュニティの経済的自立を促している。

2024年春夏のコレクションでは、バッバラ女性センターから2名のアーティストを招聘し、先祖代々語り継がれている物語をユニークに解釈し、鮮やかなハンドプリントのテキスタイルでコレクションを制作した。

エリザベス・ウルンミングの「ダッカラ」は、貝の一種であるコケモモの祖先の物語と、その民族が享受した漁業のライフスタイルを表現した。ジャネット・マフラーの「クンレッド・クンクラ」は、ジャネットの一族の故郷であるマンコールロッドで嵐が起こるまでの渦巻く風と地中の稲妻が描かれている。

今回のプロジェクトは先住民の文化・芸術を保護し、ファッション・繊維業界との協業を支援する先住民ファッションプロジェクト(IFP)がサポートしている。

The post 「ヘレンカミンスキー」がアボリジニの芸術保存センターとコラボ、春夏コレクションに登場 appeared first on WWDJAPAN.

「ヘレンカミンスキー」がアボリジニの芸術保存センターとコラボ、春夏コレクションに登場


オーストラリア発のヘッドウェアブランド「ヘレンカミンスキー(HELEN KAMINSKI)」が、先住民の芸術保存に取り組むバッバラ女性センター(Bábbarra Women's Centre)と提携したハンドプリントコレクションを発表した。

オーストラリア、ノーザンテリトリー州の州都ダーウィンから東に500キロ、アーネムランドの北海岸に、マニングリーダという先住民族のコミュニティがある。そこに拠点を構えるバッバラ女性センターは、女性のための安全なスペースとして1983年に設立された。知識やアイディアを共有する施設としても機能しつつ、現在では、1989年に設立したバッバラ・デザインズと呼ばれるテキスタイルビジネスが同センターの主要な社会事業となっている。バッバラ・デザインズでは、100名を超えるアーティストのデザインと手捺染のテキスタイルで、地元女性たちとコミュニティの経済的自立を促している。

2024年春夏のコレクションでは、バッバラ女性センターから2名のアーティストを招聘し、先祖代々語り継がれている物語をユニークに解釈し、鮮やかなハンドプリントのテキスタイルでコレクションを制作した。

エリザベス・ウルンミングの「ダッカラ」は、貝の一種であるコケモモの祖先の物語と、その民族が享受した漁業のライフスタイルを表現した。ジャネット・マフラーの「クンレッド・クンクラ」は、ジャネットの一族の故郷であるマンコールロッドで嵐が起こるまでの渦巻く風と地中の稲妻が描かれている。

今回のプロジェクトは先住民の文化・芸術を保護し、ファッション・繊維業界との協業を支援する先住民ファッションプロジェクト(IFP)がサポートしている。

The post 「ヘレンカミンスキー」がアボリジニの芸術保存センターとコラボ、春夏コレクションに登場 appeared first on WWDJAPAN.

東京レインボープライドに初参加 LVMHジャパンが“自分らしく、美しく豊かに”生きる発信

PROFILE: 山内彩/LVMHジャパン ピープル&カルチャー シニア マネージャー

山内彩/LVMHジャパン ピープル&カルチャー シニア マネージャー
PROFILE: (やまのうち・あや)大学卒業後、婦人服製造販売ブランドでリテールを学んだ後に渡仏し、パリ第3大学を卒業。帰国し、ファッション企業向けのコーチングなどを手掛けた後、ケリングに入社。2018年LVMHに入社し、「ディオール」のリテール トレーニング マネージャーを経て、現職 PHOTO : YUKIE SUGANO

認定NPO法人の東京レインボープライドは4月20、21日、「東京レインボープライド2024(TOKYO RAINBOW PRIDE 2024以下、TRP)」を代々木公園で開催した。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON JAPAN以下、LVMHジャパン)は同イベントに企業として初めて協賛し、同社のカルチャーやブランドの歴史、ダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを紹介するブースを出展。20日には、同社が手掛ける「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」と連携し、写真家のレスリー・キー(Leslie Kee)による一般来場者の撮影会を開催。21日のプライドパレードには、LVMHジャパンとグループブランドの社員と家族が250人規模で参加した。

また、TRPと連動した写真展「スーパーLVMH 〜 アール・ド・ヴィーヴル(SUPER LVMH 〜 ART DE VIVRE)」を5月19日まで原宿・キャットストリートの「クリエイティブ スペース アカデミア 21」で開催している。賛同する世界各国のセレブリティー30組とLVMHエグゼクティブ30人を、レスリー・キーが撮り下ろした。

LVMHジャパンで人材の育成と、人材を通したLVMHらしいカルチャーの醸成に取り組み、TRPへの出展に尽力した山内彩LVMHジャパン ピープル&カルチャー シニア マネージャーに、参加への経緯やD&Iの取り組みについて聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):TRP参加に至った経緯は?

山内彩LVMHジャパン ピープル&カルチャー シニア マネージャー(以下、山内):2019年、LGBTQ+当事者の同僚が「いつかLVMHでTRPに参加したい」と声を上げた。その後に、有志で集まった少人数でパレードを歩くことから始め、活動を徐々に広げた。22年、先行して出展した「パルファム ジバンシイ」からは刺激を受けた。同ブランドを率いる金山桃LVMHフレグランスブランズ ジェネラル マネージャー兼社長と話し、より大きなインパクトを出せるように、グループでも参加するべきではないかと考えた。

WWD:グループとして参加する上での苦労は?

山内:全ブランドの賛同を得ることはもちろん、確固たる目的を持ち、強いメッセージを発信する必要がある。簡単な道のりではなかった。各ブランドには、TRPへの参加は、グループミッションの“アール・ド・ヴィーヴル(美しく豊かに生きる喜び)”につながると説明した。“自分らしく生きる”ことこそ、“美しく豊かに生きる”ことと拡大解釈した。

WWD:TRP参加の意義とは?

山内:これほど多様な人材が集まる会社で、上からの命令ではなく各人が声を上げ、合意に至り、大きなプロジェクトを動かしたという体験は、社員にとって意義があった。このような過程を経て得た知識や経験は、さまざまなビジネスでも役に立つだろう。パレードへの参加は社員のモチベーションや帰属意識を高めるほか、表参道のけやき坂にフラッグを掲出することで社外にもメッセージを発信した。

最初は正直、グループでの参加は難しいと思っていた。しかし、そのような思い込みを覆すことに挑戦し、異なる意見を持った仲間と交流しながら共に未来を築いていく風土づくりにもつながる取り組みになった。

WWD:ブースを訪れた来場者へのメッセージは?

山内:ブースでは、LVMHジャパンのD&Iの取り組みを紹介するほか、レスリー・キーによる一般来場者の撮影会も開催。メイクアップは「パルファム ジバンシイ」のブースで行った。来場者には、アーティスティックな感覚を味わいながら、“新しい自分”や“本来の自分”を発見するきっかけにしてほしい。LVMHらしい“美しく豊かな”体験を通して、自己表現を広げられるような時間を提供したかった。

女性のセカンドキャリアを支援

WWD:TRP以外のD&Iに関する取り組みは?

山内:「メティエ・デクセロンス(METIERS D’EXCELLENCE以下、ME)」というプログラムを世界7カ国(フランス、スイス、イタリア、アメリカ、スペイン、日本、ドイツ)で実施しており、これまでに1400人以上が参加した。日本では21年にローンチし、販売員を育成するプログラムを通して女性のセカンドキャリアを支援している。

WWD:女性のセカンドキャリアに着目した経緯は?

山内:日本には、経験があるにも関わらず、出産やパートナーの転勤などでキャリアを離れ、10年やそれ以上のブランクを抱える女性が多くいる。正社員としての再就職も難しい状況だ。女性の活躍を促進したいという思いから、何らかの理由でキャリアを諦めざるを得なかった人や、転職を望む女性たちを対象にした。ファッションスクールでの学習や店頭での実技、マスタークラスでの研修という8カ月間のコースを無償で提供している。

WWD:プログラム参加者の反応は?

山内:日本では参加者の約8割が卒業し、約6割がLVMHジャパンに就職している。参加者からは、「このような機会がなければ、自分の可能性を広げることができなかった」「自分が本当に何をしたいのかに気づけた」などの声が届いている。

販売員は対人関係能力が必要で、継承が難しい職種だ。商品一つをとっても、多くの人が関わり、奥深い背景がある。顧客を理解し、ブランドや商品が持つ思いを届け、顧客の人生を豊かにできる販売員の育成に挑戦している。

WWD:日本におけるD&Iの課題は?

山内:D&Iに関しては人種や言語、宗教などさまざまな問題があり、それらは世界中どこにでも共通して存在すると思う。日本における課題は、多様性の見えづらさだ。日本は単一民族の国家なので、どうしても本来その人が持っているバックグラウンドや価値観、理念などが見えづらく、意識が向きにくい。日本でも、人間としてのより普遍的な多様性にもっと注目できるように取り組んでいきたい。

WWD:今後のビジョンは?

山内:グループミッションである“アール・ド・ヴィーヴル(自分らしく、美しく豊かに生きる)”を、社員が本当の意味で実感できる環境づくりを進めたい。学べる環境や、成長できるキャリアの機会を用意し、各人が自分らしさを持って活躍できる会社を目指している。さらに、それを世界にも発信しているという誇りを持てるように取り組みたい。1人1人が自分を大切にできるような環境をつくることで、他者への優しさが広がり、仕事においても全力を注げるようになると考えている。

■写真展「SUPER LVMH ~ ART DE VIVRE」Photographed by Leslie Kee
日程:4月19日〜5月19日
時間:11:00~19:00
会場:クリエイティブ スペース アカデミア 21
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目27番7号 アルボーレ神宮前 1F/2F

The post 東京レインボープライドに初参加 LVMHジャパンが“自分らしく、美しく豊かに”生きる発信 appeared first on WWDJAPAN.

東京レインボープライドに連続参加「ジバンシイ」は社長のマイノリティーとしての過去からD&I推進

PROFILE: 金山桃/LVMHフレグランスブランズ ジェネラル マネージャー兼社長

金山桃/LVMHフレグランスブランズ ジェネラル マネージャー兼社長
PROFILE: (かなやま・もも)5歳でフランス・パリへ移住。ESSECビジネススクール卒業。2009年LVMHグループ会社のセフォラ、10年ロレアルに入社。18年に帰国し、日本ロレアルを経て22年2月にLVMHジャパンに入社。同年5月、LVMHフレグランスブランズに入社し現職

認定NPO法人の東京レインボープライドは4月20、21日、「東京レインボープライド2024(TOKYO RAINBOW PRIDE 2024以下、TRP)」を代々木公園で開催した。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON JAPAN以下、LVMHジャパン)は同イベントに企業として初めて協賛し、同社のカルチャーやブランドの歴史、ダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを紹介するブースを出展。傘下の「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」は2年連続で出展し、メイクアップのタッチアップサービスやサンプル商品の配布のほか、TRPのために作ったレインボーカラーのロゴステッカーをプレゼントした。

「パルファム ジバンシイ」を率いる金山桃LVMHフレグランスブランズジェネラル マネージャー兼社長は日本で生まれた後、5歳でパリへ移住し、自身がマイノリティーであることを意識しながら育ったそう。こうしたバックグラウンドから、TRPの参加にも積極的だ。金山社長が目指すD&Iな企業とは?

WWDJAPAN(以下、WWD):改めて、TRPに参加した経緯は?

金山桃LVMHフレグランスブランズ ジェネラル マネージャー兼社長(以下、金山):22年に現職に就任した当時から、D&Iを強く意識したCSR(企業の社会的責任)ストラテジーを構築し、ブランドスビジネスとのシナジーを生み出すことを目指している。D&Iに関して特に日本では、LGBTQ+の基本的な権利や、それぞれがどのような人たちであるかの理解さえ、ほかの国々と比べて遅れていると感じていた。「パルファム ジバンシイ」として、日本の社会の前進に貢献したいという思いからTRPへの出展を決めた。

WWD:参加する意義をどう捉えている?

金山:TRPの参加は、始まりにすぎない。“LGBTQ+コミュニティーをサポートしている”というメッセージを公的に出すことは、“今後もLGBTQ+に関わる問題の解決に尽力していく”という決意表明でもあるから。

WWD:昨年の出展について、社員や顧客の反応は?

金山: 昨年のTRPには主にオフィススタッフが参加した。新たな才能を発揮した社員もいたし、全社員にとって新鮮で学びの多い経験になった。代々木公園のブースには、百貨店のカウンターには足を運びづらいという若者や男性含め、多様な人々が訪れた。TRPでの取り組みを見て、採用に応募してくれた人もいた。会社としてD&Iに真剣に取り組むことで、若い世代の共感を確実に得ているように感じる。

履歴書から性別欄や写真の添付を廃止

WWD:“恐れずに改革する(DARE TO REINVENT)”というスローガンを掲げ、どのような施策を行なっている?

金山:23年には認定NPO法人のりびっと(REBIT)と協業し、美容部員の定期的なトレーニングを開始した。例えば、男性がカウンターを訪れた際、「女性へのプレゼントですか?」と聞かないなどを学んでいる。D&Iの価値観がすれ違いやすい年配の社員含め、全員が啓発されるトレーニングを考えている。

WWD:社内の多様性を高めるための取り組みは?

金山:22年には履歴書から性別や婚姻状況、生年月日の欄を無くし、写真の添付も廃止した。応募する側の心理的不安を減らし、多様性を発揮して自分らしく働ける職場にしたい。インターンシップや再雇用、多国籍の採用なども始めた。もちろん“多様性”といっても、“何でも許容する”という意味ではない。「パルファム ジバンシイ」はエレガントなブランド。ブランドを長期的に継承するためにはイメージを守る必要があるので、バランスに留意しつつ、多様性を受け入れるインクルーシブな企業を目指している。

「5歳でパリへ移住し、白人ばかりの地区で唯一のアジア人として育った」

WWD:マイノリティーの一人として育ったバックグラウンドをどう振り返る?

金山:日本で生まれた後、5歳でパリへ移住した。白人ばかりの地区で唯一のアジア人として、肌の色はもちろん宗教や言語面でも、自身がマイノリティーであることを意識しながら育った。“自分がなぜここにいるのか”を常に正当化する必要があった。日本とフランス、2つの文化の中で成長した経験をポジティブに捉えられるようになったのは、帰国した18年以降。幼少期から多様な文化の中で教育を受けたことで、視野が広がり、自然とグローバルな感覚が備わった。

WWD:帰国後の経験は?

金山:日本に拠点を移した後も、まだ自分がマイノリティーであると感じている。7歳の娘がいるが、私は日本語の読み書きができないので、彼女の日本語の質問に答えられない。また、私が入社した当時、女性のジェネラル・マネジャーはLVMHジャパンでさえ少なかった。ビューティの中でもまだ数少ない。さらにグループ外から、かつラグジュアリーブランドの経験がないまま入社したので、孤独だった。こういった背景からも、D&Iは非常に重要だと考える。

WWD:今後の展望は?

金山:「パルファム ジバンシイ」は名前ばかりが大きくて、ビジネスのサイズはまだ小さい。これまでにやってきたことを続けていても成長できないので、多様な人材を雇用し、新たな挑戦を続けている。時には失敗をすることもあるけれど、挑戦を続けることが重要。その先に成功があるはずだ。

The post 東京レインボープライドに連続参加「ジバンシイ」は社長のマイノリティーとしての過去からD&I推進 appeared first on WWDJAPAN.

東京を皮切りに世界中のレインボープライドに参加 LVMH本国トップが語る多様性への思い

PROFILE: ヴァネッサ・ムンガー/LVMH チーフ ダイバーシティ&インクルージョン オフィサー

ヴァネッサ・ムンガー/LVMH チーフ ダイバーシティ&インクルージョン オフィサー
PROFILE: チャドとフランスにルーツを持つ。フランスのアフリカ大統領評議会のメンバーとしてアフリカの社会変革に取り組むほか、パリ政治学院の客員教師も務める。2020年、「マダムフィガロ」誌により“ウーマン・オブ・ザ・イヤー”に選出された。21年、LVMHに入社し、現職

認定NPO法人の東京レインボープライドは4月20、21日、「東京レインボープライド2024(TOKYO RAINBOW PRIDE 2024以下、TRP)」を代々木公園で開催した。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON JAPAN以下、LVMHジャパン)は同イベントに企業として初めて協賛し、同社のカルチャーやブランドの歴史、ダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを紹介するブースを出展。20日には、同社が手掛ける「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」と連携し、写真家のレスリー・キー(Leslie Kee)による一般来場者の撮影会を開催。21日のプライドパレードには、LVMHジャパンとグループブランドの社員と家族が250人規模で参加した。

また、TRPと連動した写真展「スーパーLVMH 〜 アール・ド・ヴィーヴル(SUPER LVMH 〜 ART DE VIVRE)」を5月19日まで原宿・キャットストリートの「クリエイティブ スペース アカデミア 21」で開催している。賛同する世界各国のセレブリティー30組とLVMHエグゼクティブ30人を、レスリー・キーが撮り下ろした。

LVMHでチーフ D&I オフィサーを務めるヴァネッサ・ムンガー(Vanessa Moungar)に、同社がTRPに参加する理由やD&Iを推進する重要性について聞いた。

「個性の尊重と平等、平和を謳うメッセージ」

WWDJAPAN(以下、WWD):LVMHグループとしてTRPに参画する理由は?

ヴァネッサ・ムンガーLVMH チーフ D&I オフィサー(以下、ムンガー):“人々が違いを生む”と強く信じているから。全ての個人が、国籍や性自認、性的指向などに関わらず、自分らしく働ける環境づくりに取り組んでいる。TRPへの参加を通して、LVMHの強いメッセージを社員全員に届けたい。

昨年は“有言実行”をテーマに掲げた。企業が、「D&Iを重視している」とか「多様性を受け入れる社風だ」と言うのは簡単だ。しかし、役職などに関係なく多くの社員がTRPのために時間を割いて参加するというLVMHジャパンのスタッフの行動そのものが、LVMHの理念を明確に示している。

WWD:LVMHジャパンの参加を認めた理由は?

ムンガー:レインボープライドへの参加は各国のグループ会社の意思に任せており、参加を望む声があれば、本社は全力で支援する。LVMHジャパンや各ブランドの社員らは、数年にわたり自発的にTRPに参加してきた。その活動が広がり、今年はグループとしての協賛に発展した。

WWD:本国含め、LVMHとしてレインボープライドに参加している国は?

ムンガー:今年は東京を皮切りに、ロサンゼルス、パリ、ロンドン、マドリード、台湾、香港と続く。局所的な取り組みではなく、全世界でレインボープライドに参加していることを誇りに思う。D&Iは、世界中のLVMH社員が関心を持って真剣に取り組んでいるトピックだということを示している。

WWD:TRPに参加する意義は?

ムンガー:LVMHにはさまざまな部門と総計75のブランドがある時点で、すでに多様といえる。しかしそれ以上に、1つ1つのチーム内にも多様性が存在している。皆が同じであれば、お互いを理解し合う苦労もなく、より簡単かもしれない。しかし異なる個性を持った個人が団結し、同じ目標へ向かって挑む時、社員と社会の双方に非常にパワフルでポジティブな影響をもたらしうる。それは、個性の尊重と平等、平和を謳うメッセージだ。TRPへの参加は、私たちがこの主張にコミットしているという紛れもない証拠だ。

WWD:そもそも、LVMHにおけるD&Iオフィサーの任務とは?

ムンガー:主な任務は、D&Iに関するビジョンと戦略をグローバルレベルで推進すること。人事から調達、サプライチェーン、マーケティングまで、さまざまな役割の人々と連携し、どうしたらよりインクルーシブな会社にできるかを考え、実践している。

WWD:LVMHという世界的なコングロマリットにおける、D&Iの重要性とは?

ムンガー:冒頭でも話した通り、“人々が違いを生む”と信じている。多様な人々を引きつけ、才能を開花させ、できるだけ長く勤めてもらうためにも、社員1人1人が受け入れられていると感じられ、グループの成長のために最善を尽くせる環境を保証したい。80カ国以上で75ブランドを展開しているため、一度グループに入れば、才能を伸ばす無限の可能性がある。人が最大の財産と考えるLVMHにおいて、D&Iは戦略の主軸だ。長期的には、D&Iがグループの成功と持続可能性の根源になるだろう。

WWD:各国におけるD&Iの課題は?

ムンガー:無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)など世界共通の課題はあるが、それ以外はどれも各市場に特有だ。したがって、われわれは各国・地域の同僚と連携し、それぞれの実情にあった支援をする。日本で優先的に取り組んでいるのは、企業における女性の参画だ。LVMHグループは全社員の約70%が女性で、管理職とマネジャーの約65%が女性だ。これは“女性対男性”ではなく、バランスや多様性の問題だと捉えている。世界中のあらゆる会社の多様性を推進するためにも、TRPを通してLGBTQ+コミュニティーへのサポートと、インクルーシブな社風を示したい。

■写真展「SUPER LVMH ~ ART DE VIVRE」Photographed by Leslie Kee
日程:4月19日〜5月19日
時間:11:00~19:00
会場:クリエイティブ スペース アカデミア 21
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目27番7号 アルボーレ神宮前 1F/2F

The post 東京を皮切りに世界中のレインボープライドに参加 LVMH本国トップが語る多様性への思い appeared first on WWDJAPAN.

東京を皮切りに世界中のレインボープライドに参加 LVMH本国トップが語る多様性への思い

PROFILE: ヴァネッサ・ムンガー/LVMH チーフ ダイバーシティ&インクルージョン オフィサー

ヴァネッサ・ムンガー/LVMH チーフ ダイバーシティ&インクルージョン オフィサー
PROFILE: チャドとフランスにルーツを持つ。フランスのアフリカ大統領評議会のメンバーとしてアフリカの社会変革に取り組むほか、パリ政治学院の客員教師も務める。2020年、「マダムフィガロ」誌により“ウーマン・オブ・ザ・イヤー”に選出された。21年、LVMHに入社し、現職

認定NPO法人の東京レインボープライドは4月20、21日、「東京レインボープライド2024(TOKYO RAINBOW PRIDE 2024以下、TRP)」を代々木公園で開催した。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON JAPAN以下、LVMHジャパン)は同イベントに企業として初めて協賛し、同社のカルチャーやブランドの歴史、ダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを紹介するブースを出展。20日には、同社が手掛ける「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」と連携し、写真家のレスリー・キー(Leslie Kee)による一般来場者の撮影会を開催。21日のプライドパレードには、LVMHジャパンとグループブランドの社員と家族が250人規模で参加した。

また、TRPと連動した写真展「スーパーLVMH 〜 アール・ド・ヴィーヴル(SUPER LVMH 〜 ART DE VIVRE)」を5月19日まで原宿・キャットストリートの「クリエイティブ スペース アカデミア 21」で開催している。賛同する世界各国のセレブリティー30組とLVMHエグゼクティブ30人を、レスリー・キーが撮り下ろした。

LVMHでチーフ D&I オフィサーを務めるヴァネッサ・ムンガー(Vanessa Moungar)に、同社がTRPに参加する理由やD&Iを推進する重要性について聞いた。

「個性の尊重と平等、平和を謳うメッセージ」

WWDJAPAN(以下、WWD):LVMHグループとしてTRPに参画する理由は?

ヴァネッサ・ムンガーLVMH チーフ D&I オフィサー(以下、ムンガー):“人々が違いを生む”と強く信じているから。全ての個人が、国籍や性自認、性的指向などに関わらず、自分らしく働ける環境づくりに取り組んでいる。TRPへの参加を通して、LVMHの強いメッセージを社員全員に届けたい。

昨年は“有言実行”をテーマに掲げた。企業が、「D&Iを重視している」とか「多様性を受け入れる社風だ」と言うのは簡単だ。しかし、役職などに関係なく多くの社員がTRPのために時間を割いて参加するというLVMHジャパンのスタッフの行動そのものが、LVMHの理念を明確に示している。

WWD:LVMHジャパンの参加を認めた理由は?

ムンガー:レインボープライドへの参加は各国のグループ会社の意思に任せており、参加を望む声があれば、本社は全力で支援する。LVMHジャパンや各ブランドの社員らは、数年にわたり自発的にTRPに参加してきた。その活動が広がり、今年はグループとしての協賛に発展した。

WWD:本国含め、LVMHとしてレインボープライドに参加している国は?

ムンガー:今年は東京を皮切りに、ロサンゼルス、パリ、ロンドン、マドリード、台湾、香港と続く。局所的な取り組みではなく、全世界でレインボープライドに参加していることを誇りに思う。D&Iは、世界中のLVMH社員が関心を持って真剣に取り組んでいるトピックだということを示している。

WWD:TRPに参加する意義は?

ムンガー:LVMHにはさまざまな部門と総計75のブランドがある時点で、すでに多様といえる。しかしそれ以上に、1つ1つのチーム内にも多様性が存在している。皆が同じであれば、お互いを理解し合う苦労もなく、より簡単かもしれない。しかし異なる個性を持った個人が団結し、同じ目標へ向かって挑む時、社員と社会の双方に非常にパワフルでポジティブな影響をもたらしうる。それは、個性の尊重と平等、平和を謳うメッセージだ。TRPへの参加は、私たちがこの主張にコミットしているという紛れもない証拠だ。

WWD:そもそも、LVMHにおけるD&Iオフィサーの任務とは?

ムンガー:主な任務は、D&Iに関するビジョンと戦略をグローバルレベルで推進すること。人事から調達、サプライチェーン、マーケティングまで、さまざまな役割の人々と連携し、どうしたらよりインクルーシブな会社にできるかを考え、実践している。

WWD:LVMHという世界的なコングロマリットにおける、D&Iの重要性とは?

ムンガー:冒頭でも話した通り、“人々が違いを生む”と信じている。多様な人々を引きつけ、才能を開花させ、できるだけ長く勤めてもらうためにも、社員1人1人が受け入れられていると感じられ、グループの成長のために最善を尽くせる環境を保証したい。80カ国以上で75ブランドを展開しているため、一度グループに入れば、才能を伸ばす無限の可能性がある。人が最大の財産と考えるLVMHにおいて、D&Iは戦略の主軸だ。長期的には、D&Iがグループの成功と持続可能性の根源になるだろう。

WWD:各国におけるD&Iの課題は?

ムンガー:無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)など世界共通の課題はあるが、それ以外はどれも各市場に特有だ。したがって、われわれは各国・地域の同僚と連携し、それぞれの実情にあった支援をする。日本で優先的に取り組んでいるのは、企業における女性の参画だ。LVMHグループは全社員の約70%が女性で、管理職とマネジャーの約65%が女性だ。これは“女性対男性”ではなく、バランスや多様性の問題だと捉えている。世界中のあらゆる会社の多様性を推進するためにも、TRPを通してLGBTQ+コミュニティーへのサポートと、インクルーシブな社風を示したい。

■写真展「SUPER LVMH ~ ART DE VIVRE」Photographed by Leslie Kee
日程:4月19日〜5月19日
時間:11:00~19:00
会場:クリエイティブ スペース アカデミア 21
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目27番7号 アルボーレ神宮前 1F/2F

The post 東京を皮切りに世界中のレインボープライドに参加 LVMH本国トップが語る多様性への思い appeared first on WWDJAPAN.

ステラ・マッカートニーがラグジュアリー、注目の技術、グリーンウォッシュを語る

PROFILE: ステラ・マッカートニー

ステラ・マッカートニー
PROFILE: 1971年英国ロンドン生まれ。95年ロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズ校卒業。97年「クロエ」のクリエイティブ・ディレクター就任。ケリングとのパートナーシップにより出資比率50対50としたジョイントベンチャーでステラ マッカートニーを設立し2001年10月にデビュー。04年アディダスと長期パートナーシップ締結。18年4月からケリングの保有していた50 %の株式を取得し独立企業に。19年7月、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンとの提携を発表

ステラ・マッカートニーは今、何を思いどのように行動しているのか。「WWDJAPAN」は数年にわたり、サステナブル・ファッションをけん引するステラに、日々変化する状況を踏まえて質問を投げかけてきた。今回は、改めて考えてみたいラグジュアリーという言葉や難易度もコストも高い廃棄物利用、グリーン・ウォッシュへの対応について聞いた。

WWD:年々地球環境が危機的状況にある、というニュースを耳にする機会が増えている。ファッションを楽しむことと、地球環境の保護を両立できると思うか?

ステラ・マッカートニー(以下、ステラ):私はブランド設立時からレザー、羽毛、毛皮、エキゾチックレザーを使用していません。これは母なる地球を守るための大きな一歩です。アマゾンの森林伐採地域の80%が牛肉や皮革のための牛の飼育に直結していることをご存知ですか?畜産業は世界の温室効果ガス排出量の14.5%を占めており、これは航空産業全体よりも多いのです。

しかし、多くの人はハンドバッグや新しい洋服を買うとき、このようなことを考えません。私は望むものを妥協する必要はないと思っています。私たちは、環境負荷の少ない代替素材に投資し、先駆的なテクノロジーを駆使して革新しています。私たちが取り組んでいるのは、動物や地球に害を与えず、美しくラグジュアリーなファッションを手にすることができる、より良い方法があることを人々に伝えること。

そういったイノベーションとそれを支えるイノベーターたちを称えたのが、パリでの2024年サマーランウェイショー、ドバイで開催されたCOP28、そして今回の伊勢丹新宿本店で行った「ステラズサステナブルマーケット」です。私は、日本のコミュニティの情熱が大好きで、植物、ブドウ、リンゴから作られたレザーの代替素材や、私たちの他の最先端技術を紹介したいと思い、日本で行いました。イノベーションは、より地球に優しい未来に向かうために必要不可欠なものだから、私たちの取り組みを共有することで、ファッション業界だけでなく、それ以外の分野の人たちにもインスピレーションを与えられることを願っています。

WWD:春夏キャンペーンは、リサイクル工場を舞台に撮影をし、循環型社会への移行を訴求した。廃棄物の活用は、回収や分類に始まり、サプライチェーンの再構築、素材の品質担保のための技術革新などが欠かせないが、これらは難易度が高くコストもかかる。それでも廃棄物を活用する意義について改めて教えてほしい。

ステラ:私は、母なる地球から素材を採取することを止め、彼女の再生に貢献できるよう、リサイクル素材とリジェネラティブ素材のみを使用することを達成したいと考えています。従来の選択肢を使う方がはるかに簡単で安価ですが、次世代の素材に投資しなければ、ステラではありません。

アイコンバッグ“ファラベラ”が、ボディにリサイクル素材や、ハンドルにリサイクルブラスやリサイクル可能なアルミニウムのチェーンを用いることで進化してきたことをとても誇りに思っています。これは始まりにすぎず、私は常に調達やサプライチェーンの改善をチームに働きかけています。

私を知る人なら誰でも、私が廃棄物を嫌っていることを知っています。毎秒トラック1台分の衣類が埋立地や焼却炉に運ばれます。ファストファッションは年間1000億着以上の衣料品を生み出していますが、リサイクルされているのはその1%にも満たないのです。

24年サマーキャンペーンでは、廃棄物の中に見出される美しさを強調し、より循環的な未来への希望を鼓舞したかった。コレクションはこれまでで最もサステナブルなもので、ノナソース(NONA Source)のデッドストック生地の再利用を含め、95%が環境に配慮した素材から作られています。リサイクル素材を使うことで、必要なエネルギーはバージン繊維生産の半分以下となり、地球から多くの資源を採取する必要がなくなります。

キャンペーンでは、プロテインエヴォリューション(Protein Evolution)社のバイオピュア(BioPure)テクノロジーから作られた世界初のパーカーを撮影しました。このテクノロジーは、酵素と技術の融合により、プラスチック廃棄物を無限にリサイクル可能なポリエステルに変えるという驚くべき革新技術です。私は、共同設立したSOSファンド(SOS Fund)サステナブル投資ファンドであるを通じてこれを支援しており、その可能性にこれ以上ないほど期待しています。

WWD:廃棄物を原料とした素材について。サプライチェーン構築から行ったヴーヴ・クリコとの協働プロジェクトでは、ブドウの残渣や、プレコンシューマー、ポストコンシューマーのコルクを活用したプロダクトをわずか18カ月で開発した。特に苦労した点は?

ステラ:23年以上この仕事に携わってきて言えるのは、あらゆる素材の革新には課題があるということ。幸いなことに、「ヴーヴ・クリコ」でサステナビリティ、革新、再生への情熱が私と一致するパートナーを見つけることができました。マダム・クリコ自身が女性のパイオニアであり、私たちがレザーに代わる次世代素材に使用したブドウが、彼女が200年ほど前に購入したフランス・ランスのブドウ園で収穫されたものであることを、とても気に入っています。

私たちはすでにベジア社(VEJEA)と、ブドウをベースにした動物性レザーの代替素材に取り組んでいて、彼らがヴーヴ・クリコとのコラボレーションで提携し、18ヶ月でこの素材を作り上げました。彼らとは、地球への影響を最小限に抑えながら最もラグジュアリーな製品を作るという私たちのビジョンを分かち合っています。この代替素材は、80%が植物由来、再生可能、そしてリサイクル原料で作られています。

WWD:あなたが考えるラグジュアリーとは何か。

ステラ:真のラグジュアリーとは、自分たちが着たいと思う服やアクセサリーを、生き物や母なる地球に害を与えていないと知りながら身につけられることや、誇りを持って次の世代に引き継ぎ、彼らもまた身に付けたくなるようなタイムレスな製品です。真のラグジュアリーとは、デザイン、伝統的な職人技、高い品質だけでなく、素材革新やサステナブルな解決策を生み出す先駆的な思考を評価する必要があることを私たち全員が理解する必要があります。それこそが、私たちの作品を希少で特別なものにします。

WWD:重視している技術・技法について、最新技術はもちろん、今見直されている伝統技法で、注目しているものあれば教えてほしい。例えば、伝統技法はあなたの制作活動にどのような役割を果たしているか?

ステラ:その完璧な例が、15年前に発売され、ヴィーガンバッグの起源となった、ブランドのアイコン“ファラベラ”バッグです。私たちは、動物皮革に代わる代替素材を扱うために、イタリアのなめしなどの職人に対して改めてトレーニングを実施してきました。“ファラベラ”には、他の高級バッグと同じレベルの職人技が施され、残酷性が一切ありません。ファラベラの象徴であるチェーンは、ひとつひとつ手作業で穴を開けたバッグ本体に、オーガニックコットンの紐で取り付けられています。これは、私たちの地球が必要としているリサイクル、バイオベース、そしてサステナブルな解決策を見据えながら、お客さまが求める伝統的な技法や技術を用いたものです。

WWD:グリーン・ウォッシュと言われることを恐れてサステナビリティの発信を控える企業や人が増えていると聞く。この傾向についてどう思うか?批判を恐れている人にアドバイスがあれば。

ステラ:グリーン・ウォッシュを避ける最善の方法は、自分たちが行ってきたこと、あるいは行っていることだけを伝えることです。言うばかりでなく、実際に行動することで、実直で透明性があり、信頼できる発言になります。行動は言葉よりも説得力を持ちます!

The post ステラ・マッカートニーがラグジュアリー、注目の技術、グリーンウォッシュを語る appeared first on WWDJAPAN.

そごう・西武全店が今年も一部の屋外照明を消灯 アースデーに合わせて


そごう・西武は4月22日(月)の「アースデー」に合わせて全10店舗で屋外看板など一部の照明を消灯する。「アースデー」は地球環境について考え行動する日として1970年にアメリカで始まった活動。そごう・西武は「アースデー」に賛同し、これまで10年以上ライトダウンを実施している。

今年はそごう・西武の10店舗で20時30分から22時30分まで実施し、屋上看板など一部の照明を消灯する。実施時間は店舗により異なる。同社は、3月23日の「アースアワー」にも全店でライトダウンを実施した。「アースアワー」は3月の最終土曜日に世界中の人々が同じ日・時刻に消灯することで地球温暖化防止と環境保全の意思を示すアクション。写真は「アースアワー」の際にそごう広島店(上)と西部所沢S.C.(下)で行われたライトダウンの様子。

The post そごう・西武全店が今年も一部の屋外照明を消灯 アースデーに合わせて appeared first on WWDJAPAN.

そごう・西武全店が今年も一部の屋外照明を消灯 アースデーに合わせて


そごう・西武は4月22日(月)の「アースデー」に合わせて全10店舗で屋外看板など一部の照明を消灯する。「アースデー」は地球環境について考え行動する日として1970年にアメリカで始まった活動。そごう・西武は「アースデー」に賛同し、これまで10年以上ライトダウンを実施している。

今年はそごう・西武の10店舗で20時30分から22時30分まで実施し、屋上看板など一部の照明を消灯する。実施時間は店舗により異なる。同社は、3月23日の「アースアワー」にも全店でライトダウンを実施した。「アースアワー」は3月の最終土曜日に世界中の人々が同じ日・時刻に消灯することで地球温暖化防止と環境保全の意思を示すアクション。写真は「アースアワー」の際にそごう広島店(上)と西部所沢S.C.(下)で行われたライトダウンの様子。

The post そごう・西武全店が今年も一部の屋外照明を消灯 アースデーに合わせて appeared first on WWDJAPAN.

廃棄衣料を水素化するプロジェクトお披露目に広末涼子が登場 サステナブルを語る

日本最大級のファッション展示会「FaW TOKYO(ファッションワールド 東京)2024 春」が4月17日に東京ビッグサイトで開幕した。初日朝には、バイオテックワークスエイチツー(BIOTECHWOORKS-H2)が、廃棄衣料を水素化するプロジェクト「リボーン バイ バイオテックワークスエイチツー(REBORN by BIOTECHWORKS-H2」のローンチイベントを開催。鏡割り式には、俳優の広末涼子や業界関係者を招き華やかに行われた。

同ブロジェクトは、提携企業から集めた廃棄衣料をプラントで水素化し、再生可能エネルギーとして活用するもの。繊維製品のリサイクルは現在のところ、混紡素材の分解や副資材の分別に課題があり、全ての廃棄衣料を資源化できる同プロジェクトは新たな選択肢となりえる。商品の組成や質量から水素生成量を算出し、それに基づいてCO2削減量を算出。その情報を製品タグのQRコードを通じて生活者に伝える。

鏡割り式には、同プロジェクトの一役を担う副資材メーカーや展望を共有する企業が登壇した。イオングループの商業施設オーパ(OPA)は、同社と協業し2025年をめどに新たな古着回収プロジェクトを予定している。渡邉祐子オーパ社⻑は、「商業施設としてはそこを訪れた人たちが心躍る取り組みを大切にしたい。お客様から回収した不要衣料をエネルギーに変えて、施設運営に活用できるならお客様と夢を共有できるだろう」とコメント。また、縫製工場の野村貿易の勝又貞行執行役員ライフ部門⻑は、「工場で大量に発生する落ち綿の多くが混紡素材であり、これまではリサイクル方法が限られており、水素化はその一つの解決策となり得る」と言う。

ゲストとして登壇した広末涼子は、西川明秀バイオテックワークスエイチツー 代表取締役CEOと「サステナブルとファッション」をテーマにトークイベントも行った。「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のデニムとシャツ姿で登場した広末は「デニムは昔から好きだったけれど、実は母親になったとき、“女優感を出さなきゃ、ヒールを履かなきゃ”と封印した時期があった。40代で解禁して探したら、実は炭で染めているデニムやその製造工程を明らかにデニムなどが増えていて、選ぶ際にも製品作りの背景を意識する様になった」と服選びのポイントについて語った。

「自分は、ファッションが大好きで、買うことが楽しい。同時に廃棄は減らしたいけど限界はある、そしてサステナブルという言葉は難しい。自分は、ゴミを捨てるのが誰もが楽しくなったらいいよね、大好きな日本を未来の子供たちに残せたらいいよね、という思いで取り組んでいる」という西川CEOの言葉を受けて、広末は「子供たちが泥遊びするときは汚れることを気にせず遊んでほしい。ペンキがついたらそれは一つのアート。たくさん楽しんできて、そして手放した服が水素になって家庭で使うエネルギーとして目に見える形になったら家族も楽しくなると思う。子供達は数値化されたものを面白がるから」と応えた。

The post 廃棄衣料を水素化するプロジェクトお披露目に広末涼子が登場 サステナブルを語る appeared first on WWDJAPAN.

「エコペル」が100%植物由来原料の新たな人工ファーを発表

人工ファーメーカーのエコペル(ECOPEL)はこのほど、100%植物由来原料の生分解性人工ファー「フルール(Flur)」を発表した。同社はこれを従来の石油由来の人工ファーとは全く異なる新たなカテゴリーと位置付ける。

同社が2019年に化学メーカー大手のデュポン(DUPON)と発表した人工ファー「コバ(KOBA)」以来、5年ぶりの新製品となる。「フルール」は天然染料でシアリングやモヘアのような風合いを表現している点が特徴だ。価格はさまざまなブランドが利用しやすいよう合成繊維のフェイクファーとほぼ同等を想定する。

7月にフランス・パリで開催される素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION)」で大体的に発表予定。同社はそれまでに量産体制を整え、9月のファッション・ウイークには同素材を用いた製品がランウエイ上で見られることを期待したいという。

クリストファー・サルファティ(Christopher Sarfati)最高経営責任者(CEO)は、「革新的なテキスタイルを生み出せた。今ポリエステルやリサイクルポリエステルを購入している顧客は、今後ますます『フルール』のような製品に移っていくはずだ。動物愛護と環境配慮の気運が需要を後押しすることを期待したい」とコメント。

同時に同社はバイオデザインの専門家をチームに招き、植物由来のテキスタイルの開発およびラインアップの拡大に注力する。フォックスやラビット、ミンク、ラクーンなどのテクスチャーを模倣した製品開発などを視野に入れているという。

エコペルは2022年にはスペインを拠点とする人工ファーメーカーのシルマテックス(Silmatex)、23年にはアレトテクスティル(Areto Textil)を買収した。これにより「フルール」の生産拡大につなげたい考え。サルファティCEOはヨーロッパでのさらなる量産に向け、新たな買収も計画していると明かした。同社は今後2年以内に米国進出も計画している。

The post 「エコペル」が100%植物由来原料の新たな人工ファーを発表 appeared first on WWDJAPAN.

スパイバーが新たに100億円の資金調達

タンパク質由来の繊維素材「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を展開するスパイバーはこのほど、新たに100億円の資金調達を行ったと発表した。提携を発表した兼松や小松マテーレ、関西ペイントに加え、既存株主などが増資した。同社の関山和秀・社長は「欧州の素材系の有力スタートアップが破綻するなど、スタートアップには逆風の中で、「スタートアップの資金調達環境が厳しい状況にある。当該セクターのフロントランナーと しての責務を果たすべく、引き続き尽力していく」とコメントしている。

調達した資金は、「ブリュード・プロテイン」糸の増産やグローバル販売の強化、新規用途の開発などに充てる。「ブリュード・プロテイン」糸は、タイで原料の本格的な量産を開始しており、すでに国内外の15ブランドでの製品販売を行っている。

増資に応じた小松マテーレとは、「ブリュード・プロテイン」を原料にした透湿防水膜の開発、関西ペイントとは塗料などの開発を進める考え。

The post スパイバーが新たに100億円の資金調達 appeared first on WWDJAPAN.

スパイバーが新たに100億円の資金調達

タンパク質由来の繊維素材「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を展開するスパイバーはこのほど、新たに100億円の資金調達を行ったと発表した。提携を発表した兼松や小松マテーレ、関西ペイントに加え、既存株主などが増資した。同社の関山和秀・社長は「欧州の素材系の有力スタートアップが破綻するなど、スタートアップには逆風の中で、「スタートアップの資金調達環境が厳しい状況にある。当該セクターのフロントランナーと しての責務を果たすべく、引き続き尽力していく」とコメントしている。

調達した資金は、「ブリュード・プロテイン」糸の増産やグローバル販売の強化、新規用途の開発などに充てる。「ブリュード・プロテイン」糸は、タイで原料の本格的な量産を開始しており、すでに国内外の15ブランドでの製品販売を行っている。

増資に応じた小松マテーレとは、「ブリュード・プロテイン」を原料にした透湿防水膜の開発、関西ペイントとは塗料などの開発を進める考え。

The post スパイバーが新たに100億円の資金調達 appeared first on WWDJAPAN.

アシックスが再生可能スニーカー“ニンバス ミライ”発売 ランニングシューズの主力品番で実現

アシックスは4月12日、リサイクルできるランニングシューズ“ニンバス ミライ(NIMBUS MIRAI)”を発売する。国内ではアシックスラン 東京丸の内、アシックスフラッグシップ原宿、アシックスストア大阪と公式ECで限定販売し、価格は2万2000円。「当社のカテゴリー別売上高で一番大きいのはパフォーマンスランニング分野(売り上げ全体の50.1%)であり、その中で最も売れているモデル“ニンバス”シリーズでリサイクル可能なシューズを出すところに、われわれの(循環型ビジネスへの)本気が表れている」と上福元史隆フットウエア生産統括部マテリアル部部長は話す。

「リサイクル可能であると同時に、パフォーマンス性、デザイン性も妥協しない」ために試行錯誤を重ねた。開発にかけた期間は3年7カ月。一般的にシューズのリサイクルでは、①アッパーとソールの分離、②アッパーが単一素材ではないこと、③回収・リサイクルの仕組みが整っていないことの3点が障壁になるというが、①についてはアシックスが独自開発した熱処理で分離できる接着剤を使用し、アッパーとソールの分離を可能にした。

②は、通常は数十種類の素材が使われるというアッパーをポリエステルのみのニット製にし、うち75%以上に再生ポリエステルを使用。ハトメなどもポリエステルで作り、単一素材ゆえ回収後に高い精度での再生が可能となる。スニーカーのアッパーには、伸縮性のためにナイロンなども使われるが、「ポリエステルは特にアパレル分野で循環のループができつつあるため、(再生して汎用性が高い)ポリエステルを使用することにこだわった」。伸縮性に欠けがちなポリエステルでも、編み地を変化させることで肌あたりや伸縮性を調整したという。

③の回収システムでは、米テラサイクル社とパートナーシップを組んだ。消費者が使い終わった“ニンバス ミライ”は回収後に米国に送ってリサイクル工程に投入、ペレットとなり再度。試験段階ではアッパーの87.3%がPET原料として再利用可能で、実際に“ニンバス ミライ”のニットアッパーから再び“ニンバス ミライ”のニットアッパーができている。

日本、欧州、豪州、北米で発売

開発にあたっては、日米のR&Dチームが日本の自治体として初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」をし、廃棄物の抑制やリサイクルに注力している徳島・上勝町を訪れたという。「アシックスと名乗らずに現地リサイクルセンターで話を聞いたところ、再資源化できない廃棄物の3つのうちの1つがシューズだという話が出て、リサイクル可能なシューズの開発を改めて決意した」。

価格は通常の“ニンバス”シリーズよりも2000円ほど割高。「ポリエステル単一素材にすることで特殊材料が必要になり、コストが上がっている。リサイクルシューズの販売規模が他社も含め拡大すれば、価格は下げられる」と期待する。日本のほか、欧州、北米、豪州の4エリアで発売し、回収を始める。26年に向けて発売エリアやリサイクル可能シューズの商品ラインアップ拡充を目指していくという。

アシックスは、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを掲げている。

The post アシックスが再生可能スニーカー“ニンバス ミライ”発売 ランニングシューズの主力品番で実現 appeared first on WWDJAPAN.

「クラランス」が南仏の農地を取得 2030年までに植物原料3分の1の自社栽培を目指す

クラランスグループはこのほど、フランス南部のニーム近郊にある115ヘクタールの土地を取得した。「クラランス(CLARINS)」は“農地から肌まで”という哲学を掲げ、2030 年までに、製品に必要な植物原料の3分の1を同農地や、同じく16年に取得して現在は毎年2.5トンの植物を収穫するオート・サヴォワの区域から調達する目標だ。

クラランスグループのヴィルジニー・クルタン(Virginie Courtin)最高経営責任者(CEO)補佐は、「総合的で倫理的、持続可能なサプライチェーンを目指す戦略の前進を誇りに思う」と話す。「『クラランス』は1954年の創設以来70年間、より効果的で革新的な化粧品の開発のため、植物の科学に着目してきた。今回の土地の取得により、これまで以上に安全でトレーサビリティーのある製品づくりが進むだろう」と続ける。

「ランコム(LANCOME)」や「シャネル(CHANEL)」をはじめとするフランスのビューティブランドでは、品質はもちろん、自給のために農地を購入するケースが増えている。

今回クラランスグループが取得した土地には耕作可能な土地が50ヘクタールあり、製品に使用する植物を栽培するほか、新種の研究や調査のための研究所を設ける予定だ。最初の栽培は24年秋(収穫は25〜26年)を予定し、革新的な手法や独自の水文学的アプローチを用いる。栽培予定の50種の樹木と植物の中には、ウチワサボテンやカリン、アーモンド、アプリコット、ラベンダー、レモンタイム、ブルーベリーなどが含まれる。

1954年に創設した「クラランス」の製品は150カ国以上、2万店舗で販売されており、売り上げの約95%はフランス国外。NPDビューティトレンドによると、「クラランス」はプレステージのスキンケアブランドとしてトップランクに君臨する。

The post 「クラランス」が南仏の農地を取得 2030年までに植物原料3分の1の自社栽培を目指す appeared first on WWDJAPAN.

「ファセッタズム」×高島屋セレクトショップの限定コレクション第2弾 再生糸を使用したアイテム

「ファセッタズム(FACETASM)」は4月10日、循環型社会の実現を目指す髙島屋のプロジェクト“デパート デ ループ”(Depart de Loop)”の一環として、セレクトショップ・CS ケーススタディとのコラボによる限定カプセルコレクション第2弾を発売する。アイテムは髙島屋各店のCS ケーススタディ(日本橋店、新宿店、横浜店、大阪店、京都店、玉川店)、タカシマヤファッションスクエアで取り扱う。

同コレクションのキーグラフィックには、昨年10月の第1弾に施した植物が成長して花開いた様子をイメージしたデザインや、高島屋をイメージしたオリジナルのバラ柄を使用。

ラインアップは、前面を開くことでスタイリングの変化を楽しめる“ダブル ブレステッド ジャージー コーチ ジャケット”(6万6000円)、「ファセッタズム」の定番商品であるジップシリーズの燕尾型ジャージ素材ジャケット“ハイ-ロー ジッパー ジャージー ジャケット”(7万4800円)、同じシリーズ同士でさまざまな組み合わせを楽しめる“ジッパー ジャージー ジャケット”(6万8200円)など6型。

アパレル製品の製造過程で発生する残反や残糸、回収した古着などを原料にして作った再生ポリエステル糸“ブリングマテリアル”のジャージー生地を使用し、自由自在な組み合わせでスタイリングの可能性を広げるアイテムを提案する。

“デパート デ ループ”は、2021年にスタートしたプロジェクト。リサイクルシステムを持つ企業とパートナーシップを組み、再生素材を用いた商品を製作、販売している。不要な商品の回収サービスも実施しており、回収後は繊維原料などに再資源化して新たな服やモノにリサイクルする。

The post 「ファセッタズム」×高島屋セレクトショップの限定コレクション第2弾 再生糸を使用したアイテム appeared first on WWDJAPAN.

「ファセッタズム」×高島屋セレクトショップの限定コレクション第2弾 再生糸を使用したアイテム

「ファセッタズム(FACETASM)」は4月10日、循環型社会の実現を目指す髙島屋のプロジェクト“デパート デ ループ”(Depart de Loop)”の一環として、セレクトショップ・CS ケーススタディとのコラボによる限定カプセルコレクション第2弾を発売する。アイテムは髙島屋各店のCS ケーススタディ(日本橋店、新宿店、横浜店、大阪店、京都店、玉川店)、タカシマヤファッションスクエアで取り扱う。

同コレクションのキーグラフィックには、昨年10月の第1弾に施した植物が成長して花開いた様子をイメージしたデザインや、高島屋をイメージしたオリジナルのバラ柄を使用。

ラインアップは、前面を開くことでスタイリングの変化を楽しめる“ダブル ブレステッド ジャージー コーチ ジャケット”(6万6000円)、「ファセッタズム」の定番商品であるジップシリーズの燕尾型ジャージ素材ジャケット“ハイ-ロー ジッパー ジャージー ジャケット”(7万4800円)、同じシリーズ同士でさまざまな組み合わせを楽しめる“ジッパー ジャージー ジャケット”(6万8200円)など6型。

アパレル製品の製造過程で発生する残反や残糸、回収した古着などを原料にして作った再生ポリエステル糸“ブリングマテリアル”のジャージー生地を使用し、自由自在な組み合わせでスタイリングの可能性を広げるアイテムを提案する。

“デパート デ ループ”は、2021年にスタートしたプロジェクト。リサイクルシステムを持つ企業とパートナーシップを組み、再生素材を用いた商品を製作、販売している。不要な商品の回収サービスも実施しており、回収後は繊維原料などに再資源化して新たな服やモノにリサイクルする。

The post 「ファセッタズム」×高島屋セレクトショップの限定コレクション第2弾 再生糸を使用したアイテム appeared first on WWDJAPAN.

JSFAがアパレルの温室効果ガス排出量算定方法のガイドライン公表 「まずは測る」一歩に

ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)は、環境省の「令和5年度製品・サービスのライフ サイクルを通じた温室効果ガス排出量算定・表示推進事業委託業務」支援を受け、日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)と連携し「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量の算定方法基本ガイドラインに関する業種別解説(ファッション産業)」を策定した。 温室効果ガスの削減に向けて、会員企業はじめアパレル業界全体で、“まずは測る”アクションに活用されることを目指す。

アパレル企業が温室効果ガスの測定に取り組むべき理由についてJSFAは「温室効果ガスの排出が多いと言われている繊維産業が2050年にカーボンニュートラルを達成するためには、川上・川中・川下企業の連携がとても重要だ。また温室効果ガス削減には、製品作りの段階で環境配慮設計などを考慮した創意工夫が必要。連携を深め、アパレル企業が排出量の測定に着手し実態を把握、認識することが削減に向けた創意工夫の駆動力の1つとなる」とコメントしている。

日本のアパレル業界において排出量の算定を行っている企業は「確実に増えているが、特にスコープ3に関しては社内リソースや適切な原単位の不足などにより難航している企業は多い印象」との見解だ。そのため本解説はアパレル製品のスコープ3の中でもカテゴリー1(購入した製品・サービスの繊維製品)の算定方法を解説し、ワールドやTSIホールディングスなどの具体例を掲載している。

ガイドラインは、JSFAウェブサイトのニュースに掲載しているダウンロードフォームから、必要事項をご記載の上ダウンロードできる

なお、JSFAは2027年末に会員企業の50%、2030年に全会員企業の算定完了を目標としている。

The post JSFAがアパレルの温室効果ガス排出量算定方法のガイドライン公表 「まずは測る」一歩に appeared first on WWDJAPAN.

「ケイト」がアップサイクルプロジェクトを始動 眠っているアイシャドウを送ると抽選でステッカーを進呈

「ケイト(KATE)」は4月8日、眠っているコスメを再び輝くアイテムによみがえらせるプロジェクト「ケイト アップサイクル プロジェクト 〜リ シャイン〜(KATE UPCYCLE PROJECT〜RE:SHINE〜)」を始動した。

同プロジェクトは、家庭内や余剰在庫のコスメロスの課題にアプローチし、そのコスメから新たなものを生みだすサービスだ。第1弾はアイシャドウで、応募期間は4月8日~5月6日。申し込みサイトから専用キットを手配し、対象の「ケイト」のアイシャドウを着払いで送るだけで参加できる。

送付した人の中から抽選で、ペイントアーティスト「はくいきしろい」が手掛けるアップサイクル品のアートステッカーをプレゼントする。ステッカーは、「ケイト」のアイシャドウの余剰在庫をアップサイクルし、アイシャドウの繊細な色やラメを生かして制作した。

「ケイト」は今後について「コスメロスの課題にアプローチし、SDGsの目標達成を視野に入れて活動していくる。メイク商品の提供や販売だけにとどまらず、プロジェクトで顧客と共創していくことをテーマに掲げ、メイクアップの可能性を広げるアイテムやサービスを継続的に提供する」としている。

The post 「ケイト」がアップサイクルプロジェクトを始動 眠っているアイシャドウを送ると抽選でステッカーを進呈 appeared first on WWDJAPAN.

「ザボディショップ」のフランス事業もイギリスに続き破たん 世界中でリストラが進む

イギリス発の自然派化粧品ブランド「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」のフランス事業が4月4日、破産管財人の管理下に入った。過剰な店舗展開の一方で過小な投資、そしてビューティ市場における激しい競争によるもの。現在「ザボディショップ」を運営する欧州プライベート・エクイティ投資大手のアウレリウス・グループ(AURELIUS GROUP)は2月初め、ヨーロッパとアジアの一部における大半の事業を、とある家族経営の企業に売却。売却の対象は、同ブランドの全世界における事業の約14%に相当する。

各国での事業状況

66店舗を展開し、約260人の従業員を抱える「ザボディショップ」のフランス事業は2週間前、パリの商業裁判所に破たんを申請した。再建計画を策定するため、24年秋まで6カ月間の観察期間を与えられている。イギリス事業は2月13日に破産管財人の管理下に入り、同月29日に75店舗を閉鎖、480人以上の従業員を解雇した。北米では3月1日に、61店舗(※編集部調べ)を展開するアメリカでの事業を停止、カナダで展開する105店舗のうち33店舗の閉鎖を開始しており、ECも停止した。

同ブランドは23年11月まで、ブラジルの化粧品大手ナチュラ&コー(NATURA & CO.)が運営。70カ国以上で約2800店舗を展開していた。ナチュラ&コーが保有していた当時、同ブランドの23年第3四半期の売上高は1億6470万ドル(約248億6970万円)だった。

「ザボディショップ」とは

「ザボディショップ」は1976年にアニタ・ロディック(Anita Roddick)が設立し、1号店をイギリス・ブライトンで開店。“目的”を持った、サステナブルなビューティブランドのパイオニアだった。動物実験に反対し、製造とサプライチェーンにおける持続可能性の実現に取り組んだロディックは、倫理と商業が両立し得ることを証明した、イギリスで最も早い起業家の一人だった。

The post 「ザボディショップ」のフランス事業もイギリスに続き破たん 世界中でリストラが進む appeared first on WWDJAPAN.

「ザボディショップ」のフランス事業もイギリスに続き破たん 世界中でリストラが進む

イギリス発の自然派化粧品ブランド「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」のフランス事業が4月4日、破産管財人の管理下に入った。過剰な店舗展開の一方で過小な投資、そしてビューティ市場における激しい競争によるもの。現在「ザボディショップ」を運営する欧州プライベート・エクイティ投資大手のアウレリウス・グループ(AURELIUS GROUP)は2月初め、ヨーロッパとアジアの一部における大半の事業を、とある家族経営の企業に売却。売却の対象は、同ブランドの全世界における事業の約14%に相当する。

各国での事業状況

66店舗を展開し、約260人の従業員を抱える「ザボディショップ」のフランス事業は2週間前、パリの商業裁判所に破たんを申請した。再建計画を策定するため、24年秋まで6カ月間の観察期間を与えられている。イギリス事業は2月13日に破産管財人の管理下に入り、同月29日に75店舗を閉鎖、480人以上の従業員を解雇した。北米では3月1日に、61店舗(※編集部調べ)を展開するアメリカでの事業を停止、カナダで展開する105店舗のうち33店舗の閉鎖を開始しており、ECも停止した。

同ブランドは23年11月まで、ブラジルの化粧品大手ナチュラ&コー(NATURA & CO.)が運営。70カ国以上で約2800店舗を展開していた。ナチュラ&コーが保有していた当時、同ブランドの23年第3四半期の売上高は1億6470万ドル(約248億6970万円)だった。

「ザボディショップ」とは

「ザボディショップ」は1976年にアニタ・ロディック(Anita Roddick)が設立し、1号店をイギリス・ブライトンで開店。“目的”を持った、サステナブルなビューティブランドのパイオニアだった。動物実験に反対し、製造とサプライチェーンにおける持続可能性の実現に取り組んだロディックは、倫理と商業が両立し得ることを証明した、イギリスで最も早い起業家の一人だった。

The post 「ザボディショップ」のフランス事業もイギリスに続き破たん 世界中でリストラが進む appeared first on WWDJAPAN.

スタートアップ支援の「ケリング・ジェネレーション・アワード」が日本初開催 CSOが語る “破壊的イノベーション”の重要性

PROFILE: マリー=クレール・ダヴー/ケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)兼渉外担当責任者 

マリー=クレール・ダヴー/ケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)兼渉外担当責任者 
PROFILE: ジャン=ピエール・ラファラン元フランス首相の内閣のテクニカル・アドバイザーとしてキャリアをスタートさせた後、セルジュ・ルペルティエ元フランス環境・持続可能開発大臣の個人秘書に就任。2005年にはサノフィ・アベンティス・グループのサステナブル部門におけるディレクターに就任した。07年から12年まで、フランス環境・持続可能開発省などにおいて、当時の環境・持続可能開発・運輸住宅大臣、ナタリー・コシュースコ=モリゼのチーフスタッフを務めた。12年にケリングのチーフ・サステナビリティ・オフィサー兼国際機関渉外担当責任者に就任し、ケリングやグループのブランドのサステナビリティ戦略を担当。フランス国籍。パリ生命・食品・環境科学技術研究所(ENGREF)卒業。パリ・ドフィーヌ大学にて行政学の高等教育研究専門免状(DESS)を取得 PHOTO:©CAROLE BELLAICHE

「未来のラグジュアリーを創造する」をビジョンに掲げるケリング(KERING)は、サステナビリティ戦略の一環として、日本に事業拠点があるスタートアップ企業にした「ケリング・ジェネレーション・アワード(KERING GENERATION AWARD)」を初開催する。2018年に中国でスタートした同アワードの目的は、ラグジュアリー、ファッション、ビューティ分野における持続可能なイノベーションの加速させること。技術力の高さや革新性、環境・社会へのインパクト、ファッション・ビューティ業界での活用などを基準に選ばれた最優秀企業には賞金1000万円が贈られるほか、上位3社にはヨーロッパでの研修やネットワーキングの機会などが与えられる。現在公式ウェブサイトで応募を受け付け中で、4月8日には東京、10日には大阪でプログラムの説明会とローンチイベントも開催予定だ。日本での開催の理由やアワードにかける思いをマリー=クレール・ダヴー(Marie-Claire Daveu) チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)兼渉外担当責任者に聞いた。

破壊的イノベーションにはスタートアップ企業との連携が必要

WWD:「ケリング・ジェネレーション・アワード」をスタートした背景は?

マリー=クレール・ダヴー ケリングCSO兼渉外担当責任者(以下、ダヴー):何よりもまず、ケリングにとってサステナビリティは戦略の一貫だ。全てのファッション企業にとってサステナビリティはマストであり、それ抜きで事業を立ち上げたり発展させたりすることはできない。そして、たとえパラダイム(規範的な考え方)を変える準備ができていなかったとしても、私たちが取り組むあらゆる最善策をスケールアップする必要があると信じている。そのために欠かせないのが、イノベーションだ。そこには、クラシカルなイノベーションと破壊的イノベーションがあると考えている。クラシカルなイノベーションとは、例えば技術の力を生かしてリサイクルやアップサイクルをより大きな規模で行うこと。規模とスピードの問題だ。一方、破壊的イノベーションとは、微生物を使用したエコな染色技術など、研究室から生まれるようなもの。その実現には、スタートアップ企業と密接に協力し、革新にとって最も重要な場所からイノベーションを起こす必要がある。そこで、まずは私たちの拠点であるヨーロッパでの取り組みとして、13年に社内にマテリアル・イノベーション・ラボ(サステナブルな素材を追求する研究所)を新設したほか、17年にはアムステルダムを拠点にグローバル・イノベーション・プラットフォームのプラグ・アンド・プレイ(PLUG AND PLAY)と提携してアクセラレーター・プログラムを立ち上げた。

そんなヨーロッパでの活動と同じ精神で、アジアのスタートアップ企業と密接に連携することができないかと考えたのが、アワード開催のきっかけだ。先にスタートした中国では、たとえファッションやラグジュアリーの分野で直接ビジネスを行っていなくてもサステナビリティの分野で素晴らしい仕事をしている企業に出会い、感銘を受けた。そして昨夏に訪れた日本でも数々の興味深いスタートアップの起業家と交流し、日本でのアワード開催が素晴らしい機会になると確信した。というのも、日本にはラグジュアリーのサヴォアフェールや職人に対する深い理解があり、日本でもサステナビリティへの意識がますます高まっていることを感じているから。海に囲まれているという地理的背景から、海洋問題に向き合う革新的なアイデアを持ったスタートアップ企業もあると期待している。

WWD:日本初開催となる今回のメーンテーマは、「サステナブルファッション&ビューティ」。製品のライフサイクルにおける重要な段階である「代替原材料・素材」「製造工程」「リテール」「消費者エンゲージメント」という4つのサブテーマに取り組む企業を募集している。中国版よりも幅広い企業を対象にしている印象だが。

ダヴー:初開催となる今回は、まず日本のエコシステムとイノベーションについて理解を深める必要があると考えているためだ。もちろん、事前にさまざまなトピックに関するリサーチを行って知見を深めたが、それだけでは十分ではないと感じている。また、23年に新たにケリング ボーテが設立されたので、今回初めてビューティも対象になる。ただ、次回からはより具体的なテーマに焦点を絞ることになるだろう。

WWD:審査員には、フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者(CEO)をはじめ、ラファエラ・コルナッジャ(Rafaella Cornaggia)=ケリング ボーテCEO、ティエリ・マルティ(Thierry Marty)=ケリング ノースおよびサウスイーストアジア プレジデント、ダヴーCSOが名を連ねる。また、日本の外部審査員も加わるというが、人選で意識したことは?

ダヴー:多様性のある審査員団を作ること。サステナビリティやファッション、ビューティーからビジネスや財務、技術、学術まで異なる専門知識や背景を持った人を選んでいる。ケリングは男女平等の促進にも注力しているので、もちろん男女のバランスも大切だ。

賞金1000万円よりも価値のあるもの

WWD:最優秀企業には賞金1000万円が贈られる。その使途にルールはあるのか?

ダヴー:いいえ、ない。「最優秀」に選ばれるというのは、私たちがそのビジネスモデルや事業開発計画を信頼しているから。もちろん資金はスタートアップ企業にとって重要な要素だと思う。ただ、それ以上に彼らにとって価値があるのはビジビリティーとネットワーク、そして相互交流だろう。「ケリング・ジェネレーション・アワード」では選考を勝ち抜いたファイナリスト10社を対象に集中支援コースを実施する。そのため、受賞する上位3社に選ばれなくても、他の人たちの目に触れ、そこから新たな人脈や支援につながることもある。

WWD:上位3社には、パリで開催される地球の問題解決に取り組むチェンジメーカーが集う大型イベント「チェンジナウ(ChangeNOW)」への出展やケリング・グループのファッションおよびビューティネットワークとのミーティングの機会も与えられる。

ダヴー:「チェンジナウ」のようなイベントは、潜在投資家や他企業の経営幹部をはじめ、革新的なアイデアを売り込める人々と出会い、ビジネスを発展させることができる場になる。そして、他のスタートアップ企業やインフルエンサーなどとの交流によって、直接的なビジネスの関係ではなくともビジビリティーを高めることもできるだろう。また、ケリングとの取り組みを通じて、彼らはイノベーションやソリューションのスケールアップを実現可能だ。アワードで選出する時点で正確に将来どうなるかは分からないし、それぞれの企業の成長ステージは異なる。なので、私たちは短期的ではなく継続的に連絡を取り合い、彼らがさまざまな可能性を開花できるよう努めている。

WWD:一方、ケリングにとってアワードを開催するメリットは?

ダヴー:第一に、破壊的イノベーションこそ、ケリングが目標を達成するためのカギを握っているという事実がある。そのため、あらゆる面でサステナブルなイノベーションを後押しし、私たちが実行可能な革新的ソリューションを見出すことが必要だ。そして、ケリングはサステナビリティとイノベーションで高く評価されるようになったが、全てのイノベーションを自分たちだけで独占せず、他の企業が活用することを促している。私たちが見出した革新的なアイデアを他社が採用するのは、私たちにとってはこの上なく幸せなことだ。

WWD:中国版の歴代受賞者のアイデアをケリングの事業や活動に採用した具体例はあるか?

ダヴー:事業に採用された例は、現時点ではまだない。というのも、イノベーションは常にとても複雑だから。私たちが手掛けているのはラグジュアリーなアイテムであり、スタートアップ企業にもラグジュアリーの基準をクリアしていることを求める。それは、なかなかチャレンジングなことだ。例えば、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」はキノコの菌糸から作られるマッシュルームレザーを使ったことがあるが、商品化には改良を重ねる必要があった。逆を言えば、ケリングのようなラグジュアリー企業と取り組むことで、スタートアップ企業は自らのスタンダードを大幅に引き上げることができる。

WWD:日本でのアワードは、スタートアップ成長支援を行うCIC インスティチュートの協力のもと開催する。CICインスティチュートをパートナーに選んだ理由は?

ダヴー:重視したのは、日本のエコシステムを熟知しているだけでなく、ケリングの求めるものやスタンダードを理解できる組織とタッグを組むこと。もちろん、社内のサステナビリティ&イノベーション専任スタッフと密に連携でき、日本のスタートアップ企業と技術的な話もできる言語能力も必要だが、それだけでは十分ではない。なぜなら、私たちはただ斬新なイノベーションを求めているわけではなく、事業において実現可能なイノベーションを見出したいから。質が高く、地球に良い変化をもたらすと確信できるスタートアップ企業を選出したい。そのため、現地の強力なパートナーが必要だった。

大切なのは、物事を変える意欲

WWD:最後に、これからサステナビリティ関連のスタートアップ企業設立を考える学生や駆け出しの若手起業家に必要なマインドセットは?

ダヴー:何より大切なのは、物事を変える意欲だ。サステナビリティ関連のスタートアップを立ち上げるのは容易くないので、障壁を飛び越える大きな原動力が必要であり、完璧ではなくても自分が信じるソリューションによって現状を変えていくという意欲的なマインドが欠かせない。サステナビリティにまつわるイノベーションの多くは微生物など生物学を強く結び付いていて、時間を要する。それに、投資家から投資を受けられるようになるまでにも時間がかかりうる。そのため、他のイノベーションの領域よりもおそらく挑戦的だろう。だからこそ高い意欲が必要であり、さらに小さくても相互補完を考えた多様性のあるチームを作ることも大切。そして、すぐにはうまくいかなくても続けることだ。今若者たちが取り組んでいることは素晴らしく、本当にクリエイティブ。彼らは自分たちが見ている世界を変えたいと考えていて、リスクを取る覚悟ができている。それは簡単なことではない。だからこそ、大企業が彼らをしっかりとサポートすることが重要だと思う。

The post スタートアップ支援の「ケリング・ジェネレーション・アワード」が日本初開催 CSOが語る “破壊的イノベーション”の重要性 appeared first on WWDJAPAN.

「45R」の「藍職人いろいろ45」は高額品が飛ぶように売れる店 客単価18万円

「45R」は3月28日、「藍職人いろいろ45」の国内1号店を阪急うめだ本店8階にオープンした。売り場面積は56平方メートル。中心価格帯は10~20万円で、刺し子のジャケットが36万3000円、板染めのシャツが19万8000円、ドレスが28万6000円、デニムベストが19万8000円、市松絞りTシャツが17万6000円、シルクコットン板染めストールが5万8300円など約20型が並ぶ。

「藍職人いろいろ45」は藍染めに特化した製品をそろえ、「45R」ブランド設立45周年の2022年に始動した。奄美や益子、青梅や阿波、備後、そしてインドの10~20人の職人たちと「45R」のデザインチームとが連携し、土地によって異なる天候、水、畑、藍の色はもちろん、職人の想いやくせを生かした製品を開発する。年3~4回程度、20型弱のコレクションを提案し、これまではポップアップイベントや一部の直営店で販売していた。10月にはニューヨークのクロスビーストリートに2店舗目をオープン予定だ。

「45R」のルーツはアメリカンヴィンテージで、着こなしの土台にデニムがあり、「藍染めの野良着から着想した日本人らしいデニム」を手掛けてきた。藍染めはブランドにとって特別な技法ではあったが、ここまでフォーカスした理由は「益山航士フォーティファイブアールピーエムスタジオ代表の、先細りの藍染め産業を後世につなげたいという想いが強かった」(広報担当者)から。デニム素材の藍染めも始めている。

初日客単価は18万円 なぜ高額品が動くのか

初日売上高は「藍職人いろいろ45」のポップアップイベントの最高額を更新した。 初日客単価は18万円。特に板染めのドレスが人気を集めた。最高額の49万5000円の“カムエ”は2点売れた。カウチンと作務衣を融合させたようなデザインが特徴だ。

筆者が訪れた13~14時過ぎ頃は、多くの客でにぎわい、活気に溢れていた。ストールの染まり方を見比べ吟味する客や板染めのシャツとワンピースで迷う客、40万円を現金で支払う客、お茶を楽しむ外国人客など少なくとも10人程度の客がスタッフと話をしながら買い物を楽しんでおり、スタッフに声をかけると「オープン直後からたくさんの方が来客されてようやく落ち着いた」とのことだった。

藍染めは一点一点染まり方が異なるため、同じデザインでも同じものはなく、時間をかけて吟味する客の姿が印象的だったが、それ以上に驚いたのは高額品が飛ぶように売れていた点だ。聞けば、自身の顧客を接客するために各店から応援スタッフが駆け付けており、オープンに駆け付けた顧客は「何かしら購入された方がほとんど」(広報担当者)だという。「45R」の売り上げの7~8割が顧客だという。スタッフと客の信頼関係が厚く、スタッフにはブランドに対する熱意と豊富な知識量がある。製品の持つ魅力や価値、どんな職人が染めているのかなどを丁寧に伝える姿があった。

日本の伝統技術継承とビジネスの両立

近年、ラグジュアリー・ブランドは希少性のある材料を使ったわかりやすい表現から、歴史や文化に根差した職人の技巧や創造性へと転換しつつある。ファッション産業では、サヴォアフェール、クラフツマンシップといったキーワードで新たな価値を創出しようとしている。他方、「世界に残る伝統技法の70%が日本の技法」「伝統技法の継承が難しい」「継承したとしても若手はビジネスにつなげるのが難しい」という話も聞く。そうした日本の伝統技法を海外のラグジュアリー・ブランドが注視し、協業を始め、ラグジュアリーの価値として製品の提供を始めている。

では、日本ブランドによる日本の伝統技法の継承と活用した新しい価値の創出は可能なのか。「45R」の現在の店舗数は国内が37(実店舗35)、海外が22。顧客が多く、その顧客と積み上げた信頼関係がある。満を持して始めた伝統技法継承とビジネスの両立を目指す本プロジェクトは、興味深い事例だ。

The post 「45R」の「藍職人いろいろ45」は高額品が飛ぶように売れる店 客単価18万円 appeared first on WWDJAPAN.

児童養護施設の子どもら計1500人にスポーツ機会を提供 「バートン」創業者が始めたCHILL

スノーボードの「バートン(BURTON)」を手掛けるバートン ジャパンは、特定非営利活動法人CHILL Japanが主催する、児童養護施設やフリースクールの子どもたちを招いてのスノーボードプログラムに、ギアやウエアを提供しサポートしている。3月17、18日には、群馬・沼田のたんばらスキーパークに計70人の子どもたちを招待。CHILL Japanでは、阪神淡路大震災や東日本大震災などで被災した子どもたちも含め、これまで累計で1500人以上の子どもたちにボードスポーツの機会を提供してきたという。

家庭環境や経済環境の格差が、子どものスポーツ格差につながるといった指摘を聞く機会は少なくない。特にスノーボードなどのウィンタースポーツは、専用のギアが必要で、フィールドも市街地から離れていることが多いため、環境の差が体験格差につながりやすい。CHILLは、米バートン創業者の故ジェイク・バートン・カーペンターと現バートン会長でジェイクの妻のドナが1995年に立ち上げ、以来「より公平なアウトドアコミュニティーの育成と若者のキャリア構築」を目的に活動。「家庭的に困難で恵まれない子どもたちが、ボードスポーツを通じて現在置かれている状況を乗り越え、上達して自信を持つという経験を通して前向きに生きられるように勇気を与える」ことを目指している。

2003年にスタートしたCHILL Japanの代表理事を務めているのは、バートン ジャパン初代社長で、ジェイク夫妻とも親交が深かった小倉一男。「われわれの活動は、賛同していただける児童養護施設やフリースクールのほか、ギアメーカーや会場となるスキー場、現場をサポートしてくれるボランティアスタッフ、寄付をしていただいている方たちの連携によって初めて実現できる。これからも、子どもたちが自分自身の可能性に気づき、人生で成功していくチャンスを見つけるサポートをしていきたい」と小倉理事はコメントしている。

CHILL Japanでは今年、長野や兵庫でも招待プログラムを開催した。夏の期間はスケートボードなどで同様のプログラムを行なっている。

The post 児童養護施設の子どもら計1500人にスポーツ機会を提供 「バートン」創業者が始めたCHILL appeared first on WWDJAPAN.

米化粧品小売大手「セフォラ」がサステナブルな製品にラベルを付与 透明性を高める目的で

LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下の化粧品小売店セフォラ(SEPHORA)は、「セフォラでクリーン」と「セフォラでプラネット・アウェア」という2つのグローバル・サステナビリティ・シールの使用を4月に開始する。2つのシールは、セフォラが化粧品の処方や環境へのコミットメントの伝え方にルールを定め、透明性を高めることを目的とする。

ギヨーム・モット(Gillaume Motte)=セフォラ社長兼最高経営責任者(CEO)は「セフォラは、顧客とブランド・パートナー、店舗という3つのスーパーパワーを結集できる独自の地位を築いている」と話す。「小売業におけるグローバルなビューティ・リーダーとして、ブランドの努力を可視化したい。一方で、私たちも消費者に透明性を持って向き合い、我々とブランド、そして消費者で責任あるビューティ業界を築きたい。そのためにも2年の歳月を費やし、世界中の消費者が認識できるラベルを外部の環境や科学の専門家と開発した」と続ける。

デボラ・イエ(Deborah Yeh)=チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)は、「セフォラは2018年からサステナビリティに向き合ってきたが、それは局所的だった」と話す。プリヤ・ヴェンカテッシュ(Priya Venkatesh)=グローバル・チーフ・マーチャンダイジング・オフィサー(GCMO)は、「まずはアメリカで多くの専門家と協業して、独自の基準と認証ラベルを作った」と続ける。以降、セフォラは20年にこの取り組みをヨーロッパに応用、さらに別の地域へも広がった。ラベルの導入により、セフォラではサステナブルな品ぞろえが3倍以上に増えた。

「セフォラでクリーン」というラベルは、国際的な規制基準を満たし、特定の成分を避けた効果的な処方のブランドが含まれる。「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」や「フェンティ スキン(FENTY SKIN)」「ハウス ラボラトリーズ(HAUS LABORATORIES)」など133ブランドが認定された。もう一つの「セフォラでプラネット・アウェア」というラベルは、材料の調達と処方、パッケージ、企業としてのコミットメント、消費者への透明性に関してセフォラが設定した基準を満たす必要がある。40ブランドが認定される見込みだ。2つのシールは4月に北米とヨーロッパで導入し、5月に中東、9月にブラジルとメキシコと続く。中国への展開は25年を予定している。

The post 米化粧品小売大手「セフォラ」がサステナブルな製品にラベルを付与 透明性を高める目的で appeared first on WWDJAPAN.

障がいのある人と協働するショーイチ衣料品リサイクル インクルーシブな社会の一助に

アパレル余剰在庫買取の大手ショーイチ(大阪、山本昌一社長)が、近年衣料品のリサイクル事業にも注力していることは、「WWDJAPAN.com」でも既に何度か伝えてきた。山本社長や社員が衣料品リサイクル事業について取引検討中の企業に説明すると、特に注目を集めるポイントがあるという。それは、ショーイチがリサイクル事業の中で、障がいや疾患がある人を支援する就労継続支援事業所(以下、就労支援施設)と協働しているという点だ。障がいや疾患がある人、クライアント、そしてショーイチと、三方にとって利のある仕組みを構築している点が支持され、取引につながるケースが増えている。

障がいのある約450人に仕事を提供

衣料品リサイクルでは、衣料品を解体しタグやファスナー、ボタンなどを取り外す必要がある。想像以上に手間がかかるその工程で、ショーイチは就労支援施設と協働。ショーイチの自社グループで運営している5つの施設を中心に、計20の施設と取り組んでいる。これにより、障がいや疾患がある人約450人が仕事を得ているという。ショーイチでは、衣料品やインテリアファブリック、雑貨、化粧品といったカテゴリーの異なる在庫を一度にまとめて引き取ってリサイクルにつなげており、その点もクライアントに喜ばれているが、それも就労支援施設と組み、在庫の再仕分けをショーイチ内で行っているからこそ可能となっている。

「彼らの力なしには
リサイクル事業は成立しない」

「以前縁があって、就労支援施設でボランティアをしていた。その際、『障がい者は働く機会になかなか恵まれない』という悩みをよく聞いた」と山本社長。「複雑な作業であっても、適切に分けて丁寧に指導すれば障がいのある人も非常に頼りになるという実感が自分にはあっただけに、憤りを感じた」と続ける。そこで、ショーイチとして彼らに働く機会を提供できないかと模索し、就労支援施設と協働する今の形にたどり着いた。「彼らの力なしではショーイチのリサイクル事業は成り立たないし、今後もより多くの仕事の機会を彼らに提供したい。そのためにも、クライアントを増やしたい」。

「達成感を得て、
心も体も安定し始めた」

実際に、ショーイチのリサイクル事業に携わっている就労支援施設通所者は、仕事についてどう感じているのか。「体調不良が続いて休みがちだが、体調に合わせて作業を出してくれるので助かる」(40代女性)、「最初は全くできなかったハサミを使うタグカットも、今では得意なことに変えることができた」(30代男性)、「職員さんに丁寧に教えてもらって、少しずつ確実に作業ができるようになってきた。体力的にも精神的にも安定し始めた」(30代男性)。これらはショーイチが実施した通所者へのアンケートで集まった声だ。ショーイチのリサイクル事業が、インクルーシブな社会実現への一助になっていることが感じられる。

アパレルの“ある”と
障がい者の“ない”をマッチング

通常、余剰在庫は産業廃棄物として扱われるため、リサイクルする場合はブランドや小売店側がリサイクル事業者に対して料金を払う。しかしショーイチは、自治体から助成金を得て自社グループで運営している就労支援施設の仕事として、クライアントからリサイクル原料となる在庫を“買い取る”形になるため、クライアントにとってはショーイチと組むと在庫廃棄コストが減るというメリットもある。「アパレル企業側の“(余剰在庫が)ある”と、障がい者側の“(仕事が)ない”を、当社をハブに今後もうまくマッチングさせていきたい」と山本社長は話す。

PHOTO:SHINICHI YAMAGUCHI
問い合わせ先
ショーイチ
050-3151-5247

The post 障がいのある人と協働するショーイチ衣料品リサイクル インクルーシブな社会の一助に appeared first on WWDJAPAN.

繊維商社、コンサルから防災士へ ファッションと防災でパラレルに働く彼女の生き方

PROFILE: 古島真子/ColorfulBosaiCreation代表

古島真子/ColorfulBosaiCreation代表
PROFILE: 1990年、東京生まれ。お茶の水女子大学卒業。モリリン、デロイト・トーマツ・コンサルティング を経て2022年から一般社団法人unistepsでサステナブル・ファッションを軸に活動中。2021年からは防災士としても活動を始め、24年2月、株式会社ColorfulBosaiCreation(カラフル防災クリエイション)を設立。2011年、大学1年生のときに東京で東日本大震災を経験し、以降定期的に岩手県・陸前高田の仮設住宅集会所を訪問してきた。現在は神奈川県・茅ヶ崎市と陸前高田の2拠点生活を送っている。PHOTO:KAZUO YOSHIDA
ファッション関係者が集まる席で笛をネックレスとして身に着けている女性に出会った。日焼けしたサーファーの肌にその笛が似合っている。聞けば彼女は、繊維商社のモリリンなどを経て現在はunistepsでサステナビリティ×ファッションの仕事をする傍ら、防災士として活動しているという。笛は災害時に身を守るためだと教えてくれた。古島真子カラフル防災クリエイション代表、通称“まこぴ”がファッションと防災の世界をパラレルで生きるユニークなキャリアに至った理由を神奈川県・茅ヶ崎の浜辺で聞いた。

いつか救える誰かの命の数を1つでも増やせるはず

WWDJAPAN(以下、WWD):茅ヶ崎と陸前高田の2拠点生活をしているそうですね。

古島真子ColorfulBosaiCreation代表(以下、古島)::陸前高田には、学生だった2011年3月11日の東日本大震災の後からずっと通っており、大好きになって家を借り、生活をしています。今は復興支援などの活動をしているわけではないけれど、友人が遊びにきたときには、街の魅力はもちろん、震災遺構や伝承施設を案内したりしています。

WWD:モットーに掲げている“カラフル防災”について教えてください。

古島:防災について周囲に話すと、「防災グッズのリストを知りたい」とか「おすすめのリュックのメーカーは?」といったパッケージ化された情報を求められることが多いのですが、それぞれに住んでいる場所も家族構成も異なるから、防災セットひとつとっても十人十色なはず。100人いれば、100の個性に合わせて防災もカラフルであるべきだと思い“カラフル防災”と名付けました。

WWD:「防災をハッピーに伝える防災士」の肩書きもユニークです。

古島:散歩中にふと降りてきました(笑)。防災がなかなか広まらない理由は「お堅い」「脅迫観念から攻めてくる点」と考えています。そんな防災を180度転換させ、「なんだか楽しそう」「やったら人生までHappyになりそう!」、そんな風に感じてもらえる伝え方をすることで、いつか救える誰かの命の数を1つでも増やすことができるはず。

WWD:広まらない理由は、「防災」を「サステナビリティ」にそのまま置き換えられますね。

古島:そうなんです。実は防災より先に、エシカルファッションに関心がありました。大学生の時に、縫製工場の劣悪な労働環境を描くドキュメンタリー映画「トゥルーコスト」を観たことをきっかけに、エシカルファッションを卒業研究テーマにすることを決めて、学生時代はエシカルファッション関連のイベントやプロジェクトに通っていました。

WWD:だからキャリアのスタートは繊維商社のモリリンだった。

古島:「アパレル産業のマスを知らなければ課題解決はできない」と思い、モノ作りのど真ん中の繊維商社に新卒入社し、しまむらの営業と生産管理を担当しました。ファッション産業の課題はいろいろ言われるけど、絶対的な悪者はいない、理想を抱きつつ、利益を出さないといけない。そのジレンマを体感しました。5年間勤めた後、ステージアップを考え、色々な企業や業界を見ることができそうなコンサルに入社。大量のプレゼン資料を作り、ここで「誰かに何かを伝える方法」を身に着けたと思う。防災への関心が高まり、サステナブルファッションはもういいかな、と思っていた矢先の2022年にunistepsの求人を見つけて、入社。今はJSFA(ジャパンサステナブルファッションアライアン)の事務局業務などを通じたサステナビリティ×ファッションと防災をパラレルで活動しています。

防災士を目指したきっかけは3.11

WWD:パラレルであり、一致している2つの世界ですね。そもそも防災士を目指したきっかけは?

古島:2011年3月11日に発生した東日本大震災です。当時大学生だった私は、募金くらいしかできることがありませんでしたが、2011年に2回、「被災地」と呼ばれていた場所を訪れる機会がありました。1度目は震災から1ヶ月ほどのタイミングで当時所属していた遺児の就学支援や心のケアを行う団体でバスを貸切り、被災した東北地域を回りました。現状を見ることだけを目的とし、誰とも話さず、写真を撮ることも禁止されていたのですが、今でも目の奥に焼き付いて離れない海岸の光景があります。見渡せど、見渡せど瓦礫の山。ニュースで見たときは心のどこかで「人間様の力があれば数ヶ月位で修復できるだろう」なんて感じていましたが、この光景でかき消されました。そのときに、浮かび上がった「人間は、自然の力には勝てない」という感情が、私が防災を考えるときの根底にあります。

その後、仮設住宅集会所を学生が定期的に訪問して現地の方と一緒にコーヒーを飲んだり、お話しを聞かせてもらったりする活動が通っていた大学で始まりました。東京に戻るとよく「ボランティアに行ってて凄いね、偉いね!」なんて声をかけてもらったけれど、正直私はボランティの感覚は一切ない。むしろ優しく温かく迎え入れてもらい、私たちが受け取ってばかりという感覚を今でも持っています。

このときの活動を学術的に括るのはあまり好きではありませんが、もしかしたら、いわゆる傾聴ボランティアや心のケア的なことだったのかもしれません。災害が起きたときに何か被災地支援をしたい!と思い立って行動する時に、ニーズのミスマッチというものが多々発生します。私が同行させていただいた大学の先生方はそのミスマッチを発生させないように、自分達のできることを明確に伝え、「もし需要があれば」と丁寧にコミュニケーションをとっていました。国際協力をメインとした学部でボランティアやフィールドワークを長年専門としている教授たちだけあって、その行動力や動き方は今でもとてもリスペクトしています。後々気づいたことですが、非常に重要な、現地支援をしようとする上で必ず踏むべき工程だと思います。

「真子ちゃん、地震が来たらちゃんと逃げなきゃだめだよ」

WWD:この写真は?

古島:陸前高田の「うごく七夕祭り」です。2013年にこの祭りに出会ってしまったのが運の尽き。惚れ込んでしまい、その後社会人になっても約10年、毎年この日だけは皆勤賞で陸前高田へ通い続け、2023年にはついに住み始めました。

元々は防災に1ミリも興味がなかった私ですが、あまりにも大きい自然のパワー、それによるダメージの大きさ、年月を経て変わっていく街と人について自分の目で見て耳で聞き心で感じ、いつしか「防災って本当に大切だな」と心から思うようになりました。だけど、ひとたび東京に帰れば学校の勉強、アルバイト、友達との遊びが待っていて防災の優先度は最底辺。防災リュックの非常食の賞味期限が数年切れている、なんてこともザラでした。

WWD:ではなぜ防災士に?

古島:2018年ころ、居酒屋でお祭りメンバーと飲んでいた時、何の流れか、初めて3.11当時の話になりました。陸前高田出身の友達同士すらもお互いに話したことってなかったみたいで、「お前そんな状況だったのか」なんて言い合っていました。仲間を失っているのは当たり前で、中には自宅やご家族の命を失っている方もいました。自分がその時どんなリアクションを取ったのか覚えていないけど、一つだけ鮮明に覚えていることがあります。酔っ払いながらもそんな話をしてくれていた大好きなお兄さんのうちの1人が私の目を見て「真子ちゃん、地震が来たらちゃんと逃げなきゃだめだよ」と言ったことです。直感的に、「やばい」と感じました。私、こんなに陸前高田に通っているのに、何も防災していない、と。大好きな人が面と向かって伝えてくれているのに、東京で大地震が起きて怪我をしたり最悪死んだりしたら、この人達に顔向けできない……。そんな風に焦りを感じて、この時生まれて初めて防災が 「自分事」 になり、体系的に学ぶため「お金を払って防災士の資格を取る」選択をしました。

防災士の合格証だけで命は救えない。伝えねば

WWD:防災士とは、どういう資格ですか?

古島:国家試験ではなく、日本防災士会のテキストを使っての予習から始まり、2日間の座学、試験合格、救命救急実技を経て認定を受けます。過去の災害の特徴や教訓・自然災害発生の仕組み・避難所運営の注意点など、これまで知らなかった内容や分野も多く、勉強になりました。2020年5月に晴れて防災士の資格を手に入れましたが、合格証を手にした瞬間に、「あれ?この合格証を持っているだけでは誰の命も救えないぞ」と、違和感を覚えて。知識を持っているだけで行動を伴わなければ、周囲の防災状況は何も変わらないですからね。結果、「これは周りに伝えることに意義がある資格、防災の大切さや知識を発信していこう」という考えに落ち着きました。最初は表明することも恥ずかしくて、「あー、意識高い系ね」とか思われるのも辛かったですが、ウジウジしながらも細々と続けたことで応援してくれる周囲が増え気づけば会社員を辞めて防災をライフワークにするほどになっていました。人生はどう転ぶかわからないですね。

WWD:普段はどんな活動をしているのですか?

古島:SNSを通じた情報発信や防災イベントの開催などを行っています。企業向けセミナーは、ビーチクリーンで拾ったものを使ったキャンドル制作などワークショップを絡めて、自分事化しやすい内容を心がけています。今後は防災のパーソナルトレーニングに力を入れたい。防災版“ライザップ”みたいに性格や生活、持っている備品を一緒に棚卸してアクションを提案し、伴走する。エシカルも10年前はその言葉すら知らない人も多かったけど、発信する人が増えてロールモデルが登場したことで、広まってきた。同じ課題と可能性が防災にもあると思います。

ファッションやビューティの企業ができること

WWD:ファッションやビューティの企業が防災に取り組む場合、何から始めたらいいでしょうか?

古島:どの産業にも共通する3段階があると思います。第一は災害が起きたときに自社の社員の命を守ることができるか?そこをおざなりにして商品開発などをするのは本質的ではないと私は思います。次は、特に店舗であればお客様の命を守れるか。今年初めに羽田空港で起きた事故に見るJALの現場スタッフの対応は日ごろの訓練や教育のたまもの。素晴らしいとも言えるし、もし死傷者を出していたら企業の信頼を損失していたでしょう。防災訓練は後回しにしたり、形骸化しがちですがトップが意識をもって社員に徹底させることが重要です。最後に事業継続です。誰も見ない分厚いマニュアルを作って終わりではなく、事業を継続し経済を止めないためにもいざというときに本当に命を守れる本質的な防災を実行することです。

WWD:ファッションやビューティのビジネスを通じてできる防災活動はないでしょうか。

古島:災害からの復興には段階があり、発生直後は衣料はファッションではなく防寒など命を守り生き延びるためのものとして重要な役目を果たします。ただひとつエピソードとしてお伝えできるのは、陸前高田での避難所で数か月過ごしていた年配の女性が、支援物資の化粧品で久しぶりにお化粧をした後「女性として生き返った」と話していたのが印象的でした。昨日まで身だしなみに気遣っていた人がいきなり何もない環境に置かれて、「取材者に写真を撮られて本当にストレス、映りたくない」と話すのを聞いて、化粧は命にはかかわらないけれど人間の尊厳として大切なことなんだと知りました。

WWD:商品開発の観点からは?

古島:おしゃれでワクワクする防災グッズをぜひ生み出してほしい。ファッションやビューティの業界は見せ方が上手でワクワクするものを作ることが得意だから、防災のプロと協業してはどうでしょうか。私はポータブルバッテリーを必ず持ち歩いていますが、そっけないデザインだったので友人のデザイナーに頼んで可愛くしてもらいました。防災はひとつの業界があるわけではなく、製品によって企業が異なります。それらを束ねてブランディングするのもいい。レインコートなどの雨対策グッズは大きな需要がありますよ。災害と気候変動は密接ですからサステナブル×防災の発想も重要です。

WWD:2月には新会社、カラフル防災クリエイションを立ち上げました。今後の目標は?

古島:企業担当者や行政など、防災を伝えようとしている人と伝えたい相手を繋ぐ架け橋的な役割を担い、防災レベルの高い人の裾野を大きく広げることです。これまで個人向けに培ってきたハッピー&カラフルな防災の在り方を企業・行政向けにアップデートし、楽しくて自ら取り組みたくなる、かつ本質的な防災の在り方を日本社会に広めていきたいです。
若い人のロールモデルになることです。防災は大事だけど仕事にはならないから諦めます、という大学生も多い。それって社会の大きな損失だと思う。だから防災をビジネス化して、そういう志ある若い人たちを雇えるような企業に育てたいです。

The post 繊維商社、コンサルから防災士へ ファッションと防災でパラレルに働く彼女の生き方 appeared first on WWDJAPAN.

「ステラ マッカートニー」がカーラ デルヴィーニュを起用 大量の缶ゴミを背景に撮影


「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、環境活動家、モデル、そして俳優のカーラ デルヴィーニュ(Cara Delevingne)を起用した2024年サマーコレクションキャンペーンを発表した。撮影は英国・南ロンドンにあるリサイクル工場のヴェオリアで、廃棄物の塊を背景に行われた。

同コレクションは「95%が環境に配慮した素材から作られた、ブランド史上最もサステナブルなコレクション」と同ブランド。このキャンペーンには、増え続ける衣料廃棄物に対する警鐘を込めている。「世界で1年間に捨てられてしまう衣類の量は9200万トン、秒換算すると、毎秒トラック1台分の衣料が廃棄され、焼却または埋め立て処分されていることになる。埋立地に運ばれる衣料廃棄物の90%以上は再利用やリサイクルが可能であるにもかかわらず、再び衣料品として生まれ変わるのはそのうちの1%にも満たない。それどころか、繊維産業では、新たな衣料品を生産するために、毎年9800万トンもの再生不可能資源が消費されている」と説明する。

「ステラ マッカートニー」は、2017年からはリサイクル可能な再生ナイロン繊維「エコニール(ECONYL)」を使用することで、ナイロンの廃棄量をこれまでに10トン以上削減したという。また、リンゴや「ヴーヴ・クリコ(VEUVE CLICQUOT)」のシャンパーニュ製造過程で出るブドウの搾りかすを原料として、動物皮革に代わるヴィーガン素材の製品を製造するなど、産業共生型プロエクトにも取り組んでいる。さらに素材のリセールプラットフォーム「ノナ ソース(NONA SOURCE)」を通じて再利用するデッドストック生地など、リサイクル素材をサプライチェーンに組み込んでおり、アイコニックなバッグ“ファラベラ(FALABELLA)”のハンドルやライニングを始め、同コレクションのアイテムにも多く採用している。

The post 「ステラ マッカートニー」がカーラ デルヴィーニュを起用 大量の缶ゴミを背景に撮影 appeared first on WWDJAPAN.

「ステラ マッカートニー」がカーラ デルヴィーニュを起用 大量の缶ゴミを背景に撮影


「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、環境活動家、モデル、そして俳優のカーラ デルヴィーニュ(Cara Delevingne)を起用した2024年サマーコレクションキャンペーンを発表した。撮影は英国・南ロンドンにあるリサイクル工場のヴェオリアで、廃棄物の塊を背景に行われた。

同コレクションは「95%が環境に配慮した素材から作られた、ブランド史上最もサステナブルなコレクション」と同ブランド。このキャンペーンには、増え続ける衣料廃棄物に対する警鐘を込めている。「世界で1年間に捨てられてしまう衣類の量は9200万トン、秒換算すると、毎秒トラック1台分の衣料が廃棄され、焼却または埋め立て処分されていることになる。埋立地に運ばれる衣料廃棄物の90%以上は再利用やリサイクルが可能であるにもかかわらず、再び衣料品として生まれ変わるのはそのうちの1%にも満たない。それどころか、繊維産業では、新たな衣料品を生産するために、毎年9800万トンもの再生不可能資源が消費されている」と説明する。

「ステラ マッカートニー」は、2017年からはリサイクル可能な再生ナイロン繊維「エコニール(ECONYL)」を使用することで、ナイロンの廃棄量をこれまでに10トン以上削減したという。また、リンゴや「ヴーヴ・クリコ(VEUVE CLICQUOT)」のシャンパーニュ製造過程で出るブドウの搾りかすを原料として、動物皮革に代わるヴィーガン素材の製品を製造するなど、産業共生型プロエクトにも取り組んでいる。さらに素材のリセールプラットフォーム「ノナ ソース(NONA SOURCE)」を通じて再利用するデッドストック生地など、リサイクル素材をサプライチェーンに組み込んでおり、アイコニックなバッグ“ファラベラ(FALABELLA)”のハンドルやライニングを始め、同コレクションのアイテムにも多く採用している。

The post 「ステラ マッカートニー」がカーラ デルヴィーニュを起用 大量の缶ゴミを背景に撮影 appeared first on WWDJAPAN.

スノーボードの「バートン」、今年も太陽光で簡易リフトを動かすイベントに協賛

スノーボードの「バートン(BURTON)」を手掛けるバートン ジャパンは一昨年、昨年に続き、太陽光発電で簡易リフトのロープトーを動かし、スノーボードやスノースケートを楽しむイベント「フューチャーラボ」をサポートしている。同イベントはスノーボードカルチャー誌「ディギンマガジン」が主催。今年は3月30、31日に山形・鶴岡の湯殿山スキー場で開催される。

初回の一昨年は曇天や雪不足で太陽光発電によるロープトーの稼働は叶わなかったが、昨年4月8、9日に湯殿山スキー場で行った際は、天気に恵まれて太陽光発電でのロープトー稼働に成功した。「ディギンマガジン」によれば、太陽光発電でのロープトー稼働はこれが日本初だったという。ロープトーは通常のチェア型リフトよりも、小さなエネルギーで稼働ができるのが特徴。

イベントのサポートにあたり、バートン ジャパンは「日本各地の雪国では近年、気候変動による降雪の減少やコロナの影響、施設の老朽化などで、ローカルスキー場が閉鎖するケースが増えている。莫大なコストがかかるリフトの稼働も、スキー場の経営を圧迫する要因の一つ」とコメント。「太陽光発電と蓄電の併用や、バイオディーゼルを利用することでコストを抑えてロープトーを稼働させられるようになれば、中小規模のスキー場が経営継続の活路を見出すと共に、スキー場跡地の有効活用などにつながる可能性もある」と意図を説明する。山をフィールドとして楽しむブランドとして、スキー場が抱える課題やその解決に向けた取り組みをイベントを通して広く発信するのが狙いだ。

「フューチャーラボ」は、昨年と同様に地形変化を楽しむ滑走イベント「ドリームセッション」とのコラボレーションとして開催。イベント2日目の31日は、湯殿山スキー場の今季の営業最終日となる。米バートンは2019年に、スノーボードメーカーとして初めてBコープ認証を取得している。

The post スノーボードの「バートン」、今年も太陽光で簡易リフトを動かすイベントに協賛 appeared first on WWDJAPAN.

スノーボードの「バートン」、今年も太陽光で簡易リフトを動かすイベントに協賛

スノーボードの「バートン(BURTON)」を手掛けるバートン ジャパンは一昨年、昨年に続き、太陽光発電で簡易リフトのロープトーを動かし、スノーボードやスノースケートを楽しむイベント「フューチャーラボ」をサポートしている。同イベントはスノーボードカルチャー誌「ディギンマガジン」が主催。今年は3月30、31日に山形・鶴岡の湯殿山スキー場で開催される。

初回の一昨年は曇天や雪不足で太陽光発電によるロープトーの稼働は叶わなかったが、昨年4月8、9日に湯殿山スキー場で行った際は、天気に恵まれて太陽光発電でのロープトー稼働に成功した。「ディギンマガジン」によれば、太陽光発電でのロープトー稼働はこれが日本初だったという。ロープトーは通常のチェア型リフトよりも、小さなエネルギーで稼働ができるのが特徴。

イベントのサポートにあたり、バートン ジャパンは「日本各地の雪国では近年、気候変動による降雪の減少やコロナの影響、施設の老朽化などで、ローカルスキー場が閉鎖するケースが増えている。莫大なコストがかかるリフトの稼働も、スキー場の経営を圧迫する要因の一つ」とコメント。「太陽光発電と蓄電の併用や、バイオディーゼルを利用することでコストを抑えてロープトーを稼働させられるようになれば、中小規模のスキー場が経営継続の活路を見出すと共に、スキー場跡地の有効活用などにつながる可能性もある」と意図を説明する。山をフィールドとして楽しむブランドとして、スキー場が抱える課題やその解決に向けた取り組みをイベントを通して広く発信するのが狙いだ。

「フューチャーラボ」は、昨年と同様に地形変化を楽しむ滑走イベント「ドリームセッション」とのコラボレーションとして開催。イベント2日目の31日は、湯殿山スキー場の今季の営業最終日となる。米バートンは2019年に、スノーボードメーカーとして初めてBコープ認証を取得している。

The post スノーボードの「バートン」、今年も太陽光で簡易リフトを動かすイベントに協賛 appeared first on WWDJAPAN.

フランス下院、ファストファッション罰則法案を全会一致で可決 「シーイン」などが対象に

フランスの国民議会(下院)は、ファストファッション広告の禁止や低価格の輸入品に対して罰金を科す法案を全会一致で可決した。この後、上院に送られる。この法案が施行されれば、2025年から低価格の衣料品1点当たり5ユーロ(約813円)の罰金が科され、30年までに段階的に10ユーロ(約1630円)まで引き上げられる。なお、罰金は最大で1点当たりの半額までとなる。

納付された罰金は、国民の意識向上キャンペーンや、フランスで新たに実施する衣料品と靴の修理プログラムの宣伝、持続可能な衣料品ブランドの支援に使われる。

同法案は、EC事業者に焦点を当てたもので、「ザラ(ZARA)」や「H&M」のように国内に実店舗を持つブランドは除外されている。議員による議論の多くは、ファストファッション大手の「シーイン(SHEIN)」に終始し、同社が1日当たり7200の新しいスタイルを提供し、47万点以上の商品を販売しているという統計を引用した。

「シーイン」は、この法律は消費者の購買力を悪化させるものであり、特定の企業を名指しすべきではないと反論した。同社は、「“ファストファッション”の定義は非常にあいまいなまま」であり、すべてのファッションブランドに影響を与えるはずだと述べた。また、米「WWD」の取材に対して、「当社は一貫して、一小売事業者が提供する数字は企業の環境への影響を示す適切な指標にはなり得ないことを強調してきた。これはファッション業界に対する無理解を示すものだ」とコメント。また、法律は生産量ではなく販売率に基づくべきであり、同社の衣料品の売れ残り率は“常に一桁前半”であると述べた。

The post フランス下院、ファストファッション罰則法案を全会一致で可決 「シーイン」などが対象に appeared first on WWDJAPAN.