頭髪化粧品メーカーの中野製薬はビューティに携わる美容師が自身の思想や感性を表現すること自体がアートであると捉え、自分らしいビューティをデザインして欲しいという思いを込めた4カ月のロングランイベント「BEAUTY IS ART」を開催した。異なる分野の“美”を取り入れて表現するワークショップ「共創アート」、トップスタイリストたちから学ぶ「ライフハックセミナー」、ビューティが持つポジティブな力を発信する「#美容の力を未来へ」の3つのコンテンツで構成。10月26日にはWITH HARAJUKU HALLにてファイナルイベント「BEAUTY IS ART FINAL」を開催した。
ファッションの感性を学び
ビューティに落とし込む「共創アート」
「BEAUTY IS ART」の目玉コンテンツ「共創アート」は、ファッションデザイナーの山縣良和氏を講師に迎え、約4カ月にわたり全5回のワークショップを行った。「ゲーム」「リム」「ミンクス」「オブ ヘア」「ロージー」「ゼル」から、若手スタイリスト・アシスタント18人が参加。ビューティと親和性の高いファッションの感性を学び、「ビューティとは何か」という問いに挑んだ。最終回の撮影に向けて1サロンごとに2~4名のグループとなって、自分の原点から発想した1つのテーマを設定。撮影はこの企画のためにオファーした気鋭のフォトグラファー野村佐紀子氏、川村優人氏、リュウ・イカ氏の3人が担当した。なお、「共創アート」で出来上がった作品は「デザイナートトーキョー2021」内で展示した。「BEAUTY IS ART FINAL」では「共創アート」の発表会を実施。山縣氏と参加した美容師が登壇し、作品が完成するまでの過程や苦労、学びを語り合った。
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「ゲーム(GAME)」の作品©️2021 RYU IKA
植木鉢を持って背景を作るなど、その場その場のアイディアで撮影してもらうことは初めて。とても貴重な経験になった(大内雅斗「ゲーム バイ アランスミシー」原宿スタイリスト)話をしていくうちに、削ぎ落として表現していこうとまとめることができた。みんなで着地点を決められたことが良かった(高梨峻一・同ディレクター)
「リム(LIM)」の作品©️2021 MASATO KAWAMURA
僕たちは完成図を用意して撮影に臨んだ。サロンワークではお客さまのヘアをライブで作っていくので、事前に完成図を作ることはあまりない。いつもと違う作り方はトレーニングになった(キムラリョウ「コード プラス リム」スタイリスト)ファッションをしっかりと勉強することで、表面的ではなく芯のある作品ができた(朝居采音「ドット プラス リム」スタイリスト)
「ミンクス(MINX)」の作品©️2021 SAKIKO NOMURA
これまでにも撮影はしてきたが、ペアで作るのは今回が初めて。限られた時間の中で良いものを作ることが勉強になった。参加サロンの中でアシスタントは自分たちだけだったが、ほかのサロンの発表を見ることや、山縣さんの考え方や意見を聞くことで、経験が少ないながらも吸収していいものを作ることができた(満田伸一「ミンクス」青山店アシスタント)
「オブ ヘア(Of HAIR)」の作品©️2021 SAKIKO NOMURA
3人で作品を作ることはこれまでにはない経験で、方向性をまとめることに苦労した。グループを組んだ2人はどちらも先輩で、最初は遠慮したけれどいいものを作るために抑えずに、自分の意見を伝えられるようになった。それぞれが本気でぶつかることで、磨かれていくことを学んだ(横山葵「オブ ヘア」表参道店スタイリスト)
「ロージー(Rougy)」の作品©️2021 MASATO KAWAMURA
これまでは作り込むことが多かったのでメイクのヨレをあえて取り入れるなど、自分たちの発想にはなかった視点を取り入れることができた(渡邊健太「ロージー」スタイリスト)頭の中にあるものを形にできないもどかしさを感じ、初心に戻れた。綺麗に作ることが全てではない。崩していく過程で出来上がる作品もあるということを学んだ(江良栞・同スタイリスト)
「ゼル(ZELE)」の作品©️2021 RYU IKA
ワークショップでは既存の写真やイメージを使わずにプレゼンをするようにと山縣さんからオーダーがあった。自分でデッサンをするなどして自分の中から生み出すこと、つまりは自分のルーツを大事にすることがクリエイトするには欠かせないことを知った。あえて綺麗なものを作らないことは一つの挑戦で、今後の美容人生でも挑戦するための糧になった(三浦壮広「ゼル」テラスモール松戸店スタイリスト)
「共創アート」の講師を務めた山縣良和「リトゥンアフターワーズ」デザイナー・“ここのがっこう”代表は、今回の取り組みについて次のようにコメントした。「ファッションデザインは、客観性を重視している。今回はそれが写真家とのコラボによって、できたのではないだろうか。ヘアだけに寄った作品性とは異なり、客観性のある作品には人間像が表現されていると考えている。ビューティもファッションも“新しい人間像”を作ろうとすることでは同じ仕事。面白いチャレンジができた」
「BEAUTY IS ART FINAL」では
トップスタイリストによる
「ラフハックセミナー」も実施
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「共創アート」参加美容師によるトークセッションのほか、広江一也「ノラ」代表、エザキヨシタカ「グリコ」代表、上原潤一郎「マジコ」代表による「ライフハックセミナー」を行った。美容を軸にファッションやアートなど広く事業を展開する3人が、“教育”“リクルート”“集客”をテーマに先行き不透明な時代を美容師として生き抜くために必要なビジョンを語り合った。
「新型コロナウイルスの感染拡大によって、答えが全くわからない時代に突入した。そんな中でどうやって常識を疑いながら、新しいことにチャレンジするか。“答え”よりも“問い”をいかに作って、高速でこなすかが必要だ。常に進化しながら、勉強しながらやっていきたい」といったコメントが上がった。
参加型企画「#美容の力を未来へ」
コラージュアートを制作
「#美容の力を未来へ」は、美容が持つポジティブな力をSNS上で拡散させていく参加型企画。施術によって笑顔になったお客さまの写真や、美容師の笑顔の写真、施術後に素敵になったお客さまと美容師のツーショット写真を募集してコラージュアートを制作した。
中野孝哉・中野製薬社長は「1050枚もの写真が集まった。美容師は人々を明るくして、笑顔にする力を持っていることを発信したかった」とコメント。東京メトロ・表参道駅構内にも展示され、エンドユーザーに向けた発信に取り組む。
「BEAUTY IS ART FINAL」の模様は全編アーカイブ配信中だ。ビューティとファッションをかけあわせた「共創アート」の作品や、アフターコロナを見据えた経営者による「ライフハックセミナー」は美容師にとどまらず、一般の人も楽しめる内容になっている。
中野製薬
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