「リン」がカシミアリメイク「ア ラブムーブメント」と協業 LAで見出した一点物の可能性


「リン(WRINN)」は今夏、カシミアリメイクブランド「ア ラブ ムーブメント(A LOVE MOVEMENT)」とのコラボアイテムをLAのセレクトショップ「マックスフィールド(MAXFIELD)」限定で販売した。川島幸美「リン」デザイナーは、2020年のブランド立ち上げ時からサステナビリティを前提とした服作りに取り組むも、環境配慮型素材の選択肢の狭さなどに悩んできた。そんな彼女が「光が見えた」と話すのが、協業による一点物の取り組みだ。

一切のゴミを出さないカシミアのリメイク

コラボのきっかけは川島デザイナーが昨年、LAの「ア ラブ ムーブメント」のアトリエを訪れたことだったという。同ブランドはLAを拠点に活動する大久保鉄三デザイナーが手掛け、現在は「マックスフィールド」限定で販売し、カシミアのリメイクアイテムのほか、オーガニックコットンを使用したリラックスウエアなどもそろえる。早くから廃材や古着を用いたリメイク作品を展開してきた、アップサイクルの分野の第一人者的存在だ。ブランドとして初めて作った1点物のリメイクのカシミアジャージーが「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の会員制サロンで販売されたり、「レディメイド」や「アミリ(AMIRI)」「ダミアンハースト(DAMIEN HIRST)」などともコラボしたりと独自のビジネススタンスを貫いている。顧客にはレッド・ホット・チリ・ペッパーなど、LAのスターたちが名を連ねる。

川島デザイナーは「大久保さんのアトリエでは、小さな端切れもワッペンに活用するなど、とことんゴミを出さない。そのプロジェクトを目の当たりにして感銘を受けた」と話す。そして「大久保さんから “レディースコラボしたらどんな化学反応が起きるか見たいので作らないか?”と話をもらい、ぜひぜひとなりました」と協業の起点について振り返る。その後はしばらく、LAと東京間で作業を進めた。「大久保さんは全部手作業で、ボディとなるカシミア部分のサイズも一点ずつ異なるので、それに合わせて私の方も裁断から縫製まで全て自分で作った」という。

「マックスフィールド」での限定アイテム発売には前段に別のストーリーがある。「リン」は今夏、米国ロサンゼルスのセレクトショップ、「ルームメイツ(ROOM MATES)」で初の海外ポップアップを開催し、コラボアイテムもそこに向けて準備を進めてきた。同ポップアップではほかに、「リン」が得意とするバンブーやオーガニックコットン、ペットボトルリサイクルポリエステル素材を使ったオリジナルアイテムを扱った。そのポップアップを開催中に、2人は即アトリエに入り、大久保デザイナーによるリサイクルカシミアのボディに、川島デザイナーによるペットボトル由来のリサイクルポリエステルのチュールを使用しアレンジを加えた、$2,400(約35万円)のブルゾン4点を手作業で製作した。

「マックスフィールド」のバイヤーに仕上がったコラボアイテムの写真を送ると即日でオーダーが入り即納品。納品翌日には3点売れるという猛スピードの展開だった。川島デザイナーのインスタグラムでは、糸と針を持ち仕上げてゆく様子を残しており、デザイナーとして作る喜び、それが売れる喜びが伝わってくる。

日本では得られない、店頭での手ごたえ

この結果にはLAというマーケットの特性も関係ありそうだ。川島デザイナーは、ポップアップで接客にあたり、一見客の反応に「驚いた」と振り返る。店を訪れるのは地元の人、エンターテインメント業界関係者やツーリストなどで、その多くがウェルネス志向で環境問題にも関心を寄せたという。「再生素材やサスティナブルな取り組みを説明すると、興味を示してくれて、初めて見るブランドでも購入してもらえた」。売れ筋は、朝夕肌寒いLAならではの長袖ニット。「日本では得られない予想以上の反応と成果だった」と手ごたえを感じた。

その手ごたえは、日本でモノづくりをしながら感じていたジレンマと対照的だ。「リン」は、女性らしいシルエットなどが特徴で、素材にこだわる。しかし、生地メーカーが打ち出す環境配慮型素材にオーダーを入れても「量産しなくなった」と度々キャンセルになり、オーガニックコットンを望むもテキスタイルデザインのバリエーションは乏しいと感じてきた。欲しい素材が手に入らず、進む先が見えづらくなっていたタイミングで見えたLAで「一点物」の可能性だった。

「長くデザイナーをしてきて、仕事の進め方がルーティーンになっている。新しい生地を買って、服を作って売る、その仕組み自体を見直すタイミングなのだろう。ヴィンテージや古着を大切に循環させ1点ものの価値を再認識することが、地球環境を守る一番の近道かもしれない。いろいろな方面から可能性を探り、モノづくりの根本を変えてみようと思う」。今後「リン」とはレーベルを分け1点ものに関しては「ユキミ.K(YUKIMI.K)」として活動していく予定で、「ア ラブ ムーブメント」とのタッグで一点物を持って世界のセレクトショップを巡回する企画も構想中だ。

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特殊化学品メーカーのイーストマンケミカルが「WWDJAPAN」のイベントに登壇 「サステナブル素材は360度、全体を見るべき」

「WWDJAPAN」は9月9日号のサステナビリティ特集「How to be a Sustainable Apparel」を振り返るリアルイベントを9月17日に開催した。セミナーは2部構成で、東急プラザ原宿「ハラカド」の3階にあるカフェ&バー「BABY THE COFFEE BREW CLUB」で行った。

第1部では、井野将之「ダブレット(DOUBLET)」デザイナーと徳永裕美リトルリーグ カンパニーオフィサー 兼 ロンハーマン事業部 デザイン生産部部長、向千鶴「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターがトークを繰り広げ、サステナビリティ×アパレルなモノづくりについてプレゼンテーションした。

第2部は「環境配慮型の素材とは?」をテーマに、国際的な特殊化学品メーカーであるイーストマンケミカルのルース・ファレル(Ruth Farrell)=ジェネラル・マネジャー(GM)と、福井県のテキスタイルメーカー、明林繊維の村上貴宣社長が登壇。木材パルプ(セルロース)に廃棄物由来の再生プラスチックを組み合わせたイーストマンケミカル独自のジアセテート繊維“ナイア・レニュー”を題材に、再生カーボンテクノロジーなどについて対談した。

対談は「サステナブルな素材は何か」という問いかけからスタート。ファレルGMは「持続可能であるということは、それらの周囲を取り巻く360度を見るべきだ」と言い切った。「原料の調達から製造工程、製品の完成に至るまで、全てをチェックする必要がある。世界には廃棄という大きな問題があり、どのような繊維であっても『持続可能である』と主張するためには、リサイクル素材や循環型の材料を使用しているかが重要だ。また、社会に対する配慮という視点も欠けてはいけない」とコメントした。

企業にとって悩ましいのは、環境配慮と収益性の両立だ。「サステナブルな素材と、安価な素材で悩む際はどう判断するか?」の問いには、明林繊維の村上貴宣社長は「地球環境の保護と、産地の持続化を大切にしているため、当社は必ずサステナブルな方を選択している。理由は、企業イメージアップにつながるから。そして最終的にその判断が利益にもつながると考えている」と回答。ファレルGMは環境配慮型素材は高額である、というとらえ方自体がすでに過去のものになりつつある前提で、「高価なものから安価なものまで、価格の幅が広まっている。5〜10年前はラグジュアリーブランドが取り入れていたが、昨今はファストファッションブランドでも使われるようになってきた。そして、“ナイア・レニュー”がそうであるように、エレガントなアパレルのデザインにも対応できるなど、バリエーションが広がっている。サステナビリティの勢いは年々増しているため、ファッション業界でも『持続可能かどうか』が求められるようになってきている」と語った。

イーストマンケミカルはアメリカ・テネシー州の化学製造企業で、気候変動や廃棄物の危機、そして世界への配慮の3つの課題に取り組み、生活の質を高める素材の製造に注力。「持続可能なテキスタイルをすべての人が利用可能にする」をビジョンに掲げ、日本市場での販売数拡大を目指している。

問い合わせ先
イーストマンケミカル
03-5469-7624

 

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米フットウエア「キーン」のPFASフリーへの道 2018年に達成できた理由

環境影響が大きく日本でも注目を集めるPFAS(ピーファス、有機フッ素化合物)。現在多くのブランドがPFASフリーに向けて取り組んではいるが達成した企業は少ない。そこで注目したいのが、米ポートランド発のアウトドア・フットウエア「キーン(KEEN)」だ。同社は2018年にPFASフリーを達成、21年からは他社がより短時間で達成できるよう、同社が約1万時間、4年を要したPFASフリーへのプロセスを「グリーンペーパー(GREEN PAPER)」としてオープンソース化した。なぜ「キーン」は早々に達成できたのか。キルステン・ブラックバーン(Kirsten Blackburn)=「キーン エフェクト」ディレクターとローレン・フッド(Lauren Hood)=同シニア・サステナビリティ・マネジャーに聞く。

PROFILE: (左)キルステン・ブラックバーン/「キーン エフェクト」ディレクター (右)ローレン・フッド/「キーン エフェクト」シニア・サステナビリティ・マネジャー

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(左)キルステン・ブラックバーン/「キーン エフェクト」ディレクター<br />
(右)ローレン・フッド/「キーン エフェクト」シニア・サステナビリティ・マネジャー
PROFILE: ブラックバーン:コンサベーション・アライアンスのアドボカシー・ディレクターを経て現職。現在、社会的・環境的インパクト活動(コミュニティ投資やパートナーシップから気候変動対策まで)の戦略と実施を監督する。「キーン・エフェクト」は「キーン」の社会貢献・環境保護活動。モンタナ州ミズーラのラトルスネーク原生林のそばで幼い双子とパートナーとともに暮らす フッド:ニューヨークのウィメンズウエアブランドで、持続可能な製造に焦点を当てた生産管理に従事。ニューヨーク滞在中にコロンビア大学でサステナビリティ・マネジメントの修士課程も修了。その後サステナビリティ・コンサルタントとして小売業界大手企業のESG戦略や報告書に関するアドバイスを行い。「キーン」では製品の製造方法の改善と環境負荷低減のためのシステム作りを担当。ミネソタ州ツインシティーズで夫と娘とともに暮らす

サプライヤーへは化学物質制限の依頼だけでなく代替物質を提案

 「キーン」がPFASフリーに取り組み始めたのは2014年のこと。きっかけはフットウエアの専門家にフットウエア製造における懸念点を聞いたことだった。「夜も眠れなくなるような問題はPFASだと指摘された。さまざまなものに使われているのにコントロールが非常に難しいうえ、その広がりを十分に把握できない。さらにどのような悪影響を及ぼすかがわからない点を指摘された」とキルステン・ブラックバーン=エフェクトディレクターは語る。PFAS(パーフルオロアルキル、ポリフルオロアルキル物質)はパーフルオロケミカル(PFCs)とも呼ばれ、約4700種類のフッ素化合物を含む人工化学物質群で、アウトドア用品やフットウエアの撥水・防汚加工に使われている。その残留性の高さから「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれる。分解されにくく環境に残留し、食物連鎖にも入り込んでいるやっかいな物質だ。「社内で議論を進め、PFASへの理解を深めると製品に使用すべきではないことが明らかになり、”解毒の旅“を始めることになった。『キーン』の信条のひとつに“Do the right thing(正しいことをする)”がある」とローレン・フッド=シニア・サステナビリティ・マネジャーは語る。

 しかし、複雑なサプライチェーンでサプライヤーの協力を得てPFASの使用を把握して除去し、代替薬品を見つけて同等の機能性を担保するのは容易ではない。「生地、部品、トリムなど各サプライヤーと緊密に連携し、当社が求める基準を理解してもらうことが重要だった。それは現在も続いていて終わることのない大変な仕事。PFASフリーは当社が達成した素晴らしい成果のように見えるかもしれないが継続中であり、本当に安堵できることではない」とフッド・マネジャーは言う。

初期に取ったいくつかのステップがその後の進展につながった。「特にフットウエアに特化した制限物質リストと化学物質管理方針を迅速に作成し、全てのサプライヤーに説明した。この基準を遵守することを約束してもらうことが、その後の作業を少し容易にしたファーストステップだった」とフッド・マネジャーは振り返る。しかし、PFAS以外の物質で撥水・防汚加工するのは簡単ではないし、代替加工はどのように実現したのか。「当社が靴に適用するPFASフリーの防水加工を実現できる化学物質をリサーチしてサプライヤーに提示した。代替加工は安全性、効果、手頃な価格という3つの要素を満たすことを追求した。幸いにもPFASフリーの撥水材を製造しているサプライヤーがいたので、その撥水材のテストを当社で行い採用した」とフッド・マネジャー。特に大変だったのは「素材によって異なる耐久性や撥水性の反応を示すことから、素材と化学物質の適応性について理解する必要があったこと。幸いサプライヤーの一社に化学者がいてその研究で明らかになった」とフッド・マネジャー。「キーン」の撥水・防汚加工の多くはアッパー生地に塗布した耐水撥水加工(DWR)と内側の独自開発した防水透湿機能を備えたメンブレン“キーン・ドライ(KEEN.DRY)”、2つの技術によって実現している。いずれも最適な代替薬品を見つけることができた。

オーバースペックを求め過ぎていないか

 そもそもPFASフリーに向けてどの製品に使われているかを確認する過程で、撥水・防汚加工が必要なのかを見直したという。「素材や部品への撥水・防汚加工について最初に私たちが使用状況を見直したところ、65%が不要であることが分かった。これらは防水加工が施されているものの、必要のない機能だった。例えば、水辺で履く/水に入ることを想定したサンダルなどだ。足は濡れるが、サンダルの素材に防水加工は必要なく濡れてもすぐに乾く素材であればよいからだ」とローレン・マネジャーは話す。

また、製品のPFASを除去したとしても製品テストをしたときにPFASが検出されたとも明かす。「なぜ検出されたのかを突き止めるために多くの調査とテストを行う必要があった。「PFASはDWRとして使用されるほかに、オイルやグリースなどをはじく目的でも使用されていることが分かった。パームオイルのように機械に吹きかけることもあり、非常に広範囲に使用されており、さまざまな部品にPFASが付着していたことが確認された」とブラックバーン・ディレクターは振り返る。「PFASを意図的に使わないことは可能でも100%混入していないと言い切るのは非常に難しい。当社の製品も製品に使用していなくてもPFASの化学物質テストはごくごく微量に検出されることがある。意図的な使用とそうでない使用に大きな違いがあり、当社は意図的には使用していない。けれど、そういった意味で当社は95%+PFASフリーと表現している」とフッド・マネジャーはいい、「包装材にリサイクル素材を使用した場合、PFASが含まれている可能性があることも分かった。当社は現在包装材も含めてテストを行っている」と加える。PFASの完全除去に向けて試行錯誤が続いている。

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「ケリング」が環境と社会にポジティブな影響をもたらすことができる企業11社を選出

ケリング(KERING)は、同社が今年日本で開始したアワードプログラム“ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン”の上位11社を発表した。同11社はメンターシップセッションや集中支援プログラムの参加後、11月8日に上位3社を決めるファイナルピッチに進む。上位3社にはファッションとビューティ分野のイノベーションリーダーとの交流を目的としたヨーロッパ研修の機会を始めとする特典が提供され、最優秀企業には、賞金1000万円が授与される。なお、ファイナルピッチはオンラインで視聴可能だ。

“ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン”はサステナブル・ファッションとビューティ業界において環境と社会にポジティブなインパクトをもたらすイノベーションを発掘することを目的として今年3月に日本で開始した。代替原材料・素材/製造工程(グループA)とリテール / 消費者エンゲージメント(グループB)というサブテーマごとに募集を募った本プログラムには120社を超えるスタートアップ企業および研究者からの応募が寄せられた。上位3社の発表は2025年3月に東京で行われる。

ファイナリストピッチ概要

◾️“ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン”ファイナリストピッチ(オンライン配信・事前登録制)
日程:11月8日
時間:15:00〜17:00
場所:ケリング ジャパン本社
配信リンク&イベントページ

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「H&M」が2025年までにバージンダウンの使用廃止 リサイクル素材に置き換え

「H&M」は、2025年までにバージンダウンの使用を廃止する。代わりに、ポスト・コンシューマー材(消費者が使用した後の製品を原料としたリサイクル素材)などに置き換えを進めていく。

同社は、「今回の決断は、使用する全素材をリサイクルまたは環境に配慮した形で調達したものに置き換えていくという当社のサステナビリティ戦略の一環だ。現在すでに約9割のダウンおよびフェザーにおいて、ポストコンシューマー材への置き換えが完了している」とコメント。年内には具体的な数値を調査予定だという。

動物愛護団体PETAなどが要求

背景には、動物愛護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals)のほか、俳優のホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)らも同社に対してダウンの使用廃止を要求していたことがある。PETAは声明で、世界各地のH&M店舗で行った数々のデモの成果が実を結んだことや株主決議に際して同団体の要求を支持する15万通を超える手紙を受け取ったことなどについて触れた。

PETAの上級副会長ジェイソン・ベイカー(Jason Baker)は、「H&Mのこの決断は、アヒルやガチョウにとって大きな勝利だ。PETAはこの前向きな一歩を称賛し、他の小売業者にも同様に、残酷な羽毛産業から利益を得ることをやめるようと強く促している」とコメントした。

「H&M」は21年にはPETAと協業し、動物由来の素材を使用しないビーガン・コレクション“コーイグジスト・ストーリー・コレクション(Co-Exist Story Collection)”を発表している。このコレクションでは、ダウンの代わりに野生の花から作られたセルロース素材“フラワーダウン(FLWRDWN)”やブドウの皮を原料とした人工レザーを活用して製作するなど、動物由来素材に依存しない選択肢を模索している。

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ワコールが毎年恒例の無料ブラジャー回収サービスをスタート 不要のブラを最寄り店に持ち込むだけで再生資源に

ワコールは10月、毎年恒例で行っている“ワコール ブラ リサイクル”キャンペーンをスタートした。ブラジャーはさまざまなパーツが使用されているため、ゴミとして捨て難いアイテムだ。その声に応え2008年に始まったのが同キャンペーンで、不要になったブラジャーを、全国のワコールの店舗をはじめ、専門店や「ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)」などのグループ店舗、ワコールウェブストアなど約800店舗で回収している。回収したブラジャーは、リサイクル企業のJEPLAN(旧、日本環境設計)によるプロジェクトBRINGの提携工場で再生プラスチックなどの循環原料に生まれ変わる。

費用は無料。ブランドは問わず、ワコール以外のブラジャーも受け付けているので、不要なブラジャーを処分するには、便利なキャンペーンだ。

キャンペーン参加の流れはシンプル。不要なブラジャーを袋に入れて回収実施店舗に持ち込みスタッフに渡すだけだ。持ち込まれた袋は開封されることなくBRING提携工場でリサイクルされる。ワコールウェブストアでの回収は、“ブラリサイクル専用回収袋”(100円、送料別)を注文し、郵送すればOK。

会期は2025年3月末日まで。

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高島屋が「ブジガヒル」と共にアップサイクルプロジェクトを実施 手持ちの古着をリメイクウエアに

高島屋は環境問題に向き合う取り組みとして、同施設のメンズセレクトショップ、CSケーススタディとウガンダ共和国の首都カンパラを拠点とするブランド「ブジガヒル(BUZIGAHILL)」のコラボレーションプロジェクトを実施する。

イベントホームページ

同プロジェクトは、高島屋の店頭で古着を受付した後、受け取った服とアフリカの古着を再デザインし、リメイクウエアとして販売するもの。複数出来上がったリメイクウエアのうち、1着は提供した人に、もう1着は一般商品として店頭で販売する。リメイク用古着の受付は10月9〜22日の期間で、出来上がったリメイクウエアの引き渡し、販売は2025年4月を予定する。場所は高島屋 日本橋、新宿、横浜、玉川、大阪、京都で実施する。

リメイクは「ピッティ」にも参加した「ブジガヒル」が担当

リメイクを担当するのは「ブジガヒル」のデザイナーのボビー・コラド(Bobby Kolade)。同氏は、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」で経験を積んだ後、先進国から寄付の名目で集まる大量の服を処理しきれず埋立地や廃棄ゴミになっている現状や、大量に流入する安価な古着が地元の繊維産業を圧迫しているというアフリカが抱える社会問題を起点に「ブジガヒル」を立ち上げた。2024年6月には、イタリアで開催されたメンズファッション最大規模の合同展、「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」に初出展を果たした。

同氏は今回のプロジェクトに参加するにあたり、高島屋 横浜、大阪に来店予定で、トークショーとリメイク受注会を行う。

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繊維産地に胎動 “世界が評価する技と人を活かして循環型を目指せ” 宮浦晋哉×福田稔

PROFILE: 左:宮浦晋哉 糸編 代表取締役/キュレーター、右:福田稔A.T. カーニー シニアパートナー

PROFILE: 宮浦晋哉(みやうら・しんや) 糸編 代表取締役/キュレーター 1987年千葉県生まれ。大学卒業後にキュレーターとして全国の繊維産地を回り始める。2013年東京・月島でコミュニティスペース「セコリ荘」を開設。2016年名古屋芸術大学特別客員教授。創業から年間200以上の工場を訪れながら、学校や媒体や空間を通じて繊維産地の魅力の発信し、繋げている。2017年に株式会社糸編を設立。主な著書は『Secori Book』(2013年) 『FASHION∞TEXTILE』(2017年) 福田稔(ふくだ・みのる) A.T. カーニー シニアパートナー 1978年東京生まれ。慶應義塾大学卒、IESEビジネススクール経営学修士(MBA)、ノースウェスタン大学ケロッグビジネススクールMBA exchange program修了。電通総研(旧電通国際情報サービス)、ローランド・ベルガーを経てA.T.カーニー入社。消費財・小売プラクティスのコアメンバー。主にアパレル・繊維、ラグジュアリー、化粧品、小売、飲料、ネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、戦略策定、ブランドマネジメント、GX、DXなどのコンサルティングに従事。プライベートエイティやスタートアップへの支援経験も豊富。経済産業省 産業構造審議会 繊維産業小委員会委員、これからのファッションを考える研究会~ファッション未来研究会~副座長など、アパレル・繊維、ライフスタイル産業に関わる多くの政策支援にも従事する。著書に『2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日』『2040年アパレルの未来 「成長なき世界」で創る、循環型・再生型ビジネス』(いずれも東洋経済新報社)など。

最近、日本の繊維産地から新たな何かが始まる胎動が伝わってくる。衣料品の国内生産の規模は年々縮小を続け、高い技術を持つ工場では後継者不足といった課題は深刻だ。一方で、外資ラグジュアリーからの日本の技術の評価は依然高く、投資対象ともなっている。明暗が交差する産地で何が起きているのか?繊維産地の訪問を重ねながら、マッチングや素材製品開発、ものづくりの学校の運営などを行っている宮浦晋哉 糸編代表取締役と、『2040年アパレルの未来 「成長なき世界」で創る、循環型・再生型ビジネス』の著者でもある、福田稔A.T. カーニー シニア パートナーの対談を通じて、その課題と可能性を考える。

コロナ後の繊維産地でリーダーシップを発揮する後継者たち

WWD:最近、日本の繊維産地から胎動のようなものを受け取る。何が起きているのか?

宮浦晋哉 糸編代表取締役(以下、宮浦):産地は“似たようなもの”を作る競合の集合体だから“隣の会社とは実は仲が良くない”が実情だった。しかしそれでは生き残れず、時代が“産地全体でどう協力するか”のフェーズに入ってきている。

WWD:その意味でリーダーシップがある産地や人物の一例は?

宮浦:デニムであれば、広島県福山市の篠原テキスタイルの5代目、篠原由起代表取締役社長の顔が浮かぶ。篠原テキスタイルは、1907年に備後絣から始まった老舗で篠原社長は2022年に就任した。今の産地には、産地全体で“面”を作り認知度を上げて、働く人を獲得するためのリーダーシップが必要で、篠原さんがそれを率先している。行政との混沌とした話し合いを毎週毎晩、根気よく続けて一歩一歩事業化していく牽引力だ。他には名古屋・一宮の尾州産地にある三星グループの5代目である岩田真吾代表、静岡・遠州産地の古橋織物の4代目、古橋佳織理代表取締役などの顔が浮かぶ。

WWD:その動きは最近始まったこと?

宮浦:コロナ後、ビジネスが再び動き始めた頃から顕著になった。勉強会を開いたり、組合や市役所と一般向けのバスツアーを組んだり、産地フェスやオープンファクトリーを企画したり、大学で講義を行ったりといった“誰かがやらねばならないこと”を率先し、結果、それらの産地の知名度が明らかに変わってきている。

WWD:福田さんはコンサルタントとして、今の話をどう解釈する?

福田稔A.T. カーニー シニア パートナー(以下、福田):2つの観点から重要だ。ひとつ目は個別企業で成長し、生き残ることが難しくなっており、経済活動の観点からも産地が“面”となって自らを押し出すことが重要になっている。インバウンドを絡めて地域に潤いをもたらすには横の連携が大切。企業同士、産地同士をつなげる動きはポジティブな要素だ。ふたつ目は産地に限らず日本の社会が、循環型、再生型への移行を目指す中、各企業が単独で動いても実現は難しく、行政と民間、生活者も含めた地域全体が一体化すること、アパレルだけでなく衣食住を含めた横連携が重要になる。

WWD:老舗の「代替わり」はポイントだ。

宮浦:残っていくためには必要なこと。ただし子どもたちが継ぎたくても、親が継がせたくないケースもある。自分たちの時代が良かったからこそ「無理しなくていい」となる。その逆もあり、あちらこちらで家族会議が白熱している。

WWD:事業継承がうまくいっている企業の特徴は?

宮浦:会社の将来の描き方にもよるが、組織をある程度大きくするなら外部から人を効果的に入れたほうがいいだろう。「ファミリーではない社員が大事」という認識がある会社は、先代や現役の会長・社長が、過去10~20年スパンで、若い人材を積極的に入れてきた。すると後継世代も「若い人が活躍している自社は可能性があるのだな」と客観的に判断ができる。

WWD:簡単ではない話。ところで宮浦さんはなぜ産地の仕事に一生懸命なのか。

宮浦:日本の各産地に面白いものがたくさんあるのに、知られていなくてもったいない、という一点だ。今も新しい発見が毎週のようにある。日本の素材の技術には可能性があるからどんどん変わるべきだ。次世代には悩んでいるなら継いでみた方がいいと思う、と伝えている。また、尾州の小塚毛織がカナーレのテキスタイル作りをサポートしているように、属人的な技術を継承するためのM&Aも出てきている。

福田:繊維産地に限らず、中小企業の事業継承の枠組みや基盤作りは日本全体の社会課題であり、メガバンクやコンサルティングファームが事業承継をスムーズにするための仕組みを作り始めている。国からのバックアップがあるタイミングだから外から人材を入れて事業を大きくする動きが加速してほしい。

“終わった”産業がデザインで蘇る

WWD:宮浦さんが産地で日々出会う新しい発見とは?

宮浦:“終わった”と言われる産業が、デザインや見せ方を変えると新しくなることは多い。福岡・久留米絣は「うなぎの寝床」が登場し、絣をモダンに見せたことで売り上げを伸ばした。そういう例が全国にたくさんある。

福田:名古屋で400年以上の歴史がある有松絞りのスズサンもまさにそう。売り上げの8割が海外と聞く。自社が持つ伝統技法やアセットの扱い方を、時代に合わせてアップデートすることで大きく変わる。

WWD:アップデートするとは?

福田:いろいろなアングルがあるが、スズサンの場合は1982年生まれの村瀬弘行代表取締役CEO兼クリエイティブ・ディレクターがリードし、当初から海外市場を意識し、オリジナルブランド「スズサン」では欧米のサイズ感ありきでモダンな服を作りそこに有松絞りを生かしている。京都で1688年に創業した西陣織の細尾は、80センチ幅だった織り幅を150センチとしたことで壁紙などさまざまなテキスタイルのニーズを掘り起こし、伝統技法を進化させ、世界へ一気に広まった。京都の民谷螺鈿京都もしかりだ。

WWD:グローバル市場の視点を最初から入れることが重要になる。

福田:高付加価値で手のかかる製品は当然安くはないので国内市場は限られる。他方、“海外にどう売るか”の視点でマーケティングができた企業は、未来が見えている。グローバルニッチ戦略により事業拡大が可能となるからだ。

宮浦:先ほど紹介した次世代リーダーたちは、次のステージを考えている。デニムは“ジャパンデニム”としてすでに世界に知られているが、そこにとどまらず、たとえば篠原テキスタイルは、クラボウと組んで反毛糸を使ったデニムを作ったり、スパイバーの糸を使ったりしている。

福田:クラボウの裁断片の再生技術「ループラス」は、デニム以外にも今治や奈良の産地から綿の端材を集めて商品化している。大企業がリードしての産地の垣根を超えた連携の良い例だ。

海外から高い評価を得ている日本の職人技

WWD:最近、LVMH メティエ ダールが細尾やクロキと提携するなど、欧州のラグジュアリーから日本の技術が注目されている。宮浦さんは、海外ラグジュアリーとの接点も多いが、日本のクラフツマンシップは海外からどう見られているのか?

宮浦:大学の研究で日本の繊維輸出を調べている。ラグジュアリーブランドへもインタビューするが、多くの人が「コツコツと丁寧な仕事をする繊維産地はもう日本にしかない」という。海外では敬遠されがちな細かい作業や、スピードの遅い織機を使った織物、特殊な加工などが評価されている。

WWD:それをファッションが必要としている?

宮浦:している。手作業に近い機械仕事がクラフツマンシップとして認識され、語られている。蒸し暑い工場で黙々と検反できるなんて、普通のことではない。

WWD:徹底したルーティンも職人技ということだ。

福田:世界のラグジュアリーの今後の重要なテーマが希少性。ラグジュアリー自体がコモディティ化するなかで、従来の豪華絢爛で西洋的なラグジュアリーから脱しつつ、今の価格を維持しながら差別化するには、希少なものをミックスすることが重要。日本の産地や技術はまだまだ知られてない、極めてユニークなものがたくさんあるから、彼らは取り込みやすい技術をどんどん取り入れる姿勢だ。デニムがその典型だろう。

WWD:消費者がブランドに求めるものも変わってきているということ?

福田:本当に価値があるものが求められている。また、ラグジュアリーにとって“伝統の保護”は投資の意義が見出しやすい。

日本の技術の多くが“未発見”である理由

WWD:それだけ商業的価値があるものが、なぜまだ世界から“未発見”なのか?

福田:日本人すら知らない技術、場所がたくさんある。それだけ日本は地域ごとにユニークな伝統技法がある。それは衣食住全てそうで、まだまだ世界に発信されていない。

宮浦:国内のデザイナーも産地を開拓しきれてない。知られてないけど面白いものがたくさんある。海外からは日本の商流は間に商社や問屋が入りすぎて情報がつかみずらいと聞く。「だから自分の目で見るのだ」と来日が盛んで、この夏もあるラグジュアリーブランドの担当者を1週間アテンドした。情報が入ってこないから自分の足で歩き、目で見る。そして「得るものが多かった」と帰ってゆく。結果、シンプルな天竺が何十万メートル決まったなんて話も聞く。

WWD:その流れに乗れない企業や産地の共通課題は?

宮浦:強烈なリーダーがいない産地。逆に、問屋や産元商社が強すぎると現場が前に出づらくオープンファクトリーの開催などが難しそうだ。最大の共通課題は、人手不足。安定した生産基盤がないと、大量注文を受けても乗り切れず、産地自体が持続可能でなくなる。冒頭で伝えたように、強いリーダーシップで産地の方向性を考え、自治体がそれを形にし、求人の動機を作ってゆく必要がある。

WWD:産地と循環や再生を接続するには、誰かがより大きなビジョンを描く必要がある。

福田:川下のアパレルが人に投資をすべきだ。イタリアの「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」はウンブリア州ソロメオ村で職人養成学校を運営し、産地に人を集めている。「シャネル(CHANEL)」や「エルメス(HERMES)」も職人に投資をしている。日本でも大手企業やブランドが産地に投資をして人を集めて育成するような取り組みが起きてほしい。

WWD:イタリアも長らくフランスの生産地だったが、80、90年代以降ファクトリーブランドとして旗上げしブランディングに成功した例が多い。

福田:イタリアの場合、「マックスマーラ (MAX MARA)」や「ヘルノ(HERNO)」のように地方で創業し、ブランドを生み出し、シャワー効果で産地に利益をもたらしている例が多い。日本の場合は、商流が細分化されていることと、アパレルの多くが価格重視で中国など海外生産を行っており成功例がなかなか出てこない。

宮浦:一つでも成功事例があれば、と思うが。実際のところは初期投資の覚悟には至らないケースが多い。

WWD:「ブルネロ クチネリ」は創業者が地域復興の思想を持っていた。そこもまた人。誰に期待する?

福田:産地との連携という観点では、「CFCL」の高橋悠介さんや「ビズビム(VISVIM)」の中村ヒロキさんに期待している。お二人ともアプローチは違えど、グローバルな視点を持ち、日本が持つアセットや独自性を、うまく服作りに活かしていることは共通している。かつサステナビリティを念頭にビジネスを作り込んでいるから強い。

宮浦:生産者初の発信も日本から出てほしい。課題はディレクターがいないこと。糸も編みも織りも染めも技術はあるが人がいない。海外でファッションを学び帰国した人がアパレルブランドではなく、産地に入りその魅力を最大化する、そんな流れを作りたい。

サステナビリティ関連の欧州法規制をインストール

WWD:最近はグローバルビジネスを進めるためには、欧州のサステナビリティ関連法規制を最初から視野に入れる必要がある。循環を実現するには、法規制もインストールしないといけない。

宮浦:日本は中小企業が多くたとえばGOTSなどの認証取得が難しい。

福田:厳しいが、欧州の規制には頑張って対応してゆくしかないのが現実。経済産業省がガイドラインを出していることからわかるように日本の行政も「産業を持続可能とするために守ってください」という考えだ。

WWD:特に染色や撥水加工など化学薬品を扱う工程が関連してくるリーチ規制への対応は急務だが、産地に情報が伝わっていない。法規制はある意味覇権争いだからすべてに誠実に対応することだけが正解じゃないが、言語の壁も大きく微細をキャッチアップするのが難しい。

宮浦:産地には情報が十分に入っておらず混乱している。トップダウンで徹底してほしいと思う。

福田:ここはやはり、商社中心に変革をうながしてほしい。基本体力があるうえ川上と川下をつなげるのも商社だからだ。

ファッション産業で閉じない循環を目指せ

福田:ここまでの話は、産地の現状のビジネス的観点が多かった。いわゆる循環型・再生型との産地の接続については、角度を変えて話したい。

WWD:循環型とは、作って売るだけではない、長く着る、リペア・リセールといった“売らないビジネス”を含めた産業への転換のこと?

福田:ファッションの視点ではそうだが、本当に循環型社会を作ろうとするなら、衣食住全体で考える必要がある。一例だが、服がたい肥になる、逆に他産業から出た素材で服を作るなど循環型社会の中でファッションがどうはまっていくか、という視点だ。アパレル関係者は産業内で考えがちだが、ファッション産業だけで循環型は無理があると思う。循環型社会の先進国である北欧は街全体をいかに循環型にしてゆくか、その一部としてアパレル産業を位置付けるかという考え方で、日本にはまだその発想がない。
 
WWD:循環は日本全体よりも地域、地域といった単位の方が実現しやすいだろう。

福田:循環の点からも日本の産地は、ちょうどいいぐらいのサイズ。「もったいない」に代表されるように、日本の文化はさまざまな物を再生して使い回してきた。産地内の衣食住で循環型のロールモデルの作り海外にアピールしてインバウンドを招いたりといった可能性があると思う。

宮浦:繊維産業の原料はほぼ輸入。一方で、役所の方と話していると、過去に植えすぎた木が環境を破壊し林業が苦しんでいると聞く。林業を原料に国産セルロースを作ってリサイクルしてゆくなどできたら面白い。

福田:フィンランドのスピノバ(SPINNOVA)はまさにそれ、農業の廃棄物からセルロースを精製する技術を持ち、昨年1000トンクラスの工場を立ち上げた。

WWD:夢がある話。地域に点在している課題の解決や、つなぎ役としてファッション産業が力になれることはありそうだ。つなぐためにファッション産業がハブになれる。

福田:スウェーデンには、中古品だけを扱う面白いショッピングモール、リトゥナ(RETUNE)があり、不要品を持ち込むとアップサイクルとしも販売される。

WWD:そういうアイデアを聞くと前出の産地の新しいリーダーたちはピンと来てすぐ動き出しそうだ。

宮浦:間違いない。

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「ディオール」店舗にも使用 隈研吾と協働で広がる小松マテーレの「世界初、炭素繊維の耐震補強ロープ」

染色加工大手の小松マテーレの、独自開発したワイヤータイプの炭素繊維複合材「カボコーマ」シリーズが広がっている。シリーズ第1弾の「カボコーマ・ストランドロッド」は、通常はシート状で使うことの多い炭素繊維複合材料をロープ状に加工したもの。建築家の隈研吾氏と組み、用途開拓や採用実績を積み上げてきた。ファッション分野では、隈研吾建築都市設計事務所(以下、隈事務所)が設計を担当した麻布台ヒルズの「ディオール」店舗にも採用されている。隈氏は「ロープタイプの耐震補強材としてはおそらく世界初の建築材。ロープ状になっているため、軽く持ち運びやすく現場での作業もしやすい。繊細な木造建築の耐震補強材としても注目されており、国宝や重要文化財への活用も検討されている」という。

「カボコーマ・ストランドロッド」は科学技術振興機構(JST)の支援を受け、金沢工業大学と協働で開発し、2018年には炭素繊維複合材料として初めて、耐震補強材としてJIS規格を取得していた。最大の特徴はその軽さで160mで14kgと軽量で、同等の強度のメタルワイヤーの約5分の1になる。

小松マテーレと隈氏との協働は2011年からスタート。小松マテーレは石川県能美市にある旧本社棟を、「カボコーマ」を使って耐震補強した「ファーボ(fa-bo)」としてリニューアルした際にも、隈事務所が設計を担当していた。昨年からは東京大学の「SEKISUI HOUSE – KUMA LAB」内で発足した里山プロジェクトチームと一緒に「カボコーマ」をシート状に加工したテーブルなどの家具制作にも取り組んでいる。

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東京・大手町タワーで「森の市」開催 40以上のショップと“エシカルマインド”を育む

東京建物は10月24〜26日、大手町駅直結の大手町タワーでマーケットイベント「森の市」を開催する。40以上のショップが並ぶほか、バラエティーに富んだワークショップなどを提供する。

同イベントは、都市再生と自然共生の空間として、豊かな自然環境を育む「大手町の森」で開催する。約3600㎡もの敷地に、ビンテージバイクショップ「モータースタンド(MOTOR STAND)」や創作和食の「東京十月」、天然酵母パンが楽しめる「コンビニエンスストア高橋」など、国内選りすぐりのショップがそろう。各ショップは、環境への配慮や持続可能な素材の使用、地域に根ざした生産者との協力を大切にしており、マーケットを楽しみながら、“倫理的な生き方(エシカルマインド)”を体感できる。

ショップに加え、多種多様なワークショップも用意する。リサイクルレザーを使った小物を取り扱う「マコー(MAKKO)」では、アーティストMougiとのコラボレーションを実現し、自分だけのオリジナルイラストをバッグに描くワークショップを開催する。また、移動式花屋「グイフラワー(GUI FLOWER)」では、花農家「フォーピースフラワーズ(FOUR PEAS FLOWERS)」が育てた“スローフラワー”(環境に負担のない手法で育てられ、産地に近い場所で消費される花)を用い、アレンジブーケ作りを体験できる。

■森の市
開催日:10月24〜26日
開催時間:24・25日/11:00〜21:00、26日/11:00〜19:00
会場:東京都千代田区大手町1-5-5 大手町タワー 1階 2階 3階

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有害獣や鮭などを商品化 ヒトや地球に優しいブランドを集積する展示会「フェス・リエゾン 東京」開催 

ブランドプロデュースやブランドコンサルティングを行うオムニモスークは9月29日〜10月1日、ライフスタイル展示会「フェス・リエゾン 東京(FES LIAISON TOKYO)」をライトボックススタジオ青山で開催する。9回目となる今回は化粧品やインナービューティ、雑貨などを扱う36ブランド・38ブースを集積するほか、ポンポンチーク作りのワークショップなども行う。場内にはプロのカメラマンが撮影するフォトブースを設けたり、屋上にポルトガルの雑貨や小物、フードを集めたマーケットを開催したりして、期間中に約1000人の来場者を見込む。

「フェス・リエゾン 東京」は2020年11月にスタート。ヒトや地球に優しいモノ作りを行うブランドを扱う。今回は出展社の約8割が新規出展で、ビューティブランドが従来の2割程度から5割まで拡大した。「展示会の知名度が高まりはじめ、新規出展希望のブランドが増えてきた」と安田旬佑オムニモスーク代表取締役は手応えを得ている。

動物性と植物性のハイブリッドスキンケア「ジビエ」

「ジビエ(GIBIER SKIN CARE)」は、人の皮脂に近いイノシシ脂を使用した石けん(全4種、3850〜5060円)とオールインワンクリーム(80g、1万230円)、シカの皮を使用したピーリングクロス(3300円)などをそろえる。イノシシ脂やシカの皮は、日本で有害獣として駆除されたイノシシとシカの性能に着目して使用。商品を展開することで、人口減の漁師の活動にも貢献している。

パレスチナに残る石けん工場を守る「ナーブルス」

パレスチナ産バージンオリーブオイルをベースにしたオーガニック石けんを展開する「ナーブルス(NABLUS)」は、戦火により現存する2カ所の石けん工場の一つから作られたもの。イスラエルを経由して輸送されたパレスチナ発の石けんは、保湿や毛穴ケア、においケア、引き締め効果など悩み別に8種(各1639円)をそろえる。いずれもエコサートコスモス認証やハラール認証、クルエルティフリーを取得する。

ビームスなどでも販売する「ちちむむ」

23年6月に誕生した沖縄の月桃を使用したスキンケアブランド「ちちむむ(TITIMUMU)」。有機JAS認定の月桃を特許製法の搾汁液蒸留法で採取し、その月桃蒸留エキスを配合したローション(50mL、3080円/100mL、4840円)やセラム(50mL、8470円)、せっけん(2860円)、バーム(2640円)などを扱う。すでにビームスなどセレクトショップにも販路を持っている。

食器用固形石けん「アオ」

「少ないほど豊かである」をコンセプトに、人にも環境にも優しいサステナブルな商品を展開する「アオ(AO)」は、バターのようなテクスチャーの食器用の固形タイプ石けん(200g、2200円)を打ち出す。日本の下水処理で99%分解できる成分で構成。コラーゲンや温泉成分、天然ヤシ油を配合し、手肌へのやさしさにもこだわる。石けんと共に使用する、半年〜1年間使用できるスポンジ(680円)や2種の黒豚毛を使ったハンドメードのブラシ(1650円)もそろえる。

ニオイを瞬間的にキャンセルする「ニオキャン」

「ニオキャン(NIOCAN)」は、天然精油由来の消臭・除菌スプレー(10mL、1320円/500mL、2640円/レフィル1ℓ、3300円)。1909年創業の第一工業製薬が長年培った技術を応用し誕生した。99%を9種の精油と水で構成し、ニオイが発する波長を精油の波長で中和させ中和消臭効果を発揮する。

そのほか、「アッシュ(ASH)」など美容室チェーンを展開するアルテ サロン ホールディングスが開発した植物由来の成分をふんだんに配合したヘア・スキンケアブランド「エニック(ENNIC)」や、お米から生まれたプラントベースの甘味料「ライスシロップ(RICE SYRUP)」、鮭や鰤などのフィッシュレザーを採用した財布や名刺入れなどを展開する「ローラブルー(L’ORA BLU)」、といった特徴的な原材料を使用した商品を扱うブランドがそろっている。

■第9回フェス・リエゾン 東京
開催日時: 9月29日~10月2日
29日12:00~18:00
10月1日11:00~19:00 
10月2日10:00~18:00
場所 :ライトボックススタジオ青山(東京都港区南青山5丁目16−7)
入場料:無料(要事前登録)

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世界的写真家集団マグナム・フォトがユニクロと組んだ理由 「ストーリーを届けることを大切にしてきた」

PROFILE: Olivia Arthur/写真家

Olivia Arthur/写真家
PROFILE: (オリヴィア・アーサー)1980年、英ロンドン生まれ。人々と彼らの私的および文化的なアイデンティティを深く掘り下げる作品で知られる、ドキュメンタリー写真家。2013年にマグナム・フォトの会員となり、20年から22年まで会長を務めた。世界中で展覧会が開催され、作品は、各地のミュージアムや関連機関に収蔵。ロンドンの出版社および写真ギャラリー「Fishbar」の共同創立者でもある PHOTO:KOHEY KANNO

東京・渋谷、国際連合大学前広場。誰でも出入りできる屋外のオープンスペースで、9月21日から3日間、ユニクロと写真家集団マグナム・フォトのコラボレーションによる写真展「GLOBAL PHOTO EXHIBITION - PEACE FOR ALL」が開かれた。

マグナム・フォトは1947年、ロバート・キャパやアンリ・カルティエ=ブレッソンらが設立。世界でもっとも有名で、もっともクリエイティブなドキュメンタリー写真家の集団である。

今回の企画では、ユニクロが2022年より行なっているチャリティーTシャツプロジェクト「ピース・フォー・オール(PEACE FOR ALL)」の新しい取り組みとして、マグナム・フォトが協業。「ピース・フォー・オール」は、Tシャツの販売収益を3つの国際的な人道的支援団体(国連難民高等弁務官事務所 UNHCR、セーブ・ザ・チルドレン、プラン・インターナショナル)に寄付してきたが、その現場にマグナム・フォトの写真家3人がカメラを持って訪れた。

マグナム・フォト会長でもあるクリスティーナ・デ・ミデル氏はベトナムのプラン・インターナショナルへ、前会長でもあるオリヴィア・アーサー氏はルーマニアのセーブ・ザ・チルドレン、そしてリンドグシェ・ソベクワ氏はUNHCRが支援しているエチオピアの難民キャンプへ。写真展では、そこで撮影された支援活動や周辺の人々の暮らしを紹介。またそのうちそれぞれ選りすぐりの1カットをモチーフに新たなチャリティーTシャツを製作した。

「マグナム・フォトにとっても、これは重要なコラボレーションワークになったと思います」とは、アーサー氏の言葉だ。「また、Tシャツを媒体に支援の輪を広げていくアイデアも興味深いですね。Tシャツはいつでも、どこでも、そして誰でも着られる。そして、着るだけでひとつのアクションになる。とても民主的なアプローチです」。今回のコラボレーションの意義や印象的だった現場でのエピソードについて、アーサー氏に話を聞いた。

「循環させながら、支援の輪を広げる」

ーーなぜ、ユニクロと組んだのか。また、写真家として、今回のチャリティープロジェクトの取り組みにどのような期待を抱いていますか?

オリヴィア・アーサー(以下、アーサー):「ユニクロ(UNIQLO)」はグローバルなブランドであり、プロジェクトを通して、私たちが今、伝えるべきメッセージを大勢の人に届けられること、それがその答えのひとつでしょう。

また、今回の取り組みは、マグナム・フォトにとっても新しく意義のある試みだったと思います。プロジェクトではまず、寄付金を集め、それを支援団体に送り、困っている人を助ける。そして、私たちが、その現場や周辺の人々の暮らしにカメラを向け、ストーリーとして伝えていく。また、それは、多くの人にとって、世界の状況を知り、それぞれアクションにつなげていくきっかけになるかもしれない。そうやって循環させながら、支援の輪を大きくしていくようなプロジェクトになっています。

そこに、マグナム・フォトが関わる意義は大きい。特に、マグナム・フォトはドキュメンタリー写真家の集団ですが、“ストーリー”を届けるということをずっと大切にしてきましたので。

ーー今回のプロジェクトで、アーサーさんはルーマニアの「セーブ・ザ・チルドレン」へ。現地で印象的だったことは?

アーサー:私が訪れたのは、ルーマニアのセーブ・ザ・チルドレンのカウンセリング・ハブ。隣国のウクライナから逃れてきた難民の子どもたちも受け入れているスペースで、子どもたちのための教育支援やメンタルヘルケア、食糧支援などの活動を行なっている場所です。

そこで、一連の支援活動についてのレクチャーを受けたあと、私は、そこで暮らす子どもたちに向けて写真のワークショップを行おうと決めました。具体的には、マグナム・フォトのアーカイブを印刷し、そこに子どもたちが自由にペイントを加えるような創作の場を用意したり、スペースに簡易的なスタジオを設け、子どもたちにお互いの写真を撮って遊んでもったり。また、そうやって子どもたちが作ったアートワークを、コラージュにしてまとめたりもしました。

ーー写真が、オリヴィアさんと子どもたち、子どもたち同士のコミュニケーションツールにもなったっていうことですね。

アーサー:そうですね。撮影した写真についても、その場でプリントし、スタジオの壁に貼り付けていきました。子どもたちも自分たちが撮られた様子を見られるように。それは、確かにコミュニケーションツールになりましたし、子どもたちが、私が何をしているのかを理解し、そこに自分も参加していること、つまり自分事としてこの撮影を捉えてもらうことにも役立ちました。

ーーそのなかで、特に印象的だったことは?

アーサー:スタジオを作ったスペースは、窓から強い日差しが入る場所だったんですね。その光がスタジオの幕に影を落とす様子を見て、私は“影絵で遊べるんじゃないか”と思ったんです。しかし、周りをみたら、私が教えてあげる前に、すでに子どもたちが影絵で遊んでいて。私も子どもたちも、あの瞬間の同じことを考えていたんです。いい思い出ですね。

「想像する力は
誰からも奪うことはできない」

ーーその影絵で遊んでいる様子を切り取った写真は、今回、Tシャツに使われています。チョウのようなモチーフですが、この写真を選んだ理由は?

アーサー:この写真のモチーフが、どこか自由を象徴しているような気がしたからです。またこのモチーフについては、チョウだという人も、鳥だという人もいます。そうやって、人によって違う捉え方ができる点でも、この写真を気に入っています。

ーーTシャツには、その写真の周りには「imagine」の文字をプリントしています。子どもたちの手書き文字ですか?

アーサー:この言葉ーー「想像する」ということこそ、私が今回、子どもたちに伝えたかったことでした。「どんな困難な状況でも、想像することはできる」ということ。そして「その力を、あなた(子ども)たちから奪うことは、誰にもできない」ということです。実際に、たくさんの子どもたちにこの文字を書いてもらい、アートワークに活かしました。

ーー改めて、写真の力は、ファッションと組み合わせることでどう増幅されていくと思いますか。

アーサー:やはり、今回のように写真のもつメッセージやストーリーを、幅広く届けられることでしょう。(一部の写真ファンやアートファンなど)限られた人だけでなく、ファッションと組み合わさることで、多くの人がアクセスできるものになる。その意味でも、今回の写真展が、公共のスペースで誰でも見られるようなかたちになっているのも、非常に大きな意義があることだと思っています。

ーー今回は3人の写真家がプロジェクトに参加。他の2人の作品を見た感想は?

アーサー:2人の作品からは、ポジティブな感情やエネルギーを感じました。それは私の作品にも共通していることでしょう。どんなに困難な状況であっても、不安な生活を強いられながらも、未来をポジティブに想像し、そのように変えていく努力をする、アクションするーーそれが重要なのだと改めて思います。

■「GLOBAL PHOTO EXHIBITION - PEACE FOR ALL」
順次世界各地で開催予定、日本では以下を予定している
「ユニクロ原宿店」:9月24日〜10月6日
ひろしまゲートパーク:10月9〜15日

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明るい魂の叫び「そうだ、産地に行こう!」に感化され 秋はオープンファクトリーへ【向千鶴サステナDが行く】


向千鶴サステナビリティ・ディレクターによる連載では、文字通りサステナビリティ×ファッションをテーマにした取材を通じて出会った人や物、ちょっとした気づきをピックアップしています。今回は「セッチュウ」のデザイナーや服作りを学ぶ中高生、「パタゴニア(PATAGONIA)」のリジェネラティブ・オーガニック認証パスタ、元気いっぱいな全国の繊維産地の方たちなどが登場します。

2人のジェントルマンが麻布台ヒルズで再会

桑田「セッチュウ」デザイナーとイムラン「BoF」CEOとお茶をする(8/7)


イタリア在住の桑田悟史「セッチュウ(SETCHU)」デザイナーが来日との情報を聞きつけ、会いに行きました。目的は9月9日発売のサステナビリティ特集「How to be a Sustainable Apparel」用の取材です。桑田デザイナーが考えるサステナブルな服作りとは?とか、イタリア各地の工場とつながり持ちモノづくりをするなかで、厳しさを増す欧州のサステナビリティ関連の法規制にどう対応しているのか?などをうかがうためです。ジェントルマン、桑田さんが着ている和紙デニムについてなど根掘り葉掘り聞いたロングインタビューは貴重。この記事の下にある関連記事リンクからぜひお読みください。
同タイミングで、英国のファッションビジネスメディア「BoF(Business of Fashion)」のイムラン・アーメド(Imran Armed)創業者/CEOから「日本に行くからお茶しよう」と連絡をもらったので「せっかくなら」と桑田さんと麻布台ヒルズで一瞬合流。桑田さんは「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」のグランプリを受賞しており、イムランはその審査員ということで旧知でしたが、日本で会うのはまた一つ意味があったよう。イムランとは半年前のパリコレで隣の席になったときに雑談し「日本に行くときに連絡するね」からお茶が実現。さすが記者、フットワークが軽い!ヨーロッパのサステナ事情などを教えてもらいました。

台東区鳥越に癒しのサステナランチスポット発見

循環をテーマにしたカフェでランチ(8/23)

台東区鳥越で遅い時間でも駆け込めるランチスポットを見つけました。「ELAB」は「循環する暮らし」をキーワードに地元野菜を生かしたカレーなどがおいしいく、思わず(?)昼からナチュールワインもいただいたり。ケータリングサービスもあるそうで撮影などに良さそうです。カフェの奥にもワークショップなどを開けるサロン的スペースがあり居心地よいです。

ここからは新しい何かがきっと生まれる

“クリエイティブ・ベース” TEN10移転オープン(8/23)

TEN10(テン)が拠点を渋谷区・上原に移転・オープンし、そのレセプションへ。なんでしょ、ここ。新しい何かがあります。運営する志賀光プロデューサーのことは長く「PR」として認識して、東京コレクションのショー会場や展示会で山ほどアテンドしてもらってきました。でもTEN10はいわゆるPR会社の枠には収まらず、このスペースは従来のショールームとは明らかに違います。

事務所機能に加えて撮影や展示ができる空間があり、ミシンもあって衣装制作を行うラボでもあるという。「創造空間」の表現がぴったり。ここにスタイリストやカメラマン、アーティストなどおもしろい人やファッションが集まり、共有され、ムーブメントが生まれる様子が目に浮かぶようです。御影石の廊下は品があり天井が高く、なんだかガランとしていて心地よく、その余白に新しい物事が流れ込んできそうな気配です。空間って大事ですね。

中高校生対象のエシカルに関する連続講座

「TOKYO エシカルファッションチャレンジ」(8/26)

東京都が主催する中学・高校生を対象とした服作りのワークショップ「TOKYOエシカル」をのぞいてきました。タイトル通り“エシカル”な素材を使って、ターゲット設定からアイデア出し、製品の広め方までプロからレクチャーを受ける、少人数制・全8回のワークショップがなんともぜいたく!私が受けたいくらい(笑)。自分が高校生の頃は、雑誌の付録の型紙とユザワヤで買った生地を使って服を作ったものです。

このイベントの目的は“エシカル消費”の認知拡大と行動変容、とのことですが、なぜ題材にファッションが選ばれたのでしょうか?来場していた阿部泰之東京都産業労働局商工部長いわく「“エシカル”は半数の人は“知っている”けれど、その意味も知っている人は1~2割程度。より踏み込んだ理解が必要。ファッションはすそ野が広く、中高生の段階で深く学んでもらうことで行動につなげてもらえたら」とのこと。レクチャーの内容は大人が展示会で聞くような本格的なもの。その分、聞き手の学生たちも真剣です。その容赦ナシな本気度がよい、と思いました。

“正しいこと”という小さな石が波紋を作る

「パタゴニア」のリジェネラティブ・オーガニック認証パスタ発表会(8/29)

「パタゴニア(PATAGONIA)」が世界初となる、リジェネラティブ・オーガニック認証を取得したオーガニックパスタを発売し、そのお披露目を麻布台ヒルズにある大人気レストラン「Pizza 4P's Tokyo」で行いました。「お腹を空かせてきてね」の案内を本気で受け取り、空腹でお邪魔。有機栽培のデュラム小麦と有機カーンザだけを使ったパスタはかめばかむほど味が濃くなり大満足。

3種類のパスタを堪能したあとは、近藤勝宏パタゴニア プロビジョンズ ディレクターと久保田和4P’s グローバルブランド ディレクターによるトークセッション、題して「食から始まる環境社会の変革についてのトークセッション&オーガニックパスタ試食会」です。

パタゴニアの取材では「品質」という言葉をよく聞きます。登山道具という、命を守る道具にルーツを持つパタゴニアにとって品質は何にも変えがたち製品の価値であり、同認証はいわばその「品質」の証です。同認証には、土壌の健全性、労働者の公平性、動物の福祉という3つの柱があり「食べることで美味しく、身体の健康や大地の回復にもつながる」と近藤ディレクター。嬉しいことです!

「Pizza 4P's」は、日本人が2012年にベトナムで起業し、現在はベトナム、カンボジア、インド、インドネシア、日本の5カ国に42店舗を展開している美味しくてサステナブルな注目のレストランです。ベトナムで外食産業としては初めて環境インパクトレポートを出し、ゴミの量やパッケージの素材、地産地消など実践内容を詳細に公表しています。「パタゴニアはずっとベンチマークしてきた。僕らもリジェネラティブの考え方をレストランを通じて伝えて行きたい」と久保田ディレクター。

オーガニック食材は価格が高くなりがち、の課題について久保田ディレクターは「オーガニックが広がらないと価格も下がらないから、先陣を切ってマーケットを作っている。仲間が増えれば価格も下がり利益も出るから長期的な視点で僕らだけではなく全体でマーケットを作ってゆきたい」と言います。これには近藤ディレクターも深く頷き「まったく同じ。僕らは波紋を呼ぶ石になりたい。小さな石も水に投げ込めば波紋をよぶ。社会全体が“正しいことをやってみよう”となることを期待している」とのこと。ちなみに、「パタゴニアの創業者のイボン・シュイナードもプロビジョンズの製品の中でもパスタが特にお気に入り」だそう。

「昔話はもういい。もっぺんやり直そう」

繊維産地オープンファクトリーキックオフイベント(8/29)

今秋、全国の繊維産地でオープンファクトリーのイベントが開催されます。そのキックオフイベントが文化学園で開かれたのですが、やや遅れて会場に着くと広い教室が満員で熱気に溢れています。仕掛け人である宮浦晋哉 糸編代表の明るく軽妙な進行で各産地担当者たちのピッチが繰り広げられました。日本にはたくさんの繊維産地がありますが、それぞれの特徴を短時間でザッとインプットできる機会はあまりないから、これは貴重です。そして担当者たちがおし並べて明るい(特に尾州)から、話を聞いていると元気が出てきます。

多くの産地で今、世代交代が進み、次世代が活躍を始めています。そのうちの一つ、西脇・多可の担当者の言葉が印象的でした。「僕らは良い時は知らないから、ここから上がるしかない」。ちなみに、西脇・多可は、産地全体の年間生産量がピーク時の8.8%(91.2%減)です。これは文字通り「激減」です。ですが、彼らは「昔話はもういい。もっぺんやり直そう」と言います。

日本全国、ほとんどの産地が後継者不足という大問題を抱えています。それに対してメディアは「風前の灯」なんて表現をしがちです。私もこれまでそうでした。でもそれってとても失礼な話でした。危機感を無駄に煽るだけで具体的なアクションを起こさなければ役にも立たない。それよりも暴風を受けながらも繋ぎ盛り上げようとしている人たちの技術や製品、声を少しでも伝えることのほうが微力ながら役に立てるかもしれない、と思うようになりました。自戒を込めて、とはまさにこのことです。

オープンファクトリーの予定は下記の通りです。(米沢は終わってしまいました。記事にしたので記事したのリンクからぜひ読んでください)

山形県米沢市9月12〜14日 「360°よねざわオープンファクトリー」
愛知県知多市9月27日〜10月19日「CHITAMOMENT」
広島県福山市10月4〜5日「DENIM EXPO」
山梨県富士吉田市10月19〜20日「ハタオリマチフェスティバル」
愛知県一宮市 10月25〜26日「ひつじサミット尾州」
兵庫県西脇市・多可町10月26〜27日「西脇・多可オープンファクトリー“もっぺん”」
新潟県五泉市11月16〜17日「五泉ニットフェス」

宮浦さん曰く「こういうイベントは作る裏方の方々とても苦労しているのを見ているし、来年も同じプログラムがあるかどうかわからないので、気になるところがあればぜひ2024年のうちにお見逃しなくです」。表現は柔らかいけれどこれは魂の叫びです。

ファッション表現の制作現場で考えるサステナ

9月9日号サステナビリティ特集表紙撮影(8/30)


この日は9月9日号サステナビリティ特集の表紙撮影でした。そもそもこの撮影、編集部のサステナチームの一人、皆合記者が「ファッション表現におけるサステナビリティとは?」との問いを立てたところからスタート。環境配慮型の素材を使った服であっても、それを「伝える」撮影の制作現場で環境配慮が語られることは少ないという矛盾が生じているからです。
そこで、撮影スタジオは今年1月に東京・清澄白河にオープンした循環型ギャラリー&スタジオ「ソイルメイツ スタジオ」を選び、サステナビリティに関心がありアクションを起こしているクリエイターに集まってもらいました。メンバーは、フォトグラファーのRIKKIさん、メイクアップアーティスト&ビューティディレクターのMICHIRUさん、ヘアスタイリストのJUN GOTOさん、スタイリストの木村舞子さん。そしてモデルを務めたのは、俳優で映画監督でもある岡本多緒さんです。岡本さんは、「アボード・オブ・スノー」共同クリエイティブ・ディレクター兼サステナビリティ・アンバサダーも務めています。撮影後に行った4人の座談会はぜひ記事をお読みください。

AIなどデジタルでの表現も可能な今、人が集まり、エネルギーを使いながらファッションビジュアルを製作する意味・意義は「絶対ある」と私は思います。リアルに人が集まり、手を使ったヘアメイク作りやモデルの動きが醸し出すことでしから生まれない美があるから。だからといって、1回使っただけの背景紙を廃棄するようなビジネスモデルや慣習に対してはノー。変えられことが必ずあるはず。思考を停止しないこと、ですね。

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明るい魂の叫び「そうだ、産地に行こう!」に感化され 秋はオープンファクトリーへ【向千鶴サステナDが行く】


向千鶴サステナビリティ・ディレクターによる連載では、文字通りサステナビリティ×ファッションをテーマにした取材を通じて出会った人や物、ちょっとした気づきをピックアップしています。今回は「セッチュウ」のデザイナーや服作りを学ぶ中高生、「パタゴニア(PATAGONIA)」のリジェネラティブ・オーガニック認証パスタ、元気いっぱいな全国の繊維産地の方たちなどが登場します。

2人のジェントルマンが麻布台ヒルズで再会

桑田「セッチュウ」デザイナーとイムラン「BoF」CEOとお茶をする(8/7)


イタリア在住の桑田悟史「セッチュウ(SETCHU)」デザイナーが来日との情報を聞きつけ、会いに行きました。目的は9月9日発売のサステナビリティ特集「How to be a Sustainable Apparel」用の取材です。桑田デザイナーが考えるサステナブルな服作りとは?とか、イタリア各地の工場とつながり持ちモノづくりをするなかで、厳しさを増す欧州のサステナビリティ関連の法規制にどう対応しているのか?などをうかがうためです。ジェントルマン、桑田さんが着ている和紙デニムについてなど根掘り葉掘り聞いたロングインタビューは貴重。この記事の下にある関連記事リンクからぜひお読みください。
同タイミングで、英国のファッションビジネスメディア「BoF(Business of Fashion)」のイムラン・アーメド(Imran Armed)創業者/CEOから「日本に行くからお茶しよう」と連絡をもらったので「せっかくなら」と桑田さんと麻布台ヒルズで一瞬合流。桑田さんは「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」のグランプリを受賞しており、イムランはその審査員ということで旧知でしたが、日本で会うのはまた一つ意味があったよう。イムランとは半年前のパリコレで隣の席になったときに雑談し「日本に行くときに連絡するね」からお茶が実現。さすが記者、フットワークが軽い!ヨーロッパのサステナ事情などを教えてもらいました。

台東区鳥越に癒しのサステナランチスポット発見

循環をテーマにしたカフェでランチ(8/23)

台東区鳥越で遅い時間でも駆け込めるランチスポットを見つけました。「ELAB」は「循環する暮らし」をキーワードに地元野菜を生かしたカレーなどがおいしいく、思わず(?)昼からナチュールワインもいただいたり。ケータリングサービスもあるそうで撮影などに良さそうです。カフェの奥にもワークショップなどを開けるサロン的スペースがあり居心地よいです。

ここからは新しい何かがきっと生まれる

“クリエイティブ・ベース” TEN10移転オープン(8/23)

TEN10(テン)が拠点を渋谷区・上原に移転・オープンし、そのレセプションへ。なんでしょ、ここ。新しい何かがあります。運営する志賀光プロデューサーのことは長く「PR」として認識して、東京コレクションのショー会場や展示会で山ほどアテンドしてもらってきました。でもTEN10はいわゆるPR会社の枠には収まらず、このスペースは従来のショールームとは明らかに違います。

事務所機能に加えて撮影や展示ができる空間があり、ミシンもあって衣装制作を行うラボでもあるという。「創造空間」の表現がぴったり。ここにスタイリストやカメラマン、アーティストなどおもしろい人やファッションが集まり、共有され、ムーブメントが生まれる様子が目に浮かぶようです。御影石の廊下は品があり天井が高く、なんだかガランとしていて心地よく、その余白に新しい物事が流れ込んできそうな気配です。空間って大事ですね。

中高校生対象のエシカルに関する連続講座

「TOKYO エシカルファッションチャレンジ」(8/26)

東京都が主催する中学・高校生を対象とした服作りのワークショップ「TOKYOエシカル」をのぞいてきました。タイトル通り“エシカル”な素材を使って、ターゲット設定からアイデア出し、製品の広め方までプロからレクチャーを受ける、少人数制・全8回のワークショップがなんともぜいたく!私が受けたいくらい(笑)。自分が高校生の頃は、雑誌の付録の型紙とユザワヤで買った生地を使って服を作ったものです。

このイベントの目的は“エシカル消費”の認知拡大と行動変容、とのことですが、なぜ題材にファッションが選ばれたのでしょうか?来場していた阿部泰之東京都産業労働局商工部長いわく「“エシカル”は半数の人は“知っている”けれど、その意味も知っている人は1~2割程度。より踏み込んだ理解が必要。ファッションはすそ野が広く、中高生の段階で深く学んでもらうことで行動につなげてもらえたら」とのこと。レクチャーの内容は大人が展示会で聞くような本格的なもの。その分、聞き手の学生たちも真剣です。その容赦ナシな本気度がよい、と思いました。

“正しいこと”という小さな石が波紋を作る

「パタゴニア」のリジェネラティブ・オーガニック認証パスタ発表会(8/29)

「パタゴニア(PATAGONIA)」が世界初となる、リジェネラティブ・オーガニック認証を取得したオーガニックパスタを発売し、そのお披露目を麻布台ヒルズにある大人気レストラン「Pizza 4P's Tokyo」で行いました。「お腹を空かせてきてね」の案内を本気で受け取り、空腹でお邪魔。有機栽培のデュラム小麦と有機カーンザだけを使ったパスタはかめばかむほど味が濃くなり大満足。

3種類のパスタを堪能したあとは、近藤勝宏パタゴニア プロビジョンズ ディレクターと久保田和4P’s グローバルブランド ディレクターによるトークセッション、題して「食から始まる環境社会の変革についてのトークセッション&オーガニックパスタ試食会」です。

パタゴニアの取材では「品質」という言葉をよく聞きます。登山道具という、命を守る道具にルーツを持つパタゴニアにとって品質は何にも変えがたち製品の価値であり、同認証はいわばその「品質」の証です。同認証には、土壌の健全性、労働者の公平性、動物の福祉という3つの柱があり「食べることで美味しく、身体の健康や大地の回復にもつながる」と近藤ディレクター。嬉しいことです!

「Pizza 4P's」は、日本人が2012年にベトナムで起業し、現在はベトナム、カンボジア、インド、インドネシア、日本の5カ国に42店舗を展開している美味しくてサステナブルな注目のレストランです。ベトナムで外食産業としては初めて環境インパクトレポートを出し、ゴミの量やパッケージの素材、地産地消など実践内容を詳細に公表しています。「パタゴニアはずっとベンチマークしてきた。僕らもリジェネラティブの考え方をレストランを通じて伝えて行きたい」と久保田ディレクター。

オーガニック食材は価格が高くなりがち、の課題について久保田ディレクターは「オーガニックが広がらないと価格も下がらないから、先陣を切ってマーケットを作っている。仲間が増えれば価格も下がり利益も出るから長期的な視点で僕らだけではなく全体でマーケットを作ってゆきたい」と言います。これには近藤ディレクターも深く頷き「まったく同じ。僕らは波紋を呼ぶ石になりたい。小さな石も水に投げ込めば波紋をよぶ。社会全体が“正しいことをやってみよう”となることを期待している」とのこと。ちなみに、「パタゴニアの創業者のイボン・シュイナードもプロビジョンズの製品の中でもパスタが特にお気に入り」だそう。

「昔話はもういい。もっぺんやり直そう」

繊維産地オープンファクトリーキックオフイベント(8/29)

今秋、全国の繊維産地でオープンファクトリーのイベントが開催されます。そのキックオフイベントが文化学園で開かれたのですが、やや遅れて会場に着くと広い教室が満員で熱気に溢れています。仕掛け人である宮浦晋哉 糸編代表の明るく軽妙な進行で各産地担当者たちのピッチが繰り広げられました。日本にはたくさんの繊維産地がありますが、それぞれの特徴を短時間でザッとインプットできる機会はあまりないから、これは貴重です。そして担当者たちがおし並べて明るい(特に尾州)から、話を聞いていると元気が出てきます。

多くの産地で今、世代交代が進み、次世代が活躍を始めています。そのうちの一つ、西脇・多可の担当者の言葉が印象的でした。「僕らは良い時は知らないから、ここから上がるしかない」。ちなみに、西脇・多可は、産地全体の年間生産量がピーク時の8.8%(91.2%減)です。これは文字通り「激減」です。ですが、彼らは「昔話はもういい。もっぺんやり直そう」と言います。

日本全国、ほとんどの産地が後継者不足という大問題を抱えています。それに対してメディアは「風前の灯」なんて表現をしがちです。私もこれまでそうでした。でもそれってとても失礼な話でした。危機感を無駄に煽るだけで具体的なアクションを起こさなければ役にも立たない。それよりも暴風を受けながらも繋ぎ盛り上げようとしている人たちの技術や製品、声を少しでも伝えることのほうが微力ながら役に立てるかもしれない、と思うようになりました。自戒を込めて、とはまさにこのことです。

オープンファクトリーの予定は下記の通りです。(米沢は終わってしまいました。記事にしたので記事したのリンクからぜひ読んでください)

山形県米沢市9月12〜14日 「360°よねざわオープンファクトリー」
愛知県知多市9月27日〜10月19日「CHITAMOMENT」
広島県福山市10月4〜5日「DENIM EXPO」
山梨県富士吉田市10月19〜20日「ハタオリマチフェスティバル」
愛知県一宮市 10月25〜26日「ひつじサミット尾州」
兵庫県西脇市・多可町10月26〜27日「西脇・多可オープンファクトリー“もっぺん”」
新潟県五泉市11月16〜17日「五泉ニットフェス」

宮浦さん曰く「こういうイベントは作る裏方の方々とても苦労しているのを見ているし、来年も同じプログラムがあるかどうかわからないので、気になるところがあればぜひ2024年のうちにお見逃しなくです」。表現は柔らかいけれどこれは魂の叫びです。

ファッション表現の制作現場で考えるサステナ

9月9日号サステナビリティ特集表紙撮影(8/30)


この日は9月9日号サステナビリティ特集の表紙撮影でした。そもそもこの撮影、編集部のサステナチームの一人、皆合記者が「ファッション表現におけるサステナビリティとは?」との問いを立てたところからスタート。環境配慮型の素材を使った服であっても、それを「伝える」撮影の制作現場で環境配慮が語られることは少ないという矛盾が生じているからです。
そこで、撮影スタジオは今年1月に東京・清澄白河にオープンした循環型ギャラリー&スタジオ「ソイルメイツ スタジオ」を選び、サステナビリティに関心がありアクションを起こしているクリエイターに集まってもらいました。メンバーは、フォトグラファーのRIKKIさん、メイクアップアーティスト&ビューティディレクターのMICHIRUさん、ヘアスタイリストのJUN GOTOさん、スタイリストの木村舞子さん。そしてモデルを務めたのは、俳優で映画監督でもある岡本多緒さんです。岡本さんは、「アボード・オブ・スノー」共同クリエイティブ・ディレクター兼サステナビリティ・アンバサダーも務めています。撮影後に行った4人の座談会はぜひ記事をお読みください。

AIなどデジタルでの表現も可能な今、人が集まり、エネルギーを使いながらファッションビジュアルを製作する意味・意義は「絶対ある」と私は思います。リアルに人が集まり、手を使ったヘアメイク作りやモデルの動きが醸し出すことでしから生まれない美があるから。だからといって、1回使っただけの背景紙を廃棄するようなビジネスモデルや慣習に対してはノー。変えられことが必ずあるはず。思考を停止しないこと、ですね。

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「サケハンドレッド」が新作「弐光」を発表 米ぬかの再利用で示す新たな日本酒造り

Clearの日本酒ブランド「サケハンドレッド(SAKE HUNDRED)」は9月24日、新商品「弐光(にこう)」(720mL、9900円)を発売する。ブランドサイトでの EC 販売が売り上げの 9 割を占めてきたが、今作は小売店限定の商品として打ち出し、小売店における高価格帯日本酒市場の活性化を狙う。

醸造パートナーである新潟県の白瀧酒造と共に「未体験の扉を開く、非日常への誘い」というコンセプトを掲げた同商品は、和梨のように爽やかでジューシーなアロマが特徴だ。一般的な日本酒造りの“三段仕込み”(米・麹・水を3段階に分けて投入する製法)からもう一度仕込みを行う“四段仕込み“を採用。4回目の仕込みで甘酸っぱい甘酒のようにした米ぬかと白麹を投入し、果実感とふくよかな味わいを生み出した。余韻にかけて米の旨味が広がり、ミネラル由来の苦味が全体を引き締め、心地よいバランスを味わえる。米ぬかは、同ブランドを代表する日本酒「百光」の原料精米時に排出されたものを原料の一部として再利用。同社ならびに白瀧酒造にとっても新しい取り組みとなった。

生駒龍史Clear代表取締役CEOは、「これまでEC販売が中心だったが、同商品をきっかけに、手薄だった小売店や飲食店にも高級日本酒市場を広げる」とコメントし、高級日本酒市場の開拓に意欲的な姿勢を示した。一方、「単に裾野を広げるだけでなく、お客様1人1人の人生を豊かにしたい」と続け、“心を満たし、人生を彩る”というブランドパーパスからぶれない、一貫したブランディングを目指す。

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「サケハンドレッド」が新作「弐光」を発表 米ぬかの再利用で示す新たな日本酒造り

Clearの日本酒ブランド「サケハンドレッド(SAKE HUNDRED)」は9月24日、新商品「弐光(にこう)」(720mL、9900円)を発売する。ブランドサイトでの EC 販売が売り上げの 9 割を占めてきたが、今作は小売店限定の商品として打ち出し、小売店における高価格帯日本酒市場の活性化を狙う。

醸造パートナーである新潟県の白瀧酒造と共に「未体験の扉を開く、非日常への誘い」というコンセプトを掲げた同商品は、和梨のように爽やかでジューシーなアロマが特徴だ。一般的な日本酒造りの“三段仕込み”(米・麹・水を3段階に分けて投入する製法)からもう一度仕込みを行う“四段仕込み“を採用。4回目の仕込みで甘酸っぱい甘酒のようにした米ぬかと白麹を投入し、果実感とふくよかな味わいを生み出した。余韻にかけて米の旨味が広がり、ミネラル由来の苦味が全体を引き締め、心地よいバランスを味わえる。米ぬかは、同ブランドを代表する日本酒「百光」の原料精米時に排出されたものを原料の一部として再利用。同社ならびに白瀧酒造にとっても新しい取り組みとなった。

生駒龍史Clear代表取締役CEOは、「これまでEC販売が中心だったが、同商品をきっかけに、手薄だった小売店や飲食店にも高級日本酒市場を広げる」とコメントし、高級日本酒市場の開拓に意欲的な姿勢を示した。一方、「単に裾野を広げるだけでなく、お客様1人1人の人生を豊かにしたい」と続け、“心を満たし、人生を彩る”というブランドパーパスからぶれない、一貫したブランディングを目指す。

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トヨタ自動車、アーバンリサーチ、豊島がアップサイクルで連携 他産業も巻き込んだ仕組みへ

トヨタ自動車、アーバンリサーチ、豊島は、廃棄する自動車部品やアパレルの廃棄的スタイルや衣料などのテキスタイルやレザーなどのアップサイクルにおいて、3社連携を開始した。第1弾として10月11日まで、東京・虎ノ門の「アーバン・ファミマ!!」虎ノ門ヒルズビジネスタワー店で、アップサイクル製品のトートバッグやステーショナリーグッズなどを販売している。

トヨタ自動車は約3年半前に、循環型の仕組みを目指す“トヨタ アップサイクル(TOYOTA UPCYCLE)”プロジェクトを始動した。「自動車には何万点もの部品が使われている。(端材などで)リユース・リサイクルできるものは再利用するが、廃棄せざるを得なかったものもある」(中村慶至トヨタ自動車 新事業企画部 事業開発室 トヨタアップサイクルプロジェクトオーナー)。それらをアップサイクルし、雑貨類を作ることを目指してきたが、「3年半プロジェクトを行ってきて、アップサイクルは生産効率とデザインの2点において本当に難しいと実感した」のだという。

「変容に驚いてほしい」

生産効率でいえば、「元々は廃棄していたテキスタイルやレザーを使用するため、量や色が読めない」。そして、「それらに柔軟に対応する圧倒的なデザインの力の不足」を感じていた。「アーバンリサーチ、豊島と組むことで、この2点が乗り越えられる」と考え、3社連携に至った。アーバンリサーチはデザイン、豊島は生産背景の面で強みを生かす。アーバンリサーチは従前から、廃棄衣料を色で分別し、雑貨用資材として再利用するプロジェクト「コンポスト(COMMPOST)」も手掛けている。

「アーバン・ファミマ!!」では、エアバッグやシートベルトの端材を使ったキャンプシーン向けのトートバッグ(2万3100円)や自動車のシートにも取り付けられるウォールポケット(1万7600円)、「レクサス(LEXUS)」のシートレザーの端材を使ったペンケース(3500円)やカードケース(2000円)などを、自動車部品と共に展示・販売。これらは、3社連携前から企画していた商品といい、「今後企画する商品はさらにデザイン力も高まっていく。アップサイクルによって、ゴミとなっていたものがこんなすてきなものに変わるという、変容への驚きをお客さまに感じてほしい」と中村オーナー。

リニューアルする京都店でも展開

「アーバン・ファミマ!!」での今回のポップアップに続き、11月に「グローバルフラッグシップストア」を目指しリニューアル予定という「アーバンリサーチ」の京都店にも、“トヨタ アップサイクル”のコーナーを設ける。他の「アーバンリサーチ」店舗でも順次展開予定だ。

今後は、トヨタ自動車とアーバンリサーチの端材・廃材を合わせてアップサイクルを進め、アップサイクルを体験してもらえるようなコト提案も進めていくという。また、自動車やアパレル業界に限らず、他産業も組み込んだアップサイクルの仕組み作りに取り組んでいく考え。

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「プロのデザイナーからアドバイスも」 2024年度受賞者が語る、東京発ファッションアワードの魅力 

東京都は2種類のファッションコンクールを開催し、9月20日まで応募者を受け付けている。日本の伝統文化を持続可能にするアイデアを募る「サステナブル デザイン ファッション アワード2025(SUSTAINABLE DESIGN FASION AWARD 2025以下、SFDA)」と、都内在住の学生を対象にする「ネクスト ファッション デザイナー オブ トウキョウ 2025(NEXT FASHION DESIGNER OF TOKYO以下、NFDT)」だ。東京から若手デザイナーを輩出し、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークに並ぶ“ファッションの拠点”になることがコンクールの目的だ。

とはいえ、応募要項を読んでいるだけではイメージしづらいことも多いだろう。東京都は9月1日に東急プラザ原宿「ハラカド」で、審査員と2024年度受賞者によるトークイベントを開き、応募までの流れや、受賞作品のコンセプト、受賞によるメリットなどをディスカッションする場を設けた。立ち見を含めて100人弱の観客が見守る中、「SFDA」の審査員でありデザイナー兼アーティストの篠原ともえと、「NFDT」の審査員であり「WWDJAPAN」のサステナビリティ・ディレクターの向千鶴、そして受賞者の立澤拓都さん(「NFDT」フリー部門大賞)、速水美里さん(「NFDT」インクルーシブデザイン部門大賞)、末永るみえさん(「SFDA」ファッショングッズ部門大賞)の3人が登壇した。本記事ではイベント当日の様子を振り返る。

トピック1
応募したきっかけは?どんなクリエイションでコンテストに挑んだ?

立澤:インスタグラムのDMで、ファッション業界関係者から「応募してみないか」というメッセージが届いたことがきっかけだ。去年は一次審査で落ちたが、今年はリベンジのつもりで挑戦した。虫食いされた服に対して、「これ以上虫食いされないためにはどうすればいいか?」という考えからものづくりがスタート。「だったらこれ以上開けられないくらい穴を作った洋服にしよう」と、東北地方の伝統である「ぼろ」に着想を得て、オーガンジーの上にパッチワークを施したり、虫食い穴を審美的に見せるためにパンチングを加えたりした。

速水:元々インクルーシブデザインに興味があったため、洋服を通して社会の力になりたいと思っていた。両親、姉と共に福祉の仕事をしているため、普段から障がい者の抱く悩み事を耳にすることが多い。今回は、前後どちらで着てもよいデザインとしたほか、肌トラブルを引き起こさないように、ニードルパンチで生地の上から羊毛を叩きつけ、ミシンの縫い目を消した。また、“インクルーシブ”だからといって華やかさが損なわれないように、明るい色合いを選んだ。

末永:昨年7月にイギリスのロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)を卒業して就職活動に励む中、母親から応募を勧められたからだ。大学でもサステナビリティーに関する授業を受けていたこともあり、「SFDA」に興味が湧いた。廃棄された着物のダメージ度合いはさまざまであるため、どんな状態の着物からでも作れるバッグを作りたくなった。栃木県産のレザーで周りを補強するため堅牢性も高まるほか、富士山をイメージしたシェイプからは日本らしさも醸し出せる。

トピック2
コンテストを通して学べたことは?

立澤:審査の過程では、ファッションデザイナーと直接話してアドバイスをもらえるチャンスがある。褒めてくれる人もいれば、成長の余地を指摘してくれる人もいて、とても勉強になった。特に、虫食い穴をモチーフにした僕の作品を見た「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナーが、「崩すこと自体は簡単にできるが、どう崩すかがを考えるべき。丁寧にほころびを作ることが大事」と声をかけてくれ、今でも印象に残っている。

速水:審査が進むとワークショップに参加できるため、他の学校に通う同年代の人とも出会えて刺激的だった。自分の学校にはない部門で勉強している人や、海外留学を経験した人など、毎日が新たな発見の連続だった。また、障がい当事者にヒアリングできる機会も得られたため、インクルーシブデザインに必要なことを改めて知ることができた。例えば、「アームホールや首周りの広さがあると着脱しやすい」というコメントからは、着る人だけでなく、着せる人にも配慮した目線が大切だと気づいた経験だ。

末永:速水さんと同様で、他校の服飾学生と知り合えたのが大きかった。私はイギリスの大学に通っていたため、海外にファッション業界を目指す友人はいても、日本にはいなかった。

トピック3
応募を考えている人にアドバイス

立澤:たくさんデザイン画を描いてほしい。何通も応募すれば、一着でも審査員の目にとまる作品があるはず。

速水:どんなコンテストにも言えることだが、資料をふんだんに集めて知識の土台を作ることが大事。私がテーマにしたのは福祉だったので、その勉強も必要だった。両親の話を聞いたり、図書館に通ったりして、知識を蓄積していった。

末永:自分が作りたいアイテムは、どんな人に届けるものかを考えると効果的だ。どこに住み、どんな生活習慣をもつのかなど、ペルソナを設定するとデザインが深まると思う。

1時間のトークセッションながら、登壇者らは大盛り上がり。ディスカッションをリードする篠原デザイナーは、受賞者が生き生きとファッションについて語る姿を見て「3人を選出して間違いなかった」とコメント。「作品に対する愛情があれば、審査員にも必ず伝わると実感した。ファッションアワードに応募するなんて今しかできないことかもしれないから、ぜひ挑戦してほしい」と、未来の応募者に対して呼びかけた。また、向サステナビリティ・ディレクターは、「自分のためにファッションを楽しむのは高校生まで。次は誰かのためのファッションを作るという意志を持って、新たな作品を作り出してくれたら」と熱っぽく語った。

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「プロのデザイナーからアドバイスも」 2024年度受賞者が語る、東京発ファッションアワードの魅力 

東京都は2種類のファッションコンクールを開催し、9月20日まで応募者を受け付けている。日本の伝統文化を持続可能にするアイデアを募る「サステナブル デザイン ファッション アワード2025(SUSTAINABLE DESIGN FASION AWARD 2025以下、SFDA)」と、都内在住の学生を対象にする「ネクスト ファッション デザイナー オブ トウキョウ 2025(NEXT FASHION DESIGNER OF TOKYO以下、NFDT)」だ。東京から若手デザイナーを輩出し、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークに並ぶ“ファッションの拠点”になることがコンクールの目的だ。

とはいえ、応募要項を読んでいるだけではイメージしづらいことも多いだろう。東京都は9月1日に東急プラザ原宿「ハラカド」で、審査員と2024年度受賞者によるトークイベントを開き、応募までの流れや、受賞作品のコンセプト、受賞によるメリットなどをディスカッションする場を設けた。立ち見を含めて100人弱の観客が見守る中、「SFDA」の審査員でありデザイナー兼アーティストの篠原ともえと、「NFDT」の審査員であり「WWDJAPAN」のサステナビリティ・ディレクターの向千鶴、そして受賞者の立澤拓都さん(「NFDT」フリー部門大賞)、速水美里さん(「NFDT」インクルーシブデザイン部門大賞)、末永るみえさん(「SFDA」ファッショングッズ部門大賞)の3人が登壇した。本記事ではイベント当日の様子を振り返る。

トピック1
応募したきっかけは?どんなクリエイションでコンテストに挑んだ?

立澤:インスタグラムのDMで、ファッション業界関係者から「応募してみないか」というメッセージが届いたことがきっかけだ。去年は一次審査で落ちたが、今年はリベンジのつもりで挑戦した。虫食いされた服に対して、「これ以上虫食いされないためにはどうすればいいか?」という考えからものづくりがスタート。「だったらこれ以上開けられないくらい穴を作った洋服にしよう」と、東北地方の伝統である「ぼろ」に着想を得て、オーガンジーの上にパッチワークを施したり、虫食い穴を審美的に見せるためにパンチングを加えたりした。

速水:元々インクルーシブデザインに興味があったため、洋服を通して社会の力になりたいと思っていた。両親、姉と共に福祉の仕事をしているため、普段から障がい者の抱く悩み事を耳にすることが多い。今回は、前後どちらで着てもよいデザインとしたほか、肌トラブルを引き起こさないように、ニードルパンチで生地の上から羊毛を叩きつけ、ミシンの縫い目を消した。また、“インクルーシブ”だからといって華やかさが損なわれないように、明るい色合いを選んだ。

末永:昨年7月にイギリスのロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)を卒業して就職活動に励む中、母親から応募を勧められたからだ。大学でもサステナビリティーに関する授業を受けていたこともあり、「SFDA」に興味が湧いた。廃棄された着物のダメージ度合いはさまざまであるため、どんな状態の着物からでも作れるバッグを作りたくなった。栃木県産のレザーで周りを補強するため堅牢性も高まるほか、富士山をイメージしたシェイプからは日本らしさも醸し出せる。

トピック2
コンテストを通して学べたことは?

立澤:審査の過程では、ファッションデザイナーと直接話してアドバイスをもらえるチャンスがある。褒めてくれる人もいれば、成長の余地を指摘してくれる人もいて、とても勉強になった。特に、虫食い穴をモチーフにした僕の作品を見た「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナーが、「崩すこと自体は簡単にできるが、どう崩すかがを考えるべき。丁寧にほころびを作ることが大事」と声をかけてくれ、今でも印象に残っている。

速水:審査が進むとワークショップに参加できるため、他の学校に通う同年代の人とも出会えて刺激的だった。自分の学校にはない部門で勉強している人や、海外留学を経験した人など、毎日が新たな発見の連続だった。また、障がい当事者にヒアリングできる機会も得られたため、インクルーシブデザインに必要なことを改めて知ることができた。例えば、「アームホールや首周りの広さがあると着脱しやすい」というコメントからは、着る人だけでなく、着せる人にも配慮した目線が大切だと気づいた経験だ。

末永:速水さんと同様で、他校の服飾学生と知り合えたのが大きかった。私はイギリスの大学に通っていたため、海外にファッション業界を目指す友人はいても、日本にはいなかった。

トピック3
応募を考えている人にアドバイス

立澤:たくさんデザイン画を描いてほしい。何通も応募すれば、一着でも審査員の目にとまる作品があるはず。

速水:どんなコンテストにも言えることだが、資料をふんだんに集めて知識の土台を作ることが大事。私がテーマにしたのは福祉だったので、その勉強も必要だった。両親の話を聞いたり、図書館に通ったりして、知識を蓄積していった。

末永:自分が作りたいアイテムは、どんな人に届けるものかを考えると効果的だ。どこに住み、どんな生活習慣をもつのかなど、ペルソナを設定するとデザインが深まると思う。

1時間のトークセッションながら、登壇者らは大盛り上がり。ディスカッションをリードする篠原デザイナーは、受賞者が生き生きとファッションについて語る姿を見て「3人を選出して間違いなかった」とコメント。「作品に対する愛情があれば、審査員にも必ず伝わると実感した。ファッションアワードに応募するなんて今しかできないことかもしれないから、ぜひ挑戦してほしい」と、未来の応募者に対して呼びかけた。また、向サステナビリティ・ディレクターは、「自分のためにファッションを楽しむのは高校生まで。次は誰かのためのファッションを作るという意志を持って、新たな作品を作り出してくれたら」と熱っぽく語った。

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米沢織の15社が工場や職人技を一般公開 「開かれた産地」を目指して


山形県米沢市内のものづくり企業30社が参加しその生産現場などを一般に公開する「360°よねざわオープンファクトリー」が9月12日から14日まで開かれ、米澤織の15社も参加した。他の産地と同様に米沢も事業継承などの問題が深刻だが、参加企業は口々に「後ろ向きの話ばかりしていても始まらない」と明るい。職人技やその現場を公開することが観光資源ともなりえる、そんな可能性も垣間見せるイベントとなった。また、これに併せて宮浦晋也 糸編代表が主催する「産地の学校」は日本各地から参加するツアーを組み、アパレル関係者や学生などが参加した。

米沢産地の歴史は長い。江戸時代中期に鷹山公の名で知られる盟主上杉治憲が、困窮する藩を復興させるため行った産業開発の一つとして織物産業を興したことに始まる。戦後は呉服と高級服地の産地として発展し、狭い産地内に生地作りの各工程の企業が集まることから新しい技術開発や小ロット生産などを得意としてきた。しかし後継者不足という大問題に直面してすでに長く、現在では産地内で全工程を行うことも難しくなっている。オープンファクトリーでは、技術の披露に加え、そのような課題も共有し課題解決を探る姿勢が印象的だった。ここでは5社の取り組みを紹介する。

正絹の袴NO1の安部吉。ラグジュアリーが頼りにする発想と技

119年の歴史がある安部吉は、シルク100%の袴の国内シェア90%を誇る。蔵の板の間に第一礼装の縞袴などの反物が並ぶ光景は、受け継がれてきた歴史を感じさせ、迫力がある。現在は袴に加えて、シルク×天然素材の高級服地、特に意匠性の高いジャカード織を得意とし、ヨーロッパのラグジュアリーブランドや、日本のデザイナーズブランドのオリジナル生地を手がけている。日本の古布を今の素材で再現するなど、デザイナーからの難題を形にするのは、安部吉弘社長の発想と手の技だ。

その安部社長に「一番の自信作は?」と聞くと、シンプルな黒い無地のシルクウールのジャカードの反物を見せてくれた。ストレッチが効いているがポリウレタンなどは使っていない。ウールに限界まで撚りを入れることで、柔らかく伸縮性のあるジャカードとした。高級プレタポルテの顧客が好みそうな上質な素材だ。これには、中国のラグジュアリーブランドから大量発注がついたという。

安部社長が中国語を話せることもあり、同社は数年前から中国・台湾のハイブランド市場へ向けての新商品開発と取引先の開拓を米沢産地の他社と協業で進めてきた。この生地はその成果のひとつと言えるだろう。勝ち残る企業は歴史と技だけではなく、新しい市場へ出てゆく姿勢があることに気づかされる。

開かれた産地へ。それがファクトリーブランドの宿命

小ロット多品種などの受注に柔軟に応えてきた産地の特性から、逆に「米沢織とは?の問いに実は明確な答えはない」と話すのは、ファクトリーブランド「ニトリト(NITORITO)」の鈴木健太郎社長だ。だから「『ニトリト』が米沢織の代名詞となってもいい、くらいの気持ち」をもってこだわりのものづくりをしている。「開かれた産地にして米沢の可能性を広げることがファクトリーブランドの宿命」と考えるからだ。同社は、丸編みもジャカード織も手掛ける。少量・高付加価で差別化し、閑散期に「ニトリト」を作る。「編みは世界中どこでもできるが、加工により糸にかかったストレスや外気温、機械の状態などを加味して編み機を操るのは職人の仕事だ」と鈴木社長。織りもしかりで、経糸と緯糸が交わることで独特の色を生む。「アパレルの人たちにはぜひこうやって色が生まれる現場を見にきてほしい」と呼びかける。

デザインを手掛けるのは、齋藤美綺取締役デザイナーだ。出身は神奈川県藤沢市で米沢とゆかりはない。多摩美術大学在学中に繊維産地巡りをして出会ったこの地に惹かれて「よそ者が入ることで、素晴らしい技術をもって黙々と作る産地と面白い化学反応を起こせないか」と移住をした。田んぼや山並みとその上に浮かぶ月、鳥など米沢の風景をモチーフにウール・コットンのストールやブランケットを手掛け、余剰素材で小物も作っている。

織機と糸を知り尽くし、手書きメッセージを添えて納品

行方工業は、糸繰り、整経、製織、検品仕上げまでを行う一貫生産体制による先染めのシルク高密度織物を得意とする。行方護社長は、オープンファクトリーの来場者を、レピアやシャトルといった織機のすぐ近くへ招き、自ら糸をつなぎ、回す様子を披露する。織機を操るときの楽しそうな表情が印象的だ。「緯糸は織機に欠ける前に、先染め、乾燥など何度もストレスがかかっているそれらを計算しながら織機を扱う」と、目には見えない技術の背景を説明してくれた。

自慢の生地を見せてほしいと依頼すると、ややムラと凹凸感のある染めが特徴的な一枚を見せてくれた。得意とする「傷ひとつない高密度織物」ではないところが意外だ。「自分は好奇心が強いから攻める」と行方社長。染工場には「シルクだからって丁寧に扱わなくてもいい、おもしろいものができるなら極端な話、破れたっていい。シルクはシルクなんだから」と伝えたという。

このようなモノづくりはコロナ下でより強まったという。「直接会えないから、納品時に手書きで説明書きを添えるようにしたら、反応が大きく、良くも悪くもフィードバックがあるからモノづくりがしやすくなった」というのだ。生地を作る職人とアパレルの担当者やデザイナーの間には数社の中間企業が入るが、「手書き」がその垣根を超えて、対話を生んだ。「“失敗したけど意外と面白いから、使ってみて”なんて対話も手書きだと成立する」。結果、新しいチャレンジがしやすくなったという。

アートと日用品。織機から始める2つのアプローチ

大正12年設立の山口織物鷹山堂は現在、デジタル技術と融合した写真織りのアートを制作し、同時に地元アーティストとコラボレーションした「米織小紋」の小物を小ロット・クイックレスポンスで生産し、カフェ併設のショップで販売するなど、新しい取り組みに挑戦している。オープンファクトリーではテキスタイルアーティストの父・山口英夫CEOと、文化服装学院に通う息子の山口英太氏の2人で、ひっきりなしに訪れる来場者に対応していた。

吹き抜けのアトリエで目を奪うのは、4メートル幅の巨大なレピア織機だ。山口CEOは1980年代からエンジニアとしてキャリアを積み、コンピューターと織機をつないだ。「考え方はプリンターと同じ。エクセルの数字でもワード上の言葉でも、ジャカード織りの柄となる」と斬新だ。これまでは劇場の緞帳やタペストリーなど大きな織物を製造し、同時にアート作品として発表しその作品は米国メトロポリタン美術館などに収蔵されている。闘病を経た今は再び、アーティストとしての活動に力を入れている

ロイヤルウエディングで採用される一点の曇りもない“ミカドシルク”

行方織物は、ウエディングドレスなどで使われるハリと厚みのある“ミカドシルク”などを手掛けているる。特徴は一点の傷もない、完璧な仕上がりだ。虫眼鏡を使って最終検品をして10カ所ひっかかりが見つかれば出荷をしない。それ故、誰もが知るラグジュアリーやデザイナーズブランドが顧客に名前を連ね、ロイヤルウエディングのドレスにも採用されている。オフィスの入り口にはユダヤの正装である黒のシルクサテンのコートが飾られていた。行方裕視社長が「世界一厚みあるシルクサテンだ」と言い切るその生地はなんと、26000本の経糸を通しているというから気が遠くなる。

これまでは米沢産地ネットワークを活かし、染色から織物まで一貫したものづくりをしてきたが、米沢の染工場が廃業を決めたため、今後は京都で染色を行う。「非常に残念」と本音が漏れるが、それは同社だけではない。米沢産地、日本の繊維産地全体の課題だ。産地内M&Aや、産地を超えた特に加工や染色の協業が急務であることは間違いない。

産地の人たちからは欧米のラグジュアリブランドや日本のデザイナーズブランドの名前をよく聞くが、産地側はブランド側へ配慮し、具体名をオープンにすることを好まない。逆に「ビズビム(VISVIM」」のようにオンラインストアのアイテム紹介欄で安部吉や行方工業といった企業の技術を詳細に解説しているケースもある。「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」もしかりだ。ブランド側の情報開示は、技術を誇る日本の繊維産地存続の力となる。トレーサビリティの観点からも、またメード・イン・ジャパンの存続のためにもブランド側がその姿勢を見直すタイミングと言えるだろう。

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米沢織の15社が工場や職人技を一般公開 「開かれた産地」を目指して


山形県米沢市内のものづくり企業30社が参加しその生産現場などを一般に公開する「360°よねざわオープンファクトリー」が9月12日から14日まで開かれ、米澤織の15社も参加した。他の産地と同様に米沢も事業継承などの問題が深刻だが、参加企業は口々に「後ろ向きの話ばかりしていても始まらない」と明るい。職人技やその現場を公開することが観光資源ともなりえる、そんな可能性も垣間見せるイベントとなった。また、これに併せて宮浦晋也 糸編代表が主催する「産地の学校」は日本各地から参加するツアーを組み、アパレル関係者や学生などが参加した。

米沢産地の歴史は長い。江戸時代中期に鷹山公の名で知られる盟主上杉治憲が、困窮する藩を復興させるため行った産業開発の一つとして織物産業を興したことに始まる。戦後は呉服と高級服地の産地として発展し、狭い産地内に生地作りの各工程の企業が集まることから新しい技術開発や小ロット生産などを得意としてきた。しかし後継者不足という大問題に直面してすでに長く、現在では産地内で全工程を行うことも難しくなっている。オープンファクトリーでは、技術の披露に加え、そのような課題も共有し課題解決を探る姿勢が印象的だった。ここでは5社の取り組みを紹介する。

正絹の袴NO1の安部吉。ラグジュアリーが頼りにする発想と技

119年の歴史がある安部吉は、シルク100%の袴の国内シェア90%を誇る。蔵の板の間に第一礼装の縞袴などの反物が並ぶ光景は、受け継がれてきた歴史を感じさせ、迫力がある。現在は袴に加えて、シルク×天然素材の高級服地、特に意匠性の高いジャカード織を得意とし、ヨーロッパのラグジュアリーブランドや、日本のデザイナーズブランドのオリジナル生地を手がけている。日本の古布を今の素材で再現するなど、デザイナーからの難題を形にするのは、安部吉弘社長の発想と手の技だ。

その安部社長に「一番の自信作は?」と聞くと、シンプルな黒い無地のシルクウールのジャカードの反物を見せてくれた。ストレッチが効いているがポリウレタンなどは使っていない。ウールに限界まで撚りを入れることで、柔らかく伸縮性のあるジャカードとした。高級プレタポルテの顧客が好みそうな上質な素材だ。これには、中国のラグジュアリーブランドから大量発注がついたという。

安部社長が中国語を話せることもあり、同社は数年前から中国・台湾のハイブランド市場へ向けての新商品開発と取引先の開拓を米沢産地の他社と協業で進めてきた。この生地はその成果のひとつと言えるだろう。勝ち残る企業は歴史と技だけではなく、新しい市場へ出てゆく姿勢があることに気づかされる。

開かれた産地へ。それがファクトリーブランドの宿命

小ロット多品種などの受注に柔軟に応えてきた産地の特性から、逆に「米沢織とは?の問いに実は明確な答えはない」と話すのは、ファクトリーブランド「ニトリト(NITORITO)」の鈴木健太郎社長だ。だから「『ニトリト』が米沢織の代名詞となってもいい、くらいの気持ち」をもってこだわりのものづくりをしている。「開かれた産地にして米沢の可能性を広げることがファクトリーブランドの宿命」と考えるからだ。同社は、丸編みもジャカード織も手掛ける。少量・高付加価で差別化し、閑散期に「ニトリト」を作る。「編みは世界中どこでもできるが、加工により糸にかかったストレスや外気温、機械の状態などを加味して編み機を操るのは職人の仕事だ」と鈴木社長。織りもしかりで、経糸と緯糸が交わることで独特の色を生む。「アパレルの人たちにはぜひこうやって色が生まれる現場を見にきてほしい」と呼びかける。

デザインを手掛けるのは、齋藤美綺取締役デザイナーだ。出身は神奈川県藤沢市で米沢とゆかりはない。多摩美術大学在学中に繊維産地巡りをして出会ったこの地に惹かれて「よそ者が入ることで、素晴らしい技術をもって黙々と作る産地と面白い化学反応を起こせないか」と移住をした。田んぼや山並みとその上に浮かぶ月、鳥など米沢の風景をモチーフにウール・コットンのストールやブランケットを手掛け、余剰素材で小物も作っている。

織機と糸を知り尽くし、手書きメッセージを添えて納品

行方工業は、糸繰り、整経、製織、検品仕上げまでを行う一貫生産体制による先染めのシルク高密度織物を得意とする。行方護社長は、オープンファクトリーの来場者を、レピアやシャトルといった織機のすぐ近くへ招き、自ら糸をつなぎ、回す様子を披露する。織機を操るときの楽しそうな表情が印象的だ。「緯糸は織機に欠ける前に、先染め、乾燥など何度もストレスがかかっているそれらを計算しながら織機を扱う」と、目には見えない技術の背景を説明してくれた。

自慢の生地を見せてほしいと依頼すると、ややムラと凹凸感のある染めが特徴的な一枚を見せてくれた。得意とする「傷ひとつない高密度織物」ではないところが意外だ。「自分は好奇心が強いから攻める」と行方社長。染工場には「シルクだからって丁寧に扱わなくてもいい、おもしろいものができるなら極端な話、破れたっていい。シルクはシルクなんだから」と伝えたという。

このようなモノづくりはコロナ下でより強まったという。「直接会えないから、納品時に手書きで説明書きを添えるようにしたら、反応が大きく、良くも悪くもフィードバックがあるからモノづくりがしやすくなった」というのだ。生地を作る職人とアパレルの担当者やデザイナーの間には数社の中間企業が入るが、「手書き」がその垣根を超えて、対話を生んだ。「“失敗したけど意外と面白いから、使ってみて”なんて対話も手書きだと成立する」。結果、新しいチャレンジがしやすくなったという。

アートと日用品。織機から始める2つのアプローチ

大正12年設立の山口織物鷹山堂は現在、デジタル技術と融合した写真織りのアートを制作し、同時に地元アーティストとコラボレーションした「米織小紋」の小物を小ロット・クイックレスポンスで生産し、カフェ併設のショップで販売するなど、新しい取り組みに挑戦している。オープンファクトリーではテキスタイルアーティストの父・山口英夫CEOと、文化服装学院に通う息子の山口英太氏の2人で、ひっきりなしに訪れる来場者に対応していた。

吹き抜けのアトリエで目を奪うのは、4メートル幅の巨大なレピア織機だ。山口CEOは1980年代からエンジニアとしてキャリアを積み、コンピューターと織機をつないだ。「考え方はプリンターと同じ。エクセルの数字でもワード上の言葉でも、ジャカード織りの柄となる」と斬新だ。これまでは劇場の緞帳やタペストリーなど大きな織物を製造し、同時にアート作品として発表しその作品は米国メトロポリタン美術館などに収蔵されている。闘病を経た今は再び、アーティストとしての活動に力を入れている

ロイヤルウエディングで採用される一点の曇りもない“ミカドシルク”

行方織物は、ウエディングドレスなどで使われるハリと厚みのある“ミカドシルク”などを手掛けているる。特徴は一点の傷もない、完璧な仕上がりだ。虫眼鏡を使って最終検品をして10カ所ひっかかりが見つかれば出荷をしない。それ故、誰もが知るラグジュアリーやデザイナーズブランドが顧客に名前を連ね、ロイヤルウエディングのドレスにも採用されている。オフィスの入り口にはユダヤの正装である黒のシルクサテンのコートが飾られていた。行方裕視社長が「世界一厚みあるシルクサテンだ」と言い切るその生地はなんと、26000本の経糸を通しているというから気が遠くなる。

これまでは米沢産地ネットワークを活かし、染色から織物まで一貫したものづくりをしてきたが、米沢の染工場が廃業を決めたため、今後は京都で染色を行う。「非常に残念」と本音が漏れるが、それは同社だけではない。米沢産地、日本の繊維産地全体の課題だ。産地内M&Aや、産地を超えた特に加工や染色の協業が急務であることは間違いない。

産地の人たちからは欧米のラグジュアリブランドや日本のデザイナーズブランドの名前をよく聞くが、産地側はブランド側へ配慮し、具体名をオープンにすることを好まない。逆に「ビズビム(VISVIM」」のようにオンラインストアのアイテム紹介欄で安部吉や行方工業といった企業の技術を詳細に解説しているケースもある。「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」もしかりだ。ブランド側の情報開示は、技術を誇る日本の繊維産地存続の力となる。トレーサビリティの観点からも、またメード・イン・ジャパンの存続のためにもブランド側がその姿勢を見直すタイミングと言えるだろう。

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アダストリアがサプライヤー47社を公開、サプライチェーンの公平で倫理的な調達活動を促進

アダストリアは9月13日、サプライヤーリストを初めて公開した。同社の生産地は海外の中国やASEANが中心になっており、複雑化するサプライチェーンの中で、サプライヤーリストの公開により、「公平で倫理的な調達活動のさらなる促進を図る」(担当者)考え。

アダストリアは2016年から、独自の「グループ調達方針」と社会面、環境面に配慮した調達活動を推進するための「グループ調達ガイドライン」を策定。公平で倫理的な調達活動をサステナビリティの重要な重点課題として位置付けてきた。

今回公開したサプライヤーリストは中国や韓国などのアパレルや雑貨を扱う企業47社。商社などを経由せず同社が直接工場と取り引きする、いわゆる直貿の中で、取引量ベースで約8割になる。

同社の担当者は「ファッション産業は中国やASEANのサプライチェーンを通じて、そうした地域の生活にも関わっている。公平で倫理的な調達は、そうした地域の幸福の向上にもつながる」として、今後も継続的にサプライヤーリストの拡充を進め、縫製工場だけでなくテキスタイルや副資材、さらには商社などにも広げていく考え。

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「カナダグース」ダニー・リース会長兼CEOが語る 銀座の旗艦店、ハイダー・アッカーマン、暖冬への心構え

PROFILE: ダニー・リース(Dani Reiss)/カナダグース会長兼CEO

ダニー・リース(Dani Reiss)/カナダグース会長兼CEO
PROFILE: 1973年、トロント生まれ。1997年、祖父のサム・ティックが57年に創業したアウターウエアメーカーに入社。2000年にブランド名を「スノーグース」から「カナダグース」に改めると、01年にCEOに就任。その後、同ブランドを世界的なラグジュアリー・ライフスタイルブランドへと成長させた。19年にはグローブ・アンド・メール紙の「レポート・オン・ビジネス」で「グローバル・ビジョナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。20年に「カナダで最も称賛されるCEO」に選出。また16年にはカナダ勲章、19年にはオンタリオ勲章を授与された。現在はマウント・サイナイ病院の理事、カナダの学生向け慈善団体「ステューデンツ・オン・アイス(SOI)」の諮問委員も務める。 PHOTO:MIKA HASHIMOTO

ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)を初のクリエイティブ・ディレクターに迎えた「カナダグース(CANADA GOOSE)」は9月14日、銀座店をリニューアルし、フラッグシップストアとしてオープンする。カナダの大地を感じるような“カナディアン ウォームス(CANADIAN WARMTH)”をテーマに、店内にはラウンジスペースやバーカウンターを備えるほか、マイナス20度の環境でフィッティングが体験できる“コールドルーム”も完備。オープンを記念して写真家・二階堂ふみの写真展も開催する。

来日したダニー・リース(Dani Reiss)会長兼最高経営責任者(CEO)に銀座の新店舗やハイダーの起用、プロダクトの多様化、暖冬化が進む中での心構えなどを語ってもらった。

銀座店のリニューアルとハイダー・アッカーマンの起用

WWD:銀座店を「フラッグシップストア」としてリニューアルオープンする経緯は?

ダニー・リース=カナダグース会長兼CEO(以下、リース):「カナダグース」は、アジア地域で非常に好調だ。日本も同じで、2年前にオープンした銀座店も調子が良い。世界有数のショッピングエリアである銀座の店舗でブランドの力強いメッセージを体現し、発信する場所として生まれ変わらせたい。旗艦店として、あらゆる層のお客さまを迎えるのを楽しみにしている。

WWD: 5月にはクリエイティブディレクターにハイダー・アッカーマンが就任した。彼に白羽の矢を立てた一番の決め手は?

リース:ブランドが大きく成長し、クリエイティブ・ディレクターを見つけるべき時が来たと感じていた。選考に2年をかけ、多くの候補者と面談したが、最終的にハイダーと出会い、起用を決めた。私はハイダーのスタイルを「本物」と感じたし、ハイダーも「カナダグース」を「オーセンティック(=本物)」なブランドとして認識していた。ハイダーは、高い経験値を備え、いかにブランドを構築し、成長させるべきかを心得ている。あらゆる面でブランドを次のレベルへと引き上げてくれる人材だ。

WWD:ハイダーは機能性が魅力の「カナダグース」に、クリエイティブ・ディレクターとしてどう関わっていくのか?

リース:私は、彼をファッションデザイナーというよりは、「強い美学」を持った個人として認識している。彼はブランドの価値を高めるだけでなく、ブランドのカテゴリーを押し広げ、今までにない表現を提示してくれるだろう。

WWD:昨年リリースしたスニーカーなどを見てもわかるように「カナダグース」は製品カテゴリーの幅を拡大している。プロダクトを多様化させる先にあるものは?

リース:第一に、消費者が新しい商品を求めていると感じる。ブランドの成長は、新しいプロダクトをどんどん開発してきたことも大きい。私が入社した頃、「カナダグース」のプロダクトは約20型のみで、すべてダウンジャケットだった。今では軽量ダウンからウインドブレーカー、レインウエア、帽子、靴、アクセサリーまで、数多くのプロダクトを扱う。これらのアイテムにも、主力製品と同様のクラフツマンシップを注ぎ、高い品質を担保している。ブランドの基準に沿い、顧客が求める製品を作れば、私たちは成功できると信じている。ハイダーは、この点にも大きく寄与してくれるだろう。

WWD:「環境問題」の研究者を自認するハイダーとの最初のプロジェクトとして、ホッキョクグマの保護活動を支援するためのプロダクトを発売した。

リース:ハイダーがブランドに合流してすぐ、彼と私はカナダ北部の都市、チャーチルに向かった。多くのホッキョクグマが生息し、「ホッキョクグマの首都」とも呼ばれる街だ。そこでハイダーは、ホッキョクグマの生息地とその周辺の自然環境を体験し、「カナダグース」とホッキョクグマ保護団体「ポーラーベア・インターナショナル(Polar Bear International)」との長年にわたる取り組みを理解し、共感してくれた。その体験をもとに5月に発売したのが、「ポーラーベア・インターナショナル」に売上を寄付するための“PBI フーディー”だ。キャンペーンには、環境活動家としての顔を持つ女優のジェーン・フォンダ(Jane Fonda)を起用した。

サステナビリティへの意識 循環型経済の確立を目指して

WWD:一方でダウンという素材に対して、動物倫理的な視点で批判にさらされることもある。

リース:まず、「カナダグース」にとってダウンが重要な素材であることは間違いない。またダウンは、今でも世界で最も暖かい天然の中綿素材だ。

それを踏まえた上で2つのポイントを伝えたい。第一に、私たちが使用するダウンは、原料となるアヒルやガチョウの生育環境や羽毛の採取方法を細かく規定した国際的な基準「レスポンシブル・ダウン・スタンダード(Responsible Down Standard)」に適った方法で、倫理的に調達されたものであること。第二に、ダウンは食肉産業から生まれた副産物だ。レザーと同様に、人々がアヒルやガチョウを食べる限りダウンは存在し続ける。一方で「カナダグース」には近年、合成繊維や植物性の中綿などを使用している製品もある。こちらも好調だ。

WWD:昨年は自社製品の二次流通プラットフォーム「カナダグース・ジェネレーションズ」をスタートした。今後「カナダグース」が自社でコントロールする二次流通のビジネスはどうなる?

リース:消費者が持続可能性の問題に大きな関心を寄せる今、企業としてこの問題を重視し、循環型経済を確立することは重要だ。

誰かが手放した製品を市場に戻し、他の人にもう一度楽しんでもらう。それは自然なことであり、必要なこと。新品で「カナダグース」を購入したことがなかった消費者が、「カナダグース・ジェネレーションズ」では購入する機会があるかもしれないし、その人はいつか新品に手を伸ばすかもしれない。消費者がブランドに関わる方法が一つ増えたということ。顧客が製品をリユース・リサイクルする機会を大切にしている状況を考慮すれば、この事業はビジネスを成長させるチャンスでもある。始めたばかりだが、5〜10年後には私たちのビジネスに占める割合はかなり大きくなると見込んでいる。

WWD:昨年の10~12月期には卸売が苦戦し、28.5%の売り上げ減を経験した。人員削減にも踏み切り、自社の成長を促すべく組織を再編成した。このような痛みや変化を経て、直近の売り上げ状況は?

リース:まず言いたいのは、「カナダグース」のアジア太平洋地域は非常に好調で、23年の第四半期期(24年1月〜3月)は、全体で約30%プラスに転じている。昨年の卸売りの売上減は、私たちだけではなく、業界全体の現象だった。コロナ禍、金利上昇、インフレ、戦争など、様々なことがある中で、多くの卸売業者が在庫を持ちすぎていた。その機会を利用し、卸売りのネットワークの合理化を図り、消費者への直販を強化した。卸売は依然として非常に重要だが、世界で起きているあらゆる要因によって、自然な形でリセットされたと言える。

WWD:カナダグースジャパンも銀座店をリニューアルするように、今後卸売よりも直販に力を入れていく?

リース:日本には数社、強力な卸売パートナーがある。彼らとの取引には満足しているし、私たちのブランド力を高めてくれる存在だ。一方で、今回銀座店をリニューアルしたように、今後も機会があれば日本でも直営店を拡大していきたい。卸売と直販の両軸を大事にしていく。

暖冬が進む中で 「オーセンティック」なブランドとして

WWD:暖冬が進むなか、東京のような都市部に住む人は、防寒という点においてはヘビーなダウンジャケットを必要としなくなりつつある。それでも人々が「カナダグース」にひかれ、ダウンジャケットを購入する理由をどう分析するか?

リース:先ほど話したことにも繋がるが、20年以上日本でビジネスをしてきて、日本の人々は「オーセンティック(=本物)」であることを重視していると感じる。本物のストーリーを持っているブランドであることが大切だ。

また、大抵の場合、何かを買う動機は、単に必要だからではなく、それを欲しいと感じるから。「必要性」だけを考えれば、多くの人が「ランドローバー」のような四駆車を購入する理由もないし、そもそも、私たちがこんなに多くのモノを購入する理由もない。人はあくまで欲しいと感じるものを買うのだ。

だからこそ常に成長する必要性を感じる。カテゴリーの多様化はブランドとしての成長の一つ。あくまで「オーセンティック」な方法で、進化し続けるからこそ、消費者にとって常に「今」のブランドであり続けられるのではないか。

WWD:プロダクトの幅が広がっていく中でも、共通して存在する「カナダグース」らしさとは?

リース:全プロダクトに共通するのは、「独自の機能性」。マイナス100℃の寒冷地用のプロダクトであれ、街用にデザインしたものであれ、機能性は重要。機能を十分に追求すると、ファッショナブルなものになっていくとも感じている。

クラフトマンシップに重きを置いた、作りの良さも「カナダグース」らしさの一つ。プロダクトごとに最適な場所を選んで製造していて、ほとんどはカナダ製。それ以外はヨーロッパで作っている。

もちろん気候変動という問題には、アクションしなければならない。世界とつながり続け、状況に対応していくことが肝心だ。そのための方法はたくさんある。世の中のためになる製品を作ること、そして人々が望む製品を作ることを大事にしたい。「カナダグース」の価値を大切に守り、適切に成長していけば、成功できると信じている。

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「カナダグース」ダニー・リース会長兼CEOが語る 銀座の旗艦店、ハイダー・アッカーマン、暖冬への心構え

PROFILE: ダニー・リース(Dani Reiss)/カナダグース会長兼CEO

ダニー・リース(Dani Reiss)/カナダグース会長兼CEO
PROFILE: 1973年、トロント生まれ。1997年、祖父のサム・ティックが57年に創業したアウターウエアメーカーに入社。2000年にブランド名を「スノーグース」から「カナダグース」に改めると、01年にCEOに就任。その後、同ブランドを世界的なラグジュアリー・ライフスタイルブランドへと成長させた。19年にはグローブ・アンド・メール紙の「レポート・オン・ビジネス」で「グローバル・ビジョナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。20年に「カナダで最も称賛されるCEO」に選出。また16年にはカナダ勲章、19年にはオンタリオ勲章を授与された。現在はマウント・サイナイ病院の理事、カナダの学生向け慈善団体「ステューデンツ・オン・アイス(SOI)」の諮問委員も務める。 PHOTO:MIKA HASHIMOTO

ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)を初のクリエイティブ・ディレクターに迎えた「カナダグース(CANADA GOOSE)」は9月14日、銀座店をリニューアルし、フラッグシップストアとしてオープンする。カナダの大地を感じるような“カナディアン ウォームス(CANADIAN WARMTH)”をテーマに、店内にはラウンジスペースやバーカウンターを備えるほか、マイナス20度の環境でフィッティングが体験できる“コールドルーム”も完備。オープンを記念して写真家・二階堂ふみの写真展も開催する。

来日したダニー・リース(Dani Reiss)会長兼最高経営責任者(CEO)に銀座の新店舗やハイダーの起用、プロダクトの多様化、暖冬化が進む中での心構えなどを語ってもらった。

銀座店のリニューアルとハイダー・アッカーマンの起用

WWD:銀座店を「フラッグシップストア」としてリニューアルオープンする経緯は?

ダニー・リース=カナダグース会長兼CEO(以下、リース):「カナダグース」は、アジア地域で非常に好調だ。日本も同じで、2年前にオープンした銀座店も調子が良い。世界有数のショッピングエリアである銀座の店舗でブランドの力強いメッセージを体現し、発信する場所として生まれ変わらせたい。旗艦店として、あらゆる層のお客さまを迎えるのを楽しみにしている。

WWD: 5月にはクリエイティブディレクターにハイダー・アッカーマンが就任した。彼に白羽の矢を立てた一番の決め手は?

リース:ブランドが大きく成長し、クリエイティブ・ディレクターを見つけるべき時が来たと感じていた。選考に2年をかけ、多くの候補者と面談したが、最終的にハイダーと出会い、起用を決めた。私はハイダーのスタイルを「本物」と感じたし、ハイダーも「カナダグース」を「オーセンティック(=本物)」なブランドとして認識していた。ハイダーは、高い経験値を備え、いかにブランドを構築し、成長させるべきかを心得ている。あらゆる面でブランドを次のレベルへと引き上げてくれる人材だ。

WWD:ハイダーは機能性が魅力の「カナダグース」に、クリエイティブ・ディレクターとしてどう関わっていくのか?

リース:私は、彼をファッションデザイナーというよりは、「強い美学」を持った個人として認識している。彼はブランドの価値を高めるだけでなく、ブランドのカテゴリーを押し広げ、今までにない表現を提示してくれるだろう。

WWD:昨年リリースしたスニーカーなどを見てもわかるように「カナダグース」は製品カテゴリーの幅を拡大している。プロダクトを多様化させる先にあるものは?

リース:第一に、消費者が新しい商品を求めていると感じる。ブランドの成長は、新しいプロダクトをどんどん開発してきたことも大きい。私が入社した頃、「カナダグース」のプロダクトは約20型のみで、すべてダウンジャケットだった。今では軽量ダウンからウインドブレーカー、レインウエア、帽子、靴、アクセサリーまで、数多くのプロダクトを扱う。これらのアイテムにも、主力製品と同様のクラフツマンシップを注ぎ、高い品質を担保している。ブランドの基準に沿い、顧客が求める製品を作れば、私たちは成功できると信じている。ハイダーは、この点にも大きく寄与してくれるだろう。

WWD:「環境問題」の研究者を自認するハイダーとの最初のプロジェクトとして、ホッキョクグマの保護活動を支援するためのプロダクトを発売した。

リース:ハイダーがブランドに合流してすぐ、彼と私はカナダ北部の都市、チャーチルに向かった。多くのホッキョクグマが生息し、「ホッキョクグマの首都」とも呼ばれる街だ。そこでハイダーは、ホッキョクグマの生息地とその周辺の自然環境を体験し、「カナダグース」とホッキョクグマ保護団体「ポーラーベア・インターナショナル(Polar Bear International)」との長年にわたる取り組みを理解し、共感してくれた。その体験をもとに5月に発売したのが、「ポーラーベア・インターナショナル」に売上を寄付するための“PBI フーディー”だ。キャンペーンには、環境活動家としての顔を持つ女優のジェーン・フォンダ(Jane Fonda)を起用した。

サステナビリティへの意識 循環型経済の確立を目指して

WWD:一方でダウンという素材に対して、動物倫理的な視点で批判にさらされることもある。

リース:まず、「カナダグース」にとってダウンが重要な素材であることは間違いない。またダウンは、今でも世界で最も暖かい天然の中綿素材だ。

それを踏まえた上で2つのポイントを伝えたい。第一に、私たちが使用するダウンは、原料となるアヒルやガチョウの生育環境や羽毛の採取方法を細かく規定した国際的な基準「レスポンシブル・ダウン・スタンダード(Responsible Down Standard)」に適った方法で、倫理的に調達されたものであること。第二に、ダウンは食肉産業から生まれた副産物だ。レザーと同様に、人々がアヒルやガチョウを食べる限りダウンは存在し続ける。一方で「カナダグース」には近年、合成繊維や植物性の中綿などを使用している製品もある。こちらも好調だ。

WWD:昨年は自社製品の二次流通プラットフォーム「カナダグース・ジェネレーションズ」をスタートした。今後「カナダグース」が自社でコントロールする二次流通のビジネスはどうなる?

リース:消費者が持続可能性の問題に大きな関心を寄せる今、企業としてこの問題を重視し、循環型経済を確立することは重要だ。

誰かが手放した製品を市場に戻し、他の人にもう一度楽しんでもらう。それは自然なことであり、必要なこと。新品で「カナダグース」を購入したことがなかった消費者が、「カナダグース・ジェネレーションズ」では購入する機会があるかもしれないし、その人はいつか新品に手を伸ばすかもしれない。消費者がブランドに関わる方法が一つ増えたということ。顧客が製品をリユース・リサイクルする機会を大切にしている状況を考慮すれば、この事業はビジネスを成長させるチャンスでもある。始めたばかりだが、5〜10年後には私たちのビジネスに占める割合はかなり大きくなると見込んでいる。

WWD:昨年の10~12月期には卸売が苦戦し、28.5%の売り上げ減を経験した。人員削減にも踏み切り、自社の成長を促すべく組織を再編成した。このような痛みや変化を経て、直近の売り上げ状況は?

リース:まず言いたいのは、「カナダグース」のアジア太平洋地域は非常に好調で、23年の第四半期期(24年1月〜3月)は、全体で約30%プラスに転じている。昨年の卸売りの売上減は、私たちだけではなく、業界全体の現象だった。コロナ禍、金利上昇、インフレ、戦争など、様々なことがある中で、多くの卸売業者が在庫を持ちすぎていた。その機会を利用し、卸売りのネットワークの合理化を図り、消費者への直販を強化した。卸売は依然として非常に重要だが、世界で起きているあらゆる要因によって、自然な形でリセットされたと言える。

WWD:カナダグースジャパンも銀座店をリニューアルするように、今後卸売よりも直販に力を入れていく?

リース:日本には数社、強力な卸売パートナーがある。彼らとの取引には満足しているし、私たちのブランド力を高めてくれる存在だ。一方で、今回銀座店をリニューアルしたように、今後も機会があれば日本でも直営店を拡大していきたい。卸売と直販の両軸を大事にしていく。

暖冬が進む中で 「オーセンティック」なブランドとして

WWD:暖冬が進むなか、東京のような都市部に住む人は、防寒という点においてはヘビーなダウンジャケットを必要としなくなりつつある。それでも人々が「カナダグース」にひかれ、ダウンジャケットを購入する理由をどう分析するか?

リース:先ほど話したことにも繋がるが、20年以上日本でビジネスをしてきて、日本の人々は「オーセンティック(=本物)」であることを重視していると感じる。本物のストーリーを持っているブランドであることが大切だ。

また、大抵の場合、何かを買う動機は、単に必要だからではなく、それを欲しいと感じるから。「必要性」だけを考えれば、多くの人が「ランドローバー」のような四駆車を購入する理由もないし、そもそも、私たちがこんなに多くのモノを購入する理由もない。人はあくまで欲しいと感じるものを買うのだ。

だからこそ常に成長する必要性を感じる。カテゴリーの多様化はブランドとしての成長の一つ。あくまで「オーセンティック」な方法で、進化し続けるからこそ、消費者にとって常に「今」のブランドであり続けられるのではないか。

WWD:プロダクトの幅が広がっていく中でも、共通して存在する「カナダグース」らしさとは?

リース:全プロダクトに共通するのは、「独自の機能性」。マイナス100℃の寒冷地用のプロダクトであれ、街用にデザインしたものであれ、機能性は重要。機能を十分に追求すると、ファッショナブルなものになっていくとも感じている。

クラフトマンシップに重きを置いた、作りの良さも「カナダグース」らしさの一つ。プロダクトごとに最適な場所を選んで製造していて、ほとんどはカナダ製。それ以外はヨーロッパで作っている。

もちろん気候変動という問題には、アクションしなければならない。世界とつながり続け、状況に対応していくことが肝心だ。そのための方法はたくさんある。世の中のためになる製品を作ること、そして人々が望む製品を作ることを大事にしたい。「カナダグース」の価値を大切に守り、適切に成長していけば、成功できると信じている。

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「Bコープ」取得の豪バッグブランド「ステート オブ エスケープ」が10周年 自由な旅とウエルネスのために

サザビーリーグが日本国内における総代理店契約を結ぶオーストラリア発のバッグブランド「ステート オブ エスケープ(STATE OF ESCAPE)」が創業10周年を迎えた。伊勢丹新宿本店では9月17日までポップアップイベントを開催中だ。イベントに合わせ、デザイナーのブリジット・マガウアン(Brigitte MacGowan)と共同創業者のデズリー・メイドメント(Desley Maidment)が来日。2人にブランドの変遷やこれから挑戦したいことを聞いた。

「女性たちが自由に世界を探求する」ために

「ステート オブ エスケープ」のバッグは、特に忙しいライフスタイルを送る30〜40代の女性たちから支持を集める。ほかにはない機能性とデザイン性のバランス感が人気の秘訣だ。メイドメントは「女性たちが外に出て自由に世界を探求し、いろんなことを経験してほしいというのが私たちの根本にある願いだ」と話す。

商品開発には、大の旅行好きだという彼女たちのリアルな視点が生きている。代表的なのは、シグネチャーモデル“エスケープ“。ボディーに使用しているネオプレン素材は軽量で耐久性に優れ、水洗いもできる。ショルダー部分には、オーストラリア国内で調達するセーリーングロープを活用している。耐久性はもちろん、カラフルなロープがデザインにアクセントを加えている。

多くの女性たちの間で「日常使いになくてはならないバッグ」としての口コミが広がり、この10年で取り扱いは約10カ国に。なかでも日本は主力市場だという。国内での卸先は「ロンハーマン(RON HERMAN)」のほか、「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」「ジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)」など約20アカウント。

成功の要因は何か聞くと、「仕事やジム、友人とのディナーまで1日の中でもさまざまなシーンに寄り添えるような見た目の端正さ、持ち運びのしやすさといった多機能性にこだわってきたことだろう。スタイリッシュで機能的な商品を送り出すことが私たちのミッションだ」と話す。

「Bコープ」取得で責任あるビジネスモデルに進化

今年2月には環境や社会に配慮した公益性の高い企業であることを示す国際認証「Bコーポレーション(以下、Bコープ)認証」を取得した。「私たちは創業当初から受注生産性体制で、責任ある事業運営を心掛けていた。それでも『Bコープ認証』というお墨付きを得ることで、取引先に私たちが何者なのか、どんな考えを持っているかより分かりやすい形で伝えられると思った。消費者もいま、何を買うのか、なぜ買うのかにとても意識的になっている。『Bコープ認証』は消費者にとっても良い判断材料にもなるはずだ」とメイドメント。

素材軸では、昨年から台湾のメーカーが製造するカキの貝殻が原料のネオプレン素材や使用済みのペットボトルからなるリサイクルポリエステルの使用を開始した。ストラップに使用しているセーリングロープをアップサイクルしたミニバッグ“アドリフト“シリーズなども発表。「どうやったら素材を無駄なくアップサイクルできるかは今後も考え続けたい」とマガウアン。

社会や環境などさまざまな項目がある「Bコープ認証」の指標のなかでも、「ステート オブ エスケープ」特に「コミュニティー」のカテゴリーの評価が高い。創業当初からオーストラリアの国内生産にこだわってきたことが評価された。2人は国内のモノ作りの現場が次世代に残っていかないことに課題感を感じていたのだという。「当時製造業が強くないオーストラリアで生産パートナーを見つけるのに非常に苦労したが、無駄に生産せず最低発注数量で作れること、目の届く範囲で品質の高いモノ作りするためにもゆずれない部分だった。結果として今、独自のコミュニティーを築けたことを誇りに思う」と振り返る。

今後の目標は、「次の10年も変わらないことだ」という。「やみくもに商品バリエーションを拡大したりはしない。どんな商品も旅とウエルネスのために届けるというパーパスに沿って生み出し、多彩なカラーで多くのお客さまを楽しませたい」と語る。日本では「日本人アーティストなどとのコラボレーションに挑戦し、日本の顧客との関係値も強めていきたい」という。

■ステートオブエスケープ ポップアップストア

日程:9月4日~17日
場所:伊勢丹新宿本店1階 プロモーションスペース
住所:東京都新宿区新宿3-14-1
時間:10:00~20:00

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「パタゴニア」が世界初のリジェネラティブ・オーガニック認証を取得したショートパスタを発売 

「パタゴニア(PATAGONIA)」は、世界で初めてリジェネラティブ・オーガニック認証を取得したオーガニックパスタを発売した。同認証は、土壌、家畜、農業従業員に至るまで農場のシステム全体が健全であるように保護するもの。コープ自然派、フード&カンパニーの一部店舗、ムスビガーデン青葉台店、福島屋本店、六本木店、虎の門店、信濃屋ワイン館、六本木ヒルズ店、cask、ムーンライトギア東京店、大阪店、WILD-1全店などで取り扱う。

3種類のオーガニックパスタ

同パスタは味と栄養にもこだわった。ニューヨーク・ブルックリンのショートパスタ専門工場でイタリアの伝統製法を用いて製造。噛むと穀物の甘さが出てくるのが特徴で、食物繊維は一般的なパスタに比べて8倍以上を摂取できる。

「パタゴニア」の創業者、イヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)は「食品業界に変革をもたらすことは、単に害を減らすだけでなく、良いことを行う機会でもある。一夜でシステム全体を変えられないが、パスタのような食品を正しく作ることで、地球に良い影響を与え、結果的に我々に利益をもたらすモデルに向かって進むことができる」とコメントした。

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「パタゴニア」が世界初のリジェネラティブ・オーガニック認証を取得したショートパスタを発売 

「パタゴニア(PATAGONIA)」は、世界で初めてリジェネラティブ・オーガニック認証を取得したオーガニックパスタを発売した。同認証は、土壌、家畜、農業従業員に至るまで農場のシステム全体が健全であるように保護するもの。コープ自然派、フード&カンパニーの一部店舗、ムスビガーデン青葉台店、福島屋本店、六本木店、虎の門店、信濃屋ワイン館、六本木ヒルズ店、cask、ムーンライトギア東京店、大阪店、WILD-1全店などで取り扱う。

3種類のオーガニックパスタ

同パスタは味と栄養にもこだわった。ニューヨーク・ブルックリンのショートパスタ専門工場でイタリアの伝統製法を用いて製造。噛むと穀物の甘さが出てくるのが特徴で、食物繊維は一般的なパスタに比べて8倍以上を摂取できる。

「パタゴニア」の創業者、イヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)は「食品業界に変革をもたらすことは、単に害を減らすだけでなく、良いことを行う機会でもある。一夜でシステム全体を変えられないが、パスタのような食品を正しく作ることで、地球に良い影響を与え、結果的に我々に利益をもたらすモデルに向かって進むことができる」とコメントした。

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エルメス財団が職人技術や知識の次世代への継承を目指す「スキル・アカデミー」成果発表展を公開

銀座メゾンエルメス フォーラムで7月13日〜8月18日、エルメス財団が主催する「スキル・アカデミー」の「夏のオープンクラス」が開催された。

エルメス財団は、「エルメス(HERMES)」の出資によって2008年にパリで創設された非営利団体。「身振りが私たちをつくり、私たち自身の鏡になる」という理念のもと、「実践」や同ブランドを支える職人の「身振り」を大切にし、行動が周りや自分自身に与える影響を重んじたプログラムを展開する。

財団は芸術分野での「創造」、技術や手技の「伝承」、地球環境の「保護」、社会貢献を行う「連帯」という4つの分野を柱に活動しており、日本ではキュレーターの説田礼子氏のもと、「創造」の分野で現代アートのプログラムを、「伝承」の分野で「スキル・アカデミー」を実施する。

次世代へと繋ぐ社会貢献プログラム「スキル・アカデミー」

フランスでは14年から、日本では21年にスタートした「スキル・アカデミー」は、自然素材にまつわるスキルの伝承、拡張、知識の共有を目指すプログラム。「エルメス」の根幹にある職人技術やヒューマニズムの姿勢を学ぶ場であり、活動によって得られた集合知は、環境保護や社会貢献への眼差しにも結び付く。

2年ごとに一つの自然素材を選び、その素材を専門とする職人や研究者、アーティストたちを選出。分野を超えて知識や技術を共有し、その発展や伝承を広く試みる。日本版では21~22年は「木」を、23~24年は「土」をテーマとして取り上げた。

1年目は、テーマとなった自然素材の日本における受容やフランスとの比較、専門家の調査などを経て、書籍を出版。2年目となった今回は、アカデミーの創造性と学際性を次世代に伝えるべく、素材を異なる角度から体験し、その背景に広がる長い時間を理解できるような中高生向けプログラムを構成した。「日本では、受験勉強やクラブ活動に忙しく、学外の学びや自由な時間が持てない学生が多い。新たな出会いを通して、自己形成の最中で感受性豊かな中高生たちに、素材、技術、学びについて考えてほしい。重要なのは、実践的に関わることで身体知を獲得し、観察・鑑賞し、愛でること、表現を通して感性や美意識を養うこと、そして専門性を横断し学際的な学びを身につけること」と説田氏は語る。

今年3月に東京近郊で開催した、中高生向けの「春のワークショップ:土に学ぶ、五感で考える」にはインターネット公募で集まった約75名が参加。それぞれが「五感」——土に素肌で触れて感覚をひらく、その感触を詩やダンスで表現する、土の中の生態系やシステムを学ぶ、土を食材として味わう、縄文土器を手作りする、土の建築について学び、土壁づくりを実践する——を通して生物にとって最もプリミティブな存在の「土」について深掘りした。

「夏のオープンクラス」ではこの「春のワークショップ」で講師を務めた研究者やアーティストと共に、これらの体験と成果、土にまつわる学際的な知識とスキルを共有し、鑑賞者が土について学び、考え、新たな魅力を感じられる展示を作り上げた。中高生向けのワークショップを展示形式で一般公開するのは、エルメス財団にとって初の試みだ。

土の住居を手作りし、時間の経過を共にたどることで
サステナブルな視点を身につける

「夏のオープンクラス」は「春のワークショップの成果物と講師の作品」「ワークショップの学びを発展させた、新たなゲストを招いての展示物」という2要素で構成された。コンセプトは、土が素材から、人間の手でかたちになり、そして素材へ還るところまでを五感で体験し、味わうこと。会期を通して変化する学びの場で「土から離れた都市で暮らす人々に土を感じてほしい」と、説田氏は語る。

会場の中心には、建築史家であり建築家の藤森照信氏の監修のもと、土建築研究家の山田宮土理氏と左官職人の都倉達弥氏とともに、ワークショップ参加者が作り上げた「家としての建築」がたたずむ。鑑賞者は小さな扉から中に入ることもできる。人の手の痕跡があらわな文様状の壁面を、上から差し込む光が静かに照らす光景は、古代の祭壇を思わせる。

この建築について藤森氏は「土のみの建築には、異素材を組み合わせて作る建築にできる境目がないため、『目地』もできない。それは生物の細胞が境目なく内側から分裂していくことや、人間の身体や肌に似ている。今回作ったような泥だけで構成された建築は、世界でも事例が少ない。この建築の中に入ったときの、泥に包まれる感覚、泥の空間に光が落ちてくる感じを味わってもらいたい」と語った。

建築壁面に点在する陶器でできたチューブ状の穴は、ワークショップで講師を務めた陶芸家・西條茜氏によるもの。「フンデルトヴァッサーが『第3の皮膚』と言ったように、住宅は構造的にも身体になぞらえられる。壁面には、体の入り口にも出口にも見えるような不思議な質感の焼き物のチューブを埋め込んだ。そこに鑑賞者が建築の内外から息や声を吹き込んだり、音を響かせたりすることで、内と外が繋がることをイメージした」と西條氏は語った。

建築の正面には、同じく西條氏がサウンド・アーティストと共に制作した陶器製の彫刻作品《ホムンクルス》が展示された。土器と同じ「手びねり」の技法で作られたものだ。「土の造形物・パフォーマー同士の身体・空間が音を介してつながっていく瞬間を作りたい」との発想で、水牛の角のような形状の先端にある穴に息を吹き込むと、法螺貝(ほらがい)のようなサウンドが鳴り響く。「焼き物は土には戻らない。『地球の一部を使ってものを作ること』の責任と、『ものを作りたい』という人間の欲求。アートにはエコロジーとの関係性をリアルに思い巡らせる側面がある」と西條氏は考察する。

建築の周囲には実をつけたミニトマトなどの野菜の鉢が吊るされたり、木製のベンチに埋め込まれたりしており、間近で土と植物が紡ぐ生命の時間を感じることができる。植物が植えられた土は現代美術家の保良雄が石巻から運んできたもの。壁沿いには「春のワークショップ」で参加者が手作りした縄文土器と、多摩ニュータウン遺跡群から出土した本物の縄文土器、エチオピアで今も作り続けられている土器が並ぶ。

「春のワークショップ」で学術的に観察された土壌動物は、別のかたちで提示された。彫刻家・井原宏蕗氏は、ミミズの糞塚に金彩を施されたジュエリー“jewelry from earth-gold ring”を制作し、井原氏は犬や鳩のふんから動物をかたちづくる彫刻を生み出した。また、メディアアーティストの三原聡一郎氏の装置で春から継続的に作られるコンポストは、土・生物・環境の循環を想起させた。

今回の展示は、時間とともに建築の土壁にヒビが入ったり、周囲の植物が育ったりと、会期を通して変化していく。「土の建築は、手入れをしなくなったらどうなるのか」「最終的に、どんな形で土に還せるのか」という問いは、長い時間軸でのサステナブルな視点を持つことにつながる。会期終盤には、現代美術家の保良雄氏の公開制作と演出家/ダンサーの倉田翠氏のパフォーマンスが実施され、これらの問いが改めて検証された。

次回スキル・アカデミーは秋の特別プログラムとして、陶芸ワークショップ「土という技術について考えるⅡ」を開催予定。3日間にわたり東京藝術大学取手キャンパスにて土の採掘から作品の完成までを体験するもの。エルメス財団のウェブサイトで9月8日まで参加者を募集している。

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表紙撮影のクリエイターが本音を語り合う クリエイションとサステナは両立する?

「WWDJAPAN」9月9日号サステナビリティ特集の表紙撮影は、サステナビリティに関心を持ち、実際にアクションを起こしているクリエイター陣と、環境負荷を削減しながら挑んだ。終了後に全員でテーブルを囲み、意識が変わったきっかけや感じていることをざっくばらんに語ってもらった。

座談会参加クリエイター

RIKKI/フォトグラファー

PROFILE:東京と米ロサンゼルスを拠点に活動。ファッション誌やブランド、TV広告などを手掛ける。一方で、撮影にまつわる環境負荷を低減する「ソイルメイツ プロジェクト」を立ち上げ、24年1月に日本初の循環型ギャラリー&スタジオ「ソイルメイツ スタジオ」を東京・清澄白河にオープンした

MICHIRU/メイクアップアーティスト&ビューティディレクター

PROFILE:渡仏、渡米を経て帰国後、国内外のファッション誌や広告、映像、女優やアーティストのメイクなどを数多く手掛ける。化粧品関連のアドバイザーやコンサルタント、商品開発、広告ビジュアルのビューティディレクション、スクール講師なども行う。メイク本「Make You Up 」の著者

JUN GOTO/ヘアスタイリスト

PROFILE:サロンワークを経て、2007年渡英。帰国後、ヘアスタイリストASASHI氏に師事。独立後、15年渡米。17年から東京に拠点を移し、雑誌や広告・ショーなどを中心に活動。現在はコスメブランド「リリオ(@lirioskincare)」のアドバイザーも務める。IG @jg510_jungotohair

岡本多緒/俳優、モデル、映画監督、「アボード・オブ・スノー」共同クリエイティブ・ディレクター兼サステイナビリティ・アンバサダー

PROFILE:(おかもと・たお)2006年に渡仏し、数々のトップメゾン・雑誌等で世界のトップモデル“TAO”として活躍。13年に映画「ウルヴァリン:SAMURAI」で俳優デビューを果たし、ハリウッド作品を中心に数々の話題作に出演。23年に映画監督として2本の短編作品を手掛ける。多岐にわたる活動の傍ら、環境問題や動物の権利について発信するポッドキャスト番組「Emerald Practices」のホストを務める他、動物と地球に大きな敬意を込めたライフスタイル・ブランド「アボード・オブ・スノー」を手掛ける

木村舞子/スタイリスト

PROFILE:(きむら・まいこ)百々千晴氏に師事。ファッション誌やカタログのスタイリングを中心に手掛ける。「ユニオン マガジン」のファッションエディターとしても活動。ファッション誌「ギンザ」で「サステイナブルライフへの道!」も連載中

矛盾から芽生えた意識

WWD:サステナビリティに関心を持ったきっかけは?

RIKKI:環境を考えた企画の撮影なのに、現場はそうでない状況に矛盾を感じていた部分がありました。コロナ前からスタジオの使用済み背景紙を回収し始め、何かできないかを考えたのがスタートです。

WWD:量はどのぐらい回収を?

RIKKI:都内某スタジオに月1回引き取りに出向いていて、多いときは約100kg、少なくても60kgはあります。紙製のハンガー作りを模索していたときだったので、回収してきたものを使って試作し、製品を作っていきました。黒い点なども入った形で製品ができ上がってるのですが、それは黒いバミリ(撮影時に被写体が立つ場所をマークするために貼るテープ)の跡です。

岡本多緒(以下、多緒):撮影時の背景紙って毎回新しいものを使っていますよね。高価ですしレタッチも進化しているので、例えば「ユーズドの背景紙なら半額になる」など、サステナビリティを考えた提案があってもいいなと思うことがあります。

RIKKI:スタジオは、背景紙を事業ゴミとしてお金を払って廃棄している。その点も、僕が収集してみようと思ったきっかけのひとつです。環境に対して「フォトグラファーとして写真以外で何ができるか」を模索し、循環型ギャラリー&スタジオ「ソイルメイツ スタジオ」を立ち上げました。

WWD:MICHIRUさんは?

MICHIRU:きっかけは、30年以上続けているヨガのエコロジカルなライフスタイル。そこから食にも興味を持つようになりました。その後、肌荒れや敏感肌のモデルや俳優に多く会って、肌にも環境にもいいものを探し出していたころ、ミネラルコスメブランド「MIMC」からクリエイティブ・ディレクターとしてお声がけいただいたんです。自信を持っておすすめできる、撮影でのクオリティーにも申し分ないメイクプロダクトが製作できるようになりました。

WWD:化粧品を作る立場になって、サステナビリティへの考えに変化はありましたか?

MICHIRU:持続可能な商品作りのためにも、植物の生育環境や作る人たちのサポートにも気を配るようになりましたし、中でもパッケージの問題は大きいですね。破棄に苦労するパッケージが多いのは事実なので、「MIMC」でも配慮するようになりました。昨年のクリスマスコフレでは、実験的に古紙から作ったプラスチックのような見た目のパッケージを導入しました。高い技術でコストはかかりますが、環境には変えられない。作る側が責任を持って意識することが大切ですよね。

WWD:多緒さんが関心を持ったのはいつごろ?

多緒:私が小学生のころ、酸性雨や温暖化というワードをよく耳にするようになりました。環境以外でも大人に対して怒りを持っている子供でしたが、大人になり、夢を追いかけるうちに、いつのまにか二の次に。それを目覚めさせてくれたのが、2019年にドラマ撮影のために住んでいたカリフォルニアで頻発していた山火事や、国連でのグレタ・トゥンベリさんの怒りのスピーチ。かつて同じような立場だった私は、責められる大人側になってしまっていた。どのようにペイバックできるかを考え、行動を変えていき今に至ります。

WWD:GOTOさんは?

JUN GOTO(以下、GOTO):美容師としてサロンで働いていた約25年前は、今に比べると体や環境に配慮した整髪料やカラー剤、パーマ剤はないに等しかった。トレンドを追いかける部分がありながらも、ヘア剤によるアレルギー反応を起こす人もいたので、ずっと疑問でした。コロナを機に、環境や体に配慮した商品を作りたいという思いが湧きました。

WWD:原料へのこだわりは大事ですよね。木村さんは?

木村:私は特別な出来事があったわけではなく、なんとなくモヤモヤする感じ。“サステナビリティ”というワードが出てきて、ヨーロッパのブランドもいろいろな取り組みをスタートし、何かやらなければという気持ちが膨らんでいきました。自分のポジションを生かしてできることを考え、雑誌「ギンザ」のウェブ版で、サステナビリティを意識したライフスタイルについて、自分自身で書くコラム連載をスタートさせました。第1回はエコバッグの話で、その後はコンポストなど、身近なトピックを心掛けています。そのような行動自体がファッショナブルだと伝わればいいですね。

WWD:世の中のムード、マインドを変えるのは難しくもあります。

木村:「それがかっこよくてやっている」とポジティブに発信するのは大事ですよね。まずは話題に上がらないと広がりも生まれないですし、いろいろな媒体で発信していくとことはいいことだと思います。

どう伝えていくか

WWD:環境を守るアプローチと自身の活動に矛盾を感じることはありますか?

MICHIRU:私のライフスタイルそのものなので、矛盾は特に感じません。仕事でも、自信を持ってすすめられるものを使っています。おすすめしたら知らない人は興味を持ってくれるし、丁寧に伝えることは惜しまずやっていきたいですね。

多緒:大量生産や動物搾取を含む消費行動を促す立場にはならないよう、仕事の幅をすごく狭めていた時期もありました。今はポッドキャストなどで発信もしながら、人に耳を傾けてもらえる存在であることも大事だと感じています。モデルや俳優は依頼があって出演することが多いので、自分から発言できることは限られます。私の場合、自分で脚本を書いて監督をするようになり、自分のフィールドではできる限りのことはやりたいと思っています。外から見たら、「多緒はあんなこと言ってるけれど、こういうことやってるじゃん」と突かれるところが出てくるかもしれないけれど、私なりに調べて仕事をしているし、バランスを取りながら自分が自由にできるところで還元していきたいです。

木村:スタイリストは主に服を売るために宣伝する立場なので、折り合いは難しく、毎回葛藤しています。ただ、雑誌ではファッションの企画にもサステナブルなブランドが掲載アイテムの中に入るように努めています。特にブランドの取り組みや、アイテムの背景にあるストーリーを伝えることを意識しています。

同業者の共感を広げるために

WWD:皆さんが重視していることは?

RIKKI:大前提として、素敵なものを買ったら、実は環境配慮を意識していたとなること。僕のアプローチは、サステナブル云々を意識させない作り方。今日のこのスタジオも、使ったら結果的に電力は再エネで賄っていて、環境負荷が軽減している——そこまでをパッケージングで提供しています。できる人から行動に移していかないと、世の中にはなかなか浸透していかないと思うので。

GOTO:アドバイザーを務めている「リリオ(LIRIO)」では、天然由来で環境に配慮したモノづくりをしています。消費者にサステナブルな商品をより理解いただけるよう、プロの方々の力を借りて、今後も伝えていきたいです。

多緒:友人同士でも、環境問題や社会問題を話すことがかっこいいという意識に変えていけるといいですね。

MICHIRU:コスメだと、どうやって作ったかを生産者が語る方法が出てきています。サステナブルの一つはトレーサビリティーなので、同業者も「そうやって作るのか」と理解して、気付きが生まれる。そんなウェブ連載も仕込み中です。自分たちもサステナブルなモノづくりができると考える企業が増えることも大切です。

RIKKI:そういう側面が、商品自体の価値も上げていきますよね。

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20代の有志でブランド始動 「過剰発注など服が大切にされていない現実が嫌だった」

「アントック(ANTOK)」は、2023年に大阪モード学園卒業の同級生が7人でスタートしたアパレルブランドだ。「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」出身の木代康太代表とOEM会社で経験を積んだ山白真結・生産管理担当を中心に、5人のスタッフは副業で退勤後に東京・恵比寿のアトリエに集まりミシンも自分たちで踏んで服を作っている。「サステナビリティにはできる限り取り組んでいる」という彼らの服作りについて聞いた。

「サステナビリティはトレンドだから意識しているのではない。私たちにとって、服は自己紹介と同義。それぞれにファッション業界を数年経験する中で、過剰発注や大量のサンプル発注など服が大切にされていない現実を見るのが嫌だった」と木代代表と山白生産管理担当は交互に話す。生産ロットが小さいブランドにとって環境配慮した服作りは原価もコストも上がりがちだ。2024-25年秋冬コレクションで打ち出したリサイクルポリエステルのシャツは上代4万3000円と、ヴァージン素材の倍以上。でも採用している。「日本におけるサステナビリティの取り組みはとてつもなく遅いと感じている。だけどサステナビリティが当たり前になる時代はいつか絶対に来る。その大切さを服を通じて世の中の人たちに伝えることが大事。特に同じ若い世代、感度の高い人たちに伝えたい。今やっていることは未来につながると信じている」とスタンスは明確だ。

PROFILE: 木代康太

木代康太
PROFILE: (きむらこうた)1997年2月25日生まれ、島根県出身。2019年大阪モード学園ファッションデザイン学科を卒業し、ヨウジヤマモトに入社。2023年に独立し、アントック(ANTOK)を立ち上げる

「サステナビリティが少しずつ広がる中で、シンプルな服は増えているが、個性的なデザインは少ない」と感じている。「アントック」の2024-25年秋冬コレクションはミリタリーを現代的に再解釈、ミリタリーウエアの機能性や丈夫さといった特徴を、現代の服としてどう取り入れるかを研究した18ルックを発表した。風よけのフラップを残しつつ、機能ではなくデザインとして取り入れたり、本来長袖のシャツを現代の気候に合わせて半袖としたりしている。

環境配慮型素材の採用例は、タマネギの皮から抽出した成分とオリーブや竹炭などの植物材料の成分を配合して染色する、小松マテーレの「オニベジ」染色を使用したリサイクルナイロンのアウターや、ニチモウのりんご由来のレザーの代替素材を使ったブルゾンなどもある。課題は環境配慮型の素材のデザインや色など選択肢の少なさだという。同じオーガニックコットンでもシーズンテーマやブランドの世界観にあうストライプやツイルなど柄を探したが見つからない。今回はヘリンボーンを1型採用。これが精一杯だった。

夜道で命を守る「防護服」

横糸にリフレクト糸を使ったデニムは暗いところで反射する。木代代表がコンサートの衣装からヒントを得たという。自身の出身地である島根は夜道が暗く交通事故が多発している。「命を守るためにも夜道で目立つことは命を守ることにもつながる。人間の生活環境を守ることもサステナビリティにつながると思う。サステナブル=エコやリサイクル素材だけでなく、日常着が防護服になるという新しいアプローチとしてブランドから提案したい」。

デニム素材を起用した理由は、「一番水質汚染への影響が大きい素材と聞き、なおかつ、誰しも1着は持っているであろう定番の素材」だから。「そんな定番素材が今後世界から無くなることは想像し難いから」、防護という付加価値で提案をする。

2026年秋冬には東コレでショー形式で発表したい

「2026年秋冬には東コレでショーを、2029年秋冬にパリでショー形式で発表したい。ショーの必要があるのか?と問われれば、悩ましいが、(「ヨウジヤマモト」で)パリコレを経験し、良い悪いの意思表示がはっきりしている拍手の音が耳に残っている。あの拍手で作り手たちのシンドイ期間が報われる。それも大切なことだと思うからショーで見せたい」。

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ミラノ拠点「セッチュウ」のサステナ定義は「もったいない」 欧州規制への冷静な対応も

「セッチュウ(SETCHU)」は「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」のグランプリなど数々のアワードで受賞歴を持つ注目のブランドだ。桑田悟史デザイナーは現在、ミラノを拠点に活動をしている。イタリア各地の工場ともつながりを持ち、ラグジュアリーマーケットを開拓している「セッチュウ」は、厳しさを増す欧州のサステナビリティ関連法規制にどう対応しているのだろうか?来日した桑田デザイナーに「セッチュウ」が考えるサステナビリティの定義や実際の取り組み内容について聞いた。

WWD:サステナビリティと言う言葉をどう解釈し、「セッチュウ」での服作りにどう位置づけて取り入れているか?

桑田悟史デザイナー(以下、桑田):サステナビリティをテーマに取材を受けるのはこれが初めて。というのもそれは当然のことであり、アピールするのは違うと思うから。大事なキーワードであり、服作りの最初にくるものだと考えている。環境面、人権面それぞれいろいろな解釈があるから解釈にとらわれず、できることは実行するスタンスだ。

自分がサステナビリティを語るときは「もったいない」と言う言葉を使うことが多い。「もったいない」という発想を持つことで、生地を節約したり、資源を大事にしたりすることができるから。「もったいない」は身の回りのことにできる限りの愛を与えることでもあると思う。江戸時代、日本はサステナビリティの最先端を行っていたが資本主義が進み、環境や人権を置き去りにしたことで崩れ、日本流のサステナビリティは衰退してしまった。「セッチュウ」という、日本の文化をブランド名にした以上、そのイメージを払拭してゆくことも使命だと思う。

WWD:“「もったいない」が衰退している”はどのようなときに感じる?

桑田:身の回りのプラスチックの量ひとつとっても、今の日本の暮らしでは「もったいない」という感覚が明らかに無視されている。プラスチックは必要だけど、そのありがたみ、感謝の念をなくしている。それは日本人のひとりとして恥ずかしいこと。本来日本人は感謝をすることが得意なのに。僕は釣りが趣味で釣りの最中に水面に浮いているプラスチックを見れば悲しくなる。

ヨーロッパの市場では買ったものを紙の袋か、持参した袋に入れてもらうことのが習慣だ。日本では少額のお金を払えばプラスチックの袋がいくらでももらえるなど、その便利さが優先されている。便利を突き詰めるあまり、サステナビリティを突き詰めることをやめてしまったのが今の日本ではないか。資本主義とサステナビリティは真逆にあるので、考える脳の使い分けも難しい。だからこそ僕たちクリエイティブな人間が違う発想でサステナビリティを視野に入れてゆく必要があるとも思う。

WWD:服作りにおいて「もったいない」は具体的にどのように取り入れている?

桑田:もの作りで参考しているのが1940年代の洋服の作りだ。当時は世界大戦があったから、身を守る服を作る技術が短時間で集中的に生み出された。大戦中だから物資不足でメタルなどの資材が使えない。その代わり、縫い方によって強度を求めた。その頃に生まれたミリタリーの服は、その後のワークウェアやユニホームなど大量生産の衣服のベースになっている。そこに見る「どう長持ちさせるか」の工夫はまさにサステナビリティの発想だ。

また人権面では、多くの工場がファッションデザイナーからの “ラストミニッツ”での対応、しかも毎シーズン繰り返される対応に疲れている。「セッチュウ」は決まった型を継続し、生地をアップデートすることで先が見える商品展開を心がけている。工場にすれば労働時間や利益の計算がしやすいし、僕らからすれば品質が向上してゆくから双方にメリットがある。こういった商品展開もサステナビリティにつながると思う。参考になるのは「iPhone」のデザインの考え方だ。

WWD:生地はオリジナルが多く、気に入った生地は継続して使用している。これも同じ考え方?

桑田:そのほうが生地屋さんからすれば生地や糸を無駄にする必要がない。オリジナルで作った分は責任を持って使い切る。だからオーダーは慎重になる。大量オーダーしつつ、実際にはその一部しか使わない大手ブランドがあるのが業界の現実。工場から「〇〇から大量オーダー入ったけど、シーズン余剰が出そうだ」と教えてもらって高級素材を抑えた価格で使用することもある。僕はミラノ拠点が長く、イタリア各地の工場と密なコミュニケーションをしており、彼らは僕が無駄を出さないことに興味があることを知っているから、余剰が出そうなときは声をかけてくれる。

WWD:桑田さんは慎重だけど、決断も早い。

桑田:それは自分の中で決めているルールのひとつ。いろいろなメゾンで経験を積む中で、デザイナーの決断が遅ければ遅いほど周りの人に負担がかかることを知ったから、決断は早くするようにしている。

WWD:環境配慮型素材には、リサイクルポリエステルやオーガニックコットン、技術革新による全く新しい素材などさまざまあるが、特にどこを意識して選んでいる?

桑田:第1に考えるのは品質。価格が同じで品質がそこまで変わらなければよりサステナブルな生地を選ぶようにしている。

欧州の法規制への対応

WWD:欧州、特にフランスを中心にサステナビリティ、循環に関する法規制が厳しくなっている。どのように対応しているか?

桑田:法規制の内容理解はデザインをしていく上で欠かせないので、動きがあるたびにチェックしている。工場との情報交換から得ることが多い。はっきりとした決まりがないケースもあるから「できる限りのことをする」スタンスだ。例えば、納品時に服を入れるパッケージングに関しては、リサイクルプラスチックを採用するのは当然で、加えてジップロックタイプにすることで店で再利用しやすいよう工夫しています。従来品より価格は上がるが、仕方ない。世の中が良くなっていくためには必要なことだと思う。

ただ、規制に全部従う必要があるかと言えば、それは疑問。正直、企業間や国家間のルールメイキングの覇権争い、利害関係に巻き込まれている感は否めない。例えばフランスでは製品に環境的な特性(*編集部注)を表示することが義務付けられているが、100%守られているかと言えばそうではなく、僕らブランド側としてははっきりしてほしい。クリアにしてゆくのは政府の役割でもある。明確でないと湾曲されたルールが生まれるといった困った状況もあるが、僕たちは環境を考えた上で規制以上にできることを行っている。ブランドの在り方、生き方として伝わるから。

*編集部注)環境的特性とは、リサイクル素材の配合とその割合、再生可能資源の使用、耐久性、堆肥化の可能性、修理可能性などを指す

WWD:法規制の中でも特に意識しているものは?

桑田:全般的に常にチェックしている。ひとつあげるとしたら、製品や原料がどこで作られているかを示すトレーサビリティーの義務化だ。意識しているというより、作り手の義務になりつつある。

WWD:コットンであれば農地まで、革製品であればどこの牧場からかを明らかにするのがトレーサビリティーだ。追いかけるのは大変では?

桑田:大変だが、(サプライヤーに対して、原産地に関する)質問をして明確な答えが返ってこなかったら使わない。EUのサプライヤーでもまだ自分たちの原料のトレーサビリティーを把握していないところはあるが、ほぼほぼ皆さん、把握している。レザーに関しては牧場で働く人たちの環境や動物の飼育環境が悪いと分かっている地域のものは使わない。中国産のコットンは(新疆綿のリスクがあるから)避ける。アメリカに輸出できないから。

実は、将来の夢は自分で農業を営むこと。そこで収穫したもので洋服を作ることが究極の夢。畑があり、動物を飼育し、ホテルを付随し、お客様自身もそこで経験をしてもらいながら循環させる。サステナビリティは経験してはじめて見えてくると思うから。資本主義の中で生活しているとサステナビリティは「聞く」だけだから経験ができる場を作りたい。

WWD:イタリアブラン「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」のような発想だ。

桑田:場所はオーストラリアなのかアフリカなのか、僕の場合は釣りができないとダメなので川や海の近くになると思う(笑)。

作る側の責任であり、お客様に求めるのはまだ早い

WWD:サステナビリティの価値をお客さんに伝えるのは、簡単ではない。着る人にもその価値をわかってほしい?

桑田:伝えるのは簡単ではない。今のところそれは、作る側の責任であり、お客さまに求めるのはまだ早いと思う。服はやはり着る人をきれいに見せるためのもの。そこにサステナビリティの付加価値がついたらいい、というスタンスだ。紙デニムのように、結果的に軽さを経験してもらえるような製品が優れていると思う。

僕は「サステナブル」と聞くとすぐ興味を持つ。こだわればこだわるほどアイデアがわき、興味を持つ。だからお客様というより、より多くのデザイナーが関心を持つといいなと思う。求める人が多くなれば変わることも多いと思うから。

WWD:環境配慮型の素材を使うと価格が上がるのでは?一時期は、従来素材の1.3倍から1.5倍と言われていた。

桑田:5年前はそうだったが、生地屋さんも進化し、イタリアでは最近は「多少高い」くらい。「多少」であれば高くても使うようにしている。

WWD:日本では、環境配慮型にこだわると選択肢の幅が狭い、とデザイナーたちがなげいている。

桑田:ミラノウニカなどの生地見本市ではリサイクル繊維などが数多く見られる。ただ、再生することにより水を大量使用しているケースもあるから、認証素材だからといって鵜呑みにはできない。常に疑いの目を持っていないとダメだろう。

PROFILE: 桑田悟史/「セッチュウ」デザイナー

桑田悟史/「セッチュウ」デザイナー
PROFILE: (くわた・さとし)1983年生まれ、京都府出身。高校卒業後にビームスの販売として勤務し、21歳渡英する。セントラル・セント・マーチンズ卒業後はガレス・ピューのアシスタントを経て、カニエ・ウェスト(Ye)のアトリエやリカルド・ティッシ時代の「ジバンシィ」、「イードゥン」でデザイナーとしての経験を積んだ。2020年に「セッチュウ」設立。22年に「フー・イズ・オン・ネクスト?」最優秀賞、23年に「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」のグランプリを受賞 PHOTO:KAZUSHI TOYOTA
WWD:具体的に環境配慮型素材を使った例を教えてほしい。

桑田:冒頭の写真の“紙”デニムは、コットン78%、紙22%。沖縄のキュアラボさんと作ったオリジナル生地。

編集部注)キュアラボ=沖縄拠点の未利用資源を活用した素材開発、製造・販売を行う2021年創業のベンチャー企業。紙デニムの原料は、さとうきびの製糖時に発生する副産物であるバガス。これをキュアラボ独自の技術でパウダー状に加工し原材料とし、国内工場で用途に合わせた紙に加工。紙糸を緯糸に使用し、国内工場にて用途に合わせた様々な生地に加工している。

人類は紀元前からサトウキビを生産・消費してきたけど、その残渣はこれまで飼料用途以外の9割が廃棄されてきた。キュアラボはその課題解決に取り組み、北海道の会社と連携してサトウキビ残渣を原料にした和紙を製造している。そのスタンスに共感した。

WWD:デニムに和紙を入れることで製品としての魅力は?

桑田:このデニムは縦位置にコットンを、横糸に2ミリ程度の薄紙を撚糸した和紙糸を使っている。紙は繊維ではないので、バクテリアがつきにくく、クリーン。そして紙だから着ると驚くほど軽い。そして夏は涼しく、冬は暖かく、機能的だ。今はまだ開発中であり、当初は13~15オンスだったところを試行錯誤で糸を細くしてもらい、現状は16オンスの見た目で11オンス程度まで軽くなった。

WWD:「セッチュウ」と言えば、ユニークなパターンも特徴だ。

桑田:「セッチュウ」のDNAとは、クラシックなものから着想を得て、シンプルで機能的な衣服の創作をすること。サヴィル・ロウでは、生地の最効率化と耐久性の高い衣服の構造を学んだ。このデニムにもエドワーディアン調の要素が入っている。そして僕らは手作業にこだわるのでセルビッチ風のステッチも手仕事だ。

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ミラノ拠点「セッチュウ」のサステナ定義は「もったいない」 欧州規制への冷静な対応も

「セッチュウ(SETCHU)」は「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」のグランプリなど数々のアワードで受賞歴を持つ注目のブランドだ。桑田悟史デザイナーは現在、ミラノを拠点に活動をしている。イタリア各地の工場ともつながりを持ち、ラグジュアリーマーケットを開拓している「セッチュウ」は、厳しさを増す欧州のサステナビリティ関連法規制にどう対応しているのだろうか?来日した桑田デザイナーに「セッチュウ」が考えるサステナビリティの定義や実際の取り組み内容について聞いた。

WWD:サステナビリティと言う言葉をどう解釈し、「セッチュウ」での服作りにどう位置づけて取り入れているか?

桑田悟史デザイナー(以下、桑田):サステナビリティをテーマに取材を受けるのはこれが初めて。というのもそれは当然のことであり、アピールするのは違うと思うから。大事なキーワードであり、服作りの最初にくるものだと考えている。環境面、人権面それぞれいろいろな解釈があるから解釈にとらわれず、できることは実行するスタンスだ。

自分がサステナビリティを語るときは「もったいない」と言う言葉を使うことが多い。「もったいない」という発想を持つことで、生地を節約したり、資源を大事にしたりすることができるから。「もったいない」は身の回りのことにできる限りの愛を与えることでもあると思う。江戸時代、日本はサステナビリティの最先端を行っていたが資本主義が進み、環境や人権を置き去りにしたことで崩れ、日本流のサステナビリティは衰退してしまった。「セッチュウ」という、日本の文化をブランド名にした以上、そのイメージを払拭してゆくことも使命だと思う。

WWD:“「もったいない」が衰退している”はどのようなときに感じる?

桑田:身の回りのプラスチックの量ひとつとっても、今の日本の暮らしでは「もったいない」という感覚が明らかに無視されている。プラスチックは必要だけど、そのありがたみ、感謝の念をなくしている。それは日本人のひとりとして恥ずかしいこと。本来日本人は感謝をすることが得意なのに。僕は釣りが趣味で釣りの最中に水面に浮いているプラスチックを見れば悲しくなる。

ヨーロッパの市場では買ったものを紙の袋か、持参した袋に入れてもらうことのが習慣だ。日本では少額のお金を払えばプラスチックの袋がいくらでももらえるなど、その便利さが優先されている。便利を突き詰めるあまり、サステナビリティを突き詰めることをやめてしまったのが今の日本ではないか。資本主義とサステナビリティは真逆にあるので、考える脳の使い分けも難しい。だからこそ僕たちクリエイティブな人間が違う発想でサステナビリティを視野に入れてゆく必要があるとも思う。

WWD:服作りにおいて「もったいない」は具体的にどのように取り入れている?

桑田:もの作りで参考しているのが1940年代の洋服の作りだ。当時は世界大戦があったから、身を守る服を作る技術が短時間で集中的に生み出された。大戦中だから物資不足でメタルなどの資材が使えない。その代わり、縫い方によって強度を求めた。その頃に生まれたミリタリーの服は、その後のワークウェアやユニホームなど大量生産の衣服のベースになっている。そこに見る「どう長持ちさせるか」の工夫はまさにサステナビリティの発想だ。

また人権面では、多くの工場がファッションデザイナーからの “ラストミニッツ”での対応、しかも毎シーズン繰り返される対応に疲れている。「セッチュウ」は決まった型を継続し、生地をアップデートすることで先が見える商品展開を心がけている。工場にすれば労働時間や利益の計算がしやすいし、僕らからすれば品質が向上してゆくから双方にメリットがある。こういった商品展開もサステナビリティにつながると思う。参考になるのは「iPhone」のデザインの考え方だ。

WWD:生地はオリジナルが多く、気に入った生地は継続して使用している。これも同じ考え方?

桑田:そのほうが生地屋さんからすれば生地や糸を無駄にする必要がない。オリジナルで作った分は責任を持って使い切る。だからオーダーは慎重になる。大量オーダーしつつ、実際にはその一部しか使わない大手ブランドがあるのが業界の現実。工場から「〇〇から大量オーダー入ったけど、シーズン余剰が出そうだ」と教えてもらって高級素材を抑えた価格で使用することもある。僕はミラノ拠点が長く、イタリア各地の工場と密なコミュニケーションをしており、彼らは僕が無駄を出さないことに興味があることを知っているから、余剰が出そうなときは声をかけてくれる。

WWD:桑田さんは慎重だけど、決断も早い。

桑田:それは自分の中で決めているルールのひとつ。いろいろなメゾンで経験を積む中で、デザイナーの決断が遅ければ遅いほど周りの人に負担がかかることを知ったから、決断は早くするようにしている。

WWD:環境配慮型素材には、リサイクルポリエステルやオーガニックコットン、技術革新による全く新しい素材などさまざまあるが、特にどこを意識して選んでいる?

桑田:第1に考えるのは品質。価格が同じで品質がそこまで変わらなければよりサステナブルな生地を選ぶようにしている。

欧州の法規制への対応

WWD:欧州、特にフランスを中心にサステナビリティ、循環に関する法規制が厳しくなっている。どのように対応しているか?

桑田:法規制の内容理解はデザインをしていく上で欠かせないので、動きがあるたびにチェックしている。工場との情報交換から得ることが多い。はっきりとした決まりがないケースもあるから「できる限りのことをする」スタンスだ。例えば、納品時に服を入れるパッケージングに関しては、リサイクルプラスチックを採用するのは当然で、加えてジップロックタイプにすることで店で再利用しやすいよう工夫しています。従来品より価格は上がるが、仕方ない。世の中が良くなっていくためには必要なことだと思う。

ただ、規制に全部従う必要があるかと言えば、それは疑問。正直、企業間や国家間のルールメイキングの覇権争い、利害関係に巻き込まれている感は否めない。例えばフランスでは製品に環境的な特性(*編集部注)を表示することが義務付けられているが、100%守られているかと言えばそうではなく、僕らブランド側としてははっきりしてほしい。クリアにしてゆくのは政府の役割でもある。明確でないと湾曲されたルールが生まれるといった困った状況もあるが、僕たちは環境を考えた上で規制以上にできることを行っている。ブランドの在り方、生き方として伝わるから。

*編集部注)環境的特性とは、リサイクル素材の配合とその割合、再生可能資源の使用、耐久性、堆肥化の可能性、修理可能性などを指す

WWD:法規制の中でも特に意識しているものは?

桑田:全般的に常にチェックしている。ひとつあげるとしたら、製品や原料がどこで作られているかを示すトレーサビリティーの義務化だ。意識しているというより、作り手の義務になりつつある。

WWD:コットンであれば農地まで、革製品であればどこの牧場からかを明らかにするのがトレーサビリティーだ。追いかけるのは大変では?

桑田:大変だが、(サプライヤーに対して、原産地に関する)質問をして明確な答えが返ってこなかったら使わない。EUのサプライヤーでもまだ自分たちの原料のトレーサビリティーを把握していないところはあるが、ほぼほぼ皆さん、把握している。レザーに関しては牧場で働く人たちの環境や動物の飼育環境が悪いと分かっている地域のものは使わない。中国産のコットンは(新疆綿のリスクがあるから)避ける。アメリカに輸出できないから。

実は、将来の夢は自分で農業を営むこと。そこで収穫したもので洋服を作ることが究極の夢。畑があり、動物を飼育し、ホテルを付随し、お客様自身もそこで経験をしてもらいながら循環させる。サステナビリティは経験してはじめて見えてくると思うから。資本主義の中で生活しているとサステナビリティは「聞く」だけだから経験ができる場を作りたい。

WWD:イタリアブラン「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」のような発想だ。

桑田:場所はオーストラリアなのかアフリカなのか、僕の場合は釣りができないとダメなので川や海の近くになると思う(笑)。

作る側の責任であり、お客様に求めるのはまだ早い

WWD:サステナビリティの価値をお客さんに伝えるのは、簡単ではない。着る人にもその価値をわかってほしい?

桑田:伝えるのは簡単ではない。今のところそれは、作る側の責任であり、お客さまに求めるのはまだ早いと思う。服はやはり着る人をきれいに見せるためのもの。そこにサステナビリティの付加価値がついたらいい、というスタンスだ。紙デニムのように、結果的に軽さを経験してもらえるような製品が優れていると思う。

僕は「サステナブル」と聞くとすぐ興味を持つ。こだわればこだわるほどアイデアがわき、興味を持つ。だからお客様というより、より多くのデザイナーが関心を持つといいなと思う。求める人が多くなれば変わることも多いと思うから。

WWD:環境配慮型の素材を使うと価格が上がるのでは?一時期は、従来素材の1.3倍から1.5倍と言われていた。

桑田:5年前はそうだったが、生地屋さんも進化し、イタリアでは最近は「多少高い」くらい。「多少」であれば高くても使うようにしている。

WWD:日本では、環境配慮型にこだわると選択肢の幅が狭い、とデザイナーたちがなげいている。

桑田:ミラノウニカなどの生地見本市ではリサイクル繊維などが数多く見られる。ただ、再生することにより水を大量使用しているケースもあるから、認証素材だからといって鵜呑みにはできない。常に疑いの目を持っていないとダメだろう。

PROFILE: 桑田悟史/「セッチュウ」デザイナー

桑田悟史/「セッチュウ」デザイナー
PROFILE: (くわた・さとし)1983年生まれ、京都府出身。高校卒業後にビームスの販売として勤務し、21歳渡英する。セントラル・セント・マーチンズ卒業後はガレス・ピューのアシスタントを経て、カニエ・ウェスト(Ye)のアトリエやリカルド・ティッシ時代の「ジバンシィ」、「イードゥン」でデザイナーとしての経験を積んだ。2020年に「セッチュウ」設立。22年に「フー・イズ・オン・ネクスト?」最優秀賞、23年に「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」のグランプリを受賞 PHOTO:KAZUSHI TOYOTA
WWD:具体的に環境配慮型素材を使った例を教えてほしい。

桑田:冒頭の写真の“紙”デニムは、コットン78%、紙22%。沖縄のキュアラボさんと作ったオリジナル生地。

編集部注)キュアラボ=沖縄拠点の未利用資源を活用した素材開発、製造・販売を行う2021年創業のベンチャー企業。紙デニムの原料は、さとうきびの製糖時に発生する副産物であるバガス。これをキュアラボ独自の技術でパウダー状に加工し原材料とし、国内工場で用途に合わせた紙に加工。紙糸を緯糸に使用し、国内工場にて用途に合わせた様々な生地に加工している。

人類は紀元前からサトウキビを生産・消費してきたけど、その残渣はこれまで飼料用途以外の9割が廃棄されてきた。キュアラボはその課題解決に取り組み、北海道の会社と連携してサトウキビ残渣を原料にした和紙を製造している。そのスタンスに共感した。

WWD:デニムに和紙を入れることで製品としての魅力は?

桑田:このデニムは縦位置にコットンを、横糸に2ミリ程度の薄紙を撚糸した和紙糸を使っている。紙は繊維ではないので、バクテリアがつきにくく、クリーン。そして紙だから着ると驚くほど軽い。そして夏は涼しく、冬は暖かく、機能的だ。今はまだ開発中であり、当初は13~15オンスだったところを試行錯誤で糸を細くしてもらい、現状は16オンスの見た目で11オンス程度まで軽くなった。

WWD:「セッチュウ」と言えば、ユニークなパターンも特徴だ。

桑田:「セッチュウ」のDNAとは、クラシックなものから着想を得て、シンプルで機能的な衣服の創作をすること。サヴィル・ロウでは、生地の最効率化と耐久性の高い衣服の構造を学んだ。このデニムにもエドワーディアン調の要素が入っている。そして僕らは手作業にこだわるのでセルビッチ風のステッチも手仕事だ。

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新ブランド「ファビ メルカート」、旬の素材で高揚感を ヒノキやサトウキビなど活用

満汐国明オルビーインク代表取締役は2024-25年秋冬シーズンに立ち上げた新ブランド「ファビ メルカート」で、「高揚感を犠牲にしないサステナブルなファッション体験」の提供に挑戦する。自社ECサイトを主販路に、10月には伊勢丹百貨店や大阪タカシマヤ店などでポップアップも予定する。

コンセプトは「旬をまとう」。サトウキビ由来の糸やトウモロコシが原料のソロテックス、ヒノキの木糸といった季節を感じる素材や植物染料で素材のストーリーを楽しんでもらう。満汐は「サステナビリティという言葉に頼らずに、ワクワクするサステナブルなファッション体験を届けたいと思った」と立ち上げ背景を語る。

「旬の素材」と聞くとワクワクする感覚をファッションでも

満汐は江角泰俊が手掛ける「エズミ」の立ち上げから参加し「コスチューム ナショナル」のデザイナーを経て、米サンフランシスコデザインエージェンシーに転職。ファッションデザインだけでなく、魅力的なブランド体験を設計する知見を積んだ。現地で目の当たりにした山火事や、環境意識の高い同僚にも影響を受け、サステナブルな消費体験を生み出すことへの情熱が芽生えた。帰国後はアウターブランド「カポック ノット」でディレクターを務め、木の実由来のカポックをダウンに代わる持続可能な素材として打ち出し、サステナブルファッションを訴求した。しかし、「消費者の欲望を駆り立てるモノ作りに限界を感じる部分もあった」。

そこで新たに自身のプロジェクト「ファビ メルカート」を2024-25年秋冬シーズンに立ち上げた。「どうしたらもっと自然に高揚感を持ってサステナブルファッションを楽しんでもらえるのか」。その課題を出発点に辿り着いたのが、「旬をまとう」というコンセプト。「レストランで『旬の素材ですよ』と聞くとワクワクする。四季のある日本ならではの感覚をファッションに取り入れられたら」と考えた。

例えばヒノキの木糸などの季節を感じる素材や、時期にあった機能性も旬ととらえて春夏であれば抗菌・消臭・速乾効果のあるサトウキビ由来の素材などを採用。「料理人のように手元の素材をいかに生かして美味しく調理するかという感覚でデザインする」。

またはカポックなど素材としての珍しさも旬と捉えて提案し、新しい環境配慮型素材は研究段階であっても積極的に採用する。「せっかくのいい技術も品質やコスト面から市場に広がらずに、諦めてしまうメーカーもたくさん見てきた。こうした素材を積極的に活用しデメリットがあれば消費者に伝えつつ、それを補完するようなブランド体験を提供することが自分の役割だと思う」。

非加熱で15秒 最新草木染め染料を取り入れ

2025年春夏シーズンは、熊本のスタートアップのサーキュライフが開発した新たな草木染め染料「サーキュラーダイ」を用いた。通常天然染料を用いて染める場合、80度の熱湯で30分以上染色をしなければならず、エネルギーと水の使用量が少なくない。「サーキュラーダイ」は半導体の技術を応用して非加熱で15秒で染め上げることができる。色止めはミョウバンを使用する。満汐はこれを用いて天草のヒノキの間伐材から製糸した糸とコットン糸でデニム風に織り上げた生地を、桜の木から抽出した染料で染めたセットアップを企画した。

満汐は現在「サーキュラーダイ」を繊維商社のスタイレムと協働して量産体制の確立に向けてサポートしている。「すでにある素材だけでは、サステナビリティを前進させられない。僕たちは新素材の実験台的な役割も果たしていきたいし、メーカーや同業他社とも共創するマインドを大切にしたい」。

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新ブランド「ファビ メルカート」、旬の素材で高揚感を ヒノキやサトウキビなど活用

満汐国明オルビーインク代表取締役は2024-25年秋冬シーズンに立ち上げた新ブランド「ファビ メルカート」で、「高揚感を犠牲にしないサステナブルなファッション体験」の提供に挑戦する。自社ECサイトを主販路に、10月には伊勢丹百貨店や大阪タカシマヤ店などでポップアップも予定する。

コンセプトは「旬をまとう」。サトウキビ由来の糸やトウモロコシが原料のソロテックス、ヒノキの木糸といった季節を感じる素材や植物染料で素材のストーリーを楽しんでもらう。満汐は「サステナビリティという言葉に頼らずに、ワクワクするサステナブルなファッション体験を届けたいと思った」と立ち上げ背景を語る。

「旬の素材」と聞くとワクワクする感覚をファッションでも

満汐は江角泰俊が手掛ける「エズミ」の立ち上げから参加し「コスチューム ナショナル」のデザイナーを経て、米サンフランシスコデザインエージェンシーに転職。ファッションデザインだけでなく、魅力的なブランド体験を設計する知見を積んだ。現地で目の当たりにした山火事や、環境意識の高い同僚にも影響を受け、サステナブルな消費体験を生み出すことへの情熱が芽生えた。帰国後はアウターブランド「カポック ノット」でディレクターを務め、木の実由来のカポックをダウンに代わる持続可能な素材として打ち出し、サステナブルファッションを訴求した。しかし、「消費者の欲望を駆り立てるモノ作りに限界を感じる部分もあった」。

そこで新たに自身のプロジェクト「ファビ メルカート」を2024-25年秋冬シーズンに立ち上げた。「どうしたらもっと自然に高揚感を持ってサステナブルファッションを楽しんでもらえるのか」。その課題を出発点に辿り着いたのが、「旬をまとう」というコンセプト。「レストランで『旬の素材ですよ』と聞くとワクワクする。四季のある日本ならではの感覚をファッションに取り入れられたら」と考えた。

例えばヒノキの木糸などの季節を感じる素材や、時期にあった機能性も旬ととらえて春夏であれば抗菌・消臭・速乾効果のあるサトウキビ由来の素材などを採用。「料理人のように手元の素材をいかに生かして美味しく調理するかという感覚でデザインする」。

またはカポックなど素材としての珍しさも旬と捉えて提案し、新しい環境配慮型素材は研究段階であっても積極的に採用する。「せっかくのいい技術も品質やコスト面から市場に広がらずに、諦めてしまうメーカーもたくさん見てきた。こうした素材を積極的に活用しデメリットがあれば消費者に伝えつつ、それを補完するようなブランド体験を提供することが自分の役割だと思う」。

非加熱で15秒 最新草木染め染料を取り入れ

2025年春夏シーズンは、熊本のスタートアップのサーキュライフが開発した新たな草木染め染料「サーキュラーダイ」を用いた。通常天然染料を用いて染める場合、80度の熱湯で30分以上染色をしなければならず、エネルギーと水の使用量が少なくない。「サーキュラーダイ」は半導体の技術を応用して非加熱で15秒で染め上げることができる。色止めはミョウバンを使用する。満汐はこれを用いて天草のヒノキの間伐材から製糸した糸とコットン糸でデニム風に織り上げた生地を、桜の木から抽出した染料で染めたセットアップを企画した。

満汐は現在「サーキュラーダイ」を繊維商社のスタイレムと協働して量産体制の確立に向けてサポートしている。「すでにある素材だけでは、サステナビリティを前進させられない。僕たちは新素材の実験台的な役割も果たしていきたいし、メーカーや同業他社とも共創するマインドを大切にしたい」。

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【参加者募集】「ダブレット」井野デザイナーも登壇 サステナ×アパレル イベント開催

WWDJAPANサステナビリティ特集をデザイナーと一緒に振り返ろう

WWDJAPANは9月9日発売のサステナビリティ特集「How to be a Sustainable Apparel」を読者の皆さんと振り返るリアルイベントを開催します。平日の夜、リラックスした空間でドリンクを片手に「サステナブルなアパレルブランドってどうやったらなれるの?」について一緒に考えませんか?

ゲストには、特集にも登場したブランドのデザイナーや企画担当者、テキスタイルのプロフェッショナルが登場し、向千鶴「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターと話を深めます。トークの後にはミートアップの時間もあり、新しいつながりを作るチャンスでもあります。ぜひ振るってご参加ください。

 

 


プログラム

【Session#1】19:30~20:15(45分)

「How to be a Sustainable Apparel」

セッション1ではサステナビリティ×アパレルなモノづくり実践し、第一線で活躍しているお2人が登場します。
「ダブレット」2025年春夏コレクションのテーマは”推し活”。そこには「スパイバー」をはじめとする環境負荷型素材の作り手など変革に挑む企業や人への思いが込められています。その斬新な表現方法についてデザイナー自身と振り返ります。
「ロンハーマン」は2021年に、他に先駆けてサステナビリティビジョンを発表し、モノづくりの在り方についても見直しを進めてきました。生産部の責任者として、具体的に取り組んできたことについて、課題を交えてお話しいただきます。

ゲストスピーカー:井野将之/「ダブレット」デザイナー

PROFILE:(いの・まさゆき)1979年群馬県生まれ。東京モード学園卒業後、企業デザイナーで経験を積んだ後、「ミハラヤスヒロ」にて 靴・アクセサリーの企画生産を務める。2012年に「ダブレット」を立ち上げ。「2013 okyo新人デザイナーファッション大賞」プロ部門、「Tokyo Fashion Award2017」に選出。18年にアジア人で初めて「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」グランプリを受賞し、20年パリコレデビュー。22年「ダニエル・アーシャム」とのアートコラボや「マーク ジェイコブス」とのコラボレーションを展開

ゲストスピーカー:徳永裕美/リトルリーグ カンパニーオフィサー 兼 ロンハーマン事業部 デザイン生産部部長

PROFILE:(とくなが・ゆみ)2008年にサザビーリーグ入社。ロンハーマンの日本上陸・立ち上げ時よりオリジナルブランドのデザインを担当。16年4月よりリトルリーグ カンパニーオフィサーに就任。現在もオリジナルブランドのデザイン、ディレクションを行いながら愛のあるものづくりに現場で向き合う

モデレーター:向千鶴/「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクター

【Session#2】20:20~21:00(40分)

「環境配慮型の素材とは?」

セッション2は、アパレルの表現に欠かせない「素材」にフォーカスします。環境配慮型の素材は技術革新が進んでおり、作り手も知識のアップデートが欠かせません。今回は、木材パルプに廃棄物由来の再生プラスチックを組み合わせたジアセテート繊維 「イーストマン ナイア・レニュー」 を題材に、独自性を素材と再生カーボンテクノロジーから理解を深めます。欧州で進む厳しいサステナビリティに関する法規制をクリアし、ラグジュアリーブランドからも支持を得ているテキスタイルメーカーの事例をトップ自ら語ります。

ゲストスピーカー:ルース・ファレル/イーストマンケミカル テキスタイル事業部ジェネラルマネージャー

PROFILE:(Ruth Farrell)イーストマンケミカル テキスタイルのグローバルマーケティングディレクターを経て現職。過去にはデュポン ドゥ ヌムールのシニアマーケティングリーダーを経験し食品材料と繊維を専門にマーケティングとブランディング、新製品開発と新市場の創造に努めてきた。ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンでエンジニアの学位号を、ビジネスの修士号をダブリンのマイケル・スマーフィット・グラデュエイト・ビジネス・スクールで取得。夫と3人の子供と共にスイス在住

ゲストスピーカー:村上貴宣/明林繊維社長

PROFILE:(むらかみ・たかのぶ)米国ニューヨークの商社でテキスタイル貿易の業務を経験した後、2001年に明林繊維に入社。開発と生産と営業を兼務しながら取締役専務を経て、16年に3代目明林繊維の代表取締役社長に就任した。就任後は「人と地球を繊維でむすぶ」をキャッチコピーに掲げ、GRSの認証も取得。現在は新商品開発と新市場開拓を実行しながら、協力工場を含む産地全体の持続可能な成長を目指している。休日は趣味のゴルフや、息子の野球の応援を楽しんでいる

モデレーター:向千鶴/「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクター

協賛:イーストマン・ケミカル・カンパニー
 

※講義内容は予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

 

【Extra】21:00~21:45 (45分)

ミートアップ

ドリンクとスナックをご用意しておりますので、さらなるコミュニケーションの場としてご活用ください。

 


インフォメーション

日時

2024年9月17日(火)19:30〜21:45
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場
※会場ご参加のみとなります。オンライン配信はございません。
※アーカイブ配信の発売はございません

会場

BABY THE COFFEE BREW CLUB
東京都渋谷区神宮前6-31-21 原宿スクエア内東京プラザ原宿「ハラカド」3F

募集人数

50名

募集期間

8/28(水)〜9/13(金)12:00まで

受講料金

価格:3300円

※表示価格は全て1名様分、税込です。
※募集人数に達し次第受け付けを締め切らせていただく場合がございます。

 

 

特典

9月9日発行 サステナビリティ特集「How to be a Sustainable Apparel」

 

注意事項

・申し込みの受け付けは先着順です。募集人数に達し次第締め切らせていただきます。
・申し込み完了後のキャンセルは受け付けておりません。
・本ページでのお支払いはクレジットカードのみとなります。コンビニ支払いをご希望の方はこちら
・適格請求書(領収書)の発行は、こちらから。記載のお宛名をご入力の上ご連絡ください。
弊社登録番号:T5-0110-0104-4278
・当日は会場内に撮影用のカメラが入ります。撮影した動画や写真は、「WWDJAPAN」Weeklyやウェブサイト、公式SNSなどで掲載する場合があります。ご了承いただける方のみお申し込みください。

 

問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
お問い合わせフォームはこちら

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【参加者募集】「ダブレット」井野デザイナーも登壇 サステナ×アパレル イベント開催

WWDJAPANサステナビリティ特集をデザイナーと一緒に振り返ろう

WWDJAPANは9月9日発売のサステナビリティ特集「How to be a Sustainable Apparel」を読者の皆さんと振り返るリアルイベントを開催します。平日の夜、リラックスした空間でドリンクを片手に「サステナブルなアパレルブランドってどうやったらなれるの?」について一緒に考えませんか?

ゲストには、特集にも登場したブランドのデザイナーや企画担当者、テキスタイルのプロフェッショナルが登場し、向千鶴「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターと話を深めます。トークの後にはミートアップの時間もあり、新しいつながりを作るチャンスでもあります。ぜひ振るってご参加ください。

 

 


プログラム

【Session#1】19:30~20:15(45分)

「How to be a Sustainable Apparel」

セッション1ではサステナビリティ×アパレルなモノづくり実践し、第一線で活躍しているお2人が登場します。
「ダブレット」2025年春夏コレクションのテーマは”推し活”。そこには「スパイバー」をはじめとする環境負荷型素材の作り手など変革に挑む企業や人への思いが込められています。その斬新な表現方法についてデザイナー自身と振り返ります。
「ロンハーマン」は2021年に、他に先駆けてサステナビリティビジョンを発表し、モノづくりの在り方についても見直しを進めてきました。生産部の責任者として、具体的に取り組んできたことについて、課題を交えてお話しいただきます。

ゲストスピーカー:井野将之/「ダブレット」デザイナー

PROFILE:(いの・まさゆき)1979年群馬県生まれ。東京モード学園卒業後、企業デザイナーで経験を積んだ後、「ミハラヤスヒロ」にて 靴・アクセサリーの企画生産を務める。2012年に「ダブレット」を立ち上げ。「2013 okyo新人デザイナーファッション大賞」プロ部門、「Tokyo Fashion Award2017」に選出。18年にアジア人で初めて「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」グランプリを受賞し、20年パリコレデビュー。22年「ダニエル・アーシャム」とのアートコラボや「マーク ジェイコブス」とのコラボレーションを展開

ゲストスピーカー:徳永裕美/リトルリーグ カンパニーオフィサー 兼 ロンハーマン事業部 デザイン生産部部長

PROFILE:(とくなが・ゆみ)2008年にサザビーリーグ入社。ロンハーマンの日本上陸・立ち上げ時よりオリジナルブランドのデザインを担当。16年4月よりリトルリーグ カンパニーオフィサーに就任。現在もオリジナルブランドのデザイン、ディレクションを行いながら愛のあるものづくりに現場で向き合う

モデレーター:向千鶴/「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクター

【Session#2】20:20~21:00(40分)

「環境配慮型の素材とは?」

セッション2は、アパレルの表現に欠かせない「素材」にフォーカスします。環境配慮型の素材は技術革新が進んでおり、作り手も知識のアップデートが欠かせません。今回は、木材パルプに廃棄物由来の再生プラスチックを組み合わせたジアセテート繊維 「イーストマン ナイア・レニュー」 を題材に、独自性を素材と再生カーボンテクノロジーから理解を深めます。欧州で進む厳しいサステナビリティに関する法規制をクリアし、ラグジュアリーブランドからも支持を得ているテキスタイルメーカーの事例をトップ自ら語ります。

ゲストスピーカー:ルース・ファレル/イーストマンケミカル テキスタイル事業部ジェネラルマネージャー

PROFILE:(Ruth Farrell)イーストマンケミカル テキスタイルのグローバルマーケティングディレクターを経て現職。過去にはデュポン ドゥ ヌムールのシニアマーケティングリーダーを経験し食品材料と繊維を専門にマーケティングとブランディング、新製品開発と新市場の創造に努めてきた。ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンでエンジニアの学位号を、ビジネスの修士号をダブリンのマイケル・スマーフィット・グラデュエイト・ビジネス・スクールで取得。夫と3人の子供と共にスイス在住

ゲストスピーカー:村上貴宣/明林繊維社長

PROFILE:(むらかみ・たかのぶ)米国ニューヨークの商社でテキスタイル貿易の業務を経験した後、2001年に明林繊維に入社。開発と生産と営業を兼務しながら取締役専務を経て、16年に3代目明林繊維の代表取締役社長に就任した。就任後は「人と地球を繊維でむすぶ」をキャッチコピーに掲げ、GRSの認証も取得。現在は新商品開発と新市場開拓を実行しながら、協力工場を含む産地全体の持続可能な成長を目指している。休日は趣味のゴルフや、息子の野球の応援を楽しんでいる

モデレーター:向千鶴/「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクター

協賛:イーストマン・ケミカル・カンパニー
 

※講義内容は予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

 

【Extra】21:00~21:45 (45分)

ミートアップ

ドリンクとスナックをご用意しておりますので、さらなるコミュニケーションの場としてご活用ください。

 


インフォメーション

日時

2024年9月17日(火)19:30〜21:45
※講座開始30分前から会場受付開始

実施方法

会場
※会場ご参加のみとなります。オンライン配信はございません。
※アーカイブ配信の発売はございません

会場

BABY THE COFFEE BREW CLUB
東京都渋谷区神宮前6-31-21 原宿スクエア内東京プラザ原宿「ハラカド」3F

募集人数

50名

募集期間

8/28(水)〜9/13(金)12:00まで

受講料金

価格:3300円

※表示価格は全て1名様分、税込です。
※募集人数に達し次第受け付けを締め切らせていただく場合がございます。

 

 

特典

9月9日発行 サステナビリティ特集「How to be a Sustainable Apparel」

 

注意事項

・申し込みの受け付けは先着順です。募集人数に達し次第締め切らせていただきます。
・申し込み完了後のキャンセルは受け付けておりません。
・本ページでのお支払いはクレジットカードのみとなります。コンビニ支払いをご希望の方はこちら
・適格請求書(領収書)の発行は、こちらから。記載のお宛名をご入力の上ご連絡ください。
弊社登録番号:T5-0110-0104-4278
・当日は会場内に撮影用のカメラが入ります。撮影した動画や写真は、「WWDJAPAN」Weeklyやウェブサイト、公式SNSなどで掲載する場合があります。ご了承いただける方のみお申し込みください。

 

問い合わせ先
INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
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廃棄予定の生地でリカちゃんのスカートを製作するワークショップ 東京おもちゃショーで

体験シェアリングサービスを運営するストーリーアンドカンパニーは、8月29日〜9月1日に東京ビッグサイトで開催する東京おもちゃショーのタカラトミーブース内、リカちゃんコーナーで、廃棄予定の生地やリボンを使ったワークショップを開催する。

同ワークショップは、“リカちゃんのアップサイクルラボ”プロジェクトとして行われ、リカちゃんを通して地球を守るアクションを皆で考えることを目的にしている。対象年齢は6歳以上で、廃棄予定の生地やリボンを使用して簡単にできるリカちゃんのスカートを制作する。また、昨年の廃棄予定の洋服をリカちゃんの洋服へと作り変える“100 My Licca”プロジェクトで制作した計18体のリカちゃんもコーナー内に展示予定だ。8月29、30日のバイヤーズデーはウェブ事前申し込み制、一般公開日の8月31、9月1日は整理券を配布する。詳細は特設ページに記載する。

前回の“100 My Licca”プロジェクトでは、行き場のなくなったモノへの付加価値のみにとどまらず、アップサイクルへの気づきや学びをエンターテインメントを通して伝えた。渋谷ヒカリエで実施されたイベントでは2500人を集客し、インスタグラムハッシュタグ#100myliccaは約500件の投稿、フィード5万件以上のいいねを獲得した。

特設サイト

イベント概要

◾️ワークショップ “リカちゃんのアップサイクルスカートをつくろう”

・バイヤーズデー
日程:8月29、30日
時間:29日 10:00~17:30/30日 9:30~17:00
場所:東京ビッグサイト 西1・2・4ホール
住所:江東区有明3-11-1

・パブリックデー
日程:8月31、9月1日
時間:31日 9:00~17:00/1日 9:00~16:00
所要時間:45分
対象年齢:6歳以上

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廃棄予定の生地でリカちゃんのスカートを製作するワークショップ 東京おもちゃショーで

体験シェアリングサービスを運営するストーリーアンドカンパニーは、8月29日〜9月1日に東京ビッグサイトで開催する東京おもちゃショーのタカラトミーブース内、リカちゃんコーナーで、廃棄予定の生地やリボンを使ったワークショップを開催する。

同ワークショップは、“リカちゃんのアップサイクルラボ”プロジェクトとして行われ、リカちゃんを通して地球を守るアクションを皆で考えることを目的にしている。対象年齢は6歳以上で、廃棄予定の生地やリボンを使用して簡単にできるリカちゃんのスカートを制作する。また、昨年の廃棄予定の洋服をリカちゃんの洋服へと作り変える“100 My Licca”プロジェクトで制作した計18体のリカちゃんもコーナー内に展示予定だ。8月29、30日のバイヤーズデーはウェブ事前申し込み制、一般公開日の8月31、9月1日は整理券を配布する。詳細は特設ページに記載する。

前回の“100 My Licca”プロジェクトでは、行き場のなくなったモノへの付加価値のみにとどまらず、アップサイクルへの気づきや学びをエンターテインメントを通して伝えた。渋谷ヒカリエで実施されたイベントでは2500人を集客し、インスタグラムハッシュタグ#100myliccaは約500件の投稿、フィード5万件以上のいいねを獲得した。

特設サイト

イベント概要

◾️ワークショップ “リカちゃんのアップサイクルスカートをつくろう”

・バイヤーズデー
日程:8月29、30日
時間:29日 10:00~17:30/30日 9:30~17:00
場所:東京ビッグサイト 西1・2・4ホール
住所:江東区有明3-11-1

・パブリックデー
日程:8月31、9月1日
時間:31日 9:00~17:00/1日 9:00~16:00
所要時間:45分
対象年齢:6歳以上

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「コーチ」、Z世代200人と共創 循環型ブランド起点に広がるコミュニティー

「コーチ(COACH)」は2022年に立ち上げた姉妹ブランド「コーチトピア(COACHTOPIA)」で、世界のZ世代とともに循環型のモノづくりに挑戦中だ。「ベータコミュニティー」と呼ぶこのグローバルコミュニティーには、ファッション業界が与える環境負荷への課題認識を共有する学生やクリエイター、環境活動家など約200人が所属する。そのうち日本からは約60人が参加する。コーチジャパンはこのほど、代官山の新複合施設「フォレストゲート代官山」で「ベータコミュニティー」の公開ミーティングを開催した。

「コーチトピア」ではエレン・マッカーサー財団が提唱する「メード サーキュラー(MADE CIRCULAR)原則」に従って商品企画を行う。たとえば「コーチ」の商品の生産工程で発生した端材をパッチワークしたり、あらかじめ修理しやすいような設計したりしながら、ブランドらしいポップなデザインに仕上げている点が特徴だ。「ベータコミュニティー」のメンバーは、商品企画やコンセプト開発、ポップアップイベント、キャンペーンビジュアルへの参加などさまざまな場面に携わる。日本では23年にローンチして以降、売り上げは好調だという。

サステナビリティにまつわるリアルな悩みを共有

公開ミーティングには15人程が参加した。冒頭では日本で「コーチトピア」の活動を推進する木下あかねシニアマネジャーが、ブランドの活動を振り返った後、メンバー同士が同プロジェクトに参加した理由や日々感じるサステナブルなライフスタイルにまつわる悩みなどを共有しながら交流を深めた。

参加者からは「周りの友人にサステナブルファッションを勧めたいが、上手い伝え方がわからない」「サステナビリティに取り組みたいが、忙しいライフスタイルの中では利便性を優先してしまい折り合いの付け方が難しい」といった声が挙がった。木下マネージャーは、「Z世代の生の声を聞くことができる場作りに意味がある。ブランド側だけでは考え付かないリアルな視点を取り入れる機会になっている」と話す。

ミーティングに参加した一般社団法人「メディアイズホープ(MEDIA IS HOPE)」の発起人で、メディア向けに気候変動報道の重要性を訴える活動を続ける名取由佳さんは、「以前から『コーチ』については知っていたが、サステナブルなイメージは正直なかった。『コーチ』のような規模感のインターナショナルブランドが、産業全体に影響を与えるようなとてもチャレンジングなことをしてくれていてリスペクトが生まれた」と感想を述べた。

親会社のタペストリーは、2030年度までにグループ全体でスコープ 1、 2、3の温室効果ガス排出量を21年比で42.5%削減し、50年までにネットゼロにすることを目標に掲げる。「コーチトピア」はグループの中でも実験プラットフォーム的な役割を果たし、環境目標達成に向けた要になる。

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「革ってサステナブル」を広メンディー! 日本皮革産業連がキャンペーン

国内の皮革素材や皮革製品にまつわる業者で組織する日本皮革産業連合会(以下JLIA、藤原仁会長)は、「お肉を食べて革製品を使おう!」と題したキャンペーンを9月1日〜10月31日に実施する。期間中に特設サイトで皮革や革製品にまつわるクイズに正解すると、総額1000万円以上の高級牛肉や革製品が総計826人に当たる。

冷凍の黒毛和牛ロースステーキ200g×2枚(1万円相当)、黒毛和牛すき焼き用500g(同)が各250人に当たる。そのほか、靴、バッグ、小物など109種の国産革製品を326人にプレゼントする。「マドラス(MADRAS)」「土屋鞄」「ゲンテン(GENTEN)」など有名国産ブランドも賞品にラインアップする。

キャンペーンは、同連合会が昨年革製品のサステナビリティを発信するプロジェクト「シンキング レザー アクション(TLA)」の一環として、JA全農ミートフーズの協力の下実施する。趣旨は、食肉を通じて皮が「副産物」であること、またそれを使った皮革製品を買うことが「サステナブルな選択である」という同連合の考えを広く認知してもらうことにある。キャンペーンキャラクターにはタレントの関口メンディーを起用した。

「革は副産物」6割が非認知
キャンペーンで広く発信

27日、都内で発表会が行われ、TLAの座長を務める川北芳弘氏が登壇した。川北座長は近年、「革のために動物の命を奪っている」「革製品の使用をやめると、アニマルウェルフェアやアニマルライツなどの活動に貢献できる」といった“誤解”が生まれているとし、皮革はあくまで畜産・食肉産業の副産物であることを強調。「皮革製品は、お肉を食べるときに余る皮をすみずみまで使用している、アップサイクルな素材だ。お肉を食べるのをやめてしまえば皮を大量に廃棄することになり、結果的に焼却などによるCO2排出につながってしまう」と語った。

また、同連合会が実施した消費者約1000人対象のアンケートでは、約62%が「皮が副産物であることを認知していない」と回答したという。「お肉を食べたら皮が出るし、その皮(革製品)を大切に使うことはサステナブルである。そのことを知ってもらいたい」と繰り返し強調した。

発表会にはゲストとして関口、タレントの岡田結実と雪平莉左も登場。革製品にまつわるエピソードや素朴な疑問を川北座長らと掛け合い、最後は関口が「(革のサステナビリティを)広メンディー!」と絶叫して締めくくった。

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「革ってサステナブル」を広メンディー! 日本皮革産業連がキャンペーン

国内の皮革素材や皮革製品にまつわる業者で組織する日本皮革産業連合会(以下JLIA、藤原仁会長)は、「お肉を食べて革製品を使おう!」と題したキャンペーンを9月1日〜10月31日に実施する。期間中に特設サイトで皮革や革製品にまつわるクイズに正解すると、総額1000万円以上の高級牛肉や革製品が総計826人に当たる。

冷凍の黒毛和牛ロースステーキ200g×2枚(1万円相当)、黒毛和牛すき焼き用500g(同)が各250人に当たる。そのほか、靴、バッグ、小物など109種の国産革製品を326人にプレゼントする。「マドラス(MADRAS)」「土屋鞄」「ゲンテン(GENTEN)」など有名国産ブランドも賞品にラインアップする。

キャンペーンは、同連合会が昨年革製品のサステナビリティを発信するプロジェクト「シンキング レザー アクション(TLA)」の一環として、JA全農ミートフーズの協力の下実施する。趣旨は、食肉を通じて皮が「副産物」であること、またそれを使った皮革製品を買うことが「サステナブルな選択である」という同連合の考えを広く認知してもらうことにある。キャンペーンキャラクターにはタレントの関口メンディーを起用した。

「革は副産物」6割が非認知
キャンペーンで広く発信

27日、都内で発表会が行われ、TLAの座長を務める川北芳弘氏が登壇した。川北座長は近年、「革のために動物の命を奪っている」「革製品の使用をやめると、アニマルウェルフェアやアニマルライツなどの活動に貢献できる」といった“誤解”が生まれているとし、皮革はあくまで畜産・食肉産業の副産物であることを強調。「皮革製品は、お肉を食べるときに余る皮をすみずみまで使用している、アップサイクルな素材だ。お肉を食べるのをやめてしまえば皮を大量に廃棄することになり、結果的に焼却などによるCO2排出につながってしまう」と語った。

また、同連合会が実施した消費者約1000人対象のアンケートでは、約62%が「皮が副産物であることを認知していない」と回答したという。「お肉を食べたら皮が出るし、その皮(革製品)を大切に使うことはサステナブルである。そのことを知ってもらいたい」と繰り返し強調した。

発表会にはゲストとして関口、タレントの岡田結実と雪平莉左も登場。革製品にまつわるエピソードや素朴な疑問を川北座長らと掛け合い、最後は関口が「(革のサステナビリティを)広メンディー!」と絶叫して締めくくった。

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米化粧品小売大手セフォラが中国事業で人員削減 120人が対象

LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下の化粧品小売店セフォラ(SEPHORA)は、中国事業において人員削減を行う。全従業員の3%にあたる120人が対象となる。同社は2005年から中国に出店しており、「厳しい市場環境に対応しながら中国で成長するために、本社の組織構造を簡素化する」と声明で述べた。

米「WWD」の「BEAUTY INC」が主催した5月のイベントで、アジアセフォラのアリア・ゴギ(Alia Gogi)プレジデントは「昨年中国での売り上げは増加したが、国の回復は予想以上に時間がかかっている。セフォラを含め全てのブランドは、戦略に鋭く集中することが求められている」と話し、「ポートフォリオ差別化戦略」を強化している。

過去2年セフォラは中国で、メイクアップブランド「アナスタシア ビバリー ヒルズ(ANASTASIA BEVERLY HILLS)」「アワーグラス(HOURGLASS)」、スキンケアブランド「タッチャ(TATCHA)」などのローンチを成功させた。5月には「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」や「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)」を導入した。ゴギ=プレジデントは「中国の消費者はローカライズを心から喜んでいる」といい、カンファレンスではビューティブランドのコミュニティに「忍耐強くいよう。中国は回復が始まると非常に迅速に進むことが特徴。さらに機敏に対応していくことが重要だ」と呼びかている。

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八芳園が半年の休館を経て来年10月に再オープン 業界御用達のイベント会場はどうなる?

ファッション&ビューティ業界のイベントやファッションショー、ガラディナーでもお馴染みの八芳園は22日、2025年2〜9月に全館休館して、同年10月1日にグランドオープンすると発表した。リニューアルテーマを「既存建物を次世代へとつなげる改修」、リニューアルコンセプトを「日本の、美意識の凝縮」とし、リニューアル後はブライダルとイベント、そしてフードの3事業を主力とする。

ファッション&ビューティ業界人に関係が深そうなイベント事業では、現在15ある会場を11に減らす代わりに数百人が収容できる空間を設ける。現在は150人以上で利用できる会場の空きが少ないことから、改修によりコロナ禍以降活性化&巨大化、中には長期化している各種イベントに対応したい考えだ。例えば5階は、黒を基調としたデザインで統一したフロア「スタジオ コク」に改装。ラウンジで153平方メートル、会場で371平方メートル、ロビーで125平方メートルの空間は、ラウンジだけで50人、会場を含めると420人以上を収容できるキャパシティで、20×7mの大型LEDビジョンモニターを備えることで様々なイベントに対応する。6階のバンケットホールは、バーと会場、ロビーで合計721平方メートル以上。5、6階を同時に利用すれば、数百人規模の着席ディナーも開催できそうだ。5、6階は挙式したカップルから法人まで、会員限定のクラブフロアとする予定で、プライベート感やエクスクルーシブ感を醸成する。

上層階には、大勢のゲストが移動しやすいようにエントランスから直通のエスカレーターを設置。フロアに入る前は、八芳園随一の眺めを誇るデッキスペースを新設し、上層階でも日本庭園を楽しむことができるという。八芳園は大人数を収容できる会場を増やすことで、挙式が多い週末を跨ぐ長期的なイベントも請け負いたい考え。ファッションやビューティ業界では、例えばハイジュエリーブランドは高額商品を特別感ある場所に1週間ほど展示して全国から顧客を招いて商談を開催しながら、毎夜プレスやゲストを招いてガラディナーを開催するようになっているが、こうしたニーズにも対応したい考えだ。既存の建物の利活用、日本文化の精神に基づいた環境配慮型の建築で、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの状態を目指すZEB Oriented認証の取得を目指すことで、海外ラグジュアリーブランドがイベント会場にも課すサステナブルな姿勢に応える予定だ。

また、フード事業ではグランドオープンのタイミングで館内のメニューを全て刷新。ムスリム専用キッチンを設け、ムスリムフードの提供も可能にする。同じ白金・品川・高輪エリアの高輪ゲートウェイシティには、割烹と洋菓子店を設け、八芳園のフードを館外からも発信する。

設計などのデザインは、山崎健太郎デザインワークショップが手掛ける。

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「日常的にドレスを着てほしい」 東京・代官山のビンテージ専門店オーナーに聞く

PROFILE: YAMAGUCHI/「ザ ヴィンテージ ドレス」オーナー

YAMAGUCHI/「ザ ヴィンテージ ドレス」オーナー
PROFILE: 香川県出身。4年制大学を卒業したのち、アパレル会社の営業職としてビジネスの基礎を学ぶ。同社に3年間勤め、イタリアに渡航。欧州のビンテージ市場に触れる。帰国後、行政の代行業や、OEM・ODMを経験し、2011年に起業。12年に1号店「ザ ブリスク」を、18年に2号店「ザ ヴィンテージ ドレス」と併設する「ナオミドレスメーカー」をオープンした PHOTO : NORIHITO SUZUKI

東京・代官山の路地裏にひっそりとたたずむ「ザ ヴィンテージ ドレス(THE VINTAGE DRESS)」。重厚な扉の奥には、ザクロの香りをまとったアンティーク調の空間が広がる。主に1920年代から90年代までのドレスを取り扱い、その全てはデザイナーズという本物志向のビンテージショップ。その熱意は「ヴァレンティノ(VALENTINO)」にも届き、同ブランドがアーカイブを集めて販売する「ヴァレンティノ ヴィンテージ」の日本会場にも選ばれた。ここでは「ザ ヴィンテージ ドレス」のYAMAGUCHIオーナーに、こだわりを貫く同店と盛り上がるビンテージ市場への思いについて聞く。

1920〜90年代の希少なドレスの数々

WWD:ビンテージドレスに引かれるようになったきっかけは?

YAMAGUCHI「ザ ヴィンテージ ドレス」オーナー(以下、YAMAGUCHI):20歳くらいのとき、ふと“本物”を見たことがないなと思ったんです。いわゆるブランド古着はありましたが、ライセンスビジネスによって作られたものばかりで。そんなとき、イタリアで「サンローラン(SAINT LAURENT)」のレザージャケットを目にする機会があったんです。服が持つオーラに圧倒されましたね。そこから、デザイナー本人が手掛けたものを提案したいと思うようになりました。

WWD:「ザ ヴィンテージ ドレス」には、他店にはない商品がそろう。

YAMAGUCHI:「ニナリッチ(NINA RICCI)」のドレス(13万8000円 ※写真1枚目)は、裾を手縫いで仕上げています。70年代に作られたものですが保存状態が良く、オートクチュールと見まごうほどです。また、「オジークラーク(OSSIE CLARK)」のドレス(34万円 ※写真2枚目)も、同じく70年代に作られたもの。柄物が多いブランドの印象ですが、ドレープ感があり、着心地も良い素材“モスクレープ”のブラック1色で仕上げています。

WWD:過去に販売したアイテムも、そうそうたるラインアップだ。

YAMAGUCHI:2018年のオープン時には、ココ・シャネル(Coco Chanel)がデザインした1960年代の「シャネル(CHANEL)」のオートクチュール(※写真1枚目)も置いていました。スモッキング刺しゅう(生地に細かくひだを作り、ひだ山を刺しゅう糸で模様を作りながら留めていく手法)によるダイヤモンド柄のステッチが特徴の1着です。88年の「アライア(ALAIA)」のドレス(※写真2枚目)も忘れられない1品です。素材やデザイン、シルエットに至るまで完璧で、時代を超える美しさを感じました。100年近く前に仕立てられたブラックドレス(※写真3枚目)も印象に残っていますね。これは、見る人を引きつける1着だと思いました。

WWD:このような商品を買い付けるのは、なかなか骨が折れそうだ。どのように買い付けている?

YAMAGUCHI:自社のバイヤーがフランスに在住しており、日々ヨーロッパ各地で買い付けを行っています。数十年前に新品として購入した個人から直接買い付けることも多いですね。思い入れのあるドレスを手放すことに積極的なわけではありませんが、当店の理念に共感いただき、協力してくれます。中には私たちが探している商品について深い造詣を持ち、リサーチしてくれるマダムもいます。このマダムは高齢になり、店に立つことをやめた方ですが、現役中に築き上げたコミュニティーを使って希少なアイテムを探してくれます。彼女にはひと月に1度会いに行きますが、毎回、想像を上回るクオリティーの商品を見つけてくれるんです。

WWD:1号店「ザ ブリスク(THE BRISK)」も同じくビンテージアイテムを取り扱っている。

YAMAGUCHI:「ザ ブリスク」はジャケットやニット、コットン素材のワンピースなど、比較的カジュアルな商品を販売しています。「ザ ヴィンテージ ドレス」同様、20年代から90年代のアイテムがメインです。もともとカテゴリー分けすることなく全商品を「ザ ブリスク」で扱っていましたが、「ザ ヴィンテージ ドレス」をオープンするにあたり、ドレスは当店で取り扱うようになりました。

WWD:近々、「ザ ブリスク」をリニューアルする。

YAMAGUCHI:8月26日から9月6日にかけて工事の予定です。カジュアルなアイテムは「ザ ブリスク」、ドレスは当店とお伝えしましたが、この改装を機に、「ザ ブリスク」でも再度ドレスを扱う予定です。“日常に取り入れるドレス”を提案したくて。内装もアップデートしますが、それもあくまで商品を引き立てるためで、むしろよりシンプルな空間になるかと。

WWD:「ザ ヴィンテージ ドレス」も空間づくりにこだわりが見える。

YAMAGUCHI:服の魅力を最大限に引き出すためには、それにふさわしい空間づくりが必要です。ベルギーのアクセル・ヴェルヴォールト(Axel Vervoordt)やアメリカのアトリエ エーエム(ATELIER AM)など、主に海外のインテリアデザイナーやデザインスタジオから学んでいます。

サイズを理由にビンテージドレスを諦めてほしくない

WWD:併設する「ナオミドレスメーカー(NAOMIDRESSMAKERS)」についても教えてほしい。

YAMAGUCHI:「ナオミドレスメーカー」は、瀧澤尚美さんによる直し工房です。店舗の1階にあります。オープンにあたり「ザ ヴィンテージ ドレス」には、直し工房が必要だと考えていました。ビンテージドレスは1点物なので、お客さまがサイズを理由に諦めるということをなくしたかったんです。ドレスのリサイズ(4600円 ※写真1枚目)のほか、持ち込みでも服の直しを受け付けています。

瀧澤:2001年に文化服装学院アパレル技術科を卒業したあと、4年間PR会社に勤めました。そこで見た大量生産・大量消費の現実に疑問を抱いたこと、そしてその頃から副業としてお直しをしており、多くの喜びの声を頂いたことから、本格的にこの道に進むことを決めました。個人でお直しやオーダー製作を何年か経験し、「ザ ヴィンテージ ドレス」がオープンするタイミングで声を掛けていただき、「ナオミドレスメーカー」を立ち上げました。主にドレスのシルエット直しをしていますが、ビジュー(装飾)の補修(1つ300円 ※写真2枚目)やジーンズの裾上げなど、幅広いリクエストに対応可能です。

また、服のリフォームと並行して、ドレスを中心としたオリジナルブランド「ムジーク(MOUJIK)」のオーダーも受け付けています。「ムジーク」はお客さまと相談しながら、長く着られる1着を作るブランドです。採寸から縫製まで、全ての工程を私1人が行います。オーダー式のため在庫を抱えず、無駄のない生産ができるという点で、私たちの理念を示す取り組みと言えます。

WWD:共感する層も多そうだ。

YAMAGUCHI:ありがたいことに。共感はもとより、品質とデザインを追求している方が多いですね。“ブランド名こそ違っても同じように見える”“服が欲しいが、買うに至るものがない”といった思いを抱える人が行き着く場として当店があると思っています。

WWD:客層および、彼女らがどのようなシーンを想定して購入しているのか知りたい。

YAMAGUCHI:当店のお客さまは30代から50代が中心ですが、中には20代も。客単価は5万〜10万円ほどです。20〜30代はウエディングシーンに向けて購入する方が多く、30〜50代は舞台やコンサートを見に行くときのドレス、また登壇する際などの仕事着としてのドレスを探している方が多いです。

もちろん、日常的にドレスを着ている人もいます。日本語ではオケージョナルなシーンで着用するものを“ドレス”、比較的カジュアルなものを“ワンピース”と区別していますが、海外ではそのようなセグメントはなく、“ドレス”という言葉があるのみです。私たちも、特別なシチュエーションだけでなく、日常にドレスを取り入れる楽しさや高揚感を伝えていけたらと思います。

「ヴァレンティノ」のイベント会場に選出

WWD:22年には、世界4都市で開催された「ヴァレンティノ ヴィンテージ」の東京会場に選ばれた。

YAMAGUCHI:そもそも「ヴァレンティノ」に知ってもらえたことが光栄でしたし、当店の取り組みを理解してオファーいただけたことがうれしかったです。イベントでは、“この服を作るのに、どれだけの時間がかかったのだろう?”と感じる、職人技やディテールワークに目がいく展示ができたと思います。一度きりのイベントの予定でしたが、22年の好評を受け、23年も開催しました。

WWD:同イベントから感じたことは?

YAMAGUCHI:「ヴァレンティノ」は職人を大切にするブランドだと、あらためて感じました。職人20人が10日間かけて作ったドレスもあり、それがオートクチュールではなくプレタポルテなんです。こうした職人がいてこそのドレスだと再認識しました。世界中の職人を大切にし、今ある技術を継承できるような時代になってほしいなと強く思いました。

活況のビンテージ市場に対する複雑な思い

WWD:昨今の古着市場の盛り上がりについては、どう捉えている?

YAMAGUCHI:コロナ禍を境に、“ビンテージ”という言葉が、より商業的に使われるようになったと感じています。一方で「ザ ヴィンテージ ドレス」では供給側も需要側も“ビンテージだから”ではなく、“美しいファッションを求めていた結果”としてビンテージに魅了されています。本来“ビンテージ”はトレンドとは相入れない言葉なので、同列で使われてしまうことには違和感を覚えます。

WWD:「ザ ヴィンテージ ドレス」のコンセプトは“1着を大切に着る”だ。

YAMAGUCHI:これだけセル&バイ(販売と買い取りを行う)の古着店が多いのも日本特有です。トレンドの生成から大量生産・大量消費、そして大量処分というサイクルが“機能”しているからですが、私はこの“飽きたら捨てれば良い”という商習慣を悲しく思っています。一方で、「ザ ヴィンテージ ドレス」が追い求めている時代性のある商材は、欧州でも見つけづらくなっています。親子2代、3代にわたって手放すことなく1着を大事にしている人が多く、セル&バイのサイクルから離れていることの表れですね。

WWD:商材が見つけにくくなっている中、今後のラインアップに変化はある?

YAMAGUCHI:私たちが美しいと感じるのは、大量生産が当たり前になる以前に作られた服です。今着ている服がビンテージとして扱われるほど時代が流れようと、私たちのビンテージ観は変わらないつもりです。「ファッションは色あせるが、スタイルは永遠」という、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)の言葉があります。当店の根底にある言葉でもあります。お客さまが美しいドレスに身を包み、日常に彩りを加える。そんな商品を提供できるビンテージショップでありたいですね。

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漁網リサイクルの“ネットプラス”で渋谷にパブリックアート 海洋問題を考えるきっかけに

一般社団法人SWiTCHは、渋谷駅東口広場で海洋問題をテーマにしたパブリックアートを31日まで展示する。一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントと取り組む環境活動の一環。同スペースでは豊田通商の協力の下、漁網のリサイクルナイロン生地“ネットプラス”用いたオブジェを展示し都市生活と海洋問題の関係性を啓発する。

SWiTCHはロンドンでサステナビリティを学び、COP26日本ユース代表も務めた佐座槙苗が2021年に立ち上げた。現在Z世代を中心に約20人のメンバーが所属し、環境教育やコンサルティング事業を柱に活動する。今年4月に「渋谷から環境問題を世界に向けて発信すること」を目的に渋谷駅前エリアマネジメントと協定を結び、渋谷駅周辺のサイネージなどを活用して環境問題を訴える動画の放映や、近隣の小中学校を対象に海洋問題にまつわる特別授業などを実施してきた。

巨大なプランクトンのオブジェを製作

今回のパブリックアートは、SWiTCHに所属する25歳の若手アーティスト佐座レミが企画し巨大なプランクトンをイメージしたオブシェを製作した。製作には文化学園文化ファッション大学院大学の卒業生らも参加した。

佐座レミは「渋谷川の真下に位置するこのスペースは、海とのつながりを感じてもらいやすいはず。すでにプランクトンの体内でもマイクロプラスチックが発見されたという報告もある。食物連鎖の最下層に位置するプランクトンを題材にすることで生態系全体との関連性や人間の社会活動が小さな生き物に与える影響を想像するきっかけになってほしい」と話す。なお使用した生地は展示後も資源として活用予定だという。

また23日には、「海と人間の共存の未来」と題したトークショーを渋谷スクランブルスクエア15階で開催する。豊田通商サステナブルファッション部の担当者や“ネットプラス”を採用する「パタゴニア(PATAGONIA)」の担当者、日本で廃棄漁網の回収および“ネットプラス”の製造を行うエランゲ代表取締役らも登壇し、“ネットプラス”をいかに普及させていくか、社会課題をどうビジネス化していくかといったテーマに触れる予定だ。

◾️「渋谷で感じる海。プロジェクト」

日程:8月17〜31日
場所::渋谷駅東口地下広場/UPLIGHT COFFEE前
入場料:無料

◾️トークセッション「海と人間の共存の未来」

日程:8月23日
時間:16:30〜18:30
場所:渋⾕スクランブルスクエア SHIBUYA QWS
住所:東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア(東棟)15階
参加料:無料

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漁網リサイクルの“ネットプラス”で渋谷にパブリックアート 海洋問題を考えるきっかけに

一般社団法人SWiTCHは、渋谷駅東口広場で海洋問題をテーマにしたパブリックアートを31日まで展示する。一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントと取り組む環境活動の一環。同スペースでは豊田通商の協力の下、漁網のリサイクルナイロン生地“ネットプラス”用いたオブジェを展示し都市生活と海洋問題の関係性を啓発する。

SWiTCHはロンドンでサステナビリティを学び、COP26日本ユース代表も務めた佐座槙苗が2021年に立ち上げた。現在Z世代を中心に約20人のメンバーが所属し、環境教育やコンサルティング事業を柱に活動する。今年4月に「渋谷から環境問題を世界に向けて発信すること」を目的に渋谷駅前エリアマネジメントと協定を結び、渋谷駅周辺のサイネージなどを活用して環境問題を訴える動画の放映や、近隣の小中学校を対象に海洋問題にまつわる特別授業などを実施してきた。

巨大なプランクトンのオブジェを製作

今回のパブリックアートは、SWiTCHに所属する25歳の若手アーティスト佐座レミが企画し巨大なプランクトンをイメージしたオブシェを製作した。製作には文化学園文化ファッション大学院大学の卒業生らも参加した。

佐座レミは「渋谷川の真下に位置するこのスペースは、海とのつながりを感じてもらいやすいはず。すでにプランクトンの体内でもマイクロプラスチックが発見されたという報告もある。食物連鎖の最下層に位置するプランクトンを題材にすることで生態系全体との関連性や人間の社会活動が小さな生き物に与える影響を想像するきっかけになってほしい」と話す。なお使用した生地は展示後も資源として活用予定だという。

また23日には、「海と人間の共存の未来」と題したトークショーを渋谷スクランブルスクエア15階で開催する。豊田通商サステナブルファッション部の担当者や“ネットプラス”を採用する「パタゴニア(PATAGONIA)」の担当者、日本で廃棄漁網の回収および“ネットプラス”の製造を行うエランゲ代表取締役らも登壇し、“ネットプラス”をいかに普及させていくか、社会課題をどうビジネス化していくかといったテーマに触れる予定だ。

◾️「渋谷で感じる海。プロジェクト」

日程:8月17〜31日
場所::渋谷駅東口地下広場/UPLIGHT COFFEE前
入場料:無料

◾️トークセッション「海と人間の共存の未来」

日程:8月23日
時間:16:30〜18:30
場所:渋⾕スクランブルスクエア SHIBUYA QWS
住所:東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア(東棟)15階
参加料:無料

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又吉直樹がセレクト、ZOZOで「N.ハリウッド」のサンプル品販売

「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZOは、ブランド古着を扱う「ゾゾユーズド(ZOZOUSED)」で「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」のサンプル品を数量限定で販売する。販売するアイテムは、ピース・又吉直樹がセレクト。シャツやボトムスなど17点になる。展示会などの見本として使用するサンプル品はクオリティーこそ通常商品と変わらないものの、品質表示などのタグのなく、店舗での販売の難しい。通常ブランド側は一部の顧客に限定したサンプルセールなどを実施し、販売していた。

ZOZOは「ゾゾユーズド」経由で販売することで、販売機会を提供するとともに、サステナビリティ情報を発信する自社メディア「「エラブ バイ ゾゾ(elove by ZOZO)」で、「N.ハリウッド」の尾花大輔デザイナーと又吉直樹の対談記事も公開し、両者のサステナビリティに対する考え方も紹介する。アイテムは8月27日から。価格はバルマカーンコートが3万6960円、キャップが9900円、カーゴパンツが3万1680円、「アウトドアプロダクツ」とのコラボのツールバッグが1万6500円になる。

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又吉直樹がセレクト、ZOZOで「N.ハリウッド」のサンプル品販売

「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZOは、ブランド古着を扱う「ゾゾユーズド(ZOZOUSED)」で「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」のサンプル品を数量限定で販売する。販売するアイテムは、ピース・又吉直樹がセレクト。シャツやボトムスなど17点になる。展示会などの見本として使用するサンプル品はクオリティーこそ通常商品と変わらないものの、品質表示などのタグのなく、店舗での販売の難しい。通常ブランド側は一部の顧客に限定したサンプルセールなどを実施し、販売していた。

ZOZOは「ゾゾユーズド」経由で販売することで、販売機会を提供するとともに、サステナビリティ情報を発信する自社メディア「「エラブ バイ ゾゾ(elove by ZOZO)」で、「N.ハリウッド」の尾花大輔デザイナーと又吉直樹の対談記事も公開し、両者のサステナビリティに対する考え方も紹介する。アイテムは8月27日から。価格はバルマカーンコートが3万6960円、キャップが9900円、カーゴパンツが3万1680円、「アウトドアプロダクツ」とのコラボのツールバッグが1万6500円になる。

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スノーボードの「バートン」が未来の雪山保護を考える映像公開 プロスノーボーダーら出演

スノーボードブランド「バートン(BURTON)」を手掛けるバートン ジャパンは、同社が契約しているプロスノーボーダーや有識者などへのインタビューを通して、気候変動の影響を強く感じた昨冬を振り返りながら、未来の雪山を守るための行動を考える映像「雪山と地球の未来を守るために」を公開した。

プロスノーボーダーや専門メディア編集長らが出演

映像では、「バートン」が契約しているプロスノーボーダーの今井胡桃、藤森由香、降旗由紀、大塚健、高橋龍正、中山悠也ら他、 気候を守るための政策転換と行動を加速するために様々な活動を行う一般社団法人Climate Integrate代表理事の平田仁子氏や、スノーコミュニティから脱炭素社会の実現を目指す一般社団法人Protect Our Winters Japan副事務局長の脊戸柳武彦氏、スノーボード専門メディア「バックサイドスノーボードマガジン(BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE)」編集長の野上大介氏、東急リゾーツ&ステイの山崎真也氏らにインタビューを実施。それぞれが2023-24のシーズンを振り返り、実感している危機感や今後目指すべき姿、自分たちにできることは何かを語った。

米バートンはスノーボードメーカーとして初めて、19年にBコープ認証を取得。25年までのクライメートポジティブ(二酸化炭素排出量よりも吸収量の方が多い状態のこと)達成を目指している。バートンジャパンも、太陽光発電でスキー場の簡易リフトを動かすイベントに協賛したり、23年には初めて認定中古ボードを販売するなど、地球や人々にとって安全で、かつ長く使えるプロダクト制作に取り組んでいる。

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「ワタル トミナガ」、アーカイブ生地を使ったボンサックを「デルタ」と企画 ポップアップイベントも

代々木上原のセレクトショップ「デルタ(DELTA)」はこのほど、富永航デザイナーが手掛ける「ワタル トミナガ(WATARU TOMINAGA)」とコラボレーションした限定バッグ6型を発売した。販売に合わせ「ブレス バイ デルタ(BREATH BY DELTA)」では、ポップアップイベントを8月25日まで開催中だ。

コラボバッグはミリタリーのランドリーバッグから着想を得たデザインで、「ワタル トミナガ」のアーカイブの中から6種類の生地を用いて製作した。生地の美しさを生かすため、外側にはポケットなどの要素は排除し、2ウェイで使用できる共布のハンドル、インナーにはラップトップ用のポケットを配した。さまざまなシーンで活用できるサイズ感にもこだわった。内装生地にはリサイクルコットン生地、ストラップ部分にはリサイクルナイロン、YKKの再生ポリエステル原料を使用したファスナー、ストラップの留め具にはプラスチックは使用せず再生可能なアルミ素材を使用している。価格はそれぞれ3万8500円。イベント中は、「ワタル トミナガ」のアーカイブアイテムも合わせて販売する。

「ワタル トミナガ」は2019年デビュー。武蔵野美術大学、文化服装学院、セントラル・セント・マーチンズ、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツで学び、卒業時に発表したコレクションは仏イエール国際モードフェスティバルにてグランプリを受賞。「プチバトー(PETIT BATEAU)」や「マリメッコ(MARIMEKKO)」などともコラボレーションを発表。2023年はLVMHセミファナリストに選出された。

◾️WATARU TOMINAGA X BREATH BY DELTA

日程:8月14〜25日
時間:平日:13:00〜20:00/土日:12:00〜20:00
場所:BREATH BY DELTA
住所:渋谷区上原1-33-16
定休日:火曜日

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「ワタル トミナガ」、アーカイブ生地を使ったボンサックを「デルタ」と企画 ポップアップイベントも

代々木上原のセレクトショップ「デルタ(DELTA)」はこのほど、富永航デザイナーが手掛ける「ワタル トミナガ(WATARU TOMINAGA)」とコラボレーションした限定バッグ6型を発売した。販売に合わせ「ブレス バイ デルタ(BREATH BY DELTA)」では、ポップアップイベントを8月25日まで開催中だ。

コラボバッグはミリタリーのランドリーバッグから着想を得たデザインで、「ワタル トミナガ」のアーカイブの中から6種類の生地を用いて製作した。生地の美しさを生かすため、外側にはポケットなどの要素は排除し、2ウェイで使用できる共布のハンドル、インナーにはラップトップ用のポケットを配した。さまざまなシーンで活用できるサイズ感にもこだわった。内装生地にはリサイクルコットン生地、ストラップ部分にはリサイクルナイロン、YKKの再生ポリエステル原料を使用したファスナー、ストラップの留め具にはプラスチックは使用せず再生可能なアルミ素材を使用している。価格はそれぞれ3万8500円。イベント中は、「ワタル トミナガ」のアーカイブアイテムも合わせて販売する。

「ワタル トミナガ」は2019年デビュー。武蔵野美術大学、文化服装学院、セントラル・セント・マーチンズ、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツで学び、卒業時に発表したコレクションは仏イエール国際モードフェスティバルにてグランプリを受賞。「プチバトー(PETIT BATEAU)」や「マリメッコ(MARIMEKKO)」などともコラボレーションを発表。2023年はLVMHセミファナリストに選出された。

◾️WATARU TOMINAGA X BREATH BY DELTA

日程:8月14〜25日
時間:平日:13:00〜20:00/土日:12:00〜20:00
場所:BREATH BY DELTA
住所:渋谷区上原1-33-16
定休日:火曜日

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一流シェフが生み出す持続可能な美食 「サステイナブル テーブル」が「ザ・キャピトルホテル 東急」で開催

「ザ・キャピトルホテル 東急(THE CAPITOL HOTEL TOKYO)」(以下、キャピトルホテル)は7月28日、食に関するサステイナブルな活動の一環である美食イベント「サステイナブル テーブル」を開催した。同イベントは、「キャピトルホテル」の曽我部俊典・総料理長が日本サステイナブル・レストラン協会の杉浦仁志プロジェクト・アドバイザー・シェフがタッグを組んで行っているもので、今までも、“プラントベース”“食品ロス””サステナブルシーフード&ベターミート““ウェルビーイング”をテーマにしたイベントを開催。5回目を迎えた今回は、“ネイチャーポジティブ(自然再興)”をテーマに「キャピトルホテル」の曽我部料理長をはじめ、日本料理「水簾」、中国料理「星ヶ丘」、オールデーダイニング「オリガミ」のシェフが集結して腕を振るった。

規格外品で自然生態系に優しい美食を

イベントでは、日本サステイナブル・レストラン協会の下田屋毅・代表理事や杉浦シェフがテーマの“ネイチャーポジティブ”をはじめ、サステイナビリティの観点から見た世界の食事情について語った。畜産や農業目的の森林伐採による環境破壊をはじめ、海洋環境の変化や水産物の乱獲による“海の砂漠化”が進み、食を取り巻く地球環境はここ数十年で激変している。現在、われわれは地球の1.75個分に相当する生態系資源を消費しており、この流れを変えなければ自然環境と生物多様性は失われてしまう。“ネイチャーポジティブ”とは、このような自然生態系の損失を食い止め、回復させていくことを目的にしている。同イベントでは、害獣とされるシカをはじめ、高級レストランでは採用されにくい牛のスネ肉、規格外品の野菜や果物などを使用。各シェフの感性により、これらの素材がクリエイティビティー溢れる美食コースに。各料理には、ソムリエが選りすぐったワインがペアリングされた。

オールスターシェフによる創意工夫をこらしたオリジナルメニュー

さまざまな食感と味わいが楽しい色とりどりのアミューズでコースはスタートした。前菜は、日本の里山文化の持続への願いを込めた“夏の山菜を使った冷たい炊き合わせ”と害獣であるエゾシカのアキレス腱を使用した“鳥取県産キノコとエゾシカコラーゲンの饗宴”。ユズが香る炊き合わせの上品な味わいは格別で山菜の味を最大限に生かしている。出汁の引き方から、食感を引き出す炊き方、さっぱりとした餡にサンショウを添えた仕上げまで、完璧。炊き合わせというと、決して派手な料理ではないが、一流の料理人の手にかかると洗練された味わいに仕上がるものだ。

“エゾシカコラーゲンの饗宴”はその名の通り、害獣であるエゾシカのアキレス腱を使用した中華風スープ仕立ての料理で、キノコとコラーゲンのエキスが融合した滋味深い味。小さなバゲットを浸すと、また違う味わい方を楽しめる。さっぱりとした冷たい日本の前菜とコクのある温かい中華の前菜、コントラストを効かせた粋なメニュー構成だ。

シェフのクリエイティビティーが光る美しい一皿

「オリガミ」で人気の冷静スープをもとに考案されたのが“和歌山産あら川モモとトマトのガスパチョ”だ。素材には、食品ロス削減や食料自給率アップにつながる規格外品のモモとトマトを使用した、まるでデザートのように美しい一皿。ガスパチョというとニンニクのパンチのあるスープを想像するが、トマトの酸味とモモのフルーティな甘みがバランスよく組み合わさった優しい味わい。ゼリーとハニカム状のスパイシーなチュイルが食感と味わいに変化を加えている。規格外の食材も、シェフのイマジネーション次第で手間をかければ特別な一皿に生まれ変わる。

メーンの魚料理は、杉浦シェフによるタイを余すことなく使用した“白寿真ダイとそのエキスのソース”。これも、デザートのように美しい凝った料理で、タイにマッシュポテト、夏野菜のバチュー(コンソメ煮)、カツオだしと醤油で味付けした野菜のゼリーにタイのアラから取ったソースが添えられ、王冠のようなチュイルがのせられている。アラからとったソースは正に“海の幸”を凝縮した濃厚な味は白身魚にぴったり。ゼリーやバチューなど異なる調理法で仕上げられた野菜がソースの濃厚さを軽やかに中和してくれる。

肉料理は、曽我部料理長が手掛けた“土佐あかうしのジャレ(煮込み) 小夏の香り 土佐の有機野菜を添えて”。高級レストランで提供される肉料理の多くはヒレかサーロインだが、ここで使用しているのはスネ肉。しかも、肉だけでなく、脂身とスジも使う。このような主役に程遠い部位にどれだけプロが価値を与えられるか、料理長の腕の見せ所だ。うしのジャレの周りに野菜がリズミカルに置かれ、軽やかな印象。濃厚な味わいのジャレには、高知特産の小夏の佃煮を添えることで、肉の旨味をさっぱり爽やかに引き立てている。肉料理に果物を加えることで、味わいに広がりを持たせる技はさすがだ。

夏の情緒を感じる絵画のようなデザート

締めくくりのデザートは、“信州大実のコンポート 杏仁アイス”。アンズの皮、身、種全てを使用し、果実、アイスクリーム、メレンゲで夏の風物詩である花火を描いている。食材を余すことなく使用するだけでなく、皿の上にまるで絵画のように花火を咲かせた一皿には感動した。日本の夏の情緒が細やかに表現され、目に楽しく、口の中には優しいアンズの味わいが広がる。一流パティシエの感性が隅々までに生かされた素晴らしいデザートだった。

今回のイベントで実感したのは、規格外や本来破棄されるような食材であっても、
一流シェフの想像力と手腕で美食に生まれ変わるということ。自分が手掛けたメニューについて生き生きとプレゼンするシェフの姿を見て、どんな食材でも美味しく仕上げる料理人としてのチャレンジ精神とプロ意識を感じた。日本サステイナブル・レストラン協会では、外食産業のサステイナビリティを推進するコミュニティーを運営しており、サステイナブルなアプローチのケータリング業者などの紹介も行っている。

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意見の相違はあって当然。議論を止めずにGO! TSI、JSFA、自治体展、ダブレット【向千鶴サステナDが行く】


サステナビリティを切り口にした取材ではエネルギッシュな出会いが多く、刺激的です。同時にこの新しい世界では「誰がリードを取るか」の覇権争いも強まりつつあります。サステナビリティを前提としたビジネスという、新しい価値創造の過程では利害関係に基づく意見の相違はあって当然。ビジネスだし、正解も一つじゃないから。同時に「誰かを否定することで自分が上に立つ」マウンティングが通じない、通じさせてはいけない世界だとも思います。最終的に問われるのは、本気の継続。どんな局面でも議論を止めずに前へGO!です。

何から始める?への答は「まずは1型」

TSIの社内セミナー「WWFジャパンが考えるアパレル生産」(6/24)

TSIホールディングスが赤坂の本社で開催した社内セミナーに参加しました。まず、テーマが本気です。「生物多様性&水とアパレル生産の関係(負の影響とプラスへの還元に向けた再生ができる事業モデルの重要性)と、原材料調達の課題(トルコ/インドの生産現場の取り組み事例、コットンの問題と調達)」。講師を務めるのは、パンダのマークでおなじみの環境保全団体WWF(世界自然保護基金)ジャパンの方たちで、TSIのデザイナーやMDとのディスカッションも行われました。

サステナビリティに取り組もうと決めた全アパレル産業人が最初にぶつかる問い「何から始めたら?」はここでも浮かびあがりました。WWFのアドバイスは「まずベーシックなアイテムを一品作って動き始めることで見えてくる。その中でサプライヤーと出会い実現したりすることも」と、アクションを促します。それを受けてTSIのスタッフからは「そうだな、と思う。そして使い続けることが大事なのだろう。定着すればコストの課題も解決できるかもしれない」と現実的かつポジティブなアンサー。コスト、価格、売り上げといった課題を背負うものづくりの現場でこういったディスカッションが始まっていること、下地毅TSI社長が自ら旗を振っていることが頼もしいです。

自治体はカーボンニュートラルと循環を接続せよ!

「自治体・公共Week2025」展(6/26)


地域、自治体に関心があります。循環はその規模が小さければ小さいほど実現がしやすいと思うからです。自宅で行なっているコンポストでは、晩ご飯の野菜クズが数日後には土に還り、それを実感します。ファッションも街や自治体との取り組みでできることがきっとあるはずです。

という期待を胸に合同展「自治体・公共Week2025」に初めて行ってきました。この展示会の「お客さん」は自治体関係者で、出展者は自治体の課題解決につながるソリューションや製品を提案する企業です。これがとても面白い。課題解決のために知恵を絞ったアイデアは目からウロコなものがたくさんありますし、ファッション産業が接続できる箇所も多そうです。ちなみに「セイコー」は大きなブースを出しており、時計の技術を生かしたデジタルサイネージを提案。すでに全国の庁舎を中心に300以上導入されているそうです。
 

電気を生かした環境ソリューションを提案するINEC(アイネック)のブースでは、スタッフがリサイクルコットンのTシャツを着用しており、展示の傍らのパネルではTシャツの生産時の水の使用量を削減していることや、資料を入れる配布バッグは不織布の端切れなどを回収し再生原料を採用していることが説明されていました。手掛けたのは三栄コーポレーションです。実は縁あって私、両社をおつなぎしました。ご紹介しただけですが、業界を超えて理念が共有され、Tシャツという形になったのを見るのは嬉しいですね。

他のブースでは環境問題をうたいつつスタッフが身につけている服には気を配っていないのが残念。水使用の削減をうたうソリューションを提案するなら、ぜひ水使用を削減したデニムとTシャツを制服にしてほしい。その方がきっと説得力があります。ファッション業界の皆さん、ここに商機ありですよ。

ところで、自治体の動きを見ると、カーボンニュートラルと循環の施策は別々で進行しているところが多くてもったいない。JSFAが両方を同時進行しているように、この2つは一つになって進むべし、です。その架け橋にもファッションやビューティの世界はなれると思います。

モチベーションが上がるオフィスの内装

日本ロレアルの新宿本社オフィスを訪問(7/1)


日本ロレアルの新宿本社オフィスを訪問したら、その内装が素晴らかった。そもそもオフィスに「ビューティーバレー」という呼称をつけているところがユニークです。「ハイブリッド勤務を前提に、地球環境と社員の持続可能性に配慮した美の創造拠点」なんてコンセプトを聞いたら惚れちゃいますね。オフィスは企業のビジョンの鏡です。
塗料や照明のシェード、タイルなどには、同社のアイシャドウやファンデーション、リップなど約60種類・約4400個の廃棄前の自社製品を使用したそうです。これぞアップサイクル!

あなたのアイドルは誰?

「ダブレット」2025年春夏展示会(7/12)


 
「ダブレット(DOUBLET)」の2025年春夏コレクションのテーマは「推し」。その意味は、何はともあれインビテーションの言葉を読んでいただきたいので一部を抜粋しますね。
「資源をリサイクルして循環させたり、何もないところから資源を生み出したりする人たちがいる。奪い合いや戦争のない未来を目指して。そんな人たちに憧れる。彼らは僕らのアイドルです」。

いや~もう、これ、私の心を代弁してくれたんじゃないか、と勘違いするくらい激しく同意です。私もそういう人たちが自分のアイドルであり、その仕事を世に伝えていきたいと思っています。リリースの下には、アイドルである企業名がずらりと並んでいます。私はそのなかの一つ「スパイバー(SPIBER)」のニットをオーダーしました。シリアスな話にユーモアのフィルターを通して、服として届けてくれるデザイナーの井野将之さんこそ、私のアイドルです。リスペクト!

同時多発のWG=ワーキンググループに期待

ジャパンサステナブルファッションアライアンス|第4回記者発表(7/12)

JSFAの進捗報告の記者会見が開かれ、次年度の共同代表を務める3社(ゴールドウイン、JEPLAN、帝人フロンティア)が臨みました。JSFAではたくさんのことが同時進行で進んでいますが、要点は下記の通り。加えて人権に関する活動も活発になってきています。

進捗のポイント

【カーボンニュートラル】GHG排出量把握について「簡易」には、会員65社中39社が完了。商業施設に向けて再エネ切り替え提案。ファッション産業に向けたスコープ3算定共通ルールの策定
【ファッションロスゼロ】回収実証実験などのWG、回収拠点マップ作成

今後の方針のポイント

【カーボンニュートラル】GHG排出量把握について、「簡易」は2025年3月までに次戦会員が算定完了。「精緻」は27年までに会員企業の50%が算定完了。そのためにも環境省事業に一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)と連動(ここ重要)して参画
【ファッションロスゼロ】衣料回収事業の認知拡大などを目的に回収拠点マップ作成WG、同時に回収後の循環に向けた課題把握などのWG

多出する「WG」はワーキングループの意味。これは企業の枠を超えて議論を行う場がたくさん創出されていることを意味します。多くの企業がそれぞれの理想と課題を持ち寄っているJSFA。反省と希望と利権と葛藤が詰まった議論を止めずに頑張ってほしい。

ところで、私の肩書きも大概「長い」と言われてきたのですが、JSFAの日本語名(ジャパンサステナビリティファッションアライアンス)も24文字と非常に長い。ニュース記事などで伝える際、言葉は短いほうが伝わりやすいので扱いにいつも悩みます。JSFA(ジャスファ)は定着してきたから良いですが、今後登場する新組織やプロジェクトのためにもサステナビリティとファッションを組み合わせた短くインパクトのある造語を生み出せたら最高です。思いついた方はぜひお寄せください!

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意見の相違はあって当然。議論を止めずにGO! TSI、JSFA、自治体展、ダブレット【向千鶴サステナDが行く】


サステナビリティを切り口にした取材ではエネルギッシュな出会いが多く、刺激的です。同時にこの新しい世界では「誰がリードを取るか」の覇権争いも強まりつつあります。サステナビリティを前提としたビジネスという、新しい価値創造の過程では利害関係に基づく意見の相違はあって当然。ビジネスだし、正解も一つじゃないから。同時に「誰かを否定することで自分が上に立つ」マウンティングが通じない、通じさせてはいけない世界だとも思います。最終的に問われるのは、本気の継続。どんな局面でも議論を止めずに前へGO!です。

何から始める?への答は「まずは1型」

TSIの社内セミナー「WWFジャパンが考えるアパレル生産」(6/24)

TSIホールディングスが赤坂の本社で開催した社内セミナーに参加しました。まず、テーマが本気です。「生物多様性&水とアパレル生産の関係(負の影響とプラスへの還元に向けた再生ができる事業モデルの重要性)と、原材料調達の課題(トルコ/インドの生産現場の取り組み事例、コットンの問題と調達)」。講師を務めるのは、パンダのマークでおなじみの環境保全団体WWF(世界自然保護基金)ジャパンの方たちで、TSIのデザイナーやMDとのディスカッションも行われました。

サステナビリティに取り組もうと決めた全アパレル産業人が最初にぶつかる問い「何から始めたら?」はここでも浮かびあがりました。WWFのアドバイスは「まずベーシックなアイテムを一品作って動き始めることで見えてくる。その中でサプライヤーと出会い実現したりすることも」と、アクションを促します。それを受けてTSIのスタッフからは「そうだな、と思う。そして使い続けることが大事なのだろう。定着すればコストの課題も解決できるかもしれない」と現実的かつポジティブなアンサー。コスト、価格、売り上げといった課題を背負うものづくりの現場でこういったディスカッションが始まっていること、下地毅TSI社長が自ら旗を振っていることが頼もしいです。

自治体はカーボンニュートラルと循環を接続せよ!

「自治体・公共Week2025」展(6/26)


地域、自治体に関心があります。循環はその規模が小さければ小さいほど実現がしやすいと思うからです。自宅で行なっているコンポストでは、晩ご飯の野菜クズが数日後には土に還り、それを実感します。ファッションも街や自治体との取り組みでできることがきっとあるはずです。

という期待を胸に合同展「自治体・公共Week2025」に初めて行ってきました。この展示会の「お客さん」は自治体関係者で、出展者は自治体の課題解決につながるソリューションや製品を提案する企業です。これがとても面白い。課題解決のために知恵を絞ったアイデアは目からウロコなものがたくさんありますし、ファッション産業が接続できる箇所も多そうです。ちなみに「セイコー」は大きなブースを出しており、時計の技術を生かしたデジタルサイネージを提案。すでに全国の庁舎を中心に300以上導入されているそうです。
 

電気を生かした環境ソリューションを提案するINEC(アイネック)のブースでは、スタッフがリサイクルコットンのTシャツを着用しており、展示の傍らのパネルではTシャツの生産時の水の使用量を削減していることや、資料を入れる配布バッグは不織布の端切れなどを回収し再生原料を採用していることが説明されていました。手掛けたのは三栄コーポレーションです。実は縁あって私、両社をおつなぎしました。ご紹介しただけですが、業界を超えて理念が共有され、Tシャツという形になったのを見るのは嬉しいですね。

他のブースでは環境問題をうたいつつスタッフが身につけている服には気を配っていないのが残念。水使用の削減をうたうソリューションを提案するなら、ぜひ水使用を削減したデニムとTシャツを制服にしてほしい。その方がきっと説得力があります。ファッション業界の皆さん、ここに商機ありですよ。

ところで、自治体の動きを見ると、カーボンニュートラルと循環の施策は別々で進行しているところが多くてもったいない。JSFAが両方を同時進行しているように、この2つは一つになって進むべし、です。その架け橋にもファッションやビューティの世界はなれると思います。

モチベーションが上がるオフィスの内装

日本ロレアルの新宿本社オフィスを訪問(7/1)


日本ロレアルの新宿本社オフィスを訪問したら、その内装が素晴らかった。そもそもオフィスに「ビューティーバレー」という呼称をつけているところがユニークです。「ハイブリッド勤務を前提に、地球環境と社員の持続可能性に配慮した美の創造拠点」なんてコンセプトを聞いたら惚れちゃいますね。オフィスは企業のビジョンの鏡です。
塗料や照明のシェード、タイルなどには、同社のアイシャドウやファンデーション、リップなど約60種類・約4400個の廃棄前の自社製品を使用したそうです。これぞアップサイクル!

あなたのアイドルは誰?

「ダブレット」2025年春夏展示会(7/12)


 
「ダブレット(DOUBLET)」の2025年春夏コレクションのテーマは「推し」。その意味は、何はともあれインビテーションの言葉を読んでいただきたいので一部を抜粋しますね。
「資源をリサイクルして循環させたり、何もないところから資源を生み出したりする人たちがいる。奪い合いや戦争のない未来を目指して。そんな人たちに憧れる。彼らは僕らのアイドルです」。

いや~もう、これ、私の心を代弁してくれたんじゃないか、と勘違いするくらい激しく同意です。私もそういう人たちが自分のアイドルであり、その仕事を世に伝えていきたいと思っています。リリースの下には、アイドルである企業名がずらりと並んでいます。私はそのなかの一つ「スパイバー(SPIBER)」のニットをオーダーしました。シリアスな話にユーモアのフィルターを通して、服として届けてくれるデザイナーの井野将之さんこそ、私のアイドルです。リスペクト!

同時多発のWG=ワーキンググループに期待

ジャパンサステナブルファッションアライアンス|第4回記者発表(7/12)

JSFAの進捗報告の記者会見が開かれ、次年度の共同代表を務める3社(ゴールドウイン、JEPLAN、帝人フロンティア)が臨みました。JSFAではたくさんのことが同時進行で進んでいますが、要点は下記の通り。加えて人権に関する活動も活発になってきています。

進捗のポイント

【カーボンニュートラル】GHG排出量把握について「簡易」には、会員65社中39社が完了。商業施設に向けて再エネ切り替え提案。ファッション産業に向けたスコープ3算定共通ルールの策定
【ファッションロスゼロ】回収実証実験などのWG、回収拠点マップ作成

今後の方針のポイント

【カーボンニュートラル】GHG排出量把握について、「簡易」は2025年3月までに次戦会員が算定完了。「精緻」は27年までに会員企業の50%が算定完了。そのためにも環境省事業に一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)と連動(ここ重要)して参画
【ファッションロスゼロ】衣料回収事業の認知拡大などを目的に回収拠点マップ作成WG、同時に回収後の循環に向けた課題把握などのWG

多出する「WG」はワーキングループの意味。これは企業の枠を超えて議論を行う場がたくさん創出されていることを意味します。多くの企業がそれぞれの理想と課題を持ち寄っているJSFA。反省と希望と利権と葛藤が詰まった議論を止めずに頑張ってほしい。

ところで、私の肩書きも大概「長い」と言われてきたのですが、JSFAの日本語名(ジャパンサステナビリティファッションアライアンス)も24文字と非常に長い。ニュース記事などで伝える際、言葉は短いほうが伝わりやすいので扱いにいつも悩みます。JSFA(ジャスファ)は定着してきたから良いですが、今後登場する新組織やプロジェクトのためにもサステナビリティとファッションを組み合わせた短くインパクトのある造語を生み出せたら最高です。思いついた方はぜひお寄せください!

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スパイバーが宇多田ヒカルのツアー衣装提供、デザインは「A-POC」宮前義之

スパイバーが全国ツアーを開催中の宇多田ヒカルに、人工タンパク質繊維「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を使った衣装を提供している。衣装デザインは、宮前義之が率いる「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE、以下、エイブル)」で、同ブランドを代表するテクニック「スチームストレッチ」を使って制作した。デビュー25周年を迎えた宇多田ヒカルは7月13日の福岡公演を皮切りに全国ツアーをスタート、衣装もすでに着用しており、7月30日の公演のMCでは「毎回新しい発見があって。軽くてすごく新しい素材なんだって」と言及している。

スパイバーによると、「宇多田ヒカルさんのツアーに衣装協力が入ることは異例で、新しいプロテイン繊維の可能性やスパイバーのサステナビリティのビジョンに共感いただいた」という。「エイブル」のツアー衣装に関しては、長年にわたり宇多田ヒカルの衣装を担当するスタイリストの小川恭平氏の監修も受けた。

ツアー衣装は、流れるような造形美と色鮮やかな色彩が特徴で、「ブリュード・プロテイン」とポリエステルを交織。「エイブル」を象徴するテクニックである、熱で素材の縮率の違いを生かして変形させる「スチームストレッチ」を使った。宮前デザイナーは「ミュージシャンへの衣装提供は今回が初めてだったが、スパイバーの素材の可能性や未来のビジョンに関心と共感を持った。進化を続けながらも普遍的であり、唯一無二の存在である宇多田さんの表現を後押し、ライブの中で調和しつつ存在感を出せるように工夫した」とコメントしている。

宇多田ヒカルの全国ツアー「サイエンス・フィクションツアー2024(SCIENCE FICTION TOUR 2024)」は今後、台湾(8月10・11日)、香港(17・18日)、大阪(27・28日)を経て、神奈川(8月31日、9月1日)を巡回する。

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上智発サステナブルブランド「カルテナ」がポップアップ ”単調”なだけでないモノトーン古着に注目

上智大学発の学生サステナブルブランド「カルテナ(CARUTENA)」は8月22〜23日、東京・神楽坂でポップアップを開催する。役目を終えた衣類を新たなファッションアイテムにアップサイクルする活動の一貫だ。カフェが隣接する会場では“モノトーンカラー”をテーマに製作したトートバッグや巾着、サコッシュなどを販売する。また、「知的障がい者のための服をつくり、彼らの生活の選択肢広げる」ことを目指すプロジェクト「セーフアイディー(SAFEID)」とのコラボ商品である付け襟やアームカバーも店頭に並べる。

成田理恋セールスディレクターは今回のポップアップについて、「実は、『カルテナ』に集まる古着はモノトーンの服が多く、そこに焦点を当てたコレクションとなりました。アースカラーには含まれない白黒でも、環境に配慮した商品が作れることを今回のコレクションで表現したいと考えています。『単調な』という意味の“MONO”ですが、シックなものからキュートなものまで、性別や年齢を問わず使えるような新商品をそろえたので是非お立ち寄りください」と語った。

「カルテナ」は2020年4月に設立。服の大量廃棄という現代社会における環境問題に取り組み、古着をリメイクした商品の販売や出張授業を通して、ファッションにおける持続可能性の重要性を訴える。

◼️2024 ポップアップ モノ コレクション
日時:8月22〜23日 
時間:12:00〜19:00
場所:トキカフェ神楽坂
住所:東京都新宿区神楽坂2-12
※入場料無料

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循環商社のエコミットがリユースに本腰 第1弾は「シロ」と協業、使用済み容器と衣類を回収

資源の循環サービスなどを運営する鹿児島のエコミット(ECOMMIT)が、業界の垣根を超えてリユースの取り組みを拡大する“リユースシフト”を立ち上げた。第1弾は、コスメティックブランドの「シロ(SHIRO)」と協業。実証実験として8月8日〜10月31日の期間、同ブランドの使用済みガラス容器1万本と衣類3万着を回収する。リユースしたアイテムは年内に、都内で開催するポップアップストアで販売する予定だ。

エコミットは「捨てない社会をかなえる」ことを目指し、モノが循環するインフラをビジネスで実現する“循環商社”として2008年に創業した。23年4月からは、全国7カ所にある自社の循環センターを活用した不要品の回収・選別、再流通を一気通貫で担うサービス「パスト」を展開。京王電鉄や郵便局、イオンモールなどが協業パートナーとして参画する。全国3000カ所に衣類や不用品の回収拠点を持ち、年間1万2000トンの回収が射程内に入ってきた。

「パスト」の取り組みが広がり、不要なものを気軽に手放しやすくなったが、「回収の容易さが逆に大量生産・大量消費を助長する可能性があると考えた。回収して単純に循環させるだけでは、廃棄の根本的な問題は解決できない。作るところ変えていかなければ」(川野輝之エコミットCEO)と奮い立ち、「パスト」のインフラを利用しながら、回収したものを再び商品や原材料として循環させる“リユースシフト”を始動した。「あらゆるものが循環できる仕組みを提供することで、モノ作り自体を変えていく役目を担える」と意気込む。

「シロ」との取り組みでは、ガラス容器を採用する8つのアイテム(フレグランスのオードパルファン、ボディーオイル、ヘアオイル、アロマオイル、フレグランスディフューザー、パフュームのディフューザーリキッド、ビネガーバスエッセンス、亜麻ネイルリムーバー)の使用済み容器を対象に、「シロ」の25店舗と参画企業が持つ全国約50〜100カ所の拠点、協力するブルーボトルコーヒー カフェ7店舗で回収する。衣類の回収は「シロ」の表参道本店やルクアイーレ店など全国7店舗で実施し、ブルーボトルコーヒーのコットン素材トートバッグも対象14店舗で回収する。利用者には「シロ」とブルーボトルコーヒーで使用できる共通クーポン・特典を用意する。

化粧品容器のリユースに挑む

化粧品容器のリユースは、香りや油分が含まれる容器の洗浄や回収拠点、コストといった課題が多く、難しいとされてきた。今回の“リユースシフト”では、高度な洗びん技術を持つ企業とタッグを組むほか、循環の専門チームがコストメリットを出すことを検証する。「シロ」ではこれら実証実験の後に、プラスチック容器のリユースも目指しながら、将来的には“リユースショップ”の実現を計画する。

「シロ」では、発注などの関係で資材を余儀なく廃棄してきたが、「今年は捨てない」(今井浩恵シロ会長)と強く表明。全ての資源の価値を見つめ直し、本質的な循環のために廃棄物ゼロを目指している。「社会には多くのゴミ問題が存在しており、化粧品の回収だけでは解決することはできない。地球上のゴミの半分が衣類関連であると言われている中、私たちはこの課題にもコミットする。本気で挑みたい」と意欲を燃やす。

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循環商社のエコミットがリユースに本腰 第1弾は「シロ」と協業、使用済み容器と衣類を回収

資源の循環サービスなどを運営する鹿児島のエコミット(ECOMMIT)が、業界の垣根を超えてリユースの取り組みを拡大する“リユースシフト”を立ち上げた。第1弾は、コスメティックブランドの「シロ(SHIRO)」と協業。実証実験として8月8日〜10月31日の期間、同ブランドの使用済みガラス容器1万本と衣類3万着を回収する。リユースしたアイテムは年内に、都内で開催するポップアップストアで販売する予定だ。

エコミットは「捨てない社会をかなえる」ことを目指し、モノが循環するインフラをビジネスで実現する“循環商社”として2008年に創業した。23年4月からは、全国7カ所にある自社の循環センターを活用した不要品の回収・選別、再流通を一気通貫で担うサービス「パスト」を展開。京王電鉄や郵便局、イオンモールなどが協業パートナーとして参画する。全国3000カ所に衣類や不用品の回収拠点を持ち、年間1万2000トンの回収が射程内に入ってきた。

「パスト」の取り組みが広がり、不要なものを気軽に手放しやすくなったが、「回収の容易さが逆に大量生産・大量消費を助長する可能性があると考えた。回収して単純に循環させるだけでは、廃棄の根本的な問題は解決できない。作るところ変えていかなければ」(川野輝之エコミットCEO)と奮い立ち、「パスト」のインフラを利用しながら、回収したものを再び商品や原材料として循環させる“リユースシフト”を始動した。「あらゆるものが循環できる仕組みを提供することで、モノ作り自体を変えていく役目を担える」と意気込む。

「シロ」との取り組みでは、ガラス容器を採用する8つのアイテム(フレグランスのオードパルファン、ボディーオイル、ヘアオイル、アロマオイル、フレグランスディフューザー、パフュームのディフューザーリキッド、ビネガーバスエッセンス、亜麻ネイルリムーバー)の使用済み容器を対象に、「シロ」の25店舗と参画企業が持つ全国約50〜100カ所の拠点、協力するブルーボトルコーヒー カフェ7店舗で回収する。衣類の回収は「シロ」の表参道本店やルクアイーレ店など全国7店舗で実施し、ブルーボトルコーヒーのコットン素材トートバッグも対象14店舗で回収する。利用者には「シロ」とブルーボトルコーヒーで使用できる共通クーポン・特典を用意する。

化粧品容器のリユースに挑む

化粧品容器のリユースは、香りや油分が含まれる容器の洗浄や回収拠点、コストといった課題が多く、難しいとされてきた。今回の“リユースシフト”では、高度な洗びん技術を持つ企業とタッグを組むほか、循環の専門チームがコストメリットを出すことを検証する。「シロ」ではこれら実証実験の後に、プラスチック容器のリユースも目指しながら、将来的には“リユースショップ”の実現を計画する。

「シロ」では、発注などの関係で資材を余儀なく廃棄してきたが、「今年は捨てない」(今井浩恵シロ会長)と強く表明。全ての資源の価値を見つめ直し、本質的な循環のために廃棄物ゼロを目指している。「社会には多くのゴミ問題が存在しており、化粧品の回収だけでは解決することはできない。地球上のゴミの半分が衣類関連であると言われている中、私たちはこの課題にもコミットする。本気で挑みたい」と意欲を燃やす。

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「ザ・ノース・フェイス」が「ブリュード・プロテイン」のTシャツ発売 サム・フォールズとコラボ

ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」は8月8日、 ニューヨークとロサンゼルスを拠点に活動する現代美術家サム・フォールズ(Sam Falls)との協業カプセルコレクションを発表し、Tシャツ2型(各1万9800円)の先行販売を開始した。Tシャツは素材の一部に、スパイバーが開発した人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」繊維を採用している。

サム・フォールズの作品「Spring Snow」をデザインに採用

同コレクションでは、その土地特有の植物や天候などの自然物と常に共創して制作するサム・フォールズの作品から、今年2月に小山登美夫ギャラリー六本木で発表した「Spring Snow」をキーアートワークに採用。先行販売は9月1日までで、「ザ・ノース・フェイス」の全国10店で扱っている。カプセルコレクションの本発売は2025年1月を予定している。

ゴールドウインは2015年にスパイバーに出資し、以降「ブリュード・プロテイン」に関する共同開発を行っている。19年には同素材を使った高機能ウエア“ムーン・パーカ(MOON PARKA)”を発表、23年9月にはいよいよ「ザ・ノース・フェイス」などゴールドウインの4ブランドで「ブリュード・プロテイン」を使った商品の量産を開始していた。

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上島珈琲店の抽出後コーヒーかすがビーサンに! ビーチサンダルメーカーTSUKUMOが開発

UCC上島珈琲株は神戸のビーチサンダルメーカー、TSUKUMOのアップサイクルビーチサンダル開発に協力し、上島珈琲店から排出された抽出後のコーヒーを提供した。

開発当初は抽出後のコーヒー粉がなかなかゴムに馴染まず、十分な強度が得られなかったという。試行錯誤を重ねUCCの食べるスタイルのコーヒー“ヨインド”に使用した凍結粉砕術を応用したところ、比較的高い配合率で強度の高いビーチサンダルの素材開発に成功。製品化に至った。

完成した商品は、シンプルながらもコーヒーならではの風合いも感じられるデザインに仕上がっている。価格は3190円で、TSUKUMO社の公式オンラインサイトにて400足限定で販売中だ。

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上島珈琲店の抽出後コーヒーかすがビーサンに! ビーチサンダルメーカーTSUKUMOが開発

UCC上島珈琲株は神戸のビーチサンダルメーカー、TSUKUMOのアップサイクルビーチサンダル開発に協力し、上島珈琲店から排出された抽出後のコーヒーを提供した。

開発当初は抽出後のコーヒー粉がなかなかゴムに馴染まず、十分な強度が得られなかったという。試行錯誤を重ねUCCの食べるスタイルのコーヒー“ヨインド”に使用した凍結粉砕術を応用したところ、比較的高い配合率で強度の高いビーチサンダルの素材開発に成功。製品化に至った。

完成した商品は、シンプルながらもコーヒーならではの風合いも感じられるデザインに仕上がっている。価格は3190円で、TSUKUMO社の公式オンラインサイトにて400足限定で販売中だ。

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「マムート」がロープから中綿を作る取り組み発表 サステナビリティキャンペーンで紹介

マムート・スポーツグループジャパンが国内では運営する「マムート(MAMMUT)」は、地球環境の保護に向けた取り組みと環境に配慮した商品を紹介するキャンペーン「Together For Glaciers 氷河のある世界のために」を8月16日まで行っている。その中でロープからインサレーション(中綿)を生み出す取り組み“ループ インサレーション(LOOP INSULATION)”を発表した。

使用できないロープを再利用

“ループ インサレーション”は、製造工程などで生まれてしまう使用できないロープなどを活用し、新たにインサレーションとして生まれ変わらせる取り組みだ。ロープの製造工程で廃棄されてしまうロープを繊維状に戻した後、再生プラスチックと混紡し、シート状やファイバーボール状にしたものを中綿として利用する。これにより新たな資源を使用せずに中綿を製造でき、ロープに新たな利用価値を見出すことができるとともに、環境に優しく保温性も高いイージーケアのプロダクトの製造が可能となる。

「マムート」は1862年にスイスでロープメーカーとして誕生したアウトドアブランドで、アパレルやバックパック、シューズ、ロープ、クライミングギアなどを扱っている。同ブランドが8月に発表した「レスポンシビリティー・レポート2023」によると、祖業であるロープの生産が現在の年間カーボンフットプリントの10%以上を占めて課題になっているといい、再生ナイロンECONYLを使ったロープからロープへのリサイクルプログラムの設計なども進めているという。

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「マムート」がロープから中綿を作る取り組み発表 サステナビリティキャンペーンで紹介

マムート・スポーツグループジャパンが国内では運営する「マムート(MAMMUT)」は、地球環境の保護に向けた取り組みと環境に配慮した商品を紹介するキャンペーン「Together For Glaciers 氷河のある世界のために」を8月16日まで行っている。その中でロープからインサレーション(中綿)を生み出す取り組み“ループ インサレーション(LOOP INSULATION)”を発表した。

使用できないロープを再利用

“ループ インサレーション”は、製造工程などで生まれてしまう使用できないロープなどを活用し、新たにインサレーションとして生まれ変わらせる取り組みだ。ロープの製造工程で廃棄されてしまうロープを繊維状に戻した後、再生プラスチックと混紡し、シート状やファイバーボール状にしたものを中綿として利用する。これにより新たな資源を使用せずに中綿を製造でき、ロープに新たな利用価値を見出すことができるとともに、環境に優しく保温性も高いイージーケアのプロダクトの製造が可能となる。

「マムート」は1862年にスイスでロープメーカーとして誕生したアウトドアブランドで、アパレルやバックパック、シューズ、ロープ、クライミングギアなどを扱っている。同ブランドが8月に発表した「レスポンシビリティー・レポート2023」によると、祖業であるロープの生産が現在の年間カーボンフットプリントの10%以上を占めて課題になっているといい、再生ナイロンECONYLを使ったロープからロープへのリサイクルプログラムの設計なども進めているという。

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【募集中】「サステナビリティ・コネクト」~人、情報、成長につながるセミナー&ワークショップ

2024年9月20日(金)開講
情報を更新し、人とつながり成長する
サステナビリティはまさに今、実践のとき

サステナビリティ×ビジネスは学びの段階を終え、実践のときにあります。同時に日進月歩の世界であるため、事業や個人が成長するには最新情報に常に触れ、知識やネットワークを更新する必要があります。「WWDJAPANサステナビリティ・コネクト」は、サステナビリティの基礎を学びつつ、バックキャストで未来を描くための視座を手に入れる場として、全6回の連続講座をご用意しました。

「何から始めていいかわからない」方も大丈夫。ワークショップでは十分な質疑応答の時間を設け、講義時間外もコミュニケーションツールを活用しスタッフへの質問や参加者同士の対話を通じてフォローアップします。

過去に参加された皆さんにお伝えしたいのは、「同じ講義内容、同じ議論は繰り返さない」約束です。講師陣は、ビジネスの現場でサステナビリティを実践する先駆者であると同時に、自身の知識や経験をアップデートし続ける“学びの人”ばかり。この場で2024年の今の課題と半歩先の未来を描いていただきます。

「サステナビリティはパスポートのようなものだ」と言われます。その意味は、持続可能な社会やビジネスを本気で模索し実践する人たちは、企業や産業や国の枠を超えて価値観を共有し、共通言語を持つからです。これからのビジネスでは、その「パスポート」を手に入れていることが成長の礎となることは間違いありません。ここは言わば、良質な「パスポート」を手に入る場所。

皆さんの参加をお待ちしております。

促進と創造のための
3つのプラットフォーム

「サステナビリティ・コネクト」では、“社会課題”と“ビジネスの成長”に向き合う皆さまと共に、継続したコミュニケーションをとるためのツールとプラットフォームをご用意しています。インプット、アウトプット、コネクション、エクスペリエンスを通して、ファッション業界がサステナビリティにおける先進的な業界になることを目指します。

1. WWDJAPAN Weekly & Digital Service

「WWDJAPAN Weekly」では、世界を取材対象に、業界の課題やそこから見えるビジョンを定義。さらにウェブでは、タイムリーに知るべき情報を届けます。

2. Seminar & Discussion

各回テーマを設け、前半はゲストを招へいし必要な情報をインプット。後半は、その課題について徹底的にディスカッションをします。企業の垣根をこえた様々な視点での話し合いは、サステナビリティとビジネスの両輪を回すためには不可欠です。

3. Group Chat

「サステナ・コネクト」のSlackを開設します。「WWDJAPAN」の記者たちが、最新の情報を共有するほか、ご参加の皆さまの交流や意見交換など、コミュニケーションにご活用ください。

このような人におすすめ

サステナビリティ領域に従事する方
企業やブランドの事業推進担当
CSRや経営理念を考え、実践する方
ファッション業界とつながりたい異業種の方

過去の受講者の声

講義はもちろん異業種の方々から多くの学びと気づき、繋がりをいただき、とても有意義な機会になった。(デベロッパー)

他社の状況や企業としての方針を知り、改めて自社の取り組み状況を見直すきっかけになった。社内で啓蒙していく際に実例を用いながら話ができるようになった。(スポーツウエア専門メーカー)

好きなものを仕事としている参加者たちの「良くしていきたい」というパッションがものすごい。(AIサービス開発)

申し込み▼

※ファッション・アパレル関連企業とつながりを持ちたい異業種の方は、
上記フォームよりお問い合わせください

プログラム

DAY1 9月20日(金)13:30~18:00

循環ファッションとは?
ビジネスやデザインの戦略をアップデートする

大量生産・消費・廃棄の直線型ビジネスから循環型ビジネスへ。産業や社会の在り方が転換する中、「循環ファッション」の意味と目指す先を体系的に理解することがビジネスパーソンの必須課題です。サーキュラーデザインの第一人者が、近未来の繊維・ファッション産業の在り方について、企業が抱えがちな課題を交えて解説。皆さんのビジネスやデザインの戦略をアップデートします。

水野大二郎/京都工芸繊維大学教授・慶應義塾大学大学院特別招聘教授
PROFILE:(みずの・だいじろう)1979年東京都生まれ。高校卒業後渡英、Royal College of Artで修士・博士課程修了(ファッションデザイン)。京都大学デザインスクール特任講師、慶應義塾大学環境情報学部准教授などを経て現職。帰国後は多岐にわたるデザインを対象としながら、ファッション教育・研究に従事。ファッションの批評誌「vanitas」(アダチプレス、2012~)、「Fashion Design for Living」(Routledge、14)、「ファッションは更新できるのか?会議」(フィルムアート、15)、「サーキュラーデザイン」(学芸出版社、22)、「サステナブル・ファッション」(学芸出版社、22)など著書多数
DAY2 10月25日(金)14:00~17:00

国際的に通用するサステナブルな素材とは?

環境配慮型の素材は日進月歩。そこには時代の価値観が反映されています。革新的な進化と同時に、天然素材や伝統技術の見直しも進み、随時、知識と理解のアップデートが欠かせません。本講では世界と日本をつなぎ活躍しているテキスタイルの専門家が「サステナブルな素材とは?」を解説。モノづくりに携わる人はもちろん、グローバルな価値基準を学びたい人に役立ちます。

梶原加奈子/KAJIHARA DESIGN STUDIO CEO
PROFILE:(かじはら・かなこ)北海道札幌市生まれ。多摩美術大学デザイン学部染織科卒業。イッセイ ミヤケ テキスタイル企画を経て渡英。Royal College of Artでファッション&テキスタイルデザイン修士課程修了。欧州のデザインコンペTEXPRINT2005で新境地開拓部門のグランプリ受賞。KAJIHARA DESIGN STUDIOを設立しファッション、インテリア、建築などさまざまな分野の企業と取り組み、クリエイティブ・ディレクターとしてテキスタイルデザインや製品のブランディングとグローバル発信に関わる。Kering Generation Award Advisory Board Members就任。「ファクトリーの未来づくり」活動監修。自然との共存をテーマとした「COQ」を立ち上げ、アパレル展開やショップ、ダイニング、ホテルの複合施設を北海道拠点に運営
DAY3 11月8日(金)10:00~18:00

農業体験を通じて循環を体感する
in クルックフィールズ

ア千葉県木更津市にある広さ30ヘクタールのクルックフィールズは、自然の中で、そして農業体験を通じて「循環」を体感することができる注目の施設です。オーガニックファーム、バイオジオフィルター、水の循環、太陽光発電などをめぐり環境に配慮されたサステナブルな仕組みを学びます。「SDGsを事業に生かすために、私たちができること」について考えを深めましょう。

KURKKU FIELDS/クルックフィールズ(千葉県木更津市矢那2503)

※朝から夕方まで終日のプログラムとなります。
※貸し切りバスでの送迎、昼食付き
DAY4 11月29日(金)14:00~17:00

行動変容につながる企業活動
エンドユーザーとの接点の作り方

サステナビリティの推進は企業からの一方的は発信ではなく、いかにエンドユーザーとつながり、価値を共有しムーブメントを起こすかが重要です。講師の坂野さんは徳島県上勝町の廃棄物政策を担うNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーに参画後、現在は循環商社ECOMMITの取締役・CSOなどとしても活躍。行政とも連携し、現場を多く見てきた実践者が、行動変容につながる企業活動を解説します。

坂野晶/一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン代表理事、一般社団法人Green innovation 理事/共同代表、ECOMMIT 取締役CSO
PROFILE :(さかの・あきら)兵庫県西宮市生まれ、鳥好き。絶滅危惧種の世界最大のオウム「カカポ」をきっかけに環境問題に関心を持つ。大学で環境政策を専攻後、モンゴルのNGO、フィリピンの物流企業を経て、日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町の廃棄物政策を担うNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーに参画。理事長として地域の廃棄物削減の取組推進と国内外におけるゼロ・ウェイスト普及に貢献する。米マイクロソフトCEOらとともに、2019年世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)共同議長を務める。2020年より一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンにて循環型社会のモデル形成に取り組む。21年、脱炭素に向けた社会変革を起こす人材育成プログラムGreen Innovator Academyを共同設立。23年1月より資源循環のインフラを担う「循環商社」株式会社ECOMMITの取締役Chief Sustainability Officerに就任。京都大学大学院地球環境学修士。日経ウーマンオブザイヤー2022。BEYOND MILLENNIALS 2024。慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員 (2023-)、NHK国際放送番組審議員(2023-)、Innovation for Cool Earth Forum Steering Committee (2024-)、経済産業省 サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ 地域循環モデルワーキンググループ 委員(2024-)など
DAY5 1月25日(金)14:00~17:00

ファッションローからみた欧州最新事情
グリーンウォッシュとどう向き合う?

規制が進む欧州を筆頭に、グリーンウォッシュへの関心が高まり、企業にも対応が求められています。萎縮しすぎることなくサステナビリティに取り組むためには知識のアップデートが欠かせません。実際、何が課題で、どう向き合ったらいいのか?欧米ならびに国内のサステナビリティ関連の法規制の最新事情と併せてファッションローの第一人者から学びます。

海老澤美幸/三村小松法律事務所 弁護士兼ファッションエディター
PROFILE :(えびさわ・みゆき)1998年自治省(現・総務省)入省。99年宝島社に入社し、ファッション雑誌の編集業務に携わる。2003年に渡英し、スタイリストのアシスタントを経験。帰国後は「エル・ジャポン」のコントリビューティング・エディターなどを務める。17年に弁護士登録、第二東京弁護士会所属。19年から現職。ファッションローに注力しながら、知財戦略から契約交渉、労働問題まで幅広く取り組む。22〜23年には経済産業省ファッション未来研究会ファッションローWG副座長として、日本初のファッションローガイドブック作成に携わる。高島屋社外取締役、タキヒヨー社外取締役
DAY6 2月7日(金)14:00〜17:00

カスタマイズ講座

参加者皆さまのご要望をお伺いして決定いたします。
【過去開催事例】
・省庁のファッション産業担当者とのディスカッション
・参加者によるプレゼンテーション大会

※講義内容は予告なく変更される場合がございます

INFORMATION

日時

2024年9月20日(金)開講
※講座開始30分前から会場受付開始

開催方法

会場
※講義のオンライン配信はございません

会場

DAY1、2:BENE(東京都港区南青山5丁目8-5 THE PLAYHOUSE)
DAY3:木更津クルックフィールズ(千葉県木更津市矢那2503)
DAY4、5、6:AP東京丸の内(東京都千代田区丸の内1丁目1-3 日本生命丸の内ガーデンタワー 3F)

募集人数

先着30名

募集期間

8/5(月)〜9/13(金)18:00

対象

ファッション・アパレル関連企業
上記対象以外の方

受講料金

一般価格:132,000円
過去のサステナビリティ講座参加者:99,000円
※表示価格は1名様分、税込です
※過去の講座参加者とは「サステナビリティ・ディレクター養成講座」(2021年)、「第2期サステナビリティ・ディレクター養成講座」(2022年)、「サステナビリティ・コネクト」(2023年)が対象です

申し込み▼

※ファッション・アパレル関連企業とつながりを持ちたい異業種の方は、
上記フォームよりお問い合わせください

<ご注意>
※表示価格は全て1名様分となります
※過去のサステナビリティ講座参加者割引は8月1日のメールをご確認ください
※割引価格はクーポンをご利用時に適用となります
※定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちらからご登録ください
※お支払い方法はクレジットカード払い、または銀行振込(請求書発行)となります
問い合わせ先
株式会社INFASパブリケーションズ
お問い合わせフォームはこちら

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【募集中】「サステナビリティ・コネクト」~人、情報、成長につながるセミナー&ワークショップ

2024年9月20日(金)開講
情報を更新し、人とつながり成長する
サステナビリティはまさに今、実践のとき

サステナビリティ×ビジネスは学びの段階を終え、実践のときにあります。同時に日進月歩の世界であるため、事業や個人が成長するには最新情報に常に触れ、知識やネットワークを更新する必要があります。「WWDJAPANサステナビリティ・コネクト」は、サステナビリティの基礎を学びつつ、バックキャストで未来を描くための視座を手に入れる場として、全6回の連続講座をご用意しました。

「何から始めていいかわからない」方も大丈夫。ワークショップでは十分な質疑応答の時間を設け、講義時間外もコミュニケーションツールを活用しスタッフへの質問や参加者同士の対話を通じてフォローアップします。

過去に参加された皆さんにお伝えしたいのは、「同じ講義内容、同じ議論は繰り返さない」約束です。講師陣は、ビジネスの現場でサステナビリティを実践する先駆者であると同時に、自身の知識や経験をアップデートし続ける“学びの人”ばかり。この場で2024年の今の課題と半歩先の未来を描いていただきます。

「サステナビリティはパスポートのようなものだ」と言われます。その意味は、持続可能な社会やビジネスを本気で模索し実践する人たちは、企業や産業や国の枠を超えて価値観を共有し、共通言語を持つからです。これからのビジネスでは、その「パスポート」を手に入れていることが成長の礎となることは間違いありません。ここは言わば、良質な「パスポート」を手に入る場所。

皆さんの参加をお待ちしております。

促進と創造のための
3つのプラットフォーム

「サステナビリティ・コネクト」では、“社会課題”と“ビジネスの成長”に向き合う皆さまと共に、継続したコミュニケーションをとるためのツールとプラットフォームをご用意しています。インプット、アウトプット、コネクション、エクスペリエンスを通して、ファッション業界がサステナビリティにおける先進的な業界になることを目指します。

1. WWDJAPAN Weekly & Digital Service

「WWDJAPAN Weekly」では、世界を取材対象に、業界の課題やそこから見えるビジョンを定義。さらにウェブでは、タイムリーに知るべき情報を届けます。

2. Seminar & Discussion

各回テーマを設け、前半はゲストを招へいし必要な情報をインプット。後半は、その課題について徹底的にディスカッションをします。企業の垣根をこえた様々な視点での話し合いは、サステナビリティとビジネスの両輪を回すためには不可欠です。

3. Group Chat

「サステナ・コネクト」のSlackを開設します。「WWDJAPAN」の記者たちが、最新の情報を共有するほか、ご参加の皆さまの交流や意見交換など、コミュニケーションにご活用ください。

このような人におすすめ

サステナビリティ領域に従事する方
企業やブランドの事業推進担当
CSRや経営理念を考え、実践する方
ファッション業界とつながりたい異業種の方

過去の受講者の声

講義はもちろん異業種の方々から多くの学びと気づき、繋がりをいただき、とても有意義な機会になった。(デベロッパー)

他社の状況や企業としての方針を知り、改めて自社の取り組み状況を見直すきっかけになった。社内で啓蒙していく際に実例を用いながら話ができるようになった。(スポーツウエア専門メーカー)

好きなものを仕事としている参加者たちの「良くしていきたい」というパッションがものすごい。(AIサービス開発)

申し込み▼

※ファッション・アパレル関連企業とつながりを持ちたい異業種の方は、
上記フォームよりお問い合わせください

プログラム

DAY1 9月20日(金)13:30~18:00

循環ファッションとは?
ビジネスやデザインの戦略をアップデートする

大量生産・消費・廃棄の直線型ビジネスから循環型ビジネスへ。産業や社会の在り方が転換する中、「循環ファッション」の意味と目指す先を体系的に理解することがビジネスパーソンの必須課題です。サーキュラーデザインの第一人者が、近未来の繊維・ファッション産業の在り方について、企業が抱えがちな課題を交えて解説。皆さんのビジネスやデザインの戦略をアップデートします。

水野大二郎/京都工芸繊維大学教授・慶應義塾大学大学院特別招聘教授
PROFILE:(みずの・だいじろう)1979年東京都生まれ。高校卒業後渡英、Royal College of Artで修士・博士課程修了(ファッションデザイン)。京都大学デザインスクール特任講師、慶應義塾大学環境情報学部准教授などを経て現職。帰国後は多岐にわたるデザインを対象としながら、ファッション教育・研究に従事。ファッションの批評誌「vanitas」(アダチプレス、2012~)、「Fashion Design for Living」(Routledge、14)、「ファッションは更新できるのか?会議」(フィルムアート、15)、「サーキュラーデザイン」(学芸出版社、22)、「サステナブル・ファッション」(学芸出版社、22)など著書多数
DAY2 10月25日(金)14:00~17:00

国際的に通用するサステナブルな素材とは?

環境配慮型の素材は日進月歩。そこには時代の価値観が反映されています。革新的な進化と同時に、天然素材や伝統技術の見直しも進み、随時、知識と理解のアップデートが欠かせません。本講では世界と日本をつなぎ活躍しているテキスタイルの専門家が「サステナブルな素材とは?」を解説。モノづくりに携わる人はもちろん、グローバルな価値基準を学びたい人に役立ちます。

梶原加奈子/KAJIHARA DESIGN STUDIO CEO
PROFILE:(かじはら・かなこ)北海道札幌市生まれ。多摩美術大学デザイン学部染織科卒業。イッセイ ミヤケ テキスタイル企画を経て渡英。Royal College of Artでファッション&テキスタイルデザイン修士課程修了。欧州のデザインコンペTEXPRINT2005で新境地開拓部門のグランプリ受賞。KAJIHARA DESIGN STUDIOを設立しファッション、インテリア、建築などさまざまな分野の企業と取り組み、クリエイティブ・ディレクターとしてテキスタイルデザインや製品のブランディングとグローバル発信に関わる。Kering Generation Award Advisory Board Members就任。「ファクトリーの未来づくり」活動監修。自然との共存をテーマとした「COQ」を立ち上げ、アパレル展開やショップ、ダイニング、ホテルの複合施設を北海道拠点に運営
DAY3 11月8日(金)10:00~18:00

農業体験を通じて循環を体感する
in クルックフィールズ

ア千葉県木更津市にある広さ30ヘクタールのクルックフィールズは、自然の中で、そして農業体験を通じて「循環」を体感することができる注目の施設です。オーガニックファーム、バイオジオフィルター、水の循環、太陽光発電などをめぐり環境に配慮されたサステナブルな仕組みを学びます。「SDGsを事業に生かすために、私たちができること」について考えを深めましょう。

KURKKU FIELDS/クルックフィールズ(千葉県木更津市矢那2503)

※朝から夕方まで終日のプログラムとなります。
※貸し切りバスでの送迎、昼食付き
DAY4 11月29日(金)14:00~17:00

行動変容につながる企業活動
エンドユーザーとの接点の作り方

サステナビリティの推進は企業からの一方的は発信ではなく、いかにエンドユーザーとつながり、価値を共有しムーブメントを起こすかが重要です。講師の坂野さんは徳島県上勝町の廃棄物政策を担うNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーに参画後、現在は循環商社ECOMMITの取締役・CSOなどとしても活躍。行政とも連携し、現場を多く見てきた実践者が、行動変容につながる企業活動を解説します。

坂野晶/一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン代表理事、一般社団法人Green innovation 理事/共同代表、ECOMMIT 取締役CSO
PROFILE :(さかの・あきら)兵庫県西宮市生まれ、鳥好き。絶滅危惧種の世界最大のオウム「カカポ」をきっかけに環境問題に関心を持つ。大学で環境政策を専攻後、モンゴルのNGO、フィリピンの物流企業を経て、日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町の廃棄物政策を担うNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーに参画。理事長として地域の廃棄物削減の取組推進と国内外におけるゼロ・ウェイスト普及に貢献する。米マイクロソフトCEOらとともに、2019年世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)共同議長を務める。2020年より一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンにて循環型社会のモデル形成に取り組む。21年、脱炭素に向けた社会変革を起こす人材育成プログラムGreen Innovator Academyを共同設立。23年1月より資源循環のインフラを担う「循環商社」株式会社ECOMMITの取締役Chief Sustainability Officerに就任。京都大学大学院地球環境学修士。日経ウーマンオブザイヤー2022。BEYOND MILLENNIALS 2024。慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員 (2023-)、NHK国際放送番組審議員(2023-)、Innovation for Cool Earth Forum Steering Committee (2024-)、経済産業省 サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ 地域循環モデルワーキンググループ 委員(2024-)など
DAY5 1月25日(金)14:00~17:00

ファッションローからみた欧州最新事情
グリーンウォッシュとどう向き合う?

規制が進む欧州を筆頭に、グリーンウォッシュへの関心が高まり、企業にも対応が求められています。萎縮しすぎることなくサステナビリティに取り組むためには知識のアップデートが欠かせません。実際、何が課題で、どう向き合ったらいいのか?欧米ならびに国内のサステナビリティ関連の法規制の最新事情と併せてファッションローの第一人者から学びます。

海老澤美幸/三村小松法律事務所 弁護士兼ファッションエディター
PROFILE :(えびさわ・みゆき)1998年自治省(現・総務省)入省。99年宝島社に入社し、ファッション雑誌の編集業務に携わる。2003年に渡英し、スタイリストのアシスタントを経験。帰国後は「エル・ジャポン」のコントリビューティング・エディターなどを務める。17年に弁護士登録、第二東京弁護士会所属。19年から現職。ファッションローに注力しながら、知財戦略から契約交渉、労働問題まで幅広く取り組む。22〜23年には経済産業省ファッション未来研究会ファッションローWG副座長として、日本初のファッションローガイドブック作成に携わる。高島屋社外取締役、タキヒヨー社外取締役
DAY6 2月7日(金)14:00〜17:00

カスタマイズ講座

参加者皆さまのご要望をお伺いして決定いたします。
【過去開催事例】
・省庁のファッション産業担当者とのディスカッション
・参加者によるプレゼンテーション大会

※講義内容は予告なく変更される場合がございます

INFORMATION

日時

2024年9月20日(金)開講
※講座開始30分前から会場受付開始

開催方法

会場
※講義のオンライン配信はございません

会場

DAY1、2:BENE(東京都港区南青山5丁目8-5 THE PLAYHOUSE)
DAY3:木更津クルックフィールズ(千葉県木更津市矢那2503)
DAY4、5、6:AP東京丸の内(東京都千代田区丸の内1丁目1-3 日本生命丸の内ガーデンタワー 3F)

募集人数

先着30名

募集期間

8/5(月)〜9/13(金)18:00

対象

ファッション・アパレル関連企業
上記対象以外の方

受講料金

一般価格:132,000円
過去のサステナビリティ講座参加者:99,000円
※表示価格は1名様分、税込です
※過去の講座参加者とは「サステナビリティ・ディレクター養成講座」(2021年)、「第2期サステナビリティ・ディレクター養成講座」(2022年)、「サステナビリティ・コネクト」(2023年)が対象です

申し込み▼

※ファッション・アパレル関連企業とつながりを持ちたい異業種の方は、
上記フォームよりお問い合わせください

<ご注意>
※表示価格は全て1名様分となります
※過去のサステナビリティ講座参加者割引は8月1日のメールをご確認ください
※割引価格はクーポンをご利用時に適用となります
※定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちらからご登録ください
※お支払い方法はクレジットカード払い、または銀行振込(請求書発行)となります
問い合わせ先
株式会社INFASパブリケーションズ
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「シャネル」のパッケージ・グラフィックデザイン責任者が語る、最もラグジュアリーなリップスティックなどの制作秘話

PROFILE: シルヴィ・ルガストゥロワ/「シャネル」パッケージ・グラフィックデザイン制作責任者

シルヴィ・ルガストゥロワ/「シャネル」パッケージ・グラフィックデザイン制作責任者
PROFILE: パリのデザインスクール(E.D.P.I−工業デザイン専門学校)を主席で卒業し、ベルギーの装飾絵画学校(Van Der Kelen Institute)で学んだ後、1984年にシャネル入社。93年、香水・化粧品部門と時計・宝飾部門のパッケージ・グラフィックデザイン制作責任者に就任 ©CHANEL

「シャネル(CHANEL)」の化粧品といえば、光沢のあるブラックのケースにゴールドのリングが輝くリップスティック“ルージュ ココ”や、直線的なラインのボトルに白いラベルと宝石のようなカッティングを施したストッパーが特徴のフレグランス“No5”、手のひらに収まる卵形のフォルムが話題を呼んだハンドクリーム“ラ クレーム マン”など、洗練されたパッケージとグラフィックデザインが思い浮かぶ。そんなパッケージ・グラフィックデザインの制作責任者を務めるシルヴィ・ルガストゥロワ(Sylvie Legastelois)が来日した。ルガストゥロワは9月に入社40年を迎え、「自分の中に、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)=創業者の魂が宿っている」と語る。メゾンのスタイルとコードを継承しながら、新たな美を追求し続けるルガストゥロワに、デザインのプロセスやこだわり、環境に配慮したデザイン設計について聞いた。

シャネルのアパルトマンはインスピレーションの宝庫

WWD:新商品のパッケージ・グラフィックデザインを考えるときのプロセスは?

シルヴィ・ルガストゥロワ「シャネル」パッケージ・グラフィックデザイン制作責任者(以下、ルガストゥロワ):まずは自分の中でアイデアを探す。長く勤めてきたので、「シャネル」のヘリテージは自分の中に染み込んでいるわ。自分の中にシャネルが宿っているようなものなの。絶対にしないことは、すぐにシャネルのアパルトマンを見に行くことや、ほかのメゾンをリサーチすることね。「シャネル」のパッケージには一貫性があり、ほかのパッケージが新たなアイデアに影響を与えることもある。顧客のニーズとメゾンのコードの両方をリスペクトして、新しいストーリーを紡ぐことを大切にしているわ。

WWD:「シャネル」の多くのクリエイターが訪れるシャネルのアパルトマンはどのような場所?

ルガストゥロワ:アパルトマンは、インスピレーションの宝庫ね。シャネルは前衛的なクリエイターで、多くの象徴的な出来事や出会いを経験した。彼女のアパルトマンは、シンボリックなオブジェで溢れているわ。「シャネル」の香水や化粧品、宝飾品、ファッション......全てがアパルトマンから、つまりはシャネルというクリエイターからインスピレーションを受けている。

WWD:パッケージを制作する上でのこだわりは?

ルガストゥロワ:簡単なことではないけれど、五感の全てにおいて完璧を目指しているわ。視覚はもちろんのこと、ワンタッチ式リップスティックのクリック音など、聴覚も意外と大切。触れたときの質感や、手で握ったときの収まり方など触感にもこだわっている。「シャネル」が生み出した最初のビューティが“No5”だったのだから、嗅覚にこだわっていることは明らかね。味覚はあまりイメージが湧かないかもしれないけれど、リップスティックを唇に乗せたときの快感などをラボで追求している。

WWD:肌をクールダウンしながらマッサージできる回転式アプリケーターを備えた目元用美容液“アイセラム No1 ドゥ シャネル”(15mL、1万2980円/レフィル、1万890円)などから、触感を追求している姿勢を感じ取ることができる。

ルガストゥロワ:スキンケアでは、持ったときや肌に乗せたときに注意力が研ぎ澄まされる感覚を特に重視している。もちろん処方が最優先だが、“アイセラム No1 ドゥ シャネル”においてはアプリケーターに冷たい感触を与えるメタルを採用し、マッサージできる回転式のデザインにすることで処方の効能をさらに高めようと試みた。リップであれば、チップの素材や形状など、人間の身体工学を考慮して開発している。

WWD:アイパレットやチークの型押しがかわいすぎて、「もったいなくて使えない!」というファンが多いことは、どう考えている(笑)?

ルガストゥロワ:実は私も使えないのよ(笑)。ツイードや花模様など、パウダーに施すデザインは「コメット コレクティヴ(COMETES COLLECTIVE)」やシャネル メークアップ クリエイティブ ストゥディオが手掛けている。美しい彫刻が削れてくると、悲しくなるわよね。保存用を別で買うという声も聞くわ。

“トランテアン ル ルージュ”では鏡張りの階段をガラスのケースで表現

WWD:昨年9月に発売した“トランテアン ル ルージュ”(全12色、各2万5300円/レフィル、各1万1550円)は、ガラスのケースが印象的だ。

ルガストゥロワ:まるで宝飾品のような、最高にラグジュアリーなオブジェを作りたいと思ったの。環境を配慮したデザイン設計で、かつジュエリーのように継承できるから長く使えるという意味でもサステナブル。シャネルのアパルトマンにある鏡張りのらせん階段を着想源に、日本のガラス職人と制作した。

WWD:制作する上での困難は?

ルガストゥロワ:薄くて丈夫なガラスの開発には4年ほど費やしたわ。といっても、“ロー オードゥ トワレット”(50mL、1万6500円/100mL、2万3100円)という新作を発売する香水“ガブリエル シャネル”のボトルの開発には7年かけたから、それほど長くは感じなかったわ(笑)。リップを格納する金属は、最初はゴールドと考えていたが、階段の反射を表現するため最終的にはシルバーを採用した。キャップは、フレグランスのボトルと同じようにマグネット式で、カチッと閉まる快感と音もとことん追求した。マグネット式にすることで、ダブルCのロゴが必ず正面を向くようになっているの。エレガントなデザインで、レフィルの付け替えも簡単。デッサンを描いて終わりではなく、サンプルを作って、実際に手で持ってみて、角やカーブなど細部まで調整を重ねる。「完璧」に限りなく近づけるための時間は惜しまないわ。私たちの周りには「シャネル時間」が流れていると考えているの。

ラグジュアリーな体験とサステナブルなデザインは両立し得る

WWD:パッケージ・グラフィックデザインでは、どのようにサステナビリティに取り組んでいる?

ルガストゥロワ:“トランテアン ル ルージュ”は、リップを格納する部分を金属の単一素材にすることで、リサイクル可能になった。また、“No1 ドゥ シャネル”は全ラインの中で特にサステナビリティを意識しており、ボトルのキャップは北欧企業とパートナーシップを結び、天然素材で作っている。処方に用いるカメリアオイルの抽出後に残る殻を粉砕してキャップの素材に利用するなど、できるだけ廃棄物を減らすデザインを実践している。

WWD:ラグジュアリーな体験とサステナブルなデザインの両立における困難は?

ルガストゥロワ:多くの挑戦があるけれど、受け身になって「(サステナブルなコンセプトを)仕方なく導入する」というのは私のモットーに反するわ。たとえば20年前にできなかったことを、今どのように実現できるかを考えるのはワクワクする。“No1 ドゥ シャネル”では、キャップのダブルCロゴをエンボス加工にすることでインク使用量を削減した。エンボスするときはロゴを少し大きくし、円形のキャップ自体を丸い線として活用するという工夫を思い付いた。“ガブリエル シャネル”のフレグランスは、ボトルに沿った緩衝材を作ることで資源を削減した。シャネルは「必ず前を向いて仕事をする」と言って、競争相手を見るのではなく、未来を見て仕事をするフィロソフィーを伝授してくれた。常に、何か新しいことに挑戦できないだろうかと前向きに取り組んでいるわ。

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ファストリが東大とバングラデシュの女子大の教育交流支援 恒例インターンには5000人が応募

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は8月1日、「東京大学×アジア女子大学(以下、AUW) 教育交流プログラム」のセッションに登壇した。両大学の学生や矢口祐人 東京大学副学長らを前に、「自分の国以外で学ぶことは新しい発見の連続。そのように好奇心を持って一生学び続けること。夢は計画と準備によって実現できる。しかし、計画と準備をしただけではダメで、その上で即断・即決・即実行していくこと」などと話した。

ファーストリテイリンググループは2013年から、バングラデシュ・チッタゴンにあるAUWの学生のべ500人に奨学金を給付してきた。キャンパス新設に対して5億円の寄付も行っている。「われわれの生産地はアジアに多いが、現地は教育機会が行き届いていないことが多い。さまざまな国に進出してビジネスをしているが、その国で感謝されるような企業にならなければいけない。学びたいと思っている人の一助になれれば」と柳井会長。

08年に開学したAUWは、バングラデシュのほか、アフガニスタンやシリアなどの紛争国や難民出身の女子学生などを受け入れ、卒業生の約3割が欧米の有力大学院に進学している。ほか、政府系や国際機関やグローバル企業などにも就職していくという。AUWのそうした実績や多様性に東京大学も注目し、AUWとの教育交流プログラムを22年から実施し、ファーストリテイリンググループが支援している。両大学は昨年交換協定も結び、25年から交換留学も開始。東京大学にとって、南アジアの大学、女子大との交換協定の締結は初という。「東大ではこれまで学ぶことに苦労してきたという学生は少ないが、一方でAUWの学生は真逆の環境から来ている。一緒に学ぶことでお互いが変わる。若いうちから友達として異なる文化や環境で育った相手と関係を築いていくことが大切だと思っている」と、東京大学の矢口副学長。

今夏の教育交流プログラムは7月29〜8月8日に、東京大学で実施。ジェンダー平等や貧困、災害、紛争などについて議論を進めている。東大とAUWの学生各12人が参加し、加えてファーストリテイリング財団が支援する日本の大学で学ぶベトナム人留学生4人、柳井正財団の奨学生7人の計35人が参加している。

AUW支援財団理事メンバーでもあるキャシー松井ファーストリテイリング社外取締役も、セッションに来場。「アジアは成長性が大きく、日本の未来はアジアにある。アジアと日本の架け橋となる取り組みに投資することは、企業にとっても慈善事業ではない。女性への投資は家族や周囲にも波及し、非常にリターンが大きい。ファーストリテイリングだけでなく、他の企業もこうした取り組みに是非目を向けてほしい」などと語った。

夏休みに合わせ、ファーストリテイリングは世界19の国・地域から学生らが集まる6日間のインターンシッププログラム“グローバルマネジメントプログラム”も実施している。今年で6回目の開催で、5000以上の応募から選考された45人が参加している。

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「沖縄のサンゴを守る!」化粧品ブランドが取り組む、環境保全プロジェクトの“現在進行形”

近年、環境に配慮した日焼け止めに表示されることが多い「リーフフレンドリー処方」。紫外線吸収剤やナノ成分を使用していない、耐水性(ウォーターレジスタンス設計)であることなど、生態系にかく乱の危機が訪れているサンゴ礁や海洋環境にやさしい処方であることを意味する。加えて、いくつかのブランドは商品で環境に配慮するだけでなく、サンゴの再生活動や、リーフチェックのモニタリングなど、積極的に海洋活動にも尽力しているのをご存じだろうか。

紫外線吸収剤不使用の敏感肌用日焼け止めを発売している「エトヴォス(ETVOS)」は、2020年からサンゴの苗を寄付する活動やビーチクリーン活動をNPO法人の美ら海振興会とともに行っている。活動のきっかけは“サンゴの白化”だったという。

「『エトヴォス』ではミネラル由来の日焼け止めがヒーロー商品であることから、以前からビーチで使用される紫外線吸収剤配合の日焼け止めが与える“サンゴの白化”について考え、海洋保全活動に興味を持っていました。そんな中、サンゴを新たに植え付けたり、ビーチクリーン活動などを行ったりすることで、間接的にサンゴや沖縄の海を守ろうとしている美ら海振興会のことを知り、活動の資金をサポートさせていただくことになりました」(エトヴォスPR・ティシュキン千晶さん)

美ら海振興会は沖縄の複数のダイビングサービスが加盟している団体。サンゴの苗を植え付けるだけでなく、その後のモニタリングとメンテナンスを継続的に行っている。

「私たちは海に直接かかわる仕事をしていることもあり、きれいで豊かな海を維持するために1998年からサンゴの移植活動とゴミを取り除く活動を行っています。地元の専門学校生などにも協力してもらっているほか、ダイバーも多い時では350人ほど集まり、1500株ほどのサンゴの苗を植樹したこともありました」(美ら海振興会代表・松井さとしさん)。

とはいえ、サンゴは単に海底に置くだけではうまく定着しないことから、定着率を高めるために試行錯誤したという。「いまではサンゴ食性の魚類による食害から守る“保護カゴ”を工夫したり、植え付ける場所やタイミングを研究したこともあり、生存率は大幅に高まっています」。

また、松井代表はサンゴの耐性が高まっているかもしれないと期待を寄せる。「以前は、水温30度が1カ月続くと白化現象が顕著にみられましたが、現在はそのような環境下でも白化する個体が少ない。もしかしたら、白化現象で生き残ったサンゴ群が耐性をつけたのではないかと考えています」。そのようなサンゴの健気な姿は、ダイバーたちに希望を与えている。

一方、今年で16年目を迎えるスキンケアブランド「雪肌精(SEKKISEI)」の地球環境支援プロジェクト、雪肌精「SAVE the BLUE~Ocean Project~」も沖縄の海に貢献している。「雪肌精」ブランド対象商品の容器底面積分に相当するサンゴ育成活動費を、サンゴ養殖の第一人者である金城浩二氏の法人「SeaSeed」に寄付しているのだ。

「金城さんは地球温暖化によって白化していくサンゴの無残な姿に衝撃を受け、1998年当時にサンゴ養殖をスタートされたかたです。『雪肌精』は和漢植物や地球の恵みから作られていることもあり、お客様の肌を美しくするだけではなく、社会貢献に結びつく活動ができないかと検討していました」。そのタイミングで、当時のマーケティング課長が沖縄の金城さんの活動を知ることに。「沖縄に出向いて金城さんとともに海に潜り、白化したサンゴ現象を目の当たりにしたことがこのプロジェクトにつながっています」(雪肌精PR・堀川沙友里さん) 

継続してきたサンゴの植樹活動は、今年で累計本数が2万本を突破したという。「活動開始から15年目を迎える今年までで本島読谷村地域に累計2万211本、面積では25m公認プールの約32.7面分の植樹を実現しました」。また、この活動を次世代へとつなげるべく、“共感の輪”も拡げている。「“サンゴ留学”と題して、実際にサンゴ植樹の様子を店頭の美容スタッフやご販売店様・流通関係者の方々、さらには海外のインフルエンサーにもご体験いただいています」。

そのかいあって、いまでは植樹してきた人工のサンゴが無事に産卵し、それが新たなサンゴへと育っているという。「この活動のキャンペーンコピーに『あなたが美しくなると、地球も美しくなる。』という一文があります。雪肌精を購入されたお客さまへ、海洋保全に貢献されているということをお伝えすることで、環境への意識を高めるお手伝いができたらと考えています」。

「サンゴの耐性が高まっている気がする」と美ら海振興会の松井さとし理事が話していたが、事実、23年1月には琉球大学などの研究グループにより「1週間程度の高水温を経験したサンゴ(ウスエダミロヂイシ)は多くの卵を作り」、さらに「高水温を経験したサンゴ由来の卵と精子から発生した幼生は高水温耐性をもつ」ということが確認された。サンゴはこの地球温暖化に対応して、生き残りを図るために日々進化していることが分かる。

とはいえ、この先も温暖化が進めば人類はもちろん、動物たちへの影響はますます深刻になる。沖縄の誇りである青く美しい海を未来につなげるためにも、私たち一人一人ができるアクションを起こしていきたい。

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「沖縄のサンゴを守る!」化粧品ブランドが取り組む、環境保全プロジェクトの“現在進行形”

近年、環境に配慮した日焼け止めに表示されることが多い「リーフフレンドリー処方」。紫外線吸収剤やナノ成分を使用していない、耐水性(ウォーターレジスタンス設計)であることなど、生態系にかく乱の危機が訪れているサンゴ礁や海洋環境にやさしい処方であることを意味する。加えて、いくつかのブランドは商品で環境に配慮するだけでなく、サンゴの再生活動や、リーフチェックのモニタリングなど、積極的に海洋活動にも尽力しているのをご存じだろうか。

紫外線吸収剤不使用の敏感肌用日焼け止めを発売している「エトヴォス(ETVOS)」は、2020年からサンゴの苗を寄付する活動やビーチクリーン活動をNPO法人の美ら海振興会とともに行っている。活動のきっかけは“サンゴの白化”だったという。

「『エトヴォス』ではミネラル由来の日焼け止めがヒーロー商品であることから、以前からビーチで使用される紫外線吸収剤配合の日焼け止めが与える“サンゴの白化”について考え、海洋保全活動に興味を持っていました。そんな中、サンゴを新たに植え付けたり、ビーチクリーン活動などを行ったりすることで、間接的にサンゴや沖縄の海を守ろうとしている美ら海振興会のことを知り、活動の資金をサポートさせていただくことになりました」(エトヴォスPR・ティシュキン千晶さん)

美ら海振興会は沖縄の複数のダイビングサービスが加盟している団体。サンゴの苗を植え付けるだけでなく、その後のモニタリングとメンテナンスを継続的に行っている。

「私たちは海に直接かかわる仕事をしていることもあり、きれいで豊かな海を維持するために1998年からサンゴの移植活動とゴミを取り除く活動を行っています。地元の専門学校生などにも協力してもらっているほか、ダイバーも多い時では350人ほど集まり、1500株ほどのサンゴの苗を植樹したこともありました」(美ら海振興会代表・松井さとしさん)。

とはいえ、サンゴは単に海底に置くだけではうまく定着しないことから、定着率を高めるために試行錯誤したという。「いまではサンゴ食性の魚類による食害から守る“保護カゴ”を工夫したり、植え付ける場所やタイミングを研究したこともあり、生存率は大幅に高まっています」。

また、松井代表はサンゴの耐性が高まっているかもしれないと期待を寄せる。「以前は、水温30度が1カ月続くと白化現象が顕著にみられましたが、現在はそのような環境下でも白化する個体が少ない。もしかしたら、白化現象で生き残ったサンゴ群が耐性をつけたのではないかと考えています」。そのようなサンゴの健気な姿は、ダイバーたちに希望を与えている。

一方、今年で16年目を迎えるスキンケアブランド「雪肌精(SEKKISEI)」の地球環境支援プロジェクト、雪肌精「SAVE the BLUE~Ocean Project~」も沖縄の海に貢献している。「雪肌精」ブランド対象商品の容器底面積分に相当するサンゴ育成活動費を、サンゴ養殖の第一人者である金城浩二氏の法人「SeaSeed」に寄付しているのだ。

「金城さんは地球温暖化によって白化していくサンゴの無残な姿に衝撃を受け、1998年当時にサンゴ養殖をスタートされたかたです。『雪肌精』は和漢植物や地球の恵みから作られていることもあり、お客様の肌を美しくするだけではなく、社会貢献に結びつく活動ができないかと検討していました」。そのタイミングで、当時のマーケティング課長が沖縄の金城さんの活動を知ることに。「沖縄に出向いて金城さんとともに海に潜り、白化したサンゴ現象を目の当たりにしたことがこのプロジェクトにつながっています」(雪肌精PR・堀川沙友里さん) 

継続してきたサンゴの植樹活動は、今年で累計本数が2万本を突破したという。「活動開始から15年目を迎える今年までで本島読谷村地域に累計2万211本、面積では25m公認プールの約32.7面分の植樹を実現しました」。また、この活動を次世代へとつなげるべく、“共感の輪”も拡げている。「“サンゴ留学”と題して、実際にサンゴ植樹の様子を店頭の美容スタッフやご販売店様・流通関係者の方々、さらには海外のインフルエンサーにもご体験いただいています」。

そのかいあって、いまでは植樹してきた人工のサンゴが無事に産卵し、それが新たなサンゴへと育っているという。「この活動のキャンペーンコピーに『あなたが美しくなると、地球も美しくなる。』という一文があります。雪肌精を購入されたお客さまへ、海洋保全に貢献されているということをお伝えすることで、環境への意識を高めるお手伝いができたらと考えています」。

「サンゴの耐性が高まっている気がする」と美ら海振興会の松井さとし理事が話していたが、事実、23年1月には琉球大学などの研究グループにより「1週間程度の高水温を経験したサンゴ(ウスエダミロヂイシ)は多くの卵を作り」、さらに「高水温を経験したサンゴ由来の卵と精子から発生した幼生は高水温耐性をもつ」ということが確認された。サンゴはこの地球温暖化に対応して、生き残りを図るために日々進化していることが分かる。

とはいえ、この先も温暖化が進めば人類はもちろん、動物たちへの影響はますます深刻になる。沖縄の誇りである青く美しい海を未来につなげるためにも、私たち一人一人ができるアクションを起こしていきたい。

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ファクトリーブランド「フジタカ」が浅草橋に初のコンセプトショップ オーダーサロンも併設

「タケオキクチ (TAKEO KIKUCHI) 」の生産などを手掛けるバッグメーカーのイケテイはこのほど、自社ブランド「フジタカ(FUJITAKA)」の初のコンセプトショップを東京・浅草橋にオープンした。耐久性と機能性に定評のあるビジネスバッグやトラベルバッグから革小物まで全ラインアップを、左官職人が仕上げた洗練された空間で見せ、ブランドのイメージアップにつなげる。

イケテイは1941年の創業時から「フジタカ」を育ててきた。大阪本社に併設する自社工場で企画から生産、アフターケアまでを一貫して行い、徹底した品質コントロールが強み。自社ECはじめ、髙島屋大阪店や阪急うめだ本店、ジェイアール名古屋タカシマヤ店などで取り扱う。飽きのこないシンプルなデザインと、職人技を感じさせる端正なたたずまいから男女のビジネスパーソンから支持を集めている。メンズ最大の見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」などにも出展し、海外でも知名度がある。

サステナビリティにもいち早く取り組んできた。革の接着剤は5年ほど前から有機溶剤から水溶性接着剤への切り替えを推進してきた。またオリジナル素材"エキストラソフト”は、「乳幼児が触れても安心安全なレザー」としてタンナーと共同開発。「安心を持ち運ぶ」というブランドコンセプトを体現する素材として、さまざまな商品に採用している。加えて、海外からはレザーワーキンググループ(LWG)認証を得た革を仕入れる。

職人と会話しながらオーダー可能

初のコンセプトショップとなる同店は、2フロアで構成。1階には、LWG ゴールドランク認定のイタリア高級スムースレザーを使用した“ロカス”シリーズや、家具やプライベートジェットの内装に使用される物性の高い本革を使用した“アルタ”シリーズなど、「フジタカ」の顔となる商品を並べる。

2階はカフェを併設したオーダーサロン。フロア内に設置したスクリーンを通して、大阪の工場とオンラインでつなぎ、リアルタイムで職人と会話しながら発注できる。同フロアでは刻印サービスやメンテナンスサービスなども受け付ける。同店限定で、“アルタ”シリーズの2型をベースに素材やカラーを選べるオーダー品も用意した。

同社の担当者は、「『安心を持ち運ぶ』というブランドコンセプトを伝えるとともに、家族やカップルで来店し多くの人に垣根なく当社の商品を楽しんでもらいたい」と話す。

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「タケオキクチ (TAKEO KIKUCHI) 」の生産などを手掛けるバッグメーカーのイケテイはこのほど、自社ブランド「フジタカ(FUJITAKA)」の初のコンセプトショップを東京・浅草橋にオープンした。耐久性と機能性に定評のあるビジネスバッグやトラベルバッグから革小物まで全ラインアップを、左官職人が仕上げた洗練された空間で見せ、ブランドのイメージアップにつなげる。

イケテイは1941年の創業時から「フジタカ」を育ててきた。大阪本社に併設する自社工場で企画から生産、アフターケアまでを一貫して行い、徹底した品質コントロールが強み。自社ECはじめ、髙島屋大阪店や阪急うめだ本店、ジェイアール名古屋タカシマヤ店などで取り扱う。飽きのこないシンプルなデザインと、職人技を感じさせる端正なたたずまいから男女のビジネスパーソンから支持を集めている。メンズ最大の見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」などにも出展し、海外でも知名度がある。

サステナビリティにもいち早く取り組んできた。革の接着剤は5年ほど前から有機溶剤から水溶性接着剤への切り替えを推進してきた。またオリジナル素材"エキストラソフト”は、「乳幼児が触れても安心安全なレザー」としてタンナーと共同開発。「安心を持ち運ぶ」というブランドコンセプトを体現する素材として、さまざまな商品に採用している。加えて、海外からはレザーワーキンググループ(LWG)認証を得た革を仕入れる。

職人と会話しながらオーダー可能

初のコンセプトショップとなる同店は、2フロアで構成。1階には、LWG ゴールドランク認定のイタリア高級スムースレザーを使用した“ロカス”シリーズや、家具やプライベートジェットの内装に使用される物性の高い本革を使用した“アルタ”シリーズなど、「フジタカ」の顔となる商品を並べる。

2階はカフェを併設したオーダーサロン。フロア内に設置したスクリーンを通して、大阪の工場とオンラインでつなぎ、リアルタイムで職人と会話しながら発注できる。同フロアでは刻印サービスやメンテナンスサービスなども受け付ける。同店限定で、“アルタ”シリーズの2型をベースに素材やカラーを選べるオーダー品も用意した。

同社の担当者は、「『安心を持ち運ぶ』というブランドコンセプトを伝えるとともに、家族やカップルで来店し多くの人に垣根なく当社の商品を楽しんでもらいたい」と話す。

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自社古着ビジネスの胎動を感じ、経産省ガイドラインを学び、米冨繊維をリスペクト【向千鶴サステナDが行く】


向千鶴サステナビリティ・ディレクターによる連載第3回は、「人」が主役。サステナビリティを取り巻く新しい話題を追いかけたら結果的に、新しい才能、行政のリーダー、新ビジネスを興そうと燃えている人たちにカメラを向けていました。企業の大小、有名無名なんて関係ありません。新しい価値って結局、志ある人が作るのです。それを追いかけるメディアの仕事は本当に面白い!

産業を良くするぞ、とやる気に満ちた人たち

「みらいのファッション人材育成プログラム」キックオフ(6/18)

経済産業省が主催する補助事業「みらいのファッション人材育成プログラム」にメンターとし参加しており、この日は公募で選ばれた5組のクリエイターとのキックオフミーティングに参加しました。会場は事務局を務める京都のインフォバーン。5組とはJR西日本SC開発、シンフラックス(Synflux)、マイスズキ(MAI SUZKI)、メタクロシス(METACHROSYS)、ワコール(WACOAL)です。「みらいの人材」と銘打ったプロジェクトに新進企業だけでなく大企業も選ばれていることに違和感を覚える方がいるかもしれません。そうなのです、そこは本プロジェクトのポイントのひとつです。

このプログラムの目的は、「サプライチェーンのデザインから製造、販売、使用、リセール・再生までをリアルとデジタルの両輪でアップデートするために、実践的な教育機会を提供する」ことです。壮大ですよね。つまり繊維・ファッション産業のサプライチェーン全体を大胆にアップデートするため、そこに寄与するアイデアを持つクリエイターを支援しよう、という話です。

そのアイデアを持つ人は、新進企業とも限りません。大事なのは所属している企業の大きさではなく、エントリーしようと決めた「個」の存在。個人に斬新なアイデアと行動力があることが重要です。大きな組織に属する「個」ならば、その組織の力も活用しつつ、自社メリットにとどまらず産業全体に貢献するアイデアを出せるかが問われます。この写真に写っている一人ひとりの肩の上に期待がかかっています。

ブランドリコーマスの胎動を感じる

トークイベント「ブランドと商業施設が考える、サステナ事業の始め方」(6/19)

話題の商業施設ハラカドで開催されたイベントのお題が「ブランドと商業施設が考える、サステナビリティ事業の始め方」だったので、行ってきました。トークのメーンはブランドが自社ブランドの古着を再販することの可能性、です。リードしたのは事業のドメインに「ブランドリコマース」を掲げるフリースタンダードの張本CEOです。

これだけ古着が人気な時代でも、自社の古着を再販しているアパレル企業はごく一部ですが、いよいよその大きな波が日本市場に到達しそうです。サステナビリティ観点からも「長く着る」のが一番。ただし、新品だけを売るビジネスからブランドリコマースの併用に転換しつつ経済的成長と両立させるには、新しい発想が必要です。ここではその可能性が語られていました。例えば、オンワード樫山は2009年から長く衣料品回収を行っていますが、最近は社内公募でのアップサイクルプロジェクトに力を入れている(収益の90%は製作者が受け取るそうで、実質、会社お墨付きの副業)そう。また、ラコステ ジャパンは本社との合意形成など外資ブランドならではの課題を抱えつつ2026年に向けて数値目標をもって取り組んでいます。商業施設の東急不動産的にはテナントから家賃をもらっている立場上ハードルが高いリセールを取り扱うために商業施設外にタッチポイントを作る可能性があること、などが語られました。

プロパーへのマイナス懸念がつきまとう自社ブランドの古着販売ですが、そもそも若者にとってプロパーは「高くて買えない」存在ともなっています。ラコステ ジャパンでは面接に同社の古着を着てくる人が多いと聞くと、若いファン層獲得のためにも自社古着のマーケティングに力を入れる戦略は理にかなっていると思います。“マイファースト〇〇”がスニーカーや小物でなく古着であるケースは今後ますます増えるでしょう。ちなみに、Free Standardによるとブランド内再販は外部プラットフォームでの販売と比べて単価が1.4~2.2倍高いそうです。

経産省のこの資料、アパレル関係者は必読です

「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」取材(6/20)

経産省のネタが続きますが、「みらいのファッション人材育成プログラム」がクールジャパン政策課管轄であるのに対して、この日の取材は生活製品課。繊維以外に住宅や伝統工芸、日用品などの産業の競争力強化の環境作りをミッションに掲げる部署です。アパレル企業などが所属する日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)などと情報交換をしながら活動をしています。霞が関、という言い方をすると遠い存在に思えるかもしれませんが、経産省は産業にとても近い存在です。表には見えずらいですが、取材を通じて「この方たち本当に産業のことを考えてよく働いているな」と思う局面がよくあります。なんか偉そうな物言いで恐縮ですが出されている資料を見るとその緻密さにグッときます。

そのひとつが6月に公開した「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」です。詳しくはこの記事のリンクからぜひご確認ください。「2026年をめどに国内の大手アパレルの情報開示を徹底、30年度には主要なアパレル企業において情報開示率100%を目指す」と、断言するのは田上博道製造産業局生活製品課長です。循環型経済へ向けて欧州のように法規制ありきで動くのか、このようなガイドラインを参考に産業自ら変革してゆくのか、日本のファッション産業の決断が迫られています。

ちなみに、経産省に期待するのは、ガイドラインなどの資料作りにアートディレクター、グラフィックデザイナーを起用してほしいということ。同ガイドラインは全26ページで文字がぎっしり。大事なことが書いてあるのですから読めばよい、のですが、視覚的にデザインすることで文字だけよりも拡散も理解もしやすいと思う。ただし、デザイナーにとって資料のポイントを理解、咀嚼するのは大変。会議に常に参加して議事録ならぬデザイン録を採り続けるデザイナー、という存在を霞が関にあってもよいのでは?と思います。

参考にしたのは家電、というユニークな着眼点

三陽商会リユース事業「RE: SANYO」発表会(6/21)

実にタイムリー!一つ上のトークイベントの2日後に、三陽商会のリユース事業「リ・サンヨー(RE: SANYO)」のお披露目がありました。写真は会見をリードした同社の松尾峰秀・専務執行役員です。

同社が回収自体をはじめたのは2019年ですがこれまでは自動車内装材などへ再資源化していたそう。それを再販へと舵を切るにあたり、力を入れたのが回収後の服を独自基準で仕分けし、クリーニング・仕上げで整え、検品し再販するまでの仕組みづくりです。内製化することで持続可能な低コスト運営としているそう。仕組みの参考にしたのが家電のリサイクル、という話が印象的でした。確かに、日本では衣料品より家電のほうがリサイクルが先行しています。業界は違えど先駆者から学ぶことは多いですよね。

もうひとつ印象的なのが、その場所です。同事業の一号店として選んだ「サンヨーG&Bアウトレット落合店」は、国内にアウトレットモールが広がりを見せる前の今から40年前、在庫品の廃棄削減を目的に三陽商会のアウトレット1号店として1984年にオープンした店舗とのことです。百貨店などの取引先とも競合しない絶妙な立地に新ビジネスの種を植えたわけですが、それが今また新しい種まきの場所となっている点がおもしろいです。

詳しくはこの記事の下にあるリンクから元記事へぜひ。

ヨネトミのTシャツはなぜかセーターっぽい、その理由

米冨繊維ポップアップストア(6/21)

その経営姿勢と製品をリスペクトする米冨繊維のポップアップに行ったら、長年の知り合いである小野瀬慶子さんとバッタリ。勢いで大江健社長とともに写真を撮りました。名物バイヤーとして鳴らした小野瀬さんは今、慶應義塾大学政策・メディア研究科後期博士課程でファッションの社会/人類学を研究中。ファッションと社会は表裏一体ですものね。

長い時間を経て私はサステナなモノづくりの角度から、小野瀬さんは研究角度から、山形県山辺町発のニットメーカーである米冨繊維にたどり着き、自社ブランド「コーヘン(COHEN)」を前に、同じように感動している点が非常に感慨深い。

ちなみに米冨繊維のTシャツは首回りがセーターと同じ作りなのでしっかりしており、大人が1枚で着ても不思議とカジュアルになりすぎません。私は米冨繊維と徳島の藍染め「Watanabe's」のコラボTシャツを購入しました。「Watanabe’s」の渡邊健太代表は山形出身なのですって!

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自社古着ビジネスの胎動を感じ、経産省ガイドラインを学び、米冨繊維をリスペクト【向千鶴サステナDが行く】


向千鶴サステナビリティ・ディレクターによる連載第3回は、「人」が主役。サステナビリティを取り巻く新しい話題を追いかけたら結果的に、新しい才能、行政のリーダー、新ビジネスを興そうと燃えている人たちにカメラを向けていました。企業の大小、有名無名なんて関係ありません。新しい価値って結局、志ある人が作るのです。それを追いかけるメディアの仕事は本当に面白い!

産業を良くするぞ、とやる気に満ちた人たち

「みらいのファッション人材育成プログラム」キックオフ(6/18)

経済産業省が主催する補助事業「みらいのファッション人材育成プログラム」にメンターとし参加しており、この日は公募で選ばれた5組のクリエイターとのキックオフミーティングに参加しました。会場は事務局を務める京都のインフォバーン。5組とはJR西日本SC開発、シンフラックス(Synflux)、マイスズキ(MAI SUZKI)、メタクロシス(METACHROSYS)、ワコール(WACOAL)です。「みらいの人材」と銘打ったプロジェクトに新進企業だけでなく大企業も選ばれていることに違和感を覚える方がいるかもしれません。そうなのです、そこは本プロジェクトのポイントのひとつです。

このプログラムの目的は、「サプライチェーンのデザインから製造、販売、使用、リセール・再生までをリアルとデジタルの両輪でアップデートするために、実践的な教育機会を提供する」ことです。壮大ですよね。つまり繊維・ファッション産業のサプライチェーン全体を大胆にアップデートするため、そこに寄与するアイデアを持つクリエイターを支援しよう、という話です。

そのアイデアを持つ人は、新進企業とも限りません。大事なのは所属している企業の大きさではなく、エントリーしようと決めた「個」の存在。個人に斬新なアイデアと行動力があることが重要です。大きな組織に属する「個」ならば、その組織の力も活用しつつ、自社メリットにとどまらず産業全体に貢献するアイデアを出せるかが問われます。この写真に写っている一人ひとりの肩の上に期待がかかっています。

ブランドリコーマスの胎動を感じる

トークイベント「ブランドと商業施設が考える、サステナ事業の始め方」(6/19)

話題の商業施設ハラカドで開催されたイベントのお題が「ブランドと商業施設が考える、サステナビリティ事業の始め方」だったので、行ってきました。トークのメーンはブランドが自社ブランドの古着を再販することの可能性、です。リードしたのは事業のドメインに「ブランドリコマース」を掲げるフリースタンダードの張本CEOです。

これだけ古着が人気な時代でも、自社の古着を再販しているアパレル企業はごく一部ですが、いよいよその大きな波が日本市場に到達しそうです。サステナビリティ観点からも「長く着る」のが一番。ただし、新品だけを売るビジネスからブランドリコマースの併用に転換しつつ経済的成長と両立させるには、新しい発想が必要です。ここではその可能性が語られていました。例えば、オンワード樫山は2009年から長く衣料品回収を行っていますが、最近は社内公募でのアップサイクルプロジェクトに力を入れている(収益の90%は製作者が受け取るそうで、実質、会社お墨付きの副業)そう。また、ラコステ ジャパンは本社との合意形成など外資ブランドならではの課題を抱えつつ2026年に向けて数値目標をもって取り組んでいます。商業施設の東急不動産的にはテナントから家賃をもらっている立場上ハードルが高いリセールを取り扱うために商業施設外にタッチポイントを作る可能性があること、などが語られました。

プロパーへのマイナス懸念がつきまとう自社ブランドの古着販売ですが、そもそも若者にとってプロパーは「高くて買えない」存在ともなっています。ラコステ ジャパンでは面接に同社の古着を着てくる人が多いと聞くと、若いファン層獲得のためにも自社古着のマーケティングに力を入れる戦略は理にかなっていると思います。“マイファースト〇〇”がスニーカーや小物でなく古着であるケースは今後ますます増えるでしょう。ちなみに、Free Standardによるとブランド内再販は外部プラットフォームでの販売と比べて単価が1.4~2.2倍高いそうです。

経産省のこの資料、アパレル関係者は必読です

「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」取材(6/20)

経産省のネタが続きますが、「みらいのファッション人材育成プログラム」がクールジャパン政策課管轄であるのに対して、この日の取材は生活製品課。繊維以外に住宅や伝統工芸、日用品などの産業の競争力強化の環境作りをミッションに掲げる部署です。アパレル企業などが所属する日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)などと情報交換をしながら活動をしています。霞が関、という言い方をすると遠い存在に思えるかもしれませんが、経産省は産業にとても近い存在です。表には見えずらいですが、取材を通じて「この方たち本当に産業のことを考えてよく働いているな」と思う局面がよくあります。なんか偉そうな物言いで恐縮ですが出されている資料を見るとその緻密さにグッときます。

そのひとつが6月に公開した「繊維・アパレル産業における環境配慮情報開示ガイドライン」です。詳しくはこの記事のリンクからぜひご確認ください。「2026年をめどに国内の大手アパレルの情報開示を徹底、30年度には主要なアパレル企業において情報開示率100%を目指す」と、断言するのは田上博道製造産業局生活製品課長です。循環型経済へ向けて欧州のように法規制ありきで動くのか、このようなガイドラインを参考に産業自ら変革してゆくのか、日本のファッション産業の決断が迫られています。

ちなみに、経産省に期待するのは、ガイドラインなどの資料作りにアートディレクター、グラフィックデザイナーを起用してほしいということ。同ガイドラインは全26ページで文字がぎっしり。大事なことが書いてあるのですから読めばよい、のですが、視覚的にデザインすることで文字だけよりも拡散も理解もしやすいと思う。ただし、デザイナーにとって資料のポイントを理解、咀嚼するのは大変。会議に常に参加して議事録ならぬデザイン録を採り続けるデザイナー、という存在を霞が関にあってもよいのでは?と思います。

参考にしたのは家電、というユニークな着眼点

三陽商会リユース事業「RE: SANYO」発表会(6/21)

実にタイムリー!一つ上のトークイベントの2日後に、三陽商会のリユース事業「リ・サンヨー(RE: SANYO)」のお披露目がありました。写真は会見をリードした同社の松尾峰秀・専務執行役員です。

同社が回収自体をはじめたのは2019年ですがこれまでは自動車内装材などへ再資源化していたそう。それを再販へと舵を切るにあたり、力を入れたのが回収後の服を独自基準で仕分けし、クリーニング・仕上げで整え、検品し再販するまでの仕組みづくりです。内製化することで持続可能な低コスト運営としているそう。仕組みの参考にしたのが家電のリサイクル、という話が印象的でした。確かに、日本では衣料品より家電のほうがリサイクルが先行しています。業界は違えど先駆者から学ぶことは多いですよね。

もうひとつ印象的なのが、その場所です。同事業の一号店として選んだ「サンヨーG&Bアウトレット落合店」は、国内にアウトレットモールが広がりを見せる前の今から40年前、在庫品の廃棄削減を目的に三陽商会のアウトレット1号店として1984年にオープンした店舗とのことです。百貨店などの取引先とも競合しない絶妙な立地に新ビジネスの種を植えたわけですが、それが今また新しい種まきの場所となっている点がおもしろいです。

詳しくはこの記事の下にあるリンクから元記事へぜひ。

ヨネトミのTシャツはなぜかセーターっぽい、その理由

米冨繊維ポップアップストア(6/21)

その経営姿勢と製品をリスペクトする米冨繊維のポップアップに行ったら、長年の知り合いである小野瀬慶子さんとバッタリ。勢いで大江健社長とともに写真を撮りました。名物バイヤーとして鳴らした小野瀬さんは今、慶應義塾大学政策・メディア研究科後期博士課程でファッションの社会/人類学を研究中。ファッションと社会は表裏一体ですものね。

長い時間を経て私はサステナなモノづくりの角度から、小野瀬さんは研究角度から、山形県山辺町発のニットメーカーである米冨繊維にたどり着き、自社ブランド「コーヘン(COHEN)」を前に、同じように感動している点が非常に感慨深い。

ちなみに米冨繊維のTシャツは首回りがセーターと同じ作りなのでしっかりしており、大人が1枚で着ても不思議とカジュアルになりすぎません。私は米冨繊維と徳島の藍染め「Watanabe's」のコラボTシャツを購入しました。「Watanabe’s」の渡邊健太代表は山形出身なのですって!

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ファッション誌ご用達YUKIYAMESHIがオイシックス傘下に 寺井幸也はノンピCSSOに就任しサステナ強化

法人向けケータリングや社員食堂の企画・運営をするノンピ(NONPI)は、人気料理家の寺井幸也が率いるYUKIYAMESHIを7月17日に子会社化し、寺井幸也YUKIYAMESHI取締役はノンピのCSSO(Chief Sustainability Story Officer)に就任した。ノンピは2024年2月からオイシックス・ラ・大地のグループ入りをしており、3社は今後、グループ会社としてサステナビリティの取り組み連携を強める。

YUKIYAMESHIは、ファッション業界ではよく知られた存在だ。特に、ファッション雑誌の撮影現場では、料理家・寺井による日本料理をベースとした華やかでおいしいケータリングや弁当が口コミで話題を呼び、"インスタ映えするケータリング"としても人気を広げてきた。また寺井はフードロスや容器ごみの問題を課題として、21年には包装容器のプラスチック使用量を容器全体の30%以下に定めるなどSDGsにつながるアクションを起こしてきた。一方ノンピは、法人向けケータリングサービスや社員食堂の事業を展開し、年間160万食の調理オペレーションと配送実績がある。同社は、日本の社員食堂・ケータリング企業として初めて温室効果ガスの排出削減目標の認定「SBT」を取得したり、食べ残しを回収して液肥化して農場・食物へと循環させる「ゼロ・ウェイスト社食」を実験的に取り組み始めたりするなど、食とサステナビリティにつながる活動をさまざまに行なっている。

今後は、寺井がプロデュースする装飾つきケータリングを「サステナビリティ・ストーリー・テーブル」のサービス名でノンピが販売する。寺井はYUKIYAMESHI取締役とノンピCSSOという新職を兼務し、サステナビリティの課題に取り組みながら、食の背景を伝えるプロダクト作りに力を入れるという。オイシックス・ラ・大地が約4000の農家と直接取引する環境に配慮した食材を用いるなど3社の連携を生かしてゆく。YUKIYAMESHIがノンピの子会社となることについて寺井は「個人店の限界を超えて、社会に対してより大きなアクションを起こしていけると確信している」と説明。上形秀一郎ノンピ社長は、農家の高齢化などを課題にあげ「企業が社員食堂やケータリングにおいて良質な環境で育てた作物を正しい価格で仕入れ、提供していくことで、環境良し、社員の健康良しの関係を作り上げていく」としている。

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パタゴニアCEOが語る 地球を救うためのビジネスを営むために必要なこと

1973年にイヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)がブランドを創設して以来、「パタゴニア(PATAGONIA)」は機能的で高品質なモノ作りと、持続可能なビジネス構築を目指してきた。いかにカスタマーに必要のないものを買わないように促し、なおかつ健全で収益性の高いビジネスを営むか。その微妙なバランスの取り方を、創業からずっと探求し続けている。

5月8日にオンライン開催された「WWDサステナビリティ・サミット2024」で、パタゴニアのライアン・ゲラート(Ryan Gellert)最高経営責任者(CEO)は、同社のアルチャナ・ラム(Archana Ram)責任あるビジネス編集長と対談し、次のように述べている。「『最も持続可能なジャケットは、すでに存在するものである』という古い格言がある。私たちは長年このテーマでキャンペーンを展開し、コミュニティーやカスタマーと協力しながら、必要のないものを買わないよう働きかけてきた」。

サプライチェーンを整えるだけでは、“過剰消費”という問題の解決にはならない。パタゴニアが“ウォーン ウエア”と呼ぶ、製品の再販と、寿命が尽きた製品を引き取るリサイクルを採用したのは、こうした理由からだとゲラートCEOは語る。

「高品質でタイムレスな製品を作り、人々に必要のないものを買わないように奨励することは、反資本主義的なことだとは思わない。『私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む』というミッション・ステートメントを守り続けてきた」。

しかしパタゴニア単独ではそれを成し遂げることはできないと彼は言う。「気候変動と生態系の危機を解決するには、政府、市民社会、そしてビジネス部門が一体となって取り組む必要がある。私は、ビジネスセクターがその会話に欠けていると思う。特にアパレル業界は、現実に責任を持つために足並みをそろえる必要がある」。

同社が4月に公式サイトで公開した動画「ザ・シットスロポシーン(The Shitthropocene)」は、シーズンごとに新製品を発売するサイクルや、アパレル産業が排出する二酸化炭素の量についてなど、ファッション業界が直面するジレンマを取り上げている。

パタゴニアは、環境配慮型の素材開発やサプライチェーンの構築、“ウォーン ウエア”導入のほか、不耕起栽培で炭素を固定しながら健全な土壌を構築する有機農法、リジェネラティブ・オーガニック(RO)農法で作られた原料に対する認証を設立したり、RO農法で作られた食品を販売したりするなど、さまざまなアプローチで気候変動と生態系の危機の解決に取り組んできた。

「私たちは上昇志向の強い企業であり、ビジネスは収益性があり、成功している。人々に喜ばれる製品を作り、サービスを提供する。そうすることで、私たちは異なる形のビジネスの見本になれると思う。自分の価値観が何であるかを理解し、全てのステークホルダーとの関係において、事業の幅を超えた意思決定を行うことに深く永続的にコミットする必要がある。そして、それは終わりのない旅であることを理解することが大切だ」。

問い合わせ先
パタゴニア
045-435-6100

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パタゴニアCEOが語る 地球を救うためのビジネスを営むために必要なこと

1973年にイヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)がブランドを創設して以来、「パタゴニア(PATAGONIA)」は機能的で高品質なモノ作りと、持続可能なビジネス構築を目指してきた。いかにカスタマーに必要のないものを買わないように促し、なおかつ健全で収益性の高いビジネスを営むか。その微妙なバランスの取り方を、創業からずっと探求し続けている。

5月8日にオンライン開催された「WWDサステナビリティ・サミット2024」で、パタゴニアのライアン・ゲラート(Ryan Gellert)最高経営責任者(CEO)は、同社のアルチャナ・ラム(Archana Ram)責任あるビジネス編集長と対談し、次のように述べている。「『最も持続可能なジャケットは、すでに存在するものである』という古い格言がある。私たちは長年このテーマでキャンペーンを展開し、コミュニティーやカスタマーと協力しながら、必要のないものを買わないよう働きかけてきた」。

サプライチェーンを整えるだけでは、“過剰消費”という問題の解決にはならない。パタゴニアが“ウォーン ウエア”と呼ぶ、製品の再販と、寿命が尽きた製品を引き取るリサイクルを採用したのは、こうした理由からだとゲラートCEOは語る。

「高品質でタイムレスな製品を作り、人々に必要のないものを買わないように奨励することは、反資本主義的なことだとは思わない。『私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む』というミッション・ステートメントを守り続けてきた」。

しかしパタゴニア単独ではそれを成し遂げることはできないと彼は言う。「気候変動と生態系の危機を解決するには、政府、市民社会、そしてビジネス部門が一体となって取り組む必要がある。私は、ビジネスセクターがその会話に欠けていると思う。特にアパレル業界は、現実に責任を持つために足並みをそろえる必要がある」。

同社が4月に公式サイトで公開した動画「ザ・シットスロポシーン(The Shitthropocene)」は、シーズンごとに新製品を発売するサイクルや、アパレル産業が排出する二酸化炭素の量についてなど、ファッション業界が直面するジレンマを取り上げている。

パタゴニアは、環境配慮型の素材開発やサプライチェーンの構築、“ウォーン ウエア”導入のほか、不耕起栽培で炭素を固定しながら健全な土壌を構築する有機農法、リジェネラティブ・オーガニック(RO)農法で作られた原料に対する認証を設立したり、RO農法で作られた食品を販売したりするなど、さまざまなアプローチで気候変動と生態系の危機の解決に取り組んできた。

「私たちは上昇志向の強い企業であり、ビジネスは収益性があり、成功している。人々に喜ばれる製品を作り、サービスを提供する。そうすることで、私たちは異なる形のビジネスの見本になれると思う。自分の価値観が何であるかを理解し、全てのステークホルダーとの関係において、事業の幅を超えた意思決定を行うことに深く永続的にコミットする必要がある。そして、それは終わりのない旅であることを理解することが大切だ」。

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「ボス」が石油系由来の糸に代わるセルロース系フィラメント糸を使用したスニーカーを発表 

「ボス(BOSS)」は、セルロース系フィラメント糸「ハイキューアイオニーク(HeiQ AeoniQ)」を使用した“ザ チェンジ(THE CHANGE)スニーカー”を発表した。7月24日からオンラインショップで販売している。

「ハイキューアイオニーク」は、ポリエステルやポリアミドなどの石油系フィラメント糸に代わる革新的な繊維。2030年までにポリアミドとポリエステルの使用廃止を目標に掲げるヒューゴ ボス(HUGO BOSS)の中核ブランドとして、「ボス」は昨年発表したポロシャツ、オーバーコートなどの“ハイキューアイオニークスタイル”に続きこれを採用する。

“ザ チェンジ スニーカー”のシューレースとラベルには全て「ハイキューアイオニーク」糸を使用。アッパーにもこの最先端の繊維を85パーセント使用し、快適で丈夫な作りを実現している。耐久性や湿度管理を完備しながら、洗練されたスタイリッシュなデザインとなっている。

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「ボス」が石油系由来の糸に代わるセルロース系フィラメント糸を使用したスニーカーを発表 

「ボス(BOSS)」は、セルロース系フィラメント糸「ハイキューアイオニーク(HeiQ AeoniQ)」を使用した“ザ チェンジ(THE CHANGE)スニーカー”を発表した。7月24日からオンラインショップで販売している。

「ハイキューアイオニーク」は、ポリエステルやポリアミドなどの石油系フィラメント糸に代わる革新的な繊維。2030年までにポリアミドとポリエステルの使用廃止を目標に掲げるヒューゴ ボス(HUGO BOSS)の中核ブランドとして、「ボス」は昨年発表したポロシャツ、オーバーコートなどの“ハイキューアイオニークスタイル”に続きこれを採用する。

“ザ チェンジ スニーカー”のシューレースとラベルには全て「ハイキューアイオニーク」糸を使用。アッパーにもこの最先端の繊維を85パーセント使用し、快適で丈夫な作りを実現している。耐久性や湿度管理を完備しながら、洗練されたスタイリッシュなデザインとなっている。

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「アップサイクル」とは?

「WWDJAPAN」の新たな動画企画「WWDJAPAN DICTIONARY」は、トレンドから生まれた用語やファッション業界用語など、今知っておきたい用語をピックアップし、「WWDJAPAN」記者が詳しく解説するコンテンツです。

今回の用語は「アップサイクル」について。
向 千鶴「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターが、アップサイクルを取り入れているブランドや取り組みに触れながら、アップサイクルとリサイクルの違いについてなどを解説します。

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今回の用語は「アップサイクル」について。
向 千鶴「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターが、アップサイクルを取り入れているブランドや取り組みに触れながら、アップサイクルとリサイクルの違いについてなどを解説します。

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スターバックスと霧島酒造のコラボ施設が2026年春にオープン “サツマイモ発電”100%で

スターバックス コーヒー ジャパンと霧島酒造は、共同プロジェクトとして宮崎県都城市の霧島酒造本社増設工場北側の敷地内に初のコラボレーション施設をオープンすることを発表した。施設の着工は2024年秋、オープンは26年春を予定している。

同施設は都城市を代表する霧島山や沖水川を見渡せる場所に位置し、「スターバックス」のドライブスルーを併設した店舗、霧島酒造の直営ショップ、植物園で構成する。植物園は「スターバックス」店舗とショップからガラス越しに見える位置にあり、来場者は生き生きとした植物を眺めながらコーヒーや買い物を楽しむことができる。屋外には、霧島山と沖水川を望める屋上庭園や芝生のエリアを設ける。

環境配慮型店舗の国際認証を取得した「グリーナーストア」へ

同施設は、地域の憩いの場であるとともに、自然や環境と調和し地域社会と共生していくための気付きやアクションにつながる発信の場としての役割も目指す。

霧島酒造は、植物園の中で焼酎を製造する過程で発生する蒸留温排水の温熱を冬場の暖房として活用するほか、焼酎粕や芋くずから生成したバイオガスを電気に変換してつくる同社の再生可能エネルギー“サツマイモ発電”100%を施設の電力として使う。

またスターバックスは、本店舗の設計・建築を環境配慮型店舗の国際認証「グリーナー ストアーズ フレームワーク(Greener Stores Framework)」のもと進め、「グリーナーストア」の認証取得を予定している。「グリーナー ストアーズ フレームワーク」は、水の使用量、CO2や廃棄物を削減して環境負荷を低減した店舗づくりをする枠組みで、スターバックスと世界自然保護基金(WWF)とが共同策定したもの。同社の「グリーナーストア」は、2023年12月時点で全国101店舗に拡大している。

霧島酒造は、環境への取り組みにも力を入れており、焼酎を製造するなかで発生する焼酎粕や芋くずからバイオガスと電気を生成し、自社工場のエネルギーや一般家庭の電力として還元するなど、環境に配慮した事業活動を続けてきた。両者が地域社会や自然環境について意見交換し交流を深めるなかで、お互いが取り組む地域や環境について持続可能な未来への想いや活動に共感し、このコラボレーションが実現したという。

■建設概要

建設場所:霧島酒造 本社増設工場北側(宮崎県都城市下川東4丁目)
建物構造:鉄骨造 1階建て
敷地面積:4685㎡
延べ床面積:703㎡
定休日:不定休
着工:2024年秋
オープン予定:2026年春

■施設予定地

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スターバックスと霧島酒造のコラボ施設が2026年春にオープン “サツマイモ発電”100%で

スターバックス コーヒー ジャパンと霧島酒造は、共同プロジェクトとして宮崎県都城市の霧島酒造本社増設工場北側の敷地内に初のコラボレーション施設をオープンすることを発表した。施設の着工は2024年秋、オープンは26年春を予定している。

同施設は都城市を代表する霧島山や沖水川を見渡せる場所に位置し、「スターバックス」のドライブスルーを併設した店舗、霧島酒造の直営ショップ、植物園で構成する。植物園は「スターバックス」店舗とショップからガラス越しに見える位置にあり、来場者は生き生きとした植物を眺めながらコーヒーや買い物を楽しむことができる。屋外には、霧島山と沖水川を望める屋上庭園や芝生のエリアを設ける。

環境配慮型店舗の国際認証を取得した「グリーナーストア」へ

同施設は、地域の憩いの場であるとともに、自然や環境と調和し地域社会と共生していくための気付きやアクションにつながる発信の場としての役割も目指す。

霧島酒造は、植物園の中で焼酎を製造する過程で発生する蒸留温排水の温熱を冬場の暖房として活用するほか、焼酎粕や芋くずから生成したバイオガスを電気に変換してつくる同社の再生可能エネルギー“サツマイモ発電”100%を施設の電力として使う。

またスターバックスは、本店舗の設計・建築を環境配慮型店舗の国際認証「グリーナー ストアーズ フレームワーク(Greener Stores Framework)」のもと進め、「グリーナーストア」の認証取得を予定している。「グリーナー ストアーズ フレームワーク」は、水の使用量、CO2や廃棄物を削減して環境負荷を低減した店舗づくりをする枠組みで、スターバックスと世界自然保護基金(WWF)とが共同策定したもの。同社の「グリーナーストア」は、2023年12月時点で全国101店舗に拡大している。

霧島酒造は、環境への取り組みにも力を入れており、焼酎を製造するなかで発生する焼酎粕や芋くずからバイオガスと電気を生成し、自社工場のエネルギーや一般家庭の電力として還元するなど、環境に配慮した事業活動を続けてきた。両者が地域社会や自然環境について意見交換し交流を深めるなかで、お互いが取り組む地域や環境について持続可能な未来への想いや活動に共感し、このコラボレーションが実現したという。

■建設概要

建設場所:霧島酒造 本社増設工場北側(宮崎県都城市下川東4丁目)
建物構造:鉄骨造 1階建て
敷地面積:4685㎡
延べ床面積:703㎡
定休日:不定休
着工:2024年秋
オープン予定:2026年春

■施設予定地

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スイス発「オン」、アッパーをスプレー噴射で高速製造する新技術を開発 パリでお披露目

スイス発スポーツブランド「オン(ON)」はこのほど、スポーツシューズのアッパー製造の新技術「LightSpray」を発表した。完全自動化したロボットアームから一続きのフィラメントをスプレー噴射することにより、極薄でシームレス、シューレースも不要なアッパーが高速製造できるという。廃棄物やCO2排出量も大幅に削減できる。同技術は7月27日〜8月10日に、オンがパリに開設したラボで公開予定だ。

CO2は75%削減

オンは同技術を、スイス・チューリッヒのラボで開発した。一般的にスポーツシューズは非常に多くのパーツで構成されており、素材もバラバラなため、リサイクルしづらいと言われてきた。「LightSpray」はアッパー製造が単一工程のため、廃棄物を減らすと共に「オンの他のレーシングシューズに比べCO2排出量を75%削減できる」(発表資料から)。「製造のローカル化も視野に入れ」ているといい、輸送にかかるCO2なども今後削減が可能。また、アッパーを単一素材にし、ソールと「接着剤不要な方法で結合しているため、今後循環型製造や循環型製品への応用が考えられる」。アッパーを製造し、ボトムユニット(ソール)に結合して仕上げるのに「全体で3分しかかからない」という。

「LightSpray」技術を初めて搭載したモデルであるレース用シューズ“クラウドブーム ストライク LS”(LSはLightSprayの略)の開発には、オンがサポートする複数のアスリートが関わっている。中でもケニア出身のランナーで、2016年のリオデジャネイロ、21年の東京五輪女子5000メートル銀メダリストで、23年のボストンマラソン、ニューヨークマラソン2冠王者、今夏のパリ五輪も出場予定のヘレン・オビリ選手は、23年のボストンマラソンに開発段階の“クラウドブーム ストライク LS”で出場していた。

ブランド史上最軽量を実現

「過去何十年にもわたり、ランニングシューズは同じ方法で製造されてきた。オンのイノベーションチームは従来のプロセスを変えたいと思った」と発表資料から。ハロウィン用のクモの巣の装飾をグルーガンで作る動画を見ていたイノベーションチームのメンバーが、そこから継ぎ目のないアッパーをスプレー噴射する方式をひらめいたのだという。スプレー噴射形式でパーツは1つ、シューレースや付属品もないため、“クラウドブーム ストライク LS”は「オン」史上最軽量といい、アッパーの重さは30グラム、全体で170グラム(メンズ)だ。

“クラウドブーム ストライク LS”は、日本国内では24年秋冬シーズンに4万4000円で販売予定。

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ゴールドウイン、三菱商事などと協業で100%非化石由来のポリエステルを実用化 「ザ・ノース・フェイス」で活用

ゴールドウインはこのほど、二酸化炭素を原料に活用した100%非化石由来のポリエステルを、6社と共同で実用化した。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」のスポーツユニフォームなどに来年7月頃から採用する計画だ。

フィンランドの再生可能燃料メーカーのネステ(NESTE)、三菱商事、韓国の化学メーカーのSKジオセントリック(SK GEOCENTRIC)、タイの石油化学メーカーのインドラマ・ベンチャーズ(INDORAMA VENTURES)、インドの化学メーカーのインド・グリコール(INDIA GLYCOLS)、総合エンジニアリング企業の千代田化工建設が提携した。

原料には化石燃料の代わりに、ネステが開発したバイオベースのナフサ「ネステ・アールイー(Neste RE)」を活用する。持続可能な航空燃料を製造するネステが提供する「ネステ・アールイー」は廃棄物や食物油などを原料とし、既存のインフラ設備を活用しながら製造できる。ネステによると、従来の化石由来の燃料と「同等の品質」を担保できる。また化石原料と比較して温室効果ガス(GHG)排出量は85%以上抑えられるという。ポリエステル繊維に加工する化合物パラキシレンの製造には、回収した二酸化炭素を原料に用いた。

ゴールドウインは「ザ・ノース・フェイス」を皮切りに、ほかのグループブランドでの活用も検討する。また「ザ・ノース・フェイス」は今年3月、米国エネルギー省と提携し、従来の石油由来のポリエステルの代替品として、無毒で生分解性のあるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の研究も行っている。

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ゴールドウイン、三菱商事などと協業で100%非化石由来のポリエステルを実用化 「ザ・ノース・フェイス」で活用

ゴールドウインはこのほど、二酸化炭素を原料に活用した100%非化石由来のポリエステルを、6社と共同で実用化した。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」のスポーツユニフォームなどに来年7月頃から採用する計画だ。

フィンランドの再生可能燃料メーカーのネステ(NESTE)、三菱商事、韓国の化学メーカーのSKジオセントリック(SK GEOCENTRIC)、タイの石油化学メーカーのインドラマ・ベンチャーズ(INDORAMA VENTURES)、インドの化学メーカーのインド・グリコール(INDIA GLYCOLS)、総合エンジニアリング企業の千代田化工建設が提携した。

原料には化石燃料の代わりに、ネステが開発したバイオベースのナフサ「ネステ・アールイー(Neste RE)」を活用する。持続可能な航空燃料を製造するネステが提供する「ネステ・アールイー」は廃棄物や食物油などを原料とし、既存のインフラ設備を活用しながら製造できる。ネステによると、従来の化石由来の燃料と「同等の品質」を担保できる。また化石原料と比較して温室効果ガス(GHG)排出量は85%以上抑えられるという。ポリエステル繊維に加工する化合物パラキシレンの製造には、回収した二酸化炭素を原料に用いた。

ゴールドウインは「ザ・ノース・フェイス」を皮切りに、ほかのグループブランドでの活用も検討する。また「ザ・ノース・フェイス」は今年3月、米国エネルギー省と提携し、従来の石油由来のポリエステルの代替品として、無毒で生分解性のあるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の研究も行っている。

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ディズニーのショースタッフがアパレルブランドを立ち上げたワケ

「カスリキッズ(KASUREKIDS)」は日本の伝統織物の久留米絣を用いて、こども服のサーキュラーエコノミー実践に取り組む。素材には久留米絣の規格外の端切れに加えて、GOTS認証を取得した綿糸を藍染めして織った生地を用い、製品を製造・販売するだけではなく修繕や染め直し、レンタルや下取りも行う。手掛けるのは東京ディズニーシーで野外ショースタッフとして働いていた長谷川まゆみオーネミューエ代表取締役。「サステナブルな子ども服の選択肢がない」と2023年に「カスリキッズ」を立ち上げた。

長谷川代表はなぜ未経験のアパレル業界で子ども服ブランドを立ち上げたのか。「気候変動に対してどんな行動ができるかを考えたときに、最も身近に感じたのが子供服だった。私自身2児の母で子育て中。服がサイズアウトしてももったいなくて捨てられないけれど、フリマアプリに出品する余裕もない。エシカル消費をしたいけれど日本のモノ作りが感じられるエシカルな子ども服が見当たらない。同じ課題を抱えている人は多いのではないかと考えた。気候変動の原因は先進国の消費行動にある。選択肢を増やすことで生活者の行動変容を促せるのではないか」。

屋外スタッフとして働く中で感じた気候変動

長谷川代表が気候変動をリアルに感じたのは2008年。「ディズニーシーの屋外ショーの公演判断を任された年だった。5分ごとに雲の流れを見ながら判断するので、気象に敏感になっていた。08年はゲリラ豪雨が頻繁に起こるようになった年で、ショーを途中で中止しなければいけないことが増え、気候変動を肌で感じた。入社から屋外ショースタッフとして働いてきたがこれまでにはなかったことだった」。その10年後の18年。「東京でも40度を記録するほど災害的猛暑の年で、長男の育休中に日課にしていた外遊びが暑すぎてできなくなった。外出に命の危険を感じ、日常生活に支障が出たことで焦燥感にかられた。このままでは子どもが気軽に外にでられない日常がやってくると。外遊びは子どもの健全な成長のために必要で、体力・運動能力の向上はもちろん、骨の健康な発育や自律神経機能の強化、能の発達による感情的発達や学習能力・社会適応力の向上などさまざまな効能がある。気候変動が子どもたちの成長を阻害するのではないかと強い危機感を抱きながら、短勤務で職場復帰したけれど、子どもを保育園に預けてまで働く理由が見つからなくなった。さまざまな情報に触れはじめ、22年には温暖化の影響で子どもたちの健康が害されるという研究発表を目にしてショックを受けた。働くなら社会に貢献したいと考えるようになった」。ボーダレスジャパン主催のボーダレスアカデミーの講座を受け、「ドローダウン」や「リジェネレーション」(山と渓谷社)を読んで知見を広げた。

エシカルな子ども服とは何か

子ども服ブランドを立ち上げるにあたり、重視したのは長く着続けることができる丈夫な生地だ。「リサーチする中で久留米絣に出合いこれだ!と思った。30以上の工程の多くを手作業で行っていて生地がしっかりしていて肉厚。天然素材で夏涼しく冬暖かいのでオールシーズン着用できる。着られなくなっても次の子に引き継ぐことができる耐久性がある。服の地産地消ができ、輸送のCO2排出の抑制につながる。幼い頃に日本の伝統技法を体験できるのもいいと思った」。久留米絣は生地としては安くはない。「織り工程の前後で経糸が切れるなど流通ルートにのらない12m以下の規格外の端切れを活用しようと考えた」。端切れを活用せずにゼロから作る服は、GOTS認証を得ている大阪市の大正紡績の綿糸を用いて福岡県筑後市の池田絣工房で藍染めして、福岡県八女市の久留米絣織元の下川織物で生地にした。縫製は東京・墨田区の小倉メリヤス製造所が行う。

デザインやパターンは元同僚の力を借りた。「コスチュームデザイナーで子ども服のデザイン経験もある方に伴走してもらっている」。現在提案するのは3型でデザインやパターンの工夫が多い。例えば、3WAYワンピースは5年着用することを想定した。「2歳のときはロング丈のワンピースとして、7歳になったら膝上丈のジレやワンピースになる」。ユニセックスパンツは「すぐに破れてしまう膝裏を柄生地で二重構造にし、大きめのサイズを着用してもずり落ちないようウエストには調整ボタンを付けた」。生地は耳まで使うことで裁断くずを極力減らしている。その裁断くずは工場から引き取り、現在は品川区のハンドメイドショップママズの家に提供してハンドメイド作家に活用してもらっているという。「今後もハンドメイド作家の方に活用いただける方法を模索したり、ご自身で修繕を希望されるお客さまに送料負担をいただき郵送させていただくなどを検討している」という。

抱える課題は認知度とトレーサビリティ

「カスリキッズ」の販路は自社ECに加えて、「行動したい(している)人の選択肢の一つになりたいと考えたから」と食品を量り売りで提供する大阪府府中市のビオぐるりと福井県初のゼロウエイストショップのグラムに卸している。そのほか、クラウドファンディングのマクアケなどを利用して受注生産を行う。目下の課題は「認知度向上」だ。「エシカル消費を志向する子育て世代の手に届きやすくするため、原価率を約50%としている。そのため基本的に自社ECが販路となるが、認知度を高めるために訪日外国人向けのギフトショップやセレクトショップ、百貨店など感度の高い方に向けてもアプローチしていきたい」と意欲的だ。「将来的にはクラウドファンディングによる受注生産を軸に必要な人に必要な分だけ届けたい」。販売は始まったばかりでマクアケでの購入者への納品は10月末を予定する。もう一つの課題はトレーサビリティだ。「トレーサビリティを担保したオーガニック綿糸で肉厚な生地を作るのが難しい。肉厚な生地を作ることを第一に考えれば他の糸の選択肢もあるかもしれないが、トレーサビリティは譲れない」。端切れのトレーサビリティ実現も難しい。「少なくともゼロから作る素材に関してはオーガニックでトレーサブルでありたい」。

立ち上げ時点で回収スキームを確立しているが仕組み作りは手間がかかるし簡単ではない。「アパレルブランドをやりたくて始めているのではなく、気候危機に対してアクションを起こすため、大量生産大量消費を是正したくて始めたから」。自身も子育てする中であると助かるサービスを実現したともいえる。「手放す先(回収サービス)があることが大切だと考えた。古物商許可を得たので中古販売やレンタルも行う予定だ。いいものを大事に着続ける場を提供したい」。例えば下取りは「再販価格の25%を予定しているというが、ポイントとして付与するのか、下取りはせずに回収のみとするかは検討中」だといい、染め直しは「池田絣工房や富山で藍から育てている企業仲間の『アイヤ(AIYA)』を検討している」という。「気候変動は『カスリキッズ』だけでは解決できる問題ではない。同じ志を持つ方々と協力しながらリジェネラティブな世界を目指したい」。

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ディズニーのショースタッフがアパレルブランドを立ち上げたワケ

「カスリキッズ(KASUREKIDS)」は日本の伝統織物の久留米絣を用いて、こども服のサーキュラーエコノミー実践に取り組む。素材には久留米絣の規格外の端切れに加えて、GOTS認証を取得した綿糸を藍染めして織った生地を用い、製品を製造・販売するだけではなく修繕や染め直し、レンタルや下取りも行う。手掛けるのは東京ディズニーシーで野外ショースタッフとして働いていた長谷川まゆみオーネミューエ代表取締役。「サステナブルな子ども服の選択肢がない」と2023年に「カスリキッズ」を立ち上げた。

長谷川代表はなぜ未経験のアパレル業界で子ども服ブランドを立ち上げたのか。「気候変動に対してどんな行動ができるかを考えたときに、最も身近に感じたのが子供服だった。私自身2児の母で子育て中。服がサイズアウトしてももったいなくて捨てられないけれど、フリマアプリに出品する余裕もない。エシカル消費をしたいけれど日本のモノ作りが感じられるエシカルな子ども服が見当たらない。同じ課題を抱えている人は多いのではないかと考えた。気候変動の原因は先進国の消費行動にある。選択肢を増やすことで生活者の行動変容を促せるのではないか」。

屋外スタッフとして働く中で感じた気候変動

長谷川代表が気候変動をリアルに感じたのは2008年。「ディズニーシーの屋外ショーの公演判断を任された年だった。5分ごとに雲の流れを見ながら判断するので、気象に敏感になっていた。08年はゲリラ豪雨が頻繁に起こるようになった年で、ショーを途中で中止しなければいけないことが増え、気候変動を肌で感じた。入社から屋外ショースタッフとして働いてきたがこれまでにはなかったことだった」。その10年後の18年。「東京でも40度を記録するほど災害的猛暑の年で、長男の育休中に日課にしていた外遊びが暑すぎてできなくなった。外出に命の危険を感じ、日常生活に支障が出たことで焦燥感にかられた。このままでは子どもが気軽に外にでられない日常がやってくると。外遊びは子どもの健全な成長のために必要で、体力・運動能力の向上はもちろん、骨の健康な発育や自律神経機能の強化、能の発達による感情的発達や学習能力・社会適応力の向上などさまざまな効能がある。気候変動が子どもたちの成長を阻害するのではないかと強い危機感を抱きながら、短勤務で職場復帰したけれど、子どもを保育園に預けてまで働く理由が見つからなくなった。さまざまな情報に触れはじめ、22年には温暖化の影響で子どもたちの健康が害されるという研究発表を目にしてショックを受けた。働くなら社会に貢献したいと考えるようになった」。ボーダレスジャパン主催のボーダレスアカデミーの講座を受け、「ドローダウン」や「リジェネレーション」(山と渓谷社)を読んで知見を広げた。

エシカルな子ども服とは何か

子ども服ブランドを立ち上げるにあたり、重視したのは長く着続けることができる丈夫な生地だ。「リサーチする中で久留米絣に出合いこれだ!と思った。30以上の工程の多くを手作業で行っていて生地がしっかりしていて肉厚。天然素材で夏涼しく冬暖かいのでオールシーズン着用できる。着られなくなっても次の子に引き継ぐことができる耐久性がある。服の地産地消ができ、輸送のCO2排出の抑制につながる。幼い頃に日本の伝統技法を体験できるのもいいと思った」。久留米絣は生地としては安くはない。「織り工程の前後で経糸が切れるなど流通ルートにのらない12m以下の規格外の端切れを活用しようと考えた」。端切れを活用せずにゼロから作る服は、GOTS認証を得ている大阪市の大正紡績の綿糸を用いて福岡県筑後市の池田絣工房で藍染めして、福岡県八女市の久留米絣織元の下川織物で生地にした。縫製は東京・墨田区の小倉メリヤス製造所が行う。

デザインやパターンは元同僚の力を借りた。「コスチュームデザイナーで子ども服のデザイン経験もある方に伴走してもらっている」。現在提案するのは3型でデザインやパターンの工夫が多い。例えば、3WAYワンピースは5年着用することを想定した。「2歳のときはロング丈のワンピースとして、7歳になったら膝上丈のジレやワンピースになる」。ユニセックスパンツは「すぐに破れてしまう膝裏を柄生地で二重構造にし、大きめのサイズを着用してもずり落ちないようウエストには調整ボタンを付けた」。生地は耳まで使うことで裁断くずを極力減らしている。その裁断くずは工場から引き取り、現在は品川区のハンドメイドショップママズの家に提供してハンドメイド作家に活用してもらっているという。「今後もハンドメイド作家の方に活用いただける方法を模索したり、ご自身で修繕を希望されるお客さまに送料負担をいただき郵送させていただくなどを検討している」という。

抱える課題は認知度とトレーサビリティ

「カスリキッズ」の販路は自社ECに加えて、「行動したい(している)人の選択肢の一つになりたいと考えたから」と食品を量り売りで提供する大阪府府中市のビオぐるりと福井県初のゼロウエイストショップのグラムに卸している。そのほか、クラウドファンディングのマクアケなどを利用して受注生産を行う。目下の課題は「認知度向上」だ。「エシカル消費を志向する子育て世代の手に届きやすくするため、原価率を約50%としている。そのため基本的に自社ECが販路となるが、認知度を高めるために訪日外国人向けのギフトショップやセレクトショップ、百貨店など感度の高い方に向けてもアプローチしていきたい」と意欲的だ。「将来的にはクラウドファンディングによる受注生産を軸に必要な人に必要な分だけ届けたい」。販売は始まったばかりでマクアケでの購入者への納品は10月末を予定する。もう一つの課題はトレーサビリティだ。「トレーサビリティを担保したオーガニック綿糸で肉厚な生地を作るのが難しい。肉厚な生地を作ることを第一に考えれば他の糸の選択肢もあるかもしれないが、トレーサビリティは譲れない」。端切れのトレーサビリティ実現も難しい。「少なくともゼロから作る素材に関してはオーガニックでトレーサブルでありたい」。

立ち上げ時点で回収スキームを確立しているが仕組み作りは手間がかかるし簡単ではない。「アパレルブランドをやりたくて始めているのではなく、気候危機に対してアクションを起こすため、大量生産大量消費を是正したくて始めたから」。自身も子育てする中であると助かるサービスを実現したともいえる。「手放す先(回収サービス)があることが大切だと考えた。古物商許可を得たので中古販売やレンタルも行う予定だ。いいものを大事に着続ける場を提供したい」。例えば下取りは「再販価格の25%を予定しているというが、ポイントとして付与するのか、下取りはせずに回収のみとするかは検討中」だといい、染め直しは「池田絣工房や富山で藍から育てている企業仲間の『アイヤ(AIYA)』を検討している」という。「気候変動は『カスリキッズ』だけでは解決できる問題ではない。同じ志を持つ方々と協力しながらリジェネラティブな世界を目指したい」。

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梶原加奈子が「日本の産地を考える」有志の研究会をスタート

テキスタイルデザイナーでテキスタイルデザインスタジオKDSの梶原加奈子・代表は7月14日、浅野撚糸の運営する「スーパーゼロスタジオ」(東京・青山)でイベント「ファクトリーの未来づくり」を実施した。前半に岐阜の染色・加工企業の木曽川染絨をゲストに迎えたシンポジウム、後半にワークショップを組み合わせたイベントで、研究者や編集者、学生など約20人が集まった。梶原デザイナーは「日本の繊維のものづくりの危機感から衝動的に思い立って始めたイベントで、ストリーズで告知しただけだが定員がすぐに埋まってしまった。今後も2カ月に1回のペースで実施していく」という。

前半のシンポジウムでは、日本の繊維産地分布やアパレル製品の国産比率が1.5%(流通量比)であること、後継者難、人手不足などの日本の繊維産業を取り巻く環境に触れた上で、木曽川染絨がファクトリーブランド「kiso」に取り組むことになった背景を紹介した。同社は、日本の毛織物産地として知られる尾州(愛知県一宮市と岐阜県羽島市の一部)に位置しており、ウールや合繊などの複合素材の染色・加工に強みがある。受注加工が大半を占めるが、ファクトリーブランド「kiso」の展開と並行して、オープンファクトリーにも積極的に行っており、クラフトツーリズム/産業ツーリズムにも取り組んでいる。シンポジウムのパネラーの一人として参加した今尾学・工場長からは「生き残るために必要なのは、まずは会社を知ってもらうこと」と話した。

後半のワークショップでは、参加者が自己紹介とともに植物染色や今後の日本の繊維企業の生き残り策などについて話した。

同イベントは今後も2カ月に1回のペースで実施予定で、今後の予定は梶原代表のインスタグラム(@kanakokajihara)などで公開する。梶原代表は「今回は初回のキックオフイベント。今後も問題意識を持った濃いグループとして定期的にワークショップを行っていく」という。

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梶原加奈子が「日本の産地を考える」有志の研究会をスタート

テキスタイルデザイナーでテキスタイルデザインスタジオKDSの梶原加奈子・代表は7月14日、浅野撚糸の運営する「スーパーゼロスタジオ」(東京・青山)でイベント「ファクトリーの未来づくり」を実施した。前半に岐阜の染色・加工企業の木曽川染絨をゲストに迎えたシンポジウム、後半にワークショップを組み合わせたイベントで、研究者や編集者、学生など約20人が集まった。梶原デザイナーは「日本の繊維のものづくりの危機感から衝動的に思い立って始めたイベントで、ストリーズで告知しただけだが定員がすぐに埋まってしまった。今後も2カ月に1回のペースで実施していく」という。

前半のシンポジウムでは、日本の繊維産地分布やアパレル製品の国産比率が1.5%(流通量比)であること、後継者難、人手不足などの日本の繊維産業を取り巻く環境に触れた上で、木曽川染絨がファクトリーブランド「kiso」に取り組むことになった背景を紹介した。同社は、日本の毛織物産地として知られる尾州(愛知県一宮市と岐阜県羽島市の一部)に位置しており、ウールや合繊などの複合素材の染色・加工に強みがある。受注加工が大半を占めるが、ファクトリーブランド「kiso」の展開と並行して、オープンファクトリーにも積極的に行っており、クラフトツーリズム/産業ツーリズムにも取り組んでいる。シンポジウムのパネラーの一人として参加した今尾学・工場長からは「生き残るために必要なのは、まずは会社を知ってもらうこと」と話した。

後半のワークショップでは、参加者が自己紹介とともに植物染色や今後の日本の繊維企業の生き残り策などについて話した。

同イベントは今後も2カ月に1回のペースで実施予定で、今後の予定は梶原代表のインスタグラム(@kanakokajihara)などで公開する。梶原代表は「今回は初回のキックオフイベント。今後も問題意識を持った濃いグループとして定期的にワークショップを行っていく」という。

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夏休みの課題にも最適!? 伊藤忠のSDGsをアップル「Vision Pro」で体験

伊藤忠商事は7月18日から、東京本社(東京・青山)に隣接する「ITOCHU SDGs STUDIO」に、繊維カンパニーから食料品カンパニー、第8カンパニー(ファミリーマート)まで全8部門のSDGsの取り組みを紹介する「地球のあした観測所」をオープンする。「地球全体の課題を、当社の事業と絡めながら提示することで、来場者に課題をどう解決していくのか、その手がかりを提供したい」(同社広報)という。繊維事業であれば繊維to繊維のケミカルリサイクル事業「レニュー」など各部門の取り組みを映像中心のブース形式で紹介するとともに、「アップル・ビジョン・プロ(Apple Vision Pro)」を使った没入型のプレゼンテーションも行ない、子ども
体験しながら理解できるようになっている。「SDGs STUDIO」は期間限定のイベントが中心だったが、この「地球のあした観測所」は常設型の展示で、9月23日まで。

繊維カンパニーは「レニュー」のほか、混紡素材などの天然繊維と合繊がミックスされ循環型のリサイクルが難しい製品を、ス化して化学品原料などとして再利用する「アルケミープロジェクト」を紹介する。「アルケミープロジェクト」はプラスチックをガス化することで再資源化するもので、通常の化石燃料に比べて80%以上の二酸化炭素の排出量を削減できるもの。繊維カンパニーが主導する衣料分野では企業ユニフォームの回収などを中心に10社がすでに参加しており、「現在は100社近くが検討してている」(同社担当者)という。

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榮倉奈々「ニューナウ」でお買い物、ケリングのピッチで胸熱、WWFで18歳から叱咤激励【向千鶴サステナDが行く】


向千鶴サステナビリティ・ディレクターによる連載第2回は、榮倉奈々さん率いる「ニューナウ(NEWNOW)」の受注会、手に汗握る「ケリング・ジェネレーション・アワード」のピッチイベント、本音トークが炸裂したワンオー松井とのポッドキャスト収録、パンダでお馴染み環境保全団体のWWF(世界自然保護基金)ジャパンのセミナーなどをお届けします。サステナビリティは発展途上。とにかく人に会って、新しい考え方をインプットしてもらって、自分なりに咀嚼する毎日です。

旧知の仲に独立の意図を問われ、本音がもれる

新ポッドキャスト「イコーランド」にゲスト出演(6/5)


ワンオーがVAZと共同でYouTubeポッドキャストチャンネル「イコーランド(equaland)」の配信を開始し、最初のゲストとして出演しました。ナビゲーターが旧知の仲である松井智則ワンオー代表(写真左)なだけに、気が緩みしゃべりまくり。

実はわたくし、「WWDJAPAN」を発行するINFASパブリケーションズを7月末付けで退社し独立するのですが、24年間務めた会社なだけに話は当然「なぜ?」となるわけで、熱く語りました。ほかにも「なぜサステナビリティ・ディレクターを名乗ることにしたの?」など素朴な疑問を投げかけてもらい、思考が整理されて頭がスッキリ。普段は質問をする側なので新鮮です。こちらのポッドキャスト、1本目の配信は8月13日で、その後2週間に1本のペースで計5本アップの予定とのこと。ぜひYouTubeから聞いてください!なお私は8月1日以降も「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターを務めますので始めたばかりのこの連載ももちろん継続します。

進行役の菅野沙織さん(写真中)は、ビオティカ代表として数々のスキンケアブランドのプロディースを手掛けている方。彼女が作ったマルチボディオイル「セオリー ピニアル オイル」(写真2枚目)、おススメです。18種類の植物美容成分をブレンドしたそうで朝のメイク前に一滴手のひらに伸ばして顔を包み込むと至福です。

丁寧に商品の魅力を語る榮倉奈々さんに感化されて一着購入

「ニューナウ」2024-25年秋冬コレクション受注会(6/6)

俳優の榮倉奈々さん率いるアパレルブランド「ニューナウ(NEWNOW)」の2024-25年秋冬コレクションの受注会(完全予約制)は、熱気であふれていました。数台の試着室は常にフル回転。フレンズデーでは榮倉さん自身が接客に立ち、クリエイティブ・ビジョン・ディレクターを務めるスタイリストの上杉美雪さんや、クチュール・デザイナーを務める福屋千春「コート(COATE)」デザイナーとともに製品説明や着こなしアドバイスを熱心に行っています。

榮倉さんは、昨年12月に開催した「WWDJAPANサステナビリティ・サミット」にミューズとしてお迎えし、「ニューナウ」を展開するLAND NKのCEOとしてお話をうかがいました。家族への思いや環境問題、新しい服を生み出すことのへの葛藤、それゆえ受注生産型にした背景などを丁寧にお話しいただいたのですが、中でも私が印象的だったのは、「ニューナウ」の立ち上げ経緯の中で聞いた、「上杉さんや福屋さんのクリエイティブを守るのが私の役割」という言葉。これは、これまでの取材の中で、ビジネスが好調なブランドのCEOから聞いてきた言葉でもあります。アパレルは、ビジネスとクリエイションの両輪が対等に回って成功するもの。その素地を、創業間もない「ニューナウ」に見ました。

サステナビリティについは「奥が深く、また見る人の角度や立場によっても答えが変わってくる。ただ、小さくてもとにかく続けることが大切だと信じ、自分を鼓舞しています」と語っていた榮倉さん。今季は“ニュー スタンダード ナウ”をテーマに、メンズライクなトレンチコートなど長く着られそうな定番アイテムが充実していました。また、化学染料・漂白剤・柔軟剤不使用で、綿花本来の風合いがわかるカラードオーガニックコットンを使用した「アンダイド(UNDYED)」のカットソーや、ユーズド繊維廃棄物を100%使用した「ブリコ(BRICO)」とコラボしたポーチなどを用意。私はシルエットがきれいで着回しが利くパンツを購入しました。秋が楽しみです。

起業家たちの熱いピッチを聞き脳が覚醒させる

「ケリング・ジェネレーション・アワード」ピッチイベント(6/4)

「ケリング・ジェネレーション・アワード」のアドバイザリーボードを務めており、この日は、1回目のピッチイベントが、東京・虎ノ門のCIC Instituteで開かれ、新しい才能との出会いが楽しみ過ぎて、意気揚々と向かいました。

対象は日本のスタートアップ企業で、目的は「ラグジュアリー、ファッション、ビューティ分野における持続可能なイノベーションの加速」です。テーマにより2つのグループに分かれており、この日はグループA(代替原材料・素材&製造工程)で書類審査を通過した11組がピッチを行いました。リリースに「有望なスタートアップ・研究者」とありますが、まさにその通り。情熱を注いでいるプロジェクトをたった5分でまとめて初対面の人から理解を得るなんて、簡単じゃない。でも全参加者がそれをやってのけていました。全部聞き終わった後はスポーツ観戦後のような爽快感で、脳が刺激されまくりです。

参加したのはピッチ順で下記の人たちです。社名/スピーカー
#1 FiberCraze/長曽我部竣也 社長
#2アルガルバイオ/小田康太郎 事業開発グループ チームリーダー
#3ファーメンステーション/酒井里奈 代表取締役
#4 esa/黒川周子CEO
#5 KAPOK JAPAN/深井喜翔 代表取締役 CEO
#6 マイクロバイオファクトリー/清雅士 代表取締役
#7 ユナイテッドシルク/河合崇代 社長
#8 AMPHIBIO LTD/亀井潤 CEO
#9 金沢大学/高橋憲司 教授
#10 Synflux/川崎和也 代表取締役CEO
#11 aiESG/キーリー アレクサンダー 竜太 取締役兼チーフリサーチャー

スタートアップと聞くと、年齢が若い起業家を想像するかもしれませんが、ここはそうとも限らず50代の登壇者もいます。社会をより良くしたいと願い、アイデアを磨き、世に放つその行動は、熱量と実績とヴィジョンから構成されるもの。年齢じゃないのですよね経験は武器になりますが、出てくるアイデアがフレッシュでなければ受賞はできませんから平等です。結果発表まではしばしお待ちください。

18歳の言葉「労働環境が守られている服作りを心がけてほしい」が刺さる

WWFセミナー「持続可能な事業モデルへの転換に企業が果たすべき役割とは」(6/5)


パンダでおなじみ、そして「WWD」とは一時違いである「WWF」の正式名称は、「公益財団法人世界自然保護基金ジャパン」です。彼らは産業活動が生物多様性の保存と密接であることを各種のセミナーを通じて熱心に伝えています。(ちなみに、淡水の生き物の豊かさはこの50年で83%減だそう!)。

この日はずばり、「繊維・ファッション産業の持続可能な事業モデルへの転換に企業が果たすべき役割とは」をテーマに、特に日本国内のGOTS認証の導入事例についてセミナーを開きました。GOTSは「ゴッツ」と読みます。オーガニックコットンの話題が出たときに「ゴッツを取得している」という表現を聞いたことがあるかもしれません。Global Organic Textile Standardの略称で、その名の通り、オーガニック繊維の加工基準であり、繊維製品のバリューチェーン全体にわたり環境・人権・社会的要件を厳格に策定している非営利団体です。

セミナーではGOTS認証を導入した企業が「なぜ、どうやって」をシェア。中でも小規模事業者がグループで取得する認証スキームを活用した三恵メリヤスの三木健専務取締役の話は引き込まれました。世界に出てゆくためには、品質の良さだけでは不十分。それを知らしめる手段を持たねば、ですよね。認証はその一つで「やればできる」の一言です。

また、学生団体「やさしいせいふく」を運営する18歳の福代美乃里さんのまっすぐな情熱もまぶしかった。「自分がおしゃれを楽しむことが誰かの不幸につながっている、そんな服を着たくないから活動を始めた」と福代さん。文化祭などで使うクラスTシャツをGOTS認証を受けたオーガニックコットンで作り、その際にインドの綿農家や工場労働者とオンラインでつながりトレーサビリティをとったそう。Tシャツを販売する理由は同年代に伝えたい以上に、企業や大人へのメッセージであると福代さん。「ちゃんと労働環境が守られていて環境問題がおこっていない服作りを心がけてほしい」。その口調が優しいだけに、叱咤激励が大人たちの胸をえぐります。しかと受け止めました。

我らの特集と「トヨタ」の冊子が見事なシンクロ!

「サステナビリティ基礎&最新用語65」特集発売(5/27)

サステナビリティ界隈は交流会(=飲み会)が多いです。「サステナビリティ」を推進しようと奮闘する人たちが集まって熱く語り合う場、という意味での飲み会です。正解がない世界であり、価値を作ってゆく過程なのでオープンリソースの環境が欠かせません。課題や手の内を出し合い、意見し合い、刺激を与え&もらう、そんなフラットな関係が築きやすいし大切です。ある日の飲み会で、トヨタの方と知り合い、アップサイクの冊子を頂戴しびっくり! 5月27日に発売した「WWDJAPAN」のサステナビリティ特集の表紙とシンクロしています。

「TOYOTA UPCYCLE」は車のパーツを分解しならべた写真であるのに対して、「WWDJAPAN」は「ヘレン カーカム(HELEN KIRKUM)」 によるスニーカーをパーツに分解した写真です。いずれもゴミをゴミではなく資源としてとらるアップサイクルの考えを表現したもの。製品は異なってもパーツに分解してゆくと近いものがあるという点が とても興味深いです。

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榮倉奈々「ニューナウ」でお買い物、ケリングのピッチで胸熱、WWFで18歳から叱咤激励【向千鶴サステナDが行く】


向千鶴サステナビリティ・ディレクターによる連載第2回は、榮倉奈々さん率いる「ニューナウ(NEWNOW)」の受注会、手に汗握る「ケリング・ジェネレーション・アワード」のピッチイベント、本音トークが炸裂したワンオー松井とのポッドキャスト収録、パンダでお馴染み環境保全団体のWWF(世界自然保護基金)ジャパンのセミナーなどをお届けします。サステナビリティは発展途上。とにかく人に会って、新しい考え方をインプットしてもらって、自分なりに咀嚼する毎日です。

旧知の仲に独立の意図を問われ、本音がもれる

新ポッドキャスト「イコーランド」にゲスト出演(6/5)


ワンオーがVAZと共同でYouTubeポッドキャストチャンネル「イコーランド(equaland)」の配信を開始し、最初のゲストとして出演しました。ナビゲーターが旧知の仲である松井智則ワンオー代表(写真左)なだけに、気が緩みしゃべりまくり。

実はわたくし、「WWDJAPAN」を発行するINFASパブリケーションズを7月末付けで退社し独立するのですが、24年間務めた会社なだけに話は当然「なぜ?」となるわけで、熱く語りました。ほかにも「なぜサステナビリティ・ディレクターを名乗ることにしたの?」など素朴な疑問を投げかけてもらい、思考が整理されて頭がスッキリ。普段は質問をする側なので新鮮です。こちらのポッドキャスト、1本目の配信は8月13日で、その後2週間に1本のペースで計5本アップの予定とのこと。ぜひYouTubeから聞いてください!なお私は8月1日以降も「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターを務めますので始めたばかりのこの連載ももちろん継続します。

進行役の菅野沙織さん(写真中)は、ビオティカ代表として数々のスキンケアブランドのプロディースを手掛けている方。彼女が作ったマルチボディオイル「セオリー ピニアル オイル」(写真2枚目)、おススメです。18種類の植物美容成分をブレンドしたそうで朝のメイク前に一滴手のひらに伸ばして顔を包み込むと至福です。

丁寧に商品の魅力を語る榮倉奈々さんに感化されて一着購入

「ニューナウ」2024-25年秋冬コレクション受注会(6/6)

俳優の榮倉奈々さん率いるアパレルブランド「ニューナウ(NEWNOW)」の2024-25年秋冬コレクションの受注会(完全予約制)は、熱気であふれていました。数台の試着室は常にフル回転。フレンズデーでは榮倉さん自身が接客に立ち、クリエイティブ・ビジョン・ディレクターを務めるスタイリストの上杉美雪さんや、クチュール・デザイナーを務める福屋千春「コート(COATE)」デザイナーとともに製品説明や着こなしアドバイスを熱心に行っています。

榮倉さんは、昨年12月に開催した「WWDJAPANサステナビリティ・サミット」にミューズとしてお迎えし、「ニューナウ」を展開するLAND NKのCEOとしてお話をうかがいました。家族への思いや環境問題、新しい服を生み出すことのへの葛藤、それゆえ受注生産型にした背景などを丁寧にお話しいただいたのですが、中でも私が印象的だったのは、「ニューナウ」の立ち上げ経緯の中で聞いた、「上杉さんや福屋さんのクリエイティブを守るのが私の役割」という言葉。これは、これまでの取材の中で、ビジネスが好調なブランドのCEOから聞いてきた言葉でもあります。アパレルは、ビジネスとクリエイションの両輪が対等に回って成功するもの。その素地を、創業間もない「ニューナウ」に見ました。

サステナビリティについは「奥が深く、また見る人の角度や立場によっても答えが変わってくる。ただ、小さくてもとにかく続けることが大切だと信じ、自分を鼓舞しています」と語っていた榮倉さん。今季は“ニュー スタンダード ナウ”をテーマに、メンズライクなトレンチコートなど長く着られそうな定番アイテムが充実していました。また、化学染料・漂白剤・柔軟剤不使用で、綿花本来の風合いがわかるカラードオーガニックコットンを使用した「アンダイド(UNDYED)」のカットソーや、ユーズド繊維廃棄物を100%使用した「ブリコ(BRICO)」とコラボしたポーチなどを用意。私はシルエットがきれいで着回しが利くパンツを購入しました。秋が楽しみです。

起業家たちの熱いピッチを聞き脳が覚醒させる

「ケリング・ジェネレーション・アワード」ピッチイベント(6/4)

「ケリング・ジェネレーション・アワード」のアドバイザリーボードを務めており、この日は、1回目のピッチイベントが、東京・虎ノ門のCIC Instituteで開かれ、新しい才能との出会いが楽しみ過ぎて、意気揚々と向かいました。

対象は日本のスタートアップ企業で、目的は「ラグジュアリー、ファッション、ビューティ分野における持続可能なイノベーションの加速」です。テーマにより2つのグループに分かれており、この日はグループA(代替原材料・素材&製造工程)で書類審査を通過した11組がピッチを行いました。リリースに「有望なスタートアップ・研究者」とありますが、まさにその通り。情熱を注いでいるプロジェクトをたった5分でまとめて初対面の人から理解を得るなんて、簡単じゃない。でも全参加者がそれをやってのけていました。全部聞き終わった後はスポーツ観戦後のような爽快感で、脳が刺激されまくりです。

参加したのはピッチ順で下記の人たちです。社名/スピーカー
#1 FiberCraze/長曽我部竣也 社長
#2アルガルバイオ/小田康太郎 事業開発グループ チームリーダー
#3ファーメンステーション/酒井里奈 代表取締役
#4 esa/黒川周子CEO
#5 KAPOK JAPAN/深井喜翔 代表取締役 CEO
#6 マイクロバイオファクトリー/清雅士 代表取締役
#7 ユナイテッドシルク/河合崇代 社長
#8 AMPHIBIO LTD/亀井潤 CEO
#9 金沢大学/高橋憲司 教授
#10 Synflux/川崎和也 代表取締役CEO
#11 aiESG/キーリー アレクサンダー 竜太 取締役兼チーフリサーチャー

スタートアップと聞くと、年齢が若い起業家を想像するかもしれませんが、ここはそうとも限らず50代の登壇者もいます。社会をより良くしたいと願い、アイデアを磨き、世に放つその行動は、熱量と実績とヴィジョンから構成されるもの。年齢じゃないのですよね経験は武器になりますが、出てくるアイデアがフレッシュでなければ受賞はできませんから平等です。結果発表まではしばしお待ちください。

18歳の言葉「労働環境が守られている服作りを心がけてほしい」が刺さる

WWFセミナー「持続可能な事業モデルへの転換に企業が果たすべき役割とは」(6/5)


パンダでおなじみ、そして「WWD」とは一時違いである「WWF」の正式名称は、「公益財団法人世界自然保護基金ジャパン」です。彼らは産業活動が生物多様性の保存と密接であることを各種のセミナーを通じて熱心に伝えています。(ちなみに、淡水の生き物の豊かさはこの50年で83%減だそう!)。

この日はずばり、「繊維・ファッション産業の持続可能な事業モデルへの転換に企業が果たすべき役割とは」をテーマに、特に日本国内のGOTS認証の導入事例についてセミナーを開きました。GOTSは「ゴッツ」と読みます。オーガニックコットンの話題が出たときに「ゴッツを取得している」という表現を聞いたことがあるかもしれません。Global Organic Textile Standardの略称で、その名の通り、オーガニック繊維の加工基準であり、繊維製品のバリューチェーン全体にわたり環境・人権・社会的要件を厳格に策定している非営利団体です。

セミナーではGOTS認証を導入した企業が「なぜ、どうやって」をシェア。中でも小規模事業者がグループで取得する認証スキームを活用した三恵メリヤスの三木健専務取締役の話は引き込まれました。世界に出てゆくためには、品質の良さだけでは不十分。それを知らしめる手段を持たねば、ですよね。認証はその一つで「やればできる」の一言です。

また、学生団体「やさしいせいふく」を運営する18歳の福代美乃里さんのまっすぐな情熱もまぶしかった。「自分がおしゃれを楽しむことが誰かの不幸につながっている、そんな服を着たくないから活動を始めた」と福代さん。文化祭などで使うクラスTシャツをGOTS認証を受けたオーガニックコットンで作り、その際にインドの綿農家や工場労働者とオンラインでつながりトレーサビリティをとったそう。Tシャツを販売する理由は同年代に伝えたい以上に、企業や大人へのメッセージであると福代さん。「ちゃんと労働環境が守られていて環境問題がおこっていない服作りを心がけてほしい」。その口調が優しいだけに、叱咤激励が大人たちの胸をえぐります。しかと受け止めました。

我らの特集と「トヨタ」の冊子が見事なシンクロ!

「サステナビリティ基礎&最新用語65」特集発売(5/27)

サステナビリティ界隈は交流会(=飲み会)が多いです。「サステナビリティ」を推進しようと奮闘する人たちが集まって熱く語り合う場、という意味での飲み会です。正解がない世界であり、価値を作ってゆく過程なのでオープンリソースの環境が欠かせません。課題や手の内を出し合い、意見し合い、刺激を与え&もらう、そんなフラットな関係が築きやすいし大切です。ある日の飲み会で、トヨタの方と知り合い、アップサイクの冊子を頂戴しびっくり! 5月27日に発売した「WWDJAPAN」のサステナビリティ特集の表紙とシンクロしています。

「TOYOTA UPCYCLE」は車のパーツを分解しならべた写真であるのに対して、「WWDJAPAN」は「ヘレン カーカム(HELEN KIRKUM)」 によるスニーカーをパーツに分解した写真です。いずれもゴミをゴミではなく資源としてとらるアップサイクルの考えを表現したもの。製品は異なってもパーツに分解してゆくと近いものがあるという点が とても興味深いです。

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JSFAがサステナビリティ推進に向けた政策提言 故衣料の行政回収ガイドラインなど求める


ジャパンサステナブルファッションアライアンス(以下、JSFA)はこのほど、「ファッション産業におけるサステナビリティ推進に向けた政策提言書」をまとめ、JSFA のパブリックパートナーである環境省、経済産業省、消費者庁に提出し、受理された。「資源循環」に焦点を当てた内容で、故衣料を「ごみ」ではなく「資源」ととらえ活用してゆくために必要な官民の連携や、生活者の行動変容につなげる仕組みづくり、幅広い産業関係者と行政との定期的な意見交換の場の設置などを提言した。

行政回収に係るガイドラインの策定を求める

提言は行政が発表した2つの報告書への意見、という形で出されている。1つは、2023年9月に公表された「繊維製品における資源循環システム検討会報告書」で、なかでも衣料品の行政回収についてフォーカスし新たに「行政回収に係るガイドライン」の策定を環境省に求めた。これは、濡れたり汚たりしたことで再資源化に適さない回収品が発生している現状を受けたもので、「全国規模での行政回収での回収品の品質向上は故衣料品の廃棄量削減に大きく貢献する」としている。具体的には、衣類回収事業者のノウハウを自治体の回収基準に反映し、回収物の品質の底上げを図る。そのためのガイドラインの策定と生活者に向けた周知・啓発を求めている。

また、衣料品の回収・再利用にあたっては、故衣料品が「もっぱら物」に該当するか否かは自治体ごとに異なっており、事業者が戦略的に資源循環を進める阻害要因となっている。この現状を改善して回収事業を促進するため、故衣料品の取扱いに関する統一した見解を求めたものだ。さらに、故衣料品が資源として活用されることが生活者に伝わるよう、回収後のトレーサビリティに関する情報公開基準についてルール整備を求めた。

リサイクル繊維開発にインセンティブ制度導入を求める

また経済産業省に対しては、回収された故衣料品の分別が手作業で行われている現状を踏まえ、高度な自動選別技術開発の研究費の補助、新技術導入に際しての補助金交付の検討を希望した。

加えて、リサイクル繊維の用途開発のための技術開発に関しても研究費の補助や、事業者間で競うコンペティションの開催など、産官学が協働した研究開発の促進につながる施策を求める。また、リサイクル繊維の原材料がバージン材よりも高価な現状を踏まえ、技術開発費などのコスト増を吸収するインセンティブ制度の検討を求めた。これにより「各企業における繊維再生研究が促進され、新たな需要の創出・発展が期待できる」としている。

「環境配慮設計ガイドライン」への2つの改定提案

提言の対象となる、もうひとつの報告書は24年3月に発表された「環境配慮設計ガイドライン」である。「これまで未整備であった環境配慮などに対する評価基準。方法に対して、政府が具体的な指針を示したことは、繊維産業における資源循環を促進するもの」と評価したうえで、2つの改訂方針を提案した。

一つ目は、ガイドラインに準拠して設計・製造された製品について、それがどういったものであるかがわかるよう、事例紹介など具体的なガイドラインの運用例を示し、同時に製品の環境負荷低減効果に関する情報開示の方法について具体的に示すことを求めた。

繊維が持つ環境にポジティブな側面も評価を

二つ目は、各繊維がもつ環境にポジティブな側面も評価し、それらを環境配慮設計項目に明確に示すことを求めた。特に天然繊維に関するポジティブな影響評価を求めている。「現状の環境配慮設計項目は基本的に、それぞれの繊維が持つ環境へのネガティブな影響を減らすために設定されている。これは環境負荷を定量的に評価する手法(LCA)に基づいているが、こうした手法は環境へのポジティブな影響を評価しておらず、持続可能性の実現のためには不十分。例えばある種の植物や羊毛は再生産が容易で、短サイクルで繰り返し採取が可能であるため、一定の数量を確保するための環境への負荷は他の原料と比して少なく、影響は限定的だ。繊維それぞれの環境への影響を判断する上で、こうしたポジティブな側面を評価に加える手法が望まれる」としている。

さらに、ガイドラインに準拠した製品が、準拠していない製品と比較し割高になっている間は、準拠した製品を扱う事業に補助金支給を希望するとともに、ガイドラインの趣旨やその価値について、生活者の認知向上を目的とした官民連携の啓発活動の実施を求める。

環境負荷算定は原単位や算定のための計算方法の開発

繊維製品における環境負荷算定に関しても提言を行った。「環境配慮設計ガイドライン」では、製品のライフサイクル全体または各段階における環境負荷を定量的に評価する手法(LCA)を普及させることが明記されている。これを可能とするため、原単位(*編集部注:一定量の製品を生産するのに必要な、原材料やエネルギーの量を表す単位)や算定のための計算方法の開発や、リサイクル繊維活用による環境負荷削減効果の明示を求めた。これにより「素材ごとに定量的に環境負荷を比較することが可能となり、より環境負荷の低いリサイクル繊維の利活用並びに開発が促進されると期待される」としている。

【JSFA会員企業】
正会員24社:アダストリア、アーバンリサーチ、伊藤忠商事、エコミット、倉敷紡績、クラレトレーディング、 ゴールドウイン、ザ・ウールマーク・カンパニー、CFCL、JEPLAN、鈴木商会、スタイレム、スパイバー、タキヒヨー、ZOZO、帝人フロンティア、東レ、豊島、福助、丸紅、モリリン、ヤギ、ユナイテッドアローズ、YKK

賛助会員41社:AOKIホールディングス、旭化成アドバンス、アシックス、一広、SGSジャパン、エプソン、カケンテストセンター、清原、cross Ds Japan、グローブライド、グンゼ、コーベル、コニカミノルタ、サザビーリーグ、サルト、シキボウ、セイコーエプソン、タカキュー、瀧定名古屋、Chrgeurs PCC、TSIホールディングス、東京吉岡、日華化学、日東紡アドバンテック巣、日本化薬、日本生活協同組合連合会、日本繊維製品品質技術センター、ハイケム、長谷虎紡績、バリュエンスホールディングス、V&A Japan、フクル、Free Standard、ブックオフグループホールディングス、ボーケン品質評価機構フジックス、ブックオフグループホールディングス、ボーケン品質評価機構、メンケン品質検査協会、ヤマダヤ、郵船ロジスティクス、リファインバース、良品計画

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「ヘリーハンセン」と「ミナ ペルホネン」がコラボ 着心地と利便性を兼ね備えた商品を展開

「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」は、ファッションブランド「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」とのコラボレーション商品を7月12日に発売する。「ヘリーハンセン」の店舗やゴールドウインのオンライン、「ミナ ペルホネン」のオンラインや一部直営店舗などで販売する。

本コラボは未来を見据えたモノつくりを通じて、より多くの人々に環境配慮の大切さを伝えたいという想いから実現した。商品の素材にもこだわり、海洋汚染や土壌汚染を防ぐために生まれた海洋回収ペットボトルを原料とした「UpDRIFT(R)」や、漁網をリサイクルした素材を採用。こだわりの着心地と利便性を兼ね備え、日常からアウトドアまでシームレスに過ごせる、新たなライフスタイルを提案する。

ゆったりとしたシルエットに仕上げた水陸両用のフーディトップス(1万9800円)、ルーズなフィット感に仕上げた、水陸両用のフルジップラッシュガード(1万1000円)、タックが入ったワンピースタイプの水着(2万2000円)、タウンユースはもちろん、水辺のスタイルや水遊びにも使えるシャツ(1万7600円)やワンピース(2万6400円)、速乾性と伸縮性を備えたTシャツ(9350円)などをラインアップする。

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「ヘリーハンセン」と「ミナ ペルホネン」がコラボ 着心地と利便性を兼ね備えた商品を展開

「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」は、ファッションブランド「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」とのコラボレーション商品を7月12日に発売する。「ヘリーハンセン」の店舗やゴールドウインのオンライン、「ミナ ペルホネン」のオンラインや一部直営店舗などで販売する。

本コラボは未来を見据えたモノつくりを通じて、より多くの人々に環境配慮の大切さを伝えたいという想いから実現した。商品の素材にもこだわり、海洋汚染や土壌汚染を防ぐために生まれた海洋回収ペットボトルを原料とした「UpDRIFT(R)」や、漁網をリサイクルした素材を採用。こだわりの着心地と利便性を兼ね備え、日常からアウトドアまでシームレスに過ごせる、新たなライフスタイルを提案する。

ゆったりとしたシルエットに仕上げた水陸両用のフーディトップス(1万9800円)、ルーズなフィット感に仕上げた、水陸両用のフルジップラッシュガード(1万1000円)、タックが入ったワンピースタイプの水着(2万2000円)、タウンユースはもちろん、水辺のスタイルや水遊びにも使えるシャツ(1万7600円)やワンピース(2万6400円)、速乾性と伸縮性を備えたTシャツ(9350円)などをラインアップする。

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「ディオール」のバッグのサプライヤーが人権侵害 中国系の下請け企業が最低賃金以下で工員雇用

「ディオール(DIOR)」のハンドバッグを製造するイタリアの工場が、サプライヤー企業で発生した人権侵害により1年間、行政の監督下に置かれることになった。なお、その期間中も「ディオール」のハンドバッグを製造することは認められている。調査によれば、同ブランドの親会社LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁するクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)のイタリアの子会社で、バッグなどの生産を行うマニュファクチャラーズ ディオール(MANUFACTURERS DIOR)のサプライヤーである中国系の下請け企業が最低賃金以下で工員を雇用し、「倫理的に認められない衛生状況下」で過負荷状態の機械を稼働させていたことが明らかになった。加えて、工場の電力消費履歴から休日も含めて24時間稼働していたこともわかった。

調査対象となったのは、マニュファクチャラーズ ディオールの直接のサプライヤーであるダヴィデ アルベルタリオ ミラノ(DAVIDE ALBERTARIO MILANO)とペレテリア エリザベッタ ヤング(PELLETTERIA ELISABETTA YANG)、サブコントラクターのAZオペレーションズ(AZ OPERATIONS)とニューレザーイタリー(NEW LEATHER ITALY)。4社ともミラノ郊外に工場を持ち、不法滞在の移民を正式な労働契約なしに雇用していた。なお、現在はいずれも操業を一時停止している。

本件について、LVMHのコメントは得られなかった。

今年1月には、イタリアのアパレルブランド「アルヴィエロ マルティーニ(ALVIERO MARTINI)」が、そして4月にはジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)の製造を担うジョルジオ アルマーニ オペレーションズ(GIORGIO ARMANI OPERATIONS)がミラノ裁判所によって同様の措置を受けている。

イタリアの繊維産業の中心地であるトスカーナ州のプラートは、中国人の移民が多く住んでいることから“リトル・チャイナ”と呼ばれている。同地域に拠点を持つ中国系企業は、同業のイタリア企業と比較してスピード、生産性、価格の面で優位性を保ってきたが、こうした成功の一部は労働搾取の上に成り立っているといわれている。

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マッシュスタイルラボ 中国の工場で進む省エネ行動 決め手はポスター

マッシュスタイルラボは、2022年に立ち上げた「マッシュスタイルラボ サステナブルアライアンス」の取り組みとして、サプライヤーにおけるCO2排出量削減の活動を広げている。同アライアンスは6社が参加する原料調達・生産工程と、4社から成る流通過程があり、それぞれに適した排出量削減のアプローチを実施している。

中国の工場に浸透する監査基準

アライアンスに参加する10社とともに、独自基準の工場監査「マッシュスタイルラボ サステナブル工場監査基準」の仕組みを整え、23年9月には対象となる約100工場の初回認定を終えた。同基準は「工場における再エネ調達の推進」「省エネに対する意識の向上」などCO2排出削減につながる39の監査項目を設け、取得ポイントの上位から4段階でランクを設定。合不ではなく基準を設けることで改善することを目的としている。上位ランクの工場で製造され、2024年7月以降に販売する商品については、商品下げ札に「ECO FACTORY」のアイコンを掲載し、顧客にとって分かりやすい訴求を始める。

項目内容の多くは工場で働く従業員の日々の行動と関係するため、認定証の交付時には、イラスト入りの大きなポスター2種も作成し周知をうながした。今では工場のいたるところでそのポスターが貼られている。「“やってください”という指示型ではなく、“取り組んでくれてありがとう”というお礼のメッセージを大切にした」と岩木久剛執行役員生産管理本部本部長。「 こちらからやってほしいという指示として伝えるのではなく、 “未来の子供のためにちゃんと温暖化を食い止めたい”という思いを理解してもらえるようなコミュニケーションにしたところ、デザインも功を奏し、共感を得られた」と現地の反響を振り返る。「驚いたのは、工場の近くの料理店に行ったら、僕らが作った節電のポスターのコピーが貼られていたこと。一度共感を得られると広がるのは速い」という。

植林によるオフセットを始動

一方、生産・流通部門では原材料をのぞいた製造工程で排出したCO2を植林でオフセットする計画だ。同部門の対象はショッピングバッグや副資材など。年間で約1,100万点におよぶ洋服を生産するマッシュスタイルラボでは、対象となる紙のショッピングバッグや襟ネーム、下げ札や品質表示などが相当数となり、それらすべてをオフセットするには1年間の使用量概算に対し、約3000本の植林を行うことになる。

「流通過程における製造段階でのCO2排出量を把握・可視化し、植林によるオフセットを目指そうと考えた。今後さらなる再エネ調達・省エネに取り組むことで植林本数が減っていくため、活動の成果が分かりやすくなることも目指している。」と同本部長。今秋にトライアルをし、来春に本格的に植林を開始する。植林地は同社が寄贈した公園「マッシュパーク 女川」のある宮城県内などを検討中で従業員研修などCSR活動につなげることも検討している。

次の課題はLCAの算定

サプライチェーンにおけるCO2削減を最重要アジェンダに掲げる同アライアンスにとって、次の課題は製品毎のLCA(ライフサイクルアセスメント)の算定だ。LCA は、製品やサービスの原料調達・生産から消費、廃棄、リサイクルに至るまでの過程でどれだけ環境負荷がかかっているかを定量的に表すもの。ただし、衣料品においてはLCAの算出対象も不明瞭なのが現状で、「まずは算定範囲のルール作りが課題」だ。

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目にかけない“シルクサングラス” 石川・小松の小倉織物が発売

シルクジャガードの小倉織物は、端切れのシルクをサングラスのレンズに貼り付けた新しい形の“サングラス”を27日に発売した。

“キヌ グラス(KINU GLASS)”は、サステナビリティの観点から織る際に余ったシルクをレンズに貼り付けている。同社が拠点とする石川県を復興に向けて元気づけたいという思いから石川・小松の眼鏡店「メガネの森」とコラボして制作した。

3万3500円の価格で8種類をラインアップする。通常のサングラスとは異なり目にかけることはできないが、頭にかけたり胸元に差すファッションアイテムとしての着用を推奨している。注文を受けてから職人が手で貼っていくため、受注生産制を採用。該当商品に貼る布がなくなり次第、アイテムの販売は終了する。

小倉織物は1895年に石川・小松で創業したシルクジャガードを手掛ける企業。日本の皇室から海外のロイヤルファミリーへの贈り物などに使用され、「マメ クロゴウチ」のコレクション用生地にも採用されている。2023年7月には、初のファクトリーブランド「オグラ(OGURA)」を立ち上げた。

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ポーラの化粧品が子どもたちの絵の具に 玉川高島屋S・Cでキャンドル作りイベント開催

ポーラと玉川高島屋S・C、静岡県東伊豆町・ニコニコ会、白梅学園大学子ども学部 村上ゼミの産学官4団体による「つながるプロジェクト」は7月7日、玉川高島屋S・Cで子ども向けのキャンドル作りイベントを行う。キャンドルを色付ける絵の具はポーラの化粧品をアップサイクルしたものを使用。メイクアイテムならではの発色をキャンドルで楽しめる。

産学官4団体による「つながるプロジェクト」は子育て支援やまちづくり、地域活性化、持続可能な社会づくりを目的に各所でイベントを開催。今年度はほかにも、10月、2025年2月にイベントを実施する予定だ。今回のイベントはアップサイクル絵の具と塩による色の混ざりを楽しんだり、東伊豆の特産の香りを感じるなど、さまざまな感覚を味わう体験を伝える内容で、3歳から小学生までを対象としている。

化粧品アップサイクル企業に原材料を提供

ポーラの化粧品を原材料とした絵の具は化粧品のアップサイクルを行う企業、モーンガータに提供し製造。廃棄予定のメイクアイテムの粉体をモーンガータの独自技術を活用し、粉末状の絵の具“スミンクアート”に生まれ変わらせた。モーンガータはこれまでにもさまざまなメーカーと協力して化粧品のアップサイクルに取り組んでおり、昨年10月にはコーセーと花王のメイクアップ化粧品を原材料とし、サクラクレパスの技術協力を受けて水性ボールペンを開発するなどしている。

今回のイベントでは実際に粉末絵の具を触り自分で色をつけていくことで、子どもたちの創造性とアップサイクルの重要性と楽しさを伝えていく。参加費は500円で、当日参加も可能。予約申し込みには「たまがわLOOP」会員登録(無料)が必要になる。

「つなぐプロジェクト」イベント概要

■第1回ワークショップ 「まぜまぜぎゅぎゅっと しおキャンドルを作ろう!」

日程:7月7日
時間:11:00~16:00(所要時間 約20分)
場所:玉川高島屋S・C 南館6Fホワイトモール
住所:東京都世田谷区玉川3-17-1
参加費:500円

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大阪の町工場がGOTS認証取得 日本製GOTS製品の生産が可能に

大阪梅田駅近くに工房を構えるカットソー製品の三恵メリヤスは2023年5月、オーガニックテキスタイル世界基準のGOTS(Global Organic Textile Standard )認証を取得した。従業員14人の小さな工場にとって国際認証取得のハードルは高いが、小規模事業者がグループで取得する認証「管理型サプライチェーンスキーム(Controlled Supply Chain Scheme、以下CSCS )」を活用して実現した。

内部監査とグループでの認証取得が可能

WWF(世界自然保護基金)ジャパンとGOTSはこのほど、GOTS CSCSに関連する工場の視察ツアーを実施。メディアや業界関係者にCSCSの意義を伝えた。

GOTS CSCSは、GOTSを開発した4団体の一つ日本オーガニックコットン協会が起案した仕組みで、分業化が進み小さな工場が多い日本で、小規模事業者がGOTS 認証を取得する上でのハードルを下げるために開発され、22年にパイロットプロジェクトが始動した。CSCSの対象は最低8サイト、最大30サイトで構成した事業者で、各サイトの従業員が20人以下であること。現在グローバルでのCSCSの運用も検討中で評価を経て運用を開始する予定だ。CSCSのポイントは内部監査が可能になり、グループでの認証を受けることが可能になった点にある。内部監査を行うことで認証にかかるコストの負担を軽減する。認証取得、または更新の際には第三者の認証機関は内部監査の評価に加え、選定した数サイトで外部監査を行う。

 GOTS認証は綿繰りから紡績、編み・織り、染色、裁断、縫製、仕上げなどを行う全ての工場での個別監査が必要なため、分業制で工程が多い製品は認証取得のハードルが高く、認証取得が困難になっている。日本製でGOTS認証を取得している製品は、糸や生地、最終製品ではベビー服や寝具があったが、現在の認証を取得したアパレル製品の多くは、縫製まで一気通貫型で製造を行う工場が取得していた。

「日本の伝統と品質だけでは難しいと感じていた」

 三恵メリヤスはヴィンテージ調の風合いを再現することを得意とし、スウェットやTシャツといったカットソーの企画・縫製を行う。昔ながらの作り方を再現できる強みから、海外ブランドとの取引が増えている。三木健社長はGOTS CSCS参加の決め手について、「本格的に海外に出るための武器になると考えた。海外輸出が徐々に増えており、日本の古き良きモノ作りの発信はできていたが、それだけでは難しいとも感じていた」と語る。そんなとき、取引先の英国ブランドのデザイナーからの言葉が後押しした。「こだわりがとても強くその理由を聞いたときのこと。『小さいブランドこそやりたいことや必要なことを全力で行わないと戦えない。無名ブランドは最低条件(認証など)をクリアしていないと話も聞いてもらえない』と明かしてくれた。そのブランドからの発注は5年で40倍に増えており、こだわり抜いたモノ作りの姿勢がビジネスの成長を支えていた」と振り返る。さらに「整理整頓、情報整理、社内の意識改革、書類作成能力など審査を通じて世界に通じる工場にしたいとも考えた」。

取得に向けたチームメンバーへの共有

まず、チームメンバーに取得に向けて動き出すことを伝えた。「GOTS認証とは何か?取得することで三恵に何をもたらすかなどを丁寧に伝え、認証取得に重要な整理整頓や分別管理の協力を求めた。価値共有のために活用したのはビジネス本だ。『マンガでわかる!トヨタ式仕事カイゼン術』『マンガで優しくわかる5S』『まんがで身につくPDCA』『トヨタ流「5S」最強のルール』『A4一枚で成果を出す!マンガでわかる経営計画の作り方、進め方』を購入して、チームメンバーみんなで回し読み、読書後に感想を記載してもらった。ただ、PDCAなどは難しくて自社には活かせないなど、チームメンバーからの反応はテーマによって濃淡があった。その後、整理整頓を徹底することから始め、すでに管理されていた帳簿は、よりよい記録の取り方を検討した」。

社内共有の次はCSCSをともに取り組む企業へ協力を要請した。23年の1回目の監査では、生地を編み立てる和歌山の「津村メリヤス」「和田メリヤス」、染色の大阪「V-TEC」、生地の裁断を行う大阪の「白鳩メリヤス」、縫製を行う大阪の「田中メリヤス」、ボタンホールを縫う大阪の「イシカワ縫製」、仕上げの「浜崎プレス」(24年の2回目の監査で高木メリヤスを追加)に対して、三恵メリヤスは申請書などを準備して認証機関に代わり工場が規定に反していないかをチェックする必要がある。「行動指針や各工場が当てはまる部分を拡大コピーして配り、整理整頓は当社のチームメンバーと一緒に手伝いに行った」。実際に足を運び手伝うことで本気度が伝わった。

GOTS認証取得には対象製品と他の製品のラインを分ける必要があり、そのトレーサビリティがポイントになる。「皆さんの仕事の流れを理解したうえで、普段の業務の負担にならないように考えて、GOTS製品を作る際の専用の記録を取るシートを作成し、それを協力工場に配った」。認証取得に向けては人権および社会的要件も重要になる。「最低時給や残業代も確認しなければならない。協力工場で最も給料が少ないスタッフへのインタビューを行うなど、認証取得を目指さない限り、通常は聞くことがないようなことも確認しなければならなかった。先代から取引がある工場さんで、積み重ねた信頼関係があったからこそできた」と振り返る。

「過剰反応し過ぎていた」。取得して気づいたこと

終わってみて思うことは、「日本語情報がなく、全体像が全く見えず、それこそレギュレーションを全部読んで暗記しないと!と過剰反応していた」ということ。「けれど今まで行っていたことを丁寧に見直し、それを認証機関に伝えることで多くのことがクリアできた。僕的にGOTS認証を要約すると『トレーサビリティと社会性を適切に記録して、いつでも見ることができる仕組み作り』。皆が理解しやすく説明することも大切だった」と振り返る。「例えばトレーサビリティを担保するための記録作業は、各工場ですでに伝票を作っているので問題は発生しない。また、すでに各社が残業をなるべくしないように効率化しているため、残業や最低賃金の問題も発生しない。人権問題は国内事業で日本人を雇用しているケースが多いので問題になりにくい。個人経営者も多く、労務上の制限も少ないなど、クリアしやすかった」。

チーム内での変化も起きた。「若手のチームメンバーが、認証が下りたときに『やった!』と喜んでくれるなど、チーム一人ひとりが自分事化できている実感がある。メディアやインタビューに否定的だった工場も少しずつ前向きになり見学を受け入れている」。

 一方、ハードルもある。「国内でGOTS認証の製品が普及していないため、GOTS認証を取得した染料や、漂白する際の添加剤や助剤がそろっていない。そのため、GOTS認証の製品を作ろうとすると、現状は無染色・無漂白の製品しかつくることができない。先日ようやく、脱色しやすくするためにアルカリ化する助剤の認可が下りた。これで白いTシャツを作ることができる。認証を取得してから特に海外からの問い合わせが増えていたが、生成りしかできないことがネックになっていた。GOTS認証に基づく漂白が行えるようになったのは大きな一歩だ。CSCSチームのV-TECさんでの試験を得て製品化していきたい。一つ一つ調べて発信し、相談していくことで徐々にさまざまな課題がクリアできて日本でのものつくりも進化していくのでは」。

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