「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)」が2026-27年秋冬コレクションを発表した。
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バイヤー向けにトピックスを拾います。
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「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」は、「エトロ(ETRO)」とコラボレーションしたフットウエアを発表した。本アイテムは、2月25日にミラノ・ファッション・ウイーク期間中に開催された「エトロ」2026-27年秋冬ランウエイショーで初披露し、9月には両ブランドのオンラインストアならびに直営店舗、一部取り扱い雨店舗での販売を予定している。
本コラボレーションでは、マルコ・デ・ヴィンチェンツォ(Marco De Vincenzo)のクリエイティブディレクションのもと、「エトロ」の象徴するコードであるペイズリーモチーフ、テクスチャー、ディテールなどを「ビルケンシュトック」のクロッグ“ボストン”のシルエットにあしらった。“ボストン”は1976年に発売され、今年で50周年を迎えた。
フットウエアには、刺しゅうのアクセントが施され、長いフリンジやカスタム仕様のウエスタンバックルを配した。アウトソールには、「ビルケンシュトック」のクラシックなボーンパターンと「エトロ」のペイズリーを組み合わせている。トープ、チョコレート、ミンク、ナチュラルトーンのカラーパレットに、メタリックなアクセントと光沢のあるハードウエアを加えた。解剖学に基づいた「ビルケンシュトック」独自のコルクラテックス性フッドベッドは、トータルカラーのレザーで全面を覆い、サポート力と耐久性を備える。
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「プラダ(PRADA)」が2026-27年秋冬コレクションを発表した。
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ラグジュアリーの未来は、どこから生まれるのか。その問いに対する一つの答えが、「ケリング・ジェネレーション・アワード」だ。自社の枠を越え、世界各地のスタートアップとともにネイチャーポジティブ、クライメートポジティブな解決策を育てる。本アワードは、単なる表彰にはとどまらずラグジュアリー業界と革新的な技術をつなぐ場として進化している。なぜ今、イノベーションが資源の価値を再定義するのか。大企業とスタートアップはいかに補完し合えるのか。ジェラルディン・ヴァレジョ ケリング サステナビリティ・プログラム&イノベーション・ディレクターと、初の日本開催で最優秀賞を受賞した酒井里奈ファーメンステーション社長が受賞の舞台裏からフランスでのプログラム体験まで、具体的なエピソードを交えて語った。
(この対談は2026年1月28日に開催した「WWDJAPANサステナビリティ・サミット2026」から抜粋したものです)
WWD:最初に「ケリング・ジェネレーション・アワード」の誕生背景を教えてください。
ジェラルディン・ヴァレジョ ケリング サステナビリティ・プログラム&イノベーション ・ディレクター(以下、ジェラルディン):ご存じのとおり、イノベーションとサステナビリティは、ケリングの戦略の中核をなすものです。私たちは15年以上にわたり、ラグジュアリー業界に、よりサステナブルなイノベーションを取り入れることに影響を与えてきました。
そして、ファーストムーバーとしての役割を非常に真剣に受け止めています。それは、自社ブランドにおけるサステナビリティを前進させる革新的なソリューションを支援するだけでなく、それを超えた領域にまで及びます。私たちは常に、多くの画期的な取り組みの最前線に立つことを目指しています。
イノベーションという点では、その姿勢はブランドのデザイナーたちの創造性によく表れています。一方で、ネイチャーポジティブやクライメートポジティブといったソリューションに関しては、必ずしも社内だけで生まれるものではなく、むしろ世界各地の実験的なスタートアップから生まれてきます。彼らは私たちがラグジュアリー業界に取り入れるべき解決策を持っているにも関わらず、通常はこの業界へのアクセスを持っていません。
だからこそ私たちは、そうした先駆者たちを育成し、ラグジュアリー業界へのアクセスを提供するという哲学を持っています。これが、2018年に中国で始まり、その後、日本を含む他国へと展開してきた「ケリング・ジェネレーション・アワード」の背景にある考え方です。
WWD:その「ケリング・ジェネレーション・アワード」の日本初開催で最優秀賞を受賞したのがファーメンステーション(Fermenstation)です。酒井さん、受賞しての感想は?
酒井里奈ファーメンステーション社長(以下、酒井):ファーメンステーションを立ち上げて十数年になりますが、その中でも最も忘れられない出来事でした。まさに人生の節目ともいえる体験です。「本当に良かった」という言葉では言い尽くせないほど、これまで積み重ねてきた取り組みを認めていただけたという実感がありましたし、ここから先の道を切り開く意味でも、大きな転機になったと感じています。
WWD:ではここで、酒井さんに受賞したそのピッチを再現いただきましょう。お願いします!
酒井:ファーメンステーションは、食料残さなどの未利用資源をを機能のある素材に転換する会社です。より良い香りや味、おいしさ、そして体験といった価値を提供することができる、日本発のスタートアップです。
技術についてご紹介します。私たちは微生物のプロフェッショナル。「発酵アップサイクルプラットフォーム」と呼んでいますが、世界中に存在する食品会社や飲料会社が製造過程でどうしても生み出してしまう、均一な量と質を持つ廃棄物。こうしたものを最適な酵素で分解し、微生物を選定、発酵することで、機能のある素材へと変えていきます。すでに化粧品やフレグランス分野での活用実績もあり、今後さらに食分野などにも展開を広げていこうとしています。
例えば、日本に豊富にある米ぬかを、複数の微生物を用いることで、ラクトンというミルクのような成分へと変えることができます。また、世界中で余っているコーヒー粕を、まったく別のバニラやウイスキーのような香りへと変えたり、さらにアルコール飲料へと転換したりする技術も持っています。
これらが可能なのは、私たちが持つビジネスの経験と技術的なバックグラウンド、そして専門性を備えたメンバーが揃っているからです。ちなみに私は、未利用資源を何とかしたいという思いから金融業界を離れ、微生物の勉強をし直して起業しました。
私たちが他社と異なる点について少しお話しします。未利用資源、いわゆる廃棄物と呼ばれるものは数多くありますが、私たちはさまざまな素材を扱ってきた豊富な経験があります。硬いもの、繊維質のもの、木質系のもの、タンパク質や糖質を含むものなど、多様な原料を素材へと転換してきました。また、酵素と微生物のライブラリを保有しています。海外のスタートアップにはあまり見られない、日本で活用されてきた菌も保有しており、それらを適切に活用しながら、意図を持って代謝設計をし、ものづくりを行うことができます。
さらに、オーガニック認証を取得した自社工場を有しているため、研究開発にとどまらず、一気通貫で製造まで行うことが可能です。これまでお客様からは、「香りが良い」「おいしい」「機能がある」といった評価に加え、天然由来であること、遺伝子改変微生物を使用していないため導入しやすいことなども評価していただいています。
スタートアップとしての成長戦略としては、単なる技術提供にとどまらず、自ら製造も行うことで、石油に依存しない機能性バイオマス素材のトッププレイヤーになることを目指しています。
私たちにとって重要なのは、環境やコミュニティへの配慮、つまりソーシャルインパクトの実現です。自社工場の運営を含め、すべての意思決定においてこれらを考慮しています。CO₂排出にも配慮しながら原料を製造する取り組みも進めています。
そして本日は、ケリング様へのご提案を持ってまいりました。ケリング ボーテがラグジュアリー香水に注力されているとうかがっています。私たちが提案するのは、ラグジュアリーでありながら循環型でもあるフレグランスです。
フレグランスの多くはアルコールを原料としていますが、一般的にアルコールはトレーサビリティの確保が難しく、どのような原料から作られているかを追跡しづらいという課題があります。私たちは、完全にトレーサブルでリジェネラティブなアルコールを提供でき、さらに優れた香りも実現できます。また、コスト面にも配慮しています。
具体的には、ベースとなるアルコールに未利用資源であるワインやコーヒー粕を活用します。さらに複雑な香りを付与することで、従来にはなかった産地が明確な、植物由来資源を再活用したフレグランスを生み出すことが可能です。ぜひケリング様とご一緒できればと考えております。その機会をいただければ幸いです。本日はありがとうございました。
WWD:ありがとうございます。素晴らしい熱量、まさに再現でしたね。
WWD:数ある才能、技術の中で、審査員はなぜ最優秀賞にファーメンステーションを選んだのでしょうか?
ジェラルディン:今回、「ケリング・ジェネレーション・アワード」に初めてビューティー 分野を加えました。これまではファッションが中心でしたので、ビューティーからの提案は特に興味深いものでした。そしてリナの話を聞くと、強いエネルギーを感じます。彼女自身がとてもエネルギッシュで、その熱量は審査員にも伝わったと思います。
また、ファーメンステーションのソリューションは、ローカルな課題との関係性が高いものでした。食資源の最適化に取り組み、サーキュラー・エコノミーを通じて、非常に具体的な解決策を提示しています。さらに、合成生物学をめぐる取り組みも、とても印象的でした。ビジネスの観点から見ても、生産プロセスをライセンス化することで、地理的な制約なくグローバルに展開できる可能性を持つビジネスモデルである点が興味深かったです。
そして最後に、決して小さくない理由として、このプロジェクトが女性創業者によるものであったことも、私たちにとってごく自然で、意味のある選択でした。
WWD:酒井さんはこれまでも数々のアワードに応募し、受賞されていますが、今回「ケリング・ジェネレーション・アワード」にはどのような期待を持ってエントリーされたのでしょうか。
酒井:実は、この「WWDJAPANサステナビリティ・サミット」の第1回、第2回の開催を拝見していました。ジェラルディンさんと司会の方との対話も、一般の視聴者として聞いていたんです。そのときに、「これほどサステナビリティや生物多様性に真剣にコミットしている企業があるのか」と感じ、本当に尊敬できる企業だと思いました。
アワードについて知った際、「協業の可能性がある」「ビジネスミーティングの機会がある」と記されていて、これほどのチャンスはないと感じました。審査員の方々も素晴らしく、CEOやサステナビリティ責任者をはじめ、実際にケリングの皆さんに直接見ていただける機会でもあります。受賞を目指すというよりも、「まずは自分たちの取り組みを知ってもらいたい」という思いのほうが強かったですね。
WWD:受賞を通じて得たもの、他のプログラムとの違いは何でしたか。
酒井:これまでさまざまなアクセラレーションプログラムに参加してきましたが、ここまで“フルセット”で設計されたものは初めてでした。まず国内でブートキャンプが実施され、ジェラルディンさんをはじめケリングの皆さんから、ラグジュアリーとは何か、サステナビリティとは何か、生物多様性とは何かを体系的に学びます。専門家の方々による非常に充実した内容で、ピッチのトレーニングもあり、基礎をしっかり固めたうえでフランスへ渡航することができました。賞金に加え、2週間のフランス滞在の機会まで用意されている。一気通貫で設計されたプログラムだと感じました。
WWD:フランスでは何を経験しましたか?
酒井:まずケリング本社でのセミナーが行われ、その後に具体的なビジネスミーティングや視察が続きました。後半には、グラン・パレで開催される世界最大級のサステナビリティイベント「チェンジナウ(ChangeNOW)」に参加しました。世界中から同じ志を持つスタートアップや企業が集まり、競合と位置づけられる企業もいましたが、同時に同じ課題に向き合う仲間でもありました。非常に刺激的なコミュニティでした。
WWD:香水の聖地、南仏ではどのような経験を?
酒井:南フランスでは、ケリング ボーテの取引先である香料会社を訪問しました。いわば迎賓館のような場所で、通常であればお会いできないような方々がフルメンバーで迎えてくださいました。私たちの原料を持参し、世界各地のチームに向けて説明する機会もいただきました。
そこには温室があり、植物があり、長い歴史がありました。どのような思想で香水をつくるのか、何を届けたいのかを丁寧に教えていただきました。私はその様子を岩手の工場のメンバーにも共有しました。私たちの工場は田んぼの真ん中にありますが、「いつかこうした場をつくれたらいいね」と話しました。フランスの形をまねるということではなく、背景や場の力を感じながら原料を生み出すという姿勢を、私たち自身も体感し、それをお客様にも伝えていきたいと感じたのです。
事業を続けていると、量の拡大や安定供給が目標になりがちです。しかし、素材の背景にある思いや、どのような方法でつくられているのか、そうした価値と共鳴する世界が確かに存在することを知りました。単なるデータとしてのトレーサビリティではなく、思いとともに届けることが評価される。そのことを実感しました。
WWD:酒井さんのお話に出てきた「チェンジナウ」について教えてください。
ジェラルディン:「チェンジナウ」では、イノベーターたちは世界各地から集まり、自らのソリューションを発表します。リナや他の受賞者たちは、パリにあるとても美しい建物、グラン・パレにブースを構えました。そこには、さまざまなラグジュアリーメゾンの関係者が訪れました。というのも、私たちの考えは、ソリューションを囲い込むことではなく、業界へと広げていくことにあるからです。また私たちは、リナを原料を直接手がけているフレグランスメゾンにも紹介しました。彼女は香料原料づくりの中心地であるフランス南部を訪れ、たいへん実りある旅になりました。そして、それを一緒に体験できたこと自体が、本当に素晴らしいプロセスだったと思います。
WWD:賞の授与だけでなくツアーなども実施する意図とは?
ジェラルディン:このツアー自体も、実はアワードの一部なのです。私たちの考え、つまり目標は、こうしたイノベーションを市場により近づけることにあります。そのため彼らには、ラグジュアリーとは何か、私たちがラグジュアリーの中でどのように事業を行っているのか、そして誰が主要なプレイヤーなのかを理解してもらう必要があります。
リナが言っていたように、これは単にテクノロジーの話ではありません。テクノロジーをどのように届けるのか、そのストーリーをどう描くのか、そして人とどのようにつながるかが重要なのです。そのため私たちは、各ブランドや、そのサプライヤー、さらに「チェンジナウ」を通じた国際的なエコシステムとの間に、こうしたつながりを生み出しています。
WWD:ところで、審査基準はどう設定しているのでしょうか?
ジェラルディン:審査基準についてですが、大きく6つの主要な基準があります。そのうち3つは、イノベーション・アワードとして比較的一般的なものです。技術的な卓越性、新規性、つまり既存の技術水準を大きく超えているかどうか、そしてビジネスとしての成長可能性です。
一方で、これはサステナビリティ・アワードでもあるため、イノベーションがもたらす環境的・社会的インパクトについても、非常に重視しています。さらに、チームそのものについても評価します。チームが持つさまざまな強みや、多様性も重要な観点です。最後の基準は、ファッションおよびビューティー分野との関連性です。これは、私たちが事業を行っている領域だからです。こうした審査の背景には、約15名からなるアドバイザリー・コミッティがあります。環境インパクト、ビューティー、ファッションなど、それぞれの分野の専門家が参加し、選考を支えています。
今回は126件の応募があり、その中から最終審査に進む10件を選ぶ必要がありました。選ばれた10組は、すべて最終審査の場でピッチを行いました。最終審査員は、地域統括プレジデントを含むケリングの社内エグゼクティブ4名に加え、ビジネス、アカデミア、NGOの外部審査員5名で構成されています。審査員は、ファイナリスト10組の提案内容だけでなく、実際のピッチセッションも見ることができました。こうした場でこそ、イノベーターたちのより深い洞察や誠実さが現れ、評価が最終的に固められ、調整されていくのです。
WWD:その中で、今回、アンフィコが第2位、株式会社アルガルバイオが第3位を受賞し、マイクロバイオファクトリーが特別賞を受賞しました。それぞれの評価ポイントを教えてください。
ジェラルディン:アンフィコ(AMPHICO)が特に興味深かったのは、PFASという非常に重要なテーマに取り組んでいる点です。PFASはいわゆる「永遠の化学物質」と呼ばれ、世界的に規制が強化されつつあります。彼らのソリューションは、PFASを一切使用しない、通気性と防水性を兼ね備えたテキスタイルです。PFASは通常、撥水や防汚のために使われますが、有害な化学物質です。アンフィコは、そうした有害物質を完全に排除した代替技術を提案しています。さらに、水を使わない独自の染色アルゴリズムも開発しています。
これら2つのイノベーションは、テキスタイル産業全体の環境負荷を世界規模で削減する大きな可能性を持っています。私たちは、まさにこのような代替技術を探していました。
WWD:アルガルバイオ(ALGAL BIO)については?
ジェラルディン:私たちが評価した点は、アルガルバイオが世界最大級の藻類ポートフォリオを有していることです。これは東京大学が保有する独自のライブラリで、藻類の活用に関する非常に深い知見を持っています。用途に応じて最適な藻類を選択できる点は、大きな強みです。これは日本ならではの強みであり、私たちはそれを世界に向けて発信したいと考えました。
彼らはすでに食品やヘルスケア分野でソリューションを開発していますが、ビューティーやファッション分野では、まだ初期段階にありました。このアワードを授与することで、藻類由来のナチュラルなイノベーションが、ビューティーおよびファッション分野でより早く普及すると考えています。
WWD:マイクロバイオファクトリー(MICRO BIO FACTORY)は特別賞を受賞しました。
ジェラルディン:マイクロバイオファクトリーは、バイオテクノロジーによってインディゴ染料を生産しています。この点は私たちにとって非常に興味深いものでした。というのも、私たちのブランドの中には、日本でデニム製品を生産しているところがあるからです。
ご存じのとおり、インディゴはデニムを象徴する染料です。このイノベーションは、日本の長い伝統と、私たちのビジネスの双方と強く共鳴するものでした。これは、伝統的なクラフツマンシップと、現代的でサステナブルな生産方法を結びつけるソリューションです。特別賞を設けたのは今回が初めてで、それほど私たちのビジネスとの関連性が高かったからです。
酒井:ブートキャンプがあったことで、ファイナリスト同士の距離が一気に縮まりました。私はファッションの中心にいる立場ではないため、業界特有の課題を十分に理解できていなかった部分もあります。排水や水資源、PFASといったテーマに、それぞれが真剣に向き合っている姿を知りました。
そうした議論を共有する中で、サプライチェーン全体の課題が相互につながっていることが見えてきました。一つの課題だけを解決しても、本質的な変化には至らない。志を同じくする仲間と出会い、学び合えたことは、非常に大きな収穫だったと感じています。
WWD:ここからは共通質問です。大企業とスタートアップは、サステナビリティ推進においてどこを補完し合えると思いますか?
酒井:スタートアップは動きが速く、専門的な知見も持っています。大企業がすぐには取り組めない領域を、先行して走ることができる存在です。一方で、私たちだけでは世の中を大きく変えることは難しい。だからこそ協業によって、新たな知見や自信、そして次の一歩を踏み出すきっかけを得ることができると感じています。
また、「次のラグジュアリーは、サステナビリティと生物多様性が徹底されていなければならない」という言葉が強く印象に残っています。ラグジュアリーは高価格帯であるからこそ、初期段階で先進的な事例を生み出すことができる。それを起点に社会へ広げていくことができるという視点は、非常に示唆に富むものでした。
ジェラルディン:受賞者たちが提示しているイノベーション、そして実際に最終選考に残った10組すべてが、これからのラグジュアリーの未来像を示しています。それらは強く共鳴し合い、資源は無限ではないという事実、そしてサーキュラリティはあらゆることの出発点でなければならない、という強いメッセージを発しています。
また、藻類のような自然資源の活用についても、単に採取するのではなく、その特性を賢く活かすべきだという考え方を示しています。彼らはこうした問いを私たちのチームに投げかけると同時に、具体的な解決策も提示しています。それは、気づきを与える存在であると同時に、ビジネス提案でもあるのです。
WWD:これまでに受賞者が実際にケリングとの協業へと発展した例はありますか?
ジェラルディン:実際、複数の受賞者が新素材を開発し、すでに実装段階に入っています。中国で第2回のアワード受賞者となった「ピールスフィア」は、バイオベース素材を開発し、ケリング傘下のジュエリーブランドでの活用が進んでいます。また、第1回の受賞者である「メレファント」のバイオベース染料、そして日本で受賞した「アンフィコ」は、イタリアのマテリアル・イノベーション・ラボと連携し、ブランドへの応用に向けた開発を進めています。
WWD:イノベーションがサステナビリティに果たす役割とは?そして、“資源の見え方”をどう変えていくと思いますか?
酒井:サステナビリティは、やはりマインドだけでは前に進まないのだと感じています。そのときに、イノベーションや技術があれば、人々の行動変容は自然に起きる。だからこそ、イノベーションは不可欠だと思っていますし、それを提供できる側でありたいと考えています。
イノベーションがもたらすのは、モノの見え方や作り方そのものの変化です。例えば私たちは食品残渣を活用していますが、現在の工場ではリンゴジュースを作る際、ジュースは製品になり、搾りかすは廃棄されます。しかし、その搾りかすをジュース以上に付加価値のあるものへと転換できるとしたら、工場の在り方は大きく変わります。扱い方も、設計も、素材の見方も自然と変わっていくはずです。
事例を積み重ねることで、「意識を変えなければならない」という世界から、「こちらのほうが合理的で、収益性もあり、当然の選択だ」と受け止められる世界へと移行していくのではないかと考えています。
ジェラルディン:私もリナに同意します。イノベーションは、物事を異なる視点から捉えることを可能にします。資源について言えば、ケリングではすでに、気候変動や生物多様性の損失によって、コットンやレザーの調達がさらに困難になるシナリオを想定しています。実際に、素材の入手可能性や品質への影響はすでに表れています。
そのため私たちは、できる限りそれらを保全することに加え、これまでラグジュアリーとは見なされてこなかった新しい資源や素材を、別の視点から捉え直そうとしています。現在、ファッションやビューティー業界の多くは、有限で採取型のモデルに依存していますが、これはサーキュラーかつ再生型のモデルへと移行しなければなりません。
テクノロジーは、トレーサビリティを高め、バイオテクノロジーやリサイクル技術を活用することで、素材やソリューションをより高い品質へと引き上げ、ラグジュアリー分野で使用可能にします。第一に、イノベーションは、資源が無限ではないという事実を私たちに認識させ、テクノロジーがそれらの価値を高める助けになることを示します。そして第二に、これはリナも触れていましたが、イノベーションは「何が価値あるものなのか」を再定義することを私たちに迫ります。例えば、水はますます希少になり、世界で均等に分配されていないため、ますます貴重な存在になっています。
ジュエリー分野での例を一つ挙げます。「サーカムスタンス・ファースト・チョイス」と呼ばれる、もう一つの「ケリング・ジェネレーション・アワード」があります。このアワードの考え方は、現在は廃棄物と見なされているものを、価値ある素材として捉え直すというものです。創造性によって廃棄物を価値へと転換し、素材の制約を超えていく。例えば「ブシュロン」では、かつて工業廃棄物と見なされていた素材を、美しいジュエリーに使用できる素材へと昇華させています。私たちは、こうした取り組みを、世界中の他のラグジュアリーブランドにも広げていきたいと考えています。
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ファッション産業の持続可能な転換には、環境負荷を抑えた革新素材の普及が欠かせない。普及を後押しするには、素材の価値をすくいあげ、ファッションへと昇華するデザイナーの才が必要だ。「ダブレット(DOUBLET)」は、まさにそうした役割を体現してきた。1月にパリで発表した2026-27年秋冬コレクションでは、素材メーカーのプレジールが開発した二酸化炭素由来のメタノールを原料とした新繊維「ゼフィル」を採用。「空気」をテーマにストーリーを発展させ、素材開発者の情熱を“可視化“した。環境負荷低減という“正しさ“の提示だけでは、共感や欲しい気持ちに結びつきにくい中で、井野将之デザイナーは革新素材の価値をデザインの力でどのようにファッションに変えているのか。(この対談は2026年1月28日に開催した「WWDJAPANサステナビリティ・サミット2026」から抜粋したものです)
WWD:2026-27年秋冬コレクションのテーマは、「空気」ですね。
井野:きっかけは、空気から糸を作ることに挑戦している素材開発者との出会いでした。長い時間をかけて研究し完成に至った背景も含めて、見えない「時間」や「空気」の存在をできるだけ見える形で表現しようと制作しました。
WWD:ショーは呼吸音のような音から始まり、会場もスモークで覆われていました。
井野:空気と言えば、「煙かな」と思いまして。スモークを焚きすぎて見えないぐらいになってしまいましたね(笑)
WWD:序盤はダークなカラーパレットで、煙を擬人化したようなルックが印象的でした。
井野:糸の原料の一部は、二酸化炭素(CO2)です。CO2は、気候変動につながる温室効果ガスでもあり、良くない印象を抱かれがち。そんなネガティブなスタートから、明るい未来に変わっていくストーリーを描きました。
WWD:首元にバルーンドッグのようなモチーフが付いたニットや、「I LOVE MARGE」の文字がプリントされたTシャツも登場しました。
井野:「I LOVE MARGE」は、僕の好きな「ハリー・ポッター」の映画の中に登場するマージおばさんのことで、マージおばさんが風船みたいに膨らんで飛んでいく場面があるんです。そこから「マージ大好き」Tシャツができました。
WWD:タイドアップのスタイルも多かったですね。
井野:できるだけエレガントに見えるようにしました。ネクタイが曲がっているルックは、アメコミでよくある表現で、風が吹いていないのに強風を浴びているような錯覚を起こす仕掛けでした。
WWD:今季の注目素材「ゼフィル」を用いたルックについて伺います。そもそもどうやって見つけたのでしょうか。
井野:前シーズンに採用した、漁網のリサイクルナイロンを生産しているモリトアパレルの船崎(康洋)さんに紹介してもらいました。船崎さんと一緒に漁網ツアーに出かけた時の車内で「ガスから糸が作れるって知ってます?」と言われて、興味を持って紹介してもらいました。
WWD:その素材との出合いが今季のコレクションの出発点になったわけですね。実際に使用してみていかがでしたか?
井野:何より最初に糸に触れたとき、「これが本当に空気からできているんだ」と感じてすごくうれしかったんです。その驚きとうれしさがモチベーションになって、じゃあこれで何を作れるだろうかとすごく考えました。少しずつ素材が出来上がるたびに、みなで「空気からできている生地だ」と喜び合っていました。
WWD:開発者はなぜ空気から糸を作ろうとしたのでしょうか。
井野:もともとは、メタンを糸にする研究に人生をかけていた人で、ガスを固形にして糸にする研究の最中に、偶然CO2でも同じ原理で糸を作れると発見したらしいです。人生をかけて取り組んできたことが、後世につながるものになった。その人が自分を信じて努力を続けた結果で、とても良いストーリーだなと思いました。
WWD:開発者の方からの反応はいかがでしたか。
井野:うれしいメールをいただきました。取り組んできたことを表現にしてくれたことや、パリの舞台に持っていってくれたことに感謝してくださいました。
WWD:以前、井野さんは「料理人が新しい素材を見つけたら、とりあえず使って料理してみたくなるように、自分も新素材を見ると使ってみたくなる」と話していました。素材を発掘する際、環境配慮型であることは重要でしょうか。
井野:そこはあまり重要視していません。むしろ、作った人がどんな気持ちで、どういう経緯で作ったかといったストーリーに興味があります。そこで自分が興味を持てるかどうかが大きい。
WWD:作り手の熱量がポイントなのですね。
井野:今まで使ったことがない、見たことがないような素材から何かを生み出すには、自分も真に熱量を持って向き合う必要があります。モノだけではなく、開発者の気持ちも知ることで、「じゃあ自分は何ができるだろうか」と対峙ができるようになるんです。
WWD:「ダブレット」の面白さは、単純に素材が新しい、珍しいだけではない。まさにそれをどう料理するか、井野さんのユーモアとどう掛け算されて出てくるかにかかっていると思います。例えば今回の「空気」であれば、それをバルーンアートやマージおばさんといった、空気から連想させるいろいろなものと掛け合わせてしまう。そういったユーモアの着想は普段どうストックしているのでしょうか。
井野:特に意識していません。映画を見たり本を読んだり、面白い話をしたり、お笑いを見たりしているうちに、少しずつ溜まっていく感じです。マージおばさんに辿り着くまでには結構かかりましたけど(笑)
WWD:ホワイエでは、先ほど話にも出てきたモリトアパレルの漁網のリサイクルナイロン「ミューロン」を使ったルックも展示しています。この素材を使う際に井野さんは、実際に漁港に行ったと聞きました。
井野:実際にリサイクルの前段階に必要な漁網の分別作業を体験しました。どれくらい人の手がかかり、労力がいるのかを知る良い機会でした。漁網のリサイクル自体はよく聞きますが、「ミューロン」の場合その糸がどこの漁港で、誰が関わったのかがトレースできる。作り手の顔が見えることも、惹かれるポイントでした。
WWD:過去に使用されたキノコの菌糸体由来の人工レザー「マイリー」は、日本の気候との関係で想定よりも固くなってしまうハプニングもあったと聞きました。デザイナーの中には、服にならない素材は興味がないとおっしゃる方もいます。井野さんは逆に、そうした未知の要素やハードルを楽しんでいるのでしょうか?
井野:ワクワクしますね。形にならないかもしれないし、200点になるかもしれない。どうなるかわからない。でも、自分は絶対200点取れると思ってしまうので、チャレンジしたくなります。
WWD:その他にも、バナナの茎を再生した素材や毛皮工場で余っていた襟をアッセンブルしたファーコートなどもありましたね。従来の価値観ではゴミになり得るものをファッションとして生かすことにも、やりがいを感じますか?
井野:ただ普通にあるものだと思いつかないことが生まれる、ある意味インスピレーションになるんです。例えばファーの襟しかないなら、「襟だけで何ができるだろう」「どんな形になるんだろう」を考えます。わからないからこそワクワクする。制限がある方がデザインって面白くできると思うんです。
WWD:気候危機についてディストピア的な世界観で警報を鳴らす手法もありますが、「ダブレット」は“楽しい・面白い“を貫いています。その価値観はどこで形成されたのでしょうか。
井野:小説家の伊坂幸太郎さんが好きで、中でも彼の本の中で書かれていた「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきだ」という一節がお気に入りなんです。重いことを重く話しても気持ちは晴れない。そうではなく「こうしたら面白い未来になるんじゃない?」の方が人に伝わりやすいと思うんです。
WWD:今回のサミットのテーマは「バリュー・バイ・ファッション」。環境問題に対し、ファッションデザイナーは何ができると思いますか?
井野:僕らがやっていることは、すごくラグジュアリーなことだと思っています。例えば空気の糸を使えることは、めちゃくちゃぜいたくです。高価で希少な糸と、空気の糸、どちらを使いたいかと聞かれたら、僕は間違いなく空気の糸を選びます。自分が価値があると思ったものを世の中に伝えることがデザイナーのできることかなと思います。
WWD:最後に、会場に向けて一言お願いします。
井野:貴重な時間をありがとうございました。ホワイエの展示では、モノを見るだけで、「なぜこの人は、この素材を作ったのか」を想像してもらえると、より楽しい帰り道になると思います。
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こうした取り組みの根底にあるのは、“続けられるかどうか”という基準だ。「ほっともっと」は、サステナビリティを特別な活動として切り離すのではなく、日々のオペレーションの中に無理なく組み込み、全国の店舗で同じ水準で実行できる仕組みとして設計してきた。“できることを、続ける”。「ほっともっと」が描くSDGsとの向き合い方は、派手な宣言ではなく、日常の積み重ねによって社会と向き合っていく姿勢そのものである。
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例えば22年に見直したおかず容器は、容器とフタの素材を統一したことでリサイクルが容易になり、プラスチック使用量を年間約3700トン削減。従来比で約20%の使用量削減を実現した。丼容器は、従来2種類あった容器を1種類に集約することでプラスチック使用量を抑え、年間約911トンの削減に成功している。また、サラダ容器は、従来のバイオプラスチックから再生原料を80%使用した容器へと切り替えた。これにより、プラスチック使用量を年間約27トン削減したほか、再生プラスチックの活用により資源循環と二酸化炭素排出量削減にもつなげている。
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さらに同社は、米づくりの現場にも目を向け、日本の農業や田の維持という課題と向き合ってきた。田は、食料を生み出す場であると同時に、水を蓄え、地域の生態系や風景を守る役割を担っている。米を食べ続けることは、そうした環境や文化を次の世代へつないでいく行為でもある。1杯のごはんから広がる循環。その考え方が、事業の根底に静かに息づいている。
その他、食品廃棄物の抑制にも取り組んでおり、使用する食材を見直し、調理過程で出る食材の一部を別のおかずに再利用する工夫を行うなど、廃棄量の削減を進めている。
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サステナビリティは、もはや理念や姿勢を語る段階を過ぎた。問われているのは、企業が何を基準に判断し、どこまで責任を引き受けるのかという、極めて具体的な意思決定のプロセスである。日本発の「CFCL」とフランス発の「ヴェジャ(「VEJA」)」は、認証、トレーサビリティ、素材選定、アップサイクル、そしてリペアやリセールといった実装を通じて、その問いに向き合ってきた。本対談では、両ブランドが試行錯誤の中で積み重ねてきた判断の背景と葛藤をたどりながら、「正解は一つではない」時代における、新しいファッションの基準を探る。
(この対談は2026年1月28日に開催した「WWDJAPANサステナビリティ・サミット2026」から抜粋したものです)
WWD:サステナビリティという言葉は定着しつつありますが、現場で何を基準に判断するのかは、今も多くの企業が悩んでいるテーマです。本日はB Corp認証を取得する「CFCL」と「ヴェジャ」のお二人に、判断のヒントとなる「新しい基準」について伺います。まずは、1月に発売されたコラボレーションスニーカーから始めます。なぜこのコラボレーションを行うことになったのか、教えてください。
高橋悠介CFCL代表兼クリエイティブディレクター(以下、高橋):「CFCL」はニットドレスを中心に展開するブランドです。パリでショーを行うにあたり、ルックを完成させるための靴が必要になります。ただ、ニットブランドが本業としていない靴を作っても、お客様にとって「買う理由」が生まれにくい。小ロットの生産で価格が高くなったり、日本に靴のサプライチェーンがなかったりと、現実的な課題も多く、中国で作るという選択肢も簡単ではありません。だからこそ、靴づくりの技術やサプライチェーンを持つ企業とコラボレーションするのが最適だと考え、以前からパートナーを探していました。最初はアシックスと組み、温暖化ガス削減をテーマに世界最小クラスのCO₂排出量のスニーカーを作りました。そのプロジェクトが一段落し、次を考えていたときに出会ったのが「ヴェジャ」のチームでした。
WWD:最初はアシックスとのコラボレーションだったんですね。
高橋:はい。その後、(香水、お香、サングラスをのぞく)衣服とアクセサリーの全品番でLCAを行い、温暖化ガス排出量を算出するなど、認証素材の使用率を可能な限り100%に近づけることを掲げてきました。その中で、トレーサビリティが取れていないものづくりを極力選択しない、という判断基準があります。「ヴェジャ」のサプライチェーンは透明性が高く、責任の所在も明確でした。企業としての取り組みもはっきりしていて、「コラボレーションしない理由がない」と感じました。「ヴェジャ」側も日本での協業先を探していたタイミングでしたし、私たちとしてもフランスの企業と組むことで、フランスでの認知を高めたいという思いがありました。お互いのお客様を紹介し合える関係性を築ける点も、大きな魅力でした。
WWD:アルトーさんは最初のディスカッションを「トルネードのようだった」と表現されていましたが、どんなミーティングだったのでしょうか。
アルトー・フルノワ ヴェジャ APAC統括責任者(以下、アルトー):「ヴェジャ」は創業20年のフランスのブランドです。まずフランス国内で成長し、その後ヨーロッパで確立し、アメリカや南米へと事業を広げてきました。主要市場が安定した今、次はアジアに注力したいと考えています。そのタイミングで私が韓国に移り、1年前にアジア拠点を立ち上げました。私は「ヴェジャ」に13年間在籍しており、それまではヨーロッパを担当していました。
アジアでブランドを育てるにあたり、現地のファッションコミュニティとつながり、協業できるパートナーを探していました。その中で、私たちの日本のPRエージェンシーとの会話をきっかけに「CFCL」を知りました。まずデザインを見て惹かれました。ミニマルでタイムレス、数シーズンで古びない。企業としての価値観を知ると、B Corp認証や再生繊維の使用などにも共通点を感じました。
創業者である高橋さんと会うと、つながりはすぐに生まれました。速く、率直で、透明性があり、エネルギーに満ちている。一方でとても謙虚で、ビジョンも明確でした。まさにトルネードのような会議でしたが、その最初のやり取りが良く、そこからプロジェクトが動き出し、2年を経て今日のコラボレーションに至りました。
WWD:コラボレーションというと、ロゴとロゴ、意匠と意匠といった分かりやすい掛け算が多いと思います。一方で「CFCL」も「ヴェジャ」も、ミニマルで削ぎ落とした美しさを大切にしているブランドです。今回のコラボレーションでは、何を、どのように掛け合わせたのでしょうか。
高橋:良い質問ですね。コラボレーションは足し算や掛け算が分かりやすく、それぞれのアイコンを組み合わせるのが一般的です。ただ今回は、目に見える要素を足すことが目的ではありませんでした。デザインそのものより、自分たちのフィロソフィーやアティチュード、ものづくりに対する姿勢をどうアウトプットするかを大切にしました。もう一つ大事なのは必要性です。希少性を生むコラボレーションはニュース性の面では有効かもしれませんが、今回はそうではなく、お互いが腹落ちする納得感の中で、デザイン哲学の組み合わせを重視しました。
アルトー:その通りだと思います。アティテュードは重要ですし、デザインのアプローチも似ている部分がありながら、同時に異なる点もあります。だからこそ対話が生まれ、それぞれのレシピや仕事の進め方を持ち寄ることができました。二つの世界観が融合していくプロセス自体が刺激的で、結果を見るのも常にワクワクする体験でした。また私たち「ヴェジャ」は広告を行っていません。できる限り商品のコストを原材料や生産者へ還元したいからです。だからコラボレーションは、ローカルなコミュニティとつながり、その市場の中でブランドの周りにエネルギーを生み出す重要な手段でもあります。
WWD:「ヴェジャ」は広告に頼らずブランドを伝えてきた。その方法の一つとして、コラボレーションがあるということですね。今回のスニーカーは、これまでの「ヴェジャ」と比べると、ややソールに厚みがありますよね。
高橋:そうですね。「ヴェジャ」はカジュアルなモデルが多い印象があります。今回は「CFCL」のセットアップに合うよう、よりミニマルなバランスにしたいという狙いがありました。また「ヴェジャ」として、日本市場に紹介するなら、まずはベーシックな形から入りたいとの話もあり、そのリクエストに合うソールを選んでデザインしました。フランスで人気のモデルはもう少しソールが薄いのですが、日本の体型や嗜好を考えると、少しボリュームがあるほうが好まれるのではないか、と考えました。このように、ローカルな視点を踏まえながら、会話を重ねて決めていきました。「ヴェジャ」のデザインチームは決断が早く、若いメンバーも多く、エネルギッシュに進んだ印象があります。
WWD:ここからは今日の三つのキーワードの一つ目、「トレーサビリティ」について伺います。トレーサビリティには、数字や認証で示せる部分と、数字では測れない来歴や説明責任のような部分があります。「CFCL」ではこの二つをどう使い分け、最終的に何を拠り所に判断しているのでしょうか。
高橋:「CFCL」では「サステナビリティレポート」ではなく「コンシャスネスレポート」として毎シーズン活動レポートを開示しています。量産しているすべての商品のうち、何%が認証/再生素材かなどを公表しており、ファーストシーズンから続けています。日本には素材メーカーが非常に多く、「CFCL」がある程度サステナブルを意識しているブランドとして認知されるようになると、「こういう素材があります」「土に還ります」「動物福祉の観点で優れています」「マイクロプラスチックが出ません」といった提案を受けるようになりました。ただ、あれもこれも採り入れると判断軸が曖昧になります。そこでまずは、リサイクル素材や認証素材の使用率を上げることにしました。
WWD:まずは基準を明確にする、ということですね。
高橋:はい。私たち誰にとってもわかりやすい第三者認証を軸に置こうと考えました。この取り組みは現在も続けています。
WWD:現在、認証素材の使用率は87.8%と公表されていますね。これはどういった数字なのでしょうか。

高橋:直近まで店頭に並んでいた2025年秋冬コレクションで、使用したすべての糸のうち、87.8%が認証素材だという数字です。2030年までに100%を目標として掲げています。
WWD:なるほど。サステナビリティではなく、あえてコンシャスネスという言葉を使っている理由は何でしょうか。私の理解では、素材や生産の透明性、製品のクオリティなど、より本質的な部分に直結することを伝えたい、という意図だと思っているのですが。
高橋:大きくはその理解で合っていると思います。2020年頃、サステナビリティという言葉がトレンド化していた時期がありました。その中で、別の言葉で自分たちの活動を伝えられないかと考えたときに、あるスタッフから「コンシャスネスのほうが「CFCL」を表現したいことに合っているのではないか」という提案がありました。この言葉は、ファーストシーズンから使い続けています。
WWD:認証素材を分かりやすく示すのは一つの柱ですが、今回のトレーサビリティに関しては、もう一歩踏み込んだ取り組みがあったと伺っています。昨年12月、インドを訪問されたそうですね。
高橋:はい。正直に言うと、最初は「認証素材を使っていればいい」という意識がどこかにありました。ただ、その考え方だけでは通用しない現実に途中から気づきました。2024年の秋、オーガニックコットンに関する誤表記がありました。コットン・イン・コンバージョン、つまりオーガニック認証に移行中のコットンをオーガニックコットンと誤って表記し、販売してしまったんです。有利誤認に当たるため回収対応をしました。
WWD:かなり率直に共有されていますね。
高橋:そのとき初めて、コットン・イン・コンバージョンという仕組みがあること、そして農家がオーガニックに移行するために3年もの時間と大きな負担を要する現実を自分事として理解しました。土壌をクリーンにし、認証を取得するまで、そのコットンは今までと同じ価格でしか売れない。一方で手間はオーガニックと同じ、あるいはそれ以上にかかる。このギャップが参入障壁になり、オーガニックコットンがなかなか増えていかないのだと、実感しました。
WWD:構造的な問題ですね。
高橋:はい。デザイナーとして、そして服を作る責任者として、現状を知らなければならないと思いました。さらに、そこでベネフィットを生み出したいと考えるようになった。認証素材を使うだけでなく、一歩先に進まなければいけないと感じました。そこで昨年12月、インドでコットンボールを収穫するタイミングに実際に立ち会いました。
WWD:身を置くことの重要性を感じた、と。
高橋:そうですね。この取り組みはスタイレムの「オーガニックフィールド」というプロジェクトで、彼らと話す中で、日本のマーケットでは「オーガニックコットンでなければ認めない」という考え方がかなり定着している現状も見えてきました。だからこそ、移行途中のフェーズにも光を当て、その現実をきちんと伝える必要があると感じました。私たちは大手メーカーほど大量発注はできませんが、情報を発信し、拡散する力はそれなりにあると思っています。少しでも、この現実を多くの人に知ってもらう役割を果たしたいと考えています。
WWD:非常に本質的なお話だと思います。現状をオープンにし、その価値や課題を社会に共有していく。その役割をデザイナーやアパレルが担うという姿勢を、実直に実践されていると感じました。「ヴェジャ」のコットンに関する基準を教えてください。
アルトー:私たちはコットンの調達においても、他の素材と同様に、まずは認証を一つの基準・枠組みとして活用しています。たとえばコットンについては、生産の一部でGOTS認証を取得しています。しかし、私たちは認証レベルで止まるのではなく、その先を目指しています。たとえばコットンに関しては、環境再生型農業の手法も取り入れています。私たちのコットンは、非常に古くからある栽培方法で収穫されています。それは複数の種類の植物を混植する方法です。そうすることで土壌はより豊かになり、水の使用量も削減することができます。
さらに、私たちはコットンを生産者から直接購入しています。フェアトレードのビジネスモデルに基づき、価格は市場相場から切り離して設定され、収穫資金も前払いで提供しています。そして、先ほど悠介さんが話していた非常に重要な点は、「現場にいること」です。ブラジルでは、私たちのスタッフがコットン生産者の近くに住み、実際に現地に足を運び、生産者と交流し、品質を確認し、契約を結び、数量計画を立てています。また、従業員やジャーナリスト、ときには小売業者、つまりお客さまも現地に招いています。
WWD:ここまで、コットンをめぐる認証と、その先にあるトレーサビリティについて伺ってきました。特に印象的だったのは、現地に行き、直接会話をすることの重要性です。この視点は、「ヴェジャ」のレザーやゴムの取り組みになると、さらに鮮明になります。こちらの写真は、どのようなシーンでしょうか。
WWD:補足すると、ブラジルでは牛肉の飼料、とりわけ大豆を栽培するために森林が伐採されるケースが少なくありません。その結果、森林に蓄えられていた炭素が放出され、CO₂排出量の増加につながります。「ヴェジャ」では、そうした構造を避けるために、牛の育成環境まで確認した上でレザーを調達しているということですね。
アルトー:はい。その通りです。非常に手間はかかりますが、そこまで確認することが不可欠だと考えています。
WWD:その姿勢がよく分かるのが、次の写真です。こちらはアマゾンへ向かう道中の様子ですね。
WWD:アマゾンでは、レザーだけでなくゴムも重要な素材ですね。
アルトー:はい。アマゾンのゴムは、木から直接採取されるワイルドラバーです。私たちは生産者と直接働き、採取を通じて、森林内の社会状況や木の生育環境を把握しています。トレーサビリティとは、単に数字を管理することではなく、現場と関係性を持ち続けることだと考えています。
WWD:数字で見ても、そのスケールは大きいですね。「ヴェジャ」は2004年から約20年間で、約4,000トンのゴムをアマゾンの生産者から直接調達してきました。現在は約2,500世帯と直接取引しているそうです。彼らの生業は、森を伐採することではなく、森を生かしながらゴムを採取することにあります。
アルトー:そうです。まさにそこが重要な点です。森を守ることと、彼らの生活を守ることは切り離せません。
WWD:ここまでのお話を伺うと、トレーサビリティとは管理やデータではなく、現場との関係性そのものだということが見えてきます。アルトーさんは先ほど、半製品になると透明性が失われていく、というお話もされていましたね。
アルトー:はい。糸や加工済みの素材として購入すると、その背後にある社会条件や産地、労働環境を完全に把握することは難しくなります。だからこそ、私たちはコットンであれば糸ではなく原綿に近い段階から、ゴムであれば工場で加工されたものではなくアマゾンの森から、レザーであれば流通品ではなく屠畜場から直接調達しています。製品や半製品になるほど、透明性やトレーサビリティはどうしても失われていくからです。
WWD:現場に根ざしたトレーサビリティが、「ヴェジャ」のものづくりの土台になっていることがよく分かりました。
WWD:次のキーワードはリサイクルです。ただ、「ヴェジャ」ではあえて「リサイクル」ではなく「アップサイクル」という言葉を使っています。一般的には、ペットボトルなどの廃棄物を回収し、素材として再利用することをリサイクルと呼びますが、「ヴェジャ」の場合はどのような考え方に基づいてこの言葉を選んでいるのでしょうか。
アルトー:私たちは長年リサイクルポリエステルを使ってきましたが、以前は糸として購入していました。その場合、誰がどのような条件で廃棄物を回収しているのか、その廃棄物は本当に廃棄物なのか、といった点を正確に把握することができません。世界では、オーガニックだと表示されていた素材の背後に強制労働があった、あるいは実際にはオーガニックではなかった、という問題が起きてきましたが、リサイクルポリエステルについても同じ構造的なリスクがあると感じました。そこで私たちはこのテーマを掘り下げ、2023年からブラジルでプラスチック廃棄物を回収しているカタドーレスと呼ばれる人たちから、直接プラスチック廃棄物を購入する取り組みを始めました。彼らはコミュニティ単位で活動しており、その約半分は女性です。私たちはその廃棄物を市場価格のおよそ4倍で買い取り、靴のライニングやメッシュなど、再生ポリエステルを使ったさまざまなパーツに使用しています。こうした背景があるため、私たちは単なるリサイクルではなく、アップサイクルという言葉を使っています。
WWD:今のお話を聞いていると、アップサイクルという言葉には、素材の再利用という意味だけでなく、回収の現場や社会的な条件まで含めて責任を引き受ける、という考え方が含まれているように感じます。
アルトー:その通りです。私たちにとって重要なのは素材そのものだけでなく、その素材がどこから来て、誰によって、どのような条件で集められているのかを理解し、その現実に関与することです。だからこそ、原材料に近い段階まで遡り、現場と直接つながることを重視しています。
WWD:アマゾンの天然ゴムと、ブラジルで回収されたプラスチック廃棄物が、一足の靴の中で組み合わされる。その点に、「ヴェジャ」のものづくりの特徴がよく表れていると感じます。
WWD:この「川上まで遡る」という考え方は、「CFCL」の再生素材の使い方にも通じるものがあります。「CFCL」では、コレクションで使用する素材の約7〜8割がポリエステルで、その多くがGRS認証を取得した再生ポリエステルだと伺っています。
高橋:「CFCL」では、約7〜8割のアイテムで帝人フロンティアの「エコペット」という糸を使用しています。ここでお伝えしたいのは、「CFCL」は毎シーズン新しい素材に置き換えることを前提にしていない、という点です。多くのコレクションブランドでは、まずデザインやイメージがあり、それを実現するためにコレクションごとに新しい糸や生地を選びますが、「CFCL」ではファーストシーズンから、同じメーカーの同じ糸を使い続けるという選択をしています。
WWD:かなり珍しいアプローチですね。
高橋:はい。同じ素材を使い続けることで、素材メーカーとの関係性が深まります。すると、現地を見たい、工程を見たい、映像を撮りたいといった要望も、単なる取引先としてではなく、パートナーとしての会話として成立するようになります。通常、アパレルブランドは生地屋と取引するため、その先にある糸メーカーや原料メーカーとは距離があります。しかし、長く開発と発注を重ねることで、その距離を超え、川上まで遡れるようになります。
高橋:「ものづくりを大切にする」という言葉はよく聞きますが、ここまで遡って工程を可視化しているコレクションブランドは、まだ多くないのではないかと思います。
WWD:ポリエステルという素材は、特に欧州ではマイクロプラスチックの問題などから、ネガティブに捉えられることもあります。パリでショーを行う中で、そうした質問を受けることはありませんか。
高橋:正直に言うと、そこまで多くはありません。ただ、地域ごとに状況が異なります。ヨーロッパには強い化学繊維メーカーが日本ほどありません。そのため、化学繊維を否定するような議論が起きるのも自然だと思います。一方で、日本には世界トップレベルの繊維メーカーがあり、とくにポリエステルは耐久性や発色、機能性において非常に優れています。日本のブランドとして、積極的に使うべき技術だと考えています。
WWD:以前、高橋さんが「すでに世の中には大量のプラスチックが存在してしまっている。だったら、それを回収してもう一度使うという提案も、一つの答えではないか」とおっしゃっていたのが印象に残っています。
高橋:そうですね。人間が生み出してしまった以上、それをどう扱うかを考える必要があります。再生ポリエステルを使う選択も、唯一の正解ではありませんが、数ある答えの一つとして提示できると考えています。
WWD:最後のキーワードは、リペアとリセールです。長く使う仕組みは循環型社会に不可欠だと言われ続けてきましたが、ファッション業界では長い間、どちらかというと周辺的な取り組みとして扱われてきました。その中で、「ヴェジャ」は公式のリペア拠点を設け、「CFCL」は自社でのリユース、いわゆる自社リセールを始めています。リペアやリセールは、今後「周辺」ではなく「主流」になっていくのでしょうか。
アルトー:5年前、私たちはリペアプロジェクトを立ち上げ、「ヴェジャ」のスニーカーを修理できる靴修理店をオープンしました。「ヴェジャ」の靴だけでなく、他のスニーカーブランドも修理を受け付けています。私たちが「ジェネラルストア」と呼んでいる独立型の修理店では、靴の修理に加えて衣服のリペアも行っています。店の奥では職人が作業しており、文具なども少し扱っています。旗艦店の中に修理スペースを併設している店舗もあり、新しい店舗を開く際には、できる限り修理のための場所を確保するようにしています。プロジェクト開始から5年間で、世界中で約5万足の靴を修理してきました。これは明らかに需要があったということだと思います。スニーカーは、買って履いて捨てる消耗品のように扱われがちでしたが、実際には修理できる場所がほとんどなかったのです。
アルトー:その通りです。リペアプロジェクトが成功している理由は、修理できる場所が少なかったことにありますが、同時にそれが私たちの大きな課題でもあります。靴職人という仕事自体が年々減ってきた結果、若い世代で修理の仕事に就きたいという人を見つけるのが難しくなっています。
WWD:スニーカーのエンド・オブ・ライフは、アパレル以上に難しい課題だと言われています。シューズ・トゥ・シューズといったリサイクル技術も模索されていますが、決定的な解決策はまだ見えていません。その中で、修理という行為を前面に出すことは、ブランドとして非常に重要な選択だと感じます。
アルトー:少なくとも、今の私たちにとっての答えは、このリペアプロジェクトです。製品が寿命を迎えたときにどう循環させるのか、どう再利用し、どうリサイクルするのか。その問いに対して、私たちは時間とエネルギーをかけて向き合っています。また、ソールの一部についてはリサイクルも進めており、修理や再販売の際に活用していますが、現時点での最も現実的な答えが修理なのです。
WWD:「これが私たちの答えです」という言葉が、とても印象的でした。一つの正解を示すのではなく、考え抜いた末に自分たちなりの答えを持つこと、その姿勢自体が重要なのだと感じます。
高橋:「ヴェジャ」のリペア店舗を初めて訪れたときの印象が強く記憶に残っています。コラボレーションの話が具体化し始めた1年半ほど前、パリでその店舗を見て、直感的に「すごくいい」と感じました。とにかく活気があって、多くの人が日常的に利用している。長く物を使うことが、生活の中に自然に組み込まれていました。買った後のことをここまで真剣に考える取り組みは、もっと大事にされるべきだと思い、その経験がネクストループを本格的に始めるきっかけにもなりました。
WWD:「CFCL」が昨年、ニュウマン高輪の新店舗で始めた「ネクストループ」は、自社で販売した商品を自社で回収し、リセールし、将来的にはリサイクルも視野に入れたプロジェクトですよね。
WWD:実際にリセール市場を見ると、「CFCL」の商品は比較的高い価格で取引されていますね。
高橋:そうですね。自分たちでやれば利益も出せますし、「CFCL」は価格が高くて手が届かなかった層にもアプローチできる。学生の頃、コレクションブランドが好きでも新品にはなかなか手が届かず、古着にお世話になった自らの経験があるので、次の世代にとっても自然な入り口だと思っています。大事なのは、廃棄を考える前に、服を循環させるための受け皿があると知ってもらうことです。
WWD:実際の購入理由を見ると、デザインや価格、商品の状態が上位で、サステナビリティは後からついてくるという結果でした。
高橋:正直な回答だと思います。だからこそ、「サステナブルだから買ってください」ではなく、買った結果、実は良いことをしていた、という距離感がちょうどいいのではないでしょうか。
WWD:最後に、「良い会社とは何か」、そして今感じている課題について伺います。課題は、そのまま未来でもあると思っています。まずはアルトーさんからお願いします。
アルトー:私たちにとって良い会社とは、会社全体が生み出すインパクトを見ることだと思います。原材料の調達から生産、輸送、働く人の生活やメンタルの状態、マネジメントや福利厚生まで、すべての段階でポジティブな影響を生み出そうとすることです。そしてもう一つ大切なのは、謙虚であり続けることです。正解は一つではありません。完璧を追い求めるのではなく、未来に向けて少しずつ良くなっていくこと。今、私たちの課題は、アジアでブランドを育てることです。急がず、情熱と注意深さ、そしてケアを持って、「CFCL」のようなパートナーとともに正しいやり方で進めていきたいと考えています。

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西陣織の特徴の一つは、約20工程にも及ぶ分業体制です。それぞれの工程を担うマスタークラフツマンが連携して水平的な協業、いわばギルド構造の中でものづくりが行われてきました。個人技の集合体としての織物文化が西陣織の本質です。1923年、私の曽祖父の代に、織り屋に加えて問屋業も手がけるようになりました。現在では、北海道から沖縄まで50以上の産地や工房、人間国宝をはじめとする職人の方々と協働し、ものづくりを行っています。いわば、着物のプロデューサー兼ディストリビューターとしての役割も担ってきました。
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また、現代アートとの取り組みや「レクサスLS(LEXUS LS)」との協業などを通じて、織物の領域をどのように拡張し、新しいマーケットを生み出していくかに挑戦してきました。こうした取り組みの根底には、未来へ向けてこの産業をつないでいくための挑戦があります。
その象徴的な例が、昨年の大阪・関西万博でのプロジェクトです。全長65メートル、高さ13メートルの企業パビリオンの外壁を織物で包み込むという試みで、西陣1200年の歴史の中でも前例のないスケールとなりました。約5000メートルもの織物によって建築を構成しました。
こうした挑戦を続ける中で「なぜ養蚕なのか」という話に展開していきます。西陣織の素材は、言うまでもなくシルクです。われわれは「More than Textile」をモットーに、誰も見たことのない織物を追求してきました。その究極を突き詰めると、素材そのもの、つまりシルクの質に行き当たります。
実は十数年前、江戸時代のシルク製の着物に実際に触れ、身にまとう機会があり、そのクオリティに大きな衝撃を受けました。現代で最高のものづくりをしていると自負していたにもかかわらず、素材のレベルでは明らかに江戸時代のシルクに及んでいなかった。その事実に直面し、「なぜ」という問いから、養蚕そのものへの関心が深まっていきました。
養蚕はご存知の通り、蚕は桑の葉を食べて育ちます。孵化してからおよそ3週間で、一齢から五齢まで成長し、体の大きさは約1万倍になります。成長した蚕は、口から八の字を描くように糸を吐きながら、約1500メートルにも及ぶ一本の糸をつくり、繭を形成します。その繭から糸口を拾い、一本の糸として引き出すのが製糸です。さらに撚糸の工程を経て、強度を高めながら糸へと仕上げていきます。これが、シルクが生まれる基本的なプロセスです。
約100年前の日本は世界有数の養蚕大国であり、養蚕業は基幹産業でした。しかし現在、生産規模は当時の約1万分の1にまで縮小しています。養蚕農家は急速に減少し、高齢化も進んでいます。製糸工場も実質、稼働しているのは全国でわずか3軒ほど。使用されている製糸機械も、かつて日産が製造していた古い機械をぎりぎりの状態で使い続けているのが現状です。10年後にこの産業が維持できるのか、非常に厳しい状況にあります。
海外に目を向けると、中国が長らく台頭してきましたが、近年はその生産量も減少しています。養蚕は典型的な労働集約型産業です。日本の養蚕業は美しい着物のためのシルクから、明治以降は軍需用パラシュートやストッキングといった産業資材向けへと用途が変わっていきました。デュポン(Du Pont)がナイロンを開発する以前、シルクは重要な工業素材だったのです。
シルクは糸の美しさよりも生産効率が重視され、蚕は品種改良によって大型化され、取り扱いやすさが優先されるようになりました。結果として、人件費の安い中国やブラジルへと生産が移り、日本の養蚕業は衰退していきました。現在では、中国も経済発展とともにコストが上昇し、生産はより賃金の低い地域、たとえばインドなどへと移りつつあります。
今回のシルクプロジェクトは、こうした賃金格差に依存する生産モデルとは異なるアプローチを目指しています。江戸時代のシルクを現代のテクノロジーによって復活・進化させ、養蚕そのものを革新し、新たな価値を生み出すことを目標とした、大きな挑戦なのです。
プロジェクトの拠点は、京都・丹後エリアに位置する与謝野町です。京都市内から車で約2時間、「海の京都」と呼ばれる地域にあり、約4万2000平方メートルの土地を取得しました。この場所に、広大な桑畑と延床約1500平方メートルの養蚕施設を整備し、養蚕を行っていく計画です。従来の人海戦術に頼る養蚕ではなく、センシング、ロボティクス、環境制御を組み合わせた、新しい形のファームを構想しています。
エネルギーは、太陽光などの再生可能エネルギーを活用し、施設全体を100%自然エネルギーで稼働させることを視野に入れて検討を進めています。ここから、次世代のラグジュアリー素材を展開していく考えです。
製糸工程は、これまで人海戦術で行ってきた作業をロボティクスなどの技術によって置き換えていきます。今回テクノロジー面では、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)の北野さんと協業し、日本各地に存在する優れた技術や技術者をキュレーションするかたちで、このプロジェクトを推進していく予定です。
まずは、延床約1500平方メートルの施設で、年間10トン規模の繭生産を行うモデルを構築します。世界の養蚕市場は非常に大きなポテンシャルを持っていますが、最初はこの拠点をショーケース・モデルケースとし、そこから段階的に世界展開していくことを考えています。
シルクには約6000年の歴史があり、「シルクロード」という言葉が示すように、金と等価で扱われ、国境を越えて文化や歴史をつないできた特別な素材です。これほど長い時間、人類の営みとともに価値を持ち続けてきたマテリアルは、そう多くはないのではないでしょうか。そのシルクをもう一度日本に取り戻し、シルクを起点に世界をリードしていく。そんな未来を描くプロジェクトにしていきたいと考えています。
水野:シルクは、近代日本のあり方を象徴するマテリアルの一つですね。もともとは労働集約型の産業でしたが、富岡製糸場のように生産を集約し量産可能にすることで近代国家を支える国力に、ひいては軍事力強化につながっていったのは皆さんご存知のことかと思います。また、産業構造の変化やナイロンに代表される石油由来素材の普及によって養蚕業が衰退した経緯も周知の通りです。そして近年、資源枯渇やCO₂排出といった問題を背景に石油由来素材そのものが問い直される中、シルクを改めて見直すことは、単に過去へ回帰することではなく、近代で生まれた課題を克服する新しい視点を生み出す行為なのではないかと思います。今、シルクはそうした象徴的な存在、未来への問いを内包したマテリアルとして再び立ち上がってきているのではないでしょうか。
それでは今のお話を踏まえて、北野さんにお伺いします。なぜこのプロジェクトに参画されたのか、そして、どのような点に面白さや可能性を感じていらっしゃるのか。北野さんがこのプロジェクトで担われている役割についてもお聞かせください。
北野宏明ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)代表取締役社長 沖縄科学技術大学院大学教授(以下、北野):このシルクハブ構想については、しばらく前に細尾さんからお話を伺い、非常に面白いと感じました。それ以前にも、西陣織の幅を従来の32センチから150センチへと拡張し、新しい使い方や市場を切り拓いてきた取り組みを聞いており、伝統的な産業や技術が新しいフレームを得ることで、新しいマーケットに展開できると強く印象づけられていました。
今回は桑を育てるところから蚕、製糸に至るまで上流から全てを担い、シルク産業そのものを再定義する、素材の根幹から取り組む点が、次元の違う挑戦だと感じました。私自身の専門は、人工知能、ロボティクス、生命科学、特にシステムズバイオロジーです。沖縄科学技術大学院大学(OIST)のラボでは、腸内細菌を完全自動で解析するロボットシステムを開発しており、1台で技師30人分に相当する作業を行え、データも安定しています。この技術は腸内細菌に限らず、土壌細菌や環境微生物の解析にも応用できますし、AIやロボティクスの開発も並行して行っています。また、OISTには土壌細菌の専門家もおり、農業や環境改良に関する知見を含めて、シルクハブに展開できる可能性があると考えました。
現在、私が普段やり取りしている相手は、OpenAI、Google DeepMind、Metaといった巨大テック企業の人たちです。先週もスイスの山の中にこもり、そうしたメンバーと議論してきましたが、彼らの議論は基本的に「莫大な資本を投下し、デジタル世界のあらゆるデータを集めて、どう勝ちにいくか」という方向に収束していきます。
日本はどこで勝てるのかと考えると、資本投下とデジタルデータの量で正面から競うのは現実的ではありません。その領域では彼らと協業しつつ、日本が持つ重要なデータや知見は日本側で担う、という関係になるでしょう。
一方で、彼らがどれだけ資本を投じても手に入れられないものがあります。それが、歴史や伝統、文化といった「お金で買えないもの」です。そこに価値があり、土着性は日本が強い。たとえば、茶の湯の歴史や茶室を中心とした文化的なサプライチェーン、伊勢神宮に象徴される神話の世界、食文化といった「お金で買えない」価値をどう高めていくかが非常に重要で、産業政策的にいうと日本の勝ち筋になると思っています。
もちろん、OpenAIやGoogleのような企業が進める資本集約型の技術開発にも、ある程度は追随する必要があります。しかしそれとは別に、まったく異なる価値軸を磨き上げていくことも同時に重要です。
その視点から見ると、重要なのは次の3つの軸だと思います。1つ目は、ヒストリー&トラディション、つまり伝統・歴史・文化です。2つ目は、それらが成立する場所性、すなわちテロワールです。京都でなければならない、伊勢でなければならない、瀬戸内でなければならない、といった固有性が価値になります。そして3つ目がテクノロジーです。
伝統やテロワールだけではスケールや新しいフレーミングが難しいため、ロボティクスやAI、バイオテクノロジーといった普通に想像するテクノロジーだけではなく、経営やブランディング、資本政策なども含めた広い意味でのテクノロジーを投入するのが良いと考えています。これらを組み合わせることで、新しいものをつくることができ、従来とは違うレベルの価値が生まれると考えています。
桑を育てるところから始めるという点は、まさにバイオテクノロジーの領域です。私たちが持っている土壌細菌や微生物叢を解析するシステムは、そのまま活用できますし、どのような土壌や自然環境が最適なのかを科学的に評価することができます。ソニーCSLの中には「協生農法」に取り組む研究者もおり、これは自然環境と共存する新しいタイプのサステナブル農業です。こうした手法も、部分的に導入できる可能性があります。
桑の成分分析は、私自身が漢方の研究も行っていることから、とても親和性が高い分野です。漢方は、一つや二つの有効成分ではなく、数十、数百の成分が相互に作用することで効果が生まれます。桑を食べる蚕の体内でも、同じような複雑な相互作用が起きている可能性があります。蚕の体内では、糸を作るために多くの化学反応が進み、その過程の大きな部分を共生微生物が担っています。さらに、蚕そのもののDNAやどのような環境で育てるかという条件も重要になります。
糸を引き出す工程では、高速で動く糸を正確に管理するために、高速カメラやレーザーを用いた品質管理が必要になります。ロボティクスを使って蚕の状態を常時モニタリングする必要もあるでしょう。こうして見ていくと、養蚕から製糸までの全工程が、最新のサイエンスとテクノロジーによって再定義できるところが面白い。もちろん一気に全てを実現することはできませんが、段階的に着実に進めていきます。メインストリームの科学技術とは少し異なるかもしれませんが、非常に面白いものがそこにはあるし、伝統産業や新しい産業に貢献できる領域であり、そこからさらに新しいサイエンスやテクノロジーが生まれる可能性もあります。そうした点に魅力を感じ、細尾さんからお声がけいただいたときに、「はい、やります」と乗りました。
水野:この話を少し整理するとしたら、ポイントは「科学のあり方がどう変わってきたか」かなと思います。一般にイメージされる科学とは、例えば計算機科学ですと入力があり、定められた演算処理を経ると出力結果が得られる、という明らかな因果関係を理解しようとするものですよね。「1+1=2」のような、はっきりした世界です。
一方で、漢方薬のように非常に多くの要素が相互作用し合い、複雑なプロセスを経て結果が生まれる「何が入力条件で、どのような演算処理をしているのか」がよく分からないものが自然には多くあります。このような「自然は複雑でよく分からないもの」という一般的な認識は結構根強く、20世紀に入っても漢方薬のような東洋医学は因果関係が不明瞭だ、という認識が一般的だったと思います。しかし近年では科学の進展、例えば複雑系科学のような考え方の登場によって、漢方薬の効能のような複雑な現象も徐々に理解できるようになってきました。つまり、漢方薬の効能の解明と同様に、土壌微生物と桑をはじめとする様々な植物がどのように相互作用することで蚕が作りだすシルクの品質が決まるのか、といったことも解明されていくのだろうと思います。
科学は、自然を理解しようと発展してきたわけですよね。近代哲学は、神ではなく科学によって自然を理解しようとする契機となりましたが、数多くの理解できない複雑な自然現象が今も残されています。ですがコンピュータの情報処理能力向上やロボティクスの発展、DNA解析技術の普及により、これまで「理解できなかった複雑な自然現象」が解明されつつある。このような科学のあり方が北野さんの取り組まれるシステムバイオロジーの基本的な視座であり、細尾さんの取り組みと相性がいい点なのでしょうね。
それを踏まえて、ここから対談に入っていきたいと思います。まずお伺いしたいのは、「美」とは何か、という点です。このプロジェクトで扱われている「美」とは、どのようなものなのでしょうか。江戸時代の技や価値観といった伝統に根差した「美」を復活させることを指しているのでしょうか。あるいは、岡本太郎的に言うと「なんだ、これは!」と人々の既存の価値判断を揺さぶり宙づりにする、現代美術的な美なのでしょうか。細尾さんからお話をお聞かせください。
細尾:江戸時代の着物を着た時に、まったく新しいものを見たような感覚、「なんだ、これは!」と見たことのない現代アートに出合ったときに受けるようなショックがありました。西陣織は、美を追求する中で世界でも最も複雑な織物構造になりました。織物の構造や糸の使い分けにおいても、現代はテクノロジーを取り入れることで、より複雑なものをつくれているという自負がありました。実際、われわれも新しいプログラムや技術を取り入れながら、織物の可能性を広げてきました。
しかし、江戸時代のシルクは構造としてはそこまで複雑ではないにもかかわらず、圧倒的な素材の良さによって、まったく別次元の美しさを立ち上がらせていた。そこには、私たちが到底かなわないと感じるほどの美がありました。まず、そこがやられたポイントです。
だからといって、江戸時代に立ち返ればよいわけではありません。現代にはより高度な構造設計や多様な糸の開発が可能な技術がありますし、全てを手作業で再現するのは、現代の経済合理性とも両立しません。そこで重要になるのが、江戸時代の美しいシルクを現代のテクノロジーでリバースエンジニアリングし、その本質を解析したうえで、いまの織物に取り込むことです。江戸時代の着物の中に見出した未来の可能性を、現代の技術と融合させ、次の時代の織物を生み出していく――そうしたイメージを持って取り組んでいます。
水野:今のお話を北野さんの視点で捉え直すと、たとえば織物の構造をアルゴリズミックにデザインするのか、蚕を遺伝子組み換えなどでどうデザインするのか。狙った特性を持つ材料を適切な形で適切なタイミングに十分な量だけ生み出してもらうにはどうすればよいのか。そのために、蚕が食べる桑の葉にはどのような栄養成分のデザインが必要なのか。それを実現するには、桑の栄養素に関係する土壌環境をどう最適化すればよいのか。こうした一連のプロセス全体を俯瞰し、背後で設計図を描く存在――映画『マトリックス』でいうアーキテクト的な役割を北野さんが担うのだろうと思います。アーキテクト的な立場から見て、先ほど細尾さんがお話しされていた「美の追求」に対して、北野さんはどのような形で貢献できるとお考えでしょうか。
北野:初めて西陣織の七階層・八階層の織り方を見たときに、私は半導体の製造工程に似ていると感じました。半導体は、シリコンやガリウムなどのレイヤーを何層にも積み重ねてつくられます。もちろん、糸を通す織物とエッチングなどを行う半導体製造は全く別物ですが面白いと思いました。
さらに織物は、物理的な糸による弾性体の構造であり、建築の構造設計にも近いものがあります。細尾さんに「崩れない構造はあるのか」と伺うと、すでに知られているいくつかのパターンがあり、それを用いているという話でした。つまり、モジュール化された構造があり、その組み合わせの範囲では安定性が保たれているということです。ただし、その構造安定性は素材の力学特性に依存します。もし異なる物性を持つ糸をつくることができれば、これまでにない構造安定が生まれ、新しい構造パターンや織り方が可能になるはずです。糸の表面が持つ光学特性が変われば、新しい色表現も生まれる。ここに大きな可能性を感じました。一方で、そこまで考えると組み合わせはほぼ無限に広がってしまいます。
そこで重要になるのが、まず「最小限の組み合わせ=ミニマムセットは何か」を見極めることです。そのためには、土壌の条件や、蚕が食べる桑の成分パターンがどの程度影響しているのかなど、分かっていることと分かっていないことを整理し、基礎から調べていく必要があります。やることはたくさんあって、延々終わりが見えない怖さもありますが(笑)、それがまた面白いとも感じます。
水野:今の話を聞いて面白いと感じたのは、工学的なデザインにおける最適解を条件づけるものが実は審美的な価値判断である、という点です。
北野:そうですね。最終的に重要なのは「美しいかどうか」という点であり、それは単なるパラメーター設定で決められるものではありません。そこにアートが介在する余地があることこそが、この取り組みの面白さだと思います。アート、サイエンス、テクノロジーという三つの領域が行き来しながら交差する。そのプロセス自体が、このプロジェクトの最も面白いところだと感じます。蚕や桑の話になってくると、これはもはやテクノロジー以前にサイエンスの領域です。仕組みを理解しなければ前に進めませんし、単純にロボットを導入すれば解決するような話でもありません。
水野:もう一つ重要な軸として挙がっていたのが「テロワール」という考え方です。テロワールはもともとワインの世界で使われてきた言葉で、味を条件づけるする要因として、生産地の歴史、文化、気候、地形、ブドウの品種などのさまざまな条件が一体となった「風土」のようなものを指します。京都・宇治にお茶のテロワールがあるように、日本各地にも固有のテロワールが存在するわけです。
「テロワール」を介して見ると、北野さんのスライドで示された「ヒストリー」と「トラディション」も別の見立てができそうですね。おっしゃる通り、巨大なAI企業による莫大な投資の流れに日本も乗ることは可能かもしれませんが、投資額の勝負になってしまう。そこで独自性のある開発の方向性として、日本には歴史や伝統を起点にするアプローチがあるのではないかという視点は非常に興味深いところです。歴史や伝統を条件付ける、京丹後には京丹後ならではのテロワールがあるはずです。では、そのテロワールを前提とした新しい美的価値の創出とはどのようなものなのか。そこで伺いたいのが、細尾さんはテロワールをどのように考えていらっしゃるのでしょうかという点です。京丹後には特別な「何か」があると捉えているのでしょうか。
細尾:丹後と西陣の関係は、実は非常に深いものがあります。西陣織が栄えていた時期に、丹後は「丹後ちりめん」に代表される織物産地でもあり、西陣の外注先工場の役割を担ってきました。そこには、西陣と同等の高度な技術が蓄積され、質の高い織物を生み出せる土壌がありました。さらに歴史をさかのぼると、丹後は「丹後王国」と呼ばれるほど古い歴史を持つ地域です。染織文化が中国大陸から伝来した際、その入口となったのが丹後周辺だったとも言われています。古墳が多く残り、伊勢神宮の「元伊勢神宮」が置かれていたことからも分かるように、政治・文化・信仰の要衝であり、養蚕も盛んに行われてきました。数千年にわたる織物の歴史と、さらに遡ると文化が伝来した地域である丹後は非常に奥行きのあるエリアです。その意味で、このプロジェクトの舞台としても極めて興味深い場所だと考えています。また、京都市内から車で約2時間、天橋立周辺までアクセスできる距離感も、今回のプロジェクトにとっては重要な要素の一つです。
北野:京丹後は一昨年に、候補地がまだいくつかに絞られている段階で訪れました。ちりめん街道をはじめ、実際に機織りが行われている工場も見学させていただき、地域に息づくものづくりの現場を直接知る機会となりました。
細尾:この地域は水がきれいなこともあり、日本酒をはじめとした食文化が非常に豊かです。加えて、先ほど伝えきれていなかったのですが、今回の取り組みで重要なのは、「良いシルクをつくった先に、何が生まれるのか」という点だと考えています。単に素材を開発するだけでなく、エコシステム含め、どのように未来の文化を形づくっていくかが大切だと考えています。その文脈で見ると、与謝野町は人口約2万人ながら、日本で最も織物従事者の人口密度が高い、いわば織物の町です。周囲には非常に高い技術を持つ織り手が数多く存在しています。もしこのプロジェクトが成功すれば、そうした織り屋さんとの協業が自然に広がっていくでしょう。さらに、撚糸を担う事業者なども含め、日本のシルク産業の中核を担う存在として、単独の企業で完結するのではなく、日本全体からこの取り組みを興し、さまざまなプレイヤーと連携しながら世界に発信していく。その姿勢こそが非常に重要だと考えています。
水野:非常に面白いですね。以前、国の政策で力を入れていた「地方創生」の文脈を振り返ると、テロワールを解釈することで、観光にとどまらない特定の地域が持つ魅力を最大限に引き出し、地域住民が自律的に暮らし続けられる条件整備を支援していたと思います。「京都シルクハブ」構想は、その流れと重なる部分があるように思います。しかもそれは単に前近代的な技術を復活させるという話ではなく、現代的な技術を用いた可能性の探索です。かつて養蚕が盛んだった日本各地の地域にとっても、再び立ち上がるための一つの契機になり得るのではないか。そうした広がりまで含めて考えると、この取り組みは地域創生という文脈から見ても意義あるロジェクトだと感じます。
北野:京丹後を初めて訪れたときにとても印象的だったのは道中の風景です。谷と山並みが連なる景色の中を抜けていく体験が本当に美しく、どこかブータンを訪れたときの風景を思い出しました。思わず「ここには竜が住んでいるのではないか」と感じるほどの神話的な雰囲気がありました。実際にたどり着いた場所も風光明媚で、そのとき思い出したのは、時計産業で知られるスイスのヌシャテルです。京丹後もまた、自然の美しさと高度なものづくりが結びついた、世界に通じる産業拠点になり得るのではないかと強く可能性を感じました。
細尾:パリとシャンパーニュ地方の関係ととても近いものがあると感じています。パリから車でアクセスできる距離にあり、そこにはそれぞれのメゾンが存在し、高品質なものづくりが行われている。同時に、それ自体が大きな観光資源にもなっています。同じように、シルクの拠点・起点としながら、先ほど触れた食やお酒、さらには地域観光といった要素が連動して広がりが生まれるのではないか。そうした複合的な展開が、この取り組みの可能性をさらに押し広げると考えています。
水野:次の話題に入る前に、総括としてお話ししたいことがあります。私は21世紀初頭にイギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでファッションデザインを修士・博士課程で学び、研究しました。イギリスは、まさに近代化の過程で地域文化を半ば失った国でもあります。その影響もあってか、当時の教育現場では誰がデザインした服かは議論されても、その素材や原料の出自についての議論はほとんどされませんでした。それから約20年たった今、ヨーロッパの多くのファッション教育の現場はだいぶ変わっています。テロワールや材料のトレーサビリティ、クラフトマンシップを重視するデザインも尊重されるようになり、かつてシステムの外に追いやられていたデザインプロセスやデザイン要素が重要視されるようになったと感じています。日本ではこのような動向をある意味で「逆輸入」するかたちで、もう一度素材や原料にまつわる歴史や文化、足元にある価値を見直す時期に入っているのではないか。そんな印象を持ちながら、この話を聞いていました。
さて、ここからは、「京都シルクハブ」と日本の養蚕業が10年後、20年後、30年後の展望について伺いたいと思います。与謝野町をモデルケースに衰退が進む日本の繊維産地に養蚕から関わり事業を広げることで、従来の近代化とは異なる新しい発展のかたちがあるのではないかという期待があります。一方で、今から10年後には18歳人口の急減が始まり、大学をはじめとする教育機関や地域社会にとっても厳しい局面を迎えることが予想されています。そうした中で、地域産業や地域経済圏をどのように担っていくのか。10年後を見据えた考えを、お二人に伺いたいと思います。
細尾:10年後の時点でもこのプロジェクトはまだ序盤から中盤に差しかかる段階だと思っています。まずは一つのショーケースをつくりながら、「日本から世界へ」という視点で取り組みたいと考えています。その中で私自身が特に重視しているのが、ラグジュアリーシルクの再定義です。現在のシルクには、6A、5A、4Aといった評価基準がありますが、これはここ100年ほどの間につくられたもので、産業資材をベースに均一性や白さを重視しています。個人的には評価基準が画一的だと感じています。もちろん良さもありますが、それだけで美しさを測れるわけではありません。
江戸時代のシルクを見ると、そこには多様な表情や特徴がありました。美しさは必ずしも均一でピカピカしていることだけではなく、人間の感性でしか捉えられない独特の「気配」があった。そうした多様な美を持つシルクは、確実につくれるはずですし、実際に江戸時代には存在していました。現在のシルク市場では、最高級とされるラグジュアリー向けのシルクであっても、価格差は数倍程度にとどまっています。一方、カシミヤの世界では、「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」などに代表される明確なハイエンドが存在し、希少性や特徴によって価値が大きく分かれています。
日本はかつて世界有数の養蚕大国であり、優れた遺伝子資源(ジーンバンク)を持っています。それを復活させながら、多様な美を備えたシルクを生み出すことで、画一的だった世界のシルクの価値観を、日本ならではの豊かな美の世界をつくることができるのではないか。海外のラグジュアリーブランドとの協業を通じて、そうしたシルクをしっかり供給し、世界のシルクの流れを変えていきたいと考えています。
もう1つの軸は日本国内です。日本には北海道から沖縄までさまざまな素晴らしい着物づくりの産地がありますが、着物の素材の約99.5%が海外からの輸入に頼っています。もし高品質な日本産シルクを安定して供給できれば、「日本のシルクで着物をつくる」という本来の姿を取り戻すことができ、着物の質そのものも高めていけるはずです。ラグジュアリーシルクの再定義と日本国内の着物の復活、その両方を見据えています。
さらに、地方創生の観点も重要です。養蚕には良質な桑が不可欠で、桑畑には広い土地が必要になります。都市部では難しく、必然的に地方に価値を見いだすことになります。その土地ならではの養蚕や風景を、観光資源も含めた地域価値として育てていきたい。日本各地と協業しながら、新しい価値を共につくっていくプロジェクトにしたいと考えています。
水野:多様な美や表現を可能にしていくという点で、工学的に「高品質シルク」を目指すことではないという考え方は魅力的ですね。各地域のテロワールに即して最適化された、面白い材料が生まれるという大きな可能性を秘めていると期待しています。
次に、北野さんを中心に、20年後、30年後というより長いスパンの未来について伺いたいと思います。シンギュラリティの到来が語られ、機械が人間よりも賢くなる可能性が現実味を帯びてきています。すでに私たちの生活には多くの機械が組み込まれていますが、将来的には人間と機械の主従関係が逆転し、人間が機械のシステムの中に組み込まれていく、という状況も起こり得るのではないでしょうか。さらに、30年後を見据えると環境問題の深刻化も避けて通れません。つまり人間と機械だけでなく、人間と機械と環境の複合系を捉え直す必要が出てくると思います。そのような未来の中で、「京都シルクハブ」は20年後、30年後にどのような展望を描くことが望ましいのか。どのようなビジョンを描けるとよいのか。ぜひ北野さんの考えをお聞かせください。
北野:「シルクハブ」という名前の通り、目指すべきはここが世界の中心的な“ハブ”になることだと思っています。私自身、2000年から沖縄でOIST設立に関わり、構想から25年をかけてきました。最初の約10年はプランニングに費やし、大学が立ち上がって一期生を迎えてからも、さらに10年以上が経っています。これに取り組むときに、産業が本格的に集積するまでにどれほど時間がかかるのかを調べたところ、サンディエゴのバイオクラスターは形成までに約30年を要しています。シルクハブも、産業集積地となるには同程度の時間軸を見込む必要があると考えています。
シルクハブという拠点ができると、さらに世界最高峰のシルク研究所、あるいは教育機関が生まれてくるでしょう。イメージとして近いのは、サンセバスチャンの食の研究所「バスク・カリナリー・センター(Basque Culinary Center)」やバルセロナ周辺にいくつかあるガストロノミー研究所です。目指すのは、世界中からシルクに関する人とデータが集まり、「シルクを研究するなら京丹後へ行く」という状況をつくること。何でもやるのではなく、「シルク」に徹底的に集中することが重要です。扱う領域は、伝統的な農業からバイオテクノロジー、糸の物性研究、さらには柔らかい素材の構造計算といった技術まで幅広く、西陣の技術基盤も含めて産業応用の可能性は大きい。そこから生まれた技術や事業がスピンアウトし、やがて世界へ広がっていくことも十分に考えられます。
突出した取り組みを行う場所は自然と世界の中心になります。京丹後は風光明媚な土地でもあり、ハイエンドツーリズムとの連動も期待できるでしょう。また、サイエンスとテクノロジーの面では、ロボティクスによるスケール展開も可能です。最終的には、京丹後のシルクハブを「マスター拠点」とし、日本各地や世界各地に「シルクハブ・サテライト」を展開する構想も描けます。土壌や微生物環境が異なる地域には、システムごと展開し、連携するなどテクノロジーを活用すれば、そうした分散型ネットワークも実現できるはずです。時間はかかりますが、長期的にはそのような姿に向かっていくのではないかと考えています。
水野:シルクハブが30年後に産業集積地として立ち上がれば、「未来志向の地域モデル」としてのサテライト拠点の展開も本格化するだろうということですね。そのためにも、立ち上げまでの間に仲間を増やし、共に取り組む人や組織を広げていくことが、重要だと感じます。
北野:どんどんデータを取って、AIに学習させていくことが決定的に重要になります。「こういう糸がほしい」と要望が出たときに、AIが「この条件ならこの可能性がある」と複数の選択肢を提示し、実際に試作して検証していく。そのサイクルが回るかどうかが鍵になります。そのためには、どれだけ多くのデータを集積できるか、そしてその知見を桑の栽培、桑の葉、養蚕のプロセスへと一貫して落とし込めるかが重要です。養蚕は物理的な制約が大きく、どこでも同じようにできるものではありません。だからこそ、データ集積から実装までを最も効率よく、高品質に行える拠点として、シルクハブの存在が中核的な役割を担うようになるのではないかと考えています。
水野:こうした議論を踏まえると、細尾さんに伺いたいのは、人材育成の点です。現場で「これはこれまでにない表現だ!」といった美的価値判断が可能な人材は、AIを使いこなす人材と同じくらい重要になると考えられます。そうした人材を育てていくために、何か具体的な考えや手立てはありますか。
細尾:実はその点については、すでに工房の現場でも起きていることです。言葉で説明するのは難しいのですが、「良い/悪い」に関する共通基準は確かに存在します。たとえば「グッとくるか、こないか」「これは『HOSOO』らしいかどうか」といった判断です。明確に言語化しづらいものの、現場では誰もが共有している感覚があります。それは単純に品質の数値や仕様だけで決まるものではなく、さまざまな要素が複雑に絡み合った結果として立ち上がる「気配」のようなものだと思います。テクノロジーやロボティクスを導入すると、「人が不要になるのではないか」と捉えられがちですが、決してそうではありません。むしろこの世界では、人間の身体感覚や感性がより中心的な役割を担っていくと考えています。そこがとても面白いところだと思います。
北野:この話は、オーディオの世界にもよく似ていると思います。スピーカーを徹底的に測定して性能指標を極限まで高めれば、確かに「音の良い」スピーカーはつくれます。一方で特性としてはいまひとつでも、不思議と「味」がある音を出すスピーカーも存在します。たとえば、ヴィンテージのJBLのスピーカーで聴く昔のジャズは、数値的には性能が劣っていても、その時代ならではの「味」があります。同じ音源を現代的な高性能スピーカーで聴くと、なぜかその魅力が失われてしまうこともある。性能が良いことだけで価値が決まるわけではありません。特にアーティスティックな領域では、「味の良さ」は主観的なものです。そこを判断できるのは人間であり、デザイナーやアーティスト、クラフツマンの感性です。テクノロジーだけで「これが欲しい」と言われたものを、性能指標を追いかけるだけでは実現できません。
技術的に成熟している分野では性能を高めること自体は徹底的にチューニングしていくことになります。一方で、「こういう味を出したい」という要望を形にするテクノロジーは、非常にハードルが高い。チューニングの向かう方向が数値化できないからだと思います。だからこそ、このチャレンジには大きな価値があり、面白さがあるのだと思います。
水野:制御可能なデザイン条件と、条件付けが困難な「気配」という言葉で表現される要素。その両方が織り交ざることが非常に面白いと感じました。土中微生物や植物などが相互依存することでテロワールが形成され、それが現在の科学技術によって、ある程度は設計要件として扱えるようになってきた。一方で、人間が感じ取る「気配」のような感覚は、まだしばらく技術だけで完全に扱えるものではないかもしれません。テクノロジーと感性は切り離せるものではなく、またどちらか一方を捨てることもできません。両者をつなぎ合わせることでシルクハブにおけるマテリアルドリブン・デザインを実現するという、新しい地域の再活性化が期待できる点になりそうですね。
質問者1:私は個人的に着物がとても好きで、自分で着ることはないのですが、全国各地の着物について関心を持って見ています。細尾さんは、日本各地の着物産地を取りまとめるような動きもされていると伺いました。気になっているのが大島紬です。大島紬は、日本人女性に非常に人気があり、高価でありながらフォーマルに寄りすぎない、極めて贅沢な着物だと思います。しかし、職人の高齢化が進み、現在では担い手がわずか8人しか残っていないと聞きました。こうした状況について、どのようにお考えになっているのか、お聞かせいただけますか。
細尾:大島紬はまさに今日話してきた「テロワール」の世界そのものだと思います。もちろん高度な技術の集積でもあり、ご存じの通り、その工程は30以上にも及びます。奄美の鉄分を多く含んだ泥や地元の木を煮出した染料を使い、30回以上染めた後に泥に浸すことで化学反応を起こし、それをさらに繰り返す。最終的には100回近い工程を経て完成します。そこには土地の風土、歴史、そして人の営み全てが反映されています。歴史的に見ても、大島紬は世界で最も複雑な絣を実現した織物です。約100年前に、手作業では不可能だった絣を機で実現した一人の天才、イノベーターが現れ、その革新が泥染めと世界最細密の絣が結びつき、30工程にも及ぶ独自の技法を生み出しました。
一方で、未来に向かって考えると、この30工程に及ぶ超絶技巧はどうしても膨大な人手と時間を必要とし、結果として高コストになります。その経済合理性の壁に押し込まれ、着物市場の縮小や、シルクの多様性の喪失と同じ構造的な問題に直面してきました。これは大島紬に限らず、多くの伝統工芸に共通する課題だと思っています。
これから重要になるのは、そうした技術や文化をどう価値付けし、次につなげていくかです。シルクハブの文脈で言えば、たとえば絣の工程をロボティクスで再現できないか、あるいは土壌や染めの工程をリバースエンジニアリングし、人が100回近く行ってきた重労働を高速かつ安定的に再構築できないか、といった研究が考えられます。
目指すのは、これまでの品質を保つあるいはそれを超える「次の大島紬」、いわばフューチャークラフトを生み出すことです。日本には、本来はダイヤモンドの原石でありながら、消えつつある技術や文化が数多くあります。シルクハブを起点に、そうした取り組みを横展開し、最終的には日本が世界に誇れる唯一無二のIPへと育てていきたい。そのように考えています。
北野:その話を聞いて、まず思い浮かんだのが「土壌はどうなっているのだろう」という点でした。土壌中の微生物も、おそらくその土地固有の種や、そこでしか見られない遺伝子構成を持つ微生物群が相当存在しているはずです。鉄分が多く、玄武岩質の火成岩由来の地質であることを考えると、なるほどと思いました。そうした条件を分析すること自体は可能だとしても、それを別の場所に持ち込み、同じ状態を再現するのは相当に難しいでしょう。まさに、その土地でしか成立しない「テロワール」の世界なのだと、改めて感じました。
質問者2:複雑なものは「積み重なった層そのもの」に価値があり、手間がかかりすぎていて再現できないものだとどこかで諦めてしまっていた部分があったように思います。しかし、そこにサイエンスを持ち込み、複雑さを分解して言語化し、設計可能なかたちにしていく。そのプロセス自体がとても面白いと感じました。シルク産業は裾野が広いからこそ可能なのかもしれませんが、こうしたアプローチは、まったく別の産業にも応用できるのではないでしょうか。その点について、北野先生のお考えを伺ってみたいです。
北野:複雑なシステムには「ロングテール分布」と呼ばれる特徴的な構造があります。主要な成分が大きな割合を占める一方で、量は少ないものの、多様な成分が長く尾のように連なって存在する分布です。よく「猫のしっぽ」にたとえられます。このしっぽの部分を切り落としてしまうと、もはや猫ではなくなってしまうように、少量成分の集積こそが全体の機能や効果を支えています。漢方薬も同様で、主要成分だけを取り出すと、効果が弱まることがあることが知られています。
私がこれまで取り組んできたサイエンスは、こうしたロングテール、つまり「尻尾の部分」も含めた複雑さを、複雑なまま理解し、その構造に意味がある理由を解き明かすことでした。
今回話題に出ている土壌や蚕も同じですし、陶器の土の成分も非常に複雑です。その成分が焼成後の性質にどう影響するのかも重要なテーマになります。また、日本紫のように、衣服に含まれる多様な成分が皮膚を通じて吸収され、炎症を抑えるといった作用があることもあると伺いました。自然の成分は、ほとんどがこのロングテール分布を持っています。そうした複雑な成分構成を、私たちの生活や製品、さらにはアートピースの中にどう取り込み、暮らしや健康へと反映していくのか。その可能性は大きいと感じています。
細尾:医師が「薬を服用する」という言い方がありますが、その語源の一説は平安時代の自然染色に由来すると言われています。つまり、かつては「服」そのものが薬だった、という考え方です。衣に良い成分を取り込み、身につけることで健康に作用させていたのです。もともと自然染色に使われていた植物は、色が美しいだけでなく、漢方薬としても用いられるものが多くありました。美しさと健康が切り離されておらず、両者が重なり合うものだという感覚を、平安時代の人々はすでに経験的に理解していたのです。この発想は、現代のサイエンスの視点から見ても非常に示唆に富んだ、先人の知恵だと思います。
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「マルニ(MARNI)」が2026-27年秋冬コレクションを発表した。
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デイトナ・インターナショナルのフリークスストア(FREAK'S STORE)は「サロモン(SALOMON)」に別注したトレイルランニングシューズ"XT-6"の“アースブラウン”(2万8600円)を発売した。現在、フリークスストア公式オンラインストア「デイトナパーク(DAYTONA PARK)」および一部店舗で取り扱い中だ。
2013年に発売されたオリジナルモデルの"XT-6"は、ウルトラディスタンスレース界のトップアスリートたちに支持されてきた人気シリーズだ。新たなカラーと素材を採用した今回のモデルでも、クッション性、耐久性、ディセントコントロール技術は従来と同様に搭載している。
岩場でも舗道でも対応できるEVAのクッション性が足をしっかり保護し、ソフトな着地を実現した。丈夫なTPUフィルムとメッシュを組み合わせた軽量でスリムな構造により、耐久性も備えている。ダウンヒルで威力を発揮するシャーシとラグ形状をあしらい、長距離でもより高い安定性を確保する。メンズ、ウィメンズでサイズ展開は22.5〜28.0cm。
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デイトナ・インターナショナルのフリークスストア(FREAK'S STORE)は「サロモン(SALOMON)」に別注したトレイルランニングシューズ"XT-6"の“アースブラウン”(2万8600円)を発売した。現在、フリークスストア公式オンラインストア「デイトナパーク(DAYTONA PARK)」および一部店舗で取り扱い中だ。
2013年に発売されたオリジナルモデルの"XT-6"は、ウルトラディスタンスレース界のトップアスリートたちに支持されてきた人気シリーズだ。新たなカラーと素材を採用した今回のモデルでも、クッション性、耐久性、ディセントコントロール技術は従来と同様に搭載している。
岩場でも舗道でも対応できるEVAのクッション性が足をしっかり保護し、ソフトな着地を実現した。丈夫なTPUフィルムとメッシュを組み合わせた軽量でスリムな構造により、耐久性も備えている。ダウンヒルで威力を発揮するシャーシとラグ形状をあしらい、長距離でもより高い安定性を確保する。メンズ、ウィメンズでサイズ展開は22.5〜28.0cm。
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「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」は、「チャンピオン(CHAMPION)」とコラボレーションしたカプセルコレクション“ニューウィーブ(NEW WEAVE)”の第9弾を3月6日に発売する。両ブランドの公式オンラインストアをはじめ、「N.ハリウッド」の直営店やミスター ハリウッド(MISTER HOLLYWOOD)の東京店と大阪店、チャンピオン ブランドハウス(CHAMPION BRANDHOUSE)の渋谷店と大阪店、ゾゾヴィラ(ZOZOVILLA)などで取り扱う。
“ニューウィーブ”は2021年のローンチ以来、「チャンピオン」の過去のプロダクトを新たな解釈で実験的に再構築・デザインしたアイテムを発表している。第9弾目となる今回は、ファーストシーズンから継続して採用している立体裁断を活かしながら、リバーシブル機能を加えて新たな“NEW WEAVE”を構築した。クルーネックスエットシャツ(3万3000円)、カーディガン(3万6300円)、ノースリーブフーディー(2万9700円)、ロングスリーブTシャツ(2万7500円)、Tシャツ(2万900円)、スエットパンツ(2万7500円)、ハーフパンツ(1万9800円)をラインアップする。
全てのアイテムに、「チャンピオン」と共同製作したオリジナルの裏起毛素材と、定番の肌触りの良いコットン100%の天竺素材を使用し、ガーメントダイ加工でビンテージの表情を再現した。
それぞれに「チャンピオン」のCロゴをエンブロイド、左袖にはチャンピオンのCロゴワッペンを配置し、コレクション名“ニューウィーブ(NEW WEAVE)”と両ブランドのロゴを配したスペシャルネームをあしらった。サイズ展開は、S〜XL。
>「チャンピオン」公式サイト
>「N.ハリウッド」公式オンラインストア
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「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」は、「チャンピオン(CHAMPION)」とコラボレーションしたカプセルコレクション“ニューウィーブ(NEW WEAVE)”の第9弾を3月6日に発売する。両ブランドの公式オンラインストアをはじめ、「N.ハリウッド」の直営店やミスター ハリウッド(MISTER HOLLYWOOD)の東京店と大阪店、チャンピオン ブランドハウス(CHAMPION BRANDHOUSE)の渋谷店と大阪店、ゾゾヴィラ(ZOZOVILLA)などで取り扱う。
“ニューウィーブ”は2021年のローンチ以来、「チャンピオン」の過去のプロダクトを新たな解釈で実験的に再構築・デザインしたアイテムを発表している。第9弾目となる今回は、ファーストシーズンから継続して採用している立体裁断を活かしながら、リバーシブル機能を加えて新たな“NEW WEAVE”を構築した。クルーネックスエットシャツ(3万3000円)、カーディガン(3万6300円)、ノースリーブフーディー(2万9700円)、ロングスリーブTシャツ(2万7500円)、Tシャツ(2万900円)、スエットパンツ(2万7500円)、ハーフパンツ(1万9800円)をラインアップする。
全てのアイテムに、「チャンピオン」と共同製作したオリジナルの裏起毛素材と、定番の肌触りの良いコットン100%の天竺素材を使用し、ガーメントダイ加工でビンテージの表情を再現した。
それぞれに「チャンピオン」のCロゴをエンブロイド、左袖にはチャンピオンのCロゴワッペンを配置し、コレクション名“ニューウィーブ(NEW WEAVE)”と両ブランドのロゴを配したスペシャルネームをあしらった。サイズ展開は、S〜XL。
>「チャンピオン」公式サイト
>「N.ハリウッド」公式オンラインストア
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米国発のスニーカーブランド「オートリー(AUTRY)」は、K-popグループ、Stray Kids(ストレイキッズ)のチャンビン(ソ・チャンビン)をブランド史上初のグローバル ブランド アンバサダーに起用した。チャンビンが「オートリー」の2026春夏コレクションをまとったビジュアルと動画をグローバルに展開する。
チャンビンは今回の起用について、「『オートリー』ファミリーの一員になれることをうれしく思います。私はヘリテージを尊重にしながらも、革新性と未来を見据えたクリエイティビティーを追求するブランドに強くひかれてきました。オートリーが体現する静かなる品格と自信は、私自身の価値観とも深く共鳴しています。この新たな旅路をともに歩めることに、心からワクワクしています」とコメントしている。
「オートリー」のエグゼクティブ・チェアウーマンであり、スタイルキャピタルCEOのロベルタ・ベナーリアは、「チャンビンをブランド初のグローバル ブランド アンバサダーとして迎えられることをこの上なく誇りに思います。彼は、揺るぎない意志と真のオーセンティシティ、そして自由な精神を兼ね備えた、新たな世代のグローバルタレントを体現する存在です。彼のアーティスティックな誠実さと自信は、『オートリー』のDNAと美しく響き合っています。これから彼とともに、長期的なビジョンを築いていけることを心より楽しみにしています」と期待を寄せている。
チャンビンは、2018年にStray Kidsとしてデビュー以来、ラッパー、シンガー、ソングライター、プロデューサーとして多彩な才能を発揮し、同グループのクリエイティブの中枢を担うプロデュースユニット“3RACHA”の主要メンバーとしても活躍する。音楽的功績に加えて、継続的な社会貢献活動でも高い評価を得ている。
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「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」が2026-27年秋冬コレクションを発表した。
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成城石井は、「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」とコラボレーションしたエコバッグ“ユニバーサルバッグ”のミニサイズ“アニヤ・ハインドマーチ×成城石井 ユニバーサルバッグ ミニ”(2750円)を、3月20日から成城石井の公式オンラインストアおよび全国168店舗で数量限定で再販売する。なお、購入は一人一点限りで、オンラインショップでは10時から販売を開始する。
同アイテムは、持ち手に成城石井のコーポレートカラーである“ボルドーレッド”を採用した限定デザインで、ちょっとした買い物やランチバッグとして使いやすいサイズ感が特徴。昨年10月の販売時にはオンラインショップで即日完売、取り扱い店舗の多くで当日の販売数量が完売となるなど、大きな反響を呼んだ。サイズは、高さ約24.5cm×横幅約21cm×奥行約11cmで、素材には表地とハンドルは100%、裏地は98%リサイクルプラスチックを使用しており、長く使える耐久性とデザイン性を兼ね備える。
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イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)のアイウエアブランド「イッセイ ミヤケ アイズ(ISSEY MIYAKE EYES)」は3月1日、新モデルのアイウエア“ウロコ(UROKO)”(9万9000円)を発売する。「イッセイ ミヤケ アイズ」取り扱い店舗および公式オンラインストアで展開する。
本アイテムは、「アイム メン(IM MEN)」2026年春夏コレクション“ダンシング テクスチャー(DANCING TEXTURE)”のために制作された。陶芸家・加守田章二による、鱗を彷ふつとさせる紋様を特徴とした作品群に着想を得ている。左右それぞれに4つずつ連なる計8つの“ウロコ形状”のレンズは、内側にカーブを描いた特殊なレンズカットを施し、表面には凹凸を際立たせる独自の表面処理を採用した。
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東急不動産は1月30日から2月1日まで、施設運営を行うグループ会社の東急不動産SCマネジメント、ブランドのリコマース支援を行うフリースタンダード(Free Standard)と協働し、20〜30代をメインターゲットにしたサステナブルファッションイベント「ザ ファースト サーキュラー プレイ(The First CIRCULAR -PLAY-)」を、渋谷サクラステージとフォレストゲート代官山で開催した。
同イベントは、ファッションを通して循環型社会への「最初の一歩」を提案することによって、参加者にサステナビリティを身近に体感してもらうことを目指す。昨年の東急プラザ原宿「ハラカド」でのイベントに続き、2回目となった今回は規模を広げ、東急不動産が展開する2会場での開催となった。
60以上の企業・ブランドが参加した今回のイベント。サステナビリティ推進のために東急不動産がファッションに目を向けるのはなぜか。また会場ではどんなイベントが企画されていたのか。イベントの様子をレポートする。
イベント初日には、渋谷サクラステージでアパレル3社によるトークセッションを開催し、循環型ファッションビジネスの現状と課題を議論した。ファシリテーターを務めたフリースタンダードの張本貴雄社長は、世界で生産された衣料の約6割が廃棄されていると指摘し、「人口減少下でも生産が増える日本こそ循環前提の経営へ転換すべきだ」と提言。リユース利用が40〜50代にも広がり、新品と中古の境界が揺らいでいる現状にも触れた。
ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」畑野健一エキスパートは、20年以上続くリペア施策を紹介。キッズ商品では生涯無償修理を掲げる一方、回収量やコストの課題を挙げた。三陽商会の松本一哉本社販売部長は、自社製品の回収から再販までを内製化した認定リユースブランド「リ・サンヨー(RE:SANYO)」について説明。自社製アイテムの古着の回収量をKPIに据えた持続可能なモデルを強調した。
また「バブアー(BARBOUR)」の日本展開を担うバブアーパートナーズジャパンの坂下康平コミュニケーションディレクターは、リワックスや修理を通じて“ブランド愛”を育む方針を示し、循環を顧客との関係構築の手段と捉える視点を提示した。約1時間の議論では、事業を持続するための収益の確保と業界横断的な取り組みを通した文化醸成の重要性が確認した。
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渋谷サクラステージの会場でまず目を引いたのは、ベイクルーズ(BAYCREW'S)、バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)、ビームス(BEAMS)、シップス(SHIPS)の4社が集結したショッピングエリア「サーキュラー・ミックス」だ。各社スタッフが自社の古着やアウトレット品を組み合わせ、来場者に新たな装いを提案する異例の試みとなった。ビームスの福山直さんは「普段出合わない一着を」と女性客にメンズのフェイクレザージャケットを薦めた。また、同会場では協賛ブランドの廃棄予定品を無償提供する「ファースト・ピース」や、循環型の取り組みを展示とクイズで伝える「サーキュラー・クエスト」も実施した。
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1月30日には渋谷サクラステージで、31日と2月1日にはフォレストゲート代官山で実施した「メンテナンス・バー」では、世界水準の技術で愛用品を再生する体験を提供。「バブアー」のワックスジャケットのリワックス実演をはじめ、南アフリカ発のシューケアブランド「スニーカーラボ(SNEAKER LAB)」は天然由来・100%生分解性のバイオテクノロジーでスニーカーや衣類の汚れや臭いを分解するデモンストレーションを行った。革製品や服の修理、メンテナンスを専門にする「ジーエムティーファクトリー(GMT FACTORY)」のブースでは、世界最大の靴磨きコンテスト「シューシャイングランプリ2025」で3位の富樫輝好さんが来店客が持ち込んだ革靴を磨き上げた。
WWD:東急不動産が、商業施設を起点としたサーキュラーエコノミーの取り組みに注力し始めた背景は?
東急不動産田中将之グループリーダー(以下、田中):環境への取り組みを全社的に進める中、商業施設でも何かできないかと考え、間伐材を使って楽器を作るなどのワークショップを2016年から開催しました。これまで全国約40の商業施設で、地域と連携しながら環境意識の「種を植える」活動を行ってきました。
WWD:現在のような本格的なイベント展開に至った転機は?
田中:24年からフリースタンダードと本格的に協業したことが大きいです。環境への考え方や方向性が一致し、企業や来場者と一緒に環境への取り組みを深めていこうと考えました。去年の初回開催には50以上のブランドや企業に参加いただき、手応えを感じました。
WWD:今回掲げている「PLAY」というキーワードには、どんな意図があるのか?
田中:環境配慮は「やらなければならないもの」と思われがちで、手間やコストの面からハードルもあります。だからこそ、まずは楽しく体験していただくことが大事だと考えました。遊びの要素を入れることで、気軽に参加いただき、今後の行動のきっかけになれば嬉しいです。
WWD:2回目となる今回は、2会場開催とした。
田中:東急グループでは、渋谷駅から徒歩圏内の約2.5キロメートルのエリアを広域渋谷圏と呼んで注力しています。昨年の原宿エリアの「ハラカド」での開催を経て、今回は、広域渋谷圏内の渋谷サクラステージとフォレストゲート代官山に拡大しました。いずれも緑化に取り組むなど、環境を意識した施設である点も会場選定の理由です。
WWD:イベントを通じて、体験者に伝えたいメッセージは?
田中:今回の体験が、将来の消費行動の中でふと想起される「原体験」やきっかけになればと考えています。服を買う、何かを選ぶ際に、少しだけ環境を意識した選択肢を思い出してもらえたら嬉しいです。
WWD:競合関係にあるセレクトショップが横断的に参加している点も印象的だ。
田中:「環境」という共通の価値観に共感していただき大変嬉しく思っています。60以上のブランドや企業に賛同してもらっていることは意義深く、将来的には、リユースや循環を軸としたカルチャーをみんなで育てていければと考えています。
WWD:今後の展開について。
田中:将来的には広域渋谷圏に限らず、全国の商業施設にも広げていきたい。これからも、幅広いお客様に来館いただける商業施設だからこそできることを、いろいろな方と協業して取り組んでいきたいです。
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3月19日、JR関内駅前に「横浜市旧市庁舎街区活用事業」としてホテル・ライブビューイングアリーナ・商業・オフィスが一体になった大規模複合街区「ベースゲート(BASEGATE)横浜関内」が開業する。また、開業を記念して3月20〜22日に街区コンセプトである“新旧融合”をテーマに、横浜・関内ならではのコンテンツが楽しめる“ベースゲート 横浜関内 オープニングフェスティバル”も開催する。

“ベースゲート 横浜関内 オープニングフェスティバル”では、5つのコンテンツから体験できる開業記念イベントだ。地域ゆかりのアーティストによるライブ・パフォーマンスや、横浜の歴史・文化を体験できるマーケット、親子で楽しめるキッズスペース、花を活用したフォトスポットなど、多くの世代が楽しめるコンテンツを用意する。
セントラルプラザの“ザ ライブ入口横ステージ”では、パフォーマンスイベントを開催する。横浜・関内に縁のある大道芸人やアーティストが登場し、音楽パフォーマンスなどの演目を用意する。3月20日の出演者は、はじめとおおじ、イディオッツ(Idio2)、スティルタンゴ(Stiltango)、ハモニカクリームズ(HARMONICA CREAMS)。21日は、バルーンショウタロウ(Balloon-Syotaro)、シルヴプレ(SIVOPLAIT)、2xFE(トゥーエフイー)、22日はせせらぎ、市川莉子&松岡杏奈、桔梗ブラザーズ、松本梨香が出演する。
グリーンウォークでは3月20〜22日、横浜・関内を拠点にした工芸品、嗜好品などをそろえるマーケットを開催する。日々の暮らしに取り入れやすいアイテムが並ぶ。出店テナントは、「横濱帆布鞄」、「オディオディ(ODIODI)」、「ミュージッククロニクル YOKOHAMA」など。
スタジアムサイドスクエアには3月20〜22日、造花を使用したゲートを設置する。「ベースゲート 横浜」のロゴのカラーである青とピンクを基調に、横浜市の花であるバラをあしらう。フォトスポットとしても利用できる。
ザ ライブ 3階のルーフガーデンでは3月20〜22日、子どもが楽しめる体験型コンテンツを用意する。子ども用ブロック広場の設置をはじめ、自由に遊べるスペースを展開。
本フェスティバルの開催期間に合わせ、抽選企画“オープン!ベースゲートくじ”を開催する。期間中、対象店舗の購入金額3000円以上のレシートを提示し、抽選会に参加すると、“ワンダリア横浜 サポーテッド バイ ウミオス(UMIOS)”入場券などの景品が当たる。ほかにも、「ベースゲート 横浜関内」お買い物券1000円分や、「グリーンスローモビリティ」乗車券を用意する。景品ラインアップは変更する場合もある。
ディー・エヌ・エー(DeNA)は3月19日の本館開業にあわせ、同日から決済サービス“ディー・エヌ・エー ペイ”を利用すると景品の抽選に応募できるキャンペーンを実施する。キャンペーン期間中、“ディー・エヌ・エー ペイ”へのチャージや決済を行うことで“ディー・エヌ・エー ペイ 抽選ポイント”が自動的に貯まり、貯まったポイントを使って、“OMO7 横浜 バイ 星野リゾート”ペア宿泊券などの豪華チケットが当たる抽選に応募できる。
本館タワーに開業する没入型体験施設「ワンダリア サポーテッド バイ ウミオス」では、併設する「ワンダリアカフェ」のメニューや「ワンダリアショップ」で取り扱うオリジナルグッズを用意する。「ワンダリアカフェ」では、施設のロゴの色合いを表現した“ワンダリア レッド”を使用した“ワンダリアハンバーガー”(1580円)や“ワンダリアフレンチトースト”(1580円)など、視覚的にも味覚的にも楽しめるメニューを提供する。「ワンダリアショップ」では、施設内の映像に登場する生き物たちをモチーフにしたぬいぐるみや文房具、お菓子などのオリジナルグッズを展開する。
開業を記念し4月1〜5日、「スタジアム横バル街」の回遊キャンペーン“乾杯!ハシゴ札”を開催する。本エリアでは、34店舗が軒を連ねた“横丁”スタイルで、気になるお店を“ハシゴ”しながら楽しめる。参加方法は、対象店舗で3000円以上飲食すると、会計時に“ハシゴ札”を贈呈。2軒目で“ハシゴ札”を提示し500円以上注文すると、ドリンク1杯をプレゼントする。出店テナントは、サッケンロール君嶋屋、寿司しんたろう、ベトナム屋台 チャオメン、マージェ・マーラータン、ボーノ!パスタなど。
「有隣堂」は書店を核に、コワーキング&ラウンジ、ギャラリー&ショップ、雑貨、食品、飲食が融合した空間を展開する。地下1〜2階の3フロアを回遊しながら、ジャズ生演奏や中華獅子舞やワークショップなど、“ブック”“ワーク”“ライフ”の体験を提供する。
公式ウエブサイトでは、現在初出店や新事業のテナント情報、本館限定メニューなど全店舗の詳細情報を公開している。また、広場・サイネージの貸し出しに関する問い合わせおよび申し込みフォームを受け付け中だ。
◾️「ベースゲート 横浜関内」
オープン日:3月19日
営業時間:11:00〜23:00
住所:神奈川県横浜市中区港町1-1-1
開催日:3月20〜22日
時間:13::00〜16:30
場所:セントラルプラザ(ザ ライブ 入口横)
開催期間:3月20〜22日
時間:11:00〜17:00
場所:グリーンウォーク
開催期間:3月20〜22日
場所:スタジアムサイドスクエア
開催期間:3月20〜22日
時間:11:00〜17:00
場所:ザ ライブ 3階 ルーフガーデン
開催期間:3月20〜22日
時間:11:00〜21:00
場所:セントラルプラザ(有隣堂横)特設会場
ポイント獲得期間:3月19日00:00〜7月16日23:59
応募・有効期間:7月1日12:00〜30日17:00
日程:3月19日
時間:19:00〜
場所:「1909ユウリンショクドウ」 地下1階
参加費:無料(飲食別途)
定員:90人
YouTube「有隣堂しか知らない世界」連動企画。R.B.ブッコローが館内をグリーティング
日程:3月19日、22日
時間:12:00〜(終了時間未定)
タトゥーシール(2種、各550円)販売&当日限定で店内装着スペースあり
日程:3月20日
時間18:30〜、20:00〜
場所:「有隣堂」2階
参加費:3000円
定員:各回先着10人
日程:3月21日
時間:19:00
場所:「1909 ユウリンショクドウ」地下1階
参加費、定員、申込方法は後日案内
日程:3月22日
時間:15:00〜16:00
場所:「有隣堂」1階〜「ユウリンドウ ポート バザー」1階を周回
日程:3月28、29日
時間:11:00〜17:00
予約不要(8席、空き次第受付)
川嘉浩氏(哲学者)×渡辺祐真氏(書評家)による少人数読書イベント
日程:3月28日
時間:19:00〜20:30
参加費:1000円
定員:先着10人
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「ミッソーニ(MISSONI)」が2026-27年秋冬コレクションを発表した。
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「アーデム(ERDEM)」が2026-27年秋冬コレクションを発表した。
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東京都は3月29日、世界に羽ばたくファッションデザイナーを見出し、育成するため、都内在住または在学の学生を対象に“ネクスト ファッション デザイナー オブ トウキョウ(Next Fashion Designer of Tokyo)”と着物の生地などを活用した“サステナブル ファッション デザイン アワード”(Sustainable Fashion Design Award)“の最終審査会と表彰式を東京・虎ノ門の虎ノ門ヒルズで開催する。なお、観覧やライブ配信も行う。
同イベントは、応募総数約2000件のうち二次審査を通過した24組と、一般投票で選ばれた12組の計36組が集結し、ファッションショー形式で最終審査を行う。当日は、東京藝術大学長の日比野克彦や森永邦彦「アンリアレイジ(ANREALAGE)」デザイナー、アーティストの篠原ともえら16人が審査員として参加するほか、審査員同士のトークセッションも実施する。また、会場来場者やライブ視聴者が審査員として特別選抜賞を選定する投票に参加できる。
日程:3月29日
時間:14:30会場、15:00開始
入場料:無料 ※事前予約不要(ライブ配信あり)
会場:虎ノ門ヒルズ ステーションアトリウム
住所:東京都港区虎ノ門2-6−2
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埼玉・飯能の湖畔に、“KAWAII”の聖地が出現する。ニューヨーク在住のアーティスト増田セバスチャンは、北欧ライフスタイル体験施設「メッツァビレッジ」内の現代美術館、「ハイパーミュージアム飯能(HYPER MUSEUM HANNO)」で、大規模個展「KAWAIITOPIA -GO TO HEAVEN(HELL)-」を3月14日から8月30日まで開催する。増田にとっては5年ぶりの大型展であり、原宿の拠点「6%DOKIDOKI(ロクパーセントドキドキ)」開設30周年という節目とも重なる特別な機会となる。
同展は、日本発のポップカルチャー“KAWAII”を牽引してきた増田の思想と実践を、没入型インスタレーションとして体感させるもの。タイトルの「KAWAIITOPIA」は“KAWAII”と“UTOPIA”を掛け合わせた造語で、混沌とした時代を生き抜くための精神的ヴィジョンを提示する。増田は「KAWAIIは、誰にも邪魔されない自分だけの小さな宇宙。100人いれば100通りのKAWAIIがある」と語り、それぞれの価値観を認め合うことこそが平和へのアクションだと位置付ける。
会場の象徴となるのが、宮沢湖に浮かぶ巨大作品「KAWAII-CORE ISLAND」だ。高さ6メートル、幅7.5メートルの“棘で守られたハート”が鎮座するピンクの島は、まさにKAWAIIの聖地。内部に入ることも可能で、鑑賞者はアーティストからの問いを受け取る。上陸には当日販売のボートチケットが必要となる。
館内エントランスには、約6メートルのタワー作品「Polychromatic Skin -Gender Tower-」が出現。「私たちの皮膚の下にはカラフルな血が巡っている」というメッセージのもと、人種や宗教、ジェンダーといった境界を越える想像力を象徴する。
展示は、増田自身の記憶をたどる7つのエリアで構成される。「Sweets Hell」「Plushie Hell」「White Hell」など、天国と地獄を往還する物語的構成が特徴だ。生まれつき難聴だった幼少期の体験を反映したエントランス作品「Express Yourself」では、世界各国のKawaiiコミュニティから集めた“目”の映像が来場者を見つめ返す。視覚を通じて世界を捉えてきた増田の原体験が、強烈な色彩とマテリアルの集積として立ち上がる。

代表作「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」の特別バージョンも公開。欲望、未来、妄想、運命、傷、現実、そして“自分自身”をテーマにした部屋型作品は、12年の時を経てアップデートされる。
会場内の無料エリアにはポップアップストア「THE KAWAII WORLD SHOP」もオープン。限定・先行グッズの販売に加え、作品と撮影できるブースも設置し、アートと消費、体験を横断する増田らしい世界観を提示する。
フィンランド語で森を意味するメッツァ社が運営する同館は、「自然とデジタル」「キャラクターアート」を軸に、北欧的ライフスタイルと現代アートを融合させる新世代の美術館。森と湖に囲まれたロケーションを生かした屋外インスタレーションも特徴で、アートを通じた文化都市構想を掲げる。
増田は、震災やパンデミックを経た現実世界において、「それでも僕たちは確信している。その先にあるユートピアを」とステートメントで記す。HEAVENかHELLか――その二項対立を超え、KAWAIIという方法論で未来を再構築する試みを、飯能の湖畔から発信する。
■増田セバスチャン「KAWAIITOPIA -GO TO HEAVEN(HELL)-」
日程:3月14日〜8月30日
時間:10:00〜17:00
場所:ハイパーミュージアム飯能
住所:〒357-0001 埼玉県飯能市宮沢327−6 メッツァビレッジ
入場料:(前売)おとな 1000 円、こども(4 歳〜高校生)500円 (当日) おとな1200円、こども(4歳〜高校生)700円
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「10兆円の消費データをどう生かすか。それが今後の伊藤忠の使命の一つになる」――。そう語るのは、ファミリーマートの細見研介社長だ。2月26日の45周年プロジェクト発表会の後、メディアの質問に答えた。細見氏は親会社の伊藤忠商事に3月1日付で帰任するため、これが最後の記者発表の場となった。
決済アプリ「ファミペイ」の会員ID数は約3000万、「ドン・キホーテ」などデータを連携している外部企業を加えれば累計5500万IDにのぼる。全体の取引額は年間10兆円で、世界でも有数の小売りのビッグデータになる。伊藤忠は「利は川下にあり」を掲げており、ファミマの情報はグループ全体にとって宝の山だ。
21年3月に社長に就任した細見氏は、伊藤忠の繊維部門の出身。持ち前の明るさと積極姿勢で、コンビニ業界の名物社長になった。就任初年度の40周年キャンペーンでは、キャッチコピーを「そろそろ、No.1を入れ替えよう」とし、圧倒的王者であるセブンイレブンに挑戦状を叩きつけた。「社内を鼓舞したかった」と振り返る。
その後も、「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理氏をデザイナーに迎えたアパレルブランド「コンビニエンスウェア(CONVENIENCE WEAR)」を売上高200億円超の規模に育て上げ、1万店以上に設置するデジタルサイネージを通じてリテールメディアに先鞭をつけ、そしてファミマのクリエイティブディレクターにNIGO氏を起用するなど、次々と新基軸を打ち出した。
細見氏は3月1日付でファミマも管轄する伊藤忠の第8カンパニープレジデントに帰任する。細見氏はファミマ社長に就く前に執行役員第8カンパニープレジデントだったが、今度は常務取締役に昇進する。「10兆円の消費データでいかに稼ぐか」。今後は商社マンとして川下戦略の指揮を執る。
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毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月23日号からの抜粋です)
横山:今号は地方セレクト特集第3弾です。僕は今回、香川県高松市に初めて上陸しました。4件取材しましたが、一番面白かったのは市街地から車30分くらいの庵治(あじ)地区に本社を構える繊維商社の中商事が運営する「アジサーキュラーパーク(AJI CIRCULAR PARK)」。3代目の中貴史社長が本社オフィス兼工場にショップも作って、土日のみ営業しています。古着や卸用に作ったアパレルで余ったもの、布のはぎれなどを販売するほか、置いてある古着と自分が持ち込んだ古着を参加費500円で交換できるコーナーもあって、すごく先鋭的な循環型セレクトショップでした。
益成:イサム・ノグチの庭園があるエリアですよね?行ってみたいです。
横山:石の加工が得意な地域なんですよね。ショップにも、スツールとして使えるオシャレな石が置いてあって、地産地消アプローチも感じました。
益成:地方ならではの取り組みですね。サステナ文脈も今っぽい。古着と新品を一緒に売る店も増えていますよね。私は盛岡の「生活芸術」に感動しました。某ショールームの営業が勧めてくれたのですが、南部鉄器のアトリエ跡地を改装した畳の部屋があるショップで「キャロル クリスチャン ポエル(CAROL CHRISTIAN POELL)」や「ブレス(BLESS)」「ウォルター ヴァン べイレンドンク(WALTER VAN BEIRENDONCK)」などを扱っています。一点もの、レアものが多く、そこにしかないものを買いに業界の人も来るそうです。作り手と買い手の顔が見えるビジネスをしていて、「ブレス」は壁紙などのインテリアアイテムも扱っています。オーナーの小野公洋・牧子夫妻は「盛岡で農家みたいにひっそりと店を運営している」と語っていましたが、作り手と買い手へのリスペクトがあって、ファッションへの愛に溢れていました。「今のファッション業界にはこういう人たちが必要!」と心から思いました。
横山:分かります。洋服を売買するって、ファッションにおける一番濃いコミュニケーションですよね。僕らはメディアとして情報を伝えますが、セレクトのオーナーはエヴァンジェリストとして、生の情報を伝えながらブランドと顧客の接点を支えています。地方のセレクトショップを取材すると、毎回「この人たちがいるからファッション業界が成り立っている」と実感します。
益成:メンテナンスや修理を請け負えるのも作り手との密な関係があるから。「好き」という気持ちが原動力ですね。
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毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月23日号からの抜粋です)
横山:今号は地方セレクト特集第3弾です。僕は今回、香川県高松市に初めて上陸しました。4件取材しましたが、一番面白かったのは市街地から車30分くらいの庵治(あじ)地区に本社を構える繊維商社の中商事が運営する「アジサーキュラーパーク(AJI CIRCULAR PARK)」。3代目の中貴史社長が本社オフィス兼工場にショップも作って、土日のみ営業しています。古着や卸用に作ったアパレルで余ったもの、布のはぎれなどを販売するほか、置いてある古着と自分が持ち込んだ古着を参加費500円で交換できるコーナーもあって、すごく先鋭的な循環型セレクトショップでした。
益成:イサム・ノグチの庭園があるエリアですよね?行ってみたいです。
横山:石の加工が得意な地域なんですよね。ショップにも、スツールとして使えるオシャレな石が置いてあって、地産地消アプローチも感じました。
益成:地方ならではの取り組みですね。サステナ文脈も今っぽい。古着と新品を一緒に売る店も増えていますよね。私は盛岡の「生活芸術」に感動しました。某ショールームの営業が勧めてくれたのですが、南部鉄器のアトリエ跡地を改装した畳の部屋があるショップで「キャロル クリスチャン ポエル(CAROL CHRISTIAN POELL)」や「ブレス(BLESS)」「ウォルター ヴァン べイレンドンク(WALTER VAN BEIRENDONCK)」などを扱っています。一点もの、レアものが多く、そこにしかないものを買いに業界の人も来るそうです。作り手と買い手の顔が見えるビジネスをしていて、「ブレス」は壁紙などのインテリアアイテムも扱っています。オーナーの小野公洋・牧子夫妻は「盛岡で農家みたいにひっそりと店を運営している」と語っていましたが、作り手と買い手へのリスペクトがあって、ファッションへの愛に溢れていました。「今のファッション業界にはこういう人たちが必要!」と心から思いました。
横山:分かります。洋服を売買するって、ファッションにおける一番濃いコミュニケーションですよね。僕らはメディアとして情報を伝えますが、セレクトのオーナーはエヴァンジェリストとして、生の情報を伝えながらブランドと顧客の接点を支えています。地方のセレクトショップを取材すると、毎回「この人たちがいるからファッション業界が成り立っている」と実感します。
益成:メンテナンスや修理を請け負えるのも作り手との密な関係があるから。「好き」という気持ちが原動力ですね。
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「シャネル(CHANEL)」は、トップクラスの若手女性アスリートを奨励・支援するプログラム「CC LEAGUE BY CHANEL BEAUTY」を始動した。創業者のガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が生涯にわたりスポーツに親しみ、健康維持の手段にとどまらず創造性の源と捉えた思想を背景に、今後2年間にわたり女性トップアスリートを対象とした支援を行う。
同プログラムは、世界各国から選出した7人の若手アスリートを迎え、個別およびグループでのセッションを通じて、それぞれが考える美しさを探求する機会を提供する。競技の枠を越えた対話の場の創出や、「シャネル」によるワークショップ、自信や自己表現、フェミニニティに焦点を当てたコーチングなどを実施する。スポーツ界にとどまらない女性ネットワークへのアクセスも支援し、アスリートが自らのアイデンティティーを見つめ直す環境を整える。
1年目のメンターは、米女子プロバスケットボールWNBAで11シーズンにわたり活躍した元選手のレニー・モンゴメリー(Renee Montgomery)=アトランタ・ドリーム副社長兼共同オーナーが務める。同氏は、参加アスリートが自分らしさを尊重しながら成長するプロセスを伴走する役割を担う。
参加メンバーは、異なる競技分野で実績を重ねてきた次世代のアスリートたちが集まる。メキシコ出身で飛び込み競技の国際大会で金・銀・銅メダルを獲得したガビー・アグンデス(Gaby Agundez)選手、フランス出身で2025年世界室内陸上競技選手権の女子棒高跳び優勝者であるマリー=ジュリー・ボナン(Marie-Julie Bonnin)選手、香港出身で水泳の国際大会に出場するシンディ・チェン(Cindy Cheung)選手、フランス出身でパラサイクリングと自転車競技の両分野で世界チャンピオンになったハイディ・ゴガン(Heidi Gaugain)選手、韓国出身でショートトラックスピードスケートのメダリストであるキム・ギルリ(Kim Gil-li)選手、同じく韓国出身でクライミングの国際大会で30タイトルを獲得したキム・ジャイン(Kim Jain)選手、そして香港出身でフェンシングのアジアジュニア・カデ選手権で個人・団体共に金メダルを獲得したジャネール・レオン(Janelle Leung)選手の7人だ。
「シャネル」は本プログラムを通じて、「美は変革と自信をもたらす力である」というメッセージを発信し、女性への継続的なコミットメントを具現化するとしている。女性支援を軸にしたブランド戦略の一環として注目される。
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「シャネル(CHANEL)」は、トップクラスの若手女性アスリートを奨励・支援するプログラム「CC LEAGUE BY CHANEL BEAUTY」を始動した。創業者のガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が生涯にわたりスポーツに親しみ、健康維持の手段にとどまらず創造性の源と捉えた思想を背景に、今後2年間にわたり女性トップアスリートを対象とした支援を行う。
同プログラムは、世界各国から選出した7人の若手アスリートを迎え、個別およびグループでのセッションを通じて、それぞれが考える美しさを探求する機会を提供する。競技の枠を越えた対話の場の創出や、「シャネル」によるワークショップ、自信や自己表現、フェミニニティに焦点を当てたコーチングなどを実施する。スポーツ界にとどまらない女性ネットワークへのアクセスも支援し、アスリートが自らのアイデンティティーを見つめ直す環境を整える。
1年目のメンターは、米女子プロバスケットボールWNBAで11シーズンにわたり活躍した元選手のレニー・モンゴメリー(Renee Montgomery)=アトランタ・ドリーム副社長兼共同オーナーが務める。同氏は、参加アスリートが自分らしさを尊重しながら成長するプロセスを伴走する役割を担う。
参加メンバーは、異なる競技分野で実績を重ねてきた次世代のアスリートたちが集まる。メキシコ出身で飛び込み競技の国際大会で金・銀・銅メダルを獲得したガビー・アグンデス(Gaby Agundez)選手、フランス出身で2025年世界室内陸上競技選手権の女子棒高跳び優勝者であるマリー=ジュリー・ボナン(Marie-Julie Bonnin)選手、香港出身で水泳の国際大会に出場するシンディ・チェン(Cindy Cheung)選手、フランス出身でパラサイクリングと自転車競技の両分野で世界チャンピオンになったハイディ・ゴガン(Heidi Gaugain)選手、韓国出身でショートトラックスピードスケートのメダリストであるキム・ギルリ(Kim Gil-li)選手、同じく韓国出身でクライミングの国際大会で30タイトルを獲得したキム・ジャイン(Kim Jain)選手、そして香港出身でフェンシングのアジアジュニア・カデ選手権で個人・団体共に金メダルを獲得したジャネール・レオン(Janelle Leung)選手の7人だ。
「シャネル」は本プログラムを通じて、「美は変革と自信をもたらす力である」というメッセージを発信し、女性への継続的なコミットメントを具現化するとしている。女性支援を軸にしたブランド戦略の一環として注目される。
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