ロンドン中心部で先週末、企業家が仮想通貨を発行する「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」で資金を調達しようと、一般市民に売り込む催しが開かれた。仮想通貨のリスクを警告する声は多いが、次の波に乗りたいと願う潜在的投資家で大にぎわいになった。主催者はこの催しを、英国発の大規模な「仮想通貨投資家ショー」と宣伝。会場には超高性能自動車の開発や高齢者向け住居のネットワーク構築など、さまざまな事業案を掲げる起業家が数十のブースを設置。家族連れを含む大勢の市民が訪れ、売り込みの口上や討論会に耳を傾けた。イングランド中心部から兄弟で訪れた30歳の男性は「ICOについて勉強したくて来た。研究してからだけど、投資はするつもりだ。(ICOは)キテるからね。株や債券なんてもう古いよ」と話す。ICOは起業を目指す人々にとって、最も規制の緩い資金調達手段だ。規制当局は、投資家は無一文になる覚悟が必要だと警鐘を鳴らしている。これに対して支持者は、ICOは資金調達の革命であり、エリートのベンチャーキャピタリストだけのものだった新興企業への投資機会が、一般人に開かれたと主張する。しかしフェイスブックは仮想通貨の広告を全面禁止し、ツイッターは仮想通貨関連のアカウントがプラットフォーム上で悪徳商法を行うのを防ぐ対策に乗り出すなど、企業側にも仮想通貨ブームに抵抗する動きが出ている。ロンドンでは、仮想通貨の基本技術であるブロックチェーン(分散台帳)技術に関する会議が定期的に開かれ、技術者が意見交換を行っているが、今回の催しは専門家だけでなく一般市民を対象にしている点が特徴だ。この業界で働いたことのある参加者は、出展者のICOにがっかりしたと話す。ブロックチェーン技術のことなどほとんど知らない日雇いスタッフがチラシを配っていたという。仮想通貨グロブコインのリンダ・リーニー氏は「ここで行われている宣伝のいくつかにだまされちゃだめ。問題解決どころか、新たな問題を作り出しているだけではないか(と自問してみて)」と語った。商業用不動産などを裏付けとする仮想通貨を売り込んでいたある企業は、創業資金として400万ドルを調達することに成功し、目標は1000万ドルだと説明した。その近くでは、プログラマーと営業マンが入れ替わりでステージに立って事業説明を行っていたが、具体的な金銭的リターンを約束する企業は皆無で、仮想通貨についての説明は価格と初期割引特典にとどまった。会場を訪れた電子エンジニアの男性(34歳)は、自称「汚れた転がし屋」。ICOの前に仮想通貨を買い、取引所での取引が始まってから売り抜けるのだという。男性は、詐欺で有罪になった株式ブローカーの映画を引き合いに、「『ウルフ・オブ・ウォールストリート』見たことある? 同じだよ。吊り上げて売り抜ける。ここにいるやつらは救いようのない間抜けだからね。だいたいICO前に買わなきゃ手遅れだって」と語ったが、1月の仮想通貨暴落で約40万ドル失ったと打ち明けた。(Tommy Wilkes記者)
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怪しそう。