母の日のカーネーションなど“ロスフラワー”から生まれたエシカルジン! 「LOSS IS MORE GIN」“花の日”から発売開始

エシカル・スピリッツは、アップサイクルコレクティブ「LOSSISMORE」を展開するLOSS IS MOREの第1弾プロダクトとして、毎年5月の「母の日」後に多く廃棄されてしまう「カーネーション」を中心とした生花をボタニカルとして使用したクラフトジン「LOSS IS MORE GIN」(ロスイズモアジン)の蒸留を担当。「花の日」である8月7日より、順次販売を開始します。実売価格は3850円(税込)。

 

フラワーライフ振興協議会によると、日本国内でのロスフラワーによる経済損失は、年間1500億円にのぼるともいわれています。小売店が仕入れた量の約30~40%は廃棄されているとのことです。

 

同商品は、ロスフラワー(廃棄されてしまう花の呼称)の「香り」を生かした、消費期限のない蒸留酒 (クラフトジン)。母の日が終わると大量に捨てられてしまうカーネーションを主役に、恒常的にロスが発生しているバラやユリなどのロスフラワーをブレンドしています。

 

大量に廃棄される生花を有効利用したいという問題意識を持った岩手県内の生花店「田村フローリスト」提供のロスフラワーから複数の香りを織り込んだ、植物園や花屋にいるような香りが特徴。

 

酒粕を再利用した原酒、菊の司の粕取り焼酎のしっかりとした甘さの上に、バラやラベンダー、甘夏の花など、全16種のボタニカルにより協奏される重層的な味わいが楽しめます。おすすめの飲み方はソーダ割です。

ハバネロの仲間「京の黄真珠」を使用! 世界的なジンの品評会でブロンズ賞を受賞した実験的クラフトジンが数量限定発売

エシカル・スピリッツは、クラフトジン「KYOTO PEPPER ETHIQUE」を、数量限定で販売開始しました。実売価格は3000円(税込)。

 

同商品は、「OIDEYASU DESTROYER」として、“素材の可能性を実験する”蒸留酒シリーズ「ENIGMA」より少量生産。ジンの品評会「IWSC 2023」でのブロンズ賞受賞や、ユーザーからの商品化希望の声を受け、今回「KYOTO PEPPER ETHIQUE」として製品化されました。

 

キーボタニカルには、京都市が京都大学や京都先端科学大学などの学術機関や、生産者と連携して開発・導入を進めている「新京野菜」のひとつである「京の黄真珠」を使用。ハバネロの仲間で、非常に辛い唐辛子ですが、豊かな香りを持つ品種でもあり、素材の持つ味わいを最大限に引き出すべく、未成熟の緑色の京の黄真珠と、ジュニパーベリーのみで、シンプルなジンに仕上げています。

 

原酒には、天吹酒造の新鮮な酒粕を絞った吟醸粕取焼酎を使用。吟醸酒特有のメロン、白桃、青リンゴのような華やかな香りが凝縮されています。おすすめの飲み方はトニック割。

 

ETHIQUEの1つ目のEは、アキュートアクセント付きが正式な表記です

「シークレット スペイサイド」コレクション全4蒸留所コンプリート! 日本初登場「ブレイズ・オブ・グレンリベット」や「グレンキース」再発売も

ペルノ・リカール・ジャパンは、「ブレイズ・オブ・グレンリベット」の30年熟成シングルモルトウイスキーを新発売、「グレンキース」の21年・25年の2アイテムを再発売しています。いずれも数量限定での販売です。

 

同社は、ペルノ・リカール・グループが保有するスコットランド・スペイサイド地方のウイスキー蒸留所の中から、熟成年数18年以上のシングルモルトウイスキーを精選した「シークレット スペイサイド」コレクションを2020年より日本国内市場で展開。ブレイズ・オブ・グレンリベットは、コレクションの中で日本未発売となっていましたが、今回の発売により同コレクションを構成する4つの蒸留所のすべてが揃い、合計13アイテムでの展開となります。

↑ブレイズ・オブ・グレンリベット蒸留所

 

今回新たに発売された「ブレイズ・オブ・グレンリベット 30年」は、30年以上熟成したモルトウイスキーをカスクストレングス(加水調整せず、樽からそのまま瓶詰め)でボトリング。丘陵からくる純度の高い水源を使用した、トロピカルフルーツのフレーバーが特徴的なシングルモルトウイスキーです。実売価格は12万5400円(税込)。

 

グレンキースは、継続販売中の28年と、再発売された21年・25年を合わせて3アイテムの展開。銅製蒸留器によって生み出されるエレガントでフルーティーなスペイサイドスタイルの味わいが楽しめます。実売価格は、21年が3万800円(税込)、25年が6万6000円(税込)、28年が8万3600円(税込)です。

メロンソーダとビールの「素」が大ヒット! 2023年上半期で売れたドリンク4選

『GetNavi』が選ぶ「2023年上半期売れたものSELECTION」。今回は「フード編」から、カルディコーヒーファーム「メロンソーダの素」、サントリー「サントリー生ビール」、サントリー「ビアボール」、アサヒビール「ヨルビール」の4商品をピックアップ!

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです

 

炭酸で割るだけで喫茶店の味を楽しめる

カルディコーヒーファーム
オリジナル
メロンソーダの素
522円

炭酸水で割るだけで、メロンソーダが完成。鹿児島県産のアールスメロンの果肉ペーストを贅沢に使い、自宅にいながらリッチなおうち喫茶店気分を味わえる。希釈せずに、バニラアイスやかき氷などにかけても美味。本品1に対して、炭酸水2の割合で希釈するのがオススメだ。

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>フードツーリズムマイスター・今西絢美さん
フードツーリズムマイスターの資格を持つライター。調理家電や食の記事も執筆する。

 

レトロブームが重なり1か月で約4万本販売
「レトロブームのいま、メロンソーダは“エモさ”の象徴。本品は喫茶店のメニューを自宅で作れると好評で、初回入荷ぶんは約2週間で完売。その後増産され、発売から1か月で約4万本も売れています」(今西さん)

売れ行き:★★★
革新性:★★★
影響力:★★

 

飲み応えと飲みやすさを両立した次世代缶ビール

サントリー
サントリー生ビール
実売価格218円(350ml)、286円(500ml)

酒税改正を10月に控えたこのタイミングで、大型新商品が登場。厳選素材とこだわりの製法で、グッとくる飲み応えと、かつてない飲みやすさを両立した。ビール樽がモチーフのスタイリッシュなパッケージも話題。

↑手間と時間がかかる「トリプルデコクション製法」で、素材のうまみを最大限に引き出している

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>フードライター・中山秀明さん
食のトレンドに詳しい。GetNavi webでは連載「サニーデイ・サービス 田中 貴のラーメン狂走曲」を担当。

 

印象的な味とデザインでビール好きの新たな選択肢に
「発売約1週間で販売数量100万ケースを突破し、直近20年における同社の缶ビール新商品で最速を記録。同社の『プレモル』の重厚で華やかな味とは異なるすっきりとした味で、ビールの選択肢が広がった!!」(中山さん)

売れ行き:★★★★
革新性:★★
影響力:★★

 

自分好みの濃さで味わえる炭酸水で割るビール

サントリー
ビアボール
実売価格768円

日本初の炭酸水で割るビール。培った醸造技術を結集し、同社のビールでは過去最高のアルコール度数16%を実現。時間が経っても味と香りのバランスが崩れない。

↑ビールを自分好みの濃さで飲めるのが新しい。メーカーのオススメ比率は、炭酸水3に対し、ビアボール1

 

エスプレッソの香りがくつろぎタイムに寄り添う

アサヒビール
ヨルビール
実売価格272円
●現在は販売終了

エスプレッソと黒麦芽を使った黒ビール。エスプレッソコーヒーの香りと深みのある味わいが特徴で、ゆっくりと時間をかけて自分のペースで楽しめる。セブン−イレブンで数量限定発売された。

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>編集者・鈴木翔子さん
本誌の元フード担当で現在フリーの編集者。バーでも働き幅広い年代のお客さんから情報を収集。

 

いまの時代にマッチした“自分らしく”楽しめるお酒
「『ヨルビール』は、くつろぎ時間に合うことを訴求し、想定の1.5倍売れ。3000万杯(※)突破の『ビアボール』は、他のビールよりも若年層の購買比率が高い。ともに自分らしく楽しめる点が時代にマッチ!」(鈴木さん)

※:家庭用・業務用を合算

売れ行き:★★★★
革新性:★★★★
影響力:★★★

「こだわり酒場のタコハイ」はなぜ販売単月で100万ケースを突破したのか?【2023年上半期売れたモノSELECTION フード編】

『GetNavi』が選ぶ「2023年上半期売れたものSELECTION」。今回は「フード編」からサントリー「こだわり酒場のタコハイ」を紹介。販売単月で100万ケースを突破した人気のヒミツを探る。

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです

 

名門ブランド「こだわり酒場」から新たな味のサワーがまたヒット

サントリー
こだわり酒場のタコハイの素
715円

酒場で愛されるプレーンサワーの味わいを目指した、ソーダ割り用の濃縮リキュール。アルコール度数は25%で、好みの濃さで飲めるのも人気の理由だ。オススメの配合は、タコハイの素1に対し炭酸水が3。6%の濃さに仕上がる。

↑YouTube公式チャンネルには、作り方やアレンジレシピなどの動画がアップされている

 

サントリー
こだわり酒場のタコハイ
163円(350㎖)
220円(500㎖)

プレーンサワーの味を、より手軽に楽しめる缶商品。「タコハイの素」同様、ほのかな柑橘の爽やかなフレーバーと独自技術で、甘香ばしい風味を引き出した焼酎「焙煎麦焼酎」のコクが食事を引き立てる。

↑女優の田中みな実さんが「タコハイって何味?」とつぶやくCMが話題になった

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>フードライター・中山秀明さん
食のトレンドに詳しい。GetNavi webでは連載「サニーデイ・サービス 田中 貴のラーメン狂走曲」を担当。

 

家飲み食中酒の選択肢拡大にも貢献!!
「発売6週間で、同社の昨年のヒット商品『翠ジンソーダ缶』の初動を超える売れ行きを記録。これまで、食事に合うRTDといえばレモンサワーが鉄板でしたが、本品の登場により家飲み食中酒の選択肢が広がりました」(中山さん)

売れ行き:★★★★
革新性:★★★
影響力:★★★★

 

酸味や甘みを抑えコクは豊かポストレモンサワー的な存在に

サントリーが3月7日に発売した「こだわり酒場のタコハイ」は、販売単月で100万ケースを突破。年間計画も、2倍の500万ケースに上方修正するほど売れている。フードライターの中山秀明さんは、本品のヒットには複数の要因が絡んでいるという。

 

「昨今の外食で人気の業態が大衆酒場。昭和から続く老舗酒場と、その魅力を若手経営者が表現したモダンな酒場、どちらも好調です。これらの店の定番酒といえばサワー。レモンサワーも人気ですが、酸味や甘みが控えめなぶん焼酎のコクが豊かなプレーンサワーにもファンが多く、その味を再現しているのが本品です」(中山さん)

 

では、その他の要因とは何か。

 

「『こだわり酒場』シリーズは、2018年にレモンサワーの素、2019年にその缶商品がヒットしていて、ユーザーからの信頼が厚いんです。またここ数年、シティポップや平成レトロなどが流行り、レトロ回帰が世の中全体で続いていますよね。こうしたトレンドも、タコハイ人気を後押ししたのだと思います」(中山さん)

 

【コレもヒット!】
大衆酒場で愛される元祖酎ハイのような辛口をノンアルコールで実現

宝酒造
タカラ「辛口ゼロボール」
実売価格141円

下町の大衆酒場で愛される、元祖「焼酎ハイボール」のようなキレのある辛口の味わいをノンアルコールで実現。糖質、カロリー、プリン体、甘味料の4つがゼロなのもうれしい。

↑CMにはテニスのレジェンド・松岡修造さんを起用。Twitterキャンペーンも好評で、商品単体のアカウントながら5万フォロワーを突破している

【せんべろnet監修】ひとり飲み初心者にオススメなお店の噺

全10回にわたってお届けした「東京・大衆酒場の名店シリーズ」で、一連の酒場知識を習得したお酒好きタレント・中村優さん。今回からは実践編ということで、女性ひとり(初心者)でもできる「酒場」の楽しみ方を、「せんべろnet」管理人のひろみんさんに教えてもらいながら体験していきます。

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

ひとりで飲みに行きたいけれど……

「酒噺」の東京・大衆酒場の名店巡りで一連の知識を習得した中村さん。ここからは自立してひとりで酒場へ出掛けてみようと意気込んでいたところ、同じ「酒噺」で「せんべろnet」に聞く! 1000円で楽しめる「せんべろ」の噺という記事を発見。

 

すぐに「せんべろnet」のTwitterをフォロー。DMを送って「せんべろnet」管理人のひろみんさんと繫がることに。ひとり飲みの師匠として心酔し、LINEも交換してもらい、最初にオススメしてもらったのが、錦糸町(東京都墨田区)にある「立呑み みつぼし村」。今回は同店のひとり飲み体験レポートをお届けします。

 

【関連記事】
「せんべろnet」に聞く! 1000円で楽しめる「せんべろ」の噺

 

初心者でもひとり飲みしやすいお店とは?

↑JR錦糸町駅に到着! ここから「立呑み みつぼし村」までは徒歩約3分

 

ひろみんさんが「立呑み みつぼし村」をオススメした理由は、ひとり飲みに最適なお店だから。「まず、大きな窓から店内の様子がわかりやすく、表の看板にはメニューや価格も書いてあるなど、気軽に入れます。また、キャッシュオン(商品を受け取る際、その場で代金を支払う方式)なので、最初から予算を決められて、好きなタイミングで帰れるのも◎です」。

 

さらに「チューハイ200円、おつまみも110円~と『1000円札を握りしめて気軽に楽しめる安さ』、系列にイタリアンのお店もあり『低価格なのにおつまみが美味しい』こともポイントです!」とのこと。

 

こうして、「せんべろnet」の「立呑み みつぼし村」の記事で予習をしつつお店に向かう中村さん。「行ってきます!」とひろみんさんに伝えたところ、「もしわからないことあったら、気軽にLINEしてくださいね! ではでは~」との頼もしいメッセージが。

 

迷うことなく「立呑み みつぼし村」に到着した中村さん。まず店構えを観察すると、ひろみんさんの言う通り、窓越しに店内の様子がわかり、外の看板にはメニューと価格が書かれています。

 

↑看板に書かれているのは、メニューと価格、キャッシュオン式の会計であること、営業時間などです

 

~外観に見る「ひとり飲みしやすいお店」の条件~

・「大きな窓がある」「フルオープン」など、外から店内の様子が見えて、入りやすい店構え

・カウンターがある

・外の看板などにメニューと価格が書いてあり、おおまかな費用が把握できる

・「ひとり飲み歓迎」などが書いてあればさらに◎

 

いざ入店! テーブルに置かれたお皿はなに?

入店した中村さんはさっそくお酒を注文するも、気になったことをLINEでひろみんさんに質問します。

↑お店に入ると「立呑み みつぼし村6ヶ条」が。ルールがあり、安心して飲める。まずは読んでおこう!

 

 

↑「立呑み みつぼし村」ではこのお皿を会計に活用するとスムーズ

 

ひろみんさん曰く、立ち飲み店はキャッシュオンのお店もよくあるとのこと。その場合、お札は崩しておいたほうがベター。基本的に1000円札であれば問題なし。ただ、閉店時間が近くなるとお店の1000円札も溜まってくるため、その場合はまれに5000円や1万円札がありがたがられることもあるといいます。

 

~キャッシュオンについて~

・キャッシュオンとは商品を受け取る際、その場で代金を支払う方式のこと

・立ち飲み店はキャッシュオンの店も少なくない

・キャッシュオンのいいところは「今日はいくらまで飲む」と金額設定しやすく、明朗会計なこと

・お札は1000円札がベター

・テーブルに小銭入れがある場合はそこに入れておくと会計がスムーズ

 

《酒噺のオススメ記事はコチラ》


篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺
東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第2回。今回は、江戸川区・篠崎の「大林(おおばやし)」を訪れ、その魅力を探っていきます。

大衆酒場の酎ハイに欠かせない「下町炭酸」を飲み比べる噺
【東京・大衆酒場の名店】の番外編として下町の大衆酒場の名物・焼酎ハイボールには欠かせない「炭酸水」について深堀りしていきます。

 

まずは、一杯!

中村さんが一杯目にオーダーしたのは「ゴールデンハイボール」(250円)。同店には通常の「焼酎ハイボール」(200円)もあるものの、壁に貼ってあった「ゴールデンハイボール」のポスターに心を奪われ、注文してみました。

壁には「うまさ、ゴールデン!!」のポスターが

 

↑「ゴールデンハイボール」(250円)

 

香りが甘く爽快感もしっかりとした「ゴールデンハイボール」のおいしさに感動した中村さん。その正体を知るために、ひろみんさんにLINEで質問してみました。

 

ひろみんさん曰く「『ゴールデンハイボール』のベースは宝焼酎『ゴールデン』。炭酸割りがよりおいしくなるようにブレンドされていて、甘い香りと絶妙なコクがポイントです。揚げ物からお刺身まで、大衆酒場の定番メニューとも相性抜群ですよ!」

↑「絶妙なコクがサイコーです!」と、「ゴールデンハイボール」を堪能する中村さん

 

~ひとり飲み(立ち飲み)ドリンクのポイント~

・関東の立ち飲みではプレーンの「チューハイ」が最安値(相場は300円前後)ということが多く、お店によって味の違いが楽しめたりもするのでオススメ

・お得にたっぷり飲みたい時にはホッピーセットがオススメ。「ナカ(焼酎)/ソト(割材)」スタイルで安価にナカをおかわりできる

・瓶ビールを注文して、ちびちびコップに注いで飲むのも楽しい!

 

 

ひとり飲みのおつまみは何品注文すればいい?

 

お酒が届いたところで、おつまみも選ぶ中村さん。気になったメニューをいったん2品注文したものの、分量の正解がいまいちわからない。注文のペースや一度にオーダーする数などはこんな感じで良いのか、ひろみんさんにLINEで確認してみることに。

 

↑「トマトサラダ」210円。「マヨネーズではなく自家製ドレッシングというひねりが素敵。キャベツ付きで箸休めにもイイですね!」と中村さん

 

↑「なめろう」230円。「刻み大葉とゴマが好アクセントで超おいしいです!」と中村さんも大絶賛

 

ひろみんさんの嗜み方は1品ずつ。特に初めてのお店の場合は分量がわからないことも多いため、まずは1品頼んで、そのお店のボリューム感を知るのだとか。

 

おつまみの選び方は、お店の名物があればそちらを優先することが多いそう。「立呑み みつぼし村」の場合、充実した鮮魚は必食で、特に「なめろう」はオススメとのこと。中村さんは野菜と魚をオーダーしたため、次はバランスよくお肉系のメニュ—を注文したいところ。

 

ひろみんさんのオススメは「ハムカツ」。さらに、「『ゴールデンハイボール』とも相性抜群!  別売りで『カットレモン』があるので、そちらを『ゴールデンハイボール』に入れるのもオススメですよ!」とのLINEがきたので、こちらもあわせて注文です。

↑「ハムカツ」230円

 

「ハムカツ」は自家製。揚げたてでサクサクと食感よく、食べ応えもあります。ここで、中村さんはひろみんさんがオススメした「カットレモン」でチューハイの“味変”に挑戦。さらに余ったレモンを「ハムカツ」にかけるというテクニックも披露!「ソースをかけるのもいいけど、そのままでもすごくおいしい! レモンを搾って余韻をすっきりさせるのもアリですね~」と中村さん。

↑「カットレモン」は100円。別皿に4切れで提供されるため、揚げ物に搾るなど自由に使ってOK

 

↑「『ゴールデンハイボール』にカットレモンを入れるとスッキリして、お酒がすごく進みます!」と中村さん

 

ちなみに、ひろみんさんが今回「立呑み みつぼし村」をオススメしたのは、ほかにも理由がありました。それは、ここが酒場の聖地をルーツにもつお店だから。

 

実は同店、赤羽(東京都北区)にあるせんべろの聖地「立ち飲み いこい」で修業した方が営んでいるのです。もちろん「立ち飲み いこい」も最高なのですが、聖地なだけあって、初めて行くなら「立呑み みつぼし村」のほうが緊張しないだろうという理由で選んでくれたのです。

 

 

↑ひろみんさんの最新作『せんべろnetのひとり酒場 家飲み手帖』(ワン・パブリッシング・刊)は2023年7月27日に上梓されたばかり

 

↑今回のお会計。「ゴールデンハイボール」2杯、「トマトサラダ」「なめろう」「ハムカツ」「カットレモン」で合計1210円也

 

~ひとり飲み(立ち飲み)のおつまみについて~

・店員さんが忙しい場合があったり、スペースを占領しないよう、注文は1品、多くても2品がオススメ

・お店の名物があるならぜひ味わってみて&近くの常連さんが注文したメニューを真似するのもアリ

・立ち飲みのお店はチャージ(お通し)がないところも多いので、その場合、おつまみを1品以上注文するのがベター

 

酒場のひとり飲み歩きは始まったばかり

ひろみんさんから、ひとり飲みの入門に最適なお店ということで教えてもらい、錦糸町の「立呑み みつぼし村」を訪れた中村さん。1000円程度の予算で、自分のペースで楽しむことができて、酒場探訪の楽しさを改めて実感したのでした。次回もひろみんさんのアドバイスをもとに、ひとり飲みにぴったりな人気店を訪問する予定ですのでお楽しみに!

 

 

《酒噺のオススメ記事はコチラ》


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<取材協力>

立呑み みつぼし村

住所:東京都墨田区錦糸4-7-2
営業時間:平日16:00〜22:00、土曜日曜14:00〜22:00
定休日:水曜

※価格はすべて税込みです

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎「ゴールデン」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/golden/

 

撮影/鈴木謙介

食事にも合うすっきりした甘み! 「麒麟特製」新フレーバーは「ジンジャーエール」

キリンビールは、「麒麟特製」ブランドから、「麒麟特製 ジンジャーエールサワー」(350ml缶、500ml缶)を9月12日に発売します。価格はオープン。

 

同ブランドは、“麒麟が上質に仕立てた、これしかないうまさの特製サワー”がコンセプト。今回発売となる同商品は、食事にも合わせられるすっきりとした甘さのジンジャーエールフレーバー。爽快な強炭酸で「飲みごたえのある上質なうまさ」と、“心地よいお酒感”を楽しめます。

 

パッケージは、一目でジンジャーエールフレーバーだと識別できる、シャンパンゴールドのベースカラーを採用。シャンパンゴールドのベースカラーの中に、聖獣麒麟とブランド名を堂々と配することで、「上質なサワー」であることを表現しています。炭酸を想起させる泡や氷のシズルで、「飲みごたえ」も表現。

暑気払いにはやっぱりビール! ビールラバーが厳選した今夏飲むべき My Best Beer

夏本番を迎え、暑気払いにはやっぱりビールが最適だろう。と言うわけで、そんなシーンをテーマに、大のビール好き5人がオススメを紹介!

※こちらは「GetNavi」 2023年9月号に掲載された記事を再編集したものです。
※本特集で紹介しているビールは、数に限りがあるため販売を終了している場合があります

 

【私が選びました】「GetNavi」編集部・鈴木翔子の4本

「GetNavi」フード担当・鈴木翔子
編集者兼バーテンダー。カレーとビールのセットが好き。黒ビールファンだが、夏は酸味のあるビールを欲する。

①Lambiek Fabriek
Organic Geuze Natur-Elle
3800円

■グーズ/Alc 6.2%

サワービールのルーツと言える、野生酵母ビール「ランビック」を手掛けるベルギーの気鋭のブルワリーによる一本。柑橘や干し草のような香りと酸味に、オークの温かみが調和している。

●一度飲むとクセになる個性派
「『ランビック』の新旧を混ぜて造る『グーズ』は、未知のビールに出会いたい人に薦めたいビアスタイル。なかでも本品は、土っぽい香りときれいな酸味、繊細な泡がクセになるおいしさです!」(鈴木)

 

②BLACK TIDE BREWING
Musubi Maru
3168円(4本)

■IPA/Alc 6.5%

気仙沼の名を世界に轟かせたブルワリーが、仙台・宮城の観光PRキャラクター「むすび丸」とコラボ。かわいいルックスとは裏腹に、個性派ホップのクライオをふんだんに使用したジューシーなIPAに仕上げている。

●夏夜の始まりはコレで乾杯
「強い苦味とトロピカル感のバランスが絶妙で、夏の宵の口に飲みたくなる味。チビチビ飲んで温度による味変を楽しむのもアリ。個人的には甘さがほのかに顔を出す少しぬるめも好き」(鈴木)

 

③キリンビール
スプリングバレー ジャズベリー
460円

■フルーツビール/Alc 5%

麦芽とともにラズベリー果汁を発酵させたフルーツビール。ワイン酵母がフルーティさとともに複雑味を生んでいる。パッションフルーツのような爽やかな香りが特徴のギャラクシーホップを使用。

●華やかな味わいの本格フルーツビール
「シャンパンのような華やかさが魅力。ほど良い甘味と酸味にホップが効いていて、ジュースのような甘いフルーツビールが苦手な人にもオススメ。酸味の強いチーズやローストビーフにマッチ」(鈴木)

 

④ベアードブルーイング
スルガベイ インペリアルIPA
実売価格450円

■インペリアルIPA/Alc 8.5%

2000年創業の同ブルワリーは、米国出身のベアード氏が日本でいち早く母国流のクラフトビールを発信したカリスマ。本品の弾けるようなホップの苦味は、駿河湾の夜空を彩る花火大会をイメージしている。

●どっしり構えた重さが心地良い
「苦味とコクが強い重めの味わいながらも、ほのかな甘さが残り、硬派ながら懐の深さを感じる味。度数が高いので、余韻を噛み締めゆっくり飲むのがベスト。つまみは焼きそばやイカ焼きが◎」(鈴木)

 

【私が選びました】「ビール女子」編集長・吉原咲子の3本

ウェブメディア「ビール女子」編集長・吉原咲子さん
記事の企画・編集やイベント運営を担当。20歳のときにベルギービール店で働きビールに魅了され、いまに至る。

①ISLAND BREWERY
ゆず麹エール
800円

■フルーツビール/Alc 5%

ブルワリーがある長崎県壱岐の名産のひとつ、柚子の果汁やピールを使った爽やかな一本。世界が認めた壱岐焼酎の製造に使われる白麹由来のクエン酸で、バランスを調えている。

●穏やかな柑橘香でリラックス
「同ブルワリーは、“魚に合うビールを”をコンセプトに2021年に生まれた醸造所。柚子は冬の果物ですが、オレンジのビビッドな香りとは異なるほっこり穏やかな柑橘香が、夏にも癒しをくれます」(吉原)

 

②KUNITACHI BREWERY
夏のあわい take3
900円

■サワーエール/Alc 5%

レッドプラムを副原料に用い、梅やベリー系果実のような甘酸っぱさを表現したサワーエール。フルーティーなアメリカ産ホップで果実味を底上げし、プラムのタンニンと強めの酸味が味を引き締めている。

●魅惑の色と甘酸っぱさにうっとり
「梅のような酸味と、ベリー系の甘味がかくれんぼしていて、酸味が恋しくなる夏にピッタリ。ルビー色の液色にうっとりしながら、複雑に絡み合う甘酸っぱさをぜひ堪能してみてください!」(吉原)

 

③Be Easy Brewing
Mantsukoi
650円

■モダンケルシュ/Alc 5%

青森県に移住した米国人ブルワーが、ドイツのビアスタイル「ケルシュ」を現代的に昇華。ニュージーランド産ホップでレモン、ライム、パイナップルのような華やかな香りを生かし、津軽弁でいう「まんつこい(=まぶしい)」味を表現した。

●夏疲れした身体を癒してくれる
「容赦なく降り注ぐ夏の太陽に身体が疲れてしまったときにオススメの一本。華やかな香りと、ドイツ生まれのビアスタイル『ケルシュ』ならではのスッキリした味わいで、癒し効果抜群です」(吉原)

 

【私が選びました】フードツーリズムマイスター・今西絢美の3本

フードツーリズムマイスター・今西絢美さん
フードツーリズムマイスターの資格を持つライター。ブルワリーからワイナリーまで幅広くチェックしている。

①ブルックリン・ブルワリー
ブルックリンサマーエール
実売価格385円

ペールエール/Alc 5%

NYを拠点に世界中で人気を博すブルワリーの、夏季限定ビール。ビーチやBBQなどでの飲用をイメージしたペールエールで、明るく華やかな香りとスッキリとした後味が猛暑も吹き飛ばしてくれる。

●夏の到来を告げる爽やかさ
「夏らしい爽やかさが特徴で、酸のある柑橘系の香りが際立つ逸品。飲み心地が強く、シーフードや肉・野菜のグリルと好相性。これを飲むと『今年も夏が来た!』という気持ちになります!」(今西)

 

②カーブドッチブルーイング
Croix La Mer
2420円

■サワーエール/Alc 6%

新潟県を代表するワイナリーが新たに手掛けたクラフトビールの一本。「Croix」はフランス語で海を意味し、あえて果物は使わずにフルーティな香味や酸味を醸し出している。ワイングラスで嗜むのがオススメ。

●苦味が控えめでビールビギナーに◎
「ワインのような酸と果実味が爽やかで、夏にピッタリ。炭酸は控えめで後味に少し苦味を感じる程度なので、普段ビールを飲まない人にもオススメです。酸味のある料理や甘いお菓子とマッチ!」(今西)

 

③ヤッホーブルーイング
インドの青鬼
323円

IPA/Alc 7%

長野県発、国内クラフトビールのビッグネームによるIPAの代表作。ホップのガツンとした苦味とグレープフルーツのような柑橘香が特徴で、濃い味付けのメニューや肉料理、スパイシーな一皿によく合う。

●夏の太陽によく合うフルーティな香り
「ホップの青々しい香りや苦味がしっかり感じられる人気のビアスタイルの一本。グレープフルーツのような香りが、夏の太陽によく合います。スパイシーな中華料理との相性がバッチリ!」(今西)

 

【私が選びました】フードライター・中山秀明の3本

フードライター・中山秀明さん
フード全般のトレンドに詳しく、お酒はクラフトビールが大好き。飲み比べや食べ合わせの取材経験も豊富だ。

①奈良醸造
COCO
実売価格726円

■ココナッツポーター/Alc 3.5%

伝統的な黒ビール系ビアスタイルの「ポーター」に、甘くまろやかなココナッツのニュアンスをプラス。缶内に窒素ガスが充填されており、ふわもこの泡によるクリーミーな口当たりと豊かな甘味を存分に楽しめる。

●低アル軽快でもコク深で夏に旨い黒
「ロースト麦芽ならではのチョコのような甘香ばしさに、乳糖やココナッツのミルキーさがナイス。南国調と低アルで軽やかな飲み口は、夏に最適。シルキーな泡は、ギネスビール好きなら垂涎!」(中山)

 

②リオブルーイング
トーキョーベイコースト セゾン
670円

■セゾン/Alc 6%

ベルギービールの名誉騎士に認定された福岡県出身の奇才が、ベルギーの伝統に革新的な手法を掛け合わせて醸造。直輸入のベルギー産麦芽と酵母のフルーティさやスパイシーさを感じる華やかな一本。

●ヘイジー好きにもオススメのセゾン
「夏の農作業時の飲用目的で生まれたベルギービールがセゾン。この伝統的なビアスタイルが、ジューシーに。爽やかな酸やコリアンダーのスパイス感もゴキゲンで、ヘイジーIPA好きにも◎」(中山)

 

③VERTERE
Passiflora
950円

■ヘイジー・IPA/Alc 7%

豊かな自然と水に恵まれた奥多摩に醸造所を構える、東京屈指の人気ブルワリーのヘイジーIPA。南国を思わせる甘く陽気なアロマとフレーバーに、やわらかな舌触りとほど良い苦味が響き合う。

●味はもちろんデザインも素晴らしい!
「香りは温かみのある柑橘や、パッションフルーツのような完熟果実。そこに、ハーバル感をまとったグラッシーな苦味が交わり絶品!! バテレはロゴやデザインもオシャレで、グッズもオススメ」(中山)

 

【私が選びました】GetNavi web副編集長・和田史子の3本

GetNavi web副編集長・和田史子
2023年よりお酒担当。目下の夢は、スコットランドのブリュードッグ直営ホテルで部屋のタップからビールを飲むこと。

Beer the First
Loop Marunouchi
743円

■アンバーエール/Alc 5%

東京都・丸の内エリアの災害備蓄菓子を活用し、香ばしさが特徴のアンバーエールに仕上げている。モルトの甘味と心地良いビター感、華やかなホップの風味が特徴だ。

●ホップの存在感が強く満足感抜群
「“丸の内の災害備蓄品をアップサイクルした”というストーリーがいまっぽい商品。ホップの香りも苦味も強めで、満足感たっぷり! そこへ焼き菓子の香ばしさと甘味が個性を与えています」(和田)

 

②ブリュードック
HAZY JANE
429円

■ニューイングランドIPA/Alc 5%

スコットランドを代表するブルワリーが造るニューイングランドIPA。苦味を抑えることでホップの華やかさを凝縮し、飲み口はスムース。パイナップルやマンゴーなど南国の果実のようなアロマが華やかだ。

●見て飲んで幸せになれる一本
「無濾過による濁りのある液色と、マンゴーや桃を思わせるフルーティな香り、苦味を抑えた軽やかな味わいが絶妙。通年で自宅にストックしていて、330㎖と少なめなのも個人的にちょうど良い」(和田)

 

③キリンビール
キリン スプリングバレー サマークラフトエール<香>
実売価格273円

■セッションエール/Alc 4.5%

アルコール度数の低い上面発酵ビールのことを指すビアスタイル、「セッションエール」を採用。オーストラリア産の希少なギャラクシーホップを使用し、南国のフルーツのような華やかな香りと心地良い苦味を楽しめる。期間限定販売。

●真夏にふさわしい香りと苦味
「ワインのような芳しい香りとバランスの良い苦味で、スッキリ飲みたい夏に◎。希少ホップを大量に使っているため、現時点では通年供給できないそうですが、その希少性にもそそられます!」(和田)

 

家飲みの新定番誕生!? 高田秋が話題の「ビアボール」をレビューしてみたら…

飲み歩き大好きモデル・高田 秋が「家飲み」を追求! 今月は、日本初(※1)の炭酸水割りで楽しめるビールとして話題沸騰中の「ビアボール」をレビューしてみた。

※1:炭酸水で割ることを製品上で訴求する日本初のビール(Mintel GNPDを用いたサントリー調べ/2022年5月)

※こちらは「GetNavi」 2023年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【6杯目】炭酸水で楽しむ話題のビール「ビアボール」のお味は?

濃さを変えられるなんて新しくて楽しい!

今回、初めて「ビアボール」を飲んだのですが、すごくおいしい! ビールの味や苦みがしっかり感じられ、香りも十分。氷の違和感はなく、むしろキンキンで爽快感も抜群です。

濃さを変えて3種類飲みましたが、イチオシは定番の1(ビアボール):3(炭酸水)。味や香りのバランスが良く、ゴクゴクと飲み干したくなる一杯です。1(ビアボール):7(炭酸水)はライトな飲み口が印象的で、翌朝が早起きのときに飲みたくなるかも。1(ビアボール):1(炭酸水)は、仕事終わりのリフレッシュにキュッていきたいな。1日の疲れも取れそうです(笑)。濃さを変えられるので、お酒が弱い人は2%、強い人は8%とホームパーティでも活躍しそう。ライムやミントを入れるなどのアレンジもオススメ。

おつまみを合わせるなら揚げ物かな。唐揚げやフライもアリですが、今日の気分は天ぷら。ビールの苦みと爽やかさがオイル感を流しつつ、麦の旨みが天ぷらの味としっかり調和すると思います。

キャップがあるのも素敵。一度で飲み切れなくても、リキャップできるなんて便利ですよね。ということで、「ビアボール」は我が家の新定番のお酒となりそうです!

 

サントリー
ビアボール
768円

日本初の炭酸水で作る自由なビール。サントリー独自の香味設計により、麦の豊かな旨みとアロマホップ100%による華やかな香り、爽快感を実現した。アルコール度数は16%で、好みの濃さを楽しめる。

↑アルコール度数の目安として、写真左から2%、4%、8%。サントリーは1:3を推奨し、ほど良いビール感と柔らかく爽やかな飲み口を味わえる、新感覚の一杯だ

 

 

高田 秋●たかだ・しゅう●1991年9月23日生まれ、北海道出身。立ち飲み屋巡りが趣味で、唎酒師などの資格を持つ。「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)をはじめ、飲み歩き番組への出演も多数している。公式HPInstagramYouTube

 

文/中山秀明 撮影/篠田麦也 ヘアメイク/榊ひかる(Lila) スタイリスト/江原優里
●PARIS KIDSのイヤリング330円、 ほかスタイリスト私物

イオンから有機栽培素材を使った「オーガニック・サングリアスパークリング」新発売

イオンは、国際有機認証機関のエコサート認証を取得した「トップバリュ グリーンアイオーガニック オーガニック・サングリアスパークリング」2種類(レッド・ホワイト)を発売しました。

 

1993年に、イオンのプライベートブランド「グリーンアイ」として誕生した「トップバリュ グリーンアイ」は、今年で30周年。現在は「オーガニック」と「ナチュラル」の2つのシリーズで展開しており、「トップバリュ グリーンアイオーガニック」は、日本の小売業が展開するプライベートブランドにおけるオーガニック商品で最大規模となるブランドに成長したといいます。

 

オーガニック・サングリアスパークリングは、トップバリュのリカーカテゴリーでは初のトップバリュ グリーンアイ商品として発売。レッドとホワイトの2種類を、手軽に飲めるキャップ付きボトルタイプで用意しました。

 

レッドは、スペインのラマンチャ地方でオーガニック栽培されたガルナッチャ種を100%使用した赤ワインベースに、フレッシュなオレンジとレッドグレープなどで果実感を強調した、濃厚なフルーツ感が楽しめるスパークリングワイン。

 

ホワイトは、大ぶりで爽やかな酸味と香りが特徴の、オーガニック栽培されたアイレン種を100%使用した白ワインベースに、フレッシュなホワイトグレープやレモンなどで果実感を強調したスパークリングワインです。

 

内容量は280mlで、価格は437円(税込)。販売はイオン、イオンスタイル、マックスバリュなど全国約1600店舗とのこと。

生ジョッキ缶第2弾!新ビールブランド「アサヒ食彩」はスーパードライ党も納得のプレミアムビールだ!

 7月11日に発売となった「アサヒ食彩」。フタが取れて泡がふくらむ「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」に続くフルオープンエンド仕様のフタを採用しており、しかもプレミアムビールということでも、大きな注目を集めています。いったいどんな狙いや味の特徴があるのか、レポートしていきます。

↑アサヒビール「アサヒ食彩」。340ml缶の店頭想定価格は税込284円。コンビニ限定で7月11日発売。サイズはほかに485ml缶もあり

 

「アサヒ食彩」誕生の背景……実はプレミアムビール市場に追い風が吹いていた

「アサヒ食彩」が発売された背景には、大前提として202310月の酒税法改正があります。これによってビールは実質安く、新ジャンル(第3のビール)は高くなるため価格の市場構造が変わり、ビールの需要が高まるのは間違いないでしょう。このビールへの追い風が吹く直前、そしてビール最盛期の夏に向けて「アサヒ食彩」がデビューしたのです。

↑「アサヒ食彩」の発表会で配布された資料より。なお2026年10月にはビール酒税が一本化されるため、さらにとんでもないことになると思います

 

加えて「アサヒ食彩」がプレミアムビールといえる理由は大きくふたつ。アサヒビールとしては、スタンダードビールでは「アサヒスーパードライ」と「アサヒ生ビール」(通称マルエフ)という二大スターが存在するため盤石だから。そして、プレミアムビールカテゴリーに追い風が吹いているから、です。

↑アサヒビールの調査によると、プレミアムビールの購入者は2020年と2022年比で117%も増えているとのことです(発表会配布資料より)

 

プレミアムビール市場が好調な背景には、テレワーク、インドア趣味、家飲みといった新しく習慣化した「家時間の過ごし方」、また中食の充実などに伴う「家ナカでの贅沢」があるとのこと。加えて、今後も予想される物価高騰のなかでメリハリをつけた消費が顕著になるとも。つまり消費の二極化が進み、節約する消耗品と、贅沢を惜しまない嗜好品にわかれるだろうとのことです。

↑さらにはタイムパフォーマンスのトレンドも関係しているとか。手軽に贅沢感を楽しめるビールを、という思いも「アサヒ食彩」の開発背景にあるのです(発表会配布資料より)

 

「アサヒ食彩」の味わい特徴……アルザスホップの優雅な果実味とキレのよさがイイ!

では、「アサヒ食彩」はどんな味わいの特徴をもったビールなのでしょうか。ひとつはフランス・アルザス地方産の希少ホップ「アラミス」を含む5種類のホップを使った華やかな香り。また、高濃度で麦汁を発酵させることによる濃厚なコクも持ち味です。

↑アルコール度数が5.5%でエネルギーは100mlあたり48kcal。なお「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」はアルコール度数5%で42ckalです

 

そのうえで生ジョッキ缶を採用しているため、泡のシルキーさは言わずもがなでしょう。とはいえ、論より証拠ということで、実際に開けて飲んでみました。

↑「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」の大ヒットですっかりおなじみの、フルオープンエンド仕様のフタがこちら

 

なお、缶のパッケージ裏面にイラスト付きで「アサヒ食彩の楽しみ方」が載っているのですが、飲み頃温度は4〜8℃。これは、泡をゆっくりもこもこと湧き上がらせるためにも必要な温度帯であり、十分冷やすことが欠かせません。これが不十分だと泡とともに炭酸が吹き出てしまい、具体的には12℃以上になるとこぼれやすくなるので注意が必要です。

↑これはまさに適温。かまくら型はんぺんのような泡のビジュアルが、実にウマそうです

 

泡はノンストップでどんどん肥大化するので、開栓したらすぐにゴクッといきましょう。味はもちろん抜群においしいのですが、口元をふわっと撫でるシルキーな泡の次に押し寄せる、ビールの豊かなうまみがたまりません。

↑フルオープン缶ならではの、広がるアロマも芳しい

 

香りは洗練された果実味が印象的。アルザス地方といえば、マスカット(ミュスカ)やリースリング、ゲヴュルツトラミネールといった白ワインぶどうの名産地ですが、どこかこうした白ワインのように優雅なフルーティーさを感じます。

↑香りの持続性や拡張性も魅力(アサヒ食彩HPより)

 

また、余韻がすっきりしていて、わざとらしい重さがないのも好印象。これは「アサヒスーパードライ」に採用されていることで知られる「318号酵母」による仕事だと思います。「318号酵母」の独自性といえば、きわめてキレに優れたビールを造り出せること。このシャープな爽快感は、“スーパードライ党”も納得できる味わい特徴だと思います。

↑黄金の液色。この香り高さはぜひお試しあれ

 

なぜ“食彩”?

なお、「アサヒ食彩」のネーミングの由来は、“泡と香りで食を彩る”。このコンセプトはパッケージにも書いてあり、つまりはフードペアリングがオススメということです。週末などにちょっといい晩酌を、コンビニ飯で楽しみたい時などには最適ではないでしょうか。はたまた夏祭りやキャンプ飯のご馳走に合わせるなど、思いおもいの食シーンで合わせてみてください。

 

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国産ホップ・アジアンブルワリー ・SDGs……クラフトビールの最前線を5つのトレンドでチェック!

サステナブルな取り組みが活性化されたり、グローバル化の波が一層大きくなったり。クラフトビールシーンの最前線で起きている、代表的な5つのトピックを紹介する。

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【Wave 01】国産ホップがアツい!

“ビールの魂”とも言われるホップは、生産者の減少などで日本産は危機的状況だったが、クラフトビールを愛する人々の力によって近年新たな息吹が! 有名銘柄を中心に紹介しよう。

 

世界を驚かせた日本生まれのホップの凛とした香りが力強く広がる

サッポロビール
サッポロ SORACHI 1984
実売価格272円

■北海道空知郡上富良野町産(※1)

同社が開発し、世界を驚かせたホップ「ソラチエース」100%で造ったビール。その一部に日本産ホップを使っている。ドライホッピング製法で引き出したヒノキやレモングラスを思わせる凛とした香りと、ふくよかに広がる味わいの余韻を楽しめる。

※1:一部に使用

 

国産ホップの繊細な面を生かし苦味を抑えたやさしいビール

サッポロビール
サッポロ ココロクラフト流れ星 ゴールデンエール
実売価格279円

■北海道空知郡上富良野町産

“夜空を眺めながら、一息つきたい”そんなココロに寄り添うビールブランドの第1弾商品。国産ホップ「ふらのほのか」の爽やかな香りと、苦味を抑えた軽やかな味が特徴だ。セブン&アイホールディングス限定で販売中。

 

上品で穏やかな香りが豊潤なおいしさをより昇華

キリンビール
キリン スプリングバレー 豊潤<496>
実売価格273円

■岩手県遠野市産(※2)

同社の叡智を結集した「スプリングバレー」ブランドの代表銘柄。ホップを5種類使用しており、そのうちのひとつが日本産の「IBUKI」だ。上品かつ穏やかな香りが特徴で、好バランスな味わいに寄与している。

※2:「IBUKI」のみ

 

関西が誇るホップ産地発の清々しい香りの一本

ASOBI BEER
ASOBI
2610円(6本)〜

■京都府与謝野町産

関西屈指のホップの産地・京都府与謝野のホップ活用と、天橋立の環境課題解決を目指し、2020年に設立されたブルワリーの第1弾銘柄。オレンジや若草を彷彿とさせる清々しい香りと、苦味に調和する麦芽の豊かな甘味を味わえる。

 

【Wave 02】アジアンブルワリーが続々上陸!

韓国や台湾をはじめアジアのカルチャートレンドは、音楽やドラマ、料理だけでなくクラフトビールにまで! 台風のごとく次々と上陸するなかで、熱狂の渦を生んでいる実力派をピックアップ。

 

【香港】多彩なビアスタイルをウリに日本に上陸し飲食店もオープン

carbon brews
カーボンブリューズ

2021年に日本上陸。ビールらしい味わいの定番からマニアックなビアスタイルまで多彩な銘柄が揃い、2022年には世界第1号店となるタップルーム「carbon brews tokyo」を東京都赤坂にオープンした。

↑専門店には、点心の一種「腸粉」やロースト肉「焼味」など、香港料理がズラリ

 

【韓国】研究開発所から生み出されるクリエイティブな味がモットー

KABREW
カブリュー

2000年の設立以来、韓国のクラフトビールシーンを牽引してきた実力派。研究開発所を併設し、進化を重ねるクリエイティブなビール造りが身上だ。2022年の冬に日本に上陸し、一部スーパーマーケットで発売中。

 

【シンガポール】新星ながら国際的な評価も高いシンガポール屈指のブルワリー

BREWLANDER
ブリューランダー

2017年の創業後、2019年にアジアのビールアワードで金賞に輝き、いまやシンガポールを代表するブルワリーに。2023年から日本での販売を開始。良質な原材料によるクリアな味が魅力だ。

 

【台湾】台湾と世界の食文化を融合させ独創的なビールを醸し出す

TAIHU BREWING
タイフーブリューイング

台湾の食文化をベースに海外の素材を調和させ、既成概念を打ち破るビール造りがテーマ。サングリアを手本にしたり日本の梅酒や桜を使ったり、氷割りを推奨する銘柄もあるなど自由な発想が光る。

↑2020年には東京都神楽坂に飲食店「Taihu Tokyo」を開業。ルーローほうれん草やカキの豆鼓炒めなど、ここならではの美食とのペアリングが楽しめる

 

【Wave 03】ビールで食品ロスを削減

SDGs推進の流れはクラフトビール業界にも。最近は特に廃棄予定の食材をアップサイクルする事例が顕著だ。専門的に行うブルワリーをはじめ、注目の3ブランドを紹介する。

もしもの災害用備蓄米を活用しドライでトロピカルな味わいに

Beer the First
ホワイト サム ライス
748円

アップサイクル専門ブルワリーの商品。本来使用する麦芽の20%を、廃棄間際の災害用備蓄食品のひとつ、アルファ米で代用している。ラガー酵母を使いホップの香りを高めたコールドIPA。

 

【編集部がお試し!】驚きをくれるユニークなビール

「薬草感のある香りが斬新!! ライトな苦味とキレでドライながらも艶のある甘い余韻が漂う、相反する要素を持った個性派。タレ味の焼き鳥や甘めのしょうゆラーメンなど甘香ばしい料理に合わせたい」(編集部)

 

廃棄豆抽出のコーヒーが香るコク深くフルーティな味わい

アサヒユウアス
蔵前BLACK
700円

アサヒグループの企業が手掛ける「UPCYCLE B」プロジェクトの一本。黒ビールを醸造したあとに廃棄コーヒー豆から抽出したコーヒーを加え、アルコール度数4.5%に仕上げている。

 

【編集部がお試し!】コーヒーの魅力が凝縮!

「口を近づけたときに感じる香りと余韻が、予想していた以上にちゃんとコーヒーでビックリ! 苦味と香ばしさがありながらも酸味が効いているので重さはなく、スッと飲めますが、飲み応えは十分」

 

名ブルワリーとタッグを組み、ジャー開発時のごはんをビールに

象印マホービン
ハレと穂
660円

炊飯ジャー開発時の炊飯試験のごはんを原料に、国内ブルワリーの雄「伊勢角屋麦酒」がビールを醸造。白ぶどう果汁を加えた爽やかな味わいで、和食の繊細な味付けにもよく合う。

 

【編集部がお試し!】和食のおいしさを底上げする味わい

「口に入れたときの炭酸感が心地良い、軽やかさが魅力。苦味が控えめで、ほのかに甘味がありながらも後味はさっぱり。寿司や刺身などの繊細な料理はもちろん、トンカツや天ぷらなどの揚げ物にもマッチ」

 

【Wave 04】アメリカではパイント缶ビールが主流に

クラフトビール先進国のアメリカでは近年、12オンス缶(355ml)よりパイント缶(473ml)が主流に。日本でもアメリカの輸入ビールを扱うショップで、取り扱いが増えている。たっぷり飲みたい人にオススメだ。

 

パイント缶にこだわり続ける西海岸ブルワリーの人気IPA

Pizza Port Brewing
スワミズIPA
942円

パイント缶の先駆的ブルワリーの看板銘柄。カラッとした苦味の米国西海岸系IPAで、ホップの爽やかなシトラス香と、モルトのビスケットのようなほのかな甘味が心地良い。

 

【Wave 05】魔法の粉“ファンタズムパウダー”がじわじわキテる!

最近米国で注目されているのが、ソーヴィニヨンブランというワイン向けのぶどうの皮を粉にした「ファンタズムパウダー」。香気成分を増幅させる作用があり、使用銘柄も増加中で、日本にも上陸し始めている。

 

5種のホップと“魔法の粉”でジューシーな果実味が鮮烈に

Topa Topa
TRIP THE LIGHT PHANTASTIC
1335円

ジューシーなIPAを目指し、ホップを5種使用。ファンタズムパウダーで、トロピカルフルーツやぶどうを思わせるフルーティな香りと味わいを強化している。

 

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梅酒の歴史を変えたメルシャンの「まっこい梅酒」は何が革新的だったのか?

初夏における風物詩のひとつ「梅酒作り」。そんな梅酒のシーズンに、国内の最大手ワインメーカーであるメルシャンの藤沢工場から、“サステナブルな梅酒”のお披露目と、普段は公開していない施設内部の様子を見せます、というお知らせが。好奇心をくすぐられ、行ってきました。

 

↑メルシャン藤沢工場。外観からはうかがえませんが、設立は1920年と100年以上も前。しかもワイン生産量では日本一を誇る工場です

 

完熟南高梅ブランドは危機的状況だった

今回主役となる商品は、商品名に“真に濃い”や英語の“McCoy=本物の”という意味が込められた「まっこい梅酒」。2011年から発売されているロングセラーですが、誕生には生産地の課題解決に寄与する奥深いストーリーがあるのだそう。

↑「まっこい梅酒」は500ml(400円)、1000ml(600円)、2000ml(1090円)と3種のサイズがあり、アルコール度数は10%です(金額は税抜希望小売価格)

 

使う梅の生産地は和歌山県みなべ町。梅の代表品種として知られる「南高梅」発祥の地であり、生産量も日本一。青梅も、梅干しの生産量も日本一という、まさに梅の聖地です。そんな王者は当時、「完熟南高梅」のブランド価値の危機に瀕していました。

 

まず、和歌山県で生産される梅は4割以上がみなべ町産です。また、県全体における梅の用途は7割以上が梅干しや梅漬け(干さない梅干しのこと)用の完熟梅。そして約2割はスーパーなどでおなじみの青梅、その他が飲料用となります。

↑メルシャンの資料より

 

しかし、2000年代になると梅の輸入量が急増し、梅干しは安価な中国産に押され、全体の価格が下落する状況に。加えて、みなべ町は町内の海岸部と山間部で収穫期が異なり、約1か月遅くなる山間部の収穫期には、梅の市場価値が下落しているという、もともとの地理的課題もありました。

↑梅干し以外で完熟南高梅の用途を拡大することは、みなべ町の急務だったのです(メルシャンの資料より)

 

そこで最もダメージを受けるのは生産者。このままでは売り上げが落ち、日本一の梅を作る生産者やその後継者も減ってしまう――。この課題を解決する方法として行き着いた答えが、完熟南高梅の用途を増やして販売量を拡大すること。そこに賛同したのがメルシャンでした。ワインのリーディングカンパニーとしての知見をフルに生かした、完熟南高梅仕込みの果実酒造りに挑んだのです。

 

主流の青梅ではなく完熟梅で酒を造るという挑戦

とはいえ、それまで多くの梅酒は青梅で造るのが伝統的であり主流でした。完熟南高梅仕込みの果実酒造りに確立されたノウハウが少なく、そんななかで着目したのが、完熟南高梅がもつ桃のような香味です。この香りを最大限に生かせれば、これまでにないおいしい梅酒が造れるに違いないとの確信をもって、あらためて梅の圃場(ほじょう)を調査しました。

↑左から、青梅、樹上完熟梅、完熟落下梅。「まっこい梅酒」に使われているのは右端の完熟落下梅で、香りは梅というより桃に近く、驚かされました

 

調査は、和歌山県の「うめ研究所」に協力を得て行われました。梅酒造りに最適な収穫エリアは、水はけがよい急斜面で昼夜の気温差があるみなべ町の山間部であることが判明。さらに、完熟梅のフルーティーな香りの成分が、桃やココナッツのような「ラクトン類」とパイナップルやバナナのような「エステル類」であること、完熟香が最も強くなるのは収穫後期のわずか数日間であること、大粒の梅ほど果実味が強まることなどのデータも得たそうです。

 

また、香りの成分を突き止める研究と並行して行われたのが、素材のおいしさを最大限に引き出す製造技術の開発でした。やがて見出したのが、梅の種だけを漬け込む「豊潤たね熟製法」と、凍結させた完熟梅を漬け込む「凍結完熟浸漬製法」。

 

「豊潤たね熟製法」によって、アーモンドや杏仁を思わせる香味成分「ベンズアルデヒド」が青梅酒の10倍に。そして「凍結完熟浸漬製法」は梅を凍結させない製法に比べて完熟香が6倍アップするという研究結果が出たとか。

↑1は生果を漬け込んだ原酒(「まっこい梅酒」には不使用)、2が「凍結完熟浸漬製法」による原酒で、3が「豊潤たね熟製法」の原酒

 

製法の違いを知るべくそれぞれの原酒をテイスティングしてみました。凍結梅酒を漬け込んだ原酒(上記写真の2)は一般的な梅の原酒(同1)に比べてフレッシュで華やかな香りがしっかりしています。また、生き生きとした酸味も感じられました。また、梅の種を漬け込んだ原酒(同3)は、確かに杏仁のようなミルキーなまろやかさを感じ、どこか麦汁のようなコクも。これらがブレンドされることで、レイヤー感の豊かな味わいになるということでしょう。

 

また、梅の種を漬け込んだ原酒(同3)は、確かに杏仁のようなミルキーなまろやかさを感じ、どこか麦汁のようなコクも。これらがブレンドされることで、レイヤー感の豊かな味わいになるということでしょう。

↑あらためて「まっこい梅酒」も試飲。凝縮感のある濃い味と、こっくりした飲み口が印象的です。また、それでいて後口はすっきりしており、アルコール度数10%とは思えない清涼感も秀逸

 

なお2011年の「まっこい梅酒」発売以降、メルシャンが安定した価格で完熟南高梅を仕入れることで価値は向上。また、他社でも完熟南高梅を使った梅酒が商品化されたり、ピューレ化したジャムやシロップが販売されたりと用途も拡大。現地における梅の卸売価格も上昇傾向となり、ブランドは守られました。加えてみなべ町の山間部では梅生産の意欲も年々高まり、園地拡大を積極的に進めている若い生産者が増えているそうです。

↑みなべ町の山間部では離農する人は少なく、大学卒業後に後継ぎとして帰ってくる若者も多いとか(メルシャンの資料より)

 

100歳を超える工場が追求する最新的な取り組み

そんな「まっこい梅酒」はどのように出荷されていくのか。取材ではその一部も見ることができました。「まっこい梅酒」の原酒は原材料の産地である和歌山県で造られ、それが藤沢工場へ送られたのちにブレンドなどを行いパッケージ化されていきます。

↑商品ごとに、連続で高速写真を撮ったり目視で確認

 

そのため取材時に見学できたのはほぼ最終工程にあたる検品や箱詰めでしたが、安全面など大前提として取り組むことのほかに、同社が積極的に行っているのが環境への配慮。「まっこい梅酒」に関しては開封確認可能なキャップを採用することで、1000mlと2000ml商品のシュリンクフィルムを廃止に。

↑シュリンクフィルムの廃止により、約30%のCO2削減が可能になったとか

 

ほかにも近年のメルシャンでは、2022年に「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」用に軽量ペットボトル開発したり、2023年に太陽光発電を工場の屋根などに導入して再生可能エネルギー比率を上げたりと多くの取り組みを行っています。「まっこい梅酒」の商品化自体もサステナブルな取り組みですが、様々な観点から脱炭素への対策を実施しています。

↑こちらが「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」の新旧ペットボトル比較。720mlボトルを従来の34gから29gに軽量化することで、年間約286トンのCO2排出量削減を見込んでいるとか

 

なお今回取り上げた「まっこい梅酒」は、2023年に中味とパッケージがリニューアル。新技術「コク付与技術」により、完熟南高梅らしい桃のようなフルーティーな味わいを強化し、いっそうコク深く濃厚なおいしさになりました。まだ飲んだことがない人は、ぜひこの機会にいかがでしょうか。

 

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「ノンアルはコレ一択!」お酒大好きGetNaviプロデューサーがタカラ「辛口ゼロボール」を飲む3つの理由

GetNaviプロデューサーの松井謙介は、普段から焼酎ハイボールを愛飲する大のお酒好き。しかし、最近は積極的にノンアルチューハイのタカラ「辛口ゼロボール」を飲んでいるといいます。一体なぜ……? 不思議に思って松井にインタビューしてみると、なるほど! こんな使い方が? と、目からウロコのエピソードが出るわ出るわ。酒好きであり、多忙なビジネスマンでもある松井の視点を通して、「タカラ辛口ゼロボール」を飲むべき理由を深堀りしていきましょう!

※インタビューは松井個人の意見です

 

【今回紹介する製品はコチラ】

タカラ「辛口ゼロボール」

下町の大衆酒場で愛される、元祖“焼酎ハイボール”のようなキレのある辛口の味わいを、ノンアルコールで実現。美味しさの要は人気の缶チューハイ、タカラ「焼酎ハイボール」の旨みを濃縮させた独自開発のエキスにあり、ノンアルコールでありながら抜群の飲み応えを実現している。また、カロリー(※1)、糖質(※1)、甘味料(※2)、プリン体(※3)の4つもゼロなのもうれしい。

※1:食品表示基準による/※2:食品添加物としての甘味料は使用していません/※3:100mlあたりプリン体0.5mg未満をプリン体ゼロと表示

 

【私が語ります!】

松井謙介(まつい・けんすけ) 2000年株式会社学習研究社(当時)に入社。2010年「GetNavi」編集長に就任し、メディアビジネス部部長を経て、現在は株式会社ワン・パブリッシング取締役兼GetNaviプロデューサーとしてGetNaviおよびGetNavi webを統括する立場に。自他ともに認める大の酒好きで、普段はタカラ「焼酎ハイボール」を愛飲している。

 

酒飲みなのに飲む理由 その1

ドライで飲みごたえがある味がいい!

とにかくお酒が好きな松井。「そもそも私って、チューハイめっちゃ飲むじゃないですか?」と、なぜか誇らしげな表情で語り始めました。

 

「チューハイの味はなるべくプレーンでドライな方が良くて。なんならレモンとかの味もないのがいい。雑味がないほうが好きなんですね。私は『お酒に甘さはいらない』と考えていて、その意味でもタカラ『辛口ゼロボール』の味が好みです。なので、休肝日の選択肢はこれ一択でした

 

一方で松井は、ドライでクリアな味わいを好みつつ、「お酒感があるのも好き」と語ります。

 

「休肝日に食事するときに、水やお茶じゃ味気ない。かといって、ノンアルコールのレモンサワーは甘いものが多いし、なんだか物足りない。ノンアルコールビールという気分でもないし。その点、このタカラ『辛口ゼロボール』の味は、もうほとんどチューハイ。プレーンなチューハイに近いと思って飲んでいました。正直、ちょっと酔ったときに飲んだら、違いがわかんないんじゃない? っていうぐらい(笑)。『お酒感』があって、満足感が違います。あと、レモン果汁が入ってるみたいですが、そこまでレモン感は感じません。だから、休肝日の食事のお供はこれしかないですね」

 

さすがは酒飲みの松井、実は「お酒感がある」「レモン感はそこまで感じない」というコメントは的を射ています。本品にはタカラ「焼酎ハイボール」の​美味しさを濃縮したエキスを使用し、いわゆる「下町の焼酎ハイボール」に近い味わいを再現したそう。さらに、開発担当者によれば、「ノンアルコールのレモンサワーではなく、タカラ『焼酎ハイボール』のレモンフレーバーを目指した」とのこと。つまり、あくまでドライな飲み口とガツンとくる飲みごたえがメインで、レモンは爽やかさを加える引き立て役ということなのです。

【松井Pからのイチオシ】

キレのあるドライな味わいがどストライク。「お酒感」もあって満足感が違います。レモンの果汁感は控えめで、甘くないから食事に合う!

 

酒飲みなのに飲む理由 その2

ノンアルで甘くないから使い勝手がいい!

松井は、タカラ「辛口ゼロボール」がノンアルで甘くない、爽やかな炭酸飲料という特性ゆえに、オールマイティで使える使い勝手の良さも力説しました。

 

「ノンアルだから当たり前ですけど、まだ酔いたくないんだよな~というとき、土日のお昼にも飲めるのがいいですね。甘くないしキレもいいし、炭酸が爽やかでのどごしがいいじゃないですか。だから、お風呂上りに飲むととにかくウマイ! 最近はダイエットのためにジムに通い始めたんですが、ジムの後で飲むのもまた格別です。使い勝手という意味では、家飲みでお酒とお酒の間に飲むのもオススメ。ドライな味わいで前のお酒の味をリセットして、次のお酒がよりおいしく飲めるというわけ。あとは、ある程度飲んだあとで、もう少しだけお酒を飲みたい、でも飲むと明日に残りそうだな……というとき。タカラ『辛口ゼロボール』がいい仕事をするんです。さっきも言った通り、お酒感があって飲みごたえがあるから、酔ったらもうチューハイと違いがわからない(笑)。お酒の余韻を消さずに楽しめて、同時に身体をいたわることができるんです

 

松井はカロリー(※1)、糖質(※1)、甘味料(※2)、プリン体がゼロ(※3)もうれしいと語ります。

 

「これもすごくないですか? もう俺は何のために飲んでいるんだ? っていうくらいすべてがゼロ(笑)。せっかく運動してもそのぶんカロリーをとったら台無しだけど、コレならいいですよね」

※1:食品表示基準による/※2:食品添加物としての甘味料は使用していません/※3:100mlあたりプリン体0.5mg未満をプリン体ゼロと表示
↑ジム後の休息の時間や風呂上りのくつろぎの時間にも最適です

 

【松井Pからのイチオシ】

爽やかな炭酸でのどごしがいいから、風呂上りやジムの後に飲むと気分は最高! カロリー(※1)、糖質(※1)、甘味料(※2)、プリン体(※3)がゼロなのもうれしい!

※1:食品表示基準による/※2:食品添加物としての甘味料は使用していません/※3:100mlあたりプリン体0.5mg未満をプリン体ゼロと表示

 

酒飲みなのに飲む理由 その3

「固い仕事」をするソバーキュリアスな時期に!

GetNaviを統括しつつ会社の役員も兼ねている松井は、その仕事の内容も多岐に渡っています。自身のそうした経験を通して、仕事の質に応じてタカラ「辛口ゼロボール」を賢く使うというワザも提案してくれました。

 

タカラ『辛口ゼロボール』は、『固い仕事』をする一定期間に重宝します。例えば、計画に沿ってやる仕事や、数字を扱う仕事をやるときに前日のお酒が残っていると、これがもうどうにもならない(笑)。あと、人事の面接で、面接官の私が二日酔いだったらイヤじゃないですか(笑)。だから、そういう仕事をする前日は、このタカラ『辛口ゼロボール』で調整したいですよね。たとえば、固い仕事をする時期は、“この1週間はタカラ『辛口ゼロボール』にしよう”というときがあってもいい

 

実際、私は思うところがあってお酒を休んでいたときがあって。そのときは、ずっとコレを飲んでいました。普段はお酒を週4~5日くらい本気で飲んでいるので、そのときは新鮮な気持ちでしたね(笑)。ただ、ずっとお酒を飲まないとコミュニケーションの面で難点もあって。自分が飲まないと、まったく飲みに誘われなくなるんです。自分から誘わないとコレか……と己の人望のなさが悲しくなる(笑)。あと、クリエイティブなコンテンツを作るときとか、そういうときはお酒の勢いがあった方がいい気がします。仲間を巻き込んで面白いものやろうぜ! と、居酒屋などでああだこうだ言い合う席には、やっぱりお酒があったほうがいい。その意味で、固い仕事をやるのと、柔らかいクリエイティブな部分、そのバランスを取るものとして、タカラ『辛口ゼロボール』はまさに最適。私はタカラ『辛口ゼロボール』のおかげで、新しい生き方を発見できた気がします」

【松井Pからのイチオシ】

クリエイティブな仕事をする時期はお酒でモチベーションを上げ、固い仕事を集中してやる時期はタカラ「辛口ゼロボール」を使って調整!

 

GetNaviプロデューサー・松井がタカラ「辛口ゼロボール」の魅力を存分に語った今回のインタビュー。キレのある辛口、かつお酒感と飲みごたえがあり、酒飲みでも満足できる味であること。爽快な炭酸でのどごしがよく、カロリーゼロ(※1)、糖質ゼロ(※1)で運動後や風呂上りにも飲みやすいこと。クリエイティブで柔らかい思考にはお酒、固い仕事の時期はタカラ「辛口ゼロボール」と使い分けられるなど、酒飲みならでは、ビジネスマンならではの意見を知ることができました。いままでのノンアルコール飲料は物足りない、ぴったりくるものがないと感じていた方、松井が「ノンアルはコレ一択」と全力で推す、タカラ「辛口ゼロボール」をぜひ一度試してみてください!

※1:食品表示基準による

撮影/湯浅立志(Y2)

一大ブームから定着そしてまだまだ拡大中。クラフトビールの「今」

数年前は探さなければ飲めなかったクラフトビールが、いまやコンビニで買える時代に。ブルワリー(醸造所)の数は国内600か所を超え、海外銘柄も続々上陸。ますますアツいこの世界の扉を開くなら、いまです!!

※こちらは「GetNavi」 2023年9・10月合併号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

開かれたビールの門戸は進化し続けて新たな時代へ

すっかり定着したクラフトビールだが、本記事では改めてその歴史を押さえていこう。

 

日本では1994年の酒税法改正で、少量生産でもビールの醸造免許が取得可能になり、各地に「地ビール」が誕生。しかし当時は造り手の知見や技術にバラツキがあり、品質が玉石混交。ファンを獲得できずに消えた銘柄も多かった。

 

ただ、志の高いブルワリーとそのビールを愛飲するファンの関係は水面下で継続。そして2010年ごろ、すでに米国で爆発的人気となっていた“本格”クラフトビールが日本にも伝播するなどして専門店が増えていった。

 

クラフトビールを語るうえで外せないのが、ビアスタイルだ。原料や製法によって分類されるビールの種類のことで、使う酵母と発酵方法によりラガー、エール、その他に大別される。さらにそこから醸造地域や原料で細分化され、その数、なんと100以上に。クラフトビールブーム前の日本と言えばラガーが大半を占め、「ビール=スッキリ爽快な喉越し」のイメージが定着していた。

 

しかしブームを受け日本でも、英国発の苦味の強いビアスタイル「IPA(インディア・ペールエール)」など、香りが豊かで複雑な味わいのものが多いエールを中心に、味の多様化が進んだ。なかでも「IPA」を独自に進化させるなど独創的な発想でシーンを盛り上げていた米国を意識するブルワリーの増加が目立った。このようにして「地ビール」は「クラフトビール」と呼ばれ市民権を得るようになった。

 

2010年代中ごろになると、醸造所を併設した飲食店「ブルーパブ」やクラフトビール専門の酒販店が次々に誕生し、欧州の実力派新興ブルワリーの銘柄も多く輸入されるようになる。続く2010年代後半には、ジューシーな苦味の「ヘイジーIPA」や「サワービール」が流行。そしていま、両者の特徴を生かした「サワーIPA」や果実味豊かな「スムージーサワー」が人気を集めるなど、さらに多彩になっている。加えて、新興勢力としてアジアのブルワリーも台頭。まさにいま、クラフトビール市場は新時代を迎えている。

 

【GetNavi流 クラフトビール3大定義はコレだ!】

1 造り手のパッションがあふれている

マイクロ(小規模)ブルワリーから世界的なブランドになった例も数多。規模の大小以上に、ブルワー(醸造家)が己の信念を貫き、創造性やパッションをみなぎらせて造っていることがクラフトビールの絶対条件と言えるだろう。

2 素材や製法が多様で味わいに個性がある

クラフトブルワーが持つ情熱のひとつが、過去に例がない絶品ビールを造ること。だからこそ、ときに奇想天外な素材を入れたり、大胆な手法で発酵や熟成をさせたりする。そんな自由な発想から生まれる個性的な味も魅力だ。

3 ビールの楽しさを広げてくれる

爽快感や苦味のほか、甘味や酸味、旨みや果実味など多彩なおいしさを味わえるのが醍醐味であり、適温やグラス、料理との合わせ方など嗜み方も千差万別。未知なる味に出会えることも多くて楽しい酒、それがクラフトビールなのだ。

 

 

構成/鈴木翔子 文/中山秀明 撮影/高原マサキ(TK.c)

サントリー「翠ジンソーダ缶」がリニューアル。柚子の香りと炭酸を高めた、夏にぴったりの1缶

サントリーは7月5日、「『翠ジンソーダ缶』リニューアル、サントリージン『翠』新TV-CMおよびプロジェクト発表会」を行った。同発表会では、女優の夏帆さんとお笑いトリオ・東京03の角田晃広さんが登壇し、今年初めてだという浴衣姿を披露したほか、「翠ジンソーダ缶」を飲みたいシチュエーションなどを語った。

 

出来立ての翠ジンソーダにより近づいた爽やかな味わい

↑リニューアルされたサントリー「翠ジンソーダ缶」350ml 182円/500ml 246円(いずれも税別)

 

サントリージン「翠(SUI)」は、和素材(柚子・緑茶・生姜)を使用した、爽やかな味わいが特徴のジンだ。特に、本製品をソーダで割った「翠ジンソーダ」は、食事との相性がよいことで好評を得ており、2022年3月には、缶でもすっきりとした飲みやすい味わいが楽しめる「翠ジンソーダ缶」が発売されている。

 

今回発表された「翠ジンソーダ缶」は、その飲みやすさと味わいを、出来立ての翠ジンソーダにより近づけたリニューアルバージョンだ。爽快感を高めるために、従来製品の特徴である柚子の香り高さをアップ、炭酸も強化したという。

 

同発表会で初公開された新TV-CM「ホアジャオな出会い~それはもう、流行っちゃうかも~」篇は、7月8日より全国で順次オンエア開始。会場では、同CMに出演した夏帆さんと角田さん2人をイメージした手彫りの氷像も披露され、「氷像を作ってもらったのは初めて」とそれぞれ完成度の高さに驚いていた。

↑お笑いトリオ・東京03の角田晃広さん(左)と女優の夏帆さん(右)

 

↑発表会で披露された角田さん、夏帆さんをイメージした氷像。眼鏡を持参して来た角田さんは「予備の眼鏡を持ってきてくれと言われていたんですが、このためだったんですね」と納得の様子で氷像にマイ眼鏡を掛けていた

 

また、同製品をどんなシチュエーションで飲みたいか? という質問では、「ベランダで飲んで、雰囲気だけでも旅行気分を味わいたい」(角田さん)、「キャンプやBBQで、翠ジンソーダに合うメニューと一緒に楽しみたい」(夏帆さん)と語った。

↑「いただいちゃってすみません」と笑顔で「翠ジンソーダ缶」を飲む角田さん

 

↑味はもちろん、「このグラスも涼し気でとても可愛いですよね」と嬉しそうに語ってくれた夏帆さん

 

7月14日から「日本全国『涼すい』化計画」をスタート

今回のリニューアルに合わせ、サントリーは「日本全国『涼すい』(すずすい)化計画」を全国7都市(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡)で7月14日~8月6日に実施している。街頭サンプリング会場では、スタッフが翠ジンソーダ缶とオリジナルうちわを配布予定。特設されるサンプリング会場には、風鈴やすだれなど、日本の夏を感じられるアイテムが飾られるので、 “涼すい” ひとときを楽しめる空間となりそうだ。

↑「日本全国『涼すい』化計画」の該当サンプリング会場イメージ

 

今年の夏も厳しい暑さが予想されているが、爽快感がアップしたリニューアル「翠ジンソーダ缶」で、手軽に納涼を楽しんでみてはいかがだろうか。

 

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秋の“定番”ビールが今年もやって来る! 発売33年目の「キリン秋味(期間限定)」

キリンビールは、今年で発売33年目を迎える秋季限定ビール「キリン秋味(期間限定)」を、8月22日から全国で発売します。価格はオープン。

 

同商品は、同社のキリンラガービールと比較し、麦芽を約1.3本分使用。原材料配合や製造工程を最適化し、アルコール度数6%で飲みごたえがありながらも、すっきりした後口に仕上げています。

 

パッケージは、「秋が訪れるよろこび」と「豊かな味わい」を表現したデザインで、「今しか飲めないおいしさ」であることを醸成する「限定醸造」のアイコンを配しています。

この秋は“琥珀色の金麦”だ! サントリー「金麦〈琥珀の秋〉」

サントリーは、「金麦」ブランドから、「金麦〈琥珀の秋〉」を、8月15日から全国で数量限定新発売します。価格はオープン。

 

中味は、二条大麦麦芽の中でもうまみ成分(たんぱく質)を多く含む「旨味麦芽」に加え、こだわりの国産麦芽を一部ブレンドした「贅沢麦芽」のほか、「ロースト麦芽」を一部使用しており、深いコクと香ばしい味わいが楽しめます。

 

パッケージは、琥珀色と紺色のグラデーションを背景に、流れるような紅葉のイラストを配し、秋らしさを表現しています。

「贅沢搾り」ブランドから初のメロンフレーバー! 国産メロン果汁使用「アサヒ 贅沢搾りプレミアム夏限定国産メロン」

アサヒビールは、RTD「贅沢搾り」ブランドの「プレミアム」シリーズから「アサヒ 贅沢搾りプレミアム夏限定国産メロン」を、8月1日から発売します。価格は172円(税別)。

 

同商品は、国産のメロン果汁を5%使用。プレミアムシリーズの限定商品は、国産果汁を使用しています。贅沢搾りブランド初のメロンフレーバーで、メロンの芳醇な甘みを楽しめるチューハイです。

 

パッケージは夏をイメージした空と入道雲の背景に、丸ごとメロンとメロン果肉を大きく描き、「国産果実使用」と記載。商品の特徴をわかりやすく表現しています。

希少ホップ「ネルソンソーヴィンホップ」を一部使用! キリンのクラフトビール「スプリングバレー」白ビールがリニューアル

キリンビールは、「SPRING VALLEY シルクエール<白>」の中味とパッケージを、7月製造品より順次リニューアルします。価格は、350ml缶が248円(税別)、500ml缶が330円(税別)。

 

同社は2021年3月にクラフトビールブランド「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」を立ち上げ、今回リニューアルとなる同商品は2022年に発売しています。

 

リニューアルでは、「まろやかさ」と「華やかな香り」がより引き立つようにホップの配合比率を調整。無濾過で仕上げたにごりのある液色で、小麦麦芽を使用した、きめ細かなふわとろの泡、まろやかな口当たりが特徴です。ニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィンホップ」を一部使用することで、華やかで心地よい香りに仕上げています。

 

パッケージは、「新」ラベルを配し、缶の裏面に味覚特徴を、側面には飲用時の楽しみ方を記載しています。

ファミマで限定発売中! 日本最古のビヤホール「銀座ライオン」監修「サッポロ 銀座ライオン ライオンエール」

ファミリーマートは、サッポロビールの新商品「サッポロ 銀座ライオン ライオンエール」を、ファミリーマートの酒類取扱店約1万6200店で数量限定発売しました。価格は、350mlが230円(税込)、500mlが301円(税込)。

 

同商品は、日本最古のビヤホールである銀座ライオンが監修する、夏向けの限定醸造生ビール。エールビールならではの華やかな香りと、爽快感ある味わいが楽しめます。昨年7月の発売時に、再販を望む声が多く好評だったことから、今年も発売に至ったとのことです。

 

パッケージは「黄」「黒」「赤」をベースに、銀座ライオンのロゴを中央にデザインしています。上半分全体を黄色にして、夏らしい解放感を表現しています。

タレント高田秋がプレミアムビール4種を飲み比べ! 特別な日は特別なビールで……

飲み歩き大好きなモデルでタレントの高田 秋(たかだしゅう)が、「家飲み」を追求するシリーズ。今回は、大手ビールメーカーのプレミアムビールを4種類飲み比べてレビューしてみた。

※こちらは「GetNavi」 2023年3.5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【5杯目】特別な日を彩る “プレミアムビール” を4種類飲み比べ!

特別なビールはシーンで飲み分けたい!

私にとってビールは、日常をうるおしてくれる存在。20代前半のころはホップの苦みが得意ではなかったのでいつもソフトドリンクを飲んでいました。ですが、早く大人の仲間入りをしたくちょくちょく飲んでいたら、すっかり大好きなお酒に。いまでは、ほぼ毎日飲んでいます。ロケ先では現地のクラフトビールを買いますし、プレミアムビールも必ず自宅にストックしてますね。

 

今回の4種類はどのビールもおいしくて、シーンによって飲み分けたいです。「ヱビスビール」はバランスが良く、どんな食事にも合いそう。「花鳥風月」はフルーティでラベルがカワイイから、女子会で開けたいな。香りが華やかで爽やかな「一番搾りプレミアム」は、連休前の仕事終わりのご褒美にキュッと。「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉」は大自然の恵みを感じるので、ひとりじっくり物思いにふけるときに味わいたいです。みなさんもぜひ、飲み比べてみてください!

 

 

今回飲み比べた4種類は?

アサヒビール
花鳥風月
実売価格229円 ●ギフト、東北限定で発売

2022年秋リニューアルし、上面発酵酵母による醸造法はそのままに、新たなホップを採用して濃色麦芽を増量。果実のように華やかな吟醸香とコクがアップした。

 

サッポロビール
ヱビスビール
オープン価格

130年以上の歴史を持つプレミアムビールの金字塔。1000種以上から厳選した「ヱビス酵母」や通常の1.5倍熟成などにこだわった、豊かな旨みとコクが魅力だ。

 

キリンビール
一番搾り プレミアム
実売価格3280円(12本セット)●ギフト限定で発売

一番搾り製法による甘みや旨みが濃縮された麦汁に、日本産ホップ「IBUKI」の第一等品をふんだんに掛け合わせて醸造。爽やかな苦みと果実味が華やぐ。

 

サントリー
ザ・プレミアム・モルツ
マスターズドリーム〈無濾過〉
実売価格 286円

ダイヤモンド麦芽やトリプルデコクション製法など、サントリーのDNAを生かした1本。無濾過仕上げで、柔らかな口当たりと濃密で上質な味わいを実現した。

 

 

高田 秋●たかだ・しゅう●1991年9月23日生まれ、北海道出身。立ち飲み屋巡りが趣味で、唎酒師などの資格を持つ。「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)をはじめ、飲み歩き番組への出演も多数している。公式HPInstagramYouTube

 

文/中山秀明 撮影/千葉タイチ ヘアメイク/Hitomi Haga スタイリスト/江原優里 ●Cheekのワンピース1万2100円、PARIS KIDSのイヤリング300円

サントリー「BAR Pomum」に〈白葡萄とモヒート〉が仲間入り! 定番4種もリニューアルへ

サントリーは、「BAR Pomum(バー・ポームム)〈白葡萄とモヒート〉」を10月10日から全国で新発売。「BAR Pomum」定番4種のリニューアル発売を、7月下旬以降順次行います。(〈レモンと蜂蜜〉〈林檎とジンジャー〉はパッケージリニューアルのみで、中味は変更なし)。価格はいずれも156円(税別)。

↑BAR Pomum〈林檎とジンジャー〉

 

今回発売となる白葡萄とモヒートは、モヒートならではの爽やかさと、白葡萄の華やかな味わいが特徴です。隠し味の白ワインで、やわらかな余韻を楽しめます。

↑BAR Pomum〈白葡萄とモヒート〉

 

〈桃と紅茶〉は、配合バランスを見直し、紅茶の風味をより感じられる味わいにリニューアル。

↑BAR Pomum〈桃と紅茶〉

 

〈カシスと葡萄〉は、カシスリキュールを増やし、よりお酒らしさを感じられる味わいにリニューアルします。

↑BAR Pomum〈カシスと葡萄〉

 

リニューアルパッケージは、ブランドの象徴でもある“夜をイメージした黒色”と“果実を模したランプが浮かぶデザイン”はそのままながら、「BAR Pomum」の文字を縦書きにすることで、BARのような大人らしい雰囲気を表現しています。

↑BAR Pomum〈レモンと蜂蜜〉

ライムとミントのすっきり感が夏らしい味わい! 贅沢感を楽しめるご褒美RTD「アサヒ ザ・カクテルクラフト 期間限定ライム香るモヒート」

アサヒビールは、RTD「ザ・カクテルクラフト」ブランドから「アサヒ ザ・カクテルクラフト 期間限定ライム香るモヒート」を、7月25日に発売します。価格は181円(税別)。

 

同商品は、ライムとミントの爽やかな香りと、強めの炭酸ですっきりとした味わいが特徴のカクテル。香り成分たっぷりのライムオイルを仕上げに“ひと搾り”する「秘密のひと搾り製法」により、缶を開けるとライムの豊かな香りが楽しめます。

 

パッケージはミントとライムのイラストで本格モヒートを表現し、「Premium」の文字を記載することで、「ご褒美」「贅沢」のイメージを演出しています。

ドイツで開発製造されたヘイジーIPA! ドイツソーセージと相性抜群の「juicy & hazy IPA」

カイザーキッチンビールのSchmatz(シュマッツ)は、新商品「juicy & hazy IPA」を、シュマッツオンラインショップにて、7月14日に販売開始します。

 

ヘイジーIPAは、その名の通り濁った外観が特徴的なビールで、華やかなホップの香りとジューシーな味わいが特徴です。

 

今回発売となる同商品はドイツで醸造したシュマッツオリジナルのヘイジーIPA。リッチなマンゴー、パイナップル、オレンジを思わせる爽やかな香りが楽しめます。シュマッツレストランでは樽でもjuicy & hazy IPAを提供します。

 

価格は、6本セットが4500円(税込)、24本セットが1万6200円(税込)、同商品3本+ミックス3本セットが3550円(税込)です。

澄み切った味わいが夏にピッタリ! 数量限定発売「アサヒオリオン ザ・ドラフト氷点下貯蔵」

アサヒビールは、オリオンビールが製造するビール「アサヒオリオン ザ・ドラフト氷点下貯蔵」を、数量限定で販売中です。価格はオープン。

 

同商品は、熟成工程にて、オリオンビール史上最も低い温度でビールを貯蔵する「氷点下貯蔵」を採用し雑味を徹底的に取り除くことで、すっきりとした味わいに仕上がっています。

 

パッケージは、氷を表現した鮮やかな青色が描かれ、缶体中央に「氷点下貯蔵」と大きく記載されています。

北海道「サッポロビール園」限定の味が家庭でも楽しめる! 「サッポロファイブスター」

サッポロビールは、「サッポロファイブスター」の缶商品(350ml缶/500ml缶)を、7月11日に全国で数量限定発売しました。価格はオープン。

 

同商品は、現在北海道札幌市にある「サッポロビール園」だけで飲むことができる生ビール。じっくりと丁寧に長期間熟成した濃醇で本格的なコクのある味わいが特徴です。

 

缶のデザインは、サッポロビール園のロゴやモチーフを使用し、裏面には、1967年にプレミアムビールの先駆けとして誕生した、同商品の歴史やストーリーを表記しています。

魅惑的な甘いフレーバーが調和した“エクストラ”な味わい! ラム酒樽を用いたウイスキー「シーバスリーガル エクストラ 13年 ラムカスク」

ペルノ・リカール・ジャパンは、同社が展開するブレンデッドスコッチウイスキー「シーバスリーガル」の、 Eコマースチャネル限定商品「シーバスリーガル エクストラ 13年 ラムカスク」を7月24日から発売します。価格は5687円(税込)。

 

「シーバスリーガル エクストラ 13年」は、ブランドのハウススタイルともいえる芳醇でまろやかな味わいに、さらなる個性を加えた特別なコレクション。同コレクションの軸となる「13年熟成」は、シーバス・ブラザーズ社創業の地であるスコットランドの都市アバディーンの「キングストリート13番地」に由来した、ブランドの歴史へのオマージュです。世界中の様々なタイプの樽で原酒の一部を熟成させ、「シーバスリーガル」のブレンドにユニークな特徴を加え、新しい味わいを生み出しています。

 

今回日本新登場となる同商品は、ブランド史上初のラム酒樽を熟成に用いており、ラムを熟成した樽でブレンドの一部を熟成させています。芳醇でまろやかな同シリーズの味わいはそのままに、みずみずしいオレンジやアプリコットジャム、ハチミツを想わせる甘い余韻の中に、ぬくもりあるほのかなシナモンの香りが、調和した味わいを生み出しています。飲み方は、シンプルなソーダ割りやオン・ザ・ロックのほか、カクテルで楽しむのもおすすめとされています。

↑エクストラ・コラーダ

 

パッケージデザインは、ストリートアーティストのグレッグ・ゴセル氏が手がけており、ラムと深い繋がりのあるサトウキビをモチーフにして、トロピカルな色調で美しい島々へのオマージュを表現しています。

炭酸水で割るビール「ビアボール」が全国のご当地素材とコラボ! 全国6会場で「ビアボール祭り」開催

サントリーは7月6日、全国47都道府県の「地元ビアボール」を提供する「日本全国を巡る! 47都道府県 地元ビアボール祭り」の開催を発表した。この発表会では、女優の黒島結菜さんとお笑いコンビ・ダイアンのユースケさん、津田篤宏さんが登壇。地元ビアボールの感想を語ったほか、ビアボールづくりのレクチャーも行われた。

 

話題の東急歌舞伎町タワーで「ビアボール祭り」開催! 自由なビアボールを楽しめる

サントリーが発売している「ビアボール」は、日本初(※)の炭酸水でつくるビールで、好きな濃さで自由に楽しむことができる新しいビール。同社のビールとしては過去最高のアルコール度数16%を実現し、氷と炭酸水でつくって時間が経過しても崩れない味わいと香りのバランスが特徴だ。

※炭酸水で割ることを製品上で訴求する日本初のビール(Mintel GNPDを用いたサントリーの調査による 2022年5月時点)

 

今回発表された「日本全国を巡る!47都道府県 地元ビアボール祭り」は、この自由に楽しめるという特徴を活かして、全国の素材を使ったビアボールを提供するというもの。7月6日に東京・東急歌舞伎町タワー東側のシネシティ広場でスタートしたのを皮切りに、今後は10月までに愛知・福岡・宮城・大阪・広島でも順次開催される予定だ。

↑「日本全国を巡る!47都道府県 地元ビアボール祭り」東京会場の様子

 

東京会場では、定番の3種類(アルコール度数2%、4%、8%)に加えて、47都道府県の地元ビアボール全種類を販売する。そのほかの会場では、各地元素材のビアボールが提供される。実に多彩なラインアップが並ぶが、例えば東京は「クラフトコーラ」、愛知は「西尾抹茶」、大阪は「ミックスジュース」など。定番3種類は各300円、地元ビアボールは各400円で販売されるほか、缶つまやご当地おつまみも100円から用意されているので、小腹を満たしながら楽しむことができそうだ。(価格はいずれも税込み)

↑同発表会で行われた試飲会で提供されたビアボール。左から、東京「クラフトコーラ」、大阪「ミックスジュース」、定番ビアボール(アルコール度数4%)

 

地元ビアボール当てクイズ、黒島結菜が地元愛で見事正解!

同発表会では、黒島結菜さんとダイアンのユースケさん、津田篤宏さんが浴衣姿で登場。人生初だというベリーショートの髪型を披露した黒島さんに、ダイアンの2人は「とてもお美しい!」と大絶賛だった。その後、色と香りだけで地元ビアボールの素材を当てるクイズでは、黒島さんが地元沖縄の「アセロラ」と回答し、見事正解。沖縄方言で「でーじまーさん(とってもおいしい)!」と、大満足の様子だった。

↑ビアボールの素材当てクイズで、「アセロラ」を即答した黒島さん。「実家の祖父母の畑にアセロラがなっていて、そのまま採って食べていました」と正解の理由を笑顔で語ってくれた

 

さらに、ビアボールが初めてだというダイアンに黒島さんがビアボールづくりをレクチャー。定番ビアボールはビアボール1に対して炭酸水3だが、ダイアンのユースケさんは自分好みに調節できる点を活かして1:1で作り「濃い目に作ってもおいしい!」と大喜びだった。

↑「作ってるときもワクワクする」と、嬉しそうにがっつり濃いめのビアボール作りに挑戦したユースケさん

 

↑「この美味しさは~『ビアビアボー!』ビアボール差し上げます! 受け取ってください!!」と持ちネタ「ゴイゴイスー!」をもじったギャグも披露してくれた津田さん

 

同社のマーケティング本部イノベーション部の佐藤勇介氏は、「ビアボールならではの自由さを、よりお客様に楽しんでいただくために、47都道府県の素材を使ったビアボールを開発しました。このイベントを皮切りに、全国へビアボールの魅力を伝えていきたい」と、ビアボールを通じてビール市場の活性化を目指す意気込みについて語った。

 

【「日本全国を巡る!47都道府県 地元ビアボール祭り」各エリアのイベント一覧】

東京 7/6(木)~7/9(日)/東急歌舞伎町タワー シネシティ広場
愛知 7/15(土)~8月31日(日)/内海千鳥ヶ浜海水浴場
福岡 7/21(金)~8月6日(日)/福岡市役所前ふれあい広場
宮城 8/5(土)~6日(日)/夢メッセみやぎ本館展示棟
大阪 9/15(金)~9/18(月)/大阪城公園・太陽の広場
広島 9月下旬~10月上旬予定/開催場所未定

 

【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】

芳醇でフルーティな味わいと、軽やかな余韻を楽しめる! サントリー「プレモル」に数量限定「アンバーエール」が仲間入り

サントリーは、「ザ・プレミアム・モルツ 〈ジャパニーズエール〉アンバーエール」(350ml缶/500ml缶)を、8月15日から数量限定で発売します。価格はいずれもオープン。

 

「ザ・プレミアム・モルツ 〈ジャパニーズエール〉」シリーズは、「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドこだわりの素材、同社独自の上面発酵酵母、醸造家の卓越した技術を掛け合わせて生まれた、日本人の嗜好に合わせた「フルーティな味わいと爽やかな香り」が特徴。2月にリニューアルした「同 香るエール」は、「磨きダイヤモンド麦芽」を一部使用し、“みずみずしい香り”をより一層鮮やかに進化させています。

 

今回限定発売となる「アンバーエール」は、数種類の濃色麦芽を一部使用することで、秋にぴったりな芳(こう)ばしく奥深い香りに仕上げています。磨きダイヤモンド麦芽を採用し、濃色麦芽の芳ばしさと上面発酵酵母によるフルーティな香りが楽しめます。

 

パッケージは、秋の始まりを連想させる琥珀色で、中味の特徴を表現。香るエールのデザインを踏襲し、「JAPANESE ALE」の文言をロゴに採用した“ジャパニーズエール”シリーズの限定品であることがわかるデザインです。

 

同日には、同商品と香るエールの350ml缶を各3本詰め合わせた「同 2種飲み比べパック」を、数量限定で発売。異なる味わいのジャパニーズエールシリーズの飲み比べが楽しめます。

今年も期間限定で登場! 日本産ホップ「IBUKI」の香りを楽しむキリン「本麒麟 香りの舞」

キリンビールは、「本麒麟」ブランドから期間限定品「本麒麟 香りの舞(期間限定)」(350ml缶/500ml缶)を、7月18日に発売します。価格はオープン。

 

同商品は2022年11月に期間限定発売。今回は、本商品の特長である日本産ホップ「IBUKI」の香りをより感じられる香味に進化させ、消費者が新ジャンルに期待する「うまさと品質」「報酬感」「経済性」といったニーズを重視して作られています。

 

中味は昨年に続き和柑橘のような香りが特徴の国産ホップIBUKIを一部使用し、初夏の季節に合うようにホップ配合を変更することで、IBUKIの香りがより感じられる芳醇な香味に仕上げています。「本麒麟」と同じく通常の1.5倍もの長時間で低温熟成させるとともに、発酵中にホップを漬け込む「ホップアロマ製法」で、コクと飲みごたえがありながら、苦みを抑え香りを引き出した味わいです。

 

パッケージは、今しか飲めない限定感を醸成する「限定出荷」のアイコンを配し、ホップと飲みやすさを感じられる明るい緑カラーを採用してグラデーションをあしらい、本麒麟の香味を表現しています。

アサヒ「生ジョッキ缶」第2弾はプレミアムビール! 泡と香りで食を彩る新ブランド「アサヒ食彩」

アサヒビールは、プレミアムビールの新ブランド「アサヒ食彩」(各340ml缶/485ml缶)を、「生ジョッキ缶」第2弾商品として、7月11日から全国の酒類取り扱いのコンビニエンスストアで発売します。価格はオープン。

 

同商品は、「蓋をあけるだけではじまる優雅なひととき。泡と香りで食を彩るビール」がコンセプトのプレミアムビールです。同商品の特徴を最大限感じられるように、開栓するときめ細かい泡が自然発生し、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールの味わいが楽しめる、生ジョッキ缶を採用。厳選した麦芽とフランス産の希少ホップ「アラミス」を含む5種類のホップを使用し、高い濃度で麦汁を発酵させることで、華やかで豊かな香りと濃厚なコクを楽しめます。

 

パッケージは、金色の缶体に光沢とマットの2種類で質感の差を施して、シンプルでありながら上品で華やかな印象を与えるデザインに仕上げています。「泡と香りで食を彩る」という文言と「泡が湧き上がる」アイコンを配置し、商品の特徴とコンセプトを伝えています。

 

広告や販促では、WEBやSNSで「泡と香りの体験」を訴求する動画の発信や、100万本のサンプリング実施などを予定しています。

スッキリと“甘くないおいしさ”が楽しめるフレーバー! キリンの「氷結無糖」に、シークヮーサーが仲間入り

キリンビールは、糖類・甘味料を一切使用していない、甘くなく果実味が引き立つ「キリン 氷結無糖」シリーズから、「キリン 氷結無糖 シークヮーサー ALC.7%」(各350ml缶/500ml缶)を、7月11日に発売します。価格はオープン。

 

同商品は、RTDのフレーバーとして、飲用意向上位の人気フレーバーであるシークヮーサーを採用。余計な甘さがなく、スッキリおいしい飲みやすさと、シークヮーサーらしい酸味と果皮のほのかな苦みが感じられる飲みごたえが特徴です。

 

パッケージは、シリーズ定番のクリアな印象のシルバー&ホワイトに、シークヮーサーの爽やかな果実味を感じさせるカラーをアクセントにして、グラスを配し、シズル感を演出したデザインです。

高田秋が家飲みを深掘り! ヘルシー揚げ物とスーパードライ 生ジョッキ缶の相性は?

新婚の飲み歩き大好きモデル・高田 秋が「家飲み」を追求! ノンフライヤーをテーマに、いまの時期に食べたいチキン、ポテトとビールのペアリングをチェックした!

※こちらは「GetNavi」 2023年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【4杯目】ノンフライヤーで作ったヘルシー揚げ物と
スーパードライ 生ジョッキ缶大生で乾杯!

アサヒビール
アサヒスーパードライ
生ジョッキ缶大生
オープン価格

開栓するとシルキーな泡が自然発生し、キレのあるおいしさで2021年に大ヒットした「生ジョッキ缶」の485㎖タイプ。340㎖と比べて泡立つ速度が2倍以上(※)に。

※:開栓時8℃の状況における泡の生成速度を340㎖缶と比較(アサヒビール調べ)。冷やす温度によって泡立ちは異なる

 

罪悪感なく食べられちゃう!

最近、オーブンレンジを新調したり、ホットサンドメーカーやフードプロセッサーで朝ごはんを作ったりと、実は調理家電をよく使用しているんです。

今回の「エアフライ オーブントースター」は、キッチンに置きたくなるスタイリッシュなデザインで目を引きますね。少量の油でチキンやポテトなどの揚げ物を12分ほどで完成できると、機能面も優秀。できたてのノンフライのチキンとポテトを食べてみましたが、絶品すぎました。揚げていないのにカラッとジューシーでおいしく、油っこさもないので罪悪感がありません。熱風調理で包み込むように熱が通るため、素材の旨みが凝縮されていて、おつまみもお酒も進んじゃいます!

やっぱり揚げ物にはビールがイチバン。のど越しが爽快で、キレがある辛口の「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」はピッタリです。お店で飲む生ジョッキのようなおいしさを体験できるのもお気に入り。ここ数年は友人と自宅で飲むことが増えたので、場の盛り上げ役としても活躍しています。そのうえ「大生」はお酒好き待望のビッグサイズで最高♪

 

「こんがりとした焼き色のチキンとポテトで食欲をそそりますね。ビールとも相性抜群。唐揚げも良いですが、圧力鍋で手羽元と大根を炊く鶏煮込みが好きでよく作ります!」(高田さん)

 

クイジナート
エアフライ
オーブントースター
TOA-38
実売価格2万9700円

庫内の上下に5本のヒーターと独自の大型ファンを搭載したオーブントースター。パワフルな熱風を効率的に循環させて短時間でムラなく食材を加熱し、旨みを閉じ込める。多彩な料理を作れる6つの調理モードも装備。

 

 

高田 秋●たかだ・しゅう●1991年9月23日生まれ、北海道出身。立ち飲み屋巡りが趣味で、唎酒師などの資格を持つ。「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)をはじめ、飲み歩き番組への出演も多数している。公式HPInstagramYouTube

 

文/中山秀明 撮影/千葉タイチ ヘアメイク/Hitomi Haga スタイリスト/江原優里 ●RIELLE richeのパンツ1万5400円、ニット、イヤリングはすべてスタイリスト私物

みずみずしいマンゴーの芳醇な香りが楽しめる! アサヒ「贅沢搾り」に夏限定「マンゴー」登場

アサヒビールは、RTD「贅沢搾り」ブランドから「アサヒ 贅沢搾り期間限定マンゴー」を7月4日に発売しました。

 

同商品は、7月に旬を迎えるマンゴー果実8分の1個分にあたる果汁11%を使用し、みずみずしいマンゴーの芳醇な香りと濃厚な味わいが特徴。パッケージは常夏をイメージした、だいだい色を背景に、マンゴーのイラストと「果実1/8個分」「期間限定」の文字を記載しています。

 

容量は350mlで、価格は153円(税別)です。

みずみずしいマンゴーの芳醇な香りが楽しめる! アサヒ「贅沢搾り」に夏限定「マンゴー」登場

アサヒビールは、RTD「贅沢搾り」ブランドから「アサヒ 贅沢搾り期間限定マンゴー」を7月4日に発売しました。

 

同商品は、7月に旬を迎えるマンゴー果実8分の1個分にあたる果汁11%を使用し、みずみずしいマンゴーの芳醇な香りと濃厚な味わいが特徴。パッケージは常夏をイメージした、だいだい色を背景に、マンゴーのイラストと「果実1/8個分」「期間限定」の文字を記載しています。

 

容量は350mlで、価格は153円(税別)です。

ヴァイツェンビールのような「微アルコール」ビールテイスト飲料! 期間限定発売「アサヒ ビアリー CRYSTAL WEIZEN TASTE」

アサヒビールは、アルコール分0.5%の“微アルコール”ビールテイスト飲料「ビアリー」ブランドの期間限定商品「アサヒ ビアリー CRYSTAL WEIZEN TASTE(クリスタル ヴァイツェン テイスト)」を、7月4日に発売しました。

 

同商品は0.5%のアルコール分ながら、ヴァイツェンビールのようなフルーティーな香りとやわらかな味わいが特徴のビールテイスト飲料。アルコールを除去する脱アルコール技術により、ビール特有の発酵由来の複雑な香気成分を残しています。パッケージは夏らしさを感じる青色をベースに「ビアリー」ブランドのロゴやホップのイラストと、「フルーティーな香りとやわらかな味わい」の文言を記載。

 

「アサヒ ビアリー」ブランドは、飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の考え方に基づき展開。仕込工程で香り豊かでコク深いベースビールを醸造した後、脱アルコール工程でアルコール分をできるだけ取り除く製造方法を採用しています。3月に行なったリニューアルでは、ビールらしいコクを出すために、ろ過工程で麦のうまみがより残るように調整し、より本格的な味わいを作り出しています。

 

容量は350mlで、価格は181円(税別)。8月末までの発売を予定しています(※予定数量出荷次第終了)。

シチリア産レモンの爽やかな香り! 期間限定のプレミアムな味わい「アサヒ ザ・レモンクラフト 期間限定地中海塩レモン」

アサヒビールは、RTD「ザ・レモンクラフト」ブランドから「アサヒ ザ・レモンクラフト 期間限定地中海塩レモン」を発売中です。

 

同商品は、シチリア産のレモン果汁と岩塩を使用し、爽やかなレモンの香りとまろやかなうま味が特徴のプレミアムチューハイ。香り成分たっぷりのレモンオイルを仕上げにひと搾りすることで、開けた瞬間からレモンの香りが広がります。パッケージは、地中海を想起させる「アクアブルー」を背景に、缶体中央にみずみずしいレモンと岩塩のイラストを描かれています。

 

容量は400mlで、価格は199円(税込)。9月末までの発売を予定しています(※予定数量出荷次第終了)。

「お茶割り」のプロに聞く「焼酎×お茶」組み合わせの妙を楽しむ噺

意外と知らない焼酎の噺13


『古典酒場』編集長の倉嶋紀和子さんがナビゲーターとなって探っていく「意外と知らない焼酎の噺」。今回のテーマは「お茶割り」。いまや酒場の人気メニューとなった焼酎の「お茶割り」について深掘りしていきます。

 

今回お話しを伺うのは、京都・宇治の茶舗や長野の酒蔵などを経て、昨年7月、東京都墨田区向島に「酒と茶と 襤褸(らんる)」を開業した松木恵美さん。倉嶋さん主宰のカルチャースクール「倉嶋紀和子の古典酒場部」の門下生でもあります。そして、「焼酎」および焼酎の「お茶割り」開発のスペシャリスト・宝酒造 商品第一部 副部長兼技術課長の高橋悠典さん(「高」ははしごだか)と、商品第二部 技術課長の大崎学さんにも同席いただき、解説してもらいます。

●倉嶋紀和子(左)/雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名。令和4年(2022年度)には「酒サムライ」に叙任された
●酒と茶と 襤褸(らんる)・松木恵美(右)/宇治の茶舗、クラフトビールで有名な長野の酒蔵、東京・門前仲町・酒肆一村(しゅしいっそん)など茶・酒・食に関するさまざまな職を経て2022年、墨田区向島に「酒と茶と 襤褸」を開業

 

「お茶割り」の歴史や定義とは?

実は「お茶割り」の成り立ちや、明確な歴史についてはよくわかっていません。静岡などのお茶どころでは、伝統的に焼酎の「緑茶割り」(「静岡割り」と呼ばれる)が飲まれている地域もありますが、全国的には1980年代に起きたチューハイブームを経て徐々に広まりました。また、この時期に缶入りの烏龍茶や緑茶飲料が誕生したことが、烏龍割り(ウーロンハイ)や緑茶割り(緑茶ハイ)など「お茶割り」の浸透に強く関係しているとも言われています。

 

近年は食文化とともにお酒の飲み方も多様化し、他方で抹茶は世界的な人気に。また、2016年にオープンした「茶割」(東京都・目黒区)が100種の「お茶割り」を提供する独自性で話題になるほか、2019年には「抹茶ハイフェスティバル」が開催されたり、2022年には「一般社団法人日本お茶割り協会」が設立されたり。すそ野はますます広がっています。

 

なお、「お茶割り」もチューハイやサワーと同様に明確な定義はありません。こちらについては本シリーズ「『チューハイ』ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺」で触れているので、ぜひ一読を。さて、以下から本題へ。松木さんに「緑茶」の基礎知識から教えてもらいました。

 

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今回のテーマは「チューハイ」と並んで甲類焼酎の飲み方として定番の「ホッピー割り」。東京で生まれて昔から焼酎の割り材として人気の「ホッピー」の歴史と変遷を“ホッピーミーナ”に伺います。

「チューハイ」ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺
これまで、焼酎の歴史や、造り方について深掘りしてきた本シリーズですが、ここからはその飲み方などの”実践編”。今回のテーマは「チューハイ」です。

 

『緑茶』は日光の浴び方で大きく2種に分類される

倉嶋 松ちゃんには「古典酒場部」の講座を受講してもらっていますが、今日は私が生徒ということで、よろしくお願いします。まずは『緑茶』の種類から教えてください。

 

松木 はい。倉嶋編集長に教えるなんて大変おこがましいのですが。まず、種類はたくさんあるんですけど、大きく分けると2つ。茶畑に覆いをする「覆下園(おおいしたえん)」と、覆いをしない「露天園(ろてんえん)」があります。「覆下園」は日光を遮断するので、渋みは少ない一方うまみ豊かでまろやかな味に。「露天園」は日光を十分に浴びるので、渋みや爽やかさが特徴です。

↑覆下園(左)と露天園(右)

 

倉嶋 なるほど! 覆いをするかどうかで味が変わってくるんですね。

 

松木 はい。茶葉に含まれるアミノ酸のテアニンが変化するんですね。アミノ酸はうまみ成分ですが、日光を浴びることで渋味成分であるカテキンになるんです。

 

倉嶋 カテキンって、健康茶によく含まれてるやつですね。確かポリフェノールの一種で。

 

松木 そうそう、それです。で、より具体的なお茶の分類としては、「覆下園」には『玉露』『碾(てん)茶(抹茶)』『かぶせ茶』などがあります。「露天園」は『煎茶』や、九州や伊豆で主流の『玉緑茶(ぐり茶)』、『ほうじ茶』『玄米茶』『番茶』などですね。

 

品質の善し悪しを決めるポイントとは?

倉嶋 こうしてあらためて聞くと、種類が豊富ですね。

 

松木 ただ「覆下園」は覆いをする手間もかかるので、生産量として圧倒的に多いのは「露天園」です。

 

倉嶋 それに、価格も「覆下園」のほうが高いでしょ?

 

松木 基本的にはそうですね。また、同じ茶葉でも摘み方や製法によって価格はさまざまです。見た目だけでもかなり差があって、今日は比較でわかりやすいように2種類の『煎茶』を用意しました。

↑左が安価な茶葉。右が高級な茶葉

 

倉嶋 ほんとだ、左右でまったく違う! 右の、色ムラがなく濃いほうが高級でしょ?

 

松木 ええ、右の茶葉は3倍ぐらい高価ですね。グレードのチェックポイントとしては5項目。①形状、②ツヤ、③香気、④水色(すいしょく)、⑤滋味です。この違いは何で生まれるかというと、ひとつは若さ。大前提として、若い芽のほうが小さくて細く、ツヤがあります。

 

倉嶋 確かに。それに高級なほうは色の濃さだけではなく、パリッとした感じもありますね。でも、茶葉は小さいほうがいいのですか?

 

松木 大きくなると雑味に通じる繊維質が増えますし、針のようにきれいな形にならないんです。

 

倉嶋 そういうことなんですね。あと、高級なほうが茶葉を丁寧に選別してるということでしょうか?

 

松木 それもあります。こちらはその年の最初に生育した若い新芽、つまり一番茶だけを摘んでさらに選別したものですね。一方の安いほうは茶葉の若さや大小はあまり気にしていないのでバラつきがありますし、色の淡い茎の部分も入っています。

 

倉嶋 なるほど、このちょっと太くて淡いのは茎なんですね。

 

 

茶葉の味を比べてみる

松木 淹れて比べるとまた面白いですよ。ちょっと待っててくださいね。

↑茶こしで淹れている状態。左が安価な茶葉。右が高級茶葉

 

↑安価な茶葉(左)は色が濃く沈殿物も多い。高級茶葉(右)は色味も鮮やかで沈殿物が少ない

 

倉嶋 わっ、見た目は高級なほうがクリアで鮮やか。あと、沈殿が少ないんですね。

 

松木 沈殿しているのは茶葉から出る粉です。高級なほうは茶葉を選別する際に粉も取り除くんですよ。粉が少ないぶん、雑味も出にくくなっています。ちなみに、今日は比較用にあえて熱湯で淹れました。

 

倉嶋 比較するには熱いほうがいいんですか?

 

松木 適温は茶葉によって様々なんですけど、『煎茶』でうまみを豊かに感じるには70~80℃が目安なんです。ただ今日の『煎茶』を70~80℃で淹れると、若い茶葉のほうが良さが引き立つので、フェアじゃないというか。一方、90℃近い熱湯で淹れると苦みに通じるカテキンやネガティブな味覚成分が出やすくなって、茶葉そのものの実力を感じやすいんです。

 

倉嶋 なるほど、そうなんですね! そして確かに、味も全然違いますね。高級なほうが香りが清々しく、苦みも凛々しくて美味しいです。

 

松木 味が鮮明で、フレッシュなニュアンスもありますよね。

 

倉嶋 でも、こうしてじっくり味わってみると、意外に『緑茶』って酸味は感じないんですね。

 

松木 それは、よく言われる発酵の違いによるものです。日本の『緑茶』は“不発酵茶”なので、比較的酸味は少ないんですよ。有名な分類ですと、『紅茶』は“発酵茶”で『烏龍茶』は“半発酵茶”。これらは発酵されているぶん酸味を感じる特徴があります。

 

お酒に茶葉を漬け込んだ自家製の「お茶割り」

倉嶋 お茶については良く分かってきたので、いよいよ「お茶割り」が飲みたくなってきました(笑)。ちなみに、「襤褸」ではどのような「お茶割り」を出しているんですか?

 

松木 うちのお店は炭酸水を使う「お茶ハイボール」がスタンダードなんですけど、ベースのお酒は、甲類焼酎やジンにあらかじめ茶葉を漬けこんだ自家製。いくつかのフレーバーを用意し、メニューに応じて炭酸水で割って提供しています。

倉嶋 お茶とお酒を別々に合わせるわけではないんですね。そのベースのお酒はどのように作ってるんですか?

 

松木 酒燗器を使い甲類焼酎などの温度を上げることで、茶葉から狙った量の味わいを抽出しています。でもネガティブな成分が出ないよう、浸出する目安は5分ですね。

 

同じお茶でも焼酎が違うと味がガラッと変わる!

ここからは講師をいったんバトンタッチ。「宝焼酎」など「蒸留酒」の開発担当者である宝酒造 商品第一部 副部長兼技術課長の高橋悠典さんと、「宝焼酎のお茶割りシリーズ」や「寶 抹茶ハイ」など焼酎ベースの「ソフトアルコール飲料」を手掛けている商品第二部 技術課長の大崎学さんのおふたりです。

 

倉嶋 次は「焼酎×緑茶」についてということで、よろしくお願いします。

 

高橋 説明する前に、まずは飲んで頂きましょうか? そのほうがわかりやすいと思うので。今日は焼酎の違いで「お茶割り」の味がどう変わるかを体験いただきたく、当社の「極上〈宝焼酎〉」と宝焼酎「タカラモダン」を用意させていただきました。

↑宝酒造 商品第一部 副部長兼技術課長の高橋悠典さん

 

倉嶋 待ってました!

 

大崎 松木さんには事前にお願いして、2種類の「宝焼酎」に先ほどの高級茶葉をつけ込んだものを本日のベースのお酒として準備してもらっています。

↑宝酒造 商品第二部 技術課長の大崎学さん

 

倉嶋 ありがとうございます!

 

松木 では、作っていきますね。

 

 

高橋 「極上〈宝焼酎〉」は樽貯蔵熟成酒を3%ブレンドしており、まろやかな口当たりとコク深い味わいが特徴。「タカラモダン」は当社の独自技術でやわらかな味わいを表現しており、ほのかな甘みやカドのないクリアなキレが魅力です。アルコール度数はどちらも25%ですね。

↑「極上〈宝焼酎〉」(左)、宝焼酎「タカラモダン」(右)

 

松木 「タカラモダン」はピンク色のかわいらしいラベルデザインも素敵ですよね。編集長、まずはこの「モダン」のほうから飲んでみてください。どうぞ。

 

倉嶋 うん! 『緑茶』の清々しい香りがフレッシュで、爽やかな味わいですね。キレも良くてすっきりしているから、これは暑い日に飲みたい!

 

松木 茶葉の爽やかな風味を感じる「お茶割り」ですよね。では次に、「極上〈宝焼酎〉」のほうを飲んでみてください。

 

倉嶋 あっ、これはよりお酒のまろやかなコクを感じる味わいで、余韻に多層的な香りが伸びてきます。より「お茶割り」としての膨らみが出て、お茶の甘い香りと極上な宝焼酎の持ち味を感じる美味しさですね。

 

高橋 先ほど松木さんがおっしゃっていたように、『緑茶』にはうまみの素であるアミノ酸をはじめ、さまざまな成分が含まれているんですね。これは樽貯蔵熟成酒も同様で、うまみや甘み、香りなどさまざまなものが含まれます。その成分が調和して引き立て合ったり、一方で欠けている味を補ったりすることで美味しさが生まれているのだと思います。

 

大崎 補うというのは、例えば渋味のカドをまろやかな甘みでおいしい苦味に変えていくようなイメージですね。

 

倉嶋 樽貯蔵熟成酒は以前に宮崎の黒壁蔵で勉強させていただき、それまで甲類焼酎は無色透明で味わいに違いはないと思っていた私の価値観がガラリと変わりました。約85種類あるという樽貯蔵熟成酒は、宝酒造の甲類焼酎の味の要ですよね。

 

【関連記事】
焼酎の味わいを決める「樽貯蔵熟成酒」について宮崎・高鍋で学ぶ噺

 

松木 並べて比べて見ると、同じお茶と透明な甲類焼酎の組み合わせなんですけど、「モダン」のほうが少し色が濃いんですよね。これも面白いと思いました。

 

倉嶋 ほんとだ! これは何でですか?

 

高橋 「極上〈宝焼酎〉」のほうは樽貯蔵熟成酒が3%入っているためpH(※)などの微妙な違いが関係しているのかもしれませんね。

※水素イオン指数。溶液の酸性・アルカリ性の程度を表す物理量。

 

松木 なるほどー! でも今回2種試してみて、「お茶割り」にすることで焼酎の味の違いがよりわかる気がしました。

 

倉嶋 うん、それぞれの焼酎の特徴がはっきり出てくる印象ですよね。お酒好きの人には、どっしりとした「極上」のほうなのかなぁ。

 

松木 はい。1杯目に爽やかな「タカラモダン」のほうを味わって、あとはじっくり「極上〈宝焼酎〉」の「お茶割り」で楽しむのはいい流れだと思います。

 

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美味しい「お茶割り」を作るコツ

倉嶋 今日は最後、松っちゃんに美味しい「お茶割り」の作り方も教えてほしいです。

 

松木 すべてのチューハイに共通するのは、よく冷やすことですね。焼酎も割り材も冷やし、氷は溶けにくいロックアイスがオススメです。冷たいお茶に関しては、市販されているもので構いません。

倉嶋 そっか、お茶を淹れて冷やしてとなると、手間がかかりますよね。

 

松木 もし淹れる場合は、『緑茶』の湯温はやっぱりアミノ酸が出やすい70~80℃がオススメです。ただ、『ほうじ茶』は高温でもOK。『ほうじ茶』の場合は高温抽出すると香りが立ってくるのと、渋味のもとになるカテキンがそこまで出ないんです。

 

倉嶋 『緑茶』は水出しでもいいのでしょうか?

 

松木 いいと思いますよ! 水出しはまろやかな口当たりになる特徴がありますからね。あと、もし『玉露』を使うなら、『玉露』ならではのまろやかさがいっそう際立つ水出しはオススメです。

 

倉嶋 まろやかな味わいかぁ。「極上〈宝焼酎〉」とかスゴく合いそう。つまみはおにぎりかなっ!

 

松木 いいですねぇ! 編集長もご自宅で、ぜひ試してくださいね。

 

「お茶割り」は夢のような飲み物

大崎 もっと気軽に「お茶割り」を楽しみたいときは、ぜひ、宝焼酎の「お茶割りシリーズ」もお試しください。

 

倉嶋 そうですね! これなら、なんの準備もなく「お茶割り」を楽しめますね(笑)

 

高橋 「宝焼酎のやわらかお茶割り」は、アルコール度数を4%に設定していますが、『緑茶』の美味しさを引き立て、お酒としての飲みごたえが感じられるように、バランスを調和させていくのが腕の見せ所ですね。

 

大崎 「茶葉」は、うまみや渋味といった味わいに層がある、『煎茶』の一番茶を一部使用しています。そのうえで意識していることは、飲み飽きないクリアなおいしさですね。『緑茶』の清々しい香りや味が焼酎のコクと響き合う、清涼感のある美味しさを目指しました。

↑宝焼酎の「お茶割り」シリーズ

 

倉嶋 お酒感があって飲み飽きないなんて、お酒好きにはうってつけってことかぁ。

 

松木 源実朝(みなもとのさねとも・鎌倉幕府の第三代将軍)が二日酔いで苦しんでいたとき、お茶を飲んだら収まったなんていう話が『吾妻鏡』に書かれていると聞いた事がありますけどね。

 

倉嶋 糖質ゼロのお酒だし、おまけに酔い覚め爽やかとは、「お茶割り」は夢のような飲み物ですね(笑)。

 

今回は、お茶の種類の違いから、品質の善し悪しを決めるポイントをはじめ、焼酎メーカーと飲食店、双方からプロのこだわりを学んできました。「お茶割り」は、ベースとなる焼酎を変えるだけでもガラリと味が変わりますし、「ほうじ茶」や「玉露」など、自分で淹れたお茶で違いを楽しむのもアリ。今回学んだことを参考に、ぜひ皆さんもいろいろと試してみてくださいね。次回の「意外と知らない焼酎の噺」もお楽しみに!

 

 

<取材協力>

酒と茶と 襤褸 (らんる)

住所:東京都墨田区向島2-10-11 南山ビル 1F
営業時間:17:00~22:00(L.O.21:00)
定休日:水曜

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2023年6月7日)

 

撮影/我妻慶一

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・極上〈宝焼酎〉
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/lineup/gokujo-takara-shochu.html

・宝焼酎「タカラモダン」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takaramodern/

・宝焼酎のやわらかお茶割り
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/ochawari/

・宝焼酎の濃いお茶割り〜カテキン2倍〜
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/ochawari/

・宝焼酎の烏龍割り
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/ochawari/

 

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【意外と知らない焼酎の噺02】「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺
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【意外と知らない焼酎の噺05】麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺
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【3杯目】SNSで話題のドリロコスにメスカルでメキシコ気分を

手軽にパーティ感が味わえて楽しい!

メスカルって、テキーラのルーツなんですね。昔、テキーラは仲間と盛り上がって楽しく飲んだことがありますが、このメスカルはまろやかさとスモーキーさが印象的で、独特な味。今回、メキシコのスパイスであるタヒンを加えたちょっと豪華なソーダ割りですが、アッパーな感じがあってイイですね。初めて飲みましたがすっごくおいしい! ボトルのラベルもカワイイし、これからもキープしておきたいです。

そしてドリロコスも最高。トルティーヤにサルサやミニトマトって、タコスと共通の具材じゃないですか。私はかなりタコス好きなので、初体験のドリロコスも大好物でした。それこそトルティーヤチップス自体が大好きで、プレーン味は家に常備しているくらい。クラッカーみたいに具材をのせておつまみによくしていますが、ドリロコスを見て「その手があったか!」と思いました。エスニックフードにはビールを合わせがちなのですが、今回のペアリングは実にドンピシャです。ドリロコスはアレンジが楽しいので、パーティにピッタリ。今度の休日に友人とともにこの飲み方をやってみようと思います♪

 

MANGOSTEEN
アモーレス・ ヴェルデ・モメント
6270円

栽培期間7年のエスパディン種を原料にしたハンドクラフトメスカル。アガベ由来のフレッシュなミネラル感と、3種類の薪で蒸し焼きにした燻香が芳しい。すっきりした後味で、カクテルやストレートなどで楽しめる。

 

ジャパンフリトレー
ドリトス
メキシカン・タコス味
実売価格124円

爽やかなトマトの酸味とパワフルな肉の旨みに、ライムの香りがアクセント。パリッと香ばしいトルティーヤに合う本格的なタコス味に仕上げた。今回のドリロコスのアレンジにはサルサ、ライム、紫玉ねぎなどを用意。

 

高田 秋●たかだ・しゅう●1991年9月23日生まれ、北海道出身。立ち飲み屋巡りが趣味で、唎酒師などの資格を持つ。「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)をはじめ、飲み歩き番組への出演も多数している。公式HPInstagramYouTube

 

文/中山秀明 撮影/千葉タイチ ヘアメイク/Hitomi Haga スタイリスト/江原優里

「サントリー生ビール」が超売れている理由は「トリプル生」だけじゃない! 知られざる魅力に迫る!!

2023年4月4日に新発売し、同月末までの累計販売数量が125万ケース(大ビン換算)と大ヒットしている「サントリー生ビール」。この販売数量は年間計画の約4割にあたるそうで、2023年を代表するヒット商品といっていいでしょう。では、なぜこんなに売れているのか? そしてそもそも、どのような味わいをもったビールなのかを、比較やペアリングを試しながら解説していきます。

↑↑「サントリー生ビール」。350mlは207円(税込)、500mlは274円(税込)で、アルコール度数はともに5%。※価格はどちらも筆者調べ

 

原材料の大胆刷新に着目すべし!

「サントリー生ビール」の味に関する特徴を生み出しているのが、パッケージにも記載されている「トリプル生」。これは、糖化工程において仕込釜で麦汁を煮出す「デコクション」を3回実施する「トリプルデコクション製法」のことです。

 

1回、2回が一般的であり、デコクションを3回行うビール(発泡酒ビールも含む)はそう多くありません。そこには手間が増えるなどいくつかの理由があると思いますが、デコクションを3回行うことで甘みやコク深さ、まろやかさがより豊かになるといわれています。

↑パッケージにおいて赤字で目立つ「トリプル生」の表記。とはいえ、筆者は原材料にも着目すべきだと考えています

 

ただ、筆者としては「ウリはトリプルデコクションだけじゃない」と感じます。むしろ着目すべきは「味わいの方向性を大きく変えるために原材料も大胆に刷新した」こと。

 

「サントリー生ビール」とバトンタッチする形で缶が終売(業務用の瓶や樽は継続販売)となった「ザ・モルツ」と対比させると、違いや狙いが明らかにわかります。さらにいえば、サントリーを代表するビール「ザ・プレミアム・モルツ(以下、プレモル)」と比べれば一目瞭然です。

 

簡単にいえば、「ザ・モルツ」と「プレモル」は麦芽、ホップ、水、酵母のみで造る、ビール大国・ドイツの「ビール純粋令」にのっとったビールですが、新しい「サントリー生ビール」はコーンと糖類も用いる仕様になったということです。

↑「サントリー生ビール」には、原材料にホップとコーンの記載がある

 

ちなみに、こうした副原料を使うビールは珍しくなく、むしろ日本では王道。「アサヒスーパードライ」と「サッポロ生ビール黒ラベル」には、米、コーン、スターチなどが使われていますし、「キリン一番搾り生ビール」も2009年までは副原料を使っていました。

 

では、なぜ副原料を使うのでしょうか。一般的に、米、コーン、スターチなどを使うとすっきりした味になりやすいといわれています。日本で最も飲まれているビール「アサヒスーパードライ」でも採用されていることから、いわば日本人好みの味を作りやすいともいえるでしょう。

 

「プレモル」は華やかな香りやリッチなコク、そして神泡がウリ。そして「ザ・モルツ」はうまみが特徴のビールです。一方で「サントリー生ビール」はゴクゴク楽しめる軽快さを優先し、ひと口目の飲みごたえや飲みやすい爽快感を前面に出しています。そのうえで、甘みやまろやかさなどを増強するために採用したのが「トリプルデコクション製法」だといえるでしょう。

 

サントリーの代表銘柄と飲み比べ! 味わいの違いは?

それでは「サントリー生ビール」の味わいにおける特徴にも迫っていきましょう。違いをわかりやすく紹介するため、「プレモル」と糖質ゼロの「パーフェクトサントリービール(以下、PSB)」を用意しました。なお、「トリプルデコクション製法」はこの「PSB」や、「プレモル」のさらに上位ブランド「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」でも採用されています。

↑アルコール度数は左から、5.5%、5%、5.5%。ちなみに「PSB」は糖質ゼロビールであるものの、副原料には糖類が使われています

 

●「ザ・プレミアム・モルツ」

味わいは、それぞれのキャラクターが明確に違っています。「プレモル」はどっしりとしたリッチな濃さで、余韻までしっかり続くフルーティな香りも特徴。

↑ひと口目でわかる贅沢な味わいは、さすがプレミアムビールの雄。泡もグッドでありゴッドです

 

●「サントリー生ビール」

一方で「サントリー生ビール」はキレが強めで、そのぶんアタックが刺激的。苦みや香りもシャープで、爽快感がパワフルです。派手さはないものの、ド直球なビールらしさがあり、それが売れている理由なのかもしれません。

↑スカッとクリアな味わいや、ノドを鳴らすような爽快感が印象的

 

●「パーフェクトサントリービール」

そして「PSB」は、味の濃さこそ「プレモル」と「サントリー生ビール」に劣るものの、薄い印象は皆無。糖質ゼロながらキリッとした十分な飲みごたえと苦みで、ビールらしい麦のうまみやホップの香りもしっかり楽しめます。

↑味わいのトーンダウンはややあるものの、糖質ゼロなら十分なレベルのおいしさ。ボディ感や泡もちもよく、完成度の高さを感じます

 

それぞれにオススメのペアリングを提案

味わいは三者三様であるものの、どのビールもジャンルを問わず様々な料理と幅広くマッチすると思います。それを前提としながら、想定できるシーンとペアリングを考えてみました。ジャンルは、昨今、“街”や“ガチ”など存在感が増している中華から。「プレモル」は、やはり料理も少々手の込んだおつまみがマッチ。ご馳走にプレミアムビールを合わせることで、贅沢な気分も倍増します。

↑海老チリや黒酢酢豚などを提案。コンビニでも「金の○○」など、手軽にプレミアムな中華総菜が買えるので、ホームパーティーでもお試しを

 

餃子や麻婆豆腐といったド定番中華に合わせるなら「サントリー生ビール」です。ほかにシュウマイや春巻き、ユーリンチーやキクラゲ卵炒めなどでもいいでしょう。味が辛めだったり濃厚だったりしても、「サントリー生ビール」のシャープな味が調和しながら余韻でリセット。次の料理のひと口をおいしくさせてくれます。

↑スタンダードビールといえる「サントリー生ビール」。ペアリングにも万能さを感じました。晩酌にはこれでしょう

 

「PSB」を選ぶ人は、料理もヘルシーなものを合わせることが多いはず。そこでチョイスしたのはあっさり系のおつまみ。春雨サラダ、ピリ辛蒸し鶏、ザーサイを合わせましたが、「PSB」のほどよい麦のうまみやキリッとした飲み口が、しっかりと調和します。

↑糖質が気になる人は、ビールもおつまみもともにヘルシーなタイプを

 

初夏から夏へと、キンキンに冷えたビールがますますおいしくなるシーズン。スーパーなどでこれらのビールを見かけたら、ぜひこのペアリング例も参考にしてみてください。

↑10月には酒税改正があり、ますますビールが注目されるでしょう。ペアリングはもちろん、ビールの飲み比べもお試しください

 

高田秋が家飲みを追求! 国産りんご100%のシードルとマッチするアイスは?

飲み歩き大好きモデル・高田 秋が「家飲み」を追求する連載「家飲みだヨ!全員しゅー合」。今月は、真っ赤な見た目が印象的な国産りんご100%のシードルを深掘り。

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【2杯目】国産りんご100%のシードルとマッチするアイスはコレだ!

女子会の乾杯酒として飲みたい!

りんごのお酒・シードルは、これからますます人気になると思います。都内を中心に樽生シードルを提供するお店もオープンしていて、注目度が高いんですよ。今回の「ニッカ ジャパン シードル」は、爽やかな甘酸っぱさがおいしいですね。赤い色味もかわいくて映えますし、女子会に持って行くと喜ばれそう。シードルの場合、私は食前や食後酒として飲みますが、これは低アルコールなので、お酒が強くない人にもオススメです!

シードルは食事だけでなくスイーツにもよく合うんですよ。私のオススメはミルクベースのアイス。なかでも一番のペアリングは「フローズンスイーツチーズケーキ」。チーズの濃厚なコクとほのかな酸味が、シードルのやさしい甘酸っぱさにマッチして最高です。「明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート」は、すっきりとした酸味が合いますね。「かじるバターアイス」の濃厚な甘さは、シードルよりもウイスキーや赤ワインと相性が良いかも。食後などにアイスを楽しむ人は、ぜひ試してほしいです♪

アサヒビール
ニッカジャパン シードル
1958円

果肉まで赤い希少な「ジェネバ」を一部使用した、国産りんご100%のシードル。すっきりとした甘みのなかに感じる、爽やかな酸味と口当たりの良いコクがアクセントに。アルコール度数3%と気軽に飲みやすいのも特徴だ。糖類・香料は無添加。

 

【シードル×アイスのペアリングベスト3】

1位は本格的な風味の赤城乳牛「フローズンスイーツチーズケーキ」。次いで明治「明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート」、赤城乳牛「かじるバターアイス」だ。

 

高田 秋●たかだ・しゅう…1991年9月23日生まれ、北海道出身。趣味は立ち飲み屋巡りで、唎酒師などの資格を持つ。「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)など、飲み歩き番組の出演も多数。プロデュースした山田商店「秋華七-AKIHANA-2022 純米」は絶賛販売中だ。公式HPInstagramYouTube

 

 

文/中山秀明 撮影/千葉タイチ ヘアメイク/Hitomi Haga

【東京・大衆酒場の名店】渋谷に復活!「立呑 富士屋本店」のカウンターで伝説の立ち飲みを楽しむ噺

東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第10回。今回は渋谷の「立呑 富士屋本店」を訪れ、立ち飲みスタイルと、そのカウンターの魅力を探っていきます。

 

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。立石「宇ち多゛(うちだ)」篠崎「大林」京成曳舟「三祐酒場(さんゆうさかば) 八広(やひろ)店」八広「亀屋」四つ木「ゑびす」門前仲町「だるま」船堀「伊勢周」門前仲町「大坂屋」横須賀「お太幸」に続く第10回は、渋谷の「立呑 富士屋本店」にお邪魔します。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

定番の焼酎ボトルと割り材で自分好みのチューハイを楽しむ!

これまで数々の名カウンター酒場を紹介してきましたが、今回は本企画で初の立ち飲み店です。訪れた「立呑 富士屋本店(旧店名は「大衆立呑酒場 富士屋本店」)」は東京を代表する立ち飲み酒場で、渋谷の再開発により閉店していましたが2022年の11月に移転復活。

 

企画の講師はカウンター酒場に詳しい長谷川和之さんが担っていますが、今回は参加できず。代わりに酒場好きのフードアナリスト・中山秀明さんが長谷川さんから命を受け、生徒役のお酒好きタレント・中村 優さんに、同店の魅力や立ち飲みカウンターの楽しみ方をレクチャーします。

↑中村 優さん(左)は、タレントおよびマラソンランナーとして活躍。中山秀明さん(右)はフードアナリストの資格をもつライターで、食ジャンルを中心に取材執筆をしています

 

中村 中山さん、お久しぶりですね。今日は、師匠の長谷川さんが来られないので、ご指導よろしくお願いします! 「立呑 富士屋本店」は有名ですけど初めて来ました。渋谷の、しかもこんなに駅から近い場所にあったなんて!

↑店内には「L字型」と長めの「コの字型」の2つのカウンターがある。ハイテーブルも置かれ、すべてスタンディング(写真奥はコの字型カウンター)

 

中山 渋谷には系列店がこの桜丘町に3店舗あって、ほかに三軒茶屋や日本橋浜町にも展開していますね。なかでもこの「立呑 富士屋本店」はスタンディングの大衆酒場です。では、まずはお酒から注文しましょう。ちなみに、「立呑 富士屋本店」はボトル焼酎を好みの割り材で割って、多彩なチューハイを楽しめるスタイルなんですよ。

 

中村 あっ、好きな濃さで飲めるやつ! 確か連載初期に伺った「大林(篠崎)」もボトルではなかったですけど自分で割るスタイルでした。いいですね~!

 

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中山 それなら、まずは「立呑 富士屋本店」の定番「宝焼酎」360mlのボトルをお願いして、僕はホッピー割りでいきます。中村さんはどうします?

↑「宝焼酎25% 360ml」750円

 

中村 私は炭酸とレモンで「レモンサワー」にしようかな。では、注文しますね!

 

中山 「立呑 富士屋本店」は、焼酎のボトルは常温なので、冷えたグラスに氷と焼酎を入れマドラーでステアしてから炭酸を入れると、すべてが冷やされて(3冷)美味しく飲めますよ。

 

中村 なるほど!

↑マドラーでステアして焼酎を冷やす中村さん

 

↑「炭酸」150円、「カットレモン」150円

 

中村、中山 では、カンパーイ!

 

中村 おいしい! 私は酔いやすいので、自分好みの濃さ(薄め)に調節して飲めるのはうれしいです。

 

中山 そういえば、前回行った「お太幸(横須賀)」は焼酎が濃い“横須賀割り”の名店でしたね。あちらも力強くてメチャウマですけど。

 

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中村 はい、確かに横須賀まで行く価値がありました! では続いておつまみも注文しましょう。オススメはどれですか?

 

中山 外せないのは「ハムキャ別」。ほかに移転前から定番の人気メニューには「なすみそ」や「ねぎぬた」、「スパサラ」などがありますよ。

↑お品書きは黒板のほか、紙のメニューリストも。なお、QRコードを読み取ってオーダーすることも可能

 

中村 おいしそうなメニューがたくさんありますね! では、まずは「ハムキャ別」と「スパサラ」を。あとはどうしよっかな?

 

中山 復活後に新しく加わったメニューも豊富で、なかでも「鰯海苔巻き」はイチオシです!

 

中村 イイですね~。ではその「鰯海苔巻き」と、あとは「あさりの酒蒸し」もお願いします!

 

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立ち飲みカウンターの嗜み方と作法

中山 今回のテーマは立ち飲みカウンターなんですけど、中村さんは立ち飲みのお店にも行きます?

 

中村 たまに行きますよ! サクッと飲めるところがイイですよね。

 

中山 はい! それに、なんといっても手ごろな価格で飲めて楽しめるところが最大の魅力ですね。

 

中村 お店側としては、イスが不要だから小規模のスペースで効率よく運営できるという利点もありますね。

 

<カウンター酒場マニア・長谷川和之のひとくちメモ ①>

立ち飲みの最大の魅力は、少し時間が空いたとき、ちょっとだけ飲みたいとき、おつまみも1品2品でいいというとき−−どんなタイミングでも、気軽に入れること。

長っ尻せず、1日の中の「句読点」のように立ち飲み屋に立ち寄って呑む。疲れやストレスをさっと洗い流す。ダラダラと飲んで、酔っ払うようなことはせず、サクッと飲んでサクッと退店。それがいいですよね。

「ひとり飲み」初心者の方も、まず立ち飲みからであればハードルは低いでしょう。自分に合わない店だなと思ったら1杯で会計してもOKです(笑)。

 

 

中山 そうですね。そして楽しみ方の作法としては、座席数という概念がないので、賑わってきたらたくさんの人が飲めるよう、スペースを詰めたり、お会計して退店したりという譲り合いの気持ちが大切です。あまり注文せずに長居するのはご法度ですね。

 

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中村 立ち飲みのお店は、まさに大人の社交場ってことですね。では「立呑 富士屋本店」のカウンターの特徴はどんなところにありますか?

 

中山 カウンター酒場マニアの長谷川さんによると「L字型」と長めの「コの字型」の2つのカウンターがあるのが特徴とのこと。1店でふたつの異なるカウンターが楽しめるお店は貴重で、その日の気分に合わせて、カウンターを選ぶのも楽しそうですね。

ちなみに、移転前は「ロの字型」のカウンターで、こちらはライブ感や一体感がスゴかったです。その雰囲気は復活後のここでも感じますね。広さも同じぐらいだし、どんどんお客さんが入ってきてすぐ賑やかになりますから。

 

中村 お店の外にも席が設けられているぐらいですもんね。

 

中山 それと、店内の間取りが横長なのは、もともと1店舗ぶんのスペースだったところを、隣の店が空いたので、壁を取っ払ったからなんです。

 

中村 なるほど! そういうことなんですね。

 

立ち飲みはテーブルの高さが重要

中山 これまで中村さんが訪れた大衆酒場の名店は、カウンターの形やテーブルの奥行きにフォーカスが当たっていたと思うんですけど、立ち飲みの場合は高さも重要なんです。テーブルの位置で、くつろぎやすさが変わりますから。

 

中村 確かにそうかもしれません。高すぎても低すぎても疲れちゃいますもんね。

 

中山 ちょっと、長谷川さんに習って「立呑 富士屋本店」のカウンターを測ってみましょう。

 

中村 任せてください! 今日は私がメジャーを持ってきました。

 

中山 おっ、さすがカウンター酒場5回目ともなると頼もしい! しかもかわいいメジャーですね~。

↑羊のぬいぐるみをモチーフにしたメジャーで測る中村さん

 

中村 え~と、高さは110cmです。

 

中山 立ち飲み店にしては少し高めですね。長谷川さん曰く、110cmという高さだと自然に背筋が伸びて、かっこいい立ち姿になるそうです。猫背でジョッキやグラスを口に持っていくのは、あまりおしゃれな見た目とは言えませんからね。ちなみに、カウンターの奥行はどれくらいですか?

 

中村  奥行きは55cmで、コーナーになると65cmですね。

 

中山 奥行きの長さは45~65cmが適正なので、「立呑 富士屋本店」は正統派の広さといえるでしょう。

 

中村 十分に奥行きがあるから肘を置いてゆっくりできますし、居心地も抜群です。

 

 

渋谷の伝説「富士屋本店」復活までのストーリー

中村 あ、移転前のお店の写真が飾ってありました。これが「ロの字型カウンター」! 歴史も深そうな雰囲気ですね。

 

↑移転前の「ロの字型カウンター」(写真提供:立呑 富士屋本店)

 

中山 開業は昭和46(1971)年。もともと100年以上、この地で酒販店を営んでいた「富士屋本店」が、自社ビルの地下に出店した立ち飲み酒場です。酒販店は山手線の線路側にあったそうで、地下にあった「大衆立呑酒場 富士屋本店」は、この坂を下りて線路側に少し歩いた路地裏に入口がありました。確か楽器店の手前だったかな。

 

中村 いまは大きな複合施設が建設中になっている場所ですかね。

 

中山 そうです。2018年の10月末に立ち退き閉店となり、最終日は100人〜200人の行列ができたとか。“渋谷の名物大衆酒場が伝説に”といった見出しで、ニュース番組でも報道されていた記憶があります。

 

中村 酒場好きの聖地だったと。それが復活とあれば、ファンにはたまらなくうれしいですよね。

 

中山 ええ。聖地であり、秘密基地であり。で、今日の「立呑 富士屋本店」はもともと「富士屋本店 ダイニングバー」だったんです。こちらも立ち飲みで、洋食つまみとハイボールやワインがウリでしたね。こちらを業態転換する形で、「立呑 富士屋本店」へとフルリニューアル。スペースも広くなり、2022年11月24日に新たなスタートを切ったんです。

 

<カウンター酒場マニア・長谷川和之のひとくちメモ②>

“先代”の地下にあった富士屋本店は、どちらかと言えば、昭和の雰囲気を色濃く残した古き良き大衆酒場でした。毎日通ったとしても、安く安心して飲むことができるおじさんたちのオアシス的な存在でした。

リニューアル後は、“先代”時代の人気メニューだけでなく、本格的な割烹やイタリアン、フレンチを彷彿とさせる手の込んだ料理が多数メニューに並んでいます。その割に値段は“先代”の大衆酒場のままという、お客さんにとってはとてもうれしい形での復活でした。

前のお店では、カウンターしかなかったのですが、新店舗にはいくつかテーブルが用意されています。1人でも2人でもグループでも立ち飲みを楽しめるようになったのは、最大の変化ではないでしょうか。

 

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往年の名作「ハムキャ別」ほか、お酒が進むおつまみが満載

中村 おつまみが来ましたね。あっ、これが「ハムキャ別」か~。こうして別々にしてハムが乗っかってるから“別”っていうことなんですかね。面白いし、見た目のインパクトもスゴい!

↑「ハムキャ別」400円

 

中山 「ハムキャ別」は食べごたえのあるロースハムと、ほんのりマヨネーズの効いた千切りキャベツのコンビネーションが神! 名物女将・ヨシ江ママ直伝のレシピが受け継がれている傑作です。ハムの仕入れ先も昔と変わっていないそうで、創業当時そのままの味が楽しめますよ。

 

中村 すごくおいしい! ちょっと厚めでお肉のうまみもしっかりしたハムがインパクト大で、絶妙な幅の千切りキャベツがベストマッチですね。これはお酒が進むわ~。

↑「スパサラ」300円

 

中山 「スパサラ」はキュウリ、玉ネギ、ニンジンが好アクセントになっていて、辛子マヨネーズのパンチもたまらない一品です。こちらはオリーブオイルも使うなど、あえて今風の味に進化させたそうで、よりお酒が進むおいしさになりました。

 

中村 確かに、どこか懐かしい味わいの奥にある、ピリッとした辛子マヨがクセになりますね。野菜のシャキッとした食感や、黒胡椒の風味もいいです!

 

↑「鰯海苔巻き」850円

 

中山 「鰯海苔巻き」は酢じめしたイワシと、紅生姜、キュウリ、青ネギ、薄焼き卵を閉じ込めたアテ巻きです。しっかり味付けされているので、そのままイケますよ!

 

中村 これは発明だ! ビジュアルからして最高ですね~。うん、味も抜群! イワシの脂と酢じめの酸味が絶妙で、紅生姜も大活躍。爽やかな後味で、レモンサワーにめちゃめちゃ合います。

 

中山 そして中村さんが気になっていた「あさりの酒蒸し」。こちらはニンニクとオリーブオイルで香りを立て、日本酒で蒸し上げた味付けも秀逸ですが、そもそも旬を迎えた春のアサリは、プリッとしていて間違いないウマさですよ!

↑「あさりの酒蒸し」650円

 

中村 わー、香りからして最高! ほんとはチビチビと味わうおつまみなんでしょうけど、止まんないおいしさです。

 

中山 つい、お酒も進んじゃいますよね。もうちょっと飲みたいときなど、焼酎をおかわりしたいときは、小さいカップの220mlサイズもあるので便利です。あと、ひとり飲みにもこちらがオススメですよ。

↑「宝焼酎 220mlカップ」500円

 

中村 あっ、これはコンビニでもおなじみのかわいいサイズですね!

 

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これまでの名カウンター酒場を振り返って

中山 これまで、いろんなカウンター酒場を巡ってきたと思うんですけど、振り返ってみていかがですか?

 

中村 どのお店も印象的で、すごく記憶に残っています。「だるま(門前仲町)」は「コの字型カウンター」の醍醐味を存分に楽しめるお店で、姉妹店主の笑顔も素敵でした。「伊勢周(船堀)」は「L字型」に加え、向かい合って座れる席配置もユニークで。「大坂屋(門前仲町)」は大工さんの技術も見事な「三日月型カウンター」がスゴかったです。“東京五大煮込み”に挙げられる名物料理と、女将さんのあたたかさも忘れられません。

↑門前仲町の「大坂屋」にて師匠の長谷川さんと

 

そして前回の「お太幸(横須賀)」は「コの字」と「L字」を組み合わせた、独特の「H型カウンター」でした。“横須賀割り”のパワフルなチューハイと、2階の桟敷(さじき)も圧巻でしたね!

↑横須賀「お太幸」の「H型カウンター」

 

中山 どのお店も個性的! セレクトが素晴らしいですね~。

 

中村 もちろん、今日の「立呑 富士屋本店」も素晴らしい酒場です! 気軽に飲める自由で開放的な雰囲気が最高ですし、お酒も料理も絶品! そのうえで今日あらためて思ったのは、カウンターなど店内の設計や構造の部分は、メニューと同じぐらい重要なんだなということです。

 

中山 ええ。席のレイアウトが変わるだけでも、お店の雰囲気はガラッと変わりますからね。

 

中村 お客さんにとっては、座る位置や目線の高さで見える景色も違いますし、視界に何が入ってくるかで楽しみ方が変わることもわかりました。

カウンターのことだけでなく、「三祐酒場八広店(京成曳舟)」、「亀屋(八広)」、「ゑびす(四つ木)」など、東京・下町の名店にも伺って、「焼酎ハイボール」の歴史や大衆酒場の奥深さも学ばせてもらいました。おかげで、大衆酒場がもっともっと好きになれそうです。読者のみなさんもぜひ、大衆酒場を楽しんでみてください!

 

 

 

撮影/鈴木謙介

 

<取材協力>

立呑 富士屋本店

住所:東京都渋谷区桜丘町16-10
営業時間:平日17:00〜22:00(L.O.21:30)、土曜16:00〜22:00(L.O.21:30)、日曜祝日15:00〜20:00(L.O.19:00)
定休日:なし

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2023年4月26日)

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

「東京・大衆酒場の名店」バックナンバーはこちら▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

・第2回 【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

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・第4回 【東京・大衆酒場の名店】酎ハイ街道をゆく。八広「亀屋」の“ボール” 受け継がれる秘伝レシピの噺

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暑い夏にぴったりな爽やかさ!「サッポロ 三ツ星グレフルサワー 傑作ソルティ」数量限定発売

サッポロビールは、「サッポロ 三ツ星グレフルサワー 傑作ソルティ」を7月25日に数量限定で発売します。参考価格は350ml缶:178円、500ml缶:249円(税込)。

 

「サッポロ 三ツ星グレフルサワー」は、グレープフルーツ本来のおいしさを追求したグレープフルーツ専門ブランドです。圧倒的ジューシーな味わいとほとばしる香りを楽しめるのが特徴としています。

 

「サッポロ 三ツ星グレフルサワー 傑作ソルティ」は、アルペンザルツ岩塩を使用したジンフレーバー仕立ての爽やかな味わいと、三ツ星グレフルサワーブランドならではのジューシーさを楽しめるものとなっているそうです。

 

暑い夏のお供に「サッポロ 三ツ星グレフルサワー 傑作ソルティ」はいかがでしょうか。

日本上陸した個性派シングルモルト「アベラワー」の“せせらぐ小川の河口”が意味するものは?の特徴と味をレビュー

世界的なウイスキートレンドのなかでも人気の高い、スコッチウイスキーのシングルモルト。シングルモルトは単一の蒸留所のモルト原酒のみでつくるため、産地の風土的個性をダイレクトに感じられることが魅力。

 

スコッチウイスキーは、イギリスのスコットランドで製造されるウイスキー。モルトウイスキー、グレーンウイスキー、ブレンデッドウイスキーがあり、ウイスキー全消費量の約6割を占めるといわれる王様的存在です。冷涼かつ清流に恵まれたスペイサイド、ピート(泥炭)の聖地アイラなど6大産地があり、各個性を楽しめるシングルモルトが近年特に人気。有名な銘柄には「ザ・グレンリベット」や「シーバスリーガル」などがあります。

 

そのシングルモルトブランドのひとつ「アベラワー」から、ひと際個性的な銘柄が日本での販売を開始しました。その名も「アベラワー アブーナ アルバ」。メディア向けのテイスティングセッションから、特徴と味わいをレポートします。

↑4月24日より販売開始された「アベラワー アブーナ アルバ」。希望小売価格は1万2100円(税込)

 

 

ノンピートモルトを清流の軟水で仕込み厳選した樽で熟成

「アベラワー アブーナ アルバ」は、シングルモルトスコッチウイスキー「アベラワー」の新商品で、本国以外では米国では2019年から展開されており、満を持しての日本上陸となりました。

↑テイスティングセッションの会場は、自由が丘のバー「Annual Rings」。写真右のバーテンダーがオーナーの森田英介さん

 

「アベラワー」は、スコッチウイスキーの聖地と評されるスコットランド・スペイサイド地方のほぼ中心に位置し、1879年にジェームス・フレミングが創業したアベラワー蒸留所で生み出されています。

↑スコットランドのスペイ湖を水源とし、ハイランド地方を通りマレー湾に注ぐスペイ川流域がスペイサイドです(テイスティングセッションにおける資料より)

 

ネーミングは、ゲール語で“せせらぐ小川の河口”という意味。スペイ川の清流に恵まれた、ウイスキーづくりに理想的な環境であり、さらに原材料の大麦は蒸留所から24km以内の範囲で栽培されたものを使用。地元の自然を最大限に生かして、良質なシングルモルトをつくり続けています。

↑140年以上の歴史をもつ蒸留所。水質も独自の特徴があり、スコットランドは基本的に硬水でありながら、アベラワー蒸留所のマザーウォーターは軟水なのだとか

 

また、シェリーとバーボン2種類の熟成樽で熟成したウイスキー原酒を、バランスよく合わせる「ダブルカスクマチュレーション」という独自の製法によって、エレガントさと複雑さが調和した味わいを生み出しています。

↑ブランドの基本方針として、2種類の樽で熟成させたウイスキーを好バランスで合わせる製法を採用しています

 

スコッチといえばモルトをピート(泥炭)で焚いたスモーキーフレーバーをイメージする人が多いと思いますが、「アベラワー」ではあえてピーテッドモルトを使いません。それにより、味わいは甘み豊かでフルーティーかつフローラルに仕上がるのです。

↑日本唯一の「アベラワー」アンバサダーである森田さんの「Annual Rings」には、16年や18年など様々なボトルが置かれています

 

濃密なボディとクリーミーな甘みに驚かされた!

今回日本上陸となった「アベラワー アブーナ アルバ」は、熟成樽にフォーカスした「アブーナ」シリーズの第2弾。「A’BUNADHA(アブーナ)」はゲール語で“起源”を意味し、「ALBA(アルバ)」はゲール語で“スコットランド”、ラテン語で“ホワイトオーク(Quercus Alba)”と2つの意味をもちます。

↑「アベラワー アブーナ」(右)はシェリー樽のみで熟成

 

アブーナ=起源とは、創業者のジェームス・フレミングをはじめ、ウイスキーづくりの先人たちの功績を称え、19世紀の創業当時と同じハンドメイド製法でつくることを表現。そして、アルバ=ホワイトオークということで、厳選したファーストフィルのアメリカンホワイトオーク樽のみで熟成しています。

 

ファーストフィルとは、バーボンやシェリーの熟成樽を初めてスコッチウイスキーの熟成に使用する樽のことですが、スコッチではセカンドフィルやサードフィルを用いることもあり、ファーストフィルの樽のみで熟成させることもかなり贅沢といえます。

 

ということで、いよいよ「アベラワー アブーナ アルバ」をテイスティング。なるほど! 確かにバニラやハチミツのようなバーボン樽由来の甘みが印象的。キャラメルを思わせるクリーミーなタッチの奥にはドライアップルのような果実味もあり、シナモンなどほんのりスパイシーなニュアンスも。

↑クリーミーさをまとった甘みがどっしり。濃密でリッチなおいしさです

 

そして、ストレートで飲むとかなりボディが豊かなのも特徴。これはカスクストレングス(加水をせず樽出しそのままの度数)でボトリングし、冷却濾過をしないノン・チルフィルタリングにしているから。アルコール度数はバッチナンバー毎に異なるとのことですが、60%前後あるのでストレートよりは少々加水して味わったほうがいいかもしれません。

↑この日のものは58.9%。一般的なウイスキーは40~43%が主流なので、なかなかパワフルです

 

続いて、違いを明確に感じるためにシェリー樽熟成の「アベラワー アブーナ」も試飲させてもらいました。こちらはより妖艶なスパイス感がはっきりしていて、オランジェット(いわゆるオレンジチョコレート菓子)のようなコク深く爽やかな甘みも。

 

↑「アベラワー アブーナ アルバ」がアメリカンデザートなら、こちらはヨーロピアンスイーツ

 

テイスティングセッションのラストは、森田さんのコーディネートによる洋菓子とのペアリングを体験。森田さんによると、甘みが豊かでアルコール度数の高い「アベラワー アブーナ」シリーズには甘いものがよく合うとのこと。

↑「アベラワー」の12年を使ったカヌレのほか、バナナのソテー、チョコレートテリーヌ、生姜のキャロットケーキが用意された。なかには「ミライオヤツ」主宰のパティシエール、井手藍子さん特製のスイーツも

 

洋菓子とのペアリングも秀逸で、甘くボディのしっかりしたウイスキーを少量ずつちびちび楽しむことも好きな筆者にとって、至福の時間となりました。バーボンのような要素をまとった、個性的なシングルモルトスコッチ「アベラワー アブーナ アルバ」。晩酌やパーティー用、またはプレゼントにもいかがでしょうか。

よりフルーティーにリニューアル! 松竹梅白壁蔵「澪」<FROZEN>が夏季限定で発売

宝酒造は、松竹梅白壁蔵「澪」<FROZEN>の酒質とパッケージデザインをリニューアルして、6月13日から夏季限定で発売します。価格は220円(税込)。

 

松竹梅白壁蔵「澪」<FROZEN>は、冷凍庫で凍らせ、揉みほぐしてグラスに注ぐだけでシャリシャリした食感が楽しめる新感覚のお酒です。

 

お米うまれのやさしい甘みとほどよい酸味、マスカットを思わせるフルーティーさが特徴。今回、酒質をリニューアルしたことで、よりフルーティーな呑み口になったそうです。また、アルコール分5%とほかの日本酒に比べてアルコール度数が低いので、ふだん日本酒を飲まない人も手を出しやすいかもしれません。

 

パッケージは、スパークリング日本酒「澪」の上質で洗練された和のイメージを表現したデザインにリニューアルされているそうです。容器は飲みきりで捨てるときにかさばらない100mlのパウチが採用されています。

 

暑い季節のお供に、リニューアルされた松竹梅白壁蔵「澪」<FROZEN>はいかがでしょうか。

高田秋が家飲みトレンドに迫る!日本酒「秋華七」にピッタリの道産子つまみを探せ!

お酒大好き女子・高田 秋 presentsで送る新連載「家飲みだヨ!全員しゅー合」がスタート。 毎月気になるテーマをひとつ掲げて、家飲みの最新トレンドを深掘りしていきます。

※こちらは「GetNavi」 2022年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【1杯目】「秋華七」にピッタリの 道産子つまみを探せ!

山田商店
秋華七-AKIHANA-2022 純米
きたしずく(左) 彗星(右)
各3080円

高田 秋がプロデュースし、北海道・箱館醸蔵の熟練の杜氏が手掛けたオリジナル純米酒。「きたしずく」はフルーティな風味や香りで、軽やかな口当たりが特徴。「彗星」は熟成感のある味わいで、ほど良いコクと酸味を楽しめる。オンラインストアで販売中。

 

日本酒が好きな人にこそ 味わってほしい

お酒は全般に好きです。特に日本酒には思い入れがあり、2021年から日本酒「秋華七」をプロデュースしています。前回は日本酒ビギナーの方に飲んでもらうことを考えて作りましたが、今回は日本酒好きの人にも楽しんでもらえるような味わいを目指しました。タイプの違う2種類ですが、どちらも純米酒なのでお米の旨みが感じられ、上品で落ち着いた味に仕上がっています。

北海道のお米を使い、北海道で仕込んだお酒なので、道産子の私としては、秋華七には北海道産のおつまみを合わせてみたいですね。まずは道民のソウルフードともいえる「鮭とば」。深みのある甘味が、彗星の酸味と合いますね。彗星はほかに、石狩鍋など味の強い煮込み料理に合うと思います。

きたしずくは、ふんわり柔らかい味わいのカチョカバロと合います。北海道のチーズって本当に美味しいんですよ。これは一般的なおつまみチーズと違って自己主張が強すぎないのがイイですね。

実は私自身はちょっと苦手なんですが、滋味深いカキの佃煮なんかもお酒が進みそう。好きな人はぜひ試してみてください。夜長には2種類の秋華七でしっぽりと晩酌を楽しみましょう♪

 

【正解はコレ!】

網走水産の鮭とば(右)はソフトタイプで食べやすく、おやつにもピッタリ。夢民社のカチョカバロピッコロ(左手前)は、軽くレンジで加熱するとトロトロ食感に。黒田水産のかきの佃煮(左奥)は、温かいご飯に混ぜて「かきめし」にしても美味だ。

 

高田 秋●たかだ・しゅう…1991年9月23日生まれ、北海道出身。趣味は立ち飲み屋巡りで、唎酒師などの資格を持つ。「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)をはじめ、飲み歩き番組への出演も多数。趣味はほかに競馬、ゴルフなど。公式HPInstagramYouTube

 

撮影/千葉タイチ ヘアメイク/Hitomi Haga

タカラの焼酎ハイボールが岩下の新生姜とコラボ! さっぱり味の辛口チューハイ登場

宝酒造は、タカラ「焼酎ハイボール」<岩下の新生姜割り>を、6月6日(火)に全国で発売することを発表しました。数量限定です。

↑パッケージには、「岩下の新生姜」のイメージカラーのピンク色を基調としたデザインを採用

 

今回発売する<岩下の新生姜割り>は、宝酒造と岩下食品とのコラボレーションによって生まれた新フレーバーです。「岩下の新生姜」は大衆酒場のおつまみとして人気があり、「焼酎ハイボール」との相性の良さに加えて、ブランドの世界観とも親和性があると考え、今回の取り組みに至ったとしています。

 

飲むと「岩下の新生姜」らしい、さっぱりとした味わいと爽やかな香りを楽しめるとのこと。「焼酎ハイボール」のキレの良さも相まって揚げ物、こってりした味付けなどに相性抜群そうですね。

 

タカラ「焼酎ハイボール」は、チューハイ(酎ハイ)の語源にもなったと言われる昭和20年代後半の東京下町の大衆酒場で生まれた、元祖「焼酎ハイボール」の味わいを追求した辛口チューハイ。宝焼酎をベースとしたアルコール分7%の飲みごたえとキレ味爽快で辛口の味わいに加え、プリン体ゼロや甘味料ゼロといった特徴が、チューハイユーザーだけでなく健康意識の高いユーザーからも支持があるそうです。また、炭酸が強く爽快感が味わえる点も好評といいます。

 

【商品概要】
商品名:タカラ「焼酎ハイボール」<岩下の新生姜割り>

品目:スピリッツ(発泡性)①

アルコール分:7%

容量/容器:350ml/アルミニウム缶

梱包:24本段ボール箱入

参考小売価格:166円(消費税抜き)

発売地域:全国

発売日:2023年6月6日(火)

今春注目のハイボール4選をレビュー! 和食に合わせたい麦+米のグレーンウイスキーも登場

今春は、メーカー各社こだわりのRTD(フタを開けてすぐにそのまま飲める飲料)新商品が目白押しだ。本記事では、フードアナリストの中山秀明さんがレビューする、注目のハイボール4種をご紹介!

※こちらは「GetNavi」 2023年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がレビューしました!

フードアナリスト 中山秀明さん

今年10月の酒税改正に伴う、ビールとRTDの新作発表に注目。「夏や秋にも大型の新商品がデビューする可能性は高い」と豪語する。

 

【最旬ハイボールMAP】

 

米のグレーンがまろやかに華やぐ和食に合わせたいハイボール

木内酒造
日の丸ウイスキー ハイボール(Alc.9%)
実売価格429円

茨城県の八郷蒸溜所で手掛けたモルト原酒と国産米を一部用いたグレーン原酒を、自然豊かな筑波山の東麓で熟成してブレンド。炭酸とともに香り立つウイスキーの芳ばしさが心地良い、本格派の味だ。

 

「米のグレーンウイスキーが個性的。タッチはまろやかでいて、すっきりとした爽快感の中にほのかな甘みが見え隠れしています。和食に合わせると面白いと思いますよ」(フードアナリスト 中山秀明さん、以下同)

 

米国の2大ブランドが生んだ芳醇で甘酸っぱく爽やかな味

コカ・コーラ
ジャックダニエル& コカ・コーラ(Alc.7%)
実売価格231円

1886年に誕生してから世界中で愛されている「コカ・コーラ」と、バーボンとは異なるプレミアムウイスキー「ジャックダニエル」のコラボ。爽快感とテネシーウイスキーの風味を絶妙な調和で仕上げた。

 

「それぞれのバニラやキャラメル的なフレーバーが、甘酸っぱい爽やかさの中にクリーミーなニュアンスを創出。BBQソースやケチャップ系の濃厚な料理とよく合う味ですね」

 

エレガントな香りと渋みが絶妙で食中酒にピッタリなバーボンハイ

サントリー
ジムビーム ハイボール缶 〈アイスティーハイボール〉(Alc.5%)
184円
●期間限定発売

120か国以上で親しまれる世界No.1バーボンウイスキーを使った、期間限定フレーバーのハイボール。甘香ばしいバーボンに華やかな紅茶の香りがマッチし、食中酒としても最適な甘すぎないテイストが特徴だ。

 

「紅茶とバーボンが想像よりも調和していて驚き。茶葉の華やかなアロマをはらんだ渋みとやさしい酸味がフックになり、洒落ています。カシスウーロンが好きな人も刺さりそう」

 

世界初の蒸留器「ゼモン」で多彩なスモーキーさとキレを実現

若鶴酒造
ハリー クレインズ 三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール(Alc.9%)
実売価格327円

富山県屈指のマイクロディスティラリーである三郎丸蒸留所で作られるスモーキーハイボール缶が進化。世界初の鋳造製ポットスチル「ゼモン」原酒を使い、多層的なピート香とキレのある味に仕上げた。

 

「ピートで燻された麦の強靭なスモーキー香が主張しつつも、ほんのり甘くウッディなコクがしっかり。ベーコンやソーセージなど燻製はもちろん、炭焼き料理とも相性抜群です」

最旬サワーとチューハイ7種を徹底レビュー! メーカーの威光を感じた逸品とは?

本格的なアフターコロナのムードともに、キンキンに冷えたドリンクがおいしい季節が到来! それを見越してか、今春はメーカー各社からRTD(フタを開けてすぐにそのまま飲める飲料)の新商品が百花繚乱のにぎわいだ。本記事では、フードアナリストの中山秀明さんがレビューする、注目のサワーとチューハイをご紹介しよう。

※こちらは「GetNavi」 2023年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がレビューしました!

フードアナリスト 中山秀明さん

今年10月の酒税改正に伴う、ビールとRTDの新作発表に注目。「夏や秋にも大型の新商品がデビューする可能性は高い」と豪語する。

 

【最旬缶チューハイMAP】

 

贅沢なレモン感と リッチな泡立ちを味わえる

キリンビール
麒麟百年 極み檸檬サワー(Alc.5%)
オープン価格

キリンビールが100年以上の歴史で培った醸造技術を採用。ビール酵母で発酵させたレモン果汁をはじめ、皮ごと搾ったレモンエキスなどバランスよく組み合わせ、ギュッと詰まった贅沢なレモン感を実現している。

 

「きめ細かくボリューミーな泡は、これまでにないインパクト! 香りも鮮烈で、にごりのあるジューシーな味が絶品。甘さが控えめで食事によく合い、キリンの威光を感じます」(フードアナリスト 中山秀明さん、以下同)

 

飲み進めるほどにおいしくなるレモンのプロと開発した新サワー

サッポロビール
ニッポンの シン・レモンサワー(Alc.5%)
実売価格168円

1957年の「ポッカレモン」発売以来、長年レモンを研究してきたポッカサッポロフード&ビバレッジのレモンマイスターと協同開発。レモン本来よりも爽快な味わいで、飲み進めるたびにおいしさが増す。

 

「甘酸っぱさはあってもやりすぎず、ジューシーながら幼くない。まろやかなやさしさも感じます。個性はしっかり立っていながらカドはなく、好バランスで飲みやすい一本!」

 

昭和的な大衆酒場好きにご多幸なほんのり柑橘のプレーンサワー

サントリー
こだわり酒場のタコハイ(Alc.6%)
163円

古典的な大衆酒場で愛されるプレーンサワーの味わいを目指し、ほのかな柑橘の風味を表現。麦の甘香ばしさが豊かな独自の「焙煎麦」を蒸溜した麦焼酎によって、和洋中のどんな料理も引き立てる。

 

「昭和世代にはお馴染みの『タコハイ』が令和の時代に楽しめます!  鹿児島県にある大隅酒造の技術が生かされた焙煎麦焼酎が使用されており、たくましい焼酎感がお見事」

 

隠し味にみりんを使用したまろやかな甘酸っぱいテイスト

アサヒビール
まろハイ レモンチューハイ(Alc.5%)
実売予想価格171円
●中国・四国エリア限定で6月6日発売

料理のコクを深めて風味を豊かにする “みりん” を使うという、技アリな発想で生み出された意欲作。隠し味のみりんがレモンの酸味を和らげて、まろやかな甘酸っぱさとコク深い旨さが両立している。

 

「どこかはちみつレモン的な柔らかいニュアンスが印象的。みりんが醸し出すまろやかさが良い塩梅に効いています。カドのない酸味と、食事を邪魔しない適度な甘みもグッド!」

 

‒196℃製法をさらに進化させレモンそのもののおいしさを追求

サントリー
-196℃ 瞬間凍結〈無糖レモン〉(Alc.6%)
163円

独自の「–196℃製法」をアップデートし、果実本来のジューシーな爽快感を最大化。従来よりも低度数のウオッカに瞬間凍結で粉砕したレモンを浸漬し、皮や種に詰まった旨みまでじっくり抽出している。

 

「無糖でキレのあるドライなフレッシュさは、 “生搾り” レモンサワーを思わせる本格派。アルコール度数6%の十分なボディですが飲み口はクリアで、すっきりスイッといけます」

 

桃を丸おろししたような濃厚で上質な味わいが魅力

宝酒造
寶「丸おろし」 <ピーチ>(Alc.7%)
実売価格200円

桃を丸ごとすり潰し、滑らかなペーストやピューレを使用したフルーツサワー。果実に合わせて、約85種2万樽の熟成酒から厳選した宝焼酎によって、濃厚な果実味ながらもしっかりとお酒感を楽しめる。

 

「もぎたてのような力強い香りと、濃厚な果実感。それでいて甘ったるくなく、キレもあります。ボディも飲み応えも申し分なく、カクテル感覚で楽しめるのが良いですね」

 

皮ごと漬け込み香りを増幅させたみずみずしくエネルギッシュな味

アサヒビール
グレフルマニアオリジナル(Alc.5% )
実売価格171円
●九州エリア限定で発売

グレープフルーツの果皮ごと漬け込み減圧蒸留する製法により、みずみずしく果実感豊かな香りを実現。白ワインのような風味が特徴の「オリジナル」(写真)と「スイート」「ソルティ」の3種類を用意する。

 

「太陽の下で元気に育ったグレープフルーツを想像させる、エネルギッシュな風味が特徴。やさしい甘みのためビター感と酸味がほど良く際立って、暑い日にキュッといきたいです」

最旬RTD4種類を飲み比べ。オトナの無糖ジン、再上陸のRTDに注目!

メーカー各社からRTD(フタを開けてすぐにそのまま飲める飲料)新商品が続々登場! 本記事では、フードアナリストの中山秀明さんがレビューする、注目のジン、カクテル、梅酒、プレミアム低アルコールの4種をご紹介しよう。

※こちらは「GetNavi」 2023年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がレビューしました!

フードアナリスト 中山秀明さん

今年10月の酒税改正に伴う、ビールとRTDの新作発表に注目。「夏や秋にも大型の新商品がデビューする可能性は高い」と豪語する。

 

【最旬缶RTD MAP】

 

【カクテル】柑橘の酸味と赤ワインが効いた低アル微炭酸のやさしい味わい

オエノングループ 合同酒精
浅草パンチ ハチブドーパンチ(Alc. 3%)
実売価格190円

東京都・浅草に構える老舗「神谷バー」定番のカクテル「ハチブドーパンチ」を再現。甘味果実酒「ハチブドー酒」にフルーツを浸漬し、柑橘の酸味と赤ワインの深いコクをソーダの爽快感でまとめ上げた。

 

「低アルコール微炭酸のライトボディで、果実味とかすかな甘みが調和。全体的にソフトで、お酒のエントリー層にオススメです。料理は塩よりタレ、醤油よりソース系で!」(フードアナリスト 中山秀明さん、以下同)

 

【ジン】柑橘の爽やかな風味が楽しめる 落ち着いた大人の無糖ジン

アサヒビール
GINON グレープフルーツ(Alc. 7%)
実売価格168円
●東北エリア限定で発売

レモンピールやレモングラスなどをじっくり漬け込んで蒸留し、香り付けた特製ジンが特徴。さらに無糖で仕立て、果実由来の爽やかさがより引き立つ味に。グレープフルーツとレモンの2種類を展開。

 

「ジン特有のビター感が、グレープフルーツの苦みで一層冴え渡っています。甘さがなくドライなエッジがキリッとして落ち着きのある印象。濃厚な料理と合わせたい一本です」

 

【プレミアム低アルコール】雑味のないクールな味わい! 唯一無二のRTDがカムバック

白鶴酒造
ZIMA(Alc. 4%)
実売価格272円

レモンを挿してダイレクトに飲むスタイルが浸透するほど大人気を博していた「ZIMA」が再上陸。クリアなスピリッツに、洗練された甘酸っぱさがバランス良くマッチする。フレッシュな爽快感は健在。

 

「りんごや洋梨、白ぶどう、レモンといった心地良い果実味が、雑味のないクールなアルコールに溶けてキリッと染み渡ります。唯一無二のおいしさで、未飲の人はぜひお試しを!」

 

【梅酒】本格梅酒のリッチなコクが効いた上品な甘みでキレの良い梅酒ソーダ

チョーヤ梅酒
The CHOYA 熟成一年 本格梅酒ソーダ(Alc. 5% )
実売価格220円

梅の質や量、ブレンドを追求した本格梅酒「The CHOYA 熟成一年」のソーダ割りをイメージした一本。紀州産南高梅を100%使用し、芳醇で華やかな香りとほど良い甘み、すっきりとした酸味で食事にも合う。

 

「リッチな梅のコクと絶妙な甘さがありながらも、料理を邪魔しない上品な爽快感。一般的な梅チューハイとは一線を画す、梅にこだわるチョーヤならではの説得力がありますね」

キリンビール横浜工場のレストランが進化。激ウマフードに舌鼓でますますビールが進む!

2022年、脱コロナに向けて再開したキリンビールの工場見学をレポートしましたが、併設のレストランは休業中でした。それが、今春いよいよ復活。しかも店名の改称を含めたリニューアルオープンということで、内覧会に参加してきましたので、その模様をお届けします。

 

【関連記事】
噂の“元が取れる”工場見学「キリン一番搾りツアー」へ。やっぱし、ビール好きの聖地でした

 

↑2023年4月11日にリニューアルオープンとなった「キリン横浜ビアホール」。キリンビール横浜工場の見学入口から数歩の場所にあります

 

なぜ大胆リニューアルしたのかを考えた

横浜らしく、レンガ調の設えが印象的な建物。こちらは2015年より「スプリングバレーブルワリー横浜」として営業していましたが、コロナ禍により休業へ。そして今回を機に店名と内装、そしてドリンクとフードも刷新されました。

↑高い天井や大きな窓から眺められる緑の借景など、開放的な空間はそのままに一部の内装をリニューアル。さらにくつろげる空間へ

 

「スプリングバレーブルワリー横浜(以下、SVB横浜)」はクラフトビールがテーマでしたが、「キリン横浜ビアホール」はビアホールと銘打つだけあって、ビールの主役は「一番搾り」(650円・税込)をはじめとするおなじみの銘柄が中心。これには納得する部分もあります。

↑「一番搾り」をはじめ、できたてのビールをプロがとびきりおいしく注いでくれます

 

あくまでも筆者の想像ですが、理由はふたつ。ひとつはキリンビール横浜工場でつくられる主役の銘柄が「一番搾り」であり、工場見学で学ぶメインビールも「一番搾り」だから。「一番搾り」をじっくり学んだあとは、やはり「一番搾り」をガッツリ飲みたいというのが心情ではないでしょうか。

 

↑工場見学の特別体験のひとつが、一番搾り麦汁(左)と二番搾り麦汁(右)の飲み比べ ※写真は2019年取材時のもの

 

そしてもうひとつは、ブルーパブ(醸造所併設型のビアパブ)に特化する必要がなくなったから。SVB横浜が開業した2015年当時は、世の中へクラフトビールを発信する拠点としての意味合いもありましたが、いまではクラフトビールの認知度も上がり、その役目は終えたと考えたのではないでしょうか。とはいえ、クラフトビールも「スプリングバレー」ブランドの<豊潤496>とシルクエール<白>、そしてブルックリンラガーとよなよなエールの4銘柄は飲むことができます(800~850円・税込)。

↑店内入口から客席に向かう途中のスペース。ここにはSVB横浜時代からあった、ビールの歴史やギャラリーコーナーが残されています

 

料理にはビール由来の素材や地元食材を積極的に使用

料理も、工場直送の「一番搾り」とのベストマッチを考えた味わいへとリニューアル。加えて、ビールやホップなどビール由来の素材や、神奈川県の地域食材を積極的に使うことも料理のコンセプトに。横浜のビール工場ならではのメニュー構成へと刷新されました。スペシャリテから紹介します。

↑「ペアリングフード8種盛り」(3800円・税込)※写真は試食用で、実際はよりボリューミー。その名の通り、ビールとのペアリングを楽しむのに最適な一皿です

 

「ペアリングフード8種盛り」は、自家製スモークやシャルキュトリー(加工肉)など、渾身の前菜を少量ずつ組み合わせたプレートで、8種のほとんどは単品メニューとしてもラインナップしています。

↑「自家製スモーク盛り合わせ」(1280円・税込)。足柄牛レバー、チキン、ベーコン、半熟卵、ナッツの5品すべてが店内燻製で仕上げられています。ペアリングは「ハートランド」(700円・税込)がオススメ

 

↑「ベーコンと半熟卵のポテトサラダ」(680円・税込)。丹沢の赤卵と、神奈川銘柄豚「やまゆりポ-ク」のベーコンを使い、ニンニクマヨネーズで味付け。「一番搾り<黒生>」(700円・税込)がオススメ

 

盛り合わせプレートにないメニューとしてイチオシなのが、「富塚豆腐店の絹ごし豆腐 シラスと酒盗のバターソース」。こちらは神奈川・厚木の老舗から届く豆腐を湘南名物のシラスなどで仕上げた個性的な一皿です。

↑「富塚豆腐店の絹ごし豆腐 シラスと酒盗のバターソース」880円。大豆の味が濃厚かつ、とろけるような食感の豆腐に濃厚なソースがマッチ。ビールは「一番搾りプレミアム」と「スプリングバレー シルクエール<白>」がベストペアリング

 

そしてメインは、オススメの肉料理を盛り合わせた「ソーセージとポーク、チキンのミックスグリルプレート」。種類の異なる5本のソーセージと、スペアリブ、グリルチキンからなるボリューム満点の一品。

↑「ソーセージとポーク、チキンのミックスグリルプレート」(4980円・税込)。各肉メニューは単品でも用意されており、豚肉には「やまゆりポーク」を使用。どのビールとも相性抜群です

 

食事のイチオシは「ベーコン、チキン、ナッツのスモークピザ」。燻製チキンとベーコン、3種のナッツを使ったスモーキーな香りが特徴で、ケイジャンスパイスと粒マスタードによるクレオールマスタードのピリ辛感も絶妙です。

↑「ベーコン、チキン、ナッツのスモークピザ」2480円。25cmサイズで食べごたえ十分。生地は薄めのクリスピーなタイプでビールと合い、特に「一番搾り」と「一番搾り<黒生>」がマッチ

 

アフターコロナということで、これまでできなかったぶん積極的に外出したいと考えている人は多いはず。キンキンのビールがますますおいしく感じるこれからの季節、大人の社会科見学の代表格であるビール工場見学はいかがでしょう。そして横浜で工場見学する際には、ぜひリニューアルした併設レストランで至福のペアリングもお試しください。

↑日本のビール発祥地といわれる横浜で、ここならではのビール体験を

 

【SHOP DATA】

キリン横浜ビアホール

住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦1-17-1 キリンビール横浜工場内
アクセス:京浜急行線「生麦駅」徒歩約10分
営業時間:平日11:00~21:00(L.O.20:00)、土日祝11:00~21:00(L.O.20:00)
定休日:月曜(祝日月曜の場合は営業し翌日休業)、年末年始

https://www.kirin.co.jp/experience/factory/yokohama/

ジャパニーズウイスキーがお好きでしょ? 誕生100周年に知っておきたい注目の6銘柄

寿司やラーメンなど、世界に誇れるジャパニーズフードはいくつもあるが、日本産ウイスキーも世界中で大人気。しかも、2023年はますますアツい! その理由とは……? いま注目すべき“ジャパニーズウイスキー”6点とともに解説する。

※この記事は「GetNavi」 2023年3.5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

解説してくれるのは……

フードアナリスト/中山秀明さん
ウイスキーの聖地・埼玉県秩父育ちの酒好きライター。「山崎蒸溜所は2017年にGetNavi webでレポートしているので、ぜひご一読を」

 

1.優美で上品な香り華やぐ国産シングルモルトの傑作

サントリー
シングルモルトウイスキー 山崎
4950円

「山崎」ブランドは1984年に誕生。優美な香りのミズナラ樽貯蔵モルトに、上品さが華やぐワイン樽貯蔵モルトなど、多彩な原酒がブレンドされたリッチな味が魅力だ。

 

《オススメペアリング》
ほんのり甘くコク深いチーズの味噌漬けが合う

甘やかでどっしりとした山崎には、コク深く濃厚な味付けの料理がマッチ。和のニュアンスをプラスした、チーズの味噌漬けなどは特に合う。パンやクラッカーにのせてもよし。

 

山崎蒸溜所から始まった日本のウイスキーが100周年

世界五大ウイスキーのひとつに数えられるジャパニーズウイスキーは近年、海外での評価も高く人気の的。作り手の志も高く、昨今は新生の蒸溜所も数多く誕生している。そのルーツといえるのがサントリー 山崎蒸溜所だ。

 

そもそも国内ウイスキー人気のきっかけのひとつが2014〜15年放送のドラマ「マッサン」であり、物語は日本におけるウイスキー誕生秘話。劇中には山崎蒸溜所のシーンも登場した。その着工は1923年であり、100周年を迎えるとともに、それはジャパニーズウイスキーの誕生100周年を意味するのだ。

 

山崎をはじめジャパニーズウイスキーは入手困難となっているが、モルトを得意とするバーに行けば高確率で飲める。また、山崎蒸溜所は予約することで見学も可能。こちらはオンラインでも「山崎蒸溜所ウイスキーライブ」を開催しており、なんと「シングルモルトウイスキー 山崎」の180mℓボトル付きで3300円とお得。無料の「山崎蒸溜所360°フリーツアー」も必見だ。

 

↑大阪府三島郡島本町にある、サントリー 山崎蒸溜所。かつて千 利休が茶室を設けた名水の地だ

 

【関連記事】
よく聞くサントリー「山崎蒸溜所」って実際はどんなところ?

 

2.希少な国産ピートを使ったスモーキーな味わいが魅力

THE AKKESHI
厚岸シングルモルト ジャパニーズウイスキー清明
1万9800円

潮気を含む霧やピート(泥炭)が取れる地の利を生かした、アイラモルトを思わせるスモーキーな味が特徴。本作は「二十四節気シリーズ」の第7弾で、甘やかさと柑橘感が魅力だ。

 

《オススメペアリング》
名産の牡蠣を使った燻製がドンピシャ!

厚岸の名産といえば牡蠣。その燻製が、スモーキーなウイスキーとドンピシャにマッチする。

 

3.3基のポットスチルによるメロウなウイスキーを創造

小正嘉之助蒸溜所
シングルモルト嘉之助
9900円

鹿児島県の西岸、吹上浜沿いにある。3基のポットスチル(蒸留器)を備えていることが大きな特徴で、コンセプト「Mellow Land, Mellow Whisky」の通り、メローな味わいが真骨頂だ。

 

《オススメペアリング》
脂の甘みが豊かな豚のジャーキーで一献

鹿児島は豚の飼育頭数が日本一。風味の甘やかな嘉之助は、ポークジャーキーと相性抜群だ。

 

4.世界唯一の鋳造製蒸留器が生み出すまろやかな味わい

若鶴酒造
三郎丸Ⅱ THE HIGH PRIESTESS
1万3750円

富山・高岡銅器の技術から生まれた、世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」原酒を使用したウイスキー。銅と錫の2つの効果により、まろやかで洗練された酒質を実現している。

 

《オススメペアリング》
富山が誇る冬の至宝ほたるいかの干物を

蒸留所がある富山の冬の味覚といえば、ほたるいか。その旨みが凝縮した丸干しを合わせたい。

 

5.希少な蒸溜器を2基使い個性を生かし調和させる

静岡蒸溜所
シングルモルト静岡ユナイテッドS 初版
9845円

軽井沢蒸留所から受け継いだ間接加熱式と、世界唯一の薪直火式、2基の蒸溜機を駆使。その2つの原酒をブレンドしたのが本作で、個性が立ちながらもスムースでまろやかだ。

 

《オススメペアリング》
静岡を代表する銘菓安倍川もちを合わせて

静岡蒸溜所のすぐそばに安倍川の支流が流れる。香ばしく甘い、安倍川もちをぜひ合わせたい。

 

6.筑波山麓の田園で生まれた原酒を調合し華やかな味に

木内酒造
日の丸ウイスキー2023セレブレーション
5500円

常陸野ネストビールで有名な木内酒造が、筑波山東麓の石岡市八郷地区で蒸溜した原酒のみをボトリング。バーボン樽、シェリー樽、赤ワイン樽で熟成された、華やかな味わいだ。

 

《オススメペアリング》
鶏レバーペーストが合う! つくば鶏ならなお良し

同社が運営するバーで人気のフ—ドが、つくば鶏のレバームース。こちらでクイッといきたい。

 

※価格は2023年1月24日時点の希望小売価格。10%消費税込み。数量限定で売り切れになっている場合があります。

サワーもイベントもバブリーだった! 醸造トップが語る「麒麟百年」開発秘話

4月4日に新発売した「麒麟百年 極み檸檬サワー」。キリンビールにとっても気合いの入った商品で、発売前日には特別仕様の限定列車「麒麟百年新幹線」を東京駅から京都駅まで走らせるという、前代未聞のイベントが開催されたほど。イベントの内容にも興味津々ですが、醸造責任者であるマスターブリュワーにインタビューできるということもあって、勇んで乗車。モノづくりに込めた思いに迫りました。

 

↑東京駅にて。左はキリンビール執行役員 マーケティング部長の山田雄一さん。右は言わずと知れた、CMに出演している俳優・西島秀俊さん。西島さんの映画初出演作は『居酒屋ゆうれい』で、お酒とも縁の深い役者です

 

一口目の味わいの感じ方はビールを上回る

まずは「麒麟百年新幹線」について。新型新幹線N700Sの一部車内がシャンデリアなどで特別ラッピングされ、そのなかで西島さんがトークしたり、「麒麟百年 極み檸檬サワー」とともにコース料理がふるまわれたりと、贅沢な内容でした。

↑「本格派で高級。お酒好きな人がゆっくり飲みたくなるレモンサワーですね」と西島さん。「きのう何食べた?」ならぬ「きのう何飲んだ?」と聞かれれば、そりゃあ「麒麟百年 極み檸檬サワー」でしょう(筆者の妄想)

 

実は、企業だけでなく個人でも車両貸し切りはできるそうですが、JR東海によれば、東海道新幹線の貸切車両パッケージが企業のPRイベントに使われたのは初めてとのこと。

↑料理は前菜、メイン(写真)、デザートのコース仕立て。なお「麒麟百年新幹線」には事前の抽選に当たった10組の方々も、メディア関係者とは別の車両に乗車していました

 

ではあらためて、「麒麟百年 極み檸檬サワー」の特徴に迫りましょう! 味わいの特徴は大きく1つめはキリンビール初となる、選び抜いたビール酵母で発酵させたレモン果汁を一部使っていること。2つめが、複数のレモン果汁による、ギュッと詰まったレモン感と複雑味。そして、3つめがビールの泡にヒントを得た、きめ細やかな泡によるなめらかな口当たりです。

↑配布された資料より。なんと、口に付けた瞬間の味わいの感じ方はビールをも上回っているといいます

 

コアな要素であるビール酵母発酵によるレモン果汁と複数のレモン果汁は、特別にサンプルをテイスティングさせてもらいました。飲んでみると、同じレモン果汁でも酸味やコクが段違い。これらを巧みにブレンドすることで、「麒麟百年 極み檸檬サワー」の味を設計していることがよくわかります。

↑例えば発酵させてない果汁は、ストレートな酸っぱさ。一方で発酵レモン果汁には醸造っぽいコクがあり、またレモンビネガーといえるような深みのある酸っぱさです

 

そして「麒麟百年 極み檸檬サワー」をグラスに注ぐと一目瞭然なのが、ボリューミーでシルキーな泡。前述の通りビールの泡にヒントを得たそうですが、液面に形成される泡の大きさは、キリンビールの他の缶チューハイと比べて約8分の1のきめ細かさになっているとか。

↑グラスに注ぐことでよりポテンシャルを発揮する、バブリーな泡。加えて、香りのボリュームも鮮烈です

 

最適な酵母を探した結果、行き着いたのがビール酵母だった

これまでにない特徴を持った「麒麟百年 極み檸檬サワー」は、どのようにして生み出されたのでしょうか。キリンビールの醸造責任者である、マスターブリュワーの田山智広さんにインタビューしました。

↑田山智広さん。ビール類や缶チューハイなどの開発時にゴーサインの最終チェックを行うことから、“味の番人”とも呼ばれています

 

「麒麟百年 極み檸檬サワー」の誕生の経緯は、2021年3月にデビューした「麒麟 発酵レモンサワー」の開発時にきっかけがあったとか。それは、発酵によって生み出される複雑な味わいでした。

 

「この技術をもっと突き詰めて、絶対に真似できない凄い発酵素材を作ろうというところがスタート地点でした。発酵といっても、素材も酵母もたくさんありますし、発酵温度によっても味わい方が全く変わってくるんですね。そういったものをいろいろ試して、味のバランスがよく、変なフレーバーにならない組み合わせを導き出しました」(田山さん)

 

酵母に関しては、試行錯誤の末に最も適していたのが、結果的にビール酵母のひとつであるエール酵母でした。

 

「上面発酵(液面でビールの発酵が進む)のエール酵母はフルーティーさや華やかな風味づくりが得意で、後から思えばレモン果汁の発酵にエール酵母が合致したことには納得でした」(田山さん)

↑車内に特別展示された果汁とともに、ビール酵母のサンプルも

 

商品名で気になるのは、製法に大きな特徴がありながら、あえてそれを用いなかった理由です。自社のアイデンティティともいえるネーミングをタイトルに付けるプロダクトは、キリンの新ジャンルビールにおける大ヒット商品「本麒麟」にも通じるもの。そのあたりはどうなのでしょうか?

 

「ひとつは、ビール酵母だからこそ『麒麟百年』という商品名がふさわしいと思ったんです。私たちは100年以上昔からビールを造り続け、醸造技術や酵母発酵を研究してきた企業ですからね。あとはお客様に、私たちの自信作であることやこれまで以上に高品質なレモンサワーであることを、直感的にお伝えできたらという思いもありました。缶チューハイとしてはやや高価格帯のレモンサワーですし」(田山さん)

↑公式サイトより。1885年、横浜山手のスプリングバレー・ブルワリーの跡に、キリンビールの前身であるジャパン・ブルワリー・カンパニーが設立したのがルーツ(その後1907年に麒麟麦酒株式会社が創立されました)

 

なぜシルキーな泡になる?

泡がきめ細かくなる理由について尋ねると、「これは説明するのがなかなか難しいんですよね。というのも、様々な要素によって泡がきめ細かくなるからなんです」と田山さん。

 

「例えば、レモンの果汁だけでなく繊維のパルプによる泡立ちとか。ほら、『麒麟百年 極み檸檬サワー』ってけっこう濁りがありますよね。これは皮ごと搾った果汁や混濁レモン果汁などによるものなんですが、そういった素材の組み合わせも関係しています。あとは、泡をつくり出すだけではなく長く保持できるように調整するなど、そういった味覚設計の賜物ですね」(田山さん)

↑「もちろん缶からそのままでもおいしいのですが、形は何でも構いませんので、ぜひグラスに注いでいただきたいです」と、にっこり

 

キリンの缶チューハイといえば、「キリン 氷結」をはじめ数々のブランドがあるとともに、様々なフレーバーで展開されています。前述「麒麟 発酵サワー」にもレモン以外に「麒麟 発酵ジンジャーサワー」があり、「麒麟百年 極み檸檬サワー」にも今後エクステンション(既存ブランドの新商品)が登場するのでしょうか?

 

「まずは『麒麟百年 極み檸檬サワー』をお楽しみくださいというところですが、もちろんエクステンションにもチャレンジしたいです。それに実際、レモン以外の果汁も発酵させるなど、試作は続けています。開発には終わりがありませんからね。ただ、これだけ満足度の高い製品ができたので、負けないおいしさとなるとハードルがすごく高いんですよ。でも、ご期待ください!」(田山さん)

↑そして「麒麟百年新幹線」は京都に到着

 

何はともあれ、味、香り、シルキーな泡のライブ感などなど、圧倒的にハイクオリティーな「麒麟百年 極み檸檬サワー」。筆者も個人的に2023年上半期のヒット商品としても注目している商品です。ぜひお試しを。

パリッコ×ラズウェル細木が語る「チェアリング」飲みの魅力の噺

 ようやく日常が戻ってきつつある2023年。春夏の行楽シーズンを前に、今回は「チェアリング」をご紹介します。「チェアリング」とは、アウトドア用のイス(チェア)をいろいろな場所に置いて座り、くつろいだり、お酒を飲んだりして楽しむアクティビティのこと。「チェアリング」の開祖のひとり・パリッコさんと漫画家・ラズウェル細木さんに「チェアリング」の楽しみ方を伺います。

 

●パリッコ(左):東京出身の酒場ライター。著書に「酒場っ子」「つつまし酒」「天国酒場」などがあるが、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメーカーとしても活動し、多才な顔を持つ。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動し、共著に『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』などがある。
●ラズウェル細木(右):山形県米沢市出身の酒と肴と旅とジャズをこよなく愛するマンガ家。料理も得意で家飲みも好き。代表作「酒のほそ道」をはじめ、「美味い話にゃ肴あり」「う」など多数の「のんべえマンガ」を上梓。米沢市観光大使

 

生みの親が語る「チェアリング」の定義と誕生秘話

パリッコさんとラズウェル細木さんは、共に「お酒」をテーマにするクリエイターであり、自宅の距離が近いことや共通の知人がいたことから意気投合して十年来の飲み仲間に。

 

そして今回のテーマ「チェアリング」は、何を隠そう今回登場するパリッコさんがライター仲間のスズキナオさんと生み出したムーブメント。その定義から聞きました。

 

パリッコさんによると「定義は、『人の迷惑にならない場所でアウトドア用のイスに座ってのんびり過ごす』っていうことぐらいですね」とのこと。

 

重要なのは、アウトドア用のイスを持って外へ出るということ。もともとあるベンチだったり、切り株や岩に座ったりするのは「チェアリング」とは言わないとか。

 

パリッコ「当初は、さらにお酒を嗜む行為も含めて『チェアリング』だったんですけど、お酒じゃなくてノンアルやソフトドリンクでもいいし、なんなら飲まなくても好きに過ごせば『チェアリング』でいいと思っています」

 

では、どんなきっかけで「チェアリング」が生まれたのでしょうか? その誕生のエピソードをラズウェル細木さんとともに振り返っていきます!

 

パリッコ「僕がかつて『酒場人』という雑誌を作っていて、3号まで出版したんですね。その2号目でナオ(スズキナオ)さんと企画を考えているときに、『これ面白いんじゃない?』みたいなテンションで思いつきました。

僕も昔から近所の石神井公園にイスを持ち込んでボーッとするのが好きで、それをふたりでやってみたら、そこに酒場が生まれるんじゃない? みたいなノリですね。でもやってみたら、予想以上に快適で『これはアリだな』って」

 

ラズウェル「『酒場人』には僕も第1号から出させてもらいました。『チェアリング』の企画も面白かったですよ。場所はお台場だったかな」

 

パリッコ「そうそう、ビーチでやったんですけどかなり心地よくて。そしたらナオさんが『次はあっちに見える公園でチェアリングしてみません?』みたいに言い出したんですよ。そうして僕らの間で定着し、徐々に広まっていった感じです」

重要なのは「アウトドア用のイス」であること

ラズウェルさんは、アウトドア用のイスであることが重要ポイントであり、さらに「チェアリング」と名付けたことで、その行為が確立されたことが革命的だったと言います。

 

ラズウェル「花見にイスを持ち込む人がいるように、イスを持ち出して外で飲む行為自体はずっと前からありました。僕自身、何年も前に『酒のほそ道』(33巻「チェアパッカー」)で主人公の岩間宗達にやらせようとしたんですけど、いまよりずっとニッチだったから、目立って恥ずかしいので結局やらなかったというオチにしたんです。それが『チェアリング』と命名されたおかげで、堂々とできるようになりましたからね」

 

 

アウトドア用のイスの重要性は、持ち運びやすさと快適さにあるとか。

 

パリッコ「コンパクトにたためるうえ、軽くて持ち運びやすいのが魅力ですけど、座り心地のよさも見逃せません。特に座面が低いタイプはリラックスできますが、これはアウトドアチェアならではでしょう。『やってみると意外に快適』というのは、このイスにあると思います」

↑「チェアリング」のマストアイテムであるアウトドアチェア。ドリンクホルダーが付いているタイプは特に便利

 

ラズウェルさんは、「花見をやるにしても、一度『チェアリング』の心地よさを知るともう地べたに座るのはムリですよ」と言います。

 

ラズウェル 「先日も花見をしたんですけど、けっこう肌寒い日もあるじゃないですか。となると、ゴザだとお尻も冷えてきて長時間はしんどくなるんです。でも『チェアリング』ならそうならないし、疲れない。アウトドアブームの影響もありますけど、『チェアリング』が世の中の花見の景色を変えたと言ってもいいんじゃないかと思います」

 

パリッコ 「そこまで!? でも、『チェアリング』と名付けたことでそれを楽しむ人が増えたのならば、面白いことだなぁとは思いますね」

 

 

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オススメの「チェアリング」グッズ

では、イス以外のオススメの「チェアリング」グッズは? パリッコさんは「テーブルがあるとより快適さが増す」と言います。

 

パリッコ 「昔はイスだけでもいいと思っていました。でも、小さくていいのでアウトドアテーブルがあると段違いだということに気付きまして。やっぱり、つまみながら飲むシーンでは地べたにそれらを置くよりも、テーブルがあったほうが楽だしよりおいしく感じます」

↑「チェアリング×飲み」する場合はあったほうが便利なテーブル

 

この日のパリッコさんは小さなアウトドアテーブルのほか、フタが天板になるキャリーカートも持参してきました。

 

パリッコ「今日はラズウェルさん用のイスも持ってきたのでキャリーカートを使いましたけど、荷物が多くなければ必要ないです」

 

ラズウェル「パリッコさん、イスありがとう! それにこのイス、ドリンクホルダーが付いてるタイプだからいっそう便利です」

 

パリッコ「そうですね。飲んだり食べたりするなら、ドリンクホルダー付きのほうがいいかもしれません。アウトドアチェアも、座面の下にバッグを置けるタイプとか、メチャメチャ軽いとか、小さくなるとか種類豊富なので、選ぶ際はその辺もチェックするといいですね」

 

 

「チェアリング」スポット選びの極意

ふたりのお話を聞いていると、思ったよりも「チェアリング」はハードルが低いと感じた方も多いはず。では、いざ「チェアリング」をやるとなった場合、適したロケーションなどはあるのでしょうか?

 

パリッコ「それはもう、自分が好きな景色の場所でいいと思います。アドバイスをするとしたら、人通りがなく通行の妨げにならないところがベストですね。あとは今日みたいに公園でやるにしても、住宅地にあるような小さな公園だと広くないから人目が気になっちゃうと思うんです。なので、一般的にもピクニックに使われるような大きな公園がいいと思います」

↑スポット選びも「チェアリング」の楽しみのひとつ

 

ラズウェル「そうですね。あとはマナーとしては、子どもたちが近くで遊んでるようなら、場所を変えるとか。もちろん、騒がないとかゴミは持ち帰るとか一般的マナーは当然としてありますけどね」

 

パリッコさんが初めて「チェアリング」をしたのはお台場。その理由は、水がある場所を自然と求めたからだとか。

 

パリッコ「僕はなんとなく、水のそばって空気の揺らぎがあって好きなんです。公園を選ぶ際にも、ボートに乗れたり釣り堀があったりするような、大きな池がある公園でやってますね。海や川もいい。川も隅田川みたいに船が通る大きいところが好きで、水や船の流れを見ながらボーッとしてるとすごく気持ちいいんですよ」

 

ラズウェル「確かに水辺は心地いいですね。あとは周辺環境の点で、近くにトイレやコンビニがある場所を選ぶと何かと便利です」

 

「チェアリング」で選ぶべきお酒とおつまみ

次はお酒とおつまみの選び方について。まずはお酒のオススメから聞きました。

 

ラズウェル「お酒は缶でもビンでもいいですが、缶チューハイなどRTDと呼ばれるタイプ(READY TO DRINKの略で、ふたを開けてすぐにそのまま飲めるもの)が楽です。もちろんコップがあったほうが氷を入れられたり、香りをしっかり感じられたりするメリットもあるんですけどね」

 

パリッコ「コップを使うかどうかは、飲みたいお酒によりますよね。飲みたい銘柄がボトル入りしかなければ自然とコップが必要になりますし、焼酎のお湯割りが飲みたい場合は割るためのコップが要りますからね」

 

ラズウェル「そう。寒いときには、あらかじめ水筒にお湯割りを作って入れておくといいんですよ。水筒もキャップがコップになるタイプを使ってね」

 

パリッコ「『事前お湯割り』はイイですよね。

あれは去年でしたか、焼酎のお湯割りを作って持っていって、コンビニとかで売ってる「種なし干し梅」を入れたら、ちょうどいい梅割りになってすごくおいしかったんです。屋外でも、そうやって工夫をすると盛り上がりますね」

 

ラズウェル「でもRTDは気軽ですし、そこはもう自由だと思います。まあ僕らが愛する大衆酒場気分を楽しむなら、今日飲んでいる『タカラcanチューハイ』がベストですね」

 

普段から「タカラcanチューハイ」を愛飲するラズウェル細木さん

 

パリッコ「はい。やっぱり甘くないというのが僕としてはお気に入りで。甘くないからどんなつまみにも合うし、飲み飽きないのもうれしいですよね。あと缶のデザインも好き」

 

↑今回はコップも用意して、松竹梅「白壁蔵」純米大吟醸も堪能

 

おつまみに関しては、ワンハンドで食べられるものがベスト。なかでも、パリッコさんは『御三家』として挙げるほど「チェアリング」に適したアテがあるといいます。

 

パリッコ「いろいろ試した結果、サンドイッチ、巻き寿司、焼売(シウマイ)のトリオが最適解だと行き着きました。片手でつまめる上に、指があまり汚れないというのが大きなポイントです」

 

特にサンドイッチと巻き寿司は、その発祥の由来にも裏付けされているとパリッコさん。

 

パリッコ「サンドイッチは、サンドイッチ伯爵が趣味のカードゲームに興じる際、遊びながら片手でつまめる食事があればと思って生み出されたと言われてますよね。また、鉄火巻きは、鉄火場(賭博場)で博打をしながら手軽につまめる食事を、ということで生まれたという説が濃厚。先人と目的は違えど、やっぱり理にかなってるんだと『チェアリング』で気付きました」

 

ラズウェル「しかも今日のサンドイッチは食パン1/4サイズで小さめだから、特に『チェアリング』向けですよ。おまけにコロッケ、ハム、たまごサラダのアソートタイプで味が多彩。まさにもってこいなヤツです!」

↑「チェアリング」のおつまみ「御三家」

 

パリッコ「一見、サンドイッチは食事だから酒に合わせづらいと思われがちなんですけど、具材に注目してほしいんです。コロッケ、ハム、たまごサラダなどの王道つまみが、指が汚れないように食パンで挟んであるってことですよね。つまり、お酒にはドンピシャに合うんです!」

 

ラズウェル「もしサンドイッチがない場合は、ちょっと大きいけどコロッケパンとかメンチカツパンとかがオススメです。手が汚れがちな揚げ物でも、パンに挟んであればノンストレスですからね」

 

パリッコ「巻き寿司も、今日みたいな太巻きは味の付いた具材が数種入ってるから、醤油要らずでより楽なんです。細巻きを選ぶ際はトロたく、かんぴょう、梅きゅうなど、味の濃いネタがオススメですね」

 

ラズウェル「そうそう。けっこう小袋入りの醤油って開けづらいし容器が汚れるから、使わないに越したことはないんですよ」

 

パリッコ「焼売も、たいていは醤油なしで十分においしいからそのままでいけますよね。練りからしはあったほうがいいですけど、まあなくてもそこまで問題じゃないです」

 

ラズウェル「ちなみに『御三家』の焼売が餃子じゃないのは、焼売のほうがみっちり詰まっているから肉汁の流出が少ないうえ、楊枝などでつまみやすいという点が大きいです。まあ、楊枝を使わず手づかみで食べてもいいんですけどね」

↑「チェアリング」のおつまみ「御三家」

 

パリッコ「気軽さを重視する『チェアリング』は、ゴミが少ないほうが後片付けも楽でいいんです。なので、缶詰やコンビニ総菜などもおいしいんですけど、僕はあまり選ばないですね」

 

ラズウェル「ほかには、串系はワンハンドで食べられる点ではかなり優秀。その上で焼鳥は、汚れやすいタレよりも塩のほうがいいと思います」

 

そして意外な盲点が、スナック菓子や乾きもの。これらは手軽につまめるものの、「チェアリング」にはベストな選択肢ではないということ。理由は、屋外であるゆえの外的要因にありました。

↑ドリンクホルダーに割り箸を入れておくと、風に飛ばされたり、なくなったりすることも防げる

 

ラズウェル「これは実際に『チェアリング』するとわかるんですが、つまみにはある程度重さがあったほうがいいんです。なぜなら、軽いと風に飛ばされやすいから。サンドイッチや巻き寿司も、“遠慮の塊”が残ると軽くなって飛ばされやすいので、ラストはすぐに食べ切りましょう。ドリンクも軽くなる前に飲み干したほうがいいですね。食べ飲み終わった容器も、風で飛ばされないようすぐにゴミ袋などにまとめておくのがベターです」

 

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「強炭酸チューハイ」をつくるディスペンサーの秘密に迫る噺
今回は、チューハイには欠かせない「炭酸水(以下は略して炭酸)」。しかも「強炭酸」を作り出す「チューハイディスペンサー」について深掘りします。

「チューハイ」ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺
これまで、焼酎の歴史や、造り方について深掘りしてきた本シリーズですが、ここからはその飲み方などの”実践編”。今回のテーマは「チューハイ」です。

 

ワンランク上の「チェアリング」の楽しみ方

アウトドア用のイスさえあれば成り立つ「チェアリング」ですが、より充実させるとしたらどんなアイテムがあるといいのでしょうか? ワンランク上の楽しみ方を教えてもらいました。

 

パリッコ「暑い季節にはなおさらですが、お酒はやっぱり冷えてたほうがおいしいです。だから、氷やクーラーボックスはあるに越したことはないですね。そのうえで、もっと手軽に冷たさをキープできるのが真空断熱の缶ホルダーや『クージー』と呼ばれる缶カバーです」

 

↑真空断熱の缶ホルダー

 

ラズウェル「確かに冷たさがキープできるので、これからの季節にはあるといいですね」

 

パリッコ「ほかにはウェットティッシュがあると便利ですね。先ほどお話した『御三家』であればさほど汚れることもないんですけど、片付けるときにイスの足をきれいにしたり、お酒やおつまみをうっかりこぼした際にふき取ったりできますから」

 

最後にあらためて、「チェアリング」をもっと楽しくするコツや心構えなどを聞きました。

ラズウェル「僕はひとりよりも集まって飲むほうが好きなので、イスを持って集まってくれる仲間を増やすことがネクストステップだと思います」

 

パリッコ「僕もそうですし、本当に『チェアリング』って、やってみると想像以上に楽しいので、未体験の人に声掛けして誘うことをぜひオススメしたいです」

 

ラズウェル「そう! 一見バカバカしく見えるけど、やってみると楽しいという意外性こそ『チェアリング』が広まった大きなポイントだと思います」

 

パリッコ「ストレス社会とか生きづらいとかって言われる世の中だからこそ、『チェアリング』って素敵だなと思っていて。ただボーッとするだけでも、脳がリフレッシュされて気持ちがスッキリするんです」

ラズウェル「『チェアリング』は、安上りで気軽なキャンプみたいな認識で始めてみたらいいと思います。キャンプは郊外まで出ないとなかなかできないし、ほとんどが要予約ですけど、『チェアリング』は都会でも大きな公園があればできますから」

 

パリッコ「たとえば港区でも、大きな公園なら水のせせらぎ、緑が風に揺れる音、鳥のさえずりなどが聞こえますもんね。マイナスイオンというか、そういったヒーリング効果もあるんじゃないかと思いますし、さらにお酒があれば最高のストレス解消ですよ」

 

 

アウトドアブームとともにますます注目を集める「チェアリング」。天気のいい休日などに、ぜひ実践してみてください!

 

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・タカラcanチューハイ
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/regular/

・松竹梅「白壁蔵」<純米大吟醸>
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/

 

<取材協力>
練馬区立武蔵関公園
住所:東京都練馬区関町北3-45-1

 

撮影/鈴木謙介

飲んでビックリ!あなどるなかれ!トップバリュはビール&発泡酒もウマい!!

トップバリュはビール類のおいしさでも有名だ。それは、名だたる一流ブランドを手掛ける大手メーカーが製造を担当しているから。メジャー商品と遜色のないおいしさの名作2本を、じっくり紹介しよう。

 

こちらは「GetNavi」2023年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

有名ビールと遜色のない味で価格は圧倒的にリーズナブル

イオングループの店舗で発売されているビール類のなかでも、圧倒的な人気を誇るのが「富良野ビール」と「バーリアル」シリーズだ。どちらも老舗の国民的ビールメーカーが製造していて、その味は各社の代表作と遜色のないおいしさ。それでいて価格はリーズナブルなのだから、人気が出ないはずがない。ぜひ試してみてほしい。

 

トップバリュの本気を感じる強いコクと抜群の飲み応え

バーリアルリッチテイスト(85円)

新ジャンル「バーリアル」には通常、糖質50%オフ、リッチテイストの3種があり、力強いコクを楽しめるのがこのリッチテイストだ。アルコール度数は6%で、飲み応えも十分。

 

【オススメのペアリング】

ジューシーさを受けスカッと流し込んでもう1個!!

薄皮でジューシーな餃子を、発泡酒のコクとキレがキャッチ。爽快なキレは口内の脂をリセットし、また次のひと口が飲みたくなる。

ギョーザ(170円)

キャベツや肉は国産。脂や水なしで焼ける手軽さもうれしい。

 

北海道産の希少ホップが生み出す華やかな香りと爽やかなのどごし

富良野生ビール(165円)

札幌より東部に位置する、富良野で栽培されるホップのなかでも希少な品種「リトルスター」を、使用ホップ中50%以上採用。華やかかつ爽やかな香りが特徴で、のどごしも抜群だ。

 

【オススメのペアリング】

あふれる肉汁と燻香に爽快なビールがマッチ

ジューシーな肉汁と、余韻までしっかり香るスモーク香に、スカッと爽快なビールの味がマッチ。おかわり必至の組み合わせだ。

国産の山桜チップでじっくりスモークした
熟成あらびきソーセージ
スモーク
(386円 数量限定)

塩などに72時間以上漬け込んで味を浸透。国産山桜チップスで香りも芳醇に。

 

ニッカのレガシーとチャレンジが調和。グレーンウイスキーが躍動する即完売必至の第3弾

2023年は日本のウイスキー生誕100周年で非常に盛り上がっていますが、翌2024年も実はアニバーサリーイヤーです。その理由は“日本のウイスキーの父”と呼ばれ、朝の連続テレビ小説『マッサン』の主人公のモデルともなった竹鶴政孝氏が創業した「ニッカウヰスキー」が90周年を迎えるから。

 

同社はそれに先駆けて2021年より毎年特別なウイスキーを限定発売してきましたが、先日2023年版をお披露目しました。この限定モデルの魅力を、開発者へのインタビューやテイスティングを通じてレポートします。

↑3月28日に発売された「ニッカ ザ・グレーン」。1万3200円(税込)で、限定2万本(その内1万本は海外)です

 

グレーンウイスキーとは?

今回の「ニッカ ザ・グレーン」は、90周年に向けた企画「NIKKA DISCOVERYシリーズ」の第3弾。GetNavi webでは第1弾2弾も紹介しているので、合わせて一読ください。

 

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マジ旨!ピートの効かせ方を真逆にした「余市」「宮城峡」の限定ウイスキーを試飲
ウイスキーなのに「酵母と発酵」に着目した「余市」と「宮城峡」。すでに希少ないま、バーへ急げ!

↑第1弾は原材料の違い、第2弾は酵母や醗酵の違いが生み出す個性に着目したシングルモルト(単一の蒸溜所で生まれるモルト)ウイスキーでした(アサヒビールの資料より)

 

そして今回の第3弾も、きわめて個性的。これまでは北海道・余市、仙台・宮城峡それぞれのシングルモルトでしたが、今回はグレーンウイスキーの1本勝負であり、しかも初採用の原酒を使うなど実にチャレンジングです。

 

詳細に迫る前に、まずはグレーンウイスキーについてざっくり解説しましょう。モルトウイスキーが大麦麦芽(モルト)を使いポットスチル(単式蒸溜機)で造るのに対し、グレーンウイスキーはコーン、ライ麦、小麦などの穀類(グレーン)を主原料とし、連続式蒸溜機で蒸溜。ちなみに、モルトを使って連続蒸溜した原酒もグレーンウイスキーに分類され、その代表作が「ニッカ カフェモルト」です。

↑「ニッカウヰスキー」の名作グレーンといえば、世界でも稀少な「カフェ式連続式蒸溜機」を使った「ニッカ カフェグレーン」(左)と「ニッカ カフェモルト」(右)

 

ウイスキーの味わいは、蒸溜する回数によって決まります。単発蒸溜されたモルトウイスキーは、原材料の風味が残りやすく重厚な味わいに、一方繰り返し蒸溜するグレーンウイスキーは、クリアでライトな酒質に仕上がるのが一般的。この両方を調和させたブレンデッドウイスキーでは、個性と飲みやすさのバランスをとるためにグレーンウイスキーが欠かせない存在となっているのです。

 

ただし、「グレーンがライト」というのはあくまで一般論。蒸溜機や製法、熟成度合いなどによって味わい深く仕上がっているグレーンウイスキーも多くあります。例えば、前述「カフェ式連続式蒸溜機」は原材料の風味が残りやすい原酒を造れる名器とされています。

 

ちなみに、コーンを主原料とする米国のバーボンウイスキーもグレーンウイスキーに分類されますが、バーボンは「コーンが51%以上含まれ新樽を使う」という決まりがあるため、甘くどっしり個性的な味わいになるのだと筆者は考えています。

 

「ニッカ ザ・グレーン」は7種のグレーン原酒をブレンド

「ニッカ ザ・グレーン」には、国際品評会の授賞歴もある「ニッカ カフェグレーン」と「ニッカ カフェモルト」に使われている宮城峡蒸溜所のグレーンを含む、計7種の原酒がブレンドされています。開発の中心メンバーである、ニッカウヰスキーの綿貫政志さんに話を聞きました。

↑主席ブレンダーの綿貫政志さん。「NIKKA DISCOVERYシリーズ」では第1弾からプロジェクトに参加し、個性あふれるウイスキーを生み出してきました

 

綿貫さんが今回グレーンウイスキーにフォーカスした最大の理由は、「カフェ式連続式蒸溜機」が2023年に節目を迎えるからだと言います。

 

「『カフェ式連続式蒸溜機』の導入は、『本場スコットランドに負けないブレンデッドウイスキーを造りたい』という創業者(竹鶴政孝氏)の夢であり、1963年に当時の西宮工場で実現されました。その後1999年に宮城峡蒸溜所へ移設していまに至るのですが、2023年で導入から60周年を迎えるんですね。当社のレガシーを活用することはDISCOVERYシリーズにもうってつけだと思い、特別なグレーンウイスキーの開発を決めました」(綿貫さん)

 

基軸となる原酒は宮城峡蒸溜所のカフェグレーン。加えて同蒸溜所のカフェモルトと、西宮工場時代のカフェグレーンにカフェモルト、さらに今今回初採用となる九州産の3種のグレーンの、計7種の原種が「ニッカ ザ・グレーン」を構成しています。

↑ベースのグレーンをイメージとして一部テイスティング。右側の4、5、6は実際のブレンドに用いられている九州産の原酒です

 

「西宮工場は現在飲食店向けのチューハイを造っていますが、ここは大都市ですから当時から貯蔵庫を確保できるほどの広さがなく、グレーンの熟成は栃木工場で行っていました。今回使用した原酒は1988年ものであり、35年熟成ですね。非常に希少ですが、熟成感を与えるために使っています」(綿貫さん)

 

そして気になるのは、九州産のグレーン原酒。生産地のひとつは福岡・門司(もじ)工場、もうひとつは鹿児島・姶良(あいら)のさつま司蒸溜蔵となり、ここでは普段、焼酎の原酒が蒸溜されています。

↑どちらにも、本格焼酎(乙類、または単式蒸溜焼酎)用のステンレス製単式蒸溜機が設置されています(一般的に、連続式蒸溜機で造ると甲類焼酎(連続式蒸溜焼酎)となる。ウイスキーの単式蒸溜機は銅製が多い)(アサヒビールの資料より)

 

「門司では発芽させていない大麦を主体としたグレーン原酒が1種。さつま司では同じく大麦主体のグレーンと、コーン・ライ麦原酒の計2種を蒸溜して『ニッカ ザ・グレーン』にブレンドしました。焼酎の単式蒸溜機でウイスキー原酒を造ることは、きわめて実験的でニッカにとってもチャレンジングなことでした」(綿貫さん)

↑「ニッカ ザ・グレーン」に用いられた3種の九州産グレーン原酒が、写真のミニボトル3本

 

なお、本格麦焼酎と大麦グレーンウイスキーは似ているようで違いも様々。例えば、大麦を麹で醗酵させ初溜のみで造るのが前者。麦芽の酵素で醗酵させ、複数回蒸溜でアルコール度数を高めるのが後者です。

 

「使った大麦に関しては、門司とさつま司は同一です。ただ、蒸溜機はまったく同じものではありませんし、設備の違いで製法も異なります。例えば門司では初溜が減圧蒸溜(※)で、再溜(2回目の蒸溜のこと)が常圧蒸溜。さつま司はどちらも常圧蒸溜で、蒸溜機のサイズもさつま司のほうが小型です」(綿貫さん)

 

※機内の圧力を下げて低温沸騰させる「減圧蒸溜」は、基本的には焼酎で用いられる手法で、雑味がクリアですっきりとした酒質になりやすい。一方、常圧蒸溜は伝統製法で、濃厚でどっしりした風味になりやすい。

 

 

甘香ばしく爽やか……多彩なグレーンが次々と主張する

いよいよテイスティング。まずは完成品の「ニッカ ザ・グレーン」から。伸びやかな甘みとロースト感のある香ばしさが立っていて、香りには焼きりんごのような甘い爽やかさも。

↑余韻にはシナモン的なスパイス感や、ビターなニュアンスも。味のグラデーションのなかで、多彩な要素が顔を出します

 

「華やかでコク豊かなカフェグレーンとカフェモルトの甘さに始まり、麦の香ばしさやコーンの甘み、ライ麦由来の爽やかさを感じた後にすっきりと終わる。次々に主張する香りや味わいがどの原酒由来なのか、想像しながらグラスを傾けていただきたいですね」(綿貫さん)

 

特に個性的なのは、まろやかに響くスイートな香ばしさ。これは九州の焼酎蔵から生み出されるグレーンによるものでしょうか?

 

「そうですね、明確なキャラクターを生み出しているのは九州産。特に、さつま司のコーン・ライ麦原酒は名バイプレーヤーだと思います。やっぱり酒質がバーボンに近く、甘いバニラ香をもっているんですね。それでいて爽やかなニュアンスもあって、コクや膨らみといった味わいにおいて、素晴らしい働きをしてくれました」(綿貫さん)

↑さつま司のコーン・ライ麦原酒を単独で試飲。明るいムードメーカーといったところでしょうか。無理やり侍ジャパンで例えるなら、ラーズ・ヌートバー選手のよう

 

九州産原酒は今後どうなる? 2024年の記念商品は?

今回使われた九州産グレーン原酒は初の採用であり、しかも存在自体を明かすのも初めてとのこと。そもそもいつから造りはじめたのでしょうか。背景や狙いを聞くと、実は「NIKKA DISCOVERYシリーズ」用ではなかったそうです。

 

「九州でグレーン原酒を造りはじめたのは2017年で、最初に門司工場で試験製造を開始しました。今回のブレンドにも2017年のファーストバッチを使っています。『NIKKA DISCOVERYシリーズ』の企画前ですね。造りはじめた理由は、私たちの探求心ももちろんありますが、それ以上にお客様への新しい価値提供に繋がるという期待が大きいです。原酒の多様性とともに、ブレンデッドウイスキーの幅を広げたい。それが目的です」(綿貫さん)

 

とはいえ、実験的な要素も大きかったと綿貫さんは言います。今回採用に至ったのは、想像以上に良質なグレーン原酒になったから。そのため、蒸溜し3年熟成させたあとのテイスティングで納得するまでは、マーケティング側にも原酒の存在を話していなかったそうです。

↑一番若いのが、さつま司で2019年に蒸溜されたコーン・ライ麦原酒(右端)。色が最も濃い理由は、バーボンを踏襲し、アメリカンホワイトオークのバレルサイズの新樽で貯蔵しているため

 

「『ニッカ ザ・グレーン』の発想は『カフェ式連続式蒸溜機』の節目というところから始まりましたが、グレーンがテーマなら九州産の原酒も使えるな、と。そして、今後はこれを機に九州産グレーンの生産量も増やし、ゆくゆくは挑戦的で新しいウイスキーの開発もしていきたいと思っています」(綿貫さん)

 

ジャパニーズウイスキーは、“日本のウイスキーの父”竹鶴政孝氏が、スコットランドへのウイスキー留学の知見をもとにして生まれたという経緯があり、つまりスコッチウイスキーのDNAをもっています。竹鶴氏が設立したニッカウヰスキーはその直系であり、アメリカンタイプのウイスキー原酒づくりは勉強になったと綿貫さん。

 

「モルトウイスキーには伝統的な美学がありますが、原料はモルトのみ。一方でグレーンウイスキーは様々な原料由来の香味を得られるので、そういう点は面白いと思います。ブレンダーの腕の見せ所でもありますし、ぜひ今後もご期待ください」(綿貫さん)

↑「このチャレンジをどんどん生かしていきたいです」と綿貫さん。今回採用された3原酒以外にも、様々な個性を持つグレーン原酒造りの挑戦に積極的に取り組んでいると教えてくれました

 

今後となると期待してしまうのが、90周年を迎える2024年。そしてさらなる先には2034年のニッカウヰスキー100周年があります。今回は90周年に向けて2021年から「NIKKA DISCOVERYシリーズ」を発売してきましたが、90周年はもちろん、100周年のときはより盛大なプロジェクトを企画するのでは?

 

「実はまだ決まっていません。とはいえ2024年には『NIKKA DISCOVERYシリーズ』とは別ですが、お客様にお喜びいただけるような90周年商品を造りたいです。その次はまだ先の話ですが100周年ですよね。いまのところまったく見当もつきませんが、さらに記念すべきアニバーサリーに向けてニッカの技術を磨いていきたいと思います」(綿貫さん)

↑パッケージは、ニッカエンブレム由来の市松模様を4段でデザイン。落ち着いた彩りのグラデーションを施すことで、4つの工場と蒸溜所で造られた多様な原酒を調和させていることを表現

 

「ニッカ ザ・グレーン」は今回も国内1万本限定と、激レア。限定ウイスキーなどに関心の高いウイスキーファンに向けて、飲食店を中心とした業務用での展開を予定しているとのことなので、味わうならモルトバーに行くのが正解といえるでしょう。

キリンはウイスキーも凄いって知ってる? 50周年でいよいよ始まる攻めすぎ戦略が明らかに!

2023年はジャパニーズウイスキーの誕生100周年(山崎蒸留所の建設から100年)にあたりますが、キリンが手掛ける富士御殿場蒸溜所も今年、操業半世紀のメモリアルイヤーを迎えました。この50周年を記念した企画を次々展開するとのこと。いったいどのような戦略があるのか確認すべく、発表会へ参加しました。

 

↑2大ブランドが「富士」と「陸」。それぞれの商品特徴もお伝えします

 

3種のグレーンをつくれる世界でも稀な蒸溜所

富士御殿場蒸溜所は成り立ちからして独特です。もともとは米国(当時)のJEシーグラム社とスコットランドのシーバスブラザース社、そしてキリンビールの3社共同出資で設立したキリン・シーグラム社の蒸溜所としてスタートしました(現在はキリンビールが単独で所有)。

 

3か国の協力で始まった酒づくりのDNAはいまも受け継がれ、象徴的なのがグレーンウイスキー(モルト以外の穀物も使用してつくるウイスキー)を生む3つの蒸溜器です。3基はそれぞれ、ライトな酒質になるマルチカラム蒸溜器(スコットランド製)、ミディアムタイプのケトル蒸溜器(カナダ製)、ヘビータイプでバーボンづくりに頻用されるダブラー蒸溜器(アメリカ製)。

↑公式サイトより

 

連続式のマルチカラム蒸溜器は一般的ですが、ケトル蒸溜器とダブラー蒸溜器は国内唯一となり、味わいの異なる3種のグレーン原酒をつくり分けられる設備はここの特色。加えてポットスチル(いわゆるスライム型の単式蒸溜器)によるモルトウイスキーもつくっています。

 

モルトとグレーン両方を製造し、さらに仕込みから熟成、ボトリングまで一貫して行う蒸溜所は世界でもきわめて珍しく、加えて日本が誇る霊峰富士の伏流水がマザーウォーター。味わいに対する国際的な評価も高く、「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士」は2022年11月にNYの洋酒コンペ(NYISC)でJapan Whiskey of the Yearを受賞しています。

↑つくり手も超一流。マスターブレンダーの田中城太さんは、2017年に世界的なウイスキーアワード(IOW)で「マスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています(写真は別のイベント時に撮影)

 

機は熟した! 待望のシングルモルトウイスキーが新発売

製法の独自性も、大きくふたつあります。ひとつが小樽熟成。樽には様々なサイズがありますが、富士御殿場蒸溜所では小さな180リットルの北米産ホワイトオークバレルを使用します。樽が小さくなればなるほど樽の数が多くなり手間が増えますが、小樽を使用することで原酒と樽が触れ合う表面積が広くなります。その結果、木樽の豊かな香りがふんだんに得られるのです。

 

もうひとつが「マチュレーション(熟成)ピーク」という考え方。ウイスキーは熟成年数が長いほどいいと思われがちですが、キリンではそれ以上に原酒本来の持ち味が最もよく現れるピークのタイミングを重視してブレンドします。

 

そんなキリンウイスキーの代表作といえば「キリン シングルグレーンウイスキー 富士」。香りの個性豊かな3種のグレーンウイスキー原酒をブレンドした味わいは、オレンジや白ぶどうを思わせる香味が特徴です。

↑「キリン シングルグレーンウイスキー 富士」。左端は「キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士」で、ともに6600円(税込・以下同)

 

「キリン シングルグレーンウイスキー 富士」は、まさに富士御殿場蒸溜所ならではの一本であり、海外での高い評価も前述の通り。ただ、ウイスキー市場では単一のモルト原酒によるシングルモルトがトレンドです。富士御殿場蒸溜所にも、もちろんモルト原酒はありますが、ウイスキー人気が高まるなか原酒不足で積極的には展開できていませんでした。

 

しかし、キリンではしっかり対策を打っていたようです。2019年に行った約80億円の生産設備投資(小型の木桶発酵タンク4基、ポットスチル2系列の導入と、熟成庫のリニューアルや大型化など)により、ようやく攻めの態勢が整ったのです。満を持してシングルモルトが、しかも限定ではなく通年発売されることが発表されました。

↑「キリン シングルモルト ジャパニーズウイスキー 富士」は、清らかでフルーティな味わいが特徴。2023年5月16日発売で、価格は6600円(税込・以下同)

 

「ぬぅ、6600円か!」という人には、3550円の「富士御殿場蒸溜所 ピュアモルトウイスキー」や、1300円(筆者調べ)の「キリンウイスキー 陸」がオススメ。前者は現地かEC「DRINX」限定ですが、後者はスーパーなどでも売っており、先日パッケージがリニューアルされました。

↑「キリンウイスキー 陸」。手ごろな価格ながら、小樽熟成や「ノンチルフィルタード」(後述)を採用しアルコール度数50%でつくられた本格派の一本です

 

「キリンウイスキー 陸」で採用されている「ノンチルフィルタード」とは、一般的なウイスキーで行われるビン詰前の冷却ろ過工程をあえてしない製法のこと。冷却ろ過によってウイスキーの温度変化による白濁や澱を取り除くのですが、この白濁や澱は香味成分に由来するものであり、冷却ろ過しなくても白濁や澱が析出しないよう、アルコール度数を高めて(高度数のほうが閉じ込められる)います。

 

また、50周年に際したビッグニュースはほかにも。5月末には御殿場駅に全長6mのポットスチルが設置される計画で、しかも同時期には「御殿場プレミアム・アウトレット」に富士御殿場蒸溜所を体感できるショップが期間限定でオープン予定とか。

 

リベンジ消費の一環で旅行を計画している人は多いはず。富士御殿場蒸溜所は一般開放しているうえ、有料で要予約の見学ツアーも用意されているので、この機会に訪ねてみてはいかがでしょうか。

 

人気銘柄からクラフトウイスキーまで「ジャパニーズウイスキー」の楽しみ方と注目の蒸留所

近年、世界中で「ジャパニーズ・ウイスキー」の愛好家が増えており、2020年には輸出量が日本酒をしのいで酒類第1位となりました。なかでも人気を後押ししているのが、小規模蒸溜所の「クラフトウイスキー」という存在。日本酒や焼酎をつくっていた酒造メーカーがあらたにウイスキーづくりを始めるなど、その裾野は広がり続けています。

 

そんなジャパニーズ・ウイスキーの魅力と注目すべき蒸溜所を、新宿三丁目「BAR LIVET」「新宿ウイスキーサロン」のオーナーであり、最年少で「マスター・オブ・ウイスキー」の称号を獲得した静谷和典さんに伺いました。

 

2人のスペシャリストから生まれた “ジャパニーズ・ウイスキー”

2023年は、サントリーが日本初のウイスキー蒸溜所である「山崎蒸溜所」の建設に着手してから100年の記念イヤー。まずは、日本とウイスキーの歴史を少しだけ紐解いていきましょう。

 

「はじめて日本にウイスキーが持ち込まれたのは、1853年。かの有名なペリー提督が浦賀に来航し、日本人にウイスキーを振舞ったとされています。月日は流れ、日本で本格的なウイスキーづくりの歴史がはじまったのは、『山崎蒸溜所』の建設に着手した1923年のこと。その立役者となるのが、サントリー創業者の鳥井信治郎さんと、NHKの連続テレビ小説『マッサン』でも有名な、初代工場長の竹鶴政孝さんです。その2人のどちらが欠けてしまっても、今のジャパニーズ・ウイスキーは誕生しなかったと思います」(静谷和典さん、以下同)

↑BAR LIVET、新宿ウイスキーサロンのオーナー・バーテンダー、静谷和典さん。

 

国産第1号として発売されたのは、丸瓶に白いラベルがついた通称 “白札” 。残念ながら本格的な普及には至らなかったそうですが、その後発売された「角瓶」が大ヒット。「日本人の味覚に合うウイスキー」を追求し続けて生まれた銘品は、今もなお愛されるロングセラー商品となっています。

 

国産ウイスキーを語る上で欠かせない! 世界に誇る3社の蒸溜所

「100年の歴史は、サントリー、ニッカウヰスキー、キリンの3社が支えてきたと言っても過言ではありません」と、静谷さん。ジャパニーズ・ウイスキーを語る上で知っておきたい蒸溜所とその銘品を紹介します。

 

サントリー / 山崎蒸溜所・白州蒸溜所

↑天王山の麓に位置する、ジャパニーズ・ウイスキーはじまりの地「山崎蒸溜所」。主な銘柄は、「山崎」「山崎 12年」「山崎18年」など。

 

「ともに日本最大級の蒸溜所です。どちらの蒸溜所も、多彩な原酒をつくり分けできることが特徴。1つの蒸溜所で1タイプのウイスキーしかつくれないというのが世界では一般的なのですが、山崎・白州蒸溜所では、それぞれ16基の蒸溜器が稼働しています。各蒸溜器でつくられたさまざまな原酒を組み合わせて、多彩なウイスキーを1つの蒸溜所で生み出すことができる。それが山崎・白州蒸溜所の強みです」

 

↑「山崎蒸溜所」の誕生から約50年後、山梨県の豊かな森の中に建設された「白州蒸溜所」。主な銘柄は、「白州」「白州12年」「白州18年」など。

 

「多種多様なウイスキーが出ているので、一概にその味わいを表すことはできませんが、例えば、山崎の年数表記のない『山崎(ノンエイジ)』や『山崎12年』は、プルーン、レーズン、チョコレートなどの風味とほのかなスモーキーさを感じる味わいが特徴。一方で『白州』は、森林浴をしているような清涼感とシトラスの香りが特徴です。スモーキーさは『山崎』よりも顕著。爽やかさとスモーキーな味わいが楽しめます」

 

ニッカウヰスキー / 余市蒸溜所・宮城峡蒸溜所

↑日本のスコットランドと称される気候と豊かな自然に囲まれた、北海道・余市町にある「余市蒸溜所」。主な銘柄は、「シングルモルト余市」「竹鶴ピュアモルト」など。

 

「余市蒸溜所は、竹鶴政孝さんが北海道に建てた、ニッカウヰスキーのルーツとなる蒸溜所。最大の特徴は、世界でおそらく唯一石炭の直火で蒸溜しているということ。石炭直火蒸溜は、火加減をコントロールするのが困難で、熟練の職人でないと扱いが難しいと言われています。その職人技から生まれる原酒は、トースティーでスモーキー。大手ジャパニーズ・ウイスキーのなかではピートの香りをもっとも顕著に感じるものだと思います」

↑2つの清流に囲まれた峡谷に位置する「宮城峡蒸溜所」。主な銘柄は、「シングルモルト宮城峡」「伊達(地域限定発売)」など。

 

「ニッカウヰスキー第二の蒸溜所となるのが、仙台にある宮城峡蒸溜所です。ここから生まれるウイスキーは余市とは真逆。フローラルかつフルーティーでまろやかな味わいが特徴です」

 

キリン / 富士御殿場蒸溜所

↑富士山の麓に位置する「富士御殿場蒸溜所」。主な銘柄は、「キリン シングルグレーンウィスキー富士」「富士山麓シグニチャーブレンド」「キリンウイスキー陸」「ロバートブラウン」など。

 

「キリングループが所有する富士御殿場蒸溜所は、モルトウイスキー(大麦麦芽のみを使用したウイスキー)だけでなく、グレーンウイスキー(トウモロコシやライ麦などの穀類を主原料とするウイスキー)もつくっている蒸溜所。その2つの原酒を混ぜ合わせてつくる『ブレンデッドウイスキー』が有名です。マスターブレンダー・田中城太さんは、世界で最も優秀なブレンダーにも選ばれたことのある、日本を代表するブレンダーのお1人。卓越したブレンド技術を持つ蒸溜所だと思います」

 

クラフトウイスキーの先駆けとなる「秩父蒸溜所」とその生みの親

2000年代に入ると、海外のコンペティションで数多くのジャパニーズ・ウイスキーが金賞を受賞したり、2014年にNHK連続テレビ小説「マッサン」が放映されたりと、ジャパニーズ・ウイスキーへの注目度はますます高まります。そんななか登場するのが「ジャパニーズ・クラフトウイスキー」です。

↑入手困難で、世界中が欲するウイスキー『イチローズモルト』。ウイスキー樽としては珍しいミズナラ樽を使用したウイスキーやフレンチオーク製の赤ワイン樽で熟成させたウイスキーなど、味わい深いウイスキーを数多く手掛けている。

 

「2007年に蒸溜所が完成し、2008年から蒸溜開始したのが、日本のウイスキー業界に突如登場した『秩父蒸溜所』です。創設者は、肥土伊知郎(あくといちろう)さん。サントリーや家業の造り酒屋を経て、ご自身で立ち上げた会社でウイスキーづくりをはじめました。肥土さんの祖父が残した原酒をもとにつくられた『イチローズモルト』は、イギリスのウイスキーマガジンで日本最高の評価を獲得。世界的に有名なウイスキーのオークションでも高値で取引されるほど、国内外で注目を集めるようになりました」

↑写真は、肥土氏の祖父が運営していた羽生蒸溜所と秩父蒸溜所のモルト原酒をブレンドした『イチローズモルト ダブルディスティラリーズ』。甘味とミントのような爽やかな味わいが特徴。

 

その後2015年、2016年あたりから日本各地に続々と誕生した、ウイスキー蒸留所。静谷さんは「肥土さんの存在がなければ、ここまで日本のウイスキー蒸溜所が増えることはなかった」と、語ります。

 

「肥土さんは、本来ライバルとなる蒸留所に技術やノウハウを惜しみなく教えているのだそうです。人生を通してさまざまな蒸留所の原酒を見てみたいという思いと、さまざまな原酒が生まれること自体がジャパニーズ・ウイスキー文化の発展に貢献できる、とお考えなのだと思います。ジャパニーズ・ウイスキーの今を支えるキーパーソンですね」

 

個性豊かなウイスキーが楽しめる注目の国産クラフトウイスキー蒸溜所

いまでは蒸留免許を有した蒸留所は、国内90か所以上にものぼるそう。なかでも静谷さんが思わず感銘を受けた蒸留所を4つ教えていただきました。

 

滋賀県 長濱蒸溜所

↑長濱蒸溜所は、滋賀県びわ湖北部にある小さな蒸溜所。主な銘柄は、「シングルモルト長濱」「アマハガン」「長濱ニューメイク」「聖闘士星矢ゴールド聖闘士シリーズ(静谷和典氏監修)」など。

 

「1996年に創業し、長浜エールをはじめ、国内外問わず評価の高い銘柄を数多く輩出する長濱浪漫ビールが、2016年に日本で最小規模の蒸溜所としてウイスキーづくりをはじめました。大きな特徴は、ミニマムな蒸溜所にも関わらず、数多くの挑戦をしているところ。ウイスキーを寝かせる熟成庫は蒸溜所のそばにあるのが一般的ですが、トンネルや廃校となった小学校、琵琶湖のパワースポット・竹生島、沖縄でのトロピカルエイジングなど、さまざまな場所で樽を熟成させています。小さい蒸溜所だからこそ、さまざまな取り組みを行っている点も大きな魅力だと思います」

 

宮崎県 尾鈴山蒸留所

↑長年培ってきた蒸留酒造りの技術が光る、尾鈴山蒸留所。現時点で販売されている主な銘柄は、「OSUZU MALT NEW BORN」「OSUZU MALT NEW MAKE」。

 

「尾鈴山蒸留所は、『百年の孤独』や『㐂六』といった世界的にも有名な焼酎を生み出した、黒木本店が手掛ける蒸留所です。この蒸留所のすごいところは、原料となる麦の栽培から麦芽づくりまで全て手仕事で行っている点です。通常、麦芽は専門の製造会社から購入して仕込むのが一般的なのですが、尾鈴山蒸留所の場合は麦の生産から製麦まで全て手作業。職人が素手で麦の状態や温度を調整しながらつくる、まさにクラフトのなかのクラフトですね。

 

さらに、桜や栗、杉といったさまざまな地元の木を樽材として活用しているのも特徴です。桜は桜餅のような香り、栗は焼き菓子のようなまろやかな味が楽しめます」

 

鹿児島県 嘉之助蒸溜所

↑東シナ海を一望する絶景に建てられた「嘉之助蒸溜所」。主な銘柄「シングルモルト嘉之助」をはじめ、さまざまなリミテッドリリースを手掛けている。

 

「嘉之助蒸溜所は、本格焼酎の蔵元・小正醸造による蒸溜所で、『メローコヅル』という焼酎の空き樽を使用して寝かしているというのがポイントです。もちろんそれ以外の樽も活用していますが、 キーとなる原酒は『メローコズル』の樽。元々、樽熟成の焼酎をつくっていたノウハウがウイスキーづくりにも活かされているのだと思います。

 

そして、鹿児島の温かい土地でつくられているのも、唯一無二の特徴です。鹿児島の湿潤で暖かい気候の下では、熟成スピードが速いのだそうです。風土を活かし、オリジナリティある樽使いから生まれる嘉之助蒸溜所のウイスキー。今や、世界から大きく注目される蒸溜所の1つとなっています」

 

富山県 三郎丸蒸留所

↑江戸時代から続く伝統的な酒造・若鶴酒造が母体となって生まれた「三郎丸蒸留所」。主な銘柄は、「三郎丸」、「玉兎」など。

 

「三郎丸蒸留所は、スモーキーなウイスキーのみを手掛ける日本でも珍しい蒸留所。世界で初めて『鋳物(いもの)製のポットスチル(単式蒸留器)』を取り入れた蒸留所として有名です。鋳物とは、砂などでつくった型の空洞部分に金属を流し込んでできた製品のこと。蒸留器は一般的にブロンズやステンレスでできているのですが、ここでは富山の鋳物文化を取り入れ、世界初の鋳物製蒸留器『ZEMON』を開発、活用しています。

 

砂で型を取っている影響で、金属の表面に細かな凹凸ができるのが特徴。凹凸があることで、蒸留の際に複雑な液体の流れを生み出すのだそうです。さらに、型さえつくれば蒸留器の製作期間を短縮できるという利点もあり、今後、三郎丸蒸留所を起点として鋳物製の蒸留器を取り入れる蒸留所が増えるかもしれない。そんな可能性を感じています」

 

次からは、そんな魅力たっぷりのウイスキーの楽しみ方を紹介していただきます。

 

マスター・オブ・ウイスキーがおすすめするウイスキーの楽しみ方

1.ハイボールの次は「ウイスクテイル-whisktail-」

「バーテンダーとして心掛けているのは、つくり手へのリスペクトを忘れないこと。それぞれのウイスキーが持つ魅力を台無しにしないよう、風味を活かした楽しみ方を提案しています」と語る静谷さんに聞く、初心者にもおすすめの楽しみ方とは?

 

「ウイスキー本来の味わいを知るには、やはりストレートで飲むことは大切です。私の使命は、ストレートで楽しむ人口を増やし、ウイスキーブームを永続させること。ただ、ストレートだけでなく、いろいろな楽しみ方ができるのがウイスキーの魅力です。ハイボール、水割り、カクテル、ロック、ストレートと段階的に楽しむのがいいと思います。

 

ハイボールの次の段階としておすすめしたいのが、「ウイスクテイル-whisktail-」というウイスキーベースのカクテルです。ウイスキー文化だけでなくバーテンダーとしてカクテルも広めていきたいという想いで、商標も取得しました」

 

「ウイスクテイル」とは、
1.ウイスキーベースであること
2.ウイスキーの香味を活かすこと
3.ウイスキーへのリスペクトがあること

 

上記の3つの条件を満たしたカクテルを指します。その代表作を教えていただきました。

 

・世界の定番カクテル「オールド・ファッションド」

↑升に入った、新宿ウイスキーサロンの「オールド・ファッションド」。ほうじ茶をつけ込んだ、キリン富士御殿場蒸溜所でつくられた「富士山麓シグニチャーブレンド」というウイスキーをベースに、金平糖を食べながら飲んでいただくスタイルで提供。

 

「毎年発表されるカクテルの世界ランキングでは、TOP50にウイスキーベースのカクテルが数多くランクインするほど人気です。なかでも長年1位を獲得していたのが『オールド・ファッションド』。主にウイスキーと角砂糖、ビターズを使用した定番のカクテルです。シンプルが故に、世界では多種多様なアレンジを加えたオールド・ファッションドが生まれています。バーテンダーにとっては、自分のレシピが名刺代わりになるといってもいいかもしれませんね」

 

2.和食と楽しむなら、水割りで

食事、とくに和食と一緒に楽しむのであれば「水割り」がおすすめ。

 

「ジャパニーズ・ウイスキーは、和食に合うようにつくられている、といっても過言ではありません。かつてサントリーが『二本箸作戦』と呼ばれるプロモーションを行っていたのですが、これは『水割りにすれば、ウイスキーは和食にも合う』ということを謳ったもの。水で割ると、口当たりがマイルドになって食事にも合わせやすいんです。ハイボールもいいですが、食事には水割りという飲み方も定着していけばいいなと思っています」

↑新宿ウイスキーサロンでは、ウイスキー30mlと軟水45ml、そして氷を1つシェイカーに入れ、5回シェイキングした水割りウイスキーを提案。シェイクすることで、舌触りがスムースでシルキーになり飲みやすさもアップ。ジャパニーズ・ハンドメイドグラス「咲グラス-Saki Glass-」で提供している。

 

3.食とのペアリングを楽しむ「ウイスキラシカwhisky-laschka」

ウイスキーをストレートで飲むためのトリガーとして、静谷さんが提案しているのが「ウイスキラシカwhisky-laschka」という楽しみ方です。

 

「『ニコラシカ』というカクテルがあるのですが、これは本来ブランデーのストレートに輪切りにしたレモン、砂糖を添えたもの。レモンと共に砂糖を口の中で噛んでから、ブランデーを流し込み、口の中でつくるシューターカクテルです。そのウイスキーバージョンとしてお出ししているものを『ウイスキラシカ』と呼んでいます」

↑口の中で食とのマリアージュを楽しむ「ウイスキラシカwhisky-laschka」。静谷さんは、マスター・オブ・ウイスキーとして各ウイスキーの個性を存分に生かすペアリングを提案している。

 

「ウイスキーにはそれぞれ個性がありますので、それに合う料理も無限にあると思っています。例えば、『グレングラント アルボラリス』というスコッチウイスキー。シトラスやミント、リンゴの風味があるウイスキーなので、その風味に似た柚子、香り豊かなトリュフ塩、爽快なミント、アクセントとなるスイートピクルスを添えたペアリングを提案しています。食とのマリアージュを是非楽しんでほしいです」

 

4.ストレートは、グラスにもこだわりを

↑静谷さんが開発した「咲グラス-Saki Glass-」。ウイスキーの蒸留器の形を参考に、日本の職人が手吹きでつくり上げたハンドメイドのグラス。このグラスで飲むことによって、アルコール感がやわらぎ、口当たりもまろやかに、そして香りが咲き誇る。

 

「ストレートでウイスキーを楽しむ際は、グラスにもこだわりたいところ。とくに最高のジャパニーズ・ウイスキーには、最高のジャパニーズグラスで楽しむのはいかがでしょうか。ワインに、ボルドー型、ブルゴーニュ型など、それぞれのワインを楽しむグラスがあるように、ウイスキーに応じたグラスがあってもいいと思うんです。同じストレートでも、グラスによって味わいや香りは大きく変わるということを知ってほしい……その思いを形にしようと新たにグラスを開発しました。今後もさまざまなグラスを開発していきたいと考えていますので、興味がある方はぜひチェックしていただけるとうれしいです」

 

日本各地の魅力が詰まったジャパニーズ・ウイスキー

最後に、静谷さんが思うジャパニーズ・ウイスキーの魅力を教えていただきました。

 

「やはりジャパニーズ・ウイスキー最大の魅力は、マスターブレンターのブレンド技術の高さ。さまざまな原酒を織り成す技術は、世界で最も卓越しているのではないかと思います。そして、本場スコットランドの気候に近い北海道でつくるウイスキーもあれば、長濱蒸溜所のようにトンネルの中で寝かせるものもある。ありとあらゆるロケーションで生まれる個性豊かなウイスキーを楽しむことができるのは、ジャパニーズ・ウイスキーの魅力だと思います。

 

コロナの感染状況がさらに落ち着けば、その魅力を存分に感じることのできる『ジャパニーズ・ウイスキーツーリズム』が生まれるのではないでしょうか。各地の蒸留所で試飲をして楽しみ、近くの観光地を巡るのも面白そうです。ぜひ、これからのジャパニーズ・ウイスキーにも注目してみてください」

 

プロフィール

バーテンダー / 静谷和典

東京新宿にて「新宿ウイスキーサロン」と「BAR LIVET」の2店舗を経営するオーナー・バーテンダー。2019 年に、ウイスキー文化研究所が認定する最難関資格「マスター・オブ・ウイスキー」を史上最年少で取得。その後も、ウイスキー検定 3 階級全国 1 位や、カクテルコンペティション2021年の日本チャンピオンなど輝かしい成績をおさめる。現在は、「バーテンダーしずたにえん」として、SNSで幅広く活躍中。TikTokやYouTube、InstagramなどSNSの総フォロワー数は50万人オーバー。
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BAR 新宿ウイスキーサロン

所在地=東京都新宿区新宿3-12-1 佐藤ビル 3F
TEL=03-3353-5888
営業時間=18:00〜26:00
不定休

 

BAR LIVET

所在地=東京都新宿区新宿3-6-3 ISビル4F
TEL=03-6273-2655
営業時間=18:00〜26:00
不定休

百年を超える醸造技術を注ぎ込んだRTD集大成ブランド「麒麟百年」誕生! キリンビール「麒麟百年極み檸檬サワー」

キリンビールは、同社で受け継がれてきた、百年を超える醸造技術(酵母発酵)を惜しみなく注いで完成した「麒麟百年極み檸檬サワー」(350ml缶、500ml缶)を、4月4日に発売しました。価格はオープン。

 

また、同日より、俳優の西島秀俊さんを起用した新TVCM「麒麟百年極み檸檬サワー百年の道のり」篇を全国で放映しています。

 

同商品は、キリングループが強みとしている発酵技術を生かして、同社初となるビール酵母で発酵させた芳醇なレモン果汁を一部使用。皮ごと搾ったレモン果汁など複数のレモン果汁を組み合わせ、同商品独自の鮮烈な香りとうまみ、なめらかな口当たりを味わえます。

 

ビールの泡にヒントを得て、同社独自の製法により、きめ細やかで繊細な泡立ちを付与。なめらかな口当たりとぎゅっと詰まったレモンの香り立ちが特徴。同商品の味覚特徴について、同社は「発泡性アルコール飲料で、『炭酸による刺激感や爽快感が抑制されたまろやかな口当たり』と、『柑橘香の良好な香り立ち』を両立する技術」として、特許出願中です。

 

パッケージは、同社の百年を超える歴史と技術に基づく、お酒としての正統性と圧倒的なおいしさを感じてもらえるような思いが込められたデザインに。「キリンビール」誕生初期の、1888年ラベルと1889年ラベルにインスピレーションを受けた「聖獣麒麟」マークに、切子柄をモチーフにしたデザインを合わせて、ものづくりの原点である丁寧さ、サワーならではの爽快感が感じられるパッケージに仕上げています。商品名の「麒麟百年極み檸檬サワー」は、1907年の創業以来同社が百年以上培ってきた、おいしいビールづくりの技術と知見の結集であることが込められています。

手間ひまかけた「トリプルデコクション製法」採用! サントリーから新しい“生”「サントリー生ビール」発売

サントリーは、「サントリー生ビール」を4月4日から全国で新発売します。

↑「サントリー生ビール」350ml(左)、500ml(右)

 

中味は、厳選された麦芽に加え、コーングリッツを一部使用し、糖化工程において仕込釜で麦汁を煮出す「デコクション」を3回実施する「トリプルデコクション製法」を採用。「グッとくる飲みごたえと、かつてない飲みやすさ」を特徴としています。

 

パッケージは、ビール樽をモチーフに、商品名である「サントリー生ビール」を中央に堂々と配し、上部にサントリーのコーポレートロゴを大胆にあしらったデザインに仕上げています。

「浄酎(じょうちゅう)」って何だ? 日本酒でも焼酎でもない第三の和酒を広島に訪ねたら味も構想も驚きの連続だった

最近注目されているのが、日本酒の製造技術をベースに、コメを原料とした新しいジャンルの和酒をつくりだすムーブメント。なかでも常にお酒のトレンドを追いかける筆者が個人的に興味を抱いているのが、「浄酎(じょうちゅう)」です。

 

注目の理由は、まったく新しい特許技術で生み出された、日本酒でも焼酎でもない第三の和酒だから。そこで今回は「浄酎」のつくり手であるスタートアップ、ナオライの浄溜所を取材。製造現場紹介や味わいのレビューはもちろん、代表者にインタビューして開発意図や背景、展望なども伺いました。

 

↑「浄酎」の商品は数種があり、手始めに最適なのが3種飲み比べセット。180mlが3本5980円(税込)で販売されています

 

「低温浄溜」により高アルでボディ豊かな「浄酎」を実現

「浄酎」が日本酒でも焼酎でもない理由は、製法にあります。簡単に説明すると、コメを発酵させたもろみを搾れば日本酒、もろみを蒸溜すれば米焼酎になるのですが、「浄酎」では日本酒を原料にして蒸溜。しかも、かつては難しかった超低温で蒸溜していることも大きな特徴です。

↑ナオライの神石高原(じんせきこうげん)浄溜所。広島の福山駅から車で約50分の神石高原町、その役場からすぐの場所にあり、写真はかつて造り酒屋の蔵だった建物です

 

蒸溜とは水の沸点(100℃)とアルコールの沸点(78℃)の温度差を利用し、沸点の低いアルコールから気化した蒸気の雫を抽出する手法です。これまでも、技術としては蒸溜器内の気圧を下げることで低温沸騰させる「減圧蒸溜」という手法(クリアで軽やかな味になる)はありましたが、その温度は40~50℃が一般的でした。

 

そこを「ナオライ」では、さらに低い気圧での沸騰を可能にして、39℃以下で抽出する「低温浄溜」という技術で特許も取得。これにより、繊細な日本酒のうまみや香りを損なうことなく、高アルコールで凝縮感のある豊かなボディの和酒を実現したのです。

↑独自開発の浄溜器で抽出された「浄酎」の原酒。うっすらと色が付いているのは、原料となる日本酒のコメをあえて極力磨かずに使っているから(磨かない理由は後述)

 

新たな生業を生む「浄酎」の画期的なビジネスモデル

実に画期的な「低温浄溜」ですが、この技術はあくまでも日本の酒づくりを再生・活性化させるための手段だったと、ナオライ代表の三宅紘一郎さんは言います。その背景には、「日本酒業界の未来をより明るくしたい」「蔵元はもちろん米農家も含め、日本酒づくりをサスティナブルなものにしたい」という思いがありました。そのために一念発起したのが、時間が経つほど価値が高まり、洋酒のように世界中で評価される和酒の開発です。

↑ナオライの代表取締役、三宅紘一郎さん。同社を2015年に創業し、浄溜所は2019年に設立。「浄酎」は2020年に誕生しました。社名は、神事の後に奉納したお酒を一同で飲み交わす「直会(なおらい)」が由来

 

三宅さんは広島・呉の、酒蔵関係者が多い家系の生まれ。そのつながりもあって日本酒に興味をもち、大学卒業後は9年間を中国で過ごし、現地で日本酒の販売などに携わっていました。そこで感じたのがビジネスモデルやブランディングの大切さ。同時に日本国内で日本酒の市場が縮小しつつある現状を変えたいという思いを抱き、帰国しナオライを起業したのです。

 

「海外に目を向ければ日本酒はすでに一定の評価を得ていますし、今後いっそう人気は高まるでしょう。ただ、輸出などで販路拡大ができているのは潤沢な資本がある大手や、天才的な杜氏や優れたマーケターがいる蔵元ばかりです」(三宅さん)

 

「浄酎」は、樽熟成によって香りや味の深みが多彩であることも特徴(一部クリアなノンエイジもあり)。日本酒にも熟成酒はありますが、三宅さんは「熟成古酒も日本酒がもつ素晴らしい価値です。しかし日本酒は水分の割合が多くピュアなため傷みやすく、樽での長期熟成には不向きといえるでしょう。そのため古酒といえば瓶詰後の熟成となりますが、高品質な味を狙ってつくることは非常に難しい」と言います。

 

「つまり、高品質な熟成古酒をつくるためには冷蔵での温度管理など、高い技術や設備投資が必要不可欠。味の方向性を設計し、安定生産していくことは現実的ではありません。こうした面からも、地元を中心に愛されている各地の老舗酒造は販路を拡大することが難しく、課題が多いと思います」(三宅さん)

 

事実、国内全体でみると日本酒の蔵元は毎年徐々に廃業しており、2000年には1977あった製造業者が、2017年には1371に減少(出典:清酒製造業の概況/国税庁)。直接的な背景には後継者不足があり、間接的には国内の人口減に伴う飲み手の減少や、日本酒以外のお酒の選択肢が増えるとともに消費者の嗜好が多様化しているという側面もあります。

 

「当社は広島の三角島(みかどじま)で、果樹の栽培から手掛けるスパークリングレモン酒『MIKADO LEMON』の企画販売でスタートしました。商品企画を通じて加工技術を覚えていくなかで様々な人との出会いがあり、『低温浄溜』の基幹技術に出合ったのが『浄酎』誕生のきっかけです」(三宅さん)

↑「MIKADO LEMON」(後列のボトル)。純米大吟醸酒と三角島のレモンで造られたスパークリング酒です

 

「浄酎」は、ベースとなる日本酒を造ってもらえばもらうほど、その蔵元が潤うお酒。また、樽熟成により味の個性が多様に広がり、時が経っても味の劣化がないうえ、むしろ時間が経つほどに価値は高まります。

↑こちらが「浄酎」のベースとなる特注の純米酒。精米具合90~95%と、ほとんど磨かない玄米のようなコメなので、糠(ぬか)層部分の色が付きます

 

ナオライは、このビジネスモデルごと販売していくことを計画中。現在は地元広島の4酒造、島根の1酒造と提携していますが、さらに四国や東北の酒造とも提携を進めているとか。「ゆくゆくは国内にある半数以上の日本酒蔵元と連携し、全都道府県に計47の『浄酎』生産拠点を設立したいと考えています」と、三宅さんは目を輝かせます。

 

そんな「浄酎」はどんな味わいなのか。神石高原浄溜所内の樽貯蔵庫に案内してもらい、そこでタイプの異なる「浄酎」を数種テイスティングさせてもらいました。

 

 

ウイスキーよりたおやかで、米焼酎とも違うたくましい味

↑かつて160年以上稼働していた酒造の施設を一部リノベーションし、約半分を熟成樽の貯蔵庫として利用しています

 

浄溜所がある神石高原は標高が約400~500メートルあり、夏でも30℃を超えることは珍しく、冬は-5℃まで冷え込み積雪も珍しくない地域。冷涼で、「浄酎」の樽熟成には最適な環境だと三宅さんは言います。樽はすべて新樽で、メインがアメリカンホワイトオークとミズナラ。1本だけ桜の樽もありました。

↑鉄ではなく木のレールの上に樽を置く、ウイスキーのダンネージ式に近い手法で熟成されています

 

まずはスタンダードの「浄酎 -Purified Spirit 金紙垂(きんしで) アメリカンホワイトオーク樽熟成」からテイスティング。アルコール度数は41%ですが、ナオライでは度数の調整にマザーウォーター(仕込み水)ではなく、「低温浄溜」した際に分離する純米酒由来のアミノ酸エキスで行うのも特徴です(詳細は後述)。

↑熟成の深さは約3年。アメリカンホワイトオーク樽ならではの、しっかりした色味が付いています

 

味わいは、想像以上にウイスキーを思わせるバニラ香が印象的。とはいえ飲み口はウイスキーよりたおやかで、米焼酎とも違うたくましさは、熟成やアルコール度数の高さによるものでしょう。そして、ほんのり甘くピュアなニュアンスは純米酒由来でしょうか。広島名物の料理で合わせるなら、カキの燻製やバター炒めがよく合うと思います。

 

次はレモンも手掛けるナオライならではの銘柄「琥珀浄酎 -Sake Zest Spirit アメリカンホワイトオーク樽熟成」を。少量のレモンピールを一定期間漬け込んだ「浄酎」で、柑橘の酸味や苦みではなく、香りとしてのレモンが溶け込んだ味わい。

↑「浄酎」のなめらかな甘みに、レモンの爽やかな香りが調和。ソーダ割りが合いそうな飲み口で、ペアリングは同じカキでも生ガキがよさそう。チョコレートにもマッチするでしょう

 

最後は「浄酎 -Purified Spirit 金紙垂 ミズナラ樽熟成」。ミズナラは日本が誇る木材で、希少かつデリケートなので特別なフィニッシュ(樽熟成のこと)に用いられることがほとんどです。飲んでみると、よりクリアなタッチと伽羅(きゃら)や白檀(びゃくだん)のようなオリエンタルなニュアンスが絶妙。

↑「浄酎」の甘やかさのなかに、どこかアーシーなハーバル感が漂う味。広島珍味のせんじ肉(干しホルモン)や、もみじ饅頭、はっさく大福といった和菓子も合いそうです

 

酒もコメも自然を生かした伝統製法に回帰したい

ナオライの理念についてうかがうなかで、三宅さんが「酒づくりの原点に回帰したい」とおっしゃったのが印象的でした。

 

「大昔は農薬もステンレスタンクもありませんよね。コメだってそこまで磨けませんし、手作業でコメとこうじを潰す山卸しによる生酛(きもと)造りが当然だったはず。生酛ではない山廃酛(やまはいもと)や速醸酛(そくじょうもと)も、それぞれ理にかなった製法ですが、『浄酎』はなるべく伝統的な技で醸された日本酒でつくりたいというのが私の思いです」(三宅さん)

↑良くも悪くも近代化によって生産者の環境が変化した状況は、日本酒と米農家とでよく似ていると三宅さん

 

醸し方と同様に三宅さんが重視するのは、コメ作りと精米歩合。そこにも、伝統農法に回帰したいという思いが込められています。

 

「科学技術が出てくる前は無農薬栽培です。ただし効率が悪いですから、現代のフルオーガニック米農家は全体の1%以下まで減ってしまいました。だからこそ私はここに価値を求め、自然にも人にもやさしい無農薬の有機米で『浄酎』をつくり広げることで、地球も一次産業もサステナブルにしていきたいと思っています」(三宅さん)

 

ナオライが使用するコメは、地元・神石高原町のオーガニック農園タナベ・マリモファーム産。品種も、通常の日本酒ほど磨く必要がないなどの理由から、酒米ではなく食用米の「あきだわら」や「つきあかり」などを使用しています。

 

「『あきだわら』はコシヒカリに近いおいしさであるうえ、雨風への耐性に優れた品種。なるべく食品ロスを出さないことにもこだわっており、磨かない理由のひとつもロスを出さないためです。磨かなければ殻などが出ませんし、何よりアミノ酸など栄養価も豊富。熟成に重きを置いた『浄酎』の場合、磨かないコメのほうがうまみやコクも豊かで適していると考えています」(三宅さん)

 

コメをほとんど磨かない理由はほかにもあります。日本酒を「低温浄溜」した際に「浄酎」とともに分離される液体は前述のアミノ酸エキスですが、豊かなアミノ酸はコメを磨かないからこその賜物。また、エキスは「浄酎」の割り水に使うだけではなく、ヘルスサイエンスにも活用するべく模索しているとか。

 

「実は立命館大学と共同研究しながら、化粧品の原料や酵素ドリンクなどの発酵食として実用化に向けた研究を進めています。和食の伝統調味料に、煮切った日本酒に梅酢やだしを加えた『煎り酒』があるのですが、こうした商品としても活用できると思いますし、『浄酎』の副産物であるアミノ酸エキスには期待できる要素がたくさんあります」(三宅さん)

↑ナオライのプロダクトは授賞歴も多々。右の方は、神石高原町出身で、浄溜所の立ち上げ時から参画している浄酎生産マネージャーの松井咲樹さん

 

冒頭で触れた“新たな和酒”ですが、2022年にはスタートアップの有志によりクラフトサケブリュワリー協会が設立。若手を中心に盛り上がっていますが、いまのところナオライは協会に所属していません。それは、同社の事業が自社の商品展開以上に、地方の老舗蔵や米農家の活性化を重視しているからではないかと筆者は感じました。

 

「多くの和酒スタートアップは同志ですし、親しい方もいます。『浄酎』もクラフトサケといわれれば、そうなんだと思いますけど、とにかくいまは自分たちのことで精一杯で。手段はちょっと違うかもしれませんけど、日本の酒業界を盛り上げるという思いは一緒ですから、ともに切磋琢磨していきたいですね」(三宅さん)

 

「浄酎」の販売先を聞くと、オンライン以外では広島市内の酒販店や地元の道の駅など、東京では銀座の「ひろしまブランドショップTAU」で通年販売していると教えてくれました。聞けば中国やシンガポールに輸出もしているそうで、今後の販路拡大にも注目です。

↑神石高原町の「道の駅 さんわ 182ステーション」にて。特設コーナーに「浄酎」がズラリ

 

ビジネスモデルも画期的ですが、味わいも実に斬新で芳醇な「浄酎」。銀座や広島を訪れる際はぜひチェックし、晩酌用や手土産としてゲットしてはいかがでしょうか。

「強炭酸チューハイ」をつくるディスペンサーの秘密に迫る噺

意外と知らない焼酎の噺12

『古典酒場』編集長の倉嶋紀和子さんがナビゲーターとなって探っていく「意外と知らない焼酎の噺」。前回までは「ホッピー」「ハイサワー」「ホイス」「バイス」と「割り材」についてじっくり深掘りしてきました。

 

今回は、チューハイには欠かせない「炭酸水(以下は略して炭酸)」。しかも「強炭酸」を作り出す「チューハイディスペンサー」について、倉嶋さんがディスペンサーの製造販売を手がける株式会社ニットク(東京都小平市)にお邪魔してお話を伺います。

 

島田昭(左)/様々な飲料ディスペンサー(サーバー)の製造販売を行う株式会社ニットクの専務取締役
倉嶋紀和子(右)/雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名。令和4年(2022年度)「酒サムライ」の称号を叙任

 

 

「強炭酸チューハイ」が作れるディスペンサーとは

倉嶋 島田専務、今日はよろしくお願いします。まずは、ディスペンサーとはなんぞやというところから教えてください。

 

島田 はい。ディスペンスは「出す・配る」といった意味で、ドリンクを供給する機械。供給ですから、サーバーとも言いますよね。業界では冷・温とあるのですが、当社は冷やす方に特化したメーカーでして、コールドドリンクのディスペンサーはほとんど取り揃えております。

 

 

倉嶋 なるほど。ディスペンサーの基本的な仕組みはどうなっているんですか?

 

島田 チューハイのディスペンサーは、炭酸ガスと浄水器を接続し、機械の中で混合して炭酸を作ります。つまり、ディスペンサー内のタンクに給水しながら炭酸ガスと混ぜ、冷却装置を介した管に通して炭酸を注出する仕組みになっています。ノズル部分で焼酎と炭酸を混合してチューハイができあがります。

 

チューハイ用のディスペンサー。機械とは別に、炭酸ガス、浄水器、焼酎が必要

 

倉嶋 それでは、ニットクさんのこだわりである「強炭酸」にするためのディスペンサーにはどんなポイントがあるか教えてください?

 

島田 大前提として液体は冷たい方がガスも溶けやすく、逃げにくい性質をもっているので、できるだけ低温で炭酸を作るようにします。そのうえで私たちは、炭酸ガスが逃げないような工夫を随所に施しています。例えば冷却させるための管ですが、これは長ければより冷えるのかというとそうでもありません。

 

倉嶋 そうなんですね!

 

島田 ですから、ガス圧と長さのバランスが大切なんですよね。そして、もうひとつ重要なのがノズル。注出部の先端では、あえてゆっくり流れるように絞るためのパーツを組み込んでいます。

 

倉嶋 なるほど。出る勢いが強すぎると、炭酸ガスも逃げてしまうと。

 

島田 はい。見た目では強そうですけど、勢いよく出ていると同時に炭酸も抜けているんです。このノズル部分は、当社の命といってもいい特許技術が含まれています。名称としては、その形から「ドングリ」と呼んでいます。

独自技術がつまっているノズル部分(キャップを外しています)

 

倉嶋 おお、この注出先端部のパーツが「ドングリ」ですか!

 

島田 炭酸はきわめてデリケートで、ガス圧を効かせるとそのぶん逃げるのも早くなります。ですから強く効かせることはもちろん、ガスができるだけ逃げないような工夫をしているのが当社のディスペンサーというわけです。

 

倉嶋 ガス圧を強く効かせるということですが、製品の方で圧力の強弱を変えることはできるんですか?

 

島田 飲食店さんの方で調整する場合ですよね。残念ながら炭酸のガス圧は変更できません。ただ、炭酸をより効かせるための重要なポイントがあるので、実際にディスペンサーを操作して、炭酸の強弱の違いを確かめたり、チューハイを作ったりしてみましょう。

 

倉嶋 待ってました! お願いします。

 

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注ぎたての「強炭酸チューハイ」を飲んでパワーをチェック

島田 先ほど強炭酸を作る要領について説明いたしましたが、もうひとつガスが抜けないようにするための秘訣があるんです。まずはそれからご体験ください。

 

倉嶋 秘訣ですか?

 

島田 はい。ズバリ、注ぎ方です。ゆっくり出す方がガスも逃げないとお話ししましたが、注ぎ方も同様。やさしく注ぐことで、より圧力の強いダイナミックな炭酸が楽しめるんです。まずはやさしく注いだものからどうぞ。

注ぎ口をグラスに付け、氷に当たらないように傾けながら静かに注ぐと、強炭酸が維持される

 

倉嶋 ホントだ! 炭酸が踊っていて、ノドへの刺激もバチバチ来ます。これはおいしい!

 

島田 よかったです。では、次はドバッと落下させるように勢いよく出しますね。見た目はこちらの方がパワフルですが、飲んでいただくとどうでしょう?

 

倉嶋 あぁ確かに! 先ほどのより、キック(炭酸がよく効いている)がおとなしいです。

 

島田 ですよね。当社でもこうした形で飲食店さんにアドバイスをしておりまして、実際に飲み比べていただくと違いに驚かれます。では次は倉嶋さんご自身で、焼酎が混ざった状態のチューハイで試してみてください。

 

倉嶋 喜んで! レバーは前後左右に動くんですね。

 

島田 はい。左に動かして、レバーを後ろに倒すと「焼酎」だけが出ます。一方、右に引っ張って後ろに倒すと「炭酸」だけが出て、手前に引くと焼酎と炭酸が混ざった「チューハイ」が出る仕様です。

 

倉嶋 やってみます。チューハイを氷に当てないことも、ガスを逃がさないコツですよね。

 

島田 さすが、その通りです。氷に当てるとどうしても表面で泡になりやすく、その際にガスが抜けてしまうので、なるべく氷を避けてやさしく注いでください。

 

倉嶋 ではいただきます……あー、ノド越しが抜群! シュワッとして気持ちイイです。注ぎ方でここまで変わるとはビックリ。泡の見た目も爽快ですし、チューハイの味も抜群においしいです!

 

 

島田 実感いただけてよかったです。私も強炭酸が好きで、お店で飲むチューハイも強ければ強いほど嬉しいですね。試していただいた注ぎ方でガス圧がしっかり強くておいしい「強炭酸チューハイ」を、どんどん広げていきたいと思っています。

 

倉嶋 ちなみに、例えばチューハイのアルコール度数が8%だったとしましょう。ベースの焼酎の度数が高くて濃い方が、割る炭酸の量は多くなりますよね。ということは、度数の高い焼酎で作ったチューハイの方がオススメなんですか?

 

島田 鋭いですね、その通りです。例えばディスペンサーにつなぐ焼酎のアルコール度数が25%と35%とでは、その機械の調整にもよりますが、同じ8%で注出するのであれば35%の方が焼酎の量は少ない。そのぶん炭酸の量は多くなるので、ガス圧も強くなります。

 

日本におけるディスペンサーのパイオニアがニットク

倉嶋 それでは、あらためてニットクさんの歴史を教えてください。

 

島田 1955(昭和30)年に有限会社五月商会として営業を開始し、当時は飲料水製造機のメンテナンスが事業の柱でした。2年後の1957(昭和32)年に日本特殊鋼器株式会社へ組織変更。やがてドライアイスを使用して炭酸を作る製法特許を取得するなど、事業を展開してまいりました。

 

倉嶋 当初はドライアイスで作っていたんですね!

 

島田 高度経済成長期でもあった1957年当時は、サラリーマンを中心にウイスキーハイボールが流行していた時期。ただ、当時の炭酸はびん入りがほとんどで、課題もあったそうです。

 

倉嶋 びんの課題ですか?

 

島田 ひとつが価格の高さで、もうひとつは大量にびんを冷やさなければならないこと。そしてびんのフタ。開栓してしまったら、早めに使い切らないと無駄になっちゃいますよね。ガスが抜けておいしくなくなっちゃいますし。

 

倉嶋 なるほど!

 

島田 そこで、当社の前会長が現役時代にいろんなお店を回って各店の声を拾い上げ、大量に安く炭酸を供給するために発明したのがドライアイス式の炭酸製造装置でした。こちらになります。

ドライアイス式の炭酸製造装置

 

倉嶋 マシン自体はなんだか可愛いらしいですね!

 

島田 仕組みはシンプルで、まずは20リットルの水を入れてドライアイスは100グラム入れます。フタをしたら100回以上左右に振らないといけなかったのですが、当時はもう画期的で。ホースをつないで炭酸を出す手法で、バーや喫茶店などに測り売りで提供したという記録が残っています。

 

倉嶋 ディスペンサー型炭酸のはじまりですよね。そしてこの最初のヒットが、のちの名機へつながっていくと?

 

島田 そうですね。次第に機械的な手法で何か作れないかということで、新たな炭酸製造装置の「ソーダミル」や、ドリンクを素早く効率的に冷却できる「コールドプレート」を開発し、国内で最初に製造販売を開始しました。

 

工場にて。熟練の技術で部品を組み立て、現在はディスペンサーをひとりで1日平均4台ほど製造

 

倉嶋 そしてチューハイをはじめ、様々なディスペンサーを手掛けていくわけですね。

 

島田 はい。チューハイのディスペンサーを国内で最初に製造販売したのも当社となります。そして関西支社のほか各地に営業所も開設し、1984(昭和59)年に社名が現在の株式会社ニットクとなりました。

 

倉嶋 では、ディスペンサーを製造するうえで、注意するべきポイントとは?

 

島田 第一に衛生面、安全性です。お客様の口に入るものとなりますので、ここは絶対に譲れません。次に味ですが、私どもの場合、炭酸の強さや心地よさが譲れないポイントです。こうした部分は社内で抜き打ちテストも行い、お客様はもちろん飲食店さんの期待に応えられるよう努力しています。

 

倉嶋 なるほど、ありがとうございました。お話しを伺って、ディスペンサーと強炭酸について、とてもよくわかりました! ではこのあと実際に、リアルな「強炭酸チューハイ」を飲みにお店へ行ってきます!

 

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木場の「江戸っ子」で「強炭酸チューハイ」を楽しむ!

こうして「強炭酸チューハイ」を楽しむべく倉嶋さんが訪れたお店は、木場(東京都江東区)の老舗「江戸っ子」。山形県出身の初代が東京(江戸)に憧れ、1965(昭和40)年に創業。現在は生粋の“江戸っ子”であるお孫さん兄弟が二代目として継いだ大衆酒場です。

木場にある大衆酒場「江戸っ子」

 

ここで長年愛されているのが、アルコール度数35%の宝焼酎「純」をニットクの強炭酸ディスペンサーにつなげて作る「強炭酸チューハイ」。そのこだわりや人気メニューなどを、南 順也店主に伺いました。

店内の手描きのメニュ—でも、35%の宝焼酎「純」がイチオシ!

 

倉嶋 「江戸っ子」さんのチューハイはバキバキのガス圧と「純」ならではのコク深いうまみが効いていて、絶品です! まずは、この「強炭酸チューハイ」を提供している理由から教えてください。

 

 おいしいってのが大前提なんですけど、なによりおじいちゃん(先代)から受け継いだ宝物が35%の「純」を使ったチューハイなんです。2010年に僕ら兄弟が店を継いだのですが、それ以前からの常連さんにもたくさんのファンがいて、このチューハイなしでは考えられないですね。

 

倉嶋 ということは、ディスペンサーへのこだわりも相当ですよね。

 

 

 はい。あいつ(ディスペンサー)は僕らより先輩なんです。おじいちゃんの代からずっとあって、いつから使ってるかわからないくらい。でもすごく頑丈で、頼もしい存在です。こだわりかはわかりませんが、ポイントは掃除やメンテナンスを欠かさず行うことですかね。

 

倉嶋 では、チューハイを作る際のこだわりは何でしょうか。

 

 やっぱり味わいのキーとなる35%の「純」は欠かせません。あとは注ぐ際に泡が壊れないようにやさしく、氷に当てないように注ぐことですね。

左から「チューハイ」(400円)、「ミドルチューハイ」(550円)、「大チューハイ」(750円)

 

倉嶋 なるほど。たしかに『純』は11種類の樽貯蔵熟成酒を13%使用しているので、香り高く、芳醇で贅沢な味わいが際立ちますよね。私も宮崎県の高鍋(宝酒造「黒壁蔵」)に行って実際に体験してきたのでわかります。あと、3サイズあって、ミドルジョッキでも他店の大ぐらい入っていて、量も粋ですよね。

 

 何よりお客さんに喜んでほしいので、なみなみと注いでいます。ミドルとかのサイズは僕が増やしました。いろんなサイズでお客さんに飲んでほしいなと思って。「メガ純ハイ」って書かれたミドルジョッキは、渋いデザインも好評です。

 

【関連記事】
【意外と知らない焼酎の噺06】焼酎の味わいを決める「樽貯蔵熟成酒」について宮崎・高鍋で学ぶ噺

 

倉嶋 では、このチューハイに合うおつまみをお願いします!

 

 では、おじいちゃんの代から名物の「にこみ」や「焼き鳥」など、いくつかお出ししますね!

下から時計回りに、「にこみ」(480円)、「焼き鳥」(1本110円)、「のりチーズ」(250円)、「焼きそば」(550円)

 

倉嶋 「にこみ」は牛モツとこんにゃくだけのストロングスタイル。濃厚な味噌味のシンプルさも最高です。「焼き鳥」も白モツをはじめ、このチューハイにすごく合う味わいですね。

 

 うちの2大名物は、仕入れ先もレシピもずっと変えていません。「焼き鳥」のタレもずっと継ぎ足しで、古くからの常連さんも公認の味わいです。

 

倉嶋 ええ、タレは深みがあっておいしい!「 焼きそば」は水分少なめの表面カリッと香ばしい感じが、呑兵衛の心をくすぐります。「のりチーズ」は大葉が絶妙です!

 

 お口に合ってよかったです!

 

倉嶋 そして何よりチューハイが進む進む! ボリュームの大きなジョッキですけどスイスイ飲めちゃいます。「江戸っ子」さんで飲むなら、ミドルまたは大ジョッキで決まりですね。

 

お店で楽しむチューハイの知られざる一面、ディスペンサーにスポットを当てた本記事、いかがでしたでしょうか。次回の「意外と知らない焼酎の噺」もお楽しみに。

 

 

<取材協力>

江戸っ子

住所:東京都江東区東陽3-20-2 林ビル1階
営業時間:16:00~翌1:00、日曜16:00~22:00
定休日:月曜

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2023年2月17日)

 

撮影/我妻慶一

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎「純」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼
【意外と知らない焼酎の噺01】「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺
【意外と知らない焼酎の噺02】「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺
【意外と知らない焼酎の噺03】いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺
【意外と知らない焼酎の噺04】芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺
【意外と知らない焼酎の噺05】麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺
【意外と知らない焼酎の噺06】焼酎の味わいを決める「樽貯蔵熟成酒」について宮崎・高鍋で学ぶ噺
【意外と知らない焼酎の噺07】「チューハイ」ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺
【意外と知らない焼酎の噺08】ホッピーミーナが語る! 焼酎のベストパートナー「ホッピー」の噺
【意外と知らない焼酎の噺09】レモンサワー発祥の店「もつ焼き ばん」で語る、焼酎「割り材」の噺
【意外と知らない焼酎の噺10】一子相伝で受け継がれる“幻”の割り材「ホイス」の噺
【意外と知らない焼酎の噺11】東京生まれ、 大衆酒場で人気の個性派割り材「バイスサワー」の噺

 

この感動を体験すべし! クラフトビール「スプリングバレー」とコンビニグルメのペアリングが目からウロコのハマり具合だった!

Sponsored by キリンビール株式会社

こだわり抜いたおいしさなのにお手頃……そんな評判でクラフトビール人気をリードする「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」。しかも「食事との相性が抜群!」と聞き、実際どうなの? とGetNavi web編集長の私、山田佑樹がさまざまなコンビニグルメとペアリングして確かめてみました。

キリン

「スプリングバレー 豊潤<496>」
麦芽を「キリンラガービール」の約1.5倍、さらにホップを5種使用するなど素材を贅沢に使用。ホップを7日間漬け込む独自製法を活用し、豊潤な味わいとすっきりとした後味、ふわとろの泡を実現した。

「スプリングバレー シルクエール<白>」
小麦麦芽を使用し、無濾過で仕上げたにごりのある液色、きめ細かなふわとろの泡、まろやかな口当たり。ニュージーランド産の希少ホップを一部使用した、華やかな香りが特徴。

 

「スプリングバレー」を飲んでわかった4つの違い

「スプリングバレー 豊潤<496>」と「スプリングバレー シルクエール<白>」の両方をじっくり堪能して、特に印象的だと思った別格感は4つ。その違いを、ビールに詳しいフードアナリストの中山秀明さんにも、解説してもらいました。

↑左は、新商品レビューや生産現場のレポート、ブリュワーへのインタビューなどビールを題材に取材することが多く、ビールの最新事情に明るい中山さん。私、山田は冷蔵庫に常時缶や瓶をストックし晩酌に欠かさないビールラバーで、2023年はトレンドとしてもビールに注目しています

 

違い1.華やかな香り!

私がいつも飲んでいるビールと比べ、第一に違いを感じられるのが香り高さ。缶を開栓した瞬間にフルーティーなアロマが放たれ、グラスに注げばいっそう凝縮感豊かな芳香が広がります。

↑「シルクエール<白>」は、どこか白ワインを思わせる果実味も。ワイン同様、円を描くようにグラスを回す“スワリング”をしてまずは香りを楽しむべし

 

「『スプリングバレー』の香り高さは、ホップが大きく関係しています。例えば『豊潤<496>』なら上品な香味のIBUKI種など、『シルクエール<白>』なら白ワインのソーヴィニヨンブランを連想させるネルソンソーヴィン種など。これらを一部使用するとともに、ホップの香りを生かす独自の技術を用いることで、華やかで力強い香りを実現しています」(中山さん)

 

違い2.泡がふわとろできめ細かい!

シルキーでボリューミーな泡立ちにも驚かされました。これはグラスに注ぐことで、より堪能できそうです。注ぎ方にこだわれば、いっそうおいしさもアップ。オススメの注ぎ方は公式サイトでもくわしく解説されていますよ。

↑「豊潤<496>」は、最初に一瞬だけ勢いよく注いでたっぷりと泡を立てます。大きな泡が落ち着くまで待ち、グラスのフチに沿わせながらゆっくり注いでいくのがコツ

 

↑グラスで飲むと、いっそう香り、色、温度変化など、ビールの味わいを五感で楽しめます。専用グラスでなくとも、「スプリングバレー」を飲む際にはぜひグラスで味わいましょう

 

「『スプリングバレー』は泡立ちも段違い。ふわとろの泡はリッチな口当たりを演出するだけでなく、フタの役割をして優雅な香りや炭酸ガスを閉じ込める効果も。こうした泡のおいしさも、『スプリングバレー』の魅力です」(中山さん)

 

違い3.豊潤なのに後味はすっきり!

「スプリングバレー」を一口飲んでみてすぐ気づくのが、豊潤な味わい。麦のうまみが口いっぱいに広がります。とはいえ、けっして重たい感じはなく、後味もすっきりとしているので、飲み飽きない味わいとなっています。

↑豊潤な味わいの中に洗練された風味があり、余韻はすっきり。絶妙なバランスで仕上げられていることがわかります

 

「例えば『豊潤<496>』ならキリンラガーの1.5倍量の麦芽で厚みを持たせつつ、すっきりときれいな後味。一方の『シルクエール<白>』は、甘くやわらかな味にしつつ軽やかさをプラス。このような味の足し引きを適切なレベルで行うことで、エレガントかつ飲み飽きないおいしさに仕上げているのです」(中山さん)

 

違い4.クラフトビールらしい個性が食事と引き立て合う!

香り、泡立ち、コク深い味わい……どれも“いつものビール”との違いは明らかで、“クラフトビール”と銘打つだけのこだわりを感じさせるものでした。では食との相性は? ビールはやっぱりおいしい食事とともに楽しみたいけれど、個性が強いビールは食事とケンカしてしまうのでは……。それは杞憂でした。

 

「『スプリングバレー』は、実は食事と一緒に楽しむことでさらに魅力が際立ちます。それは、コク深さと爽快感が高いレベルで調和しているから。甘み、果実味、ビター感、酸味など多彩なニュアンスを持っており、さまざまな料理の味わい要素と結びついたり、または引き立たせたり。ペアリングの楽しみを盛り上げます」(中山さん)

 

続いて、今回山田が実際に試したフードペアリングをたっぷりと紹介します!

 

知っておくべし! ペアリングの3つの条件

スプリングバレーは、いったいどんな料理と合わせればいっそうおいしく感じられるのか? まずはフード選びの考え方を、中山さんに詳しく教えてもらいました。ヒントとなるのは、“3つの条件”だとか。

 

条件1.似た“色”同士を合わせる
濃い色の料理には濃い色のビール、逆に淡い色の料理には淡い色のビールが合うという法則。前者なら「豊潤<496>」が、後者なら「シルクエール<白>」が当てはまります。

条件2.似た“風味”同士を合わせる
味わいが個性豊かなクラフトビールは、銘柄ごとに甘み、苦味、果実味、酸味、塩味など多種多様な要素を持っています。その特性を、料理との共通点という観点から選んでみましょう。

条件3.異なる“風味”で互いを引き立たせる
例えば、甘酸っぱいソースのかかったフードにシャープな苦みのビールを合わせる。あるいは、クリームをたっぷり使ったスイーツに、ロースト香豊かなビールを合わせる、といった選び方。異なる風味同士だからこそ、互いの個性を引き立たせ合い、意外なおいしさが楽しめるのです。そして、このペアリングの妙がクラフトビールの面白さでもあるんですよ。

 

こうも合うとは! コンビニグルメとの王道&意外なペアリング 6選

今回はコンビニグルメとペアリング。バラエティが豊富かつお手頃なのはもちろん、昨今は味のクオリティが驚くほどハイレベル。上記の3条件を念頭に、「豊潤<496>」と「シルクエール<白>」のそれぞれと3品のコンビニフードを合わせ、ペアリングの妙味を体験してみました。

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」は香ばしさを持つ料理とドンピシャ

「豊潤<496>」は香ばしい麦のうまみや深いコク、華やかな香りや心地よい苦味などが調和しており、マッチするストライクゾーンがきわめて広いと感じました。そのなかでも香ばしさを持つ料理とドンピシャに合い、濃厚系やこってり系も大得意! また、甘じょっぱい味付けのフードや、チーズなどの乳製品ともよく合います。

 

■ 王道だけに満点の組み合わせ「マルゲリータピザ」

まずはマルゲリータピザ。ビールとピザは王道の組み合わせですが、いつものおいしさを格上げしてくれるのが「豊潤<496>」です。豊潤な味わいが、マルゲリータのチーズのコク、トマトソースの甘さと相性抜群!

 

■ 甘辛ソースに加わる複層的な味わいが絶品「チキン南蛮」

チキン南蛮は、鶏肉とタルタルソースがジューシーで甘辛な味わい。そこに「豊潤<496>」のうまみ、甘み、香ばしさ、酸味、苦味が加わって、多層のレイヤー感が絶品です。こちらも同様に、味わいが重なってはいるものの重たくはありません。次のひと口がまた食べたくなるおいしさです。

 

■ ほろ甘さと苦味の組み合わせが至福「フィナンシェ」

フィナンシェの甘みと「豊潤<496>」のマッチングは想像以上! しかも、フィナンシェならではの焦がしバターの香ばしさとほんのりとした甘さが、ホップの苦味と絡み合うことで至福のおいしさに。これは食後のエンタメ鑑賞タイムのお供にあると、より充実した時間へと彩ってくれるのではないでしょうか。

 

「スプリングバレー シルクエール<白>」は繊細な味わい、フルーティなフードと好相性

「シルクエール<白>」は、上品な甘みや酸味が印象的。一部使用したネルソンソーヴィンホップの華やかな香りや、爽やかでいてまろやかな飲み口も魅力で、こちらも食事と合うストライクゾーンはかなり広そうです。野菜や魚介などの繊細な料理、フルーティーな甘酸っぱさを持ったフードは特に好相性ではないでしょうか。

 

シルキーな飲み口がプリプリ食感と合う「海老マヨ」

いつも飲んでいるビールと定番中華の組み合わせもいいけど、「シルクエール<白>」と海老マヨの組み合わせは、ひと味違う! マヨの甘み・酸味が「シルクエール<白>」の甘み・酸味と絶妙にマッチ。シルキーな飲み口はマヨネーズと海老のプリプリ感とも合致します。

 

■ 爽やかな風味がフルーティな香味と出会う「青じそドレッシングサラダ」

青じそドレッシングサラダは、麦の甘みやフルーティーな香味の上に、和の表情を持った青じその爽やかさが加わり、春の草原を連想させる清々しい余韻が広がります。

 

■ ビールの風味と柑橘感が絶妙「レモンピール」

レモンピールは意外に思えますが、合わせてみると非常にマッチ。フルーティーさやほのかな酸味を持った「シルクエール<白>」の風味と、ほろ苦くて甘酸っぱいレモンピールの柑橘感は、凸凹ピースがピタッと合うかのよう。

 

スプリングバレー×コンビニグルメのペアリングを堪能するチャンス!

全国のセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンで引き換えられる「スプリングバレー」無料クーポンが当たるキャンペーンがスタート! 引き換え時、ぜひともコンビニグルメもピックアップして、あなたも思いもかけないフードペアリングと出会ってみてください。

 

商品についての問い合わせ先:キリンビール株式会社

 

撮影/湯浅立志

ビールにはなぜ「ホップ」が大切なのか?造り手が集う「官能評価会」でわかった理由

2023年は10月1日に酒税率が改正され、ビールの税額が下がり、新ジャンル(第3のビール)の税額がアップします(発泡酒は据え置き)。原材料の高騰などによる値上げがなければ、ビールは実質安くなります。安くなれば、色々な盛り上がりが期待できるというもの。

 

というわけで、注目度がアップするビールにフォーカスして、今回お伝えしたいのは「ビールの味わい」について。各地の造り手が、ビールの魅力を高めたり広めたりするために行っている活動例を紹介します。

↑訪れたのは、クラフトブルワーが中心に集まった官能評価会。取り組みの概要や、造り手たちの声をお届けします

 

クラフトビール全体の品質向上が狙い

本稿で紹介するビールの官能評価会は、キリンビール、スプリングバレーブルワリー、日本産ホップ推進委員会が実施しており、今回は代官山の「スプリングバレーブルワリー東京」で行われたもの。同店は「フレッシュホップフェスト2022」のメインイベント会場ともなり、参加したブルワリーの醸造家を中心に、各自がビールを持ち寄って開催されました。

↑この日は全国から約10社のブルワリーが参加

 

目的は、一同でそれぞれのビールを飲み比べ、相互評価したり意見を交換したりするなかで改善ポイントなどを洗い出し、クラフトビール全体の品質向上につなげるのが狙いです。

 

持ち寄ったビールは、やはりフレッシュホップビール。フレッシュホップとは読んで字のごとく新鮮なホップのことですが、通常のホップとの最大の違いは乾燥させない生(もしくは冷凍)のみずみずしい状態であることです。

↑ホップは非常に傷みやすいため、乾燥させ固めたペレット状で使うのが一般的

 

いわばフレッシュホップビールとは、日本酒でいえば新酒、ワインでいえばヌーヴォー。ビールは原材料や発酵方法などの違いで味も千差万別ですが、フレッシュホップという共通項を通して比べれば、より使い方や製法の学びになるというわけです。

 

ホップはある意味、麦以上に重要

ところで、「なぜ麦ではなくホップなの?」と思う方も少なくないでしょう。ビールの主原料は麦(麦芽)、ホップ、酵母、水。ものによってはフルーツやスパイスといった副原料なども使われますが、ホップは“ビールの魂”と呼ばれるほど味や香りを左右する素材で、麦以上に重要視するブルワーも少なくありません。

↑こちらが摘み取る前のホップ

 

特に近年のクラフトビールムーブメントは個性派ホップの影響が大きく、発信地であるアメリカでは新種の開発や品種改良がきわめて盛ん。日本でもホップの研究や、生産者を応援する活動が行われています。「フレッシュホップフェスト」や、今回の官能評価会もその一環といっていいでしょう。

↑各自が、好みだったビールのTOP3を挙げて理由を発表し合うシーンも。善し悪しを競うものではありませんが、知見や技術を高めるためにこうした意見交換も行われました

 

官能評価は各ブルワーの味覚による意見だけではなく、分析データを基にした定量的なレポートも合わせて行います。なお、この分析はキリンホールディングスの研究機関で行われており、知られているところでは、アルコール度数やIBU(国際苦味単位)、EBC(ビールの色度数)など。専門的な成分としては、pH(水素イオン濃度)、AE(外観エキス)、AAL(外観最終発酵度)などが数値化されていました。

↑データ解説は、ふだんキリンホールディングスの飲料未来研究所でホップの香気成分に関する研究などを行っている加野智槙(かのとものり)さん。水色のシャツの方で、醸造やドイツ留学も経験しています

 

各ブルワーも学びの多さに驚きの声が続出

今回のようなクラフトブルワーを集めた官能評価会は2021年に初めて試み好評だったため、2022年は規模を拡大して実施したとのこと。そこで、参加した造り手の何人かに感想などを聞いてみました。まずは京都・与謝野にある「かけはしブルーイング」の野村京平さんから。

 

「香りの成分が、ここまで数値化された分析結果を見たのは初めてで驚きました。一覧からほかのビールと比較できるのも興味深かったです。また、自分たちの狙ったポイントと近しいスコアもあればズレもあって、『やっぱそうだよな』とも感じた部分もあり、すごく学びになりました」(野村さん)

↑黒い帽子の方が野村さん

 

金沢文庫のブルワリー、「南横浜ビール研究所」の荒井昭一さんは「すごく参考になりますし、飲めば飲むほど聞きたいことが出てきます」と話します。

 

「まだ会の途中ですけど、すでに新たな知見が得られて感動しています。このまま分析を進めていけば、さらに面白いことがわかりそうな気がしますね。ある成分が突出しているブルワリーさんもいて、彼らがどんな製法で仕上げたのかも気になります。いろいろ聞いて、今後に生かしていきたいですね」(荒井さん)

↑左が「南横浜ビール研究所」の荒井さん。右は、次に紹介する「籠屋ブルワリー」の江上さん

 

東京、狛江市初のビール醸造所として知られる「籠屋ブルワリー」の江上裕士さんは、「今日参加して、日本産ホップが持つポテンシャルの高さをより実感しました!」と目を輝かせます。

 

「クラフトブルワリーのほとんどは少人数で醸造しているので、こうしてたくさんの意見が聞けるのは素晴らしい機会ですね。いくつかのヒントも得られ、今後の励みになりました。フレッシュホップビールは、いわば旬の味わい。素材が持つ旬のおいしさを、ビールでも届けてフレッシュホップを定着させていきたいと強く思います」(江上さん)

↑「フレッシュホップフェスト2022」では各地から計50のブルワリーが参加し、イベントを盛り上げました

 

ビールの発展には国内ホップの躍進が大切

官能評価会には、日本ビアジャーナリスト協会の代表であり、京都の与謝野でホップ栽培にも取り組む藤原ヒロユキさんも参加。ホップ生産者としての立場から感想を聞きました。

 

「僕が今日好きだったビールは、いい意味で青っぽさのあるタイプ。ある意味強すぎる香りのもあったけど、そこがフレッシュホップの面白さだとも思うんです。やっぱりフレッシュホップは、摘みたての生き生きとした香りを凝縮させないとね。生産者としても、ホップの魅力をビールに最大限生かしてほしいっていつも思ってます」(藤原さん)

↑国内クラフトビール伝道師の第一人者である藤原さん。いまは地元の前述「かけはしブルーイング」とも協力し合いながら業界を盛り上げています

 

日本が抱える大きな課題のひとつが少子高齢化。国内ホップ生産もビールの消費も伸び悩むことが懸念されていますが、藤原さんは「まあでも、品質やおいしさはもっと高められると思うし、ホップはまだまだできることがたくさんありますよ!」と力説します。

 

「ホップ栽培は、僕らみたいに農業を優先するタイプと、地域コミュニティとしての意味合いも兼ねて行う方々と、大きく分けるとこのふたつがあります。どちらも大切なんですけど、僕らはより品質と生産量を高め、そのぶんブルワーに使ってもらえるように頑張らないと。

 

つまりは質と量の向上。そして、限定品ではなく通年商品として使ってもらえるホップ作りを目指すべき。例えば年に1回の限定品だったら、10年で10回しか仕込めない。それでは、その商品に対するブルワーの経験値も上がりませんから。お互いに技術向上できるよう、コミュニケーションを密にしていくことも大事ですよね。僕も今日、たくさん意見交換したくてここに来ました。これからも、日本のビール発展のためにいろいろ仕掛けていきたいと思います」(藤原さん)

↑この日の評価対象となったフレッシュホップビールがズラリ。毎年秋口から発売されます

 

冒頭で述べた酒税改正は、2023年版のフレッシュホップビールが登場する時季に施行されます。新酒やヌーヴォーを楽しむように、今年はいっそうフレッシュホップビールに注目を!

 

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ビール復権の2023年、ビールに注力し続けてきたキリンが打ち出した策とは?

2023年のお酒トレンドでほぼ間違いないと予言できることは、「ビールの復権」。なぜなら、秋の酒税改正によりビールに追い風が吹く(ざっくり言うと、ビールが安くなる)からです。その見立てもあり、ビール大手が年初に行う発表会はどれもアツい内容でしたが、今回はキリンビールの事業方針発表記者会見の情報をもとに、商品周りの戦略を筆者の見解を踏まえてレポートします。

↑目玉施策のひとつがブランド力の強化。「一番搾り」と「スプリングバレー」シリーズを筆頭に、リニューアルなどを行いさらなる成長を目指すという

 

ブランドと人材を磨き、成長カテゴリーも強力プッシュ

2023年におけるキリンビールの戦略テーマは「ブランドと人材を磨き上げる」。「一番搾り」や「氷結」などボリュームゾーンの大きな商品はより強固に、「スプリングバレー」をはじめとするクラフトビールや自社のウイスキーなどは、新たな成長カテゴリーとして後押ししていくと打ち出されました。

↑キリンビールの堀口英樹代表取締役社長(右)と、山田雄一執行役員 マーケティング部長(左)

 

なお、お酒のカテゴリーとして追い風が吹くのはビールですが、「氷結」などの缶チューハイも引き続き伸長が見込まれるジャンルであり、ウイスキーもキリンビールが手掛ける「富士」や「陸」は、特に成長著しい銘柄です。

↑2022年の「氷結」ブランドは過去最高販売数量を更新。特に「氷結 無糖」は過去20年に発売したキリンブランド最速で5億本を突破するヒットに

 

なかでも具体的な施策が発表されたのは、やはりビールでした。ここでいう「ビール」とは、発泡酒や新ジャンル(第3のビール)ではないガチなビールのことを指しており、酒税改正で追い風が吹くのも、このガチなビールのことです(そのぶん発泡酒や新ジャンルは不利となります)。

 

どのように注力していくのか、詳しくレポートしていきましょう。まずは同社のフラッグシップ銘柄「キリン一番搾り生ビール」から。

 

主力銘柄を中心に、味とデザインが刷新される

「キリン一番搾り生ビール」は、近年では2017年、2019年、2021年とリニューアルを実施。ストレートに「おいしい」を訴求するコミュニケーションなども連動し、ビール離れがささやかれる昨今にあってもファンを増やしてきました。結果、直近の2021、2022年でも成長しているブランドです。そのうえで2023年もリニューアルが行われます。

↑リニューアルは、味とパッケージデザインともに行われる

 

味わいのポイントは、麦のうまみ向上と、仕込み工程の最適化。素材のポテンシャルを最大限に引き出すことで飲み飽きない味わいを実現し、さらに雑味や渋味を軽減することで、飲みやすい後味も実現したとか。

↑パッケージは右が進化版。ロゴやしずくが少し大きくなったり彩度が高められたり、全体の印象が明るくなったことで、よりおいしそうなデザインに

 

この新しい仕様へは、缶がこの1月から、ビンと生樽は2月製造品より順次切り替えられるとか。では次に、キリンのクラフトビールにおけるフラッグシップブランド「スプリングバレー」のポイントも紹介します。

↑左の豊潤<496>は味とパッケージが、右のシルクエール<白>は、パッケージがリニューアルされます

 

ビール離れといわれるなかでも、クラフトビールは全体的に好調なカテゴリー。かつては大型商品がなかったマーケットですが、2021年3月に「スプリングバレー 豊潤<496>」がデビューしたことで活性化され、以降の市場をけん引する存在となりました

↑パッケージは右のように刷新。シルクエール<白>も同様で、上部の3つのメダルをより大きく配し、ブランド名の印象が強く伝わるようにリニューアルされます

 

さらに2022年は9月に「スプリングバレー シルクエール<白>」が仲間入りし、クラフトビールカテゴリーの間口は過去最高水準に。とはいえ、クラフトビールの未飲消費者はまだ約4000万人いるそうで、2023年はさらなる認知と理解促進に向けて広告を売ったり、クラフトビールフェスを開催したり、家庭向けに「ホームタップ」・飲食店向けに「タップ・マルシェ」(後述)を展開するなど、包括的なアプローチをしていくそうです。

↑左が「ホームタップ」、右が「タップ・マルシェ」

 

また、厳密にはビールではないノンアルコールですが、この分野で注力していくビールテイストブランドが「キリン グリーンズフリー」。同銘柄は、2022年4月のリニューアル発売以降に販売数量が3800万本を突破し、前年同期比約2.7倍と、好調に推移しました。

 

また、自社のノンアルコール・ビールテイスト飲料商品と比較してノンアルビールを初めて飲む層や、しばらく飲んでいなかった層を多く獲得できており、カテゴリー全体の活性化に貢献したそうです。そこで2023年は前年比約2倍となる約210万ケースを目標に、中身とデザインリニューアルを実施する(1月製造品から順次切り替え)ほか、飲食店向けに336mlの小ビンが新発売されました。

↑デザインリニューアルと、小ビンはこの通り

 

「キリン グリーンズフリー」の販売強化により、ビールの代替として楽しむ消極的な飲用から、“リフレッシュしたい時に、飲み物の選択肢として好んで飲む”といった積極的な飲用のカテゴリーに進化させていくそうです。

 

個人的にはスプリングバレーの新作に期待!

個人的に今回の発表会で気になったのは、質疑応答時の「『スプリングバレー』ブランドの新フレーバー発売の可能性も模索している」との回答。というのも、「スプリングバレー」は缶としての銘柄は前述の豊潤<496>とシルクエール<白>のみですが、ビンでは黒ビールやフルーツビールなども展開されており、缶で商品化すること自体は難しくないはずなのです。

↑小瓶タイプの「スプリングバレー」は、キリン公式オンライン通販DRINXなどで販売中

 

なにはともあれ、まずは今春の各商品リニューアルに注目。そして本番となる、2023年10月1日の酒税改正に向けて、いっそうアツくなることでしょう。目が離せない2023年のビールシーン、GetNavi webでは今後も新商品発表などの際、積極的にレポートしていきます。

 

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フルボディから甘口スパークリングまで! カルディの自社ワイナリーから届いた新作ワインをテイスティング

カルディコーヒーファームは、世界中の美食に向けて以前からワインのセレクトにも注力している。バラエティの豊富さはピカイチで、世界から日本各地までのワインを豊富に取り揃えている。今回は、北海道・余市の「キャメルファームワイナリー」から届く新作ワインの味をチェックした。

※こちらは「GetNavi」 2023年1月号に掲載された記事を再編集したものです

 

私が試しました!

フードアナリスト

中山秀明さん

白の辛口好きだが、ワインの評価は甘口。カウンターカルチャーとしてのナチュラルワインに注目している。

 

【その1】やさしい甘さに酸味と渋みが調和した複雑で豊かな味

キャメルファームワイナリー

レンべルガー プライベートリザーブ 2021

4708円

熟したブラックベリーのような果実味と、樽由来のスモーキーさでクローブやバルサミコのようなニュアンス。口当たりはふくよかで、やや甘みがあり、心地良い酸味と渋みが調和した、複雑で豊かな味わいだ。

 

<テイスティング>花やスパイス感が肉料理とピッタリ

中重口で、果実感はクランベリーやチェリーのジャム、また、すみれのような花の要素も。ほど良くスパイシーで、肉料理とマッチ。カルディなら「牛タンシチュー」が合うと思います。

 

<ボディ>

軽め←☆☆☆★☆→重め

 

【その2】ボリューミーな余韻が続くリッチな味わいの白ワイン

キャメルファームワイナリー

ケルナー プライベートリザーブ 2021

4708円

ワイナリーを代表するぶどう品種「ケルナー」を使用。洋なしや白桃のような甘みに、ミントや柑橘の酸味と苦み、さらにほのかな樽香が心地良い。ボリューミーな余韻が長く続く、リッチなテイストに仕上がっている。

 

<テイスティング>果実味と苦みが魚介類と合いそう

華やかでエネルギッシュな果実味の奥に、グレープフルーツのような明るい爽快感とビター感があって美味。カルディなら「海老のアヒージョ ポルトガル風」と合わせたい!

 

<甘辛度>

甘口←☆☆☆☆★→辛口

 

【その3】爽やかな柑橘の香りが漂うやや甘口のスパークリング

キャメルファームワイナリー

ウニタ ドゥミ・セック 2021

3278円

「ウニタ」は団結などを意味するイタリア語で、本品はレンベルガーとレジェントの2品種を使用。レモンやグレープフルーツを思わせる爽やかな香りが華やぎ、味わいはあんずや梨、黄桃などの甘みと酸味を感じられる。

 

<テイスティング>濃厚な甘さにはクリームチーズを

柑橘系のライトな爽快感と、はちみつ的な甘みがマッチ。デザートワインにも使えそうな甘さで、おつまみはカルディで売っている「メロン&マンゴー クリームチーズ」が推しです。

 

<甘辛度>

甘口←☆★☆☆☆→辛口

 

【その4】白桃やミカンのような甘みとフレッシュな酸味がマッチ

キャメルファームワイナリー

レジェント ブリュット 2021

3278円

白桃やグレープフルーツなどのフルーティさに、ジャスミンを思わせる爽やかな香り。しっかりめのタッチで、白桃やミカンのような甘みとフレッシュな酸味が、繊細なミネラル感とマッチした心地良いスパークリングだ。

 

<テイスティング>酸味が良く揚げ物に最適

シャープでキリッとした酸味が効いており、しっかり冷やして飲みたいですね。カルディの「フライドチキンの素」で揚げた鶏肉や、生ハム、魚介マリネなどがマッチすると思います。

 

<甘辛度>

甘口←☆☆☆★☆→辛口

 

【その5】渋みや酸味が心地良く共鳴するリッチで高貴な中重口の赤

キャメルファームワイナリー

ピノ・ノワール プライベートリザーブ 2020

9680円

生き生きとした豊かな果実味が広がり、ほど良い滑らかな渋みと心地良い豊かな酸味やミネラル感が響き合う中重口の赤。アフターテイストが伸びやかに続くリッチさと、堂々としたエレガントさを併せ持った深みがある。

 

<テイスティング>豪華な甘みは濃厚な料理と

いちごや白桃を思わせる甘い香りの奥に、バラのような華やかさも。タンニンのウォッシュアウト効果もあり、カルディの包みピッツァ「カルツォーネ トマト&ベーコン」が合いそう。

 

<ボディ>

軽め←☆☆☆★☆→重め

 

【その6】ピノ・ノワールの魅力を生かしたエレガントな泡

キャメルファームワイナリー

キャメルブリュット メトド トラディショナル ブラン・ド・ノワール 2017

7238円

黒ぶどう品種のピノ・ノワールで造った、ブラン・ド・ノワール(黒の白)のスパークリング。ほど良い酸味に柑橘やフラワリーな果実感とはちみつのようなほのかな甘み、余韻には苦みも。ボディも豊かでエレガントな一本だ。

 

<テイスティング>上品な味わいでお祝いに最適

柑橘感の奥に、マンゴーやパインといった南国果実の高揚感があり、それらが上品にまとまっていてお祝いに良さそう。カルディの「【冷凍】イタリア ブッラータ」に生ハムを盛り合わせた冷菜などはいかが?

 

<甘辛度>

甘口←☆☆☆☆★→辛口

東京生まれ、 大衆酒場で人気の個性派割り材「バイスサワー」の噺

【意外と知らない焼酎の噺11】

 

『古典酒場』編集長の倉嶋紀和子さんがナビゲーターとなって探っていく「意外と知らない焼酎の噺」。これまで「ホッピー」「ハイサワー」「ホイス」と紹介してきた焼酎割り材企画の最後として、「バイス(正式名称:コダマバイスサワー)」にスポットを当てます。伺ったのは、製造元であるコダマ飲料。代表取締役の池澤友博社長を訪ねました。

 

池澤友博(左)/「バイス」をはじめ、全8種の「コダマサワー」を手掛ける株式会社コダマ飲料の二代目代表取締役社長
倉嶋紀和子(右)/雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名。令和4年(2022年度)「酒サムライ」の称号を叙任

 

 

「バイス」の名称には“幻の割り材”が関係していた

倉嶋 今日は「バイス」を中心に、コダマ飲料さんの歴史や商品についてお話を伺いたいと思います。「コダマサワー」における「バイス」は、比較的後発のフレーバーですか?

 

「バイス」。しそエキスによる爽やかな酸味と、どこか懐かしい味わいが特徴

 

池澤 はい。「コダマサワー」自体は1981(昭和56)年に「レモン」からスタ-トしました。1984(昭和59)年に5番目のフレーバーとして誕生したのが「バイス」です。創業は1958(昭和33)年で、最初はラムネのメーカーだったんです。会社もいまの大森(東京都大田区)に移ったのは1975(昭和50)年で、隣の蒲田(大田区)が創業の地ですね。

 

コダマ飲料本社

 

倉嶋 「レモン」もよく見かけますもんね。ほかにも「青りんご」や「うめ」など、バリエーションが豊富な印象です。

 

池澤 順番で言うと、「レモン」「うめ」「青りんご」「ライム」「バイス」。ほかにもいくつかフレーバーはあったのですが、いまは「グレープフルーツ」「巨峰」「ざくろ」を含む全8種です。

 

倉嶋 「バイス」という名称の由来については諸説耳にするのですが、実際はどうなのでしょう。梅酢の梅を音読みにして「バイス」にしたわけではないんですよね?

 

池澤 勘違いされるのですが、梅は香り付けに使っているだけで関係ありません。名称は、「ホイス」にあやかったんです。

 

倉嶋 そうなんですね! 実は先ほど、後藤商店(有限会社ジィ・ティ・ユー)さんから「ホイス」のお話も伺ってきました。

 

池澤 でしたら話は早い! 「ホイス」もおいしいですよね。うちが「コダマサワー」を発売するずっと前からあって、すごく人気が高かったんです。当時から後藤商店さんに当社の炭酸水を卸しているなどお付き合いもありましてね、「ホイス」みたいに売れたらいいなという願いを込めて、新発売時に「バイス」と名付けさせてもらいました。

 

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「バイス」ヒットの舞台裏

倉嶋 1984年にデビューしたとのことですが、反響はどうだったんですか?

 

池澤 それが、しばらくは今ほど人気じゃなかったんですよ。注目されはじめたのは、本当にここ数年の話で。

 

倉嶋 近年の大衆酒場ブームで発掘された名作ってことなんですね。私は熊本出身なのですが、上京して初めて「バイス」と出合い「乙女っぽい割り材で嬉しい!」と思いました。ピンク色で、どこか駄菓子屋さんにあるような可愛い雰囲気じゃないですか。

 

 

池澤 ありがとうございます。狙っていたわけではないんですけどね。途中から女性をターゲットにしたイメージ戦略で売り込むようにしました。

 

倉嶋 お店のジャンルですと、「バイス」はもつ焼き屋さんでよく見かける印象です。

 

池澤 業態も狙ったわけではないのですが、手ごたえを感じたのは「亀戸ホルモン」(本店:東京都江東区)さんでよく飲まれているという話を知人に教えてもらったときですね。それも、やっぱり女性に選んでいただくことが多いと。

 

倉嶋 ええ。あの色は、女性の呑兵衛なら絶対気になっちゃいますから。

 

池澤 でも、ネーミングにしろ色にしろ、インパクトがあったんでしょうね。おかげさまで「バイス」はうちの看板商品となりました。

 

 

倉嶋 「バイス」は全国で飲むことが出来るんですか?

 

池澤 東京のメーカーなので首都圏がメインで、地元の大田区を中心として東京の西部や埼玉、神奈川では発売当初からお世話になっているお店がかなりあります。ただ、割り材メーカーとしては後発なので、東京でも最初は苦戦しました。おかげさまで、現在は北海道から沖縄まで飲めるお店はあると思います。

 

倉嶋 全国的に広まり始めたのはここ10年ぐらいですか?

 

池澤 そうかもしれません。大衆酒場ブームだったり、全国誌への掲載だったり。あとはSNSの影響もあり、東京ローカルだった割り材が、少しずつ皆様に知っていただけるようになりました。

 

倉嶋 飲めばわかる、唯一無二のおいしさですもんね! あのフレーバーを開発されたのは、池澤社長ですか?

 

池澤 私を含め、何人かで開発しました。当時の社長は父親だったんですけど、父は下戸でして。でも私はお酒が好きなので、チューハイとして試飲する最終的な官能検査は、私も参加して試行錯誤しましたね。

 

 

不変のおいしさを届けるための知られざるこだわり

倉嶋 来年、2024年で「バイス」誕生40周年になりますけど、味わいに関してはずっと変わってないですか?

 

池澤 変えてないですけど、実は同じ味を保つことって簡単じゃないんですよ。なぜなら、同じ原材料がずっと手に入るとは限らないからです。「バイス」でいえば、東日本大震災で危機を迎えました。

 

倉嶋 2011年の震災! そうだったんですね。

 

 

池澤 お世話になっていた、東北にあるしその加工工場が流されてしまい、どうしてもしその産地ごと変えざるを得なくなりました。北海道産に変えたのですが、見た目は一緒でも風味が違うんですよね。同じ味わいにはならないんです。

 

倉嶋 「バイス」のファンなら、少しの違いでも気づいちゃうかもしれません。

 

池澤 しそは加工したオイルを問屋さんに卸していただいてまして、担当の方は「こっちもおいしいよ」って言うんですけど、そういう問題じゃないんですよね。前と同じ風味で作ってくださいと、何度もやりとりしました。

 

倉嶋 知られざるご苦労があったんですね。そして、しそのオイルがあるとは初めて知りました。

 

池澤 意外に思われるかもしれませんが、しそから僅かにしか作れなくて、1キロ10万円以上する高級品なんです。

 

倉嶋 えっ! それってトリュフオイルよりも高いんじゃないですか?

 

池澤 一度に使う量は少しなんですけど、それがあるとないとではまったく比べものになりません。しそオイル頼りといってもいいぐらいです。

製造工程の一部。びんに充塡している

 

倉嶋 あとは梅などの香料と、りんご果汁も使われていますよね?

 

池澤 さすが詳しいですね。そうなんです、りんご果汁によって味わいに厚みやふくらみが出るんです。

 

倉嶋 しそオイルや、梅ではなくりんご果汁になったというのは、開発時に「何か違うな?」というのを繰り返して辿り着いたということですか?

 

池澤 はい。甘みが出ないとか、酸味が強すぎるとか、ジュースっぽくなっちゃうとか。そうして生まれたのがあの味なのですが、いま振り返ると梅ガムの味に近いのかなと思います。

 

倉嶋 なるほど! 駄菓子屋の梅ガムですよね。なんとなくイメージが湧きます。ちなみにコダマ飲料さんがオススメする「バイス」の飲み方はありますか?

 

池澤 当社としては甲類焼酎90mlに対して「バイス」1本200mlをオススメしていますが、いろいろ試してお好みの味で楽しんでいただければと思います。

 

倉嶋 はい。私もいろいろ試させてもらっているひとりです(笑)。では、合わせるお料理では何が一番オススメですか?

 

池澤 やっぱり焼きとんとか、ホルモンじゃないですかね。なかでも脂がのっている部位で。

 

倉嶋 ホルモン系とは抜群のコンビネーションですよね! 「バイス」の爽快感が脂をいい感じに流してくれて、それでいて酸味がうまみを足してくれるんですよ。

 

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モコモコした独特のボトルはもう残り僅か

倉嶋 いまのフレーバーのほか、過去の「コダマサワー」にはどんな味があったんですか?

 

池澤 ユニークなところですと、アロエにトマト、ウイスキー味もありましたね。

 

倉嶋 どれも個性的ですね! 私もどこかで飲んだことがあったかもしれませんが。

 

池澤 売れ行きを見ながら新フレーバーを開発するなどして、少しずつラインアップは入れ替わりますね。「バイス」や「レモン」といった定番人気の味は不動ですけど。

 

倉嶋 炭酸水も欠かせないと思いますが、こちらのこだわりも教えてください。

 

池澤 炭酸水はベースの「コダマ タンサン」と一緒ですね。ガス圧は既定のギリギリまで強くしています。これ以上強くしようと思えば簡単にできるんですけど、危ないですし、そもそもルール違反ですからね。

 

倉嶋 あとはボトルの形状やロゴもやさしいデザインで大好きなんですけど、ここにもこだわりはあるんですか?

 

池澤 ボトルは15年ぐらい前にお世話になっていたメーカーさんが廃業した際、新しく作りました。旧モデルはモコモコとしたあしらいが入っているもので、いまはシンプルなタイプです。

 

旧モデルのボトル。下半分が凹凸のあるモコモコした形状になっている

 

倉嶋 シンプルにしたのは、何か理由があったんですか?

 

池澤 検びん機でチェックする際、検査しやすいようにしたかったというだけですね。ロゴは変わっていませんが、長年変えていないからレトロな感じがするのかもしれませんね。

 

倉嶋 ロゴも最高です! あとは細かいところですと、王冠がそれぞれフレーバーごとにデザインが違うのは粋だなと思うのですが。

 

 

池澤 まあ、フレーバーごとに成分が違えば王冠に記載する情報を変える必要がありますから。あとは上から見たときにも、パッとわかったほうがいいというのもありますし。

 

倉嶋 でも、この業務用びんや王冠は首都圏だけになりますか?

 

池澤 はい。業務用は問屋さん経由で回収するリターナブルびんなので、これはトラックで行き来できる範囲の関東近郊だけですね。それ以外の地域は340mlのワンウェイのガラスびんとなります。

ワンウェイのガラスびん(340ml)

 

倉嶋 ワンウェイタイプは公式オンラインでも注文できると思うんですけど、御社のオンラインショップでは、販売促進グッズも売ってるじゃないですか。ほとんどが無料なんですけど太っ腹ですよね!

 

池澤 提灯とのぼり旗以外は無料としています。お店で使っていただければ宣伝になりますし、ご自宅でも飾っていただければありがたいので。

販売促進グッズの数々。左より「バイスサワーテーブルテント」「コダマサワー短冊(バイス)」「バイス提灯9号」(税・送料込み1000円)「バイスのぼり旗 レギュラーサイズ」(税・送料込み700円)

 

社名の「コダマ」には夢が凝縮されていた

倉嶋 そして、最後に伺いたかったのは社名です。先代から池澤社長の家業だと思うのですが、なぜ池澤を用いずにコダマ飲料となったんですか?

 

池澤 もともとは池澤商会という社名だったと聞いています。やがて私が生まれ、子どものころは電車が好きだったんですよ。なかでも「こだま」号という特急列車が大好きだったことから、創業者である父親がコダマ飲料と名付けました。

 

倉嶋 素敵なお話ですね。でも「こだま」って、いまでも新幹線に使われている名称の?

 

池澤 私が好きだったのは新幹線の前ですね。特急「こだま」の誕生が当社の創業と同じ1958(昭和33)年で、東海道新幹線開業が1964(昭和39)年ですから。東京~大阪間を6時間30分(当初は6時間50分)で移動できる、日帰りで往復可能な夢の特急だったんです。

 

倉嶋 なるほど! ところで、池澤社長はいまも電車がお好きなんですか?

 

池澤 いえ、もう昔ほどでは。でも、当時は車両を見れば一瞬で何線かを言えるほど夢中でした。

 

倉嶋 お子様の好きなものを社名にするとは、本当に素晴らしいです。特急の「こだま」が往復するように、リターナブルびんも送ったものが返ってくる「こだま」のようなものですよね。事業との親和性もあり素敵な社名だと思います。

 

池澤 そう言っていただけると嬉しいです。

 

倉嶋 お店で「バイス」をはじめ、「コダマサワー」を飲む楽しみがまたひとつ増えました。さっそく今夜は、「バイス」が飲める大衆酒場をパトロールしたいと思います!

 

 

バイスの魅力についてじっくり池澤社長から伺った倉嶋さん。宣言通り、中目黒の「もつ焼きばん」でバイスを堪能しました。

 

 

 

3回にわたってお送りした「割り材」の噺はいかがでしたか。次回の「意外と知らない焼酎の噺」もお楽しみに。

 

 

撮影/鈴木謙介

 

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【意外と知らない焼酎の噺01】「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺
【意外と知らない焼酎の噺02】「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺
【意外と知らない焼酎の噺03】いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺
【意外と知らない焼酎の噺04】芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺
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【意外と知らない焼酎の噺07】「チューハイ」ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺
【意外と知らない焼酎の噺08】ホッピーミーナが語る! 焼酎のベストパートナー「ホッピー」の噺
【意外と知らない焼酎の噺09】レモンサワー発祥の店「もつ焼き ばん」で語る、焼酎「割り材」の噺
【意外と知らない焼酎の噺10】一子相伝で受け継がれる“幻”の割り材「ホイス」の噺

スペイン・ムルシア地方の高品質なレモンが主役! 上質な味わいを楽しめるスーパープレミアムジン「ボンベイ・サファイア プレミアクリュ」

バカルディジャパンは、同社が輸入し、サッポロビールが販売するプレミアムジン「ボンベイ・サファイア プレミアクリュ」を、2月7日から発売します。税別価格は4900円。

 

「ボンベイ・サファイア」は、ボタニカル責任者が毎年品質を見極めて生産者単位で契約し調達しているボタニカルと、蒸気となったスピリッツを、穴のあいた銅製のバスケットに収めたボタニカルに通過させ、香味成分を抽出する「ヴェイパーインフュージョン製法」によりつくられた、スムースで洗練された風味が味わえます。

 

今回発売となるボンベイ・サファイア プレミアクリュは、スペイン・ムルシア地方の高品質なレモンをひとつずつ手で摘み、皮をむき、地中海の太陽の下で自然乾燥させ、香り高いエッセンスのみを抽出し、少量生産で丁寧につくり上げたスーパープレミアムジン。

 

通常のボンベイ・サファイアで使用するボタニカル10種にマンダリンオレンジピール、スイートオレンジピールの2種を追加し、独自のヴェイパーインフュージョン製法により、香り高く爽やかな柑橘系の上質な味わいが楽しめます。

 

ボンベイ・サファイアのトレードマークである青いボトルに、黄色のアクセントを効かせた高級感のあるラベルが特徴的なデザインです。

一子相伝で受け継がれる“幻”の割り材「ホイス」の噺

【意外と知らない焼酎の噺10】

『古典酒場』編集長の倉嶋紀和子さんがナビゲーターとなって探っていく「意外と知らない焼酎の噺」。今回のテーマは、前々回の「ホッピー」、前回の「ハイサワー」に続く焼酎の割り材として、“幻”ともいわれる希少なエキス「ホイス」にスポットを当てます。

これまで取材はほとんど受けてこなかったとのことで、ベールに包まれた部分が多い「ホイス」ですが、今回は代表自らお話を聞かせてくれることに。有限会社ジィ・ティ・ユー(後藤商店:東京都港区白金)の後藤竜馬社長を訪ねました。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

●後藤竜馬(右)/「ホイス」「梅乃甘精(うめのかんせい)」製造・販売元である有限会社ジィ・ティ・ユー(後藤商店)の三代目代表取締役社長
●倉嶋紀和子
(左)/雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名。令和4年(2022年度)「酒サムライ」の称号を叙任

 

 

「ホイス」誕生前年に生まれた「梅乃甘精」

倉嶋 まず、「ホイス」とはどんな商品なのでしょうか。

 

後藤 多くは焼酎の割り材としてご愛顧いただいています。アルコール度数は0.2%で、分類上はノンアルコール(日本の酒税法では、アルコール度数1%以上の飲料が酒類とされる)の清涼飲料水ですね。味の表現は難しいのですが、クセがなくスッキリとしたテイストで、甘みと苦みをほのかに感じる爽やかな飲み口が特徴かなと思います。

 

倉嶋 販売先は飲食店さんですよね。酒屋さんでは見かけたことがなくて。

 

後藤 はい。創業当時から、“飲食店を元気にする為の手助けをする”を理念に掲げておりまして。また、生産できる量が多くないということもあり、申し訳ないのですが個人向けの販売は行っておりません。

 

倉嶋 幻たる所以ですよね。それに、「飲食店を手助けする」って素晴らしい企業理念です!

 

後藤 ありがとうございます。今回の取材も、コロナ禍で苦労されている飲食店のお役に立てればという思いで受けさせていただきました。何でも聞いてください。

倉嶋 こちらこそありがとうございます! では「ホイス」が生まれたストーリーを、御社の歴史などとともに教えてください。

 

後藤 「ホイス」が誕生したのは1949(昭和24)年。創業者である私の祖父・後藤武夫が商いを始めたのは、戦前の1930年代半ばですね。洋酒を扱う小売りの酒販店としてはじまり、途中から清涼飲料水の製造を行うようになりました。

 

倉嶋 洋酒販売ということは、インポーターですか?

 

後藤 もとをたどれば、祖父が1930年代に当時のソ連からシベリア鉄道でヨーロッパへ向かう旅をしたことが始まりです。その道中で様々なお酒を嗜みながら仕入れるノウハウなども学び、日本に送っていたそうで。

 

倉嶋 行動力がスゴいですね!

 

後藤 そして帰国後に洋酒店を創業しました。清涼飲料の事業を始めた時期は記録が残っていないのですが、その技術を生かして戦後に生まれたエキスが「ホイス」です。当時は東京都港区芝公園で事業を行っていまして、1984(昭和59)年に今の白金(しろかね)に移ってきました。

↑初代社長の後藤武夫氏

 

倉嶋 戦後ということは、「酎ハイ=焼酎ハイボール」の起源がそうであるように、やはり焼酎を楽しむためのアイデアから生まれたということですかね?

 

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後藤 そうだと思います。戦後の東京で大衆酒としてもてはやされたのが甲類焼酎だったそうですが、当時は香りが強く飲みにくいものが多かったとか。ならば、どうにかおいしく飲むための割り材があればと思いつき、開発を始めたと聞いています。ただ、第1号商品は「ホイス」ではないんですね。

 

倉嶋 なるほど、それが梅の……。

 

後藤 そう、「梅乃甘精」ですね。「ホイス」発売の前年、1948(昭和23)年に誕生しています。こちらは当社自身もあまり商品名を出さずに販売しておりましたので、「ホイス」以上に希少かもしれません。

↑左が「ホイス」で右が「梅乃甘精」。現在は輸送コストを下げるため、ペットボトルで販売。ただし飲食店でのディスプレイ用に、一升びん用ラベルも用意しています(数量限定)

 

倉嶋 ええ。私もこうしてしっかり目にするのは初めてかも。下町大衆酒場によくある、いわゆる「梅割り」のエキスとは違うんですか?

 

後藤 例えば甲類焼酎と「梅乃甘精」を6:4ぐらいで割れば、梅酒のような味わいになりますし、炭酸水で割れば梅のソーダ割りになります。うちが長年お世話になっている、恵比寿「田吾作」さんの「梅サワー」には「梅乃甘精」が使われていますし。まあでも、下町によくある、エキスを数滴垂らした「梅割り」のように使っていただくのが一番おいしいと思います。

 

倉嶋 「田吾作」さんの他にも使っている老舗はあるんですか?

 

後藤 名前は出していないでしょうけど、けっこうありますよ。

 

倉嶋 それなら、私も知らずに飲んでいる可能性は高いですね!

 

後藤 ええ。それこそ、「梅割り」として提供されているお店もありますから。

 

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時代ごとに進化する「ホイス」の味わい

倉嶋 そんな「梅乃甘精」の製造ノウハウをもとに、「ホイス」が生まれたということですか?

 

後藤 仕上がりの味はまったく異なるのですが、「ホイス」のベースには「梅乃甘精」がありますね。「梅乃甘精」の発売から1年の間に、祖父がヨーロッパの旅で得た知見などから薬草やリキュール、蒸留酒、香料などを調合して複雑な味わいや奥深さを出して造ったのが「ホイス」です。

 

倉嶋 そのレシピは、いまも変わらず受け継がれているんですか?

 

後藤 実は、記録としてのレシピは残されていません。見よう見まねといいますか、体で覚えていくような形で、私は二代目にあたる父親の後藤勲から教わりました。そして、当初と今では味がけっこう変わっていると思います。

 

倉嶋 そうなんですね!

 

後藤 なぜかというと、まず同じ原材料が入手できなくなるからです。原料メーカーの廃業だったり、輸入が禁止になったり、薬事法の改正だったり。そうなったらどうするかというと、代替となる原材料を探して研究を重ね、イメージの味わいになるように調合していきます。こうした再設計は、父の代から行うようになりました。

 

倉嶋 原材料が変わってしまうと、100%同じ味にはならないですもんね。そのうえで、目指す味に近づけていくと?

 

後藤 近づけもするのですが、私のほうで意図的に味わいを変えることもあります。気付かれないレベルでですけどね。その時々でテーマは異なるのですが、ベースの味がよりブレないようにリニューアルをすることが多いです。

 

倉嶋 味のブレですか? 私も飲み続けていますけど、変化には気付かなかったです。

 

後藤 例えばジントニックはわかりやすいって言われますけど、割って飲むお酒は作る人によって違いが出ますよね。でも「ホイス」の場合は、できるだけその差をなくしたい。そのため、配合や濃縮具合などを研究してベースの味がブレないようにしているんです。

 

倉嶋 なるほど。研究熱心ですね!

 

後藤 その辺は血を引いているのかなと思います。それに加え、私はパソコンを駆使してデータを残しながら設計していますので、後進にとっては多少楽になるのかなと。

 

倉嶋 そこまで緻密にやられているとは、想像をはるかに超えています。

 

後藤 「ホイス」の味覚設計は繊細で、そのバランスは非常に複雑です。味わいも、他のエキスに比べるとライトに感じるでしょう。そのぶん、どれかひとつの風味が少し前面に出ただけでもすごく突出してしまうんです。

 

倉嶋 ええ。確かに「ホイス」のキーフレーバーって、ちょっと思い当たりません。もう、「ホイス」としか表現できないです。

 

後藤 他に例えづらいといいますか、あえてわかりにくくしてるんですよ。多彩な味や香りを重ねて複雑化させつつも、飲みにくさにつながる違和感が出ないように調合し、余韻に心地よいフレーバーを感じられるように仕上げています。

 

倉嶋 私が初めて「ホイス」を飲んだ時は、ウイスキーっぽいニュアンスを感じたんですけど、生薬の香りやスパイシーさもあって。それはウイスキーとはまた違うし、なんて表現していいかわからないという印象でした。でもその複雑性がクセになって、またもう一杯飲みたくなるという感じがします。

 

後藤 ありがたいことに、お客様には飲みやすいと褒めていただくことが多いです。あとは、そのまま飲むよりも、もつ焼きや煮込みなどちょっと濃い味のおつまみに合うと言われますね。

 

倉嶋 そうそう、延々と飲み続けられるおいしさで。でもそういえば「ホイス」のネーミングって、ウイスキーと関係性があるというのは本当ですか?

 

後藤 直接祖父から由来を聞く機会はなかったのですが、ウイスキー説であってるようです。英語のWHISKYの頭4文字「WHIS」を文字って「ホイス」になったそうで。

 

倉嶋 「梅乃甘精」とは違い、ネーミングから味の想像がイメージできないところも含め、不思議な割り材だなと思います。飲めるお店もそこまで多くないですし、いい意味でミステリアスといいますか。

 

後藤 出荷量が限られているのは申し訳ないところですね。従業員は数名いるのですが、中身だけは私ひとりで製造しているもので。

 

 

「ホイス」は繊細な味の料理や甘いものにも合う

倉嶋 「ホイス」はなかなか生産量に限界があるとおっしゃっていましたが、新規のお取引も少ないですか?

 

後藤 多くはありませんが、微増はしています。生産量も、コロナ禍によって消費量が減ったぶん、今は多少の余裕がありますし。

 

倉嶋 取引先に関しては、地域や業態の特徴などはありますか?

 

後藤 地域はもちろん都内が多いですけど限定はしていませんし、北海道や沖縄にも取引先はあります。業態はやはり、焼きとんや焼鳥店、煮込みをウリとする大衆酒場が多いですね。20年ほど前は小料理屋さんでの取り扱いが、今よりはありましたけど。

 

倉嶋 小料理屋さんで「ホイス」、素敵ですね!

 

後藤 意外にお刺身にも合うんですよ。研究を兼ねていろいろな料理と合わせてみるんですけど、甘いものであればチョコレートなど、幅広くマッチすると思います。

 

倉嶋 そうなんですね。後藤さんが試飲する際は、どのように割られてるんですか?

 

後藤 当社として推奨しているのは「ホイス」2:「焼酎」3:「炭酸水」5ですが、この割合だと濃いめの酎ハイになるんですね。なので、私が家や会社で試飲する際は、まずホイスと焼酎を1:1の割合で合わせ、その量の1.5倍程度の炭酸水で割っています(※あくまで試飲用としての割合です)。これだと「ホイス」の風味が濃くなるうえに炭酸感も多少増えてアタックも強くなります。

 

倉嶋 「ホイス」と「焼酎」を同じ分量にするんですね。

 

後藤 アルコール度数は推奨よりも下がりますけど爽快感はしっかり楽しめます。いま、作りますのでぜひ飲んでみてください。

倉嶋 いいんですか! やったー!

 

後藤 どうぞ。グラスもしっかり冷やしたものを使っていますし、手前味噌ですがお店と遜色ない味わいだと思います。

 

倉嶋 はい。サイコーにおいしいですし、後藤さんがお酒好きだということが伝わってきます。でも、研究するなかではいろいろなお酒との相性も試されたんですか?

 

後藤 もちろんです。親和性がありそうなワインやウォッカをはじめ、珍しいリキュールに蒸留酒と、私が知る限りのありとあらゆるお酒の割り材として試しました。でもやっぱり「ホイス」には、甲類焼酎が一番合いますね。

 

倉嶋 まさにおじい様がイメージした酎ハイの味ですもんね。でもあの当時、シベリア鉄道でヨーロッパへ渡ったというのは本当にスゴい! しかも創業前に。

 

後藤 変わりものですけど勉強家でもあって、東京大学に入ったものの中退して、数年後に海外へ渡ったそうなんです。同級生には官僚になった友人も多かったので、そのツテを頼って出国審査もパスしたとか。

 

倉嶋 なんと、スゴすぎです! 外国語も堪能だったんでしょうね。

 

後藤 戦後に清涼飲料水を造れたのも、外国語が話せたからなんです。戦争で東京が焼け野原になりましたが、戦前に仕入れていた洋酒は地下に埋めていたから助かったそうで。そのうえ進駐軍のアメリカ兵とも交渉ができたので、洋酒を売ったお金で当時希少だった砂糖を入手できたと聞いてます。

 

倉嶋 そうして清涼飲料水を造っては売り、やがて「梅乃甘精」と「ホイス」につながるんですよね。

 

後藤 祖父は私以上に凝り性だったと思います。インターネットやパソコンはおろか、洋酒やハーブの文献もほとんどなかったでしょうから。海外で飲んだ記憶だけで、様々な原材料を入手してゼロから「ホイス」を造ったことに、心から尊敬しています。

 

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「ホイス」が飲めるお店を知る方法

倉嶋 そう聞くと、レシピやメモが残っていないのはますます残念ですね。門外不出の“一子相伝”だからこそ、情報が漏れないように記録しなかったのかも。

 

後藤 私は父から教わりましたが、先代はふたりとも味覚が優れていたんだと思います。あるとき、抽出した原材料のいくつかをはかってみたところ、毎回ズレはなくて。

 

倉嶋 舌や鼻の感覚だけで、正確な調合ができたということですよね。憧れます。

 

後藤 あと面白いのは、原材料を分析してみると、一つひとつがシベリア鉄道の線路上の地域のハーブやスパイスだったり、その先のヨーロッパのお酒だったりというのが見えてくるところです。

 

倉嶋 おじい様の旅路をお孫さんが「ホイス」で辿るというのはロマンチックですね。そんな後藤さんは、いつから働かれているんですか?

 

後藤 高校生のときからここでアルバイトをしていましたし、当時から継ぐ意識はありました。父の体調がよくなかったこともあり、2000年代には私が製造を手掛けていましたし。その後、私が三代目として正式に継いだのは2020年です。

 

倉嶋 比較的最近なんですね。ちなみに、後進の候補はいらっしゃるのでしょうか?

 

後藤 ありがたいことに、まだ小さいですが息子が2人おります。継ぐかどうかは彼ら次第ですけど、周りから四代目と言われることもありますね。

 

倉嶋 もし継ぐとなった場合は、秘伝のレシピを伝えることになるんですね。

 

後藤 まだその気は起きないですけどね。とにかく今はコロナ禍をどう乗り切って、飲食業界をどうやって盛り上げていくかということが優先ですから。

 

倉嶋 “飲食店を元気にする為の手助けをする”という企業理念ですよね。でも「ホイス」が飲めるお店を知るにはどうしたらいいのでしょう?

 

後藤 実はTwitterなどの公式SNSで、ホイスが飲めるお店情報をたまに投稿しています。また、「#ホイスが飲める店」で検索するという方法もありますので、ぜひご活用ください。

 

倉嶋 なるほど! さっそくチェックして、このあと立ち寄ってみます。今日はたくさん教えていただきありがとうございました!

 

撮影/鈴木謙介

 

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・宝焼酎
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今秋絶対に「ビール」が爆売れする理由。2023年に起こる「お酒トレンド」5つ

2023年は秋にビールと日本酒に追い風が吹き、ウイスキーもアニバーサリーイヤーです。それらの理由とともに、2023年のお酒トレンドを5つのキーワードで解説します。

 

↑本稿で紹介している銘柄や、関連あるカテゴリーのお酒を一堂に

 

1:ビールと日本酒が減税へ

まずはビールと日本酒の追い風について。こちらは2018年の酒税法改正で決まったものとなり、お酒の種類によりますが、基本的に3段階で変更されます。すでに2020年にはビールと日本酒の税額が引き下げられており、2023年はその第二弾という位置付け。10月1日からスタートします。

↑財務省の資料より。内訳はビール350mlあたり6.65円、日本酒350mlあたり3.5円減額に。一方で新ジャンル(第3のビール)とワインは増額となります

 

とりわけ多くの人が日常的に飲むであろうビール減税はインパクトが大きく、話題作も登場するはず。いまのところ個人的に注目しているのは、昨秋全国発売され好調に売れている「ビアボール」と、フレンドリーな「低アルクラフトビール」です。

 

↑左が「ビアボール」。中央は三重が誇るクラフトの雄・伊勢角屋麦酒の「ミニマルC」で、アルコール2%。おなじみ「ビアリー」にも0.5%のIPAスタイル(右)が限定で出るなど、注目です

 

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2:ジャパニーズウイスキー誕生100周年

ウイスキー業界のなかでも実に元気なのがジャパニーズウイスキーです。そもそも世界的にウイスキーブームであることと、海外の品評会で世界一と評価される日本の銘柄が、近年増えていることなどが挙げられます。特に日本では2014~2015年の朝ドラ「マッサン」が起爆剤になったことも見逃せません。

↑54本セットがオークション額約1億円で落札され話題となった、「イチローズモルト」(秩父蒸溜所)のカードシリーズ(このシリーズは羽生蒸溜所)一部。「イチローズモルト」は品評会授賞酒の常連でもあります

 

「マッサン」はジャパニーズウイスキー誕生の物語となっているわけですが、その国内蒸溜所第1号がサントリー(当時は寿屋)の山崎蒸溜所で、開設は1923年。つまり今年はジャパニーズウイスキーの誕生100周年にあたり、話題性も十分なのです。ちなみに「マッサン」主人公でニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝氏や、「イチローズモルト」の肥土伊知郎氏も寿屋/サントリー卒業生。

↑もちろん「山崎」も品評会授賞酒の常連。ノンエイジ(左端)の上部ラベルには「SINCE1923YEAR」と書かれています

 

ジャパニーズウイスキーは各社どの銘柄も大人気で、特にシングルモルト(単一蒸溜所のモルト原酒のみでつくる)は希少ですが、モルトバーに行けば「イチローズモルト」や「山崎」も高確率で飲めるはず。ぜひ味わってみてください。

 

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3:進化し続けるノンアルコールドリンク

前述した「低アルクラフトビール」が増えている背景には、嗜好の多様化に加えて健康志向やソバーキュリアス(お酒をあえて飲まないライフスタイル)の浸透などが関係。それを受けて、ノンアルコールドリンクもいっそう進化していくでしょう。最近の商品で、その進化を実感させてくれたのがタカラ「辛口ゼロボール」。もうひとつはサントリーの「のんある晩酌 ハイボール ノンアルコール」です。

↑2022年10月4日に発売された、タカラ「辛口ゼロボール」

 

どちらもアルコールは0.00%ながら、まるでお酒を飲んでいるかのような満足感があって完成度が抜群です。また甘さがなく爽快感はバッチリなので、食事に幅広く合うのもうれしいポイント。2023年も、このように違和感がなくておつまみが進む新作ノンアルドリンクが登場することでしょう

↑サントリー「のんある晩酌 ハイボール ノンアルコール」は12月6日に数量限定発売。通年販売してほしいレベルの、高い完成度です

 

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4:ラグジュアリーSAKE

日本酒が減税されることに触れましたが、一方で高価格帯の日本酒も伸長しています。背景には造り手の情熱やブランディング、また消費の二極化や飲み手の多様化、そして何より海外で日本酒がSAKEとして人気を博していることが挙げられます。

 

↑ラグジュアリーSAKEのパイオニアといえば「SAKE HUNDRED」。限定品の「思凛 with 深林の香り木」は、ミズナラ熟成樽の香りを移して楽しむことができるのも魅力です

 

海外進出については別の事情も。というのも、日本酒は新規製造が認められておらず、既存酒蔵の買収か継承かをしなければ参入できない業界です。ただ、2021年に輸出用商品の製造に関しては規制緩和となり、輸出用のSAKEを造りはじめる若手蔵元も誕生。

↑2021年から海外向け日本酒を造っている「LAGOON BREWERY」のどぶろく。同社の日本酒(清酒)は国内で買えませんが、どぶろくなどは飲めます

 

話を戻しましょう。2023年は徐々にインバウンドも回復し、海外観光客がラグジュアリーSAKEを飲んだりお土産に買ったりする機会も増えるはず。高級なぶんおいしくて飲みやすいのも間違いないので、特別な日にはぜひラグジュアリーSAKEを。

 

5:クラフトサケ

ラストも日本酒関係のトピックを。前述した新規参入へのハードルが、かえって様々なイノベーションを生み出しており、ユニークな「クラフトサケ」が続々誕生しています。これは日本酒の製造技術をベースに、お米を原料とした新しいジャンルのお酒のこと。例えば、先日紹介したネオどぶろくもそのひとつで、上記「LAGOON BREWERY」のどぶろくも含まれます。

↑ユニークな「クラフトサケ」の例が、秋田「稲とアガベ」「稲とアガベ」。テキーラやメスカル(テキーラの仲間で、広義ではテキーラもメスカルの一種)の原料であるアガベから精製されるシロップと米、米麹を一緒に発酵させたお酒です

 

「稲とアガベ」は「稲とホップ」「稲と麹」などもつくっていますが、注目のつくり手はほかにも。個人的に注目しているのが広島の「ナオライ」が手掛けた、日本酒でも焼酎でもない第三の和酒「浄酎」です。

↑樽熟成の有無や長さにより、繊細な風味がバリエーション豊かに広がるのも「浄酎」の魅力

 

「浄酎」は、40℃以下という日本酒が変性しない低温の蒸溜技術により、日本酒由来の豊かな香りと風味をそのままに、常温で長期保存できるおいしさを実現したお酒。米焼酎とはまた違った魅力を楽しめる新時代の和酒なのです。

 

筆者としては、これら各カテゴリーをはじめ今年も注目酒の最新トレンドを追いかけていきたいと思います。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

 

トレンドの韓国酒場でもこの味は別格!東京駅に開業した「コッキオ」実食レポート

外食業界における最新トレンドのひとつが、韓国酒場。雑誌『GetNavi』の2022年12月号(10月24日発売)では注目の3店を取材し詳報しましたが、そこで紹介しきれなかった、とっておきの一軒があります。その店とは「韓国酒場コッキオ グランスタ八重北店」。韓国酒場のトレンドを解説しつつ、同店をレポートします。

↑「韓国酒場コッキオ グランスタ八重北店」。全82席と、全国に9店舗ある韓国酒場コッキオのなかでは最大規模となります

 

韓国酒場トレンドの背景は、第4次韓流ブームとコロナ禍

韓国酒場が人気な理由は2点。ひとつは、Z世代を中心に第4次ともいわれる韓流ブームが到来しているから。

 

それぞれの代表的アイコンは、第1次が日韓ワールドカップやドラマ『冬のソナタ』、第2次はチャン・グンソクやカンナムスタイル、少女時代やKARAに代表される韓国アイドル、第3次はBTSやTWICEなどのグローバルK-POP。そして現在の第4次では、第3次からの流れに加え『愛の不時着』『梨泰院クラス』といったドラマがより存在感を強めています。

 

韓国料理の存在感も年々増していて、第1次はキムチ鍋やスンドゥブなどピリ辛系が中心でしたが、第2次はサムギョプサルやホットクにマッコリ、第3次はチーズタッカルビやチーズハットグなど。これらを引き継ぎつつ、第4次はUFOチキン、チュクミ、マヌルパン、トゥンカロン、タルゴナコーヒーなど多様化、先鋭化、オシャレ化が進んでいるのです。

↑約10年前に撮った、新大久保で大人気だった「ホットク」。当時はチャン・グンソクを起用したマッコリのCMが流れていたのも印象的でした

 

そして、韓国酒場が人気を集めるもうひとつの理由が、渡航しづらい(徐々に緩和されつつあるが)ことでしょう。コロナ禍により、外食業界では現地の雰囲気を再現したアジアン大衆酒場が増えていて、台湾酒場や香港酒場も活況に。

 

ポイントは、その多くが日本人経営者による大衆酒場風の業態であること。そのため現地出身者による“ガチ中華”ブームは、アジアン大衆酒場トレンドの文脈とは異なります。

 

何はともあれ、渡航がしづらいためアジアン大衆酒場が人気で、なかでも韓国業態は第4次ブームの影響もあって盛況というわけなのです。

 

チェーンだが家庭的な本格味。特に鶏の鍋は必食!

雑誌『GetNavi』では、「串カツ田中」グループの新業態「焼肉くるとん 代官山店」など新興ブランドを紹介しました。「韓国酒場コッキオ」を取り上げなかった理由は、運営企業が韓国食品卸の老舗であり、「コッキオ」ブランド自体は2015年より存在しているからです。

 

また、「コッキオ」が関西屈指のコリアンタウン・鶴橋に1号店をオープンしたことも、関東発祥の最新トレンドでくくるのとは違うといえるでしょう。ただ、「コッキオ」は姉妹ブランド「ビビム」とともに勢力を伸ばし、ここ数年で首都圏でも拡大中。そんな隆盛のなか、満を持して開業したのが「韓国酒場コッキオ グランスタ八重北店」なのです。

↑同店は「グランスタ八重北」のなかでも異彩を放つ「多国籍ゾーン」に2022年9月8日オープン。なお「コッキオ」とは韓国でいうコケコッコーのこと

 

韓国食品に長年携わっていることもあり、料理の味は折り紙付き。名物はタッカンマリ(韓国風水炊き)とタットリタン(鶏×じゃがいものピリ辛鍋)で、“映え”要素よりもシンプルに味のおいしさを追求している点も特徴です。

↑基本の「タッカンマリA」はこのサイズで約2人前3520円(税込/以下同)。別皿でカクテキ、トンチミ(大根の水キムチ)、キャベツが付きます

 

そのクオリティは食べれば納得。兵庫の「但馬どり」を使い、セントラルキッチンではなく店内で炊いたスープは滋味深くまろやか。ゴロッと大きな鶏肉は柔らかくジューシーで、満足度も抜群です。

↑「タットリタンA」はカクテキ、トンチミ(大根の水キムチ)、もやしナムル付きで3520円

 

タットリタンも、ベースのスープが絶品なので圧倒的なおいしさ。どちらの鍋も、個人店でオモニ(お母さん)が丹精込めて作ったような、本格的で説得力のある味わいを感じます。

こだわりの韓国酒場メニューが豊富

定番から個性派まで、多彩なメニューが揃っているのも「コッキオ」の魅力。たとえば「ヤンニョムチキン」や「フライドチキン」はおなじみですが、鶏肉がウリの同店はさすがのおいしさ。またチヂミも定番の韓国料理ですが、「コッキオ」では生地をあえて少なくすることで、ヘルシーかつサクサクの食感に仕上げています。

↑通常とヤンニョム、2種を楽しめる「バンバンチキン」。小950円と大1910円があり、写真は大

 

↑チヂミの名物は野菜もたっぷりの「明太チーズチヂミ」(1180円/右)。左は「イカニラチヂミ」で、中央は海老、イカ、アサリ入りの「海鮮チヂミ」(ともに1080円)

 

酒場であるため、キンパもここならでは。つまみやすい細巻きタイプの「ミニミニキンパ」(630円)やインパクトのある「チーズキンパ」(980円)が用意されており、お酒との相性は抜群です。

↑「ミニミニキンパ」は一皿5本で630円。“味変”用に辛子ソースが付きます

 

ほかにも、韓国式ハンバーグ「トッカルビ」、ツナ缶をそのまま使ったユニークな「チーズコチュチャムチ」などがあるのも「コッキオ」の特徴。これらは新興の韓国酒場ではあまり見かけないメニューで、現地で大定番のソウルフード「タッパル」のように韓国ツウが喜ぶ料理も味わえます。

↑「トッカルビ」700円。牛肉の甘みが豊かでジューシー

 

↑「チーズコチュチャムチ」550円。甘辛のコチュジャンであえたツナと、たっぷりのとろけるチーズに悶絶しそうなおいしさです。日本ではまだ珍しいそうで、人気も出そう

 

↑鶏のもみじを辛口に仕立てた「タッパル」630円。コラーゲンたっぷりです

 

日韓両方のカルチャーを熟知した老舗の強みを発揮

このように、内外観ではレトロと開放感を調和させ、メニューでも伝統料理とトレンドフードにオリジナリティをプラス。日韓それぞれの新旧カルチャーを熟知した老舗ならではのブランディングが光る“別格”な飲食店、それが「韓国酒場コッキオ グランスタ八重北店」なのです。

↑ドリンクもビールのほか、ソジュ(韓国焼酎)やマッコリといった本場のお酒が豊富

 

駅直結でアクセスも抜群の「グランスタ八重北」。昼からの通し営業で使い勝手もいいので、東京駅で食事やお酒を楽しむ際には足を運んでみては?

 

【SHOP DATA】

韓国酒場コッキオ グランスタ八重北店

住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅 八重北食堂 1F
アクセス:東京駅直結(最寄りはJR八重洲北口)
営業時間:11:00~23:00(料理L.O22:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日:施設に準ずる

 

【東京・大衆酒場の名店】「お太幸」の変形カウンターで、横須賀の味わいを満喫する噺

東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第9回。今回は東京を離れて少し遠征。京浜急行「横須賀中央」駅から徒歩1分の「酒蔵お太幸 中央店」を訪れ、その魅力を探っていきます。

 

大衆酒場は、その安さとウマさ、昔ながらの温かい雰囲気で、酒飲みの心をひきつけてやみません。なかでも東京では下町を中心に、根強い人気を誇る大衆酒場の名店が数多く存在します。そんな名店を巡り、お店の魅力と東京ならではの酒文化を深掘りしていくのが本連載。立石「宇ち多゛(うちだ)」篠崎「大林」京成曳舟「三祐酒場(さんゆうさかば) 八広(やひろ)店」八広「亀屋」四つ木「ゑびす」門前仲町「だるま」船堀「伊勢周」門前仲町「大坂屋」に続く第9回は、横須賀の「酒蔵お太幸 中央店」にお邪魔します。

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です

 

焼酎の量が多い「横須賀割り」で乾杯

本企画の第6回で登場した門前仲町「だるま」は、コの字カウンターの名酒場として紹介しましたが、今回訪れた神奈川の横須賀にある「酒蔵お太幸 中央店」もカウンターが個性的。

 

そこでこれまで同様、カウンター酒場に詳しい長谷川和之さんを講師に、生徒役のお酒好きタレント・中村 優さんと「酒蔵お太幸 中央店」の魅力に迫ります。

↑中村 優さん(右)は、タレントおよびマラソンランナーとして活躍。長谷川和之さん(左)の本業は編集者で、酒場のほか旅や温泉、鉄道など様々なジャンルに精通しています

 

中村 横須賀は久しぶりに来ました。駅のすぐ近くにこんな素敵な老舗酒場があって、レベルの高さを感じます!

 

長谷川 この辺は「ホッピー」も“横須賀割り”と言われるように、焼酎を濃いめで飲む文化の街として知られているんですよ。

 

中村 飲み方に地名が付いちゃうってスゴいですね。じゃあ、私の乾杯ドリンクはその「ホッピー」にしようかな。

 

長谷川 ええ! そしたら中村さんには「ホッピー」を、私は「レモンハイ」を注文しますね。

↑レモンハイ(435円)。「酒蔵お太幸」では「宝焼酎」の飲食店専用商品を使用

 

↑「ホッピー」(495円)

 

中村、長谷川 カンパーイ!

 

中村 ク~ッ! おいしい! でも、確かに焼酎が濃いかも。

 

長谷川 横須賀の飲み屋さんで提供されるチューハイは、基本的に焼酎の量が多いんです。

↑「酒蔵お太幸」の焼酎は130ml〜140ml。「ホッピー」で割って飲む場合の一般的な目安は普通が70ml、濃いめが110mlなので、この量はかなり濃いです

 

中村 でも、なんで横須賀は焼酎が濃いんですか?

 

長谷川 真偽や出自は定かではないのですが、軍港や造船の街として栄えた歴史が関係していると聞いたことがあります。

 

中村 海の男たちが飲んだからってことですか?

 

長谷川 諸説あるんですけどね。海風で冷えた体を濃いお酒を飲んで温めたとか、酒に強い九州の人が船で出稼ぎにやってきていたからだとか。

 

中村 へぇ~。

↑ワンショットメジャーに据え付けられた「宝焼酎」のほか、各種焼酎の一升びん

 

長谷川 とはいえ、お酒が好きでも強い人ばかりじゃないですよね。だから「ホッピー」みたいな割り材で楽しむ場合、「中(なか:焼酎)」と「外(そと:割り材)」の量を調整して飲むのがセオリーです。

 

中村 なるほど。自分好みに調整できるってのはイイですね! 続いておつまみはどうしましょう? オススメを教えてください!

 

長谷川 では、コチラのお店の名物を中心にいくつか注文しますね。

 

中村 楽しみです! ではおつまみが来るまでの間に、この特徴的なカウンターについて教えてください。

 

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コの字とL字を組み合わせた「H型」ともいえる変形カウンター

長谷川 やっぱりこのカウンターは気になりましたか?

 

中村 ええ。お店に入った瞬間、圧倒されました! これも「コの字型」なんですね。

 

長谷川 かなり独特ですが、ベースはコの字で、その拡張版ともいえますね。ダブル「コの字型」の、さらにダブル版のようなレイアウト。コの字とL字を組み合わせた「H型」という見方もあります。

 

中村 奥の厨房がなければ、8の字みたいな感じでもありますね。こんなにユニークな席配置のカウンターは初めてです。

 

長谷川 ここは2フロア制なんですけど、これだけの広さで1階すべてをカウンターにしているケースは相当レア。普通はテーブル席も用意するんですよ。でもこちらの場合は、テーブルなどは2階に置きグループ向けに。一方で1階はカウンターのみにして、おひとり様や少人数向けの用途という風に分けているから、お互い気を使わずに飲めるのが最高なんです。

 

中村 お店側の接客もしやすそうですね。

 

長谷川 そう! オペレーション的にも秀逸なんです。細かいところでいえば、ほとんどのイスは床に固定されていますよね。イスが動かないということは、位置を直す必要がありません。

 

中村 あ、ほんとだ!

 

長谷川 それに加えて1階は全席カウンターだから、その場でオーダーを聞いたり、配膳したりという所作ができます。客席側へ行かずにカウンター内で接客が完結するから、動きのロスがなくてスピーディーですよね。お客にとってもお店にとっても良いことずくめのゾーニング。これが大胆なコの字カウンターで実現されているんです。

 

中村 なるほど、奥が深い! ちなみに1階は何席あるんですか?

 

長谷川 今は2席埋めていますが、MAXで48席。そもそも、空間が広いというのも魅力で、コの字カウンターながら背中がすぐ壁ってわけでもないですよね。

 

中村 はい。人がスムーズに通れるスペースが確保されてますね。それに、天井の高さにもゆとりがあって開放感も。

 

長谷川 「コの字型」は、狭い店内スペースを有効活用するために設けるケースが多いんですけど、ここはそうじゃない。心地いい雰囲気とかオペレーション効率を狙って、あえてこの形にしたという、開業当時の店主の美学を感じます。

 

中村 長谷川さんとしては、いま座っている場所がポールポジションですか?

 

長谷川 ええ。適度に目線が外せて、店内も広く見られるこの位置はふたりで飲む際のベストですね。

 

中村 シチュエーションで変わるんですね。ひとりの場合はどこですか?

 

長谷川 店内を最も俯瞰して見られる、手前の角にある席かなぁ。まあ角の席は目立つから、上級者向けかもしれませんけど。

 

中村 うん、確かに角の席は特徴的かも。

 

長谷川 でも、カウンターのすべての角をわざわざ斜めに切断して、そこに席を設けているのもこの店独自の工法だと思います。

 

中村 細かいところまで、手が込んでいますね!

 

長谷川 美学を感じるでしょ?

 

中村 はい! お店に入るとき、「創業65年」って書いてあったんですけど、歴史も気になります。

 

長谷川 そしたら、ちょうど現共同代表の上原公一社長と宮下栄一郎社長がいらっしゃるので聞いてみましょう。

 

長野出身の青年が横須賀で意気投合。理念は三代目へ

↑左が上原公一社長、右が宮下栄一郎社長

 

中村 はじめまして! 代表がふたりいらっしゃるんですね。

 

上原 もともとは、私と宮下の祖父が1957(昭和32)年に起業したのがはじまりなので創業65年です。代々長男に受け継がれており、私たちで三代目ですね。

 

宮下 ともに長野の出身なのですが、ふたりの創業者は長男ではなかったので実家を出る必要がありました。そういった背景から、私の祖父が最近までこの近所にあった「メガネ・時計・宝石のヤジマ」さんに丁稚に来て、そのあと上原の祖父も働くことになり出会ったと聞いています。

 

上原 ただ、やがて戦争となりふたりとも出征。でも生きて帰ってこれたので、復員後に「もらった命だし、せっかくの人生。日本に帰ったら好きなことやろう」とあらためて意気投合し、お金をためて1957年に創業したそうなんです。

 

長谷川 最初から飲食店だったんですか?

 

上原 いえ。仕入れ先の開拓などができていなかったため、飲食店ではありませんでした。上野のアメ横などへ仕入れに行き、当時珍しかったものや流行っていたものを仕入れて販売する小売業のようなビジネスをしていたそうです。

 

中村 ということは、スタートは「酒蔵お太幸」じゃなかったんですね。

 

上原 向かいの建物が自社ビルになっているのですが、ここで始めた寿司店がルーツです。この業態がヒットして、日本料理、居酒屋、中華、洋食などを展開していきました。いまの建物と「酒蔵お太幸 中央店」ができたのは、私たちが小学生のときなので1960年代後半~1970年代前半だと思います。

 

濃いめの「横須賀割り」が進む食の“幸”

長谷川 他業種を手掛けた経験があるから、お店のメニューもバラエティー豊かなんですね。

 

中村 勉強になるなぁ。ちょうどおつまみもそろったので、いただきましょう!

 

長谷川 じゃあまずは「湯豆腐」から。10月~ゴールデンウィークまでの季節限定で、横須賀特有の味わいになっているのも特徴です。

↑「湯豆腐」(475円)

 

中村 ”横須賀の湯豆腐”ですか?

 

長谷川 はい。豆腐に塗ってある辛子がポイントです。昆布やサバ節などのダシで炊き、生姜ではなく辛子と薬味で味わう湯豆腐なんですよ。

 

中村 おいしい! やさしいダシとふわっとした絹豆腐に、辛子がピリッとしたアクセントになってますね。ネギの爽やかさと、醤油を吸ったかつおぶしもいい一体感で。

 

長谷川 長年愛されているメニューで、少食になった常連さんのために「湯豆腐 半丁」(320円)も用意されているんです。では次に、中華料理店時代の技が活きた「シューマイ」をどうぞ!

↑「シューマイ(4個)」(315円)

 

 

中村 食感はプリッと、肉汁はジューシーでこれも絶品! やさしい甘みですね。爽快な「ホッピー」ともよく合います!

 

長谷川 「酒蔵お太幸」といえば、中華まんも必食です。横須賀にちなんだ「スカマン」の愛称で県外でも親しまれている「肉まん」をどうぞ。

↑「肉まん」(200円。テイクアウトは170円)

 

 

中村 うんうん! ふわっと甘い香りがあって、濃いお酒に合いそう。ホロッとしたなかにコリッとした食感がある餡(あん)もおいしいです!

 

長谷川 肉まんの皮は自家製で、酒まんじゅうのような香りもしますよね。具材はキャベツを甘めに炊いて、たけのこを生姜煮にして肉と混ぜているんだそうです。中華料理にここまでこだわる大衆酒場もそうはないですよね。中華まんは手土産にも人気なんですよ。そして最後は「うなぎの玉子とじ」。土鍋で提供する本格派ながら、リーズナブルな価格で大人気なんです。

↑「うなぎの玉子とじ」(695円)

 

 

中村 これもおダシが効いた、ほんのり甘めの味付けでお酒が進みます。うなぎと玉子はふっくらしていて、ごぼうのシャキシャキ感や三つ葉の爽やかさもイイ!

 

長谷川 どれも、「ホッピー」の横須賀割りや濃いめのチューハイに合うおいしさですよね。

 

中村 はい! 至福のフードペアリングです。横須賀で飲む際の一軒目は駅前で早くから営業している「酒蔵お太幸 中央店」で決まりですよ!

 

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「町中華で飲ろうぜ」でもおなじみの玉袋筋太郎さんに、今回は「町中華飲み」の楽しみ方を伺うべく、谷中(東京・台東区)の「一寸亭(ちょっとてい)」でお話を聞きました!

 

1階カウンターと趣を異にする2階は200席の大フロア

長谷川 ひと通りお店の解説をしましたが、ここは2階席も見逃せないんですよ。ちょっと行ってみません?

 

中村 ぜひぜひ! あ、階段のところにやたら味のある案内板が。でも、テーブル席と「さじき」ですか?

 

長谷川 そう、漢字で「桟敷」と書きます。この桟敷も「酒蔵お太幸 中央店」の特徴。こちらも広いですよね。2フロア合計で200席ぐらいあるとか。

 

中村 200ですか! スゴい。そういえば、桟敷と座敷ってなにが違うんですか?

 

長谷川 お祭りの見物席や、日本式の劇場などの上等席などを桟敷といいます。よく居酒屋などの小上がりのことを座敷といいますが、本来の座敷は部屋のことを指すんです。先ほど社長に伺ったら、かつて営業していた日本料理店には床の間付きの客間や大広間など、個室があってこれらは座敷と呼んでいたそうです。日本料理店の座敷とも区別するために桟敷としたのではないかと。

 

中村 なるほど! 歴史があるからこその桟敷なのかもしれませんね。でもグループで宴会するにはこちらの席のほうが楽しめそう。さっき長谷川さんがおっしゃっていましたが、大小のニーズに合わせてそれぞれにメリットがあるのはイイですね。

 

長谷川 これだけ大箱なのに、おひとり様が押し寄せるのにはワケがあるってことなんですよ。

 

中村 そういえば、1階カウンターの奥行きはどんな感じですか?

 

長谷川 測ってませんでしたね。ではチェックしてみましょう。

 

中村 今日もメジャーが冴えますね!

 

長谷川 ほうほう、46.5cmか。45cm~50cmという造りが最も多いので、ここは標準サイズです。

 

中村 狭すぎず広すぎずってことかぁ。使い勝手がよさそうですね。

 

長谷川 今日は角度を測れるメジャーもあるので、角もチェックしてみますか。うん、こちらは140度ぐらいですね。他店のサンプルがあまりないのでよくわかりませんが、エッジは十分にとれてると思います。

 

中村 今日も勉強と驚きがあって、楽しかったです。カウンター酒場の魅力、またいろいろと教えてください!

 

変形コの字カウンターについても勉強した中村さん。次回はどんな大衆酒場の楽しみをみつけられるでしょうか?

 

 

<取材協力>

酒蔵お太幸 中央店

住所:神奈川県横須賀市若松町2-7
営業時間:15:00~22:00、金土祝前日15:00~22:30(日曜祝日は1階のみ13:00~22:00)
定休日:12/24、12/31~1/2

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年12月5日)

 

撮影/鈴木謙介

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

「東京・大衆酒場の名店」バックナンバーはこちら▼

・第1回 【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺

・第2回 【東京・大衆酒場の名店】初心者女子と楽しく学ぶ! 篠崎「大林」の魅力と「下町酒場の成り立ち」の噺

・第3回 【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺

・第4回 【東京・大衆酒場の名店】酎ハイ街道をゆく。八広「亀屋」の“ボール” 受け継がれる秘伝レシピの噺

・第5回 【東京・大衆酒場の名店】四ツ木「ゑびす」で、自家製ロックアイスのお茶割りを味わう噺

・第6回 【東京・大衆酒場の名店】門前仲町「だるま」で、コの字カウンター劇場を堪能する噺

・第7回 【東京・大衆酒場の名店】船堀「伊勢周」で、L字カウンターの機能美を楽しむ噺

・第8回 【東京・大衆酒場の名店】門前仲町「大坂屋」の“牛にこみ”を三日月型カウンターで堪能する噺

・番外編 大衆酒場の酎ハイに欠かせない「下町炭酸」を飲み比べる噺

・番外編 焼酎ハイボールに合う!「東京・大衆酒場の名店」のおつまみを、約5000円の調理家電で再現する噺

2023年のヒット確定!? 炭酸でつくる「ビアボール」が発売半年前から盛り上がった理由

Sponsored by サントリー

11月15日に一般発売されたサントリーの「ビアボール」が、早くも大きな話題となっている。実はこの商品、一部飲食店やイベントでは約半年前から提供され、例を見ない盛り上がりを見せていた。その理由とはいったい!? 味や製法、飲み方などをGetNavi webの編集部員がチェックし、探ってみた。

サントリー謹製 ビアボール

日本初(※)の、炭酸水でつくる自由なビール。炭酸水割りでおいしくなる香味設計により、麦の豊かな旨みとアロマホップ100%による華やかな香り、爽快感を実現している。アルコール度数は16%で、好みの濃さで楽しめるのも魅力。

※:炭酸水で割ることを製品上で訴求する日本初のビール(Mintel GNPDを用いたサントリー調べ2022年5月)

 

発売前からザワついている!?「ビアボール」の注目度

サントリーが「サントリー謹製 ビアボール(以降ビアボール)」を発表したのは2022年6月21日のこと。一般発売は業務用中瓶(500ml)が同年10月4日、家庭用小瓶(334ml)が11月15日で、かなり前倒しの発表だったが、その話題性は十分。高濃度のビール原液をハイボールのように炭酸水で割って飲むという革新性は、世の中に圧倒的なインパクトを与えた。

↑「SUMMER SONIC 2022」にブース出店し大盛況!

 

その注目度は、飲み手の声にも如実に反映。「ビアボール」は一部の飲食店やイベントなどで限定先行発売され、これがSNSを中心として大きな話題に。数字で見ても例えば、音楽フェスで有名な「SUMMER SONIC 2022」でブース出店された際は、東京と大阪の計2日間で約1万8000杯も売れる大盛況ぶり! ほかにも、若手俳優によるスポーツエンターテインメント「ACTORS☆LEAGUE 2022」では「ビアボール」のブースに1時間越えの大行列ができるほどだった。

 

「ビアボール」っていったい何モノ?

では、「ビアボール」の中味はどうなっているかというと……原材料は一般的なビールと同じく大麦麦芽やホップ、天然水など。麦芽の一部には深いコクを生み出すダイヤモンド麦芽、そして豊かなうまみをつくり出すミュンヒナー麦芽が使われており、こだわりを感じさせる。さらに、香りや苦みに起因するホップは華やかさを生み出すアロマホップ100%。なかでもリッチなファインアロマホップを一部使用することで、エレガントで爽やかな香りを実現した。

 

これをビール原液として好みの炭酸水で割れば、ハイボールならぬ「ビアボール」の完成だ。自由に楽しめる多様性が「ビアボール」の魅力とはいえ、まずは基本となるつくり方を紹介しておこう。

 

1.まずはグラスに氷をギッシリと! ハイボールやレモンサワーなどと同様で、グラス自体もしっかり冷やすこと。 2.「ビアボール」を注ぐ前に、炭酸水を注ぐ。なるべく炭酸ガスが飛ばないよう、やさしく注ぐのがポイントだ。

 

3.「ビアボール」もゆっくりと。目安として、まずは公式のオススメである「ビアボール」1に対して炭酸水3でトライすべし。 4.マドラーなどを使って、下から上に1回ステア。ここでも、やさしく回すのがおいしく作るコツだ。

 

5.完成! なお「ビアボール」は1回で飲み切らなくてもOK。付属の再栓キャップで閉めると、冷蔵で約2週間楽しめる。


 

一本でどこまで楽しめる? 3つの濃度で異なる味わいを楽しむコツ

「ビアボール」の味は実際どうなのか? そこでGetNavi webの編集部員からお酒好き2名を選抜。つくり方を変え、アルコール度数2%・4%・8%でそれぞれ飲んでもらった。

↑GetNavi webの動画担当、小山雅斗(左)と、美容家電担当の松永舞香(右)。いずれも20代後半の、「モノ」より「モノ起点の思い出」世代。

 

まずはアルコール度数4%で試飲し、全体的な味わいから。小山は「まさにビールとハイボールの良いとこ取り!」と好印象。

 

「飲み初めはビールの香りが炭酸にのってスーッと広がり、余韻にはビール特有の苦味はそこまで残らずさっぱり。喉越しにはビールのきめ細かい気泡と、ハイボール的な強炭酸の刺激、どちらの良さも感じられます。イメージとしてはビールのおいしさとハイボールの飲み心地を思わせる爽快感があって、すごくアリ!」(小山)

 

松永も、「クラフトビールを思わせる、にぎやかな味わいを感じます!」とおいしそうにゴクリ。

 

「スッキリとした飲み口ですが、コクもしっかり感じます。おつまみはサラダなどのサッパリ系から揚げ物などのコッテリ系まで、幅広く合いそう。また、華やかな香りや心地よい苦みもあって、ケーキなど甘いスイーツにも合うと思います」(松永)

 

次は2%や8%にもトライ。感想で共通していたのは、濃度によってアルコールの強さだけでなく、甘みや香りといった味わいの表情まで変わるユニークさです。そのうえで、お酒にそこまで強くない小山は自己流の楽しみ方を教えてくれました。

↑「食事や気分に合わせて変えられるのはいいですね!」(小山)

 

「ふだんは2%や4%がちょうどいいかな。でもたまにすごくリフレッシュしたいときは、濃いめでガツッと飲みたくなるかも。一般的なビールって4~5%ぐらいですけど、食事や気分に合わせて変えられるのはいいですね! あと、氷を入れて飲んでも違和感なくおいしいのはすごく嬉しいです。僕はビールをよく箱買いするんですが、冷やし忘れてしまうこともあるので」(小山)

 

一方の松永はお酒に強い体質で、濃いめの8%もお気に入り。

↑「しっかりとコクを楽しみたいときは8%で、料理と一緒なら4%。飽きが来ない味わいで、ちょうどいいリラックスタイムを過ごせると思います」(松永)

 

「ひとりで仕事終わりに飲むなら、8%ぐらいのアルコール濃いめでガツンと楽しみたいです。でも、料理と一緒にゆっくり楽しみたいときは4%かな。私の場合2%だと酔うのに時間がかかりそうですが、酔いが早い人には2%って嬉しいですよね。あと、こうして飲んでみると飽きが来ない味わいだとも感じました。お腹が膨れるような感じもなく、ちょうどいいリラックスタイムを過ごせると思います」(松永)

 

↑サントリーの推奨は「ビアボール」1:炭酸水3。これでアルコール度数が4%程度になる。

 

お酒に強い松永はいろいろ試すなかで、レモンを搾って飲むのもおいしいと力説。味わいがまろやかになり、より飲みやすい口当たりになるとのこと。「ビアボール」の公式サイトには「檸檬ビアボール」や「ビア・ロック」のレシピも載っているので、ぜひ参考に。


 

独自の醸造条件でサントリー史上最高のアルコール度数を実現

小山と松永はこのように評価した「ビアボール」の味わい。製法とともに、もう少し掘り下げてみよう。

 

「ビアボール」ならではのおいしさを生み出すカギとなったのが、独自の醸造条件の確立だったという。目指したのは、氷と炭酸水でつくってもしっかりと感じられるビールのおいしさと、時間が経過しても崩れない味わいと香りのバランス。それは、ただアルコール度数が高いだけでは成立しない。

 

ビール醸造で大切なのは、酵母をイキイキと醗酵させることで生まれる、うまみや香りや爽やかさ。ただし酵母はきわめて繊細な生き物であり、自身がつくりだしたアルコールであっても度数が高まると徐々に弱っていき、醗酵しづらくなる特徴があるのだ。その点を試行錯誤で解決し、アルコール16%まで元気に醗酵できるように独自の「サントリー式“酵母イキイキ製法”」を開発。この技術が「ビアボール」には生かされている。


 

いつ誰と楽しむ? 新しいビール習慣を考えてみた

まさに“サントリー謹製”。2人にあらためて、「ビアボール」を楽しみたいシチュエーションを聞いてみた。

 

「晩酌やお風呂上り、寝る前です。濃さは、やっぱりひとりのときはガツッとスカッと8%。特に『もうあとは寝るだけ』ってときは、気兼ねなく『ビアボール』で心地良く酔ってベッドに直行したいです!」(松永)

 

「僕もひとりの場合、食事や動画視聴時などのリラックスタイムですね。でも『ビアボール』って1本334mlで数杯味わえるので、2~4%で飲むなら残ったぶんを翌日に楽しむ手もアリですね。お得に楽しめるのもメリットだと思います」(小山)

↑「ひとりのときはガツッとスカッと8%」と松永

 

また、飲み手の好みで濃度を変えられる「ビアボール」は、パーティーシーンにもうってつけ、と両人。

 

「『ビアボール』は食事の邪魔をしない味わいですし、度数も調整できます。アルコールへの耐性を気にせず、知人と一緒にお酒の楽しさを体験できるのは嬉しいですね。あと、ウイスキーのハイボールを作る場合、分量を間違えると濃淡に違和感が出がちですけど、『ビアボール』はどんな濃さでもおいしい。失敗しないのも安心です」(松永)

 

「パーティーで楽しむ際は、ビアカクテルっぽい飲み方がウケそう。レモンを搾るのもいいし、ジンジャーエールでシャンディガフ風とか、トマトジュースでレッドアイ風とか。料理との相性もよさそうなので、これからの季節なら鍋に合わせてもおいしいと思います」(小山)

↑「ビアカクテルもアリですね!」と小山

 

好みで濃さを変え、様々な飲み方を楽しめる「ビアボール」は、価値観や嗜好が多様化する現代においては、まさにうってつけといえるだろう。これは今から2023年のヒット確定か!? 早くもそう予想される「ビアボール」、まずはお試しを!

 

ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転

[問い合わせ先]
サントリーお客様センター 
https://www.suntory.co.jp/customer/
サントリーブランドサイト https://www.suntory.co.jp/beer/beerball/

 

取材・文/中山秀明 撮影/高橋宣仁

ビールのお供に最高! 食のプロが厳選したドンキのコスパ最強なおつまみ

近年SNSで「コスパ最強!」として話題を集めているのが、ドンキならではのボリューミーかつハイクオリティなPBのおつまみ。フードのプロが実食して、 ビールにベストマッチするおつまみをピックアップ。コロッケや焼豚、みそにんにくなど、今すぐ一杯やりたくなる商品がズラリ!

※こちらは「GetNavi」 2022年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がジャッジしました!

フードアナリスト

中山秀明さん

ドン・キホーテは学生時代、深夜営業の高コスパ店ということでヘビロテしていた。いまも、自宅から徒歩10分ほどの場所にあるため宝探し感覚でよく訪れる。

 

【その1】クセになるメリハリ食感と甘じょっぱい味付けが絶品

情熱価格

さきいか天

539円

素材の旨みを生かしつつ甘じょっぱく味付けしたさきいかを、熟練の職人技でカラッと天ぷらに仕上げた一品。サクサクの衣に、しっとりとした身がクセになる味わいだ。

 

「衣が厚めでクリスピーな食感が、ソフトなさきいかとのメリハリを生んでナイス。ビールはもちろん、酸味の効いたレモンサワーなどもよく合いますよ。お好みでマヨネーズを!」(中山さん)

 

【その2】香ばしさと甘めの味で杯が進む塊肉のボリューミーな焼豚

情熱価格

直火焼 焼豚

494円

ハムの名門「日本ハム」と「情熱価格」がコラボした焼豚。直火で香ばしく焼き、甘じょっぱいタレでしっかり味付けした。かたまり肉のため、たっぷり使えるボリュームがうれしい。

 

「スライスしておつまみにしたり、細かく刻んでチャーハンの具材にしたりと幅広い用途で活用できます。僕なら、目玉焼きを落としてチャーシューエッグに1票! 」(中山さん)

 

【その3】揚げたてのような食感で甘み豊かな味のお手軽コロッケ

情熱価格

牛肉入りコロッケ

386円

甘み豊かな牛肉と玉ねぎ、皮まで裏ごし製法をした旨みたっぷりなじゃがいもをブレンド。丁寧な三度揚げと素材の旨みで、ソースなしでも美味な味わいに仕上げた。

 

「レンチンですぐ食べられるうえ、中はホクホク、外はサクサクで驚き! ちょっとした一品料理やおつまみに最適です。そばやうどん、カレーなどのトッピングにもグッド」(中山さん)

 

【その4】しいたけのサクッと感と後引く旨みの余韻が最強!

情熱価格

しいたけスナック

646円

しいたけ愛に溢れる同ブランドの担当者が様々な産地や品種のしいたけを食べ比べし、素材選びから味付けまで追求。しいたけでは味わえないサクサク食感と、粉末醤油などを使用した甘じょっぱさがポイントだ。

 

「旨みの余韻が長く、さすがしいたけと感動モノ。和風というよりコンソメ系の味付けで万人受けしそうです。カリポリ食感と濃厚な味がビールにマッチ」(中山さん)

 

【その5】燻製フレーバーまでリアルなベーコンのジューシーさが美味

情熱価格

アスパラガススナック ベーコン味

430円

収穫直後の柔らかいアスパラを使用したスナックフード。アスパラ特有の繊維と旨みを残すため真空低温フライで加工し、食欲がそそるベーコンフレーバーで味付けした。

 

「クリスピーな食感と、燻製の香りまで表現されているベーコン味がウマくてハマります。黒胡椒のピリッとした辛さも絶妙で、ほかにはない野菜スナックでしょう」(中山さん)

 

【その6】甘めの味噌とかつお節が効いた歯応えの良いにんにく漬物

情熱価格

みそにんにく

105円

歯応えの良いにんにくを、まろやかな味噌と焼津産のかつお節で風味豊かに味付けした漬物。ごはんのおともや細かく刻んでマヨネーズと和えて調味料にするのもオススメだ。

 

「シャキッとした、フレッシュな食感が好印象。甘めの味噌とやさしいかつお節が、にんにくのパンチや辛みをほど良く中和しています。味が濃く、酒がよく進むつまみですよ」(中山さん)

 

※価格はすべて編集部調べ

3000円は破格すぎ!リニューアルしたメルシャン「勝沼ワイナリーツアー」がスゴい

燃料費高騰などの影響で輸入ワインの値上げが叫ばれる一方、日本ワインは注目度を高めています。それは価格的な利点に加え、日本ワインのクオリティが年々高まっているから。そんな日本ワインのふるさとであり、日本一のワイン産地が山梨県勝沼市です。

 

市内には30を超えるワイナリーがあり、見学ツアーを行っているところも。今回は、なかでも有名かつ、2022年5月にリニューアルを果たした「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」のツアーを紹介します。

↑「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」。JR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」からタクシーで約8分、同線「塩山駅」からタクシーで約10分の場所にあります

 

現存する日本最古のワインがここに

同ワイナリーでは主に2つのプランがあり、本稿で紹介するのは所要時間約90分でじっくり体験できる「勝沼ディスカバリーツアー」(3000円)。もうひとつは、より贅沢かつ上級者向けの「勝沼ワインメーカーズスペシャルツアー」(1万円/約100分)となります。

 

両方ともワインテイスティング付きで、「勝沼ディスカバリーツアー」では4種の飲み比べが可能。まずはワイン資料館で、動画やパネルを参照にメルシャンの理念や歴史を学ぶところから始まりました。

↑ワインギャラリーの向かいにある、ワイン資料館。もともとは1904(明治37)年に建てられた宮崎葡萄酒(※)の第二醸造所で、1997年に県の有形文化財に指定されました

 

メルシャンは1877(明治10)年に創業した、日本初の民間ワイン企業「第日本山梨葡萄酒会社」がルーツ。同社の伝習生としてフランスに派遣された高野正誠氏と土屋龍憲氏は、日本におけるワイン造りの偉人としても有名です。

 

※宮崎葡萄酒:「大日本山梨葡萄酒会社」の共同創業者・宮崎市左衛門氏の子息である光太郎氏が設立

↑パネルの右下の2人が高野氏と土屋氏。このツアーにはガイドも付き、今回担当してくれたのはホスピタリティ・マネージャーの生駒 元さん。同ワイナリーで仕込み統括も務めたスペシャリストです

 

メルシャンの最近のトピックスとしては、2020年にワイン資料館が、文化庁より日本遺産に登録。また「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ。長野県上田市)ワイナリー」が2020~2022年と3年連続で、「ワールド ベスト ヴィンヤード」に日本で唯一ランクインし、アジアNo.1のワイナリーとしても名声を高めています。

 

次は過去の醸造設備や古樽などの現物資料と写真パネルを参照しつつ、昔のワイン醸造がどのように行われ進化していったかを学びます。

↑1887(明治20)年ごろに使われていた圧搾(あっさく)機。粉砕機でつぶしたぶどうをこの機械でさらに搾り、果汁をとっていた

 

なお、上階のフロアには現存する日本最古のワインなどが展示。こちらは高野正誠家の蔵に眠っていた1879年産のヴィンテージで、1976年に偶然発見されたそうです。100年以上経っていたものの保存環境がよかったため、中身も健全とか。

↑日本最古のワインがこちら。隣には、高野氏と土屋氏がワイン造りを学んだフランス・トロワ郊外モングー村の、クロ・サン・ソフィーの丘で造られたワイン(1976年産)が並んでいます

 

時季によってはぶどうの味見ができる

次はワイナリー敷地内の、多種多様なぶどうの木が並ぶ圃場(ほじょう)「祝村(いわいむら)ヴィンヤード」へ。ここには白黒約20種のぶどうが植えられており、生育状況によってはぶどうの実を味見することもできます。

↑「祝村ヴィンヤード」。ぶどうの味見でオススメの時季は8月下旬とのこと

 

なお、日本では1本の木から多く収穫できるなどの利点がある棚式栽培(頭上ほどの高位置で育てる)が主流ですが、ここでは収穫量が少ないぶん凝縮感に優れたぶどうが育つ、欧州で主流の垣根栽培が採用されています。

↑こちらの黒ぶどうはカベルネ・フラン。粒は比較的小さめで、凝縮した果実味や軽やかな酸味を感じました。甘みも十分あります

 

年間約500トンのぶどうがここでワインになる

ここからはツアーの後半。最初の敷地を出て3~4分ほど坂を下り、醸造現場へ。メルシャンは勝沼のほか椀子、桔梗ヶ原(ききょうがはら。長野県塩尻市)と計3つのワイナリーがあり、ここはそのうち最大の生産量を誇ります。

↑醸造所。メルシャン全体で使用する年間約650トンのぶどうのうち、約500トンがこの勝沼でワインになります

 

ツアー限定で見学できる施設は数か所。まずは18~21℃の冷蔵空間に大型のステンレスタンクが並ぶ「Bセラー」内を通って、「レセプション(仕込み場)」へ。ここでは山梨のほか、秋田や福島といったヴィンヤード産ぶどうの仕分けなどを行うほか、常温の発酵タンクもあります。

↑「レセプション」。これ以上近づくことはできませんが、日時によっては実際に稼働している状況も見学できます

 

次いで、産地や区画、ぶどう品種ごとにステンレスや木桶など様々なタンクが置かれた「Aセラー」。また、スタンダードタイプのワイン原酒を貯蔵するための巨大なワイン樽が並ぶ「Fセラー」を見学。各セラーは、ぶどうの産地や品種、ランクなどによって分けられています。

↑大中小の多彩な約100ものタンクが並ぶ「Aセラー」。なお、C、D、Eのセラーはありません

 

↑「Fセラー」にはひとつ約3300リットルという巨大なオーク樽がズラリ。エンジェルズシェア(蒸発)を最小限にするため、樽が卵型(空気に触れる面を少なくする)になっているのも特徴です

 

「Fセラー」の見学後は、敷地内の「ビジターセンター」に移動。内部の「地下セラー」へ行くと、そこには500~600もの樽が貯蔵されていました。なお、ここには特別なプライベート空間「オルトゥスルーム」が併設。用途の一例として、1万円のプラン「勝沼ワインメーカーズスペシャルツアー」ではテイスティングルームとして使われるそうです。

↑「地下セラー」。バニラの甘やかさを感じさせる、ワイン樽の妖艶な香りが漂っていました

 

テイスティングは五感を使ってわかりやすく学べる

「勝沼ディスカバリーツアー」の最後は、ワイン資料館に戻ってお待ちかねのテイスティング。白赤2種ずつの計4種を試飲し、この日は「岩出甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2021」「北信シャルドネ キュヴェ・アキオ 2019」「穂坂マスカット・ベーリーA シングル・ヴィンヤード 栽培責任者 横内栄人 2018」「塩尻メルロー 2018」が提供されました。

↑生駒さんが解説しているモニター資料は、ひとり1台に貸与されるタブレット端末で同内容が閲覧可能

 

ユニークなポイントのひとつが、「○○の香りを感じ取ろう」と、各ワインの特徴的な香りを生駒さんが解説しながら手ほどきしてくれるところ。「ワインのテイスティングノート、よくわからないんだよね」という人は、これを体験するとコツがつかめるはずです。

↑こちらは「岩出甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2021」を対象としたトライアル。グレープフルーツのほか、かぼすやすだちといった和柑橘のニュアンスも

 

テイスティングの4種はそれぞれ、同色のワインでもキャラクターが異なるタイプで組み合わせてくれるので、香りの違いを感じやすいのも特徴です。

 

「北信シャルドネ キュヴェ・アキオ 2019」は南国果実やバニラ、アーモンドのニュアンス、「穂坂マスカット・ベーリーA シングル・ヴィンヤード 栽培責任者 横内栄人 2018」はストロベリーにクリーミーさが合わさった明るくエレガントな果実味。そして「塩尻メルロー 2018」は、ブルーベリーやカシス風味の奥にごぼうなど、根菜類の要素が見え隠れ。

 

↑気に入った銘柄があれば、ぜひワインギャラリーへ。左から4600円、5500円、5200円、5800円(ワイナリー販売価格)で買えます

 

なお、ワイナリーで食事とともにペアリングを楽しみたいという人は、ツアーの申し込みとは別に「ペアリングBOX」を予約しましょう。こちらは老舗グランメゾン「銀座レカン」の元シェフ・ソムリエが店主を務める勝沼の人気フレンチ「ビストロ・ミル・プランタン」特製となり、ワインによく合う料理が少量のポーションで詰め合わせになっています。

↑「ペアリングBOX」は1800円。ワインは別途、1杯700円となります。1か月前の同日~1週間前の同曜日までに電話で予約を(ビジターセンター:0553-44-1011)

 

冒頭で輸入ワインの高騰に触れましたが、2021年のボージョレ・ヌーヴォーも同様に高くなっていて、そのぶん日本のヌーヴォー(新酒)に注目が集まっています。そこで、もし今季同ワイナリーを訪れるなら、お土産には「シャトー・メルシャン 日本の新酒」がオススメ。

 

↑「シャトー・メルシャン 日本の新酒」。白は「山梨県産甲州 2021」、赤は「山梨県産マスカット・ベーリーA 2021」で、ともに1本2000円です

 

ここまで「勝沼ディスカバリーツアー」を紹介しましたが、じっくり90分学べるうえに4杯のテイスティング付きで3000円という料金は破格でしょう。ビギナーにこそオススメ(上級者の人は1万円のほうへ)といえる同ツアー。ワイン好きで未踏の人はぜひ予約を!

 

【WINERY DATA】

シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー

住所:山梨県甲州市勝沼町下岩崎1425-1

アクセス:JR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」からタクシーで約8分、同「塩山駅」からタクシーで約10分

営業時間:ワイン資料館9:30〜16:30、ワインギャラリー・ワインショップ10:00~16:30、テイスティングカウンター10:00~16:00(L.O.)

定休日:年末年始

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

ノンアルコールセットもあります! チョーヤ梅酒のプレミアムな福袋

チョーヤ梅酒は、「プレミアム福袋2023」を、同社公式通信販売「蝶矢庵」で、数量限定販売中。12月26日までの注文で、1セットにつき販売価格から500円オフになる早期特典も用意しています。

 

同福袋は全4種類のラインナップし、すべてのセットに限定品「The CHOYAフロム・ザ・バレル」を同梱しています。注文順に順次発送し、年内発送は12月26日までの注文分まで。

 

「松セット」は、定番梅酒から新商品までが勢揃いし、さらに「うめ実ごろ」がセットになっています。税込価格は1万円です。

 

「竹セット」は、年末年始にぴったりの華やぐ金箔入り梅酒や、限定梅酒などのセットです。税込価格は2万円。

 

「梅セット」は、ワイン梅酒やゆず酒まで、新年を彩る豪華な逸品が揃ったセット。税込価格は3万円です。

 

「蝶セット」は、酒を飲めない人や子どもでも楽しめるノンアルコールセット。税込価格は6000円です。

2022年下半期のトレンドをプロが予想! フード・日用品ジャンルの最旬キーワード9選

Withコロナがすっかり定着し、新しいライフスタイルやムーブメントが生まれゆくなか、2022年下半期はどうなっていく……!? これから売れるモノ、流行るコトを「フード・日用品」ジャンルのプロたちに断言してもらった。乗り遅れ厳禁、「聞いてないよォ〜」とは言わせませんッ!!

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

自宅やオフィスでも活用できる省スペースの収納棚を展開

≪その1≫スノーピークTUGUCA

 

↑キャンプ好きライター湯浅顕人さんが予想!

 

柱1本でも活用できるためより部屋に導入しやすい(湯浅)

↑スノーピーク/TUGUCA シングルシリーズ/オープン価格

 

自由にレイアウトできるスノーピークの家具ブランド「TUGUCA」から「シングルシリーズ」が展開される。

 

「従来、TUGUCAを利用するには最低2本の柱(TUGUCA タテ)が必要でした。しかし、シングルシリーズの登場で1本の柱でも使えるようになり、汎用性がアップしました」(湯浅さん)

 

コストや設置スペースも考慮され、より導入しやすい製品に。

 

「最大の魅力は、キャンプでいつも行う“自分の居場所や状況に合わせて家具のレイアウトを自由に変える”ということが、室内でもできる点です」(湯浅さん)

 

スノーピークの多彩な製品は、シンプルで飽きがこないデザインを採用。それを受け継いだTUGUCAに限らず、同ブランドのキャンプギアを自宅に置いても違和感なくマッチする。

 

「スノーピークの取り組みのひとつに、キャンプをしない人にもインドアでキャンプギアを使用する楽しさやメリットを伝える活動があります。今後は、そういった活用方法も増えていくのではないでしょうか」(湯浅さん)

 

【ヒットアナリティクス】自由度とサイズを改良して単身世帯にも訴求

アウトドア用品でおなじみのスノーピークが、4月から家具ブランド「TUGUCA」を展開。注目のシングルシリーズはカスタマイズ性とサイズの進化を遂げ、単身世帯にも住空間の新しいあり方を提示している。

先進技術:★★★

顧客ニーズ:★★★★

市場の将来性:★★★★

独自性:★★★★★

コスパ:★★★★

 

自由にレイアウトを変更できる「TUGUCA」に、柱1本でも使えるオプションが追加。柱の四方に棚を取り付け、小物類を置ける。理想の空間を最小限に実現できるのでワンルームなどにも設置しやすい。

↑発売時期や価格は未定だが、シングルプランターも展開予定。ハーブやちょっとした植物を育てられる。柱にたくさん取り付け、樹木や森を再現するのも◎

 

↑別売りのシングルトレーS/M、シングルフック(すべてオープン価格)を装備して使用可能。Mサイズのトレーは、ちょっとした机代わりにもできる十分な広さだ

 

様々なプロジェクトが始動! 長い充電時間をタープで有意義に!

↑トヨタのEV×スノーピークのタープ

 

トヨタ自動車とスノーピークとの協同プロジェクト。環境にやさしい電気自動車に乗る人が急増中だが、充電時間が長いことが問題に。そこでハッチにスノーピークのタープを繋げて、待ち時間を有意義にする取り組みを行う。

 

リサイクルチタンで環境にやさしいギアを

↑日本製鉄の純チタン×スノーピークのギア

 

日本製鉄が、純チタンで世界初となる環境配慮型素材「トランティクシー(R)エコ」を開発。原料の50%以上をリサイクル素材に置き換え、製造工程でCO2発生量を50%以上削減できる。スノーピークのチタン製品に導入予定。

 

水質にまでこだわった究極の泡ミスト

≪その2≫浄水ヘッドシャワー

↑編集部 金矢麻佳が予想!

 

より純度が高い水のバブルで毛穴汚れをしっかりオフ(金矢)

↑【シャワーヘッド/2022年6月発売】/MTG/リファファインバブル ピュア/3万2500円

 

【ヒットアナリティクス】セルフ美容のニーズに応える新基軸ギア

コロナ禍で「おうち美容」の需要が高まり、出荷本数が一気に伸長。4月にシリーズ累計100万本を突破するなど好調だ。価格は決して安くはないが、ヘッド交換でバスタイムが美容時間になる手軽さと、さらなる美を追求する新しい浄水機能で、さらにヒットしそう。

先進技術:★★★★

顧客ニーズ:★★★★

市場の将来性:★★★★

独自性:★★★★★

コスパ:★★★

 

2層構造の浄水カートリッジを搭載。水中の残留塩素や汚れにアプローチし、淀みのないキレイな水を浴びられる。さらに、毛髪の太さよりも小さい1〜100μm未満の2種類の泡が毛穴の奥の汚れまで洗浄し、肌本来の美しさを引き出す。

↑MTG/リファピュアカートリッジ/2500円

 

リファファインバブル ピュアに装着する専用のカートリッジ。交換時期は約3か月(1日8分使用時の目安)

 

↑加圧溶解と2段階のキャビテーション構造を採用。ウルトラファインバブルとマイクロバブルの2種類の泡を一気に生み出してくれる。絹のような柔らかい肌当たりの水流を実現した

 

睡眠科学で培ったノウハウをおしりに応用!

≪その3≫おしりの枕

↑編集部 金矢麻佳が予想!

 

3点で理想の姿勢に導き長時間の座り心地を快適に(金矢)

↑【骨盤サポートクッション/2022年6月発売】/西川/Keeps 骨盤サポートクッション/1万1000円

 

【ヒットアナリティクス】Makuakeの先行予約販売で目標達成率1500%突破!

リモートワークの推奨や酷暑による在宅時間の増加に伴い、長時間座っても疲れにくいクッションは引き続き注目度が高い。6月より先行発売中のMakuakeで目標達成率1502%(※)を達成するなどすでに爆売れ状態。9月の一般発売を前に売れる素地は整った。

※:7月上旬時点

先進技術:★★★★

顧客ニーズ:★★★★★

市場の将来性:★★★★

独自性:★★★★

コスパ:★★★

 

体圧分散性に優れた快適な座り心地のウレタンクッション。座骨・仙骨・大腿部でバランス良く臀部を支え、長時間座っても疲れにくい。大臀部の接地面にエアホールを備え、蒸れを軽減してくれる。抗菌仕様なのもうれしい。

↑独自の立体構造で骨盤をしっかりサポート。座骨の前滑りを防ぎ、非使用時に比べて背骨が立った理想的な座姿勢を長くキープできる

 

↑クッションなしでは約85%の圧力が座骨に集中(右)。対して、本品の使用時は圧力が分散され、座骨にかかる圧力を約30%まで減少する(左)

 

平成レトロのエモさをZ世代が熱烈支持!

≪その4≫COE365

↑編集部 金矢麻佳が予想!

 

青春時代のエモい世界感が“共感買い”を誘います!(金矢)

↑【ノート/2022年2月発売】/プラス/COE365 ノート College(カレッジ) セミB5サイズ 6.5mm罫/187円

 

【ヒットアナリティクス】SDGsな視点とエモいデザインがZ世代に刺さる

Z世代の共感を呼ぶエモい絵柄とQRコードの仕掛けに加え、古紙や再生プラスチックの使用を打ち出すなど、時代に即したサステナブルな商品設計で訴求を強化。インフルエンサーを起用したSNSでの広告展開により認知度もアップし、Z世代の購買意欲を刺激する。

先進技術:★★★

顧客ニーズ:★★★★★

市場の将来性:★★★

独自性:★★★★★

コスパ:★★★

 

「COE365」は“エモい”と“エコロジー”を掛け合わせた“エモロジー”がテーマの文具シリーズ。イラストレーターの純頃が描く、懐かしい学生時代のデザインに仕上げた。「朝の通学電車」「放課後の教室」など5種類の絵が表紙を飾る。再生紙を使用。

↑パッケージのQRコードを読み取ると、シーンにリンクする「エモ音」を聴ける。自然を感じるBGMで、リラックスして勉強できる仕様に

 

↑罫の色は見やすくてかわいいパープルを採用。適度な筆記スペースを備えた6.5mm幅のドット罫は、文頭を揃えやすく図形も描きやすい

 

日本初! 炭酸水で作る自由なビール

≪その5≫ビアボール

↑フードライター 中山秀明さんが予想!

 

好みの濃さでビールを楽しめるアイデアがユニークです(中山)

↑【ビール/2022年11月発売】/サントリー/ビアボール 家庭用小瓶/768円

 

【ヒットアナリティクス】洋酒の王者サントリーの発想に期待が高まる

これぞサントリーの“チャレンジ精神”。ハイボールやレモンサワー、ジンソーダなど同社が仕掛けてヒットし、定着した酒は数多く誕生している。一部の飲食店では先行発売されており、動向に注目したい。

先進技術:★★★

顧客ニーズ:★★★★

市場の将来性:★★★★

独自性:★★★★★

コスパ:★★★★

 

炭酸水で割って味わうのが前提の濃厚な味とアルコール度数16%が特徴。麦芽本来の旨みと深いコクや、フルーティで爽やかな香りは時間が経っても崩れにくい。好みの味で飲む多様性や、ビールの奥深い楽しさを訴求した意欲作。

↑炭酸水とビアボールを3:1で割るのが最適。炭酸水を入れずに氷のみで作るビアロックもオススメだ。業務用の中瓶は、10月4日に発売

 

新鮮な魚や肉をコンビニで手軽に購入できる

≪その6≫ローソン冷凍刺身

↑フードライター 中山秀明さんが予想!

 

アルコール凍結技術で新鮮な魚を味わえます(中山)

↑【冷凍食品/2022年1月発売】/ローソン/カンパチお刺身/505円

 

【ヒットアナリティクス】業界が注目している液体急速冷凍がカギ

冷凍食品業界でいま注目を集めているのが、液体急速凍結という技術。これをコンビニでいち早く取り入れ、ヒットさせたのがローソンだ。同社は2025年度の冷凍食品の売上高を2020年度に比べて5倍ほど増やすと発表しており、今後の新作にも目が離せない。

先進技術:★★★★★

顧客ニーズ:★★★★

市場の将来性:★★★★★

独自性:★★★★

コスパ:★★

 

鹿児島県の養殖場で水揚げされたカンパチを、スライス後に凍結。液体急速凍結機によるアルコール凍結技術を採用し、新鮮な脂の旨みやハリのある身の食感を実現した。ほかに真鯛お刺身(505円)も展開。

 

SQF取得のファームとタッグした鮮度の良い馬肉(中山)

↑【冷凍食品/2022年1月発売】/ローソン/鮮馬刺し赤身スライス/808円

 

世界で初めて生食用食肉で国際規格「SQF(Safe Quality Food)」を取得した「千興ファーム」が加工。さっぱりとしながら上品な甘みのある鮮度抜群な赤身肉と、少し甘めな付属のタレがよく合う。肉はスライスされ、盛り付けるだけと手軽。

 

イタリア・トスカーナ生まれの定番おやつ

≪その7≫ボンボローニ

↑フードライター 中山秀明さんが予想!

 

長時間発酵のふわふわ生地が濃厚クリームとベストマッチ!(中山)

↑【イタリアンパン/2021年8月発売】/パニフィーチョ ヴィヴィアーニ/ボンボローニ/440円/住所:東京都杉並区永福4-5-18-1F

 

【ヒットアナリティクス】ファミマやイオンが商品化ポストマリトッツォはコレ!

今年のスイーツ界で騒がれているトピックが、“ポストマリトッツォ”。近しい存在のイタリア伝統菓子がいくつか候補に挙げられるなか、頭ひとつ抜けたのがボンボローニだ。Z世代ではすでに話題になっており、6月にはファミリーマートやイオンが商品化。

先進技術:★

顧客ニーズ:★★★★

市場の将来性:★★★★

独自性:★★★

コスパ:★★★

 

コロンと丸い揚げパンにレモンクリームやチョコクリームがたっぷり入った、イタリア発のおやつ。口に含むとクリームの濃厚なコクと、生地がバランス良くマッチする。同じ店の看板メニューの1つであり、売り切れ必至だ。

↑長時間発酵したふわふわ生地に、コーティングした砂糖がよりおいしさを引き立たせる。イタリアでは国民的な朝食パンとして親しまれている

 

中国発祥の蒸留酒

≪その8≫白酒(ばいじゅう)

↑フードライター 中山秀明さんが予想!

 

フルーティな香りですっきり飲める低アル白酒(中山)

↑【果実酒/2022年7月発売】/江小白/江小白(じゃんしゃおばい)/600円

 

【ヒットアナリティクス】ガチ中華に最適な酒は本格な中国酒で決まり!

グルメ界では最近、中国出身者が現地の郷土料理を提供する「ガチ中華」が注目度を高め、その料理に合わせる本格的な中国酒「白酒」が脚光を浴びている。今年は「一般社団法人 日本中国白酒協会」も設立され、勢いに拍車がかかることは間違いなし。

先進技術:★

顧客ニーズ:★★★

市場の将来性:★★★★★

独自性:★★★★

コスパ:★★★

 

江小白に果汁が入った甘くみずみずしい果実酒。フルーティな香りながら、すっきりと飲みやすい味わいに仕上げられている。ストレートはもちろん、カクテルやソーダ割りとも相性が良い。黄色ボトル(かぼす味)は日本未入荷。

 

↑4月に世界的な酒類コンペティション「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2022」が開催。江小白が金賞に輝いた

 

↑クールなパッケージやコンパクトサイズで、若い世代から人気を集める白酒。甘みとフルーツの香りが爽やかで、まろやかな味が好評だ

 

料理もガチ中華! 個性溢れる8店舗を集めて様々な中国料理を楽しめる!

↑【外食サービス/2022年6月オープン】/香福味坊 秋葉原駅昭和通口/住所:東京都千代田区神田佐久間町1-21 千代田テラスビル地下1階

 

美食家に愛される中国料理の人気店「味坊集団」が、日本最大規模の店舗を秋葉原にオープン。タイプの異なる8店舗を凝縮し深化させ、早点(中国式朝食)から大卓の宴会まで中国料理の様々なスタイルを提供する。

 

複数の専門業態が1つの店舗に集結

≪その9≫文化祭型飲食店

↑フードライター 中山秀明さんが予想!

 

日本のハレ文化を体験しながら酒場7店舗で酔い気分に(中山)

↑【外食サービス/2022年7月オープン】/食と祭りの殿堂 浅草横町/住所:東京都台東区浅草2-6-7 東京楽天地浅草ビル4階

 

【ヒットアナリティクス】著名な外食企業も取り入れる文化祭型

これまでの複合店は数社が出店し合う“フェス型”が多かったが、1つの企業が自社で個々の専門業態を展開するのが“文化祭型”。塚田農場を展開するエー・ピーカンパニーも文化祭型の「アルチザンアパートメント」を開業するなど、注目の高さが窺える。

先進技術:★★

顧客ニーズ:★★★★

市場の将来性:★★★★★

独自性:★★★★

コスパ:★★★

 

寿司やホルモン、うなぎ、韓国料理など多彩な酒場7店舗が集結。ハレの日のようなにぎやかな装飾やネオン看板に溢れ、大道芸人が飲みの場を盛り上げる。週末には店内に「よさこい」や「阿波踊り」などが乱入。

 

いづも

↑コンセプトは“現代に伝えたい大衆文化うな串”。いまでは高価となった江戸の伝統食うなぎを、串などでリーズナブルに提供する

 

浅草すし

↑外食を盛り上げるユニークな創作寿司が食べられる店。江戸前寿司を基本の軸にしながら、素材の旨みを生かした料理は絶品だ

 

ハンマート

↑若者に人気のニュートロ空間×フォトジェニックな本格コリアンがテーマ。鮮やかなネオンが彩る店内で、韓国旅行気分に浸れる

 

ホルモンペペ

↑秘宝館を思わせるアバンギャルドな空間に、名物のホルモン鍋など様々なアテがズラリ。ほかに類を見ない、背徳な美食がここに

レモンサワー発祥の店「もつ焼き ばん」で語る、焼酎「割り材」の噺

【意外と知らない焼酎の噺09】

『古典酒場』編集長の倉嶋紀和子さんがナビゲーターとなって探っていく「意外と知らない焼酎の噺」。焼酎の「割り材」(※)として、前回は「ホッピー」を紹介しましたが、もちろんそれだけではありません。そもそも、どうしてお酒を『割る』のか?「割り材」の歴史や種類について、「居酒屋礼賛」主宰の浜田信郎(はまだ しんろう)さんとともに探ります。

 

※割り材:酒を割って飲むための炭酸や果汁などのこと

 

※本稿は、もっとお酒が楽しくなる情報サイト「酒噺」(さかばなし)とのコラボ記事です。

 

●浜田信郎(右)/ブログ「居酒屋礼賛」の主宰。『酒場百選』(筑摩書房)『ひとり呑み』(WAVE出版)など大衆酒場に関する著作を数多く上梓
●倉嶋紀和子(左)/雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名。令和4年(2022年度)「酒サムライ」の称号を叙任

 

「割り材」は吞兵衛の欲望から生まれた?

対談場所に選ばれたのは、レモンサワー発祥の店として有名な東京・目黒区にある「もつ焼き ばん 中目黒本店」。かつて割り材商品のヒントにもなった伝説の一軒で、今回のテーマにもうってつけです。まずは様々な割り材について、起源や歴史などを語ってもらいました。

1958(昭和33)年創業の「もつ焼き ばん」。看板の左には「輩サワー」の提灯も

 

倉嶋「あらためて考えると、割り材っていろいろありますよね。水やお湯に炭酸、果汁(エキス/シロップ)、ジュースにお茶系などなど。でも私のなかでは、『フレーバーが付いているもの=割り材』というイメージが強いですね」

 

浜田「わかります。確かに『水割り』『お湯割り』っていいますから、水やお湯も割り材なんですけどね。でも倉嶋さんが『これは割り材なのかな?』という考えは、西日本の本格焼酎(乙類)文化と、東日本の甲類焼酎文化で見方が変わってくるのかなと思います」

 

倉嶋「そうですよね。原材料の風味が豊かな本格焼酎は、フレーバーが付いたタイプではあまり割りませんし、一方クリアな酒質の甲類焼酎は多用な飲み方で楽しむ人が多いお酒。ただそこに共通しているのは、より飲みやすく楽しみたい、おいしく飲みたいという人間の欲望なんだろうなって(笑)」

 

浜田「ええ。いまも昔も呑兵衛の想いはそれですよね(笑)。倉嶋さんは熊本出身で、私も大学時代は福岡で過ごしましたから、若いころは本格焼酎文化に囲まれていたと思うんです。そうして振り返ると前割り(あらかじめ焼酎と水を混ぜ合わせてなじませる)があったり、鹿児島には『ぢょか』(注ぎ口が付いた陶磁器の土瓶のこと。千代香や茶家、黒千代香とも)でお湯割りにする文化が根強かったり。

いつ、だれがそうやって飲み始めたかはわからないのですが、九州では伝統的に水割りやお湯割りが親しまれていますよね。蒸留することでアルコール度数が高くなった焼酎を、そのまま味わうのでは強すぎて飲みにくいという人もいる。だから、自然発生的に割って飲むようになったんじゃないかなと思います」

↑ぢょか

 

倉嶋「割ったほうがいろんな食事に合わせやすいという考え方もあるかもしれませんね。例外として、熊本県南部の人吉球磨(ひとよしくま)エリア(稲作が盛んで、米でつくる「球磨焼酎」が有名)では、米焼酎をストレートで飲む文化もあるそうですけど」

 

焼酎用エキスは大正時代から存在した

 

浜田「一方の甲類焼酎は明治末期に誕生し、大正初期には東日本を中心に広まっていったといわれています。そこで面白いのが、早い段階で割り材としてエキスが生まれていること」

 

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「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺

 

倉嶋「当時は甲類焼酎の精製技術がいまほど高くなく、香りも強かったといわれていますもんね。その味をうまくなじませるために、エキスや炭酸割りが生まれていったという話もよく聞きます」

 

浜田「市販のエキスで有名なのが、1923(大正12)年に開発された『ぶどう液』。こちらは当時高価だったポートワインの味を焼酎で再現するために作ったそうですけど。

あとは、戦後のアメリカ進駐軍の駐屯地で飲まれていたウイスキーのハイボールをヒントに、『三祐酒場』の主人が焼酎とエキスを使って生み出したといわれる東京・下町の焼酎ハイボールも有名ですね。由来には諸説あるものの、これが酎ハイ=チューハイとなって広がっていったわけですよ」

 

 

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【東京・大衆酒場の名店】伝説の「三祐酒場」で聞く「元祖焼酎ハイボール」発祥の噺
東京にある大衆酒場の名店を巡る企画の第3回。今回は、墨田区の「三祐酒場(さんゆうさかば) 八広(やひろ)店」を訪れ、その魅力を探っていきます。

「チューハイ」ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺
これまで、焼酎の歴史や、造り方について深掘りしてきた本シリーズですが、ここからはその飲み方などの”実践編”。今回のテーマは「チューハイ」です。

 

倉嶋「甲類焼酎の割り材としては、やっぱり焼酎ハイボールを抜きにしては語れませんよね。その後チューハイ用のエキスが多様化し全国へ広がっていったことは、以前、藤原法仁さん(2010年に、浜田さんと11月11日を「立ち飲みの日」に登録した、大衆酒場通)とお話しした際に、深く語り合ったのですが、まず1970年代に起こった『ホワイトレボリューション(白色革命)』がありますよね」

 

浜田「アメリカで起きたクリアな蒸留酒のブームですね。この波が日本に到来することを予想して、1977(昭和52)年に誕生したのが宝焼酎『純』です。『純』はきわめてピュアな味でありながら、自然なうまみと心地よい香りをもつ斬新なおいしさが特徴。焼酎市場全体を盛り上げる、まさに革命的なヒットとなり、1980年代のチューハイブームへとつながったといわれています」

11種類の樽貯蔵熟成酒を13%の黄金比率でブレンドした、宝焼酎「純」

 

チューハイのカクテル化とともにお茶割りも全国へ

倉嶋「私のイメージでは、ウーロン茶割りや緑茶割りが広まっていったのも1980年代以降という感覚です。というのも、日本初の缶入りウーロン茶は1980年、緑茶は1985年に誕生していまして。そして同時に、チューハイのカクテル化も進んでいた。こうしたチューハイの多様化とともに、ウーロン茶割りや緑茶割りも全国へ浸透していったと考えています」

 

浜田「お茶割りに関しては私もそう思いますし、ジュースなどで割ったチューハイも同様ですよね。あとは本格焼酎の世界でも、特に西日本では炭酸割りなんてほぼ飲まれてなかった印象ですが、近年は無糖炭酸が一般家庭に広まっていったことで、いまでは定着していると思います」

 

倉嶋「全国区となるとそういう感じですよね。地方では、昔からその地域だけにあった飲み方や、ご当地チューハイみたいなものがあるかもしれませんけど。例えば、地元の炭酸を使ったレモンサワーとか。私の経験では、神戸には兵庫鉱泉所の「マスコット レモンサワー」があったんですけど、広島の尾道など鉱泉所がある地域の大衆酒場では、その土地ならではのチューハイが昔から飲まれているかもしれません。

また炭酸由来でなくても、京都の赤ワイン×焼酎カクテル『ばくだん』とか、同じく山梨で古くから親しまれているワインの焼酎割り『葡う酎(ぶうちゅう)』とか」

 

浜田「確かに。私も広島でいえば、呉の『くわだ食堂』にはご当地炭酸ではないですが牛乳割りがあることを思い出しました。あとは同じく、呉に昔あった『あわもり』というおでん酒場では、泡盛の梅エキス割りが提供されてましたね。この店だけのオリジナルかもしれませんけど」

 

倉嶋「やっぱり割り材って奥が深くて面白いですね。それに、各地で様々な割り材が生まれてるのも甲類焼酎の魅力だと思います」

 

 

元祖レモンサワーの「ばん」をヒントに生まれた「ハイサワー」

浜田「『もつ焼き ばん』はレモンサワー(462円)の元祖として有名ですね。その味も、まさにお手本といえるおいしさ。焼酎と炭酸とレモンのバランスが最高なんですよね」

「もつ焼き ばん」のレモンサワーは、焼酎、炭酸、レモン1個(スクイーザー付き)のセットで提供

 

倉嶋「私は、レモンが半分ではなく贅沢にも1個丸ごと提供いただける点がすごく嬉しいです。それに、手で搾るときに正気に戻れるというか(笑)。でも1個丸ごとですからそのぶん味も爽快で、クエン酸もたっぷり。おまけに宝焼酎もたっぷり濃いめ。これがおつまみにも合うんですよ」

「もつ焼き ばん 中目黒本店」では宝焼酎25%を使用

 

浜田「ほんとにそう! おつまみのメインはもつ焼き(121円)で、その前にまず食べたいのが、『レバカツ』(308円)と『激辛豚美(とんび)豆腐』(495円)と『ぬか漬け盛り合わせ』(308円)。この3点セットですね」

左上より時計回りで、『もつ焼き』(1本121円)『レバカツ』(308円)『ぬか漬け盛り合わせ』(308円)『激辛豚美(とんび)豆腐』(495円)

 

倉嶋「そして、レモンサワーとしての割り材といえば『ハイサワーレモン』が有名ですが、そのルーツが『もつ焼きばん』というのも、業界内では常識といえるでしょう。このエピソードをより詳しく知るべく、『ハイサワー』のつくり手である目黒区武蔵小山の飲料メーカー・株式会社 博水社の田中秀子社長にお話を伺ってきたんです」

 

浜田「それはそれは! 確か秀子社長は三代目で、博水社はもともと品川で創業したんでしたっけ?」

 

倉嶋「はい。創業は1928(昭和3)年で、その後1954(昭和29)年にいまの目黒に工場を移転したそうです。もともとはラムネやみかんジュースなどをつくっていたそうですが、戦後に外資系の飲料メーカーが上陸するなど、ソフトドリンク市場が激化していったとか。そこで新たなヒット商品を作ろうと、まず手掛けたのがハイボール用の炭酸。そして二代目を中心に、ビアテイスト飲料も開発したんだそうです」

 

株式会社 博水社・田中秀子社長

 

浜田「ビアテイスト飲料ということは、ホッピーみたいな割り材を目指していたんでしょうね」

 

倉嶋「試行錯誤を繰り返し、開発には約6年をかけたそうです。でも、時間をかけすぎたため当初の原材料を調達できず、とん挫してしまったと。ただ、それでめげることはなく、気晴らしと視察を兼ねて米国カリフォルニアの団体旅行に家族で行ったとか。そこで見た光景が、市民のだれもが気軽にカクテルを楽しむ姿。それが『ハイサワー』開発のきっかけになったとおっしゃっていました」

↑1980年に初登場した「ハイサワー」

 

浜田「なるほど。当時の日本におけるカクテルは高嶺の花だったでしょうし、街なかで気軽に提供しているお店も多くはなかった。その違いにカルチャーショックを受けるとともに、日本における商機を見出したんですね。そのうえで『もつ焼きばん』のレモンサワーがヒントになったと」

 

倉嶋「特に着目したのは季節を問わないという点。というのも、博水社は長年『もつ焼きばん』に炭酸を納品しているのですが、同店は寒い冬でもバンバン売れている――。なぜだろう?と。

そこで当時の営業さんが実地調査に行ったとき、いまではおなじみの、レモンを搾るスタイルで一緒に炭酸を提供されていた。つまり、レモンはチューハイをおいしくする果汁であり、そのエキスが入った割り材があればより手軽にレモンサワーが楽しめることに気付いたということですよね」

 

浜田「それで『ハイサワー』が誕生したと。フレーバーは最初がレモンで次がライムだったかな。6種ぐらいありましたっけ?」

 

倉嶋「基本はそうですね。レモン、ライム、青りんご、うめ、グレープフルーツ、ホップ&レモン(ほろにが)。あとは、40周年を記念して発売された『ハイサワースンチー杏仁檸檬(あんにんれもん)』とパクチー&レモン(業務用のみ)の8種類ですね。それにローカロリーの『ダイエットハイサワー』があったりと、バラエティー豊かですよね。

ちなみに、田中社長にハイサワーのオススメの割合を伺ったら『焼酎1:ハイサワー3』とのことでした。それと、最近はハイサワーをウイスキーや泡盛で割る人もいるようですが、やはりハイサワーには甲類焼酎がいちばん合うとおっしゃっていました」

 

業務用の地域限定のガラス瓶。左からレモン、グレープフルーツ、パクチー&レモン、青りんご、スンチー杏仁檸檬、うめ

 

浜田「いまでは家庭でもおなじみですし、『わ・る・な・ら・ハイサワー』のCMも有名ですけど、当初は飲食店を中心に展開していたんですよね。でも、けっこうなご苦労をされたと聞いています」

 

倉嶋「はい。まずは本社がある目黒区を中心に一軒一軒訪問して、地元のドリンクとして提供する飲食店が増えていったとか。それがやがて、まだインターネットのない時代にお客さんを通じて評判が広まり、口コミだけで全国展開へと拡大していったそうです」

 

浜田「いまでは武蔵小山と西小山近辺は“ハイサワー特区”と命名して盛り上げていますよね。コロナ禍で最近はお休みしているようですが、本社倉庫では名物イベントの『倉庫飲み』も開催されていますし。『ホッピー』もそうですけど、メジャー商品ながら地元を大切にするというのが東京出身の割り材の愛らしさでもありますよね」

↑コロナ禍で『倉庫飲み』は現在はお休み中ですが、田中社長もいずれ再開させたいとのこと

 

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ホッピーミーナが語る! 焼酎のベストパートナー「ホッピー」の噺
今回のテーマは「チューハイ」と並んで甲類焼酎の飲み方として定番の「ホッピー割り」。東京で生まれて昔から焼酎の割り材として人気の「ホッピー」の歴史と変遷を“ホッピーミーナ”に伺います。

焼酎の味わいを決める「樽貯蔵熟成酒」について宮崎・高鍋で学ぶ噺
樽貯蔵熟成酒のブレンドによって甲類焼酎の味が大きく変わることを知った倉嶋さん。今回はその「樽貯蔵熟成酒」ができるまでを、宮崎県の高鍋町にある宝酒造 黒壁蔵で実際に見学してきました。

 

東京独自の発展を遂げた「割り材」はほかにもある

倉嶋「東京発といえば、『ホッピー』や『ハイサワー』を筆頭に、ほかにも愛らしい割り材があります」

 

浜田「ええ。例えば“幻の割り材”ともいわれる『ホイス』や、コダマ飲料の『バイス』など。ブランドも味わいも個性的でおいしいです」

 

倉嶋「ちょうど『もつ焼きばん 中目黒本店』には両方ともメニュ—にあるので、飲んでみましょう!」

ホイス

 

 

浜田「あ~『ホイス』は久しぶりに飲みましたが、こちらもおいしいですね!」

 

倉嶋「私、あらためて考えてみたんです。なぜ東京にはこんなに独自の割り材が多いのだろうって。もちろん人口が多いマーケットなので、それだけ多様的な商品が生まれる土壌があったということなんですけど、それだけじゃないと思うんです。やっぱり大きなポイントは、先ほど浜田さんがおっしゃった、西日本の本格焼酎(乙類)文化と東日本の甲類焼酎文化の違いかなって」

 

浜田「はい。いまや本格焼酎は東日本にも浸透していますが、それでも割り方は水やお湯割りが王道でしょう。甲類みたいに、多様な割り材のベースとして本格焼酎を飲むことは少ないですもんね。これは、西と東の嗜好の違いも多少はあるかもしれませんが、そもそも焼酎の味わいの違いが関係しているのだとも思います」

 

倉嶋「あとは舶来文化の影響力が東日本は強かったという点。もちろん戦前にも「焼酎用のエキス」はありましたが、米軍駐屯地で提供されていたウイスキーハイボールの味に感銘を受けて、東京・下町の焼酎ハイボールが生まれたというエピソードは、まさにその例なのかなと思います」

 

浜田「東京は特にそうですよね。人口だけでなく米軍の施設も多く、昔は六本木に基地があり、代々木には住宅がありましたから。それだけ外国の文化に触れる機会も多かったでしょうね」

 

倉嶋「ええ。特に『ホイス』は洋酒っぽい味わいですし、『バイス』は甘めのテイストでまた独特のおいしさです」

バイスサワー

 

浜田「うん! 『バイス』の甘みは絶妙ですね。ちょっと濃いめのおつまみを食べたくなる、ちょうどいい塩梅で」

 

倉嶋「唯一無二なんですよね。イメージは梅しそのフレーバーなんでしょうけど、しそ割りとも、梅しそ割りとも違うし」

 

浜田「でも倉嶋さん、『ホッピー』と『ハイサワー』の社長に取材したのであれば、『ホイス』や『バイス』の会社にも行ったほうがいいんじゃないですか?」

 

倉嶋「実は、ここに来る前に取材してきたんです! どちらも面白いお話をたくさん伺えました!」

 

浜田「えー? さすが倉嶋さん! どんな話が聞けたのかとても興味深いですね」

 

ということで、次回は「ホイス」と「バイス」のメーカー本社に突撃したレポートをお送りします。各割り材の奥深い歴史や魅力を深掘りしていくのでお楽しみに!

 

<取材協力>

もつ焼きばん 中目黒本店

住所:東京都目黒区上目黒2-14-3
営業時間:11:30~翌4:00
定休日:正月

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年11月8日)

 

撮影/鈴木謙介

 

記事に登場した商品の紹介はこちら▼

・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

・宝焼酎「純」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/

 

【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼

【意外と知らない焼酎の噺01】「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺
【意外と知らない焼酎の噺02】「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺
【意外と知らない焼酎の噺03】いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺
【意外と知らない焼酎の噺04】芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺
【意外と知らない焼酎の噺05】麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺
【意外と知らない焼酎の噺06】焼酎の味わいを決める「樽貯蔵熟成酒」について宮崎・高鍋で学ぶ噺
【意外と知らない焼酎の噺07】「チューハイ」ってどんなお酒? その歴史や魅力を深掘りする噺
【意外と知らない焼酎の噺08】ホッピーミーナが語る! 焼酎のベストパートナー「ホッピー」の噺

複数の専門店が1か所に集結する「文化祭型飲食店」に注目集まる

Withコロナがすっかり定着し、新しいライフスタイルやムーブメントが生まれゆくなか、2022年下半期はどうなっていく……!? これから売れるモノ、流行るコトを「フード・日用品」ジャンルのプロたちに断言してもらった。今回は、徐々に出店が増えている文化祭型飲食店をチェックしていく。

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

複数の専門業態が1つの店舗に集結

文化祭型飲食店

↑フードライター 中山秀明さんが予想!

 

日本のハレ文化を体験しながら酒場7店舗で酔い気分に(中山)

↑【外食サービス/2022年7月オープン】/食と祭りの殿堂 浅草横町/住所:東京都台東区浅草2-6-7 東京楽天地浅草ビル4階

 

【ヒットアナリティクス】著名な外食企業も取り入れる文化祭型

これまでの複合店は数社が出店し合う“フェス型”が多かったが、1つの企業が自社で個々の専門業態を展開するのが“文化祭型”。塚田農場を展開するエー・ピーカンパニーも文化祭型の「アルチザンアパートメント」を開業するなど、注目の高さが窺える。

先進技術:★★

顧客ニーズ:★★★★

市場の将来性:★★★★★

独自性:★★★★

コスパ:★★★

 

寿司やホルモン、うなぎ、韓国料理など多彩な酒場7店舗が集結。ハレの日のようなにぎやかな装飾やネオン看板に溢れ、大道芸人が飲みの場を盛り上げる。週末には店内に「よさこい」や「阿波踊り」などが乱入。

 

いづも

↑コンセプトは“現代に伝えたい大衆文化うな串”。いまでは高価となった江戸の伝統食うなぎを、串などでリーズナブルに提供する

 

浅草すし

↑外食を盛り上げるユニークな創作寿司が食べられる店。江戸前寿司を基本の軸にしながら、素材の旨みを生かした料理は絶品だ

 

ハンマート

↑若者に人気のニュートロ空間×フォトジェニックな本格コリアンがテーマ。鮮やかなネオンが彩る店内で、韓国旅行気分に浸れる

 

ホルモンペペ

↑秘宝館を思わせるアバンギャルドな空間に、名物のホルモン鍋など様々なアテがズラリ。ほかに類を見ない、背徳な美食がここに

ガチ中華の注目に合わせて脚光浴びる「白酒」を要チェック

Withコロナがすっかり定着し、新しいライフスタイルやムーブメントが生まれゆくなか、2022年下半期はどうなっていく……!? これから売れるモノ、流行るコトを「フード・日用品」ジャンルのプロたちに断言してもらった。

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

中国発祥の蒸留酒

白酒(ばいじゅう)

↑フードライター 中山秀明さんが予想!

 

フルーティな香りですっきり飲める低アル白酒(中山)

↑【果実酒/2022年7月発売】/江小白/江小白(じゃんしゃおばい)/600円

 

【ヒットアナリティクス】ガチ中華に最適な酒は本格な中国酒で決まり!

グルメ界では最近、中国出身者が現地の郷土料理を提供する「ガチ中華」が注目度を高め、その料理に合わせる本格的な中国酒「白酒」が脚光を浴びている。今年は「一般社団法人 日本中国白酒協会」も設立され、勢いに拍車がかかることは間違いなし。

先進技術:★

顧客ニーズ:★★★

市場の将来性:★★★★★

独自性:★★★★

コスパ:★★★

 

江小白に果汁が入った甘くみずみずしい果実酒。フルーティな香りながら、すっきりと飲みやすい味わいに仕上げられている。ストレートはもちろん、カクテルやソーダ割りとも相性が良い。黄色ボトル(かぼす味)は日本未入荷。

 

↑4月に世界的な酒類コンペティション「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2022」が開催。江小白が金賞に輝いた

 

↑クールなパッケージやコンパクトサイズで、若い世代から人気を集める白酒。甘みとフルーツの香りが爽やかで、まろやかな味が好評だ

 

料理もガチ中華! 個性溢れる8店舗を集めて様々な中国料理を楽しめる!

↑【外食サービス/2022年6月オープン】/香福味坊 秋葉原駅昭和通口/住所:東京都千代田区神田佐久間町1-21 千代田テラスビル地下1階

 

美食家に愛される中国料理の人気店「味坊集団」が、日本最大規模の店舗を秋葉原にオープン。タイプの異なる8店舗を凝縮し深化させ、早点(中国式朝食)から大卓の宴会まで中国料理の様々なスタイルを提供する。

「ボジョレー・ヌーボー」に沸くのは日米だけ? ワイン好きの間で新たに注目される「ボジョレー」とは

「ボジョレー」と聞いてまず「ボジョレー・ヌーボー」を思い出す人は多いのではないでしょうか? 毎年“解禁日”が設定され、当日はボジョレー・ヌーボーを楽しむ人でにぎわう風景が一般的となっています。ところがこれが風物詩となっているのは、日本やアメリカ、カナダなど世界でも一部の地域にすぎないのだそう。実はワイン好きの間でいま注目を浴びているのは、「ヌーボー」ではない「ボジョレー」なのだとか。では、この「ボジョレー」とはいったい何?

 

バーとワインショップを経営しており、ワインの最新事情に詳しい橋本一彦さんに、最新の「ボジョレー」事情をうかがいました。

 

おさらいしておきたい、
「ボジョレー・ヌーボー」とは?

「ボジョレー」とは、フランス・ブルゴーニュ地方の南にある地区の名称。そこで作られた「ガメイ」というブドウ品種を使ってその地区で作られたワインが、「ボジョレー」と呼ばれます。一方、「ヌーボー」とはフランス語で“新しい”を意味する単語。つまり、「ボジョレー・ヌーボー」とは、ボジョレー地区で作られたその年の新しいワインということになるのです。

 

毎年、11月第3木曜日が“解禁日”に設定されており、それ以前は輸送などはできても、飲んだり販売したりはできません。2022年は11月17日がボジョレー・ヌーボー解禁日

2021年のヌーボー。「Rémi Dufaitre Beaujolais Villages Nouveau2021(レミ・デュフェイトル ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー)」(左)、「“SELENE” Sylvere Trichard Beaujolais 2021(シルヴェール・トリシャール・セレネ)」

 

【関連記事】今年もいよいよ解禁! マナーとして知っておきたい「ボジョレー・ヌーヴォー」のこと

 

「ボジョレー」とは
「ボジョレー・ヌーボー」のことではなかった

ボジョレー・ヌーボーを略したつもりで「ボジョレー」と言っていた人もいるかもしれません。橋本さんに聞いてみると、「ボジョレーとボジョレー・ヌーボーは別物です」とのこと。

 

「日本では、ボジョレー・ヌーボーのイメージが強いため、ボジョレーはイコールボジョレー・ヌーボーとなってしまっています。ヌーボーじゃない時のボジョレーはあまり好きじゃない、あるいはそもそも知らない、という人が多いですね。

でも、実はボジョレーにはとても味わい深いワインもあるんです。生産者側からも、ボジョレーは畑や場所が良くて参入しやすいという利点もあります。最近では味わいも含めて、ボジョレーの価値が見直されてきているんですよ」(橋本一彦さん、以下同)

東京・赤坂のバー「sansa」オーナーの橋本一彦さん。

 

収穫と新酒を祝う形のひとつとしてヌーボーを作る生産者はいますが、やはり『ワインは適切な時間をかけて作るもの』という考えもあります」

 

ご当地では実際、ヌーボーを作っていない生産者の方も少なくないのだとか。というのも、本来ワインとは収穫されたブドウを熟成させて作るもの。そのため、ヌーボーを作る生産者が比較的多いであろうボジョレー地区であっても、ほかの地域と同じワインの作り方のみをしていることもあるようです。

 

注目を集める“熟成ボジョレー”とは?

ワインは適切な時間をかけて作るものであり、またボジョレーのワインが魅力的だということを教えていただいたわけですが、では実際に、「ボジョレー」のワインとはどのような味わいなのでしょう? ボジョレーの味についても、橋本さんに教えていただきました。

 

「ガメイ種のぶどうを使ったボジョレーは美味しいですね。僕はどちらかといえば『ボジョレー・ヌーボーは苦手だ』と思っていたんです。でも、ガメイはそもそもおいしい、魅力的なブドウです。いい意味で洗練されきっていない、荒々しさや複雑さがある味わいに、魅力があると思っています。銘柄によっては、さらに熟成させることで本当に魅力的なお酒になることもあります。それが知られたことで、昨今、ヌーボーではないボジョレーが注目されてきているのだと思います」

こちらはヌーボーではなく、熟成されたボジョレーワイン。「Laurence & Rémi Dufaitre(ローレンス・エ・レミ・デュフェイトル ボージョレ・ヴィラージュ)」(左)と「Les Chemins de Traverse(レ・シュマン・ド・トラヴェルス)」

 

常温はNG!
ワインの保存で注意すべき3つのポイント

熟成させれば、より魅力的な味わいになるというボジョレー。ではまず、初心者でも失敗しない保存方法とはどのようなものなのでしょうか? この機会に、注意すべきポイントについて教えていただきました。

 

「気を付けなければいけないのは、温度、湿度、光の3つ。低温・低湿度の暗い場所が保存に適しています。冷蔵庫は14℃程度に設定するのが最適です。直射日光が当たらないからといって、納戸などで保存することは避けるべき。というのも、冬はともかく夏は納戸の中もかなりの高温になるためです。

冷蔵庫内では横に倒して入れてください。振動はワインの品質を劣化させてしまうので、冷蔵庫の扉部分にあるフリーポケットやボトルポケットに入れるのはNGです。手ごろな価格のものでかまわないので、ワインクーラーがあれば一番いいですね」

 

振動はワインの粒子間の安定性をなくしてしまうため、本来の味わいを損ねてしまうんだそう。また、ボトルを横向きにするのも、振動を防ぐためだけでなく、コルクを湿らせておくためという理由も。これは、コルクが乾燥することで空気を通しやすくなり、ワインが酸化していってしまうのを防ぐためでもあります。おいしい熟成ワインを楽しむには、これらのポイントを押さえることが必要です。

 

ちなみに、自身でもワインを熟成させたいという場合には適した銘柄があるので、ワインショップで購入する際などには、確認をしてから選ぶようにしましょう。

Sansaでは料理に合わせたワインの提案も。画像(上右・下)は「サトイモと鮭のブランダード」。ブランダードとは、魚を牛乳やじゃがいもと一緒に煮込み、混ぜてペースト状にした料理のこと。

 

やっぱり気になる
“ヌーボー”の特徴と魅力とは?

それでも、やはり解禁日が近づくにつれボジョレー・ヌーボーの存在は気になるでしょう。ボジョレーの魅力について知ったところで、あらためてヌーボーの魅力についてもうかがいました。

 

「ヌーボーにも、おいしいものはもちろんあります。ヌーボーの最大の特徴は、製造時にガスを充填していること。ガスを入れることで色素がしっかりと抽出され、銘柄にもよりますが、味わいもパワフルで厚みが出るものになります。
とはいえ、やはり“収穫と新酒を祝う”といった気持ちで楽しめることが、何よりもの魅力だと思います。実際にボジョレーヌーボーを作らない、ボジョレーの生産者も人のヌーボーを飲んでお祝いしたりしていますよ」

 

また、“早出し”のワインだからこそ、その年の出来栄えを一番に確認することが出来るというのも、ヌーボーならではの楽しみだそう。

 

「ヌーボーを飲んで、その年のワインの質を先取りしておくこともできます。ただ、これは仕事柄ワインに携わっている人の楽しみ方かもしれないので、一般的に楽しむ場合は難しいことを考えずに、収穫祭のように一年に一度の祝賀イベントヌーボーを楽しむことが一番だと思います」

ボジョレーもボジョレー・ヌーボーも、それぞれの特徴や魅力を知った上で味わえば、より深い楽しみ方ができそうです。今年は、ヌーボーに加えて熟成ボジョレーも用意して、味を比べてみる……というのも楽しいかもしれません。

 

【プロフィール】

sansaオーナー / 橋本一彦

学生時代からアルバイトなどでワインをはじめとしたさまざまなアルコールに触れる。フランス東部のジュラ地方で生産されるヴァン・ジョーヌ(黄色いワイン)を初めて飲んだ時に衝撃を受け、ワインの世界にのめり込むように。現在は、東京・赤坂でバー「sansa」、六本木でワインショップ「awai」を経営。

 

【店舗情報】

sansa

生産者の元を訪ねセレクトしたワインを、食事とともに楽しめるワインバー。ワイン以外にもクラフトビールを多種揃えており、料理のマリアージュ・マッチングを提案してくれるのが特徴。ランチの営業も行っており、敷居を感じさせないフレンドリーさも魅力。
所在地=東京都港区赤坂2-20-19 赤坂菅井ビル1F
営業時間=ランチ 11:30~14:00(水曜~金曜)、ディナー 18:00~25:00(月~金曜)・17:00~24:00(土曜)・17:00~22:00(日曜)
定休日=火曜、不定休
HP
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awai

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限定グッズとビールのセット! サッポロビール「HOPPIN’ GARAGE 福袋」予約販売中

サッポロビールは、数量限定で「HOPPIN’ GARAGE 福袋」の予約販売を12月18日まで行ない、12月19日以降順次発送します。

 

同商品は、「松」「竹」「梅」の3アイテムで、それぞれ「HOPPIN’ GARAGE」がこれまでに発売した人気商品5種詰め合わせと、限定グッズがセットになった福袋です。税込価格は松セットが1万2980円、竹セットが7480円、梅セットが4480円。

 

福袋には、同ブランドのフラッグシップビール「ホッピンおじさんのビール」をはじめ、今までに発売した「HOPPIN’ GARAGE クリチーとルービー」「HOPPIN’ GARAGE インカの扉」や、数量限定新発売の「HOPPIN’ GARAGE RAP & BEER」をラインナップ。

 

限定グッズには、HOPPIN’ GARAGEの焼印が入った正月枡のほか、松セットでは「HOPPIN’ GARAGE RAP & BEER」の企画者であるラップグループ「P.O.P(ピーオーピー)」の上鈴木兄弟が手掛けるアパレルブランド「着るBEER」とコラボレーションしたTシャツも含まれています(コラボTシャツはS・M・L・XL各30枚限定)。

サントリーのチャレンジ精神光る、炭酸で割るビールはヒットなるか

Withコロナがすっかり定着し、新しいライフスタイルやムーブメントが生まれゆくなか、2022年下半期はどうなっていく……!? これから売れるモノ、流行るコトを「フード・日用品」ジャンルのプロたちに断言してもらった。今回はサントリーのビアボールをチェック。

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

日本初! 炭酸水で作る自由なビール

ビアボール

↑フードライター 中山秀明さんが予想!

 

好みの濃さでビールを楽しめるアイデアがユニークです(中山)

↑【ビール/2022年11月発売】/サントリー/ビアボール 家庭用小瓶/768円

 

【ヒットアナリティクス】洋酒の王者サントリーの発想に期待が高まる

これぞサントリーの“チャレンジ精神”。ハイボールやレモンサワー、ジンソーダなど同社が仕掛けてヒットし、定着した酒は数多く誕生している。一部の飲食店では先行発売されており、動向に注目したい。

先進技術:★★★

顧客ニーズ:★★★★

市場の将来性:★★★★

独自性:★★★★★

コスパ:★★★★

 

炭酸水で割って味わうのが前提の濃厚な味とアルコール度数16%が特徴。麦芽本来の旨みと深いコクや、フルーティで爽やかな香りは時間が経っても崩れにくい。好みの味で飲む多様性や、ビールの奥深い楽しさを訴求した意欲作。

↑炭酸水とビアボールを3:1で割るのが最適。炭酸水を入れずに氷のみで作るビアロックもオススメだ。業務用の中瓶は、10月4日に発売

その名の通り、“鮮烈”な苦みを楽しめる! 「サントリークラフト 鮮烈ビター〈I.P.A.タイプ〉」数量限定で発売

サントリーは、「サントリークラフト 鮮烈ビター〈I.P.A.タイプ〉」を、11月29日から数量限定で新発売します。価格はオープン。

↑「サントリークラフト 鮮烈ビター〈I.P.A.タイプ〉」350ml(左)、500ml(右)

 

「サントリークラフト」シリーズ第二弾となる同商品は、18世紀末、英国からインドへのビール輸出時に、大量のホップを使用して苦味を強くしたことが名前の由来とされるビアスタイル「I.P.A.(インディアペールエール)タイプ」をテーマとしています。

↑サントリークラフト 鮮烈ビター〈I.P.A.タイプ〉350ml

 

中味は、柑橘系の香りが特徴のカスケードホップに加え、白ワインのように贅沢でさわやかな香りを生み出すネルソンソーヴィンホップを一部使用。上面発酵酵母を使用し、複層的でふくよかな香りが楽しめます。I.P.A.タイプならではの鮮烈な苦みとバランス良く調和させ、穏やかで飲みやすい後口に仕上げています。

↑サントリークラフト 鮮烈ビター〈I.P.A.タイプ〉500ml

 

パッケージは、青銅色の背景に、温かみのあるタッチで職人のイラストが描かれ、味わいの特徴を表現した「鮮烈ビター」のアイコンを中央に配置しています。

キリンの「本搾り」がリニューアル! グレープフルーツとレモンは「丸ごと搾ったような果汁感」をより実感できる味わいに

キリンビールは、「果汁とお酒だけでできている、果実そのままのおいしさを楽しめるチューハイ」がコンセプトの「キリン 本搾りTMチューハイ」シリーズを、11月製造品より順次リニューアルします。価格はオープン。

↑キリン 本搾りTMチューハイ レモン(350ml缶)

 

今回のリニューアルでは、グレープフルーツとレモンフレーバーの果汁の配合を見直し、酸味・苦み・甘みのバランスを改善。グレープフルーツは、丸ごと搾ったような果汁の満足感と、ちょうどよい甘さと苦さで飲み飽きない味わいに。レモンは酸味と苦みのバランスを見直して、レモン本来のおいしさをアップさせ、飲みごたえがありながら飲み飽きない味わいに仕上げています(ピンクグレープフルーツとオレンジは中味の変更なし)。

↑キリン 本搾りTMチューハイ グレープフルーツ(350ml缶)

 

パッケージは、みずみずしい、果実そのままのおいしさを表現したデザインに、左上アイコンのコピーを「ぎゅっと、果汁とお酒だけ」に変更。「香料・酸味料・糖類無添加」の特徴と「ぎゅっと搾った果汁感」が直感的に伝わるようなデザインで、フレーバーごとの味覚コピーを追加し、より味わいをイメージしやすいようにブラッシュアップしています。

「本麒麟」初の期間限定! 希少な国産ホップをブレンドした、華やかな香りが楽しめる「本麒麟 香りの舞」

キリンビールは、「本麒麟」ブランド初の期間限定品「本麒麟 香りの舞」(350ml缶、500ml缶)を発売しました。価格はオープン。同商品と「本麒麟」の2つの味わいの違いを体験できる、飲み比べセットも発売となります。

↑本麒麟 香りの舞(右)

 

本麒麟 香りの舞は、希少な国産ホップ「IBUKI」をブレンドした、芳醇な香りを楽しむことができます。IBUKIは、オレンジの皮や金木犀、和柑橘のような、上品な香りが特徴。香りを引き出すために、発酵中にホップを漬け込む「ホップアロマ製法」を採用し、本麒麟同様、通常の1.5倍の長時間で低温熟成する、長期低温熟成による、力強いコクと飲みごたえを味わえます。

↑国産ホップ「IBUKI」

 

パッケージには、IBUKIの華やかな香りを想起させる緑×ホップのデザインを採用。赤いリボン調の「限定出荷」で、今しか飲めない限定感や期待感を引き立てています。

意外と簡単? ワインをオーダーする方法

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

フレンチやイタリアンレストランに行くなら、欠かせないのがワイン。

でも、ワインは種類も多く、マナーなども奥が深いもの。特に高級レストランでワインを飲もうとすると、ワインの頼み方だけでも不安になるという方は多いのではないでしょうか。

レストランに行って恥ずかしい思いをする前に、ワインのオーダー方法について確認してみましょう!

レストランをはじめ、様々なシーンでワインを頼んだり選んだりする際のポイントもご紹介します。

 

 

 

自分の好みのワインはどう伝える?

普段飲んでいるワインがお店に置いてあればいいですが、同じ銘柄があるとは限りません。
そんな時には自分の好みを伝えて、ワインをおすすめしてもらうと良いですよ。

そこで頼りになるのが味覚の表現です。

しかし、ワインの味覚はどのように表現するのが正しいのでしょう。
甘め、辛め、それとも酸味でしょうか?

お店で恥ずかしい思いをしないために、知っておきたいワインの表現のしかたを赤ワインと白ワインとに分けて解説します。

 

白ワインを頼むときの表現のしかた

ブドウの果汁だけを使ったワインで、スッキリとした味わいが特長です。

完熟度によって甘みが変わり、注文のときは甘さで表現するのが一般的。
「甘い」、「辛い」または「甘口」、「辛口」のように表現します。

 

赤ワインを頼むときの表現のしかた

赤ワインはあまり甘みがないため、濃厚さで表現するのが一般的です。

「重い」「軽い」という表現を使います。

注文するときは「重い」「軽い」でもいいですが、関連して知っておきたいのが「ボディ」。

ボディも赤ワインの濃厚さを表現するもので、軽めのものを「ライトボディ」、中間を「ミディアムボディ」、重めのものを「フルボディ」といいます。

メニュー表にボディが記載されていることもあるので、表現方法を知っていると頼む前にどんな赤ワインかイメージすることができますよ!

 

わからないときはワインソムリエを頼ろう

普段同じようなワインばかり飲んでいる場合は、比較対象が少ないのでなかなかワインの濃さや甘さはわかりにくいものです。

どんなワインを頼んでいいかわからないときは積極的にワインソムリエに聞いてみましょう!

注文したい料理、または普段飲んでいる銘柄を伝えれば、専門家であるワインソムリエが個人個人にあったワインを提案してくれます。

 

高級レストランでのワインの頼み方

次に、高級レストランでスマートにワインを頼むための、ワインのマナーを確認してみましょう。

 

どんなワインを頼むべき?

肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインを合わせるのが一般的です。

ただ、このワインにしなければならない決まりはないので、種類が多くなにを選んでいいかわからない場合は、コース料理にあったワインをソムリエに聞いてみましょう。

 

注文するワインの値段の目安

注文するワインの値段は、コース料理の半分が目安です。

理由は、料理の半分くらいの価格のワインがちょうどバランスがとれていて、料理にあっているため。

あまりにチープなワインを選ぶと恥ずかしい思いをしてしまうこともあるので意識しておくとよいです。

 

ボトルよりもグラスで頼むのがおすすめ

高級レストランでワインを頼む場合はボトルで頼むのが主流でしたが、最近ではグラス単位で注文できるお店も増えてきました。

マナーとしてボトルで出てきたら飲み切るのが一般的なので、量が多い場合はグラス注文をしましょう。

グラスで注文すると料理ごとに違う種類のワインを楽しめるので、料理に合わせたワインを頼みたい人にもグラスがおすすめです。

食前酒はどうする?

食前酒は、ワインではなくシャンパンやシェリーなどのすっきりと飲めて食欲を刺激するようなお酒を頼むのが一般的です。

 

高級レストランに行くならワインの値段も考えておこう

高級レストランのコース料理10,000円の場合、2人で2万円を予算と単純に考えるのは間違いです。

高級フレンチではワインや食前酒を頼むことが一般的なので、お酒、そしてサービス料まで加えると2人で2万円の料理も結局3万円くらいになってしまいます!

高級フレンチに出かける場合は、ワインや食前酒などの値段も考えた金額を予算として考えておくと安心ですね。

 

カジュアルレストランでのワインの頼み方

ワイン初心者は、カジュアルレストランからはじめてみるのがおすすめ。

高級レストランとの違いとカジュアルフレンチでのワインの頼み方をご紹介します。

 

高級レストランとの頼み方の違いは?

高級レストランよりもリーズナブルなカジュアルレストランのフレンチでも、積極的にワインを頼むことをおすすめします。

ただし、高級レストランとは違ってそこまで値段にこだわる必要はないので、気軽にワインを頼むことができますよ。

また、値段もボトルで2,000~5,000円程度と頼みやすい価格設定がされているのが特長です。

 

カジュアルレストランでもグラスがおすすめ

カジュアルレストランでワインを頼む場合も、グラスで頼むのがおすすめ。

理由はコース料理の内容に合わせてワインの種類を変えたり、さまざまな種類を試したりできるからです。

高級レストランよりも気軽な雰囲気なので、同席している家族や恋人とワインを交換して飲み比べることもできますよ。

 

バルでワインを頼むなら産地にこだわるべき

バルとは、ヨーロッパ風酒場のこと。

バルでは、高級フレンチやレストランなどと比べて、比較的お手頃なワインが提供されることが多いです。

高級レストランで提供されることが多いワインの産地は、総じてワインの価格が高いことが多いので、バルでは赤ワインなら新世界ワインといわれるオーストラリアやアルゼンチン産を中心に、甘口白ワインならドイツ産、辛口白ワインならニュージーランドやチリ産が無難でおすすめです。

 

自分でワインを買う場合はどう頼む?

買うワインが決まっているなら別ですが、デイリーワインを購入したり、贈り物のワインを選ぶのなら、直接店舗で手に取ってみるのがおすすめです。

お店のタイプ別にワインの選び方を確認してみましょう。

 

スーパーで買う場合

日常的に飲むワインを選びたいならスーパーで買うのがおすすめ。

スーパーの場合はワイン専門のスタッフがいないことも多いので、コンテスト受賞やスタッフのコメントのポップ、ワインのラベルが参考になります。

国別、ブドウの品種別など、工夫した陳列の仕方なども選ぶ際の助けになりますね。

 

コンビニで買う場合

いつでも利用できるコンビニは、すぐにワインを飲みたいときに便利。

ミニサイズのボトルなど、少人数でワインを飲みたいときにも役立ちます。

ワイン専門のスタッフはいないので、基本的にはラベルやポップを参考に買ってください。

 

デパートやワインショップで頼む場合

ワイン専門のスタッフがいるのが、デパートやワインショップでワインを選ぶメリットといえるでしょう。

高品質なワインも多く取り揃えているので、贈り物のワインを頼みたいときにぴったり!

ワイングラスやソムリエナイフなど、ワインに関するグッズも揃いますね。

 

【番外編】スパークリングワインやシャンパンの頼み方

フレンチレストランの食前酒にぴったりなのが、シャンパンやスパークリングワインです。
「泡」と表現することもあります。

赤ワインや白ワインのように決まった頼み方はなく、基本的にはおすすめを持ってきてもらうのが一般的です。

ただ、食前酒を頼む場合は「シャンパン」と頼むと種類が絞られてしまうので「スパークリングワイン」で頼みましょう。

なお、食前酒は必ず頼まなければならないものではないので、断ることも可能です。

 

まとめ

ワインの頼み方は、高級レストランか、カジュアルレストランか、また赤ワインか白ワインかでも変わってきます。

レストランに出かける前にサラッとおさらいしておきましょう!

レストランでできるとかっこいい! ワインのホストテイスティングを徹底解説

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

本格的なレストランでワインをボトルで注文すると、ソムリエからホストテイスティングを求められます。初めてなら緊張しますし、ソムリエの問いかけになんとなく返事をしている人もいるのではないでしょうか?

今回はスマートなホストテイスティングのやり方をご紹介します。ぜひお試しください!

 

 

 

なぜレストランでホストテイスティングをするの?

レストランでホストテイスティングをする理由は、注文したワインが健全な状態か、異常がないか確認するためです。

ホストテイスティングは、もともとは毒味として浸透していました。中世のヨーロッパで、自分の城に敵対する国の客人を招待する際に、毒がないことを示すために行われてきたからです。そこから派生し現代では、注文したワインの状態に異常がないかチェックするための動作となっています。

大切なゲストに振る舞うワインに問題ないかを事前に確認するために、ホストテイスティングは欠かせません。

 

ワインのテイスティングを行うときの手順

ホストテイスティングをスマートに行うために、手順を把握しておきましょう!テイスティングの手順は覚えてしまうと難しいものではありません。ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。

 

1.注文したワインを確認する

注文したボトルワインが届いたら、ソムリエと一緒にワインの銘柄と年代を確認しましょう。ワインは、タイプやヴィンテージ、そして熟度によって色や風味が異なります。そのため、注文どおりのワインか確認することが大切です。

 

2.色を見る

ワインの銘柄と年号に間違えがなければ、テイスティング用のワインがグラスに少量注がれます。ワインににごりや異物がないか確認しましょう。

■ポイント

色を見るときは、ワインの種類によって見方を変えると、色が判別しやすくなります。

赤ワインの場合は、グラスを45度傾けたときのグラスとの境目を、白ワインの場合はグラスを傾けずに真横から見るようにしましょう。

また、白いテーブルクロスなどを背景にすると、にごりや異物を確認しやすいです。

 

3.香りを試す

見た目に問題がなければ、香りの確認に移りましょう。スワリングして香りを試します。スワリングとは、グラスを回して空気を含ませることです。ワインに酸素を含ませることで、味や香りの変化を早める目的があります。スワリングは、2~3回程度で十分です。

■ポイント

香りを試すときのポイントは回し方です。利き手によって回す方向を変えましょう。右利きなら反時計回り、左利きなら時計回りに回してください。

グラスが回しにくかったら、テーブルにグラスを置いたまま持ち上げずに、足部分を持って回すと安定します。もし、ワインがグラスからこぼれそうになってもゲストの服を汚さずに済むでしょう。

香りを試して異臭を感じなければ、味わいのチェックに進みましょう。

 

4.味わいを確認する

いよいよ味の確認です。ワインをひと口含んで味や風味に異常がないかを確認します。

ホストテイスティングをしていて不快な味を感じたらソムリエに相談してください。味に問題がなければそのまま飲み込んでからソムリエに「大丈夫です」と伝えましょう。

 

ホストテイスティングでこんな場合はどうする?

ホストテイスティングでは、困ったシーンに出くわすこともあるでしょう。テイスティングをしていて慌てないために、シーン別の対処法について紹介します。

 

好みの味ではなかった場合

テイスティングでは好みのワインを選ぶわけではありません。基本的に、香りや味が好みではなくても交換できないことが一般的です。

このようなことを避けるため、あらかじめソムリエにゲストや自分好みのワインの味を伝えておくと良いでしょう。ワインが体質に合わず飲めない場合は、食事を楽しむためにも事前に相談することをおすすめします。

 

香りや味に異常を感じた場合

もし、テイスティングをしていて香りや味に異常を感じたらソムリエに伝えましょう。そのままにせず、その場で確認してもらうことが大切です。不快な臭い(ブショネ)だと思われたら、交換できます。

実際にテイスティングをしていて、「カビ臭いかも」と気になるようでしたら、控えめに伝えると角が立ちません。カビ臭いとは伝えず「このワインは、もともとこういう香りでしょうか?」と聞いてみてください。

とはいえ、テイスティング前にソムリエが異変に気付いた場合は、ボトルを交換するなど配慮してくれるでしょう。

ワインのブショネについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

「ワインのブショネとは?原因と見分け方を知るには」

 

ホストテイスティングを断りたい場合

ホストテイスティングをしなければならないと思っていませんか?ホストテイスティングは、自信がなければ断れます。

また、かしこまらず気軽にワインを楽しみたいときもありますよね。そんなときは、ソムリエに「お任せします」と伝え、ソムリエにチェックをお任せしてしまいましょう。

最初はテイスティングをしたいけれど、2本目からはテイスティングが不要なときもあるかもしれません。2本目からはソムリエにお任せする方法もあるので気負わずワインを楽しんでください。

 

まとめ

レストランにおけるホストテイスティングは、異常の有無を確認してゲストに不快な思いをさせないためのもの。

好みの確認ではなく、きちんと注文どおりのワインか、見た目・香り・味に問題がないかチェックしましょう!

その点だけ注意すれば難しく考えなくても失敗しないはずです。

白ワインに使われるブドウで有名な品種は何?

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

白ワインで多く使用されるブドウの品種はご存知でしょうか。多くの方があげるのはシャルドネかもしれませんね。

今回は、シャルドネの他、白ワイン用のブドウの品種について解説します。

 

 

 

白ワインの女王シャルドネ

フランス、ブルゴーニュ地方原産のシャルドネは、白ワイン用のブドウの中で誰もが真っ先に思い浮かべる代表的な品種です。

シャンパンの原料として使われているのも、実はこのシャルドネ。世界中で栽培されています。

ピノ・ブラン、ピノ・ブラン・シャルドネ、ピノ・シャルドネ、ムロン・ブランなどの別名で用いられることもあります。

シャルドネから造られるワインの特長は、こくがあって辛口のものが多く、りんごやメロン、イチジクや柑橘系の香りが感じられということ。

オーク材の樽で熟成したものはハチミツのような甘い香りがあり、乳酸による発酵を経たものはバターのようなクリーミィさが出たりと、実に多様です。

熟成方法などで大きく香りが変わるように、造り手の個性が出やすいのがシャルドネです。

地域の特長も出やすく、涼しい地域よりも温暖な地域のほうが甘く豊潤な香りを感じられるものができます。

同じシャルドネでも産地やワイナリーごとに楽しめるとは、挑戦しがいがありますね! 地域の気候やワイナリーの傾向を参考に、お気に入りを見つけてください。

 

若々しい辛口、ソーヴィニヨン・ブラン

フランスのボルドーやロワールが原産の品種、ソーヴィニヨン・ブラン。シャルドネとともに国際品種にあげられ、こちらも世界各地で栽培されています。

単一品種で醸造される辛口ワインが多いのが特長で、季節の料理に合わせやすいのが魅力です。

和食にもよく合うため、家庭料理と一緒に楽しむならおすすめの品種です!

香りはフルーツやハーブの中に青々とした草の気配も感じられ、スモーキーな香りがするものもあります。

注意点は、熟成しすぎないこと! 長く熟成するほど特長的な香りが薄れ、果実の甘い香りだけ、もしくは野菜の香りが強いだけのシンプルなものに変わってしまうので、早めに味わうのがおすすめです。

より特長的な香りで楽しみたいなら、カリフォルニア産のオーク材の樽で造ったものを試してみてはいかがでしょうか。

オークの香りが加わって個性的な香りのワインを楽しめますよ。ちなみにオーク樽で熟成されたものとして、カリフォルニア産のソーヴィニヨン・ブランがありますが、こちらは別名フュメ・ブラン。フュメとはフランス語で煙を意味します。

 

日本ワインを代表するブドウ品種、甲州

日本の三大ワイン産地のひとつ、甲州(山梨県)。そこで造られる「甲州」というブドウ品種は、他の白ワイン用ブドウとは違った特長を持っています。

多くの白ワイン用ブドウは、緑がかった色の実をつけますが、甲州はなんと淡いピンク色! 甘味と酸味の中に渋みがあるその味は、ここ十数年のあいだにさらに磨きがかかりました。

昔は、この渋みが甲州ワインの欠点と評されていたそうです。今は個性として愛されており、日本ワインらしい繊細さの象徴となっています。

甲州はヨーロッパからシルクロードを通って中国へ、そして中国から日本へ渡ってきたブドウが起源と言われています。

その歴史は日本で栽培が始まってから1300年以上の長さを誇ります。ワインの醸造は明治時代に始まりました。

当初は売上げが芳しくなかった甲州ワインですが、現代まで多くの人が品質や地位向上に努め、今や世界で認められるブドウ品種にまで成長しました。国際的審査機関「O.I.V」にも、2010年に登録されています。

発酵後に澱(おり)をあえて除かずにそのまま貯蔵するシュール・リー製法が甲州ワインの個性をより強く残します。

小樽仕込みで造られた甲州ワインも美味しいですが、「甲州ならではのワインが飲みたい!」というときは、シュール・リー製法のワインも試してみてくださいね。

 

まとめ

白ワイン用のブドウで代表的なものといえば、シャルドネです。産地ごとの特長が出やすいので、それぞれの個性を飲み比べたいなら、シャルドネがおすすめ。

同じく国際品種として有名なソーヴィニヨン・ブランも、カリフォルニアで造られたものはとくに個性を楽しめますよ!

日本にも甲州のような特長的な白ワイン用のブドウがあります。シャルドネやソーヴィニヨン・ブランとともに、ぜひ日本生まれの白ワインも味わってみてくださいね。

「微アル低アル」の トレンドは本当に来てる?影響は実店舗にも

近年、お酒業界で存在感を増しているのがノンアルコールや低アルコールのドリンクです。以前書いた「2022年、お酒は何がヒットするのか?」でも「SDGsなお酒が拡大」とトレンドを予想しました。本記事では、関連度が高いジャンルであるハードセルツァーも含めて、その最新事情をレポートしていきます。

↑微アルやハードセルツァーの新商品も紹介します

 

ハードセルツァー(アルコール入り炭酸水)は縮小傾向

まずは、米国におけるトレンドから日本上陸したハードセルツァー(直訳すると、アルコール入り炭酸水。アルコール度数や糖質などが低めなことも特徴)に関してぶっちゃけると、めちゃめちゃ盛り上がっているとはいえません。なぜなら、2021年デビュー組(ここではそうカテゴライズします)のブランドは縮小傾向にあるからです。

↑左から、2021年にデビューしたオリオンの「DOSEE」、コカ・コーラが手掛ける「トポチコ ハードセルツァー」、「サッポロ WATER SOUR」。DOSSEとWATER SOURは終売となりました

 

ただし一方で国内大手から新規参入したブランドは3つあり、そのうち2つはアサヒの新商品。2022年はハードセルツァーにとって、勝負の年といえるかもしれません。

↑左の2本はキリンの「スミノフ セルツァー」(2022年3月発売)、右の2本は「アサヒ FRUITZER(フルーツァー)」(2022年4月発売)。アサヒのもう1ブランドは後述します

 

微アル(アルコール度数1%未満)は続々と新商品

ハードセルツァーだけを見ると浮き沈みが見られますが、2021年から登場したアルコール度数1%未満の「微アルコール」は堅調。アサヒ(「ビアリー」や「ハイボリー」など)とサッポロ(「ザ・ドラフティ」)が新市場を切り拓いており、アサヒは2022年に新しく「ビスパ」という微アルコールスパークリング飲料を発売しました。

↑5月17日から全国で発売されている、アサヒの「ビスパ」。アルコール度数0.5%のワインテイスト飲料で容量は750ml

 

ノンアルコール類はビールテイスト飲料でおなじみのカテゴリーですが、今年に入って熱を帯びているのがレモンサワーのノンアル版です。サントリーが2021年に新発売した「のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコール」のヒットに続けとばかりに、コカ・コーラは2022年2月に「よわない檸檬堂」を、3月にはサッポロは「サッポロ レモンズフリー」を、そしてアサヒは5月に期間限定で「アサヒスタイルバランスプラス 濃レモンサワーテイスト」を世に送り出しました。

↑左から、「のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコール」「よわない檸檬堂」「サッポロ レモンズフリー」「アサヒスタイルバランスプラス 濃レモンサワーテイスト」

 

一方、ソフトドリンクブランドからのお酒的アプローチも顕著です。アサヒ飲料は2022年3月に「ウィルキンソン タンサン #sober スパイシーレモンジンジャ」を、ポッカサッポロも同月に「北海道富良野ホップ炭酸水」を発売。どちらも無糖フレーバー炭酸水のカテゴリーですが、香りや苦みや辛みなどにお酒的なニュアンスを感じます。

↑左から、「ウィルキンソン タンサン #sober スパイシーレモンジンジャ」「北海道富良野ホップ炭酸水」

 

「ソバーキュリアス」という新カルチャー

これだけ各社がノンアルコールや微&低アルコールに力を入れている理由は、いくつかあります。ひとつは世界的に「ソバーキュリアス=お酒をあえて飲まない」カルチャーが広がっているから。加えて、健康志向のニーズに対する商品提案の側面もあるでしょう。

 

↑アサヒの資料より。日本における、お酒を飲まない・飲めない層へのアプローチは、まだまだ未知なる領域があるのです

 

さらには多様的な価値観が支持されるなか、メーカー各社も「スロードリンク」「ドリンク・スマート」「スマートドリンキング(スマドリ)宣言」といったスローガンを提言。いわば飲み手側の選択肢を広げる提案をしているのです。

 

お酒が好きな人は飲めばいいし、苦手な人や飲みたくない人にはおいしいノンアルなどもありますよと。アルコールの有無にとらわれず、自由に楽しくやりましょうよーー。メーカー各社はそういった世の中にしていきたいのではないかと、筆者は考えています。

 

勢いは実店舗にも波及

飲める・飲めない・飲まないといった多様性が広がるなか、大きな一歩となったのが、今年6月にオープンした「スマドリバー渋谷」です。

↑「スマドリバー渋谷」。渋谷駅から徒歩1分ほどで、センター街に入ってすぐの場所にある3フロア制のバーとなっています

 

同店はアサヒビールと電通デジタルの共同出資による「スマドリ株式会社」の運営で、ノンアル、微アル、ローアルのドリンクを100種以上ラインナップ。これらはアルコール度数を0%・0.5%・3%の3つから選べるのが特徴です。

↑シグニチャードリンクは「渋谷クラフトコーラ」(700円)や「渋谷クラフトレモネード」(700円)、「Marbling Rain」(800円)など。グラスが3つ並んでいるのは、0%・0.5%・3%がセットの「グラデ飲み」(800円)というメニューです

 

メニューには前述の「ビアリー」(600円)や「ビスパ」(600円)もあるほか、アサヒがAmazon限定で数量限定発売している「アサヒ VIVA」もありました。こちらが前述した「アサヒ FRUITZER(フルーツァー)」とは別のハードセルツァーブランドで、アルコール度数は3%となります(フルーツァーは4%)。

↑「アサヒVIVA Lemon」(左)と「アサヒVIVA Grapefruit」(右)で、「スマドリバー渋谷」では各600円

 

エナジードリンクと同じ文脈

同店の取材にあたり、「アサヒVIVA」などの開発も担当した「スマドリ」ブランドマネジャーの京谷めいさんに話を伺いました。微アルや低アル、ハードセルツァーは今後どのように伸びていくと考えているのでしょうか。

↑京谷さん。「スマドリ」に所属し、ブランドマネジャーも務めています

 

「当社の調査で、お酒が飲めないまたは飲まないけど、飲みの場は好きという方が一定数いることがわかりました。そのニーズに応えるべく誕生したのが『スマドリ』であり、微アルなどの新カテゴリーです。

 

ハードセルツァーも同様ですね。例を挙げると『モンスターエナジー』や『レッドブル』などのドリンクが成功のモデルケースかなと思います。もともと日本にエナジードリンクはありましたが、その市場に欧米から参入し、若者中心にヒットした代表商品が『モンスターエナジー』ですよね。定着には数年におよぶ販促活動がありましたが、当社の挑戦も始まったばかり。今後の展開にご期待ください!」(京谷さん)

↑「スマドリバー渋谷」1階のフロントはこのような感じ

 

後日、同店の利用層を聞くと20代が半数以上で男女比はほぼ均等。やや女性が多く、約3人に1人の割合で20代女性が来店しているとのこと。渋谷という場所柄もあり、コアターゲットにはしっかり刺さっている様子。同トレンドを追う立場として、これからも逐一チェックしていきたいと思います。

 

【SHOP DATA】

SUMADORI-BAR SHIBUYA(スマドリバー渋谷)

住所:東京都渋谷区宇田川町23-10

アクセス:JRほか「渋谷駅」ハチ公口徒歩1分

営業時間:12:00~22:00

定休日:なし

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

ワインのブドウ品種をご紹介

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

重めか軽めか、甘口か辛口かによっても変わりますが、ワインの味を大きく左右するのが、ワインの原料となるブドウの品種です。

有名どころは、赤ワインならカベルネ・ソーヴィニョン、白ワインならシャルドネあたりですが、他にもさまざまな品種が使われています。どんな品種があるのか、チェックしてみましょう!

 

 

 

赤ワインのブドウ品種

赤ワインに使われているのは、黒ブドウといって皮が紫色の品種です。ただひとくちに黒ブドウと言っても品種によって味わいや香りが変わってきます。赤ワインに使用される代表的な品種をみていきましょう。

・カベルネ・ソーヴィニヨン
赤ワインの代表的な品種といったらカベルネ・ソーヴィニヨン。
フランスのボルドー地方の他、世界の至るところで使われている品種です。
特長は深みのある味を表現する強いタンニン。熟成させることによってさらに優美な味わいになります。

 

・メルロー
こちらも世界的に人気のある品種で、日本でも長野県を中心に赤ワインの原料として栽培されています。
冷たい気候にも耐えられるのが特長。カベルネとは違いタンニンが少なく、まろやかな味わいが楽しめる品種です。

 

・ピノ・ノワール
代表的な産地はフランスのブルゴーニュ地方。
新鮮なうちはチェリーのような甘い香りがしますが、熟成されるとキノコのような独特な香りへ変化していきます。
そんな変化があるところも魅力。タンニンは少な目で、比較的軽やかな酸味のある味わいです。

・マスカット・べーリーA
新潟県高田のぶどう園で生まれた日本原産の品種で、ベーリーAと呼ばれることもあります。
甘いキャンディのような香りが特長的。タンニンは少な目で、フルーティーな味わいが楽しめます。

 

・シラー
シラーズともいわれる品種です。
小粒で皮がしっかりしているため、他の品種と比べて皮に由来するタンニンがしっかり感じられます。スパイシーな力強さのある味を求めるならこちらがおすすめ。

 

・ガメイ
ボージョレ・ヌーボーにも使われる品種です。
ジャムのような甘い香りで、タンニンが少なくフレッシュな味わいが特長。
熟成させるよりも新鮮なうちにいただく方がよりガメイ種の良さを感じられます。

 

・グルナッシュ
ロゼにも使われる品種で、ガルナッチャといわれることもあります。
甘さとフルーティーさが特長で、単体よりはブレンドで使われることも多い品種です。

 

白ワインのブドウ品種

赤ワイン同様に白ワインでも、さまざまなブドウ品種が使われています。
代表的な白ブドウの品種をみていきましょう。

・シャルドネ
主な生産地は、フランスのブルゴーニュ地方。
クセもなく、甘口から辛口などさまざまな表現ができる品種です。
白ワインといえばシャルドネというように、世界的にも知名度の高い種類。

 

・ソーヴィニヨン・ブラン
ハーブのような爽やかでキレのある香りが特長。
酸味もあり、シャープな味わいが楽しめます。フランスのボルドー地方の他、ニュージーランドやチリでも多く栽培されています。

 

・甲州
甲州という名前から想像がつくように、原産地は日本で、主な産地は山梨県。
1300年もの歴史ある品種で、グレープフルーツのような爽やかな香りと酸味があります。
世界的な賞を受賞するなど、近年世界的なワインとしても躍進をとげています。

 

・リースリング
ドイツで主に生産されている品種です。
上品で繊細な味わいが特長。辛口から甘口まで幅広く楽しめます。

・ピノ・グリ
ピノ・グリの他、ピノ・ブーロ、ルーレンダーなど場所によってさまざまな呼ばれ方をしています。
酸味はあまりなく、まろやかです。辛口の白ワインにぴったりの品種。

 

・ヴィオニエ
フランスのローヌ地方が原産地。糖度があり、酸味の少ない品種です。
華やかで独特な香りが、エキゾチックな料理にもよく合います。

 

・セミヨン
強い品種で、気候にあまり左右されません。
しっかりした甘味のある貴腐ワインによく使われる品種で、どちらかというと長期熟成向けです。

 

まとめ

赤ワイン、白ワインそれぞれ使われているブドウ品種は違いますし、それぞれ味わいや香りも異なります。

ワインが造られている土地に注目するのも良いですが、ワイン本来の味わいにこだわるなら、ブドウ品種にも注目してみると良いですね。

華やかでパーティーにもぴったり! スパークリングワインの選び方

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

人気急上昇のスパークリングワイン。見た目だけでいえば、発泡性があるのでシャンパーニュと同じに見えますね。違いはどこにあるのでしょうか。スパークリングワインをより一層楽しめるように、シャンパーニュとの違いやその魅力についてご紹介していきます。

 

 

 

スパークリングワインの特長とは

スパークリングワインは、国によって名称が異なります。

生産国 スパークリングワインの呼び方
ドイツ シャウム・ヴァイン(Schaumwein)、ゼクト(Sekt)
イタリア スプマンテ(Spumante)
フランス ヴァン・ムスー(Vin mousseux)、クレマン(Cremant)
スペイン エスプモーソ(Espumoso)

※様々なスパークリングワインの特長や製造法などの情報は、下記の記事よりご覧ください。

 

・プロセッコ
「乾杯にぴったりな「プロセッコ」!おすすめのマリアージュや特長をご紹介」

 

・ランブルスコ
「赤いスパークリングワイン・ランブルスコを楽しく飲むコツ」

 

・カバ
「スペイン産のリーズナブルなスパークリングワイン「カバ」を楽しむ」

 

スパークリングワインとシャンパーニュの違いは製造方法

スパークリングワインとシャンパ―ニュは、どちらも炭酸のシュワッとした刺激が魅力的なワインです。それぞれを分けるポイントは、製造方法の違いにあります。

 

スパークリングワインの製造法

スパークリングワインには、大きく4つの製造方法があります。

 

・トラディショナル方式
ベースとなるワインをワインボトルに入れ、糖分と酵母を加えて密閉し、瓶内で再度発酵を起こさせる製法です。ベースとなるワインを造る時の発酵を一次発酵、スパークリングワインを造る際の瓶内での発酵を二次発酵と呼びます。

フランスのシャンパーニュ地方で伝統的に行われている製造方法なので、「シャンパーニュ方式」と呼ばれることもあります。

 

・シャルマ方式
瓶内ではなく、密閉耐圧タンク内で二次発酵を行う製造方法です。短期間で多量に製造できるためコストを抑えられ、空気に触れないのでブドウのフレッシュな香りを残すことができます。

 

・トランスファー方式
トラディショナル方式と同様に、瓶内で二次発酵を行ないます。トラディショナル方式が瓶1本ずつ澱の除去を行うのに対して、トランスファー方式では大型タンクに一度移して、まとめて澱の除去を行うという違いがあります。

 

・ガス注入方式
ベースとなるワインに二酸化炭素を吹き込むことで、発泡性のあるスパークリングワインを造ります。ほかの製造方法と比べると、手間がかからない分、安価にできるというメリットがあります。

 

シャンパ―ニュの製造法

シャンパ―ニュの製造法は様々な取り決めがあり、使用するブドウの産地や品種も限られています。主に使用される品種は、以下の3つです。

・ピノ・ノワール種(黒ブドウ)
・ピノ・ムニエ種(黒ブドウ)
・シャルドネ種(白ブドウ)

ちなみに現地では、白ブドウのみで造られたシャンパ―ニュは「ブラン・ド・ブラン」、黒ブドウのみで造られた場合は「ブラン・ド・ノワール」と呼ばれているんですよ!

 

■収穫・圧搾を経て樽発酵へ

ブドウの収穫は全て手摘みで丁寧に行われます。圧搾された後は樽やタンクに詰められ、アルコール発酵の段階へ進みます。

この段階では、まだ通常のワイン(スティルワイン)と同じような状態です。シャンパ―ニュは伝統的な「シャンパーニュ製法」によって造られ、一つひとつの段階を経てようやく完成します。

 

■アッサンブラージュする

アルコール発酵が終了した原酒は、瓶詰めの前にアッサンブラージュで味が調えられます。アッサンブラージュとはブレンドを意味し、異なる品種やストックされている原酒を混ぜることで味や香りを調節することです。

複数の原酒をブレンドした後、いよいよ瓶詰めされます。酵母と糖分(ワインが原料のリキュール)を加えます。

 

■さらに発酵させて発泡させる

瓶詰めされたワインが、即座に出荷されることはありません。シャンパ―ニュの特長であるキメの細かな泡と複雑さをもたせるために、澱とともにノン・ヴィンテージで15か月以上、ヴィンテージは36か月以上瓶熟成が行われます。

「瓶内二次発酵」と呼ばれるこの方法は、ワインとともに瓶詰めされた酵母のはたらきによる現象です。二次発酵が進むと炭酸ガスが発生し、澱も溜まるため、出荷前に澱を除くために瓶を揺らし瓶口に澱を集めるルミュアージュと呼ばれる作業が行われます。

澱が瓶口に集まったら澱を取り除くデコルジュマンという工程を経て、減った分と同量のリキュール入りワインをつぎ足し、最後の熟成期間を経てシャンパ―ニュの完成です。

 

自分に合ったスパークリングワインの選び方

スパークリングワインと一口にいっても、味わいの特長は多岐にわたります。また、甘口や辛口の幅も広いため、初めて購入する方にとっては「どれを選べば良いの?」と難しく感じるかもしれません。

そこでここでは、自分に合ったスパークリングワインを選ぶ時のポイントを紹介します。

 

飲みやすさが合うスパークリングワインを選ぶ

スパークリングワインには、甘口から辛口までの7種類があります。それぞれのラベルの表記方法や残糖度の目安は、以下のとおりです。

味わい ラベルの表記 残糖度(1リットルあたり)
超辛口 Brut Nature/Non Dose 3g以下
極辛口 Extra Brut 0~6g
辛口 Brut 6~12g
やや辛口 Extra Dry 12~17g
やや甘口 Sec 17~32g
甘口 Demi-Sec 32~50g
極甘口 Doux 50g以上

近年はより残糖度の少ない超辛口や極辛口のスパークリングワインが生産量を伸ばしつつありますが、最も生産量が多いのは辛口(Brut)です。

辛口が好みの方は辛口~超辛口の表記を目安に、辛口が苦手な方はやや辛口がおすすめです。やや甘口~極甘口の表記のものはデザートの甘さに合わせて選択すると良いでしょう。

料理に合うスパークリングワインを選ぶ

スパークリングワインは食前酒として飲む他に、料理と合わせて飲んだりデザートと一緒に楽しんだりすることもできます。食事中のワインとして選びたい場合は、料理との相性を重視してスパークリングワインを選びましょう。

スパークリングワインは白ワインベースで造られていることが多く、特にシャンパーニュはミネラル感のある魚介類の料理と最も相性が良いのが特長です。魚介のうま味を引き立ててくれます。

天ぷら、唐揚げなど揚げ物もおすすめの料理です。スパークリングワインのシュワッとした炭酸のさわやかさが、揚げ物を食べた後の口内をさっぱりとリフレッシュしてくれます。濃厚な味わいの肉料理にも、ロゼのスパークリングワインがよく合います。

 

生産国ごとのスパークリングワイン

スパークリングワインは、世界各国で生産されています。代表的な生産国といえば、フランス・イタリア・スペイン・ドイツの4か国です。

生産地ごとに味わいはもちろん、呼び方や規定も異なっていることはご存知でしょうか。現地の呼び方を知っていると、旅行先でも迷わずにお好みのスパークリングワインを楽しめますね。

ここでは、生産国ごとのスパークリングワインの名称について紹介します。

 

フランス

フランスはシャンパーニュが世界的に有名ですが、他にも魅力的なスパークリングワインが生産されています。元々、シャンパーニュ地方で生産されたワインの中から厳しい規定をクリアしているもののみがシャンパーニュと名乗ることができます。

フランスで押さえておきたいスパークリングワインは、シャンパーニュを含めた以下の3種類です。

・シャンパーニュ
・クレマン
・ペティアン

シャンパーニュと同じく瓶内二次発酵を行っている高級スパークリングワインが、クレマンです。3つ目のペティアンは瓶内の気圧で分類されており、微発泡にあたる1気圧~2.5気圧のものがペティアンと呼ばれています。

 

イタリア

イタリアも生産方式の違いなどで、様々な種類のスパークリングワインがあります。イタリアのスパークリングワインを選ぶうえで知っておきたいのが、以下の3つです。

・フランチャコルタ
・プロセッコ
・スプマンテ

フランチャコルタとはフランスのシャンパーニュと同じトラディショナル方式で造られた、瓶内二次発酵を行うスパークリングワインです。フランチャコルタはロンバルディア州で生産されており、ヴェネト州でも同じ方式で生産されたプロセッコが存在します。

また、イタリアではスパークリングワインをスプマンテと呼ぶため、旅行先で注文する時は注意しましょう。ちなみに微発泡のものはフリッツァンテと呼びます。

 

スペイン

スペインでは、スパークリングワインのことをエスプモーソと呼んでいます。シャンパーニュと同じトラディショナル方式で生産されている高級スパークリングワインといえば、カバが有名です。

特長は熟成期間に応じて表記が変化することで、レゼルバと表記して良いのは15か月熟成したもののみに限ります。30か月熟成したものが、グラン・レゼルバです。

シャンパーニュと同じ製法ですが、リーズナブルな価格で楽しめます。

 

ドイツ

ドイツのスパークリングワインはシャウムヴァインと呼び、微発泡のものをパールヴァイン・ゼクトと呼びます。注目すべきはゼクトですが、よく目にするゼクトは一般的なスパークリングワインにあたるため、高級な一本を飲みたいのであればヴィンツァーゼクトを探しましょう。

9か月以上の熟成と、トラディショナル方式での生産が特長です。

 

スパークリングワインの開け方

スパークリングワインの魅力はその発泡性!でも、開封時にはちょっと不便さを感じる方も多いのではないでしょうか。

お祝いの席でポンッ!と景気良く開けるのは一興ですが、粛々と進めたいセレモニーでは、ちょっと場違い感のある音ですよね。

あまり音をたてずにスマートに開けられるようになったら、スパークリングワインをどんな場面でも楽しめるようになります。

では、スパークリングワインをスマートに開けるには、どうすれば良いのでしょう?

開け方の手順はとっても簡単。次のポイントを押さえてチャレンジしてみてください。

・あらかじめボトルを冷やしておく
・ボトルは斜めに持つ
・コルクは最後までしっかりと押さえておく
・コルクではなくボトルを内側へゆっくり回す

スパークリングワインは炭酸ガスがたっぷりです。コルクが飛んでいかないように、しっかりと冷やしておきましょう。

ストッパーのワイヤーを外す時も、コルクが飛びやすい瞬間です。コルクが飛ばないように押さえながらストッパーを外し、ボトルのほうを回して開けます。

コルクが抜けてきたら、少しコルクを傾けて、ガス抜きできる隙間をつくりガスを逃がしてください。「プシュっ」というガスが抜ける音がします。

ガスがコルクを圧迫しなくなるくらい抜けたら、そのまま完全にコルクを抜いて開封します。

これさえできれば、コルクが音を立てて飛び出すこともなく、静かにスパークリングワインを開けられますよ!ワイン通をアピールできるのでスムーズに開けられるように練習してみてください。

ワインの保存方法については「ワインは保存方法で変わる!未開封・開封後の保存のポイントとは?」の記事をぜひチェックしてみてください。

 

スパークリングワインのおいしい飲み方

スパークリングワインをおいしく飲むには、冷やしてそのまま飲む方法もありますが、ちょっと一工夫を加える方法もおすすめです。よりスパークリングワインの可能性を体験したい方へ、おいしい飲み方を紹介します。

 

スパークリングワインでカクテルを作ろう

そのままでも充分においしいスパークリングワインですが、アレンジを加えると、さらに楽しみ方が広がります。スパークリングワインを使ってカクテルを作ってみましょう!

 

・ミモザ

オレンジジュースがあれば簡単にできるカクテルです。オレンジジュースとスパークリングワインの割合は1対1なので、とても簡単。夏にふさわしいさわやかなカクテルですよ。

 

・キール・ロワイヤル
カシスリキュールとスパークリングワインを混ぜれば、キール・ロワイヤルができます。正式なレシピにこだわるなら、シャンパンを使用しましょう。カシスの色合いが大人の雰囲気に。甘味が抑えられたさっぱりとした味わいです。

 

・ベリーニ
女性好みのおしゃれなカクテルです。ピーチジュース、グレナデンシロップを冷やしたグラスに入れてかき混ぜ、そこにスパークリングワインを加えて軽くステアします。スパークリングワインのさわやかさに、ピーチジュースの甘味が加わった、飲みやすいカクテルです。

 

・好みのフルーツを入れてサングリアに!

イチゴや桃、パインなどの好みのフルーツを入れて、サングリアを作るのもおすすめ。ホームパーティにもピッタリです。

 

もっと詳しく知りたい方は「スパークリングワインで作るカクテルがおいしい!ひと手間簡単アレンジ♪」をぜひチェックしてみてください!

 

グラスにもこだわる

スパークリングワイン用のグラスとして多く利用されるのが、フルートグラスのように細身のタイプです。空気に触れる面積が小さくなるため炭酸や香りが抜けにくく、また泡立ちがきれいなため、フルートグラスが利用されています。

香りをしっかりと楽しみたいのであれば白ワイン用のグラスを使用する方法もありますが、基本的にはフルートグラスを利用するほうが無難です。

 

適切に保存する

一度開けたスパークリングワインは、適切に保存する必要があります。炭酸が抜けてしまうため、可能な限り当日中に飲みましょう。

当日中に飲み切ることが難しい場合は、シャンパンストッパーやワイン瓶内の空気を抜く道具(バキュバン)を利用して、少しでも保存に適した状態にします。専用の道具を利用したとしても長期間の保存に耐えられるわけではないため、開けたスパークリングワインは早めに飲み切ることをおすすめします。

その他、スパークリングワインの適切な保存方法については、以下のページでも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

「スパークリングワインの保存方法。開栓した場合と未開栓の場合をご紹介」

 

まとめ

シャンパ―ニュはスパークリングワインの中でも、厳しい条件を守って造られたシャンパーニュ地方産のもののみが名乗ることのできる名前です。

ただし、シャンパーニュ地方以外で造られるスパークリングワインにも高品質なものはあり、おいしく楽しめるものがたくさんあります。

こちらで紹介したボトルの上手な開け方、おいしく飲むポイントを参考に、あなたもスパークリングワインを日常の楽しみに取り入れてみてくださいね。

こういうノンアルを待っていた!缶酎ハイの元祖・タカラの「辛口ゼロボール」の違和感ないウマさ

健康志向の高まりやソバーキュリアス(お酒をあえて飲まないライフスタイル)のトレンドなどによってノンアルコールドリンクの需要が高まっていますが、今回紹介する新作を飲んで、「こういうノンアルを待っていた!」「ノンアルが次のフェーズに入った!」と驚かされました。10月4日に発売された、タカラ「辛口ゼロボール」です。

 

↑宝酒造のタカラ「辛口ゼロボール」。350mlで117円(筆者調べ)

 

どうして驚かされたのか。その理由を、試飲インプレッションやアルコール入り商品との飲み比べ、フードペアリングなどを通してお伝えしていきます。

 

焼酎界の至宝が満を持して世に出した待望の新作

まずは商品特徴から解説します。タカラ「辛口ゼロボール」のポイントは大きく3点。下町の大衆酒場で愛される元祖“焼酎ハイボール”のようなキレのある辛口の味わい、タカラ「焼酎ハイボール」のおいしさを濃縮したエキスを使用していること、糖質、カロリー、プリン体、甘味料がすべてゼロ、これらが魅力となっています。

 

特にカギとなるのは、タカラ「焼酎ハイボール」のおいしさを濃縮したエキス。お酒好きなら、タカラ「辛口ゼロボール」を見て気付いたはず。デザインに関しても、タカラ「焼酎ハイボール」を踏襲したパッケージになっていて、あのおいしさをノンアルで楽しめるということなのです。

↑左がタカラ「辛口ゼロボール」、右がタカラ「焼酎ハイボール」のドライ。そもそもタカラ「焼酎ハイボール」が、下町の大衆酒場で愛される元祖“焼酎ハイボール”を再現した缶チューハイです

 

そしておいしさを濃縮したエキスとは、宝焼酎独自のコクとフレッシュな酸味、キレのある辛口テイストの集合体。あのオンリーワンなウマさを、アルコールゼロで実現させたのが、タカラ「辛口ゼロボール」というわけです。

↑パッケージの裏(右)にも、おいしさの秘密が書かれています

 

また、宝酒造といえば甲類焼酎の元祖(現在の甲類焼酎の原型「日の本焼酎」は、宝酒造の前身にあたる会社が販売してヒットさせた)であり、世界初の缶チューハイは「タカラcanチューハイ」。つまり、酎ハイのトップランナーが満を持して新発売したノンアルが、タカラ「辛口ゼロボール」でもあるのです。

 

甘くないうえにお酒的なボディが感じられる!

前段でさんざんあおりましたが、ここからは実際の味をレポートします。風味を存分に、そしてキンキンで味わうため、氷をたっぷり入れた大きめのグラスに移してひと口。おお~これはスゴい。何といっても、タカラ「焼酎ハイボール」よろしく甘くないのがすこぶるイイ!

↑ほんのり色味が付いていて、見た目でも飲みごたえの豊かさがわかります

 

そう、意外に甘くないノンアルって少ないんです。甘くないタイプはあっても、ビールテイスト系だったり、フレーバー炭酸水みたいにライトな味わいだったりするのですが、こちらは甘くないうえにお酒的なボディが感じられ、実に高い完成度。

↑爽快でクリアでありながら、決して軽くはなくて飲みごたえは抜群!

 

そしてアルコール入りのタカラ「焼酎ハイボール」の面影を感じさせる、本格的な酎ハイテイストもしっかり。この再現性を確かめるため、前述のタカラ「焼酎ハイボール」ドライと飲み比べてみました。

↑中身の見た目はやっぱり、かなりそっくり

 

うん、なるほど! アルコールがあるぶん、タカラ「焼酎ハイボール」のほうがどっしりしていてトップからラストまで高揚感をもったボディを感じますが、味わいの方向性はタカラ「辛口ゼロボール」も一緒。アルコールがあるか、ないかの違いだけで、基本的なおいしさは変わりません。

↑れっきとしたお酒、タカラ「焼酎ハイボール」と飲み比べても、タカラ「辛口ゼロボール」に違和感はありません。炭酸の強さもバキバキで、どちらも超爽快

 

ひとつの違いというか、筆者のセレクトミスの部分もあるのですが、酸味はタカラ「辛口ゼロボール」のほうが豊かです。というのも、今回飲み比べたタカラ「焼酎ハイボール」ドライより、タカラ「焼酎ハイボール」レモンのほうがタカラ「辛口ゼロボール」に近いはず。タカラ「辛口ゼロボール」パッケージにも、レモンのイラストが入っていますし。

↑ラベルにはレモンのイラスト。側面の成分表示にも、レモン果汁の表記があります

 

タカラ「焼酎ハイボール」ドライにもほのかな酸味はありますが、タカラ「焼酎ハイボール」レモンと飲み比べたほうがよりシンプルにアルコールの違いを感じられるかもしれません。そのあたりはどうぞ試してみてください。

 

甘くないうえキレがあるから料理と幅広くマッチ

アルコール入りのタカラ「焼酎ハイボール」の魅力のひとつが、甘くないゆえにどんな料理にも合う抜群の汎用性。そこで、タカラ「辛口ゼロボール」でもいくつかのフードペアリングを試してみました。大衆酒場的なつまみということで、まずは刺身から。

↑左から、ブリ、サーモン、マグロの3点盛り

 

甘めなレモンサワーなどは、ときに鮮魚とあまり合わないことがありますが、タカラ「辛口ゼロボール」は甘くないので刺身のやさしいうまみや脂を邪魔せずマッチ。繊細な和食全般に合うと思います。

↑どこにでもある唐揚げはどうでしょうか

 

アルコールが入ってなくても、タカラ「辛口ゼロボール」はキレがしっかりしているので、唐揚げのオイリーなパンチもしっかりキャッチ。ソーダの爽快さとともに、次のひと口に向けておいしくリセットしてくれます。ということで、揚げ物全般にイケますね。焼鳥や肉系にももってこいです。

↑ラストは居酒屋に街中華にファミレスと、もはや国民食といえる焼き餃子を

 

こちらは餃子の香ばしさと、タカラ「辛口ゼロボール」のほのかな酸味がイイ感じにマッチ。油分も前述の唐揚げ同様にすっきりと流し、ナイスなコンビネーションです。点心をはじめ、中華全般に合うでしょう。

↑運転がある人や休肝日を設けたい人は、ぜひお試しください

 

下町大衆酒場のチューハイが好きな人はもちろん、甘くないノンアルを探しているすべての人に強くオススメできるタカラ「辛口ゼロボール」。ノンアルコールの新たな選択肢として、ぜひチェックを!

ワイングラスの正しい持ち方って? ワイングラスの基礎知識とマナーを身につけよう!

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

カジュアルな場ではあまり気にする必要はありませんが、おしゃれなレストランでの食事やビジネス関係の会食では、食事のマナーに気を付けたいものです。カトラリー一つ一つに使い方の決まりがあるように、ワイングラスの持ち方にもマナーがあります。

正しい持ち方は一緒に食事をする人を不快にしないだけではなく、ワインをおいしく飲むためにも重要なポイントです。

今回は、そんなワイングラスの正しい持ち方を紹介します!

 

 

 

【正しく! きれいに!】ワイングラスの持ち方

レストランやパーティーなどで、ワインを飲む機会に会った方はいるのではないでしょうか。そんなときに、ワイングラスの基本的な持ち方を知っておけば、よりワインのおいしさを味わうことができますよ。

 

ワイングラスの構造

ワイングラスの正しい持ち方を解説する前に、独特の形状から成るワイングラスの構造や部位ごとの名称を紹介します。

ワイングラスは以下のとおり、4か所の名称を覚えておくと良いでしょう。

・ワイングラスの淵「リム」
・ワイングラスの真ん中部分「ボウル」
・ワイングラスの脚「ステム」
・ワイングラスの底「フット」

ワイングラスが独特な形状をしているのは、ワインの豊かな香りを最大限に引き出し、グラスを傾けた時に口内へ流れ込んでくる味の感じ方も計算しているからです。

また、ワイングラスには様々な種類があり、ワインをよりおいしく飲むためには、最適な形状をしたワイングラスを選ぶことも重要です。

ワイングラスの種類については、以下の記事で詳しく紹介しています。

「ワイングラスの種類を知っておこう!選び方のポイントも紹介」

 

基本は「ステム」を持つ

ワイングラスを持つ時は、脚部分つまり「ステム」を持つスタイルが基本です。親指、人差し指、中指の3本でステムを支えます。

ステムを持つ理由としては、手の温度がワインに伝わらないようにするためです。

ワインの試飲温度として最適なのは、上限18℃までです。一方、人間の体温は36℃前後あり、ボウル部分に触れているとグラスに注いだワインへ徐々に体温が移ってしまいます。体温の影響でワインの温度が変わってしまえば、本来の風味を楽しめません。

また、ステムを持てばボウルに注いだワインの色をしっかりと確認できるのも理由の1つです。飲み方がエレガントに見える持ち方でもあるため、ワインを飲む時はぜひ意識してみてください。

 

ワイングラスはステムで持たないといけない?その真相は?

ワイングラスの持ち方について、「海外と日本では違う」という話を耳にしたことのある方も少なくないでしょう。確かに海外のカジュアルな場面ではボウルを持つスタイルがメジャーですが、実際はTPOに応じて使い分けることが多いため、どちらの持ち方が正解とは言い切れません。

そのため、海外と日本で区別するよりも、国内外問わずTPOに合わせて使い分けるのがおすすめです。周囲に迷惑が及ばなければ、ワイングラスは自由に持っても良いでしょう。

 

知っておきたいワイングラスのマナー

ワイングラスに関するマナーとして、持ち方よりも重視したいことがいくつかあります。ワイングラスの持ち方は上記のとおり比較的自由の効く部分ですが、「ワインを注がれる時」と「グラスを回す時」のマナーは覚えておきたいところです。

最後にどのような場面でもスマートにワインを楽しめるよう、覚えておきたい2つのマナーを紹介します。

 

注がれる時はグラスを持たない

ソムリエのいるレストランなどでは、ワインはお店のスタッフに注いでもらうスタイルが一般的です。ワインを注いでもらう時、少しでも注ぎやすいようにとグラスを持ち上げたり傾けたりしたくなる方もいますが、グラスには触れないようにしてください。

ワイングラスは持ち上げず、テーブルに置いたままの状態でワインを注いでもらうのがマナーです。持ち上げることは国際的なマナーとしてはふさわしくないため、注意しましょう。

とはいえ、立食スタイルのパーティーなどワイングラスを手に持ったまま談笑する場では、近くにワイングラスを置く場所がないこともあります。ワイングラスを置く場所がない場合は、手に持ったままで問題ありません。利き手とは逆の手をフットに添えて、スマートにワインを注いでもらいましょう。

 

回す時はステム下部を持つ

ワインの香りを楽しむためにワイングラスを回しますが、この時もグラスを持ち上げずにテーブルの上で行います。ステムのみを指でつまむと不安定になるため、台座部分(フット)を手のひらで固定するようにステム下部を持ってください。回す方向はワイングラスを持つ手によって、以下のとおり異なります。

・右手で持つ場合…左回し
・左手で持つ場合…右回し

このように回すことで、万が一こぼしてしまってもかかるのは自分だけで済む場合が多く、他の人にかけてしまうリスクが少ないです。

また、ワインを楽しむためのマナーについては、以下のページでも詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください!

「レストランで役に立つ!ワインの基本的なマナーを押さえよう」

「ワインを回すスワリングの意味とやり方を解説」

 

まとめ

ワイングラスの持ち方など基本的な部分を意識すると、公的な場でも周囲にスマートな印象を与えることができます。せっかくのパーティーを楽しむのであれば、参加者がお互いのマナーで眉を寄せることなく、料理やワインも心から味わいたいですね!

よく海外と日本ではワイングラスのマナーが違うといいますが、実際は厳密な違いはありません。海外においても日本国内でも、ワイングラスはTPOに合わせた持ち方を選びます。場面に合わせた使い分けで、ワインを楽しんでくださいね。

ウイスキーなのに「酵母と発酵」に着目した「余市」と「宮城峡」。すでに希少ないま、バーへ急げ!

とどまるところを知らない、世界的なウイスキーブーム。なかでもシングルモルト(単一の蒸溜所で生まれるモルトウイスキー)、特にジャパニーズウイスキーのシングルモルトは大人気で、国内外から注目を集めています。

 

今回紹介するのは“日本のウイスキーの父”と呼ばれ、いまも語り継がれる朝ドラ「マッサン」の主人公でもある竹鶴政孝氏が創業した、ニッカウヰスキーのシングルモルト「余市」「宮城峡」の限定品。お酒好きならぜひチェックしていただきたい、本プロダクトの魅力を開発者インタビューとテイスティングでレポートします。

↑左が「シングルモルト余市 アロマティックイースト」、右が「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」。ともに9月27日発売で価格は各2万2000円、各2万本(その内1万本は海外)限定です

 

醗酵工程で酵母が生む多様な香りに着目

今回の限定品は、2024年に創業90周年を迎えるニッカウヰスキーのアニバサリー企画の一環。昨年「マジ旨!ピートの効かせ方を真逆にした「余市」「宮城峡」の限定ウイスキーを試飲」で第1弾を紹介しましたが、その第2段にあたるのが「シングルモルト余市 アロマティックイースト」と「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」です。

↑ニッカウヰスキーの資料より。「NIKKA DISCOVERYシリーズ」は、壮大なプロジェクトなのです!

 

「余市」「宮城峡」ともに「アロマティックイースト」と銘打たれていますが、これこそが今回のテーマ。そう、アロマティックなイースト(酵母)に着目したシングルモルトとなっているのがポイントです。

 

開発の舞台裏を教えてくれるということで、それぞれの香味設計などに携わった主席ブレンダーにインタビュー。まずは、ウイスキーにおける酵母について聞きました。

↑左が「シングルモルト余市 アロマティックイースト」に携わったニッカウヰスキーの綿貫政志さん。右が「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」を担当した同社の渡邊健太郎さん。ともに主席ブレンダーを務めています

 

筆者は普段、様々なお酒を取材するなかで酵母の話もよく見聞きしますが、よく登場するのは日本酒やビール、ワインなど。なかでも日本酒では「きょうかい酵母」という日本醸造協会が頒布している酵母が有名で、秋田の新政酒造が発見した6号酵母、長野の宮坂酒造(代表銘柄は「真澄」)が発見した7号酵母などは広く知られています。また、ビールでは「アサヒスーパードライ」の318号酵母がビッグネームでしょう。

 

一方、ウイスキーで酵母が積極的に語られることはあまりありません。それもあって、今回の「余市」と「宮城峡」が酵母に着目したというのは気になるところ。背景から聞きました。

 

「アロマティックイーストでは、とりわけ醗酵工程で酵母がつくり出す多様な香りに着目しました。約90年の歴史のなかで数々のトライがあり、その足跡を残すうえでも魅力的な原酒は使っていきたいなと。当社ではウイスキーに適したディステラーズイーストのほか、ビール酵母やパン酵母、あるいは自然界にある野生酵母など多彩な株をストックしており、試験的に使うこともあるんですね。そうしたコレクション酵母を用いた原酒のなかから、狙った香味をもったタイプをブレンドしたのが『シングルモルト余市 アロマティックイースト』です」(綿貫さん)

↑綿貫さん曰く、「私の推測ですが、ジャパニーズウイスキーのルーツであるスコッチでは酵母よりも製法、熟成環境、ピート(泥炭による燻香)の強弱、水質などで原酒の個性を差別化してきた歴史があるため、酵母に重きを置いた銘柄が少ないのかもしれません」とのこと

 

限定の余市は洋なしを思わせる吟醸香が芳しい

↑「シングルモルト余市 アロマティックイースト」

 

数ある原酒のなかから、綿貫さんの想像力を刺激したのが吟醸香(日本酒でよく用いられるフルーティな香り)にも似た華やかさ。酵母の働きによって麦芽が発酵する際に生まれる、フルーティなエステル香に特徴をもつ原酒をブレンドし、味わいを組み立てていきました。

 

「もともと余市には華やかなエステル香があるので、よりその魅力をきれいに出すかという点は苦労しました。また、余市はピート感も特徴ですから、スモーキー香を出しつつエステル香をマスクしないようにと。そのため、樽に関しても熟成香が強すぎるものは使わず、ユーズド樽と活性樽(焼き直した樽)を中心に、主張しすぎない樽の原酒を選びました。これら、全体バランスの調和がブレンドのカギとなっています」(綿貫さん)

 

吟醸のニュアンスをもったエステル香に、余市ならではのスモーキーさとは非常に好奇心をくすぐられます。ということで、スタンダードな「シングルモルト余市」と「シングルモルト余市 アロマティックイースト」とで飲み比べつつテイスティング。今回も、ディスカバリーというシリーズ名にも納得の発見がありました!

↑スタンダードの「シングルモルト余市」(右)は、甘やかかつ豊かなボディに心地よいピート香がじんわり。加えてオレンジを思わせるビターであたたかな果実味も

 

今回の「シングルモルト余市 アロマティックイースト」は、ピートのコクやビター感もありつつ、りんごやバナナなどの明るいフルーティさも。さらに洋なしを感じさせるフレッシュな果実味は、確かに吟醸香のように凛々しく上品。ラストは、マーマレードを思わせるビタースイートな余韻が心地よく続きます。

 

宮城峡はアプリコットの果実味が絶妙に調和

↑「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」

 

一方の「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」については、渡邊さんが解説してくれました。キーとなったのは、アプリコット(杏)を彷彿とさせる、甘く魅惑的な香りを生む酵母。また「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」では、酵母の種類はスタンダードでありつつも、発酵時に工夫をすることで個性的な香りが出る特性を活用しているそうです。

 

「スタンダードの宮城峡は、青りんごなどエレガントな果実味が魅力のひとつ。アロマティックというテーマを踏まえ、持ち前のキャラクターをベースに、より個性をお伝えできる味わいをイメージしました。そこで目指したのは、フルーティでありつつもキャラクターが異なる果実感です。そこでひらめいたのが、発酵時の工夫で生まれたアプリコットの香味をもつ原酒。20年以上も眠っていたコレクションから今回抜擢した形となります」(渡邊さん)

 

とはいえアプリコット香の原酒はキャラクターが非常に立っていて、そのコントロールが苦労点だったとか。あるポイントを超えると宮城峡らしい華やかさが弱まってしまう一方、ポイントを下回れば香りそのものが消えてしまう。このバランスに気を配りながらブレンドをしたと渡邊さんはいいます。

↑原酒の熟成年だったり、樽の種類や新旧だったり、ピートの強弱だったり。様々なキャラクターの原酒を組み合わせて、アプリコット香が上手に開くよう設計したそう

 

「例えば、樽に関してはユーズドを多めに使っています。そのぶんスタンダードの宮城峡よりも、シェリー樽など香りの強いタイプは多少減らしました。また、ピートの強い原酒を加えてスモーキーさを出しつつ、アプリコットの甘みを引き締めてマスクしすぎないように調整しました」(渡邊さん)

↑こちらも飲み比べながらテイスティング。スタンダードの「シングルモルト宮城峡」(左)は、上品な果実味のなかにフラワリーな華やかさもあり、ほのかに樽由来のバニラ香やビター感が続く心地よさ

 

そして今回の「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」をチェック。なるほど、明るみがあって熟した果実のニュアンスは、確かにアプリコット。その奥には、ほのかにベリーの甘酸っぱさやチョコレートのコクやビターなテイストも感じます。甘みとともにほどよいピートや樽の香りも続き、「シングルモルト宮城峡」より大人な印象を受けました。

 

アルコール度数が高い理由とペアリングを解説

スペックに関する補足として、「シングルモルト余市 アロマティックイースト」はアルコール度数が48%、「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」が47%と、スタンダードの45%より少し高くなっています。この理由は、「ノンチルフィルタード」といって、あえて冷却ろ過をしていないから。

 

多くのウイスキーでは澱(おり)を除去するため冷却ろ過を行いますが、澱は味や香りに厚みをもたせる成分も含んでいて、できれば残しておきたい要素。そこで、アルコール度数を高めて澱を溶け込ませるのです。その最適なパーセンテージが今回の場合、48%と47%だったのです。

↑それぞれ飲み比べると、アルコール度数の若干の違いも感じられます

 

最後にフードペアリングについて聞きました。まずは「シングルモルト余市 アロマティックイースト」から。

↑用意いただいたのは、ドライマンゴー、マカダミアナッツ、チョコレート

 

「余市の原酒自体が香ばしさや穀物の甘みをもっていますので、今回のように華やかなアロマを立たせるうえでは、コクの豊かなナッツがオススメです。フルーツはドライマンゴーを用意しましたが、ほかのドライフルーツでも、またはフレッシュフルーツでもおいしいですね。あとは余韻のビター感、オレンジ系の柑橘感を楽しむにはチョコレートが合うかなと思います」(綿貫さん)

 

↑「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」には、サラミとビーフジャーキーをペアリング

 

「『シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト』は比較的甘みを際立たせているので、しょっぱいおつまみとペアリングすると、その甘みがより際立ちます。サラミやビーフジャーキーは、それに加えオイリーなニュアンスが合うと思いますし、牛脂の甘さはアプリコットの甘さと親和性があります。また、その他のしょっぱい系のおつまみやナッツとも好相性なので、例えば柿の種やピーナッツなどもオススメです」(渡邊さん)

 

今回紹介した「シングルモルト余市 アロマティックイースト」と「シングルモルト宮城峡 アロマティックイースト」、ともに国内では1万本限定ということもあり、プレミア的な価値が付いていますが、バーなどで飲むことはできるはず。見つけた際はぜひチェックを。そして、2023年にも登場するであろう次回の「NIKKA DISCOVERYシリーズ」も、いまから要チェックです!

 

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国内クラフトジンの先駆け「季の美」とは?蒸溜所がある京都はバーシーンも盛り上がっていた

いま、ウイスキーと並んでアツい蒸溜酒といえばジンが挙げられます。なかでも昨今は、小規模の蒸溜所でつくられるクラフトジンが世界的に人気。その日本におけるパイオニアが「季の美 京都ドライジン」です。

 

↑「季の美 京都ドライジン」。700mlボトルで参考小売価格5500円

 

本稿では生産現場の京都を訪れ、蒸溜所やブランドストア、有名バーにおける取材を通して「季の美」の原材料や味わいなどの魅力をお伝えします。

 

クラフトジンが盛り上がっている理由

ジンをとりまくシーンがここまで盛り上がっている理由のひとつが自由度の高さ。熟成を必要とせず、国や地域にしばられることもないうえ、果実、スパイス、ハーブといった様々なボタニカルを使って多様な味わいを生み出せるお酒がジンというわけです。

 

特に大きなポイントは、ボタニカルが自由であるため、その土地ならではの恵みを生かせること。日本であれば和山椒やゆずなど。そして京都といえばお茶。「季の美」もそういった地元のボタニカルを積極的に使い、京都らしい優美な味わいに仕上げていることが特徴です。

↑ジンに欠かせないスパイス、ジュニパーベリー(右下)はマケドニア産ですが、ゆず(左上)、山椒(左下)、玉露(右上)は日本の京都産を使用

 

というわけでまずは、普段見学を受け付けていない生産拠点の京都蒸溜所へ。こちらは2014年、歴史ある京都のクラフトマンシップに感銘を受けて設立されました。場所は京都駅から南西に車で10分強の、京都市南区にあります。当初はもっと駅の近くに建てたかったそうですが蒸溜所は前例がなく、また高濃度のアルコールを扱う施設ということもあって行政の許可が下りず、いまの場所に建てられました。

↑現在のヘッドディスティラー・プロダクト マネージャーのリアム モリッシーさん。アイルランド出身で、以前はウイスキーの蒸溜に携わっていました

 

また酒づくりにかかせない水は、京都・伏見の銘酒「月の桂」で知られる増田徳兵衛商店のやわらかな仕込み水を使用。そして「季の美」といえば、ベースにライススピリッツを用いていることが大きな特徴です。

↑京都蒸溜所の心臓部といえる場所。ドイツ、クリスチャン・カール社製の精巧なポットスチル(単式蒸溜機)が2基並んでいます

 

ライススピリッツとは読んで字のごとく、お米由来のスピリッツ。多くのジン(ラムなども)はサトウキビやてんさいエキスの副産物である糖蜜「モラセス」をベースのスピリッツとしますが、「季の美」では比較的高価なライススピリッツを用いることで、ほのかに甘くまろやかな味わいを芯にもっています。

 

そしてボタニカルは、前述の素材を含む計11種を採用。これらは60種以上にも及ぶなかから評価し、最もふさわしいものとして厳選されたボタニカルです。

 

では11種のボタニカルは、それぞれどんな香味特徴をもっているのでしょうか。より具体的にその魅力を知るべく、次に訪れたのが「季の美House」。京都市内の中心エリア・河原町に2020年開業した施設で、「季の美」のセミナーなども開催されているブランドストアです。

↑「季の美House」。築100年以上の町家をリノベーションした2階建ての施設となっています

 

ジンの歴史や製法も学べる

「季の美House」の1階は、3つのゾーンで構成。限定品を含む様々な「季の美」を販売する「お店の間」、「季の美」のカクテルや飲み比べを楽しめる「季の美の間」、さらにビンテージのジンも楽しめる会員制のバー「ジンパレス」となっています。

↑手前が「お店の間」で、中央が「季の美の間」。奥には美しい坪庭が設えられ、その先にある個室が「ジンパレス」です

 

↑「季の美House」でしか買えない限定品の「季の美 ハウスジン」は700mlボトルで6000円。お土産にもオススメな一本です

 

2階は、ジンの歴史や種類、製造工程などをパネルで見られる「展示の間」と、テイスティングやブレンディングをセミナー形式で学べる「混和の間」。ここでその一部を体験させてもらいました。なお、この「季の美テイスティングセミナー」は通常3000円(要予約)で体験できます。

↑「混和の間」。「季の美」のキーエッセンスとなるエレメント原酒が棚に並べられています

 

「季の美」では11種のボタニカルを6つのエレメントに分けて蒸溜し、得られた中溜区分を原酒にしてブレンド。そのエレメントは「礎」「柑」「凛」「辛」「茶」「芳」となり、この6つを味わったりブレンドしたりしながら「季の美」の奥深い魅力に触れられるのが、テイスティングセミナーの醍醐味です。

↑「季の美」公式サイトより。「礎 べ―ス」のオリスとは、シャネルの「No.5」にも使われているアイリスの根のことです

 

テイスティンググラスに入れられた原酒がシート上に並べられ、中央には完成品である「季の美 京都ドライジン」のほか、お茶のエッセンスを引き出した「季のTEA 京都ドライジン」と、英国スタイルを踏襲した力強い「季の美 勢 京都ドライジン」も。このように、きわめて贅沢な体験が3000円というのは驚きです。

↑中央の「季の美 京都ドライジン」「季のTEA 京都ドライジン」「季の美 勢 京都ドライジン」に6つのエレメント原酒を含む、計9種のスピリッツをテイスティング

 

エレメント原酒はどれも個性的なフレーバーで、なかでも単一ボタニカルの「辛(生姜)」と「茶(玉露)」は魅力がわかりやすい印象。個人的には山椒と木の芽による「凛」が好みでした。

↑「季の美 京都ドライジン」に、山椒と木の芽で蒸溜した「凛」の原酒をブレンド。ピリッとしたアクセントが加わり、エッジの効いた味わいになりました

 

数種のテイスティングやブレンディングを体験して実感したのは、完成品のバランスのよさ。事実、「季の美 京都ドライジン」「季のTEA 京都ドライジン」「季の美 勢 京都ドライジン」の3つは非常に飲みやすく、アルコール度数が高めながら飲み干すかの勢いで堪能している自分がいました。

↑セミナー後は1階「季の美の間」で「季の美 ジンソーダ」(1000円)を満喫。加水で滋味深いフレーバーが開き、炭酸の心地よい刺激が爽快な余韻を演出します

 

バーシーンも熱い京都

「季の美」の魅力は、バーテンダーの技やカクテルによっていっそう花開きます。ということで、京都市内きっての人気バーでそのおいしさを体験。1軒目は木屋町にある「BAR K6(ケーシックス)」へ。

↑「BAR K6」の西尾博之マネージャー。限定の「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」を使った「天橋立 ホワイト・レディ」を作ってくれました

 

今回のバー訪問の目的はもうひとつ。それは10月3日から京都を中心とした関西エリアで限定発売されている、「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」(700mlボトルで参考小売価格1万1000円)を味わうというものです。こちらは丹後半島「天橋立ワイナリー」で使用されたワイン樽で熟成された特別な「季の美」。京都産ネーブルオレンジと橙由来の柑橘系風味も加えられており、シトラスとバニラ香のほか、かすかにスパイシーさも感じられます。

↑左から、「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」と「天橋立 ホワイト・レディ」(1980円)、同店定番の「ジン&トニック~スダチ~」(1320円)

 

「天橋立 ホワイト・レディ」は、凝縮感のある甘みと酸味を、少量の赤ワイン塩がキュッとまとめ上げ、余韻は心地よいビターテイストが大人な印象に。「ジン&トニック~スダチ~」はスダチの和柑橘フレーバーが「季の美 京都ドライジン」と調和し、京都らしいはんなりとしたニュアンスが絶品でした。

 

そして次に訪れたもう1軒は、祇園エリアにある「祇園FINLANDIA BAR(フィンランディアバー)」。京都最大の花街・祇園甲部にある町屋バーです。

↑「祇園FINLANDIA BAR」。店先の小さな看板が目印で、この主張しない密やかな設えもたまりません

 

同店で提供いただいたのは「天橋立 マルティネス」。こちらは妖艶な甘みとビター感のあとに、シトラスが清涼感を演出する技アリな一杯。

↑「祇園FINLANDIA BAR」の世古昌弘代表

 

さらにガーニッシュとして添えられたオランジェット(柑橘チョコ)がベルモットと響き合い、「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」のシトラス感を浮かび上がらせます。和と北欧の要素が交じり合うこの空間で飲むと、このおいしさはいっそう豊かなものに。

↑同店では「天橋立 マルティネス」を1550円程度で提供しています

 

なお、「季の美」では「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」の発売に伴って、“京都に染まる”プロモーションを実施。京都では10月31日まで、府内のバーを中心とする飲食店で京都らしさを表現した各店舗のオリジナルカクテルを提供します。

 

また、東京・横浜・大阪エリアでは11月30日まで、オーセンティックバーを中心とする飲食店で各店舗のオリジナルカクテルを提供(「季の美 京都ドライジン 天橋立ワイン樽貯蔵」のカクテルは京都エリアのみでの提供)。

↑風情あふれる街中を闊歩しながら、京都ならではのジンの魅力に触れる旅も格別です

 

秋の京都は紅葉が最高ですが、旅行するなら食も愛でたいところ。「季の美ハウス」は体験できるスポットでもあり、訪れるべき価値にあふれています。旅行を計画中の人は、ぜひ参考に。また東京・横浜・大阪在住の人も、“京都に染まる”プロモーションは要チェックです。

 

“京都に染まる”プロモーション 概要紹介ページまたは季の美のInstagramをご覧ください。

https://www.bar-times.com/contents/105859/

https://www.instagram.com/kinobi_jp/

 

[お問い合わせ先]

ペルノ・リカール・ジャパン株式会社

[TEL.] 03-5802-2756

http://www.pernod-ricard-japan.com/

 

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女子受け間違いナシ! ロゼワインの楽しみ方

人と暮らしをワインで結ぶライフスタイルメディア「WINE OPENER」から、ワインが楽しくなる基礎知識をお届けします。

ワインには白と赤のほかに「ロゼ」があります。名前のとおりバラ色のワインで、ピンク色の透き通った色合いには思わず目を奪われてしまいそうです。
そんなロゼワインの特長や美味しい飲み方を紹介します!

 

 

 

ロゼワインの特長とは

ロゼワインは赤ワインと白ワインの製法をミックスして造られたもの。白ワインのフレッシュさと赤ワインの飲み応えを楽しめます。両方の良さを併せ持ったロゼワインはジャンルを問わず、どんな料理にも合わせられるのが特長です。ロゼワインは、白ワインと同様に辛口・甘口で味わいを表記します。

ロゼワインには主に3つの製法があります。

 

・セニエ法
赤ワインを造る際にも用いられる製法です。
原料は黒ブドウ。

まずは皮もついたままのブドウを軽くプレスしてつぶしてタンクに入れます。そして種や果皮を漬け込むところまでは赤ワインと同じ。

ただし赤ワインよりは早めに色がついたところで、タンク下から果汁だけを引き抜いて、発酵させるという製法。

ブドウの皮と接している時間が他の製法と比べると長いため、濃い目のロゼワインが完成します。

 

・直接圧搾法
こちらも原料は黒ブドウですが、製法は白ワインと同じです。

黒ブドウを皮がついたまま軽くプレスしてつぶしてから、果汁だけを絞り出し、発酵させます。黒ブドウをつぶす時に色が付きますが、ブドウの皮と接している時間は短いので、セニエ法よりは薄い色付きのロゼワインになります。

 

混醸法
黒ブドウと白ブドウをはじめから混ぜて、発酵させます。製法は白ワインと同じ。ドイツのロートリングが有名ですね!

基本的に赤ワインと白ワインを混ぜてロゼワインにすることはありません。

EUの規定でも禁じられていますが、唯一の例外がシャンパーニュ地方のロゼ。醸造過程で、白ワインに赤ワインを混ぜてから発酵させる製法が認められています。

 

ロゼワインの産地

ヨーロッパなど北半球のロゼワインの新ヴィンテージの出荷はいつかご存知ですか。実は春なんです。前年の秋に収穫したブドウを醸造して瓶詰されたできたてのフレッシュなロゼは春に楽しめるようになります。とにかくフレッシュなロゼを楽しみたい!というヨーロッパの方は春に新ヴィンテージをチェックするそうですよ。

ヨーロッパでロゼワインが一番楽しまれるのは、初夏。毎年、夏至にあたる6月には、第4金曜日が「ロゼワインの日」として親しまれています。近年はヨーロッパに限らず、香港やマイアミなど世界各地でロゼワインの日にちなんだイベントが開催されるほど、身近なものになってきました。

そんなロゼワインの有名な産地は、南フランスのプロヴァンス地方。フランスで生産されているロゼワインのうち、実に4割もの生産量を占めています。毎年夏至が訪れると、特産品のロゼワインを、地域をあげてみんなで楽しむのが古くからの慣習です。

プロヴァンスはヨーロッパの人たちにとっての憧れの避暑地の一つ。プロヴァンスのロゼワインといえば、夏のバカンスを象徴するイメージも持っているそうですよ。

プロヴァンス産のロゼワインの多くが、キリリとした辛口の味わいをしています。ロゼワインは甘口で初心者向きの飲みやすいワイン、というイメージを持っている日本人にとっては、意外性があるのではないでしょうか。

 

ロゼワインの消費量

ロゼワインが世界でどれだけ親しまれているのか、詳しく解説します。

 

世界のロゼワイン消費量

1位 フランス
2位 アメリカ
3位 ドイツ

消費量のシェアはフランスが36%と圧倒的に多く、次いでアメリカが15%、ドイツが7%を占めています。

出典:Observatoire internatiounal du Rose CIVP/FranceAgriMer-Dowel strategie ,2018

2017年のロゼワインの消費量は2340万ヘクトリットル(hl)で、同年の生産量2020万hlを大きく上回りました。これだけ見ても、ロゼワインが世界的にはブームになっていることが分かるでしょう。

2002年から2017年の15年間で、世界のロゼワインの消費量は30%も伸びてきていますので、このブームは一過性のものというわけではありません。

フランスでは、1990年以降ロゼワインの消費量は年々増加を続け、今ではワイン全体の30%を占めるまでになっています。白ワインの消費量は17%なので、ロゼワインが白ワインよりもかなり売れているということです。

アメリカでもロゼワインの売上は年々伸びてきていて、2017年には前年比で53%もの増加を記録しています。

大幅な伸びをしてはいるものの、テーブルワイン市場でロゼワインが占める割合はアメリカではまだ低いので、これからさらに伸びることが予想されます。

フランス、アメリカに限らず、カナダ・イギリス・香港・スウェーデンといった国でも、ロゼワインの消費量は大幅に伸びてきています。

 

世界ではロゼワインがブーム!

ロゼワインのブームは、1980年~2005年にかけて生まれたミレニアル世代が火付け役になったといわれています。

ミレニアル世代は、10代のころからインスタグラムやツイッター、フェイスブックといったSNSを使いこなしてきた世代。

ロゼワインの色合いがインスタ映えしやすいという要素もあり、ミレニアル世代の女性たちがロゼワインの写真を拡散したことで、一気に人気が広がりました。

また、赤ワインや白ワインとは違い、気軽に楽しめる雰囲気がロゼワインにあったのも、ブームになった要因のひとつです。

ニューヨークでブームとなった「フロゼ」(フローズンとロゼを組み合わせた飲み物)はその象徴といえます。

フランスでは、夏場は昼からよく冷えたロゼワインを飲むことがちょっとした流行になっていて、気軽に飲める雰囲気が形成されてきているようです。こうした変化も、消費量が増えている理由なのかもしれません。

赤ワインや白ワインよりも、ワインの知識がなくても自由に楽しめるというイメージがあるのがロゼワイン。人生を楽しもうとする最近のトレンドとロゼワインの気軽さがしっくりはまったのが、ブームを巻き起こしたといえるかもしれませんね。

 

ロゼワインの美味しい飲み方

ロゼワインを美味しく飲むには温度とグラスがポイント。ロゼワインの適温の目安は6~10℃。辛口の白ワインと同じくらいです。

ワインクーラーに氷水を入れて15分くらい、冷蔵庫では3~4時間冷やしましょう。

甘口ほど冷やした方がすっきりし飲みやすくなります。グラスは気温の影響を受けにくいボウルが小さいタイプを。ステム(持ち手)が長ければ手の熱が伝わりにくくなりますよ。

ロゼワインはそのままでも美味しいですが、飲み方によって違った味わいを楽しめます。

例えばオン・ザ・ロック。氷が解けるにつれて微妙に口当たりや香りが変化します。光を反射したロゼ色の氷は宝石のようです。

カクテルにするならサングリアみたいにフルーツを加えてみましょう。赤いイチゴやラズベリーがぴったり!

グラスの中で潰したら柑橘系のジュースを30mlほど注ぎ、ロゼワインでグラスを満たします。

甘味が欲しければガムシロップを。ジュースの代わりにピンクグレープフルーツを絞ると、ピンク色が強調されてほんのりビターな味わいになります。

ロゼワインと色合いが近い梅酒と同量ずつ割っても彩りがきれいでほのかに甘いカクテルができます。

 

ロゼワインに合う料理とは

赤ワインなら肉料理、白ワインなら魚料理が定番ですが、ロゼワインは肉料理にも魚料理にも合わせられるのが特長です。さらに日本食や洋食、中華など幅広い料理に向いています。逆に合わない料理を探すのが難しいくらいです。

特に相性がいいのは味噌や醤油、トマト、チーズなど旨み成分が豊富な調味料や食材。発酵食品との相性も抜群です!

お刺身や味噌田楽、酢豚、ピザ、漬物(ピクルス)などのお供にすれば両方の味わいが引き立ちます。同じロゼワインでも脂っこい料理なら辛口、スパイシーな料理には甘口がオススメです。

初心者さんは、ロゼワインの色合いに合わせて料理を選ぶのが、料理にピッタリのロゼワインを選ぶコツ。

色の淡いロゼワインは、白ワインのように爽やかな口当たりをしています。なので、魚料理やサラダ、スイーツなどと合わせると間違いないでしょう。

逆に、色の濃いロゼワインは、渋みや香りが強く感じられるので、肉料理や中華料理など、味つけの濃い料理と合わせていただくのがベストです。

また、ロゼワインの発祥地、プロヴァンスの南仏料理に合わせてみるのもいいでしょう。

トマトやツナ、アンチョビなどを使ったニースサラダや、魚介類のエキスたっぷりのブイヤベースは、ロゼワインとの相性が抜群です。トマトベースのスープに野菜がたっぷりと入ったラタトゥイユと、ロゼワインとの組み合わせもなかなかいけます。

さすがにステーキやビーフシチューのようながっつりした牛肉料理は赤ワイン、カルパッチョや昆布締めのようなさっぱり薄味に仕上げた魚料理は白ワインに軍配が上がります。その中間ならロゼワイン1本で満足できるでしょう。

料理に合わせるワインに困ったときの強い味方になりそうです。

 

ロゼワインに合う料理のレシピを紹介

・牛肉とピーマンのしょうがオイスター炒め

材料(4人分)

牛切り落とし肉 400g
しょうが 100g
パプリカ 1個
ピーマン 4個
サラダ油 大さじ4
粗挽き黒こしょう 適量

●A
酒 大さじ2
塩 小さじ1
片栗粉 大さじ2

●B
オイスターソース 大さじ2
酒 大さじ2
砂糖 小さじ1

 

作り方

1.幅1センチの細切りにした切り落とし肉をボウルに入れて、Aを加えて混ぜます。皮をむいたしょうがは、幅2、3ミリの細切りにして塩をまぶしておきます。しんなりしてきたら水で洗い水気を切ってください。パプリカ、ピーマンは種を取ってから、幅5、6ミリになるように縦に切ります。

 

2.フライパンにサラダ油大さじ2入れて、しょうがを中火で炒め、香りが出てきたらパプリカとピーマンを入れて炒めます。

 

3.野菜を端に寄せて、空いたところにサラダ油大さじ2を入れて、牛肉をほぐしながら炒めていきます。肉に火が通ってきたら、Bを加えて全体的になじませましょう。お皿に盛ってから、仕上げに粗挽き黒こしょうを適量かけてできあがり。

 

・はまぐりのクリームソース

材料(4~5人分)

はまぐり(砂抜きしたもの) 600g
玉ねぎ 1個
にんじん 2/3本
白ワイン 200ml
バター 40g
生クリーム 400ml
塩 適量
こしょう 適量
パセリ 大さじ4

 

作り方

1.殻と殻をこすり合わせるようにしてはまぐりを洗います。洗い終わったあとは、水気を切っておきましょう。玉ねぎ、にんじんはみじん切り(5ミリ角くらい)にします。

 

2.はまぐりを鍋に並べ、玉ねぎとにんじんを上にのせます。白ワインを回し入れて、バターを加えます。フタをして、はまぐりの口が開くまで中火にかけて蒸し煮にします。

 

3.生クリームを加え、塩・こしょうで味のバランスを整えます。お皿に盛ってから、仕上げにパセリを振りかけましょう。

 

まとめ

ロゼワインは赤ワインと白ワインの良さを併せ持っているので、ワイン好きならすぐに馴染めるはず。

赤ワインより軽く、白ワインよりしっかりした味わいはどんな料理にでも合わせられます。そのまま飲んでも、カクテルにしても見た目の美しさも際立ちますね。いろんな飲み方や料理との組み合わせを楽しんでみましょう。

泡立ち2倍以上の「生ジョッキ缶大生」誕生! 担当者が明かす物づくりの裏側

2021年のビール市場における最大のヒットといえば「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」(以降、生ジョッキ缶)。今年10月25日(火)から大容量の「生ジョッキ缶大生(だいなま)」(以降、大生)が仲間入りし、2サイズ展開になります。

 

2022年春には「アサヒスーパードライ」(以降、スーパードライ)が発売36年目で初のフルリニューアルを実施したことで、中味のおいしさにも磨きがかかっており、ますます見逃せません。「生ジョッキ缶」のヒットと「大生」の気になるポイントについて探っていきましょう。

アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶大生

開栓するときめ細かい泡が自然発生し、飲食店の生ジョッキのようなおいしさが楽しめる世界初(※1)の商品。新作の缶485mlは、既存の缶340mlより泡立ちが2倍以上(※2)となり、満足感もアップ。

 

ふくらむ泡の楽しさや樽生ビールのようなおいしさで大ヒット

2021年4月に発売されると、たちまち社会現象ともいえる売れ行きを記録した「生ジョッキ缶」。想定を上回る注文に対し商品供給が追い付かず、一時休売となったことで“幻のビール”となったことも記憶に新しいでしょう。

 

ヒットの背景にあったのは、シルキーな泡が沸き出るようにふくらむ楽しさや、まるでお店で生ジョッキを飲んでいるかのような体験。コロナ禍によって、飲食店でビールを楽しみづらくなったことが、ニーズを掘り起こしたという側面もあります。

 

画期的な発明が生まれた舞台裏にある5つのこだわり

では、記憶に残る大ヒット作はどのようにして生まれたのでしょうか? アサヒビールの担当者に、物づくりへのこだわりを聞きました。

↑アサヒビール株式会社 マーケティング本部 ビールマーケティング部 宇都宮 敬(うつのみや けい)さん

 

1.泡立ちの仕組みはシャンパングラスと同じ発想だった

↑プルトップを開けた途端、白くきめ細かい泡が沸き上がる様子は見た目にも楽しめます

 

まず気になるのは、なぜ「生ジョッキ缶」はここまでクリーミーな泡が出続けるのか? ということ。その秘密は、特別に設計された缶にありました。

 

「ビールに限らず、炭酸飲料でも泡は出ますよね。あの泡は、開封時の気圧差による部分が大きいのですが、液体に含まれる炭酸ガスはデリケートで、刺激に敏感。その性質を最大限に生かしたのが『生ジョッキ缶』なんです」(宇都宮さん)

 

例えば、ガラス製で内面がツルツルのグラスと、陶器でザラザラしたグラス、それぞれにビールを注いだ場合、より泡がふくらむのは後者。また、シャンパングラスに注いだスパークリングワインの泡が底からきれいに上昇するのも同様の性質を利用したものであり、こうした構造が「生ジョッキ缶」にも活用されているとか。

 

「シャンパングラスの底をよく見ると、実は小さな傷がついているかと思います。液体内の炭酸ガスがこの凹凸に反応することで、泡が出続ける仕組みになっているのですが、こちらを応用しました。『生ジョッキ缶』も、缶の内部にきわめて小さなクレーター状の凹凸を設けることで、細かな泡が自然発生するのです」(宇都宮さん)

 

なお、この泡は通常の缶からグラスに注ぐときにできる泡の約1/5サイズのきめ細かさ! クリーミーな泡のテクスチャーによって、いっそう生ジョッキで飲むような口当たりが実感できるのです。

↑「生ジョッキ缶」の内側は、実は特殊な構造となっているんです

 

↑左はそれぞれ缶の内側を200倍に拡大した画像。上が一般的な缶の内側で、下が「生ジョッキ缶」の内側。アルミに特殊な塗料でクレーター状の凹凸を設け、沸き出るような泡立ちを実現しています

 

2.2つの独自技術が組み合わさって日の目を見た!

外観からも一見して“違い”を感じさせワクワク感を高めるのが、広口のフタ。

 

宇都宮さんに特殊な缶が生まれたきっかけを聞くと、それは約10年前にさかのぼるとか。開発秘話を教えてもらいました。

 

「私たちはビールをもっとおいしく、楽しくしたいという思いで、味に限らずさまざまな開発を行っています。そのなかで、10年ほど前に当社の研究所が生み出した技術が、全開できる缶ブタでした。ただそれだけでは実用には至らないということで、ひとつのアイデアとして温存することに。そこから約6年後、また新しい技術が開発されたことで、以前の遺産が生かされることになったのです」(宇都宮さん)

 

その新技術は、泡が自然と沸くように発生させる前述の凹凸構造。このときは一般的な缶ブタの小さい穴から泡を出す想定でしたが、やがて開発チームは「あれ、待てよ?」とひらめくのです。それが、全開できる缶ブタと組み合わせてダイナミックに泡を沸き出す発想でした。

 

「お客様調査のなかから、コロナ禍によって浮かび上がってきたのが『外で飲めない時期だからこそ、お店で飲むようなビールを自宅でも飲みたい』という声でした。お店で飲むビールのおいしさには、クリーミーな泡が欠かせません。その体験を、私たちの技術を組み合わせることで、叶えられるのではないかと。そうした経緯から、『生ジョッキ缶』が生み出されたのです」(宇都宮さん)

 

3.泡がさらに!?「大生」は泡立ち2倍以上(※2)で楽しめる!

↑大容量になった「大生」では、泡立ちがさらにアップしています

 

10月25日に新発売となる「大生」は、既存の340mlサイズの「生ジョッキ缶」よりも泡立ちが2倍以上(※2)に。飲み口全体が泡で覆われるまでの時間が大幅に短縮し、より開封してすぐに泡の魅力を楽しめるようになっています。

 

では、なぜ泡立ちを2倍以上(※2)にできたのでしょうか? その答えは、意外にもシンプルなものでした。

 

秘密は、缶の大きさです。缶340mlより缶485mlのほうが表面積は大きいですよね。そのぶん増幅させる面積も大きくなるので、泡立ちの勢いも増すのです。大容量な分、満足度も高いですから、ぜひゴクゴクと楽しんでいただきたいですね」(宇都宮さん)

 

泡立ちに関して、宇都宮さんは「“泡が泡を呼ぶ”イメージ」と言います。ビールの泡は、泡と接触すると増幅する性質があり、その泡の数が多くなる缶485mlのほうが、泡立ちのスピードも速くなるのだとか。

 

4.飲料缶で世界初! エッジには口や手が切れない構造に

↑缶ブタはきれいに取り去れます。このエッジにもアサヒビールの技術が注がれていました

 

缶のフタがフルオープンすると聞いて、気になるのが飲み口の安全面ではないでしょうか? その点も「生ジョッキ缶」は問題なし。縁の部分に特別な安全構造を採用することで、口や指を切ってしまうことはありません。

 

「飲み口の安全面に関しては、もともと存在した技術『ダブルセーフティ構造』を採用しております。一部の缶詰などで実用されているものですが、飲料缶では『生ジョッキ缶』が初めてですね」(宇都宮さん)

↑缶体とフタの両方のエッジに、切れない構造を採用

 

5.売れすぎて一時休売…結果、生産体制は当初の5倍以上に増強された!

「生ジョッキ缶」の発売当初、想定を上回る注文に対して商品供給が追い付かず、一時休売したことは前述しましたが、段階を経てついに2022年7月下旬から通年販売に。これは供給体制が整ったからでしょうか?

 

「はい。一時はお客様や販売店様などに大変ご迷惑をおかけしましたが、やっと通年販売させていただけるようにできました」(宇都宮さん)

 

一時休売になるほどの状況に、製缶メーカーにおける缶ブタの製造ラインを増設。当初の5倍以上にまで生産能力をアップさせることで、通年販売への態勢を整えたのです。

 

「今回、缶340mlに加えて缶485mlの『大生』も新たに展開するわけですから、その分の余裕ももって、当初の5倍以上へと拡充させました」(宇都宮さん)

 

ベストなおいしさで楽しむコツは温度にあり!

↑より泡立ちよく楽しむには?

 

「生ジョッキ缶」と「大生」ともに、泡のポテンシャルを最大限に生かして飲むにはコツが必要です。それは、しっかりと冷やすこと。

 

「飲み頃は4℃~8℃。温度が低いと泡は少なめ、温度が高いと泡が多めにと、温度によって泡立ちが変わります。ぜひ、お好みの泡を探していただきたいですね」(宇都宮さん)

↑適温に関しては、缶にも記載されています。10℃以上はふきこぼれに注意しましょう

 

シチュエーションに関しては、宇都宮さんは個人的にどのようなシーンで「大生」を楽しみたいですか?

 

「一番は乾杯のシーンですね。特に週末や、何か大きな仕事やチャレンジをやり遂げた、成功したときにゴクゴク、プハァーッと飲みたいです。自分へのご褒美に、自宅で乾杯というのもいいですし、チームの仲間と一緒に乾杯するシーンも最高ですね」(宇都宮さん)

 

国内外で認められているビール界の傑作

2021年度の「グッドデザイン賞」や、国際的なコンテスト「インターナショナルビアチャレンジ2021」の「デザイン&パッケージ部門」で金賞を受賞するなど、国内外で多数のアワードに輝いている「生ジョッキ缶」。まだ飲んだことがないという人も、ぜひ「大生」誕生をきっかけとして、驚きのおいしさを実感してみては?

 

※1:フルオープンかつ自然発泡する缶を用いた世界初の商品(2021年10月Mintel社製品データベースおよびアサヒビール調べ)
※2:開栓時8℃の状況における泡の生成速度を340ml缶と比較。冷やす温度により泡立ちは異なる(アサヒビール調べ) 

 

●商品に関するお問い合わせ/アサヒビール株式会社 お客様相談室
TEL 0120-011-121
https://www.asahibeer.co.jp/superdry/namajokkikan/

取材・文/中山秀明 撮影/湯浅立志(Y2) 撮影協力/TOP UP、EASE

ホッピーミーナが語る! 焼酎のベストパートナー「ホッピー」の噺

【意外と知らない焼酎の噺08】

 

『古典酒場』編集長の倉嶋紀和子さんがナビゲーターとなって探っていく「意外と知らない焼酎の噺」。今回のテーマは、前回の「チューハイ」と並んで甲類焼酎の飲み方として定番の「ホッピー割り」。東京で生まれて昔から焼酎の割り材として人気の「ホッピー」。その誕生から現在までの歴史と変遷、美味しい飲み方を、“ホッピーミーナ”(以降はミーナ)ことホッピービバレッジ株式会社(東京都港区)代表取締役社長の石渡美奈(いしわたり みな)さんに伺います。

 

●ホッピーミーナ(石渡美奈)・左/ホッピービバレッジ株式会社の三代目代表取締役社長。社長業の他、ラジオ番組『看板娘ホッピーミーナのHOPPY HAPPY BAR』(ニッポン放送)でパーソナリティーを務めるなど多岐にわたって活躍中。
●倉嶋紀和子・右/雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名。令和4年(2022年度)「酒サムライ」の称号を叙任

 

そもそも「ホッピー」とは?

まずは、ミーナさんに「ホッピー」について詳しく聞くために、赤坂にあるホッピービバレッジ本社に伺いました。いったい「ホッピー」ってどんな飲料なのでしょうか?

↑ミーナさんとは10年以上の付き合いがあり、雑誌『古典酒場』の企画で全国津々浦々を一緒に回った倉嶋さん。和気あいあいとインタビューが進みます

 

ミーナ「『ホッピー』とは、ビールと同じ原材料と醸造発酵技術で造られたドリンクです。アルコール度数が1%未満の0.8%であるため酒税法上のお酒ではなく清涼飲料水となり、ビアテイスト飲料の先駆けでもあります」

 

倉嶋「0.8%というのが『ホッピー』のおいしさを司る特徴であり、魅力でもありますよね!」

 

ミーナ「そう! アルコールはコンマ数%でもうまみですから。0.8%といえどもしっかり発酵させて造っているところがこだわりの1つです」

 

原材料と醸造への徹底したこだわりがあり、現在の麦芽はカナダおよびドイツ産の二条大麦、ホップは世界最高級のドイツ・ハラタウ産のアロマタイプとビタータイプを使用。さらに酵母はドイツ・ミュンヘンの酵母バンクでホッピー醸造のために厳選された下面発酵酵母を用い、水は清らかな秩父山系の天然水を使っているそうです

 

ミーナ「製法も一般的なビールと同じですが、0.8%のアルコール度数でベストなおいしさを追求。麦汁濃度、使用酵母、発酵時間など、すべてが当社秘伝のノウハウで造っています」

 

↑ホッピービバレッジ調布工場の内部。ここでホッピーが造られている

 

倉嶋「低カロリーで低糖質、プリン体ゼロというのも嬉しいポイントですよね。焼酎も同様に糖質ゼロ、プリン体ゼロですから、おいしく酔えて罪悪感もないという(笑)。やっぱり焼酎のホッピー割りは最高のお酒です!」

 

親しみやすい名称の由来は、当初は本物のホップを使ったノンビアで「ホッビー」と創業者が考えましたが、語呂が良くないので「ホッピー」にして販売したそうです。

 

ミーナ「ホッピーのロゴにも秘密があって、この『ピー』の字は、夜空を仰いで笛を吹く少年の姿をイメージして父(二代目・石渡光一氏)が考えたんです」

 

↑ロゴの「ピー」の字にも二代目社長のこだわりが

 

「ホッピー」誕生秘話

「ホッピー」が商品として発売されたのは、1948(昭和23)年のこと。そこに至るまでには妥協しないものづくりへの探求と挑戦がありました。

 

ミーナ「当社は1905(明治38)年に祖父(石渡秀氏)が五個連隊の御用商人を拝命して、餅菓子を納めていた『石渡五郎吉(ごろきち)商店』がルーツです。いまの『東京ミッドタウン』あたりですね。その後、海軍伝いにラムネの伝来をいち早く聞きつけ、ラムネの製造を始め『秀水舎(しゅうすいしゃ)』を設立しました」

 

やがて大正時代末期になると、本物のビールは手に入りにくい時勢だったのでビールの代用品としてノンビアがブームとなり、「秀水舎」にもノンビアの製造依頼が舞い込みます。ただ、当時は中小企業にとって良質な原材料が入手困難な時代でした。創業者は「まがいもので作ることはまかりならん」と、製造を断固拒否。引き続き清涼飲料水を手掛けつつ、長野に「千曲(ちくま)飲料合資会社」を設立してホップ農家の方々とご縁をいただき、本物の原材料にこだわったノンビアの製造開発着手に至りました。

 

倉嶋「長野といえば、有名な国産ホップ『信州早生(しんしゅうわせ)』のふるさとですし、ホップ開拓の光を長野に見出したんですかね」

 

ミーナ「直接祖父に聞いた事はないんです。でも、なぜ長野だったんだろうと考えると、ホップの名産地だったからとしか考えられません。祖父も父も『酒造りは男の浪漫(ロマン)』と言っていました。だから、本物のホップが入手できるなら理想とするノンビアも造れると。そこで長野に研究拠点を作る、ということは祖父ならあり得ると思います」

 

倉嶋「そうして昭和になり、戦争を経て『ホッピー』が発売されるわけですよね。でも1948年って、戦後すぐじゃないですか。当時の時代背景からすると、すごいスピードの早さですね」

 

ミーナ「長野にあり戦火を逃れた製造設備をいち早く赤坂へ移設し製造を再開できたことも一つの要因ですが、何よりも復興への情熱ですよね。それに、戦時中は思うように造れなかったというジレンマもあったでしょうし。私自身あらためて、すごい人だなと思います」

 

倉嶋「でも終戦後すぐだったからこそ、『ホッピー』のおいしさがいっそう際立ったとも思うんです。当時は食糧難で、ビールは高嶺の花。焼酎も粗悪なものが少なくなかったと聞いていますから、『ホッピー』が焼酎をおいしく飲む割り材として礼賛されたんじゃないかなって気がします」

 

ミーナ「ありがたいことです。ビールより安くておいしく早く酔えるということで、市民権を獲得していったと聞いています」

 

倉嶋「でも、当時の販路はどうやって広がったんですかね? 『ホッピー』の聖地っていくつかあるじゃないですか。浅草には『ホッピー通り』があり、神奈川にも横浜には名店『ホッピー仙人』さん、横須賀には『ホッピー』の『横須賀割り(後述)』がありますよね」

 

ミーナ「これも祖父の人脈ですね。当時の『ホッピー』ファンが、祖父との信頼関係で各地にプッシュしてくれたと聞いています。あとは、浅草には祖父の弟が住んでおり、横須賀も熱心に販売してくれる方がいらっしゃったと。そうしたご縁のなかでホッピー文化が根付き、育てていただいたんです」

 

2000年代以降に「ホッピー」が飛躍した背景

首都圏の大衆酒場を中心に支持されていった「ホッピー」は、赤坂から調布に工場を移転したり、ドイツ産のホップや酵母に切り替えたりと徐々に品質が向上していきました。また、2000年代以降は健康志向の高まりによって「ホッピー」のヘルシーさが注目されたり、焼酎人気や昭和レトロブーム、せんべろ文化が追い風になったりと、様々なトレンドによって「ホッピー」の認知が広まっていきました。

 

ミーナ「女性の社会進出や、インターネットによる情報拡散も大きかったと思います。雑誌『古典酒場』や倉嶋さんの影響力もありがたかったです」

 

 

倉嶋「そんなそんな。ミーナさんの発信力もすごかったですよ。ミーナさんのファンがネット上でつながって、イベントに集まったこともありましたよね。若い女性が大衆酒場で『ホッピー』をおいしく飲み始めたのがまさに2000年代。時代が変わるターニングポイントを、リアルタイムで実感したことを昨日のように思い出します!」

 

ミーナ「全国的に知っていただけるようになったことは非常にありがたいと思っています。ただ、『ホッピー』のふるさとは東京であり首都圏。あくまで東京のご当地ドリンクとして、全国へ発信していきたいですね」

 

「ホッピー」の種類

ひとことで「ホッピー」といっても、そのバリエーションは豊富。代表的な3種と、飲食店限定の希少な「樽ホッピー」の各詳細をミーナさんに教えてもらいました。

 

●ホッピー(360ml)

俗称で「白」とも呼ばれる定番。淡色麦芽を使って醸造発酵させているのが特徴。すっきりとした味わいで、飲み飽きない逸品。

 

●黒ホッピー(360ml)

約10年の研究開発を経て「ホッピー」誕生から44年後の1992年に誕生。日本人の口に合う黒タイプビアテイスト飲料として、4種類の麦芽がブレンドされている。

ミーナ「重すぎず飲みやすいうえ、飽きのこない深みも持ち合わせた美味しさの秘密は、醸造マイスターによる絶妙なブレンディング技術とセンスがカギ。香ばしさと苦味の程よいバランス、まろやかな甘みが特徴です」

 

●55ホッピー(330ml)

「ホッピー」誕生55周年を記念して作られた。俗称「赤」。プレミアムタイプの「ホッピー」で、麦芽使用率100%かつ、海洋深層水を一部使用し醸造時間も通常の倍をかけてじっくり丁寧に熟成している。

ミーナ「ビールに一番近いビアテイスト飲料の味に仕上げており、麦芽のコクとホップの爽やかな香りは、のどの渇きを癒すのに最適です」

 

●樽ホッピー

限られた飲食店で提供されている「樽ホッピー」。殺菌方法が瓶と異なり、よりフレッシュな味わいの特別な「ホッピー」。

ミーナ「生ビールと同じくサーバーから注がれるため、きめ細かくやわらかい泡が魅力的。非常に繊細な商品なのでお取り扱い店舗が限定されているのですが、ファンの方々の間では、『樽ホッピーを探せ!』運動があるとかないとか言われてるんですよ(笑)」

 

なお、市販の商品では「ホッピー」が「ホッピー330」、「黒ホッピー」が「ホッピーブラック」という330mlボトルで販売。ガラスびんを採用しているのは、外光から美味しさを守るためという理由に加えてもう1つあります。それは、ガラスびんは天然素材のため何度もリサイクルでき、地球環境の保護にも応えるエコな容器だから。

 

倉嶋「ちなみに、『ホッピー』と『黒ホッピー』が360mlとなっているのは、専用の500mlジョッキでおいしく飲むためですよね。ということで、次は実践編。場所をお店に代えて、ホッピー割りを存分に楽しみましょう!」

 

「ホッピー」の飲み方

お伺いしたのはホッピービバレッジ本社から近い「煮込み居酒屋 寅 赤坂店」。2022年の6月にオープンしたばかりですが、早くも人気を集めているお店です。

↑まずはキンキンに冷えた3冷ホッピーで乾杯!

 

ミーナ「まずは『ホッピー』の基本スタイル、『3冷(さんれい)』をご紹介させてください。これは『ホッピー』、焼酎、ジョッキの3つをよく冷やしていただく飲み方がネーミングの由来です。

ずっとおいしく飲んでいただきたいので、『ホッピー』と焼酎をよく冷やし、ジョッキは凍らせることをオススメしています」

↑ホッピー、焼酎、ジョッキの3つをよく冷やしておくのが「3冷」スタイル

 

↑「煮こみ居酒屋 寅 赤坂店」では、冷えたジョッキに冷えた宝焼酎とホッピーを注ぐ「3冷」スタイル!

 

倉嶋「『3冷』は1970年代前半ごろに発案された飲み方なんでしたっけ?」

 

ミーナ「そう聞いています。しかしながら、いつしか氷を入れて飲むスタイルが定着しているとも感じていました。そこで当社では1990年代後半から、あらためてこの飲み方を『3冷』と命名。飲食店様などを中心に『3冷』のおいしさを知っていただくなど、『3冷』を広めていく活動を推進していきました」

↑しっかり冷やされているホッピー専用の500mlのジョッキ

 

倉嶋「そして『3冷』で飲むのに適したグラスが専用の500mlジョッキですよね。★印が焼酎を入れる目盛り代わりになっていて、割りやすいという」

 

 

ミーナ「はい。下から1つめが70ml。2つめが110mlの目安となっていて、こちらに360mlの『ホッピー』を注ぐと、泡も含めてきれいに収まります。『横須賀割り』は140mlベースの焼酎濃いめなタイプで、泡が立たないように注ぐ、または泡があふれないように継ぎ足すなどして調整する飲み方ですね。ちなみにこの★は、父が北斗七星をモチーフにしてデザインしたものなんです」

 

倉嶋「笛を吹く少年のモチーフ以外にもあったんですね。しかも北斗七星とは、なんとロマンチックな先代社長!」

↑ホッピービバレッジの本社には、歴代の製品、オリジナルラベル製品とともに先代社長・石渡光一氏の写真が飾られています

 

3つの公式レシピでますます美味しい「ホッピー」

倉嶋「そういえば、『中(なか:焼酎)』と『外(そと:ホッピー)』ってあるじゃないですか。あちらはどなたが発案したものなんでしょう?」

 

ミーナ「『中』と『外』に関してはわからないですが、お酒が好きな方が考えたのではないかと思います。私たちとしては『3冷』で1杯飲み切っていただくことをオススメしているので、途中で焼酎や『ホッピー』を追加することは提案していません。とはいえ、お客様が自分で自由に割って作る楽しさも『ホッピー』の魅力だと自負しています。焼酎で割らずに飲む『ホッピー』も美味しいですし」

 

倉嶋「はい! 私は『ホッピー』の遊び心というか、この余白も大好きなんです。『3冷』を基本に、3つの公式アレンジレシピもありますよね」

ミーナ「ありがとうございます。ではそのレシピも1つずつ解説しますね。まずは『ハーフ&ハーフ』。こちらは『ホッピー』と『黒ホッピー』を、名前の通り半分ずつ注げばでき上がり。和洋中、どんな料理とも相性ぴったりのドリンクです。

次は『ウルトラD』。アルコール度数25%の甲類焼酎を専用グラスの★2つめまで注いだ、アルコール度数が約7%の飲み方です。醸造による『ホッピー』のコクと蒸留酒である焼酎のスッキリした飲み口が絶妙で、『ウルトラドライ』から『ウルトラD』と名付けられました。なお、★1つめまで注いだ場合のアルコール度数は約5%となります。

3つめは『プレミアムライト』。まずはシャーベット状に凍らせたアルコール度数20%の甲類焼酎を、ジョッキ1つめの★半分(35ml)まで入れます。そこによく冷やしたアルコール度数25%の甲類焼酎を1つめの★上(35cc)まで注入。あとはよく冷やしたホッピーを勢いよく注げばでき上がり。アルコール度数が約4.8%の、ライトな口当たりが楽しめます」

 

倉嶋「あらためてお話を伺うと、『ホッピー』は本当に面白いドリンクですね。ミーナさんは『ホッピー』に合う甲類焼酎の良さとは何だとお考えですか?」

 

ミーナ「『ホッピー』の美味しさを際立たせつつ、アルコールのうまみをちゃんと伝えてくれるのが甲類焼酎。立ち位置が『ホッピー』と似ているとも思います。どちらも主役のようで、脇役のようなバイプレイヤーでもある。でもだからこそ味があるし、どんな食事にも合うベストパートナーだと思います」

 

倉嶋「蒸留酒の甲類焼酎を醸造酒テイストの『ホッピー』で割るという、この組み合わせはかなり珍しく、それでいてベストマッチな美味しさ。私はこの絶妙なバランスも大好きです!」

 

オススメの飲み方とおつまみはこれだ!

最後はおふたりにオススメの「ホッピー」の飲み方と、フードペアリングを聞きました。飲み方に関しては、ともに「3冷」が大前提。ミーナさんは、前述の「ウルトラD」がオススメだといいます。

 

ミーナ「個人的には、アルコール度数25%の甲類焼酎を専用グラスの★2つめまで注いだ『ウルトラD』がベスト。でも、何をおいしく感じるかは人それぞれですから、お好きな飲み方で楽しんでいただければ幸いです」

 

倉嶋「私はカスタマイズできるのが魅力だと思っており、ちょっとお酒を控えたいなと思う時は、薄めで割って美味しいし、ガッツリ飲もうという日は『横須賀割り』で飲むのもよし。カクテルとしては『ホッピー』と焼酎とトマトジュースでレッドアイ風にするのがオススメです。ジョッキの縁に塩を付けたスノースタイルにすれば、もうどんどん進んじゃいますね(笑)」

 

フードペアリングに、ふたりとも「何にでも合う」という意見で一致。特に「ホッピー」はオールラウンドで、「黒ホッピー」はコクが豊かな料理に合うといいます。

 

ミーナ「おつまみは何でも合いますね。今日のお店(煮込み居酒屋 寅 赤坂店)なら、繊細な味わいの『豆腐の浅漬け』に、甘み豊かな『とうもろこしの天ぷら』、名物の『自家製八丁みその牛もつ煮込み』のような濃厚なものまで。ちなみに、意外な組み合わせでいえば『黒ホッピー』にティラミスを合わせる楽しみ方はぜひ試していただきたいです」

 

↑「煮込み居酒屋 寅 赤坂店」の名物「自家製八丁みその牛もつ煮込み」800円

 

倉嶋「ティラミス、いいですねー! 確かに、お刺身からスイーツまで何にでも合うのが『ホッピー』です。私は東京に来てから、もつ焼きと『ホッピー』のマッチングを覚えましたが、もちろんもつ煮も最高。特にこちらの『牛もつ煮込み』はコク深い八丁味噌ベースなので、『黒ホッピー』がいっそう合いますね!」

 

甲類焼酎のベストパートナーであり、アレンジも自由自在で料理との相性も幅広い「ホッピー」。あらためてお店やご自宅で楽しんでみてください。その際は「3冷」で飲むこともお忘れなく!

 

 

【取材協力】

煮込み居酒屋 寅 赤坂店

住所:東京都港区赤坂3-15-6 B1
営業時間:11:00~14:00、17:00~23:00(フードL.O.22:30/ドリンクL.O.22:45)
定休日:日祝

※価格はすべて税込みです
※営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2022年9月15日)

 

撮影/我妻慶一

 

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・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/

 

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