新発表のMacBook Proを触ってわかった、今回の主役は「ディスプレイとタッチ操作」

現地時間10月28日ロサンゼルスで開催されたAppleのイベント「Apple Experience」に参加してきました。

会場に入った瞬間から、まるでクラブのような空間と、開始を待つ人たちのざわめき、これから何が発表されるのかという期待。自分もその中の一人としていたわけですが自然とテンションが上がっていました。

↑ジョン・ターナスCEOが発表したのはタッチ操作ができる新しいMacBook Pro

そんな熱気の中でステージに登場したジョン・ターナスCEOが発表したのは、「PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Pro」。これまでのMacBook Proと並ぶ新しいモデルで、Macとして初めてタッチ操作に対応しています。

しかも、変わったのはタッチだけではありません。まったく新しいディスプレイに、Macで初めてのDynamic Island、そして軽くなったボディです。

↑Appleロゴが再び光るように

そして発表の中で、会場が一番盛り上がった部分のひとつが、背面のAppleロゴが光ると紹介された瞬間でした。かつてのMacBookを知っている人なら、どこか懐かしい気持ちになったのではないでしょうか。

会場では実機に触れる時間があったので、そのときの印象を中心にお伝えします。

まず目を奪われたのはディスプレイ

↑PROLED XDRディスプレイは圧倒的にな美しさ

まず実機を見て思ったのは、とにかく画面が美しかったということです。

PROLED XDRディスプレイは、自発光するピクセルの層を2つ重ねた「タンデムOLED」という仕組みを採用しています。ピーク輝度はHDR・SDRともに最大2,000ニト、コントラスト比は10,000,000:1です。従来のMini LEDを使ったLiquid Retina XDRディスプレイはピークHDR輝度が1,600ニト、コントラスト比が1,000,000:1なので、数字の上でも大きく進化しています。

↑発色が美しく、本当に鮮やかなディスプレイ

ただ、実際に見て感じたのはそういった数字よりも「黒が黒い」ことでした。明るい部分のすぐ隣が暗く沈んでいても、境目がにじまない。そして、本当に色が鮮やかで、映像を作る仕事をしている自分としては、いつでもどこでもこのクオリティのディスプレイがあるのはテンションが上がると感じました。色域もP3に加えてAdobe RGBに対応しているので、写真や印刷物を扱う人にとっても気になる存在ではないでしょうか。

タッチ操作は「不思議」から「自然」へ

もうひとつの大きなトピックがタッチ操作です。正直なところ、触り始めたときは不思議な感覚がありました。ずっと「画面は見るもの、操作はトラックパッドで」という前提でMacを使ってきたので、画面に指を伸ばすこと自体に少し戸惑いを感じていたことは事実です。

実際に操作してみると、最初はどこをタッチすればいいのか、少し迷いました。見慣れたMacの画面だからこそ、ボタンやメニューを指で押していいのか、どこまで反応してくれるのかが、すぐにはつかめないのです。

ところが触っていくうちに、その違和感は薄れていきました。気がつけば、やはり直感的に操作できるものだと感じていました。

タッチセンサーはディスプレイの上に重ねるのではなく、パネルに直接組み込まれています。ヒンジも新たに設計され、画面を触ったときの安定感を高めているそうです。対応していない既存のアプリでも、タッチがクリックとして扱われるので、そのまま使えるのはありがたいポイントです。

自分が一番可能性を感じたのは、iPadの直感的な操作とMacの操作感を、一台で両方活かせることです。キーボードショートカットやトラックパッドのジェスチャーはこれまで通り使えて、そこに「指で触る」という選択肢が加わる。どちらかに寄せるのではなく、場面に応じて手が自然に選べる。もしかしたら、これはものすごく大きな変化になるかもしれません。

MacにもDynamic Islandが

iPhoneでおなじみのDynamic IslandもMacにやってきました。画面上部の中央に、Spotlightやライブアクティビティ、Siri AIの入り口がまとまっています。

↑ノッチではなくDynamic Islandに

電話に出る、AirDropのリクエストを受け入れる、再生中の曲を一時停止する。こうした操作を、作業中のウインドウから離れずに指先で済ませられます。タッチ操作に対応したからこそ、この場所に「触れる」意味が出てくるのだと思います。

チップはM5 ProとM5 Max

中身に搭載されているのは、M5 ProとM5 Maxです。すでに従来のMacBook Proにも使われているチップです。ちなみに同じタイミングで、M6を搭載した14インチMacBook Proも発表されています。ただしこちらは従来と同じMini LEDのLiquid Retina XDRディスプレイで、タッチ操作には対応していません。タッチ対応のPROLED XDRディスプレイ搭載モデルは、M6 Proのような新しいチップを待つのではなく、M5 ProとM5 Maxを組み合わせてきました。

自分はここに、今回の主役がチップではなくディスプレイとタッチ操作だという意図を感じました。実績のあるチップを土台にして、体験の新しさを前面に。そんな組み立てなのではないでしょうか。

M5 Proは最大18コアのCPUと最大20コアのGPU、最大64GBのユニファイドメモリ。M5 Maxは18コアのCPUと最大40コアのGPU、最大128GBのユニファイドメモリです。ストレージは最大16TBまで選べます。

外部ディスプレイはM5 Pro搭載モデルで最大3台、M5 Max搭載モデルで最大4台まで接続できます。

薄く、軽くなったボディ

見た目以上に大きな変化だと感じたのが重さです。同じM5 ProとM5 Maxを搭載した、これまでのMacBook Pro(Liquid Retina XDRディスプレイ搭載モデル)と比べてみます。

14インチモデルは、M5 Pro搭載で1.60kgから1.38kgへ、M5 Max搭載で1.62kgから1.40kgへと、どちらも0.22kg軽くなりました。ちょうどiPhone 18 Pro(211g)を1台、カバンから取り出したくらいの差です。厚さは1.55cmから1.50cmです。

16インチモデルはさらに差が大きく、M5 Pro搭載で2.14kgから1.82kgへ、M5 Max搭載で2.15kgから1.84kgへと、0.3kg以上軽くなっています。こちらは、iPhone Air(165g)ほぼ2台分です。厚さは1.68cmから1.60cmです。

OLEDになったことでディスプレイ部分の構造が効率化され、この薄さと軽さにつながっているそうです。画面の外枠も細くなり、14インチモデルは14.2インチ、16インチモデルは16.3インチの画面サイズです。

MacBook Proはやはりちょっと重いというのが印象としてあると思いますが、少しでも軽く、薄くなるということは歓迎したいところです。

iPad mini(A20 Pro)にも触れてきました

↑フルリニューアルされたiPad mini(A20 Pro)

会場ではイベントに先立って発表されていたiPad mini(A20 Pro)も試すことができました。今回のiPad miniはデザインから大きく変わっています。

まずディスプレイは8.5インチのSuper Retina XDRディスプレイで、OLEDになりました。ピーク輝度は1,200ニトです。実際に見ても明るく発色がよく、動画を観たりするのが楽しくなりそうだと感じました。

ベゼルは前世代より24%細くなっています。ただ、個人的にはもう少し細くなっていてほしかった、というのが正直なところです。

↑薄さは持った瞬間にわかるほどです

本体は前世代より14%薄く、13%軽くなり、iPadの中でもっとも軽いモデルになりました。防沫・防塵・耐水性能も備えているので、持ち歩く端末としては安心感が増します。カラーはミッドナイトとスターライトの2色です。

スピーカーも大きく変わったところです。今回のiPad miniには、スピーカーの穴がありません。ツイーターとウーファーをガラスと筐体の下に収めた「Acoustic Display」という仕組みで、画面や筐体そのものから音が出る形です。

↑周りがうるさすぎて音の評価は難しかった……

会場は周囲の音がかなり大きかったこともあり、正直なところ音はなかなか聞き取れませんでした。ただ、筐体全体が震えるようにして音が鳴っているのは手に伝わってきて、これまでにない体験でした。静かな環境であらためて聴いてみたいと思っています。

画面に触れたくなるMac

PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Proは、10月29日から予約受付が始まり、11月6日に発売されます。価格は、14インチモデルがM5 Pro搭載で499,800円から、M5 Max搭載で769,800円から。16インチモデルはM5 Pro搭載で599,800円から、M5 Max搭載で829,800円(いずれも税込)からです。

今までウワサされては否定されてきたタッチ操作のできるMacBook Proの登場はやはり大きなインパクトがありました。

もちろんMacの画面を触るということに抵抗を感じる人はいると思いますし、操作性としてどうなの? という疑問が出てくるのは非常に理解ができます。それでも、ひょっとするとこのハイブリッドの操作方法が新しいクリエイティブを生み出すキッカケになる人はいるかもしれません。

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ついにカメラが横を向く! A20 Pro搭載の次期iPad miniで完成する“最強のコンパクト”

アップルの次期iPad miniには、A20 Proチップや横向き配置のフロントカメラ、新しいスピーカーシステムが搭載されることが判明しました。

この情報は、海外テック系メディア・MacRumorsの寄稿者であるアーロン・ペリス氏が発見したうえ、鮮明な製品画像も確認されています。画像には前面のみが写っているため、背面や側面のデザイン変更まではわかりませんが、目に見える変更点がいくつかあります。

新型モデルではフロントカメラが横向きに配置されることにより、iPad全ラインナップの横向きカメラ移行が完了することになります。この変更によって、端末を横向きに置いた際にカメラが画面上部の中央へ来るため、相手からの目線が自然になり、ビデオ通話がより快適になるはずです。

また、画面上部のガラスに確認できるiPhoneのような小さな切り欠きは、おそらくスピーカー用とみられます。なお、音量ボタンと電源ボタンは引き続き端末の上部に配置されています。

iPhone 18 Proモデルと同じA20 Proチップが採用されると以前から噂されていましたが、今回の情報によって、その可能性が高まりました。

さらに、次世代iPad miniには、外部開口部のない真新しい振動式スピーカーと耐水性能が備わるという見方も今回の画像は裏付けています。

有機ELディスプレイの採用や画面のわずかな大型化も噂される次期iPad miniは、10月末までに発売される可能性があり、近いうちに何らかの動きが見られるかもしれません。


Source: MacRumors

Image: アップル

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アップル系YouTuber・みずおじさんが、進化したiPadの選び方を指南!ピッタリなiPadはどれだ?

iPadは現在4モデルが揃う。強力なM4チップを搭載するiPad Proや、携帯性に優れたiPad miniなどと、どれを選ぶのがベストなのか。各モデルの特徴をまとめるとともに、アップル系YouTuberの「みずおじさん」のオススメコメントを紹介しよう。

【私が解説します!】

アップル系YouTuber・みずおじさん
20年に渡るシステムエンジニアの経験を生かし、アップルデバイスに関するお役立ち情報を配信しているYouTuber。

強力なM4チップとさらに薄くなったボディ

iPad Pro
16万6800円〜34万800円(11インチ Wi-Fiモデル アップルストア価格)
21万8800円〜39万800円(13インチ Wi-Fiモデル アップルストア価格)

動画編集などの重い作業もラクラクこなす「M4」チップを搭載。先代より大幅に薄くなったボディは、13インチモデルでわずか5.1mmとiPadで最薄となった。より精緻な書き込みができる「Apple Pencil Pro」にも対応。

【こんな使い方にピッタリ!】その性能に妥協なし! 最高を求める人へ
「動画編集や3D制作など、がっつり作業したい人にぴったりです。とにかくパワーが桁違いで、映像も音もプロクオリティ。軽くて薄いのに性能はMac並みなので、“本気で使いたい人”にこそ選んでほしいモデルです」

3Dグラフィックスやゲームの描写性能も向上

iPad Air
9万8800円〜18万6800円(11インチ Wi-Fiモデル アップルストア価格)
12万8800円〜21万6800円(13インチ Wi-Fiモデル アップルストア価格)

「M3」チップを搭載し、M1チップ搭載のiPad Airよりも処理速度が2倍アップ。M3チップに搭載された高度なグラフィックス技術により、3Dグラフィックスやゲームの描写性能が大幅に向上している。

【こんな使い方にピッタリ!】迷ったらコレ! 万能バランスモデル
「仕事にも趣味にも、どんなシーンでも対応できる万能モデルです。M3チップで処理が速く、軽くて持ちやすいのも魅力。お絵描きも動画編集もサクサクこなせるので、“何でもこなせる1台”を探している人にオススメです」

iPadデビューにピッタリ!入門機としてのド定番

iPad
5万8800円〜11万800円(11インチ Wi-Fiモデル アップルストア価格)

11代目となった現行のiPad。ストレージの最小容量は128GBとなり、256GB、512GBの3種類。高性能な5コアCPU、4コアGPUを有する「A16」チップと相まって快適に使える。価格も手頃で、iPadデビューするのに最適なモデルと言える。

【こんな使い方にピッタリ!】シンプルに楽しみたい人にピッタリの1台
「動画を見たり、SNSをしたり、気軽にネットを楽しむ人にぴったりです。Apple Pencil(USB-C)にも対応していて、ちょっとしたメモやお絵描きもOK。価格も手頃で、“初めてのiPad”として安心して選べるモデルです」

その携帯性は唯一無二だが性能に妥協はない

iPad mini
7万8800円〜13万800円(8.3インチ Wi-Fiモデル アップルストア価格)

幅134.8mm、高さ195.4mmと片手で持てるサイズながら、低反射を誇る8.3インチのLiquid Retinaディスプレイで写真や動画などを美しく描き出す。搭載する「A17 Pro」チップにより、処理速度は前世代より30%アップした。ピクセルレベルの精度を有する「Apple Pancil Pro」にも対応する。

【こんな使い方にピッタリ!】片手でも持てる! どこでも連れていける相棒
「通勤や旅行など、外出先でもサッと使いたい人にオススメです。手帳サイズで片手でも持てる軽さが魅力。電子書籍を読んだり動画視聴にも最適で、“寝転がって使えるiPad”として一度使うと手放せなくなります」

※「GetNavi」2025年12月号に掲載された記事を再編集したものです。
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【西田宗千佳連載】新機種の中でも特に完成度の高い「Mac mini」に注目

Vol.144-4

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はAppleの「新型iPad mini」の話題。Apple独自の生成AI「Apple Intelligence」の展開において、iPad miniが狙う立ち位置とは何なのかを探る。

 

今月の注目アイテム

Apple

iPad mini

7万8800円~

iPad miniに加えてもう1つ、10月末にアップルが発表したMac新製品のなかで注目を集めた製品がある。新型の「Mac mini」だ。

 

Mac miniは小型のデスクトップ型Mac。2010年に初代モデルが登場以来14年間、「薄くて小さなMac」として親しまれてきたのだが、今回の新モデルはさらに小さくなった。本体は手のひらに乗るほどのサイズしかない上に、従来のデザインに比べて設置面積は半分以下になった。

 

それでいて、性能は非常に高い。最新の「M4」は、M1からM2、M2からM3への進化に対して伸びしろが大きい。さらにGPUの性能を求める場合には、M4でなく「M4 Pro」も選べる。

 

しかも安い。ディスプレイやキーボードなどを別途用意する必要があるとはいえ、もっとも廉価なモデルは9万4800円(税込)。性能を考えると、Macのなかはもちろん、Windows PCと比較しても安価である。

 

こうした小型のPCは、Appleだけが開発しているものではない。ノートPC向けのプロセッサーを使い、手のひらサイズの「ミニPC」を作るメーカーは増えてきている。NVIDIAやAMDのハイエンドGPUを使うPCはともかく、そうでないなら、もはや「デスクトップ型」といえども大柄にする理由は減ってきた。

 

ただ、Windows系のミニPCと比べてもMac miniは小さい。そして、動作音も静かだ。筆者はWindowsのミニPCと新しいMac miniを両方持っているが、動作音の静かさや消費電力の点で、Mac miniの完成度は頭一つ抜け出している印象だ。Windows系のミニPCもコスパの良い製品が多く、注目のジャンルではなるのだが、電源が外付けであったり動作音が大きかったりと、Mac miniほど洗練された製品は見当たらない。

 

Mac miniが小さなボディかつ静かな製品になっている理由は、AppleシリコンがスマホやノートPC向けの技術から生まれたもので、省電力性能が高いためだ。プロが使うにしろ一般の人が使うにしろ、Mac上での処理の多くはさほど性能を必要としない。用途によっては、時々高い性能を必要とすることもあり、ピーク性能は重要な要素だ。だが同時に、性能負荷が下がったら速やかに消費電力を下げ、プロセッサーを冷やして動作することも必要になってくる。その結果として、ファンや電源が小さくなってボディも小さく、静かなPCになる。

 

Macも他のPCと同じく、より多く売れるのはノート型(MacBook Air)ではある。だがMac miniも、人気があって長く使われる製品であり、Appleが力を入れている商品であることに違いはない。AppleはApple Intelligenceに合わせてプロセッサーを刷新し、自社製品の性能向上をしてきた。Mac miniはそのタイミングに合わせて出てきた意欲作といえそうだ。

 

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【西田宗千佳連載】Apple Intelligenceは発展途上。本質は2025年になってから花開く

Vol.144-3

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はAppleの「新型iPad mini」の話題。Apple独自の生成AI「Apple Intelligence」の展開において、iPad miniが狙う立ち位置とは何なのかを探る。

 

今月の注目アイテム

Apple

iPad mini

7万8800円~

「Apple Intelligence」とは、生成AIなどを使ったAIモデルをOSに複数搭載し、いろいろな機能をより便利に使えるようにするフレームワークである。Appleの場合、同じ機能をiPhone・Mac・iPadの主要3製品にすべて搭載し、基盤技術として利用していく。

 

10月末に各種OSのアップデートがあり、アメリカ英語ではApple Intelligenceが使えるようになっている。日本語での対応は2025年4月以降だ。だが日本で売られているApple製品でも、言語の設定を「英語」にすれば、そのままでApple Intelligenceが使える。

 

Apple Intelligenceの有効化により一番目立つのは「Siriの変化」だ。従来は丸いボールが表示されていたが、Apple Intelligence後には「画面の周囲が虹色」で表されるエフェクトになる。以前は“音楽を流す”“なにかを検索する”といったことに使う場合が多かったと思うが、Apple Intelligenceの導入により、個人の行動やアプリの利用履歴を活用し、「パーソナルなコンテクスト」に合わせて回答するようになる。

 

また、会話はよりなめらかなものになる。単に言い回しが自然になるだけではない。人間の側が、言い淀んだり言い間違ったりしても、その内容を汲み取って会話を続けようとする。これまでは「どういう命令を与えるとSiriがきちんと動くか」を理解した上で一定の命令を与える、という使い方が馴染んだが、人に話しかけるのに近い対話で、「おすすめのレストランまでの道筋を示して、カレンダーに予定をメモとして組み込む」といったことが可能になる。

 

メールやウェブの要約もできる。特にメールについては、たくさんの返信が続いた長いものでも、“これまでの会話はどんなものだったか”という感じの内容で要約を作ってくれて、かなり便利だと感じる。

 

画像や動画も、「海の近くにあるヨット」のような自然文で検索可能になる。Apple Intelligenceが画像になにが映っているかを把握し、検索のための情報を作る仕組みが導入される。結果として、より人間的な発想で画像検索が可能になるわけだ。

 

ただ、これらの機能があっても、“Apple製品が劇的に賢くなった”とまでは言えない。結局のところ、ちょっと検索や要約が便利になっても、それは付加的な要素に過ぎない。AIでスマホが大きく変わる……というところまでは進化していない。

 

Apple Intelligenceは段階的に機能が投入される。10月末のアップデートは「第一弾」に過ぎず、年内に第二弾、年明けにさらに機能が少しずつ追加されていく。そんなこともあって、まだまだ本命と言えるほどの機能向上ができていない、というのが筆者の見立てだ。日本語でのサービスは2025年以降なのだが、その時期であっても、Apple Intelligenceはまだ“進化途上”である。そういう意味では慌てる必要もなく、単純に「お買い得なタイミングだから買う」という考え方で十分だ。

 

実のところ、AI関連機能の“産みの苦しみ”は、Appleだけの課題ではない。GoogleにしろMicrosoftにしろ、同じように付加価値を出しきれてはいない。2025年に向けて機能が模索され、価値を高めていく……と考えれば良いだろう。

 

そんな中、1機種だけ大きく価値を変えた「新Mac」がある。そのMacの話は次回のウェブ版で解説することとしたい。

 

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【西田宗千佳連載】「Apple Intelligence」シフトで“お買い得”になった今年のアップル製品

Vol.144-2

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はAppleの「新型iPad mini」の話題。Apple独自の生成AI「Apple Intelligence」の展開において、iPad miniが狙う立ち位置とは何なのかを探る。

 

今月の注目アイテム

Apple

iPad mini

7万8800円~

Appleは例年、9月にiPhoneを発売する。そして10月・11月にはMacやiPadなど、残る主要製品を発売することが多い。今年もそうした部分に変化はなかった。10月なかばに「iPad mini」を、10月末に「iMac」「Mac mini」「MacBook Pro」を発売し、ラインナップ全体を刷新している。

 

基本的にはどれもプロセッサーの刷新が中心の内容だ。ここでプロセッサーを刷新するのは、その年の新技術を導入するため……という部分もあるのだが、特に今年については、「Apple Intelligence」の準備という部分が大きい。

 

Apple Intelligenceは生成AIをベースとした機能だ。複数のAIモデルを、クラウドに頼らない「オンデバイスAI」として動かす。そのためには、AIの推論を担当する「Neural Engine」と、より大きなメインメモリーを必要とする。

 

特にiPhoneとiPadについては、対応のハードルが少々高い。Macは2020年発売の「Appleシリコン搭載Mac」であれば条件を満たすが、iPhoneは2023年発売の「iPhone 15 Pro」シリーズか、今年発売の「iPhone 16/16 Pro」シリーズでないと対応できない。iPadについても、Appleシリコンである「Mシリーズ」搭載の製品のみが対象。iPad miniについては、今年発売の新機種でプロセッサーをiPhone 15 Proシリーズと同じ「A17 Pro」に切り替えて対応することとなった。

 

Appleとしては、販売する主要製品のほとんどをApple Intelligence対応とし、今後のソフトウエア基盤とする必要性がある。だから、ここで一気に各製品を刷新しておきたかったわけだ。現状、Apple Intelligenceに対応しないのは「iPad」と「iPhone SE」くらい。特別な価格重視モデル以外では使われる基本機能になってきた。

 

また面白いことに、Macについてはメインメモリーの拡充も行われた。新製品ではないものの、MacBook Air(M2もしくはM3搭載製品)の場合、価格据え置きのまま、最小メモリー容量を8GBから16GBに変更する措置が取られた。Apple Intelligenceは8GBでも動作するものの、十分な余力を生み出すには16GBの方が望ましい……と判断されたわけだ。

 

そんなことから、今年のApple製品は全体に“ちょっとお買い得”になっている。プロセッサーが高性能になったのは当然として、メインメモリーは増量され、ストレージ容量も増えた。Apple製品自体が全体的には少し高めの価格設定ではあるし、円安の影響を受けてはいるものの、“今年がお買い得”であるのは間違いない。特にメモリーについては、容量の増加だけでなくアクセス速度の向上もあり、実パフォーマンスの向上にも寄与している。

 

Apple Intelligenceは、日本では2025年4月以降に提供予定となっている。だから、Apple Intelligence自体を目的にApple製品を買い替えるのはまだ時期尚早と言っても良い。一方でメモリーや性能のことを考えると、Apple Intelligenceがなくてもお買い得であり、買い替えなどには良いタイミングと言って良さそうだ。

 

では、Apple Intelligence自体の評価はどうだろうか? その点は次回のウェブ版で解説する。

 

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【西田宗千佳連載】性能アップの新iPad miniから見えるAppleの戦略

Vol.144-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はAppleの「新型iPad mini」の話題。Apple独自の生成AI「Apple Intelligence」の展開において、iPad miniが狙う立ち位置とは何なのかを探る。

 

今月の注目アイテム

Apple

iPad mini

7万8800円~

性能を大きく進化させ生成AIに対応させる

Appleは10月23日から新型の「iPad mini」を発売した。刷新は3年ぶりだが、新型には大きな特徴がある。といっても、製品の外観はまったくと言っていいほど変わっていない。電子書籍を読んだり動画を見たりするだけなら、差は分かりづらいかもしれない。

 

今回の刷新の主軸は“中身の変化”だ。プロセッサーが昨年のフラッグシップiPhoneに搭載された「A17 Pro」に変更され、CPU・GPUともに強化されている。それ以上に大きいのは、AIの推論能力が倍近くになり、メインメモリーも4GBから8GBまで増えた。

 

これはなんのためかと言うと、Appleがアメリカで10月から導入したAI機能「Apple Intelligence」に対応するためだ。

 

Apple Intelligenceは要約や画像生成など、多数の機能を備えている。大量の返信が連なったメール全体の内容を理解し、短い要約を読むだけで内容を把握する機能や、周囲に書かれた文章の内容からそれに合った画像を生成する機能がある。音声アシスタントのSiriとの対話はよりなめらかなものになり、やり取りしたメールやメッセージの文脈を読んだ対応もするようになる。

 

ただ、プライバシーに配慮してほぼすべての処理をクラウドではなく端末内で行うため、プロセッサーには一定以上の性能が必要になる。その基準が「A17 Pro」搭載なのだ。iPhoneの場合も、Apple Intelligenceが動作するのは、A17 Proを搭載した2023年のフラッグシップであるiPhone 15 Proからとなっている。

 

残るモデルのうちminiを先行させる

Appleは今後、Mac、iPhone、iPadのすべてでApple Intelligenceを共通のコア機能として活用していくが、そのためには製品の刷新が必須となる。Macはすでに全機種がApple Intelligence対応だし、iPhoneも安価な「SE」を除けば、現行モデルのほとんどが対応している。

 

そうなると、iPadシリーズのなかでも残されたもっとも安い「iPad」と「mini」のうちminiから刷新を……ということなのである。時期がいつかはわからないが、「iPhone SE」や「iPad」も、性能を底上げした新機種が出てくる可能性は高くなった。

 

Appleにとっては、Apple Intelligenceはそれだけ重要な存在である……という証でもあるのだが、日本で使えるようになる時期は「2025年内」とされている。

 

すでにApple Intelligenceが搭載された新OSは正式公開されているが、現状はアメリカ英語のみの対応で、日本ではほとんどの機能が使えない。写真からワンタッチで気になる部分を消す「クリーンアップ」のみ、言語を問わず利用可能になっている。これだけでは、まだ恩恵は感じづらいだろう。

 

しかしiPhoneを含め、それでも製品をすぐに買う意味はあるのか? 他社はどのように対抗してくるのか? その点は次回以降で解説する。

 

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