スマートフォンの普及でカーナビ用アプリを使う人が増える一方で、車載カーナビの充実したルート案内機能や高精度な測位性能に魅力を感じている人は今でも数多くいます。特にスマートフォンでは実現が難しい大画面化は車載用カーナビならではの魅力として、購入する大きな理由となっているといえるでしょう。
しかし、これまで8型以上の大画面を実現するには、標準的な2DINサイズ(タテ100mm×ヨコ180mm)では収まりきれず、専用キットを組み合わせることが必須でした。そうしたなかで急速に支持を集めているのがディスプレイ部を少し浮かせて取り付ける“フローティング”構造とすることで大画面化を果たしたモデルです。
これは取り付けスペースに2DINさえあれば、そこに本体を収めつつ、画面サイズは8型~11型といった大画面化を実現するものです。これにより、ほとんどのクルマで大画面化を実現できるようになりました。今回はこの手軽さで人気を呼んでいるフローティング機構を備えたカーナビを紹介します。
【カロッツェリア】車内のWi-Fiスポット化でネット環境が充実!
パイオニア
カロッツェリア「楽ナビ」AVIC-RF722-DC
実勢価格:17万円前後(税込)
おすすめポイント
・車内でWi-Fi環境を構築可能
・取り付け可能な業界最多の562車種
・直感操作の「Doメニュー」搭載
「楽ナビ」は1998年の登場以来、「高性能で誰でもカンタンに使えるカーナビ」をコンセプトに登場し、常に時代のニーズをいち早くキャッチアップしつつ、使いやすさを追求してきました。ラインナップもニーズに合わせた多彩なモデルを用意し、モニターは9型から8型、7型まで用途に応じて好みのサイズが選択できるのも大きなポイントといえるでしょう。
その多くのラインナップで注目されるのが、フローティングモデル「AVIC-RF722-DC」です。取り付けるには2DINスペースさえあればOK。モニターの可動範囲を広くすることで業界最多の562車種への取り付けを可能にしています。
楽ナビはコネクテッドへの対応も大きなポイントです。車内向けインターネット接続サービスとして知られる「docomo in Car Connect」に対応し、同梱のネットワークスティック経由で接続することで車内Wi-Fiスポットを実現。これにより、通信料を気にすることなく、スマートフォンやタブレットを通してオンラインの動画や音楽、ゲームを存分に楽しめるのです。
通信を使って簡単に最新地図へ更新できる「自動地図更新」にも対応し、交通情報についてはオンラインの「スマートループ渋滞情報」によって高精度なルート探索に対応。さらに目的地検索ではオンラインでの「お出かけ検索」が使えるほか、「ガソスタ価格情報」「駐車場満空情報」も取得でき、ドライブに役立つ最新情報の表示・検索も可能です。

iPhoneなどのスマートフォンと接続して、「Apple CarPlay」「Android Auto」にも対応したことも最新モデルの大きなトピックです。Siri/Googleアシスタントによる音声操作で目的地の検索や音楽再生、ハンズフリー通話などが可能となり、普段使用している音楽ストリーミングアプリも楽しめます。なお、Apple CarPlayはワイヤレス接続にも対応しています。
機能面では、ドライブ中でもスムーズで直感的に操作できるユーザーインターフェース「Doメニュー」を採用。カーナビ検索や好みのAVソースといった好みの機能を4つまで登録できる「ショートカットキー」も用意されるほか、「ダイレクト周辺検索」やオンラインによる「お出かけ検索」も使いやすく、カーナビ初心者にもうってつけの一台といえるでしょう。
【ストラーダ】有機ELの高解像度映像でネット動画にも対応
パナソニック
ストラーダ CN-F1X10C1D
実勢価格:19万4070円(税込)
おすすめポイント
・10型有機ELディスプレイで高精細
・7種類の動画配信サービスに対応
・ワイヤレスでスマホ連携可能
パナソニックのフラッグシップとなるカーナビのブランド名が『ストラーダ』です。モニター部をダッシュボード面よりも少し浮かせて取り付けるフローティング構造としたことで、2DINさえあれば9型、10型の大画面化を可能にしました。CN-F1X10C1Dはその中で最もハイグレードな機種としてラインナップされ、モニターにはHD解像度の10V型有機ELディスプレイを採用。これまでの液晶モニターでは不可能だった深みのある黒を再現することで、高解像度映像とともに引き締まった美しい映像を視聴可能としました。
動画再生ではディスクドライブを削除する一方で、パナソニックとしては初めて動画配信サービスをWebブラウザーで視聴できる「ネット動画」機能を搭載。対応したサービスは、「YouTube」「Prime Video」「TVer」「U-NEXT」「TELASA」「SPOOX」「NBA-Rakuten」の7種類。また、自宅などのレコーダーに保存された録画番組をリモートで視聴できる「レコーダーリンク」機能と合わせれば、移動先でも多彩な動画コンテンツが楽しめます。

インターネット接続はカーナビ機能でも活かされています。最新スポットや駐車場などを検索する「オンライン名称検索」に対応したほか、表示される二次元コードをスマホで読み取ることで、グルメ検索では「楽天ぐるなび」、ホテル検索では「楽天トラベル」、駐車場検索では「三井のリパーク」「名鉄協商パーキング」といったWebサイトを介して対象スポットの詳細情報を確認ができるようになったのです。
見逃せないのは、「Apple CarPlay」「Android Auto」のワイヤレス接続にも対応したことで、これによりスマートフォン内にある豊富なアプリと気軽に連携して楽しめるようになりました。また、最長3年間の無料地図更新をオンラインアップデートで行なう「ワンタッチ地図更新」機能を採用していることもポイントです。
サウンド面では新たにデジタルアンプを搭載した「新ストラーダサウンドエンジン」を採用。サンプリング周波数192kHzに対応したことで、ノイズの少ないクリアな音質を実現したほか、「ストラーダ専用カスタムコンデンサ」も刷新して低音の力強さと広がりのある立体感あふれるサウンドを実現しています。
【ケンウッド】「ハイ彩速」と発するだけの音声操作で簡単!
ケンウッド
彩速ナビ MDV-M911HDF
メーカー希望小売価格:16万8000円(税込)
おすすめポイント
・走行中のディスプレイのブレを低減
・Apple/Android Autoの有線・無線接続に対応
・音声操作が「ハイ彩速」の一言で起動
“TYPE M”は「彩速ナビ」の最上位グレードに位置付けられ、その中で「MDV-M911HDF」は9型のモニター部をフローティング構造としたモデルとなります。独自の機構を組み込んだことで、走行時の振動によるディスプレイの不快なぶれを大幅に低減したほか、ディスプレイ部には直観的で操作しやすいフラットな静電タッチキーを採用。フルフラットでスマートなフローティングスタイルを実現しています。
スマートフォンを接続することで大画面ディスプレイで「Apple CarPlay」「Android Auto」での操作も可能になりました。有線とワイヤレス接続の両方に対応しており、この接続でスマートフォンにインストールしたアプリが“彩速ナビ”の画面上で表示されるようになるのです。
この接続で見逃せないのは、iPhoneのSiriやGoogleアシスタントによる音声での操作を実現していることです。これによって、テキストメッセージを送信したり、お気に入りの曲を再生することができ、さらには最新ニュースや天気を尋ねることも可能。また、ホーム画面に表示されているアイコンにタッチするだけで、彩速ナビのカーナビ機能とスマートフォンのナビアプリをワンタッチで切り替えられるのも魅力でしょう。
新機能のユーザーインターフェース「オーガニックGUI PLUS」の搭載は、地図画面上に最大6.5インチの特大AV画面を同時に表示を実現。ドライバーに必要な走行情報などをリアルタイムで表示しながら、映像ソースなどをより大画面で楽しめるのです。また、音声操作機能の起動は「ハイ彩速」と発するだけの簡単操作となっています。

Android対応スマホとの接続ではワイヤレスミラーリングにも対応し、スマホに保存されたハイビジョン映像をWi-Fi接続によって大画面で楽しめるほか、スマホやビデオカメラなどなどのソースを楽しめるなど、エンターテインメント性を強化。もちろん、CDやDVDを再生できるディスクドライブを搭載し、ほかにもSDカードやUSBメモリに収録したソースを楽しめます。
サウンド面では高音質フォーマット「MQA(Master Quality Authenticated)」に対応したことに加え、ハイレゾ音源の再生に対応する高音質テクノロジーを搭載。車内の状況に応じて最適な音場を実現できる「プロモードEQ」を採用したほか、最適なリスニング環境や好みのサウンドに変更できる各種サウンド調整機能も装備しました。
【アルパイン】見やすさの極み! 市販モデル最大となる11型モニター
アルパイン
ビッグXシリーズ XF11NX2S
メーカー希望小売価格:25万9000円(税込)
おすすめポイント
・車載カーナビ最大の11型大画面モニター
・Amazon Alexaによる音声操作対応
・スマホとの連携・HDMI接続も強化
スマホ連携特化モデルとした11型フローティングカーナビ。背景には音楽や映像をサブスクリプションによる利用が急速に進んでいることがあり、本機はそうした状況を踏まえ、CD/DVDドライブを非搭載としてスマホ連携機能に特化。一方でTV放送へのニーズには地デジチューナーを搭載して対応する新たなスタイルのカーナビとしています。
画面サイズは市販モデル最大となる11型。このサイズを多くの車種で実現するためにディスプレイ部の上下の位置調整や前後の調整ポイント追加など新たな機構を開発し、加えて本体を1DINサイズ(ヨコ180mm×タテ50mm)としてコンソールの上段/下段で最適な位置への取付けを可能としました。この結果、11型の大画面にもかかわらず、100以上の車種に装着が可能となったのです。
スマートフォンとの連携機能では、「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応。特にApple CarPlayについてはワイヤレスでの接続を実現し、イグニッションをオフにしても次のオンでは自動で接続完了。普段から使用している音楽サービスやハンズフリー通話、メッセージの送受信などの機能を快適に利用できます。

Amazon Alexa にも対応したのも大きなトピックです。目的地検索/ルート設定や会話が可能となり、音声認識の対話形式により目的地を検索して車載カーナビ上にルートを設定できます。さらにAmazon Alexaを通じて家庭内の対応スマートスピーカーなどへの呼びかけができ、車内から自宅の家族との会話も実現。また、対話形式での音楽アプリ操作、ニュースの聞き取り、天気の確認なども行えます。
映像や動画のストリーミングサービスには、スマートフォンをHDMI 接続することにより可能となります。HDMI CEC機能により、対応デバイスに対する主要なリモコン機能をナビ画面上から操作可能にしました。
ビッグ X シリーズの特徴として車種専用チューニングにも対応。起動時にサウンドと共にディスプレイに浮かび上がる愛車の姿は、乗っていることの喜びがおのずと実感できるものです。また、車種ごとに異なる各種設定のデータをXF11NX2S に格納。車種ごとに異なるバックカメラのガイド線や、アルパインのサウンドマイスターが推奨する車種ごとのサウンドチューニングが簡単に行えます。
内蔵したカーナビ機能では、走行中でも声で主要なナビ操作が行える「ボイスタッチ機能」を搭載。そのポイントは、トリガーとなる言葉は不要な上に通信も使わないことにあり、レスポンスが早く、走行中でもステアリングから手を放さずカーナビを操作することができます。対応機能は、地図の拡大・縮小、画面表示切替えなどの画面操作をはじめ、コンビニ、ファミレス、ショッピングモールなどの周辺スポット検索。そのほか、オーディオ変更や地上デジタル放送のチャンネル変更など、主要なカーナビの操作を音声で行えるのです。
サウンド面では、フルデジタル・パワーアンプや低音ノイズを減らす高音質回路を採用したほか、高級オーディオパーツなどの採用によってユニットとしての高音質設計を実施。さらにハイレゾ対応や前後席4チャンネル独立のパラメトリック・イコライザーなど、ハイクオリティなサウンドを実現しています。