キャンピングカーからスポーツカーまで……本誌お馴染みの“プロ”が欲しいモノ4選

本誌でお馴染みの評論家やインフルエンサーたちに“いま欲しいモノ”をオールジャンルでリサーチ。今回は、アウトドア初心者でも扱いやすいストーブや、家族に最適なキャンピングカー、クルマ好きが一目置いているスポーツカーもイッキに紹介。新生活のお買い物計画に役立てていただきたい!!

※こちらは「GetNavi」2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

その1 手軽に火を起こせるペレットストーブが初心者にオススメ!

アウトドアライター佐久間亮介さんの買い物リスト

ライター、モデル、キャンプコーディネーター。全国250か所以上のキャンプ場を巡り、初心者向けの情報を発信する。

 

【ペレット燃料ストーブ】

UNIFLAME

UFペレットストーブ

4万9900円

ペレット燃料を投入し、炉内に置いた着火材に火を点けるだけの手軽なストーブ。薪ストーブのように組み直す必要もなく、扉を閉めると安定的に燃焼する。使用後は少量の残留灰を捨てるだけの簡単清掃で、後片付けもラク。

 

↑本体にねじ式の脚と煙突を取り付けるだけの簡単な組み立て式。脚と煙突8節はすべて炉内に収納でき、コンパクトにして持ち運べる

 

↑複数の給気口から新鮮な空気を取り込むことで、高い燃焼効率を実現。本体の燃焼炉には蓄熱性の良い鉄を採用し、高い暖房性能を叶えた

 

全国のキャンプ場に足を運びキャンプコーディネーターとして活動しながら、その知識を生かし初心者に向けた情報発信を行う佐久間亮介さんに、初心者でも使いやすいというペレットストーブの魅力を語ってもらった。

「本製品は燃料のペレットを入れて、着火剤に火をつければ10分ほど待つだけで火が起こせます。薪ストーブに比べて圧倒的な手軽さ。ペレットは薪よりも軽くて持ち運びやすい点も大きなメリットです。薪を上手に使って火を点ける薪ストーブももちろん良いですが、初心者は簡単に暖を取れるペレットストーブも選択肢に。燃焼効率が良く、灰の処理も簡便です」

初心者以外のキャンパーでは?

「面倒くさがりな人や、薪ストーブは難しいけれどアウトドアでストーブを使ってみたい人にオススメ。アウトドア用に小型化を図りながらも、価格を抑えている点には企業努力が感じられます」

 

【私はこう使う】天面を調理に活用して火を眺めながら晩酌

最大約350度に達する天面では、鍋やフライパンをのせて調理可能。ケトルをのせてお湯を沸かし、サイドから火を覗きながら、ウイスキーのお湯割りを楽しみたいです。

 

その2 コレも欲しい!

【オールインワン足湯】

DOD

ロケットサブマリン フットバス!!

2万4200円

ロケットストーブに足湯を組み合わせたその発想に脱帽。外気温3度の環境下でも、約30分で水から40度のお湯を沸かせるので、秋・冬の寒い時期のキャンプをさらに楽しめるアイテムです。

 

↑ロケットストーブから伸びる煙突の先には五徳を取り付け可能。足湯に浸かりながら、酒やソフトドリンクを温めて楽しめる

 

その3 子ども連れでも安心して新しいアウトドア体験を!

キャンプライター澄田直子さんの買い物リスト

キャンプ歴15年のベテランキャンプライター。夫と3歳の子どもとの3人家族で、近年は車中泊が定番スタイル。

 

【キャンピングカー】

AtoZ

AMITY

437万8000円~

コンパクトながら広々とした居住空間で、最大6人就寝できるキャンピングカー。ベッドが常設のため、就寝時に煩わしいセッティングが不要だ。車体カラーやインテリアの素材が異なる3つのタイプを用意(写真はFioreシリーズ)。

SPEC●全長×全幅×全高:4690×1950×2770mm●パワーユニット:1798cc直列4気筒●最高出力:102PS(75kW)/5300rpm●最大トルク:15.0kg-m(147Nm)/4000rpm

 

 

最近は家族での車中泊スタイルがマイブームというキャンプライター・澄田直子さんは、バンシェアサービスで出会ったキャンピングカーに心を奪われたという。

「車高や全長がほどほどのサイズで、日本の道路や駐車場での取り回しがラク。キャンピングカーにしては手ごろな価格も魅力です。広々とした車内にはテーブルとイスを備え電源も使えるので、キャンプ場でも高速道路の駐車場でも、好きな場所でテレワークができます。子どもが産まれてから冬のテント泊は難しいなと感じていましたが、たとえ屋外が氷点下でも快適に就寝できるキャンピングカーがあれば、子ども連れでも冬のアウトドアが可能。小さな子どもがいてキャンピングカーライフに興味があるなら絶対オススメです!」

 

↑エントランスドア上部に配備した、室内電源の集中スイッチは使い勝手良好。室内照明にはすべて、省電力のLEDを採用している

 

【私はこう使う】ホテル施設を利用しつつ車中泊の非日常を楽しむ

バンクベッドに登るだけでも子どもにとってはワクワク。子どもと一緒にたくさん旅をしたいです。最近は車中泊歓迎のホテルも多く、施設内のレストランや浴場を利用する新しい楽しみ方も◎。

 

その4 クルマ好きが最後に辿り着く日本の国宝級スポーツカー!

モータージャーナリスト清水草一さんの買い物リスト

フェラーリから軽自動車まで所有経験のある自動車ライター。道路交通ジャーナリストとしても活動している。

 

【スポーツカー】

マツダ

ロードスター 特別仕様車 990S

289万3000円

軽快な走りを楽しめる、ロードスターの特別仕様車。車名の通り、車体重量990kgまで軽量化を実現した。ダンパー、スプリング、電動パワーステアリング、PCM(エンジン制御ユニット)に専用のセッティングを施したプレミアムな1台。

SPEC【990S】●全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm●パワーユニット:1496cc直列4気筒●最高出力:132PS(97kw)/7000rpm●最大トルク:15.5kg-m(152Nm)/4500rpm

 

あらゆるクルマを知り尽くす清水草一さんでも、ロードスターは特別な存在だと語る。

「低い速度でも走りを楽しめる、パワーを追わない軽量スポーツカーは、いまや世界でロードスターだけになっています。本当に貴重な、日本が誇る“国宝”スポーツカーと言えます。常に注目してきたロードスターの特別仕様車がこの990S。車体重量990kgという軽さを保ったまま、ブレンボ製ブレーキキャリパーや高級アルミホイールを装備し、プレミアム性を高めたところが素敵です。色々なクルマに乗った末に辿り着く、終着駅のような一台。クルマ好きの中高年にとっては、最後の“青い鳥”になるのではないでしょうか」

 

↑インパネにはブルーのエアコンルーバーベゼルを採用。幌やブレンボ製ブレーキキャリパーなどにもブルーを用い、軽やかな印象だ

 

【私はこう使う】頬に風を感じながら空いた首都高を流す

ソフトトップを後方にスライドさせて簡単にオープンにできる仕様。空いた首都高をオープンで流したいです。日曜日の午前中、あるいは夜も良いですね。頬に風を感じながら思いきり走りたい!

柔らかなシルエットとキビキビした走りで80年以上も愛されるイタリアの名車フィアット「500」

本稿では「コレ押さえときゃ間違いない!!」的ブランドと、そのアイコニックなモデルをフィーチャー。生まれては姿を消していく商品が多いなかで、世代を超えて愛され、文化的価値さえ備えた一流のクルマ、フィアット「500」にクローズアップしました。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

進歩とは無関係なクルマ だからこそ不老不死なのだ

フィアット

500(チンクエチェント)

DATA

初代モデル発売 1936年
累計販売台数 約630万台(推定)
現行ラインナップ数 5モデル(うち2モデルはアバルト)

フィアット

500 チンクエチェント

221万円(税込)〜

大ヒットした2代目500のデビューから半世紀後の、2007年に登場した現行モデル。デザインは往年のモデルをオマージュしたもの。16年にマイナーチェンジして現在に至る。221万円〜という身近な価格設定も人気の理由だ。

SPEC【500 1.2 CULT】●全長×全幅×全高:3570×1625×1515mm●車両重量:990kg●パワーユニット:1240cc直列4気筒SOHC●最高出力:69PS/5500rpm●最大トルク:10.4kg-m/3300rpm●WLTCモード燃費:18.0km/L

 

現行の3代目フィアット「500」は、登場からすでに15年も経つが、まったく年を取らない。なぜなら、もともと不老不死の仙人みたいに、浮世離れしたクルマだからだ。

 

初代、そして2代目のフィアット500は、イタリアのモータリゼーションを支えた最小限の大衆車だったが、現行モデルは、ある意味最大限の趣味グルマ。後席や荷室の狭さを見ればわかるように、最初から実用性をかなり無視したレトロ感あふれるモデルで、一種の愛玩物と言える。テクノロジーの進歩とも無関係。逆に2気筒エンジン+ターボなどという、現代では考えられない古臭〜い(失礼!)メカニズムも採用して、それが逆に濃い味わいになっている。

 

フィアット500は、欧米ではすでに新型のEVモデルが発売されているが、現行のガソリンモデルはこのままガソリン車が製造禁止となるまで生産され、終了後も長くアイコンとして愛されるだろう。まさにタイムレスな名車だ。

 

↑2016年のマイナーチェンジでライト周りやバンパー形状が変更された。変わったことが気づきにくいボディシルエットはさすがだ

 

↑コンパクトカーとはいえそこは現代のクルマ。通常サイズで185Lの容量を持つラゲッジルームは後席を倒すことで550Lになる

 

↑丸いライトは2代目500のイメージを色濃く受け継いだパーツ。トップモデルはバイキセノンヘッドライトを装備する

 

↑シンプルなインパネデザイン。パネル色はボディと同じ色で統一される。スマホ接続対応の7インチモニターは標準装備だ

 

↑500に用意されたエンジンは1.2Lの4気筒と0.9Lの2気筒ツインエアエンジン+ターボ(写真)の2種。特に後者は現行モデルの主力ユニットになり、カタログ燃費19.2km/Lを誇る

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

トヨタの新BEV「bZ4X」が2022年5月に発売!

トヨタ自動車は、新型BEV(電気自動車)の「bZ4X」を5月12日に発売すると発表しました。

↑トヨタ初の量産型BEVがまもなく発売される(画像提供/トヨタ自動車)

 

世界的なEVへの移行がすすむ中、EVラインナップの少なさが指摘されていたトヨタ。同社は現時点で純電気自動車(BEV)として法人向けの「C+pod(シー・ポッド)」をリース販売していますが、そんな同社にとってbZ4Xは初となる量産型のBEVです。

専用のプラットフォームはSUBARUと共同開発し、本格SUVとしての走破性を追求。ボディは省エネ性能を向上させる形状により、Cd値が0.28という空力性能を実現しています。

 

車体では薄型大容量電池パックを床下・平置きに配置することで低重心化を実現。モーター、トランスアクスル、インバーターを一体化した「eAxle」や、充電機能と電力分配機能を集約したElectricity Supply Unit(ESU)を採用しています。

 

安全機能としては、車両、歩行者、自転車運転者に自動二輪(昼)の衝突回避を行う「プリクラッシュセーフティ」を搭載。加えて、状況に応じてステアリング・ブレーキ操作をサポートし、歩行者や自転車、駐車車両に近づきすぎないようにする「プロアクティブドライビングアシスト」も搭載します。

 

電費性能は128Wh/kmで、599kmの航続距離(FWDモデル)を実現。さらに「10年後に90%」というトップレベルの電池容量維持率を達成しています。急速充電にも対応しており、90kW充電器では40分で80%までの充電が可能。普通充電(200V、6kW・30A)では約12時間でフル充電が完了します。

 

bZ4XはFWDモデルが600万円(税込)で、4WDモデルが650万円。個人向けにはサブスクリプションサービス「KINTO」の専用プランで販売されます。

 

リンカーン初のEVをチラ見せ、4月20日に正式発表

米リンカーンブランドは、ブランド初となるEV(電気自動車)のコンセプト動画をティーザー(チラ見せ)しました。

↑リンカーンのツイートから

 

既存の自動車メーカーが次々とEVへの進出を果たす中、フォード傘下の高級車ブランドとなるリンカーンもEV車両の投入を2021年6月に発表。また2030年には、全ラインナップをEV化する予定です。

 

 

今回のティーザー動画では、そのブランドロゴや車体のシルエットが確認できます。また車両前方だけでなく、サイドにもリンカーンのロゴが配置されているのも特徴です。そして車両タイプは、SUVとなる可能性が指摘されています。

 

リンカーンの親会社となるフォードは、すでにEVとなる「F-150」や「Mustang Mach-E」を投入し、市場で高い評価を得ています。また、今後もEVラインナップを拡大する予定です。

 

リンカーンは4月20日に、今回のEVを正式発表する予定です。アメリカンな高級車ブランドがどのようにEVへの移行をはたすのかに、注目が集まります。

 

Image: Lincoln / Twitter

Source: Lincoln / Twitter

【ゲットナビ的】永久不滅のマスターピース! トヨタ「カローラ」

本稿では「コレ押さえときゃ間違いない!!」的ブランドと、そのアイコニックなモデルをフィーチャー。生まれては姿を消していく商品が多いなかで、世代を超えて愛され、文化的価値さえ備えた一流のクルマ、トヨタ・「カローラ」にクローズアップしました。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

トヨタ カローラ

DATA

初代モデル発売 1966年
累計販売台数 約5100万台
現行ラインナップ数 6モデル

 

世界累計5000万台超を販売! ニッポンが誇る偉大なファミリーカー

トヨタ

カローラ クロス

199万9000円〜319万9000円

カローラシリーズ初のSUVで、RAV4とヤリス クロスの中間に位置するモデル。プラットフォームやパワートレインはカローラと同じものを採用した。エントリーモデルは200万円を下回る価格設定に設定され、幅広いユーザーに人気。

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L
●[ ]内は電気モーターの数値

 

常に“ライバルの少し上”へ 今後はSUVが主役になる?

生誕から55年余りで5000万台超が国内外で親しまれてきたカローラは、日本でもかつて“国民車”と呼ばれ、33年連続で国内の年間販売ランキング首位の座を維持した、定番の中の定番に違いない。

 

当初掲げた“80点主義+α”の思想を受け継ぎ、ただ欠点が少ないだけでなく、プラス100ccの余裕や充実した装備などに象徴されるように、ライバルに対して常に少し上を行っていたのも特徴だ。

 

よく普通のクルマの代名詞としてカローラの車名が用いられるのは、それだけソツがなく信頼性が高いことの裏返しでもある。

 

現行モデルにはついにカローラの名の付くSUVまで加わった。従来のカローラシリーズと共通こそあれど一線を画したモデルだが、実はこのクルマこそ将来のカローラの中心になる存在とトヨタでは位置づけている。定番であり続けるためには、むしろ変えていくことが大事と考えているのだ。

↑荷室の開口部は身長が低いユーザーにも対応できる高さに配慮。後席を倒すと寝転がれるスペースに。荷室の容量は487ℓだ

 

↑背の高いSUVのボディスタイルの恩恵で、頭上スペースに余裕のある後席。リクライニングが可能で足元も広く、快適な空間だ

 

↑星を眺めたり採光に使えたりする大開口部のパノラマルーフはオプション設定。電動サンシェード付きで暑さ対策も万全だ!

 

↑FFモデルのリアはトーションビーム式サスペンションを採用。大容量のゴムブッシュを使い構造や取り付け角度に配慮したという

 

↑フロントのエンブレムは車名の頭文字「C」をモチーフにしたもの。「C」の上部にはカローラの語源となっている花冠のモチーフをあしらっている

 

時代に呼応した名車がズラリ! 歴代カローララインナップ

カローラは2021年に世界累計販売台数が累計5000万台を超える大ベストセラーモデル。時代のニーズに応えた歴代の各モデルを紹介していこう。

 

【1966】初代

マイカー元年をもたらした金字塔的な初代

まだ珍しかったフロアシフトやセパレートメーターを採用。排気量を1.1Lにアップさせるなどファミリーカーの存在需要を掘り起こし大ヒットした。

 

【1970】2代目

高速巡航を視野に大きく快適になったモデル

高速巡航性能や快適性能の向上を目的にエンジンやボディが大きくなった2代目。スポーツモデルのレビン/トレノも派生車種として登場した。

 

【1974】3代目

海外への輸出を本格化し車名別生産台数世界一を達成

当初は先代が並行販売される異色のモデルチェンジだった。排ガス規制をクリアし、国内だけでなく海外でも大ヒット。幅広い世代に人気だった。

 

【1979】4代目

ボディのバリエーションはカローラ史上最多となった

全長はカローラ初の4mに。ボディバリエーションも豊富で、セダン、ハードトップ、クーペ、リフトバック、バンなど全部で7種類も用意された。

 

【1983】5代目

カローラ初のFFに変更して居住性が格段にアップした

セダンモデルはそれまでのFRから室内区間に利のあるFFに変更。1.6Lモデルにはクラス初となる電子制御式4ATを採用した。

 

【1987】6代目

コンパクトカーのクラスを超えた世界のハイクオリティ車となる

5ドアリフトバックが廃止され、2BOXのFXがデビュー。同車初の4WDも登場。開発テーマに沿う、クラスを超えた装備と品質が支持されたモデルだ。

 

【1991】7代目

高級化路線をたどった頂点に相応しいモデル

開発時期がバブル経済だったこともあり、金メッキ処理の配線電気式のメーターを採用。高級車並みの先進技術が惜しみなく投入された。

 

【1995】8代目

軽量化を実現してコンパクトセダンの原点回帰へ

主要コンポーネントの多くは7代目から継承したが、50kgの軽量化を実現。軽量化の恩恵もありクラストップの低燃費車に。安全性能も向上した。

 

【2000】9代目

ミレニアムに登場した9代目は室内の快適性が大きく向上

プラットフォームをはじめ、エンジンなど主要コンポーネンツを一新。上位モデルのプレミオと同じ全幅になるなど室内の快適性も大きく向上した。

 

【2006】10代目

アクシオのサブネームが付いた日本専用設計に変更したモデル

先代までは世界共通のプラットフォームを採用していたが、日本専用設計に変更して5ナンバー枠を維持。バックモニターを全車に標準装着した。

 

【2012】11代目

カローラシリーズ初となるハイブリッド車が設定された

同車の原点でもある「大人4人が安心、安全、快適に長距離移動できるコンパクトカー」をテーマに開発された。ハイブリッド車の登場もトピックだ。

 

【2018】12代目(現行)

カローラ史上初となる3ナンバーサイズに進化

世界共通のTNGAプラットフォームで3ナンバー化。しかし最小回転半径は先代と同様で日本の道路事情に配慮するなど、使い勝手は良いままだ。

 

数字で驚く! カローラトリビア

V33

ニーズへのきめ細かい対応や、世界一と誉れ高い信頼性などそのクオリティが評価され、1969年から2001年までの33年間、連続国内登録車販売台数1位を記録した。また世界累計販売台数も1位だ。

 

150か国以上

日本仕様のイメージのあるカローラだが、実は世界で販売されるワールドワイドな1台で、トヨタの重要な世界戦略車だ。最初の展開は1966年のオーストラリア。デビュー当初から海外で販売されていた。

 

約34秒に1台

シリーズ累計販売台数は2021年になんと5000万台を達成した。1966年の初代発売から21年7月までの累計秒数をもとに計算すると、カローラは約34秒に1台も販売されてきたことになるのだ!

 

チーフエンジニアに聞く カローラってこんなクルマ

トヨタ自動車株式会社
TC製品企画ZE チーフエンジニア
上田泰史さん

1991年トヨタ自動車入社。駆動関係の実験部署に配属。その後製品企画を経て、2011年より欧州開発拠点TMEに赴任した。15年、日本に帰任しカローラの開発を担当。

 

累計5000万台以上販売した“世界のカローラ”について、チーフエンジニアが語る

 

Q カローラに携わる前の印象は?

A 私の叔父2人が、それぞれカローラ(6代目)、カローラFX(初代)を乗っていて、とても身近な憧れの存在でした。カローラの主査を任命されたときは、大変そうだなぁと思うと同時にワクワクしたのを憶えています。

 

Q カローラらしさを貫いている点は?

A ひとつは良品廉価。より良いクルマを手に入りやすい価格で、より多くのお客様に提供することです。2つ目が、時代ごとのお客様の期待の半歩先にある価値を加えること。3つ目の価値が、時代に応じて変わっていくことです。

 

Q 現行モデルの狙いはどこにある?

A 若い方にも乗っていただけるようなクルマを目指して開発しました。ワクワクするクルマ、見てカッコ良い、乗って楽しいクルマを目指し、カローラをステップアップさせています。走りが楽しいカローラにご注目ください!

 

Q どんなところにカローラらしさを感じてもらいたい?

A より多くの方にクルマに乗る楽しさを感じていただきたいです。1クラス上の性能を、できるだけお求めやすい価格で提供できればと考えています。お客様がカローラと生活を共にすることで、暮らしが豊かになれば幸いです。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

頬に風を感じながら走りたい! “特別な存在”の「スポーツカー」

本誌でお馴染みの評論家やインフルエンサーたちに“いま欲しいモノ”をオールジャンルでリサーチ。今回は、モータージャーナリスト清水草一さんの買い物リストから、スポーツカーを紹介!

※こちらは「GetNavi」2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

クルマ好きが最後に辿り着く日本の国宝級スポーツカー!

モータージャーナリスト清水草一さんの買い物リスト

フェラーリから軽自動車まで所有経験のある自動車ライター。道路交通ジャーナリストとしても活動している。

 

【スポーツカー】

マツダ

ロードスター 特別仕様車 990S

289万3000円

軽快な走りを楽しめる、ロードスターの特別仕様車。車名の通り、車体重量990kgまで軽量化を実現した。ダンパー、スプリング、電動パワーステアリング、PCM(エンジン制御ユニット)に専用のセッティングを施したプレミアムな1台。

SPEC【990S】●全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm●パワーユニット:1496cc直列4気筒●最高出力:132PS(97kw)/7000rpm●最大トルク:15.5kg-m(152Nm)/4500rpm

 

あらゆるクルマを知り尽くす清水草一さんでも、ロードスターは特別な存在だと語る。

「低い速度でも走りを楽しめる、パワーを追わない軽量スポーツカーは、いまや世界でロードスターだけになっています。本当に貴重な、日本が誇る“国宝”スポーツカーと言えます。常に注目してきたロードスターの特別仕様車がこの990S。車体重量990kgという軽さを保ったまま、ブレンボ製ブレーキキャリパーや高級アルミホイールを装備し、プレミアム性を高めたところが素敵です。色々なクルマに乗った末に辿り着く、終着駅のような一台。クルマ好きの中高年にとっては、最後の“青い鳥”になるのではないでしょうか」

 

↑インパネにはブルーのエアコンルーバーベゼルを採用。幌やブレンボ製ブレーキキャリパーなどにもブルーを用い、軽やかな印象だ

 

【私はこう使う】頬に風を感じながら空いた首都高を流す

ソフトトップを後方にスライドさせて簡単にオープンにできる仕様。空いた首都高をオープンで流したいです。日曜日の午前中、あるいは夜も良いですね。頬に風を感じながら思いきり走りたい!

時代に呼応した名車がズラリ! 歴代「カローラ」ラインナップ

「カローラ」は2021年に世界累計販売台数が累計5000万台を超える大ベストセラーモデル。時代のニーズに応えた歴代の各モデルを紹介していこう。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【1966】初代

マイカー元年をもたらした金字塔的な初代

まだ珍しかったフロアシフトやセパレートメーターを採用。排気量を1.1Lにアップさせるなどファミリーカーの存在需要を掘り起こし大ヒットした。

 

【1970】2代目

高速巡航を視野に大きく快適になったモデル

高速巡航性能や快適性能の向上を目的にエンジンやボディが大きくなった2代目。スポーツモデルのカローラレビン/スプリンタートレノも派生車種として登場した。

 

【1974】3代目

海外への輸出を本格化し車名別生産台数世界一を達成

当初は先代が並行販売される異色のモデルチェンジだった。排ガス規制をクリアし、国内だけでなく海外でも大ヒット。幅広い世代に人気だった。

 

【1979】4代目

ボディのバリエーションはカローラ史上最多となった

全長はカローラ初の4mに。ボディバリエーションも豊富で、セダン、ハードトップ、クーペ、リフトバック、バンなど全部で7種類も用意された。

 

【1983】5代目

カローラ初のFFに変更して居住性が格段にアップした

セダンモデルはそれまでのFRから室内区間に利のあるFFに変更。1.6Lモデルにはクラス初となる電子制御式4ATを採用した。

 

【1987】6代目

コンパクトカーのクラスを超えた世界のハイクオリティ車となる

5ドアリフトバックが廃止され、2BOXのFXがデビュー。同車初の4WDも登場。開発テーマに沿う、クラスを超えた装備と品質が支持されたモデルだ。

 

【1991】7代目

高級化路線をたどった頂点に相応しいモデル

開発時期がバブル経済だったこともあり、金メッキ処理の配線電気式のメーターを採用。高級車並みの先進技術が惜しみなく投入された。

 

【1995】8代目

軽量化を実現してコンパクトセダンの原点回帰へ

主要コンポーネントの多くは7代目から継承したが、50kgの軽量化を実現。軽量化の恩恵もありクラストップの低燃費車に。安全性能も向上した。

 

【2000】9代目

ミレニアムに登場した9代目は室内の快適性が大きく向上

プラットフォームをはじめ、エンジンなど主要コンポーネンツを一新。上位モデルのプレミオと同じ全幅になるなど室内の快適性も大きく向上した。

 

【2006】10代目

アクシオのサブネームが付いた日本専用設計に変更したモデル

先代までは世界共通のプラットフォームを採用していたが、日本専用設計に変更して5ナンバー枠を維持。バックモニターを全車に標準装着した。

 

【2012】11代目

カローラシリーズ初となるハイブリッド車が設定された

同車の原点でもある「大人4人が安心、安全、快適に長距離移動できるコンパクトカー」をテーマに開発された。ハイブリッド車の登場もトピックだ。

 

【2018】12代目(現行)

カローラ史上初となる3ナンバーサイズに進化

世界共通のTNGAプラットフォームで3ナンバー化。しかし最小回転半径は先代と同様で日本の道路事情に配慮するなど、使い勝手は良いままだ。

 

数字で驚く! カローラトリビア

V33

ニーズへのきめ細かい対応や、世界一と誉れ高い信頼性などそのクオリティが評価され、1969年から2001年までの33年間、連続国内登録車販売台数1位を記録した。また世界累計販売台数も1位だ。

 

150か国以上

日本仕様のイメージのあるカローラだが、実は世界で販売されるワールドワイドな1台で、トヨタの重要な世界戦略車だ。最初の展開は1966年のオーストラリア。デビュー当初から海外で販売されていた。

 

約34秒に1台

シリーズ累計販売台数は2021年になんと5000万台を達成した。1966年の初代発売から21年7月までの累計秒数をもとに計算すると、カローラは約34秒に1台も販売されてきたことになるのだ!

 

チーフエンジニアに聞く。カローラってこんなクルマ

トヨタ自動車株式会社
TC製品企画ZE チーフエンジニア
上田泰史さん

1991年トヨタ自動車入社。駆動関係の実験部署に配属。その後製品企画を経て、2011年より欧州開発拠点TMEに赴任した。15年、日本に帰任しカローラの開発を担当。

 

累計5000万台以上販売した“世界のカローラ”について、チーフエンジニアが語る

 

Q カローラに携わる前の印象は?

A 私の叔父2人が、それぞれカローラ(6代目)、カローラFX(初代)を乗っていて、とても身近な憧れの存在でした。カローラの主査を任命されたときは、大変そうだなぁと思うと同時にワクワクしたのを憶えています。

 

Q カローラらしさを貫いている点は?

A ひとつは良品廉価。より良いクルマを手に入りやすい価格で、より多くのお客様に提供することです。2つ目が、時代ごとのお客様の期待の半歩先にある価値を加えること。3つ目の価値が、時代に応じて変わっていくことです。

 

Q 現行モデルの狙いはどこにある?

A 若い方にも乗っていただけるようなクルマを目指して開発しました。ワクワクするクルマ、見てカッコ良い、乗って楽しいクルマを目指し、カローラをステップアップさせています。走りが楽しいカローラにご注目ください!

 

Q どんなところにカローラらしさを感じてもらいたい?

A より多くの方にクルマに乗る楽しさを感じていただきたいです。1クラス上の性能を、できるだけお求めやすい価格で提供できればと考えています。お客様がカローラと生活を共にすることで、暮らしが豊かになれば幸いです。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

世界累計5000万台超を販売! ニッポンが誇る偉大なファミリーカー「カローラ」

本稿では「コレ押さえときゃ間違いない!!」的ブランドと、そのアイコニックなモデルをフィーチャー。生まれては姿を消していく商品が多いなかで、世代を超えて愛され、文化的価値さえ備えた一流のクルマ、トヨタ・「カローラ」にクローズアップしました。

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

常に“ライバルの少し上”へ 今後はSUVが主役になる?

トヨタ カローラ

DATA

初代モデル発売 1966年
累計販売台数 約5100万台
現行ラインナップ数 6モデル

トヨタ

カローラ クロス

199万9000円〜319万9000円(税込)

カローラシリーズ初のSUVで、「RAV4」と「ヤリス クロス」の中間に位置するモデル。プラットフォームやパワートレインはカローラと同じものを採用した。エントリーモデルは200万円を下回る価格に設定され、幅広いユーザーに人気。

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L
●[ ]内は電気モーターの数値

 

生誕から55年余りで5000万台超が国内外で親しまれてきたカローラは、日本でもかつて“国民車”と呼ばれ、33年連続で国内の年間販売ランキング首位の座を維持した、定番の中の定番に違いない。

 

当初掲げた“80点主義+α”の思想を受け継ぎ、ただ欠点が少ないだけでなく、プラス100ccの余裕や充実した装備などに象徴されるように、ライバルに対して常に少し上を行っていたのも特徴だ。

 

よく普通のクルマの代名詞としてカローラの車名が用いられるのは、それだけソツがなく信頼性が高いことの裏返しでもある。

 

現行モデルにはついにカローラの名の付くSUVまで加わった。従来のカローラシリーズと共通こそあれど一線を画したモデルだが、実はこのクルマこそ将来のカローラの中心になる存在とトヨタでは位置づけている。定番であり続けるためには、むしろ変えていくことが大事と考えているのだ。

 

↑荷室の開口部は身長が低いユーザーにも対応できる高さに配慮。後席を倒すと寝転がれるスペースに。荷室の容量は487Lだ

 

↑背の高いSUVのボディスタイルの恩恵で、頭上スペースに余裕のある後席。リクライニングが可能で足元も広く、快適な空間だ

 

↑星を眺めたり採光に使えたりする大開口部のパノラマルーフはオプション設定。電動サンシェード付きで暑さ対策も万全だ!

 

↑FFモデルのリアはトーションビーム式サスペンションを採用。大容量のゴムブッシュを使い構造や取り付け角度に配慮したという

 

↑フロントのエンブレムは車名の頭文字「C」をモチーフにしたもの。「C」の上部にはカローラの語源となっている花冠のモチーフをあしらっている

 

 

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Spotifyの車載デバイス「Car Thing」、通話や他メディアのコントロールが可能に

↑SpotifyのWebサイトから

 

米Spotifyは車載デバイス「Car Thing」にて、通話や他メディアのコントロールなどの新機能をリリースしました。

 

Car Thingは2022年2月に米国にてリリースされたデバイスで、本体にはディスプレイとコントローラーを搭載。スマートフォンと車載スピーカーをBluetooth(あるいは有線)により接続することで、楽曲をコントロールできます。スマートフォンの小さな画面を覗き込まなくても、ノブでかんたんに操作ができるのがメリットといえるでしょう。さらに、音声アシスタント機能「Hey Spotify」も利用可能です。

 

そして今週のアップデートにより、Car Thingでは電話に応答することができるようになります。これには着信の確認、応答、切断といった操作が含まれます。

 

他メディアのコントロール機能としては、Car Thingでほかのメディアを再生し、コントロールすることができるようになります。また音声操作のほか、画面のタップにより、Spotifyへの画面に簡単に戻れます。

 

楽曲やPodcastのキューへの追加も可能になります。さらに、音声で音楽をリクエストしたり、パーソナライズされたプレイリストを入手したりすることもできます。

 

これらの機能は、iOSのユーザーには自動アップデートにて提供されます。車内で簡単に楽曲やほかのメディアが操作できるCar Thing、日本への導入も早めに実施されることを待ちたいものです。

 

Source/Image: Spotify

コンパクトサイズでも存在感は十分! ダイハツ「ロッキー」はハイブリッドも魅力的だった

1LクラスのコンパクトなSUVとして、兄弟車のトヨタ「ライズ」とともに人気を博しているダイハツ「ロッキー」。そんなモデルにハイブリッドモデルと、1.2Lのエンジンを搭載したモデルが新たに加わりました。特にハイブリッドモデルは、自社製の「e-SMART HYBRID」と呼ばれるユニットを搭載した意欲作です。

 

【今回紹介するクルマ】

ダイハツ/ロッキー

※試乗車:Premium G/Premium G HEV

価格:166万7000円〜236万7900円(税込)

 

コンパクトでも小さく感じない外観と室内

5ナンバーサイズのコンパクトなSUVである「ロッキー」。コンパクトSUVとしてはトヨタの「ヤリス クロス」と比較されることも多いですが、ヤリス クロスは3ナンバーサイズであることを考えると、ロッキーは並ぶもののない存在です。外観デザインは、SUVらしい車高を確保し、デザインもフェンダーの張り出しを強調したラインなど存在感のあるもので、見た目で小ささは感じません。

↑大きめのライトを中心にデザインされたフロントフェイスは迫力があるもの

 

↑ハイブリッドモデルはグリルのデザインも変更され、エンブレムはブルーとされる

 

↑兄弟車のトヨタ「ライズ」(右)も基本設計は同一ながらフェイスデザインは異なる

 

車内に入っても、意外なほど狭さは感じません。運転席からの視界が広く確保されていることが、車室内を広く感じるのに一役買っているようです。リアシートに移っても、前席との隙間が確保され、足元もヘッドスペースも狭さを感じさせないものです。ファミリーカーとして購入しても、後席から不満が出ることはないでしょう。

↑SUVとしてはコンパクトなサイズですが、視界が広い分狭さは感じない

 

↑リアシートは足元・ヘッドスペースともに十分確保されている

 

ラゲッジスペースは後席を使用した状態で369L(2WD/ガソリンエンジン車)と十分な容量を確保。アンダーラゲッジが深く、キャンプなどの荷物も詰め込むことができます。2段階可変式のデッキボードも設置でき、荷物を上下に分けて収納することも可能です。

↑深さのあるラゲッジスペース。コンパクト車を得意とするダイハツのノウハウが感じられる

 

↑ハイブリッド車と4WD車はアンダーラゲッジのスペースがやや狭くなる

 

↑デッキボードを設置し、6:4分割式のリアシートを倒すとフラットなスペースを作れる

 

ダイハツが自社開発したハイブリッドユニット

従来のパワーユニットは996ccの3気筒ターボのみでしたが、新たに1196cc3気筒NAエンジンと、ハイブリッドが追加に。特に注目されるのがダイハツが自社開発したハイブリッドユニットで、エンジンを発電機として用い、駆動はモーターで行うシリーズ式とされています。トヨタからの提供ではなく、自社で新たにハイブリッドシステムを開発したのは、将来的に軽自動車への搭載も視野に入れているためでしょう。搭載される「e-SMART HYBRID」では1196ccのエンジンを搭載していますが、発電機として使用するシリーズ式なら軽自動車にも転用しやすそうです。

↑「e-SMART HYBRID」のパワーユニット。新型の1.2Lエンジンを発電機として搭載する

 

↑ハイブリッド用のバッテリーは後席のシート下に搭載する

 

↑こちらは新型の1196cc3気筒NAエンジン。最高出力は87PS/6000rpm

 

駆動はモーターで行うため、出だしから機敏な加速が味わえます。バッテリー電力のみでの走行距離は限られていて、アクセルを少し踏み込むとすぐにエンジンがかかりますが、システムでの燃費はWLTCモードで28km/Lなので、1.2Lエンジンの20.7km/L、1Lエンジンの17.4km/Lと比べるとかなり伸びています。

↑メーターの表示は3種類から選べ、ハイブリッドシステムの運転状態がわかる

 

モーターの最高出力は106PS、最大トルクは170Nmとシリーズの中では最もパワフル。一般道から高速道路まで走行しましたが、コンパクトな車体をしっかり加速させ、追い越し加速でも余裕のあるものでした。アクセルに対するレスポンスの良さは、モーターならではのもので俊敏な加速が味わえます。アクセルを戻すと、回生ブレーキが効く設定で、停止までは行かないものの、ある程度はワンペダルでの走行も可能。加減速の多い街中では便利なシステムです。

↑信号待ちからの加速はモーター駆動の真骨頂。交通の流れをリードできます

 

1.2Lエンジンも試乗しましたが、こちらも低速トルクに余裕があり、NAエンジンらしい吹き上がりも感じられて一般道から高速道路まで不満は感じません。ハンドリングはSUVらしいストロークの長さが感じられ、それでいて車体はコンパクトなので狭い街中での取り回しも良好。SUVに乗りたいけれども、普段は細い道を走る機会も多いという人には、またとない選択肢でしょう。

↑SUVらしい視点の高さでキビキビ走れる取り回しの良さが魅力

 

コンパクトカーを得意とするダイハツらしい完成度の高さで、独自のシェアを築いている「ロッキー」。ハイブリッドが選択肢に加わったことで、さらに魅力を増しています。ハイブリッドモデルになると、価格的に「ヤリス クロス」も視野に入ってくるところですが、5ナンバーサイズに収まるボディは大きなアドバンテージ。夫婦でクルマを共用し、SUVがほしいけれど普段は奥さんが運転する機会が多いというような人には、ありがたい選択肢となるでしょう。

 

SPEC【Premium G/Premium G HEV】●全長×全幅×全高:3995×1695×1620mm●車両重量:980kg(1070kg)●パワーユニット:水冷1.2L直3気筒12バルブDOHC横置●最高出力:64kW[87PS]/6000rpm(60kW[82PS]/5600rpm【モーター78kW[106PS]/4372〜6329rpm】)●最大トルク:113N・m[11.5kgf・m]/4500rpm(105N・m[10.7kgf・m]/3200〜5200rpm【モーター170N・m[17.3kgf・m]/0〜4372rpm】)●WLTCモード燃費:20.7km/L(28.0km/L)

※()内はPremium G HEVの数値

 

撮影/松川 忍

 

 

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これが世界のスタンダード! ホンダ新型「シビック」の完成度を調べてみた

1972年の初代モデル発売から、今年で50周年を迎え、累計販売台数は2700万台を超えるホンダの「シビック」。世代によって、この車名を聞いてイメージする姿はそれぞれでしょう。40代半ばの筆者が真っ先に思い起こすのは、コンパクトなハッチバックのシルエット。免許を取って間もない若者でも乗りやすく、それでいて走りも良いクルマというイメージでした。

 

そんな時代からすると、サイズも大きくなり車格も上がった現行の「シビック」。約7年間の日本で販売されない期間(「タイプR」のみ限定で販売)を経て、先代モデルで日本市場に復帰し、今回乗ったモデルは11代目に当ります。世界的に見るとホンダ車の中で2番目に売れているという現行「シビック」の完成度を探りました。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/シビック

※試乗車:EX

価格:319万円/353万9800円(税込)

 

上質さと落ち着きを感じさせる外観・内装デザイン

現行「シビック」で国内販売されるのは、5ドアハッチバックのボディタイプ。グレードは「EX」と「LX」の2種類が用意されますが、今回乗ったのは上位の「EX」グレードです。低く抑えられたボンネットから、リアに向けて水平基調で伸びるラインはシャープで、キャビンの形状はクーペライクなもの。20世紀に販売されていた「シビック」のハッチバックと比べると、大人向けのデザインになったと感じます。

↑よけいな威圧感はないものの、確かな存在感を漂わせるヘッドライトデザイン

 

↑テールエンドに向かってなだらなに収束するクーペのようなラインが特徴

 

フロントウィンドウは見るからに広く、視界が良さそう。車内に移動しても、開放感のある視界が実感できます。「EX」グレードは内装にレッドステッチや合成皮革が多用され、上質な仕上がり。落ち着ける空間が演出されています。

↑広いフロントウィンドウには「Honda SENSING」用のカメラも装備

 

↑水平基調で高さを抑えたインパネのラインで開放感のある広大な視界を確保

 

↑ハニカムデザインのエアコンの吹出口など、細かい部分にも配慮が感じられます

 

シートに身を沈めると、適度なホールド感と、それでいてどこにも窮屈さを感じさせない座り心地が味わえます。昨今流行りのSUVに比べると明確に低い着座位置に、ワクワクしてしまうのは世代のせいでしょうか。レザー製で適度な太さのステアリングホイールも、握り心地が良く、ドライビングへの期待感を盛り上げます。

↑上質な座り心地で、タイトな印象はないのにしっかりと体をホールドしてくれるシート

 

爽快さを存分に味わえるドライブフィール

搭載されるエンジンは1.5Lの直噴VTECターボ。最高出力は182PS/6000rpmで最大トルクは240Nmを1700〜4500rpmという低回転から広い領域で発揮します。組み合わせられるのは6速MTとCVTの2種類で、この時代に初期受注の約4割がMTという比率の高さに驚かされます。

↑現在、ホンダの主力パワートレインといってもいい1.5L直噴VTECターボエンジンを搭載

 

まずドライブしたのは6速MTのほう。先代モデルもMTの出来が良く「乗るならMTがいい」と強く感じたものですが(販売台数の約3割がMTだったとの事)、その印象はさらに強まりました。手首の動きだけでシフトが決まり、コクっとゲートに収まるフィーリングも良くなっているので、低速でも適度なクルマを操っている感が味わえます。また、エンジンも高回転になるほどレスポンスが高まるので、シフトを駆使して気持ちの良い回転数を維持するのが本当に爽快です。

↑金属製のノブに革を巻きつけたデザインとなり、フィーリングもさらに向上した6速MT

 

↑MTでも機能するACCなど、「Honda SENSING」の出来の良さも好印象

 

CVTに乗り換えても、爽快なフィーリングは変わらず。CVTにありがちなエンジンとタイヤの間にクッションがあるような感覚ではなく、ダイレクトに駆動力が伝わっているような印象です。特にアクセルを大きく開けた加速時や、ブレーキング時には段階的な変速を行う、ステップアップ/ダウンシフト制御が搭載されているので、エンジンの気持ちよさを存分に味わうことができました。

↑CVTでは「ノーマル」「スポーツ」「ECON」の3つのモードが切り替え可能

 

足回りは硬さは感じないものの、全体的にしっかりしていて、絶大な接地感が伝わってきます。低速で市街地を走っていても、ゴツゴツした印象は一切ないものの、確実に路面を捉えている感覚。高速道路では直進安定性が高く、「Honda SENSING」と相まって、長距離ドライブの疲労は確実に少ないでしょう。ワインディングでもしなやかに動く感覚は変わりませんが、荷重の増える分、路面にタイヤを押し付ける感覚が強まり、速度に合わせてスポーツしている感覚も高まってきます。ステアリングを切ると、低いノーズがスッとインに向いてくれて意のままに操れる感覚はまさに爽快。現行「シビック」の開発コンセプトである“爽快”をまさに体現する走りです。

↑硬さは感じないものの、確実に路面を捉え、意のままに動く爽快な走りが味わえます

 

高いユーティリティ性も確保

スポーツカー並みに楽しい走りが味わえる「シビック」ですが、居住性やユーティリティ性も高次元で両立しています。クーペのようなシルエットではありますが、実際にリアシートに座ってみると、ヘッドスペースに窮屈さは全く感じません。足元の空間も広く、家族をリアシートに乗せても不満が出る心配は皆無でしょう。

↑身長175cmの筆者が座っても、窮屈さを感じないリアシート

 

ラゲッジスペースは合計452Lと大容量。かつ開口部も広いので荷物の出し入れはしやすく、使い勝手はかなり良さそう。シートは6:4分割式で倒すとフラットに近いスペースを作り出すことができます。同クラスのSUVと比べても遜色のない容量と使い勝手で、気を使う部分といえば車高が低い分、重い荷物の積み下ろしで腰をかがめる必要があるくらいでしょう。ちなみに、シートを倒した状態で寝転んでみましたが、大人1人が体を伸ばして寝られる広さはありますが、途中に高低差があるので、流行りの車中泊にはちょっと向かないかもしれません。

↑荷室の床が下げられ、大容量を実現しているラゲッジスペース

 

↑6:4分割式のリアシートを倒すことで、さらに広大なスペースを確保できます

 

↑横引きタイプのカーゴエリアカバーに加えて、テールゲートにも荷物を見えなくするカバーが取り付けられます

 

街中では乗り心地が良く、高速道路では疲労の少ない安定感があり、ワインディングでは爽快な走りが味わえる。それでいて、ラゲッジスペースも広くて使い勝手も良いので、この価格帯ではライバルとなるであろうSUV勢に対しても劣るところがありません。使い勝手の良さと走りの楽しさを高次元で両立しているのは、歴代「シビック」の共通点ですが、現行モデルはさらに上質さが加わっている印象です。

 

違いのわかる大人向けのクルマと言いたいところですが、海外では若い世代に売れているとのこと。これが現在の世界のスタンダードだということでしょう。確かに、ここまで走らせる楽しさを味わえ、使い勝手と上質さも併せ持つクルマはなかなか思い浮かびません。国内での販売計画台数は月1000台と控えめですが、現行モデルのシビックはもっと売れてしかるべきと感じた試乗体験でした。

↑米国では「2022北米カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞しています

 

SPEC【EX】●全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm●車両重量:1360kg【6速MT1330kg】●パワーユニット:1.5L直4 DOHC 16バルブ●最高出力:134kW[182PS]/6000rpm●最大トルク:240N・m[24.5kgf・m]/1700〜4500rpm●WLTCモード燃費:16.3km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

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360°+リアでトレンド全部入り。ケンウッドの最新ドラレコ「DRV-C770R」は死角なしって奴です。

今や、ドライバーにとって必須のアイテムになりつつあるドライブレコーダー。あおり運転や、高齢ドライバーの運転ミスなどによる交通トラブルの報道を目にする機会は多く、こうしたトラブルに対応するためドライブレコーダー装着の需要は高い水準を維持しています。電子情報技術産業協会の統計によると、業務用を含むドライブレコーダーの出荷台数は2016年度は約145万台だったものが、2020年度は約460万台まで拡大。特に前方・後方の映像を同時に録画できる2カメラモデルの伸長が著しく、今や主流となっています。こうしたニーズを受け、登場したのがケンウッドの「DRV-C770R」。

↑360°撮影対応 2カメラドライブレコーダー「DRV-C770R」。市場推定価格4万700円前後(税込)

 

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前後2カメラに独立した7段階の明るさ調整機能を搭載

本製品は2カメラタイプのモデルですが、フロント用のカメラが360°撮影対応になっており、前方・左右・車室内を撮影、後方の撮影には専用のリアカメラを備えているのが特徴です。近年は安全意識の高まりもあって前方・後方はもちろん、斜め前方や側方なども録画するニーズが増加中。加えて、常時録画するドライブレコーダーの特性を活かし、ドライブ中の何気ない一瞬を映像として残す需要も高まりつつあります。以下はフロント360°カメラの映像。

↑フロントカメラは水平360°対応で、周囲全方位の録画に対応。垂直視野角は240°で、交差点の信号なども捉えやすい画角となっています

 

↑前方撮影

 

↑左側撮影

 

↑右側撮影

 

↑車室内撮影

 

360°カメラで車室内も撮影可能としながら、専用リアカメラで後方もしっかりと記録できる「DRV-C770R」は、こうした最新のニーズに対応したモデルといえるでしょう。以下はリアカメラの映像になります。

↑リアカメラには対角163°の広視野角レンズを採用しており、後方の映像をしっかり記録

 

↑後方撮影

 

昨今はドライブレコーダーに対する画質の要求も高まっていますが、「DRV-C770R」は前後カメラとも高感度CMOSセンサー「STARVIS(スタービス)」を採用。レンズもフロントカメラがF2.0、リアカメラはF1.8の明るいレンズを搭載しています。充実の光学系デバイスの採用に加え、同社が長年培った映像技術によるチューニングもあって、昼間だけでなく夜間やトンネル内での暗いシーンも鮮明に録画することができます。以下はフロントカメラ夜間撮影比較。

↑前後カメラとも高感度のCMOSセンサー「STARVIS」と明るいレンズの採用で暗いシーンも鮮明に記録

 

↑従来モデル(STARVIS無し)※画像はイメージです

 

前後カメラには明暗差の強いシーンでも白とびや黒つぶれを低減するHDR機能を搭載。逆光や夜間走行時の街灯、トンネルの出入り口など明暗差が激しい環境でも明瞭な映像を記録できます。また、前後カメラとも7段階の明るさ調整に対応。リアカメラを独立して調整することも可能なので、リアウィンドウがスモークガラスとなっている車種でも安心です。以下はリアカメラ夜間撮影比較/リアガラス(透過率13%相当)。

↑スモークガラス+夜間のシーンでも明瞭な映像を記録できます

 

↑従来モデル(明るさ調整非搭載)

 

車両状況に合わせて4つの録画機能を搭載。エンジンのON/OFFに合わせて起動する「常時録画」、衝撃や急な速度変化をGセンサーが感知して作動する「イベント記録」、手動でボタンを押してイベント記録専用のフォルダにデータ記録する「緊急イチ押し録画/手動録画」、そして「駐車録画」です。

 

「駐車録画」は別売の車載電源ケーブル「CA-DR100」が必要ですが、最長24時間の録画ができる「常時監視モード」と、衝撃検知で録画を開始する「衝撃検知録画モード」に対応。「常時監視モード」には車両のバッテリーが設定した電圧を下回ると自動で動作を停止し、バッテリーを保護する機能も搭載しています。

↑駐車中も最長24時間、360°の記録が可能で、衝撃検知時の映像はイベント記録フォルダに残されます

 

記録媒体には「3D NAND型32GB microSDカード」が付属。これは、1カメラタイプに比べ、2倍の記録容量と、高い上書き頻度となる2カメラタイプのドライブレコーダーに求められる繰り返し書き込み耐久性能などを強化したものです。最大容量128GBまでのmicroSDカードに対応し、定期的なカードフォーマットが不要な「SDカードメンテナンスフリー」や「SDカード寿命告知機能」にも対応しているので、安心して連続使用が可能。テレビ放送への電波干渉を抑える 「地デジ干渉対策」や、昨今増えているLED式信号機の無点灯記録を防ぐ「LED信号機対応」など近年のドライブレコーダーに求められる機能はきちんと抑えています。

↑「Gセンサー」に加え、速度・緯度・経度などの自車位置情報を測る「GPS」も搭載

 

ユーザーニーズの高まりとともに、着実に進化を遂げている昨今のドライブレコーダー。ドライブの安心・安全に関わるものだけに、できるだけ信頼性が高く、高機能なものを選びたいところです。ケンウッドの「DRV-C770R」は、ドライブレコーダーに求められる画質や機能などはすべて抑えながら、360°+後方の撮影に対応。現状ではトップレベルの高機能なモデルであり、カー用品では定評のあるケンウッドブランドの製品だけに、安心して選ぶことができます。

 

 

満を持してヒョンデがZEVで日本市場へ参入! 欧州チームが開発したその仕上がりは想像以上

韓国の現代(ヒョンデ)自動車が12年ぶりに日本市場へ再参入を果たしました。そのメイン車種としてラインナップしたのがBEV(バッテリー電気自動車)「IONIQ(アイオニック) 5」です。今回はその日本仕様を個人間シェアリング「Anyca(エニカ)」で借り、2日間にわたって試乗してみました。

 

試乗は個人間シェアリング「Anyca」を利用

ヒョンデが日本市場に再参入するにあたってラインナップしたのは、このアイオニック5以外にFCV(燃料電池車)「NEXO(ネッソ)」を加えた2車種です。いずれもZEV(ゼロエミッションヴィークル)を意識した投入となりました。そんな中でアイオニック5は、デザインから足回りに至るまで同社の欧州チームが開発したという、いわば生粋の欧州生まれ。韓国車といえども、その仕上がりには大いに期待が持てます。

↑2月8日、ヒョンデはいずれもZEVとなるBEVの「アイオニック5」(左)とFCEVの「ネッソ」の2車種を発表。12年ぶりに日本市場への再参入を果たした

 

ただ、ヒョンデは日本市場での販売にあたり、いずれも自社ウェブサイト/アプリからのオンライン販売のみとしています。リアルな体験拠点としては、神奈川県・横浜市内に「Hyundai カスタマーエクスペリエンスセンター」を2022年夏に開業する予定ですが、多くの輸入車のようにディーラー網は展開しません。これは購入希望者にとっては残念な点です。購入すれば500万円前後の出費となるだけに、誰もが実車を見たいでしょうし、もちろん試乗だってしたいでしょう。

 

そんな声に応えるべくヒョンデが採った策が個人間シェアリングのエニカと提携することでした。つまり、ここで有料での体験試乗できるプランを用意したのです。これなら一般的な短時間の試乗だけでなく、ロングドライブに出掛けることもでき、普段の使い方に近い形で実力をチェックすることも可能です。今回はこのエニカのプランを利用しての試乗となりました。

 

日本において韓国車は総じて関心が低いですが、グローバルに視点を移すと想像以上に評価が高いことも知っておかねばなりません。特に「KIA」を傘下に持つ現代自動車グループは世界5位の生産台数を誇り、アメリカでは「ホンダ」を上回る勢いです。そんなヒョンデが思うように実績を伸ばせないでいるのがアジア地区。中でも日本は12年前に乗用車市場から撤退した苦い経験があります。そこで今後の伸びしろがあって、日本車が手薄なZEVに絞り込むことで再進出を図ったのです。

 

個性的なデザインは注目度抜群! インテリアの質感も高い

アイオニック5のグレードは4タイプが用意され、もっとも廉価なベースグレードが58kWhであるものの、それ以外の3タイプはすべて72.6kWhと大容量バッテリーが搭載されています。その中で今回の試乗車は下から2番目の大容量バッテリーを搭載する「Voyage(ボイヤージ)」を選びました。

↑「アイオニック5」、価格は479万円〜589万円(税込)。ボイヤージは全長4635×全幅1890×全高1645mm、車両重量1950kg

 

ボイヤージは上級グレードに比べるとサンルーフや車内アンビエントライトが搭載されておらず、シートも本革仕様でなく、助手席シートにパワー機構が搭載されていないなどの違いがあります。しかし、ボイヤージでも装備はかなりの充実ぶりで、装備表を見なかったらボイヤージでも充分満足できるレベルにありました。

 

アイオニック5を前にして、まず外観の個性的なスタイルに惹かれました。逆Z型のプレスラインを持ったサイドビューは一度見たら忘れられない独創性を伝えてきますし、「パラメトリックピクセル」と呼ばれる前後のLEDランプのデザインもデジタルピクセルにアナログな感性を加えたユニークなもの。特にリアエンドは方眼をあしらったデザインで、後続車からの注目度も相当に高いはずです。

↑細かなモザイク模様のレンズをあしらったリアビューが印象的だ。ボディカラーは6色設定。19インチアルミホイール & 235/55 R19タイヤ[ミシュラン]を履く

 

インテリアも質の高さで評価が高い欧州勢と遜色ないレベルにあります。運転席に座れば明るく開放感があって、ダッシュボードは水平基調のシンプルなデザイン。そこに大型で見やすい12.3インチのナビゲーション+12.3インチのフル液晶デジタルメーターが並んで収まります。物理スイッチは必要最低限に抑える一方で、素材からして高品質で触れた感触がとても居心地がいいのもポイントです。

↑写真は「ラウンジ」グレードとなってしまったが、試乗したボイヤージでも質感は充分に高かった

 

↑物理キーを極力廃しつつ、よく使うボリュームなどは回転式にするなど使い勝手も重視した

 

↑前席中央付近のルーフに備えられたスイッチ類。SOSコールにも対応した

 

キャビンは広々としており、どの席に座っても足をゆったり伸ばせます。バッテリーをフロア下に置いた関係でフロアは若干高めですが、ドライビングポジションに窮屈さは感じられません。これはアイオニック5に採用したE-GMP効果によるものだそうです。

↑最大出力1600wのACコンセントを備え、停車時はリアスペースを拡大して、こうした寛ぎ方も可能になる

 

シートはたっぷりとしたサイズで、前席のシートにはオットマンが装備されていました。充電時の待ち時間をくつろいで過ごせるよう配慮した「リラクゼーションコンフォートシート」で、充電で待ち時間が欠かせないBEVらしい装備とも言えます。さらにセンターコンソールは前後に140mmスライドできる機構が備えられ、それを後方にスライドさせれば平らなフロアのおかげで、左右どちらのドアからも容易に乗降できるようになります。

 

強烈な加速に驚き! 荒れた路面での突き上げが少し大きめ

ここからは走り出しての感想です。起動スイッチを押し、ステアリングコラムから右に出ているシフトダイヤルを回して“D”に入れると、スムーズに加速していきます。アクセルに対する反応もリニアで、踏み込んだだけ素直に速度が上がっていく感じです。一方で、アクセルを少し強めに踏み込むとBEVらしい強烈な加速が味わえました。この加速感はガソリン車では得られない感覚です。回生ブレーキを使ったワンペダルも自然でした。

↑シフトレバーはステアリングの右側にレバーとして備わる。しっかりとしたクリック感がわかりやすい

 

一方で乗り心地はやや路面の突き上げを感じやすい印象です。一般道の路面の荒れ具合が、そのまま伝わってくる感じでした。ただ、高速道路に入るとその印象はほぼなくなり、むしろ安定感が増して快適に走ることができました。全車速追従システムも完成度が高く、車線の中央部を維持してくれるので長距離での疲労度はかなり低減されるでしょう。

 

カーナビはゼンリン製地図データを使って日本仕様にローカライズし、さらにドライブレコーダー機能も装備されています。ウインカーも日本市場に合わせた右側仕様となっており、このあたりからもアイオニック5へのヒョンデの本気度が伝わってきました。ただ、カーナビの交通情報は通信によるオンデマンドVICSとなっているようで、試乗車は通信契約が行われていなかったため、それを反映することはできませんでした。

↑ゼンリン製地図データを使ったナビゲーション。きめ細かな案内が行われており、交通情報は通信によるオンデマンドVICSとなる

 

↑アイオニック5にはドライブレコーダーを標準装備。エニカではOFFの状態で貸し出される

 

↑左ハンドルの韓国からの輸入車にも関わらず、日本市場向けに合わせてウインカーレバーは右側に備えられた

 

↑左右にウインカーを出すと同時に、メーター内にはその方向の状況をウインドウで表示する

 

ちなみにCHAdeMO(チャデモ)での急速充電(90kW)では80%充電まで32分で可能だということです。航続距離は満充電で618km(WLTCモード※ボイヤージの場合)と表記されており、実用でも500km程度は走れそうな感じです。また、充電はCHAdeMOによる急速充電と普通充電に対応し、最大1600Wを出力できるAC電源やV2H(Vehicle to Home)を使った給電も可能となっています。

↑最高出力160kW(217PS)/最大トルク350N/mを発揮する電動モーターを搭載(※ボイヤージの場合)

 

↑非常時給電システム付きコンセントを付属。最大1.6kWの給電が可能となる

 

まとめ

2日間試乗した印象として、クルマとしての出来はかなりハイレベルであったことは確かです。アイオニック5の直接のライバルは、トヨタの「bZ4X」やスバルの「ソルテラ」、日産の「ARIYA」などが想定されるでしょう。販売体制を踏まえればテスラの「モデル3」の方がより近い存在かもしれません。メンテナンスが協力工場で行うという部分がどこまで納得できるかによりますが、クルマとしてだけ考えれば間違いなく選びたくなるクルマの一つと言えます。まずは、エニカで会員になり、ぜひ試乗して体験してみることをオススメします!

 

 

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トヨタ、スズキの持ち味を生かした仕上がり! 日本が誇る定番車の最新作を試乗レポート

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」は伝統の日本ブランドが放つ最新作をピックアップ。トヨタの「カローラ クロス」は、シリーズ初のSUV。新型「アルト」は、累計で500万台以上を販売しているロングセラーの9代目。いずれも、定番モデルらしい持ち味が実感できる出来栄えだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】「世界のカローラ」に相応しい扱いやすさが魅力!

SUV

トヨタ

カローラ クロス

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

すべてに不足がない作りだがカローラらしくリーズナブル

多くのSUVをラインナップしているトヨタに、新たに「カローラ」の名が付くSUVが加わった。サイズ的には、「ヤリス クロス」と「RAV4」の間。その仕上がりをひと言で表すと、カローラらしくすべてにおいて不足がない。他のシリーズとの共通性を感じさせる内外装は、多くの人に受け入れられるデザイン。後席や荷室も十分な広さで、ゴルフバッグは4個積載可能。また、装備面では本革を組み合わせた上質なシートや、大開口パノラマルーフのオプションも選べる。

 

「C-HR」と同じTNGA-Cプラットフォームをベースとしつつ、2WDのリアサスはマルチリンクに代わって新たにトーションビーム式を採用したのが特徴。引き締まった乗り味ながら快適性も十分で、動きが素直で乗りやすい。1.8Lハイブリッド、特にE-Fourは上質感が、一方のガソリンモデルは軽快な走りが魅力的だ。これだけ充実した性能ながら価格はカローラらしくリーズナブル。爆売れしているのも納得だ。

 

[Point 1] 車室内はSUVらしい広さを確保

背の高いスクエアなボディ形状とあって、室内はSUVに相応しい広さを確保。フロントにはスポーティな形状のハイバック形状のシートを採用し、カジュアルな雰囲気も演出する。

 

[Point 2] 荷室容量もトップクラス

2WD車の荷室容量は、5名乗車時でも439〜487Lとクラストップレベル。4WDモデルでも407Lを確保する。高機能収納ボックスも備わり、ユーティリティにも優れる。

 

[Point 3] 新開発の足回りで走りもしなやか

2WD車には新開発のリアサスペンションを採用。しなやかで快適なライド感を実現している。最小回転半径を5.2mに抑えたことで、街なかでの使い勝手も上々だ。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

G“X”:1.8L/2WD/CVT/199万9000円

G:1.8L/2WD/CVT/224万円

S:1.8L/2WD/CVT/240万円

Z:1.8L/2WD/CVT/264万円

ハイブリッドG:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/259万円、279万9000円(※)

ハイブリッドS:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/275万円、295万9000円(※)

ハイブリッドZ:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/299万円、319万9000円(※)

※:4WD(E-Four)の価格

 

 

【その2】「素」の魅力が味わえるスズキ伝統のベーシック

軽ハッチバック

スズキ

アルト

SPEC【ハイブリッドX(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm●車両重量:710kg●パワーユニット:657cc直列3気筒DOHC●最高出力:49PS/6500rpm●最大トルク:5.9kg-m/5000rpm●WLTCモード燃費:27.7km/L

 

ハッチバックモデルらしい素直な操縦性も魅力的

「アルト」は、初代が1979年に登場したスズキ伝統のモデル。9代目となる新型モデルでも、軽自動車における基本の“き”とも言うべき堅実な作りは健在だ。ボディは、先代よりスクエアな形状となり室内空間が拡大。同時に内外装の質感が目に見えて向上したこともポイントとなっている。

 

搭載するエンジンは、自然吸気のみ。組み合わせるトランスミッションもCVTの1択だが、アルトでは初めてマイルドハイブリッド仕様を設定。燃費は、軽自動車トップとなる27.7km/Lをマークする。また、最新モデルらしく運転支援系の装備も充実。独自のデュアルカメラブレーキサポートなどは、全車で標準装備となる。

 

今回は2WD仕様に試乗したが、走りは日常を共にするベーシックカーとして満足できる出来栄えだ。現在、軽自動車で主流となっているトールワゴン系より軽量ということもあって常用域の力強さも申し分ない。また、先代より全高が高くなったとはいえ、ハッチバックと呼べる水準に収まるので操縦性も実に素直。日常域はもちろん、望めば積極的に操る場面にも対応できる。前述の質感向上に加え、この新型アルトではボディカラーの選択肢も豊富なだけに、気の利いた普段使いの相棒としても狙い目の1台と言える。

 

[Point 1] 2トーンを含めてボディカラーも多彩

ボディカラーは、新色となる写真のブルーをはじめとする8色。そのうち4色で、2トーンとなるホワイトのルーフも選べる。外観は先代より親しみやすさが強調された。

 

[Point 2] 燃費性能は軽自動車随一

搭載するパワーユニットは自然吸気のみだが、アルトでは初となるマイルドハイブリッド仕様を設定。軽自動車ではトップクラスとなるWLTCモード燃費を実現している。

 

[Point 3] 親しみやすさは室内でもアピール

立体的造形のインパネ回りは、収納スペースも豊富。シートにはデニムをイメージさせる生地を採用。背面のカラーを変えて、カジュアルで親しみやすいイメージも演出できる。

 

[Point 4] 使い勝手も着実に進化

荷室は、開口部の地上高を下げて積載性が向上。先代と比較すると、わずかながら荷室長も拡大されている。リアの背もたれは分割可倒式ではないが、後席を畳めば容量は大幅に拡大できる。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

A:0.66L/2WD、4WD/CVT/94万3800円、107万5800円(※)

L:0.66L/2WD、4WD/CVT/99万8800円、112万9700円(※)

ハイブリッドS:0.66L/2WD、4WD/CVT/109万7800円、122万8700円(※)

ハイブリッドX:0.66L/2WD、4WD/CVT/125万9500円、137万9400円(※)

※:4WDの価格

 

文/岡本幸一郎、小野泰治 撮影/郡 大二郎、宮越孝政

 

 

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「素」の魅力が味わえるスズキ伝統のベーシック、新型アルトに試乗!

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」は伝統の日本ブランドが放つ最新作をピックアップ。新型アルトは、累計で500万台以上を販売しているロングセラーの9代目。定番モデルらしい持ち味が実感できる出来栄えだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ハッチバックモデルらしい素直な操縦性も魅力的

軽ハッチバック

スズキ

アルト

SPEC【ハイブリッドX(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1525mm●車両重量:710kg●パワーユニット:657cc直列3気筒DOHC●最高出力:49PS/6500rpm●最大トルク:5.9kg-m/5000rpm●WLTCモード燃費:27.7km/L

 

「アルト」は、初代が1979年に登場したスズキ伝統のモデル。9代目となる新型モデルでも、軽自動車における基本の“き”とも言うべき堅実な作りは健在だ。ボディは、先代よりスクエアな形状となり室内空間が拡大。同時に内外装の質感が目に見えて向上したこともポイントとなっている。

 

搭載するエンジンは、自然吸気のみ。組み合わせるトランスミッションもCVTの1択だが、アルトでは初めてマイルドハイブリッド仕様を設定。燃費は、軽自動車トップとなる27.7km/Lをマークする。また、最新モデルらしく運転支援系の装備も充実。独自のデュアルカメラブレーキサポートなどは、全車で標準装備となる。

 

今回は2WD仕様に試乗したが、走りは日常を共にするベーシックカーとして満足できる出来栄えだ。現在、軽自動車で主流となっているトールワゴン系より軽量ということもあって常用域の力強さも申し分ない。また、先代より全高が高くなったとはいえ、ハッチバックと呼べる水準に収まるので操縦性も実に素直。日常域はもちろん、望めば積極的に操る場面にも対応できる。前述の質感向上に加え、この新型アルトではボディカラーの選択肢も豊富なだけに、気の利いた普段使いの相棒としても狙い目の1台と言える。

 

[Point 1] 2トーンを含めてボディカラーも多彩

ボディカラーは、新色となる写真のブルーをはじめとする8色。そのうち4色で、2トーンとなるホワイトのルーフも選べる。外観は先代より親しみやすさが強調された。

 

[Point 2] 燃費性能は軽自動車随一

搭載するパワーユニットは自然吸気のみだが、アルトでは初となるマイルドハイブリッド仕様を設定。軽自動車ではトップクラスとなるWLTCモード燃費を実現している。

 

[Point 3] 親しみやすさは室内でもアピール

立体的造形のインパネ回りは、収納スペースも豊富。シートにはデニムをイメージさせる生地を採用。背面のカラーを変えて、カジュアルで親しみやすいイメージも演出できる。

 

[Point 4] 使い勝手も着実に進化

荷室は、開口部の地上高を下げて積載性が向上。先代と比較すると、わずかながら荷室長も拡大されている。リアの背もたれは分割可倒式ではないが、後席を畳めば容量は大幅に拡大できる。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

A:0.66L/2WD、4WD/CVT/94万3800円、107万5800円(※)

L:0.66L/2WD、4WD/CVT/99万8800円、112万9700円(※)

ハイブリッドS:0.66L/2WD、4WD/CVT/109万7800円、122万8700円(※)

ハイブリッドX:0.66L/2WD、4WD/CVT/125万9500円、137万9400円(※)

※:4WDの価格

 

文/小野泰治 撮影/宮越孝政

 

 

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カローラ クロスは「世界のカローラ」に相応しい扱いやすさが魅力!

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」は伝統の日本ブランドが放つ最新作をピックアップ。トヨタのカローラ クロスは、シリーズ初のSUV。定番モデルらしい持ち味が実感できる出来栄えだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

すべてに不足がない作りだがカローラらしくリーズナブル

SUV

トヨタ

カローラ クロス

SPEC【ハイブリッドZ(2WD)】●全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm●車両重量:1410kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[72]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[16.6]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:26.2km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

多くのSUVをラインナップしているトヨタに、新たにカローラの名が付くSUVが加わった。サイズ的には、「ヤリス クロス」と「RAV4」の間。その仕上がりをひと言で表すと、カローラらしくすべてにおいて不足がない。他のシリーズとの共通性を感じさせる内外装は、多くの人に受け入れられるデザイン。後席や荷室も十分な広さで、ゴルフバッグは4個積載可能。また、装備面では本革を組み合わせた上質なシートや、大開口パノラマルーフのオプションも選べる。

 

「C-HR」と同じTNGA-Cプラットフォームをベースとしつつ、2WDのリアサスはマルチリンクに代わって新たにトーションビーム式を採用したのが特徴。引き締まった乗り味ながら快適性も十分で、動きが素直で乗りやすい。1.8Lハイブリッド、特にE-Fourは上質感が、一方のガソリンモデルは軽快な走りが魅力的だ。これだけ充実した性能ながら価格はカローラらしくリーズナブル。爆売れしているのも納得だ。

 

[Point 1] 車室内はSUVらしい広さを確保

背の高いスクエアなボディ形状とあって、室内はSUVに相応しい広さを確保。フロントにはスポーティな形状のハイバック形状のシートを採用し、カジュアルな雰囲気も演出する。

 

[Point 2] 荷室容量もトップクラス

2WD車の荷室容量は、5名乗車時でも439〜487Lとクラストップレベル。4WDモデルでも407Lを確保する。高機能収納ボックスも備わり、ユーティリティにも優れる。

 

[Point 3] 新開発の足回りで走りもしなやか

2WD車には新開発のリアサスペンションを採用。しなやかで快適なライド感を実現している。最小回転半径を5.2mに抑えたことで、街なかでの使い勝手も上々だ。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

G“X”:1.8L/2WD/CVT/199万9000円

G:1.8L/2WD/CVT/224万円

S:1.8L/2WD/CVT/240万円

Z:1.8L/2WD/CVT/264万円

ハイブリッドG:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/259万円、279万9000円(※)

ハイブリッドS:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/275万円、295万9000円(※)

ハイブリッドZ:1.8L+電気モーター/2WD、4WD/電気式無段変速/299万円、319万9000円(※)

※:4WD(E-Four)の価格

 

文/岡本幸一郎 撮影/郡 大二郎

 

 

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男前なフロントデザインに熱視線! 納車まで2年待ちの新型「ランドクルーザー」をチェック

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、2年以上の納車待ちになっていると言われる“砂漠のロールスロイス”、新型ランドクルーザーを取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/ランドクルーザー

SPEC【ZX 7人乗り】●全長×全幅×全高:4985×1980×1925mm●車両重量:2500kg●パワーユニット:3.5LV型6気筒+ツインターボ●最高出力:415PS(305kW)/5200rpm●最大トルク:650Nm/2000〜3600rpm●WLTCモード燃費:7.9km/L

510万〜800万円(税込)

 

デカいボディと“オラオラ顔”が人目を引くカッコ良さ

安ド「殿! 新型ランクルはやっぱりスゴいですね!」

 

永福「うむ」

 

安ド「まず、デカさがハンパないです! なにしろ全長約5m、全幅約2mですから!」

 

永福「たしかにデカいな」

 

安ド「パジェロのロングに乗ってる僕も、デカさにビビリました!」

 

永福「カウンタックを持っている私もビビッたぞ。しかしサイズは、先代ランクルとほとんど変わっていないのだ」

 

安ド「そ、そーなんですか!? ランクルって前からこんなにデカかったですか!?」

 

永福「そうらしい。正確な数値は覚えていないが」

 

安ド「あと、顔のオラオラ感がスゴいです!」

 

永福「男前のオラオラ顔だな。頬髭のような周囲のグリルがカッコ良いぞ」

 

安ド「自宅の近所でリフトアップしたランドクルーザー プラドに乗るタトゥー入りのニーチャンに、『超カッコ良いっすね!』と話しかけられました!」

 

永福「いまは新型ランクルに乗っていればヒーローだな」

 

安ド「なにしろ納車まで2年待ちとも、4年待ちとも言われてますからね!」

 

永福「街を走っていても注目度が凄まじい。カウンタックより振り返る人が多かったくらいだ」

 

安ド「ホントですか?」

 

永福「メルセデス・ベンツ Gクラスのドライバーからも強烈な視線が突き刺さった。新型ランクルにはGクラスもたじたじなのだ」

 

安ド「日本人として誇らしい気持ちになれますね!」

 

永福「付け加えると、アルファードのオーナーからも凄まじい勢いで注目されている」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「これまでオラオラ顔の帝王は同社のアルファードだったが、新型ランクルの登場で、王座が入れ替わったのだ」

 

安ド「そうだったんですか!」

 

永福「アルファードのオーナーの多くが、ランクルに買い替えたがっているらしい」

 

安ド「考えてみればランクルには、7人乗りがありますからね!」

 

永福「実はミニバンの代わりも務まるのだ」

 

安ド「ただ、燃費はイマイチですね。3.5LV6ツインターボで415馬力。カタログ燃費は7.9km/Lですけど、実燃費は5km/Lちょいでした!」

 

永福「先代型は4.6LのV8で、4km/Lくらいしか走らなかったから、かなりの改善だがな」

 

安ド「あと怖かったのは、周囲から『盗まれるから注意しろ』って言われたことです。借りている間じゅう、ハラハラドキドキでした」

 

永福「私も、一度もクルマから離れなかったくらいだ」

 

安ド「新型は指紋認証システムが導入されましたけど、果たして盗難防止に役立ちますかね?」

 

永福「ドロボウさんに聞いてみないとわからんな」

 

【GOD PARTS 1】指紋認証スタートスイッチ

窃盗団もお手上げ? の新世代盗難防止機能

先代のころから「盗難車ナンバーワンモデル」という不名誉な称号を獲得していたランクルが導入した新兵器です。3人までの指紋を登録できて、それ以外のユーザーがスタートスイッチをタッチしてもエンジンが始動しません。

 

【GOD PARTS 2】盗難防止グッズ

アナログアイテムで視覚的にもクルマを守る

撮影車には「ハンドルロック」と「タイヤロック」が搭載されていました。メーカーが用意してくれる広報車を長年借りてきましたが、初の経験です。物理的な盗難防止グッズというのは、窃盗団に心理的な抑止力をかけられて効果的です。

 

【GOD PARTS 3】10速AT

ゴツい見た目でスムーズな変速を実現

ATは段数が多いほど変速時のつながりが滑らかになりますが、10段というのはなかなかレアです。まあATなのでシフトチェンジは機械が行ってくれますが、MTだったら大変なところでした。脇には副変速機の操作レバーなどもあります。

 

【GOD PARTS 4】後席用コントロールパネル

ボタンも数多く高級車らしい

車幅がかなり広いクルマなので、フロントシート間にあるセンターコンソールボックスも大型です。両開き構造のため後席からでも使いやすく、デザイン的にも重厚な雰囲気ですが、背面にはボタンがたくさんあって高級車らしいです。

 

【GOD PARTS 5】ドライブモードダイヤル

アナログ感覚の操作でモードセレクト

ドライブモードは「AUTO(自動調整)」「DIRT(未舗装路)」「SAND(砂地)」「MUD(泥濘路)」「DEEP SNOW(深雪路)」「ROCK(岩場)」があり、路面に合わせて6つのモードからセレクトできます。ダイヤルや上下のボタンで設定しますが、ダイヤルというのはアナログ感があって良い感じです。

 

【GOD PARTS 6】アンダーフロアビュー

激烈な悪路では足下を確認して走る

ディスプレイに車体下の画像「アンダーフロアビュー」を表示できます。これが何のために必要かといえば、悪路を走る際に路面の凸凹や前輪の位置などを確認するためです。相当な荒地でも安全に配慮しながら走行できるのです。

 

【GOD PARTS 7】エンジン

排気量を小さくして環境性能を向上

SUVにピッタリの個性を持つディーゼルエンジンと、ガソリンエンジン(写真)が設定されています。後者は先代型より排気量が減って3.5LV6になりました。アクセルを踏み込むと多少ウルサイですが、そのぶん環境性能は良いと思います。

 

【GOD PARTS 8】スペアタイヤ

シティ派を気取りつつも車体下にしっかり搭載

オフローダーながら、スペアタイヤをボディ背面ではなく車体後部のボディ下に搭載しています。ジムニーやパジェロなどとは違い、そこは都会的なスタイルを崩さないようです。ただ、車高が高いので取り外しはラクそうです。

 

【GOD PARTS 9】3列シート

ミニバンから乗り換えても安心

車内への乗り込み方など、ミニバンと比べると利用しにくい部分はありますが、3列シートの存在を頼りにミニバンから乗り替えるユーザーもいるようです。電動収納式で荷室側からボタン操作で完全収納できます。

 

【これぞ感動の細部だ!】フロントデザイン

何本もの水平ラインで重厚さをアピール

オフロード走行が得意なクルマですが、高級車ということもあって、重厚に何段も組まれた大型グリルが採用されています。人を寄せ付けないオラオラさがありながら、シャープで品格のようなものも感じられます。かなり凸凹していそうですが、実際に触れてみると意外と平坦でした。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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探偵ナイトスクープを通じて亡き父親が関わった愛車を入手!お笑いコンビ「レインボー」池田のちょっと泣けるクルマ選び

人生初となるクルマ選びは、大きな決断となることに間違いはありません。そんな重大な決断をテレビ番組に委ねたのが今回、お話を聞いたお笑いコンビ「レインボー」の池田直人さん。「芸人さんだから、ネタのためだからでしょ!」と早合点することなかれ。番組に依頼した裏側には、亡き父親の知られざる思い出を探るという理由もあったのだ。

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:手束 毅)

 

●レインボー 池田直人/1993年大阪府生まれ。NSC東京18期生。日本テレビ系列「ぐるぐるナインティナイン」おもしろ荘で優勝するなど、お笑い芸人として活躍。単独ネタライブなどを定期的に開催している

 

酔った勢いで『探偵!ナイトスクープ』へ応募

——まず聞きたいのが、なぜ番組に依頼されたかということです。池田さんは関西圏で絶大な人気を誇り、視聴者からの依頼を探偵局員が調査し解決する『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)へ「他界した父は、単身赴任中、クルマの部品を作っていたそうです。初めて購入するクルマは、父の作った部品が使われたクルマがいいので、探すのを手伝って欲しい」と依頼されていましたよね?

 

池田 まず、大前提として僕も亡くなった父さんもあの番組が大好きだったんです。僕は配信サイトで過去、放映された番組を全部見返すくらい好きで、視聴者からの依頼を一緒に調査してくれる素敵な番組やなあと。応募する直接の理由は、自動車免許を昨年3月に取ったんですよ。

僕のまわりは自動車免許を持っていてもクルマを所有していないペーパードライバーばかり。せっかく免許を取ったのにクルマを買わないと僕もペーパドライバーになってしまうと購入に向けて探しはじめていたんです。

どんなクルマを買えばいいかと探すうち、ふと「亡くなった父さんがクルマの製造に関わる仕事をしていたなあ」みたいなことを思い出したのですが、それはちょうど番組を観ていたときのことでした。

あの番組って最後に「視聴者からの募集で成り立っています」ってエンドロールが流れるじゃないですか。なら、番組で父さんが関わったクルマを探してもらおうと思いついたんです。

ただ、自分が芸人なので躊躇もしました。でも、ちょっと酒が入っていたので「よし、応募しちゃえ」と依頼文を作ってすぐに送ったんですよ。

まあ、採用されなくていいや、くらいに思っていたんですけど、別の収録でテレビ局に入っていた時に楽屋をコンコンとノックされ「『探偵!ナイトスクープ』のもんです」みたいな感じでスタッフさんがいらっしゃいました。

 

——依頼されるときお名前も芸名を名乗ったのですか?

 

池田 はい、レインボーの池田ですと名乗り応募しました。なので「本当に依頼文を送られましたか? もしかしたらあなたの名前を使って応募した人がいるかもしれないですよ」とスタッフさんから問い合わせされましたが、いや、俺が送りましたと。僕のマネージャーや相方も知らなかったので、いつの間に送ったんやと驚かれました。

 

——芸人の方が番組に依頼されたと聞くと、出演がすでに決まっていたと思ってしまいますがそうではなかったのですね。

 

池田 そうではなかったです。でも最初、僕は芸人ですという態度をとるつもりだったんですけど、実際に後で番組を観たら芸人感なさすぎて……。テレビ画面の中に映っていたのは普通の好青年でした(笑)。

 

——お笑いの世界に入って一番のサプライズだったのではないかと思いますが、採用された時どうでしたか。

 

池田 「え? やった! 僕でいいっんすか」みたいな感じでした。採用されなくて当たり前ぐらいに思っていたので、めっちゃうれしかったです。

 

——番組では、お父様がお亡くなりになった時、池田さんのお母様がパニックとなり遺品となるものを全て処分されたとお話されていました。実際、番組のスタッフが来た時、お父様がどこで働いていたなど、どれくらい理解していましたか。

 

池田 実は父さんの仕事内容はあまり知らなかったんです。転勤とか仕事を転職したとか、九州にある工場へ技術を教えに行っていたくらいは聞いていたのですが……。

 

——番組のスタッフがお父様の会社を突き止め、実際に工場へ訪問されていましたね。作業されていた工場へ行った時はどういう心境でした?

 

池田 もしかしたら父さんは僕に適当なことを言っただけで嘘かもしれないと不安を抱える中、大勢のスタッフさんを連れて行くのが申し訳なさすぎて……。もし、職種が違っていたり、職場が見つからなかったらどうしよう、というプレッシャーの方が強かったですね。

もう10年前くらいの記憶だったので、間違っていたどうしようかな、みたいなのが収録中はずっと付き纏っていました。

 

父が関わったクルマはレクサスCT200hだった!

——お父様がクルマの金型、詳しくいうと「レクサスCT200h」のフロントガラスのフレームに関わる金型を作っていることがわかりました。生前、お父様は仕事の話をすることはなかったのでしょうか。

 

池田 全然しなかったですね。本当に家庭に仕事のことを持ち帰るような父親じゃなかったので。唯一聞いたのが「クルマを作ってんで」くらいの話。クルマの金型や何かっていうことは言っていたのですけど、ちっちゃいながらに覚えているのが「俺が関わったクルマが世の中を走ってる」。それだけの言葉を握りしめながら収録に挑んでいました。

 

——お父様が仕事で関わっていたクルマを買えば、お父様が触っていた部品が必ず使われている、と番組でお話されていましたがある意味“形見“とのいえる車種がわかりました。番組のスタッフが車両を販売している中古車屋さんまで見つけましたが、対象となるクルマがレクサスCT200hと聞いても、あまりピンときていないようでしたね。

 

池田 レクサスCT200hとざっくり聞いても、「ああ、レクサスといえば高級車だな」と、それだけはわかりました。実際に車両を見せてもらったときも、値段を最初に教えてくれなかったので「えっ、レクサスを買うのは無理やで……」、とずっと心の中で思っていました。

高級車がどれくらいの価格相場なのかもわかっていなかったんですよ。中古車だから相場は300万円くらいじゃないかだとか、もしかしたら500万円って言われるかもしれないなと。だから放送を見た方ならわかると思いますが「150万円です」といわれたときにすごく安堵しているんですよ、僕(笑)。この値段ならなんか頑張れそうだなと。そのときはそんな感情でしたね。

探してもらったクルマが高すぎたらどうしようと。でも、これだけみんなで中古車屋さんに来ているから買わないわけにはいかないな、って感じでした。

 

——たしかに、レクサスといえば高級車のイメージですもんね。

 

池田 あの番組のスタッフさんが凄いのは、その場でいろいろと調べてくれるんですよ。「ここの中古車センターにはクルマがありそうだからここに行きましょう」みたいな感じで、父親が働いていた工場がある福岡県の飯塚から久留米までクルマで1時間ぐらいかけて行ったんです。

「レクサスCT200hを見つけましたよ! しかも10年前に走っていたもので親父さんが金型を作っていた時期の車両なので、もう(依頼され希望していたクルマ)そのまんまっすよ!」って。

 

——実際にクルマを見たときの印象はどうでした?

 

池田 やった、見つかったと。しかも父さんが働いていた時期に作られたものだと聞いた上でお店に行ったら、ボディカラーが真っ赤。「え、赤!」というのが第一印象でした(笑)。よりによって赤っすか、みたいな。もっと目立たないシンプルなカラーでよかったのに、というのが第一印象です。

 

——ボディカラーは別として外観やサイズなどいかがでしたか。

 

池田 レクサスと聞いた時、運転免許を取って間もなく、しかも運転に慣れていないのでボディが大きかったら嫌だなというのがあったんですが、いざ車両を見たら何か本当にかわいらしいいい感じで、乗りやすそうだなという印象でした。

実際、乗ってみても運転しやすくて小回りが利くしハイブリッド車で静かやしと、何かいいとこだらけだなって感じがして、めちゃくちゃ気に入りました。

 

実はクルマへのこだわりは……

——人生初となるクルマを手に入れたわけですが、池田さん的に手に入れたかったクルマへのこだわりはなかったのでしょうか?

 

池田 実は、薄々お気づきかもしれないですけどクルマに興味があまりなくて……(苦笑)。将来子どもができたらミニバンに乗りたいなとかのイメージはあったんですけどね。

今は中古車やし、父さんの形見とも言えるこのクルマで運転やクルマに慣れていこうかなと思っています。正直、番組でレクサスというブランドを出されてもピンとこなかったぐらい全然クルマに疎いので……。

 

——なるほど、池田さんくらいの年代だとクルマ好きと話すとオタクだと認識されるとも聞きますもんね。子どものころ、亡くなったお父様とドライブに行かれることはありませんでした?

 

池田 めっちゃあります。父さんはクルマだけでなく、ずっとバイクに乗っていたので、後ろに乗っけてくれたりとか。2人とも温泉大好きだったので、夜8時ぐらいに父さんが仕事から帰ってきて「今から温泉に行くけど一緒に行くか?」と2人でクルマに乗って出かけたり。そういう感じで、父さんとドライブはよくしていた記憶があります。

 

——話を番組の取材時に戻しますが、実際にお父様が働いていた工場に足を踏み入れた時、どう感じましたか。

 

池田 工場で製造現場も見せてもらったのですけど、鉄を敷いて上からプレス機で“バコン”と金型を作るみたいな感じの工場でした。迫力に圧倒されましたね。その際、社員の方が言っていたのですけど、僕が金型を作るところに立たせてもらったら「マジで親父さんみたいですね……」とみんな目がうるうるしてきたんですよ……。

今でもそんなに慕われているほどしっかり働いていたんやなと。いまスマホの待ち受け画像はその金型工場で撮った写真なんですけど、ここで親父は働いていたんやなと、僕も仕事を頑張りたいという熱量は入りました。

↑お父さんが働いていた工場の写真を今でも待ち受け画面にしている

 

——番組をきっかけにクルマをその場で購入することになりました。番組の収録が昨年の6月、実際に手元に届いたのが8月でしたよね。

 

池田 購入時はもちろん、その後も駐車場が見つかってなくて購入後の手続きが進まなかったんですよ。それでマンションの下の駐車場が空くかもと、抽選待ちみたいな感じで待っていたのですが、見事8月の頭に当たって。じゃあ車庫登録もできるし早く車両を持ってきてくださいとお願いしました。マンションの駐車場が契約できたのはラッキーでしたね。

 

——納車されたとき、初めてのドライブをレインボーのYouTubeチャンネル(レインボーサブチャンネル)で収録・公開していましたよね。

 

池田 初めて運転した時はめっちゃ怖かったです。いきなり海に行こうみたいな感じになったので、無事に辿り着けるんかな、と。本当に何を触っていいのかわからず、クルマ特有のこれなんのボタンやみたいな。かなり戸惑いましたね。

 

——確かガソリンスタンドで給油をした後、目的地の海辺にある駐車場に停めた時、ボンネットが開いていたような……。

 

池田 僕は気がつかなかったのですが、そうらしかったです。ボンネットだけでなく、給油口のカバーがずっと開いてもいました。いらんところをいっぱい触っちゃいましたね。

 

——納車されてから約半年経ちましたが、もう運転には慣れましたか?

 

池田 はい、慣れました。ガソリンスタンドも、ちっちゃいころから両親の運転に同行していたのでやり方を覚えていたのか、いまはセルフでの給油も全然大丈夫です。ただ、年明けにガソリンスタンドを出るとき縁石にクルマのリアドアとフェンダーを擦ってしまいました……。そのことをSNSに上げたらけっこう反響があって、お笑いライブでもいじられぱなしでした(苦笑)。

 

——けっこうクルマの運転はされているのですか?

 

池田 そうでもなくて週1、2回くらいです。自宅からライブを行う埼玉県の大宮や千葉県の幕張にある劇場までの移動が主な目的です。初めて首都高乗った時は怖かったですが、運転自体もう慣れました。むしろ、首都高よりも細い道のほうが不安を感じます。以前、友達の家に向かうとき細い道に入っちゃって、大変な思いをしたんですよ。東京の住宅地は、ほんとうに道が細いし一方通行が多いので大変です……。また、渋滞に1回はまりましたけど、なんか嬉しかったです。ああ、これが渋滞だな、初渋滞だと(笑)。

 

——クルマを擦った以外でトラブルはとくになかったですか?

 

池田 気がつかないうちに、ヘッドライトをハイビームにしていたらしく、前のクルマを煽っていると勘違いされたことがありました。前に停車していたクルマが、信号が赤から青に変わっても全然進まなくて、警告音を鳴らしたら運転手が降りてきて「ねえ、ライトが眩しいの、わかってる?」って。最初、意味が全然わからなくて戸惑っていたら、「ああ初心者か、じゃあいいや」みたいな感じで戻っていったんですけど、それはめっちゃ怖かったです。

 

マジでドライブデートがしたい!

↑この部分のパーツの一部をお父さんが作っていた

 

——クルマを所有したことで、いままでとは世界が変わった!なんて感じることはありますか。

 

池田 移動手段が公共交通機関やタクシーだけでなく、新たに1つ増えたことで行動範囲が広がりましたね。深夜に友達に会いに行けたり、サウナが好きなんですけど入った後は電車に乗りたくないんじゃないですか。それもクルマがあることで解決できるのがうれしかったりと、生活がすごく優雅にはなりました(笑)。

ただ、クルマの維持費は高いです……。月極の駐車料金や自動車の保険はめっちゃ高いっすね。こんなにかかってしまうんだと驚きました……。

 

——確かに維持費は高いですよね……。そういう意味ではクルマを持ったことはプラスマイナスでいうとどうでしょう?

 

池田 将来子どもができたときとかにミニバンを買ったとして、そこで初めて運転をするのは怖いし、彼女できたとき、いきなりレンタカーを借りてドキドキしながら運転するのは恥ずかしいので、このクルマを購入したことは将来への投資やと思ってるんですよ。なのでプラスではあると思っています。

 

——さっきから家族ができたらミニバンと、繰り返されてますね(笑)

 

池田 確かに、めっちゃ言ってますね(笑)。自分の両親はほんと仲が良くて、その影響で家族を持ちたいという願望は強いかもしれません。

小さいころ、月に何度かおばあちゃんの家に1人で行かされることがあったのです。当時は僕のお出かけできるための訓練だと聞かされていましたが、いま思えばきっと両親二人で旅行などに行っていたのかもしれないですね。微笑ましいです(笑)。

 

——先ほど、ライブ会場までクルマで向かうと話されていましたが移動中にネタを考えるなどされることはあるのですか。

 

池田 まだ運転に集中しないといけないという意識が高いので、そこまでの余裕はないですね。ただ、運転すると性格が変わるとよく聞くんですけど僕は変わらなくて、なんなら人を乗せた時はトークスキル上がるぐらいの感じなんですよ。

普段だと何かこういう話をしようかなとか、次はこうした方がいいかなと頭の中で組み立てながら話していたりとか、あの話をしたいなとかよぎる瞬間があるのですが、集中して運転してると思ったことをポンポンポンと言えたりとか。

同乗しているみんなも運転手にちょっと優しくなる気がしてくれて、なんか逆に話しやすいなとかは感じています。

 

——クルマに芸人さんなどを同乗させることは多い?

 

池田 あんま喋ったことがない後輩とかを、劇場から新宿まででよければみたいな感じで乗せると、電車では話せない会話を車内でできるんですよ。乗せたコから僕があまり知らない芸人についての話を聞くと、それは面白いな、そいつと今度しゃべりたいな、みたいに劇場からの帰りが楽しくなりました。

 

——ドライブデートもやるようになったとか?

 

池田 ほんと、このクルマにまだ女の子を乗せていないんですよ……。マジでドライブデートしたいですね。

ただ、僕がクルマを購入してやりたかったのが幕張の劇場までみんなを乗せたりとか、羽田空港とかもみんなで一緒に移動できると楽やな、とかだったんですよ。そういう意味ではやりたいことをやれているし、クルマが一種のコミュニケーションツールになっているなという感じがしました。

今後、クルマでやってみたいことは、北海道とかに行くとき、みんなとクルマをフェリーに乗せて目的地を周り、帰りはまたクルマに乗って帰るみたいなことですね。楽しそうだなと。

 

——デートではないですが、池田さんといえばお母様を大切にされていることでも有名です。このクルマにお母様を乗せてドライブされたことはないのですか?

 

池田 大阪の実家に帰った時、駅までクルマでお母さんが迎えに来てくれた時、実家のクルマを運転したことはあります。ただ、このクルマではまだないですね。

自分のクルマを大阪まで運転して帰るのが辛そうだし、また大阪からの帰りはもっと辛そうだし。なによりまだお母さんが僕の運転を怖がるんですよ……。このクルマでお母さんとのドライブはまだタイミング的に早いかと。

 

——最後に、番組を通して購入したクルマですが今後、どのように付き合おうと思っていますか? 簡単には手放せないですよね?

 

池田 いやでも、10年前のクルマだし、車検が2年に1回ですよね。今後、車検のタイミングで買い換えるかもしれません。

 

——え? まだ走行距離はたしか2万kmそこそこですよね。まだ当分乗れますよ。

 

池田 そうなんですか! じゃあ見積もりが高くて躊躇している擦ったボディを綺麗にしようかな。でも、家族ができたらミニバンに即、買い替えます(笑)。

 

 

 

【日産氷上試乗会レポート】雪道でラクに速く走れる「ノート e-POWER 4WD」の実力とは?

長野県・女神胡で日産自動車(以下、日産)が主催するメディア向け氷上試乗会「NISSAN Intelligent Winter Drive」が開催されました。真冬のど真ん中、1月に最新の「ノート e-POWER」や「GT-R」など日産の最新技術が詰まったクルマたちに一気乗りできるこのイベント、ツルツルと滑る氷上&雪上で日産車たちがどう制御して立ち向かうか、体感して参りました。

↑前輪駆動の「ノート オーラ NISMO」。e-POWERによる減速効果は雪道で絶大な効果を発揮した

 

氷上&雪上の環境下で駆動方式やシステムの違いを体感

このイベントの目的は、次世代パワートレーンの普及を目指す日産が、駆動方式やシステムの違いによって、氷上や雪上という運転が難しい環境下でクルマの挙動や運転のしやすさがどう変化するのかを体験することにあります。雪道で“滑る”こと自体、公道走行では危険をはらむわけで、そうしたクルマの挙動を存分に体感する機会はそう簡単に得られるものではありません。今回、限定エリアコースを設定することでその体験ができる、極めてユニークで貴重な走行会として準備されたのです。

↑氷上試乗会NISSAN Intelligent Winter Driveで使用された試乗車たち

 

用意されたコースは外周路をメインとして、スラロームや円形コースがあり、それぞれに特徴のある体験が行えるようプログラムされていました。

氷上試乗会「NISSAN Intelligent Winter Drive」会場全景

 

この試乗会で一番の注目は、ノートとノートオーラに設定されたe-POWER 4WDの体験走行です。ノートもノートオーラも1.2Lエンジンで発電してモーターで車輪を駆動するシリーズ型ハイブリッド方式を採用します。そのメリットは電気モーターを駆動することで、ガソリン車よりもはるかに緻密なトルク制御が行えることにあります。その制御は1万分の1秒単位で行われ、状況に応じて最適なトルクを配分できるようになり、滑らかな走りに貢献するというわけです。

↑後輪重視の制御が的確な挙動を生み出していた「ノート オーテック クロスオーバーFOUR」

 

ノート/ノートオーラは共に前輪駆動(FF)を基本としながら、e-POWER 4WDでは後輪も電気モーターで走行していることが見逃せません。先代ノートのe-POWERでも4WDはラインナップされていましたが、新型ではこの後輪用電気モーターのパワーを大きく増強した電動パワートレーンが搭載されたのです。

 

その後輪用モーターのスペックを先代と比較すると明らかな違いがあります。先代は最高出力4.8PS、最大トルク15Nmにとどまり、それはあくまで雪道などでの発進を補助するためのシステムでしかありませんでした。それが新型では最高出力68PS、最大トルク100Nmと大幅に増強され、このパワーが速度域を選ばず、前後輪の挙動に対して緻密なコントロールを可能にしたのです。

↑後輪の電気モーターにより雪上でもパワフルな走りを発揮する「ノート e-POWER 4WD」。写真は「ノート オーテック クロスオーバーFOUR」

 

想像以上に扱いやすくスムーズに走れた「e-POWER 4WD」

ノートオーラで走ってみると、この制御がうまく働いているせいもあり、クルマの挙動に唐突感がなくとてもコントロールがしやすい。ステアリングを切って雪上で滑り出しても慌てることなく冷静に対処でき、コーナリングごとにチャレンジする方法を変えてみる余裕も生まれたほどでした。また、アクセルを強めに踏み込んでもシステムが路面状態を把握しながら瞬時に細かく制御してくれるので、十分なパワーを感じながらスムーズな発進ができたのです。

 

ノート/ノートオーラの雪上走行ではe-POWERによる回生ブレーキ(e-Pedal)も大きな効果を発揮してくれました。ブレーキをかけるのとは違い、タイヤが雪上でロックすることなくスムーズに、しかも確実に減速できたのです。雪道では減速が思うようにできず、慌ててブレーキを踏んで制御不能となることがあります。このe-Pedalを使うことでそうした状況に陥ることはほとんどなくなるのです。まさにe-POWERの制御が、特に今回のような雪上で大きな安心感を生み出してくれたと言っていいでしょう。

↑外周路で「ノート」e-POWER 4WDの巧みな挙動を体験中の筆者

 

ノート/ノート オーラのe-POWERは、FFモデルでも高い走破性、安定性を実現していました。アクセルをオフにした時のe-Pedalで得られる確実な減速は、ここでも大きな安心感を生んでくれており、これはおそらく先代の4WDよりも確実に停止できるのではないでしょうか。

 

ただ、発進では4WDとの差を実感させます。4WDモデルでは後ろから押し出すようにスムーズに、しかも力強く発進してくれましたが、FFモデルでは少し強めに踏み込んだだけで前輪が空転して前へ進むことができなかったのです。その意味でも4WDモデルは雪上で圧倒的にスムーズかつラクに、しかも速く走ることができました。その安定感には大きな差を実感した次第です。

横滑り防止装置をオフにして円形の氷上路をグルグルと回る「ノート e-POWER 4WD」

 

安定した挙動で安心感のある走りを見せた「GT-R」

続いて日産が誇るスーパースポーツカー「GT-R」に試乗してみました。このクルマ、お値段はベースグレードでも1000万円を超える知る人ぞ知るクルマですが、今回の試乗で用意されていたのは、世界最大級のカーボンセラミックブレーキを搭載した特別仕様車「GT-R プレミアムエディション Tスペック」です。こちらのお値段は1590万4900円(税込)! まさにスーパースポーツカーを氷上で体験試乗することができたのです。

 

凄まじいパワーを発揮するだけに、最初は恐る恐るアクセルを踏み込んだわけですが、実際に走り出せば想像以上にコントロールがしやすいのにビックリ! 4WDであることもあって、クルマの状況が把握しやすく、アクセルを踏み込んでも後輪でしっかりと前へ進みます。一方で、テールが滑る状態になると駆動力が前輪にも配分されて車両を安定へと向かわせてもいました。

↑凄まじいパワーを発揮する「GT-R」だったが、予想に反してコントロールがしやすかった

 

ただ、後輪駆動である「スカイライン GT」ではコントロールはかなり難しかった印象です。エンジンがハイパワーであるターボ仕様ということもあって、アクセル操作をかなり伸長に行わないとステアリング操作をしても追いつかず、アッという間に向きが変わってしまいました。駆動方式の違いが明らかに違う挙動を示すことを身を以て体感できたわけです。

↑後輪駆動らしい挙動により雪道でのコントールは難しかった「スカイライン GT」

 

この日は日産が展開する幅広い駆動方式を、雪上&氷上で体験したわけですが、改めて「e-4ORCE」と同じ思想で開発されたe-POWER 4WDの実力の高さを思い知らされました。e-4ORCEは間もなく本格的に市場投入される日産「アリア」にも搭載されます。アリアはどんな走りを見せてくれるのでしょうか。その登場がますます楽しみになってきました。

 

 

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国産車らしい独自性が魅力のスバル「BRZ」、トヨタ「アクア」の新車をレポート!

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、国産らしい独自性が際立つ2モデル。SUBARU「BRZ」は、いまや世界的にも希少な後輪駆動クーペ。トヨタ「アクア」は、自慢のハイブリッドシステムに一層の磨きがかかっている。両車とも、まさにいまが旬のニューモデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【No.1】自然吸気エンジンが生む操舵性の高さが秀逸!

クーペ

SUBARU

BRZ

SPEC【S(6MT)】●全長×全幅×全高:4265×1775×1310mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:2387cc水平対向4気筒DOHC●最高出力:235PS/7000rpm●最大トルク:25.5kg-m/3700rpm●WLTCモード燃費:11.9km/L

 

新しい2.4Lエンジンは積極的に操りたくなる!

新型BRZは、先代とほぼ変わらないサイズのボディに後輪駆動(FR)レイアウトを継承。また、エンジンは自然吸気の水平対向4気筒を搭載する世界的にも希少なコンパクトクーペだ。先代と大きく違うのは、そのエンジンが2Lから2.4Lに排気量を拡大されたことだが、走らせればそれがよくわかるほど余裕を感じられる。

 

パワー、トルクともにアップしたことで扱いやすさが増しているのはもちろん、何よりもうれしいのは、積極的に回す喜びが見出せること。アクセル操作に対する自然な反応も、自然吸気エンジンならではだ。ターボなどの過給機付きが当然の現在では、このエンジンだけでも味わう価値は十分にある。

 

それを受け止めるシャーシ回りも、先代より格段に洗練度が増した。スポーティでいながら、決して乗り心地が荒くない点はオトナのクルマ好きも納得の出来映え。FR駆動、という点まで含めればまさにクルマへの感度が高い幅広い層にオススメできる。

 

[Point 1]先代のイメージを踏襲しつつ質感はアップ!

全体の佇まいは先代のイメージを継承しつつ、外観はクーペとしての質感が向上。グレードはRとSの2タイプで、ボディカラーは写真のレッドを含めて合計7色を揃える。

 

[Point 2]いまや貴重な自然吸気の2.4L

先代の2Lに代わり、新型では排気量を2.4Lに拡大した自然吸気の水平対向4気筒を採用。ターボが主流の現代にあっては、もはや貴重な存在だ。

 

[Point 3]クーペとしては実用的な広さが確保

トランク容量は237Lと、2人分程度の荷物なら十分に収容できる広さ。後席を畳めば長尺物やスポーツ走行用のタイヤなども積むことができる。

 

[Point 4]室内はスポーティなブラック基調

室内はスポーツクーペらしい、適度なタイト感を演出。後席は完全な非常用だが、前席の広さは必要にして十分。液晶ディスプレイのメーターは、走行モードに応じて表示が変わる。

 

[ラインナップ]

R:2.4L/2WD/6速MTまたは6速AT/308万円(税込)【324万5000円(税込)】

S:2.4L/2WD/6速MTまたは6速AT/326万7000円(税込)【343万2000円(税込)】

●【 】内は6速ATの価格

 

 

【No.2】新型はハイブリッド専用モデルらしさを実感!

ハッチバック

トヨタ

アクア

SPEC【Z(2WD)】●全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm●車両重量:1130kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒DOHC+電気モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:33.6km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

ダウンサイザーを意識した充実装備と高い質感も嬉しい

プリウスの弟分だった初代の登場から約10年。トヨタ内でも多くの車種にハイブリッドが用意され、なかでもヤリスとの差別化を明確にする必要に迫られたアクアは、この新型でよりダウンサイザーに配慮したクルマになった。

 

ホイールベースと全高を拡大し、後席の居住空間をより広く確保すると同時に、ややチープだった内外装も質感が大幅に向上。その結果、新型は車格が上がった印象を受けるほど。乗り心地も快適性重視に味付けされているが専用のスウィングバルブダンパーを備えた「Z」だけは、欧州車のようなキビキビとした走りが楽しめる。装備面では、トヨタのコンパクトカー初の10.5インチ大型ディスプレイオーディオやヘッドアップディスプレイ、電子制御インパネシフトの設定も新しい。最新の予防安全パッケージはもちろん、ボタン操作で全自動駐車する「アドバンストパーク」も秀逸だ。

 

エンジンとモーターはヤリス系と共通だが、大きな電流を瞬時に出せるバイポーラ型ニッケル水素バッテリーの採用が効いて、瞬発力は段違い。加速の鈍さに閉口した初代とは別物になった。さらに、降雪地ユーザー待望の4WDがようやく設定されたのも朗報だ。

 

時代の要望を積極的に取り入れたアクアが、人気なのも頷ける。

 

[Point 1]ホイールベースは先代より50mm延長

ボディサイズは先代と変わらないが、ホイールベースは50mm拡大。外観は上質感を高めるとともに、一層伸びやかな佇まいになった。基本骨格にもトヨタ最新のTNGAを採用。

 

[Point 2]ハイブリッドはさらに高効率に!

ハイブリッドシステムには、最高レベルの熱効率を誇る1.5Lエンジンやバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載。2WDのWLTCモード燃費は33.6〜35.8km/Lと高いレベルを実現する。

 

[Point 3]荷室は必要にして十分な容量

荷室容量は205〜691L。コンパクトなハッチバックとしては、必要にして十分な容量が確保されている。2WDのフロアは、高さも変えられる仕様となり、使い勝手の良さも上々だ。

 

[Point 4]サイズはそのままに室内を拡大

ホイールベースを50mm拡大したことで、特に後席は居住空間が拡大。グレードによっては、シート表皮のデザイン性が高くなった。

 

[Point 5]室内もクラスレスといえる質感に

コンパクトカーに相応しい使い勝手を確保しつつ、室内はクラスを超える上質感も追求されている。トヨタのハイブリッド車を象徴するシフトセレクターも新意匠に変更された。

 

[ラインナップ]

B:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/198万円(税込)【217万8000円(税込)】

X:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/209万円(税込)【228万8000円(税込)】

G:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/223万円(税込)【242万8000円(税込)】

Z:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/240万円(税込)【259万8000円(税込)】

●【 】内は4WD(E-Four)の価格

 

文/小野泰治、岡本幸一郎 撮影/市 健治、小林俊樹

 

 

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新型「アクア」は車格が上がった印象で、ハイブリッド専用モデルらしさを実感!

今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、トヨタ「アクア」。自慢のハイブリッドシステムに一層の磨きがかかっている、まさにいまが旬のニューモデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ダウンサイザーを意識した充実装備と高い質感も嬉しい

ハッチバック

トヨタ

アクア

SPEC【Z(2WD)】●全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm●車両重量:1130kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒DOHC+電気モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:33.6km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

プリウスの弟分だった初代の登場から約10年。トヨタ内でも多くの車種にハイブリッドが用意され、なかでもヤリスとの差別化を明確にする必要に迫られたアクアは、この新型でよりダウンサイザーに配慮したクルマになった。

 

ホイールベースと全高を拡大し、後席の居住空間をより広く確保すると同時に、ややチープだった内外装も質感が大幅に向上。その結果、新型は車格が上がった印象を受けるほど。乗り心地も快適性重視に味付けされているが専用のスウィングバルブダンパーを備えた「Z」だけは、欧州車のようなキビキビとした走りが楽しめる。装備面では、トヨタのコンパクトカー初の10.5インチ大型ディスプレイオーディオやヘッドアップディスプレイ、電子制御インパネシフトの設定も新しい。最新の予防安全パッケージはもちろん、ボタン操作で全自動駐車する「アドバンストパーク」も秀逸だ。

 

エンジンとモーターはヤリス系と共通だが、大きな電流を瞬時に出せるバイポーラ型ニッケル水素バッテリーの採用が効いて、瞬発力は段違い。加速の鈍さに閉口した初代とは別物になった。さらに、降雪地ユーザー待望の4WDがようやく設定されたのも朗報だ。

 

時代の要望を積極的に取り入れたアクアが、人気なのも頷ける。

 

[Point 1]ホイールベースは先代より50mm延長

ボディサイズは先代と変わらないが、ホイールベースは50mm拡大。外観は上質感を高めるとともに、一層伸びやかな佇まいになった。基本骨格にもトヨタ最新のTNGAを採用。

 

[Point 2]ハイブリッドはさらに高効率に!

ハイブリッドシステムには、最高レベルの熱効率を誇る1.5Lエンジンやバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載。2WDのWLTCモード燃費は33.6〜35.8km/Lと高いレベルを実現する。

 

[Point 3]荷室は必要にして十分な容量

荷室容量は205〜691L。コンパクトなハッチバックとしては、必要にして十分な容量が確保されている。2WDのフロアは、高さも変えられる仕様となり、使い勝手の良さも上々だ。

 

[Point 4]サイズはそのままに室内を拡大

ホイールベースを50mm拡大したことで、特に後席は居住空間が拡大。グレードによっては、シート表皮のデザイン性が高くなった。

 

[Point 5]室内もクラスレスといえる質感に

コンパクトカーに相応しい使い勝手を確保しつつ、室内はクラスを超える上質感も追求されている。トヨタのハイブリッド車を象徴するシフトセレクターも新意匠に変更された。

 

[ラインナップ]

B:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/198万円(税込)【217万8000円(税込)】

X:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/209万円(税込)【228万8000円(税込)】

G:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/223万円税込(税込)【242万8000円(税込)】

Z:1.5L+電気モーター/2WDまたは4WD/電気式無段変速/240万円税込(税込)【259万8000円(税込)】

●【 】内は4WD(E-Four)の価格

 

文/岡本幸一郎 撮影/小林俊樹

 

 

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スバル新型「BRZ」は、自然吸気エンジンが生む操舵性の高さが秀逸!

今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、国産らしい独自性が際立つクーペ。SUBARU「BRZ」は、いまや世界的にも希少な後輪駆動クーペで、まさにいまが旬のニューモデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

新しい2.4Lエンジンは積極的に操りたくなる!

クーペ

SUBARU

BRZ

SPEC【S(6MT)】●全長×全幅×全高:4265×1775×1310mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:2387cc水平対向4気筒DOHC●最高出力:235PS/7000rpm●最大トルク:25.5kg-m/3700rpm●WLTCモード燃費:11.9km/L

 

新型BRZは、先代とほぼ変わらないサイズのボディに後輪駆動(FR)レイアウトを継承。また、エンジンは自然吸気の水平対向4気筒を搭載する世界的にも希少なコンパクトクーペだ。先代と大きく違うのは、そのエンジンが2Lから2.4Lに排気量を拡大されたことだが、走らせればそれがよくわかるほど余裕を感じられる。

 

パワー、トルクともにアップしたことで扱いやすさが増しているのはもちろん、何よりもうれしいのは、積極的に回す喜びが見出せること。アクセル操作に対する自然な反応も、自然吸気エンジンならではだ。ターボなどの過給機付きが当然の現在では、このエンジンだけでも味わう価値は十分にある。

 

それを受け止めるシャーシ回りも、先代より格段に洗練度が増した。スポーティでいながら、決して乗り心地が荒くない点はオトナのクルマ好きも納得の出来映え。FR駆動、という点まで含めればまさにクルマへの感度が高い幅広い層にオススメできる。

 

[Point 1]先代のイメージを踏襲しつつ質感はアップ!

全体の佇まいは先代のイメージを継承しつつ、外観はクーペとしての質感が向上。グレードはRとSの2タイプで、ボディカラーは写真のレッドを含めて合計7色を揃える。

 

[Point 2]いまや貴重な自然吸気の2.4L

先代の2Lに代わり、新型では排気量を2.4Lに拡大した自然吸気の水平対向4気筒を採用。ターボが主流の現代にあっては、もはや貴重な存在だ。

 

[Point 3]クーペとしては実用的な広さが確保

トランク容量は237Lと、2人分程度の荷物なら十分に収容できる広さ。後席を畳めば長尺物やスポーツ走行用のタイヤなども積むことができる。

 

[Point 4]室内はスポーティなブラック基調

室内はスポーツクーペらしい、適度なタイト感を演出。後席は完全な非常用だが、前席の広さは必要にして十分。液晶ディスプレイのメーターは、走行モードに応じて表示が変わる。

 

[ラインナップ]

R:2.4L/2WD/6速MTまたは6速AT/308万円(税込)【324万5000円(税込)】

S:2.4L/2WD/6速MTまたは6速AT/326万7000円(税込)【343万2000円(税込)】

●【 】内は6速ATの価格

 

文/小野泰治 撮影/市 健治

 

 

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パイオニアが新たに放つ“会話するドライブパートナー”「NP1」って何だ? 

カーナビゲーションもドライブレコーダーもすべてが音声で使える! そんな画期的なシステムがパイオニアから登場しました。それが“会話するドライブパートナー”「NP1」です。なにやらパイオニアが1990年に発売した日本初のカーナビゲーション「AVIC-1」を彷彿させるような名称ですね。3月発売予定のNP1とはいったいどんなシステムなのでしょうか?

↑音声によるインターフェースですべての機能を完結するパイオニア「NP1」。音声コマンドを認識すると右側のスピーカー部が横一に光る。サイズ:W118×H36×D93mm(本体のみ)、重量:300g(付属品含まず)

 

音声インターフェースでナビ機能など操作のすべてを完結

これまでのカーナビゲーションといえば、ディスプレイがあって、そこに地図を表示して音声と共にルートガイドするのが基本スタイル。しかし、それらの操作は高機能化が進むほど複雑化し、実はそれがドライバーにとって大きなストレスとなっていました。そのストレスを音声によって解決しようと誕生したのが、今回のNP1なのです。

本体は小さめの弁当箱サイズ。これをフロントウインドウの上部に取り付け、電源はシガーソケットから取るだけ。それ以外に接続するものは何もありません。本体には前後2つのカメラを備え、これがドライブレコーダーとしての役割を果たします。音声でやり取りするためのマイクやスピーカーも内蔵したことで、音声認識によるインターフェースを実現しているのです。

↑フロントガラス越しから見たNP1、右のカメラで進行方向の映像を撮影。左奥には操作スイッチがあり、そこで音声モニターのボリュームを調整する

 

ポイントはこれらの機能すべてに通信を使っていることにあります。入力された音声を、サーバーにある高性能な音声認識エンジンが即座に理解し、あいまいなコマンドにも最適な対応をします。さらにサーバーにある最新のデータをリアルタイムに取得したり、NP1で撮影したデータをアップロードも可能。専用アプリ「My NP1」を活用しながら、常にサーバーとつながることでその能力をどんどん拡張できるのがNP1最大の魅力です。

↑NP1とクラウド経由でつながるための専用アプリが「My NP1」。クラウドにアップされた映像を見たり、スマホによるナビ機能も備える

 

あいまいなコマンドもクラウド側の音声エンジンが即座に理解

ではカーナビ機能を例にNP1のメリットを紹介しましょう。まずはカーナビで定番の目的地設定から。ここでは行きたい場所を音声でNP1に伝えるだけです。「NP1、○○へ行きたい」と発すると、NP1からは「直線距離で○km先に○○が見つかりました。ここへ行きますか?」と返してきます。ここで「はい」と答えれば目的地までのルートが探索されて案内がスタートします。基本操作はこれだけです。今までのカーナビのようにメニューを開いて、ジャンルやエリアでの絞り込みをする必要はありません。

↑NP1を車内に取り付けたイメージ。一見してドライブレコーダーのようにも見えるが、奥行きがあってそれよりサイズはずっと大きい

 

目的地探しでは、複雑なコマンドにも音声で対応できます。「○○が食べたい」「○系ラーメン店を探して」と音声で発すると、その内容を理解して候補を即座にリストアップしてくれるのです。また、“Retty”を使った評判の良いお店を探せるのもこの機能のポイントです。さらに目的地設定後に追加すれば、自動的に立ち寄り地点として登録されるのも便利ですね。

↑目的地を設定した後で、さらに目的地を追加すると経由地として自動設定される

 

案内中も音声によるインターフェースが大活躍します。分岐点に近づくと、走行すべき車線を交差点ごとに3つ手前から案内するので、初めての道でも余裕を持って対応できます。案内中に分岐点を知りたかったら「次どこ曲がるの?」と聞くだけで曲がるポイントまでの距離と方向を案内してくれ、もし聞き逃しても聞き返せば何度でも答えてくれます。これまでのカーナビのように、メニュー画面からコマンドを入力するといった煩わしい操作なしに使えるのです。

↑ルート案内中は分岐点までの距離や進むべき方向などを音声で行う。ここでは「160m先、白山上交差点を直進です」「1.1km先、信号を右方向です」となる

 

↑分岐点に近づくと、My NP1上では徐々に地図を拡大していく。音声では「この信号を右です」と案内する

 

案内中のルートは最新の交通情報を基に、一番早く目的地に到着する「スーパールート探索」にも対応し、目的地付近の駐車場も空き状況をリアルタイムに考慮して音声で案内してくれます。この機能で何より嬉しいのは、走行中でも簡単に目的地が設定できること。音声を使っていることで、今までのように設定のため、わざわざクルマを停止する必要がないんです。これは実際に使ってみるとその便利さをすぐに実感できると思います。

 

突然のアクシデントにもクラウド保存で録り逃しなし!

そして、その機能はカーナビだけにとどまりません。ドライブレコーダー機能では走行中の映像を前後2つのカメラで、前方はフロントガラス越しに、後方は車内越しに撮影してくれます。

↑車内側から真正面で見たNP1。左部分は車内から後方を撮影するカメラで、夜間でも鮮明に映し出せる(モノクロになる)よう赤外線機能も備える

 

アクシデントに遭遇して衝撃を検知すると、その映像は自動的に指定のスマホやクラウドにアップロード。慌てふためいているときでも確実にその映像を残しておけるのです。もちろん、一般的なドラレコと同じように気に入ったシーンを動画や静止画で残すこともできます。その時は音声で「動画を撮って」「写真撮って」と告げるだけ。後からいつでもスマホ側から見られるようになるのです。

 

ドラレコ機能に通信が伴ったことで便利! と感じるのが駐車監視です。今まではクルマに戻ってからアクシデントに気付いていましたが、NP1では衝撃を検知すると指定したスマホに映像と共に通知されます。これならトラブルへの解決も迅速に対応できるというわけです。もちろん、スマホから遠隔操作でいつでも動画や写真を撮ることもできるのは言うまでもありません。

↑NP1が衝撃を受けて撮影したイベント映像や、任意に撮影した映像はサーバーにアップロードして保存。保存後はいつでもスマホからアクセスできる

 

ドライブがもっと楽しくなるプラスαの機能も備えています。初めての場所へ行ったとき、周辺に名所スポットがあることにはなかなか気付きにくいですよね。NP1はそんな時も「ドライブトピック」という機能で適宜案内してくれます。その収録件数は全国で約7600か所。時間や位置、地図を組み合わせて、その時々に最適な情報を案内してくれるので、出掛け先で気付くこともきっと多くなるでしょう。筆者的にはわかり切った自宅付近の道は、あえて案内しない配慮付きというのが気に入りました。

 

また、友人宅を訪ねる時などに役立ちそうなのが専用アプリMy NP1上で使う「ドライブコール」です。あらかじめ互いの連絡先を登録しておくことで、アプリ上から連絡すると相手に着信。相手のスマホには自車の位置やNP1で撮影した映像が映し出され、それを使いながら道案内をしてくれるのです。映像はリアルタイムの動画で送られるので、「もっと先、そこを右……」といった案内を聞きながら目的地にたどり着くことができるんですね。今までありそうでなかった機能、NP1ならこれが実現できてしまうんです。

↑「ドライブコール」を使うと、コンタクトした相手のスマホには車両の位置を示す地図とNP1で撮影している動画映像がリアルタイムで表示される

 

最初のアップデートでAmazonアレクサにも対応

これらを実現する通信機能ですが、最初の1年間は無料。2年目からは有料となりますが、これだけの機能が使えるなら延長しても損はしないはず。というか、NP1は通信機能が使えなければ、ほぼ“単なる箱”となってしまいます。まだ延長時の通信料は決まっていませんが、パイオニアによれば「負担感を感じない設定にしたい」とも話していました。NP1を存分に楽しむためにも延長は必須ですね。

 

NP1では「In Car Connect」にも標準で対応していることも見逃せません。車内にNTTドコモのLTE回線のWi-Fi環境をもたらし、接続したスマホやゲーム機などは車内で使い放題となるのですから。NP1なら新たに機材を購入せずともこのサービスに対応できます。これもNP1の大きなメリットと言えるしょう。

 

そのほか、NP1は4月にはリリースされるアップデートにより、Amazon アレクサへの対応を果たす予定です。この対応によって、NP1はニュースや天気予報、音楽再生などにも対応できるようになります。特に音楽はBluetooth経由でカーオーディオに接続すれば、迫力あるサウンドが楽しめるのです。もちろん、アレクサを使った自宅の照明やエアコンのON/OFFも可能。これもぜひ試してみたいですね。

 

パイオニアによればNP1のアップデートは今後も随時予定していくとのこと。つまり、時期を追うごとにNP1は魅力的な機能を備えていくことになるんですね。その意味でもNP1はまさにドライブに役立つ“魔法の小箱”そのもの。ドライブがますます楽しくなることは間違いなし。NP1が発売される3月が今から待ち遠しいですね。気になる価格は、バリュープラン(通信+サービス利用料3年分付)9万3500円(税込)、ベーシックプラン(通信+サービス利用料1年分付)6万5780円(税込)です。

 

 

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先鋭化するEVシフト! メルセデス・ベンツ「EQA」は“ガソリン車至上主義”のカーマニアの目にどう映る?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、EV(電気自動車)導入に積極的なメルセデス・ベンツの小型EV、EQAを取り上げる。カーマニアの目にはどう映る?

※こちらは「GetNavi」 2022年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】メルセデス・ベンツ/EQA

SPEC【250】●全長×全幅×全高:4463×1849×1624mm●車両重量:1990kg●パワーユニット:電気モーター●最高出力:190PS(140kW)/3600〜10300rpm●最大トルク:37.7kg-m(375Nm)/1020rpm●一充電走行距離:422km

640万円(税込)

 

メルセデス・ベンツが目指す未来形EVが見えてきた

安ド「殿! 殿はEVが嫌いでしたよね?」

 

永福「嫌いというわけではないが、ガソリン車のほうが1億倍好きだ」

 

安ド「物は言いようですね! そんな殿がなぜ今回、メルセデスのEVである『EQA』をリクエストしたんですか」

 

永福「メルセデスは2030年までに、すべての新車をEVにする準備を進めていると宣言した。つまりEV化の本丸だ」

 

安ド「たしかに!」

 

永福「つまり、私にとっては敵の本丸。そこに殴り込んでみようと思っただけだ」

 

安ド「で、どうでした?」

 

永福「……あまり何も感じなかったな」

 

安ド「エッ、それはナゼ!?」

 

永福「EQAは、乗り味がかなり自然だ。アクセルを深く踏み込めば、EVらしく出足はものすごく速いが、普通に踏んでいれば普通に走る」

 

安ド「それはまぁそうですが……」

 

永福「ベースはコンパクトSUVの『GLA』そのものだから、エンジン車と大きくは変わらない」

 

安ド「でも、かなり未来っぽく見えませんか?」

 

永福「グリルの穴をなくして、前後のルックスをより滑らかにしてあるから、ちょうど良い未来感は出ているな」

 

安ド「この高級でヌルッとした雰囲気が、これまでのクルマとは何かが違うと思わせてくれるんじゃないでしょうか!」

 

永福「それはある。しかし、それだけとも言える」

 

安ド「インテリアも、紫色のアンビエントライトがとても似合う雰囲気でした。ここ10年くらい、メルセデスが目指してたのはコレだったのか! と納得しました」

 

永福「言われてみれば、メルセデスのアンビエントライトは、ガソリン車だとラブホっぽく感じるが(笑)、EVだとEVっぽいな」

 

安ド「横長ディスプレイも、ちょうどいい塩梅のサイズになっていて、使いやすかったです。ただ、リアシートはけっこう狭いですね。このクラスですから仕方ないかもしれませんが」

 

永福「後席床下にEVのバッテリーがあって、床が少し高くなっているのも、そう感じる原因だろう。それより私は、このヌルッとした形のせいか、実際よりずっと幅広く感じ、取り回しに気を使ってしまった。これでもメルセデスの最小EVなのだが」

 

安ド「確かに最小ですね!」

 

永福「もうひとつ気になったのは、電費の悪さだ。400km程度あるはずの航続距離が、都内の渋滞走行時では、実測で200kmちょっとしか走れない数値だった。よく見ると、走行には58%しか使っておらず、残りはエアコンやオーディオなどに使われていた」

 

安ド「エッ!? そんなにですか」

 

永福「ひょっとして紫色のアンビエントライトが、電気を大量に食っているのかもしれぬ」

 

安ド「それはないと思います!」

 

【GOD PARTS 1】エンブレム(車名)

タイプは「EQ」、クラスは「A」!

EQAは、EQCに続くメルセデスとして2モデル目のピュアEVとして誕生しました。車名の「EQ〜」というのがEVシリーズを表し、「A」や「C」は車両のクラス、車格を表しています。EQAのベース車は、同社エントリーSUVのGLA。「A」の系譜なんですね。

 

【GOD PARTS 2】リアコンビランプ

曲線で左右を結ぶクールな形状

リアまわりのデザインでひと際目を惹くのが、このリアコンビネーションランプ。左右のランプが繋がっていて、なんだかバカボンに出てくるおまわりさん(本官さん)の目みたいですが、周囲はスッキリしていて、クールな印象です。

 

【GOD PARTS 3】ホイールデザイン

未来的でありながらミステリアス

これまでの同社のホイールといえば、もっとスポーティだったりラグジュアリーだったりと力強いイメージでした。しかしEQAでは、直線が放射線状に並んだ、幾何学模様のようなミステリアスなデザインが採用されています。

 

【GOD PARTS 4】ラゲッジルーム

ワケあって床下収納はなし!

流麗なデザインになっているため開口部はそれほど広くない印象ですが、内部はしっかり340L収納可能な空間が広がっています。ただしフロア下にリチウムイオン電池を搭載しているため、ラゲッジ床下収納はありません。

 

【GOD PARTS 5】給電口

普通充電と急速充電はバラバラに配置

従来のEVだと、フタを開けた中に普通充電と急速充電の給電口が並んでいたり、ボディの左右に分けられていることが多かったのですが、EQAでは右側のフェンダーとバンパーにバラバラに配置されています。あまり美しくありません。

 

【GOD PARTS 6】モーター

高級感を演出する、EVらしからぬアクセルの重み

モーターは従来車のエンジン同様、フロント前方に搭載され、前輪を駆動します。アクセルを踏み込めばその瞬間からスムーズに加速しますが、EQAはアクセルが重くて、重量感があります。高級感と言えるかもしれません。

 

【GOD PARTS 7】ダッシュボード

物置きとして使えない凹みはデザインのため

GLAと基本的には同じデザインで、助手席前には微妙な曲線を描くパネルが設置されています。ここは凹んでいますが、物を置いても安定しません。アンビエントライト(間接照明)に連動してうっすらと光ります。

 

【GOD PARTS 8】パドルシフト

回生ブレーキの制動力をコントロール

「シフト」と言いつつも、これはシフトチェンジ用のパドルではなく、回生ブレーキの強度を調整するコントローラーです。5段階の調整が可能で、最大の「D−−」にすると、アクセルを離すだけでかなり強烈な制動力がかかります。

 

【GOD PARTS 9】フロントブラックパネル

顔の中央を黒くしたグリルのオマージュ!?

全体的に「コレが未来のラグジュアリーのあり方だ!」と思わせる、先鋭的な雰囲気でまとめられています。ガソリン車にあったフロントグリル(正面の空気取り入れ口)は、ピアノブラックのパネルに代えられ、オマージュされています。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアバンパー下

ガソリン車のようなえぐれは遊び心?

ボディ後方下部、リアバンパーの両端には、えぐれたようなデザインが見られます。ここは本来、ガソリン車であればマフラーの排気管が見えるあたり。排気ガスを排出しないのでマフラーはありませんが、このような痕跡を残すところにメルセデスの遊び心が見られて楽しいです。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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気になる新車を一気乗り! 電動化の波に乗るポルシェ、三菱のプレミアムモデルをレポート

今回は、ポルシェのタイカン・クロスツーリスモと三菱・新型アウトランダーPHEVをピックアップ。前者はピュアEV、後者はプラグイン・ハイブリッドで、どちらも加速するクルマの電動化を象徴するプレミアムなモデルだ。両車とも独自性は高い。

※こちらは「GetNavi」 2022年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】高速域でも静粛なのはさすがポルシェ!

EV

ポルシェ

タイカン・クロスツーリスモ

SPEC【タイカン4 クロスツーリスモ】●全長×全幅×全高:4974×1967×1409mm●車両重量:2245kg●パワーユニット:電気モーター×2●最高出力:380[476]PS●最大トルク:51.0kg-m●一充電走行距離:360km

●[ ]内はオーバーブースト時

 

ポルシェでありながらSUV的な快適性も実感!

クロスツーリスモは、セダンのタイカンに続くポルシェのピュアEVの第二弾。タイカンをワゴン化したボディにはSUV風の装備がプラスされ、唯一無二の個性的な外観が最大の特徴となる。日本仕様のパワーユニットは、グレードを問わず電気モーターを前後に搭載。駆動方式が4WDのみとなるほか、バッテリーも93.4kWhの総電力量を持つ仕様に統一される点が、セダンのタイカンとは異なるポイントだ。

 

今回はスペック的に最も控えめなタイカン4に試乗したが、動力性能はそれでもスポーティと呼べる水準。静粛にして滑らかなEVらしさはもちろん、それが高速域でも衰えない点はポルシェらしい。一方、足回りはセダンのタイカンとは異なり、スポーツ性が若干ながらマイルドな味付けになっている。これはダート路面なども守備範囲となる使用環境を想定した結果だが、それだけにSUV資質も上々。贅沢な日常の足としても、自信を持ってオススメできる。

 

[Point 1]  ワゴンボディでもスタイリッシュ!

ワゴン化と言っても外観はスタイリッシュ路線。近年の欧州勢で流行しているシューティングブレーク仕立てとなる。そこにSUV的な装備を追加したことで独自性は十分だ。

 

[Point 2] SUVらしい用途にもしっかり対応

荷室容量はタイカン4の場合でフロント側が84L。リア側は446〜1212Lで、セダンモデルを大幅に上回る。

 

[Point 3] 後席は頭上回りの空間が拡大

前席回りの作りは、基本的にセダンのタイカンと同じ。助手席側にもタッチパネル式のディスプレイが追加できる。後席はワゴン化することで頭上スペースが拡大された。

 

[ラインナップ]

タイカン4:電気モーター×2/4WD/1341万円(税込)
タイカン4S:電気モーター×2/4WD/1534万円(税込)
タイカン・ターボ:電気モーター×2/4WD/2056万円(税込)

 

【その2】これぞ電気駆動モデル最強のオールラウンダー!

SUV

三菱

アウトランダーPHEV

SPEC【P】●全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm●車両重量:2110kg●パワーユニット:2359cc直列気筒DOHC+ツインモーター●最高出力:133[116/136]PS/5000rpm●最大トルク:19.9[26.0/19.9]kg-m/4300rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L●EV走行換算距離:83km

●[ ]内は電気モーター(前/後)の数値

 

自慢の車両制御技術で走りも十分楽しめる!

SUVのプラグイン・ハイブリッド車としては、世界的ヒット作となったアウトランダーPHEV。2021年12月に正式発売となった2代目では、その万能選手ぶりに一層の磨きがかかっている。

 

まず、2.4Lガソリンエンジン+前後電気モーターという駆動システムの基本構成こそ先代と変わらないが、電気モーターは前後とも大幅に出力が向上。エンジンも高効率化されたほか、駆動用バッテリーは総電力量が13.8kWhから20kWhへと大容量化。EV走行時の最大航続距離は60km台だった先代を大幅に凌ぐ最大87kmを実現し、走行性能も底上げされた。また、電力の供給能力も最大では一般家庭の約12日ぶんに相当するという(先代は約10日ぶん)。

 

しかし、実際に試乗して何よりも新鮮だったのは電動化や4WD技術に長けた三菱の最新作らしい走りだ。実に7つもの選択肢を用意する走行モード切り替えは、走りのキャラクターを鮮やかに変化させてドライバーを楽しませる。今回は舗装路のみでの試乗だったが、例えばターマックモード選択時の身のこなしなどはSUVとは思えないほどスポーティ。その一方、通常時は走行性能も快適で質感も上々。このクラスのSUVとして、いかに魅力的な存在であるかは言うまでもないだろう。

 

[Point 1] 室内は上質感もアピール

シンプルなデザインだが、細部に至る作り込みで先代より質感が格段に向上。もちろん、最新モデルらしく運転支援システムなども充実している。走行モード切り替えはダイヤルを採用しワンタッチだ。

 

[Point 2] モード切り替えの恩恵を実感できる走り

今回はサーキットでの試乗のみだったが、舗装路用のモード切り替えだけでも走りのキャラクターは鮮やかに変化。SUVとは思えない楽しさを実感できた。

 

[Point 3] グレードによって7人乗りも用意

先代のPHEVモデルは5人乗りのみだったが、新型では3列シートの7人乗りも選択可能に。もちろん3列目は小柄な人向けだが、SUVとしては見逃せないメリットとなりそうだ。

 

[Point 4] 使い勝手も期待通り

荷室は、このクラスのSUVとしては十分に実用的。容量は3列目使用時こそ258〜284Lだが、3列目収納時では634〜646L、後席をすべて畳めば1373〜1390Lまで拡大する。

 

[Point 5] 三菱車の旗艦に相応しい仕立てに

駆動システムだけでなく骨格や足回りも着実に進化。外観も格段に存在感が高められた新型は、三菱のフラッグシップモデルという役割も担う。

 

[ラインナップ]

M:2.4L+前後電気モーター/4WD/462万1100円(税込)
G:2.4L+前後電気モーター/4WD/490万4900円(税込)(※)
P:2.4L+前後電気モーター/4WD/532万700円(税込)
※:7人乗りの価格は499万6200円(税込)

 

文/小野泰治 撮影/篠原晃一、小林俊樹

 

 

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三菱・新型「アウトランダーPHEV」は、電気駆動モデル最強のオールラウンダー!

今回は、三菱・新型アウトランダーPHEVをピックアップ。プラグイン・ハイブリッドで、加速するクルマの電動化を象徴するプレミアムなモデルだ。独自性は高い。

※こちらは「GetNavi」 2022年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

自慢の車両制御技術で走りも十分楽しめる!

SUV

三菱

アウトランダーPHEV

SPEC【P】●全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm●車両重量:2110kg●パワーユニット:2359cc直列気筒DOHC+ツインモーター●最高出力:133[116/136]PS/5000rpm●最大トルク:19.9[26.0/19.9]kg-m/4300rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L●EV走行換算距離:83km

●[ ]内は電気モーター(前/後)の数値

SUVのプラグイン・ハイブリッド車としては、世界的ヒット作となった「アウトランダーPHEV」。2021年12月に正式発売となった2代目では、その万能選手ぶりに一層の磨きがかかっている。

 

まず、2.4Lガソリンエンジン+前後電気モーターという駆動システムの基本構成こそ先代と変わらないが、電気モーターは前後とも大幅に出力が向上。エンジンも高効率化されたほか、駆動用バッテリーは総電力量が13.8kWhから20kWhへと大容量化。EV走行時の最大航続距離は60km台だった先代を大幅に凌ぐ最大87kmを実現し、走行性能も底上げされた。また、電力の供給能力も最大では一般家庭の約12日ぶんに相当するという(先代は約10日ぶん)。

 

しかし、実際に試乗して何よりも新鮮だったのは電動化や4WD技術に長けた三菱の最新作らしい走りだ。実に7つもの選択肢を用意する走行モード切り替えは、走りのキャラクターを鮮やかに変化させてドライバーを楽しませる。今回は舗装路のみでの試乗だったが、例えばターマックモード選択時の身のこなしなどはSUVとは思えないほどスポーティ。その一方、通常時は走行性能も快適で質感も上々。このクラスのSUVとして、いかに魅力的な存在であるかは言うまでもないだろう。

 

[Point 1] 室内は上質感もアピール

シンプルなデザインだが、細部に至る作り込みで先代より質感が格段に向上。もちろん、最新モデルらしく運転支援システムなども充実している。走行モード切り替えはダイヤルを採用しワンタッチだ。

 

[Point 2] モード切り替えの恩恵を実感できる走り

今回はサーキットでの試乗のみだったが、舗装路用のモード切り替えだけでも走りのキャラクターは鮮やかに変化。SUVとは思えない楽しさを実感できた。

 

[Point 3] グレードによって7人乗りも用意

先代のPHEVモデルは5人乗りのみだったが、新型では3列シートの7人乗りも選択可能に。もちろん3列目は小柄な人向けだが、SUVとしては見逃せないメリットとなりそうだ。

 

[Point 4] 使い勝手も期待通り

荷室は、このクラスのSUVとしては十分に実用的。容量は3列目使用時こそ258〜284Lだが、3列目収納時では634〜646L、後席をすべて畳めば1373〜1390Lまで拡大する。

 

[Point 5] 三菱車の旗艦に相応しい仕立てに

駆動システムだけでなく骨格や足回りも着実に進化。外観も格段に存在感が高められた新型は、三菱のフラッグシップモデルという役割も担う。

 

[ラインナップ]

M:2.4L+前後電気モーター/4WD/462万1100円(税込)
G:2.4L+前後電気モーター/4WD/490万4900円(税込)(※)
P:2.4L+前後電気モーター/4WD/532万700円(税込)
※:7人乗りの価格は499万6200円(税込)

 

文/小野泰治 撮影/小林俊樹

 

 

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高速域でも静粛なのはさすが! ポルシェのEV「タイカン・クロスツーリスモ」に試乗

今回は、ポルシェのタイカン・クロスツーリスモをピックアップ。ピュアEVで、加速するクルマの電動化を象徴するプレミアムなモデルだ。独自性は高い。

※こちらは「GetNavi」 2022年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ポルシェでありながらSUV的な快適性も実感!

EV

ポルシェ

タイカン・クロスツーリスモ

SPEC【タイカン4 クロスツーリスモ】●全長×全幅×全高:4974×1967×1409mm●車両重量:2245kg●パワーユニット:電気モーター×2●最高出力:380[476]PS●最大トルク:51.0kg-m●一充電走行距離:360km

●[ ]内はオーバーブースト時

クロスツーリスモは、セダンのタイカンに続くポルシェのピュアEVの第二弾。タイカンをワゴン化したボディにはSUV風の装備がプラスされ、唯一無二の個性的な外観が最大の特徴となる。日本仕様のパワーユニットは、グレードを問わず電気モーターを前後に搭載。駆動方式が4WDのみとなるほか、バッテリーも93.4kWhの総電力量を持つ仕様に統一される点が、セダンのタイカンとは異なるポイントだ。

 

今回はスペック的に最も控えめなタイカン4に試乗したが、動力性能はそれでもスポーティと呼べる水準。静粛にして滑らかなEVらしさはもちろん、それが高速域でも衰えない点はポルシェらしい。一方、足回りはセダンのタイカンとは異なり、スポーツ性が若干ながらマイルドな味付けになっている。これはダート路面なども守備範囲となる使用環境を想定した結果だが、それだけにSUV資質も上々。贅沢な日常の足としても、自信を持ってオススメできる。

 

[Point 1]  ワゴンボディでもスタイリッシュ!

ワゴン化と言っても外観はスタイリッシュ路線。近年の欧州勢で流行しているシューティングブレーク仕立てとなる。そこにSUV的な装備を追加したことで独自性は十分だ。

 

[Point 2] SUVらしい用途にもしっかり対応

荷室容量はタイカン4の場合でフロント側が84L。リア側は446〜1212Lで、セダンモデルを大幅に上回る。

 

[Point 3] 後席は頭上回りの空間が拡大

前席回りの作りは、基本的にセダンのタイカンと同じ。助手席側にもタッチパネル式のディスプレイが追加できる。後席はワゴン化することで頭上スペースが拡大された。

 

[ラインナップ]

タイカン4:電気モーター×2/4WD/1341万円(税込)
タイカン4S:電気モーター×2/4WD/1534万円(税込)
タイカン・ターボ:電気モーター×2/4WD/2056万円(税込)

 

文/小野泰治 撮影/篠原晃一

 

 

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いまや貴重なスポーツクーペの新型が発売! SUBARU「BRZ」は走ってみたらスゴかった

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、2021年夏にフルモデルチェンジして新型が発売されたFRスポーツクーペ、新型BRZの魅力を解剖する!

※こちらは「GetNavi」 2022年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】SUBARU/BRZ

SPEC【S 6MT】●全長×全幅×全高:4265×1775×1310mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:2.4L水平対向エンジン●最高出力:235PS(173kW)/7000rpm●最大トルク:25.5kg-m(250Nm)/3700rpm●WLTCモード燃費:11.9km/L

308万(税込)〜343万2000円(税込)

 

抜群の乗り味を誇る最高のスポーツクーペ

安ド「殿! 新型『BRZ』は、いかがですか」

 

永福「せっかくのスポーツクーペなのに、なんと凡庸なデザインかと失望したが……」

 

安ド「失望したんですか!」

 

永福「失望したが、乗ってみたら最高にすばらしかった」

 

安ド「すばらしかったんですね!」

 

永福「とにかく走りがすばらしい。足まわりもエンジンも最高だ」

 

安ド「スポーツクーペなのに、街乗りでも全然乗り心地が悪くなくて、びっくりしました!」

 

永福「それでいて、コーナーを攻めればウルトラ安定しているし、限界も高い。文句のつけようがないぞ」

 

安ド「2.4Lになった水平対向エンジンも、トルクが太くなっていて良いですね!」

 

永福「すまさじく良いエンジンだ。スバルの水平対向エンジンのなかでも、最高傑作ではないか」

 

安ド「そこまで良いですか!」

 

永福「そこまで良い」

 

安ド「今回試乗したのは6速MTモデルでしたが、MTも扱いやすかったです。MTに慣れてない人でも、エンストしにくいのではないでしょうか!」

 

永福「全体的に、ウルトラ扱いやすいのにウルトラ仕上がりが良く、ディープなカーマニアでもウルトラ満足できる、最高のスポーツクーペだ」

 

安ド「スポーツクーペの新型って、すごく貴重になってますしね!」

 

永福「安ドはこれまでスポーツクーペに何台乗ってきた?」

 

安ド「最初の愛車は『フェアレディZ』の2+2でした。あと、『クーペフィアット』にも乗りました。その他、2シーターのオープンに2台乗りました!」

 

永福「なかなか乗っておるな。わしは……。『フェラーリ』13台と『カウンタック』2台、すべて2シーターのクーペやオープンだが、実は最初の愛車は、日産『ガゼール』という2+2のクーペだった」

 

安ド「『シルビア』の兄弟車ですね!」

 

永福「当時の若者はみんなスポーツクーペに乗りたがったから、速くもないカッコだけのスポーツクーペがたくさんあったのだ」

 

安ド「なるほど! いまのSUVみたいなものですね!」

 

永福「実は今回、BRZの後席にも乗ってみた」

 

安ド「えっ! ものすごく狭くなかったですか?」

 

永福「いや、前席を少し前に出せば、思ったより広かったぞ。あれなら男4人でもなんとかなる」

 

安ド「ホントですか!?」

 

永福「若いころは、狭いガゼールに男4〜5人乗り込んで、色々な場所に行ったものだ。今回BRZの後席に座ってみて、そんな青春時代が蘇った」

 

安ド「僕はフェアレディZの後席に、友人を乗せたことはなかったです!」

 

永福「そうなのか」

 

安ド「でも、車内でカー〇ックスしたことがあります!」

 

永福「それこそ真の青春だな」

 

【GOD PARTS 1】エアコンインターフェイス

質感を向上させたアナログ感が良い感じ

ダイヤルが3つ並び、その下に各種スイッチが横並びになるという配置は、先代型とあまり変わりませんが、比べて見ると明らかに質感が向上しています。デジタル全盛の時代にあえてアナログ式のスイッチ類で好印象です。

 

【GOD PARTS 2】アクティブサウンドコントロール

作られたサウンドでスポーティさを演出

アクセルを踏み込むと、スポーティなエンジンサウンドが正面から聞こえてきます。しかしこれ、実はエンジンの回転数に合わせてデジタルサウンドを再生しているそうです。確かに、よく聞くと若干時差を感じたりもします。

 

【GOD PARTS 3】パーキングブレーキ

昔ながらの手引き式でドリフトだって可能

近年は電動パーキングブレーキが主流になっていて、スバルも他車では採用しています。しかし、新型BRZでは古典的な手で引き上げるタイプの、いわゆる“サイドブレーキ”が採用されています。初心者がドリフトするためでしょうか。

 

【GOD PARTS 4】トランク

しっかり使える容量でクーペと侮るなかれ

2+2座席のため、主な物を置く場所は後席になりがちですが、237Lの容量を誇るトランクもしっかり用意されています。後席背もたれを前に倒せば長尺物も積載することができるので、実用性は決して低くありません。

 

【GOD PARTS 5】6速MT

少数派となったMT好きを変わらず応援

いまや国産新車のAT比率は99%超えと言われているなか、しっかり6速MTモデルが設定されていました。世界の名だたるスーパーカーでさえ2ペダルのみになっていく時代ですが、カーマニアにとってはありがたいことです。

 

【GOD PARTS 6】フロントシート

スポーツカーらしいホールド性で上質感も高い

シート形状はホールド性が高く、スポーティな走りにピッタリですが、クッションも厚みがあって座り心地も良好です。さらに、スエード地と本革を組み合わせたコンビネーション表皮が採用されていて、質感が高いです。

 

【GOD PARTS 7】エンジン

ノンターボの良さをよくわかっている!

2.0L直噴ターボだった先代型から、新型では排気量がアップされ、2.4Lのノンターボエンジンが搭載されています。水平対向式は変わりませんが、以前より低回転域から力強いトルクを感じられるようになりました。高回転域も伸びが良いです。

 

【GOD PARTS 8】リアシート

非常用や物置き場としてあるだけマシと考える

2+2シートのため一応後席は装備していますが、なかなか厄介です。フロントシートを前に出さないと足が入りませんし、大柄な人だと頭を真っ直ぐ上へ伸ばせません。とはいえ、乗れないことはないので、あるだけマシだと思いましょう。

 

【GOD PARTS 9】タイヤ

プレミアムタイヤで走りの質感を向上

タイヤは走りの質にも乗り心地にも影響する大変重要なパーツです。今回のBRZには、なんと名門ミシュランの「パイロットスポーツ4」という超優良ブランドが装着されていました。高価ですが、これだけで走りの質感が2段階ほど上がります。

 

【これぞ感動の細部だ!】TRACKモード

クルマの介入を抑制して運転者の腕を見せつける

センターコンソール上にあるボタンを長押しすることで、車両安定制御システム「VSC」の制御介入タイミングを遅らせる「TRACKモード」に変更できます。これはつまり、スポーティに走らせたときの、クルマによる自動制御の範囲を減らすことで、運転がよりドライバーの腕頼みになってくるということです。運転に自信のあるドライバーのためのボタンですね。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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ブリザック「VRX3」を試乗! ドライ路面・積雪路での実力を比べた

昨年9月、世界No.1のタイヤメーカーであるブリヂストンから、乗用車用の最新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX3(ブリザック ヴイアールエックススリー)」が発売しました。4年ぶりにモデルチェンジされたこのタイヤは、“新次元のプレミアムブリザック”と位置付けられているだけに、その能力の高さは大いに気になるところです。今回は北海道での試乗を通してその実力を体験して参りました。

 

北海道と東北北部の主要五都市で2台に1台が装着

そもそもブリザックといえば1988年に登場以来、33年にわたって進化を重ねてきた歴史あるスタッドレスタイヤです。その評価は特に積雪地で高く、ブリヂストンの調査によれば、北海道と東北北部の主要五都市での一般車装着率はほぼ2台に1台に近い46.2%。札幌市のタクシー装着率に至っては69.5%にものぼる高い装着率! このデータからはブリザックがいかに多くの人から信頼性を獲得しているかが推察できると思います。

↑北海道や北東北5都市では20年連続装着率No.1 という実績につながり、ほぼ2台に1台がブリザックを装着するまでになった

 

BLIZZAK VRX3はその最新モデルとして、そうした実績を踏まえてさらなる「氷上性能の大幅向上、ライフ性能、効き持ちの向上を実現した新次元のプレミアムブリザック」として誕生しました。ブリヂストンによれば、氷上制動性能を先代「VRX 2」比で20%向上させながら、耐摩耗性などライフ性能も17%も向上させているとのこと。開発陣としては、そのほかにもメインの氷上性能だけでなく、ドライ路面や雪混じりの路面など、非積雪地域での性能向上にも努めたそうで、その性能もぜひ体験して欲しいとも話していました。

↑さらなる「氷上性能の大幅向上、ライフ性能、効き持ちの向上を実現した」(ブリヂストン)ブリザック「VRX3」

 

↑「新次元のプレミアムブリザック」として、氷上性能の向上をメインとするがライフ性能の向上、さらに静粛性や応答性の高さもポイント

 

中でもライフ性能についてはユーザーがもっとも求めることです。しかし、スタッドレスタイヤの構造上、氷上や積雪路でもグリップ力を高めれば摩耗はしやすくなり、早いタイミングでの交換が必要になります。そこでVRX3ではこの相反するテーマにあえて挑戦。積雪路や氷上での水はけ能力を高めつつ、タイヤブロックのサイズを均一にして接地圧を路面に行き渡らせるなどして偏摩耗性を向上させたのです。

↑氷上性能を向上させた大きな理由は“水を吸い上げる力”。VRX3では水路の断面を従来の「丸」→「楕円」とすることで吸い上げる容積を増やした

 

↑最新のシミュレーション技術を駆使して実現した「予測技術」も投入し、さまざまな条件での高い対応力を生み出すことにつながった

 

ドライのオンロードで乗り心地の良さや高い静粛性を実感

さて、今回の試乗、“冬の北海道”ということでスノードライブを予想していました。ところが、訪問した12月中旬は道路上に積雪がゼロ! というあいにくのコンディション。雪上試験はテストコースに人工降雪機で雪を降らせてやっとコースを作り上げたという状態でした。つまり、期せずして開発陣が話していた、積雪路とドライ路面での実力を同時に北海道の地で体験することになったのです。

↑試乗会場は新千歳空港にほど近いカート場。積雪がない中、人工降雪機で雪を降らせてコース作りが行われていた

 

オンロードでの試乗はフォルクスワーゲン「ポロ」とアウディ「A4アバント」の2台。ポロはFFで185/65R15サイズを、A4アバントは4WDで245/40R18サイズを装着していました。

 

ポロは元々、路面からの反応がキツメに出る傾向にありましたが、それがVRX3を履くことでそれをいなしてくれているようにも感じました。それでいてステアリングの応答性が良いものだから、スタッドレスタイヤではありがちなグニャッとした曖昧さはなく、ドイツ車らしいキレの良いフィーリングとして体感できたのです。

↑唯一のFFモデルだったフォルクスワーゲン・ポロでの乗り心地はかなり硬めだったが、それでもシャープな応答性が気持ち良かった

 

A4アバントでは、走り出すとしっかりとしたフィールがすぐに感じ取ることができました。スタート時にはA4アバントが発生する太いトルクを確実に路面へ反映させて、コーナリングでも腰くだけするような印象はありません。気持ち良いハンドリングを体験させてくれたのです。中でも驚いたのが乗り心地の良さと静粛性です。荒れた路面でもその振動を和らげてくれている印象で、さらに静粛性の高さはスタッドレスタイヤとは思えないハイレベルなものでした。これならバッテリーEVで使った場合でもそのメリットを十分感じ取れるはずです。

↑VRX3のブロックは剛性が極めて高く、少し車重のあるアウディ・A4アバントでもコーナリングや強めのブレーキングでも腰砕け感がほとんど感じない

 

わだちのあるシャーベット状の積雪路でも安心して走れる心強さ

続いては、人工雪で作られたテストコースでの試乗です。雪質としてはほぼ“雪解け”状態の、わだちも多い条件の良いものではありませんでした。むしろこの状態は、日本の非積雪地で大雪が降った翌日あたりに生まれるシャーベット状の路面にも似ています。そういった意味では除雪がされない都会での走行をリアルに再現されたコンディションともいえます。

 

試乗は軽自動車から上級サルーンまですべて4WDという多彩な車種での体験となりました。ここで実感したのは車種を問わず、トラクションがしっかり効いていたことです。車重の軽い軽自動車である日産「デイズ」でこそ、わだちで跳ねるような印象がありましたが、そんな状態でも路面のグリップはしっかりキープ。4WDということもあって、ステアリングを勢いよく切った場合でもコントロールは極めてしやすく、安心して走行することができたのです。

↑軽量な日産・デイズではやや乗り心地が硬めで跳ねる感じがしたが、路面をしっかりとグリップして急ハンドルでもコントロールがしやすかった

 

また、メルセデス・ベンツ「Eクラス」ではFR系4WDとして別のフィーリングを味わうことができました。このクルマでは基本的に後輪の駆動力をメインとした上で、ステアリングを切ったときは前輪でグリップしながら操舵していく感じになりますが、この状況にもVRX3はしっかりと対応してくれます。重めの車重が功を奏している面もあるかとは思いますが、感覚としてはグリップ力に余裕を生み出したと言った感じでしょう。この余裕がいざという時の助けにつながるのです。

↑FR系4WDのベンツ・Eクラスは重量級だが、ステアリングを切ったときでも前輪がしっかりと食いついている感じ。余裕のあるグリップ力を実感した

 

今回、スケート場での氷上試乗と合わせ、異なった3パターンでの体験ができたわけですが、それを通して理解できたのは。VRX3があらゆるシーンで高い能力を発揮するスタッドレスタイヤであるということです。氷上でも前モデル「VRX2」からの進化を感じさせましたが、ドライ路面での乗り心地の良さや静粛性を、シャーベット状の積雪路ではコントロールしやすさはまさにプレミアム感を実感できるものでした。こうした着実な進化があるからこそ、VRXシリーズが多くのユーザーから支持される理由なのだと再認識した次第です。

 

 

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サーキットでリアルタイムにコーチング! スマート・レーシングコーチ「Catalyst」がドライビングパフォーマンスアップをサポート

ガーミンジャパンは、海外で先行発売中の、サーキット・トラックでのドライビングパフォーマンスを計測・分析するデバイス「Catalyst(カタリスト)」を、1月20日に発売します。税込価格は15万円。

 

同製品は、あらゆるレベルのドライバーのために開発された、レーシングコーチ・デバイス。世界中のサーキットコースを収録したトラックデータベースがあらかじめセットされており、コースごとにトラックドライビングのパフォーマンス分析ができます。

 

あらゆる条件で精密なGPSデータを計測できる同社の技術を活用し、コーナーリング走行やラップタイムなど詳細データを取得。それらを分析することで、コーナーを曲がるときの最適なライン取りや、他の走行データと比較した、改善のアドバイスを提案します。また、TRUE OPTIMAL LAP技術により、各トラックセグメントでの最短時間と実際の走行ラインに基づいた目標ラップタイムも毎回表示し、リアルタイムとアフターセッションの両面でパフォーマンス向上をサポートします。

 

サーキットコースは手動で追加が可能で、走行中のドライビングアドバイスはヘッドホンやBluetoothを経由したカーステレオでの音声ナビゲートも提供。本体デバイスは7インチのディスプレイを備えており、走行後すぐにデータを確認できます。

 

アクテビティ記録は、スマートフォン用アプリ「Garmin Connect Mobile」で確認可能。同アプリでは、同社のウェアラブルデバイスを利用して、自身の健康状態をモニタリングすることもできます。

「買って間違いなし!」と断言する2021年コンパクトSUV5選。おすすめグレード付き

近年、「クロスオーバーSUV」の人気は高く、SUVといえばクロスオーバーSUVを指す場合も多く見られます。クロスオーバーSUVとはクロスカントリー車の高い走破性と、乗用車の快適性を「融合(クロスオーバー)させる」という意味が込められています。

 

そのクロスオーバーSUVのジャンルのひとつであるのが、コンパクトSUV。ボディサイズはミドルサイズSUVよりも小さくてコンパクトカーサイズ、欧州でいうとBセグメントにあたります。日本では近年、ラインアップが拡充しており、人気ジャンルのひとつとなっています。今回は自動車評論家の岡本幸一郎さんが断言する、2021年に登場した「買って間違いなし!」のコンパクトSUVを5台紹介します。

 

【その1】このサイズの中で考えられることはすべてやりつくした

ホンダ

ヴェゼル e:HEV Z(4WD)

311万8500円(税込)

2021年4月に「ヴェゼル」の2代目モデルが発売した。このサイズの中で考えられることはすべてやりつくしたという完成度が光る1台。手ごろなサイズを初代から踏襲しながらも、これがヴェゼル!? と思うほど雰囲気はガラリと変わって、まるで車格が上がったかのよう。流麗なクーペスタイルながらも車内は広く開放的で、独自のセンタータンクレイアウトによる低くフラットなフロアのおかげで高さのある荷物もラクに積み下ろし可能。エアコンの「そよ風モード」のようなユニークなアイデアも光る。

 

初代とは別物の「e:HEV」によるスムーズな加速と低燃費も魅力。乗り心地もいたって快適で、実は4WD性能も想像以上に高い。見た目のオシャレな「PLaY」も魅力的だが、なぜか4WDの設定がなく、納期にも時間を要することから、現時点では「Z」の4WDをイチオシとしたい。

 

 

【その2】カローラの名にふさわしくあらゆる面でそつのない仕上がり

トヨタ

カローラ クロス ハイブリッド(4WD)

279万9000円(税込)〜

トヨタは2021年9月、カローラシリーズ初のSUVである「カローラクロス」を発売した。コンパクトとミドルの中間的なサイズ感だが、充実した装備内容のわりに価格はコンパクトクラス並みにリーズナブル。一連のカローラシリーズとの共通性を感じさせるスッキリした内外装デザインをはじめ、各部の広さも走りもカローラの名にふさわしくあらゆる面でそつのない仕上がりで、なんら気になるところがない。

 

SUVとしてのニーズに応えるべく居住空間も荷室も十分な広さが確保されていて、リアシートを倒すとロードバイクだって積めるほどだ。ガソリン車とハイブリッドのどちらにもよさがあるが、イチオシはハイブリッドの後輪をモーターで駆動するE-Four。非常時給電モードを備えたAC100V/1500W電源コンセントが設定されているのも魅力。

 

 

【その3】ノートの魅力をさらに昇華させる上品さも感じられる

日産

ノート AUTECH CROSSOVER FOUR(4WD)

279万6200円(税込)

バリエーションを多彩に揃える新型「ノート」。そのラインアップのひとつとして加わったのがカスタムグレードの「AUTECH」で、コンパクトSUVクラスに数ある車種の中でも異彩を放っている。AUTECHブランドの一員と位置づけているのは、カタログモデルにはない特別感を表現するため。

 

とっつきやすいコンパクトなサイズ感はそのままに、専用に仕立てられた内外装は、並み居る競合車に対してひと味違う雰囲気を感じさせる。動力源をe-POWERのみにわりきったのも特徴で、内燃エンジン車にはない瞬発力のある加速はモーター駆動ならでは。さらに、従来車とは別でリアに高出力モーターを配した現行型の4WDは、ハンドリングの仕上がりも抜群によくなっていてオススメだ。

 

 

【その4】新型は粗削りだった走りも洗練された

ダイハツ/トヨタ

ロッキー ハイブリッド(2WD)/ライズ ハイブリッド(2WD)

211万6000円〜(税込)/216万3000円〜(税込)

ダイハツの5ナンバーサイズのSUVが「ロッキー」。トヨタ「ライズ」は、ロッキーのOEM車になる。貴重な5ナンバーのSUVであり、最小回転半径が5.0mと小回りが利きながらも、クロカンテイストのたくましいフォルムと、5ナンバーサイズながら車内や荷室の十分な広さが確保されているのが強み。予想していたとおり大人気を博す。

 

発売から2年が経過。これまでエンジンが1.0Lターボのみだったが、2021年に1.2Lの自然吸気とハイブリッドが加わった。当初は全体的に粗削りだった走りも最新版はずいぶん洗練されていて、「e-SMART」と名づけられたダイハツ独自のシリーズ式ハイブリッドは、バッテリー容量もモーター性能も控えめでエンジンは頻繁にかかるものの、モータードライブならではのスムーズで静かで上質な走りを実現している。

 

 

【その5】キャプチャーを選ぶなら「インテンス テックパック」

ルノー

キャプチャー インテンス テックパック

319万円(税込)

ルノー「キャプチャー」はすでに欧州ベストセラーSUVになったほどの実力の持ち主で、あらゆる点でクラスを超えている。スタリッシュな外観は見てのとおりで、内装の質感もなかなか高い。上級車からのダウンサイザーに向けて最適なスペースを確保すべく全長とホイールベースが長く確保されているほか、リアシートが16cmも前後にスライド可能で、荷室容量はクラストップの536Lと圧倒的な広さを誇る。

 

このクラスの量販モデルとしてはかなり速い154PSで270Nmを発揮する1.3L直4ターボエンジンは、4気筒らしい上質な吹け上がりを実現。極めて俊敏なハンドリングも持ち味。20万円差で操舵支援や電動レザーシートの付く「インテンス テックパック」を選ばない手はない。

 

 

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話題のSUV、スバル「レガシィ アウトバック」をゲットナビとモノマガの両編集長が鴨川まで乗りに行ってわかったこと

2022年で創刊40周年を迎える、押しも押されぬモノ誌の決定版「モノ・マガジン」と、創刊23年目を迎えたピチピチの“新卒世代”「ゲットナビ」とのコラボ企画が始動!

 

月刊誌「ゲットナビ」編集長の川内一史(かわうち・かずふみ)が、編集者としての大先輩である「モノ・マガジン」前田賢紀(まえだ・たかのり)編集長と畏れ多くも一緒に、胸を借りまくりつつ取材させていただき、両メディアで異なる切り口からレポートするのが本連載であります。

↑「モノ・マガジン」前田編集長(左)と「ゲットナビ」編集長の川内が、出版社の垣根を越えて夢のタッグ!

 

まずは僭越ながら川内の自己紹介から。東京都生まれの37歳(2022年2月で38歳)で、妻と、もうすぐ3歳になる息子、そして猫と暮らしています。2012年10月にゲットナビ編集部へ加入し、2020年7月編集長に就任。ちなみにその前は月刊のアニメ専門誌に3年間、さらにその前は週刊のゴルフ誌の編集部に4年間在籍しておりました。図らずも雑誌編集ひと筋というキャリアを歩んできてしまい、このDX時代を生き抜くことができるのか、一抹の不安を感じつつGetNavi webに顔を出してきたアラフォーおじさんです。以後ご贔屓に!

 

二つの目で見ればピントが合う!

ゲットナビ×モノ・マガジンの「ヒット」スコープ
– Target 1.スバル「レガシィ アウトバック」-

さて、コラボ企画の記念すべき第1回は、SUBARUのフラッグシップともいうべきクロスオーバーSUV、レガシィ アウトバックがテーマ。12月24日に発売されたばかりのアウトバックを体験・試乗すべく、千葉県は鴨川市にある「SUBARU里山スタジオ」にお邪魔してまいりました。

※モノ・マガジン前田編集長のレポートは記事の最後にリンクがあります!

 

東京からアクアラインで海を渡り、木更津JCTから館山自動車道へ。鋸南保田ICで下道に降りて1時間ほど走ったところに「SUBARU里山スタジオ」はあります。目印の看板を発見!

↑東京湾アクアラインで千葉へゴー。途中、海ほたるで「幸せの鐘」を鳴らす前田編集長。2021年ももうすぐ終わりますね……

 

↑山中をひた走ったあと、うっかりすると通り過ぎてしまいそうな小さな横道へ。畦道を進むと、スバルのロゴが輝くささやかな案内板が! たしかに里山スタジオの存在を伝えてくれています

 

ここから道はどんどん狭く、険しくなり、不安が襲い掛かりますが、それに耐え切って無事到着。元々キャンプ場だったところに作っただけあって、ハンパないスケール! 「スタジオ」というより「フィールド」といった様相です。

↑山林みが深い! あれ? 前を走るのは……

 

ところで、クルマってかなり大きい買い物ですよね。当然、愛車選びは吟味に吟味を重ねて慎重になると思います。特に私は小さい子どもがいたり、妻も運転する可能性があったり、マンションの立体駐車場に収まるサイズじゃないといけなかったり、そもそも予算の上限がある程度決まっていたりと、たくさんの制限付きです。「見た目がカッコ良い」とか「走りが気持ち良い」といった魅力だけでは購入に踏み切れないのが現実。機能性や取り回しの良さ、そして価格から家族内で検討して絞りつつ、そのなかからデザインや走りが気に入ったクルマに決めるというフローを、皆さん辿っているのではないでしょうか。

 

翻って、私のなかでのSUBARU車のイメージは“男のロマンを体現したクルマ”。イマドキ男女でクルマを語るなんて怒られちゃいそうですが……。学生時代にそこそこやんちゃしていた先輩が、中古でSUBARUのフォレスターを買ってカスタムしまくっていた記憶があるからかもしれません。あとは、スノーボードで雪山へ行くときにはレンタカーでよくレガシィを借りていたものです。そんな若かりしころのおもひでから、SUBARU車は「アクティブでこだわりの強い人が選ぶクルマ」という印象が刷り込まれまくり。どのラインナップもめちゃカッコ良いけれど、自分は子どもが小さいうちは購入することはないのかなー、なんて漠然と思っていました。そう、この日までは……。

 

スバルのフラッグシップSUV、新型「レガシィ アウトバック」とご対面!

↑オフロードを駆け抜ける新型アウトバックは、絵になります!(写真はアクセサリー装備車)

 

新型アウトバックの特徴はまず、いかにもオフロードに強そうなタフさを感じさせる外観。ワイルドさを強調する大型のフロントグリルと、洗練されたしなやかなラインのボディが見事に融合しています。内外装ともにプレミアム感の高い「Limited EX」(消費税込429万円)と、ダークメタリック塗装のホイールなどでスポーティさを強調した「X-BREAK EX」(消費税込414万7000円)の2グレードで展開中です。個人的なデザインの好みは、X-BREAK EX。クルマに乗ること、運転することが特別だった若き日のエモさが蘇ってくるようです。アウトバック、イイなあ……。

↑今回見せていただいたのはX-BREAK EX。スポーティな仕様が物欲を刺激します

 

と感傷に浸りつつも、「子どものいる30~40代男性」をメイン読者とするゲットナビを代表してここに来ていることを忘れてはなりません。使い勝手はどうなのか? この日、群馬県太田市にある開発拠点から、取材のためにお越しいただいた開発チームのお三方に話をうかがいながら、新型アウトバックをじっくりチェックしてみました。

↑左から、商品企画本部のプロジェクトゼネラルマネージャー・村田誠さん、小野寺圭さん、アクセサリー企画部の横居智也さん

 

運転支援システム「アイサイトX」を標準装備!

まずは、インテリア。最初に目に入るのは、インパネの11.6インチセンターディスプレイ。大きいことは良いことで、見やすいし、タッチ操作もしやすい! バック時の車両状態表示やガイドもめちゃわかりやすくて、安心感があります。

 

さらに、新世代アイサイトに「高度運転支援システム」を搭載したSUBARU最先端の安全テクノロジーが「アイサイトX」ですが、これを全車に標準搭載。これなら普段運転慣れしていない妻や、70歳が近づいている父にもハンドルを任せられそうです。

↑まるで大型のタブレットが埋め込まれているよう。視認性&操作性が高いです

 

内装もオフロード対応!

シートは、Limited EXにオプション設定となる本革(ナッパレザー)シートと、X-BREAK EXに標準装備の撥水ポリウレタンシートを用意。高級感があるのは前者ですが、濡れた状態で乗ったり、食べこぼしをしたりといった日常のシーンを想定すると、使い勝手の良い後者も魅力的に感じます。アクセサリーとして「オールウェザーシートカバー」も用意しており、よりアクティブに使う人は要注目ですね。

↑X-BREAK EXの撥水ポリウレタンシートに、アクセサリーのオールウェザーシートカバーを設置した状態。これなら食べこぼしの多い私でも安心です!

 

そして荷室。561Lという広さだけでなく、様々な工夫で収納力を高めているのが印象的でした。大きめのSUVでもゴルフバッグを横置きできないモデルは結構あるんですが、アウトバックなら余裕。キャンプギアなどの汚れモノをラフに積んでも、アクセサリーの「カーゴトレーマット」を装着すれば水や泥がクルマに浸透しにくいなど、随所に配慮が行き届いています。

↑後席を倒せばオジサン2人が寝られる広さ。車中泊しても身体への負担は小さそうです

 

ルーフトップテントも設置可能!

そして、新型アウトバックをよりアクティブなクルマたらしめるパーツが、ルーフレール。Limited EXでは、サーフボードやカヌーなどの長物を積載しやすいクロスバータイプを、X-BREAK EXでは、積載荷重がより大きく、汎用性の高いラダータイプを採用しています。このルーフレールには、カーキャリアのトップブランドであるTHULE(スーリー)のルーフトップテントを設置できるというのが、本車のウラ目玉(?)なのです。

↑アクセサリーの後席ステップガードを取り付ければ、小柄な女性でも荷物の積載が容易に

 

このときはまだナンバープレートが付いておらず公道を走ることはできませんでしたが、施設内で少しだけ動かしてみた感じでは、たしかに悪路に強そうな印象。もちろんオンロードでも、SUBARU車ならではの爽快な走りを楽しめそうです。

↑SUBARU里山スタジオ内の悪路もなんのその。排気量は1.8Lと抑えめですが、直噴ターボ車ならではのパワフルな走りでした

 

ファミリーの選択肢としてもアリ!

ってことで、3時間オーバーの取材を終えての結論。アウトバックは見た目がカッコいいし、安全性も高いし、使い勝手も良いし、アクティブな趣味にも対応するし、本当にイイとこ取りのクルマです。家族を乗せるのがメインだけど、カッコ良さも捨てたくないというゲットナビ世代には絶対ハマるはず。400万円台という価格は決して安くはないけれど、走破性に安全装備、さらにスタイリング的にも長く乗れそうなことを考えたら、ファミリーの選択としてもアリでしょう!

↑アウトバックとともに皆で記念撮影。長時間に及ぶ取材のご対応ありがとうございました!

 

と、充実感に満たされつつ帰宅。クルマ選びにはシビアな妻に、「今日SUBARUの取材に行ってきてね……」と、おそるおそる切り出してみる。取材で聞きかじった私のアウトバック話にはそれほど興味を示さなかった妻だが(私のスキルの問題です。SUBARUの皆様にお詫び申し上げます)、クルマの写真を見てひと言、「カッコ良いね。これ、私の好きなタイプのクルマだ」。買い替え、ワンチャンあるかもよ!

 

前田編集長のレポートはこちら→https://www.monomagazine.com/35426/

 

 

写真/西川節子

車両やお店が日々進化!松本明子がオープンした気軽にリーズナブルに楽しめるレンタカー業のこだわりとは

『電波少年シリーズ』(日本テレビ系)といったバラエティ番組をはじめとするテレビ番組やラジオ、またまた歌手としてのライブ活動など多忙を極める松本明子さん。

 

そんな松本さんが軽自動車をベースとする軽キャンピングカーのレンタカー「オフィスアムズ」をオープンしたと聞き、本人にその真意を直撃!アポなし、とはいかなかったものの、ひと味変わったレンタカー屋さんの実態をうかがいました。

(撮影・構成:丸山剛史/執筆:手束 毅)

 

松本明子(まつもと あきこ)/歌手、俳優。1966年4月8日生まれ。1982年、『スター誕生!』(日本テレビ系)チャンピオン大会合格後、歌手デビュー。歌手活動はもちろん、女優、タレントなどとして活躍中

 

開業のきっかけは「もっとお手軽に登山をしてほしい」から!?

──私もそうですが、読者が一番知りたいのは松本さんがどうしてキャンピングカーのレンタル業を始めたかです。きっかけは何だったのですか?

 

松本 これはですね、去年の9月の末に山登り初心者だった私が、長野県と富山県にまたがる北アルプスの名峰「唐松岳」に初めて本格的な登山を経験したのですよ。標高が2696mで往復7時間くらいかけて登った頂上はまさに絶景でした!

 

頂上で味わった感動を胸に下山し自宅に戻ったのですが、今日の登山で私は何人の方とすれ違ったかなとふと振り返ったら1000人はいたなと。1回の登山で1000人の方とすれ違うって凄いなと思うとともに、そんな人達がもっとお手軽にリーズナブルに登山できる方法はないかと思いついたのです。

 

というのも、その時、私は登山のために前乗り前泊し宿泊、最寄り駅からレンタカーを借りてもいましたから結構お金がかかったんですね……。

 

また、2700m近くの山に登るのに重いリュックを背負ってテント泊をする人は大変だなと。もうちょっとリーズナブルにお手軽に、あと移動と宿泊を一緒くたにできないかとそのときから考えはじめました。

 

──そこで思いついたのが軽キャンピングカーのレンタル業だったと。

 

松本 例えば軽トラの荷台にテントを載せてそこで寝るのはどうだろうと、イラストを描いてみたのですが、よくよく考えたら走行中にテントが吹き飛ばされてしまうじゃんとか、そんなうまくいかないよねとネットで検索してみたらあったんですよ、軽トラの荷台にテントを載せた車両が!

 

それがバグトラ(※販売先の正式名称はBug-truck Camper Pro.)で、青森県の「カーファクトリー・ターボー」さんが製作・販売されていた車両なのですが、もう一目惚れをしちゃって。

 

すぐに「タレントの松本明子と申しますけれど、バグトラを手に入れるのはどうしたらいいのでしょうか?」と“アポなし”で電話をかけたところ、関東エリアで神奈川県にある「ブロー」さんという車両の架装会社が販売していると教えてくれて、翌日にはそのお店にうかがいました。

 

お店にはバグトラ以外にも車両があり、ネコバス風のブギーライダーもありますよと紹介されて、その車両も一目惚れしちゃったんですよ!

 

どちらも車中泊できます、とのことだったのでその2車種を揃えてレンタカー業を開こうと決めました。

 

ターゲットは大学生とか若い夫婦やカップル

──お店では現在、バグトラックとブギーライダー、それぞれ2車種が用意されています。これらの特徴を教えてください。

 

松本 まず、バグトラは軽トラック「ダイハツ・ハイゼットジャンボ」をベースに、荷台には網戸付きテントキットを装着した軽キャンピングカーです。荷台には木製フロアキットを装備し、マットを敷くことで車中泊が可能なスペースになります。

 

あと、キャビンと荷台の境目にある背面ガラスをスライド式にしたので、座席シート裏に置いた荷物などを寝室から取り出すことやキャビンの熱や冷風を荷台スペースに入れることもできます。

 

もうひとつのブギーライダーは軽1BOXバン「スズキ・エブリイ」をブローさんがアメリカンスクールバス風にカスタムした車両です。私は「ネコバス」と呼んでいますけど(笑)。

 

リアシートを倒すとフルフラットな空間となり、ベッドキットを取りだせば大人2人がゆったりとくつろげる広々スペースが現れます。

 

そちら2車種4台には運転時にあるとうれしいバックモニター付きドラレコ、ETC、カーナビ、USBポートが標準装備されているのも特徴です。

 

──それぞれ、2台ずつ用意されていますね。違いはあるのですか?

 

↑オーバーフェンダーや鹿よけグリルガードを装着したバグトラ2号

 

松本 バグトラ2号はオーバーフェンダーや鹿よけグリルガードを装着して1号と比べ、よりワイルドに仕上げました。かっこいいでしょ!

 

ブギーライダーは1号、2号のボディカラーがまず違います。2号のグリーンは可愛いと、とくに女性の方に人気ですね。

 

あと、ブギーライダー1号にはタワー型ルーフテントを装着しているので乗車定員4名が車中泊できるようになりました。

↑タワー型ルーフテント装着のブギーライダー1号

 

↑女性に人気のブギーライダー2号

 

──当初、ブギーライダー1号にはルーフテントがなかったと記憶していますが、車両に改良が加えられているのですね。

 

松本 そうなんですよ! お客様からの要望などから少しずつではありますが内外装に手を加えています。ブギーライダーの車内に設置したサイドテーブルは、私が東急ハンズで材料を購入し自作しました(笑)

↑自作のサイドテーブル

 

──それは凄い!お店では軽キャンピングカーを用意していますがお客さんはどのような層をメインターゲットにして開業したのでしょうか。

 

松本 やっぱり東京に住んでいる大学生とか若い夫婦とかカップルとか、免許は持っているんだけどクルマを持つことが難しい方が中心かなと想定していました。都内は駐車場が1台あたり月額3万円くらい、それ以外の維持費もかかるしで簡単に所有できないですからね……。

 

そういう方にレンタカーを利用していただき、借りる車両も軽自動車ベースなので安い。なるべくリーズナブルに登山やキャンプをするお供に使って貰えればうれしいなと思って。

 

利用者の3割は海外からの観光客

──とはいえ、開業までの苦労もあったと思います。

 

松本 苦労というわけではないのですが、お店を開こうと思ってから準備に時間がかかりました。レンタカー業に必要な「自家用自動車有償貸渡業の許可」を取得するため手続きを司法書士さんに依頼し、運輸局の審査、許可の取得、車両の登録などそれらの工程が半年くらいかかりました。

 

──そうやってキャンピングカーを扱うビジネスを展開しはじめられましたが、以前からアウトドアやキャンプに興味があったのですか?

 

松本 ソロキャンプでおなじみのヒロシさんではないので、もうアウトドア初心者ですけど河原でバーベキューくらいはやっていました。

 

でも、もともと天気が良くなると出かけたくなる症候群があったみたいで。それは四国の田舎町で育ったことが原点にあるのかもしれないですね。

 

──現在、空前のキャンピングカーブームとも言われていますが、軽自動車をベースとしたキャンピングカー以外の車種を用意する予定はありました?

 

松本 レンタカー業を始めるにあたりキャンピングカーショーに行きいろいろな車両を見たのですが、大きくてゴージャスなキャンピングカーだと女性ドライバーが敬遠すると聞いたことや、私自身も利用者側に立つと運転免許はあるものの大型のキャンピングカーを借りて運転するのはちょっと……と躊躇しちゃいますよね。

 

軽キャンピングカーも車内に水回りの設備や調理台がある車両もあったのですが、とにかく気軽に、そう、車中泊だけできる、女性にも運転が苦にならない軽キャンピングカーをという思いが強いのでいまの2車種に決めました。

 

──どちらかというと、アウトドアの達人ではなく「そこまでアウトドアを頑張らない」人のほうが合いますね。

 

松本 そうですね。そう、先日アウトドア初心者ですという22歳の男子がクルマを借りてくれて「車中泊、凄く楽しかったです♪」と返却時に喜んでくれたんですよ!

 

あと、バグトラのファンの方がけっこういるみたいで「車両を売ってくれませんか?」と問い合わせや試乗したいと借りるお客様もいました(笑)。

 

そうそう、オープンからお客様の3割くらいが外国の方なんですよ。イギリス、タイ、インドネシア、中国、台湾、韓国、フランスなどの方々なのですが休日の取り方が日本と違い長く取るみたいですね。ホリデーだからと2週間まとめて借りる方や、パソコンが有ればワーケーションできると長い期間借りてくれる方もいます。

 

先日はIT関連の仕事をされている外国の方が「東北に2週間行ってきます!」とクルマを借りていただいたり、北海道2週間まわったり、四国や広島、しまなみ海道を回ったりと長期利用していただくお客様はみんな外国の方でした。

 

お客様が笑顔で帰ってくるのを見ると本当にうれしい

──先程もブギーライダーのサイドテーブルを自作されたとお聞きしましたが、車両も日々進化しているように思えます。

 

松本 そもそもブギーライダー1号にルーフテントをつけたのは、「子どもを含めた4人でキャンプに行きたいのですが車中泊ができるのは2人までですか? 4人で行きたいんですけど……」というお客様からのオーダーを泣く泣くお断りをすることが何件かあって……。これはなんとかしないといけないと、急いでルーフにテントをつけて4人車中泊できるようにしようと、設置できるテントを走り回って探して取り付けましたね。

 

──あと、車両だけじゃなくアウトドア用のレンタル用品も充実していますよね。

 

松本 そうなんですよ!レンタル用品もお客さんのリクエストにお応えしたものが多くて、例えば冷蔵庫。北海道へ長期間、旅行に行く予定の女性のお客様から「冷蔵庫のレンタルはないですか?」と問い合わせがあり、保冷用のクーラーボックスならあるのだけど冷蔵庫が用意してないなと、すぐに購入しました。冷蔵庫本体だけでなく、シガーソケットからつないで電気を供給するためのインバーター、さらにエンジンを停止したあとでも使うことができるバッテリーも揃えています。

 

問い合わせされたお客様には「冷蔵庫を購入しましたからレンタルできます、大丈夫です!」とお伝えすると大変喜んでいただけました。

 

──気になるのがこれからの季節に重要となる防寒対策です。

 

松本 私も実際にバグトラで車中泊をしてみたのですがやっぱり冬は寒くて……。本当は温風が出るヒーターも用意するべきかと思ったのですけどバッテリーの問題や専用の電源コードなどを揃えると購入金額が40万円くらいになっちゃうんです。そうなると気軽にレンタルできるものではなくなってしまうんですよね……。

 

そのため、私どもができる範囲で、例えば寒さから身体を守るキャンプ用の銀マットを貸し出したり、車中泊スペースに洗濯ロープを設置できるフックを装着し四隅に毛布を吊る「毛布カーテン」ができるように工夫するなど、少しでも暖かく車中泊できるものを探して試している最中です。

 

──お客さんからの声や要望には柔軟に対応することもテーマにしていると。

 

松本 そうですね。レンタル品でいうと最初にBBQセットみたいなものはないのですかという問い合わせがあってすぐに買いに行きましたが、車両もそうですがレンタル品って、本当にお客様のリクエストでニーズがある製品に気がつくことが多かったですね。

 

──また、驚くのがキャンピングカーという付加価値がある車両にもかかわらず料金が安いこと。正直、採算が取れるか心配になります。

 

松本 大手のレンタカーさんの料金とか見ると、軽自動車の貸出価格はやっぱりリーズナブルなんですよね。そこを飛び出してお客様が高いなと思わないような料金設定にしました。当初、設定していた価格よりもっとリーズナブルに……正直、我慢しました、はい。

 

はっきり言って黒字にはならないです(苦笑)。希に黒字になるのは、そうですね、夏休みなどのアウトドアやレジャーのハイシーズンになった時ぐらいですけども、あとはもう本当に経費とトントンぐらいで稼働している感じです……。

 

でも、お客様が笑顔で帰ってくるのを見ると本当にうれしくなっちゃって、なんかもういっぱいサービスしたくなっちゃうんですよね。

 

あと40代以上の方だと、私と一緒に写真を撮ってくださいとか言ってくれる方がいらっしゃって、それはうれしいですね。外国人の方と20代の方、大学生の方はまったく松本明子と分かっていませんから(苦笑)。

 

一緒に楽しむお店づくりを目指す

──将来的な展望として、まずお店を知ってもらうことは当然として、他になにか考えていることはありますか?

 

松本 近い将来ですけれども、やっぱり地球温暖化や環境問題を理由にクルマの世界も徐々に変わっていくかと思っているのでどこかのタイミングでEV(電気自動車)の導入も考えなくてはいけないと思っています。

 

いまの自動車業界の変革によってレンタカー業界も変わっていくと思うので、そこはこちらもうまく取り入れたいです。

 

──最後に、この記事を読んでお店に興味を持った読者にオフィスアムズのアピールをどうぞ!

 

松本 ありがとうございます。私どもはアウトドアやキャンピングカー、レンタカー業もすべて初心者で、私が思う「こんなクルマがあったらいいな♪」という車両やお店を作りました。これからは皆さんがレジャーを気軽に、手軽に、安く楽しんでいただけるようなレンタカー店作りや車両作りを目指したいと思っています。

 

若い方、女性、ファミリー、カップル、それからソロでキャンプやレジャーを楽しみたい方など年齢性別問わずに私と一緒に多様な楽しみ方を実践したり提案してくれる方は大歓迎です。皆様の楽しみ方に合わせて、私もいろいろ発見できるようにがんばりますので、一緒に楽しんでください。

 

──いわば借り手の思い通りにカスタムや進化することができるレンタカー屋さんですね。

 

松本 そうですね。例えばバグトラ2号をワイルドにカスタムしたのも、そもそもはお客様からのリクエストでした。「もっとワイルドな車両はないですか?」との問い合わせにフェンダーと鹿よけのバンパーを装着、本当は車高も上げたかったのですが1号に比べると少しはワイルドに仕上がったと思います。

 

こんな感じでリクエストしていただければ、私達のできる範囲となりますがいろいろなことに対応していきますのでご活用ください!

【オフィスアムズについて詳しくはコチラ

 

【INFORMATION】

松本明⼦presents ⻩⾦の80 年代アイドルうたつなぎ
〜うれしなつかし胸キュンコンサート〜

アイドル⻩⾦期の1980 年代において「不作の83年組」にデビューを果たした松本明⼦がキュレーターとなり、同時代に活躍したスーパーアイドルたちと、華々しい時代の名曲たちをスペシャルなトークとともにお届けするコンサート企画。

日時:2022年1⽉23⽇(日)(昼公演・開場12:30 開演13:30/夜公演・開場17:00 開演18:00)
会場:東京・かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール
料金:全席指定8000円(税込)
出演:松本明⼦、浅⾹唯、森尾由美、布川敏和、⻄村知美

チケットは、BSフジチケット・チケットぴあ・ローチケ(e +、CNプレイガイド、楽天チケット)などで発売中。

お問い合わせはBSフジイベントお問い合わせ(event@bsfuji.co.jp)まで。

エニカで借りたヒョンデの燃料電池自動車「ネッソ」を試乗! 燃料電池車とSUVの特徴を融合した快適な走りを実感

韓国・現代(HYUNDAI=ヒョンデ)自動車の燃料電池自動車(FCV)『NEXO(ネッソ)』に日本で乗れる!そんな話をいただいたのは11月始め。個人間カーシェアリングを展開している「Anyca(エニカ)」がディーラー車の貸出車両としてネッソを登録しており、その試乗レポートをお届けします。

 

ネッソは燃料電池車初のSUVとして誕生

私がネッソに最初に遭遇したのは2018年1月に訪れた米国・ラスベガスで開催されたCES会場です。当時はトヨタが『MIRAI(ミライ)』を発売した後、FCVについてはしばらく動きがなかった中での登場に驚きを感じたものでした。その後、ネッソは2018年3月に韓国国内で発売。そして、私は同年12月にはマレーシア・クアラルンプールで開催されたモーターショーで再び遭遇したのです。個人的にも興味を抱いていただけにこの話はまさに“渡りに船”。その場で試乗を快諾させていただいたというわけです。

↑個人間カーシェアリング「エニカ」で借りたヒョンデ自動車のFCV「ネッソ」。日本での発売は未定

 

FCVとは酸素との化学反応によって発生させた電気エネルギーでモーターを駆動して走らせるクルマのことです。水素は燃焼させても排出するのは水だけなので、走行時に限れば世界的な課題として俎上に上がっているCO2は一切発生させません。水素がある限り自分で電気を発生して走ることができるので、電気自動車(EV)のような充電は不要。その意味で環境に優しく理想に近いクルマというわけです。

↑ネッソのボディサイズは、全長4670×全幅1860×全高1640mm

 

そのFCVを採用したネッソは、FCVとして初めてグローバルで人気が高いSUVを形状に採用しました。トヨタのミライはフォーマルなスタイルの4ドアセダンであるため、スペースユーティリティでは明らかにネッソの方が有利。車内は広々とした空間が広がり、カーゴルームもフロア面はやや高めであるものの、SUVらしいスペースが確保されています。環境に優しく、クルマとしての使い勝手も高めた。ここにネッソならではの魅力があるのです。

↑カーゴルームはフロアが若干高めであるものの、SUVらしいたっぷりとした461Lの容積量を備えている

 

内装は品質が高く落ち着いた雰囲気

ネッソに試乗するためにキーで解錠ボタンを押すと、ドアの取っ手が自動的に手前に迫り出してきます。最近は空力特性を向上させるために。この手の「オートフラッシュドアハンドル」を採用するクルマが増え始めていますが、ネッソはいち早くこれを採用し、ここでもネッソは未来感に富んだコンセプトを持って開発されたことがわかります。

↑スマートキーで解錠ボタンを押すとアウタードアハンドルが自動的に迫り出してロックが解除される

 

運転席に座ると中央にビルトインされたコンソールと、正面の液晶ディスプレイに取り囲まれた先進的な雰囲気を伝えてきます。手で触れる部分は品質が高くしっとりした感触で、内装はグレー系でまとめられて落ち着いた雰囲気を醸し出しています。クルマからのインフォメーションは正面とダッシュボード中央の2か所に配置されたディスプレイが使われ、中央部の12.3インチディスプレイではエネルギーモニターやBGMとしてのイメージ映像、エアコンの作動状況などが映し出されます。

↑運転席周りは大型ディスプレイと共に近未来感にあふれている。ステアリングにはADAS系のコントローラーも備える

 

↑中央ディスプレイは12.3インチと大型でエネルギーフローやエアコンなどの動作状態がモニターできる

 

一方で、操作系では、中央コンソールにあるボタンが多すぎる気がしました。文字も小さめで、光の当たり具合ではその文字すら見えにくくなります。「HOME」ボタンがコンソール上に2つあるのも迷いがち。さらにミッションの切り替えスイッチもこのデザイン中に含まれており、少なくともこれぐらいはもっとメリハリのある別デザインにしてほしかったと思いました。

↑中央コンソールには数多くのボタンが並び、HOMEボタンも2つ。どれを操作したらいいのか迷ってしまうほど

 

↑シフトスイッチはこの4つのボタンを押して操作する。形状をもっとメリハリのあるデザインにして欲しいと感じた

 

走行可能距離は820kmと十分

さて、そのネッソを行動で走らせてみます。ヒョンデによれば水素をフル充填すると走行可能距離は820km(WLTC)ということで、これをエアコンの利用などを考慮して7割と見積もっても500kmは超えます。同じFCVであるミライは850km(グレードGの場合・WLTC)」と少し上回りますが、その差はわずかでいずれも十分に長い距離を走れるクルマと言えるでしょう。

 

電気モーターで発生するパワースペックは、最高出力120kWと最大トルク395Nm。それだけにアクセルを少し踏んだだけでモーターらしい太いトルクが伝わり、車重1870kgのボディを軽々と運んでくれました。モーターらしいフラットなトルクはどの速度域でも俊敏に反応してくれ、市街地はもちろん、高速道路の流入でも力不足は微塵も感じさせません。これは内燃機関とは大きく違う点です。

↑駆動は前輪で行い、モーターの最高出力は120kW、最大トルクは395Nm。水素タンクは3本備える

 

乗り心地もすこぶる快適でした。路面の凹凸をしっかり吸収しており、荒れた路面でもフラットな感覚で上手にいなしてくれるのです。若干、フワついた印象もありあますが、それは軽めのステアリングがそう感じさせるのかも知れません。300kmほど少し遠乗りもしてみましたが、同乗者からも乗り心地に不満は一切出ませんでした。SUVとしての走りは十分な満足度が得られそうです。

↑車内はSUVらしく広々とした空間で、車内スペースのあちこちに最高レベルの環境配慮型バイオ素材を採用。ストーングレーの内装はツートーンの組み合わせで落ち着いた雰囲気だ

 

↑後席は足を組んでもゆったり座れる広さがあり、リクライニング機構も備えているのでロングドライブも楽々

 

車外からリモコン操作で自動駐車

先進安全運転支援(ADAS)の機能も十分なものでした。センシングは単眼カメラとミリ波レーダーによる組み合わせで行う一般的なものですが、レーンキーピングではフラつくこともなく自然に進んでくれましたし、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)での先行車追従でも車間を安定して制御していました。

 

運転中のアシストとして感心したのが「ブラインドスポットビューモニター」です。一般的にこの機能はミラーにオレンジ色の警告表示が出るだけですが、ネッソではウインカーを出すと同時に、出した側の様子を映像でウインドウ風に表示するのです。この映像を通して死角をなくそうというわけです。

↑ウインカーを出すと、出した側の状態がカメラ映像を通してモニターされる。写真は右側のウインカーを出したときのもの

 

そして、自動で駐車できる「リモートスマートパーキングシステム」にも注目です。これは駐車可能なスペースを自動的に検出した後、車外からコントロールして駐車枠内に自動で収める機能です。作動中はリモコン操作で外部からコントロールするので、車内はまったくの無人。これで切り返しをしながら自動的に駐車するのだから驚きです。

 

操作手順としては、機能をONにしてゆっくり走ると、自動的に駐車できる枠を検出して停止するので、そこで並列駐車か縦列駐車するかを選びます。また、この機能は運転席に座った状態も可能で、その時はコンソールにあるリモートスマートパーキングシステムのボタンを押すだけです。まさに先進性をコンセプトにしたネッソらしい機能といえます。

↑案内に従ってクルマから下りてスマートキーの作動ボタンを押せば、切り返しながら自動的に枠内へクルマを駐車。操作ボタンを離すと停止します

 

ネッソを借りたいなら個人間カーシェアリング「エニカ」で

ではこの先進性あふれるネッソにはどうすれば日本で乗れるのでしょうか。ヒュンダイモーターコーポレーションの日本法人「ヒョンデ・ジャパン」によれば、韓国での価格は「約650万円から750万円」とのことですが、残念ながら日本での販売は今のところ未定。2010年に同社が日本市場から撤退して以降、その後、大型バスなどは展開しているものの、乗用車を再び販売するという話はまだ具体化されていないのです。

 

そんな中、唯一ネッソに乗れる方法が、冒頭でも触れた個人間カーシェアリングAnyca(エニカ)の会員になることです。エニカは個人が所有する車両を融通し合って貸し借りするカーシェアリングサービスです。多くのカーシェアリングは、レンタカーと同様の車両を貸し出すのと違い、個人が所有するオリジナリティあふれるクルマを借りられることが大きな特徴となっています。

↑エニカは会員登録費、月額費が無料です

 

↑エニカでクルマを借りるにはまず会員登録し、承認されるとスマホでクルマを選択できるようになります

 

↑クルマを借りる際は、登録した免許証をセンサー部にかざしてドアロックを解除

 

↑グローブボックス内の鍵で「貸出」にまわし、鍵を抜いて車両の電源をONにすればOK!

 

そして、もう一つの大きな特徴が自動車会社が所有するディーラー車をシェアするサービスも行っていることです。実はネッソもそのサービスの一環として展開しているものなので、これは「購入を想定したクルマを少し長めに試乗してから購入を決めたい」という声に応えて有料でサービスが始まったもの。すでに多くの自動車販売店が登録済みで、今回のネッソもヒョンデ・ジャパンが提供しているものなのです。エニカに登録して、日本ではなかなかお目にかかれないユニークなクルマに乗ってみるのも面白いと思います。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

最高級アメ車のプライドを備えるSUVの最小モデル! キャデラック「XT4」を徹底分析

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、アメリカのキャデラックブランドがラインナップするSUVの最小モデルに試乗し、キャデラックの現状を暴く?

※こちらは「GetNavi」 2021年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】キャデラック/XT4

SPEC【プラチナム】●全長×全幅×全高:4605×1875×1625mm●車両重量:1780kg●パワーユニット:2.0Lターボエンジン●最高出力:230PS(169kW)/5000rpm●最大トルク:35.6kg-m(350Nm)/1500〜4000rpm●WLTCモード燃費:非公表

570万(税込)〜670万円(税込)

 

日本の市場ではウケないが、“アメ車らしさ”を貫いたハイスペックな1台

安ド「殿! 今回は久しぶりのアメリカ車です!」

 

永福「さようか」

 

安ド「キャデラックの一番小さいSUV、『XT4』です!」

 

永福「キャデラックとはデラックスだな」

 

安ド「サイズもさすがにデラックスです。これで最小とはさすがアメ車ですね!」

 

永福「いや、実際かなり小さいぞ。トヨタのRAV4と大差ない」

 

安ド「ええっ!? もっとデカいような気がしましたが……」

 

永福「それはアメ車に対する思い込みだ。しかし実は私も車庫入れで苦労した。というのも、左ハンドル車なのでな」

 

安ド「殿はフェラーリなどで、左ハンドル車に慣れているのでは?」

 

安ド「左ハンドル車には慣れているが、SUVの左ハンドル車にはあまり慣れていなかった。最近は輸入車でも、左ハンドル車はフェラーリやランボルギーニくらいになっているのでなぁ」

 

安ド「なるほど! それにしてもキャデラックって、いまでも全モデル左ハンドルなんですね。なぜでしょう?」

 

永福「アメリカの最高級車としての誇りもあるだろうが、なによりもアメリカ以外ではあまり売れないことが大きいのではないか」

 

安ド「つまり、右ハンドルを作るほど売れないってことですね」

 

永福「2020年に日本で売れたキャデラック車は、合計479台。ランボルギーニより少なかった」

 

安ド「そういえばランボルギーニも左ハンドルだけですよね!」

 

永福「いや、ウラカンやウルスには右ハンドルがあるぞ」

 

安ド「エエ〜〜〜〜ッ! ランボルギーニですら右ハンドルがあるのに、キャデラックは左ハンドルだけなんですかぁ!」

 

永福「ランボルギーニは、左側通行の日本やイギリスでの販売比率がかなり大きいのだ」

 

安ド「キャデラックも右ハンドル車を作れば、日本でもっと売れるんじゃないですか?」

 

永福「まぁ多少は増えるかもしれないが、大したことはあるまい」

 

安ド「このクルマ、カッコ良いし走りは快適だし、エンジンも2Lターボで扱いやすくてパワフルだし、デジタル系の機能も最新だし、内装の質感も高いのに、なぜあまり売れないんでしょう?」

 

永福「う〜ん、イメージだろうな。いま日本でキャデラックを欲しがる人がどういう人か、想像がつくか?」

 

安ド「……つきません!」

 

永福「輸入車の新車を買うってことは、高級デパートで服を買うことと同様。大事なのは布地の良し悪しよりもブランドだ。キャデラックというブランドは、昔の高級車というイメージで、洋服のブランドで言うと……何だ?」

 

安ド「わかりません! 僕はユニクロやGUでしか買いませんから」

 

永福「私にもわからん。最近はワークマンやサミットでしか買わないからな」

 

【GOD PARTS 1】ドライブモード

アメリカらしい?「ツーリング」モード

センターコンソールのスイッチを押すことで、ドライブモードが選択できるようになります。「AWD」は4WD固定、「スポーツ」と「オフロード」もありがちですが、「ツーリング」は珍しいです。アメリカらしい表現とも言えます。

 

【GOD PARTS 2】20インチホイール

大径で迫力があり、質感高くスポーティ

上級2グレードでは20インチホイールが採用されていて、デザインも高級感がありながらスポーティです。「コンパクト」を謳うSUVでありながらも、しっかり大径ホイールを採用するのは、見た目重視で良い感じですね。

 

【GOD PARTS 3】エンブレム

グレード名ではない謎の数字の正体は?

ボディ後方には「XT4」と「350T」という2つのバッジ(エンブレム)が付いています。前者は車名ですが、後者は何かと考えてみると最大トルクの数値ですね(350Nm)。トルクに価値を置くあたりは、SUVの本場・アメリカらしいです。

 

【GOD PARTS 4】ワイヤレスチャージャー

スマホを置くだけで充電できる便利装備

近年、日本車でも多く採用されているスマホのワイヤレスチャージャーが、XT4にもこっそりと肘掛けの下に隠されていました。しかもスマホのサイズに合わせてスケールを変更できる仕様がフレンドリーです。

 

【GOD PARTS 5】エアコン

ユーザーフレンドリーな室内空間を実現

グレードにもよりますが、イオン発生除菌機能付きのオートエアコンが採用されているというのは現代的で、まるで日本車のような配慮です。また、このスイッチ類が真横に一直線に並べられた姿は壮観でもあります。

 

【GOD PARTS 6】左ハンドル

あくまでも左を貫きプライドを守る思想

同じGM傘下のシボレー(コルベット)でさえ右ハンドル車があるというのに、キャデラックは左ハンドルのみの設定です。それでも日本でSUVラインナップを取り揃えるあたりは、もはや頑固さを超え、高潔ささえ感じます。

 

【GOD PARTS 7】リアハッチオープナー

ドアに付けられた謎のダイヤルの正体は?

ドアに付いていたこの小さなダイヤル。なんだろうと思っていじってみたら、リアハッチゲートの開閉スイッチでした。わざわざドア内部まで配線を通さなくてはならないため作る側も面倒だと思うのですが……。インパネに付け忘れてしまったのでしょうか。

 

【GOD PARTS 8】エンジン

小型でもアメ車らしい豪快な走り

2.0L直列4気筒のエンジンはツインターボで230馬力を発揮するパワフルなユニットです。アメ車のエンジンといえば大排気量とイメージされがちですが、小さなターボというのもまたヤンチャで楽しく、好ましいです。

 

【GOD PARTS 9】ヘッドライト&リアランプ

シャープな形状はブランドアイデンティティ

フロント、リアともにシャープでアクロバティックな形状のライトが採用されています。このところキャデラック車の顔は、目から涙が溢れているようなイメージで統一されていて、それは兄貴分のXT5やXT6などでも貫かれています。

 

【これぞ感動の細部だ!】シート

面積たっぷりでゆったり乗れる

アメリカ車のシートといえば、大柄でゆったりしていて座るだけで優雅な気分になれます。このXT4のシートもまたしかり、上級グレードではマッサージやヒーター、ベンチレーションなどの機能も付いていて、セレブ感があふれています。

 

撮影/我妻慶一

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

気になる新車を一気乗り! 個性と走りが際立つ日産・フォルクスワーゲン・BMWの新車をレポート

本記事では、個性と走りが際立つモデルをピックアップ。国産勢からは日産のプレミアムコンパクトであるオーラをベースとしたオーラ ニスモ、輸入車からはフォルクスワーゲン・アルテオン シューティングブレークと、BMW・M4クーペという、ドイツの2モデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【No.1】その魅力はスポーティにして上質な走りにあり!

ハッチバック

日産

オーラ ニスモ

SPEC【オーラ ニスモ】●全長×全幅×全高:4125×1735×1505mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒DOHC●最高出力:136[82]PS/3183〜8500[6000]rpm●最大トルク:30.6[10.5]kg-m/0〜3183[4800]rpm●WLTCモード燃費:23.3km/L

●[ ]内はガソリンエンジンの数値

 

しなやかな乗り心地は国際級と言える出来映え!

先代はノートをベースとしていたが、新型はノートの上位モデルに当たるオーラに、独自のチューニングを施すニスモ仕様に。ノート時代は走りとスタイリングが好評だったので、新型でもこの2点は入念に仕上げられた。外観は空力性能向上にも貢献する本格的なエアロパーツや、オーラよりリム幅を拡げた専用ホイールなどを装備。内装も、シックな装いのオーラから一転、スポーティな仕立てとなる。

 

シリーズ特有のハイブリッドのeパワーはニスモ独自の制御となり、足回りも独自セッティングを採用。それに合わせてボディもリア回りが強化されている。

 

その走りはスポーティでありつつも上質なライド感が印象的。特に日常域ではしなやかさを感じさせる足回りの動きや、一層の磨きがかかったアクセル操作に対するレスポンスは、オーラの特別モデルに相応しい。この完成度なら、ノート ニスモのオーナーだけでなく、輸入車コンパクトオーナーをも納得させるに違いない。

 

[Point 1] 空力パーツはモータースポーツ由来

ニスモ・レーシングと共同開発されたエアロパーツは、フォーミュラEを彷彿とさせる精悍なイメージだけでなく、実際の空力性能も向上。専用ホイールは、オーラよりリムが拡大された。オーラ ニスモの車両価値はモノグレード設定で286万9900円(税込)。

 

[Point 2] レッドのアクセントでスポーティな仕立てに

内装は、レッドのアクセントとダークトーンの組み合わせでスポーティに仕上げられた。多彩な表示機能を持つデジタルディスプレイのメーターも、ニスモ独自のグラフィックに。

 

[Point 3] レカロ製シートは日常での走行にも適する

オプションとなる専用仕立てのレカロシートは、スポーツ走行時のホールド性だけでなく日常域の走行にも配慮した作りとなっている。座り心地も上々だ。

 

 

【No.2】新作ワゴンはスタイリッシュな外観で勝負!

ステーションワゴン

フォルクスワーゲン

アルテオン シューティングブレーク

SPEC【TSI 4モーション Rライン・アドバンス】●全長×全幅×全高:4870×1875×1445mm●車両重量:1720kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:272PS/5500〜6500rpm●最大トルク:35.7kg-m/2000〜5400rpm●WLTCモード燃費:11.5km/L

 

エレガントな風情は4ドアクーペを凌ぐ個性

その最大の特徴は、やはりエレガントな風情を感じさせる外観だ。ボディサイズは4ドアクーペ版のアルテオンとまったく同じだが、このシューティングブレークでは伸びやかなルーフ形状が前後の長さを一層強調している。現行のフォルクスワーゲンでは、いま一番“攻めた”デザインであることは間違いないだろう。

 

シューティングブレークの導入を機に運転支援システムや内外装の細部こそアップデートされたが、2Lガソリンターボエンジンをはじめとする基本的ハードウエアは従来通り。駆動方式は4WDのみだが、それだけに走りは全方位的にソツのない仕上がりだ。ひと味違うワゴンとしても、狙い目の1台と言うことができる。

 

[Point 1] ワゴンとしての実用性も高い!

デザイン重視とはいえ、フォルクスワーゲンらしく実用度もハイレベル。荷室容量は通常時でも565L、最大では1632Lに達する。

 

[Point 2] 前後の長さと低さを強調する外観

外観は前後の長さと車高の低さが印象的。4ドアクーペ版(ファストバック)より大きく見えるが、ボディサイズは全高に至るまでまったく同じだ。

 

[Point 3] インパネ回りはワイド感を強調

インパネ回りは、マイナーチェンジでワイド感を強調する造形に。運転支援系の装備は、最新のフォルクスワーゲン他モデルと同じく最先端レベルだ。

 

[ラインナップ]

Rライン:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/587万9000円(税込)

Rライン アドバンス:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/644万6000円(税込)

エレガンス:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/644万6000円(税込)

 

 

【No.3】さらに研ぎ澄まされた武闘派BMWの急先鋒!

クーペ

BMW

M4クーペ

SPEC【M4クーペ・コンペティション】 ●全長×全幅×全高:4805×1885×1395mm●車両重量:1730kg●パワーユニット:2992cc直列6気筒DOHC+ツインターボ●最高出力:510PS/6250rpm●最大トルク:66.3kg-m/2750〜5500rpm●WLTCモード燃費:10.1km/L

 

ただ速いだけではなく走りの質感も楽しめる!

スポーツ性を極めるBMW Mモデルのなかにあっても、とりわけ“戦闘力”が高いことで知られる「M4クーペ」。今年上陸した最新版では、その資質に一層の磨きがかけられた。エンジンは引き続き直列6気筒の3Lツインターボだが、先代のそれとは別モノで、トランスミッションも専用の8速ATに。当然シャシーも独自のチューニングで、数々の制御システムにはドリフト走行の診断機能まで備わる。

 

その走りは、見た目のイメージ通りにシャープな味付けながら、快適性も納得できる水準を確保。また、先代比では特にエンジンの情緒溢れる吹け上がりも印象的だ。BMWらしさを味わうという点では、これだけでも乗る価値がある、と断言したい。

 

[Point 1] 6気筒エンジンらしい質感の高さも魅力

基本構造こそSUVのX3M用などと同じエンジンだが、味付けはクーペに相応しいもの。直列6気筒らしい、吹け上がりの質感も魅力だ。

 

[Point 2] 各装備がMモデルの専用仕立てに

ディスプレイやシフトレバー回り、シートなどがMモデル専用仕立てとなる室内。スポーティなのはもちろん、ラグジュアリーでもある。

 

[Point 3] まもなく4WDも選べるように!

現在の日本向けは6速MT仕様のみのベースモデルと8速ATを組み合わせるコンペティション、およびその軽量化版となるトラックパッケージの3モデル。間もなく4WD版も登場予定となっている。

 

[ラインナップ]

M4クーペ:3.0L+ツインターボ/2WD/6速MT/1298万円(税込)

M4クーペ コンペティション:3.0L+ツインターボ/2WD/8速AT/1348万円(税込)

M4クーペ トラックパッケージ:3.0L+ツインターボ/2WD/8速AT/1460万円(税込)

 

文/小野泰治 撮影/篠原晃一、小林俊樹、郡 大二郎

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

 

さらに研ぎ澄まされた武闘派BMWの急先鋒!

本記事では、個性と走りが際立つモデルをピックアップ。BMWのハイパフォーマンスクーペ「M4」がフルモデルチェンジしたので、試乗してみた。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ただ速いだけではなく走りの質感も楽しめる!

クーペ

BMW
M4クーペ

SPEC【M4クーペ・コンペティション】 ●全長×全幅×全高:4805×1885×1395mm●車両重量:1730kg●パワーユニット:2992cc直列6気筒DOHC+ツインターボ●最高出力:510PS/6250rpm●最大トルク:66.3kg-m/2750〜5500rpm●WLTCモード燃費:10.1km/L

スポーツ性を極めるBMW Mモデルのなかにあっても、とりわけ“戦闘力”が高いことで知られる「M4クーペ」。今年上陸した最新版では、その資質に一層の磨きがかけられた。エンジンは引き続き直列6気筒の3Lツインターボだが、先代のそれとは別モノで、トランスミッションも専用の8速ATに。当然シャシーも独自のチューニングで、数々の制御システムにはドリフト走行の診断機能まで備わる。

 

その走りは、見た目のイメージ通りにシャープな味付けながら、快適性も納得できる水準を確保。また、先代比では特にエンジンの情緒溢れる吹け上がりも印象的だ。BMWらしさを味わうという点では、これだけでも乗る価値がある、と断言したい。

 

[Point 1] 6気筒エンジンらしい質感の高さも魅力

基本構造こそSUVのX3M用などと同じエンジンだが、味付けはクーペに相応しいもの。直列6気筒らしい、吹け上がりの質感も魅力だ。

 

[Point 2] 各装備がMモデルの専用仕立てに

ディスプレイやシフトレバー回り、シートなどがMモデル専用仕立てとなる室内。スポーティなのはもちろん、ラグジュアリーでもある。

 

[Point 3] まもなく4WDも選べるように!

現在の日本向けは6速MT仕様のみのベースモデルと8速ATを組み合わせるコンペティション、およびその軽量化版となるトラックパッケージの3モデル。間もなく4WD版も登場予定となっている。

 

[ラインナップ]

M4クーペ:3.0L+ツインターボ/2WD/6速MT/1298万円(税込)

M4クーペ コンペティション:3.0L+ツインターボ/2WD/8速AT/1348万円(税込)

M4クーペ トラックパッケージ:3.0L+ツインターボ/2WD/8速AT/1460万円(税込)

 

 

文/小野泰治 撮影/郡 大二郎

 

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フォルクスワーゲンの新作ワゴン「アルテオン シューティングブレーク」はスタイリッシュな外観で勝負!

本記事では、個性と走りが際立つモデルをピックアップ。フォルクスワーゲンのフラッグシップ「アルテオン」がマイナーチェンジし、このタイミングで登場したステーションワゴン「アルテオン シューティングブレーク」に試乗してみました。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

エレガントな風情は4ドアクーペを凌ぐ個性

ステーションワゴン

フォルクスワーゲン

アルテオン シューティングブレーク

SPEC【TSI 4モーション Rライン・アドバンス】●全長×全幅×全高:4870×1875×1445mm●車両重量:1720kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:272PS/5500〜6500rpm●最大トルク:35.7kg-m/2000〜5400rpm●WLTCモード燃費:11.5km/L

その最大の特徴は、やはりエレガントな風情を感じさせる外観だ。ボディサイズは4ドアクーペ版の「アルテオン」とまったく同じだが、この「シューティングブレーク」では伸びやかなルーフ形状が前後の長さを一層強調している。現行のフォルクスワーゲンでは、いま一番“攻めた”デザインであることは間違いないだろう。

 

シューティングブレークの導入を機に運転支援システムや内外装の細部こそアップデートされたが、2Lガソリンターボエンジンをはじめとする基本的ハードウエアは従来通り。駆動方式は4WDのみだが、それだけに走りは全方位的にソツのない仕上がりだ。ひと味違うワゴンとしても、狙い目の1台と言うことができる。

 

[Point 1] ワゴンとしての実用性も高い!

デザイン重視とはいえ、フォルクスワーゲンらしく実用度もハイレベル。荷室容量は通常時でも565L、最大では1632Lに達する。

 

[Point 2] 前後の長さと低さを強調する外観

外観は前後の長さと車高の低さが印象的。4ドアクーペ版(ファストバック)より大きく見えるが、ボディサイズは全高に至るまでまったく同じだ。

 

[Point 3] インパネ回りはワイド感を強調

インパネ回りは、マイナーチェンジでワイド感を強調する造形に。運転支援系の装備は、最新のフォルクスワーゲン他モデルと同じく最先端レベルだ。

 

[ラインナップ]

Rライン:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/587万9000円(税込)

Rライン アドバンス:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/644万6000円(税込)

エレガンス:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/644万6000円(税込)

 

 

文/小野泰治 撮影/小林俊樹

 

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日産「オーラ ニスモ」の魅力はスポーティにして上質な走りにあり!

日産のプレミアムコンパクトであるオーラをベースとした「オーラ ニスモ」。新世代のニスモ デザインに、次世代e-POWERのシームレスで強い加速力と、それに呼応するシャープで強烈なハンドリングをもつノートオーラニスモに試乗してみた。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

しなやかな乗り心地は国際級と言える出来映え!

ハッチバック

日産

オーラ ニスモ

SPEC【オーラ ニスモ】●全長×全幅×全高:4125×1735×1505mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒DOHC●最高出力:136[82]PS/3183〜8500[6000]rpm●最大トルク:30.6[10.5]kg-m/0〜3183[4800]rpm●WLTCモード燃費:23.3km/L

●[ ]内はガソリンエンジンの数値

先代は「ノート」をベースとしていたが、新型はノートの上位モデルに当たる「オーラ」に、独自のチューニングを施すニスモ仕様。ノート時代は走りとスタイリングが好評だったので、新型でもこの2点は入念に仕上げられた。外観は空力性能向上にも貢献する本格的なエアロパーツや、オーラよりリム幅を拡げた専用ホイールなどを装備。内装も、シックな装いのオーラから一転、スポーティな仕立てとなる。

 

シリーズ特有のハイブリッドのeパワーはニスモ独自の制御となり、足回りも独自セッティングを採用。それに合わせてボディもリア回りが強化されている。

 

その走りはスポーティでありつつも上質なライド感が印象的。特に日常域ではしなやかさを感じさせる足回りの動きや、一層の磨きがかかったアクセル操作に対するレスポンスは、オーラの特別モデルに相応しい。この完成度なら、「ノート ニスモ」のオーナーだけでなく、輸入車コンパクトオーナーをも納得させるに違いない。

 

[Point 1] 空力パーツはモータースポーツ由来

ニスモ・レーシングと共同開発されたエアロパーツは、フォーミュラEを彷彿とさせる精悍なイメージだけでなく、実際の空力性能も向上。専用ホイールは、オーラよりリムが拡大された。オーラ ニスモの車両価値はモノグレード設定で286万9900円(税込)。

 

[Point 2] レッドのアクセントでスポーティな仕立てに

内装は、レッドのアクセントとダークトーンの組み合わせでスポーティに仕上げられた。多彩な表示機能を持つデジタルディスプレイのメーターも、ニスモ独自のグラフィックに。

 

[Point 3] レカロ製シートは日常での走行にも適する

オプションとなる専用仕立ての「レカロシート」は、スポーツ走行時のホールド性だけでなく日常域の走行にも配慮した作りとなっている。座り心地も上々だ。

 

 

文/小野泰治 撮影/篠原晃一

 

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走る道を選ばない、タフなクルマで行こう! プロが証言するワールドクラスのオフローダー4選

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなクルマのスゴさをプロが証言!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

プロがそのタフさを証言! 世界を走破するタフなヤツら!

【その1】高級・高性能でどんな道も快適! すべてがオーバースペックすぎる

メルセデス・ベンツ

Gクラス

1080万円~1530万円(税込)

1979年に初代モデルが登場して以来、メルセデスの本格的オフローダーを一手に担うGクラス。数々の装備による悪路走破性はピカイチだが、その変わらない無骨なデザインも人気で、オンロードユース層からも人気が高い。

SPEC【G 350d】●全長×全幅×全高:4725×1860×1970mm●パワーユニット:2986ccV型6気筒ディーゼルターボ●最高出力:245PS(118kw)/3600rpm●最大トルク:61.2kg-m(600Nm)/1600~2400rpm●JC08モード燃費:10.8km/L

 

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

日本に6台しかない「6×6」や希少なカブリオレなど、様々なG

時代とともに高級化しても受け継ぐ本質は変わらない

40年余り前、元々NATOのために開発された軍用車を民生用にアレンジしたのがGクラスのはじまりだ。そう聞いただけでもどれほどタフであるかがうかがい知れよう。当初のGクラスは、まさしく質実剛健なオフローダーだったのだが、やはりメルセデスの一員らしく高級感や快適性が求められるようになり、時間の経過とともに高級SUVとして進化してきた。

 

とはいえ2018年にアップデートした現行型でも、屈強なラダーフレームにリアリジッドアクスル、LOWモードギアに前後と中央の3つのデフといった伝統の基本構成は変わっていない。それでいて世のオフローダーでダントツの性能を誇るAMGモデルがあるのもGクラスならではである。

 

街なかで乗るにはすべてがオーバースペックに違いない。その点がまたGクラスの魅力でもあるのだ。

 

【岡本さんが証言!】なぜGクラスはタフなのか

[証言1] 鋼鉄製ラダーフレームにフロント独立懸架を直付け

ロの字型の鋼材をMAG溶接した新設計ラダーフレームを採用。ダブルウィッシュボーン化したフロントサスをサブフレームを介さずに取り付け、十分な地上高を確保する。

 

[証言2]「LOWレンジ」モードでは最大の悪路走破性を実現

デフロック、もしくは通常の2倍以上の駆動力を発揮するオフロード向けの低速ギアのLOWレンジを搭載。選択すると足まわりやアクセル特性を最適化できる。

 

[証言3] 3つのデフの作動/解除はワンタッチで自由自在

通常のオフローダーではデフロックの作動/解除には面倒な操作が必要。Gクラスはスイッチひとつで3つのデフを個別にメカニカルロックできる伝統の機能を備える。

 

[証言4] 悪路で役立つ情報を表示するオフロードスクリーン

外見とは逆にインテリアは先進的に。12.3インチワイドディスプレイには勾配、傾き、方位、舵角、デフロックの状況など悪路走行に特化した情報を表示できる。

 

【その2】一輪さえ接地していれば走行可能な世界屈指の絶対的オフローダー

ジープ

ラングラー アンリミテッド ルビコン

658万円(税込)

ジープ ラングラーのなかでも最強の悪路走破性を誇るのがルビコン。2WD/4WD-H/4WD-Lの切り替えができる副変速機はルビコン専用で、最終変速比は4.100。他のラングラーモデルよりも、さらに力強い走破性を生む。

SPEC●全長×全幅×全高:4870×1895×1850mm●パワーユニット:3604ccV型6気筒●最高出力:284PS(209kw)/6400rpm●最大トルク:35.4kg-m(347Nm)/4100rpm●WLTCモード燃費:8.0km/L

 

環境・自動車ジャーナリスト

川端由美さん

工学修士。エンジニアから自動車雑誌の編集記者を経て、自動車ジャーナリストに転身。ルビコン・トレイルを走破した猛者でもある。

世界屈指のオフローダーは難コースで走破性を鍛える

タフなことで知られるジープにおいて抜きん出たオフロード性能を持つのがラングラーであり、そのなかでも最上級の走破性を誇るのがルビコンである。その名の由来は、ルビコン・トレイルと呼ばれるアメリカの難関オフロードコースに由来しており、ここで鍛え上げられた証なのだ。

 

四角四面のスタイリングは、運転席からの見晴らしを重視した設計で、無骨なバンパーも簡単に外せる。機能の詳細を挙げるとキリがないが、実際にルビコンを走破した経験から言えば、一輪が接地しているだけでも走れたり、砂が浮いた岩場のような滑りやすい路面でも駆け上がれたり、ビーバーの住む深い川にジャブジャブ突っ込んだりと、まさに「道なき道を走る」ことができるのが本車だ。

 

ルビコンに乗らずして、タフなクルマを語るなかれ、である。

 

【川端さんが証言!】なぜラングラー アンリミテッド ルビコンはタフなのか

[証言1] スタビライザーを解除して悪路走破性を高められる

電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステムを搭載。悪路でスタビライザーを任意に解除し、フロントアクスルの動きを拡大。走破性を一層高めている。

 

[証言2] ほぼフラットになる荷室にガンガン荷物が積める

2列目シートを前方に倒せば、ほぼフラットになる広大な荷室が登場。その容量は4ドアモデルで最大約2000L。キャンプでも大きな荷物をガンガン積載できる。

 

[証言3] 悪路走破性の高いギア比はルビコンだけのシステム

独自の4WDシステムである「ロックトラックフルタイム4×4システム」。4Lのギア比を4:1の低レンジにすることで、オフロードの走破性をより向上している。

 

[証言4] バンパーを簡単に外してアングル角を拡大できる

アプローチアングルやデパーチャーアングルは元々大きいが、バンパーを取り外すことでより拡大できる。ラチェットハンドルと対応ソケットがあれば簡単に行える。

 

【その3】タフさはそのまま受け継ぎスタイリッシュに進化!

ランドローバー

ディフェンダー

551万円~1171万円(税込)

70年にわたるランドローバーの歴史を象徴するモデルが、昨年登場した新型ディフェンダーだ。先代のタフな魅力はそのままに、堅牢性をさらに向上。もちろん快適性は天文学的にアップしており、まさに無敵のタフネスだ。

SPEC【110 X-Dynamic SE D300】●全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm●パワーユニット:2993cc直列6気筒ディーゼルターボ●最高出力:300PS(221kw)/4000rpm●最大トルク:66.3kg-m(650Nm)/1500~2500rpm●WLTCモード燃費:9.9km/L

 

自動車ライター

清水草一さん

『そのフェラーリください!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、自動車ライター/道路交通ジャーナリストとして活動。

無敵のタフネスを受け継ぎ都会でも超絶ハマる

先代ディフェンダーは、元をたどれば70年以上作り続けられたイギリスのジープ的存在。世界各国の軍用車両や警察、消防車両などに多数採用され続けてきたモデルで、タフさのカタマリである。

 

新型は、先代のタフさをそのまま受け継ぎつつ、都会にも完璧にマッチするスタイリッシュなデザインと、洗練された快適な乗り味を手に入れた。そのエレガントなボディの至るところに、先代譲りの超タフなメカや意匠が散りばめられている。

 

もちろん悪路の走破性は無敵だ。日本ではサイズが大きすぎて、林道では取り回しに苦労しそうだが、これも真のタフなクルマだと思えば納得。超ヘビーデューティな4WD機構はもちろんのこと、ピカイチなのはその渡河性能だ。なんと水深90cmまで耐えられるように設計されているのである。

 

【清水さんが証言!】なぜディフェンダーはタフなのか

[証言1] クリアサイトグラウンドビューで車体の下を確認可

3つのカメラの映像をリアルタイムで合成し、ボンネットの下の状況をモニターに映し出す。クルマの下にある轍や岩を確認できる、魔法使いのような機能だ。

 

[証言2] ほぼ垂直に切り立ったテールラインが印象的

徹底的に実用性を重視すると、車体は限りなく直方体に近づく。先代ディフェンダーもテールラインは垂直だったが、新型もその設計を受け継いでいる。

 

[証言3] 実用的かつスムーズな直6ディーゼルターボ

エンジンは、2L4気筒ガソリンターボのほかに、3L直6ディーゼルを用意。この性能が素晴らしく、しかもディーゼルとは思えない超絶なる滑らかさだ。

 

[証言4] 電子制御エアサス搭載で水深90cmまで走行可

電子制御エアサスペンションを搭載。標準車高より40mm低いアクセス向け車高から、75mmアップのオフロード向け車高まで変更できる。渡河性能は最大90cmだ。

 

タフなクルマこそキレイな車内を! ナノイーで清潔空間を保てる

ランドローバーの多くのモデルで、カビや菌、花粉、ニオイを抑制できるパナソニックのナノイーを搭載。過酷な道を進むタフなクルマにこそ望まれる装備だ。さらに将来的には、新型コロナウイルスへの抑制効果が検証されているナノイーXの搭載も検討中。今後の進化にも期待だ。

↑広い車内はフロント、2列目シート、3列目シート独立で空調のコントロールが可能。もちろん同期させて調節することもできる

 

↑モニター内の「ion」アイコンをタッチすればナノイーが車内に充満。一般的なイオンより長寿命のため、広い車内でも効果がある

 

【その4】狭い道でも分け入ることができるコンパクトボディとタフな走り

スズキ

ジムニー

148万5000円~190万3000円(税込)

4代目の現行型も、新開発されたラダーフレームをはじめ、FRベースの副変速機付パートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式サスペンションという伝統に則っている。衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も設定。

SPEC【XC 5MT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm●パワーユニット:658cc直列3気筒+ターボ●最高出力:64PS(47kw)/6000rpm●最大トルク:9.8kg-m(96Nm)/3500rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L

 

自動車ライター

塚田勝弘さん

新車、中古車、カーナビゲーションなどのカー用品などを中心に取材、執筆している自動車ライター。元GetNavi編集部の乗り物担当。

小さくて軽いのが最大の武器大型トラックでも救出できる

数あるオフローダーのなかでもひときわコンパクトなボディを生かして、林道でもあぜ道でも狭い住宅街でも躊躇なく走れるのがジムニーの魅力だ。軽さも武器で、深い雪でも泥濘路でも容易に発進可能。しかも力持ちで、動画サイトでは歴代ジムニーが雪にハマった大型トラックを牽引して救出している様子を見られる。さらに現行型は、ブレーキLSDトラクションコントロールを標準化し、左右輪どちらかがスリップした際でも脱出しやすくなった。雪深い狭い山道を走らせたら世界最強だろう。

 

ラダーフレームによる高い耐久性やメンテナンス性はもちろん、修理できる専門ショップもパーツも多く、メンテナンスしながら長い年月乗れるタフさもある。中古車を手に入れて直して乗ったり、カスタマイズしながら楽しんだりする愛好家が多いのが特徴だ。

 

【塚田さんが証言!】なぜジムニーはタフなのか

[証言1] 大きな段差でもバンパーや車体の下側に接触しない

悪路走破時に重要な3アングル(アプローチ/ランプブレークオーバー/デパーチャー)に十分な余裕がある。岩場でも、見上げるような急勾配でも楽にクリア可能だ。

 

[証言2] 一定速で坂を降りられるヒルディセントコントロール

凍結した下り坂など滑りやすい路面でも4WD時にスイッチをオンにすることで、ブレーキを踏まなくても一定速でクリアできる機能。ステアリング操作に専念できる。

 

[証言3] いざというとき頼れるのが4WD低速用の「4L」

通常は2WD走行が基本で、豪雨時に「4H」にすれば安定した走りが可能。泥濘路や急勾配、他車を救出する際は「4L」にすることで通常の約2倍の駆動力が得られる。

 

[証言4] 剛性と耐久性を備えるタフなラダーフレーム

ラダー(はしご)型の強固なフレームに車体を載せる。現行型は中央部にX型のフレーム、前後にクロスメンバーを追加し、ねじり剛性を先代よりも約1.5倍向上させた。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

狭い道でも分け入ることができるコンパクトボディとタフな走りが特徴の「ジムニー」

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなスズキ「ジムニー」のスゴさをプロが証言!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

小さくて軽いのが最大の武器大型トラックでも救出できる

スズキ

ジムニー

148万5000円~190万3000円(税込)

4代目の現行型も、新開発されたラダーフレームをはじめ、FRベースの副変速機付パートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式サスペンションという伝統に則っている。衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も設定。

SPEC【XC 5MT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm●パワーユニット:658cc直列3気筒+ターボ●最高出力:64PS(47kw)/6000rpm●最大トルク:9.8kg-m(96Nm)/3500rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L

 

プロがそのタフさを証言!

自動車ライター

塚田勝弘さん

新車、中古車、カーナビゲーションなどのカー用品などを中心に取材、執筆している自動車ライター。元GetNavi編集部の乗り物担当。

 

数あるオフローダーのなかでもひときわコンパクトなボディを生かして、林道でもあぜ道でも狭い住宅街でも躊躇なく走れるのがジムニーの魅力だ。軽さも武器で、深い雪でも泥濘路でも容易に発進可能。しかも力持ちで、動画サイトでは歴代ジムニーが雪にハマった大型トラックを牽引して救出している様子を見られる。さらに現行型は、ブレーキLSDトラクションコントロールを標準化し、左右輪どちらかがスリップした際でも脱出しやすくなった。雪深い狭い山道を走らせたら世界最強だろう。

 

ラダーフレームによる高い耐久性やメンテナンス性はもちろん、修理できる専門ショップもパーツも多く、メンテナンスしながら長い年月乗れるタフさもある。中古車を手に入れて直して乗ったり、カスタマイズしながら楽しんだりする愛好家が多いのが特徴だ。

 

【塚田さんが証言!】なぜジムニーはタフなのか

[証言1] 大きな段差でもバンパーや車体の下側に接触しない

悪路走破時に重要な3アングル(アプローチ/ランプブレークオーバー/デパーチャー)に十分な余裕がある。岩場でも、見上げるような急勾配でも楽にクリア可能だ。

 

[証言2] 一定速で坂を降りられるヒルディセントコントロール

凍結した下り坂など滑りやすい路面でも4WD時にスイッチをオンにすることで、ブレーキを踏まなくても一定速でクリアできる機能。ステアリング操作に専念できる。

 

[証言3] いざというとき頼れるのが4WD低速用の「4L」

通常は2WD走行が基本で、豪雨時に「4H」にすれば安定した走りが可能。泥濘路や急勾配、他車を救出する際は「4L」にすることで通常の約2倍の駆動力が得られる。

 

[証言4] 剛性と耐久性を備えるタフなラダーフレーム

ラダー(はしご)型の強固なフレームに車体を載せる。現行型は中央部にX型のフレーム、前後にクロスメンバーを追加し、ねじり剛性を先代よりも約1.5倍向上させた。

 

 

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ジープ「ラングラー アンリミテッド ルビコン」は、一輪さえ接地していれば走行可能な世界屈指の絶対的オフローダー

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなジープ「ラングラー アンリミテッド ルビコン」のスゴさをプロが証言!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

世界屈指のオフローダーは難コースで走破性を鍛える

ジープ

ラングラー アンリミテッド ルビコン

658万円(税込)

ジープ ラングラーのなかでも最強の悪路走破性を誇るのがルビコン。2WD/4WD-H/4WD-Lの切り替えができる副変速機はルビコン専用で、最終変速比は4.100。他のラングラーモデルよりも、さらに力強い走破性を生む。

SPEC●全長×全幅×全高:4870×1895×1850mm●パワーユニット:3604ccV型6気筒●最高出力:284PS(209kw)/6400rpm●最大トルク:35.4kg-m(347Nm)/4100rpm●WLTCモード燃費:8.0km/L

 

プロがそのタフさを証言!

環境・自動車ジャーナリスト

川端由美さん

工学修士。エンジニアから自動車雑誌の編集記者を経て、自動車ジャーナリストに転身。ルビコン・トレイルを走破した猛者でもある。

 

タフなことで知られるジープにおいて抜きん出たオフロード性能を持つのがラングラーであり、そのなかでも最上級の走破性を誇るのがルビコンである。その名の由来は、ルビコン・トレイルと呼ばれるアメリカの難関オフロードコースに由来しており、ここで鍛え上げられた証なのだ。

 

四角四面のスタイリングは、運転席からの見晴らしを重視した設計で、無骨なバンパーも簡単に外せる。機能の詳細を挙げるとキリがないが、実際にルビコンを走破した経験から言えば、一輪が接地しているだけでも走れたり、砂が浮いた岩場のような滑りやすい路面でも駆け上がれたり、ビーバーの住む深い川にジャブジャブ突っ込んだりと、まさに「道なき道を走る」ことができるのが本車だ。

 

ルビコンに乗らずして、タフなクルマを語るなかれ、である。

 

【川端さんが証言!】なぜラングラー アンリミテッド ルビコンはタフなのか

[証言1] スタビライザーを解除して悪路走破性を高められる

電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステムを搭載。悪路でスタビライザーを任意に解除し、フロントアクスルの動きを拡大。走破性を一層高めている。

 

[証言2] ほぼフラットになる荷室にガンガン荷物が積める

2列目シートを前方に倒せば、ほぼフラットになる広大な荷室が登場。その容量は4ドアモデルで最大約2000L。キャンプでも大きな荷物をガンガン積載できる。

 

[証言3] 悪路走破性の高いギア比はルビコンだけのシステム

独自の4WDシステムである「ロックトラックフルタイム4×4システム」。4Lのギア比を4:1の低レンジにすることで、オフロードの走破性をより向上している。

 

[証言4] バンパーを簡単に外してアングル角を拡大できる

アプローチアングルやデパーチャーアングルは元々大きいが、バンパーを取り外すことでより拡大できる。ラチェットハンドルと対応ソケットがあれば簡単に行える。

 

 

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高級・高性能でどんな道も快適! すべてがオーバースペックすぎるベンツ「Gクラス」

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなメルセデス・ベンツ「Gクラス」のスゴさをプロが証言!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

時代とともに高級化しても受け継ぐ本質は変わらない

メルセデス・ベンツ

Gクラス

1080万円~1530万円(税込)

1979年に初代モデルが登場して以来、メルセデスの本格的オフローダーを一手に担うGクラス。数々の装備による悪路走破性はピカイチだが、その変わらない無骨なデザインも人気で、オンロードユース層からも人気が高い。

SPEC【G 350d】●全長×全幅×全高:4725×1860×1970mm●パワーユニット:2986ccV型6気筒ディーゼルターボ●最高出力:245PS(118kw)/3600rpm●最大トルク:61.2kg-m(600Nm)/1600~2400rpm●JC08モード燃費:10.8km/L

 

プロがそのタフさを証言!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

日本に6台しかない「6×6」や希少なカブリオレなど、様々なGクラスに試乗経験あり。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の一人。

40年余り前、元々NATOのために開発された軍用車を民生用にアレンジしたのがGクラスのはじまりだ。そう聞いただけでもどれほどタフであるかがうかがい知れよう。当初のGクラスは、まさしく質実剛健なオフローダーだったのだが、やはりメルセデスの一員らしく高級感や快適性が求められるようになり、時間の経過とともに高級SUVとして進化してきた。

 

とはいえ2018年にアップデートした現行型でも、屈強なラダーフレームにリアリジッドアクスル、LOWモードギアに前後と中央の3つのデフといった伝統の基本構成は変わっていない。それでいて世のオフローダーでダントツの性能を誇るAMGモデルがあるのもGクラスならではである。

 

街なかで乗るにはすべてがオーバースペックに違いない。その点がまたGクラスの魅力でもあるのだ。

 

【岡本さんが証言!】なぜGクラスはタフなのか

[証言1] 鋼鉄製ラダーフレームにフロント独立懸架を直付け

ロの字型の鋼材をMAG溶接した新設計ラダーフレームを採用。ダブルウィッシュボーン化したフロントサスをサブフレームを介さずに取り付け、十分な地上高を確保する。

 

[証言2]「LOWレンジ」モードでは最大の悪路走破性を実現

デフロック、もしくは通常の2倍以上の駆動力を発揮するオフロード向けの低速ギアのLOWレンジを搭載。選択すると足まわりやアクセル特性を最適化できる。

 

[証言3] 3つのデフの作動/解除はワンタッチで自由自在

通常のオフローダーではデフロックの作動/解除には面倒な操作が必要。Gクラスはスイッチひとつで3つのデフを個別にメカニカルロックできる伝統の機能を備える。

 

[証言4] 悪路で役立つ情報を表示するオフロードスクリーン

外見とは逆にインテリアは先進的に。12.3インチワイドディスプレイには勾配、傾き、方位、舵角、デフロックの状況など悪路走行に特化した情報を表示できる。

 

 

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「ランドクルーザー トゥループキャリア」にひと目惚れしたオーナーが“週末の最愛の相棒”たる魅力を分析

オーストラリアの環境は、過酷だ。北部の熱帯雨林地域では雨季に道路が冠水したり、内陸部では乾燥した赤土のダート路を延々と走らされたりすることもしばしば。オーストラリア向けに作られたトヨタ・ランドクルーザーに乗るオーナーに、そのタフさを聞いた。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

オーストラリアで活躍する姿を見てひと目惚れ! その強さに絶対の信頼を寄せる

「タフなクルマだからこその飾り気のなさも魅力です」(白柏さん)

 

この人に聞きました!

白柏信弥(しらかし しんや)さん

「トゥループキャリアーズ・オブ・ジャパン」という会に携わり、オーナーが集まるイベントなどで主催者として活躍している。趣味はキャンプと料理。

 

豪雪地帯でも余裕の走破性と積載力の高さが最大の魅力

茨城県在住の白柏信弥さんは、ランドクルーザーのオーストラリア向け、なかでもトゥループキャリアというレア車を所有している。

 

「いまは単身赴任で茨城在住ですが、自宅は新潟です。豪雪地帯のため、走破性の高さは絶対に必要。以前はランドクルーザー70系の77、その前は73と、ずっとランドクルーザーです」(白柏さん)

 

現在所有するトゥループキャリアは、雑誌などで情報を仕入れてオーストラリアのケアンズまで足を運び、実車を見てひと目惚れ。帰国後日本のショップで購入した。

 

「2000年式で、購入時で8万6000kmの走行歴。ですが現在も快適に走ります。1HZというディーゼルエンジンが名機で、信頼を寄せています」(白柏さん)

 

トゥループキャリアの特徴は、対面式の座席を配置したリア部分。大きくて重いキャンプ道具をどんどん載せても、まったく苦にしない走行性能の高さは特筆モノだ。

 

「現代のクルマにはない、飾り気のなさも魅力です。タフでもありシンプルなクルマなので、いじり甲斐がある。大切に乗って、息子に継がせたいですね」(白柏さん)

 

【ランドクルーザートゥループキャリアとは?】

通称“トゥルーピー”と呼ばれるランドクルーザーの限定仕様車。直訳すると「軍隊輸送車」の名の通り、リア部分は対面式の横向きシートを装備する。観音扉のロングボディが特徴で、カーマニア憧れのモデルとなっている。

 

このタフさにホレた! 白柏さんお気に入りポイント

【Point 1】シンプルなインパネと視界の良さでストレスフリー

インパネまわりはムダを削ぎ落としたシンプルなデザイン。高い車高による視界の良さもポイントで、悪路走行時でも先が見やすい。渋滞時でも数台先が見えるので、イライラも減少するという。

 

【Point 2】絶対的な信頼を寄せているディーゼルエンジンの名機

ディーゼル車を好む白柏さんが信頼する4.2L直列6気筒の1HZ型ディーゼルエンジン。最高出力135PS、最大トルク28.5kg-mのパワーを誇り、大きなボディに重い荷物を載せても余裕だ。

 

【Point 3】余裕の高さと太いタイヤで雪道や砂地での走行も安心

元々トゥループキャリアは最低地上高が高いが、スプリングコイルを入れてさらに車高を上げている。これに太いタイヤを組み合わせることで、豪雪地帯や砂地でも安心して走行できる。

 

【point 4】奥行きと幅のある荷室は荷物の積載も車中泊も余裕

トゥループキャリアの特徴は奥行きと幅のある荷室。キャンプ道具をどんどん積載しても余裕で収納できる。対面型のベンチシートを活用し、ボードを渡して車中泊を楽しむことも可能だ。

 

 

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14年ぶりに刷新された新型「ランドクルーザー」を全方位チェック!

中東やオーストラリア、ロシア、アフリカなど世界で絶大なる信頼を得ているランドクルーザーが14年ぶりに刷新。高い剛性を確保しつつ大幅な軽量化を実現し、オンロードでの操縦安定性や乗り心地と、悪路走破性を両立する。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

誕生から70年を迎えた“陸の巡洋艦”が14年ぶりにフルモデルチェンジ!

トヨタ

ランドクルーザー

510万円~800万円(税込)

この夏、14年ぶりに待望のフルモデルチェンジ。エンジンは全モデルV6に変更され、ディーゼルエンジンモデルも復活した。GR SPORTグレードが加わったことでも話題を呼び、早くも納車まで1年以上かかるほどの人気だ。

SPEC【ZX ガソリンエンジン】●全長×全幅×全高:4985×1980×1925mm●車両重量:2500kg●パワーユニット:3444ccV型6気筒+ターボ●最高出力:415PS/5200rpm●最大トルク:66.3kg-m/2000~3600rpm●WLTCモード燃費:7.9km/L

 

自動車ライター

寺田昌弘さん

ランドクルーザーでダカールラリー参戦をはじめ、5大陸を走破している世界を旅するライター。愛車は70系とプラドの2台のランクル。

威風堂々たる存在感が圧巻! 意のままに走る爽快感に感動

タフなクルマの代表格ランドクルーザーは、開発において信頼性、耐久性、悪路走破性の高さを鍛え上げ、唯一無二のクルマとして世界じゅうで愛されている。

 

新型ランドクルーザーは、新設計のラダーフレームや一部ボディのアルミニウム化、コンパクトで高出力のエンジンの搭載により約200kgの軽量化を実現した。そしてパワートレインをより低くセンターに搭載することで低重心化。さらにリアサスペンションのショックアブソーバーをより縦位置に配置し、乗り心地の良さと操縦安定性が格段に向上している。

 

エンジンは3.5LV6ツインターボに加え、国内待望の3.3LV6ツインターボディーゼルエンジンも選べる。試乗したところ、低回転から発揮する大きなトルクが軽量化されたランドクルーザーを軽々と走らせる。油圧に電動式アクチュエーターを組み合わせたパワーステアリングや電子制御ブレーキのおかげで、ドライバーの意のままだ。ランドクルーザーを構成するすべてを磨き上げたことで素性を刷新し、疲れないドライビングを実現しているのである。

 

【Check Point 1】デザイン

空力性能と悪路走破性を考え洗練された大人の魅力を表現

最上級SUVとしての洗練された風格と、オフロードでライトを破損しにくい上部に配置したりバンパーコーナーを絞ったりする伝統の機能美を融合。空力性能を上げるためにキャビンやリアコーナーを絞るなど、歴代のヘリテージを継承しながら機能性を追求している。

↑全車サイドアンダーミラーなし仕様となり、フロントデザインがスッキリとした。全グレードでモニターとカメラを標準装備する

 

↑水平を基調としながら、キャビンを絞ったほか、バンパーを切り上げたデザインに変更。グラマラスなリアビューが魅力的だ

 

【Check Point 2】インテリア

ドライビングの高揚感と最上級の快適性を演出

ボリューム感あるセンターコンソールと、操作性に優れるレイアウトの各スイッチ類のおかげでドライビングに集中できる運転席。車両の傾斜がわかりやすいよう水平を基調としたインテリアデザインが、ランドクルーザーに乗っていることを実感させてくれる。

↑長時間のドライビングでも疲れにくい上質なシートを採用。ガソリン仕様は7人乗りが選択でき、ディーゼル仕様は5人乗りのみだ

 

↑7人乗りの3列目シートはフロアアンダー格納タイプでカーゴスペースが広く取れる。ゴルフバッグも4つ詰めて便利だ

 

【Check Point 3】新型モデルの注目ポイント

指紋認証スタートスイッチと前後デフロックが唯一無二

世界的に人気のランドクルーザーはセキュリティ対策にも注力。指紋を登録したドライバーがスマートキーを持ち、ブレーキを踏んで指紋認証してようやくエンジン始動できる。本格派オフローダーの証ともいえる前後デフロックをGR SPORTに装備する点にも注目だ。

↑GR SPORTのみだが、リアだけでなくフロントデフロックも装備。前後ともデフロックすることで比類なき悪路走破性が得られる

 

↑GXのみオプションとなるが、トヨタ初となる指紋認証スタートスイッチを採用。セキュリティを高めるランクルオーナー待望の装備だ

 

【Check Point 4】走破性

200kg軽量化し、サスペンションとエンジンの刷新で意のままに走る

伝統のラダーフレーム構造を継承しながら、TNGAの考えに基づくGA-Fプラットフォームを採用。日本の匠の高い溶接技術で堅牢性、高剛性と軽量化を両立した。剛性が上がったことでサスペンションのセッティングがしやすくなり、特にリアサスペンションのレイアウトを最適化。路面からの衝撃にリニアに反応し、優れた乗り心地と操縦安定性、悪路走破性を実現。

↑超ハイテンションスチール材を含め部分的に最大5mm厚の鋼板を随所に採用。サスペンションレイアウトを最適化し、悪路走破性が格段に向上した

 

↑超ハイテンションスチール材を骨格にアルミ材などを適材適所に採用。ボディで約80kg軽量化と低重心化を実現し、ワインディングも軽快に走る

 

↑80系から続くホイールベースはそのままキープ。対地障害角は前モデル同等以上を維持することで高い悪路走破性を確保する

 

【Column】ランドクルーザーは高速のパトロールカーとしても活躍中

高速道路で見かける黄色いパトロールカーにはランドクルーザーが多い。走行性能の高さはもちろんだが、牽引力の高さも理由。故障などで止まってしまった大型トラックを牽引して渋滞発生を防ぐこともある。

↑ランクルが採用される理由には、ボディの頑丈さも挙げられる。高速で走るクルマから隊員の生命を守る使命も課せられている

 

 

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過酷な使用にも耐えうる装備があるからこそ走る道を選ばないジープ! タフなクルマの絶対条件

ハイブリッドやEVが主役の昨今だが、道なき道を走破できるタフなクルマの魅力は不変。ジープをはじめとした“ガチ”でタフなクルマのスゴさを紹介する。見たことのない世界へ、さあ行こう!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

未舗装路を想定し開発されたクルマに宿る本気装備を見よ

大流行中のSUVも、そのルーツを辿るとタフなオフロード系のモデルに行き着く。未舗装路や岩場などでも走れる高い最低地上高は必須条件。そのほかパートタイム4WDやラダーフレームなど、過酷な使用にも耐える、独特かつ必須のメカニズムを備えることがキモだ。

ジープ

ラングラー アンリミテッド ルビコン

658万円(税込)

ジープブランドのなかでも本格派オフローダーとして名高い、ラングラーの最強モデル。車名の“ルビコン”はテストコースとしても使われる、ネバダ州からカリフォルニア州のタホ湖に抜ける険しい花崗岩の道、ルビコン・トレイルにちなむ。

自動車ライター

海野大介さん

クルマや船の雑誌編集部を経てフリーランスに。JAFの国内A級ライセンス保持。雑誌、ウェブなどに多数寄稿している。

 

タフと呼ばれる所以は特有の構造と装備にある

文字通り道なき道を行くオフローダーの所以は、大地を四輪でしっかりと掴む力強さと、悪路での走破性の高さだ。それを可能にするための装備がタフなクルマの条件。特にラダーフレーム、リジッドサスペンション、パートタイム4WDからなるメカニズムが三種の神器だ。堅牢なラダーフレームと組み合わされるリジッドサスペンションは凸凹道でも片輪をしっかりと路面に接地させ、駆動力を生み出せる。パートタイム4WDにより任意で4WDにできれば、燃料のロスも少ない。

 

大きな障害物を乗り越えるときは地面と十分なクリアランスを保つ高い地上最低高もポイント。障害物に対してバンパーやボディと地面が接しない大きなアプローチアングルやデパーチャーアングルはタフさを計る物差しでもある。

 

スタックしたときに頼れる、デフギアをロックして脱出するデフロックや、シャックルなどを掛けやすい大きな牽引フックがあればさらに本気仕様。これらは岩登りや渡河もこなせる“タフの機能美”なのだ。

 

【条件1】パートタイム4WD

路面状況に応じて駆動輪を切り替えられる必須装備!

確実にパワーを路面に伝える本格派オフローダーに必須の装備。ドライバーの意思で2WDと4WDを選択できる。前輪と後輪の回転差を吸収するセンターデフは搭載されない。そのため4WD時にはコーナーなど旋回時に前後タイヤの回転差でブレーキがかかったようになることもある。

↑レバー操作で4WDに切り替える。クルマによっては走行中も操作可能だ。ラングラーにはフルタイム4WDモードも備わる

 

【条件2】デフロック機構

片輪が空転しても大丈夫! スタック回避の最終手段

デフギアは左右(前後)車輪の回転差を吸収したり、回転抵抗の少ない方に多くの回転を与えたりするもの。悪路などで1本のタイヤがスリップするとデフの特性上、その1本だけが空転し、ほかに動力がかからなくなってしまう。デフロックなら反対側に動力を伝えて走破性能を高められる。

↑タフなクルマの三種の神器のひとつであるデフロック。車種によって後輪だけロック可能、前輪もロック可能と違いはある

 

【条件3】リジッドサスペンション

常に一定のクリアランスを保てるのがメリット

車軸を通して左右の車輪が直接的につながっているサスペンションのこと。未舗装路などサスが深くストロークするような場面でも最低地上高が変化せず、片輪が縮むとてこの原理で伸びた側のタイヤを押し付け、グリップ力を高められるメリットがある。まさにタフなクルマのサスだ。

↑乗り心地に若干のデメリットもあるが悪路の走破性は随一。サスペンション自体がタフなので、信頼性や耐久性も高い

 

【条件4】ラダーフレーム

タフなクルマの象徴とも言える独特の車体構造

ボディを支えるラダー(はしご)状のフレーム。未舗装路をはじめとした悪路ではタイヤやサスペンションを大きく動かす必要があるが、ラダーフレームはタイヤとタイヤハウスの距離を大きく取れて、丈夫なフレームで衝撃を吸収してくれる。ボディとシャーシが別構造なのも特徴だ。

↑衝撃に強いラダーフレーム。多くのクルマで採用されるモノコック構造よりコストは上がるが、信頼性では格段に分がある

 

【条件5】アプローチアングル

悪路走破性能を計る物差しとなる数値

凹凸道を走破するには、高い最低地上高と、障害物に対してバンパーが十分なクリアランスを保つことが条件。バンパーとタイヤをつないだ線が地面となす角度をアングルと言うが、フロント側がアプローチアングル、リア側がデパーチャーアングルとして表示される。

↑ラングラー ルビコンではリアゲート内面に最大アングル角度を表示。車内ディスプレイに表示される傾斜角度と照合が可能だ

 

【条件6】牽引フック

荷重のかかる牽引も安心! フックはタフなクルマの証

一般的な乗用車にもフックはあるが、過大な衝撃や荷重のかかる牽引には厳しい。タフなクルマはわかりやすい位置に頑丈な牽引フックがあったり、アフターパーツで用意されたりして実用的。フックやシャックルを直接掛けられるオフローダーの装備品としても定番で、脱出時に必須だ。

↑オフロードアイテムとして定番の牽引フック。万が一の際、救出する側にもされる側にもなければ始まらない重要なパーツだ

 

 

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日本のベストセラー「アクア」の新型を深掘り! ブラッシュアップされた魅力を先代モデルのオーナーが語る

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、かつて日本のベストセラーとなったハイブリッド専用コンパクトカー、アクアの新型を取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/アクア

SPEC【Z 2WD】●全長×全幅×全高:4050×1695×1485mm●車両重量:1130kg●パワーユニット:1.5Lエンジン+モーター●エンジン最高出力:91PS(67kW)/5500rpm●エンジン最大トルク:12.2kg-m(120Nm)/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:33.6km/L

198万(税込)〜259万8000円(税込)

 

先代より断然洗練されたデザインに加え、走りも燃費も高水準と死角なし

安ド「殿! 殿は先代アクアのオーナーでしたね!」

 

永福「うむ。ディーラーで一番に予約して新車を購入し、4年半乗った」

 

安ド「フェラーリ乗りで有名な殿がなぜアクアに? というのは、皆に言われたと思いますが、一体なぜですか?」

 

永福「10年前、私は“燃費”に燃えていた。プリウスより軽くて小さいアクアは、プリウスより燃費が良いはず。つまり世界一燃費が良いはずだ! と思って買ったのだ」

 

安ド「で、どうでした?」

 

永福「4年半の平均でリッター20kmほど。プリウスよりほんのわずか下だったようだ。その点は期待外れだったが、先代アクアは見かけによらずハンドリングが非常に良かった」

 

安ド「そういうイメージ、ないですよね!」

 

永福「世間的には、すごく平凡なクルマ、というイメージだったが、クルマは見かけによらないな」

 

安ド「で、新型はどうですか?」

 

永福「まったく弱点のない、素晴らしいクルマだ」

 

安ド「素晴らしいですか!」

 

永福「何よりもまず、デザインが良くなった。キープコンセプトだが、先代のアクアより数段洗練されている」

 

安ド「ヌメッとしてるけど、どことなく上品ですよね」

 

永福「写真ではわからないかもしれないが、実物はフランス車のようなエスプリがある」

 

安ド「走りも良いですね! きっと遅いんだろうと思って乗ったら、加速の反応が良いので驚きました」

 

永福「パワープラスモードに入れると、アクセルの反応がシャープになり、日産『ノート』のように、回生ブレーキも強くなる。つまり、アクセルだけでかなり速度をコントロールできるから、ブレーキを踏む回数が減るな」

 

安ド「あれは楽しいですね!」

 

永福「運転していると楽しいが、助手席では若干クルマ酔いしてしまった」

 

安ド「えっ!? 自動車評論家なのにクルマ酔いですか?」

 

永福「実は乗り物に弱いのだ。しかし燃費はスバラシイ!」

 

安ド「今度こそ世界一でしょうか?」

 

永福「いや、新型は『ヤリスハイブリッド』に負けているが、その差はわずかだ。気合の燃費アタックを行えば、リッター40km近くいくぞ」

 

安ド「さすがトヨタのハイブリッドカーですね!」

 

永福「EVよりもエコだ。しかもAC100V給電システムが標準装備されている」

 

安ド「キャンプで便利そうです!」

 

永福「私はキャンプはしない。使うとしたら災害による停電時だ」

 

安ド「車内で生活するんですか?」

 

永福「いや、アクアの車内から延長コードを伸ばして自宅に引き込み、冷蔵庫を稼働させるのだ」

 

安ド「なるほど! 食料をダメにせずに済みますね!」

 

【GOD PARTS 1】マルチインフォメーションディスプレイ

中央にドーンと構えたインテリアの象徴

インテリアの中心には、トヨタのコンパクトカーとしては初採用となる10.5インチの大型ディスプレイが鎮座しています。同ディスプレイを中心に操作系が並べられていてクリーンな印象です。

 

【GOD PARTS 2】ハイブリッドシステム

ヤリスと同様のシステムながら走りには違いが見られる

ヤリスハイブリッドとほぼ同じシステムを積んでいますが、車重が少々(約40kg)重いため、燃費は若干負けています。一方で重心は低く、ヤリスより走りに安定感があります。乗り心地もアクアのほうがしなやかで上質でした。

 

【GOD PARTS 3】アクセサリーコンセント

非常時には電池として活躍してくれる!

いつ大災害が起きてもおかしくない国ニッポン! ということで、国内専用車となるこのアクアには、停電などの際に家庭用電気製品が使えるAC100V電源が全車標準装備されています(1500Wまで使用可能)。

 

【GOD PARTS 4】バイポーラ型ニッケル水素電池

新型電池の採用はモーターにも良い影響を与える

従来はニッケル水素電池でしたが、新型アクアでは、不足気味のレアメタルをあまり使わずに作れるバイポーラ型のニッケル水素電池が採用されました。これにより出力が向上し、EV走行可能速度域も拡大されています。

 

【GOD PARTS 5】ボディカラー

ゴールドを除けば地味で大人向けの色味ばかり

新型では全9色がラインナップ。この「プラスゴールドメタリック」を除いて、だいぶ平凡なラインナップです。「アーバンカーキ」は素敵な色でしたが、やはり地味系。ヤリスと比べると、大人向けなクルマだからでしょうか。

 

【GOD PARTS 6】カラーヘッドアップディスプレイ

視線を逸らさずに運転できる便利な表示

新型は先代型のようなセンターメーターではなく、オーソドックスなメーターです。フロントガラスに各種情報が映し出されるヘッドアップディスプレイもオプションで選べます。

 

【GOD PARTS 7】快感ペダル

アクセルを緩めると減速する、日産同様のシステム

走行モードで「POWER+」を選択すると、アクセルペダルを緩めた際に回生ブレーキの減速感が強まります。エンジンブレーキのような感覚で、日産『ノートe-POWER』のワンペダルと同様のシステムですが、ノートより減速度は弱く、マイルドな味つけです。

 

【GOD PARTS 8】室内スペース

先代アクアと比べて前後に広くなった

ボディサイズをほとんど変えることなく、先代モデルよりホイールベース(前後タイヤ間の距離)を拡大したことで、ヤリスよりも広い室内空間を確保しています。特にリアシートの居住空間は広めで、足元も窮屈な感じはありません。

 

【GOD PARTS 9】アドバンスト パーク

手足を離したまま自動で駐車スペースへ

駐車が苦手な人にうれしい駐車支援システムがオプション設定されています。かつては高級車向け機能でしたが、これはアクアが小型車のなかでも上質なモデルということでしょう。動きは素早く正確で、実用的でした。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアデザイン

まるでフランス車のような上質な雰囲気

初代アクアのデザインはいま思うとダサかったのですが、新型アクアはキープコンセプトながら、格段に洗練されました。ボディサイドは抑揚が増し、スピード感が強調されています。そしてリアまわりは、張り出したフェンダーと嫌味のないリアライト形状の組み合わせが、シンプルかつ知性を感じさせる仕上がり。見れば見るほど好きになる上質な雰囲気で、まるでフランス車のような趣が感じられます。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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フランスの“二枚目”、プジョー「508」に迫る! 今年新登場のハイブリッドモデルはどう?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、今年新たにプラグインハイブリッドモデルが追加されたプジョーの508を取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】プジョー/508 GT ハイブリッド

SPEC【GT HYBRID】●全長×全幅×全高:4750×1860×1420mm●車両重量:1790kg●パワーユニット:1.6Lターボエンジン+モーター●エンジン最高出力:180PS(133kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:30.6kg-m(300Nm/3000rpm)●EV航続可能距離:56km

607万8000円(税込)

 

シャープな王道デザインは魅力的だが、日本ではガソリン車に軍配が上がる

安ド「殿! 今回は殿が希望していたプジョー508 GT ハイブリッドを借りてきました!」

 

永福「うむ。やはり508 GTはカッコいいな」

 

安ド「ちょっとふくよかなのに、シャープな印象を受けますね」

 

永福「それは、ショルダーを深く取っているからだ。重心も低く見えるから、結果的にシャープな印象になる。これぞスポーツセダンの王道デザインだ!」

 

安ド「なるほど! セダンのようで実はハッチバックというのも、オシャレさんですよね」

 

永福「例えれば、背広でキメたフランスのギャング。このクルマはアラン・ドロンだ」

 

安ド「ドロンパですか?」

 

永福「それはオバケのQ太郎。アラン・ドロンはフランスの超二枚目俳優だ」

 

安ド「失礼しました! ところでこの508 GTはプラグインハイブリッドですが、急速充電はできないんですね」

 

永福「充電は、自宅や会社の普通充電器で行う。ヨーロッパではそれがスタンダードらしい」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「あちらでは、会社が幹部社員に通勤用のクルマを買い与えるケースが多く、そういう需要に応える設計になっている」

 

安ド「なるほど。会社に普通充電器があれば、急速充電でなくてもEVモードで通勤できるってことですね」

 

永福「わざわざ急速充電したところで、EVモードの航続距離は、実質的に50kmくらいだしな」

 

安ド「EVモードで走っていると、アッという間に航続距離が減っていくので、ソワソワしちゃいます」

 

永福「ヨーロッパでは、1日の平均走行距離は40kmだから、50km走れれば良いのだそうだ」

 

安ド「そうなんですね! でも、ガソリン車より100万円くらい高いですけど、元が取れるんでしょうか?」

 

永福「いまやあちらの会社は、社用車でガソリン車を選んでいると、“投資不適格”とされてしまう。補助金もかなり出るので、こういったプラグインハイブリッド車の需要が大きいのだ」

 

安ド「そういう事情があったんですか!」

 

永福「しかし日本では通用しない」

 

安ド「通用しませんか!」

 

永福「会社がクルマを買い与えてくれることなんてないし、自宅にも会社にも普通充電器はまずない。補助金もたいして出ない。マイカーとして買うなら、ガソリンやディーゼルの508 GTのほうが良いに決まっている」

 

安ド「決まっていますか!」

 

永福「私はガソリンエンジンの508 GTが大好きなのだ。身のこなしが羽毛のように軽やかで、最高の二枚目だ。しかもこのハイブリッドは300kgも重い。その見返りはほんのわずか。充電してない状態だと、燃費も12km/Lくらいしかいかないしな」

 

安ド「目からウロコです!」

 

【GOD PARTS 1】ガラスルーフ

クルマの美観を高めるちょっと贅沢な装備

購入時のみに選択できるオプションのガラスルーフは、まさに伊達男な装備。見た目もルーフラインにアクセントを与えるので、ファストバックスタイルの508 GTならさらに映えます。もちろん日差し除けのシェードも付いています。

 

【GOD PARTS 2】サッシュレスウインドウ

窓枠をなくしてボディサイドを美しく見せる

窓枠がないサッシュレスウインドウが508 GTにも採用されています。これにより、ボディ側面のデザインがスッキリ美しく見えます。ボディ強度が不安視された時代もありましたが、きっと最新技術で克服されているのでしょう。

 

【GOD PARTS 3】モニタースイッチ

ピアノの鍵盤のような美しさで車内の美観を高める

大型のセンターモニターの下には、まるでピアノの鍵盤のようなスイッチ類が並びます。これらは1枚1枚シルバーで加飾され、押した感触も良く好印象。モニターは若干ドライバー側に傾けられていますが、助手席からも見て触れられる素敵な装備です。

 

【GOD PARTS 4】8速AT

モーターとエンジンのための専用システム

通常の「トルコンAT」ではなく、プラグインハイブリッド専用のATが取り付けられています。8速とはいっても変速時にショックのない無段変速機のようなもので、モーターとエンジン、2つの動力をうまくミックスしてくれます。

 

【GOD PARTS 5】充電ソケット

急速じゃないけど充電できます

給油口のようなフタの下には充電ソケットがあります。日本では「外出先では急速充電で」という流れになりつつありますが、欧州ではあまり急速充電が求められていないようで、このモデルも普通充電のみ対応となっています。

 

【GOD PARTS 6】センターコンソール

トンネルの下にスマホなどを置ける

プジョーやボルボなど、ちょっと気の利いたデザインのブランドで採用されている、トンネル式のセンターコンソールが採用されています。ちょっと出し入れしにくいですが(笑)、トンネル下にはスマホの充電装置も設置されています。

 

【GOD PARTS 7】ファストバック

美しいラインが特徴の独特なスタイリング

後席があり4枚ドアというセダンタイプの構造でありながら、滑らかなラインを描く美しいルーフラインも備えています。その理由は、荷室が後席部分まで繋がっているファストバックタイプだから。大きな荷物も積みやすいです。

 

【GOD PARTS 8】フロント&リアライト

ライオンの牙と爪痕がエンブレムを想起させる

フルLEDのフロントライトの下には、まるで獣の牙のようなLEDデイライトが。リアも縦方向に赤いラインが浮かび上がるデザインで、こちらは爪痕なのだとか。ライオンのブランドモチーフを大事にするプジョーならではのデザインです。

 

【GOD PARTS 9】シートステッチ

上質かつスポーティなしつらえと形状

質感の高いレザーシートが全車標準で搭載されています。ステッチも個性的かつ上品なしつらえで、ラグジュアリーでありながら、シート自体の形状も相まってスポーティな印象を受けます。伊達男なクルマですから、これくらい当然なのかもしれません。

 

【これぞ感動の細部だ!】ハイブリッドシステム

追加されたハイブリッドモデルはEV走行が得意!

508 GT自体は2018年から販売されていましたが、今年6月にプラグインハイブリッドモデルが追加されました。「プラグイン」というのは、充電できるということで、電気モーターのみを使用したEV走行(エレクトリックモード)も可能。毎日、充電満タンで航続可能距離内の走行であれば、ガソリンが減りません。ただし、スポーツモードにすると普通に減ります。急速充電には対応していません。

 

撮影/我妻慶一

 

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中国で超人気の小型EV「宏光Mini EV」ってどんなクルマ? 試乗を通して分かったことは

脱炭素社会の実現へ向けて、クルマの電動化への動きがにわかに活発化するなか、中国ではテスラをしのぐ人気の電気自動車(EV)が話題を呼んでいます。そのEVとは日本円で100万円前後のEVなのですが、そんな中で特に注目を浴びているのが「宏光Mini EV」(宏光:ホングアン=Hongguang)です。今回はその試乗体験レポートをお届けします。

 

エアコン付きで60万円を実現! “2+2”として使える十分なサイズ

宏光Mini EVは、中国の上海汽車と米国ゼネラルモータースが合弁で設立した上汽通用五菱が開発した小型EVです。中国国内で昨年7月より発売を開始し、エアコンを装備した最上位グレードでも60万円相当で、エアコンレスのベース車なら50万円を切る価格を実現しています。その低価格ゆえに、すでに車種別台数ではテスラ「Model 3」を上回る人気を集めているほどなのです。ちなみに日本では販売されておりません。

↑中国の上汽通用五菱が販売する小型EV「宏光Mini EV」。試乗できたこの車両はエアコン付きのミドルグレードで、価格は日本円換算で60万円前後

 

上汽通用五菱のホームページによると、宏光Mini EVのボディサイズは全長2920mm×全幅1493mm×全高1621mmで、日本の軽自動車と比べると、全長で短く(−480mm)、幅でわずかに広く(+13mm)なっています。そのため、定員を4名とするものの、十分な広さを感じるのは前席だけ。後席は大人2人が座るにはかなり窮屈で、実際には“+2”的な使い方となるでしょう。カーゴスペースとしても、後席をたたんでやっと実用になるという感じです。

↑宏光Mini EVは日本の軽自動車よりも全長50cmほど短くし、タウンユースでの使い勝手を重視している

 

タイヤサイズは12インチ、145/70タイヤを装着し、ブレーキはフロントがディスク、後輪はドラム式。ヘッドライトはハロゲンランプで、左右ドアにはパワーウインドウが備わり、バックドアの開閉は電気式スイッチ式です。

↑サスペンションはフロントがストラット式独立で、リアは3リンク式リジッドアクスルを組み合わせています

 

運転席に座ると車内は無駄がないプレーンな印象です。ダッシュボードは手前を低くしつつ、ライトグレーの配色とも相まって圧迫感もなく、十分な広さを感じさせます。内装はプラスチック感は否めませんが、樹脂成型の工夫で、質感はそこそこ。この日は何故かエアコンが作動できませんでしたが、エアコンの吹き出し口は左右いっぱいに拡がっており、作動時の冷房効率は良さそうです。

↑要所にオレンジを交え、明るくポップなデザイン。ダッシュボードも手前を低くしたため、広々とした空間を生み出している

 

シートは運転席/助手席ともポジションを合わせるのには十分な調整が可能で、シートを倒したときのロックもしっかりとしています。ロック機構は後席にもあり、ロック解除オフ時にはビクとも動きませんでした。この辺りの安全対策は十分ですね。

↑後席はしっかりとした造りのシートが奢られているが、大人が座るにはかなり窮屈。カーゴスペースもシートをたたまないと実用にならない

 

コスト削減の割り切りなのか? 安全装備と呼べるのはABSぐらい

驚いたのが、ペダルの位置です。どういうわけか、全体がかなり右側(助手席側)にオフセットしていて、運転席に座ってペダルを踏むには身体を右側に傾ける必要に迫られるのです。ステアリングシャフトの影響なのかもしれませんが、これは踏み間違えを誘発する原因になるのではないかと心配になりました。だからなのか、ペダルには機能を間違えないように、アクセルが「+」、ブレーキが「-」の表記が大きくされていました。

↑ペダルは運転席正面より右側にかなりオフセットして配置されている。そのため、運転時はやや右に傾いた姿勢が強いられる

 

一方で日本では、装備が一般的となっているエアバッグや衝突被害軽減ブレーキといった安全装備は非搭載です。それでもABS(Anti-lock Brake System)は搭載されていますが、この辺りも低価格を実現するための割り切りなのだと思います。聞くところによれば欧州のラトビアでは、この車両に安全装備を加えて販売する車体メーカーがあり、その状態での販売価格は130万円ほど。日本でも安全装備を加えれば、やはり最低限そのぐらいにはなるのかもしれませんね。

 

バッテリーは最上グレードのみが13.9kwhですが、試乗できたグレードは9.3kwhとかなり控えめ。電圧も93Vと、EV用としてはかなり低めで、かなり低価格のバッテリーを使っていることがわかります。ただ、100kg近くあるバッテリーを載せているにも関わらず車体重量は700kg未満。そのためか、スペック上の航続距離は120kmと容量の割に長めです。しかも最高速度は100km/hで、中国では高速道路も走れます。なお、充電機能は普通充電のみで、急速充電器には非対応でした。

↑元々駆動用プロペラシャフトが収まっていたフロアには電池総電気量9.3kWhのバッテリーが収まる

 

↑フロントグリル内にある充電口。充電時は車内のコントロールダイヤルで充電モードに切り替えてから行う

 

踏み込みにリアルに反応。加速感も想像以上にスムーズ

さて、いよいよ試乗です。電源ONするには、キーシリンダーに鍵を挿入して回す懐かしい形式となっていました。思わず「EVなのに?」と思ってしまいましたが、古くても使えるものはそのまま活かす、コスト切り詰め感が伝わってきますね。運転モードはセンターコンソールにある回転式ダイヤルでR(後退)N(中立)D(前進)を選択し、あとはパーキングブレーキを解除してアクセルを踏めばスタートします。

↑折りたたみ式のリモコンキーを付属。電源をONにするには、このキーをキーシリンダーに差し込んで回す方法を採用する

 

走り出すとフロント付近から「クォーン」という擬音が聞こえてきました。日本でいう車両接近通報装置に相当するものだと思いますが、これは走行中の車内でもはっきり聞こえてきます。うるさく感じるほどではないですが、遮音についてはあまり配慮されていないのでしょう。また、電動車ならではの回生ブレーキは装備されず、エネルギーを回収する機構は装備されていません。この辺りはコストを徹底して切り詰めた感アリアリですね。

↑駆動力を発生するモーターは、ベース車となるガソリン車のデフギアボックスにダイレクトに取り付けた

 

試乗では決められたコースを数回走ることができたので、最初は控えめにアクセルを踏み、後半は少し強めにアクセルを踏み換えて試してみました。走り始めた印象は踏み込みにリアルに反応し、パワフル感はないものの、スムーズにスルスルッと走り出す感じです。足回りもそれほどヤワな感じはありません。アクセルを踏み込むと、それでもスムーズさは変わらず、ストレスなく速度が上がっていきました。

↑走行時のメーターパネル。速度は中央に、右上がバッテリー残量、その下に航続可能距離、左が駆動状況が示されている(限定エリア内で安全を確かめて撮影)

 

最高で40km/h+αまで出してみましたが、加速に不満は感じませんでした。ただ、試乗コースはそれほど広くはないので、アッという間にコースの終端に到着し、そこでブレーキ。この時は踏みしろの遊びがやや大きめかな? と思いましたが、制動そのものはスムーズで不安はありませんでした。割とキツメのブレーキングでもフロントが大きく沈むことなく停止。これならタウンユースで使う分には十分な能力を発揮してくれると実感した次第です。

↑センターコンソールにある回転式走行モード切り替えスイッチ。パーキングモードはなく、駐車中はハンドブレーキで駐める

 

試乗した印象は、価格以上によくできたEVというのが正直な気持ちです。衝突時の衝撃吸収がどの程度まで仕上がっているかはまったく不明ですが、少なくとも機能的には日本が来年から本格的に一般販売する超小型モビリティで十分に参考になると思いました。より高い信頼性の下、日本らしい小型EVのカテゴリーが発展していくことを期待したいと思います。

↑元々エンジンが収まっていたボンネット内はスカスカな印象。モーター制御ECUとインバーター、エアコン用電動コンプレッサーなどが収まる

 

 

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航続距離600km超えのEV! 日本限定車「アリア limited」の魅力

“いま”爆売れ中の日産のクロスオーバーEV「アリア リミテッド」。EVの特性を活かした静粛性を兼ね備え、室内はラウンジのような心地よい高級感溢れるデザインです。アリア リミテッドのヒットの背景を本誌編集部の乗り物担当・上岡が解説!!

※こちらの記事は「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ハンズオフ運転対応の「プロパイロット2.0」を標準装備

【EV】2021年6月予約注文開始

日産

アリア limited

660万円〜790万200円(税込)

昨年7月に発表された日産の新型EV。バッテリー容量は66kWhと91kWhの2種類があり、最大航続可能距離は610km。日本限定車limitedは、高速道路でのハンズオフ運転が可能な「プロパイロット2.0」が標準で装備される。

 

本誌クルマ担当

上岡 篤

EVの圧倒的なトルクに魅力を感じるクルマ担当。だが集合住宅住まいなので実際の導入には尻込みしてしまう。

日本限定車のみに搭載される先進運転支援技術が魅力

6月に予約注文受付が開始された日産・アリア リミテッドが人気を集めている。

 

「モデルごとの詳細な価格が判明し、購入へのきっかけになりました。EVは受けられる補助額も大きいので、価格以上の割安感が人気を後押ししています」(上岡)

 

さらに日本限定車では、通常モデルではオプションとなる「プロパイロット2.0」が標準装備されるのも魅力だ。

 

「『プロパイロット』は通常モデルで標準搭載ですが、ハンズオフ運転可能な『プロパイロット2.0』が欲しいという人が多い。これも人気の要因のひとつです」(上岡)

 

↑日本限定車limitedのみのカラーを設定。バーガンディー/ミッドナイトブラック(上)とシェルブロンド/ミッドナイトブラック(下)の2トーンカラーだ

 

↑先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」や「プロパイロット リモート パーキング」などを標準で装備。通常モデルではオプションとなる

 

【トレンドのツボ】日産の新EVに対する期待大で10日間で約4000台を受注!

リーフ以来の日産の新EV。そのスタイルや日本文化を生かしたインテリアなどは、リーフにはない質感の高さ。航続距離の長さも評価され、10日間で約4000台を受注した。

 

 

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タフさのカタマリ。ランドローバー「ディフェンダー」の4つ+αの見逃せない細部

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなクルマのスゴさをプロが証言! プチ連載形式でお届けしている本記事、今回はランドローバーのディフェンダーを清水草一さんがレポートします。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

タフさはそのまま受け継ぎスタイリッシュに進化!

ランドローバー

ディフェンダー

551万円~1171万円

70年にわたるランドローバーの歴史を象徴するモデルが、昨年登場した新型ディフェンダーだ。先代のタフな魅力はそのままに、堅牢性をさらに向上。もちろん快適性は天文学的にアップしており、まさに無敵のタフネスだ。

SPEC【110 X-Dynamic SE D300】●全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm●パワーユニット:2993cc直列6気筒ディーゼルターボ●最高出力:300PS(221kw)/4000rpm●最大トルク:66.3kg-m(650Nm)/1500~2500rpm●WLTCモード燃費:9.9km/L

 

自動車ライター

清水草一さん

『そのフェラーリください!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、自動車ライター/道路交通ジャーナリストとして活動。

 

無敵のタフネスを受け継ぎ都会でも超絶ハマる

先代ディフェンダーは、元をたどれば70年以上作り続けられたイギリスのジープ的存在。世界各国の軍用車両や警察、消防車両などに多数採用され続けてきたモデルで、タフさのカタマリである。

 

新型は、先代のタフさをそのまま受け継ぎつつ、都会にも完璧にマッチするスタイリッシュなデザインと、洗練された快適な乗り味を手に入れた。そのエレガントなボディの至るところに、先代譲りの超タフなメカや意匠が散りばめられている。

 

もちろん悪路の走破性は無敵だ。日本ではサイズが大きすぎて、林道では取り回しに苦労しそうだが、これも真のタフなクルマだと思えば納得。超ヘビーデューティな4WD機構はもちろんのこと、ピカイチなのはその渡河性能だ。なんと水深90cmまで耐えられるように設計されているのである。

 

【清水さんが証言!】なぜディフェンダーはタフなのか

[証言1] クリアサイトグラウンドビューで車体の下を確認可

3つのカメラの映像をリアルタイムで合成し、ボンネットの下の状況をモニターに映し出す。クルマの下にある轍や岩を確認できる、魔法使いのような機能だ。

 

[証言2] ほぼ垂直に切り立ったテールラインが印象的

徹底的に実用性を重視すると、車体は限りなく直方体に近づく。先代ディフェンダーもテールラインは垂直だったが、新型もその設計を受け継いでいる。

 

[証言3] 実用的かつスムーズな直6ディーゼルターボ

エンジンは、2L4気筒ガソリンターボのほかに、3L直6ディーゼルを用意。この性能が素晴らしく、しかもディーゼルとは思えない超絶なる滑らかさだ。

 

[証言4] 電子制御エアサス搭載で水深90cmまで走行可

電子制御エアサスペンションを搭載。標準車高より40mm低いアクセス向け車高から、75mmアップのオフロード向け車高まで変更できる。渡河性能は最大90cmだ。

 

タフなクルマこそキレイな車内を! ナノイーで清潔空間を保てる

ランドローバーの多くのモデルで、カビや菌、花粉、ニオイを抑制できるパナソニックのナノイーを搭載。過酷な道を進むタフなクルマにこそ望まれる装備だ。さらに将来的には、新型コロナウイルスへの抑制効果が検証されているナノイーXの搭載も検討中。今後の進化にも期待だ。

 

↑広い車内はフロント、2列目シート、3列目シート独立で空調のコントロールが可能。もちろん同期させて調節することもできる

 

↑モニター内の「ion」アイコンをタッチすればナノイーが車内に充満。一般的なイオンより長寿命のため、広い車内でも効果がある

 

HD解像度で映像と地図が有機ELディスプレイに美しく映える! 「ストラーダ」フローティング大画面モデル3機種12月発売

パナソニック オートモーティブ社は、カーナビステーション「ストラーダ」3機種『CN-F1X10BHD』『CN-F1X10HD』『CN-F1D9HD』を、12月上旬から発売します。価格はいずれもオープン価格。

↑CN-F1X10BHD

 

↑CN-F1X10HD

 

↑CN-F1D9HD

 

同シリーズでは、全モデルで映像と地図をHD解像度での表示に対応し高画質化。高精細なHD描画に対応した「HD美次元マップ」は、視認性を考慮した配色の新デザインを採用し、ビルの明かりや影までリアルに表現する3D地図描写が特長です。

 

処理能力の高いCPUにより、起動時間やルート探索の時間を、従来モデル(2020年モデルCN-F1X10BLD/F1X10LD/F1D9VD)から大幅に短縮。直感的な操作をスマートフォン感覚で心地よく行える高速レスポンスが可能で、さらに位置精度も向上させています。

 

有機ELパネルを搭載した10V型、新たにHD液晶を搭載した9V型の大画面ディスプレイは、470車種以上に取り付けることが可能です。

 

また、スタンダードモデル4機種も、12月中旬から発売(いずれもオープン価格)。スタンダードモデルはフルモデルチェンジでユーザーニーズの高い地図・映像の高画質化に対応し、HD画質モデルのラインアップを普及価格帯まで拡充しています。ラインナップは、以下のギャラリーをご覧ください。

知っておいて損なし。いま売れているコンパクト、ハッチバック、スポーツカー、セダン4車種を紹介!

“いま”爆売れ中のモノを「乗り物」からセレクト。モータージャーナリスト清水草一さんがヒットの背景を解説する。消費者ニーズに“ビッタビタ”な“ゴン攻め”クルマの数々、知らないとマジでヤバいです!!

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】電気出力“倍ブリッド”コンパクト

出力が2倍になったバッテリーでEV走行がより快適に!

滑らかに減速できる「快感ペダル」が大好評!

【コンパクトハイブリッド】2021年7月発売

トヨタ

アクア

198万円〜259万8000円(税込)

初のフルモデルチェンジを果たしたハイブリッド専用コンパクト。アクセルペダルを緩めるだけで回生によって減速度を増大させ、滑らかに減速することが可能な「快感ペダル」を採用する。燃費を20%向上させ、35.8km/Lを達成した。

 

モータージャーナリスト

清水草一さん

フェラーリ、ランボルギーニから軽自動車まで所有経験あり。常にコスパを優先して愛車をチョイスしている。

すべてを兼ね備えた日本のためのコンパクトカー

初代アクアは10年間売れ続けたモンスターだったが、7月に登場したばかりの新型アクアはさらに魅力的。すべてを満たす超お買い得カーだ。ボディはコンパクトで使い勝手の良いサイズが自慢。

 

「同じトヨタのヤリスに比べると、後席やラゲージの余裕が段違い。ボディサイズはそのままに、全モデルよりホイールベースを50mm拡大したので、より余裕が生まれています」(清水さん)

 

パワーユニットはヤリスと同じ3気筒1.5Lのハイブリッド。だが新型アクアは出力が先代の約2倍となったバッテリーを搭載し、EVでの走行速度域を向上させた。

 

安全装備も最新バージョンへ進化し、トヨタセーフティセンスを標準装備。オプションのパーキングサポートブレーキは、車両周囲の静止物への衝突も回避してくれる。

 

「100V電源を全グレードで標準装備しています。ガソリン満タンなら、5日間くらいは家庭用電源として活用でき、災害時の停電対策にもなります」(清水さん)

 

これらの装備はすべて、日本市場の要望に応えたもの。アクアは近年珍しい、日本のために開発されたコンパクトカーである。

 

↑コンパクトなバイポーラ型ニッケル水素電池を、駆動用車載電池として世界初採用。従来型アクアよりバッテリー出力が約2倍に向上している

 

↑AC100V・1500Wのアクセサリーコンセントを全車に標準装備。駐車時でも電化製品が利用できる「非常時給電モード」も装備する

 

↑EVモードで「POWER+モード」を選ぶと、回生による減速度が増大。アクセルペダルを緩めるだけで滑らかな減速が可能になる

 

↑機能を集約させ、よりシンプルになった室内。ボックスティッシュなどを入れられる助手席アッパーボックスなど、収納スペースも多い

 

【トレンドのツボ】登場から10年が経っても販売台数上位に食い込む怪物

初代アクアは2011年の登場から順調に販売台数を伸ばし、一時期はプリウスと首位を競っていた。モデル末期の2018年に登録車の販売台数では2位に入るほど人気。新型が販売台数上位に食い込むのは必至だ。

●出典:日本自動車販売協会連合会の新車販売台数データ

 

【その2】進化した名8バック

“世界基準”モデルの8代目は電動化とデジタル化を実現

先進のデジタル技術で実現する使いやすい心地良さ

【ハッチバック】2021年7月発売

フォルクスワーゲン

ゴルフ

291万6000円〜390万3000円(税込)

跳ね上げ式のバックドアを持つ、ハッチバックのベンチマークがフルモデルチェンジ。全モデルでマイルドハイブリッドを採用。タッチ操作可能な10インチのモニターやフルデジタルメーターにより、運転席まわりのデジタル化を実現した。

 

↑48Vマイルドハイブリッドシステム。ターボエンジンに不利な低回転域のトルクを補い、燃費や加速に貢献する

 

↑10インチのディスプレイ。オンライン化を実現する「Discover Pro」も対応し、ネットワークを通じ快適にドライブできる

 

【トレンドのツボ】1か月で予約は1000台を超えベンチマークモデルへの期待大

2月に早くも予約注文が開始されたが、1か月で1000台を突破。マイルドハイブリッドやデジタルコクピットなどを導入した、ハッチバックのベンチマーク的存在に期待が集まる。

 

【その3】高い走行性能の秘ケツは低姿勢

ルーフやフードにアルミ素材を使用し低重心化を図ったピュアスポーツ

2代目はよりハイパワー化した水平対向エンジンを搭載

【スポーツカー】2021年7月発売

SUBARU

BRZ

308万円〜343万2000円(税込)

トヨタとスバルの共同開発によるスポーツカーの2代目が登場。心臓部にはスバルのメカニカルアイデンティティでもある水平対向エンジンを搭載する。初代モデルより400cc拡大された排気量で、伸びのある加速フィールが味わえる。

 

↑ハンドリングの楽しさを最大限生かす低重心パッケージ。アルミルーフの採用や前後左右の重量バランスを最適化し、世界トップクラスの低重心を実現。軽量化にも成功した

 

【トレンドのツボ】希少な国産ピュアスポーツは月産500台で人気沸騰必至!

いまや国産のピュアスポーツカーは希少。兄弟車となるトヨタ86も間もなく登場する予定だが、BRZは月産500台。前モデルからの乗り換えも考えると、人気沸騰は間違いない。

 

【その4】完成度はウルトラC!

人気輸入車ランキングの常連モデルが7年ぶりにフルモデルチェンジ!

Sクラス譲りのデザインと最新テクノロジーが満載

【セダン/ステーションワゴン】2021年8月発売

メルセデス・ベンツ

Cクラス

654万円〜705万円(税込)

1993年にデビューした初代Cクラス。今回7年ぶりのフルモデルチェンジで5代目に進化した。新型はマイルドハイブリッドもしくはプラグインハイブリッドで全モデルが電動化。Sクラス並みの豪華な装備にも注目だ。

 

↑ラインやエッジを大幅に減らし、Sクラス然としたエクステリアはベビーSクラスとも。ヘッドライトはSクラス同様のデザインだ

 

↑インテリアもSクラスを彷彿とさせる。縦型の11.9インチディスプレイはドライバー側に約6度傾け、視認性の向上をはかっている

 

【トレンドのツボ】 輸入車Dセグメントの雄は一段とコスパが向上

2015〜19年の5年連続で輸入車Dセグメントナンバー1に輝いた基幹モデル。上位Sクラスのデザイン思想を取り入れたなか、安全運転技術も大幅に向上し、コスパの高さが魅力だ。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

完成度はウルトラC! 人気輸入車ランキングの常連ベンツ「Cクラス」が7年ぶりにフルモデルチェンジ!

8月に発売したばかりのメルセデス・ベンツの新型「Cクラス」。7年ぶりにフルモデルチェンジし、5代目にあたるW206型は全車のエンジンに電動化技術を採用。Sクラスに通じるデザインと、ふんだんに投入された先進技術により、今人気の輸入車です。

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

Sクラス譲りのデザインと最新テクノロジーが満載

【セダン/ステーションワゴン】2021年8月発売

メルセデス・ベンツ

Cクラス

654万円〜705万円(税込)

1993年にデビューした初代Cクラス。今回7年ぶりのフルモデルチェンジで5代目に進化した。新型はマイルドハイブリッドもしくはプラグインハイブリッドで全モデルが電動化。Sクラス並みの豪華な装備にも注目だ。

 

↑ラインやエッジを大幅に減らし、Sクラス然としたエクステリアはベビーSクラスとも。ヘッドライトはSクラス同様のデザインだ

 

↑インテリアもSクラスを彷彿とさせる。縦型の11.9インチディスプレイはドライバー側に約6度傾け、視認性の向上をはかっている

 

【トレンドのツボ】輸入車Dセグメントの雄は一段とコスパが向上

2015〜19年の5年連続で輸入車Dセグメントナンバー1に輝いた基幹モデル。上位Sクラスのデザイン思想を取り入れたなか、安全運転技術も大幅に向上し、コスパの高さが魅力だ。

 

 

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ルーフやフードにアルミ素材を使用し低重心化を図ったピュアスポーツ「BRZ」。高い走行性能の秘ケツは低姿勢

「誰もが愉(たの)しめる究極のFRピュアスポーツカー」を実現したというスバル「BRZ」。トヨタの「GR 86」とベースとなる部分は共有しつつ、スバルブランドの個性を重視して走りの特性やデザインの一部を差異化しています。今、話題のスポーツカーにクローズアップ!

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

2代目はよりハイパワー化した水平対向エンジンを搭載

【スポーツカー】2021年7月発売

SUBARU

BRZ

308万円〜343万2000円(税込)

トヨタとスバルの共同開発によるスポーツカーの2代目が登場。心臓部にはスバルのメカニカルアイデンティティでもある水平対向エンジンを搭載する。初代モデルより400cc拡大された排気量で、伸びのある加速フィールが味わえる。

 

↑ハンドリングの楽しさを最大限生かす低重心パッケージ。アルミルーフの採用や前後左右の重量バランスを最適化し、世界トップクラスの低重心を実現。軽量化にも成功した

 

【トレンドのツボ】希少な国産ピュアスポーツは月産500台で人気沸騰必至!

いまや国産のピュアスポーツカーは希少。兄弟車となるトヨタ86も間もなく登場する予定だが、BRZは月産500台。前モデルからの乗り換えも考えると、人気沸騰は間違いない。

 

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進化したVW8代目「ゴルフ」は名ハッチバック。 “世界基準”モデルは電動化とデジタル化を実現!

フォルクスワーゲン「ゴルフ」の8代目が日本に導入されました。ラインナップは1リットル3気筒エンジン搭載の「アクティブ」と呼ばれるモデルと、1.5リットル4気筒エンジンを搭載する「スタイル」及び「Rライン」。新型ゴルフは、インポートカーの中でも今人気なんです。

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

先進のデジタル技術で実現する使いやすい心地良さ

【ハッチバック】2021年7月発売

フォルクスワーゲン

ゴルフ

291万6000円〜390万3000円(税込)

跳ね上げ式のバックドアを持つ、ハッチバックのベンチマークがフルモデルチェンジ。全モデルでマイルドハイブリッドを採用。タッチ操作可能な10インチのモニターやフルデジタルメーターにより、運転席まわりのデジタル化を実現した。

 

↑48Vマイルドハイブリッドシステム。ターボエンジンに不利な低回転域のトルクを補い、燃費や加速に貢献する

 

↑10インチのディスプレイ。オンライン化を実現する「Discover Pro」も対応し、ネットワークを通じ快適にドライブできる

 

【トレンドのツボ】1か月で予約は1000台を超えベンチマークモデルへの期待大

2月に早くも予約注文が開始されたが、1か月で1000台を突破。マイルドハイブリッドやデジタルコクピットなどを導入した、ハッチバックのベンチマーク的存在に期待が集まる。

 

 

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世界じゅうで愛されるキング・オブ・SUV! ランドクルーザーが14年ぶりにフルモデルチェンジ

ランドクルーザーは世界170か国で愛されるSUVの“王様”。その走破性に寄せられる信頼は絶対のものになっている。誕生から70年の今年、14年ぶりにフルモデルチェンジ。「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」を使命とする同車の新型は、早くも人気沸騰中だ。

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【SUV】2021年8月発売

トヨタ

ランドクルーザー

510万円~800万円

運転しやすく、疲れないクルマを目指した世界屈指の4WD。パワーユニットは先代のV8が姿を消し、全モデルV6エンジンに変更。ディーゼルエンジン搭載車の復活や、GR SPORTグレードが加わったことが話題になっている。

 

SPEC【ZX ガソリンエンジン】●全長×全幅×全高:4985×1980×1925mm●車両重量:2500kg●パワーユニット:3444ccV型6気筒+ツインターボ●最高出力:415PS/5200rpm●最大トルク:66.3kg-m/2000~3600rpm●WLTCモード燃費:7.9km/L

 

モータージャーナリスト

清水草一さん

フェラーリと首都高をこよなく愛する自動車ライター。クルマのほか交通ジャーナリストとしても活動中。メディア連載も多数。

 

伝統はしっかり継承しつつ悪路走破性をさらに高めた

ランドクルーザーは「キング・オブ・SUV」。日本ではオフロードを走る機会はめったにないが、中東諸国や途上国では絶対的な信頼とステータスを得ている。特にアフリカでは4WD=ランドクルーザーと言われるほどだ。

 

「道路事情の悪い国では、ランドクルーザーこそ最強であり最高級。途上国での絶大な人気が日本など先進国にも飛び火し、名声は高まる一方です」(清水さん)

 

新型の開発テーマは“継承と進化”。耐荷重性、耐衝撃性に優れたラダーフレームは剛性を上げながら軽量化して継承。さらにボディ各所にアルミ材を使用することで、車両重量を約kg軽量化した。

 

「オフロードでは車両の軽さは重要で、ぬかるみにはまったときも脱出しやすくなります。ランドクルーザーはさらに生きます」(清水さん)

 

路面状況に合わせて最適なドライブモードを選べる「マルチテレインセレクト」はさらに進化し、利用可能なシーンがより広がっている。

 

エンジンはガソリン、ディーゼルともにV6に変更された。

 

「燃費の良さを求められるクルマではありませんが、新型では向上しました。特に復活したディーゼルターボモデルは、力強いトルクと9.7km/L(WLTCモード)という燃費を実現していて、環境性能も向上しています」(清水さん)

 

【トレンドのツボ】世界じゅうで争奪戦がぼっ発? 日本では納車まで1年以上の見込み

ランドクルーザーは世界各国で使われており、このクルマでないと安心して走行できないという地域も多い。早くも世界じゅうからオーダーが入っており、争奪戦となっている。日本では納車まで1年以上かかる見込みとアナウンスされた。

 

↑観光客を乗せて砂漠を走る「デザートツアー」。故障は命取りになるため、ほぼランドクルーザーが使われる

新型ランドクルーザーはココが進化!

新型モデルでは絶対的な悪路走破性をさらに高め、安心してオフロード走行ができるように進化。先代から14年を経たフルモデルチェンジの革新はココに凝縮されている。

 

1.高剛性を高めながら大幅な軽量化を実現

新開発のGA-Fプラットフォームを採用。伝統のラダーフレームは剛性を高めつつ軽量化。さらにルーフや全ドアパネルの素材をアルミ化することで、車両重量が従来より約200kg軽量に。

 

↑従来よりも20%剛性がアップした新しいラダーフレーム。TNGAプラットフォーム思想により、最新の溶接技術などを導入したことで実現している

 

↑新開発のサスペンション。サスペンションアームの位置を変えることで、ブレーキング時の車両姿勢や悪路でのタイヤの浮きづらさが向上した

 

2.充実したマルチテレイン性能でオフロード走行をサポート

悪路走破性を高めるマルチテレインセレクトを全モデルに標準装備。路面状況に合わせて走行モードを選択すれば、駆動力やサスペンション、ブレーキなどを自動で制御し、走破性を確保してくれる。

 

↑モードセレクトの動作範囲は通常の4WDであるハイレンジ(H4)モードでも選べる。より広いオフロード走行で使用可能になった

 

↑周囲の状況を4つのカメラでサポートするマルチテレインモニター。車両を停止させれば車両下の状況も確認でき、進むべき方向も教えてくれる

 

3.GR SPORTグレードにはラリーで培った技術を投入

新型モデルの目玉がGR SPORTグレードの設定。いままでにないほどオフローダーとしての性能を重視しているのが特徴だ。ダカールラリー参戦ドライバーの声を反映した専用装備が設定される。

 

↑前後のスタビライザーを独立して自動で電子制御し、前後輪それぞれの状況に応じその効果を変化させるE-KDSSを搭載。オンロードでの安定した走行と高い悪路走破性を実現する

 

↑本格的4WDではおなじみの、シャフトで左右両輪をつなぎ駆動力を生むデフロック走行。GR SPORTは前輪でも設定可能

 

【Column】ランドクルーザーを撮り続けているカメラマンがそのタフさを語る!

 

カメラマン

難波 毅さん

新聞社のカメラマンを経てフリーに。オーストラリアでランドクルーザーに出会い、以来過酷な環境下で働く姿を撮り続けている。

 

ランドクルーザーが止まればオーストラリアの生活が止まる

オーストラリアはランドクルーザーがランドクルーザーらしく活躍する場所。地下の銅鉱山では悪路、泥水、高湿度という環境で一生を過ごし、未整地の牧場では人車一体となって牛の群れを追う。産業界や官公庁で広く利用されており、「ランドクルーザーが止まればオーストラリアの生活が止まる」といっても過言ではないほどの信頼度だ。

 

↑放牧する牛の群れを追いながら移動させるのは馬に乗ったストックマンの仕事だったが、ランドクルーザーが馬の代わりとなることも。道なき牧場内を走り回るのは想像以上にタフである

 

↑オーストラリアの地下鉱山。その坑道は地下1900mに達する。地下で働くクルマは大型重機を除けばランドクルーザーだけ。いったん地下に下りたら基本的には2度と太陽を見ることはない

 

LAND CRUISER 70 YEARS HISTORY

1951

ジープBJ

自衛隊の前身である警察予備隊向けに開発された。車名の由来はB型エンジン搭載のジープ型モデル。性能は十分だったが、実績から納入は見送られた。

 

1955

ランドクルーザー 20

乗用車テイストに変化。ホイールベース違いのモデルもラインナップしていた。末期にはバンモデルも導入し、海外への輸出も本格的に開始された。

 

1967

ランドクルーザー 55

それまでのタフさ一辺倒ではなく、ランドクルーザーに求められた快適さを具現化したモデルが55型。高い快適性を持つステーションワゴンとなった。

 

1980

ランドクルーザー 60

55型の後継モデルが60型。より快適性能が向上した。エアコンやパワステ、国産4WDとしては初のATを採用するなど、より個人ユーザー向けになった。

 

1984

ランドクルーザー 70

悪路走破性能を保ちつつ快適性は乗用車と同様レベルに向上。日本での販売は終了してしまったが少しずつ進化し、海外ではいまも第一線で活躍中だ。

 

1989

ランドクルーザー 80

ラグジュアリー系RVとして地位を確立。仕様や装備は高級セダンと遜色ないうえ、耐久性や走破性能もランドクルーザーの名に恥じないものだった。

 

1998

ランドクルーザー 100

その異名は「悪路のセルシオ」。高級4WDモデルとして豪華な装備を誇った。海外ではレクサスブランドとして「シグナス」も追加されている。

 

2007

ランドクルーザー 200

ボディサイズを100型より拡大した200型。悪路などで超低速域を維持するクロールコントロールなど、先進機能を多く装備するのも特徴だった。

出力2倍のバッテリーでEV走行がより快適に! 新型「アクア」は電気出力“倍ブリッド”コンパクト

“いま”爆売れ中のモノを「乗り物」からセレクト。モータージャーナリスト清水草一さんがヒットの背景を解説する。消費者ニーズに“ビッタビタ”な“ゴン攻め”クルマの数々、知らないとマジでヤバいです!!

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

滑らかに減速できる「快感ペダル」が大好評!

【コンパクトハイブリッド】2021年7月発売

トヨタ

アクア

198万円〜259万8000円(税込)

初のフルモデルチェンジを果たしたハイブリッド専用コンパクト。アクセルペダルを緩めるだけで回生によって減速度を増大させ、滑らかに減速することが可能な「快感ペダル」を採用する。燃費を20%向上させ、35.8km/Lを達成した。

 

モータージャーナリスト

清水草一さん

フェラーリ、ランボルギーニから軽自動車まで所有経験あり。常にコスパを優先して愛車をチョイスしている。

すべてを兼ね備えた日本のためのコンパクトカー

初代アクアは10年間売れ続けたモンスターだったが、7月に登場したばかりの新型アクアはさらに魅力的。すべてを満たす超お買い得カーだ。ボディはコンパクトで使い勝手の良いサイズが自慢。

 

「同じトヨタのヤリスに比べると、後席やラゲージの余裕が段違い。ボディサイズはそのままに、全モデルよりホイールベースを50mm拡大したので、より余裕が生まれています」(清水さん)

 

パワーユニットはヤリスと同じ3気筒1.5Lのハイブリッド。だが新型アクアは出力が先代の約2倍となったバッテリーを搭載し、EVでの走行速度域を向上させた。

 

安全装備も最新バージョンへ進化し、トヨタセーフティセンスを標準装備。オプションのパーキングサポートブレーキは、車両周囲の静止物への衝突も回避してくれる。

 

「100V電源を全グレードで標準装備しています。ガソリン満タンなら、5日間くらいは家庭用電源として活用でき、災害時の停電対策にもなります」(清水さん)

 

これらの装備はすべて、日本市場の要望に応えたもの。アクアは近年珍しい、日本のために開発されたコンパクトカーである。

 

↑コンパクトなバイポーラ型ニッケル水素電池を、駆動用車載電池として世界初採用。従来型アクアよりバッテリー出力が約2倍に向上している

 

↑AC100V・1500Wのアクセサリーコンセントを全車に標準装備。駐車時でも電化製品が利用できる「非常時給電モード」も装備する

 

↑EVモードで「POWER+モード」を選ぶと、回生による減速度が増大。アクセルペダルを緩めるだけで滑らかな減速が可能になる

 

↑機能を集約させ、よりシンプルになった室内。ボックスティッシュなどを入れられる助手席アッパーボックスなど、収納スペースも多い

 

【トレンドのツボ】登場から10年が経っても販売台数上位に食い込む怪物

初代アクアは2011年の登場から順調に販売台数を伸ばし、一時期はプリウスと首位を競っていた。モデル末期の2018年に登録車の販売台数では2位に入るほど人気。新型が販売台数上位に食い込むのは必至だ。

●出典:日本自動車販売協会連合会の新車販売台数データ

 

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登場から約10年で累計販売台数300万台突破! ホンダ「Nシリーズ」は、もはやNipponの名車です !!

“いま”爆売れ中のモノを「乗り物」からセレクトしてみました。モータージャーナリストの岡本幸一郎さんが、ホンダ「Nシリーズ」のヒットの背景を解説します。消費者ニーズに“ビッタビタ”な“ゴン攻め”の軽自動車の雄、知らないとマジでヤバいです!!

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

1年で平均約30万台を販売する軽自動車の雄

【軽自動車】 2017年9月発売

ホンダ

Nシリーズ

Nシリーズは若い子育て世代やミニバンなどからの乗り換え層も納得の豊富なバリエーションを誇る。軽自動車の限られたサイズを最大限に生かす工夫が満載の室内空間や、荷室の使い勝手の良さが支持され、ロングヒット中だ。

 

N-BOX

142万8900円〜194万2600円(税込)

軽自動車離れした室内の広さで人気のスーパーハイトワゴンの金字塔。抜群のスペース効率や走りの良さ、扱いやすさが支持されている。シンプルなデザインも好評だ。

 

N-BOX Custom

176万9900円〜215万2700円(税込)

アッパーグリルのメッキを立体化し、よりフロントマスクを強調したことで硬派な印象に。以前は運転席寄りだったフロントのナンバープレートをセンターに配しているのも特徴だ。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

大型輸入車から軽自動車まで、使う人目線で見るのがモットー。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 

徹底的なリサーチとホンダの技術力が融合

一時は軽自動車からの撤退も考えたというホンダが、一転、やるからには頂点を極めるという決意で送り出したのがNシリーズだ。

 

「代表的存在のN-BOXは、軽ハイトワゴンがどのように使われ、何が求められているのか。徹底的なリサーチに基づく企画力と、数々の金字塔を打ち立てた第2期ホンダF1直系の技術力の融合で生まれた傑作です」(岡本さん)

 

販売台数は6年連続で首位をキープするなど実績は輝かしい。シンプルなデザインも人気の理由だが、それだけではない。乗れば誰でもわかる気持ちの良い走りや、いち早く標準搭載した先進運転支援システム。軽の常識を打破した充実の性能が国民の心を惹き付けて止まないのだ。

 

ラインナップも豊富!

N-WGN

129万8000円〜182万7100円(税込)

シンプルなデザインのN-WGNは2019年に2代目が登場。最新の運転支援技術「Honda SENSING」を全車に標準装備する。

 

N-VAN

127万6000円〜187万2200円(税込)

軽商用バンとしてレアなFF車。ピラーレスのスライドドアで開口部が広く、床はフラットで使い勝手が良い。

 

N-ONE

159万9400円〜202万2900円(税込)

ボディパネルを先代から流用したデザインが話題になった2代目。6MTを導入するなど操る楽しさも備える。

 

岡本さんが語る! Nシリーズ3つの魅力

【その1】低床設計が生み出すバツグンの使いやすさ

ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用。通常は燃料タンクのある後部座席の下が平らになるため、荷室フロアが競合車よりもずっと低く、リアシートをチップアップすることもできる。

 

【その2】軽自動車の水準を超えた高い予防安全技術

いち早くミリ波レーダーと単眼カメラを用いた高度なシステムを全車標準装備としたのが画期的。JNCAPの衝突安全性能についても、N-BOX、N-WGNが最高ランクの5つ星を獲得している。

 

【その3】豊富なラインナップで多様な使い方ができる

同じシリーズながら4モデルそれぞれがまったく異なるキャラクターの持ち主である点もポイント。商用車の新しい姿を目指したというN-VANは、キャンパーとしても人気を集めている。

 

【トレンドのツボ】N-BOXは6年連続軽自動車販売台数トップ!

中核を担うN-BOX・N-BOX Customは、2015年度から6年連続で軽自動車販売台数No.1。2017〜20年度は、登録車(小型車・普通車)を含めた台数でも4年連続でトップに輝き、21年も絶好調だ。

●出典:全国軽自動車協会連合会の年度別新車販売台数データ

 

 

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ホンダ「ヴェゼル」が爆売れ中!! クルマのプロが「欠点がない」とまで言い切る実力に迫る

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回取り上げるのは、先代モデルのヒットに続き、新型も売れに売れている「ヴェゼル」。イメージを一新したデザインや使い勝手、インテリアの質感はどうなのか?

※こちらは「GetNavi」 2021年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】ホンダ/ヴェゼル

SPEC【e:HEV PLaY】●全長×全幅×全高:4330×1790×1590mm●車両重量:1400kg●パワーユニット:1.5LDOHCエンジン+モーター●エンジン最高出力:106PS(78kW)/6000〜6400rpm[モーター最高出力:131PS(96kW)/4000〜8000rpm]●エンジン最大トルク:13.0kg-m/4500〜5000rpm[モーター最大トルク:25.8kg-m/0〜3500rpm]●WLTCモード燃費:24.8km/L

227万9200円(税込)〜329万8900円(税込)

 

外観同様に、走りも内装も上質な高級感

安ド「殿! 新型『ヴェゼル』が売れまくっているそうです!」

 

永福「うむ」

 

安ド「写真をひと目見たときから、良いなと思ってましたけど、実物はさらに良いですね!」

 

永福「同感だ。写真をひと目見た時から良いなと思っていたが、実物はさらに良い」

 

安ド「僕と同じことを言わないでください!(笑)」

 

永福「同じことを思ったのだから仕方なかろう」

 

安ド「ヴェゼルのデザインは、具体的にはどこが良いんでしょう?」

 

永福「まずシンプルであることだ。余計なラインやらえぐりやら、あるいはギラギラしたデコレーションがまったくない」

 

安ド「ボディ同色グリルもですか?」

 

永福「あれも、よりシンプルな方向だ。ボディと同じ色なのだから」

 

安ド「なるほど!」

 

永福「そして、ウエストラインがほぼ水平だ。これが、スピード感や威厳を強調しないニュートラルな雰囲気を醸し出し、日本人好みの清潔感につながっている」

 

安ド「だから良いデザインに見えるんですね!」

 

永福「うむ。海外でこのデザインがウケるかどうかはわからないが、日本人の深層心理には強く訴えかけてくる。初代『ソアラ』のように」

 

安ド「初代ソアラ! 僕はまだ子どもでした」

 

永福「わしですら10代だった」

 

安ド「僕はこのデザイン、ホンダの『HR-V』みたいに、縦方向に潰れた感じが好きなんですけど」

 

永福「HR-Vも相当古いぞ」

 

安ド「若い読者にはチンプンカンプンでしょうか」

 

永福「お互い、例えが古くてイカンな」

 

安ド「走りも内装も上質ですよね。『フィット』のSUV版とは思えない高級感でした」

 

永福「うむ。見た目同様、すべてが上品で清潔感がある。しかも室内が広い」

 

安ド「燃費も良かったですよ。実測で19km/Lくらい走りました」

 

永福「フィットとほぼ同じハイブリッドシステムだからな」

 

安ド「このクルマ、良いところずくめですね!」

 

永福「うむ。若干価格は張るが、一般の皆様には手放しでオススメできる。まぁオススメするまでもなく売れているが」

 

安ド「じゃ、殿のようなカーマニアは、こういうクルマ、欲しいと思いますか」

 

永福「安ドはどうだ?」

 

安ド「僕ですか? 僕はいりませんよ。MTがないですから」

 

永福「MT車しか買わないとは、不便な人生よのう。わしはATでもいいぞ」

 

安ド「じゃ殿は買いますか?」

 

永福「買うわけがなかろう。なにせヴェゼルには、カーマニアにとって一番大事なものがない」

 

安ド「それはなんですか?」

 

永福「欠点だ。欠点のないクルマなど、面白いはずがなかろう」

 

【GOD PARTS 1】ボディサイドライン

水平に引かれたラインでシンプルさを演出

先代より全長が拡大されたことで前後に長い印象を受けるデザインですが、ボディサイドに一本通されたウエストラインが、それをさらに強調しています。この水平基調のラインが、スッキリとした印象を演出しているのです。

 

【GOD PARTS 2】シート生地

クールで上質な印象を与える特別な素材を採用

上級グレードの「PLaY」には、プライムスムース素材とファブリック素材を組み合わせた「グレージュ」と呼ばれるシート表皮が採用されています。派手過ぎることもなく、大人っぽくて、コンパクトSUVとは思えない高級感が味わえます。

 

【GOD PARTS 3】LEDルームランプ

静電式なのでそっと触れるだけ

パッと見たところルームランプの周囲にスイッチが見つかりませんが、なんと静電式で、ランプの周辺をそっと触れれば点灯できます。暗いなかでもなんとなくそのあたりに触れるだけで良い、ユーザーに優しい装備です。

 

【GOD PARTS 4】そよ風アウトレット

エアコンからの風が直接身体に当たらない

エアコン吹き出し口中央のツマミを操作することで、風向きを自在に変更できます。外側の細長い「そよ風アウトレット」を選べば、風が乗員に直接当たらず、身体を包み込むような流れに。ほど良い心地良さを味わえます。

 

【GOD PARTS 5】エアコンコントロールパネル

触りたくなるアナログなダイヤル

最近はなんでもデジタルでタッチパネルになりつつありますが、ヴェゼルのエアコン操作系は、節度感の良いダイヤルとボタンで構成されていて、良い雰囲気です。左右下にはUSBソケットが配置されています。

 

【GOD PARTS 6】リアシート

ユーティリティ性に優れたシート設計

↑通常時

 

↑チップアップ

 

↑ダイブダウン

 

燃料タンクを車体中央下に配置したホンダ独自の「センタータンクレイアウト」によって、ボディサイズのわりに室内空間は広めです。リアシートはチップアップ(跳ね上げ)とダイブダウンができるので、スペースを巧みに使うことができます。

 

【GOD PARTS 7】リアコンビランプ

あのクルマみたいなデザイン

左右のかたまりが一直線に結ばれたデザインの、リアコンビネーションランプが採用されています。天地方向の幅はかなり薄型ですが、ワイド感が強調されクールな印象です。一部では、昨年発売されたトヨタのハリアーに似ているとも言われています。

 

【GOD PARTS 8】減速セレクター

パドル操作で自在にエンブレ感覚を調整可能

ATシフトを「D」レンジから「B」レンジへ切り替えれば、アクセルを離した際の減速感をステアリング奥のパドルで調整できる状態になります。4段階にコントロールできますが、最大にしても日産のe-POWERほど強烈ではありません。

 

【GOD PARTS 9】パノラマルーフ

紫外線や熱をカットする特殊なガラス素材を採用

一部グレードに設定されるパノラマルーフには、「Low-Eガラス」なるものが採用されています。これは赤外線や紫外線をほぼ遮断しつつ、日差しによる熱も従来比約50%カットしてくれるもの。フロントは電動、リアは手動でカバーを外せます。

 

【これぞ感動の細部だ!】ボディ同色グリル

シンプルで飾らない印象を与えるセンスフルなデザイン

フレームレスのボディ同色グリルは、一見、印象が薄いように感じますが、慣れるとこれがなかなか素敵です。そもそもグリルという構造物は、デザイン的にはクルマのフロントフェイスに威厳や迫力を与えるものですが、ここをシンプルにしたことで、逆に洗練された印象を受けるのです。向かって右上部にさりげなく配置されたトリコロールの「カラーオーバーオーナメント」もオシャレです。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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ヨコハマタイヤの新作スタッドレス「アイスガード セブン」解説! 氷上だけじゃなく雪上にも強いその秘密は?

横浜ゴムは7月29日、4年ぶりとなる乗用車用スタッドレスタイヤの新製品「iceGUARD 7(アイスガード セブン)」を9月1日より発売すると発表しました。アイスガードは誕生以来、今年で20年目に入り、より氷上性能を高めた“第7世代”として登場。横浜ゴムではアイスガード セブンを“ヨコハマスタッドレスタイヤ史上最高の氷上性能”を発揮する新製品として市場投入します。ラインナップは全89サイズで、すべてオープンプライスです。

↑9月1日より発売されるアイスガード セブン。ラインナップは全89サイズで、すべてオープンプライス

 

従来製品比で「氷上性能」を14%、「雪上性能」を3%向上

アイスガード セブンが持つ最大のポイントは、新開発の専用パターンと「ウルトラ吸水ゴム」の相乗効果によって、従来製品「iceGUARD 6(アイスガード シックス)」に比べて、「氷上性能」を14%、「雪上性能」を3%向上させていることです。さらに「性能持続性」や「ころがり抵抗」、ウェットに効く「ウェット性能」、音に効く「静粛性能」などの各分野では、アイスガード シックスと同等の能力を確保。その結果、総合性能ではアイスガード シックスを上回るスタッドレスタイヤとして誕生したのです。

 

横浜ゴムがユーザーを対象に調査したところによると、スタッドレスタイヤに求める性能のトップ3は、「氷上制動性能」がトップで、続いて「雪上性能」「性能持続性」の順だったとのこと。

 

実際、横浜ゴム 取締役常務執行役員 兼 技術統括の野呂政樹氏は発表会の席上、「北海道の冬季気温が年々上昇して降雪量も徐々に減少し、これによって降り積もった雪が日中で溶けて夕方以降に凍結する要因を生み出している」ことに言及。その対策として「今後のスタッドレスタイヤにはより氷上性能が求められるようになる」と予想し、これがアイスガード セブンの開発コンセプトとなったことを明らかにしました。

↑“ヨコハマスタッドレスタイヤ史上最高の氷上性能”を発揮するアイスガード セブンの製品説明に登壇した取締役常務執行役員 兼 技術統括の野呂政樹氏

 

その意味でアイスガード セブンは、ユーザーのニーズをしっかりと捉えた中で誕生したことがわかります。

 

ただ、アイスガード セブンが特徴としている「氷上性能」と「雪上性能」を両立させることはかなり困難を極めたようです。たとえば氷上性能では凍結路面に密着させられる接地面積が重要ですが、これを広げれば雪上で求められる溝面積の減少につながってしまいます。一方で雪上性能を高めるために溝面積を増やせば、接地面積が減ってしまい氷上性能が落ちてしまうことになります。つまり、「氷上性能」と「雪上性能」では相反する関係にあり、アイスガード セブンの開発にあたってはまずこれを解決することが求められたわけです。

↑氷上でのアイスガード セブンと従来タイヤの制動距離比較。そのグリップ力は明らかな差がついている

 

新トレッドパターンの開発で「氷上性能」と「雪上性能」を両立

そのために進めたのが、「接地とエッジの両立技術」を駆使した新たなトレッドパターンの開発でした。これによってヨコハマタイヤのスタッドレスタイヤでは史上最大となる接地面積と溝エッジ量を確保したのです。たとえば、氷上性能のレベルアップを図るために採用した「マルチベルトブロックEX」「コレクティブビッグブロックEX」は、接地面積の拡大とブロック剛性の向上に寄与しています。また、「マルチダイアゴナルグルーブ」「トリプルライトニンググルーブ」は溝エッジ量を増大させており、これが優れた雪上性能をもたらしたというわけです。

↑非対称のトレッドパターンを持つことで、アイスガード史上最大の接地面積とブロック剛性を確保した

 

↑「雪に効く」を実現するため、エッジ量を大幅に増加させたアイスガード史上最大のエッジ量とした

 

加えてこの効果を長持ちさせるために、50%摩耗時にサイプが太くなる新形状の「クワトロピラミッド グロウンサイプ」を採用したことで、使用後期まで氷上性能をキープ。一方で新開発の「ダブルエッジマイクログルーブ」の採用は、装着初期の氷上性能も高める効果にもつながっています。

↑新開発の「ダブルエッジマイクログルーブ」。サイプの傾斜方向と交差させて横方向のエッジ効果の向上を図り、氷上で排水効果を向上させた

 

↑新開発の「クワトロピラミッド グロウンサイプ」と従来タイヤのサイプの摩耗比較図。50%摩耗時のサイプで大きな違いがある

 

コンパウンドは「アイスガード セブン」専用の「ウルトラ吸水ゴム」を開発して対応しました。実績のある「新マイクロ吸水バルーン」に加え、新たに「吸水スーパーゲル」を採用し、これによって氷上で滑る原因となる氷表面の水膜を素早く吸水します。さらに新採用の「ホワイトポリマーII」が「シリカ」を均一に分散させ、ゴムがしなやかになって氷への密着度向上を図りました。加えて新採用の「マイクロエッジスティック」が氷や雪を噛むエッジ効果を発揮させて、さらに実績のある「オレンジオイルS」がゴムのしなやかさを維持する劣化抑制効果を発揮することにもつながっているということです。

↑コンパウンドは「アイスガード セブン」専用の「ウルトラ吸水ゴム」を開発。新たに「吸水スーパーゲル」を採用して氷表面の水膜を素早く吸水する

 

新CMで深田恭子さんとウルトラセブンが共演。凍った路面での安心感と信頼感をアピール

アイスガード セブンの発売にあたってはテレビCMにも注目です。これまでも登場していた俳優の深田恭子さんに加え、新たにウルトラセブンが共演。アイスガード セブンの新テレビCM「セブンのうた」編を、8月26日より北海道エリアを皮切りに順次放映される予定です。テレビCMの製作には円谷プロも全面協力し、その内容は冬の凍った路面でも「ちゃんと曲がる、ちゃんと止まる」安心感と信頼感を表現した内容になっています。「ウルトラセブンのうた」をアレンジしたオリジナルメロディも楽しいですよ。

↑新CMで深田恭子さんと共演して登場するウルトラセブン。円谷プロの全面協力で実現した

 

 

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ドライバーの疲労軽減と安全性向上に貢献。UDトラックスが最新電子制御ステアリング世界初公開

UDトラックスは7月1日、自動運転にもつながる技術「UDアクティブステアリング」を同社の大型トラック『クオン(Quon)』に搭載したことを発表しました。このUDアクティブステアリングはドライバーの運転環境を改善することを最大の目的に開発され、CG後軸エアサス WB 7520mm車、GK WB 3200mm車にオプション設定されます。

↑UDアクティブステアリングを搭載したクオン

 

低速走行時には取り回しが軽く、積み荷や路面状況、横風などにも左右されない

このUDアクティブステアリングは、従来の油圧式ステアリングギアの上部に新たに搭載し、電気モーターを活用した運転支援機能として誕生しました。具体的には、電気モーターに付随する電子制御ユニット(ECU)が、1秒間に約2000回の頻度で様々なセンサーから運転環境を感知して走行方向とドライバーの意図を判断。あらゆる走行条件下において、ドライバーの運転操作をアクティブにサポートする機構となっています。

↑従来の油圧式ステアリングギアの上部に電気モーターを搭載し、あらゆる走行条件下において、ドライバーの運転操作をアクティブにサポートする

 

特徴的なのは、後退・右左折・旋回などの低速走行時には取り回しが軽く、速度が上がるにつれてステアリングの安定感が増していくことです。積み荷や路面状況、横風などにも左右されない安定したステアリングを実現できるため、これがドライバーにとって疲労軽減と安全に大きく貢献することにつながるというわけです。

 

その特徴は大きく以下の5つがあります。

1.低速走行時の軽いステアリング。重量物輸送時でも軽い力で操舵でき、疲労を大きく軽減。

2.高速走行時の直進安定性。スピードに応じて、ステアリングを適度な重さになるよう制御することで、直進走行時にドライバーの緊張感を軽減。

3.不整路走行時の路面状況の影響軽減。路面の凹凸から受ける影響を自動補正し、振動や意図しないステアリングの動きを軽減。

4.横風発生時の走行補正。横風の影響によるタイヤの微細な動きを素早く感知し、自動補正で直進走行をサポート。

5.後退・右左折時の自然なハンドル戻り。後退時や交差点の旋回時にステアリングは自動でニュートラル位置に戻る。

 

■UDアクティブステアリングがもたらす5つのポイント。

UDトラックスではこれらの効果を測る実証実験を行い、その結果、UDアクティブステアリング搭載車の方が運転時のストレスが低く、さらに過度な集中力を必要とせずに操作できることがわかったということです。また、搭載車では腕の力をより楽にして操作を行え、特に駐車時や路面の凹凸が激しい道路を走行する場合でも筋力を使わずにハンドル操作ができることもわかったそうです。

 

大型トラックにも関わらず、ステアリングを指1本でも回せることに驚き!

発表会後、実際にその効果のうち、「1」「3」「5」を体験する機会も提供されました。

 

まず「1」の体験として、スタートしてスラロームを低速で走ることにしました。ここでは指1本でもステアリングが回転する極めて軽いフィールを実感。大型トラックとは思えない驚くほどの軽さを体験しました。従来のトラックではこれら低速時のステアリング操作が重く、これがドライバーに大きな負担になっていたそうで、これだけでも運転環境は大幅な改善につながると思われます。

↑UDアクティブステアリングを体験すると、低速走行では本来なら感じる重さが指一本で回せるほどの軽さになっていた。これが高速走行になると重くなり安定性を増すという

 

「3」では、波状路を想定した凹凸を左側の車輪で連続して乗り越える体験。本来ならこうした凹凸を乗り越えると、その度にステアリングが影響を受けて方向が定まらなくなってしまい、ドライバーはその修正を余儀なくされます。が、UDアクティブステアリングではキャビンが大きく左右に振られても、ステアリングだけはまるで目標物があるかのように真っ直ぐ進んでいったのです。これは本当に見事なものでした。

↑波状路を想定した凹凸を左側の車輪で連続して乗り越える体験。UDアクティブステアリングではキャビンが大きく左右に振られても、ステアリングだけはまるで目標物があるかのように真っ直ぐ進んでいった

 

「5」は車庫入れでの体験です。「1」で体験したようにステアリング操作はとても軽く、左右への切り返しも楽に行えました。特に秀逸なのが手を離すとセンターポジションへステアリングが自然に戻っていくことです。今までトラックの操舵ではドライバーが元へ戻す必要がありました。トラックのドライバーは、荷物の積み卸し作業のためにドライバーは指定場所へバックで収めることが求められますが、ここまでステアリング操舵が軽ければ、かなり負担軽減につながるのではないでしょうか。

↑荷物の積み卸し作業では車庫入れが必須。低速で走行するため本来なら重くなるステアリング操作だが、UDアクティブステアリングでは驚くほど軽い。センターポジションには手放しでも戻る

 

UDアクティブステアリングが人材不足の解決につながることを期待

記者発表会に登壇したUDトラックス 代表取締役社長 酒巻孝光氏は、「ここ数年、ドライバーの有効求人倍率は全業種平均の約2倍と圧倒的に高く、その要因は少子高齢化、若者のクルマ離れ、給料、長時間労働や荷役作業のような体力的に過酷な労働環境など様々なことが考えられますが、UDトラックスができることはドライバーに常に寄り添ってその解決方法を常に考えること。我々は運ぶことをもっと楽に、そして豊かな気持ちで運んでもらえるよう、今後も技術力でサポートしていきたい」と語りました。

↑UDトラックス 代表取締役社長の酒巻孝光氏。「物流は社会の血流であり、UDトラックスは物流業界の課題解決にどのように貢献できるかということを常に考えている」とのこと

 

また、同社開発部門統括責任者 ダグラス・ナカノ氏は、「これは自動運転につながる技術。技術は人のために進化します。(UDアクティブステアリングは)ドライバーの疲労を軽減し、快適に運転できるトラックを提供することにつながり、それが人材の多様化やドライバー不足の貢献につながります」と、UDアクティブステアリングが運送業界の人材不足問題解消の一助になる可能性を挙げました。

↑同社 開発部門統括責任者のダグラス・ナカノ氏

 

↑発表会当日サプライズゲストとして登場した書道家の鈴木曉昇氏は、アクティブステアリングの技術を模して“技”を即興で書き上げた

 

このUDアクティブステアリングのオプション価格は46万円。乗用車ユーザーからすれば高く感じますが、そもそも大型トラックは2000万円ほどはする高額車両なので、それをベースにするとこの価格は決して高額とはなりません。むしろ、ドライバー不足に悩む物流業界にとっては、この出費で人材が確保できるようになれば安いものとなるでしょう。このオプションが物流業界の発展に寄与することを期待したいと思います。

↑発表会後は「物流業界の課題にトラックメーカーができること」と題したトークセッションも開催。日通総合研究所取締役の大島弘明氏(左から2人目)、ジャーナリストの橋本愛喜氏(同3人目)、交通コメンテーターの西村直人氏(同4人目)らが参加した

 

■UDアクティブステアリングの制御精度を示すデモンストレーション。クオンのトレーラーヘッドには筒状のホルダーを介して大型の筆が取り付けられ、正確さが求められる書道に挑んだ。

 

 

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車内でもスマホの安定感がバツグン! 手軽にセットできる「吸盤タイプの車載ホルダー」3選

スマホをナビに使うこともある昨今、クルマの中で安定してスマホを置くには、専用の車載ホルダーを使うのが便利。車載ホルダーにはマグネットタイプ、エアコン吹き出し口取付タイプなどさまざまな種類がありますが、今回は好みの位置に手軽に設置できる吸盤タイプをご紹介!

 

目次

 


2000円以下でも安定感バツグン!


エレコム 車載ホルダー EC-SH03BK

ホルダーをしっかり吸着固定することができる強力ゲル吸盤タイプで、Amazonでは1499円とお手ごろなのもうれしいところ。ワンタッチボタンにスマートフォンを押し当てることで取り付けができ、解除バーを押し込むことでスマホを取り外すことが可能。スマートフォンをしっかり支えられるフットパーツがあるのも便利です。約50mm延長できる伸縮アームと、アーム全体が約245度回転する機構を備えており、長さも向きも自由自在に調整可能。ポールジョイントを採用しており、360度回転や自由な角度に調整して固定することもできます。ユーザーからは「とても安定していてほんとにガッチリ支えてくれます! 吸盤部分の粘着力も高く、アームが伸びるのもありがたい」と評価も上々。

【詳細情報】
サイズ:106×162×110mm(最大時)
重量:約165g

 


弾性のゴムボール搭載でほぼ無制限で角度調整可能


RAM Mounts ツイストロック式 吸盤ベース RAP-B-166-2-UN7U

弾性のゴムボールを中央部に据えたボールソケット型マウントを採用し、ほぼ無制限で角度調整できます。2.75インチのツイストロック式吸盤をベースとしており、ガラス面や粘着ディスクなど、通気性のないプラスチック面で強力に固定できるよう設計されています。2つのソケットを搭載したシステムです。付属のX-Gripホルダーは精巧な4脚式のデザイン。ホルダーにはバネが搭載されており、自在に伸縮することで、携帯電話が隠れることなく、強力なホールド力を発揮します。

【詳細情報】
サイズ:最大幅8.2×奥行2.2cm(ホルダー部)
重量:186g

 


6.3cm伸縮する「伸縮アーム機能」を搭載!


SmartTap EasyOneTouch3 HLCRIO130

ワンタッチロック&リリース機能は特許を取得。指で軽く押すだけで簡単にスマホをホールドし、着脱がスムーズです。また、6.3cm伸縮する伸縮アーム機能と、充電コードに干渉しない可動式ボトムフット機能を備えています。ドイツ製のゲル吸盤はシボの粗いダッシュボードにも設置でき、湾曲部分にも設置可能です。ユーザーからも「取り付けのアームの強度が他社よりしっかりしている感じで、ジェルの接着部分も問題はありません」と高評価。

【詳細情報】
サイズ:7.7×7×4.6cm
重量:220g

 

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【キャンピングカーレビュー】journal standard Furnitureとコラボしたゴードンミラー「GMLVAN C-01JSF」レビュー

新しい生活様式の1つとして、近年急速に人気を集めているのがキャンピングカー。人混みを避け、家族やパートナーとともに旅を楽しめるのが人気の理由ですが、いきなり大型のキャンピングカーを購入するのは、ハードルが高いと感じている人も少なくないのではないでしょうか?

 

そんな人におすすめしたいのがゴードンミラーのリリースする「GMLVAN」シリーズ。使い勝手の良いサイズ感ながら、快適な車中泊旅ができる工夫が凝らされています。今回はその中から、インテリアショップjournal standard Furnitureとのコラボで生み出された「GMLVAN C-01JSF」を紹介します。

 

【フォトギャラリー(一部SNSでは表示されません。本サイトでご覧いただけます)】

 

 

【今回紹介するクルマ】

ゴードンミラー/GMLVAN C-01JSF

価格 421万3000円〜

 

 

シンプルで使いやすい車中泊仕様

キャンピングカーというと、大きく背の高いキャビンのものを思い浮かべる人が多いかと思いますが、これは「キャブコン」と呼ばれるカテゴリー。居住性は高く、快適なのですが、その分サイズが大きく駐車場所や普段の運転には気を遣います。

 

日常の買い物などを想定すると、これ1台ですべてをまかなうのは難しいところ。そんなこともあり、近年のキャンピングカーの人気の中心は「バンコン」と呼ばれるバンタイプをベースとしたモデルになっています。

 

「GMLVAN」シリーズにはバンコンの中でも装備をシンプルにした“車中泊仕様”と呼ぶべき存在。トヨタ「ハイエース」をベースとした「GMLVAN V-01」と、日産「NV200」がベースの「GMLVAN C-01」がラインナップされています。

 

今回紹介する「GMLVAN C-01JSF」は「C-01」にjournal standard Furniture(JSF)のエッセンスを加えたモデル。Living Room on Wheels.をコンセプトに、リラックスできる洒脱なリビングルームをそのままクルマに持ち込んだような1台に仕上がっています。

↑日産「NV200」をベースとしたコンパクトな車体は普段使いもしやすそう

 

↑サイズは小柄ながら、車内はお洒落でリラックスできる空間になっている

 

「GMLVAN」シリーズは、過剰な装備は備えず快適に車中泊できるフラットな空間が作れることと、天然木を使った車内空間が特徴。海外では「VAN LIFE」と呼ばれる、DIYで木材を内装に貼り付けたようなスタイルが人気ですが、その雰囲気をクオリティ高く再現しています。

↑内装に天然木を多用するスタイルは「GMLVAN」に共通するものだが、「GMLVAN C-01JSF」では木材がオーク材を採用

 

↑天井に貼られる木材もオーク材となっており、より室内が明るい印象に。照明のLEDは標準装備

 

木材のパネルを組み合わせることで、フラットな就寝スペースを作り出したり、テーブルを備えたリビングに展開できるのは「GMLVAN」の基本スタイル。この機構は「GMLVAN C-01JSF」にも受け継がれています。ラゲッジ後端にはフラップ式のテーブルが追加され、より家具っぽい印象が強まりました。

↑取り外し可能なパネルを用いて、ラゲッジモードとベッドモードの切り替えが可能

 

↑パネルのうちの1枚はテーブルに転用可能で、リビングにもかたちを変える

 

↑追加されたフラップ式のテーブルは、アウトドアで活用できる

 

↑パネルを敷き詰め、その上にマットを敷けば大人2人が泊まれる就寝スペースに

 

内外装にJSFのエッセンスを注入

ボディカラーは標準の「C-01」と同じく、日産の純正と同じ工場で塗装されたもの。メーカー純正と同じクオリティと耐久性を実現しています。「JSF」モデルはさらにサイドラインや給油口のパネルなどを装備。フロントグリルはゴードンミラーのオリジナルで、「NV200」の商用車っぽさを廃しています。

↑オリーブドラブと呼ばれるカラーに、サイドラインを加えることで雰囲気を一新

 

↑給油口にはオリジナルデザインのアルミプレートをワンポイントで配置

 

↑フロントグリルには日産マークではなく、ゴードンミラーのロゴが刻まれる

 

↑オリジナルデザインのホイールはオプション設定

 

内装の大きなポイントとなっているのはシート表皮の生地。ACME Furnitureオリジナルの生地「AC-08」を採用することで、一気に洒脱な雰囲気となっています。リアシートはもちろん、同じ生地を用いたクッションも付属します。この生地はとある映画の中に登場するソファの張地をイメージしたものだとか。

↑運転席・助手席はシートカバー。オリジナル生地となり、車内の雰囲気を一新させています

 

↑前後に展開可能な2列目シートも同じ生地を使用。同柄のクッションも良い雰囲気

 

↑車中泊には欠かせないカーテンはデニム生地を採用しより明るい印象に

 

↑カーテンレールはウインドウや天井の形状に合わせて曲げられている

 

↑車内あるいは屋外でプロジェクター映像を楽しめるロールスクリーンも装備

 

車中泊も車内仕事も快適にこなせる

シンプルながら、落ち着ける内装と、小回りの効くサイズ感が絶妙の「GMLVAN C-01JSF」。実際に郊外まで出掛けてみましたが、運転がしやすく、ちょっと景色の良さそうなポイントまで気軽にアクセスできます。

 

気持ちの良い風景の中で、テーブルを展開し、ノートPCを広げれば仕事もはかどりそう。最近は、リモートワークの拡大でクルマの中で仕事をしている人も少なくないと聞きますが、こういうクルマがあるとちょっと気分転換に出掛けていつもと違う場所で仕事することも気軽にできますね。

↑ポータブル電源を積んでいけば電源の心配もいらない。テールゲートを開けて風を感じながら仕事をするのも良さそう

 

また、リアシートとパネルでフラットな空間を作れるので、寝心地もかなり快適。キャンプ用のマットや寝袋がなくても、この季節だと毛布やタオルケットを持ち込むだけで気持ち良く眠れます。実際に泊まってみましたが、日が昇るとデニム地のカーテン越しに心地よい日差しが入ってきて、気分良く目覚めることができました。眩しくないけど、外の明るさを感じられる絶妙な配色ですね。

↑フルフラットにすると、184×120cmでセミダブル程度の広さ。身長175cmでも真っ直ぐに寝られる空間が確保されているので、車中泊も快適

 

撮影した車両には、オプションのルーフキャリアやサイドオーニングも装備されていました。かさばる荷物はキャリアに載せておけば車内で邪魔になることもありませんし、手軽に日差しを避けられるオーニングは付いていると、車内の快適な空間を拡張できて便利。こういうクルマが1台あると、ライフスタイルが一気に広がりそうです。

↑ルーフキャリアは荷物を積めるだけでなく、車両の雰囲気を変えるためにも有効

 

↑サイドオーニングがあると、アウトドアでも自分のリビングを広げられる気分

 

4年ぶりのフルチェンジ!“新次元のプレミアムブリザック”VRX3の実力を一足早くチェック!

世界No.1タイヤメーカーのブリヂストンから、今年9月、最新の技術を投入したスタッドレス「BLIZZAK VRX3(ブリザック ヴイアールエックススリー)」が4年ぶりに発売されることが、本日7月15日に発表されました。同社によればこのVRX3を“新次元のプレミアムブリザック”としており、その実力の一端を先駆けて体験して参りました。

↑新横浜スケートセンターで行われたブリザック「VRX3」の事前試乗会。氷上でのグリップ力を体感することができた

 

氷上性能の大幅向上、ライフ性能、効き持ちの向上を実現

「ブリザック」は1988年に誕生し、変化するユーザーの声を反映しながら今やダントツの氷上性能を発揮。それが北海道や北東北5都市では20年連続装着率No.1 という実績につながり、ほぼ2台に1台がブリザックを装着するまでになりました。中でも見逃せないのが業務で使うタクシー業界で7割もの車両に装着されていることです。これはまさにブリザックに対する高い信頼性がもたらした結果と言えるでしょう。

 

そうした実績を踏まえ、さらなる「氷上性能の大幅向上、ライフ性能、効き持ちの向上を実現した」(ブリヂストン)のがVRX3なのです。

↑ブリザックVRX3の3種。左から主に軽自動車向け155/65R14、プリウスなど中型車向け195/65R15、大型乗用車向け225/45R18

 

VRX3の商品コンセプトは、氷上性能の大幅な向上と、ライフ性能、効き持ちの向上を実現した「新次元のプレミアムブリザック」です。ブリヂストンによれば、近年の暖冬化傾向により降雪量は年々減少傾向にあり、積雪はないものの、凍結路面に遭遇するシーンが特に増えていると言います。VRX3は特にそういったシーンでの“効きの良さ”を高めることを最大のテーマとして登場したのです。

 

また、VRX3はスタッドレスとしての効果を長持ちさせることにもトライしています。一般的にスタッドレスタイヤは柔らかいコンパウンドを使用しているため、寿命は短くなるのが常識。ユーザーも長持ちして欲しいという思いはありながら、この効果を維持するために我慢してきた部分でもあります。そこで、ユーザーの切実な思いに応えようと、VRX3の開発にあたってはこの相反する部分にも敢えてトライしたというわけです。

 

滑りの原因を毛細管現象で除去する発泡素材を採用

そもそもタイヤはどうして氷の上で滑るのでしょうか? その原因は氷の表面に発生する「水の膜」にあります。この膜がタイヤと氷の間にすき間を生み出し、これが原因となって滑るのです。スタッドレスタイヤでは氷が溶け出す温度で発生する現象であり、仮に氷が溶け出さない北極圏のような厳寒地ではこうした状況は発生しません。むしろ、氷の上でもタイヤはしっかりとグリップします。日本の降雪/積雪地は全般に氷が溶ける気温であることが多い事に加え、降雪量も多い。その意味では世界でも特殊な環境にあるんだそうです。

 

さて、そうした日本の環境に向けて誕生したVRX3ですが、氷上での効果を発揮するためにまず実施しているのは水の除去(除水)です。水を可能な限り取り除くことで、滑りの要因を低減。次に路面にしっかりと接地させて摩擦・ひっかきを働かせることでグリップ力を高めます。ただ、これらは従来製品でも実施してきたことでもあります。今回はその性能を進化させるために新たな素材として、新タイプの発泡ゴムを採用。これが除水性能と接地性の向上に大きく寄与したと言います。

↑路面でタイヤがスリップする要因は、路面との間に水膜ができるから。これは氷上の上でも同じで、スタッドレスタイヤでその効果を発揮するには除水がキモとなる

 

発泡ゴム進化の秘密はその形状にありました。従来は球状の発泡と水路の発泡で水の膜を除水していましたが、VRX3ではその断面形状を楕円形に変更しているのです。これが毛細管現象をさらに際立たせることにつながり、吸水力の大幅アップに成功。接地面積をミクロ単位で拡大させ、グリップ力の向上をもたらしたというわけです。

↑トレッド面には新発泡素材と新デザインのサイプを組み合わせることで除水効果を大幅に高めている

 

スタッドレスタイヤの柔らかさを長期間にわたって維持する新素材を配合

また、この新発泡ゴムにはゴム部分に従来使っていたオイルよりも分子量が高い新素材を配合しています。これも見逃せないポイントです。

↑VRX3では発泡ゴムの形状を楕円とすることで除水能力をさらに進化させ、接地でのグリップ力を高めている

 

実はスタッドレスタイヤのグリップ力確保に柔らかさはとても重要で、これはオイルなどを配合して対応するのが一般的です。しかし、オイルは時間と共に抜けてしまい、それによりゴムは徐々に硬化していってしまいます。ブリザックではここに気泡を含ませることで柔らかさを維持してきましたが、それでもオイル抜けは発生します。そこで、VRX3では新素材の配合で対応することにしたのです。これはオイルと違って経年による抜けが発生しにくく、柔らかさを長期間にわたって維持できるという特徴を持ちます。これによって氷上での“効き”を長期間にわたって確保したのです。

↑VRX3では新発泡ゴムの配合により、使用年数によるゴムの硬化を抑え、柔らかさ維持で効きを長持ちさせている

 

それだけではありません。トレッドパタンの変更により、確かな除水と高剛性化を進めているのです。突起つきブロック・端止めサイプを採用することで、除水した水を再び侵入することを抑制し、これがパタン全体として接地性アップにつながってグリップ力向上に貢献しました。さらにサイプ角度を見直してパタン剛性をコントロールすると共に、リブの配置やブロック形状の均等化によって接地圧を均一化することでタイヤと路面の滑りをさらに抑えることにも成功したそうです。

↑新デザインのパターンを採用することで除水能力を高め、マクロな接地能力を向上させている

 

↑タイヤと路面の滑りにしっかり対応するためにトレッド変形を抑制するパタンの高剛性化を実現した

 

横方向への滑りで旧モデルとの違いを実感! 発進やブレーキングでも効果

では、これらを装備したVRX3の実力はどうなのか。体験したのは横浜市にある新横浜スケートセンターです。試乗車は現行プリウス2台。前モデルであるVRX2と比較しながらの体験となりました。スケートセンター内ということもあり、速度域は最高で15km/hまでで、メニューは主に直線での発進とブレーキング時のグリップ力と、コーナーでの横方向への滑りの体験。実際に走行してその違いを感じ取ることにしました。

↑新横浜スケートセンサーに用意された試乗コース。最高15km/hでVRX3のグリップ力を体験した

 

最初はVRX2からスタートです。アクセルを控えめに踏むと、スケートセンターでの氷上は管理が行き届いているせいでしょうか、予想していたよりもしっかりと発進していきます。最初のコーナーではゆっくりと切りはじめ、最後に円を描く周回へと移ります。周回ではおよそ10~15km/h程度で走りましたが、VRX2でも結構粘ってくれます。ただ、15km/hに近づくあたりから外へと脹らみ出し、何回か周回するうちにスピンアウトも体験してしまいました。

 

VRX3ではどうでしょう。ここは予想以上の違いを感じました。VRX2では外へ膨らみ出した速度域でもVRX3はしっかりと踏ん張ってくれるのです。さすがに15km/hを超えると完全にアウトでしたが、それまでの速度域ではVRX3の方が明らかに周回がスムーズに行えたのです。つまり、これは横方向のグリップ力が向上していることの証しなのだと思います。ステアリングの操舵感もVRX3の方がしっかりとした印象で、それがコーナリングでの安心感を与えてくれたのでしょう。

↑旧モデルVRX2との比較試乗では、VRX3のグリップ力が明らかに優れていることを感じることができた。写真はVRX3を履いたプリウス

 

次に直線路での発進とブレーキングで、速度は15km/h。所定位置からフルブレーキングし、目印位置からどの程度で停止できるかを試しました。結果はVRX2でも十分なグリップ力を感じることができ、不安な印象はほとんどありません。次に試乗したVRX3と比較した印象では、いくらかVRX3の方がしっかりとした感じで止まってくれるかな? という程度の違いでした。ただ、いざという時に、このわずかな差が命取りになる可能性はあります。少しでもグリップ力が高い方が良いことはより大きな安心感につながるのです。

 

ウインタードライブでの安心感と楽しさをアップするブリザック「VRX3」

今回の試乗で感じたのは、本来ならわずかな差でしかないスタッドレスタイヤのスペックの中で得た氷上での確かな進化です。ステアリングを切ったときのしっかり感は次元の違いすら感じます。ブリザックVRX3は、氷上性能の大幅な向上と、ライフ性能のさらなる進化を遂げることで効き持ちの向上を実現しました。節約志向の人でもウインタードライブでの安心感と楽しさを十分感じ取れる新次元のスタッドレスタイヤと言えるでしょう。

↑デモカーのトヨタ・プリウスに装着したブリザックVRX3。タイヤサイズは195/65R15

 

ブリザックVRX3の発売は2021年9月1日を予定。ラインナップは111サイズを用意し、タイヤの速度記号はすべて「Qレンジ(最高速度160km/h)」となっています。

 

 

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スチャダラパー・Boseがこだわる車選び。コンパクトでちょい古の欧州車、そしてリノベーションしたプロボックス

ANI、SHINCOととも3人からなるラップグループ「スチャダラパー」のMCを担当するBoseさんは、80〜90年代の欧州コンパクトを愛するクルマ好きとしても有名です。そんなBoseさんの愛車遍歴やこだわり、またおすすめのカーギアについて語ってもらいました。

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:手束 毅)

 

Bose:1969年1月15日生まれ、岡山県出身。ミュージシャン。1990年にデビューしたラップグループ『スチャダラパー』のMCを担当。現在は音楽活動はもとより、中古車専門誌で連載を持つなど車に関わる媒体にも多数出演し自動車ファンからの注目も高い。2021年5月にスチャダラパーとnever young beachの2組による「スチャとネバヤン」からコラボレーション楽曲が2曲同時リリース!

 

クルマにとって造形は重要

――Boseさんといえば、クルマ好きとして自動車メディアやファンの間では有名ですが、子どものころから興味があったのですか?

 

Bose 世代的にも小さいころはミニカーなどで遊んだり当然のようにしてたんだけど、本格的に興味を持ったのはPlayStationのソフト「グランツーリスモ」で遊んでからかな。あのゲームって市販されているクルマや旧車をいじって楽しむものじゃないですか。本物と変わらないシミュレーターだよな、と感心しながらプレイしていたら、小さいころ、好きだったスーパーカーなどと繋がって。そうしていくうちに実車も少し変わったもののほうが面白いなと思うようになってたんですよ。

 

――なるほど。いただいた車歴を見るとそのことがよくわかります。最初に乗ったのは5代目三菱ミニカなんですよね。

 

Bose うん。24歳のころ、弟と共同で家を借りた時、近所にあった駐車場も借りることができたんだけど、そこは軽自動車ならなんとか停めることができるくらいの狭いとこ。中古車情報誌で探した近所の販売店で一番安く売っていたミニカを購入したんです。安かったけどいま見てもデザインが可愛かったし、何より終電の後も、クラブに遊びに行けるようになったりとミニカを所有したことで一気に遊び方が変わりましたね。ただ、デザインは良かったもののいまでは考えられないくらいボディがやわだし走りもそれなりだったかな……。

 

――その次がホンダ・シティカブリオレ。

 

Bose 確か10年落ちくらいの車両で、その当時45万円くらいで販売されてたんですよ。その価格帯でクルマを買おうとしたらセダンくらいしか買えなかったんだけど、シティカブリオレなら人とは違うテイストのわりにはコスパが良い。面白味があることを重視したクルマ選びでした。このシティには2〜3年乗ったんだけど、スチャダラパーのメンバー3人でトップを開けて遊びに行ったりドライブしたりと楽しい思い出が詰まっています。

 

――シティの次に乗ったのがゴルフカブリオレ。コンパクトな欧州車好きなBose さんらしいクルマに乗り換えましたね。

Bose 当時ゴルフは2代目になっていましたが、購入したカブリオレは初代ゴルフのボディそのままにエンジンなど2代目のパーツを取り入れた92年式のクラシックラインと呼ばれるクルマでした。シティーに乗ってたころに、スチャダラパーがそこそこ仕事になり始めてクルマを買い替えてもいいかなと。そこで選択したのが5年落ちにもかかわらずけっこういい値段がついていたゴルフカブリオレ。とにかくイタリアを代表するデザイナーのジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたデザインが格好良くて。やっぱりクルマにとって造形は重要なんだなと思い知りました。

ゴルフカブリオレはかなり気に入ってたこともあり10年くらい乗ったんだけど、最終的に故障が頻発しちゃって……。その当時、フォルクスワーゲンのインポーターや国内ディーラーがいろいろと変わったこともあったせいなのか販売店に修理を依頼したら「すぐには直りませんね、ちゃんと直すには外部に依頼するので3か月くらいかかります」と言われたことで乗り続けることを諦めました。

 

――ゴルフカブリオレの後は欧州車が続きますね。

 

Bose ゴルフに乗り続けるのが厳しいと感じてから、当時、魅力的な車種が次々と登場したことで活況だった欧州コンパクトカーに試乗しまくったんですよ。初代パンダ、シトロエンC2&C3、ルノー・ルーテシアなど全部試乗した結果、選んだのがアルファロメオ147。乗り味がよく、上級モデルの156に通じるフロントマスクなどのデザインが良かったのが決め手でした。あとバナナ色の本革シートが黒のボディカラーとも良く合っていたし。ただ、あのクルマはめちゃくちゃ壊れた(苦笑)。あれ? 販売店の人から壊れないって聞いたんだけどなと思いながら乗り続けたんだけど何度も運転中に止まってしまう…。4年位乗ったんだけど、とにかく壊れたなという印象です。

 

――Boseさんの車歴を見て「?」と思ったのがその次に選んだいすゞ117クーペです。欧州車でもないしコンパクトでもない、旧車中の旧車ですよね。なぜ選んだんですか?

 

Bose じつは旧車には前から興味があったんですよ。旧車を楽しむ趣味を持つなら40歳の手前で始めないといけない、なんて焦りがありクルマを2台持ちにしようとアルファロメオ・ジュリアやジュリア・スーパーなどを候補に旧車を探したけどどれも価格が高くて……。でも購入した95年式117クーペは、希少価値が高い「ハンドメイドモデル」ではない1973年以降に生産された第二期モデル。しかもエンジンがSOHCだったのでけっこう安かったんですよ。旧車の中では手が出しやすいことやジウジアーロのデザインが好きだったこともあり手に入れました。いすゞの旧車を専門に扱うお店を探して、そこで買えば壊れてもなんとかなるなと思い切って購入したら、当時、まだ所有していたアルファロメオ147のほうが壊れる始末(笑)。2年位乗ったけど、117クーペは意外と壊れなかったですね。

 

――その後、アルファロメオ147を初代フィアット・パンダに乗り換えたそうですが117クーペも手放していますね。

 

Bose アルファロメオ147から初代パンダに乗り換えて、これは最高だとクルマライフを楽しんでいたら東日本大震災が起こったことでクルマ2台持ち、しかも旧車2台というのはどうかなと考えちゃいました。どちらかを手放しクルマを整理しようと考えたとき117クーペは購入した専門店が信頼できるお店なので一旦手放しても5年後、もっといえば10年後も良い状態のまま乗れるなと思いパンダを残したんです。パンダは気軽に乗れるし壊れない。インパネ下部に吊り下げてたクーラーが心配なくらいだったかな。あと遅く見えるけど高速道路でもけして遅くないところもよかった。

 

――その後、選択したのは2代目ルノー・カングーですね。

 

Bose 当時、結婚して子どもが生まれるタイミングだったためパンダだとチャイルドシートが付けにくいことが問題になったのと、奥さんが運転免許を取ったばかりでMTだったパンダを運転するのはどうだろう、ということで選択したのがカングー。手頃なサイズだし、チャイルドシートも装着しやすく、かがまずに立ったまま子どもを乗せることができるリヤスライドシートが備わってる、とその時の環境にばっちりハマったチョイスでした。荷物もガンガン積めるし、ラゲッジはベビーカーを畳まずに収納できる。スライドシート付きのミニバンが売れる理由がわかりました。ただ、デザイン的にゆずれないところがあるので国産ミニバンは選ぶことはなかったけど(苦笑)。

 

――パンダに乗っていたのなら6人乗りのフィアット・ムルティプラという選択肢はなかったのですか? あの車もけっこう、運転が楽しかったですよ。

 

Bose 僕としてはその選択でもよかったのだけど、MTしか設定されていないので奥さんが乗りにくいかなと選択肢から外しました。奥さんにはマニュアル免許を取得してもらったんだけど、いきなりあの車を所有・運転するとなるとさすがに乗りにくいしね。もっとマイナーなカングーのライバル、フィアット・ドブロも考えたんだけどやはりカングーがいいのかなと。

 

――そのカングーを所有しながら、2代目パンダ100HPもBoseさんは手に入れています。きっかけはなんだったのですか?

Bose カングーを手に入れて奥さんと子どもを乗せることができるようになり便利になった一方で、なんか物足りなさを感じ始めたんですよ。そのころ、鎌倉に引っ越すことを決めたり仕事の関係で京都にも家を借りていたことから車の2台持ちもいいかと思ったのがきっかけですね。1台カングーがあることで、もう1台は完全に自分の遊び用としてMTの欧州車がいいなといろいろな車を観た中で見つけたのがパンダ100HP。以前、所有していた初代パンダより速いし全長3m弱しかないわりには4ドアでしっかりと荷物も積める。6速MTのギアもすこすこ入ると出来の良さを感じた反面、初代パンダと比べると出来が良すぎて操ってる感が薄い。逆の物足りなさを覚えたというか、車を使いこなせなかったことが手放すきかっけになりました。

 

――その後はいまでも所有している2代目ゴルフとフィアット・ウーノを手に入れることになりますが、手に入れた経緯を教えてください。

 

Bose 2代目ゴルフを手に入れたのは僕が持っている中古車専門誌の連載で訪れた専門店の存在が大きかった。117クーペを買ったお店もそうでしたが、ここで買えば購入後も安心できると、そこの社長とLINEで繋がり、いい個体が出たら教えてくださいなんて言ってたら、これいいなという2代目ゴルフが出てきたんですよ。そのクルマの元オーナーは知り合いのミュージシャンだったことも購入のきっかけになりました。クルマについてどうだったか直接聞けるのはありがたいし。

 

ウーノについては欧州車が得意な販売店に、もし出物があれば買いますよと言っていたら何年か後に本当に出てきちゃって。その時、駐車場のあてもなかったんだけど出たら買うと言ったしどうしようかと思っていたら近所に空いてる駐車場を見つけたんですよ。これは買ってもいいってことなんだと自分自身を納得させて購入しちゃいました(笑)。

 

――この2台はデビューからけっこう年数が経っているクルマたちですが壊れたりしませんか?

 

Bose ウーノは買った瞬間にお店から「あまり乗らないようにしましょうね」と言われてて、どういうこっちゃ、こういう売り方があるのかと(笑)。確かにエンジンとかゴム類がなかなかやばくて、夏場は乗れない。ただ、この時代のフィアット車って他のイタリア車の値段が上がっていく中で取り残されているし走ってるクルマも見ないから残しておかないといけないとの使命感があるんですよ。だから、パーツもオリジナルにこだわるなんて言ってる場合ではなくOEMでもなんでもあればいい。燃料タンクがだめになったからアルミで製作したまったく違うものを付けたり、劣化したプラスチックパーツ、たとえばバリバリになったウインカーレバーを販売店にある他の車両から借りてきて型を取り、FRPで作り直し貼り付ける。本来、カチャッとうまくハマるパーツなのに接着剤で貼ることに……そんな感じで対応してます(苦笑)。

逆に2代目ゴルフは、スイッチなどの細かい部品ですらある。壊れやすいパーツはたいていありますね。下手するとそこら辺の国産ディーラーより早くパーツが入手出来て修理も早い。見てくれているお店が2代目ゴルフ専門店だからということもあるけど、これって素晴らしいことかと。

 

開発当初から関わったリノカ・ユーロボックス

――そんな2台を所有していたBoseさんですが、新たな車を入手しましたね。

 

Bose 普段使いはもちろん、仕事に行く時もクルマを使うんだけどゴルフやウーノだと絶対に遅れてはいけないロケなどに行く時、かなり危険なんですよ。自分の心配よりクルマの心配をしてしまう(苦笑)。

この2台に加えて、新たにトヨタ・プロボックスをベースにしたリノカ・ユーロボックスを新たに加えました。このクルマなら仕事に遅れる心配もなく、所有してみて旧車乗りじゃない自動車ユーザーは、クルマで心配することなんてないのが普通の感覚なんだとはじめてわかりました(笑)

 

――このクルマはランドクルーザーやハイエースなどの専門店を展開しているフレックが手掛けるリノベーションカーのひとつで、中古車をベースに内外装をカスタムした車両ですよね。Boseさんも開発当初から関わっていたとか。

 

Bose 元々、プロボックスはトヨタ車の中でとくに気になっていたんですよ。スチャダラパーの機材車は以前、ワンボックスバンだったけど僕らみたいな人数のグループならプロボックスがぴったりじゃないかと買い替えたら機材や人を乗せても高速道路でめちゃめちゃ速いし燃費が全然違う。そんなプロボックスを普段使いやカスタムするのもいいなあという思いを抱えてたのです。

 

そんな中、フレックスにハイエースベースのリノベーションカー(コーストライン・ナロー)の取材へ行った際、雑談でプロボックスをベースにリノベカーどうですかと提案したら、向こうもプロボックスでやろうと思っていると。じゃあ一緒にやりましょうとなって、そこからのんびり話が進んでいったんです。

 

――クルマを作り上げる楽しさを味わえたわけですがBoseさんのこだわりなんかはどこに反映されているのですか?

 

Bose 当初、外観をもっとトリッキーな角目2灯にしようなんて考えたりしたんだけど、最終的に現行の丸目にしたりとデザイナーのやまざきたかゆきさんと一緒に考えていきました。

ボディカラーも売れ筋のベージュやグレーなどを選んでいく中でソリッドなカラーも欲しいねとなった時、80〜90年代の欧州車に採用されていた赤にしましょうと。黒や白もいいけど、目立つ赤も可愛いなと、結果的にソリッドな赤をカラーに加えたことは良かったかな。

ただ、実際に販売されているユーロボックスには付いてないものとして僕のクルマのリヤハッチは、プロボックスの兄弟車サクシードのものを装着したりと微妙にデザインが違うんですよ。ただ、そのリヤハッチは兄弟車のものだから簡単に付くかと思いきや、形状が違うので付けるのに苦労したみたい。

1リットルの牛乳パックが入るドリンクホルダーやコンビニの袋を吊り下げることができるフックなどが付いているプロボックスの内装自体は気に入って、とくに余計なことはしてないです。ただシートがちょっとしょぼいしリヤシートも人を乗せるにはいまいち。そこでゴルフGTIをイメージするチェック柄にしたんですよ。完成前の車両でチェックの色味を試したり、天井などにも貼れないかなんて考えたり、あと皮っぽいビニールシートもいいねなんてことも話していたなあ。

 

――リノカのサイトにあるユーロボックスとBoseさんの車ではフロントグリルも違いますね。

 

Bose 市販モデルはリノカのエンブレムが付くんだけど、僕の車にはFJクルーザーから流用した「TOYOTA」マークを付けてます。このためだけに、FJクルーザーのフロントグリルを購入するという無駄使い(笑)。

あと、以前からリフトアップ仕様を作りたいと考えていたから自分の車の車高を上げてます。いまは約10cmリフトアップし、タイヤもごつごつ系に履き替えたら見た目がSUVぽくなってそれも凄くいいな〜と感じてます。

 

車内での音楽との向き合い方

――いまでは安心して仕事に行けるユーロボックスも手に入れたBoseさんですが、プライベート空間でもある車内ではミュージシャンとして音楽とどう向き合っていますか?

 

Bose いまはプロボックスだけじゃなくゴルフなどにもBluetoothで繋がるオーディオを入れてるのですが、レコーディングしたばかりの音源をクラウドに入れてスマホから聴くことができるので、自宅に帰る時、すぐ聴くことができる。なんだったらスマホにメモできるから歌詞を思いついたら書くこともあるし、フレーズを思いついたら録音することもある。そういう意味では車内は貴重な時間ですね。

ただ、アンプやスピーカーにこだわってすごくいい音にする必要もないかなとも思ってます。良すぎると他で音楽を聞いたときにしょぼく感じることもあるから満足しすぎない程度の環境でいい。ただ、ユーロボックスは僕に合わせて『BOSE』製のクラシックなスピーカーを付けてくれたんだけど、車用じゃないのでサイズが大きすぎて……(苦笑)。音も、良くも悪くも昔の感じで、別の物に付け替えてもいいのかも(笑)。

 

――職業柄、よく聞かれるかもしれないですがドライブでおすすめの曲はありますか?

 

Bose 僕は移動中、スマホの音楽アプリなどにある自分が聴きたいプレイリストをよく利用するんですよ。例えばロックステディとかヒップホップとかのテーマからジャンルごとのプレイリストを検索して選ぶ。以前だったらCDをとにかくいっぱい車に積んで同じようなことをやってたんだけど、それの無限版みたいな感じ。仕事を終えたあと東京から鎌倉の自宅までの約1時間はリラックスできるような軽いレゲエのプレイリストだったり、最近は映画『フィッシュマンズ』を観てよかったなとその音楽を探したり、またザ・ベストテンなんかのフォルダーにある寺尾 聰さんの曲を「ゴルフと同時代の歌は相性いいな〜」と熱唱したりしながら帰るとか(笑)。

そういう意味でおすすめはそれらの音楽アプリでミュージシャンやDJが選択しているプレイリストですね。国内はもちろん海外のミュージシャンがセレクトしているものもあるし、ラジオ局がやっているものもある。ただ、AIがおすすめするプレイリストはいまいちしっくりこない。まだコンピュータが選ぶリストより、自分が好きなミュージシャンやDJが担当しているプレイリストの方が新しい発見も多くておすすめできます。

 

――なるほど、ありがとうございました。あと、Boseさん的なカスタムのこだわり、またおすすめの自動車向けのグッズやギアはありますか?

 

Bose どうだろう。まず僕は古いクルマを所有しているけどそこまでオリジナルにはこだわらないんです。あと、上級グレードだったりボディをカスタムしてピカピカに仕上げたいとかもあまりないですね。ノーマルちょい化粧、くらいが好きかな。

なので古いクルマにもBluetooth付きのオーディオを装着したりするけど、ただナビを付けるなら、それを買うお金でいろいろなパーツを付けることができるから気分があがるものを装着しますね。ユーロボックスにはナルディーのハンドルやシフトノブを付けてるけどやっぱり手触りなんかがとても良い。

 

ギアといえばついついBluetoothスピーカーを買っちゃうんですよ。これは旧車乗りも同様で電源はシガーソケットから取ればオーディオなしでも音が聴けるとなると下手にいろいろ装着するより気軽に音楽を鳴らすことができる。車を降りてもそのまま遊びに持っていけることもあって、けっこういいギアなんですよ。僕はソニーのこぶりなスピーカーなんかを見つけたら買いがち。何個もいらないのにね(笑)。

 

――たしかにオリジナルにこだわりたい旧車乗りにとっても、最新のオーディオに載せ替えずにすみますね。

 

Bose あと車内泊やアウトドアのレジャーに便利なのがBluetooth付きのランタン。USBで充電するタイプのスピーカー付きランタンなら、車内に吊り下げられるし音楽も聴ける。可愛いのも多いしおすすめです。

 

――確かにスピーカー付きランタンは機能性も利便性も高いですね。最後に聞きたいのですが、現在旧車2台とユーロボックス、また奥さん用のフィアット500を所有しているBoseさんですが、次に乗りたいと考えているクルマはなんでしょう。

 

Bose 次に乗り換えるとしたらゴルフかウーノのどちらかの入れ替えになるかな。

候補というわけでもないんだけどお店で販売されていたピカピカのゴルフカントリーがあってずっと憧れていたことを思い出したりとか。ただ600万円という値段がついていて、そんな値段になっちゃうのかと(苦笑)。

本気でクルマを入れ替えるとしたら、2代目ゴルフGTIの綺麗なやつもいいし、ウーノよりもっと古くてコンパクトなアバルトA112とかルノー5GTターボとかちょっと速くて希少価値が高い車と変えていくような気がしますね。あとは旧ミニ。ずっと乗りたいけどなかなか乗れなかったのでといろいろな車種が頭に浮かんじゃいます。

とにかく奥さん用の車を含めて4台はキープできることがわかった……いや、わかってるかどうかは微妙だけどユーロボックスがあるので、あとの車は古くてもどうにでもなることだけはわかってます(笑)。

 

 

売れている理由を体感! ホンダ新型「ヴェゼル」のクラスを超えた魅力

今年3月の受注開始以来、すでに約3万台もの受注を集めているホンダの新型「ヴェゼル」。世界的に人気の高いコンパクトSUV市場の中にあっても、厚い支持を集め続けているモデルです。イメージを一新し、ホンダの新しい“顔”となるモデルがどんな魅力を持っているのか、実車で体感してきました。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/ヴェゼル

※試乗車:e:HEV Z(FF)

価格 227万9200円〜329万8900円(税込)

↑ボディカラーはツートーンカラーを含め全11色。写真のボディカラーはプラチナホワイト・パール

 

 

写真で見るより実車はカッコいい

従来モデルから大きくイメージを変えたのが外観デザインです。大きめのフロントグリルと切れ長のライトを組み合わせたフロントフェイスは、発表時に写真で見た限りではあまり良い印象を持っていませんでした。しかし、実車を目の前にすると、この印象を覆すほどカッコいい。特に少し角度をつけて斜め前から見ると、グリルの微妙な凹凸が付けられたデザインにグッときます。平面で見る写真では、この辺りの3Dなデザインが伝わりにくいのが、当初の印象の要因だったようです。

↑この角度から見ると、グリルの3Dデザインがわかりやすい。メッキではなく同色に塗られているのも好印象

 

SUVでありながら、クーペ風に絞り込まれたシルエットは従来モデルから継承されていますが、新型はテールランプが水平基調となり、さらにスマートな印象となっています。

↑キャビン後方の造形はクーペのような流麗なラインを維持

 

↑スタイリッシュな印象を決定づけるウインドウと一体化したデザインのドアノブも継承される

 

↑テールランプは薄型で水平に伸びたデザインとなり、スッキリとした見た目に

 

広くなったように感じるインテリア

車内に足を踏み入れると、前モデルよりも広くなったように感じます。全幅は20mm広くなっていますが(「RS」「Touring」グレードとは同一)車体サイズはほぼ同一なので、インテリアのデザインが、「フィット」などと同じく水平基調で高さを抑えたものになっているこのが要因でしょう。個人的には華美な装飾を抑えた、オーセンティックな作りが好印象です。

↑飾った所のないインテリア。水平に広がるデザインで見通しも良い

 

リアシートに乗り込むと、広くなったという印象はさらに強くなります。ヘッドスペースは大きく変わりませんが、足元、特にヒザの辺りの空間が広くなっているのです。聞けば先代モデルより35mm広くなっているとのこと。コンパクトSUVは後席の居住性がやや狭く感じるものも少なくありませんが、この広さは特筆モノです。

↑フロントシートを大人が乗って快適な位置に合わせても、後席のニークリアランスは余裕がある

 

もう1つ触れておきたいのがラゲッジスペースです。6:4分割のリアシートは前に倒すと座面ごとダイブダウンするので、限りなくフラットな荷室空間が出現します。これだけフラットになるSUVの荷室はなかなかありません。荷物の積み下ろしがしやすいだけでなく、車中泊もできそうです。試しに寝転んでみましたが、見た目以上にフラットで、大人1人であれば快適に寝られそうでした。

 

↑身長175cmの筆者でも車体に対して斜めになれば横になれます。この状態でも、床面に角度がないので快適

 

細かい部分にも配慮を感じる

細部に目を向けても車内で快適に過ごすための配慮が行き届いているのが感じられます。フロント左右のエアコン吹き出しには「そよ風アウトレット」と呼ばれる機構を装備。これは、通常のエアコン吹き出し口の外側に、もう1つのアウトレットを備え、乗員の体に直接風を当てることなく車内を涼しく(冬は暖かく)保てるものです。

↑運転席側と助手席側はそれぞれ吹き出し口を選べるため、隣に女性を乗せた場合に、直接冷風を当てないようにできる

 

ドアのデザインは、ステップ部分まで覆う形状に。これはオフロードなどを走った際などに、ステップの部分に泥が付くことを防ぐための構造。乗り降りの際に、ステップの汚れが服の裾などに付かないようにというSUVらしい配慮です。

↑ドアが下に伸びてステップまで覆うことで、アウトドアユースでの服の汚れを防いでくれます

 

↑「e:HEV PLaY」グレードに装備される「パノラマルーフ」は開放感の高さが魅力

 

↑リアゲートは予約クローズ機能や、ハンズフリーでの開閉にも対応。トノカバーが吊り下げ式になっているのも便利です

 

クラスを超えた走行性能

今回試乗したのは「e:HEV」と呼ばれるハイブリッド・パワートレーンを搭載したグレード。先代モデルのハイブリッドは「i-DCD」という1モーターのパワートレーンでしたが、e:HEVは2モーターです。基本的にはエンジンを発電用に用い、駆動はモーターが担うシステムですが、エンジンの効率が高くなる高速クルーズ時だけは、エンジンを駆動に用います。加速力に優れるモーターと、一定速でのクルージングで効率が高まるエンジンの得意なところをそれぞれ活かしたパワートレーンといえます。

↑e:HEVはモーター走行のEVモードを中心に、ハイブリッドモード、エンジンモードと様々なドライブモードを使い分けます

 

「i-MMD」と呼ばれていた頃から、そのパワートレーンを搭載したモデルはいくつも乗ってきましたが、完成度にますます磨きがかけられている印象です。発進時はモーターらしい力強い加速が味わえ、中間速度での加減速もスムーズ。過去にドライブした際には、発電機として用いているため、アクセル開度に関わらず一定回転で回り続けているようなエンジン音に違和感をおぼえたこともありましたが、新型「ヴェゼル」ではそうした違和感もほぼ払拭されています。

↑モーターならではのスムーズで力強い加速感が「e:HEV」の魅力

 

そして、最も感心したのが足回り。大径ホイールを履き、サスペンションのストロークが長いSUVは舗装路を一定以上のペースで走るとフワフワと落ち着かない印象を受けたり、逆にサスペンションを締めすぎているように感じるモデルも少なくありません。しかし、新型「ヴェゼル」は足回りがしなやかに動きつつも、しっかりと路面を捉え、速度が上がってもタイヤを路面に押し付け続けてくれている印象。低速域では路面の凹凸をいなすように乗り心地が良く、高速域ではしっかり踏ん張ってくれるような足回りです。

↑重心の高いSUVでありながら、コーナーリングも楽しめる

 

2019年、先代モデルに「TOURING」グレードが追加された際、コーナーリング性能の向上に驚いた記憶が鮮明に残っていますが、聞けば新型はこの「TOURING」と同等のボディ剛性を基本に、足回りをさらに煮詰めているとのこと。ボディ剛性を高めることで、サスペンションは柔らかくすることができ、しなやかな動きを実現しているのです。足回りの完成度だけで言えば、2クラスくらい上の高級SUVにも勝るとも劣らない印象でした。

↑街乗りや高速クルージングは快適で、ワインディングに入ればコーナーが楽しい

 

試乗の最後に、限られた時間ですがパワートレインがガソリンエンジンの「G」グレードにも乗ってみました。受注状況は「e:HEV」が93%を占めるとのことでしたが、ガソリンモデルも好印象。出だしの加速や、しっとりした走行感はハイブリッドに分がありますが、バッテリーを積んでいない軽さからくる素直なハンドリングに、こちらも捨てがたいと感じました。メーカー担当者いわく「素うどんのような」グレードとのことでしたが、その分、このクルマの素性の良さが味わえた気がしました。これから選ぶのであれば、どちらも一度乗ってみることをおすすめします。

 

SPEC【e:HEV Z(FF)】●全長×全幅×全高:4330×1790×1590mm●車両重量:1380kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHC+e:HEV(i-MMD)●最高出力:78kW[106PS]/6000〜6400rpm【モーター96kW[131PS]/4000〜8000rpm】●最大トルク:127N・m[13.0kgf・m]/4500〜5000rpm【モーター253N・m[25.8kgf・m]/0〜3500rpm】●WLTCモード燃費:24.8km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

運転時の視界を遮らない! エアコン吹き出し口に装着できる車載ホルダー5選

スマートフォンを、クルマのダッシュボードやエアコンの吹出口に設置することができる車載ホルダー。吸盤タイプや粘着シールで貼り付けるタイプなど、様々な設置方法があります。

 

今回はエアコンの吹き出し口に取り付けられる車載ホルダーを紹介します。大きい端末を取り付けても視界を遮らず、運転の邪魔にならないのがメリット。新たに購入を検討している方はもちろん、買い替えを考えている方もチェックしてみてくださいね。

 

目次

 


360度回転仕様だから縦・横問わず設置できる!


Lomicall 車載スマホホルダー

ワンクリップ式の車載ホルダーよりも安定性に優れたツークリップ式。スマホを挟む爪に滑り止めが付いており、振動で揺れても落下の心配がありません。4.7~6.5インチのスマートフォンにのみ対応するので、サイズには注意しましょう。取り付け方はエアコンの吹き出し口に挟み込むだけ。360度回転式により、縦でも横でも設置可能です。購入者からは「十分しっかりとスマホを固定できるし、着脱も簡単!」と好評の声が上がっていました。なお、丸型のルーバーには対応していません。

【詳細情報】
サイズ:60~85×10×50mm
重量:50g
カラー:ブラック・グレー・シルバー

 


スマホを充電しながらでも使える!


VANMASS 車載ホルダー

スマホスタンド裏面のボタンを押すだけでアームが自動的に開くので、携帯の着脱が片手でできます。また、挟むアームはスクリーンを遮らないように設計されており、邪魔になりません。ネジ式螺旋クリップとバネ式三段階クリップの、二つのクリップが付属していて、シーンにより固定方法を変えることができます。下部には充電口があり、スマホを充電しながら使用できるのもポイントです。

【詳細情報】
サイズ:8.2×9.4×12.4cm
重量:200g

 


スマホの重みを感知してホールドするオートロック機能を搭載!


Syncwire 車載ホルダー SW-CH484

スマホの自重によって作動するオートロック機能を搭載しており、置いたスマホをしっかりホールドします。取り付け方はクリップと粘着ゲル吸盤の2種類で、エアコンの吹き出し口だけではなく、ダッシュボードやフロントガラスにも設置できます。画面サイズ4.7インチ~6.5インチのスマートフォンに対応。360度ボールジョイントにより、角度を自由に調整可能です。購入者からは「運転中でも落ちない安定感があったのがうれしいです」という声が上がっていました。

【詳細情報】
サイズ:15.24×12.19×5.08cm
重量:113g

 


設置面積が広いから安定感抜群!


SmartTap オートホールド式 車載ホルダー EasyOneTouch mini HLCRIO124

台座の中心にある「Smart Lock」ボタンを押し込むと、両側の固定アームがスマートフォンをロック。面倒な組み立ても不要で、誰でも簡単にエアコンの通風口に取り付け・取り外しが可能です。360°回転ボールジョイントを採用しているため角度を自在に調整でき、縦置きと横置きでの利用が可能です。

【詳細情報】
サイズ:6×9.5×12cm
重量:88g

 


吹き出し口式とゲル吸盤式を兼用した車載ホルダー


DesertWest 粘着ゲル吸盤&エアコン吹き出し口式兼用車載ホルダー

側面のボタン一つで、取り付けや取り外しが簡単にできるワンタッチ式。エアコンの吹き出し口だけではなく、吸盤でフロントガラスなど平滑面にも取り付けられます。強力な真空吸盤と三角構造を採用しているので、大きく揺れてもしっかり固定でき、厚みのある手帳型ケースをつけたままでも安定感があります。また、付属の超粘着性のあるダッシュボードシートで、多少凹凸のあるところにも問題なく取り付けられます。

【詳細情報】
サイズ:‎12.5×12.4×8 cm
重量:300g

 

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燃料電池車の未来は?トヨタ「MIRAI」を徹底検証

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、「FCV」こと燃料電池車であるトヨタのMIRAIを取り上げる。永福ランプが提唱する、燃料電池車の未来とは?

※こちらは「GetNavi」 2021年7月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/MIRAI

SPEC【Z“エクスクルーシブパッケージ”】●全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm●車両重量:1950kg●パワーユニット:永久磁石式同期型モーター●最高出力:182PS(134kW)/6940rpm●最大トルク:300Nm(30.6kg-m)/0-3267rpm●WLTCモード燃費:135km/kg

710万円〜860万円

 

乗用車向きではないが、EVにはない個性を感じるFCV

安ド「殿! 新型MIRAIはいかがでしたか?」

 

永福「安ドはどう思った?」

 

安ド「僕ですか?  そうですねぇ、MIRAIは燃料電池車ですけど、それってEVの一種じゃないですか。最近EVに慣れてきているので、走りに関しては、ものすごく静かだという点以外、特に感想を抱きませんでした。殿も仰ってましたけど、電気モーターにはエンジンみたいに個性がないので、そのせいでしょうか」

 

永福「バッカモーン!」

 

安ド「えっ?」

 

永福「MIRAIは、EVとはまったくフィーリングが違う!」

 

安ド「ち、違いますか?」

 

永福「違う! 私にはV8エンジンを積んだメルセデス・ベンツのように感じたぞ!」

 

安ド「ど、どのあたりがですか?」

 

永福「燃料電池車は、確かにEV同様、電気でモーターを回して走る。がしかし、普通のEVと違うのは、車内で電気を生み出しておる点だ!」

 

安ド「はぁ……」

 

永福「水素タンク内の水素と、大気中の酸素とを反応させて電気を発生させ、それで走るのが燃料電池車。バッテリーも積んでいるが、サポート役に過ぎぬ。よってMIRAIは、他のEVのように、アクセルを踏むと同時にドーンとトルクが出るのではない。我々人間と同じく、息を吸ってからパワーを出すのだ!」

 

安ド「す、吸ってますかね?」

 

永福「吸っておる! だからそこには、微妙なタイムラグが発生する! まるで内燃エンジンのように! 加えてアクセルを深く踏み込むと、心地良い吸気音が聞こえ、ターボエンジンのようなパワーの盛り上がりも感じる!」

 

安ド「殿。その吸気音というのは、アクティブサウンドコントロールによる人工音では?」

 

永福「ガーン! そうだったのか……。しかし私はMIRAIに、人間的なぬくもりを感じた!」

 

安ド「そうなんですね!」

 

永福「普通に街なかを走っているとひたすら静かなクルマだが、アクセル全開ではV8のメルセデス・ベンツに豹変するのだ!」

 

安ド「殿、レクサスじゃなくメルセデスなんですか?」

 

永福「そうだ!」

 

安ド「どのあたりが?」

 

永福「なんとなくだ!」

 

安ド「ではMIRAIは成功しますかね?」

 

永福「いや、MIRAIに未来はないだろう」

 

安ド「ガクッ! ど、どうして?」

 

永福「燃料電池は、乗用車向きのパワーユニットではないからだ。乗用車にはEVのほうが断然有利。しかしFCVは大型トラックやバスには向いている。大型車専用なら、設置費用がかかる水素ステーションも大規模なモノを拠点配置すれば良いわけで、コストを大幅に削減できる!」

 

安ド「なるほど。MIRAIの未来はトラックやバスなんですね!」

 

【GOD PARTS 1】FCスタック

爆発ではなく化学反応でクルマが走る時代

FCVの仕組みを簡単に言うなら、高圧水素タンクに貯蔵した水素を燃料電池へ送り、化学反応で電気と水を発生させ、その電気を使用してモーターを駆動させて走行します。よく勘違いされるようですが、水素を爆発させてはいません。

 

【GOD PARTS 2】ホイール

グルグルと回る異次元的なイメージ

全体的には比較的オーソドックスな印象のボディデザインですが、ホイールはかなり未来的な雰囲気です。数多くの曲線スポークが放射線状に配置されており、ウルトラマンのオープニングを思い出させます。

 

【GOD PARTS 3】パノラミックビューモニター

普段は見ることができない斜め上からの角度も表示

ボディの前後左右に搭載されたカメラで撮った映像を処理することで、真上だけでなく、斜め上空から見たビジュアルを表示することも可能です。車体周辺を注視できて助かるのはもちろん、日ごろ、自分では見ることのできない角度なので、カーマニア的にはちょっとうれしくなります。

 

【GOD PARTS 4】リア席用充電ソケット

分け隔てすることなくすべての乗員に充電を

センターコンソールの後部には、アクセサリーコンセントと充電用のUSB端子が2基搭載されているので、後席の乗員もドライブ中に気兼ねなく充電できます。コンセントはAC100V・1500W対応となっており、家電製品などが使用可能。災害など非常時には電源として利用することもできます。

 

【GOD PARTS 5】水排出機構

したくなったらいつでも車外に排出

FCVは排気ガスが出ないので、マフラーが付いていません。ただし、水素を化学反応させた際に発生する水を車体中央の下部から排出することになります。通常時は貯められていますが、リリーススイッチを押せば、好きなタイミングで排水することが可能です。

 

【GOD PARTS 6】水素充填口

燃料を補給する口は見たことのない形

ガソリン車のような大きな穴もなく、EVのようなソケットもなく、水素充填口はこのような形をしており、ここから70Mpa(大気圧の約700倍)で水素を充填します。1回最大3〜4分程度の充填で、約500km走行できます。

 

【GOD PARTS 7】アクティブサウンドコントロール

意図的な走行音がマニア心を刺激

モーターで走行するため、パワーユニットの走行音はほぼありません。が、若いころからエンジンで育ったカーマニアらを納得させるため、アクセル操作に応じて作られた排気音(のようなもの)が聞こえてくる装置を搭載しています。

 

【GOD PARTS 8】ヘッドライト&グリル

まるで水生生物のような鋭い眼光と垂れた口

水生生物を思わせる「ヌルッ」とした顔です。ヘッドライトはかなり切れ長で、その下には常時点灯されるLEDのデイタイムランニングランプが搭載されています。グリルは山型でバンパー下部まで伸び、ワイド感が演出されています。

 

【GOD PARTS 9】水素ステーション表示

充電施設ほど多くなくても絶対欲しい充填施設情報

10年ほど前にEVが市販され始めたころ、ディスプレイに表示される充電施設の存在がドライバーとしては本当に心強かったものです。現在、FCVにおいても、しっかり水素ステーションが表示されます。ただしその数はまだ少ないです。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアシート

長距離走行を実現するためには割り切りも必要

先代モデルは4人乗りでしたが、新型はなんと5人乗りになりました。これはリアシートの定員数が2人から3人になったためですが、実際に後席中央シートに座ってみると、写真のようにオジサンでは頭が天井に付いてしまうため、子ども用という割り切りが必要です。ボディサイズのわりに室内が狭く感じるのは、水素タンク容量が141Lもあって、それにスペースを割いているからです。

燃料電池車の未来は?トヨタ「MIRAI」を徹底検証

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、「FCV」こと燃料電池車であるトヨタのMIRAIを取り上げる。永福ランプが提唱する、燃料電池車の未来とは?

※こちらは「GetNavi」 2021年7月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/MIRAI

SPEC【Z“エクスクルーシブパッケージ”】●全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm●車両重量:1950kg●パワーユニット:永久磁石式同期型モーター●最高出力:182PS(134kW)/6940rpm●最大トルク:300Nm(30.6kg-m)/0-3267rpm●WLTCモード燃費:135km/kg

710万円〜860万円

 

乗用車向きではないが、EVにはない個性を感じるFCV

安ド「殿! 新型MIRAIはいかがでしたか?」

 

永福「安ドはどう思った?」

 

安ド「僕ですか?  そうですねぇ、MIRAIは燃料電池車ですけど、それってEVの一種じゃないですか。最近EVに慣れてきているので、走りに関しては、ものすごく静かだという点以外、特に感想を抱きませんでした。殿も仰ってましたけど、電気モーターにはエンジンみたいに個性がないので、そのせいでしょうか」

 

永福「バッカモーン!」

 

安ド「えっ?」

 

永福「MIRAIは、EVとはまったくフィーリングが違う!」

 

安ド「ち、違いますか?」

 

永福「違う! 私にはV8エンジンを積んだメルセデス・ベンツのように感じたぞ!」

 

安ド「ど、どのあたりがですか?」

 

永福「燃料電池車は、確かにEV同様、電気でモーターを回して走る。がしかし、普通のEVと違うのは、車内で電気を生み出しておる点だ!」

 

安ド「はぁ……」

 

永福「水素タンク内の水素と、大気中の酸素とを反応させて電気を発生させ、それで走るのが燃料電池車。バッテリーも積んでいるが、サポート役に過ぎぬ。よってMIRAIは、他のEVのように、アクセルを踏むと同時にドーンとトルクが出るのではない。我々人間と同じく、息を吸ってからパワーを出すのだ!」

 

安ド「す、吸ってますかね?」

 

永福「吸っておる! だからそこには、微妙なタイムラグが発生する! まるで内燃エンジンのように! 加えてアクセルを深く踏み込むと、心地良い吸気音が聞こえ、ターボエンジンのようなパワーの盛り上がりも感じる!」

 

安ド「殿。その吸気音というのは、アクティブサウンドコントロールによる人工音では?」

 

永福「ガーン! そうだったのか……。しかし私はMIRAIに、人間的なぬくもりを感じた!」

 

安ド「そうなんですね!」

 

永福「普通に街なかを走っているとひたすら静かなクルマだが、アクセル全開ではV8のメルセデス・ベンツに豹変するのだ!」

 

安ド「殿、レクサスじゃなくメルセデスなんですか?」

 

永福「そうだ!」

 

安ド「どのあたりが?」

 

永福「なんとなくだ!」

 

安ド「ではMIRAIは成功しますかね?」

 

永福「いや、MIRAIに未来はないだろう」

 

安ド「ガクッ! ど、どうして?」

 

永福「燃料電池は、乗用車向きのパワーユニットではないからだ。乗用車にはEVのほうが断然有利。しかしFCVは大型トラックやバスには向いている。大型車専用なら、設置費用がかかる水素ステーションも大規模なモノを拠点配置すれば良いわけで、コストを大幅に削減できる!」

 

安ド「なるほど。MIRAIの未来はトラックやバスなんですね!」

 

【GOD PARTS 1】FCスタック

爆発ではなく化学反応でクルマが走る時代

FCVの仕組みを簡単に言うなら、高圧水素タンクに貯蔵した水素を燃料電池へ送り、化学反応で電気と水を発生させ、その電気を使用してモーターを駆動させて走行します。よく勘違いされるようですが、水素を爆発させてはいません。

 

【GOD PARTS 2】ホイール

グルグルと回る異次元的なイメージ

全体的には比較的オーソドックスな印象のボディデザインですが、ホイールはかなり未来的な雰囲気です。数多くの曲線スポークが放射線状に配置されており、ウルトラマンのオープニングを思い出させます。

 

【GOD PARTS 3】パノラミックビューモニター

普段は見ることができない斜め上からの角度も表示

ボディの前後左右に搭載されたカメラで撮った映像を処理することで、真上だけでなく、斜め上空から見たビジュアルを表示することも可能です。車体周辺を注視できて助かるのはもちろん、日ごろ、自分では見ることのできない角度なので、カーマニア的にはちょっとうれしくなります。

 

【GOD PARTS 4】リア席用充電ソケット

分け隔てすることなくすべての乗員に充電を

センターコンソールの後部には、アクセサリーコンセントと充電用のUSB端子が2基搭載されているので、後席の乗員もドライブ中に気兼ねなく充電できます。コンセントはAC100V・1500W対応となっており、家電製品などが使用可能。災害など非常時には電源として利用することもできます。

 

【GOD PARTS 5】水排出機構

したくなったらいつでも車外に排出

FCVは排気ガスが出ないので、マフラーが付いていません。ただし、水素を化学反応させた際に発生する水を車体中央の下部から排出することになります。通常時は貯められていますが、リリーススイッチを押せば、好きなタイミングで排水することが可能です。

 

【GOD PARTS 6】水素充填口

燃料を補給する口は見たことのない形

ガソリン車のような大きな穴もなく、EVのようなソケットもなく、水素充填口はこのような形をしており、ここから70Mpa(大気圧の約700倍)で水素を充填します。1回最大3〜4分程度の充填で、約500km走行できます。

 

【GOD PARTS 7】アクティブサウンドコントロール

意図的な走行音がマニア心を刺激

モーターで走行するため、パワーユニットの走行音はほぼありません。が、若いころからエンジンで育ったカーマニアらを納得させるため、アクセル操作に応じて作られた排気音(のようなもの)が聞こえてくる装置を搭載しています。

 

【GOD PARTS 8】ヘッドライト&グリル

まるで水生生物のような鋭い眼光と垂れた口

水生生物を思わせる「ヌルッ」とした顔です。ヘッドライトはかなり切れ長で、その下には常時点灯されるLEDのデイタイムランニングランプが搭載されています。グリルは山型でバンパー下部まで伸び、ワイド感が演出されています。

 

【GOD PARTS 9】水素ステーション表示

充電施設ほど多くなくても絶対欲しい充填施設情報

10年ほど前にEVが市販され始めたころ、ディスプレイに表示される充電施設の存在がドライバーとしては本当に心強かったものです。現在、FCVにおいても、しっかり水素ステーションが表示されます。ただしその数はまだ少ないです。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアシート

長距離走行を実現するためには割り切りも必要

先代モデルは4人乗りでしたが、新型はなんと5人乗りになりました。これはリアシートの定員数が2人から3人になったためですが、実際に後席中央シートに座ってみると、写真のようにオジサンでは頭が天井に付いてしまうため、子ども用という割り切りが必要です。ボディサイズのわりに室内が狭く感じるのは、水素タンク容量が141Lもあって、それにスペースを割いているからです。

プロがオススメするドイツ&フランス車「SUV」3選

世界中の自動車メーカーから新モデルが次々と登場しているが、中でもドイツとフランスのSUVが活況だ。質実剛健のイメージが強いドイツ車、小粋でオシャレなフランス車。それぞれをこよなく愛するプロが、良さをプレゼンする!

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【フランス車支持派】

モビリティジャーナリスト

森口将之さん

モビリティ全般が守備範囲。現在の愛車はシトロエン・GSとルノー・アヴァンタイム。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。

優れた機能を美しく表現し生活を豊かにしてくれる

フランス車を語るうえでやはりバカンスは外せない。家族全員でリゾートを目指し、何週間も羽根を伸ばす。そのためにはキャビンでゆったり過ごせて、荷物がたくさん積めて、乗り心地が良く、高速道路から山道まで安定して走るクルマが必須だ。

 

多くのフランス車は、そんなユーザーの声に応える存在であり続けてきたが、いまではSUVこそ彼らにとって最適なパートナーだ。

 

フレンチSUVは、オフロード走行のために四駆にしたりということはほとんどない。ドライブモードセレクターを付ける程度だ。年に1〜2回しか使わないメカニズムなら不要というのが彼らの考え方。フランス車のお家芸でもある合理主義が息づいている。

 

その代わりデザインはきっちりオフタイム仕様に。同じクラスのハッチバックとはしっかり差別化している。もちろんガチガチのヘビーデューティを連想させる箱型にはしていない。日々の生活の中で映えるアウトドアファッション、例えばエーグルみたいなテイストを目指している。

 

エーグルはそこにあるだけで、どこかに出かけたくなる。気持ちにアピールしてくるデザインの力はさすがというほかない。

 

だがその形は見かけ倒しでは断じてない。アートの国だからこそ、デザインはアートとは違うことを理解している。優れた機能を美しく表現するという、真のデザイン能力に長けているのだ。

 

その思想はフレンチSUVにも息づいている。キャビンは同クラスのハッチバックより確実に広く、荷物もたくさん積めるうえに、使い勝手を高める生活の知恵的な仕掛けも盛り込んでいて、乗るたびに良い道具だと実感する。

 

ファッションやレストランにも言えることだが、フランスはいつも量より質の豊かさをもたらしてくれる。それはSUVにも当てはまることは間違いない。

 

【森口さんオススメのフランス車「SUV」3傑!】

【No.1】欧州SUVベストセラーに輝いたフレンチSUVの雄

ルノー

キャプチャー

299万円〜319万円

2020年の欧州ベストセラーSUVに輝いたモデル。ボンネットの抑揚など力強いデザインと、新設計の軽量かつ高剛性なプラットフォームにより、スムーズな走りを実現。先進の運転・駐車支援システム「ルノー イージードライブ」も搭載。

 

スタイリッシュかつ乗り心地と走りも合格点

「昨年の欧州SUVベストセラー。スタイリッシュなのにひとクラス上のキャビンの広さと、力強く上質な走りがポイントです」(森口さん)

 

【No.2】随所に曲線美を散りばめた“走るモダンアート”

DS オートモビル

DS3 クロスバック

373万円〜436万円

ボディの随所にあしらわれた彫刻のような陰影と曲線美が印象的なSUV。ダイヤモンド型にレイアウトされたスイッチとエアコン吹き出し口など、インテリアにもフランスの文化が息づく。

 

コンパクトなボディに豪華さをギュッと凝縮

「走るヴェルサイユ宮殿と呼びたくなる豪華なエクステリアとインテリア。これがコンパクトサイズで堪能できるのは貴重です」(森口さん)

 

【No.3】美しく力強いデザインでパワートレインも多彩

プジョー

3008

397万6000円〜565万円

垂直に立ち上がるフレームレスのフロントグリルの美しさと、ボディの力強い造形が印象的なSUV。ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドとパワートレインの多彩さも魅力だ。

 

鮮烈な印象のSUVは4WDの設定も選べる

「ボディサイドの上下を走るシルバーのラインが鮮烈な個性を表現。現行フレンチSUVで唯一の4WD設定という点にも注目です」(森口さん)

 

【ドイツ車支持派】

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美さん

自動車専門誌の編集記者を経てフリーに。現在では自動車の環境技術や次世代モビリティについても積極的に取材を行う。

質実剛健かつオシャレでパワートレインも豊富!

世界の自動車マーケットのうち30%がSUVという時代であり、欧州でもSUV人気はとどまるところを知らない。それであれば俄然、自動車大国であるドイツに目を向けるべきだ。

 

さらに言えば、世界的に売れているSUVの中でも、広大な大陸のアメリカや中国では大型SUVが売れているが、中世の町並みが残る欧州ではミドルサイズやコンパクトSUVが売れている。それもあって、日本で乗るなら俄然、欧州で支持されるサイズのほうが実用的でもある。加えて、欧州勢で初めてSUVの分野に乗り出したのはBMWである。特筆すべきは、SUVではなくSAV(=スポーツ・アクティビティ・ビークル)と称して、あくまでBMWらしいスポーティな走りを重視して開発している点だ。もちろん、メルセデス・ベンツやアウディ、そしてスポーツカーのポルシェもSUVをラインナップしており、ドイツ車のSUVは百花繚乱だ。

 

技術大国ドイツらしく、パワートレインのラインナップも幅広く備えており、低燃費ディーゼルやハイブリッドモデルも揃い踏みだ。EV走行できる距離も長めになっており、静かな住宅地から朝早く出発するようなときでも、スーッと音もなく走り出せるし、エンジンと電気モーターの相乗効果を発揮して、ドイツのアウトバーンよろしく高速道路を快適に駆け抜けることもできる。

 

カッコや使い勝手も良くて、最新のコネクティッドを搭載となると、お高いんでしょう? と思うかもしれないが、400万円アンダーのエントリーモデルもラインナップ。手が届きやすい価格からプレミアムまで揃うのもうれしい。

 

家族を乗せることも多いSUVゆえに安全機能の充実もドイツ車の得意とするところ。質実剛健でもSUVならオシャレ。しかも安全性能も高い。ゆえに、筆者はドイツ車SUVを推すのだ。

 

【川端さんオススメのドイツ車「SUV」3傑!】

【No.1】大幅な軽量化を実現しスポーティな走りが楽しめる

BMW

X3

675万円〜908万円

BMWのSUVで中核的なモデル。先代よりも車両重量を55kg軽量化し、バネ下重量も削減して走りの質を高めている。ディーゼル、プラグインハイブリッドモデルも追加され、多彩なパワートレインから選択可能だ。

 

良く走りカッコイイ“ちょうど良い”SUV

「数多いBMWのSUVの中で、大きさと走りがちょうど良いモデル。荷物をたくさん積んで家族で出かけるのに最適です」(川端さん)

 

【No.2】アウディ最小のSUVはキレの良い操舵性が魅力

アウディ

Q2

394万円〜430万円

コンパクトながら余裕の居住性と積載性を備えたSUV。プログレッシブステアリングによるキレの良い操舵性は快適なハンドリングを実現する。気筒休止機構による燃費向上性能にも注目。

 

アンダー400万円で手に入るドイツ車SUV

「プレミアムブランドのアウディですが、このQ2はSUVシリーズの末っ子。ゆえに手が届きやすい価格帯なのも魅力です」(川端さん)

 

【No.3】圧倒的な加速力を誇る走りはポルシェそのもの

ポルシェ

マカン

737万円〜1252万円

同社フラッグシップSUVのカイエンの弟分に当たるモデル。インテリアや走りはポルシェそのものだ。最上位のマカン・ターボなら100km/hまでの加速がわずか4.5秒という強力な加速力を誇る。

 

ポルシェの名に恥じないスポーティさは圧巻

「1000万円以下で手に入るうえに人気のSUVともなれば、胸躍る人も多いはず。さすがポルシェと唸る走りも堪能できます」(川端さん)

SUV購入検討時に必ずチェックしておきたい7つの項目

車高が少し高く、荷物もたくさん積めるカッコ良いクルマ——SUVのイメージはほぼ同一だが、運転のしやすさや使い勝手はやはり異なる。SUVの購入検討時に必ずチェックすべき点を、多くのSUVに乗車経験があるプロが伝授する!

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【私が解説します!】

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

1968年生まれ。コロナ後に家族で旅するためのSUVの購入を検討中。メカニズム関連にも詳しい。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

【Point.1】エンジン車 or ハイブリッド車

燃費だけでなくドライビングフィールにどんな違いがあるか

いくらハイブリッドが低燃費でも、価格差の元を取るのはまず無理で、むしろ走り味の好みで選ぶべき。最近ではレスポンスが良くトルクフルで走りが気持ち良いハイブリッドが増えているので、そこに価値を見出せるかどうかでどちらを選ぶか決めたほうが賢明だ。

 

<トヨタ・CH-Rの場合>

トヨタのコンパクトSUV。リアのドアノブをCピラーに隠すなどクーペライクなデザインが特徴。1.2Lモデルには6MTも用意され、その走りをアピールする。

 

■エンジン車

価格:238万2000円〜271万5000円

燃費:14.9km/L(WLTCモード)

ターボ搭載の1.2Lエンジンはアクセルの操作に応じて瞬時に反応。滑らかに素早く伸びていく加速フィーリングを楽しめる。

 

■ハイブリッド車

価格:274万5000円〜304万5000円

燃費:25.8km/L(WLTCモード)

モーターが生み出すトルクをフル活用。動き出しの瞬間からアクセルに反応してスムーズに走行できる気持ち良さを実感できる。

 

【Point.2】運転のしやすさ

・乗降がしやすくドライビングポジションを取りやすいか

・前方だけでなく後方や斜め後方の視界も良いか

地上高が高いので、まずは乗降性が大切。最近ではサイドシルの下まで回り込んでドアが開閉するタイプが増えており、乗り降りしやすく服が汚れにくいなどメリットが多い。乗り込んでからは、ドライビングポジションの取りやすさや全方位の視界を確認しよう。

 

↑セダンなどに比べ床の位置が高いSUVは、当然シート位置も高くなる。乗車時の頭上空間と降車時の膝の動く量やグリップなどは要チェックだ

 

↑運転席で最適なポジションを取れるかをチェック。モデルによって異なるがステアリングのチルト&テレスコ、シートの高さ調整も忘れずに確認

 

↑背の高いSUVにとって後方視界は特に重要。ルームミラーの死角をカバーする補助ミラーの見え方や、その位置などはチェックしておきたい

 

【Point.3】フロントシートまわり

・どのような収納スペースがあるか

・いまや必要不可欠なUSBなどの端子類はあるか

運転環境と同じく、利便性も大切。USB端子がどこにあり、スマホがどこに置けて、コードをどのように取り回せるかなどもイメージしてみると良い。さらにスイッチ類の設定がどうなっているか、車種によって様々なタイプがあるので、しっかり確認しておくべきだ。

 

↑インパネまわりの収納力はある程度欲しいもの。またそれらの位置やフタの有無も使い勝手に影響するので、使い方を想定して見ておきたい

 

↑スマホ全盛の時代、充電やインフォテインメントシステムへの接続を考えるとUSBの位置は重要。ケーブルの取り回しも考慮して確認したい

 

↑Qi規格のワイヤレス充電器が装備可能なモデルも増加。ここではその位置や置きやすさ、取り出しやすさも併せて試してみたいところだ

 

【Point.4】リアシート

・乗降性と、着座したときにどれだけの余裕スペースがあるか

・快適にドライブできる装備はあるか

前席と同様、まず乗降性が大切。特に後席はドアの開く角度やドアの内張り、シートの角の形状の影響を受けやすい。さらに着座時の各部のクリアランスを確認。フロア中央部の張り出し具合や、リクライニングできるかどうかも一応調べておいたほうが良い。

 

↑普段3人以上で乗る場合には後席の乗降性は重要。凝ったデザインのモデルだと乗降がしにくいことも。ドアの開く角度も試しておきたい

 

↑座り心地や前席との距離、頭上スペースを確認。またシートのリクライニングやスライドが可能かもチェック。調整可能なクルマは多いのだ

 

↑いまや後席専用のエアコン吹き出し口は高級車だけの装備でなくなりつつある。その風向きや風量、USBや12V電源端子の有無を確認したい

 

【point.5】ラゲッジスペース

・テールゲートの開口形状やフロアの地上高

・リアシートを前倒ししたときの拡張性はどれだけか

テールゲートがどのように開くか、開くとどのような形状になっているか、ゴルフをする人はバッグが積みやすそうかどうか等をチェック。さらにリアシートを前倒しするとどうなるのか、フロア下のアンダーボックスがどのような形状になっているかもチェックしたい。

 

↑テールゲートは使い勝手に大きく影響する。地上高や荷物の載せやすさは必ず確認したい。荷室内部左右の張り出し幅も要確認ポイントだ

 

↑最近ではスペアタイヤを搭載しないモデルが増加し、そのぶん収納スペースを広くするモデルも。その広さや深さ、使い勝手をチェック

 

↑頻繁には使わないかもしれないが、後席を倒した時の段差は確認ポイント。長尺物の積載時に段差が影響するため、しっかりチェックしたい

 

【Point.6】安全運転支援技術

・機能の内容と他社との違いは何か

・高速道路でのACCはスムーズか

どのような機能があるか、他社との違いは何か、どんなセンサーを使っているか、得意/不得意な点をできるだけ詳しく理解しておいたほうが良い。試乗時に高速道路に乗れれば、ACCの追従のスムーズさや、車線維持機能がどのように利くかも確認してみよう。

 

↑衝突被害軽減ブレーキの対象は知っておきたい。メーカーごとに夜間の歩行者検知などに違いがあるからだ。万一の装備こそしっかり把握したい

 

↑死角を補ってくれる後側方車両検知機能もチェック。これもモデルによってその検知範囲に違いがある。後退時の安全支援装置も確認したい

 

↑高速道路走行時の運転をラクにしてくれるACCの範囲は確認事項のひとつ。稼働可能な車速帯、渋滞追従機能の有無なども併せてチェック

 

【Point.7】快適・便利機能

・グレードごとの標準装備と、オプションで必要な費用はどのくらいか

車種によっては他車にない特徴的な装備が設定されているケースもある。同じ車種でもグレードによって設定が異なり、好みのオプションが選べないこともあるので、そのあたりはできるだけ詳しく情報を収集すべし。上級グレードを選んでおけばほぼ間違いはない。

 

○……標準装備 △……メーカーオプション ×……装着不可

 

↑寒い季節に便利なシートヒーター。寒冷地仕様では標準装備が増えてきたが、オプションで設定可能かどうかもチェックしておきたい

ホンダ・ヴェゼルと並ぶ実力派! 国内4強SUVの実力をプロがチェック!

フルモデルチェンジしたホンダ・ヴェゼルと同クラスの国内4強SUVの実力をプロがチェック。コンパクトサイズながら使い勝手を向上させた室内や走り、デザインなど、創意工夫が盛り込まれたモデルばかりだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【私がチェックしました!】

モータージャーナリスト

清水草一さん

フェラーリ、ランボルギーニから軽自動車まで所有経験のある自動車ライター。常にコスパを優先して愛車をチョイスしている。

【エントリーNo.1】コレ1台あればあらゆるニーズを満たせる

トヨタ

ヤリス クロス

179万8000円〜281万5000円

2020年販売台数:15万1766台(※)

※:コンパクトカーのヤリスと合計の販売台数

●出典:一般社団法人 自動車販売協会連合会

大激戦のコンパクトSUV市場。そこにトヨタが投入したモデルがヤリス クロスだ。街なかで使い勝手の良いサイズと、エントリーモデルは180万円を切る価格設定、充実した装備が魅力だ。

SPEC【HYBRID Z・2WD】●全長×全幅×全高:4180×1765×1590mm●車両重量:1190kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒+モーター●最高出力:91PS/5500rpm●最大トルク:12.2㎏-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:27.8km/L

 

さすがは天下のトヨタ! クルマづくりにスキがない

ヤリス クロスは、良くできたSUVというよりも、弱点のない実用車だ。後席やラゲッジスペースが狭いヤリスの弱点を補いつつ、車高を少し上げ、かつスタイルを万人向けにカッコ良く仕上げたクルマと言えば分かりやすいだろう

 

パワーユニットは、1.5Lのガソリンとハイブリッドの2種類。どちらもFFと4WDが選べる。グレードも合計14種類と豊富だ。価格帯は幅広く、全体的にリーズナブル。もちろん燃費も良い。内装だけは少々チープな感じが否めないが、ほぼすべての点で満足度が高く、誰が乗っても間違いない。さすがトヨタの人気SUVである。

 

【ヤリス クロスのココがスゴイ!】

走り、安全性能、荷室容量とすべてが最高レベルです!

「ヤリスシリーズならではの軽快な走りと先進の安全装備が自慢。コンパクトSUVとしては最大級の荷室容量で、後部座席を倒すことなく大型スーツケース2個を収納可能です」(トヨタ広報PR)

 

↑インパネの基本デザインはヤリスと同様。ヤリス クロスではセンターコンソールからディスプレイにかけて縦の流れを強調する

 

↑ヤリスよりクッション性が高く、高い天井など後席の快適性は◎。4:2:4の分割可倒式を採用するグレードもあり使い勝手も良い

 

【清水’s Check】

デザイン ★★★★

パワーユニット ★★★★★

乗り心地 ★★★★

使い勝手 ★★★★

コスパ ★★★★★

 

【エントリーNo.2】デザイン命のSUVはカッコ良さで選んで良し!

マツダ

CX-30

239万2500円〜371万3600円

2020年販売台数:2万7006台

CX-30はCX-3とCX-5の中間に位置するモデル。流麗なDピラーはクーペライクなデザインで、世界一美しいSUVを目指したというデザイナーの意気込みを感じる仕上がりだ。

SPEC【XD L Package・2WD】●全長×全幅×全高:4395×1795×1540mm●車両重量:1460kg●パワーユニット:1756cc直列4気筒+ターボ●最高出力:130PS/4000rpm●最大トルク:27.5㎏-m/1600〜2600rpm●WLTCモード燃費:19.2km/L

 

そのスタイルは美しくインテリアの上質さも破格

マツダは“デザインはクルマの命”と考えて、デザインを重視したクルマづくりを進めている。そのひとつの集大成がCX-30だ。このクルマのウリは、なによりもスタイルの美しさにある。買う側もデザイン優先で選ぶべきだろう。

 

エンジンは3種類あるが、オススメはマツダ自慢のクリーンディーゼルモデル(1.8L)だ。太いトルクはSUV向きだし、ロングドライブなら燃費性能もハイブリッド並みに良い。

 

サイズはライバルたちよりひと回り大きいが、デザイン優先ゆえ、室内の広さはほぼ互角。ただし、インテリアの上質感は断トツだ。

 

【CX-30のココがスゴイ!】

人が使う際の“ちょうど良さ”を考え抜かれた上品なインテリア

「ファミリーカーとしての”ちょうど良さ”です。サイズや走りの良さは当たり前。“人が使う”を考えたインテリアは上品さを演出。また、ライブ感ある音響が移動の満足感をより高めます」(マツダ広報PR)

 

↑メッキ加飾やソフトパッドを多用した室内。前席、後席とも広く窮屈さは感じない。後席背もたれは6:4の分割可倒式を採用する

 

↑新世代エンジンのSKYACTIV-X。ガソリンエンジンながらも圧縮着火を採用。さらにモーターを組み合わせて高い環境性能を誇る

 

【清水’s Check】

デザイン ★★★★★

パワーユニット ★★★★

乗り心地 ★★★

使い勝手 ★★★

コスパ ★★★

 

【エントリーNo.3】この安さは破壊力抜群! 走りや快適性にも不満ナシ

トヨタ

ライズ

167万9000円〜228万2200円

2020年販売台数:12万6038台

2020年に単一車種としては驚きの12万台超を販売。5ナンバー枠に収まる取り回しの良いボディサイズとSUVらしいデザインが特徴で、走りも軽快だ。SUVながら1tを切る軽さも魅力。

SPEC【Z・2WD】●全長×全幅×全高:3995×1695×1620mm●車両重量:980kg●パワーユニット:996cc直列3気筒+ターボ●最高出力:98PS/6000rpm●最大トルク:14.3kg-m/2400〜4000rpm●WLTCモード燃費:18.6km/L

 

ガソリンエンジンで十分じゃないか!

トヨタ・ライズは、小型車に強みを持つダイハツが開発・生産を担当している。サイズは4モデルのなかで最もコンパクトで、パワーユニットはガソリンエンジンのみ。すべてのニーズを適度に満たしつつ価格が非常に手ごろなので、ヤリス クロスの登場までは、SUV販売台数ナンバーワンだった。

 

3気筒の1Lターボエンジンはトルクがあり、軽量ボディを軽快に走らせる。角張ったデザインはサイズ以上の押し出し感もある。内装のチープ感は価格なりだが、4WDモデルも用意されていて死角はない。気軽に買えて不満のない、良くできたSUVだ。

 

【ライズのココがスゴイ!】

5ナンバーサイズを超える使い勝手と力強さが自慢

「5ナンバーサイズSUVながらクラストップレベルの荷室容量。ワンランク上の大径タイヤでSUVらしい力強いスタイルを叶えながら、小回りの利く優れた取り回しを実現しています」(トヨタ広報PR)

 

↑想像以上に広い後席。前後席の間隔は900mmと普通のセダンよりも余裕がある。またスクエアなボディで頭上スペースも余裕だ

 

↑荷室容量は369Lでアンダーラゲッジも装備する。デッキボードは2段階に高さを調整できて便利。4人ぶんの荷物を楽に収納できる

 

【清水’s Check】

デザイン ★★★★

パワーユニット ★★★★

乗り心地 ★★★★

使い勝手 ★★★★★

コスパ ★★★★★

 

【エントリーNo.4】進化形e-POWERで一点突破を狙う日産の刺客

日産

キックス

275万9900円〜286万9000円

2020年販売台数:1万8326台

2016年より海外で販売されているモデル。日本向けにe-POWERを搭載し、足回りを再チューニングして昨年発売が開始された。軽快な走りと、広く品の良い内装、使い勝手の良さが魅力だ。

SPEC【X】●全長×全幅×全高:4290×1760×1610mm●車両重量:1350kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒●最高出力:129(82)PS/4000〜8992rpm●最大トルク:26.5(10.5)㎏-m/500〜3008rpm●WLTCモード燃費:21.6km/L

●( )内は発電用エンジンの数値

 

この静かさはまるで電気自動車だ

爆発的なヒットになったノートe-POWERのパワートレインを大幅に進化させて、SUVに積んでみました——。それがキックスの成り立ちだ。

 

エンジンで発電してモーターで走るハイブリッドだが、エンジン音がとても静かになったので、純粋な電気自動車のようにも感じる。日産自慢の安全運転支援システム「プロパイロット」も標準装備だ。

 

ただ、4WDの設定はなくFFのみ。グレードは事実上ひとつだけと選択肢が狭い。価格もライバルに比べると割高だが、走りは静粛かつ軽快なので、もっと売れて良いモデルだと感じている。

 

【キックスのココがスゴイ!

レスポンスの良い加速はやみつきになること請け合い

「日産独自のe-POWERを採用。100%モーター駆動ならではの力強くレスポンスの良い加速で、これまでにない軽快でやみつきになるドライビング体験をお楽しみいただけます!」(日産広報PR)

 

↑ゴルフバッグは楽に3つも入る荷室。後席を倒すとかなり大きな荷物も積載可能。トノボードも大きく、使い勝手も良い

 

↑室内は肌触りの良いシートなどのほかに、高品質の素材を使用したインパネやドアクロスを採用。ステッチはその質感にもこだわっている

 

【清水’s Check】

デザイン ★★★

パワーユニット ★★★★★

乗り心地 ★★★★★

使い勝手 ★★★★

コスパ ★★★

飛び道具はない。が、カロッツェリアの新作ドラレコ「VREC-DH300D」は文句もない総合力

数多くのカーAV機器を世に送り出してきたパイオニアから、最新スペックを盛り込んだドラレコとして、カロッツェリア「VREC-DH300D」が登場しました。本記事では、同機を実際に使ったわかったレビューをお届けします。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

【本体概要】デジカメを連想させ、車内に馴染むデザイン

VREC-DH300Dは、フロントカメラとリアカメラがセットになった、いわゆる“前後2カメラ”ドライブレコーダーユニットです。最大のポイントは高画素センサーによる高解像度撮影を実現していること。フロントには約370万画素、リアには約200万画素という高解像度センサーを採用し、加えてフロントにF値1.4、リアにF値1.8という明るいレンズを組み合わせました。しかも、センサーは暗所撮影に優れるソニー製CMOS「STARVIS」を採用しています。これによって、昼夜を問わず鮮明な映像の記録を可能にしているのです。

 

優れたデザイン性も本機の大きな魅力です。本体をマットなブラック塗装とし、随所にピアノブラックを組み合わせることで車内にもしっかり馴染むデザインとしています。また、前後2カメラのドラレコとなると、接続ケーブルが増えるために本体周辺がどうしても乱雑になりがちですが、本機は電源ケーブルがマウント側にあるため、本体にはリアカメラからのケーブルが1本つながるだけ。これによりスッキリとした形で取り付けられるのです。

↑VREC-DH300Dの本体。本体サイズW90.5×H101.9×D36mm、重量125g(ブラケット含む)

 

↑リアカメラは上下方向に角度調整が可能。取り付け後でもアングル調整が行えるのがいい。本体サイズW58.9×H25.1×D31.5mm、重量250g(ケーブル含む)

 

本体の左右幅は90.5mmとコンパクト。それにもかかわらず画面サイズは3インチと十分な大きさを確保しており、撮影した映像のチェックも容易にできます。操作は右サイドにある4つの物理スイッチを使いますが、この操作感がとてもいい。押した感触もしっかりとしていて確実性がとても高いのです。最初のメニュー項目は一画面内ですべてが表示され、ボタンを押すとそこから次のステップへ入っていくわかりやすい設計。

↑右端に操作ボタンに連動する操作ガイド(上から「戻る」「上移動」「下移動」「決定」)が表示されるメニュー画面。ボタンを押すとそこから次のステップへ入っていく

 

↑操作は右サイドにある4つの物理ボタンで行うが、画面に表示されるアイコンとリンクしているのでほとんど迷わず操作できる

 

【画質】フルHDを超える高解像度で記録。フロントとリアの映像は同じフォルダに保存

映像記録モードはフロントで2560×1440P/1920×1080Pの2つから選べますが、デフォルトでは前者が設定されています。少しでも高解像度で記録したい人はこのフルHDを超える設定のままでの記録をおすすめします。フレームレートは27.0fpsとなっており、これはLED信号機の表示と同期して無信号状態で記録されないよう配慮した設定です。また、ドラレコに衝撃が伝わると、その映像が自動的に上書きされない「イベント録画フォルダ」に保存されますが、その衝撃感知の設定はOFFを含め8段階で調整できます。

↑記録時の表示画面。フロントとリアを同時表示させることや、いずれかを全画面で表示することも可能。一定時間で画面OFFにする設定もできる

 

また、「ここぞ!」というシーンに遭遇した時は、本体右上にあるボタンを押すことで手動イベント録画ファイルとして上書きされないフォルダに保存されます。旅の思い出として残しておきたい時もこの機能を活用するといいでしょう。ボタンの位置は、カメラのシャッターに相当する位置にあるので手探りで操作できます。ただ、静止画での記録モードは搭載されていません。それでも、PC上での静止画保存機能を使ってキャプチャーすれば簡単に静止画として残せます。操作としてはとても簡単なのでぜひ覚えておくといいでしょう。

↑イベント録画は右上のボタンを押すことでスタートできる。上下で挟むようにすると押しやすい

 

↑上書きされないイベント録画中の画面。録画中は画面下に赤いバーが右へ伸びていき、左上にはコーションマークが表示される

 

撮影した映像は「Event」と「Video」の2つのフォルダに分けて保存されます。前者は衝撃を受けた時や、任意に手動イベント記録とした映像が保存されるフォルダで、後者は撮影した映像ファイルを順に保存するフォルダ。それぞれフロント/リアの映像が交互に記録されていきます。なお、Eventフォルダは記録するマイクロSDカードの容量に応じて、保存できるファイル数が限られます。大事なデータはその都度、PCなどに移してカードを初期化しておくことをおすすめします。

 

GPS機能を備えたことも見逃せません。この機能はカーナビなどで位置情報を正確に反映するために使われるもので、ドラレコにこの機能を備えることで記録した映像の位置情報が反映できるようになります。残念ながらこれを反映させる専用アプリは用意されていませんが、少なくともファイルには位置情報が含まれているわけで、必要であればそれを活用することは可能です。さらにGPSの正確な時刻情報は常に反映されており、いちいち時刻合わせをする必要がないのもメリットです。これらは保存したドラレコ映像の証拠価値を高めるのに役立つものと言えるでしょう。

↑記録した映像を再生すると画面下には、GPS信号を元に反映させた日時や緯度経度情報、走行速度が表示される

 

【実際の画質レビュー】キリッとした美しい映像。高い解像度は周辺の車両ナンバーも鮮明に記録

では、本機で記録された映像をチェックしてみましょう。その映像は一目見て「きれい!」であることを実感します。映し出される風景や周囲の様子が極めて鮮明で、全体としてキリッとした印象。少し離れた位置を走行するクルマや対向車のナンバー4桁もはっきりと認識できました。もちろん、周囲が捉えられるようにフロントウィンドウのほぼすべてを映し出すような広い画角も持ち合わせています。これなら横から飛び込んできた場合の様子もしっかり把握できそうです。

↑フロントカメラ2560×1440Pで撮影した映像。ナンバーは画像処理しているがこの状態で鮮明に写っている

 

↑リアカメラ1920×1080Pで撮影した映像。画像処理しているが、対向車線をすれ違った車両のナンバーも鮮明に映し出している

 

また、トンネルを出る間際の映像も白飛びが少なく、逆光気味の時でも被写体を黒くつぶすようなことはあまりありません。本機にはドラレコで搭載が一般的なHDR機能が搭載されていないのですが、これだけの実力があれば特にこうした機能はなくても十分と感じたほどです。リアカメラは若干解像度が下がりますが、それでも鮮明さが大きく落ちることはありません。後続車は車内の様子までも鮮明に映し出しており、仮に後方から煽ってくるような状況になれば、ドライバーの表情までもはっきりと認識できると思います。

 

夜間になっても本機の鮮明さは変わることはありません。ライトで照らした部分は若干白飛びする傾向が見られますが、その周辺部の状況もかなり鮮明に映し出すので状況把握には十分な能力を発揮します。この明るさを確保しているにも関わらずノイズも少ないので、映像が見やすいのもポイントです。ただ、シャッター速度が遅くなってしまうせいか、すれ違うクルマのナンバーは、静止画でキャプチャーしてもブレていて読み取ることはちょっと難しいようですね。ただ、リアカメラで捉えた後方から来る車両のナンバーは、ヘッドライトが点灯した状態でもしっかりと読み取れます。夜間のあおり運転対策には十分役立つでしょう。

↑夜間のフロントカメラの映像。ライトが照らされている部分は白飛びしているが、それ以外は鮮明そのもの(※ナンバーは画像処理済み)

 

↑夜間時のリアカメラ映像。スモークフィルム越しでもあるのでノイズは若干増えているが、ナンバー(※画像処理済み)は把握できている

 

【注目機能】SDカードのフォーマット時期をお知らせ。別売の駐車監視ユニットも便利

それと本機は別売の駐車監視ユニット「RD-DR001」(2021年5月発売予定)を組み合わせることで、クルマを離れてからの接触事故や車上荒らしも鮮明に記録してくれます。記録時間やバッテリー状態を踏まえながら連続録画できる(最大12時間)ので、状況に応じた設定を可能としていることも見逃せません。ソニー製CMOS「STARVIS」が持つ高い夜間監視能力を組み合わせることで、駐車中の異常発生もしっかり捕捉してくれることでしょう。

 

ドラレコで撮影したデータはマイクロSDカードに保存されます。VREC-DH300Dには容量が16GBが同梱されますが、このカードは常に記録と消去を繰り返す過酷な状況にさらされます。そのため、使っているうちに記録エラーを起こしやすいのもまた事実なのです。そこで重要となるのがカードのフォーマットです。本機ではこれを適切なタイミングで行うことを事前に教えてくれます。これにより、カードへの記録エラー発生を最小限に抑えてくれるのです。

↑記録時のトラブルを未然に防止するよう、一定時間ごとにフォーマット時期をお知らせしてくれる

 

ただ、それでもメモリーカードには寿命は訪れます。難しいのはその寿命を捉えることです。そこでパイオニアでは一般的なマイクロSDカードより耐久性が高く、カードの寿命からくる交換時期を知らせてくれる「SDカード寿命警告機能」を搭載したSDメモリーカードも別売で用意しています。少し高めではありますが、より確実な記録を行うためにも選んでおく価値は十分あると思います。予算に応じて選ぶといいでしょう。

↑より耐久性が高くエラーが起きにくい上に寿命時期も知らせてくれる別売のマイクロSDカード(128GB/64GB/32GB/16GB)も用意している

 

正直言えば、本機は機能こそ特に飛び道具的なものは備えていません。その意味では地味な存在とも言えます。ただ、パイオニアはこの点について、ドラレコとして必要な機能を徹底的に調査し、ユーザーが満足してもらえるスペックにまで追い込んだと言います。今回、使い込んでみてドラレコとしての質実剛健な造り込みにこそ本機の良心を実感しました。価格も実売で2万6000円前後と前後2カメラ型としては十分リーズナブル。高いデザイン性の中に秘められたカロッツェリアの新しいドライブレコーダーユニットVREC-DH300Dはこの夏商戦で見逃せない存在となることでしょう。

↑VREC-DH300D本体とリアカメラ、取付ブラケット、リアカメラ接続ケーブル(6m)、シガーライター電源ケーブル(4m)、クリーナークロス。マイクロSDカードは16GBをサンプルとして同梱する

人気SUV、ホンダ「ヴェゼル」がフルモデルチェンジ! プロが6項目で徹底チェック!!

SUV年間販売台数で4度トップに輝いたホンダ・ヴェゼルが初のフルモデルチェンジ。2代目もトップに輝く資質は有しているのか……? デザインや居住性、SUVで必須とされる使い勝手の良さなど、全方位でモータージャーナリストが徹底的にチェックした!

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ホンダ

ヴェゼル

227万9200円〜329万8900円

ガソリンエンジンモデルと、発電用と走行用モーターを2基搭載するハイブリッドモデル「e:HEV」がラインナップ。先代と同等のコンパクトサイズながらホンダ独自のセンタータンクレイアウトの採用などで、居住性と使い勝手の良さが光る。

SPEC【e:HEV PLaY・2WD】●全長×全幅×全高:4330×1790×1590mm●車両重量:1400kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒+2モーター●最高出力:106PS(78kW)/6000〜6400rpm●最大トルク:13.0kg-m(127Nm)/4500〜5000rpm●WLTCモード燃費:24.8km/L

 

【ヴェゼルのココがスゴイ!】

広さや使い勝手はそのままにデザインや安全装備も進化!

「取り回しのしやすいサイズ感や広々とした居住空間はそのままに、水平基調のスリークなデザインに生まれ変わりました。走行性能だけでなく、先進安全装備・コネクティッド機能も進化しています。実車を見ればその良さに納得していただけます!」(ホンダ広報PR)

 

私がチェックしました!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

1968年生まれ。コロナ後に家族で旅するためのSUVの購入を検討中。メカニズム関連にも詳しい。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

見た目も中身も成熟して車格も一気に向上した

大ヒットした初代の後を受けて登場した2代目を目の前にした第一印象は、「これがヴェゼル!?」と思うほど成熟していて、車格が一気に上がったように見えた。このクオリティの高さはハンパない。

 

インテリアの質感も驚くほど高く、装備がさらに充実している。吹き出しを工夫したエアコンのように目の付けどころがユニークな独自のアイテムも装備。このサイズのなかに考えられる機能や要素はすべて盛り込んだという印象だ。安全運転支援装備も、このクラスとして申し分ないほど充実している。

 

ハイブリッドがメインとなるが、発電用と走行用の2つのモーターを搭載し、モーター走行を中心にエンジンを含め状況に応じて最適に使い分けるというシステムはホンダ最新仕様。初代とは別モノだ。走りや燃費の良さでは定評があり、ヴェゼルにもそのシステムが搭載されたのは大歓迎だ。

 

過去4回もSUVの年間販売首位に立つほどの人気モデルだったヴェゼルが、再びその座に戻ってくる日は遠くないだろう。

 

【Point1】デザイン

評価 ★★★★★

どの角度から眺めても新鮮なこれまでのホンダ車にない造形

突出したノーズにグリルレスっぽいフロントもなかなかイケメンだし、クーペらしさを強めたサイドビューも絶妙だ。彫りの深い造形も独特。なかでも最上級の「PLaY」は細かな部分にもこだわりが表現されている。

 

↑先代よりもAピラーの角度を立て、直線的なボンネットのデザインとすることで力強さを演出。大径タイヤも功を奏している

 

↑大型フロントグリルを採用しているが、ボディと同色とすることで一体感を増している。「PLaY」グレードでは3色のアクセントも

 

【Point2】走り

評価(予想) ★★★★

リニアなレスポンスで低燃費な従来とは別物のe:HEVを搭載

基本的に同じハイブリッドシステムを搭載する同社のフィットから想像するに、レスポンスが良く力強いスムーズな走りで燃費も良いことが期待できる。おそらく乗り心地も、より快適志向になっているはずだ。

 

↑1.5L4気筒エンジンを搭載。エンジンでの走行とモーター走行を使い分けることにより、走行状況に応じた最適なパワー配分が可能

 

↑e:HEVは発電用と走行用2つのモーターを搭載。強い加速時はエンジンの力で発電したモーターを駆動し、パワフルに走行できる

 

【Point3】居住性

評価 ★★★★

見た目と広さを巧みに両立運転環境の不満もなし

コンパクトSUVという限られたサイズのなかで、スタイリッシュなフォルムを実現しながら車内空間も不満のない広さが確保されていることに感心。ドライビングポジションも調節しやすく、視界が良好で見切りも良い。

 

↑メーターには9インチのカラー液晶を採用し視認性は高い。各種スイッチも分かりやすい位置に配され、ラクに操作できる

 

↑車体下部に燃料タンクを配置する“センタータンクレイアウト”により、リアシートの足下は広々。リクライニングもできるのは◎

 

【Point4】使いやすさ

評価 ★★★★★

持ち前のアドバンテージに加え電動テールゲートまで設定した

従来通りフロントシート下部に燃料タンクを配置するセンタータンクレイアウトを採用。車体後部のフロア高が低いおかげで高さのある荷物も積めるのがヴェゼルの強みだ。このクラスのSUVではまだ珍しい電動テールゲートの設定も重宝する。

 

↑初代の低床設計による荷物の積みやすさは継承。リアシートは6:4の分割可倒式。倒した際も床面がフラットになり使いやすい

 

↑リアシートの座面を跳ね上げれば背の高いモノもラクに積載可能。これもセンタータンクレイアウトがもたらすメリットのひとつだ

 

【Point5】安全運転支援技術

評価 ★★★★

進化した「Honda SENSING」が安全な運転を支援してくれる

さらに進化した「Honda SENSING」を搭載。後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)などが追加され、より安心・安全な運転をサポートする。

 

↑歩行者事故低減ステアリングを搭載。歩行者側の車線を逸脱し歩行者と衝突の危険を察知すると、音とディスプレイ表示で警告する

 

↑高速道路での渋滞時に設定した車間距離を保持しながら、アクセルやブレーキを操作せずに走行可能。運転者の疲労が軽減される

 

【Point6】快適・便利装備

評価 ★★★★★

クラスの常識を塗り替える装備の充実ぶりに感心した

開口部を極限まで広げたパノラマルーフによる開放感は絶大。コネクティッド機能やUSB端子、タッチ式ルームランプなど時代に即した装備を搭載したり、そよ風アウトレットのような独自のアイデアにも要注目だ。

 

↑フロント左右に配置される“そよ風アウトレット”。直接当たる風とは異なるやさしい風を送り、外気の熱や寒さもカットしてくれる

 

↑「PLaY」グレードに設定される、頭上に開放感をもたらすパノラマルーフ。リアシート側はパネルを着脱する方式を採用している

 

【講評】

ベストセラー返り咲きは確実! 見れば見るほど感心させられた

「もはや現時点でできることはほぼやり尽くした印象で、完成度の高さに本当に感心させられっぱなし。それでいて価格はあくまでヴェゼルの枠に収まっているのもうれしい。あとは実際に走ってみてどうなのか、楽しみですね!」(岡本さん)

新型ヴェゼルの登場で市場はますます活況!「SUV」人気の理由をプロが徹底分析!

人が余裕で乗れて、荷物もたくさん載せられ、走行性能にも大満足のSUV人気が沸騰中だ。今回は、続々と新モデルが登場し、話題のモデルも数多いSUVの最新トレンドや人気の理由をプロが解説。SUVを買うならいまだ!

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【プロが人気の理由を分析!】

何しろカッコ良い! 特筆する機能がなくても十分

モータージャーナリスト

清水草一さん

「機能的なメリットは特にないけれど、ちょっと車高を上げて大径タイヤを履いたSUVは総じてカッコ良い。SUVはとにかく旬。流行りモノにはかなわない!」

 

カッコ良さと使い勝手を両立して受け入れられた

モビリティジャーナリスト

森口将之さん

「カッコ良いのに使い勝手が良い。いままでは両立が難しかった2つの魅力をしっかり兼ね備えている。多くの人にとって願ってもない存在であるはずだ」

 

人気のカテゴリーゆえに魅力ある新型が続々登場

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

「作れば売れるので、どのメーカーも力を入れて新型車を開発し、より魅力的なクルマが生まれて豊富に選べる。消費者にとってうれしい“旬”の状態が続いている」

 

小型、スタイリッシュで運転のしやすさも要因

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美さん

「SUVは大型でノッソリしているイメージだったが、ライフスタイルの多様化に伴って小型でスタイリッシュになり、運転しやすい。いまこそSUVの選びどきだ」

 

【主要自動車メーカーのSUVが占める割合】

●日本メーカーのモデル数は軽自動車を除く登録車(普通乗用車)の数。海外メーカーのモデル数は日本国内で販売されているモデルの数

 

【最近のSUVトレンドはコレ!】

1.SUVながら流麗なスタイルを演出するクーペスタイルが人気!

以前は直線的なシルエットを描くモデルが多かったが、最近ではデザイン性を重視したモデルが増加中。フロントからリアにかけて曲線を描く、クーペスタイルのSUVが人気だ。

 

↑メルセデス・ベンツのCLA。フロントガラス上部から車両後端に向かって曲線を描く。角張ったラインがないクーペスタイルだ

 

2 .フロントグリルの大型化で力強さと本格的な走りを演出

SUVの魅力のひとつに力強さがある。大きめのタイヤはその象徴とも言えるが、最近ではフロントグリルが大型化したモデルが数多く登場。“顔”で力強さを演出する傾向が強い。

 

↑X-DRIVEモードを搭載し、悪路走破性が高いスバル・フォレスター。大型フロントグリルとコの字型ライトで力強さを演出している

「ETCX」サービスがスタート!クルマに乗ったままで駐車場やドライブスルーでの決済をETCで実現

ゴールデンウィークを前にした4月29日、ETCを駐車場やドライブスルーなど、高速道路以外の施設で利用を可能にした会員登録制サービス「ETCX(イーティーシーエックス)」がスタートしました。これまでETCは通行料金の決済だけが基本でした。それがいよいよ市中での利用が可能となったのです。

↑「ETCX」のロゴマーク。ETCのカラーがパープルであるため、識別しやすいようにオレンジにしたという

 

「ネットワーク型ETC」により、低コストでETC決済を可能にした

この新たなサービスのポイントは、「ETCX」のロゴマークを掲示してある加盟店において、現在利用中のETC車載機を使い、自動車に乗ったままで代金などの支払いができることにあります。ETCを通行料以外でのキャッシュレス決済手段として活用するのは初めての取り組みです。そのETCXの大きな特徴の一つとしてあるのが、システムの導入費用がETCよりもはるかに安いということ。

↑あらかじめクレジットカードと紐付けておけば、ETCカードは従来と同じように車載機に挿入しておけばいい

 

ETCでは走行しながら認証を行なえるよう、高性能なアンテナを装備したために導入コストが高いという課題がありました。ETCXでは利用時の一旦停止を必須とすることでシステムの低価格化を実現したのです。さらに、認証処理などをすべてクラウド上で行なう「ネットワーク型ETC」としたため、必要なシステムは最小限で済みます。これにより、駐車場やガソリンスタンド、高速道路以外の有料道路などでの導入がしやすくなりました。

↑「ネットワーク型ETC」を採用したため、認証処理などをすべてクラウド上で行なうため、必要なシステムは最小限となる

 

ETCXのサービス第1弾として提供されるのは、新名神高速道路の鈴鹿パーキングエリア(上り線)の「ピットストップSUZUKA」のドライブスルーで、ここでは乗車したまま料金支払いが可能になります。また、静岡県内の伊豆中央道と修善寺道路の各料金所において2021年7月1日よりETCXサービスを開始予定となっています。特に伊豆中央道と修善寺道路では、ETCXを使うほどに利用料金がお得になる新しい割引制度も予定しているということです。

↑新名神高速道路の鈴鹿パーキングエリア(上り線)の「ピットストップSUZUKA」のドライブスルー

 

↑静岡県内の伊豆中央道と修善寺道路の各料金所において2021年7月1日よりETCXサービスを開始予定

 

ただ、現時点で利用できるのはこの2か所のみ。ETCXのサービスを提供するETCソリューションズの中村英彦社長は、「当面の目標として3年以内に100か所、会員数10万人を目指す」としていますが、導入コストが安いとは言え、システム設置には土木工事が必要で、POSレジとの連携も必要です。この負担があることから控えめな目標となったようです。

 

利用時はあらかじめETCカードとクレジットカードを紐付けておく

それでも、駐車場やガソリンスタンド、EV向け充電スタンド、ドライブスルーなどへの導入により、現金でのやり取りがなくなることでユーザーの利便性は飛躍的に高まります。中村社長は「これまではシステムが高額でETC対応を見送ってきた地方の有料道路などでも有効性は高く、将来的にはマンションや工場などへの入退管理のほか、混雑する道路状況に応じた道路課金なども可能」と述べ、利用の裾野が広がることへの期待を寄せました。

↑駐車場での料金決済がグンとスムーズになり、出口渋滞の解消にもつながる

 

↑ガソリンスタンドでも給油を終えたら、いちいち精算の作業をせずともそのまま退出できるようになる

 

↑EVスタンドでの認証は一切不要。入庫したらすぐにチャージが開始できる

 

↑ドライブスルーでは注文して受け取るだけという手軽さだ

 

一方、通常のETCサービスとは別サービスであるため、利用者はあらかじめETCカードとクレジットカードを連携させるための登録が必要です。登録を終えるとETCカードは決済のためのIDカードとしての役割を果たすようになり、それ以降の利用方法はETCと同じように乗車したままの決済が可能となります。車載機はETCおよびETC2.0に対応しており、決済は瞬時に行われますが、決済時は車両を一旦停止する必要があります。また、登録してないETCカードでの利用はできないので注意が必要です。

↑ETCX利用の流れ。利用前にあらかじめETCカードと決済するクレジットカードを紐付けておく必要がある

 

↑クレジットカードはメジャーブランドには対応済みだが、一部のプライベートブランドには対応できていない

 

ETCソリューションズでは、本サービスに至るまでに2017年から2020年にかけて試行運用を実施しています。駐車場では2017年に新静岡セノバ駐車場や、名鉄協商パーキング藤が丘effeにおいて、19年にはカーフェリーとして川崎近海フェリーの八戸埠頭(青森県八戸市)でも料金決済を実施。特にカーフェリーでは、ETCに記録されている車両長などの車検情報を活用でき、乗船手続きの簡素化に結びついたそうです。また、ドライブスルーでは20年にケンタッキーフライドチキン相模原中央店で試験運用しています。

 

現時点で利用できるのは2か所のみという淋しいスタートではありますが、ETCが登場してから20年が経ち、ようやく当初の狙い通りの進展が見られるようになりました。今後、ETCでの利用範囲が広がれば、たとえば駐車場での精算はスムーズになり、電子化により駐車場会社のポイントも貯めやすくなるでしょう。ドライブスルーでも、たとえばカーナビの画面上にメニューが表示されて、直接その画面からオーダーできるようになる可能性もあるようです。そんな利用の広がりに期待したいと思います。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲ったスバル「レヴォーグ」は実際どう? 乗り味とディテールを徹底チェック!

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回取り上げるのは、発売以来大人気で、ステーションワゴンの希望の星となっているスバル・レヴォーグ。2代目はどうだ?

※こちらは「GetNavi」 2021年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】スバル/レヴォーグ

SPEC【STIスポーツEX】●全長×全幅×全高:4755×1795×1500㎜●車両重量:1580㎏●パワーユニット:1.8ℓ水平対向4気筒直噴ターボエンジン●最高出力:177PS(130kW)/5200〜5600rpm●最大トルク:30.6㎏-m(300Nm)/1600〜3600rpm●WLTCモード燃費:13.6㎞/ℓ

310万2000円〜409万2000円

 

ボディや足まわり、アイサイトXは素晴らしいがエンジンがダメ

永福「安ドよ。レヴォーグの評判が良いな」

 

安ド「日本カー・オブ・ザ・イヤーも獲りましたしね」

 

永福「たしかにこのクルマ、ボディと足まわりが素晴らしい」

 

安ド「つまり骨格ですね」

 

永福「特にこのSTIスポーツは、価格が高いだけに猛烈に素晴らしい。これほどしなやかに揺れを吸収するクルマに乗ったのは初めてかもしれん」

 

安ド「スバル車って、昔から乗り心地は良かったでしたっけ?」

 

永福「いや、そんなに良くはなかった。ガチガチに固い時代もあった。まあ現在でもガチガチのスポーツモデルを作っているが」

 

安ド「スバルは硬派なメーカーですもんね」

 

永福「だな」

 

安ド「僕がこのクルマで一番良いと思ったのは、このクールグレーカーキというボディカラーです」

 

永福「たしかに」

 

安ド「それで先代型よりだいぶカッコよく見えました」

 

永福「いかにもスバルらしい硬派な色だが、それでいてオシャレさんだ。スバルのセンスは垢抜けたな」

 

安ド「昔は垢抜けてなかったですよね?」

 

永福「実用以外一切考えてないようなクルマが多かった」

 

安ド「でも、殿も乗られていたSVXはカッコ良かったじゃないですか」

 

永福「あれは突然変異だ。なにしろジウジアーロデザインなのだから」

 

安ド「でも売れなかったんですよね」

 

永福「まったく売れなかった。スバル車はカッコ良すぎてはダメだな。これくらいがちょうどいい」

 

安ド「アイサイトXはどうですか?」

 

永福「これも素晴らしい。GPS測位とマップを精密に連動させているので、ACC(前車追従型クルーズコントロール)を作動させているときに進路の乱れがまったくない。もちろん安全性も高い」

 

安ド「渋滞中の高速道路では手放し運転もできますしね」

 

永福「実にラクチンだ」

 

安ド「悪いところがないですね」

 

永福「いや、ある。エンジンがダメだ」

 

安ド「ダメですか!」

 

永福「全然パワーがないし、燃費も驚くほど悪い」

 

安ド「僕も、なんだか薄味だなぁとは思いましたが」

 

永福「薄味で元気がないのに燃費が悪い。新型エンジンなのに信じられないほどダメだ」

 

安ド「そんなにダメですか!」

 

永福「普通に走っているときは良いが、アクセルを床まで踏んでもロクに加速しない。燃費はロングドライブで12㎞/ℓ程度。新型エンジンなのだから、最低15㎞/ℓは走ってほしいぞ」

 

安ド「地球温暖化ガスがたくさん出てしまうんですね?」

 

永福「このままではスバルは生き残れないぞ」

 

【GOD PARTS 1】大型ディスプレイ

タッチ式ディスプレイでデジタル感を強調

「デジタルコクピット」と呼ばれるインテリアは未来っぽい雰囲気です。特に、センターディスプレイは非常に大型で11.6インチもあり、このクルマのデジタル感を増幅しています。もうひとまわり大きければテスラといい勝負です。

 

【GOD PARTS 2】ステアリング

スイッチが多すぎてちょっとわかりにくい

様々な操作をステアリング上のスイッチでこなせます。あまりにもスイッチが多すぎてわかりにくいですが、ステアリングフィールは最高です。なお、「STIスポーツ」グレードでは、レッドステッチがスポーティ感を演出しています。

 

【GOD PARTS 3】水平対向エンジン

重厚感は失われたがレギュラーガソリンでOK

1.8ℓの4気筒水平対向ターボエンジンは、先代型より排気量がアップしましたが、最高出力の向上はわずかなのが残念です。ボクサーエンジンらしい重厚感も薄れていますが、レギュラーガソリン仕様とはうれしいかぎりです。

 

【GOD PARTS 4】2本出しマフラー

後ろ姿をスポーティに見せる2本出しマフラー

かつて2本出しマフラーといえば、高性能モデルの象徴のような仕様でした。レヴォーグはステーションワゴンでありながら単なる道具ではなく、スポーティな走りもこなせるということで、2本出しも似合います。

 

【GOD PARTS 5】ドライブモード

まるでスマホをいじるかの感覚

ステアリングの「MODE」ボタンを押すと、ディスプレイ全体にドライブモードの選択画面が表示されます。タッチパネル操作なので、スマホをいじる感覚でエンジンやサスペンションなどの制御具合を変更できます。

 

【GOD PARTS 6】STI

スポーツモデルの象徴が大人な乗り心地を実現

スバルのスポーツモデルに冠された名称が「STI」です。かつては激しい走りを連想させましたが、現在は上質な仕様になりました。このSTIグレードにはZF製電子制御ダンパーが搭載されていて、乗り心地も安定感も最高です。

 

【GOD PARTS 7】エアインテーク

ターボ車らしさをデザインで表現

ボンネット上に開けられた穴は、空気の取り入れ口です。かつてターボ車といえば、必ずボンネット上にこのような穴がありましたが、最近は穴のないターボもあります。新型レヴォーグには穴が残され、ターボ車らしくてうれしいです。

 

【GOD PARTS 8】ヘッドライト

ピストン型でシャープな印象

スタイリングは先代型より質感が高く、ラグジュアリーな雰囲気になりました。なかでもこの“コの字”型のヘッドライトはシャープで大人っぽい印象です。ちなみに、この形状はボクサーエンジンのピストンを表現しているそうです。

 

【GOD PARTS 9】ラゲッジルーム

用途を悩むほど広い床下収納スペース

これぞステーションワゴンという容量492ℓの広いラゲッジルームを備えています。当然、リアシートは前方へ倒して荷室を広げることもできます。さらに床下のボードを持ち上げれば、こんなに大きな床下収納(写真下)が! 何を収納するか悩みます。

 

【これぞ感動の細部だ!】アイサイトX

「ぶつからないクルマ」の進化は続く

いまやスバルの象徴ともいえる先進安全装備「アイサイト」は、さらに進化して、名称も「アイサイトX」へと変更されました。自動車専用道路で60㎞/h以下という条件はありますが、「渋滞時ハンズオフアシスト」機能は、自動運転への第一歩。センターディスプレイ上部にあるカメラはドライバーの居眠りまでチェックしてくれます。より操作がイージーになって「ほぼ絶対ぶつからないクルマ」への進化に期待できます。

 

BMWのコンパクトモデルである2シリーズのニューカマー・グラン クーペ。その実力はいかに?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、BMWのコンパクトモデルである2シリーズのニューカマー、グラン クーペを紹介する。その実力はいかに?

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

PROFILE

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカーは】
BMW
2Series GRAN COUPE
BMW/2シリーズ グラン クーペ

SPEC【218iグラン クーペ Mスポーツ】●全長×全幅×全高:4540×1800×1430㎜●車両重量:1420㎏●パワーユニット:1.5ℓ直列3気筒+ターボ●最高出力:140PS(103kW)/4600rpm●最大トルク:22.4㎏-m(220Nm)/1480〜4200rpm●WLTCモード燃費:13.8㎞/ℓ369万円〜673万円

 

「カッコ良すぎると人間、疲れてしまう。多少スキがあったほうが良い」(永福)

安ド「殿! 今回は殿の希望で、BMWの2シリーズ グラン クーペを取り上げました!」

永福「うむ。私はなぜかこのクルマに惹かれるのだ」

安ド「どこに惹かれるんですか」

永福「まず、小さめのセダンというところだ。いまや全世界的にセダンが不振。なかでも小型セダンは大不振で、モデルの消滅が相次いでいる」

安ド「そう言えば国産車でも、ホンダのグレイスや、トヨタのプレミオ/アリオン等、みんななくなってしまいましたね」

永福「そんななか、この2シリーズ グラン クーペは、新たに生まれた実に希少な小型セダンである」

安ド「でも名前はグラン“クーペ”なんですね」

永福「ただの小型セダンでは売れないから、スポーティなフォルムにした。その結果だろう」

安ド「フロントだけ見るとボリューム感があってカッコ良いし、リアだけ見るとクーペっぽくてカッコ良いんですけど、全体で見るとなんだか不恰好に見えるんですがが……」

永福「そこがまた良い」

安ド「そこが良いんですか!」

永福「スポーティなクーペ的フォルムなのに、全体でみるとなぜかイモ虫っぽい。そのダサカッコ良さが心に響く」

安ド「深いですね……」

永福「カッコ良すぎると人間、疲れてしまう。多少スキがあったほうが良いのだ。特にBMWのようなハイブランドは」

安ド「ますます深いですね……」

永福「私はいま先代BMW 320dを足にしているから、余計にこのダサカッコ良い2シリーズグラン クーペに惹かれる」

安ド「今回乗った218iは、エンジンが1・5ℓ3気筒のガソリンですね」

永福「うむ。実に軽くて小さなエンジンだ」

安ド「何も知らずに乗ったんですが、後から排気量を知って驚きました。スムーズだし、パワーもあるし、十分ですよね」

永福「たしかにな。しかし燃費が物足りない。リッター10㎞くらいしか走らなかった。やはりBMWはディーゼルに限る」

安ド「殿の先代320dは、燃費、どれくらいなんですか?」

永福「平均でリッター17㎞だ」

安ド「スゴいですね!」

永福「2シリーズ グラン クーペにも2・0ℓのディーゼルモデルがある。それなら文句ない」

安ド「じゃ、買い替えますか?」

永福「いや、買い替えないだろう」

安ド「ガクッ! それはナゼ?」

永福「せっかく買い替えるのなら、渋滞時ハンズオフ機能のついた現行320dが欲しいからだ。2シリーズ グラン クーペには残念ながらそれが付かない」

安ド「そういうところでクルマを選ぶんですか!」

永福「BMWはどれも走りは良い。自然、そういうところで選ぶことになるのだ!」

 

【GOD PARTS 1】
サッシュレスドア
サイドのデザインがスッキリまとまる

4ドアクーペが欧州プレミアムブランドで流行ったことで再注目されているのが、この2シリーズ グラン クーペも採用する、窓枠のない「サッシュレスドア」です。サイドのデザインがスッキリまとまるというメリットがあります。

 

【GOD PARTS 2】
エンジン
2種類のガソリンターボにディーゼルもプラス

エンジンラインナップは、この1.5ℓ直列3気筒ターボ(218i)のほか、2.0ℓ直列4気筒ターボに4WDを組み合わせた(M235i xDrive)、さらに2.0ℓ直列4気筒ターボディーゼル(218d)が追加されました。

 

【GOD PARTS 3】
フロントグリル

ファンにも受け入れられるBMWらしいデザイン

BMWといえば、2つのグリルを横に並べた「キドニーグリル」が有名です。4シリーズ クーペでは、これが縦長に巨大化されて議論を呼んでおりますが、2シリーズ グラン クーペでは横長。ファンにも受け入れられるデザインです。

 

【GOD PARTS 4】
ルーフライン

見た目も乗り味もスポーティなテイスト

8シリーズにもラインナップされるBMWの「4ドアクーペ」は、ベースが4ドアセダンなため実用性が高く、ルーフラインはクーペのようになだらかで美しいので、人気を博しています。乗り味も若干スポーティな味付けです。

 

【GOD PARTS 5】
トランクスペース
クーペと比較して+40ℓと容量をしっかり確保

430ℓの容量を誇るトランクは、(名称はクーペですが)4ドアセダンならではの装備で、2シリーズ クーペと比較して40ℓも増量されています。もちろん後席は前方に倒すことができて、それによりスペースを拡大させることも可能です。

 

 

【GOD PARTS 6】
インテリジェント パーソナルアシスト

言葉を理解する能力を向上させたAI機能

近年流行りの、声だけでカーナビやエアコンなどを操作できるAI機能は、もちろんBMWでも採用されています。「オーケー、BMW!」と呼べば反応してくれて、2シリーズ グラン クーペの最新バージョンでは、多少曖昧な発音でも理解してくれます。

 

【GOD PARTS 7】
リアコンビネーションランプ

独特な薄型形状になって“らしい”雰囲気に

天地方向に薄く、横に長いリアコンビランプは、2シリーズや2シリーズクーペにはなかったデザインテイスト。よく見ると両端が上がった「L」のような形状になっていて、どことなくBMWの「ワルっぽい」味付けやスポーティな雰囲気がさりげなく表現されています。

 

【GOD PARTS 8】
リバースアシスト

バックするのに操作はアクセルとブレーキだけ

「35㎞/h以下」「直近50m」という条件はありますが、それまで走ってきたルートを記録して、アクセルとブレーキ操作だけで(ハンドルは自動操作)バックできます。狭い道を戻らなければいけないときや、バック操作に不安があるときなどに便利ですね。

 

【GOD PARTS 9】
フロントシート
見た目だけでなく使い心地もスポーティ

ヘッドレスト一体型でデザインされたフロントシートは、形状からして「クーペ」っぽいイメージを放っています。また雰囲気だけでなく、サイドサポートも張り出しているので、多少スポーティな走りで攻めてもしっかり身体を保持してくれます。

 

これぞ、感動の細部だ!

GOD PARTS 神】
後席スペース
ボディはコンパクトだが足下の空間は十分広い

BMWのなかでは最もコンパクトなサイズの4ドアクーペながら、しっかりとした後席が設置されています。2シリーズで唯一FR駆動を採用する2シリーズ クーペと比較して、足下のスペースはそれなりに確保されています。ただし、デザイン上仕方がないのかもしれませんが、ドアの開口部は狭くなっているため、長身の人だと乗り降りに少々苦労するかもしれません。

 

デンソーの「新世代運転支援」で今のクルマはどう変わる? LSとMIRAIの場合

デンソーは4月9日、乗員に安心感を与える高度運転支援技術の実現と、車両の安全性能向上に貢献する製品を開発したと発表しました。合わせて、その技術がレクサスの新型「LS」および、トヨタの新型「MIRAI(ミライ)」の高度運転支援技術Advanced Drive(アドバンスドドライブ)に新機能として採用されたことも紹介し、その概要についてオンラインにて説明会を開催しました。

↑デンソーが開発したLiDARやECUを搭載することで、ハンズオフでの走行を実現するAdvanced Driveを搭載したレクサスの新型「LS」(左)とトヨタの新型「ミライ」

 

高精度ロケーター機能を有するLiDARと望遠カメラで前方200m先までを検知

新型LSと新型ミライに搭載された新しいAdvanced Driveで可能となるのは、高速道路や自動車専用道路の本線上でステアリング、アクセル、ブレーキの全てをアシストし、ドライバーはステアリングから手を離して走行することができる(ハンズオフ)というものです。また、車線変更をシステム側から提案も行い、ドライバーが周囲を確認してステアリングを保持すると自動で車線変更することが可能となりました。

↑Advanced Driveで実現する自動追い越し機能。前方に遅い車両がいるとシステムが追い越しを提案。ドライバーが承認すると追い越し行動に入り、終わると元の車線に戻る

 

今回、デンソーが発表したのは、この機能を実現するために開発された製品です。車両や道路の形状を検知する「LiDAR」、2つのカメラで前方を検知する「ロケーター望遠カメラ」に加え、高精度で自車位置を特定する「SIS ECU」、それらの製品などから得られる情報を高速処理する「ADS ECU」「ADX ECU」となります。

↑レクサスの新型「LS」とトヨタの新型「ミライ」のAdvanced Driveを支えるデンソーの製品群(資料提供:デンソー)

 

LiDARとロケーター望遠カメラはこの二つを組み合わせることで、前方200m以上先までを120°もの広範囲で検知できる製品として開発されました。中でもLiDARはデンソーにとって6世代目となる製品で、新型LSや新型ミライではこれをフロント部に装備。レーザー光の高出力化、受光センサーの高感度化により、遠方までの検出能力で世界最高レベルの性能を備えたとしています。

↑世界最高レベルの車両検知距離200mを実現したLiDARはフロントに搭載。ヒーターやウォッシャー機能も備える(資料提供:デンソー)

 

LiDARのスキャン方式はメカニカルな平面ミラーを用いており、物体を検出する水平の角度も広いことも特徴です。照射するレーザービーム間に隙間がない設計としたことで遠距離の小さな物体を見落としにくいメリットも生み出したと言います。また、デンソーとしては初めて、LiDARに汚れを落とすためのヒーターとウォッシャーを装備したことも明らかにされました。

↑フロントバンパーに埋め込められているLiDAR

 

また、ロケーター望遠カメラは、近距離用と遠距離用に2種類のカメラを搭載し、LiDARを超える長い撮像可能距離と高画素数を備えています。特に遠距離用のカメラでは検知角度を狭めることで角度あたりの画素数を向上させており、これがより鮮明な映像の実現に貢献することになったということです。

 

デンソーの先端技術を搭載したECUが高度な運転支援を可能にした

このLiDARと望遠カメラなどによって得られたデータは高精度な自車位置を特定するロケーターとして使われます。その処理の中枢を司るのが「SIS ECU」です。高精度地図データやGNSS(GPSなど全地球測位衛星システム)、6軸ジャイロセンサーから得られる位置情報と組み合わせることで、自車が走行する位置情報を車線レベルで取得。LSやミライが車線ごとに高度に制御できるのもこの技術が活きているからと言えるでしょう。

↑自車位置の高精度測位を実現する中枢が「SIS ECU」。OTA更新に対応し、高精度マップやプログラムデータのアップデートに対応する(資料提供:デンソー)

 

そして、ここで得られた車線レベルの高精度ロケーター情報は、車両を制御する「ADS ECU」と「ADX ECU」に送られます。ADS ECUのADSは「Advanced Driving System」のことで、つまり、このECUが自動運転につながる制御を行うのです。デンソーによれば、このECUは「認識/自車位置推定/運動制御などの自動運転の基本ロジック搭載」「安全性確保のため複数のSoC、MCUで冗長性を確保」する役割を備えているということです。

↑「ADS ECU」「ADX ECU」は「SIS ECU」から受け取った測位データをもとに、自動運転の車両制御を司る。冷却はエアコンの空調を使う(資料提供:デンソー)

 

↑自動追い越しの概念図。ドライバーがステアリングを保持し車線変更先を確認、承認操作を行うことで、自動的に車線変更を行う

 

↑車線が減少する際のAdvanced Driveが動作する流れ

 

↑追い越し時に大型車などが車線いっぱいに走っている際は、車線内で軽く避けて走行するアルゴリズムも備えた

 

一方、ADX ECUは「Advanced Driving Extension」を表すもので、「AIを活用した機能の追加・性能向上」としての役割を担います。加えて、いずれも通信でアップデートするOTA(Over The Air)機能にも対応しているということも見逃せません。これは現時点でこそAdvanced Driveが運転支援であるレベル2にとどまりましたが、近い将来、システムがレベル3に発展する際にはアップデートで対応できることを意味しているのです。

↑Advanced Driveはあくまで運転支援である自動運転レベル2であり、ドライバーが一定時間、前方から視線を外すと警告が出る

 

実は3月にホンダは世界初となるレベル3の型式認定を受けた新型レジェンドを発売しました。そういう状況下においてもAdvanced Driveでは、どうしてレベル2にとどめたのでしょうか。そこには自動運転に対する考え方の違いがあったと言えます。

 

自動運転の次のステップへの可能性を秘めたAdvanced Drive

トヨタ自動車は新型LSと新型ミライの発表記者会見で、「自動運転のレベルを上げることよりもドライバーが運転を安心して任せられるかどうかが重要」と、トヨタ自動車 CTOの前田昌彦氏はコメントしています。また、トヨタ先進技術開発カンパニーの「ウーブン・プラネット・ホールディングス」でCTOを務める鯉渕 健氏も「オーナーカーは自分で運転を楽しみながら、運転したくない場面を任せられるミックスされたシステムが合うのではないか」としています。

 

つまり、システムとして自動運転レベル3に対応できる伸びしろは残しつつも、まずは現時点でユーザーが受容できるシステムを提供したのが、新しいAdvanced Driveなのです。デンソーとしてはサプライヤーとして、OEMが必要とする仕様を粛々と進めていくことが基本です。ただ、そういう中でも「初期段階で先を見据えた方がトータルの面でよりコスト効果が大きい」との提案は行っていくとしました。

↑オンラインでの説明会で製品説明を行ったデンソーAD&ADAS事業部長の渡辺浩二氏と、経営役員の武内裕嗣氏

 

こうして振り返るとAdvanced Driveの開発は、インターフェースで「アイシン精機」などが参画していますが、仕様検討の段階からトヨタとデンソーが一体となって取り組むことで完成されたものと言えます。自動運転の実用化はまさに今スタートしたばかり。デンソーが自動運転の発展に果たす役割はますます大きくなっていくと言えるでしょう。

 

 

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ホンダ「シビック TYPE R」を試乗してスポーツカーの魅力について考えてみた

ホンダのスポーツモデルの代名詞的な位置付けになっているのが「シビック TYPE R」。1997年にグレードとして追加され、現行モデルは5代目となります。多くのメーカーが高性能車をテストするニュルブルクリンク北コースにおいて、FF市販車世界最速の記録を残していることを記憶している人も多いでしょう。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/シビック TYPE R

価格:475万2000円

 

搭載されるエンジンは2000ccのVTECターボで最高出力320PSと最大トルク400Nmを発生。正直なところ、公道ではフルパワーを発揮するシーンはありません。それでも、このマシン、発売から間をおかずに予定していた販売台数が終了するほどの人気を博しています。実際に最新型に試乗しながら、その理由について考えてみました。

↑ハイパワーなだけでなく、超軽量クランクトレーンや軽量アルミ製ピストンを採用し、俊敏なレスポンスと13km/L(WLTCモード)という好燃費を両立するエンジン

 

熟成の域に達したマイナーチェンジ

2020年10月にマイナーチェンジを果たしたこのモデル、次期型「シビック」の登場が噂されている状況でもあり、現行の“最終バージョン”といえる完成度。生産拠点である英国工場の閉鎖も決まっているため、今後の去就も注目されるところです。

↑歴史ある“TYPE R”のエンブレムが次期型にも受け継がれることが期待される

 

マイナーチェンジによる変更点は、まさに熟成の域に達したものです。押しの強いスタイリングはそのままに、フロントグリルの開口面積を拡大し、冷却性能の向上とダウンフォースレベルを強化。ブレーキには2ピースタイプのフローティングディスクを採用し、ハードブレーキング時のフィーリングを向上させるなど、サーキットを主舞台とするマシンらしい進化を果たしています。

↑前後バンパーの形状を小変更し、冷却性能をアップ。ダウンフォースも向上させている

 

ベースモデルは「シビック」のハッチバックですが、「TYPE R」は遠目で見てもベース車とは異なるオーラを放っています。張り出したブリスターフェンダーや大型のリアスポイラー、タダ者ではない雰囲気の20インチホイールなど、圧倒的な存在感があります。

↑大型のスポイラーだけでなく、小さなエアロスタビライジングフィンが刻まれているのが本気のマシンである証

 

サスペンション性能もブラッシュアップされています。電子制御のアダプティブ・ダンパー・システムやサスペンションブッシュのアップデートによって、ハンドリング性能を向上。スポーツ走行時のダイレクト感を増すとともに、荒れた路面での接地性・制振性も進化させています。

↑熱に強いツーピースディスクを採用することでサーキットでのブレーキフィールを向上

 

↑3本のセンター出しマフラーから響くエキゾーストノートに気分がさらに高まる

イメージカラーの「レッド」で彩られた内装

内装に目を向けてもステアリングの表皮がアルカンターラとなり、シフトノブの形状も従来の丸型からティアドロップへと変更。より操作精度を高めました。

↑ステアリングホイールは握りやすくフィット感の高いアルカンターラに

 

↑ティアドロップ形状となったシフトノブは、触れただけでシフト位置が把握しやすい

 

「TYPE R」のイメージカラーであるレッドに彩られた内装に気分を高ぶらせながら、ホールド性に優れたバケットタイプのシートに体を滑り込ませます。着座位置は低く、これぞスポーツマシンという視界。エンジンをスタートさせると、迫力ある音が耳だけでなくお腹にも響いてくるように感じました。

↑体を包み込むようにホールドするバケットシートにも「TYPE R」のエンブレムが

 

↑本気のスポーツモデルでありながら、後席の居住性も高く、シートを倒せば広大なラゲッジスペースが出現することもこのマシンの魅力

「TYPE R」はクルマを操る“楽しさ”を味わえる

6速MTのシフトを操作してクラッチをつなぐと、外観や排気音からすると拍子抜けするほどスムーズに走り出せます。街中を走らせていても乗り心地はかなり快適。マイナーチェンジ前のモデルよりもサスペンションのゴツゴツ感はやわらいでいる印象で、アダプティブ・ダンパー・システムの制御が緻密になっていることが、低速域での乗り心地にも効いているようです。

 

このマシンにはCOMFORT、SPORT、+Rの3つの走行モードがありますが、特にCOMFORTモードでの快適性が向上している印象でした。とはいえ、COMFORTといえども操作に対するダイレクトなレスポンスはスポーティーなクルマ並み。SPORTモードでは本気のスポーツカーになり、+Rモードではレーシングカーに変貌するという印象です。

↑3つの走行モードを備えるが、+Rモードはほとんどサーキット専用という仕上がり

 

混み合った街中を走っても、一昔前のスポーツカーのようにストレスを感じることがないのは、現代のスポーツマシンらしいところです。とはいえ、このマシン本来の性能の一端が感じられるのは高速道路やワインディングに足を伸ばしてから(“本領”を発揮するには、サーキットに持ち込まなければなりませんが)。とにかく操作に対してダイレクトにクルマが動いてくれるので、操るのが楽しくて仕方ありません。

 

高速道路を制限速度内で走っていても、アクセルやブレーキに対する反応が俊敏なので意のままに車体を動かすことができます。気持ち良く変速できる6MTの操作感もこれに一役買っていて、ついつい必要ない変速をしてしまうほど。コーナーではブレーキングからステアリングを切り込むと、スパッとノーズが入って思い描いたラインに乗ってくれます。そこからアクセルを踏み込んでも、ハイパワーなFF車にありがちなアンダーステアが顔を出すこともなく、むしろイン側に引っ張られるような感覚。荷重をかければかけるほどタイヤがしっかりと路面を掴んでくれるようで、ついついスピードを上げてしまいそうになります。

↑高性能のFFマシンらしく、フロントからグイグイ向きが変わっていく感覚が楽しい

 

公道での試乗だったので、このマシン本来の性能を味わうことはできませんが、その一端を感じるだけでも十分に刺激的でした。ワインディングでの試乗後はうっすらと汗ばんでいたほどで、クルマを操るのがスポーツというか一種のアクティビティであると感じられたほど。マニュアルの変速操作はもちろんですが、ステアリングやアクセル操作に対してクルマがリニアに反応する楽しさ、そしてサスペンションやステアリングから伝わってくる情報が脳を刺激する気持ち良さを味わうことができました。

 

純粋にこのマシンの“速さ”に惹かれる人も多いのでしょうが、こうしたクルマを操る“楽しさ”を味わいたくて「TYPE R」を選んだ人も少なくないのではないでしょうか。実際にステアリングを握っている間は、パソコンやスマホに向かっているときとは違う脳の回路がつながっているような感覚があり、それこそがこの時代にスポーツマシンを選ぶ価値なのではないかと思います。

↑こんなマシンがガレージにあれば、仕事の合間に少し乗るだけでも良い気分転換のアクティビティになりそう

 

SPEC【TYPE R】●全長×全幅×全高:4560×1875×1435mm●車両重量:1390kg●パワーユニット:1995cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:235kW[320PS]/6500rpm●最大トルク:400N・m[40.8kgf・m]/2500〜4500rpm●WLTCモード燃費:13.0km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

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欧州で大人気のモデル「ルノー」新型ルーテシアに迫る!

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、欧州で同クラス中、2020年に最も売れたモデルとなった、ルノーの新型ルーテシアを取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2021年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】ルノー/ルーテシア

SPEC【インテンス】●全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm ●車両重量:1200kg ●パワーユニット:1.3L直列4気筒ターボエンジン ●最高出力:131PS(96kW)/5000rpm ●最大トルク:240Nm(24.5kg-m)/1600rpm ●WLTCモード燃費:17.0km/L

236万9000円〜276万9000円

 

エンジンフィールが最高でゴルフより100万円安い

安ド「殿! フランス車も進歩しましたね! 新型ルーテシアには、衝突被害軽減ブレーキやACC(先行車追従型クルーズコントロール)が付いてました!」

 

永福「プジョー/シトロエンには2〜3年前から付いてたぞ」

 

安ド「そうでしたっけ?」

 

永福「しかし同じフランスのルノーは驚くべきことに、いままでADAS(先進運転支援システム)が何も付いてなかった。日本車なら、いまや軽でも付いててアタリマエなのに、だ」

 

安ド「僕は、フランス車はそういうハイテクが苦手なんだと思っていました!」

 

永福「苦手と言えば苦手だろう」

 

安ド「でも、初めてのACCにしては、加速も減速もスムーズで、精度が高かったですよ!」

 

永福「当然だ。中身は日産のプロパイロットだからな」

 

安ド「そ、そうなんですか! 考えてみればルノーは日産の親会社ですもんね!」

 

永福「なぜいままで親会社が子会社の技術を導入していなかったのか、それが不思議だ」

 

安ド「まったくです!」

 

永福「ルノーと日産の協業は、以前からいまひとつうまくいってなかった気もする」

 

安ド「ゴーン逮捕前からですか?」

 

永福「そういうことになるな。しかしそんなことはどうでも良い。我々はいいクルマに乗れればそれで良いのだから」

 

安ド「そうですね! 新型ルーテシアはこのクラスで欧州人気ナンバー1とのことですが、確かにスイスイとスポーティに走れて楽しかったです!」

 

永福「非常に良くできておる。足まわりも良いが、何よりエンジンフィールが最高だ」

 

安ド「4気筒の1.3Lターボエンジンですね」

 

永福「エンジンに関しては、以前からルノーと日産で共同開発しているが、このエンジンは日産GT-Rの技術によって、エンジン内部の抵抗が抑えられているという」

 

安ド「GT-Rの技術ですか!」

 

永福「そのおかげかどうかわからんが、回転の伸びがスバラシイ。日常走行もトルクフルで気持ちイイ。しかもお買い得だ」

 

安ド「エッと、一番安いグレードは約237万円ですから、国産車と大差ないですね!」

 

永福「ヘタするとフォルクスワーゲンのゴルフより100万円安い」

 

安ド「100万円もですか!」

 

永福「しかし日本ではゴルフのほうが断然売れる。ゴルフにはフォルクスワーゲンというブランド力があるが、ルノーはディーラー数が少ないし、普通の人は名前もよく知らない。ルノー車を買おうなんてあまり考えないだろう」

 

安ド「そうでしょうね……」

 

永福「実は今度、生まれて初めてルノー車を買うことにした。ルーテシアではなく、中古のトゥインゴだが」

 

安ド「殿ですら初めてですか!」

 

永福「生涯51台目にしてな」

 

【GOD PARTS 1】ラゲッジルーム

そうは見えないけどだいぶ大きくて使いやすい

パッと見たところあまり大きくは感じられない荷室ですが、数値を見る限り、先代モデルの330Lから同クラス最大級の391Lへと格段に広くなっています。さらに床面の下にも収納スペースがあり、ボードを外せば天地方向に広く使えます。

 

【GOD PARTS 2】リアドアオープナー

先代モデルから受け継ぐデザイン重視のアイテム

全体的に先代モデルとそっくりですが、リアのドアオープナー(ドアノブ)の窓枠に隠れるようなデザインは、先代から受け継がれたファッショナブルな部分です。欧州ではいまでも2ドアのほうがファッショナブルという価値観があるのです。

 

【GOD PARTS 3】センターディスプレイ

スマホと連携して本来の力を発揮する

インパネ中央に設置される7インチのタッチスクリーンでは、「Apple CarPlay」や「Android Auto」などと連動したスマホアプリを操作したり、運転モードを選択したりできます。日本車のようなカーナビは現状搭載されていません。

 

【GOD PARTS 4】乗り味

このクラスとしては十分に合格レベル

ルノー&日産グループに三菱も加わってから初の共同開発となる新型骨格「CMF-B」が採用されています。スポーティでありながら乗り味はしなやかで、ハンドリングもレスポンスが良く、高速コーナーでの安定性も高くなっています。

 

【GOD PARTS 5】ATシフトノブ

操作しやすく質感も高い

インテリアはドライバー中心のデザインが施されていて、センターコンソールはシフト部分が盛り上がった特殊な形状をしています。サッと手が届くので操作しやすく、周囲に配置された白いソフトパッドが質感を高めています。

 

【GOD PARTS 6】オーディオ操作スイッチ

ここだけのアナログ感が好印象

全体的に先代モデルより質感が上がったインテリアのなかで、ステアリング右奥に設置されているスティック状のスイッチだけ、(良い意味で)アナログ感があります。これはオーディオの操作部で、指先の感覚だけで操作できます。

 

【GOD PARTS 7】ヘッドライト

ルノーブランドの最新トレンドを採用

近年のルノーのトレンドであるCの字型が採用されています。全体的なボディデザインが先代型と非常に似ているので、見分けるにはこのライト形状が重要なポイントになります。LEDのデイタイムランプも搭載されています。

 

【GOD PARTS 8】カードキー置き場

白いカードキーを常に眺められる

ルノーでは特徴的なカード状のキーが採用されていますが、パーキングブレーキの電動化によりスペースに余裕ができたためか、センターコンソールにこのカードキーを置くスペースがあります。白なので見栄えがカッコイイです。

 

【GOD PARTS 9】エンジン

このサイズなら十分パワフルに走れる

1.3ℓの直列4気筒ターボエンジンは131馬力と、ひとクラス上のパワフルさを備えていて、このサイズの車体をスポーティに走らせるには十分過ぎる代物です。スポーツモードに変更すれば、出力特性がより高回転型に変化します。

 

【これぞ感動の細部だ!】先進運転支援システム

フランス車のエントリークラスも日本の常識に追いついた

全車速対応アダプティブクルーズコントロール(ACC)はもちろん、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報機能などが安全装備が満載されています。さらにトップグレードのインテンステックパックでは、車線中央維持支援装置や360度カメラなども追加されます。これまで欧州のエントリークラスの小型車には標準装備されていなかったので、日本のユーザーにとっては待望の安全装備充実が実現しました。

今年も豊作! 「ジャパンキャンピングカーショー2021」レポート!!

新しい生活様式の手段として注目を集めるキャンピングカー。密を避ける旅行手段としてだけでなく、リモートワークの広がりで仕事場としても活用できることで注目度が高まっています。そんなキャンピングカーが集まる日本最大のイベント「ジャパンキャンピングカーショー2021」が4月2日~4日の3日間、幕張メッセにて開催されました。軽自動車ベースのモデルから高級なキャンピングトレーラーまで、筆者が気になったモデルを紹介しましょう。

 

[軽キャンパー編]

軽自動車の規格に収まるサイズで、導入費用だけでなく維持費も安く抑えられるのが魅力です。これまでは軽バンをベースとしたモデルが中心でしたが、今年のショーでは軽トラをベースに、荷台にキャビンなどを設置したモデルも目立ちました。

 

【その1】横開きポップアップルーフで広い空間

「スマイルファクトリー/オフタイムトラベラー2 ポップアップルーフ」

こちらは軽バンのスズキ「エブリイ」がベースですが、横開き式のポップアップルーフを装備しているのが特徴。軽バンベースだと、車内空間が限られるのが欠点ですが、屋根が開いて居室になるポップアップルーフで空間を拡大できるようになっています。これまでは縦開き式のポップアップルーフが主流でしたが、このタイプは足元が狭く、寝ることはできても大人が過ごすには窮屈なものでしたが、横開き式とすることで空間にゆとりを確保。オプションを装備した展示車の価格は413万27円(ポップアップルーフなしは258万7828円)です。※以下、すべて税込。

 

【その2】落ち着けそうな和風の内装

「岡モータース/ミニチュアクルーズ遍路」

同じくスズキ「エブリイ」をベースにユニークな和風の内装に仕上がっている点に注目。リアシートを倒した空間に、畳を表皮に用いたマットを敷き詰め、フラットな空間を作り出しています。サイドの棚部分にも障子を設置し、カーテンも和風の素材を使うなど、細部まで徹底した作り込み。105Ahのサブバッテリーやエアコンも標準装備し、快適性能も忘れていません。価格は259万9300円〜で、ソーラーパネルなどのオプションを装備した展示車の価格は287万8700円。

 

【その3】格安で導入できる軽トラキャンパー

「マックレー/エルミタ LIMITEDパッケージ」

最近、注目度が高まっているのが、軽トラの荷台に設置する“モバイルハウス”とも呼ばれるボックスです。DIYで自作することもできますが、こちらの「エルミタ」シリーズは完成品として購入可能。写真の「LIMITEDパッケージ」は174万9000円ですが、最も安い「SHELLパッケージ」は108万9000円で購入できます。軽トラ自体は別途用意する必要がありますが、モバイルハウスの導入は泊まれる車内空間を導入したいと考えている人にはおすすめです。

 

【その4】個性的なデザインの軽トラベースモデル

「コイズミ/かるキャンなげっと」

スズキの「キャリイ」をベースに、フォード「F-150ラプター」をイメージしたフロントフェイスキット(16万2800円)を組み込み、4インチのリフトアップをするなど大きくイメージを変えたモデル。荷台に設置されるのはキャビンではなく「DEPLOY BOX」(74万8000円)というキャンプ道具などの収納ボックスで、その上にハードシェルタイプのルーフテント(44万8800円)を装備しています。泊まれるだけでなく、アウトドアで遊べるように仕上がったこのモデルは、乗り出し価格240万円で販売されていました。

 

[バンコン編]

トヨタ「ハイエース」、日産「NV350キャラバン」などのワンボックス車をベースにキャンピングカーに仕立てられたのがバンコンと呼ばれるジャンル。近年は商用車っぽい雰囲気を払拭したモデルや、ミニバンをベースとしたモデルが人気です。内装に木材を多用した“バンライフ”系のモデルも台数が増えています。

 

【その5】ディーラーで購入可能なメーカー純正車

「日産ピーズフィールドクラフト/NV350キャラバン マルチベッド」

メーカー自らブースを設け、このジャンルに力を入れていることを感じさせたのが日産ピーズフィールドクラフト。ファミリーユースにも人気が広がっている「NV350キャラバン」に専用のベッドキットを装着したモデルを展示していました。ベッドの表皮にシートと同じものが採用されているのはメーカー純正ならでは。ベッドは左右跳ね上げ式でオプションのテーブルを設置すれば、仕事場としても使えそう。ベッドキットはオグショー製で、跳ね上げた際に後方視界を邪魔しないのもいいところです。価格は340万3400〜で購入できます。

 

【その6】コンパクトで乗りやすく街に馴染む仕様

「日産ピーズフィールドクラフト/NV200バネット マルチベッドワゴン」

同じく日産ピーズフィールドクラフトブースには、よりコンパクトな「NV200バネット」をベースとしたモデルも展示されていました。このサイズであれば、普段の買い物などにも気負わず使えそうです。それでいて、ベッドキットを展開すれば奥行き1720mm、幅1270mmのフラットなスペースを作れるので、大人2人が横になれます。オプションにはテーブルも用意され、写真のような2トーンボディカラーを選べば商用車っぽい雰囲気も払拭できます。262万4600円〜という価格も魅力的ですね。

 

【その7】フランス生まれのバンをキャンパー仕様に

「ホワイトハウス/ベルランゴ キャンパー・ソレイユ」

スペース効率に優れた輸入車として注目されているシトロエンの「ベルランゴ」。そのキャンパー仕様が早くも出展されていました。セカンドシートを倒して実現するフラットなスペースのほか、ポップアップルーフを装備し、車内で4人が就寝可能。就寝スペースの下にはスライド式の収納も備えていて、そこをアウトギャレーとして活用するオプションも用意されています。車内のスペースをアウトドアスペースとして拡大できますよ。価格は449万3500円〜。

 

【その8】キャンピングカーのリアルな使用感がわかる

「TOY-FACTORY/BADEN Casa Homestyle Edition」

スタッフが実際にプライベートや通勤で使っている車体を展示していたのがTOY-FACTORYのブース。ベース車両は「ハイエース」のキャンパー特装車で2.7Lガソリンエンジンの4WDなので、様々なシーンで活用できそう。キャビン部分はベッド展開できるほか、車体後部にもベッドを装備し、5人が就寝可能。車両本体価格は668万円、インバーターや電子レンジ、大型ナビなどのオプションを装着した展示車の価格は885万1100円です。

 

【その9】商用車をオシャレな車中泊仕様に

「GORDON MILLER MOTORS/GMLVAN-C01JSF」

「ハイエース」や日産「NV200」などの商用バンをベースに、ウッド素材で内装をリファイン。GORDON MILLER MOTORS(ゴードン ミラー モータース)は、フロントフェイスなどの外装も変更することで商用車っぽい雰囲気を払拭した車中泊仕様車をリリースしています。今回紹介したいのは、journal standard Furniture(ジャーナルスタンダード ファニチャー)とコラボしたモデル。「NV200」をベースに、車内をフラットにできるようにカスタマイズし、シートにはオリジナル生地を採用することでオシャレな雰囲気に仕立てています。価格は2WDで421万3000円、4WDは465万3000円です。

 

[キャブコン・バスコン・トレーラー編]

トラックなどをベースにキャビンを架装したのがキャブコン。マイクロバスをベースとしたものがバスコンです。バンコンに比べて車体が大きく、車内で立てる空間を確保するなど居住性が高いのがメリットです。クルマで牽引するキャンピングトレーラーも人気が高まっているジャンル。価格を抑えたモデルから超豪華なものまで選べるのが特徴です。

 

【その10】アウトドア派やペットと一緒に旅したい人に

「VANTECH/CORDE RUNDY」

キャブコンのビルダーとして幅広いモデルを展開しているVANTECH(バンテック)が新たにリリースしたのが「CORDE RUNDY(コルドランディ)」。リビングスペースは1860×1390mmの広大なベッドスペースに展開可能なほか、エントランスの床部分には防水加工を施し、汚れたら水洗いが可能です。アウトドアアクティビティを楽しみたい人や、ペット連れで旅をする人にはありがたい装備。運転席上のロフトベッドは左右に振り分けたツインタイプとなっているのも新しい提案です。価格は765万3000円。

 

【その11】運転のしやすさにも配慮したバスコン

「RVグランモービル/トラッド699」

トヨタのマイクロバス「コースター」をベースに、内装をキャンパー仕様としたモデル。キャビンの奥には2つの常設ベッドを備えるほか、リビングスペースもベッド展開が可能で大人3人が就寝できます。それでいて、9人が乗車可能なように前向きの座席も残しており、窓も塞がずに運転もしやすいように配慮。3世代の家族で出掛けて、若い世代は外でキャンプするような使い方を想定しているとのことです。価格は1188万円。

 

【その12】こんなリビング空間を持ち運べる

「ケイワークス/X-cabin 300」

トレーラーには牽引免許が必要なモデルもありますが、「X-cabin 300」は750kg以下の普通自動車免許で引くことができます。キューブ型のシルエットもユニークですが、内装もシンクやトイレなどの水回り装備を廃してシンプルなリビング空間を実現しています。広いソファはベッド展開も可能で、広がりを感じる作りは牽引免許不要なモデルとは思えない完成度。キューブ型の形状を活かした設計です。価格は473万円〜。

 

【その13】ビジネスシーンにも対応できるハイグレードラウンジ

「ニートRV/ウィネベーゴ ボヤージュ フィフスホイール V3436FL」

全長11.95mというサイズに驚く巨大トレーラー。フロントリビング部分などは引き出すように左右のスペースが拡大可能で、内装も移動可能とは思えないほど豪華な作りです。エアコンや温水シャワーはもちろん、ガス式の温水装置やヒーターなども備え、快適な居住が可能。キングサイズのベッド(オプション。標準はクイーンサイズ)や広いキッチンもあり、完全に“住める”装備で、価格も1232万円〜と家並みとなっています。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

三菱「デリカD:5」が叶える夢! 家族でアウトドア、みんながやりたいコトは丸ごとおまかせ

悪路も難なくこなす高い走破性は家族揃ってのアウトドアに、運転のしやすさや広い室内は普段の生活に重宝する三菱のデリカD:5。それぞれのやりたいコトに応えてくれる広い懐を持つこのクルマは、家族みんなの夢を叶えてくれる“心強い相棒”だ!

 

【今回紹介するモデル】

三菱

デリカD:5

391万3800円〜448万9100円

独特のフロントマスクが力強さを演出するミニバン。より高い駆動力を後輪に伝えることで強力な直進性と高い走破力を発揮する4WDロックモードを搭載する。高いトルクを発生し、パワフルな走りを実現するクリーンディーゼルエンジンも、デリカD:5の魅力だ。

SPEC【P・8人乗り】●全長×全幅×全高:4800×1795×1875mm ●車両重量:1980kg ●パワーユニット:2267cc4気筒ディーゼルエンジン+ターボ ●最高出力:145PS(107kW)/3500rpm ●最大トルク:38.7kg-m(380Nm)/2000rpm ●WLTCモード燃費:12.6km/L

 

【三菱「デリカD:5」を写真で紹介!(画像をタップすると閲覧できます)】

 

三菱「デリカD:5」の詳細はコチラ!

 

毎日使えて楽しめるから、デリカD:5はフル稼働!

ミニバンは室内が広く多くの人が快適に乗れるクルマだが、ウチのデリカD:5はそれだけじゃない。川の源流近くにある好スポットへ行くためには凸凹の多い山道を通るが、高い走破性を備えた4WDのデリカD:5なら楽勝。息子も大物をゲットすると意気込んでいる。もちろん普段の買い物や送迎時にも大活躍。車高が高く、前の見切りが良いので運転しやすいとママからも好評だ。

 

テレワークが多くなった私も、デリカD:5の広い室内を生かして仕事をすることが増えてきた。2列目のシートに座れば、PC作業もラクに行える。クルマを走らせれば良い気分転換にもなり、仕事もはかどっている。

 

でも週末はバーベキューが何よりも楽しみ。料理に目覚めた娘は、自慢のウデを振るうそうだ。

 

家族みんなのやりたいことを実現できるデリカD:5は毎日フル稼働する心強い相棒。このクルマなしの生活は考えられない!

 

<週末はやっぱりバーベキューがやりたい!>

【パパがやりたい、こんなコト】

気分を変えて車内で仕事、次はキャンプ場でテレワーク

2列目シートは足下も余裕で、ゆったりした姿勢でPC作業ができるのがうれしい。今度はデリカD:5の高い走破性を生かして、山奥のキャンプ場でワーケーションをしてみたい!

 

【ママがやりたい、こんなコト】

買い物や送迎に大活躍! 好きな観葉植物も運べる

普段の買い物や子どもの送迎に便利。3列目シートもしっかりしていて、子どもの友だちも余裕で乗せられる。背の高い観葉植物も、室内高が高いデリカD:5ならラクに載せられ便利!

 

【ワタシがやりたい、こんなコト】

アウトドアに合うメニューで家族みんなを驚かせたい!

用意する食材が多くなりそうだけど、ママがデリカD:5ならたくさんの荷物を載せられるから平気だって。最近覚えたメニューで、アウトドアに合う美味しい料理を作ってみたい!

 

【ボクがやりたい、こんなコト】

みんなが知らない穴場で大物を釣り上げたい!

パパが川の源流に近い場所に絶好のポイントがあると教えてくれた。普通のクルマだと行けないポイントだけど、デリカD:5なら凸凹な道も平気。早く行って大物を釣り上げたい!

 

【プロも太鼓判!】デリカD:5は唯一無二のミニバンだ!

モータージャーナリスト
岡本幸一郎さん

初代デリカと同じ1968年生まれの日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。国内外のあらゆるカテゴリーを網羅する。

 

ミニバンとSUVのイイトコ取り、たっぷり載せてどこでも行ける

ミニバンとSUVを融合した独自のキャラがこれまでも多くの人から熱烈に支持されてきた1台。条件を問わず便利で快適に使えて頼りになる稀有な存在だ。最新版の洗練された走りや充実した装備には感心するほかない。

 

SUVと共通の電子制御4WD、最低地上高185mmを確保

外見はミニバンだが中身はSUVそのもの。本格的な四輪駆動システムを搭載し、最低地上高も185mmを確保しているのでどこでも行ける。

 

「AWC」と呼ぶ三菱独自の車両運動統合制御システム

前後の駆動力配分や4輪の駆動力と制動力を、個別にきめ細かく制御する独自システム。あらゆるシーンで正確に狙ったラインをトレース可能。

 

三菱初の尿素SCRを採用したクリーンディーゼルを搭載

パワフルでスムーズな新開発のディーゼルエンジンと8速のスポーツモードATの相乗効果は絶大。いたって軽やかな加速フィールも心地良い。

 

上質でプレステージ性へのこだわりを感じさせる空間

わかりやすい高級感のあるインテリア。快適装備類やインフォテインメント系も充実している。キルティング柄のシートは着座感も上々だ。

 

イラスト/安谷隆志(YDroom)

 

三菱「デリカD:5」の詳細はコチラ!

自動運転バスがフードデリバリーもする! 掛け合わせのフェーズに入る「自動運転の実証実験」をレポート

〜〜WILLERが行った自動運転サービスの実験とは〜〜

 

自動運転機能の発展は目覚ましいかぎりだ。そうした技術力の向上に合わせるかのように、各地でさまざまな実証実験が行われるようになっている。今回は東京の東池袋で始まった、自動運転車両を利用した実証実験を見る機会を得た。

 

そこで目にしたのは、自動運転車両をさらに他のサービスに活かすという段階へレベルアップし始めていることだった。どのような実験内容なのか写真を中心に追ってみた。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

【はじめに】日進月歩で進歩する自動運転。さらに次のステップへ

本サイトでは、2年ほど前に路線バスの自動運転実験の様子をレポートした。そこでは路線バスの車体を使って、一定区間を往復するという実証実験が行われていた。通常に利用されるバスながら、自動運転に対応した機器を搭載し、予定ルートの情報をインプットすれば、そのプランに合わせて自動的に走るというものだった。とはいえ、ドライバーは運転席に座り、ハンドルは触らないものの、いざという時に備えた姿勢を取り続けていた。

 

さらに予期せぬことが起きた場合には自動運転を解除して、手動運転を行うものだった。あくまで自動運転のシステムの確認および、レベルアップを図るための実証実験でもあった。

 

【関連記事】
大型バスにも自動運転の時代が到来!?「相鉄バス」実証実験レポート

 

これまでの自動運転実験は、バスを動かすということにポイントが置かれていた。予定の道路をスムーズに走れるか、動かせるか、停止するかどうか、というための確認という意味が強かった。しかし、ここ数年でその領域は終わり、次のレベルに向上しつつある。自動運転車両をどのように社会や人々の暮らしに活かしていくか、という段階に入ってきている。

↑東池袋で行われた実証実験に使われた小型バス。NAVYA ARMAという自動運転シャトルバスが使われた(詳細後述)

 

今回のWILLERが行う実証実験は、自動運転をさらに社会サービスに活かすことを目指すために行われたもの。同社のプランは東京都の「令和2年度自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」に選ばれた。つまり、自動運転車両を次のビジネスモデルへ活かすという領域を目指そうというプロジェクトなわけだ。

 

具体的には3月10日から16日にかけて1週間にわたる実証実験が、東京都豊島区の「としまみどりの防災公園(愛称:IKE・SUNPARK=詳細後述)」周辺の公道で行われた。地域の公共交通やサービスと連携した自動運転システムの構築に向けての実証実験となった。百聞は一見にしかず、具体的な実験の模様をレポートしたい。

 

【実証実験レポート①】実験が行われたIKE・SUNPARKとは?

さて、自動運転の実験が行われる東池袋の「としまみどりの防災公園」。池袋のランドマーク、サンシャインシティの東どなりに広がる公園だ。愛称は「IKE・SUNPARK」で、広々した芝生公園を中心に、デザイナーの水戸岡鋭治氏がプロデュースした「としまキッズパーク」や、カフェ、軽食のテイクアウトショップが点在する。訪れた日は気温が20度まであがり、絶好の公園びより。親子連れも多く見かけた。

 

同公園は、池袋駅から歩いて15分ほど、東京メトロ東池袋駅から徒歩5分ほどだ。ちなみに池袋駅からは「IKEBUS」というおしゃれな小型バスが走っている(乗車運賃:1乗車大人200円)。このIKEBUSを運行するのが、今回、実証実験を行うWILLERだ。IKEBUSは赤いバスで、水戸岡鋭治氏がデザインを担当している。10輪(片側5輪)の風変わりな形の小型バスで、屋根の上にはかわいらしい「イケちゃん」が乗っている。

↑2020年秋に開園した「としまみどりの防災公園」。園内に「としまキッズパーク」(左上)やテイクアウトフードを提供するお店も(右下)

 

WILLERという会社の概要を紹介しておこう。WILLERは「移動」をマーケティングし、テクノロジーを使って「移動」を変えていく会社とされる。実際にサービスとして提供しているのが、全国に高速バス網を展開している「WILLER EXPRESS」や、東京都内では「IKEBUS」という“まちなか交流バス”を、さらに、京都府北部と兵庫県北東部を走る「京都丹後鉄道」で列車の運行も行っている。

 

移動をマーケティングする会社だから、自動運転を走らせるだけでなく、走るエリアのニーズや目的に合わせた新たな移動サービスの提供をすべく、その有効性を検証しようという、今回の実験となった。

↑池袋駅からIKE・SUNPARKへはIKEBUSが便利。公園中央にバス停がある。10輪のかわいい赤いバスで1乗車は大人200円

 

【実証実験レポート②】実験に使われた小型バスNAVYA ARMA

IKE・SUNPARKの公園内に停まる白い小型のバス。今回、実証実験に使われるNAVYA ARMA(ナビヤ・アルマ)と呼ばれる車両だ。NAVYAは2014年創業のフランスの会社で、すでに自動運転シャトルバスや、空港で使う自動運転トーイングトラクターの生産を行っている。自動運転シャトルバスは20か国で使われていて、日本国内でも同社の自動運転車両が、すでに導入され活用されている例もある。

 

どのような車両なのか、車体の外観は、前述の写真を見ていただくとして、ここでは細部を写真で追ってみよう。

↑フロント中央に2D LIDARというセンサーが付く。車両位置の把握や障害物を検知する。フロントパネル右上に電源コンセントがある

 

↑車体上部の前面に付くのは3D LIDARというセンサー。円形部品の一つはGNSSアンテナ(人工衛星からの受信機)で、もう一つは通信用アンテナ

 

↑車両を真横から見る。このように乗降ドアは左右に開く。開口部は広く、乗り降りしやすい造りだ

 

自動運転機能の専門的な説明は、ここでは省略するが、最新のバスらしくおもしろい話しを聞くことができた。

 

天井部に通信用のアンテナがついている。このアンテナでは、随時、情報が取り入れられ、データなどのアップデートが行われているというのだ。シャトルバスなのだが、パソコンと同じで、随時、最新のデータに更新され、走行に活かされているというのである。アンテナは将来的に遠隔操作にも活用できるという。これまでの交通機関とは異なる新しさが、自動運転車両には隠されているわけだ。

 

ちなみに今回の自動運転レベルは、レベル2と言われるもの。レベル1の運転支援(自動ブレーキ、前のクルマに付いて走る、車線からはみ出さない)よりもワンランク上で、ドライバーによる監視が必要なシステムながら、特定条件下での運転機能までは認められている。レベル2の高機能化された運転機能とは、車線を維持しながら前のクルマに付いて走る、遅いクルマがいれば自動で追い越す、高速道路の分合流を自動で行うなどだ。

 

【実証実験レポート③】車内は広い! だがハンドルはない!

さて、乗降ドアが開き中を見せてもらう。ガラス窓が広く明るい。車内では鉄の太い棒・ロールバーが前後左右にあり、いかにも頑丈そうだ。さて車内を見渡すと運転スペースには……。

 

あれーぇ? ハンドルがない。これまで自動運転バスを見たことがあるが、どのバスも“一応は”ハンドルが付いていた。この自動運転車両にはハンドルがないのだ。

 

ハンドルの代わりにコントローラーが用意されていた。筆者はゲームには詳しくはないものの、ゲーム機のコントローラーが使われているそうだ。ハンドルというどのクルマにもある“常識”が自動運転車両には、あてはまらないわけである。

↑ドアの開閉ボタンは大きく丸い造り。両側に開くドアの造りで、床は低く乗り降りしやすい

 

↑通常ならば定員は14人。今回は、コロナ禍もあり少ない乗車人数で公開が行われた。ハンドル代わりにコントローラーが付く(左下)

 

【実証実験レポート④】自動運転のバスに乗車してみると

今回の実験ではIKE・SUNPARK周辺の公道を含む1周半約1.4km(約15分間)のコースと、1周約600m(約8分)のコースを走る。報道陣への公開では1周を走るコースの乗車を体験することができた。最高時速19kmと低速ながら、都内の混みがちな道路であり、また工事箇所もあり、自動運転の実験には逆に役立ちそうだと感じた。

 

最初に外から走る様子を見たところ、2〜3歳児のよちよち歩き的な印象はあった。しかし、実際に乗ってみると、まったく異なりスムーズさが感じられた。時速は19km以下と抑えられていたが、加速感、減速感が感じられる。

↑東池袋の公道を走る自動運転バスNAVYA ARMA。これだけ周りにバスやトラックがいても問題なく自動運転が可能でスムーズに走る

 

↑フロントガラスは広々。安全確認を行うセーフティオペレーターは立ったまま前方をチェックしているが、バスはほぼ自動で走る

 

↑後部座席からみた背景の様子。ガラス窓は広く、障害物が無いため写真のように後ろがよく見える

 

公道をひとまわり、公園に入る段差の前で、運転手(同車両ではセーフティオペレーターと呼ぶのだそう)が、コントローラーを微妙に動かしていた様子がうかがえた。運転終了後に聞いたところ、これは、歩道を歩く歩行者がいたので、一応、自動運転を解除して、手動にして走ったのだそうだ。

 

センサーが歩行者を感知し、急ブレーキがかかることがあると言う。なるほどと思った。とっさの時には通常のバスでも急ブレーキが使われることがある。自動運転バスでもそれは同じで、機械がそれを感じたら急ブレーキがかかる。今回は、報道陣への公開ということで運転手が気をきかして、穏やかな運転で走るように、そうした操作していたのだった。

 

【実証実験レポート⑤】テイクアウトを運ぶツールとして利用を

自動運転車両の実験では、どうしても自動運転のバス自体に目がいきがちになる。だが、今回の実験は、他のサービスに関してのウェイトが高い。その一つは自動運転車両を使っての「デリバリーサービス」だ。どのようなサービスなのか、概要を見せてもらった。

 

まずはアプリを使い店舗に食事をオーダーする。オーダーが店のスタッフのタブレット端末に表示される。その表示に合わせて、テイクアウトメニューを用意する。それがどのようにオーダーした人に渡るのだろうか。

↑まず料理をアプリで店に発注する(右上)。店のスタッフのタブレットに「新しい注文が入りました(右下)」という表示が出る

 

店のスタッフは自動運転のバスが到着するまでにメニューを用意。そのバスが到着したら、そのバス内にあるデリバリー専用ボックスにメニューを積み込む。積まれたバスは自動運転して走り、オーダーした人が指定した受け取り場所まで運び自動停車。オーダーした人は、止ったバスに乗り込み、デリバリー専用ボックス内に載せたメニュー(商品)を受け取る。東池袋ではこうした内容のサービスを想定した実験が行われる。

↑店の人がバスのデリバリー専用ボックスに料理をいれる。自動運転したバスが近づくとアプリで表示(下円内)、発注主が受けとる

 

このシステムならばアプリをインストールしておけば、発注した人が外にいても受け取れる仕組みで便利だ。さらに将来、活用範囲が広がれば、より便利になりそうだシステムと感じた。

 

【実証実験レポート⑥】ルート検索して自動バスから路線バスへ

デリバリーサービス以外に、自動運転車両と公共交通機関の乗り継ぎがスムーズに行えるように実験が行われている。

 

WILLERのアプリを入れて試してみた。IKE・SUNPARKの外れにいたとして、池袋駅まで行く場合。アプリには地図画面があって、持ち主の場所がまず表示される。そして駅を行先としてインプットする。自動運転バスが同地点に向って乗客を乗せて、乗り継ぎ地点へ。ここでIKEBUSに乗換えればゴールの池袋駅へ到着するというわけだ。

 

アプリにはこのルートを利用すれば、○時○分に到着するという情報も検索される。到達時間も出てくるので便利だ。

↑上のアプリ表示のように地図検索すると、乗り継ぎ情報が出る。検索情報の通り自動運転車両からIKEBUSに乗換えれば便利というわけだ

 

公共交通機関の自動運転技術は、ドライバー不足などの理由から研究され、進歩しつつある。将来的には、バスの運行センターなどの施設で、オペレーターが管理運行することにより自動運転の車両が多く走ることになるのだろう。このことにより、都市部のバスはもちろん、利用者が少なくなった路線や、過疎化が進む地方の路線も、廃止されることなく、バスの運行なども持続が可能になっていく。

 

さらに、今回実証実験を行うサービスなどに拡大され導入されていけば、自動運転車両が走る沿道ならば、デリバリーが容易に利用できるようになる。また乗り継ぎ情報も同じことだろう。こうした自動運転システムを使ったサービスは他にも多様な広がりを持ちそうである。どのような世界に広がっていくのか期待が膨らむ。

新時代の電気シティコミューター、Honda eの実力とは?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、昨年ホンダが打ち出した新時代の電気シティコミューター、Honda eを取り上げる。絶賛か、はたまた酷評か?

※こちらは「GetNavi」 2021年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今回のGODカー】Honda/Honda e

SPEC【Advance】●全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm ●車両重量:1540kg ●パワーユニット:電気モーター ●最高出力:154PS(113kW)/3497〜10000rpm ●最大トルク:315Nm(32.1kg-m)/0〜2000rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):259km

451万円〜495万円

 

価格を高くして、販売台数を絞る理由とは

永福「安ドよ。このクルマ、どうだ」

 

安ド「欲しいと思いました!」

 

永福「そうか……」

 

安ド「過去1年間に乗ったニューモデルのなかで、一番欲しいと思いました。同じEVでも、テスラなんかよりずっとおしゃれじゃないでしょうか!」

 

永福「ワシもそう思う」

 

安ド「殿もですか!」

 

永福「このクルマは貴族だ」

 

安ド「貴族ですか!」

 

永福「シンプルでとても気品がある。本物の貴族はシンプルな服を着ていると聞くが、まさにそれだ」

 

安ド「本物の貴族に会ったことはありませんが、そうなんですね!」

 

永福「わしも会ったことはない」

 

安ド「ガクッ! でもインテリアは、シンプルというより超ハイテクなイメージですね」

 

永福「ドアミラーはデジタル表示だし、インパネの右から左まですべて液晶パネル。助手席前のパネルは何を映すのかと思いきや、ステキな庭園風景の壁紙などで、それはそれで癒されるものだな」

 

安ド「走りも良かったです! 小回りも利きますし」

 

永福「しかし安ドよ。このクルマを買ってはならない」

 

安ド「僕は買いたくても買えませんが、なぜですか?」

 

永福「ホンダさんが、買わないでくれと言っているからだ」

 

安ド「そんなことを言ってるんですか!?」

 

永福「内心はそう思っているに違いない」

 

安ド「確かに価格は高いとは思いますけど」

 

永福「上級グレードのアドバンスだと約500万円。日産リーフと比べて、ぶっちゃけ100万円くらい高い。しかも日本では年間たったの1000台しか売らない。これは『買うな』ということだ」

 

安ド「いったいナゼでしょう!?」

 

永福「近い将来バッテリー革命が起きる。現在のリチウムイオン電池は、全固体電池(※)に取って代わられる。となると性能は大幅に向上し、逆に価格は下がっていく」

※:電流を発生させる電解質を従来の液体から固体にした電池で、発火や液漏れのリスクがなくなり安全性が向上する。過酷な環境で使われることが多いEVの動力として期待されている

 

安ド「Honda eのバッテリーもそれになるんですか?」

 

永福「なるだろう。ひょっとして、最初からそれを前提で設計しているかもしれない。つまり現在のHonda eは仮の姿。航続距離の短さもそれが原因だ」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「今回はとりあえず、『電動化にも取り組んでいますよ』という企業姿勢を見せることが目的で、本音ではあまり売りたくないのだ。なぜなら、今のHonda eを買うと損するからだ!」

 

安ド「損するんですか!」

 

永福「数年後には、大幅に性能が向上し、価格も安くなった本物のHonda eが登場する。だからいま買うと損をする。ホンダとしてはお客様に損をさせたくない。だからこんなに価格を高くして、販売台数も絞っているのだ!」

 

安ド「さすが殿、慧眼です!」

 

永福「すべて憶測だ」

 

安ド「ガクッ!」

 

【GOD PARTS 1】インパネ

ディスプレイが並んだ未来感溢れる室内風景

インパネの端から端まで複数の大型ディスプレイが並べられています。もうこれだけで圧倒的な未来感が感じられますが、どのディスプレイも高精細で非常に見やすいことにも驚かされます。

 

【GOD PARTS 2】ファブリックシート

特別な素材感を持つソファのようなシート

「メランジ調」と呼ばれる高級感と温かみの感じられる素材感が再現されている特別なシートは、まるで柔らかなソファのようなイメージです。ただし長時間乗ってみると、乗り心地が特別良いというわけではないようですが。

 

【GOD PARTS 3】センターコンソール

温かみのある木目で未来すぎない空間に

インパネやこのセンターコンソールの表面にはウッド調の素材を用いて、未来的で冷たいイメージになりがちな車内に温かみをもたらしてくれています。前方の革ベルトを引くとドリンクホルダーが出てきます。

 

【GOD PARTS 4】前後ドアノブ

まるで何もないように面へ溶け込んだ形状

フロントのドアノブはポップアップして使う仕様になっており、リアのドアノブもリアウィンドウの後端に溶け込んでいます。どちらもボディ全体のつるんとしたスタイリングと一体化しているのです。

 

【GOD PARTS 5】ヘッドライト&リアライト

同形状にまとめられた前後デザイン

フロント

リア

フロントとリアのライトまわりがそっくりです。前後で対になっているデザインというのは珍しくておしゃれですね。価格はあまりかわいくないですが、スタイリングは「おしゃれ」や「かわいい」だらけです。

 

【GOD PARTS 6】スマホ連携

当然のように採用されたイマドキカーのトレンド

最新のEVらしくスマホ連携機能が搭載されていて、ドアロックやエアコン、カーナビなどを車外からでもスマホで操作できます。愛車の位置も表示できるので、広い駐車場などで便利です。

 

【GOD PARTS 7】バッテリー

低い重心を実現してスポーティな走りを実現

車体下部にはリチウムイオンバッテリーが搭載されています。おかげで重心が低くなり、走行フィールも軽快です。後輪駆動なことも含めて、走りの楽しさを忘れないホンダらしいEVと言えます。

 

【GOD PARTS 8】パーソナルアシスタント

話しかけると浮かび上がる謎キャラクター

メルセデス・ベンツの「ハイ、メルセデス!」でかなり一般的になった音声認識システムですが、Honda eでは「オーケー、ホンダ!」と声をかけます。すると、謎のキャラクター(写真)がディスプレイに登場して応対してくれます。

 

【GOD PARTS 9】充電ポート

給油とは違った特別な感覚を演出

充電ポートはボンネットフードの前方中央に設置されています。フタの表面はガラス製になっていて、給電中は内部のLEDが発光するなど、ガソリン車への給油とはひと味違った特別感や未来感が演出されています。

 

【これぞ感動の細部だ!】サイドカメラミラー

見にくそうだが慣れれば実用性はかなり高い

量産車としては初めてカメラミラーシステムが標準搭載されています。車内には6インチのモニターが設置されていますが、画角が広く、画像もかなり鮮明です。バック時の操作感など多少の慣れは必要ですが、従来のアナログサイドミラーと比べても実用性は劣りません。むしろ夜などは風景が明るく表示されて視認性が高いので、使い勝手では勝っているかもしれません。

新型ルノー「キャプチャー」は何が進化したの? クルマ視点とモノ視点、2人のプロが語る超濃厚レポート

ルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」が2代目へとフルモデルチェンジした。先代は全世界で170万台をセールスし、コンパクトSUVのパイオニアともいえるモデルだ。新型モデルは2019年から本国フランスをはじめヨーロッパで販売されており、こちらも大ヒット中! 2020年のヨーロッパ販売台数では、SUVではナンバーワンを獲得している(※1)。

※1:2020年1~12月 ヨーロッパ27か国におけるSUVモデルの販売台数。JATO Dynamics Ltd 調べ。

 

本記事では、2月25日からスタートする国内販売を前に、エクステリアデザイン、インテリアデザイン、走行&動力性能、使い勝手、先進技術の5方向から同車を解説。本サイト編集長の山田佑樹と、モータージャーナリストの岡本幸一郎さんによるダブルインプレで魅力を掘り下げていく。

 

【今回紹介するモデル】

ルノー

キャプチャー

299万円(インテンス)〜319万円(インテンス テックパック)

SPEC【インテンス テックパック】●全長×全幅×全高:4230×1795×1590mm ●ホイールベース:2640mm ●車両重量:1310kg ●パワーユニット:1.3L直列4気筒直噴ターボエンジン ●最高出力:154PS(113kW)/5500rpm ●最大トルク:270Nm/1800rpm ●WLTCモード燃費:17.0km/L

 

【新型ルノー キャプチャーのディテールをギャラリー形式で紹介!(画像をタップすると詳細が表示されます)】

 

新型ルノー「キャプチャー」の詳細はコチラ

 

【その1:エクステリアデザイン】

「360度全方位、スキがなくなった」(岡本)

「シームレスであり、ニューノーマルな一台」(山田)

新型ルノー キャプチャーでまず触れたいのがエクステリアデザインである。よりSUVらしいダイナミックさを獲得しながらも、洗練された都会的な佇まいはキープ。これについて岡本さんは「初代譲りのやわらかな面と、初代にはなかった鋭い線が織りなすボディパネルの面構成が絶妙。360度全方位、スキがなくなった印象」と解説。

↑ボディサイドは絞り込まれるような複雑な面構成をしていて洗練された印象を醸し出す

 

↑ボンネットにはプレスラインが入り、こちらも躍動感を感じさせる

 

山田もこのデザインは感銘を受けた模様。

「フォーマルもカジュアルもイケるデザイン。高級ホテルのエントランスでもサマになるし、オートキャンプ場でも絵になる。一方で、スーパーの駐車場に止めても溶け込みます。ひとつの要素をやりすぎず、すべてが調和しているから風景と調和。シームレスな存在であり、シームレスはニューノーマルの時代の重要な要素です」(山田)

 

より細かい箇所に関しては山田と岡本さんのミニ対談をご覧いただきたい。

山田「SUVでデザイン的な個性を出そうとすると、エグさというかやりすぎちゃうことありますよね」

岡本「ですね。奇抜なデザインも悪くないですが、キャプチャーはあくまでオーソドックス。わざとらしい感じがしない」

山田「それはどのあたりが肝になっていますか?」

岡本「結局、ひとつひとつの積み上げなんですよね。C型をした前後ランプ類のデザインで統一性を出す/フロントパンパーのダクトでクルマをよりワイド&ローに見せてアクティブさを出す/リアパンパーにもダクトパーツを装着して統一感を出すなど、すべてに意味があります」

↑Cシェイプのライトシグネチャー
↑フロントバンパーのエアディフレクター
↑リアのランプもCシェイプで、リアバンパーにはエアアウトレットの造形を採り入れている

山田「フレンチSUVは1日にしてならず、ですね」

岡本「ええ。しかも、フロントバンパーの機構はフロントホイールハウス部分を整流し燃費を稼ぐ効果もあって、ちゃんと機能も持ち併せています」

山田「機能美もあるということですね。ちなみに、モノ目線で言うと、オン・オフ問わないは最新のキーワードなんです。近年、スポーツブランドが次々とビジネスウェアを出していて、ジャージのような着心地のスーツが流行っています。オン(=ビジネス)なんだけど、オフ(=プライベート)もイケる。キャプチャーもまさにそんな感じ」

岡本「なるほど」

山田「だから、フォーマルな場に連れていっても、カジュアルな場所に連れていっても映える。同時に、年齢もシームレスなんですよね。カップルやファミリー層にも合う、子育て卒業世代にも合う。ベースがエグくないから、使い方の色付けは、その人それぞれ、白紙のキャンバスみたいなクルマです」

↑ホイールの意匠もやりすぎない程度に個性を主張。タイヤサイズは前後とも215/55R18

 

【その2:インテリアデザイン】

「フライングセンターコンソールの素晴らしさ」(岡本)

「廃れることのないハンドスピナー」(山田)

新型ルノーキャプチャーで最も変わったのはインテリアだろう。運転席側に少しだけ向いたコクピット、肌に触れる部分に多用されるソフトパッド、ピアノブラックで引き締まったデザインのディスプレイ、デジタル化したメーターなど、見るべきポイントがたくさんある。

 

↑デジタルメーターは、運転モードや照明をカスタマイズできる「ルノー・マルチセンス」で表示を変えられる。写真は中央を速度計にしたもの

 

↑7インチ マルチメディア イージーリンク。スマホとつなげてApple CarPlayやAndroid Autoを利用できる

 

ただ、これらは、ベース車両となるルーテシアでも同じ手法で進化。新型ルノー キャプチャーではさらに、キャプチャーらしいこだわりが随所に仕込まれている。岡本さんが挙げたのは、シフトがまるで宙に浮いたような造形の「フライングセンターコンソール」だ。

 

「フライングセンターコンソールは見た目にも印象的なうえ、機能面でも実に合理的。SUVらしくアップライトなドライビングポジションにも合っています。ちょうど良い高さにシフトノブがあるので、運転時にわざわざ見なくても操作ができます」(岡本)

↑フライングセンターコンソール。シフト部分が宙に浮いたような造形が特徴的

 

↑シフト下の空間は小物入れになっており、ワイヤレス充電に対応

 

山田の感想はどうだろうか。

キャプチャーは触覚に訴えかける稀有なモデル。ソフトパッドの質感がとにかく気持ちいい。例えるなら、廃れることのないハンドスピナーのよう。ハンドスピナーは一時的なブームで終わってしまったが、こちらはずっと触っていたくなる。肌に触れるところが気持ちいいと空間全体の居心地がよくてずっと居たくなる」(山田)

↑ドアトリムやグローブボックス上部、肘掛け部分など肌が触れる場所に柔らかな手触りのパッドを配置

 

ここでも、より細かい箇所に関しては山田と岡本さんのミニ対談をご覧いただきたい。

岡本「いまやBセグメント(※2)でもアンビエントライト(室内の間接照明)が使われるようになったことに時代を感じます」

※2:プジョー208シリーズ、フォルクスワーゲン ポロ、国産車ではトヨタのヤリスやホンダのフィットが当てはまるコンパクトカーの分類

山田「そこから来ますか! 確かに、Bセグはあくまで実用車であり『演出する』というのは、二の次でした」

岡本「そうなんです。いま、フランスのBセグ車は『良い戦い』をしています。かつてBセグは、小柄なBセグのほうがよい人はもちろんとして、Cセグを買えない人が選ぶ意味合いが大きいクラスでした。ところが最近、大きくなり過ぎたCセグを嫌って、積極的にBセグを選ぶ人が増えています」

山田「なるほど」

岡本「それを受けて、各社がBセグに力を入れるように。際立つのがフランスのブランドです。ドイツ勢はどちらかというとCセグ以上がメインですが、フランス勢はBセグは譲らないとばかりに力を入れて、Cセグのダウンサイザーが購入しても不満に感じないよう、質感や装備を磨き上げてきました。そうして開発されたBセグのニューモデルがいま続々と市場に登場しています。なかでも、もともとSUVのベストセラーであるキャプチャーは、そのポジションを確固たるものとすべく、すべてにおいて進化を果たしたと感じています」

山田「それは走りの面や、使い勝手や居住性でも同じことが言えそうですね」

岡本「まさにそうです」

山田「私は、岡本さんも挙げてくれた『フライングセンターコンソール』が気に入っています。これは、キャプチャーオリジナルでルーテシアにはない。ベース車両があるモデルだと小手先だけのデザイン変更というケースも多いですが、圧倒的に違う。ルノーのこだわりが見て取れます」

 

新型ルノー「キャプチャー」の詳細はコチラ

 

【その3:動力性能&走行性能】

「トルクウエイトレシオが効いている」(岡本)

「セグメントの考え方を置き去りにする」(山田)

新型ルノー キャプチャーはBセグメントのコンパクトSUVというラベルを覆すようなしっかりとした、走らせて楽しい仕上がりになっている。このパートは、モータージャーナリスト視点で岡本さんに徹底的に語っていただこう。

 

キャプチャーのエンジンは1.3Lの直噴ターボエンジン。この排気量帯では3気筒を採用するメーカーも増えていますが、やはり4気筒のほうが好みです。エンジン音に安普請な印象がないし、振動が小さく不快感がありません。

↑最高出力は154PS(113kW)/5500rpm、最大トルクは270Nm/1800rpm。これは、ルーテシアに比べて、23PS、30Nmのアップ

 

1.3Lながら力強く加速し、体感的にも十分な速さを引き出しているのはたいしたもの。レッドゾーンの6500rpmまできっちり回ります。

 

スポーツモードにすると、よりアクセルレスポンスが増して盛り上がりのある加速をします。レスポンスがよく扱いやすいので、常時これを選んでおいてよいのではと感じたくらい。むしろ、アクセルをあまり踏まなくても加速するので、燃費もそれほど悪化しないはず。

↑スポーツモード時にメーター。中央のメーターがタコメーターになり、車両の反応もクイックに

 

ベースのルーテシアよりも100kgほど重くなっているのに、パワー&トルクが引き上げられたことで、それ以上に速くなったように感じます。パワーウエイトレシオ(※3)はもちろんとして、トルクウエイトレシオ(※4)が高いことが効いています。余力のある動力性能のおかげで、高速巡行が主体のロングドライブもよりラクに走れることでしょう。

※3:車両重量を最高出力で割った数値。数値が小さいほど加速力が高いとされる ※4:車両重量を最大トルクで割った数値。数値が小さいほど加速力が高いとされる

 

7速EDC(※5)はつながりをマイルドにして扱いやすくしていて、ダイレクト感をあえて落としている印象。ギクシャク感は小さく、シフトチェンジがおだやかで、機構的な負荷も小さくトラブルも起こりにくくなるはず。

※5:奇数段と偶数段の2つの軸に配されたギアを交互に切り替える仕組みで、瞬時かつシームレスなギアチェンジが可能な機構
↑シフト自体の造形もベースのルーテシアと異なっている

 

足まわりは、ストローク感があるけど適度にダンピングが効いて引き締まっています。ロールが小さく抑えられているので、コーナリング中にいまクルマがどのような状況にあるのか掴みやすく、ちょうどよい味付け。また、ステアリングギア比がクイックになったことで、より俊敏なハンドリングを楽しむことができます。

 

ルノー・日産・三菱のアライアンスで新設計されたプラットフォームは剛性が非常に高いです。サスペンションの取り付け剛性も十分に確保されているおかげで、足まわりが理想的に動いて仕事をこなしている印象。タイヤがしなやかに路面に追従してしっかり接地している感覚があります。

 

ステアリングの中立位置から微妙に切りはじめたところから正確に応答し、切った通りに車両が反応してくれます。このクラスでこの領域の動きがちゃんとできているクルマは少ないです。これにより修正舵が少なくなり、長時間のドライブでも疲労感が小さくなります。

↑任意のギアにするにはステアリング裏にあるパドルシフトを使用する

 

【その4:使い勝手】

「ファミリーカーとしても十分」(岡本)

「Boseがあるおかげで書斎にもなる」(山田)

新型ルノー キャプチャー、室内の広さやラゲッジの広さはどうなのだろうか? 数字から見ていこう。フロントシートの座面長が15mm長くなり、よりサポート性がアップ。一方、シートバックの形状を工夫することで、後席乗員の膝周りスペースは17mm長くなって、221mmになっている。同時に初代から好評だった、リアシートの前後スライドも継続。前後に最大160mmスライドできる。

 

前席、後席とも初代よりも車内空間が広くなっているように感じました。このクラスでこの広さはなかなかありません。ファミリーカーとしても十分に使えます」(岡本)

↑後席にもエアコン送風口とUSB端子を搭載。広さだけでなく、快適に過ごせる装備も充実

 

また、インフォテイメントも充実。ここではデジタルデバイスに造詣の深い山田に語ってもらおう。

 

「Apple CarPlayとAndroid Autoが使えるから、いつもの環境で地図を見たり、音楽を聞いたり、ストリーミングサービスを利用できます。これ自体は他のクルマでもできるので特筆することではないけれど、キャプチャーはここにBoseのサウンドシステムが加わるから、一気に特別な空間になります。イベントやライブがオンライン化していくなかで、より高音質な体験をしたい人は増えているはず。

 

自宅でプレミアムな音響システムを構築しようとすると、金額もうなぎ上りになるし、配線が増えて家族の同意を得ることも必要。だけど、キャプチャーなら標準装備。書斎としても活躍するでしょう」(山田)

↑超小型ながらBoseサウンドを鳴らす「Fresh Air Speaker」を搭載。サブウーファー、4つのウーファー、4つのトゥイターの合計9つのスピーカーから構成される

 

これ以外にも使い勝手の見所は満載。ミニ対談で余すことなくお伝えしよう

岡本「ラゲッジの広さに驚きました。同じくBセグでこの広さにはビックリ。ゲート開口部も広く、使い方に合わせてアレンジできるのも重宝します」

↑ラゲッジは6:4の分割可倒式。536L〜最大1235Lまで拡大する

 

山田「リアシートのスライドが絶妙にいいんですよね。このスペースにアウトドア用のテーブルがちょうど入る。キャンプやBBQは効率よく荷物を積めるかがポイント。隙間なく積めたらドライブも気持ちいいですし、積んだものが動かないので安心度も上がります」

↑リアシートはスライドが可能。上の写真に比べて後席を前にスライドさせている

岡本「アウトドアという側面でいえば、ドアがサイドシル下まで回り込んで開閉するおかげで、下から泥などが侵入しにくくサイドシルが汚れないので、ズボンのスソを汚す可能性が低いのがありがたいです」

 

新型ルノー「キャプチャー」の詳細はコチラ

 

【その5:先進安全技術】

「一気にセグメントのトップランナーになった」(岡本)

「文字通り、死角なし!」(山田)

次は、最近のクルマでは欠かせない先進安全技術面を掘り下げていこう。新型ルノー キャプチャーでは最新装備をカバー。代表的なものでいえば、アダプティブクルーズコントロール、歩行者・自転車対応の衝突被害軽減ブレーキ、360°カメラ、後側方車両検知、車線逸脱防止支援、車線逸脱警報、交通標識認識機能。インテンス テックパックにはさらに、レーンセンタリングアシストを装備し、車線の中央をキープしてくれる。

 

岡本さんの評価としては、「一気にセグメントのトップランナーになった印象です。日産とのアライアンスによる恩恵でしょう。なかでも、レーンセンタリングアシストと、レーンキープアシストといった、高速巡行時に役立つ機能が設定されたのは大歓迎。長距離ドライブでドライバーにかかる負荷を格段に引き下げてくれるでしょう」と高評価。

↑先進運転サポート系はステアリング左側の操作ボタンから行う

 

これは山田も同意見だ。

キャプチャーはエイジレスですが、ダウンサイジングして乗り換えるという面で考えると、50代以上のユーザーも少なからずいるはず。まだまだ元気な年齢ですが、肉体的な衰えも出てくる年代なので、運転サポート機能を満遍なく取り揃えているのは心強いです。アクティブだからこそ、そのアクティブを心置きなく発揮させてくれるクルマ。文字通り死角なしです!」(山田)

 

【まとめ】

「安グルマ」という印象はまったくありません(岡本)

ベースグレードがアンダー300万円の衝撃(山田)

ここまで新型ルノー キャプチャーを5つに分けて解説してきたが、最後に総括していこう。

「7年分の中身の大幅な進化はもちろん、初代でもウケのよかったスタイリングも持ち前のよさを大きく変えることなく、それでいて新鮮味もある、ちょうどよいデザインに仕上がっています。これほど内容が充実しながらも、価格設定も非常に頑張った」(岡本)

 

「インテンスグレードの価格は299万円。ベースグレードとはいえ、安全装備やBoseなどほぼ全部入りでこのプライスは結構衝撃的。実にお得です」(山田)

 

新型ルノー キャプチャーの発売は2月25日。デビューフェアは2月27日〜3月7日。ぜひ、ディーラーまで足を運んで欲しい一台だ。

 

新型ルノー「キャプチャー」の詳細はコチラ

 

撮影/茂呂幸正

クルマのサブスクKINTOが4月より新たな新サービス「モビリティマーケット」を提供。その狙いは?

様々な業種で展開されるサブスクリプションサービス(サブスク)に注目が集まる中、トヨタが展開するクルマのサブスク「KINTO」が高い人気を集めています。発表によればKINTOは昨年6月以降、1か月で1000台を超える契約数を連続して獲得。クルマという高額商品ではこの実績は異例のことです。そんな中でKINTOは、新サービスとしてオンラインプラットフォーム「モビリティマーケット」(モビマ)を2021年4月より立ち上げることを発表しました。その狙いはどこにあるのでしょうか。

↑KINTOが4月より提供するオンラインプラットフォーム「モビリティマーケット」(モビマ)

 

目的は「移動のよろこび」を感じてもらえること

モビマはコロナ禍で移動が制限されている昨今、人間が本来より持っている「どこかに行く」というニーズに応えることを目的として提供されるもの。近い時期にコロナ禍が落ち着き、移動が自由になる時に向けて「移動のよろこび」を感じてもらえるサービスを目指します。

 

利用は日本国内の在住者・滞在者なら誰でも可能ですが、KINTO契約者には特別な特典も用意。契約期間中1台を選ぶ「KINTO ONE」では3万円相当、契約期間中複数台を選ぶ「KINTO FLEX」では6万円相当の優待や様々な特典が予定されているのです。つまり、単に「クルマ」に乗る楽しみ方を与えるだけでなく、出かけた時に感じる「移動のよろこび」までもコミコミで提供するのがモビマ最大の特徴と言えるでしょう。

↑モビマはクルマだけだったサブスクが「移動のよろこび」までもコミコミとなる

 

その実現のために用意したカテゴリは以下の5つ。それぞれ目的にマッチしたアクティビティを用意しています。

↑モビマが用意するカテゴリー

 

【新しい生活の扉を開こう】

キャンピングカーを利用したワーケーションや、シェアサイクルで巡る旅、ドライブインシアターなど、ニューノーマル時代の新たな移動体験を提供。

 

【心踊るスペシャルな体験を】

海外でのKINTOブランドのカーシェアや、モータースポーツの観戦・体験、クルマでしか行けないようなローカルでの食事と体験など、クルマを使った非日常体験を提供。

 

【クルマ時間をとことん楽しもう】

カーコーティングや、レジャー時の駐車場予約、クルマの中で流す音楽やお出かけを楽しくするカメラなど、快適なクルマ時間を演出するサービスを提供。

 

【もっと気持ちよく、軽やかに】

クルマ・電車・バス・船をはじめ複数の移動手段を組合わせたMaaSや、リムジンによる自宅から空港への送迎など、シームレスでストレスフリーな移動サービスを提供。

 

【やさしく移動を応援】

ドライビングレッスンや、移動する日をピンポイントでカバーする保険、クルマの中の除菌など、移動の安心安全をサポートするサービスを提供。

 

これらアクティビティの活用範囲は広く、このサービスを実現するにはトヨタだけで提供することはできません。そこで国内事業者と提携し、現時点で20社が確定。さらに30社前後と協議中だということです。その中にはJTBや近畿日本ツーリストなどの旅行会社も含まれますが、ここで提案されているのは一般的な旅行商品ではなくKINTO向けにクルマ移動を前提とした旅プランです。これを踏まえ、他の提携先ともKINTOに最適化したサービス内容になるよう詰めていくとのことです。

↑4月からスタートするモビマで提携する会社は20社。小寺社長は「今後100社、200社と増やしていきたい」とする

 

加えて、コロナ禍が落ち着いて海外へ出かけられるようになった頃には、トヨタが海外16か国で展開するカーシェアサービス「KINTO SHARE」も利用できるようにする計画とのことでした。海外でもシェアできるようになれば、海外での移動のハードルがいっそう下がることが期待されます。

↑KINTO契約者は、サービスを展開している16の国と地域でカーシェアも受けられる準備も進めている

 

提携サービスを将来は100社、200社と増やしていく

モビマを提供する狙いについてKINTOの小寺信也社長は次のように説明しました。「クルマの利用だけでなく、クルマをもっと楽しんでいただくためにモビマを展開することにした。サービスが点在している中で、モビマを開くことで、ここに来るだけで(それらに)アクセスできるようにしたい」。そのために提携事業者も「現在の20社を、将来は100社、200社と増やしていきたい」(小寺社長)と、今後サービスの拡大に意欲を示しました。

↑新たなサービス「モビリティマーケット」について説明するKINTO小寺信也社長

 

KINTOではこのサービスに先行して2020年末にスタートアップキャンペーンを実施しており、そこではキャンピングカーと車中泊スポットをセットにしたワーケーション体験や、シェアサイクルを組み合わせた旅行プラン、レンタカーとドライブシアターをセットにしたエンタメ体験など“移動の喜び”を感じられるサービスを用意しました。その結果は「参加者の満足度は70%を超えており、サービス展開への手応えを感じた」と小寺社長が話すほど好評だったそうです。

↑移動そのものに対して様々なサービスを提供するため、パートナー作りにも積極的だ

 

また、質問でモビマへの出店料について聞かれた小寺社長は、「パートナー企業からいただく費用は必要最低限としていて、出店料で利益をあげることを目的にしてはいない。あくまでユーザーに対して様々なサービスを提供し、クルマで移動する楽しみを体験できるコンテンツを利用していただくことが第一の目標」と回答。モビマでのサービスをまずは充実させていく考えを示しました。また、4月の正式なオープン前の2月~3月にプレオープンの体験キャンペーンも予定しているとのことでした。

↑4月から本サービスがスタートする前の2月〜3月にはプレオープンのキャンペーンも実施する

 

■資料:提携予定企業一覧

NTTドコモ(kikito)

 

スマートフォンと一緒に利用できるさまざまなデバイスをレンタルして利用可能なサービス
SPDホールディングス(SPDスクール) 関東圏のペーパードライバー講習を専門に出張教習

 

オーシャンブルースマート(PiPPA

 

アプリひとつで自転車の貸し出し・返却・精算までができるシェアサービス。市中にあるポートのどこでも借りて返せるため駐輪代金は不要
CarstayCarstay

 

国内最大のキャンピングカーシェア・車中泊スポットの予約サービスを運営
キャンピングカー(ジャパンキャンピングカーレンタルセンター) キャンピングカーレンタル事業

 

 

KeePer技研(EX KeePerW DIA KeePerDIAMOND KeePerCRYSTAL KeePer カーコーティング・洗車用ケミカルと機器などの開発・製造・販売、カーコーティング技術認定店「キーパープロショップ」の展開、カーコーティング&洗車の専門店「キーパーLABO」の運営
JTB

 

ツーリズム(トラベル・地域交流)、エリアソリューション(地域課題起点)・ビジネスソリューション(法人課題起点)を軸とした交流創造事業
scheme vergeHorai

 

MaaSアプリ「Horai」と地域事業者のDXを通じたデータ駆動型エリアマネジメント
SmartRydeSmartRyde

 

全世界150か国で利用可能な空港送迎サービス「SmartRyde」の企画・開発・運営、時間貸し・周遊観光チャーターサービスの展開
テーブルクロス(byFood.com インバウンド体験グルメメディア「byFood.com」の企画・運営、社会貢献ができるグルメアプリ「テーブルクロス」の運営
近畿日本ツーリスト中部(近畿日本ツーリスト)

 

旅を通じて「感謝の気持ちを伝える」お手伝い。SDGs・ワーケーション・BCP・防災プログラム等を通じて企業及び行政との連携により課題解決をおこなう事業の展開
ハッチ(Do it Theater

 

まだ誰もみたことがないシアター体験のプロデュース、イベントやコミュニケーションのプランニング・制作・運営
富士スピードウェイ(富士スピードウェイ)

 

自動車レースの企画・運営事業・イベント企画・運営事業・レンタル・プランニング事業・サーキットライセンス事業・スポーツ走行運営事業・マーケティング事業
ペーパードライバーサポート愛知(ペーパードライバーサポート愛知) ペーパードライバーを対象とした、交通安全と自動車の運転に関する各種講習

 

トヨタファイナンシャルサービス(my route

 

街のあらゆる移動手段を組み合わせてルート検索。予約からキャッシュレス決済までmy routeで完結。地元のお店や隠れた観光スポットも満載で、お出かけや寄り道もサポート
MellowMellow モビリティを活用した空地活用事業・店舗型モビリティの開業支援およびコンサルティング事業
ライフクリエイション(さなげアドベンチャーフィールド) ライトSUVからクロカン車まで幅広く楽しむことができるオフロードコースを運営

 

R-ISE(ライズペーパードライバーズクラブ) 運転を楽しもう!ペーパードライバー向け講習、目指せ社会復帰!障がい者運転支援講習、運転寿命を延ばそう!高齢ドライバー講習
リンベル(RINGBELL

 

カタログギフト・雑貨・グルメ・デジタルギフトなどギフト全般、宿泊・食事・温泉などの体験型ギフト
海外KINTO SHARE運営会社(KINTO SHARE

 

 

海外16の国と地域(以下)のカーシェア事業

アメリカ(含むハワイ)、プエルトリコ、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、アイルランド、イギリス、イタリア、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、台湾、中国、オーストラリア、ニュージーランド

※()内は提供ブランド名

 

KINTOは契約件数で月間1000件以上を連続して獲得

KINTOは2019年3月にサービスを開始し、発表によれば20年12月までの累計で契約件数は1万2300件に達したということです。特に契約数が増えたのは、車種の拡充や認知度を高めるテレビCMなどを本格化させた20年6月以降で、毎月1000件を超える契約が順調に獲得できるようになりました。KINTOは法人契約もできますが、リース契約とは違って特に個人ユーザーが全体の8割を超えているのも大きな特徴です。ただ、「(経営的には)今は限りなく黒字に近いところまで来たという段階」(小寺社長)であり、KINTOとしてはモビマのようなサブスクらしい独自企画を提案し、認知度を高めていく計画です。

↑取扱車府を増やし、昨年の6月よりTV-CMの放映以降、毎月1000件を超える契約数を獲得し続けている

 

↑新車購入者全体よりもKINTOでは20〜30代の比率が高いことがわかる。保険料を込みとした内容が評価されているとみる

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

コンパクトカーの変貌ぶりを徹底ガイド!

コンパクトカーは取り回しの良さや燃費の面で有利なのは当然だが、スポーツカーばりのパワフルな走りを誇るモデルや、快適な装備や先進の安全運転装置を搭載するモデルも多くなってきた。その変貌ぶりは、これまでのコンパクトカーに対する概念を変える大きなインパクトだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ボディサイズが小さくても装備や使いやすさは向上

ひと昔前はコンパクトカーと言えば営業車という印象や、オシャレなモデルがあるものの実用車というイメージが多かったかもしれない。しかしいまはまったく違う。

 

コンパクトカーの取り回しの良さや使い勝手の良さに磨きがかかり、そこに先進安全装備のアシストも入れば苦手な車庫入れだってラクに完了。室内や荷室も工夫されているため大人4人でも余裕で乗れるし、ドライブを楽しく、ラクにする快適装備も充実している。コンパクトカーほどその進化ぶりに驚くクルマはないのだ。

 

【1】取り回しが良いボディサイズで運転がラク!

クルマのサイズが大きくなっても日本の道路幅はなかなか広がらないのが現状。その点コンパクトカーは小回り性能の基準となる最小回転半径が、ほとんどのモデルで5mを下回っている。狭い路地も、混み合うスーパーの駐車場も、ラクに運転することが可能だ。

横1695mm、縦1500mm
横3940mm

 

5ナンバーサイズで立体駐車場もラク!

コンパクトを謳うクルマでも全幅1700mmを超える3ナンバーサイズが多いが、トヨタ・ヤリスは5ナンバーサイズだ。立体駐車場も難なく利用可能。

 

↑クルマの小回り性能の目安となるのが最小回転半径。一般的には5m以下ならば小回りが利くとされる。ヤリスの最小回転半径は4.8mで取り回しがしやすい(ヤリス X・2WD)

 

【2】コンパクトなボディが生むインパクト大な走り

クルマは軽い方が良いというのは、レーシングカーも市販車も同じ。コンパクトカーは車重が軽く、キビキビした走りを味わえる。そこにパワフルかつレスポンスの良いエンジンを載せれば楽しくないはずがない。クルマが持つパワーを使い切る魅力もそこにはある。

 

価格良し、走り良し、軽くて税金も燃費も良しの優等生

走りの良さで多くの人を魅了するスズキ・スイフトスポーツ。軽量ボディ+ターボエンジンが刺激的なドライビングを実現する。

 

↑スイフトスポーツに搭載されるエンジンは1.4L直噴ターボで140PS/230Nmを誇る。実にリッターあたり100PSの大出力エンジンだ

 

↑スイフトスポーツの走りを支える超高張力鋼板と高張力鋼板を組み合わせたボディ。強靭なボディながら990kgという軽さを実現した

 

【3】燃料にかかるコストもコンパクト

排気量の小さなエンジンは燃費が良い。特にコンパクトカーは車重も軽くでき、同じ排気量の大きなクルマよりも燃費に分がある。ガソリン代ばかりでなく、自動車税などの税制面でも有利だ。また軽自動車よりも車両価格が安いモデルもあり、コストパフォーマンスが高い。

【コンパクトサイズSUV】トヨタ ライズ(ガソリン・2WD) WLTCモード燃費18.6km/L

 

【ミドルサイズSUV】トヨタ RAV4(ガソリン・2WD) WLTCモード燃費15.8km/L

 

【4】コンパクトカーにこそ搭載が進む安全装備

かつては高級車の高価なオプションだった先進安全装備が、コンパクトカーにも続々と標準搭載されている。コンパクトカーを選ぶ運転初心者や、運転に対して不安を感じる人、ミニバンなどからコンパクトカーに乗り換えるシニア層にこそ求められる装備だからだ。

 

マツダのエントリーモデルは安全装備が上級車並みに充実

最適なドライビングポジションやサスペンションにもこだわるマツダ2の安全性能。最新の安全装置も充実している

 

<コンパクトカー「マツダ2」でもこんなに充実!>

マツダ2にはハイ・ビーム・コントロール以外、多くが全モデルに標準装備される。その充実ぶりは高級セダンのマツダ6にも匹敵するものだ。

 

■アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート

ブレーキを自動制御し衝突回避を支援。対車両だけでなく対歩行者もカメラで検知している。

 

■AT誤発進抑制制御

前後進時にアクセルが一定以上踏み込まれると警告。エンジン出力を制御し加速を抑制する。

 

■リア・クロス・トラフィック・アラート

駐車場や路地などでバックする際、自車に接近する車両をドライバーに音などで警告する。

 

■SRSエアバッグシステム

側面から衝突された場合にも乗員を守るサイドエアバッグ、カーテンエアバッグを標準装備。

 

■車線逸脱警報システム

車線をウィンカーなしに踏み越えようとすると、音とステアリングの振動でドライバーに警告。

 

■ブラインド・スポット・モニタリング

自車に隣接する車線後方約50mを検知。接近車がいる状況でウィンカー操作を行うと警告する。

 

■ハイ・ビーム・コントロール・システム

対向車や先行車、ライトなどを検知して自動でハイビームとロービームを切り替えるシステム。

 

【5】これがコンパクトカー? と、驚く快適装備

ひと昔前のこのクラスの装備は上級モデルに明らかに見劣りし、エアコンひとつ見てもオートエアコンが付いていれば良いほうだった。それがいまや美肌効果も期待できるエアコンやUVカットガラスなど快適装備も充実。ひとクラス上の豪華装備を誇るクルマも多くなった。

 

使い勝手の良い室内空間に快適装備をトッピング

“皆に心地良い室内空間”を目指したホンダ・フィット。室内の広さが好評の同車をさらに快適にする装備が充実している

 

↑フィットでは、いまや必需品のUSBポートをセンタコンソールに用意。急速充電対応タイプの設定もある

 

↑スイッチでパーキングブレーキを操作できる電子制御パーキングブレーキ。フィット全モデルに標準装備

 

↑開口部の大きなフィットの荷室は豊富な後席のシートアレンジと相まって使い勝手◎。床面もほぼフラットに

 

↑イオンを放出して車内の空気を浄化するプラズマクラスター搭載エアコン。フィットではグレード別に設定

 

ホンダの新型「アコード」に乗って感じた「オトナがセダン」に乗るべき3つ理由

今の30〜40代の人たちが子どもの頃、クルマと言えばセダンがスタンダードでした。その後、荷室を拡大したステーションワゴンが流行ったり、ミニバンブームもあり、今はSUVが人気。でも、最近はセダンも復権の兆しを見せています。その理由について、ホンダの新型「アコード」に乗りながら考えてみました。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/アコード

※試乗車:EX

価格 465万円

↑ボディカラーは全5色。写真はルナシルバー・メタリック

 

【理由その①】クーペのような流麗なスタイリング

アコードといえば、ホンダを代表するセダンモデル。累計販売台数は2000万台にのぼります。初代モデルは1976年に登場し、現行モデルは10代目。ワイド&ローなスタイルをより強調し、リアに向かって流れるようなラインはクーペに近く、かつてのセダンのイメージとは一線を画するものです。

↑クーペのような流麗さと、力強さを両立したリアビュー

 

フロントフェイスも力強さの中に端正さを感じさせるもの。個人的にはキラキラ輝くようなグリルパーツを多用することなく、それでいて迫力あるデザインに仕上がっているところに好感を持ちました。

↑複数のLEDを組み合わせたキレ長のフロントライトが端正さを際立たせる

 

ワイド&ローで艶やかさを感じさせるデザインは、近年流行りのSUVを見慣れた目には新鮮に写ります。乗る人が少なくなっているからこそ、人と違ったクルマに乗りたいなら、セダンを選ぶ価値が出てきたと言ったらひねくれすぎでしょうか。ただ、このスタイルを見ると乗りたいと思わせられる人は少なくなさそうです。

↑インテリアも奇をてらうことなく、上質さを追い求めた仕上がり

 

それでいて、トランク容量は573Lもあり、クラストップの収納力を誇ります。可倒式のリアシートを前に倒せば、さらに容量を拡張できるトランクスルー機構を採用し、使い勝手でもSUVに劣る部分はありません。

↑リアシートを倒してトランク容量を拡張できるので、収納力はちょっとしたSUV以上

 

↑個人的にはこの角度からの見た目が好み。コレで収納力も高いとは!

 

【理由その②】重心が低く、スポーティなハンドリング

ドライバーズシートに腰を下ろすと、着座位置の低さがちょっと新鮮。低く抑えられた重心位置の近くに座っている感覚が伝わってきて、走りの良さを予感させます。アイポイントも低いのですが、視界は非常に広く、窮屈さを感じさせません。

↑見るからに低い着座位置がやる気にさせてくれるドライビングポジション

 

実際に走り出しても、すぐにこのクルマの素性の良さが伝わってきます。このモデルのために開発された新世代プラットフォームは剛性が高く、重心も低く設定されているので、カーブでも挙動変化が少なく、とても落ち着きのあるハンドリングです。重心位置の高いSUVとは異なり、地面にピタッと貼り付いているような挙動が気持ちいい。近年のSUVは低重心を売りにするモデルも増えてきましたが、それとは明らかに違う意のままに動くハンドリングが味わえます。

↑挙動変化が少なく、落ち着いたハンドリングはセダンならではのもの

 

そもそもセダンは、重心高が低いだけでなく、ボディ剛性も高めやすい構造。箱を3つ組み合わせたような作りが、1ボックスや2ボックス構造より剛性が高いことは想像しやすいでしょう。フロントだけでなく、左右のリアタイヤの上を結ぶような形のボディ構造となっているので、いたずらに補強を入れなくても剛性が高められる素性の良さを持っているのです。

↑ガチガチに固められたわけではなく、設計からくる剛性感が心地いい

 

かつてのアコードには「ユーロR」というスポーティさを全面に押し出したグレードが設けられていたこともありましたが、このモデルのハンドリングはそうしたやんちゃな雰囲気とは別種のもの。ハイスピードでコーナーを抜けられる性能は持っていますが、急がされることなく余裕を持って走るのが似合う乗り味でした。

↑走行モードの切り替えにも対応していますが、スポーツモードよりコンフォートモードで走りたくなる

 

【理由その③】静かで乗り心地がいい

走り出してすぐに気づかされたのが車内の上質な静けさ。特にタイヤが路面から拾うはずのロードノイズが耳に入ってきません。セダンはエンジンルームやトランクルームとキャビンが遮断された構造となっているため、静粛性に優れています。タイヤハウスがキャビン内にないことも、ロードノイズを低減するのに有利。ミニバンやSUVなどに比べて、空力的にも優れたボディ形状なので風切り音も低減されます。

↑エンジン音はもちろん、風切り音やロードノイズも少なく、静粛性の高い室内

 

パワートレインがハイブリッドであることも、静かさに一役買っています。搭載されるのはホンダ独自のハイブリッドシステム「e:HEV(イー エイチイーブイ)」。2モーターのシステムで、以前は「i-MMD」と呼ばれていたモノですね。基本的にモーターの力で走行し、エンジンは発電用に動くというシステムで、エンジンの効率が高い高速域だけエンジンを駆動にも用いるという先進的なシステムです。燃費はJC08モードで30km/L。

↑鋭い加速力と高い燃費性能を実現する2モーターのハイブリッドシステム

 

高速道路を使った長距離移動もしてみましたが、静かなうえに車体のロールが少なく、路面の継ぎ目などからのショックも体に伝わりづらいため、移動後の疲労もあまり感じずに済みました。渋滞追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールや、車線維持支援システムなど安全運転支援システムも充実しているのも、高速ドライブの快適さに一役買ってくれています。このクルマとなら、いつもより足を伸ばして遠出がしたくなりそう。

↑フロントに装備されたミリ波レーダー部に「Honda SENSING」の文字が刻まれる

 

あらためてセダンに乗ってみて感じたのは、重心位置が低く、静かで剛性も高めやすいなど長らくクルマのスタンダードなカタチとして普及しているのには、それなりの理由があったのだということ。以前は“おじさんの乗るクルマ”というイメージもありましたが、流麗なスタイルは“大人のクルマ”という雰囲気。海外では、SUVの数が増えているため、人とは違ったスタイルを求める若い人にむしろ人気が高まっているという話も聞きます。数が少なくなってきた今だからこそ、あらためて乗りたいカテゴリーになっていると感じました。

↑効率的なボディー設計、および軽量サブフレーム、薄肉燃料タンク、エキゾーストサイレンサー等の採用により前モデルに比べ50kgの軽量化も達成しています

 

SPEC【EX】●全長×全幅×全高:4900×1860×1450mm●車両重量:1560kg●パワーユニット:1993cc水冷直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:107kw[145PS]/6200rpm【モーター135kw[184PS]/5000〜6000rpm】●最大トルク:175N・m[17.8kgf・m]/3500 rpm【モーター315N・m[32.1kgf・m]/0〜2000rpm】●WLTCモード燃費:22.8km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

進化したハイブリッドシステムを搭載した日産「キックス e-POWER」の実力は?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載した最新モデル、キックスを取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】日産/キックス e-POWER

 

SPEC【X ツートーンインテリアエディション】●全長×全幅×全高:4290×1760×1610mm ● 車両重量:1350kg ●パワーユニット:電気モーター+1.2L直列3気筒エンジン ●モーター最高出力:129PS(95kW)/4000-8992rpm ●最大トルク:260Nm/500〜3008rpm ●WLTCモード燃費:21.6km/l

275万9900円〜286万9900円

 

ノートに比べるとエンジン音がグッと静かになったe-POWER

安ド「殿は日産のe-POWERをどう評価されてますか?」

 

永福「モーターがエンジンをアシストするハイブリッドとはまったく別の道を行き、まったく別の魅力を生み出した、すばらしいハイブリッドシステムだと思うぞ」

 

安ド「なるほど! 確かにこのキックス e-POWERに乗っても、まるでEVみたいで、すごく新鮮です!」

 

永福「基本的にはEV。ただしそのための電気を、ガソリンエンジンを回して生み出しているわけだからな」

 

安ド「最大の特徴は、アクセルを戻すとかなり強力な回生ブレーキがかかって、ブレーキペダルを踏まなくても止まれることですね!」

 

永福「それがウケて、ノート e-POWERは大ヒットになった」

 

安ド「わかる気がします。乗るとビックリしますから!」

 

永福「そのビックリが吉と出るか凶と出るか半信半疑だったが、吉と出てビックリだった」

 

安ド「ビックリですか!」

 

永福「一般のドライバーは、基本的に新しいことに違和感を抱くもの。アクセルを離すだけでグッと減速してしまうことに拒絶感が出るのではと思ったのだが、まったく逆だった」

 

安ド「逆でしたね!」

 

永福「トヨタのハイブリッド技術は絶対的な高みにあるが、それに対抗しうるハイブリッドを作り出した日産の技術も大したものだ」

 

安ド「やはり技術の日産ですね!」

 

永福「しかもキックス e-POWERは、ノートに比べるとエンジン音がグッと静かになったから、ますますEV感が高まった」

 

安ド「もう少しエンジンの気配を消せれば、まるでEVですね!」

 

永福「充電の要らないEVだな」

 

安ド「ただ、発売して数か月経っても、販売台数ランキングの上位に名前がないのはナゼでしょう?」

 

永福「このクルマ、タイで生産して日本まで運んでいるので、そのあたりがうまくいってないらしい」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「価格も通常のハイブリッドに比べてかなり高い。日産の販売店としては、久しぶりの新型車なのにガックリだろう」

 

安ド「もうひとつ残念なのは、あんまりカッコ良く見えないことなんです」

 

永福「同感だ」

 

安ド「やっぱりですか!」

 

永福「どこが悪いというわけではないが、全体に見た目がサエず、最新のクルマという雰囲気がない。インテリアは悪くないんだが」

 

安ド「内装は、ボディ同色のオレンジが大胆に使われていて、なかなかカッコいいですね!」

 

永福「内装はオレンジか黒の2種類だから、ボディ同色というわけではないぞ」

 

安ド「じゃボディが紫でも、内装はオレンジですか?」

 

永福「オレンジか黒だ」

 

安ド「うーん、迷いますね……」

 

永福「お前、ボディは紫を選ぶつもりなのか……?」

 

【GOD PARTS 1】ステアリングヒーター

手指を温めることは安全運転にも直結

セットオプションで「ステアリングヒーター+前席シートヒーター+寒冷地仕様」が設定されています。真冬になるとステアリングに触れるのも躊躇しがちですから、すぐ暖まる同装備は寒冷地に住んでいなくても重宝します。

 

【GOD PARTS 2】リアコンビランプ

シャープなデザインを強調するブーメラン型

リアコンビランプは、現行型フェアレディZを思わせるブーメラン型です。ブーメランに見えないかもしれませんが。ブーメランを思いきり斜めから見たらこう見えるかも……と思ってください。シャープなイメージが狙いです。

 

【GOD PARTS 3】ドライブモードセレクター

独特な運転感覚はスイッチで調節できる

ドライブモードスイッチを押すと、「ノーマル」から「S」や「ECO」に変わります。「S」はアクセルを離した時の回生ブレーキの利きが強くなり、ワンペダルドライブが楽しめます。「ECO」では加速が穏やかになります。

 

【GOD PARTS 4】SOSコール

有事の際の対策は緊急通報スイッチで

「あおり運転」対策としても期待される緊急通報システムです。スイッチは前席の天井部分に付いていて、事故発生時など緊急事態の際にオペレーターへ直接連絡できます。ちょっと押してみたくなりましたが、大人なのでやめておきました。

 

【GOD PARTS 5】シフトレバー

未来型シフトもレバーで操作しやすい

リーフやノートなど日産のEVやe-POWERモデルのシフトノブはカタツムリ型でしたが、キックスe-POWERでは通常のレバー型が採用されています。ひょっとして「扱いづらい」などのユーザーの声があったのかもしれません。

 

【GOD PARTS 6】ダッシュボード

高級感があって感触もいいオレンジ色の素材

インパネ正面に飾られたオレンジ色の素材が、車内を爽やかな雰囲気に演出。この素材、肌触りもなんだかスベスベしていて気持ちよく、どこか高級感すら漂わせています。これだけ精巧なものが作れるのであれば、高価な本革素材はいらないかもしれませんね。

 

【GOD PARTS 7】インテリジェントルームミラー

アラウンドビューをルームミラーに表示

車両を真上から見たような映像を合成する技術「アラウンドビューモニター」の画面を、デジタルルームミラー内にも映し出すことができます。細部を見るには小さいですが、ハイテク好きなら心躍るに違いありません。

 

【GOD PARTS 8】Vモーショングリル

ヘッドライトも含めて巨大なV字を演出

日産はここ10年ほどで、フロントエンブレムをVの字で挟む形状のファミリーフェイスを数多くの車種で採用してきました。キックス e-POWERでは、ヘッドライトまでデザインに含めて、巨大なVの字を描いています。

 

【GOD PARTS 9】プロパイロット

実用的で運転を快適にしてくれる技術

簡単なスイッチ操作で、先行車に追従しながら車線内をスムーズに走行できる運転支援技術です。スカイラインの「2.0」のように「ハンズオフ(手放し)」まではできませんが、熟成されていて、最新モデルならではの高い完成度を誇ります。

 

【これぞ感動の細部だ!】e-POWERシステム

圧倒的支持を得て進化した日産独自のシステム

ガソリンエンジンは動力として使わず、発電するために動かし、その電気を使ってモーターで走行する日産独自のハイブリッドシステムです。2016年にe-POWERが追加搭載されたノートは、ベース車の発売から4年が過ぎていたにも関わらず爆発的ヒットに。キックスでは、重量が重くなったぶん出力を向上させていて、静粛性も高くなり、上質な走りを味わえます。

もっと安心・快適なドライブのために取り入れたい安全カーグッズ12選

より安全な運転をアシストしてくれるクルマの技術は進化する一方だが、安全な運転の責任を最終的に負うのはドライバー自身。ドライブレコーダーや視界確保、死角解消アイテムを積極的に取り入れて、安心・快適なドライブを盤石なものにするべし!

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】ドライブレコーダー

事故の際の記録やあおり運転対策として欠かすことのできないドライブレコーダー。360度記録タイプや複数カメラ搭載タイプも増え、選択肢はより多くなっている。

 

【No.1】[360度+リアカメラタイプ]全周囲360度記録とリアカメラで死角なし!

       

ユピテル

marumie Q-30R

3万9600円

全周囲360度と後方を同時記録するドライブレコーダー。リアカメラもHDRに対応し、白とびや黒つぶれを低減し鮮明に記録する。SDカードの定期的なフォーマットも不要で、書き込みエラーを防ぐ。

SPEC ●記録解像度:最大360万画素(フロント)、最大200万画素(リア)●最大記録画角:水平360度×垂直240度(フロント)、対角155度(リア)●サイズ・質量/W69×H72×D39mm/約157g(フロント)、W54×φ25mm/約26g(リア)

 

↑フロントカメラの垂直視野角は240度。交差点付近の信号機から車内までをしっかりと記録できる

 

【No.2】[360度タイプ]最高水準の高精細で水平360度全方位録画が可能

ケンウッド

DRV-CW560

実売価格3万9800円

F1.8の明るいレンズを搭載し、業界最高水準となるフルハイビジョンの2倍の高解像度で水平360度記録が可能。録画した映像はそのままスマホに転送でき、専用アプリを使用することでその場で確認できる。

SPEC ●記録解像度:最大2160万×2160万画素(動画最大約466万画素)●最大記録画角:水平360度×垂直210度 ●サイズ・質量/W64×H71×D84mm/137g

 

■ラウンド

■2分割

■4分割

■切り出し

■パノラマ

↑360度カメラで撮影した映像は、専用アプリで再生が可能。5つのビューモードで切り替えて再生できる

 

【No.3】[360度タイプ]1台のカメラで全方位とフロントを同時記録する

カーメイト

ダクション 360 S DC5000

6万5780円

360度レンズを2つ搭載し、水平・垂直の全方位を記録可能。前方もクリアに記録できる日本初のデュアルレック機能を搭載。クルマから取り外してアクションカメラとしても使え、映像はスマホで確認できる。

SPEC ●記録解像度:約410万画素(全天球)、最大200万画素(フロント)●最大記録画角:水平360度×垂直360度 ●サイズ・質量/W69×H72×D39mm/約157g

 

■全天球録画+フロント録画

↑360度全方位録画と同時に車両前方をフロント録画として高解像度で記録できる。ナンバープレートや前方の景色もクリアに映し出すことが可能だ

 

【No.4】[3カメラタイプ]3つの広角カメラで広範囲をしっかり記録

オウルテック

OWL-DR803FG-3C

実売価格3万6080円

車両前方、車内、車両後方をカバーする3カメラタイプ。フロントは2560×1440のWQHD画質、車内とリアもフルHDの鮮明な画質で記録できる。車内カメラは赤外線撮影にも対応し、暗所でも安心だ。

SPEC ●記録解像度:約370万画素(フロント)、約200万画素(車内)、約200万画素(リア)●最大記録画角:対角139度(フロント)、対角148度(車内)対角133度(リア)●サイズ・質量/W108×H108×D44mm/約107g(フロント)、W57×H28×D56mm/約28g(リア)

 

↑フロントは対角139度、車内は対角148度、リアは対角133度をカバー。3つのカメラで広範囲を確実に記録する

 

【No.5】[ナイトビジョンタイプ]夜間や悪天候時でも前方300mまでをはっきりと確認可能

ランモード

ナイトビジョンシステム VAST PRO

5万2800円

独自の暗視モニターシステムで夜間や視界の悪い荒天時でも300m先までをはっきりと確認可能。フルHD画質での記録ができるリアカメラも搭載され、あおり運転などの危険運転から身を守れる。

SPEC ●記録解像度:約200万画素(フロント)約200万画素(リア)●最大記録画角:対角45度(フロント)、対角170度(リア)●サイズ・質量/W217×H85×D65mm/600g

 

↑暗い道でも前方の対象物をしっかりと確認可能。インパネへの設置のほか、吸盤でガラス面にも設置できる

 

【No.6】[1カメラタイプ]わずかな光量でも鮮明に記録できるナイトサイト搭載

パイオニア カロッツェリア

VREC-DZ600C

実売価格2万4280円

高感度で記録できるCMOSセンサーを搭載し、フルHDの高解像度で記録可能。従来のドライブレコーダーと比較して1/100の光量でも明るく鮮明な撮影ができるナイトサイトを搭載する。

SPEC ●記録解像度:約200万画素 ●最大記録画角:水平130度、垂直68度、対角160度 ●サイズ・質量/W78.6×H77.3×D47.4mm/118g

 

■ナイトサイト非搭載モデル/VREC-DZ600C

↑暗所での撮影に適したソニー製高感度CMOSセンサー「STARVIS」を採用。わずかな光量でも周囲の状況を鮮明に記録することが可能だ

 

【その2】視野確保アイテム

運転に必要な情報の多くは目を通して入手している。視界が悪くなる雨の日でもクリアに見えるアイテムや、視界を広げるアイテムを駆使して、安全運転につなげたい。

 

【No.1】スプレーするだけで水滴が広がり視界良好に

カーメイト

エクスクリア 超親水ミラーコート クイック

880円

水溶性ポリマーが薄い水膜を作って水滴をなじませる親水効果により、サイドミラーのクリアな視界を確保。スプレーするだけなので作業も簡単だ。サイドガラスにも効果あり。

 

■施工前

■施工後

 

【No.2】ワイパー作動後わずか5分で撥水被膜が雨をはじく!

PIAA

AEROVOGUE 超強力シリコートワイパー

オープン価格

ガラスが乾いた状態でワイパーを5分間作動させるだけで、フロントウィンドウに撥水被膜を形成し雨をはじく。効果が薄れたら再度ワイパーを作動するだけで、撥水被膜を再形成する。

 

■未使用時

■使用時

↑未使用時は雨粒の影響で光が乱反射する。使用時は撥水被膜がウィンドウガラスを平らにするのでクリアな視界になる

 

【No.3】視界面積を3倍に広げて見えない場所が確認可能

カーメイト

リアビューミラー OCTAGON

1760円〜3080円

半径1400mmの球体から切り出された曲面鏡を用いたルームミラー。一般的なミラーと比較して視界面積が約3倍に広がり、後続車や追い越し車線の様子もラクに確認できる。

 

↑表面をブルーコーティングした防眩タイプもラインナップ。後続車のハイビーム(ハロゲン球)のまぶしさを大幅にカットする

 

【その3】死角解消アイテム

どれだけ注意しているつもりでも、運転席から見えないエリアは必ず存在する。そんな死角を解消するアイテムを積極的に取り入れて、ヒヤッとする場面を少なくしよう。

 

【No.1】曲面ガラスが死角を解消 車内確認用にも使える

ナポレックス

バイザーサブミラー BW-35

実売価格831円

サンバイザーに取り付けるサポートミラー。300mmRの広角ミラーを採用し、既設のルームミラーの死角を解消する。後方だけでなく、リアシートの子どもの様子なども確認できる。

 

↑フレームレスの樹脂製ミラーを採用。スリムで邪魔にならない形状で、取り付け後も角度調整が簡単に行える

 

【No.2】車体斜め後方と下方の安全確認をサポート

LZRYYO

ブラインドスポットミラー

実売価格1580円

サイドミラーだけでは確認しにくい、車体斜め後方と下方の確認をアシストする補助ミラー。車線変更や左折時の巻き込み事故の原因になる死角を解消できる。

 

↑サイドミラーに強粘着テープで取り付け。ミラー面は上下左右を見やすい角度に調整できる

 

【No.3】車体後方下部を映し出し安心してバックが可能

カーメイト

補助ミラー 後方確認用

2074円

ミニバンや車高が高い軽自動車のリアゲート上部に取り付けて、車体後方下部を広範囲で映し出す。見えない部分が直接目視で確認できるため、安心してバックできる。

 

↑ルームミラーだけでは確認しづらい子ども用自転車などもしっかりと映し出す。バック駐車時の距離もつかみやすい

 

【CHECK!】「ペダル踏み間違い」の事故を防止するアイテムも注目!

データシステム

アクセル見守り隊 SAG297

3万800円

 

ペダル踏み間違い時の急発進を防止できる

停車中や低速走行中に急激にアクセルが踏まれた場合、アクセル信号を制御して急発進を防止してくれるのがアクセル見守り隊。幅広い車種に取り付け可能だ。高齢者を対象に、購入・取り付け費用から2万円を補助してくれる、サポカー補助金を受けることができる。

 

★こんな時に効果を発揮!

コンビニエンスストアなどの駐車場で、ブレーキとアクセルを踏み間違えて事故につながるのはよく聞くニュース。万が一踏み間違えた場合でも急発進を防止してくれる。

 

電子制御車なら幅広く対応する(取り付けには別売の車種別ハーネスが必要)。国土交通省のサポカー補助金と併用できる自治体の補助金制度もあるので、確認してみよう。

安全なクルマは好みで選べる!「カテゴリ別」安全+αの最適モデル指南

衝突被害軽減ブレーキをはじめとして安全性能についてはお墨付きのモデルのなかから、より便利に、楽しく使えるモデルをプロがチョイス。スタイルや走り、使いやすさなど自分の好みに合ったモデルを選んで、ワンランク上の快適ドライブを満喫しよう!

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

【タイプ1】SUV

多くの新モデルが登場し、安全運転支援技術も最新のモノが搭載されることが多いSUV。走破性能や使いやすさで優れたモデルもあるが、総合性能で選ぶならトヨタ・RAV4だ。

 

【独創性で選ぶなら】クーペ的なシルエットとインテリアの心地良さが秀逸

マツダ

MX-30

242万円〜305万2500円

SUVでありながらクーペ的シルエットとフリースタイルドアが印象的なモデル。インテリアにはコルクやペットボトルなどサステナブルな素材を用いて心地良さを演出する。

 

↑同社のRX-8以来となる観音開きを採用したフリースタイルドア。ピラーがないぶん後席の乗降もしやすい

 

[岡本’sジャッジ]

 

【先進機能で選ぶなら】e-POWERとプロパイロットの先進性を1台で味わえる

日産

キックス e-POWER

275万9900円〜286万9900円

日産独自のハイブリッド方式であるe-POWERと、安心・快適なドライブを実現するプロパイロットという、2つの先進機能が1台で楽しめる。EV走行時の静粛性も特筆モノだ。

 

↑アクセルペダルひとつで加減速が行えるe-POWER Drive。アクセルとブレーキの踏み替え回数も減ってラク

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】3列シートを備えたモデルは人も荷物も余裕で乗せられる

メルセデス・ベンツ

GLB

512万円〜696万円

コンパクトなサイズながら、身長168cmまでの人が座れる3列目シートが便利なモデル。3列目シート使用時でも130L、シート格納時では500Lの荷室を活用して積載できる。

 

↑大人数で乗車するときに便利な3列目シート。身長168cmの人までに限られるが、あるとやはり便利だ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走破性能で選ぶなら】ジープ最強モデルが誇る世界最高の悪路走破性能

ジープ

ラングラー

499万円〜621万円

高い最低地上高、大径タイヤなどの見た目から想起するとおりのオフロード性能を誇るモデル。なかでも悪路走破性能を強化したアンリミテッド ルビコンは世界最強と言われる。

 

↑マニュアルで切り替えるパートタイム4×4を搭載。自動で前後輪に駆動力を分配するフルタイム4×4も採用する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【デザインで選ぶなら】デザインは軽快ながら操縦安定性の良さが光る

 

フォルクスワーゲン

T-Cross

303万9000円〜339万9000円

若々しいデザインとカラーバリエーションが魅力のコンパクトSUV。一見軽快なモデルだが、ドイツ車ならではの高い操縦安定性もポイント。2WDのみなのが少々残念ではある。

 

↑リアシートは140mmスライドが可能。後席の広さを自在に変え、同時にカーゴスペースの拡大にも役立つ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【総合性能で選ぶなら】悪路も難なくこなすオールラウンダーSUV

トヨタ

RAV4

274万3000円〜402万9000円

前後左右のタイヤへのトルク配分を変更する独自のダイナミックトルクベクタリングAWDを採用し、悪路走破性が高い。もちろんオンロードでの快適さもトップクラスを誇る。

 

↑路面の状況に応じて最適なトルク配分を行うダイナミックトルクベクタリングAWD。高い走破性を実現する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ2】コンパクトカー

コンパクトカーでトップを争うトヨタ・ヤリスとホンダ・フィットがモデルチェンジし、走りや使い勝手が一層向上。走りを楽しみたいならスズキ・スイフトスポーツも選択肢のひとつだ。

 

【使いやすさで選ぶなら】広々とした室内空間は使い勝手も良好!

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

広々とした室内空間と快適な乗り味でコンパクトカーらしからぬ心地良さを提供してくれる。後席の座面をはね上げて背の高いモノを積載できるなど、使い勝手も抜群に良い。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走りの良さで選ぶなら】強力ターボと軽量ボディが刺激的な走りを実現

スズキ

スイフトスポーツ

187万4000円〜214万1700円

1.4Lの強力直噴ターボエンジンと970kgの軽量ボディで刺激的な走りが楽しめ、コスパも抜群に良いモデル。クルマを操るのが好きな人にはうれしい6速MTも選べるのは◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【燃費の良さで選ぶなら】操縦安定性に優れた驚異的低燃費モデル

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

新形プラットフォームの採用で高い操縦安定性を実現。36.0km/Lというハイブリッド車の驚異的な燃費に目が行きがちだが、ガソリン車でも最高21.6km/Lと優秀な数値だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ3】ミニバン

使い勝手の良い日産・セレナや、走りの良さを楽しめるホンダ・ステップワゴンに注目。独創的な三菱・デリカD:5のクロカン走破性能は他のミニバンにはない優位点だ。

 

【走りの良さで選ぶなら】低床設計が生み出すしっかりとした走りが魅力

ホンダ

ステップワゴン

271万4800円〜409万4200円

ホンダ独自のセンタータンクレイアウトが可能にした低床設計が、低重心のしっかりとしたフットワークを生む。ハイブリッド車の強力な加速と低燃費も大きな魅力だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】シートアレンジが多彩で広い室内を自在に使える

日産

セレナ

257万6200円〜419万2100円

広い室内と、乗り方や使い方によって自由にアレンジできる3列シートが特徴。通常の約半分のスペースがあれば開閉できるハーフバックドアを設定するなど、芸が細かいのも◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【独創性で選ぶなら】個性的なフロントマスクと走破性能は唯一無二の存在

三菱

デリカD:5

391万3800円〜447万2600円

SUVとの融合を図った独創的なミニバン。話題となったコワモテのフロントマスクも印象的だ。走行シーンに応じてドライブモードを選択できるなど、ミニバン唯一無二の存在。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ4】軽自動車

販売台数No.1を誇るホンダ・N-BOXの牙城は揺るがないが、遊び心満点のスズキ・ハスラーとダイハツ・タフトが華々しくデビュー。安全で楽しく使える軽が充実した。

 

【快適性で選ぶなら】独特な愛らしさに快適な乗り心地がプラス

スズキ

ハスラー

128万400円〜179万800円

愛らしい独特のデザインはもちろんだが、軽自動車らしからぬ快適な乗り心地にも驚かされる。丸目のヘッドライトと大きな3連フレームを備えたインパネデザインは個性的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【楽しさで選ぶなら】乗員スペースと荷室を分け多彩な使い方が可能

ダイハツ

タフト

135万3000円〜173万2500円

フロントシートをクルースペースとし、リアシートと荷室を荷物の積載スペースと位置付けることで、快適な室内空間を実現。開放的な天井のスカイフィールトップが魅力的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】驚異の室内高が生む自由自在の室内空間

ホンダ

N-BOX

141万1300円〜212万9600円

センタータンクレイアウトによる低床設計で、子どもなら立ったままでも余裕で着替えられる室内高に驚き。両側スライドドアとスライドシートで、小さな子どもも乗せやすい。

 

[岡本’sジャッジ]

安全なクルマ“四天王”の先進技術を徹底診断!

高級車から軽自動車まで多くのクルマに導入が進んでいる予防安全技術。そのなかでも交通事故ゼロを目指して、予防安全にいち早く着目して独自の技術開発を進めてきた「安全なクルマ」四天王の先進技術のスゴさを診断する。

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私たちが解説します

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美

工学博士。エンジニアから自動車専門誌の編集部員に転身し、現在はフリーランスのジャーナリスト。テクノロジーとエコロジーを専門とする。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 

【No.1】SUBARU/アイサイト

追突事故発生率はわずか0.06%! 高速道路で活躍する新機能も便利(川端)

SUBARU

レヴォーグ

310万2000円〜409万2000円

高速道路でのステアリング操舵支援や渋滞時ハンズオフ運転機能、自動車線変更などを実現する「アイサイトX」をオプションで設定。大型11.6インチのセンターディスプレイや12.3インチのフル液晶メーターなどが採用されている。

 

1999年から安全ひと筋 事故ゼロを目指し続ける

アイサイトは1999年からスバルがコツコツ開発してきた技術の蓄積から生まれた機能だ。実際の事故データでも驚く数字が出ており、アイサイトVer.3搭載車の追突事故発生率は、なんと0.06%(※)。一般的な事故発生率と比べると、ひとケタ小さい値だ。

 

新型レヴォーグに搭載された新世代のアイサイトはさらに進化。事故防止のためだけでなく、渋滞時のハンズオフ運転や料金所手前での自動減速など、高速道路で日常的に使える機能が充実した。レーダーにより交差点での飛び出しにも自動ブレーキがかかるなど、その性能はさらに向上している。

※:2014〜2018年の間に国内で販売したアイサイトVer.3搭載車の人身事故件数について調査した結果。公益財団法人 交通事故総合分析センターのデータを基にSUBARUが独自算出した

 

↑ステレオカメラの視野を広げ、コーナーレーダーを搭載。デジタルマップと複合させて、目では見えにくい物体まで検知する

 

↑アイサイトXでは、デジタルマップのデータとGPS情報を活用。高速道路のカーブ手前で、自動で減速する

 

↑前側方プリクラッシュセーフティでは、死角から近づく車両を検知。警告に加えて、自動ブレーキまで支援する

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

 

【No.2】トヨタ/トヨタ セーフティセンス

高級車からコンパクトカーまで幅広く充実させるのはさすが(川端)

トヨタ

ヤリス クロス

179万8000円〜281万5000円

レーダークルーズコントロールをはじめとする高度な駐車支援システムや、もしものときにドライバーやクルマを助けるヘルプネットなど充実した装備を誇る。ハイブリッドモデルで最高30.8km/Lの燃費性能も優秀だ。

 

安全装備を幅広く展開して多くの人の安心につなげる

さすがトヨタ! と思うのは、クラウンのような高級車はもちろん、ヤリスのようなコンパクトカーまで安全装備を充実させている点。なぜなら、この種のエントリーカーの需要は、初心者や高齢者など運転技術に不安を抱くドライバーにこそ高いからだ。ヤリスなどで採用される駐車支援機能は、初心者にうれしい機能だろう。

 

交差点右折時に直進してくるクルマを検知するだけでなく、その先の横断歩道を渡る歩行者も検知してブレーキ操作支援を行うのは、優れたセンシング技術の賜物。これをコンパクトカーにも導入するのは、さすがトヨタ! である。

 

↑注目すべきは街灯のない夜の道でも自動ブレーキが作動する点。視野の悪い状況でのドライバー支援の機能も充実している

 

↑交差点を横断する歩行者を検知して、自動ブレーキをかける機能も搭載。優れたセンシング技術で実現した

 

↑駐車スペースへの誘導を行う機能を搭載。メモリ登録した区画線のない駐車スペースへも誘導してくれる

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.3】ボルボ/インテリセーフ

独自の視点で予防安全を研究し先進技術を実現させる先駆者(岡本)

ボルボ

XC60

639万円〜949万円

車両や歩行者、サイクリスト、大型動物との衝突を回避、または衝突被害を軽減するための警告およびブレーキ作動を行うシティ・セーフティを搭載。全ラインナップが電動化を実現し、48Vマイルドハイブリッドとプラグ・イン・ハイブリッドモデルが揃う。

 

衝突軽減ブレーキの先駆者でいち早く歩行者などにも対応

日本では自動停止する機能が認められていなかったところ、その突破口を開いたのは日本のメーカーではなくボルボだ。完全停止可能なブレーキを日本で初めて導入したのが2009年のこと。以降、先進技術を次々に取り入れるとともに、いち早く歩行者やサイクリスト、大型動物なども検知できるようにした。最新の技術は被害軽減ブレーキの作動を自車線内に入ってきた対向車や右折時の対向車にも対応させたほか、ステアリングを制御して障害物との衝突回避や対向車線へのはみ出しからの復帰なども実現。より多くのシーンに対応できるように進化している。

 

↑様々な対象物を検知可能。交差点での右折時には対向車の動きを監視し、万一の際には被害軽減ブレーキを作動させる機能も

 

↑後方から追突の危険を検知した場合、ブレーキ力を高めて二次被害を予防する。シートベルトの巻き取りも行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.4】メルセデス・ベンツ/レーダーセーフティ

事故を検証することで生まれる予防安全技術は最先端をいく(岡本)

メルセデス・ベンツ

Eクラス

769万円〜1144万円

前方約250m、側方約40m、後方約80mを検知するレーダーと、約90mの3D視を含む約500m前方をカバーするステレオカメラを搭載。衝突時の衝撃音の鼓膜への影響を低減する「PRE-SAFEサウンド」技術も採用する。

 

SクラスからAクラスまで同等の機構を惜しみなく搭載

メルセデス車が関わった事故現場に急行してあらゆる形態の事故を検証してきた知見を活かし、安全性の向上に取り組んできたメルセデス・ベンツ。その答えのひとつがレーダーセーフティだ。自然現象の影響を受けにくいミリ波レーダーなどによって、周囲のクルマや状況を認識してドライバーをサポートする安全運転支援システム。これをすべてのモデルで搭載しているのも同社ならではだ。

 

最近では他社に先駆けてARナビも採用。カメラで捉えた前方風景をナビ画面に重ねることで運転に余裕を生む技術は、やはりメルセデスの知見が成せる先進性である。

 

↑移動したい方向へウィンカーを点滅させるだけで自動で車線変更が可能。高速道路などでの運転をラクにする

 

↑衝突時のダメージを最小限に抑える「PRE-SAFE」。わずか数秒の間に乗員の命を守りやすい状態に調整する

 

↑天候や周囲の明るさに影響を受けることなく高度な検知が可能なミリ波レーダー。多目的カメラと複数のセンサーを組み合わせて安全運転支援を行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

安全なクルマ“四天王”の先進技術を徹底診断!

高級車から軽自動車まで多くのクルマに導入が進んでいる予防安全技術。そのなかでも交通事故ゼロを目指して、予防安全にいち早く着目して独自の技術開発を進めてきた「安全なクルマ」四天王の先進技術のスゴさを診断する。

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私たちが解説します

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美

工学博士。エンジニアから自動車専門誌の編集部員に転身し、現在はフリーランスのジャーナリスト。テクノロジーとエコロジーを専門とする。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 

【No.1】SUBARU/アイサイト

追突事故発生率はわずか0.06%! 高速道路で活躍する新機能も便利(川端)

SUBARU

レヴォーグ

310万2000円〜409万2000円

高速道路でのステアリング操舵支援や渋滞時ハンズオフ運転機能、自動車線変更などを実現する「アイサイトX」をオプションで設定。大型11.6インチのセンターディスプレイや12.3インチのフル液晶メーターなどが採用されている。

 

1999年から安全ひと筋 事故ゼロを目指し続ける

アイサイトは1999年からスバルがコツコツ開発してきた技術の蓄積から生まれた機能だ。実際の事故データでも驚く数字が出ており、アイサイトVer.3搭載車の追突事故発生率は、なんと0.06%(※)。一般的な事故発生率と比べると、ひとケタ小さい値だ。

 

新型レヴォーグに搭載された新世代のアイサイトはさらに進化。事故防止のためだけでなく、渋滞時のハンズオフ運転や料金所手前での自動減速など、高速道路で日常的に使える機能が充実した。レーダーにより交差点での飛び出しにも自動ブレーキがかかるなど、その性能はさらに向上している。

※:2014〜2018年の間に国内で販売したアイサイトVer.3搭載車の人身事故件数について調査した結果。公益財団法人 交通事故総合分析センターのデータを基にSUBARUが独自算出した

 

↑ステレオカメラの視野を広げ、コーナーレーダーを搭載。デジタルマップと複合させて、目では見えにくい物体まで検知する

 

↑アイサイトXでは、デジタルマップのデータとGPS情報を活用。高速道路のカーブ手前で、自動で減速する

 

↑前側方プリクラッシュセーフティでは、死角から近づく車両を検知。警告に加えて、自動ブレーキまで支援する

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

 

【No.2】トヨタ/トヨタ セーフティセンス

高級車からコンパクトカーまで幅広く充実させるのはさすが(川端)

トヨタ

ヤリス クロス

179万8000円〜281万5000円

レーダークルーズコントロールをはじめとする高度な駐車支援システムや、もしものときにドライバーやクルマを助けるヘルプネットなど充実した装備を誇る。ハイブリッドモデルで最高30.8km/Lの燃費性能も優秀だ。

 

安全装備を幅広く展開して多くの人の安心につなげる

さすがトヨタ! と思うのは、クラウンのような高級車はもちろん、ヤリスのようなコンパクトカーまで安全装備を充実させている点。なぜなら、この種のエントリーカーの需要は、初心者や高齢者など運転技術に不安を抱くドライバーにこそ高いからだ。ヤリスなどで採用される駐車支援機能は、初心者にうれしい機能だろう。

 

交差点右折時に直進してくるクルマを検知するだけでなく、その先の横断歩道を渡る歩行者も検知してブレーキ操作支援を行うのは、優れたセンシング技術の賜物。これをコンパクトカーにも導入するのは、さすがトヨタ! である。

 

↑注目すべきは街灯のない夜の道でも自動ブレーキが作動する点。視野の悪い状況でのドライバー支援の機能も充実している

 

↑交差点を横断する歩行者を検知して、自動ブレーキをかける機能も搭載。優れたセンシング技術で実現した

 

↑駐車スペースへの誘導を行う機能を搭載。メモリ登録した区画線のない駐車スペースへも誘導してくれる

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.3】ボルボ/インテリセーフ

独自の視点で予防安全を研究し先進技術を実現させる先駆者(岡本)

ボルボ

XC60

639万円〜949万円

車両や歩行者、サイクリスト、大型動物との衝突を回避、または衝突被害を軽減するための警告およびブレーキ作動を行うシティ・セーフティを搭載。全ラインナップが電動化を実現し、48Vマイルドハイブリッドとプラグ・イン・ハイブリッドモデルが揃う。

 

衝突軽減ブレーキの先駆者でいち早く歩行者などにも対応

日本では自動停止する機能が認められていなかったところ、その突破口を開いたのは日本のメーカーではなくボルボだ。完全停止可能なブレーキを日本で初めて導入したのが2009年のこと。以降、先進技術を次々に取り入れるとともに、いち早く歩行者やサイクリスト、大型動物なども検知できるようにした。最新の技術は被害軽減ブレーキの作動を自車線内に入ってきた対向車や右折時の対向車にも対応させたほか、ステアリングを制御して障害物との衝突回避や対向車線へのはみ出しからの復帰なども実現。より多くのシーンに対応できるように進化している。

 

↑様々な対象物を検知可能。交差点での右折時には対向車の動きを監視し、万一の際には被害軽減ブレーキを作動させる機能も

 

↑後方から追突の危険を検知した場合、ブレーキ力を高めて二次被害を予防する。シートベルトの巻き取りも行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.4】メルセデス・ベンツ/レーダーセーフティ

事故を検証することで生まれる予防安全技術は最先端をいく(岡本)

メルセデス・ベンツ

Eクラス

769万円〜1144万円

前方約250m、側方約40m、後方約80mを検知するレーダーと、約90mの3D視を含む約500m前方をカバーするステレオカメラを搭載。衝突時の衝撃音の鼓膜への影響を低減する「PRE-SAFEサウンド」技術も採用する。

 

SクラスからAクラスまで同等の機構を惜しみなく搭載

メルセデス車が関わった事故現場に急行してあらゆる形態の事故を検証してきた知見を活かし、安全性の向上に取り組んできたメルセデス・ベンツ。その答えのひとつがレーダーセーフティだ。自然現象の影響を受けにくいミリ波レーダーなどによって、周囲のクルマや状況を認識してドライバーをサポートする安全運転支援システム。これをすべてのモデルで搭載しているのも同社ならではだ。

 

最近では他社に先駆けてARナビも採用。カメラで捉えた前方風景をナビ画面に重ねることで運転に余裕を生む技術は、やはりメルセデスの知見が成せる先進性である。

 

↑移動したい方向へウィンカーを点滅させるだけで自動で車線変更が可能。高速道路などでの運転をラクにする

 

↑衝突時のダメージを最小限に抑える「PRE-SAFE」。わずか数秒の間に乗員の命を守りやすい状態に調整する

 

↑天候や周囲の明るさに影響を受けることなく高度な検知が可能なミリ波レーダー。多目的カメラと複数のセンサーを組み合わせて安全運転支援を行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

「安全なクルマ」を支えるのは、8つの技術!

かつては高価なオプションとして設定されていた予防安全技術が、いまは軽自動車やコンパクトカーでも標準装備化している。今回は、ぶつからない、そして安定した走行をキープして安全運転につながる8つの代表的な技術を紹介。先進技術はここまで進化しているのだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が解説します

カーITジャーナリスト

会田 肇

クルマやカーナビをはじめ、先進交通システムにも造詣が深い。海外のモーターショーにも積極的に足を運ぶ。

自動運転技術の開発過程で進化した予防安全技術

急速に高度化し、普及が進んでいる予防安全技術。背景のひとつとして2021年に衝突被害軽減(プリクラッシュ)ブレーキの搭載が新車に義務付けられることがあるが、自動運転化技術の進化も大きい。完全な自動運転を実現するのは簡単ではないが、その研究・開発の過程で生まれた技術が反映されているのは間違いないのだ。

 

衝突被害軽減ブレーキではミリ波レーダーや赤外線でセンシングする技術が使われ、レーンキープではカメラによるセンシングが活かされる。また、ステアリング制御はこれらの情報をトータルで処理するソフトウェアの技術によって日々向上している。これらはすべて自動運転に向かう過程で生み出されたものなのだ。特に日産・スカイラインなどで実現したハンズオフ(手放し)走行機能はこれらの技術の集大成とも言えるが、現状では運転の責任がドライバーにあることに変わりはない。それでも技術はヒューマンエラーによる事故を防ぎ、安心で快適なドライブを可能にする。予防安全技術の進化は着実に進んでいるのだ。

 

【その1】衝突被害軽減ブレーキ

ドライバーに代わって自動でブレーキをかける

このシステムは、クルマが車両や歩行者などを感知してブレーキをかけてくれる。車両前部のセンサーやカメラ、レーダーが前方を警戒し、衝突の危険が高いときにはメーター内の警告灯や警報音で注意喚起したのち、ブレーキの補助が介入。衝突時の被害を軽減する。もちろん過信は禁物。

 

↑最新の技術では対車両だけでなく歩行者の存在も検知できる。夜間街灯のない道路でもブレーキ動作を補助してくれる

 

【その2】定速走行・車間距離制御装置

ドライバーの疲労軽減に加えて渋滞の抑制にも効果あり

文字通り先行車との車間を一定に保ち、オートクルーズコントロールと組み合わせれることの多いこのシステムは、長距離ドライブの疲労を軽減してくれる。また高速道路の登り坂では車速を一定に保つことで速度低下を防止し、渋滞発生の抑制にもなる。

 

↑カメラやセンサーが先行車を認識し一定の車間を保つ。クルマによっては2台前の加減速を感知するモデルもある

 

【その3】ペダル踏み間違い時速度抑制装置

ヒヤリ・ハットをクルマが制御してくれる

ニュースなどでも報じられることの多いアクセルとブレーキの踏み間違えによる事故。このシステムはそんな誤発進を抑制してくれるものだ。車両に搭載されたセンサーが障害物を認識して、急激なアクセル操作が行われたときなどにエンジンの出力を制限し、急発進を防いでくれる。

 

↑センサーが障害物を感知しているときに急発進を抑制するシステム。前進時はもちろん、後退時にも働く先進安全システムだ

 

【その4】レーンキープアシスト

カーブでもはみ出さず同一車線の走行をアシストする

車線からはみ出すことなく、同一車線の走行をアシストするシステム。アダプティブクルーズコントロールと併用される。電動パワーステアリング作動中に適切なトルクを発生させるなどのステアリング制御を行い、車線維持をアシスト。軽いステアリング操作でレーンキープが可能だ。

 

↑無意識のはみ出しやふらつきにも有効。最近は同一車線を走行するようステアリングアシストが入るモデルが増えている
●メーカーによって名称は異なる場合がある

 

【その5】車線逸脱警報装置

無意識のふらつきを検知しドライバーに注意を促す

センサーやカメラが車線を認識し、車線逸脱を警告するシステム。車線をはみ出しそうになったときにクルマがドライバーに警告音やディスプレイの表示で注意を促す。クルマによっては車線内に戻るようにアシストが入るモデルもある。高速道路だけでなく、車線が認識できる一般道でも有効。

 

↑ウィンカーを出さずに車線を跨いだ時などに警報音などで注意喚起する。最近では制御の入るモデルも多い

 

【その6】車両後方視界情報提供装置

バック時に潜む危険をクルマが見守ってくれる

駐車場などからバックで出庫する際、見えにくい左右後方から接近するクルマを自車のセンサーで認識し、ドライバーにブザー音やインジケーターで知らせるシステム。衝突の危険性が高いときはクルマが自動でブレーキを制御し、衝突を回避する。歩行者などを検知するモデルも増加している。

 

【その7】オートマチックハイビーム

周囲のドライバーを惑わせずに積極的にハイビームを活用できる

いまや軽自動車でも周囲の明るさに応じてライトが自動で点灯するオートライトが増えてきたが、こちらはもう一歩進んだもの。先行車や対向車の存在をセンサーが認識して、自動でハイビームとロービームを切り替えてくれる。自身の視界確保だけでなく、存在のアピールにもつながる。

 

↑ステアリングの操舵に応じて照射範囲を切り替えてくれるモデルも。車線の確認や対象物の早期発見に有効だ

 

【その8】後側方接近車両注意喚起装置

車両左右後方の死角をカバーして安全なレーンチェンジを助ける

ミラーでは映しきれない左右斜め後ろなど、クルマの死角をカバーするシステム。車線変更や右左折時に車両が接近した場合に表示でドライバーに通知し、その際にウィンカーを出すと音で警告してくれる。このセンサーは車両後部にあり、ステッカーなどを貼ると反応しない場合もあるので注意。

 

↑車両斜め後ろの死角をサポートする後側方接近車両注意喚起装置。ドアミラーのインジケーターが点灯する

 

★「安全なクルマ」を実現させる機構はコレだ

【その1】レーダー(ミリ波レーダー)

天候に左右されない検知が可能で最近は歩行者も感知できるように

ミリ波レーダーの強みは自車前方の約200〜250mの長距離検知と天候に左右されない検知性能。最近は性能が向上し、自転車や歩行者もレーダーで感知できるようになった。

 

↑ミリ波レーダーの設置場所は車両前部。フロントグリルのエンブレム後部やバンパー後部が多い

メルセデス・ベンツやトヨタ、日産、ホンダなど国内外多くのメーカーが採用。ミリ波レーダーだけでなく、カメラなどと組み合わされることが多い。

 

【その2】カメラ

車両前方の対象物を的確に捉える最もわかりやすいデバイス

フロントウィンドウのルームミラー付近にある最もわかりやすいデバイス。画像を認識して物体の大きさや距離を算出するために使用。意外にもスマホの顔認識も同じ原理だ。

 

↑写真は2台のカメラで対象物を捉えるステレオ方式。ひとつのカメラで捉える単眼カメラ方式もある

カメラ方式の代名詞といえばスバルのアイサイト。多くのメーカーが他のセンサーなどを組み合わせて豊富なモデルに展開している。

 

【その3】赤外線レーザー

短距離の検知に強い赤外線は暗闇でも頼りになるレーザー

ミリ波レーダー同様に反射波を利用した暗所にも強いセンサー。近距離はかなり正確に測定できるが荒天時などは影響を受けやすい側面もある。カメラと組み合わされることが多い。

 

↑写真はアウディ車に搭載される赤外線レーザー。近距離の検知に強いが、最近では単独のモデルは減少

低コストのため多くのメーカーが採用している。しかし歩行者などを検知する場合はカメラ方式が必要になることもあり、カメラとの併用が増加している。

 

【CHECK!】安全なクルマ選びの参考になる2つのマークに注目せよ!

先進安全装備がついたクルマを選ぶ際に参考になるのが、独立行政法人自動車事故対策機構の自動車アセスメントによるテストを基に発表される結果だ。衝突を軽減する性能を評価する予防安全性能の最上位はASV+++、衝突時の乗員と歩行者保護性能を評価する衝突安全性能の最上位は5つ星となっている。

 

↑写真は予防安全性能テスト。一定のスピードから前方車両への衝突を回避する被害軽減ブレーキのテストだ ●写真提供/(独)自動車事故対策機構(NASVA)

 

■予防安全性能

ASV+++は高い予防安全性能の証

2018年度から予防安全性能評価試験の結果に+++が新設。評価の+が多いほど予防安全性能に優れ、最上位の評価が+++だ。

 

■衝突安全性能

5つ星は万が一の際の安全性能の大きな目安

衝突安全性評価はボディ、乗員、歩行者に対して行われ、項目ごとに点数が定められる。100点満点中82点以上が5つ星に認定される。

アルパインの大画面カーナビ「ビッグX」、2021年モデルは音質も操作方法も、画質も全部よくなっています

アルプスアルパインは、「ALPINE(アルパイン)」ブランドの「ビッグX」2021年モデルを2月より順次発売すると発表しました。注目は新たにApple CarPlay、Android Autoに対応したことで、従来のナビ機能に加えてスマホと連携することで幅広いカーナビライフが楽しめるようになります。

↑三菱デリカD:5に取り付けたフローティング・タイプの11型モデル、フローティングビッグX11「XF11NX2」

 

ラインナップは大画面の11型から10型、9型、8型、7型まで全28機種を揃え、7型以外は全て車種専用のモデルが用意される充実ぶりです。最も大きい画面となる11型はフローティング・タイプも用意されるほか、車種専用取り付けキットも豊富に用意。さらに11型モデルの車種専用キットではドラレコやバックカメラもパッケージにしたラインナップも揃えています。取り付け車種に合わせ、幅広い対応をしたラインナップと言えるでしょう。

↑ドラレコとリアカメラをパッケージにした車種専用「ビッグX」をセレナに取り付けた

 

Apple CarPlayとAndroid Autoに加え、Amazon Alexaも搭載

注目のApple CarPlayとAndroid Autoへの対応は、Amazon Alexaも搭載するもので、音声コマンドによる対話形式で天気予報や音楽再生なども楽しめるのが大きな特徴です。もちろん、両者のカーナビ機能にも対応しており、交通情報を伴ったルートガイドも利用可能になっています。しかもCarPlayならYahoo!カーナビやカーナビタイムも使え、多彩なカーナビアプリが楽しめるようになることも見逃せません。

 

こうなると「カーナビ機能レスのディスプレイオーディオでもいいんじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、内蔵のナビは6軸ジャイロセンサーによる自車位置表示を実現している高精度な案内が自慢。探索ルートを自分好みにチューニングできるルートチューニングも搭載しているほか、好評のカウントダウン案内機能も引き続き搭載。「300m先の信号を?」との一般的な音声案内に加え、「3つ目の角を?」「2つ目の角を?」とカウントダウンするように案内するので、曲がるポイントを把握しやすいんですね。

↑取り付けた車種ごとに専用のオープニング画面を展開できる。写真はジムニー用

 

抜群の使い勝手を発揮する音声コマンド「ボイスタッチ」

筆者としてイチ推ししたいのは、走行中でも声で主要なナビ操作が行える「ボイスタッチ」です。コンビニやファミレス、ガソリンスタンドなどの周辺スポット検索をはじめ、地図の拡大/縮小、二画面表示切替えなどの画面操作も音声で行えるんですね。特筆すべきはその反応の速さです。入力した音声コマンドをローカルで処理しているので、通信回線を使った時のようなラグを感じることなく素早く反応してくれます。音声コマンドで多用されるトリガーも不要なのも便利。対応ワード数は限定されますが、走行中でもステアリングから手を放さずカーナビを操作できるわけで、運転中の大きな安心感につながるのは大きいですね。

 

地図データ更新は2021年から2023年まで3年分の地図更新が無料です。更新するにはスマートフォン用アプリ「BIG X CONNECT(ビッグXコネクト)」を使います。このアプリで地図データをダウンロードし、クルマに乗ってスマホをビッグXとつなげることで手軽に地図更新を行うことができるのです。また、このアプリでは目的地や立ち寄りスポットを検索して、それをカーナビへ転送することもできることもポイントです。

↑地図データの更新や目的地転送に使うスマホ用アプリ「ビッグXコネクト」

 

高音質化のためにイチから回路を見直し。ハイレゾにも対応

今回のモデルチェンジでは高音質設計としたサウンド系も魅力です。基本となる音質設計もイチから見直し、高音質オーディオパーツの採用やパワーアンプのフルデジタル化で透明感あふれるサウンドを導きます。ハイレゾ再生に対応した上で前後席4チャンネル独立のパラメトリック・イコライザーを採用。サウンドの情報量も豊富で、音にこだわる人も十分満足いくスペックを備えたと言っていいでしょう。

 

アルパインならではの多彩な周辺機器も用意しています。後席モニター「リアビジョン」は最大12.8型の大画面や、天井/ヘッドレスト/アームの取付けタイプを用意。前席/後席で別々のAVソースが楽しめるダブルゾーン機能に対応するほか、プラズマクラスター機能装備のモデルもラインアップしています。また、マルチビュー対応のバックビューカメラやフロントカメラが充実していて、ナビに格納される車種専用データによって車種ごとのガイド線を表示するため、安心して駐車や停車を行えます。ドライブレコーダーではカーナビ連携モデル DVR-C320R/DVR-C370Rで録画映像の確認や設定がカーナビから操作可能となります。

↑前席のヘッドレストに取り付ける10.1型モニターの2台セットモデル「SXH10ST」

 

↑後退時のガイド線も出せるリアカメラ。写真はジムニー向け製品

 

↑ドライブレコーダー「DVR-C320R」。前後2カメラで駐車中のコマ撮り録画にも対応

 

アルパインは今から10年前、大画面カーナビ『ビッグX』を先駆けて世に登場させ、カーナビ界をアッと言わせました。今回のラインナップを見れば、その経験は十分活かされており、この分野でライバルにはっきり差を付けていることは明らかです。加えて使い勝手の良いボイスタッチも熟成度が上がり、おすすめできる機能へと成長しました。ビッグX 2021年モデルは、大画面だけでなく、カーナビとしての総合力を一段と高めたことは間違いないでしょう。

↑フローティング・タイプの11型は軽自動車であるN-BOXにも装着可能だ

 

↑車種専用キットでトヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキーに対応した9型モデル

 

↑ノア/ヴォクシー/エスクァイアに取り付けたワイド7型モデル

 

アルパイン「ビッグ X」2021年モデル実売想定価格

■EX11NX2シリーズ(11型画面):32万円前後

■同ドライブレコーダーパッケージ(11型画面):36万円前後

■EX10NX2シリーズ(10型画面):32万円前後

■EX9NX2シリーズ(9型画面)※アルパインストア限定モデル:31万9000円

■フローティングXF11NX2(11型画面):29万円前後

■同ドライブレコーダーパッケージ(11型画面):32万円前後

■X9NX2(9型画面):27万円前後

■X8NX2(8型画面):24万円前後

■7WNX2(200ミリワイド・7型画面):19万円前後

■7DNX2(2DINサイズ・7型画面):19万円前後

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

走行ノイズも消せる!ボーズのノイキャン機能を載せた“静かなクルマ”が年内登場か

2021年は全面オンラインで実施された世界最大のエレクトロニクスショー「CES」にボーズ・オートモーティブが出展。ヘッドホン・イヤホンの開発により培ってきたアクティブ・ノイズキャンセリング機能を自動車向けに最適化して、静かな車内空間を実現する新技術を紹介していました。

↑静かな車内空間を実現するボーズの自動車向けノイズキャンセリング技術「Bose QuietComfort Road Noise Control」が、CES 2021でもハイライトされました

 

2021年内に発売が計画されている「ボーズのノイキャン技術を搭載する静かなクルマ」の開発状況をレポートしていきます。

 

すべてのクルマにとって魅力的な「静かな車内空間」を実現する技術

新型コロナウィルス感染症の影響が世界中に広がる以前、CESは自動運転車に関連する先進エレクトロニクス技術の話題で大いに盛り上がっていました。2020年1月初旬にリアル開催されたCESの展示会場は、自動運転技術を搭載する自動車と関連する技術が広大な展示スペースを所狭しと言わんばかりに埋め尽くしていたものです。

 

ところが今年のCESは残念ながら自動車産業からの出展が大幅に減っていました。特に公共交通手段として自動運転車両に“相乗り”して活用するシェアカーの未来展望は、疫病の影響を受けて今後大きな軌道修正が必要になりそうです。

↑2020年のCESでソニーが発表したコンセプトカー「VISION-S」が脚光を浴びました

 

↑自動運転に対応するシェアカーもCES 2020では注目の的に

 

自動車関連の出展が減った中で、今年もCESに出展したボーズ・オートモーティブが現在商用化に向けて開発を進めている「Bose QuietComfort Road Noise Control(RNC)」は、ボーズのオーディオ用ヘッドホン・イヤホンに搭載するアクティブ・ノイズキャンセリング機能を応用して、自動車の走行時に発生する不快なノイズを消すという、すべての自動車にとって有益になりそうな先進技術です。その仕組みから解説したいと思います。

 

Bose QuietComfort RNCの仕組みを解説

 

Bose QuietComfort RNCは、ボーズが快適なドライブを実現するための音響技術をパッケージにした「Active Sound Management」に新しく加わる、自動車向けのアクティブノイズキャンセリング技術です。自動車のパワートレイン(動力基幹部)に由来する不快なノイズを、オーディオシステムから発生させた逆位相の波形をぶつけて軽減する「Engine Harmonic Cancellation(EHC)」と、エンジンサウンドの特定音域を増幅して活き活きと聴かせる「Engine Harmonic Enhancement(EHE)」の技術がパッケージに含まれています。EHCは今から10年前、2011年に海外で発売されたキャデラック「Escalade」やインフィニティ(日産の海外ブランド)の「M」に初めて採用され、搭載車種が増え続けています。

 

EHCが普及する中で、運転中に発生するノイズをもっと効果的に消せる技術に対する期待も多くボーズ・オートモーティブに寄せられてきました。特に2000年代以降、ポータブルオーディオではQuietComfortシリーズのヘッドホン・イヤホンが大きな成功を収めていたことから「この技術を自動車にも載せてみてはどうか」という声が高まり、これを受けて2019年のCESでBose QuietComfort RNCが発表されました。

↑ボーズが誇るポータブルヘッドホンのためのノイズキャンセリング技術が自動車に活かせないのか、期待の声が寄せられていました

 

従来自動車内の静音性能を高めるための工夫は吸音材や防音・防振材などをシャーシに追加するアプローチが中心でしたが、伴って車体が大きく・重くなってしまったり、ハンドリング性能や燃費が落ちる等のトレードオフが付きまといました。

 

ボーズのQuietComfort RNCの技術は路面の凹凸やタイヤのコンディション、自動車の振動によって発生するノイズを消すことを第1のターゲットに置いています。4つの車輪に組み込まれる加速度センサーの情報と、車内に配置されるマイクが集音したノイズをデータとして集めて独自のアルゴリズムにより解析。ノイズと逆位相の波形を生成してカーオーディオシステムから発信することで不要なロードノイズを効果的にキャンセルします。

↑4つの車輪に搭載される加速度センサーが路面の凹凸、タイヤのコンディションに関連する情報などを集めます

 

↑車内に配置したマイクでアコースティックのコンディションを測定

 

↑ノイズに対して逆の波形を持つ“アンチノイズ”をぶつけて消去。静かな車内空間を実現します

 

これから5Gの普及が進むと、多くの自動車がモバイルネットワークに接続される“コネクテッドカー”になり、クルマの中で音楽や映画などエンターテインメントコンテンツが快適に楽しめるようになると言われています。QuietComfort RNCのような自動車のためのアクティブ・ノイズキャンセリング技術が普及すれば、5G時代のカーエンターテインメント環境は今よりもっと快適さを増すのでしょう。静かな車内で大声を張り上げることなく会話を交わしたり、AI搭載エンターテインメントシステムの音声操作もスムーズにできるはずです。

 

ボーズのアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するヘッドホン「Bose Noise Cancelling Headphones 700」には、ユーザーがアプリを使って消音レベルの強弱を変えられる機能や、ヘッドホンを装着したままリスニング環境周囲の音を聴くための外音取り込み機能が搭載されています。これらの機能は自動車向けのQuietComfort RNCの技術にも組み込まれるのでしょうか。

↑CES 2021のプレゼンテーション動画でテクノロジーを説明したボーズ・オートモーティブのPeter Kosak氏

 

メールによりボーズの担当者に取材したところ、QuietComfort RNCは自動車メーカーとボーズが安全性を考慮しながら各車種ごとに最大の消音効果が得られるように車内の音響空間を設計して組み込まれるため、ノイズキャンセリングの効果をドライバーが選択・変更する機能は設けられない(必要ない)そうです。また走行音以外のクラクションや緊急車両のサイレンなど、安全走行のために必要な音は消音されないアルゴリズムになっていることから、外音取り込みに相当する機能も付いてきません。この辺の使い勝手の良し悪しは実際の車に試乗した時にぜひ評価してみたいポイントです。アメリカと日本とでは交通事情が異なっていたり、ドライブしながら気を配るべき音の種類も違うはず。日本の自動車メーカーと連携した入念なローカライゼーションも必要になるでしょう。

 

搭載車は2021年末までに誕生予定

2019年にボーズがQuietComfort RNCの技術を初めて発表した時点では、2021年末までにQuietComfrot RNCを載せた自動車が発売されるという見通しが語られました。

 

2021年を迎えて、現状開発の進捗状況はどうなっているのかボーズの担当者に訊いてみましたが、今のところはまだ「鋭意開発中」であるという回答が返ってきました。現在Bose Active Sound Managementを採用する日産、マツダの今後のアナウンスにも引き続き注目しましょう。

 

QuietComfort RNCはボーズのカーサウンドシステムを搭載していない車両の場合でも、設計段階から協業して綿密にチューニングを練り上げることによって同等の効果が得られるシステムをインストールできるそうです。

↑ボーズ純正のカーサウンドシステムだけでなくサードパーティのシステムにもQuietComfrot RNCを合わせ込むこともできるそうです

 

ボーズはまた車載サウンドシステムのマネージメントソフトウェア「AudioWeaver」を手がけるDSP Concepts社のようなデベロッパとも連携を図りながら、QuietComfort RNCによるノイズキャンセリング効果を様々な環境で、よりシンプルに実現するソフトウェアソリューションの展開にも力を入れています。

 

2020年のCESでは、ソニーやドイツの老舗オーディオメーカーであるゼンハイザーが車載向けのイマーシブオーディオ技術を発表して脚光を浴びました。この先、自動運転技術の進化に伴って、ドライバーや同乗者が車内でエンターテインメントコンテンツを視聴したり、リモートオフィスのように車中空間を活用しながら自由に過ごせる未来が来るとも言われています。疫病の流行によって未来のモビリティサービスの価値観もいま変容を求められていますが、例えドライブに専念する場合でも心穏やかに過ごせる静かな車中空間には絶対的な魅力があると言えます。実際のクルマに乗りながらQuietComfrot RNCの実力を体験できる日が待ち遠しい限りです。

新しいドライブ様式は300万円台から始められる! 価格帯別イチオシEVガイド

排出ガス抑制のための規制強化が進むなか、世界の自動車メーカーはこぞって新たなEVを登場させている。ここではいま日本で購入できるEVを価格帯別に厳選して紹介。さぁ、新たなドライブ様式を始めよう!

※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が紹介します

GetNavi編集部 クルマ担当

上岡 篤

EVに乗ってみて、その静かさと圧倒的な加速に驚くばかり。本気で欲しいと思うが、集合住宅住まいなので充電の方法に悩んでいる。

《300万円台》

最先端の技術や最新の素材の採用により、まだまだ“高嶺の花”と思われがちなEV。しかし新車で300万円台と比較的リーズナブルなモデルもあるのだ。もちろん実用性も問題ない。

 

【No.1】日本を代表するEVは電源としても活用できる

日産

リーフ

332万6400円〜499万8400円

2017年にモデルチェンジして2代目になったリーフ。40kWhと62kWhの2タイプのバッテリー容量が選べるが、いずれも一充電で300km以上の走行が可能。住宅に電気を供給する電源としても活用できるのが特徴だ。

SPEC【e+G】●全長×全幅×全高:4480×1790×1565mm ●車両重量:1680kg ●最高出力:218PS(160kW)/4600〜5800rpm ●最大トルク:340Nm(34.7kg-m)/500〜4000rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):458km

 

★ここがイチオシ!

日本を代表するEVであるリーフは、プロパイロットなど安全運転支援技術も充実。電源として使えるのはいざという時に安心だ。

 

【No.2】タウンユースにぴったりなコンパクトモデル

三菱

i-MiEV

300万3000円

i-MiEVは2018年に衝突時の安全性確保のため全長が8cm拡大し、それまでの軽自動車規格から登録車規格になった。満充電時の最長航続距離は約164km。タウンユースなら気兼ねなく使えるコンパクトさもメリットだ。

SPEC【X】●全長×全幅×全高:3480×1475×1610mm ●車両重量:1100kg ●最高出力:64PS(47kW)●最大トルク:160Nm(16.3kg-m)●一充電走行距離(JC08モード):164km

 

★ここがイチオシ!

ステアリングのパドルで回生ブレーキの強弱を操作すれば、スポーティな気分も味わえる。年内で生産終了のウワサもあるので注意。

 

《400万円台》

この価格帯から欧州のプレミアムブランドのエントリーモデルが選択可能に。満充電時の走行可能距離は350kmを超え、遠距離ドライブ時の充電場所の不安から大きく解放されるのも選択基準のポイントとなる。

 

【No.1】小型SUVながら高いトルクでグイグイ走る

 

プジョー

e-2008

429万円〜468万円

プジョーのEVの歴史は1941年のVLV(航続距離は約80km)から始まる。そんなプジョーが今年の9月に小型SUVタイプのe-2008を導入。ガソリンエンジンで2.6L相当の260Nmのトルクを誇るモーターを搭載する。

SPEC【GT Line】●全長×全幅×全高:4305×1770×1550mm ●車両重量:1600kg ●最高出力:136PS(100kW)/5500rpm ●最大トルク:260Nm(26.5kg-m)/300〜3674rpm ●一充電走行距離(JC08モード):385km

 

★ここがイチオシ!

小型SUVのEVということで話題性は抜群。ボディは大きく見えるが全高を1550mmに抑えており、立体駐車場も安心して駐車できる。

 

【No.2】バッテリー容量がアップし走行距離もアップ

BMW

i3

499万円〜608万円

i3は2014年にデビューしたRRの完全EV。昨年リチウムイオンバッテリー容量が、従来より30%大きくした120Ahに変更された。バッテリーに充電するエンジンを搭載したレンジ・エクステンダーモデルも選べる。

SPEC【i3 Edition Joy+】●全長×全幅×全高:4020×1775×1550mm ●車両重量:1320kg ●最高出力:170PS/(125kW)/5200rpm ●最大トルク:250Nm(25.5kg-m)/100〜4800rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):360km

 

★ここがイチオシ!

まずは個性的なデザインが◎。BMWの正確なハンドリングはEVでもしっかりと味わえる。希少となった観音開きのドアも魅力的だ。

 

《500万円台》

EVもこの価格帯になれば最新のインフォテイメントシステム、豪華な内装、力強いパワーユニットなどが魅力のひとつだったり、選ぶ決め手のひとつだったりする。来年発売予定のアリアに注目が集まっている。

 

【No.1】日本のデザイン意匠をふんだんに採用し急速充電性能も向上

日産

アリア

実売予想価格500万円強〜 2021年発売

アリアコンセプトのショーカーがほぼそのまま発売予定になった日産のニューフェイス。駆動方式も2WDと4WDが用意される。バッテリーは水冷式で細かな制御が可能となり、耐久性も向上。来年の発売が待ち遠しい。

SPEC【2WD 90kWhバッテリー搭載車】●全長×全幅×全高:4595×1850×1655mm ●車両重量:1900〜2200kg ●最高出力:242PS(178kW)●最大トルク:300Nm(30.6kg-m)●一充電走行距離(WLTCモード):610km(社内測定値)

 

★ここがイチオシ!

日本のDNAを表現したデザインは秀逸。急速充電への耐久性も向上し、30分の充電で375km走行可能。EVの充電としてはかなり早い。

 

【No.2】洗練されたインテリアに加え静粛性もポイント

DS オートモビル

DS3 CROSSBACK E-TENSE

534万円

PSAグループの高級車ブランド、DS オートモビルから初のEVが登場。DS3 CROSSBACKの上質感プラスEVならではの乗り心地と静粛性が味わえるのは大きな魅力だ。気になる最大航続距離も398kmと申し分ない。

SPEC【Grand Chic】●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm ●車両重量:1280kg ●最高出力:130PS(96kW)/5500rpm ●最大トルク:230Nm(25.4kg-m)/1750rpm ●一充電走行距離(JC08モード):398km

 

★ここがイチオシ!

低重心化と独特のサスペンションで上品な乗り心地が味わえる。ガラスも通常よりも厚いものや音響ガラスを使用するこだわりも◎。

 

《900万円台》

市場が大きく変わって輸入車が安くなったと言われても、この価格帯の輸入車はやはりブランド力を持っている。老舗ブランド初のEV、世界トップシェアが放つベンチャー企業の中核的モデルと好対照だ。

 

【No.1】テスラの中核的モデルは圧倒的な加速性能が自慢

テスラ

テスラ モデルS

989万9000円〜1699万9000円

テスラが最初に日本に導入したクルマがモデルS。駆動方式は4WDを採用。走行距離が610kmのロングレンジモデルでも100km/hに到達するまでにわずか3.8秒という、世界トップレベルの加速性能が自慢だ。

SPEC【ロングレンジ】●全長×全幅×全高:4979×1964×1445mm ●車両重量:2215kg ●最高出力:475PS(350kW)●最大トルク:750Nm(76.4kg-m)●一充電走行距離(WLTPモード):610km

 

★ここがイチオシ!

テスラの代名詞的存在の自動運転支援システムやEVパッケージによる室内の広さがウリ。またリモート駐車など新しい装備は魅力だ。

 

【No.2】スポーツカーに匹敵する加速性能をもちながら走行可能距離も十分

ジャガー

I-PACE

976万円〜1183万円

ジャガー初のEVはSUVスタイルで登場。200PSを誇るモーターを前後に2つ搭載し、スポーツカー顔負けの加速性能を持つ。それだけのパワーを持ちながらも満充電で438kmの走行が可能というスペックを誇る。

SPEC【S コイルサスペンション仕様】●全長×全幅×全高:4695×1895×1565mm ●車両重量:2230kg ●最高出力:400PS(294kW)/4250〜5000rpm ●最大トルク:696Nm(70.9kg-m)/1000〜4000rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):438km

 

★ここがイチオシ!

ジャガーの魅力である、キャットウォークと呼ばれる乗り心地とハンドリングは健在。前後重量のバランスも50:50と理想的だ。

 

《1000万円超》

この価格帯はメーカーの提案するEVのイメージリーダーでもある。高機能なデバイス、新しいプラットフォーム、贅を尽くしたインテリアなど、いずれもメーカーの威信をかけたフラッグシップモデルなのだ。

 

【No.1】800Vの電圧システムを採用し効率よく充電可能

ポルシェ

タイカン

1448万1000円〜2454万1000円

ポルシェ初となる完全EVモデル。前後にモーターを配しミドルグレードのターボで最大出力680PSを発生させる。他のEVが400Vなのに対してタイカンは800Vシステムの電圧を採用しており、より効率的に充電が可能だ。

SPEC【4S パフォーマンスバッテリー搭載車】●全長×全幅×全高:4963×1966×1379mm ●車両重量:2140kg ●最高出力:435PS(320kW)●最大トルク:640Nm(65.2kg-m)●一充電走行距離(独自基準値):333〜407km

 

★ここがイチオシ!

800Vシステム採用で、わずか22分で80%の充電量にまで到達。最大走行距離は約450km。十分に実用的なポルシェの哲学が生きている。

 

【No.2】ガルウィングドアを採用したテスラ初のSUV

テスラ

テスラ モデルX

1059万9000円〜1299万9000円

テスラ初のSUVとなるモデルX。ロングレンジモデルでの走行距離は507kmを誇る。後席ドアはガルウィングで、身長の高い人でも乗り降りがラク。もちろん最新自動運転支援システムやインフォテインメントも装備する。

SPEC【ロングレンジ】●全長×全幅×全高:5037×1999×1680mm ●車両重量:2459kg ●最高出力:422PS(311kW)●最大トルク:660Nm(67.3kg-m)●一充電走行距離(WLTPモード):507km

 

★ここがイチオシ!

上方に開く後部座席のガルウィングドアは注目度バツグン。3列シートで大人7人がゆったり乗れる余裕の室内スペースも自慢だ。

 

【No.3】メルセデス初のEVは走行状況を判断する頭脳派モデル

メルセデス・ベンツ

EQC

1080万円

メルセデスブランド初の量産EV。ベースはSUVのGLCで、後席も大人がゆったりくつろげるスペースのヘッドルームを確保している。前後にモーターを搭載する4WDだが、低負荷時はFFにもなり走行距離の延長に寄与する。

SPEC【400 4MATIC】●全長×全幅×全高:4770×1925×1625mm ●車両重量:2500kg ●最高出力:408PS(300kW)/4160rpm ●最大トルク:765Nm(78.0kg-m)/0〜3560rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):400km

 

★ここがイチオシ!

ロードノイズが抑えられており、Sクラスを超える静粛性能は秀逸。走行距離400kmも実用的。自動運転支援システムも魅力だ。

 

【COLUMN】名車チンクエチェントがEVになって復活!

↑↓バッテリーはフロントに搭載。5.5kWhと10kWhの2種類が用意されている。走行距離は前者が約40km、後者が80kmとなる

 

チンクエチェント博物館

FIAT 500 ev

506万円〜550万円

1957年に登場し1977年までに400万台以上が販売された2代目フィアット500。このモデルをベースにEVへと仕立て上げたのが、私設自動車博物館である、名古屋のチンクエチェント博物館。後部のエンジン位置に搭載されたモーターは約18PSと、エンジンモデルと変わらない出力にこだわった。名車がEVに変貌を遂げるという、クルマの保全の一端を担うという側面もある。

SPEC【ONE BATTERY】●全長×全幅×全高:2980×1320×1320mm ●車両重量:590kg ●最高出力:17.7PS(13kW)●最大トルク:160Nm(16.3kg-m)●一充電走行距離:約40km

「このEVに乗りたい!」プロが乗りたいモデル4選

コンパクトモデルから大型SUVまでEVが選べるようになったいま、プロが魅力を感じる珠玉の4モデルを紹介。EVならではの加速力はもちろん、バッテリー性能など、それぞれのモデルが有する特徴はEVならではのものだ。

※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【Model.1】清水草一さん(モータージャーナリスト)

モータージャーナリスト

清水草一

自動車ライター。フェラーリを愛し、生涯EVは買わないつもりだったが、家庭用蓄電池も兼ねるならアリな選択と思い始めている。

 

家庭用電源として使えて耐久性も高い!

ホンダ

Honda e

451万円〜495万円

ホンダ初の量産EV。EVの大きなボディや航続距離の短さを改善して「街乗り」に特化した。ラインナップは154PSのアドバンスと136PSの標準モデルの2種。いずれも駆動方式はRRで最大航続距離は250km以上を誇る。

SPEC【Advance】●全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm ●車両重量:1540kg ●最高出力:154PS(114kW)/3497〜1万rpm ●最大トルク:315Nm(32.1kg-m)/0〜2000rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):259km

 

都市型コミューター&家庭用蓄電池にはベスト

私の場合、自宅でソーラー発電をしていて、電力の固定価格買取がそろそろ終わる。なので災害対策も兼ねて蓄電池の導入を考えているのだが、実は蓄電池としてはEVが一番コスパが高い! ただし、V2H(ビークル・ツー・ホーム)ができるのは国産EVのみ。つまりリーフとHonda eのみだが、Honda eのバッテリーは水冷式で、おそらくバッテリーの寿命がずっと長い。だから中古価格も下がりづらい(はず)。航続距離は実質せいぜい200㎞だけど、都市型コミューターとしては十分。しかもいま買える世界中のEVの中で一番シンプルでカッコいいと思う。以上の理由で私はHonda eを選択する!

↑容量は小さめだが、ラジエター方式(水冷)の温度管理システムを搭載している。バッテリーの劣化は気にしなくていいはずだ

 

↑家庭用の蓄電池としても使えるのは、いまのところ国産EVのリーフかHonda eの2択。前述の水冷バッテリーが選択のキモとなった!

 

【Model.2】会田 肇さん(カーITジャーナリスト)

カーITジャーナリスト

会田 肇

クルマやカーナビ、カーオーディオをはじめ先進交通システムにも造詣が深い。海外モーターショーにも積極的に足を運んでいる。

 

高揚感を呼ぶ先進性とトレーシング性の高さは圧巻

アウディ

e-tron Sportback

1327万円〜1346万円

スタイリッシュなクーペ風のシルエットが印象的な、日本初上陸となるアウディのEV。駆動方式はアウディ伝統のクワトロ(4WD)だが、通常は主にリアのモーターのみを駆動させてエネルギー消費を抑える。2.5tを超える車重ながら、0〜100km/h加速は5.7秒という優れたトルク性能を誇る。

SPEC【55 quattro 1st edition】●全長×全幅×全高:4900×1935×1615mm ●車両重量:2560kg ●最高出力:407PS(300kW)●最大トルク:664Nm(67.7kg-m)●一充電走行距離(WLTCモード):405km

 

先進性が高いメカニズムと高い操挓感が魅力のEV

アウディQ3をベースに先進技術を盛り込んだ、日本初導入となるアウディのEV。象徴的な装備が、ドアミラー代わりの「バーチャルエクステリアミラー」で、カメラで捉えた後方映像をインテリア側の有機ELモニターに表示する。解像度が高く、光学ミラーと比べても遜色がない。

 

コックピットのデザインも近未来的で高揚感を昂らせるのに十分。走ればライントレース性が高く、とても2.5t近くの重量車とは思えないほど楽に操れる。充電効率も極めて高く、航続距離もそれほど心配なさそう。この先進性と走りの良さを見事に両立させるe-tronSportsbackで、EVの真価を試したいのだ。

 

↑高解像度な電子ミラーシステムで昼夜を問わず鮮明に後方を映し出す。左右のカメラをボディ外寸内に収めているのも見事だ

 

↑3つの大型ディスプレイに取り囲まれ、左右には後方確認用OLEDモニターが備わる。この先進性がドライバーを高揚感で包み込む

 

【Model.3】川端由美さん(自動車・環境ジャーナリスト)

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美

自動車専門誌の編集記者を経てフリーに。現在では自動車の環境技術や次世代モビリティについても取材活動を行っている。

 

電動モビリティの牽引役が誇る凛としたスタイルのEVが日本上陸!

プジョー

e-208

389万9000円〜423万円

208が完全EVをラインナップに加えて8年ぶりにモデルチェンジ。FFホットハッチのイメージ通り、フロントにモーターを配して重量物のバッテリーは床面に置くなど低重心化し、走行性能を高めている。立体的な視覚効果が特徴である「3D i-Cockpit」など印象的な内装も特徴だ。

SPEC【GT Line】●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm ●車両重量:1500kg ●最高出力:136PS(100kW)/5500rpm ●最大トルク:260Nm(26.5kg-m)/300〜3674rpm ●一充電走行距離(JC08モード):403km

 

プジョーらしい凛としたスタイルに目が奪われる

プジョーといえば、“フランス製のおしゃれなクルマ”というイメージが強い。しかしプジョーの親会社であるPSAグループは電動モビリティの牽引役であり、最先端技術を続々と開発している。

 

e-208と出会ったのは、昨年3月のスイス・ジュネーブでのこと。コンパクトなボディサイズながら、凛としたスタイリングに目を奪われた。中身に目を向ければ、新開発の「e-CMP」なる電動プラットフォームを内包する。

 

こんなクルマで郊外に向けてハンドルを切れば、プジョーらしい猫足でひたひたと走り抜けるんだろうなあ、と想像をかき立てられる。早く乗りたい! の一言に尽きるEVである。

 

↑最新世代の車両プラットフォーム CMP(Common Modular Platform)を採用。バッテリー容量は50kWhとこのクラスでは大容量だ

 

↑デジタルヘッドアップインストルメントパネルには「3D i-Cockpit」を採用。ホログラムによる情報投影が行われ、多彩な情報を確認可能

 

【Model.4】岡本幸一郎さん(モータージャーナリスト)

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。続々登場するEVのほとんどの車種をすでに試乗済み。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

最大走行距離560kmと0-100km/h加速3.4秒は驚異的!

テスラ

テスラ モデル3

511万円〜717万3000円

世界中が注視するEVに特化した新興勢力のテスラ。これまでは高価な車種が多かったところ、昨年日本上陸を果たした普及版のモデル3は現実的な価格帯に。日本仕様は標準+αの性能の後輪駆動仕様と、デュアルモーターAWDの高性能版、および走行距離重視仕様の3タイプ。

SPEC【スタンダードレンジ プラス】●全長×全幅×全高:4694×1933×1443mm ●車両重量:1612kg ●最高出力:286PS(211kW)●最大トルク:350Nm(35.6kg-m)●一充電走行距離(WLTPモード):409km

 

現実的な価格帯ながら秘められた実力は驚異的

全幅こそそれなりに大きいものの、テスラに共通する流麗なフォルムを持つボディは、日本でもあまりもて余すことなく使えそうなサイズ感。先進的な装備の数々を搭載した室内は、全面をガラスで覆ったルーフにより極めて開放的なのもうれしい。

 

走りの実力もかなりのもので、最速で0-100km/h加速がわずか3.4秒という瞬発力は、この価格帯のクルマでは類を見ない。最大で約560kmという長い走行距離も強みだ。さらには世界に先駆けて半自動運転を実現したオートパイロットや、定期的にクルマが新しくなるワイヤレスソフトウェアアップデートなど、テスラならではの魅力を凝縮している。

 

↑超シンプルなインパネ。大型ディスプレイにナビや車速等すべての情報が表示され、空調等の機能の操作も行う。運転以外はすべてココで完結

 

↑CHAdeMO(チャデモ)よりもはるかに扱いやすく高速で充電できるテスラ独自規格のスーパーチャージャーが全国の要所に設置されている