量産FF車最速記録を更新したルノー「メガーヌ R.S.」を深掘り

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、ドイツのニュルブルクリンク北コースで、量産FF車最速記録を更新したメガーヌR.S.を掘り下げる!

※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】ルノー/メガーヌ R.S.

SPEC【トロフィー MT】●全長×全幅×全高:4410×1875×1435mm ●車両重量:1450kg ●パワーユニット:1.8L直列4気筒ターボエンジン ●最高出力:300PS(221kW)/6000rpm ●最大トルク:400Nm/3200rpm ●WLTCモード燃費:13.4km/l

448万1000円〜499万円

 

ルノーのエンジニアが日本の道路事情に合わせてチューニング

安ド「殿! このクルマ、最高ですね!」

 

永福「安ドは速いクルマが好きだな」

 

安ド「300馬力のパワーと、ターボエンジンのぶっといトルクを味わいながら、滑るように走れました!」

 

永福「滑るようにとは、乗り心地のことか?」

 

安ド「そうです! このスポーツ性とコンフォート性のバランスは素晴らしいと思います!」

 

永福「確かに、車名にトロフィーと付くハイパフォーマンス仕様にしては、乗り心地は悪くない」

 

安ド「ですよね!」

 

永福「日本には熱狂的なマニアが多く、メガーヌのR.S.に限っては、世界で何番目かによく売れている国だそうだ」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「スポーツカー熱は冷め切っているように見えるが、実は日本は、スポーツカーマニアが非常に多い国なのだ」

 

安ド「良かったです!」

 

永福「わざわざルノーのエンジニアが来日し、入念に日本の道路事情を調査して、それに合わせたサスペンションチューニングをしたという」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「具体的には、首都高のジョイント。ああいうものは欧州にはないので、通過した時の乗り心地に特に配慮したそうだ」

 

安ド「マジですか!」

 

永福「なぜ欧州にああいうものがないかというと、地震が少ないからだ」

 

安ド「あれは地震対策なんですか!」

 

永福「大地震の際、橋げたが分割されていたほうが、力を逃がしやすいのだ」

 

安ド「さすが、殿は首都高研究家ですからね!」

 

永福「話がそれた。私はやはり、こういうクルマはMTに限ると思ったぞ」

 

安ド「やっぱりMTは楽しいですね!」

 

永福「2年前のR.S.日本導入時はATしか設定がなく、なんだかあんまり楽しくなかったのだ」

 

安ド「そうなんですね!」

 

永福「あの時は『MTを出す予定はない』と聞いたが、その後ルノーは考えを変えたらしい」

 

安ド「良かったです!」

 

永福「こういうクルマはラクして速く走りたいわけではない。存在そのものが趣味なのだから、やることは多いほうがいい」

 

安ド「デザインもカッコいいですよね! フォグランプとかフロント中央、ルノーのエンブレム下のトロフィーデカールの位置とか、細かいところまで凝ってます!」

 

永福「神は細部に宿る、だな」

 

安ド「5ドアなので、実用性もあります!」

 

永福「限定車の『トロフィーR』だと、5ドアなのに後席がないぞ」

 

安ド「えっ! なぜっすか!?」

 

永福「軽くするためだ」

 

安ド「僕は後席アリがいいです!」

 

【GOD PARTS 1】スポーツエキゾーストマフラー

切り替えて楽しめる迫力のスポーツサウンド

マフラーには「アクティブバルブ」をR.S.モデル史上初搭載。これはサウンド切り替え機能で、スポーツモードにすれば、エンジンパフォーマンスを向上させながら、迫力のサウンドも楽しめます。パンパン鳴ってちょっとヤンチャですが(笑)。

 

【GOD PARTS 2】R.S.ビジョン

クルマ好きなら気になるチェッカーフラッグ型

フォグランプのデザインはチェッカーフラッグ型で、カーマニアの気持ちを高ぶらせてくれます。ちなみに「R.S.」は「ルノー・スポール」の略で、ルノーがこれまでレース活動で培ってきた知見が注ぎ込まれたモデルであることを示しています。

 

【GOD PARTS 3】インパネ

赤いステッチがドライバーの気持ちを高める

ステアリングやシートなど、各部に赤いステッチが施されているのはR.S.専用で、いかにもスポーティな雰囲気です。さらにカーナビの設定がないところもストイックで、運転に集中したいマニア向けのポイントではないでしょうか。

 

【GOD PARTS 4】5ドアボディ

ドアが左右2枚ずつ増えて使い勝手が良くなった

先代型メガーヌの「R.S.」は、3ドア、つまりボディ左右のドアが1枚ずつでした。しかし今回は5ドアです。この結果、使い勝手や利便性が向上しました。もちろん肝心のスタイルもスポーティ感を損なうことなく、きれいにまとめられています。

 

【GOD PARTS 5】エアアウトレット

空気の排出口が前にも後ろにも存在?

       

前後のフェンダー(タイヤの周囲を取り囲むボディのふくらみ)には、それぞれ後方にエアアウトレット(空気の排出口)が備わっています。ただよく見ると、フロントは穴が開いていますが、リアは穴がふさがっていてハリボテのようです。

 

【GOD PARTS 6】1.8Lターボエンジン

元から強力なエンジンをさらにパワーアップ!

ベースの「R.S.」がすでに279馬力なのに、「トロフィー」は専用チューニングが施され、300馬力にまで向上されています。組み合わせられるトランスミッションに6速MTの設定があることもうれしいですし、フィーリングも優れていて扱いやすいです!

 

【GOD PARTS 7】走行モード

ボタンひとつでよりハードなマシンに

   

ディスプレイ下に設置されている「R.S.ドライブ」ボタンを押せば、スポーツモードやレースモードへと切り替えられます。トランスミッションや車両制御装置、ステアリングなどのプログラムが変更され、走りがよりハードに変わります。

 

【GOD PARTS 8】ハンズフリーカードキー

ビックリするほど軽くてちょっと厚めのカードキー

現代のトレンドでもあるカードキーが採用されていますが、実際に持ってみるとかなり軽くてビックリします。カード型にしては少し厚みがあるので、ポケットに入れているとかさばりそうです。裏側に施錠/解錠ボタンが付いています。

 

【GOD PARTS 9】バケットシート

老舗が作った特製シートは触り心地も良し

バケットシート界の老舗ブランド「RECARO(レカロ)」社の特製シートがトロフィー専用装備として搭載されています。表面生地も、高級素材の代表的な存在であるアルカンタラが使用され、スウェードのような柔らかな感触を味わえます。

 

【これぞ感動の細部だ!】足まわり

硬めでも乗り心地は悪くないベストセッティング

乗ってすぐに感じられる、サスペンション設計の素晴らしさは感涙モノです。スポーツモデルらしく硬めですが、乗り心地は決して悪くありません。きっとカーマニアなら「快適!」と絶賛することでしょう。もちろん、サーキットでは素晴らしいコーナリング性能を引き出してくれます。さらに後輪操舵機能「4コントロール」も搭載されていて、小回り性能と安定性を両立しています。

量産FF車最速記録を更新したルノー「メガーヌ R.S.」を深掘り

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、ドイツのニュルブルクリンク北コースで、量産FF車最速記録を更新したメガーヌR.S.を掘り下げる!

※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】ルノー/メガーヌ R.S.

SPEC【トロフィー MT】●全長×全幅×全高:4410×1875×1435mm ●車両重量:1450kg ●パワーユニット:1.8L直列4気筒ターボエンジン ●最高出力:300PS(221kW)/6000rpm ●最大トルク:400Nm/3200rpm ●WLTCモード燃費:13.4km/l

448万1000円〜499万円

 

ルノーのエンジニアが日本の道路事情に合わせてチューニング

安ド「殿! このクルマ、最高ですね!」

 

永福「安ドは速いクルマが好きだな」

 

安ド「300馬力のパワーと、ターボエンジンのぶっといトルクを味わいながら、滑るように走れました!」

 

永福「滑るようにとは、乗り心地のことか?」

 

安ド「そうです! このスポーツ性とコンフォート性のバランスは素晴らしいと思います!」

 

永福「確かに、車名にトロフィーと付くハイパフォーマンス仕様にしては、乗り心地は悪くない」

 

安ド「ですよね!」

 

永福「日本には熱狂的なマニアが多く、メガーヌのR.S.に限っては、世界で何番目かによく売れている国だそうだ」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「スポーツカー熱は冷め切っているように見えるが、実は日本は、スポーツカーマニアが非常に多い国なのだ」

 

安ド「良かったです!」

 

永福「わざわざルノーのエンジニアが来日し、入念に日本の道路事情を調査して、それに合わせたサスペンションチューニングをしたという」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「具体的には、首都高のジョイント。ああいうものは欧州にはないので、通過した時の乗り心地に特に配慮したそうだ」

 

安ド「マジですか!」

 

永福「なぜ欧州にああいうものがないかというと、地震が少ないからだ」

 

安ド「あれは地震対策なんですか!」

 

永福「大地震の際、橋げたが分割されていたほうが、力を逃がしやすいのだ」

 

安ド「さすが、殿は首都高研究家ですからね!」

 

永福「話がそれた。私はやはり、こういうクルマはMTに限ると思ったぞ」

 

安ド「やっぱりMTは楽しいですね!」

 

永福「2年前のR.S.日本導入時はATしか設定がなく、なんだかあんまり楽しくなかったのだ」

 

安ド「そうなんですね!」

 

永福「あの時は『MTを出す予定はない』と聞いたが、その後ルノーは考えを変えたらしい」

 

安ド「良かったです!」

 

永福「こういうクルマはラクして速く走りたいわけではない。存在そのものが趣味なのだから、やることは多いほうがいい」

 

安ド「デザインもカッコいいですよね! フォグランプとかフロント中央、ルノーのエンブレム下のトロフィーデカールの位置とか、細かいところまで凝ってます!」

 

永福「神は細部に宿る、だな」

 

安ド「5ドアなので、実用性もあります!」

 

永福「限定車の『トロフィーR』だと、5ドアなのに後席がないぞ」

 

安ド「えっ! なぜっすか!?」

 

永福「軽くするためだ」

 

安ド「僕は後席アリがいいです!」

 

【GOD PARTS 1】スポーツエキゾーストマフラー

切り替えて楽しめる迫力のスポーツサウンド

マフラーには「アクティブバルブ」をR.S.モデル史上初搭載。これはサウンド切り替え機能で、スポーツモードにすれば、エンジンパフォーマンスを向上させながら、迫力のサウンドも楽しめます。パンパン鳴ってちょっとヤンチャですが(笑)。

 

【GOD PARTS 2】R.S.ビジョン

クルマ好きなら気になるチェッカーフラッグ型

フォグランプのデザインはチェッカーフラッグ型で、カーマニアの気持ちを高ぶらせてくれます。ちなみに「R.S.」は「ルノー・スポール」の略で、ルノーがこれまでレース活動で培ってきた知見が注ぎ込まれたモデルであることを示しています。

 

【GOD PARTS 3】インパネ

赤いステッチがドライバーの気持ちを高める

ステアリングやシートなど、各部に赤いステッチが施されているのはR.S.専用で、いかにもスポーティな雰囲気です。さらにカーナビの設定がないところもストイックで、運転に集中したいマニア向けのポイントではないでしょうか。

 

【GOD PARTS 4】5ドアボディ

ドアが左右2枚ずつ増えて使い勝手が良くなった

先代型メガーヌの「R.S.」は、3ドア、つまりボディ左右のドアが1枚ずつでした。しかし今回は5ドアです。この結果、使い勝手や利便性が向上しました。もちろん肝心のスタイルもスポーティ感を損なうことなく、きれいにまとめられています。

 

【GOD PARTS 5】エアアウトレット

空気の排出口が前にも後ろにも存在?

       

前後のフェンダー(タイヤの周囲を取り囲むボディのふくらみ)には、それぞれ後方にエアアウトレット(空気の排出口)が備わっています。ただよく見ると、フロントは穴が開いていますが、リアは穴がふさがっていてハリボテのようです。

 

【GOD PARTS 6】1.8Lターボエンジン

元から強力なエンジンをさらにパワーアップ!

ベースの「R.S.」がすでに279馬力なのに、「トロフィー」は専用チューニングが施され、300馬力にまで向上されています。組み合わせられるトランスミッションに6速MTの設定があることもうれしいですし、フィーリングも優れていて扱いやすいです!

 

【GOD PARTS 7】走行モード

ボタンひとつでよりハードなマシンに

   

ディスプレイ下に設置されている「R.S.ドライブ」ボタンを押せば、スポーツモードやレースモードへと切り替えられます。トランスミッションや車両制御装置、ステアリングなどのプログラムが変更され、走りがよりハードに変わります。

 

【GOD PARTS 8】ハンズフリーカードキー

ビックリするほど軽くてちょっと厚めのカードキー

現代のトレンドでもあるカードキーが採用されていますが、実際に持ってみるとかなり軽くてビックリします。カード型にしては少し厚みがあるので、ポケットに入れているとかさばりそうです。裏側に施錠/解錠ボタンが付いています。

 

【GOD PARTS 9】バケットシート

老舗が作った特製シートは触り心地も良し

バケットシート界の老舗ブランド「RECARO(レカロ)」社の特製シートがトロフィー専用装備として搭載されています。表面生地も、高級素材の代表的な存在であるアルカンタラが使用され、スウェードのような柔らかな感触を味わえます。

 

【これぞ感動の細部だ!】足まわり

硬めでも乗り心地は悪くないベストセッティング

乗ってすぐに感じられる、サスペンション設計の素晴らしさは感涙モノです。スポーツモデルらしく硬めですが、乗り心地は決して悪くありません。きっとカーマニアなら「快適!」と絶賛することでしょう。もちろん、サーキットでは素晴らしいコーナリング性能を引き出してくれます。さらに後輪操舵機能「4コントロール」も搭載されていて、小回り性能と安定性を両立しています。

オーナーが語る! EVで変わったドライブ新様式

近年大きく広がりを見せているEV。次にクルマを買い換えるときはEVを選択したいと考えている人は多いのではないだろうか。そこでいち早く乗り換えたEVオーナーに、ランニングコストの変化、EVへの満足度、さらに生活がどのように変わったか話を聞いた。

※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

リーフなら遠出も安心です。次はアリアを狙っています(和弘さん)

近場を頻繁に走るならEV以外は考えられません(郁子さん)

 

藤田郁子さん 藤田和弘さん

9年目となるi-MiEVと、4年目の現行リーフを所有。普段は郁子さんが近所の移動でi-MiEVを使うことが多い。週末は主に和弘さんの運転でリーフに乗っている。

 

街乗りも遠出もEVにしたら乗り方もコストも大きく変化

EVが続々と登場して選択肢になりつつあるなか、いち早くEVライフを満喫しているのが、東京都郊外に住む藤田さん夫妻だ。

 

「8年前、三菱i-MiEVの試乗会で、モーターがダイレクトにつながったEV特有の走りの良さを味わいました」(和弘さん)

 

これからはEVだと確信した和弘さんはi-MiEVを購入。3年後には日産リーフも購入し、完全なEVライフをスタートさせた。

 

それ以来、EVならではの走りを満喫している。ガソリン車と比較してスピードやエアコンのオン/オフなど、走り方や使い方で電費が大きく変わるのも面白い点だ。

 

「リーフで大阪に帰るときは途中で2、3回充電しています。家族は待ち時間に不満があるかもしれませんが、運転手にとってはちょうど良い休憩時間です。さらにバッテリー容量が大きい新しいEVなら1回の充電で大阪まで行けそう。充電にかかる時間をそれほど気にせず走れますよ」(和弘さん)

 

【Q.1】EVに乗るようになって、以前とランニングコストはどのくらい変わりましたか?

A.私は年間で約16万5000円節約できました。いま契約できるプランでも半額以下になると思います。

 

年3、4回の帰省を含めて、年間1万5000kmを走行する藤田家。燃費9.5km/L、ガソリン代を130円/Lで計算すると、1年間に約20万5000円のガソリン代が必要だった。

 

「2台のEV車はおトクな夜間電気代プラン(12.48円/kWh)で充電しています。この電気代と外出先で充電するための充電カードプランの費用が月額2200円。すべて足すと年間のコストは約4万円です。私のプランは現在新規契約できませんが、それでも半額以下になると思います」(和弘さん)

 

 

【Q.2】EVは定期的に充電が必要ですが、その作業は面倒ではないですか?

A.購入当初は充電し忘れたこともありましたが、いまでは習慣化して面倒に感じることもありません

 

「i-MiEVに乗り換えてすぐは、充電を忘れて翌日にバッテリーが少なくて困ったこともありましたが、もう習慣化しました」(郁子さん)

 

「電気代の安い夜間時間帯になると自動的に充電するシステムがあるので、帰宅後にプラグを挿すだけです」(和弘さん)

 

↑自宅での充電ならケーブルをEVの充電コネクタに挿すだけ。藤田さんは2本の充電用ケーブルを所有し、i-MiEVとリーフを同時に充電することが可能だ

 

【Q.3】EVの走りには満足できていますか?

A.振動がない、エンジン熱がない、燃料の臭いもしないし、トルクにも大満足……楽しいコトばかりです

 

「初めてi-MiEVに乗ったときのモーターの走りに感激して購入しました。ゼロからトルクのある走りができるのはEVならでは」(和弘さん)

 

「振動やガソリンの臭いがないのが何より良いですね。車検のときなどに代車でエンジン車に乗りますが、戻れないと痛感します」(郁子さん)

 

↑EVはモーターの回転を直接タイヤに伝える。アクセルを強く踏み込むとモーターの回転数も比例して急激に上がり、エンジン車にはない加速も可能だ

 

【Q.4】長距離ドライブでは出先で充電が必要になります。充電場所探しに困ることはありませんか?

A.充電網が整備されているので安心ですし、充電を考慮したルートが設定できるので困りません

 

リーフはフル充電で実質約200km以上走行可能で、充電できる場所もスマホアプリで簡単に探せる。

 

「9年前と違っていまは充電網が整備されていて困ることはありません。リーフのカーナビでは充電スポットを考慮したルート探索もできますよ」(和弘さん)

 

↑高速道路の主要なSAやPAには急速充電器が設置されている。大きなSAだと複数台の急速充電器が設置されており、順番待ちすることも多くない。

 

【Q.5】EVに変えて良かった! と思うことを教えてください

A.家庭の電源としても使えるのはとても便利ですね。EVを通じて仲間も増えました。加えて電気のありがたみも意識するようになりました

 

i-MiEVの購入と合わせて自宅にソーラーパネルを設置するなど、一気に生活を電化した藤田家。

 

「日中の家の電気はリーフのバッテリーから給電しています。おかげで電気代は月8000円前後。EVを通して仲間も増え、情報交換ができています」(和弘さん)

 

↑リーフへの充電も自宅への電源供給も、専用のEVパワーステーション経由で行っている。アプリやタイマーで管理できるのでコネクタを挿すだけだ

 

【COLUMN】多くの自治体と協定を締結し災害時は電源車として活躍する

リーフは他のデバイスに給電することも可能。そのため日産は多くの自治体と災害時に停電が発生した場合の給電に、リーフを活用する協定を締結している。昨年10月、台風により大規模な停電が発生した千葉県でも活躍した。

“クルマは充電”が新しいドライブ様式になる! EVメーカーの現在地

世界各国でエンジン車への規制が強まるなか、自動車メーカーは近年こぞってEVを開発し世に送り出している。走行可能な距離が短い、充電スポットが少ないという不安は、もはや過去のもの。これからのクルマは“充電”が新たなドライブ様式となる。スポーツカーで有名なポルシェも、誰もが憧れるラグジュアリーカーのロールス・ロイスやアストンマーティンもEVを発表。もはやどのメーカーも避けて通れないクルマの電動化は、いまどうなっているのか。自動車ジャーナリストの川端さんに話を聞くとともに、世界の自動車メーカーの現在地を解説!

※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美さん

工学修士。エンジニアから自動車専門誌の編集部員に転身し、現在は、フリーランスのジャーナリスト。テクノロジーとエコロジーが専門。

 

排出ガス規制と政府の援助で着々と進むクルマの電動化

英語で“Petro Head”と言えばクルマ好きのこと。Petroとは石油のことだから、ひいてはエンジンとクルマは切っても切り離せない……というのはもう過去の話。多くの自動車メーカーがEVを発表する時代が来ている。その背景にあるのが、欧州委員会による「2050年までにカーボンニュートラル(※)を目指す」という発表だ。さらに、2030年までに自動車からの排出ガスによるCO²排出量を半分まで削減(2020年第3四半期比)し、2040年に新型車はほぼCO²を排出しないクルマだけになるというロードマップを描いている。

※ライフサイクルで見たときに、二酸化炭素の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロになる状態のこと。2017年にパリで開かれたワン・プラネット・サミットでカーボンニュートラル宣言が発出された

 

この動きは、中国やアメリカでも加速している。中国では政府が税の優遇などを設けて、電池を含めたEV産業全体を後押ししている。アメリカのカリフォルニア州では、2035年までに州内で販売されるすべてのクルマを排ガスゼロにするという意欲的な目標を打ち出している。世界は電動化に向けて、着々と進んでいるのだ。

 

世界EVメーカーシェアランキング】

テスラが約18%と圧倒的なシェア。これは2016年に発表され手ごろな価格で大人気となったモデル3の影響が大きい。日本メーカーがベスト10に入っていないのは残念。

● ウェブサイト「EV Sales」の2020年1月から8月までの販売台数ランキングデータより引用。

● 販売台数のなかにはPHEV(プラグ・イン・ハイブリッド車)も含まれる

 

《アメリカ》

EVの世界シェアで断トツのトップを走るテスラが市場を牽引。シボレーのボルトEVは2021年に次期モデルが登場する予定だ。

 

【No.1】世界シェアでトップを走る気鋭のEVメーカー

テスラ

起業家イーロン・マスクを中心に「自分たちが乗りたいカッコいいエコカーを作ろう!」と一念発起。スポーツカー、セダン、SUVに続き手ごろなモデル3と、新車を連発中だ。

 

【No.2】転んでもタダでは起きない⁉ GM渾身のEVで巻き返す

シボレー

リーマンショックで倒産の憂き目にあったGMだが、政府から低利の融資を受けて電池とEVのボルトを開発。高級車ブランドのキャデラックでも、2023年にEVを発売予定だ。

 

《アジア》

政府の援助を受けられるなどEVの開発環境が整えられた中国は、多くのメーカーが参入。元々は電池メーカーなど、異業種企業も多い。

 

【No.1】商用EVのトップメーカーから乗用車へも進出

比亜迪汽車(中国)

電池メーカーとして創業し、EVメーカーを買収。いまEV商用車では世界一だ。アウディからデザイナーを招聘し、王朝シリーズで乗用EVにも進出。トヨタとの合弁も開始した。

 

【No.2】洗練されたデザインを武器に欧米市場への進出を目論む

広州汽車(中国)

2025年までに全車種をEV化すると宣言。心臓部には日本電産製モーターを積むeAxleを搭載し、スタイリングは欧州高級車メーカーから引き抜いてきたデザイナーが担当する。

 

【No.3】年内上場を目指す注目のEVスタートアップ

威馬汽車(中国)

コネクテッド・カーや購入後のアフターサービスなどをウリにした“スマートカー”として話題。「中国版Google Map」を提供する百度と手を組んで、自動運転や車載AIも提供する。

 

【No.4】中国版イーロン・マスクが起こしたEVメーカー

上海蔚来汽車(中国)

中国経済界の若手カリスマであるウィリアム・リー氏が創業。大気汚染を解決しようと、「青空の訪れ」を意味する「蔚来」を社名にした。自社工場を持たず、SUVのES8を委託生産。

 

【No.5】自社生産と提携を使い分け世界への販路拡大を続ける

上海汽車(中国)

第一汽車、東風汽車と並び、中国の三大自動車メーカーのひとつ。自社での生産も手掛ける一方、他国の企業と提携を結び拡大。イギリスの名門ブランドMGのEVをフランスで発売した。

 

【No.6】委託生産の依頼や出資と共に自社EVも発売する多様な戦略

長安汽車(中国)

今後10年で27車種ものEVを発売すると意気込む。自社ブランドを拡大すると同時にEVメーカーの蔚来に生産を委託したり、愛馳に出資したりと、多様なEV戦略を目論む。

 

【No.7】ボルボの親会社はEV専用ブランドも立ち上げた

吉利汽車(中国)

中国系大手であり、ボルボの親会社であり、ダイムラーの大株主。EV専用ブランド「ジオメトリ」を設立し、テスラのモデル3をライバルと目論む小型セダン、Aを発表した。

 

【No.8】EVのラインナップを拡充し自動運転技術も磨く

ヒュンダイ(韓国)

コンパクトハッチ・コナのEV版の登場に続き、SUVの45を発売予定。3月にジョイスティックで操作し、自動運転への切り替えも可能なコンセプト「Prophecy」を発表した。

 

《日本》

日産と三菱が日本のEVを牽引してきたが、ホンダとマツダも参入。日産は新型アリアの販売を予定し、やっちゃえシェア獲得となるか。

 

【No.1】ハイブリッド王国ニッポンでピュアEVの道を突っ走る

日産自動車

世界に名だたる“ハイブリッド王国”であるニッポンだが、日産は一貫してEV開発を貫いている。リーフは2017年に2世代目となり、なんと累計50万台(!)を販売している。

 

【No.2】小さいながらもグローバルでEVを展開

三菱自動車

EV開発の歴史は1960年代から。早朝の新聞配達に静かなクルマが欲しいと考えた結果、EVを開発することになったという。コツコツと開発を続け、2009年に世界初の量産EVを発売。

 

【No.3】電気駆動になってもホンダ独自の走りの魅力は健在

本田技研工業

電気の時代においても、ホンダは走って楽しいクルマを作ることを重視している。Honda eでは、走行距離を200㎞と割り切りつつ、コンパクトでキビキビ走るモデルに仕立てている。

 

【No.4】クリーンディーゼルだけじゃない EVにもしっかり着手

マツダ

昨今のマツダはクリーンディーゼルが有名だが、電動化にも着手している。第1弾となるMX-30はヨーロッパで販売開始。日本では2021年にリース形式での販売を開始する予定だ。

 

《ヨーロッパ》

EU各国でCO2排出規制が発出されたことで、続々とEVが登場。目標年度を定めてEVへシフトするメーカーも多く、その動きに注目だ。

 

【No.1】EVでも最善の性能と快適性を提供する

メルセデス・ベンツ(ドイツ)

「最善か無か」を旨とするメルセデス・ベンツだけに、EVでも高性能かつ快適なクルマを開発する姿勢を崩さない。EQCでは、パワフルなモーターと自社製電池を搭載している。

 

【No.2】次世代に向けてイチから刷新したEVを開発

BMW(ドイツ)

バイエルン・エンジン製作所を略した社名のBMW。徹底したエンジン屋のBMWがイチから刷新したEVブランドのiでは、EV特有の気持ち良い走りをBMW流に仕立てている。

 

【No.3】壮大な販売目標を揚げてEV市場の席巻を狙う

フォルクスワーゲン(ドイツ)

2025年までに300万台のEVを販売するという意欲的な目標を掲げるフォルクスワーゲンは、続々とEVモデルを発売している。第1弾となるiD.3に続き、iD.4も発売されている。

 

【No.4】電動化を推し進める国の牽引役となるメーカー

プジョー(フランス)

国を挙げて電動化を推し進めるフランス。プジョーはその牽引役となっている。日本上陸を果たしたe-208では、パワフルなモーターと大容量電池を組み合わせた心臓部を持つ。

 

【No.5】日本にもEVがお目見えしEVの販売比率拡大を目指す

アウディ(ドイツ)

アウディの電動シリーズe-tron Sportbackが待望の日本上陸を果たした。さらにe-tron SUVが続く。2025年までに20車種のEVを発表し、40%のEV販売比率達成を目指している。

 

【No.6】欧州最多のEV販売台数を誇る

ルノー(フランス)

30万台のEV累計販売台数を誇るルノー。一番人気の小型車・ゾエは販売台数を伸ばしており、累計販売台数は10万台を超える。今年はカングーのEV版コンセプトモデルも発表。

 

【No.7】「あのポルシェが!」と世界を驚かせた

ポルシェ(ドイツ)

世界有数のスポーツカーブランドも、量産EVであるタイカンを発売。最高250km/h、0-100km/h加速2.8秒というハイパフォーマンスを誇る。2021年モデルも欧州で発表された。

 

【No.8】レースで鍛えたEVの技術を量産モデルにも投入する

ジャガー(イギリス)

F1のEV版であるフォーミュラーEに参戦しているジャガー。量産EVでもI-PACEを発売した。最大696Nmもの大トルクを発揮するモーターによって、スポーティな走りを実現する。

アルパインの「ディスプレイオーディオ」は拡張性が超優秀! 大画面だけないその魅力

アルパインは、ディスプレイオーディオ(DA)の新ラインナップ「フローティングBIG DA」シリーズを発表しました。発表されたラインナップはフローティングスタイルの大画面モニターを備えた11型「DAF11V」と9型のモデル「DAF9V」、インダッシュスタイルの7型モデル「DA7」を含む全3タイプです。全モデルが2021年1月上旬よりアルパインストア限定で発売されます。

↑ディスプレイオーディオ(DA)の新ラインナップ「フローティングBIG DA」シリーズ。写真は9型モデル「DAF9V」を日産セレナに装着

 

スマホ連携でナビからエンタメまですべてを大画面で楽しめる

3モデルとも基本機能は共通となっており、予算やスタイルに応じて好みの一台が選べるラインナップとなっています。なかでも注目なのは要であるスマホとの連携が充実していることです。iPhone接続時にはApple CarPlayが、Android接続時にはAndroid Autoが起動して、ナビやオーディオ、メッセージなどスマホにインストールされている対応アプリの機能を利用できるのです。操作はタッチパネルと音声認識によるものとなっています。

↑11型モデル「DAF11V」7万9800円(税込)

 

↑9型モデル「DAF9V」6万9800円(税込)

 

↑インダッシュタイプの7型モデル「DA7」特別価格3万4800円(税込)

 

ナビ機能はスマホアプリを利用します。Apple CarPlayとAndroid Autoそれぞれのナビアプリを使うこととなりますが、いずれも目的地検索やルート案内はナビアプリに依存します。測位について最近はディスプレイオーディオでも車速パルスを反映できる機種が一部で登場していますが、アルパインによれば3モデルとも車速パルスの対応はしていないとのこと。測位は基本的にGPSで行われると考えていいでしょう。

 

ディスプレイオーディオだけに多彩なエンタメ系機能も搭載されました。Apple CarPlayとAndroid Autoによる再生が楽しめるほか、Bluetoothオーディオ再生では手持ちのスマホやデジタルプレーヤーを連携させて楽しめます。USBメモリー再生(音楽/動画)にも対応していますから、あらかじめ楽曲を収録しておいたコンテンツをいつでも好きな時に再生して楽しめます。ただ、ディスプレイの解像度がWVGAだったのは惜しいですね。

↑標準的な6インチスマホに比べて11型は3.4倍、9型でも2.2倍の大画面で楽しめる(オンライン発表会より抜粋)

 

スマホ2台を接続して前席でカーナビ、後席でエンタメを同時に楽しめる

また、11型と9型はHDMI入出力を備えており、別売の地デジチューナーやポータブルDVDプレーヤーを接続して楽しむことも可能です。さらにHDMI出力を後席モニターにつなげば、たとえば後席でYoutubeを楽しんだりもできます。見逃せないのは、スマホとの接続がBluetoothとケーブルの同時接続に対応していることで、これによって運転席ではカーナビを利用し、後席ではスマホの動画コンテンツを別々に楽しむことが可能になるのです。

↑地デジチューナーは全機種とも別売りとなる。ディスプレイオーディオそのものが周波数帯が異なる海外と共通のためと推察できる(オンライン発表会より抜粋)

 

↑後席モニターを追加して2台のスマートフォンを組み合わせれば、前席はナビを、後席は動画を楽しむことも可能(オンライン発表会より抜粋)

 

より迫力あるサウンドとして楽しむために、組み合わせ可能なハイパワーデジタルアンプも用意されました。DA本体にはイコライザーなど音響調整機能が装備されていますが、プリ出力を備えたことで外部アンプをつなぐことができるのです。また、RCAのカメラ入力端子も備え、別売りのバックカメラを組み合わせれば大画面で後方が確認できるようになります。これは安全の観点でも有効な機能と言えます。

 

そしてアルパインならではのカスタマイズ化も大きな魅力です。車種別の壁紙データをインストールすることで、起動時にはオリジナルのアニメーションや壁紙が表示させることができるようになるのです。その数は240車種にも及び、それぞれの車種のヘッドライトとフロントグリルのシルエット写真に車名のタイトルが入ります。ここまでこだわってやり抜くのは今やアルパインだけ。ここにこそアルパインならではの魅力があると言えるでしょう。

↑起動した際にディスプレイに表示される壁紙は240車種を対象に用意。カスタマイズして“専用”感を盛り立てる(オンライン発表会より抜粋)

 

発表会ではそれぞれが「フローティングBIG DA」の魅力を語り尽くす

オンライン発表会では司会進行としてアルパインストアで製品を紹介している実演販売士のボス水野氏が登場し、アルパインマーケティング イノベーション開発グループの中村謙介氏が製品概要を説明。自動車系YouTuberとして活躍する「Motorz」の内原 優氏がデモカーでの使用レポートを行いました。

 

中村氏は上位2モデルの画面が大きいことを訴え、特にDAとして業界最大サイズである11型はスマホの3.4倍、9型でも2.2倍の大画面で楽しめることを強調。システムアップとして、別売りの地デジチューナーユニットは「カーライフシーンにはなくてはならない必需品」として紹介がありました。また、アルパインならではのサウンド重視の設計として、本製品と組み合わせ可能なデジタルアンプによる高音質化についても語ってくれました。

↑製品説明をするアルパインマーケティング イノベーション開発グループの中村謙介氏(オンライン発表会より抜粋)

 

続いて「Motorz」の内原氏が用意されたデモカーから、アルパインのフローティングBIG DAを紹介しました。内原氏がiPhoneを接続して大きな画面でカーナビアプリを表示させて操作し、その表示から「大画面のカーナビに遜色ない操作性と視認性を実現している」と評価しました。

↑デモカーに乗り込んで解説をした自動車系YouTuber「Motorz」の内原 優氏。DA7にはデジタルアンプをスタッキングできることを解説中(オンライン発表会より抜粋)

 

最後は司会進行役であったボス水野氏がアルパインストアでの販売価格を発表。発売記念として、オプションとのセットパッケージで1万円引きされることも実演販売さながらの軽快な口調で紹介しました。さらに「サプライズ」の先行予約キャンペーン(2021年1月31日まで)として、3タイプ各100台については、購入後に5000円(税込)クーポンがプレゼントされることも紹介され、オンライン発表会は終了しました。

↑実演販売士のボス水野氏が進行を務めた発表会。最後に3タイプ各100台について購入後に5000円(税込)クーポンがプレゼントされることが知らされた(オンライン発表会より抜粋)

 

↑11型モデルDAF11VをホンダN-BOXに装着した例

 

↑9型モデルDAF9Vをスズキ・ジムニーに装着した取り付け例

 

 

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EVブランドへと舵を切ったボルボ、「V90クロスカントリー」の実力は本物か? ロングドライブで検証

クルマのキャラクターを「深く」理解する上で一番有効なのは、やはりそのクルマと長く接すること。そこで今回は2020年秋のアップデートで全グレードが電動化されたボルボのクロスオーバーSUV、V90クロスカントリーで北陸を目指してみました。プレミアムにして個性的選択でもあるこのモデル、果たしてどんな一面を見せてくれるのでしょうか?

 

ボルボV90クロスカントリー

744万円~904万円(試乗車:B6 AWD Pro 904万円)

SPEC【B6 AWD Pro】●全長×全幅×全高:4960×1905×1545mm●車両重量:1920kg●パワーユニット:1968cc直列4気筒DOHCターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーター●最高出力:300ps/5400rpm●最大トルク:420Nm/2100~4800rpm●WLTCモード燃費:11.3km/L

 

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2020年のボルボは日本仕様の全モデルをハイブリッドとプラグインハイブリッドに!

プレミアムブランドの中では、早々にパワーユニットのフル電動化に向けたビジョンを明確にしたボルボ。2020年も主力モデルが矢継ぎ早にアップデートされ、日本導入モデルはガソリンのハイブリッド、もしくはプラグイン・ハイブリッドにすべて置き換えられました。その結果、本格導入からさほど経っていないクリーンディーゼル仕様はすでに新車販売のラインナップからドロップしています。

 

ディーゼルはガソリンとは別途で整備体制を整えねばならない等、導入に際しては相応のコストが生じているはず。さらに近年、新車販売の主流となっているSUVカテゴリーではディーゼル人気が高いことまで含めると、個人的には初めて日本向けボルボのディーゼル撤退という話を耳にした際に「なんてもったいない!」という印象を抱きました。

 

ディーゼル版ボルボの商品力が決して衰えていなかったことを思えば、それはなおさらの話です。ですが今回、ハイブリッドとなったV90クロスカントリーに接したことで少なからず考え方が変わりました。なぜなら“プレミアム級”SUVのパワーユニットとして、ガソリンのハイブリッドがピッタリといえる仕事ぶりを披露してくれたからです。

↑エクステリアは、2017年の上陸以来初となるデザイン変更を受けました。前後バンパーやフロントグリル、アルミホイールの造形が変更されています

 

V90クロスカントリーのパワーユニットは48V電装を組み合わせたガソリンのハイブリッドに統一

さて、導入以来初の大幅アップデートとなったV90シリーズにおける最大のトピックは、先述の通りパワーユニットが一新されたことです。純内燃機関だったガソリン仕様の「T5」と「T6」、そしてクリーンディーゼルの「D4」に代わり、高効率な48V電装を組み合わせたガソリンハイブリッドの「B5」と、それに電動スーパーチャージャーを組み合わせた「B6」を新採用。また、ステーションワゴンのV90にはプラグインハイブリッドの「リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT8」が新設定。導入される全グレードが、電動化モデルとなりました。

 

V90をベースとしたクロスオーバーSUV、V90クロスカントリーが搭載するのは250ps/350Nmを発揮するガソリンターボ+電気モーターのB5と300ps/420NmのB6。ハイブリッド化にあたって、2Lのガソリンターボは実に90%ものパーツが新設計。シリンダー表面処理の改良などで摩擦抵抗の低減を図るなど、高効率化と洗練度が高められたほか、条件に応じて2気筒での走行を可能にする気筒休止システムも組み合わせて経済性を向上させています。

 

また、48V電装の導入によって可能となったB6の電動スーパーチャージャーは絶対的なパフォーマンス向上に加え、従来のT6に採用されていたルーツ式スーパーチャージャー比でエンジン重量の低減や快適性の向上などにも貢献しています。

↑リアのコンビネーションランプも意匠が改められウインカーはシーケンシャルタイプに

 

安全性に定評あるボルボらしい新機軸としては180km/hの最高速度リミッターとケア・キー導入もニュースのひとつ。どちらもボルボ乗車中の死亡事故、重傷者の発生をゼロにすることを目的に採用されたもので、後者は運転経験が浅い、あるいは不慣れなドライバーに貸し出す際などに最高速度をリミッターより低く設定できるもの。人によっては「余計なお世話」と感じるかもしれませんが、古くから独自の事故調査チームを組織して安全性向上に取り組んできた、他ならぬボルボの決定だと思えば納得する人は多いはずです。また、日本の環境で走らせる限り、リミッターやケア・キーで不利益を被るユーザーはいないでしょう。むしろ、ケア・キーについては不測の事態における暴走抑止するという意味でのメリットも期待できるはずです。

 

持ち前の安全性の高さ、という点でも新しいV90シリーズは万全です。ボルボらしい「対向車対応機能」に代表される衝突回避・被害軽減ブレーキの最新版「シティセーフティ」に加え、全車速追従機能付きアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)や車線維持支援機能、道路逸脱回避機能などは全車に標準で装備されています。

↑北欧神話にちなんで「トールハンマー」と名付けられたヘッドライトのT字型グラフィック。現代のボルボ・デザインにおける象徴的手法のひとつです

 

↑B6 AWD Proのホイールは、ダイヤモンドカット/マットグラファイトの2トーン仕立てとなる5Vスポーク。サイズは8.0J×20インチで、これに245/45R20サイズのタイヤを組み合わせています。B5ユニット搭載モデルのホイールサイズは18インチと19インチ

 

プレミアムなハイブリッド車に相応しい静粛性と振動の少なさでディーゼルとの違いをアピール!

今回北陸までの試乗に供されたのはV90クロスカントリーのトップグレードとなる「B6 AWD Pro」。名前の通り、搭載するパワーユニットは2Lガソリンターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーターという“フルコンボ”状態。これに8速ATを組み合わせて、駆動はSUVモデルらしい4WDとなります。ちなみにB5を搭載するV90クロスカントリーも、トランスミッションと駆動方式はB6と同じ。装備内容がほぼ同じ仕様も選べますから、B5とB6のどちらを選ぶかは絶対性能の要求水準(と予算)次第というところでしょう。

 

試乗の行程に関する指定は特になし。東京を出発したら、あとは夜までに金沢に到着すればOKという、良い意味で緩いものでした。そこで、カメラマン氏の提案により経由地を飛騨市に設定。今回は古典的な日本の風景とV90クロスカントリーの組み合わせで行こう、ということに。

 

まずは、都内から首都高速を経て中央道を目指したのですが、走り出して最初に実感したのは黒子に徹するエンジンの仕事ぶりでした。いまや音や振動が煩わしいディーゼルなど、少なくともプレミアムを自認するブランドのクルマでは皆無。ボルボのディーゼルもその例に漏れませんでしたが、新しいB6はそれに輪をかけて静粛、かつ振動の類がありません。快適性の点においてガソリンとディーゼルに極端な差がないのはいまや常識。とはいえ、たとえばエンジン違いの同じクルマで比較すれば、音にしろ振動にしろガソリンの優位がついぞ揺らがなかったのもまた事実。

 

ディーゼルといえば経済性の高さや持ち前の大トルクを活かした日常域の力強いドライブフィールも魅力ですが、低速でストップ&ゴーを繰り返す使用環境なら洗練度は良質なガソリンエンジンの方が一枚上手。B6は、そんなことを改めて実感させてくれる出来映えです。構造上、EVを彷彿とさせる電気駆動モデルらしさはソコソコといったところですが、エンジン自体が静粛なことに加え、アイドリングストップ&スタート時の振動も上手に抑え込まれているのでプレミアムSUVらしい高級感に不満を抱くことはありませんでした。

↑300psのパワーと42.8kg-mのトルクを発揮するだけに、絶対的な動力性能はパワフルといえる水準。新しいハイブリッドのパワートレインは静粛性の高さも印象的です。また、ロングドライブでは終始快適な乗り心地も魅力のひとつでした

 

そんな好印象は、随所にアップダウンが存在する中央道に入っても変わりません。今回の旅程は担当編集氏と前述のカメラマン氏が同乗するオジサン3名+撮影機材+1泊分の私物×3という状況でしたが、当然ながら動力性能は余裕たっぷり。アクセルを深く踏み込む領域でこそロードノイズをかき分けて室内に進入したエンジン音を意識することになりますが、それとて絶対的なボリュームは最小限。音質も不快な類ではありませんから、積極的に走らせる場面ではほど良いBGMにもなり得ます。

 

また、当日はコロナ渦ながら交通量が多めということでACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を筆頭とする運転支援機能もあれこれと試したのですが、制御の洗練度が高いことも印象的でした。この種の機能は、ドライバーの運転スタイルに合わないと嫌われる傾向があったりもするのですが、V90クロスカントリーのそれはクルマ任せにしてもストレスを感じない水準にあります。寄る年波のせいなのか、もはや自分のペースで走れない環境だと運転することが面倒になってきている筆者のような人種には、ロングドライブの疲労を軽減する上でも間違いなく有効な機能になり得ていました。

↑48V電装の採用したことで(古くから乗用車は12Vが標準)、B6には電動スーパーチャージャーを追加。B5比で50psのパワーと70Nmのトルクが上乗せされています

 

オーディオなどの快適装備もアップグレード! シャシー性能も熟成の域に到達

飛騨に直行する場合、ルートは中央道から上信越道に入り松本ICまで利用するのが普通ですが、今回は諸般の事情から岡谷ICで降りて一般道から上高地をかすめて高山、飛騨に至る国道158号線を目指しました。東京を出発してすでに数時間。雑談のネタも尽きてきたのでオーディオのBGMで気分転換を図りました。

 

試乗車にはオプションのB&Wプレミアムサウンド・オーディオシステムが装備されていたのですが、出てきた音に早速反応したのが音楽好きの担当編集氏。実は今回のマイナーチェンジで、B&Wのシステムもアップデート。ウーファーのコーン素材が変更されたほか、ツィーターも新しいダブルドームに。さらにアンプが強化されDSPのモードも一層充実したものとなっています。その昔、カーオーディオの別冊を作っていた筆者の場合、その変更内容は理解できても従来型と比較して音がどう変わったのかは分かりかねたのですが、とりあえず走行する車内でもクリアな音質で、かつ聞いていて気分を高揚させる音作りであることは確認できました。また、装備面ではワイヤレス・スマートフォン・チャージも標準化されたので、Apple CarPlayなどのリンク機能を活用すれば手持ちのライブラリーを気軽、かつ高音質で楽しめるようになったことも朗報といえそうです。

↑現行ボルボらしい、上質にして清潔感を漂わせるインパネ回り。基本的なレイアウトに大きな変更はありませんが、PM2.5粒子の最大95%を排出できる「クリーン・ゾーン-アドバンスト・エア・クオリティ・システム」を搭載。室内の空調環境がアップグレードされたほか「ワイヤレス・スマートフォン・チャージ」を標準装備するなど、快適性に磨きがかけられました

 

国道158号線は典型的な山越えの国道、ということで、その折々で今回は操縦性も簡単にではありますがチェックしました。クロスカントリーも含めたV90シリーズは、ボルボの主力プラットフォームである「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」を採用。電動化や自動運転時代に対応するとともに、シャシー性能もそれ以前のボルボ車より大幅に底上げされたのですが、新しいV90クロスカントリーでは洗練度も着実にアップしていることが確認できました。

 

以前、SPAを採用した初期のXC90に試乗した際は十二分な剛性感が確認できる一方、ステアリングに伝わるフィードバックなどに粗さを感じたものですが、それももはや昔の話。いざ乗り手がスポーティに振る舞おうと思えば、それに応えられる能力はしっかりと備わっています。また、ベースとなるV90より大幅に地上高を高めたクロスカントリーですが、ロールを筆頭とする挙動は基本的にナチュラル。B6搭載車のタイヤは45扁平の20インチという好戦的なサイズですが、乗り心地もプレミアムなSUVとして満足できる仕上がりでした。

↑ボタン類が整理されたステアリングのACC回り

 

↑タブレット風インターフェイスとなるセンターディスプレイは、現行ボルボに共通する仕立て

 

↑B5とB6のAWD Proのウッドトリムは、今回のアップデートでラインナップされた「ピッチドオーク」(写真)と「グレーアッシュ」の2タイプ

 

十二分な存在感を発揮しながら、日本の風景にもマッチするフォーマルさも両立

さて、そんなロングドライブのひと区切りとなる飛騨市に到着したのは昼を大幅に過ぎた時間帯。遅めの昼食を済ませ、早速“フォトセッション”に突入したのですが古風な飛騨の町並みとの相性はご覧の通り。ボルボによれば、V60をステーションワゴンの本流とするなら、このクルマのベースとなったV90はスタイリッシュな風情を重視したスペシャルティ系ワゴンとのことですが、そこにSUVテイストをプラスしたV90クロスカントリーは個性派でいながらフォーマル性も兼ね備えた仕上がりといえるでしょうか。

 

ワゴンベースのクロスオーバーとしては異例に高い地上高(本格SUVに匹敵する210mmもあります)と、天地が薄く、そして前後に長いボディの組み合わせは好き嫌いがはっきり分かれるであろう“攻めた”佇まい。ですが、存在感を主張しつつも決して悪目立ちする造形ではないことは飛騨市内に佇む写真からも明らかです。いまやSUVはコンパクトからプレミアム級まで選択肢が豊富ですが、それだけに単にSUVというだけで個性的な選択にはなり得なくなっているのも事実。その意味では、サイズ(とクラス)相応の落ち着きを確保しつつ、普通のSUVとは明らかに違うカタチのV90クロスカントリーは狙い目の1台といえるでしょう。

↑たっぷりとしたサイズのシートは、優れた快適性にひと役買っている出来映え。シート表皮はグレードを問わず本革が標準ですが、上級グレードのProはパーフォレーテッド仕様のファインナッパレザーとなります

 

↑ボルボはステーションワゴンの老舗だけに、荷室は容量、形状ともに優れた使い勝手を実現しています。後席と荷室を隔てる、しっかりした作りのラゲッジネットが備わる点も本格派らしい美点のひとつです

 

残る行程、飛騨から金沢まではせっかくなので後席に居場所を移しました。一般的な乗用車の場合、前席と後席を比較すると純粋な乗り心地は前後のタイヤから距離が取れる前席が勝るというのが普通。そこで、巨大でロープロファイルなタイヤを履いたV90クロスカントリーではどの程度の落差があるのかという、少し意地悪な視点で試してみたのですが結果的には十分に快適でした。

 

大ぶりなサイズ、なおかつワゴン用としてはホールド性にも優れたリアシートは秀逸な座り心地で、心配されたタイヤからの入力も許容範囲内。長いホイールベースの恩恵でフラットなライド感が満喫できました。ファミリー層を筆頭に、この種のモデルは後席の使用頻度が高くなるはずですが、この出来映えなら後席に座る家族から不満が出ることはないでしょう。

↑リアシートもサイズに余裕があり、かつ広大な足元スペースと相まって極上のリラックス空間です

 

……と、後席のツッコミどころをあれこれ探している間に目的地である金沢へは夕食前のタイミングで到着。ほぼ1日中走り続けの状態で、普段の新車試乗会と比較すれば格段に長い時間をクルマと過ごしたわけですが、結果的には定評あるボルボの長所ばかりが目立ったというのが正直な感想です。

 

ちなみに、全行程を通じた燃費は11km/L弱。カタログのWLTCモード燃費が11.3km/Lであることや、なにひとつ燃費を考慮した走らせ方をしなかったことを思えば秀逸な結果です。日本では軽油がガソリンより圧倒的に安いので、純粋な燃料費で依然ディーゼルが優位なのは確か。ですが、おそらくV90クロスカントリーを選ぶユーザーにしてみれば、その差はもはや誤差の範囲内といえるかもしれません。

↑5m近い全長と1.9mを超える全幅とあって、狭い場所だとそのボリュームを意識させられるのは事実。とはいえ、スクエアなボディ形状は見切りに優れるのであまり持て余しません。個性的なSUV仕立てながら、悪目立ちする心配のない佇まいは古風な日本の風景とも不思議とマッチしています

 

ボルボのディーゼルを所有する担当編集がB6に乗って思ったこと

担当編集・尾島の愛車はボルボのディーゼル車です(2019年式)。近い将来ボルボのラインナップからディーゼルが落ちると聞きつけ、「これはなんとしても手に入れておかねば」と清水の舞台から飛び降りる勢いで購入しました。泉のごとく湧き出るトルク、優秀な燃費、ランニングコストの安さからディーゼルにはとても満足していたわけですが、そんな折、ついにボルボのラインナップからディーゼルがなくなる日がやってきました。

これはぜひとも今後ボルボの主役となる48V電装搭載ガソリンハイブリッドを試さねばなるまい、となかば使命感から参加した今回の試乗会(なんなら、やっぱりディーゼル買っておいてよかった~と思いたかったのです)。実際に試乗して何を感じたのかというと、静粛性とそれがもたらす終始高級車然としたふるまいの上品さ。ディーゼルも乗り込むうちに音や振動はあまり気にならなくなりますが、いざ乗り比べればガソリンハイブリッドの圧倒的な静粛性が際立ちます。加えて電動スーパーチャージャーを追加しているB6はパワーもトルクの厚みも充分で、踏み込めばハッキリと速い。その気になればこの大柄で重たいボディを実に機敏に走らせます。

燃費とランニングコストはディーゼルに軍配が上がりますが、この価格帯のプレミアムカーを購入する層はそこまで目くじらを立てないだろうとも思われ、むしろワインディングをがんがん走った今回の試乗でも11km/Lを余裕で上回る燃費をたたき出すのだから経済性だって合格点。これはガソリンハイブリッド、ありだなぁと思った次第です。ボルボを検討中の皆さん、ディーゼルの不在を嘆く必要はなさそうですよ!(尾島信一)

 

撮影/神村 聖

 

2021年はCAFE方式で生き残る、国産「ネオ・スポーツカー」に注目【3選】

エンジン車への規制が強まるなか、各社の威信を賭けたスポーツカーが生まれている。燃費規制という環境対応を見据えつつ開発されるのが、ネオ・スポーツカーだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

環境に配慮した「ネオ・スポーツカー」

世界各国でエンジンを搭載したクルマへの規制が強まっている。アメリカや欧州で始まった「CAFE」という燃費規制が、日本でも2020年の燃費基準から導入されている。

 

CAFEとは自動車の燃費規制で、車種別ではなくメーカー全体で出荷台数を加味した平均燃費を算出し、規制をかける方式。ある車種では燃費基準を達成できなくても、そのほかの車種の燃費を向上させることでカバーできるというものだ。

 

燃費基準を大きく上回るEVやPHVなどを開発してCAFEの規制値をメーカー全体の出荷台数でクリアすれば良いので、規制値までの余剰分で走りやスタイルを楽しめる新たなスポーツカーが登場する。それが「ネオ・スポーツカー」である。

 

EVやハイブリッド、スタイルではSUVが全盛だが、2021年は注目モデルが続々登場する。メーカーが環境への対応を視野に入れるなかで登場する次世代のスポーツカーが与えてくれる夢に、期待せずにはいられない。

 

【その1】伝統のデザインを継承しパワフルな走りも健在

日産

フェアレディZ

価格・発売日未定

長いノーズと切り立つテールエンドは歴代フェアレディZのデザインそのもの。ヘッドライトは2代目の240ZGに用いられたドーム型レンズを再現するなど、レトロモダンなテイストだ。3.0L V6エンジンのパワーに期待したい。

↑ヘッドライトのティアドロップ形状は初代S30型を、LEDライトの2つの半円のデザインは、2代目240ZGをイメージしている

 

【ちなみに日産のエコカーの代表選手】

リーフ

332万6400円~499万8400円

初代モデルが登場してから10年を迎えた今年、累計販売台数が50万台を突破。2017年には62kWhバッテリーを搭載して航続距離を大きく伸ばしたリーフe+も登場している。

 

【その2】水平対向エンジンを継承し意のままに操れるFRマシン

スバル

BRZ

価格・発売日未定

力強い加速とフィーリングの良さを両立した、2.4L水平対向エンジンを搭載。新プラットフォームを基に生まれたボディは剛性が増し、ステアリング操作への応答性を高めている。アイサイトも初搭載となる。

↑高いホールド性とフィット感をもたらすスポーツシートを採用。疲れにくく、クルマの挙動を正確にドライバーへ伝えてくれる

 

【ちなみにスバルのエコカーの代表選手】

インプレッサ スポーツ

200万2000円~278万3000円

水平対向エンジンと電動技術を組み合わせたパワーユニット「e-BOXER」搭載モデルをグレード設定。スムーズな加速を実現している。

 

【その3】マツダの新たな歴史はこのモデルが作り出す

マツダ

RX-9

価格・発売日未定

2017年の東京モーターショーで世界初公開となったVISIONCOUPE。そのスタイルの流麗さに多くの人が魅了された。RX-9という名称が有力だが、100周年を迎えたマツダの新たな歴史を作る1台として期待したい。

↑インテリアも外観と同様にシンプルかつ流麗なデザイン。多くの人を魅了し、欧州では最も美しいコンセプトカーに選出されたほど

 

【ちなみにマツダのエコカーの代表選手】

マツダ3

222万1389円~368万8463円

ガソリンをディーゼルエンジンのように圧着点火させる「SKYACTIV-X」と、クリーンディーゼルエンジンモデルがラインナップ。環境性能に優れた1台だ。

 

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2021年は改めて「EV」に注目したい。なぜなら、EVの弱点がだいぶ改善されてきたから。

航続距離が大幅にアップしたモデルが多く登場し、購入時に受けられる補助金制度も充実。2021年は改めてEVを見直す機会となりそうだ。おさえておきたいトピックを3つほど挙げて解説していこう。

 

【解説してくれた人】

 

カーITジャーナリスト・会田 肇さん

自動車雑誌編集職を経てフリーに。カーナビやドラレコのほか、自動運転やMaaSなど次世代モビリティにも詳しい。

 

【その1】航続可能距離 超アップ

EVで不可欠なのがバッテリーへの充電。だが航続距離が600㎞を超えるモデルも登場予定で、長距離ドライブでは必須だった“充電のための休憩”が不要になる。

 

新型EV「アリア」なら東京〜大阪間も無給電走行

世界中で進む電動化の波は、一気にEV普及を後押ししそうだ。これまでEVは走行中の環境負荷が低いとされる一方で、航続距離が課題となってファーストカーには使いにくいという一面を持っていた。その課題が航続可能距離の延長で解決される見込みとなってきたのだ。

 

なかでも注目なのが2021年夏に日産が発売するEVアリアで、航続可能距離はなんと最大で610㎞! 東京〜大阪間を途中の充電なしで走行可能としている。いままでEVの航続距離の短さゆえにPHEVにするか迷っていた人も、アリアの登場で踏ん切りがつくはずだ。

日産 アリア 実売予想価格(実質)500万円強〜。2021年夏デビュー予定。搭載されるバッテリーは65kWhと90kWhの2タイプが用意される

 

また、海外メーカーのEVも続々とデビューしているが、大容量駆動用バッテリーの搭載などで航続可能距離が増加。アウディのeトロン スポーツバックやメルセデス・ベンツのEQCはいずれも400㎞以上の航続距離を誇る。

 

それでも万が一の“電欠”に不安を抱く人もいると思うが、国内の充電スポットは急速/普通充電を合わせればいまや約3万基と、施設数だけを数えればガソリンスタンドと同等。アリアの航続距離をもってすれば、EVで長距離ドライブする不安はもはや解消されたと言っても良いだろう。“充電のための休憩もドライブのうち”と言い訳をしていたが、2021年はそれも過去の話となるのだ。

 

【ネクストヒットの理由】ハイブリッドも含む現実的な対応を目指す日本の電動化

一気に動き出したクルマの電動化の背景には、2050年までに温室効果排出ガスをゼロにするという政府目標がある。日本はハイブリッド車も含み、欧州とは違って完全な“脱エンジン車”とはしない。EVと共に現実に即して柔軟に電動化するのが日本ならではの考え方だ。

 

【その2】補助金制度が充実

EVの普及を推し進めるべく、国や地方自治体からの補助金制度が充実。上手に活用すれば、EVは高いクルマという認識は払拭される。また、リースモデルも充実しつつあり、法人向けの選択肢も増えそうだ。

 

EVはエコカー減税と補助金で大きなメリットあり!

マイカーをEVにすると「次世代自動車」として、特に金額面で大きなメリットが与えられる。それは補助金とエコカー減税だ。購入時には補助金が国や自治体から支給(原則4年間は売却できない縛りあり)。またエコカー減税は自動車税と重量税、環境性能割に適用されるほか、重量税に限っては初回車検時も免税となる。さらに電気を使うことで、53.8円/Lのガソリン税を支払うこともない。これは長い距離を走るほどメリットに繋がるはずだ。

 

企業などではリースを活用するという手法も!

昨今注目されているSDGsなど企業の社会的責任(CSR)のひとつとして、環境問題への取り組みが重要視されている。EVの導入に際しそのコストの負担軽減を図るべく、リース契約での利用が注目を集めている。

マツダ MX-30 価格未定。2021年1月にデビュー予定。マツダ初のピュアEVとして期待される。航続距離は約200㎞と、法人向けEVとしては適したモデルだ。当初はリースのみとされていたが、販売も行うと発表された

 

【日産 リーフ Sの場合の補助金例/車両本体価格:332万6400円】

■国からの補助金「42万円

「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」として補助を受けることが可能。車種によりその金額は異なるが、リーフの現行モデルなら最高額の42万円を支給。

■自治体からの補助金(都道府県など)「30万円

EVなどの次世代環境対応車の普及を積極的に推し進める東京都の場合、最大で30万円を補助。その額は都道府県で異なるので調べてみるのが良い。

■自治体からの補助金(市区町村など)「10万円

都道府県とは別に市区町村で独自に補助金制度を設けている場合もある。東京都江東区や足立区の場合、最高で10万円の補助を受けられる。

【最大82万円補助で、実質車両本体価格250万6400円に】

 

【ネクストヒットの理由】
再生可能エネルギーで充電すれば補助金が倍増!

2050年までの温室効果排出ガス排出ゼロを目指す政府が、EVの一層の普及を目指しその補助金を倍増する方針を固めた。太陽光発電など再生可能エネルギーによるEVへの充電が条件となるが、普及の加速が期待できる施策だ。

 

 

【その3】進化する充電インフラ

EVの普及には欠かせない充電設備。まずは充電のスピードアップ、そして普及への最大のネックと言える集合住宅への充電設備の設置が普及のカギを握る。

 

普及してきたいまこそ充電設備の進化と拡大が必要

EV普及のカギは、航続距離と補助金制度の充実に加え、充電設備の充実にある。EVが増えたいま、高速道路の充電スポットでは“充電待ち”の車列ができることも。そこで期待されるのが、より短時間で充電可能な充電器の普及だ。最近は日本国内で最大の100kwの出力を持つ充電器も登場。充電時間の短縮化が期待される。

デルタ電子 EV/PHEV用 高出力100kW DC充電器 オープン価格。

 

都市部では6割を超える集合住宅での充電設備の設置普及が模索されるなか、充電設備の完備をウリにする新築マンションも増加。既設マンションへの設置を推進するサービスも増加している。

↑ユピ電装 マンションでおウチ充電。集合住宅への充電設備の設置をサポートするサービスを展開中。コネクティッドサービスに対応するEVのユーザーは、充電に要した電気代相当を自動的に記録し支払いを行うシステムだ

 

【ネクストヒットの理由】
充電設備の機能向上と拡大が一層のEV普及を後押しする

EVの充電スポットは2020年8月現在日本全国で約3万100基で、これからも当然増加予定。長距離ドライブ時にはより早く充電可能な充電器の普及と、居住形態に左右されない充電設備の拡充が、EVの普及を一層後押しする。

 

【コレがトレンドの兆し!】
既設の集合住宅での充電器設置も拡大していく

設置費用の負担や運用管理など、集合住宅への充電設備設置のネックを解消するサービスが開始されている。管理組合の承諾や住民の総意が必要で、既設住宅では困難な充電設備の設置が進む契機として期待される。

 

 

 

 

ランドローバーの「新しいディフェンダー」はいいのか? 微妙なのか? その価値を細部から分析

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、英国の伝統的ブランド「ランドローバー」が、1948年以来70年以上も販売してきた、ディフェンダーの新型をチェック!

 

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永福ランプこと清水草一さんの連載記事はコチラ

 

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のクルマ】ランドローバー/ディフェンダー

SPEC【110 SE】●全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm●車両重量:2240kg●パワーユニット:2.0L直列4気筒+ターボ●最高出力:300PS(221kW)/5500rpm●最大トルク:400Nm/2000rpm●WLTCモード燃費:8.3km/L

529万円~1124万円

 

【ランドローバー「ディフェンダー」を写真で先見せ(画像をタップすると拡大画像が表示されます)】

 

安ド「殿! ディフェンダーと言えば、キング・オブ・オフローダーですね!」

永福「そうなのか?」

安ド「レンジローバーは砂漠のロールスロイスですけど、オフロードでの走破性なら、ディフェンダーがキングじゃないでしょうか!」

永福「真のキングはランドクルーザーではないか」

安ド「ランドクルーザーの愛称はランクルで、キング・オブ・オフローダーはディフェンダーです!」

永福「そうなのか」

安ド「そのディフェンダーが72年ぶりにフルモデルチェンジしました!」

永福「うむ」

安ド「先代もカッコ良かったですけど、新型も猛烈にカッコ良いですね!」

永福「それは違うだろう」

安ド「違いますか?」

永福「お前は、旧国鉄の旧型車両、たとえばキハ40形を見てカッコ良いと思うか」

安ド「キハ……何ですか?」

永福「あまりにも古臭いがゆえに情緒満点ではあるが、あれをカッコ良いというのは正確には違うはず。新型ディフェンダーは、そのあまりにも古臭くて情緒満点の旧型デザインモチーフを取り入れている。それは、シブいとかステキとかセンスが良いとは言えるが、カッコ良いというのはちょっと違う」

安ド「シブくてステキでカッコ良いです!」

永福「そうか。それにしてもデカいな」

安ド「デカいですか?」

永福「グレードによっては全幅2008mm。全長も5mを超えている。すさまじいデカさだ」

安ド「僕はふだんパジェロに乗っているので、デカさは気になりませんでした」

永福「確かに、走っているときはそれほど大きく感じない。ボディは真四角だし見切りもいい。しかし、駐車の時は大変だ。左右幅が駐車枠パンパンになってしまうし、デカすぎてコインパーキングに停められない」

安ド「停められませんか?」

永福「ほとんどのコインパーキングは、全幅1.9m、全長5mまでなのだ。一応、規約上は」

安ド「実際にはそれよりデカいのも停まってますよね?」

永福「まあな」

安ド「それより僕は、サイドステップがないのが気になりました。しかも前席のピラーに取っ手もない。乗り降りに苦労します」

永福「高齢者はまず乗り降り不可能だな」

安ド「殿は新型ディフェンダーに否定的なんですか?」

永福「いや、スバラシイ!」

安ド「具体的にはどこが」

永福「ソフトに威張りが効いて、ちょいレトロでステキなデザインで、乗り心地が良くて、走りも十分。しかもそのわりに値段が驚くほど安い!」

安ド「最後で一気に来ましたね!」

 

【注目ポイントその1/グラブバーハンドル】悪路での安心感を高める助手席前の“つかむところ”

ダッシュボードには、助手席の人がつかむことができるバー状のデザインが施されています。なぜかといえば、オフロード走行中に車体が揺れるから。絶対必要かどうかはともかく、つかんでいるだけで安心感が増してきます。

 

【注目ポイントその2/ラゲッジルーム】荷室は広くフラットで機能性は抜かりなし

オフロード走行やアウトドア愛好家御用達のモデルだけに、荷室はかなり広く、汚れが付きにくい表面素材が採用されています。さらに、後席は座面を跳ね上げて前方へ倒せる構造で、荷室のフラット化に貢献します。

 

【注目ポイントその3/ボンネット】お茶を濁すような謎の凸凹模様

旧型のデザインを受け継いでいる部分は散見されますが、凹凸ボンネットは流石に再現が難しかったようです。代わりに……なのかわかりませんが、このようなアウトドア感あふれる模様のカザリ板が付いていました。意味はないと思います。

 

【注目ポイントその4/ボルト】オフローダーっぽい内装の剥き出しデザイン

インテリアデザインは、あえてボルトを剥き出しにするなど、いい意味でゴツくて荒々しい雰囲気にまとめられていて、いかにもオフローダーらしいイメージ。もちろん、素材感や角が取れた感じなど、全体的にはモダンなんですけどね。

 

【注目ポイントその5/エアサスペンション】ボタン操作だけで高くも低くもできる

岩場や凹凸路などを走破するため、ボタン操作で自在に車高が変えられるエアサスペンションが搭載されています。なお、舗装路を走っているとびっくりするほど乗り心地が良くて、他のオフロードSUVより快適性が高いです。

 

【注目ポイントその6/3Dサラウンドカメラ】ありえないはずの角度から車体を見ることができる

車庫入れ中、センターディスプレイには3D映像が! 車体各部に取り付けらたカメラから得られた画像をその場で合成して、車両斜め上の角度からの映像を映し出してくれます。なお、車体下の映像を映し出すこともできます。

 

【注目ポイントその7/アルパインウィンドウ】後席の斜め上に設置された明かりとり

後席から天井を見上げると、ポッカリとお空を見られる小窓が設置されています。これは「アルパインウィンドウ」と呼ばれるディフェンダーならではの装備で、やはり旧型から受け継いだもの。車内が明るい雰囲気になりますね。

 

【注目ポイントその8/リアライト】後方に見られる素朴なライト

オフローダーの間ではカリスマ的な存在だった旧型ディフェンダーですが、日本ではあまりその姿が知られていません。リアライトがポコポコと置かれている感じは、旧型をモチーフとしたニューデザインです。旧型では愛らしい小さな丸型でしたが。

 

【注目ポイントその9/エンジン】気になるエンジンラインナップ

日本導入当初は、この2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンのみでしたが、2020年11月に3.0L直列6気筒ディーゼルエンジンが追加設定されました。この2.0Lガソリンでも十分走るのですが、カーマニアとしてはディーゼルが気になります!

 

【これぞ感動の細部だ!/リアの直角デザイン】唯一無二のデザインをオリジナルから受け継ぐ

見てくださいこの絶壁! まるでエベレストかベン・ネビス山かというくらいの直角デザインです。これも旧型から受け継いだデザインモチーフですが、現在流行中のクロスオーバーSUVではこのような形状は見られません。唯一、メルセデスのGクラスは平らに近いですが、それでも若干前方に傾いています。タイヤを背負っているモデルも少数派になりました。

 

撮影/我妻慶一

今年は208やルーテシアが入ってきたので「欧州コンパクトカー」Best 5を決めてみた

2020年は7月にプジョーの208が、11月にルノーのルーテシアが導入されるなど、ヨーロッパのコンパクトカーの主力モデルが相次いで上陸。都市部の石畳、山岳路、そして高速道路と、ヨーロッパの道はかなりシビアだ。そんな環境で生まれ鍛えられたヨーロッパのコンパクトカーのなかから、気になる3台をそれぞれチョイス。プロたちがナットクした珠玉の5台がコレだ!

※本稿は「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【採点した人】

5人それぞれで1位から3位を選出。1位10点、2位7点、3位5点のポイントとし、獲得ポイントの合計で1位から5位までの順位を決定した。

岡本幸一郎さん(モータージャーナリスト):若いころにはホットハッチを乗り継いだことも。世界のあらゆるカテゴリーのクルマを網羅し豊富な知識を持つ。

清水草一さん(モータージャーナリスト):生涯購入したクルマは合計50台。フェラーリのみならず、使い勝手が良く走りの楽しい小型車も愛する。

安藤修也さん(自動車ライター):モーター誌をはじめ、一般誌、マンガ雑誌などで手広く活動中。数年前に欧州の道路を1000km走破した経験を持つ。

塚田勝弘さん(自動車ライター):フリーランスとして新車、カー用品を中心に執筆・編集に携わって約16年。元・GetNavi本誌のクルマ担当。

上岡 篤(GetNavi本誌クルマ担当):小気味良く走るヨーロッパのコンパクトカーは大好き。最近は乗ることが少なくなったMT車を渇望している。

 

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【第5位】★獲得ポイント:10

 乗った人を必ず魅了するゴーカートフィーリング

MINI MINI 3ドア

267万円〜470万円

意のままに操ることが可能なワイドトレッドやショートオーバーハングが魅力の、MINIの伝統を最も良く受け継いでいる3ドアモデル。アプリを通じて広がるMINI Connectedの採用など、伝統のなかにも革新が宿っている。

SPEC【COOPER S】●全長×全幅×全高:3860×1725×1430mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:1998cc直列4気筒●最高出力:192PS/5000rpm●最大トルク:28.5kg-m/1350〜4600rpm●WLTCモード燃費:14.5km/L

【ポイント内訳】安藤修也 3位(5ポイント)/岡本幸一郎 3位(5ポイント)

 

普遍的なアイコンだが一番の魅力は走りにあり

MINIの代名詞にもなっている「ゴーカートフィーリング」という言葉がある。乗車位置が低いため、まるでゴーカートのように路面の状況を克明に感じ取れるリアリティのある乗り味。そして、ボディ四隅にタイヤが配置されていることで、キビキビとした軽快な操舵フィーリングが味わえる。誰もが一度は欲しいと思うクルマだが、支持される理由はキュートなルックスだけではない。実際に運転してみるとそれが間違いだと気づく。そう、このクルマはなにより走りが楽しいのだ。(安藤)

↑COOPER S搭載の1998cc直噴ターボエンジン。余裕あるパワーとトルクでパワフルな走りを実現する

 

【第4位】獲得ポイント:17

まるでレーシングカー!? これぞ羊の皮をかぶった狼

フォルクスワーゲン ポロ GTI

386万円

ラジエーターグリルやブレーキキャリパーの赤色が特徴のポロGTI。力強い走りを生み出す2.0Lの直噴ターボエンジンのパワーを6速DSGトランスミッションが受け止めて最適な駆動力を発揮し、快適な走行を実現する。

SPEC●全長×全幅×全高:4075×1750×1440mm●車両重量:1290kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒+ターボ●最高出力:200PS/4400〜6000rpm●最大トルク:32.6kg-m/1500〜4350rpm●JC08モード燃費:16.8km/L

【ポイント内訳】清水草一 1位(10ポイント)/上岡 篤     2位(7ポイント)

 

2リッターターボの気持ち良さにビックリ仰天

ポロGTIには本当に驚いた。2.0Lとそれほど大きな排気量でもないエンジンが、まさかこんなに気持ちイイなんて〜! アクセルを床まで踏み込むと、まるでレーシングカーのようなサウンドがあぁぁ〜〜〜〜! 実際にはそれほど速くありませんけどね、運転の楽しさは天下一品! それでいてボディはポロそのものなので、同社のゴルフよりもコンパクトで取り回しが良くて室内の広さもちょうどいい。まさに欧州コンパクトカーの王道ですな! これに乗っときゃ間違いないぜ。(清水)

↑ノーマルに加えエコ、スポーツ、カスタムの各モードを選択可能。ステアリング、エンジン特性も変更される

 

【第3位】獲得ポイント:19

パワフルさとサウンドはフィアット500とは別モノだ!

ABARTH アバルト

595 300万円〜400万円

フィアット500をベースに、強烈なパワーを生み出す1368cc直列4気筒ターボエンジンを搭載したホットハッチ。しっかりと固められた足周りやホールド感が高い専用のシートにより、スポーツ走行の楽しさを実感できる。

SPEC【コンペティツィオーネ・5MT】●全長×全幅×全高:3660×1625×1505mm●車両重量:1120kg●パワーユニット:1368cc直列4気筒+ターボ●最高出力:180PS/5500rpm●最大トルク:23.5kg-m/2000rpm(スポーツモード時25.5kg-m/3000rpm)●JC08モード燃費:13.1km/L

【ポイント内訳】安藤修也 2位(7ポイント)/塚田勝弘 2位(7ポイント)/上岡 篤 3位(5ポイント)

 

スポーツモードON時の圧倒的なトルクは強烈!

ナリはフィアット500だが、その中身はまったくの別モノであるアバルト。エンジンに火を入れればブロロンッ! とうなる覚醒的なサウンドに心躍らされる。圧巻は、スポーツモードボタンをONにした瞬間。メーターのグラフィックが変化し、過給圧計のSPORTの文字が点灯。数値はノーマル時と比較して2.0kg-mのアップでしかないが、トルクは圧倒的に異なる。街なかで似合うのはフィアット500だが、ワインディングロードを駆け抜けるなら断然アバルトである。(上岡)

↑インパネのSPORTボタン。押すとスポーツモードに切り替わり、数値以上のトルク感アップを実感できる

 

【第2位】獲得ポイント:22

クラスを超えた中身が光る実力派フレンチコンパクト

ルノー ルーテシア

236万9000円〜276万9000円

力強くスポーティで、シャープな印象を与えるフロント部を中心に優美なデザインを実現した新生ルーテシア。手に触れるインテリアの多くにソフトパッドを使用し、上質さと滑らかな触感をもたらしている。

SPEC【インテンス テックパック】●全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm●車両重量:1200kg●パワーユニット:1333cc直列4気筒+ターボ●最高出力:131PS/5000rpm●最大トルク:24.5kg-m/1600rpm●WLTCモード燃費:17.0km/L

【ポイント内訳】岡本幸一郎 1位(10ポイント)/清水草一 2位(7ポイント)/塚田勝弘 3位(5ポイント)

 

前作のRSを凌ぐ動力性能で速さはホットハッチ並み

見た目も中身もクラスを超えた1台。内装では本革シートやソフトパッドまで採用し、前後席も十分に広く、391Lを確保する荷室容量など実用性にも優れる。

 

日産や三菱とのアライアンスに基づいた新規プラットフォームによる走りは軽快で快適。それにメルセデスを加えた仲で開発されたエンジンは1.3Lながら相当に速い。静粛性も高く、乗りやすくて快適なうえ、刺激的な走りを楽しめるのだから思わず感心してしまう。日産のプロパイロットにルノー独自の制御を盛り込んだという先進運転支援装備も充実している。 ユニークなデザインに加えて優れた要素を身に付けた、超実力派のフレンチコンパクトだ。(岡本)

↑低回転域から24.5㎏-mの最大トルクを発生させる直噴ターボエンジン。余裕のある走りを実現している

 

↑運転モードが選択できる「ルノー・マルチセンス」。エンジンの出力特性やステアリングフィールも変更可能だ

 

 

【第1位】獲得ポイント:32

街なかでの小気味良さと高速域の安定性を備えた傑作

プジョー 208

239万9000円〜423万円

躍動感のあるフォルムに、3本爪のモチーフを前後ライトに採用したスポーティな外観、新世代の「i-Cockpit」を採用した内装が目を引く。衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどの先進装備も充実。

SPEC【208 GT Line】●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm●車両重量:1170kg●パワーユニット:1199cc直列3気筒+ターボ●最高出力:100PS/5500rpm●最大トルク:20.9kg-m/1750rpm●WLTCモード燃費:17.0km/L

【ポイント内訳】塚田勝弘 1位(10ポイント)/上岡 篤 1位(10ポイント)/岡本幸一郎 2位(7ポイント)/清水草一 3位(5ポイント)

 

昔の“猫足”ではなくても木綿豆腐のようなしなやかさ

新型208は、Bセグメントで現在ベストといえる走りを堪能できる。小径ステアリングもあってフットワークは軽快そのもので、高速域の安定性も兼ね備えている。交差点ひとつ曲がっただけで楽しいと思える味付けを濃厚に感じさせながら、ボディはあくまでミシリともいわずしっかりしたものだ。

 

208も含めて最近のプジョーは、“猫足”と表現された昔のしなやかな乗り味一辺倒ではないが、以前のドイツ車へのコンプレックスを感じさせた硬さもない。100PS/20.9kg-mの1.2Lターボは数値以上に力強く感じるし、トルコン付のATはダイレクト感のある変速マナーで、楽しさとスムーズさを兼ね備えている。(塚田)

↑PSAグループ最新の「CMP」を採用。軽量化や、空力性能の向上、駆動系や足周りの転がり抵抗の低減を叶える

 

↑「インターナショナルエンジンオブザイヤー」に5年連続で選出。燃費も改善し、WLTCモードは17.0km/L

 

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アクアも意外に高評価! 自動車評論家が選ぶ国産コンパクトカー10傑

前回の記事では、ノート、ヤリス、フィットをガチ採点したが、国産コンパクトカーの注目モデルはそれだけにとどまらない。本記事では、自動車評論家の清水草一さんに登場いただき、最新モデルから登場から10年近く経つモデル末期のものまで、現行車種の中から、コンパクトカー十傑をピックアップした。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

モータージャーナリスト

清水草一さん

編集者を経て自動車ライターに。大乗フェラーリ教開祖を名乗りつつ、道路交通ジャーナリストとしても活動。

 

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ノート、ヤリス、フィットーー「国内3強コンパクトカー」を厳しく採点! 一番よかったのは?

 

 

【ハッチバック編】

サイズに制限のあるコンパクトカーでも後席を倒して多くの荷物を積め、高い実用性を誇る。サイズ感もつかみやすく運転しやすい。

 

【その01】トヨタの定番小型ハッチバックは欧州で人気アリ!

トヨタ

カローラ スポーツ

216万9000円〜284万1000円

ワイド&ローのスポーティなシルエットのボディに用意されたパワーユニットは、ハイブリッドと1.2Lターボの2種。1.2LターボにはiMTと呼ばれるMTも設定。同社のコネクティッドカーとしての顔も持つ。

 

【ココがスゴイ!】バランスは抜群! 基本性能の高さに納得

カローラというと、日本ではツーリングが人気だが、欧州では断然コレ。ガソリン車にMTが用意されているのも欧州風味でイイ!(清水)

 

【その02】ホンダのEVは原点回帰のシンプルデザイン

ホンダ

Honda e

451万円〜495万円

ホンダの新型EVはタウンユースを強く意識し、1充電あたりの走行距離は最長283km。それまでのEVと違い走行距離を伸ばすよりも、短時間の充電で走れる距離を重視。その結果、わずか30分の充電で200kmを走行可能だ。

 

【ココがスゴイ!】後輪駆動ゆえの小回り性能に驚愕

航続距離は短めだが、それはシティコミューターに徹しているから。軽より小回りが利いて感動! デザインはシンプルの極致で美味だ。(清水)

 

【その03】スズキらしい個性が光る隠れた傑作!

スズキ

イグニス

 142万3400円〜203万600円

クロスオーバーSUV風のコンパクトカー。軽自動車並みの3.7mの全長は街なかで扱いやすいサイズだ。今年の仕様変更ではデュアルカメラブレーキサポートや助手席のシートヒーター、オートライトが全車標準装備となった。

 

【ココがスゴイ!】室内の広さよりも走りとデザインを優先

やんちゃな顔つきに大地を踏ん張る台形のフォルムは、いかにも走りそう。インテリアはイタリアの小型車みたいでセンス抜群だぜ!(清水)

 

【その04】クラス唯一のクリーンディーゼル搭載で我が道を行く

マツダ

マツダ 2

 145万9150円〜266万7500円

デミオから改称された同車は、パワーユニットは直噴ガソリンエンジンとディーゼルエンジンをラインナップ。特にディーゼルモデルはクラス唯一の搭載車種で、その静粛性能には定評がある。落ち着いたデザインも好評だ。

 

【ココがスゴイ!】唯一無二を掲げるマツダの真骨頂

ディーゼルエンジンを積んだコンパクトカーは、世界的に貴重になりつつある。豊かなトルクとしっかりした足周りは長距離向きだ。(清水)

 

【その05】痛快! そして便利! 国民車にもなれる万能型ホットハッチ

スズキ

スイフト スポーツ

 187万4400円〜214万1700円

エスクード用のエンジンに専用チューンを施した140PSを誇る1.4L直噴ターボを搭載。MT比率が比較的高いのも特徴のモデル。後席も使える実用性と軽快な走りは多くのユーザーが認めるところ。200万円以下からという価格設定も魅力だ。

 

【ココがスゴイ!】走りが楽しい! それでいて弱点なし

1.4L直噴ターボエンジンの加速は痛快そのもの。6速MTはもちろん、6速トルコンATでも十分楽しめる。広さや燃費にも不満ナシさ。(清水)

 

【その06】モデル末期でも魅力が褪せないハイブリッドカー

トヨタ

アクア

181万8300円〜219万8900円

2011年デビューのハイブリッド専用車。車両価格も手の届きやすいハイブリッドカーとしてロングセラーに。パワートレインは2代目プリウスをベースにし燃費面でも高評価。低重心で、シャープなハンドリングも意外な魅力だ。

 

【ココがスゴイ!】登場から10年でも売れ続けるモンスター

ものすごくフツーのクルマに見えて、実は重心が低く、曲がるのが得意。ハイブリッドバッテリーの重量配分の妙だ。いまだに魅力アリ!(清水)

 

【SUV編】

SUVは魅力的だけれども、大きなボディはちょっと……と考えるユーザーにはピッタリのコンパクトカー。その視界の良さは特筆モノだ。

 

【その07】無敵の小型オフローダーは世界中で大ヒット

スズキ

ジムニー シエラ

 179万3000円〜205万7000円

クロカンモデルらしい武骨なスタイリングやラダーフレームなど多くの“本格”装備を持つクルマ。ミッションは信頼性の高い5MTと4ATを設定する。欧州にも輸出されるモデルなので、高速走行も構えることなく巡行可能。

 

【ココがスゴイ!】無骨なデザインが走破性能とマッチ

“ミニGクラス”ともいえる武骨なデザインが、シンプルで実にカッコイイ。悪路の走破性能は世界の一級品。無敵の小ささも強力な武器だ。(清水)

 

【その08】ゴツい顔した優しいヤツ、地味だけど憎めないね

ダイハツ

ロッキー

 170万5000円〜236万7200円

ダイハツのクルマづくりの新コンセプト、DNGAに基づいたSUV。エンジンは1Lの直3ターボで98PS。組み合わされるミッションはCVTのみで、すべてのモデルに4WDが設定されている。トヨタ・ライズとは兄弟車。

 

【ココがスゴイ!】走りも居住性も満足のコンパクト

目立ったところはゼロだが、走りも乗り心地も居住性も適度に満足。SUVだと構えずに、フツーの小型車として買って間違いなし。(清水)

 

【その09】ヤリスに足りない部分をすべて満足させました

トヨタ

ヤリス クロス

 179万8000円〜281万5000円

ヤリスとメカニカルコンポーネンツを共有するSUV。コンパクトな分類に入るが全幅で1700mmを超えるので3ナンバーサイズだ。パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンとハイブリッドの2本立てで先進安全装備も充実。

 

【ココがスゴイ!】コンパクトだけれど押し出し感は十分さ

大ヒット中のヤリスの弱点は、後席の狭さ。でもヤリス クロスならまったく問題ナシ。見た目もカッコイイし、4WDも選べるぜ。(清水)

 

【その10】オシャレな都会派ながらキラリと光るスバルイズム

スバル

SUBARU XV

220万円〜292万6000円

現行モデルは2017年登場。2020年9月に大幅な改良が加えられた。基本メカニズムはスバルの伝統、水平対向エンジンにシンメトリカルAWDを組み合わせたもの。スバルの先進安全装備アイサイトを全モデルに標準装備。

 

【ココがスゴイ!】オシャレSUVだが走りは本物

XVに乗っていると、オシャレでアクティブな遊び上手に見えるから不思議だよね。もちろんスバル車だけに、走りは地味に本物さ。(清水)

 

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ノート、ヤリス、フィットーー「国内3強コンパクトカー」を厳しく採点! 一番よかったのは?

ヴィッツの名を改称したトヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット、日産・ノートが揃ってフルモデルチェンジ。販売台数でトップを競う国内3強コンパクトカーがもたらす衝撃度を、プロが厳しい目でジャッジ。採点項目は、デザイン/走り/インテリアの上質さ/コスパ/安全性能の5項目で各20点満点で評価した。

 

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

軽自動車から高級輸入車まで、ユーザー視点をモットーに広く深く網羅。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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【その1】日産ならではの先進技術を満載した未来感あふれる新顔

日産

ノート e-POWER

202万9500円〜218万6800円

モーターは先代ノートに比べ、トルクを10%、出力を6%向上。よりパワフルで気持ちの良い発進加速と、中高速からの追い越しでの力強い加速感を実現する。エンジンの作動頻度低減や、車体の遮音性能向上により静粛性もアップ。

SPEC【X】●全長×全幅×全高:4045×1695×1520mm●車両重量:1220kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒DOHC●最高出力:116[82]PS/2900〜10341rpm●最大トルク:28.6[10.5]kg-m/0〜2900rpm●WLTCモード燃費:28.4km/L ※[ ]内は発電用エンジンの数値

 

動力源はe-POWERのみ! プロパイロット搭載も魅力

8年ぶりにモデルチェンジしたばかりのノートは、ガラリと雰囲気が変わった。フラットながら豊かな面の抑揚を持つ斬新な外観とともに、ハイテク感満載のインテリアもかつてない雰囲気。個性的な柄のシートの質感も高い。

 

動力源は、日産お得意のエンジンで発電した電気により100%モーターで走るe-POWERのみという割り切りよう。既存の簡易版ではなく、前後に2基の強力なモーターを搭載して4輪を駆動する本格電動4WDが選べるのも新しい。

 

高速道路での自動制御を行う「プロパイロット」をコンパクトカーとして初搭載。しかもカーナビと連携して急なカーブの手前であらかじめ減速する等の、日産初の機能を備える点にも注目だ!

 

日産独自のVモーションが精悍な顔つきを作り出す

↑薄型のヘッドライトから繋がる日産独自のVモーションフロントグリルが印象的。新しくなったロゴマークを市販車として初採用する

 

直線的なラインが印象的な上質感あふれるインテリア

↑1本の直線がインパネの一体感を生む。ナビゲーションとメーターは1枚の板で繋がったようなつくりで、視線の移動を少なくしている

 

360度に渡り周囲を見回す全方位運転支援システム

↑カメラとレーダーによってクルマの周囲を見回して安全運転を支援する、全方位運転支援システムを搭載。プロパイロットも備える

 

岡本’s ジャッジ
ついにこのクラスにもプロパイロットを搭載! 先進的なインテリアの質感は上々だが、斬新なスタイリングは好みが分かれるかも。e-POWERのみとなり価格が上がったのは否めず。
【衝撃度21】
・デザイン 4
・走り(予想) 4
・インテリアの上質さ 4.5
・安全性能 5
・コスパ 3.5
※各項目5点満点、計25点満点で採点(以下同)

 

【その2】改名とTNGA化で心機一転!キャラの立つデザインも光る

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

コンパクトカー向け新プラットフォーム「TNGA」を採用し、軽量かつ高剛性、低重心なボディを実現。軽快なハンドリングを実現するとともに、ハイブリッド車では最高36.0㎞/Lの燃費を誇る。

SPEC【HYBRID X・2WD】●全長×全幅×全高:3940×1695×1500mm●車両重量:1050kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒+モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:36.0km/L  ※[ ]内はモーターの数値

 

どの動力でも驚異の低燃費! ハイブリッドは瞬発力抜群

他の2モデルよりもコンパクトで、内外装とも個性的なデザインが光る。車内は前席重視のつくりで、ファミリー層には不向き。その意味では他の2モデルと市場で競合するものの、ガチンコのライバルではなさそう。ワンタッチで好みのポジションに戻せる運転席シートはアイデア賞モノだ。

 

高いボディ剛性は走りの良さにも寄与している。3種類から選べるパワーソースの燃費はいずれも上々で、ハイブリッドは意外なほど瞬発力にも優れる。3モデルで唯一MTの設定があるのも特徴だ。

 

ボタンを押すだけで駐車操作をアシストする

↑駐車の際ステアリング・アクセル・ブレーキ操作を自動で制御。ドライバーの負担を大きく軽減してくれる

 

ムダをそぎ落として高い操縦安定性を実現

↑コンパクトカーとして初めてTNGAを採用。低重心化することで操縦安定性が高まり、運転もしやすい

 

岡本’s ジャッジ
燃費は驚異的。思い切った内外装デザインや、トヨタのハイブリッドの先入観を打破する瞬発力ある走りにも驚いた。半面、インテリアや走り味がややチープなところが気になる。
【衝撃度18】
・デザイン 4.5
・走り 3
・インテリアの上質さ 3
・安全性能 3.5
・コスパ 4

 

【その3】「心地良さ」をテーマに開発された万能モデル

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

視界の広さや、座りやすさ、運転しやすさといったユーザビリティを追求。特に低床設計が生む使い心地の良さは特筆モノで、多彩なシートアレンジが可能。長いモノから背の高いモノまで余裕で積載できる。異なる5つのタイプから選べるのも◎。

SPEC【e:HEV BASIC・2WD】●全長×全幅×全高:3995×1695×1515mm●車両重量:1180kg●パワーユニット:1496cc直列3気筒+モーター●最高出力:98[109]PS/5600〜6400rpm●最大トルク:13.0[25.8]kg-m/4500〜5000rpm●WLTCモード燃費:29.4km/L ※[ ]内はモーターの数値

 

低いフロアが生む広い室内が優れた使い心地を実現する

独自のセンタータンクレイアウトによる低いフロアを実現。コンパクトながら、広々とした室内空間をより有効に使えるのが特徴だ。後席の居住性には特に優れ、シートを跳ね上げて背の高い荷物を積むこともできる。

 

e:HEVのエンジンは高速クルーズ時など以外はほぼ発電機として機能し、モーターが駆動力を担う仕組み。リニアで効率にも優れている。柴犬をイメージしたという親しみやすい外観が想起させる通り、触れるほどにジワジワと心地良さを実感させるモデルだ。

 

モーター+エンジンでパワフルな走行が可能

↑発電用と走行用2つのモーターとエンジンを搭載。加速時や高速クルーズ時などパワフルな走行が可能だ

 

使い勝手の良い荷室は十分な高さを確保する

↑前席下部に燃料タンクを置くことで実現した低床設計。荷室の高さも十分で、背の高いモノも積載できる

 

岡本’s ジャッジ
プラットフォームは他モデルの流用ながら、完成度の高い快適な走り味を楽しめる。極細ピラーにより視界が極めて良好で、車内は外見から想像するよりも広々としているのも強み。
【衝撃度21.5】
・デザイン 4
・走り 4.5
・インテリアの上質さ 4
・安全性能 4.5
・コスパ 4.5

 

話題沸騰のカロッツェリア「車載用Wi-Fiルーター」を濃厚インプレ! 実際にオン・オフで使ってみたら

カロッツェリアの車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」は、月額制で車内で4G(LTE回線)が使い放題になるクルマ用のアクセサリーであり、各所で話題になっている製品だ。

 

「話題になっている」というと、手垢のついた表現だが、本サイトで紹介した記事は2020年のアクセスランキングのトップ3に入るほど閲覧された(10月上旬の記事である)し、事実、発売メーカーであるパイオニアにも「相当数の問い合わせが入っている」というが、ついに発売となった。

 

で、前回の記事では機能面をさらうことしかできなかったが、今回はじっくり試用。その使い勝手と、クルマの中での過ごし方がどんな風に変わったのか? ワーケーションを兼ねた旅先で使ってきたので、オンとオフのシーンに分けてレポートしたい。

 

【今回紹介する製品】

カロッツェリア

車載用Wi-Fiルーター DCT-WR100D

希望小売価格2万7500円(税込)

NTTドコモの4G/LTE通信網を利用可能な車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に対応した車載用Wi-Fiルーター。2年有効なSIMカードが付属し、別途契約すれば定額でLTE通信を無制限で利用できる。

SPEC●対応通信規格:4G/LTE(NTTドコモ回線)●無線LAN:IEEE 802.11b/g/n(2.4GHzのみ)●最大同時接続台数:5台●動作保証温度:-10°C〜+60°C

 

本題に入る前に、本製品の概要について触れたい。下記にギャラリー形式でまとめさせていただいた。開通手順も設置も簡単で、数分で完了する。このあたりは、契約して端末が届くまで時間がかかるモバイルルーターとの大きな違いだろう。

【機能・概要ギャラリー(画像をタップすると閲覧できます】

※:実際の利用方法に関してはDCT-WR100Dの取扱説明書をご確認ください

 

【車載用Wi-Fiルーターが使える「オフ」のケース1】

高画質な動画に慣れきった我々を満足させてくれる

今年は自宅にいる時間が長かった。自宅はネット回線がつながっているから、気兼ねなくYouTubeの画質をフルHDあるいは4Kにして、これでもかというぐらい自宅のネット回線を酷使した。

 

結果、何が起こったかというと、外出先で動画をみるときに360pや480pでは満足できなくなってしまった。好きな俳優や女優が低解像度で映っていて、セリフを聞くのがメインになるような映像鑑賞では満足できなくなってしまったのだ。とはいえ、スマホの通信を使えばすぐにギガがいっぱいになってしまう。

 

でも、車載用Wi-Fiルーターがあればクルマの中では大丈夫、というのがこのパートで言いたいことだ。DCT-WR100Dは容量無制限で使い放題。エンジンオンかアクセサリーオン状態であれば、駐車後60分間は通信状態が持続する。だから、画質を1080pにしても怖くない。上の写真は、家族で行った旅行でのひとコマ。夕日待ちで周辺をひと通り探索したあと、やることがなくなったので各々生配信を楽しんだり、見逃したドラマを観ているという場面だ。

 

本当に気にいった配信や作品でない限り、映像コンテンツは何度も繰り返しは観ないもの。せっかくの作品を中途半端な映像体験でロスしてしまうことがなくなるはずだ。

 

取材車はレンタカーだったため、リアエンタメデバイスがなかったが、カロッツェリアのプライベートモニターやフリップダウンモニターを導入すれば、後席でも大画面でエンタメを楽しむことができる。同ブランドのプライベートモニターには、HDMI端子が搭載されているため、手持ちのスマホをモニターにつないで後席だけ別の映像を映すこともできる。この拡張性の良さはカロッツェリアならではだろう。

 

さて、クルマで外出すると、意外に待つ時間は多いし長い。典型的なのは、渋滞でやることがないという場面。ほかにも、ランチやディナーでの待ち時間。最近は入店人数を制限している飲食店も多くあり、人気店は待ち時間が長い。

 

さらに、withコロナの時代になって、プライベートな空間で移動できるクルマの価値が見直され、公共交通機関ではなくクルマで遠出する人も増えた。運転頻度が高くない人は、短時間の仮眠を伴う休憩をしたほうがより安心。15〜20分の仮眠中、家族が暇を持て余すというケースも多いはずだ。そんなときDCT-WR100Dがあれば大活躍。同乗者のメリットが大きいのが本機のウリである。

↑翌日行った離島でのひとコマ。離島はクルマごと乗船する場合でも、駐車場に泊める場合でも早めに到着する必要があるため、旅先で待ち時間が多い場面のひとつ。この時も、待ち時間に家族はスマホでエンタメを楽しんでいた

 

 

【車載用Wi-Fiルーターが使える「オフ」のケース2】

撮った先から動画を親や友だちにシェア

クルマのなかでサブスク作品を観たり、YouTubeの投稿を観たりというのは、車載用Wi-Fiルーターがあれば便利というのは理解できるはず。一方で、やってしまいがちなのが、旅先で撮った写真や動画をバンバン友人や親に送るケース。サイズと画質を自動で下げて送信するアプリが一般的なので、個々のデータサイズは大したことはないが、大量に送るとさすがにギガを圧迫する。追加のギガを購入して数千円の出費したのは何度だろう。

 

DCT-WR100Dが採用する「docomo in Car Connect」の利用料は1年プランで1万2000円。月あたり1000円だ。週末だけしか載らない人は1日契約プランもあるので、自分の使い方に応じてプランを決められる。ただ、こちらは500円なので、1年プランを利用したほうが得するパターンが多い。利用料金面でもハードルが少ないという点でも、DCT-WR100Dは持っていて間違いのないアイテムである。

※:上記価格はすべて税抜価格

 

ちなみに、DCT-WR100Dは端末は5台まで同時接続可能。ミニバンで定員近くまで乗らなければ、乗員全員が接続できる。家族や友だちと撮りあいっこしたデータを送り合う光景もよくあると思うが、それも宿泊先に戻らずにその場でできるのだ。

 

【車載用Wi-Fiルーターが使える「オン」のケース1】

ちょっとした書類やデータをチェック

ここからはオンでの活用方法についてレポートしていこう。クルマで移動しながら訪問先を回って、その合間に業務やメール対応している人は多いだろう。パワポやエクセルを開いて緻密な作業をするほどではないが、スマホだけでチェックするには心もとないシーン。

 

筆者の場合は、原稿のチェックや企画の確認などがそれにあたり、1日に10回以上。クルマ移動で業務する日の場合、その都度PCを開いて、スマホとPCをテザリングするか、モバイルルーターにつなぐ生活を送っていた。で、サクッとつながらないと結構イライラする。結果、「あとにしよう」というパターンに陥りがちで、後回しにすると上司や部下からせっつかれてストレスが溜まる。悪循環である。

 

でも、車載用Wi-Fiルーターがあると違う。立ち寄ったコンビニの駐車場や訪問先周辺のパーキングでさっと対応、さっと返信。DCT-WR100Dは走行中はもちろん、駐車後もエンジンオンまたはアクセサリー状態であれば、60分間は通信可能状態が持続するので、ちょっとした作業をするには十分。Wi-Fi環境が途切れないのですぐに作業に移れるのだ。

 

5〜10分の作業も1日10回以上あれば、1〜2時間に積み上がる。仕事効率がアップしたのを実感できるのと、「早く対応しなきゃ」という心理的プレッシャーから解放される。これがかなり大きく、運転中に別のことを考えられるのだ。別のことを考えられるから、クリエイティブな領域にも効果をもたらす。そのあたりは、次の項で紹介していこう。

 

ちなみに、営業車で毎回乗るクルマが違うとか、ファーストカーとセカンドカーの複数台持ちという場合も大丈夫。DCT-WR100Dはシガーソケットに接続するだけで利用できるので、非常に多くのクルマで設置できる。クルマを持っていないという人でもレンタカーやカーシェアのクルマでも使える。クルマの所有に関わらず、一台持っているだけで、活躍してくれるデバイスである。

 

 

【車載用Wi-Fiルーターが使える「オン」のケース2】

ビッグなアイデアを閃いちゃったとき

クルマとトイレと風呂は、「3大アイデアを閃きやすいスポット」だと個人的に思っている。集中している、狭い空間で余計なものが目に入ってこない、他の人に邪魔されないーー人間は制限されている空間では情報整理がしやすい。何かを閃いた場合、多くの人がまずやることはアイデアを書き留めることと、一旦ネットで検索することではないだろうか。

 

トイレや風呂で閃いた場合は、出てすぐに作業に取りかかればいい。スマホやタブレットを持ち込んでいる人も多いだろう。でもクルマの場合は、安全な場所に駐車して、スマホやルーターのデザリングをオンにして、メモアプリを立ち上げて、って、もう半分忘れかけている! 誰も考えたことがなくて画期的で社長賞も確定だったアイデアのタネが忘却の彼方へ行ってしまう。

 

というのは言い過ぎかもしれないが、とりあえずメモを書き留めたい場合、DCT-WR100Dがあると段違い。先ほども述べたが、本機は駐車後もエンジンオンまたはアクセサリーオン状態であれば、60分間は通信可能状態が持続するため、使用したい端末がWi-Fiにつながった状態にできるので、すぐにそのまま調べ物ができる。

 

筆者の場合、タブレットでノートアプリを開いてデジタルペンでアイデアをなぐり書きしたあと、参照したいURLをノートにテキストで貼るのがルーティン。ブラウザで開きっぱなしにしておくと、つい消してしまって「あのサイトどこいったっけ?」と二度手間になることが多かったためだ。

 

この流れ自体は、クルマ移動を伴う業種・職種だけの人に当てはまるものではない。夫婦共働き家庭でともに在宅勤務の場合、クルマで1人で集中するという使い方もできる。エンジン始動時からは30分で通信が切れるが、30分一本勝負で濃度を上げて作業することも可能だ。DCT-WR100Dは単にカーライフを充実させるのではなく、日常生活をも充実させる特徴を持っている。

 

【まとめ】withコロナ時代に合った製品である

DCT-WR100Dは、車内でも自宅やオフィスにいるような感覚で、躊躇いもなく通信ができるデバイスである。個人的には、この「躊躇なく」というのが意外に重要だと考えている。少し抽象的になるが、まとめとして語っていきたい。

 

withコロナの時代になって私たちは大なり小なり様々な制限を受けている。今回は旅ということで外出をしたが、どこかに出かけたり、外食をしたり、リアルなイベントに行ったりという選択肢に何らかの制限が出ている。

 

非常に細かい領域でいえば、マスクをすることで口が動かしにくいという身体的な制限も受けている。そして、これはしばらくは変わらないだろう。だから、自分の生活を縮こめすぎないよう、能動的に制限を取り払う行動をしていかないと、日常が充実していかない。

 

DCT-WR100Dは、ニューノーマルの時代にあって、リスクを下げる生活を送りながらも、クルマの中で自分のやりたいことができる価値を提供してくれているデバイスだと感じている。壮大な話になってしまったが、結論は買いである。

 

なお、今回は取材車両がレンタカーだったため、カロッツェリア製品との連携についてはあまり触れらなかったが、例えば、HDMIケーブルが挿せるナビやディスプレイオーディオがあれば、前席でAmazonのFire TV Stickを挿してAmazonプライム・ビデオの作品を視聴できる。

 

このあたりは、前回記事も参考いただきたい。

【最速インプレ】車内が「Wi-Fi繋ぎ放題」になる「車載用Wi-Fiルーター」がカロッツェリアから登場。使い勝手は? どんな人に向いてる?

 

販売台数が好調なトヨタ「ハリアー」を探る

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、発売後1か月で目標販売台数の10倍以上もの受注を獲得した、トヨタのラグジュアリーSUVについて論じる!

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】トヨタ/ハリアー

SPEC【ガソリン・G・2WD】●全長×全幅×全高:4740×1855×1660mm ●車両重量:1570kg ●パワーユニット:2.0L直列4気筒エンジン ●最高出力:171PS(126kW)/6600rpm ●最大トルク:207Nm/4800rpm ●WLTCモード燃費:15.4km/L

299万円〜504万円

 

内装の質感は段違いに高いし、装備も満点

永福「安ドよ。ハリアーが売れているそうだな」

 

安ド「7月は乗用車販売台数第4位だったみたいです!」

 

永福「1位ヤリス、2位ライズ、3位カローラ、そして4位がハリアー。6位にはアルファードもいる。ハリアーとアルファードは、現代のハイソカーだな」

 

安ド「殿の言われるハイソカーとは、かつてのマーク2に代表される、バブル期に大流行した国産高級車のことですね!」

 

永福「うむ。当時ハイソカーは若者の憧れで、女子にも大人気だったから、みんな無理して買ったものだ。いまハリアーを買っているのは、さすがに若者中心とは言えまいが」

 

安ド「トヨタは、『幅広い年齢層からご注文をいただいている』と言ってます!」

 

永福「つまり、高額なクルマにもかかわらず、比較的若い層も購入しているということだろう」

 

安ド「このクルマ、カッコいいし、モテそうですもんね」

 

永福「つまりハリアーは、現代のスペシャルティカーでもある」

 

安ド「現代のソアラですね!」

 

永福「当時のソアラのようにはいかんだろうが、少なくとも女子に喜ばれることは間違いない」

 

安ド「イマドキの女子は、どんなクルマを喜ぶのでしょう」

 

永福「それはもう、ひたすらカイテキであることだ。加えて車高が高く、見下ろし感があること。これは災害に強そうな安心感にも結び付く」

 

安ド「僕の愛車のパジェロがまさにそれですね!」

 

永福「たぶんな。オーナーの腹が出ていなければ」

 

安ド「すいません、出てます」

 

永福「とにかく、カイテキであることが第一だ」

 

安ド「確かにすごく快適ですし、室内もビックリするほど高級感がありました」

 

永福「私も驚いた。これは先代ハリアーとは大違いだ」

 

安ド「先代もゴージャスで人気ありましたよね?」

 

永福「人気はあったが、合成皮革の質感をはじめとして、かなりニセモノぽかった。走りも、特にガソリン車は全体にヌルく、シロート騙しのクルマだった」

 

安ド「キビシイですね!」

 

永福「私は6年前、この連載ではっきりそう言っているから、確認してみなさい」

 

安ド「でも、新型は違うんですね!」

 

永福「うむ。新型はまるで違う。内装の質感は段違いに高いし、装備も満点。そして、ガソリン車でも十分走りに満足できる。乗り心地はしなやかで高級だ。ただ、今日の撮影車には、惜しい点がひとつだけある」

 

安ド「何でしょう?」

 

永福「超カイテキなシートベンチレーションが付いていないグレードなのだ。あれほど女子にウケる装備はないからな」

 

安ド「惜しいですね!」

 

【GOD PARTS 1】リアシート

リクライニング可能でゆったり座れる

快適さが魅力のクルマらしく、リアシートは広く、座り心地も良好です。さらに、若干の角度ながら後方にリクライニングさせることができます。また、前方に背もたれを倒せばラゲッジルームを拡大して使うことも可能です。

 

【GOD PARTS 2】ドライブモードスイッチ

ドライバーの意思に合わせて最適な走りを選べる

高級、ラグジュアリーなどと謳いつつ、ドライブモードを選ぶためのスイッチもこっそり付けられています。燃費優先の走りから、鋭い加速感を味わえるスポーティな走りまで、ドライバーの意思に合わせて走行モードを選ぶことが可能です。

 

【GOD PARTS 3】パワーユニット

ダイレクト感があって好フィーリング

新型ハリアーにラインナップされるのは、2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドと、2.0Lエンジン。特に今回乗らせてもらった2.0Lエンジンはかなりフィーリングが良く、CVTとの相性も抜群でした。

 

【GOD PARTS 4】フロントフェイス

シャープな造形がエレガントさを主張

一体化したライトとグリルが先代型よりシャープになって、よりクールな印象になりました。L字型のデイランプも個性的です。力強いイメージのSUVが多いなかで、ハリアーは知的でエレガントな雰囲気を主張しています。

 

【GOD PARTS 5】エンジンスイッチ

重要なスイッチだから強調されている?

エンジンをスタート/ストップさせるスイッチは、インパネ中央の右下あたりに配置されていますが、この部分だけ上からぶら下がる特異な形で独立しています。それだけこのスイッチはほかのスイッチより重要ということなのかもしれません。

 

【GOD PARTS 6】フロントシート

寒さも暑さもなんのその 快適仕様シートを設定

中央部に色や模様が施され、形状も高級感のある雰囲気にまとめられています。また、グレードにもよりますが、シートヒーター&ベンチレーション(送風)機能が設定されているので、寒い日も暑い日も快適にドライブを楽しめます。

 

【GOD PARTS 7】ドア内張り

上質な空間を演出する内装の素材と加飾

ハリアーを高級SUVたらしめているのが、この内装の質感の高さです。肌触りの良い素材にパイピングオーナメントが飾られ、ドイツ製の高級SUVにも匹敵するほどの上質感を演出しています。内装色はブラウン、グレー、ブラックから選べます。

 

【GOD PARTS 8】デジタルインナーミラー

カメラ画像を表示して記録だってできちゃう

ドライブレコーダー(前後方録画)機能付きのミラーは、デジタルインナーミラーということで、車両後方のカメラが捉えた映像を映し出すことができます。どちらの機能も、きっとこれから主流になっていくのでしょう。

 

【GOD PARTS 9】USBソケット

モバイル機器を車内で使うための必需品

今回の試乗車には前席用に2つ、後席用に2つ、合計4つもUSBソケットがついていました。時代に即した装備です。また、ラゲッジルーム内には、1500W以下の電気製品が使えるコンセントを装着することも可能だそうです。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアスタイル

クーペのような美しいボディラインは見事な出来映え

ボディサイドの抑揚ある美しいラインが、Bピラー(前席と後席のウインドウ間の柱部分)からCピラー(後席とリアのウインドウ間の柱部分)にかけて流れるように絞り込まれてくるラインと、リアで見事に結実しています。シャークフィンアンテナやリアスポイラー、薄型のリアライトも流線型を強調していて、とにかくスタイリッシュです。

メルセデス・ベンツ/Aクラスを徹底分析! 永福ランプが試したかったこととは?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、メルセデス・ベンツのエントリーモデルであるAクラスをピックアップ。永福ランプが久々に試したかったこととは?

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】メルセデス・ベンツ/Aクラス

SPEC【A180スタイル】●全長×全幅×全高:4420×1800×1420mm ●車両重量:1430kg ●パワーユニット:1.3L直列4気筒+ターボ ●最高出力:136PS(100kW)/5500rpm ●最大トルク:200Nm/1460〜4000rpm ●WLTCモード燃費:15.4km/L

●337万円〜798万円

 

ベンツの中では一番安い部類

安ド「殿! 今回はなぜA180なのですか」

 

永福「ダメか?」

 

安ド「いえ、AクラスならセダンやAMGなど新しいモデルもあるのに、なぜ1年以上前に出たA180ハッチバックを希望されたのかと」

 

永福「それはもちろん、A180が一番お安いからだ」

 

安ド「なぜ一番安いモデルを?」

 

永福「それは言うまでもない。安いほうがサイフにやさしいではないか!」

 

安ド「実際に買うなら安いに越したことはありませんが……」

 

永福「A180は、一応337万円から買える。このA180スタイルだと380万円。オプションのレーダーセーフティパッケージが25万3000円、ナビゲーションパッケージが18万9000円。このふたつの装備を付けない人はおるまい。その他のオプションも含めると、今回の撮影車両は合計515万円にもなっておったが、それでもベンツの中では一番お安い部類なのだ!」

 

安ド「ハハー!」

 

永福「それにな、私は例の『ハ〜イ、メルセデス!』をもう一度やってみたかったのだ」

 

安ド「会話で操作できるMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)ですね。それならほかのメルセデスにも付いていると思いますが……」

 

永福「いや、Aクラスが出たとき、『この機能は学習によって成長するので、子どもを育てる気持ちで』と聞いていたから、1年半後の成長を見てみたかったのだ」

 

安ド「さすが深いお考えです! で、成長してました?」

 

永福「いや、成長しておらなんだ」

 

安ド「ええ〜〜〜っ!」

 

永福「メルセデスではない、私が成長しておらなんだ。相変わらずメルセデス君がちょっと物わかりが悪いと、『ボタンで操作したほうが早いじゃね〜かよ!』などと、すぐキレてしまってのう」

 

安ド「なるほどぉ! 僕は、『意外とすぐ理解してくれるなぁ』と思いましたが」

 

永福「うむむ……」

 

安ド「『ハイ、メルセデス。アンビエントライトを紫にして』と言ったら、一発でやってくれました」

 

永福「それを聞いていたので、同じことを言ってみたが私はダメだった」

 

安ド「ダメでしたか!?」

 

永福「アンビエントライトをアンビエントコントローラーと言い間違えたのだ。そしたらハネられた」

 

安ド「ですか……」

 

永福「クルマとお話するのは、中高年にはハードルが高いな」

 

安ド「ですか……」

 

永福「それと、メルセデスなのに高速道路で3回もアオられた」

 

安ド「えっ!」

 

永福「後姿が控えめで、国産の小型車っぽく見えるからだろうか」

 

安ド「う〜ん、顔はCLSなどと同じなんですけどねぇ」

 

永福「無念だ」

 

【GOD PARTS 1】ヘッドライト

ツリ上がったライトはシャープで都会的な印象

新世代メルセデスの特徴であるツリ目フェイスが採用されています。シャープで都会的な雰囲気ですが、ほかのモデルも造形が似ていて(よく見ると違うけど)、一般の人は見分けがつかないのではないかと心配になります。

 

【GOD PARTS 2】アンビエントライト

室内を艶やかに彩る照明は64色から選べる

間接照明のような淡い光で車内を彩る「アンビエントライト」がオプション装着されています。64色に変えられるそうですが、MBUXで言葉で伝えようとすると(下記参照)、そんなに色の名前を知らないため、結局、「赤」や「紫」になってしまいます。

 

【GOD PARTS 3】AMGホイール

ワルっぽさをプンプン放つ大型のアルミホイール

今回のモデルには、26万円もする「AMGライン」が装着されていました。「AMG」は、ハイパフォーマンスモデルを制作するメルセデスのサブブランドで、このホイールはAMG仕様。大径サイズで黒とシルバーに塗られ、いかにもワルそうです。

【GOD PARTS 4】大型ディスプレイ

シンプルな造形は煩わしくなくて好ましい

ドライバーの目の前には、非常に大きな横長ディスプレイが鎮座しています。インパネのデザインを損なわないシンプルな造形は好感が持てますが、実は表示は左右2面になっていて、メチャクチャ横に長い一枚絵が見られるわけではありません。

 

【GOD PARTS 5】タッチパッド

手元を見ることなくスマホのように操作可能

センターコンソール上にはコントローラーが設置されていて、センターディスプレイ上に表示されるカーナビなどの操作を、手元を見ずに行うことができます。近年のモデルではタッチパッドまで付き、指先だけでポインターを動かせます。

 

【GOD PARTS 6】エンジン

3種類のパワーユニットを設定

メルセデスはひとつのモデルに複数種類のエンジンを設定することが多いのですが、このAクラスも1.3Lターボのガソリンと2.0Lターボのディーゼルに加え、2.0Lターボのガソリン(AMG A35)と3種類をラインナップ。1.3Lでも十分速いです。

 

【GOD PARTS 7】MBUX

呼べば答えてくれる会話できるクルマ

「ハイ、メルセデス!」と呼べば答える、自動対話式音声認識インターフェイス「MBUX」が未来を感じさせます。「天気を教えて」など、フランクに話しても答えてくれますが、「ハイ、ベンツ!」では起動しません。何か気に障ったのでしょうか。

 

【GOD PARTS 8】フロントシート

スポーティさと高級感との両立を狙う

「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」では、本革シートはツートーンカラーです。赤と黒でスポーティさと高級感の両方を求めているようですね。座面の先端は前にせり出させることができるので、太ももが長い人には好都合です。

 

【GOD PARTS 9】リアシート

3分割の可倒式で自由に荷室アレンジ

先代モデルより広くなった後席ですが、もちろん前方に倒すことができます。荷室とつなげることで長尺の荷物を積めるようになり、40:20:40の割合で3分割できるので、載せたい荷物に合わせて、自在にアレンジできるのが便利です。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアスタイル

攻撃性がまったく感じられないリアまわり

全体的にシンプルなスタイリングで徹底されていますが、フロントまわりはちょっとキツめな印象です。一方、ボディ後方に回ると、まったく別のクルマかのように柔らかなデザインが採用されていて、凡庸ながらも安心感があり、個人的にはこのお尻に好感が持てます。2019年にはセダンモデルも追加されていますが、こちらもトランクが付いて出っぱっただけで、やはりほんわかしています。

 

 

撮影/我妻慶一

遊べるクルマをもっと楽しく♪ ドライブ“格上げアイテム”セレクション!

最近のクルマは至れり尽くせりで便利なアイテムが付いているが、ドライブをより快適にするアイテムは数多くある。遊べるクルマの“格上げ”を約束するアイテムを用途ごとに紹介しよう!

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【安心ドライブを格上げ】

360度全方位記録可能でまさかのときの録り逃しナシ

ケンウッド

DRV-C750

実売価格4万3010円

あおり運転が厳罰化されてもゼロにはならないのが現状で、ドライブレコーダーの需要もますます高くなっている。オススメは360度対応のドライブレコーダー。あおり運転の録画だけでなく、事故の際も録り逃しがない。

SPEC ●液晶:2.4型フルカラーTFT ●撮像素子:1/2. 5型 フルカラーCMOS ●最大記録画角:水平360度/垂直240度 ●記録モード最大解像度:1856×1856(ラウンドモード)●録画フォーマット:MP4(H.264)●サイズ/質量:W74×H86.1×D32mm/129g

 

↑360度録画対応で死角なく記録が可能。別売りの電源ケーブルで駐車時も録画でき、愛車の盗難やいたずら防止にも役立つ

 

【車内の空気を格上げ】

車内の消臭だけでなく集中力もアップさせる!

シャープ

車載用プラズマクラスターイオン発生機 IG-MX15

実売価格1万6330円

従来機比でイオン濃度が約20%アップしたプラズマクラスターNEXTにより、カビ臭、汗臭、体臭、食べ物臭、タバコ臭、ペット臭の車内6大付着臭を素早く除去。運転時に集中力を高める環境づくりもサポートする。

SPEC ●プラズマクラスター適用面積:約3.6m2 ●運転モード:ターボプラス、中、静音 ●電源コードの長さ:約1.5m ●サイズ/質量:W78×H165×D76mm(上部)、下部直径65mm/約295g

 

↑カップホルダーに収まるサイズで車内でも置く場所に困らない。USB電源搭載なので車内だけでなく家やオフィスでも使用できる

 

【車内BGMを格上げ】

ハイレゾ音源のネイティブ再生に対応し圧倒的な臨場感を味わえる

ケンウッド

彩速ナビ MDV-M907HDF

実売価格14万2230円

高速レスポンスの彩速テクノロジーを搭載した大画面ナビ。ドライバーに必要なドライブメッセージで安全運転をサポートする。画面はスマホ感覚で操作可能。ハイレゾ音源のネイティブ再生に対応し、臨場感のある音を楽しめる。

SPEC ●画面サイズ:9V型(1280×720)●ハイレゾ対応フォーマット:DSD、WAV、FLAC ●Bluetooth対応コーデック:LDACほか ●サイズ/質量:W178×H100×D155mm/2.3kg

 

↑デジタルデータを音楽信号に変換する心臓部にAKM製32bitプレミアムDAC、AK4490を採用。原音に近い音質を提供する

 

【動画鑑賞を格上げ】

9V型の大画面でYouTubeも存分に楽しめる!

パイオニア

1Dメインユニット DMH-SF700

実売価格9万8380円

9V型の大画面を採用したディスプレイオーディオ。各スマホアプリに対応する。Wi-Fiテザリングによるワイヤレス接続でWEBブラウザへのアクセスができ、車内でYouTubeなどの動画サイトを大画面で楽しめる。

SPEC ●画面サイズ:9V型(1280×720)●対応ビデオフォーマット:H.264、H.263、DviX、MPEG4、MPEG2他 ●サイズ/質量:W178×H50×D165mm(取り付け寸法)/1.4kg

 

↑Amazon Alexaアプリ内の「カロッツェリアスキル」を有効にすれば多彩な音声操作が行える。家庭内のスマートデバイスもコントロール可能だ

 

【後席居住性を格上げ】

車内の段差を解消してリアシートがベッドに変身

液晶王国

車中泊専用エアーマット

4600円

後席足元のスペースを埋め、ベッドとして使用できるエアーマット。セダンやワゴンでも、子どもや小柄な大人なら足を伸ばして寝られるスペースが生まれる。付属の電動ポンプで空気を入れるだけとセットも簡単。

 

↑後席をベッドとして利用できるのは便利。枕も2つ付いており、コスパも抜群。これで車中泊の快適度も格上げできる

 

【食材管理を格上げ】

わずか40分で-18℃にスピード冷却食材の保管もおまかせ

オウルテック

冷凍冷蔵庫 ICECO T12S-WH

実売価格6万280円

わずか40分で庫内を-18℃に冷やすことができる冷凍冷蔵庫。タッチ式の操作パネルで温度調節も簡単に行える。エンジンを止めれば製品の電源も切れ、クルマのバッテリー上がりを防止する機能も備わる。

SPEC ●内容積:12L ●使用電源:DC12V、DC24V、AC100V ●温度設定範囲:-18℃~10℃ ●サイズ/質量W570×H230×D320mm/約8.7kg

 

↑急速冷凍モードは約40分で-18℃になり、エンジンを切らない限り運転は持続する。凍らせた食材などの保管にも重宝する

 

【暑さ対策を格上げ】

常時取り付けのサンシェードで面倒な着脱から解放される!

シンプラス

シンシェード

9900円

炎天下に停める際の必需品でもあるフロントのサンシェードだが、着脱や収納は結構面倒。シンシェードならサンバイザーの金具に常時取り付けた状態で、使用時は引っ張るだけでOK。収納はボタンひと押しで完了する。

 

↑軽自動車からワンボックスまで適合車種が多いのはうれしい。収納は右端のスイッチを押すだけのワンタッチ式だ

 

【収納スペースを格上げ】

飲み物が置けない悩みを解決する“倍増”ドリンクホルダー

槌屋ヤック

Wドリンクイン コンパクト

実売価格1180円

1本ぶんのドリンクホルダーを2本ぶんにできる便利アイテム。ペットボトルとカップのコーヒーなどを同時に入れることが可能だ。後席用のドリンクホルダーが中央部にひとつしかないクルマでも便利に使える。

 

↑純正のドリンクホルダーに差し込むだけでOK。形状が四角、丸形でも対応可能な12枚のサイズ調整クッションを付属し、ほぼすべての車種に装着できる

 

【車内の涼しさを格上げ】

連続9時間冷却可能で暑い車中泊とオサラバ!

ショップジャパン

パーソナルクーラー ここひえ R2

8778円

夏場の車中泊で重宝するパーソナルクーラー。気化熱現象を利用した冷却方法で効率良く冷却できる。風量は3段階で切り替え可能、防カビ抗菌フィルター完備の本格派で、連続9時間の運転を行えるのもポイントだ。

SPEC ●風量切替:3段階(強・中・弱)●タンク容量:約600ml ●消費電力:6W(風量「強」の場合)●サイズ/質量:W176×H181×D173mm/約1.03kg(フィルター含む)

 

↑給電方法はUSB、ACの2つを用意する。本体がコンパクトなうえ、モバイルバッテリーも利用可能。車中泊でも強い味方になる

 

 

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遊べるクルマの究極形! キャンピングカーの魅力を徹底紹介!

遊べるクルマに“泊まる”という使い方をプラスできるのがキャンピングカー。手ごろな軽キャンパーから、“走る生活空間”とも言える大型モデルまで、こだわりが凝縮された個性的なモデルばかりだ。

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

キャンピングカーライター

岩田一成さん

キャンピングカーでの旅はこれまで1000泊以上。その経験をベースに、雑誌、WEB、テレビなどでキャンピングカーの魅力を発信する。

幅広い用途で使える最強のマルチツール!

キャンピングカー人気が年々高まりを見せている。その最大の要因は、様々なライフスタイルや使い方に対応できること。キャンピングカーは、移動手段としての「クルマ」と、居住空間としての「家」という2つの要素を兼ね備えた乗り物。キッチン、トイレ、ベッド、生活用電源などが完備されているため、車内で家と同じように快適な生活を送れる。

 

その特性を生かせば、キャンプや旅行はもちろん、アウトドアレジャーや趣味のベース基地としてなど、ユーザーのライフスタイルに合わせて幅広い用途で利用可能。最近では、移動オフィスや非常用シェルターなど、レジャー用途以外のニーズも高まっている。

 

軽自動車をベースにした軽キャンパーから、ハイエンドな輸入モーターホームまで、価格やサイズのバリエーションが豊富に揃っているのも大きな魅力。「クルマを停めた場所がどこでも“家”になる」キャンピングカーは、まさに「遊べるクルマの究極形」だ。

 

大人5人がゆったり就寝できファミリーでの使用にピッタリ

アネックス

リバティ 52 DB

936万1000円~

トヨタのカムロードをベースとしたモデル。広いダイネット(リビング)スペースと車内前部のスライド式バンクベッド、後部の2段ベッドを備える。大人5人が余裕で就寝できる、余裕の室内スペースが自慢のモデルだ。

SPEC●全長×全幅×全高:5230×2040×2880mm●パワーユニット:2982cc直列4気筒+ディーゼルターボ●最大出力:144PS(106kW)/3400rpm●最大トルク300Nm(30.6kg-m)/1200~3200rpm

 

■大型モデルは余裕の空間が魅力、まさに走る住居!

十分な車内高が生み出す余裕ある居住スペース

大人でも立てるほどの室内高が、余裕ある居住スペースを生んでいる車内。コンパクトでありながら必要十分な機能を備えるギャレーも完備。

 

大人2人が余裕で寝られるスライド式バンクベッド

前方には就寝時に引き出して使うバンクベッドを装備。拡張時のベッドサイズは1940×1740mmで、大人2人が余裕で横になれるサイズだ。

 

テーブルを挟んで会話も盛り上がる

ダイネットには向かい合わせのシートが置かれ、会話も弾む。伸縮式のテーブルを下げてシートを転換すれば、1800×900mmのベッドになる。

 

電化製品も余裕で使えるリチウムイオンバッテリー

大パワーを生み出す高エネルギーが特徴のリチウムイオンバッテリー。エンジン停止時でも冷蔵庫や床暖房、エアコンなどを安心して使える。

 

車内で快適に過ごせるエアコンも標準で搭載

家庭用エアコンを標準装備し、暑い夏でも快適に過ごせる。外部電源に接続していないときは、リチウムイオンバッテリーで運転が可能だ。

 

★岩田さんはココに惹かれた!

家庭用エアコンで夏のクルマ旅も快適!

「比較的運転しやすい全長5.2mのボディに最新技術を詰め込んだハイエンドモデル。ソーラー&リチウムイオンバッテリーで家庭用エアコンも使えるので、暑い夏でも快適に過ごせます」

 

■関東キャンピングカー商談会には個性派モデルが勢揃い!

今年7月に開催された関東キャンピングカー商談会。新型コロナウイルスの影響によりイベントが次々と中止になるなかで、久しぶりに開催されたカーイベントだ。全国のビルダーが作った個性派モデルを紹介しよう!

 

【No.1】コンパクトながら余裕あるスペースを実現

ドコデモライフ

N-i(エヌアイ)

240万6800円~

大人2人が快適に過ごせる室内空間がアウトドアライフをサポート。ベッドやテーブル、収納も多く、創意工夫が満載だ。

 

↑専用のフレームをリアシートヘッドレスト穴に差し込んでセットする。リアシートの足元には収納スペースが確保できる

 

↑ベッドは長さ1820×幅1150mmと余裕のサイズで展開。フルフラット状態で足を伸ばして寝られるので車中泊も快適だ

 

★岩田さんはココに惹かれた!

気軽に乗れるシンプル仕様

「家具を最低限にして、限られた室内空間を効率的に利用。純正リアシートを残しているので普段使いもラクです」

 

【No.2】ハイエースがベースで普段使いにも便利

ティピーアウトドアデザイン

トラボイ HJ200WS

459万8000円~

7人が前向きで乗車できるので日常的な使い勝手も抜群。後部を2段ベッドにすることで大人3人が就寝することが可能。

 

↑シートは回転対座式で、テープルをセットすれば車内がリビングルームに変身。キャンプのベース基地として活躍する

 

↑後部の2段式ベッドは高さを設けることで圧迫感のない快適な就寝が可能。ベッド下は収納スペースとして活用できる

 

★岩田さんはココに惹かれた!

日常使いできる仕様が便利

「大きすぎないハイエース・ワイドミドルがベース。ミニバン的に乗り回せて自走式立体駐車場にも入庫できます」

 

【No.3】ポップアップ式の快適就寝スペース

東和モータース

インディ 108

315万1500円~

ベース車両はハイゼット トラック。ポップアップ式のルーフベッドを備えるなど大型キャンパー並みの快適装備が満載。

 

↑ルーフをポップアップにすることで余裕あるベッドスペースが実現。コンパクトなスペースに快適装備を満載する

 

↑シンクのヘッドは車外へと伸ばしてシャワーとして使用できる。ギャレー下には各13Lの給水・排水タンクを標準装備する

 

★岩田さんはココに惹かれた!

ポップな意匠が魅力的

「ポップアップルーフで実現した開放的な室内空間。街にも自然にも溶け込むオシャレなデザインもウリです!」

 

【No.4】シェルを載せればキャンパーに変身!

山春

ブリーズ

96万8000円~(ボックスのみの価格)

軽量素材を使用し、着脱可能な軽トラック用キャンピングシェル。普段は軽トラとして、週末はキャンパーとして使える

 

↑シェル内部に木製2段ベッドを用意。上段は1810×1330mm、下段は1650×800mmのスペースを確保し、車中泊が楽しめる

 

↑1階はリビングフロアとして使用可能。ソファ下は収納スペースとなり整理整頓に貢献。手軽に楽しめる大人の秘密基地だ

 

★岩田さんはココに惹かれた!

居住空間を積む工夫に脱帽

「キャンパーシェルを降ろせば軽トラ単体で使え、シェルを載せればキャンパーに早変わり。2Way仕様はお見事!」

 

 

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イマドキの“軽”はこんなに遊べる! 個性派軽自動車5選

最近の軽自動車は安全性能の進化もスゴいが、限られたボディサイズにメーカーのアイデアがキラリと光る装備が施されている。“遊べる“軽の代表的な個性派5台を紹介しよう。

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【No.01】軽クロスオーバーの先駆者は室内も遊び心があふれる

スズキ

ハスラー

128万400円~179万800円

軽クロスオーバーというジャンルを築いたパイオニア。現行モデルのデザインは、タフさを演出する直線基調となり、より力強さが増した。2トーンカラーはクロカンモデルの幌がヒント。遊び心をより演出する。

SPEC【HYBRID Xターボ 2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm●車両重量:830kg●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS(47kW)/6000rpm[モーター3.1PS(2.3Kw/1000rpm]●最大トルク:98Nm(10.0kg-m)/3000rpm[モーター50Nm(5.1kg-m)/100rpm]●WLTCモード燃費:22.6km/L

 

↑運転席からカーナビ、助手席まで同じデザインの3連カラーガーニッシュが「ギア」感を演出するハスラーのインパネ。遊び心を高める

 

↑後席の背面やラゲッジフロアは汚れを拭き取りやすい素材。広さも申し分なく、後席を倒した場合の最大床面長は1140mmを確保する

 

★ココが遊べる! 広い荷室は自転車も積める

アウトドアを遊び尽くせるようサイクルキャリアやベルトもオプションで用意される。限られた空間でも工夫次第で楽しみ方は無限大。

 

悪路走行性能も本格的

全モデル地上最低高は180mmと高く設定され、急坂にも十分対応できる前後のアングルを確保する4WDならばより高い走破性を実現している。

 

【No.02】開放感抜群! 自由自在に使える工夫も満載

ダイハツ

タフト

135万3000円~173万2500円

「タフト復活」と思った貴兄はかなりのダイハツ通。1974年の初代は本格的なクロカンモデルだったが現代のタフトは開放的な空間が自慢のクロスオーバーモデル。135万3000円~の価格設定はコスパ抜群だ。

SPEC【Gターボ 2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1630mm●車両重量:840kg●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS(47kW)/6400rpm●最大トルク:100Nm(10.2kg-m)/3600rpm●WLTCモード燃費:20.2km/L

 

↑タフトのテーマはバックパック。荷室の使い勝手も良く、十分な広さと後席のアレンジ性を備える。防汚性に優れた樹脂製のパネルを採用する

 

↑スカイルーフトップ(シェード付)は全モデル標準装備。開放感抜群で気分を盛り上げるガラスルーフは、赤外線や紫外線をカットする

 

★ココが遊べる! テーブルとしても活用可能

オプションのフレキシブルボード2段モード取付キット。マルチフックとラゲージバー2本を組み合わせて、テーブルとしても使えて便利だ。

 

汚れを気にせず収納OK

こちらもオプションのラゲージBOX。泥などで汚れた靴や濡れた衣類などを収納できる。クルマからBOXごと取り外して持ち運べるのも魅力だ。

 

【No.03】力強いデザインと自由自在に使えるスペースが自慢

三菱

ekクロス スペース

165万5500円~199万1000円

力強いデザインが特徴のekクロスよりもSUV色を強めたモデル。後席スライド長は最大350mmで、乗る人や荷物の量に応じて自由自在に使えるのがポイントだ。先進安全運転支援技術「マイパイロット」も搭載可能。

SPEC【T 2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1780mm●車両重量:970kg●パワーユニット:659cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS(47kW)/5600rpm[モーター2.7PS(2.0kW/1200rpm]●最大トルク:100Nm(10.2kg-m)/2400~4000rpm[モーター40Nm(4.1kg-m)/100rpm]●WLTCモード燃費:18.8km/L

 

↑「マイパイロット」は「G」以上のグレードにオプション設定。フロントカメラとレーダーを使った車線維持支援やクルーズコントロールも可能だ

 

↑存在感あるフロントフェイスを作り出すLEDヘッドライトは全モデルに標準装備。切れ長で吊り上がったフォルムが力強さを演出している

 

★ココが遊べる! 汚れを気にせず使える荷室

樹脂仕様のラゲッジボードとPVC仕様の後席シートバックを設定。汚れたアウトドア用品なども気にせず積めて便利だ。

 

【No.04】軽ハイトワゴンとSUVを融合させたアクティブモデル

スズキ

スペーシア ギア

164万4500円~189万900円

広い室内が人気の軽ハイトワゴンにSUVのアクティブさをプラスしたモデル。ベースはスペーシアだが、内外装に専用パーツを採用するなど、こだわった1台。発進時にモーターのみで走行可能なマイルドハイブリッド搭載。

SPEC【HYBRID XZターボ 2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm●車両重量:890kg●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS(47kW)/6000rpm[モーター3.1PS(2.3Kw/1000rpm]●最大トルク:98Nm(10.0kg-m)/3000rpm[モーター50Nm(5.1kg-m)/100rpm]●JC08モード燃費:25.6km/L

 

↑スペーシアの豊富なシートアレンジはそのままに、防汚仕様が施されたラゲッジルーム。車高の高さを生かして自転車も余裕で積載可能だ

 

↑スーツケースをモチーフにしたダッシュボードはスペーシア同様。収納スペースは上下だけでなく、ドリンクホルダーも装備するなど豊富だ

 

★ココが遊べる! シート下にも収納スペース!

助手席座面下にも靴などが入れられる収納スペースを装備。樹脂性なので汚れに強く、持ち出して洗うこともできる。

 

【No.05】レジャーのプロと開発したことで抜群の使い勝手を実現

ダイハツ

ウェイク

137万5000円~187万5500円

キャンプや釣りなど、レジャー人口の多いジャンルのプロたちとコミュニケーションを取りながら開発。最適な形にアレンジしやすいラゲージルームや、最大の特徴である背の高さが、アウトドアや車中泊を快適なものにしてくれる。

SPEC【Gターボ“SAⅢ” 2WD】●全長×全幅×全高:3395×1475×1835mm●車両重量:1020kg●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS(47kW)/6400rpm●最大トルク:92Nm(9.4kg-m)/3200rpm●WLTCモード燃費:16.9km/L

 

↑インパネまわりはもちろん、シート下のスペースまで活用できる収納スペースを数多く装備。散らかりがちな小物の収納に困ることはない

 

↑レジャーエディションに標準装備される防水素材のイージーケアフロアは汚れを簡単に落とせる。座席側だけでなく荷室側にも設定されている

 

★ココが遊べる! 高い車内高を有効活用でき便利に使える

荷室高は1140mmで大きな荷物も長い荷物も同時に積める(左)。オプションのデッキボードで2段積みも可能だ(右)。

 

 

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識者たちが持論を展開!“遊べる”クルマの条件とは?

スズキ・ハスラーやダイハツ・タフトのように“遊び”を打ち出すクルマが増えてきた。でも、人それぞれの遊び方が異なるように、遊べるクルマの概念も違うはず。ここでは4人の識者が考える“遊べるクルマ”を語ってもらおう。

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【No.1】岡本幸一郎にとって、“遊べる”クルマとは

目的地に着くための移動手段ではなく走ることを存分に楽しめるクルマ

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

新型車を幅広く網羅し、あらゆるジャンルのクルマに精通。これまで25台のクルマを乗り継ぐ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

スズキ

スイフトスポーツ

187万4400円~214万1700円

スイフトのなかでもスポーツ性能をとことん追求したモデル。軽量高剛性の新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」と直噴ターボエンジン、970kgの軽量ボディが生み出す“意のままの走り”を楽しめるモデルだ。

SPEC●全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm●車両重量:970kg(6MT)●パワーユニット:直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:140PS(103kW)/5500rpm●最大トルク:230Nm(23.4kg-m)/2500~3500rpm●WLTCモード燃費:17.6km/L(6MT)

 

意のままに操れる楽しみは走ることを遊びにする

“遊べる”にも色々あるけれど、クルマを使って何かをするのではなく、運転したときの感覚が楽しいので、走ることそのものが遊びになるのがスイフトスポーツだ。このクラスの日本車では珍しいターボ付きのエンジンはとってもパワフルで、6速に刻まれたMTのシフトフィールも気持ちイイ。ハンドリングも刺激的で、行きたい方向にスイスイと曲がれるのも楽しい。小柄で軽いからすべて手の内で意のままに操れる感覚もある。目的地までの移動手段ではなく、アクセルを踏んでシフトチェンジしてステアリングを切って、ただ走っているだけで存分に楽しめてしまう。しかもリーズナブルな価格なのもうれしいじゃないか!

 

↑仕様変更で安全運転支援技術も進化。車線変更時の安全確認をサポートするブラインドスポットモニターも装備する

 

↑低回転域から高いトルクを発揮する1.4L直噴ターボエンジン。アクセルを踏み込めば、よりパワフルな走りを体感できる

 

【No.2】並木政孝にとって、“遊べる”クルマとは

ガンガン積めて、ガンガン走れて相棒になれるクルマ

自動車ライター

並木政孝さん

輸入車雑誌編集長を経たのちフリーライターへ。クルマはもちろんバイク、自転車など幅広い乗り物に精通する。最近はe-bikeも好み。

ダイハツ

ハイゼット トラック ジャンボ

111万6500円~143万5500円

キャビン長を拡大してリクライニングできるシートを備えた、くつろげる軽トラック。荷台長は1650mmと十分で、長尺物の積載に便利なスペースを確保し、1990mmの荷台フロア長も実現している。

SPEC【ジャンボ SAⅢ 4WD 4AT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1885mm●車両重量:850kg●パワーユニット:直列3気筒DOHC●最高出力:53PS(39kW)/7200rpm●最大トルク:60Nm(6.1kg-m)/4000rpm●JC08モード燃費:17.4km/L

 

日本が誇る元祖SUVはひとり遊びの強い味方

ボクにとって遊べるクルマの定義は「ひとり遊び」ができること。最近は密を避けることが当たり前だが、ひとりで遊べる趣味を持っているとコロナのストレスなど微塵も感じない。趣味であるキャンプや釣りは仲間たちと楽しむこともできる一方、ひとりで楽しむこともできる。そう考えると、日本が誇る元祖SUV、ハイゼット トラック ジャンボがベストな選択。居住スペースは余裕があり、リクライニングができるので快適。その気になれば荷台にテントを張ってキャンプもできる! 車重の軽い軽トラは悪路にも強く、4WDを選べば鬼に金棒。最近はカラバリも豊富で、商用車のイメージが薄くなっているのも大きな魅力だ。

 

↑4WDモデルは2WDと4WDの切り替えができるパートタイム方式を採用。悪路などでは4WDの高い駆動力を発揮する

 

↑キャビン長を拡大し、リクライニングが可能に。シート背面には荷物置きなど様々な用途に活用できるスペースを確保する

 

【No.3】清水草一にとって、“遊べる”クルマとは

ただそこにある、走るだけで非日常を味わえるクルマ

モータージャーナリスト

清水草一さん

世界中のクルマメーカーのへの取材経験を持つジャーナリスト。スーパーカーをはじめあらゆるジャンルのクルマに精通。

マツダ

ロードスター

260万1500円~333万4100円

風と一体になる喜びを体感できるライトウェイトオープンスポーツ。どこから見ても美しいエクステリアデザインと、ドライビングを楽しむためにシンプルにまとめあげられたインテリアデザインの調和も美しい。FR専用設計の1.5Lガソリンエンジンで、軽快な走りを楽しめる。

SPEC【S Leather Package 6EC-AT】●全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm●車両重量:1060kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHC●最高出力:132PS(97kW)/7000rpm●最大トルク:152Nm(15.5kg-m)/4500rpm●WLTCモード燃費:17.2km/L

 

走るだけで楽しく美しい 世界で見ても稀有なモデル

クルマで遊ぶというと、何か荷物を積んで、というのが一般的だけど、クルマは本来走るだけで遊びになる。ボディが美しければ、洗うのも遊び。いや、見るだけでも遊びと言える! ロードスターは、ただ走るだけでいろいろ遊べる。オープンにして良し、クローズにして良し。真夏の夜のオープンドライブはまさに非日常だし、ロングドライブはちょっとした冒険気分。2シーターのオープンスポーツに、どう荷物を積もうか思案するのも遊びだ。そして、ロードスターは美しい。全世界の現行モデルのなかで、ナンバーワンではないだろうか? このサイズでこのグラマラスなボディ。そこにあるだけで遊びになるのだ。

 

↑オープンカーながら容量130Lのトランクを装備。550×400×220mmサイズのソフトタイプのキャリーバッグなら2つ積み込める広さを確保する

 

↑ドライバーが運転に必要な動きを確実に行うことを念頭に作り込まれたコックピット。寒い季節のオープン走行時に快適なシートヒーターも備える

 

【No.4】上岡篤にとって、“遊べる”クルマとは

目的地に確実にたどり着き無事に帰って来られるクルマ

GetNaviクルマ担当

上岡 篤

クルマだけでなく乗り物全般はデカいモノが好き。ただし全幅1980mmのランクルで世田谷区の狭い路地に手こずった経験アリ。

トヨタ

ランドクルーザー

482万6800円~697万4000円

世界170か国以上で愛されている最強4駆SUV。現行モデルでは5つの路面状況に応じたブレーキ油圧制御と最適な4輪駆動配分を行う「マルチテレインセレクト」を搭載。ドライバーはセレクトスイッチを操作するだけだ。

SPEC【ZX】●全長×全幅×全高:4950×1980×1870mm●車両重量:2690kg●パワーユニット:4608ccV型8気筒●最高出力:318PS(234kW)/5600rpm●最大トルク:460Nm(46.9kg-m)/3400rpm●WLTCモード燃費:6.7km/L

 

絶対的な走破性能は行動範囲を広げてくれる

ランドクルーザーは目的地に確実にたどり着き、そして無事に帰って来られることを使命とするクルマだ。高度なテクニックがなくとも、スイッチ操作ひとつで悪路を突破できることへの安心感は絶大。さらにはモニターを通じて現在のタイヤ位置と進むべき道も教えてくれる。頼れるランクルは、行動範囲をグンと広げてくれる。

 

世界でもその信頼は高く、中東ドバイなどで催行されるデザートサファリ(砂漠ツアー)で使われるのは、ほぼランクル。砂漠のど真ん中で壊れてしまえば、それは死に直結する危険になる。そんな遊びにランクルが使われるのも、無事に帰って来られる走破性能を有しているからだ。

 

↑ラダーフレームはランクルの特徴のひとつ。悪路でフレームが歪んだとしても、ボディへの影響を最小限に食い止めることができる

 

↑本格的なクロカンSUVながら、インテリアは上質。大人7人が余裕で乗れる広さも魅力だ。エアコンの吹き出し口は28か所もある

 

 

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新型「タフト」は日常の使い勝手と、アウトドアに出かけたくなる非日常のイメージを見事に両立!

今、世界的に人気が高まっているのがコンパクトSUV。その流れは軽自動車にも波及しています。その先駆的存在であるスズキ「ハスラー」のライバルに当たるのが、先日発売されたダイハツの「タフト」。そのターボとNAエンジンに試乗するとともに、内装やラゲッジスペースについてもチェックしてみました。

 

【今回紹介するクルマ】

ダイハツ/タフト

※試乗車:Gターボ/160万6000円~173万2500円

※試乗車:G/148万5000円~161万1500円

↑ボディカラーはフォレストカーキメタリック

 

アウトドアギア感のある外観と遊び心を感じるインテリア

タフトの外観デザインはなかなか存在感があります。一見すると軽自動車と思えないくらい。フェンダー部分をブラックアウトするなど、軽自動車サイズの中でうまくSUVの雰囲気を作り出しています。ライトやフェンダーのラインはスクエアで、丸目ライトを基調としたハスラーとは対極的ですが、この辺りは好みの部分でしょう。

↑ボディカラーはレイクブルーメタリック

 

↑最低地上高は190mmと高め。アプローチアングル27°、ディパーチャーアングル58°と未舗装路でも安心

 

タフトのボディカラーはレイクブルーメタリックやフォレストカーキメタリック、サンドベージュメタリックなどポップな色合いを含めて全9色設定されています。Xグレードのみ、選択できるボディカラーは5色。自分らしさを追求したいユーザーに向けて、さらにオプションのメッキパックなどを装着することでコーディネートが楽しめます。こういうのはダイハツらしい遊び心ですね。

↑シンプルなフェイスデザインとブラックのフェンダーがSUVっぽさを高めています

 

↑こちらはオプションの「メッキパック」装着車。より押しの強い印象に。他に「ダークブラックメッキパック」もオプションとして用意されています

 

↑リアゲートにもメッキのパネルが装備され、存在感が高まっています

 

インテリアデザインもユニークで遊び心を感じさせるものです。インパネのデザインは外観と同じくスクエア基調で、随所にアクセントカラーが配されています。このアクセントカラーはシートにも施され、座面の配色パターンと合わせてアウトドア感を高めてくれます。シートのホールド感も良好で、ドライバーズシートに座るとSUVらしい囲まれ感もあるコックピットです。

↑直線基調のコックピットにはカップホルダーや大型インパネトレイなど、ダイハツ車らしく小物入れなども充実

 

↑ホールド感も高く、長時間のドライブでも疲れにくそうなカモフラージュ柄のシート

 

インテリアのハイライトは全グレードに標準装備される「スカイフィールトップ」。固定式のガラスルーフですが、ルーフの前方まで広がっていてドライバーの視界に入るくらいなので、運転していても開放感が感じられます。ヘッドスペースもハイトワゴンに匹敵するくらい広いのですが、さらに広く感じさせる演出です。

↑その名の通り空を感じられるガラスルーフ

 

↑後席はスライド機構はないものの足元もヘッドスペースも広い

 

ラゲッジも広く車中泊も可能

ラゲッジスペースの広さやフレキシブルさも、SUVの名に恥じないものです。リアシート裏のスペースは、一般的な軽ハイトワゴンと同レベルですが、底面の「フレキシブルボード」を外すことで荷室を深くできます。このボードは底面に敷くことも、シートの背面に立てかけることもでき、底面に敷いた場合は140mm、立てかけた場合は165mm標準状態よりも荷室を深くすることが可能。高さのある荷物を収納する場合に重宝する機能です。

↑標準状態のラゲッジスペース。軽自動車としては十分広めです

 

↑「フレキシブルボード」を外して立てかければ荷室の深さを確保することが可能

 

後席を前方に倒せば、フラットで広大なラゲッジスペースを作り出すことが可能です。かさばるキャンプ道具などを積むのに都合が良さそう。後席は左右分割で倒すことができるので、2人乗車で荷室容量を確保することも、乗員を優先して3人乗車とすることもできます。

↑後席を倒してフレキシブルボードを上段にセットすればフラットなスペースが出現

 

前席をリクライニングさせれば、流行りの車中泊も可能です。フロントのシートバックとリアシートの座面がフラットになるので、クッションのある面に寝ることが可能です。大人2人は並んで寝ることができそう。ただ、ちょっと残念なのがハスラーは後席と前席をどちらも前に倒してフラットな面に寝ることも可能なのに対して、タフトはそのタイプのシートアレンジに対応していないことでしょうか。

↑フロントシートのヘッドレストを外してリクライニングすると車中泊可能なスペースが作れます

 

↑身長175cmの筆者の場合、真っ直ぐ寝るとリアシートに頭が当たりますが枕代わりになる感じ

 

小回りの効くハンドリングが心地いい

実際にドライビングシートに腰掛けてみると、視界はなかなか良好。SUVらしく着座位置が高めなのが効いているようです。スクエアな形状のボンネットは両端が視界に入るので、狭い道などでの見切りも良い。シートのホールド感も高いので、長時間のドライブでも疲れが少なそうです。

↑視界が広く「スカイフィールトップ」の開放感もあって気持ち良くドライブできます

 

今回は一般道での試乗が中心だったのですが、街中では取り回しの良さが光ります。聞けばタイヤが軽自動車としては大径な15インチであるにも関わらず、最小回転半径は4.8mに抑えているとのこと。SUVとしての走破性を高めながら小回りが効くので、キャンプ場に向かう狭い道などでも安心して運転できそうです。

↑SUVらしくストロークが長めのサスペンションでロールは大きめですが、タイトに曲がれるのが楽しい

 

エンジンはターボとNA(自然吸気)の2種類。最高出力は前者が64PS、後者が52PSですが、NAモデルも十分にパワフルで非力さを感じることはありませんでした。ターボモデルは出だしの加速が良く、高速道路の合流などでも余裕を持って走れるので、遠出を考えている人にはこちらがおすすめ。燃費に大きな差はないので、予算に余裕があればターボを選びたいところです。

↑ターボモデルの燃費は2WD車で20.2km/L、4WD車で19.6km/L(ともにWLTCモード)

 

↑NAモデルの燃費は2WD車で20.5km/L、4WD車で19.7km/Lと大きく変わりません(ともにWLTCモード)

 

↑近年のターボエンジンらしく低回転からの加速が俊敏です

 

カスタマイズ向けのアクセサリーパーツが豊富に用意されているのも「タフト」の魅力の1つ。ダイハツではメッキパーツを多用したものから、アウトドアイメージを高めたものやクラシカルな雰囲気のものなど、3つのスタイルを提案しています。

↑こちらはドアハンドルなどをブラックアウトし、ガンメタのホイールを履いた「マッドスタイル」

 

↑シルバーのホイールや、ドアハンドルなどメッキパーツを採用した「クロームスタイル」

 

↑ホワイト塗装のスチールホイールやキャリアなどを装備した「チルアウトスタイル」

 

↑前車を追従するアダプティブクルーズコントロールなど安全装備が充実しているのもうれしいところ

 

フラットなラゲッジスペースと、タイトなコックピットやドライブフィール、そして開放感のある車室など、遊び心を高めてくれる魅力を多く持った新型タフト。日常の使い勝手と、アウトドアに出かけたくなる非日常のイメージを絶妙に両立しているのが一番の魅力だと感じました。近年は新車販売台数の過半を占めるほど人気の高まっている軽自動車ですが、こうしたSUV的なイメージの選択肢が増えたことを歓迎するユーザーは多いはず。平日は買い物や足代わりに使える利便性があり、休日は荷物を積み込んでキャンプやアウトドアに出かけるといった使い方にピッタリの1台です。

 

SPEC【Gターボ(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1630mm●車両重量:840kg●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:47kw[64PS]/6400rpm●最大トルク:100N・m[10.2kg・m]/3600 rpm●WLTCモード燃費:20.2km/L

 

SPEC【G(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1630mm●車両重量:830kg●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC●最高出力:38kw[52PS]/6900rpm●最大トルク:60N・m[6.1kg・m]/3600 rpm●WLTCモード燃費:25.7km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

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「docomo in Car Connect」対応で格安&手軽にLTE通信を利用できる! 車載用Wi-Fiルーターのススメ

屋外で仕事をするとき、欠かせないのがネット環境だ。クルマ移動時、通信量を気にしながらスマホのテザリングを利用しているという人は多いだろう。そんな人にオススメなのが車載用Wi-Fiルーター。ここでは、その莫大な利点をオンとオフのシーンを挙げながら紹介しよう。

 

【今回紹介する製品】

パイオニア カロッツェリア

DCT-WR100D

2万7500円 12月発売予定

NTTドコモの4G/LTE通信網を利用可能な車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に対応した車載用Wi-Fiルーター。2年有効なSIMカードが付属し、別途契約すれば定額でLTE通信を利用できる。

SPEC●対応通信規格:4G/LTE(NTTドコモ回線)●無線LAN:IEEE 802.11b/g/n(2.4GHzのみ)●最大同時接続台数:5台●動作保証温度:-10°C〜+60°C●サイズ:W91.5×H16×D44.5mm

★商品の詳細はコチラ!

 

↑本機は取付工事が不要で、シガー電源に挿し込むだけでOK。12V/24V車対応のため、車種を選ばず設置できるのがうれしい

 

↑幅44.5mm×長さ91.5mmとコンパクトな筐体。両面テープが付属しており、インパネの下部などに貼り付けることもできる

 

【ONの利用シーン01】急ぎのメール返信もサッとPCで対応できる

突如来たメールに急ぎで対応しなくてはならない場面は、一日に何度もあるだろう。そんなとき、車載用Wi-Fiルーターを使っていれば、PCを即座に立ち上げ、効率的に対応できる。スマホでチマチマと返答する必要はないのだ。

 

【ONの利用シーン02】車内ビデオ会議で時間も場所も効率化

安定した4G/LTE回線を利用するため、ビデオ会議も余裕でこなせる。移動と移動の隙間時間でウェビナーに参加するなんてことも可能。また、自室での対応が難しいタイミングに車内から会議に参加といった使い方も可能だ。

 

【ONの利用シーン03】PCとタブの併用時もWi-Fi接続だから快適

PCとタブレットを併用しているときに困るのが、データのやり取り。車載用Wi-Fiルーターを使う場合、同一LAN内に両端末が存在するため、アプリのWi-Fi共有機能などを使って、作業中のデータをよりスムーズに扱える。

 

【OFFの利用シーン01】ゲーム機などもネットに繋げて楽しめる!

車載用Wi-FiルーターはNintendo Switchのようなゲーム機などもWi-Fi接続可能で、プライベートでも重宝する。すぐに車内の環境に飽きてしまう後部座席の子どもたちも、ネットゲームなど多彩なエンタメを楽しむことができる。

 

【OFFの利用シーン02】通信量を心配せずにサブスク動画を見放題

「docomo in Car Connect」は定額使い放題のプランとなっているため、車内のモニターでサブスク動画サービスのコンテンツも見放題。スマホのテザリングなどと違って通信量を心配する必要がなく、長時間のドライブでも安心だ。

 

<ビジネスの最前線からも車載Wi-Fiへ熱視線!>

事業戦略家

山口豪志さん

安定したドコモ回線を利用できるのは大いに魅力的。出社が制限されているけれど家では仕事に集中できないという方には、車内で仕事やビデオ会議が可能になる本機は要注目アイテムでしょう。また昨今では、ワーケーションのひとつの形として、キャンピングカーや大型バンの後部座席に机を置いて仕事する起業家などが増えてきています。こうした人にも、本機はピッタリだと思います(※)。さらに、複数人で社用車に乗って移動するときにも後部座席でビデオ会議ができるなど、仕事効率をアップできそうです。

※:DCT-WR100Dは車載用のため、走行中と一部の停車中のみWi-Fiサービスを利用できます。詳細は下記の図を参照

 

【「docomo in Car Connect」って何?】

クルマの中でLTE通信が使い放題になる車内向けインターネット接続サービス。事務手数料や固定の月額がなく、利用形態に合わせて使いたいときだけ必要なぶんをチャージできる。1日プラン、1か月プラン、1年プランの3種が用意され、1日プランは500円、1か月プランは1500円、1年プランは1万2000円となる。1年プランは、ひと月あたりの料金が1000円と非常にリーズナブルだ。専用サイトから手軽に申し込める。

1日プラン:500円/1か月プラン:1500円/1年プラン:1万2000円

●利用料金はすべて税抜価格

↑一般的なWi-Fiルーターと同様、初回接続時は端末のWI-Fi設定で接続先を選んでパスワードを入力する。以後は、自動接続となる

 

カロッツェリア DCT-WR100Dの詳細はコチラ!

 

イラスト/勝間田しげる

カーナビ、スマホに代わる車内の相棒「ディスプレイオーディオ」の実力に迫る! ケンウッド「DDX5020S」を試してわかった特徴

インフォテイメントシステムに「ディスプレイオーディオ(DA)」を採用する動きが活発化しています。これまではカーナビゲーションが人気の中心でしたが、低価格で手に入れられ、使い勝手も高まったDAの認知度が高まっているのです。そんな状況もあり、市販カーオーディオメーカーからも同様の製品が相次いで登場するようになりました。今回はその中でも期待の新製品である、ケンウッド「DDX5020S」を紹介します。

↑ケンウッドのディスプレイオーディオ「DDX5020S」。DVD/CDドライブも備え、ハイレゾ音源も再生できるなど多彩なソースに対応した。写真ではAndroid Auto起動中

 

DDX5020S、3つの特徴

まず「ディスプレイオーディオ(以下、DA)」について簡単に説明します。DAは基本的にナビ機能を省いたディスプレイ付きオーディオと言っていいでしょう。その上で、有線/無線で接続したスマートフォン内のコンテンツとして、iPhoneなら「Apple CarPlay」、Androidなら「Android Auto」を使います。そのため、本体にあるのは映像を表示するディスプレイと、音声をスピーカーで鳴らすためのアンプを搭載するのみ。これがDAと呼ばれる所以です。

↑DDX5020Sは、時代のニーズに合わせて新たにApple CarPlayやAndroid Autoに対応して登場した

 

↑DDX5020Sの主要機能一覧。少し高めのカーオーディオとして捉えると本機の良さが理解できる

 

DDX5020SはDAとして大きく3つの特徴を備えています。1つは他のDAと同様、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応していることです。iPhoneやAndroid端末を有線接続すると、それぞれApple CarPlay、Android Autoが自動的に起動。起動したらあとは見慣れたアイコンが画面上に表示されます。スマートフォン内のすべてのアプリが反映できるわけではありませんが、カーナビ機能や音楽再生、さらには通話機能などが6.8型の大きな画面で使えるようになるのです。車載という環境下では操作環境が著しく制限されますが、それを大きな画面で操作できるようになることで使い勝手が大幅に向上するわけです。

↑Apple CarPlayを起動して表示されるメインメニュー

 

加えて音声でのコントロールが可能になることも大きなポイントです。Apple CarPlayなら「Siri」が、Android Autoなら「Googleアシスタント」が使え、それによって運転中であってもスケジュール管理や音楽再生、周辺スポットのチェックなどもハンズフリーのままで行えます。特に便利さを感じるのがカーナビ機能で目的地を探す時で、操作は音声で検索するワードを入力するだけ。一発で行きたいところを表示します。従来のカーナビのようにメニューからカテゴリーを絞って…なんてことは不要です。

↑Apple CarPlayではウェイクワード「Hey,siri!」と呼びかけると音声入力モードに切り替わり、目的地なら行きたい施設名を、音楽を聴きたいなら楽曲名を読み上げればいい

 

2つ目は「USBミラーリング機能」への対応です。Android専用の機能ですが、スマートフォンで表示された動画内容がそのままディスプレイ上に表示されます。たとえば映像系のストリーミングサービスをスマートフォンで受信した場合、その映像が大きなディスプレイで見られるのです。操作はスマートフォン側で行いますが、音声は車載スピーカーから再生されます。ただし、著作権が保護されているコンテンツは対象外です。

 

そして3つ目が高画質&高音質であるということです。DDX5020Sの6.8型ディスプレイは表面に光沢処理が施されており、深みのある映像が再現できています。昼間は角度によって反射が気になることがありそうですが、色再現性では優れた一面を見せてくれるでしょう。操作キーは左側に縦一列で配置。各キーはピアノブラック調のフラットなベゼル上にホワイトイルミで表示されます。触った感じは良好な反応で、ボリューム操作やHOME画面の呼び出しが簡単にできました。

↑DDX5020Sのメインメニューでは、画面下によく使う項目を登録しておける

 

サウンド系では、デジタルtoアナログ変換を高精度に行える24bit DACを搭載。内蔵アンプは45W×4chと十分なパワーを備え、これを13バンドのグライコできめ細かく調整することができます。マニュアル設定にはなりますが、タイムアライメント機能も装備。低出力時に低音を心地よく聴かせるラウドネス、バスブースト機能も備えました。もちろんBluetoothにも対応し、スマートフォンに収録した音源をワイヤレスで転送。接続した際は再生中の楽曲タイトルなども表示可能です。

↑Apple CarPlayのMusicメインメニュー。iPhoneと同様、様々なプレイリストから聴きたい楽曲にアクセスできる。もちろん、音声での呼び出しも可能だ

 

↑再生中の楽曲は画面上に表示することも可能。トラックサーチは画面上の「次に再生」「戻る」でできる

 

ナビは良くも悪くもアプリの個性が出る!

iPhoneをDDX5020Sに接続するとホーム画面にApple CarPlayで使えるお馴染みのアプリのアイコンが表示されます。Android AutoではGoogleが用意した純正ナビアプリと日本ではあまり馴染みがない「waze」が使えるだけですが、Apple CarPlayではApple純正ナビアプリの他、Yahoo!ナビやNAVITIMEなどメジャーなアプリが使えます。そういう意味ではApple CarPlayの方が利用範囲はずっと幅広いということになるでしょうね。

↑Apple CarPlayの全画面表示。地図上のアイコンにタッチすれば施設の詳細な情報が表示される。左側のアプリにもダイレクトにアクセスできる

 

↑Apple CarPlayのデフォルト画面。ここから周辺施設を探すことや、再生中の楽曲をサーチできたりする。ナビ画面をタッチすれば全面表示にワンタッチで切り替わる

 

ただ、本機DAでカーナビアプリを使うとき知っておくべきことがあります。それは自車位置の測位はGPSでのみ行われているということです。Android Autoの純正ナビアプリではGPS信号をロストしたときの速度を元にした自車位置の表示を続けますが、Apple CarPlayでは基本的に測位を停止してしまいます。なので、トンネルの中では測位をストップ。さらにビルが建ち並ぶ都市部では、GPSがビルの影響を受けて位置を大きくずらしてしまう可能性もあるのです。

 

それと案内ルートについても、良く言えば個性的な、悪く言えば不都合な案内をすることも少なからずあります。極端にショートカットするためにクルマ同士がすれ違えない狭い道を案内したり、高速道路をほとんど使わず一般道を経由して案内することもあります。さらに交通情報もApple CarPlayの純正ナビアプリは今もなお非対応ですし、Android Autoの交通情報も独自のプローブによるもの。馴染みのあるVICSの情報がすべて正しいとは言いませんが、カーナビアプリは全国レベルで安定した情報が提供できているとは限らないのです。

 

その状況さえ納得できればDAはかなり魅力的です。特に私がDDX5020Sを評価したいのはDVD/CDドライブを備えていることです。最近は自動車メーカー系DAでさえ、これを省く傾向が続いているだけに、定番のメディアが再生できるメリットは大きいと思います。しかも、ハイレゾ音源である192kHz/24bitのflacやwavファイルの再生が可能で、Bluetoothオーディオにも対応しているので、多彩なソースを楽しみたい人にも最適です。

↑ディスクドライブを省略する機種が多い中で、ディスプレイオーディオDDX5020SはDVD/CDドライブを搭載した。ハイレゾ音源の再生も可能だ

 

DDX5020Sの価格は実売で4万円弱と少し高めのカーオーディオ並み。普段は通勤や買い物など、知っている道しか走らない。しかし、いざ遠くに出掛けるときにナビ機能は欲しい。そんな人に本機は打ってつけの一台になることでしょう。

↑静電容量式タッチパネルを採用し、フロントフェイスには軽快に操作できるスマートフラットキーを装備しています。DDX5020Sは現在発売中

 

 

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ARカーナビの「実用性」はいかに? セイワ「PNM87AR」本音レビュー!

カー用品を手がけるセイワは、ARカメラで撮影した映像にカーナビゲーションのルートガイドや安全運転支援機能を重ねる、PIXYDA(ピクシーダ)次世代型ポータブルナビゲーション「PNM87AR」を発売しました。AR技術を活用したバーチャル案内で、走行ルートを安全かつ分かりやすくドライバーに伝えてくれるカーナビゲーションとして注目されています。

↑ピクシーダから登場したAR技術を活用したバーチャル案内を行う次世代型ポータブルナビゲーション「PNM87AR」

 

地図更新は2023年7月31日までに1回無料で行え、AR機能搭載のPNM87ARは実売価格4万9800円前後。AR機能非搭載のスタンダードモデル「PNM87F」も同3万7800円前後で発売しています。

 

ARカメラと連携させた次世代型ナビ

この製品で実現したAR機能は大きく2つあります。一つはゼンリンデータコムと共同開発したAR機能をベースとするルートガイド機能です。ポータブルナビ本体にはゼンリンデータコム製の地図データがインストールされており、このデータから抽出したガイドをARカメラで撮影した映像に重ねてルートガイドします。地図データは2020年春版の全国市街地図データを収録した詳細版で、全国にわたってこのガイドを利用可能としています。

↑地図データはゼンリン製で主要施設の出入口情報も含まれているので、目的地の入口で迷うことが少ない

 

もう一つはARカメラで撮影したデータを元に3つの安全運転を支援するというものです。それは「車線逸脱警告」「前方車両発進」「前方衝突警報」の各機能で、それらの警告を画面とアラートで知らせてくれます。最近の新型車には同様の機能が搭載されていますが、本機を装着することでそれに近い機能が利用可能になるというわけです。

 

この機能に利用するARカメラは垂直のアングル調整が可能な単眼式で、フロントガラス上部に密着させて取り付けます。レンズ周りを覆うことでガラスの映り込みも防止。ナビ本体とは付属ケーブルでUSB接続し、カメラの電源もここから供給されます。なので、ナビ本体で電源を取るだけで、他に電源の取り回しは一切不要です。

↑AR情報の取り込みに使う映像を撮影するカメラは、フロントウインドウに取り付けてレンズ周囲を覆うことで映り込みも防止している

 

それではこのシステムを早速取り付けてみます。取り付けたのはダイハツの軽自動車「ムーブ カスタム」です。エアバッグと干渉しないダッシュボード中央にナビ本体をセットすることにしました。電源はシガーライターソケットから取ります。アダプターの挿入が少しきつめでしたが、むしろこの程度のきつさがあれば不用意に電源が抜けてしまう心配もないでしょう。

↑ARカメラは、PNM87AR本体下のUSB端子に接続する。手前の「カメラ入力」は別売のバックカメラ用

 

ARカメラは基本的に運転席側のフロントガラス上部に取り付けます。この時の注意点としては、取り付け位置がワイパーで拭き取れる場所を選ぶことと、映像が水平になるようナビ本体で確認することです。場所を確定する前に仮止めし、それで大丈夫か一旦確認しておくといいかもしれません。カメラの角度調整は付属の六角レンチを使います。

↑ARカメラのアングルはディスプレイの表示を見ながら、付属の六角レンチで調整できる

 

起動して真っ先に驚くのはモニターの鮮明さ。その理由は8V型のモニターの解像度はポータブル型ナビで一般的なWVGAよりもさらに高解像度な「WXGAモニター」(1280×800ドット)を採用しているからです。モニターの表面は光沢タイプなので反射が少し気になりますが、視野角が広いので反射しない角度で固定するといいでしょう。

↑メインメニュー。「ナビ」を選ぶとナビアプリが起動してカーナビゲーションが使えるようになる

 

↑ディスプレイは高解像度な「WXGAモニター」(1280×800ドット)を搭載。TV放送はそれを活かす地デジのフルセグに対応している

 

矢印のアニメーションで方向を示してくれるので分かりやすい

ARモード中はARカメラで撮影した映像と地図を同時に表示します。そのAR映像は極めて高精細で、先行車のナンバーもハッキリと読み取れるほどです。このままドラレコとしても機能してくれればいいのに…と思ってしまうほど。直進で進んでいるときは矢印のアニメーションで進む方向を示してくれ、その未来感あふれる映像は視認性が良いです。

 

分岐点に近づくと、画面上には分岐点までの距離が表示され、よく見ると交差点拡大図もAR画面上に表示されています。やがて音声案内と共にAR画面上には曲がる方向が流れる矢印で示されるようになり、右側の地図上には交差点の拡大図を表示。さらに分岐点に近づいていくと、もう一つの矢印がポップアップされて曲がる方向をガイドしていました。

↑ARカメラが映し出すリアルタイム映像をナビ画面表示させ、自然な立体表現のARルート案内と重ね合わせて案内する

 

ただ、ARカメラの画角はそれほど広くなく、少し広めの交差点では先の道路までは映像内に収まっていません。AR映像からはおおよその方角が分かる程度です。そのため、現場では交差点拡大図と併用しながら使う形となるでしょう。

 

安全運転支援機能は、先行車との関係となる「前方車両発進」「前方衝突警報」についてはかなり頻繁に警告してくれました。「前方車両発進」は先行車がスタートするとすぐに画面とアラートで知らせてくれましたし、その数値が正確かどうかは不明ですが、先行車との距離も実距離が画面上に表示されます。また、先行車との距離を縮めると「前方衝突警報」がすぐに出て警告してくれました。

↑前方車両発進。地図データに基づくルートガイドを行い、その上で先行車が発進すると「ポーン」と鳴るアラート共に画面上で注意喚起を行う

 

↑前方衝突警報。先行車に近づくとおおよその車間距離を表示し、さらに速度に応じて適切な車間以下になると注意喚起を行う。警告音と警告マークの信号を変えています。「緑→黄→赤」の3段階で徐々に危険を促す

 

一方で反応がイマイチだったのが「車線逸脱警告」です。メニューに感度を設定する項目があるのですが、もしこの機能を活用したいならここで敏感な設定にしておくとイイでしょう。ただ、車線逸脱警報は標準で装着されている新型車でも認識精度はあまり高くないという現状もあるので、現状では本機の性能も許容範囲。今後の性能進化に期待したいところです。

 

それとこのナビシステムにはタテ表示機能も備えています。この場合、上下に二分割されてARは上側に表示されます。下の地図は方面ガイドも表示されるので、機能面では使いやすいのですが、取り付けたムーブの場合はダッシュボードが高めであり、8V型画面をタテ表示にすると視界が大きく妨げられることになってしまいました。タテ表示を使う時はそういった利用環境に合わせて使うことをオススメします。

↑PNM87ARはタテ表示も可能で、ルートガイドと共にサイズのバランスが良く視認性高い。ただ、本体全体を下げて取り付けないと視界を妨げる

 

それと、このナビは交通情報を表示することができません。なので渋滞を避けたルートガイドを期待する人には不向きでしょう。しかし、ルートガイド中の案内は適切で、リルートした際の再探索もかなりスピーディに行います。道を間違えたときの安心感はとても大きいですね。

↑ルート探索では条件別に最大4ルートを表示。探索速度もスピーディで使い勝手は良好だ

 

↑政令指定都市の主要交差点では、車線情報を含めた周辺の情報を描いた3D交差点拡大図で進行方向を示す

 

↑ルートガイド中は交差点ごとの右左折情報をリスト化して案内する。交差点に近づくと拡大図に切り替わる

 

ピクシーダの次世代型ポータブルナビゲーションPNM87ARの価格は、実売4万円台と8V型としてお買い得な部類に入ります。交通情報が受信できないのは残念ですが、“AR”というややギミックの愉しさを期待する人、TV放送を含めて美しい映像にこだわる人にぜひ使ってみて欲しいポータブル型ナビと言えるでしょう。

 

 

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Honda eに乗ってきました。最小回転半径4.3mの実力を迷路のようなコースで試乗

いよいよ10月末にリリースされるHonda初の市販電気自動車「Honda e」に試乗するチャンスが巡ってきました。ホンダが横浜に用意した特設会場は全長800m、コース幅は3.5m。白く綺麗な段ボールを積み重ねまるで道幅の狭い教習所のようでした。試乗コースが屋内というのはEVならではのこと。ゼロ・エミッションだからこそ可能としています。

 

Honda eはデザイナーの遊び心が溢れている

最初に、ボディサイズのおさらい。軽自動車クラスのようにすら感じられるHonda eのスリーサイズは、全長×全幅×高さ=3895×1750×1510mm。Honda Fitより100mm短く55mm幅広で5mm低く、乗車定員4名の5ドアハッチバックです。ホイールベースは2530mmとなります。ここで特筆すべきなのがHonda eの最小回転半径の小ささです。わずか4.3mという数値はホイールベース2520mmのN-BOXでも4.5m〜4.7mなのですから、いかに小回りが効くかが分かります。

↑シティコミューターとしてたっぷりなサイズ感と街を和ませるデザインには思わず名前を付けたくなるペットのような存在

 

コース上のクルマに乗り込む前に、本田技研工業の広報担当三橋文章主任にHonda eの概要説明を受け基本的なことを教えていただき、三橋氏から渡されたFind Honda e Challengeカードの出題を解きます。個性的なHonda eはアイコン化されていて、サイドビューのシルエットがクルマの前後に3か所、隠されているのだそう。そして、市販車全てにこのアイコンが隠されているのだそうです。これはぜひ、皆さんもHonda eを見かけたら探してみてください。かなり小さなアイコンですが必ず入っています。Honda eのデザイナーとのコミュニケーションともいえる部分です。

↑当日配布されたFind Honda e Challengeカード

 

登録されたスマートフォンがキーの代わりに

Honda eでは自前のスマートフォンに専用アプリ(Hondaリモート操作)をダウンロードし登録することでスマートキー機能を持たせることが可能です。そのスマホを携帯し、ドアに近づくと自動的にドアノブがポップアップし、ノブを引けばロックが解除されスムーズに乗り込むことができます。Honda eではそこで終わりではなく、国産車初で、エンジンの始動までが可能となりました。いつものように部屋からスマホを携帯してクルマに近寄ればドアが開けられ、エンジンの始動までできるのです。さらにオーディオやエアコンのコントロールも可能なので、例えば暑い夏の日、お出かけ時には、家でHonda eの充電をしている状態で電力負荷の大きいエアコンの初期作動をさせることができます。乗り込み時に快適な室内環境を作っておけるだけでなく、走行用の電力の確保もできるのです。

↑国産車で初めてパワーオンまで行うことを可能としました

 

さて、いよいよHonda eに乗り込みました。私のように規格外に大きな体型でも十分に受け入れてくれる室内はブラック、グレイ、効果的なアクセントに用いられるブラウン、木目の色合いが基調の落ち着いた雰囲気です。家のリビングからの延長のようなイメージで、日常の生活の中でそのまま自然にHonda eがいる感覚です。それがシームレスということなのです。

↑シンプルで心安らぐリビングのような空間。パネルには、リビングテーブルのようなぬくもりを感じる自然な風合いのウッド調パネルを採用しています

 

インテリアでまず目を引くのが車室幅一杯に広がっている5連のモニターです。左右外側のモニターにはドアミラー代わりのサイドカメラミラーシステムからの映像がクリアに映し出されます。ドライバーの目線から見て自然なレイアウトのため、後方視界の違和感や不安はなく良い感じ。荒天時も雨の雫がカメラに付着しない設計になっていること、雨粒の付いたガラスを通して外のミラーを見る必要がないので、クリアな後方視界が期待できそうです。

↑中央には、12.3インチのスクリーンを2画面並べた「ワイドスクリーン Honda CONNECT ディスプレー」を配置。運転席や助手席でそれぞれ表示機能を選択できます

 

↑クラウドAIによる音声認識と情報提供をおこなう「Hondaパーソナルアシスタント」を搭載。「OK, Honda」と呼びかけることで、音声認識によりリアルタイムの情報を提供してくれます。オリジナルキャラクターがなんとも言えずポップ

 

↑カメラで捉えた映像はインストルメントパネル左右に配置した6インチモニターに映し出されます。サイドカメラミラーシステムは、170万画素の高精細カメラ

 

↑ドアミラーのかわりにサイドカメラミラーシステムを採用。これが車幅減に少し貢献し、狭い路地での心配も減ります

 

迷路コースを難なくクリアする理由

エンジンがかかり、Dボタンを押すことで走行可能となります。アクセルペダルを踏み込めば通常のクルマ同様に前進。このコースでは走り始めるとすぐに最初の直角カーブが迫ります。クルマの四隅に気を配りますが、モニターでの内側の確認にも、ハンドルの切れる感じにも違和感はなく静かにすっと曲がります。きついと思っていた狭い直角カーブもスルスルとスムーズにクリア。最小回転半径4.3mを実現させる裏にはEV専用設計のシャーシの恩恵があります。

 

ガソリンエンジン、ハイブリッドカーはシャーシレイアウトのベースをガソリン車のものとしているのがほとんどです。対して、Honda eは当初からEV。重量物のバッテリーは低重心化し、もしもの事故の衝撃から守るためにフロア下に敷き詰められるようにレイアウトされました。当初考えられていた前輪駆動から発想を変更。駆動輪を後ろにし、モーターもリアマウントにすることで、フロントにスペースの余裕をつくりました。通常のガソリン車よりも構造材の間隔を短くし、フロントサスペンション部に有効なスペースを生みました。

↑車両の床下にはバッテリーを格納する薄型IPU(インテリジェント・パワー・ユニット)を配置

 

そうして有効なスペースを利用してよく切れるステアリング機構となったHonda eが生まれました。しかしこのままではハンドルを切る量(=回転量)が増えてしまいます。Honda eでは可変ギアレシオを使い、小蛇角の時と大きくハンドルを切る時のステアリングギア比が変わりロック トゥ ロックは3.1回転で不自然さのないステアリング機構を生み出しています。地味な部分かもしれませんがHonda eの実用的な走りの魅力を大きく上げる機構といえるでしょう。

↑RR(リアモーター・リアドライブ)が可能にした大きく切れるステアリングにより、最小回転半径4.3mに

 

Honda e Advanceの高トルクと大パワー

Honda eにはベーシックグレードのHonda eとハイパワーグレードHonda e Advanceの2種類があります。今回試乗したのはハイパワー版のAdvanceでした。最高出力は113kW(154PS)と最大トルクが315N・m(32.1kgf・m)はこのコースでその実力を試すことはできませんでしたが、小回りがきくHonda eとこのコースに慣れてくると、かなり思い切った走りができるようになってきます。アクセルを深く踏み込むとレスポンスよく高トルクが発生され、見た目の可愛さを遥かに超えた加速をします。ノーマルモードとスポーツモードの実力はまた別の機会に広い道で試してみたいと思いました。

↑リアにはコンパクトかつ大出力のモーターを配置しています

 

Honda eは減速時にも楽しいドライビングを提供。通常のAT車のようなアクセル、ブレーキの2ペダル運転とシングルペダル運転の選択ができます。その選択もボタンを押すだけで完了。アクセルペダルを離すだけで減速が行われます。ハンドルの奥にあるパドル式の減速セレクターによってブレーキの効き具合を3段階にコントロールできます。これによりアクセルワークに集中できるスポーティーなドライビングが可能なことを確認することができました。

↑シングルペダルコントロールによって、加減速の切り替えをスムーズに行えます

 

ドライバーだけでなく同乗者を退屈させない

出先での充電時やドライブ中もHonda eはドライバーだけでなく、同乗者も退屈させません。5面のHonda Connectディスプレーは充電中にも走行中にも助手席の同乗者にも扱いやすく使用が可能です。また、ナビの情報など左右のモニターの情報を簡単にドライバーにも見やすく提供することができます。今回の迷路試乗では『街なかベスト』な乗り味の確認がメインでした。Honda eにはまだまだ魅力的なコンテンツが沢山あります。別のシーンでも試してみたいと感じました。その魅力が十分にあることは確かです。

 

Honda e 451万円(税込)/Honda e Advance  495万円(税込)

試乗車SPEC【Advance】●全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm●車両重量:1540kg●モーター:交流同期電動機●最高出力:113kW(154PS)/3497〜10000rpm●最大トルク:315N・m(32.1kgf-m)/0〜2000 rpm●一充電走行距離WLTCモード:259km●交流電力量消費率WLTCモード:138Wh/km

 

 

撮影/野田楊次郎

 

 

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京セラのEVコンセプトカー「Moeye」詳細。クラシカルな中に秘められた超最先端を解説

京セラは9月29日、独自デバイスを数多く搭載したコンセプトカー「Moeye(モアイ)」を発表しました。京セラは2018年にトミーカイラZZをベースとしたスポーツEVコンセプトカーを開発しましたが、このモアイはそれに続く第二弾となります。

↑京セラが「驚きと快適をもたらす未来のコクピット」を表現するために作成したコンセプトカー「Moeye(モアイ)」

 

外観はクラシック、だけど車室空間は最先端!

2020年は1月にソニーがCES2020で「VISION-S」を発表して注目を浴びましたが、このモアイの場合も京セラが培ってきた車載向け技術を対外的にアピールするショーケースとしての役割を担います。京セラは自動運転化やMaaSの普及が進むなかで、車室内空間の重要性に着目。驚きと快適をもたらす未来のコクピットを完全オリジナルデザインで開発したということです。

 

コンセプトカー「モアイ」イメージビデオ

 

披露されたモアイは突き出たフロントグリルと丸形ヘッドライトを組み合わせ、ボディラインは緩やかな曲線へとつなぎ、それは一見するとクラシックカーのようにも見えます。しかし、このデザインを手がけたFortmareiの石丸竜平氏によれば、開発テーマは「時間を駆け抜けるデザイン」とし、そのスタイルには連綿と続く自動車の歴史における過去、現在、未来とリンクする流れが含まれているのだといいます。

↑光学迷彩技術は前部6つのカメラで前方を捉える映像がベースとなる

 

↑モアイのリアビューは初期のシトロエン「2CV」を彷彿させ、そこに曲線を加えた個性的なデザインとなった

 

ドアを開けるとそこは一転、未来的な空間が広がっています。居心地が良さそうなファブリック仕立てのシートが並び、左右に伸びたダッシュボードはメーターもハンドルもありません。それはまさしく自動運転時代の新たな乗り物として提案するもので、クラシカルな外観とはかけ離れた雰囲気を作り上げていたと言えるでしょう。

↑自然光に近い、生体に優しい光を作り出す独自の「LED照明 CERAPHIC(セラフィック)」で車内を照らした

 

説明会では、京セラの執行役員上席 研究開発本部長 稲垣正祥氏が登壇してモアイの開発コンセプトを紹介しました。業界で注目されているCASEを採り上げ、時代はその方向に進む流れとなっていると認める一方で、「クルマを単なる移動する箱として捉えたくない」想いがあることを告白。

 

そこでモアイを開発するに当たってテーマとしたのが「人間の五感のから味覚を除いた視覚/触覚/聴覚/嗅覚の4つの感覚」を直に感じて楽しむ移動空間だったのです。

 

その中で最も注目される“視覚”の技術が、独自の光学迷彩技術を用いる技術です。これは東京大学 先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授と協働して実現したもので、コクピットの一部を透明化してドライバーの視野を拡大することが可能。

 

運転席に座った時、ダッシュボードから下が見えないのは当たり前ですよね? そこで6台のカメラで前方を撮影し、その様子を3Dプロジェクターでダッシュボードに投影します。周辺の風景を合わせ込むことで、あたかもダッシュボードから下が透明化したように見えるようになるわけです。

↑カメラで捉えた映像は3D画像処理し、その映像を表示するとドライバーはあたかも前方が透けているかのように見える

 

↑車内天井にはダッシュボードに投影する3Dプロジェクターが搭載されている

 

まさに本来なら死角となる部分を映像技術によって“見える化”する画期的な手法と言えますが、課題もあります。それは映像として再現できるまで0.15秒かかということです。つまり、これは現実よりも0.15秒遅れて投影されるわけで、仮に高速で走行していればとても間に合いません。そのため、今後は遅延を限りなくゼロに近づけていく必要があるのです。

 

ただ、駐車するときなら低速ですから現状でも遅延はそれほど気にならないと思いますし、むしろ、周辺をより広く確認できるようになることは大きなメリットを生み出すでしょう。

 

他にも“視覚”に関して、京セラ独自の4つの技術が投入されました。フロントウインドウにオリジナルキャラ“モビすけ”を浮かび上がらせる「空中ディスプレイ」は、ナビゲーション案内などを通してドライバーと様々なやり取りを行うロボット的な役割を果たします。自然光に近い、生体に優しい光を作り出す独自の「LED照明 CERAPHIC(セラフィック)」や、京セラ製「京都オパール(人工オパール)」をドアの内面とセンターコンソールに装飾したのも注目です。

 

コンセプトカー「モアイ」光学迷彩技術

 

↑「LED照明 CERAPHIC(セラフィック)」は気分に合わせた多彩な照明で車内を照らせる

 

↑「LED照明 CERAPHIC(セラフィック)」で照らされて光り輝く「京都オパール(人工オパール)」

 

そして、“触覚”には操作した指先に振動が伝わる「HAPTIVITY(ハプティビティ)」が使われ、“嗅覚”として搭載されたのが車室内に5種類の豊かな香り・匂いを噴射させる「アロマ芳香器」です。また、“聴覚”には「ピエゾ素子振動スピーカー」を搭載。薄型である特徴を活かし、ダッシュボードやヘッドレストにも内蔵することで一体感のあるサウンドを提供します。いずれも京セラ独自の技術として紹介されているものです。

↑指先に振動が伝わる「HAPTIVITY(ハプティビティ)」で操作し、音声は極薄型の「ピエゾ素子振動板」で再生される

 

京セラはモアイが2つめのコンセプトカーになりますが、初代のコンセプトカーと違って残念ながら実際に走行することはできません。その理由は自動運転やMaaSが少しずつ現実のものになっていくとした時、京セラとしてどの分野に力を入れるかを想定した答えがこのコンセプトカーに込められているからなのです。つまり、モアイは車室内空間をいかに魅力的に表現するか、そこに注力するためにあえてコンセプトカーとして走る機能は搭載しなかったというわけです。

 

初代コンセプトカーのイメージビデオで、朝陽を受けながら京都の山岳路を疾走する姿は強烈な印象として今も記憶に残っています。コンセプトカーであっても走ることで初めて分かることも多いはず。第3弾はぜひ走るコンセプトカーで京セラの技術力を見せて欲しいと思います。

↑説明会に登壇した、東京大学 先端科学技術研究センター 稲見昌彦教授(左)、京セラ株式会社 執行役員上席 研究開発本部長 稲垣正祥氏(中央)、株式会社Fortmarei 代表取締役社長 石丸竜平氏(右)

 

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7世代目のBMW「5シリーズ」発売。 新たなプレミアムスポーツのベンチマーク

BMW7世代目5シリーズが9月28日に発表。時代やビジネスシーン、そしてリーダー自身も変化が求められている未曾有のコロナ禍の中、「変わる準備は出来ていますか?」という投げかけと共に、披露されました。

 

次世代リーダーにこそ相応しい

ニュー5シリーズは、セダンおよびツーリングモデルが発売。ガソリン車とディーゼル車があり、気になる価格は678万円〜1319万円(税込)。PHEV車は4モデルあり、一番リーズナブルな「530e Luxury Edition Joy+」で815万円(税込)となります。

 

ボディサイズは全長4975mm、全幅1870mm、全高1485mmで、2975mmのロングホイールベースにより余裕のある後席室内空間を実現。一方で、ロングホイールベース化は狭い道などでの取り回しに影響が出ます。これに対し新型モデルでは、「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」を標準装備。後輪も向きを変える4輪操舵システムによって、取り回しの不安を払拭しています。

↑ニュー5シリーズのコンセプトを語るクリスチャン・ヴィードマン社長。幅と高さを増した大型のキドニーグリルに対して、2つのU字型(オプション装備の場合はL字型)のデイランニングライトを内蔵する細身に仕立てられたヘッドライトが特徴

責任者が語るデザイン

今回の5シリーズではフロントとリアのデザインを一新し、より贅沢なインテリアと最新のコネクティビティを備えています。一言で言えば存在感が増し、表情豊かになり、以前にも増して現代的にデザインがアップデートされたといったところでしょうか。

↑ツーリングモデルとM Sportセダンの間に立つのがデザイン責任者のドマゴイ・ジュケッチ氏

 

新しいキドニーグリルは、よりシャープな輪郭によってさらに幅が広がり、一層際立つ形に。そして、今回のフェイスリフトのハイライトはBMWレーザーライト ヘッドライト。L字型に鋭く前方を見据え、モダンな顔つきを作っているのです。もちろん、見た目だけではなく、その照射能力は従来のLEDヘッドライトの約2倍に相当する最長650m(ハイビーム時)にも及びます。

↑PHEVモデル530e M Sportパッケージ。最高出力はガソリンエンジンとモーターを合計すると294PSを発揮します

 

↑新デザインのBMW Individual 20インチホイールはダイナミックでアグレッシブさを感じさせます

 

また、大胆でモダンに組み合わされたリアコンビネーションランプも目を引くポイントです。一見クラシックなL字型のテールランプですが、大胆でモダンに組み合わされ、立体的にボディから現れています。ブラックの部分は強いコントラストを生み、リアシェイプを引き締めています。

↑「立体的にボディから現れる」と表現されたリアコンビネーションランプ

 

PHEVの530eをセダンに設定

プラグインハイブリッドシステムを採用した530eは、エンジンとモーター間がダイレクトに結ばれ、BMWの高い制御技術でお互いのパワーを無駄にすることなく、滑らかで効率の良い走りを実現させました。さらに特徴的なのが530eのバッテリー搭載位置。

 

約100kgの重量物であるバッテリーを極力車体の中央に収めるため、従来ガソリンタンクのあった後席下のスペースにバッテリーをレイアウトし、ガソリンタンクをトランク下に移設しました。これによって重量バランスの最適化が図られ、重心を下げ、重厚でスポーティーな走りを実現したのです。

↑充電用コネクターは左フロントフェンダー後ろのリッド内にあります

 

エンジンはエンジンルームの一番奥、車体の中心近くに収められています。これによりノーズ先端を軽くし、俊敏な動きを実現。さらに、車体の重心をドライバー席と近くすることで車との一体感を感じ、ドライビングの際に車が自分の手足のように動く感覚を味わえるようにレイアウトされています。セダンとは思えないスポーティーな走りが楽しめます。

 

ドライビングアシストシステムの標準装備

安全装備も見ていきましょう。3眼カメラと高性能レーダーを用いた運転支援技術「BMWドライビング アシストプロフェッショナル」を標準装備。20m、120m、300mの地点を3つの距離認識カメラで同時にとらえ、毎秒約2兆5000億回の解析能力を誇る最先端のプロセッサが高い危険予知性能と正確なレーンキープ性能を発揮します。これにより、高速走行時でもドライバーはハンドルに手を添えているだけでよく、ドライブ時の疲労を大幅に軽減させます。

 

さらに、渋滞時にはハンドルから手を離すことが可能なハンズオフ機能を備えています。これでBMWの3シリーズ以上の量販モデルすべてに標準装備が実現されました。高い安全技術を標準装備化することでより高次な運転支援技術の普及へとつなげていく。BMWは日本市場において、運転支援技術のリーダーであることを自負しているというメッセージを発信しています。

↑三眼カメラとレーダーにより異なる距離を同時に検知し危険予測します

 

ガジェットとの連携で面白いのが、AppleとBMWで共同開発されたiPhoneをクルマのデジタルキーとする技術。これによりiPhoneを持ってドアノブにかざせばドアが開き、スマートに乗り込むことができます。そして、そのiPhoneをセンターコンソールに置くことでキーとして認識。エンジンスタートが可能となります。普段通りにiPhoneを持っていれば、キーを探すことなくクルマに乗り込み発進が可能となるのです。日常生活からドライビングにスマートな移行ができるのです。

↑いつものiPhoneをデジタルキーとして使用することが可能

 

快適性と実用性も十分

5シリーズはエアベンチレーションやマッサージシートを選択可能。また、ツーリングモデルはラゲッジ・コンパートメント・パッケージの初採用により、ラゲッジルームの容量を通常の570Lから、リアシートを完全に倒すことなく最大10L広げられます。リアシートを完全に倒せば、ラゲッジルーム容量は1700Lに拡大されます。

↑ステッチを施し上質な質感を感じられる、エクスクルーシブ・ナッパ・レザー・シート

 

↑エクスクルーシブ・ナッパ・レザー・シートは、巧みの技による手の込んだ衣装となっています

サステナビリティなモビリティを実現する

BMWは2020年からは、世界中の生産拠点に供給される電力の100%がグリーン電力となります。さらに、自動車メーカーとして唯一、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスに選定。このため、2020年5月に「Edition Joy+」と呼ばれる新たなグレードをラインナップ設定し、環境に優しく、魅力的な価格のモデルの提供をスタートしています。

これらの点を踏まえると、環境への配慮とスポーティーな走りの高次元バランスこそBMWニュー5シリーズの大きな特徴といえます。まさしく5シリーズは、次世代のリーダーに向けて発信されたものといえるでしょう。

 

 

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令和時代の速いだけではなくテクノロジーも超絶モノスゴい!【スーパーカー名鑑】(後編)

その名のとおり、“スーパー”なスタイリングや動力性能を備えるスーパーカーは、クルマ好きたちの心を魅了し、憧れの対象として存在している。最新技術を搭載し、芸術品のようなデザインをまとった、現代の最新スーパーカーを見ていこう。

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

解説&採点

自動車評論家

永福ランプ(清水草一)

スーパーカーは人類の夢である!
本誌連載のほか、様々な媒体で活躍中のベテラン評論家。これまでに購入した49台のクルマのなかには、フェラーリやランボルギーニも含まれ、オーナーならではのリアルな意見を持つ。

 

【SUPER CAR 07】Mercedes-Benz[メルセデス・ベンツ]

ラグジュアリーブランドの代名詞的存在。だが同社のスーパースポーツも世界トップクラスの性能を誇り、その名声は世界中に知れ渡っている。

 

電子デバイス満載の高性能スポーツ

メルセデス・ベンツ

AMG GT

1698万円〜2426万円

アルミを多用したスペースフレーム構造のボディや理想的な前後重量配分などを持つ、2シーターのフラッグシップスポーツモデル。クーペモデルに加えて、オープンモデルの「ロードスター」もラインナップされている。

SPEC【S】●全長×全幅×全高:4545×1940×1290mm●パワーユニット:4.0LV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力:522PS/6250rpm●駆動方式:FR●最高速度:非公表

 

<This is SUPER!>

静粛性を確保するソフトトップを採用

クーペから2年遅れで日本導入となった「ロードスター」。軽量かつ静粛性の高いソフトトップを備える。

 

<永福’s Check>

エンジンは圧倒的な獰猛さで、高級車の面影はみじんもない。それでいてかなりの大きさのトランクがあり、実用性が高い。

 

子会社がアレンジするスーパースポーツモデル

メルセデス・ベンツを作るダイムラー社は、世界最古の自動車メーカー。自動車の歴史そのものと言ってもいい。メルセデスと言えば高級セダンの代名詞だが、子会社のAMGが手掛けるスポーツモデルは、スーパーカー級の性能を持っている。AMG GTの想定ライバルはあくまでポルシェで、フェラーリやランボルギーニではないが、ルックスはどちらかといえばスーパーカーに近い。

 

AMGエンジンは、アストンマーティンの一部モデルにも搭載されるなど、スーパーカーの世界になくてはならない存在になっている。

 

[OTHER MODEL]

究極のラグジュアリースポーツ

Sクラスクーペ

1566万円〜2899万円

フラッグシップサルーン「Sクラス」をベースとする2ドアモデルで、豪華な装備が満載される。搭載エンジンは3.0LV6と4.0LV8のツインターボ。

 

【SUPER CAR 08】Audi[アウディ]

知的でクールなイメージのアウディのルーツは、モータースポーツで活躍してきたテクノロジーメーカー。その技術を生かしてR8が誕生した。

 

ハイテクスポーツがクルマの未来をアピール

アウディ

R8

3001万円〜3146万円

同ブランドのフラッグシップ・スーパースポーツとして、2006年にデビュー。販売面でも成功を収めて、2016年に現行型となる2代目モデルが登場した。「ASF」と呼ばれる特別なボディ構造や、フルタイム4WDシステムが搭載されている。

SPEC【V10パフォーマンス 5.2FSIクワトロ】●全長×全幅×全高:4430×1940×1240mm●パワーユニット:5.2LV型10気筒エンジン●最高出力:620PS/8000rpm●駆動方式:4WD●最高速度:非公表

 

<This is SUPER!>

軽量かつ丈夫な車体設計のオープンモデル

オープントップモデル「スパイダー」も、素材にアルミやカーボンが用いられて、軽量化されている。

 

コックピット風の運転席まわり

運転席を囲うようにデザインされたインテリア。まるで飛行機のコックピットのようだ。

 

<永福’s Check>

初代R8はデザインでスーパーカー界に衝撃を与えたが、現在の2代目モデルは初代と見分けが困難なほどソックリ。斬新かつ知的である。

 

 

味付けのまったく異なるランボルギーニの兄弟車

アウディはかつて、「ドイツの農夫が乗るクルマ」などと言われたが、高級路線に転じて大成功し、ランボルギーニの親会社になった。その高い技術力を生かして、ランボルギーニ車の開発にも大いに力を貸している。アウディブランドのR8は、実はランボルギーニ・ウラカンの兄弟車なのだ。

 

ただしウラカンとR8とでは、乗り味はかなり異なる。荒々しい雄牛であるウラカンに対して、R8は知的でエレガント。性能はほぼ同等だ。兄弟車であっても、ブランドイメージによって明確に棲み分けがなされている。

 

【SUPER CAR 09】Aston Martin[アストンマーティン]

英国に端を発する名門ラグジュアリースポーツブランドで、世界トップクラスの性能を備える。映画「007」シリーズでジェームス・ボンドが駆る英国製スポーツカーだ。

 

高性能と快適性を両立したハイパフォーマンスGT

アストンマーティン

DBSスーパーレッジェーラ

3573万600円〜3801万5400円

現在のアストンマーティンにおけるフラッグシップクーペ&オープン(ヴォランテ)モデル。フロントに搭載される5.2LV12ツインターボエンジンは、725PSを発揮。伸びやかで美しいスタイリングながら、各所に空力への配慮も見られる。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高:4712×1968×1280mm●パワーユニット:5.2LV型12気筒ツインターボエンジン●最高出力:725PS/6500rpm●駆動方式:FR●最高速度:340km/h

 

<This is SUPER!>

オープンでも美しさを追求

「ヴォランテ」と呼ばれるオープンモデルも設定。屋根を開けた状態でも美を追求するアストンマーティンらしい、スキのないデザインだ。

 

洗練されたインテリアデザイン

インテリアは英国車らしいしつらえで、高級感とスポーティさが同居している。「DB11」とは細かな部分が異なるデザインになっている。

 

<永福’s Check>

アストンマーティンはどのモデルもデザインが似ていて見分けが難しいが、どれも現代的で美しい。スペック的に現在最もスーパーなモデルがDBSで、725馬力のV12ターボには驚愕だ。

 

英国の名門ブランドは美麗なスタイルが信条

アストンマーティンと言えばボンドカー。ジェームズ・ボンドの故国・イギリスが生んだ超名門ブランドだ。一時は長い低迷期にあったが、フォード傘下入りをきっかけに経営の近代化に成功。その後オーナー企業は次々と変わったが、工場の刷新や最新技術の導入などによって、スーパーカーブランドとして完全に蘇った。

 

同ブランド最大の武器はデザインにある。洗練の極致にある美しいクーペボディは、フェラーリのようなハデさを嫌う、静かなる富裕層の支持を得ている。

 

もちろんパフォーマンスも素晴らしいが、それよりも度肝を抜かれるのは、インテリアのエレガントさだ。フェラーリが新興成金なら、アストンマーティンは貴族。あくまで上品に上質に、しつらえで勝負する。アストンマーティンに乗った後でフェラーリを見ると、どこかオモチャ的に見えてしまうから不思議である。

 

[OTHER MODEL]

大きなボディに大出力エンジンを搭載

DB11

2363万円〜2770万円

DBSスーパーレッジェーラとベース車体を共有する大型クーペ&オープン(ヴォランテ)モデルで、V8&V12エンジンを搭載する。アグレッシブな外観のハイパフォーマンスグレード「AMR」も設定される。

 

軽快に走るピュアスポーツモデル

ヴァンテージ

1913万円〜2159万円

同社ではエントリーモデル的な位置付けのクーペ&オープン(ロードスター)モデル。4.0LV8ツインターボエンジンをフロントに搭載し、リアタイヤを駆動する。クーペモデルにはMTの設定もある。

 

【SUPER CAR 10】McLaren[マクラーレン]

F1のコンストラクターとして有名なマクラーレンだが、2009年以降、本格的にロードカー部門を設立。F1の最新技術を搭載したスーパーカーを送り出している。

 

スーパーカーを熟知したメーカーが放つ快速GT

マクラーレン

GT

2645万円

従来の「スポーツ」や「スーパー」シリーズとは異なる、新ラインとして誕生したグランドツーリングカー。高い走行性能を備えつつ、長い道中も快適に乗り続けられるよう設計され、ゴルフバッグが積載可能な広いトランクや、段差を乗り越えるための車高調整機能などを備えている。

SPEC●全長×全幅×全高:4683×2095×1213mm●パワーユニット:4.0LV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力:620PS/7500rpm●駆動方式:MR●最高速度:326km/h

 

<This is SUPER!>

走らせるための場所はシンプル

インテリアはいたってシンプルで華美な装飾などは見られない。装備類も必要最小限でまとめられており、これは、ただ「走ること」を目的に開発されたマクラーレンのモデルに一貫している。

 

スーパーカーメーカーの自負

ドアは上方へ開く「ディヘドラルドア」を採用。マクラーレンでは全モデルに同タイプのドアが採用され、この機構こそ多くの人から注目されるべき「スーパーカー」であると自負している。

 

<永福’s Check>

クルマでツーリング(旅)に出るためには、荷物を積む必要がある。そこで同車では、ピュアスポーツの720Sをベースとしながら、エンジンの上にまでラゲージ(荷室)が設けられている。

 

約10年の間に数多くのモデルをラインナップ

マクラーレンもフェラーリ同様、F1レースを戦うためのレーシングチームだ。かつて常勝を誇った「マクラーレン・ホンダ」や、それに乗って戦ったアイルトン・セナの名前を知らない者はいないだろう。

 

フェラーリは誕生直後に市販車の生産を始めたが、マクラーレンが本格的に市販車の生産に乗り出したのは、いまからわずか11年前だ。にもかかわらず、早くもスーパーカーの世界で確固たる地位を築いている。スーパーカーの世界では、レースでの実績がブランド力に及ぼす影響は大きいのである。

 

マクラーレンのクルマ作りは、基本的にレーシングカー作りである。つまり、何よりも速さが重要。速く走るために何が必要かを突き詰めているため、レーサーからの評価が非常に高い。

 

ただし、一般ユーザーの要望は、必ずしも速さ第一ではない。マクラーレンはわずか11年間でそのことを賢く学び、サーキット専用の限定モデルをリリースしつつ、一般的なモデルを「スーパーシリーズ(速さ重視)」と「スポーツシリーズ(快適性重視)」に分け、拡充を図ってきた。

 

昨年はそこに、「グランドツアラー(GT)」も加わって、モデル数はさらに増えた。今後も、他メーカーより早い間隔でニューモデルをリリースしていくに違いない。

 

[OTHER MODEL]

十分スーパーなエントリーモデル

540C

2454万円

「スポーツ」シリーズのなかでもエントリーモデルに位置するスポーツクーペ。エントリーモデルとは言いつつも、最高速度は320km/hで、上方へ開くディヘラルドアも採用されており、しっかりスーパーカーらしさを備えている。

 

ツーリングも得意なスポーツモデル

570GT

2862万円

「スポーツ」シリーズに属するモデルで、今年デビューした「GT」的な性格を持つハッチバック。570Sとほぼ同等のスポーティな走行性能を備えていながら、シート後方には荷物の収納場所がしっかり確保されている。

 

スポーツシリーズのスポーツ仕様

570S

2721万円〜2952万円

エントリーレンジである「スポーツ」シリーズのスタンダードモデル。570PSを発揮する3.8LV8ツインターボエンジンをミッドシップ搭載する。オープンモデルの「スパイダー」もラインナップされている。最高速度は328km/h。

 

動力性能を高めた「スポーツ」モデル

600LT

3055万円〜3286万円

「スポーツ」シリーズのトップエンドモデル。570Sをベースとしながら、軽量化やエンジンの強化が図られ、スポーツ性能を高めている。クーペモデルに加えて、電動ハードトップを備えたオープンモデルの「スパイダー」もラインナップ。

 

独特のスタイルを持つスーパースポーツ

720S

3461万円〜3858万円

「スーパー」シリーズに属するモデルで、全体的にエッジの効いた、どのライバルにも似ていないスタイリング。ヘッドライトとエアインテークがまとまった近未来的なフロントデザインも特徴的だ。オープンモデル「スパイダー」も設定。

 

【SUPER CAR 11】LOTUS[ロータス]

エランやヨーロッパなど、小型スポーツの開発を得意としてきた英国ブランド。現在はエリーゼ、エキシージ、エヴォーラなどを販売する。

 

得意の運動性能が磨かれたGTスポーツ

ロータス

エヴォーラ

1397万〜1536万7000円

同社らしからぬ豪華さを備えた4人乗りクーペで、オール新設計でデビューしてから約10年販売されているロングセラーモデル。エンジンはトヨタ製の3.5LV6がミッドシップ搭載される。「GT410」は走行性能を高めた最新グレード。

SPEC【GT410】●全長×全幅×全高:4390×1850×1240mm●3.5LV型6気筒スーパーチャージャーエンジン●最高出力:416PS/7000rpm●駆動方式:MR●最高速度:305km/h(MT)

 

<This is SUPER!>

必要最小限のゴージャスさ

皮張りながらストイックな雰囲気のインテリア。内外装をコーディネイトするカラーパッケージも設定。

 

<永福’s Check>

トヨタ製V6エンジンは決してスポーティではないが、それにスーパーチャージャーを追加した。操縦性はロータスらしく秀逸。

 

レースから市販車販売へ小型スーパーカーで成功

ロータスはもともとレーシングカーメーカー。創業者のコーリン・チャップマンの独創的なアイデアによって、レースで奇跡的な好成績を残してきた。

 

市販車に関しては、優れたシャーシ(車体骨格)を設計し、そこに他社のエンジンを積むのが伝統だ。現在は、トヨタが製造したエンジンを独自にチューニングして搭載している。

 

また、軽い車体に小さなエンジンを積み、操縦性で大パワーのスーパーカーを打ち負かすのもまた伝統である。パワーではなく「技」で勝つ。それがロータスの真骨頂なのだ。

 

[OTHER MODEL]

公道向けのレースカー

エキシージ

990万円〜1760万円

同社の最小モデル「エリーゼ」をベースに軽量化し、レース用パーツが装着された。ハードなチューニングが施されたレース仕様のスポーツクーペだ。

 

【SUPER CAR 12】HONDA[ホンダ]

「フェラーリに影響を与えた初めての国産スーパーカー」と言われた初代の登場は1990年。30年が経ち、現行型はハイブリッドカーに。

 

日本初のスーパーカーはハイブリッドで走りを強化

ホンダ

NSX 2420万円

デビューから4年が経過した国産スーパースポーツカー。3.5LV6エンジンに3基のモーターを組み合わせた「SPORT HYBRID SH-AWD」が搭載される。2018年に、サスペンションや各種電子制御の見直しが図られた。

SPEC●全長×全幅×全高:4490×1940×1215mm●3.5LV型6気筒ツインターボエンジン+モーター●エンジン最高出力:507PS/6500〜7500rpm●駆動方式:4WD

 

<This is SUPER!>

ボディ後方が盛り上がるスーパーカーらしい形状

ミッドシップモデルらしいエレガントなサイドシルエット。カーボンパーツも各所に使用される。

 

2種類のパワーソースを協調制御して走行する

エンジンに加えて3基のモーターをパワーユニットとして使用することで、出力特性をさらに強化。

 

<永福’s Check>

アメリカホンダ主導で開発されたため、スタイリングにアメリカ人の好みが濃厚に反映されている。初代モデルと違いオリジナリティには欠ける。

 

挑戦的な社風は変わらず、いまもNSXは世界に挑む

創業者の本田宗一郎氏は、まだ四輪車を作り始めたばかりの時期に、いきなりF1に参戦した。そんなチャレンジングな歴史を持つからこそ、同社は軽自動車からスタートしながら、スーパーカーにまで手を伸ばしたのである。

 

ただ、ホンダは量産大衆車メーカー。スーパーカーのようなブランドビジネスのノウハウはなく、初代NSXは歴史に名を残しつつ苦戦した。しかし現在、そのNSXの2代目が登場している。しかも革新的ハイブリッドスーパーカーである。その意気や善し。称賛しないわけにはいかない。

 

【SUPER CAR 13】NISSAN[日産]

いまも「技術の日産」と言われる同社が、威信をかけて開発を続けてきた。国産最強スポーツカーは、世界のライバルと肩を並べる存在に成長した。

 

スーパーカーとしては独創的な形と実用性の高さ

日産

GT-R

1082万8400円〜2420万円

スカイラインの派生車だった従来モデルから、単独車種「GT-R」として2007年に誕生。フロントのボディ中央寄りに搭載された3.8LV6ツインターボエンジンのパワーを、日産独自の4WDシステム「アテーサET-S」でしっかりと路面へ伝える。

SPEC【NISMO】●全長×全幅×全高:4690×1895×1370mm●パワーユニット:3.8LV型6気筒ツインターボエンジン●最高出力:600PS/6800rpm●駆動方式:4WD●最高速度:非公表

 

<This is SUPER!>運転に集中できるドライバー中心の設計

「スカイライン」時代のイメージを色濃く残すインパネデザイン。目的別に区分けされ、操作性は抜群だ。

 

長い年月の間に多くの特別仕様を設定

特別仕様車も数多く設定されてきたが、「GT-R50 by イタルデザイン」は1億円超えの値が付けられた。

 

<永福’s Check>

2020年モデルの登場で、その走行性能は完成の極みに達し、すさまじい速さと快適性を両立することに成功した。まもなく消滅するのが実に惜しい。

 

日産が追求してきた独自のスーパーカーの形

日産GT-Rは日本の宝。現代の戦艦大和である。ルーツはスカイラインGT-Rにあり、歴史をたどれば60年代にまでさかのぼる。そこには、日産が国産メーカーとして、海外勢と果敢に戦ってきた歴史がある。

 

そして現在のGT-Rは、13年前、スーパーカーに肩を並べる性能を引っ提げて登場した。現在でも欧州製スーパーカーへのレジスタンスとして、全世界で根強い人気を誇っている。

 

ただ、そのGT-Rも、規制の波に揉まれて2年後には消滅する。次期GT-Rの登場を祈ろう。

 

【SUPER CAR 14】LEXUS[レクサス]

国産メーカーで唯一国内展開をしている高級ブランド「レクサス」のフラッグシップスポーツカーがLC。価格やスタイリングはスーパーカー級だ。

 

2種類のパワーユニットを設定するハイパワークーペ

レクサス

LC

1350万円〜1500万円

レクサスのラグジュアリー性を体現する2ドアクーペ。5.0LV8エンジンと、3.5LV6エンジンベースのハイブリッドシステム、2種類のパワーユニットを設定する。オープンモデルの「コンバーチブル」も追加された。

SPEC【LC500】●全長×全幅×全高:4770×1920×1345mm●パワーユニット:5.0LV型8気筒エンジン●最高出力:477PS/7100rpm●駆動方式:FR●最高速度:非公表

 

<This is SUPER!>

オープン仕様の追加でさらに選択肢を広げる

今年6月にコンバーチブルモデルを追加。フルオープン状態ではソフトトップが完全収納される。

 

10速ATで滑らかな走行フィーリングを実現

フロントに搭載される5.0LV8エンジンには10速ATが組み合わされ、スムーズな加速を実現する。

 

<永福’s Check>

V8エンジンのフィーリングはすばらしい。車体の重さもあってスーパーカーとしての性能は低めだが、実用性は抜群だ。

 

ブランドのイメージをリードするスポーツモデル

レクサスはトヨタの高級車ブランド。一口に高級車ブランドと言うが、大衆メーカーからのし上がってそれを成立させるのはウルトラ難しい。しかしトヨタは成功した。あっぱれである。

 

高級ブランドには、高級スポーツモデルの存在が欠かせない。そこでトヨタは、レクサスブランドでLF-Aを開発したが、500台限定にとどまった。その後登場したLCは、メルセデスでいえばSLやSクラスクーペのような存在。性能はスーパーではないが、手軽なスーパーカー的モデルとして、富裕層に受け入れられている。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】

Amazonが初めて出した車用のアレクサ「Amazon Echo Auto」、その実力を本音レビュー

Amazonは9月30日、車内用「Amazon Echo Auto(以下:Echo Auto)」の発表会をオンラインにて開催しました。そこでは、騒音の多い車内で入力した音声を認識する工夫や今後の機能強化などについて具体的な利用シーンを交えて紹介されました。 ここではEcho Autoとはどんなものなのか、その姿に迫ります。

 

どんなクルマも運転席から声で操作できるようになる

Amazon Echoはすでに家庭用向けに発売されていますが、Echo Autoはその車載版として初めて登場しました。スマートフォンとEcho Autoがワイヤレスで連携し、スマホを介してEcho Autoがインターネットにアクセスする仕組みです。これにより「アレクサ」と呼びかければ、運転中であってもユーザーのリクエストに応えてくれるのです。

↑9月30日より日本でも発売となった「Amazon Echo Auto」。4980円(税込)

 

↑スマートフォンのAlexaアプリを介してAlexaと対話。Alexaの応答や音楽は車のスピーカーから聞こえます。写真はEcho Autoの設定画面を示したスマートフォンとEcho Auto

 

発表会でアマゾンジャパンのAlexaインターナショナル ゼネラルマネージャー大木 聡氏は、「TVドラマや映画の『スタートレック』をイメージしていただくのがベスト。私たちはこのスタートレックをインスパイアしてAmazon Echoを開発した」と説明。スタートレックでは宇宙船のクルーが宇宙船エンタープライズと自然言語でやり取りをしますが、「この世界観こそがAmazon Echoで実現したいところだった」(大木氏)と述べました。

↑発表会でEcho Autoの説明を行ったアマゾンジャパンのAlexaインターナショナルゼネラルマネージャー大木 聡氏

 

また、これを実現するにあたって重要な技術要素についても紹介してくれました。それが8つのマイクアレイの搭載です。大木氏は「このマイクはビームフォーミングと呼ばれる技術を実現するために搭載したが、ここには他にも学習を重ねることで近くにある声と遠くにある声を区別できる機能も実装した」ということです。これがノイズが多い車内でも認識率を高めることにつながったのですね。

↑Amazon Echo Auto本体の仕様。上面には8つのマイクをビルトインし、この装備が認識率を高めている

 

続いて、家庭用アレクサを使った利用例を説明した後、いよいよEcho Autoについての具体的な説明となりました。そこではビジネスシーンやファミリーでのEcho Autoの利用シーンを紹介するイメージビデオが披露され、アレクサが車内においても自然言語を理解して応えるシーンが紹介されました。挨拶に対して反応する様子をはじめ、音楽を楽しみ、スケジュールを確認し、さらに目的地付近の天気予報をチェックしたりする様子がすべて音声でやり取りできるので、運転中でも安全に操作できるのです。

↑ビジネスシーンでの用途を説明するビデオの一コマ

 

↑週末の家族でのドライブで利用するシーンも紹介された

 

Amazon Echo Auto ビジネス編

 

Amazon Echo Auto ファミリー編

 

大木氏はこのビデオから「2030年以降は車内でのインターフェイスが間違いなく音声が主役となっている」と説明。家庭で使ったアレクサの便利さが車内でもそのまま使えることのメリットを強調しました。

 

ただ、最後のQ&Aでは、米国では実現しているガソリンスタンドでの支払いなどの機能が日本仕様では非搭載であることも明かし、今後は日本も含め、最終的にはグローバルで同じ機能を持たせられるようにしたいと述べました。

 

また、アレクサは常にユーザーのそばに存在し、いつでもリクエストに応えられることがベースとなるとも。それは家の中だけでなく車内であっても同じ環境で使えることが理想であり、その実現に向けて最適化していくということです。

 

車載環境で実現することの難しさはあるものの、ウェイクワードの便利さについてはBMWやセレンスなどからも賛同を獲得。今はその普及に向けてアライアンス「Voice Interoperability Initiative」を結成したことも紹介されました。

↑多くのカーオーディオでもアレクサとの連携機能が搭載されるようになった

 

↑アレクサは今後発売される予定の日産「アリア」にも採用が決まっている

 

装着方法は簡単! やはり音声操作は快適だった

さて、今回発表されたEcho Autoを実際に購入して使ってみました。本体サイズはW85×D47×H13.28mmと手の中にも収まりそうなコンパクトさ。想像以上に小さくコンパクトです。本体上部には8つのマイクをビルトインされていることも分かりました。

↑Echo Autoのパッケージ

 

↑Echo Autoのパッケージに含まれたパーツ。右下がエアベントマウント。左下のシガーライターアダプターはUSB2端子が備わる

 

使い方はカーオーディオとBluetoothやミニステレオピンジャック経由で接続することから始まります。接続方法はスマホアプリで表示されるので手順に従っていけばOK。Bluetoothの接続も難しくはありません。およそ5分ほどで接続は完了しました。その簡単さは拍子抜けするほどです。

↑接続設定はスマートフォンのアレクサアプリを使って行う。セットアップするデバイスから「Amazon Echo」を選び、続いて「Echo Auto」を選んでいく。Echo Autoの取り付け方も選択しておく

 

本体への給電はUSB端子から行うものとし、それに活用するUSB端子付きシガーライターアダプターを付属しています。また、クルマへの取り付けは付属のエアベントマウントを使うか、エアベントへの取り付けが難しい場合はダッシュボード上などに直接貼り付けて利用することになります。今回は軽乗用車であるダイハツ・ムーヴに取り付けてみましたが、エアコンのエアベントへの取り付けは叶わず、後者の取り付け方法となりました。

↑ダイハツ・ムーヴにはダッシュボードの上に直付けして取り付けた。軽いので両面テープで十分固定できる

 

↑付属のエアベントマウントを使って取り付けた例。ルーバーが太めだと付かないことが多いようだ

 

試用感は想像以上に快適でした。基本的には大木氏の説明通り、家庭用のアレクサと同等の対応となりますが、音声で操作することの快適さが際立つのです。音楽を聴きたい時は「アレクサ、○○の曲かけて」と言えば、それだけでAmazon Musicから対象が絞り込まれて再生されます。スケジュールはあらかじめGoogleカレンダーなどとの連携が必要になりますが、「明日の予定は?」と呼びかけるだけです。つい、何ができるかいろいろと試してみたくなります。

↑アレクサは4つのカテゴリーで人々を便利にする

 

大木氏によれば「現段階では家庭で利用していたアレクサをそのまま車内へ持ち込んだフェーズに過ぎない。ユーザーの希望に応じて機能の拡張を果たしていく」と説明。つまり、今回のEcho Autoはアレクサを活用する第一歩に過ぎないと言うわけなのです。それはたとえばカーオーディオに限らず、クルマのキーの開閉やエンジンの始動といったことも可能になっていく可能性も十分考えられます。米国でも圧倒的支持を得ているアレクサだけに、今後の発展に向けて大いに期待したいところです。

 

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令和時代の速いだけではなくテクノロジーも超絶モノスゴい!【スーパーカー名鑑】(前編)

その名のとおり、“スーパー”なスタイリングや動力性能を備えるスーパーカーは、クルマ好きたちの心を魅了し、憧れの対象として存在している。最新技術を搭載し、芸術品のようなデザインをまとった、現代の最新スーパーカーを見ていこう。

※こちらの記事は「GetNavi」 2020年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

#ハイパワー

#スタイリッシュ

#1000万円オーバー

#2ドアクーペ&オープン

#スポーティ

#限定車ではない

 

解説&採点

自動車評論家

永福ランプ(清水草一)

スーパーカーは人類の夢である!
本誌連載のほか、様々な媒体で活躍中のベテラン評論家。これまでに購入した49台のクルマのなかには、フェラーリやランボルギーニも含まれ、オーナーならではのリアルな意見を持つ。

 

勲章かファッションか? 現代のスーパーカー事情

スーパーカーとは、「他人より圧倒的に速く走りたい」という幻想を物体化したものだ。

 

人類誕生以来、より多くの獲物を得るために、高速移動は最大級の力だった。最初は足の速い者が勝ち、続いて馬などの動物に乗る者が勝ち、それが自動車となった。その自動車において、物理的にも視覚的にも飛び抜けた速さを実現してくれるであろう乗り物。それがスーパーカーなのである。

 

しかし現在、人類のスピードへの情熱は急激に冷めている。これ以上速く走っても何の意味もないことが明白になったからだ。

 

現在のスーパーカーは、それがかつて与えてくれた獲物の幻想を振りまくための、単なる勲章に近づいているが、なぜか需要は、年を追うごとに増加している。

 

かつてスーパーカーは、イタリア人にしか作れないと言われ、イタリアの独占産業だったが、グローバル化の波はここでも例外ではなく、ドイツ人もイギリス人もそして日本人も、スーパーカーの開発に乗り出している。スーパーカーは、買う者だけでなく作る者にも、大きな勲章をもたらしてくれるからだ。

 

ところで、現代のスーパーカーは、本当に単なる勲章、あるいはファッションなのか。

 

否である。

 

乗ってみればわかるはずだ。スーパーカーがやはり人類の夢であることを。他人より速く走れるという事実が、それがたとえ可能性に過ぎなくても、本能的な快楽をもたらしてくれることを。スピードというものは、現実ではなく可能性というだけでも、麻薬的な快感なのだ。

 

ただ、スーパーカーは、基本的には見て楽しむものだと考えている。スーパーカーは、買うには高価すぎても、見るだけでも楽しめるように作られている。だからこそスーパーカーなのだ。

 

いまもイベントには多数の入場者が!

↑清水氏主催の「大乗フェラーリミーティング」には、オーナーだけでなく、毎年大勢のスーパーカーファンが集結する

 

【SUPER CAR 01】Ferrari[フェラーリ]

「レースのため」に生まれたスーパーカーブランドは、いまも世界の注目の的。ファンの欲望を満たすためにラインナップは増えたが、根幹にあるものは揺るがない。

 

歴代V8モデルへの敬意が込められた傑作

フェラーリ

F8トリブート

3305万円

488GTBの後継車にして、8気筒ミッドシップシリーズの最新モデル。車名は過去のV8モデルへの敬意を表し、様々な意匠も受け継いでいる。2019年に日本導入が始まったばかりで、まだ公道で見られる機会はほとんどないが、スパイダーモデルもすでにスタンバイ中だ。

SPEC●全長×全幅×全高:4611×1979×1206mm●パワーユニット:3.9LV8ターボエンジン●最高出力:720PS/8000rpm●駆動方式:MR●最高速度:340km/h

 

<This is SUPER!>

華麗で開放的なオープンモデル

「F8トリブート」のオープンバージョンとして、約半年遅れで2019年9月に発表されたのが「F8スパイダー」。各種性能はクーペと同等で、電動リトラクタブルハードトップが搭載される。

 

エレクトロニクスと伝統が融合した形

F1レベルで空力性能が追求されたデザインは、フェラーリ社内のデザインチームによるもの。かつてのV8シリーズに搭載されていた、リアの丸型4灯式ランプが採用されている。

 

強化された心臓をボディ中央に搭載

ミッド(車体中央)に搭載されるV型8気筒ターボエンジンは、伝統の赤いヘッドカバーを装着し、先代モデルの488より強力な、最高出力720PS、最大トルク770Nmを発揮。ターボながら息継ぎを感じさせないスムーズな加速を実現する。

 

<永福’s Check>

458イタリアをベースに、V8エンジンをターボ化したのが488GTBだが、それをさらに進化させた。デザインは空気力学に基づいたもので、とてつもない速さと操作性を両立させている。

 

F1を戦うメーカーの主役はミッドシップ

フェラーリはクルマの女王。スーパーカー界の頂点に君臨する太陽神である。

 

そのルーツはレースにあり、簡単に言えば、「F1を戦うためのレーシングチームが、資金稼ぎのために市販車も作り始めた」というのが発端だ。市販車をPRするためにレースに参戦している一般的な自動車メーカーとは、そもそも立脚点が違う。だからこそ、世界中から段違いの尊敬を集めているのである。

 

そんなフェラーリも、現在は近代的なビジネスモデルを導入。プレミアム性を維持しつつ販売の拡大を図ったことで、生産台数は年間1万台を超えた。これは、20年前の2倍以上だ。

 

販売台数拡大のため、ラインナップも充実させている。かつては12気筒と8気筒、大小2モデルというのが定番だったが、現在は6モデル(+限定モデル)。なかでもポルトフィーノとローマは、気軽に乗れるFR(フロントエンジン・リアドライブ)の2+2オープン&クーペで、「富裕層の奥様のお買い物用フェラーリ」とも言われる。

 

が、フェラーリの魂はあくまでレースにある。つまり本当の本気モデルは、エンジンを車体中央(運転席の後方)に置く、2人乗りのミッドシップモデルのみ。現行車でいえば、F8トリブートこそ正統な姿だ。

 

[OTHER MODEL]

従来モデルのハイスペック版

488ピスタ

4012万円

2018年に発表された488のハイパフォーマンスバージョン。各所にカーボンパーツを採用して大幅に軽量化されたほか、出力の向上や、空力性能の見直しなども図られ、走りのダイナミックさがレーシングカーレベルにまで引き上げられている。

 

快適なグランドツーリングモデル

ポルトフィーノ

2576万円

3.9LV8ターボエンジンをフロントに搭載した4シーターオープンモデル。電動開閉機能を持つハードトップを備え、排気音を変化させることも可能で、スポーティなクーペの走りと優雅なオープンカーの走りをどちらも楽しめる。

 

最高の性能を備えたフラッグシップ

812スーパーファスト

3910万円

現在のフェラーリの量産車におけるフラッグシップモデルで、最高出力800PSを誇る6.5LV型12気筒エンジンを搭載する。電動パワステや車体電子制御システムなど、数多くのハイテクデバイスも採用され、圧倒的な走行性能を実現している。

 

COMING SOON…

古都の名を冠された美麗クーペ「ローマ」誕生!

2020年に日本で発表されたばかりのフェラーリ最新モデル。フェラーリらしいハイパフォーマンス性能を備えながら、エレガントなデザインが採用された4人乗りクーペモデルで、1950〜60年代のローマで見られた世界観を現代的に造形化した。2021年以降の納車が予定されている。

 

【SUPER CAR 02】Lamborghini[ランボルギーニ]

名車「カウンタック」を生み出した、知名度ナンバーワンブランド。現在V12エンジンとV10エンジンの2車種をラインナップする。

 

後輪駆動も選べるV10モデル

ランボルギーニ

ウラカン

2653万9635円〜3611万362円

現代のランボルギーニでは4WDモデルが主流だが、「RWD」と銘打たれた最新シリーズは後輪駆動。上はオープンモデルの「RWD スパイダー」で、クーペと同じ最高出力610PSを発揮する5.2LV10エンジンが搭載されている。

SPEC【RWD スパイダー】●全長×全幅×全高:4520×1933×1165mm●パワーユニット:5.2LV10エンジン●640hp/8000rpm●駆動方式:MR●最高速度:325km/h

 

<This is SUPER!>

後輪駆動仕様の追加で、より軽快な走りを実現

クーペの後輪駆動モデル「ウラカンEVO RWD」。4WDモデルとは異なる外観デザインが施されている。

 

<永福’s Check>

V10エンジンを積むランボルギーニの「小さいほう」だが、トータルの性能ではアヴェンタドールをしのぐピュアスポーツだ。

 

スーパーカーの王様はビジネス的にも大成功

ランボルギーニはスーパーカーの王様。スーパーカー=ランボルギーニと言ってもいい。創業者は、所有していたフェラーリへの不満から自分自身でスーパーカーを作ってやろうと考え、フェラーリからも多くの技術者を引き抜いて、それを実現したというから驚きだ。

 

現在、スーパーSUV「ウルス」が絶好調で、販売台数でもフェラーリに迫っているが、まもなくアヴェンタドールもフルチェンジし、ハイブリッドスーパーカーに生まれ変わる。もはやスーパーカーも、ハイブリッドでないと生き残れない時代はすぐそこまで来ている。

 

[OTHER MODEL]

不動の人気を誇る名車の現代版

アヴェンタドール

5033万3653円〜6285万7448円

カウンタックの系譜を受け継ぐフラッグシップモデルで、V12エンジンが搭載されている。「S」と「SVJ」、それぞれにクーペとオープンモデルが設定される。

 

【SUPER CAR 03】MASERATI[マセラティ]

エレガントな雰囲気を持つラグジュアリーブランド。グラントゥーリズモの生産は終了し、注目はプロトタイプが公開された次期型に集まる。

 

新型スーパースポーツの最新イメージ!

↑次期型グラントゥーリズモとされる「MC20」のティーザー写真が公開された。「MC」は「マセラティ コルセ」、「20」は「2020年」の意味だ

 

すでに一部発表された新型スーパーモデルの姿

フェラーリやランボルギーニとは趣の異なる、気品あふれるイタリアの伝統的ブランドとして高い人気を誇るのがマセラティだ。現在は、イタリア最大の自動車会社であるフィアットの傘下としてFCAグループに属している。

 

同社のスーパーカーといえば、2ドアクーペ&オープンのグラントゥーリズモだが、昨年末で生産終了。現在、日本では在庫のみの販売となっている。

 

気になる次期型モデルに関して、マセラティは今春、今年9月の正式発表が予定されている新型スーパースポーツカー「MC20」の写真(上)を一部公開した。

 

プロトタイプということでカムフラージュが貼り付けられており、デザインは判別しづらいが、エアインテーク(空気取入口)がドア後方に位置することなどから、ミッドシップである可能性が高い。そうなれば、さらに一段階上のスポーツ性能も期待される。

 

新規オーダーはすでに終了

2007年の発表以来、世界中で販売されてきたグラントゥーリズモだが、すでに日本ではオーダーストップとなっている。

 

最後の1台はオークションで

最後の特別限定車「グランフィナーレ」。購入はオークション制で入札された。

 

【SUPER CAR 04】CHEVROLET[シボレー]

アメリカで生まれたスポーツカーは、ハイパワーやビッグボディを特徴とする。長い歴史を持つシボレーのハイパフォーマンスモデル、コルベットはその代表格だ。

 

看板車種のミッドシップ化は、同社の歴史を揺るがす大革命

シボレー

コルベット

1180万円〜1400万円(予定)

世界最大の自動車メーカー「GM」のサブブランド「シボレー」が送り出すスーパースポーツカー。新型は8代目となり、歴代モデルで初めてエンジンをミッドシップ搭載。1月の東京オートサロンで実車が日本初公開され、予約受付が開始された。

SPEC●全長×全幅×全高:4630×1934×1234mm●パワーユニット:6.2LV8エンジン●最高出力:495PS/6450rpm●駆動方式:MR●最高速度:非公表

 

<This is SUPER!>

トレンドに沿った「見えるエンジン」

新型に合わせて新開発された6.2LV型8気筒エンジンは、リアウインドウ越しに眺めることができる。パフォーマンス向上のため、従来のフロントではなく車体後方に搭載されることに。

 

伝統を大切にして従来ファンも納得

2代目モデルからずっと引き継いできたリアの4灯ライトは新型でも採用。リアデザインも迫力が増している。

 

気持ちを高揚させるコックピット的配置

ドライバーを包み込むコックピットのようなインテリアのデザイン。従来モデルのイメージが引き継がれている。

 

実用性を疎かにしないアメ車らしい合理的設計

エンジンをミッドマウント化するも、ボディ後端にはトランクを設置。写真で見る限りゴルフバッグも収納可能だ。

 

<永福’s Check>

新型コルベットは、ミッドシップとされたことで、見た目も性能もまるでフェラーリのようになったが、価格は1180万円からと、フェラーリの半額以下。そう考えると超お買い得である。

 

伝統を守りながら革新的な変化を実践

シボレーはアメリカでは「シェビー」と呼ばれ、広く親しまれているGMの一ブランドだが、アメリカ唯一のスーパーカーともいうべきコルベットを持つ、特別なブランドでもある。

 

コルベットは、アメリカの魂を守るべく、フロントに積まれたローテクなOHV大排気量エンジンにV8重低音を奏でさせて、後輪を駆動するのがお約束だった。

 

ところが今年発表された新型は、欧州のスーパーカー同様、エンジンを車体中央(運転席後方)に置くミッドシップに大変身。ボディ形状がフェラーリのようになり、速さでもフェラーリやランボルギーニとガチで戦う準備を整えた。

 

ただしエンジンは、相変わらずローテクなOHV。「デロデロデロ〜」というアメリカンV8サウンドをキープしている。守るべき伝統を持つことは、スーパーカーにとって必須事項なのである。

 

【SUPER CAR 05】PORSCHE[ポルシェ]

伝統を守りつつ最新モデルをアップデートし続けるドイツの雄。緻密なスポーツマシンでありながら、実用性の高さも備え、いつの時代もトップクラスの人気を誇る。

 

伝統を守りつつ前進し続ける、高精度なジャーマンスポーツ

ポルシェ

911

1398万円〜3180万円

ポルシェの代名詞的なモデル「911」は、丸型ライトやボディ後方に搭載される水平対向エンジンなどの特徴を受け継いできた普遍的なスポーツクーペ。ハイパフォーマンスグレード「ターボS」(上写真)は、今春から予約受注が開始された。

SPEC【ターボS】●全長×全幅×全高:4535×1900×1303mm●パワーユニット:3.8L水平対向6気筒ツインターボエンジン●最高出力:650PS/6750rpm●駆動方式:RR●最高速度:330km/h

 

<This is SUPER!>

快適性が損なわれないオープンモデル

スポーツモデルとしてスタンダードなボディ形状である「クーペ」と「カブリオレ」に加え、乗員の上部分のルーフのみ電動開閉する「タルガ」もラインナップ。

 

RRの駆動方式と美麗なルーフライン

リアにエンジンを搭載し、リア駆動する「RR」は、911の伝統のひとつ。同時に、ボディ後端までなだらかなラインを描くリアスタイルも911の特徴となっている。

 

<永福’s Check>

圧倒的な動力性能とスーパーカーらしからぬ操縦性。911はいつの時代も911。パッと見、旧型と見分けるのすら難しいが、中身は確実に前進を続けている。それがポルシェ911の真髄なのだ。

 

スーパーカーらしからぬ実用性の高さを備える

ポルシェがスーパーカーであるか否かは、昔からマニアの間で議論されてきたが、現在では「911の上位&限定モデルは間違いなくスーパーカー」というあたりで決着を見た。

 

911がスーパーカーではないと言われる最大の理由は、そこそこの実用性を持っていることにある。狭いながらも後席があり、子どもや荷物を載せるのに便利。それでいて本格的な速さを持つ、究極の実用スポーツカーなのだ。

 

新型911はまだ出たばかりで、本物のスーパーカーと言えるグレードの登場はこれからだが、通常モデルでもその速さは間違いなくスペシャルだ。

 

なにしろポルシェには、妥協というものがない。作り込みの精度は、スーパーカーの本場・イタリアとはひと味違う。ポルシェはスーパーカーでなくても、ポルシェであればいいのである。それが長年多くのファンを虜にする理由だ。

 

[OTHER MODEL]

4気筒エンジンをミッドシップ搭載

718ケイマン

740万6668〜885万926円

911の弟分として2005年に誕生した2シータースポーツクーペが「ケイマン」。2016年に登場した現行型では「718」のサブネームが付く。4気筒ターボエンジンをミッドシップ搭載し、軽快な走りを堪能できる。

 

オープンドライブを満喫できる小型モデル

718ボクスター

780万3890〜924万8148円

ケイマンに先駆けて1996年にデビューしたのが、2シーターオープンモデルの「ボクスター」だ。現行型は4代目となり、ケイマン同様、「718」が付いた。オープンエアを堪能できる、軽量コンパクトなモデルだ。

 

【SUPER CAR 06】BMW[ビー・エム・ダブリュー]

ラグジュアリーブランドのなかで、最も“走り”のイメージが強いのがBMW。フラッグシップたる2ドアモデルは、スーパーカー級の走行性能を持つ。

 

気品あふれるラグジュアリーGT

BMW

8シリーズクーペ

1193万円〜2444万円

2018年に日本導入が開始された、同ブランドのフラッグシップクーペ&オープンモデル。ベースモデル登場後、ディーゼル搭載モデル、ハイパフォーマンスな「M」モデル、さらに今春には直列6気筒エンジン搭載モデルも追加されている。

SPEC【M850i xDriveクーペ】●全長×全幅×全高:4855×1900×1345mm●パワーユニット:4.4LV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力:530PS/5500rpm●駆動方式:4WD●最高速度:非公表

 

<This is SUPER!>

4人乗りで実用性も高く、快適なドライブも実現

後席には2人乗りシートを備える。快適なクルージングも可能で、他のスーパーカーとは一線を画す実用性の高さを誇る。

 

スポーティな走行性能とオープンの開放感を両立

クーペモデルに加え、オープントップを備えた「カブリオレ」もラインナップ。卓越した走行性能に加え、優雅さを備える。

 

<永福’s Check>

さすがにボディが大きくて重いので、ピュアスポーツカーではないが、最上位の「M8」は、スーパーカーと呼ぶにふさわしい。

 

近未来型ハイブリッドスポーツ

BMW

i8

2135万〜2276万円

近未来的なスタイルのボディに革新的なプラグ・イン・ハイブリッドシステムを搭載する、スーパーカーの未来像ともいえるクーペ&オープンモデル。モーターのみで30km以上の走行が可能。今春で生産が終了し、現在は在庫のみの販売。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高:4690×1940×1300mm●パワーユニット:1.5L直列3気筒エンジン+モーター●エンジン最高出力:231PS/5800rpm●駆動方式:4WD●最高速度:非公表

 

<This is SUPER!>

ドアの開閉だけでスーパーカー感抜群

BMWが「シザー・ドア」と呼ぶ左右のドアは、上方へ開くタイプ。ドア素材にはカーボン強化樹脂が採用されている。

 

オープン状態でも強烈なスタイリング

オープンモデルの「ロードスター」もラインナップ。シート後方の2つのエアダムが、効果的に空力調整する。

 

<永福’s Check>

3気筒の1.5Lと聞くと「えっ!?」となるが、モーターの出力が強力なのでかなり速い。デザインは今でもスーパーカーの頂点級だ。

 

未来を見据えた開発技術でスーパーモデルを生み出す

BMWをスーパーカーメーカーだと考える人は皆無だが、性能やデザインを見れば、スーパーカー級のモデルは存在する。

 

BMWとは、「バイエルンエンジン製造会社」の略で、昔からエンジンに命を懸けている。「シルキー6」と呼ばれる、絹のように滑らかな直列6気筒エンジンがその代表だが、BMWのV8ツインターボエンジンには荒々しいまでのパワー感があり、スーパーカーに十分肩を並べている。

 

一方では電動化にも力を入れており、効率を極めるべく3気筒エンジンの開発にも熱心だ。どこから見てもスーパーカー級にカッコいいi8は、3気筒エンジンを持つプラグ・イン・ハイブリッド車。時代に先駆けすぎたせいであまり売れなかったが、新しい提案だった。スーパーカーはある意味恐竜のような存在だが、BMWはそこで先を行っている。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】

【最速インプレ】車内が「Wi-Fi繋ぎ放題」になる「車載用Wi-Fiルーター」がカロッツェリアから登場。使い勝手は? どんな人に向いてる?

昨秋、カロッツェリアのフラッグシップ、サイバーナビの新機能は衝撃だった。NTTドコモの車両用通信サービス「docomo in Car Connect」に対応。定額でLTE通信が使い放題に。クルマの中で、YouTubeや映像系サブスクを観たり、PCを広げて仕事ができたりと、自宅やオフィスと変わらない空間を構築できるようになったのだ。

 

↑今夏、筆者もサイバーナビを使ってクルマからリモートワークをしてみた

 

特に、新型コロナウイルスの感染拡大を経た今春以降はクルマのあり方が激変。「おうち時間」ならぬ「くるま時間」を充実させるデバイスとして唯一無二の価値を提供しているプロダクトだ。

 

とはいえ、純正カーナビしか付けられない車両が、特に新車では増えているし、カーナビを新しく買い直すという選択肢がない人もいるはず。サイバーナビを導入するという敷居の高さはあったのだ。

 

そんな人がいることをカロッツェリアはしっかりと把握して、次の、そしてまたもや画期的な手を打ってきてくれた。それが今回紹介する車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」。発売前に触る機会を得られたので、ファーストインプレッションをお届けしていこう。

 

【今回紹介する商品】

カロッツェリア

車載用Wi-Fiルーター DCT-WR100D

12月発売予定

希望小売価格2万7500円(税込)

 

シガーソケットさえあれば、車内がWi-Fi使い放題に

まず概要をお伝えしていこう。本商品はサイバーナビ同様、「docomo in Car Connect」に対応したデバイス。タブレット菓子のケースほどの小さな本体をセンターコンソールやインパネ周辺に固定。付属の電源ケーブルをシガーソケットに挿す。そして開通設定をすると、その日からNTTドコモのLTE回線が使い放題になる。カーナビではなく、車載用のWi-Fiルーターなのだ。

 

対応車種はシガーソケットがある乗用車なら基本的にOK。新型車だろうが旧車だろうが、どんなクルマもWi-Fi機能を持たせることが可能だ。もちろん、カーナビにWi-Fi接続機能があるモデルの場合、カロッツェリア製品でなくても接続できる。

 

手順はギャラリー形式でまとめたが、機器類が苦手な人でも迷うことなく設定できる内容だった。

【手順ギャラリー(画像をタップすると閲覧できます】

 

さて、1点だけ。本商品、「車載用」を謳うだけあり、動作条件は理解しておく必要がある。下記にテキストと図でまとめてみた。

・走行中は無制限で回線を利用可能(青の部分)

・エンジンスタートから30分間までは回線を利用可能(水色の部分)

・停車後エンジンオンであれば、1時間までは回線利用可能(水色の部分)

・停車中の利用時間が経過するとエンジンオンでも利用不可(ピンク色の部分)

 

要は、走行中は無制限、停車中は一定の制限時間があるということ。実際の利用実態に即した内容にもなっている。

 

確かに、エンジンをスタートして目的地を設定したり、荷物を積み込んだりしても30分以内には出発するだろうし、PA/SAやコンビニで同乗者を乗せたままトイレ休憩や買い物をしても1時間以内には必ず出発する。不便を感じることはないはずだ。

 

スマホつなぎ放題だけじゃない魅力

さて、この車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」、実際にどんな使い方ができるのか。もちろん、スマホをWi-Fi接続して通信し放題、というのが筆頭に挙がるのだが、それだけではない。4点ほど試してみたので紹介していこう。ちなみに、様々なケースや場所で通信してみたが、NTTドコモのLTE回線のため、移動中でも通信はまったくストレスなく使えたというのを先にお伝えしておこう。

 

①HDMIケーブルでスマホの映像をナビやディスプレイオーディオに出力

HDMIケーブルが挿せるカーナビやディスプレイオーディオを持っている人にまず楽しんでもらいたいのがこの方法。スマホと本商品をWi-Fi接続し、HDMIケーブルでスマホとカーナビやディスプレイオーディオをつなぐ。これによって、Netflixなどの映像サブスクサービスをスマホ画面でなく大きな画面で楽しむことができる。また、AmazonのFire TV StickをナビやディスプレイオーディオとHDMI接続すれば、Amazonプライム・ビデオの映像を視聴可能だ。

 

個人的におすすめなのが、スマホとWi-Fi接続はしつつ、スマホとナビやディスプレイオーディオとはBluetoothで接続する方法(上写真)。この方法は映像こそ表示されないが、音はカーオーディオから出るので音はバッチリいい。

 

なぜこれがおすすめなのか? 最近は、オンラインライブなどのアーティストのライブ配信が増えている。多くのライブは生配信後、1週間程度はアーカイブ配信をしているので、配信当日は自宅でしっかりと観て聴く、その後1週間は余韻に浸りながらドライブ中に音を聴くといった楽しみ方ができるのだ。

 

というのは今風の楽しみ方であるが、「運転中は画面が見られないから映像はいらないんだけど、動画の音はいい音で聴きたいんだよね」という人にジャストの使い方と言えるだろう。

 

②後席でもエンタメ映像や音楽を楽しむ

スマホやFire TV StickをHDMI接続して映像サービスを楽しめることは①で説明したが、これは前席だけの特権ではない。後席にプライベートモニターやフリップダウンモニターを設置すれば、後席でも様々なエンタメソースを視聴可能だ。渋滞で同乗者や子どもたちが退屈しても安心というやつである。

 

なお、プライベートモニター自体にもHDMIケーブル端子が用意されているので、スマホやFire TV Stickを接続すれば、後席で単独で映像を楽しむことも可能。飛行機のモニターのように自分の好きなコンテンツで時間を過ごせるのだ。

 

昨今のアウトドア&キャンプがブームになっており、クルマで移動する時間が長くなっていると感じる。そして、withコロナの時代においては安心・安全の観点からクルマ移動が重視されていくはずで、乗車時間は長くなっていくと予想している。そんなときにクルマに乗っている時間も有効活用したいという人にはうってつけだ。

 

③タブレットやゲーム機などをつなげて遊ぶ

カーナビや後席モニターなどを導入するのはちょっと大掛かりという人でも、すでに持っている端末をWi-Fi接続すれば、あっという間にエンタメ空間に変わるのが、本商品のいいところ。最近の映像コンテンツは本体内にデータをダウンロードして持ち運びできるのが一般的だが、事前に準備し忘れるのが人の性である。また、最近のゲーム機は通信接続を前提としたタイトルも多い。子どもがクルマの中でFortnite(大人気のシューターゲーム)をやりたいと駄々をこねてもパケットを気にすることなく、ゲームを遊ばせることができる。

 

④短時間のPC作業や移動しながらオンラインミーティングをする

①〜③はオフの使い方がメインだが、④ではオンの使い方も紹介したい。本商品はPCやスマホがつなぎ放題(接続端末は最大5台)なので、仕事もできてしまう。先ほども述べたように、利用条件があるので、丸一日同じ場所で作業するには適さないが、クルマ移動を伴う働き方をしている人にはおすすめ。

 

取引先の訪問を終えて、ちょっとした事務作業を車内で行ったり、次の訪問先の移動時間に音声のみのオンライン会議を行ったり。会社支給のモバイルルーターがあればいいが、自前のスマホでテザリングしている方も少なからず多いと聞く。

 

あとは、これから拡大が見込まれるワーケション。パートナーや友人たちと出かけつつ、同乗メンバーは通信使い放題なので移動中に仕事ができる。クルマ酔いする人は厳しいし、「そこまでしてワーケションしたい?」という人もいるかもしれないが、選択肢の拡大としておすすめしていきたい。

 

クルマを持たない人でも持つ価値がある一台

ここまで、本商品の概要および使い方の例を紹介してきたが、あくまでクルマを持っている人を前提とした内容であった。が、この商品が素晴らしいと思うのは、クルマを持っていない人でも買うべき意味があるという点だ。

 

例えば、カーシェアを契約している人や、たまのクルマ利用はもっぱらレンタカーという人。この商品はシガーソケットさえあれば利用できるので、クルマを使うときに車内に持ち込んで接続すれば、環境を構築できる。週末の日帰り旅行や帰省の際に使えば、余計な通信費を抑えることが可能だ。

 

これまで車内でWi-Fi環境を構築しようと思うと、自前のスマホをテザリングする以外では、モバイルルーターが一番の解決方法であった。もちろん、モバイルルーターもデバイスとしては有効な手段ではあるが、契約が結構手間。解約手続きもかなりしんどいと個人的には思う。その点、この商品は買い切りで接続設定もdアカウントがあれば、すぐに使える。

 

この商品によって、カロッツェリアは「クルマをオンライン化する」を身近なレベルで実現している。本格的なナビゲーションおよびオーディオ環境と併せて使いたい人はサイバーナビを、オンライン環境に特化して構築したい人は本商品を、といったように自分に合った形で選択できるようになったのだ。

 

今後、MaaSといったモビリティの大変革が次々と起こっていくが、移動の手段だけでなく、クルマでの移動中の質を高めるという点で、カロッツェリアのオンライン化商品は非常に価値があるといえるだろう。

新世代「アイサイト」の進化に感動! 新型レヴォーグで「プリクラッシュブレーキ」を実体験レポート

10月15日に正式デビューする新型「レヴォーグ」。その目玉は何と言っても最新版「アイサイト」搭載でしょう。すでに始まっている先行予約では、半数以上が「アイサイトX」をオプションとして装備していると伝えられており、新世代アイサイトに対するユーザーの期待値はとても高いことが窺えます。その新世代アイサイトのプリクラッシュブレーキを先行体験する機会がありました。今回はその体験レポートをお届けしたいと思います。

↑新型「レヴォーグ」GT-H(左)とSTI Sport(右)

 

【関連記事】
新世代の「アイサイトX」は何がすごいのか? 「新型レヴォーグ」で体験した安全運転支援システムの最前線

 

プリクラッシュブレーキに追加された2つの機能

スバルは2030年に死亡事故をゼロにするとの目標を立てています。そのために、まず事故につながらないための技術としてアイサイトを実装。そのアイサイトも今回で4世代目に突入しています。新世代アイサイトでは、オプションで機能を大幅に拡充する「アイサイトX」を用意したことに注目が集まっていますが、実はそのベースとなるアイサイトの進化も目を見張るものがあります。それがプリクラッシュブレーキに追加された新機能です。

↑新型「レヴォーグ」 GT-H

 

プリクラッシュブレーキといえば大半が正面にある障害物への衝突を回避・軽減する機能を指します。しかし、新世代アイサイトでは“前側方プリクラッシュブレーキ”と“前側方警戒アシスト”の搭載により、出会い頭の衝突に対するプリクラッシュブレーキを搭載したのです。この実現は2つの新たな技術によってもたらされています。

 

一つはアイサイトの視野角拡大で、二つめは左右側方の障害物を捉える77GHzミリ波レーダーの追加です。この二重のサポートで側方より迫ってくるクルマを早期に捉えて警告。さらに、衝突の可能性が高まっているのに進行を続けると自動的にブレーキを作動させます。これによって交差する車両との衝突回避/軽減を行うのです。

 

体験では新世代アイサイトを搭載した2台の新型レヴォーグを使って行われました。無線で合図を送るともう一台の新型レヴォーグが見通しの悪い交差点へ接近。自車がそろそろと交差点へと進入すると、近づいた新型レヴォーグを検知して警報音でそれを報知したのです。通常ならここで停止して事なきを得ますが、体験ではわざと進行を継続。すると今度は交差点から出る前に、強制的にブレーキがかかって衝突を回避したのです。

↑新世代「アイサイト」ではカメラの視野角拡大とミリ波レーダーを併用することで出会い頭での衝突を回避することを可能にした

 

↑左側方から車両が近づいていることを検知。まずは軽いアラーム音と共に、メーター内とカーナビ画面上(丸印)で知らせてくれる

 

↑左側方からの車両と衝突の危険があるとシステムが判断すると、激しいアラーム音と共に自動的にブレーキ制御が入る。停止後にブレーキを踏むとアラーム音は消える仕組みだ

 

このデモはこれだけにはとどまりませんでした。右折時に横断歩道を渡っている歩行者に対してもプリクラッシュブレーキを動作させたのです。交差点で右折をしようとして待っていたとき、交差するクルマが停止して行かせてくれることがあります。譲られた方としては、その感謝に応えようと急いで右折しようとしますよね。しかし、その先には同じように車が止まってくれたことで横断しようとしていた歩行者がいる可能性もあります。もし、この歩行者に気付かなければそれこそ大変な事態に陥ります。新しいアイサイトではこうしたシーンでも歩行者を認識して衝突を回避・軽減してくれるのです。

↑新世代アイサイトが歩行者を検知して自動的にブレーキ制御を作動させた時の様子。歩行者の動きも予測して認識できる

 

↑歩行者の存在をアイサイトが検知したとき、車内では警報と共に「前方注意」のアイコンをメーター内に表示してブレーキを自動的に作動させる

 

新機能“前側方プリクラッシュブレーキ”と“前側方警戒アシスト”

 

ただ、すべてのシーンで対応できるわけではありません。認識できるのはあくまでセンサーが人として認識した場合のみ。歩行者の場合は身長が1m未満の子供や腰の曲がった老人などは認識しにくいようで、もっと言えば傘を差していたりすると形状認識がどうしても難しくなってしまうそうです。システムに100%頼りっきりになるのではなく、これはあくまでドライバーのミスをサポートしてくれるシステムなのです。

 

この体験を終え、一連のシステムの開発に関わった方にお話を聞くこともできました。それによると、このプリクラッシュブレーキを実現するにあたっては従来のシステムでは対応できなかったというのです。それが従来の負圧式のブレーキブースターではなく「電動ブレーキブースター」を採用したことです。

 

シャシー設計部の佐藤 司さんは「今までのブレーキでは反応速度や制動力で限界があった。新世代アイサイトでは、交差点での出会い頭の事故や歩行者との衝突を避けることを目標としており、従来の負圧を利用したブースターでは満足できる性能が発揮できない。コストは上がるけれどもこの実現のために敢えて採用した」と、採用に至った経緯を明かしてくれました。

↑交差点でのプリクラッシュブレーキを実現するため、コストアップになっても電動ブレーキブースター(左)搭載に踏み切ったと話すシャシー設計部の佐藤 司さん

 

実はガソリン車でプリクラッシュブレーキを動作させる際は、ESC(横滑り防止装置)を使って制動力を発生させています。直線路では時間的にもわずかに余裕があって対応できますが、交差点では制動に必要な距離が短いことから素早い対応が欠かせません。しかし、負圧を発生しない電動車では電動ブレーキブースターが採用されていますが、ガソリン車などでは一部高級車で採用されるのみでした。とはいえ、センシングで認知できても事故につながらないようにしなければ意味がなくなります。新世代アイサイトではこの搭載がコストアップにつながっても、あえてこの採用を決めたというわけです。

↑運転席側ボンネット内に設置された電動ブレーキブースター。佐藤さんによれば負圧式と比べて形状が複雑で設置場所を生み出すのに苦労したそうだ

 

プリクラッシュブレーキを実際に体験

そして、最後のデモとして用意されたのが、「ぶつからないクルマ」としてアイサイトの存在を一躍知らしめたプリクラッシュブレーキの体験会です。この日は渋滞の最後尾を検知して自動停止するケースを想定して実施されました。新世代アイサイトではぶつからずに停止できる速度域を従来の50km/hから60km/hに引き上げていますが、それを実際に体験するものです。一般的に停止できるまでの制動距離は速度に2乗に比例して長くなりますから、多くのクルマがぶつからないで停止できる速度域を30km/h前後としていることを踏まえれば、この実力は相当なものであると言えます。

 

体験は新型レヴォーグが60km/hまでフル加速し、念のため、オーバーライドを防止するために指定された位置でアクセルを離してデモは進められました。同乗デモでは助手席に乗車して体験。ドライバーからは「仮想車両までノーブレーキで突っ込みますので、カバンなど手荷物はしっかり掴んでいて下さいね」と念押しされてスタートしました。

↑障害物をアイサイトが検知すると車内では、アラームと共にメーター内とカーナビ上に「前方注意」の警告が表示される

 

アッという間に速度は予定を超える65km/hにまで上昇。一瞬、これで大丈夫か? と思う気持ちをよそに目標物を見つけるとシステムは自動的に警報音を作動させ、ドライバーが対応しないでいると制動を効かせて急減速。さらに近づいたところでダメ押しともなる強力な制動力で無事に停止することができました。

↑時速60キロを超える速度でもぶつかることなく停止できた新型レヴォーグのプリクラッシュブレーキ

 

プリクラッシュブレーキの体験会

 

高速道路ではもっと速度域が高い可能性もありますが、警報を鳴動させることでドライバーに対して注意喚起ができるわけで、仮に間に合わずに最後尾の車両のぶつかってしまった場合でも速度を下げることでダメージを大きく引き下げられるのは間違いありません。

 

他にも新型レヴォーグでは、インプレッサにも採用された「歩行者保護エアバッグ」を標準で搭載しています。事故につながらない予防安全がアイサイトの役割ですが、それでも事故が避けられなかった時にそのダメージを最小限にとどめるべく徹底したこだわりをもって対応しているのです。“2030年の死亡事故ゼロ”を目指すスバルが新型レヴォーグでその目標に向けて大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう。

↑インプレッサ、XVに続いて、新型レヴォーグにも歩行者保護用エアバッグが標準装備されている

 

↑助手席にはシートベルトの効果を高めるために座面にはエアバッグを組み込む。日本仕様では初採用となった

 
 

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はっきりと言える! これはストラーダ史上もっとも高画質なカーナビだ

パナソニックは、SDカーナビステーション「ストラーダ」の10V型有機ELディスプレイ搭載モデル「CN-F1X10BLD」「CN-F1X10LD」と、9V型WVGAディスプレイ搭載モデル「CN-F1D9VD」を10月中旬に発売します。有機ELディスプレイを車載用に採用する例は欧州車で見られますが、国内の市販ナビゲーションに採用したのはこれが初めて。そのポイントを内覧会で取材してきました。

 

有機ELディスプレイを採用

今回、上位機種となるCN-F1X10BLD、CN-F1X10LDの2機種は“F1X プレミアム10/有機EL”というロゴがあしらわれています。その理由はディスプレイに色再現性の高い有機ELパネルを採用したことで、ストラーダ史上もっとも高画質なカーナビとしたからです。

↑内覧会は東京・お台場にある「パナソニックセンター東京」で開催された。感染症対策のため、来場者は10人前後に限られた

 

有機ELは素子自体が発光するためバックライトが不要です。それが映像の基礎となる“漆黒の黒”を実現し、さらに「AGAR低反射フィルム」「エアレス構造」を採用することで映り込みを低減。これらが一般的な液晶ディスプレイをはるかに上回るコントラスト比をもたらしたのです。これが“プレミアム”たる所以です。

↑ストラーダの最新モデル“F1X プレミアム10”の最上位機種、CN-F1X10BLD。ブルーレイディスクが再生できる

 

実際にそのデモ映像を見ると驚きました。真っ暗な夜空を埋め尽くす提灯のムービーが見事なまでのリアルさで再現されていたのです。今までのストラーダでは夜空にどこか白っぽさがあって提灯が際立ちませんでした。有機ELパネルを採用した“F1X プレミアム10”では、HDの解像度とも相まって、提灯の一つひとつが鮮明に描かれています。これは一般的な液晶パネルと違って光の漏れをゼロにできるからこそ実現できたものであり、単に画面の大きさだけでなく、再現するクオリティにまでこだわった開発陣の意気込みが伝わってきました。

↑有機ELならではの特徴をいかんなく発揮し、漆黒の夜空に舞い上がる提灯の様子を鮮明に再現した。写真はCN-F1X10BLD

 

↑2019年モデル(下)と比較すれば黒の再現性が違うことが一目瞭然。黒浮きしないことで映像に締まり感が出ている

 

もちろん、2DINスペースさえあれば大半の車種に取り付けられる、F1シリーズの特徴はそのまま。今回は取り付け可能車種をさらに増やし、業界最多の430車種以上としました。ブルーレイなどの映像メディアもオプションのバックカメラもHD画質で表示できるなど、新たに装備した有機ELディスプレイをフルに活かす仕様となっているのです。

↑“F1X プレミアム10”の特徴を解説したパネル。漆黒の黒を再現した10V型ディスプレイは薄型化も実現し、同時に430車種以上に対応することも謳っている

 

バックライトが不要である有機ELディスプレイは、厚さ約4.7mmという驚きの薄さも実現しています。厚みがなくなると強度が不安になるものですが、外装フレームには軽量で高剛性なマグネシウムダイカストを採用し、内部をハニカム構造とすることで軽量化と強度確保を両立。アングル調整や左右15度に振ることができるディスプレイ部のヒンジの強度はそのままながら、耐振性を大幅に向上させているのです。画面が大きいとブレは気になるからここは重要ですね。

↑2019年モデルとの比較。バックライトの不要な有機ELを採用したことに加え、主要回路を本体側に移すことで最薄部で厚み4.7mmを実現した

 

↑有機ELを採用することでディスプレイ部の厚みは大幅に薄くすることができた。上が最新型で下が2019年モデル

 

ナビゲーションのプラットフォームは従来モデルを継承したものですが、ソフトウェアでのブラッシュアップはもちろん図られています。もっとも大きな機能アップが市街地図の収録エリアを全国津々浦々までシームレスに表示できるようにしたことでしょう。これにより収録エリアは従来の1295都市から1741都市へと拡大。

 

ほかにも方面案内標識のピクト表示の追加を行い、交差点拡大図で表示される残距離の拡大も図っています。これらは既にパナソニック「ゴリラ」でも実現した機能ですが、こうした細かな案内は不慣れな土地へ出掛けた時こそ役立つもの。高精度な測位能力を合わせ持つストラーダなら、そのメリットがより活かせるようになるでしょう。

↑一軒ごとの家形図を表示できる市街地図を全国にわたってシームレス表示。地図上で目標物から現在地が把握しやすくなる

 

↑方面案内標識に表記されているピクトグラム(アイコン)の表示にも対応。進路を把握するのに役立つ

 

ストラーダの伝統でもある安全・安心運転へのサポートも踏襲されています。一時停止や制限速度を知らせる機能を備え、生活道路区域の「ゾーン30」は色分けして音声と共に警告を発します。さらに重大事故を招く逆走に対しても高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで、その行為を検知して警告も行います。

 

また、交通情報システム「VICS WIDE」にも対応しており、FM多重VICSを受信するだけで渋滞を避ける「スイテルート案内」を可能としました。目的地検索ではスマホにインストールした「NaviCon」を活用できるほか、カーナビと対話しながら目的地を設定できる音声認識能にも対応しています。

 

ハイレゾ音源を活かす回路設計の見直しも図られています。グランド・信号・パターン設計などの回路設計を見直した上で、低DCRチョークコイルを新規採用して音質を大きく改善。ノイズ対策としてもDSP/DAC専用アース線構造を追加してノイズの原因となる信号の回り込みを大幅に低減させています。これらによってもたらされた特に高域の音の広がりや音像定位感のアップは、ハイレゾ音源を再生する上で大きなメリットとなるでしょう。また、CN-F1X10BLD、CN-F1X10LDにはHDMI入力が新たに用意され、スマホや「Amazon Fire TV Stick」を接続して動画配信を楽しむことも可能になりました。

 

幅広い拡張性も大きな特徴!

新しいストラーダは、幅広い拡張性も大きな特徴です。CN-F1X10BLD、CN-F1X10LDには連携して使える前後2カメラドライブレコーダー「CA-DR03HTD」と、高画質リアビューカメラ「CY-RC500HD」を用意しました。

↑“F1X プレミアム10”と連携して使える前後2カメラドライブレコーダーCA-DR03HTD、実売予想価格5万5000円(税込)。200万画素CMOSでフルHD記録を可能にした

 

↑車載したCA-DR03HTDのフロントカメラ。上下方向に回転するので取り付けてからのアングル変更も自在だ

 

↑高画質リアビューカメラCY-RC500HD、実売予想価格2万4800円(税込)。カメラとしての能力は高くHD(ハイビジョン) 画質と広視野角(水平180°)のスペックを持つ

 

中でもCA-DR03HTDのイメージセンサーはフルHD規格に合わせた200万画素CMOSを採用し、カメラにはF1.4の明るいレンズを組み合わせています。画角も水平で117度と広く、万一のアクシデントを広範囲で捉えることができます。ナビ連動タイプならではの使い勝手の良さに加え、多人数乗車やフル積載で後方が見えにくいときのリアビューミラーとしても使えるのも見逃せません。

↑CA-DR03HTDは“F1X プレミアム10”と連携できることで、単独で使うドラレコにはない多くのメリットを生み出している

 

↑前後カメラで撮影した映像を“F1X プレミアム10”で再生し、撮影した位置情報をカーナビの地図上に展開できる

 

各機種ともすべてオープン価格ですが、実売予想価格は10V型HDディスプレイのブルーレイ対応機CN-F1X10BLDが21万円前後、10V型HDディスプレイでブルーレイ非対応機CN-F1X10LDが19万円前後、9V型WVGAディスプレイでブルーレイ非対応機CN-F1D9VDが12万円前後となっています。

 

なお、地図データ更新については3機種とも2023年12月15日(予定)までに全更新が1回無料で更新可能となっていますが、上位2機種だけは2か月に1度の部分更新も無料で付与されます(地点データは4か月ごとに更新)。

↑「ストラーダ」2020年モデルのラインナップ。2DINスペースにジャストに収まる7型ディスプレイのRA07シリーズも用意する

 

有機ELディスプレイの採用で、大画面としての真の魅力を実感できる新しいストラーダ。価格もその分だけ少々立派になってしまいましたが、それを超える満足感を味わえるのは間違いありません。ぜひ、店頭でそのクオリティを確かめてみて下さい。

 

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置くだけでスマホを高速充電! オウルテックの車載用充電ホルダー「OWL-CHQI02」

クルマを運転する際に、ナビアプリを使用したり、カーオーディオにワイヤレスで音楽を飛ばして再生したりと、スマートフォンを活用している方も多いのではないでしょうか。そんな方に使ってほしいのが、置くだけでスマホの充電が行える車載用充電ホルダーです。

 

オウルテックの「OWL-CHQI02」は、スマートフォンのセットを自動で行なえる車載用充電ホルダー。スマートフォンを置くと、自動的に固定用ホルダー(クランプ)が閉じてしっかりとホールドできます。また、取り外す時はタッチセンサーに触れるだけで自動的にホルダーが開くので着脱が簡単です。

↑オウルテック「OWL-CHQI02」(直販価格4980円)

 

本体に蓄電能力のあるスーパーキャパシターを内蔵しているため、エンジンを停止した後でも数回のホルダー開閉が行なえます。

 

また、Qi規格のワイヤレス充電に対応しており、Android製品は最大15W、iPhoneは最大7.5Wの急速充電が可能となっています(本機の利用には別売のシガーソケット用USB充電器が必要)。

●対応機種:iPhone SE(第2世代)、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro max、iPhone 11、iPhone XS Max、iPhone XS、iPhone XR、iPhone X、iPhone 8 Plus、iPhone 8、Galaxy S9、Galaxy S9+、Galaxy S8、Galaxy S8+、Galaxy S7 Edge、そのほかAndroidのQi対応機種

※幅が65mm~90mmまでのスマートフォンで使用可能

 

設置は吸盤式で、ダッシュボードなどの平らな面にくっつけることができるほか、カーエアコンに挟んで設置するためのクリップも付属しています。

↑製品パッケージ

 

取り扱いは全国の量販店をはじめ、直販サイト「オウルテックダイレクト」でも販売中。直販価格は4980円です。

 

車内でスマホを活用することが多い方、また運転中にスマホの充電をしたい方は、手軽に設置できるオウルテックの車載用充電ホルダーを使ってみてはいかがでしょうか。

 

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10月8日なにかが起こる!? パイオニア「カロッツェリア」にティザーサイトがオープン

9月25日、パイオニアのカーナビ・カーAVブランド「カロッツェリア」のティザーサイトが登場しました。

 

同サイトには、地にOFF→ONというデザインがあしらわれ「あなたのクルマを、オンライン化する。」という意味深なメッセージとともに、「2020.10.08(Thu)」という日付があるので、この日に“なにか”が起こるはず。

 

パイオニアは昨秋、フラッグシップモデル「サイバーナビ」で、NTTドコモの車内向けインターネットサービス「docomo in Car Connect」に対応した、通信し放題の環境を構築しています。

 

そして、なにやら当媒体の編集長・山田が、“カーナビ伝道師”高山正寛氏と対談するらしい……?

 

10月8日まではあと約2週間。どんな情報が公開されるのか楽しみにしたいところです。

 

ティザーサイト:https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/brand_event/brand/online/

2代目「スズキ・ハスラー」濃厚インプレ! 初代を超える出来栄えか?

2014年の発売以来、6年間で約48万台を販売する大ヒット作となった「スズキ・ハスラー」が2代目へと進化しました。ライバルのダイハツが今年に入り「タフト」を投入。SUV+軽ワゴンのクロスオーバークラスは、今後覇権争いが激化しそうな風向きですがタフトを迎え撃つ「2代目ハスラー」の出来映えはいかに?

 

[今回紹介するクルマ]

スズキ/ハスラー

128万400円~179万800円

※試乗車:ハイブリッドX(2WD、2トーンカラー仕様車)156万2000円

※試乗車:ハイブリッドXターボ(4WD、2トーンカラー仕様車)179万800円

↑丸型2灯の特徴的なヘッドライトを筆頭とするディテールを先代から継承しつつ、外観は一層SUVらしさが強調される造形になりました

 

先代を受け継ぎつつ新鮮味もプラス!

ワゴンR級のユーティリティを実現しながらSUVらしい走破性を両立。それらをアイコニックなスタイリングでまとめた初代「ハスラー」は、軽自動車のクロスオーバー市場を活性化させる大ヒットとなりました。その現役時代における月販台数は、平均で6700~6800台。モデル末期ですら5000台水準をキープしていたと聞けば、軽ユーザーの支持がいかに絶大であったかが分かろうというもの。

 

実際、初代ハスラーがデビューした当時、すでに長野(の田舎)に居を移していた筆者も道行くハスラーの増殖ぶりに驚かされた記憶があります。また、先代ユーザーは女性が6割を占めていたそうですが、乗っている人の年齢層を幅広く感じたことも印象的。高齢とおぼしきご夫婦が、鮮やかなボディカラーの初代で颯爽と出かける姿をしばしば見かけたことは新鮮でもありました。

 

そんな人気作の後を受けて登場した2代目は、当然ながら初代のデザイン要素が色濃く引き継がれた外観に仕上げられています。軽規格、ということで3395mmの全長と1475mmの全幅は変わりませんが、ホイールベースは先代比で35mmプラスの2460mm。全高は15mm高い1680mmとなりましたが、丸目2灯のヘッドライトを筆頭に全体のイメージは先代そのまま。

 

とはいえ、決して変わり映えしないわけではありません。ルーフを後端まで延長し、ボンネットフードを高く持ち上げたシルエットはスクエアなイメージを強調。バンパーやフェンダー回りも良い意味でラギッドな造形とすることで、SUVらしさと新しさが巧みに演出されています。

 

リアピラーにクォーターウインドーを新設。2トーンカラー仕様では、ルーフだけでなくこの部分とリアウインドー下端までをボディ色と塗り分けている点も先代と大きく違うポイントです。この塗り分けは、リアクォーターやルーフなどがボディ本体と別パーツになる「ジープ・ラングラー」などに見られる手法ですが、タフなイメージの演出という点では確かに効果的です。

↑写真のボディカラーはデニムブルー×ガンメタリック。バリエーションはモノトーン5色、2トーン6色の合計11色。2トーンのルーフは、ボディカラーに応じてホワイトの組み合わせもあります

 

初代ハスラーが成功した要因として、その個性的な外観の貢献度が大であることは誰もが認めるところ。となれば、後を受ける2代目が初代のイメージを受け継ぐことは“商品”として必然でもあるわけですが、新鮮味の演出も必須。ヒット作の後継はこのあたりのさじ加減が難題で、クルマに限っても失敗例は数知れず。

 

その点、2代目ハスラーの外観は上出来といえるのでは? という印象でした。ちなみにSUVとしての機能も着実に進化していて、走破性に影響するフロントのアプローチアングル、リアのディパーチャーアングルは先代比でそれぞれ1度と4度向上した29度と50度となっています。

↑タイヤサイズは、全グレード共通で165/60R15。ホイールは「X」グレードが写真のアルミとなり、「G」グレードはスチールが標準となります

 

室内はSUVらしい力強さと華やかさを演出! 装備も充実ぶり

そんな外観と比較すると、室内はSUVらしさを強調するべく一層“攻めた”デザインになりました。インパネはメーター、オーディオ、助手席上部の収納部(アッパーボックス)にシンメトリーを意識させるカラーガーニッシュを組み合わせてタフな世界観を表現。ガーニッシュはボディカラーに応じて3色が用意され、華やかさを演出するのも容易です。シートカラーもブラックを基調としつつ、ガーニッシュと同じ3色のアクセントを揃えて遊び心がアピールされています。

↑インパネは、シンメトリーなイメージの3連カラーガーニッシュが印象的。カラーは写真のグレーイッシュホワイトのほかにバーミリオンオレンジ、デニムブルーとボディカラーに応じて組み合わせられます。収納スペースが豊富に設けられていることも魅力のひとつ

 

↑スピードメーターと組み合わせる4.2インチのディスプレイには、スズキ車初のカラー液晶を採用。走行データをはじめ、多彩な表示コンテンツが用意されています

 

↑フロントシートは、インパネのガーニッシュと同じく3色のアクセントカラーを用意。シートヒーターが標準で装備されることも嬉しいポイントです

 

元々広かった室内空間も、新世代骨格の採用やホイールベースの延長などで拡大されています。後席は着座位置が高くなったにもかかわらず頭上空間が拡大、前席も左右乗員間の距離が広くなりました。また、フロントガラス幅の拡大やリアクォーターウインドーの追加などで視界が良くなっていることも、ユーザー層が幅広い軽ワゴンとしては魅力的ポイントといえるでしょう。

↑後席は座る人の体格や荷物に応じたアレンジが可能なスライド機構付き。一番後方にセットすれば、余裕の足元スペースが捻出できます

 

↑シートバック背面には操作用ストラップが設けられ、後席のスライドが荷室側からでも可能です。荷室の床面と後席背面は汚れや水分を拭き取りやすい素材を採用。荷室左右には販売店アクセサリー用のユーティリティナット(合計6か所)に加え、電源ソケットも装備されています

 

↑後席を完全に畳めば、最大1140㎜の床面長となるスクエアな荷室が出現。床下には小物の収納に便利なラゲッジアンダーボックスも装備されています

 

最新モデルらしく、運転支援システムも充実しています。衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能などがセットになった、「スズキ セーフティ サポート」は全車標準(ベースグレードのみ非装着車を設定)。新型ハスラーのパワーユニットは先代と同じく自然吸気とターボの2本立てですが、後者では全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線逸脱抑制機能がスズキの軽自動車で初採用されました。

 

また、対応するナビゲーションシステムと組み合わせればクルマを真上から俯瞰したような画像を映し出せる全方位モニターの装備も可能です(オプション)。

↑ターボ車には、スズキの軽自動車で初めて全車速追従機能付きのACC(アダプティブクルーズコントロール)が装備。同じくターボ車では運転支援機能のひとつとして車線逸脱抑制機能も標準で備わります(自然吸気は警報のみ)

 

このほか、SUVとしては先代から引き続いて4WD仕様に滑りやすい下り坂などで威力を発揮するヒルディセントコントロールを搭載。新型では、さらに雪道やアイスバーン路面での発進をサポートするスノーモードも新採用されました。新型ハスラーのボディは前述の通り秀逸な対地アングルを実現。最低地上高も180mmが確保されていますから、ジムニーが本領を発揮するような場所に踏み入れるのでもなければ悪路の走破性も十二分といえるでしょう。

↑4WDに装備されるヒルディセントコントロールやグリップコントロール、新機能となったスノーモードの操作はインパネ中央のスイッチを押すだけ

 

新開発の自然吸気エンジン採用。走りのパフォーマンスも進化!

新型ハスラーが搭載するパワーユニットは、前述の通り自然吸気とターボの2種。前者は、燃焼室形状をロングストローク化して燃料噴射インジェクターも気筒当たりでデュアル化。さらにクールドEGRを組み合わせるなどして、全方位的に高効率化された新開発ユニットが奢られました。

 

組み合わせるトランスミッションはどちらもCVTですが、こちらも先代より軽量化や高効率化を実現した新開発品となります。また、近年のスズキ車は電気モーター(ISG)が発進や低速時に駆動をサポートするマイルドHVがデフォになっていますが、新型ハスラーでは先代よりISGの出力が向上。容量こそ変わりませんが、リチウムイオンバッテリーの充放電効率を向上させたことでHV車としての機能が向上しています。

↑自然吸気エンジンはロングストローク化や燃焼室形状のコンパクト化、スズキの軽では初採用となるデュアルインジェクター(気筒当たり)やクールドEGRなどで一層の高効率化を実現。燃費は先代比で約7~8%向上したとのこと

 

↑ターボ仕様のエンジンは、新開発CVTなどとの組み合わせによって燃費性能が先代より約3~5%向上。ロングドライブを筆頭に、幅広い用途に使いたいユーザーにオススメ

 

その走りは、新型車らしく着実な進化を実感できる出来栄えでした。先代も軽ワゴンとしてはなんら不満のないパフォーマンスでしたが、新型ではアクセル操作に対する反応が一層リニアになり静粛性も向上。絶対的な動力性能で選ぶならターボ仕様ですが、日常的な使用環境なら自然吸気でも必要にして十分な動力性能です。

 

新世代プラットフォームのハーテクトや環状骨格構造のボディ、スズキ車で初となった構造用接着剤の採用などの効果か、走りの質感が向上していることも新型の魅力。フロントがストラット、リアはトーションビーム(4WDはI.T.L.=アイソレーテッド・トレーリング・リンク)というサスペションも、先代よりオンロード志向のセッティングとしたことで特に日常域では自然な身のこなしを実現しています。SUVとのクロスオーバーとはいえ、ハスラーは日常のアシという用途が主体の軽ワゴンのニーズに応えるクルマですから、新型の味付けは理にかなったものといえるでしょう。

↑写真は4WDのターボ仕様。絶対的な動力性能は自然吸気でも必要にして十分ですが、ターボなら余裕をもってSUVらしく使うことが可能です。ボディの剛性感や静粛性など、新型は走りの質感が向上していることも魅力的です

 

このように、先代が築いたキャラクターを継承しつつ軽クロスオーバー資質が着実に底上げされた新型ハスラー。とりあえず、ダイハツ・タフトを迎撃する備えは万全といえるのではないでしょうか。

 

SPEC【ハスラー・ハイブリッドX(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1680㎜●車両重量:820㎏●パワーユニット:657㏄直列3気筒DOHC●最高出力:49[2.6]PS/6500[1500]rpm●最大トルク:58[40]Nm/5000[100] rpm●WLTCモード燃費:25㎞/L

 

SPEC【ハスラー・ハイブリッドXターボ(4WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1680㎜●車両重量:880㎏●パワーユニット:658㏄直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64[3.1]PS/6000[1000]rpm●最大トルク:98[50]Nm/3000[100]rpm●WLTCモード燃費:20.8㎞/L

 

撮影/宮越孝政

 

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Honda初のEV市販車「Honda e」は「かわいい」の中に最先端が宿る一台

いよいよHonda初の市販EV(電気自動車)、「Honda e(ホンダ イー)」が10月30日に発売されることが決定しました。日常ユースに特化したシームレスなモビリティとして登場したHonda e。そのかわいらしい雰囲気には実は開発者の熱い想いと先進技術が詰まっています。

↑Honda e 発表会でのHonda e開発責任者の一瀬智史氏。2019東京モーターショーで国内発表されました

 

人と社会とクルマのシームレスな関係

8月27日のプレス発表では開発責任者の一瀬智史氏が開発コンセプトを語りました。「未来のシームレスな生活パートナーとなるEV」であること。EVが活きるのは街なかだと考え、『街なかベスト』なEVを目指したこと。「他にはないユニークな魅力を持つ、本質を追究したEV」であること。これからの生活のあらゆるシームレス化に対応できるモビリティであること。クルマと社会、お気に入りの生活、行動、情報、あらゆるモノと繋がるのがこれからの世界です。これを「シームレスライフ」と呼び、それを創り上げるのがHonda eと位置づけたのです。

↑これまでのEV開発の発想を大きく転換したHonda e。サイズも佇まいも「街なかベスト」です。価格はHonda eが451万円、Honda e Advanceが495万円

 

これからのコンパクトカーのベンチマークとなるクルマ作りを意識しているのがHonda e。大胆にもEVでありながら航続距離を延ばすことをメインにしていません。航続距離を延ばすためにバッテリーを多く積むことでクルマは大型化し、重量も増してしまう。実際の街でのクルマの使用を考えると本当にこれがベストなのか? というところに立ち返り開発しています。それを端的に示すのが、長距離移動時は公共交通機関やハイブリッドカーを使用してもらおうという割り切り。これまでのEVの発想を変え、本当の合理性を追求しています。

↑デザインニュアンスにホンダを世界の自動車メーカーにした初代シビックのオマージュを感じさせます。街の人々を和ませるエクステリアデザイン

 

愛らしい顔のあるエクステリアデザイン

まずは特徴的な表情を持つ外観から見て行きましょう。ボディサイズは全長×全幅×高さが3895×1750×1510mmと、Honda Fitより100mm短く55mm幅広で5mm低いことになります。乗車定員は4名で5ドアハッチバックの形状。まさしく街なかベストなサイズです。余計なノイズを廃した機能的でシンプルなボディデザインとなっています。車幅内に収まったサイドカメラミラーシステムや手触りの良いガラスの充電リッドもデザインアクセントとしています。ちょっと恐面のクルマが多い中、Honda eは街を和ませることでしょう。

↑サイドカメラミラーシステム。駐車する時には側方下部も写します

 

↑ボディカラーは全7色

 

インテリアは自宅とシームレスに繋がるイメージ

通常の乗車時に加え、30分の急速充電時にも乗員が車内にいる時間があることも意識し、その時間を快適にしたいという想いと、室内はくつろげる家とのシームレスなイメージを形にしています。シックな色合いのシートやインテリアはリビングにいるかのよう。ブラウンのシートベルトやシートのタグもカラーアクセントとしてモダンな雰囲気を醸し出しています。リビングテーブルのようなウッド調のパネルの上に5つのモニター画面からなるワイドヴィジョンインストルメントパネルが室内幅一杯に広がります。スイッチ類は極力整理され、シンプルなデザインと人に優しい操作性を実現。

↑Honda eのインテリア。シンプルな中に沢山の先進機能が詰まっています

 

デザイン上のアクセントとなっているサイドカメラミラーシステムはこれまでのドアミラーに変わるシステムです。両サイドの6インチモニターにはそのシステムからの映像が映し出されます。これまでのドアミラーと違和感のない位置に配置され、ワイドで自然な映像は降雨時のミラーやガラスにつく雨滴の影響を受けることなくクリアに表示します。

 

センターに並ぶ2つの12.3インチの「ワイドスクリーンHonda CONNECTディスプレー」はドライバーだけでなく、助手席の同乗者も操作でき、それぞれに快適な表示機能を選択したり、左右のアプリを入れかえたりなど自在な操作性を実現。スマートフォンとの接続によって音楽アプリやエンターテイメントアプリを表示することも可能です。運転者、同乗者が共に快適で楽しい時間を過ごせそう。

↑HMI&AIの活用で多様な機能を誇るワイドスクリーンHonda CONNECTディスプレー

 

スマホをデジタルキーとして使用することも可能に

Honda eは、スマートフォンと連携して様々なコネクテッド機能を活用することができます。スマホから目的地をナビに送ったり、広い駐車場でクルマの位置が分からなくなった時に探したり、ドアロックの解除、充電リッドの開閉なども可能。さらに、遠隔エアコン操作にも対応しており、出発時間に合わせて車内の温度調整もできます。この機能は電力消費の大きいエアコンの最初の温度調整をプラグインの間に行うことで航続距離への影響もおさえる機能となっています。

 

また、専用のアプリをダウンロードすることでスマートフォンをデジタルキーとして使用することが可能に。スマートキー/スマートフォンを持ってクルマに近づくとフラットだったドアノブがポップアップします。シートに座りドアを閉めるとエンジンスタートまでを自動で行うことが可能。また、クラウドAIによる音声認識と情報提供を行う「Hondaパーソナルアシスト」を採用し、「OK,Honda」と呼びかけることで最新のリアルタイム情報を表示可能。シンプルに構成されたインストルメントパネルも含め、Honda eのHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)によって快適なドライブが可能となります。

 

優しい雰囲気だけじゃない高トルクモーターの走り

駆動モーターはアコードe:HEVの高トルクモーターを使用。Honda e専用設計の高剛性シャーシのセンターフロアにバッテリーを、モーターはリア荷室下にレイアウトしています。低重心で安定感があるだけでなく、フロントタイヤの切れ角も大きく取ることができ、4.3mという軽自動車以下の最小回転半径を実現し、タウンユースの助けになります。最大トルク315Nm(32.1kgf・m)の大トルクモーターを活用した走りはキビキビとしたものに。スポーツモードやアクセル操作のみの停止までコントロールできるシングルペダルモードなど、道路状況や走行状況に応じ、好みの運転スタイルを選ぶことができます。

↑コンパクトなボディに組み合わされるハイパワーモーターにより気持ちの良い走りを実現

 

Honda eには通常の「e」と17インチホイールなどを備えたハイパフォーマンスな「e Advance」の2つのグレードをラインナップ。「e」はフル充電での航続距離がWLTCモード値で283km。JCO8モード値で308km。「e Advance」の最大トルクは「e」と同じものの、「e」の最高出力が100kW(136PS)に対し113kW(154PS)と高出力な分、航続距離はそれぞれWLTCモード値で259km。JCO8モード値で274kmとなります。

 

家庭での200vでのフル充電には10.2時間。夕方充電を開始すると翌朝にはフル充電が終わっている状態となります。また、30分の急速充電では80%の充電が可能となり、202kmの走行が可能となります。街なかベストと銘うっていますが、急速充電をうまく活用することで遠距離の走行に対応できます。

↑ご家庭の200vでは10.2時間でフル充電が可能。災害時などはHonda eを電源とすることも可能

 

↑囲い線のある駐車場へのパーキングサポート、線のないスペースへのサポートを行います

 

 

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「ルノー カングー漬けの日々」3つの使い方術で、QOLがとっても上がった話

ニューノーマルの時代に入って、月日が経つのが早い。PCに向かっていたら日が暮れているし、気づいたら1週間が終わっていたし、季節も夏が終わろうとしている。

 

もちろん、好きなアーティストがインスタライブをやったり、ご当地グルメを取り寄せてみたり、家の中を清潔に保ったり、これまでの生活にはなかったこと・できなかったことを楽しんでいるので充実している。

 

が、やはり生活がどこか平坦で単調なのだ。ほんの少し華やかさが欲しい。

 

そう考えたときに、クルマは改めていいツールじゃないかと思い始めた。プライベートな空間で「密」を避けられる。安全に移動できる。自宅の延長スペースとして、好みの空間にアレンジもできる。

 

経済的で、実用的で、彩りを与えてくれるクルマーーと考えたときに、真っ先に浮かんだのがルノーのカングーである。

 

【今回紹介するクルマ】

ルノー

カングー

264万7000円(ZEN EDC)

2列シートで5人乗りのミニバン形状の、正確にはステーションワゴン。パッチリとした目(ヘッドライト)に、車体表面の凹凸が少なく、近年のクルマの特徴であるドギツさがない造形で、万人に愛されるデザインが特徴。2016年からは6速AT(6EDC)と1.2L直噴ターボエンジンの組み合わせを用意。スムーズかつ爽快な走りと低燃費を実現している。

 

【車両のディテール紹介(画像をタップすると詳細が見られます)】

 

カングーは無条件に楽しいクルマだ。Instagramで「#カングー」を調べると、7.5万人ものフォロワーがいて、一人ひとり違った使い方をしていて、見ているだけで心が湧き立つ。単なるクルマではなく、自分らしさを表現するためのキャンバスに近い。

↑ルノージャポンのInstagramより引用。一般ユーザーが様々な楽しみ方をしていて、見ているだけで楽しくなる

 

「カングーのある暮らし」で矢のように流れていく日々に少しでも変化を。ということで、実際に3つの活用法を今回試してみた。実に様々な変化があり、カングーの良さもわかったので、それらをレポートしていこう。

 

【実践術01】カングーを仕事部屋にしてみると「自然の変化を感じるようになった」

私は月の約半分が在宅勤務で、そして自室がない。同じく在宅勤務が多い妻とリビングで仕事をしている。オンライン会議が重なる時は娘の部屋か、娘も自宅にいる場合は、洗面所で会議をしている。

 

たぶん、多くの在宅勤務者と同じように、自室が欲しい。そして、休日も含めると月の75%も自宅にいることになる。働く環境に変化があれば、少しは効率が上がるのではないか。

 

ということで、カングーを仕事部屋にしてみた。仕事部屋といっても、私はウェブ編集という業務上、PC、タブレット、リモートワーク用のマイク付きイヤホン、メモ帳とペン、タンブラーがあれば良い。これにゴミ入れ、そしてポータブル電源を持ち込めば完成だ。

↑在車勤務の様子

 

以下、カングーで「働く」ことで起こった変化をレポートしていこう。

 

まず、シートからすべてが手に届く範囲にあるので、集中を削ぐものたちが視界に入らなくなり、仕事効率がぐんと向上した。自宅で仕事すると、飲み物を取りにキッチンに行ったり、充電ケーブル挿すためにコンセントのところまで移動したり、と意外に立ったり座ったりを繰り返している。

 

それだけなら良いのだが、ウロウロしているときに床に落ちている髪の毛が気になって掃除したり、「洗濯物干さなきゃ」と思い立って洗面所に行ったり、家事をしているのか仕事をしているのかわからなくなる瞬間がある。

 

でも、クルマの中だとシートに座れば基本、動かない、動けない。自分の手の届く範囲ですべてを済ませられるので、集中力が削がれないのだ。

 

「それって、別にカングー以外のクルマにも言えることでしょ?」という指摘もあるだろう。その点、カングーには様々なアドバンテージがある。前席の頭上に広大な収納スペースが用意されているのだ。

 

PC作業でメモ帳やケーブル類が邪魔なときはここに入れておけばいい。上の写真のように手を伸ばせばすぐに取り出せるので、アクセス性が抜群。私は鼻炎持ちなので、ポケットティッシュではなくボックスティッシュを常備しておきたい派。そんな人にはぴったりすぎるスペースなのだ。

 

そもそも、カングーは商用モデル派生のクルマだ。フランス本国では様々な業種の貨物車として使われ、フランス郵政公社「La Poste」に採用されていることでも有名。つまり、「働く行為」と非常に親和性が高いモデルなのである。

 

ちなみに、さきほどの運転席で仕事している写真。PCを膝の上に載せているから、首が前に出て、背筋が曲がって体勢がキツそうと思った方、カングーは標準でフロントバックテーブルが採用されているから後席でも仕事が可能。

 

会社支給の12インチ前後のノートPCであれば十分に置けるので、リアシートであれば姿勢を正して仕事もできる。テーブル下にはファイル類を収納できるスペースもあるのでご安心を。

↑フロントバックテーブル。ドリンクも置ける

 

↑足元も広い。なんだったら足を組めるぐらい

 

また、後席頭上にも収納スペースがある。なので、前席で作業するときと同様、持ち物を入れておける。なお、3つのボックスのオススメ割り当ては、右が書類や手帳、中央が休憩用のお菓子類、左がお昼寝用のネックピローだ。クルマの中だと在宅勤務と違って布団の誘惑もなく、1時間も2時間も深い眠りに入ってしまうことがない。15分で頭をリフレッシュできるケースが多かったことだけ報告していこう。

↑後席頭上の収納スペース「3連式オーバーヘッドボックス」

 

カングーで在車勤務して仕事効率は上がったが、それ以上に上がったのが気分である。

 

自宅でずっと仕事をしていると外の変化に疎くなるし、在車勤務で駐車場や近隣のパーキングで仕事をしていてもいつかは飽きが来る。それが、たまに、知らない街の駐車場や、近いけど行ったことのなかったスポットに行くだけで気分が上がるし、新しい発見がある。地元の名店に出合うこともできる。カングーは小回りが効く(最小回転半径は5.4メートル)ので、「ちょっと行ってみよう」という衝動を遮らないクルマでもある。機会損失が少ないのだ。

 

さらに、外の変化に疎くなるといったが、在宅勤務の場合、空調が効いた快適な空間にいるので、日々の天気に無関心になる。人間、季節の移ろいを身体で感じられないと時が経つのが早い。カングーも快適な車内だけど、フロントガラスを打つ夕立の雨粒や、夏の終わりと秋の始まりを感じる風を五感で受け取っていると自然の変化を感じられ、何か日々が生き生きとしたものとして感じられる。カングーはそういった意味で、内と外を結ぶ優れた媒介者である。

 

【実践術02】カングーをキャンプサイトにしてみると「記録する行為が蘇った」

ニューノーマルの時代になって、家族と一緒にいる時間は増えたのだけど、家族とコミュニケーションしている時間が増えたかというと疑問だ。仕事をしているから、話しかけられても上の空だったり、オン/オフの切り替えがうまくいかずため息をついてばかりだったり。

 

そんなときには、いっそ場所を変えてしまうのだ得策だ。その点、キャンプやアウトドアはカングーの十八番である。というわけで、幾多の人がこすりまくった企画ではあるが、カングーでキャンプをしてみた。

 

↑今回はテント泊ではなく、コテージ泊を選択。そのため荷物も少ないが、テント泊でも余裕すぎるほど積載量がある

 

以下、カングーを「アウトドアのベース基地」にしたことで起こった変化をレポートしていこう。

 

まず、カングーは絵になる。キャンプ場でラゲッジに家族が腰掛けるだけでなんか幸せな家族の象徴的な構図になるし、クルマの横に立って記念撮影するだけで上質なライフスタイル感が味わえる。家族との思い出作りには最高の相棒なのである。

↑今回撮影したのは、富士五湖のひとつ西湖湖畔にある「PICA富士西湖」。山田家で年1回必ず利用する施設で自然豊かな環境で、カングーとの相性もバッチリ

 

これは私だけでないと思うのだが、先日、スマホの写真フォルダを見返したら、最近の写真が全然なかったのだ。あるのは、メモ用にとったウェブサイトのキャプチャーと、自宅での食事の写真。

 

外出がしにくい時代なので当たり前なのだが、矢のように時間が過ぎていくのも、ここに要因があるだろう。写真に撮りたいと思う、記憶に留めたい出来事が少なくなっているのだ。だから今回、カングーと一緒に過ごすことで、写真を撮るという行為と楽しさを思い出した次第だ。

 

カングーは車中泊ももちろん可能だ。最近、ワークとバケーションを組み合わせた「ワーケーション」という新しいオン・オフの過ごし方がよくピックアップされる。しかし、ワーケーションって意外とハードルがあるのだ。

 

ワーケーションは、金曜日の日中はワーク、金曜日の終業から日曜いっぱいをバケーションとするケースがいまのところ多いそうだが、そうすると木曜日の夜に前泊するか、金曜の早朝に出発するか、という選択肢になる。前泊すれば一泊分の宿泊費がかかるし、金曜日の朝出発するととにかくバタバタする。

 

そういった色んな悩み事もカングーなら解決する。木曜の夜は車中泊スポットに宿泊。金曜日の朝に余裕を持ってワーケーション先にチェックインすればよい。金曜午前にチェックインできない施設なら、そのまま在車勤務をすればいい。といった形で、非常に経済的だ。

 

カングーはATモデルが264万7000円〜、MTモデルが254万6000円〜と国産ミニバン並みの安さ。輸入車の競合モデルが300万円半ばに近い価格と考えると安い。この点も非常に経済的である。なお、9月10日からは2種類の特別仕様車が登場。

 

グレーのカラーリングがいかにも「道具」として使い倒せそうな「アシエ」は限定100台、カングーといえばこの色!という「ラ・ポスト」は限定200台で、ともに価格は通常モデルと同じで、ATが264万7000円、MTが254万6000円となっている。

 

車中泊の話が出たので室内のサイズに関してみていこう。

室内は助手席を倒した状態だとおよそ250センチ、前席を倒さなくても170センチの長さがあるので、多くの人が余裕で寝れるサイズだ。もちろん、フルフラット。室内の高さ1155ミリなので高さ方向の圧迫感もない。

 

2列目下に靴などを入れられるほか、後席頭上の3連式オーバーヘッドボックスもあるので収納もバッチリ。また、ここでもフロントバックテーブルが活躍してくれるので、小物類を置く場所に困らない。

 

室内の幅は1121ミリなので、大人2人と小学生までの子ども1人なら余裕を持って寝れるだろう。上の写真のようにアウトドア用のマットを持ち込めば実に快適だ。

 

今回のコテージ泊の際、私は朝方にカングーに移動してゴロゴロしていたが、観音バックドアから差し込む朝日のまぶしさで身体が目を覚ました。月並みな表現だが、何か尊い時間であった。

 

↑左右非対称の観音開きドア。珍しいギミックでこれだけでも選ぶ価値がある

 

↑ラゲッジまでの高さが低いので荷物の積み下ろしもしやすい。荷物が多くなりがちなキャンプでは重宝する設計だし、日々の買い物でもとてもラクだ

 

【実践術03】カングーを書斎にしてみたら「自分の残りの人生について考えるようになった」

書斎は、男の憧れだ。自分の好きなものを集めて、並べて、愛でて、自分の時間を過ごす。音楽好きの人ならアンプをつなげて楽器練習したり、プラモデル好きの人ならパーツを組み立てたり、読書好きな人は雰囲気のいいランプを立てて普段は読まない本を読んだり。

 

心が洗濯される感覚。こんがらがった自分がシンプルになる気持ちよさ。

 

書斎とは、自分自身を整理する空間だ。なんか抽象的な話をしているが、要は自分だけの部屋が欲しいのである(切実)。娘は自分の部屋があるのに、自分はないから、自分だけの空間が欲しいのだ。自分について振り返るスペースが必要なのだ。オフィスとしても寝室やリビングとしても活躍するカングーに書斎の役割を持たせたら、さらに幸せになれそうじゃないか。

 

というわけで、オフの時間や夜にカングーを走らせてみる、籠ってみる。以下、カングーで「一人ドライブしつつ書斎」にしたレポートしていこう。

 

カングーは、背が高いミニバン的な走行特性かと思うかもしれないが、意外に走る。コーナリングもふわふわ、ふらふらしない。むしろ、ステアリングを切るのが楽しい感覚だ。これは、重心が低く抑えられていることもあるし、ルノーらしい素直なハンドリンクが反映されているということも大きい。

 

家族や大量の荷物を載せていないとパワフルさも感じられる。エンジンは1.2Lの直噴ターボエンジンで115PSでスペックだけで考えると突出したものではないが、走っているときの気持ち良さは十二分に感じられる。

 

【車両のディテール写真02(画像をタップすると詳細が表示されます)】

 

で、夜、カングーに籠もってみたのだが、結構いい。そうそう、こういう空間が欲しかったのだ。ちなみに私がしたのは、超プライベートな話だが、四半世紀ぶりに小学校の先生に連絡を取る機会があり、手紙をしたためるという行為。自分の半生を振り返りながら、手書きで書くから独りになりたかったのだ。ちなみに、居心地の良さは【実践術02】で紹介した通りで、このときもフロントバックテーブルが大活躍した。

 

半生つながりでいうと、Instagramでカングー関連のハッシュタグを見ていて思ったのが、カングーオーナーには色んな人生が送っている人が多いということ。クルマは同じだけど、選んだ人生は本当に様々。

 

ペットとの生活を送っている人もいるし、自転車を載せて各地を2輪と4輪で走っている人もいるし、キッチンカーとして使っている人もいる――カングーのオーナーは自分が想うライフスタイルを実現している人が多いから、つい、自分が選ばなかった人生について考えることもできる。そして、こんな人生を送ってみたいなというアイデアももらえる。こういった「人生の指南役」を得られるのはカングーの特権だろう。

 

【まとめ】

今回は割と定番な3つの実践術にフォーカスして記事をお届けしたが、カングーの器はまだまだデカい。リモートワークがもっと普及が進めば、カングーをベースに日本各地を巡りながら仕事しながら旅をすることもできる。副業やダブルワークがもっと一般的になれば、カングーを店舗にして様々な場所を訪れてショップを開ける。

 

とにかく使い倒しているというのがカングーオーナーの特徴だし、使い倒すことで、行動範囲が広がり、新しい部屋ができ、日々にハリができる。withコロナの時代は今まで当たり前だったものが、リスクを回避しながら能動的に動いていかないとアクセスできない時代だ。カングーはそれに対応できる希少性の高いクルマだろう。

 

 

撮影/中田 悟 撮影協力/PICA富士西湖(山梨県)

最大3泊4日の「¥0 Car Rent」サービス。驚きのレンタル無料でマイカーのある生活をシミュレートできる大チャンス企画

BMW、レクサス、メルセデス・ベンツ、ポルシェなどの高級車をはじめ、さまざまな車種の中から最大3泊4日のカーレンタルが無料で可能という「0円カーレント」を体験してきました。冒頭にBMWやレクサス……と書きましたが、実はこのサービス、単に高価なクルマに無料で乗ろうということではありません。クルマとの生活を考え、モビリティと共にある「より良い生活」をシミュレートしてみよう! ということが大きな目的なのです。

↑東京駅と直結の行幸通り地下1階「マイカー・トライアル 東京ストア」店舗。0円でレンタカーできるなんて夢のよう、どんなサービスなのでしょうか?

 

電車やバスなどの公共交通機関網の発達した都市部では日常生活でクルマの必要性を感じない人々が増えてきました。大人達は「若者のクルマ離れ」などと言いますが、若者としてはクルマを生活のメインに考える必要がなくなっただけで、便利な生活、憧れる生活のスタイルが変化したということです。クルマが無い生活が当たり前になっているというだけのことです。

↑今回お話をうかがった0円カーレント ガリバーグループを運営するIDOMのサービス担当=東海林 知貴氏。(撮影のためマスクを外して頂きました)サービス、クルマについて精通しているコンシェルジュ

 

クルマ不要の生活にインパクトあるシミュレーション

このサービスを運営するIDOMは本企画を通し、最近では当たり前だと思っていた「クルマ不要の生活」に対し、「車のある生活」を気軽にシミュレートすることを可能にしたのです。3泊4日ですが実際の生活の中でクルマを使用し、その有効性や楽しさを気軽に味わうことができます。

↑0円カーレントはSUVやセダン、ミニバン、軽自動車など様々なタイプの車両、50車種から選べます

 

ではクルマの借り方を通し、もう少し分かりやすくこの0円カーレントサービスに迫ってみましょう。まず事前にストアで相談する方法と、LINEで相談する方法があります。

↑来店するとコンシェルジュが希望や質問にこたえてくれます

 

●ストアで相談の流れ

1.マイカー・トライアル 東京ストアに来店

2.コンシェルジュと相談しながら乗りたいクルマと利用日を決定

3.利用日に東京・丸ノ内のマイカー・トライアル 東京ストアに来店

4.クルマの鍵を受け取り、利用開始

 

●LINEで相談の流れ

1.0円カーレント LINEを友達登録(“0円カーレント”で検索)

2.LINE上でコンシェルジュと相談の上、乗りたいクルマと利用日を決定

3.利用日に東京・丸ノ内のマイカー・トライアル 東京ストアに来店

4.クルマの鍵を受け取り、利用開始

 

という2つの方法が大きな流れとなります。このサービスの利用にあたっては、マイカー・トライアル LINEの友達登録が必要となります。

↑クルマの利用日はコンシェルジュが諸手続きを丁寧に行い、質問にも的確に答えてくれます。キーを受け取り、いよいよ出発です

 

↑駐車場のマイカー・トライアル NORELのプレートの前にあるのが対象車種。返却時には同じ番号の場所にクルマを戻します

 

↑今回はトヨタのコンパクトSUV、C-HRを貸りて「マイカーのある生活」をシミュレートしました

 

コロナ禍による新たなマイカーシミュレート

IDOMのサービス担当東海林さんが言うには、「本サービスは3月26日に一度始まったのですが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響によりわずか3日間で営業を停止する結果となってしまいました。しかし、時が過ぎるにつれ、公共交通機関よりも他者との接触の少ないマイカーでの通勤や子どもたちの送り迎え、しばらく会えなかった家族や仲間との時間を過ごすことのできる「マイカーのある生活」を実感し、見直してもらえると考え、サービスの再開に踏み切りました。withコロナにおけるこれからの安全で快適なライフスタイルを考える機会として多くの皆様にこのサービスを体験してもらっています」。コロナ禍になってマイカーの存在が再認識され、「マイカーのある生活」にファミリー層だけでなく注目が集まるようになったのです。

 

さて、クルマを借りたら一気にロングドライブに出かけてみたいものですが、コロナ禍真っ只中の現在です。せっかくの機会に恵まれましたが遠出は控え、都内での買い物とプチツーリングにとどめました。ハイブリッドカー、トヨタC-HRは約20km/Lと好燃費。エンジンとモーターの切り替わりがスムーズなのに加え、CVTの無段階変速によってスムーズで気持の良い走りを味わえました。クリーンな室内、コンパクトなボディに余裕のあるトルクで乗り始めてすぐに「マイカーのある生活」のイメージが膨らんでいきました。

↑夏の熱帯夜。東京プチツーリング。取り回しも楽な「ちょうどいい」サイズで快適に都心の街を走り抜けました

 

↑一般的なレンタカーとは違い、「わ」ナンバーではありません

 

↑翌日は首都高速を使い高速移動。道を選ばず胸のすく加速感が印象的でした

 

↑体験レポートでは1泊2日でお借りしました。翌日夕方にガソリンを満タンにして丸の内の駐車場に返却

 

↑返却時は通常のレンタカーのように傷などがないかチェックを受けます。問題がなければそのまま終了。車両はすぐに洗車、消毒、クリーニングが行われ、次の体験者は気持ちよく使用することができます

 

第二弾にも期待

0円カーレント キャンペーンはコロナ禍の中に始まり、その中で終了を迎えてしまいます。しかし、今回のサービスはマイカーを生活に取り入れるきっかけ作りに大きく貢献した事でしょう。0円カーレント終了後にも継続してサブスク制のマイカーライフ入門サービス マイカー・トライアルが行われています。1か月から5か月まではレンタカーとして、それ以降の期間の場合はリースとしての契約となります。

 

このサービスの大きな特徴は、一時的にマイカーが欲しい方、マイカーを検討したい方/選び方が分からない方、頻繁にレンタカーを利用する方にとって魅力的なサービスとなっています。例えば、購入を希望するクルマを1か月利用して判断したり、翌月には別のクルマを使用し試してみたりするなどという利用方法もあります。このようなマイカーの使用方法が新たな「マイカーのある生活」を生み出していくのだと思います。

 

「NOREL」のサービスではクルマだけでなく短期間で利用できる駐車場の確保など、ユーザーに優しいサービスの充実を図っています。NORELの盛り上がりが第二、第三のキャンペーンに繋がっていくことになります。あなたもマイカーのある生活をシミュレートしてみませんか。

 

本サービスの詳細はマイカー・トライアル公式サイトをご参照ください。

※0円カーレントは大好評のサービスで期間もあとわずかのため、希望に添えない場合があることを了承ください。また、使用中の駐車場代、燃料代などはユーザーの負担となります。車両返却時まで3万円の預り金を預かります。当サービスの利用は一人一回限りとなります。

 

■マイカー・トライアル 東京ストア

住所:東京都千代田区丸の内1丁目5-1 行幸通り地下1F 新丸ビル前
営業時間:10:00~19:00 (クルマ返却時間は相談可能)※水曜日は休館
期間:2020年9月16日まで ※最終受付は9月12日18:30まで

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

最大3泊4日の「¥0 Car Rent」サービス。驚きのレンタル無料でマイカーのある生活をシミュレートできる大チャンス企画

BMW、レクサス、メルセデス・ベンツ、ポルシェなどの高級車をはじめ、さまざまな車種の中から最大3泊4日のカーレンタルが無料で可能という「0円カーレント」を体験してきました。冒頭にBMWやレクサス……と書きましたが、実はこのサービス、単に高価なクルマに無料で乗ろうということではありません。クルマとの生活を考え、モビリティと共にある「より良い生活」をシミュレートしてみよう! ということが大きな目的なのです。

↑東京駅と直結の行幸通り地下1階「マイカー・トライアル 東京ストア」店舗。0円でレンタカーできるなんて夢のよう、どんなサービスなのでしょうか?

 

電車やバスなどの公共交通機関網の発達した都市部では日常生活でクルマの必要性を感じない人々が増えてきました。大人達は「若者のクルマ離れ」などと言いますが、若者としてはクルマを生活のメインに考える必要がなくなっただけで、便利な生活、憧れる生活のスタイルが変化したということです。クルマが無い生活が当たり前になっているというだけのことです。

↑今回お話をうかがった0円カーレント ガリバーグループを運営するIDOMのサービス担当=東海林 知貴氏。(撮影のためマスクを外して頂きました)サービス、クルマについて精通しているコンシェルジュ

 

クルマ不要の生活にインパクトあるシミュレーション

このサービスを運営するIDOMは本企画を通し、最近では当たり前だと思っていた「クルマ不要の生活」に対し、「車のある生活」を気軽にシミュレートすることを可能にしたのです。3泊4日ですが実際の生活の中でクルマを使用し、その有効性や楽しさを気軽に味わうことができます。

↑0円カーレントはSUVやセダン、ミニバン、軽自動車など様々なタイプの車両、50車種から選べます

 

ではクルマの借り方を通し、もう少し分かりやすくこの0円カーレントサービスに迫ってみましょう。まず事前にストアで相談する方法と、LINEで相談する方法があります。

↑来店するとコンシェルジュが希望や質問にこたえてくれます

 

●ストアで相談の流れ

1.マイカー・トライアル 東京ストアに来店

2.コンシェルジュと相談しながら乗りたいクルマと利用日を決定

3.利用日に東京・丸ノ内のマイカー・トライアル 東京ストアに来店

4.クルマの鍵を受け取り、利用開始

 

●LINEで相談の流れ

1.0円カーレント LINEを友達登録(“0円カーレント”で検索)

2.LINE上でコンシェルジュと相談の上、乗りたいクルマと利用日を決定

3.利用日に東京・丸ノ内のマイカー・トライアル 東京ストアに来店

4.クルマの鍵を受け取り、利用開始

 

という2つの方法が大きな流れとなります。このサービスの利用にあたっては、マイカー・トライアル LINEの友達登録が必要となります。

↑クルマの利用日はコンシェルジュが諸手続きを丁寧に行い、質問にも的確に答えてくれます。キーを受け取り、いよいよ出発です

 

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↑今回はトヨタのコンパクトSUV、C-HRを貸りて「マイカーのある生活」をシミュレートしました

 

コロナ禍による新たなマイカーシミュレート

IDOMのサービス担当東海林さんが言うには、「本サービスは3月26日に一度始まったのですが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響によりわずか3日間で営業を停止する結果となってしまいました。しかし、時が過ぎるにつれ、公共交通機関よりも他者との接触の少ないマイカーでの通勤や子どもたちの送り迎え、しばらく会えなかった家族や仲間との時間を過ごすことのできる「マイカーのある生活」を実感し、見直してもらえると考え、サービスの再開に踏み切りました。withコロナにおけるこれからの安全で快適なライフスタイルを考える機会として多くの皆様にこのサービスを体験してもらっています」。コロナ禍になってマイカーの存在が再認識され、「マイカーのある生活」にファミリー層だけでなく注目が集まるようになったのです。

 

さて、クルマを借りたら一気にロングドライブに出かけてみたいものですが、コロナ禍真っ只中の現在です。せっかくの機会に恵まれましたが遠出は控え、都内での買い物とプチツーリングにとどめました。ハイブリッドカー、トヨタC-HRは約20km/Lと好燃費。エンジンとモーターの切り替わりがスムーズなのに加え、CVTの無段階変速によってスムーズで気持の良い走りを味わえました。クリーンな室内、コンパクトなボディに余裕のあるトルクで乗り始めてすぐに「マイカーのある生活」のイメージが膨らんでいきました。

↑夏の熱帯夜。東京プチツーリング。取り回しも楽な「ちょうどいい」サイズで快適に都心の街を走り抜けました

 

↑一般的なレンタカーとは違い、「わ」ナンバーではありません

 

↑翌日は首都高速を使い高速移動。道を選ばず胸のすく加速感が印象的でした

 

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↑返却時は通常のレンタカーのように傷などがないかチェックを受けます。問題がなければそのまま終了。車両はすぐに洗車、消毒、クリーニングが行われ、次の体験者は気持ちよく使用することができます

 

第二弾にも期待

0円カーレント キャンペーンはコロナ禍の中に始まり、その中で終了を迎えてしまいます。しかし、今回のサービスはマイカーを生活に取り入れるきっかけ作りに大きく貢献した事でしょう。0円カーレント終了後にも継続してサブスク制のマイカーライフ入門サービス マイカー・トライアルが行われています。1か月から5か月まではレンタカーとして、それ以降の期間の場合はリースとしての契約となります。

 

このサービスの大きな特徴は、一時的にマイカーが欲しい方、マイカーを検討したい方/選び方が分からない方、頻繁にレンタカーを利用する方にとって魅力的なサービスとなっています。例えば、購入を希望するクルマを1か月利用して判断したり、翌月には別のクルマを使用し試してみたりするなどという利用方法もあります。このようなマイカーの使用方法が新たな「マイカーのある生活」を生み出していくのだと思います。

 

「NOREL」のサービスではクルマだけでなく短期間で利用できる駐車場の確保など、ユーザーに優しいサービスの充実を図っています。NORELの盛り上がりが第二、第三のキャンペーンに繋がっていくことになります。あなたもマイカーのある生活をシミュレートしてみませんか。

 

本サービスの詳細はマイカー・トライアル公式サイトをご参照ください。

※0円カーレントは大好評のサービスで期間もあとわずかのため、希望に添えない場合があることを了承ください。また、使用中の駐車場代、燃料代などはユーザーの負担となります。車両返却時まで3万円の預り金を預かります。当サービスの利用は一人一回限りとなります。

 

■マイカー・トライアル 東京ストア

住所:東京都千代田区丸の内1丁目5-1 行幸通り地下1F 新丸ビル前
営業時間:10:00~19:00 (クルマ返却時間は相談可能)※水曜日は休館
期間:2020年9月16日まで ※最終受付は9月12日18:30まで

 

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最大3泊4日の「¥0 Car Rent」サービス。驚きのレンタル無料でマイカーのある生活をシミュレートできる大チャンス企画

BMW、レクサス、メルセデス・ベンツ、ポルシェなどの高級車をはじめ、さまざまな車種の中から最大3泊4日のカーレンタルが無料で可能という「0円カーレント」を体験してきました。冒頭にBMWやレクサス……と書きましたが、実はこのサービス、単に高価なクルマに無料で乗ろうということではありません。クルマとの生活を考え、モビリティと共にある「より良い生活」をシミュレートしてみよう! ということが大きな目的なのです。

↑東京駅と直結の行幸通り地下1階「マイカー・トライアル 東京ストア」店舗。0円でレンタカーできるなんて夢のよう、どんなサービスなのでしょうか?

 

電車やバスなどの公共交通機関網の発達した都市部では日常生活でクルマの必要性を感じない人々が増えてきました。大人達は「若者のクルマ離れ」などと言いますが、若者としてはクルマを生活のメインに考える必要がなくなっただけで、便利な生活、憧れる生活のスタイルが変化したということです。クルマが無い生活が当たり前になっているというだけのことです。

↑今回お話をうかがった0円カーレント ガリバーグループを運営するIDOMのサービス担当=東海林 知貴氏。(撮影のためマスクを外して頂きました)サービス、クルマについて精通しているコンシェルジュ

 

クルマ不要の生活にインパクトあるシミュレーション

このサービスを運営するIDOMは本企画を通し、最近では当たり前だと思っていた「クルマ不要の生活」に対し、「車のある生活」を気軽にシミュレートすることを可能にしたのです。3泊4日ですが実際の生活の中でクルマを使用し、その有効性や楽しさを気軽に味わうことができます。

↑0円カーレントはSUVやセダン、ミニバン、軽自動車など様々なタイプの車両、50車種から選べます

 

ではクルマの借り方を通し、もう少し分かりやすくこの0円カーレントサービスに迫ってみましょう。まず事前にストアで相談する方法と、LINEで相談する方法があります。

↑来店するとコンシェルジュが希望や質問にこたえてくれます

 

●ストアで相談の流れ

1.マイカー・トライアル 東京ストアに来店

2.コンシェルジュと相談しながら乗りたいクルマと利用日を決定

3.利用日に東京・丸ノ内のマイカー・トライアル 東京ストアに来店

4.クルマの鍵を受け取り、利用開始

 

●LINEで相談の流れ

1.0円カーレント LINEを友達登録(“0円カーレント”で検索)

2.LINE上でコンシェルジュと相談の上、乗りたいクルマと利用日を決定

3.利用日に東京・丸ノ内のマイカー・トライアル 東京ストアに来店

4.クルマの鍵を受け取り、利用開始

 

という2つの方法が大きな流れとなります。このサービスの利用にあたっては、マイカー・トライアル LINEの友達登録が必要となります。

↑クルマの利用日はコンシェルジュが諸手続きを丁寧に行い、質問にも的確に答えてくれます。キーを受け取り、いよいよ出発です

 

↑駐車場のマイカー・トライアル NORELのプレートの前にあるのが対象車種。返却時には同じ番号の場所にクルマを戻します

 

↑今回はトヨタのコンパクトSUV、C-HRを貸りて「マイカーのある生活」をシミュレートしました

 

コロナ禍による新たなマイカーシミュレート

IDOMのサービス担当東海林さんが言うには、「本サービスは3月26日に一度始まったのですが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響によりわずか3日間で営業を停止する結果となってしまいました。しかし、時が過ぎるにつれ、公共交通機関よりも他者との接触の少ないマイカーでの通勤や子どもたちの送り迎え、しばらく会えなかった家族や仲間との時間を過ごすことのできる「マイカーのある生活」を実感し、見直してもらえると考え、サービスの再開に踏み切りました。withコロナにおけるこれからの安全で快適なライフスタイルを考える機会として多くの皆様にこのサービスを体験してもらっています」。コロナ禍になってマイカーの存在が再認識され、「マイカーのある生活」にファミリー層だけでなく注目が集まるようになったのです。

 

さて、クルマを借りたら一気にロングドライブに出かけてみたいものですが、コロナ禍真っ只中の現在です。せっかくの機会に恵まれましたが遠出は控え、都内での買い物とプチツーリングにとどめました。ハイブリッドカー、トヨタC-HRは約20km/Lと好燃費。エンジンとモーターの切り替わりがスムーズなのに加え、CVTの無段階変速によってスムーズで気持の良い走りを味わえました。クリーンな室内、コンパクトなボディに余裕のあるトルクで乗り始めてすぐに「マイカーのある生活」のイメージが膨らんでいきました。

↑夏の熱帯夜。東京プチツーリング。取り回しも楽な「ちょうどいい」サイズで快適に都心の街を走り抜けました

 

↑一般的なレンタカーとは違い、「わ」ナンバーではありません

 

↑翌日は首都高速を使い高速移動。道を選ばず胸のすく加速感が印象的でした

 

↑体験レポートでは1泊2日でお借りしました。翌日夕方にガソリンを満タンにして丸の内の駐車場に返却

 

↑返却時は通常のレンタカーのように傷などがないかチェックを受けます。問題がなければそのまま終了。車両はすぐに洗車、消毒、クリーニングが行われ、次の体験者は気持ちよく使用することができます

 

第二弾にも期待

0円カーレント キャンペーンはコロナ禍の中に始まり、その中で終了を迎えてしまいます。しかし、今回のサービスはマイカーを生活に取り入れるきっかけ作りに大きく貢献した事でしょう。0円カーレント終了後にも継続してサブスク制のマイカーライフ入門サービス マイカー・トライアルが行われています。1か月から5か月まではレンタカーとして、それ以降の期間の場合はリースとしての契約となります。

 

このサービスの大きな特徴は、一時的にマイカーが欲しい方、マイカーを検討したい方/選び方が分からない方、頻繁にレンタカーを利用する方にとって魅力的なサービスとなっています。例えば、購入を希望するクルマを1か月利用して判断したり、翌月には別のクルマを使用し試してみたりするなどという利用方法もあります。このようなマイカーの使用方法が新たな「マイカーのある生活」を生み出していくのだと思います。

 

「NOREL」のサービスではクルマだけでなく短期間で利用できる駐車場の確保など、ユーザーに優しいサービスの充実を図っています。NORELの盛り上がりが第二、第三のキャンペーンに繋がっていくことになります。あなたもマイカーのある生活をシミュレートしてみませんか。

 

本サービスの詳細はマイカー・トライアル公式サイトをご参照ください。

※0円カーレントは大好評のサービスで期間もあとわずかのため、希望に添えない場合があることを了承ください。また、使用中の駐車場代、燃料代などはユーザーの負担となります。車両返却時まで3万円の預り金を預かります。当サービスの利用は一人一回限りとなります。

 

■マイカー・トライアル 東京ストア

住所:東京都千代田区丸の内1丁目5-1 行幸通り地下1F 新丸ビル前
営業時間:10:00~19:00 (クルマ返却時間は相談可能)※水曜日は休館
期間:2020年9月16日まで ※最終受付は9月12日18:30まで

 

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新世代の「アイサイトX」は何がすごいのか? 「新型レヴォーグ」で体験した安全運転支援システムの最前線

スバルは8月20日、新型「レヴォーグ」の先行予約を開始。6年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型レヴォーグの正式な発表日は10月15日が予定されています。今回は先進安全運転支援システム(ADAS)で大幅な進化を遂げた新世代「EyeSight(アイサイト)」をプロトタイプの事前試乗会で体験して参りました。

↑新型レヴォーグの最上位グレード「STI Sport EX」

 

新型レヴォーグの進化レベルは?

まずは新型レヴォーグの概要を紹介しましょう。ボディサイズは全長4755×全幅1795×全高1500mmで、現行よりも65mm長く、15mm幅広くなりました。それでいて、立体駐車場にも収まるなど国内の使用環境に十分配慮したサイズとなっています。全体にエッジが効いたデザインで身をまとい、立体的なフロントグリルからフェンダーは斬新さを伝えながら新世代レヴォーグであることを実感させてくれます。

 

ラインナップされたエンジンは新開発の水平対向4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボのみとなりました。最高出力130kW(177PS)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgfm)/1600-3600rpmを発生し、トランスミッションは新開発のリニアトロニックCVT、駆動方式は4WDを採用します。ラインナップは、基本グレードである「GT」「GT-H」「STI Sport」の3モデルに加え、「アイサイトX」を標準搭載した「GT EX」「GT-H EX」「STI Sport EX」の計6モデルを用意。

 

ダッシュボードはセンターに11.6インチのタテ型ディスプレイを配置し、わずかに高めにシフトしたことで包まれ感を演出。センターコンソールと両サイドのアームレストは素材を合わせ込み、シート表皮はグレードごとに違えても質感を重視した造り込みがされており、その質感は間違いなくクラス随一と断言していいでしょう。しかも、シートは単に座り心地だけにとどまらず、長時間座っていても姿勢が崩れにくくする工夫もされているとのこと。

↑11.6インチ大型ディスプレイを中心に先進的な印象が伝わってくる

 

↑内装の統一感は細部までに及び、質感か確実にレベルアップ

 

先進安全運転支援システム新世代「アイサイト」を体験

そして、ここからが今日の本題。新世代「アイサイト」についてです。本システムでは、広角化したステレオカメラに加えて、フロントバンパー左右に77GHzミリ波レーダー、電動ブレーキブースターを組み合わせたスバル初のシステム。これにより、右折時の対向車、左折時の横断歩行者、横断自転車との衝突回避を新たにサポートできるようになったのです。

↑新型レヴォーグに搭載された新世代アイサイト。スウェーデンのVeoneer社製ステレオカメラを初採用

 

↑新世代アイサイトのコントロール部。右並び中段がメインスイッチ

 

さらに、約80km/h以下では「プリクラッシュステアリングアシスト」がブレーキ制御に加えて操舵制御も行って衝突回避をサポート。前側方から車両が近づくと警報を発してブレーキ制御を行う前側方プリクラッシュブレーキ・前側方警戒アシストもスバルとして初めて搭載しました。また、「リヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)」では、斜め側方から近づく車両に対して音と表示で警告しつつ、それでもなお車線変更をしようとすると、電動パワーステアリングが元の車線に押し戻す力強くアシストします。

 

新型レヴォーグではこれらの機能を全グレードに標準で装備。スバルの安全思想がしっかりと反映されたと言っていいでしょう。

 

加えて新型レヴォーグでは「アイサイトX」と呼ばれる+35万円のオプションも用意しています。準天頂衛星「みちびき」やGPSから得られる情報と3D高精度地図データを利用することで、より高度な運転支援機能が上乗せされるパッケージです。その中にはナビ機能など3つの表示モードを備えるフル液晶パネルメーターも含まれます。しかし、中でももっともインパクトある機能と言えるのが“渋滞時ハンズオフアシスト”でしょう。これは約50km/h以下の渋滞時になるとステアリングから手を離しても先行車に自動追従する機能です。

↑オプションの「アイサイトX」で装備される12.3インチのフル液晶メーター

 

使ってみればその時の快適さは格別なものでした。停止しても10分以内なら先行車に追従して発進してハンズオフ走行が再開。渋滞時だけなの? と思う人もいるでしょうが、渋滞中こそ運転のストレスはたまりやすいわけで、その低減にこの機能は大きな効果を発揮するのは間違いありません。ただ、スマートフォンを操作するなどして、視線を前方から外すとこの機能は解除されてしまいます。この機能は自動運転を実現したのではなく、あくまで運転の責任がドライバーにある自動運転レベル2のカテゴリーに入るものだからです。

↑「渋滞時ハンズオフアシスト」では、前方を見ている限り50km/h以下でハンズオフで走行できる

 

↑渋滞時ハンズオフアシスト走行時のメーター内表示。左下のアイコンでドライバーの視線を捉えていることが分かる

 

3D高精度マップには料金所や道路カーブの情報まで収録されており、衛星で測位した高精度な位置情報とリンクして、この時の制御も自動化しました。試乗会では料金所に見立てた場所を用意していましたが、ここに近づくとメーター内にその表示を出して約20km/hまで自動的に減速していきます。カーブでは同じようにカーブがあることを示すアイコンを表示した後、そのコーナーに応じて最適かつ安全な速度で走行するということです。

↑料金所として設定した場所では、メーター内にそれを表示して自動的に最適な速度に減速していく

 

アイサイトXでは、24GHzのマイクロ波レーダーを使った「アクティブレーンチェンジアシスト」も搭載されました。ドライバーがレーンチェンジをしようとウインカーを操作すると、レーダーが斜め後方の車両の存在を検知。システムが安全と判断すると自動的にレーンチェンジへと移行します。この時ドライバーはステアリングに軽く手を添えておけばOK。レーンチェンジが完了すればウインカーは自動的に停止します。このメリットは公道でぜひ試してみたいですね。

↑「アクティブレーンチェンジアシスト」はアイサイトXに装備。70km/h~120km/hの車速域で利用できる

 

↑アクティブレーンチェンジアシストの作動状況はメーター内にCGで反映される

 

見逃せないのが「ドライバー異常時対応システム」の搭載です。これはダッシュボード中央上部に備えられた赤外線カメラでドライバーの表情を捉え、一定時間、顔の向きがそれたり、ステアリングから手を離し続けたりしていると(ハンズオフ走行時を除く)音と表示で警告を発し、それでもドライバーが反応しない場合には緩やかに減速しながらハザードランプを点灯。約30km/hにまで減速するとホーンまでも断続的に鳴らして周囲に異常を知らせ、停止に至るというものです。

 

ここで注目すべきが停止する場所で、この機能では路肩に寄せることはせず、そのまま同じ車線上で停止します。理由は道路状況を把握できてないまま路肩に寄せたり、車線を跨ぐとなれば危険性はむしろ高くなってしまうからです。そのため、このモードに入ってもカーブでは減速したままで停止せず、車線を維持しながら走行を継続。先が見通せる直線路に入ってから停止する仕様としています。後続車の追突を最小限に抑えながら、ドライバーの異常を知らせる最良の対応を果たしたというわけです。

 

「ドライバー異常時対応システム」の動作状況

 

これまでADASは事故に対する機能アップを中心として続けられてきました。それが新世代アイサイトでは、“X”でドライバー自身に発生するかもしれない異常にまで対応するようになったのです。ドライバーに異常が発生すれば別の事故を誘発する可能性は高く、2030年までに死亡事故ゼロを目指しているスバルにとっては、この問題を避けて通るわけには行かなかったのでしょう。先進技術で着実に安全性を高めているスバルの動向には今後も目が離せそうにありません。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

新世代の「アイサイトX」は何がすごいのか? 「新型レヴォーグ」で体験した安全運転支援システムの最前線

スバルは8月20日、新型「レヴォーグ」の先行予約を開始。6年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型レヴォーグの正式な発表日は10月15日が予定されています。今回は先進安全運転支援システム(ADAS)で大幅な進化を遂げた新世代「EyeSight(アイサイト)」をプロトタイプの事前試乗会で体験して参りました。

↑新型レヴォーグの最上位グレード「STI Sport EX」

 

新型レヴォーグの進化レベルは?

まずは新型レヴォーグの概要を紹介しましょう。ボディサイズは全長4755×全幅1795×全高1500mmで、現行よりも65mm長く、15mm幅広くなりました。それでいて、立体駐車場にも収まるなど国内の使用環境に十分配慮したサイズとなっています。全体にエッジが効いたデザインで身をまとい、立体的なフロントグリルからフェンダーは斬新さを伝えながら新世代レヴォーグであることを実感させてくれます。

 

ラインナップされたエンジンは新開発の水平対向4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボのみとなりました。最高出力130kW(177PS)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgfm)/1600-3600rpmを発生し、トランスミッションは新開発のリニアトロニックCVT、駆動方式は4WDを採用します。ラインナップは、基本グレードである「GT」「GT-H」「STI Sport」の3モデルに加え、「アイサイトX」を標準搭載した「GT EX」「GT-H EX」「STI Sport EX」の計6モデルを用意。

 

ダッシュボードはセンターに11.6インチのタテ型ディスプレイを配置し、わずかに高めにシフトしたことで包まれ感を演出。センターコンソールと両サイドのアームレストは素材を合わせ込み、シート表皮はグレードごとに違えても質感を重視した造り込みがされており、その質感は間違いなくクラス随一と断言していいでしょう。しかも、シートは単に座り心地だけにとどまらず、長時間座っていても姿勢が崩れにくくする工夫もされているとのこと。

↑11.6インチ大型ディスプレイを中心に先進的な印象が伝わってくる

 

↑内装の統一感は細部までに及び、質感か確実にレベルアップ

 

先進安全運転支援システム新世代「アイサイト」を体験

そして、ここからが今日の本題。新世代「アイサイト」についてです。本システムでは、広角化したステレオカメラに加えて、フロントバンパー左右に77GHzミリ波レーダー、電動ブレーキブースターを組み合わせたスバル初のシステム。これにより、右折時の対向車、左折時の横断歩行者、横断自転車との衝突回避を新たにサポートできるようになったのです。

↑新型レヴォーグに搭載された新世代アイサイト。スウェーデンのVeoneer社製ステレオカメラを初採用

 

↑新世代アイサイトのコントロール部。右並び中段がメインスイッチ

 

さらに、約80km/h以下では「プリクラッシュステアリングアシスト」がブレーキ制御に加えて操舵制御も行って衝突回避をサポート。前側方から車両が近づくと警報を発してブレーキ制御を行う前側方プリクラッシュブレーキ・前側方警戒アシストもスバルとして初めて搭載しました。また、「リヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)」では、斜め側方から近づく車両に対して音と表示で警告しつつ、それでもなお車線変更をしようとすると、電動パワーステアリングが元の車線に押し戻す力強くアシストします。

 

新型レヴォーグではこれらの機能を全グレードに標準で装備。スバルの安全思想がしっかりと反映されたと言っていいでしょう。

 

加えて新型レヴォーグでは「アイサイトX」と呼ばれる+35万円のオプションも用意しています。準天頂衛星「みちびき」やGPSから得られる情報と3D高精度地図データを利用することで、より高度な運転支援機能が上乗せされるパッケージです。その中にはナビ機能など3つの表示モードを備えるフル液晶パネルメーターも含まれます。しかし、中でももっともインパクトある機能と言えるのが“渋滞時ハンズオフアシスト”でしょう。これは約50km/h以下の渋滞時になるとステアリングから手を離しても先行車に自動追従する機能です。

↑オプションの「アイサイトX」で装備される12.3インチのフル液晶メーター

 

使ってみればその時の快適さは格別なものでした。停止しても10分以内なら先行車に追従して発進してハンズオフ走行が再開。渋滞時だけなの? と思う人もいるでしょうが、渋滞中こそ運転のストレスはたまりやすいわけで、その低減にこの機能は大きな効果を発揮するのは間違いありません。ただ、スマートフォンを操作するなどして、視線を前方から外すとこの機能は解除されてしまいます。この機能は自動運転を実現したのではなく、あくまで運転の責任がドライバーにある自動運転レベル2のカテゴリーに入るものだからです。

↑「渋滞時ハンズオフアシスト」では、前方を見ている限り50km/h以下でハンズオフで走行できる

 

↑渋滞時ハンズオフアシスト走行時のメーター内表示。左下のアイコンでドライバーの視線を捉えていることが分かる

 

3D高精度マップには料金所や道路カーブの情報まで収録されており、衛星で測位した高精度な位置情報とリンクして、この時の制御も自動化しました。試乗会では料金所に見立てた場所を用意していましたが、ここに近づくとメーター内にその表示を出して約20km/hまで自動的に減速していきます。カーブでは同じようにカーブがあることを示すアイコンを表示した後、そのコーナーに応じて最適かつ安全な速度で走行するということです。

↑料金所として設定した場所では、メーター内にそれを表示して自動的に最適な速度に減速していく

 

アイサイトXでは、24GHzのマイクロ波レーダーを使った「アクティブレーンチェンジアシスト」も搭載されました。ドライバーがレーンチェンジをしようとウインカーを操作すると、レーダーが斜め後方の車両の存在を検知。システムが安全と判断すると自動的にレーンチェンジへと移行します。この時ドライバーはステアリングに軽く手を添えておけばOK。レーンチェンジが完了すればウインカーは自動的に停止します。このメリットは公道でぜひ試してみたいですね。

↑「アクティブレーンチェンジアシスト」はアイサイトXに装備。70km/h~120km/hの車速域で利用できる

 

↑アクティブレーンチェンジアシストの作動状況はメーター内にCGで反映される

 

見逃せないのが「ドライバー異常時対応システム」の搭載です。これはダッシュボード中央上部に備えられた赤外線カメラでドライバーの表情を捉え、一定時間、顔の向きがそれたり、ステアリングから手を離し続けたりしていると(ハンズオフ走行時を除く)音と表示で警告を発し、それでもドライバーが反応しない場合には緩やかに減速しながらハザードランプを点灯。約30km/hにまで減速するとホーンまでも断続的に鳴らして周囲に異常を知らせ、停止に至るというものです。

 

ここで注目すべきが停止する場所で、この機能では路肩に寄せることはせず、そのまま同じ車線上で停止します。理由は道路状況を把握できてないまま路肩に寄せたり、車線を跨ぐとなれば危険性はむしろ高くなってしまうからです。そのため、このモードに入ってもカーブでは減速したままで停止せず、車線を維持しながら走行を継続。先が見通せる直線路に入ってから停止する仕様としています。後続車の追突を最小限に抑えながら、ドライバーの異常を知らせる最良の対応を果たしたというわけです。

 

「ドライバー異常時対応システム」の動作状況

 

これまでADASは事故に対する機能アップを中心として続けられてきました。それが新世代アイサイトでは、“X”でドライバー自身に発生するかもしれない異常にまで対応するようになったのです。ドライバーに異常が発生すれば別の事故を誘発する可能性は高く、2030年までに死亡事故ゼロを目指しているスバルにとっては、この問題を避けて通るわけには行かなかったのでしょう。先進技術で着実に安全性を高めているスバルの動向には今後も目が離せそうにありません。

 

 

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新世代の「アイサイトX」は何がすごいのか? 「新型レヴォーグ」で体験した安全運転支援システムの最前線

スバルは8月20日、新型「レヴォーグ」の先行予約を開始。6年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型レヴォーグの正式な発表日は10月15日が予定されています。今回は先進安全運転支援システム(ADAS)で大幅な進化を遂げた新世代「EyeSight(アイサイト)」をプロトタイプの事前試乗会で体験して参りました。

↑新型レヴォーグの最上位グレード「STI Sport EX」

 

新型レヴォーグの進化レベルは?

まずは新型レヴォーグの概要を紹介しましょう。ボディサイズは全長4755×全幅1795×全高1500mmで、現行よりも65mm長く、15mm幅広くなりました。それでいて、立体駐車場にも収まるなど国内の使用環境に十分配慮したサイズとなっています。全体にエッジが効いたデザインで身をまとい、立体的なフロントグリルからフェンダーは斬新さを伝えながら新世代レヴォーグであることを実感させてくれます。

 

ラインナップされたエンジンは新開発の水平対向4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボのみとなりました。最高出力130kW(177PS)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgfm)/1600-3600rpmを発生し、トランスミッションは新開発のリニアトロニックCVT、駆動方式は4WDを採用します。ラインナップは、基本グレードである「GT」「GT-H」「STI Sport」の3モデルに加え、「アイサイトX」を標準搭載した「GT EX」「GT-H EX」「STI Sport EX」の計6モデルを用意。

 

ダッシュボードはセンターに11.6インチのタテ型ディスプレイを配置し、わずかに高めにシフトしたことで包まれ感を演出。センターコンソールと両サイドのアームレストは素材を合わせ込み、シート表皮はグレードごとに違えても質感を重視した造り込みがされており、その質感は間違いなくクラス随一と断言していいでしょう。しかも、シートは単に座り心地だけにとどまらず、長時間座っていても姿勢が崩れにくくする工夫もされているとのこと。

↑11.6インチ大型ディスプレイを中心に先進的な印象が伝わってくる

 

↑内装の統一感は細部までに及び、質感か確実にレベルアップ

 

先進安全運転支援システム新世代「アイサイト」を体験

そして、ここからが今日の本題。新世代「アイサイト」についてです。本システムでは、広角化したステレオカメラに加えて、フロントバンパー左右に77GHzミリ波レーダー、電動ブレーキブースターを組み合わせたスバル初のシステム。これにより、右折時の対向車、左折時の横断歩行者、横断自転車との衝突回避を新たにサポートできるようになったのです。

↑新型レヴォーグに搭載された新世代アイサイト。スウェーデンのVeoneer社製ステレオカメラを初採用

 

↑新世代アイサイトのコントロール部。右並び中段がメインスイッチ

 

さらに、約80km/h以下では「プリクラッシュステアリングアシスト」がブレーキ制御に加えて操舵制御も行って衝突回避をサポート。前側方から車両が近づくと警報を発してブレーキ制御を行う前側方プリクラッシュブレーキ・前側方警戒アシストもスバルとして初めて搭載しました。また、「リヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)」では、斜め側方から近づく車両に対して音と表示で警告しつつ、それでもなお車線変更をしようとすると、電動パワーステアリングが元の車線に押し戻す力強くアシストします。

 

新型レヴォーグではこれらの機能を全グレードに標準で装備。スバルの安全思想がしっかりと反映されたと言っていいでしょう。

 

加えて新型レヴォーグでは「アイサイトX」と呼ばれる+35万円のオプションも用意しています。準天頂衛星「みちびき」やGPSから得られる情報と3D高精度地図データを利用することで、より高度な運転支援機能が上乗せされるパッケージです。その中にはナビ機能など3つの表示モードを備えるフル液晶パネルメーターも含まれます。しかし、中でももっともインパクトある機能と言えるのが“渋滞時ハンズオフアシスト”でしょう。これは約50km/h以下の渋滞時になるとステアリングから手を離しても先行車に自動追従する機能です。

↑オプションの「アイサイトX」で装備される12.3インチのフル液晶メーター

 

使ってみればその時の快適さは格別なものでした。停止しても10分以内なら先行車に追従して発進してハンズオフ走行が再開。渋滞時だけなの? と思う人もいるでしょうが、渋滞中こそ運転のストレスはたまりやすいわけで、その低減にこの機能は大きな効果を発揮するのは間違いありません。ただ、スマートフォンを操作するなどして、視線を前方から外すとこの機能は解除されてしまいます。この機能は自動運転を実現したのではなく、あくまで運転の責任がドライバーにある自動運転レベル2のカテゴリーに入るものだからです。

↑「渋滞時ハンズオフアシスト」では、前方を見ている限り50km/h以下でハンズオフで走行できる

 

↑渋滞時ハンズオフアシスト走行時のメーター内表示。左下のアイコンでドライバーの視線を捉えていることが分かる

 

3D高精度マップには料金所や道路カーブの情報まで収録されており、衛星で測位した高精度な位置情報とリンクして、この時の制御も自動化しました。試乗会では料金所に見立てた場所を用意していましたが、ここに近づくとメーター内にその表示を出して約20km/hまで自動的に減速していきます。カーブでは同じようにカーブがあることを示すアイコンを表示した後、そのコーナーに応じて最適かつ安全な速度で走行するということです。

↑料金所として設定した場所では、メーター内にそれを表示して自動的に最適な速度に減速していく

 

アイサイトXでは、24GHzのマイクロ波レーダーを使った「アクティブレーンチェンジアシスト」も搭載されました。ドライバーがレーンチェンジをしようとウインカーを操作すると、レーダーが斜め後方の車両の存在を検知。システムが安全と判断すると自動的にレーンチェンジへと移行します。この時ドライバーはステアリングに軽く手を添えておけばOK。レーンチェンジが完了すればウインカーは自動的に停止します。このメリットは公道でぜひ試してみたいですね。

↑「アクティブレーンチェンジアシスト」はアイサイトXに装備。70km/h~120km/hの車速域で利用できる

 

↑アクティブレーンチェンジアシストの作動状況はメーター内にCGで反映される

 

見逃せないのが「ドライバー異常時対応システム」の搭載です。これはダッシュボード中央上部に備えられた赤外線カメラでドライバーの表情を捉え、一定時間、顔の向きがそれたり、ステアリングから手を離し続けたりしていると(ハンズオフ走行時を除く)音と表示で警告を発し、それでもドライバーが反応しない場合には緩やかに減速しながらハザードランプを点灯。約30km/hにまで減速するとホーンまでも断続的に鳴らして周囲に異常を知らせ、停止に至るというものです。

 

ここで注目すべきが停止する場所で、この機能では路肩に寄せることはせず、そのまま同じ車線上で停止します。理由は道路状況を把握できてないまま路肩に寄せたり、車線を跨ぐとなれば危険性はむしろ高くなってしまうからです。そのため、このモードに入ってもカーブでは減速したままで停止せず、車線を維持しながら走行を継続。先が見通せる直線路に入ってから停止する仕様としています。後続車の追突を最小限に抑えながら、ドライバーの異常を知らせる最良の対応を果たしたというわけです。

 

「ドライバー異常時対応システム」の動作状況

 

これまでADASは事故に対する機能アップを中心として続けられてきました。それが新世代アイサイトでは、“X”でドライバー自身に発生するかもしれない異常にまで対応するようになったのです。ドライバーに異常が発生すれば別の事故を誘発する可能性は高く、2030年までに死亡事故ゼロを目指しているスバルにとっては、この問題を避けて通るわけには行かなかったのでしょう。先進技術で着実に安全性を高めているスバルの動向には今後も目が離せそうにありません。

 

 

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ドラレコの配線って素人でもできるもの? オウルテックの「最新3カメモデル」で設置してみたら1人でも15分でできた

たびたびニュースで取り上げられる自動車の煽り運転や、運転中のトラブル。そこで必ずといっていいほど使われるのは、ドライブレコーダーの映像です。予期せぬトラブルに巻き込まれないためにも、クルマをお持ちの方なら絶対設置しておきたい必需品といえるのではないでしょうか。

 

しかし、ドライブレコーダーをクルマの前後に取り付けるのは配線が複雑になったりすることもあるので、取り付けを業者に依頼する方も多いかもしれません。でも実は、ドライブレコーダーの取り付けは誰でも簡単に行えます。今回は、市販のドライブレコーダーを自力で車内に設置することにチャレンジしてみました。

 

協力頂いたのは、PC・スマホ周辺機器からカー用品まで幅広いジャンルの製品を扱うメーカーのOwltech(オウルテック)さん。同社の社用車をお借りし、最新の3カメラドライブレコーダー「OWL-DR803FG-3C」を設置します。

↑ドライブレコーダーの取り付けにお借りしたオウルテックの社用車。トリコロールカラーが目を引きます

 

この「OWL-DR803FG-3C」は、3つのカメラでクルマの前方・後方・車内の映像を同時に録画できることが最大の特徴。運転中の様々なトラブルをしっかり映像に残すことができます。

↑3カメラドライブレコーダー「OWL-DR803FG-3C」(直販価格3万6080円)。左がリア用、右がフロント/車内用

 

↑車内カメラはフロントカメラの反対側に搭載されています

 

しかも、すべてのカメラがフルHD以上の高解像度なので、クルマのナンバープレートなども確認可能(解像度はフロント2560×1440ドット、リア・車内1920×1080ドット)。さらに、ソニー製のCMOSイメージセンサー「STARVIS」を採用しており、夕暮れどきや夜間でもノイズが少なく明るい画質で撮ることができます。

 

車内用カメラは赤外線対応なので、暗い夜道やトンネルの中では自動で赤外線モードに切り替わり、白黒の映像を録画してくれます。夜間のトラブル時も安心して使えますね。

 

初めてでも簡単に取り付けられる!

さっそく取り付けていきましょう。まずはフロント/車内カメラを、フロントガラスの邪魔にならない位置に設置します。カメラのブランケットには粘着テープがついているので、場所を決めたら貼るだけでOK。

↑ブラケットの粘着テープをフロントガラスに貼ります

 

続いて、シガーソケットから給電するための電源コードを設置します。コードは車内の内装のすきまに埋め込むようにして隠しながらとり回していきましょう。下まで来たら、フロアカーペットの下を通して、運転の邪魔にならないようにします。

↑電源ケーブルを内装のすきまに隠すようにして這わせていきます

 

↑下まで来たらフロアマットの下を通していきます

 

↑シガーソケットに挿します。このソケットにはUSB端子もついているので、スマホなどの充電も可能

 

ディスプレイの電源がつくことを確認したら、次はリアカメラの設置。なるべくバックミラーを見たときに邪魔にならない位置に取り付けましょう。こちらもブランケットに粘着テープがついているので、簡単に設置できます。

 

リアカメラを設置したら、フロント/車内カメラに電源供給用のケーブルをつなぎます。このリアカメラ用の電源ケーブルは8mもの長さがあるので、ワンボックスカーやミニバンなどの大きな車種でも大丈夫。余ってしまう場合は、束ねて邪魔にならない場所にしまっておきましょう。

↑リアカメラ用ケーブルは8mの長さがあるので、ワゴン車でも大丈夫。内装に埋め込みながら後部まで這わせましょう

 

リアカメラに電源ケーブルを接続したら、ディスプレイを見ながら、カメラの向きを調整します。バックドアのガラス部分に取り付ける場合は、何度もバックドアを開け閉めしているうちにリアカメラがズレやすいので、説明書を参考にブラケットの固定用ネジをキツめに締めておくとよいでしょう。

 

最後に車内カメラの向きを調整します。車内カメラはフロントカメラの反対側についているので、ディスプレイを見ながらカメラの向きを調整します。

 

これで取り付けは完了! 実際に作業してみると、わずか15分程度で作業が終わりました。自分でドライブレコーダーを取り付けるのは大変そう……と思っていましたが、これなら1人でも簡単に設置できますね。

 

なお、オウルテックでは、すでにフロントのドライブレコーダーを設置済みの方が、リアだけ追加したい場合に最適なモニターレスタイプのドライブレコーダー「OWL-DR901W」もラインナップしています。こちらはWi-Fiでスマホとワイヤレス接続し、スマホから操作や映像の確認、録画映像のダウンロードなどが行えるため、より手軽に使うことができます。リアカメラの増設をしたいとお考えの方は、こちらもチェックしてみて下さい。

↑モニターレスの「OWL-DR901W」(直販価格1万5180円)はリアカメラの増設にもオススメ

 

さっそくドライブレコーダーの性能をチェック!

ということで、設置したばかりのドライブレコーダーの性能を試すため、オウルテックさんの社用車でちょっとしたドライブへ出かけてみましょう。茅ケ崎を経由して三浦海岸まで134号線の海沿いの道をドライブします。

 

この「OWL-DR803FG-3C」にはGPSが内蔵されているので、専用ビューワー「Cardvr Player A」を使って再生すれば、走ったルートを後からMAP上で確認することもできます。アプリはオウルテックの製品情報ページからダウンロード可能です。

↑「Cardvr Player A」での再生画面。3カメラの映像とGPSの位置情報を確認できます

 

ドライブ中に記録された映像を確認してみると、どのカメラが画角が広く、前後だけでなく歩道や隣の車線などもしっかり映っています。もちろんフルHD以上の解像度なので、前後のクルマのナンバーもバッチリ確認可能。これなら、万が一の事故の際にも証拠映像として活用できそうです。

 

【各カメラの映像はこちらから(一部画像加工しています)】

また、ディスプレイに本体上部の操作ボタンの位置が表示されるUIになったことで、ボタンの位置を覚えなくても操作がしやすくなっており、瞬時にカメラの切り替えなどもできるように。例えば駐車時にリアカメラに切り替えれば、補助的に後方の確認が行えます。

↑ボタンの位置がディスプレイに表示されるので、ボタンを見ずとも操作ができます

 

さて、ドライブの最終目的地は、神奈川県・三浦海岸に店を構える「南風COFFEE」さん。こちらはプロサッカーチーム「横浜F・マリノス」のファン(通称・マリサポ)のあいだで有名なお店なのだとか。

 

三浦海岸へ向かう道中で、神奈川県民なら誰でも知っているというビーカープリンで有名な「マーロウ」の本店に立ち寄り、名物のビーカープリンをテイクアウト。クルマに乗せていた冷凍冷蔵庫「ICECO」で冷やして、ドライブのお土産にします。

↑「マーロウ」のビーカープリンをテイクアウト(写真はマーロウECサイトのもの)

 

↑ICECOに入れて持ち帰ります

 

このICECOはAC電源か車載シガーソケットから給電可能なのですが、ポータブル電源を組み合わせることで、屋外やキャンプなどでも使うことができます。ちなみに、バッテリー容量100,500mAhの「LPBL100501」で、ICECOの冷蔵モードが約5時間半使用できました。このICECOがあれば、お刺身などの生モノも冷たいまま持ち帰ることができますね。

↑約5時間半も冷たさをキープしてくれました

 

「マーロウ」を後にしてしばらく走ると、「南風COFFEE」に到着! こちらの「南風COFFEE」は、京浜急行「三浦海岸駅」からクルマで5分ほどの場所にあるカフェ。コーヒーやデザートのほか、カレーやホットドッグなどの軽食も楽しめます。営業時間は11時~18時で、火曜定休。

↑三浦海岸にある「南風COFFEE」

 

↑木のぬくもりを感じられるおしゃれな店内

 

店の目前には三浦海岸があり、店内からもその景色を見ることができます。……しかし、残念ながら今年はコロナ感染予防のため、神奈川県内の海水浴場はすべて閉鎖中。そのため、ビーチには人影もまばらです。

↑残念ながら目の前の海にはフェンスが。海水浴場が開設されていないため、駐車場が閉鎖されているのだそう

 

こちらの店長はマリサポのあいだでも知られた方で、来店時にマリサポであることを伝えてトリコロールメンバーズの会員証などを提示すると、トリコロールカラーのカップを使ってコーヒーを出してくれるなどの限定サービスを受けられます。

↑こちらはマリサポ限定の裏メニュー・トリコロールカラーのかき氷

 

店内にはマリサポの方が来店したときに書き込める思い出ノートも。マリサポの方はもちろん、そうでない方も、三浦海岸へお越しの際はぜひ立ち寄ってみて下さい。

 

南風COFFEE

住所:神奈川県三浦市南下浦町菊名25(京急三浦海岸駅より徒歩約15分)

営業時間:11時~18時(火曜定休)

TEL: 090-4168-6983(営業時間内のみ)

URL:https://m.facebook.com/minamikazecoffee/

 

ということで、ドライブレコーダーの設置は無事成功! 運転中の映像は、事故やトラブル時だけでなく、ドライブの思い出として残すこともできます。まだ自家用車にドライブレコーダーを設置していない方は、ぜひご自分で取り付けに挑戦してみてはいかがでしょうか? また、古くなったドライブレコーダーを、鮮明な映像が記録できる最新のものに取り換えてみてもいいですね。

 

協力:オウルテック、南風COFFEE

 

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噂のソニーEVコンセプト「VISION-S」に同乗試乗してみた!

ソニーは今年1月、米国ラスベガスで開催されたIT家電ショー「CES 2020」に4人乗りのEVコンセプト「VISION-S」を出展し、大きな注目を浴びました。その際、「次年度中に公道での実証実験を予定」とも説明されていましたが、それから8か月。その車両がついに日本国内で報道関係者に公開され、試乗体験もできることになったのです。

↑ソニー本社の敷地内を走るEVコンセプト「VISION-S」

 

「VISION-S」は実車化されるのか?

VISION-Sのボディサイズは、全長4895×全幅1900×全高1450mmとなっていて、ホイールベースは3000mmとメルセデスベンツ「Sクラス」並み。車格としてはかなりハイクラスを意識した造りとも言えます。パワートレーンは200kWのモーターを前後にそれぞれ1基ずつ配置した4WDのEVで、乗車定員は2+2の4名。フロントシート前方には横長の大型ディスプレイを配置し、タッチ操作や音声認識を活用することで、直観的な操作で様々なエンタテイメント系コンテンツを楽しめます。

↑完全独立の2+2の4人乗り。それぞれが独立してエンタテイメントが楽しめる

 

また、ソニーが競争領域としているセンサーも数多く搭載しました。車内外の人や物体を検知・認識して高度な運転支援を実現するために、車載向けCMOSイメージセンサーをはじめ合計33個を配置。特にセンサーの一つであるLiDARは自動運転の実現に向けて今後の普及が期待されているもので、ソニーとしてもこのVISION-Sを通してこの分野に新参入することをCES 2020で明らかにしています。

↑ソニーが新規参入するLiDARはフロントグリル内にその一つが装着されていた

 

このVISION-S、製造を担当したのは、自動車部品の大手サプライヤーであるマグナ・インターナショナルの子会社である「マグナ・シュタイア」です。この会社は委託に応じて自動車の開発や組み立てソリューションを提供しており、トヨタの「GRスープラ」もここで開発・製造されたことでも知られます。ソニーはオリジナルのデザインを反映させながら、ここに製造を委託することで公道走行を目指す初のEVコンセプトを開発したのです。

↑パワートレーン系はマグナ・シュタイアが用意するプラットフォームを活用したという

 

では、ソニーがVISION-S EVコンセプトを開発した目的はどこにあるのでしょうか。ソニーの執行役員 AIロボティクスビジネス担当の川西 泉さんは、「センサーでクルマの安全性を担保するには厳しい条件をクリアしなければなりません。VISION-Sを投入することで、実際にクルマを走らせてそのメカニズムを知っていくことが(ソニーにとって)メリットとなるのです」とコメントしました。つまり、VISION-Sでデバイスの信頼性を高めることで、自動車メーカーやサプライヤーなどへ自社技術をソニーとしてアピールしやすくなる。そんな思いがVISION-Sには込められているとみていいでしょう。

↑VISION-Sの統括責任者であるソニーの執行役員 AIロボティクスビジネス担当 川西 泉さん

 

さて、VISION-Sの体験会は、東京・品川にあるソニー本社の敷地内で行われました。車両を前にまず説明されたのはVISION-Sのデザインテーマ。その最大のポイントは、ボディから車内に至るまですべてが「OVAL(楕円)」で統一されているということです。たとえば、フロントグリルを中心にリアコンビランプにまで至るイルミラインは、スマホでドアロックを開閉すると同時に光が走る仕組みとなっていて、収納式ドアハンドルもそれに応じて動作します。このボディ全体を光のOVALで取り囲むことはソニーのデザイナーのこだわりだったそうです。

 

スマホでドアロックを解除すると、ボディ全体を包むイルミラインの光が走る

 

車内に入ってもOVALデザインのコンセプトは広がります。左右に広がるダッシュボードにはパノラミックスクリーンと呼ばれる高精細ディスプレイが乗員を包み込むようにレイアウト。各表示は必要に応じて左右へ移動してカスタマイズでき、目的地までのルート設定を助手席側でしたい時でも指先で左右へ画面をフリックすればOKです。また、走行中に動画コンテンツを見たいときでも、運転席からは見えにくい助手席側へとその映像を移動させられるのです。

↑VISION-Sの前席周り。車内は高品質感が隅々から伝わってくる造り込みがされていた

 

↑ルームミラーを含めミラーはすべてデジタル化され、夜間でも明るくして視認性を高めている

 

前席周囲ではダッシュボードのディスプレイが乗員を取り囲むように配置されている

 

オーディオについても車載用として初めて実装した「360 Reality Audio」がサウンドとしてOVALを表現しています。特にこの技術で驚くのは単なるサラウンドではなく、臨場感を伴いながらボーカルや楽器など演奏者の存在を明確にしていることです。しかも、これは各シートごとに再現されますから、乗員すべてが同じ条件で音楽を楽しめるのです。かつてソニーはウォークマンで音楽を聴くスタイルを変えたように、ソニーは再びドライブ中の音楽の聴き方を変えようとしているのではないでしょうか。

↑家庭用のサウンドボードやヘッドホンなどで展開する「360 Reality Audio」を車載用として初搭載した

 

そして、いよいよ試乗。この日はナンバーが取得できていないためにソニー本社の敷地内で実施されました。走行した場所は石畳が続いており、走る条件としてはプロトタイプの車両には少々きつい条件。それでもVISION-SはEVらしくスムーズにスタートし、ステアリングを切ってもしっかりとした感じが伝わってきました。一方で、ドアを閉める音や走行中に各所から響いてくるギシギシ音はプロトタイプであることを実感させましたが、内装の造り込みは半端じゃなく上質。それだけでの居心地の良さを感じさせてくれるものでした。

↑天井はガラスルーフが天井全体に広がり、車内の色彩とも相まってかなり明るい雰囲気だ

 

これまで世の中にないものを数多く生み出してソニーは多くのユーザーを魅了してきました。それだけに、ソニーに対して期待する声は大きく、「このクルマなら欲しい!」という人もいるのではないでしょうか。そう思って川西さんに訊ねると「今のところ販売予定はない」と残念な返事。ただ、プロトタイプを発表したことで自動車メーカーや自動車部品サプライヤーから問い合わせは数多く、ソニーの技術に対する期待値がかなり高いことは実感している様子です。

↑プロトタイプとはいえ、フルEVであることでスムーズに発進して敷地内を周回した

 

わずか数分ではあったが、日本国内でVISION-Sの初同乗試乗

 

そして最後に川西さんからは新たな情報がもたらされました。それはVISION-Sはこの1台で終わるのではなく、日米欧で公道試乗するために試作車両をマグナ・シュタイアに追加で依頼済みだというのです。VISION-Sを単なる思いつきではなく、真剣にクルマに関わり続けていく。川西さんの話からはそんな力強いソニーの思いを感じ取ることができました。ソニーが得意とするIT技術を結集し、21世紀に相応しい、アッと驚くようなクルマが登場することを期待したいと思います。

 

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ケンウッド初の360°ドラレコ「DRV-C750」(プロト版)をレビュー! あおり運転対策に使えるか?

社会問題化している“あおり運転”。そんな不安に答えてくれるとして人気急上昇中なのが「360°撮影対応型」ドラレコです。このタイプのドラレコは既に各社から登場していますが、ケンウッドも満を持してついに「DRV-C750」で初参入。8月下旬に発売することになりました。今回はそのプロトタイプのインプレッションレポートをお届けします。

↑ケンウッド初の360°撮影対応ドラレコ「DRV-C750」、実売想定価格4万3010円(税込)。ガラス面に密着させて取り付けるため、走行中のブレもほとんど発生しない

 

運転中、駐車中、クルマのまわり前後左右360°見守ります

360°撮影対応ドラレコは、超広角レンズを下向きにセットすることで、一台で前方・左右に加え、車室内から後方の録画が可能。そのため、併走車による幅寄せをはじめ、万一発生してしまった車内でのトラブルに対しても映像で捉えることができるのです。まさに昨今のあおり運転対策として、活用価値が一気に高まっているのがこのタイプのドラレコと言えるでしょう。

 

とはいえ、念頭に置くべき注意点もあります。1枚のセンサーですべての撮影領域をカバーするため、一部分を切り出すと当然ながら粗い画像となります。ケンウッドが発売するDRV-C750はこうした弱点を、同社が培ってきた映像技術で克服。360°撮影をしても十分な解像度と画質を確保できるドラレコとしているのです。

↑DRV-C750の本体サイズは、W74mm×H86.1mm×D32mm。画面はモニター上で2分割表示した状態。右側には本体右サイドにあるスイッチに対応したアイコンが表示される

 

テストでは、DRV-C750を運転席側に取り付けることにしました。なぜかと言うと、一般的にドラレコは視界を妨げないようルームミラー裏側に取り付けることが多いのですが、360°撮影対応であれば運転席の様子も捉えられるようにしないと意味がないからです。ただ、車両によってはルームミラーなどが邪魔になってしまう可能性もあり、少なくともその辺りを考慮して、前方向と左右はきちんと撮影範囲に収まるよう、取り付けることに気をつけたいですね。

 

車両に取り付けたDRV-C750本体は、360°撮影対応ドラレコという割にかなりコンパクト。取り付けるアタッチメントが本体をガラス面に直付けするような格好となっており、これが全体をコンパクトに見せるのに効果を発揮しているのでしょう。さらにこのスタイルだと走行中のブレも抑えられますから、ダブルでメリットをもたらしていると言えます。

 

本体は2.4型モニターを備えた一体型で、カメラ部は本体下に水平360°を撮影する専用カメラを装備。撮影モードは360°を一画面に映し出す「ラウンドモード」のほか、前方から左右を低歪率で再現する「パノラマモード」、クルマの前後を上下2分割の「前後2分割」、クルマの前後左右を4分割する「前後左右4分割(マルチアングル)」の4モードです。どの表示がベストなのか迷うところですが、個人的には通常は前後2分割モードにしておき、必要に応じて「PinP(Picture in Picture)」でリアカメラを挿入するのがベストな使い方のように思えました。

↑ラウンドモードでは周囲を1枚の映像で表現できる

 

↑パノラマモードでは前方向と左右、車内を捉えられる

 

↑2分割モードでは前方向をパノラマで撮影し、車内と左右+後方を捉える

 

↑4分割モードでは前方向と車内、左方向/右後方の映像を分割表示する

 

このモニター上の表示、各モードは本体右サイドにあるスイッチで切り替えられますが、記録そのものはメニューで設定した録画モードが反映されます。ただ発売までにリリースされる専用アプリを使えば、パソコン上で各モードに切り替えが可能ということです。

↑DRV-C750のメインメニュー。全部で2ページしかなく、階層も浅いので分かりやすい

 

各設定は右サイドに並んだスイッチによって行います。メニューはケンウッドらしい分かりやすい構成となっており、階層も深くないので各種設定で迷うことは少ないと思います。静止画撮影ボタンや手動撮影(イベント撮影)ボタンも右側面にあり、思いついたときにすぐに押せるのは使いやすかったですね。またデフォルトでは、ディスプレイがONになると設定したモードで撮影した映像がモニターされますが、設定をOFFにすることも可能です。

↑DRV-C750の操作スイッチがある右側面。上からメニュー(電源は長押し)/画面切替/静止画撮影/手動イベント録画の各スイッチ

 

撮影した映像は「DRV-C750」だけでなく、パソコンのWindows Media Playerでも撮影したモードで再生できます。パソコン上で再生してみると、その画質の良さに驚かされました。とにかくその映像が自然なのです。正確には鮮明さという観点では前後2カメラのドラレコよりは劣ります。しかし、発色もきちんとしており、メリハリもあって目で見た雰囲気とそれほど変わらずに再現できていたのです。

↑パノラマモード表示中に手動でイベント記録。スイッチを押した5秒前とその後15秒間の映像を上書きされないフォルダに保存される

 

360°撮影対応ドラレコらしく、前方だけでなく左右もしっかりと捉え、車内は多少暗くなっても十分な明るさで映し出していました。解像度も先行車が遠く離れていなければナンバーもしっかりと視認できるレベル。ただ、この状態では後方の様子はほぼ確認することはできません。そこで、本機では別売りでリアカメラ「CMOS-DR750」を用意しました。

↑別売りのリアカメラ「CMOS-DR750」、実売想定価格1万1440円(税込)。リアガラスのスモーク処理に対応する「スモーク・シースルー」機能を備えた

 

このカメラは、リアガラスのスモーク処理に対応する「スモーク・シースルー」機能を備えており、このカメラを組み合わせることで、後方から左右に回ってくる車両の動きまでもつぶさに撮影できるようになるのです。カメラとしても低ノイズであることで、テストの結果、夜間であってもクリアに後方を撮影できていることが確認できました。

↑リアカメラCMOS-DR750でスモークガラス越しに撮影

※写真はナンバー部に一部加工しております。

 

テストにお借りした機材はプロトタイプであるため、「画質や機能面で不安定さがあるかもしれない」という条件が付いていました。しかし、トラブルはほとんどなく、何よりもこの画質の良さに360°撮影対応ドラレコに対する見方が大きく変わったというのが正直な感想。DRV-C750は“あおり運転”対策というだけでなく、日々の思い出を記録するドラレコとしてもドライブをしっかりとサポートしてくれることでしょう。

 

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新施設「ニッサン パビリオン」は楽しい? 5つの「近未来」を解説

日産自動車は、10月23日まで、同社が描く未来のモビリティ社会をインタラクティブに体感できる、体験型エンターテインメント施設「ニッサン パビリオン」を期間限定で、横浜みなとみらい21地区にオープン。夏休みに子どもと行くには持ってこいの遊び場だろうと思い、乗り物担当編集部員・野田が行ってきました。

 

日産が描く近未来の暮らしを体感

ニッサン パビリオンでは、日産自動車の電動化・自動運転化など、「ニッサン インテリジェント モビリティ」が描く未来のモビリティ社会を、さまざまな体験コンテンツを通じて来場者に届けるスポット。

 

コンセプトは「人間の可能性を拡張する」で、技術のイノベーションを通じて日産が描く近未来の暮らしを、「エンターテインメント」「アート」「メディア」など各種コンテンツ、インスタレーション制作で活躍するクリエイターの視点や解釈により具現化しています。ニッサン パビリオン内の5つのコンテンツを簡単に紹介します。

↑敷地面積は約1万メートル。幅広い中庭には、リーフやアイスクリーム移動販売車のコンセプトカー(e-NV200)、GT-Rなどが並びます

 

【その1】日産 アリア展示・乗車体験

パビリオン内に入ると、まず目に入るのが7月15日に披露した、新型クロスオーバーEV「アリア」。事前予約制ですが、アリアに乗って敷地内の専用路を同乗体験をすることもできます。

↑アリアのボディサイズは全長4595mm、全幅1850mm、全高1655mm

 

↑アリアの横に透明のパネルが置かれた「ARIYA Virtual Display」。ジェスチャーで操作することで、アリアに搭載された技術を確認することができます

 

【その2】THE THEATER

「ザ シアター」は、幅32m×高さ6mの4Kプロジェクション大型スクリーンと、ソニーのハプティクス技術(触覚提示技術)による振動する床などを活用し、迫力の空間でクルマの先進技術を感じられるエンターテイメントショーです。

 

実際に日産 アリアが劇場内に入ってきて、実車と映像がリンクする「ARIYA SHOW(アリア ショー)」。100%電動フォーミュラーカーに乗って、レースさながらに世界の都市を駆け巡るバーチャルライドアクション「FOMULA E THE RIDE(フォーミュラ E ザ ライド)」。見えないものを可視化する日産の新技術I2Vを駆使し、大阪なおみ選手の200km/hのサーブを打ち返し、ラリーを繰り広げる「NAOMI BEATS(ナオミ ビーツ)」といった、3つの最新のエンタメが楽しめます。

↑アリアショーは、まるで本当に街を走り抜けているような臨場感がありました

 

↑フォーミュラ E ザ ライドは手元にあるコントローラーでコースを選択でき、床も振動したりと、大迫力のレースゲームを体感できます

 

↑ナオミ ビーツは事前予約制ですが、お客さんもゲームに参加できます。見ているだけでも、プレイヤーたちの楽しさが伝わってきました

 

【その3】THE LIFE

THE LIFEコーナーでは家族や恋人をテーマに、「プロパイロット」をはじめとした先進運転支援技術が可能にする未来を描いた2本のショートムービーを上映。そのうちの1本は、大ヒットアニメ「君の名は。」をはじめ多くの新海誠監督作品を手掛けたプロデューサー・伊藤耕一郎氏による「コネクテッド・ファミリー」。約6分半のアニメです。

↑クルマがつなぐ未来の家族物語。上映中、ストーリーの展開に合わせて、照明の色が変化します

 

【その4】THE CITY

THE CITYコーナーでは日産自動車が目指す、交通事故のない社会。そして、クルマに乗っている時も乗っていない時も、クルマと街がより便利につながる社会。その両方の実現に必要なセンシング技術や、クルマからエネルギーや情報が行き渡る様子をモチーフにしたアート空間を体験できます。ビジュアルデザインスタジオWOWがデジタルインスタレーション作品に仕上げました。

↑衝突を回避する「センシング技術」を、特殊なレーザーで擬似体験できます。人が通るとレーザーが自然と避けていきました

 

【その5】 NISSAN CHAYA CAFE

最後に紹介するのは、日産が目指すエネルギーのエコシステム「Nissan Energy(ニッサン エナジー)」を導入した「NISSAN CHAYA CAFE(ニッサン チャヤ カフェ)」。カフェ内では、運転支援技術「プロパイロット」を応用した無人給仕ロボット「プロパイロットウエイター」が料理を運んでくれます。

 

さらに、パナソニックと共同開発した、お皿のICチップに反応してカロリーなどエネルギー情報がアニメーションでテーブル天板に流れる「インタラクティブテーブル」など。食事だけでなく目でも楽しめるハイテク体験でお客さんをおもてなしします。

↑水耕栽培で育った野菜や日産ビールなど、オリジナルメニューを用意。さらに日産ロゴをあしらったオリジナルグッズも販売しています

 

↑無骨な見た目のプロパイロットウエイター。withコロナの現代社会では、非接触のありがたみもあります

 

↑食事のカロリーを電力に変換して表示してくれるインタラクティブテーブル。テーブルに置くだけでスマホを充電できるワイヤレス充電機能も備えています

 

またパビリオンでは、カフェの屋根に設置された太陽光パネルで発電した再生可能エネルギーを「リーフ」に蓄電し、そのリーフに溜めた電力をカフェの一部の電力として使用しています。

↑リーフのリユースバッテリーも活用することで、安定的な電力供給を可能にしています

 

ニッサン パビリオンは見て、感じて、ワクワクする、子どもから大人まで幅広いお客さんが楽しめる施設でした。昨年の「東京モーターショー2019」では、トヨタがモビリティメーカーだというメッセージが感じ取れました。対して日産は、この施設で先進技術からアプローチし、未来の人々の暮らしを豊かにするメーカーへと変化していくという意気込みなのでしょう。しかし、この施設が期間限定なんて勿体ないですよ日産!

住所:220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい6-2-1
オープン期間:2020年8月1日〜10月23日
営業時間:平日11:00~19:00、土日祝10:00〜19:00
料金:無料
休館日:不定期

 

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SUV界のバランスを変えるか!? VWがクロスオーバーSUV「T-Roc」を解説

2020年7月15日、ついにフォルクスワーゲン(VW)のクロスオーバーSUV新型「T-Roc(ティーロック)」が発表となりました。世界的な新型コロナ禍によるロックダウンなどがあり、当初の計画より遅れての発表です。

ステージ上にはVWの新ロゴと4グレードのT-Rocが置かれ、ティル・シェアCEOのプレゼンテーションが始まりました。「T-Rocの登場によって、VWのSUVラインナップが完成となりました。T-RocはクロスオーバーSUVの新機軸となっていくものだと考えています。日本のSUVマーケットの約3/4を占めるのがスモール/コンパクトセグメントであり、VWとしてもそこに焦点をあてました」。

↑シンプルに整理されたVW新ロゴを使用しての新車発表は今回が初となりました

 

「VWのSUV3兄弟の一番大きな『ティグアン』は2017年にデビューし、ラインナップの80%がクリーンディーゼルである「TDI」となっています。それにより、今回のT-Rocでもクリーンディーゼル車とすることに決めました。また、これまでのVWのお客様と新たなお客様の双方に満足してもらえるよう、ダイナミックで多才なSUVとコンパクトで俊敏なハッチバックの長所を組み合わせています。もちろん、そのハッチバックというのは世界のハッチバックのベンチマークとなっている「ゴルフ」に他なりません。そして、T-Rocでは4つのグレードを設け幅広いニーズにお応えします」と、ティル・シェアCEOは語りました。

↑日本のSUVマーケットの状況。約75%がスモール、コンパクトSUVとのこと。T-RocはVWのSUV「T-Cross」と「Tiguan」の間に当てはまるボディサイズです

 

さらに「全長4240mm(TDI R Lineは4250mm)、全幅1825mm、全高1590mm、ホイールベースが2590mmとなり、最小回転半径が5.0mとなっています。まさに日本の道路に『丁度いい』という印象を持ってもらえるでしょう。SUVならではの高い着座位置と広い視界の快適さを味わってみて下さい。きっとその安心感を感じてもらえると思います」と、ティル・シェアCEOは続けました。自信に満ちたCEOのプレゼンテーションのあとは、もう少し近寄ってT-Rocを見てみましょう。

↑左からT-Roc「TDI Sport」、「TDI Style Design Package」、「TDI R-Line」。All My T-Roc! VW新ロゴと共に

 

T-Rocの4つの特徴【その1】エクステリアデザイン&ボディカラー

ヘッドライトと一体となったフロントグリルやヘッドライトの下にLEDのデイタイムライトを装備したフロントデザインは、T-Rocの特徴のひとつ。大型エアインテークとアンダーボディガード、リアディフューザーによりSUVらしい力強さを表現し、クロームのウィンドウトリムはロングルーフの流麗なクーペをイメージ。さらにツートンのボディカラーでは全高を低く見せる視覚的効果を生み、スポーティな印象を与えます。T-Rocは、オンでもオフでもスタイリッシュに乗ることができるデザインが魅力でしょう。

↑都会的に洗練されたT-Rocのスタイリッシュなデザイン。独特の形状のバンパーをもつTDI R LINEのみ、全長が10mm長くなります

  

↑TDI SportのLEDヘッドライト

 

↑LEDデイタイムランニングライト

 

↑流麗な曲線を描くリアビュー。TDI R-Lineグレードでは専用のフロント&リアバンパー、サイドスカート、リアスポイラーを装着しています

 

用意されているグレードはTDI Style、TDI Style Design Package、TDI Sport、TDI R-Lineの4つ。

↑ベーシックなTDI Style

 

↑ホワイト/ブラックのルーフカラーを選べるTDI Style Design Package

 

↑18インチアルミホイールの採用などスポーティグレードのTDI Sport

 

↑19インチアルミホイールに加え、アダプティブシャシーコントロールによる乗り心地調整機能を備えたTDI R-Line

 

ボディカラーは9色の基本バリエーションがあるだけでなく、グレードによってはブラック、ホワイトのルーフカラーを追加料金なしで選択することができます。2トーンボディはVWのSUVでは初めての採用となり、ポップな色合い、シックな色合いが用意されていて、色を選ぶ楽しみも味わうことができます。

↑カラーバリエーションの基本は9色。それに加えグレードによっては、ホワイトかブラックのルーフカラーが選べます

 

T-Rocの4つの特徴【その2】Golf以上のユーティリティ

インテリアは2590mmのロングホイールベースを活かし、乗員5人に対し十分な室内空間を提供。各種メーター類を水平に配置することで、運転中の視線移動を少なく自然に行えるよう設計されています。また、VW純正インフォテインメントシステムの「ディスカバープロ」とデジタルメータークラスター「アクティブインフォディスプレイ」により、インテリアの洗練度がアップ! ハンドル右のスポーク部にあるボタンで、アクティブインフォディスプレイに表示する情報を選択できます。メーター、カーナビ、車両の情報などをあらかじめ設定することで欲しい情報が見やすい場所に表示できるのです。

↑ステアリングホイールの右スポーク部分にファンクション切り替えスイッチがあります

 

↑アクティブインフォディスプレイに車両情報とナビを映したところ

 

↑スピードメーター、タコメーターとカーナビの画面を同時に表示できます

 

TDI Design Packageではエクステリアデザインに合わせ、ブルー、イエローのインテリアカラーを選ぶことが可能です。同色のデコラティブパネル、シートのステッチが与えられます。

↑イエローのデコラティブパネルを装着したTDI Design Package

 

ラゲッジスペースの容量は5人乗車時で445L。後席をすべて折り畳んだ時には最大1290Lと、このクラストップレベルの容量となります。ちなみに、その容量は同社のゴルフ以上。

↑たっぷりの収納力を発揮し、オンタイムもオフタイムも充実させます

 

通常時はラゲッジスペースが少々上げ底になっていますが、リアシートを畳んだ時にフロアがフルフラットになります。さらに、フロアを低く下げるとリアシートを倒さなくてもラゲッジスペースがたっぷりと増えます。デイリーユースはもとより、週末に家族や仲間と共に出かける時にも充分なラゲッジスペースが用意されているのです。

↑リアシートを倒した時は、ラゲッジスペースのフロアを上げ底状にするとフラットな荷室となります

 

↑5人乗車時でもラゲッジルームの床を一段下げればこれだけの収納できます

 

T-Rocの4つの特徴【その3】ドライバビリティ

そして3つめの特徴は、走りです。高効率な4気筒2L、TDIクリーンディーゼルエンジンによる走りは、ロングドライブも快適。エンジンの最高出力は110kW(150PS)/3500-4000rpm、最大トルクが340Nm(34.7kgm)/1750-3000rpmとなります。

 

最高出力、最大トルクの発生回転域が広く、クリーンディーゼルならではの余裕のある走りと高い経済性の両立をはかっています。組み合わされるトランスミッションは7速のDSGです。

↑クリーンディーゼル2.0L TDIエンジンと2.0L TDIエンジンの性能曲線

 

なお、燃料消費率はJCO8モードで19.5km/Lで、WLTCの高速道路モードでは21.0km/Lです。

 

T-Rocの4つの特徴【その4】全グレード標準の上位予防安全装備

最後、4つめの特徴は予防安全装備です。MQBプラットフォームにより、今まで上位機種に採用されている充実した予防安全装備が全グレードに用意されました。全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)や、車線の逸脱防止などをサポートするLane Assist(レーンキープアシストシステム)を標準装備。これによって快適で安全な運転が実現しました。

 

近年では、車内の人の安全だけでなく、車外の人に対する「対人安全性」が重要視されています。VWでは歩行者などの人を検知するシステムにカメラではなくレーダーを用いて、雨や夜の視界の悪い時に人を見つけやすい特徴があります。このような上位機種に使用されていた安全装備がクラスを超えて充実しているのもT-Rocの特徴ですね。

↑ACC作動イメージ。上級車種と同等の予防安全装備が充実しています

 

いかがでしょう、オールマイティに使える丁度良いSUV。VW T-Rocのイメージは掴めたでしょうか? 平日は街での生活を豊かにしてくれるT-Roc。スポーティで都会的なデザイン、そのコンパクトなボディと日本の道でも扱いやすい操作性によって週末には街を出ることが楽しみになります。

 

気になる各グレードの販売価格(すべて税込)はTDI Styleが384万9000円、TDI Style Design Packageが405万9000円、TDI Sportが419万9000円、TDI R-Lineが453万9000円となります。

↑各グレード別の外観イメージ

 

 

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新型LSの進化点とは? 日本が誇るフラッグシップセダンの新時代

2020年7月7日、LEXUSのフラッグシップモデル「LS」のニューモデルが世界初公開となりました。日本での発売は2020年初冬を予定しています。

 

LSは1989年のデビュー以来、30年以上にわたりLEXUSのフラッグシップを守。圧倒的な静粛性と快適性は乗ったことがある人なら納得いただけるはず。今回のニューモデルでもその静粛性と乗り心地の大幅な向上がはかられています。そして、単に静かに快適になったというだけではないのがLEXUSの進化であり深化なのです。

 

日本ならではの美意識を具現化

ますは新型LSの外観の主な変更点から見ていきましょう。新色の銀影(ぎんえい)ラスターは、時の移ろいや環境の変化の中で美しいと感じられる「月の道」をモチーフにしています。これは、満月前後の数日に見られる月明かりが海面上で細長い道となり、照らされた波のゆらぎのグラデーションが人を魅了する神秘的な自然現象です。ハイライトの美しい輝きと奥行きを感じる深い陰影感を演出しています。

 

アルミ蒸着を高密度で敷き詰める最新の塗装技術を用い実現したフラッグシップに相応しい新色となります。粒子感を感じさせない滑らかな質感は周囲の僅かな光を繊細にとらえ、様々な表情を見せる上質で特別なシルバーとなりました。

 

この新色だけでなく、新デザインでLEXUSのLを意識させる3眼ランプユニット。そして、そのクリアランスランプの下にはブレードスキャンAHSを搭載し、厚みのあるヘッドランプ形状により鋭く新しい表情を作っています。特徴的なスピンドルグリルのメッシュカラーはダークメタリックに変更され、よりフォーマルなシーンに配慮した上品さを表現しています。

 

リアスタイルはコンビネーションランプ内のメッキモールをピアノブラックに変更して厚みを感じるランプ形状としました。

 

Fスポーツではサブラジエーターグリルのガーニッシュをサイドまで回り込ませることでワイドなスタンスを強調させています。専用色のスピンドルグリルや20インチホイールなどのアイテムなどの採用でスポーティなイメージを際立たせました。

 

続いて、インテリア。

 

外観に合わせコーディネートされ、オーナメントに西陣や箔を新規に設定しています。西陣織の銀糸やプラチナ箔の輝きはまさに「月の道」。12.3インチのワイドディスプレイとスマートフォンを連携させることで画面操作、音声操作が可能なタッチディスプレイを採用しています。ハンドルとセンターコンソールのスイッチ類を黒で統一し、視認性の向上と端正な印象の演出をしています。そして使用頻度の高いシートヒーターやステアリングヒーターの操作画面表示スイッチをセンターコンソールに追加するなど、細かな操作性の向上にも抜かりがありません。

 

Lexus Driving Signatureの深化、上質な走りの追求

新型LSの走行性についてはどうなのでしょうか? LEXUSのフラッグシップモデルには人の感性を大切にし、進化させることが求められます。ドアをあけ、シートに触れ、座ったときに感じる上質感、安心感。LEXUSの世界はそこから始まっています。今回のモデルチェンジでシート表皮の縫い位置をより深い位置に変更し、ウレタンパッドに低反発素材を採用するなど、細やかに「人」の印象の向上を目指し他進化をしています。

 

シャーシ側では新たにAVSソレノイドを開発し、可変減衰力により減衰力の最適化が計られています。さらにランフラットタイヤの剛性とスタビライザーバーの剛性バランスの見直し、エンジンマウント内のオリフィス変更による減衰特性の変更など、振動の吸収と新たなシートの座り心地がもたらす快適性は筆舌に尽くしがたいものです。ドライバーズシート、それ以外のシートそのどこに座っても感じることのできる「落ち着いた上質」こそがLSの世界といえます。

 

ハイブリッド車のLS500hの加速時のバッテリーアシスト量を見直し、使用頻度の多い走行領域での加速時にパワーアシスト量を増加しています。発進加速時のエンジン回転数も低減させ、余裕を感じさせながら静粛性を増す絶妙なセッティングが施されています。また、ガソリンエンジン車のLS500では使用頻度の多い走行領域でのトルクの立ち上がりを向上させ、加速時のパフォーマンスを大きく向上させています。

 

そのトルク特性の変化によって、シフトスケジュールをより効率よく見直すことに成功しました。各ギアでの加速領域の拡大に伴い、加速時の余計なシフトダウン頻度を低減しています。LS500h、LS500共にANC(Active Noise Control)/ESE(Engine Sound Enhancement)のチューニングの変更による静粛性の違いには驚かされるはずです。

 

LEXUS Teammateって何?

人の感性に寄り添った最新の高度運転支援技術を「LEXUS Teammate」と呼びます。これはクルマが人から運転を奪うのでも、人に取って代わるのでもなく、『人とクルマが気持ちの通った仲間のようにお互いを高め合い。共に走る』というトヨタ自動車独自の「Mobility Teammate Concept」に基づいて開発されています。特にLEXUS TeammateではPerceptive(高い認識性能)、Intelligent(知能化)、Interactive(ドライバーとクルマの対話)、Reliable(信頼性)、Upgradable(ソフトウェア・アップデート)という5つの技術的特徴を備えています。

 

最新の高度運転支援技術によって、ドライバー監視のもと、高速道路などの自動車専用道路での運転において実際の交通状況に応じて車載システムが認知、判断、操作を適切に支援します。車線・車間維持、分岐やレーンチェンジ、追い越しなどをスムーズに実現します。ドライバーに信頼される安全優先の運転操作を追求し、アクセル、ブレーキそしてハンドル操作からも解放され、長時間の運転における疲労軽減が可能となります。それによってより周辺に注意を払った安全な運転を可能としているのです。

 

また、最新の駐車支援技術によって駐車場でのハンドル操作、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジに至るまでの全操作を車輌が支援します。カメラと超音波センサーによる全周囲監視と俯瞰絵像による切り返し位置や目標駐車位置を常に表示して安全/安心でスムーズな駐車を実現しています。

 

他にも、2019年8月にマイナーチェンジしたRXで世界初採用したブレードスキャンAHSを初採用。対向車や先行車を眩惑させることなく適切な配光を行い、ハイビームの広い照射範囲で歩行者や標識の認識を可能としました。さらに高解像度で大型なデジタルインナーミラーを採用し、後方の視認性も向上させています。

 

初代LSから追求してきたものは一貫して変わらない

最後にLEXUS International 佐藤 恒治社長からのメッセージを紹介しておきましょう。

 

「LSは、フラッグシップとしてイノベーションを追求し、常にお客様に新しい技術や価値を提供してまいりました。今回発表した新型の開発においては、初代から一貫して突き詰めてきた静粛性と乗り心地をさらに進化させ、高度運転支援技術Lexus Teammateの採用により、安全かつ安心なこれまでにない移動体験を目指しました。ドライバーは、アクセルやブレーキ、そしてハンドル操作などによる疲労が低減され、より運転に集中できるようになります。またクルマとドライバーの関係を熟知した自動車会社だからこそ出来る、敏腕ドライバーが運転しているような乗り心地を実現した運転支援と、クルマとドライバーが対話し、常にお互いの状況を正しく把握できるHMI(Human Machine Interface)が安心をもたらします。さらに、その開発を突き詰める過程では車両の基本性能も飛躍的に向上し、進化を果たしました。LEXUSは、これからも人間中心の考えのもと挑戦を続け、お客様お一人お一人のライフスタイルを豊かにする体験をお届けして参ります」。

 

人の感性と上質なハードとのコラボレーションを具現化している新型LEXUS LS。人間とクルマのよりよい関係に期待が持て、その発売が待たれます。

 

 

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新型LSの進化点とは? 日本が誇るフラッグシップセダンの新時代

2020年7月7日、LEXUSのフラッグシップモデル「LS」のニューモデルが世界初公開となりました。日本での発売は2020年初冬を予定しています。

 

LSは1989年のデビュー以来、30年以上にわたりLEXUSのフラッグシップを守。圧倒的な静粛性と快適性は乗ったことがある人なら納得いただけるはず。今回のニューモデルでもその静粛性と乗り心地の大幅な向上がはかられています。そして、単に静かに快適になったというだけではないのがLEXUSの進化であり深化なのです。

 

日本ならではの美意識を具現化

ますは新型LSの外観の主な変更点から見ていきましょう。新色の銀影(ぎんえい)ラスターは、時の移ろいや環境の変化の中で美しいと感じられる「月の道」をモチーフにしています。これは、満月前後の数日に見られる月明かりが海面上で細長い道となり、照らされた波のゆらぎのグラデーションが人を魅了する神秘的な自然現象です。ハイライトの美しい輝きと奥行きを感じる深い陰影感を演出しています。

 

アルミ蒸着を高密度で敷き詰める最新の塗装技術を用い実現したフラッグシップに相応しい新色となります。粒子感を感じさせない滑らかな質感は周囲の僅かな光を繊細にとらえ、様々な表情を見せる上質で特別なシルバーとなりました。

 

この新色だけでなく、新デザインでLEXUSのLを意識させる3眼ランプユニット。そして、そのクリアランスランプの下にはブレードスキャンAHSを搭載し、厚みのあるヘッドランプ形状により鋭く新しい表情を作っています。特徴的なスピンドルグリルのメッシュカラーはダークメタリックに変更され、よりフォーマルなシーンに配慮した上品さを表現しています。

 

リアスタイルはコンビネーションランプ内のメッキモールをピアノブラックに変更して厚みを感じるランプ形状としました。

 

Fスポーツではサブラジエーターグリルのガーニッシュをサイドまで回り込ませることでワイドなスタンスを強調させています。専用色のスピンドルグリルや20インチホイールなどのアイテムなどの採用でスポーティなイメージを際立たせました。

 

続いて、インテリア。

 

外観に合わせコーディネートされ、オーナメントに西陣や箔を新規に設定しています。西陣織の銀糸やプラチナ箔の輝きはまさに「月の道」。12.3インチのワイドディスプレイとスマートフォンを連携させることで画面操作、音声操作が可能なタッチディスプレイを採用しています。ハンドルとセンターコンソールのスイッチ類を黒で統一し、視認性の向上と端正な印象の演出をしています。そして使用頻度の高いシートヒーターやステアリングヒーターの操作画面表示スイッチをセンターコンソールに追加するなど、細かな操作性の向上にも抜かりがありません。

 

Lexus Driving Signatureの深化、上質な走りの追求

新型LSの走行性についてはどうなのでしょうか? LEXUSのフラッグシップモデルには人の感性を大切にし、進化させることが求められます。ドアをあけ、シートに触れ、座ったときに感じる上質感、安心感。LEXUSの世界はそこから始まっています。今回のモデルチェンジでシート表皮の縫い位置をより深い位置に変更し、ウレタンパッドに低反発素材を採用するなど、細やかに「人」の印象の向上を目指し他進化をしています。

 

シャーシ側では新たにAVSソレノイドを開発し、可変減衰力により減衰力の最適化が計られています。さらにランフラットタイヤの剛性とスタビライザーバーの剛性バランスの見直し、エンジンマウント内のオリフィス変更による減衰特性の変更など、振動の吸収と新たなシートの座り心地がもたらす快適性は筆舌に尽くしがたいものです。ドライバーズシート、それ以外のシートそのどこに座っても感じることのできる「落ち着いた上質」こそがLSの世界といえます。

 

ハイブリッド車のLS500hの加速時のバッテリーアシスト量を見直し、使用頻度の多い走行領域での加速時にパワーアシスト量を増加しています。発進加速時のエンジン回転数も低減させ、余裕を感じさせながら静粛性を増す絶妙なセッティングが施されています。また、ガソリンエンジン車のLS500では使用頻度の多い走行領域でのトルクの立ち上がりを向上させ、加速時のパフォーマンスを大きく向上させています。

 

そのトルク特性の変化によって、シフトスケジュールをより効率よく見直すことに成功しました。各ギアでの加速領域の拡大に伴い、加速時の余計なシフトダウン頻度を低減しています。LS500h、LS500共にANC(Active Noise Control)/ESE(Engine Sound Enhancement)のチューニングの変更による静粛性の違いには驚かされるはずです。

 

LEXUS Teammateって何?

人の感性に寄り添った最新の高度運転支援技術を「LEXUS Teammate」と呼びます。これはクルマが人から運転を奪うのでも、人に取って代わるのでもなく、『人とクルマが気持ちの通った仲間のようにお互いを高め合い。共に走る』というトヨタ自動車独自の「Mobility Teammate Concept」に基づいて開発されています。特にLEXUS TeammateではPerceptive(高い認識性能)、Intelligent(知能化)、Interactive(ドライバーとクルマの対話)、Reliable(信頼性)、Upgradable(ソフトウェア・アップデート)という5つの技術的特徴を備えています。

 

最新の高度運転支援技術によって、ドライバー監視のもと、高速道路などの自動車専用道路での運転において実際の交通状況に応じて車載システムが認知、判断、操作を適切に支援します。車線・車間維持、分岐やレーンチェンジ、追い越しなどをスムーズに実現します。ドライバーに信頼される安全優先の運転操作を追求し、アクセル、ブレーキそしてハンドル操作からも解放され、長時間の運転における疲労軽減が可能となります。それによってより周辺に注意を払った安全な運転を可能としているのです。

 

また、最新の駐車支援技術によって駐車場でのハンドル操作、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジに至るまでの全操作を車輌が支援します。カメラと超音波センサーによる全周囲監視と俯瞰絵像による切り返し位置や目標駐車位置を常に表示して安全/安心でスムーズな駐車を実現しています。

 

他にも、2019年8月にマイナーチェンジしたRXで世界初採用したブレードスキャンAHSを初採用。対向車や先行車を眩惑させることなく適切な配光を行い、ハイビームの広い照射範囲で歩行者や標識の認識を可能としました。さらに高解像度で大型なデジタルインナーミラーを採用し、後方の視認性も向上させています。

 

初代LSから追求してきたものは一貫して変わらない

最後にLEXUS International 佐藤 恒治社長からのメッセージを紹介しておきましょう。

 

「LSは、フラッグシップとしてイノベーションを追求し、常にお客様に新しい技術や価値を提供してまいりました。今回発表した新型の開発においては、初代から一貫して突き詰めてきた静粛性と乗り心地をさらに進化させ、高度運転支援技術Lexus Teammateの採用により、安全かつ安心なこれまでにない移動体験を目指しました。ドライバーは、アクセルやブレーキ、そしてハンドル操作などによる疲労が低減され、より運転に集中できるようになります。またクルマとドライバーの関係を熟知した自動車会社だからこそ出来る、敏腕ドライバーが運転しているような乗り心地を実現した運転支援と、クルマとドライバーが対話し、常にお互いの状況を正しく把握できるHMI(Human Machine Interface)が安心をもたらします。さらに、その開発を突き詰める過程では車両の基本性能も飛躍的に向上し、進化を果たしました。LEXUSは、これからも人間中心の考えのもと挑戦を続け、お客様お一人お一人のライフスタイルを豊かにする体験をお届けして参ります」。

 

人の感性と上質なハードとのコラボレーションを具現化している新型LEXUS LS。人間とクルマのよりよい関係に期待が持て、その発売が待たれます。

 

 

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三菱ふそうの燃料電池トラックのプロトタイプ「eCanter F-Cell」を試乗。その詳細は?

昨年開催された「東京モーターショー2019」で、三菱ふそうトラック・バスは燃料電池小型トラックのコンセプトモデル『Vision F-CELL』を発表し、大きな注目を浴びました。今年3月にはこの車両を2020年代後半にも量産化することを発表。量産を目指して製作したプロトタイプ『eCanter F-Cell(以下:F-Cell)』も公開し、いよいよ商用車でも水素を燃料とする燃料電池車(FCV)が動き出すスケジュールを明らかにしたのです。その詳細について、試乗レポートも合わせてお届けします。

↑三菱ふそうが3月に発表したプロトタイプ『eCanter F-Cell』。2029年までの量産を目指して製作している

 

プロトタイプeCanter F-Cellが登場!

F-Cellが担う最大の目的は、燃料電池のパワーを利用することで、電動トラック『eCanter』で課題だった航続距離の問題を解決することです。eCanterは2017年に小型電気トラックとして発表しており、すでに日本、欧州および米国で合計150台以上が既に稼働中です。しかし、航続距離は100km程度にとどまり、搭載バッテリーの重さにより、積載量はディーゼルトラックよりも減ってしまっていました。F-Cellはこの課題を解決する使命を担って開発されたのです。

↑すでに日本、欧州および米国で合計150台以上が既に稼働中という「eCanter」(左)と並んだ「eCanter F-Cell」(右手前)

 

三菱ふそうが明らかにしたところでは、F-Cellには3本の水素タンクを搭載し、目指す航続距離は300km。実にeCanterの3倍もの航続距離を確保し、しかも最大積載量はディーゼルCanterと同等を達成できています(目標値)。そして、使い勝手も良好。水素の充填に要する時間は5~10分程度で済み、eCanterのように長時間にわたる充電時間は不要となるからです。搭載したリチウムイオン電池の容量は40kWhで、システム全体の最高出力は135kW。eCanterと同等のパワーを発揮しながら、それを上回る使い勝手の良さを実現しているのがF-Cellなのです。

↑プロトタイプeCanter F-Cellは、航続距離300kmを目標に開発。eCanterと同等の動力性能と積載量を目指した

 

↑市販されているeCanterとeCanter F-Cellの比較。航続距離を3倍にしつつ、充電(充填)時間を大幅に減らし、積載量もディーゼルと同等にした

 

試乗会の会場となったのは川崎市にある三菱ふそう事業所でした。会場にはF-Cellと、その比較試乗のためにeCanterが並んで用意されていました。既に市販されているeCanterは街を走るディーゼルCanterとほとんど違いが分かりませんが、F-CellはコンセプトモデルということもあってヘッドライトをLED化し、全体を専用のデカールシートでデザインされ、明らかに別モノということが分かります。

↑専用デカールシールで身をまとったeCanter F-Cell。ヘッドライトをLED化することで斬新さをアピール

 

↑プロトタイプeCanter F-Cellのリアビュー。カーゴスペースを犠牲にしていないのが大きなメリット

 

撮影していると、F-Cellの車体には「Re-Fire」のロゴマークがあることに気付きました。Re-Fireといえば、中国の独立系燃料電池サプライヤーで、世界有数の燃料電池システム開発会社であるカナダのバラード社と技術提携によって成長した会社。F-CellはこのRe-Fire製の燃料電池システムで動作することになっていたのです。

↑燃料電池システムとして搭載した「Re-Fire」のロゴマークがカーゴスペースの左サイドに貼られていた

 

この採用について開発者に伺うと、「あくまで東京モーターショーへの出展に間に合わせるためにRe-Fire製システムを採用したのであって、量産化を前提としているたわけではない」とのこと。ならばどうしてグループ内のダイムラー製のシステムは採用しなかったのでしょうか。「ダイムラーは乗用車向け車両で手いっぱいの状況で、製作期間やコストを踏まえ既成システムで展開できるRe-Fire製を採用することにした」とのことでした。

↑プロトタイプeCanter F-Cellの燃料電池システムは、既製のRe-Fire製を採用。そのためシステムのコンパクト化が課題となった

 

いよいよ2台を試乗してみた!

試乗はまずeCanterから行いました。踏み込んだ瞬間から力強いトルクでスタート!荷物を積んでいない状態とはいえ、その後もスムーズに加速していきます。ディーゼル車でも十分なトルク感は感じますが、振動も音もなく加速する様は従来の小型トラックのイメージを大きく覆すものです。まさにEVならではの走りだったと言えるでしょう。

 

続いて、いよいよF-Cellの試乗です。スタート時の力強さはeCanterとほぼ同じ感覚でした。が、その後が続きません。後ろから何かで引っ張られているような感じがして加速が伸びていかないのです。加速時に発生するエアコンプレッサーの音も気になりました。プロトタイプである以上、完成度は当然ながら低いのは仕方がないでしょうけど、走りや快適性でeCanterとの違いは明らかだったのです。

↑プロトタイプeCanter F-Cellの運転席周り。基本的にeCanterをベースとするが、シフトレバーは専用

 

試乗後、この印象をF-Cell開発者にぶつけてみると意外な回答が返ってきました。「F-Cellはプロトタイプと言うこともあり、ベースを量産車になる前のeCanterのものを使っている。それだけにコンポーネントのバージョンが古いので、制御がうまくできていないところもある」というのでした。なんと、F-CellはeCanterよりも古い仕様がベースとなっていたのです。開発者いわく、「正直言えば、燃料電池システムの開発にはきわめて高度な技術が要求される。今後はプロトタイプで得た知見を活かして(自社の)技術レベルを上げていきたい」と、量産に向けた意気込みを語っていました。

 

となると、気になるのは量産に向けた動きです。親会社であるダイムラーは将来的なビジョンとして、2029年までには燃料電池車を量産し、2039年までには販売をゼロエミッション車だけにすると発表しています。そのロードマップに従って三菱ふそうが発表したのがeCanter F-Cellでもあるわけです。

 

その中でポイントとなるのは積載量に影響を与えない燃料電池システムの開発です。開発者は「現状でも電池はフレーム内に収まっており、カーゴスペースを犠牲にはしていない。ただ、燃料電池システムのコンパクト化を進めることでタンクの増設が可能になり、航続距離の延長にもメリットが生まれる」と話します。また、調達先も必ずしもダイムラーだけにこだわっていないとも言います。「現状でダイムラーが用意しているのはタンクが太過ぎて4つ入れるのは難しい。システムのコンパクト化を行うなら、グループ外からの調達も視野に入れている」ということでした。

↑量産に当たっては燃料電池システムのコンパクト化により、燃料タンクをプロトタイプの3つから4つに増やす考え

 

↑水素の充填口はカーゴスペースの右サイドに用意。eCanter F-Cellのおおよそのスペックも記載されていた

 

今、世界中で燃料電池システムへの関心が急速に高まっています。少し前まではほとんど関心を示していなかったドイツまでも1兆円を超える巨額の水素投資の下、官民を挙げて燃料電池システムに本腰を入れ始めています。三菱ふそうがF-Cellの量産を目指す2029年以降、世界は燃料電池システムを巡って熱き戦いが展開されているのかも知れません。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

三菱ふそうの燃料電池トラックのプロトタイプ「eCanter F-Cell」を試乗。その詳細は?

昨年開催された「東京モーターショー2019」で、三菱ふそうトラック・バスは燃料電池小型トラックのコンセプトモデル『Vision F-CELL』を発表し、大きな注目を浴びました。今年3月にはこの車両を2020年代後半にも量産化することを発表。量産を目指して製作したプロトタイプ『eCanter F-Cell(以下:F-Cell)』も公開し、いよいよ商用車でも水素を燃料とする燃料電池車(FCV)が動き出すスケジュールを明らかにしたのです。その詳細について、試乗レポートも合わせてお届けします。

↑三菱ふそうが3月に発表したプロトタイプ『eCanter F-Cell』。2029年までの量産を目指して製作している

 

プロトタイプeCanter F-Cellが登場!

F-Cellが担う最大の目的は、燃料電池のパワーを利用することで、電動トラック『eCanter』で課題だった航続距離の問題を解決することです。eCanterは2017年に小型電気トラックとして発表しており、すでに日本、欧州および米国で合計150台以上が既に稼働中です。しかし、航続距離は100km程度にとどまり、搭載バッテリーの重さにより、積載量はディーゼルトラックよりも減ってしまっていました。F-Cellはこの課題を解決する使命を担って開発されたのです。

↑すでに日本、欧州および米国で合計150台以上が既に稼働中という「eCanter」(左)と並んだ「eCanter F-Cell」(右手前)

 

三菱ふそうが明らかにしたところでは、F-Cellには3本の水素タンクを搭載し、目指す航続距離は300km。実にeCanterの3倍もの航続距離を確保し、しかも最大積載量はディーゼルCanterと同等を達成できています(目標値)。そして、使い勝手も良好。水素の充填に要する時間は5~10分程度で済み、eCanterのように長時間にわたる充電時間は不要となるからです。搭載したリチウムイオン電池の容量は40kWhで、システム全体の最高出力は135kW。eCanterと同等のパワーを発揮しながら、それを上回る使い勝手の良さを実現しているのがF-Cellなのです。

↑プロトタイプeCanter F-Cellは、航続距離300kmを目標に開発。eCanterと同等の動力性能と積載量を目指した

 

↑市販されているeCanterとeCanter F-Cellの比較。航続距離を3倍にしつつ、充電(充填)時間を大幅に減らし、積載量もディーゼルと同等にした

 

試乗会の会場となったのは川崎市にある三菱ふそう事業所でした。会場にはF-Cellと、その比較試乗のためにeCanterが並んで用意されていました。既に市販されているeCanterは街を走るディーゼルCanterとほとんど違いが分かりませんが、F-CellはコンセプトモデルということもあってヘッドライトをLED化し、全体を専用のデカールシートでデザインされ、明らかに別モノということが分かります。

↑専用デカールシールで身をまとったeCanter F-Cell。ヘッドライトをLED化することで斬新さをアピール

 

↑プロトタイプeCanter F-Cellのリアビュー。カーゴスペースを犠牲にしていないのが大きなメリット

 

撮影していると、F-Cellの車体には「Re-Fire」のロゴマークがあることに気付きました。Re-Fireといえば、中国の独立系燃料電池サプライヤーで、世界有数の燃料電池システム開発会社であるカナダのバラード社と技術提携によって成長した会社。F-CellはこのRe-Fire製の燃料電池システムで動作することになっていたのです。

↑燃料電池システムとして搭載した「Re-Fire」のロゴマークがカーゴスペースの左サイドに貼られていた

 

この採用について開発者に伺うと、「あくまで東京モーターショーへの出展に間に合わせるためにRe-Fire製システムを採用したのであって、量産化を前提としているたわけではない」とのこと。ならばどうしてグループ内のダイムラー製のシステムは採用しなかったのでしょうか。「ダイムラーは乗用車向け車両で手いっぱいの状況で、製作期間やコストを踏まえ既成システムで展開できるRe-Fire製を採用することにした」とのことでした。

↑プロトタイプeCanter F-Cellの燃料電池システムは、既製のRe-Fire製を採用。そのためシステムのコンパクト化が課題となった

 

いよいよ2台を試乗してみた!

試乗はまずeCanterから行いました。踏み込んだ瞬間から力強いトルクでスタート!荷物を積んでいない状態とはいえ、その後もスムーズに加速していきます。ディーゼル車でも十分なトルク感は感じますが、振動も音もなく加速する様は従来の小型トラックのイメージを大きく覆すものです。まさにEVならではの走りだったと言えるでしょう。

 

続いて、いよいよF-Cellの試乗です。スタート時の力強さはeCanterとほぼ同じ感覚でした。が、その後が続きません。後ろから何かで引っ張られているような感じがして加速が伸びていかないのです。加速時に発生するエアコンプレッサーの音も気になりました。プロトタイプである以上、完成度は当然ながら低いのは仕方がないでしょうけど、走りや快適性でeCanterとの違いは明らかだったのです。

↑プロトタイプeCanter F-Cellの運転席周り。基本的にeCanterをベースとするが、シフトレバーは専用

 

試乗後、この印象をF-Cell開発者にぶつけてみると意外な回答が返ってきました。「F-Cellはプロトタイプと言うこともあり、ベースを量産車になる前のeCanterのものを使っている。それだけにコンポーネントのバージョンが古いので、制御がうまくできていないところもある」というのでした。なんと、F-CellはeCanterよりも古い仕様がベースとなっていたのです。開発者いわく、「正直言えば、燃料電池システムの開発にはきわめて高度な技術が要求される。今後はプロトタイプで得た知見を活かして(自社の)技術レベルを上げていきたい」と、量産に向けた意気込みを語っていました。

 

となると、気になるのは量産に向けた動きです。親会社であるダイムラーは将来的なビジョンとして、2029年までには燃料電池車を量産し、2039年までには販売をゼロエミッション車だけにすると発表しています。そのロードマップに従って三菱ふそうが発表したのがeCanter F-Cellでもあるわけです。

 

その中でポイントとなるのは積載量に影響を与えない燃料電池システムの開発です。開発者は「現状でも電池はフレーム内に収まっており、カーゴスペースを犠牲にはしていない。ただ、燃料電池システムのコンパクト化を進めることでタンクの増設が可能になり、航続距離の延長にもメリットが生まれる」と話します。また、調達先も必ずしもダイムラーだけにこだわっていないとも言います。「現状でダイムラーが用意しているのはタンクが太過ぎて4つ入れるのは難しい。システムのコンパクト化を行うなら、グループ外からの調達も視野に入れている」ということでした。

↑量産に当たっては燃料電池システムのコンパクト化により、燃料タンクをプロトタイプの3つから4つに増やす考え

 

↑水素の充填口はカーゴスペースの右サイドに用意。eCanter F-Cellのおおよそのスペックも記載されていた

 

今、世界中で燃料電池システムへの関心が急速に高まっています。少し前まではほとんど関心を示していなかったドイツまでも1兆円を超える巨額の水素投資の下、官民を挙げて燃料電池システムに本腰を入れ始めています。三菱ふそうがF-Cellの量産を目指す2029年以降、世界は燃料電池システムを巡って熱き戦いが展開されているのかも知れません。

 

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三菱ふそうの燃料電池トラックのプロトタイプ「eCanter F-Cell」を試乗。その詳細は?

昨年開催された「東京モーターショー2019」で、三菱ふそうトラック・バスは燃料電池小型トラックのコンセプトモデル『Vision F-CELL』を発表し、大きな注目を浴びました。今年3月にはこの車両を2020年代後半にも量産化することを発表。量産を目指して製作したプロトタイプ『eCanter F-Cell(以下:F-Cell)』も公開し、いよいよ商用車でも水素を燃料とする燃料電池車(FCV)が動き出すスケジュールを明らかにしたのです。その詳細について、試乗レポートも合わせてお届けします。

↑三菱ふそうが3月に発表したプロトタイプ『eCanter F-Cell』。2029年までの量産を目指して製作している

 

プロトタイプeCanter F-Cellが登場!

F-Cellが担う最大の目的は、燃料電池のパワーを利用することで、電動トラック『eCanter』で課題だった航続距離の問題を解決することです。eCanterは2017年に小型電気トラックとして発表しており、すでに日本、欧州および米国で合計150台以上が既に稼働中です。しかし、航続距離は100km程度にとどまり、搭載バッテリーの重さにより、積載量はディーゼルトラックよりも減ってしまっていました。F-Cellはこの課題を解決する使命を担って開発されたのです。

↑すでに日本、欧州および米国で合計150台以上が既に稼働中という「eCanter」(左)と並んだ「eCanter F-Cell」(右手前)

 

三菱ふそうが明らかにしたところでは、F-Cellには3本の水素タンクを搭載し、目指す航続距離は300km。実にeCanterの3倍もの航続距離を確保し、しかも最大積載量はディーゼルCanterと同等を達成できています(目標値)。そして、使い勝手も良好。水素の充填に要する時間は5~10分程度で済み、eCanterのように長時間にわたる充電時間は不要となるからです。搭載したリチウムイオン電池の容量は40kWhで、システム全体の最高出力は135kW。eCanterと同等のパワーを発揮しながら、それを上回る使い勝手の良さを実現しているのがF-Cellなのです。

↑プロトタイプeCanter F-Cellは、航続距離300kmを目標に開発。eCanterと同等の動力性能と積載量を目指した

 

↑市販されているeCanterとeCanter F-Cellの比較。航続距離を3倍にしつつ、充電(充填)時間を大幅に減らし、積載量もディーゼルと同等にした

 

試乗会の会場となったのは川崎市にある三菱ふそう事業所でした。会場にはF-Cellと、その比較試乗のためにeCanterが並んで用意されていました。既に市販されているeCanterは街を走るディーゼルCanterとほとんど違いが分かりませんが、F-CellはコンセプトモデルということもあってヘッドライトをLED化し、全体を専用のデカールシートでデザインされ、明らかに別モノということが分かります。

↑専用デカールシールで身をまとったeCanter F-Cell。ヘッドライトをLED化することで斬新さをアピール

 

↑プロトタイプeCanter F-Cellのリアビュー。カーゴスペースを犠牲にしていないのが大きなメリット

 

撮影していると、F-Cellの車体には「Re-Fire」のロゴマークがあることに気付きました。Re-Fireといえば、中国の独立系燃料電池サプライヤーで、世界有数の燃料電池システム開発会社であるカナダのバラード社と技術提携によって成長した会社。F-CellはこのRe-Fire製の燃料電池システムで動作することになっていたのです。

↑燃料電池システムとして搭載した「Re-Fire」のロゴマークがカーゴスペースの左サイドに貼られていた

 

この採用について開発者に伺うと、「あくまで東京モーターショーへの出展に間に合わせるためにRe-Fire製システムを採用したのであって、量産化を前提としているたわけではない」とのこと。ならばどうしてグループ内のダイムラー製のシステムは採用しなかったのでしょうか。「ダイムラーは乗用車向け車両で手いっぱいの状況で、製作期間やコストを踏まえ既成システムで展開できるRe-Fire製を採用することにした」とのことでした。

↑プロトタイプeCanter F-Cellの燃料電池システムは、既製のRe-Fire製を採用。そのためシステムのコンパクト化が課題となった

 

いよいよ2台を試乗してみた!

試乗はまずeCanterから行いました。踏み込んだ瞬間から力強いトルクでスタート!荷物を積んでいない状態とはいえ、その後もスムーズに加速していきます。ディーゼル車でも十分なトルク感は感じますが、振動も音もなく加速する様は従来の小型トラックのイメージを大きく覆すものです。まさにEVならではの走りだったと言えるでしょう。

 

続いて、いよいよF-Cellの試乗です。スタート時の力強さはeCanterとほぼ同じ感覚でした。が、その後が続きません。後ろから何かで引っ張られているような感じがして加速が伸びていかないのです。加速時に発生するエアコンプレッサーの音も気になりました。プロトタイプである以上、完成度は当然ながら低いのは仕方がないでしょうけど、走りや快適性でeCanterとの違いは明らかだったのです。

↑プロトタイプeCanter F-Cellの運転席周り。基本的にeCanterをベースとするが、シフトレバーは専用

 

試乗後、この印象をF-Cell開発者にぶつけてみると意外な回答が返ってきました。「F-Cellはプロトタイプと言うこともあり、ベースを量産車になる前のeCanterのものを使っている。それだけにコンポーネントのバージョンが古いので、制御がうまくできていないところもある」というのでした。なんと、F-CellはeCanterよりも古い仕様がベースとなっていたのです。開発者いわく、「正直言えば、燃料電池システムの開発にはきわめて高度な技術が要求される。今後はプロトタイプで得た知見を活かして(自社の)技術レベルを上げていきたい」と、量産に向けた意気込みを語っていました。

 

となると、気になるのは量産に向けた動きです。親会社であるダイムラーは将来的なビジョンとして、2029年までには燃料電池車を量産し、2039年までには販売をゼロエミッション車だけにすると発表しています。そのロードマップに従って三菱ふそうが発表したのがeCanter F-Cellでもあるわけです。

 

その中でポイントとなるのは積載量に影響を与えない燃料電池システムの開発です。開発者は「現状でも電池はフレーム内に収まっており、カーゴスペースを犠牲にはしていない。ただ、燃料電池システムのコンパクト化を進めることでタンクの増設が可能になり、航続距離の延長にもメリットが生まれる」と話します。また、調達先も必ずしもダイムラーだけにこだわっていないとも言います。「現状でダイムラーが用意しているのはタンクが太過ぎて4つ入れるのは難しい。システムのコンパクト化を行うなら、グループ外からの調達も視野に入れている」ということでした。

↑量産に当たっては燃料電池システムのコンパクト化により、燃料タンクをプロトタイプの3つから4つに増やす考え

 

↑水素の充填口はカーゴスペースの右サイドに用意。eCanter F-Cellのおおよそのスペックも記載されていた

 

今、世界中で燃料電池システムへの関心が急速に高まっています。少し前まではほとんど関心を示していなかったドイツまでも1兆円を超える巨額の水素投資の下、官民を挙げて燃料電池システムに本腰を入れ始めています。三菱ふそうがF-Cellの量産を目指す2029年以降、世界は燃料電池システムを巡って熱き戦いが展開されているのかも知れません。

 

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孤軍奮闘のPND、パナソニック・ゴリラの最新作「CN-G1400VD」をインプレ! 根強い人気がわかる実力機だった

ポータブル型ナビと言えば、ひと昔前、一世を風靡したカーナビゲーションですが、今やスマートフォンに押されてすっかり姿を見なくなってしまいました。しかし、その中でも孤軍奮闘しているのがパナソニック「ゴリラ」です。ゴリラが誕生したのは今から25年前のこと。当時は旧三洋電機が販売していましたが、その流れは今、パナソニックに引き継がれ、累計出荷台数は529万台を突破。今もなお根強い人気を保ち続けているというわけです。

↑2020年型『ゴリラ』の最上位モデル「CN-G1400VD」(実売価格6万9800円)。他にFM-VICS非対応/地図更新なしの7V型モデル「CN-G740D」(実売価格5万8630円)と、同5V型モデル「CN-G540D」(実売価格4万1930円)をラインナップする

 

そこまでやるか!!の市街地カバーエリア拡大と、3年に一度の“全地図更新”機能

そのゴリラが今年、魅力的な進化を遂げました。その最大のポイントは、市街地図のカバーエリアを全国100%にまで広げたことです。これまでもゴリラは市街地図を1295都市で実現していましたが、2020年モデルではこれを全国すべてを対象とした1741都市へと拡大。カーナビで初めて、都市部だけでなく全国津々浦々、どこまで行っても建物の形状や土地の様子までも確認できるようになったのです。

↑2020年モデルでは家の形状が一軒ごとにわかる市街地図を全国の街へ広げた

 

もう一つは、上位機に無料搭載されてきた地図更新を3年に一度の全更新までもサポートしたことです。これまでも3年間にわたって2か月に一度、差分更新することができましたが、今回はそれに加えて、3年間に一度だけ“全地図更新”もサポートすることになったのです。これにより、3年の無料更新期限が近づいたところで全地図更新を行えば、そこから先も新しい地図データの下でゴリラを使い続けられるわけです。

 

今回のテストはダイハツ・ムーブのダッシュボードの上に取り付け、東京都内~千葉市周辺を往復して実施しました。

 

取り付けはとても簡単です。付属する電源ケーブルをシガーライターソケットに差し込み、FM-VICS用アンテナを本体に接続します。次に、付属の取付用プレートをダッシュボード上に貼り、ここに本体に取り付けた吸盤式スタンドを装着すればOKです。これだけでゴリラならではのGジャイロや、トリプル衛星による高精度測位が行われるのです。おそらく15分もあれば誰でも取り付けられるのではないでしょうか。

↑電源はシガーライターソケットから取るだけ。他にクルマと接続するものがないので、誰でも簡単に取り付けられる

 

目的地は多彩なカテゴリーから絞り込んで設定。操作に小気味よく反応するので、使っていてストレスはほとんど感じないでしょう。スマホのように音声入力することはできませんが、50音入力は知っている名称の一部を入れれば候補がリスト表示されます。

 

さらに目的地を設定する際に「周辺検索」「ガイドブック」を選べ、ガイドブックではJTBが監修した「るるぶDATA」を呼び出すことが可能。本体にはバッテリーも内蔵されていますから、出かけた先のホテル内で通信環境に左右されず周辺の見どころを簡単に探せます。これもゴリラならではの魅力なのです。

↑JTBが提供する「るるぶDATA」を収録。目的地設定時に簡単に周辺のガイド情報が呼び出せる

 

↑ワンセグTVにも対応。バッテリーも内蔵しているので、外へ持ち出して視聴することもできる

 

目的地を設定すると、ルートは条件別に最大5ルートまで候補を表示できます。通常は「自動」で選んでおけば間違いはないでしょう。ゴリラが案内するルートは安心して任せられるほどレベルが高く、スマホナビのような「?」が付くような案内をすることはほとんどありません。

 

さらに、FM-VICSで受信した「VICS-WIDE」による渋滞情報も反映する「スイテルート案内」が機能するので、交通状況の変化にもその都度対応してくれます。テスト中も何度もルート変更を提案し、そこにはどのぐらい時間を短縮できるのかも表示されていました。

↑方面案内の表示にも対応。進むべき方向も描かれているので安心して従える

 

↑FM-VICSで提供される「VICS-WIDE」に対応。一般道での旅行時間情報に基づき、目的地に早く着く「スイテルート」を案内する

 

↑「スイテルート」を反映したときの画面。ピンクの旧ルートに比べ、イエローの新ルートは距離も短くなり、目的地に6分早く到着することを示している

 

きめ細かい交通規制案内も魅力的!

きめ細かな交通規制の案内もゴリラならではの魅力です。一時停止に始まり、速度規制や合流案内、急カーブ、踏切案内、指定方向が禁止案内など、実に多彩な規制を画面上に音声案内を伴いながらポップアップ。交通規制を守るべきなのは言うまでもありませんが、初めての土地へ出掛けた時などは周囲に気を取られてつい見落としがちになります。そんな時でもこの案内があれば大いに助かるというわけです。一軒ずつ家の形や一方通行までがわかる市街地図は50mスケール以下で表示できます。12mスケールでは歩道の状況まで分かります。

↑各種交通規制や注意喚起に役立つ道路標識を、音声と共に画面上にポップアップして知らせる

 

↑渋滞情報は過去の統計情報(白抜きの渋滞情報)も反映される※CN-G1400VDのみ

 

また、高速道路では逆走に対してもしっかりサポートします。サービス/パーキングエリアで休んだ後に走り出すと画面上には「逆走注意アラーム」が音声と画面上で注意してくれるのです。それでも合流部まで進んで逆走を始めたら、アイコンと音声でそれを警告します。テストではさすがに再現は不可能でしたが、スタート時の注意アラームについては確認できました。逆走が社会問題化している現在、この機能の搭載は特に判断が鈍りがちな高齢者にとってもメリットは大きいと思います。

↑高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで休憩した後、出発すると逆走のアラートが音声と共に案内される

 

↑高速道路など自動車専用道路の分岐点に近づくと、車線や方面案内までも正確に描いて進行方向ガイドする

 

測位精度はどうでしょうか。ビルが建て込んだ銀座周辺を走ってみましたが、位置がずれることは一度もありませんでした。エンジンを切って再スタートする時でも正確に位置を憶えていて、ここでも問題なし。ただ、地下駐車場に入ってエンジンを切り、再び地上へ出たときは正しい位置を示すのに1分程度かかりました。それでもクルマの向きはかなり早い段階で認識してくれ、どの方角に向かっているかは把握できました。

↑政令指定都市の主要交差点では、周囲の状況を正確に描く3Dビューで進行方向を案内。路面のカラー舗装まで描かれている

 

一方、道路の高低差は思ったほど正確ではありませんでした。首都高と一般道が重なる場所で正確に認識できたのは、今回のテストでも数回程度。インダッシュ型ナビのような精度は発揮できないようです。ただ、ゴリラにはこんな時に役立つ「道路切替」ボタンが用意されていて、これを押せばワンタッチで並行している道路に切り替えてくれます。

 

このボタンはデフォルトではメニュー内に用意されてますが、「G-LAUNCHER」ボタン内に設定しておくとより便利に使えると思います。ゴリラは高精度を追求する人にとっては能力的にも不足を感じるでしょう。かといって、停止すると自車位置が不安定になるスマホを使うよりははるかに安心できるとも言えます。

↑首都高など、都市高速の入口では3Dビューで入口を案内して進行方向をガイドする

 

↑並行する道路は正確に反映されないときはメニュー内にある「道路切替」を押せばいい。「G-LAUNCHER」内に設定すると便利だ

 

では、このゴリラはどんな人におすすめなのでしょうか。最適と思えるのが、すでにダッシュボードにオーディオなどが搭載されていて、これを交換せずに簡単にナビを追加したいという人です。運転に不安をおぼえ始めた高齢者などにも、ゴリラのきめ細かな規制案内が役立つでしょう。

 

一方、車速パルスを取ることができない旧車に乗っている人にとっても貴重なナビとなるはずです。全国津々浦々まで市街地図表示を実現し、交通規制までサポートすることで、分かりやすさと安心・安全をもたらした新型ゴリラ。ポータブル型ナビとして見逃せない一台となることは間違いありません。

 

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【中年名車図鑑|日産VWサンタナ】販売こそ低調だったが、日産にとっては大きな収穫だった

1980年代前半に大きな問題となった日本と欧米間での自動車の貿易摩擦。国際戦略に力を入れていた日産自動車は、その対応策として西ドイツのフォルクスワーゲン社と協力関係を樹立し、同社のフラッグシップセダンであるサンタナのノックダウン生産を実施する――。今回は初の和製フォルクスワーゲン車として1984年にデビューした「日産VWサンタナ」の話題で一席。

【Vol.87 日産VWサンタナ】

厳しい排出ガス規制と石油ショックを何とか克服した日本の自動車メーカーは、来るべき1980年代に向けて海外市場への本格進出に力を入れ始める。なかでもこの分野での先駆メーカーといえる日産自動車の戦略は、群を抜いて精力的だった。陣頭指揮を執ったのは、1977年に社長に就任していた石原俊氏で、経済マスコミでは同氏のことを“輸出の石原”と称した。

 

■日産自動車の貿易摩擦への対応策

一方、ここで重大な事態が発生する。日本車の進出によって、欧米の自動車メーカーの自国シェアが大幅に減ったのである。同時に、日本市場での輸入車に対する閉鎖性が大きくクローズアップされるようになった。この状況は徐々に深刻になり、やがて時の政府を巻き込んだ自動車の“貿易摩擦”として大問題となる。

 

このままでは海外市場での事業拡大に大きな支障が出る――。日産自動車の首脳陣は様々な議論を重ね、1980年12月には欧州向けの対策プランを実施する。そのプランとは、西ドイツ(現ドイツ)のフォルクスワーゲンAGとの「国際貿易上の問題解決に積極的に貢献することを目的として、全般的な協力関係を樹立する」という合意だった。そして翌81年9月には、日本でフォルクスワーゲン車のノックダウン生産を行い、販売も日産のディーラーが手がける契約を結ぶこととなった。

 

■ノックダウン生産に選ばれた車種はVWのフラッグシップセダン

日産VWサンタナは80年代の貿易摩擦緩和のため誕生した。生産は日本国内で行うノックダウン方式、販売も日産ディーラーが行った。日本仕様として5ナンバーサイズに収まるようアレンジが施された

 

日本でノックダウン生産するクルマを決める際、日産は自社の車種ラインアップになるべくバッティングしないフォルクスワーゲン車を検討する。選ばれたのは、1981年に欧州デビューしていた同社のフラッグシップセダンである「サンタナ(SANTANA)」だった。

 

日産の開発陣はサンタナを日本仕様に仕立てるにあたり、5ナンバーサイズに収めるためにサイドモールを薄型にするなどして1690mmのボディ幅とする(全長×全高は4545×1395mm、ホイールベースは2550mm)。さらに、日本の法規に則したヘッドライトやサイドマーカー、交通環境に応じた導入口の広いラジエターグリルなどを装着した。ハンドル位置は右。駆動レイアウトはFFで、縦置きに積まれるエンジンはアウディの設計によるJ型1994cc直列5気筒OHC(110ps)、フォルクスワーゲン設計のJN型1780cc直列4気筒OHC(100ps)、そしてCY型1588cc直列4気筒ディーゼルターボ(72ps)の3タイプを用意する。5速MTおよび3速ATのトランスミッションやラック&ピニオン式のステアリングギアなどの主要部品も、フォルクスワーゲン社から供給を受けた。また、エクイップメントに関しては本国でオプション設定の快適装備品をふんだんに盛り込んだ。

 

1984年2月、神奈川県の座間工場に設けた専用ラインで生産され、M30の型式を取得した「日産VWサンタナ」が市場デビューを果たす。グレード展開はJ型エンジンを積むXi5とGi5、JN型エンジン搭載車のGiとLi、CY型エンジン搭載車のGtとLtという計6グレードを設定。トランスミッションはガソリン仕様が5速MTと3速AT、ディーゼル仕様が5速MTだけを組み合わせていた。ちなみに、サンタナの新車記者発表会の席では、当時フォルクスワーゲン車の輸入・販売権を持っていたヤナセも同席。日産のサニー店系列とヤナセの直営店の2体制で日本生産のサンタナを売る旨がアナウンスされた(後にプリンス店系列も販売に加わる)。

 

■販売台数は伸びなかったものの――

バブル景気前夜の日本において、サンタナの質実剛健なインテリアは地味に映った。同クラスのハイテク満載の国産車と比べると割高感があり、販売は苦戦した

 

貿易摩擦の打開策、そして初の和製フォルクスワーゲン車でもあったサンタナは、大きな注目を集めて日本の市場に迎えられる。自動車マスコミからも、高いボディ剛性を芯に据えたしっかりとした乗り心地やハンドリングなどが高く評価された。

 

しかし、実際に蓋を開けてみるとサンタナの販売成績は予想外に伸びなかった。1980年代中盤といえばバブル景気の助走期。日本車はハイテクが積極的に採用され、品質も大きく向上していた。そんな状況下で、サンタナの地味なルックスや質素なインテリア、数値上で見劣りするエンジンスペック、さらに同クラスの国産車に比べて割高な価格設定などが、ユーザーの購入欲を刺激しなかったのである。受け入れたのはドイツ流の固めの足回りが好きで、質実剛健の内外装に惹かれたコアなファンにとどまった。

 

日産はテコ入れ策として、サンタナのラインアップ拡充を実施する。1985年5月には専用セッティングの足回りやスポーツシートなどを装着するXi5アウトバーンを追加。1987年1月にはマイナーチェンジを敢行し、内外装の意匠変更を図った。同時に、Xi5アウトバーンには1994cc直列5気筒DOHCエンジン(140ps)が採用される。1988年1月にはXi5をベースに専用の内外装パーツを組み込んだマイスターベルクを300台限定でリリースした。

 

ところで、日産VWサンタナの広告展開およびグレード名は、当時ドイツ車への憧れが日本の一般ユーザーに広がり始めていたことから、ドイツ・カラーを色濃く打ち出す戦略をとっていた。広告でのキャッチコピーは“アウトバーンから日本の道へ”“ロマンティック街道から”“ドイツの光と風”など。また、デビュー当初は「ドイツの“香り”プレゼント」と称してドイツ産ワインのプレゼント企画も実施した。グレード名には「Xi5アウトバーン」や「マイスターベルク」といったネーミングを採用。Xi5アウトバーン登場時のCMでは、あえてドイツ語でスペック表記を映し出していた。

当時、ドイツ車への憧れが日本ユーザーに広がりはじめていたタイミング。サンタナはドイツ色を強く押し出したPR戦略をとった

 

さまざまな改良を施していった和製サンタナ。しかし、販売成績が大きく回復することはなく、そのうちに貿易摩擦の問題も現地生産化などによって次第に改善され、1988年末にはフォルクスワーゲン社との提携も解消される。そしてサンタナのノックダウン生産は中止となり、販売も1990年中には終了した。

 

販売成績の面では低調に終わった日産VWサンタナ。しかし、日産にとって高いロイヤリティを払ったことは決して無駄にはならなかった。当時の開発スタッフによると、「ドイツ流のクルマ造りを細部にわたって学べた。また、ドイツ車に対する日産の強みも把握できた」という。その結果は、以後に登場する日産車のボディ剛性の出し方や足回りのセッティングなどに存分に活かされたのである。

 

【著者プロフィール】
大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

あおり運転、進路妨害…高速道路での嫌がらせ行為から命を守る方法

あおり運転、進路妨害……高速道路で嫌がらせにあった場合、どうすればいい?

【著者プロフィール】

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。

【中年名車図鑑|マツダ・ユーノス500】日本では評価されなかった「世界で最も美しいサルーン」

好景気で盛り上がる1980年代終盤の日本。各自動車メーカーはディーラー網の強化と車種展開の拡大を積極的に推進する。マツダは1989年に新販売チャンネルのユーノス系列ディーラーをオープン。ロードスターや高級スペシャルティカーなどに続き、スタイリッシュな4ドアセダンを1992年に発売した――。今回は“時を超えて輝く品質”を徹底追求した新世代スタイリッシュサルーンの「ユーノス500」で一席。

【Vol.86 マツダ・ユーノス500】

マツダが1989年4月に設立した新販売チャンネルの「ユーノス」系列店では、上質かつ斬新なキャラクターのクルマを販売することが経営上の方針とされた。1990年代初頭にはライトウェイトスポーツのロードスターに輸入車のシトロエン、3ローターエンジンを搭載する高級スペシャルティのコスモ、リトラクタブルライトを配したハッチバック車の100、サッシュレス4ドアハードトップの300、スポーティなハッチバッククーペのプレッソなど、多様なカテゴリーで個性的なモデルをラインアップする。一方、量販が期待できる車種、すなわち“4ドアセダン”に関しては、まだユーノス・ブランド車が用意されていなかった。真打のセダンモデルはどのような形で登場するのか――そんな市場の期待を裏切らないよう、開発陣は懸命にユーノス版セダンの企画を推し進めた。

 

■ユーノス・ブランドにふさわしいセダンモデルの開発

1989年4月に設立した新販売チャンネル「ユーノス」の4ドアセダンとして開発。“いつまでも色あせない価値”をコンセプトに3次曲面を多用した流麗なプロポーションをまとった

 

ユーノスの4ドアセダンでは、“いつまでも色あせない価値”の創出を開発テーマに掲げる。基本骨格については、マツダの新世代ミドルクラス車であるクロノス(1991年10月デビュー)のものを流用。一方、スタイリングに関しては3次曲面を多用した流麗なプロポーションを構築したうえで、ボディの段差や隙間を極少かつ均一に整えた精緻な造り込みを実施する。また、いつまでも美しい艶めきを保ち続ける高機能ハイレフコート塗装を全ボディカラーで採用した。内包するインテリアについても、高品質かつ高機能な空間を演出する。インパネはラウンディッシュで広がり感のある造形でアレンジ。空調パネルをセンター上部に張り出して設置した点も目新しかった。装備面にも抜かりはなく、フルオートエアコンや新イルミネーテッドエントリーシステム、スイングピロー機構付きシート、後席格納式センターアームレストなどを設定。最上級グレードには本革地のシート/ステアリング/シフトノブ/パーキングブレーキレバーや電動ガラスサンルーフを採用した。

 

高品質の追求は走りに関しても貫かれる。搭載エンジンは可変共鳴過給システムのVRISを組み込んだ高性能V6DOHCの2機種で、KF-ZE型1995cc・V型6気筒DOHC24V(160ps)とK8-ZE型1844cc・V型6気筒DOHC24V(140ps)を設定。組み合わせるトランスミッションにはホールドモード機構付き電子制御4速ATと5速MTを用意する。前後ストラット式の足回りについては専用チューニングを実施。とくに高速ツーリングの快適性を高めるようにアレンジした。

 

■“10年色あせぬ価値”を謳って登場

ボディサイズが全長4545×全幅1695×全高1350mmと5ナンバー規格だったことも話題に。カーデザイン界では「小型クラスにおいて世界で最も美しいサルーン」と評された

 

ユーノス・ブランド期待の4ドアセダンは、「ユーノス500」(CA型)の車名で1992年1月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは“10年色あせぬ価値”で、グレードは上位から20G/20F-SV/20F/18Dで構成。個性的なスタイリングや高品質なハイレフコート塗装のほか、ボディサイズを全長4545×全幅1695×全高1350mmの5ナンバー規格に収めた(基本骨格を共用するクロノスやアンフィニMS-6は全長4695×全幅1770mmの3ナンバーサイズ)ことも注目を集めた。

 

当時のカーデザイン界では、「小型クラスにおいて世界で最も美しいサルーン」と評されたユーノス500。しかし、販売成績はデビュー当初を除いて振るわなかった。ユーザーの目がレクリエーショナルビークル(RV)に移っていた、上質で個性的なルックスに仕上がっていたもののデザイン自体のアクがやや強すぎた、V6エンジンの割には回転フィールのスムーズさに欠けた、ユーノス+数字の車名ではユーザーがクルマをイメージしにくかった――要因は色々と挙げられた。

 

■ベーシック仕様とスポーツモデルの追加

ラウンディッシュで広がり感のあるインパネ。空調パネルをセンター上部に張り出して設置したデザインもユニークだ

 

販売成績のアップを目指して、開発陣はユーノス500の様々な改良とラインアップの変更を実施していく。1993年1月にはオフブラックのレザー内装やリアスポイラーを備えた20F-Xを、1993年5月には装備アイテムを充実させた20Fスペシャルを追加設定。1994年3月にはマイナーチェンジを実施し、内外装の一部意匠変更のほかにFP-DE型1839cc直列4気筒DOHC16Vエンジン(115ps)搭載のエントリーグレードや専用ハードチューンサスペンションおよびアドバンA407タイヤ+15インチアルミ等を組み込んだスポーティ仕様の20GT-iの設定などを行った。

 

高品質サルーンとしての商品価値の引き上げを多様なアプローチで敢行していったユーノス500。しかし、販売は低迷が続き、しかもマツダ本体の経営悪化が深刻化してきたことから、結果的にユーノス500の国内販売は1995年いっぱいで中止されてしまう。一方、ユーノス500の欧州市場向けである「クセドス6(Xedos 6)」の販売は継続。高評価を得ながら1999年までリリースされた。マツダが追求した“色あせぬ価値”は、日本よりも欧州で広く認められたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【中年名車図鑑|第1世代・スバル・インプレッサWRX】スバリストたちに愛され、育てられた高性能スポーツセダン

海外モータースポーツへの本格参戦に際し、世界ラリー選手権(WRC)のフィールドを選択した富士重工業。独創的な技術で勝負する同社は、1992年になると新しいホモロゲーションモデルを市場に放った――。今回は新世代ハードトップセダンのインプレッサをベースに開発した「WRX」グレードの第1世代(1992~2000年)で一席。

【Vol.85 第1世代・スバル・インプレッサWRX】

富士重工業(現SUBARU)は軽自動車のヴィヴィオから小型車のレガシィへのスムーズな上級移行の形成を目指し、1992年10月に新しい中間車となる「インプレッサ(IMPREZA)」発表、翌11月に発売する。シリーズ展開はサッシュレス4ドアのセダン(GC型)およびスポーツセダンのWRX(GC8型)とコンパクトなラゲッジを備えたスポーツワゴン(GF型)で構成した。

 

■走りの性能を徹底的に磨いた最強スポーツセダンのWRX

WRXの第1世代は1992年に登場した。リアスポイラー、サイド&リアアンダースカート、大径フォグランプがシリーズ最強の存在感を主張する

 

シリーズの最強版で、かつWRCグループAのホモロゲーションモデルとなるWRXは、ロードカーバージョンのWRXとコンペティション仕様のWRXタイプRAを設定する。搭載エンジンには大容量高速型の水冷ターボチャージャーやダイレクトプッシュ式バルブ駆動、5ベアリングクランクシャフト、クローズドデッキシリンダーブロックなどを組み込んだオールアルミ合金製のEJ20型1994cc水平対向4気筒DOHC16Vインタークーラーターボを採用。パワー&トルクは240ps/31.0kg・mを発生した。組み合わせるトランスミッションには、油圧レリーズ式プルタイプのクラッチを導入したうえでギア比を最適化した5速MTをセット。駆動機構にはビスカスLSD付センターデフ式フルタイム4WDを採用し、リアにもビスカスLSDを装備する。フロントをL型ロワアームのストラット、リアをデュアルリンクのストラットで構成したサスペンションはアームやブッシュ類を強化するとともに、ダンパーおよびスプリングにハードタイプを装着。ボディは曲げとねじれともに剛性を引き上げ、同時にアルミ製フロントフードを導入するなどして効果的に軽量化を図った。ボディサイズは全長4340×全幅1690×全高1405mm/ホイールベース2520mmに設定する。制動機構にはフロントにローター厚24mm/制動有効半径228mmの2ポットベンチレーテッドディスクを、リアに同18mm/230mmのベンチレーテッドディスクをセット。専用の内外装パーツとしてリアスポイラーやサイド&リアアンダースカート、大径フォグランプ、205/55R15タイヤ+6JJ×15軽量アルミホイール、ナルディ製本革巻きステアリング&シフトノブ、バケットシートなども装備した。

 

富士重工業が大きな期待を込めて市場に送り出した新しい中間車の高性能グレードのWRX系は、走りを重視するスバリストたちから絶大な支持を集める。この勢いを維持しようと、開発陣は精力的にWRXの改良とラインアップの拡充を図っていく。1993年10月の一部改良(Bタイプ)ではスポーツワゴンにも高性能モデルのWRXグレードを設定。このときターボエンジンとATが組み合わされ、駆動機構にはVTD-4WDを採用した。

 

■STiバージョンの登場

WRX専用装備として、ナルディのステアリング&シフトノブ、バケットシートを用意

 

WRC制覇を目指した富士重工業の開発陣、さらに同社のモータースポーツ部門であるSTI(スバルテクニカインターナショナル)は、WRXの改良を矢継ぎ早に実施していく。まず1994年1月には、ハイパフォーマンスモデルの「WRX STi」がデビュー。EJ20ターボエンジンはファインチューニングが敢行され、鍛造ピストンや専用ECU、軽量化したハイドロリックラッシュアジャスター、インタークーラーウォータースプレイ&専用ノズルなどを採用した。さらに排気系にはSTi/フジツボ製のΦ101.6mm大径マフラーを組み込む。得られたパワー&トルクは250ps/31.5kg・m。加速性能とアクセルレスポンスも従来ユニットを大きく凌いだ。さらに1994年10月になるとインプレッサのマイナーチェンジ(Cタイプ)が実施され、セダンWRX系のEJ20ターボエンジンの最高出力は260psにまで引き上がる。また翌月には、競技用ベース車のWRX-RA STiが登場。専用タイプのECUにシリンダーヘッド、ナトリウム封入排気バルブおよび中空吸気バルブ、ダクト部強化型インタークーラーなどで武装し、ターボの過給圧も高めたEJ20ターボは、275psの強力パワーを発生した。

 

WRXの進化は、まだまだ続く。1995年8月にはWRX STiのバージョンⅡがデビュー。1996年9月になると“全性能モデルチェンジ”と称したインプレッサのビッグマイナーチェンジ(Dタイプ)が行われ、同時にWRX STiはバージョンⅢに発展した。全性能モデルチェンジを遂げたWRX系には、“BOXER MASTER-4”と名づけた新しいターボ付きEJ20型エンジンが搭載される。ターボチャージャーの大型化やインタークーラーのサイズアップおよびコアの水平置き化、新ピストンの採用、過給圧アップに対応したメタルガスケットの装着などを実施し、パワー&トルクはついに280ps/33.5kg・mに達した。また、WRX STiバージョンⅢは専用大容量タービンの採用や最大過給圧の引き上げなどによって最大トルクが35.0kg・mにアップ。足回りのセッティング変更も行い、操縦安定性を向上させた。さらに1997年9月には、一部改良を実施してEタイプに移行。WRX STiはバージョンⅣとなり、EJ20ターボエンジンの最大トルクは36.0kg・mにまで引き上がった。

 

■WRカーのロードバージョンを設定

400台限定、500万円で売り出された「22B-STi Version」はわずか2日で完売

 

WRCは1997年シーズンに従来のグループAからWRカーに移行する。このシーズン、マニュファクチャラーズチャンピオンに輝いたのは、インプレッサWRCで参戦したスバル・ワールドラリーチームだった。一方でスバリストたちからは、ちょっとした不満の声も聞かれた。インプレッサWRCと直結するロードバージョンがない――。その意見は、もちろん富士重工業およびSTIの耳に入っていた。最終的に富士重工業は、STI主導でインプレッサWRCのロードバージョンを開発する旨を決断。しかも、徹底して高性能化を図る方針を打ち出した。

 

まずボディに関しては、2ドアクーペ用をベースに大型のブリスターフェンダーを装備してワイド化を図る。組み付けには高田工業の協力を仰ぎ、同社のラインにおいて半ば手作業で溶接を行った。ボディカラーには、インプレッサWRC専用色のソニックブルーマイカを採用する。内包するインテリアでは、シートやドアトリムをボディ色とコーディネートしたブルー系で、インパネをインプレッサWRCと同イメージのマットブラックタイプでまとめた。搭載エンジンはEJ20系のボアを92.0→96.9mmに拡大したうえで、各部のセッティングを変更したEJ22改(2212cc水平対向4気筒DOHC16Vインタークーラーターボ)を採用する。パワー&トルクは280ps/37.0kg・mを発生。サスペンションには専用チューニングのビルシュタイン製倒立式ダンパーとアイバッハ製コイルスプリングをセットした。

 

インプレッサWRCのロードバージョンは、「22B-STi Version」のネーミングを冠して1998年3月に市場デビューを果たす。販売台数は400台限定。車両価格は500万円と高価だったが、その人気は凄まじく、わずか2日で完売した。

 

■モデル末期にSTIコンプリートカーのS201を発売

1998年9月にはマイナーチェンジが行われ、Fタイプへと切り替わる。搭載エンジンは新設計のシリンダーブロックおよびヘッドを採用した“BOXER PHASE Ⅱ”に換装。WRX系には新タイプの倒立式ストラットサスペンションをセットした。WRX STiはバージョンⅤへと進化。WRカータイプの大型リアスポイラーやスポーツABSなどを新規に設定した。さらに1999年9月になると、一部改良でGタイプに移行する。WRX系では空力特性の向上を狙った外装の仕様変更や新16インチアルミホイールの設定などを実施。バージョンⅥとなったWRX STiは、リアスポイラーの翼断面形状の刷新やリアクォーターガラスの薄板化による軽量化、クラッチスタートシステムの採用(MT車)などを行った。2000年4月にはGC8型インプレッサをベースにSTIがコンプリートで仕立てた「S201 STI version」が300台限定で発売される。搭載エンジンは専用スポーツECUを組み込むと同時に吸排気系を変更したEJ20ターボで、パワー&トルクは300ps/36.0kg・mを発生。専用装備として車高調整式強化サスペンションやリア・フルピローラテラルリンクおよびトレーリングリンク、フロントヘリカルLSD、エアロバンパー、ダブルウィングリアスポイラーなどを設定した。

 

2000年8月になるとインプレッサはついに全面改良を実施し、2代目となるGD/GG型系に移行する。じっくりと手間をかけて進化していった初代のGC/GF型系。とくにラリーのベース車となったGC8型のWRXシリーズは、1990年代の高性能スポーツセダンの代表格に昇華したのである。

 

■WRCにおいて3年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得

インプレッサはWRCで快進撃を続け、グループAカーとWRカーの両カテゴリーでチャンピオンマシンに昇りつめた

 

最後に、第1世代のインプレッサWRXのWRCにおける戦績を紹介しよう。インプレッサWRXがWRCのグループAに参戦したのは、1993年8月開催の1000湖ラリーから。ここでA.バタネン選手がいきなり2位に入るという好成績を成し遂げる。1994年シーズンではC.マクレー選手とC.サインツ選手、R.バーンズ選手らがメインドライバーに起用され、シーズン3勝、マニュファクチャラーズ2位を達成した。そして1995年シーズンでは前年と同様にC.マクレー選手やC.サインツ選手、R.バーンズ選手らがステアリングを握り、シーズン5勝でマニュファクチャラーズタイトルを獲得。さらに、C.マクレー選手がドライバーズチャンピオンに輝いた。1996年シーズンになるとC.マクレー選手やK.エリクソン選手、P.リアッティ選手などを擁し、年間3勝をあげて2年連続のマニュファクチャラーズタイトルの栄冠に輝く。また、改造範囲を最小限に抑えたグループNでもインプレッサWRXは大活躍した。

 

1997年シーズンになると、トップカテゴリーはWRカーに移行する。この新舞台にスバル・ワールドラリーチームは、新開発のインプレッサWRCで参戦した。戦績は見事なもので、第1戦のモンテカルロでP.リアッティ選手が、第2戦のスウェディッシュでK.エリクソン選手が、第3戦のサファリでC.マクレー選手が、第6戦のツール・ド・コルスでC.マクレー選手が、第9戦のニュージーランドでK.エリクソン選手が、第12戦のサンレモと第13戦のオーストラリア、第14戦のRACでC.マクレー選手が優勝を果たし、年間8勝の好成績でマニュファクチャラーズチャンピオンに輝いた。ちなみに、スバル・ワールドラリーチームが同タイトルを獲得したのは、この年で3年連続。つまり、インプレッサはグループAカーとWRカーの両カテゴリーでチャンピオンマシンに昇りつめたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【中年名車図鑑|第1世代・三菱ランサー・エボリューション】絶えず戦闘力を“進化”させてきた「武闘派セダン」

ワールドワイドなモータースポーツへの参戦に際し、ラリーの舞台を主軸に据えた三菱自動車工業。持ち前の高い技術力で勝負を挑む同社は、1992年になると新世代のホモロゲーションモデルとなる「ランサー・エボリューション」を発売した――。今回は第1世代のCD9A/CE9A型“ランエボⅠ~Ⅲ”の話題で一席。

【Vol.84 第1世代・三菱ランサー・エボリューション】

海外モータースポーツへの挑戦で世界ラリー選手権(WRC)を主戦場に選んだ三菱自動車工業および傘下のラリーアートは、1988年からギャランVR-4を駆ってWRCに参戦。徐々に戦闘力を上げていき、1989年シーズンの1000湖ラリーとRACラリー、1990年シーズンのコートジボアール・ラリー、1991年シーズンのスウェディッシュ・ラリーとコートジボアール・ラリー、1992年シーズンのコートジボアール・ラリーで総合優勝を達成した。勢いに乗る三菱自工。一方で開発現場では、ギャランVR-4に代わる新しいラリーモデルの企画を鋭意推し進める。そして、1992年9月にWRCグループAのホモロゲーションモデルとなる「ランサー・エボリューション」(CD9A型)を発表。グレード展開は、標準仕様のGSRエボリューションとコンペティション仕様のRSエボリューションを設定した。

 

■4代目ランサーをベースにホモロゲーションモデルを開発

1992年に登場したランサー・エボリューション、通称“エボⅠ”。250ps/6000rpm、31.5kg・m/3000rpmと2Lクラス最強を誇った

 

キモとなる搭載エンジンは、ギャランVR-4に採用していたターボ付きの4G63型1997cc直列4気筒DOHC16Vをベースユニットとして選択し、各部の徹底チューニングを図る。圧縮比は8.5にまで引き上げたうえで、ピストンやコンドロッド等の軽量化を実施。4バルブDOHCのヘッド回りでは、ナトリウム封入中空排気バルブを組み込んだ。また、ターボチャージャーには横470×縦256×厚65mmという大容量のインタークーラーをセットし、過給効率の向上を成し遂げる。ほかにも、専用チューニングの電子制御燃料噴射システム(ECIマルチ)や圧力検出型カルマン渦式エアフローセンサー、ローラロッカアーム、オートラッシュアジャスター、空冷式オイルクーラーなどを組み込んでエンジンの高性能化と耐久性のアップを図った。得られたパワー&トルクは250ps/6000rpm、31.5kg・m/3000rpmと2Lクラス最強を誇る。組み合わせるトランスミッションは2/3/4速をクロスレシオ化すると同時に、2速にダブルコーンシンクロを、3/4/5速にサイズアップしたシンクロ機構を導入した専用の5速MTを設定。駆動システムにはVCU(ビスカスカップリング)&センターデフ方式のフルタイム4WDを採用した。

 

ボディやシャシーの強化にも抜かりはない。ボディはベース車比でねじり剛性を約20%引き上げ、同時にアルミ製フロントフードを装着するなどして効果的な軽量化を達成。前マクファーソンストラット/後マルチリンクのサスペンションは各部の取付剛性をアップさせるとともに、専用セッティングのダンパー&スプリングの採用やピロボールの拡大展開(各アーム6カ所)などを実施した。エクステリアについては専用デザインのグリル一体型バンパーやサイドエアダム、リア大型エアスポイラーなどで武装。ボディサイズは全長4310×全幅1695×全高1395mm/ホイールベース2500mmに設定する。インテリアではレカロ製バケットシートにモモ製本革巻きステアリング、本革巻きシフトノブといったスポーツアイテムを標準で装備した。

 

■“進化”を宿命づけられたランエボ

94年登場の“エボⅡ”。最高出力は従来比で+10psをマーク。5速MTのローギアード化で加速性能にさらなる磨きをかけた

 

1994年1月になると、改良版のランサー・エボリューション、通称“エボⅡ”(CE9A型)が登場する。4G63型エンジンはマフラーの排圧を低減し、同時にターボチャージャーの過給圧を増大。また、吸気バルブと排気バルブのリフト量を増やし、バルブ開口面積を拡大させた。さらに、ピストン形状の改良やターボチャージャー本体の材質の見直し、エアインテークおよびアウトレットの容量アップなどを実施する。これらの改良の結果、最高出力は従来比で+10psの260ps/6000rpmを達成(31.5kg・m/3000rpmの最大トルクは同数値)。組み合わせる5速MTのローギアード化も図り、加速性能はさらなる高次元に至った。また、シャシー面ではホイールベースとトレッドの拡大に加え、ボディ剛性を大きくアップさせる。さらに、制動性能やトラクション性能も着実に向上させた。

 

ランエボの進化は、さらに続く。1995年1月になると、再度の改良版となるエボリューションⅢ、通称“エボⅢ”(CE9A型)が市場デビューを果たした。ターボ付き4G63型エンジンの最高出力は270ps/6250rpmにまでアップ(最大トルクは同数値)。主要変更ポイントは排気系パイプの外径拡大やターボチャージャーのコンプレッサーホイール形状の最適化、圧縮比の引き上げ(8.5→9.0)などで、主に高回転域での出力向上を狙った改良が施された。また、インタークーラーについては放熱量を高める目的で大容量化(470×256×65mm)を行い、同時にインナーフィンを細かく最適に配列。本体カラーは外熱を吸収しにくいシルバー色とした。組み合わせる5速MTにも改良を加える。第1・2速のギア比はローギアード化を実施。加えて、2~4速のギア比をエンジン出力特性に合わせてクロスレシオに設定する。同時に、2~4速にはダブルコーンシンクロを採用した。駆動メカニズムについては、いっそうの熟成と耐久性の向上を図ったVCU&センターデフ方式フルタイム4WDを採用する。加えて、ホイールの空転を防いで駆動力を確実に路面に伝えるリア1.5WAY機械式リミテッドスリップデフを組み込んだ。

大型エアダム、大型リアスポを装着した“エボⅢ”。最高出力は270ps/6250rpmまでアップした

 

エボⅢは、従来型以上に空力性能に磨きをかけたことも特徴だった。フロントバンパーは形状そのものを見直したうえで、バンパーエクステンションも大型化してダウンフォースを向上。同時に、インタークーラーやオイルクーラーの冷却性を高めるとともに、ブレーキ冷却エアダクトとトランスファー冷却スリットを新たに設置した。また、大型サイドエアダムを加えてフロア下への空気侵入を防ぎ、不要な揚力を抑制する。リア部ではスポイラーとウィッカーを大型化したことがトピック。リア揚力を抑え、後輪の接地性および操縦安定性を引き上げた。一方でボディについては、軽量かつ高剛性を誇る従来の特性をさらに補強。シャシーに関しては、前後サスのアーム類および支持部を効果的に強化し、同時にダンパー減衰力およびバネ定数の最適化を図った。

 

■WRCにおける第1世代ランエボの戦績

“エボⅢ”のインテリア。momoステアリング、レカロシートを装備

 

ランサー・エボリューションは1993年開催のラリー・モンテカルロにおいてWRC初陣を飾る。当初は苦戦を強いられるものの、緻密かつ徹底した改良によって徐々に戦闘力がアップ。1995年シーズンのスウェディッシュ・ラリーでは、エボⅡを駆るK.エリクソン選手がランエボ・シリーズでの初優勝を飾った。

 

続くランエボⅢは、1995年シーズン途中の第4戦ツール・ド・コルスにおいてWRCへの本格デビューを果たす。このレースでは早くも総合3位に入り、その後APRC(アジア・パシフィックラリー選手権)を兼ねたWRCオーストラリア・ラリーで総合優勝を達成した。結果として同シーズンでは、マニュファクチャラーズで2位、ドライバーズで3位(K.エリクソン選手)の好成績をあげる。続く1996年シーズンになると、熟成が進んだエボⅢが大活躍。スウェディッシュ・ラリーやサファリ・サリー、アルゼンチン・ラリー、1000湖ラリー、オーストラリア・ラリーで総合優勝を果たした。その結果、マニュファクチャラーズでは2位、ドライバーズではT.マキネン選手が初のチャンピオンに輝く。ちなみに、APRCでは1995年と1996年に2年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得。ドライバーズでは1995年にK.エリクソン選手がチャンピオンに、1996年にはR.バーンズ選手が2位に入るという好成績を成し遂げた。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【中年名車図鑑|2代目・日産キャラバン】アウトドア好きスタッフが生み出した乗用1BOXの先駆け

1970年代に入って徐々に浸透し始めた日本のアウトドアレジャーによって、ユーザーは多人数での移動を1台でまかなえるクルマを求めるようになった。日産自動車はその回答として、乗用1BOXカーの刷新を画策。1980年には同社の旗艦1BOXカーであるキャラバンおよびホーミーの全面改良を敢行した――。今回は本格的な乗用1BOXの先駆モデルであり、念願のトヨタ車超えをも成し遂げたE23型系2代目キャラバン(と3代目ホーミー)の話題で一席。

【Vol.83 2代目・日産キャラバン】

モータリゼーションの発展と道路交通網の整備とともに浸透した1970年代の日本のアウトドアレジャーは、ユーザーのクルマに対する要求性能に変化をもたらすようになる。単なる郊外への移動手段から、荷物がたくさん積めて、その積み下ろしが楽で、しかも多くの人間が乗車できるモデルが求められるようになったのだ。さらに、レジャーユースにふさわしいおしゃれなスタイリングや居住空間の快適性も、より重視されはじめる。この市場動向にいち早く気づき、新たな1BOXカーの企画作りに勤しんだのは、日産自動車の開発陣だった。当時の日産スタッフによると、「あの頃の開発陣は、クルマを使って海や山やモータースポーツに出かける趣味人がとても多かった。開発・生産拠点の神奈川県は、どこの遊び場所に行くのにも近かったので。だから、アウトドアレジャーにふさわしい1BOXカーの企画には、とても熱心に取り組んだ」という。アウトドアレジャーの遊びが大好きという開発陣の特性と開発・生産拠点の地の利が、新しい1BOXモデル、具体的には旗艦1BOXカーの新型キャラバンおよび兄弟車のホーミーを造り出すバックボーンとなったのである。

 

■アウトドア好きスタッフの「ほしい」を詰め込んだ

直線基調のフォルムに、シャープなベルトラインや新造形のグリル、大型化したウィンドウを採用。大開口のサンルーフも外観上のアクセントとなった

 

1980年代に向けた新しいキャラバンを企画するに当たり、開発陣はまず経験則を踏まえて「ほしい装備」や「所有して楽しくなる内外装」を検討する。そして、居住性の向上、運転疲労の軽減、利便性のアップ、機能的で遊び心も備えたデザインの構築、安全性の向上などを商品テーマに掲げた。また、ユーザーの多様な使用パターンを鑑み、豊富な車種ラインアップを設定する方針も打ち出した。

 

エクステリアに関しては、従来型のキャラバンで好評だった機能美あふれる直線基調のフォルムをベースに、シャープなベルトラインや新造形のグリル、大型化したウィンドウなどを採用し、現代的で調和のとれた外装を演出する。アウトドアレジャーにふさわしいクルマであることを強調するために、明るいカラーの専用デカールも用意した。また、680×1000mmの開口面積を確保した電動サンルーフを開発し、乗員の開放感を高めるとともに外観上のアクセントとしても昇華させる。ボディサイズは全長4350(長尺バン4690)×全幅1690×全高1925~1950(ハイルーフ2220)mmに設定した。

 

インテリアについては、荷室寸法の拡大やドア開口部の大型化で積載性および乗降性の向上を図ったほか、運転席から荷室への移動が可能なウォークスルー機構を採用して乗員の利便性を引き上げる。さらに、固定フックの設定(バン)や回転対座シートの装着(コーチ)、最後部座席のシート折りたたみ機構の採用、フロントエアコン/リアクーラーの設定、マイクロバスの全車ハイルーフ化などを実施し、多目的車としての実用性と快適性を高めた。また、開発陣はシート表地の素材や柄、クッション厚にもこだわり、乗用車に匹敵する見栄えと座り心地を実現した。

 

メカニズムに関しては、従来のワンボックスカーで見落とされがちだった「運転のしやすさ」を鑑みた改良が実施される。具体的には、パワーステアリングの設定やオートマチック車の拡大展開、運転席のリクライニング機構と120mmのシートスライド機構の採用、ウィンドウ面積の拡大、セーフティウィンドウ(助手席側ドアの視認用の小窓)の装着などを敢行した。また、サスペンションは一般的な1BOXカーと同様のフロント・ウィッシュボーン/トーションバー、リア・縦置き半楕円リーフを踏襲するが、乗り心地とハンドリングを重視した入念なチューニングが施される。ホイールベースは2350(長尺バン2690)mmに設定した。さらに、ブレーキにはバンの一部車種を除いてフロントベンチレーテッドディスクと9インチ大型マスターバックを採用し、制動性の向上と踏力の軽減を図る。搭載エンジンはZ20型1952cc直列4気筒OHC(105ps)、H20型1982cc直列4気筒OHV(92ps)、J16型1567cc直列4気筒OHV(80ps)のガソリンユニットとSD22型2164cc直列4気筒OHVディーゼル(65ps)を設定し、このうち乗用ユースのワゴンモデルにはZ20型とSD22型が組み込まれた。

 

■ワイドな車種展開で市場デビュー

パワーステアリングの設定やオートマチック車の拡大展開で「運転のしやすさ」を追求した

 

1980年代に向けた新しい1BOXカーは、E23型系キャラバンおよびホーミーとして1980年8月に市場デビューを果たす。車種展開はワゴンモデルのコーチ(9~10人乗り)、ロングボディで15人乗りのマイクロバス、商用モデルのライトバン/ハイルーフバン/ルートバンをラインアップ。グレード展開はDXを基準車として、廉価版のCT、上級仕様のGL、高級モデルのSGLを用意し、エンジンやトランスミッションなどの組み合わせによって計55グレードものワイドバリエーションを設定した。また、日産モーター店系列から販売されるキャラバンと日産プリンス店系列で売られるホーミーでは、フロントグリルやエンブレムなどの一部装備で差異化を図った。

回転対座式のシートは多人数乗車の1BOXならではの機構としてユーザーに喜ばれた

 

市場に放たれたE23型系キャラバンおよびホーミーは、従来の1BOXカーとは明確に異なる見栄えの良さや充実した装備、さらに乗用車に匹敵する快適な走りなどで大好評を博す。当時のコーチのユーザーによると、「これほど快適な乗り心地で、しかも運転しやすい1BOXカーは70年代にはなかった。回転対座の機構も、友人や家族にとても喜ばれた」という。また、トランスポーターとして活用していたハイルーフバンのユーザーは、「積載性のよさに加え、ウォークスルー機構がとても便利だった」そうだ。さらに、キャラバンとホーミーは当時のクルマ文化の流行のひとつだった“バニング”のベース車としても用いられ、部品メーカーからは様々なドレスアップパーツが発売された。ちなみに、バニング(Vanning)は元々アメリカの西海岸で1960年代から流行ったピックアップ/バン・ベースのカスタム手法(当初はピックアップが主流で“Truckin’”などとも呼ばれた)で、若者たちがこぞって趣向を凝らした内外装に仕立てる。日本では1970年代ごろから徐々に発展。日産のキャラバンやトヨタのハイエースなどをベースに、外装にはエアロパーツと派手な塗装、内装にはレザー表地のソファーや豪華なオーディオなどを組み込んで個性を競った。並行輸入されたシボレーやダッジのバンも、バニングのベース車として人気を集めた。

 

■車種ラインアップと機能装備のさらなる拡充

1983年のマイナーチェンジで角形4灯式のヘッドライトを採用

 

従来の1BOXカー・ファンだけではなく、一般的な乗用車やボンネットバンのユーザーからも大注目を集めたE23型系キャラバンとホーミーは、デビューから間もなくして最大のライバルであるトヨタ自動車のハイエースの販売台数を抜き去り、クラスのトップシェアに君臨する。他カテゴリーではなかなか達成できなかったトヨタ車超えを、1BOXカーのセグメントでついに実現したのだ。

 

この勢いを維持しようと、日産の開発陣はキャラバンおよびホーミーの改良とラインアップの拡充を次々と実施していく。まず1981年7月には、充実装備の特別仕様車を発売。同年10月の第24回東京モーターショーでは、1BOXカーの新提案形である「キャラバン・フレグラント」と「ホーミーRV」を参考出品した。1982年5月にはマイナーチェンジを実施。コーチのディーゼルエンジンがLD20T型1952cc直列4気筒OHCターボに換装され、またコーチのトランスミッションのフロアシフト化や新グレードの7人乗り仕様(2列目にキャプテンシートを装着)の設定などを敢行する。同時に、バンのディーゼルエンジン(SD22型→SD23型)とガソリンエンジン(H20型→Z18S/Z20S型)の変更も行われた。

 

1983年4月になると、内外装をメインとした仕様変更が実施される。フロントグリルはより豪華な演出がなされ、さらにコーチSGL系には角型4灯式ヘッドライトを装着。SGLとGLの中間に位置する新グレードのFLも加わった。1985年に入ると、1月にバンモデルのラインアップ拡大や安全装備の強化を図り、5月には8人乗りのキャラバン「SGLシルクロードリミテッド」とホーミー「SGLアビィロード」を発売した。

 

■約6年の長寿命を全うする

4年サイクルのフルモデルチェンジが一般的だった当時の日本の自動車業界のなかにあって、E23型系キャラバンおよびホーミーは、6年1カ月もの長きに渡って販売され続ける。そして1986年9月にはE24型系のニューモデルが登場するが、ライバル車の成長などもあって、デビュー時のE23型系ほどの高い人気は獲得できなかった。

 

本格的な乗用1BOXカーの先駆モデルであり、念願のトヨタ車超えをも達成したE23型系キャラバンとホーミー。日本の自動車史では隠れがちな出来事ではあるが、その偉大なる業績は1980年代の日産自動車にとって欠くことのできないトピックなのである。

 

【著者プロフィール】
大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

日産「セレナ e-POWER」が売れる本質って?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、今年の上半期に最も売れたミニバン・日産セレナの人気を牽引するe-POWERモデルの本質を分析してみました。

 

【登場人物】

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も発売中。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

 

【今回のクルマ】日産 セレナ e-POWER

SPEC【ハイウェイスターV】●全長×全幅×全高:4770×1740×1865㎜●車両重量:1760㎏●パワーユニット:モーター+1198㏄直列3気筒DOHCエンジン●エンジン最高出力:84PS(62kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:10.5㎏-m(103Nm)/3200〜5200rpm●JC08モード燃費:26.2㎞/ℓ●243万5400円〜382万1040円

 

ブレーキをほとんど踏まずに走れて楽しいと、一般ユーザーにも人気

安ド「殿! 日産のe-POWERシリーズ、売れてるみたいですね」

永福「うむ。ガソリンエンジンで発電してモーターで走る、シリーズハイブリッドというシステムだが、大変よく売れている」

安ド「トヨタのハイブリッドとは構造が違うんですね!」

永福「トヨタのハイブリッドは、エンジンとモーターの動力を合体して走るが、日産のe-POWERは、エンジンは発電することに徹し、モーターのみで走るわけだ」

安ド「それと売れ行きとは関係あるんでしょうか」

永福「あるらしい」

安ド「それはどんなワケで?」

永福「日産のe-POWERはモーターだけで走るので、回生ブレーキの効きをうんと強くできる。ガソリン車でいうエンジンブレーキだ。アクセルを離すだけでかなりブレーキがかかり、ブレーキペダルを踏む必要があまりない」

安ド「ワンペダルドライブというヤツですね!」

永福「ブレーキをほとんど踏まずに走れて楽しいと、一般ユーザーにもウケているようだ」

安ド「“ひと踏みぼれ”というヤツですね!」

永福「知っておるではないか」

安ド「知ってました! でも、モーター駆動でも走っていて違和感がないので、普通の人は言わなきゃモーターで走っているとわからないんじゃないですか?」

永福「回生ブレーキが強くかかるECOモードでは違いは歴然だが、ノーマルモードでは、音の静かなミニバンだなぁくらいの、自然な感じだ」

安ド「ECOモードとノーマルモード、どっちがいいんでしょう」

永福「一般道ではECOモード、高速道路ではノーマルモードがいい。高速道路でECOモードだと、アクセル操作に敏感に反応しすぎて、疲れてしまうのだ」

安ド「僕も高速道路ではノーマルで走りました!」

永福「ただし、高速道路で『プロパイロット』を使う場合は、ECOモードでOKだ」

安ド「『プロパイロット』というのは、日産の自動運転技術ですね!」

永福「自動運転とまではとても言えず、アダプティブ・クルーズ・コントロール+α程度だな。しかし、クルマまかせで前車に追従して走るときは、エンジンブレーキが強力にかかったほうが、速度をコントロールしやすいのだ」

安ド「なるほど!」

永福「総合的に見ると、セレナe-POWERは、ミニバンのなかではなかなか良いな」

安ド「僕もそう思いました! ライバル車と比べて走りに安定感があって、乗り心地も良かったです」

永福「しかし、ミニバンというヤツは決して安くない」

安ド「おいくらでしたっけ?」

永福「試乗車は、車両本体が約340万円。オプションは約80万円」

安ド「400万円オーバーですね! 実燃費は16㎞/ℓ以上でしたが」

永福「うーむ、焼け石に水だな」

 

 

【注目パーツ01】リアサイドスポイラー

低燃費に貢献するルーフ後端形状

ルーフの後端には両端がウネウネしたスポイラー(羽根)が付けられています。小さなウネウネですが、スポイラーは空力性能を向上させるためのアイテムですから、これも燃費性能の向上に少しは貢献しているのかもしれません。

 

 

【注目パーツ02】フロントブルーグリル

エコなイメージのブルーライン

フロント面積のうち大きな割合を占めるグリルには、ブルーのアクセントラインが施されています。内装にも各所にブルーのアクセントが採用されていて、これがエコなイメージと先進性を高める役割を果たしています。

 

 

【注目パーツ03】ハーフバックドア

上部だけ開けられるから便利

ミニバンのバックドアは巨大なので、開ける際に後方に気を使う必要があります。しかしセレナは上部だけ開けることが可能なので、全面を開けるのに比べてスペースを気にせずOK。軽いので力も小さくて済みます。

 

 

【注目パーツ04】15インチエアロアルミホイール

専用デザインで先進性アピール

不思議な紋様をあしらわれたホイールは、e-POWER専用装備。シルバーの面と黒の面を織り交ぜつつ、風切り線をつけることで、先進性とスピード感を感じさせるデザインに仕上がっています。知ってる人が見ればe-POWERだとすぐわかるはず。

 

 

【注目パーツ05】セカンドキャプテンシート

リラックスできる快適仕様

e-POWER専用装備として、2列目にはロングスライドが可能でアームレストもついたキャプテンシートが採用されています。セレナは室内スペースでもミニバントップクラスですが、このシートなら、さらにリラックスして乗れます。

 

 

【注目パーツ06】ヘッドレスト

ミニバン後席の閉塞感を打破

これは3列目シートからの眺めですが、気になるのは1、2列目シートのすべてのヘッドレストに穴が開いていること。その理由は、少しでも乗員に開放感を感じさせるためだとか。もちろん座面も高めに設定されています。

 

 

【注目パーツ07】スマートアップサードシート

できるだけ窓を隠さない設計

ミニバンの3列目シートは前倒し式や床下収納など様々なアレンジ方法がありますが、セレナは側面跳ね上げ式を採用しています。ただし、跳ね上げてもサイドのガラスをほとんど隠さない設計で、運転時の視界を妨げません。

 

 

【注目パーツ08】キャップレス給油口

手を汚さずに給油できる

フタを開けると中にはキャップのない給油口があります。これは日産としては初採用なんだとか。セルフガソリンスタンドが全盛の昨今ですし、給油時に手を汚したくないというドライバーからは、好評に違いありません。

 

 

【注目パーツ09】プロパイロット

“条件付き”自動運転システム

プロパイロットは、高速道路の同一車線内において、アクセルやブレーキ、ステアリングをクルマが自動操作してくれるシステム。セットすればアクセルやブレーキはほぼ自動ですが、ステアリングはあくまで補助です。

 

 

【これぞ感動の細部だ】e-POWER

ワンペダルのみの操作で加速から減速まで自在に走れる

エンジンで発電した電力を用いてモーターで駆動するのがe-POWERシステムです。モーターならではの強い制動力を持つ回生ブレーキの特徴を利用して、アクセルペダルの踏み戻しだけで、加速も減速もできてしまいます。一昨年にノートで初採用されましたが、ミニバンでもその魅力は健在。トルク感のあるEVらしい走りを味わえます。

 

 

撮影/池之平昌信

今月の乗ってよかったクルマ3台ーーCX-3に、クラリティPHEVに、ポロGTI

本記事では、プロが最近乗って良かったと思ったモデルを厳選して、コンパクトにお届けします。今回は、マツダのクロスオーバーSUV、CX-3の大幅改良モデルをフィーチャー。そのほか、ホンダの燃料電池車に追加されたプラグイン・ハイブリッドや、人気のフォルクスワーゲン ポロのスポーティモデルGTIと、多彩なラインナップを試乗して紹介します!

 

 

その1

エンジンを一新して快適な走りを手に入れた

マツダ CX-3

(SUV)

SPEC【XD Lパッケージ(4WD/AT)】●全長×全幅×全高:4275×1765×1550㎜●車両重量:1370㎏●パワーユニット:1756㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:116PS/4000rpm●最大トルク:27.5㎏-m/1600〜2600rpm●WLTCモード燃費:19.0㎞/ℓ

乗り心地が滑らかになりエンジンの力強さもアップ

CX-3は2015年に登場以来、早くも4回目のアップデートとなりました。今回の改良では初めて内外装のデザインをリニューアルしたことも話題となりましたが、注目したいのは何といってもエンジンが一新された点です。本車の主力となるディーゼルターボエンジンは、排気量1.5ℓから1.8ℓに拡大。さらに、昨年追加された2ℓガソリンエンジンも改良されています。足まわりの仕様変更、専用タイヤの採用、シート構造の見直しなどもあり、より快適な走りを手に入れました。

 

今回は、ディーゼルとガソリンの両方に試乗しましたが、いずれも従来モデルからの進化を実感できました。乗り心地は格段に滑らかになり、エンジンは日常域における力強さが大幅にアップしています。また、フロント/リアドアの外板や、リアドアガラスを厚くしたことで、静粛性を高めたのも好印象。スタイリッシュな外観のクルマという印象が強かったCX–3は、走りの質感と快適性が向上して、一層魅力的なモデルとなりました。

 

【注目ポイント01】操縦性はスポーティ

新開発タイヤの採用や足回りの仕様変更などの効果で、従来モデルと比べて乗り心地が格段に滑らかになりました。その一方で、持ち前のスポーティな操縦性は損なわれていません。

 

【注目ポイント02】質感も使い勝手も向上

室内では、前席の構造材が変更されたほか、パーキングブレーキを電動化したことでセンターコンソールのデザインを一新。質感に加えて使い勝手も向上しています。

 

【注目ポイント03】ディーゼルは1.8ℓターボに

ディーゼルエンジン(上)は、実用燃費の向上を図り1.8ℓに拡大。2ℓガソリン(下)も燃焼室や冷却まわりなど、細部を磨いて全域のトルク向上と燃費改善を実現しました。

 

 

その2

EV航続距離はPHEVのなかでもトップ

ホンダ

クラリティ PHEV

(セダン)

SPEC【EX】●全長×全幅×全高:4915×1875×1480㎜●車両重量:1850㎏●パワーユニット:1496㏄直列4気筒DOHC+モーター●エンジン最高出力:105PS/5500rpm●エンジン最大トルク:13.7㎏-m/5000rpm●モーター最高出力:184PS/5000〜6000rpm●モーター最大トルク:32.1㎏-m/0〜2000rpm●WLTCモード燃費:24.2㎞/ℓ●EV航続距離:101㎞

 

FCV仕様をはるかに凌ぐユーザビリティを獲得した

珍しいFCV(燃料電池車)として知られるホンダ クラリティに、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)仕様が追加されました。そのシステムはガソリンエンジンに電気モーター、総電力量17kWhのバッテリーを組み合わせたものですが、最大の魅力はEV走行時の“アシの長さ”。JC08モードよりリアルに近いとされるWLTCモードで101㎞という航続距離は、数あるPHEVのなかでもトップの性能なのです。

 

実際に試乗すると、満充電時のEV走行はやはり最高でした。日常的な使用環境ならエンジンの出番はなく、室内は常に静粛。水素充填の不便さが否めないFCVに対して、本車が大きなメリットを持つことは間違いありません。

 

【注目ポイント01】室内はくつろぎ感をアピール

充電&給油口の開閉スイッチが3つもあるのはPHEVならではですが、室内の作りは基本的にFCVと同じ。バッテリーは床下に搭載されるが、室内空間の広さは十分です。

 

【注目ポイント02】容量はFCVより大幅にアップ

FCV仕様は巨大な水素タンクにスペースを取られてしまいますが、PHEVでは512ℓもの荷室容量を実現。後席が分割可倒式となるため、長尺な荷物の積載も可能です。

 

 

その3

パワフルな走りは“ホットハッチ”に相応しい

フォルクスワーゲン ポロ GTI

(ハッチバック)

SPEC●全長×全幅×全高:4075×1750×1440㎜●車両重量:1290㎏●パワーユニット:1984㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:200PS/4400〜6000rpm●最大トルク:32.6㎏-m/1500〜4350rpm●JC08モード燃費:16.1㎞/ℓ

 

ボディサイズに見合わない重厚な乗り心地を味わえた

フォルクスワーゲンの高性能なスポーツモデルに与えられる伝統ある称号「GTI」を冠したポロが、日本に上陸しました。エンジンはゴルフGTIと共通の2ℓターボを採用し、最高200馬力&最高トルク32.6㎏-mのパワーを備えています。全長約4mのコンパクトボディでこれを実現したのは圧巻で、“ホットハッチ”に相応しい性能でしょう。

 

パワフルではあるものの、ドライビングフィールに粗さはありません。わずか1500rpmで最大トルクに到達するエンジンは、日常域での扱いやすさも感じさせました。引き締まった乗り心地は上々で、ボディサイズに見合わない重厚感をも味わえるほど。速いだけでなく、ちょっと贅沢なコンパクトカーとして、オススメしたい一台です。

 

【注目ポイント01】エンジンはゴルフ譲りの2ℓ

ポロGTIで初採用となる2ℓターボエンジンは、ゴルフ用がベース。先代に対して出力が8馬力、トルクは7.1㎏-m向上しています。ミッションはツインクラッチの新世代ATです。

 

【注目ポイント02】チェック柄シートなどを継承

GTIの伝統でもあるチェック柄のシートファブリックや、トリムパネルをはじめとするレッドのアクセントで、室内はスポーティな装いになります。快適装備も充実しています。

 

文/小野泰治 写真/宮門秀行

ホームセンターで見つけてしまった「愛車がピカピカになる洗車グッズ」集

快適なドライブには、キレイなボディが必要。セルフ洗車派は、一度ホームセンターの洗車グッズを試してみてください。専門店より低価格で購入できるうえ、専門的にも負けない品揃えを誇っています。

 

その1

濡れたボディも大丈夫!二度拭き不要の時短ワックス

コメリ

NEW簡単ワックススプレー

598

洗車後のボディとガラスにスプレーし、拭き上げるだけでワックスがけが完了する。洗車後の濡れた状態のボディにも使用でき、二度拭き不要。従来品より撥水力がパワーアップしています。【ボディ・ガラス用ワックス】【全色対応】【撥水】

その2

モコモコの泡が車をやさしくキレイに洗浄!

コメリ

たっぷりの泡で汚れを落とすカーシャンプー 2ℓ

298

豊富できめ細やかな泡と優れた洗浄力でボディをすっきり洗えるカーシャンプー。25倍に希釈して使用します。全色対応だから車の色を気にせず使えて便利。水滴じみを防ぐイオンキレート剤も配合。【ボディの汚れ】【ボディ・タイヤ用洗剤】【全色対応】【水あか防止】

 

その3

汚れが気になったときに水に濡らして拭くだけ

コメリ

水だけで汚れスッキリミトン KW-14

498

洗剤なしで汚れを落とすことのできるミトン型クロス。凹凸加工のマイクロファイバーが頑固な汚れをしっかりかき出します。【ボディ・ガラス用クロス】【洗剤不要】

 

その4

艶と撥水効果を与えるお手軽クロス

DCMホールディングス

水なし洗車ワックスシート L-PS015

429

拭くだけで洗車とワックスがけの両方を行える使い捨てクロス。汚れを落とすだけでなく、艶出しと撥水コーティングを施せます。12枚入り。【ボディ用クロス】【全色対応】【撥水】

 

 

その5

傷を消して艶を出すレスキューセット

コメリ

傷ケシ艶出しセット

698円

ボディのすり傷を消して艶を出す修理セット。磨きやすいネルクロスが2枚付属している。研磨剤でこすって傷を消したあと、ワックス成分を配合した艶出し剤で磨けばきれいなボディが復活します。【傷修理セット】【全色対応】

 

 

その6

泡がじっくり浸透し変色と劣化も防止

コメリ

タイヤワックス KH05

298円

1本でタイヤの洗浄とワックスがけを行えます。スプレーすると泡がじっくりと浸透し、タイヤの変色や劣化を防ぎながら、艶を与えます。【タイヤの洗浄&ワックス】

 

 

その7

トリプルシリコンで約1か月雨を弾く!

コーナン

ウインドガラス撥水剤

ビューコート KFJ07-1778

321

ガラスに塗り込み固く絞ったタオルで拭くと撥水コーティングできます。トリプルシリコンを配合していて、1回塗ると30〜45日間雨を弾きます。【ガラス用撥水剤】

 

【→併用すると効果アップ!】

洗浄力と撥水力が抜群で視界良好!

コーナン

撥水型ウインド ウォッシャー液

2ℓ KT07-8168

375

頑固な窓の汚れを落としながら撥水効果をもたらすウォッシャー液。ビューコートと併用すると、撥水効果がより長持ちします。【ウォッシャー液】

 

 

その8

用途に合わせて自在に変えられるホースノズル

コメリ

伸縮パターンノズル

角度自在

1980円

使用目的に合わせて伸縮するノズル。ヘッドの角度を自在に変えられて、ルーフの上も車体の下も立ったままラクに洗うことができます。ノズルの水形は用途に応じて選べます。

 

その9

素早くたっぷり水を吸う大判クロス

DCMホールディングス

吸水クロス L-EM005

ビッグサイズ

950円

スポンジ加工を施したクロス。タオルのように繊維がくっつくことがなく、ひとふきでしっかり吸収します。55㎝×30㎝のビッグサイズで3枚入り。

 

その10

洗いにくい部分にしっかりフィットし汚れをかき出す!

コーナン

LIFELEX 隙間すっきり

スポンジ KOT07-8451

321円

ドアノブやスライドレールなど狭い隙間にもフィットする凹凸面があるスポンジ。握りやすいように中心がくびれています。

 

その11

Z字型に歪曲した柄が洗いやすさのカギ!

カインズ

ルーフもラクに洗える柄付きスポンジ

1480円

Z字型で持ち手の位置が下がった洗いやすい柄付きスポンジ。スポンジ部分を柄からはずしホースとつなげば、水を流しながら洗車もできます。

 

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カー用品店、顔負け。ホムセンで見つかる「気配りカーグッズ」集

快適なドライブには、心地よく過ごせる車内空間が必須。ここでは、ニオイ対策アイテムから、隙間を生かした収納トレイまで。あなたの愛車を快適空間に変える気配り商品をホームセンターで探してピックアップしました。

 

その1

エアコンの風でドリンクの飲みごろ温度をキープ!

コメリ

コンパクトドリンクホルダー

498

エアコンの送風口に付けるコンパクト設計のドリンクホルダー。吹き出し口にクリップを差し込むだけの簡単装着。エアコンの風によってドリンクを保冷・保温できるのがうれしいです。

 

↑スマホ置きにもなります

 

その2

隙間に差し込むだけで収納スペースを確保!

カインズ

すきまトレイ 2個入り

398

座席とコンソールの間をはじめとした車内の隙間を収納スペースに変えられます。隙間に差し込むだけなので、状況に合わせて簡単に設置場所を変えられます。汚れたら水洗いも可能です。

その3

手ごろな価格なのに香りが上質だから大人気

コーナン

クリップ式 芳香剤

213円

エアコンの吹き出し口に付けるクリップ一体型の芳香剤。コスパの良さに反し、上質な香りがするとして人気です。消臭剤も配合しています。スカッシュ、ムスク、クリアミストの3種類。

 

その4

携帯灰皿にもなるセパレート型の灰皿

カインズ

携帯灰皿にもなるボトルアッシュ

980

ふたとボディが分かれる灰皿。ふた部分は単体で携帯灰皿として使え、車の中ではボディに付けてドリンクホルダーに収まる置き型灰皿になります。ふたとボディはマグネットでくっつきます。

 

その5

長時間のドライブをシートから快適にする!

コーナン

メッシュ腰当て

KOF07-6254 ビーズ付

538

運転席のシートにセットする腰当て。腰にぴったりフィットする立体カーブと通気性抜群の蒸れにくいメッシュ素材で、長時間のドライブも快適です。ビーズの心地よい刺激が腰と背中の疲れを癒してくれます。

 

その6

座席の下から空気を変える陰の立役者

 

DCMホールディングス

シート下消臭剤

537

ゴミが少なく環境にやさしいエコパック仕様の消臭剤。座席の下に置くと車内の空気を良い香りにしてくれます。銀イオン配合で、不快なニオイを防止。効果が2、3か月持続します。

 

その6

ダッシュボードに貼り付く便利なシート

コメリ

すべり止めシート

498

ダッシュボードの上に敷くだけで小物置き場を作れるシート。置いた物が滑らないようにしっかりホールドします。必要なサイズにカットでき、汚れたら水洗いも可能。衝撃吸収効果もあります。

 

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自動車評論家に衝撃走る! 「シングルタイヤ」が日本のベビーカーに革命を起こす

モータージャーナリストの私には、2歳の長男と6か月長女がいます。長男はそろそろベビーカーを卒業し、かわってこれから長女が使う機会が増えていきますが、思えばベビーカーというのは、それなりに長い期間を毎日のように使うもの。

 

わが家は、メインで使う妻の要望で、ネットの情報を参考にしながら、とにかく軽いベビーカーを選びました。妻はこのバギーに対してあまり不満もなく、軽くてよいと感じている様子。しかし、筆者は、職業柄か、4つのタイヤが付いているものならなんでも走りを分析したくなります。わが家のベビーカーについても、走行性能についてはいろいろ思うところもありました。たしかに軽い点では重宝しているものの、走行性能については不満を覚える点も多々あります。そんな折、今回ピジョンのベビーカーを取材することができたのですが、もしこれから述べる話をもっと前に知っていたら、迷わずピジョンのベビーカーを選んだのにと少し悔しく思っています。

 

ベビーカーのタイヤってどうなっているの?

↑シングルタイヤ(左)とダブルタイヤ

 

「Runfee」や「Bingle」をはじめ、ピジョンのベビーカーの最大のポイントは「シングルタイヤ」を採用していること。そして、シングルタイヤは「走行性」に優れていることが特徴です。ベビーカーにダブルタイヤとシングルタイヤがあることは、普段、街中で見かけてなんとなく認識していましたが、両者の間に大きな違いがあることはまったく知りませんでした。そこが、ピジョン開発本部の主任研究員である加藤義之さん(写真下)からお話を伺って思い知らされた点です。

日本製のベビーカーではダブルタイヤが多い一方、海外製品ではシングルタイヤが主流。それぞれ一長一短あります。シングルタイヤは走行性能において優れていますが、どうしても重くなりがち。対するダブルタイヤは軽くできる反面、走行性能に劣ります。

 

また、工業製品というのは生産上どうしてもある程度のバラツキが生じるものですが、しっかり走らせるためにはシングルタイヤのほうが高い精度が求められるのに対して、ダブルタイヤは「ごまかし」が利くとのこと。さらには、車体の骨格や車輪の取り付け部の剛性や角度の設計など、シングルタイヤのほうがはるかにシビアだそうなのです。このような理由でシングルタイヤのほうが作るのが難しくなっていますが、それでも、走行性能を重視する地域、特に欧州ではシングルタイヤが主流。対照的に、日本では軽さが一番に求められるうえ、色やデザインの可愛らしさでベビーカーは選ばれています。

走りのよさを追求するとは、まさしく筆者の専門分野である自動車に通じる話。最近では日本車もレベルアップして、欧州車とりわけドイツ車との差というのは、かつてよりもだいぶ小さくなったように感じていますが、欧州では走りが重視されるのに対して、日本ではそれがなおざりにされているというような話は、まさしくクルマの世界でもよく耳にしてきました。そしてベビーカーの世界でも、欧州の人は走りのよさを求める傾向が強く、それに応えるべく、これから述べるとおり走りの面で有利なシングルタイヤが一般的となっているのです。

 

「ベビーカーの使用期間は一般的に3年です。それなりに長い期間使うものになるので、軽さやデザインなどで選ぶ方も多くいらっしゃいますが、そうした表面的なものだけではなく、ちょっと視点を変えて、使いやすさを基準にして選んでいただいたほうがよいのかなと思っています。競合他社と差別化を図るのはなかなか難しいところですが、そこで私たちが着目したのがシングルタイヤです」(加藤さん)

 

開発にあたって加藤さんは最初、とにかく数多くの競合ベビーカーを試し、特に海外の製品をたくさん押して歩いたと言います。すると、シングルタイヤを採用した海外製品が概ね押しやすかったのに対して、ダブルタイヤを備えた日本製は押しにくいうえ、作りが粗いと感じるようになりました。

↑Runfee RA8

 

「ベビーカーは海外と日本では棲み分けが全然違います。日本製は剛性感に乏しく、ぐらつきがあったりして、押しにくく感じたものばかりで、単に運べればよいと考えているように見受けられたものが少なくありませんでした。それはママさんにとっても赤ちゃんにとっても好ましくない状況でしょう。しかし、海外製のものは非常に重いので、日本市場におけるニーズとかけ離れています。どうやったらこのような壁を打破できるのかと考えていました」(加藤さん)

 

ちょっとクルマに乗せて目的地まで移動するなど、ベビーカーを頻繁に畳んだり開いたりせざるをえないような場面が多々ある日本では、むろん軽いに越したことはありません。日本では軽さが重視されることにも、それなりの理由があるわけです。

 

そこで加藤さんはRunfeeを開発するにあたって、海外製と日本製の優れたところを掛け合わせると面白いものができるのではないかと考え、シングルタイヤながらも日本市場にマッチするように軽さを追求する方針を打ち出しました。

「シングルタイヤにすると走行性能が改善するのはよいけれど、普通にやると絶対に重くなるというのは当初から分かっていました。よくタイヤの数が減る分軽くなると思われがちなのですが、シングルタイヤを成立させるための構造面のことを考えると、実際にはその逆。そこでタイヤの代わりに躯体や車体の部分、赤ちゃんを乗せる部分で重量をできる限り落としました」と加藤さんは言います。

 

他社のシングルタイヤ製品は8kg台のものが多く、10kgを超える製品も多々見受けられるのに対し、Runfee RA8の重量は5.3kgと圧倒的に軽くなっています。また、Runfee RA8をダブルタイヤと比較してみても、ピジョンの「PATTAN」が4.7kgなので、両者の差は小さいといえるでしょう。シングルタイヤでこれほど軽量で押しやすいベビーカーというのは、現状では唯一ピジョンのランフィだけと加藤さんは胸を張ります。

クルマの技術をベビーカーの開発に持ち込んだ

実は、加藤さんは前職で自動車関連の開発に携わっていたという経歴の持ち主。ベビーカーの走行性の向上を図るために参考にしたのは、やはりクルマだったそうです。そこでまず、走りの要素を「直進安定性」、「段差乗り越え性」、「振動吸収性」、「転回操作性」、「転回安定性」、「静粛性」の6項目に分解し、クルマの走りを意識しつつ開発を進めました。また、シングルタイヤの優位性を確かなものとすべく、加藤さんはCAE解析(コンピューター技術を活用して製品の設計や開発をシミュレーションすること)やタイヤメーカー出身の大学教授らの力を借りたと言います。

 

構成する部品の強度や剛性、取り付けの角度などは綿密に計算されたうえで決められたもので、それぞれに意味があります。シングルタイヤとダブルタイヤでは車輪の数が違うだけでなく、部品の取り付け方や接続の構造もまったく異なり、入力の伝わり方も違ってきます。一般的なダブルタイヤの衝撃吸収構造はあまり凝ったものにはならないのに対し、スイング式のサスペンションを持つランフィでは上下だけでなく前方からの力も吸収。さらに、軽くてクッション性に優れる中空構造のタイヤが振動を巧みに吸収してくれます。

また、タイヤの外径が大きいほうが段差を乗り越える際の踏破性が高まります。外径18cmのタイヤを採用したRunfee RA8も、段差の乗り越えやすさについては、すでに多くのユーザーから高く評価されています。

走りにおけるシングルタイヤとダブルタイヤの最大の違いは、タイヤの接地点にあります。荷重のかかり方からして、ダブルタイヤの場合はパイプからくる軸とタイヤ同士の軸が離れているので、実は常に横に細かく揺れるような動き方をします。ところがシングルタイヤでは構造的に同軸上なので、タイヤの横ブレは絶対的に少ないゆえに、不快な振動が減少されます。

実際に試してみると、まさしく目からウロコ! 同じ条件の場所でシングルタイヤと押し比べてみたところ、その違いは歴然としていることがよく分かりました。シングルタイヤのほうが思った通り素直な動き方をします。これは、よくクルマの走りを表現するときに用いる“意のままのハンドリング”そのもの。狙ったとおりにラインをトレースしていけるので、これなら狭い場所を通らざるをえないような状況でも押しやすく、苦になりません。

一方、ダブルタイヤは、直進時の据わりも悪ければ方向性も定まりにくいです。その理由は4か所それぞれで両輪がバラバラに動いてしまうから。2輪ずつあるならより安定するような気がするところですが、実際にはそんなことはありません。安定感は車幅の広さで決まるものであって、タイヤの数の問題ではないのですね。

シングルタイヤが静かなことをご存知?

シングルタイヤのメリットはそれだけではありません。前述したように、振動と密接に関わってくるのが「音」。音の発生するメカニズムにはいくつかの要素がありますが、そのなかで最も大きく影響するのが振動です。

 

ダブルタイヤの場合はキャスターの軸とタイヤの軸が離れていることから、どうしても不規則な動きを常にしていることになります。実は片方のタイヤが上がってはもどり、次に別のほうが上がって下がり、片方だけ上がって下がるなどといったような動きを細かく繰り返していて、それが音になっているのです。

 

これはダブルタイヤ特有の現象で、シングルタイヤではそのような動き方はしないので、振動が圧倒的に少なく、その結果、静粛性も向上します。特に荒れた路面では音の違いが顕著。「ダブルタイヤのベビーカーを押してくると、ダブルタイヤだとすぐ分かります(笑)」と加藤さんは言います。

 

実際にどれぐらい違うのでしょうか? 詳しく測ってみると全然違います。専門の測定メーカーとのコラボレーションにより、ブロック敷きの路面で「ランフィRA8」とダブルタイヤのベビーカーを押したときのタイヤ近傍に設置したマイクラウドネスの結果はこの通り。平滑面において、実に約3分の1も走行音が静かであることがわかりました。シングルタイヤは条件が悪くなるほど優位になると加藤さんは言います。

このように静粛性にも優れることが明らかなので、「シングルタイヤは音も静かだ」ということをもっと伝えていきたいと加藤さんは強調します。

 

「ピジョンが競合他社さんと差別化できる要素として、シングルタイヤによる走りやすさという価値はあると自負しています。軽さももちろん大事だし、見た目の好みもあると思いますが、ママさんが使うことを考えると、ベビーカーを選ぶときにはもっといろいろな着眼点を持っていただいて、そのなかでもぜひ走行性能というものをもっと意識していただき、さらに音という部分にも目を向けていただけると幸いです。そうした走行性能に優れたベビーカーを選ぶと、より快適に子育てしていただけることをもっと伝えていきたいと思います」

 

日本のベビーカーにイノベーションを

そんなわけで冒頭でもお伝えしたとおり、いろいろお話をうかがって、もしもいま私がベビーカーを選ぶとしたら絶対にピジョンのランフィだと強く思ったわけです。筆者だけでなく、シングルタイヤはよいものだということが幅広く理解されると、いずれは日本でも走りのよさで選ぶことがベビーカーの常識となるかもしれません。

 

それにはまず少しでも多くのユーザーによさを実感してもらうことが大事。ピジョンではクルマの試乗会のように、「シングルタイヤ走行体験会」を全国各地で実施し、店頭の段差や疑似ロードを設定したスペースで実感してもらえる機会を設けているので、関心がある方はぜひ足を運んでみることをおすすめします。

 

走行体験会詳細はコチラ

 

テクノロジーの集合体である自動車に比べると、ベビーカーの進化というのはずっとゆっくりであることには違いありませんが、まさしくこうした取り組みからブレークスルーが始まるのではないだろうかと思います。ピジョンのシングルタイヤには、日本のベビーカーに変革をもたらすことを感じさせるだけのインパクトがありました。

 

【中年名車図鑑|ダイハツ・リーザ・スパイダー】「平成ABCトリオ」と同時期にデビューした超希少オープン

ダイハツの新世代スペシャルティ軽カーとして、1986年に市場デビューを果たしたリーザ。同車は1990年に新規格に移行し、翌91年にはユニークなオープンボディ仕様が追加される――。今回は平成ABCトリオと同時期にデビューし、往年のコンパーノ・スパイダーに倣って車名がつけられたダイハツ製軽自動車の超希少モデル、「リーザ・スパイダー」の話で一席。

【Vol.82 ダイハツ・リーザ・スパイダー】

軽自動車の個性化とハイパワー化が一気に進んだ1980年代後半の日本の自動車市場。この状況下でダイハツ工業は軽自動車のさらなる車種強化を図り、1986年12月にはミラ/クオーレに続く乗用軽シリーズの「リーザ」をデビューさせた。

モナ・リザのように“多くの人々に愛される”魅力的なクルマとの願いを込めて命名されたリーザ(Leeza)は、パーソナルユースをメインとした3ドアハッチバック車で、“エアロヘミサイクル”と呼ぶ半球形のクーペ風スタイリングに前席重視の室内レイアウトを採用する。また、電動ドアミラーやAM/FM電子チューナーといったクラス初の快適アイテムも装備した。車両タイプはL100S型系のセダンとL100V型系のバンを用意し、販売の主力には維持費の安いバンを据える。搭載エンジンはEB型系547cc直列3気筒OHCの自然吸気(32ps)とターボ仕様(50ps)の2機種を設定した。

 

リーザはその後、1989年1月にEFIの燃料供給装置を採用したターボ付きEB26型エンジン(64ps)を搭載するTR-ZZ EFIを追加し、同年中には特別仕様車のケンドーン/クラブスポーツをリリースする。そして、1990年8月になって軽自動車の新規格に対応したマイナーチェンジを行い、EF-HL型系659cc直列3気筒OHCエンジン(50ps)を積み込み、ボディも大型化したL111S型系に移行。キャッチコピーに“CRAFTSMANSHIP”“ダイハツしか作れない”と冠し、車種展開も大きく見直された。最大の特徴は、従来型では限定モデルのグレード名として使われたネーミングがカタログモデルに発展したことで、マイナーチェンジ以後はスポーティモデルが「OXY」(オキシー)、女性ユーザーをターゲットに据えた充実装備のモデルが「ChaCha」(チャチャ)を名乗るようになる。同時に、スタンダード仕様は「R」のグレード名に変更された。また、このマイナーチェンジではバン仕様が廃止され、セダンモデルに一本化される。物品税の廃止および消費税の導入などに伴う軽ボンネットバンの税制上のメリットが大幅に失われたための処置だった。

 

■参考出品時は4シーターオープン

専用ボディで開発された「平成ABCトリオ」とは異なり、「既存車のオープンボディ化」の手法をとった

 

市場ニーズに即したリーザの改良を着実に図る一方、ダイハツの開発陣は同車のスペシャルティ度をさらに引き上げる企画を打ち出す。“オープンボディ”の採用だ。1980年代終盤、軽自動車をリリースする各メーカーは後にバブル景気といわれる好況を背景に、スペシャルティ度満点の新型軽カーの開発に勤しんでいた。ホンダはミッドシップ・オープンスポーツのビートを、スズキはハードトップ/Tバールーフ/タルガ/フルオープンに変身するFRスポーツのカプチーノを、マツダはガルウィングドアを組み込んだミッドシップスポーツのオートザムAZ-1を企画する。これらのモデルは専用ボディを採用するまっさらな新型車として開発されるが、一方のダイハツは既存車のオープンボディ化という方策をとった。

 

オープンカーのリーザは、まず1989年開催の第28回東京モーターショーに参考出品される。車名は往年のコンパーノのオープン仕様に倣って「スパイダー」のサブネームが付けられた。このモデルは福岡のコーチビルダーが製作したもので、スポーツグレードのTR-ZZをベースとする。ハッチバックのルーフはAピラー以降を大胆にカット。そこに補強のためのドア三角窓フレームと折りたたみ式の幌を装着し、室内レイアウトはベース車と同じ4シーターのままとしていた。

ベルトラインのリアスポイラーやカラードバンパー、専用デカール、アルミホイールなどを装着

 

スポーティに演出されたショーモデルのリーザ・スパイダーは、現実的なフルオープン軽自動車として観客の注目を集める。当時のスタッフによると、「ちょっと見では展示車の完成度がかなり高かったため、多くの来場者がすぐに市販されると思ったようです。だから販売時期や価格を尋ねる人が予想以上に多かった」という。これに自信を深めたダイハツの首脳陣は、リーザ・スパイダーの市販化にゴーサインを出した。

 

■2シーターオープンに改良されて市場デビュー

既存車のオープンボディ化のため、ボディ剛性の確保と幌の設計に苦労した。人工皮革のプリセーム地バケットシートやモモ製本革巻きステアリングを装備

 

市販版のリーザ・スパイダーは、新規格モデルをベースとすることが決定される。オープン化に当たっては、幌の収納性やボディ後部の剛性確保を検討した結果、2シーターに変更。また、ボディ補強に伴う重量増(市販時の車重は730~740kg)に対応するため、搭載エンジンはEF-JL型659cc直列3気筒OHC12Vインタークーラーターボ(64ps/9.4kg・m)に1本化し、トランスミッションには5速MTと3速ATを組み合わせた。前マクファーソンストラット/後セミトレーリングアームの懸架機構にも専用セッティングを施し、滑らかでバランスのいい走りを実現した。

 

オープン化に当たって開発陣が苦労したのは、やはりボディ剛性の確保と幌の設計だった。ボディについてはフロアやドア、さらにコクピットまわりを可能な範囲で補強。幌に関しては防水性と格納操作性(手動開閉式)、デザイン性などを踏まえながら開発していく。とくに防水性能では、開発の最終段階までシールゴムの形状チューニングを繰り返した。

 

開発陣は内外装の演出にもこだわる。エクステリアではベルトラインのリアスポイラーやカラードバンパー、専用デカール、アルミホイールなどを装着。ボディサイズは全長×全幅×全高3295×1395×1345mm/ホイールベース2140mmとする。内包するインテリアでは、人工皮革のプリセーム地バケットシートやモモ製本革巻きステアリングといったスポーティなアイテムを標準で装備した。

 

当初リーザ・スパイダーは改造自動車扱いで発売することを予定していたが、役所から「指定自動車扱いにするように」という指導があり、急遽認証車両を製作して公式試験を受ける。これにパスしたのが1991年9月。その2カ月後の11月には、L111SKの型式をつけてついに発売にこぎつけた。

 

苦労を重ねた末に市場に放たれたリーザ・スパイダー。しかし、軽のオープンスポーツとしてはホンダ・ビートやスズキ・カプチーノの陰に隠れ、また走行性能の面でもクローズド時の幌のバタつきやボディの剛性不足が指摘されてしまう。結果的にリーザ・スパイダーは1992年に生産を中止。リーザの実質的な後継モデルとなるオプティではオープン仕様が設定されず、ダイハツ製オープン軽カーの再登場は2002年6月発表のコペンまで待たなければならなかったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

日本で生み出される廃タイヤは年間1億本近く――「リトレッドタイヤ」が解決する?

みなさんは「リトレッドタイヤ」ってご存知ですか? タイヤは使っているうちに摩耗し、スリップサインが出たら交換。そして廃棄されるというのが一般的ですよね。日本自動車タイヤ協会によれば、こうして生み出された廃タイヤは年間8300万本、廃車に伴う廃タイヤを含めると9700万本にも達するそうです。なんと日本だけで1億本近くが廃棄されているんですね。そんななかで登場したのがリトレッドタイヤなんです。

 

名前の由来は次のとおり。タイヤが路面に設置する面を“トレッド(Tread)”と呼びますが、これに“リ(Re)”を付けたもの。つまり、タイヤとしての機能を復元して再利用(リユース)するタイヤのことなのです。そのため、別名「更生タイヤ」とも呼ばれています。

 

リトレッドタイヤを早くから利用していたのは飛行機です。飛行機が着陸する際の速度は270km/h近いと言われ、数十トンもの機体をタイヤが一手に受け止めて停止させます。このとき、タイヤは機体の速度に一致するまでスリップすることとなり、摩擦によって白煙が上がるわけです。

↑着陸時に上がる白煙。飛行機にはリトレッドタイヤが早くから使われていた

 

当然ながらこのとき、タイヤは激しく摩耗しますが、その耐用回数は約500回! とはいえ、いずれは耐用回数に到達します。かといって、そのたびにタイヤを廃棄していたのでは環境にも悪影響を与えることになります。そこで、交換時期がきたらリトレッドタイヤとして再利用することが考えられたわけです。

 

ではリトレッドタイヤはどうやって作られるのでしょうか。そんな疑問を持っていた矢先、日本ミシュランタイヤのトラックやバスなど商用車向けリトレッドタイヤを製造している現場を見学できる貴重な機会を得ました。場所は新潟県糸魚川市。ここでは日本ミシュランタイヤの顧客が使用済みとしたタイヤを回収して、リトレッドタイヤとして再利用しています。これによって新品を新たに購入するよりもコストも下がって環境にも優しい、そんなリユースの流れを作り出そうと取り組んでいるのがこの工場なのです。

↑積み上げられた摩耗したタイヤはすべて契約した顧客から回収したもの

 

タイヤを再利用するうえで日本ミシュランタイヤが柱としているのが「ミシュラン3R」コンセプトです。「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の頭文字を取ったもので、「リデュース」はロングライフ性能の向上でタイヤの負担を軽減し、「リユース」で摩耗したタイヤの溝を掘り直して寿命を延ばしつつ安全性を向上させます。さらに「リサイクル」となるのがタイヤにトレッドを貼り直して再利用する(リトレッド)となるわけです。

↑ミシュラン3Rは、「リグルーブ」「リトレッド」を活用することで、タイヤ経費を削減するとともに、廃棄物の削減や省資源化、CO2排出量削減に貢献する

 

↑ミシュランが提供する「3R」コンセプトのソリューション

 

↑最初に摩耗したタイヤは専用の工具で溝を作り出す「リグルーブ」で対応する

 

日本ミシュランタイヤが商用車向けに提供しているタイヤは、あらかじめこの再利用を前提とした造りとなっており、そのためトレッド面は摩耗したトレッド面を削れるだけの厚みが与えられている構造となっています。日本ミシュランタイヤのリトレッドタイヤはこの段階からスタートしているのです。

↑ミシュランのタイヤはリグルーブやリトレッドに適した構造体を備えているのが特徴となっている

リトレッドタイヤはいかにしてできる? 生産工程をチェック【動画アリ】

工場を訪れてまず目にするのが山となった使用済みタイヤです。そのタイヤはまずしっかりと洗浄され、そのうえで超音波ウルトラソニックを使うシアログラフィ検査機にかけて部材の剥離がないかをチェック。さらにこの検査機によって通ったものをベテランの検査員が目と触診でもう一度チェックします。以前はこの目視だけだったとのことですが、シアログラフィの導入により「検索漏れは大幅に減った」(日本ミシュラン)と言います。

↑超音波ウルトラソニックで部材間の剥離を見つけ出すシアログラフィ

 

意外だったのは工程のなかで想像以上に人の手が介在していたことでした。工場のなかには工程ごとに必ずと言っていいほど担当者が割り振られ、相当な暑さ(この日は外気温が32度にもなっていた)のなか、黙々と作業が進められていたのです。ここまで人の手を経ていた理由について日本ミシュランは、「コストはかかるものの、日本ミシュランタイヤでは多品種少量生産を基本としており、その目的を達成するには人手を介在するほうが効率が良い」とのことでした。

 

検査工程を終えるとタイヤは次に「バフがけ」の工程に入ります。ここでタイヤはトレッド面をサイズ/パターンに応じて設定値まで削り、続いて損傷部分を整えるスカイプ工程へと移されます。貫通した傷があった場合は、それを埋めたり、パッチを貼って修理も実施。そして、削ったゴム面が酸化しないように加硫用セメントを塗られると、トレッドを貼り付けるケーシングの下準備が整うわけです。

↑トレッド面をサイズ/パターンに応じた設定値に削るバフがけ。すべてコンピュータ制御で行われる

 

↑削ったゴムが酸化しないように加硫用セメントを塗り、そのうえで溶けた合成ゴムで削った部分を埋めていく

 

ここからはいよいよトレッド面の貼り付けとなります。このトレッド面はあらかじめパターンが付いており、溶剤を塗布したうえでこれをケーシングに巻き付けていきます。ここで求められるのは継ぎ目をブロック形状に合わせる高度な技術。作業ではトレッド面とケーシングと一体化するためのテーピングも同時に行われていましたが、作業を終えたタイヤを見ると合わせ目が寸分の狂いもなく貼り付けられ、ホチキスでしっかりと固定されていたのです。これには驚きました。

↑トレッドをビルディング機の台の上で一旦伸ばし、溶剤を塗ってビニルに巻き直す

 

↑ケーシングにトレッドを貼り付ける。継ぎ目はホチキスで止め、加硫を終えたあとの仕上げ工程で取り外す

 

<動画でもチェック!>

 

そして、タイヤに熱を加えてケーシングと一体化させる最終工程へと移ります。ここで成形作業を終えたタイヤはエンベロープと呼ばれるゴム袋で包まれ、包んだあとは不要な空気を抜いていよいよ加硫機のなかに入れられて熱が加えられます。数時間後、加硫を終えたタイヤはエンベロープが外され、もう一度機械を用いて実際の走行状態と同レベルの圧力をかけて耐久性をチェック。目視でも検索を終えたタイヤは温かいうちに専用塗料を塗られてリトレッドタイヤは完成となるわけです。

↑エンベロープと呼ばれるゴム袋で包まれたタイヤは加硫機に投入され、長時間加硫されたあと、取り出される

 

↑加硫されたタイヤを手早くエンベロープから取り出す。かなり力のいる作業だ

 

↑加硫で仕上げられた直後のリトレッドタイヤ。このあと、ホチキスの針が抜かれる

 

↑加硫を終えたタイヤは実際の走行状態と同レベルの圧力をかけて耐久性をチェック

 

↑左から新品の「X One」、摩耗した「X One」、リトレッドした「X One」

 

<動画でもチェック!>

ところでこの方法は「コールド(プレキュア)方式」と呼ばれるもので、“多品種少量生産”に向いているとされます。たとえば多くのパターンに対応するのに有利とされます。一方、ケーシングにパターンがついていないトレッド面を貼り付けて金型に入れてパターンを付けるのが「ホット(リ・モールド)方式」です。生産効率が高いのはこちらの方式ですが、あくまで同一のパターンであることが前提となります。日本ミシュランタイヤによれば、海外では一部で「ホット(リ・モールド)方式」で生産している工場もあるが、大半は日本と同じ方式で対応しているとのことでした。

 

なお、日本ミシュランタイヤは、今年10月よりトラック・バス向けワイドシングルタイヤ「MICHELIN X One(ミシュラン エックスワン)」のリトレッドタイヤ2種を発売すると発表しました。1つはあらゆる天候の路面で優れたグリップを発揮する「MICHELIN X One XDN 2 リトレッド」で、もう1つはトレーラー用「MICHELIN X One MULTI ENERGY T リトレッド」。

 

もともと「MICHELIN X One」は、トラックの後輪に装着されている2本(ダブルタイヤ)を1本にするというコンセプトで開発されたタイヤで、1車軸当たり約100kgの軽量化を達成することができ、車両の輸送効率向上と環境負荷低減の貢献に寄与するとのことでした。日本ミシュランでは「X One」のリトレッド化を実現することで、ユーザーの選択肢を広げていく考えです。

 

日本で生み出される廃タイヤは年間1億本近く――「リトレッドタイヤ」が解決する?

みなさんは「リトレッドタイヤ」ってご存知ですか? タイヤは使っているうちに摩耗し、スリップサインが出たら交換。そして廃棄されるというのが一般的ですよね。日本自動車タイヤ協会によれば、こうして生み出された廃タイヤは年間8300万本、廃車に伴う廃タイヤを含めると9700万本にも達するそうです。なんと日本だけで1億本近くが廃棄されているんですね。そんななかで登場したのがリトレッドタイヤなんです。

 

名前の由来は次のとおり。タイヤが路面に設置する面を“トレッド(Tread)”と呼びますが、これに“リ(Re)”を付けたもの。つまり、タイヤとしての機能を復元して再利用(リユース)するタイヤのことなのです。そのため、別名「更生タイヤ」とも呼ばれています。

 

リトレッドタイヤを早くから利用していたのは飛行機です。飛行機が着陸する際の速度は270km/h近いと言われ、数十トンもの機体をタイヤが一手に受け止めて停止させます。このとき、タイヤは機体の速度に一致するまでスリップすることとなり、摩擦によって白煙が上がるわけです。

↑着陸時に上がる白煙。飛行機にはリトレッドタイヤが早くから使われていた

 

当然ながらこのとき、タイヤは激しく摩耗しますが、その耐用回数は約500回! とはいえ、いずれは耐用回数に到達します。かといって、そのたびにタイヤを廃棄していたのでは環境にも悪影響を与えることになります。そこで、交換時期がきたらリトレッドタイヤとして再利用することが考えられたわけです。

 

ではリトレッドタイヤはどうやって作られるのでしょうか。そんな疑問を持っていた矢先、日本ミシュランタイヤのトラックやバスなど商用車向けリトレッドタイヤを製造している現場を見学できる貴重な機会を得ました。場所は新潟県糸魚川市。ここでは日本ミシュランタイヤの顧客が使用済みとしたタイヤを回収して、リトレッドタイヤとして再利用しています。これによって新品を新たに購入するよりもコストも下がって環境にも優しい、そんなリユースの流れを作り出そうと取り組んでいるのがこの工場なのです。

↑積み上げられた摩耗したタイヤはすべて契約した顧客から回収したもの

 

タイヤを再利用するうえで日本ミシュランタイヤが柱としているのが「ミシュラン3R」コンセプトです。「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の頭文字を取ったもので、「リデュース」はロングライフ性能の向上でタイヤの負担を軽減し、「リユース」で摩耗したタイヤの溝を掘り直して寿命を延ばしつつ安全性を向上させます。さらに「リサイクル」となるのがタイヤにトレッドを貼り直して再利用する(リトレッド)となるわけです。

↑ミシュラン3Rは、「リグルーブ」「リトレッド」を活用することで、タイヤ経費を削減するとともに、廃棄物の削減や省資源化、CO2排出量削減に貢献する

 

↑ミシュランが提供する「3R」コンセプトのソリューション

 

↑最初に摩耗したタイヤは専用の工具で溝を作り出す「リグルーブ」で対応する

 

日本ミシュランタイヤが商用車向けに提供しているタイヤは、あらかじめこの再利用を前提とした造りとなっており、そのためトレッド面は摩耗したトレッド面を削れるだけの厚みが与えられている構造となっています。日本ミシュランタイヤのリトレッドタイヤはこの段階からスタートしているのです。

↑ミシュランのタイヤはリグルーブやリトレッドに適した構造体を備えているのが特徴となっている

リトレッドタイヤはいかにしてできる? 生産工程をチェック【動画アリ】

工場を訪れてまず目にするのが山となった使用済みタイヤです。そのタイヤはまずしっかりと洗浄され、そのうえで超音波ウルトラソニックを使うシアログラフィ検査機にかけて部材の剥離がないかをチェック。さらにこの検査機によって通ったものをベテランの検査員が目と触診でもう一度チェックします。以前はこの目視だけだったとのことですが、シアログラフィの導入により「検索漏れは大幅に減った」(日本ミシュラン)と言います。

↑超音波ウルトラソニックで部材間の剥離を見つけ出すシアログラフィ

 

意外だったのは工程のなかで想像以上に人の手が介在していたことでした。工場のなかには工程ごとに必ずと言っていいほど担当者が割り振られ、相当な暑さ(この日は外気温が32度にもなっていた)のなか、黙々と作業が進められていたのです。ここまで人の手を経ていた理由について日本ミシュランは、「コストはかかるものの、日本ミシュランタイヤでは多品種少量生産を基本としており、その目的を達成するには人手を介在するほうが効率が良い」とのことでした。

 

検査工程を終えるとタイヤは次に「バフがけ」の工程に入ります。ここでタイヤはトレッド面をサイズ/パターンに応じて設定値まで削り、続いて損傷部分を整えるスカイプ工程へと移されます。貫通した傷があった場合は、それを埋めたり、パッチを貼って修理も実施。そして、削ったゴム面が酸化しないように加硫用セメントを塗られると、トレッドを貼り付けるケーシングの下準備が整うわけです。

↑トレッド面をサイズ/パターンに応じた設定値に削るバフがけ。すべてコンピュータ制御で行われる

 

↑削ったゴムが酸化しないように加硫用セメントを塗り、そのうえで溶けた合成ゴムで削った部分を埋めていく

 

ここからはいよいよトレッド面の貼り付けとなります。このトレッド面はあらかじめパターンが付いており、溶剤を塗布したうえでこれをケーシングに巻き付けていきます。ここで求められるのは継ぎ目をブロック形状に合わせる高度な技術。作業ではトレッド面とケーシングと一体化するためのテーピングも同時に行われていましたが、作業を終えたタイヤを見ると合わせ目が寸分の狂いもなく貼り付けられ、ホチキスでしっかりと固定されていたのです。これには驚きました。

↑トレッドをビルディング機の台の上で一旦伸ばし、溶剤を塗ってビニルに巻き直す

 

↑ケーシングにトレッドを貼り付ける。継ぎ目はホチキスで止め、加硫を終えたあとの仕上げ工程で取り外す

 

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そして、タイヤに熱を加えてケーシングと一体化させる最終工程へと移ります。ここで成形作業を終えたタイヤはエンベロープと呼ばれるゴム袋で包まれ、包んだあとは不要な空気を抜いていよいよ加硫機のなかに入れられて熱が加えられます。数時間後、加硫を終えたタイヤはエンベロープが外され、もう一度機械を用いて実際の走行状態と同レベルの圧力をかけて耐久性をチェック。目視でも検索を終えたタイヤは温かいうちに専用塗料を塗られてリトレッドタイヤは完成となるわけです。

↑エンベロープと呼ばれるゴム袋で包まれたタイヤは加硫機に投入され、長時間加硫されたあと、取り出される

 

↑加硫されたタイヤを手早くエンベロープから取り出す。かなり力のいる作業だ

 

↑加硫で仕上げられた直後のリトレッドタイヤ。このあと、ホチキスの針が抜かれる

 

↑加硫を終えたタイヤは実際の走行状態と同レベルの圧力をかけて耐久性をチェック

 

↑左から新品の「X One」、摩耗した「X One」、リトレッドした「X One」

 

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ところでこの方法は「コールド(プレキュア)方式」と呼ばれるもので、“多品種少量生産”に向いているとされます。たとえば多くのパターンに対応するのに有利とされます。一方、ケーシングにパターンがついていないトレッド面を貼り付けて金型に入れてパターンを付けるのが「ホット(リ・モールド)方式」です。生産効率が高いのはこちらの方式ですが、あくまで同一のパターンであることが前提となります。日本ミシュランタイヤによれば、海外では一部で「ホット(リ・モールド)方式」で生産している工場もあるが、大半は日本と同じ方式で対応しているとのことでした。

 

なお、日本ミシュランタイヤは、今年10月よりトラック・バス向けワイドシングルタイヤ「MICHELIN X One(ミシュラン エックスワン)」のリトレッドタイヤ2種を発売すると発表しました。1つはあらゆる天候の路面で優れたグリップを発揮する「MICHELIN X One XDN 2 リトレッド」で、もう1つはトレーラー用「MICHELIN X One MULTI ENERGY T リトレッド」。

 

もともと「MICHELIN X One」は、トラックの後輪に装着されている2本(ダブルタイヤ)を1本にするというコンセプトで開発されたタイヤで、1車軸当たり約100kgの軽量化を達成することができ、車両の輸送効率向上と環境負荷低減の貢献に寄与するとのことでした。日本ミシュランでは「X One」のリトレッド化を実現することで、ユーザーの選択肢を広げていく考えです。

 

「日本以上の日本車大国」インドネシアの最新クルマ事情。特に人気なのは――

インドネシア国内最大のモーターショー「ガイキンド・インドネシア国際オートショー2018(GIIAS2018)」が8月2日より12日までの11日間にわたって、ジャカルタ市郊外のインドネシア・コンベンションセンター(ICE)で開催されました。

↑昨年の来場者は約40万人だったGIIAS

 

インドネシア経済を支える重要産業ともなっている自動車産業。開催初日の8月2日はインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が会場を訪れており、いかに国を挙げてこのショーを盛り上げようとしているかがわかります。そんなインドネシアで開かれるモーターショーにはいったいどんなクルマが出展されたのでしょうか。

↑オープニングセレモニーではジョコ・ウィドド大統領も登場(右から2番目)

 

日本車の存在が圧倒的なインドネシア。今年はその状況に異変が――

実はインドネシアは東南アジアのなかでも特に日本車が強いことで知られています。直近の今年1月から7月までのシェアはなんと97.6%(トラックなど商用車含む)! これは日本国内よりも日本車のシェアが高い数字です。メルセデスやVWなど欧米勢はもちろん、韓国のヒュンダイなど“自動車業界の列強”が束になってかかっても敵わないという状況になっているのです。

 

なかでも圧倒的強さを誇るのが、トヨタ/ダイハツ連合です。ご存知のようにダイハツはトヨタの完全子会社の関係にあり、それはインドネシアでも同じ。ダイハツはインドネシア国内において2003年以降、トヨタとの共同開発車を相次いで発売。トヨタからの受託生産も行うことで両社合計でそのシェアは46.8%(今年1-7月)になり、半数近くを占めているのです。

 

その牽引役となっているのが、インドネシアで人気の多人数乗車ができるMPV「トヨタ・アバンザ」と、その兄弟車「ダイハツ・セニア」です。現在のタイプは3世代目で、いずれもダイハツがインドネシア国内で生産しています。2003年に登場した初代以降、この両車の人気は極めて高く、販売台数も常にトップを維持してきました。

 

ところが、昨年8月のGIIAS2017でこれを覆すことになる強敵が登場しました。それが三菱のMPV「エクスパンダー」です。このクルマ、登場時から評価が高く、インドネシアのカーオブザイヤー2018を受賞したほど。昨年10月に発売されると人気はうなぎ登りとなり、ついに今年1-7月の車種別販売台数ではアバンザ/セニアを抜き去ってトップの座に躍り出ました。三菱全体のシェアも13.2%と急伸。逆にそのあおりを受けたのがトヨタで、13.4%減。まさにエクスパンダーの影響をまともに受けた格好となったわけです。

↑昨年10月に発売開始以来、人気急上昇中の三菱「エクスパンダー」。今回発表された新グレードは上級志向に振った「GLS/AT」とスポーティな「SPORT/MT」の2タイプ

 

一方、海外勢でもその力を見せつけ始めているのが中国のウーリンです。今年1-7月のシェアはなんと1.4%を獲得。日本車と比較すればその数字は小さいように見えますが、この時点でマツダや日産よりもシェアは上回っているのです。インドネシアに参入してわずか1年足らずでこの実績は快挙と言っても過言ではないでしょう。

 

どうしてこんな快挙が達成できたのでしょうか。

 

ウーリンは中国国内でGM系メーカーとして販売実績を伸ばしており、海外進出の機会を虎視眈々と狙っていました。そうしたなか、2015年にGMがインドネシア国内での生産から撤退。このあとを受けたのがウーリンで、16年より国内生産を開始し、同時に販売店も充実させました。その結果、わずか1年で欧米勢を上回る実績を獲得できたというわけです。

↑“Drive、Grow、Progress”のテーマのもと、7人乗り多人数乗用車「ウーリンSUV」を発表

 

↑100%EVの「E100」は、中国で補助金の支給を踏まえると実質55万円という破格の価格で話題を呼びました

 

↑7人乗りMPV「コンフェロS」。これが市場拡大の牽引役となりました

日本では見かけないクルマが勢揃い!ダンスやミニコンサートなど見どころもいっぱい

そうした背景のもと、GIIAS2018は開催されました。会場となったICEはジャカルタ市内からクルマで小一時間ほどかかる再開発地域にあります。周囲にはショッピングモールやホテルなどが多数あるほか、インドネシア国内における自動車販売の最大手「アストラ」が手掛ける大型施設「AUTO2000 BSD City Astra」があることでも知られます。

↑会場となったICE

 

会場は中央ホールを中心に北ホールと南ホールに分かれ、その規模は千葉市にある幕張メッセと同じぐらい。ここの中央ホールには例年同様、BMW/MINIグループが陣取り、北ホールにバスやトラックなどの商用車と用品系が出展。南ホールに日系や欧米系乗用車メーカーが出展する配置となっていました。

↑会場の面積は5万㎡と、幕張メッセとほぼ同等の広さ

 

登場した新型車の大半は、すでにほかのモーターショーなどでお披露目されたものばかりで、目新しさという点ではイマイチの感は否めません。その意味では今年は新型車の端境期だったようです。それでも、MPV系やクロカン系など日本では見かけない車種が数多く出展されており、それを見れば東南アジアに来ていることを実感させてくれました。

↑バスのボディを架装する業者を「カロセリ」と呼びますが、インドネシア国内では大手だけでも100社以上あると言わています。LAKSANAはそのなかでも最大手のメーカーとして知られています

 

そんななか、唯一のワールドプレミアとなったのがホンダ「ブリオ」です。累計で23万台以上も販売した前モデルに続く第二世代モデルで、全長とホイールベースを拡大し、家族がゆったりと乗車できるのが最大のポイント。上級指向が強まっているユーザーの声に応え、あらゆる面で高品質さを追求しています。ラインナップは最上位の「TYPE RS」を筆頭に、標準車でエコカー減税が適用されるLCGC対象車である「TYPE E」「TYPE S」の3タイプを用意。この市場でのナンバーワンを狙います。

↑唯一のワールドプレミアとして発表されたホンダ「ブリオ」。全長とホイールベースを拡大し、家族がゆったりと乗車できるのが最大のポイント。ユーザーの上級志向に合わせています

 

各ブースはどこも平置きのフロア以外にステージを用意。ステージ上にはウリとする新車を並べ、ここではプレスカンファレンスも行われました。また、東南アジアで開催されるほかのモーターショーと同様、ダンスやミニコンサートといったイベントもこのステージ上で展開されました。

↑各ブースに設営されたステージではダウンスやミニコンサートなどが繰り返し披露されていました。これを見るために会場を訪れる人も少なくないそう

 

ほかのモーターショーでは見かけないのが「アストラ・フィナンシャル」のブースです。実は東南アジアで開催されるモーターショーは、新型車のお披露目をするだけでなく、実際に新車の販売も行われます。つまり、購入契約にあたってローンの仲介をするのがこのフィナンシャル会社なのです。親しみやすさを演出するためか、子どもが遊べるスペースを用意したり、ジョコ大統領が来場した際は民族衣装を着た子どもたちが出迎えたりするなど、その存在感は抜群でした。

↑ローン会社としてGIIASをサポートしていた「アストラ・フィナンシャル」。会場の至る所にブースを設け、ジョコ大統領が訪れた際は民族衣装を纏った子どもたちが出迎えました

 

また、会場の外に出ると「FOOD TRUCK FESTIVAL」という、キッチンカーが集まる屋台村ができていました。飲料メーカーの「Kopiko 78°」がスポンサーとなっているイベントで、インドネシア風弁当からホットドッグ、ケバブ、そして吉野家もあるなど、ここを巡るだけでインドネシアの食事情がわかるんじゃないかと思うほどの充実ぶり。

↑会場の外ではキッチンカーが集まる屋台村「FOOD TRUCK FESTIVAL」を開催。インドネシア風弁当からホットドッグ、ケバブ、そして吉野家など多彩なメニューが用意されていました

 

そして、今回のGIIAS2018で否応なく日本との違いを感じさせられたのが気温でした。連日35度を超えていた日本を出発し、赤道直下のジャカルタに着いたらどんだけ暑いんだろうと身構えていたわけです。ところが、驚いたことに日本よりも涼しかったのです! 朝晩は風が心地良く感じられ、昼間でも日陰にさえ入れば、屋外での食事も無理なくできてしまうほどでした。今年の気象状況がいかに異常なのか、身をもって体験したわけです。

 

また、「クルマ離れ」と言われて久しい日本と違い、インドネシアではクルマが憧れの存在。それだけにモーターショーには大勢の人が詰めかけます。会場を訪れるとその盛り上がり方が日本とはまるで違うことを肌で実感できました。そんな雰囲気を味わうためにもインドネシアをはじめ、東南アジアのモーターショーへ海外旅行のついでに出掛けてみてはいかがでしょうか?

 

最後に、各ブースの展示の様子をまとめました。

 

【ダイハツ】

↑ダイハツはコンパクトSUV「テリオス」をベースとした特別仕様車「テリオス・カスタム」を初出展

 

↑インドネシアで展開するコンパクトカー「アイラ」をベースとしたレーシングコンセプト、アイラ・ターボを出展

 

↑東京オートサロン2018出展車「ブーン」

 

【ジムニー】

↑あくまで参考出展としたジムニーはここでも大人気。ジョコ大統領も足を止めたほど。出展車は日本から持ってきたシエラで、「Jimny」のエンブレムを付けていました

 

【レクサス】

↑アジア初披露となったレクサスの新たなコンパクトSUV「UX」を出展。車両はジュネーブショーで披露された左ハンドルのままでした

 

↑北京モーターショーでデビューしたレクサス「ES」も東南アジア初披露となりました

 

【日産】

↑日産の新世代グローバル・ピックアップトラック「NP300ナバラ」の車台をベースに開発されたSUV「テラ」。インドネシアでの発表は4月の中国、5月のフィリピンに続く3番目。会場には懐かしい「テラノ」の姿もありました

 

【スズキ】

↑イグニス・スポーツは、ボディカラー別に3つの外観バリエーションを用意

 

↑インドネシア特産のバティック柄で身をまとったエルティガも出展

 

↑エルティガ・スポーツはノーマルよりもローダウンしたイメージで、精悍さを感じさせていました

 

【トヨタ】

↑東京モーターショーなど、ほかのモーターショーで披露された「コンセプト愛i」をインドネシア初出展

 

↑新たにCH-Rを加え、プリウスPHVなどとともにハイブリッドカーによる環境負荷の少ない社会を訴えていました

 

【BMW】

↑BMW/MINIは今年も中央ホールに“別枠”で陣取っていました

 

↑中央ホールをすべて使っただけにBMW/MINIの会場は広々としていました

 

【マツダ】

↑日本ではラインナップされていないマツダの最上位グレードSUV「CX-9」も出展

 

【いすゞ】

↑ピックアップのD-MAXをベースにしたSUVの「mu-X」。エンジンはコモンレール直噴ターボディーゼル

 

【アウディ/メルセデスベンツ】

↑欧州勢はBMW/MINI以外にもアウディやメルセデスベンツ、フォルクスワーゲンが出展

 

【シボレー】

↑アメリカ系で唯一出展したGM。マイチェンしたコンパクトハッチ「スパーク」と、SUV「トレイル・ブレイザー」を発表した

 

【オートバイ】

↑自動車への憧れは強いものの、インドネシアの庶民の足はいまもなおオートバイが中心。出展車両のなかには排気ガス規制の厳しい先進国では見られないキャブレター搭載車も

 

100万円台のVW車は本当にお得か? 「クルマ&カー用品」4製品をプロが○×チェック

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。

 

クルマというとどうしてもハードルの高い買い物と思いがちですが、今ではデザインと実用性にこだわった国産ミニバンと、上質なスタイリングと走りを両立する輸入ハッチバックはいずれもU-200万円と、意外とお手ごろな価格で手に入ります。話題のドラレコや電アシも含めて、専門家がシビアに〇✕判定しました。

 

【○×判定した人】

クルマ編集・ライター 安藤修也さん

元ゲットナビ編集部員。スーパーカーから軽自動車まで、幅広いジャンルのクルマに日々触れています。

軽より少し高いだけの価格ではるかに凌ぐ満足度を得る

近年の新車ランキング上位で多くを占めるのは軽自動車ですが、人気の理由はもちろんコスパの高さ。車両価格が安いだけでなく、燃料代や税金、保険料などの維持費も普通車に比べてリーズナブルです。

 

とはいえ、高速道路を走行するときなどは、軽自動車ののんびりとした加速感に不満を感じる人も多い。また、ボディ剛性にはどうしても不安が残る。これらを解消するためにターボエンジン搭載グレードを選んだり、安全装備をオプションで付けたりすると価格が大きく跳ね上がり、結局200万円を超えてしまうこともままあります。

 

ここで紹介するトヨタ シエンタとフォルクスワーゲン up!は、いずれも普通車ながらエントリーグレードなら100万円台で購入できる。前者は、ミニバンらしからぬスポーティなデザインと3列シート7人乗り、後者はVWらしい質感の高いスタイリングと走りが特徴です。最近の軽自動車は、全体に性能が高められているのも事実。とはいえ、それらに少し上乗せした価格で、はるかに凌ぐ満足度を手に入れられるクルマとしてオススメしたい。

 

【その1 トヨタ シエンタの場合】

スポーティなコンパクトボディに余裕のある3列シートを搭載

トヨタ

シエンタ

168万9709円〜

「ユニバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」をコンセプトとし、従来の“ハコ型”イメージを覆すスポーティな外観が特徴。小型ながら3列目までゆとりある室内空間や、高齢者や子どもにやさしい乗降性も備えています。SPEC【X“Vパッケージ”・FF】●全長×全幅×全高:4235×1695×1675㎜●車両重量:1310㎏●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHCエンジン●最高出力:109PS(80kW)/6000rpm●乗車定員:7人●JC08モード燃費:20.6㎞/ℓ

 

↑後方に絞ったキャビンと、コーナーが張り出したアンダーボディが特徴のリアデザイン。安定感のあるスタンスです

 

【Check!】

デザイン:〇

有機的でシトロエンのよう!

「まるでシトロエンのような有機的なデザインは、ミニバンのイメージとは一線を画します。カラーリングもアバンギャルド!」

 

走り:×

走りは凡庸だが燃費性能は高い

「走りは凡庸で高速走行には向きません。ただ、街乗りがメインなら問題なく、ハイブリッドでもガソリンでも燃費性能は◎」

 

快適性:〇

3列目シートは床下収納式

「このコンパクトボディに3列シートを収めたのは素晴らしい。3列目は床下収納式で、使わないときは室内をかなり広く使えます」

 

総評

「デザインに面白みの欠けるミニバンのなかではユニークな存在。最もリーズナブルな価格で買える7人乗りカーとして高く評価したいです」

【その2 フォルクスワーゲン up!の場合】

VWのエントリーモデルながら質感の高いスタイリングが魅力

ハッチバック

フォルクスワーゲン up!

159万9000円〜

スタイリッシュなデザインが人気の小型ハッチバック。軽自動車よりひと回り大きいほどのサイズで、大人4人が無理なく乗れる室内スペースを確保します。ユーロNCAPで最高評価5つ星の安全性能も魅力。SPEC【move up! 2ドア】●全長×全幅×全高:3610×1650×1495㎜●車両重量:930㎏●パワーユニット:999㏄直列3気筒DOHCエンジン●最高出力:75PS(50kW)/6200rpm●乗車定員:4人●JC08モード燃費:22.0㎞/ℓ

 

【Check!】

内外装の質感:〇

上質かつポップなスタイリングが魅力

「エントリーモデルといえども、内外装は輸入車らしく質感高い仕上がり。ドライバーを選ばないポップなスタイリングも魅力的です」

 

走り:〇

路面に吸いつくように走る!

「同クラスの国産車と比べて、シャーシ性能がかなり高いです。運転操作にリニアに反応するだけでなく、路面に吸いつくように走ります」

 

パワーユニット:×

パワーは物足りなさを感じる

「1ℓ3気筒エンジンに5速ASG(セミAT)の組み合わせ。先代からギクシャク感は改良されましたが、パワーに物足りなさを感じることも」

 

総評

「200万円以下で買える輸入車が少ないなか、本車はかなり割安感あり。トランスミッションも改善され、普通に乗れる良いクルマとなりました」

 

 

【その3 オウルテックのドライブレコーダーの場合】

証拠映像に使うのは厳しいが基本性能は必要十分

オウルテック

OWL-DR05-BK

実売価格6790円

W71×H69×D31㎜の小型サイズながら、視認性が高い2.4インチTFT液晶モニターを搭載。画質はHD/30fpsですが、LED信号対策や、地デジ放送受信時に影響を及ぼさないノイズ低減など、基本性能を押さえています。

 

【Check!】

操作性:〇

物理ボタンの操作が快適

「タッチ操作には非対応ですが、画面下部にまとめられた物理ボタンによる操作は快適。ボタンピッチも適度で誤操作が少なくなります」

 

画質:×

細かい文字は視認しづらい

「HD画質のため解像感は低く、ナンバープレートなどは読み取れないことも。サイズのわりに画面が大きくて見やすいのは好印象でした」

 

機能性:○

車上荒らしなども録画できる

「モーションセンサーが動くものを検知すると、自動で録画がスタート。いざというときの録り逃しを防げます」

 

総評

「画質の粗さやGPS非搭載など“省略点”は多いものの、ドラレコとしての機能性は及第点。『とりあえず付けたい』という人にオススメです」

 

 

【その4 電動アシスト自転車の場合】

各パーツにこだわって快適な走りを実現

21Technology

DA246

実売価格5万4800円

3段階のアシストモードを搭載し、走行環境によって使い分けて節電可能。CST製の高品質タイヤや、軽量アルミクランク、肉厚のU字型サドルなど、一つひとつのパーツにこだわった。カラバリは4色を用意します。

 

【Check!】

乗り心地:〇

シフトチェンジが滑らか

「シマノ製6段変速ギアが、滑らかなシフトチェンジを実現。街乗りなら快適な走りを楽しめます。グリップシフターもシマノ製です」

 

アシスト力:〇

バッテリーは小型でも高性能

「最新ではないものの、小型軽量のパナソニック製リチウムイオンバッテリーを採用。約3.5時間の充電で最長約60㎞走行可能です」

 

デザイン:×

ママチャリ感は否めない

「いかにもママチャリなデザイン。スーツスタイルでのライドも訴求していますが、スタイリッシュではないです」

 

総評

「子どもの送り迎えや買い物時などに乗る、実用車としての用途なら十分な性能。一般的な電アシの半額程度と考えればかなりお買い得に思えます」

 

 

【中年名車図鑑|オートザムAZ-1】あまりにマニアック…短命に終わった“軽自動車界のスーパーカー”

1989年に発売したオートザム・キャロルによって軽乗用車市場への復活を果たしたマツダは、その勢いを駆って新しい軽スポーツカーの企画を推し進める。そして、1992年に軽ミッドシップ2シータークーペの「オートザムAZ-1」を市場に放った――。

【Vol.81 オートザムAZ-1】

好景気を背景に車種設定の強化を目論んだ1980年代終盤のマツダは、1975年末から退いていた軽乗用車の本格生産に再び乗り出すための方策を鋭意検討する。最終的に決定した案は、他社との生産協力。当時のマツダにとって、一から軽乗用車を開発するのにはコストや時間などの制約の面で難があったからだ。首脳陣が提携先として選んだのは、直接のライバル関係にはない、つまり国内№3を競う自動車メーカーではないスズキ(当時の社名は鈴木自動車工業)だった。スズキ側にとっても、自社製品の販売量が無理なく増えるというメリットが生まれる。結果的に両社は、1987年12月に軽自動車生産の協力体制を構築する旨を発表した。

 

クルマそのものの供給、すなわちOEM供給については、まず軽商用車のカテゴリーで行われる。スズキ・エブリイ(バン)/キャリイ(トラック)をベースに専用エンブレムなどを装着したスクラムが、1989年6月にマツダのオートザムブランドを通して発売された。以後、スクラムはマツダの定番軽バン/トラックとしての地位を確立していく。また、スズキからは軽乗用車用のコンポーネント、具体的にはF5B型547cc直列3気筒OHCエンジンと駆動機構、2335mmのホイールベースを持つプラットフォームおよびシャシーなどの供給も受け、スズキの浜松工場で生産されたこれらの製品を広島に運び、独自のボディと内装パーツを組み付けて新型キャロル(AA型系)を完成させる。さらに、軽自動車が新規格に移行してからはF6A型657cc直列3気筒OHCやOHCターボなどを購入し、新しいキャロルを生み出した。

 

一方で開発現場では、マツダ製軽自動車のイメージをより向上させる目的で、オリジナルのスポーツモデルの企画を積極的に推し進める。1989年開催の第28回東京モーターショーでは、その具現作となるコンセプトカーの「AZ550 SPORTS」を発表。ガルウイング式ドアを採用したAタイプ、ノッチバッククーペボディのBタイプ、レースマシンのCカーを彷彿させるCタイプの3モデルを披露した。そして、市販化に向けては来場者から好評を博したAタイプの車両デザインをベースとすることに決定。設計統括には、初代ロードスターの主査を務めた平井敏彦氏が就任した。

 

■レースカーのような基本骨格で登場した「AZ-1」

トランスミッションは5速MT。パワー&トルクは64ps/6500rpm、8.7kg・m/4000rpm。44:56という前後重量配分(車両重量は720kg)と相まって俊敏なハンドリングと運動性能を実現

 

マツダ渾身の軽スポーツカーは、「オートザムAZ-1」(PG6SA型)の車名で1992年9月に発表、10月に発売される。ディーラー名のAutozamを略した「AZ」に、同ディーラーの設定車種内での車体の大きさを示す数値の「1」を組み合わせたAZ-1は、まずその基本骨格とデザインで注目を集めた。2シーターのミッドシップレイアウトで構成する基本骨格には、フロアの周囲にフレームを組み付けるペリメーター型をメインに、大断面サイドシルを有するスケルトンモノコックを採用。アウターパネルには軽量で成形自由度の高いFRP材を多用する。高剛性かつ軽量なボディ構造は、外装を取り外した状態でも走行が可能だった。一方、サイドシルが高くなることから、ドア形状には上ヒンジ式のガルウィングタイプを導入。ドアガラスは基本的に固定タイプで、チケットウィンドウと称する開閉式の小窓が組み込まれる。また、コクピット上部はグラスキャノピーで仕立て、ルーフ部には光の透過率を30%に抑えるセラミック処理を施した。ボディサイズは全長3295×全幅1395×全高1150mmに仕立てる。懸架機構にはアルト・ワークス用のフロントサス(ストラット/コイル)を専用チューニングで前後にセット。ホイールベースは2235mmに設定した。

2シーターのミッドシップレイアウトを採用。コクピット上部はグラスキャノピー仕立てで、ルーフ部には光の透過率を30%に抑えるセラミック処理を施した

 

ミッドシップ配置するエンジンは、アルト・ワークスから流用したF6A型657cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボで、パワー&トルクは64ps/6500rpm、8.7kg・m/4000rpmを発生する。トランスミッションには5速MTを採用。ラック&ピニオン式のステアリング機構はロック・トゥ・ロック2.2回転とクイックにセットし、44:56という前後重量配分(車両重量は720kg)と相まって俊敏なハンドリングと運動性能を実現していた。

 

少量生産を想定したために組み立てラインを協力会社のクラタ(当初からAZ-1の外板の生産を担当。現在は三浦工業と合併してキーレックスに移行)に設置し、量販を始めたAZ-1は、そのキャラクターから“軽自動車界のスーパーカー”“究極のハンドリングマシン”などと称され、市場から大きな注目を集める。デビュー翌年の1993年の1月からはスズキへのOEM供給も開始し、「キャラ(CARA)」の車名で販売された。

 

■販売はわずか3年強で終了

1994年5月に発売されたM2の限定車1015

 

平成ABCトリオのなかでもとりわけ異彩を放ったAZ-1は、そのマニアックな特性からユーザーは限定され、デビュー当初を除いて販売は低調に推移する。テコ入れ策としてマツダは、1993年1月に充実装備の特別仕様車となるTYPE L、1993年6月にエアロパーツを装備したマツダスピードバージョン、1994年5月にM2が企画した限定車の1015をリリースするが、成績の回復には至らなかった。そのうちにバブル景気の崩壊によるマツダ本体の経営逼迫が深刻化。結果的にAZ-1は車種整理の対象となり、1995年12月に販売を終了したのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【中年名車図鑑|スズキ・カプチーノ】ワゴンRのおかげで生き延びたスズキ初のリアルスポーツ

ホンダ・ビートの登場から5カ月ほどが経過した1991年10月、スズキ初のリアルスポーツ軽自動車が「カプチーノ」の名で市場デビューを果たす。開発陣が目指したのは、乗ることで心を解放してくれるオープンマインドの2シータースポーツだった――。

【Vol.80 スズキ・カプチーノ】

1990年1月に軽自動車の規格が改定されてエンジン排気量が660cc以内、ボディサイズが全長3300×全幅1400×全高2000mm以内になると、各メーカーはこぞって新規格に合わせた軽自動車をリリースする。当時はバブル景気真っ盛りのころ。豊富な開発資金を下支えに、まっさらなニューモデルが数多くデビューした。

 

軽自動車のトップメーカーであるスズキは、1989年10月開催の第28回東京モーターショーに出展した軽規格の試作スポーツカー「Cappuccino」を市販化する決定を下す。このころは軽自動車の高性能化が一気に加速した時代で、スズキのアルト・ワークス、ダイハツのミラ・ターボTR-XX、三菱自動車のミニカ・ダンガン、富士重工業のスバル・レックス・コンビ・スーパーチャージャーVXなどがハイパフォーマンス軽自動車の№1を目指して凌ぎを削っていた。ユーザー側にとっても安い価格と維持費で速いクルマを購入できるため、この流行を大いに支持する。軽自動車のピュアスポーツが造られる下地は、十分に熟成されていたのだ。

 

■軽FRスポーツカーのデビュー

ハードトップ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンという4通りのバリエーションが楽しめるオープン2シーター

 

スズキの開発陣が目指した軽スポーツカーは、乗ることで心を解放してくれるオープンマインドの2シーターだった。開発に携わったあるエンジニアは、「当時の開発スタッフは英国のライトウェイトスポーツのファンが多かった。スポーツカーを造るなら、やっぱりオープン2シーターにしたいという意見が強かった」と、当時を振り返る。しかしそのルーフは、単なるソフトトップではなかった。頂上部は着脱が可能な3分割式のアルミ材パネルを採用し、外したパネルはトランク内に収納できる。リアガラスを組み込んだピラー部は、そのままの形でボディ後部に押し込むことができた。その結果、ハードトップ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンという4通りもの走りが楽しめた。

駆動方式はFR。ロングノーズ&ショートデッキとスポーツカーの定石に則ったスタイルを持つ。前後重量配分は51対49と理想的

 

開発陣はメカニズムにもこだわった。エンジンはアルト・ワークス用のF6A型657cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボユニットを縦置きにして搭載し、後方に専用シャフトドライブを通してFR(フロントエンジン・リアドライブ)の駆動方式を構成する。パワー&トルクは64ps/6500rpm、8.7kg・m/4000rpmを発生。トランスミッションには専用セッティングの5速MTを組み合わせた。専用設計のプラットフォームおよびロングノーズ&ショートデッキのオープンモノコックボディ(全長3295×全幅1395×全高1185mm/ホイールベース2060mm)にフロントミッドシップ化したエンジン搭載位置は、前後重量配分51対49という好バランスを達成。エンジンフードや脱着式トップ、フロアトンネルカバーなどにはアルミ合金材を用い、車重は700kgと軽量に抑える。さらに、足回りには前後ダブルウィッシュボーンサスペンションと4輪ディスクブレーキ(フロントはベンチレーテッド式)、専用開発の165/65R14サイズのラジアルタイヤを奢った。

 

1991年10月、スズキ初のリアルスポーツ軽自動車が「カプチーノ」(EA11R型)の名で市場デビューを果たす。車名はイタリアのコーヒーの一種であるcappuccinoに由来。小さなカップに入ったちょっとクセのあるお洒落な飲物と小さなオープンカーのイメージを重ねて命名していた。車両価格は145万8000円~169万8000円と当時のリッターカー・クラスを上回る設定だったが、5カ月ほど前にデビューしたホンダ・ビートとともに、販売台数を大いに伸ばした。

 

■ライバルよりも長く生産された理由

ミッションは5MT(MC後に3ATが追加)。パワー&トルクは64ps/6500rpm、8.7kg・m/4000rpm

 

カプチーノは1995年5月にマイナーチェンジを受け(EA21R型)、オールアルミ製のK6A型658cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボエンジンに換装される。同時に5速MTに加えて3速ATを設定し、イージードライブを可能とした。

1998年まで7年あまり生産される。結果的にホンダ・ビート、マツダAZ-1に比べ長寿命となった

 

K6Aエンジンは、ヘッドカバーからロアケースまで本体部品すべてをアルミ合金材で仕立て、そのうえでシリンダーブロックのスカート部とロアケースを一体構造とする。また、シリンダーブロック自体には軽自動車用エンジン初の圧入セミウエットライナーを採用。さらに、ツインカム4バルブ(DOHC12V)のヘッド部には中空カムシャフトや直打式バルブ、ダイレクトチェーンドライブ・カムシャフト駆動を組み込み、メカニカルロスの低減や軽量化を図った。ほかにも、高回転までシャープに吹き上がるショートストローク設計(ボア68.0×ストローク60.4mm)や新タイプの複合センサーにより制御の精度を高めたEPIなどを採用する。もう1点、新オールアルミエンジンではトータルでのコンピュータ制御も試みられた。SHICと呼ぶこの制御機構では、コンピュータに当時最新の16ビットを採用。従来比で約5倍の処理速度を実現し、緻密で最適な燃料噴射&点火タイミングやターボ過給圧などを実現した。パワー&トルクは64ps/6500rpm、10.5kg・m/3500rpmを発生し、690kgあまりの車重を俊敏に加速させる。ユーザーからは「ノーズが軽くなったうえに、加速性能とレスポンスも向上した」と好評を博した。

 

カプチーノはその後、大きな変更を受けることもなく、1998年10月をもって販売を終了する。しかし、ライバルのホンダ・ビートやマツダ(オートザム)AZ-1と比べると生産期間は長かった。AT仕様を設定していた、ハードトップ時はトランクルームが使えた、ボディが丈夫だったなどのメリットもあったが、それよりも重要なのは、「ほかの大ヒット作が生まれたから」という事実だった。そのクルマとは、1993年9月にデビューしたワゴンRだ。バブル景気の崩壊で日本の自動車メーカーの多くは四苦八苦し、車種ラインアップの縮小を余儀なくされたが、スズキはワゴンRが大ヒットしたために車種の整理が少なくて済んだ。もちろん、同社独自の低コスト開発戦略なども効果をあげていた。スズキ渾身の軽リアルスポーツは、身内のクルマの助けを得ながら7年あまりの長寿を全うしたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【超保存版】清水草一が「最新スーパーカー&パフォーマンスカー」28台をひらすら解説。フェラーリ、ランボから国産勢まで

 

 

【解説する人】

モータージャーナリスト

清水草一さん

「サーキットの狼」作者の池沢早人師先生から直接薫陶を受けた唯一の自動車評論家。これまで11台のフェラーリを乗り継いでいます。GetNaviの連載「クルマの神は細部に宿る」をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売。

 

【ブランド01:フェラーリ】

レース参戦のために存続する世界でただひとつのメーカー

創始者のエンツォ・フェラーリはレーシングチームを経営し、生涯をレース活動に捧げました。その資金稼ぎのために、レーシングカーを乗りやすく改良して販売したのが、同社の市販車部門の始まり。1988年のエンツォが亡くなって以降もF1参戦は継続し、世界中のクルマ好きの憧れとなっています。

 

【モデル01】フェラーリの長い歴史のなかで最もパワフルなV型12気筒エンジン

フェラーリ 

812スーパーファスト

3910万円

名の「812」は「800馬力の12気筒」を表し、FRのロードカーとしてはフェラーリ史上最強と称されるほどのハイパフォーマンスを誇ります。電子制御デバイスが多数盛り込まれ、超弩級の能力を危なげなく体感させてくれます。

SPEC●全長×全幅×全高: 4657×1971×1276㎜●パワーユニット: 6.5ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 800PS(588kW)/8500rpm●最大トルク: 73.2㎏-m(718Nm)/7000rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー】

F1をイメージさせるスポーティなインテリア

非日常性を感じさせるF1のようなコックピット。カラーも自由に選択できる。F1システムと呼ばれる独自のトランスミッション形式は、パドルシフト式セミATの先駆的存在です。

 

最新技術が盛り込まれた大柄ながら美しいボディ

ボディは先代のF12ベルリネッタとほぼ同サイズで、前後ともに20インチの大径ホイールが装着されます。ボディ下部にはディフューザーを採用し、高速走行時の空気の流れを調節。

 

最高馬力のエンジンは印象的な赤塗装が特徴

V型12気筒エンジンのヘッド部には赤い結晶塗装が施されています。6.5ℓの大排気量で、フェラーリの自然吸気式エンジンを積む市販車では史上最高となる800馬力を発揮します。

 

旗艦モデルのエンジンは12気筒でなくてはならない

フェラーリは、誰もが認める自動車の頂点、太陽神的存在。その立脚点は、F1グランプリにおける輝かしい戦績にあります。日本でフェラーリといえば市販のスーパーカーですが、海外では第一にレーシングチーム。その栄光を市販車に投影しているという文脈が、他社とは決定的に異なります。

 

すなわち、フェラーリにおけるスーパーカーの出発点は、レーシングカーをちょっと乗りやすくして一般販売したところ。そのため、同社が何よりも重視しているのは、常にエンジン。フェラーリのフラッグシップモデルは、最もパワフルで、最もエレガントな12気筒エンジンを積んでいなければなりません。現在のフラッグシップである812スーパーファストは、その12気筒エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動するFR方式。一般的にスーパーカーと言えば、エンジンをキャビン後方に置くミッドシップがイメージされます。しかし、フェラーリは元々FRからスタートしており、812スーパーファストは原点に回帰したモデルといえます。

 

フェラーリの名声はあまりにも高く、もはや性能は二の次と見る向きもあります。しかし、フェラーリの魂は常にエンジンであり、続いて重視されるのが美しさ。そのプライオリティは不変なのです。

 

【清水草一の目】

ほかでは味わえない官能的なV12エンジン

スーパーカーとしては車高が高く、FRなのでパワーを路面に伝えきれない面がありますが、V12の官能フィールは唯一無二。地上最高のブランド力を満喫できます!

 

【モデル02】ツーリングにも最適なハードトップオープン

ポルトフィーノ

2530万円

車体に収納できるリトラクタブルハードトップを備えたオープンモデルで、優雅な佇まいと優れた多用途性や快適性が特徴。スーパーカーの快楽を満喫できるうえに、日常使いでのストレスが皆無というのは大きな魅力です。

SPEC●全長×全幅×全高:4586×1938×1318㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:600PS(441kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

【モデル03】コンパクトなボディにターボエンジンを搭載

488GTB/488スパイダー

3070万円〜3450万円

458イタリアの後継モデルとして登場し、2015年に日本へ導入されました。V8エンジンの排気量はそれまでの4.5ℓから3.9ℓへとダウンサイズされていますが、ターボの採用によって出力、トルクともに大幅な向上が図られています。

SPEC【488GTB】●全長×全幅×全高:4568×1952×1213㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:670PS(492kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

【ブランド02:ランボルギーニ】

トラクターなどの製造や販売を手がけていたイタリアの富豪、フェルッチオ・ランボルギーニが、スーパーカー好きが高じて1963年に設立。ミウラやカウンタックなどの名車を生み出しました。99年にアウディ傘下となり、より高品質を追求する現代的メーカーとなっています。

 

伝統のポップアップドアを受け継ぐのは旗艦モデルのみ

巨大なエンジンをキャビン後方に置くミッドシップレイアウト、上方に跳ね上がるように開くポップアップドア……ランボルギーニならではのスタイルは、世界中の人々を虜にし続けています。

 

ポップアップドアは、スーパーカー史上最高のアイドル、カウンタック以来、ランボルギーニの伝統。ただし、それが採用されるのは、フラッグシップモデルのみで、現在はアヴェンタドールに受け継がれています。ドアを開けただけで周囲の空気を一変させてしまう“魔力”は凄まじいです。

 

かつては、クルマのとしての品質に問題があるとも言われていましたが、アウディ傘下となってからは劇的に改善。販売台数でも、フェラーリを猛追しています。

 

 

【モデル04】伝統の跳ね上げドアを受け継いだ“猛牛”

ランボルギーニ

アヴェンタドール

4490万4433円~4996万9107円

カウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴと続く往年のモデルに通じる風格と性能を持つランボルギーニの旗艦であり、ブランドアイコン的一台。クーペボディのほか、オープントップ仕様のロードスターもラインナップされています。

SPEC【Sクーペ】●全長×全幅×全高: 4797×2030×1136㎜●パワーユニット: 6.5ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 740PS(544kW)/8400rpm●最大トルク: 70.4㎏-m(690Nm)/5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

オープンモデルもポップアップドア

カーボン製の脱着式ハードトップを備えたSロードスターも発売間近。ドアは当然跳ね上げ式です。

 

最新機能も備えた伝統のV型12気筒

「S」モデルで最高出力が40馬力向上したV型12気筒エンジン。シリンダー休止機構も採用しています。

 

赤いフタを開ける「いかにも」な演出

センターコンソールにフタ付きのエンジンスタートボタンを配置。いかにもスーパーカーらしいです。

 

【清水草一の目】

周囲の注目を集める跳ね上げ式のドア

スーパーカーの象徴的一台。高い性能もさることながら、伝統の跳ね上げドアの威嚇力は無敵で、どこへ行っても子どもたちが集まる!

 

【モデル05】v10エンジンの最新モデル

ウラカン

2535840円〜38462614

クーペやスパイダー、後輪駆動仕様、ハイスペックなペルフォルマンテなど、バリエーションが多彩。いずれのモデルも圧巻の走りを楽しめます。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高:4459×1924×1165㎜●パワーユニット:5.2ℓV型10気筒エンジン●最高出力/最大トルク:610PS(449kW)/57. 1㎏- m(560Nm)

 

 

【ブランド03:マセラティ】

「三叉の銛」で知られる高級スポーツカーブランド

トライデント(三叉の銛)のエンブレムで知られる、イタリアのラグジュアリースポーツブランド。一時期の経営難から、イタリア最大のメーカーであるフィアットの傘下となり、現在はエンジンなどをフェラーリと共有しています。4ドアGTのクアトロポルテも有名。

 

【モデル06】速さと同時に快適を味わえるGTスポーツ

マセラティ

グラントゥーリズモ

1890万円〜2216万円

タイトなドレスを纏った女性の曲線美を思わせる、エレガントで気品に溢れたフォルムが目を引くクーペモデル。スポーツ性に特化しすぎず、日常的な場面での扱いやすさや利便性、さらに快適性にも配慮したイタリアンGTです。

SPEC【スポーツ】●全長×全幅×全高: 4910×1915×1380㎜●パワーユニット: 4.7ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 460PS(338kW)/7000rpm●最大トルク: 53.0㎏-m(520Nm)/4750rpm●トランスミッション: 6速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

ハイブランドの哲学を味わえる内装

内装はアダルトかつ優美な印象。最新のインフォテインメントシステムを搭載するのも特徴です。

 

フェラーリと共同で開発したV8エンジン

昨年の改良以降、エンジンはフェラーリと共同開発したノンターボ式の4.7ℓV8のみとなっています。

 

センター2本出しでスポーティな印象

名匠・ピニンファリーナがベースデザインを手がけました。マフラーはセンター2本出しでスポーティ。

 

フェラーリ製エンジンを美しいクーペボディに搭載

戦前からの長い伝統を誇るマセラティは、これまで何度も厳しい経営危機に直面。その結果、フェラーリ製エンジンを搭載することになり、いまやそれが最大のウリです。

 

グラントゥーリズモのエンジンは、フェラーリF430用のV8を、ややジェントルにチューンしたもの。それをエレガンスの極致ともいえる美しいクーペボディに積むことで、圧倒的に優美な仕上がりになっています。ボディが重いため速さはそれほどでもありませんが、フェラーリさながらの“陶酔サウンド”を奏でつつ疾走します。

 

トランクを備えた4人乗りのため、フェラーリよりはるかに実用性が高いのもポイント。普段乗りに使えるスーパーカーとして、世界中の富裕層から支持されています。

 

【清水草一の目】

官能的エンジンのフィールは最高

フェラーリ製V8エンジン搭載のスーパースポーツクーペ。エンジンのフィール&サウンドをたっぷり堪能できる、超官能マシンです!

 

【モデル07】上品な佇まいでも走りは◎

グランカブリオ

2000万円〜2175万円

躍動感と優雅さを兼ね備えた4人乗りコンバーチブル。上品な佇まいが特徴ですが、自然吸気式の大排気量エンジンならではの、気持ち良い走りを実現します。

SPEC●全長×全幅×全高:4920×1915×1380㎜●パワーユニット:4.7ℓV型8気筒エンジン●最高出力/最大トルク:460PS(338kW)/53.0㎏-m(520Nm)

 

【ブランド04:アストンマーティン】

ボンドカー”で知られる英国のスポーツカーブランド

英国発祥のスポーツカーブランド。高性能であることはもちろん、高い質感を持つクルマ作りが伝統です。巷でよく知られたアストンマーティンのイメージといえば、映画「007」シリーズでのジェームズ・ボンドの愛車、いわゆる“ボンドカー”として活躍する姿です。

 

【モデル08】エンジンのフィーリングはジェントルにして大迫力

アストンマーティン

ヴァンキッシュ S

3457万9982円〜3691万1983

DBSの後継として2012年に登場したアストンマーティンの旗艦モデル。アルミとカーボンで構成されたスペースフレームに、フルカーボンのボディを組み合わせました。パワーユニットは588馬力を発揮するV12エンジンを搭載しています。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高: 4730×1910×1295㎜●パワーユニット: 5.9ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 588PS(433kW)/7000rpm●最大トルク: 64.2㎏-m(630Nm)/5500rpm●トランスミッション: 8速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

圧倒的な存在感を放つエアロパーツ

走りを究極にまで高めたモデルでありながら、モダンなエアロを装着したスタイリングも高レベルです。

 

軽量なカーボンはスポーティな印象

ドアミラーのほか、外装パーツの様々な箇所に軽量なカーボンを使用。スポーティな印象を与えます。

 

室内はレザーを惜しまずに使用

室内空間は至るところにレザー素材を使用。キルティングレザーが用いられたシートも質感が高いです。

 

まるで英国紳士のように優雅な佇まいがシブすぎる

アストンマーティンといえば“ボンドカー”であり、英国を代表するスポーツカーメーカー。長い低迷時代を乗り越えて、現在は経営も絶好調。手作りの工芸品のようなクルマ作りに定評があります。

 

フラッグシップモデルであるヴァンキッシュは、同社オリジナルの5.9ℓV12エンジンをフロントに搭載。そのフィーリングは、ジェントルでいて獰猛です。

 

しかしながら、人々が目を奪われるのはその速さだけでなく、英国紳士然とした優雅なクーペボディの佇まい。このクルマが似合うのはジェームズ・ボンドをおいてほかにいないのでは——? そう思えるほどのシブすぎるカッコ良さが、アストンマーティンの本質ともいえます。

 

【清水草一の目】

クルマから高貴なオーラがにじみ出る

自然吸気式V12エンジンによる加速力は、いまや飛び抜けたものではありません。しかし、クルマ全体からにじみ出る気品はあまりにも高貴!

 

 

【モデル09】ラグジュアリーなスポーツGT

DB11/DB11ヴォランテ

2278万1177円〜2524万3177

5.2ℓV12ツインターボに、昨年4.0 ℓV8エンジン車が追加。クーペ(上)、オープントップのヴォランテ(下)ともに美しいプロポーションを誇ります。

SPEC【V8】●全長×全幅×全高:4750×1950×1290㎜●パワーユニット:4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:510PS(375kW)/68.8㎏-m(675Nm)

 

【モデル10】獰猛なデザインに刷新

ヴァンテージ

価格未定(2018年発売予定)

AMG製のV8ツインターボをはじめ、最先端技術が数多く搭載されたライトモデルの新型。“獰猛さ”を謳う大胆で斬新なニューデザインも特徴です。

SPEC●全長×全幅×全高:4465×1942×1273㎜●パワーユニット:4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:510PS(375kW)/69.9㎏-m(685Nm)

 

 

【ブランド05:マクラーレン】

メーカーの歴史は浅いが印象的なモデルを輩出

F1チーム「マクラーレン」の市販車部門として2009年に設立。ライバルと比べるとメーカーとしての歴史は浅いですが、印象的なスーパーカーを生み出してきました。なかでも、F1デザイナーが設計したマクラーレンF1は、センターシートを採用した、伝説に残るモデルでした。

 

【モデル11】扱いきれないほどの想像を絶する速さ

マクラーレン

720S

3338万3000円

世界最先端といわれるサスペンションシステムを採用。ワインディングやサーキットなど、高度なドライビングスキルが必要とされるシーンでも、驚異的な操作性を発揮する。限界領域でのコントロール性は群を抜いています。

●SPEC●全長×全幅×全高: 4543×1930×1196㎜●パワーユニット: 4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力: 720PS(537kW)/7500rpm●最大トルク: 78.5㎏-m(770Nm)/5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: MR

 

加速性や操縦性を追求した硬派なクルマ作りを貫く

F1の名門チームがスーパーカー製造に乗り出したという経緯は、かつてのフェラーリを彷彿とさせます。しかも、マクラーレンのクルマ作りの哲学はレーシングカーそのもの。つまりゴージャス感よりも、加速性や操縦性など、絶対的な速さを何よりも重視する“超硬派”メーカーです。世界的トレンドであるSUV市場にも参入しないことを宣言しています。

 

エンジンは全モデルでほぼ同一のV8ターボをベースとし、チューンナップの違いでパワーが異なります。720Sはその名の通り720馬力を誇り、超軽量のカーボン製ボディと相まって想像を絶する速さを見せつけます。速すぎて、公道ではどうにも扱いきれません。さすがはレーシングカーです。

 

 

【清水草一の目】

ついに完成した芸術的フォルム

速さを追うあまり芸術性に欠けていたマクラーレンだが、720Sでついに完成形に。MRスーパーカーとして、究極の美しいフォルムを得た!

 

【ココがスーパー!】

スポーツカーらしい跳ね上げ式ドア

スーパースポーツMP4-12Cから受け継いだ、跳ね上げ式のドア。低目の車高は上げることもできます。

 

スピードに応じて姿を変えるウイング

停車時は格納されているリアウイング。走行速度が上がるにつれて立ち上がる設計となっています。

 

未来的な雰囲気の異形ヘッドライト

エアインテーク(空気取入口)と一体でデザインされたフロントライト。車高の低さが強調される。

 

【モデル12】エントリーでも走りは一流

540C

2242万円

エントリーモデルという位置付けながら、0〜100㎞/h加速が3.5秒、最高速は320㎞/h。上級モデルと比べても遜色のないパフォーマンスを誇ります。

SPEC●全長×全幅×全高:4530×2095×1202㎜●パワーユニット:3.8リッターV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:540PS(397kW)/55.1㎏-m(540Nm)

 

【モデル13】GTは快適さも重視した設計

570GT

2752万7000円

同社のスポーツシリーズ。GTはSよりソフトに味付けされたサスペンションや横開き式テールゲートなどを備えるのが特徴。快適性を重視しています。

SPEC【GT】●全長×全幅×全高:4530×2095×1201㎜●パワーユニット:3.8ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:570PS(419kW)/600Nm(61.2㎏m)

 

 

【モデル14】基幹車もハイパフォーマンス

570S

2617万5000円〜2898万8000円

2016年、ベーシックライン「スポーツシリーズ」のなかで先陣を切ってデビュー。昨年にオープンモデルの570 Sスパイダーが追加されました。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高:4530×2095×1202㎜●パワーユニット:3.8ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:570PS(61.2kW)/61.2kg-m(600Nm)

 

【ブランド06:ロータス】

ロータスは英国人のコーリン・チャップマンが設立したレーシングチームで、後にF1の名門にまで成長。ヨーロッパは、マンガ「サーキットの狼」で主人公の愛車として知られています。市販車の開発も行っており、エランなどのライトウェイトモデルで人気を博しました。

 

【モデル15】汎用エンジンにチューンを施したスペシャルモデル

ロータス

エヴォーラ

1258万2000円〜1519万5600

ストイックに走りを極めたモデル。乗員の後方にエンジンを積むMR駆動方式を採用しながら後席シートが設置され、普段使いにも適した懐の深さを持ちます。フラッグシップとはいえ小型で扱いやすく、日本の交通環境でも持て余しません。

SPEC【400】●全長×全幅×全高: 4390×1850×1240㎜●パワーユニット: 3.5ℓV型6気筒スーパーチャージャーエンジン●最高出力: 406PS(298kW)/7000rpm●最大トルク: 41.8㎏-m(410Nm)/3000〜7000rpm●トランスミッション: 6速MT/6速AT●駆動方式: MR

 

【ココがスーパー!】

ロータス史上最もパワフル

エヴォーラは多彩なラインナップも特徴。昨年限定販売されたGT430(写真)は最もパワフルです。

 

V型6気筒エンジンはエスティマと共通!

ベースは何とトヨタ製V6エンジン。独自のチューニングを施すことでスポーティに仕立てています。

 

簡素なインテリアに高級感も漂う

必要なもの以外を省いたインテリアがロータス車の特徴。エヴォーラでは高級感が演出されています。

 

トヨタ製V6エンジンがレース的なフィーリングに

小さなエンジンを小型・超軽量のボディに乗せて、大パワーのスーパーカーを食う。ロータスは、そんな独自のスタンスを持つメーカーです。スーパーカーブームを象徴する一台であるヨーロッパはその典型。同社の哲学は、現行のエリーゼやエキシージに生きています。

 

フラッグシップモデルのエヴォーラは、それらよりもやや大きなボディを持ちます。エンジンは、なんとトヨタ製の3.5ℓV6を採用しています。ただし、そのエンジンフィールはトヨタ製とは到底思えないほどスポーティで、さすがはロータスチューンと唸らされる。同社としては大きめのボディのため、快適性も高いです。乗ればヒラリヒラリと、フィギュアスケーターのように路上を舞ってくれます。

 

【清水草一の目】

妥協を感じないコーナリング性能
ロータス車としてはやや大きく重いですが、公道走行ではこのあたりがベスト。同社の命であるコーナリング性能には妥協が感じられない!

 

【モデル16】爽快な走りの軽量モデル

エキシージ

880万円〜1366万2000

エントリー車のエリーゼをベースとした軽量スポーツモデル。クルマと一体になって走れる爽快感は、スーパーカーのなかでもすば抜けて高いです。

SPEC【スポーツ380】●全長×全幅×全高:4080×1800×1130㎜●パワーユニット:3.5ℓV型6気筒スーパーチャージャーエンジン●最高出力/最大トルク:380PS(280kW)/41.8㎏-m(410Nm)

 

【ブランド07:シボレー】

パワフルなスーパーカーが世界を魅了し続ける

シボレーは、アメリカ「BIG3」のひとつゼネラルモーターズの主要ブランドのひとつ。同ブランドのスーパーカーといえば、1954年にデビューしたコルベットです。パワフルな大排気量エンジンやマッチョなスタイリングで、北米だけでなく世界を魅了し続けています。

 

【モデル17】マッチョなアメ車の象徴が現代的でスタイリッシュに

シボレー

コルベット

1120万2500円〜1545万4800円

初代登場から約65年の歴史を持つ、アメリカンスーパーカーの代名詞モデル。多気筒、大排気量というアメ車の定石に則った作りが魅力です。欧州系スーパースポーツとも互角に渡り合える個性とパフォーマンスを持ち合わせています。

SPEC【グランスポーツ クーペ】●全長×全幅×全高: 4515×1970×1230㎜●パワーユニット: 6.2ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 466PS(343kW)/6000rpm●最大トルク: 64.2㎏-m(630Nm)/4600rpm●トランスミッション: 7速MT/8速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

大迫力の排気音が気持ちを高ぶらせる

4本のマフラーがリアバンパー下部中央に並びます。その排気音も大迫力で、気分を高めてくれます。

 

大ボンネット内のフロントエンジン

フロントの長大なボンネット内に収められた6.2ℓV8エンジン。次期型はミッドシップという噂も。

 

オープン仕様のコンバーチブル

オープン仕様のコンバーチブルも人気が高い。アメリカの西海岸を走る姿をイメージできます。

 

ワイドな車体に強力エンジンを搭載

グランスポーツが昨年に追加されました。さらにワイド化された車体に強力なエンジンを搭載しています。

 

アメ車らしいパワフルさと緻密なテクノロジーが融合

コルベットは、アメリカ唯一のスーパーカー。アメ車というと、大排気量のパワーだけで押す直線番長というイメージが一般的ですが、コルベットは違います。なかでも、Z06やZR1といったスペシャルモデルは、600馬力を超える大パワーを、レーシングテクノロジーを生かして見事に路面に伝えます。その緻密な設計には、「これがアメ車か?」と感嘆させられます。

 

ただし、いたずらにハイテクを追ってはいません。コルベットのエンジンは、古めかしいOHV(オーバーヘッドバルブ)方式を採用。バイクでいうハーレー・ダビッドソンのような、独特のアメリカンなフィーリングをしっかり感じられます。伝統を守ることもまた、スーパーカーの命なのです。

 

【清水草一の目】

十分な性能だがもっとマッチョに!

性能は文句なくアメ車の味わいも十分ですが、スタイルに「フェラーリコンプレックス」が色濃い。個人的にはさらなるマッチョ感を望む!

 

 

【ブランド08:ポルシェ】

超有名ブランドにしてスポーツカーの象徴でもある

フォルクスワーゲンの開発者だったフェルディナント・ポルシェ博士とその息子が創業した超有名ブランド・ポルシェは、マニア垂涎のスポーツカーメーカーだ。すでに50年以上販売され続けているフラッグシップモデル911の歴史は、スポーツカーの歴史です。

【モデル18】スポーツカーのベンチマーク的存在

ポルシェ

911

1244万円〜3656万円

長きにわたってRRの駆動方式を中心に採用している、スポーツカーのベンチマーク的存在。走行性能の高さはもちろん、カレラシリーズをはじめとするターボ系やGT3といった、多彩なバリエーションを揃えていることも人気の要因です。

SPEC【カレラ4 GTS】

●全長×全幅×全高: 4528×1852×1291㎜●パワーユニット: 3.0ℓ水平対向6気筒ターボエンジン●最高出力: 450PS(331kW)/6500rpm●最大トルク: 56.1㎏-m(550Nm)/2150〜5000rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

簡素ながらもスポーティな内装

内装はシンプルかつスポーティ。MT車もラインナップしますが、現在では販売のほとんどがATです。

 

伝統のRR駆動を継続して採用

911では、ボディ後方に水平対向エンジンを搭載し、後輪で駆動するRRが継続して採用されてきました。

 

レーシングカーと同等のエンジン

今年のジュネーブショーでデビューしたGT3 RS。歴代最高性能のノンターボエンジンを搭載します。

 

 

【清水草一の目】

スタンダードほど快適性が高い

グレード構成が幅広く、性能も大差がありますが、スタンダードクラスほど快適性が高いのが特徴。トップエンドはまるでレーシングカーです。

 

操縦性や快適性も備えた無敵のスポーツカー

ポルシェは以前より、4人乗りで前部にトランクを備える、“最低限の実用性”を持つスポーツカーとして支持されてきました。そのため、「ポルシェはスーパーカーではない」と見る向きもあります。ですが、少なくともトップエンドモデルでは、あらゆる性能が「スーパー」。GT3やターボSがそれです。

 

かつては「バババババ」と回る空冷エンジンがポルシェの代名詞でしたが、効率化のため水冷になってすでに20余年。快適性も大幅に向上し、“楽チンにブッ飛ばせる”無敵マシンとなっています。RRレイアウト車では、お尻が重すぎて操縦性がシビアだったのも昔の話。課題をすべて解決した現代のポルシェは、何ひとつ犠牲にしないオールマイティなスーパーカーです。

 

【モデル19】時代の声に応えるミッドシップコンパクト

718ケイマン

673万〜999万円

車名に「718」が追加されたコンパクトスポーツは、エンジンをダウンサイズするなど大幅改良。燃費性能もなおざりにせず、時代に合わせた進化を遂げています。

SPEC【GTS】●全長×全幅×全高:4393×1801×1286㎜●パワーユニット:2.5ℓ水平対向4気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:365PS(269kW)/43.8㎏-m(430Nm)

 

【モデル20】開放感きわまるミッドシップオープンスポーツ

718ボクスター

712万〜1038万円

水平対向エンジンをミッドシップ搭載するオープンスポーツ。1996年に登場し、現行型で3代目となります。クーペ仕様のケイマンは、同車の2代目から派生しました。

SPEC【GTS】●全長×全幅×全高:4379×1801×1272㎜●パワーユニット:2.5ℓ水平対向4気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:365PS(269kW)/42.8㎏-m(420Nm)

 

【ブランド09:メルセデス・ベンツ】

【モデル21】レーシング魂を感じられるスーパースポーツクーペ

メルセデス・ベンツ

AMG GT

1709万円〜2325万円

同社のスポーツブランドであるAMGのレーシングスピリットとテクノロジーが投入されたスーパークーペ。往年のレーシングカー300SLを彷彿させる「AMGパナメリカーナグリル」を採用した外観が、独特のキャラクターを構築します。

SPEC【R】●全長×全幅×全高: 4550×1995×1285㎜●パワーユニット: 4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力: 585PS(430kW)/6250rpm●最大トルク: 71.4㎏-m(700Nm)/1900〜5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

強大なパワーを誇る4.0ℓエンジン

4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジンに、7速のAMGスピードシフトDCTを組み合わせました。強力なパワーを後輪に伝えます。

 

軽量トップで高い静粛性を実現

オープンのロードスターは、マグネシウム、スチール、アルミを組み合わせたソフトトップを採用。軽量ながら静粛性も高いです。

 

存在感を主張するスタイリング

ワイドなボディ幅に超ロングノーズを備えた迫力のスタイリング。同ブランドの最高峰モデルであることをアピールしています。

 

ブランドの名に恥じない高級感

室内は適度にタイトで、同社らしく様々な高級素材が採用されているのが特徴。上質感にあふれた雰囲気が演出されています。

 

 

メルセデスらしからぬ危険な香りがプンプン漂う

AMGのコンセプトは、「ベンツの快適さはそのままに、戦車のごとく力強く、ミサイルのごとく速く移動するマシン」だ。しかし、AMG GTは少し異なります。何しろ、同車は専用設計のスーパーカー。FRレイアウトのため、あり余るパワーを路面に伝えきれず、簡単にホイールスピンをかます。雨の日に乗ろうものなら、メルセデスらしからぬ危険な香りがプンプンと漂うことでしょう。

 

しかし、さすがはメルセデス、実用性のことは忘れていませんでした。同車にはまもなく4ドアクーペが追加されます。そちらは4WDのみで、ハイブリッド車も用意されます。ハイパワー版は最高315㎞/hで、もちろんAMGらしく力強い走りも楽しめるはずです。

 

【清水草一の目】

伝統から脱却したキモカッコ良さ

目を引くのは、深海生物的なぬめっとしたフォルム。スーパーカーの伝統的なカッコよさとは一線を画した、キモカッコ良さがあるぞ!

 

 

【ブランド10:BMW】

「スーパーPHEV」で世界に衝撃を与えた

BMWは、M1やZ8など歴史に残るスーパーカーを発売してきました。同社ではZ8(2003年に販売終了)以来となるスーパーカーのi8は、なんとプラグインハイブリッド仕様。スーパーカーのイメージとは相反する高い環境性能を備えた同車の登場は、世界に衝撃を与えました。

 

【モデル22】BMWが歩む道を示す近未来スーパークーペ

 

BMW

i8

2093万円〜2231万円

エコカーとして注目されているプラグインハイブリッドカーを、スポーティなクーペスタイルで実現した次世代スーパーカー。コンパクトカーに匹敵する燃費性能と、他のスーパーカーに劣らない走行パフォーマンスを両立します。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高: 4690×1940×1300㎜●パワーユニット: 1.5ℓ直列3気筒ターボエンジン+モーター●エンジン最高出力: 231PS(170kW)/5800rpm●エンジン最大トルク: 32.6㎏-m(320Nm)/3700rpm●トランスミッション: 6速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

約15秒で開閉するオープン車が追加

最新の改良ではオープンモデルが追加されたのが目玉。スイッチを押せば約15秒で開閉できます。

 

上方へと開くバタフライドア

低くワイドなスタイリングはいかにもスーパーカー。上方開きのバタフライドアがそれを強調します。

 

出力がアップした電動パワートレイン

デビュー5年目にして改良されたパワートレインは出力が大幅に向上。バッテリー容量も拡大されました。

 

近未来デザインのインパネ回り

大画面を備えたインパネ回りは近未来的。「スポーツ」モードでモーターの機能が最大に発揮されます。

 

どんなスーパーカーより未来的なルックスと構造

走りの性能という点だけ見れば、i8をスーパーカーと呼ぶことに抵抗を感じる人もいるでしょう。しかし、そのルックスや構造は、どんなスーパーカーよりも未来的です。

 

アルミとカーボンの組み合わせによる超軽量ボディに積まれるのは、たった1.5ℓの3気筒エンジン+電気モーターのハイブリッドシステム。システム最高出力は374馬力と、600馬力が当たり前のスーパーカー界においては見劣りする。とはいえ、プラグインゆえにモーターのみで50㎞ほど走行することも可能で、新世代のサステナブルなスーパーカーとしてその地位を確立しつつあります。最新のマイナーチェンジでオープンモデルも登場。スーパーカーとしての価値をさらに高めています。

 

 

【清水草一の目】

スーパーカーの新境地を開いた

絶対的な速さを捨て、未来のデザインと抜群の環境性能で存在感を示しています。従来モデルにはないスーパーカーの新境地を開いた意欲作です!

 

【ブランド11:アウディ】

レース技術を満載するR8が初のスーパーカーとして成功

アウディはこれまでに数多くのスポーツモデルを手がけてきましたが、スーパーカーとして開発されたのは、2006年に登場したクーペ型のR8が初めて。レースで磨かれたテクノロジーを満載する同車の販売は成功し、16年には2代目へとモデルチェンジを果たしました。

 

【モデル23】インテリジェンス溢れるプレミアムスポーツ

アウディ

R8

2456万円〜2906万円

同車史上最高性能を誇るV10ユニットをミッドシップ搭載し、最高出力540PS/最大トルク540Nmを発揮。圧倒的なポテンシャルを持ちながらも日常的な場面で気難しさは皆無で、扱いやすいスーパーカーに仕上げられています。

SPEC【スパイダー】●全長×全幅×全高: 4425×1940×1240㎜●パワーユニット: 5.2ℓV型10気筒エンジン●最高出力: 540PS(397kW)/7800rpm●最大トルク: 55.1㎏-m(540Nm)/6500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

日常的に使いやすいスマートな加速性能

デュアルクラッチトランスミッションの7速Sトロニックを搭載。加速はスマートでスムーズです。

 

コックピット風のスポーティな運転席

戦闘機のコックピットを思わせるスポーティな運転席。正面に大型ディスプレイも備えるのも特徴です。

 

最先端技術を用いて設計されたボディ

ボディ素材にはアルミやカーボンを採用。下面は空力性能に配慮してフラットな設計になっています。

 

クールで高級感のあるスタイリング

プレミアムブランドらしい上質感に満ちたデザイン。プラスグレード(左)のスポイラーは固定式です。

 

理知的でジェントル、それでいて官能的

アウディは1999年からランボルギーニの親会社となったことで、スーパーカー作りのノウハウを吸い上げてきました。そして、アウディならではのスーパーカーとして誕生したのがR8です。

 

現行型の2代目R8は、V10エンジンなどをランボルギーニ ウラカンと共有しますが、乗り味はまったく異なります。ひたすら獰猛なウラカンに比べると、R8は理知的でジェントル、それでいて官能的。アウディらしい、安心できるスーパーカーに仕上がっています。駆動方式はもちろん、アウディ伝統のクワトロ(フルタイム4WD)です。

 

ルックスでは、他のアウディ車と同様に、シングルフレームグリルを備えるのが特徴。“一族”であることをアピールしています。

 

 

【清水草一の目】

効率を求めずに官能性を追求

いたずらに効率性を追うことなく、あえて自然吸気式のV10エンジンを温存したのがポイント。官能性を追求しているのが素晴らしい!

 

 

【ブランド12:レクサス】

真の実力が垣間見れるトヨタの高級ブランド

レクサスはトヨタの高級ラインという位置づけ。2010年に500台限定のスーパーカーLFAを発売するなど、ブランドのスペシャルなイメージを構築してきました。昨年には、カタログモデルの大型クーペとしてLCが登場。LFA以来のレクサススーパーカー復活となりました。

 

【モデル24】ラグジュアリーなルックスに意欲的なメカニズムを搭載

レクサス

LC

1300万円〜1525万円

これ見よがしに主張するスーパーカーとは一線を画し、プレミアムブランドにふさわしい快適性を備えた、懐の深さを信条とするラグジュアリークーペ。大パワーを生かした攻めの走りというよりは、優雅にクルージングする姿が似合います。

SPEC【LC500 Sパッケージ】●全長×全幅×全高: 4770×1920×1345㎜●パワーユニット: 5.0ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 477PS(351kW)/7100rpm●最大トルク: 55.1㎏-m(540Nm)/4800rpm●トランスミッション: 10速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

2種類の最新パワートレインを用意

パワートレインは、加速感に趣のある5.0ℓV8エンジンと、環境性能に配慮したハイブリッドを設定。

 

スポーツ走行をサポートする機能

後輪自動操舵システムやギア比可変ステアリングなどの機能を搭載。最新テクノロジーを駆使します。

 

触感まで追求したプレミアムな内装

内装の素材や形状は、触れるところのフィット感まで計算し尽くされています。高級車らしさが光ります。

 

高出力エンジンの快音はまさにスーパーカーのそれ

一見するとラグジュアリークーペのLCだが、なにしろ5ℓのV8自然吸気エンジンを積んでいるのですから、スーパーカーと呼んでさしつかえはないでしょう。

 

実際に走ってみると、ボディは約2tあるため加速はそれほどでもありませんが、その快音はまさにスーパーカー。V6エンジン+電気モーターのハイブリッドモデルをラインナップしているところに、トヨタらしい気遣いが感じられます。

 

【清水草一の目】

実用性を含めて高い完成度を誇る

性格的には高級クーペですが、その完成度は驚くほど高く、メルセデス・ベンツ SLなどに対抗できます。スタイリッシュで快適性もピカイチ!

 

 

【モデル25】従順な操作感で安心・安全

RC F

982万4000円〜1059万4000

LCよりひとクラス小さいクーペ車のRCに設定されたハイパフォーマンスモデル。操作感は従順で、安全かつ安心して大パワーを堪能できます。

SPEC●全長×全幅×全高:4705×1850×1390㎜●パワーユニット:5.0ℓV型8気筒エンジン●最高出力/最大トルク:477PS(351kW)/54.0㎏-m(530Nm)

 

【ブランド13:ホンダ】

日本を代表するスーパーモデルが2016年に復活!

ミッドシップレイアウトやアルミモノコックボディなど、先進のスタイルとメカニズムで1990年に登場した初代NSXは、日本初のスーパーカー。一時生産中止となっていましたが、2016年に復活し、世界中のファンを歓喜させました。

 

【モデル26】高性能でモダンな現代的ハイパースポーツ

ホンダ

NSX

2370万円

パワーユニットは、V6ツインターボエンジンと3基のモーターによって構成される「SPORT HYBRID SH-AWD」を搭載。モーターとエンジンの協調によるパワフルな加速を実現しつつ、優れた環境性も発揮します。

SPEC●全長×全幅×全高:4490×1940×1215㎜●パワーユニット:3.5ℓV型6気筒ツインターボエンジン+モーター●エンジン最高出力:507PS(373kW)/6500〜7500rpm●最大トルク:56.1㎏-m(550Nm)/2000〜6000rpm●トランスミッション:9速AT●駆動方式:4WD

 

【ココがスーパー!】

4WDで洗練された走行フィーリング

モーターを用いた4WDが極めてスムーズな加速を実現。コーナリング中の挙動変化も抑えられます。

 

ターボが加えられた現代的なエンジン

3.5ℓV6エンジンにはターボが加えられました。独立制御される3基のモーターもスポーツ性能を高めます。

 

10年を経て登場した2代目は圧倒的な走りが健在!

日本初のスーパーカー・NSXの2代目は、初代が生産中止になってから10年を経てようやく登場しました。システム最高出力は581馬力を誇り、十分過ぎるほどに速いです。

 

しかもフロントのモーターのトルクを変化させることで、恐ろしいほど鋭く曲がります。スーパーカー日本代表の名に恥じない、卓越した走りを実現しています。

 

 

【清水草一の目】

最高クラスの走りを電子制御で実現

世界最高レベルの加速とコーナリングは、すべて緻密な電子制御の賜物です。一方で、スタイリングが凡庸で、何の特色もないのは残念。

 

 

【ブランド14:日産】

毎年のように改良されて性能がブラッシュアップ

2007年にデビューした日産初のスーパーカー・GT-Rは、同社がグローバル展開を視野に入れて開発した現代的なスーパースポーツ。ほぼ毎年のように改良モデルが登場し、走りを中心に性能がブラッシュアップされています。

 

【モデル27】走りが研ぎ澄まされた世界基準のジャパンスポーツ

日産 GT-R

1023万840円〜1870万200

スカイラインGT-Rの発展後継車で、圧倒的なパフォーマンスを誇る国産屈指のスーパースポーツカー。基本性能の高さはもちろんのこと、ハイテク装備による車両制御が実現する、異次元の操縦安定性は特筆ものです。

SPEC【NISMO】●全長×全幅×全高:4690×1895×1370㎜●パワーユニット:3.8ℓV型6気筒ツインターボエンジン●最高出力:600PS(441kW)/6800rpm●最大トルク:66.5㎏-m(652Nm)/3600〜5600rpm●トランスミッション:6速AT●駆動方式:4WD

 

ハイコスパな一台に世界中のファンが熱狂

初代GT-Rの登場から10年以上が経っているが、たゆまぬ進化により、いまでは実質的な世界最速車として認められています。その圧倒的な走行性能を考えれば、価格はかなりリーズナブルです。

 

海外に熱狂的なファンが多くいるのも同車の特徴。陸上100メートル世界記録保持者のウサイン・ボルトもそのひとりです。

 

【ココがスーパー!】

必要な情報を取捨選択して表示

インパネ中央にディスプレイを搭載。運転に必要な各種情報を任意で選んでデジタル表示できます。

 

ファンの郷愁を誘うテールランプ形状

丸目4灯式のテールランプは、唯一残されたスカイラインらしさ。ノスタルジーを感じさせます。

 

【清水草一の目】

チューニングで超パワーアップ

スペックを見るとそれほどでもありませんが、実際の速さは世界一。チューニングで1000馬力にすることもできるなど、ある意味で別格の存在です!

 

 

【連載をまとめたムックが好評発売中】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

 

20年ぶりにモデルチェンジしたジムニーの魅力とは?

スズキの軽自動車・ジムニーが、この度20年ぶりにフルモデルチェンジを行いました。ここでは、本格的なオフロード車として高い人気を誇るジムニーの新型の魅力に迫ります。

 

コンパクトな軽ながらプロも納得のオフロード性能を備える4WD

スズキ

ジムニー

145万8000円〜184万1400円

約20年ぶりのフルモデルチェンジとなった4代目。新開発ラダーフレームや、FRエンジンレイアウト、独自方式のサスペンションなどにより、高い悪路走破性を実現しています。

SPEC【XC・4AT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725㎜●車体重量:1040㎏●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS(47kW)/6000rpm●最大トルク:9.8㎏-m(96Nm)/3500rpm●WLTCモード燃費:13.2㎞/ℓ

 

↑同車伝統のラダーフレーム構造が進化。ねじり剛性を従来の約1.5倍に高めつつ、上下方向に柔らかくすることで乗り心地の良さも追求しました

 

↑シートは幅広のためオフロード走行でも乗り心地は良好。シート表皮には撥水ファブリックを採用するため、少々の水濡れなら問題ありません

 

↑リアシートを倒せば荷室容量は352ℓに。フロアは完全なフラットとなり、スクエアな室内空間と相まってスペースをムダなく使えます

 

本格オフローダーらしいスクエアなフォルムに回帰

ジムニーは軽自動車初の4WDとして1970年に登場。小型ボディならではの取り回しの良さと、それに見合わない悪路走破性の高さで人気となり、世界累計約285万台を販売するロングセラーです。

 

約20年ぶりとなる今回のフルモデルチェンジでは、スクエア型に回帰したボディに注目したいところ。近年のトレンドであるクロスオーバーSUV的な丸みを帯びたデザインとは一線を画し、メルセデス・ベンツ Gクラスのような本格オフローダーとしての風格をたたえています。新開発のラダーフレームなどを採用し、そのスタイリングに悖らない走行性能を備えるのも好印象。

 

衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」をはじめ、安全装備も最新機能を搭載。レジャー用途から山間部や積雪地などの交通手段に至るまで、あらゆるシーンで誰もが快適に使えるクルマに仕上げられています。

 

 

<LINE-UP>

1.5ℓエンジンで動力性能を高めた

ジムニーシエラ

176万400円〜201万9600円

ジムニーのデザインや使い勝手を踏襲しつつ、新開発の1.5ℓ「K15Bエンジン」を採用して動力性能を高めました。ジムニーと同じく、予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を搭載しています。

ロシアは「カーナビの進化」も独自! とあるナビアプリが自由すぎる

日本では車内設置型のカーナビもよく見かけますが、ここロシアでは、車内に残すと盗まれる可能性が高いので、スマートフォンやタブレット内のカーナビアプリを使うのが一般的です。そんなロシアでとってもユニークな、大人気カーナビアプリが存在。遊び心溢れるサービスで、ロシア人の心をわし掴みしたカーナビアプリを紹介します。

 

戦車や戦闘機でドライブ

ユニークなアプリを提供しているのは、世界4位の検索件数を誇るロシアの大手検索エンジン・ポータルサイト「ヤンデックス」。そのヤンデックスが出している、「Яндекс.Навигатор(ヤンデックス・ナビゲーション)」というアプリが好評を博しているのです。

 

基本設定では、現在地を表すカーソルは矢印になっていますが、矢印をスポーツカーや戦車、戦闘機の表示に変更することが可能。自分のクルマが戦車となって、ナビ上を動く様子は運転しながらもワクワクしてしまいます。

 

有名人とドライブしているかのようなナビシステム

ヤンデックスナビはロシアで誰もが知る有名人の声をナビゲーターに起用し、まるでセレブと一緒にドライブしているかのように楽しくドライブをすることが可能。声の出演者は、日本でいう徳光さん的存在のワシリーをはじめ、ラッパーのバスタ(日本でいうZEEBRAさん)、ガーリク(くりぃむしちゅー上田さん)、ナギエフ(明石家さんまさん)、映画監督のフョードル(宮藤官九郎さん)、人気映画トランスフォーマーのコンボイの声、さらに、大手インターネット会社「ヤンデックス」の営業部長でキャリアウーマンの憧れアクサナです。

 

一人ひとりの話し方や誘導がとても特徴的で、どれを選んでもドライブが楽しくなること間違いなし! なかでも人気はコメディアンのガーリク。行き先を設定した途端「俺はいま飲んできちゃったから、お前が運転な!」と、なんだかガーリクを助手席に乗せたような気分にさせてくれます。曲がり角を間違えると「もー、ちゃんと見ろよなー」と愚痴をこぼされることも。コメディアンの彼らしく、ナビには至る所にユーモアが散りばめられています。

 

また、ロシア映画賞など複数の映画賞を受賞したフョードル監督では、行き先を設定すると、「さぁ、いまから俺が監督として導く! 一緒に新しいストーリーを創り出そう!」と言ってナビがスタート。フョードルは運転手を俳優に見立て、監督が指示するように目的地までナビしてくれます。

 

また「変わりネタ」として人気なのは、唯一女性として収録されているヤンデックスの敏腕営業部長アクサナです。ロシアメディアでも強気なキャラクターとして有名なのですが、ナビではそんな彼女にガンガン指示されます。「速度制限よ。私が言うのだから、必ず守りなさい」と、実際に彼女の部下になったような指示が。目的地に到着した暁には「あら、あなたでも到着できたじゃないの」と、お褒めの言葉をもらうことができます。

スターウォーズにオンラインゲーム! アップデートしたくなる仕掛け

本製品は2017年末にスターウォーズとのコラボレーションを発表。なんとヨーダかダース・ベイダーに道案内してもらえるのです。また、現在地を表す矢印もXウイングなどの宇宙船に変更が可能。

 

ひとつひとつの表現も期待通り、ユニークに仕上がっています。「ヨーダバージョン」では行き先を入れると「わしについてこい。若き者よ!」、オービスの前では「気をつけろ、帝国にスピードを見張られているぞ!」、道路工事については「シスたちが道を掘っているようだ」と言ってくれます。一方、ダース・ベイダーでは行き先を登録すると「ダース・ベイダーはお前を待っていたぞ」、「スーパースターデストロイヤーは軌道に乗った」という声が聞こえてきます。スターウォーズのファンにとってはたまらないでしょう。

最新のアップデートでは、戦車を扱った参加型オンラインゲーム「World of Tanks(ワールドオブタンクス)」とコラボレーション。現在地を表す矢印のカーソルの代わりにТ-34-85など、ゲーム上で人気の戦車5台が表示されます。道路工事に差しかかると「対戦車障害物を避けろ」オービスが近づくと「スナイパーに狙われているぞ! 気を付けろ!」など、ナビ上で「World of Tanks」の世界を楽しむことができます。

有名人やコメディアンの声を起用することだけでもユニークですが、それだけではなく、ひとつひとつの表現までもそのキャラクターや作品に合わせる徹底ぶりがユーザーを楽しませています。遊び心溢れるシステムアップデートもユーザーを飽きさせることはありません。オリジナリティ満載のアイデアで、ダウンロード数を着々と伸ばしています。

寺岡呼人×横山剣が語る「クルマと音楽」――横浜の産業道路を走ると思い出す「SUMMERBREEZE」

 

ドライブ中、ふと昔なじみの道を通ることがあります。そんなとき、当時聴いていた曲が無意識に頭の中で再生されることってないですか? バイトへ行くときやドライブデートのときにヘビーローテしていた曲が、「そういえばここで聴いていたなぁ」と思い出とともに蘇ること、ありますよね。

 

シンガーソングライター兼音楽プロデューサーの寺岡呼人さんがナビゲートする「クルマと音楽」、今回はクレイジーケンバンドを率いる横山剣さんをお迎えしました。誰しもが各々に抱いている特別な思い出の曲――横山剣さんの場合は「SUMMERBREEZE」、それもアイズレー・ブラザーズがカバーしたバージョンとのことです。いまでもクルマで横浜の産業道路を走ると思い出すそうですが、いったいどんな思い出があったのでしょう。

 

【横山剣】

クレイジーケンバンドのリーダー、そしてダブルジョイレコーズの代表取締役も務める。中学時代からバンド活動に勤しみ、1981年にクールスのローディーからメンバーへと抜擢。1983年に脱退してからは数多くのバンドを経て、1997年にクレイジーケンバンドを結成。また数多のアーティストに楽曲を提供している、作曲家・プロデューサーとしての姿もみせる。

クレイジーケンバンド オフィシャルサイト:http://www.crazykenband.com/

 

「GOING TO A GO-GO」 

クレイジーケンバンド

2018年8月1日発売

クレイジーケンバンドのデビュー20周年を記念した約3年ぶりのニューアルバムがリリース決定! アルバムのテーマは「支離滅裂」。「だって作曲中毒の僕が3年もオリジナル・アルバム出すの我慢してたんだから!」と横山剣さんが語るように、ソウル、ファンク、ジャ ズ、ボッサ、レゲエ、ガレーヂ、和モノ、亜モノ、モンド、あらゆる音楽が爆発しています!

 

【寺岡呼人】

シンガーソングライター兼音楽プロデューサー。1988年、JUN SKY WALKER(S)に加入。1993年にソロデビューし、1997年にはゆずのプロデュースを手がけるようになる。ライブイベントGoldenCircleを主催し、FMCOCOLOの番組「CIRCLEOFMUSIC」で、さまざまな音楽とアーティストをナビゲートしている。筋金入りのオーディオマニアであり、カーマニアでもある。

寺岡呼人オフィシャルサイト:http://www.yohito.com/

 

家からスタジオまで、クルマで移動し始めた瞬間からトップギア!

寺岡 今日のテーマはクルマと音楽なんですけど、まずは音楽のお話から聞かせてください。僕は1988年にデビューして、今年30周年になったんですが、剣さんは1981年でしたっけ。

 

横山 そうです20歳の時です。

 

寺岡 僕も20歳でした、一緒なんですね! クレイジーケンバンドは昨年で20周年を迎えられたそうですが、実際のプロミュージシャン活動としては。

 

横山 37年なりますね。

 

寺岡 先日の渋谷クラブクアトロで行われた「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」を見てから、クレイジーケンバンドのファーストアルバム「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」を改めて聴いたら、僕がいうのもあれなんですけどその進化っぷりがすごいなぁと思いまして。現在は、どのように曲を作られているのか不思議なんです。

 

横山 まずはデモテープ作りですね。自宅には録音設備がないので、スタジオで全部作業しています。スタジオまで、クルマで移動している間にアイデアが出てきたりするものでして。

 

寺岡 その前までは真っ白なんですか?

 

横山 真っ白です。頭のなかに、おぼろげなメロディがあったりはするんですけど。

 

クルマに乗り、スタジオに移動する時間からトップギアに入れるという横山さん。その間に脳内で煮詰めた最新のフレーズを持って、スタジオという現場に乗り込むのですね。

 

寺岡 クレイジーケンバンドのサイクルとしては、夏のツアーがあって、その前にレコーディングがあると思うのですが、その間の製作期間って、僕の想像だとかなり短いのではないかと。

 

横山 2月くらいからスタジオに入ってますね。とはいっても、ずっとスタジオに入れるわけではないんですが。

 

寺岡 曲そのものは、どのような作り方をしていますか?

 

横山 歌メロよりも先にベースラインから思いついてしまうことも多いですね。ベースラインから考えてそれにコードをつけていきます。それをメンバーに聴いてもらって直したりとか。

 

寺岡 じゃあ最初は剣さんお一人で!

 

横山 はい。鍵盤でなんですけど、それでベースを弾いています。で、僕が好きなタイプのベーシストの感じで「弾いてくれる?」とシンヤくん(クレイジーケンバンドのベーシスト洞口信也さん)に頼んだりして。ドラムはドラムループの音源を使ったりするんですが、何もないときは自分で叩いていますね。最後までは叩けないので、それでループを作ったりしています。

 

寺岡 そうやってイメージを固めていくのですね。

 

 

「みんなのうた」の「山鳩ワルツ」は構想50年!

寺岡 もっと不思議なのは歌詞なんですよね。何でこのトラックでこの歌詞なんだろうと思うことがあって(笑)。剣さんの頭の中はどうなっているのかと不思議で不思議で仕方がないんです。いま、かっこいいトラックって高校生でも作れるかもしれないけど、プロというか、音楽で個性を出すって最終的には歌詞かなと思うんです。「山鳩ワルツ」とかすごいじゃないですか。なんで山鳩が出てくるんだろうと。

 

横山 あれはですね、構想50年以上の曲なんですよ。

 

寺岡 本当ですか! 歌詞の通り、本当に親戚のおじさんとの思い出からですか!

 

横山 本当です。山鳩の鳴き声って、「クークー、ポーポー、」と三拍子で鳴っているという思い込みがずっとありまして。これは何だろうなと気になりながらツチャッチャチャー、ツチャッチャチャーとTAKE5っぽいリズムが思い浮かんだりして。「山鳩ワルツ」はNHKの「みんなのうた」が決まったときになにか良い題材がないかと考えて、そうだ山鳩だ! と。それまでタイトルと「クークー、ポーポー、」だけはずっとあったんだけど、そこから先に進んだことはなかった。今回初めてそこから進んだんですよね。だから構想50年以上です(笑)

 

情緒たっぷりの歌詞にジャジーなワルツが魅力の「山鳩ワルツ」に、そんなバックグラウンドがあっただなんて、びっくりですね。

 

横山 あと、踏切が開くのを待っているときに退屈だったから、「カーンカーンカーンカーン」の音に合わせてリズムを作ったりして、いつか曲にしようとか。電車の「ガタンゴトン」から曲にしてやろうとか。

 

寺岡 じゃあ「そうるとれいん」も、そういう鉄道のイメージがあったんですね。

 

横山 今回の「GOING TO A GO-GO」もそうです。生活音や擬音か何かから生まれたメロディやリズムが入っています。

 

クレイジーケンバンド20周年を象徴する「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」

寺岡 「GOING TO A GO-GO」といえば過去アルバムで一度はボツになったという「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」が入っていましたよね。あれも当時のデモテープみたいのがストックしてあったんですか。それとも頭の中にあったのでしょうか。

 

横山 あれは、当時「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」のアルバムのためにレコーディングをしていたんですよ。だからドラム、ベースギター、ボーカルは、20年以上前の当時のまんまの音です。

 

寺岡 あ、だから声がお若い! なるほど!

 

横山 デッドストックです。そのサウンドにいまの音をトッピングして、20年かかって完成した曲なんですよ。

 

寺岡 じゃあ当時のマルチトラックのマスターがあって、それをコンバートしたんですね。でも、もう機器がないですよね。

 

当時、ヨンパチこと48トラックの録音ができるPCM-3348でレコーディングをしていた横山さん。このマルチレコーダーは現在メンテナンスサービスが終了しており、実働状態のものが少なくなってきているそうです。

 

横山 ダメ元でやってみたんだけどちゃんと再生できて、「よしっ!」って感じでしたね。クレイジーケンバンドにはその当時サックス一本しかなかったんです。でも「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」はホーンセクションがないとダメだよなと思ってて。いやあ、あの時出さなくてよかった、いまこの編成でこそやってよかったですね。

 

寺岡 全部やり直そうとは思わなかった?

 

横山 やっぱり20周年を記念するアルバムなので、それを象徴するようなものってないのかなと考えたんですよ。ゼロから作るよりもその当時のデッドストックから仕上げるというのも一つの手だなと。

 

寺岡 あと今回は全体の音が柔らかくも研ぎ澄まされてる感じがしました。すごく音が良くて抜けていて、「ここに来てこういう音を出すんですか!」と落ち込むぐらいでした。

 

横山 結構好みの音ですね。ちょっとやりすぎちゃったかなという気もするけど。マスタリングはBernieGrundman Mastering Tokyoの前田さんにお願いしています。デジタルすぎると角が立って音が痛いと思ったから、アナログの機材でマスタリングするところじゃないとダメだと考えまして。

 

寺岡 そうなんです。アナログで録ったみたいな音ですよね。ある意味、剣さんがやってこられたことの集大成的なすごく良い音で本当によかったです。ところで、クレイジーケンバンドのライブって何度見てもまったく飽きないというのが不思議なんですよね。例えば同じオチがありますけど、あれもどっかで待っている感じがあるし。

 

横山 チャックベリーのダックウォークとかJBのマントショーとか。わかっているのに待っているところがありますよね。

 

寺岡 そういうときにクレイジーケンバンドのような大編成だからこそいい意味での「ドリフ感」があるというか、何回か見ると年齢を問わず病みつきになっちゃう要素がありますよね。

 

 

小学生時代は一人で東京モーターショー見学に行っていたほどのカーマニア

寺岡 クレイジーケンバンドにはクルマの曲も多いし、ファンの人たちにとってクルマと剣さんって切っても切れない関係だと思うんですけど、そもそもクルマに興味を持ったきっかけは何だったんですか?

 

横山 5歳のとき、幼稚園の同級生のお父さんがベレット1600GTに乗っていたんです。その子の家に遊びに行くとお父さんとクルマ話をするわけですよ。「これツインキャブですか」とか言うとエンジンかけてくれたり、「かっこいい!」と言うとその友だちをほっておいてクルマに乗せてくれたりして。同様に、友だちのお父さんが乗っている日野コンテッサとかプリンススカイライン54Bとか、そういったクルマに興味を持っていましたね。

そして6歳のとき、父親に「より特化したものを見せてやる」と言われて、三船敏郎さんが出てる「グラン・プリ」という映画を観に連れて行ってもらったんですよ。これはF1をテーマにした作品なんですけど、ここからモータースポーツに入りましたね。

 

「路面電車」「ベレット1600GT-CKB仕様」「アメ車と夜と本牧と」などなど、クルマがモチーフとなった曲が多いクレイジーケンバンド。横山さんご自身もクルマが好きだとは聞いていましたが、まさか5歳のときからハマっていたとは!

 

寺岡 日本だと18歳からしかクルマの免許は取れないじゃないですか。5歳からの18歳までの13年間はどうだったんでしょう。

 

横山 晴海の見本市会場でやっていた東京モーターショーに行っていました。友だちにもカーマニアはいたけど、一緒に行くと集中できないので一人で行ってました。

 

寺岡 小学生で! 会場には当時の新車が並んでいたんですか?

 

横山 あとコンセプトカーですね。東京モーターショーにコンセプトカーが出ると、翌年にその市販版が発売されるという時代でした。確か1970年のモーターショーでセリカとカリーナがデビューしたんですが、もうほんとにセンセーショナルでしたね。

 

気がつかずに買ってしまったアメ車は7500cc!

寺岡 ご自分で一番最初に乗ったクルマは?

 

横山 18歳のときに買ったサニー1200GXです。ただそれはレース用なので公道は走れなかったんですよ。あとオールズモビルのカトラスも買いました。これ7500ccでした。

 

寺岡 ななせんごひゃくしーしー!

 

横山 35万円くらいで売っていて、「これは俺、買える!」と思って買ったんですが、まさかそんなに排気量があるとは知らなくて、車検証を見て「え!? 7500cc!?」と。知らないで買っちゃったんですよ。そして1年経つと13万円弱の自動車税が(笑)

 

寺岡 だから人気がなく安かったのか…。ではその2台から始まってたくさん乗り換えてきたんですよね。

 

そうして教えていただいたクルマ遍歴のすごいこと、すごいこと。スカイライン2000GT、アルファロメオ1750GT、ベレットGTは3種類乗り継いだし、オールズモビルのカトラスも多数乗り換えてきています。

 

横山 急に気分が変わってアコードのエアロデッキとか、ワーゲンのタイプ3をフラット4に改造してもらってすごく速くしたり。

 

寺岡 目黒通り沿いのワーゲン専門店ですよね。

 

横山 そうです。「これちょっと速くしてほしいんですけど」って(笑)

 

寺岡 じゃあクルマの乗り換えは、10年とか3年毎といった周期的ではなかったと。

 

横山 もう次から次へでしたね。

 

寺岡 「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」には、曲名にキャデラックの名前が使われていますけど、キャデラックも乗っていたんですか。

 

横山 最初に乗ったのはフリートウッドブロアムです。ローライダーにしようと思って買ったんですけど、フルノーマル状態で見たらこれはカスタムしたらもったいなと思いましたね。その次はコンコース。その次はCTS。いわゆる現代車ですね。今月にATS-Vという小さめのクルマが来ます。

 

 

ヨコハマの女子ウケがよかった曲はアイズレー・ブラザーズの「SUMMERBREEZE」

寺岡 クレイジーケンバンドの「中古車」という曲の、「カーステレオのなかに得体の知れないカセットテープが入っていた」っていう歌詞が面白いですよね。

 

日本の自動車メーカーの名前を羅列していますが、曲調はエスニックな雰囲気が濃厚の「中古車」。前のオーナーが残していったテープを聴いたら、得体が知れないけど懐かしくも美しいビートが流れる…という歌詞なのです。

 

横山 当時の横浜の港は、パキスタン人の車業者が多かったんですよ。その人たちはパキスタンの音楽が入ったカセットテープを聴いていたのですが、あるときその業者が扱う中古車を試乗したら、パキスタンの音楽が流れ出したんです。カセットテープを抜き忘れてていたと。で、「なんだこの曲は!」と、業者の方にカセットテープを譲ってもらいまして。

 

寺岡 ではあの歌も実話なんですね。クルマで聴く音楽って、最初はカセットテープだったと思うんですけど、こだわりの選曲をした思い出ってありますか。

 

横山 ありましたね。特にデートのときは気合い入れましたね。でもカセットテープはCDと違って、そのタイミングでその曲が来てくれるか、わからないじゃないですか。だから夕暮れ時にムーディな曲をかけたいと思って、気づかれないように巻き戻したりするんだけど、女の子はお喋りに夢中で、そのシチュエーションになっても曲に気づいてくれなかったりとか(笑)。いまでもデートコースだった場所を通ると、頭の中で鳴るんですよね、昔聞いた曲が。

 

寺岡 ありますあります!

 

横山 当時は毎年夏になると本牧市民プールにラジカセのでかいのを持って行ってたんです。そのときかけていた曲のなかでも、特に女の子が反応する曲があったんですよ。それがアイズレー・ブラザーズの「SUMMERBREEZE」。これかけてると結構釣れるといいますか(笑)

 

寺岡 じゃあ「タオル」の歌詞はまさに!

 

横山 その思い出を曲にしました。いまだに産業道路をクルマで走っていて、本牧市民プールの看板をみると、「サマーブリーズ~」と鳴るんですよ。

 

寺岡 そういう音楽との出会い方っていうのもいいですよね。音楽との接し方が変わってきている現在ですが、色々な音楽の聴き方をしてほしいなと思いますね。

 

ちょい聴きだったらオンラインサービス。本気で欲しくなったらパッケージ

寺岡 ところでクルマの中ではどのように音楽を慣らしていますか?

 

横山 いまのクルマにはCDプレーヤーがないので、iPodからBluetoothで飛ばして聴いています。でもCDの方が音がいいので、次に来るキャデラックにはCDプレーヤーをつけましたね。

 

寺岡 お、iPodですか。

 

横山 電話がガラケーなんで、音楽はiPodに任せてます。

 

寺岡 ご自宅で聴くときはどうでしょう。

 

横山 自宅はCDとアナログと、パソコンに保存した曲を聴くことが多いのですが…ボリューム上げるとうるさいと言われてしまう(笑)

 

寺岡 よくわかります(笑)。ところで、いわゆる音楽配信サービスについてはどう捉えていますか?

 

横山 娘はそれで聴いてます。僕はやり方が分からないので娘に教えてもらって。ちょい聴きしたいものにはいいですよね。その曲が気に入れば、CDやアナログのパッケージが欲しくなってきます。

 

寺岡 ほどよく利用しているわけですね!

 

横山 そういうことになります(笑)

 

↑実は音楽ストリーミングサービス大好きという寺岡さんは、愛車に装着したパイオニア・サイバーナビの「ミュージッククルーズチャンネル」をよく聴いています。音質もハイクオリティなサイバーナビだから、作成中の音源チェックを車内で行うこともしばしば

 

撮影/横山勝彦

 

サッカー日本代表・吉田麻也選手がランドローバーの新アンバサダーに就任!! その理由は?

日本が2大会ぶりにベスト16に進んだサッカーワールドカップ。その興奮の余韻が残るなか、東京・銀座の「JAGUAR LAND ROVER STUDIO」に日本代表のセンターバック、吉田麻也選手が現れた。ランドローバーの新アンバサダー就任式典に出席するための登場だ。サッカー解説者の北澤 豪氏とのトークセッションも行われ、ワールドカップの裏話なども含め、式典は大いに盛り上がった。

↑ランドローバーの新ブランド・アンバサダーに就任したプロサッカー選手の吉田麻也氏。右は2018年に入って新たにラインナップされた「ヴェラール」

 

↑ランドローバーの歴代アンバサダーに加わり、パネルにサインをした吉田選手

 

イギリスと日本の架け橋に

式典の冒頭、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマグナス・ハンソン社長が登壇し、吉田選手をアンバサダーに起用した背景について説明した。

 

「吉田選手はイギリスのプレミアムリーグで7年目となり、日本人として初めて100試合以上のゲームに出場している。ランドローバーと同じように、イギリスと日本の架け橋になるべく就任していただいた。吉田選手は際限なく完璧を目指して頑張っており、それは“Above & Beyond”というランドローバーのフィロソフィーと同じ。ランドローバーに乗ってもらうことで、吉田選手が次なるチャレンジに邁進する助けができると思っている」(マグナス・ハンソン社長)

 

その後、ハンソン社長が吉田選手を招き入れると、「Welcome to Land Rover Family!」と吉田選手に声をかけながらランドローバーのビッグキーを手渡した。今後、吉田選手は「ランドローバー」のクルマに乗りながら、アンバサダーとしてランドローバーの魅力を発信していくことになる。

↑吉田選手を笑顔で迎え入れるジャガー・ランドローバー・ジャパン 代表取締役社長のマグナス・ハンソン社長(右)

 

あの激闘の裏側を語る

続いて、サッカー解説者の北澤 豪氏のMCによるトークセッションが開かれた。ワールドカップから間もないとあって、取材陣はあの激闘の裏側に興味津々。吉田選手にワールドカップを戦った感想を北澤氏が根掘り葉掘り聞いた。

↑就任会見では北澤 豪氏(左)と吉田選手によるトークショーが開かれた

 

北澤氏:ワールドカップを終えて、いまの感想はでどうですか?

吉田選手:最低限の目標だった予選突破ができたという安心感はちょっとありますが、個人的な目標は“次のところ”(ベスト8)だったので、正直、悔しさのほうが大きいですね。成田空港で多くの方から祝福されたのは驚きましたが、自分にとっては大きなギャップがありました。多くの方から「ありがとう」「おめでとう」と言ってもらえたのはもちろんうれしいですが。でも、選手は何が必要なのかを考えながら次のワールドカップまでの4年間を突き進んでいきたいと思ってます。

 

帰国した日、最初に行ったのは選手とスタッフを交えての焼肉パーティ。そこでは大いに飲んで笑って涙も分かち合ったという。

 

吉田選手:強化試合のパラグアイ戦のあとぐらいからチームの状態はよくなってきました。監督が替わってゴタゴタしているなかで、試合がうまくいっていない。これはやるしかないと追い込まれた状態になって覚悟ができたんだと思います。何より、ワールドカップでのコロンビア戦で勝てたのが大きかったですね。日本の皆さんの期待値も変わったでしょうし、僕らも勢いに乗るきっかけになりました。

 

北澤氏:ベルギー戦で2-0になったときに「いけるぞ」って感じはあったのでしょうか?

吉田選手:そう思ってしまったのがよくなかったんじゃないかなと思っています。2-0のままでOKという感覚になった瞬間、裏でボールをもらう回数が減り、セーフティな選択をするようになって相手が前に出てくるきっかけを作ってしまった。横パスなんかのミスからシュートまでいかれるシーンも出てきましたからね。本来ならDFは集中すべきなのに(これで)バタついてしまった。アンラッキーなところから失点し、そこから修正できなかったというのはやはり経験値が足りないんだなと思いました。

 

北澤氏:逆にヤバイと思ったのはいつ頃なのでしょうか?

吉田選手:フェライニ選手が入ってきたところですかね。フェライニ選手とシャドリ選手が入ってきたところから相手のリズムをなかなかこっちのリズムに持っていけなくなって。センタリングを上げられたとき、ルカク選手をマークしていてフェライニ選手がフリーになっているのが一瞬見えたんですが、そこをカバーに行けなかったし、コーナーキックをキャッチされてGKをブロックできなかった。これもサッカーですし、ここから学んでレンジローバーと同じように走り続けていかなくてはいけないと思います。

↑アンバサダーとして早くもランドローバーの魅力について語る吉田選手

 

サッカーの話から無理やりレンジローバーに結び付ける発言には北澤氏も思わず苦笑。吉田選手は早くもアンバサダーとしての自覚を持っているようだ。ただ、吉田選手は以前からランドローバーに対して憧れを強くしていたという。

 

北澤氏:ランドローバーの新ブランド・アンバサダーに就任した気持ちはどうですか?

吉田選手:ランドローバーはずっと憧れのブランドでしたし、イギリスでは国産車ですがみんなが憧れるブランドです。プロに入ったばかりの頃、先輩が乗っているのを見て羨ましく思ってました。そんなブランドにこうしたお話をいただけたのは光栄ですし、うれしく思います。

 

北澤氏:プレミアリーグの選手たちはレンジローバーをどう見ているんでしょうね。

吉田選手:レンジローバー、ランドローバーは家族用に1台は持っていて、特にイギリス人にとってこのブランドへの憧れは強いと思いますね。試合のとき、駐車場を見ると必ず6~7台は駐まっていますからね。

 

北澤氏:ここにあるヴェラールにも乗ったとのことですが、感想はいかがでしたか?

吉田選手:いやー、ホントに乗り心地が良かったです。運転もスムーズでしたし、安定感もあります。後ろもいいですね。

 

北澤氏:お、運転手付き?

吉田選手:あ、この言い方はよくなかったですね(笑)。後ろに子どもを乗せたシチュエーションでも安定して乗れると思いますし、(SUVなんで)奥さんから「荷物が入らない」なんてことも言われなくて済みます。インテリアも品の良さも半端ないです。リビングでソファに座っているような感覚で座れるのは、ある意味部屋みたいなもの。身体が大きいのでレンジローバーのサイズはとてもありがたいですね。

 

長谷部選手や本田選手の代表引退があり、監督も替わって、これから日本代表は新チームになっていく。そのなかで吉田選手はリーダーシップをとって若手を引っ張っていかなければならない存在となる。ここで吉田選手がパネルに記したのは、「Best 8」というシンプルなキーワード。もちろんこれは2022年のワールドカップでの目標であり、吉田選手も「これ以外考えられない」とコメントした。最後に吉田選手からは「今回のワールドカップでの悔しさをバネに、さらに上へと邁進していく」ことが宣言された。

↑次なる目標について「Best8」を掲げた吉田選手

 

なお、JAGUAR LAND ROVER STUDIOでは、吉田選手のランドローバー・アンバサダー就任を記念し、7月26日~8月26日までに吉田選手直筆のサインボールや目標を記したパネルなどが展示される予定となっている。

↑7月26日~8月26日までの期間、JAGUAR LAND ROVER STUDIOでは吉田選手がロシアワールドカップで着用したユニフォームやシューズ、目標を記したパネルなどが展示される

寺岡呼人×ABEDONが語る「クルマと音楽」――バッハとトランス・ミュージックがロングドライブには最高!

 

彼女とのドライブなら、ムーディなトラックを。家族とのドライブなら子どもたちが喜ぶ音楽を。ドライブにマッチする曲は、シチュエーションによって変わります。では一人で長距離を淡々と走るシーンであればどうでしょうか? それも通勤のような、定期的に同じコースを走る場合だと。

 

シンガーソングライター兼音楽プロデューサーの寺岡呼人さんがナビゲートする「クルマと音楽」、今回はユニコーンのキーボーディストとしてだけではなく、音楽業界でマルチに活躍するABEDON(阿部義晴)さんをお迎えしました。プライベートでも親交の深いお二人の対談中、その答えの1つとなりそうなキーワードが出てきましたが、それがびっくり、なんとトランス・ミュージックだというじゃないですか。いったいどのような理由でロングドライブとトランス・ミュージックがマッチするのでしょうか。

 

【ABEDON

1966年7月30日生まれ。山形県出身。A型しし座ペガサス〜遊び心満載の自由人! 2014年に阿部義晴からABEDONに改名し、2009年より再始動した「ユニコーン」と「ABEDON」としてのソロ活動を並行して活動中。作詞・作曲、演奏はもちろんのこと、MIXやマスタリングの幅広い領域まで対応。ユニコーンの「D3P.UC」(2017年リリース)では映像総監督としての新たな分野へも進出した。

1998年に自身のレーベル“abedon the company”を設立し、「氣志團」「グループ魂」「私立恵比寿中学」などさまざまなアーティストへのプロデュース並びに楽曲提供、CMソングやドラマ主題歌、映画音楽を手がける。

ABEDON オフィシャルサイト:https://www.abedon.jp/

 

【寺岡呼人】

シンガーソングライター兼音楽プロデューサー。1988年、JUN SKY WALKER(S)に加入。1993年にソロデビューし、1997年にはゆずのプロデュースを手がけるようになる。ライブイベント Golden Circleを主催し、FM COCOLOの番組「CIRCLE OF MUSIC」で、さまざまな音楽とアーティストをナビゲートしている。筋金入りのオーディオマニアであり、カーマニアでもある。

寺岡呼人オフィシャルサイト:http://www.yohito.com/

 

いろいろなクルマを乗り継いできたABEDONさん

寺岡 ABEDONくんが自分で一番最初に買ったクルマは何だったの?

 

ABEDON クルマを運転できるようになってからは機材の関係でほとんどハイエースに乗ってたかな。自分で買ってというのは…ホンダのプレリュードだね。

 

寺岡 それは中古だったの?

 

ABEDON うん中古。知り合いからほぼタダで譲ってもらったみたいな。でも楽器が載らないので、知り合いのカメラマンからスカイラインのバンを譲ってもらってさ。その後はフィアット500。でもあまりに非力なのでアバルトに乗り換えた。そこからは異常なほどに乗り継いでいったね。

 

 

一時期、寺岡さんはABEDONさんの影響を受けてメルセデス・ベンツのSクラスに乗っていたとのこと。ABEDONさん、スペシャリティカーにライトバン、可愛らしいコンパクトカーにゴツい1台まで、本当にいろんなクルマに乗っていたんですね!

 

 

寺岡 例えば、新車でボルボの240を買ったんだけど、これは結局18万km ぐらい乗ったよ。

 

ABEDON 結構持つねぇ。

 

寺岡 そう考えるとクルマも好きだけど、どっちかっていうと運転するのが好きだったのかも。ABEDONくんはどうだった?

 

ABEDON 若いときはクルマに乗るのも、クルマそのものにも興味を持ってたな。スピード感があるし、サウンドもあるし。バンドをやって入ってきたお金はこういうところで使っていこう、みたいのがあったし。

 

シンプルな4つ打ちだからロングドライブに合うトランス・ミュージック

寺岡 車内での音楽環境はどうだった?

 

ABEDON カーオーディオはMから始まる青く光るレシーバーを入れてたよ。

 

寺岡 マッキントッシュね!  音は良かったの?

 

ABEDON というかカッコ良かった(笑)

 

寺岡 確かにあれは当時一番カッコ良かったな。車内で聴く音楽にこだわりはあった?

 

ABEDON クルマってさ、録音した音をチェックする場所という意識が自分の中にあったのね。スタジオとは違ってどう聴こえるんだろうというのを、クルマの中で確認する感じ。

 

寺岡 あるある。ミックスダウンのバランスを確認するのはクルマの中だよね。

 

ABEDON わざわざスタジオから駐車場まで降りていったりしてね。

 

寺岡 クルマの中で確認してから戻って、もうちょっとベース上げてくださいと言ったりとか。僕らの場合、音楽は家よりもクルマの中で聴く時間の方が長かったからついついやってたね。

 

ABEDON フェラーリに乗り始めるまではずっとやってたね。それまでは音楽がかかってないと嫌だったし。でもああいったスポーツカーだとすぐに調子が悪くなるから、運転中はいつもエンジンの音を聞いてなきゃいけないんだよね。

 

寺岡 それで一巡して、今はまた聴くようになったんだっけ。

 

ABEDON そう。移動時間が長くなっちゃって、さすがにスポーツカーだと疲れるから楽ちんなラグジュアリーなクルマにしたわけだ。そうすると、またね。移動時間のあいだに何を聴くかとなっちゃって。 最近のクルマは最初からわりと上等な音だからカーオーディオはそのままで。あとは何をかけるかってところで悩んでた。そしてたどり着いたのが、トランスなんだよね。

 

寺岡 へえええ!

 

ABEDON 四つ打ちでシンプルな小節を繰り返してるジャンルじゃない。だから長距離でも、長時間聴き続けていても持つのよ。これはいいわと、もうノリノリ。

 

いつも同じコースを長時間走るとなると、時には集中力が途切れがち。でもメロディラインが象徴的ではなく、ループ的なリズム・パターンを持つトランス・ミュージックだからこそ、ドライブ中のBGMにぴったり、と。運転に集中したまま走れるということですか!

 

 

SDカードにクルマの中で聴きたい曲をコピーしておくテクニック

寺岡 いま、クルマの中ではどんな音楽ソースを使っているの?

 

ABEDON それがSDカードなんだよね。

 

寺岡 えー、そうなの! 自分はスマートフォンからBluetoothで飛ばして聴いているんだけど、そうかSDカードか。

 

ABEDON スマートフォンだと電話かかってきたり色々ややこしいことが起きるから、クルマ専用ということにしたSDカードにクルマで聴きたい音楽を入れているんだよね。

 

寺岡 自分のクルマのカーオーディオにもSDカードスロットはあるけど、使ったことはなかったな。そういう風に使うんだね。

 

SDカードをカセットテープやCD-Rなどのように使っている、ということなのですね。これはカーオーディオ環境のライフハックといえるワザかもしれません。

 

ABEDON あれね、結構いいよ。そして曲なんだけど、実は、いまはバッハしか聴かなくなっちゃった(笑)

 

寺岡 トランスからバッハって(笑)。なんでバッハなの?

 

ABEDON 余計な情報がないというか。キース・ジャレットが好きなんだけど、彼が演奏しているバッハのインヴェンションにはすべての基礎が詰まっていてね。それをずーっと聴いてる。ハイブリッドのクルマにしたからというのもあるかな。 ハイブリッドって静かなんだよね。だから車内でクラシックも聴けちゃう。

寺岡 フェラーリだとバッハは聴けないよね。

 

ABEDON 全然聴けないね(笑)

 

寺岡 バンドを始める前はクラシックをやってたの?

 

ABEDON やってた。

 

寺岡 じゃあ先祖返りってわけじゃないけど、原点に戻ってきたのかな。

 

ABEDON そうなのかな。さらにいうと、普段聴く音楽はレゲエしかないんだよ。ポップスなりロックなりを聴くと、仕事モードになっちゃう。資料でもらったCDとかも、考えながら聴いちゃうし。

 

寺岡 そういう耳で聴いちゃうのってあるよね。

 

ABEDON クラシックだとそれがないんだよね。 仕事と関係ないから頭が切り替わって純粋に音楽を楽しめるし。レゲエも自分でやりたいとは思わないジャンルだから(笑)

 

寺岡 なるほど、BGMで聴けちゃうってことか。

 

またベッドルームではブライアン・イーノの曲を聴くことが多いそうです。曰く、「音楽を聴きたいわけじゃないけど音がないと嫌」というときに、彼のゆったりとしたアンビエント・ミュージックがマッチするということなのでしょう。

 

寺岡 家で聴くときのオーディオ機器はどんなのを使っているの?

 

ABEDON BOSE M3っていう小さいスピーカーのプロトタイプにPCをつなげているね。なぜかというとうちのスタジオにも同じスピーカーがあってさ。

 

寺岡 ABEDON君のお家に2、3度お邪魔したことがあって。そのときはスタジオができる前だったから、地下に小さいスタジオを作ってたよね。今もそこで作業はしているのかな。

 

ABEDON いや、完全にスタジオの方に移行してる。地下はもう使ってないね。

 

寺岡 じゃあアイデアが浮かんできたときとかは、スタジオに通うんだ。絶対そっちの方がいいよね。前に誰かのインタビューで読んだんだけど、家にスタジオがあるとパジャマのままでやっちゃうと。生活と地続きだから仕事モードになかなか切り替わらない。だから10mでも20mでもいいから自宅からは離れたほうがいいと書いてて。

 

ABEDON 家だと風呂にも入っちゃうし(笑)

 

 

マスタリングも自分でやるしかない!

寺岡 最近マスタリングエンジニアをやってると聞いたんだけど、そのきっかけはなんだったの?

 

ABEDON 自分のソロアルバムのマスタリングを、ニューヨークのテッド・ジェンセン(STERLING SOUND)にお願いすることになったのね。そのとき、インターネット経由で戻ってきた音の感じがあまりにも衝撃的で。音を録ったのは自分のスタジオだけど洋楽に聴こえてね。これはなんかアプローチが違うんだなと思ったの。日本のマスタリング事情を話してしまうと、エンジニアが高年齢化していて普遍的な音になることが多く、なかなかクリエイティブな感じにならないところがあるし。

 

俺はこれだけ長く作曲も作詞もやっているし、アレンジもレコーディングもやってるし、やることがなくなってきてるわけ。もう残すところはマスタリングしかない! となってね。

 

寺岡 普通はそうはならないよね(笑)

 

マスタリングとはCDや配信用の音楽ファイルを作る際の、最終的な音質・音量のバランスをとる作業のことです。様々なトーンの曲が入っているアルバムでも、優れたマスタリングを行うと一貫性のある作品に仕上がります。この分野においてテッド・ジェンセンは巨匠といわれる存在で、日本のアーティストのアルバムも数多く手がけています。

 

寺岡 実際はどんな環境でやっているの? 特別なシステムみたいのを使ってるの?

 

ABEDON ニューヨークに行ったときにテッドが色々教えてくれたの。で、彼が使ってるのと同じシステムを買っちゃった。

 

寺岡 マジで!

 

ABEDON ジミー・ペイジに憧れたらレスポールを持ちましょうというのと同じで、同じ機材、同じルーティンにしてしまえば、 違いは自分の実力しかないじゃない。そこから研究が始まるわけ。

 

寺岡 ハードは全部そろえたの? STERLING SOUNDのスピーカーはB&Wだったよね。

 

ABEDON 基本的なものだけかな。だって高っっっかいんだもん! ひとつひとつが! スピーカーだけでもすごく探したよ。 新品だとエイジングされていないのですぐには使えないから中古で探すしかなくてね。でも、見つけてもみんな小さな音でしか鳴らしてないのよ。ガンガン鳴らしてるスピーカーじゃないとスピーカーの音がふっくらしないから。反応が硬いんだよね。だから結局、輸入会社のデモ機みたいなものをつけてもらったのよ。

 

寺岡 自分もSTERLING SOUNDに行ったときに、B&Wってこんなにいい音がするんだと思ったよ。でも日本のオーディオショップで聞いたB&Wはもっとカチカチの音でさ。なんであんな音なんだろうと。これは手を出しちゃいけないなと思っていたんだけど、ABEDONくんは手を出しちゃった派なんだ(笑)

 

ABEDON ユニコーンのベスト、全部のリマスターをそこでやったんだけどすごい勉強になったよ。

 

寺岡 当時出たものと比べてどんな感じだった?

 

ABEDON 直に聴くと、いいところもあるし未熟なところもあるし。

 

寺岡 恥ずかしいところもあるし。そういうの1枚1枚聴きながらマスタリングをすると(笑)。なかなかシビレる作業だね。

 

ABEDON 1枚目2枚目はサウンド的にも楽器的にも未熟だったから音が痛いんだよね。それで1枚やったら耳をやられちゃうから、作業後は1日海で過ごしてさ。海の音は低音から高音までフラットだから、そこで耳を癒して、また次の日にやるとか。

 

寺岡 マスタリングしたものはメンバーに聴かせるわけだよね。

 

ABEDON 全然聴きやしないよ(笑)。でも、ああみえて、民生君はちゃんと聴いてるんだけどね。

 

寺岡 やっぱり。はい任せるみたいな(笑)。しかしベストアルバムをメンバーがマスタリングするというのは、 ABEDONくんだけだと思うだよね。

 

ABEDON ニューヨークのマスタリングエンジニアのアーティスティックなところを見ていると、アプローチがすごく音楽的でそこがすごくいいなと思って。でも俺らは自分たちが鳴らしたのはどんな音だったか、目指した音はどんなんだったかとか、ライブでいいと思ったときの感触をどうやって出すかとか研究していけるから、そこは分があると思ってる。そこを俺は、握らなきゃいけないなと思ったのよ。

 

 

音楽ストリーミングは時代の流れ。問題は知的財産の守り方

寺岡 音楽ストリーミングってあるじゃない。自分は結構利用してる派なんだけど、ABEDONくんはどう?

 

ABEDON ちょっと迷ったけどね。最初は業界全体の流れがNGみたいな雰囲気もあったでしょ。だからハイレゾに行きますみたいな感じだったけど、俺アナログは興味あるけど、ハイレゾには興味がなくて。

 

寺岡 えー、そうなんだ。

 

ABEDON 俺らの子どものころって家にでっかいステレオコンポがあったじゃない。でもいまそういう環境がある家は少ない。聴きたい曲はその場で手に入れたいしヘッドホンで聴くし。だからわざわざハイレゾに行くことには興味がなかったんだよね。ストリーミングに関してはまだ問題はあるだろうけど、この流れは止めることができないし、行くしかないんじゃないかなと。

 

寺岡 昔はクルマに乗ってレンタルCDショップまで行ってCDを借りて、何日か後に返しに行くというのが普通だったけど、今は、なぜわざわざ借りに行かなければいけないんだろうという価値観になってきたよね。

 

ABEDON 人間の順応性はすごいよね(笑)。音楽を発信する媒体が変わってきてるというだけの話で、そこに目くじらを立てる必要はないと思ってる。ただミュージシャンはお金がないと音楽活動ができないので、知的財産をどうやって守るかっていうところが大事だよね。

 

気軽に好きな曲を聴けるし、今まで知らなかった曲もレコメンドしてくれる音楽ストリーミングは便利。という共通の見解を持っているお二人。同時に、好きな曲はパッケージで買いたい、物質として欲しいという声もありました。

 

50代からの展望

寺岡 我々も、もう50歳を超えたわけだけど、この先の10年、野望というか展望というか目標はある?

 

ABEDON 俺ね、10年ごとに節を区切っているのね。20代のときはバンドをやっていて散々色々なものを見てきた。いいこともいろんなこともあったけど、30代は業界に貢献しようと思っていたの。だからプロデュースをやって、氣志團を見つけてヒットさせることに10年を費やしたの。40代は自分の周りのためにも動こうと思ったの。それで、一番すごいのは再結成じゃないかと。自分の周りにいるスタッフ、バンドメンバー、みんながハッピーになると思って、それでもう一回バンドをやり始めたの。

 

さあそれで50代に入りました。40代の目標は、ほぼやり終えた。次は下の子たちを育てなきゃいけないと思ってて。今の音楽ビジネスはミニマムなものが多く、大規模な現場を体験できる機会がないんだよね。

 

寺岡 ミュージシャンだけじゃなくて音楽業界全体の、これからの人たちを育てる…。わかった専門学校の校長だ!

 

ABEDON ああ! そういえば俺ら両親がさ。

 

寺岡 教師だから(笑)

 

ABEDON その血はあるはず! それを呼人くんとかもやってくれたら(笑)。呼人くんは人を引き寄せて引っ張っていく魅力というか力があると思ってるんだけど。

 

寺岡 自分ではまったくそうは思ってないんだけど、結果そういう役回りをやることが多いかも。

 

ABEDON 向いてると思うんだよね。俺は気まぐれだからさ。

 

寺岡 じゃあ俺、理事長で。ABEDONくんが副理事長で(笑)

 

↑愛車ではパイオニア・サイバーナビの「ミュージッククルーズチャンネル」をよく聴いており、音楽ストリーミングサービスも積極的に活用しているという寺岡さん。サイバーナビが対応しているメディア・接続機器はCD、Bluetooth、SDカードなど14種類も。最新モデルはハイエンドホームオーディオ級のパーツや素材がふんだんに使われており、車の中でもハイクオリティな音楽再生が可能で、オーディオに一家言ある寺岡さんも大満足とのこと

 

[ABEDON 公演情報]

ABEDONのソリスト公演「リストなきソリスト」が開催決定! キーボード、ボーカルはもちろん、ギターやベースもマルチにこなすABEDONが、ソリストとしてどのような舞台を繰り広げるのか、ミュージシャンシップと遊び心に満ちあふれたステージにご期待ください。

ABEDONソリスト公演「リストなきソリスト」

2018年7月19日(木) 宮城 仙台retroBackPage

2018年7月25日(水) 東京 Billboard Live TOKYO

2018年7月30日(月) 大阪 Billboard Live OSAKA

✳7/30(月)大阪公演は、ABEDONの誕生日当日、バースデーライブです!

 

ABEDONソリスト追加公演「リストなきソリスト」

2018年7月24日(火) 東京 Billboard Live TOKYO

2018年7月31日(火) 愛知 名古屋ブルーノート

 

詳細はABEDON オフィシャルサイト:https://www.abedon.jp/をご覧ください。

 

憧れの「マイ・ガレージ」を低価格で。モスクワっ子のDIY欲を満たしまくる「時間制ガレージ」が人気

約2人に1人がクルマを所有しているというモスクワ。クルマを所有するということは当然、車検や定期点検などが必要となってきますが、予約を取って順番待ちするディーラーより、自分で点検や簡単な部品交換をしたいという意見や、「自宅にガレージがないけれど自由にいじってみたい」という声が多くあります。そんなニーズから生まれたのが「時間制ガレージ」。現在、モスクワっ子の間で人気が高まっています。

 

人気の時間制ガレージとは?

ロシアの修理屋についての記事でも述べましたが、ロシアには、もともと物が少なかったソビエト連邦時代から「自分のものは自分で直す」という文化が根付いています。ソ連時代の名残で、自分でクルマをいじったり、いまだに自分で点検や修理をする人々が多いのですが、大都市モスクワではアパート住まいが一般的。クルマをいじる場所がないというのが問題です。

 

そんななかで時間制ガレージが需要を伸ばしています。電話やオンラインで予約をすれば、自分だけのガレージを24時間使用することが可能。価格は、店舗によってある程度の差はあるものの、1時間あたり400ルーブル(約800円)ほどです。広々としたガレージと専用の工具が使いたい放題ということで一躍大人気に。

 

時間制ガレージでは、クルマごとにガレージが独立している場合もあれば、1つの大きなスペースに何台か入れるようになっていることもあります。チェーン展開をしている店舗はまだないものの、一つひとつの店舗が工夫を凝らしたサービスを提供。

人気店の1つ「сбой гаражスボイガラーシュ」には、486個もの工具が揃っており、しかも、それらすべてはプロが使用するレベルのもの。自宅での修理にありがちな「修理を始めたはいいが、必要な工具がない」ということもありません。また高い専門的な工具を購入する費用も節約できます。ドライバーに始まり2トン以上を持ち上げられるクレーンまで、なんでも揃うガレージ内。USB充電ポートを増設するのに必要な端子類セットや電工ペンチ、検電テスター、よく使う端子やコネクターなど、細々したものもしっかり揃っています。クルマにバックカメラを装着することも可能。

 

使用者の口コミには、「自分のお粗末な工具より断然作業しやすかった。また、どこかの駐車場でいじるより快適に作業できた」と前向きなコメントが寄せられています。

 

ガレージの使い方は無限大?

また、修理に限らないユニークな使い方を提案している時間制ガレージもあります。例えば、4台同時に入れる大きなスペースを友だち同士で使って、お互いのクルマをいじるという「改造愛好家の遊び場」として利用することができます。

 

さらに、冬はマイナス40度にもなるモスクワでは、放っておくとクルマのバッテリーが凍ってしまうことも多々あります。そんな寒い日や夜中だけ、愛車をガレージに避難させるという「時間制パーキング」サービスもあります。

日本やアメリカにも広がるガレージサービス

日本にもレンタルピットというサービスがあります。クルマユーザーが、クルマの整備やカスタマイズ、ドレスアップに必要なプロの「作業場所」や「設備」、「工具」などを自動車工場からレンタルできるというもの。このサービスでは既存の工場内に場所を借りるということで「自分のガレージ感」がないものの、同じスペースに専門家がいるというのは心強いかもしれません。

 

また、アメリカでは「U DO IT(ユードゥーイット)」というサービスが広く知られています。こちらはロシアと同じくガレージになっているうえ、専門の修理工が常駐。ただし、常駐の修理工はあくまで手助けが必要な時の「ヘルプ」だそうです。

 

場所とお金を節約できる都会の愛車ライフ

ディーラーでの定期点検の相場は約2万ルーブル。時間制ガレージなら、2時間ほどかかるとしても800ルーブル(約1600円)と価格の差は歴然です。また、自分の家で修理するよりも、専門工具が揃っているうえに、終わった後の片付けや掃除の手間が省けるのもとても便利ですよね。

 

安くすませられて、時間の融通もきく時間制ガレージは、忙しいモスクワの人々のライフスタイルに合わせやすくなっていることも人気の理由の一つかもしれません。

清水草一が最新フェラーリの魅力を語る! 「美しさ」と「エンジン」、重視されるのはどちら?

誰もが知っているスーパーカーの代名詞、フェラーリ。しかし、その魅力や特徴を実は細かく知らなかったという人も多いのではないでしょうか。ここでは、モータージャーナリストの清水草一さんがフェラーリの魅力を徹底的に語り尽くします。

 

【解説&採点】

モータージャーナリスト 清水草一さん

「サーキットの狼」作者の池沢早人師先生から直接薫陶を受けた唯一の自動車評論家。これまで11台のフェラーリを乗り継いでいます。GetNaviの連載「クルマの神は細部に宿る」をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

【そもそもフェラーリとは?】

レース参戦のために存続する世界でただひとつのメーカー

創始者のエンツォ・フェラーリはレーシングチームを経営し、生涯をレース活動に捧げました。その資金稼ぎのために、レーシングカーを乗りやすく改良して販売したのが、同社の市販車部門の始まり。1988年のエンツォが亡くなって以降もF1参戦は継続し、世界中のクルマ好きの憧れとなっています。

 

フェラーリの長い歴史のなかで最もパワフルなV型12気筒エンジン

フェラーリ

812スーパーファスト

3910万円

名の「812」は「800馬力の12気筒」を表し、FRのロードカーとしてはフェラーリ史上最強と称されるほどのハイパフォーマンスを誇ります。電子制御デバイスが多数盛り込まれ、超弩級の能力を危なげなく体感させてくれます。

SPEC●全長×全幅×全高: 4657×1971×1276㎜●パワーユニット: 6.5ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 800PS(588kW)/8500rpm●最大トルク: 73.2㎏-m(718Nm)/7000rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー】

F1をイメージさせるスポーティなインテリア

非日常性を感じさせるF1のようなコックピット。カラーも自由に選択できる。F1システムと呼ばれる独自のトランスミッション形式は、パドルシフト式セミATの先駆的存在です。

 

最新技術が盛り込まれた大柄ながら美しいボディ

ボディは先代のF12ベルリネッタとほぼ同サイズで、前後ともに20インチの大径ホイールが装着されます。ボディ下部にはディフューザーを採用し、高速走行時の空気の流れを調節。

 

最高馬力のエンジンは印象的な赤塗装が特徴

V型12気筒エンジンのヘッド部には赤い結晶塗装が施されています。6.5ℓの大排気量で、フェラーリの自然吸気式エンジンを積む市販車では史上最高となる800馬力を発揮します。

 

旗艦モデルのエンジンは12気筒でなくてはならない

フェラーリは、誰もが認める自動車の頂点、太陽神的存在。その立脚点は、F1グランプリにおける輝かしい戦績にあります。日本でフェラーリといえば市販のスーパーカーですが、海外では第一にレーシングチーム。その栄光を市販車に投影しているという文脈が、他社とは決定的に異なります。

 

すなわち、フェラーリにおけるスーパーカーの出発点は、レーシングカーをちょっと乗りやすくして一般販売したところ。そのため、同社が何よりも重視しているのは、常にエンジン。フェラーリのフラッグシップモデルは、最もパワフルで、最もエレガントな12気筒エンジンを積んでいなければなりません。現在のフラッグシップである812スーパーファストは、その12気筒エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動するFR方式。一般的にスーパーカーと言えば、エンジンをキャビン後方に置くミッドシップがイメージされます。しかし、フェラーリは元々FRからスタートしており、812スーパーファストは原点に回帰したモデルといえます。

 

フェラーリの名声はあまりにも高く、もはや性能は二の次と見る向きもあります。しかし、フェラーリの魂は常にエンジンであり、続いて重視されるのが美しさ。そのプライオリティは不変なのです。

 

【清水草一の目】

ほかでは味わえない官能的なV12エンジン

スーパーカーとしては車高が高く、FRなのでパワーを路面に伝えきれない面がありますが、V12の官能フィールは唯一無二。地上最高のブランド力を満喫できます!

 

【OTHER SUPER CAR】

ツーリングにも最適なハードトップオープン

ポルトフィーノ

2530万円

車体に収納できるリトラクタブルハードトップを備えたオープンモデルで、優雅な佇まいと優れた多用途性や快適性が特徴。スーパーカーの快楽を満喫できるうえに、日常使いでのストレスが皆無というのは大きな魅力です。

SPEC●全長×全幅×全高:4586×1938×1318㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:600PS(441kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

 

コンパクトなボディにターボエンジンを搭載

488GTB/488スパイダー

3070万円〜3450万円

458イタリアの後継モデルとして登場し、2015年に日本へ導入されました。V8エンジンの排気量はそれまでの4.5ℓから3.9ℓへとダウンサイズされていますが、ターボの採用によって出力、トルクともに大幅な向上が図られています。

SPEC【488GTB】●全長×全幅×全高:4568×1952×1213㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:670PS(492kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

【連載をまとめたムックが好評発売中】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

人気のSUV、ハイエンドモデルを堪能する――『ル・ボラン 2018年7月号』

SUVというタイプの車。日本でも日常の風景の一部になったと感じるのは筆者だけではないはずだ。言葉そのものもすっかり定着し、国産車・輸入車問わずに人気の高いジャンルになっている。

 

ただ、SUVという言葉に関しては、厳密な形での定義は難しいのが事実のようだ。日本自動車販売協会連合会が行った統計上の区分では、「ジープ型の四輪駆動車で、ワゴンとバン、トラックを含む」とされている。実際にはどんな車種が挙げられるのだろうか。

 

 

SUVの3タイプ

外見的なわかりやすさを軸にして選ぶなら、国産車ならマツダCX-8、トヨタC-HR、そしてホンダ・ヴェゼルといったクルマが挙げられるだろう。外国車ならメルセデス・ベンツGLE、BMW X5、そしてポルシェ・マカン。そんな並びになるかもしれない。

 

SUVは定義が難しい上に、ジャンル内でさらに以下のような3つのタイプに分類される。

 

・クロスオーバータイプ

中身は乗用車だが、そこそこのオフロード性能がある。多少の悪路なら走ることができ、舗装道路を走っても乗り心地が悪くないタイプ。

 

・クロスカントリータイプ

中身がオフロード専用構造のタイプ。車体構造が乗用車ではなく、トラックと同じ構造なので、悪路走破性が高い。

 

・シティタイプ

中身が乗用車で、オフロード性能は有していないタイプ。SUVといっても悪路の走破性はほぼない。

 

 

 

数字にも表れるSUV人気

ちなみに、2017年度国内SUV販売台数ベスト3は以下のようなランキングになっている。

 

第1位:トヨタ C-HR

第2位:スズキ・ハスラー

第3位:ホンダ・ヴェゼル

 

アメリカで市場リサーチを行っているJ.D.パワーアジア・パシフィック社が調査した「日本新車購入意向車調査」によれば、2016年と比較すると、新車購入時にSUVを選ぶ割合が4%上昇し、31%となった。新車購入を考えている人たちの3割以上がSUVに興味を抱いているのだ。しかも2位のスズキ・ハスラーは軽自動車。軽自動車のSUVという新ジャンルまで生まれたことになる。

 

こうした傾向を取り込んだ『ル・ボラン2018年7月号』(ル・ボラン編集部・編/学研プラス・刊)の特集のキーワードは“ハイエンドSUV”。6月号の特集“最新SUVバイブル”から一歩踏み込んで、最高級SUVをピックアップして詳しく紹介する。登場するのは、さまざまなセールスポイントを持つ魅力的なクルマばかり。

 

 

風格のメルセデス

メルセデス・ベンツのGクラスを表現するのにふさわしいひと言は、風格だろう。その堂々たる体躯に底知れぬパワーを秘めた姿は、クロスカントリータイプSUVの最終進化形と呼んでも差し支えないかもしれない。

 

写真で見る限り、ボディはかなりゴツい。ただ、それでいて重さみたいなものはまったくといっていいほど感じられない。さらに、「メルセデスならではの」と言ったほうがいいのだろう。独特の風格が加わる。この風格を創り出すのは伝統、技術力、そして信頼。そういったものすべてだ。

 

ドリームカーというのは、曲線美をことさら強調した早く走れるクルマだけを意味する言葉ではないはずだ。ベンツのGクラスSUVのように、ほかを寄せつけない圧倒的な風格をまとったクルマもまた、そう呼ぶにふさわしい。

 

 

鮮烈のランボルギーニ

メルセデス・ベンツのGクラスを端的に表現する言葉が風格なら、この特集で2番目に紹介されているランボルギーニURUSに対するそれは、「鮮烈」ということになるだろうか。スーパーカーという言葉に独特のノスタルジーを感じる世代の人たちにとって、このクルマはまさに鮮烈に映るに違いない。

 

URUSは、誰の目にもカッコよく映るわかりやすいタイプのクルマだと思う。記事では黄色・黒・白と3種類のボディカラーが紹介されているが、どの色にも躍動感がある。この躍動感は子どもにも大人にも同じように伝わると思う。

 

内装はイタリア車らしいおしゃれなニュアンスに満ちているが、ステアリング周りは意外にコンパクトに見える。サイズ感では国産車と比べても大差はないんじゃないだろうか。

 

 

ハイエンドSUVは、見果てぬ夢ではない

正統と革新という二つの言葉をキーワードに、今最も気になる4車種を比較する企画も楽しめた。こちらで紹介されるのはTESLA MODEL X、レクサスLX、LAND ROVER RANGE ROVER、BENTLEY RENTAYGAの4車種。世界基準SUVのスタンダードであり続けたLAND ROVER。日本発プレステージSUVの代名詞となったレクサス。斬新さで他の追随を許さないTESLA。そしてSUVというステージでもあえて勝負する姿勢を見せる名門BENTLEY。それぞれの人気車種が“オトナの選択”として挙げられている。まさにハイエンド感満載。

 

これから日本市場に登場する注目SUVモデルとして、あのロールスロイスが生産するCULLINANという車種も紹介されている。超名門も超新星も、自動車メーカーにとってSUVは長く続くトレンドではなく、セダンやクーペと同じ並びの恒久的ジャンルとなったようだ。

 

もうひとつ言っておきたいことがある。実用的だと思ったのは、SUVの中古車市場に触れた記事。中古のメルセデスGクラスを軸にして展開されるQ&Aはぜひ押さえておきたい。ハイエンドSUVは、見果てぬ夢ではない。いずれはあのクルマに乗りたい。そんな男子ならではのモチベーションをいやが上にもかきたてる特集記事である。

 

 

【書籍紹介】

 

ル・ボラン 2018年7月号

著者:ル・ボラン編集部
発行:学研プラス

ドイツ車をはじめとする輸入車を軸に、クルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信する月刊自動車雑誌。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があるほか、欧州車を中心とする独自の現地取材企画は高い人気を誇る。

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清水草一がホンダ N-BOX を徹底解剖!「機能に徹したこの雰囲気がイイ」

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回はいま日本で一番売れているクルマを取り上げます。

 

【登場人物】

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今回のクルマ】ホンダ N-BOX

SPEC【G・L ホンダ センシング(FF)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1790㎜●車両重量:890㎏●パワーユニット:658㏄直列3気筒DOHCエンジン●最高出力:58PS(43kW)/7300rpm●最大トルク:6.6㎏-m(65Nm)/4800rpm●カタログ燃費:27.0㎞/ℓ●138万5640円〜227万4480円

 

機能に徹したこの雰囲気がイイ!

安ド「殿! この連載も今回でついに150回(※)です!」※本誌掲載時

清水「そうか」

安ド「月刊誌で150回ということはえーと、12年半です!」

清水「まだそんなものか」

安ド「えっ! 12年ってすごいじゃないですか!」

清水「いや、もっと長く続いているような気がしてな。私が少年のころから」

安ド「まさか。まだ免許すら持ってないじゃないですか!」

清水「そうだった」

安ド「ところで今回は、連載150回を記念して、日本一売れているクルマを借りてきました!」

清水「ホンダのN-BOXだな」

安ド「そのなかでも、いま最も売れているグレードだそうです!」

清水「意外にもカスタムではないのだな」

安ド「はい。この『G・L ホンダセンシング』が、僅差ながら一番売れているそうです!」

清水「ノーマルのN-BOXは、何だかホッとするな」

安ド「殿はカスタムがお嫌いですか?」

清水「うむ。あのギラギラしたヤンキーテイストがダメだ。しかしノーマルは枯れた感じでイイ。機能に徹したこの雰囲気、ほとんど商用だ」

安ド「それは良い意味ですか?」

清水「もちろんだ。例えればシトロエンのHトラックのような」

安ド「〝アラレちゃん〟に出てきたトラックですね。僕もノーマルのほうがオシャレだし、センスが良いと思います! この黄色と白のツートンカラーも良いですね。ツートンカラーは6〜8万円くらい高いそうですが」

清水「それだけで遊び心が感じられる。N-BOXを買う人は、意外とそういったオプションをバンバン付けて、総額200万円オーバーも普通だと聞く」

安ド「そうなんですか!?」

清水「これも車両本体価格が約150万円と決して安くはない。普通車コンパクトのパッソやヴィッツのエントリーグレードよりむしろ高いが、売れまくっておる」

安ド「どうしてでしょう?」

清水「一般ユーザーは、車両価格より維持費の安さを優先する傾向がある。軽ならとにかく維持費が安い。そして、なるべく長く乗りたいから装備はケチらない。結果、総額200万円のN-BOXが売れまくる。そういう流れなのだろう」

安ド「さすが殿、慧眼です!」

清水「まったくのあてずっぽうだ」

安ド「ガクー! でもN-BOXが販売台数1位になる前は、ずっとプリウスやアクアが1位だったわけですよね」

清水「その通り。N-BOXはどれだけオプションを付けても、プリウスやアクアよりはかなり安い」

安ド「つまり、“日本一売れるクルマ”が、前より安いクルマになったわけですね?」

清水「うーむ。そう考えると、まだまだデフレマインドは続いておるのかもしれぬな……」

 

【注目パーツ01】2トーンカラー

多彩なカラーから選択可能

4種類のおしゃれな2トーンカラーが設定されていて、さらに単色も12色用意しています。売れているクルマは他の人と同じになってしまって嫌という人も多いようですが、これならオリジナリティを出せることでしょう。

 

【注目パーツ02】エンジン

街中の通常走行で不満なし

キープコンセプトの二代目モデルながら、プラットフォーム(車体骨格)とエンジンは新開発されました。ターボとノンターボの2種類がありますが、こちらはノンターボ。といっても動力性能に不満はなく、十分キビキビ走ります。

 

【注目パーツ03】タイヤ角度モニター表示

車庫入れ時の心強い味方

車庫入れなどの際、メーターディスプレイの左側にタイヤの状態がデジタル表示されます。何度か切り返しをしていると、いまタイヤがどちらを向いているかわからなくなってしまう人も多いようですが、これならすぐわかりますね。

 

【注目パーツ04】テールゲート

独自設計で荷室の広さを確保

燃料タンクを後席下に置かない設計により、開口部の高さが先代モデルと比べて低くなりました。一方で、先代と同様に床が低くて天井は高いので、リアシートを前方へ倒すだけで、自転車を折りたたまずに積載することができます。

 

【注目パーツ05】助手席スーパースライドシート

ファミリー目線でうれしい超便利機能

最量販グレードには設定されていませんが、助手席のロングスライド機能が便利です。助手席を目一杯後方へ下げれば、後席の子どもの世話ができますし、後席と運転席との間の車内移動も可能となるのです。

 

【注目パーツ06】運転席アッパーボックス

小物を入れる場所が豊富

新型ではメーター搭載位置が上方へ移動されました。運転時の目線移動距離が少なくなることは安全運転につながります。そして、空いた場所には小物入れを搭載。収納はほかにもたくさんあり、小物の受け入れ体制は盤石です。

 

【注目パーツ07】ヘッドライト

ライトが眩しくないか自動判断

まるで目のようなリング状の可愛いLEDライトが全グレードで標準装備。また「ホンダ センシング」の機能のひとつ、オートハイビームが搭載されているので、前方の状況を考慮して自動でハイ/ロービームを切り替えます。

 

【注目パーツ08】ハンズフリースライドドア

手が離せないときでも開けられる

いまや同クラスの軽自動車では当たり前の電動スライドドア。さらに、N-BOXにはキーさえ携帯していればドアの下に足を踏み出すだけで自動開閉する機能がオプション設定されています。最初は上手くできませんが、慣れれば簡単です。

 

【注目パーツ09】Aピラー

視界をさらに広くする工夫

Aピラー(フロントウインドウとサイドウインドウ間の柱部分)が極細化されたことで、運転席からの視界が良くなりました。もちろん堅牢なボディ構造が採用されているので、衝突安全性能にはさほど影響ありません。

 

【これぞ感動の細部だ】ホンダ センシング

突入事故にも歯止めをかける

安全運転支援システム「ホンダ センシング」が、軽としては初めて、しかも全グレードに標準搭載されました。さらに衝突軽減ブレーキや車線維持支援といった従来の機能に加え、後方誤発進抑制機能を追加。これは真後ろに障害物がある状態でアクセルを踏み込んだ場合に、後方への急発進を抑制します。コンビニなどへの突入事故が減るかもしれませんね。

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

清水草一がボルボ XC40を徹底解剖! 「日本の軽自動車のような使い勝手のいいインテリア」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回はボルボの新世代プラットフォーム(骨格)と先進安全装備が採用されたSUVをチェックしました!

 

【登場人物】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

【今回のクルマ】ボルボ XC40

SPEC【T5 AWD Rデザイン】●全長×全幅×全高:4425×1875×1660㎜●車両重量:1690㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHCターボエンジン●最高出力:252PS(185kW)/5500rpm●最大トルク:35.7㎏-m(350Nm)/1800-4800rpm●カタログ燃費:12.4㎞/ℓ●389万〜549万円

 

「日本の軽自動車のような使い勝手のいいインテリア」

安ド「殿! 今回はボルボの最新コンパクトSUV、XC40です!」

清水「それにしても不思議だな」

安ド「なにがです?」

清水「ボルボはなぜこんな良いクルマが作れるのか」

安ド「と言うと?」

清水「ボルボは規模の小さいメーカーだ。グローバル販売台数は三菱自動車の約半分」

安ド「たった半分ですか!?」

清水「親会社は、中国の民族系自動車メーカー・吉利汽車」

安ド「そうでしたっけ!?」

清水「なのに、こんなに良いクルマを作っている。このクルマ、カッコ良いし乗っても実に良い」

安ド「確かに!」

清水「スタイルは凝縮感が高く、それでいて遊び心もある」

安ド「クールさとかわいさを両立していると思います!」

清水「逆スラントしたこのノーズなんて、いまどき特徴的でステキじゃないか」

安ド「力強いですね!」

清水「ボディはレンガのようにしっかりしていながら、乗り心地も快適だ」

安ド「SUVなので車高が高いのに、コーナーで不安定感がまったくなく、スイスイ曲がって気持ち良かったです!」

清水「エンジンもパワフルだな」

安ド「2ℓターボですが、アクセルを踏むと、モリモリ力が湧いてきますね!」

清水「そして私が何より感心したのは、インテリアだ」

安ド「さすが北欧のクルマですよね!」

清水「いや、私が感心したのは、北欧家具みたいだとかいうことよりも、日本の軽自動車みたいだったことだ」

安ド「は?」

清水「まず、小物入れが多い」

安ド「そう言えば」

清水「ボルボと言えば、フローティング・センタースタックなど、オシャレだけれど使いづらいインテリアで有名だったが、XC40は違う。その部分がドーンと大きな小物入れになっている」

安ド「ですね!」

清水「しかもセンターコンソールのヒジ置き内にはボックスティッシュが入り、その前にはゴミ箱も装備されている」

安ド「僕もティッシュが入るのにはビックリしました!」

清水「グローブボックスには、レジ袋掛けまであるから恐れ入った」

安ド「確かに日本の軽自動車みたいです!」

清水「それでいて生活臭はなくオシャレさん」

安ド「内装のフェルト生地なんかもステキでした!」

清水「ボルボがフォード傘下のときは、こんな良いクルマは作れていなかったぞ」

安ド「そう言えばそうですね……」

清水「なぜ中国資本傘下に入った途端、こんな良いクルマを作るようになったのだろう」

安ド「……人海戦術ですか?」

清水「んなわけないだろう」

 

 

【注目パーツ01】フロントフェイス

ブルドッグのような顔つき

2016年に発表された「40.1」というコンセプトカーほぼそのままという、エキセントリックなデザインです。特にグリルの上部がなんとなく前方に突き出ているブルドッグみたいな顔つきは、オリジナリティに溢れていてオシャレ!

 

【注目パーツ01】Cピラー

モダンさを感じさせるライン

車体側面のウエストラインが、サイドウインドウとリアウインドウ間のCピラー(柱)の部分で一気に上へ向かっています。このあたりは先行モデルのXC90やXC60とは印象が異なりますが、モダンで挑戦的なデザインに好感が持てます。

 

【注目パーツ03】グローブボックス・フック

まるで国産車のような親切装備

助手席前のグローブボックス中央には、袋などをぶら下げられるフックが付いています。国産の軽やコンパクトカーのような親切装備で、お買い物の際にとても便利です。フックは収納しておくこともできます。

 

【注目パーツ04】フェルト生地

素朴な雰囲気を醸し出す

オレンジ色の部分には、触るとふわふわのフェルト素材が採用されています。ちなみにフェルトの発祥は中央アジアらしく、ボルボの祖国・スウェーデンとはまったく関係ないようですが、素朴なオシャレ感が好印象です。

 

【注目パーツ05】カード挿し

懐かしくも新しい2つのカード用スリット

運転席右前にはカード保管用のスリットを備えています。ひと昔前にはカード挿しがあるクルマもよくあったものですが、最近はすっかり見なくなりました。一体何のカードを挿しておくべきか悩みますが、ひと回りして新しい感じがします。

 

【注目パーツ06】大容量ドアポケット

スピーカー移設でスペース確保

収納が多くて便利ですが、ドアポケットも前後に長く、タブレットも収納できます。なぜこんなに大きくできたかといえば、ドア前方下部にたいてい備わっているはずのスピーカーがダッシュボード奥に移設されているからです。

 

【注目パーツ07】デコレーションパネル

グレードごとに車内のイメージを演出

ダッシュボードにはグレードごとに見た目の異なるパネルが設定されています。写真はその名も「カッティングエッジ・アルミニウム」で、シャープな印象。ほかにもウッド調や地図柄などがあり、室内のイメージが変わってきます。

 

【注目パーツ08】ダストボックス

あると便利なゴミ箱を標準搭載

ゴミ箱っぽい収納があるクルマはあっても、こうやってわかりやすくフタ付きのゴミ箱が付いているクルマは珍しいですね。後方のヒジ置き内にはボックスティッシュも収納できます。外から見てわからないのが美点です。

 

【注目パーツ09】スマホワイヤレス充電器

これなら置き場に迷わない

センターディスプレイの下部には、一部の国産車で見られるスマートフォンの“置くだけ充電”機能が採用されています。同機能の対応機種でないとしても、スマホをしっかり固定しておける置き場として重宝します。

 

【これぞ感動の細部だ】ラゲッジスペース

便利で多彩なアレンジ

容量もそれなりですが、アレンジにアイデアが溢れていて便利です。後席の左右分割可倒はもちろん、床板を折り曲げれば便利なフックが使えます。さらにフタ部分のトノカバーは床下に収納することもできる設計になっています。両手がふさがっていてもバンパー下で足を動かすだけでゲートが開閉するハンズフリー機能も魅力です。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一がトヨタ「ヴェルファイア」を徹底解剖!「マイホームのような安らぎを覚える一台」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回はトヨタの“フラッグシップミニバンブラザーズ”の弟分、ヴェルファイアに試乗しました。「なぜか心が安らぐ」というこの車の真価とは?

 

【登場人物】

永福ランこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】トヨタ ヴェルファイア

SPEC【ハイブリッド・エグゼクティブ ラウンジZ】●全長×全幅×全高:4930×1850×1950㎜●車両重量:2220㎏●パワーユニット:2493㏄直列4気筒DOHCエンジン+2モーター●エンジン最高出力:152PS(112kW)/5700rpm●エンジン最大トルク:21.0㎏-m(206Nm)/4400〜4800rpm●カタログ燃費:18.4㎞/ℓ●335万4480円〜750万8160円

 

マイホームにいるような安らぎを覚える

安ド「殿! 今回はマイナーチェンジしたヴェルファイアです!」

清水「アルファードではないのか?」

安ド「弟分のヴェルファイアです!」

清水「アルファードのほうが好きなのだが」

安ド「な、なぜですか!?」

清水「それは、あの銀歯を剥き出したような顔が好きだからだ」

安ド「ええ〜〜〜〜っ! エレガントなフェラーリを愛する殿が、あんなイカツい顔が好きなんですかぁ!?」

清水「フェラーリはクルマ界の究極形だが、アルファードの顔もまた究極。何ごとも究極は尊い。一方、ヴェルファイアの顔は従来の延長線上にあり、斬新さはない」

安ド「すいません、取材車がヴェルファイアしか空いてなかったもので……」

清水「なら仕方ないな」

安ド「今回はヴェルファイアのなかでも、一番ゴージャスなグレードの“ハイブリッド・エグゼクティブ ラウンジZ”ですので、ご勘弁ください!」

清水「うむ。実にゴージャスな装備だった」

安ド「運転席での乗り心地が良くてビックリしましたが、2列目はさらに快適だったのでは?」

清水「いや、あまり快適ではなかった」

安ド「ええ〜〜〜っ!?」

清水「このクルマは重心が高すぎる。だから少しの段差を乗り越えるときでも、大きく揺れる。クルマは重心が高すぎると乗り心地が悪くなるのだ」

安ド「ま、そう言われれば」

清水「バカデカいスライドドアのせいで、ボディ剛性も低い。これも乗り心地に悪影響を及ぼす」

安ド「僕はメチャメチャ乗り心地が良いと思ったんですが……」

清水「平坦な道を走っているときは、フワフワ快適なのだが」

安ド「考えて見れば、このクルマ、フェラーリ好きの殿の好みに合うはずないですよね!」

清水「いや、2列目はともかく、運転するのはわりと楽しかった」

安ド「ええ〜〜〜っ! 2列目でふんぞり返るよりですか?」

清水「うむ。このクルマを運転していると、なぜか心が安らぐのだ」

安ド「デカすぎて、杉並区の狭い道では、あまり心が安らぎませんでしたが……」

清水「いや、ボディが四角いため見切りが良く、狭い道でも大きな問題はなかった。宅配便のトラックのような感覚だ」

安ド「見切りが良いから安らぐんですか?」

清水「言うなれば、このクルマはヤドカリなのだ。ヴェルファイアに乗っていると、家ごと移動しているような感覚があるだろう?」

安ド「確かに、部屋が動いているようです」

清水「どこか、マイホームにいるような安らぎを覚える。人気があるのもうなずけるな」

安ド「こんなゴージャスなマイホームが欲しいです……」

 

【注目パーツ01】ラゲッジ床下収納

床板をはがすと隠し収納が出現

 3列目シートの下には大容量(148ℓ)の床下収納が隠されています。これだけ広いと漬物でも貯蔵したくなりますね。スライドレールの下にあるので、収納を開けない時は3列目シートを後ろのほうまで下げることもできます。

 

【注目パーツ02】シルバー木目加飾

 新感覚のメタリックなウッドデザイン 

インテリアのパネルには3Dプリント技術によって立体の陰影を組み合わせたシルバーの木目加飾が施されています。樹木のような細かな紋様がありながら、光が当たると金属的な輝きをみせる見応えのあるデザインです。

 

【注目パーツ03】リアサスペンション

ラグジュアリーな乗り味を演出

 

高級セダンなどに採用される「ダブルウィッシュボーン」という形式のリアサスペンションが搭載されています。コストはかかりますが、優れた乗り心地と操縦安定性を実現します。新時代の高級ミニバンとして象徴的な装備ですね。

 

【注目パーツ04】LEDルーフカラーイルミネーション

 車内をムーディな雰囲気に

天井にはライン状のイルミネーションが搭載されており、夜の車内空間にムードのある雰囲気を生み出してくれます。カラーは16色から選ぶことができますが、あまり派手な色にしておくと周囲から怪しい人だと思われそうです。

 

【注目パーツ05】ヘッドランプ&グリル

 押し出し感をアピール

 

豪華さや重厚感を特徴としてきた歴代ヴェルファイアですが、最新型ではさらなるインパクトを生み出すべく、二段ヘッドライトの下にビローンと伸びた盾のようなパネルを採用しました。何かがぶつかってもはね返しそうです。

 

【注目パーツ06】アシストグリップ

 バリアフリー対応もバッチリ

2列目シートの乗降時に便利な“取っ手”が備えつけられています。先代よりグリップが大型化したそうで、子どもから高齢者までうれしい装備です。ちなみに乗降口のステップも低くなっていて、やはり乗り降りしやすくなっています。

 

【注目パーツ07】トヨタ・セーフティ・センス

ステアリング操作もアシストしてくれる

 

カメラやミリ波レーダーを用いた衝突回避支援システムで、自転車の運転者や夜間の歩行者回避にも対応します。車線逸脱を避けるためのステアリング操作アシスト機能も追加されており、超常現象のように自動でぐいぐいハンドルが動きます。

 

【注目パーツ08】ウェルカムパワースライドドア

 近づくだけで開く自動ドア

 

事前に設定しておけば、スマートキーを持ったまま車両に近づくだけで、スライドドアが自動開錠して開くという、まるで手品のような新機能が搭載されています。開くスピードはゆっくりですがリッチな気分が味わえます。

 

【注目パーツ09】サイド&リアウインドウ

 ボディサイズを感じさせないデザイン手法

 運転席&助手席後方のピラー(窓間の柱)より後方のピラーがすべてブラックアウトされているので、フロントウインドウ以外のすべてのウインドウがつながっているかのよう。重厚なボディをスマートに見せるアイデアです。

 

【これぞ感動の細部だ】エグゼクティブパワーシート

広く柔らかく乗り心地も最上級

 

上級グレードにのみ設定される、ラグジュアリー仕様のエグゼクティブなシートです。シート幅は通常のものより広く、クッション性も高いので座り心地は抜群です。そのうえ、電動式のオットマンや温熱機能、ベンチレーション機能、格納式テーブルまで備えています。車高の高さからくる揺れは気になりますが、くつろいで乗っていられます。

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

メリットや課題は? 「個人間カーシェアリングサービス」利用者の生の声を聞く

DeNAが提供している個人間カーシェアリングサービス「Anyca(エニカ)」の交流イベントが、2018年6月29日、「cafe 1886 at Bosch Cafe」(東京・渋谷)で開催された。このイベントは、クルマを貸し出すオーナーと、借りる利用者が定期的に交流する場としてAnycaを主宰するDeNAが企画しているもので、この日は約70人の利用者が集まって、交流を深め合った。

↑東京・渋谷にある「cafe 1886 at Bosch」で開催された個人間シェアリング「Anyca」の交流イベント

 

↑交流会には約70人が集まり、Anycaを主宰するDeNAやBoschのスタッフも紹介された

 

使わない時間を有効活用。愛車の貸し出しに抵抗はない?

自家用車を個人間で貸し借りするカーシェアリングサービスとするAnycaがスタートしたのは、2015年9月のこと。マイカーを所有者が実際に使う利用率は平均すると5%を下回ると言われるが、そのマイカーを使わない時間帯を第三者に有料で貸し出して有効活用しようというのがこのサービスの目的だ。ただ、見知らぬユーザー間でクルマの貸し借りをするのは不安も残る。そこで、交流会を通して互いの信頼関係を深めてもらうことが重要として、月に一度のペースでこのイベントは企画されているのだという。

 

個人間シェアリングで重要なことは、サービスはあくまで「個人間の共同使用契約であって、レンタカーのような営利を目的とするものではない」(DeNA)ということ。そのため、レンタカーよりも低料金で貸し出すことができ、同時にオーナーが持つ個性的なクルマを借りられるというレンタカーでは体験できないようなメリットがある。フェラーリなど“超”がつくような高級車は登録できないが、それでも高級スポーツカーから高級セダン、SUVなど約500種類が登録済み。普段ではまず乗れないようなクルマがリーズナブルな料金で借りられるのが最大の魅力と言えるだろう。

 

Anyca未体験者として気になるのは、愛車を貸し出すことに抵抗はないのだろうか、ということ。クルマ好きならなおさら愛車へのこだわりは強いはずだし、それを第三者へ貸し出すことなど個人的にはあり得ないとも思っていたからだ。

 

しかし、この日、参加したオーナー数人に話を聞いたところ、その抵抗はなかったという人ばかりだった。むしろ、「使っていないときに第三者が使うことでお小遣いが稼げる」ことへの期待感が強く、このサービスを知るきっかけも自らこのサービスを検索して探し当てたという人が多かったほどだ。

↑東京・神楽坂でAudi A3をオーナーとして貸し出している井口さん(仮名)。これまで大きなトラブルはなく、利用者との良い関係が築けていると話す

 

↑オーナーとして参加した豊川夫妻(左2人)、永田さん(中央)、半田さん(右)。豊川夫妻は4WDのトヨタ・プラドを所有し、この冬は毎日のように貸し出す日々が続いたという

 

↑上原さん(左)は交流会初参加。利用者として参加した金子さん(中央)、濱田さん(右)は利用者とオーナーの両体験を持つ

サービスの信頼性を高めるさまざまな工夫

その高い信頼性はどこにあるのか。

 

Anycaの利用方法は、まずクルマを借りる利用者と貸し出すオーナーそれぞれが、スマートフォンのAnycaアプリで会員登録を行うことから始まる。ここでオーナーはクルマの写真を掲載するほか、シェアする条件を細かく提示することができる。借りる側もオーナーも登録料は無料だ。登録を終えたら、次に利用者はアプリで貸出車両の検索や予約を行ってオーナーにリクエストを出し、リクエストが承認されればその時点で予約が確定する。

 

このサービスではアプリ内のチャット上で、貸出条件の設定や利用者との連絡が事前に行えるようになっている。貸出時には利用者とオーナーとが実際に会うことがほとんどで、これによって利用者側に「レンタカーではなく個人のクルマを借り受けるんだ」という意識が芽生えてくる。これがトラブル発生の抑止力となっているらしいのだ。

 

また、支払いの際、利用者とオーナー間で直接金銭を授受することはない。貸し出す料金はオーナーや車種によって異なるが、利用者はクレジットカード決済でDeNAに利用料金を支払い、DeNAは利用料金の10%を手数料として差し引き、翌月末にまとめてオーナーの銀行口座に振り込む。これは金銭上のトラブルを基本的に発生させないためだ。なお手数料はシェアが成立して初めて発生する仕組みとなっている。

 

このサービスは現状、登録台数の大半が東京23区に集中しているなど、主として都市部でのサービスとして成り立っている。これについてDeNAは「クルマの受け渡しをする利便性を踏まえるとやむを得ない面がある」とコメント。ただ、地域によっては、たとえば沖縄のような観光地ではすでに何台かの登録があり、旅行で那覇を訪れた人がAnycaのサービスを利用している例もあるという。この日の参加者のなかからも、実家のある群馬県で貸し出し、利用者はそこまで渋滞知らずの新幹線を利用し、軽井沢でのドライブを楽しんで帰るといった例も紹介されていた。

 

とはいえ、いくら気をつけてもクルマを走らせる以上、事故などのトラブルの発生はつきものだ。そこでAnycaでは、東京海上日動火災保険と提携し、専用の1日自動車保険を用意して利用者に保険の加入を義務付けている。さらにロードサービスが付帯されており、この日の交流会でもBoschによるクルマのトラブル相談会も開催された。Bosch側も、このサービスに対してどう参画していけばいいのかを模索中だという。こうしたサポートもサービスの下支えになっていくものと思われる。

↑この日の交流会はAnycaとBoschのコラボイベントとして開催。Boschとして今後どう参画していくか模索していくという

 

↑クルマのトラブルなどへの対応に関して、ボッシュのメカニックが相談に乗るコーナーも用意された

 

懸念材料はあるが、個人間カーシェアリングの動きは広がりそう

ただ、参加者の話を聞いていくなかで、懸念材料もいくつか見受けられた。

 

1つは十分な確認をしないままでクルマを受け渡し、オーナー側から傷の発生を指摘された例だ。互いに言い争いとなって最後には裁判へ発展するかもしれない事態となり、その時点でオーナー側が引き下がったのだという。

 

2つ目は、利用中に車両トラブルからエンジンの載せ替えを強いられた例。この事例ではオーナー側としては「計器上で警告が出ていたにもかかわらず走行を続けた」として利用者への責任を問い、利用者は「車両トラブルは考えもしないことで、きちんと整備していなかったのではないか」とオーナーを責める。結果としてオーナー側が自らの判断で修理を負担することになったという。

 

利用料金でも少なからず不安を覚えた。というのもオーナー側が稼働率を上げるために、周囲の相場より料金を下げて過当競争に陥りはしないかという懸念だ。さらに言えば、オーナーが貸すことを優先してしまい、オーナー自身がクルマの利用を制限してしまう事例もあるという。もちろん、これらはオーナー側の判断に委ねられるわけで、違反行為ではない。ただ、その話を聞いていると、Anyca本来の目的である「利用しない時間帯を有効活用する」ということから外れてしまってはいないだろうか、と思ったりもする。

 

とはいえ、日本は諸外国に比べてマイカーの維持費が桁違いに高い。そんな状況下で、車庫に眠っているマイカーを有効活用し、その負担を軽減していこうとする考え方が浸透していくのは時間の問題と思う。自動車メーカーもそうした動きには敏感になっており、ホンダは今年3月にAnycaを通して自社のクルマを知ってもらう目的で参画した。

 

こうした動きは、クルマ離れがささやかれる若者たちにとっては、関心のあるクルマに低価格で乗れる絶好のチャンスともなる。今後、サービスが全国規模へと広がっていくときに、信頼できるネットワークをどう構築できるかが、個人間カーシェアリングを定着させるカギとなっていくだろう。

↑交流会では、どうすれば利用率が上がるか、信頼性を獲得できるかなどの参考事例も数多く紹介された

 

 

清水草一がスズキ「スイフトスポーツ」を徹底解剖!「普通のスイフトとはまるで別モノだ!」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、スイフトのスポーツ仕様で、新たにターボエンジンを搭載したコンパクトスポーツをチェック!

 

PROFILE

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今回のクルマ】スズキ スイフトスポーツ

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スズキ

スイフトスポーツ

183万6000円〜190万6200円

SPEC【6速MT】 ●全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm ●車両重量:970kg ●パワーユニット:1371cc直列4気筒DOHCターボエンジン ●最高出力:140PS(103kW)/5500rpm ●最大トルク:23.4kg-m(230Nm)/2500〜3500rpm ●カタログ燃費:16.4㎞/リットル

 

安ド「殿!新型のスイフトスポーツ、いかがでしたか!」

清水「スバラシイな!」

安ド「えっ!確か殿は、新型スイフトの通常モデルに関しては、あまり評価は高くなかったのでは?」

清水「その通り。ボディを軽量化しすぎた影響で、ペナペナ感があった」

安ド「なのにスイフトスポーツはスバラシイのですか?」

清水「スバラシイ!普通のスイフトとはまるで別モノだ!」

安ド「確かに、ボディもしっかり感じましたが……」

清水「実はスイフトスポーツは、普通のスイフトに比べると100kg以上重い。それはボディを強化したためだ」

安ド「そうだったんですね!」

清水「重くはなったが、エンジンは1.4リットルターボ。パワーがまるで違うので、加速も段違いだ!」

安ド「ビックリするくらい速く感じました!」

清水「理由は、本車がハイオク仕様である点にある!」

安ド「そうなんですか!?」

清水「このエンジンは、いわゆる直噴ダウンサイジングターボ。低い回転からのぶ厚いトルクと低燃費が特徴だが、レギュラー仕様だとガックリ元気が出なくなる」

安ド「な、なぜですか!?」

清水「ガソリンのオクタン価が低いと、ダウンサイジングターボはすぐノッキングしてしまうのだ」

安ド「へぇ〜……」

清水「しかしハイオク仕様なら、それを防止できる。欧州製のダウンサイジングターボも、すべてハイオク仕様だろう?」

安ド「ですね」

清水「しかし日本では、ハイオク仕様はゼイタク仕様。それこそが、国産車にダウンサイジングターボが普及しない壁なのだ。普通のスイフトにも、RStという1.0リットルターボモデルがあるが、レギュラー仕様のため、パワーもトルクも物足りなかった」

安ド「そうだったんですか〜」

清水「しかし、本車のようなスポーツモデルなら、ハイオク仕様でも買ってもらえる。この1.4リットルターボエンジンは、ハイオク仕様にすることで、ビックリするくらいパワフルで気持ち良い加速をしてくれる」

安ド「本当にビックリしました! 先代までのスイスポとは、普通のゴルフとゴルフGTIくらいの違いを感じます!」

清水「スイスポの走りはスバラシイ! しかも6速MT仕様がある。実用性も十分!」

安ド「このクルマなら、家族もクルマ好きも納得だと思います!」

清水「価格も、安全装備をフルに付けて約200万円。決して安くはないが、性能を考えれば納得だ」

安ド「デザインもいいですし、輸入車を買う必要がない感じです!」

清水「うむ。お前ももうイタリア車かぶれはやめて、次はコレを狙え。もちろん中古でな!」

安ド「そんな〜!」

 

カーボン調パーツ:戦闘力のありそうなルックス

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フロントグリルやバンパー、サイドアンダースポイラーなどにはカーボン調パーツが用いられています。ここが通常のスイフトとの外観上の大きな違いです。リアルカーボンかどうかは問題ではなく、断然見た目がスポーティになります。

 

17インチアルミホイール:大きくてデザインも特別感あり

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スイフトは16インチ&15インチサイズですが、スイフトスポーツでは17インチサイズの大きなタイヤ&ホイールが採用されています。アルミを削ったようなデザインだったり、一部ブラックに塗られていたり、ワイルドな印象です。

 

マフラー:太く、大きく、男らしく

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排気ガスは嫌われますから、エコカーではマフラーを目立たないようにするのがトレンド。スイフトもそうです。しかし、スイフトスポーツではこんなに太くてたくましいのが2本も、まるで大砲のように備わっています。

フロントサイドウインドウ:オールドポルシェを彷彿させる

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窓を開けたときに初めて気づくこと。窓枠は写真のように曲線なのですが、中のガラスは角が立っています。これ、実は古いポルシェの窓も同じようなつくりで、それだけでもクルママニアの心を奮い立たせてくれます。

 

リアドアハンドル&Cピラー:存在しないかのように配置

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リアドアの取っ手(ハンドル)部分をドア後方上部に配置して、2ドアクーペのように見せる手法は、近年のクルマでよく採用されています。スイフトスポーツではさらにリアピラーからリアウインドウまで同化させています。

 

6速MT:スポーツモデルはやっぱりMTが楽しい

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いまやATのほうがMTよりシフト操作が早いということで、F1でさえAT化されていますが、やっぱりMTは楽しい。歴代モデル同様、スイフトスポーツにはしっかりMT仕様が設定されていて、赤いステッチなど心憎い演出もあります。

 

先進安全技術:充実装備でスポーツモデルでも安心

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オプション装備扱いになりますが、「セーフティパッケージ」を付ければ、ブレーキサポートや車線逸脱抑制機能、誤発進抑制機能など先進安全装備が全搭載されます。コンパクトカーでもスポーティモデルでも、もう安全面で妥協する必要のない時代です。

 

260㎞/hメーター:180㎞/hより上まで刻まれた表示

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スイフトスポーツはヨーロッパでも販売されているグローバルモデルですから、スピードメーターはなんと260km/hまで記載されています。果たしてこんなにスピード出るのでしょうか!?日本ではサーキットじゃないと試せません。

 

グラデーション柄オーナメント:まるで高級スポーツカーのよう

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インパネ正面(エアコン吹出口下)やコンソール(運転席と助手席間の仕切り)、ドアのアームレストにも、赤から黒へと変化するグラデーション柄のオーナメントが付けられています。スポーティなのに高級感があります。

 

これぞ 感動の細部だ!

ブースタージェットエンジン:ターボエンジンらしからぬトルク性能

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現行型に搭載されるエンジンは1.4リットルターボになりました。人によっては従来のスイフトスポーツのようにNA(自然吸気)が良かったと言う人もいます。しかしこのエンジンは、ターボといっても昔のような急加速する“ドッカンターボ”ではなく、低い回転域でも十分なトルクを発揮するので、扱いやすく気持ち良い走りを味わえます。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一がBMW「X3」を徹底解剖!「ディーゼルエンジンの静かさに感服」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回は、高級クロスオーバーSUVの先駆けとして10年以上前に誕生したパイオニア的モデルの最新型をチェック。清水さんが注目した「ディーゼルエンジンの静かさ」とは?

 

【登場人物】

 永福ランプこと清水草一

 日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今回のクルマ】BMW X3

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SPEC【xDrive 20d M Sport】●全長×全幅×全高:4720×1890×1675㎜●車両重量:1860㎏●パワーユニット:1995㏄直列4気筒DOHCディーゼルエンジン●最高出力:190PS(140kW)/4000rpm●最大トルク:40.8㎏-m(400Nm)/1750〜2500rpm●カタログ燃費:17.0㎞/ℓ●639万〜710万円

 

「ディーゼルエンジンの静かさに感服!」

安ド「殿! 世界的なSUVブームですね!」

清水「うむ。よきにはからえ」

安ド「それはどうでもいいという意味で?」

清水「個人的にはな」

安ド「これまで47台もクルマを購入されてきた殿ですが、SUVは1台も買われていないとか」

清水「オフロード趣味がないのでな。が、もうひとつ理由がある」

安ド「スポーツカー好きの殿ですから、重心が高い、ですか?」

清水「いや、現代のSUVは重心の高さをまったく感じさせぬ。このX3も走りは抜群。実に安定していたぞ」

安ド「では何が?」

清水「SUVは背が高いぶん、重い。そして空気抵抗が大きい。よって燃費が悪くなる。節約を何よりも重視する私としては、SUVは選択外となる」

安ド「47台も買ってて、節約もないと思いますが」

清水「それを言うでない」

安ド「ははっ。言われてみれば確かにこのX3、2ℓディーゼル搭載モデルでしたが、今回の燃費は実質11㎞/ℓにとどまりました」

清水「であろう。何を隠そう現在の我が愛車は、同じく2ℓディーゼルを積むBMW 320D。そちらは平均で17㎞/ℓ走っておる」

安ド「それはロングドライブが多いからでは?」

清水「それを言うではない」

安ド「失礼しました。節約を優先するならセダンやステーションワゴンが有利ですよね。ただ私としましては、SUVのカッコ良さは捨てがたいです!」

清水「いや、この顔はブサイクである。あまりにもキドニーグリルがデカすぎる。これではまるでダッジラムだ」

安ド「そんなことはありません!新型は新鮮でイマっぽいです!」

清水「見解の相違であるな。ただ今回、この新型X3に心底感じ入ったことがある」

安ド「ジェスチャーコントロールのレスポンスが良くなった、とかですか?」

清水「そんなものは知らぬ。私が感服したのは、ディーゼルエンジンの静かさだ」

安ド「そう言えば、ガラガラ音がほとんど聞こえませんでした」

清水「私の320dは3年前の中古車。アイドリングでそれなりにガラガラ音が出るが、短期間でこれほど進化するとは驚きだ」

安ド「ディーゼルも進化してるんですね!」

清水「世の論調としては、ディーゼルはオワコンでこれからはEV一本だが、まだまだどうして。最新のディーゼルは、この重いSUVをわずか2ℓの排気量で軽々と加速させ、静かさもほとんどガソリン車と変わらず、燃費では大きくリードする。これがそう簡単に死ぬはずがない!」

安ド「なるほど!」

清水「私が新型X3で確信したもの。それはディーゼルの存続だ」

安ド「肝に銘じます!」

 

 

【注目パーツ01】コネクテッド・ドライブ

クルマが世界とつながるサービス

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ニュースや天気などの各種情報収集、より正確なナビゲーションなどが実現でき、スマホからエアコンの起動やロックの解除などもできるようになります。似たような機能は各社がやってますが、輸入車ではBMWが初でした。

 

【注目パーツ02】キドニーグリル

大型化で大きく表情を変えた

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BMWのフロントデザインを象徴するのが、2つのグリルを横並びにした“キドニーグリル”。新型では大型化されて、その存在感を高めています。ダイナミックで立体的にはなりましたが、個人的には繊細さがなくなりガッカリです。

 

【注目パーツ03】ラゲージ・アンダートレイ

自立したまま便利に使える

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荷室の床下にスペースがあるのは、スペアタイヤを必要としなくなった近年のSUVでは当たり前のこと。が、X3では床下のフタ部分にダンパーが付いていて勝手に下がってきません! 高級車のボンネットと同じです。金かかってます。

 

【注目パーツ04】ジェスチャー・コントロール

 空間上の手の動きを感知

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ディスプレイの前で指をクルクル回したり、手首を動かしたりといった所作をするだけで、電話やボリュームなどを画面に触れずに操作することができます。ちなみに手がディスプレイから30㎝くらい離れていても操作可能でした。

 

【注目パーツ05】ウェルカム・ライト

光が便利さと雰囲気を演出

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夜暗いなかでX3に乗ろうとすると、便利な照明が自動で2か所に灯ります。ひとつはドアハンドル(上)で、もうひとつは地面(下)。後者は「ウェルカム・ライト・カーペット」と呼ばれるもので、独特な模様で乗員を車内に導いてくれます。

 

【注目パーツ06】アンビエント・ライト

 室内の高級感を高める照明

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インテリアは、まるでおしゃれなバーのように間接照明で照らされます。ライトカラーは11パターンが設定されていて、気分に合わせて選択することができます。が、そのうち面倒になって変えなくなってしまうでしょう。

 

【注目パーツ07】ステアリング

 高級感と使用感を両立

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“ウォークナッパ”と呼ばれるレザーを表面に使った高級感あふれるステアリングです。このMスポーツだけは10時10分の位置に、親指を引っ掛ける出っぱり「サムレスト」が付いています。握ってみるとすごく太くてたくましいです。

 

【注目パーツ08】エア・ブリーザー

 SUVのアクティブ感を強調

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いかにもSUVらしいアクティブでワイルドな雰囲気を演出するのが、このフロントタイヤ後方に彫られたスリットです。よく見てみると穴は空いてなくてただのダミーのようですが、これでも空気抵抗を低減させる効果があるそうです。

 

【注目パーツ09】バックモニター

2画面2方向表示で車庫入れを簡単に

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車両後方を確認できるバックモニターや、真上から見た図が表示されるトップビューモニターなどは多くのクルマに付いていますが、X3は両者を同時に表示できます。ディスプレイが横に長いって便利ですね。

 

【これぞ感動の細部だ】ディーゼルエンジン

パワーアップしつつ、静かに

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新型X3は、ディーゼルとガソリン2種類のモデルが展開されています。今回テストしたのは先行販売されているディーゼル。ディーゼル自体の特徴でもある強大なトルクを発揮し、この大きく重いボディをものともせずグイグイ押し出すように走ります。実は私の愛車もBMWのディーゼルですが、やはり最新型は音も断然静かで、弱点がありません。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一が「シビック タイプR」を徹底解剖!「非日常のカタマリ。つまりフェラーリ的なのだ」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、カーマニア垂涎の傑作スポーツモデル! シビック タイプRをチェックしました。

 

【PROFILE】

永福ランプこと清水草一:日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖です。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド :元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今回のクルマ】ホンダ シビック タイプR

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SPEC ●全長×全幅×全高:4560×1875×1435㎜ ●車両重量:1390㎏ ●パワーユニット:1995㏄直列4気筒DOHCターボエンジン ●最高出力:320PS(235kW)/6500rpm ●最大トルク:40.8㎏-m(400Nm)/2500〜4500rpm ●カタログ燃費:12.8㎞/ℓ  ●価格:450万360円

 

安ド「殿! このクルマ、まるでロボットアニメのマシンですね!」

清水「うむ。かつてランサーエボリューションが〝ガンダム系”の代表だったが、そのランエボもいまはない。ところがこのシビックタイプRは、かつてのランエボ以上のガンダム系デザインと言ってよかろう!」

安ド「顔もガンダムっぽいですけど、ルーフ後端についてるフィンがものスゴいです!」

清水「ものスゴいな!」

安ド「殿はこんな子どもっぽいデザインのクルマ、お嫌いですよね?」

清水「……いや、このクルマに関しては、決して嫌いではない。正確には、好きになってしまいそうだ」

安ド「マジですか!」

清水「なんだかんだいって、我々カーマニアは中身を重視する。どんなに『クルマはカッコ』と思っていてもな……」

安ド「つまり、中身がいいってことですか?」

清水「うむ。コイツの走りは本当にものスゴい。まさに非日常のカタマリ。つまりフェラーリ的なのだ」

安ド「えっ!美の化身であるフェラーリに似てるんですか!?」

清水「見た目は似ても似つかないが、中身の方向性は同じ。どこまでも速く、そして過剰に過激なのだ」

安ド「なるほど!」

清水「ボディのしっかり感、シャシー性能もとてつもないが、私が特に感じ入ったのは、2リットルターボエンジンのフィーリングだ」

安ド「乾いたいい音がしますね!」

清水「音も悪くないが、回せば回すほどターボパワーが高まる過激な特性にホレた。いまどきのダウンサイジングターボにはない、古典的なレーシングターボ。たとえれば、フェラーリF40のような」

安ド「殿!そんな神車の名前を口にしていいんですか!」

清水「低速トルクはたっぷりあり、実用性満点でありながら、本領を発揮するのは4000回転から上。そのまま7000回転まで、天井知らずにパワーが盛り上がる。思わず『このまま死んでもいい』と思ってしまうほどだ」

安ド「ええっ!フェラーリに命を賭けた殿が、ホンダ車で死んでもいいんですか!」

清水「ホンダはやはりエンジンメーカーだ。つまり、魂はフェラーリと同じ。ミニバンや軽では影を潜めたその本質が、このタイプRに込められている」

安ド「なるほど!ところで殿。限定モデルだった先代のタイプRのエンジンとは、かなり違いますか?」

清水「スペック的にはわずか10馬力アップなのだが、フィーリングは、はるかに澄んでいてピュア。フェラーリ的に感じたぞ」

安ド「スペックではなくフィーリングなんですね!そういえば6速MTも、ストロークが短くてコクコク入るし、メカニカルな感覚が心地良かったです!」

清水「まるでレーシングカーだな」

安ド「そうなんです。速すぎてアクセル全開にできません!」

 

【注目パーツ01】6速トランスミッション

回転数自動同期システム付き

歴代のタイプR同様、アルミ製シフトノブを備えた6速マニュアルです。変速時に回転数を自動で合わせてくれるので、ダウンシフトをカッコよく決められます。下部には、シリアルナンバー入りアルミ製エンブレム付きです。

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【注目パーツ02】カーゴエリアカバー

珍しく横から引っ張るタイプ

“トノカバー”と呼ばれる荷室上部のフタが、このクルマでは珍しく横からビヨヨーンと伸びてきます。おかげでハッチバックに連動して開閉はできませんが、ラッピングフィルムみたいで、出し入れすると楽しい気分になります。

20171226-yamauchi_15のコピー

 

【注目パーツ03】3本出しマフラー&ディフューザー

見た目と実力を兼ね備えたリアまわり

高出力モデルというと左右2本出しマフラーが定番ですが、これは中央3本出し。フェラーリF40や458イタリアを髣髴とさせ、攻撃的で素敵です。両脇の黒いフィンは整流板で、車体の下を流れてきた空気を整えます。

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【注目パーツ04】スリット

空気の流れを整えるエアロパーツ

ボンネットの上に空気を取り入れるためのスリット(穴)があります。この空気でエンジンを冷やすのかと思いきや、どうもフロントタイヤ後方のスリットから抜ける構造のようです。空気の流れを大切にしているのですね。

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【注目パーツ05】20インチ30扁平タイヤ

大径サイズ化により高性能を発揮

ひと目見たときの違和感はなんだろうと思ってよく見ると、ものすごくタイヤが薄いです。「30扁平」というと、ひと昔前はスーパーカー用だった超扁平サイズ。見た目に違わずスーパーカー並みのパフォーマンスを実現してくれます。

20171226-yamauchi_3のコピー

 

【注目パーツ06】フロントフェイス

メカニカルな雰囲気のロボ顔

どちらかといえばさっぱり顔だった先代モデルと違い、今作は戦闘的で“ロボット感”溢れる雰囲気となりました。このロボ顔が嫌な人は先代型をおすすめしますが、先代型の中古車も人気が高く、価格はなかなか下がりません。

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【注目パーツ07】ドライブモードスイッチ

その日の気分でモードを変える

「タイプRでもたまには気を抜いて走りたい!」人向けにコンフォートモードを備えました。逆に、「もっと速く! 誰よりも速く!」と望む人には+Rモードもあります。ハンドリングや乗り心地などの味付けが変わります。

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【注目パーツ08】タイプRシート

高いホールド性を実現する形状

やはりタイプR伝統の赤いバケット型(体を包み込む形状の)シートを備えています。体の大きい人にとっては窮屈そうですが、体重80キロ超えのぽっちゃりな安ドでもすっぽり入りましたので、大丈夫だと思います。

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【注目パーツ09】大型リアスポイラー&ボルテックスジェネレータ

抵抗を抑えて空気の流れを整える

先代モデルもリアスポイラーは大型でしたが、このようなデコボコは付いていませんでした。このリアウインドウ上部についているデコボコが、走行時にルーフ上に流れる空気を整えて効果的にリアスポイラーに導くのです。

20171226-yamauchi_8のコピー

 

[これぞ感動の細部だ! VTECターボエンジン]

レーシングカーのようなレスポンス

回せば回すほどパワーが溢れてくる超高回転型の高出力エンジンで、非常に官能的です。まるでピュアレーシングカーのような走りを実現しながら低速トルクもしっかりあって乗りやすい、近年まれに見る傑作エンジンであります。ちなみに北米では、モータースポーツに参戦する顧客向けに、このエンジンを単体で販売するのだとか。スゴい!20171226-yamauchi_12

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一がプジョー3008を徹底解剖! 「殿、珍しく絶賛ですね!」

ベテラン自動車ライターのMJブロンディとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。SUVブームに先鞭をつけたプジョーの3008に試乗してみました!

 

[PROFILE]

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】プジョー 3008

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SPEC【GTライン】●全長×全幅×全高:4450×1840×1630 ㎜●車両重量:1500㎏●総排気量:1598㏄●パワーユニット:直列4気筒DOHCターボ●最高出力:165PS(121kW)/6000 rpm●最大トルク:24.5㎏-m(240Nm)/1400〜3500rpm●カタログ燃費:14.5㎞/ℓ 357万〜429万円

 

「俺ならそれでもディーゼルにする」

安ド「殿! やっぱりフランス車はオシャレでカッコいいですね!」

清水「うむ。プジョーのデザインは長らく低迷していたが、この3008でかなり復活した印象だ」

安ド「どのあたりがいいですか?」

清水「デカすぎる『口』などの過度な小細工を廃し、適度に攻撃的なイメージを、こじゃれた細部で引き立てている」

安ド「インテリアもいいですね! 従来のプジョー車って、クオリティの足りなさをデザインでごまかしてた印象があったのですが(笑)、これは車格なりか、それ以上に質感が高いと思いました!」

清水「まさにドイツ車的なクオリティに近づいています。それでいてオシャレ感も高い」

安ド「特にステアリングやシフトまわりなどがいいです!」

清水「個人的には、楕円形の小径ハンドルがスバラシイ。車幅のあるSUVをクイクイと曲げてくれる」

安ド「メーターはハンドルの上から見えますね」

清水「近年のプジョー車の定番だな。これに違和感を覚える人も少なくないようだが、なにせハンドルが小さいので、ハンドルの中にメーターを収めるのはムリ。私は好きだぞ」

安ド「殿、珍しく絶賛ですね! 走りはどうですか」

清水「SUVを感じさせない軽快さがあり、乗り味も適度にフンワリしている。フランス車らしく、もう一段フンワリでもいいと思うが」

安ド「ボディも剛性感があって、いかにも力強いSUVという感じで、頼もしかったです。ドイツ車みたいでした!」

清水「世界中のクルマがドイツ車化しているからな。昔のプジョーとは似ても似つかぬ頼もしさだ」

安ド「エンジンはどうですか? 今回は1.6Lのガソリンターボモデルです」

清水「このエンジンは、愛車だったシトロエンC5で堪能したが、可もなし不可もなしだ」

安ド「燃費は約11㎞/Lでした!」

清水「うむ。SUVでそれだけ走れば問題なかろう」

安ド「きっとディーゼルはもっと速いと思いますが、これはこれで十分と言えます」

清水「ディーゼルは2L。断然速いし、燃費もいい。ただ価格がかなり高い」

安ド「429万円です」

清水「ガソリン車より30〜60万円高い。俺ならそれでもディーゼルにするが」

安ド「それとこのクルマ、プジョー車としては初めて、ドイツ車並みの高性能な自動ブレーキを搭載したんですよね!」

清水「しかも標準装備です。BMWなどと同様の単眼カメラ&ミリ波レーダーの組み合わせで、歩行者も検知できるのだから、これまでのフランス車とはまるで違うぞ」

安ド「ひょっとしてこのクルマ、フランス車の革命では?(笑)」

清水「それでいてオシャレ。オススメできる!」

 

【注目パーツ01】小径レザーステアリング

スポーティな走りを実現するハンドル

20171117-yamauchi_33

近年のプジョー車のトレンドですが、径を小さくすることで握りやすくし、ドライバーがスポーティに運転できるよう設計されています。また、上下面をフラットにして、視界と足元スペースが広く取れるようにしているのも特徴です。

 

【注目パーツ02】パノラミックサンルーフ

開ければ圧倒的開放感! ボタンひとつで電動開閉

20171117-yamauchi_35

この電動開閉機能付きの大型サンルーフは、プジョー初搭載の機能なんです。爽快な風を感じさせてくれるサンルーフをいままで開けずにいたとはもったいないかぎりです。サイドウインドウの面積が小さいだけに貴重な装備です。

 

【注目パーツ03】1.6リットルターボエンジン

トレンドを踏襲した小排気量仕様

20171117-yamauchi_37

世界のトレンドは小排気量ターボ。3008も、ボディサイズのわりに小さ過ぎるんじゃないかと思わせる小排気量ターボエンジンを搭載しています。もちろん、想像以上にパワフルで軽快な走りを実現してくれます!

 

【注目パーツ04】ウエストライン

ワイルドな風合いを 醸し出すサイドライン

20171117-yamauchi_44

ボディサイドの窓の下のライン、いわゆるウエストラインは、車高が低いわりに高い位置にデザインされています。ドライバーの見切りは多少悪くなりますが、マッチョな感じが増して、SUVとしては成功しているのではないでしょうか。

 

【注目パーツ05】デジタルヘッドアップインストルメントパネル

デジタル表示で近未来感をアピール

20171117-yamauchi_34

全面デジタルディスプレイになっていることから、デザインの異なる4つのディスプレイモードを選べます。ちなみにそのメニュー表示は、なんと日本語に対応!  プジョーも親日的になったものです。

 

【注目パーツ06】ヘッドライト

明るく見やすくハイデザイン

20171117-yamauchi_38

ヘッドライトの中央部分が、見てのとおりものすごくえぐれています。このような複雑な形状にするとコストがかかると思うのですが、デザインへのこだわりと先進性を感じさせます。もちろんフルLEDを採用しています。

 

【注目パーツ07】ATシフト

まるで飛行機のようなシフトノブ

20171117-yamauchi_32

トランスミッションは高効率な6速ATが採用されていますが、それを操るシフトノブは飛行機の操縦桿のような形をしています。プジョーはこのインテリアを「i-Cockpit」と呼んでいるので、このような形状になったのでしょうか。

 

【注目パーツ07】大型フロントグリル

顔の中心でこだわりを見せつける

20171117-yamauchi_39

プジョーは「大型グリル」と謳っておりますが、近年の大型グリルブームのなかでは比較的小型であります。特筆すべきはその独特な形状で、横から見るとえぐれており、このこだわりの造形がクルマファンを唸らせます。

 

【注目パーツ01】トグルスイッチ

ピアノの鍵盤のような美しさ

20171117-yamauchi_31

「トグルスイッチ」とはつまみ状のレバーを上下に倒す構造のものですが、プジョーのトグルスイッチは、このように近未来的な形状です。実用的でありながら、整然としていて工業製品ならではの美しさも備えています。

 

これぞ 感動の細部だ!安全運転支援システム

最新の運転支援デバイスを網羅

20171117-yamauchi_40

アクティブセーフティブレーキやレーンキープアシスト、アクティブブラインドスポットモニター、ドライバーアテンションアラート、アクティブクルーズコントロールなど、カメラ(写真左)とレーダー(写真右)をベースとした安全運転支援機能がてんこ盛り。もちろんその完成度は実用に値するレベルで、決して日本車やドイツ車にも負けてないです。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一がプジョー3008を徹底解剖! 「殿、珍しく絶賛ですね!」

ベテラン自動車ライターのMJブロンディとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。SUVブームに先鞭をつけたプジョーの3008に試乗してみました!

 

[PROFILE]

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】プジョー 3008

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SPEC【GTライン】●全長×全幅×全高:4450×1840×1630 ㎜●車両重量:1500㎏●総排気量:1598㏄●パワーユニット:直列4気筒DOHCターボ●最高出力:165PS(121kW)/6000 rpm●最大トルク:24.5㎏-m(240Nm)/1400〜3500rpm●カタログ燃費:14.5㎞/ℓ 357万〜429万円

 

「俺ならそれでもディーゼルにする」

安ド「殿! やっぱりフランス車はオシャレでカッコいいですね!」

清水「うむ。プジョーのデザインは長らく低迷していたが、この3008でかなり復活した印象だ」

安ド「どのあたりがいいですか?」

清水「デカすぎる『口』などの過度な小細工を廃し、適度に攻撃的なイメージを、こじゃれた細部で引き立てている」

安ド「インテリアもいいですね! 従来のプジョー車って、クオリティの足りなさをデザインでごまかしてた印象があったのですが(笑)、これは車格なりか、それ以上に質感が高いと思いました!」

清水「まさにドイツ車的なクオリティに近づいています。それでいてオシャレ感も高い」

安ド「特にステアリングやシフトまわりなどがいいです!」

清水「個人的には、楕円形の小径ハンドルがスバラシイ。車幅のあるSUVをクイクイと曲げてくれる」

安ド「メーターはハンドルの上から見えますね」

清水「近年のプジョー車の定番だな。これに違和感を覚える人も少なくないようだが、なにせハンドルが小さいので、ハンドルの中にメーターを収めるのはムリ。私は好きだぞ」

安ド「殿、珍しく絶賛ですね! 走りはどうですか」

清水「SUVを感じさせない軽快さがあり、乗り味も適度にフンワリしている。フランス車らしく、もう一段フンワリでもいいと思うが」

安ド「ボディも剛性感があって、いかにも力強いSUVという感じで、頼もしかったです。ドイツ車みたいでした!」

清水「世界中のクルマがドイツ車化しているからな。昔のプジョーとは似ても似つかぬ頼もしさだ」

安ド「エンジンはどうですか? 今回は1.6Lのガソリンターボモデルです」

清水「このエンジンは、愛車だったシトロエンC5で堪能したが、可もなし不可もなしだ」

安ド「燃費は約11㎞/Lでした!」

清水「うむ。SUVでそれだけ走れば問題なかろう」

安ド「きっとディーゼルはもっと速いと思いますが、これはこれで十分と言えます」

清水「ディーゼルは2L。断然速いし、燃費もいい。ただ価格がかなり高い」

安ド「429万円です」

清水「ガソリン車より30〜60万円高い。俺ならそれでもディーゼルにするが」

安ド「それとこのクルマ、プジョー車としては初めて、ドイツ車並みの高性能な自動ブレーキを搭載したんですよね!」

清水「しかも標準装備です。BMWなどと同様の単眼カメラ&ミリ波レーダーの組み合わせで、歩行者も検知できるのだから、これまでのフランス車とはまるで違うぞ」

安ド「ひょっとしてこのクルマ、フランス車の革命では?(笑)」

清水「それでいてオシャレ。オススメできる!」

 

【注目パーツ01】小径レザーステアリング

スポーティな走りを実現するハンドル

20171117-yamauchi_33

近年のプジョー車のトレンドですが、径を小さくすることで握りやすくし、ドライバーがスポーティに運転できるよう設計されています。また、上下面をフラットにして、視界と足元スペースが広く取れるようにしているのも特徴です。

 

【注目パーツ02】パノラミックサンルーフ

開ければ圧倒的開放感! ボタンひとつで電動開閉

20171117-yamauchi_35

この電動開閉機能付きの大型サンルーフは、プジョー初搭載の機能なんです。爽快な風を感じさせてくれるサンルーフをいままで開けずにいたとはもったいないかぎりです。サイドウインドウの面積が小さいだけに貴重な装備です。

 

【注目パーツ03】1.6リットルターボエンジン

トレンドを踏襲した小排気量仕様

20171117-yamauchi_37

世界のトレンドは小排気量ターボ。3008も、ボディサイズのわりに小さ過ぎるんじゃないかと思わせる小排気量ターボエンジンを搭載しています。もちろん、想像以上にパワフルで軽快な走りを実現してくれます!

 

【注目パーツ04】ウエストライン

ワイルドな風合いを 醸し出すサイドライン

20171117-yamauchi_44

ボディサイドの窓の下のライン、いわゆるウエストラインは、車高が低いわりに高い位置にデザインされています。ドライバーの見切りは多少悪くなりますが、マッチョな感じが増して、SUVとしては成功しているのではないでしょうか。

 

【注目パーツ05】デジタルヘッドアップインストルメントパネル

デジタル表示で近未来感をアピール

20171117-yamauchi_34

全面デジタルディスプレイになっていることから、デザインの異なる4つのディスプレイモードを選べます。ちなみにそのメニュー表示は、なんと日本語に対応!  プジョーも親日的になったものです。

 

【注目パーツ06】ヘッドライト

明るく見やすくハイデザイン

20171117-yamauchi_38

ヘッドライトの中央部分が、見てのとおりものすごくえぐれています。このような複雑な形状にするとコストがかかると思うのですが、デザインへのこだわりと先進性を感じさせます。もちろんフルLEDを採用しています。

 

【注目パーツ07】ATシフト

まるで飛行機のようなシフトノブ

20171117-yamauchi_32

トランスミッションは高効率な6速ATが採用されていますが、それを操るシフトノブは飛行機の操縦桿のような形をしています。プジョーはこのインテリアを「i-Cockpit」と呼んでいるので、このような形状になったのでしょうか。

 

【注目パーツ07】大型フロントグリル

顔の中心でこだわりを見せつける

20171117-yamauchi_39

プジョーは「大型グリル」と謳っておりますが、近年の大型グリルブームのなかでは比較的小型であります。特筆すべきはその独特な形状で、横から見るとえぐれており、このこだわりの造形がクルマファンを唸らせます。

 

【注目パーツ01】トグルスイッチ

ピアノの鍵盤のような美しさ

20171117-yamauchi_31

「トグルスイッチ」とはつまみ状のレバーを上下に倒す構造のものですが、プジョーのトグルスイッチは、このように近未来的な形状です。実用的でありながら、整然としていて工業製品ならではの美しさも備えています。

 

これぞ 感動の細部だ!安全運転支援システム

最新の運転支援デバイスを網羅

20171117-yamauchi_40

アクティブセーフティブレーキやレーンキープアシスト、アクティブブラインドスポットモニター、ドライバーアテンションアラート、アクティブクルーズコントロールなど、カメラ(写真左)とレーダー(写真右)をベースとした安全運転支援機能がてんこ盛り。もちろんその完成度は実用に値するレベルで、決して日本車やドイツ車にも負けてないです。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

【1分解説】昨年カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「ボルボ XC40」に乗る

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は昨年カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したボルボ  XC40をピックアップします。

 

洗練された走りが魅力のコンパクトSUV

ボルボ

XC40(SUV)

SPEC【T5 AWD Rデザイン】●全長×全幅×全高:4425×1875×1660㎜●車両重量:1690㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:252PS/5500rpm●最大トルク:35.7㎏-m/1800〜4800rpm●カタログ燃費:12.4㎞/ℓ

プレミアムSUVといえる乗り心地の良さを堪能

結論から言うと、XC40は、昨年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーの名に恥じることのない秀作。外観は、SUCらしい押し出しの強さと、ボルボの伝統ともいえるゴツさが感じられ、それでいて洗練されています。内装は、カジュアルな風味のなかに上質感があり、使い勝手を高めるためのギミックも満載。SUVとしてはコンパクトなサイズですが、居住空間や荷室の広さにも申し分がありません。

 

それ以上に印象的だったのは、走りが極めて洗練されていたこと。今回試乗したのは、高性能な2ℓターボエンジンを搭載する上級クラスのT5。環境を問わず軽快な走りを実現する動力性能は、圧巻の出来栄えでした。乗り心地の良さもプレミアムSUVと呼べる水準にあり、日常使いでも良さを感じられるでしょう。ボルボといえば、タフで安全な銘柄という評価が定着していますが、本車はそれだけではありません。走りや乗り心地、使い勝手、デザインなど、あらゆる点において高い満足感が得られました。

【注目ポイント01走りは軽快かつ上質

 

252PSを発揮する2ℓターボ+4WDの動力性能は、スピーディかつ軽快な印象。加えてボルボらしいプレミアム感のあるドライビングが楽しめました。300台限定車の1stエディションは即完売したといいます。

 

 

【注目ポイント02荷物に応じて多彩にアレンジ可能

荷室容量は通常時が586ℓで、リアシートを完全に畳むと最大1336ℓに拡大する。フロアボードは、荷物に応じて多彩なアレンジが可能なつくりとなっています。

 

 

【注目ポイント03インテリアに細やかな配慮

大胆な色使いや最新のボルボらしい上質感が印象的な室内は、細やかな配慮も行き届いています。グローブボックスに折りたたみ式フックが備わり、軽い荷物が掛けられるなど機能性が高いです。

【1分解説】満を持して登場!「フォルクスワーゲン パサートTDI」ってどんなクルマ?

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は期待されながらも導入が遅れてしまい、ついに日本に上陸したフォルクスワーゲン ポロをピックアップします。

 

力強い走りで「汚名返上」の切り札に

フォルクスワーゲン

パサートTDI

(セダン/ワゴン)

SPEC【ヴァリアント ハイライン】●全長×全幅×全高:4775×1830×1510㎜●車両重量:1610㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:190PS/3500〜4000rpm●最大トルク:40.8㎏-m/1900〜3300rpm●カタログ燃費:20.6㎞/ℓ

長距離のドライブであるほど走りの性能を満喫できる

約3年前に発覚した「不正事件」により、フォルクスワーゲンのディーゼル車は著しく信頼を失ってしまいました。本来はもっと早いタイミングで日本へ導入されるはずだったパサートTDIは、最高水準の排ガス浄化システムを備えるユニットを搭載し、満を持して登場。強豪ひしめくディーゼル乗用車のなかで、色々な意味で注目度の高いモデルとなっています。

 

元々堅実な走りが魅力のパサートはディーゼルとの相性がピッタリで、トルク感や力強さは期待通りでした。試乗したのはワゴンタイプのヴァリアントでしたが、荷物を多く積んでの長距離ドライブほど同車の良さを満喫できるでしょう。「汚名返上」の切り札として、十分な説得力が感じられました。

 

【注目ポイント01ワゴンとセダンを用意

ワゴンボディのヴァリアント(写真)に加え、セダンも選択できます。その走りは実用域の扱いやすさと経済性の高さが持ち味。

 

【注目ポイント02内装もエンジンも快適

グレードはハイラインとエレガンスラインの2種。上級のハイラインはレザーシートを標準装備します(写真上)。2ℓディーゼルは快適な走りを実現(写真下)。

クルマは第2の自宅だ! 充実したカーライフが送れる便利グッズ4選

通勤など日常生活でクルマを使う人は多いはず。移動時間を充実させるためには、車内空間を快適なものにしたいですね。そこで今回は、ドリンクホルダーに収まる空気清浄機や後部座席用のタブレットホルダーなどをご紹介。遠方へのドライブや子どもを乗せての移動などで役立つアイテムをピックアップしたので、ぜひチェックしてみて下さい。

 

出典画像:シャープ 公式サイトより

 

[その1]

狭い車内に有効な空間を生み出す「ワンタっちゃブル」

出典画像:SFJ 公式サイトより

SFJ
ワンタっちゃブル
車内で食事をする時に役立つのが、SFJの「ワンタっちゃブル」です。トレーには特殊なくぼみが施され、ハンドルの下部に固定可能。表面は飲食の時にうれしいドリンクスペースつきで、裏面は書類作成などに便利なA4サイズのフラット仕様です。

 

<注目ポイント>
・たった1秒でハンドルがテーブルに早変わり
・両面とも使える仕様
・普通車・軽自動車に対応
シートの位置を調整すればノートパソコンの操作も快適にできる上、書類の整理や伝票の作成も楽にできます。ハンドルの形状によって正面位置での取りつけができない場合、半回転させれば問題ナシ。トレーのくぼみ部分をハンドルに引っかけるだけなので、取りつけや取り外しも1秒程度しかかかりません。

 

[その2]

関節をしっかりロックして強い安定感を生み出すタブレットホルダー

出典画像:サンワダイレクト 公式サイトより

サンワサプライ
iPad・タブレット車載ヘッドレストアーム(後部座席向け・7~11インチ対応)
運転席や助手席のヘッドレストに取りつけられる後部座席向けのタブレットホルダーです。3つの関節がついたアームタイプなので、縦方向や横方向への動きも自由自在。タブレットを見やすい位置に細かく調節できます。

 

<注目ポイント>
・位置の調整が自由自在
・しっかり固定できる3つの関節
・付属の六角レンチのみで取りつけ可能
関節部分は歯車でがっちり噛み合い、ツマミでしっかりとロックできます。またタブレットを挟むツメ部分に付属の保護シールを貼っておけば、機器を傷つける心配もありません。取りつけに工具を準備する必要もなく、付属の六角レンチのみで簡単に設置できるのもポイント。

 

[その3]

“高濃度プラズマクラスター25000”でお肌もツヤツヤになる空気清浄機

出典画像:シャープ 公式サイトより

シャープ
プラズマクラスターイオン発生機 IG-HC15
ドリンクホルダーにすっぽり収まるコンパクトサイズの空気清浄機「プラズマクラスターイオン発生機」。“高濃度プラズマクラスター25000”を搭載し、手軽でパワフルに車内を消臭してくれます。本体の花粉キャッチフィルターは花粉や細かいホコリを約80%捕集するので、空気の汚れやすい車内環境も改善されるはず。

 

<注目ポイント>
・“高濃度プラズマクラスター25000”を搭載
・ドリンクホルダーに収まるコンパクトサイズ
・花粉や細かいホコリを約80%捕集
静かな車内で使うことを考慮した静音設計なので、ハイブリッドカーなどで使用しても音が気になりません。ちなみに高濃度プラズマクラスターイオンは、お肌にツヤを与える効果も発揮。通勤などでクルマを使う人は、少しずつ美肌になっていくかも。

 

[その4]

Bluetooth 4.2を搭載したハイテクなFMトランスミッター

出典画像:ジャパン・アヴェニュー 公式サイトより

ジャパン・アヴェニュー
JAPAN AVE. FMトランスミッター
FMトランスミッターといえば、ラジオの周波数を合わせて外部機器の音声を車のスピーカーから流すアイテム。「JAPAN AVE. FMトランスミッター」ならBluetooth 4.2を搭載しているので、ケーブルで繋がなくてもスマートフォンなどから音楽を楽しめます。もちろん付属の「AUXケーブル」を使えば、Bluetooth非対応の機器にも使用可能。

 

<注目ポイント>
・Bluetooth 4.2搭載
・スマートフォン専用アプリと連動可能
・3つのUSBポート
専用アプリをスマートフォンにインストールしておくと、音楽の入ったUSBメモリの曲名などを表示してくれます。さらにノイズの入らない周波数への切り替えもスマートフォンの画面からできるようになり、音楽再生に面倒な手間がかかりません。USBポートが3つついているので、マルチに活躍すること間違いナシ。

 

【1分解説】スポーティなイメージの強いジャガーの「E-PACE」ってどんなクルマ?

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回はスポーティかつラグジュアリーなイメージの強いジャガーの「E-PACE」をピックアップします。

 

コンパクトSUVでもスポーティ&ラグジュアリー

ジャガー

E-PACE(SUV)

SPEC【RダイナミックSE P250】●全長×全幅×全高:4410×1900×1650㎜●車両重量:1890㎏●パワーユニット:1995㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:249PS/5500rpm●最大トルク:37.2㎏-m/1300〜4500rpm●カタログ燃費:11.2㎞/ℓ

 

走りはスポーティな見た目のイメージ通り

ジャガーといえば、スポーティでラグジュアリー。そのイメージは、コンパクトSUVのE-PACEにも継承されています。内外装のデザインはクーペにも通じる上質さで満たされ、引き締まった風情はいかにも走りを楽しめるクルマという印象。それでいて、荷室の使い勝手などはSUVとして満足できる水準を備えています。

 

試乗したのは、2種類を用意するガソリン車では低出力の250PSですが、それでも走りは十分にスポーティ。約1.9tの車両重量を考慮すれば動力性能は高く、ハンドリング性も抜群でした。SUVには、使い勝手の良さだけでなく、走りに適度な刺激を求めるという人にオススメしたいです。

 

【注目ポイント01まずまずの広さを誇る荷室

荷室容量は577〜1234ℓとまずまずの広さを誇ります。ガソリン車は250PSと350PSを用意するが、前者でも荷物を満載した状態で十分な動力性能を発揮できます。

 

【注目ポイント02多彩なグレードから選べる

標準版とスポーティ仕立てのRダイナミックの2ラインがあり、それぞれに4つのグレードを用意します。写真は後者の最上級となるHSEです。

明るすぎるLED看板から動画まで… 高速道路沿いの「看板」にはどんな規制がある?

高速道路を通過する車に向けて掲出される屋外広告物にはどのような規制があるのだろうか?最近増えてきた、LED看板の中にはかなり明るかったり、動画が表示されるものがあったりと、高速で運転中にちょっと気になるものもある。

■首都高速沿線では、掲示できる広告にはどんな規制がある?

東京都都市整備局都市づくり政策部緑地景観課が作製した「屋外広告物のしおり」には、都市高速道路(首都高速道路)の沿道における屋外広告物を以下のように規制している。

 

★都市高速道路沿道の規制~一般的な規制
道路境界線から両側 50m以内で、道路の路面高から高さ 15m以下の空間が禁止区域となっている(下図参照)。高速道路が上下線等で二段以上の場合は、各路面高から 15m以下の空間が禁止区域となるそうだ。

上記のような規制があるが、実際は以下の写真のように道路境界線から20-30m程度の距離でも数多くの広告物が掲出されている。これは、商業地域など許可区域に相当するエリアであれば50m以内でもOKということらしい。

上の写真を上記の図に照らし合わせると、桜十字、日立物流の看板がビルの屋上に設置されているので「B」、「患者優先の医療」を目指して~という看板がビルの途中に掲げられているので「A」となる。また、路面より15m以上のエリアということであれば、下の写真が分かりやすい。確かにどの広告看板も上の方に掲げられている。

ちなみに、首都高速の中でも、湾岸線に関しては湾岸線道路(本線)境界線から両側 100m以内が禁止区域となっている。

 

■低層住居専用地域の場合は?

首都高速沿線でも、広告が出せない場所がある。それは、沿道や第1種・第2種低層住居専用地域などに設定されているエリアだ。さらに、中高層住居専用地域、旧美観地区、風致地区等、第1種文教地区等の周辺 50mの区域(商業地域にかかる部分を除く。)では、路面高より上の空間がすべて禁止区域になるケースもある。広告看板を出すことで美観を損なうようなエリアでは首都高速沿線であっても掲示が禁止されている。しかし、例外もある。「自家用広告物」(自己の住所や事業所に店名や商標などを表示する)に関しては、光源を使用せず規定の面積以下に収まっていれば、申請なしで広告を出すことが可能となっている。

 

■2~3年前から増えてきた、デジタルLED看板に関する規制はある?

近年、LED光源を使ったデジタル看板を良く見かける。首都高速の沿線にも明るく巨大な看板が増えてきたように思う。中には、かなり明るい看板もあり、それにストレスを感じるドライバーもいるのではないだろうか?光量や明るさに関しての規制はあるのだろうか?前述した東京都の「屋外広告物のしおり」をざっと読んでみても、光源を使った看板については、

 

・赤や黄色の光はNG
・光源が点滅するものはNG

 

などの規制があるだけで、光量についての規制を見つけることができなかった。もしかして光量に対する規制はない?都内でLED看板を扱う会社に聞いてみたところ……

 

「屋外広告物条例には光量に関する規定はありませんが、当社が掲出しているLED看板につきましては、周りの明るさに応じて輝度を自動調整する輝度センサーがすべてについていますので、ドライバーの方に対して明るすぎないよう調整されています。ですが、中には日にちや時間などに合わせて一律に輝度が調整されるものもあります。天気や周囲の明るさには関係なく輝度が調整されるので、昼間でも雨や曇りの日などは明るすぎると感じることがあるかもしれませんね。」(LED看板を扱う会社)

 

ちなみに、以下の広告は首都高速3号線沿線に掲出されているLED看板である。筆者は同じ日の13時頃と21時頃にこの場所を通過し(助手席乗員が撮影)したのだが、実際に見て明るいなとは思っても、不快になるまぶしさは感じなかった。周囲の明るさに合わせて輝度調整されるタイプなのだろう。

しかし、同じ日の20時45分頃通過した首都高都心環状線沿いにあるLED看板は非常にまぶしく感じた。周囲に明るいビルや照明がない場所だったからか、幻惑するくらいの明るさだった。こちらは輝度の自動調整ができないタイプの看板だったのだろうか。思わず目をそむけたくなるほどのまぶしさだ。

 

「明るければ確かに目立ちますし、印象に残るかもしれませんが、その広告がまぶしすぎて不快と感じてしまうほどになると、広告のイメージも、広告を出す企業に対してもイメージが悪くなります。それはクライアント様にとっても良くないことです。首都高を走る車をターゲットとした広告であれば、運転に支障がないよう、不快感を与えないよう細心の注意を払ってLED看板を作ることが大切だと思っています」(同)

 

なお、同じ高速道路でも都市高速と東名高速などのいわゆる高速道路とではまた規制が異なってくる。

 

東京都内の中央高速道路を例に挙げると
「起点から調布市内まで→道路(本線)の中心線から両側 200m以内」
「調布市内から日野市内まで(用途地域指定のある地域)→道路(本線)の中心線から両側 300m以内」
「調布市内から日野市内まで(用途地域指定のない地域)→道路(本線)の中心線から両側 500m以内」
は屋外広告物の掲出は禁止されている。

 

広告物の設置場所については意外と細かく規定がある模様。今はまだ、規制のない「広告物の明るさ」についても、LED看板が増えてくれば何らかの規制が掛かってくる可能性も大きい。首都高を走行中、いやでも視界に飛び込んで来るLED看板がまぶしすぎるのは大変困るし、「目をそむけたくなる」看板なら広告としての効果も半減しそうだ。

 

【著者プロフィール】

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。

【中年名車図鑑|初代 トヨタ・エスティマ】世界に類を見ない斬新で未来的なミニバン

北米市場で巻き起こった“ミニバン”ブームに対し、トヨタ自動車はプラットフォームからパワートレイン、内外装デザインに至るまですべてを新しくした次世代ミニバンを企画し、1989年開催の東京モーターショーで参考出品車として披露する。そして、翌年に市販モデルのアメリカでのリリースを開始し、やや遅れて日本での販売をスタートさせた――。今回は“新世代マルチサルーン”のキャッチを掲げて1990年に登場した新世代の国産ミニバン、「エスティマ」の話題で一席。

【Vol.71 初代 トヨタ・エスティマ】

1980年代後半の北米市場では、クルマの新しいムーブメントが出現していた。多人数が乗車できて、シートをたためば大容量の荷物が積載できる多機能なクルマ――いわゆる“ミニバン”の流行である。クライスラー・グループのダッジ・キャラバン/プリマス・ボイジャーを火付け役に、GMやフォードなども多様なミニバンをリリースしていた。この状況に目をつけ、北米だけではなく日本市場でもミニバンを展開しようと画策したのが、市場の動向を最重要視するトヨタ自動車だった。同社の開発陣は80年代中盤からオリジナルミニバンの企画を立ち上げ、北米市場のモデルのほか、欧州のルノー・エスパスなどを研究しながら開発を進めていった。

北米でのミニバンブームを受けて開発、日本でも発売すべく企画された次世代ミニバン。レイアウトもさることながら、丸みを帯びたデザインはエスティマの大きな特徴となった

 

■平床化のためにエンジンを横に75度寝かせる

従来の1BOXバンのワゴン化ではなく、ミニバン専用のシャシーを新設計するにあたり、開発陣は「可能な限り広くて使いやすい居住空間を構築する」さらに「乗用車と同レベルの走る楽しさを確保する」ことを目標に掲げる。これらを成し遂げるために編み出した手法は、床下に、しかもセカンドシート下部付近にエンジンをレイアウトするアンダーフロア型ミッドシップの車両レイアウトだった。さらにエンジン自体も横に75度寝かせて配置し、室内の平床化を実現した。

 

世界に類を見ないミニバンレイアウトの斬新さは、内外装でも表現された。アメリカのデザインスタジオであるCALTYが主導した基本スタイルは、ボンネットからAピラー、そしてルーフラインにかけてなだらかな弧を描き、さらにフロントマスクやサイドパネルにも丸みを持たせる。内装は鳥が羽根を広げたようなインパネデザインに連続性を持たせたドアトリムを構築して、未来的な造形と優しい包まれ感を創出した。全身で新世代ミニバンのオリジナリティを表現する――そんな開発陣の意気込みが、開発過程で随所に発揮されたのである。

広くて使いやすい居住空間、乗用車レベルの走りの楽しさを実現するため、シート下部にエンジンを75度寝かせて配置

 

■ミニバンではなく“新世代マルチサルーン”

トヨタの新世代ミニバンは、1989年に開催された第28回東京モーターショーで初陣を飾る。「プレビア」の名で参考出品されたミニバンは、その斬新なレイアウトを観客に披露するために、動くカットモデルまでも用意された。

 

1990年に入ると、まずアメリカ市場でミニバンの販売を開始する。同年5月には、「エスティマ」の車名で日本でのリリースも始まった。ちなみに、エスティマ(ESTIMA)の車名は英語で「尊敬すべき」を意味するESTIMABLEに由来。また、キャッチフレーズは当時の日本でまだミニバンの呼称が浸透していなかったことから、“新世代マルチサルーン”を謳っていた。

コクピットデザインも個性的だった。インパネからドアトリムへとつながるラインはあたかも鳥が羽を広げたような、伸びやかなデザイン

 

デビュー当初のエスティマは、2列目に独立式シートを装着した7人乗りだけをラインアップする。搭載エンジンは2TZ-FE型2438cc直列4気筒DOHC16Vユニットで、パワー&トルクは135ps/21.0kg・mを発生。トランスミッションにはウォークスルー性を重視してコラム式の電子制御式4速ATを組み合わせる。駆動方式はMRとなる2WD(車両型式はTCR11W)とビスカスカップリング付きフルタイム4WD(同TCR21W)が選択できた。ボディサイズは全長4750×全幅1800×全高1780~1790mm/ホイールベース2860mmの3ナンバー規格。サスペンションは前マクファーソンストラット/後ダブルウィッシュボーンの4輪独立懸架で仕立てる。また、2分割式サンルーフの“ツインムーンルーフ”やオーバーヘッドデュアルオートエアコン、CDプレーヤー付9スピーカー・5アンプの“エスティマ・ライブサウンドシステム”といった装備アイテムも話題を呼んだ。

 

■5ナンバーサイズのルシーダ/エミーナ投入

斬新なコンセプトで登場した新世代ミニバンのエスティマ。しかし、販売成績はデビュー当初を除いて予想外に伸び悩んだ。当時は一般ユーザーの注目が高性能なスポーツカーやステーションワゴン、クロカン4WDに集中しており、ミニバンの利便性はあまり理解されなかったのだ。また、日本市場では大柄なボディが、北米市場では2.4Lエンジンの非力さがウィークポイントとして指摘された。

 

開発陣は早速、エスティマのテコ入れ策を実施する。1992年1月には日本向けに5ナンバーのボディサイズ(全長を60mm、全幅を110mm短縮)とした「エスティマ・ルシーダ/エミーナ」を発売。1993年2月になると、ユーザーからの要望が多かった8人乗り(セカンドシートはベンチ式)のXグレードを追加する。同時にXグレードはリアサスを4リンク化するなど機能装備の一部を簡略化し、車両価格を安めに設定した。1994年8月にはスーパーチャージャー付エンジン(2TZ-FZE型。160ps)搭載車をラインアップ。1996年8月になると安全装備の拡充とグレード体系の見直しを図る。そして、1998年1月にはマイナーチェンジを敢行。スタイリングの変更や新グレードのアエラスの設定などで魅力度を高め、また新キャッチフレーズに“TOYOTAの天才タマゴ”と掲げた。

アンダーフロア型ミッドシップという凝ったメカニズムを採用したエスティマは、2000年1月にフルモデルチェンジを実施し、カムリ用のFFシャシーをベースとした第2世代に移行する。しかし、FFになっても先進ミニバンの地位は崩さず、ハイブリッドシステムの搭載など新機構を積極的に導入した。初代モデルのコンセプトから始まったトヨタ自動車の「先進ミニバン=エスティマ」の図式は、以後も着実に継承されていったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

“電動カー祭り”だった北京モーターショー、その理由は? 欧州/日本/中国の動向を探る

年間販売台数は約2900万台と、9年連続で世界一の自動車市場となっている中国。それだけに中国で開催されるモーターショーは半端じゃない盛り上がりを見せる。なかでも1年ごとに交互開催される北京と上海で開かれるモーターショーは、世界中のブランドが集まることでも知られている。今年は北京での開催年。その北京モーターショーについてレポートする。

↑会場は北京国際空港にほど近い「北京中国国際展覧センター」。上海と違って多少老朽化は進んでいたが、会場はとにかく広い!

 

“電動車祭り”の背景にあるのは中国の新政策!?

北京モーターショー2018は、2年前の前回と同様、北京市郊外にある「北京中国国際展覧センター」で開催された。展示エリアは22万㎡で、これは2017年に開催された東京モーターショーの2.5倍以上の規模。出展企業は部品メーカーを含めると1800社にも及び、105台の世界初公開車を含む計1022台を展示した巨大イベントなのだ。

↑会場はどこへ行っても多くの来場者であふれ、取材も思うようにできないほど

 

世界中から大半の自動車ブランドが出展していると見られ、いまや世界の自動車業界で最も影響力のあるイベントと言っていいだろう。その中国でいま最も注目されているのが、電気自動車(EV)を中心とした電動車両の動向である。

↑EVコーナーは特に中国系メーカーに目立って多かった

 

中国では長い間、化石燃料を原因とするPM2.5に悩まされてきた。その切り札として打ち出された政策が、2019年からスタートする「NEV(新エネルギー車)規制」だ。これは各自動車メーカーに対して大量のEVの販売と生産を義務付けるもので、しかも、その車両はすべて中国製バッテリーを使うことを条件とする。

 

その背景には経済的な事情がある。EVといえどもクルマとしての性能を高めるには一朝一夕には行かないが、電動車両が増えればバッテリーの需要は増え、それが中国国内の産業にとってメリットが大きいというわけだ。

 

そんななかで行われた今年の北京モーターショー、会場はまさにEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、そして燃料電池車(FCV)など、“電動車祭り”といった状況だった。

 

中国で強い存在感を誇るドイツブランド各社の動向は?

中国で強い存在感を誇るドイツのブランドもその例外ではない。輸入車勢でもっともシェアが高いフォルクスワーゲンは、今年3月のスイス・ジュネーブショーで公開したEVの最上位モデル「I.D.VIZZION」を2022年までに中国で発売すると発表。プラットフォームはEV向けの「MEB」を採用し、最新の自動運転機能を搭載する。

↑フォルクスワーゲンのEVコンセプト「I.D.VIZZION」(写真上)。会場では、乗車した気分を写真で体験できる合成写真コーナーもあった(写真下)

 

BMWは初のピュアEV「コンセプトiX3」のワールドプレミアを行った。現行では「X5」にPHVの設定があるが、完全なEVパワートレインは今回が初。そのスペックは、最高出力200kW(約272ps)以上を生み出すというモーターを備え、400km以上の航続距離を誇る。

↑BMWは初のピュアEV「コンセプトiX3」のワールドプレミア

 

圧巻だったのは、メルセデスベンツがワールドプレミアしたマイバッハのEVコンセプト「アルティメット ラグジュアリー」だ。「SUVとサルーンのDNAを融合させた、3ボックスデザインの極めてモダンなSUV」とされ、最上級の贅沢が体感できるインテリアはクリスタルホワイトで統一されつつも、伝統の高い着座位置が確保されている。最高出力は550kW(748ps)で、1回の充電あたりの航続可能距離は欧州基準のNEDCモードで500km以上。5分間で走行100km分に相当する充電が可能という。

↑マイバッハのEVコンセプト「アルティメット ラグジュアリー」

 

また、中国の吉利汽車(ジーリー)の資本参加を受けるスウェーデンのボルボも電動化へ急速にシフトしている。北京モーターショー2018でボルボは2025年までに世界で販売する車両の半数をEVとすることを宣言。すでに昨年、同社は2019年以降に投入する新型車はすべて電動化(PHV含む)することを発表しており、ボルボの電動化戦略は着々と進んでいるようだ。会場では発売して間もない小型SUV「XC40 」にPHEV「T5ツイン・エンジン」を搭載したモデルを出展して注目を浴びた。このエンジンはジーリーと共同開発したもので、1.5ℓ3気筒エンジンにモーターが組み合わされる。

↑ボルボは、親会社ジーリーと共同開発したPHEV「T5ツイン・エンジン」をXC40に搭載した

日産、トヨタ、ホンダら日本勢の戦略は?

日本勢はどうか。

 

もっとも電動化に向けて力が入っていたのが日産だ。中国市場で日産がシルフィをベースにEV化した「シルフィ ゼロ・エミッション」を公開。2018年後半にも中国市場で販売する計画だ。根幹となっているのは日本でも販売されているEVである「リーフ」で、その技術やプラットフォームを流用。航続距離は338kmとした。

 

電池は中国製だが、モーターやインバーターは日本製となる。日産グループとしては、グループの「ヴェヌーシア」ブランドでコンパクトカーEVを投入済みだが、販売はいまひとつ。そこで最も売れているシルフィ(昨年の販売実績は約42万台)をEV化して実績をさらに伸ばしていきたい考えだ。

↑日本勢で大きな話題となったのが、日産の新型EV「シルフィ ゼロ・エミッション」。中国国内で2018年中に発売を予定する

 

↑中国初公開となる「ニッサンIMx KURO」。将来の「ニッサン インテリジェント モビリティ」を体現するクルマとして発表された

 

日産は今年2月、中国における日産の合弁会社「東風汽車」の中期計画を発表。それによると2022年までに年間販売台数を現在の150万台から100万台以上も上乗せするという、極めて野心的な計画だ。4月より東風汽車の総裁に就任した内田 誠氏は、「中国は変化がとにかく早い。そのニーズに合わせてタイミング良く出していく必要がある」とし、すべてのブランドに渡って20以上の電動化モデル(ゼロエミッションとe-Power※)投入を計画。2018年と2019年には日産、ヴェヌーシア、東風で6車種の電気自動車の投入する予定だ。※現時点でe-PowerはNEV規制対象外

↑「変化が早い中国にタイミング良く出していく」と話す東風汽車総裁の内田 誠氏

 

トヨタが北京モーターショーで投入したのは「C-HR」と、兄弟車の「IZOA」だ。新世代プラットフォーム「TNGA」を採用し、中国市場への投入は昨年11月に投入したカムリに続く2車種目となる。トヨタはこの2車種をベースとしたEVを2020年に投入すると宣言。さらに初のPHVとして「カローラ」と「レビン」も発表した。中国のNEV規制ではPHVは含むものの、トヨタが強みとするHVは含まれない。今後はモーターやインバータ、電池という電動車に必要な基幹部品の現地化を急ぎ、NEV規制に対応していく。

↑中国市場第2弾となるTNGAを採用した「C-HR」を投入。写真はその兄弟車「IZOA」

 

↑トヨタが中国で初めて発売するPHV「カローラ」。「レビン」はその兄弟車

 

ホンダは、中国専用EVのコンセプトカー「理念EVコンセプト」をワールドプレミア。中国の本田技研科技有限公司と広汽本田汽車有限公司(広汽ホンダ)との共同開発によるもので、詳細なスペックは不明だが、広汽ホンダの自主ブランド「理念」のラインナップとして2018年中の発売を予定する。そのほかホンダでは、中国国内で2018年後半に発売を予定している「アコード ハイブリッド」を広汽ホンダで、同じ時期に東風ホンダから発売を予定する新型セダンのコンセプトモデルとして「インスパイア コンセプト」を出展した。

↑ホンダがワールドプレミアした中国専用EVのコンセプトカー「理念EVコンセプト」

 

↑新型セダンのコンセプトモデルとして東風ホンダが発表した「インスパイア コンセプト」

 

中国メーカーのブースにも大勢の人だかり

最後に中国メーカーに話を移そう。最も際立つ存在だったのが、中国を代表する高級車メーカー「紅旗(ホンチー)」が発表した「E境GTコンセプト」である。フロントマスク両端の切り立ったエッジだけでなく、フロントグリルからボンネットに走る赤いラインは、明らかに紅旗の一族であることを誇示。これまでセダンを主にラインナップしてきた同社だが、このコンセプトモデルでは大胆なクーペデザインを採用している。輸入車が常識だった中国のラグジュアリークーペ市場に一石を投じるモデルとなったことは間違いない。

↑圧倒的存在感を放っていた紅旗のラグジュアリークーペ「E境GTコンセプト」

 

中国のEVメーカーの代表格といえば「BYD」だ。もともとはバッテリー製造メーカーであるが、現在では3年連続でNEVの量産メーカー世界一にまでなった。今年の主役はSUV「唐」のニューモデルだ。PHVは後輪をモーターで駆動する四輪駆動で、100kmを2リットル以内で走行できる。インフォテインメント「DiLink」は、縦横回転可能な14.6インチのスクリーンや、OTA(オンデマンド・アップデート)、緊急時通報機能など、多くの機能を備える。価格は約25万元(日本円換算:430万円)から。中国ではナンバーが取得しやすいNEVに含まれ、BYDブースは大変な人混みとなっていた。

↑BYDの人気SUV「唐」のニューモデル。PHV以外にガソリン車も用意された。ディスプレイは先進のインフォテイメント「DiLink」

 

中国では2025年時点での生産販売台数を3500万台と見込んでおり、そのうちの約20%をNEV規制対象車とする計画を立てている。これは単純計算で700万台に相当し、そのハードルは極めて高い。というのも、現状ではその占有率は2.4%、約12万台にとどまっているからだ。

 

しかし、自動車メーカーにとっては、たとえ数%のシェアしかなくても分母が大きい中国市場だけに、その方針に従っても十分旨味があるということだろう。折しも欧州を中心に電動化への動きが急展開している最中。今後も中国を軸として自動車の電動化は着時に、かつ急速に進んでいくことになるだろう。

 

 

紫外線が目に溜まるだって!? 運転中の瞳を守るサングラス活用法

仕事で車の運転をすると、目が疲れることが増えた気がする。若いころは、長時間運転をしてもそんなことは感じなかったんだけど……。もしかしてこれも老化のせい!?

そう言えば近くに、機能性レンズを作っている「ホプニック研究所」に勤める高見 斉さんが引っ越して来たんだった。高見さんなら目のことにも詳しそうだし、相談してみようかな!

 

参ったなぁ……と、いつも困っている「参田家(まいたけ)」の面々。きょうはお父さんが、なにやら困っているようです。
参田家の人々
maitake_family
ちょっと気弱なお父さん、元気でしっかり者のお母さん、もうすぐ小学生の娘、甘えん坊の赤ちゃん、家族を見守るオスの柴犬の4人と1匹家族。年中困ったことが発生しては、宅配便で届いた便利グッズや、ご近所の専門家からの回覧板に書かれたハウツー、知り合いの著名なお客さんに頼って解決策を伝授してもらい、日々を乗り切っている。
https://maita-ke.com/about/

 

運転中に目が痛くなるのは、紫外線が原因!? 大切な目を守る方法とは?

comment-father
お父さん「車移動中に、太陽の光が眩しくて目がチカチカすることが増えたんですよ……。紫外線を浴びすぎると良くないとは聞きますが、目にも良くないんですか?」

 


高見さん「紫外線には波長によって『UVA』と『UVB』と『UVC』の3種類が存在するってご存知でしたか? UVCはオゾン層で遮断され地上には降りてこないので、私たちが浴びているのはUVAとUVBの2種類です。UVBは、肌や瞳が炎症を起こす原因となる紫外線ですが、もっとも厄介なのはUVAなんですよ」

 

comment-father
お父さん「紫外線が3種類もあったなんて知りませんでした……。UVAを浴び続けることで、目にはどんな影響が出るんですか?」

 


高見さん「UVAは目に蓄積する紫外線なんです。受けた紫外線は、瞳の角膜に吸収され、奥の水晶体に入り込みます。そして、瞳の中で化学反応を起こし、タンパク質となり白く濁るんです。これが、白内障の原因と言われています」

 

comment-father
お父さん「紫外線に対して、無防備でいるのは危険なことなんですね……。その紫外線を防ぐためには、やはりサングラスをかけるのが一番ですよね? でもサングラスって高いし、どれを選んだらいいのかよくわからないんですよ……」

 


高見さん「サングラスを選ぶときは、“紫外線透過率”をチェックするといいですよ。というのも、その数値が低ければ低いほど、紫外線を遮断する力は強くなるんです。ホプニック研究所で制作している『偏光レンズ』のサングラスは、紫外線透過率が低いことに加え、反射を抑える働きを持っているので運転中の使用にもおすすめです」

 

comment-father
お父さん「運転中はボンネットの照り返しも眩しいから、反射を抑えてくれるのは助かります! 最近は日中だけじゃなく、夜の運転中でも対向車のヘッドライトや街灯を見ると、目がチカチカするんですよね。でも、夜間の運転でサングラスをするのは視界が悪くなるし、変な人って思われそうで嫌なんです」

 


高見さん「それは、以前と比べて紫外線が瞳に溜まっているのかもしれません。瞳に蓄積した紫外線がタンパク質となり、白い濁りになるとお話しましたよね。人間の目は、黄色の光が最も感度が高いので、白い濁りがあると、瞳に届いた光が反射して黄色く見えるんです。なので、夜間の運転でも眩しく感じやすくなるんですよ 」

 

comment-father
お父さん「これからは、紫外線を瞳に蓄積させないように、日中の運転はサングラスをちゃんとかけて、瞳をケアしてみます。でも、夜の運転中に感じる眩しさはどうすればいいんでしょうか……」

 


高見さん「それなら、ホプニック研究所で製作している『ネオコントラスト』のレンズを使ったサングラスがいいかもしれませんね。このレンズは、黄色い光だけを遮断する働きを持つため、夜でもクリアな視界で運転することができるんです 」

 

comment-father
お父さん「夜用のサングラスもあるんですね! 用途を見極めながら、サングラスをセレクトしてみます」

 

サングラスは、時間帯に合わせて使い分けるべし!

さっそく高見さんの勤めている「ホプニック研究所」の通販サイトで、サングラスを購入。瞳の健康のために、日中は反射を防ぐ「偏光レンズ」のサングラス、夜は事故を防ぐために、黄色い光を遮断する「ネオコントラスト」のサングラスを使い分けてみることに。たしかに、目の疲れも軽減して快適に運転ができるようになってきたぞ……! これからは直接紫外線を目に受け続けないように、運転中は必ずサングラスをつけようっと。

 

教えてくれたのは……

ホプニック研究所 販売情報・品質保証室 室長/高見 斉さん
富山大学の工学部電気工学科を卒業後、電気メーカーに従事。半導体メーカーの設計から工場の歩留改善業務を行った後、2012年に株式会社ホプニック研究所へ入社。現在は、主にEC関連の業務に従事している。
http://www.hopnic.co.jp/

 

【商品情報】

ホプニック研究所「GARVY×ホプニック研究所 サングラス”GARVY FAN GLASS”」

ファッションフレーム
上:ブラウンフレーム 偏光ブラウンレンズ 1万6800円
中:レッドフレーム NeoContrastレンズ1万6800円
下:ブラックフレーム 偏光グレーレンズ1万6800円

 

スポーツフレーム
左:ブラックフレーム 調光NeoContrastレンズ2万1000円
右:ブラックフレーム 調光偏光グレーレンズ2万1000円

https://item.rakuten.co.jp/hopnic/garvy-s01/

 

5つのキーワードで選ぶ「愛されるクルマ」の基準とは?――『ル・ボラン 2018 6月号』

筆者が『ル・ボラン』を好きな理由。それは、バラエティに富んだ特集記事だ。今月号でも、展開的・階層的な構造の2本の特集記事が組まれている。アプリでたとえるならマインドマップやアウトラインプロセッサーに似ているかもしれない。どちらも読み応えがある。

 

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クルマに向けられる愛情の5つの相

今月号最初の特集は『愛されるクルマ』。クルマに向けられる愛情を中心に据え、5つの相に基づく5つのキーワードがマインドマップ状に配置されていくさまを想像していただきたい。キーワードとなるのは、以下の5つだ。

 

1. 家族
2. 彼女
3. エグゼクティブ
4. アウトドア派
5. 走り好き

 

こういうグループ分けだと、たとえば“家族”と“走り好き”のように一見背反しそうなものであっても、大きな構図の中で無理なく収まる。むしろバランスのよささえ感じられるのだ。

 

 

実用的で実際的な基準

第1特集の基準については、次のような文章が綴られている。

 

世間の評判やカタログからでは推し量れない魅力や楽しさを提供してくれ、「このクルマ最高!」といつでも乗りたくなってしまう。“いいヤツ―クルマ”はみんなから愛されるのだ。そんな愛しきクルマたちを、5つのシーンに合わせて厳選。愛されるクルマは、きっと人生を豊かにしてくれるはずだ。

『ル・ボラン 2018 6月号』より引用

 

たとえば、家族をキーワードにして選ぶならRENAULT KANGOO とMINI CROSSOVER。KANGOOは車高があって乗り降りがしやすい上に、スライドドアが最大の魅力だ。都市部でありがちな狭い駐車場に車を入れた時など、子どもがドアを開閉する際に隣の車にぶつけてしまう心配は要らない。

 

そして、家族でお出かけのワクワク感を最大限に演出してくれるだろう車がMINI CROSSOVERだ。特集で紹介されているSE CROSSOVER ALL4は、本国イギリスでもシリーズ随一の実用性を誇ることで知られているという。室内のスペースもゆったりしていて、後部座席に子どもを乗せてもゆとりがあり、お出かけの楽しさを奪ってしまいかねない乗り物酔いの心配もぐっと軽減されるだろう。その立場になってみなければ実感できない要素を軸にする姿勢は、まさに実用的。

 

 

愛情の対象をシェアする感覚

2番目のキーワードは“彼女から愛されるクルマ”。ここで紹介されるのは、LANDROVER RANGEROVER EVOQUE CONVERTIBLE とMERCEDES-BENZ E-CLASS CABRIOLET。カブリオレやコンバーチブルという名称からもわかるように、いずれもいわゆるオープンカーだ。

 

E-CLASS CABRIOLETのように、ベンツならコンバーチブルも想像しやすいだろう。ところが、そもそもSUVであるはずのEVOQUE CONVERTIBLEをもってきたことで、際立ったチョイスとなった。

 

実用性で読ませる部分は、「彼女がベンツを運転したら」的な展開だ。

「ちょっと運転してみる?」

「えっ? いいの?」

ちょっとした驚きを含んだ、車内でのそんなやりとりまで想像できる。同じ車を愛情の対象としてシェアする感覚は、間違いなく彼女受けするでしょう。

 

残りのシーンに関しては、ぜひ本誌をチェックしていただきたい。

最新SUVバイブル

第2特集は、筆者が大好きなSUV=スポーツ・ユーティリティ・ビークルに関するものだ。前項で紹介した通り、最近ではSUVであるのにコンバーチブルというなんとも欲張りなEVOQUE CONVERTIBLEのような車もある。

 

“いま日本で買えるSUVラインナップ”という見出しで紹介される車種は全部で83。国産車と輸入車という大きな分類から、輸入車に関してはスモール、コンパクト、ミドル、アッパーミドル、ラージという大きさによるクラス分けが行われている。まさに階層的な見せ方だ。

 

いかにもヨーロッパ車という気品が香り立つボルボXC40やジャガーE-SPACE、そして国産の雄MAZDA CX-8もとてもよいのだが、筆者が一番心惹かれたのはJEEP WRANGLERだ。ジープも分類上はSUVということになるのだろう。いや、そもそもジープこそがSUV的な特性を最も多く宿した車に違いない。

 

車体の抜群な安定性は、外観だけでも容易に想像がつく。車体後部に装着されたタイヤカバーのロゴがそのイメージに直結するのは、長い間積み重ねてきた実績がなせる業にほかならない。

 

こちらの特集も、サイズやスペックを軸にいくつもの車種を比較検討する上できわめて実用的。本気で購入を検討している人も、「もし買うなら」の感覚を楽しみたい人も、熱量はまったく同じはずだ。

 

 

展開的・階層的構造の二つの特集記事

展開的構成と階層的構成。『ル・ボラン 2018 6月号』の二つの特集記事は、それぞれの方向への広がりを見せてくれる楽しい読み物だ。冒頭で、特集記事が楽しみだから『ル・ボラン』が好きだと書いた。正確に言うなら、好きな理由はもうひとつある。それは、特集記事という枠組みの中に自分という存在を少なからず投影することができるからだ。

 

実は筆者、自覚しているよりクルマ好きなのかもしれない。あるいは、『ル・ボラン』の特集記事を読み込んでいるおかげで昔よりクルマが好きになったのだろうか。まあ、これだけ楽しめればどちらでもいいか。

 

【書籍紹介】

ル・ボラン 2018年6月号

著者:ル・ボラン編集部
発行:学研プラス

ドイツ車をはじめとする輸入車を軸に、クルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信する月刊自動車雑誌。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があるほか、欧州車を中心とする独自の現地取材企画は高い人気を誇る。

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話題のドラレコ、 使ってみたらこうだった!―― オウルテックOWL-DR06-BK

「あおり運転」による事故やトラブルが多発するなか、ドライブレコーダーのニーズがこれまでにないほど高まっている。リーズナブルな価格ながら高い性能を誇る、オウルテックの最新モデルを試してみた!

 

 

設置も操作もすこぶる簡単なので“ドラレコビギナー”にもってこい!

“ドラレコビギナー”がまず気になるのは、設置と操作のしやすさである。カーナビやスマホと連動するモデルも出ているが、正直使いこなす自信がない。その点、スタンドアローンで使える本機は安心だ。同梱する東芝製microSDカード(16GB)を本体に挿し込み、シガーソケットに接続して電源を入れるだけですぐ使える。エンジンのオン/オフと連動して記録開始/終了となるため、操作はほぼ不要だった。今回はお世話にならなかったが、事故発生時に役立つ同社独自の「プライバシーオート録音」にも注目だ。これは、内蔵するGセンサーが衝撃を検知して、自動で録音を開始する機能。突然の場面でも録り逃しを防げるのだ。

 

ひとしきりドライブを楽しんでから、記録した映像を取り出して再生。するとまず、画面左下に撮影時刻と位置(緯度・経度)が表示されていることに気づいた。GPS搭載のため、設定しなくても情報を自動で取得しているのだ。事故やトラブルが起こったときに、有効な証拠映像となるだろう。映像の解像度はスーパーHD(2304×1296)で、細かい文字でもしっかり描写でき、安心だ。

 

使ってみたら、スゴかった。
【使った人】

「GetNavi」本誌クルマ&AV担当・川内一史

実は今回ドライブレコーダーを初めて使用。あおり運転対策だけでなく、衝突事故や駐車場トラブルが発生した際などの記録用として、導入を検討していた。

 

 

死角になりがちなゾーンも高画質映像で記録できる

対角135°(水平113°/垂直60°)の超広角レンズにより、視認が難しい両サイドのゾーンもしっかりカバー。スーパーHD画質のため、ナンバープレートの数字も十分に読み取れる。LED信号機の表示も撮影できていた。

↑高画質かつ広視野角の映像。歩行者が横から飛び出して来た際などもしっかり記録できる

衝突事故時の映像は上書きされないよう保護

内蔵するG(加速度)センサーが、事故が起きた際などにクルマへかかった衝撃を検出。そのときに記録された映像は、上書き禁止ファイルとして保護される。万一の事態でも、証拠映像を残しておけるので安心だ。

↑フロント、サイド、リアどこでも衝撃を検出。ただし、軽くこすった程度では検出されないこともある

 

 

駐車時でも最大5日間は待機モードで監視できる

本体には130mAhのバッテリーを内蔵し、フル充電であれば電源オフの状態で最大5日間は待機モードとなる。センサーが振動を検知すると自動で録画をスタートするので、駐車時の車上荒らし対策としても有効だ。

↑-10℃~50℃の環境で動作確認済み。夏の駐車時などに車内温度が上がった場合でも問題なく使える

 

オウルテック
OWL-DR06-BK
実売価格1万5800円

フルHDを超える解像度(2304×1296)での録画に対応する、GPS搭載のハイエンドモデル。F1.8の明るいレンズを採用し、夜間でもノイズの少ない映像を記録可能だ。●サイズ/質量:W88×H48×D36㎜/74g

 

 

【結論!】

画質 ★★★★★
操作性 ★★★★★
機能性 ★★★★
コスパ ★★★★★

Wi-Fi接続やスマホ連携などには対応せず機能はシンプルだが、そのぶん使いやすさは抜群。価格を考えれば、かなりお買い得といえる性能だ。

 

オウルテック公式ホームページ:https://www.owltech.co.jp/