【プロが本気で選んだ】オーディオからスマートデバイスまで、専門家が惚れた名品たち

高音質オーディオ機器から最新のスマートデバイス、カー用品まで、プロが惚れ込んだエディスクリエーションのスイッチングハブやファーウェイのスマートウォッチなど、暮らしを豊かにする珠玉のアイテムが勢ぞろい。プロの視点から厳選された、本当に価値ある製品をご覧ください。

【デジタル・メディア評論家・麻倉怜士さんの“コレ買って良かった!”】スイッチングハブの性能こそがQobuz再生における高音質化の鍵

エディスクリエーション
SILENT SWITCH OCXO 2 JPEM(左) 61万6000円
FIBER BOX 3 JPEM (右) 61万6000円

高精度オーディオ用スイッチングハブ「SILENT SWITCH OCXO 2 JPEM」と、高周波ノイズの除去と信号の純化を担う「FIBER BOX 3 JPEM」のセット。両機を組み合わせることで、Qobuzなどの高音質配信再生の安定化が図れる。

SPEC(SILENT SWITCH OCXO 2 JPEM)●クロック精度:OCXO 0.25〜0.35psの低ジッター●端子:LAN 1000M対応×5、SFP×1、シンクロナイズ・クロックバス入力×1●サイズ/質量:W270×H93×D220mm/4.2kg

麻倉さんが購入したアイテムは、相当高価でかなりマニアック。さすがAV界の重鎮だ。

↑特許取得済みの高精度振動吸収パーツ「Ripple Base Footer」を搭載。
微細な振動を効果的に除去し、音質を向上させる。

「昨年末、日本で高音質サブスクQobuzがスタートしました。同サービスのハイレゾ音源を最高のクオリティで聴くための最大の鍵が、スイッチングハブの性能。各社製品を試し“これは買うべきだ”と確信しました」(麻倉さん)

↑RED COPPER(赤銅)製のベース、内部配線にはUPOCCケーブルを採用。
これは「JPEM」モデルのみの特別仕様だ。

スイッチングハブひとつで、そこまで音質が変わるのだろうか。

「LANケーブルを通る信号を光ファイバーに変換することで高音質化する機器は多いですが、本機は別格。音の色彩感、音のグラテーションの再現は圧倒的といえます。ノイズが多い通信環境で、これほどの高音質が得られるとは驚き以外の何者でもありません。本機は、日本のマニア向けに高級なパーツを使った贅沢な仕様ですが、約半額(33万円)にして十分以上のクオリティを備えた『JPSM』モデルもあり、こちらもオススメです」(麻倉さん)

↑両機を接続する専用ケーブル「CS CABLE 0.75M」(3万3000円)。クロックを同期させ、ジッターを極限まで低減する。

【デジタル・メディア評論家・麻倉怜士さんの“コレが欲しい!”】スピーカーに不適とされたガラス素材が見事に高音質なスピーカー振動板に変身!

マークオーディオ
パッシブスピーカー Micro NC5_UTAG
9万6030円(ペア)

世界初のUTAG(特殊ガラス)を振動板に使ったスピーカーユニット「Alpair 5G」を搭載したパッシブスピーカー。エンクロージャーにウォールナットとスプルース無垢材を組み合わせ、透明感のある音を創出する。

SPEC●形式:フルレンジバスレフ型●ユニット:Alpair 5G●周波数帯域:58Hz〜40kHz(-10dB)●出力音圧レベル:85dB●インピーダンス:4Ω●定格入力:10W●サイズ/質量:W130×H260×D160mm/1.8kg

「スピードが速く、メリハリが効き、情報量が多い。このスピーカーとしての美質はクラシックからポップスまであらゆる音楽再生に向く。特に現代的なリズム重視の音楽には最適です」(麻倉さん)

↑Alpair 5G(スピーカーユニット)は単体での購入も可能。「MarkAudio 8cmフルレンジ(ペア)」2万2990円。
↑天地板と側板の接合にあられ組みを採用。接合強度が飛躍的に向上し、ユニットと一体となって豊かな響きを奏でる。

デジタル・メディア評論家・麻倉怜士
本誌をはじめ、数多くの雑誌・書籍へ寄稿するほか、大学にて教鞭を執る(音楽学)など、幅広く活躍。UAレコード副代表も務める。

【テクニカルライター・湯浅顕人さんの“コレ買って良かった!”】“血圧を測りに行く”という手間が不要で24時間自動で計測される便利さに感激!

ファーウェイ・ジャパン
HUAWEI WATCH D2ウェアラブル血圧計
実売価格5万2030円

SPEC●ディスプレイ:約1.82インチ AMOLED●バッテリー持続時間:約6日間(自動血圧モニタリング機能使用時約1日間)●充電:ワイヤレス●サイズ/質量:約W38×H48×D13.3mm/約40g(ベルト含まず)

日中と夜間(※)に自動で血圧を測定可能な、自動血圧モニタリング機能を搭載したスマートウオッチ。内蔵する血圧計は、日本の医療機器認証を取得している。1500nitと明るく視認性の高い、1.82型の大画面有機ELディスプレイを装備。

HAUWEI WATCH D2は、病院入院患者への実証実験が行われるなど、何かと話題となっている。そんなアイテムを手にした湯浅さんはこう語る。

↑ケースサイドにある下のボタン(電極)を30秒間触れるだけで、心電図の測定・記録が可能。
時間や場所を選ばず、思い立ったらすぐに測定できる。

「もともとスマートウオッチを24時間装着してライフログを取る生活をしていたのですが、健康上の不安もあって『血圧』『心電図』(ともに管理医療機器として認証された)の両方を測れる唯一のスマートウオッチである本機を購入しました」(湯浅さん)

実際に使った感想は、単体の血圧計の使い勝手とは「手軽さが全く違う」ということだが……。

↑ベルトの内側に「カフ」と呼ばれるエアーバッグを装備。
そこへケース裏面の穴から空気が送れ、血圧が測定される仕組みだ。

「通常の血圧計は“血圧計のあるところまで行く→装着する→計測する→外して収納する”ですが、本機は“計測開始アイコンをタップする”だけ。頻繁に測れるので、様々な時間・状況で血圧がどう変動するかがグラフでよくわかりました。また、24時間・一定時間おきに(睡眠中も)血圧を測る『24時間血圧測定(ABPM)』は、スマートウオッチ内蔵血圧計がなければ個人では計測不能。いまや手放せません」(湯浅さん)

※:夜間の自動測定は医療機器認証未取得のため医療目的での使用は不可

【テクニカルライター・湯浅顕人さんの“コレが欲しい!”】“低反射”と“ペンの書き心地”を両立した本機で仕事の効率アップを図りたい!

OPPO
OPPO Pad 3 Matte Display Edition
実売価格7万9800円

ナノテクスチャー加工を施して反射を抑え、紙のような見やすさと書きやすさを実現したディスプレイを採用。進化した独自AIが、文章作成や写真編集をサポートする。AI機能を向上させる高性能なCPUを搭載。

SPEC●ディスプレイ:約11.6インチ液晶●OS:ColorOS 15●CPU:MediaTek Dimensity 8350●メモリ:8GB●ストレージ:256GB●サイズ/質量:約W258×H189×D6.3mm/約536g

「屋外で使ったり、タッチペンで校正作業をしたりする機会が多いので本機のディスプレイ性能に注目。フィルムなしで“低反射”“ペンの書き心地の良さ”を実現しているのが魅力です」(湯浅さん)

↑ディスプレイは、ナノレベルの反射防止エッチング技術を施し、光の反射を約97%低減。
屋内外問わず快適に使える。
↑OPPO AIにより、文章作成や写真編集など、日常の様々な作業の生産性アップ。Google Geminiとの連携も可能だ。

テクニカルライター・湯浅顕人
PC&AV、デジタルガジェットを軸に、本誌をはじめ多媒体に寄稿。最近はアウトドアやゲームの記事を手がけるなど、マルチに活躍する。

【カーITジャーナリスト・会田 肇さんの“コレ買って良かった!”】“これなら本当に1年を通じて使える!”初めてそう思えたオールシーズンタイヤ

DUNLOP
SYNCHRO WEATHER
1万9140〜10万3290円(1本)

ドライ・ウェット・氷上・雪上など、あらゆる路面に対応する次世代オールシーズンタイヤ。水や温度に反応し路面状態に合わせてゴム自ら性質が変化する新技術「アクティブトレッド」により、夏タイヤ以上の優れたウェット性能、従来の全天候タイヤではカバーできなかった氷上路面での走行も可能にする。

SPEC●対応車種:セダン、SUV、ミニバン、コンパクト●ホイールサイズ:15〜19インチ●タイヤ幅:165〜245●扁平率:35〜65

オールシーズンタイヤは数多くあるが、本当に安心して走行できる製品はそう多くない。

「“オールシーズン”だけに季節ごとのタイヤ交換がないのは最大のメリット。しかし現実は、“すべてに中途半端”なモデルが多く、完璧はあきらめていたのですがこのタイヤを履いてビックリ! 圧雪路でも十分なグリップ力を持ちながら、ドライ路面での静粛性、乗り心地も良好。“これなら本当に1年を通して使えるぞ!”初めてそんなオールシーズンタイヤに出会いました」(会田さん)

↑ドライ、ウェット、氷上、雪上、シャーベット、高速道路冬用タイヤ規制(通行可。一部を除く)などの路面状態に対応。四季を通じて走行可能だ。

実際、雑誌やネットでの評判も上々だ。さらにこう続ける。

「これまで7000kmほど走っていますが、いまのところヘタリ感はまるでなし。夏シーズンに入っても、ステアリングの応答性がしっかりしていて気持ちよく走れています。多少高価ですが、これまでのシーズンごとの交換費用やタイヤ保管料を考えれば、十分に元が取れているでしょう」(会田さん)

【カーITジャーナリスト・会田 肇さんの“コレが欲しい!”】スマホ連携を使い尽くして多彩なコンテンツを楽しみたい!」

パイオニア
楽ナビ  AVIC-RQ722-DC
実売価格16万8180円

車内Wi-Fi「docomo in Car Connect」に対応。同梱のネットワークスティック経由で、通信量を気にせずネットコンテンツが楽しめる(※)。スマホを本機画面で操作できる「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応。

※:「-DC」モデルには1年間の無償使用権(1万3200円分)が付く。1年以降は有償(1日550円、30日1650円、365日1万3200円)となる

SPEC●ディスプレイ:9V型HD液晶●TVチューナー:地デジ●音声最大出力:50W×4●接続端子:HDMI×2(入力/出力)、USB×1●サイズ/質量(本体):W236×H134×D161mm/2.4kg

「楽ナビならではの使い勝手の良さを体感しつつ、スマホ連携も加わったマルチなメディア対応力で、多彩なコンテンツを視聴。せっかくなのでその魅力を大画面で楽しみたい!」(会田さん)

↑通信機能を使って、自動で最新地図に更新可能。いつでも最新地図で、快適かつ安全にドライブが楽しめる。
↑使いやすさの象徴UI「Doメニュー」を採用。ドライブ中に利用することの多い検索や機能を直感的に操作できる。

カーITジャーナリスト・会田 肇さん
自動車専門誌の編集を経てフリーに。カーナビやドライブレコーダーなどの車載機器からデジタルガジェットまで、幅広くこなす。

【AVライター野村ケンジさんの“コレ買って良かった!”】スマートなデザインと良サウンドがどハマりして積極的に屋外で使用

Bowers & Wilkins
Px7 S3
実売価格6万8200円

8個のマイクを駆使したノイズキャンセリング性能を搭載したワイヤレスイヤホン。aptX Losslessに対応し、ワイヤレスでもCDクオリティの高精細な音を楽しめる。またUSB-DAC機能を備え、有線接続では96kHz/24bitのハイレゾ再生も可能。

SPEC●ドライブユニット:40mmダイナミック型フルレンジドライバー×2●連続再生時間:30時間●充電:USB-C●充電時間:2時間(急速充電の場合は15分の充電で7時間再生)●本体質量:300g(本体)

本製品は、イギリスのハイエンド・オーディオブランドBower & Wilkinsのプレミアムモデル。そのサウンドもさることながら、スタイリッシュなデザインが大きな魅力だ。

↑イヤーカップには物理ボタンを備え、アプリを開かなくても基本操作が可能。
ノイキャンなどを切り替られるクイックアクション・ボタンも搭載する。

「前モデルも洗練された上品なデザインでしたが、本モデルではさらに薄型化するなどスマートにブラッシュアップ。装着感が一段と軽快になりました。音質についても上機モデルに迫るほどの良サウンドで、デザインも音も大満足。よく屋外で使います」(野村さん)

↑シャーシ、ボイスコイル、サスペンション、マグネットが再設計・改良された、40mm径のバイオセルロース・ドライブユニットを搭載。

サウンドについて、もう一歩踏み込んでもらった。

「実はずっとPx8(Px7の上位シリーズ)を愛用していたのですが、本製品はハイエンドモデルの存在価値を問うほどの高音質。しかもaptX Losslessにまで対応しており、Androidスマホと組み合わせたり、PCとケーブル接続したりして、ハイレゾやロスレス再生も高音質で楽しめます」(野村さん)

【AVライター野村ケンジさんの“コレが欲しい!”】既存の愛用モデルとの音質差を実感し本機へのアップグレードを真剣に検討中

Astell&Kern
A&ultima SP4000
実売予想価格69万3000円前後

同社の最新ハイエンドDAP。ディスプレイは6インチに大型化かつ高精細化、DACはAK4191EQ×4基、AK4499EX×4基の「オクタオーディオ回路構造」に強化された。フルAndroid OSを搭載し、Google Playへのアクセスが可能に。

SPEC●ディスプレイ:6インチ高精細タッチスクリーン●容量:256GB●OS:フルAndroid OS●連続再生時間:最大約10時間●出力:3.5mmアンバランス、4.4mmバランス●サイズ/質量:W85×H149.8×D19.5mm/約615g

「上質かつパワフルなサウンドはとても魅力的。仕事上、出先で様々なイヤホン・ヘッドホンを試聴するので、どちらも遜色のない良質なサウンドを再生できる本機をすぐにでも手に入れたい!」(野村さん)

↑カラーは2色、ブラック(左)とシルバー(右)をラインナップ。
デザインは既存モデルを踏襲するが、画面のサイズアップのぶん天地が拡大した。
↑既存モデルでは電源ボタンがレイアウトされる位置に、ロックボタンを新設。
オンにすると、側面のボタンとボリュームホイールがロックされ、操作ができなくなる。

AVライター・野村ケンジ
イヤホン・ヘッドホンからリファレンスモデルまで、AV全般に詳しい。豊富な知識を生かしポータブルオーディオのイベントにも出演。

※「GetNavi」2025月9・10月号に掲載された記事を再編集したものです。
※この記事のリンクから商品を購⼊すると、売上の⼀部が販売プラットフォームからGetNavi webに還元されることがあります。
※価格などの表示内容は掲載時点のものです。在庫切れなどによって変更の可能性もありますので、詳細は商品ページを確認してください。

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「歴史に名を刻むのは間違いない」二刀流で話題の“次世代オールシーズンタイヤ”、ダンロップ「シンクロウェザー」で真冬の雪道と初夏の路面を走った結果

大谷翔平とベーブルースが歓談? そんなシーンを使ったダンロップのCMに、思わず目を凝らした人も多かったのではないでしょうか。

 

これはダンロップがこの秋に発売する「シンクロウェザー」という、2つの機能を備えた、いわば“二刀流”とする新たなタイヤに絡めたCMなのです。今回はそのタイヤについて、解説と走りをレポートします。

↑ダンロップが新たに開発した独自のオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」

 

“二刀流”を共通としてイメージキャラクターに大谷翔平を起用!

 

この動画に登場している“ベーブ・ルース”は、当たり前ですが本物ではありません。

 

この方はベーブ・ルース財団の協力によって紹介された“そっくりさん”で、骨格や輪郭などに修正を加えることで、まるで本人であるかのように演出しているそうです。かつて打者・投手の二刀流で名を馳せたベーブ・ルースと、現代の二刀流のスーパースターである大谷翔平とのコラボレーションを、新たな“二刀流タイヤ”として発売される「シンクロウェザー」のイメージに重ねているわけですね。

 

では、「シンクロウェザー」とはどんなタイヤなのでしょうか。概要をかいつまんで言えば、冬タイヤとしてスタッドレスタイヤ並みの性能を発揮しながら、ドライ&ウエット路面でも夏タイヤ並みの性能を発揮するというものです。こうお伝えすると、多くの方から「本当なのか?」と疑いの眼差しも寄せられることでしょう。でも、ダンロップの開発陣は自信満々なのです。

 

夏でも冬でも高性能を発揮する“次世代オールシーズンタイヤ”

↑「シンクロウェザー」のトレッド面。このタイヤのゴム素材には、水に濡れると柔らかくなり、また低温時でも硬くなりにくい素材が採用されています

 

その自信の裏付けとなっているのが「アクティブトレッド」と呼ばれる新技術。水に触れたり、温度が下がったりした際にゴムの性質が変化して柔らかくなり、結果として摩擦係数を常に高く維持できることで滑りにくくなる、というものです。つまり、タイヤ自身が路面に「シンクロ」することで、ウエット路面でもアイス路面でも高いグリップ力を発揮するというわけです。

 

従来のオールシーズンタイヤなら、雪道でこそ一定のグリップを保つことはできたものの、凍った氷上路面までは対応は難しいとされてきました。しかし、この技術を採用することで、氷上路面の走行時にも確かなグリップを可能にしたのです。

 

それだけではありません。「シンクロウェザー」は、夏タイヤ並みのドライ&ウエット路面性能を合わせ持っています。つまり、スタッドレスタイヤ並みの雪上&氷上路面性能と、夏タイヤとしての実力もフルに発揮できる、史上初のオールシーズンタイヤとして登場しているのです。

 

まさにこれが「シンクロウェザー」が“次世代オールシーズンタイヤ”といわれる所以であり、“二刀流”を謳う理由もそこにあるわけです。

 

ゴムに仕込まれた“2つのスイッチ”が環境に応じて切り替わる

↑「シンクロウェザー」は認定ショップでのみの販売となり、価格は高めに設定されています

 

でも、どうしてこんなことができるのでしょうか。不思議ですよね?

 

そもそも「アクティブトレッド」とは、水や温度などの外的要因に反応してゴムの特性が変化する新技術で、ゴムを柔らかくするには欠かせないポリマーの動きをコントロールする役割を果たします。「シンクロウェザー」ではこのゴムの中に「水スイッチ」と「温度スイッチ」の2つのスイッチ機能を備えており、これを環境に応じて切り替えることでゴムの特性を変化させているのです。

 

具体的には、路面に接地するトレッドの一部に、水に触れると結合が溶けるイオン結合のポリマーを採用(水スイッチ)。これによりウエット路面に入ると表面が柔らかくなってグリップ力が高まります。そして、水が乾けば再び元の硬さに戻ってドライ路面でのグリップ力を回復するのです。

 

そして、次に冬場の低温時にはゴムのグリップ力を高める成分をポリマーから切り離すことで(温度スイッチ)ゴムが硬くなるのを抑えます。これによってゴムは柔らかいまま維持され、雪上や氷上でもしっかりとしたグリップを実現することができるというわけです。

 

タイヤの表面には、その性能を裏付けるものとして、冬用タイヤ規制が発令された高速道路も走れる「スノーフレークマーク」はもちろんのこと、国連が定めた氷上性能をクリアした「アイスグリップシンボル」までも刻印されています。まさに、これまでのオールシーズンタイヤではあり得なかったことを「シンクロウェザー」は可能にしたのです。

 

氷上でも安心して走れる高いグリップ力を実感

では、その実力は本物なのでしょうか? 2月に北海道で雪上&氷上路面を、5月に岡山でドライ&ウエット路面で試乗する機会を得ました。

↑用意された雪上路で「シンクロウェザー」の実力を試します

 

雪上&氷上路面での試乗は、旭川市内にあるダンロップのテストコースと周辺の一般道を使って行なわれました。試乗の対象となったのは「シンクロウェザー」に加えて、ダンロップのオールシーズンタイヤ「マックス・エーエスワン(MAXX AS1)」と、「ウインターマックス・ゼロツー(WINTER MAXX 02)」です。

 

最初に「MAXX AS1」で走ると、最初の氷上でさっそくグリップ力の弱さを露呈。アクセルを踏んでも思うように加速してくれません。氷上を旋回するとそのまま外側へと膨らんでしまい、そのコントロールにずいぶんと苦労することになりました。まさにオールシーズンタイヤゆえの氷上でのグリップ力の低さを体感したわけです。

 

次の「シンクロウェザー」では、氷上でもステアリングを切っただけの反応が伝わってきました。もちろん、パワーをかければ外側へ膨らみますが、「MAXX AS1」とは安心感がまるで違います。ただ、その後に「WINTER MAXX02」を走らせると、さすがはスタッドレスタイヤ、よりしっかりとしたグリップを感じさせてくれました。とはいえ、「シンクロウェザー」との差は小さく、改めてその実力の高さに驚かされた次第です。

↑氷上での旋回で「シンクロウェザー」はスタッドレスに近いグリップ力を示しました

 

続いて「シンクロウェザー」で雪深い一般路に出てみました。雪深い路面をものともせず、グイグイと雪道を突破していきます。カーブに差しかかったところで少し強めにステアリングを切るとわずかに横に流れる動きを見せましたが、それでもすぐにグリップして安心感は十分。雪道での頼りがいをしっかり感じ取ることができました。

↑「シンクロウェザー」で雪深い一般路を走行。オールシーズンの概念を超えるグリップ力が安心の走行をもたらします

 

シャープなハンドリングと快適な乗り心地。静粛性の高さに驚き!

そして、次なるシーンは5月の岡山。ここではダンロップのテストコースで周回路を使ったハンドリング、濡れたスキッドパッドでのウエット路面走行、さらに周辺の一般路でも試乗しました。タイヤは「シンクロウェザー」のほかに、「ルマン・ファイブ・プラス(LE MANS V+)」と、スタッドレス「ウインターマックス・ゼロツー(WINTER MAXX02)」を試しています。

↑ドライな路面でも、シャープなハンドリングによる気持ち良い高速走行が可能です

 

ここで最初に試乗したのは夏タイヤの「LE MANS V+」。周回路を走ると路面の状況にしっかりと反応し、操舵に対しても忠実にトレースする高いスポーツ性を発揮し、高速での周回でももっとも安心度が高かったです。一方のスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX02」は剛性の低さがモロに出ており、ステアリングを切っても反応が鈍く、高速でもその都度修正を余儀なくされました。また、ロードノイズもかなり高めです。

 

続いて「シンクロウェザー」に乗り換えてまず実感したのは、その静粛性の高さ。おそらくその実力は夏タイヤの「LE MANS V+」とほぼ同等と言っていいでしょう。実はこれまで、オールシーズンタイヤはノイズレベルが高いのが個人的にも悩みでしたが、これなら音楽だって十分楽しめそうです。

↑水をまいたスキッドパッドでも、夏タイヤ並みの限界性能を実感できました

 

さらに乗り心地も上々。荒れた路面でもいなし方が巧みで、路面からのショックが最小限にとどまっていました。しかも周回路での高速走行でレーンチェンジをすると、その反応はとてもオールシーズンタイヤとは思えないほどシャープ。その反応の良さに、高速周回がとても楽しく感じられたほどでした。

↑一般路での走行では、路面の荒れをしっかりと吸収する乗り心地の良さ。高い静粛性にも驚き!

 

タイヤの歴史に新たな1ページを刻むのは間違いなし

雪深い真冬の北海道、汗がにじみ出そうな5月の岡山でテストした「シンクロウェザー」の試乗は、これまでのオールシーズンタイヤの概念を大きく変えるものでした。今までなら、オールシーズンタイヤは一年を通して使える便利さを持ちつつも、夏タイヤとしても冬タイヤとしても“そこそこの性能”にとどまっていたわけです。

 

一方、この秋に登場する「シンクロウェザー」は見事に“次世代オールシーズンタイヤ”としての実力を十分に見せつけてくれました。価格は同社のタイヤの中では最も高くなるとのことですが、ダンロップとしてはこの製品の実力を正しくユーザーに伝えるため、認定シップ制度を導入して大事に育てていく考えとのこと。「シンクロウェザー」の登場はタイヤの歴史に新たな1ページを刻むのは間違いないでしょう。今後のさらなる進化にも期待したいですね。

↑予想をはるかに超える快適な走りをもたらした「シンクロウェザー」。この秋より発売開始です