アフリカのために7日間泣き続ける! ギネスに挑んだ男がとんでもない目に…

いまナイジェリアでは、ギネス記録を打ち立てるというブームが訪れているそう。先日は「100時間連続で料理する」新記録をナイジェリア人シェフが達成。このギネスブームに乗って、今度はある男性が「7日間泣き続ける」というギネス記録に挑戦しました。しかし、チャレンジは想像以上に過酷で一時的に視力を失うという、とんだ災難を経験したそうです。

↑先が見えていなかった…(画像提供/Ghana Page〔YouTube〕)

 

この男性はギニア生まれのナイジェリア人、テンブ・エベレさん。インフルエンサーであるテンブさんは、7日間泣き続けてギネスに自分の名前を刻むという目標を立て、新記録樹立のチャレンジに挑んだのです。

 

しかし、その試みはあえなく失敗。BBCのインタビューを受けた彼は、「7日間泣き続けるのは、思ったよりも大変だった。もっと戦略を立てて、泣き叫ぶのは減らすべきだった」と語っています。

 

両手で頭を抱えながら泣き叫んだり、時には静かに涙を流したり。そんな状態を続けているうちに、頭痛を覚え、目は腫れていったそう。そして、45分ほどの間、目が見えなくなったというのです。時計が「5時間55分」を表示する頃、彼は力尽きるように床に座りこみ、「もう無理だ」とでもいうように顔を左右に振っている様子も。結局、6時間を過ぎたところでギブアップしたようです。

 

静かに涙が頬をつたう程度ならまだしも、声を上げて泣き叫ぶのは、かなりエネルギーを使う行為。頭痛に見舞われ、目が腫れて視界がぼやけるというのも、うなずけることかもしれません。

 

ちなみに、テンブさんの涙はアフリカの若者たちに向けたもの。「自分たちができることには限界がないことを示したい」と泣いていたそうです。7日間も連続して泣くという、無謀とも思えることに挑戦したテンブさんですが、その心意気は、十分にギネス記録に値するものだったのかもしれません。

 

【主な参考記事】

Hollywood Unlocked. Man Says He Went ‘Temporarily Blind’ After Attempting To Cry For 7 Days To Obtain Guinness World Record. July 17 2023

家電ジャーナリストに訊く、ダイキンがナイジェリアにエアコン組み立て工場を設立する狙い

現在はもちろん将来的にも有望な市場として、世界的な注目を集めているアフリカ。日本企業も例外ではなく、大手からスタートアップまで、さまざまな形でのビジネス参入を模索しています。そんな中、空調機器のトップメーカーであるダイキン工業株式会社が、昨年、ナイジェリア現地で空調機器の組み立てをスタートすると発表しました。一方で東アフリカのタンザニアでは、現地企業との合弁会社を立ち上げ、空調機器のサブスクリプションサービスを行うなど、アフリカでの存在感を強めている同社。今回は、ダイキンのアフリカ・ナイジェリアでの取り組みを中心に、その狙いや取り組みについて、IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志さんに見解を伺いました。

 

安蔵靖志さん●IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっている。

 

ナイジェリアに生産拠点を置く理由

家電メーカーに限った話ではありませんが、中国や韓国などの企業にくらべ、日本企業のアフリカ進出はかなり遅れていると言われてきました。その要因の一つに、「日本メーカーならではの高い技術力がある」と安蔵さん。

 

「実はアフリカで普及しているエアコンの約95%が、インバーターなしという統計があります。つまり、これまで高性能で高額なエアコンは売れなかった。優れた省エネ性能など日本得意の技術力の高さを現地ではなかなか発揮できなかったのだと思います」

 

ただ近年の経済成長や、世界規模でのカーボンニュートラル実現に向けた、家電をはじめとする電力消費抑制への動きなどで風向きが変わってきたと指摘します。

 

「アフリカの中でもナイジェリアは最大の人口を誇り、GDPも高い。つまりアフリカの拠点とするのに最も条件が揃った魅力的な市場だと考えたのではないでしょうか。現地に組み立て工場を設立する理由としては、ナイジェリアなどの西アフリカ地域は、海外の生産拠点があるインドから地理的に遠いことや、価格競争力、さらに製品のローカライズなどが挙げられます。まずはナイジェリアでしっかり地盤を固めてから、周辺諸国に進出する予定なのでしょう」

 

技術者育成で現地の販路拡大とブランディングを推進

また、ほぼ時を同じくして、ナイジェリア最大の都市ラゴスに拠点を置く職業訓練校・エティワ・テックに、空調機器関連の技術者を養成するためのトレーニングセンターを開設すると発表。据え付けやメンテンス方法などを学ぶための空調機器の供与や、同校の講師陣に対する取り扱い研修プログラムの提供をスタートするそうです。

 

「ご存じの通り、空調機器の取り付けには専門の技術者による工事が必要です。日本でも夏場になると取り付けに数週間かかることはざら。要はエアコンの販売を拡大させるには、技術者の育成が不可欠なのです。また、トレーニングセンターでは当然、ダイキンの空調機器を使って学ぶわけですから、それだけ技術者たちのダイキンに対する知名度や理解も深まるし、ファンも増える。そこから巣立った技術者たちが、実際に各エアコンを取り付けるために各家庭や企業などを訪れるわけですから。ダイキンのブランディングという意味合いも強いのではないでしょうか」

 

とくにアフリカなどの途上国では、派手な広告を打つより、口コミなどが効果的と言われています。トレーニングセンターの開設はブランドイメージを高めるのにも一役買いそうです。

 

「IEA(国際エネルギー機関)の発表によると、世界的に冷房などで消費される電力が2050年には、2015年の約3倍になると見込まれています。カーボンニュートラルの流れの中、エアコンの省エネ性能がより一層重要になってくるのは明らか」

 

ビジネス的にはもちろん、社会貢献という意味でも、今後、ダイキンはじめ、技術力に長けた日本メーカーの活躍には大いに期待したいところです。

輸入禁止が功を奏す! ナイジェリアが半年で1億枚のSIMカードを生産

契約者の電話番号などの情報が記録されているSIMカード。スマートフォンに必ず装着されているもので、スマホの契約台数が延びれば、当然SIMカードの生産も増えることになります。そんなSIMカードをわずか半年で1億枚も生産したのが、ナイジェリア。デジタル経済を推進する同国政府のローカライズ計画が成果を上げてきたことが表れています。

アフリカのSIMカードはナイジェリアが作る

 

ナイジェリア政府の情報通信機関であるナイジェリア通信機関委員会(NCC)は2023年2月、過去半年間にナイジェリアで生産されたSIMカードが1億枚以上に達したことを発表しました。SIMカードの国内生産の増加は、「ナイジェリア国家ブロードバンド計画」や「NCC戦略管理計画」の一環。ナイジェリア政府は国全体のデジタル経済と国内でのSIMカード生産を推進するため、2022年8月から外国製SIMカードの使用を禁止しました。これにより、SIMカードを生産する国内の新興企業をバックアップ。もともと外国製のSIMカードに頼っていた生産システムを大きく変換させたのです。

 

ナイジェリアでSIMカードを生産する企業の一つが、CCNL(Card Center Nigeria Limited)。2004年に創業した同社は、ナイジェリアやアフリカの通信会社にSIMカードの生産と販売を行っており、アフリカのSIMカード生産のパイオニア的存在です。もともとIDカードの生産も行っており、ナイジェリア警察や同国の銀行などのIDカードも生産してきました。

 

現在、SIMカード生産などを手掛けるアフリカのスタートアップは7社あり、そのうちの5社はナイジェリアに拠点を持っているとのこと。しかし、同国には技術革新や投資を保護する法律がないことから、スタートアップの中にはナイジェリア以外の国で登記する企業もありました。

 

それを防ぐために、ナイジェリア政府は2022年8月からのSIMカード輸入禁止法を制定したのです。この法律について、ナイジェリアのパンタミ通信・デジタル経済大臣は、その重要性を度々アピールしてきました。スマホ利用者が急増するナイジェリアでSIMカードを100%国内生産すれば、雇用創出につながります。国内企業の売り上げが伸びれば、ナイジェリア経済への貢献度は増すでしょう。

 

SIMカード国内生産が活発化していくことで、ナイジェリアはアフリカにおけるSIMカード生産のハブとして存在感を増すでしょう。2022年におけるアフリカ54か国の人口はおよそ14億人。2030年には16億人、2050年には24億人を上回る見込みです。加えて、スマホやインターネット利用率は、先進国と比べると低いものの、利用者はますます増えて行くと見られています。Twitterが2021年にガーナにアフリカ初の拠点を置くことを明らかにしたように、ビッグテックはアフリカに熱い視線を注いでおり、GDP(国内総生産)や人口、デジタル人材の多さなどを考慮すれば、ナイジェリアはアフリカのデジタル化を牽引する国の一つ。これまで石油やガスに依存していたナイジェリア経済は着実に多角化しているようです。

 

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ビッグテック並みのデジタル人材大国へ! ナイジェリアがオフショア開発の委託先になる可能性

50以上の国々からなるアフリカでGDP第1位を誇るナイジェリア。およそ2億人の人口を抱え、アフリカ経済を牽引する国の一つと言える存在です。そんな同国は、テクノロジー分野で100万人の技術開発者を育成させる取り組みを進めています。ナイジェリアは近い将来、デジタル分野に関連するオフショア開発(※)で委託先の選択肢になるかもしれません。

アプリケーションやウェブページの開発といったIT(情報技術)関連の業務の一部を海外の会社に委託すること

デジタル人材の宝庫になるか

 

ナイジェリアは、近年はサービス産業の成長が目覚ましく、GDPが4323億ドル(約57兆円※)とアフリカでトップを走っています。そんなナイジェリアの国家情報技術開発庁(NITDA)のKashifu Abdullahi氏が先日、第16回アレックス年次会議にパネリストとして登壇し、デジタル分野における技術者の育成について触れました。

※1ドル=約132円で換算(2023年1月10日現在)

 

日本でも、あらゆる企業が労働人口の減少や働き方改革の推進を背景にデジタル化を進めています。それに伴い顕著になっているのが、企業が求めるデジタル技術を持った人材の不足で、その数は約1800万人にのぼるそう。これは日本に限った話ではなく、他国でも同じような傾向が見られ、世界の技術開発者の人材不足は8500万人と予測されています。

 

そんな世界の人材不足にナイジェリアは着目。100万人のナイジェリア人の技術開発者を世界中のバリューチェーンに組み込むことを目的としたプログラムを開始しました。Abdullahi氏は「ナイジェリアでは、他の先進国に製造業で敵わないものの、人材の分野では躍進できる可能性がある」と指摘しているのです。

 

同氏がこの会議で言及した、PwCコンサルティングのレポートによると、技術開発者やプログラマーの年収は概ね3万〜15万ドル(約396万〜1980万円)。仮に200万人のナイジェリアの開発者が、ナイジェリア国内からリモートで働き、一人2万ドル(約264万円)の収入を得ることができれば、ナイジェリアで年間400億ドル(約5.2兆円)以上の収入が生まれると試算されています。

 

また、Abdullahi氏は、世界の技術開発者不足を金額で表した場合、8.5兆ドル(約1123兆円)に達する見込みとも発言。アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット(グーグルの親会社)、メタの5大IT企業の評価額は合計で9兆ドル(約1189兆円)になります。つまり、もしナイジェリアだけで世界が求める技術開発者を補うことができたら、同国はアフリカどころか、世界有数の経済大国のような存在になれるかもしれないと同氏は考えているようなのです。

 

現在、ナイジェリアは同プログラムでAI、ブロックチェーン、ロボット工学、データ解析などの技術部門の人材育成を推進。同時にデジタル経済が発展するための政策を実施したり法的な枠組みを見直したりしています。

 

Abdullahi氏は「デジタル経済はイノベーションであり、それは人である」と述べ、デジタル経済を推進するためには技術開発者の存在が必要不可欠であると話しています。それは世界各国の共通の課題であり、ナイジェリアがその解決策の一つになる可能性があります。

 

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145兆円経済を狙え! ナイジェリアが仮想通貨に特化した「バーチャル経済特区」を設立

アフリカで最大の人口を誇るナイジェリア。同国はデジタル経済への大転換を進めていますが、9月3日(現地時間)、同国の輸出加工区庁(Nigeria Export Processing Zones Authority、略NEPZA)が西アフリカ初の仮想通貨に特化した経済特区「バーチャル・フリー・ゾーン(Virtual Free Zone)」を設立すると発表しました。

デジタル経済大国へまっしぐら?

 

同庁はこの経済特区計画で、大手暗号通貨取引所のバイナンス(Binance)と、テクノロジーを活用した都市革新に取り組むタレント・シティ(Talent City)と提携する予定。これら3者はまだ協議中の模様ですが、この計画によってナイジェリアではどのようなビジネス展開が可能となるのでしょうか?

 

NEPZAでマネージング・ディレクターを務めるアデソジ・アデスグバ(Adesoji Adesugba)氏は、「バーチャル・フリー・ゾーンを生み出すことで、1兆ドル(約145兆円※)近くのお金が動くブロックチェーンやデジタル経済を活用したい」と述べています。また、この計画の枠組みはドバイのバーチャル・フリー・ゾーンと似たものになるそうですが、現時点で詳細は明かされていません。

※1ドル=約144.7円で換算(2022年9月28日現在)

 

アフリカのメディア・Techpoint Africa(TA)によれば、バーチャル・フリー・ゾーンは、関税を撤廃し、製造業や輸出入を促進する自由貿易地域(FTZ)のデジタル版となる可能性があるとのこと。FTZを仮想通貨に適応すれば、メタバースやモバイルアプリ、ウェブサービスなどのデジタル製品を、規制を受けずに取引することができるデジタル経済空間となるかもしれません。

 

しかしその一方、TAは、今回の発表がただの注目集めだった可能性があるとも指摘。TAが調べたところ、バイナンスはドバイと協定を結んでいるものの、これはバーチャル・フリー・ゾーンと関係がなかったそうです。バイナンスとDubai World Trade Centre Authorityの協定の目的は「グローバルな仮想資産の産業ハブを設立する」というもの。同社とナイジェリアの間でも同様の協定が結ばれた可能性は考えられますが……。

 

謎に包まれたナイジェリアのバーチャル・フリー・ゾーン計画。同国は2021年10月にデジタル通貨の「eナイラ」を導入するなど、暗号通貨の普及が急速に進んでいますが、この経済特区は果たして実現するのでしょうか? 今後の展開に期待です。

 

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石油はGDPの1割未満! 石油からICTに大転換するナイジェリア経済

1956年に初めて油田の存在が確認されたナイジェリア。これまで石油の生産は同国の主要産業でした。しかし近年、ナイジェリアの産業に大きな変化が生まれており、石油の役割が縮小している模様。代わりに、これから同国の経済を牽引するのは、情報通信技術(ICT)になる可能性が高まっています。

デジタル化が進むナイジェリアの経済

 

アフリカのテクノロジー系メディア・TechCabalは9月1日、2022年第2四半期におけるナイジェリアの国内総生産(GDP)で、ICTの占める割合が18.44%になったと報道。一方、石油産業のGDP構成比率は6.33%に低下し、非石油部門が93.67%を占めるようになりました。

 

ナイジェリアは、2021年のGDPが約4408億ドル(世界銀行。約63.4 兆円※)とアフリカ最大の経済国です。原油の発見は同国に新しい富をもたらした反面、天然資源が見つかったことによって、国の産業が弱体化するという「オランダ病」も引き起こし、ナイジェリアは多くの消費財を輸入に頼るようになりました。そのような経済構造からの脱却を図るため、ナイジェリア政府が進めているのが、ICTを中心とした経済の多角化。例えば、2017年に同国は、2020年までにICT関連産業を成長させることで、250万人の雇用創出とGDPの20%増加を目指す「Nigerian ICT Roadmap 2017-2020」プロジェクトを打ち立てました。また、国連が定める「世界開発情報の日」にあたる10月24日を「デジタル・ナイジェリア・デー」と制定していることからも、ナイジェリアのデジタル経済への強い意志が感じられるでしょう。

※1ドル=約144円で換算(2022年9月26日現在)

 

デジタル経済への原動力の1つが人口。ナイジェリアの人口は2億1000万人で、そのうちの23%が、教養と経済力を持つ中間層。同国の人口は2050年には4億人を超える見通しです。同国の通信デジタル経済省は『NATIONAL DIGITAL ECONOMY POLICY AND STRATEGY (2020-30): For A DIGITAL NIGERIA』で、人口が多く、デジタル経済が発展している国の例として中国、インド、アメリカを挙げており、人口の多さはナイジェリアがデジタル経済の発展を持続するうえで強みになると論じています。

 

また、ナイジェリアのICT産業では、スタートアップの存在も見落とせません。大企業や大学の研究機関、公的機関など、産官学が連携しながら、同国最大の都市・ラゴスを中心にスタートアップエコシステムを形成しています。ナイジェリアには現在、750を超えるスタートアップがあり、2021年に調達した資金の合計額は3億700万ドルに到達。スタートアップエコシステムについて調査するStartupBlinkによると、同国のスタートアップエコシステムの評価は世界で61位となっていますが、西アフリカ地域では1位。アフリカ大陸においてナイジェリアのエコシステムは高水準に達していると評価されています。

 

世界的に注目を集めるナイジェリアのスタートアップの中には、例えばOrda社があります。2022年1月に11万ドルを調達した同社は、レストラン向けの注文管理・決済などを管理するプラットフォームを展開。他にも、外食産業事業者と農家をマッチングさせるサービスを提供するVendease社など、フードテック関連企業は目覚ましい発展を遂げるようになりました。このようなスタートアップがロールモデルになりながら、ナイジェリアのICT産業を引っ張っているように見えます。

 

ナイジェリアのデジタル経済の成長には、このような背景がありますが、GDPの構成比でICTが石油を上回ったことについて、イサ・パンタミ通信・デジタル経済大臣は「今回の結果は、デジタル経済を推進してきた政府の取り組みと一致している」とコメント。ナイジェリアのデジタル経済推進の成果は、目に見える形で表れてきているのかもしれません。

 

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日本のゴマ消費40%がナイジェリア産! 日・ナイジェリア貿易額が年1400億円に

2022年8月にナイジェリアの首都アブジャで開催された第2回日本・ナイジェリアビジネス促進協議会において、松永一義駐ナイジェリア日本大使が、両国間の年間貿易額が10億ドル(約1430億円※)に達したことを発表しました。

※1ドル=約143.3円で換算(2022年9月16日現在)

↑ホットになりつつある日本とナイジェリアの貿易

 

ナイジェリアの対日輸出品の代表的なものは石油やLNG(液化天然ガス)ですが、あまり知られていない物としてゴマがあります。ナイジェリアの金融情報サイト・Nairametricsによれば、日本で消費されるゴマの40%はナイジェリア産だ、と松永大使が話したとのこと。近年ナイジェリアのゴマの輸出量は増加しており、同国の輸出の22.4%を占めるようになりました。

 

視野を少し広げると、この傾向は同国の農作物の輸出でも見られ、その額は2020年の3215億ナイラ(約1075億円※)から、2021年には5049億ナイラ(約1690億円)に拡大。全体的に見れば、同国の対外貿易は2021年第1四半期(1月〜3月)の11.7兆ナイラ(約3.9兆円)から2022年の同期には13兆ナイラ(約4.3兆円)に成長しています。しかし、その主な要因は農作物というより、原油の輸出の増加にある模様。

※1ナイラ=約0.33円で換算(2022年9月16日現在)

 

一方、日本の対ナイジェリアの輸出品目としては、機械や自動車が挙げられます。松永大使によると、同国には現在47社の日本企業が進出しているとのこと。ナイジェリア投資促進委員会(NIPC)のSaratu Umar事務局長兼CEOは、「私たちは日本大使館と良好な関係を維持しており、今後も協力しながら、ナイジェリアでビジネスを行う全ての日本企業を援助するつもりだ」と話しています。

 

ナイジェリアは現在、海外の投資家が政府機関と協力しながら、同国への投資に関する問題を解決できる環境を構築しつつあり、この取り組みは日本・ナイジェリア間のビジネスをより一層促進するかもしれません。

 

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世界の「フードテック」市場で存在感を高める、ナイジェリアのスタートアップ

【掲載日】2022年7月13日

最新テクノロジーを活用して食品分野の新たな可能性を追求するフードテック。デリバリーから流通ネットワークの構築、食品関連事業者への融資まで、幅広いイノベーションが生み出されています。しかし、この動きが活発なのは先進国だけではありません。近年、一際大きな注目を集めているのがナイジェリアです。

フードテック系スタートアップが次々に生まれているナイジェリアのラゴス

 

ナイジェリアのフードテックを多く生み出しているのは、同国最大の都市・ラゴス。世界中のスタートアップに関するデータを提供するStartupBlink(SB)社の世界エコシステム・ランキングで、同都市は2022年に81位へ浮上し、前年から41位も順位を上げました。さらに、同社のフードテック企業エコシステムの都市別ランキングでは、米国の主要都市が上位を占める中、ラゴスが24位にランクインしています。

 

ラゴスを中心にナイジェリアのフードテックが台頭している背景には、人口増加に伴う食のニーズの高まりがあります。また、中間層が増えているため、食の多様化が進むと同時に、外食産業も成長しています。

 

SB社によれば、同都市にはフードテックのスタートアップが46社ありますが、その中には著名なベンチャーキャピタルから巨額な出資を受けて事業を急拡大している企業が数多く存在しています。例えば、2020年に創業したOrda社は、レストラン向けの注文管理や決済、商品在庫、物流システム等を管理できるプラットフォームをクラウドで提供しており、2022年1月に110万ドル(約1億5000万円※)を調達しました。

※1ドル=約136円で換算(2022年7月8日現在。以下同様)

 

ほかにも、Agricorp International社は、独自開発した「Farmbase」と呼ばれるテクノロジーを活用し、スパイスや養鶏農家を対象に詳細なプロフィールや財務フローを作成することで、農家の生産能力を高めており、2021年にはシリーズAの資金調達ステージで1750万ドル(約23億7000万円)もの巨額な資金調達に成功しました。同年には、レストランなどの食品サービス提供事業者と農家などを直接マッチングさせる仕組みを提供するVendease社も320万ドル(約4億3000万円)の資金を調達しています。

 

このように、多くの機関投資家や個人投資家、ベンチャーキャピタルが、ラゴスを中心にナイジェリアのフードテックに熱視線を送り続けています。同国の食に関する産業は今後も成長していくことが見込まれており、日本企業にとっても、その存在感はますます大きくなるでしょう。

 

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「3Dプリンター」で劇変するナイジェリアの製造業と医療業界

【掲載日】2022年7月6日

3Dプリンターがアフリカの製造業に変革を起こしています。学校建設や義手の制作など、高い汎用性を持つこの技術には、過去の産業革命のように、国や地域の経済を一変させる可能性がありますが、ナイジェリアでは特に若い世代の間で大きなビジネスチャンスを生み出しています。

アフリカ経済を変える3Dプリンター

 

長年、ナイジェリアにとって機械部品は悩みの種の一つでした。同国は機械製品の輸入依存度が高く、特に中小規模の製造業者にとって機械部品を調達することは簡単ではありません。製造ラインが故障した場合、粗悪な部品を代用して製造を再開せざるを得ないケースが多く、それが商品の品質低下や機械の再故障を招くという悪循環を生み出すことに。全体として、この問題はナイジェリアの製造業の発展を大きく阻害してきた要因の一つでした。

 

3Dプリンターはそれを変えています。現在のナイジェリアでは、機械部品を3Dプリンターで製造する新興企業が続々と生まれており、需要が急増している模様。これまで中小の製造業者に対して主導権を握っていた部品輸入業者などから見れば、混乱した状況かもしれませんが、3Dプリンターによって今後のナイジェリアの製造業は大きく飛躍していくことが見込まれます。

 

実際、機械工学を専攻している大学生が、研究の一環で導入した3Dプリンターが仕事につながるなど、この技術は、学生やアーティストを含めた同国の若い世代に、雇用や起業の機会をもたらしています。ナイジェリアでは医療分野においても3Dプリンターの導入が始まっており、例えば、手術を予定している患者の情報にもとづいて、手術器具の一つであるカッティングガイドをこの方法で作った結果、手術時間が短縮されるということが起きています。

 

このように、3Dプリンターに代表される最先端テクノロジーは、新興国にとって大きなビジネスチャンスを生み出す爆発力を秘めています。この「産業革命」は始まったばかりで、ニッチな分野を含めて広範囲に需要が生み出されていく見込み。外国企業にとっても進出チャンスが大いにあるでしょう。

 

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低所得者層の農家向け「農機シェア」が話題! アグリテックがナイジェリアの農業を変える

【掲載日】2022年6月15日

最先端テクノロジーを導入することで農業の方法を変える「アグリテック」。AIやドローン、ビッグデータなどが話題を集めがちですが、実は資金の提供スキームも進歩を遂げています。途上国では「BOP(Base of the Pyramid)」と呼ばれる低所得者層の農家を対象にしたビジネスモデルが次々に登場しており、世界の投資家から熱視線を浴びているのです。この仕組みは途上国が人口増加と食料の問題を解決するうえで大きな役割を果たすかもしれません。

所得の低い農家が希望を持てるビジネスモデルが生まれた

 

2021年、貧困と飢餓の撲滅を目指して国際開発を行う「ヘイファーインターナショナル」は、アフリカ全土の有望なアグリテックイノベーターに賞金を提供する「AYuTe Africa Challenge」を創設。その第1回大会で賞金150万ドル(約2億2500万円※)を獲得したのが、農機具を持たない農民に対して携帯アプリでトラクターなどのレンタルサービスを提供するナイジェリアの「ハロー・トラクター(Hello Tractor)」でした。

※1ドル=約135円で換算(2022年6月13日現在)

 

ハロー・トラクターのサービスはソフトウエアとトラッキング・デバイスからなり、ユーザーがトラクターの所有者にアプリ上で連絡して利用日を予約するというもの。「Uberのトラクター版」とも呼ばれる本サービスは、ペイ・アズ・ユー・ゴー(Pay-as-you-go)の仕組みを活用しており、課金方式は従量制。最大のメリットは、低所得者層の農家がトラクターを使って生産性を向上させることができる点です。借りる側の担保ではなく、トラクターが生み出す収益に着目したこのビジネスモデルは、日本を含めた世界各国においても大いに参考になるビジネスモデルとなりえるでしょう。

 

石油大国として知られるナイジェリアですが、農業も最重要分野の1つ。同国の農業は、自給自足を主とする小規模農家が多く収穫高は天候に大きく左右されます。また、近年は高いインフレ率にも苦しんでおり、2022年3月は17.2%の食料インフレ率を記録しました。さらに、人口は現在2億人を超えており、2050年には4億人に倍増する見通し。そのため、食料の安定した供給は重要な問題なのです。

 

日本においては人口減少や跡継ぎの不在など、ナイジェリアの農業事情とは異なる部分も多いですが、アグリテックによる農業の進化が未来の重要な鍵である点は同様。また、食料の安全保障はどの国においても必須課題であると同時に、大きなビジネスチャンスを秘めています。途上国で生まれるハロー・トラクターのようなイノベーションから今後も目が離せません。

 

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日本式に大きな期待!途上国へ拡大する「STEAM教育」

【掲載日】2022年4月27日

最近、STEM/STEAM教育が途上国で盛り上がりを見せています。それぞれの国の問題を解決したり、現代の産業や経済のグローバル化などに対応したりするために、途上国が国家レベルで、この教育モデルの構築に取り組むケースが見られるようになってきました。

日本式STEAM教育を世界へ

 

2022年3月、ナイジェリアでSTEAMを専門とする高等教育機関(ポリテクニック)をリバーズ州トンビアに設立する法案が可決しました。同校はソフトウェア工学や人口知能分野、さらに困難なビジネス状況に陥った場合においても創造的な解決手法を見つけ、世界に羽ばたく人材を育成することを目指していくための先駆的な機関です。

 

また、ジャマイカもSTEAM教育を国家で推進しており、4月1日の同国西インド諸島大学におけるSTEMキャリアフォーラムにおいては、初等教育段階からSTEM学習を推進しプロジェクトベースで問題解決型の能力評価を重視していく旨が大臣から発表されました。

 

そもそもSTEM/STEAM教育とは、Science(科学)Technology(技術)Engineering(工学)Arts(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を並べたもので、国によって定義は異なりますが、「問題解決的な学習」をコンセプトにしています。当初は「科学(S)・技術(T)・工学(E)・数学(M)」という4つの学問分野を統合的に学ぶためのモデルでしたが、その後「A(芸術)」を加えたモデルへと発展。日本の文部科学省は「芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習を推進することが重要」と述べています。

 

芸術が加えられたように、数学や科学をベースにしながら「創造力」や「感性」を重視する教育は、評価方法はもちろん、実際にそれらの分野を包括的に指導する側にも、既存の教育システムや価値観に捉われずに、新たな基準を作り出していくことが求められます。また、学習したことをビジネスに昇華させる過程では、さらに高度なレベルが求められるため、教育機関だけでなく産業界をも巻き込んだ国家的な取り組みになっていると言えます。

 

時代に適した感性や一見何事にも活用が難しいと思われる技術を掘り出して、ビジネス——つまり「商品」——としてマネタイズできる先進的なプロデューサーやプロジェクトマネージャーもSTEAM教育の先に求められてきます。

 

STEAM教育において日本は世界各国での評価が高く、資源の多くを輸入に頼っている島国を世界的に飛躍させた高品質な工業製品を生み出す原動力の1つであったと言えるでしょう。すでに掃除や日直、学級会といった特別活動を中心とする「日本式教育」は海外に輸出されていますが、これからは「日本式STEAM教育」の確立と途上国への伝達もより大切になりそうです。

 

【参考】

文部科学省『STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について:文部科学省初等中等教育局教育課程課』2022年4月25日閲覧)https://www.mext.go.jp/content/20210714-mxt_new-cs01-000016477_003.pdf

 

杉山雅俊・江草遼平・手塚千尋・辻 宏子(2021)『日本型STEM/STEAM教育の構築に向けた学習指導要領解説の比較分析』日本科学教育学会研究会研究報告、36 巻 2 号 p. 177-180 https://doi.org/10.14935/jsser.36.2_177

 

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世界の投資家が興奮する「アフリカ外食産業」のSaaSプラットフォーム

【掲載日】2022年2月8日

各分野でテクノロジーによる変革が猛スピードで進行しているアフリカですが、外食産業では、まだ非常に多くの中小飲食店がペンと紙を使ったオフラインの作業に頼っています。しかし、効率化やデジタル化への需要は増しており、変革の機運が高まっています。その一例としてナイジェリアのOrda社を見てみましょう。

アフリカの外食産業のデジタル化を加速させるOrda(画像提供/Orda)

 

2020年に創業したOrda社は、レストランを主な対象に、注文管理や決済、商品在庫管理、物流までを網羅した外食産業の管理プラットフォームをクラウドで提供しています。同社はSaaS(Software as a Service)型のビジネスモデルを取り入れており、ユーザーはこのソフトウェアから自分が必要とする部分だけを契約することが可能。

 

また、このプラットフォームは、店舗での注文はもちろんのこと、さまざまなフードデリバリー・サービスやウェブサイトに加え、WhatsAppなどのソーシャルメディアからの注文にも対応しています。

 

このようなプラットフォームを生み出したOrda社は、先日110万ドル(約1億2700万円※)の資金を世界各国の投資家から獲得しました。グローバル展開しているLofty Inc Capitalをはじめ、10を超えるエンジェル投資家がOrda社に出資を決めており、ビジネスの将来性が高く評価されています。

※1ドル=約115円換算(2021年2月7日時点)

 

Orda社のCEOを務めるGuy Futi氏は、レストラン向けSaaS型管理システムで既にグローバル展開をしている米国のToast社を目指していると述べており、アフリカ全土をはじめとした広範囲なビジネスの拡大を計画しています。

 

近年、アフリカでは日本食への認知度が増加傾向にあり、現地に進出する日本食レストランも増えています。Orda社のようなサービスを活用しながら現地でビジネスを展開する可能性もあるでしょう。アフリカの外食産業にOrda社がどのような影響を与えるのか注目です。

「デジタル通貨」で先陣を切るナイジェリア

ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領は、2021年10月25日、ナイジェリア中央銀行のデジタル通貨(CBDC)「eナイラ」の導入を発表しました。中央銀行の信用裏付けがあるデジタル決裁は、単純に既存の紙や硬貨を使わないことだけでも国民生活に大きな変革をもたらすはずです。ビットコインに代表される仮想通貨は法定通貨を基準としていないので混同される読者も多いかもしれませんが、現在、世界各国が政府主導で続々に実証実験を行なっているデジタル通貨は、ナイジェリアと同様に法定通貨に裏付けられているものです。

ナイジェリアが導入した「eナイラ」

 

決済の利便性が向上

すでに世界初の中央銀行デジタル通貨「サンドダラー」が2020年10月にバハマで発行されていますが、欧州中央銀行(ECB)の「デジタルユーロ」や中国の「デジタル人民元」、そして日本の「デジタル円」なども数年内の発行を目指して実証実験を進めています。

 

デジタル通貨は、紙幣や硬貨と異なり、デジタル上ですべてを管理する通貨であるため、決済における利便性は飛躍的に上がることが見込まれます。信用度やセキュリティ、決済端末の普及など、さまざまな問題点が指摘されていますが、当局がそれらを運用しながら解決していくのであれば、国民の理解を得て普及に向けた歩みを強く推し進めていくことが当面の課題でしょう。

 

各国の中央銀行が発行するデジタル通貨は、基本的に自国発行通貨と価値を連動させています。ビジネスにおける決済においては、通貨価値の変動幅が大きいものは不向きですが、それでもデジタル通貨の導入は利便性だけの視点でいえばプラスの要素でしょう。

 

通貨は国家の威信そのものであり、過去の長い歴史の中で通貨発行権における攻防は凄まじいものがありました。現代においては、それがビットコインであり、Meta(旧Facebook)主導による「Libra」でしょう。

 

グローバル展開を検討している企業で、さらにデジタル通貨関連事業を検討しているのであれば、今回のナイジェリアのケースは参考になるでしょう。2億人以上の人口を有するアフリカ最大の国におけるデジタル通貨の取り組みは、世界各国の政府や大手企業、中央銀行も注目しているに違いありません。リサーチを早めに開始して、大きなビジネスチャンスに向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか?