ピザ窯や薪ストーブライフの必須設備・薪棚を作ってみた!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(23)

薪ストーブやピザ窯などで使う薪は、生木だと煙が出るので、できるだけ乾燥させたほうがいい。そこで薪を乾燥させながらストックできる薪棚が欲しい。薪棚は薪を収納するだけじゃなく、薪を乾燥させる場所でもあるのだから。

 

簡単に作れる薪棚。できれば薪は間伐した順に並べ、できるだけ乾燥が進んだものから使うようにしたい

 

びっしり並んだ薪の木口群は、薪ストーブのある暮らしのシンボルだ

房総の里山にあるドゥーパ!のガーデンスタジオにはピザ窯もあるし、薪ストーブもあるし、ロケットストーブもある。そこで使用する薪は、玉切りした間伐材を割ったものだが、資材置き場の隅に置いてあったり、ピザ窯の横に積んであったりして定位置がなかった。適当に乾燥した薪を選んで使っていたのだが、乾燥期間がわからないので、薪を放り込んでみたらピザ窯の中が煙だらけになるということもあった。

そこで、風通しがよくて、取り出しやすいところに薪棚を作ることにした。薪は間伐した時期がわかるように順番に並べ、できるだけ乾燥の進んだ薪から使うようにすればいい。

選んだ場所は以前建てた高床式の小屋の軒下。ここなら適当に風が吹き抜け、乾燥しやすい。薪は冬の間、薪ストーブで使ったり、週末ピザ窯に使う程度だからそれほど大規模なものは必要ない。

製作は半日で十分だった。まず、古いブロックやレンガ敷きのテラスに基礎パッキンを置き、その上に1本柱を立てて小屋の壁に固定。これを基準にして、残った柱、横桟、棚板の受け、屋根の下地などを取りつけて骨組みを作る。あとは屋根材を張り、棚板を載せて固定し、最後に塗装をしてできあがり。幅約1800×奥行約400×高さ約1600mmの小さな薪棚だ。棚は2段にした。2×4材、垂木、サイプレス(豪州ヒノキ)などの廃材を活用したから、費用はほとんどかかっていない。屋根材は、以前小屋の製作で使ったオンデュリンの波板の残りだし、基礎パッキンは住宅建設中の現場からもらってきたものを使用。棚板は古くなってはがしたデッキの床板だ。

 

<簡単な薪棚の作り方手順>

 

2×材の接合パーツを使えば、さらに簡単

もちろん、薪棚はいろいろな作り方があっていい。

いちばん簡単なのは、たとえば、プラスチックや金物などを使った2×材の接合パーツを使って組んでいく方法だろう。2018年の夏の終わりに、千葉の幕張メッセで開かれたDIYショウで本誌がプロデュースしたテーマゾーンには、プラスチック製の「シェルフリンクス」というパーツを使った薪棚を飾っていたが、あれは本誌のスタッフが、現場でほんの数十分で組んだもの。シェルフリンクスは1個600~900円程度かかるので、大規模な薪棚を作る場合は、それなりに費用はかかるけれど、DIYビギナーやめんどくさがり屋にはおすすめ。

また、降雪地域など、頑丈で大規模な薪棚が必要になるところでは、単管パイプでガッチリ組んだり、鉄骨構造にしたり、それなりの対応が必要だろう。ほかにも、見た目にもかっこいい薪棚の自作キットや市販の薪棚も用意されているが、これは価格がやや高い傾向にある。

 

DIYショウのテーマゾーンでは、棚の接合パーツ(シェルフリンクス)を使った超簡単な薪棚を置いた

 

さっそく、できあがった薪棚に薪を積み上げてみた。焚きつけに使える細かな薪は、まとめて小さなコンテナに入れ、薪棚の下に。あとは、乾燥期間の新しいものから順番に薪を積んだ。不定形の薪の木口がびっしりと並んだ様もけっこう美しい。

これで冬の薪ストーブライフも安心だ。これなら、薪を割るモチベーションも上がるはず。簡単な薪棚作り、まずは大成功!

 

薪を作るなら、本誌オリジナルの薪割り機が便利

ちょっと宣伝。というよりホントにおすすめしたいのが、dopaの通販コーナー「dopa SHOP」で販売している「オリジナル薪割り機」を使った薪作りだ。大きな節さえなければ、女性でも簡単に薪が割れる画期的なツールで、これは2017年と2018年のDIYショウの実践で証明済み。使い方は、ステンレスの棒をシャカシャカとスライドさせて、玉切りした丸太の木口に打ち込むだけ。大した力はいらず、簡単に薪が作れる。DIYショウで初めて使った人の誰もが「なるほど…」と、納得していたすぐれものツールだ。

 

文・写真◎脇野修平

*掲載データは2018年10月時のものです。

 

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夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(3)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

*ピザ窯・パン窯の基本とPOINT1・2はコチラ!

*ピザ窯・パン窯の形状や煙突などのPOINT3・4はコチラ!

 

<記事内ギャラリー>

 

POINT5 断熱層

とりあえずピザやパンが焼ければOKなら、耐火レンガでひと周り囲んだだけの窯で問題ない。

ただ、より長時間、窯料理を楽しみたいなら、さらに、その外側に断熱層を設けて、蓄えた熱が逃げにくくするといい。冷めにくい窯は、ひと晩おいても使えるほどだ。

断熱層の資材に求められる耐火性は、窯内部ほどシビアではなく、普通レンガを使用するケースが多い。

また、外壁を普通レンガで仕上げ、その内側に砂や小石、割れたレンガなどを詰めたり、あるいはすき間を設けて空気層にしたりして、断熱層をより分厚くする方法も見られる。

 

Kさん製作の窯を上から見た状態。耐火レンガで作った窯内部と赤レンガで作った外壁の間に砂を詰めて、断熱層としていることがわかる

 

窯内部からすき間をあけ、外側に赤レンガを積んで仕上げた。そのすき間も断熱のための空気層として機能している(山梨県・Hさん製作)

 

耐火レンガの外側に粘土を塗って断熱性を高めた。粘土層の中には使い古しのナベやヤカンを詰め、かさ上げしている(Oさん製作)

 

POINT6 扉

窯が温まり、食材を入れたら、窯口をふさいで熱が逃げないようにする。ピザなら窯口をふさがなくても焼けるが、パンを焼く場合は必ずふさぐ。

最も手軽なのは、耐火レンガや鉄板で窯口をふさぐ方法。窯を使用するときの作業性や、見た目にこだわるなら、扉をつけるといい。

扉は、鉄板を加工して作ったものが定番だ。本格的でかっこよく、耐火性も問題ない。

DIYで鉄製扉に挑戦するのも面白いが、道具ぞろえも含めて敷居が高いと感じるなら、扉の製作だけは鉄工所に頼むというのも現実的な選択といえる。

 

窯口の形に合わせて鉄板で枠を作り、その枠に蝶番を介して扉をつけている。扉に温度計を差し込めるようにすれば、温度管理が容易になる(前出・Kさんの友人製作)

 

窯口部分の耐火レンガに鉄枠をかぶせている。床の耐火レンガは鉄枠施工後に敷いたもの

 

あらかじめ耐火レンガの目地に蝶番の一部を埋め込み、その蝶番を介して扉をつけている(前出・Oさんの友人製作)

 

窯口の形状に合わせ、耐火レンガを加工して作った扉(Sさん製作)

 

耐火レンガを並べて窯口をふさげば扉代わりになる

 

POINT7 土台

窯は、ピザやパンを焼くときに作業しやすいように、適当な高さに設定しよう。低すぎる窯は思いのほか不便なので、土台を設けて腰あたりに窯口がくるようにしたい。

土台は、コンクリートブロック(重量ブロック)で作るケースが多い。表面を塗り壁材で仕上げれば、デザイン性が上がる。また、強度を保つ程度にすき間をあけておけば、薪や道具の置き場として活用できる。窯より広めに作れば、作業台や食材置き場になる。

なお、窯の重量は数百㎏に及ぶことも珍しくない。そんな場合は、土台の下に頑丈な基礎を打っておくと安心だ。

 

重量ブロックを3段積み、コンクリート平板を載せた土台。塗り壁材で仕上げ、窯の雰囲気にマッチしている。すき間は薪置き場として活用(木村グリーンガーデナー&ドゥーパ!編集部製作)

 

自然石を積み重ねた土台。手間はかかるが、ナチュラルな雰囲気で人気が高い(鹿児島県・Mさん製作)

 

食材などが置けるよう、窯の手前を広くした土台。重量ブロック3段積みの上に、型枠にモルタルを流し込んで固めたものを載せた。モルタルの中にはワイヤーメッシュを入れている(京都府・Tさん製作)

 

ケヤキの丸太を大胆に使った土台。土台のデザインでオリジナリティーを出すのも面白い(Iさん製作)

 

POINT8 屋根

窯の上には、屋根を作りたい。雨で濡れた窯は、使用時に温めるのに時間がかかる。それに、もし使用中に雨が降ってきたら、屋根のない窯は冷えてまともに使えなくなるし、食材の片づけなどにも不便だ。

また、繰り返し雨で濡れた窯は、耐久性が低くなる。レンガ類は水濡れと高温の状態を繰り返すことでもろくなり、粘土などは一度の雨で崩れることもある。

屋根のシンプルな作り方は、四隅に柱を立て、柱に桁と垂木をつけて屋根材を載せるというもの。要は、窯が雨で濡れるのを防ぎ、十分な強度があることだ。

さらに、屋根の下に道具を収納できるようにするなど、工夫するのも面白い。

 

窯を覆うように作った屋根。骨組みは足場用の細い丸太、屋根材はスギ板を使用。柱にフックをつけるなどして、道具をうまく収納している。薪置き場としても活躍(千葉県・Yさん製作)

 

まさに必要最小限の屋根。廃材を利用した柱は、土台のブロックにボルトで固定。そもそも高さがないので、さほど強度を心配する必要もない。手軽な屋根作りのお手本だ(新潟県・Fさん製作)

 

トタンの波板で壁を張り、もはや小屋と呼ぶ方がふさわしい。ここまでやれば少々の雨でも快適にピザパーティーを楽しめるだろう(千葉県・Nさん製作)

夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(2)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

*ピザ窯・パン窯の基本とPOINT1・2はコチラ!

 

<記事内ギャラリー>

 

POINT3 ドーム型か、アーチ型か、スクエア型か?

 

窯は、内部の形状によって空気の流れが変わり、薪の燃え方、熱の回り方が変わる。つまり、ピザやパンの仕上がりに影響を及ぼすことになる。

が、それはあくまで「突き詰めれば…」の話。形に関わらず、窯で焼いたピザやパンは十分においしいはずだ。大まかな焼き具合なら、薪やオキ火の位置によって調整することもできる。

ちなみに理想は、横から見て丸く尻上がり、上から見ると滴のような形状だといわれている。粘土を使えば可能だが、耐火レンガで作るには難しい形だ。

 

ドーム型
耐火レンガをドーム型(半球型)に組んだ窯。壁、天井の各部から中心までの距離が均一なので、ムラの少ない焼け具合になる(兵庫県・Kさん製作)

 

ドーム状の型を合板で作り、その型に合わせて、カットした耐火レンガを並べていく

 

ドーム型に組むには、耐火レンガひとつにつき、3面をカットする。スライド丸ノコがあれば比較的作業が速いが、それでも手間はかなりのもの。なお、レンガや石材のカットはディスクグラインダーでもできる

 

アーチ型
上部が半円状のため、熱が回りやすいアーチ型。DIYでは最もポピュラーなタイプ。壁を積み上げ、天井をアーチ状に組む。ここでは手前の列にはアーチ用の扇形レンガを使い、奥の列には標準形のレンガをそのまま使用。扇形の目地は真っすぐになり、標準形の目地は上が広がる

 

アーチ状(カマボコ状)の型を作り、さらに目地分のスペーサーを合板などで作って並べていけば、アーチ型に組める。組み終わったら、目地に耐火コンクリートを流し込みながら、スペーサーを抜いていく(神奈川県・Mさん製作)

 

スクエア型
四角い箱のような単純な形。これでも十分にピザやパンが焼ける(木村博明さん&ドゥーパ!ワークショップ参加者製作)

 

幅が広い耐火材を壁の上に渡せば完成。実に簡単だが、薄いと割れやすいので注意。二層式窯の上段の床と同様の資材を使うといい

 

DIYで作る窯のほとんどは、ドーム型、アーチ型、スクエア型のいずれかに分けられる。

この中では、ドーム型が熱の回りがいい。ただし、作るのは最も大変なはずだ。ドーム型の木型を作り、レンガをひとつずつ加工するという手間がかかる。

アーチ型も標準形の耐火レンガを使えば、ドーム型と同様の手順で作ることになる。ただドーム型ほど複雑な形状ではないので、比較的作業は楽だ。さらに、もともと扇形をしたアーチ用の耐火レンガも販売されているので、それを使えばグッと手軽になる。

スクエア型はもっとも単純。前項で紹介した二層式の上段の床と同じように、板状の資材をのせて天井を作ればいい。

どの形状にもいえるのは、窯口を小さくすれば熱が逃げにくいということ。

とはいえ、小さ過ぎると、空気の流入が少なくなって薪が燃えにくくなる(煙突をつければ解消できる)。また、ピザやパンだけでなく、ピール、トレー、ダッチオーブンなど、出し入れするもののサイズも考慮しなければならない。

なお、窯本体のサイズは、ピザ、パン、ダッチオーブンなどのサイズから見当をつければいいが、大きいほど温まるまでに時間がかかり、小さいほど薪が燃えにくくなるということは知っておこう。

 

窯口を小さくする場合は、カットして形状を合わせた耐火レンガを、耐火コンクリートで接着する。耐火コンクリートが硬化するまで、クランプなどで押さえて固定する

 

POINT4 煙突

窯に煙突があれば、空気の流れがスムーズになり、薪がよく燃え、煙の抜けもいい。

煙突は細め(100~150mm程度)で、真っすぐ立ち上がっているほうが、空気の流れが強くなり、薪が燃えやすい。

煙突がうまく働けば、窯口が小さくても薪が燃えるため、熱が逃げにくい窯を作ることができる。

熱が逃げにくい窯を目指すなら、煙突にはダンパーを装備したい。ダンパーは煙突を遮断する板のこと。薪を燃やす間は開放して空気を流し、窯が温まったら遮断して熱が逃げるのを防ぐというわけだ。

もともと空気をよく取り込み、薪がしっかり燃える窯なら、窯口から煙が出ることにはなるが、必ずしも煙突は必要でない。

 

資材の選択が面白い煙突。本体は2本の土管を連ねて耐火セメントで接着。土台は穴あきレンガで、笠はボウル。薄いレンガを抜き差ししてダンパーとしている(栃木県・Iさん製作)

 

DIY窯の煙突資材で最もポピュラーなのは、薪ストーブ用の煙突。簡単に組み立てられ、安価なのが魅力。あらかじめ窯に開口部を設けておき、煙突を差し込んで、耐火コンクリートなどで固定する(京都府・Hさん製作)

 

窯の天井に開口部を設け、耐火レンガで簡単に囲っただけの煙突。ダンパーは耐火レンガをスライドさせるだけ。とても単純だが、立派に役目を果たしている(長野県・Sさん製作)

 

煙突側面の目地部分に鉄板と鉄筋で作ったダンパーを差し込んでいる。レンガを積んで作る煙突は、手間はかかるが、窯との一体感があって完成度が高まる。雨が入りにくいよう、煙の排出口を側面に設けていることに注目(千葉県・Mさん製作)

イラスト◎丸山孝広

夏休み短期集中連載!ピザ窯・パン窯を自分で作るための8つのポイント(1)

窯作りに挑戦する皆さんのために、押さえておくべきポイントをまとめて解説。これさえチェックすれば、あなたの頭の中では、すでに立派な窯ができあがってるはず。ほら、意外と簡単に作れそうでしょ?

 

<記事内ギャラリー>

 

introduction 窯を作る前に知っておきたい基本のトコロ

Q.どうして窯で焼いたピザやパンはおいしいのか?

対流熱と遠赤外線で焼くから、おいしいんです

 

これでおいしいピザやパンが焼けるのは、窯が温まると、ふたつの効果が生まれるから。

ひとつは、窯内部に熱風の対流(対流熱)が生まれること。その対流がピザやパンを一気に包み込んで、うまみや水分を逃がさずに効率よく焼き上げる。

もうひとつは、熱を蓄えた窯(耐火レンガなど蓄熱する材)が、遠赤外線(輻射熱)を出すこと。なんと遠赤外線は、ピザやパンに浸透して、内部から加熱をする。

このように、ピザやパンの外側は対流熱によって、内側は遠赤外線によって同時に加熱することで、外はパリパリ、中はふっくらモッチリのおいしいピザ、パンが焼けるのだ。

以上のことから言えるのは、とにかく耐火レンガなど蓄熱性のある資材できっちりと囲めば、その空間は、おいしいピザやパンが焼ける窯になるということ。

そう考えると、窯作りのハードルはグッと下がるはずだ。

さぁ、窯の設計に取りかかろう。

 

 

こんなカンタンな窯だってしっかりピザ、パン焼けるんです

このページで説明している通り、窯って、とても単純なもの。その証拠に、こんなにカンタンに作れる窯でも、おいしいピザ&パンが焼けるのだ。まずは、超お手軽に窯ライフを始めてみますか?

 

千葉県のNさんが製作したドラム缶窯。耐火レンガで作った窯も所有するNさんだが、「ピザを焼くだけなら実はドラム缶窯のほうが速くて便利です。ちょっとスモーキーになりますけどね」とのこと

 

 

以前、編集部で製作した超カンタン窯。20個の耐火レンガを並べて床と壁を作り、天井にはバーベキュー用の鉄板を載せただけ。これで、おいしいピザもパンも焼けちゃいました

 

耐火レンガ32個と天井用の大谷石2枚を積み木のように重ねるだけで窯にした例

 

扇形の耐火レンガ30個と標準形の耐火レンガ10個を使って、アーチ型の窯を作った例。耐火レンガの数を増やしてアレンジするのも簡単

 

POINT1 主要資材は耐火レンガ

火が直接当たる窯内部には、耐火性のある資材を使う。石や粘土でもいいが、圧倒的にポピュラーなのは耐火レンガ。入手しやすく、定形なので設計・組み立てにも都合がよく、洋風なルックスも人気がある。なお、普通レンガも焼成されたものではあるが、高温に長時間さらされると割れることがあるので、避けるのが無難。

 

フランスレンガという名称でホームセンターで販売されるフランス産耐火レンガ。ふぞろいな焦げ跡はデザインにも活きる。サイズは約220×105×54mm

 

耐火レンガは普通レンガよりやや大きいものが多い。耐火性能を刻印しているものもある。SK-32は耐火性能が1200度くらい、SK-34は1400度くらいということを表す。写真は約230×114×65mm

 

長さが半分の耐火レンガ。約115×114×65mm

 

厚さが半分の耐火レンガ。約230×114×30mm

 

ひとつずつ形も色も違うアンティーク耐火レンガ。できあがった窯もアンティークな雰囲気になること間違いなし。サイズは約220×110×65mm

 

耐火レンガの接着(目地)にはコテ塗り用の耐火コンクリート(キャスタブル、不定形耐火物ともいう)または耐火モルタルを使う。普通モルタルは、高温にさらされると割れてしまう。

耐火コンクリートは、通常のセメント同様に、水で練って施工し、常温で1日おけば硬化するので扱いやすい。なお、コテ塗り用ではない骨材の大きいタイプは、目地には適さない。

耐火モルタルは、高温で加熱するまで硬化しない熱硬性タイプが一般的。800℃程度で熱しないと硬化せず、硬化後でも水に弱いため、ピザ&パン窯には使いにくいのが実情だ。使用する場合は、普通セメントを15~20%程度混ぜると多少施工しやすくなる。

 

耐火コンクリート、アサヒキャスターCA-13T。25㎏入り

 

耐火コンクリート、イワキキャスタブル(コテ塗り用)。25㎏入り

 

耐火モルタル。25㎏入り

 

POINT2 単層式か、二層式か?

ピザ&パン窯では、単層式か二層式が一般的。

作るのが簡単なのは単層式だ。天井をどんな形状にするかが、製作上のポイントになる。

単層式の場合、ひとつの床で、薪を燃やす火床と、ピザやパンを置く焼き床を兼ねる。

一方、二層式の場合は、下段は火床、上段は焼き床と分けられるため、ピザ、パンを焼きながら薪を燃やして温度を上げることができる。あるいは、上段を火床兼焼き床とし、窯が温まったら下段にオキ火を移して上段でピザ、パンを焼くという使い方をすれば、オキ火を外にかき出す場合に比べ、より長く窯内部を高温に保つことができる。

二層式を作る場合は、上段の床をどう作るかがポイントだ。標準サイズの耐火レンガを空中に並べて作るのが難しいことは、容易に想像できるはず。

現実的なのは、左右の壁に渡せるサイズの材料を使うこと。もちろん耐火性のある資材だ。たとえば、600×300mmなど大判の耐火レンガ、大谷石、耐火コンクリートで自作した板が挙げられる。

 

300×600×65mmの耐火レンガを前後に2枚並べて床にした窯(茨城県・Fさん製作)

 

なんと三層式の窯。上2段の床はどちらもアサヒキャスターCA-13Tで作っている(Iさん製作)

 

全体的に赤レンガで覆った窯だが、上段の床に大谷石を使っていることがはっきりとわかる(岐阜県・Kさん製作)

 

二層式窯の上段の床にはコレがイイ

超カンタン!並べるだけで床が作れる

大判で厚みのある耐火レンガや大谷石を、左右の壁に渡して並べれば、簡単に床を作れる。

 

約900×300×120mmの大谷石

 

約600×300×65mmの耐火レンガ

 

わがまま設計OK!都合のいい寸法で床が作れる

前項で紹介した耐火コンクリートで板を成形し、床として使うことも可能だ。板の広さにもよるが、厚さは60mm以上あれば割れにくいだろう。

イラスト◎丸山孝広

ヨーロッパの街並みをイメージさせるモコモコしたピザ窯のポイントは?/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(8)

Case08 モコモコッとした質感のモルタルに緩やかなアールの相性が抜群

ヨーロッパの街並みをイメージさせるような淡い山吹色のピザ窯。窯口の扉や化粧板にまでアールが取り入れられた柔らかいデザインが特徴。

山吹色のモルタルが塗られた窯は随所にアールを取り入れた柔らかいデザイン

 

<記事内ギャラリー>

 

<Aさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型基本タイプ
  • 窯のサイズ
    W1200×D1300×H1400mm
  • 使用した主な素材
    耐火レンガ約90個、コンクリートブロック、コンクリート平板、2×材、1×材、耐火コンクリート(アサヒキャスター)、鉄筋(10㎜径)、モルタル、カラーモルタル、砂、化粧砂利など
  • 製作費用
    約12万円
  • 製作期間
    実働14日間
  • 窯製作のきっかけ
    フェンスやペイビングだけの庭ではさびしい。また子供が大きくなった今、石窯があればみんなで楽しくピザパーティーができていいなと思っていた
  • 窯設計までの経緯
    ピザ窯を作ろうと思ったもののなにもわからないので、石窯づくりの本を3冊買いそろえ、通勤時に読みふけった
  • 窯の特長・ポイント
    材料をほとんど切らずに済むサイズに窯を設計したこと。保温のためピザ窯全体をモルタルで塗装したことなど
  • 土台
    基礎の50mm厚のモルタルの上にコンクリートブロックを4段積み上げた。土台の正面には2×材でドア枠、1×材でドアを取り付け、中を薪の保管庫にしている
  • 屋根
    なし
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    燃焼室が大きく窯がなかなか暖まらない。今回は2×材で窯口の扉を作ったが、次回は両開きの鉄扉をつけたい
  • 使用する薪の種類・調達方法
    DIYで出た端材や親戚の持つ敷地の間伐材などを利用している。調達先をもっと開拓したいと考え中
  • 使用時に出る煙についての注意
    煙はやはり心配。朝早く、夜遅くの使用は控えるようにしている
  • 窯まわりに欲しい設備
    料理の調理ができるような野外キッチン
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    生地作りはいとこ夫婦にお願いしているが、はやく自分でも作れるようになりたい…
  • ピザ窯の魅力
    「わいわいがやがや」人がどこからか集まってくるところ

 

 

背面もきれいにモルタルが塗られている。基礎の周りには化粧砂利が敷かれ、すっきりした印象

 

右側に薪や端材を収納。左側には棚を取り付け、トングやピールなどピザ作りに必要な道具を収納している

*掲載データは2011年8月時のものです。

DIYで楽しむアウトドアリビング&ピザ窯・パン窯特集!『ドゥーパ!』2022年8月号(149号)の中身を紹介

日本で唯一のDIY雑誌の最新号「ドゥーパ!2022年10月号」(発行:株式会社キャンプ)が7月8日に発売!

 

 

【記事内ギャラリー】

 

第1特集は「ウッドデッキから始める、僕らの野外基地作り」

「ウッドデッキ作りがアウトドアリビングを実現する第一歩」をテーマに、小さな庭に作るささやかな(でも最高な)くつろぎ空間から、子どもの頃の夢想をそのまま実現したような、憧れの野外基地とその作り方を紹介。冒険心をくすぐる大人の秘密基地が大集合!

 

 

編集部のDIY実践リポートは、今も続くウッドショックの中、その存在感を増してきた人工木を使ったウッドデッキ作りと、継ぎ手を駆使した方形屋根のガゼボ作りの模様をお届け。板葺き仕上げのリゾートライクな“離れ”的くつろぎ空間の作り方をご覧ください。

 

 

ブーム真っただ中のサウナや開放感満点の露天風呂は、野外基地との相性抜群。極上の癒し空間を手に入れたDIYerとその作品を紹介します。さらに前項の製作リポートで紹介したデッキ&ガゼボを編集部が自ら露天風呂化! ポイントはもちろん、失敗やトラブルも包み隠さず公開した、汗と涙のDIYドキュメントをお楽しみください。

 

 

第2特集は「手作りピザ窯・パン窯のある暮らし」

3例の自作薪窯とその活用法をとおし、ピザ窯・パン窯のある暮らしの魅力を伝える本特集。材料や構造の違うそれぞれの窯の特徴から、ピザだけではない窯料理のアイデアまで、ドゥーパ!らしく細部まで掘り下げて紹介。ぜひじっくりとご覧のうえ、あなたも口福な熱中時間を愉しんでください。

 

 

バラエティあふれる連載にも注目!

車中泊や旅を楽しむための軽バンカスタム、トリマー&ルーター木工、さらにはレザーソーイングやグリーンウッドワークなど、さまざまなジャンルのもの作りの魅力を個性あふれる作家とともにお届けします。その他、自給自足の田舎暮らしエッセイなど読み物も充実。こちらもぜひお楽しみください!

 

※本書内、P058に掲載いたしました「屋根下地の構造図」上に、画像解像度が低い旨の指示文が残ったまま掲載したことを確認いたしました。読者の皆様、関係各位にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げますとともに、ここに訂正させていただきます。

 

[商品概要]
ドゥーパ! 22年8月号(NO.149)
著者:ドゥーパ!編集部
定価:1,100円(税込)
発売日:2022年7月8日
判型:A4変形

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焼き室は独立式!ほぼ廃材で作られたピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(7)

Case07 廃材で作ったピザ窯は焼き室が独立式

自宅の解体や仕事で出た廃材をコツコツ集めて作ったピザ窯は、焼き室が独立した設計。燃焼室で焚いた火が焼き室全体を暖めて、こんがりとピザを焼く。

周囲に積み上げられた自然石や吊り下げられたランタンが秘密基地のような雰囲気を思わせる。右上にあるのは手作りスモーカー

 

<記事内ギャラリー>

 

<Oさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W550×D750×H1050mm
  • 使用した主な素材
    普通レンガ約140個、断熱レンガ6個、耐火コンクリート(アサヒキャスター)、モルタル、砂、砂利、鉄板、特注した鉄扉、ステンレス製煙突など
  • 製作費用
    約5万円
  • 製作期間
    実働20日間
  • 窯製作のきっかけ
    新婚旅行で訪れたイタリアで食べたピザの味が忘れられず。お金はあまりかけず、あるものを使ってピザ窯を作りたいと思っていた
  • 窯設計までの経緯
    本にはなかなか自分の思うような連続燃焼式窯がなく、以前の『ドゥーパ!』を参考にして作った。レンガは「いつかなにか作るときのために」と中古レンガをもらってためていた
  • 窯の特長・ポイント
    焼き室は下段の燃焼室とはつながっておらず独立式で、煙が入ってこない。使用時の保温力を高めるために窯の周りに自然石を積み上げている
  • 土台
    地面を50mm掘ってコンクリートを打設し、その上に中古レンガ&鉄板を設置
  • 屋根
    燃えにくい6尺の平トタン2枚を使い、片流れ屋根にした。煙突が熱を持つので、屋根との接合部分は陶器のトイを使って煙突を囲い、雨漏り防止に耐熱パテを使用した
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    窯使用時、天井部の耐火コンクリート(アサヒキャスター)がかなり熱を持ってしまう。次はもっと厚く塗るか、違う方法を考えたい
  • 使用する薪の種類・調達方法
    自分の家を解体した際の廃材を敷地内においていて、ピザ窯や薪ストーブに使っている
  • 使用時に出る煙についての注意
    隣家とは距離があるので、心配していない。初めは洗濯物に煙の匂いがついたので、煙突を継ぎ足した
  • 窯まわりに欲しい設備
    ピザ窯の右上側に燻製ボックスを作ったが、ピザ窯の保温を兼ねたものに改良したい
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    シンプルなトッピングのほうが窯で焼いた生地の味を楽しめると思う
  • ピザ窯の魅力
    ピザ窯の火入れをして、煙突から煙を出すだけで癒される。自分で作ったピザ窯で焼きたてのピザが食べられるだけで大満足

 

 

焼き室は独立した箱なので、燃焼室の煙は入ってこず、ピザやパンが煙り臭くならない

 

窯を雨から守る屋根にはトタンを使用。防火のため煙突には陶器のトイを巻いている

 

トタンとの接合部分には雨漏り防止のため耐熱パテを使用した

*掲載データは2011年8月時のものです。

寒冷地でもへっちゃら!基礎深さ550mmのガッチリ基礎ピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(6)

Case06 寒冷地仕様のピザ窯はなんと基礎の深さが550mm!

凍てつく北国の地盤の凍結深度にあわせた基礎は深さ550mmでガッチリ施工。燃焼室は江別産レンガと耐火レンガの二重構造で、ピザをこんがり焼き上げる!

 

イタリアン・トリコロールカラーのモザイクタイルが張られたTさんのピザ窯

 

<記事内ギャラリー>

 

<Tさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W900㎜×D900㎜×H1240mm *煙突除く
  • 使用した主な素材
    耐火レンガ93個、外装用レンガ(北海道・江別産レンガ)116個、コンクリートブロック40個、モザイクタイル、耐火コンクリート(アサヒキャスター)4袋、砂利、砂、乾燥砂、セメント、鉄筋、ワイヤーメッシュ、温度計、特注したスチール扉、ステンレス製煙突など
  • 製作費用
    約13万円
  • 製作期間
    実働35日間
  • 窯製作のきっかけ
    もともとダンボールとアルミホイルを使った簡易ピザ窯を作るほどのピザ好き。自分で生地から練ってピザを食べること、子供が喜ぶことが嬉しかった
  • 窯設計までの経緯
    『ドゥーパ!』を参考に、連続燃焼・二重構造の窯にこだわり、レンガ・石窯のヒントを探しに図書館へ。ウエブ上の作品もチェック
  • 窯の特長・ポイント
    二重構造の焼き室&燃焼室。スチール建具工場に製作を頼んだ本格的なスチール扉(耐熱硝子付き、耐熱塗料を塗装)。窯正面にはイタリアン風のモザイクタイルを張りつけた
  • 土台
    北海道は凍結深度が深いため、基礎深さを550mmとり、砂利(200mm厚)とワイヤーメッシュ入りのコンクリート(70mm厚)を打設。その上に鉄筋入りのコンクリートブロックを4段積み上げている
  • 屋根
    屋根なしのため、不使用時はブルーシートで覆っている
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    上部焼き室の空間の高さを下げ、熱効率を高め、上部からの輻射熱を出したい。扉の高さも少し低くして、あけた時に熱を逃がさないようにする
  • 使用する薪の種類・調達方法
    ウェブショップにて皮なしのケヤキを調達
  • 使用時に出る煙についての注意
    近隣が共同住宅の為、ほとんど炭(安価なマングローブ炭と火持ちのいいオガ炭を混合)を使用。窓をあけない春先と晩秋のみ薪を使用している
  • 窯まわりに欲しい設備
    物置。炭、薪、ピール、火かき棒などなど収納スペースがほしい
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    パン生地はとにかくよく練ること。伸びる生地づくりがポイント。ピザを焼いた余熱で、塩コショウでもんだ豚モモ肉をローストするのもオススメ
  • ピザ窯の魅力
    暇な休日、家族や知人の集まる日は大活躍。みんなでワイワイ食べる幸せを感じる

 

 

窯本体の外装は江別レンガで覆われている。内部は耐火レンガの二重構造

 

お隣さんに迷惑がかからないよう、窯使用時はほとんど炭を使用。窓をあけなくて済む春先と晩秋のみ薪を使用している

 

煙突に取り付けるダンパー部分の型枠を製作

 

耐火コンクリート(アサヒキャスター)を流し込んでダンパーのできあがり

 

アサヒキャスターで作った火床(80mm厚)。上部凸部分の両脇から燃焼室の熱気が上に上がってくる仕組み

 

レンガを積む時は均等な目地幅と水平を出すために、アルミのコノ字棒(高さ10mm)を使用

 

*掲載データは2011年8月時のものです。

着脱可能な屋根つき!プチブリックで彩ったドーム型ピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(5)

Case05 プチブリックを飾りつけたピザ窯は取りはずし可能な屋根つき!

スタイリッシュな外見にこだわったピザ窯は、燃焼室のレンガをひとつずつ削って積み上げ、ドーム型の窯に仕上げた力作。副燃焼室ではスモーク料理も楽しめる。

 

プチブリックで化粧されたかわいらしいピザ窯。無骨で男っぽいデザインはあえて避けたそう

 

<記事内ギャラリー>

 

<Tさんの窯データ>

  • 窯の種類
    ドーム型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W1140×D1095×H1690mm
  • 使用した主な素材
    焼き過ぎ煉瓦128個、フランス煉瓦65個、耐火レンガ(SK32)50個、耐火レンガY2(扇形)/6個、同Y3(扇形)/7個、プチブリック260個、コンクリート平板(60×990×200mm)1枚、同(60×990×300mm)3枚、大谷石(60×300×900㎜)3枚、モルタル、砕石、砂など
  • 製作費用
    約8万円
  • 製作期間
    実働7日間
  • 窯製作のきっかけ
    食べ物までがスピード優先になってしまったこの時代に、これと対極の「面倒がかかるが心を込められる食べ物」を作りたいという気持ちがあった。また、石積みのアーチに憧れていた
  • 窯設計までの経緯
    まず本を買って勉強。大きさ、構造を決め、一度はアーチ型でピザ窯を設計。しかし大谷石の送料が意外に高く、ドーム型にすると内部の容積が少なくでき、大型の大谷石を使わないでできるとわかり、設計をやり直した
  • 窯の特長・ポイント
    燃料の節約のためには、内部の容積を小さくするのが有効なので、最低限の大きさで設計。焼き床兼火床の下部に副燃焼室を作り、取り除いたオキ火を置くスペースとした。窯口、副燃焼室のフタは大谷石で作り、なるべくすき間のないようにしてスモーク料理にも対応できる仕組みにした
  • 土台
    焼き過ぎレンガを11段積み上げ、コンクリート平板を設置
  • 屋根
    ひとりで取り外しができる屋根を製作。骨組みは2×4材を半分にカット。屋根材はポリカーボネイトの波板。接合部はビスケット・ジョイントとコーススレッドで固定した
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    窯床の大谷石の両側に膨張スペースを残すべきだった。燃焼時に大谷石が膨張して窯を押し広げるので、煙突の開口部に簡単にクラックが入り、煙突はさっそくやり直しに…
  • 使用する薪の種類・調達方法
    以前は薪屋さんで調達。昨年冬は薪の原木をもらい、チェンソーと斧で小割りした。樹種にはこだわらず、広葉樹であればなんでもOK
  • 使用時に出る煙についての注意
    隣は留守が多く、一声かける程度。煙は温度が上がってしまえばそんなには出ないので特に気にしていない
  • 窯まわりに欲しい設備
    屋外用の小さなテーブル
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    ピザは見る見るうちに焼き上がるので、目を離さずにこまめに回してやればたいていうまく焼ける。裏側を適度に焦がすために溶岩のプレートを使用している
  • ピザ窯の魅力
    「原始的なゆったり感」。懐かしさのようなものを感じる。人間は炎が好きなのだと思う

 

 

ピザ窯本体を覆うような小さな屋根を、2×材とポリカーボネイトの波板で製作。ひとりで取り外し可能

 

ピザ窯背面。レンガがきれいにドーム状に積まれているのがわかる。お見事!

 

窯口のフタとダンパーには60mm厚の大谷石を使用

 

ちょうどアルファベットのCをどんどん小さくするようにして、ドーム型の窯を作っていった

 

溶岩石に乗せて焼いたピザは裏側もほどよくこんがり焼ける

 

*掲載データは2011年8月時のものです。

幅1400mmのビックサイズ!三部屋構造の重厚なピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(4)

Case04 幅1400mmの重厚なピザ窯は灰落ち室、燃焼室、焼き室の三部屋構造

高さ1750mmのピザ窯の中身はなんと三部屋にわかれた構造。屋根のアーチ部分にはモザイクタイルと貝殻を埋め込んで夕陽と海岸の波をイメージ。

 

外側に普通レンガ、内側に耐火レンガを積んだ重厚な雰囲気のピザ窯。それもそのはず幅1400×高さ1750mmのビッグサイズ

 

<記事内ギャラリー>

 

<Aさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W1400×D1200×H1750mm
  • 使用した主な素材
    普通レンガ約300個、自然石20個、耐火レンガ約140個、コンクリートブロック、大理石、耐火モルタル、セメント、砂、モザイクタイル、貝殻やサンゴのかけら、鉄筋、鋼板、鋼管(15mm径)、鉄工所に特注した扉、ステンレス製煙突(100mm径)など
  • 製作費用
    約9万円
  • 製作期間
    実働25日間
  • 窯製作のきっかけ
    自分の干支が寅で昨年は年男。この年に記念になるものを作ろうと思い、妻のリクエストのピザ窯を作ることに。ちなみに妻は当時、パン教室に通っていた
  • 窯設計までの経緯
    インターネットや雑誌で石窯に関する記事を読みこんで、独自に設計。もともと仕事柄、建築士の資格を持っており、設計はさほど難しくなかった。扉と煙突のダンパーは鉄工所にオーダーした
  • 窯の特長・ポイント
    灰落ち室、燃焼室、焼き室の三部屋構造。燃焼室、焼き室の内側に耐火レンガ、外側に普通レンガを積み、壁厚を200mm以上とって保温性を高めている。屋根のアーチ部分はモザイクタイルで夕陽と海岸の波をイメージ。故郷である種子島の貝やサンゴのかけらも埋め込んだ
  • 土台
    鉄筋入りのコンクリートの上に、コンクリートブロックを積み上げ、表面を自然石で化粧
  • 屋根
    作業小屋の2階デッキの下に石窯を製作。煙突は外に出るように取り付けた
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    耐火モルタルの取り扱いが難しい。次回は焼き室にスモーク食材を吊るせるようバーを設置したい
  • 使用する薪の種類・調達方法
    薪は家の周りの木を切っているが、広葉樹が火持ちがよくススも出ないように思える。しっかり乾燥させれば煙があまり出ません
  • 使用時に出る煙についての注意
    自宅が民家から離れた山の中にあるので心配していない
  • 窯まわりに欲しい設備
    やっぱり調理台
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    生地に好きな具をたくさんのせて、焼きたてのピザの味を楽しむこと!
  • ピザ窯の魅力
    自然の火で食べ物ができあがる楽しさ、スモークされた味の深みが最高

 

 

ピザ窯の上部側面にはモザイクタイルで夕陽と海岸の波をイメージ。Aさんの故郷である種子島の貝やサンゴのかけらも埋め込んだそう

 

ピザ窯の設置箇所は窯が雨ざらしにならない作業小屋の2階デッキの下。煙突は外に出るように取り付けた

 

窯の土台は自然石とコンクリートブロック。基礎はしっかり鉄筋を入れたコンクリートで固めた

 

火床部分の中心には200×300mmの穴があけられ、使用し終わった灰を下に落とせる仕組みになっている

 

*掲載データは2011年8月時のものです。

窯に五右衛門風呂を使用!ワイルドな双子ピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(3)

Case03 五右衛門風呂を窯に使ったワイルドなピザ窯ツインズ

倉庫に眠っていた五右衛門風呂が驚きの変貌を遂げた!ラフでワイルドな男らしいピザ窯は、材料にほとんどレンガを使わない個性的な構造。

 

右側が1号機、左側が2号機。ピザ窯の雨よけ屋根は、足場材とビニールハウスのL型フレームを用いて骨組みを作り、上部にトタンを2枚かけて製作した

 

<記事内ギャラリー>

 

<Wさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型基本タイプ
  • 窯のサイズ
    W900㎜×D900㎜×H1650mm
  • 使用した主な素材
    1号機…五右衛門風呂、普通レンガ、鉄工所から譲ってもらった鉄骨のアングル、鉄板(4mm厚)2枚、溶岩石(600×600mm)、御影石(20mm厚)、ジョイント敷き材、ガーデニング用のウォール材、セメント、砂、温度計、ステンレス製煙突、など
    2号機…五右衛門風呂、普通レンガ、オーストラリアレンガ、スギの丸太、クリの丸太、エルペット(ビニールハウスの骨組み)、植木鉢観賞用のコンクリート平板(32mm厚)、砕いた瓦、御影石(20mm厚)、ジョイント敷き材、ガーデニング用のウォール材、セメント、砂など
  • 製作費用
    約2万円(窯ひとつにつき)
  • 製作期間
    実働7日間
  • 窯製作のきっかけ
    元々バーベキューが好きで家族で楽しんでいた。妻が野菜ソムリエ、娘がイタリアンレストランのコックであることも影響あり
  • 窯設計までの経緯
    ディズニーシーのピザ窯から近所に住んでいるシェフが作った石窯まで、4~5件を実際に見てまわり研究した
  • 窯の特長・ポイント
    昔、民宿を営業していたことから使われていない五右衛門風呂がふたつあり、この廃材を使って、ピザ窯を作っていること
  • 土台
    1号機…鉄工所から引き取った脚状の鉄骨
    2号機…スギの丸太とエルペット(ビニールハウスの骨組み)を接合したもの
  • 屋根
    骨組みに足場材とエルペット、屋根材にトタンを使用して組み立てた
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    1号機を作る際、五右衛門風呂の周囲をジョイント敷き材で覆ったがモルタルがやや少なかった。2号機のときはよりモルタルを多く塗って、窯の保温性を高めた
  • 使用する薪の種類・調達方法
    友人の大工からもらう端材や、庭の雑木を刈ったものを使用
  • 使用時に出る煙についての注意
    自宅が民家から離れているので心配していない
  • 窯まわりに欲しい設備
    バジルやローズマリーの鉢植えなどを近くに置いて育てておくと、採れたてのトッピングができる
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    なんでもかんでもトッピングするのではなく、具材をシンプルにまとめるのがおいしいピザを作るコツ
  • ピザ窯の魅力
    もともとバーベキューが好きだったが、ピザ窯を作るようになってからさらに仲間との集いが増えた。庭でピザパーティーができるって珍しいからね

 

 

五右衛門風呂の窯の表面は、ガーデニングで使うアールのついたウォール材とネットでつながったジョイント敷き材をモルタルで張り付けて仕上げた

 

1号機の背部。煙突を取り付けた部分は一度ひび割れてしまったのでモルタルで修復

 

2号機には煙突はつけず、もともと排水用にあいていた穴を残した

 

窯口が幅350×高さ300mmと広いので、ダッチオーブン料理もOK!

 

鶏のもも肉もこのとおり、ジュ~シ~に焼けちゃう♪

写真◎冨士井明史

*掲載データは2011年8月時のものです。

長い煙突で煙をしっかり吸い上げる!大谷石を使ったピザ窯/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(2)

Case02 本体に大谷石を使用した窯は長い煙突で煙をしっかり吸い上げる

土台に化粧ブロック、火床兼焼き床には溶鉱炉で使われていたという耐火レンガを使用。窯口に扉は固定せず、横にスライドさせて窯内の空気量を調節する。

 

本体に大谷石を使用したアーチ型のピザ窯。ピザ窯はみんなで楽しむ場所作りにもってこいだと製作者のIさんは語る

 

<記事内ギャラリー>

 

<Iさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型基本タイプ
  • 窯のサイズ
    W900×D1200×H1470mm
  • 使用した主な素材
    大谷石(W300×D900×H150mm)約13個、中古の耐火レンガ、化粧ブロック、コンクリート平板、鉄筋、モルタル、耐火モルタル、砂、L字型アングル、鉄板(450mm角、3mm厚)、ステンレス製煙突など
  • 製作費用
    約5万円
  • 製作期間
    約2カ月間
  • 窯製作のきっかけ
    千葉県に土地を購入し、みんなでもの作りをして遊べる場所を作っている。初めはそば打ちなどもやっていたが、ピザのほうが生地をのばしたり、具をトッピングしたりとイベント性が高く、老若男女で楽しめるため
  • 窯設計までの経緯
    伊豆のペンションに行ったり、東京・恵比寿でピザ屋をやっていた人を訪ねたり、実際に色んな種類の窯を見て研究した
  • 窯の特長・ポイント
    窯本体には大谷石を使用。ディスクグラインダーで適宜カットしながら窯を組み上げていった。窯口の扉はあえて観音開きはさけ、横にスライドできるようにしてある
  • 土台
    基礎はモルタル(100mm厚)+鉄筋。その上に化粧ブロックを積み上げた
  • 屋根
    屋根は見栄えが悪くなるからつけていない。使わないときはゴムマットをかけて雨よけとしている
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    窯口の高さをもう少し上の位置に設計すれば、ピザが焼きやすかったかも。また窯内部が広すぎた。次にピザ窯を作るのであれば土台の高さを上げ、焼き室はもう少しコンパクトにしたい
  • 使用する薪の種類・調達方法
    もの作りで出た端材(防腐剤や塗料が塗装されたものはのぞく)など。マツやスギなど匂いの出る樹種はさけている
  • 使用時に出る煙についての注意
    近隣に家がないので問題なし。煙突の長さを長くとり、煙をきちんと吸い上げるようにし、薪を完全燃焼させるのがポイント
  • 窯まわりに欲しい設備
    すぐ近くにスモーカーとカマドをDIY。調理テーブルもあるので、今は特になし
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    温度チェック。230~250℃の間に窯の温度を保つと、ピザが香ばしくパリッと焼ける
  • ピザ窯の魅力
    ピザを作る楽しさ、焼く楽しさ、食べる楽しさ。子供にも女性にも楽しんでもらえる

 

 

ピザ窯側面。窯のまわりに組まれた木枠は煙突をしっかり支えるための補強。ここにフックをつけてピザピールやトングを収納している

 

大谷石の上にアーチ状に並んだレンガは、ひとつひとつディスクグラインダーでY字型に加工した

 

窯口の扉は、窯口の前に3mm厚の鉄板をレールがわりに敷き、扉を横にスライドさせる仕組み

 

ピールや火かき棒も鉄筋と鉄板、L字アングルを使った手作り

 

窯上部アーチ部分のレンガの目地などには耐火モルタルを使用。「扱いが難しくなかなかうまくいかなかった」とIさん

 

煙突の長さが薪を完全燃焼させるポイント。全長が1800mmある窯の煙突からは白い煙が出ない

 

Iさんのオススメピザはおもちをトッピングした和風ピザ! 色んな食材を組み合わせるのもピザ作りの楽しみのひとつ

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2011年8月時のものです。

ガーデンシンク併設の本格仕様ピザ窯をガレージ内に製作!/DIYでできる!あこがれのピザ&パン窯ライフ(1))

Case01 ガレージがパーティー会場に変身!ガーデンシンク併設の本格仕様

ガレージに設置したピザ窯の背面は、スギ板でアイボリーカラーの壁を製作。空間を含めてデザインされた、リラックス&ナチュラルテイストなピザ窯だ。

 

ピザ窯と同時にガレージ壁、ガーデンシンクもDIY。見事にオシャレでおいしい空間を演出

 

<記事内ギャラリー一覧>

 

<Sさんの窯データ>

  • 窯の種類
    アーチ型二層タイプ
  • 窯のサイズ
    W800×D800×H1200mm
  • 使用した主な素材
    耐火レンガ約100個、ブリックヤードレンガ約25個、コンクリートブロック24個、鉄筋(10mm径)2m、モルタル、耐火モルタル、砂、L型アングル2m、耐火ボード、鉄板(0.3mm厚、2mm厚)、ステンレス製煙突など
  • 製作費用
    約4万円
  • 製作期間
    約3カ月間
  • 窯製作のきっかけ
    庭のレンガ積みを検討中にネットでピザ窯の記事を発見。一目ぼれした
  • 窯設計までの経緯
    経験者のHPを参考に、可能な限りローコストで作れる窯の設計を目指した
  • 窯の特長・ポイント
    施工場所がガレージであること。焼き室の全方位から輻射熱効果でピザを焼くために、焼き床は耐火コンクリートではなく、すべて耐火レンガを使用。L字型のアングルを並べて、その上に耐火レンガを並べていった。(アングルの上に置くレンガの溝はジグソーで加工)
  • 土台
    コンクリートブロックを積み上げ、手作りのコンクリート平板(鉄筋入り)を設置
  • 屋根
    ピザ窯をガレージに設置にしてあるので不要
  • 今回の窯作りで失敗したところ・改良点
    燃焼室、焼き室ともに容積が大きくなりすぎてしまい、冬場は窯が暖まるまでに時間がかかる
  • 使用する薪の種類・調達方法
    DIY端材。窯が暖まってからは流木(カシ、ナラ、クヌギ)など。堅い木は火のもちがいい
  • 使用時に出る煙についての注意
    近くの民家に風呂を薪で炊くところがあり、それに混じって甘えさせてもらっている
  • 窯まわりに欲しい設備
    調理台とシンクは取り付け済みでパーティーの際はかなり便利。欲しいのはハウス栽培の畑。ピザを焼き、自分の畑で採った野菜やハーブをトッピングしたらなんと贅沢なことか!
  • ピザ・パンをうまく焼くコツ
    オーブンで焼くときよりも、ほんの少し固めの生地にすると焼き上がりがもっちもちに
  • ピザ窯の魅力
    子どもに火の魅力を伝えられること

 

 

ガーデンシンクの脇には折りたためるテーブルがつく。本体はブロックを積み上げ、天板には2×6材、流し台に鉢を使用

 

ピザ窯の側面には、「La vita e piacevole e lo spende=人生楽しく過ごす」とメッセージが込められている

 

燃焼室扉は、0.3mmのうす~い鉄板を耐火ボードに張り付けている。椅子の座板に布を張り付けるように折り返して釘で固定した

 

ピザ窯が接する壁部分は窯に合わせてコンパネをくり抜き、窯とコンパネのすき間を4cmぐらい空けて、すき間に耐火モルタルを塗り、その上に、ラス網+白セメント(耐火煉瓦粉塵混入)を塗布した

 

ガレージの外から見たピザ窯背面。現在はコンクリートブロックを積んだだけの構造だが、今後きれいに仕上げていく予定

 

ダンパーは耐火レンガにステンレス板を取り付けて作ったオリジナル

 

写真◎清水良太郎

*掲載データは2011年8月時のものです。

ピザ窯作りのスタンダードな作り方を大公開!/ピザ窯・パン窯の作り方web上講座・後編

ピザ窯・パン窯を作る前に“知っておきたいこと”を解説した記事はコチラ

 

「これがピザ窯作りのスタンダードな手順です」(K県Mさんの場合)

手作りによるピザ窯の製作は、難しいともいえるし、簡単だともいえる。なぜか。手順をしっかりと踏めばピザ窯は誰でも簡単にできる。これは間違いがない。

しかし、だからといって、そこで美味しいピザやパンが焼けるかというとその保証はない。

最終的には偶然も支配するという火加減や熱加減になるわけで、そのあたりがピザ窯の奥の深さに通じるということなのだろう。

ここで紹介したいのがK県在住のDIYer、Mさんのケース。二層式ピザ窯を作った彼の記録を中心に見ながら、基本的な手順を説明してみよう。

 

手順1 土台を作る

窯を支える土台作りが最初の手順。基本的には現場を掘り下げ、砕石や砂利を打ち、地盤を固めてから土台を積んでいく。土台を薪のストック場所として使いたい場合はブロックを周りに積み、空間を作っておくといいだろう。そうじゃない場合は、ブロック、コンクリート、石材、自然石などを積み、場合によっては土や砂、ガラなどを詰めて土台を作る。予定している窯のサイズよりも大きめに作りたい。窯の重量がハンパじゃないので、がっちり作ること。ブロック積みは鉄筋を入れるほうがベター。

 

手順2 火床(燃焼室)を作る

土台の上に火床を作る。ここは直接薪を燃やすところなので耐火性が要求されるので、耐火レンガや大谷石、前述のアサヒキャスターなどが使われる。まず、土台の上に頑丈な板(コンクリート平板や石材、頑丈な角材など)を載せ、その上に耐火性資材を載せて火床にするというケースが多い。

 

手順3 窯の壁積みを始める

いよいよ窯作りスタート。火床の両サイドと後に耐火レンガを積み始める。接着材は素人には手に負えない耐火モルタルではなく、アサヒキャスターを使うほうが安心。蓄熱性を高めたいならば、レンガをダブルに積んで壁を厚くすればいい。耐火レンガの外側がそれほど高温にならないので、通常のレンガを積んでいる例も多い。

05 耐火レンガを積んだ。内側にいくつかのレンガが飛び出しているのは、この上に後述の焼き床を載せるため。レンガの接着はアサヒキャスターで行なった

 

手順4 焼き床を作る

二層式(連続燃焼式)では、窯の中段に焼き床が必要になる。焼き床は耐火性が要求されるので、大谷石や耐火レンガ、アサヒキャスターなどを使用する。アサヒキャスターによる焼き床作りは、型に流し込んで固めて作るという方法がスタンダードだ。流し込んでから24時間後にはカチンカチンに固まっている。これを焼き床として中段に載せる。

 

手順5 窯の壁積みと天井、煙突を作る

耐火レンガやアサヒキャスターを使って、窯をドーム状、あるいはかまぼこ型にするときは「型」が必要だ。ドーム状にするときには、砂を山のように盛ってその上にアサヒキャスターを流すという手法もあるが、一般的なのはやはりベニヤ板などで型を作る方法。型に沿ってレンガを積み、並べていく。レンガをかまぼこ型に並べて積んでいくにはくさびをうまく挟んでいくのがポイントだ。なお、目地材はやはりアサヒキャスターがおすすめ。

 

手順6 窯口の扉を作る

窯口が大きすぎると温度が上がらなくなるので、レンガを加工し、アサヒキャスターをうまく使って、窯口を適当な広さまでふさぐ。扉は鉄製の立派なものじゃなくても実用上何の差し支えもない。燃えにくい堅木を窯口の形に加工し、ピザ窯使用時のみに窯口を塞いでもいい。多少焦げるが、これが嫌だという人は、内側に防火効果のあるケイカル板や石こうボードを張ってもいい。もし、鉄板の加工や溶接に挑戦したいという人がいれば、鉄製の扉を作ってもいい。

 

*掲載データは2010年6月時のものです。

ピザ窯・パン窯を作る前に知っておきたいことを徹底解説/ピザ窯・パン窯の作り方web上講座・前編

その1 ピザ窯・パン窯の構造って、どうなっているの?

いろいろな言い方がある。石窯、パン窯、ピザ窯…。基本的にはみんな同じだ。石で作ったパン窯やピザ窯は石窯だし、レンガを多用したピザ窯やパン窯もある。ピザを作ればピザ窯だし、パンを作ればパン窯。とにかくみんな同じ。重要なことは、輻射熱(余熱)=遠赤外線を利用して調理できるから、料理がうまいということ。だから、みんな庭に窯を作りたがる。とりあえず、そう考えてよろしい。

で、どんな仕組み=構造になっているかだが、これも驚くほどシンプルだ。

 

まず、図Aを見てほしいのだが、火床=薪を燃やすところがあって、熱を蓄えるところがある。さらに、蓄えた熱は外に逃げないように断熱する。これが基本。燃やした薪をどかし、濡れ雑巾などできれいにして、そこにピザ生地を置けば、美味しいピザやパンが焼けるというわけ。

それからもうひとつ。今度は図Bを見てほしいのだが、これが二層式とも連続燃焼式とも呼ばれるもので、火床とピザ生地を置くところ(焼き床)が別になっている方式で、煙を抜く煙突があるのが一般的だ。この方式だと、ピザ生地を置いたまま、連続して薪を投入し、燃やし続けることができるというわけ。

この発展形として、これまで紹介した実例のように扉をつけたり、窯の形をドーム状にしたり、かまぼこ状にしたり、外観をおしゃれに仕上げたり、雨対策に屋根をつけたり、いろいろなバリエーションがあるが、手作りのピザ窯の場合、このふたつの方式を頭に入れて事に臨めばいいだろう。

また、窯口の形状もいろいろで、正面から見て半円形であったり、台形であったりするが、少なくとも、ピザを出し入れするときに使うピールと呼ばれるヘラが自由に出入りできるだけの大きさがほしい。

 

その2 どこにどんな素材を使ったらいいの?

両横綱は耐火レンガと大谷石

ピザ窯作りで、まず最初に悩むのが素材選びだ。とくに熱のかかる火床(燃焼室)や焼き床、窯内部の素材は、ピザ窯そのものの性能に関わるのでとても重要だ。

要するに、ピザやパンを焼く温度(約200〜300℃)の耐熱性を持ち、しかもある程度の蓄熱性のある素材ということになるのだが、さまざまな手作り窯の実例を見てみると、メイン資材としては耐火レンガと大谷石が両横綱といえそうだ。どちらも熱に強く、加工もしやすいというのが理由だ。耐火レンガは、ホームセンターやウエブ通販での入手が簡単だが、大谷石は近年、ホームセンターでの流通が少なくなり、ウエブ通販が主流となりつつあるようだ。また近年、関東での大手ホームセンターで売り出したイタリアからの輸入石「タフ・ステンストーン」も耐熱性が高く、大谷石と同様の使い方ができそうだ。

また、粘土も比較的ポピュラーなピザ窯の素材だ。比較的蓄熱性も高く、成形もしやすいので、窯の外壁などによく使われる。ただし、雨に弱く、崩れる場合もあるので、屋外に作る場合、窯を雨から守る屋根組みが必要になる。

フランス産の耐火レンガ。ふぞろいの焦げ跡がいい味になっている。 220×105×54mm、約198円

 

JIS規格の刻印が入っている耐火レンガ。約227×110×60mm、約128円

 

タフ・ステンストーン。イタリアからの輸入石。熱に強く、軽く、加工しやすい。370×200×110mmの基本が約480円、370×110×110mmが約380円

 

ピザ窯作りの救世主は、アサヒキャスター?あるいはSic棚板?

耐火セメントや耐火モルタルと呼ばれるものが市販されているが、これらはDIY向きではないというのが多くのプロ職人の意見だ。これらの多くは通常のセメントやモルタルのように水を加えても常温では硬化せず、かなり高度の熱を加えてはじめて硬化するという特性を持っているため、扱いが非常に難しいのだ。そこで、本誌編集部がおすすめするのが、「築炉業界のインスタントセメント」とも呼ばれる「アサヒキャスター」という耐火コンクリート資材だ。1300~1500℃に耐える強固な耐火性能を持ち、耐火レンガの目地材として、流し込んで作る焼き床の資材として、もちろん、ピザ窯の壁、天井にも使えるし、BBQ炉や囲炉裏、暖炉、陶芸窯などにも使える。なによりも扱いが簡単で、通常のセメントのように水を加えて練るだけ。24時間後にはカチンカチンに固まっている。さらに入手も楽だ。

アサヒキャスターには、いくつかの種類があるが、メーカーがDIY向きということですすめているのが「アサヒキャスターCA‐13T」という製品。原則として一般店頭での扱いはなく、すべて代金引き換えの通販による購入となる。(発売元:AGCセラミックス

また、本誌に寄せられた情報によれば、陶磁器の焼成に使うSic棚板=カーボランダム棚板と呼ばれる人工鉱物(炭素とケイ素の結合物)が焼き床の素材として使われていることがあるという。熱伝導率も非常に高く、遠赤外線放射も高いといわれる。価格的にはたとえば600×600×14mmで、約1万6400円(編集部調べ)と、やや高いが、使用感はいいという。興味のある人は「陶磁器焼成用棚板」で検索してチェックしてみることをおすすめしたい。

アサヒキャスターCA-13T。1袋25㎏入り。1袋分に水を加えて流し込むと、590×480×45mmのコンクリート板ができ、これを焼き床にすることも多い

 

大谷石。栃木県の大谷町付近で採掘される軽石凝灰岩の1種。熱に強く柔らかいので加工しやすい。外壁材として利用されている。等級によって価格はバラバラだが、2級クラスで、約450×150×90mmで1500円前後が目安(編集部調べ)

 

陶磁器を焼成するSic棚板=カーボランダム棚板を焼き床にしている例(H邸の例)

 

耐火レンガにもグレードがあるのだ

耐火レンガにもいろいろなグレードがある。なにも刻印されていないノーブランドのアンティーク品もあるが、通常は、耐火レンガのグレードは、JIS規格により、レンガに刻印されている番号で表される。例えば、よく出回っている「SK32」は1350℃までの耐火性能、「SK34」は1400℃まで、「SK38」が1560℃までの耐火性能を表している。

「SK32」の刻印がある国産の耐火レンガ。1350℃までの耐火性能がある

 

熱のかからない部分は好みの資材好みのデザインで…
以前、本誌が作ったピザ窯。土台はブロック積みで、センプラムで仕上げた

 

全面レンガを積み上げた本格的なパン窯(岩手県大船渡市寿限無の会の手作り作品)

 

Wさんが長野の別荘に作ったピザ窯。ドーム状の窯の表面には地元で調達した小さな丸石と粘土が盛られている。また、粘土は雨に弱いので屋根が架けられている

 

ブロックを積み上げて作ったパン窯。窯部分のみ耐火レンガを使っている。扉は縞鋼板を加工して作った(Wさんの手作り作品)

 

火床に鉄板を使うというケースもまれにみるが、熱による変形や膨張を考えると避けたほうが無難。ただし、縞鋼板や厚めの鉄板を窯口の扉(蓋)に使っているケースはよく見かける。その場合でも、内側にはケイカル板や石こうボード、アサヒキャスターなどを入れて、鉄板が過熱するのを防ぐことが多い。

その他、熱のあまりかからない部分には、施主の好みや事情によって、さまざまな素材が使われている。たとえば土台などは、窯の重量を支えることが重要なわけで、よく見るのは重量ブロックを積むという方法だが、他にも枕木や自然石、平板コンクリート、木材などが使われる。

さらに、土台の化粧や熱のあまりかからない窯の表面などはさらに自由度が増す。市販の壁塗り材や粘土、細かい自然石や乱張り石、貝殻など、好みの素材、好みのデザインで、ピザ窯のある庭作りを楽しんでほしい。

 

ピザ窯の土台は、重量ブロックで作ることが多い。3段積み程度で鉄筋入りが前提。頑丈にするために空洞部にガラやモルタルを詰めることもある

 

枕木は、ピザ窯の土台にも使える。写真は、防虫・防腐処理されたACQ枕木。180×100mm角で、長さ600mmが約980円、長さ900mmが約1480円、長さ1200mmが約1980円

 

新品枕木。防腐加工済みで、200×140mm角で、長さ900mmが約2380円、長さ1200mmが約2980円、長さ2100mmが約4980円

 

スペイン産の大理石粉末入り塗り壁剤、センプラム。ガーデンウオールなどに使われ、エキゾチックなテイストを作り出す。ピザ窯作りではブロックなどで作った土台の化粧などに最適

*掲載データは2010年6月時のものです。

薪ストーブを利用したカンタン野外囲炉裏・田舎の庭で気兼ねなく火と遊ぶ!

陽の落ちた庭で、酒を片手に揺れる火をじっと見つめる。至福のひととき

 

<DATA>
Iさん(61歳・菜園家)
DIY歴…4年
製作期間…約2週間(ピザ窯)/約5日(焼却炉)/約1日(ストーブ)
製作費用…約5万9000円(ピザ窯)/約1万9000円(焼却炉)/約7000円(ストーブ)

 

 

出版社を早期退職し、週のうち5日ほど秩父に通い田舎暮らしを送るIさん。会社員時代からDIYと自給自足への憧れがあったIさんは、敷地内には約300平米の畑を開墾し、50種類の野菜を栽培中。庭で自由に火を楽しめる田舎ならではの環境を満喫している。

まず注目したいのは、あえて庭にセットした薪ストーブ。使用したのは価格約4000円と安価な時計型のタイプで、この両脇に鉄筋3本を針金で束ねた三又を設置。ここに物干し竿を固定して、お手製の自在鉤を吊るせば、ハイ、野外囲炉裏のできあがり。ダッチオーブンを吊るせば調理もできる上、設置場所を自由に移動できるのでなんとも便利な火遊び場になるのだ!

 

薪ストーブ
時計型薪ストーブを庭に出して焚き火を楽しむ。切り出した丸太の椅子が炎を囲む

 

 

自在鉤は麻縄と桜の木の板で自作したもの。ドゥーパ!の連載記事を参考にしたそう

 

物干し竿を支える三又は、鉄筋3本を針金で束ねた簡単なもの

 

薪ストーブの熾き火で焼いた焼き芋はほくほく♪ 自分の畑で採れた野菜を頂く幸せ

 

庭の後方には手作りの焼却炉もDIY。端材はもちろん、作物の残渣を燃やすために製作したそう。コンクリートブロックを積み上げて、表面をモルタルで化粧した姿はどこか和風の雰囲気が漂う。今後はここで籾殻燻炭を作って、畑の土壌改良に使う予定と大活躍の様子だ。さらには、みんなが盛り上がるピザ窯も製作済み。

というわけで、Iさんの庭では、今日も夕闇にオレンジ色の火が静かに揺らめいている。「秋から冬の初めは暖房にもなるし、なにより火を見ながら飲む酒がうまい。至福のひとときってやつです」。炎に照らされたIさんは、目尻の下がったなんとも幸せそうな表情を見せた。

 

ピザ窯
ピザ窯はスクエア型の二層式。本体の焼き床から下は赤レンガ、焼き床から上は耐火レンガを使用

 

もともとはバーベキュー炉だったものをピザ窯に改良した。写真はバーベキュー炉だった頃の様子

 

ピザ窯の載る基礎部分はしっかりとレンガでペイビング

 

遠赤外線でこんがりと焼き上がるピザの味は格別

 

焼却炉
庭に溶け込む焼却炉を製作。コンクリートブロックにモルタルを塗り、上から白く塗装。サイズは幅820×奥行850×高さ1010mm。*焼却炉の使用規則は各自治体により異なります

 

 

焼却炉天板はアサヒキャスターを使って自作した。コーナーに1×4材をあて、民芸調のデザインに

 

灰かき口も設置。中の焼き床は耐火レンガとグレーチングで構成されている。*イラスト参照

 

基礎はしっかりとモルタルで固め、強度を出すため四隅には鉄筋をセット。ここにコンクリートブロックを積んでいった

 

写真◎佐藤弘樹/イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

「ピザの味は窯で決まる」ならば、ピザ窯から作ればいいじゃないか!

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近頃、ピザを週に2回は食べている。愛用しているのは、宅配ピザのお持ち帰り半額サービスだ。季節がら鍋ものも食べるが、そもそも味の好みがかなり子ども寄りなので、ハンバーグやカレー、ナポリタンなんかのほうがいい。これをベースにピザやハンバーガーといったアクセントが入れば、筆者としてはもう大満足。

 

 

ピザの味は窯で決まる

宅配ピザチェーンに限って言うなら、いくつかあるお店をローテーションしている。すでに生地の違いの微妙なところもわかりつつあるので、例えば“利き宅配ピザ”的なことをされても、そこそこの正解率を上げる自信がある。

 

それに、自宅の近くに沿線でちょっと有名なイタリアンレストランがあって、ここのピザもおいしい。これもよくテイクアウトしている。

 

オーナーとピザ職人はナポリ出身だ。何回か顔を合わせるうちにいろいろ話すようになった。窯はものすごく凝ったという。二人は、声を揃えてこう言った。「ピザはね、窯で決まるんです」

 

 

胸に秘めた「マイピザ窯」への憧れ

DIYでピザ窯を作る本』(ドゥーパ!編集部・編/学研プラス・刊)は、ピザ窯へのあふれる情熱と熱いクラフトマンシップを感じさせる一冊だ。

 

ピザ窯には、大別して“単層型”と“2層型”の二種類がある。ただ、3層型やさらには4層型というゴージャスなタイプに走る人たちもいる。こういうタイプの外観は、ピザ窯界のロールス・ロイスとでも形容すべきオーラをまとっている。

 

ああ、憧れるなあ。筆者のようなマンション住まいの人間にとって、マイピザ窯は見果てぬ夢なのだろうか? 煙の問題もあるから、さすがにベランダに作るのは無理だろう。何か方法はないだろうか? 自分の手でおいしいマルゲリータを焼き上げたい。それを隣人たちに振る舞ってみたりもしたい。マイピザ窯というなんとも贅沢な妄想を抱く筆者が、この1冊を見逃すわけがないのだ。

 

 

さまざまなバリエーション

窯のバリエーションは層の数だけではない。基本的なデザインとして決めなければならないことがもうひとつある。全体的な形状だ。これにはドーム型とアーチ型、そしてスクエア型という三つのチョイスがある。

 

形状についても、それぞれメリットとデメリットがある。熱が窯の内部全体にまんべんなく回るドーム型は、初心者にとっては製作が難しい。製作過程はドーム型より簡単だが、熱伝導率はやや落ちるアーチ型。構造は最も単純だが、火加減の管理が最も難しいスクエア型。

 

煙突をつけるかつけないかというチョイスもある。窯口の大きさによっても火加減が変わってくる。窯を設置する場所――場所によっては火力を通常より高める設計が求められる――や広さが決まったら、そこから窯のタイプを決め、製作過程の難易度を重視するのか、あるいは熱伝導率など調理面を重視するのかを考えていく。

 

 

失敗しない窯作り

この本には22種類にのぼる“マイピザ窯”が紹介されている。実際に使用中の窯はどれも個性的で、美しい写真を見ているだけでも楽しい。構造とスペックを詳細に示したイラストも併せて描かれている。このあたり、図鑑的な趣も感じられる。細部にまでこだわりたい人たちのために、耐火レンガや鉄の扉といったオプションの素材やデザインにも触れていく。

 

とても親切だと思ったのは、「先輩の失敗談から学ぼう」という見開きのページだ。これは項目をひとつずつ紹介しておきたい。

 

・窯のサイズで失敗しました

・鉄が膨張してクラックが入った

・屋根を作らずに窯が崩れた

・熱が当たる窯口が壊れた

・窯が大きすぎて、なかなか温まらない

・窯口の高さが低かった

・土台で手を抜いて、ピザ窯が傾いた

・煙突の位置で失敗

 

ピザ窯に何の興味もない人が読んでも、「は?」ときょとんとされるだけだろう。しかし、少しでも興味がある人間なら、この8つの項目の重みは必ず理解できる。憎いくらいに的を射ているのだ。

 

 

筆者の解決策は、持ち運びできそうな窯

いや、たとえ小さくてもピザ窯を一から作るなんて、とてもとても…。そう感じる人たちもいるに違いない。でも、古いかまどやLPガスボンベ、バーベキュー炉を使ったテクニックもあるのだ。これはもう、驚愕するしかない。

 

筆者が着目したのは、LPガスボンベをリメークするタイプの窯。ワンボックスカーなら入りそうな大きさだ。これなら、キャンプ場なんかに行って、少しだけマイ窯オーナーの気分が味わえるじゃないか。

 

一戸建てにお住まいで、庭に自由に使えるスペースが少しでもある人たちに申し上げます。さまざまな言い訳はことごとくやっつけて、マイ窯を仕立てる腹を決めてください。そして本書の20ページ以上にわたる実践マニュアルを見てみてください。「ドーム型2層式窯」と「アーチ型単層式窯」の作り方が、豊富な写真とともに紹介されている。ひとつ作っておけば、ピザもフォカッチャも、そしておそらくナンもいけるだろう。

 

筆者、ベランダ窯は諦めます。でも、方法はある。冬の間は設計に没頭し、暖かくなったらポータブルピザ窯建造のスタートだ!

 

 

【著書紹介】

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DIYでピザ窯を作る本

著者:ドゥーパ!編集部(編)
出版社:学研プラス

だれでも簡単に本格ピザが焼ける大人気“ピザ窯”の基礎知識、作り方、そして楽しみ方までを豊富な実例とともに紹介。さらにピザ窯をもっと使いこなすための料理レシピ集、関連資材等のデータも収録している。ピザ窯のある素敵な生活をはじめてみませんか!?

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