画期的すぎて、展示されたのは素材だけ…!?「掃除の摩擦」でフィルターが復活する「空気清浄デバイス」を三菱電機が新開発

「換気装置のフィルターのメンテナンスの手間を軽減し、交換の期間も飛躍的に延ばせる仕組みを開発した」と、三菱電機が発表しました。今回、三菱電機が開発を発表したのは、世界初の「摩擦帯電方式」による新しい空気清浄デバイス。外気と室内の空気を入れ替える換気空調システムに装着するものです。オフィスや集合住宅での導入を想定しており、事業化は2020年度を目標としています。

 

エアコンにも応用可能な新開発の空気清浄デバイスを発表

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エアコンや空気清浄機は外気との換気は行わないこともあり、空気清浄デバイスと言っても、三菱電機製の家庭用エアコンや空気清浄機にすぐに搭載される機能にはなりません。ただ、原理としてはエアコンや空気清浄機のフィルターにも応用可能な内容。10年間のメンテナンスフリーを謳っているため、家庭用製品への転用も自ずと期待してしまうところです。それでは、新開発の「摩擦帯電方式空気清浄デバイス」が従来と何が異なり、どのようにしてメンテナンスフリーを実現するのか? 以下で詳しく見ていきましょう。

 

換気装置の外側に設置すれば、フィルター交換の頻度が激減!

そもそも換気装置に搭載されているフィルターは、外気を取り込む際に大気中に含まれる汚れを除去するために使われます。一般の家庭で「換気」というと、室内の淀んだ空気を新鮮な外気と入れ替えるイメージがありますよね。しかし、昨今は花粉、塵埃(※)、PM2.5など、都市部の大気にはダストが多く含まれるため、外気を取り込む際にフィルターを通すことでエアコンなどの空調機器の省エネ性を維持しているのです。

※塵埃(じんあい)……チリとホコリのこと

 

今回、三菱電機が新開発した「摩擦帯電方式空気清浄デバイス」は、このフィルターの外側(外気側)に設置し、フィルターの負荷を軽減することで、通常2年に一回は必要なフィルターのお手入れや交換を、10年に一回に低減できるというものになります。

↑摩擦帯電方式空気清浄デバイスの構成例↑摩擦帯電方式空気清浄デバイスの構成例

 

自動清掃の摩擦で捕集板に静電気を補給する

摩擦帯電方式空気清浄デバイスの最も外側には、マイナスに帯電するプラスチック製の捕集板が設けられています。外気中のダストの多くはプラスに帯電しており、室内に取り込む際に捕集板に付着します。捕集板をすり抜けるプラス帯電していないダストは数が少ないため、フィルターが汚れにくくなるという仕組みです。

 

捕集板に付着したダストは、定期的に不織布で作ったブラシが自動清掃し、ダストをダストボックスに集めます。この自動清掃の際に、捕集板とブラシの摩擦によって捕集板に静電気が発生し、捕集板が再帯電するようになっています。

 

この仕組みにより、世界保健機関の環境基準であるPM2.5濃度10μg/㎥以下を達成。捕集板の捕集性能は低下することなく、10年間メンテナンスフリーで使えるとしています。なお、ダストボックスのゴミ捨て頻度も10年に一回の目安です。

↑不織布ブラシが自動清掃する際に摩擦を起こし、再帯電することでダストを捕集し続ける原理↑不織布ブラシが自動清掃する際に摩擦を起こし、再帯電することでダストを捕集し続ける原理

 

メンテナンスの手間を減らし、高気密・高断熱住宅に貢献

三菱電機 先端技術総合研究所 所長の水落隆司氏は、「経済産業省が音頭を取って進める、ZEH/ZEB(ゼロ・エネルギー・ハウス/ゼロ・エネルギー・ビル)市場の規模拡大により、オフィスやマンションの高気密・高断熱化が進んでおり、『換気』が社会的な重要性を増しています。新開発した摩擦帯電方式空気清浄デバイスを利用することで、少ないメンテナンスで空気のきれいな空間が提供しやすくなります」と、ZEH/ZEB化に貢献できるシステムであると力説しました。

↑三菱電機 先端技術総合研究所 所長の水落隆司氏↑三菱電機 先端技術総合研究所 所長の水落隆司氏

 

また、同研究所 環境システム技術部長の古川誠司氏は、「集じん原理を従来の放電による帯電から、非放電の摩擦による帯電に切り替えることで、デバイスの経時劣化が飛躍的に減少しました。火災リスクの極小化と、オゾンや窒化酸化物の発生の抑制が図れるほか、高い安全性も実現。メンテナンスの手間や費用も軽減できます」と語りました。

↑三菱電機 先端技術総合研究所 環境システム技術部長 古川 誠司氏↑三菱電機 先端技術総合研究所 環境システム技術部長 古川 誠司氏

 

↑従来と比較して、安全性や省メンテナンス性に優れているとしています↑従来と比較して、安全性や省メンテナンス性に優れているとしています

 

まずは中国市場でフィールド試験を実施

まずは北京などPM2.5が深刻な中国市場で、約1700か所の三菱電機の換気空調システムに搭載してフィールド試験を実施。2020年度の事業化を目指すとのこと。なお、今回の発表会ではデバイスの実物は展示されず、捕集板や不織布ブラシも素材のみの展示となっていました。1ユニットの外形寸法はW300×D300×H250mmと公表していますが、実物も写真もないので、まだその姿を見ることはできません。2020年度の事業化ということもあり、プロトタイプを一般公開するには未だ早いと判断したのでしょう。

↑捕集板の素材となるプラスチックとブラシの素材となる不織布↑今回展示された素材。捕集板の素材のプラスチックとブラシの素材となる不織布です

 

開発に際しては、「ダストの捕集率などの検証がもっとも大変で、時間が掛かりました」と古川氏。この発表にこぎつけるまでに、古川氏を中心に5年ほどの時間が掛かったそう。システムとしての価格は未定ですが、10年ぶんのHEPAフィルター交換のコストよりは安価に提供できる見通し。小型化できれば、家庭用のエアコン等への搭載も可能性はあるとのことでした。フィルターの交換やお手入れの手間を軽減する本システムが、エアコンや空気清浄機にも搭載される日が楽しみですね。

青空をより青く! PLフィルターは●●のときに使おう

カメラに詳しい方なら、「フィルター」と聞けば何のことかわかるだろう。カメラに詳しくない方に簡単に説明すると、カメラのレンズの前に付けるものが「フィルター」だ。

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フィルターにはさまざまな種類がある。単純に色をオレンジっぽくしたり紫っぽくしたりするものや、光芒を十字型にするクロスフィルター、わざと画面を暗くするNDフィルターなどもある。

 

また、レンズ保護のためのプロテクトフィルターというものもある。これが一番使われているのではないだろうか。

 

 

光の反射を抑える「PLフィルター」

さまざまなフィルターがあるが、風景写真を撮る人の間でよく使われているのが「PLフィルター」だ。

 

PLとは「Polarized Light」(偏光)の略。画面内の不要な光の反射を除去することができるのが、PLフィルターだ。レンズに装着後、PLフィルターを回転させることで効果を増減させることができる。一番利用されるのが、青空の濃度をあげるとき。PLフィルターを使うことで、空に反射している光を抑え、青空をより濃く描写できる。

 

また、水面の反射を抑えたり、葉などの反射を除去して色のコントラストを高くすることができる。新緑や桜、紅葉撮影などにも使われる。僕もPLフィルターを持っている。風景写真をじっくり撮ることがあまりないので、使用頻度は低いが、夏の風景を撮影するときなどに使うことがある。構図を決めたらPLフィルターを回転させて、反射が少なくなったなーというところで止めて撮影。そんな感じで使っていた。

 

 

PLフィルターの効果

しかし、実はPLフィルターは効果的な場合とそうでない場合があるようだ。

 

CAPA 2018年1月号』(CAPA編集部・編/学研プラス・刊)に「レベルアップ撮影術 冬景色にキク! PL活用テクニック」という記事が掲載されている。その記事内に、PLフィルターの役割が記述されている。

 

1つ目は、被写体の放つ偏光を除去して素材の色を引き出すこと。2つ目は、主役以外が放つ偏光を除去して主題をハッキリさせることだ。

『CAPA 2018年1月号』より引用

 

冬景色の場合、雪や氷がメインの被写体となるため、1つ目の効果は期待できない。となると、2つ目の効果のためにPLフィルターを用いることになる。つまり、空にかかった靄というか霞のようなものを除去して青空をはっきりさせて、白い雪や氷をより引き立たせるという使い方だ。

 

 

PLフィルターは斜光で使え!

僕が昔、PLフィルターを使っていたのは、主に夏の空、それも雲を撮るときだ。あまりカメラの知識がなかったが、「PLフィルターを使えば青空が濃くなる」と思い、使っていた。ただ、あまり効果を実感したことはなかった。なぜなのか。この記事内にある記述でわかった。

 

またPL効果の変化は常に得られるわけではなく、被写体とカメラと太陽の位置関係が垂直、つまり横からの光線のときが効果的。故に、順光や逆光ではPLの効果は弱くなる。

『CAPA 2018年1月号』より引用

 

これを読んで気が付いた。僕は空を撮影する際、青く写すためにたいてい順光で撮影している。これではPLフィルターはあまり機能しない。効果が実感できないわけだ……。

 

 

PLフィルターでワンランク上の印象的な写真に

PLフィルターを効果的に使えば、いつもの写真をより印象的に仕上げることができる。デジタル一眼レフやミラーレス一眼を持っている方は、PLフィルターを使ってみよう。使い方自体は難しくない。あとは適切な条件で使いこなすようにすればよい。フィルター1枚で、印象を大きく変えることができるのだから、写真はおもしろいものだ。

 

よし、年末年始はPLフィルターを使って写真を撮ってみようと思う。

 

 

【著書紹介】

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CAPA 2018年1月号

著者:CAPA編集部
出版社:学研プラス

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