大阪工場を取材…サントリージンが世界で評価されるワケは“和食”にあった!【2026年春工場見学開始】

「ROKU〈六〉」「翠(SUI)」などのジンをはじめ、さまざまな“洋酒”を製造している「サントリー大阪工場」が、2026年の春から一般見学ツアーを開始すると発表。GetNaviお酒・グルメアドバイザーの中山秀明氏が先立って行われた取材会に参加し、その一部を体験してきた。工場の内部やサントリーの戦略、さらにジンの最前線をお伝えする。

↑サントリーがつくるジンの代表的銘柄が、サントリージャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」。2017年の発売から8年で、世界第2位のプレミアムジンへと成長した(2024年販売数量/IWSR2025データより)。

ジンの歴史と概要。ジュニパーベリーとは?

ジンは、ラム、テキーラ、ウォッカと並び「世界四大スピリッツ(蒸溜酒)」に数えられる酒。諸説あるものの、一般論ではオランダの医学博士が1660年に薬用酒として研究開発した、ジュニパーベリー(西洋ねずの実)を主体とする薬用酒がルーツとされています。

↑ジュニパーベリー。ウッディーでビターな甘みのある香りが特徴で、熟した果実を乾燥させスパイスとして利用する。工場見学ツアーでは他のボタニカルを含め、実物を見たり嗅いだりできる。

ジンの語源も、ジュニパーベリーにあり。オランダやフランス語圏でジュニエーブル、イェネーフェルなどと呼ばれていたものが、イギリスに渡りジュネヴァと呼ばれ、やがて「ジン」の愛称に短縮され広まっていきました。

定義としても、ジュニパーベリーはジンに欠かせません。そのほか穀物由来のスピリッツであること(例:ラムなどで重用されるサトウキビなどの糖蜜由来の場合、他の要素を満たしていても一般的にジンとはいわない)、アルコール度数が37.5%以上であることなどが条件です。

↑ジンの製造工程一例。「サントリー大阪工場」取材時の動画モニターを撮ったもので、一般見学でも動画でわかりやすく解説してもらえる。

トレンドの背景に欧州で生まれた“クラフトジン”がある

ジンは近年、国内外で飛躍的に市場が成長した洋酒の代表格といえます。火付け役といわれているのが、クラフトジンのムーブメント。パイオニア的なブランドのひとつが、英国ロンドンで2008年に蒸溜所が設立された「シップスミス」です。

↑サントリーの資料より。右上の写真にあるボトルが「シップスミス」。

やがてその熱は日本にも伝播し、2017年にはサントリーもジャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」を発売。スタートアップによる銘柄も続々誕生し、いまや国内の小規模蒸溜所は約140もあるとか。そしてトレンドの起爆剤となったのが、2020年に誕生した「翠(SUI)」です。

「翠(SUI)」は、ソーダ割りでフードペアリングを推奨する飲み方提案も支持を得て、その後2022年にデビューした「翠ジンソーダ缶」もメガヒット。いまでは各社から、缶のジンソーダやジントニックが発売されるほど定着しています。

↑サントリーが推計した国内のジン市場データ。「翠ジンソーダ缶」が発売された2022年に、大きく伸長している点に注目。

浸漬タンクとつながった巨大蒸溜釜が並ぶ様は圧巻

「サントリー大阪工場」内部へと話題を進めましょう。同工場の歴史は古く、1919(大正8)年に同社(当時は鳥井商店)草創期の大ヒットぶどう酒「赤玉ポートワイン」をビン詰めする工場として開設(当時の名称は築港工場)。やがてスピリッツやリキュール全般を製造開発する工場へと規模が拡大し、いまに至ります。

↑工場内には歴代の名酒とともに歴史を紹介するギャラリーも。「赤玉ポートワイン」は1907(明治40)年に誕生し、1973(昭和48)年に「赤玉スイートワイン」へと名称変更。

来春スタートが見込まれる工場見学において、目玉のひとつとなりそうなのが、蒸溜器が見渡せるデッキです。驚くべきは、その大きさと設備。筆者がこれまで、いくつかのジン蒸溜所を取材したなかでも、ここまで高さのある蒸溜器は初めてかもしれません。なおかつ、メインとなる蒸溜釜の形が、ウイスキー蒸溜で頻用されるような銅製の単式蒸溜器(ポットスチル)に似ている点もポイント。

↑種類の異なる4基の蒸溜器が稼働。複層階のフロアで構成されていることからも、その巨大さがわかる。

加えてもうひとつ珍しいのは、蒸溜釜に設えられた浸漬(しんせき)タンク。これは、生産能力増強と品質向上を目的に新設した、画期的なシステムです。従来は蒸溜釜内でボタニカルの浸漬と蒸溜を同時に行っていたところを、タンクで浸漬してから蒸溜釜へ移送する工程にしたことで、生産性向上を実現。さらには、浸漬温度、時間、攪拌(かくはん)を制御できるようになり、品質もアップしたといいます。

↑浸漬タンクと蒸溜釜が、パイプでつながっている。

4基の蒸溜器は今回新調した設備となりますが、それぞれ種類が異なる理由は、素材ごとに原酒のつくりわけをするため。例えば桜やバナナなどにはクリアで繊細な酒質を得やすい「減圧蒸溜釜」を、柑橘系の素材には精溜度の高い蒸溜ができる「ピール・レクチ」を、ただし柚子などには「ピール・スチル」を、ジュニパーベリーなどジンの伝統的なボタニカルには「ジン・スチル」を、と使いわけることで、各素材に理想的な原酒をつくり出します。

↑蒸溜器を一望できる、見学デッキの壁に設置されている展示。訪れた際は、4基それぞれがどの蒸溜器か見比べてみよう。

「クリエイションルーム」ではテイスティングやセミナーを予定

そしてもうひとつの目玉が、「クリエイションルーム」と呼ばれる会場。ここは360度のスクリーンに没入感のある映像を流せるシアターとなっていて、見学ツアーではジンに関するテイスティングやセミナーなどが予定されています。

↑「クリエイションルーム」。席も円形に設えられている。

取材会では矢野哲次工場長がサントリーのものづくり精神や大阪工場について、スピリッツ・ワイン商品開発研究部の伊藤定弘部長が「ROKU〈六〉」の魅力をテイスティング講座形式で教えてくれました。特に筆者が感銘を受けたのは、同社が思い描く「The Japanese Craft」の考え方です。

↑スピリッツ・ワイン商品開発研究部 部長の伊藤定弘さん。360度の映像は桜をはじめ、柚子、玉露なども。

一言で例えるならば「和食」。その哲学はジンのブレンドにも表れており、料理でいえば「炊き合わせ」が挙げられます。というのも、一般的なジンの製法は原料を一括で浸漬、蒸溜するところ、「ROKU〈六〉」や「翠(SUI)」では素材ごとにつくりわけた複数の原料酒をブレンドしているからです。

↑イメージとしての、「ROKU〈六〉」と一般的なジンとの製法の違い。

日本料理の「炊き合わせ」も、素材ごとに別々に調理して提供時にお椀で合わせる。これにより、各素材の味や色の個性を最大限に楽しめるのです。ラーメンで例えれば、豚や鶏の白湯と魚介ダシを一緒に煮込むのではなく、それぞれ炊きわけ提供直前に合わせるWスープの手法が、サントリー流のジンに通じるレシピといえるでしょう。

↑取材会では、ここでしか味わえない桜や柚子の原料酒もテイスティング。こうしてテイスティングすると、素材の個性がよくわかる。

冒頭でも触れたように、一般見学ツアーは2026年の春ごろを予定しており、具体的なツアー内容や、参加は予約制なのか、工場までのアクセスは、料金はいくらなのかといった具体的な内容は決まっていません。とはいえ着々と準備は進められており、遠くない未来に発表されることでしょう。

↑「サントリー大阪工場」の住所は、大阪府大阪市港区海岸通3-2-30。すぐそばには天保山運河。USJや2025大阪・関西万博会場から比較的近い場所にある。(写真提供/サントリー)

GetNavi webでもその動向を追い、情報を入手次第お伝えするので要チェック。ジンのトレンドにも引き続き注目です。

The post 大阪工場を取材…サントリージンが世界で評価されるワケは“和食”にあった!【2026年春工場見学開始】 appeared first on GetNavi web ゲットナビ.

【大阪の最新喫煙所まとめ】万博、あべのハルカスから朝倉未来プロデュースの話題スポットを現地取材

2025年1月27日に「大阪市全域」で路上喫煙が禁止となり、約半年が過ぎました。前回の取材では、喫煙所の数が不足している状況をお伝えしましたが、2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)の会場内2か所に喫煙所が設置されるなど、現在進行形で喫煙者と非喫煙者が心地よく共存するための環境づくりが着々と進んでいます。

今回は、GetNavi web編集部が実際に大阪市内を巡り、万博をはじめとする注目の喫煙所を取材。その現地の様子を詳しくレポートします。

万博会場に待望の喫煙所が設置! 喫煙者たちのオアシスに

会期の折り返しを迎えた大阪・関西万博。これまでの喫煙所は東ゲート外側の2か所だけでした。しかし、「喫煙所が遠くて不便」といった声や、「隠れ喫煙」があとを絶たない現状などを受け、ついに会場内にも喫煙所が設置されました(6月28日運用開始)。

場所は、会場内リング北側と、EXPOメッセ(WASSE)南側の2か所。メタンガスが発生する可能性を危惧して、ガスが検出されていない安全な場所に設置されました。

↑景観を損なわない、シンプルでスタイリッシュな外観(EXPOメッセ(WASSE)南側)。

早速現場を訪れてみると、どちらの喫煙所も満員御礼。喫煙者がひっきりなしにやってきて、思い思いに一服を楽しんでいました。

↑こちらは会場内リング北側の喫煙所。スペースに収まりきらないほど、多くの喫煙者たちで常に賑わっていた。

喫煙者の数が喫煙所のキャパシティをオーバーしていた印象は否めませんが、「来場者の利便性向上」と「隠れ喫煙の撲滅」の一助になったに違いありません。

↑会場内に新設された喫煙所は2か所(大阪・関西万博公式HPより)

リングを想起したデザインが若者文化にマッチ!朝倉未来プロデュース「SMOKING DOWN」

↑リングをイメージした、インパクトのあるデザイン。

次に向かったのは、JR大阪駅、各線梅田駅から徒歩圏内にある曽根崎お初天神通り商店街に今年4月1日オープンした「SMOKING DOWN」。格闘家・朝倉未来さんが喫煙所不足を実感したことで、自らが私財を投じてプロデュースし、設置した話題の無料喫煙所です。

↑お初天神通り商店街に面した好立地。黒バックに白と赤のロゴが目を引く。

喫煙所内のデザインは、朝倉さんが代表を務めるBreaking Down(ブレイキングダウン)の金剛リングがモチーフにされており、前方の大型スクリーンでは朝倉さんが出演する動画が流れていました。

↑入口の扉には、朝倉さんのサイン(丸印)も!

日本を訪れる世界中の人から「日本って綺麗だな」と感じてもらいたい、という朝倉さんの願いが込められた、格闘技好きならずともワクワクする空間でした。

ポールダンスと喫煙所? エンタメを掛け合わせた大阪ミナミの新・喫煙スポット

続いてご紹介するのは、大阪の路上喫煙禁止という社会の変化を逆手に取り、独自の視点と行動力でWinWinの関係を築き上げた喫煙所です。

大阪メトロ長堀橋駅7番出口を出てすぐ、ビル地下1階にあるボールダンスバー「ポールダンスSPOTまんぐーす」では、昨年末(2024年)にバーの一角を改造して無料の喫煙所をオープン。オーナーのAYAさんに話を聞きました。

↑サイケデリックでオシャレな喫煙所内。あらゆる点でオーナーAYAさんの商才が光る。

「きっかけは、知り合いのリフォーム会社の方のアドバイスでした。大阪府の補助金を活用して無料の喫煙所を設置したらどう?って。うちは人通りが多いエリアなので、以前から吸い殻のポイ捨てが多くて困っていたんですよ。そこに来て、大阪市内全域での路上喫煙禁止の実施でしょう?

設置費用と5年間の維持管理費が受け取れて、社会貢献にもなる。喫煙難民を救えるし、吸い殻の処理に困ることも減るでしょう。紹介元への依頼もできて、ビジネスチャンスにも繋がるのでは? これはWinWinどころの話じゃないな、と思って申請しました」

↑外に置かれた看板を見て、ふらりと立ち寄る一見さんも多い。

喫煙所内でポールダンスのショーの映像が見られるとあって、多くのメディアからの取材が殺到。テレビや新聞で知ったことを機に、お店を訪れたお客さんも多かったようです。

「喫煙所を利用する方は途切れませんね。正確には数えていませんが、夕方には備え付けの灰皿が山盛りになるくらい。おかげさまで、お店の客足も好調です。

↑喫煙所のサイネージは、反転してしまうが店内でも見られる仕様。

たくさんのメディア報道のおかげで、思いもよらないお話もいただくことも多く、喫煙所の設置が転機となりました。

これにより法人成りをして、会社を設立。現在は異彩を放つ事業家の方たちと共に、斬新な広告事業の構築に取り組んでいるところです。9月からは喫煙所がより一層話題のスポットに変わりますので、楽しみにしていてくださいね」

日本一高い場所で一服! あべのハルカス展望台の「絶景喫煙所」

最後に訪れたのは、高さ300メートルを誇る超高層複合ビル「あべのハルカス」58階 天空庭園(屋外広場)の一角にある喫煙所です。

↑眼下に広がる大阪の街を眺めながら、のんびりと一服できる。

この喫煙所は、展望台の入場料を払えば、誰でも利用可能。三層構造になっている展望フロアのもっとも低い階層にあたり、屋外の心地よい風を感じられる「天空庭園」に併設されています。

↑日本で一番高いビルの喫煙所からの絶景をぜひ。

なお、あべのハルカスよりも高いビルはほかにもありますが、展望フロア内にあるという点では、ここが日本で一番高いビルの喫煙所!(編集部調べ)夏休みのお出かけの際に、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

以上、大阪市内のちょっと目を引くユニークな喫煙所をご紹介しました。どんどん進化する大阪市の喫煙所。今後の動向も楽しみです。

取材・文/水谷花楓

今回取材した喫煙所スポット

「大阪・関西万博」会場内リング北側/EXPOメッセ(WASSE)南側
住所:大阪市此花区夢洲
利用可能日時:大阪・関西万博の営業時間と同じ

「SMOKING DOWN」
住所:大阪市北区曽根崎 2-11-23 ステージお初天神表参道ビル 2F
利用可能日時:365日 10時~25時
※利用状況等に応じて利用可能日時は変更となる場合あり

「ポールダンスSPOTまんぐーす 長堀橋駅前店」
住所:大阪府大阪市中央区東心斎橋1丁目 4-1オリエンタル東心斎橋ビルB1
利用可能日時:月曜~土曜(祝日を除く) 14時~翌0時

「あべのハルカス」58階 天空庭園
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
利用可能日時:展望台の営業時間と同じ

The post 【大阪の最新喫煙所まとめ】万博、あべのハルカスから朝倉未来プロデュースの話題スポットを現地取材 appeared first on GetNavi web ゲットナビ.

大阪市の“路上喫煙禁止”の実態は?万博会場・天王寺で喫煙所を現地調査してみた

2025年1月27日から「大阪市全域」で路上喫煙が禁止になったことをご存知でしょうか? 条例の施行から4か月が経過し、実際にどのような影響が出ているのか、GetNavi web編集部が現地取材を実施。万博会場(夢洲・ゆめしま)と天王寺エリアを歩き、喫煙所の数、条例の認知度、民間企業の取り組みを調査しました。現場の声から見えてきた、大阪市の喫煙事情の「今」と「課題」をレポートします。

 

【条例概要】大阪市の路上喫煙禁止ルールとは? 対象エリア・罰則まとめ

↑画像提供/大阪市ホームページ

 

2025年1月27日、大阪市は「市民等の安心、安全及び快適な生活環境を確保するとともに、国際観光都市にふさわしい環境整備やまちの美化に積極的に取り組んでいくため」(大阪市ホームページ原文ママ)大阪市内全域において路上喫煙を禁止としました。

 

これは、同じく今年4月13日に開幕した2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)を前に、国内外から多数の観光客が訪れることを見越して、大阪市全体の景観美化のために施行されたと言われています。

 

特筆すべきは、この2点です。

・大阪市が管理する「道路・広場・公園その他公共の場所」が対象となり、該当区域で路上喫煙を行った場合は1000円の過料徴収の対象となること

・従来の「火のついたたばこ(紙巻たばこ)」に加えて、「加熱式たばこ」も対象となったこと

 

大阪市は、補助金を活用した民間事業者による喫煙所の設置を進めているとのことですが、はたして喫煙者の反応や実際の街中ではどのような状況になっているのでしょうか?

 

【万博会場の喫煙所】場所・混雑状況・条例認知度を現地調査

↑平日の午前中にもかかわらず長蛇の列!賑わいを見せる大阪・関西万博会場の東ゲート。

 

まずは、今回の条例改正のきっかけとなった大阪・関西万博の会場に向かいました。喫煙所は、現状、地下鉄夢洲駅を降りてすぐの東ゲート両脇2か所に設置されています。(5月26日に万博協会より、会場内にも3か所の喫煙所を整備すると発表あり。利用開始は6月上旬の予定)

 

入場口(東ゲート)を挟んで北側の喫煙所は万博スタッフと思われる人も使用しており、ほぼ満員状態。

↑北側の喫煙所は少し奥まったところにあり、日本語と英語で書かれた手書きの案内が貼られていた。

 

一方、南側は駅から遠い側の喫煙所だからか、比較的空いている印象でした。

↑南側喫煙所。空気清浄機も完備されており、クリーンな喫煙所内。煙臭さはあまり感じない。

 

こちらで一服していた数人に話を聞いたところ、大阪市内全域が喫煙禁止になったことを知っていたのは約6割でした。

 

特に関東や四国など遠方から大阪を訪れた方の中には、条例を知らない人も。しかし、東京から観光で来たという男性いわく「知らなかったが、今のご時世、どこも吸えないものだと思っているので」と、あまり驚きはなかった様子。

 

大阪市内在住で、万博には複数回来ているという女性は「(条例は)報道で見て知っていました。吸える場所が少ないから、市内全域で禁止は困ります」とこぼしつつも、「おかげで、自然と吸う本数が減ったのは良かったかもしれません」と笑顔で語ってくれました。

 

やはり、市内在住の喫煙者は、路上喫煙禁止に関するトピックに敏感なよう。なお、喫煙所内に条例に関するポスターは貼られていませんでした。

 

【天王寺の喫煙所問題】歩きたばこが減らない理由とは? 現場の声

続いて、天王寺駅周辺へ向かいました。以前から設置されていたJR天王寺駅前の喫煙所に加えて、今回の条例改正にともない、新たに阿倍野歩道橋下、てんしば、天王寺動物園入口付近の合計3か所の喫煙所が設置されました。

↑天王寺動物園入口付近に新たに設置された喫煙所。

 

「とは言え、まだまだ足りませんね」そう語るのは、天王寺駅前商店街振興組合の理事長であり、大阪市路上喫煙対策委員会の委員でもある佐野嘉昭さんです。

↑佐野さん自身も喫煙する立場として、皆が過ごしやすい天王寺駅前商店街を目指す。

 

「条例で路上喫煙禁止が決まったからと言っても、それだけやったら路上喫煙は減りませんよ。コンビニとか弁当屋の前に置かれていた灰皿とゴミ箱は撤去されてしまって、吸える場所がほんまに少ないんです。だから、正直、裏通りで歩きたばこをしている人は結構います。喫煙所がないから道端のポイ捨ても減らへん。地域住民の方や商店街の仲間からも、吸い殻が散乱して困っているという苦情を聞きます。

 

私はよく孫と天王寺動物園に行くんですが、喫煙所がないから、吸おうと思ったら一回外に出なあかん。昔は園内にもあったんやけどね」

 

2022年11月に大阪市商店総連盟からの依頼でプランワークストレンドラボが作成したレポート「大阪市内に必要な喫煙所数と設置不足が商店街におよぼす影響」によると、大阪市内において必要な喫煙所数は367か所。当時、市が整備している喫煙所は120か所でしたが、現在では350か所以上にまで整備が進みました。しかし、依然として空白地帯が目立っています。

 

「やはり、喫煙所の数を増やすことが先決ですよね。喫煙所は作って終わりやなくて、定期的な吸い殻の撤去や清掃も必要。手間も費用もかかります。だからこそ、そもそものたばこ税の使い道を再検討せなあかんと思いますし、補助金を増やしたり、申請条件を見直したりすることも検討していただきたいですね」

↑阿倍野歩道橋下の喫煙所。同様のオープン型喫煙所を各地に増やしていくことを佐野さんは望む。

 

「そんなものすごい喫煙所じゃなくてもいいんです。空調を完備した密閉型の立派なものだと、管理も大変やし、夜間は使えないでしょう? JR駅前や歩道橋下の喫煙所みたいな、柵で囲っただけ、つい立を立てただけのものでも十分やと思います。広い公園の中の人通りが少ない場所に広めの喫煙スペースを作るとか……それやったら、もう少し喫煙所を増やすことができるんと違うかな」

 

【THE TABACCOの挑戦】大阪の喫煙所が増えないワケと民間企業の役割

次に、自治体の助成金を活用しながら喫煙所の設立・運営をしている民間企業、株式会社コソドの代表取締役CEO 山下悟郎さんに話を聞きました。

↑山下さんの元には、非喫煙者から「がんばってください!」とエールが届くこともあるのだそう。(写真提供/コソド)

 

「私たちが運営する喫煙所『THE TABACCO(ザ タバコ)』は、2020年4月に第一号を出店してから今日現在(2025年5月23日)までの約5年間で全国163か所、月間の利用者総数は約184万人となりました。

 

喫煙者が肩身の狭い思いをしないよう、快適に利用できるようにと、内装から運営までかなり細かく工夫しています。たとえば、各喫煙所にはAIカメラを搭載しており、どの時間帯にどのくらいの人流があるかがデータで可視化されます。このエリアは何曜日に利用者が多いから清掃頻度を高めよう、雨の日はこう対策をしよう、などというケアが即座にできるんです」

↑「THE TABACCO SHISAIBASHI」思わず立ち寄りたくなる、洗練された内装と行き届いた清掃が特徴的。(写真提供/コソド)

 

「多い場所では一日3回灰皿を交換したり、定期的にヤニ落としやダクトの大掃除を行ったりと、柔軟に対応できる。これらは、行政にはなかなか難しいことだと思います。

 

その甲斐あってか、おかげさまで利用者の方からは『喫煙所が少なくなってきているなかで、こんなに快適な喫煙所があるのは本当に助かる』といったポジティブな感想が多数寄せられています。

 

また、非喫煙者の方からも、『路上喫煙が減ることで、マナーの悪い喫煙者が減って自分たちの居場所が確保された』という声をいただいています。喫煙者と非喫煙者の双方が過ごしやすい場所作りに少しでも貢献できているのならば、非常にうれしいですね」

 

全国的に好評な「THE TABACCO」ですが、大阪市に注目してみると、「THE TABACCO UMEDA」(2025年1月5日オープン)では、1日の利用者数が1月は500名~900名であったのに対して、条例後の2月以降は800~1100名。「THE TABACCO SHINSAIBASHI」は1月が200~300名、2月以降は400~500名と、条例の施行前と後では利用者が約2倍にまで増加しているとのこと。いかに、喫煙所が必要とされているかがわかります。

↑大阪駅前第1ビルの一階にある「THE TABACCO UMEDA」。入れ代わり立ち代わり、次々と利用者が吸い込まれていく。

 

「大阪市は、全国的に見ても喫煙所が少ないと感じています。駅前などの繁華街の喫煙所がものすごく少ないですし、人流あたりの喫煙所の数が圧倒的に足りていない。じゃあ、もっと『THE TABACCO』を増やせばいい、という話になるのですが、これもまた容易ではありません。

 

喫煙所の設置には、周囲に保育園や小中学校がないかといった条件や、近隣住民の方々への許可取りが難しく、そうなるとお借りできる場所の候補も少なくなってしまう。そして、一番はコスト面です。不動産価格も上がっていますし、自治体からの助成金を活用してもなお、運営が厳しい場所もあります。もちろん、喫煙所内にサイネージを設置して広告スペースを設けるなど、収益化も工夫してはいるのですが、改正健康増進法などの縛りがあり、選択肢がかなり少ない点が最大の課題でしょう。

 

助成金を増やしてほしいという思いはもちろんありますが、それ以上に、現実的な運用がしやすいルールにしてもらえると出店しやすい、というのが本音です」

 

【まとめ】喫煙所は増えるべき? 共存するための課題と今後の展望

今回の取材で、大阪市の喫煙事情と課題が見えてきました。そのなかでも、それぞれの立場でできることを、積極的に進めている人たちがいます。

 

「これまでも、大阪市議会長に向けて大阪市内全域路上喫煙禁止方針に関する陳情書を提出してきましたが、今後も(1)喫煙所整備の積極的な推進と、(2)私たち民間事業者の喫煙所整備への積極的ば参画に対して、潤沢な助成制度の設立と予算拡大を訴えていきます。また、大阪市路上喫煙対策委員会でも、積極的に意見を述べていこうと思っています」(佐野さん)

 

「喫煙所の数を増やすには助成金制度が必要で、制度を有効活用してもらうためには、助成金制度の設計が大切。私たちがどのように店舗を運営していて、どうキャッシュアウトしているかは、すべてデータで蓄積しています。この情報を行政の方々にシェアすることで、助成金制度のお手伝いができると考えています。各自治体と密に連携して動いていくことが、出店以外で今一番やりたいことです」(山下さん)

 

喫煙者と非喫煙者がどちらも暮らしやすい街にするために、大阪市をはじめ各自治体がどのような対策を講じるのか、今後も注目していきます。

 

よくある質問(FAQ)

Q. 大阪市ではどこで喫煙できますか?

A. 市内全域で路上喫煙は禁止されていますが、一部の公共施設や駅前に指定喫煙所が設置されています。JTによる喫煙所検索サービスもあります。

 

Q. 大阪・関西万博会場内に喫煙所はありますか?

はい。会場東ゲート付近に2か所に設置されています。加えて、会場内にも3か所の喫煙所設置(2025年6月上旬利用開始)を予定しています。

 

Q. 喫煙所が少ないことによる影響は?

歩きたばこやポイ捨ての増加、観光客の不満、喫煙者の利用環境の悪化などが指摘されています。

 

取材・文/水谷花楓

25年後の自分に出会える! 一台で体育館の広さを除菌!? 大阪・関西万博・ヘルスケアパビリオンの見どころを解説

10月まで、大阪の夢洲(ゆめしま)で開催されている大阪・関西万博。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、「いのち」という大テーマに真正面から取り組む史上初の万博として注目を集めています。会場には、“未来社会の実験場”として様々なパビリオンが登場。「いのち」や「持続可能な社会」を五感で感じ、楽しみながら学べる展示を行っています。

 

そこで今回は、約6分で健康状態が測定でき、ミライのヘルスケアや都市、食と文化などを疑似体験できる「大阪ヘルスケアパビリオン」をご紹介。会場ではなんと、“25年後の自分”にも出会えるとか。パビリオンの魅力を、公益社団法人 2025年日本国際博覧会大阪パビリオンの小村勝彦さんにお聞きしました。

 

大阪ヘルスケアパビリオンのテーマ
「REBORN(リボーン)」とは

今回ご紹介する「大阪ヘルスケアパビリオン」は、東ゲートから入り、関西万博のシンボル的存在でもある「大屋根リング」をくぐる手前にある建物です。

↑鳥の巣のようなデザインが特徴の大阪ヘルスケアパビリオン。

 

このパビリオンは、「ミライのヘルスケア」や「ミライの都市」をめぐる「リボーン体験ルート」のほか、400を超える中小企業、スタートアップが毎週、異なるテーマで新技術を展示する「リボーンチャレンジ」、未来のドリンクや究極のおにぎりが食べられる「ミライの食と文化」、別館のXD HALLで体験できる「モンスターハンター ブリッジ」などで構成されています。

↑会場には、1970年の大阪万博で大人気だった「人間洗濯機」の進化版、「ミライ人間洗濯機」も展示されています。

 

このパビリオンのテーマは、「REBORN」。直訳すると「再生した、生まれ変わった」という意味ですが、大阪ヘルスケアパビリオンにおける「REBORN」には2つの意味があるそうです。

 

「ひとつは、新たな自分への“生まれ変わり”に気づくこと。自分らしい生き方を見つめ直すことで、生きがいを発見したり、意識を変えるきっかけにつなげていただけたらと思っています。そしてもうひとつは、この生まれ変わりへの気づきをもとに行動を起こし、万博のテーマでもある“いのち輝く未来社会”へ新たな一歩を踏み出してもらいたいということ。この2つの思いが込められています。
パビリオンを出たあと、パビリオン内で五感を使って感じたことを行動に移してもらえれば、ここでの体験は未来につながったといえるでしょう。たとえば、『明日から食生活を見直そう』など、なんでもいいんです。『ミライは変えられる!』『今から頑張ろう!』と前向きな気持ちになって、次の行動への第一歩を踏み出すきっかけにしていただきたいですね」(公益社団法人 2025年日本国際博覧会大阪パビリオン・小村勝彦さん、以下同)

 

パビリオンの目玉コンテンツ
「リボーン体験」って?

大阪ヘルスケアパビリオンの最大の魅力は、「カラダ測定ポッド」を利用した「リボーン体験」です。

 

リボーンバンドを腕につけてポッドに入ると、心血管や筋骨格、髪、肌、視覚、脳、歯の7つの項目が、画像分析やセンサーなどによって測定されます。測定時間は約6分。測定が完了すると、目の前のスクリーンに測定結果が表示されます。

↑カラダ測定ポッドは、百貨店の更衣室ぐらいの広さ。

 

さらに2階にある「ミライのじぶん」ルームでは、測定したデータをもとに作られた“25年後の自分(アバター)”に会うことができます

 

「大阪ヘルスケアパビリオンのアプリから事前登録を行い、QRコードを発行しておくとスムーズにリボーン体験に入れるので、ご来場前の登録がおすすめです。アプリには25年後の自分のアバターと健康データが残るので、体験後の振り返りにも使えます。ちなみにアバターも健康データも、保存しておけるのはこのアプリだけ。ぜひご利用ください。
また、ポッド内で、『髪をあげて、その状態をキープしてください』とナビゲートされる箇所がありますが、ここで前髪をしっかりあげないと、アバターの髪型が正しく作成されないことがあるので、気をつけてくださいね」

↑大阪ヘルスケアパビリオンのアプリには、パビリオンに入ったときのデータ、そして「ミライのヘルスケア」や「ミライの都市生活」を体験したらランクがどのように変わるかという予想データが表示されます。

 

未来の健康に必要な栄養や食材レシピを
AIがパーソナライズして提案

25年後の自分に出会ったあとは、「パーソナルフードスタンド」に移動しましょう。ここでは、カラダ測定ポッドで取得した健康データといくつかの生活習慣に関する質問をもとに、AIが必要な栄養素や食材、レシピを提案してくれます。この提案内容は、一人ひとりパーソナライズされています。

↑「ミライのヘルスケア1」エリアにある「パーソナルフードスタンド」。

 

「『パーソナルフードスタンド』では、測定結果をもとにいま必要な栄養素を補っていただくという意味で、GABA配合のグミや乳酸菌を配合した乳飲料、1日分のビタミン入りゼリーなど、協賛企業さまのサンプル品から、その人に合ったものが提供されます。パビリオンを出たあとに早速試し、行動を変えるきっかけにしてみてくださいね」

↑筆者がいただいたのは、味の素の「アミノ酸ゼリー」。

 

いざ自分の未来を変える旅へ!
編集部おすすめブース【ヘルスケア編】

カラダ測定ポッドで健康データを測定し、いまの自分の健康状態を把握したところで、協賛企業が想定する2050年頃のヘルスケアやミライの都市を体験できるゾーンへ移動しましょう。

 

ここでは、細胞ケア研究所やカラダ拡張スーツ、個々の腸内環境に合わせて生活のヒントを提案する「ビフィズス菌で超人間」など、多種多様な展示が行われています。そのなかから編集部のおすすめを3つご紹介します。

 

口に入っても安全! 新しい除菌のかたち

↑細かい水のシャワーを浴びるだけで完璧に除菌するシャワーゲート。

 

一般社団法人日本MA-T工業会「地球とカラダに親切な除菌
(展示場所:ミライのヘルスケア1)

 

ウイルスから身を守るためには、除菌液を携帯したり、部屋に空気清浄機を置いたりと用途に応じて、さまざまなグッズを用意しなければなりません。しかし、未来の世界では空間自体を除菌することが可能になるかもしれません。それを可能にするのが「MA-T(Matching Transformation System)」と呼ばれるシステムです。

 

これは、「水性ラジカル」という菌やウイルスに反応する粒子を活用した技術。水性ラジカルは、少量ではあるものの水の中に安定的に存在している粒子のため、安心して使うことができ、医薬、農業、食品衛生、エネルギー分野にも応用できるそうです。

 

ブースでは、細かいシャワーを浴びるだけで除菌ができるシャワーゲートが展示されています。筆者が体験したところ、少し濡れる感覚はあるものの、すぐにさらっと乾き、無臭でアルコールのような匂いはいっさいあ感じませんでした。

 

さらに会場には、たった1台で体育館全体を除菌できる気流空間洗浄機(ドクトーレ)も設置されています。体育館は災害時の避難所に指定されることが多いので、今後、避難所の感染対策やニオイ対策アイテムとして活躍する可能性を秘めています。

↑気流空間洗浄機(ドクトーレ)は、「ミライのヘルスケア」のエリア全体も除菌しています。

 

近い将来、手のひらにのるボールのような小ささで、4LDKの部屋、もしくは一戸建てをまるごと除菌できるアイテムも登場するかもしれません。

 

目をチェックするだけで、健康状態が一目瞭然!?

ロート製薬「アイケアステーション
(展示場所:ミライのヘルスケア2)

 

会社ではPC、外ではスマホ、自宅では大画面テレビ……。目を酷使する時間が増えている現代。しかし、「見えにくい」「疲れているな」と感じても、眼科を頻繁に受診するという人は少ないのではないでしょうか。

 

ロート製薬が提供する「アイケアステーション」では、2050年に向けて開発中の最新アイ・センシング技術を動画で体験できます。ちなみに「センシング」とは、センサーを用いてモノの動きなどの情報を収集すること。そして「アイ・センシング」とは、このセンシングで目の動きや目の情報を収集し、目の健康状態を分析する技術です。

 

会場では、カラダ測定ポッドのデータといくつかの質問をもとに、目の健康状態だけでなく、目元の肌年齢まで解析してもらえます。このアイ・センシング技術により、未来では、目の病気の早期発見のみならず、視力の改善、目を使ったスポーツトレーニングの提案が当たり前になっているかもしれません。

 

今後、画像解析や生成AI技術が向上すればするほど、自分の目の状態が鮮明に可視化され、なんとなく感じている疲れの原因が一目でわかるようになるのだとか。疲れ目がなくなり、目を輝かせて歩く人が増えるかもしれません。

 

自分の体に合う自分だけの細胞を使った再生医療

↑自分の細胞をもとにパーソナライズされた細胞を作ってくれる「セルマシーン」。

 

ロート製薬「細胞デザインステーション
(展示場所:ミライの都市)

 

2050年頃を想定した展示ブース「ミライの都市」では、さまざまな再生医療を体験できます。そのなかのひとつが、「細胞デザインステーション」。

 

髪の毛、皮膚、内臓など、私たちの体はすべて細胞でできています。さらに、免疫を向上させたり、炎症を抑えたり、組織を修復したりといった体の維持もすべて細胞の働きによるもの。

 

未来では、不調をきたしている部分の治療に適した細胞を培養できる「セルマシーン」と呼ばれる自動細胞培養装置が身近になり、さまざまな場所で治療が受けられるようになると想定されます。「セルマシーン」を使うと、必要な細胞だけを取り出して数を増やし、体に投入可能な形に変化させることができるので、たとえば、ひざが痛くて歩けなかったおばあさんが、培養した細胞を使って治療すると、再び歩けるようになるそうです。

 

自宅で肉を作る?お弁当がおにぎりに?
編集部おすすめブース【食品編】

今、当たり前にあるものがなくなるかもしれない。反対に、今ないものが当たり前になるかもしれない。それが未来の食です。食料自給率が低下し、環境に配慮しながら作物や動物を育てなければならなくなった未来には、どのような食事があるのでしょうか。

 

お肉は「店で買うもの」から「家庭で作るもの」へ

↑肉の細胞から培養して肉をつくる「ミートメーカー(コンセプトモデル)」。

 

培養肉未来創造コンソーシアム「家庭で作る霜降り肉
(展示場所:ミライの都市)

 

牛のゲップからメタンガス(温室効果ガス)が排出され、環境に負荷がかかっているのを知っていても、おいしいお肉を食べたいと思うのは人の性。未来ではそのお肉が、店で買うものから家庭で作るものに変わっているかもしれません。

 

それを可能にするのが、肉の細胞から培養して肉を作る「ミートメーカー(コンセプトモデル)」です。この装置のすごいところはただ単においしいだけでなく、自分の健康や好みにあわせたお肉が作れること。赤身の量や脂肪のバランス、鉄分、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素の量を、自分が摂りたいバランスに調節できるのです。

 

自分好みのヘルシーなお肉とはどういう味わいなのでしょうか。展示のみのブースなので、食べることはできませんが、実際に培養されたお肉を見ることは可能です。

↑培養した霜降り肉と赤身のサンプル。

 

ベストセラーののり弁が片手で食べられる

株式会社ハースクレイ「ほっかほっか
(展示会場:ミライの食と文化)

 

「ミライの食と文化」のゾーンでは、大阪産食材の活用と、新たな食文化の発信をテーマに、お店が並んでいます。編集部がとくに気になったのが、のり弁で有名な「ほっかほっか亭」事業を行う企業、ハークスレイです。

 

お弁当が主流のほっかほっか亭がつくる未来のお弁当は、その名も「ワンハンドBENTO」。野菜などで作った食べられるシートやのりで、ご飯や具材を「おにぎらず」のような形で包み、さらにその上にフライなどのおかずがのっています。

↑「ポークたまご」。しっかりとした食感のポークミートにからしマヨネーズが絶妙にマッチします。

 

たとえば、白身フライがドンとのったワンハンドBENTOの「のり弁」は、一見食べにくそうに見えますが、こぼれないように形や袋が工夫されているので、最後までキレイに食べることができます。またワンハンドで食べられるよう重ねたことで、玉子焼きやちくわ磯部などの味わいはそのままに、おかかやからしマヨネーズが絶妙なタイミングで口の中に入ってきてくれるのも魅力です。

 

ヘルシーさを求めるなら、おすすめは「ベジカレー」。ご飯とご飯のあいだにサンドされたキーマカレーは、大豆ミートで作られており、スパイシーながらもまろやかな味わい。上にのった焼きレンコンが、食感にアクセントをつけてくれています。最大の特徴は自然な甘さを演出するにんじんシート。がっつりだけどヘルシーなカレーを手軽に食べたい人におすすめです。

 

2050年の自分をリボーンさせる体験

カラダ測定ポッドで健康データを測定し、そのデータをもとに25年後の自分に出会い、さまざまなミライのヘルスケアや都市を体験したあとは、「リボーンパレード」が待っています。

 

大きなスクリーンの前にある“たまごマーク”にリボーンバンドをタッチすると、「ミライのヘルスケア」や「ミライの都市」で体験した内容と、それに関連する測定データの項目が投影されます。実は、「ミライのヘルスケア」や「ミライの都市」を体験したことで、アバターを作ったときの健康データのランクが上昇し、生まれ変わった「ミライのじぶん」に出会えるという仕組みなのです。

 

生まれ変わった未来の自分が楽しそうに踊ったり、走ったりする姿は、現在の自分よりも元気にはつらつとしているように見えます。そして、そんな元気な未来の自分を現実のものにするためには、パビリオン内で体験したことを楽しかったで終わらせるのではなく、行動に移すことが大切。それにより本当の意味での未来が変わります。一連の展示を通し、「行動を起こせる人に、明るい未来はやってくる」と伝えているのかもしれません。

 

リボーンパレードでは、視覚ランクが『C』から『B』に上がるなど、未来を体験することで、健康データがどのように変わるのかを確認できるので、モチベーションを上げたり、次の行動を考えたりするきっかけになると思います。
『ミライのヘルスケア』や『ミライの都市』を体験したあとに、『食生活を見直してみようかな』『目を休める時間を増やそうかな』など、ささいなことでもいいので、今の自分に足りないものに気づくきっかけになったらうれしいです。
ちょっとしたことであっても、行動することで未来はプラスに変えられる。希望をもって何かを続ければ、それは必ず未来につながります。ぜひ『ミライのヘルスケア』や『ミライの都市』を体験しにきてください」

 

2050年の大阪は、駅や商業施設などの至るところに「カラダ測定ポッド」が設置され、手軽に健康状態が確認できるようになっているかもしれませんし、再生医療が進み、今よりももっと病気が治りやすくなっている可能性も十分にあります。

 

2050年を25年も先と感じる人もいるかもしれません。でもそれは、今の積み重ねの先にあるもの。パビリオンを出た瞬間から次の未来は始まっています。まずは1周2kmある大屋根リングを歩いて、有酸素運動をしてみるのもいいかもしれませんね。

 

Profile

公益社団法人 2025年日本国際博覧会大阪パビリオン 総務調整グループ 広報・催事課長代理 / 小村勝彦

1991年大阪市に入職。2023年4月より大阪府と大阪市、民間企業の職員で組織される「公益社団法人2025年日本国際博覧会大阪パビリオン」に配属され、パビリオンの運営、広報等の業務を行う。大阪ヘルスケアパビリオンでの体験が何かの行動に繋がることを期待しながら、多くの人に来館いただき楽しんでもらえるよう努めている。
HP

 

上川隆也×堤幸彦『魔界転生』に高岡早紀、村井良大、松田凌、玉城裕規ら

日本テレビ開局65年記念舞台として、演出・堤幸彦、主演・上川隆也で上演される舞台『魔界転生』の第2弾キャストが決定し、高岡早紀ら9人の出演が発表された。

 

 

原作は、1967年(昭和42年)に『おぼろ忍法帖』として単行本化された、山田風太郎の人気伝奇小説。1981年(昭和56年)に、深作欣二監督により映画化されて大ヒット。その後、舞台、漫画・アニメ、ゲームなど、数多くのジャンルでリメイクされている。

 

今回の舞台『魔界転生』は、多くの名作を手掛ける堤幸彦が演出、マキノノゾミが脚本を担当し、新たなるスペクタクル時代劇として再び蘇らせる。

 

主演の柳生十兵衛を演じるのは上川隆也。また、幕府への復讐を果たすため、魔界の力を借り現世に甦る天草四郎役を溝端淳平、妖術で甦った柳生十兵衛の父である柳生但馬守宗矩役を松平健が演じる。

 

今回、出演が発表されたのは、高岡早紀、藤本隆宏、山口馬木也、浅野ゆう子といったベテラン陣に加え、村井良大、松田凌、玉城裕規、木村達成、猪塚健太という注目を集める若手俳優たち。人気・実力を兼ね備えた豪華な顔触れが集結し、スペクタクル時代劇の決定版に挑む。

 

舞台『魔界転生』は、ゆかりの地、天草・島原がある九州の福岡・博多座で10月に開幕し、11月に東京・明治座、12月に大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。

 

日本テレビ開局65年記念舞台
『魔界転生』
原作:山田風太郎(角川文庫刊)
演出:堤幸彦
脚本:マキノノゾミ

 

<出演>
上川隆也、溝端淳平、高岡早紀、村井良大、松田凌、玉城裕規、木村達成
猪塚健太、山口馬木也、藤本隆宏、浅野ゆう子、松平健 ほか

 

■福岡公演
10月6日(土)~28日(日)博多座

■東京公演
11月3日(土・祝)~27日(火)明治座

■大阪公演
12月9日(日)~14日(金)梅田芸術劇場メインホール

企画・製作:日本テレビ